○国務大臣(馬場元治君) 去る三月二十日に秋田県能代市に大火がありまして、非常な惨状を呈しましたことは、まことに御同情にたえないところであり、遺憾千万に存じます。
この
状況を視察いたしまするために、去る九日現地に参りまして、現状を視察をいたしました。御承知の
通りに、焼失戸数は千百五十六戸、面積が九万五千坪、罹災人口六千八十七人ということに相なっております。現地に秋田県小幡知事並びに能代応長の豊沢勇治、能代市会
議長の高階長吉諸氏と一緒に参りましてつぶさに
事情を承わったのであります。
今度能代を見まして痛切に感じましたことは、能代市の住宅というものの大
部分、特に今回焼失いたしました区域が、かわらぶきでなくて、いわゆるトントンぶきというものが大
部分なのです。そこで一度発火いたしますと、延焼が非常に急速に行われて、消防の実をあげることができなかったというその間の
事情も、現在焼け残っております範囲を眺めまして、大火の起りました原因の一半も了察せられたのであります。
現在では知事、市長を初めといたしまして、住民諸君も鋭意復興を急いでおります。そこで
建設省といたしましては、この復興をはかりまするために、さきに御報告申し上げました
通り、火災の発生をいたしまして、ときを移さず現地に係のものを派遣いたしまして、
事情の調査、
計画の樹立に遺憾なきを期して参ったのでありますが、復興
計画といたしましては、土地区画整理を行いまして、これによる復興をはかる
方針であります。
大体その概要を申し上げますと、施行面積は十二万千坪、施行
期間は昭和三十一年から三十三
年度までの三カ年にわたってこれを実行いたしたいと思います。これを実行いたします範囲の詳細につきましては、もし御希望がありまするならば、図面について詳細、係の者から御説明を申し上げさせたいと存じます。これに要しまする経費は、ただいまの
計画では、
事業費といたしまして約一億二千万円、これは三十一
年度は、なるべく
事業を進捗せしめたいという考慮からいたしまして、
事業費といたしまして五千万円を予定いたし、そのうちの国庫負担でありまする二千五百万円につきましては、予備費から支出いたしたいと
考えている次第でありまして、ただいま大蔵当局と折衝中でございます。
現地ではいろいろな要望がございました。その要望の中の一番おもなものは、市の起債の償還期限の問題であります。御承知のように、昭和二十四年に能代市は不幸にして大火にかかりまして、その当時の市の負担のための負債というものが相当多額に上っておるようであります。その起債の償還の期限がちょうどたまたま今日に迫っておりまして、その時期に不幸にして再び大火にかかりましたために、市の苦しみというものは想像以上なのであります。そこで市の当局といたしましては、この償還期限の到来をいたしております起債の期限の延期を何とかしてもらいたいということをしきりに主張をいたし、要望をいたしております。
それから復興
計画に関しまする地元の負担の問題につきまして、市だけで負担をいたしますることは容易ならざることである、従って、補助率を高率補助といたしてもらいたい、こういう要望もありました。そこで、御承知の
通りに、これは
法規の
改正を行わない限り実行できませんので、県当局ともいろいろ相談をいたしたのでありますが、結局市だけの負担にまかしておくことは、市の
財政をますます困難ならしめるゆえんでありますので、県並びに市においてそれぞれ負担の割合をきめまして、県でも負担をすると、かような方法によって市の直接の負担を軽減せしめよう、かような話も出た次第であります。
次に水道、それから消火設備、こういう方面について強い要望があります。さらに災害住宅をなるべく急いで建ててもらいたい、こういう要望があるのであります。これはもっとも千万な要望でありますので、
年度内に完了するつもりで、さような措置をとっております。それから住宅金融公庫の貸付を急いでもらいたい、こういうことでありましたが、これは現地において出張所を設けまして、現に受付を開始し、御要望に沿うようあらゆる努力を続けているのであります。
総じて、現地の
状況を見まするというと、現地の諸君は、あれだけの災害をこうむりましたけれども、非常に元気で復興にいそしんでおりまして、現に、厚生省の所管でありますが、いわゆる応急住宅のごときは、すでに今日から見ますればあと一週間、私が参りましたときにあと十日と言っておりましたが、今日から入まするとあと一週閥引いたしますれば、全部完了をいたしまして、現在住宅に困っているお気の毒な諸君を、ここに収容することができるという段階に立ち至っております。
発火いたしますると同時に、直ちに
政府からそれぞれの係官を派遣したということについては、非常な好感をもって迎えられておりますることを、あわせて御報告申し上げておきます。
以上概略を申し上げましたが、復興
計画の内容、たとえば街路区画整理等の詳細につきましては、係の者から申し上げることにいたします。
なお、この際申し上げておきたいと思いますことは、防火
建築帯の問題であります。今度現地を見まして、道路が少し広ければ火災の防止ができる。道路が非常に狭隘であったために、しかも家屋の構造がいわゆるトントンぶき類似のものが大
部分でありましたために、消火ができなかった。道路の広いということが、いかに火災の延焼を防止するのに役立つかということを痛切に感じましたので、議会における御意見もありますし、かたがた防火
建築地帯を設定するということは、まことに将来の火災を防止する上において、きわめて緊急の問題であると、かように痛感をいたしたのであります。これもぜひ実行をいたして、将来の火災の発生の防止の一助にいたしたい、かように
考えておる次第であります。一言つけ加えまして御報告にかえます。