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政府委員(齋藤正年君) できるだけ国内の原料炭を増産して外国の炭を買わないようにするということにつきましては、今お答えいたしましたように、われわれもそのつもりでやっておるのでございまして、現に昨年、一昨年度は内地炭五〇、輸入炭五〇の割合で製鉄用のコークスを作っておりました。それから逐次毎期それを引き下げて参りまして、現在は六〇対四〇、輸入炭四〇、国内炭六〇の割合でやっております。来年度はさらにそれを三七、八くらいまで下げたいということで重工業局と交渉をして、来年度の計画を今検討しておるような状況でございまして、
技術的に許す限り、また鉄鋼のコストを上げない限り最大限国内の原料炭をふやしていくという考え方は、全くわれわれもその
通りでやっておるわけでございます。ただ、そういたしましても、この運賃が非常に安くなりますような場合には、同時にまた外国炭の取得も非常に楽になるというような
関係がございまして、そういう場合には非常に高品位の外国炭がまあ安く入る。そうなりますと、粘結性の
関係からも、国内では強粘結が比較的少くて済んで、弱粘結の高品位のものを同じ六〇か四〇の配合比率の中でよけい使えるような格好になりまして、その結果いろいろ申し上げましたように、
北松炭が過去に
相当苦しい時代を通ってきたそういう点から考えて、将来のことを考えますと、現在は
先ほど申し上げましたように
相当な、現状の設備としてはほとんどフルに近い
程度の
生産をしておるわけでございますから、これはあまりふやさない方がいいのではないかということを申し上げたわけであります。
それで増産とコストの
関係でございますが、これは確かに通常の場合は、増産をすればそれだけコストが下がるというのが普通でございます。現在の大多数の炭鉱ではそうなっておりますが、それは
生産が
相当押えられておる
状態の場合にそうでございまして、現在
北松炭は需要の
関係からほとんど現在の設備ではフルに近い
程度に増産いたしておりますので、それにさらに無理に増産をするということになりますと、かえってコストが上るような面もございます。ただ、今申し上げましたように、
機械化によって非常に能率が上りますれば、その分だけコストを下げるというような方向でいくのが適当ではなかろうか。その結果非常に値段も下りまして、輸入炭をもっと圧縮してもやっていけるというようなことになりますれば、それは新しく山を開いてさらに増産をしていく、あるいは現在の採掘部位から新らしい部位に移行しまして
相当に増産するということは、これは考えられることでございますが、現在の設備のままでただ増産をするということは、かえって将来のことを考え、また現在のコストから言ってもあまり得策ではなかろうということを申し上げたのであります。