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1956-03-13 第24回国会 参議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十三日(火曜日)    午後二時二分開会     —————————————   委員異動 三月十日委員井上清一君及び島津忠彦辞任につき、その補欠として中川以 良君及び西田隆男君を議長において指 名した。 三月十二日委員西川平治辞任につ き、その補欠として松野鶴平君を議長 において指名した。 本日委員松野鶴平辞任につき、その 補欠として西川平治君を議長におい て指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    理事            古池 信三君            河野 謙三君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            西川平治君            白川 一雄君            阿具根 登君            海野 三朗君            藤田  進君            加藤 正人君            上林 忠次君            石川 清一君   国務大臣    国 務 大 臣 正力松太郎君   政府委員    総理府原子力局    長       佐々木義武君    通商産業政務次    官       川野 芳滿君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省重工    業局長     鈴木 義雄君    通商産業省鉱山    局長      松尾 金藏君    中小企業庁長官 佐久  洋君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本原子力研究所法案内閣送付、  予備審査) ○原子力燃料公社法案内閣送付、予  備審査) ○核原料物質開発促進臨時措置法案  (内閣送付予備審査) ○中小企業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○中小企業信用保険法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○経済自立方策に関する調査の件  (ミシンの輸出及び生産に関する  件)     —————————————
  2. 古池信三

    理事(古池信三君) ただいまより商工委員会を開会いたします。  最初委員異動について御報告申し上げます。  今月十日井上清一君及び島津忠彦君が辞任され、その補欠として中川以良君及び西田隆男君が指名されました。今月十二日西川平治君が辞任せられ、その補欠として松野鶴平君が指名されました。さらに、本日松野鶴平君が辞任され、その補欠として西川平治君が指名されました。以上御報告いたします。     —————————————
  3. 古池信三

    理事(古池信三君) ただいまから審議に入りたいと思いますが、まず最初に、日本原子力研究所法案原子燃料公社法案、並びに核原料物質開発促進臨時措置法案、以上三案を一括上程いたしましてそれぞれ提案理由説明を聴取いたしたいと存じます。
  4. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) ただいま議題となりました日本原子力研究所法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  原子力開発が将来におけるエネルギー資源確保し、学術進歩産業振興をはかり、人類社会福祉国民生活水準向上にきわめて重要な意義を有するものでありますことにつきましては、今さら論を待たないところでありまして、政府におきましても、原子力開発重要性にかんがみまして、一昨年以来、原子力に関する行政機構確立研究開発実施機関早急整備を意図しており、昨年末原子力基本法が制定されました後、本年一月からは原子力委員会及び原子力局の発足をみた次第であります。  研究開発実施機関につきしましては、諸外国における研究開発進展状況にかんがみまして、わが国におきましても早急に研究に着手することが望ましいこと、アメリカ合衆国との間における濃縮ウラン受け入れ協定成立に伴いまして、これが受け入れ機関を早急に整備する必要があること等の理由から、法律の裏づけを待つことなく、とりあえず財団法人として昨年十一月三十日原子力研究所を発足いたさせました。  しかしながら、これは当面の措置でありまして、原子力基本法にも規定されておりします通り法律に基く国家的機関としての研究所を整備いたしますことが必要であり、政府におきましても原子力委員会中心に慎重に検討して参ったのであります。  その結果、この研究機関といたしましては、原子力開発がきわめて広範囲にわたる技術の総合の上に成り立ち得るものであること、高度の技術水準が要求されていること、並びに広く各界にわたる協力体制確保する必要があり、これがためには単に資金的な面ばかりでなく、有能な研究技術者の交流をはかる必要等から、民間各界協力が不可欠の要請であること等の諸要件を満たし、わが国における原子力開発のセンターとなるべき研究開発実施機関としての実質を整えるために、民間出資をも認め、しかも政府の強い監督に服する特殊な法人とすることといたしました。  この法案は、以上の経緯及び観点に立ちまして、原子力基本法に基き、原子力開発に関する研究等を総合的かつ効率的に行い、原子力研究開発及び利用促進に寄与させることを目的といたしまして、日本原子力研究所設立しようとするものであります。  次に、この法律案要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、日本原子力研究所資本金は、政府及び政府以外の者からの出資金合計額とし、政府一般会計から研究所設立の際二億五千万円を出資することになっております。また、政府出資に当っては、土地建物等をもって現物出資することができるようにいたしております。  第二に、研究所役員として、理事長、副理事長理事及び監事を置くこととし、その任命につきましては、理事長にあっては原子力委員会同意を得て、副理事長及び理事にあっては、理事及び原子力委員会意見を聞いて、監事にあっては、原子力委員会意見を聞いて、それぞれ内閣総理大臣任命することといたしております。  第三に、研究所の行う業務でありますが、日本原子力研究所設立目的に従いまして、原子力に関する基礎的研究及び応用の研究原子炉の設計、建設及び操作、原子方関係研究技術者養成訓練放射性同位元素輸入生産及び頒布等業務を行わしめることといたしております。なお、研究所は、その業務を行うに当りましては、原子力委員会議決を経て内閣総理大臣が定める原子力開発利用に関する基本計画に基いて行わなければならないことといたしております。  第四に、研究所財務及び会計でありますが研究所予算資金計画事業計画財務諸表、利益の処理、借入金財産処分等につきましては、内閣総理大臣認可または承認を要することとしておりますが、これは、研究所業務公益性によるほか、政府出資金が、その資本金の二分の一以上に出ること並びに研究所の特殊な法人としての性格上、政府以外の出資者発言権が認められないため、内閣総理大臣がこれらの者にかわり研究所財務及び会計に関与する必要があること等の理由によるものであります。また政府は、研究所研究開発実施機関としての特殊性にかんがみまして、その業務に要する経費の一部を補助することができることといたしております。  第五に、研究所は、内閣総理大臣監督に服するのでありまして、内閣総理大臣は、研究所に対して、監督上必要な命令をなし また報告を徴し、所属職員をして立入検査ができることにいたしました。  最後に、研究所設立に関する事務は、内閣総理大臣設立委員任命してこれを処理させることにいたしておりますが、研究所業務をなるべくすみやかに開始する必要がありますので、必要な準備を急速に行いたいと考えております。  一方現在の財団法人原子力研究所は、この研究所成立のときにおいて解散し、その権利義務研究所が承継するとともに、職員もそのまま引き継ぐことといたしております。  なお、登録税法及び地方税法の一部をそれぞれ改正し、研究所に対する登録税不動産所得税固定資産税及び電気ガス税をそれぞれ減免する等の措置を講ずることとなっております。  以上が、この法律案提案理由並びにその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。  次に、ただいま議題となりました原子燃料公社法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  申し上げるまでもなく、原子力開発が将来におけるエネルギー資源確保学術進歩産業振興、及び人類社会福祉国民生活水準向上に果す役割はきわめて大きいものと期待されるのであります。これは、とりもなおさず昨年末原子力基本法が制定されたゆえんでありますが、政府におきましても、つとに原子力開発重要性に思いをいたしまして、研究機関行政機構等確立整備をはかり、原子力開発の強力な推進に留意して参った次第であります。  さきに提出いたしました日本原子力研究所法案もこの趣旨によったものでありますが、翻って考えますと、原子力開発利用技術研究向上の必要なことはもちろんでありますが、原子力エネルギーの源泉となりまするウラントリウム等核燃料物質開発もきわめて重要なことであります。特に現在の国際情勢のもとでは、これらの物質海外市場から入手することはきわめて困難な状況にあります上、諸外国がこれら資源開発に専心努力している事情にかんがみまして、わが国におきましても早急にこの開発に着手することが強く要請されるのでありまして、原子力基本法にも原子燃料公社の設置が定められている次第であります。このため、政府におきましては、これらの資源開発機関としての公社につきまして、原子力委員会中心に慎重に検討して参りました結果、今回提出いたしましたような原子燃料公社の構想を、取りまとめまして御審議をわずらわすことといたしたのであります。  すなわち、この法案は、以上の趣旨に従いまして、原子力基本法に基き、核原料物質開発及び核燃料物質生産並びにこれらの物質の管理を総合的かつ効率的に行い、原子力開発及び利用促進に寄与することを目的といたしまして、原子燃料公社設立しようとするものであります。  次に、この法案要旨を御説明いたします。まず第一に、原子燃料公社資本金は、その金額を政府出資に待つことといたし、設立にあたりましてはとりあえず政府は一千万円を支出することになっております。  第二に、公社役員としましては、理事長、副理事長理事及び監事を置くこととし、それぞれ内閣総理大臣任命することといたしましたが、役員人事重要性にかんがみ、役員任命に当りましては理事長原子力委員会同意を得ることとし、その他の役員につきましては原子力委員会等意見をきくこととして、役員人事に遺憾なきを期することにいたしました。  第三に、公社の行う業務でありますが、原子燃料公社設立目的に従いまして、おもな業務としましては核原料物質探鉱、採鉱、選鉱、輸入、買い取り及び売り渡し核燃料物質生産、加工、輸入輸出、買い取り、売り渡し及び貸付等を行わさせることにいたしたのであります。なお、公社はこの業務を行うに当りましては、原子力委員会議決を経て内閣総理大臣が定める原子力開発利用に関する基本計画に基いて行われなければならないことといたすとともに、公社は、毎年、業務報告書内閣総理大臣に提出し、内閣はそれを国会報告することといたしたのであります。  第四に、公社財務及び会計でありますが、公社予算事業計画財務諸表借入金財産処分等につきましては、内閣総理大臣認可または承認を要することとしておりますが、このほか原子燃料公社特殊性にかんがみまして、公社会計は、会計検査院が検査する旨の規定を設け、その検査を経た決算書類を、毎年国会報告することとし、公社会計適正化をはかった次第であります。  なお、公社の行う業務性格にかんがみまして、政府はその業務に要する経費の一部を補助することができるようにいたしました。  第五に、公社は、内閣総理大臣監督に服するのでありまして、内閣総理大臣は、公社に対して監督上必要な命令をなし、また報告を徴し、所属職員をして立入検査ができることといたしました。  最後に、公社設立に関する事務は、内閣総理大臣任命する設立委員に処理させることにいたしますとともに、公社に対する課税を減免するため各種税法の一部改正を行い、また業務関係ある諸法規の必要な改正を行いまして、公社業務運営に遺憾なきを期した次第であります。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上御賛同賜わらんことをお願い申し上げます。
  5. 古池信三

    理事(古池信三君) それでは核原料物質開発促進臨時措置法案について、通産政務次官より提案理由説明を聴取いたします。
  6. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) ただいま議題となりました核原料物質開発促進臨時措置法案について御説明申し上げます。  最近の欧米各国における原子力の発達は、真にめざましいものがありまして、その動力面への利用、医学、農業、工業等の各方面にわたるアイソトープの応用等注目すべき多くの成果を生み出しておりますことはすでに御承知の通りであります。  わが国におきましても、これがため、去る第二十三回臨時国会において原子力基本法が制定され、原子力に関する政策の基本方針及び原子力に関する機構が定められたのであります。今後これによりまして原子力開発利用を積極的に推進いたし、将来におけるエネルギー資源確保産業振興をはかることとなるのであります。  かくて実験用原子炉輸入も近く実況の運びに至り、さらに国産原子炉に関する研究も各方面協力により進みつつあるのでありまして、これに伴って、核燃料物質たるウラン等もできる限り国産をもって充足するよう、ウラン鉱等開発促進することが要請せられておるのでありまして、このため、前国会におきまして鉱業法の一部を改正して、ウラン鉱及びトリウム鉱鉱業法適用鉱物に追加いたしたのであります。  しかしながらウラン鉱等開発は、他の鉱物のそれと異なり全く新規のものであり、相当資金技術とを要し、かつ、企業リスクの多い事業でありますので、ひとり一般鉱業権者の行う開発のみに依存いたしますならば、ウラン鉱等開発を急速に行うことを期待できないのであります。従いまして、ウラン鉱等の開港については、国ないしこれに準ずる機関が、当分の間、みずから探鉱を行う必要が痛感される次第であります。このため通商産業省地質調査所においては、昭和二十九年度より探査を実施して参り、相当成果を上げておりますが、近い将来、原子燃料公社設立いたされましたならば、地質調査所原子燃料公社とがともに探鉱実施して参ることとなるわけであります。  しかして、この探鉱については、鉱業権者土地所有者等関係人同意協力とを得て、円滑にこれを行うべきことは言うまでもありません。が、これらの協力を得ることが困難な場合においても、原子力開発利用趣旨にかんがみ、探鉱実施することが必要と認められる場合があろうかと存じます。従いまして、この法律案は、かかる場合において、地質調査所及び原子燃料公社がその探鉱を支障なく行うために必要とする土地立ち入り使用等手続を定めるとともに、ウラン鉱等開発特に採掘促進するために必要な諸措置と助成とを規定したのであります。  以下の法案概要について申し述べます。  第一に、本法案目的は、原子力基本法第一条に規定する目的の達成に資するため、核原料物質開発促進することであると規定し、この法律原子力基本法との関係を明らかにしております。  第二に、地質調査所または原子燃料公社の行う探鉱の合理的な実施をはかるため、内閣総理大臣核原料物質探鉱計画を定めることといたしております。  第三に、地質調査所または原子燃料公社核原料物質探鉱を行うに当り、必要やむを得ないときは、他人の土地立ち入り使用または鉱業権者事業場への立ち入りや一時使用に関する手続を定めております。これらの措置は、迅速に探鉱の実を上げるため特に認めたものでありますので、一方これら土地立ち入り使用等による損失補償規定を置きまして、土地所有者鉱業権者等の保護をはかっております。  第四に、ウラン鉱等目的とする採掘権者が、その鉱区においてウラン鉱等を経済的に開発できるにかかわらず、開発しないときは、通商産業大臣開発を指示することができることとし、指示に従わなかった採掘権者があるときは、その採掘権者が現に行なっているウラン鉱等以外の鉱業実施を著しく阻害しない限度において、原子燃料公社が租鉱権を設定できる旨を規定しております。  第九に、原子力基本法規定にならいまして、鉱業権者または探鉱に寄与した者に対し、奨励金または賞金を交付することができることを規定しております。  第六に、この法律性格上限時法とすることとし、施行の日から十年以内に廃止することとしております。  以上本法律案提案理由ならびにその内容の概要を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことを切望する次第であります。
  7. 古池信三

    理事(古池信三君) ただいま政府側から出席しております方を御報告いたします。  正力国務大臣川野通産政務次官佐久中小企業庁長官松尾鉱山局長佐々木総理府原子力局長秋山中小企業庁振興部長坂根公正取引委員会経済部長、以下の諸君であります。  ただいま提案理由説明を聴取いたしましたこの三法案のうち、日本原子力研究所法案は、三月六日、その他の二法案は昨年三月十二日に予備審査のため、当院に回されたものであります。この三法案につきまして特別何か御質疑がございますか。……御質疑がなければ、審議は次回に回すことにいたして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 古池信三

    理事(古池信三君) それではこの三法案審議は次回に回ることにいたします。ちょっと速記をとめて。    午後二時二十八分速記中止      ——————————    午後二時四十四分速記開始
  9. 古池信三

    理事(古池信三君) それじゃ速記を始めて下さい。  中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案並びに中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、以上二件を一括して上程いたします。  本日は前回に引き続いて質疑を進めて参りたいと存じます。
  10. 西川彌平治

    西川平治君 この中小企業金融公庫法並びに中小企業信用保除法とはちょっと違っておるのでありますけれども、最後において関連がございますので、質問をいたしたいと思うのであります。実はこの間ちょっと私やはり質問をいたした事柄でございますが、さらにもう一ぺん私は質問してみたいと思うことがございます。それは中小企業協同組合連合会の問題で、非常にこの業界で、その会長問題でやかましい問題が起っておることは、まあ新聞等で皆様よく御存じのことと思うのでありますが、それがどうも調停に立たれた方の調停案もついに空しく、いよいよ決選投票によってその会長をきめるというようなことがきょうの新聞に出ておるのでありますが、こういうことになりますると、私はこれは大へん困った問題に実はなると思うのでございますが、すなわちこの中小企業金融の問題に関連をいたしまして、非常に困った問題が私は起ると考えておるのでありますが、これに対する政府のお考えがどうでありますかをお伺いしたいと思います。
  11. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) ただいまの中小企業協同組合連合会というお話しでありますが、実はこれは全国協同組合中央会という名前でございます。これの会長問題は御説の通り、いろいろの風評を呼びまして、実はだれがなるかというようなこともまだ決定はいたしておりません。まあ一番望ましい姿は投票というような形でなしに、すべての人が一致して推挙するというような方が会長になるというのが一番望ましいのでありますが、なかなかそういうふうにうまく運びませんで、結局今の情勢から判断すれば、結局投票できめるということにならざるを得ないのじゃないかというふうに思われます。ただ、その場合におきましても、何かこう新聞でだいぶ興味本位で書いている点もあるように思われますので、決選投票というような言葉を使いますと、いかにもぎらつくのでありますが、法律自体選挙というふうになっておりまして、必ずしも投票できめたら法律趣旨に反するとも、私ども考えておりませんし、またそういう方法できまっても、別に、特に私の方としてこれをどうするというようなことを考えるべき筋合いでもございませんので、特別な方法を講ずるというつもりもございません。だれがきまるか、先ほど申しましたように、今のところ全然わからない状態で、明日の、最後発起人会が行われるのですが、この席でまた会長問題については、あるいは討議が行われるのじゃないか。その際に円満に片がつけば、これが一番望ましいことでありますが、どうも必ずしもそういうわけには、大きな期待が持てないような状況でございます。
  12. 西川彌平治

    西川平治君 どうもこの問題は関西、あるいは東海ブロックと、北陸とか、あるいは関東ブロックというような、ブロック的な関係支持者が固まっておりまするような関係がございまするので、どうも私はこれは何となくあと味を非常に悪くするような感じがするので、今のお話しでは、どうも政府当局としても、これについては余り関与することができないようなお話しでありますが、あるいはそうかもしれませんが、こういう問題はあまり露骨にそういうものを表立てることが、どうも私はどうかと考えるのですが、やはり何かこう仲裁かどうか知りませんが、何かあっせんでもするような方法はないものでしょうか。
  13. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) たとえば業界の中でもって二派にわかれて争うというような場合でありますれば、あっせんと申しますか、はっきりそういう対立が見える場合には、あっせんという方法もあろうかと思いますが、どうも今度の問題は、少し性質が違っておりますので、しかもだれとだれが対立しているというような状況ではございませんので、ある一人の人を推すものが多数であってそれに反対するものがまあ少数であるというふうな状況でありますので、ちょっとこのあっせんという方法はないのではないか、こういうふうに考えております。
  14. 西川彌平治

    西川平治君 その程度にしておきましょう。
  15. 河野謙三

    河野謙三君 私法律をちょっと忘れたのですが、会長選挙せられた結果通産大臣承認を得ることになっていましたかな。
  16. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) 承認でもありませんし、もちろん任命でもありません。
  17. 河野謙三

    河野謙三君 任命でもない、そうしますと一応御説のように通産省としては成り行きにまかせるという態度が一番公明であるわけですが、今西川さんのおっしゃったように公式論ばかり言っておって、この団体が果してあなたたちが期待するような運営がつくかつかないかということになれば、そういう紛糾のあとは私は運営はつかぬと思う。それに政府補助金を出すのだし、何らかこれはもうむしろ、長官の御答弁よりもむしろこれは大きな政治問題ですが、政務次官、これは通産大臣なり政務次官はどういうふうにお考えになっておりますか。
  18. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 選挙の結果、あとあとがもめるというようなこと等も実ははっきりいたしませんので、もし会長がきまりました後においてもめるというような事態等が起りましたならば、それはそういう点についてあっせんの労もとりたいと、こういうふうに考えております。
  19. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、今選挙の結果を待たずに、激しい争いをして選挙をやった結果がもめるというようなときには、選挙を待たずにあっせんの労をとりたい、こういうことですか。
  20. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 今日の情勢下では選挙によって後任会長がきまりました場合に、果してもめるであろうかどうかというような見通しもはっきりいたしません。なるほど先ほども長官が話しましたように、候補者はございまするが、しかし民主的に選挙等で行われました場合におきましても、あとが円満にいく場合もございますので、従いましてそういう点から今直ちに監督庁である通産省がかれこれ言うことも、いかがかとこういうふうに考えておる次第であります。
  21. 河野謙三

    河野謙三君 これはこういう速記をとっておるところで答弁を求める方が無理かもしらんけれど、おのずと腹案はおありになるのじゃないかと思いますがね、一応伺いますが、たとえば政務次官が所属しておる政党でも、政党は総裁が選挙ということになっているけれども、政党の総裁を選考した前例はないし、選挙すれば必ずこれはもめるにきまっているので、これは特に長年の歴史を持っているのならばいいけれども、今度初めてできる、初めて中央会が発足するに当って、あなたの方は常に中小企業の結束強化をはかると、小小企業者よ結束せよと号令をかけておって、それは結束しない中小企業者が悪いには違いないけれども、それを結束させる第一段階、第一手段としてこの会長問題何とか私はしなければ、そういう公式論ばかり言っておったのでは、われわれはこの法案審議に当って積極的に賛成をし、大いにこれに期待をかけている一人ですが、そういう政府の消極的な態度では、公式論は別として、非常に中央会の前途というものは私は危ぶまれると思いますがね。
  22. 古池信三

    理事(古池信三君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  23. 古池信三

    理事(古池信三君) それでは速記を始めて下さい。  前回の本委員会におきしまして西川委員並びに三輪輪委員からの質疑がございました。これに対して佐久中小企業庁長官より発言を求められておりますのでこれを許します。
  24. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) 先般の委員会でお配りいたしました資料の中で、商工中金の貸出残高表というのがございますが、その中のサービス業というのはどういうものを言うのか、それで金額はどのくらいかという御質疑がございまして、たまたま私の手元に資料がございませんので、答弁が残されておりました。それについてのお答えを申し上げますが、業種といたしましては、旅館、貸間業、これが三億八千五百万円、これは内容は大阪で見本市が行われました際に、その収容力を急いで増さなくちゃいかんということで、一部修理のための金を出しておるのであります。それから料理業というのがございますが、これは外食券食堂の改造資金と、それから東京の露店商の店舗改造増設、そういうための資金でございます。それから興業関係で一千百万円、内容は教材映画の製作資金でございます。それからそのほかに自動車機械類その他の修理業というのが三億七千万、それから医療及び保健業、これが一億九千八百万円、あと理容とか洗い張り、洗濯、公衆浴場、そういうものを含めまして三億一千五百万円、この医療関係というのは結核病棟新増設、それから医療器具の入れかえ資金、こういうことになっております。  それからもう一つの御質疑は運転資金で一千万円以上を中小企業金融公庫法で貸出した例があるかということでございますが、これは二十九年度三十年度を調査いたしまして、石灰鉱業が非常に不況な際でありましたので、それの整備資金として逆転資金を三千万円が一件、二千万円が十二件、千七百五十万円が一件、千五百万円が二件、一千三百万円が一件、こういうふうな貸し出しをしております。
  25. 古池信三

    理事(古池信三君) ちょっと私からお尋ねしますが、今まで運転資金の中で石炭鉱業以外のものではどんなものがありますか。
  26. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) 一千万円を越えたのはございませんが、一千万円というのは百二十八件ございます。
  27. 古池信三

    理事(古池信三君) ほかに御質疑ございませんか。
  28. 河野謙三

    河野謙三君 この措置によって商工中金の資金源がさらに拡大されるわけですね。この金融公庫法の一部を改正する法律案がこの措置によって、商工中金の資金源が確保され、拡大されるわけですね。その結果商工中金の運営は、じゃどういう結果をもたらしますか。
  29. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) 運用資金中小企業金融公庫を通しまして商工中金に貸し付ける十億円であります。従いまして十億円の資金が増すと同時に、低利の金でありますので、金利の引き下げに役立つ、こういう結果になります。
  30. 河野謙三

    河野謙三君 その金利引き下げについて具体的に何か結果は出ませんか。私この前たしか資料の要求をいたしまして、その資料をまだいただかないと思うのですが、商工中金の資金コストについての説明資料を求めたことがあったと思いますが、その資料を検討さしてもらっておりませんから、さらに今回こういう措置がとられますと、どうしても一度この際賞金コストにつきまして納得のいくような資料を一ついただきたいと、こう思いますが、資料の御提出を願うまでもなく、ここで御説明いただければそれでもけっこうです。
  31. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) 先般資料の御要求がございまして、実は先生のところへお届けするように何回か参りましたのでありますが、留守でお手元にまだ届いていないと思いますが、一般的に申しまして都市の銀行あるいは地方銀行と比べて、預金、債券、借用金の利率というのがだいぶ商工中金は不利と申しますか、高くなっておる。その結果全般的に総支出率などにおきましても、よその銀行よりも高いということになっております。資料はさっそくお手元にお届けいたします。
  32. 河野謙三

    河野謙三君 資料をちょうだいして検討さしていただきたいと思いますが、まあこの資金コストを下げる手段としては、今回とられたような措置によって資金源を確保し、しかもその資金源が良質のものである、低金利のものであるということが一番第一条件でございますが、同時にその商工中金の運営ですね、運営が健全でなければならない。それにつきまして私は一つ、これも資料になるかしりませんが、商工中金の貸し出しのうち、いわゆる世間のいう不良貸付というようなものにつきまして説明資料をちょうだいできますか。私は何のだれ兵衛に幾らひっかかったということは、これは金融機関内の信用問題ですから、伺おうとは思いませんけれども、たとえば一年以上経過したものとか、二年経過したものとか、六カ月経過したものとかいうものにつきまして、何か資料をいただけますか。
  33. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) お説の資料は大体わかると思いますから、至急作りまして差し上げたいと思います。
  34. 河野謙三

    河野謙三君 この機会に、資料をいただく前に通産当局を通じて商工中金に御注意を願いたいと思いますが、それは商工中金に限らず国の関係する金融機関には、われわれもその中に入るかもしれませんが、顔が非常にきくようでございますが、大事な信用事業を顔によって左右されるようなことのないように厳重に注意してもらいたいと私は思う。具体的には私は持っておりますけれども、この際言いません。言いませんが、こういうことでは私はいかにこういう国家で中小企業に金融措置をとりましても、それが一部の人の顔によって一部の業者にそれが使われると、しかもそれが結果的に不良貸付である、そして一般の中小企業、まじめな中小企業に非常に累を及ぼすというようなことは、これは絶対にないとは言えない。これはあらゆる信用事業の貸倒れというものはあります。ありますけれども、そういう意味の貸倒れと違った意味の悪質の貸倒れというものがある。こういうものについてはこの際十分御注意をいただきたいと思う。特に政務次官から政務次官もわれわれと同様に国民の代表として国会に議席を持っておるのですから、特に政務次官からその運用につきましては十分御注意をいただきたい、私はこう思います。
  35. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) まだ内容につきましても後日伺いまして、適当な処理をいたしたいと考えております。
  36. 西川彌平治

    西川平治君 中小企業信用保険のことについてちょっと伺いたいと思いますが、今度小企業に対しましては小口の保証保険を今まで十万のやつを二十万円に、それから協同組合に対しましては三十万のものを五十万円というふうに引き上げていただくことになっておりますが、現在の実情から考えた場合に小口の個人の場合に二十万円、それから協同組合の場合五十万円というのは、まだもう少し引き上げてもいいのじゃないかというような感じがするのですが、その点についてはどういうふうなお考えでおられますか。
  37. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) これは二十万がいいか悪いか、なかなか議論のあるところだと思います。この制度ができました際には、大体相互銀行なりあるいは信用金庫などの貸し出し、あるいは国民金融公庫の貸し出しのいわゆる小口というものを見ますと大体十万円になっております。その後この状況を見てみますと、十万円ではどうも足りない。そこで今度一応二十万円ということにしたのでありますが、それの一つの基準と申しますか、これは国民金融公庫が普通貸付をする場合に、甲種の貸付の基準というものが二十万円であります。また、実績から見ましても、国民金融公庫の一口の平均額というものは大体二十万円程度になっております。そういうところを一つの目安にいたしまして二十万円ということをきめたわけでございますが、なお、この信用保証協会の保証の状況を見ましても、二十万円以下というのが件数の比率で六九%、金額の比率にいたしますと二五%というようなことで、大体まあこの辺が妥当なところじゃないか、こういう考えで二十万円といたした次第でございます。
  38. 西川彌平治

    西川平治君 この問題について私は実はちょっと実際借りたいという人の話をよく聞いてみたんでありますが、額がもうきまっておるのでありますから、その最高額というようなことはきめられておるようなものだから、十万円といっても、とても十万円借りられないのであるから、それより下回るのであって、実際は十万円以上借りたいのであるけれども、実際の信用状態から見ると、今お話しのような比率には出ておりますけれども、実際問題としてはもう少しく上げてもらいたいというのが多数の声のように私は実は聞いておるのでありますので、今そういうことを申し上げたわけでありますが、いろいろ問題が、これを上げるために、また保証協会の方の基金難という問題とも関連があるものですから、私はそれを強く主張するわけにはいきませんが、声としてはもう少しく、三十万円くらいにしてもらいたいという声があることだけは御了解いただきたしと思います。
  39. 古池信三

    理事(古池信三君) ほかにございませんか何か……。  ちょっと速記とめて下さい。   〔速記中止
  40. 古池信三

    理事(古池信三君) 速記を始めて。
  41. 海野三朗

    ○海野三朗君 おそろしく中小企業を害しない云々と言われますが、ちょうど今ミシン業者の陳情を聞いたのですが、国内においての円資金のあれを持っているような会社が、国内でつまり月賦販売とか、いろいろ資本力をもって圧迫してくる。そういうふうな状態に対しては、業者は今悲鳴をあげておるのですが、そういうことに対しては重工業局長はどんなふうなお考えを持っていらっしゃるか、それをお伺いしたい。
  42. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 海野先生は、ミシンのことと存じますが……。
  43. 海野三朗

    ○海野三朗君 ええミシン。つまり中小企業にも関係する問題ですから、おそろしく害するという、つまり害するおそれのあるという文句がありますけれども、それは普通の外資算入ではないのだけれども、日本に円資金を持っておる会社が外資導入の形でなしに、つまり業界を圧迫しつつある。そういうふうなことに対してはどういうふうにお考えになっておるか。
  44. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 御質問の点はこういう点ではないかと存じますが、シンガー・ミシンにつきましては、一昨年シンガーとパインの外資提携の申請があったのであります。その後昨年の秋、シンガーから日本に無為替輸入の許可の申請があった。その後シンガーとしてどういうふうなことをやってきたか、その問題ではなかろうかと思います。私が今申し上げました二点につきましては、まだ結論を得ませんので、許可は留保されておるのであります。ところが昨年の暮から日本のシンガー・ミシン会社がパイン・ミシンにメリットと称するミシンを注文いたしまして、それがシンガー・ミシンの販売店を通じて売られている、こういうことではないかと思います。大体調べてみますと、一カ月千五百台程度のものを昨年の暮から売っているようでございます。しかしながら大体御承知かと思いますが、ミシンの全体の生産高は、昨年一年間で総生産高は百八十万台であります。そのうち家庭用ミシンが百七十万台、輸出が百五十万台でありまして、国内向が三十六万台、こういう状況でございます。それでパイン・ミシンは大体年に六万台程度作っておったわけであります。そこで現在調べてみますと、大体パインは先ほどのメリット・ミシンを入れましても大体月五千台あるいは五千台ちょっとこえておるという状況でありまして、従来の生産実績と比してその大して増して生産しておるという状況ではございません。かような状況でございまして、現在の状況ではある程度影響があるかと思いますが、まあそういうことも言えるかと思いますけれども、まあ従来の実績から見れば、この程度ではそう大きな影響がないのではないかとこういうことが言えるのではないかと考えております。
  45. 海野三朗

    ○海野三朗君 つまりシンガーがそういうふうな態勢、いわゆる月賦販売とかそういうふうなことは日本の内地のミシン業者はなかなかやり得ないわけであります。中には貸し倒れも出てくるでありましょうが、そこを資本力を持っておるシンガーのようなものであると、長期月賦販売というような態勢で出てきた場合に、日本のミシン業者はひとたまりもないのじゃないか、これはおそるべききざしではないかと、こういうふうに私思うのですが、局長はどんなふうに考えておられますか。
  46. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 月賦販売は、もちろん国内のメーカーにも、あるいは販売店においてもやっておるわけであります。まあそれぞれ条件によって違うと思いますが、ただ、このシンガーの取り扱います数量が非常に今後ふえて参りますと、これは将来問題が起こるかと思いますが、ただいま申し上げましたように、現状ではまださような事態は起っておらないとこう考えるわけであります。  それから日本のミシン工業と申しますものは、外国の市場においても、先ほど申し上げました通り百五十万台も出ている。あるいはアメリカにいたしましても相当出ておるわけであります。あるいは年に四十万台とか五十万台、こういう数字が出ておるわけであります。その市場におきましても、シンガーも含めまして、アメリカのミシン業者と競争しておる、こういう状況であります。シンガーが相当やりましても、日本としてもこれは相当やっていけるような資力を持っておるのじやないかと、こういう感じもいたしております。
  47. 海野三朗

    ○海野三朗君 私一つわからないのでありますが、そのアメリカに輸出したやつが二十万台も向うで売れないでおるというのは、あれはどういう原因があるのですか。売れないで日本品がたまっておるというのは、これは一体どうなんですか。品物が悪いのですか。どういうわけでこんなに残っておるのですか。
  48. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 二十万台というふうな大きな数字はちょっと私存じておりませんけれども、まあこれはいろいろ商売の関係がありまして、御承知の通りミシンは一昨年少し安く売り過ぎたので、ある程度の調整を一昨年からしたわけであります。昨年の秋ごろカナダ等を経てアメリカに行ったものが若干多うございまして、そのためにアメリカである程度ストックしておる、こういうふうな状態であります。従いましてこの一月から三月の間は、若干アメリカ向けのミシンの数量を調整している、こういうような状況であります。
  49. 海野三朗

    ○海野三朗君 これもミシンもみな同じなんですか、たとえば繊維産業方面においても同じなんですが、アメリカにも余っておるから、年産を差し控えろと言われるようでありますが、どこかアメリカ以外に吐け口、さばけ口はないのですか。どうなんですか、ミシンに対して。通産行政の立場からかんがみまして、人間は多くなるし、働かないでは食うていけないのでありますから、どうしても生産過剰になる。その生産過剰になるのをどこか売れ口を見出してやるというような努力は、通産省では払っておられないのでしょうか。
  50. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) それはもう輸出の問題につきましては、できるだけ各方面輸出したい。輸出できる所ならいかなる所でも出したい、こう考えて努力しております。今御指摘のアメリカの問題はカナダ等を経由しまして、相当予想以上にアメリカ市場へ出過ぎたというために起った事態であります。われわれといたしましては、アメリカ以外の市場をもちろんできるだけ開拓したい、こういうふうに考えておるわけであります。先ほど申し上げましたように、昨年の輸出の百五十万台のうちで詳しいことはあれでありますが、大体アメリカ向けが五十万台程度でございます。ほかにも相当出ておる、こういう状況でございます。また、年々ミシンの生産もふえておりますし、輸出もふえております。かような状況でわれわれとしましてはできるだけいかなる所にもマーケットに対しましては輸出するように努力したいこう考えております。
  51. 海野三朗

    ○海野三朗君 私は日本という国は人間が多いし、働かないでは食うていけないのでありますから繊維にしても同じこと、ミシンにしても同じこと、とにかく働いて何とかこれを売りさばいていかなければやっていかれないという現状であろうと思いますが、それに対して、まあアメリカに余っておるから、アメリカへの輸出を押えたと言われるのは、これはまあわかるのでありますが、そのほかのもの、まあ形こそ違いますが織物なんぞについても同様だと思うのですが、どうもこれをセーヴしたりこれに制限を加えるということはいとたやすいことであって、それをさばいていくその道を見出すということが非常に大事なんであって、それがやはり通産行政をやっておられる通産省あたりの責任じゃないかというふうに僕は思うのですがどういうものなんでしょうか。
  52. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) お説の通りごもっともでございまして、輸出は伸ばすべきであって制限すべきではないのであります。ですからたまたまある問題、たとえば今御指摘のミシンとかそういうふうなものについて、ある一部の品種についてやりますことはやむを得ない。特に経過的の問題であって何も長くまたそういうことを簡単にすべきではないと思っております。お話し通り問題の大綱はできるだけ自由に輸出するような方向に持っていくのが考え方であるとこう考えております。
  53. 海野三朗

    ○海野三朗君 どうも通産行政は最も非常にむずかしいことはよく重々承知しているのでありますが、品物を制限するというような方向に持っていかないで、これを何とかしてさばかせるという方向に持っていかなければならない。そうしますというとやはり今のシンガーの場合におきましても少しでも国内で日本人が暮していけることを考えてやらなければいけないじゃないか。今日業者なり、あるいはまた労働者諸君なりが騒いでおるというのは、もう少し通産省としても行政措置とでも申しますか、何とか方法がありそうなものだと私は思うのですが、どうなのですかね。
  54. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 先ほど申し上げました外資導入の許可とか、あるいは輸入の許可とかいうような問題になりますと、通産省なり政府の許可ということにかかわるわけでございます。先ほど来の御指摘の国内でシンガーの会社が国内のミシンメーカーに普通の商取引を注文してそれを売るという問題になりますと、これはこれに対してどうこうするということがないわけでございます。この点は日本の普通の商社が普通のミシン・メーカーに対して注文をして作って売るのと同じでございます。この点で特にこれこれの会社に対してこうするというわけにはちょっといけない問題とこう考えております。
  55. 海野三朗

    ○海野三朗君 そうしますと、何%ぐらいになっているのですか。あまり大した影響はないと先ほどおっしゃったのですが、シンガーの方の月に千五百台、そうしますと国内で消費する、国内で使うミシン、つまり国内で売りさばけていくミシンから見ると、何%ぐらいになっているのですか。
  56. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 先ほど申し上げました通り、国内向けの生産は昨年度で三十六万台でございます。
  57. 海野三朗

    ○海野三朗君 そうしますと、月に千五百台といたしますというと、年間には一万七千五百台ですか、二万台足らずでありますれば、三十六万に対する二万台というわけになりましょうか。
  58. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) さようでございます。
  59. 古池信三

    理事(古池信三君) もうよろしいですか。
  60. 海野三朗

    ○海野三朗君 もう一言、この国内におけるこういうふうなミシンの問題はまあ一部分でありましょうが、こういうことを通産省としては十分念頭に置いてやっていただかなければいけないし、またミシンと限らず、すべての中小企業方面のことをやはり念頭に置いて、なるべく国内の産業を助けていくという見地に立ってやっていただかなければならない、これには強い注意を私は喚起したいとこう考えておるのであります。で通産省でもおそらくまあ同一御意見でおられると思いますが、はなはだやり方について十分熱意を持っておられないかのごとくに響いてくるのでありますが、そういう点についてはやはり重大なる御決意を持っていらっしゃるのでありますか。国内のこの西北の開発、つまり国内の人が働いて、職を求めていくということを常に念頭に置いて、この通産省がこの産業行政の立場からよく指導して伸ばして、いくようにやっていただかなければならないのじゃないか、こんなふうに私は思いますので、そういう点についての局長の御信念を私は承っておきたい。
  61. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 国内の工業、特に私の担当して、おります機械、鉄鋼業の振興につきましては、できるだけこれは努力いたします。さらに、これを輸出に持っていく、できるだけ国外に伸びるようにいたしたい、これはわれわれの常に持っております考え方でございます。
  62. 海野三朗

    ○海野三朗君 もう一つ、今重工業局長に私はもう一つお尋ねしたいことは、昨今鋳物銑が国内で非常に足らないのですね。この足らないのに対して注文があっても仕事ができないという現状なんです。今それでどれだけ行き渡っているかというと、まず五割、六割ぐらいしか仕事ができていない。それで最近八幡、富士が持っておった六千トンを放出することになったようでありますが、一方において相当輸出も行われておる。その輸出の方を通産省が制限をした。そういうふうなことを思うときに、もう少し溶鉱炉、今国内で遊んでおる溶鉱炉あるいは半分くずしかかっているような溶鉱炉、そういうものを改善して早く鋳物銑をたくさん作り出すということに努力を払われなければならないのではないか、鋳物業者はみんなこの五割ぐらいの原料しかもらわれないものでありますから、もうお手あげの状態である。そういうことに対して、もし溶鉱炉を改善しようというような場合には、莫大なる資金が要るのでありますが、そういう方面にはどういうふうに重工業局長考えになっておるのでありますか。
  63. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 鋳物銑の問題につきましては、できるだけわれわれも努力しておりまして、従来毎月十四万五千トンという程度でございますので、昨年の暮もそれに足りない分を努力いたしまして、この三月にも御指摘のように六千五百トンばかり各社から緊急出荷させておるような状況であります。この点については常にわれわれとしても注意を怠らず努力をしておるつもりであります。それから来年度の今後の問題としましては、やはり何と申しますか。御指摘の通り銑鉄の増産をするという考え方でございまして、来年度は一つ今年度の銑鉄をさらに相当増産して、銑鉄の鋳物についても支障のないようにもっていきたい、こういうふうに考えております。またそれと関連いたしまして、要するに鉱炉銑の改造、あるいは増加というふうな問題についても十分注意をいたしまして、とりあえず考えておりますのは、小倉製鋼あるいは大阪の中山製鋼、それから尼ケ崎製鉄、こういうふうなところの鉱炉の改修あるいは増加というものについては、目下考究しております。さような状況で、できるだけ努力して、鋳物の銑鉄を含めまして、銑鉄全般の増殖について三十一年度はできるだけの努力をいたしたい、こう考えております。
  64. 海野三朗

    ○海野三朗君 三十一年度におきましては、今の計画は何%くらいまで満たされましょうか。
  65. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 今年度の銑鉄の数字は五百十万トンでございますが、来年度は大体銑鉄は、五百七十万トンから五百八十万トンの計画でございます。銑鉄の今年度の増産見込みは六十四万トン程度でございますが、来年度はただいま申し上げました銑鉄の増産に伴いまして、できれば七十四、五万トン程度まで増産をはかりたい、こう考えております。もちろんそのうちには自家使用のものもございます。
  66. 海野三朗

    ○海野三朗君 スクラップの問題はどういうふうな状態になっていましょうか。
  67. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) スクラップは昨年は非常に窮屈でございまして、そのためにいろいろ問題を起しました。今年もこれが相当問題となると思います。しかしながらこれに対する対策としましては、できるだけ輸入スクラップを手配したいというととがまず第一の考え方でございまして、現在も従来の計画以上に緊急輸入相当行う手配をしつつおります。また、スクラップ・カルテルも昨年の秋一時実効がなくなったわけでありますが、業界協力によりまして、この一月からスタートして、これも価格の維持について相当の効果を上げております。また国有の機械類の払い下げについても、大蔵省と連絡をしまして、できるだけ実効が上るように大幅な払い下げというふうなことを考えておりまして、一時よりは若干スクラップの状況はよくなっている、こういうふうに考えてよろしいと思います。
  68. 上林忠次

    ○上林忠次君 私、先ほどのミシンの問題ですね。これはミンンのことは何も知りませんけれども、海野さんの言われるように、ミシンが出るなら何とかしてもっと出したらいいじゃないか。こういう気持でございますが、今のアメリカの、あの機械の国に日本の機械が出ている。ほかにどんなものが出ているか、自転車あたりも出ているかもしれませんが、そういうようなある種のものが出ているなら、どうして出るのか、向うの優秀な機械、堅牢な機械、あの品質のいいものに対して日本からどんどん輸出できる、どこかそこにいい手があるなら、通産省としてはミシンが出るからには、何かほかの機械も出る手があるんじゃないか。なぜ日本のこのあめ細工のような機械がああいうような国に出ていくのか、まあ多分値段の点だろうと思いますが、その点を一つお聞きしたいのです。これは全然私、知りませんが不思議なんです。アメリカにあれだけの機械が出ているというのが。
  69. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 御指摘の通りミシンは相当出ております。そのほかにやはりわれわれの機械で申し上げますと、カメラとかそれから双眼鏡、そういうふうなものが出ております。総じて軽機械類が比較的出ております。こう申していいんじゃないかと思います。それは手ごろな物で手ごろな値段ではないか、こう考えるわけでございまして、今の御指摘のような着想でわれわれもできるだけこういったふうなもののマーケットの調査ですね、伸びというようなものをさらに研究しまして、ほかの品物についてもできるだけ努力していきたい、かように考えております。
  70. 上林忠次

    ○上林忠次君 おそらくミシンが出るのだから、ほかのものも出るのじゃないか。さような点を調査していただいて、ほかの機械類に対してもまた出る手を考える。通産省としては日本の機械の輸出ということに御努力はされておられると思いますが、実際その努力が足らんのじゃないか。日本の機械がもっと発展するように、安くできるように、市場を開拓するように、まだその点が足らんのじゃないかといつも考えているのです。自動車のところまでいきますと、これは大きな機械になりますから、今のところ自動車なんというものは、ことし二万台かそこら作らして、五社も六社も競争しておる。何にも通産省としては打つべき手を打たんのじゃないか。おそらくほかの機械に対しても同じようなことをやっておるのじゃないか。輸出を増進しなければならぬと言いながら、打つべき手を打たんのじゃないか。ミシンを一つ十分調べていただいて、何かそこに出るわけがあるならば、ほかの機械の方にもそれを目標に善導していくということは必要じゃないか。どうもその辺が通産省の熱意がないのじゃないか。果してどのような援助策をやっておるか、国内産業の育成をやっておるかという点をお聞きしたいのです。
  71. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 輸出の問題につきましては、われわれも従来から予算的に、たとえば重機械については、もとは重機械室といいましたが、今では日本プラント輸出技術協会というものに対して相当の国の補助をいたしております。また農機具とか電気機具とか、そういうふうなものについても来年度の予算で補助を計上しております。こういうふうな状況であります。御指摘の通りアメリカの分についてはカメラの輸出ということが相当問題でありまして、実は昨年度、国の予算ではございしませんが、競輪から出ました資金を補助いたしまして、ニューヨークで相当宣伝等いたしまして、これまで相当の効果をおさめております。かような次第で、輸出振興それ自身については今後ますますこれを強化し努力していきたいと考えておるのであります。また同時に、輸出関係のマーケット対策は、結局日本の機械はコストを安くしなければならぬものだという点がございますので、この点については別に今度出しております法案の機械工業振興の臨時措置法のあれで、できるだけ基礎的な部分も合理化して、安くていい物を作るように努力いたしたい、こういうふうに考えております。
  72. 上林忠次

    ○上林忠次君 自由貿易の今の時代に、関連措置とか何か、輸入の防遏ということは実力以外に行政的にやるということはむずかしいかもしれませんが、ミシンのようなものは、これは日本人は日本製を使え、輸入しなくてもいいじゃないか、これは輸入禁止ということはできないのですか。
  73. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 現在では輸入はほとんどございません。実庭用は全然とまっております。
  74. 古池信三

    理事(古池信三君) 速記をとめて。    〔速記中止
  75. 古池信三

    理事(古池信三君) 速記を始めて。
  76. 海野三朗

    ○海野三朗君 またもう一度ミシンの問題に戻りますが、資本を持たない業者なんですが、ミシンというものは、もう家庭工業と申しましょうか、五人十人の職工を使ってやっておる小さいものなんです。それがつまり資金繰りが忙しいのですよ。忙しいものですから、英語にもある通り、フロム・ハンド・ツウ・マウスというのは、手からすぐ口にいかなければならないというのが日本の現状なんです。そこにいきますというと、つまり資金難ということもおりますし、第一日本の金利が高い。私は資料の提出を願っておいたので、きょうはここで拝見しているのですが、たとえば日本開発銀行の金利なぞを見るというと、重力、海運というものは六分五厘であるけれども、あと鉄鋼、石炭、硫安、機械その他などはずっと九分になっている。金利が一体高いし、そういうようなところじゃ資本力を打ったものが出てきたら、これはひとたまりもないので、そういう点に対しては通産省はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。私は金利も高いと思うのですし、また中小企業金融公庫の一部改正法案で金は貸してくれるのだということにはなっておるのですけれども、あまたの業者が因っておるのですが、そういう点はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。金利は、第一、開発銀行の金利が場所によって違うというのは、これはどうしてなんですか。これも一つ伺っておきたいと思います。
  77. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 開発銀行の金利に二段の差がついておるとの御質問だろうと思いますが、これは御承知のように電力と造船につきまして六分五厘、その他の一般産業は昨年までは一割、本年から九分になった。これはこういうふうないきさつになっておりますが、一般の市中金利と大体同じような水準で開発銀行は金を貸すのが建前です。市中銀行よりも安い金利で競争的に、市中銀行の何といいますか、業務を上ぱねするというのは、政府機関たる開銀の本質でけいないというのが、実は開発銀行の設立の本旨らしいのでございます。らしいというのは、私どもの方は主管庁でございませんので……。大蔵当局の大体の意向のようでございます。ところが御承知のように電力あるいは海運等は相当借入金も多数持っておりまして、その結果が直接、電力なら電力料金、それから造船でありますれば海運の運賃コストに響いてくるというふうなのが、実は実情でございます。電力料金の方も一律に申しますことは、何かともう少し金利が下らんかということが、いつも話題になると言いますか、そういうことでできるだけ政策的にその二つの業種を限って安い金利で、料金にはね返らないようにしようということで、特別に六分五厘という金利を設けたことと記憶しております。ほかの業種につきましては一般の市中金融機関の長期金利並みの一割ないし九分というところが現在の状況だと思います。  それから中小企業の方の実は金利が高いというお話がございますが、これは中小企業庁の当局からすでに御説明になっておりますが、今後何とか方策を講じまして、商工中金の金利も今度二銭五厘でございますか、率にしまして約一割近いところを抑えて参ろう、こういうふうにせっかく努力しております。いろいろ大企業の融資と違いまして、中小企業関係の融資には小口でありましたり、件数が多かったり等の関係で、比較的いわば経費というものがかかりますほかに、何分商工中金におきましては、ごらんのように債券発行でまかなっている資金が大分ございますので、このコストが八分五厘かかってくるというふうな問題もございまして、まあいわば一般の金融機関よりもやや高いコストの金を使っておるというのが実情でございます。これを何とか安くしようということで、今回二十億の金を比較的安い金利で、もとは財政資金から出た金でございますが、これを安い金で中金に回し得るような方法を講じまして、何とかして資金コストを少しでも下げて、末端の金利を安くして参りたいというふうに考えたわけでございます。そういうことでいろいろ金利の問題は非常にわれわれとしましてはむずかしい問題があります。これはよく世界一高い金利だと言っている批評もございますが、いろいろ日本の金融機関のあり方、あるいは一般の何といいますか、資本の収益力といいますか、裏を返しますれば、預金の金利、あるいは株式投資の利回り等の関係もございますので、なかなか一挙には下らないのであります。今後だんだんと、金融緩慢の状況、金融機関の合理化を通じまして、今後、だんだんと下ることだと思っております。われわれ産業界といたしましても、そういうふうな低金利になりますれば、それで投資の意欲もできて参りますし、またコストに占める金利負担も下って参りますので、従前に比較いたしますればだんだんといい工合になって参るのじゃないか、こういうように考えておるのでございます。
  78. 海野三朗

    ○海野三朗君 この金利が二段制になっておるようですが、開発銀行の……。霊力の問題は六分五厘、造船も六分五厘、えらい利息が安いのですね。こういうものを、一体今のミシン業者あたりにこういう低利でもって貸してくれるようであれば、大へん助かると思うのですが、そういういわゆる私どもから申しましたならば小物の産業、そういう方面には一人前に利息を取って、そうして大きな、公益事業であるからでもありましょうが、電力、海運のようなものは六分五厘というふうな大へん安い利子で貸して、おられる、こういうようなことはちょっとおかしいのじゃないかということと、金利が高いということは、インフレを増長するのですね。経済の原則からいって私はそう思うのです。その辺はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのですか、通産当局としては。
  79. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 基礎産業の金利を実は六分五厘にいたしておる次第であります。と申しますことは、基礎産業資金コストを安くするということは、例を電気にとりますならば、電気資金のコストを安くするということは、結局電力料金を安くする、こういうことになりますので、従いまして基礎産業資金コストを安くする、こういう意味で、ただいま仰せになりました電力とか、あるいは造船等の金利を安くする、こういうこともいたしておるような次第であります。しかし、その他の中小企業におきましても当然安い金利に実はすることが当然でございますので、先ほど官房長から御説明ありましたように、今後できるだけ金利の引き下げに努力いたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  80. 上林忠次

    ○上林忠次君 電力の問題ですが、これも私全体の政策ははっきり知らずにしゃべるのはおかしいですけれども、大体水力の開発を盛んにやっておるのじゃないか。開発されるとそこに二段三段の関連産業がどんどん設立される。ところが水力は値段が高いということを言っております。火力の方が安いのだ。なぜその高い水力を大きな金をかけて作るのか。もし水力に頼っているなら、少し考え直さなければいかぬのじゃないかというような感じがするのであります。これはしろうと考えでありますけれども、安い電力を早く作らなければならぬ。一年か二年なら短かくていい。四、五年はこれは国の再建のために貴重な年月であります。そんな長い間かかってダムを作って水力の発電をするというようなことは、もう一回考え直さなくちゃいかぬのじゃないか。とりあえず急いで火力の発電をする、そうして国家の再建に馬力をかけるということが今の必要なことじゃないか。先般も九州へ行きましたら、九州は水力がないというので発電計画はあまりされておらんじゃないか。一方失業者あるいは地方産業ということを考えましても、電気が少いためにこれから出る産業がおくれる。失業問題とも関連して日本産業全体を早く発達、強化するというためには、この際水力なんということを考えてはいかぬのじゃないか。火力にしたらどうか。そして急いで発電せんければいかぬのじゃないか。けれども四、五年がわれわれが一番馬力を出さなければいけないところだ。ますます日本の産業というものは、世界の水準からおくれるのじゃないか。そういうことを考えますと、私はダムの建設などというのは、発電のためのダムを建設するのではなくて、治水のためとか、河川の保護のため、あるいは農耕のための水利のため必要な場所にダムを作っていって、発電は第二の問題にして、発電ということは火力に頼らなければいかぬじゃないかという気がするのですが、通産省はどういう工合にこの点をお考えになっておりますか。
  81. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 火力発電所と水力発電所の建設費の問題でございますが、これは場所によって異なるかと考えております。場所がよいところでは水力発電の方がコストが安くつく、しかし場所が悪ければ高くつくこういうことに相なるのじゃなかろうかとこういうように考えております。一面火力発電は御承知のように石炭を使いますので、従って石炭の炭価というものがまた建設費のウエイトに非常に響く、こういうことになろうかと存じます。そこで実は水力、火力併用がよいのではなかろうかとこういうように私は考えておるような次第でございます。
  82. 上林忠次

    ○上林忠次君 安い電力を供給してやる、これが一番産業の基礎になるのですから、安いということが必要じゃないかと私は考える。その点から判断しますと、大体今使っている水力は非常に高い、そんな方面に金を投ずるような時代ではないじゃなかろうか。もっと火力に熱を入れたらどうか、何べんも申しますが、ダムを作るなどというのは、電力のダムじゃないのだ、ほかの目的だ、かたわらから電力を作るのだという工合に考え直したらどうかと思うのですが。
  83. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 御説のように総合開発上必要なところは当然そういう考えのもとにダムを作りまして、そうしていろいろな農業面等の発展を期することにいたしまして、そうしてそのかたわら電力を作るこういうことも必要であろうかと考えます。しかし、場所によりましては、そういうわけに参りません場所がございますので、そういう場所はまた電力だけ、こういうことに相なろうかと考えますが、場所によりましては御説の通りであろうと考えます。
  84. 海野三朗

    ○海野三朗君 ただいまに関連いたしまして、電力が六分五厘と申しますが、ダムを作って電気を起すということは、最近の計算によれば、だんだん在来の電気料よりも高くなっていく、その原因をだんだん追及いたしますというと、何百億という借金を持っておりますから、その金利に追われておるというのが電力業者の声なのであります。ところがこの金利なるものは、結局はこれはもう政府の収入になるのであって、とどのつまりは大衆からの税金ということになっていくのであって、公益事業であるならば、政府が金を貸すならば無利息で一体貸してもいいのじゃないか、六分五厘でも高い、三分五厘でもいいじゃないか。電力を起すといってももとは水でありますから、水というのはその地方に天から降ってきたものである、これをつまり電力にかえてやっておるわけであります。ところがこの利子が高いものだからして、電気料が高くなるのだというのが、一番大きなファクターのように私は考えるのでありますが、この電気を利用する、使う住民に対する一つの課税のように思う。ほんとうに安い電気を使わせよう、そのために金利を下げておるのだと言われるならば、この金利を半分くらいにしていいくらいじゃないですか、これを一つ御所見を承わりたい。これが一つ。それから先ほど次官からのお話しには、公益事業であるから、基礎産業であるからとおっしゃったのでありますが、石炭及び鉄鋼は基礎産業でないのですか。この基礎産業が九分になっている、一方で電力が基礎産業であるから六分五厘、どうもここがはっきりしない。この点が第二点なのであります。その御所見を承わりたい。
  85. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 第一点の電力の金利を安くしたらどうかというお話しであります。これはごもっともであります。われわれもできるだけ安くしようじゃないかということで、大蔵省と折衝をやっておりまするが、まあただ、ものにはおのずから限度があるのではなかろうかということで、結局六分五厘辺でというのがちょうど現在の線でございます。なぜ六分五厘かと申しますと、一応の基準としましては、資金運用部から政府機関に貸し付けます金が六分五厘でございます。現在それより安い金利で金を出しているものはないようでございます。現行のうちで一番、安い金利ということで一応六分五厘という辺におさめてある。ほかの石炭、鉄鉱のお話し、これもごもっともでございます。ただいろいろ申し上げますると、若干事情は異っております。電気とか船とか申しますのは、建設所要資金の半分あるいは船におきましては何割でございますか、七割でございましたか、を開発銀行の資金に仰ぐ。従って開発銀行の金利いかんが非常に企業の金利負担に影響する、ひいては船価あるいは料金に直接に響くというのが実情でございます。鉄鋼の方はこれは今まで採算の合理化計画などで開発銀行からも一部出しておりましたが、これは資金の量が電気あるいは船に比べますと比較的少く、かつ企業側にもある程度借入能力もございまして、これは開発銀行の資金の割合は比較的少くなっております。石炭これもごもっともなお話でございます。これは実は若干また鉄とは事情が違っております。御承知のように戦後一番最初に経済再建の基礎として国家投資を行いましたのは、実は石炭でございます。このときは復興金融公庫の金を集中的に石炭に投じました。やっと何といいますか、当時の月産五十数万トン時代から現在のように四百万トンをこえるような地位まで復興して参ったわけであります。その当時は相当国家資金の量も多かったのであります。従って当時も金利問題につきましては、よく記憶しておりませんが、若干の保護の範囲がされたと思っております。昨年御審議願いました炭鉱合理化促進法の関係におきましても、相当開発銀行の融資の量を期待しておりますが、これはある程度企業側にも現在借入れの余裕もできて参っておりますので、まあ金利が安いことはけっこうでございますが、さりとてそうそう一般の金利を著しく下回るような金利で何といいますか、いわば過度に保護するというようなこともいかがというようなことで、一応一般の金利水準並みの九分、もっともこれにはいろいろ整備事業団等の関係で若干操作しておりますが、九分水準で考えております。これは今申し上げたように企業が借り入れまする資金の量のうちで、開発銀行の金利が占める比重等によりまして、おのずから事情が違いますが、一概に基礎産業と申しても、それぞれの考え方を持ってした方が妥当ではないかというわけで、そういうふうに分けたのでございます。
  86. 海野三朗

    ○海野三朗君 これは大蔵当局でなければ、この質問が妥当でないかもしれませんけれども、一応私の質問をここに提出いたしまして、通産当局からもう一度私は御所見を承わりたい。この金利の六分五厘、世界銀行は五分でしょう、金利が。ここに六分五厘、そして今度は鉄鋼、石炭は九分だ、機械の方も九分だというふうなこの利率の立て方のあり方が、私は根本が違っておるのじゃないか、電力は公益事業であるから六分五厘、基礎産業であるから六分五厘、鉄鋼と石炭は九分という立て方がそもそも私は妥当でない。世界銀行は五分だ。つまりこの金というものは、政府の金でありますから、それは政府の収入になるのでありましょうが、政府は高利貸しではなかろう。政府はそう儲けなくてもいいんじゃないか。産業さえ興っていけばいいんじゃないかという立場から考えますと、この金利というのは実に高い。私は高いと申さざるを得ない。  それからこの開発銀行の融資の方面、海運に出し、硫安に出し、機械に出し、こういうものに出すということのそのわけは、一体どこできめているのですか、だれがこれをきめておるかを私は聞きたい。これの影響するところは、中小企業金融公庫の金とか、そういう方面にまた影響をしてくるでありましょうから、私はこの資料の提出を願ったわけでありますが、この金利が六分五厘というのは決して安いことはない。世界銀行は五分ですよ。それであるのにここに六分五厘、この六分五厘でさえも、電力が利息を払うのにきゅうきゅうとしておる。従って大衆にこれは課税をしておるのである、政府がつまり高利貸しをやっているようなものだ。私はこの立て方が大体間違っておると、こう思う。それが第一点と、六分と九分との差を設けておるということが大体おかしいのじゃないかということと、いかなる方面にこの金を融通しておるのか、これは政府の金なんだ、国の金なんだ、開銀がこれを勝手にこういうふうに品分けをしておる。そいつはどういうだれの発案によって、こういうことをやっているのか、それを一つ私は承わりたい。
  87. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) この六分五厘の金利が安いとは申し上げたわけではございません。御指摘のように世界銀行も五分くらい、アメリカその他の国におきましても、大体長期金利は四分五厘ないし五分くらいのものでございます。もっとも最近は少し各国とも金利が上る傾向にあるようでございます。大体日本の金利は世界で一番高い金利じゃないかというふうに言われているのは、これは先ほど申し上げた通りであります。従いまして裏から言いますと、六分五厘で貸しているということは、これはそれだけ一般の金利よりも安いということは、補給金を出しておるということと同じ考えだと思うのです。それにはそれだけの政策的な理由もございますが、先ほど申し上げましたような意味で、つまり安く物を売っておるということと同じでございます。それだけ補給金を出しておるというふうにお考え願ってもけっこうです。ただ、先ほど誤解しておりましたのは、石炭は三十年度から六分五厘に下げました。ちょっと私は先ほど言い落しました、六分五厘、それからだれがどういうふうにして資金のワクをきめるかという問題でございますが、御承知のように、この開銀の資金の配分につきましては、経済審議庁を中心にいたしまして、われわれの方、大蔵省の方、あるいはものによりましては農林省、あるいは運輸省というところと相談いたしまして、実際の実情をにらみながらきめておるわけです。これはこの前も申し上げたと思いますが、開発銀行のこの業種別の資金の引き当て額といいますものは、これは厳密な意味で必ずそれだけ貸さなければならんとか、あるいはこれに割り当てをしたというような意味ではございませんで、開発銀行におきまして、そういうふうに一応の目安を国から指図してもらって、その範囲内で、実際の借り入れの申請を審査いたしまして、企業の資金能力、あるいは返済の状況あるいは資金の使途、担保その他の関係考えて、その中で適宜あんばいするわけでございます。  なお、開発銀行がABCの企業に独断で借すということも困りまするから、適当と思われる企業を関係各省から推薦せよということは、前々回の国会で申し上げた通りでございます。その資料もすでに前々回にお手元にお配りしてある次第でございます。
  88. 海野三朗

    ○海野三朗君 もう一つ、この山形のハッピー・ミシンが開発銀行に再三足を運んだのですね、金を借りたいと言って。ところが結局何カ月かたってから貸せないということで断わられたのです。ハッピー・ミシンはミシンとしては相当大きな会社なんですが、どうして開発銀行では貸さなかったか、私は実に不思議に思っているのですが、これは、ミシンなんかには貸さないというのですか、開発銀行は。どういうわけで、ミシンなどの大きいものに貸さないのですか。
  89. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) ミシンに貸さないということは、別段はっきりきめたわけではございませんでしょうが、機械工業については、本年度はこういう方面を特に優先して考えてもらいたいというふうな一応の基準は、これは閣議で毎年きめて参っております。ミシンがその中に入っておりましたか、入っておりませんか、まあそういうようなことで、いろいろな業種もございまするし、また投資の計画もございまするから、どれにも全部というわけにも参りません。金の量もにらみながら、毎年度そういうようなことで、大体の業種なりあるいは投資の対象になります何といいますか、工事と申しますか、あるいは合理化の事業と申しまするか、そういうようなのをあらまし閣議できめていただきまして、それに基いて先ほど私が申し上げましたように、各省が適当と認める企業を推薦していくというのが、現実の手続でございます。
  90. 海野三朗

    ○海野三朗君 もう一つだけ、これで終ります。鉄についてでありますが、製鉄は市中銀行から盛んに借りている。ところが金利が相当高いから、どうしても鉄鋼の値段を下げられないというのが、その一つの理由になっているようであります。つまり開発銀行あたりで六分五厘の利子で、鉄鋼方面に金を融通されれば、鉄鋼の製品が値段が非常に安くなるわけじゃありませんか。そういう方面に対しては、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか。鉄鋼の大きな富士、八幡など、銀行から莫大な借金をしておりますから、その利子に追われて、その利子が今度製品の方にかかってくるのです。かかってきますから製品を安く売られない。この六分五厘のような安いお金を、開発銀行でこの八幡、富士あたりに貸してくれるようであるならば、それだけこの製品の値段が安くなるのではなかろうかということを、私は伺いたい。
  91. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 鉄鋼の値段の原価でございますが、これはいろいろファクターがございまして、一番問題はやはり原料関係、そういうところに一番の問題がある。最近鉄鋼の値上りをいたしましたのも、実を言いますと、世界的に鉄鋼の原料の値が上った、と同時に海上運賃も上るというのが大体大きな問題でございまして、もちろん日本として鉄鋼といわず一般産業ですね、日本の金利が高いということのために、コストが高いということはあるわけでございますが、さような次第でございまして、鉄鋼業も昨年あたり相当借金をいたしておりまして、金利に苦しんでおりました。最近の状況は若干よくなっている状況でございます。さような状況でございます。  それから鉄鋼に対して開銀はどういうふうにするかと申しますことは、やはりこれは開銀の量に問題がございますので、われわれといたしましては、原局としてはいろいろ希望いたしますけれども、ほかのやはり同様、あるいはそれ以上に緊要な事業とのにらみ合わせもございまして、そういう点でワクが考えられることがいつものしきたりでございます。それから先ほど来お話し申し上げました通り、従いまして鉄鋼の全体の資金量の中に開銀の占める割合は、比較的少いということは言えるのじゃないかと思うのでございます。かような次第でございます。
  92. 古池信三

    理事(古池信三君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十一分散会      ——————————