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1956-03-23 第24回国会 参議院 社会労働委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十三日(金曜日)    午後一時二十一分開会   —————————————   委員異動 三月十九日委員吉田法晴辞任につ き、その補欠として藤原道子君を議長 において指名した。 三月二十日委員永岡光治辞任につ き、その補欠として山本經勝君議長 において指名した。 三月二十二日委員森田義衞辞任につ き、その補欠として高木正夫君を議長 において指名した。 本日委員高木正夫辞任につき、その 補欠として森田義衞君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     重盛 壽治君    理事            高野 一夫君            谷口弥三郎君    委員            紅露 みつ君            榊原  亨君            寺本 広作君            深川タマヱ君            横山 フク君            竹中 勝男君            藤原 道子君            山本 經勝君            田村 文吉君            長谷部ひろ君   国務大臣    労 働 大 臣 倉石 忠雄君   政府委員    厚生省社会局長 安田  巌君    労働大臣官房総    務課長     村上 茂利君    労働省労働基準    局長      富樫 總一君    労働省職業安定    局長      江下  孝君   事務局側    常任委員会専門    員       多田 仁己君   説明員    調達庁労務部労    務企画課長   坂本  實君    労働省労政局労    政課長     大野雄二郎君    労働省労働基準    局監督課長   辻  英雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告労働情勢に関する調査の件  (駐留軍労務者の労働問題に関する  件) ○社会保障制度に関する調査の件  (秋田県能代市大火に関する件)   —————————————
  2. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  先に委員異動の御報告を申し上げます。三月十九日吉田法晴辞任補欠として藤原道子選任、三月二十日永岡光治辞任山本經勝君選任、三月二十二日森田義衞辞任高木正夫選任、三月二十三日高木正夫辞任森田義衞選任、以上御報告をいたします。   —————————————
  3. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 次に派遣委員報告をお願いしたいと思います。竹中委員
  4. 竹中勝男

    竹中勝男君 モロタイ地区引揚者実情調査の御報告を申し上げます。  当委員会決定に基きまして、議長の承認を受けて、今回引揚げましたモロタイ地区引揚者実情調査のため、常岡委員と私が大阪市及び神戸市に派遣せられまして、三月十九日午前九時大阪港へ入港の東京汽船株式会社所属日昌丸から上陸した引揚者大阪港桟橋に出迎えた後、引揚者一緒神戸検疫所に参りまして少憩の後、同検疫所会議室において参衆両院議員及び引揚関係者とともに引揚者座談会を開き、引き揚げに至るまでの状況残留者状況、今後の希望等について詳細に聴取いたしたのでありますが、その概要を申し上げますれば次の通りであります。  今回の引揚者は十一名でありまして、いずれもインドネシア国に残留していた旧軍人でありまして、そのうち九名はモロタイ島から、二名はジャワ島から引き揚げたものでありますが、モロタイ島からの引揚者中六名は台湾出身者、これは高砂族であります。このことが今回引揚者の特色と考えられるのであります。携帯品については一人一個ではありますが、その内容は夏服の上下、下衣等いずれも帰還に際して配給を受けたものであって、荷物らしいものはなく、金円の所持は皆無であります。私ども参衆両院議員引揚者との座談会を開き、今回の引き揚げに至るまでの経過を聴取いたしたのでありますが、モロタイ島からの引揚者は、昭和十九年以来密林地帯において始終辛苦をともにして共同生活を続けてきたものであって、当初は十一名でありましたが、途中二名病死し、九名となって救援者の到着を待ちつつ言語に絶する原始的な生活を営み、わずかに生命を保ってきたのでありますが、昭和三十年末ころになり、原住民からインドネシア国独立及び日本敗戦状況を知り、ジャワに渡って日本領事館の手によって帰還することとなり、前記六名の台湾出身者も同時に日本帰還したものであります。また他の二名はインドネシア独立戦に参加したが、独立後のインドネシアの現状から、日本への帰還希望して、今回の日昌丸に便船を得て引き揚げたとのことであります。ジャワからの引揚者二名中一名は沖繩出身者であります。残留者状況については、モロタイ島には全然残っていない模様であるとのことであって、ジャワには約百名くらいは残留しているのではないかということでありまして、いずれも日本帰還の望みは捨てていない模様だが、生活の環境からすなわち現地に家庭を営んでいる者が多く、これらを振り切って直ちに帰還することもできず、平和条約の締結によって自由な往復ができることを望んでいるが、とりあえず日本郷里との通信ができるよう希望している模様であります。今次引揚者のうち日本人引揚者は、いずれも郷里帰還するものであって、これらに対しては、従来の引揚者同様な援護措置を構ずべきであるが、台湾出身者については、目下台湾の家族との通信によって本人定着地を定めさせることとなっておりますが、本人希望によって日本に在留を望む場合は、特別に就職、居住家屋衣類等について考慮し、でき得れば日本人に準じて帰還手当支給等も配慮し、この点について厚生省最善努力を払われんことを要望してやまない次第であります。  以上簡単ながら報告といたします。
  5. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 何か質問がございましたら——別に御質問がなければ、他の議案に移りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  6. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) では次に、労働情勢に関する調査の一環といたしまして、駐留軍労務者の労働問題に関する件を議題といたします。
  7. 山本經勝

    山本經勝君 実は労働大臣並びに特別調達庁関係次長の御出席をお願いしておったのですが、お見えになっておらないようですが、その点ちょっと明白にしていただきたい。
  8. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 労働大臣は今すぐ参ります。大野労政課長坂本労務企画課長、それだけです。
  9. 山本經勝

    山本經勝君 すでに数回にわたって、この委員会でいろいろ審査をお願いして参りました例の板付基地関係労務者問題が、前回委員会で実は調達庁の方においてまた労働省所管関係においても言われておる二十二名、うち十八名は出勤停止、四名が即時解職ということになった、この状態について調査をするというお話であった。ところが私の方から入手いたしました県の調査状況について、いろいろ御質問を申し上げたけれども、そういう報告がないということでいわゆる十分な審査が遂げられずに残ったわけであります。そこでその中でも日米合同委員会ゲイノー代表の覚書に対して日本政府が出しております解釈、こういうものの食い違い点と、これらの取扱いに対する労働省あるいは調達庁長官意見の統一がないということもはっきり指摘されたと思う。で次回までには、少くともその点を話し合って、統一的な見解を明らかにするということになっておったと思う。この点でまず大臣に実はこれをお伺いいたさなければならぬ、あるいは調達庁長官もしくは長官にかわられる次長から伺わなければならぬ筋合いだと思う。ところが残念ながらおいでになりませんので、この点一応あとに回しますが、そこで労政局局長もお見えになっておりませんし、課長がお見えになっているということですから一応課長にお伺いするのですが、そこで日米合同委員会下部機構には労働部会というのがあると承わっております。そこで労働部会が一体この種、労働関係の問題、特にこれは直用関係の問題だと思う。で現地紛争が起り、しかもそれが日本労働法からいえば不当労働行為であるということで問題が取り上げられている。ところが、軍の方は六十九号の保安協定に基く措置であると、この間の食い違いが明らかにあると思う。この種の問題が当然この労働部会において審査する手続的な経過を持っておる。そうするとこれに対して、あるいはこの事件だけではない、この前も申し上げたように、全国を通して二十四件に上るこの種事件が起っておる。そして地方労働委員会並びに中央労働委員会、あるいは裁判所等において現に審査されている。あるいは現に決定になって令状が出ている。これらを取りまとめますと、今申し上げたところの件数に上り、しかも八十名に近い関係者があったという実情であります。そうしますと、当然この日米合同委員会下部機構でありかつ労働関係を取り扱う労働部会ではこの問題を取り上げて処理しなければならぬはずである。この点についてどういうふうな経過をたどっており、また現在この部会における進行状況、その点を御説明願いたい。
  10. 大野雄二郎

    説明員大野雄二郎君) 現在労働委員会に継続しもしくは継続いたしました駐留軍直用労務者に関する不当労働行為の件は、おっしゃられたような二十四件ではなく、私どもの聞いておりますところでは十二件であります。このうち一件が三沢の問題、それからこのうち救済命令が出ました件では一件が三沢事件、それからユニオンクラブの問題、それから板付前回の問題、この三件になっております。で御承知のように、三沢事件におきましては、労働委員会命令軍側が争うことがなかったために確定し、その命令を履行しないために、当方といたしましては合同委員会に付議しております。またユニオンクラブ事件も同様でございます。従いまして駐留軍直用労務者不当労働行為救済命令におきまして、合同委員会に付議されておらないものは現在前回板付の問題だけということになります。さてこれらの問題をそれぞれ労務小委員会に付託いたしておりますが、遺憾ながらその進行状況はきわめておくれているような実情でございます。ユニオンクラブにおきましては、アメリカ軍側かなりの程度の不当労働行為であることを認める中間報告書をこちらに示しまして、それを合同委員会会議に持ち上げるように提案したのでありますが、こちらとしては不満足に思いましたので、その修正を提案いたしまして、その点について向う意見が一致しておらないような状況であります。  三沢につきましては、労働委員会管轄権の問題とからみ合せて提案いたしましたところ、米側はこれを民事小委員会に付託したいという意見が出まして、管轄をどこの小委員会に付託するかという問題でもみ合いまして、非常におくれたのでございますが、最近においては、こちら側も管轄権の問題は切り離してやることにいたしまして、三沢事件審査を促進してくれという申し入れ向う側にいたしております。何分、この委員会には三軍関係出席いたしますために、非常に三軍間の意見調整に時間がとれるようで、この点はわれわれとしては非常に遺憾に存じておる次第であります。従いまして向うの方には、折につけ、その審査の促進をするように申し入れておるのでございますが、最近におきましては、向う側代表が交代いたしましたために、著しく遅延しておるわけでございます。今後とも、この審査会議がもっとひんぱんに持たれて、処理が迅速に行われるように十分の努力をいたしたいと存じております。
  11. 山本經勝

    山本經勝君 先ほど申しました私の件数は、これは中労委から先日もらったもので、全国地方労働委員会並びに中央労働委員会等において決定をして、問題を行政訴訟等に移されたものも含まっているのですが、もっとも言われる通り直用部関係も全体的に含んでいることはお断わり申し上げておきます。そこでこの日米合同委員会労務小委員会と申しますか、先ほど私は労働部会と言ったのですが、この部会議長ですか、議長は、中西労政局長がやっておられるというように承わっておりますが、その通りですか。
  12. 大野雄二郎

    説明員大野雄二郎君) アメリカ側日本側が随時その場できめ合ってやっておるのです。日本側委員長をやるときは、中西労政局長がやります。
  13. 山本經勝

    山本經勝君 そうすると、常に労働部会、小委員会といいますか、の議長といいますか、委員長、こういったものは、日本側のだれそれがやるということにきまっておるのではなくて、そのつどきまるということですか。
  14. 大野雄二郎

    説明員大野雄二郎君) 慣例といたしましては、交代でやっております。
  15. 山本經勝

    山本經勝君 その会議招集権は、担当しておる議長の手にあるわけですか。
  16. 大野雄二郎

    説明員大野雄二郎君) 招集権をどちらが持っているかということはございません。両方意見が合致いたしましたときに、会議が持たれ、その場合にどちらが議長になるかというので、その場で、その席上で話し合ってきめるわけでございます。
  17. 山本經勝

    山本經勝君 三沢事件の場合の進行状況というのは、今日まで何回ぐらい審査をなさったか。
  18. 大野雄二郎

    説明員大野雄二郎君) これは先ほども申しましたように、労働委員会管轄権の問題と一緒に付議いたしましたために、これをいずれの委員会で取り扱うかにつきまして、合同委員会の本会議の方で意見がまとまらなかったのでございます。で、そのために、何度も本会議の方で議論はなされたのでございますが、労務小委員会に付託されて、これが議論されたことはいまだ一回もございません。
  19. 山本經勝

    山本經勝君 そうしますと、管轄権の問題というのはどういう点なんですか。
  20. 大野雄二郎

    説明員大野雄二郎君) これは御承知のようなゲイノー書簡に関連する問題でございまして、本会議の方でゲイノー書簡について議論が行われておるのと並行いたしまして、三沢事件におきましては、日本側労働委員会命令に従わないのはけしからぬという問題がからんでいるわけであります。
  21. 山本經勝

    山本經勝君 労働大臣おいでになりましたから労働大臣にお伺いしたいのですが、今まで数回にわたっていろいろ御質問申し上げてきたわけですが、大体明らかになっている点では、駐留軍用員あるいは労務者といいますか、これは国が雇用をして提供する間接雇用、それから軍が直接に雇用する労働者、つまりハウス・メイド等も含めての一応問題になると思うのですが、そういう日本人労務者に対しては、日本の労働三法がこれを保護するものである。こういう点については確認願って参った。この考え方についてはあるいは協定文にも明文があることですし、調達庁も同様であった。ところがしばしば御質問申し上げてきたように、実際上は今の不当労働行為の問題にしても、あるいは労働者側が作業、解雇その他を含めて取扱いについて不満を持ち、裁判に持ち出しましても実際上公務上の行為、あるいはいろいろな名称によって責任を回避している。従って結果的には守られないという姿が現われている。この問題について最高責任者である労働大臣はどのようにお考えになっているか。今後どのようにこの種の問題を処理していくか、あるいは解決つけていくとお考えになっているか。この点をまず基本的な問題として明白にお願いをしておきたい。
  22. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) この前の委員会でもお話があったと存じますが、間接雇用につきましては、労務基本契約改訂最善努力を払って、私どもの方の希望の達せられるように改訂をすることに努力していることは御承知通りでございますが、直用につきましては、しばしば御存じのような問題があるのでありますが、そういうことについては、私どもとしてははなはだ困ることでありまするから、何とかこれを救済する道を講じようではないかということで、私どもの方で、あるときには抗議申し入れ、あるときにはそれぞれのお話をし合ってみたのですが、大体向うも同意をいたしまして、苦情処理機関一つ設けようというようなところまで話はきておりますから、そういうところで、一つ具体的な問題について紛争解決努力をしていこう、こういうことを今やっておりますが、基本的にはやはりもう少し、先方がいろいろな事情で軍の立場ということもあるでありましょうが、われわれの方としては、日本労働者を保護するために正当なる主張をいたしておるのでありまするから、それが順守されるようになお努力をいたします。
  23. 山本經勝

    山本經勝君 この板付基地の今回の問題については、前回も申し上げたように、いわゆる労働組合としての組合活動、つまり機関決定をした文化活動組織活動、こういったものをやったことが思想調査の主たる対象になっているわけです。そうしますと、組合活動をやったことによって、いわゆる出勤停止という処分あるいは即時解雇という処分、こういう事実も申し上げた通りです。そうしますと、今のそうした事態を新しく苦情処理機関を設置して、そうしてそこで苦情処理として解決をつけるというのが大臣の基本的なお考え方なのかどうか。その点を基本的にもう一度明らかにしておきたい。
  24. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私が今申し上げましたのは、従来もしばしば直用についてトラブルがありましたから、将来もあるいはあるであろうということを予想いたしまして、こういうことについてはそういう機関を設けて、一つそこで円満な解決をする方がいいではないかという概括的なことを申し上げたのでありまして、板付の問題につきましては、前回からもしばしば申し上げているように、いろいろ具体的な事例があるのでありますから、それによって当方から申し入れるべきことは申し入れをやっているわけであります。そのことについて、その後のことを事務当局から申し上げる方がいいと思いますが……。
  25. 大野雄二郎

    説明員大野雄二郎君) 板付の問題は御承知のように、大きく分けまして二つに分れると思います。一つ思想調査の問題、もう一つ出勤停止及び解雇の問題でございます。前者の思想調査の問題につきましては、調達庁、外務省それから私の方、それぞれが好ましくないものであるということは軍の方に意思表示はしておりますが、これは具体的に労組法なりあるいはその他の法令に該当するかどうかということは、それぞれ正式の機関のものがあって行わるべき問題ではないかと存じております。  それから解雇及び出勤停止の問題につきましては、間接雇用労務者十八名の出勤停止の問題につきましては、調達庁の方が六十九号協定に基く手続を行なっております。それから直用四名につきましては、私どもの方が文書及び口頭によりまして、ともかくも現在のように裁判所手続アメリカが応じないような段階において、首を切られた日本人労務者はどこへも訴えていくところがない。さような行き方は、人事の公平に反する、こういうことで、一応向う抗議申し入れております。両方ともただいま行なっております調査の結果、その解雇が不当であると判断された場合には、それぞれの方法によって向う側交渉いたしたい、最終的な交渉をいたしたいと考えております。なお調査は現在のところ終了しておりませんが、これは個人の解雇が不当なものであるか、正当なものであるかということを最終的に判断するのには、かなりの正確な資料を必要とするものでございまして、こちらの方でも十分促進させておりますので、近々その結論は出てくるのではないかと考えております。
  26. 山本經勝

    山本經勝君 間接雇用の場合に調達庁雇用主になって、つまりその下部機関で各都道府県にあります労管、それからまたその直接事務はやはり雇用関係等について軍がやっておる。これはまあ間接雇用なんですが、間接雇用の場合の雇用関係は当然国が持っているのだから、もしこの雇用されている労働者使用主である軍の取扱いにおいて不当であるということになれば、当然調達庁は雇い主の立場に立って対軍折衝あるいは交渉、こういったものがなされると思う。またなさなければならぬことだと思う。この点についてどういう折衝が具体的に今日まで進行しているのか。この間からいろいろ伺っても、一向に押えどころのないぬらりくらりした御答弁しかいただいてない。きょうは締めくくりをつける意味においても、この点ははっきりお聞きしたい。
  27. 坂本實

    説明員坂本實君) 調達庁といたしましては、やはり板付問題につきましては二つに分けて扱っております。一つは、個々人について種々の調査を軍がいたしましたこと、そのことについて対軍関係をどうするかという問題。もう一つは、十八名の労務者保安上の理由で出勤停止になっておる。それをどうするかという点についての対軍折衝の問題、この二つでございます。  最初の個々人についての調査の問題につきましては、県の報告あるいは関係労働組合の提供されました情報によりまするならば、その調査方法手段等に行き過ぎがある。好ましくない。こういうふうに考えられますので、そういう点につきまして軍に所要の申し入れを行いまして、軍の方でも真相を十分確かめて返答をしてもらいたいということで、何回か軍に催促をいたしてきております。最近軍の方では、この問題は合同委員会の方で一つ話し合おう、こういう立場を明らかにいたしてきておりますので、この問題は、さらに合同委員会でも取り上げられまして、事実の確認と、さらにそれに対する当不当の問題を論議されまして、解決の方向にいくことになるであろうというふうに考えております。  あとの方の、十八名の出勤停止になっておる者の今後の措置をどうするかという点につきましては、ただいままで県からいろいろ報告を受けておりますが、その報告だけでは、まだ調達庁といたしまして、果して保安上危険があるかどうかということについての真証を得られませんので、さらに詳しく調査をいたしまして、その点は大野労政課長答弁と同じでございまして、十分精査をいたしまして、必要に応じて軍との意見調整をはかりまして、その結果、出勤停止が適当でないという場合は復職になるし、あるいは真に保安上危険であるというふうに相なりますならば、それぞれ保安の六十九号の調停に従って措置が行われる。こういうわけでありまして、現に調査につきまして専心努めておるような状況でございます。
  28. 山本經勝

    山本經勝君 ただいまのお話ですと、つまり県が直接関係がありますから、具体的に事情を知っておられる。そこで県が調査をした報告書あるいは資料、また組合が提出している資料、こういうものを基礎にして考えると、妥当を欠くという内容もあるというふうにお話しになったのですが、そうなりますと、対軍折衝というのは、日米合同委員会に出されるまでもなく、調達庁としての立場で強力に交渉ができる。その交渉が実は今までのいろいろ経過を伺うというと、あまり熱意といいますか、力を入れた努力が見受けられぬのですが、この点はどうなんですか。
  29. 坂本實

    説明員坂本實君) 先ほども申し上げましたように、最近軍側から個々に面接して調査をしたという事案についての調達庁申し入れは、合同委員会の方でも取り上げて、その点を論議したいと言ってきておりますけれども合同委員会はもちろんでありますけれども調達庁自身としても、その点はさらに軍との関係解決をいたしたいということを考えております。  まず調達庁としまして、特に対軍折衝の技術的な点を申し上げまするならば、関係労働組合あるいは労務者からのかくかくかような調査が行われたという申し分が果して真実であったかどうかという点について、軍側と事実関係で争いのないようにした上で、対軍折衝の中心に入りたいというふうに考えますので、こういうような事実が果してあったかどうかという点を一つ軍側でも確めてもらいたいということが一つと、その上で一体お前の方はどう考えておるかという点で申し入れをしておるわけでございまして、軍の方で、そういう点について調査も行われておるというふうに聞いておりますけれども、何回か催促いたしておりますので、近く軍側からも何らかの意思表示がありますならば、それについて軍と十分話し合うというふうに考えておるわけでございます。
  30. 山本經勝

    山本經勝君 労働省の方にお伺いしたいのですが、直用関係の、せんだっても実は御質問申し上げたのですが、実態がよくわからない。もっともハウス・メイドといいますか、個々の軍人、軍属が自分の家庭に雇い入れている、これについては困難であることはよくわかる。ところがPXとかあるいは食堂、クラブこういったようなふうに、軍が設けておりますいろいろな機関の中に集団で雇い入れる者については当然この調査もできると思います。いわゆる基準法の百九条、ないし十条によっても当然実態の調査なりあるいは監督権も持っていると思うのです。ですから、この実態が不明だということは非常に問題の処理に困ると思う。そこでどういうふうな実態になっているか、調査をなさったのかどうか、その点を明らかにしていただきたい。
  31. 辻英雄

    説明員(辻英雄君) 労働基準法関係についてお答えいたします。  本件のございました直後、直ちに私どもの方で本件解雇労働者につきまして、あるいは出勤停止労働者につきましての措置が、基準法に反する点がないかどうかにつきまして調査をいたしました結果、解雇に関します限りにおきましては、基準法違反の事実はないというように報告を受けております。
  32. 山本經勝

    山本經勝君 私伺っているのはそうじゃない。問題はどこのPXに何名の直用者がいる、こういうようなこと、あるいは労働協約の取りきめがあるとか、あるいは就業規則の規定があるとか、こういったことは、私は単なる基準法という問題だけじゃなくて、従業員の名簿なりあるいは賃金台帳を備えつけなければならぬことが法律できまっているのですから、そういうもので労働省で御調査ができると思う。あるいは少くともこれについては報告義務も負わされている。その報告を求められるならば、当然その実態が明らかになってくる。推定で全国直用約四万といわれますが、その四万といわれるのは実は推定であって、どのくらい実際にいるのか、ハウス・メイドを除いて、集団雇用になっているこれらの実態というものは、当然労働行政を執行する上からいっても基本的な資料だと思う。それを伺っている。どうなんですか。
  33. 辻英雄

    説明員(辻英雄君) 駐留軍の直用労務者につきましても、一般の方針に基きまして監督を実施いたします。あるいは申告等がありました場合には適当な措置を講じておりますけれども、その全国的な正確な数につきましては、本省の方までは調査はいたしておりません。およそ四万程度というふうに、お話のように了解をいたしております。
  34. 山本經勝

    山本經勝君 それでは私は困ると思う。都道府県の労働部あるいは労政課等において、そういうような実態が明らかになっておるならば、当然この本省の方にそれらの報告は集約することができると思う。労働省の統計という仕事も、労働関係の統計はなさっておるのだから、この実態が明らかになっていないということは、私はきわめて怠慢だと思うのですが、大臣どうなんですか。
  35. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 基準局長からお答えいたします。
  36. 富樫總一

    政府委員(富樫總一君) 直用労働者につきまして先ほど課長から申しましたように、基準法を適用しておるわけでございます。ただ直用につきましては、軍関係という一つのワクを作った統計はとっておりません。食堂でございますれば食堂という、一般的な集計というようなことにおのずからなりまするので、お話のようなことには特に、特別集計ということをしておらない。こういうふうに御了解願いたい。
  37. 山本經勝

    山本經勝君 今の基準局長お話だと、つまり食堂なら食堂、PXのごとく、売店なら売店、こういったような形で、全国的な集約がある。その中で各関係都道府県にそれを分類して、はっきりした数字を出さなければ、これは特殊な問題なんです。日本人の使用者あるいは雇い主との関係であるとなれば、問題はそう紛糾しないわけです。今の一括したものでわかる。ところがそうじゃなくて、相手が特殊なものであるがゆえに、特に法律の執行の上からいっても、あるいはこの法律の実施状況を監督する上からいっても、これははっきり弁別されていなければ話にならないと思うのですよ。それで今まではっきりできていなければ、それを責めてもいたし方ございませんが、これを早急にやっていただけますかどうか。
  38. 富樫總一

    政府委員(富樫總一君) 地方に照会いたしまして、できるだけ御趣旨に沿いたいと思います。
  39. 山本經勝

    山本經勝君 そこで大臣にもう一ぺんお伺いしたいのですが、先ほど調達庁の方の坂本課長さんのお話のように、調達庁は雇い主であって、そうしてその間接雇用の場合に雇い主であって、その労務を軍に提供している。そこで軍が思想調査その他の方法をもって、やった内容はともかくといたしまして、調査をして、そして解雇処分をした、あるいは出勤停止処分をしたということ、この場合問題になるのは出勤停止なんですが、出勤停止という労働者に対する不利益な取扱いをしたという事実は御承知通りです。お聞き及びの通りです。ところでそうなりますと、雇い主である調達庁は、労働省の労働行政面からは被監督者、つまり労働省はそれに対する監督者の立場にありますが、先ほどお話のように、対軍折衝調達庁がやっている、この状況についてはどうごらんになって参ったか。あるいはまた今後の推移をどうなさる気か。また調達庁に対する労働関係の監督権が私はあると思う。そこら辺を一つ明確に解明を願っておかないと、今後の事態収拾の方法が生まれてこない。
  40. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) お話のように、労働省労働法を正しく守るために監督をいたしておりますが、今問題になっておりまする間接雇用労務者は、やはりこれも御指摘のように調達が雇ってこれを提供しておる。そのこともその通りであります。そこでただ調達の方としてむずかしいことは、相手方が、軍部という裁判管轄権その他の問題について、非常にややこしい関係にある相手方との折衝でありますので、先ほど政府委員の方から申し上げました待遇の問題について、種々調達庁の方から折衝しておることは事実でありますが、労働行政を担当いたしておる方の建前から申しますならば、行政協定にいわゆる労働法は先方も守るという建前になっておるのでありますから、私どもの方としてはこれが順法されるように、労働省としては監督するのは当然なことであります。
  41. 山本經勝

    山本經勝君 その当然なのが、実は結果的に今日まで幾多の事件に遭遇するたびごとにうまくいっていない。そうでなかったら、こんなに私はここで御質問申し上げたり執拗に文句を言うわけではないわけです。そこで私はむしろこの際労働大臣責任者という立場であるのですから、しかも調達庁雇用主であり、労務提供をやっている、その労務関係の問題について問題が現にあるのですよ。そうしますと、労働大臣はどういう決意をもって今後この問題に対処されるか、この点が非常に重要なかぎになってくると思う。先ほど調達庁の方の坂本課長の話では、強力な軍折衝をすると言われるが、これは調達庁だけの問題ではないと思う、率直に申し上げまして。やはりその監督権をもっている労働省あるいは労働大臣もこれは大きな責任があると思う。しかも日本人労務者が、あたかも何といったらいいのですか、雇い入れて提供するなりあるいは直接雇用されるなり、日本の国法で守られるはずの日本の国民が、米軍によって実に侮辱的なといっていい、極端に言えば、侮辱的な取扱いを受けたり、あるいははなはだしい人権の侵害を受けたり、日本であれば当然なされても当然不都合でない組合活動に対して、それを調査して解雇をするというに至っては、私は全く民族的な反感を持つ。これは私一人ではないと思う。そこでその感情については、やはり感情だけで処理するのではございませんが、少くとも大臣も同じ立場にあると思う。ですからこの点でもう少しはっきりした信念と、それから今後の推進について責任のある一つお話を承わりたい。
  42. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 幸か不幸か労働大臣調達庁の担当大臣という二重人格みたいになっておりまして、これは実際は私は骨が折れますけれども、実際の取扱いにはかえって重宝な点もあるかと思います。  私は今山本さんのお話のように、日本の国民がたとえ今日のような状況のもとにおかれてあるにしても、同じ法の前に平等に取り扱われる。しかも行政協定においてそれが確認されておるという立場でありますから、私どもとしては、ことに労働大臣としては、そういう公平なる取扱いが受けられるであろうことを期待いたしていることはもちろんであります。そこでもうこれはすでに山本さんも御存じのように、ただ相手方が特別なる立場に立つ軍ということでありますので非常にやりにくい。これもまた調達庁側の立場を御理解願えると思うのです。私といたしましては、従って間接については労務基本契約改訂についてさらに力を入れることはもちろんでありますし、なおその他、ただいまここに問題になっておりますような事柄については、あらゆる努力を払って、日本人の不利益なる処遇を受けないようには全力を上げて努力をいたしておることはもちろんでありますが、なおこれからもできるだけの努力をいたして、私どもの所期いたしておる方向に持っていきたい、このように考えております。
  43. 山本經勝

    山本經勝君 そこで組合といたしましても、これは今まで現地でそれぞれ交渉あるいは折衝を繰り返してきた。そしてあるいは直接軍と話せない場合には、当該都道府県の担当者の皆さんと話し合って協力をしてきた、ところが最近は問題が地方で解決つかなくなった、そうしますと、勢い調達庁対中央の、つまり軍関係では三軍の司令部になってくると、ここで私は、この問題の処理に必要な方法はやはり接触を保って、しかも話し合いをする場所を作るということがまず第一の段階だと思う。そうしますと、今の大臣のお言葉のように、それらの必要な交渉あるいは話し合いの場所あるいは相手方、軍もともに参加をして話し合う場所、こういうものが作られなければ話にならぬと思う。そこでそういう点についての具体的な御努力をお願いできるかどうか。
  44. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 総括的な国と先方との問題につきましては、外務省もタッチいたしまして、合同委員会へもっていくことは先刻御承知通りでありますが、ことに小さな事件といいますか、ややこしいトラブルがしばしば起る直用関係などについては、先ほど申しましたように、先方も承知をいたしまして、苦情処理する機関というものを設けて、そこで一つ両者話し合いで円満に解決していく、こういう方向をとろうとしております。
  45. 山本經勝

    山本經勝君 具体的な個々の紛争あるいはこの不一致の点の話し合いの場所、これが今お話の、たとえば苦情処理機関というような形でなくて、現にあります合同委員会下部機構といいすすか、労務小委員会もしくは労働部会というか、いずれにせよそういった場所があるのでありますが、そこは実は私どもそれに対して不信をおくと言ったら大へん語弊があると思いますが、しかし事実今日までの経過をたどってみますと、あまり芳ばしい結果ではなかった、つまり、審査さえも十分に進行していないし、労働大臣のもとで、中西労政局長議長をなされることもあるという状態もある中で取り扱われてきた過去の状態は、あまり芳ばしくない。ですから対軍交渉調達庁は当然なさるでしょうし、それに対する労働省の協力も言うまでもないことと思う。そこで労働大臣としてお考え願いたいのは、組合との今までの実情は、調達庁に対して交渉をしてみてもさっぱりのれんに腕押しで話にならない、のらりくらりと時日が経過するだけだ、こういうことが率直な姿だと思います。ですから、調達庁組合を加えて軍と話し合うというところまで踏み出さなければ組合が納得いかないと思う。そこら辺の御配慮を大臣の方で願って、何か話し合いをする機会を与えていただけるか。作っていただくということになると、やや問題が解決しかける。とにかく取次店のような格好に調達庁がなっている。権威を持った国の機関でありながら、それが事米軍に関する限り、さっぱり機能を発揮せぬと、こう考えざるを得ぬ姿だと思います。そう言ったら坂本課長に申しわけないと思いますが、事実そういう印象が強い、だから組合が納得がいかない。そうなると、組合を加えて軍との話し合いをするという場所を大臣の方で御配慮願うということになれば、もう少し話が具体的になっていきはしないかということを期待するのですが、いかがですか。
  46. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私も調達庁担当者になりましてから、いろいろな問題で調達のことにタッチいたしておりますけれども、今調達庁の活動について山本さんからお小言がございましたけれども、実際に入ってみますと、国内だけで、わが方だけで解決のできる諸般の問題は大体話が割合に円滑にいきますけれども、とにかく先ほどから申し上げておるように、相手方が軍ということであり、軍には軍のそれぞれの特殊な事情もあるでしょうし、ことにまた軍も三軍でありまして、かつてこの委員会で申し上げたかと思いますが、三軍それぞれ別々の機関を持っておって、なかなかそういうものを相手にして交渉いたしておる調達庁の人々の苦労は、やはりこれは一方においてお小言をちょうだいするもいいのですが、その労をねぎらっていただくに足る苦労をしていることなのでありまして、それは日本の内部のことのようにスムースに早く解決しないという御不満はあるかもしれませんが、非常に努力しているわけです。なお私といたしましても、事情も大体よくわかって参りましたし、さらに先ほど申し上げました直用関係苦情処理機関などというものも幸い向うで了承いたしてきたのでありますから、私自身も督励をしてすみやかにこの懸案をどんどん解決するように努力いたしましたり、また将来もそういうことで円滑に運営されていくように努力を惜しまないつもりでございます。
  47. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  48. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 速記を始めて。
  49. 山本經勝

    山本經勝君 調達庁次長がさっぱりお見えにならぬのでまたこれは困るのですが、考え方の上ではっきりさせておきたいと思っております。それで間接雇用の問題については、当然今まで何回も繰り返して言われておりますように、また私どもそう理解しておりますが、というのは、国が雇用するというのは、調達庁が下部のそれぞれの機関を動員して軍の要請に応じて労務の調達をしていく、こういうことだと思う。そこで雇い主なんですが、一方軍が直接それらの労務者を使用しておる。組合法でいう使用者である雇い主ということには直接はならないかと思うが、しかし法上のいわゆる責任が、不当労働行為の問題にせよ、あるいは雇用その他の労働条件の問題にせよ、当然タッチしなければならぬ雇用主である責任から、問題が労働委員会あるいは裁判所等の判定によってそれが決定づけられるならば、その当事者であることは言うまでもないと思うのです、調達庁が。たとえば不当労働行為の問題にいたしましても、間接雇用の場合、その軍の取扱いが不当であるということについて意見を出したり、あるいはまた審査に協力したりするような立場からくる責任があると思うのですが、すなおな形で組合法上の立場から、使用者である雇い主というのとは若干無理があると思うのです。それは私理解いたしますが、雇い主に最終的に責任があるということが解雇の場合の重大な問題の焦点になってくると思う。ですから今度の出勤停止なら停止という処分が軍によって強行される。そうすると、これに対する調達庁がこれらの関係者まあ板付の場合には十八名ですか、これに対する生活の保障、あるいは今後起るであろう生活問題、そういうものについて具体的な取扱いや、今日までの経過をもう一ぺん明らかにしておきたい。
  50. 坂本實

    説明員坂本實君) 間接雇用労務者の方々の雇用主であるという立場はこれはもう明らかでございます。ただ実際労務者を使用いたしておりますのは軍であるということのために、一般の民間産業におきまする労使関係とはだいぶん性質が変ってくるわけでございます。従いましてあるいは労働組合法で、あるいは労働基準法まあその他の法律で、事業主あるいは使用主というふうに規定されておる場合が多いのでありますが、そういう場合に、この駐留軍労務についてはすべて調達庁責任を持つかと言いますならば、これはまあ非常にむずかしいとは思いますが、それぞれの法律の条文に従いまして、調達庁責任を負う場合と負わない場合もあろうかと思うのでございます。しかしながら、解雇というような問題につきましては、すべて調達庁雇用主としてその責任を持つということに、法律的にはなるというふうに考えております。  そこで、今回の板付出勤停止でございますが、この出勤停止軍側で行なったと、このことは先ほど質問の中にもございましたが、六十九号の附属協定の中で、保安上危険であるというふうに軍側考えた場合は、軍側の方でも出勤停止の言い渡しができるというふうに取りきめがあるわけでございます。かつそういった取りきめが日米間だけではなく、雇用契約の内容にもなっておるわけでございますので、出勤停止それ自身を拒否するとか、あるいはどうだということはまあできないわけであります。そこで出勤停止をしたことは雇用主たる調達庁軍側に授権をしておるということになると思うのでございます。そこで出勤停止をいたしておりまする期間は、給料の六〇%は支払うということになっておるわけでございます。従って今後さらに出勤停止が続くといたしましても六〇%は支払われるわけであります。その後もしも出勤停止が不当であるというふうなことで復職をするという場合に、百パーセント給料が払われるというふうなこともこれまた規定の中から起るわけでございますので、そういう意味では規定に従いましてそれぞれ給与をしていくということになると考えております。
  51. 山本經勝

    山本經勝君 今の保安上危険であるということについて、調達庁の下部である都道府県におきまして担当者が意見を軍に出す。そうすると、軍との間の折衝が行われる、こういうことになってくる。それは現地関係ですが、ところがそれで調達庁としてはいわゆる解雇の理由について究明をすることが、たとえば保安上危険であるのかどうかということが私は問題になってくると思う。これがなされずに、調達庁が今日まで事態を見送ってきておるというふうにしか受け取れないわけです。調達庁としては、もとより裁判所でもなければあるいは労働委員会でもありませんから、そこまで具体的ないわゆる決定をどうするか、こういうことはできないことは私も十分承知している。ところが調査そのものが、たとえば保安解雇保安の条項というものはわかる。ところが保安の条項として三つの上げられておる保安基準といわれる条項はわかっておるけれども、しかしそれに該当するかどうかということが具体的なその内容になってくると思う。ところが、ここら辺に調達庁が当然なさらなければならぬ仕事があるのです。これがどうもなされておらぬ。そうするとむしろこれに協力した形になってくる。つまり軍の仰せならばいかなることもいたし方ございませんということで軍の言いなりになっておるように印象づけられる。そうなりますと、この解雇の不当性に対する責任の追求が、軍じゃなくて雇用主である調達庁に向けられていくと思う。この点はどうなんですか。
  52. 坂本實

    説明員坂本實君) 保安上の理由による人事措置につきましては、まあ駐留軍労務が始まって以来種々紛議の的になってきておったのでございますが、今おっしゃるように、いろいろ都合があるというふうなことで乱用をできるだけさせない、こういう立場から実は附属協定の六十九号と、こういう名のもとに保安協定を実は取りきめをいたしたわけであります。この六十九号の保安協定によりまして軍も相当譲歩をしたわけでありますし、日本側といたしましても軍の立場を理解しつつ、乱用防止のために取りきめをするという立場からこの協定が行われたわけでありまして、その協定で行われる限りにおきましては、調達庁といたしましても相当その中で意見調整もいたしまして、乱用防止にできるだけ努力をいたしてきたわけでございます。そこで御指摘の保安上の理由というけれども、どうも具体的な理由を言わないではないか、こういう点につきましてでございますが、元来軍の方では、保安上の理由というのは軍の規定があって部外に漏らすことができないのだ、こういう立場をとってきておるわけでございます。そこで六十九号の取りきめの中にも、理由については保安上許される範囲だけは言うというふうに制限がなされておるわけでございます。従いまして、調達庁といたしましては保安上許される範囲においても具体的な理由を言ってもらいたいということで、従来たくさんのケースでそれぞれ待遇の折衝もいたしてきたわけでございまして、今後もそういう意味では十分軍側意見調整をいたしていきたいというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、軍側が具体的な理由というものを示さない限り、やはり雇用主といたしましては、軍と日本側と一本化した理由を労務者にうまく示し得ないという難点は残るかと思いますけれども、その点は六十九号の取りきめ自身の問題になって参りますので、六十九号自身を改正をするというふうなことにならぬ限りは、ちょっと扱いとしてはむずかしいのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  53. 山本經勝

    山本經勝君 六十九号の保安協定に関する乱用を防がなければならぬ、これは仰せの通りなんであります。その乱用を現にされていると組合は言っております。またわれわれも現地実情を見ましてそう感じるふしがある。またこの点では先ほど課長さん自身も、県や組合の提出している資料を基礎にして考えてみると、どうも問題がありそうだと、こういうことをおっしゃっている。そうすると、乱用の防止ということはどうやってなされるつもりなのか。これは先ほどお話のように、軍の内規、つまり規定は、秘密であるという建前でそれは示されない。しかも調査した内容を詳細に説明しない、こういうことになってきますというと、乱用の防止は私はできぬのだと思う。できなければ、今の課長さんのお話のように、六十九号の保安協定そのものを改訂することも必要になってくると思うのです。そこで今の乱用の防止をする方法があるのかないのか、なければ政府としてはこの六十九号協定を白紙に返して、新しい協定を別個に結ぶ、こういう立場になってくる、そこをはっきりお願いしたい。
  54. 坂本實

    説明員坂本實君) 先ほど申し上げたことを繰り返すようでございますが、従来保安上の理由によって行われる解雇につきましては非常に紛議が多い。乱用されておるというふうな印象が強かったので、そういった乱用防止という観点から、六十九号の付属協定を実は取りきめをしたわけでございまして、その六十九号の付属協定によってもなおそれはやはり乱用をされるということでありますならば、やはり具体的の事案をそれぞれ十分慎重に扱って、事案ごとに解決をしていくということでなければうまくいかぬのじゃないかというふうに考えております。そこで先ほど大臣からもお話がございましたが、この六十九号の付属協定のもとをなすのもやはり日米の労務基本契約でございまして、現在の契約からはなかなかいい保安の協定というものが生まれそうにもないというふうに思われますので、基本的には現在の日米労務基本契約改訂いたしまして、それによって新しく労務管理の基礎を作っていくということがやはり重要であるというふうに考えておるわけでございます。
  55. 山本經勝

    山本經勝君 課長さんのお話だと、私どもわからぬことはないわけです。それで今の保安解雇の乱用防止のために保安協定を六十九号でもって取りきめになった、その取りきめられたものがさらに乱用されている実態ではないかと私は思う。そのことについてはまた課長も否定はなさっておらない。そうすると、この保安上基準になるものを改訂するということは日米労務基本契約改訂にまで発展するものである、こういう考え方も私はわかるわけです。そこでどうも課長さんでは無理だと思う。だから次長さんからお願いしたいのだけれども、今言われる労務基本契約は、現行のものは、昭和二十八年の十月ですかに調印になった基本契約を指されるのですか、それとも占領当時にあった、いわゆる労務契約を指されるのか。私どもの聞くところによりますと、この前一応調印はされておるけれども、付属書のうちで若干の部分が合意に達しないためにこれは実施になっておらないと聞いておる。そこで軍は一方的に過去の占領下にやっておった当時の労務基本契約によってやっておるのだ、こういうふうに聞いておるのですが、その通りであるのか、はっきりさしていただきたい。
  56. 坂本實

    説明員坂本實君) 現行の労務基本契約というのは、今御指摘の通り、占領中に締結がなされた労務基本契約を若干修正、改訂されたものがなお続いておりますので、それを指しておるわけでありまして、二十八年の十月に調印されたのはまだ発効いたしておりませんので、今後それを発効させるということが、基本契約の改訂というのと同じ意味であります。
  57. 山本經勝

    山本經勝君 それで大体わかりましたが、そこで最後にお伺いしておきたいのは、今の課長さんのお話ですけれども、これはいやしくも調達庁意見代表すると思う。ですから労務基本契約改訂が必要であり、それをやるという決意をもっておられるか、この点確かめておきたい。
  58. 榊原亨

    ○榊原亨君 議事進行、ただいまのお話は大体政策に関係しておることでありますから、今お答えになっておられるのは政府委員ではないかと思うのです。従って政府委員から御答弁になるのがほんとうじゃないかと思うのですが、そうじゃないのですか。
  59. 山本經勝

    山本經勝君 政府委員おいでになればその方でけっこうなんですけれども、ところが問題は……。
  60. 榊原亨

    ○榊原亨君 政府委員でないものに聞いたってわかりゃせぬ。事務的なことは課長さんでわかる。
  61. 山本經勝

    山本經勝君 事務的な問題じゃなくて、今までお聞きの通り……。
  62. 榊原亨

    ○榊原亨君 政策の問題なら政府委員でなければ議院規則上答えられないのですよ。政府委員を指定しておるのだから、そのためにちゃんと……。
  63. 山本經勝

    山本經勝君 政府委員でけっこうですよ。政府委員がおらぬから……。
  64. 榊原亨

    ○榊原亨君 大体事務的なことなら課長さんでいいけれども、政策的なことは答えることはできない、政府委員でないものは。
  65. 山本經勝

    山本經勝君 きょう来てもらうように頼んだのです。事前に連絡をしておるのです。しかも責任ある大臣が来ず、従って来ないからやむを得ず坂本課長から伺っておるのです。本来からいえば出てもらわなければ困る。少くとも調達庁長官に出てもらいたいと思う。ところが御病気だと承わるから無理を申し上げるわけにいかぬ。そこで少くとも次長に来てもらわなければこの問題は話が困難だと思う。
  66. 榊原亨

    ○榊原亨君 ですから、そういう質問をここで長々聞いておっても仕方がないと思うのです。政府委員との御質問のやり取りなら私は聞きますが、政府委員でない方から聞くのは迷惑ですよ。
  67. 山本經勝

    山本經勝君 政府委員に出てもらわなければ困るのです。
  68. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) もうしばらく御協力願います。
  69. 坂本實

    説明員坂本實君) 日米の労務基本契約改訂につきましては、先ほど御指摘の通り、その主文ともいうべき基本協定が昭和二十八年の十月にそれぞれ日米の代表の間でサインされておるわけでありまして、その後も附属協定等についての折衝が行われておるわけでございますけれども、無合意のためにそのままになっております。しかし労務管理の基礎をなすものでございますし、なるべく早期に改訂をする必要があるという立場から、本年の一月に特に合同委員会日本側代表から促進方についての申し入れも行なっておるわけでございますので、今後といえども早急に改訂をする、こういう立場で対軍折衝が行われるものというふうに考えております。
  70. 山本經勝

    山本經勝君 ちょっと御相談がありますがね。政府委員が……。
  71. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  72. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 速記を始めて下さい。
  73. 山本經勝

    山本經勝君 それでは問題になっている日米労務基本契約の問題に対する御質問は一応本日は留保いたしまして、私の本日御答弁願える範囲における質問はこれで打ち切りたいと思います。
  74. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 次にどなたか御質問ございませんか。——本問題は一応打ち切りましてよろしゅうございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  75. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) それでは、次に秋田県の能代市の災害問題に関しまして、社会局長から一つ報告を受けておきたいと思います。
  76. 安田巌

    政府委員(安田巌君) 三月二十日に秋田県能代市に起りました大火につきまして、その被害状況と応急措置につきまして御報告申し上げます。  被害の状況は、住宅が千百五十二戸焼失、罹災世帯が千二百四十八世帯、罹災者が五千八百五十七人、さらにこれによりまして重傷を受けました者が三人、軽傷者が十二名でございます。秋田県におきましては、直ちに災害救助法を発動いたしまして、罹災者の避難、たき出し、医療、生活必需品の支給、その他の救助に万全を期しておるわけでございますが、厚生省におきましても、二十一日県からの被害状況報告等に基きまして、直ちに係官を現地に派遣いたしまして、罹災者の救助に遺憾のないよう指導を行わせておりますが、なお救助物資としてとりあえず毛布三千枚を現地に向けまして急送いたしたわけでございます。また救助費に対しまして、災害救助法による補助金があるわけでございますが、これらに対しまして、県の連絡を待ちまして、大蔵省との折衝を開始できるように準備いたしておる次第でございます。なお日本赤十字社におきまして、秋田県の支部から医師四名、看護婦十名の編成によりまして、救護班を組織し、罹災者の医療救護に当らせておりますが、なお物資といたしましては、メリヤスシャツ二千組、中古の衣料二千点、バターオイル千八カン、ドライミルク千八カンを現地に向けて急送いたしたような次第でございます。
  77. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) どなたか御質疑ございませんか。——それではできるだけ本問題に対しましては、厚生省も協力することを私から特に要請いたしまして、問題を終りたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 他にいろいろ議案がございますが、時間の都合上、本日はこれをもって閉会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 社会労働委員会を閉会いたします。    午後二時四十六分散会    ————・————