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1956-04-24 第24回国会 参議院 建設委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十四日(火曜日)    午前十一時二十二分開会   —————————————   委員の異動 四月二十日委員酒井利雄辞任につ き、その補欠として中川幸平君を議長 において指名した。 四月二十一日委員中川幸平辞任につ き、その補欠として酒井利雄君を議長 において指名した。 四月二十三日委員佐多忠隆辞任につ き、その補欠として若木勝藏君を議長 において指名した。 本日委員斎藤昇君、平井太郎君、村上 義一君及び北勝太郎辞任につき、そ の補欠として石村幸作君、横川信夫 君、柏木庫治君又は三浦辰雄君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     赤木 正雄君    理事            石井  桂君            近藤 信一君            鮎川 義介君    委員            入交 太藏君            大谷 贇雄君            酒井 利雄君            武藤 常介君            横川 信夫君            田中  一君            柏木 庫治君            三浦 辰雄君   国務大臣    建 設 大 臣 馬場 元治君   政府委員    農林政務次官  大石 武一君    運輸省港湾局長 天埜 良吉君    建設政務次官  堀川 恭平君    建設大臣官房長 柴田 達夫君    建設省河川局長 山本 三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    農林省農地局管    理部長     立川 宗保君   —————————————   本日の会議に付した案件海岸法案内閣提出衆議院送付) ○建設事業並びに建設計画に関する  調査の件  (福井芦原温泉大火に関する件) ○建設業法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ただいまから委員会を開会いたします。  委員変更の件を御報告申し上げます。四月二十日酒井利雄君が辞任され、補欠中川華中君が指名され、同二十一日中川幸平君が辞任され、補欠酒井利雄君が指名されました。同月二十三日佐多忠隆君が辞任され、補欠若木勝蔵君が指名され、本日村上義一君が辞任され、補欠柏木庫治君が指名されました。なお北勝太郎君が辞任され、補欠三浦辰雄君が指名されました。
  3. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 海岸法案を議題に供します。  ちょっと速記をとめて下さい。    午前十一時二十三分速記中止    ————————    午前十一時五十二分速記開始
  4. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 速記を起して。
  5. 田中一

    田中一君 農林省の方に伺いますが、今全国知事会からの修正意見書が出ておるのです。このうち第一として、二十二条の漁業権取り消し及び損失補償に関する問題で、今お手元にあるような意見が出ておりますが、これに対して政府所見を伺いたいと思います。
  6. 大石武一

    政府委員大石武一君) お答えいたします。この第二十二条のこの修正意見書につきましては、いろいろ複雑な問題がございますので、十分に検討いたしまして、そしてできるだけこの意見を取り入れたいと考えておる次第でございます。
  7. 田中一

    田中一君 当委員会では本日この法案を上げようと思っているのです。従って、複雑な意見だ、複雑な理由とか情勢とかいうものを伺いたくないのですがね。二十二条のこの意見に対しての政府所見を伺いたいというのです。
  8. 大石武一

    政府委員大石武一君) とっさのことでございまして、もう少し時間をお借りいたしまして検討してから、お答えいたしたいと思います。
  9. 田中一

    田中一君 私は、この法案建設、運輸、農林三省所管法律案であることは間違いございません。そこで政府がその内容について知らないということでは困るのです。そういう無責任な態度じゃ困るのです。だからこそ、前回の委員会においても、三省の間でこの法案提出に対して意見調整ができているかどうかということは念を押して聞いているのです。できておるという御答弁だから質疑を続行しておるにかかわらず、そのような政務次官から答弁を伺うのでは、われわれはもう一ぺんこの法案審議のし直しをしなければならぬ。御承知のように、この法案というものは三年越しの法案なんです。全部閣内調整ができないから、今まで日の目を見ることができなかった。きょう採決をしようというわれわれの意気込みであるにかかわらず、まだそのようなことを言っておるならば、とうていこれはわれわれが賛否を明らかにできませぬ。従って、委員長にお願いしますが、本日はとうてい採決する段階でないと思いますから、一応次回までこの法案採決を延ばしていただきたい。
  10. 大石武一

    政府委員大石武一君) おしかりをいただきまして、まことに恐縮でございます。(田中一君「おしかりじゃない。当然のことを言っておる。」と述ぶ)私は政務次官でして、ただいまここへ飛んで参りましたばかりで、今すぐこれを読む時間もございませんので、二、三分の御猶予をいただきまして、読んでから御返事を申し上げたいということを申し上げたのでございまして、決して農林省でぐずぐず申し上げるという意見ではございませんので、その点御了承願いたいと存じます。  お待たせいたしました。やっと意見がまとまりましたので……。私ども全国知事会のこの修正意見につきましては賛成できません。やはり原案通りの方がはるかにいいと考えておる次第でございます。
  11. 田中一

    田中一君 知事会意見のうちの海区漁業調整委員会とは、どういうものですか。
  12. 大石武一

    政府委員大石武一君) 専門的な問題でございますので、管理部長よりお答えいたします。
  13. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 海区漁業調整委員会は、漁業法によりまして漁業紛争調整をはかる、あるいは漁業権免許政府がいたします際に、その基礎的な案を作るために、地元の漁民から選出された代表者をもって構成をする民主的な委員会でございます。
  14. 田中一

    田中一君 本法の第二十二条二項で、当該漁業権者に対する補償ということは、原則としてきめられておるのです。そこで海区漁業調整委員会というものが、補償を要しないという判定を海区漁業調整委員会が出せるような権限があるのですか。そういう結論を出せるような権限があるのですか。
  15. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 海区漁業調整委員会政府あるいは公共団体等に対して、漁業に関して意見を申し述べるということができますので、そういう意味で、補償を要しないだろうという意見は、その権限としてできると思いますが、この海区漁業調整委員会補償を要しないという決定をするというわけには参らぬかと思います。
  16. 田中一

    田中一君 この法律案のどこにも海区漁業調整委員会という文字が出てこないと思うのですが、出ておりますかどっかに……。海区漁業調整委員会というものがこの法律関係するという条項がどこかにございますか。
  17. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 海岸法には海区漁業調整委員会は出て参りません。
  18. 田中一

    田中一君 出てないものが、同じような海岸管理者としての全国知事からこのような意見が出るということになりますと、従来ともにたとえば補償を要しない漁業権などというものに対しては、海区漁業調整委員会が何らかの発言といいますか、圧力といいますか、あるいは利害関係者関係なく、一つ意思というものを決定しているというような感じを受けるのです。これは同じように、海岸管理者というものは知事でございますから、従って、その点について海区漁業調整委員会というものの本質がどんなものかということを、しいて言えば、知事から伺わなければならぬと思うのです。従って、農林省としてはどういう形に指導をして、現在の実際の運営というものはどうやっておるのかという点について、もう少し詳しく御説明願いたいと思います。
  19. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 海区漁業調整委員会は、昭和二十五年に新しい漁業法ができましたときに、漁業制度改革というものを漁業法によりまして実行いたしたわけであります。その際に、政府だけでいろいろ漁業権免許あるいは漁業紛争調整というものをやりますだけでは、適切ではないというので漁民から、漁業者から選挙によって選出をされました委員をもって海区漁業調整委員会を構成いたしまして、知事漁業権免許をいたします際に海区漁業調整委員会意見を聞く、あるいは漁業紛争調整をいたします際に海区漁業調整委員会意見を聞く、こういうことで、海区漁業調整委員会はそのような役割でできたわけでございます。
  20. 田中一

    田中一君 それでは知事会意見、第一の意見というものは、あなたはどういう工合にこれは理解して、どういう形のものに立法化してくれという要求であるかということを、おわかりになっていらっしゃいますか。この二十二条の意見というものは私にはわからないのですが、ちょっとあなたから説明して下さい
  21. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 私もどうも……。私の推定といいますか、私なりの解釈でございますの、で、お許しをいただきたいと思いますが、漁業補償に関しまして、海区漁業調整委員会漁民意見をまとめて、いわば漁業権者意見をまとめて、そうして補償を要しないということを海岸管理者に申し出る、こういうことを知事会のお考えでは想定をしておられるのではないか、こういう工合に想像いたします。
  22. 田中一

    田中一君 くどく伺うようですが、今お話を伺うと、海区漁業調整委員会というものは、そのような権限はないと育っているのです。権限はない。けれども知事会もこういうことを言ってくるところを見ますと、実際においてはそういう越権行為をこの委員会はやっておるんですかな。
  23. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 漁業権取り消し変更あるいは行使の停止というようなものによって生じました損失補償するということは、あくまでこの漁業権者対それを補償する者との間の関係でございまして、海区漁業調整委員会がその権限として、これにかわって、その補償が要らぬとか要るとかということを言うことはできないと思います。ただ、おそらくここで知事会で申しておりますのは、海区漁業調整委員会がいろいろ漁業の問題について意見を申し述べたりすることはございますので、あるいは関係漁業者意思を代表して、そういうような発言をするということを想定をしておるように見えますが、これは本来漁業権者そのものが同意をしたり、その真正な意思の表明でない限りは、適切な相手方として考えるわけにはいかぬと思います。
  24. 田中一

    田中一君 私、今の管理部長の御意見と同じなんですが、そこで政務次官に伺いますが、この二十二条の法文に対して、このような修正意見書が来ている。従って、あるいはこの法律ができた暁に、海区漁業調整委員会がこのような越権と申しますか、扱い方を中火今日しておる、しておって、それをまたやるんだというようなわれわれ印象を受けるのですけれども、通達か何かで、このようなことはいけないのだというようなことを、各都道府県知事に知らしめるということは、お約束できますか。
  25. 大石武一

    政府委員大石武一君) 仰せの通りに、これはこれらの越権行為がないよううにということを指導連絡することは、十分にできます。
  26. 田中一

    田中一君 それから次に、同じように、修正意見に対して御質問するのですが、第二十六条の主務大臣が施行する工事に要する費用の負担が、この法律では二分の一になっております。それを四分の三にしてくれという要求でありますが、建設省の方に伺いますと、建設省の方は従来最高二分の一ということになっておる。しかし二分の一になっておるけれども、そのほかには十分の一五とか十分の二というような低いものがある。それを一事に二分の一にするんだから、従来よりもこの法律の制定によって地方負担が軽減されると、こういう御意見なんです。そこで農林省所管しておりますところの漁港並びに農地に関して、従来ともにどのような補助率をもって負担率をきめておったか、同時に、この今回の法律でもってきめられるところの二分の一というものは、地方財政負担が増大するか軽減されるかという点について、御説明願いたいと思う。
  27. 大石武一

    政府委員大石武一君) この堤防補強の場合の補助につきましては、今までと同じでございます。
  28. 田中一

    田中一君 漁港の場合はどうなんですか。
  29. 大石武一

    政府委員大石武一君) やはり同じでございます。
  30. 田中一

    田中一君 運輸省、来ておりますか。
  31. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 見えております。
  32. 田中一

    田中一君 運輸省に伺いますが、運輸省は同じような点は、その従来の補助率はどうなっているのです。
  33. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 従来これは第二項の、二十六条の場合でございますね、従来直轄では海岸工事をやっておりませんが、直轄でやるといたしますと、大きなところの工事になりまして、大きなところを申しますと五割のところ、それから四割のところ、それから大阪のようなのは三割、東京のようなのは一割五分というようなところがございまして、これによって二分の一となっていけば、同じかもしくはよくなるという状態でございます。
  34. 田中一

    田中一君 第三の問題ですが、これは三省とも御意見調整して御答弁願いたいと思うのですが、第二条の定義のうち、この海岸保全設備というものは「堤防、突堤、護岸、胸壁その他海水侵入又は海水による侵食防止するための施設」と、こういう定義を下してあるのです。この知再会の要望は「樋管樋閲樋門水門等」、これを追加してくれ、こういう意見なのですが、最初からそれぞれ御答弁願った方が、今後この法律運営に当って各全国知事が間違いを起さないという点からいって、二条の定義解釈というものは「その他」という解釈は、このようなものも全部入っておるなら入っておるのだ、この部分は入らないなら入らないのだということを、速記録に残したいと思うのです。そういう意味で、建設省運輸省農林省の順で御答弁願いたい。
  35. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 海洋保全目的のための樋管樋閲樋門水門等は全部包含されております。
  36. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 運輸省といたしましても、海岸保全のためのここにあげてあります樋管樋閲樋門水門等は、いずれも「その他」のうちに包含しておるものというふうに考えております。
  37. 大石武一

    政府委員大石武一君) 農林省におきましても同様の解釈をいたしております。
  38. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 ちょっと関連して。今三者同じ言葉で答えられたのでありまして、一応わかりますが、私もう一つ突っ込んで聞きたいのは、この海岸保全という問題の解釈ですけれども、たとえば今農林省も同じだと言ったけれども、そのいわゆる内陸部、中には市街地の場合もありましょうが、多く私たちの知っているのは、耕地、水田といったような問題を考えられるのですが、その排水が、それに入る、あるいはそれに関連する河水、河川等の小河川でありましても、それらのうち小河川の変化によって内陸部のその田地田畑というようなものが非常に排水が悪くなってしまって、そのためにこの排水の門、排水施設というものを改善しないというと、せっかくの熟田熟畑といいますか、その田畑目的を達しないというようなことによって、その排水関係から海岸施設に対しても必用な施設をする場合がある。ことに顕著な例は、酒田の庄内平野の一部などは融雪時とあわせて問題があると思うのですが、そういった場合、やはり海岸保全というこの範疇といいますか、海岸保全というこの法律の施行に関連しての排水施設というふうに解釈するのか、別に内陸部排水のための施設というふうに別途な解釈をするのか、その点はどういうふうに考えられますか。
  39. 立川宗保

    説明員立川宗保君) これは海岸工作物築造いたしますといたしますと、これは内陸のためあるいは海岸保全のためと申しまして、理論的には割り切れるわけですが、実際問題は、位置がそういう所に位置いたしますので、非常に両者からみ合うと思うわけであります。それで今お話しの内陸部の堪水を排除いたしますために施設を、かりに樋門なら樋門を作る、こういたしましても、同時に、その樋門海水が入りませんように逆水樋門も作る、こういうことに相なりますので、内陸のための改善の樋門が、同時にやはり海岸保全の利益の一部をなす、こういうぐあいになろうかと思います。
  40. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今のを聞いてみると、実態という感じから言うとわかるのですが、機械的にこれを見ますと、「海水侵入又は海水による侵食」、こうもっぱら海水々々と海水だけあげまして、今農林省が大部分実態を頭に描きながら答えたのが実際には沿うけれども、この形だけからいえば、海水侵入海水による侵食防止、こういった機械的に考えたときに、果して、今農林省考えておるような、御答弁になったような幅のある考え方で、それこそ三者の間に意思の統一があるものかどうか、ことにこれは建設省、いかがでしょう。
  41. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今の農林省でお答えになりました意見も、私ども通りだと考えております。
  42. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ほかに御質疑はありませんか。質疑は終局したものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これから討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにして、お述べを願います。
  44. 田中一

    田中一君 私は社会党を代表して、本法案賛成の意を表するものでございます。  ただ、この海岸保全に関する立法というものは、終戦来荒廃したわれわれの国土のうち放置されておりましたところの面でありまして、われわれは当委員会におきましても、数年来この海岸保全に対する立法化を慫慂して参ったのでございます。かつては議員提案として提案されたこともありますけれども、これも政府間の所管争いと申しますか、これが災いをなして今日まで日の目を見ることができなかった。幸いにして昨年でしたか、建設省竹山建設大臣が、必ず閣内調整をはかってこれを実現するといったような公約をいたしておりまして、まあ、たった一つその公約の実が結んだわけだと思うです。  ところが、審議の過程においても見られる通り、これは速記録を見ればはっきりわかりますけれども、少くとも当建設委員会にかかった法案であるから建設省は当然政府委員は出ております。しかしながら、農林省並びに大蔵省が、これに対する、この法案の成立に対する熱意が全然ないのではなかろうかというような懸念が感ぜられるのであります。むろん宿命的な相剋的立法でありますから、これもまあ官僚人の中には、自分の所管を侵されちゃならぬというような気持も潜在しておって、このような熱意を失ったような討論質疑がなされてきたわけでありますけれども、これははなはだ遺憾であります。  従って、本法が成立した後においては、この法律の精神並びに衆参両院においてわれわれが十分慎重審議したところの案件につきまして、あるいは不明確の点につきましては、審議において政府答弁したものを尊重して、どこまでも仲よくこの法案を実施し、従って、忘れられたところの、国土保全の盲点と言われるところの海洋保全に対しては、熱意をもって実施されんことを希望いたします。同時にまた、特殊な災害、これは海岸のみの築造によってとどまるものではない。海岸の背後にあるところのあらゆる国土計画、あらゆる国民の権利というものが保全されなければならぬ性質のものでありますから、もっと小乗を捨てて大乗について、円満な運営をはかられんことを切に希望いたしまして、本法案賛成するものであります。
  45. 石井桂

    石井桂君 私は自由民主党を代表いたしまして、本法律案賛成の意を表するものであります。  ただ、この法案内容を見ますと、たとえば海岸保全施設築造基準等は非常に抽象的にできておりまして、その細部にわたっては、三省のやり方についてまだお打ち合せをして一つ基準を作るまでに、こまかい点は至っていないようでございます。そこでこの海岸保全施設細部にわたっても、これを十分同じような基準によらなければ、この本法目的を達成することが非常にむずかしいのじゃないかと思います。そこで、至急一つ三省で仲よく、今田中委員の言われたように、仲よく基準を作っていただきまして、そうしてこの法案目的を達成するように希望をいたしまして、賛成の意を表したいと思います。
  46. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ほかに御発言ありませんか。——御発言がなければ、討論は終局したものと認めます。  本案採決を行います。海岸法案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  47. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他の自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願います。それについて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  それから報告書には多数意見者署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   —————————————
  49. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) この際、御報告を申し上げたいと存じます。  さきに秋田県能代、福島県常葉にそれぞれ火災が起りまして、まことに遺憾千万に存じておったのでありますが、今回またまた福井県芦原に火災が発生いたしました。去る二十三日の六時四十分発火をいたしまして、十二時にようやく鉄火をいたしたのでありますが、全焼家屋四百戸、半焼二十戸、罹災人口約二千人ということの報告を受けております。ただし、この報告はなお将来訂正を受けるかもわかりませんが、ただいまのところかような数字を示されております。早速都市建設課調技官並びに区画整理課木島技官を現地に派遣いたしまして、ただいまその実情をつぶさに調査いたしております。調査の結果を待ちまして、早急にこれが対策を立てたいと考えております。  以上とりあえずの御報告を申し上げます。
  50. 田中一

    田中一君 建設大臣に伺いますが、これはもう、私どもも長い間この問題については心配しておったのです。そこでせんだってもあなたに申し上げましたように、これはあなたの政治的な立場を全部かけてこの問題に対する恒久策というものを立てるように、一つ骨折っていただきたいと思うのです。これに対しても、これはいわゆる問題はないのです。もしも実際にあなたがその気になるならば、私ども一緒に参画して、不燃都市と申しますか、このような災害がないような策をとりたいと思います。これは決して金がないから、予算がないからできないのだ、国が貧乏だからできないのだというのじゃないのです。意欲の問題、やろうと思えばできるのです。それを政府が今まで指導しない。こういう点について、ただ、あなた方のところにおるところの公務員諸君にのみまかせないで、民間にはこういう問題について長い間研究して、こうすれば金がかからぬ、こうすればうまくいくのじゃないかということを研究したものがあるのですから、そういう指導をしなければ賽の河原ですよ。もう本年に入って三回ですよ。まだありますよ。こういう点について建設大臣が抜本的な方策を、応急策でいいのですが、抜本的な方策を立てるということを考え気持があるかどうか。もしあるならば、野党におりますわれわれでも十分御協力して、こういうものを未然に防ぐような考え方と同時に、また罹災地に対しては新しい考えのもとに、再びそういう災害がないようにということを提案したいと思うのです。そういう点について大臣の御意見を伺いたいと思うのです。
  51. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) 火災防止につきましては、これは何とか名案がないものかというので、たえず係りの者と考慮をし、研究いたしておるのでありますが、現在のところ、日本の住宅の構造、不燃率の低いこと等、そういったことから火災が頻発いたしますことは、まことに遺憾千万に存じております。これが対策等につきましても、いわゆる事務的でなく、ほんとうに魂の入った方法をとらなければならぬのはお話の通りでありまして、皆さん方のお知恵も拝借し、抜本的な方法がもしあるといたしますならば、これを実行に移したい。なお、応急対策につきましてもよりよき方法があれば、これを直ちに実行に移したいと常に考えておるところでありまして、皆さんの御協力を得て遺憾なきを期したい、かように考えております。機を得て、さようなお知恵を拝借するような時期を得たいと思っております。
  52. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) これをもって休憩いたします。    午後零時二十九分休憩    ————————    午後二時三十八分開会
  53. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) これから建設委員会を再開いたします。  委員変更の件を御報告申し上げます。本日斎藤昇君が辞任せられ、石村幸作君が委員として指名せられました。また平井太郎君が辞任されて、横川信夫君が指名されました。   —————————————
  54. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 建設業法の一部を改正する法律案を議題に供します。  建設業法内容の詳細の説明を政府からお話し願います。
  55. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 建設業法の一部を改正する法律案につきまして、その要点を逐条的に御説明を申し上げます。  本改正案の骨子は、建設工事の請負契約に関する紛争の解決をはかるため新たに建設工事紛争審査会を設置して、紛争につきあっせん、調停及び仲裁を行わせることとするにあります。これに伴いまして、従来の建設審議会によるあっせん制度は発展的に解消することとなりますので、第三章の次に、第三章の二として、「建設工事の請負契約に関する紛争の処理」と題する一章を設けた次第であります。  改正案の第二十五条は、建設工事紛争審査会の設置に関する規定でありまして、あっせん、調停及び仲裁の手続を一行わせるため、建設省及び都道府県にそれぞれ付属機関として審査会を設けることといたしたのであります。  第二十五条の二は、審査会の組織に関する規定であります。すなわち委員の定数は十一五人以内とし、その資格は、利益代表的な観念を排除いたしまして、人格が高潔で視野の広い達識の士のうちから任命することといたしまして、会長の選定方法等とあわせて、本審査会の組織を定めたものであります。  第二十五条の主ないし第二十五条の六は、委員の任期、欠格条項及び解任、並びに審査会の会議等に関する規定であります。  第二十五条の七は、特別委員に関する規定であります。紛争処理は本来委員をもって行うべきものでありますが、一時に多数の事件の発生を見た場合、あるいは特殊な事件につき専門的な判断が解決の鍵となるような場合等も予想されますので、そういう場合に処理一を全からしめるための万全の策として、紛争処理に参与させるため特別委員を履き得ることといたしたのであります。  第二十五条の八は、都道府県審査会の委員及び特別委員の地方公務員法上の地位に関する規定であり、  第二十五条の九は、審査会の管轄に関する規定であります。本条におきましては、原則として、当事者たる建設業者が登録を受けた行政庁に付属する審査会が紛争処理に当ることといたしました。すなわち、建設工事の請負契約に関する紛争は、契約の性質上、当事者の一方または双方が常に建設業者であり、建設大臣または都道府県知事の登録を受けており、登録をした大臣または知事が当該業者の業態を最も的確に把握している実情にかんがみ、登録行政庁に付属する審査会において紛争処理に当ることが最も実情に即した解決を得る捷径であり、当事者にとっても利便であると思料した次第であります。  第二十五条の十は、申請手続、処理の経由等の規定であります。  第二十五条の十一は、あっせんまたは調停の開始に関する規定であります。第一号は、現行法により建設審議会があっせんを開始する場合と同一の規定であります。第二号は、公共性のある施設等で政令で定めるものに関して紛争が生じた場合の規定でありまして、紛争により工期の遅延その他公益を阻害するおそれが生じた場合、審査会が積極的にあっせん等に乗り出すことといたしまして、公共工事の施行の確保をはかったのであります。  第二十五条の十二は、あっせんについて規定しております。あっせんは対立する両当事者間に円満に話し合う機会を与え、解決に導くという最も簡易な手続でありまして、会長が事件ごとに委員または特別委員のうちから指名するあっせん委員に解決を一任し、手続もあっせん委員の判断によって適宜定め縛ることとしたのであります。  第二十五条の十二は、調停に関する規定であります。本法による調停は、民事調停法による調停のように、裁判上の和解と同一の効果を有するものではなくて、単に裁判外の和解の仲介をする程度の効力を有するにとどまり、その効果の点はあっせんと異ならないのであります。ただ、建設審議会によるあっせんが従来相当の成果を収めてきた経緯にかんがみ、裁判外の和解の仲介をする手続を軽重二つに区別し、簡易なあっせん手続のほかに、やや慎重な調停手続を設けることが運用上効果的であると考えたのであります。すなわち審査会は当事者に出頭義務を課し、さらに調停案を作成して当事者に受諾を勧告することができるものとし、調停案決定の方法をも明確化したのであります。  第二十五条の十四は、民事調停法第十三条と同趣旨の規定でありまして、請求が法律的にも道義的にも理非明白で、互譲の余地がなく、または互譲による妥協を不可とする場合は、あっせんまたは調停をしないことができることといたしました。  第二十五条の十五ないし第二十五条の十九は、仲裁に関する規定であります。由来民事上の争いに関する解決に関しましては、もとより訴訟によることが通例でありますが、なお和解や調停などの簡易な解決の道も開かれておるのであります。しかしながら、訴訟はもちろん、和解や調停なども裁判所の手続によるのでありまして、建設工事における紛争のように迅速な解決と、技術上の専門知識を必要とし、複雑多岐にわたる施行上の事実認定が解決の鍵となるような分野におきましては、訴訟や調停などによる解決の方法は必ずしも実情に即せず、むしろ当事者の合意による仲裁手続のごとき制度によらしめることが実情に適するものと思料するのであります。しかしながら、建設工事の請負契約に関する紛争のような特殊の領域におきましては、仲裁人の選定その他の仲裁手続そのものに関して当事者間に紛争が起る可能性もあるのでありまして、見事訴訟法の規定のみをもってしては必ずしも十分ではありません。よって、建設事業の性格にもかんがみ、新たに行政機関による迅速公正な仲裁手続を法定し、難波工事の適正な施行に寄与せんとする趣旨のもとに仲裁制度を設けた次第であります。  第二十五条の十五は、仲裁の開始に関する規定であります。すなわち、第一号は、当事者の双方から審査会に仲裁の申請がなされた場合の規定であり、第二号は、工事請負契約等において、あらかじめ仲裁に付する旨の合憲があった場合は、一方の当事者からの申請により仲裁を開始し得る旨の規定であります。いずれにせよ、仲裁の開始が当事者の合意にかかる点については同様であります。第二項は、中央審査会は都道府県の審査会の行なった仲裁判断に対する異議申し立てについて第二審的機能を行うことができる旨の権限規定であります。  第二十五条の十六は、仲裁の手続に関する規定であります。審査会による仲裁は、審査会の会長が委員または特別委員のうちから指名する三人の仲裁委員によって行うことといたしまして、その指名は原則として、当事者が合意によって選定したものについて行うこととなっております。  第二十五条の十六第三項は、仲裁委員の資格に関する特例でありまして、仲裁が当事者間において確定判決と同一の効力を有する点、従来仲裁人が往往にして法律知識に欠けるために適正な仲裁判断を下し得なかった点等にかんがみ、仲裁委員のうち少くとも一人は弁護士となる資格を有する者、すなわち法律専門化でなければならないものといたしたのであります。同条第四項は、民事訴訟法の適用についての特例を規定いたしております。すなわち、本法による仲裁には原則として民事訴訟法の適用があることを明らかにしたのであります。ただ、仲裁委員の選定手続や証拠調べの手続、仲裁判断  に対する異議の申し立て、費用、手数料徴収等に関する規定は同法に関する特例でありまして、これは本法の仲裁が行政機関による仲裁であることに  かんがみて、設けられたものであります。  第二十五条の十七は、証拠調べの規定であり、第二十五条の十八は、裁判所外における証拠調べに相当する規定でありまして、立ち入り検査に関する規定でありまして、この場合においても管轄裁判所の協力を求めることができることといたしております。  第二十五条の十九は、異議の申し立てに関する規定であります。民事訴訟法の仲裁においては、仲裁人のなす仲裁判断は直ちに確定判決と同一の効力を生ずるのでありますが、本法による仲裁は、行政機関による仲裁委員の選定が必ずしも当事者の合意にかかっておりませんので、特に慎重を期し、異議申し立てを認めた次第であります。同条第二項は、異議申し立て期間に関する規定でありまして、仲裁判断の効力をいつまでも不確定の状態におくことは適当でありませんので、当事者は二週間のいわゆる不変期間内に限って異議を申し立てることができることといたしたのであります。  第二十五条の二十は、手続の非公開に関する規定であります。  第二十五条の二十一は、紛争処理手続きに要する費用に関する規定でありまして、裁判上の和解の例にならい、当事者が当該費用の負担につき別段の定めをしない限り、各自これを負担することといたしました。  第二十五条の二十二は、申請手数料に関する規定でありまして、手数料は紛争処理の申請者の負担といたしまた。  第二十五条の二十三は、紛争処理状況の報告に関する規定であります。  第二十五条の二十四は、政令委任の規定でありまして、おもな事項といたしましては、委員の報酬、委員及び特別委員の名簿の作成及び閲覧、あっせんまたは調停の取り下げ及び打ち切り、異議申し立ての手続、費用の範囲等を予定をいたしております。  以上で第三章の二を終りまして、以下は、建設工事紛争審査会の設置に伴う建設審議会に関する規定の整備であります。すなわち今回の改正により、従来建設審議会の重要な事務でありました紛争の解決のあっせんが建設工事紛争審査会に移管されることとなりましたので、この際地方行政機構簡素化の趣旨にのっとり、都道府県建設審議会は任意機関とすることといたしまして、これに伴う条文の整備を行うとともに、中央建設審議会の組織につきましては、建設業界の実情を一そう反映させるため、委員定数を五名増加することといたしたものであります。  以上、建設工事の請負契約に関する紛争の処理を強化いたしますために所要の改正をはかったのでありますが、この改正により、建設工事紛争審査会布の日から起算して九十日をこえない範囲内で政令で定める日から施行することとし、あわせて建設省設置法の改正に関する規定を附則中に設けた次第でございます。  以上逐条説明を終ります。
  56. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 質疑のおありの方は順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  57. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 速記を始めて。
  58. 石井桂

    石井桂君 私は今度の建設業法の一部を改正する法律案のうちで、従来からあった建設審議会ですか、審議会はまだ残しておいて、任意機関とするというような御説明があったように思うのです。これは今までの、審議会か審査会か、今まであったこの会の大部分の仕事は紛争処理であったことは事実でありますけれども、任意機関にとどめておいたということは、何か非常に、置くのか置かないのか、指導方針があまりはっきりしていないのじゃないか、建設業に対する政府指導方針がはっきりしていないのじゃないかという疑問を抱かざるを得ないのですが、その辺はどうお考えになっているでしょうか。
  59. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 都道府県の建設審議会が行なっておりまする仕事の中で、紛争処理の仕事が、今度は紛争審査会にこの法案で移る関係上、今までの都道府県の建設審議会の方は任意機関に改めております。その点に関しまするお尋ねでありますが、中央の建設審議会と都道府県審議会に分けまして、中央の建設審議会におきましては、現在の建設業法におきましても紛争のあっせんもいたしますけれども、いろいろの標準請負約款を作るとか、あるいは入札等に関する合理化の方策を定めるとか、あるいは経費の基準というようなものを設けるとか、いろいろの仕事が課せられておりますので、中央の機構におきましては、中央建設審議会はそのまま従来通り残し、加うるに、今回の改正の審査会の方も両建で残すということにいたしておるのでございます。一方、お尋ねの方の都道府県建設審議会の方は、もちろんこの審議会としていろいろの活動をやり縛るものでございますし、また現在府県によりましてはいろいろに活動していただいておるのでありますけれども、そのおもな仕事は、お尋ねにもございましたように、紛争の解決あっせんになっておるというようなことでありまして、中央の建設審議会と比較いたしますと、都道府県建設審議会の方は、この紛争の処理の関係を審査会の方に移しますと、仕事は、中央と比較しての話でありますが、それほど多くはないということでございます。  そういうことで、地方におきましても、建設審議会と審査会の両方を存置して参ることも一つ考え方で、そうすれば非常に至れり尽せりの十分な機構でございましょうけれども、一方におきまして非常に似たような機関を各府県ごとに必ず二つ作るようになるということは、非常に地方行政の今簡素化を言っている際に、これに逆行するものだという自治庁を中心とする地方行政方面の意見もございまして、結局、しかしこれは審査会だけでやっていくということでは、建設省としては困る、やはり必要がある所はどうしてもこれを認めて、審議会の方も活動していっていただきたいというのが、これが偽わらざる気持ちでございます。そこで条例によりまして、都道府県におきましては建設審議会を作ってもらいまして、そうしてそれによって、今までの紛争処理の仕事こそ移りますけれども、それ以外のいろいろの仕事をやっていっていただいて、一向差し支えないのみならず、私ども考え方といたしましては、条例のひな形というたようなものも法律的に定めまして、都道府県の建設審議会も設置がたやすくできるように、しかもできる場合には統一的にできるように指導いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  60. 石井桂

    石井桂君 この建設業法ができましたときの目的は、この一条に書いてある通り、「建設工事の適正な施工を確保するとともに、建設業の健全な発達に資する」という大きな目的があると思うのです。実際地方の建設審議会は紛争処理に没頭しておりましたのでしょうと思いますが、この法律を作る目的は、業界が他の業界に比べて著しく進歩していないという実情なんです。しかも年間数千億円の産業を営む有数の産業にもかかわらず、非常に進歩していなかった。たとえば会計などでもいわゆる大福帳によるどんぶり勘定で、会計などもりっぱな経理ができていない。そういうようなことで、自発的にこれは業界の声を盛り上げていってこの法律ができたと思うのです。従って、この法律はあくまでも業界を発展向上させるためのあたたかい法律上の目的があったと思うのです。そうすると、派生的に出た紛争処理が非常に多いといっても、今までの審議会を廃止して、そっちへ統一的に没頭せしめるような指導方針のように受け取れて、肝心の業界の発展という大きな目的に対する施策というものが、中央でやるから地方はこれに従えというのでは、あまり指導方針としてははなはだ民主的でない。やはり地方には地方の事情があるのですから、そこの各審議会でいろいろな業界の刷新向上をはかるというふうにこの法律ができた目的があったと思うのです。その辺がどうも、ごたごたが起ったらごたごたを処理する委員会にしてしまえというような感じは、私には適当だと受け取れないのと、もう一つ、行政機構の簡素化が叫ばれておるから三つの委員会を置くということは非常に煩鎖だ、こうおっしゃいますけれども紛争処理ができるような方々は相当有能な方だと思うのです。で、従来のおそらく審議会の委員をかなり重複して使う形になるでしょうと私は思うのです。そこで残された審議会の方は紛争処理の委員会委員を兼務させても一向差しつかえないので、看板が二つあったら行政機構が複雑だということには受け取れない。どうも今の官房長の御説明では、むしろこの法律目的たるところに力が入っていないで、派生的に起った事件の処理にのみ没頭しているような改正のように受け取れますが、これに対する御所見はいかがですか。
  61. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) まことにごもっともな御意見でございまして、先ほども申しましたように、建設審議会も府県の方まで存置をしていき、審査会も作っていくというふうになりますれば、一番丁寧な方法であることには間違いがないのでございます。ただ、この権限と申しますか、仕事の内容におきましては、今までの実際におきましては、やはり業界の意見を反映し、しかも業界がますます進歩向上するようにという——仕事の主たるものは、建設業のいろいろの団体の系統等を通じまして、中央の建設審議会に最も強く反映されております。そういうことからいたしまして、中央の建設審議会の方は委員の構成を逆に五名増加するというような方法を構じまして、運営の活発化をはかっていく考え方をいたしておりますが、都道府県の方は、決して置かないというのではなくて、置いてもらいたいわけですが、ただ、今の符節柄地方機構簡素化ということが非常にやかましい問題で、地方財政再建といったようなことから、いろいろの委員会の整理ということをやかましく育っている際に、建設関係一つのそういう審査会なり審議会のあるところにもってきて、これを二つにふやすということは、これは建前上それを必ず作るということは非常に運営を乱すような結果になるので、公共団体の意思で必要があればそれは必ず作れるのだから、必要な所には必ず作らす。ただ、法律上これを必要としないという点を妥協的にやむなく地方行政機構簡素化という趣旨から府県の意思できめてもらうということにいたしておる次第でございます。決して必要がないという考えに私は同意するものではございませんが、非常にそこのところは、不十分ではございますけれども任意設置ということで、府県の意思で必要な所にはやはりりっぱな審議会ができて、そして大いに業界のために活躍していただきたいものと考えておる次第でございます。
  62. 石井桂

    石井桂君 その点は了解いたしましたが、それならば、建設省報告されておる紛争処理に当った件数とが、各委員会、地方の委員会で処理して円満に解決された件数とか、そういう統計があったならば、最近の機会に資料としてお出し願いたいと思うのです。それはお願いです。  それからもう一つ聞きたいのは、これは最近各業者に非常に困った問題といって訴えられるのですが、建設業法の十何条かに登録料のことが出ております。十二条だったと思いますが、登録手数料は政令の定めるところによってこれは納めなければならぬということで、政令で定められておる。従来登録手数料は三千円であったところが、最近にいきなり五千円になってしまって、非常に困ると、私の所に大ぜいの建設業者が陳情に参っております。で、これはいわゆる大手五社——清水とか大林とか竹中とか大成とかいう業者は、三千円が五千円になっても一向差しつかえないのですが、御承知のように、建設業法の登録をせぬばならぬ範囲は一件三十万円以上の工事である。そうすると、三十万円という工事は、うちでいえば、どんなちっちゃい家でも三十万円はかかる。ですから、どんなちっぽけな住宅を作る者でも登録しなければならぬということになると、建設業者のうちの九〇%以上の方方はいわゆる中小企業者です。そして収入からいっても、ずいぶん細々とやっている方々なんですが、それらが登録申請の料金を、手数料をいきなり倍にしなければならぬという体制は、これは非常にひどいのじゃないか。業者もそういうことで訴えられて来ておりますが、建設省はその事実を監督官庁としてお知りになっているかどうかというのが第一点です。第二点は、そういう問題が起きたときの建設省意見はどうであったかということ。第三点は、将来業者の声に応じて——業者というのは、九〇%以上は今手数料が上って困るという業者ですが、そういう声に応じて、手数料の減額に対して、改正の意思があるかどうか。この三点をお伺いしたいと思います。
  63. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 建設業法に基く登録の手数料のことでございますが、お話にございますごとく、大臣登録と知事登録と二つございまして、知事登録の面におきまして、昨年の暮、十二月でありますか、自治庁の方におきまして地方公共団体の手数料条例の全般的な改正を行なっているのでございます。地方公共団体の手数料の関係のものが百五十何種——百六十種か、手数料が地方公共団体の手数料条例の中に項目があるのでありますが、そのうち長らく据え置きになって、非常に以前から改正されていないために、物価の変動と申しますか、それよりも、手数料のことでございますので、古くから変っていないものについては、給与ベースの変更がずっと行われているにかかわらずこの方が変っていないということが、主たる理由といたしまして、本年の一月一日から施行するという二とで、約五、六十種類の手数料を自治庁の方で一斉まあそれぞれペース、昔からのベース・アップの指数状況なりを勘案いたしまして、改訂をいたしたのでございまして、この点につきましては建設省も承知をいたしております。事由が今申しましたようなことでございますので、建設業の登録につきましても、昭和二十四年の制定当時三千円でありましたものがそのままになっておったわけでございまして、昭和二十四年からこの三十一年ということになりますれば、三千円を五千円に、これはまあ最高限の額でございますが、五千円ということで、まあほかも同様にやることでございますので、やむを得ないということであります。建設省意見としてはやむを得ないものである、上げたくて上げるわけじゃございませんけれども、振り合い上やむを得ないだろう、こういう考え方でございます。  さて、建設省自身がきめなければならない方の大臣登録の手数料の点につきましては、地方公共町体がこういうふうになっておりますので、政令におきまして五千円ということになっております。それで自治庁の方で府県の方を五千円にきめますと、大臣登録は、従来知事が三千円で国が五千円、その間二千円の開きがございますが、片方の三千円を五千円にいたしましたので、地方も五千円、国も五千円でいいかどうかという問題があるわけでございますが、これにつきましては目下検討中でございまして、結論を得ました場合におきまして改正の措置をとりたい、かように考えております。
  64. 石井桂

    石井桂君 物価の変動があるという事由と、それから二十四年から据え置きであったという理由で上げられたということなんですが、私は手数料をお上げになる、多少お上げになるのはわからないこともないのですが、その登録の手数料ですが、清水組さんのように五千人も使っておる業者も、それから大工が一人で、まあ自分の所の弟子を使ってたたいている大工も、同じような手数料を取るのはおかしいじゃないか。非常に困っている人、しかも困っている層が非常に多いのですよ。だから、手数料をおきめになるときに、皆さん方建設業の手数料ということをきめるときに、すぐ五大会社のような姿を頭に描かれると思うのだが、それの払っている金額、登録手数料の総額からいくというと、九〇%以上はそのたたき大工の親方みたいなものばかりです。非常に困って、陳情を今ごろしているような始末なんです。そういう事実をほんとうに検討されて、この料金を自治庁側に賛同されたかどうか、私は非常に疑義があるのです。もしそうであるとすれば、物価の変動だといっていきなり倍くらいになるようなことであれば、あなた方の月給だって二十四年のベースと今と倍くらいも違ってはいないだろう。そういう見方は実に独断もはなはだしいと思うので、結局自治庁に一ぱい食わされて、あなた方はめくら判を押したのじゃないかという気がしないこともないと思うのですが、まあ面目上そんなことはありませんと答えるでしょうけれども、私はもうそこらにいる大工さんだの何だの、ほんとうにかわいそうな人が三千円をいきなり五千円にされたということは、何か非常に黙視できないように思うのです。大業者は別ですけれども……。その辺はほんとうにお考えになったかどうか、もう一ぺんお答え願いたい。
  65. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) お説のごとく、大業者もあれば、三十万以上というところが多いので、小業者が多いということは、確かに業界の実情であると存じます。そのことはもちろん承知いたしておらないというわけではございませんので、十分承知をいたしておりまして、先ほど思し上げましたようなベース・アップとか、そういう事情でまあやむを得ないだろうということで、同意をいたしております。しかし、こういうものを決定いたします際に、ただいまお話がありましたような、うっかり大業者だけを頭に浮かべないできめるべきものであるということは、重々お話の通りでございまして、十分留意すべきことであろうと存じます。  それで、中央の国の方で決定いたします際にも、今お話がございましたような点を今後十分に留意いたして、慎重に考えなければならぬと思います。お話の中にございましたように、三十万円以上のもの、いわゆる建設業法の政令で定める軽微な工事のみを請負うことを業とする者は除外——建設業法の適用を受けておらないのでございますが、この三十万円という数字が、やはり同じような理由で物価指数が変っておれば、再検討を要すべき問題がありはしないかということもございますので、あわせてこれも検討中でございます。検討の結果新たな結論を得たいと思いますが、また御教示をお願いしたいと思います。
  66. 石井桂

    石井桂君 実は建設業法の施行に当っておるところの地方庁は、地方公共団体ですか、それは今非常に弱っておる。なぜ弱っておるといいますとね、今あなたのおっしゃった三十万円の工事というのは、六坪か七坪の工事はもう三十万円になってしまう。だから、ことごとくの工事は大がい登録業者でなければできないわけです。ところが、登録業者は帳簿やなんかもはっきりしますから、税金がみな来てしまう。ところが、もぐりで請け負う場合は、これは登録していないで、もぐりでやるのですから、ごまかすといえば語弊がありますが、税金でも何でもずいぶんごまかせる。登録しない方が非常に業者にとっては有利だという思想がびまんしていた。この法律というものは、業者が自分でもって全部登録して、お互いに切瑳琢磨していいものになろうというので、業者の発意によって皆さん方を動かしてこしらえたのです。ところが、今では逆に、建設業法の登録は困るということで、みな逃げてしまう。この手数料を変更するときに、新たに更新するときに、これを機会に届けないでしまおうというので、ぼつぼつ脱落してしまう。そういうことはつまり、法律の効果がだんだん及ばなくなる結果だと思う。それらはみなこうしたつまらぬ私は変更のことから、ますます減ってくるのじゃないか。今登録しているまじめな業者は、どうかしてもぐっている業者を仲間へ入れたいという運動をしておる。そのときに、こういう改正をされるとはなはだ困りますということを、まじめに陳情を何十人か来てやって帰られたような状態で、どうぞそういう現状でありますから、監督に当られる皆さん方は一つ十分そういうことを御研究になって、そうして登録手数料のみならず、いろいろな料金が規定されると思うのですが、そういう場合には一つ適当な機会にこれは改正されるようにお働きかけ願いたいと、こう思います。  と同時に、今官房長官の言われた三十万円というのは、これは少し少な過ぎるかもしれません。もっと百万円くらいになる必要があるのかもしれない。その点は私もあわせて研究したいと思いますが、そちらでも研究していただきたいと、こう思います。
  67. 近藤信一

    ○近藤信一君 私、しろうとであまりわかりませんので、二、三、ちょっとお尋ねしたいと思います。  現行法の建設審議会で紛争処理を今までやってきた。そうして若干の成果をあげてきたが、現在の建設審議会では十分なる処置ができない。これは審議会ではあっせんだけができるので、あとの調停だとか仲裁というようなものは現行の審議会ではできないのだと私は思うのですが、それで今度新たに紛争処理機関を設置して、あっせん、調停または仲裁もできるようにしたのだ、こういう御説明があるわけなんですが、これはやはり従来の建設審議会の紛争に対する処理としては、あっせんだけがなされておって、あとの仲裁だとか調停ということはできなかったのでございましょうか。
  68. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) お話の通り、現行法ではあっせんだけで、調停や仲裁はできないことになっております。
  69. 近藤信一

    ○近藤信一君 そうすると、今度あっせん、調停、仲裁をできるように建設工事紛争審査会というものが設けられたわけなんですが、これに対しまして、今度あっせん、調停、仲裁をするには当事者間の申請により行うと、こういうのですが、これは当事者間両方が意見が一致してこの調停なりあっせんを申請するのか、それとも、一方によってあっせんや調停、また仲裁というものが申請できるのか、この点どのようになっておるのでしょうか。
  70. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 現在やっておりますあっせん、これは当事者の申請によりまして、これは現在でも当事者の双方か一方の申請でやることになっておりますが、結局両当事者間の話し合いを審議会が中心になってあっせんをいたしまして、そうして終局においては両当事者が同意をすると、そのあっせんの力によって話し合いで解決をするという意思が一致して、初めてあっせんというものが成り立つわけであります。これがどうしても、この程度でございますので、当事者の片一方が話をつける気がないという場合には、どうしても話がつかないのであります。大きな紛争等で、当事者の片一方が全然解決をする意思がないために、ずいぶん長くあっせんに努めましたけれども、解決しないで、訴訟になりまして、現在でもまだ訴訟が継続しておるというような事件もあるのでございます。そういうことから、お話がございましたように、今度は調停と仲裁を加えることにいたしたいと、こういうことになるわけでありますが、この調停あっせん、仲裁の三つの区分でありますが、あっせんはただいま申し上げた通りであります。調停の方も、法律上の性格から申しますと、これもあっせんと異ならないのであります。結局両当事者が話し合いをつけるということが一致して、両当事者が承諾して成り立つのであります。その点はあっせんも調停も変りありませんが、ただあっせんの方は、原則として一人のあっせん委員が間に入っていろいろ奔走をして、話をあっせんに持っていくということでございます。調停の方は、三人の調停委員が選ばれまして、やや手続が慎重になっておりまして、そして当事者に来てもらって、出頭をしてもらって、意見を聞いたり、それからまた三人の者が調停案を作りまして、その調停案というものを作ってこれを当事者に勧告をするといったような、やや形式張った要素が出てくる。手続としては重くなってくる。しかし終局においては、当初申し上げましたように、それをのまなくちゃこれは解決しないということには変りございません。  そういうわけでありますので、このあっせんと調停のこの二つは、ここの二十五条の十一にございますように、当事者の双方または一方からあっせんまたは調停の申請がなされたときに、開始し得るわけでございます。両方が一致して頼まなくても、一方だけでも、終局において両者が承諾しなければきまらないわけでございます。強制力がないわけでございますから、双方または一方からの申し出でよろしい、こういうことになっております。  第三番目の仲裁でございますが、これが一番今回の手続を少し重くした理由でございまして、現状を申しますというと、非常に資力が乏しくなってきておるというようなこともございます。非常に事件の数もふえてきておりますし、その解決が非常にしにくくなってきておる。そうしてほんとうの訴訟の方になる事件が多いというふうに、だんだん事件の量もふえておりますが、質的にこれが困難になってきておる。これは裏から申しまするならば、解決が長引いてそうしてお金がかかるということでございます。今回の提案のおもなる理由は、建設業界のこういう紛争解決のために、早く解決して、そうして金がかからないで——訴訟になるとどうしても金がかかります。金がかからないということがおもなるねらいでございます。そのために、訴訟ができませんけれども、相当はっきりした解決ができるという道を開きたいというのが第三の仲裁でございまして、これは裁判とは関係はございませんけれども、あらかじめ両当事者が契約をする場合に、もし紛争が起ったならば、この紛争審査会の仲裁に付するという契約をいたしておきます。これを仲裁約款と称しておりますが、そういう仲裁契約の存在を前提とする。あるいはそれでなければ、紛争が起ってから両当事者が一致して一つ仲裁をやっていただきたいということを申請する。初めの方のあっせんと調停の場合は、最終的な承諾でございますから、片方でもいい。しかし仲裁の場合は、両当事者から申し出があるか、あるいは両当事者からあらかじめ仲裁に付するという契約ができておるということを前提にいたしておりますので、二十五条の十五の方をごらんいただきますと、一号が当事者の双方から仲裁の申請がなされたとき、それから二号がこの法律による仲裁に付する旨の合意に基いて、あらかじめそういう合意が契約があって、その場合においては合意がもとにあるわけでございますから、当事者の一方から仲裁の申請がなされた場合も開始するということに相なっているのでございます。そうして仲裁の場合におきましては、仲裁委員を原則としては当事者が自分が選りまして、委員まは特別委員の方から選りてまして、意見が一致いたしませんければ会長が指名いたしますけれども委員を選ばれまして、そうしてその仲裁判断というものが専門的な見地から下される。仲裁の場合は裁判とは別でございますが、専門的な実情をよく知ったような第三者の意見にまかせる。そうしてその仲裁判断の結果は確定判決と同じ効力を有するわけでございまして、訴訟ができないということになるのでございます。しかし確定判決と同じ効力を持つという意味で、仲裁の方は非常に強いものでございますけれども、その大もとには、先ほども申し上げましたように、必ず仲裁に付するという合意がある、あるいは両当事者が合意をして初めて申請するわけでございますので、結局はこの仲裁もまた両当者が合意をするということが前提にあるということで、これは裁判の関係とか司法権の関係とかいうものを侵すものではない、両当事者が合意をして、約束ずくで仲裁に付するという効果をねらっているものでございます。
  71. 近藤信一

    ○近藤信一君 今御説明のように、あっせんはこれはもう不調に終る場合がある。不調に終った場合には、調停に持っていく。調停に持っていく場合には、調停案というものを出しておいて、そこでまた調停が不調に終った場合には、今度は仲裁委員会にもかける。こういう三段階になっておるようです。そこで今、合意がある場合にはこの仲裁ということができる、合意がある場合には仲裁が一方の申請によってもできる、合意がない場合には、一方から申請しても、それは仲裁委員会はやらないと、こういうことですか。
  72. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 合点がない場合には、一方から申請しても仲裁はできないわけでございます。
  73. 近藤信一

    ○近藤信一君 そういたしますると、調停の場合には調停案を出すのですから、職権調停といいますか、仲裁の場合にもやはり……。仲裁はどうなんでしょうか、これは両者の意見を聞いてやるのか、調停と同じように、仲裁案というものを職権によって出して、そしてこれによって解決せい、こういうふうにおきめになるのか、この点、調停と仲裁の方のあれはどうなっているのですか。
  74. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 審査会が、特別な公共工事というようなことで、職権でいわゆる処理をするという場合は、今の承諾ずくのあっせん、調停の場合に限るのでございます。確定判決と同じような効力を持ちます仲裁は、職権ではやれない、同意が前提になっておるということでございます。
  75. 近藤信一

    ○近藤信一君 調停も、仲裁も、不調に終った場合には、やはり民事訴訟なら、民事訴訟を起すわけですね。それはそれで進めていくわけですね。
  76. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) その通りでございます。
  77. 近藤信一

    ○近藤信一君 さっき石井委員も言っておられましたが、中央にはやっぱり将来も中央建設審議会というものが持たれるのですが、都道府県においてはこれはなくなるのですか。
  78. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 今のお答えを訂正いたしますが、仲裁は仰せられませんでしたと思いましたので、あっせん、調停の場合は、あっせんがうまくいかない、調停がうまくいかない場合は、訴訟ができると、こういうことを申しましたが、仲裁につきましては、確定判決と同じ効力を持ちますので、この仲裁の判断が有効に成立いたしますと、訴訟は起せないということになっております。仲裁はお話がなかったかと思いまして、あっせん、調停についての部分だけお答え申し上げました。仲裁も、もしお話しになりましたといたしますれば、仲裁がきまれば、訴訟は起せないということに訂正いたしたいと思います。  それから建設審議会のお尋ねでございますが、先ほど石井委員からのお話がございました点でございまして、中央建設審議会と中央の紛争審査会は両建で、必ずこれは置くということにいたしてございますが、都道府県の方は、紛争審査会の方は必ず置きますけれども建設審議会の方は、府県の意思によりまして、条例で設置をするという建前にいたしております。紛争審査会の方は、ある所はそういう審査機構があり、ある所は審査機構がないというわけにも法律上の体制として参りませんので、この方は法律上の必置機関にいたしておるわけでございます。
  79. 近藤信一

    ○近藤信一君 ただいまの答弁の訂正された分の仲裁の点でございますが、仲裁は最終的なあれで、審査会の最終的な決定ということになるわけなんですが、その仲裁に不服な場合はどうなんでございましょうか。
  80. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 仲裁の場合だけ、都道府県の審査会がやります仲裁については、不服がある場合には、第二審として中央の審査会がさらにこれを審査をするというふうに、地方がまずやりまして、その上に機構が重なって、異議の申し立てがあります場合には審査をするという建前にいたしておるのでございますけれども、それはこの紛争審査会の中におきまする一審、二審の関係でございまして、仲裁の場合に、この仲裁が行われますならば、必ず仲裁判断がある。判断と申しますか、一種の判決みたいなものがきまるわけでございまして、そうしますと、仲裁というのは、民事訴訟法の仲裁と同じような、確定判決と同じような効力を持ちますので、もう訴訟ができない、裁判所に訴え出ることはできないということになっております。従って、もうそれで簡易に解決してしまって、もう一ぺんそれが訴訟にかかるということになれば、結局またそれにお金がかかってしまったり、時間がかかって、みんな訴訟まで行くのが通例になりまして、役に立ちませんけれども、この仲裁というのは、この仲裁限りで確定判決と同じ効力を発生する、こういうことになっておるのであります。
  81. 近藤信一

    ○近藤信一君 中央審査会に提訴の道があるわけなんで、二審としてこの中央審査会にかけて、やはりこれはあっせん、調停、仲裁、こういうふうに段階を踏んで行って、最後の仲裁になりますと、もうそれが最終決定だ、こういうことになると、これは至上命令ということになるわけですね。幾ら不服でも、これに対しては不服なりにもきかなければならぬ、こういうことになるわけなんですが、そうなりますと、これはもう大きな問題になるんじゃないですか。不服でも、これは泣き泣き、泣き寝入りしなければならぬ、こういう結果になると思うのですが、その点、どのようにお考えになっていらっしゃるのですか。
  82. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) そういうわけでございますので、あらかじめ当事者が承諾をして、そういう契約をするかしないかという問題があるわけでございます。あるいはまた当事者が両方そろって仲裁を申し出なければいいということになるのでございまして、仲裁を申し出ました以上は、民事訴訟法の仲裁もそうでございますが、同じように、この場合におきましては、仲裁で最終の確定をすると。中央審査会に申請いたしましたケースにおきましては、審査会としての二審もないのでありまして、その中央審査会の判断で確定をする。そういうふうに、まあ裁判でやるよりも、この仲裁につきましては相当詳細な規定を設けまして、手続も非常にこまごまと雷いてあるようなわけでございまして、裁判よりは簡易であり、かつ専門家がそこにおる。建設工事関係の事柄は、法律上の知識も必要なようでありますが、経験的な事実上の認定というものが非常に経験者によって得られるということの方が重要な要素でございますので、中央審査会の委員等は非常にそういう専門家を集めておきまして、それによって最終の同意があるという前提で頼みました場合には、それに服するというあらかじめ契約をしておくわけでございますから、それに従うということで、早く片づくし、金もかからないということをむしろねらっておるわけでございます。  それでまた裁判に出るようでは、これは結局は同じことになるということでありまして、ただし、そういう契約がなかったのだというような訴訟を起すことは、これは訴訟の問題としてはあり得ることでございます。仲裁契約がなされて、仲裁判断がされるという場合でも、訴えを起して訴訟をやるという場合に、裁判所はもしそういう契約がはっきりあるんだということになりますれば、この訴えは却下しなければならないということが民事訴訟法の規定できまっております。そういう契約が存在しないのに、あるかのように言っておるということなら、これはやはり訴訟が成り立って参る。結局この契約が存在するかどうかということを裁判所が審査いたしまして、そうしてまたそういう契約があれば訴訟は却下されなければならない。その契約がないという訴訟を起すことも可能だ。それに対する一応言い分の訴訟を起すまでは可能でございますが、そういう約束があるということになりますれば、もう訴訟の対象にならない。これできまってしまうということが仲裁でございます。
  83. 近藤信一

    ○近藤信一君 もう一つ最後にお尋ねいたしますが、そうすると、今度の法律は強い権限を持つわけなんで、やはり行政訴訟というものは国民に課された私は一つの権利じゃなかろうかと、こう思うのです。そういう行政訴訟のできないというような法律にこの法律がなるわけですが、私はそういうことになると基本的人権を侵害するものである、こういうふうになるのじゃなかろうかというふうに思うのですが、この点、どのようにお考えですか。
  84. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 審査会が、建設業、建設工事をめぐる紛争を処理するために相当強い権限を持って、そうして効果のある解決をしなければ結局解決が遷延してできないという情から、この法案を提出するわけでございまして、その点は確かに、従来のあっせんからみれば、非常に仲裁は強いものでございますけれども、たびたび申しますように、これはやはり契約の存在あるいは両当事者がその仲裁に服するということを約束して初めて成り立つことでございますので、それに賛成しないものがこれに無理々々従わされて、訴訟の権利を奪われるというものでもございませんから、その点は根本的なものとして訴訟の自由を奪われるものではございません。この法律がございませんでも、今の民事訴訟法によりまするところの仲裁に服する約款を今でも契約をすることができるわけでありまして、その場合に民事訴訟の仲裁にしましても、やはり同じように、確定判決と同じ効力が生まれまして、訴訟ができないというのが現状でございます。その点はこの法律がなくても同じでございますが、民事訴訟の仲裁でやるのでは、まことにこの建設工事の実情に合わないということが一般に言われているのでございまして、一向に用いられない。やはり相当専門家のいるよくわかった人たちならば、初めてあの人たちにあずけて、その人たちの権威のある仲裁にまあ服しようという気持にもなるのでございまして、やり方が足半訴訟法の仲裁人ではなくて、こういう審査会を作りまして権威のある仲裁ができるようにする点が、現行の条項とは違う点でございます。仲裁というものをこれで初めて作り出すわけではございませんで、仲裁機関をこういう専門的な仲裁機関にしたいということがこの法案のねらいでございます。
  85. 石井桂

    石井桂君 ただいまの仲裁制度を設けたことは、非常にたやすくお金をかけないで所期の目的を達成する方法の一つとして採用されたことはいいと思いますけれども、ただ、初めに契約の当時そういうことを了承の上というお話あったのですが、この契約者というものはごらんになったことがないと思うのです。官房長はごらんになったかどうか。これは一条から何条というように非常にこまかい字で条分がうんと羅列してある。まるで法規集みたいだ。そこを特に注意して見るというようなことは、民間に普及できないと思う。たとえば中央建設審議会あたりで約款は出しています。四会連合の、建築学会とか、土木学会、建築士会、あるいは設計管理協会等で約款を出しております。そのこまかい字で何条もあるやつを、しろうとは大がいまかせっ切りで、めくら判を押しているのが実情ですよ。そこであなたはそうおっしゃっても、契約をした条文を認識して納骨ずくで契約をしたのではないと私は思う。  そこで、たとえば今被告に対しても黙否権を使うような権利を認めているのですから、選択の自由はあってしかるべきだと思うのですが、そういう仲裁制度を採用すればもう訴訟はできないのだということを周知徹底させないなら、いたずらに国民の権利を侵害するものだと私は思うので、それに対して、どういうふうに措置なさいますか。
  86. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 両委員会のお所はまさしく今の点にあるのだろうと思いますが、うっかり契約をするのが実情で、それを納得しなかったとか、もう訴訟を起せないということでは困るじゃないか。契約をそうはっきりわかってやればいいのですが、あるいはまた力関係で強制されるとか、そういったようなことの御心配に基づくお尋ねであるかと存じます。その点、まことに御心配の点がありますことはごもっともでございますが、これは錯誤に基いてうっかり契約しているという場合におきましては、これは仲裁開始が成り立たないということに法律上なります。従いまして、一方におきましてそういうトラブルが起りませんように、これからもし契約の約款にそういう紛争審議会の仲裁に付するという約款が入るのが通例になるというようなことにもなりますれば、十分その点の周知徹底をはかって参って、承諾ずくめでやらなければならないということにならなければならないと思います。またそういう場合に、その契約がほんとうに成立しているかどうかという点については、先ほども申しましたように、これだけは訴訟の種になるわけでございまして、おそらくそういう訴訟を防ぐ道はないと思います。やはりそんな約束はした覚えはないといった訴訟はでき得る道はあろうと思いますし、それがほんとうに錯誤に基くものでありますれば、この仲裁が却下されるということになります。しかし、いずれにせよ、十分周知徹底をはかって、そういう道が開かれたということを承知でみんな契約に当るように努めなければならないと思っておる次第でございます。
  87. 石井桂

    石井桂君 もう一つ、関連して。今のお答えで私は満足するのですがね。ただ、実際の場合、印刷した約款をちゃんと自分の署名をして捺印をするわけなんですよ。で、形からいうと、錯誤に基く契約と言えないのだけれども、あらゆる場合ことごとく、百の場合に九五%ぐらいまでは依頼する方は見ないのですね、請負の方は、これは商売ですから、しょっちゅう見ておりますけれども。そういうことはあり得るのです。だから、これを申し上げたので、今のお答えで、いいのですが、一応私が知っていることだけ申し上げておきます。
  88. 近藤信一

    ○近藤信一君 私も今石井委員が聞かれたような点でございますが、やはりこれは仕事をとるために契約をうのみにする場合が往々にあるのです。たとえば家を借りるにいたしましても、家主から何か契約書が出されるならば、入りたいがために若干のあれはがまんして、契約書に判を押して、住まう。そして住まったあとで、いろいろ問題が起ってくる。そうしたあとで訴訟を起すのですが、今度これでいくと、そういうことができない。そこで、そういう契約書を、これは本省の建設省の方でお作りになるのですか、契約書のひな形を建設省の方でお作りになって徹底させるのか、その点お尋ねしたいのです。
  89. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 請負契約約款は、建設審議会がきめまして勧告をすることができるように、現行法がなっておりますので、建設審議会におきまして、この紛争処理についてももう少し強化する道を開かなければ、現状のあっせんではほとんど有名無実であるということから答申がございまして、それに基いて今回の提案をいたしておるわけであります。建設審議会の中におきましても、これは建設業界側からのむしろ要望に基くものでございまして、今起っております要件等で、発注者の方が相手にならない。工事をやりまして、不可抗力の事情で、これは地盤がよくわからなかったということで、非常に金がかかったということで、業者の方は増額要求をしているという事件がございます。しかるに、発注者側の方は相手にならない。あっせんでは承諾しなくちゃだめなのですから、出頭をしなかったり、あるいは出てきても全然話に応じないということから、訴訟にかかっておるというような事件等もございまして、中央建設審議会において、紛争処理の方法をいま少しまとまったものにしなければ弱体であるという議が出まして、先般建設大臣の諮問に対する答申がございましたので、それに基きまして作りました。  契約約款も同様に、建設審議会で作成をするという建前になっておりますが、建設審議会が、この法律がもし成立いたしました場合におきましては、そういう約款につきましてはよく説明をして普及に努めるようになって参ると思います。申し落しましたが、現在の建設審議会が昭和二十五年に作っております約款におきましても、この契約に関し甲と乙との間に紛争を生じた場合は、甲と乙の双方または一方から建設審議会に解決のあっせんを申請するというように、約款の中に条項を一番最後の所に掲げてございます。あるいはこのあっせんがさらに仲裁というようなことになりまして、約款を奨励することになると思いますが、御意見のあります点は、十分建設審議会においても慎重に取り扱っていただきまして、この周知徹底に誤まりなきを期するように、法案成立の場合には努めたいと存じます。
  90. 近藤信一

    ○近藤信一君 最後にもう一つお尋ねしますが、提案理由の説明書の第三に、「紛争処理の手続に要する費用につきましては、原則として当事者各自の負担とし、当事者の申し立てにかかる費用を要する行為については、当事者に当該費用を予納させることとし、また申請手数料を徴収することといたしまして、国、地方公共団体の財政負担の軽減をはかったのであります。」と、こうありますが、これは調停申請か仲裁申請をした場合に、この申請手数料というものを申請した側が出すわけですか。
  91. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) お説の通りでございます。申請手数料は申請者が負担をするということになっております。
  92. 近藤信一

    ○近藤信一君 審査会の仲裁というものは、先ほどの至上命令なんでございますが、そういう決定的なものに対して、やはり紛争の当事者、この費用は申請人が負担しなければならぬということはどういうことですか。
  93. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) ただいまのは申請の手数料でございまして、これは申請をする関係上、申請者が負担をする。しかし紛争処理の手続に要する費用は、別に二十五条の二十一におきまして「当事者が当該費用の負担につき別段の定をしないときは、各自これを負担する。」ということで、折半を原則とすることになっております。
  94. 武藤常介

    ○武藤常介君 途中から質問しても要領を得ないと思うんですが、これは重大な問題ですから、二、三お伺いしたいと思いますが、たとえば某工事がありまして入札した場合、そのときにその入札が採択されるかされないかということは、どういうふうなことによって決定されるのですか。入札した場合に、入札が落札になるかならないかということを、どういうことによって決定するのです。
  95. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 一般の入札の場合のお尋ねだと存じますが、国の場合は、会計法によりまして、最低の価格の札を入れた者に落ちるということに相なっております。
  96. 武藤常介

    ○武藤常介君 従来ともそれは変りはないわけですか。
  97. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 予定価格の範囲内で最低のものに落ちるという国の考え方は、法規は従来とも変りはございません。
  98. 武藤常介

    ○武藤常介君 何か今度問題になっているのは、いわゆる最低価格の設定ですね、それはどういうふうにして決定するんですか。今まできめているのは最高の場合ですね。最低の線というのは何によって決定するんですか。
  99. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 今までのことを申し上げましたので、非常に一言葉が不足でございましたが、そういう方法でやっておるのが会計法の原則でございます。しかし、すでに地方公共団体におきましても、いわゆるフロアリミットの問題と申しますか、これはプライスの問題と申しますか、あまりに不当に安い価格のものに落ちるために工事がりっぱにできないというような問題がありまして、いわゆるダンピング防止のような意味におきまして、この問題が問題になってきておるのでございます。そこで政府の側におきましては、先国会以来研究をいたしておりまして、ことに会計法の立場で大蔵省が中心になりまして検討いたしておりまして、非常にその契約の内容を履行をすることはとうていできないというような場合がありますので、そういうような場合におきましては、それぞれの各省各庁の長が審査会に付議いたしまして、そういう不当と認められるような場合は、その最低以外のものと契約することができるという例外の条項を入れる方向で検討いたしておりまして、最近大蔵省の方におきまして、会計法の改正の議が決定いたしまして、今国会に不日、会計法の一部改正法案としてその点は御提案になる見込みになっております。
  100. 武藤常介

    ○武藤常介君 ただいまのお話によりますと、最低以外のものでも落札をする、こういうことになりまするというと、まずもって発注する方では、最高は幾ら、最低は幾らというような、大体標準を定めて入札に臨むんですか。
  101. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 発注者側におきましては、予定価格というものを一応、これは公けにはございませんけれども、きめておるわけでございます。そういたしまして、実際に競争入札をいたしまして、そうしてその結果、先ほども申しましたように、各省におきまして審査会のようなものを作っておきまして、審査会にかける。その場合に一定の基準を定めまして、その予定価格と比較いたしまして著しく低いというような場合におきましては、十分審査をいたしまして、これではとうてい契約を履行できないという心配があるという場合におきましては、審査会の決定に基いて、その不当と認められるものを排除いたしまして、その次に低いものと契約することができると、こういうことにいたすのでございます。
  102. 武藤常介

    ○武藤常介君 ただいまの問題ですが、そうなりますと、おそらくは発注者の方で採用することのできないような最低のものが、入札ごとに続々出ると思うんです。そうすると、どの入札に関しても、その委員会にかけて裁定するようになりますか。
  103. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 従来その予定価格をどれくらい下回る場合が契約の履行ができないようなものであるかという標準といたしまして、例外的に個々の事情はございますけれども、まあ通例的に百分の八十というようなことが言われておるのでございますが、かりにそういうところに例をとってみますというと、従来の建設省関係工事等の例を見ますと、予定価格の百分の八十をさらに割るものというのは非常にケースは少い。多数の入札についてみなことごとく審査しなければならないような状況は起って参りませんと思います。
  104. 武藤常介

    ○武藤常介君 ただいままでの実際の状況は、各県等においては大体その最低の線をきめておいて、その線を下るというと、採用されない、こういうことを常に考えておりますので、まずもってその線内ということで入札するのですが、今度はその紛争委員会にかけて決定するということになりますと、私は最低線を割った入札が相当あろうと思うのです。実際はそれを一々紛争処理の審議会にかけるということになれば、これはなかなかむずかしい問題だろうと思います。で、地方の県でやっておりますのは、ほとんど紛争処理とか、あるいは委員会とかに全然かけないで実際はやっておるのですが、いよいよ法的に紛争処理ができるということになれば、それぞれ私は、一体自分のは八〇%以下であるかあるいはどうであるかわからぬということから、それぞれ今度は異議の申し立てがあるだろうと思うのです。かりに異議の申し立てがあれば、それを決定しないうちには、その落札者が決定しない、こういうことになるのじゃないかと思うのですが、そうすると、たとえば年度末あたりに非常に急を要する入札が相当あります。たとえば実際の問題としては、年度内の工事が三月に入ってから大体発注しておる。そういうのが一カ月も二カ月も紛争しておったならば、工事にとりかかれない。こういうような場面が相当生まれてくるのじゃないかと思うのですが、それらに対してどういうふうに考えておりますか。
  105. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) 入札についてのお尋ねでございましたので、入札の状況をお答えいたしたのでございますが、この建設工事紛争につきましては、第三十五条に「建設工事の請負契約に関する紛争の解決を図るため」と、この紛争は「建設工事の請負契約に関する紛争」ということでありまして、この解釈は、入札についての争いはこの紛争の中に入らないことになっております。それじゃどういうものを言うのだというお尋ねになると思いますが、契約ができまして、契約を履行していく上について、工事がおくれたとか、それから金が余計かかったからもっと金を出してくれとか、工事が粗雑ではないかとか、あるいはこんな設計ではないはずであったとかいったような、契約の解釈あるいは契約の履行をめぐる紛争についてこの審査会が働くものでございまして、入札のときの事柄、入札決定に至るまでの紛争については、この「請負契約に関する紛争」の処理では、その事柄を対象としておらないのでございます。
  106. 武藤常介

    ○武藤常介君 ただいまのお話によりますと、入札には適用しないと、こういうお話でありますが、入札と同時に、それが採用されれば契約になりますが、その契約と契約履行の問題とは、これは実際の問題として私は不可分なものであると思う。これを入札だけは問題にしないということは、実際将来契約履行の問題に非常な混乱を来たすような心配があるのじゃないかと、こう思うのです。
  107. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) これはあくまで、契約が生じまして、それからその契約の実行に関することでございまして、入札そのものについては対象としない。従いまして、入札のことが原因になって、この紛争を処理するという場合におきましては、やはり同じくこの紛争処理の対象にならないで、一般の民事訴訟なり何なりによるべきものであると思います。
  108. 武藤常介

    ○武藤常介君 私も詳しく内容を調べてみないで、はなはだ突然で恐縮なんですが、そういうふうにこの条文は解釈されますか。
  109. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) この「建設工事の請負契約に関する紛争の処理」というのは、ただいまお尋ねの事柄は対象とならないという解釈になっているのでございまして、いかなるときをもって契約とするかというのについては、いろいろ学説があるそうでございますけれども、この「建設工事の請負契約に関する紛争」というのは、入札契約に至るまでの、入札についての過程の問題は、この「請負契約に関する紛争」の処理の対象とならないという解釈で、私どもは御提案を申し上げている次第でございます。
  110. 武藤常介

    ○武藤常介君 今、建設業者が非常に心配して、何とか法的に、つまり一定のパーセンテージ以下のものは工事の進行に重大なる支障をきたすと、従って、ある一定の線以下のものは失格させようと、こういうことから業者がいろいろ騒いでいるのですが、そうするというと、この業者が今盛んに要望している問題と、本建設業法の部改正の問題は、全く縁がないものになるように私は思うのですが、そういうことになりますか。
  111. 柴田達夫

    政府委員(柴田達夫君) この法案紛争を処理いたして参りたいというケースは、一般に今までの建設審議会にいろいろと申請がございますが、先ほど申しましたように、どういう工事をするかというこの請負契約の内容について、設計が違っているとか、あるいは金額が食い違っているとか、ことにその解釈がまた違っているということから、その紛争が実に多いのであります。そういうことから、そういう紛争を解決しようというのでございまして、今のフロア・リミットの問題等は、これは全く会計法上の問題、あるいは地方自治体におきまする会計法規の問題でございまして、先ほども申し上げました審査会のようなものを設けて審査するというのも、この紛争審査会ではございませんで、会計法上、現在大蔵省が立案をいたしております法案におきましては、各省で契約をいたします前に、その各省の内部に審査会を設けまして、入札が決定する以前におきまして、契約が決定する以前におきまして、今の最低落札価格の問題についても必要があると認める場合は審査をすると、こういう条項を立案いたしておりますけれども、これは全くこの提出いたしておりまする法案とは無関係でございまして、先ほど来お尋ねのございましたようなケースについては、この法案は対象といたしておらない、かようなつもりでございます。
  112. 武藤常介

    ○武藤常介君 時間の関係がありますから、私は後日にあとは譲ります。
  113. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 本日は、これをもって閉会いたします。    午後四時十分散会    ————————