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説明員(小熊孝次君) お答えいたします。
この厚生
保険特別会計の健康勘定を経理しておりますところの
政府管掌
健康保険事業は、御承知のように二十九年度四十億、三十年度三十億というふうに
赤字を出しておるわけであります。
この問題につきましては、
大蔵省としても非常に心配もし関心を持ちまして、三十年度におきましては
赤字補てんのために十億を入れる、そのほかは資金運用部からの借入金で一応建て直しをする、こういうことでこの健康勘定は何とかやっていけるのじゃないか、こういう大きい期待を実は持っておったわけでございます。ところが、三十一年度の
予算の概算の審議が始まりましたときに、三十一年度としてもこれだけがまだ出てくる、こういうような相当膨大な
赤字を持ってこられたわけであります。われわれといたしましては、まあ、今後六十億の資金運用部の借入金は今後毎年度十億ずつ入れることによりまして解消していく、こういう少くとも
健康保険勘定のために国民の税金を六十億注ぎ込んでいかなければならぬ、こういうことになるわけでありまして、それでまあ、その際も、
厚生省の方からは
国庫負担と申しますか、
補助と申しますか、財政
支出も定率の一割、こういうような
補助金の要求もございましたので、われわれとしては、どうも健康勘定がこのように
赤字を出しているということだけで、その国民一般の税金を注ぎ込んでいくということは理屈に合わぬのじゃないか、こういうことで一応お断りし続けておったわけであります。ところが、まあいろいろな事情もございまして、
政府管掌の
健康保険の
一つの特殊事情と申しますか、中小企業というようなものを対象にしておる非常に零細な企業としての、平均二十数人というようなほんのわずかの、
負担力のないところの企業を対象としておる、そういう特殊性から見まして、まあいろいろ交渉の結果、三十億の
国庫補助を出す、こういうことにいたしたわけでございます。
なお、その際の
厚生省と
大蔵省とのいろいろなやりとりと申しますか、そういう間におきまして、この
赤字の解消策、さらに将来の
政府管掌
健康保険の健全な育成策といたしましては、一部
負担をやる、こういうことがきまったわけでございます。これにつきましては、党の執行部、
厚生大臣、あるいは大蔵大臣、三者そういう
話し合いのもとに、
国庫といたしましても三十億を出しましょう。しかもこの三十億というものは、三十億といいますか、この国の
補助というものは、
法律ではっきり書いて、三十一年度限りのものではない、今後も続けてゆくのだ、こういう
建前でまあ了承し合ったわけであります。しかし、その反面として、やはり一部
負担をやって、
政府管掌
健康保険の財政の健全化をはかる、それからさらに、ひいてはこの
健康保険等、あるいは国民
健康保険というようなものも考えまして、国民の総
医療と申しますか、そういうものを確立してゆくのだ、こういうようなことまで一応話をきめまして、そうしてこの法案と
予算案を国会に提出する、こういうことになったわけであります。
なおその際におきますところの、
政府案できまりましたところの
予算面におきまして、まあどういう査定と申しますか、どういうことをしたかと申しますと、これは二十九年度の三十ベースの
実績、それから三十年度の三十ベースの
実績、
予算編成当時はそのくらいしかわかっておりませんので、それをもとにいたしまして、その上昇比率と申しますか、それを用いまして三十年度の
実績見込みを出し、それを三十一年度に引き延したわけでございます。結果においてそういう作業になったわけでございますが、われわれといたしましては、過失の
健康保険の
医療給付費というものの伸び方というものは、これは非常にいろいろの高低があるわけでございます。過去の例にとりましても、高いときの平均をとりますと、二割程度の上昇率になる、それから低いときの平均をとりましても、一割あるいはそれをちょっとこえると、こういう程度の上昇率になっておるわけでございまして、先ほど申しましたような
方法をとって査定いたしますと、まあ低いときの上昇比率と申しますか、それに大体同じ程度になるので、この程度ならば何とかやっていけるだろう、まあ
大蔵省でございますから、そう甘い査定ということはしないわけでございますが、大体その程度でいいんじゃないか。こういうことで、その方式必ずしもあらゆる場合に通用するという方式ではないのですが、出てきた結果が過去の例から見まして大体妥当な線じゃないか、このように考えまして、先ほど申しました
予算というものをきめまして、そうして国会の御審議を受ける、こういうような段階になったわけでございます。
国庫補助の経緯、それから一部
負担の経緯あるいは総
医療給付費の査定の経緯、まあ大体概略申し上げますと以上のようなことになります。