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1956-04-05 第24回国会 参議院 建設委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月五日(木曜日)    午後一時五十四分開会     —————————————   委員の異動 本日委員松浦清一君辞任につき、その 補欠として小笠原二三男君を議長にお いて指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     赤木 正雄君    理事            石井  桂君            小沢久太郎君            近藤 信一君    委員            伊能繁次郎君            入交 太藏君            斎藤  昇君            酒井 利雄君            西岡 ハル君            武藤 常介君           小笠原二三男君            田中  一君            北 勝太郎君            村上 義一君   政府委員    建設政務次官  堀川 恭平君    建設大臣官房長 柴田 達夫君    建設省住宅局長 鎌田 隆男君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地代家賃統制令の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ただいまから委員会を開会いたします。  御報告申し上げます。四月五日松浦清一君が辞任され、補欠として小笠原二三男君が指名されました。     —————————————
  3. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 地代家賃統制令の一部を改正する法律案を議題に供します。  御質疑のおありの方は順次御発言をお願いいたします。
  4. 田中一

    田中一君 これは政府にお伺いしますが、むろんこれは今の政府鳩山内閣住宅対策の一環として持たれたものと思うのです、この一部改正法律案というものは。そこで地代家賃以外のもの、いわゆる国民生活に欠くべからざるものが、この二十五年だと思いましたが、以後どういうものが値上りになっているか。たとえば汽車とか、電車とか、あるいは郵税といいますか、郵便、電信、電話等の料金、それからたばこは値下りになっているものもあるけれども、これは本質的には品物が悪くなっているのだから、これはいいとしましても、そういうケースは、国民生活と切っても切れないものであって、そうして政府が一応許認可の権限を持っているというものは、どういうものがあるか、お示しを願いたい。
  5. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) お尋ねの点に対するかどうかわかりませんですが、まず卸売物価指数といいますか、全体の物価指数推移というような問題と、それから国民生活に必要な生活物資推移といいますか、そういうような点について、今ここに資料のあります限り、御説明申し上げたいと思います。  まず、卸売物価につきましては、戦前の一に対しまして、二十八年には大体三五四という数字を示しておりまして……。
  6. 田中一

    田中一君 ちょっと、途中ですが、戦前というのは何年を言っているのですか。
  7. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 昭和九年ないし十一年です。それに対しまして二十八年には三五四となっておりますが、これが頂点でありまして、その後次第に下回りまして、昭和三十年までには三四三となっておりまして、これは昭和二十六年と大体同じくらいの水準のように思われます。これに比べまして、消費者物価といいますか、主として家計調査の中に占める構成品目でございますが、消費者物価の方はその上昇が少しおそくなっておりまして、昭和二十九年までは徐々に上昇しまして、それを頂点としまして、昭和三十年にやや下降いたしまして、現在では昭和九年ないし十一年に対しまして約二九七というぐらいの程度になっておるようでございます。
  8. 田中一

    田中一君 建築資材は。
  9. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 建築の方は、資材もいろいろ高いものも安いものもございますが、建築費に換算をいたしまして、昭和二十九年をやはり頂点といたしておりますが、昭和三十年に若干下っておるようでございますが、これはやはり戦前基準に基きまして、木造住宅で申し上げますと、五三〇ばかりの指数を示しているようでございます。ただ、これの調べ方は、建築費の方の調べは、さきに申しました総理府統計局調べております物価推移とちょっとデータが違いまして、建築学会建築経済委員会調べたものを資料にしておりますので、その間に多少データ上のズレがあるかと思いますが、何にしても、その生活物資よりは建築物資の方が上っておるように考えられます。
  10. 田中一

    田中一君 労銀は。
  11. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 労務としましては、いろいろの労務がありますので、賃金としましては正確にどれといって申し上げることができないかと思いますが、労働省調査によりまして申しますと、昭和二十六年を一〇〇といたしまして、二十七年、二十八年、二十九年、三十年と若干ずつ上昇をいたしております。昭和三十年に至って大体横ばいのような格好になっておりますが、昭和三十年には二十六年に比較しまして一四九を示しておるのであります。
  12. 田中一

    田中一君 建設省がこれは労働省と協議の上決定したと思われます各建築労銀標準賃金がありますね、いわゆる政府予算を組む場合に基準となる労銀表がございますね、それをお持ちですか。予算を組むPWとかいったな。
  13. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) PW、つまりこれは賃金をきめておるものではなくて、数年間の統計といいますか、今までの実績を調べたのはあるようでございます。
  14. 田中一

    田中一君 あるようでございますではなくて、建設省は少くともその基準をもって予算を編成しておる、こう私は考えておるのですが、それはお持ちですか。もし、それが言い方がまずければ、政府建築資材並びに建築関係する労銀予算編成に当っては、どういう数字をもって基礎としておるか、それをお示し願いたい。
  15. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 所管をしております建築住宅の方で申し上げたいと思いますが、建築の方では各建築資材統計課推移調べましたものがございますが、それによりまして出しております。それから労銀につきましては、今お話の出ましたPWその他を参考といたしまして出しております。
  16. 田中一

    田中一君 それを資料として、おそらくこれは建設省には、本省にはあると思いますので、時間があると思いますので、それを取り寄せていただいて、提出していただきたいと思います。
  17. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 主要なものを、大工左官その他を資料にいたしまして、提出いたします。
  18. 田中一

    田中一君 これは連絡をとってすぐ出していただきたいと思います。その資料が出てから、それに関連するものは再質問しますから、別の問題で一つ伺います。  この老朽化、いわゆるこの法律によって該当するといわれる住宅老朽化程度というのは、どういう基準で見ようとするのか。ということは、一々これから改造いたします、これから修理をいたしますといって、あなたの方で政府機関許可をして、行政官庁許可をしてから修繕にかかるというような方法をとるのか、勝手に自分のところでやって、このきめられたところの値上げをやろうとするのか、その点の扱い方はどういうことになるのですか。
  19. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 今度の法律改正をお願い申し上げておりますのは、大修繕がなされたときというふうにありますので、その大修繕がある規格以上の大修繕がなされたときに、増額申請認可をいたしておるのであります。
  20. 田中一

    田中一君 ですから、家賃を上げるために模様がえをする場合もあるのです。老朽化を防ぐというよりも、家賃を上げんがために適当な修理をする場合もあるのですね。これは実際に老朽化してどうにもならぬ、それこそたな子が何とかして修繕してくれという場合もあるでしょうし、たな子が求めぬ、しかしながら修理をする場合もあるでしょう。従って、その修理をするということになると家賃が上るということなんですから、修理をすればですね。ですから、そういう認定はだれがするのかということなんです。たな子が、やって家賃が上ってもけっこうですから修繕して下さいという人は、これはわかります。
  21. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) この増額申請認可が出ますときには、その借主の方の同意も添えまして提出することになっておるのであります、従来ともに。今回のこの大修繕は、ある規格を示しましたから、それ以下の小修繕の場合には該当いたしませんで、ある修繕が行われましたときに、その分についての増額認可する。その認可都道府県知事と、こういうのであります。
  22. 田中一

    田中一君 今言う老朽化というものがどういう程度なのか、修繕をしなきゃならないのだという程度というものがどこで認定するかということを言っているのです。これはちょっと判定に苦しむ場合が多いのですね。たな子が、建築なんかというもの、修理なんていうものの経験を持たないと、わからないわけですね。それからまず第一に、その程度の問題です。それからたな子が要求する場合、これはわかります。その場合にはおそらく、もしも徹底するならば、この修理、この家はこのくらいかかります、こうなりますと言って承認を求めて、それからかかれば、これはトラブルは起きません。問題ないのです。しかし一方的に家主修理した場合どうなるかということも、これは修理すれば当然これに該当するわけですね。認定——木造修理なんていうことは、御承知のように、今では大修繕以外は勝手にやっています。それから大修繕でも、たしかこれは許可じゃないはずです。今は届けをすればいいということになっているはずだと思います、木造の場合には。そういう場合に、どういうふうに認定するかということを伺っているのですよ。
  23. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 家主自分の持っている貸家が非常に老朽しまして、それを修理をしたいということになりました場合に、そのたな子との関係、それから今までの地代家賃統制令にかかっておる家賃増額関係はどういうふうになるのかというお尋ね考えますが、この大家が勝手に修繕をしまして、それがこの大修繕と認める範囲に入らない場合には、増額申請が出ましても、増額認可はなされないわけでございます。それからその範囲に入りますれば、増額……。家賃統制令の額としましては一応認可にはなるわけでありますけれども、その額は必ずしも大家とそれを借りておる方の側との賃貸契約を強制するものではないわけでございます。で、そこまでは取り得るというだけでありまして、たな子は、前の契約が成立していて、それは修繕はあろうがなかろうが、私はこれまでしか払わないということになりますれば、その契約は強制はしない、こういうふうに考えるのでございます。
  24. 田中一

    田中一君 そうすると、結局そこに新しい問題が生まれるわけですね、片方は上げようとして。自分財産なのですから、これは。
  25. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 今のはその法律関係を申し上げたのですが、事実上どういうふうな形で行われるかと申し上げますと、結局大家さんは自分修繕をしましても、それがたな子の方が今までの契約をたてにとって、上げてももらえないということになりますれば、修繕をする者もなくなると思うのでございます、幾ら統制額が上げられても。そこで順序としましては、やはり入っておる人と相談の上、今後こういうことになって、修繕をすれば雨も漏らなくなるし、うちも快適に住めると思う。そこで修繕をしたいけれども、修繕をすればこれだけ上る。上るが修繕をさしてくれということで、両方話し合いがついたところで事実上やるようになると思うのでございます。そうでありませんと、一方的に修繕をしましても、たな子の方で払わないというならば、大家はせっかく修繕しようとしましても何にもならないわけでございますが、事実上そういうように運ばれるのではないかと、こういうふうに思います。
  26. 田中一

    田中一君 私も借家したことがございますのでわかっておりますが、常識からいって、雨が漏らないで戸締りができてといううちを借りているわけなのです。雨が漏るうちを借りているわけじゃない。雨が漏らないで戸締りもできてといううちを、通常賃貸契約によって借りているものなのです。それが雨が漏ってくれば、これは一種の契約違反なのです、雨が漏らない状態において賃貸契約をしているのですから。初めは柱が曲らない状態でもって、戸締りのできる状態でもって、契約をしているのです。従って、雨漏りになった場合には当然、家賃関係なく、最初に契約した通り家主が負担するのは、これは通常契約の上においてはっきりそれはできているわけなのです。また借家人が故意にこれをこわした場合には、原状に復旧しなければならぬということになるでしょうけれども、物というものはやはり老朽化する、またこわれる場合もあるのです。何もそれが借家人意思でもない、また家主意思でもない場合があるのです。けれども、これは少くとも自分財産なのです。むろんそうした補修費その他のものは、全部家賃にかかっているわけです。通常借家契約というものはそういうものなのです。従って、それも限界があると思うのです。まあ鳩山内閣の性格として、うそをついて家をたくさん作ろうということに一貫しているのですから、それをまあ少しでも家を余分にふえたように見せかけようということなのですから、やはり建てようという健全なうちの数に入れようという場合には、今あなたがおっしゃるように、家賃が上げられるという話し合いがつかなければ、やらないということになるのです。問題は家賃を上げよう、そして家主というものにも少くとも家賃値上げによって健全なうちを一戸でもふやそうという考え方のもとに、考えられているものだと思うのです。だから、契約そのものは健康な状態の家屋に住むということになっている以上、これは家主の負担は当然なのです。耐用年限というものがあるのです。その場合どんな家主でも、自分の家が、木造のうちが百年も持つという考えをもって償却を見ておらない。大体においてまあ五年なら五年、十年なら十年で償却を見込んでおるのです。これが家賃なんです。  従って、今あなたがおっしゃるように、大修繕をする状態というものが、今の住宅局長の説明では、どういう程度のものをどう認定してきめるのかということを、まず第一にきめてくれなければ困るのです。たとえば建設省令できめる範囲の大修繕というものは何か、その責任はどこにあるのか。それは借家人が当然負担するのだという認定をするわけなんですから、従って、修理というものの内容をもう少し明らかにしてもらわないと、わからないわけです。
  27. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) どの程度修繕を大修繕というのか、こういうことでありますが、これは今考えておりますのは、大体坪当り二千円以上ぐらいの修繕をする場合を大修繕考えておりまして、ほんのわずかのちょこちょこ直すという程度修繕は従来の家賃額で補ってもらう、こういう考え方で、二千円と大体認定いたします。その修繕個所その他を明示して申請が出ますが、まあ大体において書類選考になると思うのでありますが、もしかして借主、貸主の方でいろいろ異論があったならば、現地調査もいたしまして、それだけの修繕がなされたか、とうかということの調査もする、こういうふうに考えておるわけであります。  大体二千円と考えましたのは、土台その他が腐っておるようなものも中にはかなり観受けられる。そういうものを根本的に土台もかえ、柱も根つぎを行い、その他内部の造作までにわたってのあらゆる修繕合計額が二千円以上になる、こういうふうに考えております。
  28. 田中一

    田中一君 北向きの家の、これは古い家でしょうが、戦前の家でしょうから、土台を一本、四寸五分角の十二尺程度のものを買う。そしてこれはむろん税金もこれに含めなくちゃならぬ。それに人夫賃もかかるとして、それからどうも今まで狂っておるから、すき間も出る。そこのすき間の壁の補修もしなければならぬというようなことを考えてみる場合、どの程度——具体的にちょっとそういう、局長、絵をかいてもいいのです、この程度のものが二千円でございますという。北側に向いてる家で土台のねだが腐った場合、それから屋根のかわらがこわれたような場合、どの程度のものかちょっとお示し願いたい。
  29. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 大修繕範囲に入りまする修繕でありますが、これはいろいろの状態があるのでありまして、一口には申し上げにくいかと思うのでありますが、一例としまして、かりに十五坪の貸家があったといたしますれば坪二千円でございますから、三万円以上の修繕の場合ということになるわけであります。三万円以上の修繕ということを考えてみますれば、今お話し北側土台を全部取りかえる——基礎は別であります。基礎はそう損壊しておりませんが、土台を取りかえ、北側の柱数本の根つぎをやる。それから中の造作——建具その他がそういう家はかなり損耗しておると思うのでありますが、そういうようなものも若干入れかえ、それからそれに伴う屋根のゆるんだ所、そういう所もやり直すというような、それから北側の羽目板の雨の漏るような所は直す。そういうような程度以上になるだろうと思うのであります。
  30. 田中一

    田中一君 そうすると、これは三十坪が限度だというわけですね。
  31. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 三十坪のは別でございます。この場合は修繕で……。
  32. 田中一

    田中一君 十五坪ですね。
  33. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 修繕は、何坪でもけっこうなんです。坪は何坪でも……。ただ、坪当り、その家が十五坪でありますれば三万円以上、それから二十坪でありますれば四万円以上、三十坪でありますれば六万円以上の修繕をかけなければ、こういうふうに考えております。
  34. 田中一

    田中一君 今早く要求した資料を持ってきて、大工手間がどう、左官手間がどう、そうしてこれはこの程度のものだということを出していただきたいと思います。
  35. 石井桂

    石井桂君 関連しまして。この法案の大修繕ということが問題になるようですが、同じような点が建築基準法にあるのですが、その基準法の同じ言葉と意味が違うのでございますか。その点、ちょっとお伺いしたい。建築基準法は、第二条の十四号に「大規模修繕」というのがあるのです。建築関係にいろいろと同じような定義が出てくると混乱のもとですから、一応聞いておきたいと思いますが。
  36. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 基準法でいう「大規模修繕」と、この統制令でいう「大修繕」とは、必ずしも一致しないと思うのでございます。この統制令でいいます大規模修繕とはどの程度をいうかということを、省令で定めましたのが具体的の修繕になりますから、そこで基準法の「大規模修繕」とはちょっと性質が違うかと思います。
  37. 石井桂

    石井桂君 そうしますと、ただいま川中委員へのお答えにありますように、大体一軒について三万円以上、それから坪当り二千円以上の修繕を、この法令でいう「大修繕」とお考えになっているわけですか。
  38. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) この省令はこれから出されるのでございますが、今検討いたしておりまするのが、今申し上げました坪当り二千円以上ですが、つまり十五坪ぐらいの家で三万円、十坪の家で二万円以上、坪当り平均二千円以上かけた修繕を「大修繕」としたい、こういうふうに考えております。
  39. 石井桂

    石井桂君 そういたしますと、それによって家賃値上りはどのくらいに現在なりますか。今の物価指数からいって、どのくらい値上りになりますか。
  40. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) かりに坪当り二千円をかけたとしまして、これをどのくらい増額を認めるかという御質問かと思いますが、この二千円の場合は大体坪当り四十円くらいの増額、それくらいのところではないか、こういうふうに考えております。
  41. 田中一

    田中一君 そうすると、修繕したいというときには申請するのですか。
  42. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 大修繕を行なった後、この統制額を変更してもらいたいという場合には、申請をいたすわけであります。修繕行為そのもの建築基準法の届出でございます。
  43. 田中一

    田中一君 坪二千円という認定は、だれがするのです。
  44. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) それは都道府県知事が行います。
  45. 田中一

    田中一君 そうすると、早く資料を出してもらわなければ困るのですよ。そんな準備もしてないというのはおかしいですよ、実際。賃金幾らになるかどうか。労銀が違っておりますよ。全然違うのです。土地によって非常に違うのです。だから、私はどういう規模のものかという標準のものを出してくれと言うのです。木材も違うんですよ。木材生産地消費地とはだいぶ違うんですよ。
  46. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 今のお答え申し上げました二千円といいますのは、全国平均で申し上げましたので、場所によりまして、あるいはそのお話のような物価差がございますところは、調整いたします。
  47. 田中一

    田中一君 そうすると、標準賃金は何をさしているかということを示してもらわなければ、困るんです。大工手間幾らに見ておるか、左官手間幾らに見ておるかということになってくるわけです。その前提として先ほど質問したわけなんです。
  48. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) ただいま調べておりますので、的確な資料を見た上でお答え申し上げます。
  49. 石井桂

    石井桂君 この統制の除外の基準を三十坪といたしました根拠は、どういうところから出ておりますか。
  50. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) この統制は、御承知のように、住宅のみ現在残っておるのでございますが、住宅の中でも大きいもの、小さいもの、また程度のいいもの、いろいろございますが、それを一律に統制下に置くということに関しましてもいろいろの世間の批判がございます。そこで今回、しかしながら庶民生活関係の深い部分について統制を撤廃するということは、今日のまだこの状況下におきましてはいささか行き過ぎであるということから、この庶民生活に影響の深い部分については依然として従来通り残したい、関係の薄い方は何とかはずすようにいたしたい、こういうことで、それをどういう表現にするかという問題なのでございますが、これは家の大きさだけでそれを表現するということも必ずしも当を得ないとも言えるのでございますが、またしかし、何といいましても、いろいろのファクターをきめておきますと、またそこに間違いを生ずる、行政上のいろいろ混乱を生じますので、一番端的に示し得るのは何かといいますと、やはり家の大きさ、そういうことできめるのがまあ至当ではないかというふうに考えられます。  そこで家の大きさの問題になるわけでございますが、家の大きさは、一応三十坪くらいありますれば、普通一般の今日の社会経済下におきまして、日本の国民生活水準と申しますか、そういうところから考えまして、三十坪くらいのところがまあ一番至当ではないか、こういうふうに考えたわけでございます。三十坪といたしました一つの理由は、それまでは三十坪風上の家と三十坪以下の家との割合がどんな工合になっておるかということも調べてみたのでございますが、三十坪以上の家といいますのは、今統制下にあります三百四十万戸の住宅のうち約八%程度でございます。それでその程度ならまあそう支障を生じないのではないか、こういうふうな考え方からいたしたわけなのでございます。
  51. 田中一

    田中一君 大体この修繕費というものは、五カ年の償却ということに考えられておるようですが、今のその家賃坪当り大体四十円程度になるんじゃないか。現行法の言っておるところの十五坪の場合では、千二百円の家賃限界だ。それで坪当り二千円程度修繕をやった場合には、坪四十円程度上るんじゃないかということになります。それでこの償却というものは五カ年だというような見込みを政府で持っておるように聞いておるんですが、これは間違いありませんね。
  52. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 大体基準としまして、その二千円の修繕がなされた場合に、坪四十円くらいの増額まで認めたいというその根拠は、今お話しのように、大体五年間ぐらい、こういうことでございます。
  53. 田中一

    田中一君 これに該当する住宅はおおむね十年以上前と、こうわれわれ想定しているのです。まあ、しいていえば、五年以上前と想定しているのですね、二十五年に改正していますから。そうすると、五カ年に償却をなさる。家賃は利潤だということになりますね、償却してしまえば。償却分をとるのですからね。そうしますと、今まで五カ年以上、償却を五カ年という認定をしている限り、もう五年たてば、修繕部分はペイするのです。もう返してしまうわけですね、家賃によって。そうすると、その前の賃貸契約によって持たれた家賃というものが、何年くらいで償却をしてしまって、そうしてどのくらいな利潤というものが家主のふところに入ったか、税金は幾らで何が幾らで、これは全然修繕しないという前提のもとに立っているのですが、今度の場合を考えた場合に、大修繕というのですから、当然家主修繕義務を怠って、家主修繕するという義務を怠って、そうして五年たって、五年間で償却するなら、十五坪の家というのは償却し尽しているわけですね。そういう点は、どういう計算で五カ年間を出したか。同時にまた、二十五年に改正した当時、古い家主というものは、建築してから二十五年度までの間にどういう収入と支出があったかということの調査はいたしておりますか。
  54. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 五年で償却するということとは関連はございまするけれども、五年で償却するということを明確にきめるわけではないのでございまして、大体これくらいの修繕をしたものはここまで認めるという額でもって示すわけでございます。それから五年といいますのは、結局利回りの関係でその四十円が出て参りますので、五年を一割ぐらいの利回りにしましたら、もっともっと高くなる。五年間大体五、六分くらいで、四十円が出るように思います。五、六分の金が大家自分で調達できることもなかなか困難だと思いますが、でありますから、一割くらいのやつで二、三年ということになりますか、その利回りとの関連においてやはり出て参りますので、五年と固定してきめるわけではないのでございます。ただ、その四十円というのはどこから出てきたかというお話に対しましては、大体まあ五分か六分くらいの利回りで五年くらいの償却と見れば、四十円が出てくる、こういうふうに申し上げたいのでございます。
  55. 田中一

    田中一君 実にあいまいなんですよ。新しい問題を起すにすぎないのですよ。政令でどういうものを出すか、これは知りませんけれども、一応坪二千円程度を、そうして家賃値上げ部分は坪四十円程度になる。四十円という想定をするのは、やはり償却年限というものがなければはっきり想定ができないことになるのですよ、これは。従って、その部分は五年で償却すると。今おっしゃるように、利回りでは五、六分程度というものになりますれば、一応五年で償却されるわけです。五年で償却するということはどこから出たかということを何っているんです。  それが一つと、それからまた、現在の借家人は、大修繕を要するという住宅を借りている借家人というものは、何年間ぐらい過去において賃貸契約を結んでおったかという想定は、どういうふうに考えておりますか。これは関連があるわけなんです。
  56. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) その今度大修繕に投ぜられる修繕費がどのくらいの利回りで、どのくらいの償却にあたるかということが、ある程度、この修繕する方の側から申しますと、有利な程度にならなければなかなか修繕はしないだろうと思うのでございます。また一方、借りる方の側からいえば、高くてはこれに同意をしないだろうと思うのでございます。そこでその妥当なる線はどこであるかというようなことでいろいろ検討いたしまして、この程度、今申し上げましたような程度のところが、今日の経済下において、あるいはこういう状況下において、適当なるところではないか、こういうふうな考えで、それぐらいのところで今検討をいたしている、こういうふうに申し上げたのであります。
  57. 田中一

    田中一君 まああなたは資本主義社会における公務員なんですから、現状から見るのは当然です。それはそれでけっこうだと思います。五年で償却するということを、今言った通りに、借家人の方は長い方がいいのです。家賃は安いほどいいのです。国民所得というものはそんなに上っていないのですよ。実際は、五年で償却するようなものを受けなければならないほど、上っていないのですよ。あなたはたくさん月給をもらっているかしれないけれども、そう上げてくれないのです。だから、五年で償却という見込みを立てたというのが、今言う通り、金を新しく三万円の金を投じて修繕をしようという人の意欲というものは、やはり相当の短期の償却と、それにプラスする利潤というものがなくては、その意欲が起きないだろう、こういう観点から見ようという要素が一つと、それから借家人の方は、当然雨漏りを直すのは家主の義務ではないか、そういう賃貸契約を結んでいるのじゃないか、そういうものは二千円のうちに入らない、柱が曲って戸締りができなくなれば、それは当然家主が払う義務じゃないか、これは二千円のうちに入らない、こういう言い分もあるわけです。その中で、大体五年程度がいいのじゃないかという想定のもとに、五年間償却程度のものに考えている、こういう御答弁なんですね、今の場合には。  しかし一体家主の大修繕をする意欲をわき立たすために、短期償却を認めるのだという考え方は、これは私たちには通用しないのですよ。私どもには、少くとも社会党に属する議員には、通用しないのです。従って、五年間というものが妥当であるかないかの問題を、家主の意欲よりも、借家人がどうしても直してくれいということから出発する念願の方を重く見るわけなんです。だから、家主が当然自分の行うべき義務を怠って補修をしないために、大修繕をしなければならない事態になった、こういう場合の家主の責任というものは、何らこれでは追及されていないんです。そういう点は、どういうふうな計算で五年で償却するということが生まれたかということを伺っているんです。
  58. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 確かに一面、今まで修繕をずっと怠って、それの累積が今日この大修繕をしなければいけないような事態に立ち至っていることであろう、こういうふうに考えます。ただ、そのどうして修繕を怠ったかというようなことをずっと考えてみますれば、やはり過去十年間のインフレ下におきまして、この地代、家賃統制せられまして、今その額がかなりまあ低きに押えられておった、こういう現実、そういうものも若干これにまあ関連を持っておることだろうと思うのであります。そういうような意味におきまして、まあ実際今日非常に家がいたんでいる、こういう現実を見まして、この家を新しい快適な家にすれば、もちろん財産を持っている方も、それが財産価値が長引くわけでありますから、これは得でありますし、また使う方もまあ快適であるだろう、こういうことと、それから一方住宅政策から申しましても、このなかなか貴重なる住宅をなるべく長く維持したいということ、そういうことから、この大修繕を促進せられるような措置としまして、こういう特例を認めるようにしたいと、こういうことでやったのでございます。案はそういう意図のものでございます。  ただ、五年というのは、別に五年ということにこだわるわけではないのでございまして、普通、昔民間貸家が建てられましたのは、その投下資本が大体当時の利回りで十年くらいのところで回収するような計画が多かったように伺っています。そこで今度のやつは、局部の非常に腐りやすいような場所の修繕にのみ投ぜられる金でございますから、その金の償却がまあ五年くらいが至当ではないか、こういうふうに考えたのでございまして、ただ、この利回りはそれじゃ何ぼにしたらいいかということも問題になって参りますけれども、定期預金程度の利回りというようなことで、この辺が妥当ではないかということを考えておるわけでございます。
  59. 田中一

    田中一君 それはね、政府にすれば、住宅をたくさん作るという公約を、少しでもふやそうという気持からくるのに間違いないのです。そんなに大修繕しなければならないというものは、別の面でもって、国が財政融投資をしても、根本的なものに建てかえるというのが一番の良策なんです。最善策なんです。現に住宅金融公庫が三万戸程度のものに対して修繕費を貸そうといったところが、幾ら来ておりますか。これはあなたの監督権のもとにある住宅金融公庫だから、わかるでしょうけれども、三十年度でもって、実際面で便所やふろなんか増築するのに貸すというのじゃないのですよ。ああいう面でもって来ておるものがどれくらいありましたか。
  60. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 住宅金融公庫の増築融資のお話でございますが、あれは修繕にはまだ貸すことになっておりません。増築部分だけに貸すようになっておりますのですが、その件数は一万九千件現在申し込みがございます。
  61. 田中一

    田中一君 どのくらい予定していましたか、計画は。貸付金額……。
  62. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 予定をいたしましたのは三万件でございまして、合計で二十二億五千万円予定をいたしました。そのうち、現在申し込みがありますのは、三月末までで大体一万九千件。これは修繕は受け付けておりません。
  63. 田中一

    田中一君 金額は。
  64. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 金額で大体十四、五億でございます。
  65. 田中一

    田中一君 そのように、増築ですらそういう程度のものなんです。ほんとうに家主の利害を考えるなら、家主というものを保護するならば、国が安いうちを建てて、同じような家賃で——似たものですよ、公営住宅とすれば千円程度のものですからね。こいつは同じようなものですよ。それに移してもらって、そしてそれを家主に返してやって、建て直しさす方がいいというのが、私の考えでは、老朽化した住宅という工合に見ているわけです。私はそう見ているのです。そんな中途半端な、まだまだ耐用年限を過ぎてもまあ大修繕すりゃ済むというものは、そういう老朽化したうちじゃないですよ。待たしゃしません、家主なんというものはもうけのために、利益を得るためにうちを貸しているのですから。従って、そういう面から見ても、私は家主だけの立場を考えての五カ年の償却じゃないかと、こう見るのです。
  66. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 新築で公営住宅のようなのをたくさん建てたらいいじゃないかというお話でございますが、確かにごもっともな点がございまして、政府としましても老朽住宅老朽化されてもう建てかえなければいけないものは、これはもうゼロというふうに勘定いたしまして、今日の住宅数等を出しているわけでございます。で、新築は新築対策で大いに進めなければならない、こういうふうに考えております。なお、その老朽住宅の範疇に入ります一歩手前にあります住宅もかなり数がございますので、そういうものもできるだけ温存をいたしたい、こういう考え方がこの修繕の対策の考え方でございます。
  67. 田中一

    田中一君 老朽化の一歩手前の住宅の事例をあなた持っているでしょうから、出してください。
  68. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 老朽の度合につきましては、昨年来だいぶ調査をいたしておりまして、今老朽住宅と私ども申しておりますのは、今日それを新築当時の状態にまで直すためには、大体建てかえた方が経済的に得であるという状態のものもございます。そういうつまり経済的にほとんど経済価値がゼロに近いようなものを老朽住宅と言っております。それからその老朽化の段階がいろいろございますが、それを大体老朽度一〇〇、あるいは九〇、八〇、七〇というふうなのに分けまして、何パーセントくらいずつあるかという調べをいたしております。そういう資料の御要求があれば、その資料も提出いたしたいと思います。
  69. 田中一

    田中一君 そういう資料は御遠慮なくどんどん持ってきてください。そんな、御要求もくそもないですよ。こういう国民生活に非常な重大な関係のある法律案を出すときには、納得できるような資料を当然出すべきですよ。
  70. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) その資料は提出をいたします。
  71. 田中一

    田中一君 そうすると、五年というものの、なぜ五年にしたかということは、私まだあなたの御説明が納得できません。そこで当然家主が負担すべき維持管理、あるいは賃貸契約に基く当然の家主が義務を怠ったという場合に対する、判断する資料並びにその状態というものをお示し願いたいのです。
  72. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) その地代家賃統制令のもとにあります住宅が、どういうふうに修繕確保されたかという資料はございますので、それは提出いたしたいと思います。
  73. 田中一

    田中一君 それからこれに該当する老朽住宅の一歩手前の数が、日本中にどこにどれくらいあるかということが一つ、何という町に、あるいは何という村にどれだけあるかということが一つ、それから老朽住宅と認める二歩手前の分がどれくらいあるか、三歩手前のものがどれくらいあるかというのが、わかっているでしょうから、それも資料として、全国的な分布状態をお示し願いたい。
  74. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 昨年度住宅調査でやりまして、今度老朽の点については非常に力を入れて調べましたので、その資料を提出いたします。
  75. 田中一

    田中一君 できるならば、四歩手前のところもおわかりならば、お出し願いたい。
  76. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 九〇点、八〇点、七〇点、六〇点、そういうふうに分けて提出をいたします。
  77. 田中一

    田中一君 労銀の方の資料は来ていますか、PWは。各委員に全部配付しましたか、まだ来ませんか。
  78. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) もう少しお待ちを願います。
  79. 田中一

    田中一君 ついでに資料を要求いたしますが、お手元にまとまっておるという資料のうち、これはむろん老朽化する一歩、二歩、三歩、四歩手前の家ばかりですから、それは契約の継続が何年くらいたっておるか。それからもう一つ、それは新築から、建設されたときから今まで何年たっているか。それでその部分は、この部分はどうなっておる、あの部分はどうなっておるという、その一歩から四歩までの間の軒数ですね、これもお示し願いたいと思うのです。それからもう一つは、その家賃が継続をして、どういう家賃の改訂といいますか、値上げを行なってきたか、そうして現在はどういう家賃になっておるか。むろん二十五年に改訂してこれになったと思うのですが、この基準に乗っておると思うのですが、それが一つ——一つじゃない、三つぐらいありましたね。それからもう一つは、この地代家賃統制令にひっかかって罰則を受けたという事例があれば、これは全国的に調査をしてお示しを願いたい。私はもしそれがないとするならば、違反しておる契約というものを十くらいあなたにお示しするから、この地代家賃統制令違反というものに対して直ちに適当なる法の発動をしていただきたい。都道府県知事でしょうが、これに対して勧奨するかどうかという問題。こういう点は一つ資料とともに伺います。
  80. 西岡ハル

    ○西岡ハル君 地代家賃統制令がございますが、家賃の、まあ家を借りている借主自体の統制はありますが、間代についての統制というものは今ないんでございましょうか。
  81. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 間代についてもやはり同じようにございます。地代家賃統制令のうちの一部にございます。
  82. 西岡ハル

    ○西岡ハル君 それじゃ、お尋ね申し上げますが、家賃の価格を、二千円なら二千円の家賃家主が借りておる。それで間を二間くらい貸しておる。その貸した場合に、このごろ私聞きましたが、畳一枚で大がい千円取っておる。そういう場合に、三畳が三千円、三畳一間貸しても二千円の家賃が払える。そういうふうな事態を御存じでございましょうか。
  83. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 二十五年以前に建築せられました住宅は、その家の家賃統制せられておりますと同時に、そこの部屋をまた貸しする場合にも、これも統制下にあるわけでございます。ただ、今御指摘のような事例があるというふうなことも、うすうす聞いてはおります。
  84. 西岡ハル

    ○西岡ハル君 これはあるということを聞いておるだけでは……。どうも非常に気の毒な面がたくさんあるわけです。これを何とか一つ考えていただきたいと思います。
  85. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) そういうことのないように、取締り当局とも連絡してやりたいと思っております。
  86. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ほかに御質疑ありませんか。
  87. 近藤信一

    ○近藤信一君 今、西岡さんから質問がございましたが、非常に現在間借り、それから家賃でも、統制令があっても、やはりやみ家賃とか、それからやみの間借り、そういうのは、局長、知っておられると思うのです。これは全国至る所にあると思うのです、そういうやみ家賃ややみの間借りは。または地代の点もあるのだが、もしこの法律改正家賃を合法的に上げるということになると、それにやはり準じてまたやみ家賃が上っていく、そういう危険があると思うのですが、どうですか。
  88. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) やみ家賃があるということも幾ら承知をいたしておりまして、やみ家賃の状況も、どんなふうになっておるか、実は二、三年前に調べたことがございます。ただいま近藤委員からのお尋ねは、そのやみ家賃がまた今度の改正によって、関係はないのに、やみ家賃まで上っていくかもしれない、そういう点どう考えるかという御質問だと思うのですが、この地代家賃統制令がありまして、やみ家賃は多少あることはありますけれども、かなり全体の家賃水準は下げられておることは事実でございます。やみ家賃の状況を調べましたと申し上げましたが、その状況によりましても、大体半分ぐらいはこの家賃を守っておるようでございます。あとの半分のうち、また半分ぐらいが五〇%ぐらいのやみ家賃、それからあとの二五%ぐらいが、もうさらに上回った倍ぐらいの家賃というような、全国的な水準ではそんなふうになっておるという調べが出ておりますのですが、そういう家賃までこれに連れて、修繕もしないのに、上っていくというようなことのないようにはぜひいたしたい。今度の大修繕の分につきましては、これはなかなか実質的にむずかしいことになりますが、そういう点は十分取締り当局の方にも連絡いたしましてやって参りたいと、こういうふうに考えております。
  89. 近藤信一

    ○近藤信一君 幾ら取り締ると言ったって、それがほんとうに取り締られておるのだったら、現在やみ家賃というものはないはずです。ところが、幾らでもあって、学生なんかの下宿なんかを聞いても、やはり二食付で、食費が幾ら、部屋代が幾らということで、四畳半の部屋が三千円も三千五百円も取られる。こういうことになれば、これは当然合法的に、これが通って大修繕という——どの程度か知りませんが、その大修繕がなされたということになって、これが合法的に上るということになれば、やみ家賃がもっと上っていく傾向がどんどんふえていくのではないかという、こういうふうに私は思うのですが、局長はそういうことは取り締ると言われるが、取り締られるのであったならば今までも取り締られていなければならぬ。ところが、今までそういう傾向が私は十分だったとは思わない。そこでやはりやみ家賃というものは今後も僕はふえる傾向があるのじゃないか、こういうふうに考えるのですが。
  90. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) やみ家賃が今回の統制令改正によりましてふえていくとは考えませんけれども、これに関連してふえる傾向にあるじゃないかというお話でございますが、そういうことのないように、できるだけ今後努力したいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  91. 田中一

    田中一君 私、例の国並びに公企事業の固定資産税に見合う使用料をとるというのが出ておりますね。御存じですね。これですら、東京都住宅協会の住宅は千円上るのです。今一生懸命、今の政府家賃を上げるのにきゅうきゅうたるものがあるのですね。あなた、調べているはずですよ。こういう法律を所管するあなたが、形をかえた家賃値上りを知らぬというはずはあり得ないんです。これは御存じですね。
  92. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 国有資産等の所在市町村交付金の問題であろうと思いますが、その点は承知いたしております。
  93. 田中一

    田中一君 この傾向を、こうした事実を、局長、こういう事実を、あなた、低家賃を作るのだといっていろいろな法律ができておるのですよ。どれもこれも名目は全部低家賃の、憲法で規定された文化的な幸福な豊かな住宅を提供すると、どの法律も書いてある。逆行しているのです、みんなこれは。それで今度のやつもそうなんです、同じような意図で。これは鳩山内閣の性格かもしらぬが、そいつはあなた自身、住宅をたくさん作るという面から見て、局長個人の良心に痛みませんか、こういうものを出して。
  94. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 住宅政策上、この家賃問題の大事なことは当然でございます。私ども家賃を、なるべく低家賃住宅を供給するようにいたしたい、こういうふうに考えておるのでありますが、今回のこの統制令改正は、老朽の一歩手前にあります住宅をなるべく温存したい、こういうことが主眼でこの改正法を出したのでございます。なるべく低家賃住宅政策は堅持したい、こういうふうに考えております。
  95. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 低家賃住宅政策上堅持したいという方針は、この政府予算でくずれているじゃありませんか。従来なら金利のかからぬ金を出してそれで住宅建設が行われているが、ほとんど肩がわりして、住宅建設戸数というものは膨大なものになっておっても、金利のつく金で建てなければならぬというものが年々ふえているじゃありませんか。肩がわりしているじゃないですか、政府のやり方は。それでその政府関係の投融資で建つ住宅そのものは、非常に建てる国民も困るし、またそれを賃貸されておる国民も家賃高で困ってきているじゃありませんか。そうでなくて、低家賃になっていますか。
  96. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) お話は、今度の公団の資金構成あるいは住宅金融公庫の資金構成が、今まで、従来政府の一般会計からの出資であったのが、今度民間資金その他に切りかえているので、家賃は当然上っていくであろう、そういう政策をとっているであろうと、こういうお話であろうと思うのでありますが、これは今回のこの予算のときも御審議願いましたように、資金構成は確かに悪くはなりましたのですが、家賃は、公団の家賃も三十年度の水準を維持することにいたしておりますし、住宅金融公庫の貸付条件その他も、利率それから年限を三十年と、据えおくことになっておるのでございます。
  97. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうことは、各府県の住宅担当の部局と申しますか、そういうところの当事者がみな困ったということを言っておりますよ。お聞きになりましたか。家賃としてはそういうことになるかもしらぬけれども、全体として国民の負担増になる。そういう点においては困っているのです。この間私は北海道へ行って聞きましたが、そういう点詳細に資料を出して、計算をして、私に見せた方がある。それとも関連しますが、この場合、さっきからいろいろ質問があったが、大修繕というようなことで、一定の標準以上のものにだけその家賃増というものを認める。それ以外のやみ家賃の増高というものはないのだということを、再三あなたは言われますが、何らか大きな造作をしたことによって家賃が堂々と上ったということになっておれば、その近隣に家を貸す者は、小さな修繕等をしても、この大修繕で確かに認定許可された家賃のものと同様の家賃を要求してくることは当然なんだ。そういうことが行われてくるということは想像に難くないのです。現在までやみ家賃がないなら、しかもやみ家賃がなくてそうして取り締られているということであるならば、今後そういうものは取り締るであろうということについてはわれわれも承服できる。ところが、やみ家賃というものは今公然の事実なんです。やみ家賃でない家賃なんというものはどこにありますか、今。皆さんはどういう住宅に入っているか知らぬが、もうみんなやみ家賃なんです。それでも住宅が不足であるから、泣く泣く借りて入っている。権利金も払って入っているという状況なんだ。それへすぐこういうものが、連鎖反応で、一般の家賃を引き上げるという方にだけ効果が起ってくるということをわれわれは心配するのです。絶対そういうことはないのだといいますが、もしもあるときには取り締るともいいますが、徹底して取り締ることができますか、今。
  98. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 今回の改正によりまして、やみ家賃の増高を来たさないように今後努力をいたしたいと考えておりますが、この改正は少し技術的に、どのくらい実際に修繕がなされたかどうかという技術的の判定のむずかしいところもありますので、そういう点十分基準その他を設けまして、実際取締り当局に徹底をはかって、なるべくそういうことのないように、いたさないようにいたしたいと考えております。
  99. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それをどこで取り締るのですか。取り締る末端はどこですか。
  100. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) この許可その他は府県知事になっております。それから実際上のそういう取締りは当然法務省所管、それから警察所管になると思います。
  101. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 警察官が、家賃が高いとか低いとか、そういうことにまで手を回して取り締ることができる現状ですか、そうお考えですか。
  102. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 今日の現状、なかなか、この問題にまでこまかにタッチしてやるということはなかなか困難であろうかとも思いますが、非常に悪質なようなものがありました場合には、やはり調べて処置いたしたいと思っております。
  103. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 現在あなたの方では、全国的なやみ家賃の動向の状況というもの、それが一般の住宅不足なりあるいは経済情勢の変転というものとからんで、どうなっているかということは御研究になってると思うのですが、そういう資料ございますか。
  104. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) やみ家賃の現況も実は調べてございます。昭和二十九年でありましたか、六大都市につきまして調べました。その後また毎年調べておりますのですが、その結果によりますれば、統制を守っておりまするものが大体、家屋の方では五割程度でございます。それからあとの残りの方の五割のうち、二五%程度が五割以内のやみ家賃統制額からプラス五割以内のやみ家賃、あとの二五%がそれ以上のものというような結果が出ております。
  105. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それが撲滅されましたか。
  106. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 大体このぐらいのところで、現状も大体そんなような状況になっております。
  107. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 半分はやみ家賃だという状況で、取締りができているということを言えますか。
  108. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 完全に取締りができているとは申せませんでございますが……。
  109. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 完全にだって、不完全も不完全、大不完全じゃないですか。何言ってるんだ。
  110. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 取締りができているとは申せないと思います。
  111. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じゃ今後は取り締ることに努力するといいますが、努力してさえも五制はやみ家質だというんだから、今後においてそういうめどが立ちますか。そんなら、公式にでも家賃の上るような状況というものが何かでてくれば、それに関連して一般の家賃というものは引き上っていく、これは否定できないことなんですよ。それはその部分だけが上るんで、あとは上らない、連鎖反応はないんだということを言えますか。
  112. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) できるだけそういうふうにいたしたいと、こういうふうに考えておる次第であります。
  113. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あんた、取り締る、取り締るといってだね、半分もやみの現況を認め、それがどうにも処置ができない。あなたの考えは、やみの方に近寄せて、一切そういう諸問題から解放されようとしてるんじゃないかとさえも、何と申しますか、極端に悪推量をしたくなるほど、全然野放しですよ、この家賃問題は。全然といっていいほど、これは問題にならぬことだ。しかもですね、この統制による家賃は、ここで言うと何だけれども、それではやっていけないんだから、実態はこのくらいのことは暗黙のうちに認めようというようなことで、それで地方では堂々と、そんなことは認められてることなんだということで、家賃などを決定してる地方さえある。県自身が全然認めないで、それはやみだということでなくて、半公然として行われてる事実もあるんです。だから、この点の取締り程度だったら、全然ゼロにひとしい。この点について、あなたの建設省の方が、今言うような法務省なりあるいは警察当局、これらと連係をとって徹底して取り締るということを御言明になるなら、私はこの際この法案は信頼してもいいと思う。反対はしますけれども。(笑声)法律となって出ていって国民のためにどういうことになるかということについては、私は信頼してもいいと思う。ほんとうに取り締るなら、取り締るということを言明していただきたい。そうしたら、次の国会等においてあらためて出てこられる方々によって、取締り状況はどうなっておるか、これははっきりしてもらいたい。
  114. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) できるだけ取り締りたいと思っております。
  115. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 できるだけというのが、気にくわない。そんな法律なんてありますか。実効が上らない法律なんていうものをこしらえて……。
  116. 田中一

    田中一君 家主の義務不履行によるところの点は、この基準から除外するのが正しいと思う。従って、先ほども言ったように、そうした資料、実態の資料というものを全部出していただきたいのです。そういう点が何ら考慮されておらないということは、これは一つの革命ですよ。これは一方的なファッショ的考えです。これは一方的な権力者と金持のみに利益を与えるという法案にすぎなくなってくる。従って、この法案の中に、当然義務を怠っておるという家主の負担というもの、義務というものを表明する何らかの明示がなければ、これは片手落ちです。これは現象だけとらえて、よって来たったところの原因というものを忘れておる片手落ちの法案なんです。この点は検討されたかどうか、あるいはこれからそういうものも織り込んだ何らかの方途を考えられるのか。これは鎌田君に聞くのは悪いんだけれども、大臣あたりに——政務次官は……。大臣あたりに聞かなければ、政治的な責任はとれないのだから。けれども、どう思いますか、あなたは。
  117. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 確かに、お話のように、従来の統制令の中にも修繕義務というものはございます。で、その統制令はだんだん、これは昭和十三年に一番最初できたのでございますが、その後数回の改正によりまして、多少ずつの修正がなされてきておりますが、現在のところでは、この軸部と申しますか、主要構造部の修繕義務だけはまだ残っております。そこでそういうものが今回のまあ大修繕の中にどのくらい入って参りますか、入ってくる分は差し引くべきではないかという問題も出てくると思いますが、その点につきましては、今後の修繕、大修繕という定め方、これのところで十分検討いたしたい、こういうように考えます。
  118. 田中一

    田中一君 そんなごまかしのことを言ってはだめです。率直に認めなさい。この法案を提案するときに、家主の義務を履行しなかったということを忘れましたと言いなさい。考えていないじゃないですか。初めから考慮されていないのです、実際に。現象だけでもって物を考えたのであって、考えていないのです。ここにどこに考えておるという要素が散見できますか、この中に。率直に認めなさい。
  119. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 今日この今の老朽化が起りました最大の原因は、やはり修繕を怠ったことにあると思うのでございます。そういう意味におきましては、大家は完全な管理をしていなかったであろう、こういうふうには考えられます。これは全体につきましてそうは言えないと思いますが、そういうものもかなり多いであろう、こういうふうに言えると思います。
  120. 田中一

    田中一君 だから、私は言っておる。老朽化の定義を明らかにせよというのです。家主が義務を怠って老朽したものは、三十年たっておるか、四十年たっておるか、家主が義務を怠ったために早く老朽化したというものの資料を出しなさいというのは、それなんです、さっき要求した資料は。従って、その資料をはっきりとお出し願いたい。その上でもって、資料に基いて審議をしたいと思います。
  121. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) お諮りいたします……。  本案の質疑に対しては、まだ資料が不十分でありますから、この次の委員会までに政府資料を御提出願いたい。  皆さんにお諮りいたします。本日の法案審議はこれくらいにいたしまして、なお継続はこの次にいたしたいと思います。いかがでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  123. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 速記を始めて。  本日は、これをもって閉会いたします。    午後三時二十一分散会