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1956-04-10 第24回国会 参議院 建設委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十日(火曜日)    午後二時二十四分開会     —————————————   委員の異動 四月六日委員小笠原二三男君辞任につ き、その補欠として森崎隆君を議長に おいて指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     赤木 正雄君    理事            石井  桂君            小沢久太郎君            近藤 信一君    委員            伊能繁次郎君            西岡 ハル君            平井 太郎君            武藤 常介君            村上 義一君   政府委員    建設大臣官房長 柴田 達夫君    建設省住宅局長 鎌田 隆男君    首都建設委員会    事務局長    松井 達夫君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設大臣官房参    事官      水野  岑君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地代家賃統制令の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○公共工事前払金保証事業に関する  法律の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○首都圏整備法案内閣提出衆議院  送付)     —————————————
  2. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ただいまから委員会を開会いたします。  委員変更の件を御報告申し上げます。四月六日小笠原二三男君が辞任せられ、補欠として森崎隆君が選任されました。     —————————————
  3. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 地代家賃統制令の一部を改正する法律案を議題に供します。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。資料が出ておりますから、一応政府からこの資料について説明を求めます。
  4. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 先回御要求がありました資料提出いたしましたので、この資料に基きまして御説明を申し上げたいと存じます。  順序がばらばらになっておるかと思いますが、まず一つ資料といたしまして、一般職種別賃金がどういうふうになっておるかということでございましたので、この一枚の表、一般職種別賃金基本日額表という、昭和二十八年労働省告示第二十六号でございますが、その後変更がございませんので、現在こういうやはりPWを維持しておるわけであります。で、この職種といたしましては、建築関係の深い職種だけを選びまして大工、左官、鳶工、石工、土工、板金工屋根葺工配管工塗装工、大体建築修繕関連のある職種につきましてここに抜粋をいたしたわけでございます。地域別といたしましては北海道、宮城、東京、兵庫、徳島、熊本、この六カ所を選んで掲載したわけでございます。  それからその次の表としまして、今回の地代家賃統制令改正の大修繕というのを、十五坪ぐらいのうちについて三万円以上かけた修繕を大修繕ということにいたしたい、こういう御説明を申し上げましたが、その修繕といいますのを、具体的にどういう修繕個所で三万円くらいになるかということをここにあげたわけでございます。この例では、これはいろいろな形で修繕が行われると思うのでございますが、この例では土台、それから柱の下の下部の方が腐った場合、それから屋根が一部破損しておる、外壁がほんのわずか破損しておる、それから外周の造作が腐っておるというようなもの、それからそれにつれまして、といとかひさしその他が腐っておる、こういうような事例が一番多いと思いますので、一番多い事例につきまして拾い上げたわけでございます。それを資材費労務費、運賃その他というふうな区分に従いまして分けまして、この程度修繕をいたしまして約三万円程度になるであろうと、こういうふうにきめられるのでございます。その資料でございます。  それからその次の表は、この半枚のものと一枚の表とがくっついております分が老朽住宅調べでございます。これは昨年の住宅調査をやりましたものから抜粋をいたしましたものでございますが、現存しております日本住宅がどんな老朽状態にあるかということを、昨年の住宅調査のときに一部抽出でかなり詳細に調べてございます。この詳細に調べました件数は約二万戸程度のものでございますので、全国ありますところの一千何百万戸というものの中から見ますと、わずかでございますけれども、大体一般調査修理を要するなというふうに見られましたものの中で、老朽状態がどういうふうになっておるかということを二万戸について調べたのでございます。その結果に基きまして、この半ぺらの表にありますのが、東京の二十三区では大体この損耗減点あとで御説明申し上げますが、損耗減点損耗度合が三〇%ないし五〇%のものが四・二%、それから五〇ないし六〇のものが一・六%、六〇ないし七〇のものが一・六%、七〇ないし八〇のものは一・三%、それから八〇ないし九〇が一%、九〇ないし一〇〇というのが〇・八%、その合計で、全体のうちの要修理戸数というのが一八・八%ある、こういう結果が出ております。これは東京の二十三区で大体二割弱のものが修理を要する家屋であるということが出ているわけでございます。その一八%の中に各修理の要する度合と申しますか、老朽が進んでおります度合をここに表わしましたのが上の数字でございます。で、その各度合がどのくらいのパーセンテージの家があるかということをこの表は示しておるわけでございます。  この老朽減点方法というのは、その次の表にございます。一枚の方の表でございますが、これはいろいろの老朽度合調べ方がございますが、この方法は、各建物の部分六つ部分に分けまして、外周基礎と、それから外周の土台、柱、外壁屋根、ひさしと、こういうふうな六つ部分に分けまして、それぞれの損耗度合を、これくらい損耗したものは何点の減点であるというふうにあらかじめきめまして、これに基いて一つ一つの家について調べていったのでございます。その結果が、前の表がその結論の集計でございます。ここに現われております減点数字は、大体この程度損耗をいたしておりますと修理費がこれくらいかかるという、それに比例した数字をここに設定してございます。でありますから、これの減点せられました合計点数が、大体その家屋修理するときに必要なるその最初の建設費に対する割合、こういうことになるわけでございます。ですから、この減点評価方法によりまして、老朽度合調べて、数字がかりに八十点と出ますと、その家屋を完全な状態修理するために、新築の八〇%費用がかかる、こういうふうに出るようになっておるわけでございます。そういうふうなやり方でありますから、前の表に戻りまして、七〇ないし八〇といいますのは、つまり新築家屋並みに直すためには、新築に要する費用の七〇ないし八〇%かかるということでございます。現在私どもが建てかえを要するものとして老朽住宅といっておりますのは、この減点方法でいいます百点以上のものを、もう価値がないもの、むしろ建てかえをした方がいいというものとしまして、老朽住宅と申しておるわけでございます。百点以下のものは要修理住宅、こういうふうに考えております。  その次、統制下にあります家屋がどんなふうに修理せられておるのかという御質問がありましたので、それにお答えする意味でこの資料提出しております。その統制家屋修理状況、この修理有無調べておりますが、全都市では、修理をしたものとしないものとに分けまして、したものが、二十八年度調べでございますが、二十八年度中に修理をしたものが約二割でございます。八割は全然修理をしない。しかしこれは一年間修理有無でございますから、割合修理をしているということが言えるのでございます。もっともこの修理は非常に小さな修理まで入っておりまして、根本的な修理に触れているとは考えられませんけれども、まあ修理を二十八年度中にしましたのが一九・九%、二割ばかり修理をいたしております。それから修理個所は、どんなところをしたかということを、右の方の表につけ加えておきましたので、ごらんいただきたいと思います。  それからその次が、地代家賃統制の今までのいろいろ経過というようなことにつきまして、資料提出いたしておきました。ここに第一表に書いてありますように、昭和十三年に総動員法に基いてできましたこの地代家賃統制令が、こんなふうに数次改正を経まして、今日の地代家賃統制令というものになっている状況をここに表わしております。  その次の表は、統制額改訂、この統制令の中に統制額政府が定めることになっておるのでございますが、その統制額改訂した経過を示しております。昭和二十二年から三十一年まで、数回にわたって改訂、この間にもちろんインフレが高進したわけでございますが、それに連れましてこういうふうに数次にわたって改訂をいたしております。  以上資料につきましての御説明を簡単に申し上げました。
  5. 石井桂

    石井桂君 今回の地代家賃統制令の一部を改正する法律案の中の、この修繕に対して家賃の値上げを認められるようにいたしますと、この修理状況パーセンテージの表もございますが、一体どういうふうに修理の能率が上るかということの目当てがおありになりますか、あったらば、予想を聞かしていただきたいと思います。
  6. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 今回の改正をやりまして、果してどれだけの、大修繕ということで、家賃改訂を申請してくる件数が出るかということは、予想がなかなかむずかしいことではありますが、一応私ども、今、年間三万件ぐらいは出てくるであろうというような予想を立てているわけでございます。
  7. 石井桂

    石井桂君 そういたしますと、住宅政策をお立てになりますときですね、たとえば三十一年度は四十三万戸というふうにして、公営住宅の第二次の三カ年計画ですか、そういうものやなんかの場合に、老朽住宅を何戸見込んでいて、それが何パーセント老朽住宅の方の老朽化防止ができるかということを、きっと考えられていると思うのですが、その関係について御説明願えませんか。
  8. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 今回の改正をやりまして、その全体の住宅供給計画に影響をどういうふうに与えるかということに関連しての御質問だと思いますが、私どもこの今の供給計画を立てますときに、老朽住宅というものを確かにあげてございます。この老朽住宅は、すでに先ほども説明申し上げました損耗減点が百以上になったもの、つまりもうすでに寿命を過ぎているものだけをあげまして、それを建てかえる対象としまして、不足戸数の中にあげているわけでございます。  それから老朽度進行するものとしましては、年間需要戸数二十五万戸の中に、約五万戸の老朽住宅をあげているわけでございます。この老朽住宅五万戸をあげておりますのは、これもやはり先ほど御説明申し上げました、この老朽度進行する度合いは、先ほどの調査によりましてわかりましたので、その進行度合いに応じまして計算をいたしてみますと、大体年間五万戸程度住宅老朽進行していくという考え方に基きまして、今まで九〇%であったものが一〇〇%になってしまう。そのパーセンテージはどのくらい進むかということをこの調査から出してみますと、大体年間二%くらい進むようであります。でありますから、九十八点のものが百点に一年間になるわけです。そういう進行度合い考えまして、それが五万戸というふうに推定をいたして、あの基礎計画に出ておるのでございまして、それとこの六十点、七十点、その辺の要修理住宅修理というものと間接には関連があろうかと思いますが、直接の関連はないように考えておるのでございます。
  9. 石井桂

    石井桂君 そうすると、毎年二十五万戸新しく供給するのですが、老朽化するのですか、そのうちの五万戸だけだとすると、五万戸がたとえば九八%から一〇〇%になるのだ、こういうのですね。一方この法律を出したことによって三万戸くらい修理ができるだろうという話で、何か三万戸と五万戸の計画考えると、何かまだ足らないように思うのですけれどもその辺どうですか。
  10. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 二十五万戸の新規需要といいますのは、ちょっと御説明が足らなかったかと思うのですが、年間需要増二十五万戸と見積っておりますのは、主として世帯増に対するものでございます。その中に約五万戸の老朽に対するものが入っておる、こういうふうに御説明申し上げたわけでございますが、それと関連するかどうかという問題なんですが、この修理を行いますのは、大体九八%くらいに老朽化した住宅はなかなか今修理の手はつくまいと思うのでございます。むしろもう少し老朽度合いのいいものと申しますか、七十点とかあるいは六十点、あるいは八十点、その辺のところのものに今手を加えるということが非常に大事なことではないかと思うのでございますが、その辺のところに多く手が加えられるであろうというように考えますと、年間最近五万戸ずつ老朽化していくというのは、その新規需要の方とは直接関連のないように思うのであります。将来にいきまして、今年間老朽化していくのは五万戸としましても、ほうっていけばだんだん累増していくかもしれない。それを防止する役目にはなるだろう。直接こういう計画関連はなくても、そういう意味でかなり有効なものであるとは考えております。
  11. 石井桂

    石井桂君 そういたしますと、この住宅修理というのは、早く修理するほど金がかからなくて、そうしていい修理ができると思います。ほうっておいて九八%まで腐ったり傾いたりするということでは、徹底的に金がかかる。その御説明はわかるのです。わかるのだけれども、この老朽化防止というのは、住宅政策でも大きな分野に役目を占めると思うのです。そこで政府におかれましては、この法律改正だけにたよっておることではないと私は思うので、これに関連して老朽化防止方策について何かお考えになっておることがあるかどうか、それをお聞きいたしたい。
  12. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) ただいま石井委員からのお話のように、確かにこの要修理住宅修理ということが日本住宅政策上非常に大事なことであろうと、私ども常々感じておるわけでございます。そこでこの要修理住宅修理をして老朽化防止をするという政策につきまして、いろいろ実は検討をいたしておるのでございます。一例をあげますれば——一例になりますかどうか、ただ検討はいたしておりますものの、なかなかそれでは具体的な方策としてどういう方法をとったらいいかということは、非常にむつかしい問題でございまして、たとえば融資をして、なるべく修理をするように薄利の資金でも貸して、老朽化防止修繕を促進するような方策をするということも一つ方法かと思うのでございます。あるいは補助までできれば、これは一番いいかもしれませんですが、なかなかそれは個人のうちが主でございますから、そこまではむつかしいかと思うのでございますが、まず一つ方策としては融資対策というようなことになるかと思います。ただ、こういう少額の金の貸付の問題につきましては、前の増築貸付をやってみました経験上も、なかなかむつかしいもんだということを私ども最近感じておるのでございますが、そういうようなことも考え合せますれば、あるいは一部貯蓄というようなことをやりまして、それでまたその金の融資というものとの結びつき、貯蓄融資との結びつき、そういうようなものも考えられることでございます。そこで一部実はそういう試験的に始めたのもあるのでございますが、今度の住宅融資保険法のあたりと関連をもちまして、うちの修繕をしたいという方々が集まりまして低額の貯蓄をする、そうしてある一定の額に達しますれば、その倍額なら倍額融資する、それでうちを直して、で、あとなしくずしにまた足らない分を貯蓄していく、こういうようなやり方を一部始めたところもございます。そのような方法もこの成果を見まして、また全国的にも推し進めるようなことも実は考えておるわけでございます。なかなかむつかしい政策でございまするので、十分検討をいたしたい、こういう考えでございます。
  13. 石井桂

    石井桂君 私は地代家賃統制令の一部を改正する法律案の、修理した場合の家賃を値上げせられるという条項の改正は、老朽化防止について非常にいい条文だと思っているんです。そこで老朽化防止についてのことをしつこくお聞きしておるんですが、今鎌田局長の御答弁によると、腐っておるものをどうにかしたいという考えが主のようでありますが、これはやはりもっと積極的に耐火構造をうんと普及すれば、老朽化防止に勢いなるんじゃないかという考えがあるはずだと思うのですが、そこで老朽化防止の何といいますか、根本的の防止対策というのはやはり耐火構造の普及ということにあると思うのですが、そういうふうなお考えでおられるかどうか。
  14. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) もちろん木造住宅ではいかに手を加えましても、寿命を幾分長くするということはできますが、その寿命はおのずからあるわけでございます。そこで確かに石井委員お話のように、全体腐りにくいうちを作るのが大事じゃないか、これはもうほんとうにごもっともな御意見でございまして、根本的な問題としてはそういうふうに、不燃構造といいますか、耐久的な構造をとらなければならないと思うのでございます。これはどうも外国の話になってはなはだ恐縮でありますが、イギリスのロンドンでは三百年前に耐火構造を促進しまして、ロンドンの町に行きますと三百年のうちはたくさんございます。日本で三百年のうちといいますと、国宝に近いものになります。ロンドンには三百年たった家がたくさん作られております。これは何といいましても、耐久的な家のせいだろうと思うのですが、そいうう意味合いからいいましては、本法老朽防止といいますか、対策根本としましては耐火構造を促進することであろうと思うのでございますが、先ほど申し上げましたのは、現状の、今あります家屋を幾分でも維持していきたいという現実の問題の老朽化対策のみに触れましたので、根本的対策は確かにお話通りだと思います。
  15. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ほかに御質疑がなければ、本法案に対する質疑はまた次回に譲りたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) では、さようにいたします。     —————————————
  17. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 引き続き、公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案、本法案について御質疑を行いたいと思います。政府の方から一応、この前の提案理由以上に詳細のことを御説明願います。
  18. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案について、逐条の御説明を申し上げます。  本改正案は、保証事業会社責任準備金支払備金のそれぞれ算出方法についての改正点に関するものであります。  まず第十五条の改正は、責任準備金算出方法に関する改正でございます。責任準備金保証事業会社支払いを確保するため設けられたものでありまして、本来保証金徴収した保証料の範囲内でまかなうものであります。しかしながら、事業年度末におきまして翌年度に繰り越される工事があります場合は、これに対する保証責任もまた翌年度に繰り越されることとなりますが、もともとその責任は翌年度において徴収する保証料を充てるべきではありませんので、この危険に見合う支払準備金責任準備金として積み立てておく必要があるのでございます。現行積立方法は、第十五条の第一号に掲げまするいわゆる未経過保証料方式によるもので、事業年度末におきましてまだ保証責任が完了していない保証契約が残っております場合は、徴収済み保証料から保証期間の開始以後当該事業年度の末日までの期間保証料に相当する金額を差し引きまして、その残額を積み立てることといたしておるのであります。この差引を行いまするわけは、保証期間経過するのに比例いたしまして、工事も進捗し保証責任が軽減されますので、すでに経過した期間に対応する保証料まで積み立てておく必要がないという考えに基いておるのであります。しかしながら、本法を施行いたしまして以来の経験にかんがみまするに、工事出来高は必ずしも工期進行に比例しないのでありまして、工程が工事末期にしわ寄せされる傾向が多く見受けられるのであります。また現行保証料徴収は、保証期間九十日までは日歩一銭、九十日をこえる場合は、そのこえる期日については日歩三厘五毛となっておりますので、年度末において翌年度に繰り越される工事が九十日以上を経過しているような場合におきましては、積み立てるべき責任準備金は非常に少いものとなるのでございます。このような理由によりまして、現行の未経過保証料方式による積立金は要するにこれに対応する保証債務に比し十分でないといった場合が生じますので、この際保証金支払い能力を確保するために、損害保険会社の例にならいまして、第十五条の第二号に掲げるいわゆる収支残高方式による算出方法をもあわせて採用し、二種の算出方式による金額のうち、いずれか多い額をその事業年度決算において責任準備金として計上しなければならないことといたしたのであります。  第二号の収支残高方式と申しますのは、その年度に収入いたしました保証料から、事故があって支払った保証金やその年度事業費等を差し引きました残高を、年度末においていまだ残っておる保証責任に備えて積み立てようとするものであります。  次に、第十六条の改正は、支払備金に関する改正でございまして、現行法によりますと、支払備金当該事業年度において締結された保証契約に基いて、債務支払いに要する金額を計上いたしておるのでありますが、工期延長等理由によりまして、過年度契約となるものが少くない現状にかんがみまして、当該事業年度のみならず、それ以前に締結された契約に基く債務であって何らかの事情により支払いを終らないものにつきましても、支払備金として計上することができるよう改正を加えまして、前条の責任準備金改正とあわせまして、保証事業会社支払い能力の一そうの確保を期した次第でございます。  なお先般お手元にお配りいたしました資料といたしまして、最近の三保証事業会社経営状況、それからその末尾の表に、今回の改正による責任準備金の積み立ての見込みを計算いたしたものを差し上げてございます次第でございますが、これを御参考に供する次第でございます。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  19. 石井桂

    石井桂君 この公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正するように必要に迫まられた具体的の例が、最近にあるのですか。
  20. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 具体的な例に差し迫まられて、過去においてどうにも改正しなければ工合が悪いと申し上げるわけではございませんが、二十七年からこの法律通りまして四年間やって参りまして、その年の契約のできる時期等が年度末の際になって非常に契約ができる。ことに昨年度と申しますか、地方財政の赤字の関係で、予算の始まりもおそかったというようなことで、年度末にならないと事業が実際行われないといったような事情で、その年々の事情で変化して参ります。そういうような地方財政事情なんかの関係上、業界の方も現在は必ずしも好況と申すことができない状況でございますので、過去四年の経験やそういういろいろな年々の状況等から見まして、たとえばこの次のこの決算期と申しますか、この状況等につきましても、まあ若干準備金保証債務に比べて不足する場合があるのじゃないか。先ほどこれは逐条で申し上げましたように、工事の日数に平均して工事が進捗していけばいいのですけれども、御承知のように、終りころになってばたばたとできるといったようなしわ寄せ、工期末期に実際の工事がしわ寄せさせられる例が多いのでありまして、終りのころになって、その年度へ繰り越してからその工事がばたばたできるようになりますと、保証債務は相当あるから、責任準備金債務の方は日数に比例して用意することになるものですから、実際の債務は相当の分量があるのに、積み立てておく日数に比例した方の保証料の方が非常に少い。こういう場合には非常に不安があると申しますか、こういうことから、この制度の最初におきましてそういう経験を十分積んで、一般の損害保険会社と同じような方式におけば、ざっくばらんに申しまして、そのようなしいて不安を持たなくてよかったかもしれませんが、普通の損害保険の場合は工事とは関係ございませんので、火事なら火事でぱっといけば、すぐ事故が起るわけです。工事の方は一応期間に比例して進行するわけだからということで、今の現行法の未経過保証料方式だけでよかろう、こういう大蔵省あたりの考え方もありまして、それ一点張りでやってみたのですが、今申しましたように、日数に必ずしも比例しない。やはり損害保険会社のような方式も取り入れて、そういうような場合に備えて、損害保険がとっております収支残高方式ですか、この方式のいずれか多い方をとれるようにすれば安全である。保証事業会社のそういう支払い能力の安全を期するという意味でございまして、過去において苦しかったということはあるかと思いますが、どうにもそうしなければならぬというわけではございませんが、今後業界の状況等によりましては、三十年度のような年でございますと少し心配だということから、改正をお願いしておいたらよかろう、こういう意味でお願いを申し上げているような次第でございます。
  21. 石井桂

    石井桂君 そういたしますと、平たくいえば、過去四年の経験にかんがみて、これからいろいろの事象が起ることに対して用心をして、とにかく万全を期したと、こういうことに尽きるわけですね。
  22. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 払えなくなってからではおそいものでございますので、過去四年の経験と、今お話しの通りのことで備えておくということでございます。大体お話通りでございます。
  23. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 別に質疑はありませんか。  本案に対する質疑はやはりこの次の委員会に譲ります。     —————————————
  24. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) なおこの際、首都圏整備法案、本法案に対して逐条について政府からして説明を求めます。
  25. 松井達夫

    政府委員(松井達夫君) 首都圏整備法案につきまして、逐条的に御説明申し上げます。  首都圏整備法案は、提案理由で御説明いたしました通り東京都と社会的、経済的に密接な関係にありますその周辺の地域を一体としました広域につきまして、市街地開発区域を設定し、これを整備することによる工業都市の育成、近郊地帯の設定による広域緑地帯の整備等の措置を講じて、首都の過大都市化の傾向を防止するとともに、首都における重要施設の整備を一そう推進し、もってわが国の政治、経済、文化等の中心としてふさわしい首都圏の建設とその秩序ある発展をはかるものでございますが、以下同法案の各規定につきまして、その概要を御説明いたしたいと存じます。  第一章におきましては、総則といたしまして、この法律の目的及び用語の定義についての規定を設けております。  すなわち第一条におきましては、首都圏整備委員会が総合的な首都圏整備計画を作成し、その実施の強力な推進をはかることにより、わが国の政治、経済、文化等の中心としてふさわしい首都圏の建設とその秩序ある発展をはかるために、この法律を制定するものであることを明確にいたしております。  また第二条におきましては、首都圏、首都圏整備計画、既成市街地、近郊地帯等の意義をそれぞれ定義しておりますが、これらの定義のうち、既成市街地と近郊地帯について若干の説明をいたしたいと存じます。既成市街地とは、「東京都及びこれと連接する枢要な都市を含む区域のうち政令で定める市街地の区域」をいうのであります。東京都の二十三区、これと連接する川崎市及び横浜市等のうち市街地と見られる区域を政令で定めたいと存じております。近郊地帯とは、「既成市街地の秩序ある発展を図るため緑地地帯を設定する必要がある既成市街地の近郊で政令で定める区域」をいうのでありますが、この地帯は既成市街地を囲む地帯で、市街地の無制限な膨張を防止するとともに、風景地、生産力の高い農地等を保存するほか、公園、運動場等の施設を設けて既成市街地及び衛星都市の共同の利用に供する地帯であります。  第二章は、首都圏整備計画の作成、その計画の実施の調整及び推進等の事務を所掌するため、首都圏整備委員会を設置すること、並びにその組織及び運営に関する基本的事項を規定いたしたものであります。  すなわち第三条は、この首都圏整備委員会が、その所掌事務及び権限から見て、行政委員会であること、及びその事務が広く各省にわたるものでありますので、これを総理府の外局として置く旨を定めたものであります。  第四条は、委員会の所掌事務及び権限について規定したものであり、この委員会が首都圏整備計画を作成するとともに、事業計画の作成及び整備計画等の実施に関する関係者への勧告等の措置により、関係者がそれぞれの各事業法に基いて行う事業について、必要な調整及び推進を行う権限を有する旨を定めたものであります。  第五条から第十二条までの規定は、委員会の組織に関して規定したものであります。まず第五条で、委員会委員長及び委員四人で組織するものとし、第六条で、委員長は国務大臣をもって充てるものとしております。また委員は、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命し、その任期は三年といたしております。なお委員は、この委員会がその機能を十分に発揮し、権威ある科学的、合理的な首都圏整備計画を作成してその強力な推進をはかりますため、常勤であることを原則とし、ただそのうちの二人は非常勤とすることができるものとしたのであります。  第十六条では、委員会の事務局について規定したものでありますが、事務局の職員の定員につきましては、三十一年度は予算の移しかえにより措置せざるを得ませんので、二十二名とするように本法案の附則において行政機関職員定員法を改正することにしたのであります。  第十七条及び第十八条におきましては、この委員会に諮問機関として首都圏整備審議会を置く旨を規定するとともに、審議会は、国会議員、関係行政機関の職員、関係都県の知事及び議会の議長並びに学識経験者で組織する旨を規定いたしております。  第三章は、本法案の主眼をなします首都圏整備計画の作成について規定したものであります。  まず、第二十条では、首都圏整備計画は、基本計画、整備計画及び事業計画とする旨を規定するとともに、基本計画においては、整備計画の基本となるべき事項として首都圏内の人口規模、土地利用等に関する計画を定め、整備計画においては、首都圏の中心部をなす既成市街地、その外周に接する近郊地帯及び市街地開発区域ごとに、それぞれその整備のため必要な都市施設のうちで根幹となるべきもの、並びに既成市街地と市街地開発区域間及び市街地開発区域相互間の連絡をはかるため必要な道路、鉄道、軌道等の交通施設のうちで根幹となるべきものの整備に関する事項を定めるものであり、事業計画においては、この整備計画の実施のため必要な毎年度事業で国がみずから行うもの、または国が補助もしくは投融資等により財政的、資金的援助を与えているものについての計画を定めるものといたしております。  次に第二十一条では、この首都圏整備計画の決定手続について規定していますが、この整備計画を実施する関係行政機関及び関係都県との連絡を緊密にする必要がありますので、計画の決定に際しては、審議会の意見を聞くことはもちろんでありますが、関係行政機関の長及び関係都県の意見をあらかじめ十分に聞いて定めるものといたしました。なお、この計画が決定されましたときは、これを広く公表することにいたしまして、利害関係者に意見の申し出の機会を与える等の措置を講じたのであります。  第四章は、首都圏整備計画に基く事業の実施に関し、市街地開発区域及び工業等制限区域の指定、国の地方公共団体等に対する財政上の援助並びに整備計画の実効性を確保するために必要な協力及び勧告等の措置等について規定いたしております。  まず、第二十三条について御説明いたします。首都への過度の産業及び人口の集中とこれに伴う環境の悪化、すなわち首都の過大都市化の傾向を防止するためには、首都の周辺にある既存都市を中心として産業の立地条件その他の諸施設を整備し、これを工業都市として、ときには住居都市として育成し、ここに職場をあるいは住居を建設して、首都へ流入しようとする人口を吸収、定着させる必要が存するのであります。かかる必要に応じ、工業都市または住居都市として積極的に整備するため、既成市街地の周辺地域内の区域を指定するものとしたのがこの二十三条であります。さきにも述べました通り、この指定された市街地開発区域については、おのおのの区域ごとに主要施設の整備計画を作成し、これが強力な推進をはかることにしているのであります。  市街地開発区域においては、その人口増加に伴い、教育施設の新設または増設が大きな一つの問題点であり、現行の小、中学校の建設のための補助あるいは負担に関する法律によりますと、現実に二部授業等の不正常状態が発生した場合にのみ、それらの教育施設の建設に対し国が補助あるいは負担することになっているのでありますが、第二十四条におきましては、市街地区域内において日本住宅公団等の住宅建設が集団的に行われ、それに伴い人口が著しく増加することが予定されている場合に、この住宅建設と並行して、地方公共団体が小学校または中学校の建設が実施できるよう国が補助をなし得る道を開いたのであります。  なお、衛星都市の建設を強力に推進いたしますためには、以上の小中学校の建設に対する補助のほか、種々の助成策を講ずる必要があろうかと存じますので、第二十五条におきまして、宅地の造成その他必要な事項について別に法律を定めることにいたしました。  第二十七条は、整備計画に基く実際の事業については委員会自体はこれを執行せず、それぞれ当該事業に関する法律の規定に従い、国、地方公共団体または関係事業者が実施する旨を規定したものであります。  第二十八条及び第二十九条は、整備計画及び事業計画の実効性を確保するため、関係行政機関の長、関係地方公共団体及び関係事業者はこれらの計画の実施に関しできる限り協力すること、及び委員会はこれらの者に対し勧告等をなし得ることを規定したのであります。  第三十条は、事業計画に基く事業の用に供するため必要があると認めるときは、国は地方公共団体に対し普通財産を優先的に譲渡し得ることを、第三十一条は、国は整備計画または事業計画に基く事業を実施する地方公共団体等に対し必要な資金の融通またはあっせんに努めることを規定しております。  また、第三十二条におきましては、事業計画に基き行う地方公営企業の建設、改良等に充てるための地方債について、委員会と自治庁長官とが協議して定めるものについては、特別の場合を除き、地方自治法の許可を与えるものとし、企業債の円滑な許可をはかることにいたしました。  以上御説明いたしました事項のほか、本法の附則におきまして、本法の施行期日あるいは施行のため必要な関係法律の改廃を行なったのであります。  なおこのほかに、衆議院におきまして御審議の途中にこの法案につきまして修正がございましたので、この点をかいつまんで申し上げておきたいと思います。  その修正いたしましたのは、委員会事務局の機構についてでございますが、第十六条に、「委員会の事務局は、委員会の事務を処理す。」、ほか二項目規定してございますが、この法案を作案いたしますについて、当局といたしましては、とりあえず三十一年度におきましては事務局を課制程度考えまして、法案の上におきまして特別に事務局の機構についての規定を設けておかなかったのでございます。その理由は、先ほど申し上げましたように事務局の定員が、予算の関係がございまして、一応二十二名という程度で発足せざるを得なかった関係で、さように取り計らったのでございます。しかるところ、衆議院の建設委員会で御審議の途中におきまして、この二十二名程度の人員をもってこの重要な事業計画を策定して参りますのに不十分ではないかという御意見が出まして、何らかこの事務局の人員をもうあと三十名くらい増しまして、五十名程度の人員をもってやるべきではないかという御意見が出たのでございますが、予算が成立いたしました現在、これを定員を増加するということができませんので、とりあえずその趣旨を体しまして、各省からの定員措置でありますとかあるいは常勤労務者の確保等によりまして、事実上五十名程度の人員をもってこの仕事をやっていくようにすることにいたしたのでございます。  それにつきまして、一応この法案の上では定員は二十二名でございますが、事務局の機構はその将来に備えまして、当初から整備しておいた方がよいという御意見になりまして、この事務局の機構につきまして、一条追加いたしまして、第十七条といたしまして、  委員会の事務局に、次の二部を置く。   計画第一部   計画第二部  あと計画第一部、第二部に関する所掌事務に関する規定でございますが、こういった一条を追加するように御修正に相なったのでございます。従いまして、本法案の各条は一条ずつあとに送ることになるわけでございますが、かようにいたしまして、三十一年度は予算の移しかえ、あるいは定員措置あるいは常勤労務者の確保等によりまして、事実上五十二名程度の人員を整備していく、それから三十二年度につきましては、予算的にも人員を確保して整備していく、こういうことに、衆議院の建設委員会におきまして段取りになったのでございます。その点をつけ加えて申し上げておきます。  本法案の内容は以上の通りでございますが、何とぞ十分御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  26. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) この法案審議のために、何か資料の御要求がありますならば、お申し出を願います。
  27. 石井桂

    石井桂君 この法案の中に、既成市街地とか、近郊地帯とか、首都圏とかいう文字が出てきておりますが、それを簡単でいいですから、図面で塗って、ここら辺は近郊地帯だとか、そういうものができたら一つお出し願いたいと思う。そうすると、非常によくわかると思う。既成市街地、近郊地帯、それから首都圏、それから市街地開発区域——あの今首都建設委員会というのですか、松井さんのところできっと資料がもうできているだろうと思うのですが、それをとって抜き差しならぬようにするというわけでなくて、議員の勉強のために、こういうものを考えているんだという資料を、簡単でいいですから、お出し願いたいと思います。
  28. 松井達夫

    政府委員(松井達夫君) ただいまお申し出のありました資料、さように取り計らいまして、次回までにお目にかけたいと思いますが、なお首都建設委員会は、御存じの通り権限が東京都の区域だけにとどまっておりまして、その書いておりますのは一つの構想にすぎないわけでございますが、それでよろしかったら……。
  29. 石井桂

    石井桂君 けっこうです。もう一つ、修正したやつを、前の法文にうまくはめ込んだやつをいただけたら、非常に見やすいと思うのですがね。これ一々直しているのは大へんですから。
  30. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 石井先生、それは正式に衆議院からそうしてくるとのことです。
  31. 石井桂

    石井桂君 それじゃ、けっこうです。
  32. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 この二条に、いろいろの定義に対して政令があるのですがね。大体政令はどういうことを考えているか、一つ一応お聞きしたい。
  33. 水野岑

    説明員(水野岑君) 二条の関係の政令につきまして御説明申し上げたいと思いますが、まず第一項で、首都圏につきまして「東京都の区域及び政令で定めるその周辺の地域を一体とした広域」ということになっておりますが、この首都圏につきましては、御承知の通り首都建設委員会におきましては、東京駅を中心にいたしまして五十キロで円を描きました範囲を首都圏といたしまして、一応首都圏構想というようなものを発表いたしておるのでございますが、その後この法案作成に当りまして、いろいろ審議をいたしました結果、なおまた各隣接の府県の御意向もお伺いいたしました結果、五十キロという範囲では非常に狭過ぎる。東京都の区域と、社会的、経済的に密接な関連を有する区域はもっと広いのではないか、こういうふうに考えられるのでございまして、東京駅を中心にいたしまして七十キロあるいは百キロで円を描いていく、こういうようなことにつきまして、この整備委員会が発足しましたあとで、審議会の御意見その他関係方面の御意見も十分お聞きいたしまして、慎重にまとめていきたいというふうに考えておるのでございまして、従いまして、この政令におきましては具体的何県の何町村あるいは何字、こういうふうにはっきりと政令で書いて参りたいというふうに考えておるのでございます。  それから第三項におきまして、既成市街地につきまして「東京都及びこれと連接する枢要な都市を含む区域のうち政令で定める市街地の区域をいう。」ということになっておるのでございますが、先ほど逐条説明にもございましたように、東京都の二十三区と、これを連接いたします川崎市、横浜市等につきましてその市街地となる部分、こういう区域を具体的に政令で、何市町村、何字、何町というふうに政令できめていきたいと思っておるのでございます。  それから第四項の近郊地帯でございますが、これは「既成市街地の近郊で政令で定める区域をいう。」というふうになっておるのでございますが、現在の首都建設委員会におききましては、既成市街地の周辺約十キロの範囲内においてこの広域的な緑地帯というものを考えたらどうかというのが一応の構想になっておるのでございますが、この十キロという幅が果して適当かどうか、そういう点につきまして、これも首都圏の区域と国じように、今後発足いたします整備委員会におきまして、審議会なり関係方面の御意見を慎重にお聞きいたしまして決定して参りたい。従いまして、この政令も具体的に何丁目、何字というふうに地名を政令で書いて参りたいというふうに考えておるのでございます。
  34. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 それから石井さんがさっき資料を要求されましたが、それにつけ加えて、今年度の予算でこの首都圏の範囲内において計画に入る予算がどのくらいあるか、おわかりになっておったら、つけ加えていただきたいと思います。
  35. 松井達夫

    政府委員(松井達夫君) 承知いたした。
  36. 石井桂

    石井桂君 資料でなくてよろしゅうございますか。質問で……。
  37. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) どうぞ。
  38. 石井桂

    石井桂君 この首都圏整備法というのは、提案理由説明にもありましたように、過大人口の防止ということと、もう一つは新市街地の開発、そういうこと、それから既成市街地の有機的な一つの活動ができるような整備というのですか、そういうことを考えていると私は思うのですが、今までは首都建設委員会というのがあってもっぱら東京都の建設に専念せられておったわけです。広域的に首都圏の今度は整備をしようという法律が今出されておりますが、従来の実績から考えて、東京都の範囲だけでも非常に御苦労になったにもかかわらず、まあ大した成績も上げていられなかったのじゃないかと、こう思うのですが、さらに何十倍かの区域にわたって整備をこれからまじめにやっていこうというのには、数倍の努力と工夫が要るだろうと思います。そこで、たとえば例を東京の水道にとりますと、人口をほうっておけば、幾ら小河内の貯水池を何カ年計画で作っても、あれは三十二年にできるように聞いておるのですが、小河内の貯水池の水が一ぱい使えることになると人口がちょうどふえて、水が飲めなくなってしまうというのと、全く同じだ。こういうふうなことが実際に起っておる。だから、この法案によって過大人口の分散ができる見込みがあるかということが一つと、それからもう一つは、今度はすでに集中された人口をさらにこれで分散ができるかどうかというこの見込みね、それを一つお聞きしたいのですが、政府から。
  39. 松井達夫

    政府委員(松井達夫君) 第一点と第二点の違いは、第二点の方はすでに集中した人口が分散できるかと、第一点は入ってくるのを防ぐことができるのかと、そういう工合に伺いました。  第一点は、入ってくる人口をある程度とどめることができるかという点でございますが。東京へ集まって参ります人口は、たとえばこの二十五年から三十年の両国勢調査の際には百六十五万ばかりでございまして、宮城県とか長崎県の一県の人口に相当するぐらい入ってきたわけでございますが、その過半数は近県の人口が入ってきておるのでございます。それでこの東京の近県に衛星都市というようなものを育てまして、そこに職場を作ります。ということは、結局その近県から東京へ流れ込んでくる人口をその現場で食いとめる、そこに安定させるということに相なりますので、それだけでも相当の効果があるのではないかと期待しておる次第でございます。  それから第二点の、すでに東京に集まった人口を分散することができるかという質問でございますが、それは直接にはちょっと、すでに集まった人口を外へ持っていくことはあまり期待できないのでございますが、周辺の都市が発展いたしまして、さらにそこにいろいろな工場なり何なり職場ができ、また文化的にも発展していきますれば、ある程度、さらにそれにつけ加えまして、元の東京の方が人口過密で苦しくなってくるということになりますれば、これはロンドン等外国の都市の例に見まするように、その中心部の人口が逐年どこの大都市でも減っておる傾向がありますが、そんな工合に周辺にやはり人口が逃げ出すということも期待できるのではないかと考えております。
  40. 石井桂

    石井桂君 松井さんの今の御答弁を聞いていますと、近郊に工場や何かを作って、そこへ職場を与えれば、かなりの人口の流入を食いとめるというようにお聞きしたのです。結論としてはね。ところが、東京へ人間がうんと集まってくるのは、職場だけの関係じゃ私はないと思うのです。それは文化だとか、政治とか、経済の中心になっていますからね。東京へ集まることによってあらゆる生活上の満足を与えられるという魅力があって、集まってくることだろうと思うのです。だから、職場だけの問題では私はないように思うのです。そこで首都圏整備法に盛られたことで流入人口が防げるかという疑問が私にあるわけですよ。それを防げるのだという説明をして下されば、私は満足するわけなのですがね。
  41. 松井達夫

    政府委員(松井達夫君) まあ都市がだんだん発展いたしまして、それに何と申しますか、文化の程度が発達いたしますと、いわゆる一次産業とか二次産業とか最もここで端的に問題となります職場を目安にする人口の以外に、いわゆる第三次産業と申しますか、そういった興行とかその他の原始産業に関係のない人工の比率が大都市等にふえてくる傾向があるのは、御存じの通りでございますが、いわゆる職場と関係なく増加する人口と申しますのは、そういったような人口のことを言われるのじゃないかと思いますが、これらの点につきましても、周辺の都市を整備いたしまして、そういった都市の文化も高まり、経済的にも強力になりますと、従ってそういう方面にもそういった三次産業の人口の比率もふえることが予想されますので、必ずしもそういった人口が全部東京にだけ集中するということを心配しなくともいいのじゃないかと思われるのであります。なお、そのほかに、常に識者の間に問題になりますのは学校、大学などがございますが、こういったものをこの法案で工業等制限区域と申しますところの一部といたしまして考えておるのでございますが、そういったような文化的な施設もなるべく東京に集中しないようにいたしまして、周辺にそういった施設ができるように持っていくことができますれば、相当人口の集中を緩和できるのでないかと考えております。
  42. 石井桂

    石井桂君 ようやく私が聞かんとするところに近づいてきたようですが、首都圏整備法というものを出す以上は、やはり首都に人口が集中するようなものの根源を絶つというような方向に向っていかないと、なかなかできないのじゃないかという考えなんです、私は。そこでまあ工場や何かを地方へ誘致して、そこに職場を設けるということも一つのこれは大きな施策だと思います。思いますが、今、松井さんの触れられたたとえば都内にある東京大学だとか、あるいは早稲田大学とか、慶応大学とか、明治大学とか、とにかく日本中の大学の一番Aクラスがみな東京に集まっているわけですね。これをまああしたかあさっての間に短期間に片づけろといっても無理ですが、首都圏整備法というものが出てくる以上は、まあたとえば百年かかっても、とにかく首都圏の端の方へでもそういう学校を持っていくのだということになれば、何万人かの人間はそちらに集中できると思うのです。で、新しい者が流入するのを防ぐのも一つ方法ですけれども、だんだん流入の速度ですか、速度を断ち切るのには、やはり根源を向うに持っていかなければ非常に私は困難じゃないか。そこでこの首都圏整備法の対象とする仕事の中に、そういう大学や何かを移す計画が含まれておるかどうか、そういうことも考えられておるかどうか、そういう点をまずお聞きしたいのですがね。
  43. 松井達夫

    政府委員(松井達夫君) お答え申し上げます。今、既成の明治だとか、早稲田とか、慶応とかいう大学を、首都圏の整備計画といたしまして移転計画を立てるというところまで、実は今のところ考えておりませんのでございますが、委員会が発足しまして、将来の業績によりましてあるいはそういうことがあるかもしれませんが、今のところはそういうことは考えておりません。
  44. 石井桂

    石井桂君 これは学校ばかりで単にないと思うのです。数日前の新聞に、越中島から防衛庁が霞ケ関かなんかへ越して来たので、何千人かの移動があった、そこで越中島付近の商店は上ったりになっちゃうと同時に、人けもまばらになったという記事が載っておるのですよ。そういうふうに、明らかに人を集める施設も、東京にどうしてもなければならぬようなものは、置かなければならぬと思うのです。しかしそうでないものは、やはり大学などは、静ひつな所で勉強した方が私は能率が上ると思うのですよ。お隣にすぐ映画館なんかあって、どんちゃんやっている所で勉強するよりは、武蔵野の原でクヌギ林の中で勉強した方が、僕はいいと思う。そういうものは首都圏整備法にやはり盛られてなければ、私は理想的でないと思うのですが、それで移転計画はないとおっしゃっていますが、首都圏整備法をお作りになるときはなくても、そういうことができるようになっていった方が、私は将来国を、首都圏を整備するために非常にいいんじゃないか、こう思うのですが、その点はいかがですか。これから松井さんは大局長になられるわけですから、大きな抱負を持っておられないと困ると思うので、それでお聞きするわけですよ。
  45. 松井達夫

    政府委員(松井達夫君) お説はまことにごもっともでございまして、なるべくそういう工合にはかりたいとは思っております。今のところ、工業等制限というようなことで、そういったような施設が新設されあるいは増築されるというようなのを禁止する、制限するという程度にこの法案では考えておりまして、積極的に現在ございます施設を持っていく、外に持っていくというところまで、実はまだ考えておらないのでございます。
  46. 石井桂

    石井桂君 私はなぜこんなにしつこく言うかといいますと、都内のたとえば日本大学とか、明治大学とか、いろいろな大学があるのですが、校舎が狭くて実際は分校は遠い所へできているのですよ。世田谷にあるとか、それから慶応などは神奈川県の日吉とか、向うの方へ持っていっている。実際はそれでもう無策でおって、一ぱいになって、どうにもしようがなくなって移転するというよりは、あらかじめ、首都圏の整備をするのだという法律ができるのだから、それはやはり学校当局とも話し合って、自発的にこの大学はどこへ行くとか、慶応大学はどこへ行くという計画が、どうもあってもいいように私は思うものですから、しつこく聞くので、決して私は松井さんの心にもないことを吐かせようという魂胆は一向ありませんから、実に純真な気持で聞いているわけで、どうぞ安心しながら答弁していいですよ。それが証拠に、なぜかなんて、しめつけるということはしませんから……。
  47. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 私は一つ聞きたいのですが、首都建設委員会で今までなさった記録はここにありますが、われわれ手元にもあって、参考書の中にもありますが、この首都建設委員会でされた調査その他のことは、実際実行に移されたものは何々ですか。
  48. 松井達夫

    政府委員(松井達夫君) 実行に移されましたのは、首都建設委員会計画いたしました、いろいろな東京都の都市施設、公共施設等十数目ございますが、それらはある程度非常によく行っているものもございますし、またほとんど見るべきものがない程度のものもございますが、予算の関係その他で、いろいろ進捗状況もまちまちでございますが、すべての公共施設と関係しておりますので、その進歩も、実施に移されたと申しますのも、いろいろあるわけでございます。
  49. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) それじゃ、もう少し尋ねますが、かりにこの先ほど申しました首都建設の事務局の報告の五十五ページにある「首都建設緊急五カ年計画財源別実績調」とありますが、これが公共事業がたくさんある。これはあなたの方でお調べになったのでありますか、あるいは各所属官庁で調べたものをここに掲載しておられるのですか。
  50. 松井達夫

    政府委員(松井達夫君) ここにあげております表は、これは東京都の方で調査いたしました表でございます。実績を調べまして、表を作ったわけでございます。
  51. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) もう一つお伺いしたいのは、先ほど石井先生からも御質問がありましたが、学校関係のことでございますが、それと同じように、首都圏というものは、これはむしろ国土総合開発の一環、そういうふうな観点で、何も首都圏云々ということでなく、経済企画庁の方がこういう構想を持ち、国土総合開発の一環から当然すべきものであると思いますが、それはどうですか。
  52. 水野岑

    説明員(水野岑君) ただいまの委員長の御意見は一つの御意見でございますが、先ほどの逐条説明で御説明申し上げました通りに、首都というものを中心にいたしまして、広域にわたって首都圏というものを構想いたしまして、そうして市街地の整備計画を作っていく、いわばこれは広域的な都市計画に近いものでありまして、そういうこの都市計画的なものを経済企画庁が国土総合開発の一環としてやることが果して能率的であるか、あるいは現に首都建設委員会という機構がございますので、これを発展的に解消して、そういうふうに、この法案にございますように、整備委員会というものを設けまして、そうしてこの首都圏整備委員会がそういう広域にわたる都市計画的なものを作って推進をしていく、それでこういうふうなことが、この首都圏の持つ役割の重要性にかんがみまして、特別に一つ首都圏整備委員会が遂行していく、こういうことが事業を円滑に推進していく上に適当なのではないかというふうに私ども考えまして、この法案を提案いたしたのでございます。  で、ただいまお話しがありましたように、ただし、この首都圏整備計画も全体的な観点に立って十分均衡のとれたものでなければならないことは、もう御指摘の通りでございまして、従いまして、国土総合開発法で規定されております国土の開発、利用、保全等の見地から、この全国総合開発計画、こういうものは十分尊重いたしまして、その全国計画の下部の計画として進めていくべきものだと存じているのでございます。従いまして、本法案におきましても、附則の第十二項で、そういう全国計画等の北海道総合開発計画と首都圏の整備計画との調整は内閣総理大臣が行うというふうに、附則十二項で国土総合開発法を改正している次第でございます。
  53. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 私は国全体を一つの都市計画と、こう思っているのです。決して首都圏だけが都市計画じゃない。そういう観点から、あるいは商業地域を大阪方面に置くとか、あるいは学校を特に静岡方面に設けるとか、そういう観点から、国土総合開発の一環として、あるいは国土総合開発の審議が非常に粗漏ならば、その中にやはりこういう精細な部門を作ってそこでやるならば、国土総合開発の一環として、何も摩擦も起らずに国全体の都市計画ができる、こういうふうに思うのですが、要するのに、経費の上においても非常に節約になりますし、また各省の摩擦もなく、それがほんとうの国土総合開発の一環でもあり、また首都圏の発達する原因でもあるように思うのですが、あるいは運輸の関係からしても、交通の関係からしても、通信関係からしても、すべてそういうふうに考えますが、それに対するあなた方のお考えはどうですか。
  54. 水野岑

    説明員(水野岑君) 首都圏の建設と秩序ある発展をはかるために強力に事業を進めていく、こういうためには、国土総合開発法で経済企画庁が実施するということも一つの案ではございますが、ただ、先ほども申しました通り、首都圏の持つ役割の重要性を考えますと、これは一つ経済企画庁とは別個の機構で、国土総合開発と切り離してやっていくと。現在御承知の通り、国土総合開発法で一番力を入れておりますのが特定地域でございますが、この特定地域計画は全国で実に十九の特定地域が指定されておるのでありまして、その運営の実際を見ましても、第三者として公平に考えましても、十九の特定地域の計画がなかなか思うように円滑にいっておりません。御承知の通り、こういうような現状の場合に国土総合開発関係で経済企画庁が実施していくということが、果して能率的であり適当なものであるかどうかそういう点はわれわれとしては関係各省とも相談いたしまして、それは別個の機構でやっていく、ただし国土総合開発というものとの関連は緊密に連携をとっていく、こういうことで実施した方が能率的に適切に首都圏の整備が行われる、こういう観点に立ったわけでございます。
  55. 村上義一

    ○村上義一君 前刻石井君からもお話がありましたが、第二条の各項を初めとしまして、本法では多数政令で定むるところに委任されておるのであります。それでまあ政令の内容は、まだ今後委員会、審議会等において内容がきまっていくという松井さんのお話ですが、従って、私はこの際資料をいただくという意味ばかりでもないのですが、この委員会は要するに四人だということでありますが、審議会の審議委員、これも大体の区画はしてありまするが、ここで私の言いたいのは、関係行政機関の職員、学識経験のある者、こういったものの職種と申しますか、どういう方面の人をこれはお集めになる考えか、それを実は伺いたいのです。また事務局の職員も二十二名というのを、さらに三十名併任者を作るというお話でありました。この二十二名の人の内訳、また併任者三十名、——三十名にも限らないでしょうが、とにかくこれらの人の、大体どういう方面の人々を併任されるのか、それを伺いたいと思うのです。これはでき得れば資料もいただきたいと思うのであります。  かく申しますのは、一面において、ただいま委員長が述べられたように私も感ずるのです。また石井委員が前刻学校関係について主としてお述べになりましたが、そういうことを私も痛感しておるのです。今水野さんが、特定地域十九も指定して、それが円滑にまた有効に進捗しておらぬというお話で、私もそう思っております。思っておりますが、実際は、国土開発という大きな中の、これが特性を持った一部があるのが筋だという感じを持っておるものであります。特に今回のこの法律の構想から申しますると、各自治団体、また各省大臣の権限に属する事項の頭だけをちょん切って、ここで取り扱うというふうに見えるのであります。もちろん実施はここではしないということでありまするが、しかし非常にここに、各省間で円滑に進捗することに無理があるように思えるのです。そういうような趣旨からも、各省、また各自治団体との間の摩擦を避けてスムーズに計画が実現していくようにはかるために、非常な今後そこに微妙な問題があると考えるのです。従って、事務局を初めとして審議会の委員、またこの最高の委員の構成が非常に問題になってくるだろうと実は思うのです。それでもちろん人名はわかりませんが、系統別に今考えておられる点を一つ知らせていただきたい、そう思うのです。
  56. 水野岑

    説明員(水野岑君) 私から御答弁さしていただきまして、なお不十分でございますれば、後刻資料でお出しすることにいたしたいと思いますが、まず第一に、委員会委員の選考方針でございますが、これはいずれ発足いたします首都圏整備委員会を担当するであろう国務大臣によって任命されることでございますので、具体的なことにつきましては御説明はできかねるのでございますが、大体私ども考えております方針といたしましては、まず都市計画関係、土木建築関係、地方行政関係、そういうような各界にわたりまして、一流の専門家を常勤委員あるいは非常勤委員に任命をいたしまして、この御案内の通り、行政委員会がほんとうに機能を発揮するかどうかということは、一にそこにかかっておるのでごいざまして、一流のりっぱな人物を集めたい。これもただいま申しましたように、一つのセクションに偏しませんで、広く各界にわたって選考して参りたいというふうに考えておるのでございます。  それから第二の審議会の委員でございますが、関係行政機関の職員、これは関係各省庁が九つばかりあるのでございますが、そういうようなところから各省の事務次官の方に委員になっていただきたいというふうに考えておるのでございます。それから「学識経験のある者十三人以内」とございますが、この学識経験のある者につきましても、広く各界にわたって専門家の方を御委嘱申し上げたい。この学識経験のある者を選ぶに当りましても、非常に関連のある各省とは事実上十分相談をいたしまして、適当なりっぱな人を選んで参りたい、御委嘱申し上げていきたいというふうに考えておるのでございます。  それから事務局の職員の問題でございますが、三十一年度は、先ほど申しました通り、事実上五十二名程度を確保するということに政府といたしてはなっておるのでございますが、この二十二名との差の分につきましては、一つは常勤労務者、これは予算措置だけで可能でございますので、その常勤労務者を予算的措置によって確保していく。それと同時に、関係各省、これは主としてこの仕事が関係する省といたしましては、何といいましても運輸省、それから通産省、この二省が非常に密接な関連があるだろうと存じますが、この二省とは特に御相談をいたしまして、緊密な連絡をとりまして、それからなお申し落しましたが、建設省、これも一番関係の深い省でございますが、運輸省、通産省、建設省、この三省と十分密接な連絡をとりまして、それぞれ併任措置でりっぱな人を出していただくようにしたいと思います。建設省だけで併任してしまう、建設省の職員だけで占めてしまう、こういうようなことはとうていなすべきことではございません。十分承知しておるのでございまして、運輸省なり通産省、そういうような省と十分密接な連絡をとって、りっぱな人を併任措置でこの整備委員会に来ていただくようにやって参るつもりでございます。
  57. 村上義一

    ○村上義一君 せっかくこういう法律ができて、委員会なり事務局ができて、またりっぱな計画が立っても、これがスムーズに実現しないのじゃまことに遺憾にたえないのであります。その点を特に——こういう構成の機関はとかくスムーズに実績が上らぬというような従来苦い経験を重ねて来ておるのでありますから、特にこの今配付されました衆議院における付帯決議でありますが、これはお尋ねしても無理だと思いますけれども、ここに、三十二年度の予算から一括計上して計画に基いた予算を計上して配付する、おそらくこれは特別失業対策費のごとき方法考えておられるのだと思うのでありますが、これまた非常に問題であろうと思うのであります。この首都圏の範囲内だけの仕事はまだいいと思うのでありますが、圏外の仕事と不可分の問題がずいぶんあるのでありますから、非常にこれはむずかしい問題だと思うのであります。また一面において民間との分もありまするし、また公社とかいったような組織もありまするし、非常に複雑だと思うのであります。これはどういうような意味に御解釈になっておるのですか、この衆議院の決議は。
  58. 松井達夫

    政府委員(松井達夫君) 先ほど逐条説明のときにも申し上げましたように、私ども事業計画として考えておりますのは、国で直接やる仕事でございますとか、あるいは国が補助その他でタッチをする仕事、あるいは財政投融資等で国が援助するような仕事、こういう範囲の事業計画考えておる次第でございます。またそういった仕事の中にも、この首都圏の内部だけの問題もございますし、また今御指摘になりましたように、外部との全国的な関連を持った仕事もあるわけでございまして、そういう仕事の中にも、そういった工合に仕事の性質によりまして取捨しなければならないこともあるのではないかと考えておる次第であります。それでこの付帯決議に言っておりまするように、三十二年度以降の事業計画を一括計上するというような場合にも、その一括計上の範囲というものはやはり相当これは研究しなければいけないのではないか、こう考えております。
  59. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) もう一つお伺いしたいのですが、やはり村上先生と関連したことですが、たとえて言いますと、地域給ができまして、非常にまあある町村と付近の町村とその地域給の差のために困難している事情が方々にある。いずれ逐条審議に入りますが、この圏内に入っているところにおいては、学校建設に対しても国は補助する。これは「国の補助」という所に、第二十五条に書いてある。そうすると、圏内の、首都圏内の府県のすぐ隣の府県では、こういう国の補助は学校の建設に対してない。これは非常に大きな問題になってくると私は思うのです。どういう観点でそれをうまく調整なさるか。これは今でなくてもいいですからして、十分研究して、この次までに返事してほしいと思います。
  60. 石井桂

    石井桂君 もう一つ、まあ先ほど委員長が御質問になった首都建設委員会はどういう事業をしたかという御質問に対して、事務局長からパンフレットにあるようにどっさり仕事をしたというお答えがあったのですが、私はまあ首都建設委員会計画はしたけれども、あまり実現はしなかったように思っているのだけれども、それが酷評だったら取り消してもよろしゅうございます。そこでなぜそういうことを私が言うかというと、せっかくこの首都建設委員会を発展的に解消して首都圏整備委員会というものにするのですから、それは先ほど村上先生がおっしゃったように、実行力のある委員会を作らなければならないと思うのですよ。そこで首都建設委員会がなぜ活動ができなかったか、こういうことを一ぺん反省してみる必要があると思うのだけれども事務局長たる松井さんはどういうところに欠点があったかということは考えてみたことありませんか。
  61. 松井達夫

    政府委員(松井達夫君) もちろんいろいろ考えてみております。まあ今までの首都建設委員会では、今度の首都圏整備委員会みたいに、自分のところで事業計画を立てるという法律的な権限がないわけであります。ただ計画を立てて、それを尊重するように勧告をするというだけのことであります。しかし一方においては、その計画による事業を推進するということも首都建設法には書いてございます。一つの例をとって申し上げますと、たとえば小河内のダムの建設等につきまして、首都建設委員会の各委員の方々は、これは非常勤の委員でございますが、しょっちゅう出てこられまして、関係当局、大蔵省とか自治庁とか、あるいはまたその他の関係の方面に、非常にいろいろ働きかけられまして、そのせいばかりとは決して申し上げませんが、当初ようやく二十億か二十幾らくらい——たとえば起債等につきまして、三十年度におきましては三十五億ももらえるようなことになりまして、まあ小河内のダムの建設もどうやら今年中くらいにそろそろ水がためられるようになるというところまでこぎつけたわけであります。そういうような働きをしておられたわけであります。その他の事業につきましても、これは国の予算に縛られておりまして、何とか進めたいというので今までいろいろやられまして、まあ多少とも効果は上ってきておると私は存じておりますが、これは目立ったほどの効果が上りませんのは、首都建設法そのものにも、立案当初の話を聞きますと、特別の助成とかという事項もあったそうでございますが、みな立法の当時そういった肝心のところが削られてしまいまして、そういった国庫補助その他につきましては一向特典もなかったわけでありまして、それらいろいろなことで努力しまして多少は上向いては来ているというのは、はなはだ恥かしい次第でありますが、全く効果がなかったというほどではないと考えております。
  62. 石井桂

    石井桂君 その御説明で、何をやったかということは、一例をあげて、なるほどりっぱな仕事をやられたということは、お聞きしてよくわかるわけです。そうすると、せんじつめると、予算をとって、そうして今度の法律案のように移しかえてするというようなことになっていなかったり、とにかく法律上不備な点もあった、それで思うように十分腕を伸ばす余地がなかった、こういうふうに考えていいわけですね。
  63. 松井達夫

    政府委員(松井達夫君) さようだと思います。それに、とにかく首都建設法におきましても、何と申しますか、先ほど話の出ました全国的なバランスというような点をくずさないようにできているんではないかと、精神はね、思われますので、目に見えて効果が上るのは当初から期待するのは無理ではないかというようなふうにも考えられるわけでございます。
  64. 石井桂

    石井桂君 それから先ほど村上さんが触れられたことでございますが、やはり首都圏整備委員会と整備審議会ですか、そういうもののだれを選ぶかということが、ずいぶん私は仕事の上に直接響くのではないか。現在の首都建設委員の顔ぶれを写真でこういうふうに拝見すると、みなりっぱなえらい方ばかりです。一点の非のない方ばかりです。ですから、別にこの方々に因縁をつけるわけではありません。ありませんが、やはりえらくばかりあっても、腕をふるわれる人を入れないと、私は仕事にならぬのじゃないかという気がするんですね。  それからもう一つ、整備委員会の職員のことなんですが、二十二名ではとても、議員の中でも、少いだろうから五十二名にしろと。私は非常に助け舟だろうと思うのです。しかし五十二名だって、これは東京を中心に各県を入れた公益の施設をやるんですから、それでも手が回るとは思われない。そうすると、それらの人々は一騎当千の人を網羅するようなつもりで、そういう人が来るようにし向けなければ、私は来ないんじゃないか。そうすると、これは待遇もよくしなければならぬ、そんなことが起ると思うのです。  要は、予算をとるということの決意と、それからもう一つは、皆さんがえらい人が大ぜい集まっても、案を作る人じゃないんですから、プラン・メーカーは松井さんの下の部下の人なんですから、それらの人にりっぱな人を入れて、そうして実際に優秀な計画が立てられるように、一つ今から御用意願いたいと思うのですがね。そうしないと、どんなにりっぱな人を並べても私は仕事は軌道に乗ってこない、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  65. 松井達夫

    政府委員(松井達夫君) 御説の通りだと思います。
  66. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) いずれこの法案は次の委員会で十分審議すべきだと思いますが、関係の長官あるいは大臣を呼ぶ必要はありませんか。あるいは審議庁の長官、あるいは自治庁長官……。委員長におまかせを願いたいと思いますが、御了承を願います。  本日は、これをもって閉会といたします。    午後四時十七分散会