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1956-02-28 第24回国会 参議院 商工委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十八日(火曜日)    午後一時五十五分開会   —————————————   委員の異動 二月二十七日委員藤原道子君辞任につ き、その補欠として上條愛一君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     三輪 貞治君    理事            古池 信三君            高橋  衛君            小松 正雄君            河野 謙三君    委員            西川平治君            白川 一雄君            深水 六郎君            阿具根 登君            海野 三朗君   政府委員    通商産業政務次    官       川野 芳滿君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省軽工    業局長     吉岡千代三君    通商産業省石炭    局長      齋藤 正年君    通商産業省鉱山    保安局長    正木  崇君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○高圧ガス取締法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○経済自立方策に関する調査の件  (北松炭合理化方策に関する件)   —————————————
  2. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) ただいまから本日の委員会を開きます。  まず御報告申し上げます。昨日藤原道子君が辞任され、その補欠として上條愛一君が商工委員に指名されました。以上御報告いたします。
  3. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) これより高圧ガス取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方はこの際御発言をお願いいたします。
  4. 西川彌平治

    西川平治君 二十六年にこの高圧ガス取締法ができまして、それ以来今日までの間において、災害発生の度がどの程度にあったか、二十六年、七年、八年と、年次別発生状態一つおわかりになったら伺いたいと思います。
  5. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) お答えを申し上げます。二十六年度が三十四件、二十七年度が三十三件、二十八年度が三十七件、二十九年度が四十二件、三十年度が五十一件というように多少……。
  6. 西川彌平治

    西川平治君 それからこの高圧ガス種類が年々増加してくるということでございますが、その高圧ガス種類増加状態がどんな状況か、それからどういうものが増加しておりますか、ついでに伺いたいと思います。
  7. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) お手元に先般お配りいたしました「高圧ガスおよび高圧ガス取締について」という資料の十一ページを御参照いただきますと、そこには酸素ガス生産の推移をグラフにして掲げてございます。これでごらんいただきますように、酸素ガス需要量は特に最近におきましてきわめて急激に増加しておることはそこに出ておる通りでございます。それからプロパンガスの方はもう一つの「プロパンガスについて」という資料を御配付してございますが、その資料の三ページをごらんいただきますと、昭和二十八年度までは帝国石油一社でございまして、年の生産量二千トンでございましたのが、二十九年度には昭和石油一社が加わりまして六千トン、三十年度に至りましてはその下に掲げてございますように全部で十工場が加わりまして生産量も二万トンというように急激に増加しております。なお三十年度の下期の生産見通しはそこにございますように半年で二万四千トン以上でございます。この急激に増加いたしました理由は、先般も申し上げましたように、最近ハイ、オクタン価の揮発油の精製のために接触分解装置等が急激に増加いたして参りまして、その関係で大量のこのようなガス発生してきた、こういう関係でございまして、今後の見通しといたしましてはその下にございますように三十一年度二万五千トン、三十二年度以後さらに急激にふえるであろうと予想いたしております。それで酸素ガスプロパンガス増加が最も顕著でございまして、その他の高圧ガスはほぼ横ばいと申しりか、まあ少しずつ増加しておるという程度でございます。従いまして今回の法律改正案につきましても、特にこれらの点に重点を置きまして案を作りましたような次第でございます。
  8. 西川彌平治

    西川平治君 私は今の資料によりまして生産量が非常に飛躍的に増大しているということはわかりますが、提案の理由には種類が非常に多くなってきておるということが出ております。新しい種類のものが出てきておると言いますが、その新しい種類と、それからそれがどのくらい出ておるかということを伺ってみたいと思います。
  9. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 種類関係といたしましては、先般もちょっと申し上げましたように、酸素ガスのうちで液化酸素というものがこれは昭和二十九年度初めて生産が開始されました。先般も工場を御視察していただきましたように、大量に溶接酸素製鋼等に使用いたします場合は、それによりまして一時に、ボンベイにいたしますと数百本分の輸送ができるというような関係から二十九年度初めて生産が開始せられたわけでございますが、現在におきましてすでに酸素ガス全体の消費量の大体一五%程度消費されております。従いましてこれは最終段階におきましてはガス形態におい消費されることは従来通りでございますが、液化酸素という一つの新しい製品が生まれて参ったというような関係から、これにつきましては特別の考慮をいたす必要があるのであろうというのが第一点でございます。それからプロパンガス関係におきましても、これは帝石におきましては以前から生産いたしておった種類でございますが、最近のように各地区にきわめて大量に急速に発展して参りまして、しかもこれはその大体九〇%が一般家庭におい消費されておりますので、この災害予防等につきまして販売業者等段階において十分の注意をいたきせる必要があるであろうというような関係から、その点も一つのポイントになっております。その他のガスといたしましては、特に新しい種類がふえたというような関係はないわけでございますが、実質的に見ますと、ただいま申し上げましたように液化酸素という一つの新しい形態、それからプロパンガスの今まできわめて一部の地区消費されておりましたのが、全国的に大量に消費がふえて参ったと、そういう関係を申し上げたつもりでございます。
  10. 西川彌平治

    西川平治君 この災害発生程度が二十六年、二十七年、二十八年、二十九年と、三十年は少し多くなっておりますけれども、大体において非常に災害率の少いことは非常に喜びにたえないことでありますが、この災害率生産状態を考えましたときにおきまして、むしろ実際問題としては実質的な災害率は減っておるというふうに私は考えておるわけであります。特にこのプロパンは私の知っておる範囲において、プロパンガスを使用する家庭におい事故なんというものは皆無にひとしいというように私は聞き及んでおるのでありますが、特にプロパンガス災害があったという何か資料がございましたら伺いたいと思います。
  11. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 先ほど説明いたしましたように三十年度から従来の一社あるいは二社に対しまして、十社の製品が出回り、消費高も約十倍に増加いたしております。それで先ほど申し上げました三十年度の五十一件という件数のうちには実はプロパンガス事故が二十件含んでおるわけでございます。それでその原因をいろいろ調べてみますと、大体におきましてきわめて単純な不注意と申しますか、そういう事故が大半を占めておりますので、これは多数の一般消費者に対しまして今後十分にP・Rと申しますか、そのガス使用方法等について御理解と御認識をいただく必要があるだろうと思います。  それからその際に先般もごらんいただきましたように比較的十キロ程度小型の容器にガスを詰めてて、これで約一カ月分の消費量になるわけでございますが、これは消費者は勝手にいじってはいけないということにしておるわけでございますが、非常に小型のものでありますからついそれを動かす、いじくるというようなことでホースをはずすとかいうような事故が非常に多いようであります。これらの点は今後十分パンフレットを配りますとか、特に販売関係の直接消費者に接触される方に十分御努力いただきまして、間違いのないようにいたして参りたいと思っております。  それからもう一つの点といたしましては、現在十工場でこれを生産いたしておりますが、そのうち天然ガスから精製しておるのは帝石とあと一社の分、三工場の分はにおいが非常に少いわけでございます。それで普通の石炭ガスでございますと、ガスが漏れる場合にはにおいでもって注意を喚起するということが可能でございますが、においの少いものにつきましては、そういう場合に気がつかない場合がありますので、これにつきましては着臭剤を加えまして、消費者注意し得る程度においをつけるということを考えております。三工場のうち一工場は、すでに着臭剤をこれはアメリカから輸入いたしたのでありますが、輸入をいたしまして近く実施に移す、残りの二工場につきましては着臭剤等につきまして目下研究いたしておりますので、これも近くにおいをつけるという措置が実行できると思います。これらの措置によりまして、できる限り今後とも災害防止に努めて参りたいと存じております。
  12. 西川彌平治

    西川平治君 最近プロパンガス販売業者がかなりにふえておるのでありますが、この販売業者に対するいわゆる認可といいますか、許可といいますか、こういう方面のことについて全くしろうとでございますが、どんなようになっておりますか、その点をちょっとお知らせをいただきたいと思います。
  13. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 御指摘のように販売業者につきましては現行法によりましても販売者ごと都道府県知事許可を受けなければならないということにいたしております。なお、先ほども申し上げましたように、消費者に直接接触いたします者は販売業者でございますので、今回の改正法案におきまして販売業者に対しまして「取扱主任者」という制度を設けまして、これには一定資格要件を定めまして災害防止に努めて参りたいということを考えておる次第でございます。
  14. 西川彌平治

    西川平治君 その点はよくわかるのでありますが、実際の販売業者の要するに販路を拡張いたしたいという一念であろうと私は思いますが、全く危険はない、そうしてこうである、ああであるというようなことを現物について、買いたいという人によっていわゆる実験をして見せておるわけであります。そういう人々はどうも私聞いてみますと、ただ売りたい一念でどうも今お話がありましたような何といいますか、実際の取扱主任者という人がないように私は見受けておるのですが、そういう点はどうなんですか。
  15. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 従来高圧ガス消費者は大体溶接用とか、原料として使用されておったものでありまして、従って消費者自身にも相当知識経験を持っておる。従いまして御指摘のように販売業者教育と申しますか、訓練等につきまして十分でなかった点は確かにあったかと思います。しかしただいま申し上げましたように、特にプロパンガス等家庭用に普及して参っておる現状にかんがみまして、これについてある程度知識経験を要求する必要があるであろう。なお、そのほかメーカーの団体等におきましても、わかりやすい図解をいたしましたようなパンフレット等を作りまして、これらを消費者に配付いたすというようなことも考えております。従来消費者がむしろ相当知識経験を持っておるという点で、これらの点が不十分であったことは事実であろうと思います。それらの点につきましては今後特に留意をいたさなければならぬと考えております。
  16. 西川彌平治

    西川平治君 そうすると販売に歩いている人はあるいは主任者じゃないのですか。
  17. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 現在のところは取扱主任者という制度がないわけでございます。今後は主任者制度を設けたいと思っておりますが、やはりねらいといたしましては、そういう方々自身最初十分に教育し、むしろ啓蒙と申しますか、そういう面にも主眼を置いて参りたいと考えております。
  18. 西川彌平治

    西川平治君 もう一つ伺いたいことは、プロパンガスに対してでございますが、全くの衛生上に無害であるということを言われておりますが、私しろうとでそういうことを言うのでありますから、間違っているかもしれませんが、製造その他のやり方によって全くの無害でございましょうか、どうでしょうか、ちょっと伺いたいと思います。
  19. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) プロパンガス自体は無害でございます。しかしこれらの成分にその他の不純物があります場合は、それによりまして多少そういう懸念があるわけでございます。実際問題といたしましては、きわめて微量でございますので、実質的には無害であるというふうに考えて差しつかえなかろうかと思います。
  20. 西川彌平治

    西川平治君 まあほかの不純物が入りまして、そうして有害のものがあるといたしますならば、これはやはり、プロパンガス自体には検査とでもいいますか、販売に適するような規格というようなものができておりますかどうか。
  21. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) その点につきましては、製造許可に対しまして、十分製造方法成分等試験いたしまして、それによって許可をいたしております。
  22. 阿具根登

    ○阿具根登君 今のに関連のあることですが、作業主任者と、先ほど販売主任者というようなことを言われておりましたが、それはどういう関係がありますか。法律では、第六十八条に作業主任者とあるが、販売主任者というのはついておらぬようであるが、それも何か規定を設けるようなことになるのですか。作業主任者販売にまでタッチして、そうして販売人責任を負って回るのかどうか、そのために販売主任者というのがおるならば、それは法的にどういうような権限を与えられるのか、どういう権利を与えられておるのか、それをお尋ねしておきます。
  23. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 従来製造業者関係におきまして作業主任者という制度を設けました。これには厳重な国家試験を実施いたしておるわけです。今回設けようといたしておりますのは、販売業者段階におきます取扱主任者という制度でございまして、これにつきましては先ほど申し上げましたように、一定資格要件を定めたいと考えておりますが、これは現在のそれらの方々実情も考える必要があると思いますし、またある程度知識を与えまして、しかも消費者に対して十分に危険防止に協力しようという誠意が主として問題になるのではなかろうか。従いましてこの資格要件につきましては具体的には法律によりまする高圧ガス保安審議会に諮りまして定めたいと思っておりますが、あまり最初から厳重な資格要件を要求することもいかがかと思います。ある程度経験専門知識が必要であるということを中心にいたしまして、徐々に実情に即した取扱いをいたして参りたい、かように考えております。
  24. 阿具根登

    ○阿具根登君 この五十八条を読んでみますと、作業主任者というのは、いわゆるガスを詰めかえるあるいはその他商品として出すまでの作業責任者だ、私はこういうふうに解します。今局長の話しでは、販売面まで一般責任を持っておるようなことを言っておられるが、各工場作業主任者というのが何十人もおるのか、こういうのはそんなたくさんおるものじゃないと思うのです。その作業主任者というものをはっきりしてもらいたい。作業主任というのはその現場におい商品になすまでの、安全なる商品として出すまでの責任者であるのか、出してからまた販売先までいって監督するような責任者であるのか、混同しておられるようですが、それをはっきりしてもらいたい。
  25. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 先ほど少し御説明がはっきりしなかったかと思うのですが、作業主任者は御指摘のように製造関係作業についての責任者でございます。取扱い主任者と申しますのは新たに設けようという制度でございまして、販売段階におきまする取扱い主任者である、従いましてこれは作業主任者と別個に新たに販売段階において設けようとする制度である、こういうように御了解をいただきたい。
  26. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると作業主任者国家試験作業主任者試験ということにして、そうして取扱主任者というのをまた別個に設ける、二本建ですね。
  27. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) その通りでございます。
  28. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると作業主任者試験国家試験とどこが違うか、これを御説明していただきたい。
  29. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 作業主任者につきましては国家試験を行いまして、それにパスいたしました者をその資格としておるわけであります。取扱主任者の方は先ほど申しましたように、そこまでの厳重な資格要件を要求するのも実情に沿わないのじゃなかろうか。従いましてこれにつきましては専門の学校においてある程度教育を受けた者、しこうしてこの取扱いについて一定経験を経た者、こういうことを基本に資格を定めて参りたい、国家試験というふうな厳重なことは今のところ考えておらないわけであります。
  30. 阿具根登

    ○阿具根登君 取扱主任者に対しては国家試験というような厳重なことは考えておらない、そうすると今まで国家試験では何をやっておられたか、六十八条に「審議会は、国家試験その他高圧ガス保安に関する」云々ということをきめられておる。そうすると国家試験では今まで何をやっておられたか。
  31. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 国家試験につきましては、その取扱い種類が三種類ございまして、その種類ごと審議会関係しておられますような専門の先生から問題を出していただきまして、それによって高圧ガス製造なり取扱いについての専門知識試験いたしております。
  32. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、三種類試験に合格した者が今まで高圧ガス製造に携わることができた、いわゆるその人がその責任者であった、こういうことになっておったと思うのですね。そうすると作業主任者とそれとは別個ですか、今度の法律では。
  33. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) その点は従来通りでございます。要するに国家試験を受けた者が作業主任者としての資格要件になっております。こういうことでございます。
  34. 阿具根登

    ○阿具根登君 それでわけがわかりますが、それでは国家試験を抜いて作業主任者試験、こういうことになるとどうなりますか。国家試験というのがあって初めて作業主任者というのができると思うのです。作業主任者試験というのは国家試験にありますか。
  35. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) この名称を変えましたのは、従来作業主任者に関する試験は全部国において直接やっておったわけであります。しかしそのうち冷凍関係の方は危険度から申しましても、また技術程度等から申しましても、比較的軽微と申しますか、程度が低いように専門方々の御意見もございましたので、この冷凍機械関係主任者に対する試験を従来国において直接やっておりましたのを、今回冷凍関係に限りまして地方庁に委譲いたしまして、もちろんその問題の水準その他につきましては十分調整をはかって参りたいと思っておりますが、そういう関係から国家試験という名称作業主任者試験というように改正をしたわけでございます。で、その他の作業主任者試験は従来通り国において直接実施する。こういう関係国家試験という名称作業主任者試験というふうに改めたわけでございます。
  36. 阿具根登

    ○阿具根登君 それでは先ほどの三種類は何々か教えて下さい。
  37. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 大きく分けますと、化学主任者試験、それから機械主任者試験、それから冷凍機械主任者試験、この三種類ございまして、その中でさらに甲種、乙種、あるいは第一種、第二種、第三種というように、工場の規模とか作業種類によりまして区別をいたしております。それによりまして、ちょうど鉱山保安法で申しますと、普通の試験管理者試験というふうな段階があるようでございますが、あのようにこまかくさらに区分をいたしておりますが、大きく分けますと化学関係機械関係、それから冷凍機械関係、この三種類になっております。
  38. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると先ほど私が了解したのとちょっと違ってくるわけです。先ほどは三種類国家試験が行われておったものが、即今度は作業主任者になるんだ、通った者が作業主任者になるんだ、こういうことをお聞きしたので、字句の面においては合うかと思っておったところが、三種類のうちの一つ国家試験を受けんでいいと、こういうことになったわけですね。そうすると化学機械だけが国家試験を受けるんだ、そうして化学機械試験にパスした人が作業主任者だと、こういうことになるわけですか。
  39. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 化学機械関係は従来通りであります。それから冷凍機械関係は、この中にもこまかく分けまして第一種、第二種、第三種とございまして、そのうち最も軽微と考えられます第三種の冷凍機械主任者試験、これを地方庁に委譲する、こういうことにいたしたいと思っております。
  40. 小松正雄

    小松正雄君 関連して。ただいま伺っておりますと、販売業者都道府県知事許可を受ければ販売をしていい、こういうことのように承わりましたが、今阿具根委員からの質問に対しましては、販売業者なるものが販売業主任とかいうような形で販売をしようとすることになるのであるならば、販売業者として都道府県知事許可を得てその販売をしようとする場合に、販売主任という試験を受けた者でなくては、その販売業者という者にはなれないのかどうか、その点を一つ
  41. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 販売業者みずからが取扱主任者として適格を持っていればそれでよろしいわけでありますが、しからざる場合には、取扱主任者として適格を持っている者を置かなければならない、こういうことになると思います。
  42. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると通常主任者というのは、一工場に一人ぐらいのものだと私は思うのです。そうすると今局長説明でいけば、この試験に通った人は全部主任者ですね。私は作業主任者というのは、その作業責任にある人だ、いわゆる一つの過程における責任者だ、私はこういうふうに解釈しておったのですが、今の局長説明では、この化学機械国家試験に通った人は全部主任者だと、こういうことになりますね。
  43. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 主任者としての適格を持つわけでありますが、実際には御指摘のように、各事業所ごとに現実の作業主任者がいると思います。こういうことであります。従って作業主任者になるためには、国家試験による資格を持っておらなければならない。しかし全部の人が主任者になるというわけではないわけであります。
  44. 阿具根登

    ○阿具根登君 それでは作業主任者試験ということじゃなくて、技術家試験でしょう。こういうふうな名義をつけるよりも、国家試験の方がいい。国家試験に通った人が、そういう技術を担当することができる。そのうちにまた責任というものの比重を考えて、同じ技術者はたくさんいる中でも、その責任者をきめなければできない。そういう場合に、その人を責任者と言うのであって、作業主任者試験ということになれば、かえってまずい結果になる。私は改正する前の国家試験の方がいいと思う。そうして作業主任者を作りたいならば、その中に作業主任者を作る、その国家試験を通った人の中から作業主任者を作る。また通産省の考えでは、いつもこういう主任者というのは、業者が指名する主任者に違いない。これだってそうだと私は思う。そうでしょう。そうするとこれは国家試験であって、作業主任者試験じゃない。国家試験技術者一つ認めてやって、その中から主任者というものが出るというのは、業者がその中から力量、手腕、経験あるいはそういう問題から、この人を主任にしたい、通産省で認めてもらいたい、審議会で認めてもらいたい、それを主任者として認めたのが今までの私はあり方だと思う。するとこれのみどうして作業主任者試験ということを、国家試験をはずして、わざわざ国家試験で今までやっておったのを、はずして作業主任者試験と言われるのか。
  45. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 御指摘のように、厳密に申しますと、作業主任者資格試験ということが正しいであろうと思います。ただ現行法におきましても、たとえば第二十八条でありますが、作業主任者に関する事項を規定いたしました条文の中で、製造者は事業所ごとに、高圧ガス作業主任者免状の交付を受けている者のうちから、作業主任者を選任し、高圧ガス製造作業にかかる保安について監督を行わせなければならないというような規定をいたしておりまして、従来から法文の中にも作業主任者免状というふうな字句も使っておりまして、その点につきましては、作業主任者としての資格を持っている者と、現実の作業主任者というものは、従来から制度上も、また実際上も混同するおそれはないのではないかと、かように考えておりますので、今回かように改正をしたわけであります。
  46. 阿具根登

    ○阿具根登君 私はこの点はしろうとでわかりませんけれども、この高圧ガスだとか、その他のやっただけに、作業主任者候補というのですか、こういう試験をしなければできない。こういうやつは、私はほかの会社やら、官庁やらにはないと思うのですがね。たとえばこれは官庁に持ってくると一つ当らぬかもしれませんけれども、これは部長の試験を受けた人が課長であり、係長であって、しかもその中から部長にならなければできない。あるいは医者であった場合には、医務局長試験を受けた人がならなければできないということじゃなくて、やはり医者としての試験を通った、その人が医者であって、その中から、経験なりその他で部長になり、局長になっていくと私は思うのですよ。するとこれだけなぜ作業主任者と、主任という字句にこだわるわけじゃないけれども、主任というものは統轄する責任がある人なんだ。そうですね。その人の試験を受けたならば、その人は作業主任者にならなければできない、作業主任者であるはずです。これがそういう危険な作業をしていい技術家であるという試験を受けたならば、これは技術家の試験なんです。そこで私はなぜ作業主任者試験ということにわざわざするのか、これをお伺いしている。そうでなかったとするならば、国家試験に通ったへの中から作業主任者をきめますということなら私はわかるのです。その点どういうことです。
  47. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 御指摘の意味はよくわかるのでありますが、私どもは従来から作業主任者たり得る者の試験というふうに考えておりました。そういう意味合いから、作業主任者免状というような字句も使っておりました。その点は実際問題として混同するおそれはないのではなかろうか。作業主任者たり得る者の試験である。現実の作業主任者は、その資格を持った者のうちから選任せられる、こういう関係に了解しております。また従来から作業主任者免状というような字句も、この高圧ガス取締法施行以来使われておりますので、実際問題といたしましては、その点は混同を生ずるおそれはないのじゃなかろうか、こう考えております。
  48. 阿具根登

    ○阿具根登君 それでは国家試験としてあれば何か弊害があるかということになれば、冷凍関係の人がむずかしい国家試験まで受ける必要はないから、それをはずすために作業主任者試験としたということにしかならないわけなんですね。だったらそれは今までも、国家試験に通っておる人は、作業主任者としての免状をやっておったとするならば、冷凍関係の人にその国家試験を受けないようにすればいいのであって、国家試験としておっても何ら差しつかえないと思うのですが、その点はどうですか。
  49. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) もちろんそういうふうに区分をいたしまして、別の名前を設けるということも一つの方法であろうかと思いますが、私どもの考えでは、従来から作業主任者免状というような字句も使っておりますので、ただ一部を地方庁に委譲するという関係から、全体を国家試験という名前でやりますと、多少字句としていかがかというような意味合いから、字句として作業主任者試験ということにしようではないかということを考えておるようなわけでございます。
  50. 阿具根登

    ○阿具根登君 これはもうちょっと残っておりますが、平行線のようですから、次に移ります。  第七十三条の、物価の変動により手数料を改正するということで、約三割の値上げになっておりますが、政府は常に物価は横ばいであるということで今までやってこられたけれども、需要は多くなってきておる。そういうときに何のために手数料を上げなきゃいけなかったか。その点の御説明を願います。
  51. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 現在の手数料は昭和二十六年に定めたのであります。現在の収支の状況を二十九年度実績で申し上げますと、この高圧ガス取締りの関係で使っております経費は、通産省の本省におきまして約二百七十万円、それから都道府県におきまして約三千九百万円を使用しております。で、これに対しまする手敷料の収入といたしましては全部で約千六百万円足らずでございまして、経費の総額に比較いたしますると半額にも足りない、こういう状況でございます。で、都道府県の側からはかねがねこれに対しまして強い要請がございまして、地方自治庁、大蔵省とも打ち合せをいたしました結果、若干の手数料の引き上げはやむを得ないであろうということになったわけであります。そこで、その算定の基礎といたしましては、地方庁における給与について考えてみますと、この公務員の給与ベースが昭和二十六年当時は約一万円程度でございましたのが、三十年の六月には一万六千数百円になっておる。六割以上の上昇を示しておる。それから消費者物価指数を考えますと、この間に約一七%の上界をしておるわけであります。で、手数料の内容といたしましては、人件費もございますし、物件費もあるわけでございますが、それらの点を総合いたしまして考えますと、大体この二十六年からの四カ年間に二、三割程度の上昇をいたしておるということになっております。で、今回の改正によりまして、その程度の増収は予定されるわけでありますが、なおこれに関する所要経費に対しましては、もちろん足りないわけであります。これらの点は地方交付税の査定の際等にこの面で調整をしていただくということにいたしております。なお全体として二、三割程度の引き上げになるわけでありますが、特に家庭を中心といたします小型の容器の検査手数料等はこの際引き上げをいたさない、むしろ先ほど指摘のように、消費量も非常に増大しておるようでありますので、でき得れば多少でも引き下げたいと実は考えております。しかしこの点につきましては、地方庁ともなお十分打ち合せをいたす必要がありますので、私どもといたしましては、できれば多少の引き下げをいたしたい。少くとも引き上げはいたさないようにしたいという考えを持っておることを申し上げたいと思います。
  52. 阿具根登

    ○阿具根登君 私がおそれて質問したのはその点でございます。手数料を業者に多く負担させる場合には、業者は決してその自分の利潤の中からは出しません。これは必ず需要家に転嫁されてきます。幾ら皆さんが高い手数料を取られても、業者は内分のふところから出さない。何といっても出しません。必ずこれは需要者にはね返ってくる。それを局長も知っておられるから、二十六年度には一万円だったのが三十年度には一万六千円になったという給与面まで言っておられる。そうなりますと問題がある。二十六年の物価指数で、二十六年の給与ベースでバランスがとれておったと思いますか、どうでしょう。この説明になれば私はあなたと非常な議論を持っておりますから、二十六年に給与ベースと、それから物価の指数とバランスがとれておったかどうか。これをたとえばそれじゃ戦前にとった場合、あるいは二十九年にとった場合、そのとるところによってその場合のバランスが違ってくるはずなんです。それを二十六年にこうであったから今度はこうだ。それだけそれでは給与所得者の生活が楽になっているか。楽になっておらないからこそ今度の春季闘争なんかやられておる。そういう面を考えてみる場合に、私が質問するまでもなく、局長はそれをおそれて、そうして皆の生活も楽になっているから、このくらい上げていいだろうというような考えを持っておられる。これを局長がそういう考えを持ってすべてのものに適用したらどうか、その点についてどういうお考えがありますか。
  53. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 先ほど申し上げましたように、現在におきましても、これによる収入額は経費の半分に満たないということは、ただいま申し上げた通りであります。従いまして、これを直ちに均衡させるというようなことはもちろん適当でないと思うのでありますが、何分にも各地方庁とも財政面においては非常に苦しい状況にあることは御承知の通りであります。かねがね地方庁ならびに地方自治庁からも強い要望がございますので、収支の均衡はとれないという点は説明通りでありますが、ある程度の手数料の改訂はやむを得ないだろうということで、考えを申し上げました程度の改訂をいたしたいと思っております。  で、今回の改正によりまして地方庁の収入は現在の手数料で申しますと千四百万円程度のものが千七百万円程度に若干増加いたします。それから国の収入は二百八十万円程度のものが二百四十万円、これは先ほど申しましたように試験の一部を地方に委譲いたします関係等で若干減ることになります。しかし、これでもっていたしましても、地方庁の収入は約千七百万円程度でありますので、現在の経費から申しますと、とうてい足りない。それらは全体の地方財政の問題として   〔委員長退席、理事小松正雄君着席〕 地方交付税等の配付の際に協力を願う、こういうことにいたしておるわけであります。なお、直接一般消費者に影響するだろうと思われますプロパン等の小型の容器につきましては、先ほど申し上げましたように引き上げをいたさない、できれば引き下げをしたいという希望を持っていることは先ほど申し上げた通りであります。
  54. 阿具根登

    ○阿具根登君 同じような答弁を聞きましたので同じような質問になると思いますが、まあ先ほどの給与の問題はもう触れられませんでしたから、この点は十分おわかりかと思う。おわかりかと私は思って、この質問は次に移りますが、今局長が言われたように、業者はおそらくこのくらいの手数料の引き上げでも、それを口実にして、そうして商品の価格の引き上げを必ず私は行うと思う。こういう法律を作った直後ではなかなか行ないません、そういうことはだれでもしてきますから。ところがこれが三カ月たち、半年たったならば、必ず税金が高くなりました、手数料が高くなりましたというのは全部需要家にはね返ってきますから、そういうことが絶対にないように一つやっていただきたい。
  55. 小松正雄

    ○理事(小松正雄君) ちょっと委員長から次官に今の点について関連してお願いをしておきたいと思います。ただいま具体的に阿具根君から指摘されましたように、このことによって、今後局長も需要家に転嫁させないように、必ず値段は上げないと、こう言われておりますので、次官にも一言その点についてはっきりここで御承認をお願いしておきたいと思います。
  56. 川野芳滿

    政府委員(川野芳滿君) ただいま適切なる御質問並びにまた委員長からも適切なる御注意のお言葉がありましたが、当局といたしましてもその意のあるところを十分に汲みまして、できるだけそういう面に負担を及ぼさないように努力をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  57. 河野謙三

    ○河野謙三君 ちょっと関連して、今の消費者価格を上げないという点、これは法的には何ら価格を抑圧する根拠はないと思うのですよ。そうしますと、通産省の意のあるところは指示価格か何かでも作られるのですか。
  58. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) このプロパンガスが急速に普及しておりますのは、一つ生産能力が増加したという関係もございますが、資料に掲げましたように、カロリー当りの計算において都市ガスとほぼ同じ額と思うのであります。その他に設備費とか工事費等はほとんどかからない、器具代だけで済みますので、その点から一つ消費者に歓迎されて急速に普及をいたしておる、こういう関係でありますから、その面から一つの限界があると思います。それから何分これはただいま宣伝中と申しますか、新製品でありますから、メーカーなり販売業者といたしましてもその面でできる限り消費者に歓迎されるように新しい宣伝を、新しい製品を普及する過程といたしましては、できる限り経済的であるということが一つのポイントでありますから、それらの関係から申しましても、これを急に上げるというようなことは私は予想されないのでありますが、特に関係会社も比較的石油精製の大きな会社でありますので、特別に指示価格とかそういう権限は持っておりませんが、ただいまの御趣旨の点を十分に申し伝えまして、でき得る限りこのために値上り等のことのないようにやって参りたいと、こういう考えでおるわけであります。
  59. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、手数料を上げてもその手数料を消費者に転嫁させないようにするというのじゃなくて、都市がガスとの価格比からいって、また供給量か今後急速にふえるという点からいって、需給関係また都市ガスとの価格比からいって上るようなことはないだろう、こういうことなんですね。だからそれに通産省の意思をはさんで、手数料を転嫁させないようにするとかしないとかいう問題じゃなくて、通産省としては手数料の上ったくらいのものは十分需給面、都市ガスとの価格比からいきまして、当然それは販売業者の手数料の中に吸収していくだろう、こういうことなんでしょう。
  60. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) ただいま実態面から御説明申し上げましたので、実質的にはそういう関係もありまして、直ちにこれによって料金なり価格の引き上げをするということはまずないと私は考えております。しかし、なお御趣旨の点もありますので、その点は十分注意いたしましてできるだけそういう御趣旨に沿うようにいたしたい、こういう考えを持っておるということを申し上げておきたいと思います。
  61. 河野謙三

    ○河野謙三君 これは非常に取り越し苦労かもしれませんが、私も上らないと思いますけれども、上げないようにするというその手段方法は通産省としてはどういう方法をとられるか、指示価格のようなものでやられるか、どういう方法でやられるか、単なる勧告によってやるのか、それを伺っておきたい。
  62. 川野芳滿

    政府委員(川野芳滿君) 内面的の行政指導をやりまして、御要望にこたえたい、こういうふうに考えております。
  63. 阿具根登

    ○阿具根登君 最後に、これはそう大きな問題じゃないのですけれども、審議会の構成と、それから七十条でわざわざ二年ということに任期を変えられたわけですが、私は二年が長いという意味で質問するのじゃないのですけれども、この法律ができるときにも相当私は審議されたと思っておりますが、どうしてそれではこの法律ができたときに六カ月という任期になったか、この二点を御質問申し上げます。
  64. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 審議会委員の名簿はお手元の「高圧ガスおよび高圧ガス取締について」という資料の第十四ページに載っておりまして、それでごらんいただきますように、大学の専門の先生でありますとか、関係のメーカー、販売業者専門の方であります。で、これでごらんいただきますように、非常に専門的の知識経験を必要とするような仕事であり、またそういう方々委員にお願いしておるわけであります。で、その辺から申し上げますと、やはりある程度の期間を任期といたしておきます方がむしろ適当ではなかろうか。なおこの法律のできた当時になぜそうしなかったかというお話しでございますが、二十六年当時でありますから、まだ占領中のことであり、この種の委員会等につきましては、いろいろな面から非常に司令部等においてもこまかく意見を述べられたような関係もありまして、そのような関係からきわめて短期間になっておったのであると思います。しかし従来の運用の実績から考えますと、このような性質の委員会としてはむしろ六カ月というようなことではきわめて短いのであって、二年程度でありましても何ら弊害がなく、またかえって適当ではないか、こういう関係で二カ年といたしておる次第でございます。
  65. 河野謙三

    ○河野謙三君 ちょっと簡単に二点だけ伺いたいのですが、先ほど西川さんから事件の発生件数についての御質問があって、それを詳細に御答弁いただきましたが、この事件件数のうち消費者側で起った事件と、ガス発生者側で起った事件とのこの区別はありますか。
  66. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) プロパンガスにつきましては、遺憾ながら先ほど申し上げましたようにほとんど全部が最終消費者の方で起っております。それからその他の一般高圧ガスにつきましては、件数といたしましては製造者の段階、容器の関係、その他十五ページに明細をちょっと書いてございますが、この製造所と書いてありますのは、実は自分でガス製造いたしまして、直接消費しておる。たとえて申しますと、硫安工場なども含んでおるわけであります。そこで従来の事故から申しますと、硫安工場などにおける災害が非常に規模が大きいというような関係がございます。これにつきましては、そのつど事故の調査委員会等を関係会社に作らせまして、原因の探求等に努めております。また最近は硫安工場等における高圧の合成塔などにつきましては、アイソトープ等を利用いたしまして、鋳物の内部のきずとかそういうものを発見するような方法も考えられておりますので、一般的には消費量増加を考えあわせますと、多少改善の方向にあると思いますが、特に三十年度におきまして、プロパンガスの最終消費者のところで相当件数の事故発生しておるということは、今後大いに注意しなければならぬ点だと考えております。
  67. 河野謙三

    ○河野謙三君 プロパンガスの場合、ほとんど消費者側で発生した事故だ。この法案は取締りを強化しようというのですが、具体的に消費者側の事故防止というのはどういう手段方法でやられるのか。
  68. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 先ほどちょっと申し上げましたように、無臭のガスにつきましては、着色材を加えまして臭気をつけるということをただいま検討いたしておりまして、近く実施に移したいと考えております。それから消費者段階事故は、やはり容器等の取扱いについて十分の知識がないということでありまして、容器等は消費者にバルブ等をいじくらさないように注意いたしておるのでありますが、その辺は形が非常に小型なものですから、うっかり不注意事故を起すというようなことがありますので、これはやはり多数の消費者のことでありますから、簡単なわかりやすいパンフレットを作って配布いたしますとか、販売業者に新たに取り扱い主任者制度を設けましたので、これらを督励いたしまして十分に消費者に理解させるように説明いたさせる、こういうことで実行して参りたいと考えております。
  69. 河野謙三

    ○河野謙三君 この取締りに関係している官吏というのは、中央、地方を通じて何人くらい現在おるのですか。
  70. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 本省におきましては六名がこの関係の事務をやっております。地方庁におきましては、総数で約百四十名であります。で、これは高圧ガス取締法昭和二十六年の制定でありますが、その以前に大正十一年から、元の内務省の所管として圧縮瓦斯及液化瓦斯取締法というものがございまして、その関係官が引き続き従事しておりますので、相当知識経験は持っておると、こういうように考えております。
  71. 河野謙三

    ○河野謙三君 本法によりまして完全に本法を活用する場合には、今の中央、地方を通じての百数一名の担当官で十分効果をあげるだけの自信があるのですか。将来人員をふやさなければいかぬとか、これに対してもっと予算をふやさなければいかぬという点はございませんか。
  72. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) さきほど申し上げましたように、特にプロパンガス等について多数の一般消費者が加わって参った。これらの人々に十分知識を普及するということは、これは直接役所だけの力ではとうてい困難かと思います。それで販売業者は現在全国で約二千二百名ばかりおりますので、地方庁の協力も得まして、これらの関係業者等も督励いたし、またさきほど申し上げましたように、パンフレット等を作成するとか、そういう面で今後万全を期して参りたいと思っております。なお、東京都等につきましては特に最近のプロパンガスの普及等の関係も考慮せられまして若干名の増員をするというようなお話も伺っておりますので、そういう増員ができますならばなおけっこうだと思っております。
  73. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は完全なるこの法律の効果を上げるために、現在の陣容で将来供給量が逐次ふえていっても十分なのかどうなのかということなんです、将来とも。
  74. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) これは、消費者段階におきましては、そういう注意書き等を十分に理解せられて守っていただきますならば、直接大ぜいの人間が取締りに歩くという必要もまずないのではなかろうか。ただ、何分にも大多数の地方におきましては、プロパンガスは昨年あたりから初めて出回った製品でありますので、これに対して十分の知識がないということはある程度やむを得ないかと思いますが、これも今後そういう啓蒙、教育に努めますと同時に、消費者の側も、このプロパンガス消費が普及するにつれまして、これに対する知識等も逐次充足されて参るのじゃないか、こう考えております。しかし、この点につきましては、なお御趣旨の点もありますし、十分今後注意をいたしまして、できる限りの手段を尽して参りたいと考えております。
  75. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうすると、今の陣容で大体事足りるわけですな。それと、プロパンガスの場合でも、高圧の液化酸素の場合でもそうですが、特にプロパンガスの場合、供給量が急激にふえますと、原価は僕は相当下ってくるのじゃないかと思うのですが、供給量と価格の点はどういうふうになりますか。
  76. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) この点は、実は先ほど申し上げましたように、最近急激に供給量がふえて参りましたのは、ハイ・オクタン価のガソリンの精製設備ができた、その関係で多量の廃ガスが出て参った。従いまして、その一部は御承知のように石油化学等に利用されておるわけでありますが、そういう関係で急激に供給量がふえて参ったわけであります。   〔理事小松正雄君退席、委員長着席〕 従いまして、製造業者関係で申しますと、これはいわば石油精製の過程における一つの副産物である。こういう関係になると思います。従いまして、全体の売り上げからすれば比較的小さな部分ではなかろうかと思いますので、極端なことを申しますと、社内の原価の割掛のやり方によって大体コストがきまってくる、まあ率直に申しますとそういう性質のものでございます。
  77. 河野謙三

    ○河野謙三君 極端に言えば、ただじゃないでしょうけれども、これはとにかく副産物ですからね。しかも非常に供給量がふえるのですから、そうするとその都市ガスプロパンガスとの競争力ですね、競争力、これの関係は将来どうなんですか。極端に言えば、そういうことはあり得ないけれども、これは非常な勢いでふえて都市ガスを圧迫するというようなことが価格面からいっても、そういうことがあり得るのじゃないかと思うのですが、どうなんでしょう。
  78. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) これは地区によりまして御承知のようにボンベに詰めて輸送いたします関係で、あまり遠距離に供給したのでは輸送費の面で採算がとれない。従ってただいまただに近いものじゃないかというお話もございましたが、むしろ容器と輸送費の面が大きなウェイトを占めておる。従ってその辺で大体都市ガスと競争力を持ち得る程度がまあこれの限界になるのではないかこういう関係であります。それから都市ガスとの関係におきましては、そういう関係から都市ガスを引きたくてもそういう設備費等の負担力がないような方々とか、あるいは地域によりましてガスの補給が行われていないというようなところが主たる対象になって参る、比較的その製造所からの近い地域におきましては簡易に設備ができるというような点がこれの特徴ではないかと思います。従いましてこれは都市ガスとむしろ両々相待ってどちらも発展していくのではないかというように、こうただいま考えておるわけであります。
  79. 河野謙三

    ○河野謙三君 一点だけ。今吉岡さんは現状だけを説明しておられるのだが、かりにこのプロパンガスがふえるでしょう。ふえた場合に今まで都市近郊、たとえば私のいなかでいうならば、平塚なら平塚は今まではオート三輪で運んでおったものが、非常に供給量もふえて、需要がふえて、今度はトラックで運ぶということになれば運賃が安くなるわけだ。従って安く売れるわけでしょう。そうなった場合に一方において政府がきめておるところのガスの価格等は一体どういう関係に将来なってくるか。これは将来ともガスの価格がプロパンガスの価格によって牽制を受けるというようなことがあり得るのかないのか、こういうことなんですよ。何といってももとはただなんだから、運賃だけなんだから、あなたのおっしゃるように運賃も大輸送すればだんだん安くなるのだから、しかもいなかに持っていくのじゃない、大体大都市の近郊だけなんですから、運賃は合理化されるにきまっているのですから、供給量がふえるのだから、そうなった場合にガスとの価格の問題はどうなってくるか。これの二年なり三年先を算定したものがありますかというのです。
  80. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) ただいまちょっと急の考えでありますので不正確かと思いますが、大体の形といたしましては現在の供給量は都市ガスの量に対しまして全国的に見ますと三%程度であります。しかし御指摘のようにこのプロパンガスの供給地域につきましては相当のウエイトを占めておるであろう、将来はさらに相当増加していくであろうということは先ほど申し上げた通りであります。従いましてそういうような地域におきましては都市ガスの料金の引上げを、かりに引上げられるということを考えました場合に、引上げを牽制する一つの材料になるという関係はあるかと思います。それから都市ガスが石炭の合理化なりあるいは輸送設備等の新しい方式採用によりまして値下りをしていくというような場合を考えました場合には、先ほど申しましたようなプロパンガスの性質から申しまして、プロパンガスの方は大体それに追随して競争力を持ち得るような限度において都市ガスの値段に作用していくのではなかろうか、大体ただいまのところは私はそういうふうに考えておるわけであります。
  81. 河野謙三

    ○河野謙三君 最後に私はこれは将来の問題としてまた一ぺん伺いたいと思うのだが、大きな石炭の、通産省が持っておる石炭の政策ともある程度こういう矛盾ができてくるのですよ。たとえば今なまで石炭をたくよりは、やっぱりガスにたいてそうしてコークスを取り一方ガスを供給する。これはやっぱり大きな石炭の政策だと思うのですね。基本だと思うのですよ。ところがそのガスというものとプロパンというものとまた石油業者との間に一つの競合が起るわけですね。こういう問題についての調整点というのは今からやはり大きな燃料政策として立てておかなければいけないのではないか。これは吉岡さんの関係だけれども、石油の問題がいろいろ飛躍的に発展していく、それにつれてこのプロパンガスの問題も大きく発展していくであろうと思うのですね。そういう場合に石炭、ガスとの調整をどこでどういうふうにとるかという計画が私はあってしかるべきだと思うのですよ。こういうことにつきましては今御答弁を伺えればけっこうだし、さもなければ別の機会に譲りますが、これは大きな通産省の燃料政策として一つわれわれに作文でもいいから見せてもらいたい、こう思います。
  82. 海野三朗

    ○海野三朗君 作業主任者には免状がありますが、取扱主任者にもやはり免状があるのですか。
  83. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) これは今回新しく販売業者段階において設けようとする制度であります。最初からそういうむずかしい要求をすることも実情に適しないのではないかということを、まして、これは当初は一定の学歴とか知識経験ということでもってその資格に合いました者を届出をさせるという程度に考えております。
  84. 海野三朗

    ○海野三朗君 そうしますと作業主任者には免状があって取扱主任者には免状がない。そうしますとこの四十ページで第三のところで「作業主任者の職務を代行する場合」と、こうありますが、この職務を代行する人は何らの試験も受けていない人が代行するわけです、取扱主任者となってやるわけでありますが、そういう際には責任はどこに帰しますか。その作業主任者の職務を代行する場合と、こうありまするが、それはどうなりますか。
  85. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 作業主任者の代理者につきましては第三十三条におきましてあらかじめ作業主任者の免状を持つ者のうちから代理者は選任する、こういうことになっております。従いまして代理者もやはり作業主任者の免状を持つ、要するに作業主任者たり得る資格を持つものでなければ代理者にもなれない、こういうことになっております。
  86. 海野三朗

    ○海野三朗君 ああそうですか。そうしますと作業主任者取扱主任者も結局はその免状を持っていなければならないわけですか。
  87. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 作業主任者の代理者は免状を持っている者でなければならない、こういうことでございます。作業主任者の代理者は作業主任者たり得る免状を持っておる者のうちからこれを選任する、こういう制度になっております。
  88. 海野三朗

    ○海野三朗君 その際に今河野委員からも質問がありましたが、多くプロパンガスなどの場合においては作業主任者よりも、つまりこれを使う方の人に今まで非常な危険が伴なっておるということでありますが、そうしますと、これを使う人の方でけがをしたり何かした場合には、その責任というものはどこに帰するのでありますか。
  89. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) その点は直接この法律の問題と申しますよりも、一般の刑事責任なり民事責任一般論によって決定される、こういうことになると思うのであります。直接この法律によって云々ということはございませんが、取扱主任者が十分にその主任者たる職務を履行しない、不適当であるという場合には、これを解任する命令を出し得るという制度になっております。この法律関係としてはその程度の行政措置が講ぜられるということでございます。
  90. 海野三朗

    ○海野三朗君 この法律はつまり、その高圧ガスを取り扱うものに対する法案だけにとどまっておるので、プロパンガスのような場合において、これを使っておる人の方に非常な危険が伴っておる。つまり取扱い上のちょっとした不注意から災難を招くというようなことでは、いわゆる爆薬を売りつけておるような結果になるので、そういう危険の伴うつまり商売なんです。ですからそういう際にそれをどうして取り締るか、どういうふうにしてその災害をなからしめるかということについてもう少し当局はお考えにならなければならないのじゃありませんかと私は思うのですが、そういう点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  91. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) これはやはり消費者に十分この取扱いなり、プロパンガスの性質を理解していただくということを進めなければならんと思います。それにはメーカーも販売業者も協力をいたすべきだと思います。まあ性質から申しますと普通の石炭ガスとほぼ大差ないわけでありますが、何分新しい製品でありますし、小型の容器に入って自由に動かせるというふうな関係がありますので、その辺は石炭ガスにつきましてはこれはある程度消費者も使用の経験を持っておりますし、使いなれておるという関係がありますが、プロパンガス先ほど申し上げましたように新しい製品であるし、またきわめて簡単な装置で消費できますので、その辺の認識と申しますか、につきましては今後パンフレットを配るとかわかりやすい注意書を配布するとか、あるいは販売業者に十分説明をさせるとかいうような方法を講じまして、災害防止に努めて参りたいと考えております。
  92. 海野三朗

    ○海野三朗君 私が申し上げておるところのものは、この法案はこれでまあけっこうです。必要なことであると思いますが、そういうようなプロパンガスの使用者の方に今までこんな失敗ばかり起っておる。これがどこに責任が帰するかと申しますと、これを販売しておる者の方に十分責任があると私は思うのですが、それでその販売業者に対しての、売っていく上において使用者に十分徹底させるようにならなければいけないのじゃないかと、通産省としてもそこまでその親切をもっておやりにならなければならないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、何かそれに対して具体的な方法はお考えになっておりませんか。
  93. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 今回の改正法案で新たに設けました取扱主任者、これは販売業者段階において置かせる、こういう制度はただいま御指摘のありましたような点を主としてねらいにしておるわけであります。販売業者関係しておるその全部はもちろんそういうことに努力をすべきであると思いますが、特にその取扱い主任者というものは、もちろんこの詰めかえ、その他販売所自体においても注意すべき点はありますが、同時に御指摘のように消費者にも十分この取扱いについて教育と申しますか、理解を勧めるために努力をお願いしたい、そういう方向で今後指導して参りたいと考えております。
  94. 海野三朗

    ○海野三朗君 私はもう一つ伺いたいのは、このプロパンガスの場合、この使う方にその欠点がある、失敗があるというようなのが数多く増していった場合には、通産省ではどういうふうにおやりになりますか。この危険なる事柄がだんだん数一つでも減っていかないという場合には、通産省はどういうふうな御決意を持っていらっしゃるか、この業者に対してどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  95. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) これは性質から申しますと、先ほど申し上げましたように都市ガスと大体似たようなものでございます。従ってある程度使いなれして参りますれば、最初十分知識がなかったようなための事故というものは、そう多くなるということは予想しておらないわけであります。ただ、都市ガスと異なりまして、先ほど申し上げましたようなにおいがついていないとかいう点は、これはメーカーの段階で改めるように措置いたしております。その他の点につきましては、これは逐次消費者も使いなれるに従い、また販売業者等督励いたしまして、これを使用するための理解を求めるということを考えなければならんと思います。いずれにいたしましてもわれわれの生活にも、いろいろ電気とかガスとか科学的な知識を必要とするものが生活環境に入って参るということは、これはもうある意味においては当然ということも申し上げられるわけでありまして、それには取扱いについての十分の御理解を願うような方法を今後努めて参るということになるのではないかと思います。
  96. 海野三朗

    ○海野三朗君 もうわかりました。
  97. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  98. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) 速記つけて下さい。  高圧ガス取締法の一部を改正する法律案につきましての質疑は、本日はこの程度で終りたいと思いまするが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) それではさよういたします。   —————————————
  100. 海野三朗

    ○海野三朗君 この前九州の石炭合理化法案について九州地方を視察いたしました際に、あの北松炭のことの話を聞いたのです。北松炭は粘結性の強い石炭で灰分が二〇%ほどある。アメリカの方から入れる石炭は、強粘結炭で灰分が四・五%であるという話、その北松炭はもう少し政府が力を入れてたくさん掘り出すようにしたらいいじゃないかと、こういうふうに考えたのです。そうして外国炭の輸入を少しでも抑圧したらいいんじゃないか、こう思ったのですが、それについては政府はどういうふうにお考えになっておるのですか。あの北松と、ついでに山形県の油戸の強粘結炭、これは製鉄には欠くべからざる炭であると思うのですが、ところが炭価が外国炭よりも高くつくのだというような話を聞いたのですが、あれはどうなっておるのでありますか。
  101. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 北松炭でございますが、現在の生産は大体五万五、六千トンから七、八千トンくらいの月産になっておりまして、昨年の初期、あるいは一昨年に比べますと二割以上ふえております。戦争中の最高の出炭が大体月産七万トン程度でございます。当時に比べますと現在は品質も若干よくなっておりますので、現在の生産は少くとも当分の間としてはほとんど能力に近いところではなかろうか、現に貯炭もほとんどございませんような状況でありまして、特に生産の制限もされておりませんし、引き取り状況もきわめて良好でございますから、現在のところはこれ以上増産をするということは困難ではなかろうかというふうに考えております。ただ御承知のように北松地区は自然条件が大へん不利でございますことと、北松炭は今お話しもございましたように輸入の米炭に比べましては灰分が相当高いものでございますから、その点を考慮いたしますと、現在のように海上運賃が非常に上った場合には、もちろん問題なく外国炭よりも安いのでございますが、昨年あるいは一昨年のように非常に海上運賃が下った場合には割高になりまして、引き取りが非常に不円滑になり、昨年、一昨年もそれで非常に北松地区が困難な状況になったことは御承知の通りでございますが、そういう関係もございますので、大体現状程度で推移していければけっこうではないかというふうに考えております。  それから油戸の炭鉱でございますが、これは国内の強粘結炭としてはかなりいいものでございますけれども、しかし生産の方を現状から飛躍的にふやすということはやはり困難のようでございます。それから現在はむしろ炭質的には若干悪くなっておりまして、原料炭に向く数量はむしろ減りぎみでございます。これは需要の面からいきますとほとんど問題ございませんので、これは自然条件なりあるいは選炭なり技術の面から現状程度を大きく動かすということは困難のように考えられます。
  102. 海野三朗

    ○海野三朗君 つまり一人当りの採炭量があまり多くないわけでしょう、北松炭あたりは。それをつまり機械的にもう少し採炭方法を改良したならば炭価が安く出るのじゃないか、こういうふうに思うのです。いわゆる設備の改善ですよ。その点については通産省はどういうふうな構想をお持ちになっておりますか。
  103. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 御存じのように北松地区は非常に薄層でございますので、通常の炭鉱で現在行なっておりますようなカッペ式の採炭をいたしまして、機械を大量に使うということは困難であります。しかし今回御存じのように日窒の江迎でドイツからシュネール・ホーベルという機械を輸入いたしまして、これが非常にあの地区の条件に向くということでございまして、これはたしか補助金も出しておると思いますが、それがもし非常に成功いたしますならば、これは非常にコストの引き下げになるわけでございまして、われわれも非常に期待しておるわけです。ただ北松地区の全部に、現在六十万トンから七十万トン年間で出ておるわけでありますが、その全部にそれを適用するということはなかなか困難であります。それからもう一つ北松炭は原料炭といたします場合には、どうしても歩どまりの関係で全部を原料炭にできませんので、一部すそものが出るわけでございますが、そのすそもの炭の消化が十分できませんと結局原料炭のコストにはね返ってくるということになります。すそもの炭の消化のために、現在あの地区で製塩事業を計画しております。技術的に若干問題がございますが、今取りかかっております会社が三つほどございますが、その会社の成績を見まして、それが順調な操業ができるようでありましたら、われわれの方も応援して成立させるようにいたして、それによって原料炭のコストを下げるというやり方でやっていきたいと考えます。
  104. 海野三朗

    ○海野三朗君 つまり北松炭は埋蔵量が少いというお考えなのですね。
  105. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 埋蔵量はまだ相当長期間掘るのに十分ございます。しかしこれは全く新しい山を開くというようなことをいたしますれば別でございますが、現存の山では、生産数量としては現状程度がまず大体一ぱいではなかろうかというふうに申し上げるわけでございます。
  106. 海野三朗

    ○海野三朗君 それは設備が改善されていかなければ、現状以上は出てこないでありましょうが、何とか設備を改善するなりして、一人当りの採炭量をぐっと上げていくというような方法はないのですか、そういうことはお考えになっていないのですか。
  107. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 今申しましたように江迎で考えておりますシュネール・ホーベルというような機械がもし有効であるということになりますれば、一人当りの採炭量が非常にふえてコストは確かに下るわけであります。ただ現在稼行しております山の規模では、能率が上るにつれて出炭をふやしますと、抗内の条件が急速に変っていきましてそれだけコストの面に悪影響を生ずる。でありますから、採炭能率が向上いたしますれば、むしろそれによって能率を上げてコストを下げるという方向に持っていくべきであって、それを急に現在の規模のままで出炭をふやすということは必ずしも得策でないと考えております。
  108. 海野三朗

    ○海野三朗君 今粘結炭を外国からたくさん買っておるが、強粘結炭が国内に出るならば、それをできるだけよけいに掘ることによって、外国炭の輸入を幾らかでも減らすことができるのではないかと私は思うのですが、そういう点についてはどうなのですか。
  109. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは全くおっしゃる通りでございます。ただ、北松炭について申しますと、昨年あたりは四万トンないし四万五、六千トンであって、現在に比べますと三割以上も低い生産ベースでございましたが、それにもかかわらず非常に多くの貯炭を背負いまして苦労したわけであります。そういう関係から申しまして将来安定して発展していくためには、現状程度であまり増産しない方がいいのではないか。それからまた急に増産いたしますとかえってコストも高くなるというような関係もございますので、全体的に見ましてできるだけ国内原料炭でカバーするようにすべきだというお考えは私たちもその通りであると思いまして、そういう方面に努力をいたしておりますけれども、北松炭について急速に現在の山について大幅に増産をするということは、かえって得策ではないのではなかろうかというふうに考えておるということを申し上げたのであります。
  110. 海野三朗

    ○海野三朗君 実はその貯炭がたくさんあったというお話しでありますが、そういう際に製鉄方面には売れていかなかったのでありますか。どういうその隘路があったのでありましょうか。灰分が二十もあり、アメリカ炭は灰分が四%出たといっても、それは外国炭の方が確かにいいことはいいのでありますけれども、強粘結炭をできるだけわが日本の製鉄事業に使わせる方向へ通産行政としては持っていかなければならないのじゃないか。そうして品物が、強粘結炭でやってよければ、努めてこれを増産をして炭価を下げるという方向に持っていかなければならないのじゃないか。で、増産をすると、かえって炭価が高くなるというようなお話がありましたが、それはどういうわけでありますか。
  111. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) できるだけ国内の原料炭を増産して外国の炭を買わないようにするということにつきましては、今お答えいたしましたように、われわれもそのつもりでやっておるのでございまして、現に昨年、一昨年度は内地炭五〇、輸入炭五〇の割合で製鉄用のコークスを作っておりました。それから逐次毎期それを引き下げて参りまして、現在は六〇対四〇、輸入炭四〇、国内炭六〇の割合でやっております。来年度はさらにそれを三七、八くらいまで下げたいということで重工業局と交渉をして、来年度の計画を今検討しておるような状況でございまして、技術的に許す限り、また鉄鋼のコストを上げない限り最大限国内の原料炭をふやしていくという考え方は、全くわれわれもその通りでやっておるわけでございます。ただ、そういたしましても、この運賃が非常に安くなりますような場合には、同時にまた外国炭の取得も非常に楽になるというような関係がございまして、そういう場合には非常に高品位の外国炭がまあ安く入る。そうなりますと、粘結性の関係からも、国内では強粘結が比較的少くて済んで、弱粘結の高品位のものを同じ六〇か四〇の配合比率の中でよけい使えるような格好になりまして、その結果いろいろ申し上げましたように、北松炭が過去に相当苦しい時代を通ってきたそういう点から考えて、将来のことを考えますと、現在は先ほど申し上げましたように相当な、現状の設備としてはほとんどフルに近い程度生産をしておるわけでございますから、これはあまりふやさない方がいいのではないかということを申し上げたわけであります。  それで増産とコストの関係でございますが、これは確かに通常の場合は、増産をすればそれだけコストが下がるというのが普通でございます。現在の大多数の炭鉱ではそうなっておりますが、それは生産相当押えられておる状態の場合にそうでございまして、現在北松炭は需要の関係からほとんど現在の設備ではフルに近い程度に増産いたしておりますので、それにさらに無理に増産をするということになりますと、かえってコストが上るような面もございます。ただ、今申し上げましたように、機械化によって非常に能率が上りますれば、その分だけコストを下げるというような方向でいくのが適当ではなかろうか。その結果非常に値段も下りまして、輸入炭をもっと圧縮してもやっていけるというようなことになりますれば、それは新しく山を開いてさらに増産をしていく、あるいは現在の採掘部位から新らしい部位に移行しまして相当に増産するということは、これは考えられることでございますが、現在の設備のままでただ増産をするということは、かえって将来のことを考え、また現在のコストから言ってもあまり得策ではなかろうということを申し上げたのであります。
  112. 海野三朗

    ○海野三朗君 そうしますと、その北松のやつは、粘結炭はほとんど製鉄だけに向くのでありましょう。製鉄の方が主体なわけでしょう。それがかえって増産すると炭価が高くなるというのは、増産というのにもよりけりであって、設備の改善とか、つまり採炭量を増していくということに設備の改善をすれば、かえって安くなるのじゃないですか。どうなんです、そこが私ははっきりしないのです。
  113. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 北松の石炭は製鉄用が一番主力でございますが、そのほかにガス用、それからコークス用に販売されております、そういうもの、それから化学用にも若干出ております。しかし、主として原料炭になります分は、全部コークスの原料炭でございます。で、今の増産と価格の問題でございますが、要するに簡単に申しますと、現在能力一ぱいに生産をしていなくて、操業度が落ちている炭鉱については、増産をいたしますれば当然コストが下るということになります。しかし現状、北松地区の炭鉱はほとんど現在の設備ではフルに近い能率を発揮していると思いますので、それをさらに現在の設備のままで急に増産いたしますことは、必ずしもコストを引き下げることにはならない。で、もし能率を上げることができますれば、むしろそれはコストの引き下げに使っていくべきではなかろうかというふうに考えておるということを申し上げたのでございます。
  114. 海野三朗

    ○海野三朗君 私はその設備の改善を言うのです。設備を改善するのにやはり莫大な金が要るのです。で、金は要っても、設備の改善をして採炭量をぐんと上げるようにすれば、結局その方が勝ちではないか。で、通産省の立場からしては、そういうことについてお考えはないのであるか。たとえば製鉄におきましても、ブリキ板のような、あのコンティニュアス・ミルでどんどんやっているから、昨今は値が安く外国にも出されるのである。結局するところ、設備の改善がだめだから、それで今はもうフルにやっているとあなたもおっしゃるけれども、設備の改善によって、もっと採炭量をぐんと上げる方法がないかということを私は伺っているのです。これはどんなものですか。
  115. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 設備の改善につきましては、全くわれわれもそうしなければならない。現に昨年あるいは一昨年のような不況も、外国炭に比べて特に値段が高いから起ったのであるわけでありますから、コストの引き下げの意味からいきましても、どうしても設備の改善をやりたいというふうに思っております。ただ、先ほど申しましたように、技術的に見ますと、日本の一般の炭鉱の通常のレベルに比べまして、北松地区は非常に炭層が薄いわけでございます。従って通常一番能率の上る長壁式のカッペ採炭というようなやり方はとれない。従って特別の機械化方式をとらなければならぬわけでありますが、その方式として今ドイツのシュネール、ホーベルという機械が非常にいいのじゃなかろうかということで、輸入をしてこれから実験にかかるところでございますが、もしそれが非常に効果が上るようでありますれば、ぜひほかの炭鉱にも普及させるようにいたしたいと思っております。そういうことで画期的にコストが下りますれば、もちろんそれは従来の内外比、製鉄コークス用の石炭の輸入炭と内地炭との配合比率を当然変えていけるのじゃなかろうか、そうなればまた相当増産しましても、需要はもちろん開けるわけでございます。ただ、私が現状について申しましたのは、現在の山ですぐ従来のやり方でそのまま増産をしたのでは、かえってコストの面からマイナスになる面があるのではなかろうかということを申し上げただけでございます。
  116. 海野三朗

    ○海野三朗君 私はまだありますけれども、きょうはこの程度にして、保留いたしたいと思います。
  117. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) 本日の委員会はこれにて散会いたします。    午後三時四十九分散会    ————・————