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1956-04-28 第24回国会 参議院 社会労働委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十八日(土曜日)    午前十時五十一分開会   —————————————   委員異動 四月二十七日委員榊原亨君、深川タマ ヱ君及び寺本広作辞任につき、その 補欠として西岡ハル君、山本米治君及 び木村守江君を議長において指名し た。 本日委員木村守江君、加藤武徳君、草 葉隆圓君、高橋進太郎君、長島銀藏 君、竹中勝男君及び藤原道子辞任に つき、その補欠として寺本広作君、西 郷吉之助君、中山壽彦君井上清一 君、最上英子君、藤田進君及び吉田法 晴君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     重盛 壽治君    理事            高野 一夫君            山下 義信君    委員            井上 清一君            西郷吉之助君            寺本 広作君            最上 英子君            相馬 助治君            藤田  進君            山本 經勝君            吉田 法晴君            田村 文吉君   政府委員    内閣官房副長官 田中 榮一君    調達庁労務部長 海老塚政治君    防衛庁人事局長 加藤 陽三君    運輸省港湾局長 天埜 良吉君    労働政務次官  武藤 常介君    労働大臣官房総    務課長     村上 茂利君    労働省職業安定    局長      江下  孝君   事務局側    常任委員会専門    員       多田 仁己君   参考人    広島県知事   大原 博夫君    呉  市  長 松本 賢一君    全駐留軍労働組    合中央執行委員    長       市川  誠君    全駐留軍労働組    合山形地区本部    執行委員長   田中 利一君    全駐留軍労働組    合広島地区本部    執行委員長   浜田 光人君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○労働情勢に関する調査の件  (駐留軍労務者失業対策に関する  件)   —————————————
  2. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  委員異動を御報告いたします。四月十七日付榊原亨辞任西岡ハル選任、同日付深川タマヱ辞任山本米治選任、同日付寺本広作辞任木村守江選任、四月二十八日付木村守江辞任寺本広作選任、同日付竹中勝男辞任藤田進選任、同日付藤原道子辞任吉田法晴選任、以上であります。
  3. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 次に、労働情勢に関する調査の一環として、駐留軍労務者失業対策に関する件を議題といたします。本日は、本問題に関して参考人方々に御出席を願っております。この際、委員会を代表いたしまして、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。参考人皆様には、御多忙のところ御出席下さいまして、まことにありがとうございました。  本問題は駐留軍労務者という特殊な業務から解雇される多量の労務者失業対策が、労働行政の重要な問題でありますので、当委員会におきましては、労働省及び調達庁当局から説明を聴取いたして参りましたが、今回直接に本問題に関係を有せられます各位の御出席お願いいたしまして、御意見を拝聴し、調査上の参考に資したいと存じておる次第であります。どうか忌憚のない御意見を御発表下さいますようお願いをいたします。  次に、御意見発表していただく事項につきましては、先に皆様手元に文書で御通知いたしておきましたが、必ずしもその項目にとらわれることなく、おのおのの角度から率直にお話し願う方が幸いだと存じます。ただ時間の関係もございますので、勝手でありまするが、一人当り十五分以内で御発表を願い、後刻各委員からの質疑がございますので、これに対してお答えお願いしたいと思います。  次に、委員方々にお諮りをいたします。時間の関係がございますので、参考人意見発表が全部終了いたしましてから御質疑お願いいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 御異議ないと認めます。それではただいまから参考人方々に御意見発表お願いしたいと思います。広島県知事大原博夫さんにお願いいたします。
  5. 大原博夫

    参考人大原博夫君) 本日はお招きをいただいて、地元意見を御聴取いただきますことは、大へんありがたく存じます。  今回呉の国連軍が総引き揚げいたしますので、約八千人、詳細申せば七千八百人ばかりでございますが、その失業者が出て参ります。これは今日あることをかつてから予期しておったのでございまして、昭和二十八年には国連軍等引き揚げに対する対策協議会を作りまして、私が会長でこれができるだけすみやかに、目下国連軍によって使用されておりまする施設等返還の要求をし、本省、各省へもお願いをいたしたのでありまするが、これは国連軍はなかなか容易に返還をいたさないものでございますから、今日に至ったのでございます。  なぜ早くからそういうことを考えたかと申しますと、多数のこれによりまする労働者が、一時に返還されるようなことがありましたならば、非常な混乱をいたすことでございますので、従って早くから施設等を返してもらって、その施設企業誘致いたしまして、これが対策を講じたいというのが、二十八年の考え方でございます。  今回返しましたいろいろな施設は、大体六十ばかりもございます。このうちには二万坪以上のものが大体十七ばかりあるつもりでございます。こうした大きな施設を、わずかな、平素は三千ばかりの国連軍によって使用されておりましたので、これが返還方を要求いたしたのも、私はあながち無理ではなかったという気持を持っておるのでございます。  しかるに今回八千人ばかりの失業者が出て参りますので、この対策でございますが、容易に県や市によってこれが解決のできないのが実情でございます。これは呉市の財政から見ましても、また県の財政から見ましても、そういう状態でございまするし、私は一面、この国連軍の問題につきましては、これは国で何とか責任を持って対処してもらえるのが当然じゃないかという考え方を持っておるのでございます。その理由は、国連軍がもし呉にこなかったならば、呉はただいまより人口が減っておるかもしれませんけれども、とにかく十年もたった今日は、適当な企業も参りまして、相当な企業誘致した結果、失業者も減じておるはずでございます。また、呉市も経済的にやっていけておるはずでございますが、不仕合せにも、ここに国連軍が入ることを許されましたのであります。従ってその国連軍が入りました結果、これらに従事する労働者を集めるように知事は依頼を受けて、労務者をそこに集めて雇い入れをいたしたわけでございます。なおその後におきましては、知事雇用主としてこれを雇用し来たったものでございます。でそういうような点からいたしましても、この今日国連軍引き揚げました場合には、国で一つ責任を持ってやっていただきたいというのがわれわれの考え方でございます。これはいろいろと国の方でやっていただかなければならぬことも多いのでございますが、従ってなるべく強く主張をいたすことを遠慮をいたしておるのでございますが、根本にはそういう考え方を持っておるものでございます。また、今回の国連軍失業者がにわかに今年度中に約八千出ると申しましても、その前からだんだん失業者が出て参っております今日、最近において失業保険が切れます者でも約三千ばかりあるのでございまして、これが切れるというのも前からぼつぼつこうした失業者が出ておった結果でございまして、私たちはこの失業者が今日まで、国連軍にいたしましても、駐留軍にいたしましても、出て参りましたものに対して、直接にこれを国の方にお願いをいたしたことはないのでございます。できるだけ地元でやっておったのでございますが、今回のような、大量に出ます場合には、いかんともいたしがたいのでございまして、これをお願いしておるというのがその実情でございます。  県といたしましては、国連軍引き揚げるということがわかりますや、直ちに、国連軍等対策本部を県に設置いたしまして、それに専任の事務局長以下の職員を置きまして、これが対策を講じておるわけでございます。なお、その対策といたしまして、私たち考え方は、いろいろな失対の対策もございましょう。たちまちこれをやってもらわなければならないことも多いのでございますけれども、ただ失業対策だけでは、いつまでたちましても、ほんとうの立て直しはできないことでございます。従って、これには今日までの多くの施設等を、政府お願いいたしまして、できるだけ安くして、誘致のできやすいようにしていただきたいということを、第一にお願いをしておるのでございます。また、それにつきましても、ただ施設が今安くできたと申しましても、なかなかそのままでくるものではございません。工場誘致等につきましては、それに工場のくるだけの条件を整備いたさなければならぬことでございまして、従って、水道等に対するお願いもいたしておるわけでございます。また、国連軍がおったために、幾多損傷いたしておりまするので、その損傷しておる場所の修理等お願いをしておるのでございます。また、その他の失業対策で、特別の失業対策等を、これもお願いをしておるのでございますが、この特別の失業対策等につきましては、全額国庫負担一つお願いをしたいという考え方でございまして、この点もお願いを申し上げております。  いろいろと、あるいは失業者ができましたものを分散をいたさなければなりませんので、分散するためには、あるいは特別の失対事業、あるいはまた失業いたしました人々が、企業組合等を作りますならば、その企業組合に対する方法、あるいは全国職業安定所お願いを申しまして、それを分散をいたします。あるいはまた、補導所を作りまして、ここに適切な職業的な指導をいたす等、いろいろ分散をして、これの処理をいたしたいという考え方をとってきておるわけでございます。ただ、はなはだ政党あるいは内閣等から御理解をいただきまして、政党には、それぞれの特別委員会が作られ、また内閣には内閣で、これの事実を現地調査団を派遣していただきまして、これが御理解をいただいておるわけでございます。また、最近は、閣議了解事項等を出されて、まことに喜んでおるわけでございますが、それらのいろいろな諸対策のうちにも、われわれの実際の地元の声を聞いていただかなければならぬという機会に、こうした機会をいただきましたことは、大へんありがたく存じます。  なお、詳細につきましては、御質問の場合にお答えをいたしたいと思います。
  6. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 次に、呉市長松本賢一さんにお願いいたします。
  7. 松本賢一

    参考人松本賢一君) 本日は、この委員会にお招きをいただきまして、呉市の失業に関する実情を述べます機会を与えて下さいましたことを、深く感謝いたします。  今、県知事から各般の問題にわたりまして、お話がございましたが、時間の関係もございますので、私は、この際、失業対策事業を中心に、重点的に、御説明なりお願いなりを申し上げたいと思うのでございます。  まことに失礼でございますが、この資料をごらん下さいまして、簡単に御説明を申し上げたいと思います。呉市失業対策参考資料昭和三十一年四月、広島県、呉市と書いてあります横書きになっております薄い資料でございます。  その第一表に示しますように、一表の一番右の最後の方の下から三番目の数字が大体示しておりますが、これが現在呉市におきます失業者の数を示しておるのでございますが、大体一万二千名内外失業者をかかえておるわけでございます。  そこで、呉市におきます失業対策事業というものが、当然大きなものになっておりますわけでございますが、第六表をごらん下さいますと、昭和二十三年に失業対策事業を開始いたしましてから、逐年増加の傾向を大体たどっておりまして、その事業ワクは、昨年には二千五百名を突破いたしまして、県営のものを合せますと、三千四百九十という数字を示しておるのであります。従って、これが市の財政に及ぼします影響も、まことに大きいのでございまして、第八表をごらん下さいますと、その失業対策事業費は、最近の二、三年におきましては、歳出総額大体十三、四、五億くらいの程度でございますが、その総額に対しまして、大体二〇%内外の大きな数を示しておるのでございまして、市負担額も、一億円をこえるというような状態になっておるのでございます。この比重は、全国的に見まして、大体平均比重の約四倍程度ではないかと思われるのでございまして、全国都市中、おそらく呉市が一番重い比重をかかえておるのではないかと考えるのでございます。  こういう失業対策事業の拡充というものが最も大きな原因になりまして、市財政赤字は、二十九年度決算において一億七千万円、三十年度決算におきましては、おそらく一億五、六千万円の赤字予想せられるのであります。一方、失業対策事業のための起債も逐年増加いたしまして、その元利償還額は、本年度において四千万円という金額になっておりまして、これまた赤字の非常に大きな原因となっておるのであります。  こういう財政状態にかんがみまして、私どもは、昨三十年度には、人員の一割整理を断行いたしましたり、あるいは物件費を五割削減するとか、あるいは出張旅費を極度に安くするとかいったような、思い切った措置をとりましたが、本年度は、さらに、一部の者には減俸、大部分は昇給ストップというような非常手段まで強行いたしておるのでございますけれども、それでも、なおかつ単年度に数千万円の赤字予想せられる状態なのでございます。  このような状態のところへ加えまして、今回の国連軍引き揚げによります大量失業が起りましたわけでございまして、私ども第二の終戦と呼んでおりますが、そう呼びましても過言ではないと考える次第なんでございます。国連軍関係失業者は、この第二表に示しますごとく、昨年以来現在まですでに二千六百名をこえておりまして、さらに司令部発表によります解雇予想は、今年末までに大体七千六、七百名という予想になりますので、呉市における失業者は三十一年度末ごろにはおそらく二万名をこえるという状態予想されるわけでございまして、今かりに家族を四名と見ますと、約八万名が失業世帯ということになりまして、呉市の全人口は二十万でございますので、その約四割が失業世帯ということになるわけでございます。このような非常事態をどうして立て直していくかということは、もちろん先ほど県知事がおっしゃいましたように、膨大な国有財産を活用することによりまして、企業誘致とか、あるいはその他によって根本的な呉市の立て直し、いわゆる町作りということが肝要でございますけれども、同時に緊急な対策が絶対必要となるわけでございます。これら対策につきまして、去る四月の二十四日の閣議了解事項といたしまして、呉地区国連軍引揚対策要綱というものが決定せられましたわけでございますが、これも御参考までにその要綱を配付いたしておきましたが、今特にその中の緊急的な対策について見て参りますと、この要綱措置として取り上げられましたものの第四番目に、緊急的な対策が出ておるわけでございますが、離職者に対して職業補導職業紹介、あるいは一般産業への就業、あるいは他地域への移動というようなことと同時に、失業対策事業その他各種建設事業の施行によって就労をはかる、あるいは離職者が組織する企業組合を育成するというようなことが書いてありますわけでございますが、特にその中で、今重点的に失業対策事業その他の建設事業について申し上げたいと思うのでございますが、こういう事業を行います上に、さらに今後地元負担というものが伴うものであったといたしますと、先ほど申し上げましたような呉市の財政状態では、とうていこれを実行することができないのでございます。そこで、この閣議決定要綱前文にございますところの、前文の、この印刷物では七行目にございますが、「その実施に際し必要となる財政上その他の措置については、特段考慮を払い」ということが申されておるのでございますが、この点を特に御考慮をいただきまして、これら特別に失業者のために必要な事業につきましては、ぜひとも全額国庫負担で施行できますようお取り計らいをお願いいたしたいのでございます。実はこの点につきまして、労働省あるいは自治庁大蔵省等において陳情もいたしておりますわけでございますが、労働省におかれましては、失対事業あるいは特別失事業に関しては、現行法のもとにおいても全額国庫負担措置をとることが可能であるというふうな御説明をいただいておるのでございますが、自治庁大蔵省においては、法律の改正が必要ではなかろうかというような御説明をいただいておるのでございます。そのいずれかにつきまして、私ども実は判断に迷っておるわけでございますが、私はどうもこれは法律の問題ではなく、単に予算上の問題ではないかと考えておるのでございます。と申しますのは、去る一月に、今年度予等査定の過程におきまして、労働省から出されました原案におきましては、特別失事業の中で吸収人員の二割、すなわち一万五千人程度の者を全額国庫補助とし、主として駐留軍あるいは特需関係失業者をこれに吸収するという一項がありましたものを、査定において落されてしまいましたという事実があると聞いておるのでございます。これはおそらく法律上違法であるから落されたのではなくして、予算上の関係から落されたものであると私は考えておるのであります。労働省におかれましては、今日私どもの遭遇しておりますような事態を十分予想されまして、全額国補の線をせっかくお出し下さいましたものを、予算査定の際に落されましたということは、まことに残念でございまして、しかもこれに要する予算総額は一兆円という大きな予算の中の僅々数億円に過ぎないものであるということを思いますと、私どもといたしましては、返す返すも残念に思っておる次第でございます。で、この際、先ほど申し上げましたごとく、閣議におきまして財政上の特別な措置考慮するようにとの決定もなされたことでございますので、以上のような、労働省のせっかくの親心でありますところの全額国補の線をぜひとも復活していただけますよう、特段の御配慮皆様方お願いをいたしたいと存ずる次第であります。もし万一以上の措置が法的に不可能であるといたしますならばこの際、何か特別な立法措置でもお取り下さいますことを御考慮いただきたいのでございます。でなければ、私どもはこれらの事業を施行することができませんので、失業者は口をのりすることができなくなるというような状態になりまして、もしそのようなことが起ったといたしますならば、重大な社会不安が予想せられまして、とうてい私ども地方自治体がそういう状態をにない切れるものではないと存じます。どうかこの事情をよくよく御賢察の上、本委員会のお力添えによりまして、一日も早く、多数の失業者にひとまず安心感をお与え下さいますよう、切にお願いを申し上げる次第でございます。  なお、御質問によって後ほどお答えもいたしたいと存ずる次第でございます。
  8. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 次に、全駐労中央執行委員長市川誠さんにお願い  いたします。
  9. 市川誠

    参考人市川誠君) 全駐労の中央本部委員長市川誠であります。  駐留軍労働者の保護に関しましては、いつも深い御配慮をいただいております。その点につきまして、基地労働者を代表いたしまして厚くお礼を申し上げたいと思います。本日は、駐留軍労働者の大量の人員整理に伴う失業対策の問題につきまして若干の意見を申し上げまして、十分な御配慮を賜わりたいと存じます。  そこで最近の基地労働者整理状況でありますが、お手元資料も一部差し上げてございますが、平和条約安全保障条約が発効した後のおよその減員の状況を見て参りますと、二十七年には、米軍関係では四万八千名ほどの労働者解雇されています。二十八年には、一万二千名ほどの労働者解雇されています。二十九年には、二万六千名ほどの労働者解雇されております。三十年には、一万一千名ほどの労働者解雇されております。こういう状況を見て参りますと、アメリカ軍がよく言っておりますように、日本の再軍備の進行に伴って駐留軍引き揚げるというような政策も公表されていますがわれわれの判断では、すでに駐留軍漸減コースに入った、このように判断できるのであります。こういう経緯を受けまして、本年の場合には、一月から六月までの間に九千五百名ほどの解雇予想されています。今申し上げました二十七年から本年の六月までの解雇数は、総数を見ますと、十万八千名ほどになっておるのであります。こういう状況を見てみますと、これらの人たちが一体どうしてその後生活しているか、いずれも非常に苦しい状態に置かれておるのであります。特に本年に入りましてから大きい事態といたしましては、先ほども広島県知事呉市長からもお話がありましたように、イギリス連邦軍が全面的に引き揚げるのであります。イギリス連邦軍の駐留しております地域は、広島県呉市と山口県の岩国、東京の恵比寿、この三地点でありますが、この地点を占拠しております英連邦軍が全面的に引き揚げる、そのために八千名ほどの労務者解雇される、こういうような事態が起っております。さらにアメリカ軍関係におきましては、主として今まで東北地方に駐留しておりましたところの第一騎兵師団が軍の配備変更によりまして移動する、このような事態が出まして、青森県の八戸とか、山形県の神町、さらに宮城県の仙台、この地域に第一騎兵師団関係の全面的な施設閉鎖、それに伴う首切りというような新しい事態が起っております。四月二十五日現在の整理状況のおもな点を見てみますと、青森では、本年一月以降千三十六名ほどの解雇者が出ます。宮城県は五百二十六名ほど、山形県九百名ほど、これらが第一騎兵師団移駐に伴うところの整理状況であります。英連邦軍の撤退によります問題としましては、今集中的に呉に起っております。これは本年一ぱいに全部解雇されるという状況でありまして、すでに一月から六月までに千三百名ほど解雇される状況になっております。  その他基地事情を見て参ります一と、九州の大分においては五〇八空挺部隊移駐をするというので、ここも全面的な施設閉鎖というように相なっております。また鳥取県の美保とか、山梨県の北富士とかいうところも施設閉鎖という状況全員解雇というような事態が起っております。  私どもはこういうような整理状況に直面いたしまして、終戦直後からかなり困難な労働に従事して参りました基地労働者、特にこれは終戦直後はだれもなかなか基地に働きに参りませんで、半強要的な労働がしいられておったのです。それ以来すでに十年間まじめに働らいてきた基地労働者部隊引き揚げ閉鎖によって最終的に職を失うという場合には、十年間雇用主として使って参りました政府並びに使用者であるところの軍も、十分労働者失業対策について考慮すべきである。国の責任によるところの施策をもって、この基地労働者失業に対する措置をしてもらわなきゃならぬ、このように考えて、いろいろと政府機関にも折衝もいたして参った次第であります。また、具体的な失業対策の問題につきましては、実際の実施事業体が各地方自治団体にありますので、知事会議等にも要請いたしましていろいろと検討も願い、決議等も願っております。さらにまた、国会に対しましても請願をいたして、いろいろと御配慮を願っておる次第であります。ようやく政府の中にも特需等対策連絡会議等も持たれ、具体的な調査検討等も進められて参っておりますが、さらに一そうの具体化を私どもとしては要望したいのであります。  各地方の状況におきましても、すでに都道府県に駐留軍労働者離職者に対するところの特別な対策本部とか、あるいは協議機関というようなものを設置願いまして、若干の県費等も予算化せられまして、それらの対策についていろいろと検討を進められております。青森県とか、宮城県とか、山形県とか、神奈川、広島とか、福岡県、これらの府県におきましては県費予算を計上して、そして具体的な措置を進めていただいております。しかし何といいましても、地方財政がかなり困難な状況の中におきましては、なかなか基地労働者失業対策の具体的な救済措置というものが円滑に進行しないうらみがあるのであります。こういうような都道府県ばかりでなく、神奈川県等におきましては、横須賀、横浜等では特に市の予算の中にも若干の経費を計上願って、そうしてその地域における失業対策措置を促進を願っておる、このような状況もございます。全駐労といたしましては、先ほど申し上げましたように、ここ数年の間の整理状況、また、本年の人員整理の発生状況、これらを見てみますと、現状におきましては、アメリカ軍関係におきましては、本年の四月現在で、陸軍関係労務者が約八万、海軍関係が一万八千、空軍関係が四万二千、およそ十四万二千ほどの労務者がおりますが、これから先このうちで、陸軍関係八万の労務者がここ二、三年のうちに全員解雇されるのではないか、このように情勢判断をいたしております。と申し上げますのは、アメリカの極東軍事政策等を見て参りますと、日本の自衛隊の増強に従って引き揚げる、このようにいわれておりますが、その引き揚げるという主体はやはり陸軍である。海軍関係あるいは空軍関係はまだそれよりも若干の時期を残して駐留しておるのではないか、かように判断できますので、この陸軍関係の八万の労務者がここ二、三年の間に全員解雇される事態がくるのではないか、このように判断をいたしております。先ほど申し上げましたように、すでに二十七年からずっと労務者が減っておりますが、この間におきまして、失業対策というものが具体的に措置されておりませんので、労働組合といたしましては、国の施策によるところの救済措置を強く要望して参ったのですが、本年ようやく特需等対策連絡会議が設けられて具体的な検討が進められ、ようやく二月三日の閣議決定なり、あるいは四月二十四日に一部閣議了解等がなされた状況でありますが、まだまだ全体的な基地労働者解雇に対するところの計画的な施策というものがそこに予定されてない。これでは基地労働者を救済することは困難ではないか、このように非常に危惧をいたしておるのであります。そういう情勢から私どもとしては、政府機関に対しましても、軍に対して、軍の撤退計画なりあるいは施設閉鎖の経過等を早期に把握をいたしまして、地域的に、重点的に、失業対策措置が講ぜられるように強く対軍折衝も要求をいたしております。そういうような点につきましては、何と申しましても、具体的な軍の撤退計画を把握することがきわめて対策樹立上重要なことだろうと思いますので、政府に対しましても、強くそのことを要望しておる次第であります。すでに労働組合といたしましては、十年ほど一生懸命やって参りました労働者に対するところの救済措置につきましては、われわれの考え方といたしましては、根本的には恒久的な対策をやはり国の施策によって立ててもらいたい。それがなかなかできませんので、それまでの時期として、経過的な措置というものをやはり具体的に取っていただきたい。さらにまた、当面すぐに措置をしてもらいたい事項を、こういうふうな大体三段階くらいに考えて、そうして二十万ほどの全体的な基地労働者の離職の場合の措置に遺憾のないように配慮を願いたい、このように訴えたいと思うのであります。  後ほど山形県の状況、あるいは呉を中心とした労働組合からの立場、いろいろな状況についても御要望申し上げますので、私は一般的な点についてとどめたいと存ずるのでありますが、私どもが今申したような三段階の考えに立ったときに、恒久的な対策がなかなかすぐに取り得ません。また、経過的な措置といたしまして、私どもの要望しております事項につきましては、すでに広島県知事、あるいは呉市長さんも触れられましたが、経過的な措置としてやはり全額国庫負担によるところの特別失事業、または公共事業をぜひ行なってもらいたい、これによって相当数の失業した基地労働者を救済してもらいたい。すでに三十一年度予算等も決定しておるのでありますが、この点につきましては、予備費からの支出によって全額国庫負担という措置をぜひ取っていただきたい。  第二点といたしましては、解雇される労務者の中には、就労するに適当な職を持たない者もございますので、私どもの立場からは職業補導をかなり重視をいたしております。これも現状におきましては、地方の負担率が全経費の約八〇%くらいを占めておりますが、なかなか思うように進行いたしておりません。この際、全額国庫負担によるところの特別職業補導実施をしていただきたい。これにつきましても、予備費支出等の方法をぜひとっていただきたい、このように考えております。  こういうような施策を私どもが要望しておる中において、私ども自体としての努力もいたしております。そのために、各個人間で退職手当等を出資をいたしまして、事業協同組合あるいは企業組合等を作りまして、若干の人員をそこに吸収するような措置もとっております。すでに福岡における北九州建設企業組合等におきましてはかなりの実績を上げております。こういうような事例もありますので、私ども自体の努力として各自の資金を出資をいたしまして、企業組合を作って、そうして自力更生をはかっていこう、こういうような考え方を持っております。各地域にこの企業組合がすでに発足を見ておりますが、全国連合というような組織体を作って、そうして若干でも国の施策——措置と相待った自力更生によるところの措置を進めて参りたい、このように考えておりますので、ぜひこれらの企業組合に対するところの育成補助金、これを交付する措置考慮願いたいと思うのです。さらに接収解除施設等の利用の問題につきましても特に配慮願って、企業組合とかあるいは地方自治体に対して無償貸与とかあるいは低額譲渡と、こういうような方法を検討願って適切な委託管理の措置をぜひとっていただきたいと思うのです。  さらにまた、地方の公営企業の問題につきましても、われわれといたしましては、企業組合等を実際に作って、そうして小規模な事業に手がけて参ります中においては、公営企業法を若干改正をしていただいた場合にはある程度人員吸収も可能ではないか、このように考えられる節がありますので、できれば公営企業法等の関係法律を改正して、そうしてこれに対する財政措置等もとっていただいて、この部面によるところの失業者の吸収の措置考慮願いたい、このように考えております。一般的な、就労の機会を拡大するとか、就職のあっせんを労働省等にいろいろとお世話願うというようなことは、これはもうありきたりの問題でありますので、今申し上げたような点について重点的に措置をとっていただきたいと思うのです。特にそういうような諸経費の問題につきましてはいろいろの難点もあるのでありますが、われわれの考え方といたしましては、これから先、年々予想される相当数の整理に対しまして、ぜひ駐留軍引揚対策の善後処理費というものを国の予算の中に計上していただいて、そうして失業者の発生した地域に対するところの重点的な交付等を考慮願って、そうして失業対策に十全を期していただきたいと思うのであります。  以上申し上げたような事項がかりに措置されたにいたしましても、全部の基地労働者を吸収することは困難であります。われわれといたしましては、直接的な当面のやはり生活をしのぐ措置といたしまして要望、配慮願いたいことは、基地労働者に対して特別の退職手当、これを支給願いたい。このことは特別退職手当と申し上げておりますが、実質的には現在の公務員の人たちに支給されていると同率の退職手当をぜひ基地労働者に支給する措置を願いたい、このように考えております。このことにつきましては、すでに国会にも議員提案として法案が出されておるのですが、いろいろと財源問題等について難点もあるようでありますが、この点につきましては、現在基地労働者の労務費がアメリカ軍負担になっております。しかし、従来の経緯を見ますと、国の法律できめられた場合に、やはり対軍交渉によって打開の道もあるというように判断できますので、ぜひ何らかの措置をとってこの特別退職手当——公務員並みの手当を支給する措置をとっていただきたい。このような措置配慮されるならば、先ほど申し上げた企業組合に必要な資金等の出資の問題につきましても、より規模も拡大できまして、そしてより多くの人員をそれらの企業組合活動の中に吸収できる、このようにも考えられますので、ぜひ御配慮願いたいと思うのです。財源問題についていろいろ難点がありますが、私どもはいろいろと見ておりますと、基地労働者の労務費を実際に政府が支払ってアメリカ軍が償還する場合にかなりの未償還のものがあります。そういう部面の問題は、結局は最終的には日本政府側の赤字になっていくと思うのです。軍の一方的な見解によって、一たん政府が支払った額について、償還が得られない額がそのまま赤字になっていく状態が、現実の問題として予想せられるわけです。そういう点を考えてみますと、有効に失業対策部面に使用できる経費として、現在調達庁が担当しておりますが、調達資金の中の支出の問題、さらにはまた、アメリカ軍に無条件提供しております行政協定上からの義務事項であります防衛分担金の中から、一部経費を日本側が責任保留して、そうして数万の労働者失業する事態に対するところのいろいろの対策費なり、あるいは特別退職手当と私どもは申し上げております個々の労働者に対するところの割増退職手当の支給等の問題について、ぜひ一つ真剣な御検討をわずらわしたいと思うのであります。私がこう申し上げますことは、基地労働者は十年間ほんとうにあの鉄柵の中でかなりひどい目にあって苦しんで参ってきております。私自身も二年半ほどの基地労働者の体験をもっております。その労苦につきまして、ぜひ国会におきまして十分御配慮を願って、もう間もなく全部の労働者が失職するという事態に対しまして、十年間のまじめな労働に対して、法律上の雇用主であるところの国の責任によって今後の生活保障の措置というものを十分御配慮願いたい。特にこのことをお願い申し上げまして、簡単でありますが、私の公述を終らしていただきたいと思います。
  10. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) ありがとうございました。  次に、山形地区本部の執行委員長田中利一君にお願いいたします。
  11. 田中利一

    参考人田中利一君) 私全駐労の山形地区本部の委員長田中利一でございます。本日このような機会をいただきましたことを感謝申し上げます。  ただいま中央執行委員長の方から、全般にわたります駐留軍労働者失業問題が公述されましたが、私は山形の例に見合うような寒冷積雪の県、農村県、そういうところに働いておる同志諸君の直面している問題も類推を願いましてお聞きとり願いたいというふうに希望いたします。  第一騎兵師団は去年の十一月ごろから盛んに全面撤退という情報を流されておりましたが、今年の二月に、具体的に青森県の八戸キャンプと山形県の神町キャンプに全面撤退の通告がなされました。自来数次にわたって人員整理が行われまして、八戸キャンプは五月十五日に基地返還する。神町につきましては五月の三十一日をもって総員を解雇をする。神町の場合はまだキャンプを返還するという話は出ておりませんが、いずれ近い将来に出てくるというふうに考えられます。そのほか、宮城県の仙台には第一騎兵師団司令部がございましたが、この司令部が滋賀県の大津に移りまして、逐次ここも人員整理が相次いで総数五百名くらいが二月以降発生しております。なおこのほかに、空軍関係として同じような立場にありまする鳥取、大分、あるいは山梨にも総員解雇の情報が伝えられております。これらはすべて積雪寒冷地の農村県が多いわけでありまして、従っていずれも相当高額の県財政赤字を持っているというふうに考えられるのであります。われわれとしましては、国の強力な施策を期待することなしにはとうてい収拾できない問題ではなかろうか、このように考えております。実態といたしまして、十年労務を提供した今日に至りましては、現在整理に直面している労務者はいずれも長期勤続の非常に平均年令の高い、扶養家族の多い戦災者、引揚者、そういう人々が構成員の多数を占めているのでありまして、中には相当数の母子家族もございます。特に、母子家族等につきましては、母の手一つでせっかく勉学の道が与えられたのに、これを下げて、住み込み等の奉公に出さなければならぬというふうな事態に立たされております。なお労務者の職種別にこれを言いますと、ああいう国の人々でありますから、われわれの感覚と少し違いまして、非常にたくさんの施設労務者を使用いたしておりまして、山形の場合には、たとえばボイラーマンが百人以上、運転手、警備員がそれぞれ百人以上、土木建築関係の職人の諸君が約二百人、雑役の運般夫の諸君が約二百人、そのほかに事務系統が約百五十人、こういう数字に相なっております。これではとうてい工業のない県におきましては、労働市場を望み得ないような職種別の圧倒的な人数でございます。従いまして、再就職の希望というものも非常に暗いわけでありまして、そのために自分たちのささやかな退職金と、持っている技術を生かしまして、一種の冒険ともいえるような自力更生の企業組合、あるいは自営業をもってこの難局を切り開きたいと考えておりますのも、就職の道が非常にむずかしいというふうに判断したからでございます。われわれの微衷を汲まれまして、本委員会皆様の絶大な対策お願いするよりほかない、こういう状況でございます。  なお委員長名をもって招致せられました際の各項目につきまして、若干御説明を申し上げたいと思います。失業者の発生状況につきましては、山形においては、第一次が三月の十日に二百十四名、第二次が三月の二十日に百四十名、第三次が四月の五日に百七十五名、第四次が四月十六日に百九十名、計七百十九名が政府の間接雇用の労務者としてすでに解雇されました。第五次として百五十名が目下残務整理を行なっているわけでありますが、米軍は、当初六月十五日くらいまで管理労務者を置くという話でありましたけれども、五月三十一日をもって総員解雇という問題を提起されてきました。この二週間の時日の相違は、われわれにとりましては非常に重要な意味を持っているわけであります。つまり二週間あと延びれば夏季手当が支給されまして、先ほど申し上げたような自力更生で、退職金を自己資本にしたいというふうな中に、さらにこの夏季手当が加えられるでありましょうところの希望が絶たれようとしております。この七百十九名と百五十名の政府雇用のほかに、約三百八十八名の軍の直用労務者がすでに解雇をされております。なお、青森八戸の場合には、約九〇%以上の労務者が八戸の市民でございますし、呉の場合も先ほど述べられたように、圧倒的にその市民が多いわけでありますが、山形のような場合には、そのキャンプを取り巻く市町村に散在されている労務者の構成になっております。その例を見ますと、キャンプのありますところの東根町が二百六十八名、山形市が百七十三名、天童町が百九名、村山市が八十五名が大きい数をかかえた市町村でありまして、そのほかの労務者は、三市三郡三町一村にわたって通勤をいたしておったわけであります。  次に、県及び市の失業対策状況でありますが、県には、情報入手とともに、さっそく離職対策協議会を設置いたしまして、副知事が会長になりまして、就職あっせん、職業補導施設の強化拡充、失業対策事業実施、生業資金または自力更生のための機械類の貸付という大きな項目をあげまして、協議会の中で検討をし、かつそれぞれの関係各課に命じまして就職あっせんにつきましては五月十日以降求人月間を設けて、求人開拓班を作って県内外に打ち出そう、こういう態勢を整えておりますし、職業補導につきましては自動車の整備科の新設、あるいは家事科の新設、それから理美容科の増員の計画をいたしております。しかし、これらに吸収される数はきわめて微々たるものと思わざるを得ません。さらに、失業対策事業実施につきましては、この労務者の多い村山市、東根町、天童町、この三ヵ所に八百十万円で公園道路改良事業を計画いたしておりますけれども、実際問題といたしましては、先ほど申し上げましたように、長期勤続者が多いというような関係からあるいは扶養手当をもらっていた諸君が多いという関係から、離職時のベース賃金は大体山形で一万四千円くらいになっておりまして、これは全国ではびりから二番目くらいのベース賃金だろうとは思いますが、このようなベース賃金におきまして、現実に失業対策事業で吸収される場合には、日給が二百十円というふうに聞き及んでおります。しかも稼働日数は二十一日ないし二十二日、これでは事実問題として、労務者が吸収できないのではないかという点が苦慮しているところでございます。さらに、生業資金あるいは機械類の貸付につきましては目下のところ、組合から出しました希望者が企業組合につきまして十三件、自営業の希望者が七十六件、計八十九件の自力更生の計画が県側に出されております。この計画は、自己資金として退職金を中心とした資金を労務者みずから出そうというのが一千六百三十六万円、これを元にして融資を国から受けたいという額が約二千七百万円に上っております。この計画は目下、県においてさらに専門家の手で検討をされておるという状況であります。  その次に「失業対策費と地方財政の関系」及び「失業者発生の地方経済に及ぼす影響」という項目がございましたが、この点につきましては、先ほど広島県の知事さんの方からも申されましたし、重ねて申し上げるところはないと存じます。ただ、零細な山形の市町村におきまして、神町でさえも、払われておりました年間の労務者への賃金は、政府雇用約一億五千万円、軍直用約五千七百万円、そのほかに、米軍人が日本円に兌換をしていた金額が三十年一月から年末まで約五億円というふうになっておりまして、これが関係市町村を潤しておったわけでございます。一応東根の場合には、給与所得者の総数が千五百二十四名のうち、駐留軍失業労務者が二百三十四名おりまして、その町民税は、全体の給与所得者の額が七百二十四万円に対しまして、駐留軍労務者だけで百二十四万二千円、約五分の一弱を納入しておった、それが将来入らなくなってくるという実情にあるわけでございます。  労働組合の自主的な救済対策につきましては、先ほど中央執行委員長が申し述べられましたので、特につけ加える点はございません。ただ、組合自体といたしましては、現在の現象といたしまして、非常に不幸な状態でありますけれども、実のある求人というものがなかなか職業安定所の窓口に上ってこない、こういう傾向がございます。そのために、組合自体として、関係労働組合あるいはその他の団体の施設等に対しまして吸収してもらうような積極的な活動を県とは別に行わざるを得ない状況になっておりますので、この点に重点を注いでおります。  最後に、山形県の失業労務者として要望いたしたい点でございますが、第一点といたしましては、自力更正を計画するものが八十九件で、その収容人員百五十五名となっておりますので、この実現のために約二千七百万円に当る金融を考慮願いたい。それも、現在の国民金融公庫総裁等が閣議了解によって示達を流されたそうでありますけれども、現地におきましては、このような事態に使うための貸付金ではないために、実際問題としてこれを利用できない状態になっております。そこで、ワクの設定と同時に、長期で低利の金融措置を下していただきたい。  次に、企業組合の最も確率のあるものとしてハイヤー業を認可申請手続をしようとしておりますが、業者の妨害等いろいろあるやに聞いておりますので、大体国の行う失業対策という考え方の中で、このようなハイヤー業あるいは自動車修理業について認可手続を必要とするものについては、特別認可するように御配慮願いたい。  それからこの計画の基礎になっておりますところの特別退職手当あるいは夏季手当支給までの解雇延期、こういう措置も要望いたしたい。  さらに、補導所開設あるいは失対公共事業費の国庫負担率につきましては、全額が望ましいところでありますけれども、せめて少くとも五分の四ぐらいまでには引き上げていただきたい。  それから求人開拓につきましては、先ほども申し上げましたような大量の技能工がおりますので、県内では消化できませんので、労働大臣として職安機構の全力を上げてこれの紹介措置をとっていただいて、さらに京浜地方においてこれの重点をおかれまして、かつ報告を求めるほどの強力な措置が望ましい、このように考えるわけでございます。  以上、非常に時間を超過して恐縮でございましたが、山形の立場を申し上げた次第でございます。
  12. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 次に、広島地区本部執行委員長の浜田光人君。
  13. 相馬助治

    ○相馬助治君 議事進行で。浜田参考人の御陳述を聞く前に、私一言お願いをしておきたい。実はただいま田中参考人お話を承わったのですが、非常に念入りなこういうふうなプリントをいただいておるので、このことについてはわかっておるのです。従って、私はたとえば今の「ハイヤー業を早急に認可すると確約されたい。」と、こういうことですけれども、陳述ではこういう点を私たちは聞きたいのです。ハイヤー業をやろうとしておるけれども、陸運局がこういう故障を言ってだめだとか、あるいはまた、同業者である既設の交通業者がこういう横やりを入れて、せっかくハイヤー業自体の企業をちゃんと整えて出しておるにもかかわらず許可されない、だからこういう問題についてはこういうふうに一つ国会として運輸省なら運輸省によく言いつけてほしいというような、具体的なことをぜひ私は田中さんと浜田さんには期待していたわけです、一般的なことでなくて。従って、残されたのは浜田さんだけですけれども、そういう隘路になっておるような具体的なことを一つお聞かせ願えるようにしていただきたいと思います。
  14. 浜田光人

    参考人(浜田光人君) 私広島の呉地区におります八千の国連労働者をもって組織します地区本部の委員長の浜田でございます。  今回当院の先生におかれましては、呉地区の異常な失業状態に重大な関心を持たれまして、私らを参考人として召喚されまして、公述の機会をお与え下さいましたことに対して、呉地区のやがて失業するであろう一万に近い労働者にかわり、心からお礼を申し上げる次第であります。  ただいま委員の方から御注意もいただきましたので、私できるだけ具体的な問題について訴えたいと思うのでありますが、その前に、一、二だけ呉の国連軍基地は、たくさん日本の国内にあるアメリカ基地よりか異なっておるというその点を一つ述べさしていただきたいと思うのであります。  第一点は、国連軍と申しましても英連邦軍を主体とする四ヵ国でありますが、この国は非常に放漫に勝手にこの呉地区を使っておった、こういうことであります。と申し上げますのは、二十七年の四月の講和発効以来、米軍は、御承知のように、できるだけ都心地とかあるいは町の中心地の接収等を避けてきておったのであります。その現れが、御承知のように、司令部が市ヶ谷に移ったり、あるいは横浜におきましても座間に移ったりいたしておるのであります。ところが、全国でたった一つの国連軍の最大基地である呉市においては、依然として占領中と同じように、呉の町の平坦部の、どうしても解除してもらわなければ企業誘致もできないというような重要な部分を占有いたしておったのであります。当時私たち労働者は必ず一度は離職するんだ、失業するんだという宿命を持っておるという考え方が強くあったのでありますから、ぜひこの企業誘致を実現するためには地域の調整をしてもらうように、機会のあるごとに地方公共団体はむろんのことでありますが、関係諸機関に訴えておったのであります。また、当時は直接雇用時代でありましたので、これもこの英連邦軍のみがやっておった制度でありますが、そういう直接雇用時代の団体交渉の席上におきまして、軍の労務司令官は、賃金問題あるいは労働時間等の交渉をしております席上で、しばしば気に入らなければ君たちはやめればいいじゃないか、やめたならば呉市にはたくさんの失業者がおるのだから幾らでも明日からでも雇えるのだ、そういうことを平気で申しておったのであります。そうなりますと、私たちも勢い軍側が呉市の企業誘致をして新しい労働市場を作ろうとする必要な部分を解除してくれないからこんなに失業者がたくさんおるのだ、こう言って、いつも交渉がデッド・ロックに乗り上げておったのであります。そういたしますと、労務司令官はそれは大きなポリシーの問題であるから国と国と交渉してもらいたい、こういうことを言っては、いつも物別れになっておったのであります。そういう時代が御承知のように二ヵ年余り国連軍との無協約、無条約時代でありまして、あの衆議院の外務、労働委員会でも取り上げられましたように、呉市は暴力の町だというようになってきたのであります。従って私たちは、そういうときにはいつも軍がもっと謙虚な立場に立って、呉市の必要な個所を、具体的に申し上げますと、呉の駅裏というところは非常に鉄道の便利もいい、しかも海に面しておりましていろいろな企業家も来たいという希望を持っておる場所であります。あるいは工廠の跡地の第一、第二、第三突堤とか、そういう地域、そういうところをぜひ返していただきたい、そうしたならば、企業誘致をして新しい労働市場を作りたいのだ、そういうことを申しておったのでありますけれども、依然として返さない、こういう点が特に米軍とは講和発効後の状態におきましても、国連軍が気まま勝手な呉市の土地をあるいは建物を使ってきた、こういうことが非常に私たちは今日の事態になってみて実に残念でたまらない点であります。なおもう一点は、純粋な労働問題でありますが、この英連邦軍というのは国連軍の中ではアメリカとは違いまして管理制度がなかったのであります。従ってささいな事故と申しますか——ことによって解雇され、たとえば病院に勤務している一労務者が、友だちの運転手が参りまして、前面の鏡をふくのでガーゼを少しくれないかというので、その病室から、ではこれでふきたまえといって渡す、そうしますと、あとからお前が勝手にガーゼをやったからといって、明日から来なくてもいいといって解雇する、いろいろ理由を申し述べようとしますが、解雇するに当って、その理由を聞かずして、明日から不必要だということになる、そこで仕方がありませんので、それを監督機関である監督署に訴えましていろいろ調査の結果、結論を出してもらう、出してもらって不認定になっていざ支払いをしてもらおうとしますけれども、なかなかさっき申し上げました管理制度がございませんので、一々軍のサインを取らなければならないので支払いがおくれる。長いのは一年二、三ヵ月もかかる。そういう状態で、大へんこの予告手当の問題にせよあるいは退職金の問題にせよ、支払いがおくれて参っておるのであります。もっと悪い例は、九十日という有給休暇制度がなくして非常に労働者は無理をしながら働かなければならなかったような状態であるのであります。そういう呉市の国連軍労務者は、いろいろ困難な環境の中にあって、十ヵ年余りも言語、習慣の異なる外国軍隊の中にあって国家的義務を果してきたのであります。従って、今回も特にこの総引き掲げに対しまして一時金の少々と特に基礎の一ヵ月の精算、これは大へん細部にわたった専門的な問題になりますが、担当の調達庁でもよく御承知と思いますので、ぜがひでもこの基礎の一ヵ月という精算の問題は、今日も軍と折衝をしておられると聞いておりますが、特にこれを獲得していただくようにお願いする次第であります。  次には、いろいろと具体的な問題に入って参りたいと思うのでありますが、第一に、企業組合の育成と援助の件に関してであります。実はこの企業組合を、私たち二十何件というものを県に申請しつつあるのでありますが、何かこの企業組合を作ることが企業誘致をした新しい町作りの障害になるというように誤解されておるのではないかと思うのであります。私たち労働者は決して利権屋ではありませんので、こういう企業組合を作りまして、土地や建物の権利を持って、それをどうしようかというような不心得は決して持っておらないのであります。従って大きな企業が具体的に誘致されるとするならば、いさぎよくそこはこの企業組合の諸君は当然譲ってもよいし、むしろそれらを歓迎しておるような状態でありますので、そういう点は労働者諸君は実に何といいますか、まじめな気持でやっておるということを御認識いただきたいのであります。その企業組合を実は作りましてやってきたのでありますが、現地では何といっても国有財産の使用というものが問題になってきておるのであります。むろん全般的な問題ではございますけれども、この労働者諸君は、さっきも委員長なり山形地区の労組の代表の方が申されましたように、自分の退職金とか、わずかな金を持ち寄って何とかして食いつなぎの時期をかせがなければならないという真剣な気持でおるのでありますが、何さまそれ以上の資本といいますか、資力というものはないのであります。そこで融資の問題というものをいろいろお願い申し上げておるのでありますが、現地で国民金融公庫やあるいは県にいたしましても、市にいたしましても、いろいろな預託制度がありまして、そこに金融のお願いにいくのでありますけれども、いざ、どたんばになりますと実績がない、今まで事業をやったその実績がない、あるいはこれは信用問題にも通ずるかと存ずるのでありますが、そういう点でどうしても融資という問題がうまくいかないのであります。従ってこの融資の問題は、むろん別ワクの問題もあるかと存じますけれども、まずその基準の緩和ということをこの際ぜひともしていただきたい。今の基準の範囲内では、確かに私たちは今日から出発しようといたしておりますから、実績とか何とかいわれますと、全然これのワクあるいはこの線に乗ってこないので、その点をぜひとも御配慮願いたいのであります。  これに関連いたしまして国有財産の問題でありますが、これは知事さんあるいは市長さんも申されたかと存じますが、以前からいろいろお願い申し上げておりますように、この際、地方自治団体に委託管理の方法を講じていただきませんと、やはりこの企業組合というものも育成、援助、協力はしてもらうことにならないのであります。せっかくこの閣議了解事項の四項の育成策を講ずるというようにうたってあるんでありますが、根本問題として、この国有財産の問題は、さっき申し上げました方向に措置してもらいませんと、最初からくずれていきますので、お願いいたしたいと思うのであります。なお、この企業組合あるいは国有財産というものを私たちが特に国有財産を警備員を雇用されて維持管理をされる面から御配慮願いたいのは、具体的に申し上げますと、去る一月に米軍が使っておりましたノース・キャンプという土地建物を返還されておるのでありますが、返還後二十日をたたずしてその地域の機械設備というものがめちゃくちゃになっておるのであります。いわば配電盤等が使えなくなってしまう。というのは、わずかの警備員で警備いたしております間に、いろいろな金物類を盗んでしまうがために使えなくなってしまう。そういう点から、私たち企業組合にこの国有財産を維持管理さすという点から考えてでも、ぜひ認可をしていただいて、そういう土地建物を使用さしていただくならば、聞くところによりますと、維持管理するために警備員やその他の費用を加えますと四、五千万円も必要だということを聞いておるのでありますが、そういう点を考えて、ぜひとも企業誘致の具体的になるまであるいは具体的に企業誘致をどの場所にしようという場所以外は、この企業組合に委託管理をさしてもらうことが一石二鳥ではないかと思うのであります。この点をぜひお願いしたいと思います。そういう点がかりにです、いろいろな支障がありまして果されなかった場合に、警備員を多数雇われるとするならば、これまた十ヵ年間にわたってその土地建物をよく承知いたしておりますこの労務者に対して、優先雇用という措置をぜひとっていただきたいのであります。これにつきましてもいろいろ御配慮願っておるかと存ずるのでありますが、現地では、そうはいっても駐留軍に働いておった人ばかりを雇うわけにはいかないというようなことで、なかなか具体的にならないのであります。一昨年こういうケースがあったのでありますけれども、やはり駐留軍に働いていた人があまり雇用されておらない。あるいは防衛庁の雇用の問題につきましても、中央では優先取扱いをするというような指示もなされておるということをしばしば聞くんでありますけれども、いざ現地で採用というときにはやはりそういう措置がとられない。いろいろ現地の担当の人々にそれを言うのでありますけれども、そういう配慮するようにとあるけれども、具体的にどうしてもせなければならないのだというような指示はないのだから、こういうことで逃げられまして具体的にならないのでありますから、そういう点を今回の呉の場合には、おそらく何百名という警備員を雇用されると思いますから、ぜひとも具体的になるように強い指示を出していただくことをお願いする次第であります。  次に、若干時間が過ぎますけれども、いろいろ具体的に申し上げたいことがあるのでお願いします。埋蔵物資の古鉄の発掘払い下げ優先の件でありますが、御承知のように、朝鮮動乱以後スクラップ・ブームで、この接収地域以外というものはほとんど発掘いたしているのであります。ところが、接収地域だけは軍が発掘させなかったので、依然として呉地区はかつての軍需物資と申しますか、そういう物資並びにいろいろな古鉄等を軍が接収地域ではトラクターでぐうっと埋めたりしているのであります。そういう発掘は、これは大した資力も要りませんので、ほんとうに駐留軍労働者の一番手近な失業対策になるのでお願いしたいと言っているのであります。ところが、これまた現地ではいろいろ先願といいますか、先に願いを出した者に許可するのだということで、駐留軍労働者の方たちがこの事業をやろうとすると許可が下りない。この先願をよく調べてみますと、膨大な地域を一括して、一千坪とかいうような地域をこれこれしてもらいたいというのでやっている。ところが駐留軍労働者はさっき申し上げましたように、十ヵ年間そういうことをやり、しかも整備のときに自分が埋めたりしているのでありますから具体的の場所等を知っているのであります。商人の方のように、膨大な地域をばあっとぶっかけたりするのでなくして、具体的の場所を知っているので、これらも管財の方針からいきますと、おそらくこういう人たちに許可することが方針にマッチするかと存じますので、ぜひともこの点を御考慮願いたいと思うのであります。  最後にもう一点でありますが、企業組合に関連しまして、実は車両工場というのを非常に労働者諸君が真剣になって考えている場所があるのであります。それは調査団の方も見ていただきたいと思いますが、呉の河原地区には、関西でもないような流れ式のりっぱな車両修理工場があるのであります。これをこの際軍から払い下げしていただいて、軍もそういう意向でありますから、これに防衛庁の車両の修理発注等をしていただくよう具体的に御考慮願いたいのであります。特に呉地方は船舶エンジンのグレマリンという機械の修理はこの進駐軍のエンジニアしかおらないのであります。かつての日本の艦船のエンジンとは違いますので、そういう点も考えますと、最も適当な地域で、しかもりっぱな設備があるということを勘案していただいて、ぜひとも防衛庁の発注等のあっせん方をお願い申し上げたいのであります。なお外国軍隊の所有しております機械の払い下げ等については、軍自体が具体的にリストを出してくれているのであります。たとえば洗たく工場等につきましては、今年一ぱいの仕事をどれだけ与えてやるからこれこれしたらどうかということを知事に対しても公文書でくれておりますので、ただ問題は、その機械をどういう方法、あるいは価格の問題になるかと存じますが、ぜひともスクラップに等しい価格で払い下げてもらいませんと、これまた資力の乏しい労働者でございますから、なかなか買うことができない。しかもスクラップにいたしませんと、関税等の問題もありますので、この点を大綱をぜひとも政府の方できめていただくようお願いする次第であります。  以上が大体のお願いでありますが、どうか呉市のこの一万に近い労働者諸君は今日もう町で会うたびに、おお、お前いつ首かというのが合言葉になっているのであります。しかも、その家庭は非常に暗い戦々きょうきょうたるような状態であります。特に一二月は入試の時期でもありましたが、お父さんやお母さんが失業するので、私は高等学校の入学試験を受けるのをやめようかという子供があちらの家庭にも、こちらの家庭にもたくさんあったのであります。そういうような呉市の失業状態でありますので、この際、何とか当院の諸先生方のお骨折りによりまして、政府の具体的な対策を樹立していただくよう心からお願い申し上げまして、私の公述を終らしていただきます。
  15. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) ありがとうございました。  次に質疑に入るのでありますが、本問題に対しまして、政府の政策について、この際田中副長官からの説明を求めたいと存じます。
  16. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 私から、現在政府のとっておりまする概要につきまして簡単に御説明を申しまして、なお自余につきましては、また御質問に応じまして、そのつどお話を申し上げたいと存じます。  昨年の二十二国会におきまして、参議院におきまして、当時特需の問題といたしまして、米駐留軍引き揚げると、それに関連いたしまして駐留軍からの発注が非常に少くなるので、各工場失業者が出る。その問題に対しまして、いわゆる調達形式の改善ということから、内閣におきまして、各省の連絡調整に当る機関といたしまして、特需対策連絡協議会というものを新たに設置いたしまして、それによりまして、各省ばらばらの政策をなるべく統一をして、その方向に向って集中するというようなことから特需対策ができたのでございます。で私が一応その議長という役割をいたしまして、各省の連絡調整に従来当っておりました。最近におきまして、駐留軍並びに国連軍引き揚げに伴いまして、従来駐留軍または国連軍が直接雇用しておりました労務者解雇問題が全国各地に発生をいたしましたので、便宜この特需対策連絡協議会がさらに調達形式の検討以外に、本問題を取り上げまして、具体的に検討をやったのでございます。そこで政府の方針といたしましては、現在各地にこうした類似の問題が発生いたしておりまして、このことは労働問題といたしまして非常に大きな問題である、これは看過できないゆゆしい問題である、かような観点から、政府といたしましても大きくこの問題を取り上げまして、何回も閣議におきまして本問題のことが論議されておるのでございます。  そこで考え方としましては、まず二つに分けまして、今のたとえば山形県の神町、鳥取県の美保、その他各ベース・キャンプにおきまして、いろいろ失業問題が起っております。これは主として農村方面、ことに小さい都市を中心にした失業問題でございまして、本問題につきましてはできるだけ県当局がその本部を設置されまして、その県当局が、十分にその地方に明るい県当局がまず問題を取り上げて、そうしてそれに対して政府に向っていろいろな要求をしてくる、希望を持ってくる、それを政府としてできるだけ各省に連絡をいたしまして、地元の御要請にできるだけ応ずるような仕組みにいたしております。  それから今問題になりました呉地区の英連邦軍引き揚げに伴う問題は、非常にまた失業者の数も多いのでございまして、この問題はただ地元広島県呉市だけにおまかせすることも非常に困難な問題がございますので、本問題につきましては、特に政府といたしましてもまずこの駐留軍国連軍引き揚げに伴ういろいろな失業問題のティピカルなケースといたしましてまずこれを解決する、それによって他の方も逐次並行して解決していきたい、かような方針を取っているわけでございます。  呉につきまして申し上げますと、昨年の一月から三月の候におきまして、第一回の二千数百名の失業者ができたのでございますが、政府といたしましては、いろいろの観点からもちろん十分ではないのでございまするが、まあ平和回復善後処理費から一千五百万円、これは全額国庫負担でございます。それから砂防工事については一千万円、それから緊急治山千五百万円、合計約四千万円ほどの失業対策事業費その他を支出いたしまして、一応この失業問題に対しまして、政府として措置をとったのでございますが、しかしこんなことではとうてい解決はできないのでございます。そこで呉市に関しまして特に申し上げたいと存じますのは、幸いにしまして、呉は相当な国の施設が現在国連軍に使用されておりまするので、まず政府考え方といたしましては、現在呉にありまする国有財産、いろいろな軍港施設であるとか、あるいはまた前の工廠の施設でありますとか、その他いろいろな工場その他の施設がございますが、まず自衛隊、当然これは国有財産でございますから、海上自衛隊、陸上自衛隊がまずこれを使用するということもこれも当然のことでございますから、一応この陸上、海上の自衛隊が利用し得るものをまず先に選定してもらいたい。しかし全部これを自衛隊で独占いたしますと誘致ができませんので、必要の限度において、一応こうした国有財産施設の範囲をきめてもらいたい、それを現在やっているわけでございますが、まず自衛隊等がどの程度施設を使うかということを認定いたしまして、さてそれ以後の分につきましてこれを民間に貸与するか、あるいはこれを払い下げするか、あるいはまた、その他の方法をもってこれを地元に管理させるか、そういうような具体的な方法をこれから講ずる必要があるのじゃないか、これがまず先決問題であろうかと考えております。  それからまた国有財産をかりに一般企業へ転用いたすといたしますと、これに他の産業を誘致するその場合におきまして、従来の会計法で申しますと、非常に縛られておりまして、今までの会計法でやりますと、非常にこれが転用は困難でございまするので、何かこれに関してもう少し便宜な方法がありはせぬか、処分の方法及び条件について必要なる措置を講ずる必要があるのではないか、ただこれは従来の法規解釈だけでは非常にむずかしい問題でございまして、何か特段措置を必要とするのではないか、これを一つ早急に研究してみよう。それから呉地区の国有財産の産業への活用につきまして、一般の民間企業誘致する場合におきまして、ただ現在の状態ではなかなか一般企業誘致できません。これにはどうしても道路をさらに改修するとか、あるいは港湾施設をさらに改修するとか、あるいは水道施設を十分にするとか、そのほかいろいろな産業を誘致するには立地条件の整備が必要でございます。さような関係でこうしたことの事業をまずやらなくてはならない。それによって産業施設を、産業を誘致しよう、そこで国の方針といたしまして、他の都市の関係もございますので、呉だけを産業都市としてこれにすべてのものを集中するわけにはいかないのでございまして、やむを得ないことではございますが、一応この国連軍引き揚げに伴うところの離職者を吸収する範囲において、そしてまたこの国連軍引き揚げに伴う離職者対策といたしまして、この立地条件整備のための事業を、いろいろな国の予算をここに集中する。もし必要があるならば、他に特別な措置をも講ずる必要があろうかと考えておりますが、それを限度にいたしまして、呉の産業誘致に努力いたしたらどうか。それからさらに、離職者に対しましては、職業補導職業紹介措置を講ずることがまず一番肝要でございまして、呉地区に発生するであろうと思われる離職者の現在の就業状態を詳しく検討いたしますると、あるいは一般事務職があり、技術職があり、その他種々様々でございまして、その内容は非常に種々雑多、広範にわたっておりまするので、これをその適材適所に就職させるということが非常に困難な点がございまして、この点につきましては、極力職業安定所等を十分に活用させまして、また職業補導職業紹介のために必要な措置を十分にいたしたいと考えておる次第でございます。  それからまた企業組合の問題でございまするが、これもなかなかむずかしい問題でございまして、一がいに企業組合を作ることは簡単でありまするが、問題はこの企業組合をいかに運営し、そうしていかにこれをうまく続けていくかということでございます。たとえば、自動車の補修工場を作るにいたしましても、作ることは作っても、問題はその修繕する自動車をそこに持ってこさせなければならないのでありまして、さてそういたしますと、それだけの市場が果してあるかどうかということがこれはまた非常にむずかしいのでありまして、こういう点をできるだけ勘案いたしまして、かりに企業組合を指導して作らした、そうしてそれによってその企業組合が直ちにその運営が困難になってばらばらになってしまった、そうなりますると、かえって企業組合各位に非常な損失を来たすというようなこともございますので、それらの事業の見通し等を考えながらやっておりまするので、一般の労務者方々の御希望のようなことにいかない点も多々あろうかと思っておりますが、もちろんこうした問題につきましては、政府としまして最善の努力をいたしたいと考えております。そこでその呉につきましては、離職者の問題以外に、現在ではこの二十万の呉市そのものをどうするか、呉市の財政がただいま非常に悪くなっておりまして、呉市全体の財政問題をいかにこれを解決するかということがこれは非常に大きな問題になりまして、政府としましても、まず呉市の全体の財政問題を十分に一つ考慮いたしまして、これに対してどういう救済策を講じたらよいか、こういうようなことを考えておるわけでございます。そこで先月の十九日から関係各省の課長級の人々、これは特にこの本問題に直接関係のある人々でございまするが、これらの人々を全部調査団を組織いたしまして現地に派遣いたしまして、つぶさに現地の状況を視察して参りまして、一応その報告書はできておるわけでございます。それでこの報告書に基きまして、きわめて抽象的ではございまするが、従来の予算、それから従来の措置だけではとうてい本問題は解決することは困難でございまするので、一歩前進した措置をとらねばならないということが、これが期せずして各省の意見になりまして、さような意味から去る四月二十五日に、とりあえずいま少し進歩した積極的な政策をとるためにはどうしてもその根拠が必要でございますので、一応政府といたしまして閣議了解といたしまして、お手元に差し上げたような条項によりまして閣議了解をとったわけでございます。そこでまず三十一年度予算の範囲内において、各省においてできるだけ捻出し得るものをまず捻出する。そしてさらに足りない分につきましては、何らかの予算措置を講じたらどうだろうか、かようなことで、この閣議了解をとったような次第でございます。  この全国的に展開いたしておりまする駐留軍の問題で非常に困難な点は、先ほども参考人の方からお話がございました通り、労務者の一般のベース賃金が普通の労務者よりも上回っておるために、また一応その事務職等が多いために、これを公共事業失業対策事業へ回しても、直ちにそれが転換できないという理由がございまして、その点が非常に困難である。ことに農村地帯におきましては、なかなかこれを求人側としても少いものでございますから一。それからまた農村地帯におきましては、いわゆるヒンター・ランドというものがないわけでございます。たとえば昨年の五月、六月ころに起りました、これは今度の事件とは違いますが、追浜の富士モーターが四千人の解雇者を出したのでございますが、京浜地区というような大きなヒンター・ランドがありまするために相当まあ失業者もある程度処理ができたのでございますが、農村地帯のベース・キャンプに勤務されておる労務者というものは、そういった関係でヒンター・ランドがないために非常に求人が困難であるということと、それから地元の市町村の財政状態がいずれもあまりよくないのでございまして、公共事業を押しつければそれだけ地元負担が重なっていく、赤字をさらにふやしてしまう、こういうことでできるだけ全額国庫負担でやってもらいたいという御希望はあるのでございますが、現在のところ、全額国庫負担ということは非常に困難なことになっておりまするので、この点が思うようにならないことと、それからたとえば、京浜地区であるとか、京阪神地区の方へ失業者方々を転住さして、その方で失業あっせんしたらどうかということもいろいろ地元でも努力して、職業安定所でもいろいろ苦労いたしたのでございますが、このこと自体が非常に困難でございまして、大体におきまして地つきの方が多いために、他に転住してまで就職するということが非常に困難である、こういう点が一つの困難な点になっております。それからまた、国連軍駐留軍のいろいろ経理の関係が日本と違っておりまして、われわれの希望するようなことになかなかいかない、弾力性がきわめてないということで、労務者の希望するようなことがうまく実現できない点もございまして、まあいろいろな点から非常に本問題の解決には政府側といたしましても悩んでおるのでありますが、しかし、本問題は非常に大きな問題でありますので、われわれとしましては関係各省と連絡をとりまして、最善の努力をいたすように現在も努力をいたしておる次第でございまして、大体のことだけ一応申し上げまして、また御質問によってお答えをいたしたいと思います。 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  17. 重盛壽治

  18. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) この際私の方からちょっと御報告いたします。  現在出席中の政府関係者は武藤労働政務次官田中内閣官房副長官、加藤防衛庁人事局長天埜運輸省港湾局長、江下労働省職業安定局長、海老塚調達庁労務部長、荒居通商産業省企業局特需課長、辻大蔵省国有財産第二課長等でございます。  どうぞ御質疑お願いいたします。
  19. 山本經勝

    山本經勝君 参考人の皆さんから二、三お答えを願っておきたいと思うのですが、まず、知事さんと市長さんにお伺いいたします。  そこでただいまお聞きの通りで、田中官房副長官の方からお話がありましたように、根本問題としては、やはり呉市にあります施設国有財産だと、これを要するに企業誘致等によって、恒久的な、単なる失業対策というだけではなくて、地方公共団体としての財源があると、その点は今お話の通りなんで、政府としても一応考えておられると思うのですが、先ほど知事さんのお話によりますと、昭和二十八年にこのことを予想して対策委員会を持たれた、で、今日に及んでいる、そういうことになりますと、一応この資料の中にもあるかと存じますが、まだ十分に目を通しておりませんからわかりませんが、概略企業誘致を目標とした一応の計画がおありでありましたら、お話知事さんなり市長さんから、どちらでもけっこうですがお伺いしたいことと、いま一点は、失業対策費について、三十年度にどの程度の補助費の割当が行われておるか、こういう点、まずお伺いを申し上げたいと思います。
  20. 大原博夫

    参考人大原博夫君) ちょっと御質問がはっきりわからないのですが、三十年度に呉市地方へ使っておる金ですか。
  21. 山本經勝

    山本經勝君 これは広島県並びに市、それぞれあっていると思うのですが、それを、その前に申し上げた趣旨がおわかりでなかったかとも存じますが、つまり企業誘致その他恒久的な対策について、計画が一応おありでしたら概要をお聞かせ願っておきたいことと、それからもしここでおわかりでないようでありましたら、あとから資料をいただいてもけっこうなんですが、その点どちらでもけっこうでございます。
  22. 相馬助治

    ○相馬助治君 今山本委員からの御質問のことで、民間産業の誘致の計画が、県とか市側にあるかという御質問で、それに答えるのに何か時間がかかるようですが、私はその間に田中副長官にお尋ねしておきたいと思うのだが、この呉市全体の都市の性格まで変えなくちゃならないと、それからまあ非常に多くの離職者を吸収しなくちゃならない、それで政府としてはかくのごとく考えておりますという話を聞くと、非常にもっともなことを熱心に考えているようなことでけっこうなんだが、ただ一つ、私はふに落ちないのは、陸上、海上自衛隊が、優先的に国有財産を使うように、今計画を出させていると、こういうことですが、この陸上、海上自衛隊では、離職者を吸収するという目的には非常にほど遠いものがあると思うのですね。これをいつまでにそういう優先的に彼らが使うものを出させようとしているのですかということを聞くのが一つと、その後民間産業を進出させる、貸与したり、あるいは払い下げたりするという具体的な方法を今からきめるというのですが、さか立ちしてはいませんか。実はこれはないしはさか立ちしていなければ、同時にこの民間産業を誘致する。またこれらの進出できるような具的体な方策を政府みずからがきめて、県なり市なりに、それからまた進出しそうな企業にその条件を示すことが、まず第一じゃないでしょうか。それからいつまでにこれをやる気なんですか。これをはっきりしておいてほしい。
  23. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) ごもっともな御質問でございます。民間企業誘致する場合においては、その条件等を十分にまず提示することが必要であろうと考えております。ただ御承知の通り、呉というところはもと日本に軍がございました当時の基地でございまして、現在の施設そのものが基地としてそのまま利用できる状態に相なっております。そこで当然の考え方といたしましては、一応自衛隊の、防衛庁の方でどの程度のものをとりあえず確保しておくかというようなことの希望も非常に強うございますので、まずそれを具体的に一つきめなければならぬと思います。それが早急にということでございますが、なかなかこれは防衛の関係もございまするので、非常にむずかしいと思いますが、私どもとしましてはできるだけすみやかに——ではしからば何月何日までというところまで申し上げれば、それは非常にいいと思うのでございますが、そこまでまだ突き詰めて考えておりませんが、できるだけ早い機会に一つ防衛庁としてもその予定される計画を出してもらいたい。そうして予定された計画が出ましたならば、もちろんこれは大蔵省の問題だと思います。国有財産の処分または管理の問題でございますから、大蔵省がそれをさらに検討いたしまして、その程度でいいかどうかということを大蔵省で一応検討いたします。大蔵省検討して、まあこの程度という話し合いがつきましたならば、その自余の分をでは一つ民間の企業にこれを利用してもらう、こういうようになっております。  そこで、これができたならば、現在民間企業誘致につきましては、もとより地元におかれましても、非常に熱心に心当りの方面はいろいろと御折衝されておるものとは考えておりますが、しかし、それだけでは私は十分でないと考えておりますので、やはりこれは政府ができるだけあっせんをいたしまして、通産省方面が主としてこの方面を担当されると思いますが、通産省を中心にいたしまして、一般の企業界へ呼びかけて、この設備によってどの程度のものができるかということについて、他の民間企業と十分折衝して、その上で利用をやったらどうかと、かように考えておる次第でございます。従いまして呉といたしましては、もちろんこの職業あっせん、職業指導ということも肝心でございまするが、やはりこの民間企業誘致いたしまして、そうして企業をそこで起して、それでその企業に、失業されておる方々を利用した方が一番いいんじゃないか。まあ、かような考え方でありまして、非常にこのきょうあすのすぐのものという対策の問題ではないと思いますが、呉市の今後の失業対研といたしましては、やはりこうした恒久的の点から考えて参りませんと、ただ一時的なこうやくばりの対策ではいつまでたっても同じような問題が繰り返されるんではないか、多少おくれてもそうした根本的な対策を立てて、それによって解決することが一番近道ではないかと、かようにまあ考えておるわけでございます。
  24. 山下義信

    ○山下義信君 私は質問いたしませんが、議事進行で発言しますが、今山本君からの質問中ですから、山本君にお願いしたいと思うのですが、参考人が答弁せられる時間を利用されて相馬委員から質問が出た。今の問題は非常に重大な問題だ。言いかえれば、呉地区におけるこの対策のまっ中心の問題です。それで国有財産の土地が呉市のものになるか、呉市の解雇者失業対策のために使い得られるか、そういうところを自衛隊がみな取ってしまうかということは死活の問題ですよ。ですから、この問題は、この席で少くともはっきり政府の具体的方針を示さなくちゃならぬ。いいところは勝手に取っちゃって、それであと何の対策ができるんですか、これが根本問題です。根本問題が幾つあるか知らないけれども、少くとも根本問題の一つなんです。そういう対策がきまらなくて、あとの枝葉末節を何だかんだといったって何も対策が立つはずがない。どこを取ろうとしておるのか、いつそれをきめるのかということをきめてやらなくちゃ、地元の県だって市だって対策の立てようがない。だから今非常に重大な問題を提起せられて、田中官房副長官の御答弁は抽象的であって実は要領を得ない。これは山本委員からこういう点について今の御質問のあと続いてなさるかどうか伺ってみなければわかりませんが、これは非常に重大です。ですからこれは具体的にどこまで取ろうとするのか、どういう計画を持っているかということを、一日もすみやかにはっきりきめてやらなくては、対策の立てようがないのでありますから、私は議事進行といって発言しましたが、今の御答弁ではわれわれ満足できませんから、山本委員の御質疑がこれにお触れになりますれば、またそのときに関連質問をさせていただきまするが、私の質疑も保留しておきたいと思うのですが。
  25. 山本經勝

    山本經勝君 ただいまの山下委員お話のように、私の考えでは今参考人からお伺いしているのは、参考人はいずれも現地の責任者である、いずれも現地の実情によく精通されて、従って現地でもってすでに二十八年以来検討されてきている。ですからそこで具体的な、こういうふうにしたらこういう民間企業誘致ができるのだと、こういうような希望があるならば、少くともそれを政府当局は基礎にして具体的な対策を考える以外にないのだろうと思う。そういう意味で御質問申し上げた。そこで、もしここで非常に時間がかかるようでしたら別に資料をいただいてもけっこうですが、概略なりと一つ御説明願っておくと非常に参考になると思う。
  26. 大原博夫

    参考人大原博夫君) 一昨年以来関係機関の御協力をいただきまして作業いたしまして、広島呉地区鉱工業地帯整備計画というものを樹立いたしております。政府の方へもそれをお配りいたしましておる案がございますが、ただ非常に膨大なものでございまして、お手元に後刻お配りいたします。なおまた呉の市長さんからも概略の御説明を申し上げます。  それから失業対策の問題でございますが、県ではただいま一般の失対の事業特別失対、それから臨時就労等を入れておりまして、三千百十一名を県営としてやっておるわけでございます。なお、このうち千七十名を呉市に充てておるわけでございます。そのうち特別失対につきましては、特別失対が五百八十三名を今県で事業いたしておるのでございますが、そのうち二百五十二名を呉市の方面へ回しておるわけでございます。金額といたしましては合せて四億八千万円ばかり支出いたしておるわけでございます。
  27. 松本賢一

    参考人松本賢一君) お答えいたします。呉の施設の利用計画につきましては、お手元に参っておると思いますこの大きな資料の十ページをごらん下さいますと、大体利用計画案が載っておるわけであります。それでこの中で、一応防衛庁が現在すでに御使用になっておりますものは別といたしまして、それ以外のものにつきましては、一応われわれとしての産業計画をここに示しておりますわけで、備考欄に、防衛庁の方で使用の御希望あるように承わっておりますものは、そのように書いてありますわけでございますが、最近承わったところでは、防衛庁の御希望はこれに書いてありますものよりは、相当少い御希望であるというふうに承わっておりますが、その点まだきまっておらないようでございますが、それがはっきりいたしますと、私どもの計画はもっとはっきりしてくるのではないかと思っております。その中で番号をつけてございますが、三、六、二十四、三十二、三十三、三十四というような地区に対しましては、今具体的にすでに会社、工場の進出、あるいは拡張の計画が示されておりますわけで、それ以外のところにつきましては、まだ具体的なものは上っておりませんが、利用目的、適応業種というような項目を掲げまして、一応私の方で、ここはこういうふうに使うのが適当であろうということを書いたわけであります。今申し上げました番号については、すでに具体的に計画ができて参っておりますが、それ以外のものにつきましては、一応の計画案であるわけでございます。  それから失業対策事業につきましてお尋ねでございましたが、今知事さんが県の方をおっしゃいましたが、市の方について申しますと、三十年度におきまして一日平均二千五百二十八名就労いたしておりまして、それに対して事業費は二億八千四百四十八万円なにがしになっております。国庫補助がそのうち一億六千七百八十何万円、それから起債をいただいておりますのが四千万円で、一般歳入の方で充当しておりますものが七千六百六十一万余円になっておりますわけでございます。今のところ昨年度が一番大きかったわけでございますが、本年度は一般失業対策事業というものはもうとても拡張する財源的な余地はございませんので、この際、この事業をこれ以上大きくしてやらなければならない場合、あるいはまた特別失業対策事業というようなものにつきましては、先ほど申し上げましたように、ぜひ地元負担の伴わないような方法でやっていただかなければ、とうていやることができない状態になっておるわけでございます。
  28. 山本經勝

    山本經勝君 市長さんにちょっと伺いたいのですが、今の鉱工業地帯整備計画という具体的の計画は政府の方へすでにお出しになって、お話し合いをしておるわけでありますか。
  29. 松本賢一

    参考人松本賢一君) 出しております。
  30. 山下義信

    ○山下義信君 今の問題で関連して質問させていただきたいのですが。
  31. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 山下君。
  32. 山下義信

    ○山下義信君 今の防衛庁の使う土地がきまらぬというのは、どうして早くきめてもらわないのですか。何かあなたの方と防衛庁との間に意見の食い違いか、何か調節のつかないことがあるのですか。あなた方はなぜ防衛庁に早くきめてもらわないのですか、早くきめてもらわなければ土地計画は立たないでしょう。どうしてそれにきめてもらえない理由はどこにある、あなた方はどう感じておいでになるのですか。
  33. 松本賢一

    参考人松本賢一君) お答え申し上げます。  この問題は非常に重要でございますので、私どもも防衛庁の方とできるだけ早く話し合いをつけると申しますか、結局は政府において御判断になる問題ではあろうと思いますが、地元地元としての要求を防衛庁の方へ申し上げまして、話し合いを進めておるわけでございます。大体いわゆる両者の歩み寄りと申しますか、私どもの産業あるいは港湾計画と防衛庁の方の御計画との間に不都合のない解決がつきそうに私どもは見通しを持っております。ごく近い将来に、政府の方で御決定をいただくことができると信じておりますわけでございます。
  34. 相馬助治

    ○相馬助治君 今のと関連して……。この駐留軍関係労働問題でも、財政の問題でも、ただいまのような土地収用の問題でも、私どもの承知していることでは、一番何が問題だかというと、どこに最終的な責任があるのかと、こういうことだと思うのです。田中副長官が今るる説明されたお話はまことにごもっともで、あなたが議長をやっているところで全部こう何でも引き受けて計画してやりそうなお話ですが、今の市長さんの話を聞くと、防衛庁とまた個別的に折衝している、こういうことですが、市長さんなんかがこの種の陳情あるいは請願をされまする場合には、今田中副長官が議長をやっているところの窓口一本では問題が解決しないのですか。またあの何とかやら委員会というのに言っても話が全然わからぬのですか。事実問題はどうなんですか。
  35. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 便宜私からお答えいたします。  私の方のこの特需対策連絡協議会は、直接その計画を立案をし、また実施するようなところではないのでございまして、あくまで地元の要望等を聞きまして、それを関係各省に流しまして、そして関係各省の連絡調整に当るのが主としてこの協議会の任務でございます。それで、こうした問題は、単にその協議会だけで全部をやろうと思いましても、これは非常に困難でございまして、われわれとしましては、直接地元方々関係省にお当りになることも、これもけっこうでございます。それからまた、地元方々が私どもの窓を通して関係各省に当る場合もございまするし、ただこの協議会だけが全責任を帯びてやるということが非常に困難でありまするので、地元方々の御協力をいただきまして、そして地元方々もできれば一つ関係省と直接当ってお話し合いを願いたい、こういう方針でやっております。
  36. 相馬助治

    ○相馬助治君 田中副長官は頭がいいから、私が市長に質問したことを受け取って答えられたが、私は市長さんにこういうことを聞いているのじゃほんとうはないのです。あなたに最終的に聞きたいのですが、この連絡協議会というのは、ただ窓口で地元の要望その他を各省に伝達するというのであって、最終的に議決して執行し得る権限を政府自体からこの閣議了解のもとに与えられているわけではないというふうに了解すべきなんですね。
  37. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) そうであります。
  38. 相馬助治

    ○相馬助治君 そういうことじゃあ、全く話にも何にもならぬので、窓口だからこちらへは陳情にこいと、それから防衛庁にも労働省でもどこへでも行けと、これではもうどうしようもないし、またせっかくお忙しいところ知事、市長、その他労働組合関係の権威ある人たちを呼んで私たちがこの人たちにいろいろ聞いてみても、政府自体がそういうふうななまくらなわけのわからぬ態度では、何にもこの解決にならない。従って私どもがこの際強硬に要望したいことは、政府自体が原則的なことの計画を立てて、従って先ほど山下委員からも指摘されたような点について計画を立てて、それを知事なり市町村なりにおろして、基本的にはこうなんだからこの範囲内においてこうすべきである、こういうのでなければ、お前ら陳情にこいと、その上で考えてやろうということじゃ、これじゃ全く話が逆であって、もうどうしようもないと言わざるを得ない。こういうことになりますれば、私は田中副長官を責めるわけではないけれども、ここに鳩山首相も呼んでこなかったことをきわめて遺憾としておるのですが、ともかく何と言ったらいいのでしょうね、これは表現に苦しむのだが、これは話の途中でやめておきまして、質問を続けてもらいましょう。
  39. 山本經勝

    山本經勝君 それで今の相馬さんのお話ですが、今のそういう状況にあるので、実は参考人に来てもらって、そこで参考人に現実の状態を詳細に述べてもらって、それで田中官房副長官の方では、先ほど冒頭にお話があったように、十分この実態に即した解決をしようというので閣議了解まで遂げられている、ですからそこら辺で一つ話を進めてみたい。  それで市川委員長にお伺いしたいのですが、私の手元にある資料が間違っておりますというとあれなんですが、一応昨年の七月から今年の一月までに陸軍、つまり駐留軍の陸軍、それから海軍、空軍、軍直、こういうものを合わせますというと、大体失業者数が一万三千三百六十四名ということになっております。そのうちで配置転換、その他いろいろ対策に努力を各関係者はなさったと思う。そこでなお実出血として数字が明らかになっているのは八千二十八名、それにことし一月以降のを加えますと、大体一万六千なにがしということになるのですが、これの総合的な組合側の対策並びに関係地方におけるそれぞれの対策があったろうかと考えますが、それらの総合的な対策としては、今日までどういう推進をなさってきたか、その概況を一つお話し願っておきたいと思います。
  40. 市川誠

    参考人市川誠君) お答え申し上げます。  ただいまおっしゃられました通り、昨年の七月から本年の一月まで一万三千三百六十四名、こういうような解雇の通告が出ました。これらの解雇の理由はかなりいろいろとございまして、中には部隊の撤退、施設閉鎖あるいは労働調査団の調査結果による余剰人員、また予算の縮減に伴う解雇、いろいろな理由がありましたので、組合といたしましては、これだけの解雇を見ますと、実際に部隊の行なっております作業量というものは、少しも減ってない。それにもかわわらず、人員整理だけを行うというような部面が首切りの相当数でありましたので、そういうような事案に対しましては、首切り反対の立場に立って政府を通じ、また直接の対軍交渉によって折衝をいたしまして、ただいまお話の中にありましたように、相当数の配置転換、職場転換等行なって、そうして救済する措置をとって参ったのであります。しかしそれにもかかわらず、やはり実際の出血が八千名ほど出ております。それがさらに本年に入りましてから、六月までの解雇の通告が出ております数を含めますと、一万六千程度になるわけであります。本年に入りましてからの特徴的なものといたしましては、やはり施設閉鎖するという問題が各地に起って参っております。そういうような事態に対しましては、労働組合といたしましても、従来のように単に解雇反対というような交渉闘争ばかりでなく、基地労働という性格から見まして、   〔委員長退席、理事高野一夫君着席〕 むしろ部隊の撤退等によるところの首切りに対しましては、その施設を利用して、そうして就労の機会を持ってゆくというような方法も十分に考慮いたしまして、そうして交渉を進めて参っております。われわれの考えといたしましては、基地労働の性格の問題から見まして最終的に施設閉鎖になり、部隊引き揚げる、こういうような事態に対し、なおかつそこで働かしてくれというような考え方は持っておりません。しかし、部隊がなおそこにおり、作業量自体が少しも変っていない、こういうような場合に対しましては、一応他に就労の機会もきわめて困難な事情がありますので、いろいろと対軍折衝、対軍交渉の中で職場配置転換等を行なって、今もなお若干の人員を、基地の中で働く機会を得るような方法をとっております。これももし国の施策がはっきりいたしまして、そうしてそういうような整理人員が平和産業なりあるいは他の企業等に就労の機会がありますならば、もう労働者は好んで基地の中へ再び行くというような考えはないのでありますが、やむを得ず配置転換等の措置をとって救済する方法をとっております。一面そういうような首切り反対の態度をもって折衝する反面、ただいま申し上げたように、逐次施設閉鎖部隊引き揚げというような理由による解雇がふえて参っておりますので、一そう労働組合の立場からも全体的な失業対策の確立をはかって、その中で就労の機会を持っていく、こういうような方向に最近かなり重点を指向いたしまして、そうして政府とも折衝を続けて参ってきておるわけであります。それらの問題について、やはり今の法律制度の中ではなかなかワクが固くはめられておりまして、頭打ちをしてしまう。そこで先ほど田中副長官からも話がありましたが、今の法律制度のワクをやはり越えての対策をこの際基地労働者に対する措置としてとってもらいたい、こういう主張を強く私ども申し上げて、それができるまでわれわれとしてがまんできる方法、生きていく方法の問題として、先ほどかなり前途に危惧せられる問題がありますが、企業組合等によるところの更生の措置もとっておるわけです。労働組合として、かなり広範な首切りに直面しての対策を全駐労としては総合的にとって参ってきております。そういうような経緯を経てきておりますので、一そう今後もそれらの点について力を注いで、そうして十年以上も苦労してきた労働者の離職後の生活保障の万全を期していきたい、このように考えておる次第であります。
  41. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 先ほど相馬議員の発言に対しまして、私の答弁の不足の点がありますので、これを追加いたしておきます。この対策協議会はもちろん連絡調整の機関でございまして、この議長たる私がもちろん各省に命令する権限は全然ございません。しかしながら、この問題につきましてはやはり各省の緊密な連絡調整をとらせることが最も重要なことであります。そこで、もちろん連絡協議会局長、課長等の会合でありますが、従来のとった措置としましては、必要がある場合におきましては関係の次官を招集いたしまして、関係の次官によってこれらの問題を処理していく。なお必要があるならば関係閣僚会議を開き、そうして場合によっては閣議において、これを関係閣僚から発言をしていただく、こういう道が開かれておりますので、そういう意味におきまして、単なる事務上の連絡機関だからつまらないものじゃないかという考えではなくして、われわれとしましては、この機関をさらに有効に活用していこう、こういう気持でやっておりますので、その点を一つ御了解願いたいと思います。
  42. 相馬助治

    ○相馬助治君 わかりました。期待します。
  43. 高野一夫

    ○理事(高野一夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  44. 高野一夫

    ○理事(高野一夫君) 速記を始めて。
  45. 山本經勝

    山本經勝君 もう一点市川さんにお伺いいたしますが、現在企業組合がそれぞれ各地方にできつつあると思うのですが、これの実態はおよそどういう状況ですか。現在組織されている数ですね。それからあるいは活動している状況等簡単にわかりましたらお願いいたします。
  46. 市川誠

    参考人市川誠君) 企業組合につきましては、かなり進んだ部面は、九州の福岡県における北九建設企業組合等であります。また司企業組合等もあります。それらにつきましては、県の行います事業等の一部を、工事請負等をいたしまして、そうして実施いたしておるわけであります。北九建設につきましては、逐次実績も高まってきております。  また、各地方に大体二十都道府県にわたる今組織を持っておりますが、大体一都道府県に一つないし二つくらいの組合が今用意されております。呉の場合には、先ほども公述にありましたように、二十数県に及ぶ企業組合を組織いたしまして、そうしてあらゆる事業をやっていこう、こういうような格好になってきております。いろいろの実績につきましては後ほど資料等を提出いたしたいと思います。
  47. 吉田法晴

    吉田法晴君 関連……。私は昨年等は労働委員をやっていて、駐留軍労働者失業対策について政府の方針、あるいは組合でやられて参りました点等も詳細に知っておるのです。きょう参りまして、政府からの説明、それから参考人の陳述等を聞いておりまして、呉の点についてはやや具体的になり出して参りましたけれども全国的な駐留軍労働者失業対策というものについては、前に閣議了解ですか、ございましたものがあるだけで、これは抽象的にワクと方向だけはありますけれども、具体的な中身はない、あるいは財政的な裏づけがない、こういうように実は考えて参りました。そこで全国的な点について整理の模様、あるいは見通し、それから要望は伺いましたけれども、その後実際に全国的に失業対策がどの程度まで行われておるか、これをまあ伺いたいと思いましたけれども、時間の関係もございまして十分でございません。ただ要望としてここに書いておりますような点も大体簡単に公述をいただきました。そうして、今の企業組合の問題につきましては、山本委員から質問がございましたが、閣議了解が具体的にどの程度に行われておるか。われわれから言わせれば、どの程度にしか行われていないという具体的な事実を、一つあとで資料として、委員長を通じてでも御提出をいただきたいと思います、各方面について……。  それからここで伺いたいことは、たとえば企業組合について、山形の場合に、国民金融公庫等から、金融公庫ではなくてもいいのですが、二千七百万円等の金融がほしい、こういうお話がございましたが、あるいは国有財産の貸与を受けて云々ということになりますと、それも金になるわけでありますが、こまかくおあげ願うということはきょうは困難かと思いますけれども、概数でけっこうですから、企業組合なり、あるいは国有財産の無償貸与を受ける等々考えられます——要望しておられます失業対策をやって参りますのに、財政資金あるいは金融公庫等の融資の金額も含めてけっこうですが、どの程度に金が要るものか、こういう点について御試算等がありますれば、お述べをいただきたいと思うのです。  それから先ほどこの退職金を含んででありますが、駐留軍労働者の給与について、国で立かえて米軍に請求をする点について、未償還の分があり、それがそのまま赤字となって放置されておる、こういう御発言でございましたが、その金額がどの程度なのか、御存じでございましたらお教えをいただきたいと思うのであります。市川さんにお願いいたします。
  48. 市川誠

    参考人市川誠君) 第一点の問題につきましては、私ども駐留軍の引揚対策善後処理費の所要予算として、実は特需等対策連絡会議田中副長官等にも陳情いたしました点では、第一点の問題としては、公営企業実施に必要な経費といたしまして、これは大体都道府県の数では十八くらいを予定いたしまして百六十二億円くらい。それからさらに研究費といたしまして一億八千万くらい。  第二点は、共同作業場を各地に作って、そうして、それによって就労する機会を与える、これにつきましては、作業場の建設費といたしまして一億二千七百万円くらいであります。これは建坪が五千百坪くらいの数になります。  それから第三点といたしましては、特別職業補導費でありますが、これは都道府県の数を大体二十三くらい予定いたしまして五千四百万。企業組合及び事業協同組合に対するところの特別融資の問題ですが、これは設立の組合数を四十二くらい予定いたしまして一億五千五百万くらい。  さらに自立自営業に対しまするところの融資の問題についても三億くらいの融資を願いたい。  第六点としましては、企業組合事業協同組合に貸与する器材、器具とかいうような購入費といたしまして、やはり一億五百万円くらい、そういうような実は一応の所要計算等もいたした次第であります。  それから第二点の、米軍関係の労務費の未償還の問題でありますが、これは調達庁の側から公表をされておりませんが、私ども具体的に労働問題の紛議となっておる問題から一つの例を申し上げますと、長崎の佐世保において、従来労働者が扱っておったいろいろな燃料関係の問題で、危険作業手当を支給されておったものですが、これについては三千万円程度の金が向うからカットされてきておる、こういうような状況もあるわけです。これに類した事例がかなりありますので、これは要するにいろいろと政府が折衝しておるようですが、もう二年もかかってまだ解決になっておらぬので、われわれの予想としてはおそらく末償還、赤字という形で処理されてしまうのじゃないか、このように予想しておるのであります。一つの事例を申し上げました。
  49. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は労働省にちょっとお尋ねしたいのですが、特別失事業は四分の三国庫支弁のために、各府県はこれをもらいたがって大騒ぎしておる。ところが今呉市長さんのお話を聞くと、それすらもいただいても四分の一負担が困難であるから、全額一つ何とかしてくれという切実なお言葉があり、全く同情に値いするわけですが、一体労働省は今の言葉に対して何らか腹案がございますか、まずその一点をはっきりお答え下さい。
  50. 武藤常介

    政府委員(武藤常介君) ただいま相馬先生の御質問でありますが、御承知のように、この問題は、政府としては、なかなか負担が容易でないので、相当問題として研究されたのでありまするが、呉市のごときところに対しては、特別の事情があるからどうか全額の支給をというので、労働省としては予算の要求をいたしたのであります。やはり何と申しましても、その工事なら工事をやるということ、その仕事自体はその地元に残るのであるからということで、五分の四ということに決定されたのであります。
  51. 相馬助治

    ○相馬助治君 ですから、全額をやる気があるけれども、金がないし、やった事業地元に残るのだから、一部負担はやむを得ないと、こういう御答弁のようですが、それじゃだめだと地元も言っておるし、田中副長官のお答えにも、呉市は特別だと、こう言っているのだから、特別だとはわかっているけれども、特別に扱えないというのじゃ、政治でも何でもない、こんなもの。だから、特別に扱う考えがあるのか、それとも、呉市長がああいうふうに言うけれどもだめだと、こうはっきりしているのか、それを聞いている。
  52. 山下義信

    ○山下義信君 関連。先ほど政府全体の閣議了解事項という内容を田中副長官が説明したときには、三十年度でも平和回復善後処理費、その他から捻出して、四千五百万円ほど全額国庫の特別の仕事をやらしたことがあると、こう言った。どうも全額国庫の支弁でなければやれないから、何とか考えていると、こう言ったじゃありませんか。それで今武藤政務次官は、五分の四などということは言ったが、全額国庫負担特別失事業をやるということを言わない。これはどういうわけです。やらないのならばやらないと、今後研究してやるつもりがあるなら、あるという方針を明確にせなきゃ、今までの言い分けを聞いておったって、しょうがない。
  53. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) ただいまのお話でございますが、私が申し上げましたのは、道路の関係の平和回復善後処理費は、これは別の使途から出しておりまして、これは地元負担等はないのでございますが、やはり砂防その他の治山工事その他は、やはり従来の地元負担によってこれは実施いたしております。
  54. 武藤常介

    政府委員(武藤常介君) 私からもちょっと……。  一応そういうことになっておりましたが、問題が問題であり、事情事情でありますので、五分の四でどうしても地元が非常に困難な場合がある場合も想像いたされますので、なお種々なる方面から何とか考慮をしようというような段取りになっておりますので、追加いたして申し上げておきます。
  55. 相馬助治

    ○相馬助治君 その追加した点が大切なんです。私が聞きたいことなんです。それが口約束だけでなくて、他日広島知事なり、呉市長が行ったときに、その今の言葉がほごにならないように、一つ具体的に案を急いでほしいと思うのです。  第二に聞きたい……。
  56. 山下義信

    ○山下義信君 ちょっと、今の第一の問題に関連して、私も田中副長官じゃないが、言葉を直しておこう。それは失業対策をどうするか、特別失業対策をどうするかという、そういういわゆるテクニックを使えば、きちんと規則通りのことを答える。だから、そんな名前は何でもいいから、全額国庫負担で支弁し得る仕事をやらせるからということでもいい。どっちでもいい。そういう全額国庫で仕事をやらせる考えがあるというならそれを、そういうお考えを聞いたのであります。  それから今武藤政務次官は、全額国庫負担特別失事業をやる考えがある、こういう答弁をせられたんですが、せっかく専門の局長がおりますから、江下安定局長からそれを補足して答弁してもらおう——確認しておいてもらおう。
  57. 武藤常介

    政府委員(武藤常介君) ちょっとその前に。ただいま五分の四では決定いたしておりますが、なお不足の分に対しては相当の考慮をして何とか捻出の方法をとろうというので、ここの場合はっきり全額を国庫負担によるというふうには私としては申し上げかねますので、その点だけは一応はっきりしておきます。
  58. 相馬助治

    ○相馬助治君 費用支弁が五分の四ではだめなんだということが焦点になってきている。そうするとその先は幾らになる。十分の九のこともあるし、八分の七のこともあるけれども、私たちが言うておることは、この呉の特殊な事実に対して特殊なことをやるべきであるという見解を政府みずからが言うから、そこで具体的に聞いたので、ここの答えを速記に残して確認するならば、前段の答えは全部これは無になってしまって、私は全額国庫負担を確実にやります、こういうふうに大みえを切らなくてもいいから、要するに全額国庫負担をやるつもりで大いに努力するという、そういう発言を確認しておけばいいので、それは私の確認で間違いないですね、次官。
  59. 武藤常介

    政府委員(武藤常介君) ただいまの、きわめてこまかなところになりますが、はっきり全額負担ということには申し上げかねますが、なるべくそれに沿うようにあらゆる努力を払っていこうという考えであります。
  60. 山下義信

    ○山下義信君 安定局長の答弁は……。
  61. 江下孝

    政府委員(江下孝君) この問題はお話しの通り、政府としては非常に重要な問題になっておりまして、そこで当初予算を要求したときにおきましては、お話しのような線も私ども出して折衝したのでありましたけれども、現実の結果といたしましては、特に三十一年度から従来は三分の二の補助率でございましたけれども、特に呉市等の財政が窮迫いたしておりまして、失業者が多く発生しております所では五分の四まで引き上げるということにいたしまして、本年度予算を組んでおるわけであります。そこでただいま申し上げましたように、その余のものといたしましては、これは現在自治庁等とも話し合いまして、交付税あるいは特別交付税の確保ということで十分な手を打ちたいというふうに考えておりますが、なお、田中官房副長官からも申し上げましたように、呉市財政全体の問題について、別途なお今関係省でも相談をいたしております。それらの進行とにらみ合いまして、この問題もできるだけこの失対事業地元負担にならぬような方向で実施されるように私たちは努力したいと考えております。
  62. 山本經勝

    山本經勝君 ちょっと話が飛躍してきたんですが、当委員会で呉市の駐留軍労務者の離職問題が問題になりまして、労働大臣に私が質問を申し上げた際、むろん今問題になっていることは結果的に見まして失業者が出る、その失業対策をどうするかということはこれは当然問題でありますが、そのときの委員会で、私が労働大臣に御質問申し上げた概要をかいつまんで申しますというと、少くとも政府が準公務員という立場で駐留軍労務者を雇用してそうして駐留軍に提供している、そのことは言葉をかえて申しますと、政府が雇用しているのである、しかも駐留軍は逐次撤退をするものである、いつのときにか離職をするのである、こういうことであるからその退職の条件について、その離職をしなければならない羽目に陥った場合に、それらの取り扱いをどうするか、このことでいろいろ大臣に伺ったことがあります。そうしたところがこういうことであった。とにかく普通で、一般であるなれば、当然離職をするのであるから、政府の雇用した立場でまず第一番に配置転換、その他職場をあっせんすることは言うまでもないが、その離職について事情の許す限り、財政的な問題を含めて事情の許す限り何らかの措置を講ずべきであるということを大臣は言われた。そうしますと、私は今失業対策というだけでなくて、この離職をすること自体についてこれらの準公務員、国家雇用の労務者をどのように取り扱うか、少くともあのとき私が申し上げたことを申しますというと、国家がいわゆる行政整理や、あるいは停年制等の問題によって人員整理する場合にでも特別の退職金を出して、あるいは希望退職の募集によって条件をよくしている。そうしますと、少くともこういうやむを得ぬ事情で本人の意思でない——働きたいのだ、ところがそういう事情のもとで離職をするのであるから、特別の配慮をすべきではないかということに対して、今申し上げたように、事情の許す限り何らかの措置を講じたいということを倉石労働大臣は話されている。ところが先ほどからのお話を伺うというと、全くその離職前の取扱いについては配慮をなされておらぬ。この点はどうなんですか。少くとも前に当委員会で問題になった問題なんで、次官の方から一つ——あるいは次官でなくても、田中官房副長官でもよろしいと思うのですが、お答えを願っておきたい。
  63. 武藤常介

    政府委員(武藤常介君) ただいま山本委員さんからの御質問でありますが、それらに対しまして閣議の了解事項としてきまりましたことは、やはり大体これらに対する取扱い、こういうことで閣議の了解を得たのでありまするが、労働省といたしましては、あらゆる今日までの労働省の機関を動員いたしまして、あるいは失対事業、あるいは特別失事業、また補導関係、あるいは安定方面、これらを動員してこれのあらゆる対策を講じておりまするのでありますが、ただいまのお話によりますると、先般労働大臣への御質問は、失業者に対して何らかの恩典を与える必要があるのではないか、こういうふうに私承知いたしておったのでありますが、これは全くわれわれとしても、大臣が申し上げました通り同感であります。何とか善処いたしたい、こういうことを考えておりますが、その具体的な点はまだ決定いたしておりません。どうぞ今後なお十分に研究いたす考えであります。
  64. 山本經勝

    山本經勝君 続いてお願いしたいのですが、閣議了解事項措置の第四項ですね。この第四項を見ますというと、これはもっぱら離職した失業者に対する対策が中心だと思う。そこで離職者に対しては職業の補導、職業紹介、これらの強化をやり、一般産業への就職をあっせんする、あるいは地域的な移動をはかる、こういうことが書かれておる。ところが私はそのことを言っているのじゃない。その前に離職する場合に、準公務員という立場で、国家が雇用して役務提供をしているこういう労務者に対する離職の場合の取扱いなんですね。たとえば、この前私具体的な内容をもって質問申し上げたのです。それは退職金の問題です。ところが、退職金は規定の通り支払います、それだけじゃないので、プラス・アルファをよこせということを実は申し上げたのが先ほどの答えなんです。そこで問題は、その考慮した配慮というものがこの閣議了解の中ではうかがえないのですが、具体的な今お話のように善処するというお考え方がありまするなれば、具体的な内容を今ここで言うことを非常に困難であるなればやむを得ぬといたしましても、早急になさるべきだと思うのですが、その辺の御用意はどうなんでしょうか。
  65. 武藤常介

    政府委員(武藤常介君) 退職時の問題をまずもって特殊扱いをする必要があるだろうか、これに関しましては、大臣も非常に頭を悩ましまして、なお労働省幹部が全部集まりましていろいろ研究はいたしておりますが、これはなかなか簡単に参らないことでございまして、いまだその決定は見ておりません。
  66. 山下義信

    ○山下義信君 関連して……。今山本委員質問は非常に私は重大だと思う。山本委員労働大臣と質疑応答して、その労働大臣が大体山本委員質疑に対してできるだけ検討しようと言っておる、その心持がこの閣議決定失業対策の中に入っていないということを言っているんです。しかも今回の駐留軍の大量解雇は国家的な問題だと、国家が世話をしなくちゃとても解決ができないことだというこの根本精神をうたっているのです。田中官房副長官そういう意味です。これは一つもう特別だから、国が力を入れなければ解決のできないことだという建前でこの閣議了解事項ができておる。その中にこの失業対策のところを見るというと、離職者に対する対策というものは当りまえの民間の失業者と同じような扱い方になっているということを山本君が言っている。この前の社会労働委員会で、この駐留軍解雇者に対する国としての考え方は少くとも公務員に準ずるような考え方を基本的には持っていなくちゃならないと、こういうことをついて、そのときの気持がちっとも入っていないということを言っているんです。それはどういうわけかと言っているんです。
  67. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) これは調達庁の方からお答えを願うのが筋だと思いまするが、私も問題につきましてはいろいろ聞いておりますので、便宜私からお答え申し上げます。  この特別退職金の問題につきましては、御承知の通り、これは駐留軍なり国連軍が直接雇用をいたしておりまするので、まあ日本側としましては、駐留軍なり国連軍の経費において雇用をされておるという関係から、その雇用条件につきましては、直接日本側としてこれに干渉するということはできない建前になっておりまするが、従来労務者側からぜひ何とか退職金を一つ交付してもらいたいと、こういうような希望がありまするので、この点につきましては、調達庁を通じましてあるいは施設特別委員会なり、合同委員会の方に絶えずこの点は申し入れはいたしております。ただ風俗、慣習その他まあ契約慣行等が異なっておりまするので、駐留軍国連軍側といたしましては、今直ちにその要求に応ずることは非常に困難である、まあかような回答でございます。しかしながら、この点はわれわれといたしましても、できるだけ一つ駐留軍国連軍当局に理解を持ってもらって、こうしたことに一つ要望に沿うてもらいたい、こういうことで従来も話を進めておるわけでございます。この点につきましては、駐留軍側の内部のことでございますので、これにくちばしを入れることはもちろんできないことでございますので、主として閣議におきましては、引き揚げに伴う対策という、そういう方面に重点を置いて閣議了解をとったわけでございます。
  68. 山下義信

    ○山下義信君 なるほど、後段の副長官の御答弁はその通りです。どうですか、交渉して若干の手ごたえがありますか。
  69. 海老塚政治

    政府委員海老塚政治君) 退職金の問題につきましては、実は当委員会でも再三取り上げられまして、(「再三再四だ」と呼ぶ者あり)私どもその線に沿いまして、関係軍当局とも折衝いたして参ってきたのでございます。また、単に私どもばかりでなくて、関係大臣とかあるいは調達庁長官もこの問題につきまして、対軍折衝を続けて参ったのでございますが、現在までのところ米軍につきまして、特別に現在の退職金を増額するという点につきまして日本側と見解の一致を見るに至らず、はなはだ遺憾ではございまするが、退職金の増額ということがいまだ実現の運びになっておらない、こういう状況でございます。
  70. 山下義信

    ○山下義信君 見込みがないということになったら、日本政府で考えなくちゃならぬではありませんか。日本政府で考えないということになったら、当りまえの措置ではありませんか。これは特別の措置を全体についてするのですよ。失対事業であろうと、国有財産であろうと、何であろうと、特別な措置をしなければならぬという建前を政府は確認して言っておるではありませんか。それならば、離職者に対する諸般の問題を当りまえの程度の取扱い方でそれで終るのでなくして、見込みがないならば、日本政府で処置をしてこそ特別の扱いと、こういうことになる。副長官どう考えられますか、御答弁なさいますか。それが、特別退職金という名前がいろいろ法規、法令等で許されないならば、それにかわるべきものが離職者にほかの名目でもよい、実質的に与え得られるような特別の扱い方を考究してこそ、国連軍の大量解雇者に対する特別な対策とも言い得られる。そういうことを研究しなければ、何も特別なものは一つもありゃしない。ただこんなことを作文で書いてみたり、いかにも尽力するような格好だけで、泰山鳴動してネズミ一匹出ない、誠意がないということになる。これは何かお考えになるという御方針がありますか。
  71. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) ただいま調達庁から話があった通りでございますが、私も従来駐留軍の、国連軍側の労務者の方と数十回会いまして、こういう要望も十分聞き及んでおるわけでございますので、なお一つ、今後も今までと同じように執拗にこういう問題につきましては駐留軍側に交渉を続けてみたいと、かように考えております。
  72. 山下義信

    ○山下義信君 駐留軍側の脈のないときには、ぜひとも日本政府でどう考えるかということを一つ考究していただきたいと思います。
  73. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は一つだけ田中副長官にお尋ねするのですが、従来大企業誘致というような場合には、地元の市であるとか県が土地を全部提供しますとか、水道を引いてあげますとか、道路を半額だけそちらで持てば半額はこっちで出しますというような条件を出してでなければ誘致できないということは、おわかりだと思うのです。今度の呉のような場合には特にそうなのですから、この際どうでしょう、政府では呉市なりあるいは広島県に土地を与えて、土地は国有財産をお前らにやるから、一つそちらの腕でもって大企業を引っぱれと、引っぱるときには、今度は国連軍がいなくなってできた離職者を必ず使えという条件なんだぞということで、県なり市に一つ大規模に国有財産を無償で払い下げるくらいな手を考えておるだろうと思いますけれども、どんな予定で、どういう御見解で、どういう御決意でございますか。
  74. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) この国有財産の管理、処分につきましては、もちろん国といたしましても、ただ無償で払い下げるということはちょっと困難ではないかと思っております。今考え方は、市にこれを無償で払い下げて企業誘致するという考え方でなくして、この国有財産企業に貸与する、あるいはまた、その国有財産企業にこれを有償によって譲渡すると、譲渡いたしますると、その企業がかりに参りました際に、その不動産物件に対しましては固定資産税等の地元の収入等もありまするので、市といたしましても財源的に潤うわけであります。さような一応考え方で現在政府としては進んでおるわけでございます。もちろん、場合によりましては市へ払い下げをして、市によってこれが運営されるということも考えられると思いますけれども考え方といたしましては、やはり国家としまして、ただ無償で払い下げるということは非常に困難でございますので、地元がかりにこれを譲り受けるといたしましても、それにはそれの財源が必要でございます。従いまして、また呉市の赤字を増すようなことになってもどうかと考えますので、なるべく市へ財源的な何らかのものを与えることが必要ではないか、同時にこれによって失業者を救済できれば、これが一番いいのではないか、かような考え方で現在進んでおるわけであります。
  75. 相馬助治

    ○相馬助治君 離職者の優先雇用というようなひもつきはできますか。またするつもりですか。すべきだと私は思うが。
  76. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) もちろん企業誘致する場合におきましては、離職者の優先雇用等は条件として考慮すべきだと思います。
  77. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の国有財産を市に払い下げられないかというお話に関連してですが、市の財政事情の窮迫の一つの原因として、英連邦軍なり、あるいは米軍で市の相当大部分、しかもまあ早く言えばいい所を使っておった。そこで入るべき固定資産税なり何なりというものが、長年にわたって入らなかった。こういう事情が残されたものについて特に考慮されないかという陳情の趣旨の点も重要な部分としてある。そうしますと、他の場合については、これは今のようなことでいいでしょう。しかし何ヵ年間か、あるいは今においても米軍が使った、あるいは英連邦軍が使ったということのために、こういうことのために入らなかった何年間かの相当大きな——権利とは言いませんけれども、得べかりしものが相当あった。しかも今年度からたとえば公共企業体なり、あるいは自治体の持っておる財産についてもここで相当分というものが入る。そうしますと、今の御議論は今まで通りの御議論ですけれども、もう少しやはりお考えになるべきものがあるのではなかろうか、そういうことが考えられますので、その点について今後、方法はとにかくですが、御研究を願うという必要は私はあろうと思います。今申し上げました過去の実績というか、何年もとにかく入らなかったということ、普通ならば入るべきものが……。今後においても同様なことが言える。公共企業体なりあるいは自治体の持っているものについても言えるのですが、それも考えられる。そういうことからここで特別なやはりそういう点について考慮できるかどうか。簡単でいいですから御答弁願いたい。
  78. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 過去におきましても国有財産でありまするので、固定資産税として地元呉市におきまして徴収することはできなかったわけでございますが、何らかの当時は他のものがあったかどうか知りませんが、現在としましては国有財産でありますから、全然固定資産税がとれません。そこで、まあこういう呉市といたしましては特殊事情がございますので、私どもの考えとしましては、こういう点を特別な事情として十分に勘案をいたしまして、特別交付金——交付税といいますか、そういうようなものでこれをカバーするようなことができれば、これが一番妥当な方法ではないかと考えております。この点につきましては、十分に自治庁ともよく協議いたしまして、善処いたしたいと考えております。
  79. 藤田進

    藤田進君 地元事情に非常に明るい方々のために、勢い政府に何をやっているか、けしからぬと言うのは、これは当然だと思うのですが、私としましては、そうだとすると、どうも政務次官や官房副長官が見えていただいているけれども、何だか少し体裁としても物足らぬような気がする。これは当然恒久対策として呉市をどうするかということは、大きく言えば僕は日本の縮図だと思うが、経済企画庁長官にはずいぶんただしたいこともあるし、注文もある。あるいは通産大臣にもあるし、大蔵大臣にも当然あります。労働大臣に対しては、特に今回の緊急対策の問題について、財政投融資の問題から、今の国庫補助の問題から、いろいろありますが、私はこの際いまだ最終的知事並びに市長の態度として、どういうふうにお考えかというようなことを確かめておりませんので、お伺いしたいと思います。それは呉市の問題については、すでに当院におきましても吉田内閣以来、あるいは本会議における問題になり、いわば呉工廠、鎮守府、あるいは軍需部、これに十一空廠等々の膨大な軍施設が敗戦とともにかような実情になってきた、この膨大な施設、敷地、港湾等をどのように今後処理していくか。極端に表現すれば、あるいはギリシャ、あるいはローマの廃墟のごとく、かってあったそうだということで、後世の人たちが見に行くというようなそういう考えでいるのならば、それはそれでも世は推移いたすでありましょう。あるいはまた私どもも、政府の態度なり何なりを見ますと、困難な中ではあろうけれども、もう少しやり方があるということで具体的に持ち込んでいるが、なかなか政府としてもやってやらない。いわばそれは犬だって皮がむけたり、毛が抜けたりすれば、ほうっておけば毛も生えるじゃないか、いつのまにかどうにかなるだろうというような投げやりな考え方ならば、それはそれでも時の政府は多数でさえあればその命はつながるだろうけれども、ここで見ると、緊急な問題としては当面の失業者をどうするか、英連邦軍引き揚げていくために、あとは従来キャメラを売ったり、あるいはその他のギフト・ショップがこれは転換しなきゃならぬというような、この直接進駐軍労務者、これの背景をなしていたものとの対策があるのですね。これが平和回復善後処理費などをわずかに出すということではどうにもならない焼石に水だ。補助の政策では、これは地元負担が元来ないというようなこと——しかし自力更生をしろというふうに政府の方針はどうしても考えられる。自力でやれ、手伝いをできるだけしようと言う。そういう実情にある。しかしなかんずく今お伺いいたしたいのは、この膨大な旧呉地区に当るこれと、農村の中国山脈にかけての背景が、すべてだんだん薄い色にはなるが、呉市を中心とした経済圏、これに広島を加えて、こういう背景から見ても重大な私は問題になっていくが、しかし、国有財産としてかような大きなものをすべて政府がこれを握り、この運営に個々に当っておる、そうすると、生産圏構想なぞを持たれる知事なり、あるいは呉市の当面をひっさげておられる呉市長としては、いわば物事がおねだり陳情にとどまっている。こういう膨大な計画を立てられているけれども、これはやはりずたずたに実施の面においてはやはり切られておるのですよ。そういう面、これは地元では高く声を上げていたが、地方々々のかかる膨大な国有財産の運営についてはやはり地元によって、たとえば呉市に委託管理をさせるとか、そういう新しい都市計画をこれは立てるつもりでいかなかったならば、私ども現地の事情をよく知っている者から見れば、船会社がぼつぼつとあっちこっちに入ってくる。一番いいところだけ切ってとる。それから精鋼が入ってくる。あるいは紙屋が入ってくる。東洋パルプね。やかましい機械工場の隣りに病院ができたりなんかしてしまう結果になってしまう。ちっとも総合性がないですよ、見ていて。全くいき当りばったりで、帳面で見ていたって、実際もうからないところに企業は入ってこないですよ。これは長期計画を立てて、初めは当分損するだろうが、その後において黒字に転換する、そんな悠長な事業は今こないですよ。さなきだに過剰投資、二重投資で、オーバー・プロダクションでどうにもならないという現状ですね。これはもう繊維だってそうですし、新しい法律が今国会でも逐次出されている。しかし地元としては何らかの新しい工場誘致で、こういうふうにやられている。しかし、私はそのためには当面問題はいろいろあろうけれども、恒久的な問題の一つ一つは、国がこれを握っていて、実際に推進してくれれば、これに越したことはないけれども、そうでない現状であるから、私は政府に対しては後日また改めてやるとしても、地先とされて根本的に推進される点はいろいろあろうけれども、この国有財産なぞについては、地元に委託管理的なことはさせて、そしてこれが操作を一つの都市計画の中に入れた運営がやはりなされないならば、この膨大な施設というものが死んでしまう、来たるべき企業はきたろうけれども、あとの企業がこないという結果になろうと思う、いわば、欧米に見えるような、廃墟の跡を後世の人が見るような結果になるのではないだろうかという心配をしておる。そうなれば、国費の浪費であります。こういう点において、そういう国有財産の運営処理について、根本的に遠慮のない意見を、この際聞かしていただきたい。これによって私どもは立法府としてのとるべき方法については、他の委員の皆さんとともに協力いたしまして、推進をしなければならぬ。この委員会は御承知の通り社会党だけこうして出て、やっきになっておりますが、この実態なのですよ。これはもう当面の与党とされては、もっと私は関心を持っていただきたくて仕方がない。これは高野さんが委員長代理で、この人はまじめな方ですから、絶えずどの委員会でも出ておられるが、しかしまことに残念な姿なのです。しかし、微力でありますが、われわれも与党の皆さんとももちろん協力して進まなければならない、これは地元の問題でありますので、今申し上げた、地元国有財産処理についての根本的な要請としては、どういうお考えなのか、この区画をどうしてくれ、今度英連邦軍引き揚げるのだから、これをどうしてくれといわれても、防衛庁がまず防衛優先の立場で要求するでしょう。国有財産を管理する大蔵省は、その方向にはやはり頭を縦に振るでしょう。ばらばらになります。今言う駅の裏の軍需部を中心として、これはどういう点に使う、関連して他の産業が発達すると思っていても、これは旧海兵団だから防衛庁だということになると、これは遮断されてしまうというような実情にあるので、私は遠慮のないやはり意見を出されて、そうして今後の処理に遺憾なきを期してもらいたいという希望を持ちまするので、知事や、特に地元呉市長とされては、こういう国有財産の処理、これが出発点ですよ。これについてはほんとうのことを言うならば、どういう希望なのか、お聞かせを願いたい。長々申し上げましたけれども、一つお答えを願いたいと思います。
  80. 松本賢一

    参考人松本賢一君) お答えいたします。  今この膨大な国有財産地元に管理委託をして、地元ですべて計画を立てて、その利用を推進したら一番いいではないかということで、それに対して地元意見を述べろということでございますが、地元といたしましては、まずそういう方法を考えますわけでございます。そういうふうにしていただいて、管理委託をしていただいて、それを利用するための予算の裏づけ等もしていただきますならば、最もこれを有効に利用することが、地元としてはできるという確信を持っておりますけれども、何分そういう話も今まで出してみたことはあるのでございますけれども、実現の可能性がまことに少い、ほど遠い問題であるというふうに一応考えられますもので、結局今回のお願いとしては、そこまでお願いをしておらないわけであります。何らか企業が来やすいような、特別な措置をとっていただきたいというお願いにとどまっておるわけでございますが、実際のわれわれの気持は、そこまで考えていただけば、最もよく国有財産を活用して、失業救済にも最も役立てることができると思っておる次第でございます。
  81. 藤田進

    藤田進君 これは、旧軍港市については、平和転換の特別法なり、いろいろなことはあったけれども、残念ながら、国が総合計画をやって、そうしてその一環としての呉市ということがなかったし、しかし私はこれからでもおそくはない。おそくはあるけれども、しかしさじを投げる時期でもないので、まだ望みがあるので、やってゆかなければならぬと思いますが、諸般の計画その他、私もかねて見せていただいておりますしいたしますけれども、かなり強力に、国の総合施策の中に、産業政策に、今度の経済企画庁において出しておる経済自立五ヵ年計画なり何なりというものが、これは初年度と最後があって、途中が何も予算的に何らの裏づけがないことは御承知の通りで、たよりにはなりませんけれども、今のままで、手放しで、まず国有財産の貸与については、その賃貸価格をうんと切り下げるなり何なりいたしましても、よほどの立地条件を作らないならば、これは軍港を目的に生きてきた呉市であり、施設でありますから、平和産業としてここに工場誘致するとしても、これはよほど限られた小規模のものはいざしらず、現在の失業なり、呉市を養ってゆくという、また国家にそれだけ奉仕するだけの見地から考えてみて、なかなか言うべくして、企業が容易に誘致できないのじゃないか。立地条件というものが、たとえば工業用水のこともあります。まずそういうものから考えてゆかなければならない。これは呉市でも県でもなかなかできない。それから一般の交通網にしても、私はやはり大きな問題だと思う。これはあわせて政府にも要求されておると思うけれども、呉線のあの交通関係に見ても、あのトンネルの多いような、単線で、しかも広島−呉間、あるいは呉、その他の三原方向の場合を考えてみても、あるいはまた西条その他の方向を考えてみても、とても今のままで手放しに企業というものが、ことに大企業というものが来るかといえば、なかなか困難の状態にある。というふうに考えてゆきますと、先ほど申し上げたように、従来の観念で、国有財産の管理や運営をやっていたのでは、これはどうにもならぬと私は思うわけです。従って、今後そういう根本的問題について、これはものにならぬから、従ってこま切れに国が操作するであろうものに一枚々々ずつ入り、そうして実現してゆくという、そういう現実主義に立たれることもやむを得ないと思うけれども、私はもっと総合的な面から見れば、根本的な問題をやはり立てられた方が、その方が現実的だ。英連邦軍引き揚げに関連して八千名、さらに従来の失業者を加えて、膨大な失業者をかかえて、私は企業組合というものが考えられておるということも至当だと思うが、これとても、確かに官房副長官も言うように、なかなか楽なことではないと思う。当面企業組合を作って投資してみても、ここに需要と供給というものが一体どうなるであろうかということをみますと、私どもは無責任な発言はできないくらいに考えて、心配をいたしておりますが、こういう点において、私は国というものが前面に出てこなければならぬということは、参考人それぞれの御発言の通りでありますので、この点についてとやかくは申し上げませんし、賛成であります。ただ地元両首長に対して希望いたしたいのは、さように呉市並びにこれが背景をなす広島県全体について問題がありますので、今後の運動その他につきましても、一つ十二分に、当委員会その他の直接関連を持ちます委員会に、それぞれ十分な連絡を保っていただきたい。ややともすると、これは時の政権であります与党でありまするから、やむを得ないと思うし、いたします。手っとり早いので……。でありますが、しかしこの問題は、単に与野党というような、政争の具に供すべき問題でもありませんし、従ってやはり広く立法府なり、行政府に対して当っていただきますことを、この際特に要請をいたしておきたいと思います。
  82. 山下義信

    ○山下義信君 時間も過ぎましたから、私は五分間、三分間……いや二分間、ちょっとお尋ねしておきたい。
  83. 高野一夫

    ○理事(高野一夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  84. 高野一夫

    ○理事(高野一夫君) 速記をつけて。
  85. 山下義信

    ○山下義信君 聞きたいことは山ほどある。私は非常に惜しかった。きょうはこの問題の主任者である田中官房副長官から各省の方もおられるので、私はいろいろ聞きたかったのですが、それは、先ほどの国有財産の問題が出たときに、私が関連して言っておいた。防衛庁は、呉市の国有財産の使用方針がきまりましたか、方針がきまったかきまらぬかということだけ答えていただきたい。まだきまっていなければいつごろきめるつもりですか。それともきまったとするならば、大体どういうふうにきまったか。時間がないから、簡単に一言答弁してもらえばいい。大へん心配して下さったそうだが、なるべく広い所を使わぬようにということで、いろいろ御心配をして下さったということですが、きまりましたか。
  86. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは直接私の所管のことではございませんので、確実に責任をもって申し上げることはできませんけれども、研究いたしておるのは事実でございます。結論にまでは到達していないのではないかと思います。
  87. 山下義信

    ○山下義信君 いつごろ結論が出ましょうか。あなたの方の結論が出ないと、それを産業方面に使う現地の計画が私は立たぬと思う。あなたの方の方針がきまらぬでこちらの計画が立ったら、これはおかしい、うそです。ですから、あなたの方針がきまってから、こちらの方針が初めて本ぎまりになる、さもなければ、こちらの方針がきまったあとのところをお使いなさるかどちらかです。その方針がついたのかつかないのか、見通しは、いつごろまでに方針をおきめになるかということはどうですか、お見通しはまだきまりませんか。それすら見通しがつきませんか。つかなければつかないでよろしゅうございます。この状態さえ真実にわかればよろしいのですから。
  88. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは私の責任の仕事でございませんので、いつまでということは申し上げにくのでありますが、この委員会の空気を承知いたしまして帰りまして、内部的に早くきめるように尽力をいたします。
  89. 山下義信

    ○山下義信君 結局まだ方針はきまらないであるのでしょう。この特別閣議決定了解要綱のこれらのことを、もうこれで何ですか、各省それぞれ執行機関は、これによってもう着々として実際にこれを具体化して実施に移していくのでしょうか、こまかい連絡や研究はありましょうが、もうこれで方針がきまっちゃって、各省はもう実施に動いてゆけばいいのですか。
  90. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 一応閣議了解をとりましたので、この線で自今具体的に一つ各省と折衝いたしまして……。
  91. 山下義信

    ○山下義信君 だれが折衝するのですか。
  92. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 私以下全部折衝いたします。そして、もし大蔵省との関係がありまするならば、大蔵省を呼んで大蔵省とさらに対決させる、こういうように進めていきたいと思います。かように考えております。
  93. 山下義信

    ○山下義信君 関連して必要な立法措置を要する事項がありますかありませんか。
  94. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 必要があるならば、場合によりましては立法措置も講ぜざるを得ないと思っております。
  95. 山下義信

    ○山下義信君 国会の会期は短かいのですが、早くしなければ、この会期に間に合いませんが、この会期に間に合わなければ今年中できませんから、次の臨時国会まで待つかしなければなりません。そういうことはいつまでにきめますか。
  96. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 現在の会期の状況からしまして、今直ちに立法措置をするということが実際問題としては私は非常に困難だと思います。
  97. 山下義信

    ○山下義信君 できないでしょう。
  98. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) そこで立法措置を講ずることのできない場合におきましては、先ほど武藤政務次官の仰せになったような、何か行政措置によって、これをカバーできるものならば、それでやるよりほかはなかろうと、かように考えております。
  99. 山下義信

    ○山下義信君 私は本問題のあっせん役の担当である田中副長官にお願いもしておきますが、立法措置をとらなければできないという事項と、行政措置で極力尽力する事項と早くおきめになって、そしてこの国会で間に合わぬところは衆目の見るところです。それをこれは立法措置をしてもらえるのだ、与党の方で盛んにそれを準備しているのだなどというような、いつまでも人に期待を抱かせるようなことを中央でもってちらちらほのめかしておりますると、いつまでもそれに希望を持って中央に上京して運動に来た者が帰って、あたかも与党が直ちに立法措置をして、こうもしてくれる、ああもしてくれるというような報告などをして、いつまでもそれをあてにしているというようなことがあっては私はいかぬと思う。こういうことを党利党略に使う愚かな者もないと思いますけれども、早くあなたの方で、立法措置を要するものは、これがあるならば、これをいたさなくちゃできない、そうして当面の少くともこの夏、秋までにやることは行政措置である、かように早く分類なすって、私は具体的な立法措置を早くおきめを願いたいと思いますが、そういう御注意が得られましょうか。
  100. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 大へんよい御意見でございまして、地元にいたずらに期待を持たせるということは、私どもも非常にこれは地元の御迷惑になることも十分心得ておりますので、従来の交渉の経緯といたしましては、率直に地元と連絡をとりまして、政府部内のことを全部ぶちまけまして、そうして地元にもよくお話を申し上げまして、むだなことに努力をさせるということはなるべく避けて、実質的な方法で一つこの話を進めていきたい、かような方針で従来やっておりますので、幸いまことにいい御意見でございますので、私ども十分一つ関係省ともそういう点で連絡をとりまして、むだな期待等をかけさせないような方法でいきたい、かように考えております。
  101. 山下義信

    ○山下義信君 ただいまの答弁で私は了承しますが、政府の基本的な方針がきまらないことが、これらの対策をじんぜんならしめるものであって、この政府の基本的な方針のきまらないものは、率直に言うならば、与党の幹部と称する者が地元に、ああもしてやろう、こうもしてやろう、今考えておる、今立案しておるというようなことを言うて、そうしてこれらの執行部の事務当局の諸君をして、いつまでもその与党の意見をきめることを待たしめるというようなことをいつまでも長くやっておるから、じんぜんとしてものがきまらない、私は禍根はそういうところにあると思う。でありますから、関係者の人たちも、いたずらに好餌に迷わないで、それは有力な政党を通じて運動するということは当然な常識でありますが、事務当局も、こういうことは公平無私に、しかも迅速に、とにかく対策は早く具体的に決定するということが私は急だと思う。それさえ決定すれば、地元の方針もきまるし、失業者の覚悟もきまってくるし、おのおの出処進退を早くきめることができるのであって、私は決定を急ぐと思う、ぜひこれを要望しておきます。  それから財源措置を特別に要することがありますか。それはこの予算内でやりますか。特別に財源措置を講ずるようなことがありますか。
  102. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) おそらく企業誘致とか、そういう大きな問題になりますと、やはりこの財源措置と申しますか、地元の起債を認可するとか、あるいは特別交付税を考慮して地元の財源を拡大するとか、あるいはそうしたこともあろうかと思います。ことにまた、失業対策事業地元実施するということになりますと、かりに若干でも地元負担をいたすといたしますれば、やはり何らかの財源措置は、当然これは必要かと思います。
  103. 山下義信

    ○山下義信君 三十一年度予算で十分それらについての御努力ができる見通しですか。補正予算でも要しますか。
  104. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) まず、三十一年度予算の範囲内でもって可及的にこれに応ずるような措置を講じたいと思っております。
  105. 山下義信

    ○山下義信君 私は最後にあそこに防衛庁が持っていこうとするのですね。海上自衛隊か何か防衛庁の機関を持っていこうとするのですね。そういう土地に対しては、国としてその都市、その町村に対して、何か基本的に考えておりますか。ただそういう再軍備機関を持っていきさえすればいいんだというだけの考えでしょうか。そういう機関をもし置くときには、その市その町というものについて、何か基本的に考えておるものがあるのですか、ないのですか。そういうところはどうなんです。
  106. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 私はまだその実際の防衛庁の施設を持っていく場合に、地元にどういう特段措置を講じているか私了知いたしておりません。従いまして、満足なお答えはできないと存じます。ただ施設をやる場合におきまして、それに付属した施設を利用するために必要な措置を講ずる、たとえば道路を整備するとか、あるいはまた上下水道を整備するとか、そういうことは当然これは考えられると思います。まあ施設を十分に利用するために必要な特段措置というものは、当然これは考えねばならぬものであると思います。
  107. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は最後に一点、田中副長官に希望を申し上げ、かつ考えを付言しておきたいと思うのです。浜田参考人の述べられた実例の中に、高等学校に受験する子供がお父さんの状態を見て、それすらも遠慮するという問題が起きているということは、これは私どもとしてほんとうにその実態は、それに類することが多々あるだろうということで考えなければならぬと思うので、どうか政府もりっぱな策を立てられることはもちろん必要だが、事は急いでいるんだ、こういうことを考えて、早急に対策を立て実行に移していただきたい。本委員会においても、私は最も近い将来、十日くらいのうちに、もう一度特需対策連絡協議会議長としてのあなたにここにおいで願って、その後どうなったかという質問をするということをここで申し上げて、特段の準備をしてほしい、かように言葉を添え、私は希望を申し述べておきます。
  108. 山本經勝

    山本經勝君 一点だけ。ただいまの相馬委員お話に関連しますが、これはむろん呉市の大量集団離職の問題は大きな問題であるし、それに対する特殊な対策が必要であることは申すまでもない。ところが先ほど申し上げましたように、すでに数字上明らかなものは、全国基地の人等を通して解雇をされる整理対象人員はすでに一万六千何がしである。さらにこれに呉市をプラスしますと大体二万を超えるのですね。この大量の解雇というものが先ほど申し上げましたように、国が雇用しているという立場から、離職前の取扱い、離職の際の取扱い、こういう問題も含めて次回に、これは当然本委員会の問題だと思うので、失業問題を含めまして御検討を十分願って、責任のある事後の対策、つまり了解事項が具体的な裏づけのある内容として打ち出されることを希望します。きわめて近い機会に一つ本委員会の開会を願って、そこで再度慎重に御検討をいたしたい、こういうことです。
  109. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 御要望の点十分一つ了承いたしまして、政府部内として検討いたしたいと思っておりますから、御了承願います。
  110. 大原博夫

    参考人大原博夫君) 本日はいろいろ有益な御検討をいただきまして、大へんありがとうございました。私たちは先ほど市長さんのお話されましたように、ことしの八千を加えますと、約二万のものになりまするし、その八千と申しますのも一応失業保険等がございますから、もう少しずれるかと思うのでございますが、ただいま、われわれの方で調査いたしましたところでは、七千、本年は七千八百でございますか、そのうちの一割程度だけ今までの調査では回答いたしておらぬのでございます。また、直接求めていないものがございますから、まず一割程度は引けると思います。その一割程度引けましたものがいろいろ政府の方で御検討になりまして、特に田中副長官には非常に御熱心に御検討いただきまして、私たちは今閣議了解をせられました点は、基本的に、また抽象的でございますが、大へんけっこうなことだと、またあれ以外ないのではないかという気持もいたすのでございますが、しかし来年度、今年の終りから来年度にかけましては、この八千に近い人々が就職口がございません。いろいろと企業誘致等の問題がございますが、私はこれは一年や二年では片がつかぬのではないかという気持でございます。その間、いかにして過ごしていくか、これについて政府の方でもいろいろと御検討願いまして、平和回復善後処理費等を出していただけることと思いまするし、また、その他の事業でも御援助いただけるものと思うのでございますが、これもやはり限界がございまして、たれもがその仕事に従事するわけには参らないのでございます。従って、多くのそういう土木事業その他に従い得ない人たちが相当出て参るであろう。この点はまた一応、その他の一般の失対事業等で吸収いたさなければならぬと思うのでございますが、これは大へんな問題でございます。私はまあいろいろきょう御議論を聞かしていただきましたのでございまするが、私たちは実際その局に当る者は、これに対していかに対処していいかということになりますると、見通しがつかないような現状でございます。どうぞ一つその点も御検討お願いいたしますよう、よろしくお願い申し上げます。きょうは大へんありがとうございました。
  111. 高野一夫

    ○理事(高野一夫君) だいぶ時間もたちましたので、参考人各位に対する意見聴取並びに質疑はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者り〕
  112. 高野一夫

    ○理事(高野一夫君) 御異議ないものと認めます。  参考人各位に一言お礼を申し上げたいと思います。  本日は午前から午後にわたりまして、長時間にわたって、貴重なる御意見を聞かしていただき、かつわれわれ委員側の質問お答えを願いまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして心から厚くお礼を申し上げます。  本問題に対する本日の調査はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 高野一夫

    ○理事(高野一夫君) 御異議ないと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十七分散