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1956-04-12 第24回国会 参議院 商工・建設委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十二日(木曜日)    午前十一時三分開会   —————————————  委員氏名   商工委員    委員長     三輪 貞治君    理事      西川平治君    理事      白川 一雄君    理事      阿具根 登君    理事      河野 謙三君            上原 正吉君            大谷 贇雄君            小野 義大君            古池 信三君            高橋  衛君            中川 以良君            西田 降男君            海野 三朗君            上條 愛一君            小松 正雄君            藤田  進君            宇垣 一成君            加藤 正人君            上林 忠次君            石川 清一君   建設委員    委員長     赤木 正雄君    理事      石井  桂君    理事      小沢久太郎君    理事      近藤 信一君    理事      鮎川 義介君            伊能繁次郎君            石川 榮一君            入交 太藏君            斎藤  昇君            酒井 利雄君            西岡 ハル君            平井 太郎君            武藤 常介君            栗山 良夫君            中田 吉雄君            田中  一着            森崎  隆君            北 勝太郎君            村上 義一君   —————————————  出席者は左の通り。   商工委員    理事            西川平治君            白川 一雄君            阿具根 登君            河野 謙三君    委員            小野 義夫君            古池 信三君            高橋  衛君            中川 以良君            藤田  進君            加藤 正人君   建設委員    委員長     赤木 正雄君    理事            石井  桂君            小沢久太郎君            近藤 信一君    委員            伊能繁次郎君            西岡 ハル君            平井 太郎君            武藤 常介君            田中  一君            村上 義一君   政府委員    厚生省公衆衛生    局環境衛生部長 楠本 正康君    通商産業省企業    局長      徳永 久次君    建設省河川局長 山本 三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    農林省農地局管    理課長     岡田 覺夫君    建設省計画局水    道課長     岩井 四郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○工業用水法案内閣提出、衆議院送  付)   —————————————   〔商工委員会理事具根登委員長席に着く〕
  2. 阿具根登

    委員長代理(阿具根登君) それではただいまより商工建設委員会連合審査会を開きます。慣例によりまして商工委員長が司会いたすべきでありますが、将校委員長に事故がありますので、理事の私が代理することにいたします。よろしくお願いいたします。  工業用水法案議題といたします。本法案は去る三月十四日提案され、衆議院においては三月二十八日委員会議決、同三十日の本会議において、原案通り可決され、同日本院に送付になったのであります。商工委員会においては、三月二十三日に提案理由説明を聴取したのみで、いまだ全然審議に入っておりません。  以上が本法案に対する国会の審議の概要でありますが、いかがいたしますか、慣例によって提案理由説明から始めたいと思いますが、提案理由説明を求めてよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 阿具根登

    委員長代理(阿具根登君) それでは提案理由説明を求めます。
  4. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) ただいま議題となりました工業用水法案につきまして提案理由を御説明申し上げます。  わが国経済自立を達成するためには、産業基盤育成強化をはかり、産業国際競争力を高めなければならないことは、あらためて申し上げるまでもありませんが、このためには、個々の企業合理化にとどまらず、道路、港湾、用水用地等産業立地条件を総合的に整備することが必要であり、政府といたしましては、経済自立五カ年計画におきましても特にこの点を重視している次第であります。  これらの産業立地条件のうちでも、工業用水は、原材料、動力と並んで工業生産上不可欠のものでありまして、豊富低廉な川水確保は、産業発展上きわめて重要な意味を有するものであります。  しかしながら、工業用水につきましては、従来ほとんど積極的な対策が講ぜられなかったため、用水事情は次第に悪化し、特に工場密集地域では、地下水過度くみ上げにより、水源枯渇塩水混入地盤沈下等事態が生じ、工業生産維持発展の上に重大な障害となっておる現状にあります。  このような事態にかんがみ、至急この対策を講ずることを痛感しまして、このたび通商産業省といたしましては、工業地帯における産業立地条件整備総合的施策の一環として、この対策を講ずることとし、工業用水道布設を促進し、豊富低廉な工業用水確保をはかるため、工業用水道布設について、昭和三十一年度予算案に一億八千万円の工業用水道布設事業補助金を計上して、これに要する費用の四分の一の国庫補助を行う等必要な助成措置をとることといたしておるのでありますが、さらに、これと表裏一体の関係におきまして、地下水過度くみ上げを防止し、工業用水の重要な水源である地下水水源保全をはかるため、本法案を立案し、これにより工業の健全な発達に寄与するとともに、あわせて地盤沈下の防止に資することといたした次第であります。  本法案のおもなる内容は、次の通りであります。  第一に、工業用地下水過度くみ上げによる水源枯渇等の弊害が著しく現われている重要な工業地域を政令で指定し、その地域において新たに一定規模以上の井戸により工業用水を採取する場合には、通商産業大臣許可を要することといたしました。  地域指定に際しましては、代替水源としての工業用水道布設状況及び計画を考慮することとし、企業活動に不当な圧迫を加えることのないよう十分配意することといたしておりますが、なお事前に関係都道府県知事及び市町村長意見を聞くのはもちろん、工業用水に関する重要事項を調査審議するため通商産業省に設けることといたしました工業用水審議会意見を聞くことといたしております。  第二に、新設の井戸許可につきましては、その深さ及び規模が、指定地域ごと地下水水源状況等を考慮して定める一定基準に適合する場合に許可することはもちろんでありますが、この基準に適合しない場合におきましても、工業生産上の必要性等を勘案いたしまして、特に必要かつ適当と認められる場合におきましては、地下水水源合理的利用に著しい支障がない限り、許可をすることといたしております。  第三に、指定地域における既存の井戸につきましても、地下水水源の合理的な利用のため特に必要があると認めるときは、通商産業大臣は、工業用水道への転換、地下水使用方法合理化等について適切な指示をすることができることといたしました。  以上がこの法律案を提出する理由であります。何とぞ、慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第であります。
  5. 阿具根登

    委員長代理(阿具根登君) これより質疑に入りますが、慣例によりまして建設委員質疑を優先的に取り扱います。
  6. 田中一

    田中一君 厚生省からも一人関係局長を呼んでいただきたいのです。
  7. 阿具根登

    委員長代理(阿具根登君) 厚生省ですか。厚生省関係局長を呼んでいただきたい。   それでは御質問のある方は順次御質疑願います。
  8. 田中一

    田中一君 私は四省の担当の大臣がおられなければ、局長でもいいから、一括して質問したいのです。通産省だけにやったのでは同じことを繰り返しますから。いつごろ見えますか。
  9. 阿具根登

    委員長代理(阿具根登君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止
  10. 阿具根登

    委員長代理(阿具根登君) 速記をつけて。
  11. 赤木正雄

    赤木正雄君 工業用として引用した水の一部を、やはり農業用に用いる場合がたくさんある。その場合は工業用水か、農業用水か、どっちですか。
  12. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) この法案におきましては、工業用目的井戸を掘りまして、それを工業用に使うというものにつきまして規制対象にいたしておりますわけです。井戸を掘りまして、掘った水の一部を農業用に使えば、それは農業用の水ということになりますわけでございましょうが、水の利用目的の、どの程度といいますか、井戸揚水量のうちの大部分工業用に充てられるという場合には、やはり本法によりまする適用を受ける規制対象になるということに相なるのでございます。
  13. 赤木正雄

    赤木正雄君 井戸に限らないのであります。一つの川から水を引用する場合に、あるいは農業用の水に引用して、それをまた工業用にもっていく、これはどうします。
  14. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) この法律工業用に使います水すべてを実は対象にいたしておりませんのでございます。先ほど提案理由で御説明申し上げました工場密集地帯におきましては、実は工業用のためにその地域井戸を掘りまして、地下水くみ上げをやっておりますわけであります。これが掘り過ぎになりまして地盤沈下等現象を起しております。それでそれを何とかして押えなければならぬ。といいましてもただ漫然と押えますればその地域工業発展がとまるといいますか、工業のほんとうの命の水でありますので、それを漫然ととめるわけに参りませんので、かわりに工業用水道を設けまして、工業用水道代替水源のあります場所につきましては、新規にこれ以上井戸を掘って地盤沈下を起すようなことはしないようにして下さいよという法律であります。  それから川の水が出たら今まで掘っておった井戸につきましても今度くみ上げの量をある程度調整して、今までの、既成の井戸におきまするくみ上げの量が多過ぎたために地盤沈下原因等にもなっておるというものをならないようにして下さいよ、そういう法律でございまして対象がまあ非常に限られております。工業用水の全部を規制するのだという法律ではないわけなんでございます。
  15. 赤木正雄

    赤木正雄君 一つの例を申せば、あるいは東京の下町の方、あるいは大阪の河口の方、あるいは兵庫県の尼崎地方、こういうふうな部分がこれに該当すると思いますがね。今尼崎の方にいたしましても淀川から水を引っぱってくる。むろん井戸をたくさん作って、それで地盤沈下を防ぐために工業用水をもってくる。しかしその工業用水をもってくるときにその落差利用した水力を一部使う、それはどうなんです。
  16. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) これは今お話がございました、この法律が実際上適用ある場所はどの辺かという御質問であったろうと思いますが、私ども本年度予算で初めて工業用水道に用いて下さいというのを出しました。理想通りではございませんが、とにかく今年計上されました一億八千万円で、尼崎と四日市と川崎地帯を実は対象に考えておりますが、これらの地点につきましては今お話のございますような水道を引っぱるために落差関係発電ができる、それほどの実は大がかりのものではございません。また地点もそうは相なって、地形の関係からもそういうことには相なっていないわけでございます。ただ御案内の通り、たとえば愛知用水の例で見ますれば、農業川、工業用、総合的に考えておりまして、発電にも利用する、農業用にも利用する、工業用水としても利用するというふうにいたしております。その場合にはもとを考えますれば農業用工業用すべてのもの、一般工業用発電用、すべてのものということに相なっておりまするが、その場合におきましても工業用水につきましては別に工業用水道関係をある計算をいたしまして、これから以降は工業用水としての負担分としましてその建設性を各目的に割り振りしてきめる。しかし経営全体をやはり総合的にやる必要があるので、御承知通り愛知用水公団というようなものを体裁としては立体的にやっておるというようなことに相なっておりますので、今のようなケースがお尋ねのようなケースにも該当しようかと思っております。
  17. 赤木正雄

    赤木正雄君 今までの工業用水事業をやっておった官庁があるはずでありますが、それはどの省でやっておったのですか。
  18. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 工業用水につきましては、従来まで各省関係でまともにまあ行政らしきものを実はしていなかったというのが率直な状況でございます。ただ先ほど田山先生からもお話がちょっと出ておりましたように、水の関係各省の話し合いをいろいろつけなければならぬ問題がありまして、数年前に実は水道法案というものができかけたことがございます。一応の案ができました。しかしそれは審議未了になりまして、まあ実を結ばなかった案でございますが、その際におきまして、工業用水につきましては、政府部内の所管といたしましては、通産省及び建設省という扱いに指定されておりましたが、その後の問題といたしましては、先ほど申し上げました愛知用水公団法でありますか、その中におきまして、目的が多目的工事がありましたので、各省にまたがっておりましたので、工業用水所管といたしまして、通産建設及び公団事業を総合的に管理いたしております農林というようなふうに指定されたのであります。これが従来指定されておりました進入でございます。
  19. 赤木正雄

    赤木正雄君 実際計画を作り、あるいは施工指事、そういうふうなことを、事業の上で行なっておった官庁はどこなんですか。
  20. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 従来も工業用水道は今まで全然なかったわけではございませんです。多少ある地域におきまして、あるいは市町村事業主体となり、あるいは府県が事業主体となりまして、工業用水を作っておったことがあるのであります。ただそれを作っておりました際に入ります何といいますか、政府中央官庁としての行政面に現われまする仕事としましては、それほど立ち入ったことをしていない、と言ったら語弊がありますが、地方公共団体事業主体となり工事をやります際の事業資金につきまして一般公募債ワクを作る世話といいますか、というようなことをいたしまして、それによりまして工事がある程度円滑にできるようにというようなことはなされましたのでございます。その面の仕事は従来建設省水道建設事業というようなものをやはり広い意味土木建設工事というようなことでめんどうをみておられたのであります。今度の工業用水道につきましては、実は通産省といたしましては、工業用水道性質にかんがみまして、いわゆる経済ベースで供給できる事業者が今まで地下水等を掘っておりましたのに比べまして、非常に高い水を、ただ水があるからこれを使えというふうにやってはどうにもならぬというような性質でもございますので、これを利用者としましてそろばんをもって使える程度の水にするということで、工業用水道というのは、そういう目的性質から目的に沿うように考えなければならないのじゃないだろうかといろいろと研究してみましたのですが、そのわれわれの出ました結論というのは、ある程度国庫補助を必要とする。それから単に一般公募債というような形で援助するだけではまだ不十分である。預金部の引き受けによります低利長期債をやる。さらに場合によりまして、その地域利用者にある意味受益者負担といたしまして、地方公共団体に出します公募債低利で、場合によれば無利子で引き受けてもらうというようなことをやらないと、結局目的に沿わないというようなことを考えまして、そうなりますると、その種の点からの重要性をどの主体にしてどう考えるか、その地域におきます工業水道によって供給すべき水量、工業発展現状及び将来性等からどう考えていくかというような点がございまするので、その面につきましては、通産省で考えた方が時代に適切に合うのではなかろうか。ただし通産省はこういうある種の土木工事といいますか、というようなことの監督指導とかということは一切不得手でございます。その点は従来経験の深い、またそれだけの十分の陣容をお持ちである建設省の御助力をお願いしてやりたいというようなことで、通産建設共管といたしまして今後の用水工業水道設置助成仕事は、それぞれの今のような考え方での共管で協力してやろうというふうに考えております。
  21. 阿具根登

    委員長代理(阿具根登君) ちょっと今河川局長山本三郎君が見えましたから、御質問のある方はお願いします。
  22. 赤木正雄

    赤木正雄君 今通産省の方といたしましては、建設省助力を得てやる、こういうふうな御答弁でありましたが、やはり国から補助をする以上、相当技術上の国としての十分な検討を要すると思います。そういうふうな面からして、通産省技術上の検査あるいは技術上のすべての計画そういうことをなさるお考えでありますか、どうですか。
  23. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 工事設計は一応まあ事業主体の方でいろいろ考えてくると思います。それを技術上から見まして適切なる設計になっておるかどうかというようなこと、及びその実施上の監督指導、これらはすべて私ども建設省にお願いをしようというふうに考えております。
  24. 赤木正雄

    赤木正雄君 もう一度念を押しますが、そういたしますと、技術上の監督あるいは設計審査、そういう技術に関することは全部建設省通産省としてはお願いする、こういうふうに理解していいのですか。
  25. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) さよう考えております。
  26. 田中一

    田中一君 内閣に設置されておる国土総合開発審議会で水に関する定義並びに所管、それから水に対する利用の度の問題等の、政府として水に対する認定の仕方というものはどういうふうになっておるか、この点を一つお聞きしたい。
  27. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ただいまの状況におきましては、表流水利用につきましては河川法によりまして全般的の取締りなりあるいは監督なりを行なっておりまして、建設省がその主管をしておるわけであります。その趣旨によりましてただいまにおきましては建設省が見ておるわけでございます。
  28. 田中一

    田中一君 建設省が見ているのは河川を流れる水を見ているのでしょうけれども、水全体に対する水の監督権、それから利用の問題ですね、等についてはどういう解釈を持っているのですか、結論を……。
  29. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ただいまの御質問でございますが、水と申しますと、地表を流れる水と、それから地下水の問題がございます。それで先ほど申し上げましたように地表水につきましては河川法によりましてやっておるわけでございますが、その特に利用の問題につきましては、各省といろいろ相談いたしまして、その意見を聞きましてやっておるわけであります。それから地下水の問題につきましては、河川並びにその付近地の問題につきましては、建設省が主管いたしております。それ以外の地下水の問題につきましては、今回の提案になっております法律によりまして、その基準なり地域なりにつきましては、通産大臣建設大臣が協議してやる、こういう方法をとっております。
  30. 田中一

    田中一君 かつての河川敷下伏流水のことについてはどうなっておりますか。
  31. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) かつての河川敷につきましては、河川法によりましてそれが廃用として、そうして処分されたものにつきましては、新しい法律によりますし、それからまだ河川として残っておる分につきましては、河川法によりまして行う、こういうことであります。
  32. 田中一

    田中一君 河川を廃した伏流水と、それから河川の中を流れている伏流とは、これははっきりと流れが水源地を異にしているという見方をしているわけですか。
  33. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その点は地下の問題でありますからはっきりとは区別ができませんが、大体におきまして河川が、新しい河川ができまして廃川になりますと、地下水もどうせ表流水に影響されるものでございますので、河川が別のところにいきますと関係は比較的薄くなるというふうに考えております。
  34. 田中一

    田中一君 今河川局長が言っているように、表流水下伏流と、それから河川、旧河川敷の間の関係が、同じ水が流れていないという見方、あるいは流れているという見方、そういうものを今日まで政府としては各河川、改修された河川について調べたことがありますか。
  35. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 全般的に調べた資料はございませんが、特殊な地域については調べておりますが、なかなかむずかしい問題でございまして、どこまでがというはっきりした結論まで到達していない状況でございます。
  36. 田中一

    田中一君 この遠賀川の例なんかは、御承知のようにはっきり流れているのです。流れているから、ある場合によればそこから水が噴いて決壊するような場合もあるのです。これは一つ現象なんですが、これなんかどう考えておりますか。たとえば筑後川にもその現象がある、そういう場合は所管が分れてもいいというのですか。
  37. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ただいまお話にありました遠賀川のごときにつきましては、その影響が甚大でございますので、調査のはっきりしてないもの、状況のはっきりしないものについては、河川敷なり、あるいは河川付近地として残存させまして取締りをやる、こういうつもりでおります、
  38. 田中一

    田中一君 筑後川下流烏楢の約千メーターくらいの下流は、やはりたんぼに水が噴いているのですが、こんなものは今後どう考えるのですか。
  39. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) そういう具体的の地点は、先生のおっしゃっているのは、私も具体的資料は持っておりませんが、そういう分につきましては、河川保全上あるいは水の利用上必要なものにつきましては、取締りをするために、河川付近地として残すなり、あるいは新しく指定するなりすると、こういうつもりであります。
  40. 田中一

    田中一君 一体水はだれのものなんです。管理者利用者と二つあるわけですね、水そのものに対してはですよ。ただ、今おっしゃった伏流水に対しては、だれが管理するかわからぬということなんです、あたなの説明を聞くと。従って日本国土に流れている地下水にも、たまり水もあれば、あるいは表流水の下の、割合にボーリングすればすぐ出てくる水もあるのです。河水とつながっている伏流水もあるのです。そういう面を検討しないで、利用の面からだけ水というもののワクを作るということは、非常に危険を感ずるわけです。そこで伺うわけなんです。
  41. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) お説の通りでございまして、利用の面につきましては、あるいは川から離れた分につきましては、今までそういうふうな取締り法律なり、あるいはそういうものがなかったわけでございまして、今回の法律が新しいのでございます。そういう観点から利用面につきましても、その他河川保全というふうなことと勘案いたしまして、今回の法律によりまして、通産大臣建設大臣でその利用の面も助長してやろう、こういうことで提案されたのでございます。
  42. 田中一

    田中一君 農林省の人は来ていますか。前に出て下さい。来ていますか、農林省の人。
  43. 阿具根登

    委員長代理(阿具根登君) 農林省は、説明員管理課長岡田君が来ておりますが、どうしますか。……それじゃ御質問願います。
  44. 田中一

    田中一君 日本の水には農業用水というもの、それから飲料水工業用水、その他利用先が異なると水の所管が変るという考え方は、これは政府一つの決定として、そうきめてこの法案を出したわけですが、水というもの、広範な水というものを利用によって区分する、管理権も何も全部区分するというような法律に決定されたのですか。
  45. 岡田覺夫

    説明員岡田覺夫君) 農林省におきましては、従来潅漑排水の利用につきまして、いろいろ指導監督をいたしておるわけでありますが、河川から取ります水につきましては、河川法の規定に従いまして、河川局の許可を受けましてその水を利用するというふうなことになっておりまして、地表水につきましては、一応河川法によりまして規制をいたしまして、それに基いてこれを利用するというような仕組みになっております。
  46. 田中一

    田中一君 農業用水の場合には、河川法に基いてその水の流れをこっちに回してもらって、そうしてその場合だけが農業用潅漑用水だという定義を下しているわけですね。
  47. 岡田覺夫

    説明員岡田覺夫君) さようでございます。
  48. 田中一

    田中一君 何という名前でしたか、上越線の水上の上流から利根川の水を取って、沼田辺の潅漑用水に使っておる水があるのですが、これはそうすると、水道を通って現場に持ってくるまでの管理は、これはむろん農林省所管するというわけですか。
  49. 岡田覺夫

    説明員岡田覺夫君) 河川から取水いたします場合には、河川法によります許可を受けまして、それから、取りました水路を作って、水路から水田に水を引くわけでありますが、そこの取りましたあとの管理は、農業の方でいたしております。
  50. 田中一

    田中一君 和歌山県に行きますと——和歌山県、奈良県の方に行きますと、どこもかしこもみな溜池がある、水がないから。この水の管理権はどこにあるのですか。
  51. 岡田覺夫

    説明員岡田覺夫君) 河川から水を取りまして溜池を作るという場合もありますし、河川に溜池を作る場合もあります。いろいろな溜池の形があると存じますが、河川に溜池を作りました場合には、当然これは河川法の適用なり準用なりがあるわけで、その規制を受けておりますが、それ以外のところに作りました場合には、農業の方で管理いたしております。
  52. 田中一

    田中一君 風車でたんぼの中に揚水しておる海潮用水というものは、この法律で見ると、同じような作業だと思っておるわけなんです。それはやはり農業用水ですね。
  53. 岡田覺夫

    説明員岡田覺夫君) それと同じようなことになると思います。
  54. 田中一

    田中一君 その水が今度河川に流れたらどうなりますか。
  55. 岡田覺夫

    説明員岡田覺夫君) 河川に入りますと、河川規制を受けるわけであります。
  56. 田中一

    田中一君 私は日本という国は水によって生きておる、みな。人類はみなそうかもしれませんが、ことに日本というところは、台風が持ってくる水によって日本の国の生存があると思うのです。そこで水に対する立法化をわれわれ願っておるのです、水というものに対する。ところがこうして農業用水とか工業用水とか、おそらくこれは水のないところはダムを作って、溜池をたくさん作っております。これはおれの方の水だといって水を取る、飲み水がない場合にも、農業用水だといって取る場合もある。水の利用というものは、広範にわたって同じ水が何べんも利用されておるのが、日本現状なんです。そうして、ただこの法律を見ると、主として地下水なんです。これは地下水なんです。よく調べてみると地下水保全法なんです。大きなビルでも作りますと、みなこれは雑用水に水を揚げておるのです。おそらくこれからどんどん高層建築ができますと、これは相当大きな量になると思うのです。ただ特定の企業に供給する水というものをここで規制するだけでは、この水の利用に対する法律であって、立法化であって、水そのものの本質を究明していない。今度農業用水法というものが出るかもしれない、あるいは雑用水法が出るかもしれない。ビルディングの下に掘るやつは雑用水法、ただ利用面だけでもって法制化するということは、私は間違いだと思っておる。そういう意味からいって、都市における大きなビルディングの地下水というものに対しては、どういう定義を下そうとしておりますか。何の法律によってそれを規制しようと思っておるのですか。
  57. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 最後にお話ございましたビル用の水を規制しなければならないというような必要が起りました場合にはどうするかという問題になりますれば、これは私ども通産省所管ではないと思います。建設省でおやりいただくのが適当なあれになるのではないかと思うわけであります。ただこの法律は、先ほど提案理由お話し申し上げましたように、工業用水として、従来事業者井戸を掘りましてくみ上げをやっておりますわけでございます。工業密集地帯でございます。そういう地帯に井戸をいわば掘り過ぎておりまして、そのために地盤沈下をしておるというような現象も起きております。同時にそれは地盤沈下しておるだけでなしに、工業者も非常に困っておりますわけであります。近所にまた新しい井戸を掘られるということになりますれば、既成の井戸が、いわゆる井戸の干渉とかいう実例があるそうでございますが、隣近所の井戸も迷惑するというような現象も起って参ります。それから地盤沈下しますれば、機械工場の建家にもひびが入る、据え付けてあります機械ががたがたになるというような現象を起しておりますわけでありますので、それを何とかしなければ日本工業生産がよくならないということを考えましたのがこの法律でございます。
  58. 田中一

    田中一君 わかっております。それはこれを見ればわかるのですよ。
  59. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) ですから、そういう配意もございますので、いわば地下水につきましては、従来事業者が勝手に使っておりますが、井戸を掘って勝手に使っておるという体制のものを、適当に調整しようという法律でございます。
  60. 田中一

    田中一君 それはわかっておるのですよ。だから私が言っておるのは、一体特定の工業用水というものはないのです。水は水なんですよ。水は上から降ってきてたまるものなんですよ。いいですか、あなたの方は工業用水を、利用している水を言っているのです、今ね。たまれば池になったり流れになったり、浸透すれば地下水になるのですよ。これを日本国土というものはだれが所管するかということです。結局しいて言えば、日本国土に降る水なんです、日本国土が持っている水なんです。利用の面だけで、突如として一つのものを利用の面だけで規制をして、それでいいかと聞いているのですよ、それだからあなたたちにはわからぬ、大臣呼んでこいというのですよ。それじゃ困るのですよ。もしも地下水保全法ならば通産省所管する必要はございません。必要ならば幾らでも、尼崎に必要ならば淀川の上流から持ってきてもいいのです。あれかまわず海に流しているのですから、ある面の必要度はですよ……。地下水規制する法律を作るなんということは通産省所管じゃないのですよ。国土を守るものの所管です。従って利用の面だけで、水を使われたんでは困るといっているのですよ、私は。同じ一滴の水はたくさんの利用される効果があるのです。地下水だけを保全しようというならば、何も通産省所管じゃないのです。そこで僕が聞いているのは、水というものの管理はだれがしようとするのかということなんです。まあ大体水というやつは、地下水地下水としても、この表流水というやつは、表流水が流れるところは河川といいますが、これは河川法建設省が持っておる。今あなたは尼崎工業が困る困る——何でもございませんよ、淀川の海へ捨てている、そのまま流し込んでいる水を使えばできることなんです。現に尼崎辺では水を注入して地下水をふやすなんということも実験的にやったことも聞いております。もし地下水保全法ならばこれは通産省の役目じゃない、あなたの方は河川法に基いてどうか工業用水を分けていただきたい、これで済むんです。従ってその部分的な工業用水だけをこの法律できめるということはこれはその必要度からいいのですよ。通産省の言い分としてはいいのですよ。水全体に対するところの国の認識というものが、認定というものがなくちゃならぬと思うんですよ。河川局長あなたはどう考えておられますか。
  61. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今のお話でございますが、地下水利用につきましては、非常に最近におきまして重要な状況になって参りまして、特にこの先ほど通産省の方から御説明がありましたように、工業の発達によりましてその需要もふえますし、またそれによって生ずる影響が大きくなったということで、特にまあ工業の発達……、地下水利用する工業用水についてこの法律提案されたわけでございますが、お説のように、ビルディングがよけい水をくむとか、あるいは農業用水がまた水をくむとかいうような面もあるわけでございますが、一番重要な、重要と申しますか、現在におきましては一番焦眉の問題ということで、こういうふうな工業用水法が立案せられたということでございまして、なおその他の関係につきましては、この条文の内容に基づいてありますように、「地域」であるとか、「技術上の基準」とかいうものにつきまして、建設大臣も協議に応じましてその他との調整も考えよう、こういうふうに考えているわけであります。
  62. 田中一

    田中一君 東京都の例をとりましても、小河内にどうやらもうじき。完成するでしょう。あれは工業用水にも使っているんです。それから農業用水にも、使っているところもあります、間接的に、第二義的に。飲料水にも使っていますよ。雑用水にも使っています。便所の水にも使っているんです。従って水というものを、同じ水であってもいろいろな利用がたくさんあるんですよ。そこで私の言っているのは、水というものに対する一つの考え方をきめてくれということを言っているんです。もしも尼崎なら尼崎に淀川の上流から工業用水道というものが布設されて必要な水が供給されるならば、この地下水保全のための管理の行政官庁どこになりますか。
  63. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ただいまのお話で上流から水がとれるというような場合は、先ほども説明申し上げましたように、その水は上流から持っていくというようなものにつきましては、建設大臣所管いたします。それでその水がとれるというようなことになりまして、その従来の地下水規制するとか、新しく地下水くみ上げようというようなことになりまするときは、その新しい法律によりまして規制される、こういうふうに考えております。
  64. 田中一

    田中一君 大体この法律を作って水の量はどのくらいの量を考えているんです。
  65. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) これは地帯地帯でいろいろ事情は違いますわけでありますが、尼崎あたりになりましたら、新たに工業水道、たしかあれは十万トンくらいのものであったと思いますが、水道付設計画があると、四日市、川崎、さしあたり三カ地点を考えておりますが、ほぼいずれもその程度の水、工業用水道をしこうということが問題にされております。先ほどお話がございましたのですが、地下水につきましては、実はこの工業用水を引っぱれば全部間に合うかといいますと、そうは実は参りませんので、この水質なり水源関係がございまして、工業用の生産からいいますと、相当部分工業用水道ができますれば地下水を切りかえる、地下水の方をやめて、工業用水にかえるということができますわけでして、工業用水でなければ困るというものは、まあ事業なり目的もありまして、この辺なかなかむずかしい問題を含んでおります。
  66. 阿具根登

    委員長代理(阿具根登君) ちょっと、厚生省から環境衛生部長の楠本君が見えましたから。
  67. 田中一

    田中一君 今提案されておる工業用水法ですね、一応厚生省はどういう点で賛成しておるのですか。
  68. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) お答え申し上げます。私どもが工業用水に関心のございます点は、この工業用水も、結局地下水を取るというようなことに対する一つ対策だと考えております。この地下水の採取ということになりますと、直接この水道水源等にも影響がございます。また私どもの監督いたしておりますたとえば製氷事業その他飲料水事業等におきましても、地下水を使用しておる関係がございますので、かような観点から地下水をどう利用するかというような点につきまして関心があるわけでございます。従いましてこれらの点から考えますと、工業用水として使います水を、地下水との関連において、適当に規制していくということは、きわめて望ましいことでございます。かような意味で私どもとしてはこれに協力しておるわけでございます。
  69. 田中一

    田中一君 どうもあなたは水道法案でも一生懸命上水道だけのことを言っておるけれども、あのときも質問しておるように、私は水の行政というものは基本法が一本なくちゃならぬという議論を持っているのですよ。意見を持っているのですよ。一本、基本法ですよ、水の行政に対しては、水法というものがあって、そこから枝葉が出るということは、この前あなたが言った通りだ。あなたの方でもって、無理やりに水道法案を出したときも言ったはずです。そこでそれ以来何も閣内調整ができていないように見受けるのです。そこへ突如として工業用水というものが出てきたわけです。そこで農林、厚生、建設通産の間では、今後水というものをどう処理していくか、今言う寸断していこうかということなのか、水の行政に対しては、一応当面の問題がここにあるから、これを一応規制して、あと根本的な水の法律でも作ろうというつもりでいるのかどうか、これは各省から一つ御答弁いただきたい。また代表して各省の話し行いの結果御答弁してもけっこうです。だれか一つ、四人いるうちで。
  70. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) この法案に関連して実は申し上げたいと思いますが、この法律を作ります際に、各省ともいろいろ御相談申し上げましたのですが、この法律につきましては、地下水利用工業用のための地下水利用は、適当に調整するということでございますけれども、先ほど河川局長からお話がございましたように、地域指定をどうするか、それからこのくみ上げ制限をいたします一般的な基準といいますか、それをどういうふうに定めるかということになりますると、建設省と申しまするか、水全体あるいはその地帯の河川との関係とか、いろいろな関係がございますので、その辺は建設省とも十分御相談してやらなければいかないという。ことで、そういう建前で実は作り上げておりますわけであります。  で、この面はそれで一応済みますわけでありますが、今田中先生からお話がございましたように、水全般の問題をどうするかということにつきましては、先生も御承知のように、水制度部会で、ずいぶんとめんどうな詳細な御研究もなされましたのでありますが、あれにつきまして、政府部内で何とか話し合いをうまくまとめて、実際的な形でこれを解決しようじゃないかという議論を出されているわけであります。これはまだ今日まで実は実現するに至ってないわけですが、この法案を作ります場合にも、実は政府部内で若干この問題以上の問題、ここに関連するといいますか、この問題を契機といたしまして、たとえば上水道をどうするか、下水道をどうするかというような問題も、実は議論にもなりましたわけであります。閣議等でも議論されまして、今しばらく研究したいということになりまして、もうそう遠くないうちに、もう一ぺんゆっくり検討しようじゃないかというようなことに、実はされておりました。政府部内でもこれを適切にやるということを決して忘れているわけじゃございませんので、この法案に関連のある議論もなされたのでございますが、一通りの議論もなされて、相当むずかしいメンバーの問題も含んでいるし、行政機構の変革等の意見もございますし、そのチャンスもあることだから、もう一ぺんそこのところでとっくりと相談しようじゃないかというようなことで、お預けになったということでございます。
  71. 田中一

    田中一君 それじゃこれは地下水保全法なんですよ。どうも災害があるから、あるいはこれ以上水を上げると別の障害があるから、とりあえず当面の。問題を規制しようというなら、地下水保全法なんです。これに集約されれば納得できます。水の問題じゃないのだ、よってくる障害というものを除去しようという考え方なんです。これなら納得できるのです、一応。工業用水と銘打ってくると、工業用に水を使うということが前提なんです。内容がそうなっている。足りないものは表流水を使う、河川から。持ってくると書いてあります。それならほんとうに水制度というものを、もう国の方針をきめてからおやりなさい。さっきから言っている通り。  これは厚生省に伺いますがね、高層建築がたくさんできる。また東京都には大下水もだいぶできております。そうすると飲料水として小河内にあるところのものは、あまり便所に流したのじゃもったいないから、一つ地下水を掘ろうということになるのです。こういうものは、これには何の閥係もないのです。そうすると基本法じゃなくなってくるわけですね。それならば工業用水じゃないのです。工業用水法じゃなくて、全く地下水保全法になるわけですね。区域をきめて災害のないところは幾ら掘ってもかまわんのです、この法律はね、工業用水であっても、こうなると現在まあ雑用水に使っている高層建築の水洗便所の水というものは、普通の民家、普通の小さいうちでは掘れないからみんな飲料水を使っている。しかしそれじゃ大きなビルディングの場合には経費がうんとかかるから地下水を掘ろうといって掘っておりますね、こういうものは今厚生省が見ているのですか、この水に対しては。
  72. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) まことにごもっともでございまして、見方によりますれば私どもの今回の工業用水法案につきましては御指摘のような点も考えられます。この点につきましては前段にお等えした通りでございます。ただ今御指摘のように、この都市等におきましてはビルディング等が地下水を揚水いたしまして、そのためにやはり地下水の枯渇というような点その他の。障害も現に現われております。しかしこれらの点はこの所管と申しましょうか、それぞれの利水面を担当いたしますところが個々にするというようなことに現在のところはなるんじゃなかろうかと思います。と申しますのは、この現在、まあ水制度部会等におきましても結論は得ておりませんけれども、先生も御承知のように、大体の傾向といたしましては水というものはなるほど公共的のものである。これは地下水並びに河川等を通じても公共的なものでありますけれども、これをその利水面から見ると、これは単に一カ所だけの利水でないので関係の分野が非常に広いので、それぞれの立場でこれは利水はやむを得ないだろう、しかし勝手ばらばらの利水をされてはかなわない、どこかでこれを強力に調整する必要があるんじゃないだろうか、ただその問題点はどこがしからば調整するかというようなことに問題が残っているように思われます。私どもといたしましてはこれはどこが調整いたしましても強力な調整に従いまして利水の間違いなきを期していきたい、こういう態度でございます。
  73. 田中一

    田中一君 それでいいと思うのです。それでいいと思うけれども、この今の工業用水法というものは利用の面だけをそのまま押し出したものばかりでなくて国土保全も考えているのですね。縮めて言いますと、地下水保全なんです。そうなるとこの法律は主目的工業用水でなくて地下水保全法なんです。今国土総合開発審議会の水制度部会においても、水制度に対する結論が出ないというような、一応これはもう地下水保全法と姿を変えて、目的を変えて、立法の目的を変えてですよ、出すのが私は正しいのじゃないかと思うのです。その点については河川局長どう思いますか。
  74. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 法律の名称の問題でございますが、(田中一君「名称じゃないよ、立法の精神の問題を言っているのだよ」と述ぶ)まあなるほど工業用水利用のために起る災害なり、あるいはその他に及ぼす影響を考慮されておるという内容になっておるわけでございまして、先ほどからも申し上げましたように、そのために非常に影響が出てきておるという関係でありまして、この悪影響をできるだけ除去しようというのが目的でありますので、私といたしましてはこの目的に書いてある字句の通りと解釈しております。(笑声)
  75. 田中一

    田中一君 閣議で提案を決定したのだから河川局長あたりじゃその程度しか言えぬか知らぬけれども、これは利用の面を押し出すよりも地下水保全法なんですよ。そうなるとこれは通産省の役目じゃないのです。建設省国土保全の一環としてやるべきなんです、こいつは……。これはですね、利用の方はどんどん工業用水、主として利用の問題でもってて工業用法をお出しなさい、私は反対しますけれども……。これは上水道もけっこう、農業用水法もけっこう、お出しなさい、それにはやはり水というものに対する基本的な国の態度というものをきめてからお出しなさいというのです。それまでは当然これは水というものは利用するもののその時間的なその区域的なものの権利です。水というものは従ってだれのものでもない、国民のものなんです。たまたま自分の工場内に井戸を掘って、この井戸の水というものは、地下水というものは自分の敷地内からばかり揚水するものじゃないのです。あるいは他人の敷地の中の地下からも吸い上げぬとは限らないのです。だから利用はこれはもうやむを得ないのです。しかしそれを災害を除去しようというのなら、これはもう通産省の役目じゃないのです。国土保全の役目なんです。そこで僕が文句を言いたくなってくるのです。政府がほんとうに水制度に対する基本的な態度をきめてこれは当然、利用するのは当然ですよ。だれのものでもない、国民のものなんだ。人類のものなんだ。人類生存のためには使っていいのです。従ってこの目的というものが工業用水という利用の面だけ押し出してくるという立法化はどうかと言っているのです。これは山本河川局長はもしそういう目的ならばこれは当然建設省がすべきものだ、こう思うでしょう。あなたは国土保全の当面の責任者の建設大臣なんです。利用の面はどんどん利用される。建設省がその地下水をあるいは尼崎のように井戸にある水をポンプで揚水して、その井戸の穴から何というか、逆に注入するということもやっているそうですから、おやんなさい。そうしてまただれも使っていいのだということを今私は申し上げましたが、そのために他人に害を及ぼすようなことがあっちゃならぬと思うのです。それはまあ今日で言えば資本主義の社会ですから、人に害があろうとも当然自分の自由にできるという水をどんどん揚水して、金もうけのために工業用水で使うということもこれもあり得るでしょう、現在では。しかしそれによって来たる災害があるならばこれは当然はばまなければならぬ。その意味ではこれは賛成します。それならばどこまでもこれは地下水保全法なんです。これは地下水保全ということが主目的なんです。こういう点は閣議でどういう説明をされてどういう結論に達してきたか私は不思議に思うのですが、これは閣議に、四人の方も閣議においでにならぬから閣議の決定が聞かれないので残念ですけれども、私はこの辺でやめておきますが、私はもう一ぺんこの連合なり、あるいは商工委員会で四人の大臣をお招き下すって私来てそこで質問したいのです。
  76. 赤木正雄

    赤木正雄君 今の田中委員質問に関連いたしまして少しくお伺いしたい。たとえて申しますと尼崎の例でありますが、あれは確かに地下水を各工場に使ったために土地が沈下している。それによってむしろ海の方が高くなって非常な災害をこうむっているのであります。この災害に関する事業は全部建設省で総括してやっておる。そうすると、やはりそういう観点からして、なるほど水を利用される面においては通産省でありますが、事業の大部分というのはやはり建設省所管である。従って、むしろ水そのもの一つの省に統合して、それを工業用水に使うもよし、あるいは水道に使うもよし、あるいは農業に使うもよし、いずれに使ってもけっこうでありますが、やはりこれは水として一つの省に統合して、私は決して建設省とは言いません、どこでもいい、そうして、これを所管の省に利用するのが当然の機構と思う。今ここに所管大臣はおられませんから、これに対する答弁はきょうは要求しませんが、あなた方四人のうち、よく協議の上に、関係大臣から、もしも私がいないときには田中さんでも……、また関係委員会において答弁をなさるときに、その答弁をあわせてお願いしたいと思います。  それからもう一つお伺いしたい。第十七条に、組織は「委員十六人以内で組織する。」と、この十六人というのは大体どういうふうの方々をお考えになっておりますか。
  77. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 先ほど田中先生からも、また工業用水法案という名前は適当じゃないじゃないかというお話もございましたのですが、これは、こういうふうに実は私も考えておるのです。この法律によりまして、結果的に地盤沈下等の防止にもなるということ、これはまさにお話通りでございますし、また法律にもうたっております。規制します内容そのものといいますものは、工業用のための井戸ということでございます。この地帯を考えてみましても、飲料用に井戸を掘っておるものもございます。あるいはビルに掘っておるのもあるかもしれません。いろいろな、その地熱用の場合もあろうかと思いますが、この問題になっております地帯について考えてみました結果、結局工業用水が問題であるという、工業に使っておりまする地下水くみ上げ、それが問題であるということになりまして、それをほどほどに調節するということ、それが工業全般にも、工業者にとっても調整されることがけっこうなことであり、また地盤沈下の防止にも役立つことであるということからきまして、この規制対象そのものは工業用水であるからということで、工業用水法案という名前をつけたので、同時に地盤沈下の防止ということも考えておりますわけでありますから、その点につきましてはその地帯について、大体地下水状況からみて、総くみ上げ量というものをどの程度に考えればいいかということ、そこの問題で解決するといいますか、そこの問題については、これは国土保全といいますか、というような関係から、建設省の関心の非常に深い事項でございまするので、そこの問題につきましては、まず地域をどう定める、その全体のくみ上げ量をどの程度に考えるかという問題について、建設省と相談した上で、そこの総ワクはきめます。ただ具体的な、個別的な規制そのものは、工業者の、何といいますか、利用そのものを規制することに相なりまするので、これはまあ、たとえて申し上げますれば、防衛目的であるとしましても、防衛生産は通産省が担当してやるというような関係からみまして、防衛のために軍艦、飛行機が何台いるというようなところは防衛目的から出るのでございましょうが、具体的にそれをどう生産していくかという仕事は、やはり生産関係の方がやったらよろしいというようなニュアンスで、個々の事業者井戸をどう調整していくかというような点につきましては、産業官庁がやった方が、事業者に及ぼす影響等からみましても、最も適切であろうというようなことで規制しております。
  78. 赤木正雄

    赤木正雄君 私の質問は、今の答弁ではないのであります。つまり水をどうするか、そういう観点で、あなた方の関係しておられる各省大臣で統合した、日本の水をどういうふうにもっていくか、これは通産省でも建設省でも、厚生省でも、農林省でもないのですよ。一つの省を設けられてもいいのです。それに対する根本的なお考えはどうなのか、これは今でなくともいいのでありますから、統合した意見を求めている、これは関係大臣から聞けばいい。今聞いているのは委員十六人以内、その十六人の人はどういう人をもってなさるかということを聞いておるのです。
  79. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) この審議会につきましては、非常に専門技術的な問題と申しますか、を主題として考えておりまするので、地域指定をどう考えたらいいか、一般基準をどう考えたらいいか、そういうことをテーマに考えておりますわけであります。先ほどもお話がありましたように、関係省もいろいろ多うございますし、関係省の職員が数名入ると思います。それからそのほかに委員としてお願いしますのは、大学の先生とか、それから地下水関係の専門の技術関係の方々とか、そういう方々をおもに考えております。
  80. 田中一

    田中一君 今通産省の方が、私のさっきのに対する答弁らしいのですがね、工業用水というものは井戸だけじゃないのはわかっておりますね、先ほどあなたは、井戸でなくちゃならないものもあるのだとおっしゃっていた。これは一応その点は納得します。しかし先ほど言ったように、水というものの所有権はだれにあるかということなんです。所有権というものはだれにあるのです。通産省は、地下水というものの所有権はだれにあるか、どういうお考えです。
  81. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 地下水そのものといたしましては、一応のところ、その土地の利用権を持っているという人といいますか、所有権がある人は使用してよろしいということであろうと思います。ただそれを、公共の所有権に入るものは、御承知のように勝手やたらにということではない、公共上の制限がつくということがあるわけであります。さような意味から、地下水利用につきましても、ある種の制限がなされる場合があると、そういうふうに考えていいのじゃなかろうかと考えております。
  82. 田中一

    田中一君 地下水には、現在の法律の上でどういう制限がございますか、地下水というものに対して。
  83. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 現行のいろいろな法律の中では、地下水そのものを制限しておりまする法律は、ほかに見当らないわけであります。
  84. 田中一

    田中一君 ありませんよ。
  85. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) この法律がいわば初めてといいますか、ある種の制限をしようというような観点に立ってわるわけであります。
  86. 田中一

    田中一君 現在ですよ、商業的な意思で井戸を掘る、いいですか、井戸を掘る、これは利益をあげるためにこれだけの水が必要なんだと、何も私は、あえて生産をあげろなんとは言いません。そうすると、その水は自分の持っている敷地外からも流れ込んできているのです。その自分の、たとえば、河川で言いましても、利用権というものは水の流れる区域というものをきめているのです。ここからここまで、一キロなら一キロの間に利用権を設定する。水というものは、一秒間何メートル流れているこの水というものは、その区域を流れ去ってしまえばもう自分の利用権の範囲ではないですよ。地下水の場合はそうじゃないんですよ。地下水の場合は、自分の持っている敷地内の水だけを掲水しているのじゃない。やはり地下水は流れているのです。たまり水じゃないんです。こういう場合に、先に工場を持って、自分でここにまあ一日二万石揚水している、隣の敷地に今度は井戸を掘るのはいけないという場合には、この水を分水して、分けてやりますか。地下における鉱業権というものを上によって設定しているのですね。地下資源の権利を守る場合も上による地域によって下をきめているのです。水はそうじゃないんですよ。水というものは流れているのです。その場合に、自分の敷地外から流れるものを自由にとらせて、そのほかに流れていくよその地域の水というものは掘っちゃならぬという理由にはならぬですよ。こんなものでは水の問題は解決できないのです。水というものは、二万石の水を一日揚水しているという場合には、その水は自分の所有している敷地内の水じゃないんですよ。それを今言う通りポンプの口だけでもってものをきめるということは間違いです。同時にまた隣接の工場がやはり商業的な意欲をもってボーリングをもって排水するのを規制するというどこに根拠がありますか。水はだれのものなんですか。だから水というものは重大なものだから、単に今言ったように、工業用水としてそれだけでものをきめたんでは間違いがあるというのです。この点は一体四人の方々はどういうふうに考えておられるのですか。だから私はこういうのですよ。工業用水という水を利用する面から立法化するということはいけないと言っているのです。一体通産省は、この二万石という毎日々々揚水している水はだれのものをくみ上げているのです。だれの持っている地上権からくみ上げているのです。だれの持っている水利権からくみ上げているのですか。従ってそのくみ上げる水はだれのものですか。だれのものか、はっきりおっしゃって下さい。
  87. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 従来地下水につきましては法律規制が何もないわけでございます。法律規制が何もなくて、各人が自分の所有地、あるいはその他の法律上の権利に基きまして、利用し得る場合に地下水くみ上げるということは各人の自由にされているのが現状であります。それが今お話のように適当であるか、水はお話のようによそからも流れてくるわけでありまして、その人の権利を持っておる土地からだけ出る水ではないという問題の性質は含んでおりますけれども、現状におきましては、それは何らの法律規制対象にされていないで、しこうして現実に各人は自分の場所から自分の井戸を掘ってくみ上げておる、それが自由に利用されておるというのが現状でございまして、従いまして一応その人が掘ってくみ上げました場合に、ひとのものをとったということには観念されていないようであります。一応その人が正当な権利に基いてくみ上げたものだというふうに扱われておりますというふうに解すべきだと思います。
  88. 田中一

    田中一君 そうすると、隣接の新設工場が水を上げるということはいけないとおっしゃったのでしょう。それでそれを規制しようというのでしょう。そんな不公平なことがありますか。一体水はだれのものなのですか。一定の住友なら住友金属が揚水している地下水というものはだれの水か、はっきりおっしゃって下さい。
  89. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 自分の権限に基いてくみ上げております限り、その人のものだというふうに観念せざるを得ないと思います。
  90. 田中一

    田中一君 くみ上げられた水はその人のものですね。しかし流れている水はだれのものです。
  91. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 流れております水につきましては、だれの所有か定められていないと……。
  92. 田中一

    田中一君 隣に井戸を掘って上げた場合にはまたそれが自分のものになるのです。それがいけないということなんです。それを規制しようという法律なんです。そうするならば、既得権を認めないとおっしゃるのですか。
  93. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) この法律では、既成の井戸につきましては権力的な制限はしないということにいたしております。ただ先ほどちょっと説明で申し上げましたように、新しい代替水源工業水道でもってきたりしました場合には、くみ上げ量をある程度調整して下さいということを指示するという程度にとどめております。
  94. 田中一

    田中一君 あなたは現在地下水によって生産を続けておる営利会社のためにこの法律を作ったのですか。
  95. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) この対象になりますような工場密接地帯というものは、お互いに困り合っているというのが現状でございます。そこをお互いがほどほどにいくようにということをねらいにしたわけであります。
  96. 田中一

    田中一君 新しい、新設の会社が隣接地にあった場合にはどうします。それはもう再び許可をしませんか。
  97. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 新たに井戸を掘りますものを、許可するかしないかといいます場合には、その地域におきまする地下水状況からみまして、どの程度なら掘ってもよろしいということがある程度科学的に出て参ると申しまするか、地域的な間隔のおき工合なり、それから地盤の構造の関係なりからそれが出て参りますわけであります。一応地盤沈下を起しております地帯につきましては、原則としてこれ以上もう掘らないようにしてもらいたいというのがこの法律目的でございます。
  98. 田中一

    田中一君 そうすると、同じだれのものでもない水を、現在既得権を持っておる者に許す、持たない者に対しては許さぬということなのですか。
  99. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 平たくお考えいただけば、そういうふうにみえるかと思うわけであります。しかし既得権を、今まで井戸水をくみ上げまして、工業の原料として利用しておりまするものに、それを重大な変更を加えるというようなことは、まあ社会全体の秩序からみていかがかというふうに考えまして、その場合におきましては、代替水源ができた場合には減らして下さいよというふうに指示しますよというような考え方をとりましたわけであります。
  100. 田中一

    田中一君 どういう意図から通産省がこういう法案提案したかわからないのです。あなたが今三カ所か四カ所指定しようという区域の水を使う競争会社ができるのをやめてほしいというところからきたのか、実際に地下水そのものに対する保全をはかるためにやったのか、意図するところがわからないわけなのです、私は……。それで、ことにだれのものでもない水を揚水して使うのに、そういう規制はしちゃならぬです。別途の方法があります。幾らでも方法があります。一番やりやすいものでもって既得権だけ認めるということはよくない法律です。これは通産省の方にも今うるさく質問しているのですが、水の問題というものはそんなものでないのです。何らかの、区域で制限するかあるいは用水量で制限するか、何らかの方法をとらなければ解決されないのです。従って私は各大臣が来たら質疑を続けますけれども、この問題については、こんなことを言っちゃ申しわけないけれども、商工委員会の方々にも簡単にこういうものが通過して出るとなりますと、また楠本さんが妙な法案を出す、また農林省が妙な法案を出すということになるのです。こういう点は、地下水保全目的とするならばこれは非常にけっこうな法律です。しかしそれに関連して、通産省所管ということは利用の問題を言っているのです。もしも地下水保全ならばこれは建設大臣が当然、国土保全の役目は建設大臣がやる。これはやるべきです。あなたの方は十分にいい水をたくさん供給してもらってお使いなさい。そうして日本の生産を上昇するのがあなたの役目であって、何も国土保全の問題にまで口出しをするのは間違いです。それは商業的な意欲を持って、利潤追求の意欲でもって水を使おうという連中の区域なんです。同じような目的をもって臨時に自分が井戸を掘ろうというときにそれではいけないということはあり得ません。あり得ないのです、水というものは。それこそ前に既得権を持っておる者の水の用水量というものを制限して、こちらの方に新しく井戸を掘ろうというものに供給しようというのが正しい行き方なのです。だれに頼まれたかしらないけれども、とんでもない法律を出すものです。この辺でやめておきますが……。
  101. 石井桂

    石井桂君 私はこの法案目的であるところの地盤沈下の問題ですね。これは工業用地下水をうんとくみ上げることによって地盤沈下する、そういう判断のもとに出ているのでしょうか。
  102. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) くみ上げの量が過度にわたるとそういう現象があるということから……。
  103. 石井桂

    石井桂君 もう少し端的に聞きますと、地下水をうんとくみ上げることがそのおもな原因で地盤沈下する、そういう判断のもとにこれは出ているのでしょうか、つまりくみ上げなければ地盤沈下しないのか、こういうことなのです。
  104. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 地盤沈下にいろんな原因はあると思いますけれども、今問題になっておりますような場所につきましては、工業用水くみ上げ量が多過ぎるということが非常に大きな原因であるというふうに考えております。
  105. 石井桂

    石井桂君 私はそういうお考えがまあ全部間違っておるとは言いませんが、私は学界の定説ではないと思うのです。この地盤沈下というものは、それは一時にはなるでしょう、工業用水くみ上げることはですね、しかしあなたの方からお出しになっておる資料を見ても一、二メートル以上沈下しておるところは一つもないでしょう。それである学者の説によれば地盤の中の粘土層の水がなくなる際に、この地盤沈下がとまるという説もあるのですよ。それがやがてはとまるだろうというので、カーブを見るとなるほど近ごろカーブがなだらかになっておる、もうとまる時期になっておるかしれない。だから地盤沈下工業用水くみ上げることだけで来ておる現象ではない。また工業用水をちっともくみ上げないところでも地盤沈下は幾らでも起っておる。まだはっきりしないやつを根底にこれを出して行くと、何かおもな目的が達せられないのではないかという気がする。それから、こういう私の疑問があるのです。この法案を出した以上は工業用水をうんと地面から吸い上げる、そうすると水がほとんどなくなってそれで何メートルか沈下してしまうから水をくみ上げないようにすれば防げると、こういう仮定のもとに出ておるのだろうと思う。その大部分はそうであるかしらぬが、そうでないところも幾らもある。その辺が非常に疑問な点が一つと、もう一つはさっき田中委員が言われたように、水をくみ上げるのがこの地盤沈下の原因だと仮定すれば、工業用水だけやっていたんじゃ意味がない。御承知かもしれませんが、私も二十年間東京の地盤沈下のことは研究しております。これは丸の内から江東方面にかけてすでに一メートル数十センチ下っておる。日比谷の角の三信ビルのごときは、ちょうど一階の床面が地盤沈下して一メートル何十センチか上っちゃったから階段を五、六段つけなければ上れないようになってしまった。これにはたしかにそういう現象があるけれども、近ごろは地盤沈下の速度が落ちてきて停止せんとしておる。それから水を使ってないかと言えば水はじゃんじゃん使っておる。だから水を使うことが地盤沈下に影響はあるでしょう。影響はあるが、そのためでは私はないと思う。その辺がしっかりきまってからでないとこの法案は私は根拠がないように思うのです。その辺は十分学者や何かの持論をお聞きになったんでしょうか、単に尼崎とか数地点だけの研究じゃ私は足りないと思う。
  106. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) この法律地盤沈下対策のために、地盤沈下の起っておる場所を全部これで律しようとしてはおりません。地盤沈下の起っておる場所でございまして、工業用水くみ上げの非常に多い場所、そういう場所工業用水が影響しておるというように思われる、それだけを適用としておるわけです。
  107. 石井桂

    石井桂君 工業用水をうんとくみ上げておる所で、そうして工業の盛んな所で、地盤沈下をしておる所を考えるのだけれども、その原因は工業用水をうんと使うことによると思われますでは困るわけです。そういうはっきりそうだという学術的にきまったものでないと、これは私はもう大体こういう地盤沈下なんぞというものは地球の変化なんですから大きく言えば、何百年かの間にだんだん縮まるでしょうけれども、これは縮まる所もあれば出っぱる所もありますよ。そういう地球の変化の力と、ずいぶん大きな話になっちゃったけれども、そういう地下水くみ上げる量は人間のやることですから大したことじゃないのです、そういうこと等の学術上の判定がどういうふうになっておるかわからぬものだから聞いておる。私が聞いておる範囲ではまあ非常にこのことで学位もとった人の話を聞くと、もうたとえば東京のごときは地盤沈下はおさまるだろう、水を使うにかかわらずおさまるだろう。それは地下水くみ上げるのみが唯一の地盤沈下の原因じゃない、こういう意見を持っておる人もあるのです。あなたのお話ですと、大体この法律の本になっておる地盤沈下は、工業用水をうんとくみ上げるのだと簡単に片づけておる。その前提のもとに法律ができておることと思う。だからもしそうでないならこの法案意味がなくなっちゃう。そういうふうに思うから根本の問題を聞いておる。
  108. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 私も技術者でございませんので聞きましても詳しいことは存じておりませんのですけれども、お話のように地盤沈下の問題は非常に複雑な原因、因果関係があるというふうに聞かされております。実は私ども通達省に御承知のごとく地質調査所というのがございまして、その方面の学位をとりました人が何人かいらっしゃるわけです。そういう方々の御研究といいますか、お話の中で、いろいろ複雑ではあるけれども、地下水くみ上げが影響を持っておる場所があるからというお話がございまして、でそういう趣旨で地域指定等につきまして、先ほどお話のありました審議会というようなその方面の専門知識のある方々にその因果関係のはっきりした場所といいますか、というものをきめてもらいませんと間違いのもとになる。そういう方々のまあ知恵のもとに作り上げたいというふうに考えております。
  109. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 この工業用水法案ですね。さっきの田中委員の言われたようにまあ名前は工業用水法案ですが、内容を見ると地下水くみ上げることによって水源が枯渇する、そういうものに対する一つの措置というふうに考えられるので、これは私は地盤沈下対策法案というふうなものじゃないかと思うのです。そういう意味からとると私はこれは通産省所管するのはおかしい、まあそういうふうに思うのです。それでまあこれは御返事は求めませんが、先ほど企業局長工業用水についてはまあこれまで各省の間で別に定まったものがないとか、これまではあまりやっていなかったというお話でしたが、これは大阪あたりにつきましては昭和二十七年ぐらいに国が補助を出して工業用水をやっているのです。それからそのほかにつきましてもこれは建設省工業用水をやっているのです。それで建設省の水道課長も見えているようですからこれまでどういうふうないきさつであったか一つ伺いたいと思います。
  110. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) この法律地盤沈下にも役立つことは法律の一条にもはっきりさしておりますわけですが、ただお話のように工業用水法でいけば名前がでか過ぎるではないかというお話もあろうかと思いますが、同時に地盤沈下対策法といいましてもやはりこれまた大き過ぎる問題で、ほかにいろんな措置があるわけでございます。まあ名前は中身に応じて適当にきめたということでございますが、先ほどお話ございました大阪におきまして工業用水道地盤沈下防止のねらいをもちまして、建設省補助金もやり、助成なさったということはわれわれも十分承知いたしております。ただその点につきましては、御案内の通り工業用水としての工業用水道設置が十分に目的を達してないといいますか、補助率が低過ぎましたり、水道料金が高過ぎましたりしまして、せっかく作りました工業用水道がその能力のおおむね三分の一遊んでおりますのか、三分の一しか利用されておりませんのかそこをちょっと忘れましたが、というような現況になっておりますが、そこのところを今度の予算におきましては、経済ベース利用できるというふうにしようということを考えまして、それでなければ工業用水道としての目的を達しない、利用されないから、その結果、地下水くみ上げられるということになりますので、そこらのところを考えましてその辺のまあ管轄と申しますか、としましては産業官庁関係してやらないと適当じゃないじゃないかということで今回はまあ通産建設共管でやろうじゃありませんかということでいたしましたわけであります。
  111. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 建設省の水道課長が来ていますから水道課長からその工業用水の沿革について一つ
  112. 岩井四郎

    説明員(岩井四郎君) 従来建設省で取り扱いました工業用水について御説明申し上げます。昭和二十五年から二十九年の間国費五千六百八十万円、補助率八分の一、事業費四億五千万円で大阪市に工業用水道を作っておりますが、それからその後は国費を使わずに公募債におきまして、二十七年度に三千万可の公募債で一カ所工業用水を始めております。二十八年度が八カ所、十一億五千六百万円の公募債を出しております。それから三十九年度は六カ所、八億四千万、三十年度に八億五百万、九カ所、公募債工業用水を使っております。これは公募債は、建設省所管ではありませんが、自治庁において所管しておられますが、私の方で設計なり指導をいたしておりますので、同時にその公募債の取得方についても参考意見を出しましてあっせんを申し上げる次第であります。以上であります。
  113. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 先ほど企業局長から大阪の問題は不十分であった、たとえば補助率の問題、金額の問題に対しても不十分であったと申しますが、それは一応別にして、建設省の方でこれまでやっておったものをどうして今度通産省所管にしなければならないか、その点一つ説明願いたい。
  114. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) これは提案理由の際に申し上げましたように、日本工業立地条件を整備しまして、工業の生産性を高めて、戦後日本国際競争力の点をあれしますために、新しい技術の導入、いろいろなことを業者はやっておりますけれども、外部条件の不備に非常に困っております。外部条件を整備しますこと、これはもとより工事内容等につきましてもそれぞれ建設省にお願いし、運輸省にお願いし、ということになりますわけでございます。ただ工業用水につきましては、それがいわば工業の、電気と同じような意味を持ちまして、水がなければ新しい近代的な化学工業が、建設事業ができないというような事情でございますので、産業のまあ致命的な生産要素であるという性格を持っておりますわけでございます。さような関係から通産省としては非常に関心を深く持っております。ただ工業水道につきましては、どなたかの御質問にお答え申し上げました通り、と申しましても工業水道そのものといいますものの建設工事そのものの指導監督仕事、これは建設省に専門家もいらっしゃいますのですし、お願いしてやらなければこれを通産省がわざわざそういう関係の人をふやすとか、そういう無用なことをすべきではないというふうに考えまして、やっておりますわけであります。ですから現状工業用水道につきましては共管でやりましょうということでございます。通産省だけがやるということではないはずでございます。ただその地帯の工業用水道はどの程度の大きさにしたらいいかとなりますと、その地域工業発展現状及び将来性というようなことを考えなければなりませんし、その面からも通産省関係した方がより適切なものができはせぬか、また工業水道の料金がどの程度のものになるごとく仕上げるといいますか、仕上げるために国庫補助をどう考え、それからあるいは民間の事業者受益者負担といいますか、協力を求めること等のことにつきましても通産省も一緒にその仕事を、関係を持ちました方がより産業の欲するものに適切なものが仕上げられるということになるのではないか。まあさような趣旨から、通産省建設省とでやるのが一番いい結果が生まれるということであったわけでございいます。
  115. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 工業用水は、地下水くみ上げによって水源が枯渇するような個所だけを今考えておるわけですか、それともそういう個所でなくて、ある工業地帯に必要な水道が要るというような工業水道を考えておるわけですか。
  116. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 通産省といたしましては、工業用水道につきましては、この本法で今対象にいたしております地帯のみならず、広く考えたいと実は思っております。たとえば、ある地帯につきましては、地下水は何もない場所である、しかしその他の立地条件といいますかは、交通の関係とか、市場との関係とか、あるいは港の関係等からいいまして、工業地帯として非常にいい場所があるわけであります。そこに生産要素として大事な工業用水だけ欠けておるというような場所もあるわけであります。そういう所を工業用地帯として造成しなければならぬ、また発展させなければならぬという必要もあるわけでございます。そういうことも考え、そういう場所工業用水道を新たに布設するということも助成の対象として考えたいと思っております。ただこの仕事が、いわばある意味で新しい仕事であるといいますか、というようなことから、あるいは財政の都合というようなことから、本年度はそこまでの私どもの理想の線まで予算と実現し得なかったわけでありますが、明年度以降におきましてこれが実現するごとく努力したいと考えておるわけであります。
  117. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 今考えたいというのですが、この法律ではどういうふうに考えておりますか。そこまで含めるように法律はなっておりますか。
  118. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) この法律ではその面は全然含んでおりません。
  119. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 含んでいないとすると、ただいま言った工業用地帯に水をやるというような水道は、どういう措置をとるわけでございますか。
  120. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 予算事項は必ずしもこれは法律事項になりませんので、財政上、予算に計上されますれば、それでもって実際上措置できるということでございますので、まあこれは法律は、法律でなければならぬ事項を書いておりますような関係から、その面は入っていないわけでございます。
  121. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 そういう場合は、工業用水道については、建設省との間に打ち合せが済んでおりますか。その点について岩井さんよりお答え願いたいと思います。
  122. 岩井四郎

    説明員(岩井四郎君) 国費の補助のついていない工業用水について、地元からいろいろ要望があるわけであります。その設計なり内容なりを見まして、一応通産省の方にもそういう書類は出ているようであります。通産省と具体的には打ち合せをいたしております。
  123. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 その打ち合せの内容はどういうふうになっておりますか。簡単に一つ説明を願います。
  124. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 工業用水道に関しまする通産建設との関係につきましては、最初に申し上げました通り、これはこの法律と離れた問題でございまして、離れた問題として共管ということでございまして、私ども先ほど御質問にお答えしましたように、この工事設計なり指導監督なりというようなことは、すべて建設省にお願いするというふうに考えております。
  125. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 ただいま工事設計監督については建設省にお願いするというようなお話がありましたが、これは昔上水道の場合は、これは内務省時代ですが、土木局と衛生局の場合があったんです。それで技術の方は土木局の方がやっている、予算の方は衛生局がやっていた。そのうちにだんだんと衛生局の方でも技術家も置くというようなことになりまして、だんだんと二重行政になったというようなことで、一番困るのは市町村とかあるいは国民なんです。ですからそういうふうになると、まあお互い官庁の間のセクトが国民に迷惑を及ぼすことになる。建設省技術陣があるとすれば、そういうものを利用するというふうなことで、あなたの方もまた新しくそういうシステムを作って、国民の迷惑になるようなことはしないというようなお考えはあるんですか、ないんですか。
  126. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) これは私ども建設省にもはっきり申し上げますが、私ども建設省の知識経験と申しますか、というものは百パーセント利用さしていただく。また通鹿省の知識経験というものは建設省で百パーセント利用してもらう、そういう形でやりたいということでございまして、建設省で間に合う面を、新たに私どもの方で陣容をととのえてというようなことは毛頭考えておりません。
  127. 赤木正雄

    赤木正雄君 今、技術方面では建設省に百パーセント依頼する、こうおっしゃいました。しかしだんだん予算の面もふえてくる。また最初の田中委員質問に対しては、おもに井戸の問題にあったのでありますが、小澤委員質問に対しては、井戸のない所には工業用水を引用してくる、そこまでの御答弁があったんです。そうなってきますと、よほど範囲が広くなってくる。だんだん技術方面も、あるいは通産省にもそういう部門を設けてやるというふうなことを考え得られるわけです。これに対して、大臣は今ここにおりませんが、あなたの答弁を大臣の答弁と、こういうふうに解釈していいか悪いか、私はそれは疑問に思っております。この次の際に、大臣は、果してこの法案を作る場合に、将来についてそういう技術の部門を通産省に持ってこないということをはっきり御答弁になられますかどうか、それをこの次に聞きたい。
  128. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 非常に長い将来どう考えますかという問題につきましては、先ほどどなたかの御質問がありました際にちょっと申し上げましたが、実は政府部内で、共管という線というのは、やりようではうまくいくんだけれども、しかしやりようではうまくいかぬということもあるので、それをきれいにした方がいいんじゃないかということも実は議論になりました。しかしいろいろとむずかしい問題でございまするので、一応現状通りというようなことになりまして、共管で申しまして、上水道で申しますれば厚生、建設共管、下水道も厚生、建設共管、この工業用水道通産建設共管というような形でやろうということになりましたわけであります。
  129. 赤木正雄

    赤木正雄君 そこに非常に誤解が生じやすい。上水の問題にいたしましても、下水の問題にいたしましても、技術陣がどっちに入るか、私は決して技術ばかりとやかく言いません。しかし水に関する限りは、工業用水も、農業用水も、あるいは水道の水も、これは一緒にどこかに統合してやるのが私は理論だと思っております。それで各省関係大臣のまとまった意向を聞きたい。今あなたのおっしゃる通りに、これは技術の方は関係せぬとおっしゃいましても、しかし先の将来のことはわからぬというようなお考えもちょっとありました。また厚生省の問題もちょっとありましたが、今、小澤さんの先ほどの質問に対してもそうでありますが、水道の問題も、初めは厚生省建設省の問題は、今のように複雑ではなかった。それがこういうふうに非常に複雑になってしまった。共管というものはへんな形になってしまった。そういうことがありますから、私はあなたの答弁を疑いはしませんけれども、これは将来、内閣全体のまとまった答弁とは解しがたい。そういう観点から、内閣のまとまった答弁を聞きたい。私はこの際にそれを承わるのは非常に困難だと思いますから、この次でけっこうです。
  130. 阿具根登

    委員長代理(阿具根登君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  131. 阿具根登

    委員長代理(阿具根登君) 速記を起して下さい。  ほかに質疑もなければ商工建設連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 阿具根登

    委員長代理(阿具根登君) 御異議ないと認めます。よって連合審査会は終了することにいたします。  これにて本日は散会いたします。   午後一時十一分散会