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1956-05-22 第24回国会 参議院 社会労働委員会保険経済に関する小委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十二日(火曜日)    午前十時四十六分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山下 義信君    委員            谷口弥三郎君            榊原  亨君            相馬 助治君            田村 文吉君   担当委員外委員            竹中 勝男君            藤原 道子君   政府委員    厚生省保険局長 高田 正巳君   事務局側    常任委員会専門    員       多田 仁己君   説明員    大蔵省主計局主    計官      小熊 孝次君    厚生省保険局健    康保険課長   小沢 辰男君    厚生省保険局医    療課長     館林 宣夫君     —————————————   本日の会議に付した策件 ○保険経済に関する件     —————————————
  2. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは社会労働委員会保険経済に関する小委員会を開会いたします。  前回厚生省に要求いたしました行政措置等の資料をお手元に配付いたしましたので、それに関する高田保険局長説明を求めることにいたします。
  3. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 一部負担財政効果の積算の基礎について先に私から御説明を申し上げたいと存じます。  政府原案の方について申し上げますと、まず一番といたしまして初診現行通りでございますから、財政効果といたしましてはゼロでございます。それから外来投薬または注射のない初診日以外の日一日につき十円でございますと三億五千四百万円でございます。それから外来の中の小さい二といたしまして、投薬または注射のあった初診以外の日一日につき三十円といたしますと十六億六千六百万円でございます。それから外来の中の三といたしまして、歯科診療のうち補綴及びインレーの行われた日一日につき三十円といたしますと五千八百万円でございます。それから大きい三といたしまして、入院一日につき三十円、六カ月に限る、それで二億七千三百万円、合計いたしまして二十三億五千百万円ということに相なります。これは五月から実施いたすものとして十カ月分の計算でございます。  それからその次に衆議院の修正されました案を申し上げますと、初診につきましては、政府原案と同じ現行通りでございますからゼロでございます。それから外来の中の一番の投薬または注射のない初診以外の日一日につき十円、三億五千四百万円も同様でございます。それからその次の投薬または注射のあった初診以外の日一日につき三十円というのが二十円に修正をいたされましたので、これが十一億六千万円ということに相なります。それから三番目の歯科関係の三十円も二十円に修正をいたされましたので、これが三千八百万円ということに相なります。それから大きい三番目の入院につきましては、六カ月に限るというのを三カ月に限るというふうに修正を加えられましたので、これが二億三千四百万円という計算に相なります。以上合計いたしまして十七億八千六百万円でございます。これも五月一日からの施行ということの計算でございます。それでこれらの基礎計算につきましては、健康保険課長から御説明をすることをお許しを願いたいと存じます。
  4. 小沢辰男

    説明員小沢辰男君) 一部負担計算方法につきまして、少しこまかく申し上げたいと思います。初診現行通り財政効果はございませんので、これはそのままにいたしまして、外来の分を御説明いたしますと、第一番目の投薬または注射のない初診日以外の日一日十円というものの計算でございますが、これは入院外につきましては、総診療日数が私ども予算関係計算といたしましては、総診療日数一億一千百五十六万三千一百日でございます。それから初診日数を引くわけでございます。初診日数は千三百三十万六千四百三十五日でございます。それを引きまして、その引いたものに投薬または注射のない日の割合をかけます。この割合は三割と見ております。それで投薬または注射のない総日数が二千九百四十七万七千日という計算になるのでございます。それから歯科の方でございますが、これの総診療日数を千八百八十五万五千八百十日と計算いたしまして、それから初診日数の二百七十九万六千三百五十二日という日数を引きます。それに注射または投薬のない日の割合をかけるのでございます。これは歯科の方はほとんどが注射または投薬のない日でございまして九五%と考えております。それで計算しました日数から次の二十円の日に該当すべき補綴やあるいはインレーというようなもののあった日を除かなければいけませんので、それを約二百二十万日と押えて計算いたしました。そうしますと、結論としては、歯科の十円に相当する日数は一千二百九十五万六千七十六日という計算をいたしました。  歯科以外の入院外の先ほど申し上げました二千九百四十七万七千日と、この歯科の一千二百九十五万六千七十六日というものを両方加えまして、十円をかけますと四億二千四百三十三万七百六十円という数字になります。それを十二分の十いたしまして十カ月の効果を出したのが、端数切り上げで三億五千四百万というふうになるわけでございます。  それから投薬または注射のあった初診日以外の日ごとに二十円という場合の計算は、今申し上げました計算と全く同じ方法によりまして、ただ注射または投薬のある日の割合というものが残りの七割でございますので、入院外につきましては七割をかけるのでございます。で、結論として六千八百七十七万九千六百六十六日という日数を出しました。歯科の方も注射または投薬のあった割合というものがわずかに五%でございますが、これをかけまして八十万二千九百七十三日という数字計算いたしました。この両方を合計いたしまして二十円をかけます。そうしますと十三億九千百六十五万二千七百八十円になりますが、これを十カ月分に引き直しますと十一億五千九百七十一万一千円になります。これを切り上げまして十一億六千万という計算をいたしたのでございます。  それから歯科診療においてインレー補綴等のあった場合でございますが、これは一日その日に三十円ということになっておりますので、先ほど申し上げましたように、この補綴及びインレーの行われるような日と考えられる先ほど申し上げました二百三十万日というものに二十円をかけまして、それによって出ました数字四千六百万八千百八十円というものを十二分の十いたしました数字が三千六百万でございます。  それから入院の一日三十円、三カ月間は診療日数が二千六百七十四万六千四百七十日でございます。これに三十円をまずかけまして、その次に三カ月間の入院割合を私どもは〇・四三七、すなわち四割三分七厘というふうに押えております。ところが、さらにこれを五月施行の場合の割合をかけなければいけないわけでございますので、五月施行の場合の割合が〇・七〇二、七〇・二%でございます。以上のうちの七〇・二%でございます。それをかけることによりまして、二億四千六百十五万三千六百四十八円という数字を出したのでございます。その数字から今度は初診日数を引かなければいけませんから、初診日数入院、すなわち即日入院の場合の初診日数でございますが、百二十二万一千三百日でございます。それに平均単価の十一円七十一銭三厘をかけまして、それから初診料は四点でございますので、四点をかける。そうしてこれを十カ月効果に直しますと、十二分の十にするわけでございます。そうしますと、千二百三十九万七千七百四十二円という数字が出るわけであります。この千二百三十九万七千七百四十二円をただいま申し上げました二億四千六百十五万三千六百四十八円から引きましたものが、この入院一日三十円三カ月間の財政効果になるわけでございます。これが二億三千四百万円でございます。この診療日数初診日数はそれぞれ入院入院外歯科につきまして二十九年度の実績に一応増加割合を、予算のときに申し上げましたような十月までの実績による増加割合をかけまして三十一年度の見込みを出したのでございます。この平均日数にそれぞれを使いまして総日数を出したわけでございます。  また歯科診療補綴等割合でございますが、これは過去の私ども調査がございます。この調査日数五万六千八百二十四日という調査日数がございますが、そのうちの補綴割合日数をとりまして、この割合が一二・二%になるわけでございますが、この割合を使いまして歯科診療における補綴等の日の日数計算いたしておるわけでございます。  なお先ほど申し上げました一件当り平均日数入院入院外歯科の一件当り平均日数に、予算のときに申し上げましたような入院入院外歯科受診率を使いました件数を出すわけでありますが、この件数は、受診率の被保護者数をかけて入院入院外歯科の点数を出しました。その件数に先ほど申し上げましたように、二十九年度年間実績と三十年度の実績を比較した増加割合平均日数にかけました来年の見込みの一件当り平均日数を乗ずることによりまして入院入院外歯科につきましての総日数計算いたした、かような次第でございます。
  5. 山下義信

    委員長山下義信君) 今の現行初診料の五十円は、なんぼの金額になるのですかね。
  6. 小沢辰男

    説明員小沢辰男君) 今ちょっと調べますから、もう少し待って下さい。
  7. 山下義信

    委員長山下義信君) これは非常に複雑な数字がたくさん出るのですが、一つ刷り物にして出してもらいたい。
  8. 田村文吉

    田村文吉君 ちょっと伺いますが、入院料の三十円、あるいは外来の一日十円あるいは三十円、補綴の三十円というような数字は何ですか、全国みな一緒なんですか。
  9. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 一緒でございます。
  10. 田村文吉

    田村文吉君 初診料の五十円の負担というものも一緒なんですか、これは違うのですか。
  11. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 法律には五十円以下で厚生大臣の定める金額ということに法律規定はなっております。これは私どもといたしましては、いつか御説明をしたことがあると思いますが、甲地は五十円、乙地は四十六円、すなわち現行通り四点でございますから、初診の際の現行の一部負担というものが、初診料相当額ということになっておりますから、それと同じように定めるつもりでございます。法律では五十円以下で厚生大臣が定める金額、こういうことになっております。
  12. 田村文吉

    田村文吉君 現在地方のあれじゃ違っているようですね、一部負担金額が。
  13. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 現在の現行法では初診料に相当する額ということに一部負担金額はなっておりますが、それが初診料は四点でございます。甲地では単価が十二円五十銭でございますから、四点でありますとちょうど五十円、それから乙地では十一円五十銭でございますので、四点でございますと四十六円ということになります。
  14. 田村文吉

    田村文吉君 なおお確かめしたいのですが、そういうことになりますと、物価の安い地方における入院料でも、物価の高い都会における入院料でも、本人負担が三十円ということになりすというと、つまり地方の方では負担率都会の人よりも多い、こういう結果になるのですが、それを御承知の上での御案ですか。
  15. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) さような結果になります。従いましてさような結果を避けようといたしますれば、たとえば一点とか二点とかという定め方をすれば、これはさような結果にはならないわけでございますが、今回とっております一部負担建前は、初診の際の一部負担を除きましては定額建前をとっておるのであります。その建前をとりましたのは、納めます方でも受け取られる方でも端数が今単価についております。さような計算上坂扱い上のことをも考えまして、定額でいくという考え方をとっておるわけでございます。
  16. 相馬助治

    相馬助治君 きょうは大蔵省も呼んであるというのですが、まだ来ていないようですから、その前に保険局長にお尋ねしておきたいのですが、健康保険赤字対策として厚生省の御努力によって大蔵省から三十億の国費を出させるためにはなかなか苦労したように承わっておるわけです。そこでこのことが実現したときに何らかの話し合い了解事項、こういった種類のものがあるのですか。私の聞いた意味、わからないでしょうか——それじゃもうちょっと注釈いたしますと、今度は三十億出してやるぞ、しかしいつでもいつでも国ではこうした赤字が出たたびにやるわけにはいかぬのだから、厚生省自体もこれはこうしてもらわなくちゃならぬし、あれはああしてもらわなくちゃならぬというような、いわば話し合い了解事項、そういったものがありますか、ありませんか。こういったことなんです。
  17. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 予算がきまり、法律案が……。
  18. 相馬助治

    相馬助治君 ちょっと話が違います。ちょっと待って下さい。
  19. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記をやめて。   〔速記中止
  20. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記を起して。
  21. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 予算がきまり、法律案の最終の案がきまります際におきましては、与党幹部、それから大蔵省厚生省両当局の間でいろいろな話し合いがございました。その際のいきさつ——どういうふうなことを相馬先生質問になっているのか私もよく十分了解できませんが、いろいろないきさつが実はございます。たとえばこの三十億というものは単なる赤字補てんというふうな性格のものではない、ああいう法律になる以上は将来も、金額はこれはわからないけれども、本年度限りのものではない、来年度においても当然国庫補助というものは考えられるものである、あるいは一部負担金額をどの程度にするかというふうな点とのからみ合いと申しますか、にらみ合せというふうなものにつきましてもいろいろと話し合いがあったわけでございます。
  22. 相馬助治

    相馬助治君 大蔵省に今質問始めてよろしいですか。
  23. 山下義信

    委員長山下義信君) ちょっと待って下さい。
  24. 小沢辰男

    説明員小沢辰男君) 先ほど申しおくれました現行初診料一部負担金額でございますが、年間にいたしました場合に七億七千万でございます。
  25. 山下義信

    委員長山下義信君) これは三十一年度予算見積りがそういう額ですか。
  26. 小沢辰男

    説明員小沢辰男君) さようでございます。ただ申し上げておきますが、これは三十一年度の予算には先ほど申し上げましたように、特にその分を引くとか足すとかいうような計算は全然してございません。
  27. 山下義信

    委員長山下義信君) 三十年度と比べて若干の相違を計算しておりますか。どういうふうにこの予算の上では扱っておりますか。いわゆる総医療費のあれですが、あなた方のテクニックで言う財政効果ですが、しかしながらどちらにしてもこれは予算の上には姿を出さないんですか。
  28. 小沢辰男

    説明員小沢辰男君) 初診料相当額は一部負担で、私ども支払いの対象になっておりませんので、これは支出の方にも予算上は関係なく計算してございます。
  29. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) もう少し補足をして申し上げますと、先般来問題になっておりまするいわゆる総医療費というふうなもの、基金で払っておりまするさようなもの、それは現行でも初診料は従来から一部負担になっておりまして、お医者さんの窓口で徴収をしていただくということになっておりまするので、基金実績にも何にも出て参らないわけです。従いまして三十一年度の予算——三十年度におきましてももちろんそうでございますが、三十一年度の予算数字にはこれは関係ない。それから先般来いろいろ御論議になりました、この昨年の実績がどうであるとか、本年の見積りがどうであるとかいう金額の中にもこれは計算をしてない、こういうことに相なっております。
  30. 田村文吉

    田村文吉君 それはそれでよろしいんですが、大体しかし医療費増加というものを考えると、初診がどのくらいふえる、パーセントでことしのあれはお出しになっているんですか。初診料三十年は七億七千万だから三十一年度はこれくらいになると、大略の見込みは立つわけですね。
  31. 小沢辰男

    説明員小沢辰男君) 先ほど申し上げました年間七億七千万というふうに計算いたしました現行初診料の一部負担金額は、先ほど申し上げました来年の診療件数というものに基いた推算でございます。
  32. 山下義信

    委員長山下義信君) 今の医療費の受け払い、そういったようなものは、予算面の上にはこれが収支となっては表われないんですね、ですから結局表われてくるところはバランス最後収支のところに表われてくる、影響してくるわけですね。それだけですね、予算関係あるのは。
  33. 小沢辰男

    説明員小沢辰男君) その最後収支バランスにも全く関係ない数字でございます。これは先ほども局長が申し上げましたように、私ども保険財政の方からは、初診料相当額は全然出しませんので、従って本年の実績にも、また来年の見積額の中にもそれらは全然考えに入れてございません。そういう意味においては保険財政の方の支出面医療費の中には全然計上してない、それは毎年そういうことでございます。
  34. 山下義信

    委員長山下義信君) 医療費に直接関係ないことは、先ほどおっしゃったのでわかったのです。けれども保険全体の収支バランスには関係があるでしょう。それにも関係がないですか。この一部負担を取る取らぬということは、保険経済のいわゆる過不足、全体の過不足関係ないですか、それにも関係がない。(「わかるように説明して下さい。聞けば聞くほどわからなくなる」と呼ぶ者あり)
  35. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 結論を申し上げますと、保険経済収支バランスには関係はございません。というのは、保険料なりあるいはいろいろな歳入がございますが、今回は国庫負担国庫補助金等もございますが、それらは保険として支払われる支払いに充てられるわけでございます。従って保険としましては、現行初診料の一部負担というものに相当する金額は支払っておりませんので、従って全体の医療費という意味におきましては関係がございますが、保険収支には関係はございません。  もう少しわかりやすく申し上げますれば、これだけのものがお医者様の受け取りにかりに入るといたしますると、初診料に相当するこれだけの部分患者から取っていただき、こちらの部分を、残った部分保険から支払う、保険保険料その他の収入によりましてこれだけの部分について支払いをするということになる。従って保険経済収支バランスというものは、これだけによってとれるわけでございます。お医者様に入る金はこれが入る、ただしこれは患者から直接に入る、こういう理屈になるわけです。
  36. 山下義信

    委員長山下義信君) 非常にわかりやすいことを非常にわかりにくく御説明になって、私は困ると思うのですがね、保険経済には一向関係がない、予算に計上しておる医療費数字にも関係がないと言われると私、困るのですがね。私がわかりにくくなるのですが、その保険予算収支には、直接バランスシートの上には出なくても、医療費関係がないとは、どうしてそういうことを説明されるのですか。医療費というものを一部負担を差し引いてあなた万は払うのじゃありませんか。そうすると、もしそれがないことになれば、それ関係があるのじゃないですか。ちょっと……。
  37. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 委員長の今の仰せの通りに、医療費には関係がございます。医療費には関係がございますが、それは保険という経済の外の問題でございまして、保険経済そのものには関係がないということを申し上げておる。その関係がどうも説明の仕方が下手か知りませんけれども、そう申し上げるよりほかに方法がないのでございます。
  38. 山下義信

    委員長山下義信君) ちょっと速記とめて下さい。   〔速記中止
  39. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記を起して下さい。
  40. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 先ほど私も医療費には関係があるが、保険経済には関係がないというふうな御答弁を申し上げましたが、その医療費というのが少し不明確でございまして、保険医療費——保険医療費全体においては関係がもちろんあります。ただ、今国の予算の、特別会計予算収支、あるいはそれの決算というふうなものにつきましては関係がございません。いや、関係という意味は、その収支の中には載って参りません。それで保険医療の、全体の医療費というものにはもちろん関係がございます。こういうふうに申し上げれば、あるいは先ほどの私の足りない言葉を補足しまして、御了解をいただけるかと存じます。(「了解」と呼ぶ者あり)
  41. 山下義信

    委員長山下義信君) 一部負担につきまして、他に御質疑ございませんですか。
  42. 藤原道子

    担当委員外委員藤原道子君) 私幼稚な質問でございますが、どうもちょっとそうなると納得がいかないのですが、そうすると、初診料医者窓口で操作するということになるのですね。ということになると、医者は金があろうとなかろうと診察しなければならない義務がありますね。そうした場合に、一部負担をする金を貧しい人たちが払えないといたしますと、そういう場合には、その赤字しわ寄せ、未収入になるしわ寄せはだれが犠牲を負うのですか、医者でしょう。
  43. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) お医者様でございます。
  44. 藤原道子

    担当委員外委員藤原道子君) お医者様でございますと済ましていていいのですか。ところがお医者さんだって、それが数重なってくれば非常な犠牲になりますよ。このごろ生活保護なんかでも、一部負担がずいぶん払えない者が山積してきておるのです。そうすると、それを全部お医者さんに負担をかけておいて、私ども保険経済関係がございませんと言って済ましていられたら、お医者さんはたまらないですが、そういうときはどうなりますか。金はなくても医者は診察しなければならぬ医療義務を負っております。金がないのです。しかも非常な重態だ、しかしお前、金持ってこないから診察しないと言うわけにはいかない。診察をいたします。そうすると、それがずっと累積してきたしわ寄せはだれもしてくれない、お医者さん本人がしなきゃならない、こういうことになると思うのですが、そういうことのお見通しはどうなんですか。
  45. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 今の保険建前から申しますと、今藤原先生から御指摘のようなあれになるわけでございます。それでこのことは保険の立て方ということにも関連がございますけれども、むしろ基本的には、医師法というものが、医師に対して正当な理由がなければ拒んではならぬという、その義務を課しているわけなんであります。そういう義務を課しておられますので、しかもその、ただ金が払えないからということでその診療を拒むということは、正当な理由にはならないという今日の解釈であります。従ってこれは自由診療の場合でも同じようなことでございますが、ただ経済的にその人が貧乏だからと言って拒むことはできないということになりましたから、今御指摘のような気の毒な結果となり得るようなことを医師法自体がお医者さんに課しているわけです。それでこれは保険の方としましては、医療が行われましたならば、保険医療と他の医療とがあるわけじゃございません。医療というものが行われましたならば、そこに保険がかぶさっていって、その保険のルールに従ってお金を支払うということになるわけでございますが、その医療自体が、どうしてもお医者さんとしては拒めないという形に他の法令がなっておるわけであります。それでその点ははなはだ何と申しますか、医師法建前自体が一体それでいいのか悪いのかという基本的な問題が提起されると思うのであります。おそらく現在の医師法というものは、お医者様というこの一つのお職業が、そういうふうな性格のものであるという立場に立って、ああいう規定をいたしておるのであろうと私も考えるわけでございます。で、結局結論的に申しますと、はなはだその意味におきましてはお気の毒な結果になると思います。
  46. 藤原道子

    担当委員外委員藤原道子君) はなはだおかしいのです。自由診療のときにはそれは別でしょう、問題が。保険医の指定のときにはやかましい規定をつけておいて、保険の勘定であれば当然保険によって支払われるのが建前でございましょう。それだのに医師診療しなければならないという医師法があるから、だからこれは仕方がない、医者はそれを拒んではならない、しかしこの健康保険の指定医ということになれば、これは当然もうやる義務を負っているわけですね。と同時に、保険から当然支払われてしかるべきです。それを一部負担というような変な名目でもって責任を逃れよう、最終的には保険者にやはり責任があるということでなければお医者さんはたまったものじゃないですよ。片方では縛っておいて、片方ではお前勝手にしろというようなことでは、私は話の筋が通らないと思うのです。
  47. 榊原亨

    ○榊原亨君 議事進行。ちょっと速記はとめて下さい。
  48. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記をとめて。   〔速記中止
  49. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記を起して下さい。
  50. 相馬助治

    相馬助治君 私は大蔵省に尋ねたい。  御承知のように、この経済に関する小委員会厚生省から厚生保険特別会計の健康勘定の歳入歳出予算明細書の提出を求めて昭和三十一年度における予算案を検討し、その赤字見積りに対して参考人等の意見を徴したところが、小委員会としては結論が出ておりませんけれども、なおなおこの赤字というものの実態について精査の必要があるというので、ここまで議論を進めているわけですね。そこで私は小熊主計官にお尋ねいたしたいと思いますことは、この健康勘定に関して厚生省が出した第一次の予算見積りと、それからコンクリートされるまでの間における対大蔵省との査定の経過等について一応承わりたいと思います。
  51. 小熊孝次

    説明員(小熊孝次君) お答えいたします。  この厚生保険特別会計の健康勘定を経理しておりますところの政府管掌健康保険事業は、御承知のように二十九年度四十億、三十年度三十億というふうに赤字を出しておるわけであります。  この問題につきましては、大蔵省としても非常に心配もし関心を持ちまして、三十年度におきましては赤字補てんのために十億を入れる、そのほかは資金運用部からの借入金で一応建て直しをする、こういうことでこの健康勘定は何とかやっていけるのじゃないか、こういう大きい期待を実は持っておったわけでございます。ところが、三十一年度の予算の概算の審議が始まりましたときに、三十一年度としてもこれだけがまだ出てくる、こういうような相当膨大な赤字を持ってこられたわけであります。われわれといたしましては、まあ、今後六十億の資金運用部の借入金は今後毎年度十億ずつ入れることによりまして解消していく、こういう少くとも健康保険勘定のために国民の税金を六十億注ぎ込んでいかなければならぬ、こういうことになるわけでありまして、それでまあ、その際も、厚生省の方からは国庫負担と申しますか、補助と申しますか、財政支出も定率の一割、こういうような補助金の要求もございましたので、われわれとしては、どうも健康勘定がこのように赤字を出しているということだけで、その国民一般の税金を注ぎ込んでいくということは理屈に合わぬのじゃないか、こういうことで一応お断りし続けておったわけであります。ところが、まあいろいろな事情もございまして、政府管掌の健康保険一つの特殊事情と申しますか、中小企業というようなものを対象にしておる非常に零細な企業としての、平均二十数人というようなほんのわずかの、負担力のないところの企業を対象としておる、そういう特殊性から見まして、まあいろいろ交渉の結果、三十億の国庫補助を出す、こういうことにいたしたわけでございます。  なお、その際の厚生省大蔵省とのいろいろなやりとりと申しますか、そういう間におきまして、この赤字の解消策、さらに将来の政府管掌健康保険の健全な育成策といたしましては、一部負担をやる、こういうことがきまったわけでございます。これにつきましては、党の執行部、厚生大臣、あるいは大蔵大臣、三者そういう話し合いのもとに、国庫といたしましても三十億を出しましょう。しかもこの三十億というものは、三十億といいますか、この国の補助というものは、法律ではっきり書いて、三十一年度限りのものではない、今後も続けてゆくのだ、こういう建前でまあ了承し合ったわけであります。しかし、その反面として、やはり一部負担をやって、政府管掌健康保険の財政の健全化をはかる、それからさらに、ひいてはこの健康保険等、あるいは国民健康保険というようなものも考えまして、国民の総医療と申しますか、そういうものを確立してゆくのだ、こういうようなことまで一応話をきめまして、そうしてこの法案と予算案を国会に提出する、こういうことになったわけであります。  なおその際におきますところの、政府案できまりましたところの予算面におきまして、まあどういう査定と申しますか、どういうことをしたかと申しますと、これは二十九年度の三十ベースの実績、それから三十年度の三十ベースの実績予算編成当時はそのくらいしかわかっておりませんので、それをもとにいたしまして、その上昇比率と申しますか、それを用いまして三十年度の実績見込みを出し、それを三十一年度に引き延したわけでございます。結果においてそういう作業になったわけでございますが、われわれといたしましては、過失の健康保険医療給付費というものの伸び方というものは、これは非常にいろいろの高低があるわけでございます。過去の例にとりましても、高いときの平均をとりますと、二割程度の上昇率になる、それから低いときの平均をとりましても、一割あるいはそれをちょっとこえると、こういう程度の上昇率になっておるわけでございまして、先ほど申しましたような方法をとって査定いたしますと、まあ低いときの上昇比率と申しますか、それに大体同じ程度になるので、この程度ならば何とかやっていけるだろう、まあ大蔵省でございますから、そう甘い査定ということはしないわけでございますが、大体その程度でいいんじゃないか。こういうことで、その方式必ずしもあらゆる場合に通用するという方式ではないのですが、出てきた結果が過去の例から見まして大体妥当な線じゃないか、このように考えまして、先ほど申しました予算というものをきめまして、そうして国会の御審議を受ける、こういうような段階になったわけでございます。  国庫補助の経緯、それから一部負担の経緯あるいは総医療給付費の査定の経緯、まあ大体概略申し上げますと以上のようなことになります。
  52. 相馬助治

    相馬助治君 この小委員会で問題になっておりますのは、昭和三十一年度における赤字見込みの総額が妥当なりやいなやという一点にかかっているわけなのでございます。そこで平常の場合と違いますことは、社労委員会性格から申しますれば、厚生省側に立って十分な予算大蔵省に要求するというのがわれわれの通例の立場ですが、今度は一部負担という問題から逆な立場からの作用が一つ動いておる。そこでお尋ねしておかなければならないのですが、昭和三十一年度の厚生省が言っておりまする政府管掌の健康保険赤字見込み額というのは妥当である、かような見解に立っておるものと了承しますが、その点はそうですね。これはもう処分したのだから私はそうだということはわかっておりますが、その数字です。その数字に至る積算の基礎計算方式、そういうものをも含めて妥当とお考えになっておるのですか、どうですか。——速記をとめて下さい。
  53. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記をとめて。   〔速記中止
  54. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記を起して。
  55. 小熊孝次

    説明員(小熊孝次君) ただいまのお答えにつきまして補足的に御説明いたしますが、先ほど申し上げましたように、赤字、これはわれわれの査定では六十六億六千六百万円という数字が出ておりますが、これについてこれの前提といたしましては、先ほど申しましたような経過をたどりまして、三十ベースというものを二十九年度、三十年度を比較いたしまして、それで三十年度の実績見込みを出し、それにつきまして一応同じような比率を用いまして三十一年度の見込みを出したわけでございます。それを出しっ放しにしたわけではございませんで、先ほど申しましたような過去の経緯等を見まして、そうしてこの程度ならばこういう方式を用いて出したと、計算上そういうふうに出しても妥当だろうと、こういうような判断のもとにそれを認めましたところが赤字が六十六億六千六百万円、こういうふうに出るわけでございます。で、それにつきまして、じゃあどういうふうにしてその赤字の対策を立てるかと、こういうことになるわけでございますが、それにつきましては、一部負担が二十三億五千八百万円、これは先ほど来いろいろ御説明があった通りでございますが、それから標準報酬の引き上げを六千五百万円、その他の対策で約七億五千万円ということになりますと、まだ約三十億ばかりどうしても不足するわけでございます。それで、大体厚生省の方からもこの赤字の解消につきましては、これはまあ中小企業を主として対象としておる政府管掌健康保険の特殊性から見ても、ぜひ国庫でも一応金を出してもらいたい。それからそのかわり一部負担として被保険者も一部を負担することにしましょう。それから被保険——これは被保険者というのはちょっと語弊がありますが、患者でございます——保険者と、それから事業主も一部を負担するようにしましょうと、まあそういうことで大体われわれの気持といたしましては一部負担に見合う程度の金額、こういうふうに考えておったわけでありますが、まあその間にはいろいろこれは定率の——われわれとしては定率のベースということは考えませんで、一部を補助する。予算の範囲内において一部を補助するというわけでございますので、まあ正確に一律の割合にはなっておりませんが、まあそこにはいろいろな経緯もございましたが、大体一部負担に見合う金額——現実の問題といたしましてはそれをこえておりますが、三十億という金額になって、そうして今回の赤字を解消する、赤字を解消するだけでなしに、その健康保険の財政の健全化を今後恒久的にはかっていこう、まあこういう熱意によりましてこういうような予算を組んだわけでございます。
  56. 相馬助治

    相馬助治君 三十億を出すときの条件として、そういういろいろな話し合いがなされ、社会保険財政確立のために今後努力していこうという態度が政府部内において話し合いされたということは今の説明でよくわかりました。それでお尋ねしたいのは、衆議院の修正です。この修正案がもしかりに参議院においてあの通りに成立するといたしますと、御承知のように十七億からの最小の見込み違いになるわけですが、これらに対しましては大蔵省としてはどのように了解し、どのような……十七億じゃなかったかもしれませんが、六億ですか、ロスはですね、その六億に対してですね、大蔵省自体としてはどのような見解を持っておられますか。もうちょっと具体的に言えば、その程度のものは厚生省自体が行政措置でもって何とか生み出せるというくらいに気楽に考えておるのか。それとも大蔵省自体としてはその六億に対してはこういうふうに考えておるというような腹案があるのか、率直に承わっておきたい。
  57. 小熊孝次

    説明員(小熊孝次君) 衆議院で仰せのように五億六千五百万円でございますか、一部負担金額が減額いたしたわけでございます。まあこれにつきましては率直に申し上げましてわれわれとしては非常に困った次第であると、このように考えておったのでありますが、各般の情勢からまあそういうことになりまして、やむを得ない。それに対してこれは衆議院でも問題になりまして、それは一体どうするのだと、その対策をどうするのだと、まあこういうようなお話があったのでございますが、大蔵大臣といたしましても予算を補正して、たとえば国庫補助をふやすとか、そういうことは考えておられないわけでありまして、その五億六千五百万円というものは、われわれにしても、また厚生省にしても、非常につらい問題でございますが、予算の執行の段階におきまして、まあ幸いにして予備費がそちらに回せれば予備費によって、その他今回の赤字解消策の中にもいろいろ行政対策が一応織り込んでございますが、そういうものにさらに格段の努力をいたしまして何とかつじつまの合うようにいたしたい、こういうつもりでおるわけでございます。
  58. 相馬助治

    相馬助治君 六億からの政府側で言うロスについては、行政措置の面と予備費等の転用、そういうようなものでつらいけれども何とかつじつまを合わそう、このことよくわかりました。そうしますと、大蔵省としては、厚生省が見積った赤字が実態としてより少くなった、そうして一部負担が財政的に必要がなくなった——いわゆる社会保険財政の健全化のために一部負担をさせるというふうなそういう基本論でなくて、当面赤字対策としては天下輿論の反撃に会いながら一部負担をするというようなことをしなくてもことしは済みそうだ、こういうふうなことにでもなった場合には、大蔵省としては厚生省の言い分に耳を傾けてそれに協力する意思がおありでございますね。
  59. 小熊孝次

    説明員(小熊孝次君) ただいまのお話は、一部負担が全然なくなった場合においても、いろいろな面において大蔵省厚生省に助力して何とかやっていけるようにするかどうか、赤字が出ないようにするかどうか、こういう御質問でございますか。
  60. 相馬助治

    相馬助治君 それも含んでおります。
  61. 小熊孝次

    説明員(小熊孝次君) その点につきまして、われわれはこう考えておるわけであります。とにかく政府といたしまして、あるいは党の方とも話し合いをいたしましてそうしてこういう制度でいくと、こういうことになった次第でございますから、われわれといたしましては、一部負担がなくなった場合どうするかということにつきましては、事務当局としてはちょっと御答弁いたしかねると思います。われわれとしては、最低限度衆議院の修正案の通り参議院でも御可決あらんようにお願いする、これよりほかないのであります。
  62. 竹中勝男

    担当委員外委員(竹中勝男君) 衆議院程度は認められるというわけでですね。
  63. 小熊孝次

    説明員(小熊孝次君) いや、衆議院の修正になった案によって、御審議の上御可決あらんようにお願いするようほかないわけであります。
  64. 竹中勝男

    担当委員外委員(竹中勝男君) それは、たとえば六億足らずの修正ですね、それが十億になるぐらいまでは大体行政的にあるいは予備費からでもというふうなお考えを持っておられるのかということです。もしできなければ、どこに限度があるか。
  65. 小熊孝次

    説明員(小熊孝次君) 五億ならどうだ、あるいはあとさらに五億はどうだというような御質問でございますが、われわれといたしましては、政府の提出いたしました案が一番いいものと一応信じておるわけであります。衆議院におきまして、あのような修正を受けたわけでございますが、それをさらに参議院において御修正なさるということで、どの程度まで修正できるかという御質問でございますが、われわれとしては、端的に申しましてほとんど無理ではないか、これ以上やるということは、また健保に赤字が出まして、そうしてまた一般国民の税金でその穴埋めをするとか、そういうことでこういうことを毎年繰り返しておったのでは、ほんとうに国民の皆保険と申しますか、そういう方向へ一般国民の税金を使ってなるべく国民皆保険に持っていく、こういう施策が漸次停滞していくのではないか、このように考えておるわけでありまして、その辺のところは一つ御了承願いたいと、かように考えておるわけであります。
  66. 榊原亨

    ○榊原亨君 小熊主計官ですか、これは政府説明員ですか、あるいは……。
  67. 山下義信

    委員長山下義信君) 説明員であります。
  68. 榊原亨

    ○榊原亨君 説明員ですか。それではただいまの政策に関する政府を代表しての御答弁はどうかと思うのですが、いかがですか。
  69. 山下義信

    委員長山下義信君) 榊原委員の御注意、ごもっともであります。事務当局として答えられる範囲内を答弁しておるのじゃないかと思いますから、政策的なことはお含みの上で御質疑を願いたいと思います。
  70. 相馬助治

    相馬助治君 榊原委員指摘した通りですけれども、小熊主計官はやはりちゃんとお答えになっていると思うのです。その程度のことはやはり数字をはじき出す基礎としておわかりになっているはずだと思うのでお尋ねしているので、御無理と思うことは答弁される場合にそちらで御回避なすって私は差しつかえないと思う。  私はなお一点尋ねたいと思っているのですが、これも政策に関することのようですけれども数字が出てくる基礎になるのでお尋ねしたいと思うのです。世上政府管掌の健康保険財政はきわめてルーズである、あるいはまた説をなす者は、医療担当者の水増しだとか、あるいは乱診だとか、もっときっちりしていかなくちゃならない面が多多ある、こういうような論をわれわれはしきりに聞くわけです。そこで、そういうことがあるかないかということをここで論ずるのではなくて、この三十億の国費を支出しようと大蔵省が決意したこの段階における厚生省側との予算折衝において、これらいわゆる保険財政のルーズと目される点等について話し合いがなされ、かつまた大蔵省厚生省側に具体的に要求をされたような事項があらば、承わっておきたい。
  71. 小熊孝次

    説明員(小熊孝次君) お答えいたします。政府管掌健康保険の財政がルーズではないか、それについて厚生省なり大蔵省でどのようなやりとりがあったか、まあこういうようなお話……。
  72. 相馬助治

    相馬助治君 ちょっと途中で。ルーズではないかと言っていない。ルーズであると世上言われておる。そのことがあなたたちの話に出たか出ないかということを聞いている。
  73. 小熊孝次

    説明員(小熊孝次君) 失礼しました。健康保険財政のルーズという問題につきまして、われわれも実はいろいろなことを聞いておるわけでございます。また、そういう方面にも関心を一番持っておるわけでございますから、それにつきましては、厚生省の方にも、何も予算の査定の段階だけではございませんで、いろいろなチャンスをつかまえてはいろいろなお話もしておるわけであります。また、厚生省の方からも、それにつきましてはいろいろな要望もあるわけでございます、その対策といたしまして。今年度は視察員を増員いたしまして標準報酬の適正なる把握をする。これは人をふやしましてそれによって各事業所等を回りましてそうして標準報酬の適正な把握をやっていく、こういうことでございます。こういうのも非常に効果があるのじゃないか。これは何も全部シラミつぶしに回るということは必ずしもできなくても、そういうことをやるということによっておのずから何と申しますか、ある程度の、まあ会社の財政が不如意というのでつい納めないというやつもおのずから矯正されてくるのではないか、そういうような意味合いにおきまして視察員の増員というようなものも考えました。そのほかこの際健康保険財政赤字でございますので、万般の施策を講ずるということもできませんので、この程度のことで一応、あとは社会保険出張所のいろいろな運営費とかそういうものによってこれを強化いたしまして適正な医療給付が確保される、しかもそこにロスが出ない、こういうような形に持っていきたい、こういうふうにわれわれは考えており、また厚生省とも話し合いをいたしまして、そうして今度の予算を編成する、こういうことになったのでございます。
  74. 山下義信

    委員長山下義信君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  75. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記を起して。館林医療課長から御説明申し上げます。
  76. 館林宣夫

    説明員(館林宣夫君) お配り申し上げました医療給付費に及ぼす諸措置の経過一覧表をごらんいただきたいと思いますが、昭和二十五年七月一日以来の諸改訂、必ずしも点数改訂ばかりではございませんが、保険医療費に影響を及ぼしたと思われるような諸改訂の一覧表がございます。この改訂の結果は、財政に及ぼす影響という欄が一番右にございますが、この欄が近年のものだけしかその影響の比率が出ておりませんのは、昔はその基礎となります資料が必ずしも的確なものがございませんでしたので、このように小数点以下二位というような詳細な点まで必ずしも推定いたさなかったのでここにあげなかったのでございまして、もちろん多少の増加を来たす、あるいは多少の減少を来たすというような程度のこの当時見通しは持ったのでございますが、数字に表わすような影響を推定いたさなかったのでございます。で、最初の方からごらんいただきますと、大きな改訂は昭和二十五年の九月一日の第三番目に完全看護、完全給食の設定がございます。これは今日におきましてはかなり大きい影響を及ぼしておるのでございますが、この採用いたしました当時はまだ完全看護、完全給食の施設が少うございまして、漸次この影響が現われてきておるわけでございまして、この改訂の瞬間においてはなはだしい影響を必ずしも及ぼしたわけではございません。それから昭和二十五年十二月一日の第四番目にまた再び完全給食の加算点数の引き上げ、これは食糧費等の関係で引き上げをいたしております。それから一番大きいのが昭和二十六年十二月一日、これが単価の引き上げでございまして、これが近年最終の単価引き上げでございます。このときの推定はここにございませんけれども、概略の推定は私ども医療費の約一四%と、かように推定いたしております。それから昭和二十七年一月の入院料の引き上げ、これもかなり大幅でございましたが、詳細な数字の予測をいたしてございません。それから次のページへ行っていただきまして、昭和二十八年四月一日に抗生物質の全面採用というのがございます。これも採用当時はまだ抗生物質も広く使われておりませんので、採用の瞬間におきましての経済の影響というものは直ちには現われてこないのであります。漸次普及せられるについて影響が現われてきたわけでございます。この当時の推定はプラス二・二二という推定を実は大体の見通しでいたしておるわけでございます。ペニシリン以外にもマイシリン、コスチリンというようなペニシリンの新しい形のものを採用するというようにかなり広範に抗生物質を採用したときであります。それから昭和二十八年十二月一日にこれは医療内容の面ではございませんが、給付期間を二年から三年に延長してございます。これもかなり大きい改正でございます。それから昭和二十八年十二月一日の三番目に入院料の引き上げ、これが非常に大きい影響を及ぼしておるのでございまして、この十二月一日のペニシリンの引き下げではやや下りましたけれども、これと三の影響が六・一一、それから医療費が改正の機会にふえております。二十九年七月一日、このときには例のすわり込み事件を起しました。ストマイの価格値下りに伴う固定点数の引き下げでございます。これによりまして三・六一%の医療費の減少になっております。それから昭和二十九年七月一日に結核の治療指針を変えまして従来の考え方よりはさらに新薬を広範に使う、しかも長期間使うような治療指針ができましたので、その結果医療費が三%強増加いたしております。それから三十年二月一日、これはごく小改正でございます。それから昨年の九月一日、このときの大きな改正点は三番の薬治料の固定点数を廃止いたしまして一般方式に変えたという点と、五番の開放性結核患者に対する加算を廃止したという改正でございまして、その結果約一%減少いたしております。以上が従来のおもなる改正点でございます。  歯科につきましても、当初はあまりこまかい推定をいたしておらなかったのでございますが、二十五年四月に金を保険が認めるようになってきております。金冠を認めるようになってきております。二十六年六月にインレーにも金を認めるようになっております。これらが大きい影響を及ぼしたものでございます。それから二十八年十二月にかなり大幅な点数引き上げをやったこと、三番でございますが、義歯の点数を相当大幅に引き上げました。アマルガムの影響はそれほどでございませんけれども補綴の義歯の点数引き上げが相当大幅でありましたのと、四番の金パラジウムを新たに採用した、五番も同じことでございますが、これらのことで六%強の影響がございます。大体以上が大きな影響でございます。  なおここに載せてございませんが、昨年の八月一日から金の使用は特に必要な場合に限るという担当規程の改正をいたしたのでございます。この改正がやや従来の使用頻度を少くいたす影響を及ぼしておりまして、これが歯科医療に対して五彩程度医療費を引き下げる影響を及ぼしたかと私ども考えております。点数改正ではございませんのでちょっと落しましたが、そういう点でございます。  以上でございます。
  77. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  78. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記を起して下さい。  本日はこれをもって散会いたします。    午後零時二十一分散会