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参考人(丸山直友君) 丸山でございます。
意見聴取
事項としてお示し下さいましたものの中で、今までの
参考人のお話になりましたような
保険経済の運営がどういうふうにいくかというような、行政的のいろいろな面からの訂正というようなことは全然私はこの際除外をいたしまして、実数につきまして、実はお示しをいただきましたのは日数が大へん少うございました。非常に実は二日ばかり徹夜をいたしまして実数に
当りまして、ここに印刷物を作りまして皆様方の御了解を得たいと考えて持参しておるわけであります。念のために申し上げますが、これは
厚生省が御
計算に相なりました
赤字というものの見込額、つまり
保険経済の見込額、これが正しいとか正しくないとかいう意味で申し上げるのではないのであります。また
厚生省がこれを御
計算になりました時期は、
予算編成期及び
社会保険審議会に厚生大臣から諮問がございましたのが、一月の三十日、そういうようなときにこれがすでにできておりましたものでございますから、当然見込額というもので
計算をなすってああいうものが出て参ったということは、これは当然なことでございまして、私
どもはただ時期がズレて今日に至っておりますので、
昭和三十年の見込額というものが、実数でこれを算出して
検討してみることが可能な段階に相なりました。従いまして、私
どもが使いました
資料は、
厚生省から出された
月報及び
月報の間に合いません部分につきましては、中央
保険診療報酬を
支払基金、この方からの
資料をもちまして
厚生省が考えておられる通りの方法で、そうして運営も
厚生省が今持っておられる把握率でございますとか、その他の一切の業績はそのままでおやりになると、こういうことを前提といたしまして、
検討してみたのであります。
資料を一つお手元に差し上げてございますので、三種類の
資料が実は差し上げてあるわけであります。ちょっと厚くとじてあります
資料が、
昭和二十六年度から
昭和三十年度までの年度別、月別
医療給付の状況、これも全部確実なる
資料によりまして、一枚おめくり下さいますると、その実数が全部カッコの中にございますので、そういうふうなものからとったものであるというふうに一つ御了解を願いたいのであります。
それから一枚刷りのものがお手元に差し上げてございます。主としてこの一枚刷りのものに関しまして御
説明を申し上げるのでございまして、それよりも薄い年度別診療状況の図表と申しますものは、最初の厚い
資料を見やすいために
数字をグラフに書きましたものでございますので、これは最後にお話をいたすようにいたしたいと考えます。
それで、
政府の方から私
どもの方へ、参議院の
事務局を通じていただきました、
厚生保険特別会計〔健康勘定〕歳入歳出
予算明細書、これと比較して私の口述をお聞き取り下さいますとよくおわかりになっていただけるかと考えておるのであります。なお申し上げておきますが、一枚刷りのものの表が、箱のような中にはさめたような形になって
数字が羅列してございますが、その中の左側の
政府予算というものが、上のものにもあり、下のものにもございますが、これはこのいただきました、ただいまお話申し上げました歳入歳出
予算明細書からそのまま転記いたしたものでございますので、比較の便宜のために、ここに並べてあるわけでございます。そういう一つ予備的のお話を申し上げまして、私の
説明をさせていただきます。
最初歳入に関しましては、これは
政府のお考え下さいましたことに関して私
どもは別に批判をいたしましたり、
検討いたしまする
資料を得ることができませんので、これは略さしていただきたいと思います。このまま信用して、この
数字を使つて算出をして進めて参りたいと思います。ただ被
保険者の数の問題が先ほど来言われておりますが、この被
保険者の数の予想は、これは要するに予想でございまして、いかようなる
考え方をせられましても、最後の結果が出て参りませんと、それが正しいとか正しくないということの判定はできません。ただ、
政府がこの四%増と言われまする
資料の基本となっておりまするのは、
政府資料の六ページに示されております三十年の八月以降月平均の
増加数というものをとられまして、一カ月間の
増加の実人員が三万一千九百四十二名であったということ、それを二で割つたのでございますので、実はその理由が完全に私了解しておりませんので、先ほど来いろいろここに参りましてから伺いましたところ、これは従前の例によって、年の初めの部分と終りの部分においては被
保険者の増減に差異があるので、従前の例により安全率が二分の一と、これを
計算するのが最も正しいと、こういうような考えからこれを二分の一にして、一万五千九百七十一名と、これを簡略にして月の
増加を一万五千名と見たと、こういうお話なのであります。一応筋道としては通っておるお
考え方で、これに対して批判を実はしようと思う意思はないのでございます。
それかごらん願いたいのは、私
どもの方でこしらえましたこの厚い
資料の二千ページをおあけ願いますと、そこに二十六年度から三十年度に至るまでの被
保険者数の被
保険者数の
増加いたしました実数でこれを示してございます。右の方にそれを指数で示してございます。二十六年度から二十七年度に
増加いたしましたのは一〇・七%ふえており、二十七年から二十八年には一一・九七%ふえており、二十八年度から二十九年度には六・九四%ふえており、二十九年度から三十年度にわたりましては一・二五%の増、こういうふうな、これが指数といたしましての
増加の率でございます。こういうふうなことになっておりますので、果して四%の増というものが正しくあろうか、正しくあるまいかということは、私先ほどから申し上げましたように、これを批判したり修正したりしたいとは考えておりませんが、これの
数字をごらん願いまして、大体において二十九年度から三十年度には一・二五%しかふえておらなかった。その理由は先ほど御
説明のございましたようなことが理由であるかもしれませんが、今後の
増加というものを四%に見ることが正しいかどうかということは、一つ国会側において御
検討を願って、この歳入の面において、御
検討願いたいと考えておるのであります。
そこで、主といたしまして、私
どもの方で選定をいたしましたものは、
政府が出されておりまする
資料の十五ページでございます。この十五ページの
数字、つまり
受診率というものがそこに示されております。これが
政府が作られました三十一年度のこの率をもって
計算をいたされまして、こういうふうな給付の増額であろう、こういう
数字が出て参ったわけであります。一番上の欄を読んで見ますると、被
保険者の分の
入院が三十年度の
見込みが〇・二一一四五であり、
増加の割合は一・一二六であり、従って一と二をかけた三十一年度の見込は〇・二三八〇九であると、かように示されておるのであります。それが私先ほど申し上げました、私
どもの作りました一枚の
資料の一番上の欄にそれがそのまま転記してございます。そこで、私
どもは
政府としてはすべて
見込みと、
増加の割合も
見込みというふうな形で示されておりましたが、これを先ほど申し上げました実際の
数字、
資料につきまして実数でこれを
計算して出したのであります。その結果得ました
数字はその右の方の欄にございます三十年度の
実績からそれがそのまま三十一年度にその
実績の通りにあるものというふうな
考え方、もちろん
政府も三十年の
見込み、
増加割合というものを見られまして、それをかけたものを三十一年度の見込にしておるわけでありますから、それと同様な
考え方で、私
どもは同様のやり方で三十年度の
実績と
増加割合というものを、先ほど申しました
資料に基きまして、実際に
計算をいたしました結果として表われました
数字は、三十年度の一番上の欄で
政府が〇・二一一四五と示されましたものが、
実績から得ました
数字は〇・二〇七二四という
数字に相なって参ったのであります。また
増加の割合が一・一二六と
計算をいたされましたものが、実際の
数字は一・一一五二という
数字に相なったわけであります。従いまして、この二つをかけ合せましたものを
政府と同様の方法で三十一年度の
見込みといたしまする場合には、その
数字は〇・二三一一一という
数字がここに生まれてくるわけでございます。同様の方法をもちまして、以下
入院、
入院外、歯科、被扶養者における
入院、
入院外、歯科一いうものを同様に
計算いたしました。
また、一件
当りの
点数にいたしましても、ただいま申し上げましたような同様の方法をとりました。私
どもが実際の
数字を用いましてその率をはっきりと出しました結果、左側の
政府の
予算として
計算せられました
数字は、右側の
実績から生じました
数字に修正せらるべきものであるというふうに相なったのであります。
そこで、御注意までに申し上げたいことは、
入院外の一番右の方と歯科のところと被扶養者も同じく
入院外と歯科のところにまるがつけてございます。このまるがつけてございます理由は、
増加の割合を、これを増減させましては、つまり言いかえますと、一件
当りの
点数が減ったからその減った率と同様の率で本年もまたどんどん下るのだというふうな指数を用いて参りますと、この方法を年々用いて参りますと、しまいにはこれはゼロになってしまう、何もないという結果が生ずるわけで、決してそういうような結果の生ずる理屈ではございませんので、それで左側にありまする
数字と、右側にありまする
数字と、同様な特別な修正を加えないものをかけまして使った、その結果、こういうふうな
数字に相なって参った、こういうことでございます。
それからその下の欄の一人
当りの金額、ちょっと申しますが、
政府予算の一件
当り点数には誤植がございます。一件
当り点数の方の
入院と申しまする欄の三十一年の
見込み額が一・〇六八三四六となっておりまするのが、六八の誤まりであろうと考えております。それは後ほど一つ御
検討を願いたいと思います。
一人
当り金額(
基金事務費を除く)というのにつきまして、やはりこれを同様の
計算をいたしました。その各項目につきまして、全部実際に得ました実数から
計算をいたしましたものがここに掲げました表でございます。一番左が
政府の一人
当りの金額の
予算でございまして、これを補正いたしまして
——補正いたしましたということは、勝手にしたのじゃない。先ほどから申しましたように、実数をもとといたしまして、その実数をその通りに
計算をいたしました結果できた
数字でございます。
そこで一番注意してごらんを願いたいのは、
政府予算の一番しまいにございます合計の
数字でございます。八千二百四十五円十五銭三厘という
数字が一人
当り金額として、これが
政府の
予算の
基礎になっております。ところが、私
どもが得ました実際の三十年度の
数字を全部これに当てはめまして、右の方に該当いたしまする欄の通りに
計算いたしますると、その結果得ました
数字は、一番右の一番下にありまする七千九百八十二円三十一銭一厘という
数字が、これが正確な三十年度の
実績から得ました三十一年度の
見込み額でございます。従いまして、
政府の考える
予算として使われました八千二百四十幾らというものから七千九百八十幾らというものを引きますと、
政府は二百六十二円八十四銭二厘というものを一人
当りよけいな給付費が必要であるという
基礎のもとにこの
計算ができておるということでございます。そこで二百六十二円八十四銭二厘というこの一人
当りの金額を、これは平均でございますから、それを
政府の言われる通り五百三十一万人あるものといたしましてそれをかけますると、実際の
数字の差というものは十三億九千五百六十九万一千二十円というものがそこに浮いて出て参るのでございます。そういうふうにこの表をごらん願いたいのであります。
そこでこの
増加率その他に関しまして、薄い方のとじました診療状況図表をごらん願いたいと思うのであります。この図表は、全部厚い方の
資料の
数字をカーブに示しましたものがこれでございます。一枚目のものは、被
保険者数、診療報酬決定
点数及び金額のカーブでございまして、それをごらん下さいますると、年々
増加いたしておりますということ自体においては盾違いございません。二十九年度から三十年度に向ってただその上昇角度が非常に鈍角になってきておるということがおわかりになるだろうと思います。すべて鈍角に相なっております。上昇の速度が鈍っております。これにはいろいろの理由はございますとは思いまするが、ともかくも
医療給付費、その他金額でございますが、金額、
点数ともに
増加率は、
増加しておるが、大へんに鈍ってきておるということでございます。
同じく二枚目をごらんいただきましても、これは
受診率でございます。受診の率といたしましても、これは被扶養者及び被
保険者を合計いたしましたものと、それからそれを分けましたものと三つになっておりまするが、これをごらんいただきましても、大体においてただいま申し上げましたカーブの角度が鈍化しておるということがごらん願えると思うのであります。ほとんど同じ方向、一直線に進んでおるのではないかと一見見えますのは、一般人院外が、つまり赤く示したものが、一番右の被扶養者の分において、二十八年度から二十九年度に移りまする推移はやや一直線の方向で
増加しておるというような形でございます。その他は全部これが鈍化しておるのであります。
その次のグラフは、一件
当りの
点数が、一件
当りというのは一人の患者に対して、一体
点数がどんなふうに推移しておるかというカーブでございますが、被
保険考及び被扶養者を合計いたしましたものが図表三、これは
点数でございます。右の方はそれを金額に直したものでございます。それでもこれは非常に明確にごらん願いまする通り、二十八年度から二十九年度に向って急カーブで上昇いたしましたものが、三十年度に向ってはむしろこれが上ってもごくわずかであり、あるいは場合によりますと、これは下っております。左の一件
当りの
点数のごときは、五五・四が五四・五に下っております。あるいは歯科におきましては、九七・八が九四・一に下っております。この図表は少し下り方が水平のように書いてありますが、もっと下っておるのであります。右の方はごらんのように、一般
入院においてだけは角度は鈍りながらも若干上昇しておりますが、その他は下降しております。それをその次のページの、一件
当りの
点数の被
保険者分のみにつきまして、被扶養者分を除きまして別々に分解してグラフを作りましたのはごらんのように、やはりほとんど同様の趨勢を経てきております。
その次に、被扶養者分を分けまして、同様にこれを図表にいたしました。これもまた同様に下っておるということがわかるのであります。そういたしますと、現在の動向は、大体において総金額において上昇はしつつありますけれ
ども、その上昇角度は非常に鈍ってきておるということでおります。そうしますと、三十一年度の
見込みを立てまする場合において、今までの
考え方よりは上昇速度というものは、
実績においてすでに私が先ほど
数字でここにお示しいたしましたように、そう非常な今急カーブでは上昇しておらぬという結果が自然そこにはっきりわかって参ったと思うのであります。
政府が、最初に冒頭申し上げましたように、
予算を編成いたされましたときの、その当時の
基礎資料は、
医療の給付の状況は
昭和二十九年三月から十月までの八カ月分、
昭和三十年三月から十月までの八カ月分、この両者を比較して作られたものでございます。私
どもは毎一カ年、普通の
健康保険等におきましては二月を基準として一カ年分の
計算をいたしておりますので、
政府と同様の方法をもちまして、三月年度でなくて、二月年度の
計算をもちまして、毎一カ年間の実数をもって
政府と同様
計算をいたしております。それを御了承を願いたいのであります。そこで、これは
受診率の変化というようなこと、あるいは実際上の
数字はもう少し小さくなるのではなかろうかというようなことに関します影響は、
医療給付費だけではございません。当然これは
傷病手当金の
支出の減ともなって表われてくる理屈でございます、当然。しかし私
どもは、ただいまその
検討する時間がございません。
医療の給付費に関しましては、私
ども職業柄調査いたしまする
資料を持っております。
医療給付費のみに関しまして、
政府の見積額はやや過当である、
支払いが過去である。従って
赤字の
計算は少し余分に
数字が出て参ったのである。しかしこれは悪意、あるいは
故意にやられたものでなくて、その当時の
予算編成の技術としてはこれは当然の方法をおとりになったものである。しかし、今の段階におきまして、私
どもはそういうように相ならぬという確信を持って今申し上げておるわけなのです。従いまして、
赤字の
対策といたしまして、十四億くらいのものは特別な措置を講じなくとも、自然にここに
対策が講ぜられるわけなのであります。これを振り返って今度見ますと、衆議院における修正の
財政効果が、大体十七、八億というような
数字で見積られておるようでございます。十七、八億というものに、さらに私
どもの
計算によりまして実質十四億ぐらいのものがここに浮いて、黒字
——黒字ではございませんが、
赤字の減少となって参りますので、衆院の案をこのまま直さないで参議院を通ったとかりに仮定いたしますと、衆議院における
財政効果の
処置が十八億である。さらに
政府の
計算と違った黒字的のものが十四億である。そういたしますと、これを合せますというと、
財政効果は、三十二億ぐらいの
財政効果が自然に減少して参ります。そうしますと、最初に考えられておりました
政府原案の二十三億五千万円というこの
赤字の補てん、それに関しましては、過当な徴収と相なる、こういう結果になります。必ずこれは黒字が出るであろう。取り過ぎである。衆議院のあの案そのままでやりまして、そうして私がただいま申し上げました
実績の通りに推移いたしますと、大体八億五千万円ぐらいの黒字がここに生じて参ります。そういう結果になります。
そうしますと、この八億五千万円黒字になり過ぎるということはどこで調整するか、これは私
どもは政策として今申し上げることは慎しみたいと思いますが、いろいろな方法が考えられておるようでございます。その方法の中で最も被
保険者に対し、あるいは診療担当者に対し、最も不便である、不愉快である、
負担として過重であるというふうに考えられる部分を何とかして、少くとも八億五千万円、あるいは九億くらいのものはおやめを願いたい、これが私
どもの
結論となってくるわけでございます。
それだけ申し上げまして、なおおわかりになりません点は、後ほど御
質問によってお答えいたします。