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1956-05-21 第24回国会 参議院 社会労働委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十一日(月曜日)    午前十一時二十七分開会     —————————————   委員異動 五月十九日寺本広作辞任につき、そ の補欠として佐野廣君を議長において 指名した。 五月二十日佐野廣辞任につき、その 補欠として寺本広作君を議長において 指名した。 本日委員山本經勝君小林亦治君及び 長谷部ひろ辞任につき、その補欠と して赤松常子君、藤原道子君及び須藤 五郎君を議長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     重盛 壽治君    理事            高野 一夫君            谷口弥三郎君            山下 義信君    委員            草葉 隆圓君            紅露 みつ君            榊原  亨君            赤松 常子君            相馬 助治君            竹中 勝男君            藤原 道子君            須藤 五郎君   国務大臣    厚 生 大 臣 小林 英三君   政府委員    厚生政務次官  山下 春江君    厚生省保険局長 高田 正巳君   事務局側    常任委員会専門    員       多田 仁己君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○小委員長報告健康保険法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○厚生年金保険法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○船員保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) それではただいまから社会労働委員会を開会いたします。  委員異動報告いたします。五月十九日付寺本広作辞任佐野廣選任、五月二十日付佐野廣辞任寺本広作選任、五月二十一日付山本經勝君辞任赤松常子選任、同日付小林亦治君辞任藤原道子選任、同日付長谷部ひろ辞任須藤五郎選任、以上であります。     —————————————
  3. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 次に健康保険法等の一部を改正する法律案厚生年金保険法の一部を改正する法律案船員保険法の一部を改正する法律案、右三案を一括議題といたします。  保険経済に関する小委員長中間報告を願います。
  4. 山下義信

    山下義信君 保険経済に関する小委員会議決に基きまして、小委員会提出せられました諸資料を御配布の上、ここに小委員長より中間の御報告を申し上げることにいたします。  今回の政府提出にかかわる健康保険法の一部を改正する法律案審議に当りまして、去る十日の当委員会におきましては、保険経済に関する小委員会を設置せられまして、谷口榊原、田村、相馬山下の五委員が小委員に、及び私が小委員長に指名されたのであります。  本小委員会は、健康保険財政基礎資料検討するため、十六、十七、十八の三日間にわたって、十名の参考人を招致して開催せられたのでありますが、第一回の十六日には、政府当局を初め、東京民生局保険部長小林栄三郎君、麹町社会保険出張所長須崎保君、社会保険診療報酬支払基金理事長川上和吉君、東京社会保険診療報酬支払基金幹事長尾関三三君より健康保険財政現状並昭和三十一年度保険財政積算基礎について詳細なる説明を聴取いたしました。  小委員会には特に速記を付しておりますので、詳細は速記で御覧を願うこととし、ここには要点のみを申し上げます。  まず政府当局説明によれば、昭和三十年度健康保険勘定は、目下、決算手続の途中でありますが、三十年度予算見込額決算見込額との間に相当開きがあったことを認めております。すなわち、収入面の重点となる保険料収入については、算定基礎となる平均標準報酬月額は、予算見込額一万一千七百円に対し決算見込額一万一千四百五十四円と下廻り、その収納率も当初見込みの九三%から九一・五%と下廻ったのでありますが、被保険者数が当初見込みの五百万人から五百十万六千余人に増加したため、辛うじて十八億円の減収にとどめたとのことであります。また支出面の大部分を占める医療給付費については、前年度未払い分の四十億円を控除しても、予算見込み現実との間に約十億円の開きを示す結果となっているのであります。  昭和三十一年度予算見込額につきましては、この相当開きを示した三十年度の積算基礎と、三十年三月ないし十月の実績より算定したものでありますが、歳入面保険料収入は、平均標準報酬月額を一万二千八十円と算定し、その収納率を九二%とし、被保険者数は三十年度見込数の四%増として五百三十一万人に算定したのであります。  また、歳出面医療給付費につきましては、これが積算基礎となります受診率及び一件当り点数の算出は、いずれも三十年度見込数に二十九年度実績数との比較による増加割合を乗じて算出し、基金事務費を除く一人当り金額を被保険者六千六百六十三円余。被扶養者一千五百八十一円余とし、医療給付費総額は、四百三十七億八千百七十六万二千四百三十円となっておるのであります。  次いで翌十七日には、日本炭鉱労働組合厚生部長佐々木正男君、全日本造船労働組合厚生部長小西昌三君、全国繊維産業労働組合同盟本部員上田豊三君、全日本国立医療労働組合書記長亀山担二君日本医師会会長丸山直友君、栃木医師会成田至君より健康保険医療給付費増減見通しについて見解を聴取したのでありますが、当日の丸山参考人より、三十年度の実績により三十一年度の医療給付費検討推定した注目すべき資料提出があったのであります。  それによりますと、政府予算編成当時の基礎資料は、医療給付費昭和二十九年三月ないし十月までの八カ月と三十年三月ないし十月までの八カ月との両者比較によって算定されているのでありますが、すでに今日におきましては、予算編成当時より時日が経過し、三十年度は全体の数字が明らかになっているのでありまして、二十九年度と三十年度との一カ年間両者比較により政府予算編成のルールに従って計算したものであります。  その結果によりますと、政府予算医療給付費積算基礎となっている受診率及び一件当点数に変化を生じてきたのでありますが、これによって積算した結果は、政府予算の一人当医療給付費八千二百四十五円余が、これを年間実績によって計算すれば、七千九百八十七円余となり、一人当医療給付費についての差が生ずるのであります。従って、被保険者数政府予算通り五百三十一万人とすれば、政府予算基金事務費を除いた医療給付費総額四百三十七億八千百七十六万円余が四百二十四億二千二百八十三万円余と算定され、その差は、十三億五千八百九十二万円余となるのであります。小委員会におきましては、三十一年度予算基礎となっている医療給付費算定に十三億五千八百万円余の開きが出るということが非常に重要視されたのであります。  続いて、十八日の小委員会におきましては、再び参考人として、日本医師会会長丸山直友君、栃木医師会成田至君を招致して陳述を聴取したのでありますが、まず政府当局より、前日の丸山参考人より提出せられました三十年度の実績による医療給付費検討と題する資料について見解を述べられたのであります。それによりますと、丸山参考人資料につきましては、三十年度の実績に基く算定としてこれを認めるが、一人当医療費増加率には高低の波があるので、特に低い増加率を示している三十年度の対前年比率をとって、直ちに三十一年度の見込額計算することは、必ずしも実態を正確に表するものではないから、少くとも過去数年の実績に基いた一割余の増加率を見込むのが妥当であるとの見解を述べられたのであります。これに対し成田丸山参考人は、一人当医療費増加率高低は、昭和二十六年の単価改訂と、二十八年の療養期間延長に際して見られるものであり、最近は入院診療も頭打ちの形となり、一件当り金額推移横ばいないし下向をたどっておるので、これが三十一年度において著しく上昇するものとは思われない、むしろ横ばいの状態を続けるものと述べられたのであります。  なお、丸山参考人より、三十年度実績に基き政府方式と同一の計算によった保険料収入の三十一年度見込額に関する資料提出されたのでありますが。これによりますれば、政府予算より九千百万円余の減収となるものでありますが、これに対する政府当局見解は次回に伺うことにいたしました。  以上をもって中間報告といたします。
  5. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) ただいまの小委員長報告に対する質疑がございましたらお願いをいたします。なお関連して厚生省への質疑でもお願いいたしたいと思います。
  6. 竹中勝男

    竹中勝男君 小委員会を作ってそのように綿密な調査が行われたことについて、私どもはこういう結果がこれほど出てくるものとはむしろ予期していなかったのであります。この調査健康保険全部についての、各項目についての調査ではないと私は解釈しますが、それについてすら非常に意外な結果が出てきております。十三億五千万円というような実績についての結果から、こういう推定開きが出てきた、これはもう動かすことができない実は数字であろうと思います。まだこのほかに相当傷病手当につきましても、現金給付の面につきましても、まだ相当調査しなければならない点があるように私は思うのですが、まず私は小委員長にそのことをお願いしたいと思います。
  7. 山下義信

    山下義信君 ただいま御報告申し上げましたのは、小委員会の、いわゆる中間報告でございまして、ただいまの段階におきましては、この程度のことが判明いたし、検討をせられたということでございまして、仰せの通りに、これをもって保険経済検討が終ったとは考えていないのでございまして、その他の諸点につきましては、なお相当検討する余地があるのではないかとわれわれは考えておるのでございますが、とりあえず三十一年度の保険経済見通しが果してどうであろうかということは、当委員会審議の上に非常に重大であり、かつ大体その大要だけでもすみやかに委員会報告する必要がある、こういう小委員会の各委員の方の御意見でございましたので、とりあえず今日の段階におきましては、ただいま申し上げましたように、まず先般の小委員会で判明いたしておりまする程度のことを御報告申し上げた次第でございます。
  8. 竹中勝男

    竹中勝男君 これを一つ中間報告として私の方は受け取っておるわけでありますが、その中間報告の現在の段階におきまして、こういう結果が出てきたことについて、政府当局はどういうようにこれを解釈されておりますか。一応大臣に、こういう結果が出てたことについての厚生省の御見解をお伺いしておきたいと思います。
  9. 小林英三

    国務大臣小林英三君) ただいま山下委員長から小委員会におきまする中間報告をされました。私どもがこの医療費上昇率について改正案を提案いたしまする前後におきましては、ただいま御報告もございましたように、ことしの二月までの途中でございますか、三月までの途中でございましたか、当時三月から十月までの八カ月間におきまする趨勢を検討いたし、三十年度に対して三十一年度がどのくらいな医療費上昇率があるかということを見、また一方におきましては従来の、過去のいろいろの実績から勘案いたしまして、当時の一割二厘という上昇率があるという見当をつけたわけでございます。この前の小委員会におきましても、私の方からこの問題につきましてはいろいろと御説明を申し上げたことと存じまするが、一方におきましては、従来の、過去の一番上昇率の低かった三年度につきまして検討をいたし、それは一割八分二厘の平均上昇率になっております。また上昇率の一番高かった三年間につきまして平均をとってみまするというと、これが二割五分七厘という上昇率であった。また最近の最も高い三カ年におきまする平均を見まするというと一割、六年間におきまする平均を見ますると一割八分二厘になっております。そういうふうなことを検討いたしまして、厚生省が今日提案をいたしておりまする医療費総額医療費上昇率ということにつきましては、大体一割くらいな見当でやることが予算の立て方においては一番危険がない、こういうような結果からいたしましてやっておるのでございまするから、医師会からお出しになりました二十九年度と三十年度の分子と分母にいたしましての上昇率、これはその通りの事実でございまするけれども予算の立て方ということからいたしまするならば、それのみをもって三十年度を判定をするということは非常に危険がある、こういうふうに考えておるのでございます。
  10. 竹中勝男

    竹中勝男君 そうすると、大臣の一般的な見解を今お伺いしたのですが、たとえこういう数字上の誤差が、見込み違いがはっきりしてきたという事実があっても、なお一割余の増加率を見込むということが妥当であるという御意見なのでしょうか。
  11. 小林英三

    国務大臣小林英三君) そのように存じております。
  12. 竹中勝男

    竹中勝男君 そうしますと、前の政府予算に含まれたものはその一割ではなかったということになりはしませんか。
  13. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 計算時におきまして一割二厘という上昇率を八カ月間において算定をしたわけであります。従いまして医師会から出されました六・九という一年間におきまする数字、それから私どもが八カ月間におきまして出しました一〇%二分という問題はこれはまあ誤差という言葉で申しますと語弊があると思いまするが、今日の立場から考えましてわれわれといたしましては一割の上昇率を見込んだということは、これは予算の立て方としては適当である、こういうふうに考えております。
  14. 須藤五郎

    須藤五郎君 関連しまして……。はなはだ不可解な予算の立て方だと思うわけでありますが、一年置きに高低の波があるということを政府は言っておりまするが、その高低の波の来る理由を私は科学的に説明してもらいたいと思います。ただばく然と一年置きに波が来る、高低の波が来るというようなことではこの問題は解決しない。そこに波が起るならば起る理由がはっきり説明されなければならぬと思います。その点は医師会の方は昭和二十六年度の単価改訂と、二十八年度の療養期間延長に際してこういう高低が出たということをやはりここでちゃんとはっきり説明しているわけでありますが、政府の方はそういう説明をしていない。ばく然と一年置きに高低が起る、波が起る、だから来年は上る、こういう非科学的な説明をしておりますので、政府のもっと科学的な説明を私はお聞きしたいと思います。
  15. 小林英三

    国務大臣小林英三君) この問題につきましては保険局長から答弁さしたいと思います。
  16. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 行政措置あるいは療養期間延長とか、点数の引き上げとかということが、その年のあるいはその次年度以後の医療費影響のあることはこれは事実でございます。さような意味におきましては三十年度の後半期が非常に下ったということも、これは下げるような行政措置がこの年には、三十年度には行われているわけでございます。中身を詳しく御説明を申し上げますれば、一つは金の使用につきまして制限を加えたということ、一つ開放性結核患者入院点数につきまして、従来二点の加算をいたしておりましたことをやめましたこと、それから抗生物質等の投与された場合、あるいは注射の場合にその計算方法を改めまして支払いが減ったということ、そういうふうなことによって、三十年度は非常に顕著に下っておるわけでございます。それで今の御質問は一年置きに高低の波があることについて、医師会の方ではそこに科学的な説明をしておるけれども当局は何ら科学的な説明をしていないじゃないかという御質問でございます。これはこれらのものが影響があることは事実でございます。今のように過去におきましては、医療費増高するように影響いたしました。三十年度におきましては医療費が下降するような影響をもちました。しかしながら、それがどの程度影響があるかということにつきましての数字というものは、なかなか困難な計算等をいたさねばならないのでございます。私どもといたしましては、最近の三カ年間行政措置による影響、それによる数字の補正というものを試算をいたしております。それによりますると、最近三カ年間医療費上昇率は一割一分九厘という数字が出ております。それで、ただいま問題になっておりますることは、三十一年度の医療費が、三十年度よりどれだけ増すかという、将来の見込みについての論争であるわけでございます。で、医師会の御提出になりました御資料は、三十一年度の医療費増高率は、三十年度の増高率と同じ、三十年度の実績と同じ増高率、すなわち六分九厘に当っておりますが、六分九厘の増高率で三十一年度もいくであろうという御意見でございます。政府といたしましては、予算を組みまするときには、先ほど大臣説明をいたしましたように、一割二厘の増高率を、過去の実績等からいろいろ考え合せまして、その辺が妥当であろうという考え方をいたしておるのでございます。ところが、三十年度の下半期におきまして、今のような措置によりまして、医療費増高率がたたかれましたので、従って結果的に見ますると、三十年度年間実績と三十一年度の、御議決をいただいておりまする予算とを比較いたしますると、一割一分八厘の増高率になっております。いずれにいたしましても、政府といたしましては、過去数年間保険財政推移から見まして、特異な年である三十年度だけの増高率を三十一年度にそのまま持っていくことよりは、過去数年間増高率から、幾ら低いときでも一割を割っていることはほとんどないのでございます。高いときは二割五分とか三割とかいう増高率をとっておりまするので、さような観点から、最小一割程度増高は見ておきませんと、これは非常に危険である、こういう考え方をいたしておる次第でございます。
  17. 竹中勝男

    竹中勝男君 私の大臣にお尋ねした点は、政府予算ですでに一割二厘の増高を予定して組んだ予算に対して、こういうように十三億五千万円というものが実績として、これが見込み違いであったという事実が出ても、なお一割の見込みというものを固執されますかと、こういう質問だったのです。
  18. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 政府見込みが正しいか、それから別の、今医師会から提出されておりますような見込みの仕方が正しいかということは、三十一年度の決算、三十一年度が済んでしまわなければわからないのでございます。で、今あたかも実績として十三億数千万円が財源として浮かんだように聞えておりますけれども、そうではないのでございまして、これは、実績は三十一年度の末の決算をして見なければわからないのでございます。その十三億数千万円の開きは、これはあくまでも三十一年度がどうなるかということの意見の分れるところなんでございまして、それを、三十一年度の医療費増高率が三十年度に対して約六分九厘程度増高するか、あるいは一割ちょっとぐらい増高するかと、こういう見方の相違なんでございます。
  19. 竹中勝男

    竹中勝男君 私の質問してしるのは、三十年度の決算に基いて、あなた方が三十一年度の見込みというものを推計されたのです。ところが推計に対して実績が出てきた、実数が出てきたわけです。その推定実数との間に十三億数千万円の開きが出てきたのです。こういう事実をあなた方認めておられるわけなんです、実績について。三十年度ですよ。だからその三十年度を基礎として三十一年度の予算を組まれた。そうして一割見込みをつけられたわけです。その一割何分かの見込みというものは、あなた方は、まだそれをそのまま認められるわけですかということをお尋ねしているのです。
  20. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 三十年度の医療費現実において、私ども見込みましたのよりは若干下回っておる、これは十三億数千万円という開きではございませんけれども。それは三十一年度の予想の場合に十三億という数字が出てくるわけでございますが、医療費実績が下回っているということは事実でございます。ところが、それには先ほど申しましたように、九月からの特別な措置というものが加わっております。従って私どもは三十年度の後半になりますれば、毎年九月からは医療費は下るのが従来の例でございますが、毎年の例より以上に下るであろうということは当然予想をいたしておりました。従ってその予想通りに下って参りました。しかしながら、三十一年度の医療費の、三十年度の実績に対する増加割合というものは、その三十年度特別な措置を加えたそのときの増加割合を、そのまま用いることはできない。やはり過去数年間動きというものを見まして、三十年度は異常な年でございまするので、その過去の長い間の動きを見まして、一割程度を見込むことは当然なさなければならない、こういうふうに今日でも考えているわけでございます。
  21. 山下義信

    山下義信君 関連して……。私は質問というよりは、これは小委員長に対する竹中委員質疑から関連して、政府への御質疑になっておりますので、私は小委員長といたしまして、論点を明らかにいたす義務があると思いますので、簡単に申し上げたいと思います。  政府は、過去三カ年間平均増加率基礎にして、そうして翌年度予算編成のときには、それに若干の政府見方を、プラス・アルファを加えてそうして増加率を出す建前をとっているのだと、こういうことであります。でありまするから、政府の三十一年度保険経済見通し増加率というものは、必ずしも数学的な科学的な根拠に立脚したパーセンテージが出ているものではなくして、いかにも科学的なパーセンテージが出ているように見えるけれども、ある程度政府自体の主観的な見通しというものがそこに入っているということを、政府自身が言っているのです。それでしからば、過去三年間平均値をとるということに、いかなる科学性があるかということを、先ほど須藤委員質問されたのであります。過去三カ年間というものは非常に高低の波が激しい、そのときどきの法律改正及び行政措置、いろいろな見方によります医療費動きがあるのでありますから、非常に高くなったり、非常に低くなったりしているのであって、過去三カ年間平均値というものは、三カ年のいろいろなそういう行政措置による影響部分を除いて、ノーマルの自然な増加情勢をそこに正確に把握して参りましたならば、三カ年の平場増加率というものもあるいは多少合理性があるかわかりませんが、不合理のままで平均値をとったということでは意味をなさないのでありまして、しかも過去三カ年の平均値をとったという三カ年のうちの一カ年の三十年度というものは、すでにその実績がくずれてきている。政府の三十年度の三月から十月までの八カ月間、こうあるであろうと見込んだことが、三十年全部の十二カ月間の決算、これを見ますというと、政府が三カ年間平均といっている三カ年のその一年分の三十年度は、すでに政府見込みと狂っている、こういう事実が目の前に来ている、医師会資料というものは三十年度十二カ月の決算数字を、これをつかまえ、そうして二十九年度のすでにこれまた決算の動かすべからざる数字をつかまえ、双方とも正確な数字の上に立って、二十九年度から三十年度の増加率をここに打ち出してきているのでありまして、この見方が三十一年度の見通しの上に正しい見方であるか、政府のように非常な不安定な過去三カ年をつかまえて、しかも非常に不安定な見通しの上に立った予想で三十一年度の赤字が六十七億出るというこの見込みと、果していずれが現実に近く、果していずれが正確性が高いかということが論争点になっているのであります。  それからいま一つ、そこで増加率がかりに定まったとします。その増加率が定まって、三十一年度はこれだけ増加するであろうという見込みが一応きまったとしましても、その一割一厘増加するであろう、あるいは一割一分増加するであろうというその見込みは、何にかけるかということです。政府は三十年度の予定数字にかけているのであります。すなわち、実際の決算とは予想が狂っている当初のその予定数字に、政府増加率をかけているのであります。日本医師会はすでに決算の終った三十年度の実際の数字増加率をかけているのであります。でありまするから、かけ合せるところの相手方の三十年度の実績というものが、政府は当初の見込みの不安定な数字にかけている。日本医師会はすでに決算の終った実際の正確な数字にかけている、こういうことでございまするから、その答えが、三十一年度の見通しに対してはいずれが現実に近いか、いずれに正確性があるかということが論争点になるはずでございます。しかも私どもがなお検討の途中であると申し上げましたのは、政府は三十年度のこの予想数字に基きまして一件当りどれだけの点数がかかるかという予想を出しているのでございます。たとえば入院につきましては一〇四四・三二六、あるいは入院外につきましては六一・七一七等々の数字をお手元の資料にありまするように出しているであります。これを日本医師会が三十年度の決算のすでに終ったその数字によりまして一件当りの点数を出すということになりますと、政府と非常な差が生じてくるのでございますけれども、これは日本医師会がそこまで作業をしていないのでございます。でありますから、私は小委員会報告としては、これは申し上げておりません。しかしこれをなお検討を続けるということになりますと、ここに数億の新たなる数字が出てくるのでございます。しかもその一件当りの点数基礎にいたし、三十年度の実績に基きまする増加率というものをここに求めまして、そうして将来の三十一年度の医療費がいかなる状態になるかということを、これらの日本医師会等の提出いたしました数字に基きまして計算をいたしますというと、なお数十億の金額の相違が出てくることになるのでございます。しかし小委員会におきましては、なおそこまでの検討はいたしていないのでございまして、ただいまの段階におきましては、最初に申し上げましたような三十年度対三十一年度の増加比率の求め方の論争、その求めた増加率を何にかけるか、三十年度の政府予算数字にかけるか、三十年度の決算数字にかけるかという程度論争のみで、十三億数千万円の差が生じてきた、かような段階でございますので、小委員会検討の経過を御報告申し上げておきたいと考えます。
  22. 竹中勝男

    竹中勝男君 今の山下委員長説明でもはっきりとなっておるのです。さっきから私の聞いているのもその点なんです。三十年度の予算見込み数字推定数字というものから、一割の増加率というものを決定するのには、推定数字というものが一つの考慮の要素になっておったということははっきりしておるのです。ところがこの実数というものとの間に、十数億の開きが出てきた、それでも依然として一割何分という増加率はその通り見込むのが正当であるかどうかということを私は質問しておるのです。
  23. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 私どもが三十一年度の予算を推計いたしまする際に、三十年度の年間実績は出ておりませんでしたから、三十年度の見込み数字増加率をかけましたことは、これは事実でございます。その数字は先ほど申し上げましたように、一割二厘を三十年度の見込み数字にかけて三十一年度を出しておるわけでございます。ところが三十年度はその後経過をいたしまして、今日では支払いの方だけには実績が出ております。その実績予算額とを比較いたしますと、実績に対して一割一分八厘——見込み額には一割二厘でございましたが、一割八厘をかけますと、三十一年度の予算議決を願った金額が出るわけでございます。で、予算でかけておりましたときには、見込み額に対して一割二厘をかけると三十一年度の予算が出る。それから三十年度の実績に対して一割一分八厘をかけると三十一年度の予算が出る、こういう関係になっておるわけでございます。  それから先ほどの、いろいろ行政措置があって不安定なものを用いておりますることは事実でございまするけれども、しかしこの不安定な数字を過去六カ年間そのまま平均いたしますると、一割八分二厘の上昇率になっております。それから六カ年間のうちで一番低い上昇率の三年だけを抜き出して考えましても、一割八厘の増加率になっております。最近三カ年間上昇率を不安定な部分を除きまして、補正をいたしまして、平均をいたしますると、一割一分九厘という上昇率になっております。これは三十年度も含んでの話でございます。さようなわけ合いでございまするので、確かに先ほど小委員長の御指摘のように、三十年度の実績というものは私ども予算編成当時わかっておりませんでしたので、これは三十年度の見込み額に対してかけておりますることは事実でございます。しかしながら、その結果は一割二厘が一割一分八厘ということになったわけでございます。そこでこの数字が結果的に三十一年度の上昇率として妥当であるかどうか、この数字一割一分八厘よりは、三十年度の上昇率実績である六分九厘を三十一年度の上昇率と見る方が妥当であるかどうか、こういう将来の上昇率についての意見の分れ目でございます。私どもは、先ほど申し上げましたように、一割一分八厘程度上昇率の方が妥当である。三十一年度の六分九厘という上昇率は、先ほど申し上げましたように特別の措置が加わっておるのであるからして、それをそのまま三十一年度の上昇率と見ることは非常に危険である。こういう見解を今日も変えておらないのでございます。
  24. 竹中勝男

    竹中勝男君 小委員長にお伺いしますが、この三十年度の入院診察及び一件当りの金額の推移状態が頭打ちあるいは横ばい、あるいはさらに下向きになっておるという点について委員会は……、従って三十一年度においてもそう上昇するということは思われないという報告があるわけですが、この点については小委員会においては相当重要視されておると思いますが、どういう委員会の解釈ですか。
  25. 山下義信

    山下義信君 ただいまのお尋ねでございますが、小委員会は結論を出しておりません。ただいまの段階では検討いたしましたその審議の経過を御報告申し上げておりますのでありまして、これらの資料につきましての小委員会見解、すなわち結論というものはまだ出していないのでございます。従って私も小委員長といたしまして、結論の出ていないものに対しまして所見を述べることはできないのでございますが、ただいま仰せになりました一人当りの医療費の漸減の傾向というものは、これはもちろん小委員会は非常に重視いたしておりまして、これは大問題であるということは全員の一致しておるところでございます。ただ、どこまでこれをなお検討を続けていくか。またこれらの結論に対して小委員会がいかなる見解を表明するかということはまだ御相談も申し上げていないのでございますが、御指摘になりました三十年度の実績から推移いたしまして、参考人の諸君が述べられたそれらの資料というものの重大性は小委員会は非常に注目しておりますことは事実でございます。
  26. 相馬助治

    相馬助治君 ただいまの小委員長竹中委員に答えられた通りでございますが、それに関しては特に小委員長のお計らいで社労委の委員全部に小委員会における資料が配付されているはずでございますが、今のことに関しては、栃木医師会を代表した成田至君が図表をもって理論的に、かつまた実際的に説明した資料が一部あります。それから丸山直友君が提出いたしましたこれまた図表による資料があります。これは全く実態をグラフに書き表わしたものです。この二つの資料によって今の点は大かた推測できるのではないかと私自身は小委員会において考えました。
  27. 竹中勝男

    竹中勝男君 この点が非常に重要なんです。三十年度は決算をやってみてこういう結果になってきた。すなわち上昇率というものは三十年度においては六分九厘だ。そうして小委員会報告によるとおそらく三十一年度においてもこの上昇率というものは少くとも現状よりも上回って上昇するとは思われないという報告が出されておるのです。でこの健康保険の改正ということの根本は赤字をどうするかという対策なのでありますが、これをこの対策の一つとしてこれを被保険者、あるいは事業者に負担をかけてくる、あるいはその他の措置によって受診率を下げる、あるいは不正を衝いて乱診乱療を防止する、こういう重大な問題、重大な措置によってこの赤字を解決しようとしておるので、国家財政に余裕がないときに、しかも、被保険者の生活が追い詰められておるような現状であるときに、政府がなお一割余の増加率を見込むのが正しいのか、あるいはさらにそれ以下の増加率というものにおいて押えていくことが正しいのかは、おのずから明らかです。それによって保険の赤字の見込みというものが大きくなれば、一部負担だとか、あるいは診療の制限とかいう形で、これが被保険者、医療担当者に押しかぶってくることになるのでしたら、一割有余の増加率見込みというものが絶対に正しいのだという、こういう政府説明は、私は十分検討されなければならないと思う。いわんやさらにこの小委員会報告に、委員長報告にもありました通り、さらに他の項目について同じ操作をするならば、おそらく数億円、あるいは十数億円のさらに推計と実際との間に開きが出てくるだろうと、こういう段階においてわれわれが審議するわけでありますからして、この上昇率ということの見込み上昇率を過去三年においてつかまえてきたのです。それをどこまでも押すのか、あるいはさらにこの上昇率を下回ってわれわれが考えなくちゃならないかということは大きな問題になってくる、根本問題になってくると私は考えておりますので、さらに十分この点については小委員会の方においても上昇率検討というものもあわせて必要になってくるのじゃないかと思います。またこの委員会が直接これをやるべきだとも思っております。  それからこの報告の中の最後に九千百万余円の減収となると、これに対する政府見解は次回に伺うことになっておるという報告ですが、この点についての政府見解をお伺いしたい。
  28. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) かような計算をいたしまする場合には、九千万円ばかりの減少見込みになると、収入が減少見込みになるというこの資料については、別にそれは間違っておるとか何とかということではございません。これはかような、あくまでも将来の問題でございますから、来年の問題でございますから、その通りになるだろうと、計算をいたしますればその通りになります。ただし、ここでちょっと申し上げておきたいのは、支出の方で十三億数千万円の減少を見込んだらいいであろうという御意見と同じ、すなわち三十年度の収入の上昇率実績をそのまま三十一年度の伸びとして計算をいたしまするならば、収入の方では六億円の減少になります。この九千万円の減少というのは、三十年度の上昇率と二十九年度の上昇率平均をいたしまして計算をいたしますと九千万円の減少になります。三十年度だけの実績でいきますと約六億円の減少になります。かりに前年度と三十年度との平均上昇率を使いますと、支出の方では政府見込みより、二、三億円の増加になるという計算になります。御質問がございましたので、さようなことを申し上げました。
  29. 相馬助治

    相馬助治君 関連して。今竹中委員が問題に供している点については、栃木医師会を代表した成田君の意見がかなり詳細に述べられているのです。ここで便宜上小委員長よりその概括を報告の形でお答え願えば、竹中委員の疑念があるいは晴れるのではないかと思います。
  30. 竹中勝男

    竹中勝男君 実は私もそれを求めようと思っておったのです。
  31. 相馬助治

    相馬助治君 さよう取り計らわれますように……。
  32. 山下義信

    山下義信君 成田参考人提出されました資料は非常に膨大でありまして、かつ非常に精密な資料でございまして、小委員会は、従いまして成田参考人意見の大要は聴取したのでございますが、これらの資料につきましての検討はまだ十分完了していないのでございます。従いまして先ほどの小委員長報告には、主として日本医師会提出資料につきましての十三億余円のその計算につきましての御報告を申し上げましたのですが、成田参考人資料によりますと、二十九年度、ことに三十年度の実績について非常にこの医療費の増減の趨勢にそれらの原因、結果等に対しての科学的検討が加えられまして、そうしてこれが詳細に分析がせられてあるのでございます。大体日本医師会と同じ方式でございますが、三十年度の決算数字に基きまして二十九年度、三十年度のこの医療費の趨勢の検討の結果、詳細なる計算歳出面に加えますと、医療費のみならず傷病手当金その他の現金給付の全般にわたりましてこの収入、支出の検討を加えますると、政府見込みよりは、三十一年度の支払いはおよそ四十億円前後減少すべきであるという結論が出ておるのでございます。従いまして、日本医師会資料比較いたしますと、さらに二十七億円余の、三十一年度保険経済には政府予算よりはそれだけの余裕が出てくるはずである、医療費の支払いが減少すべきである、歳出が減少すべきである、こういう御意見でございます。しかし、その御意見に対しましては、小委員会といたしましては、なお具体的な検討は保留いたしておるという実情でございます。
  33. 赤松常子

    赤松常子君 一、二ちょっと政府にお尋ねしたいのでございますが、三十年度が特異の年であったという理由に、特別のいろいろな行政措置をお講じになった、このことにつきまして一、二ちょっと私お尋ねしたいのでございますが、それは三十年度だけで打ち切られるものであったのでしょうか、その点をちょっと伺いたいと思います。
  34. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 三十年度に行いました特別な措置というのは、まあ簡単に言いますれば、お医者さんに対する支払いを少し低くなるような措置を加えたわけなんでございます。点数の切り下げでございます。これは医療協議会に御諮問をいたしまして、その答申を得て実施をいたした措置でございます。かような措置は実はここ、過去におきましていたしておりません。今までの行政措置というのはどちらかといいますと、医療費がふくれるような行政措置ばかりでございます。三十年度はそういうふうな措置をいたしたのであります。それで、その措置は三十一年度にも同じようにずっと続いていくわけでございますが、今論争になっておりますのは、上昇率の問題でございますから、その措置は続いてはいきますけれども、続いていくということは上昇率には影響ないわけでございます。同じような金額になっていけば上昇率というものはゼロでございます。私の申し上げておるのは、三十年度にそういう措置を加えて、そうして二十九年度と比較してみると上昇率が下ってきておる。それは途中でそういう措置が加えられておるということを頭において三十一年度には考えなければいけないということを申し上げておるわけでございます。
  35. 赤松常子

    赤松常子君 そうすると、これは三十一年度も続いてずっと継続されているということなんですか。
  36. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) その措置の結果は三十一年度にも三十二年度にもずっと続いていくわけなんであります。そういうことでございます。
  37. 相馬助治

    相馬助治君 実はただいま問題になっている小委員長中間報告で一番やはりわれわれの関心事は、赤字の算定政府の申しておるのと日本医師会の申しておるのとの間に十四億に近い数字が出てきたというこの点です。この根拠をなすものは、一人当りの金額が幾らであるか、これが一番問題であって、一人当りの金額に五百三十一万人をかけたものが総医療費でございまするから、これが一番問題なわけです。そこでけさほど成田参考人が私のところへ参りまして、山下委員長に私を経由して、なお私がそろばんを入れて正確を期して資料として提出してほしいという草案をもらってあるのです。これは非常に注目すべき数字が出ておりますので、山下委員長報告する前にいかがかとは存じまするが、概略報告申し上げますと、政府が考え、かつまた日本医師会が今般とったのは、入院についてあるいは入院外について、あるいは歯科について一件当りの点数を出し、一点当りの金額を出し、これを受診率にかけて一人当りの金額を出すという方式をとっておるのですが、成田氏の考え方によると、一人当りの医療費というのは全医療費を被保険者の数で割ったものである。全医療費というのは何だといえば、被保険者の数に受診率をかけて一件当りの費用をかけたもので、これを被保険者の数で割ったものだ。そうすると分母と分子にあるところの被保険者数というものをどちらも消しますと、一人当りの医療費というものは、受診率に一件当りの費用をかけたもの、こういう計算を綿密に実態に徴していたしました結果、一人当りの金額が七千九百八十五円十一銭二厘と出て参って、この数字というものが医師会が発表しておりまする七千九百八十二円二十一銭一厘あとでこれは訂正してありますがちょっと、これと非常に近似値を示しておるのでございます。こういう角度からいたしましても、この日本医師会資料というものは、私は信ずるに足ものだと思う。同時に厚生省が考えている赤字というものは、どうしても間違っているのではないかと、かように推定されるので、この場で成田参考人のこの資料を御披露いたしておきます。あとで山下委員長提出いたします。
  38. 竹中勝男

    竹中勝男君 きょうは、この中間報告について、まあ一、二の私は質問をいたして、ほかの、私一人がこうやって質問しているような形で恐縮で、やめますけれども、しかしながら、この医師会報告一つを見ましても、きょうの中間報告一つを見ましても、政府の赤字の判定というものに非常な見込み違いがあるということが、はっきりしてきたのです。これはこういう法律を改正する法案を出すときに、しかも相当これが問題を起して、これに反対する意見の人の、医療担当者もこれに反対し、被保険者もこれに反対しておるのを、政府がどこまでもこれで押し通すというような形で、この予算を伴う改正案を出してこられた。それに対して、こういう大きな計算の赤字の分析の誤謬が、そこにひそんでおった、少くとも見込み違い推定違いがあったということは、私はこれは大きな一つの責任じゃないかと思います。こういう点につきましては、今後さらに審議を重ねる上において、もっとはっきり私はしていかなければ、この審議は決して結論にはこない、あるいは重大な修正、あるいは原案に対する根本的な、われわれが見方を持って対さなければならないことになると思いますが、一応私は政府に対して、そういう重大な責任があるということをはっきりここで申し上げておきたいと思います。同時に今、相馬委員からも、山下委員からも報告がありましたが、成田博士の言われたところの計算というものは、さらにこの医師会計算よりも大きな実績に対する、決算に対する差が出てきておるわけでありますが、三十一年度の支払いが約四十億も減少するだろうという、こういう計算が出てくるわけでありますが、根拠が、日本医師会と大体同じような根拠により、そうしてあるものの数値は、これに近似しておるというようなところから見てもざらに私は、小委員会におきまして成田参考人資料を十分検討していただきたい。小委員長、そういうお考えを持っておられますか。委員として希望しておるのですが、ぜひやっていただきたいと思っておるのです。
  39. 山下義信

    山下義信君 小委員会は今後どういうふうにこの問題を検討をしていくかということは、御相談を実は申し上げていないのでございますが、おそらく私の考えといたしましては、他の小委員の各位も、これは徹底的に他の部分につきましても、あるいはまたそういうふうな誤解が、招致いたしました参考人が正式な発言があり、そういう資料提出のありまする以上は、もとより竹中委員の仰せのように、これに検討を加えていかなければならぬのじゃないかと思いますが、しかし、それは当委員会がそのように御決定になり御命令になりますれば、小委員会の方は全力をあげまして、なお十分検討を続けていきたいと考えております。
  40. 竹中勝男

    竹中勝男君 ちょっと今の私の前のに関連、私の希望としては、成田委員会参考人資料を十分検討していただきたいと同時に、さらに傷病手当金のことについては、まだ触れていない。それから現金給付の問題についても調査を願いたい。これは非常に重大な数字上の結果がそこに出てくるだろうと思いますので、希望として申し上げておきます。
  41. 須藤五郎

    須藤五郎君 私も今の御意見に御賛成申し上げたいと思うのですが、第一、きょう政府からもらいました厚生省保険局の資料によりまして、最後のページにある「一人当金額実績による翌年度見込額調」という表がありますが、これはもう毎年見込額実績とは全くかけ離れた数が、一つも当っていないのですね。こういう点から見ましても、今度のやり方というものは、僕はおそらくずさんなものが出てくるのではないかと思いますので、今厚生省でやっておる一割増しということが果して妥当であるかどうかということも、これももっと私は検討しないと、この表を見たって、ずいぶんでたらめだと思う、私は、一年といえども当っておるところは、一つもないのです。
  42. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) この表は、先生、医師会のような計算の仕方をするとこういうふうなことになります。この見込額というのは、ああいう計算方式でやると、実績とこういう開きがありますという表でございまして、これが政府見込額という資料ではございませんですからどうぞ。  それから竹中先生のお話の中に、政府は十三億の見込み違いをやったじゃないかというお話でございますが、これは三十一年度の末になってみませんと、どっちが見込み違いなのか、これはよくわからないのでございます。その点を申し上げておきたいと思います。  それから赤松先生の御質問の、先生の御質問の御趣旨をもう少し私考えてみましたのですが、おそらくこういうことを申し上げたらば御理解がいくのじゃないかと思います。三十年度の増加率六分九厘に三十一年度の増加率をとどめようとすれば、三十年度にやったような切り下げの措置をもう一度やらなければならないという理屈になるということでございます、逆に言えばですね。それを先ほど、その措置はずっと続いていくものであるけれども増加率には影響はないのだということを申し上げたのでございますが、簡単な理屈をいえば、そういうことになるわけでございます。
  43. 相馬助治

    相馬助治君 この際、私は厚生大臣にその見解を承わっておきたいのですが、その前に、十八日の小委員会の、丸山成田参考人政府側とが出ておりまする十八日の小委員会速記録を、大臣は静かに読まれていただきたい。そうして両参考人の結論の基礎としておる問題と、その数字に対する物の考え方と、これに対応して政府がいろいろ陳弁これ努めたけれども、その論理が、私どもから言わしめれば、体をなしていない面が二、三あったという点について、ぜひ速記を参照して、大臣は読まれてほしいということをお願いしておきます。  次に大臣見解を承わっておきたいと思うのですが、ことは数字の問題ですけれども、大きな政治問題ですから、大臣、直接お答えを願いたい。  厚生省予算を作る場合に、私は膨大に見積るということは認めます。それは何かといえば、減らそう減らそうとする大蔵官僚を相手にして、高田君を初めとして、保険経済の大もとをあづかる事務局の人たちが、ともかく大きな予算を出して、いささか値切られても、どうにか保険財政をもっていこうとして、算出をすることは容易に考えられることでございます。また一面、医療従事者である医師、歯科医師、薬剤師、そういう人たちのことを考えても、日本の医療制度の前進のためにもそれらの人々に給付すべき財源をより豊かに厚生省は確保するという努力、これは私どももよく了解をいたします。本日一割何分かの増加率を見たことは、問題でないかということが委員によって問題にされておりまするが、私どもの焦点はそこにあるのではなくて、今般はこの厚生省が大蔵省やあるいはまた医師会、歯科医師会、薬剤師会等の医療従事者のために予算を膨大に見積ろうとする、普通ならばいわゆる善意の意思というものが患者の一部負担という意味で逆な作用をなしているのでございます。すなわち、いろいろ議論は言いますけれども健康保険法の一部改正は、赤字を埋めて、この辺で抜本的な措置を講じなかったならば、日本の社会保険制度というものは財政の面からくずれる。しかも三千万に及ぶところの未加入者のことを考えると、負担の均衡という点から考えても、患者に一部赤字を負担させるということは、赤字が現実にあるのだからやむを得ない、これが厚生省の言い分なんだ。従って私どもはその言い分はわからなくない。そこでまじめに赤字というものを調べてみようという気になって、保険経済に関する小委員会を私どもは作り、慎重審議をいたしたのです。ところが日本医師会並びに成田参考人の持ち出した資料というものは何ら新規なものでない。珍しいものでないのです。政府が発表している月報の数字基礎とし、なお予算基礎となる計算の仕方は、全部これ、政府がとった計算の方式をとっておる。そうして政府がわれわれによこした資料には推定分が、医師会がはじき出した資料推定分より多くある。これはやむを得ないと私どもは了解するのです。予算編成時期より、今はだいぶ月がたっておりますから、了解いたすのでありまするが、この二つの資料を並べたときに、材料になっておりまする推定部分医師会の方が少いのです、政府より。そうしてその医師会計算によれば十四億ばかり赤字の見込み違いがあると指摘しておるのです。大臣、ここにおいてあなたは政治的にこの問題とどういうふうに対応なさろうとするものでございますか。私は難題を吹っかけるのではなく、しかもまたここで即答いたしかねるという筋のものでもなかろうと思うのでございます。従いましてここで大臣見解を承わって、そうして御返答次第によっては、先ほど竹中委員が指摘しておりまするように、山下委員長になお調べろということでなくて、委員会において、この小委員会においてなお調査しろという態度を決定していただいて、われわれはなおなお真剣にこの赤字の問題を精査してみなければならないと、かように考えておるわけでございます。大臣の所見を承わりたいと存じます。
  44. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 相馬さんの御意見のありました先般の小委員会におきまする速記録につきましては、十分に検討いたしたいと思います。  なお後段に御質問になりました点でございますが、健康保険改正案を出すにつきまして、この今日の毎年累増いたしておりまする赤字、また健康保険そのものをいかにして再建していくかというような問題につきましては、当時私も相当に頭を悩ましたのでございまするが、政府からも補助金を出してもらい、また標準報酬も引き上げ、また今日の健康保険の状態におきましては、被保険者からも一部負担をしていただいて、そうしてこの健康保険の今後の健全なる運営をはかりたい、こういう考えからいたしまして、大蔵当局ともその当時いろいろの折衝をいたしたことはその通りでございます。しかし、厚生省といたしましては、保険料収入にいたしましても、あるいは医療費上昇率にいたしましても、今日までのあらゆる数字検討いたしまして、これならば適当であろう、こういう問題につきまして決定をいたしたのであります。しかしながら、この問題につきましては大蔵省とももちろん折衝をいたしましたが、御承知のように、大蔵省といたしましては、大蔵省自体の保険料収入あるいは支出につきましての数字もございまして、厚生省厚生省といたしましての数字もあったことは事実でございますが、しかしこの問題は、両省におきましても十分に突き詰めてさらに検討し、お互いに何度も検討いたしまして、最後にまとまりましたのが、今日私ども見込みをいたしましたいわゆる保険財政の問題でございます。今日小委員会におきましていろいろ御検討になっておりまするのは、いわゆる私どもといたしましては三十年度の途中でございましたから、先ほど申し上げましたように、三月−十月の八カ月間につきましての検討をいたしたのでございます。しかし医師会が出しておられますることは三十年度一カ年間におきまするものと、二十九年度の一カ年間におきまするものとの関係におきまする上昇率でございます。今日の段階といたしましては、しからば三十一年度においてはどのくらいな上昇率を見るのが適当であるか、いわゆる日本医師会が仰せられておりますような、資料を出されましたような、六九%によって三十一年度の上昇率を見るのが適当であるか、あるいは私どもが今日申し上げておりますような上昇率において見るのが適当であるかということの判断だろうと考えております。私どもは今日、過去のいろいろな実績から考えまして、今日私どもが考えておりまするような上昇率において三十一年度の医療費上昇率を決定し、これらの計算をすることが適当である、こういうふうに考えておるのでございます。
  45. 相馬助治

    相馬助治君 この問題は見解の相違というようなことでは片づけられない数字の実態の問題なのでございまするから、なおなお大臣においてはこの問題について検討をしてほしいと思う。これに関しましては、なお突っ込んでお聞きしたいことがありまするが、しばらく質問を保留して、あるいは高野さんなんかの聞きたいところもその点かもしれませんからちょっと保留いたしまして、次の問題を一点だけ私は関連して聞いておきたい。  これは鳩山内閣が昭和三十一年度予算を三月三十一日までに本年は成立せしめて、すなわち三月二十七日に、年度内に成立せしめて大手柄だと政府自身も誇り、新聞も書いたのですけれども、私どもから言わしめるとまことに解せない。予算関係の法律案がこうして今難航しておる。健康保険法が、この法律ができたという見込みの上に立って昭和三十一年度の当初予算が組まれておるわけでございます。従ってこの予算が難航するにつけても、この健康保険法の一部改正法律案が難航するにつけても、この法律案の行方によってはこれは予算上重大な問題に遭遇するはずでございます。そこで問題は厚生省の一部から流した悪質なデマかどうかは知りませんけれども、この健康保険法の一部改正法案が流産等とならば、政府が三十億を支出することを決意し、予算に計上しておくこの三十億分までもあるいはふいになるぞ、こういうことを言うて、人のよい全国のお医者さんたちにどうかつを食らわしているという事実を聞いたのですが、何か大臣がお気づきの点がございますか。さようなことはないと思いまするが、まあ人格者であるあなたのためにも老婆心ながらあえて好意的に質問しておくわけなのでございます。
  46. 小林英三

    国務大臣小林英三君) ただいま相馬さんが御質問になりましたような点につきましては、私は全然関知しておりません。
  47. 相馬助治

    相馬助治君 了解します。
  48. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は保険局長に伺いたいのでありますが、この次年度保険財政予算を立てられるに当って、過去の何年か——かりに三年としておきましょうか、三年分のいろいろなデータをもとにして予算編成する、こういうような今のお話である。ところで先ほどから小委員長や皆さんからもお話があった通りに、過去の三年間といたしますれば、その最初の二年間ははっきりした数字がきまっているわけなんです。あとの前年度は一応見込みを立てていくより仕方がない。ところで今回は、たまたま予算にひっかかったこの問題が、三十一年度に入って前年度たる三十年度の決算がわかったためにここにいろいろな論議が沸騰してきた。昨年まではたとえば三十年度の予算について吟味する場合は、二十九年、二十八年、二十七年、こういう三カ年についてのデータを基礎にしてやられた。二十九年度の場合は、その前年度たる二十八年、二十七年、二十六年、こういうふうになるわけです。ところで、三十年度の予算を組まれる場合においてもやはりその前年度である二十九年度のことは、これは見込みでいくより仕方がない。二十九年度の予算を組む場合でも、その前年度たる二十八年度は見込みを立てるより仕方がない。その前の二年だけがはっきりした数字である。これは予算編成上私はやむを得ない当然のことであろうと思います。そこで前年度の見込みがもしも非常に危険であるというならば、その一番新しい前年度は見込みをやめてしまって、一年おいた前のたとえば三十一年度の予算を考えるならば三十年は見込みだから危ないからといってやめてしまって、二十九年からその前にさかのぼった古いデータで——古くないかもしらぬが、いくより仕方がない。こういうふうに私は考えるわけです。そういたしますと、今度はたまたま三十年度の分だけはわかった。そうしてあと二十八年、二十九年の分もわかったというのが三十一年度の今度の予算を吟味するについての特殊事情として出てきた。初めてこれは出てきた問題である。ところでこれについて、その前年度は見込みでもってそれを基礎数字にしなければならないということで今日までやってこられたわけで、これは当然やむを得ないやり方だと私は思うけれども、その結果——前年度の見込み基礎にされた結果、非常に予算決算との間に見込み違いが起ったから、そのために思いがけない赤字が出たものであるかどうかということが一点疑問に出てくるわけです。と同時に、来年度分を私は考える。三十二年度の予算を考える場合には、従来の筆法でいけばやはり三十二年度の予算は、その前年度たる今年の三十一年度は見込みでいって、見込み数字を土台にするほか厚生省として私は措置のしようがなかろうと思う。そこでかような論議がやかましくなって、前年度の見込みというものはきわめて怪しいということになるならば、三十二年度の予算の場合は三十一年度の見込みは全部やめてしまって、そうして三十年、二十九年、二十八年、こういう確定した数字基礎にして三十二年度の数字を持ってこなければみんなの満足を得られない、こういう事態になってくる。これはこの健康保険だけでなくして、各省あらゆる問題について起る私は問題だと思う。そこで、その意味において私はこの問題を重視しておるわけです。そこで、通産省にしても農林省にしても、各方面のあらゆる予算を組む場合、前年度は新しい事態を加える、その前年度については、どの省においても、どの問題についても見込みでいくよりほかしようがない、その見込みがなるべく誤差がないような見込みを立てなければならぬのは当然であるけれども、この見込みが怪しいとなるならば、これは各省政府、各行政機関にも予算編成上に非常に大きな影響を及ぼすことになると思うので、私はこの点についてまだ小委員会のこの資料はきょう初めていただいて検討しておらぬので、そこでこれに対する是非の論は私は御遠慮いたしますけれども、この将来のあり方についての重大影響を考えました場合、過去三十年度——前年度の予算編成、その前の予算編成のあり方を考えた場合に、本年度だけが特殊なる事情のもとに論議が今日展開される、こういうことになるわけでありますが、この点についてどうお考えになりますか。これは私がどういうふうに質問の方向を向けたらいいかわからぬけれども、私の考え方としては、今日は三十年度の前年度はわかったけれども、前年度は正常の場合は見込み数字でいくよりほか仕方がない。そこでその前のきまった数字と合せて平均のデータを出していく、そこでその後のいろいろの医療の傾向を見込んで、被保険者の増加その他受診率の増加現象、そういう現象を見込んで今の予算を立てるよりほかないと私は考える、その見込みが非常に狂うならばこれは非常に問題でありますが、狂わないようにしていかなければならない。来年の予算編成のこともあるので、私はその点を案ずるわけでありますが、これらの点についてどういうふうにお考えになるか。大臣からでも保険局長からでもけっこうでありますが、確信がある見込み平均数字を出すのだ、こういうことになるかどうか、一つその点をまず簡単に御見解を伺いたい。
  49. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 高野さんの予算編成上の立て方という問題でございますが、私はこれは単なる健康保険財政ばかりでなしに、国家財政の各省すべての予算にわたりまして、過年度におきまするいろいろの実績を勘案いたしまして、そうして立てるべきものであると、こういうふうに考えております。
  50. 赤松常子

    赤松常子君 私は今、相馬委員の御発言でちょっと疑惑が生じた次第でありますが、先ほど須藤委員政府のお立てになりました見込み違いの点につきまして、政府の御答弁では、医師会見込みと、それから政府側の見込みと違うのは、何か算定基準というものが違うように私受け取った次第です。ところが医師会見込みは、いろいろ計算相馬委員の御発言によりますと、厚生省発行の月報から数字を出して見込みをお立てになっているということの御発言があったわけで、私ども聞いておりましてどうもそこに一つの疑惑が生ずるわけであります。小委員会でもどうぞその点を納得のいくような結論をお出し願いたいと御要望申し上げておきます。
  51. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) ちょっとお諮りいたしますが、先ほど来から竹中委員、その他からの要望がありまして、本件については保険経済委員会においてさらに数字について十分検討してもらいたいという御要望がありましたが、法案の審議の万全を期すためにも必要なことと存じまするが、この点重ねて小委員会で御検討願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 高野一夫

    ○高野一夫君 ちょっとそれに関連しまして希望申し上げておきます。それは小委員会ができているのでありますから、さらに継続していろいろな正確な調査をしていただくことには異論はございませんが、ただしかしすでに御承知の通り、会期も切迫いたしておりますので、その辺のことも十分小委員会において、申し上げるまでもないことですが、御勘考願った上で調査一つお進め願いたい。それをお願いいたしておきます。
  53. 山下義信

    山下義信君 私は先ほど相馬委員からの御質疑もあり、また竹中委員その他からの御質疑もあったのですが、私はこの際その小委員会検討を継続していくについて、この機会に厚生大臣の御所見を承わっておきたいと思うのです。これは、先ほど小委員長報告を申し上げましたその内容は、日本医師会資料、その他参考人資料検討いたしましたその経過をそのまま、小委員会は結論が出ておりませんから、何らの所見を交えずしてなまのままの経過報告を参議院規則によってしたのでありまして、私どもも自分の意見は加えておりません。しかし、その報告の中身は日本医師会意見、あるいはその他の参考人意見とはなっておりましても、これを政治的に見ますれば、保険経済に対する一つ検討一つの結果は、少くともこれは当委員会の作業であります。少し言葉が行き過ぎるかもしれませんけれども、これらの資料、これらの参考人の所見を委員会が確実であると認定いたしまするならば、委員会の所見であります。もし政府があくまでも厚生省見方は間違いない、厚生省考え方は変更する必要がないと、こう厚生省の自説を固執されるならば、すなわち厚生省政府とわれわれ委員会との対立であります。従いまして委員会の所見、厚生省の所見とあくまで対立をしていくということになりますれば、本問題の解決は私は非常に至難であると思うのであります。従ってこれらの数字に関する見方論争はあるいは五分々々でありましょう。厚生省もこういう見方でいくのだ、こういうルールでいくのだ。また参考人あるいは当委員会の所見はこういうルールでいくのだ、こういう見方でいくのだ。しからばその意見はおそらくこれは水かけ論で五分々々でありましょう。しかしながら議論じゃございません。先ほど各委員の御指摘のように、論より証拠でございます。一日々々、来年の年度末を待つまでもなく、すでに三十一年度におきましては三月が経過し、四月も経過し、数日のうちには五月も経過する。三十一年度の実績は論より証拠で日々証拠があがるのであります。従ってこれらの論争をあくまでも議論として、所見の相違として私は対立するということになれば、本問題の解決は非常に至難であると思う。当局はこの問題の解決のためには、何も一方が誤謬で一方が正確であるという、さような判決をする必要はないのでありまして、われわれの希望するのは、できるだけ正確な数字に基いて正確な判定の資料を得られますることは、私は政府だってそれをいなむ必要はないと思うのであります。従ってこれらの問題に対しまするこの解決には、厚生大臣としても相当なお考えがなくちゃならぬと私は思うのでありまして、あくまでも公式な所見を繰り返しておられるというだけでは私は問題の解決にならぬことを申し上げまして、御所見を伺っておきたいと思う。
  54. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 山下委員の、しかも小委員長としてのお考えを拝聴いたしました。今後保険経済につきまして小委員会が御検討されるに当りまして、われわれといたしましては、できるだけ正確な資料を申し上げたいと思います。国会は申し上げるまでもなく立法府でございますので、どうか正確な、正しい観点からこの問題について御判断あらんことをお願いいたします。
  55. 山下義信

    山下義信君 ただいまの厚生大臣の御所見は、私は何もおっかぶせたり、おっつけたりするのではございませんが、ただいまの御所見ではなお御真意を捕捉するに苦しみます。しかしながら、ここで追及申し上げるあるいはその段階でないかもわかりませんので、追及はやめておきます。君の方は君の方で勝手にやれ、立法府は立法府で独自の立場で検討を進めろ、おれの方はおれの方で当初の自説は曲げない、見込みは交えないのである、こういう対立の姿が続いたのでは、私は問題の解決にはならないということを申し上げておるのであります。でありまするから、数字でございまするから、数字は正直でありますから、お互いに正直な数字をつかまえるについては協力するというような政府の御意思でもありまするならば、相手方が間違っておる、そういう考え方検討を進めないで、たとえば、私個人の見解でありますが、たとえばこれからの小委員会の作業では政府と協力をして数字検討をして妥当な線、妥当な結論が立て得られますれば、私は問題の解決に一歩を進めるものだろうと思う。しかしながら政府があくまでも自分の予想が正しいのであって、これは三十一年のいわゆる二月末の決算が済んだときに勝負をきめようじゃないかという御態度であるならば、おそらく問題の解決は至難であるということを申し上げておきます。小委員会運営のわれわれの考えもありますから、政府はどういうふうなお考えを持っておられましょうかということを念のために聞いておきたいと思ったのでありますが、何か御所見があれば重ねて承わりたいと思います。
  56. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 山下委員からの重ねての御意見を拝聴いたしましたが、厚生省といたしましては決して自説を固執しようとは考えておりません。数字につきましても的確な数字を、今後とも小委員会の運営に支障ないように出したいと思っております。
  57. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 本問題に対する本日の質疑はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 御異議ないと認めます。散会いたします。    午後一時九分散会      —————・—————