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1956-03-08 第24回国会 参議院 建設委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月八日(木曜日)    午前十時五十三分開会     —————————————   委員の異動 三月七日委員亀田得治君及び竹中勝男辞任につき、その補欠として栗山良 夫君及び永井純一郎君を議長において 指名した。 本日委員紅露みつ辞任につき、その 補欠として西岡ハル君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     赤木 正雄君    理事            石井  桂君            小沢久太郎君            近藤 信一君    委員            入交 太藏君            斎藤  昇君            西岡 ハル君            田中  一君            北 勝太郎君   衆議院議員            瀬戸山三男君   政府委員    経済企画庁開発    部長      植田 俊雄君    建設政務次官  堀川 恭平君    建設省計画局長 町田  稔君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    経済企画庁開発    部総合開発第二    課長      奥田  亨君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選特殊土じよう地帯災害防除及び振興  臨時措置法の一部を改正する法律案  (衆議院提出) ○東北興業株式会社法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ただいまから委員会を開会いたします。  議事に入ります前に、委員変更の件を御報告申し上げます。三月七日亀田得治君及び竹中勝男君が辞任され、その補欠として栗山良夫君、永井純一郎君が指名されました。本日紅露みつ君が辞任せられ、その補欠として西岡ハル君が指名されました。  お諮りいたします。委員変更に伴い、理事一名が欠員になっております。この際理事補欠互選を行いたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 御異議ないと認めます。  つきましては、この補欠互選方法は、成規の手続を省略して、委員長の指名によることに御一任いただきたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、私から理事近藤信一君を指名いたします。     —————————————
  5. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) なお、前々回の委員会要望書を出すことになっておりました。ちょっと読み上げます。    要望書  国土保全及び開発促進は、わが国の経済自立及び民生安定の基盤をなすものである。  しかるに、国土総合開発計画の根幹となる建設行政は、現在、建設、農林、運輸、通産、厚生等各省に分散され、例えば利水治水行政における如き、その統一性を欠き行政運用は煩瑣を極め、効率的な綜合開発実施を阻みこれがため国民の蒙っている不利益は絶大なものがある。当委員会は、発足以来、建設行政一元化の必要を勧告し来つたのであるが、このたび政府行政機構改革に当っては、建設行政を一元的に所管し、国土綜合開発利用保全目的とする国土省の設置を、委員多数の意志により強く要望するものである。   昭和三十一年三月一日      参議院建設委員長            赤木 正雄  かような要望書政府に出すことにいたしました。     —————————————
  6. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次に、特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案議題に供します。  まず、発議者から提案理由説明をお願いいたします。
  7. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) ただいま議題となりました特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案者代表いたしまして、その提案理由説明を申し上げます。  本法案目的といたしますところは、現行特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正いたしまして、同法の有効期限をさらに五年間延長しようというのでありますが、御承知のように、わが国土のうち、シラス、ボラ、コラ、赤ホヤ花樹岩風化主等のいわゆる特殊土壌地帯は、台風豪雨等によります災害を特にはなはだしく受けているので、これら地帯災害防除及び振興をはかるため、さきに昭和二十七年四月議員立法として特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法が制定され、この法律に基きまして対策事業実施されて参ったのであります。  この事業実施の結果は、相当の効果を示し、関係者の大きな喜びとなっておるのであります。しかしながら、昭和三十年度までの事業進捗状況は、関係県計画いたしました卒業の五分の一、内閣総理大臣決定いたしました事業計画について見ましても、その約三分の一にすぎないのであります。  ところで、同法は昭和三十一年度最終年度とする五カ年の時限立法でありますので、このままでは期限内に政府決定した事業計画の大半が残事業となり、また、積年の努力によって次第に整備改善効果を現わして参りましたこの事業が中途にして断たれて、その効果が十分に発揮されないことになるのであります。  そこで、この際同法の一部を改正し、昭和三十七年三月三十一日までの五カ年間その有効期限延長いたしまして、これら残事業を完全に遂行いたしたいと存ずるのであります。  以上本法案提案理由を簡単に御説明申し上げたのでありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  8. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 本案につきまして御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  9. 田中一

    田中一君 関係府県計画した分というものの、何か、計画実施比較表でもございますか。資料として出ていますか。
  10. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) お手元資料を出しておるのでありますが、こまかい計画書資料は出ておりません。  今この改正案を御審議を願っております五カ年間の延長のねらいは、ただいま提案理由で御説明いたしたのでありますが、この法律案予定事業という事業費の中にも書いてありますように、平年度四十二億円の見込み、ただし五カ年間に要する経費として二百十億円の見込みである、こういうふうにいたしておりますが、これは政府が当初に計画いたしました五百九十九億の五カ年の事業計画事業費であります。そのうち三十年度まで二百億、三十一年度が約四十五億の事業量でありますが、今日まで、三十一年度を加えまして、大体二百四十五億の事業量ということになっております。国費にいたしますと、総事業国費最初計画では三百八十四億、そのうち三十年度まで百四十一億、三十一年度が大体三十二億という計算になっておりますので、そういうものを国費のうちで差し引きますと、残事業国費が二百十一億、こういう現在の状態になっておるわけであります。こまかい事業計画書というものはただいま手元にありませんが、これは相当膨大なものでありますので、大体この程度で御了承をお願いいたしたいと思っております。
  11. 田中一

    田中一君 東京都が入っておりませんけれども、御承知のように、東京都は伊豆七島というのがございます。この伊豆の七島はおおむね火山灰地帯なんです。これは前回のときには考慮されなかったのですが、今回この一部改正の場合、その区域を広げるというようなことは、提案者考えておられなかったのですか。
  12. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) この区域決定については、御承知通り、この臨時措置法におきましては特殊土壌地帯対策審議会がありまして、その審議会によって各地の、全国土壌並びに台風災害等をかね合せまして、この措置法によって対策事業をやるべき地域であるかどうかということを審議決定いたすことになっております。従って、本法が制定されました昭和二十七年度におきましては、現在の関係県十三県ということになっておりますが、これは当初にさようになっておったのでありませんので、その後全国を調査しまして、その実情に応じて審議会によって決定されて、今日の範囲になっておりますから、もしさような所がありますれば、これは審議会によって調査研究をされてその地域指定する、こういうふうな方向になります。従って、この法律によってさような改正をする必要のないことになっておりますから、御了承願います。
  13. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 私ちょっとお聞きしたいのですが、審議会メンバーはどういう方ですか。
  14. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) そのメンバーは、経済企画庁開発部長が来ておりますから、そちらの方から御説明いたします。
  15. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) お手元にございます「特殊土じよう地帯の概要」という緑の表紙の十四ページにございます。各省自治庁、農林省、建設省のそれぞれ次官と、知事の代表議長代表学識経験者及び農業団体代表からなっております。
  16. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 重ねてお伺いいたしますが、先ほど田中委員質問で、東京都の七島は火山灰地帯云々ということをおっしゃいました。従って、「花樹岩風化上等」の、この「等」の中には、火山灰も含むのでありましょうか。いかがでございましょうか。
  17. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) もちろん含むものと考えております。
  18. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) この法案を以前に審議した場合に、私はそのことを申しました。それならば富山県のごときは大きな火山崩壊地がある、これをどうなさるか。当然それも考えるという御答弁が、その当時ありました。しかしこの殊特上じよう対策促進協議会の中に富山県が入っていません。また花崗岩地帯のことをいうなら、三重県、滋賀県、京都府、香川、こういうものも一向入っていませんが、それはどういうわけですか。
  19. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) この問題は、先ほども御説明を申し上げましたように、審議会によって調査研究をされて、この法律の適用を受くべきかどうかということが決定されることになっておりますので、その際本法の第二条に、なるほどそういう火山灰その他のいわゆる特殊土壌地ということと、それからしばしば台風来襲を受け、かつ雨量がきわめて多い、そういう関係で、この三つ条件によって非常に災雲が多い、あるいは農業生産力が非常に低下しておる、こういう条件を勘案されて決定されるようになっておりますので、その点は私から、そこがなぜ決定されておらないかということは申し上げかねるのでありますが、そういう要件が備わるということを審議会によって審議決定されると、この地域指定があると、かように考えておる次第であります。
  20. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) なお、その点、詳しく伺います。企画庁の方にお伺いしたいのですが、審議会で、なぜこういう重要な三重、滋賀京都等をお抜きになっておるかということ。
  21. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 特殊土壌地帯としての指定要件といたしまして、三つ要件があるわけでございます。この法文の第二条に書いておる通りでありまして、しばしば台風来襲を受けるということが一つございます。次に、雨量がきわめて多いということが一つの条件、それから法文に書いてございますように、かつ特殊土壌におおわれておって、特に侵食を受けやすい性状の土壌である、こういう要件がございまして、その結果、地形上年々災害が生ずる、また特殊土壌でおおわれているために農業生産力が著しく劣っている、こういう要件のそろった所を指定いたすことに相なっておるわけでございます。  ただいまお話のありました県につきましては、企画庁にもただいままでそういった申し出もなかったかと承知いたしておりますが、実情を調査いたしまして、この法律要件に該当します場合においては、審議会の御意見を承わりまして、善処いたしたいと考えております。
  22. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 今御答弁の中に、台風がしばしば来ると、かようにおっしゃいましたが、台風度数台風の強度と、これはどういうふうにお考えになっているのですか。
  23. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 法文に「しばしば台風来襲を受け、」と書いてありますから、これは度数ということが中心に法文はできておるものと解釈いたしております。
  24. 北勝太郎

    北勝太郎君 北海道の非常に多い火山灰地泥炭地等が除かれているのは、どういうわけでしょうか。
  25. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 北海道お話が出ましたが、この法律最初に立案、制定いたしますときにも、北海道は、御承知のように、ほとんど火山灰地帯が多いのであります。火山灰地帯が多いのでありますが、従って問題になりましたけれども、しかし北海道においてはちょうどこの法律を制定する前に北海道開発法ができまして、北海道特殊地帯として、こういう要点のみならず、北海道全体の開発計画を立てなければならぬ、こういう特別な法律ができておりましたので、その部分はこれから除くと、こういう考え方できておるのでございます。
  26. 近藤信一

    近藤信一君 これは五カ年間の時限立法として、三十一年度最終年度としてこれを制定されたのですが、ところが、この報告を見ますると、事業進捗状況関係県では五分の一、それから内閣総理大臣決定した事業計画については三分の一、こういう三分の一、五分の一というようなわずかの事業しかできなかったが、これに対するおもなる原因は一体どこにあるのですか。
  27. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) これはまあ仰せの通りでありまして、法律によって内閣計画を立て、それを決定して、計画通りにできないということは、これはきわめて私どもとして承残念であります。その原因がどこにあるかということになりますれば、これはもっぱら財政上の問題であります。財政がその計画に応ずるだけの支出をすることができないということが、私、原因になっておる、かように考えておる次第であります。
  28. 近藤信一

    近藤信一君 さらに五カ年間これを延長して、先ほど何億とかという話でしたね。この五カ年間延長して、この五カ年間で残事業全部完成するお見込みですか。
  29. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 当初に提案理由の御説明で申し上げましたように、できるだけ努力をして、これは財政の問題は、御承知のように、政府努力でありますが、努力を要請して、あとの五カ年では最初計画は完成さしたい、こういう考えを持っております。しかしながら、最初の五カ年計画以外にこれはだんだん、先ほどお話がありました通りに、相当な地域も、まだこの法律によって対策実施しなければならない地点もあろうと思います。また現在指摘されております区域においても、新たに次々に崩壊をすることもありますから、当初の五カ年計画以上にさらに計画を立てなくちゃならないという部面が実際問題としてあるわけでありますから、今度の五カ年で必ずこれは計画通り完成するかどうかということは、正直のところ、今の日本の財政状態では確信は持てないというのが、私は正直なところであろうと思います。
  30. 近藤信一

    近藤信一君 そうすると、今後五カ年間でこの事実が、見通しが何とかやりたいという見通しですけれども、できなかった場合に、さらにこの法律延長するというような御用意ですか。
  31. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) ただいま五カ年の延長をかりに提案いたしておるわけでありますから、今さらに次の五カ年を考えるということは考えておりません。しかしながら実際その場になりまして、やはりそういう事業をした方が民生の安定、生産向上になるという結論が出れば、さらに国会に御審議を願う場合もあるかもしれませんが、現在それを予定しておるということはないということに御了解を願いたいと思います。
  32. 近藤信一

    近藤信一君 先ほどから他の委員諸君質問しておりますように、ここにあがっておる対策協議会府県、これ以外にさらに要望があった場合に、それらの府県に対して何らかの対策があるのですか。
  33. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 現在は、ここにあがっておりますように、十三の府県関係県となっておりますが、当初はそういうようなところでなくて、これは実情を調べて、この法律によっていかなる予算措置をしあるいは対策をしなければならないというのが、だんだん明らかになってきておりますから、その点は、そういう実情がありますれば、先ほど申し上げましたように、審議会決定によって広がってくる可能性がある、かように考えます。
  34. 石井桂

    石井桂君 私は提案者に直接基本的なことをお伺いしたいと思うのですが、この法律目的災害防除農地改良対策なんですが、先ほど田中委員が御質問になった東京都下伊豆七島ですね、これは式根島だとかその他の島は、花桶石という軽石がうんとできる。それから大島なぞ黒砂利ができまして、そこらの島あたり農業がかなりあるが、ほかの方はまあ農業は見るべきものはない。で、むしろそういう石材を適当に使った方がその土地振興に審与するところが非常に多いという場合には、何かこの法律目的からいうと、農業生産力向上災害防除ですから、入らない。ところが、その土地としてはそういう方面開発すれば、国のために非常になる。これからまあ都市の不燃化というような問題が、提案者はこれは御関心のある問題なんですが、その土地のそばに非常に安い適当な材料がうんと生産できる、そういう場合には、そこを農地にしたりなんかするよりも、それを発掘して送った方が非常に安く国の目的に助けになるという場合には、この法律の題名から見ると、振興臨時措置法目的に沿うように思うのだけれども、第一条の目的を見ると、それは含まれないように思うのです。それが含まれているかどうかということを、まず提案者にお聞きしたいと思います。
  35. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 今お話しのような場合は、この法律目的とは多少違う。従って、それ自体はこの法律によって対策を講ずることでないというふうに考えております。
  36. 石井桂

    石井桂君 それならば、将来はそういう目的を含めるような改正を提案する御意思がありますか、どうですか。
  37. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) この法律の制定されたゆえんは、まあ石井委員も御存じだと思うのでありますが、大体こういう、ここに書いてありますような火山灰あるいは花崗岩風化土と、土壌が非常に脆弱な所で、しかも一面においては、土壌の性質が悪くて生産性が非常に低い、また非常に脆弱な土壌のために災害が多い、こういう所に対しては一般の現行の諸法律による対策では間に合わない、こういうことから特別な方法を研究してもらって、各種計画を立てております。また各種事業をしておりますので、だいぶん目的は違いますので、そういう部面もこれに入らせるという考えは現在持っておりません。
  38. 田中一

    田中一君 二十七年九月十九日に特殊土じよう地帯対策審議会決定された要望事項ですね、これに対して政府はどのような措置をとったか、伺いたい。
  39. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 十五ページに出てございますこの財政措置要望でございますが、政府関係方面に交渉いたしましたけれども、これは実現することができませんで、まことに遺憾に思っております。
  40. 田中一

    田中一君 専門委員はどういう人を集めているか、それをお示し願いたい。
  41. 奥田亨

    説明員奥田亨君) 専門部会といたしましては、部会二つございまして、農業関係振興考え部会保全関係部会二つができておりますが、部会委員といたしましては各省課長の方で、それに審議会委員の方が部会長という格好でなっておられるのであります。
  42. 田中一

    田中一君 どういう顔ぶれの人が専門委員に出ておりますか。
  43. 奥田亨

    説明員奥田亨君) 資料を持って参りませんでしたので、あとから御説明いたしたいと思いますが、この部会ができまして、開く前に審議会の方からの要望がありまして、審議会を開く前に部会を開くと審議会が浮き上る可能性がある、審議会へ直接出してもらいたいという御要望があったのであります。従いまして、部会を開くということをしりませんで、いきなり審議会へかけるという格好で御検討をいただいて参っておるのであります。
  44. 田中一

    田中一君 この法律にある専門委員ですが、今全然いないのですか。
  45. 奥田亨

    説明員奥田亨君) 現在形の上ではありますが、先ほど申し上げましたように、審議会の方からの御要望がありました関係で、開かないで、そのままになっておるというのが実情であります。
  46. 田中一

    田中一君 専門委員制があるけれども、専門委員は任命していないというのですか。
  47. 奥田亨

    説明員奥田亨君) 任命してはございます。
  48. 田中一

    田中一君 任命しているなら、幾らの手当を出しているのですか。
  49. 奥田亨

    説明員奥田亨君) 専門委員会が開かれますと、民間の方に対しましては旅費日当というのが出るのでありますが、先ほど言いましたように、開催いたしておりませんので、手当は出しておりません。
  50. 田中一

    田中一君 企画庁では、その予算はどこへ流用しているのですか。むろん予算計上してあると思うのですが……。
  51. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 委員専門委員も、予算計上におきましては、一緒にこめてやっております。その意味におきまして、専門委員会が開かれないからといって、その予算を他に流用するというのではなくて、一括計上ということになっております。
  52. 田中一

    田中一君 予算計上要素としては、専門委員というものが何十人か知らないが、人数が書いてない……。五十人でも百人でも置けるのですか。五十人置くか百人置くかとすれば、一応予算計上要素になっておるのですが、その金はどこに使っているのですか。
  53. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 予算計上におきましては、委員は、先ほど申しましたように、遠くからおいでになります方には旅費が要りますが、委員は大体東京在住の方でございますので、予算の積算の場合におきましては、委員会だけを考えまして、専門委員の方は積算いたしておりません。
  54. 田中一

    田中一君 では、ここに専門委員を置くことができることになっておるけれども、専門委員は置いていないというのですか。ところが、今専門委員は名目上置いてあるということになっている。そんなものは必要ないじゃないですか。
  55. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 審議会令という政令の性格からいいまして、専門委員の必要がある場合も生じるかと思いまして、専門委員を任命いたしておりますが、先ほど説明員から申しましたように、専門委員審議を願うことなく、しかも本審議会の方では直接本審議会に話を持ってきてもらった方がよいという御意見でございますので、事実上開かない、こういうわけでございます。
  56. 田中一

    田中一君 瀬戸山さんに伺いますが、これはそうすると、今ここにきめられている審議会方々、何名ですか、十九名の審議会委員方々でもって、ほかには一歩も出ないというのですね。これはむろん専門委員というものは文字通り専門委員であって、これはもう知識やなんか全国的に詳しいと思う。そういうものは名目的に置いてあるけれども、開いたことがないというなら、おかしなものなんです。そうしてまた先ほどから言っている通り北海道にしても、北海道開発ということをおっしゃるが、また伊豆大島といえば離島振興というかもしれないけれども、全国的に雨量がどのくらいあるかというような、三つのケースの検討というものは、どこかしているのですか。
  57. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) ただいま、そういうことはどこかしているかというお尋ねでありますが、それは先ほど来たびたびお話し申し上げているように、審議会によってやっているのであります。その審議会内部運営については、これは提案者としてはただいまどういうふうに運営しているかということについてはお答えできないのでありますから、これは担当いたしております経済企画庁政府委員からお答えいたします。
  58. 田中一

    田中一君 ここに、一番おしまいの五十ページにあるのですね、特殊土じよう地帯対策審議会、これをずっと見ておりますと、やはり最初指定された府県だけしか考えられていないというのですね。というところから見ると、これはもうこの法律を作るときに再三申し上げたように、特定なこの土地だけの立法だということを再々言っている。ところが、提案者瀬戸山君は、この法律を作るときには、そういうことはないのだ、全国的に及ぼす、全国のどこでもいいということで逃げておったが、でき上ってから今日まで、その地域のみに限定されている。しかしながら、もし当時の提案軒がそういう御意思があるなら、これは専門委員なら専門委員を活動さしてやる。審議会委員の諸君は自分の区域しか知らないはずですよ。また厳重に三つの原則、どれに当てはまらなければ対象にならないということを植田君もおっしゃっているが、専門委員にやらせて、全国にこれに該当するような土地があるかないかということを検討したことは、審議会にはない。開会の内容を見ると……。こういうことがあるのではないかというようなことを調査したことが、一ペんもないのです、これを見ると。専門委員を使ってそういうことを調査されたということもないのです。ことに報告されておりますものでは……。結局その範囲だけのものにとどまっている。上手に口をきいて、そういうものがあれば、申し出があればやってみますと言っているけれども、やはり第一回に指定された府県だけのものになっている。そうであってはならないということを再三言っているのですよ、この法律を作るときに。その点はどういうことになっておるか。かつまた当時の提案者で今度の改正案提案者瀬戸山君は、どういうふうに思っておりますか。あなたの発言というものによって今後の審議会を運営していかなければならない。
  59. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) これはたびたび申し上げておりますように、法律の趣旨といたしましては、最初から限定いたしているものじゃないのであります。先ほど申し上げましたように、審議会によって審議して、そうしてこの法律の適用を順次指定していく、こういうことになっているのであります。この資料にもありますように、十九ページの特殊土じよう指定地帯一覧表がありますが、これも今までの審議会決定を見ますと、ここに書いてありますように、三岡追加をいたしております。こういうようなことで、順次検討して、なるほどこの法律の趣旨によって事業をなすべきである、こういう地域がきまりますれば、当然にこれにこの法律の適用を受けるのであります。あらかじめ予定した所だけということでは全然ないのであります。
  60. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 私お尋ねしたいのですが、先ほど台風の頻度とおっしゃいましたが、台風が何回ほど来たら、台風の観点からこの特殊土壌地帯地域に入るのですか。
  61. 奥田亨

    説明員奥田亨君) お配りいたしておりまする資料最初のところをごらんいただきたいと思います。青い表紙の第三図、これは中央気象台で明治以来の台風来襲の頻度と強度とを組み合せたものであります。これをごらんいただいてますとおわかりいただけますように、まあ八百というのが大体平均値といたしますと、西日本の方が台風という条件では平均以上であるということになって参るのであります。先ほど部長からも御説明いたしましたように、台風の頻度と雨量土壌の分布、それから災害の程度、こういうような条件を巻末の方に書いてありますような方法検討いたしまして、全国的に検討いたしましてとったのが現在の地域ということになっておるのであります。
  62. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 台風の頻度と台風の強度に対しては、どういう考えをお持ちになっているのですか。
  63. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 法文には「しばしば」と書いてございますので、頻度というふうに解釈しております。
  64. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 私のお伺いしているのは、強度に対しては法文を場合によっては修正、訂正してもよいのですか、お考えになっているのですか。
  65. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) このしばしば台風来襲する、この問題は最初に立案するときも非常に問題になったのでございます。これは赤木委員長、専門家であるからよくおわかりの通りに、台風何回ということは、これはなかなかきめるということは実際問題として非常に困難であります。同時に、強度の問題でお話しがありましたが、台風の強度、台風の強さあるいは風速というのかもしれませんが、そればかりでも、必ずしも災害とは……。なかなか困難である。そういうことから、まあ台風の回数というようなことを中心にしてこの法律の制定を、立案をしたということであります。
  66. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 一つの具体的な例を申しますと、この第一図「特殊土じよう指定地帯」、一図、これをごらん下さいますとよくわかりますが、この中に岡山県が入っております。岡山県の中に、海岸地帯はこの該当地域に入っております。ところが、むろんこの地域花崗岩地帯でありまして、しかし岡山県の災害の頻出する場所は、むしろ鳥取県等の山地の方面に多いのです。災害の観点からいうならば、むしろ徳島、岡山県の山地の方にこの仕事をすべきなんであります。しかしこれが指定地に入っていない。そのために、仕事をしようと思っても仕事ができない。非常に困っている例がたびたびあったのです。そういう県はほかにもあります。  それからなお、先ほど田中委員からも御質問がありましたが、この審議会メンバーを選ぶ場合に、都道府県知事二人、都道府県議会議長二人、市町村長二人、市町村議会議長二人、この八人を選ぶ場合に、先ほどお話しした通りに、火山灰地帯もこれに入るものだということならば、北海道もあり、あるいは東北地帯もある。従って、この八人の人々があるいは北海道から一人、あるいは東北から一人、あるいは長野県方面から一人、こういうふうに、全国に分散してこの八人をお選びになるべきである。これを強く言いまして、さようにするということを御答弁になったのであります。これは内閣総理大臣が任命するのでありますから、実際任命する場合には、その当時の速記録にあることとは全然反対の方ばかり任命されて、従って今申すように、また先ほど問題のあるように、特殊土壌地帯がほとんど一定の区域に限定して、あるいは愛知県のごときも、富山県のごときも、三重県のごときも、滋賀県のごときも、京都のごときも、香川県のごときもこれに該当しない。つまり各省の次官というのは実際あまりこういうのに熱心ではなかったのです、今までの審議の状況を見ますと。多くは地元の人あるいは各府県の人が審議メンバーになって、やかましく言った。そういう観点で、非常にこの法案に対して実際施行する上において欠陥があるように思うのです。そういう観点がありますので、先ほど田中委員の御質問等にちょっと関連していますが、これはかように一定の地域に限りますと、非常に立法の精神に一部偏しておるようにも考えますが、これはどうなさるお考えですかね。実際理事といいますか、委員を任命なさる場合に……。
  67. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) これは非常に形式論になりますけれども、審議会委員内閣総理大臣が任命することになっておりますので、私どもとしてこれをとやかく言う筋合ではございません。まあしかしながら、現在までのこの審議会委員の顔ぶれを見ますと、今おっしゃる通りになっております。というのは、それほどこういう機構が、この法律目的としておるような事態が非常に大きい、多くの実例がある、こういうことから、関心が深くてそういうところに選任されておる、こういうふうに私は解釈しておりますが、審議会の活動としては、これは政府がもし怠慢であればこれは大いに鞭撻をしなければならないと思っておりますが、審議会の構成として、またその審議会目的としては、先ほど専門委員の問題が出ましたが、大いに専門家を活用して、この法律で適用すべき地域にあるかどうかということはこれは積極的に調査をしてもらわなければならぬ、そういうふうに考えておる次第でございます。
  68. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) もう一つ、政府の方にお伺いいたしますが、この予算はどういうふうの部面計上されていますか。
  69. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) この法律成立以来三十年度予算までにおきましては、これは予算はすべて各省につくわけでございまして、企画庁にまとめて作るという制度はございません。その点は三十一年度におきましても同様でございます。ただ三十年度におきましては、各省予算の河川事業費及び砂跡事業費でございますと、この予算の中に特殊土壌地帯の分が幾ら含まれておるという別計をいたしておったのでございます。それを三十一年度におきましては、予算の項目は立てませんでしたけれども、事項は立てまして、そうして特殊土壌地帯実施する事業の砂防なら砂防の分につきましては、特殊土壌地帯にこれだけの砂防事業をやるというふうに事項を立てて、掲記いたすようにいたしております。これは三十年度といたしますと、一つの進歩であろうと考えております。  ただいま三十一年度予算におきまして、特殊土壌地帯のために事項を立てました金額が約十一億ございます。そのほかに、この地帯には河川事業もございますし、道路事業もございますし、それらが特殊土壌地帯として指定されたものであります場合においては、これは特殊土壌地帯のこの法律の対象の事業でございますので、こういったものが各省予算の執行につれてはっきりわかって参りますので、現在のところ、合計いたしまして四十五億になるものと推定いたしておるわけでございます。
  70. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) この昭和三十一年度以降が三百九十八億の事業を残されているのでありますが、今おっしゃいますと、各省におきましても河川にしても、砂防にしても、治山事業にしても、やはり一定の計画をもって仕事をしています。その仕事をしておる計画は、特にその一部の金を特殊土壌のこの法律に関連して持っていくために、今までの計画はそごしてしまう。そういうことに対しては企画庁はどういうお考えなんです。
  71. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) この計画を立てる場合に、そういうそごを来たしませんように、初め幹事会を開きまして、各省の担当官とよく打ち合せをいたしまして、そしてそれに基いて審議会決定を経ておるわけでございます。従いまして、先ほどお話のございましたように、県から出しました計画よりも政府決定しました計画の方が下回っておるというのも、やはりそういった考慮から、いろいろ県の言う通りにはやはり政府としても計画決定できないものでございますから、切り込んでおるわけでございます。それから毎年度予算の要求にいたしましても、特殊土壌地帯の仕事それ自体の要求は、これは各省がやはりいたすわけでございます。企画庁の方から直接大蔵省に要求しておるわけではございません。各省が従来は砂防とか河川等一本の事業でございましたものを、三十一年度におきましては大蔵省と話し合いいたします場合に、特殊土壌地帯の分は幾ら幾らと要求いたしまして、それに対しまして大蔵省が査定をいたしましたもので決定しておるわけでございますから、各省事業計画と全体の事業計画と合わないものでございますれば、各省承知するわけはございませんので、本年のように、事項を別記いたしたものといたしましても、各省の全体計画の進捗にはそごいたさないものと心得ております。
  72. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 審議会がだんだん変りまして、メンバーも変りまして、先ほど質問の三重県とか愛知県とか滋賀県、京都、そういうふうな地域もこの地域に入るかもしれませんが、そういたしますと、どの耳におきましても、河川でも砂防でも、あるいは治山でも、一定の計画はあるのでございますね。今までの結果を見ますと、このためにずいぶん一定の計画を御破算にされている場合があるのです。たとえて申しますと、岡山県のごときそういうふうなのでありますが、岡山県の山奥の方に徹底的に砂防事業をやらなければいけない。ところが、特殊土壌関係からして、海岸地帯に大部分の予算を持ってこられるというふうな観点で、山の方の実際仕事の必要な所はできなかったのです。こういうことで、ずいぶん各県にとって非常に迷惑しておるのですね。これはその点の観点を、同じ国でする仕事でありますからして、また要するに国土のため、災害を防ぐためでありますから、特にそういう強圧を加えて一定の計画をそごしないようにお考えに願いたいのですが、これは企画庁、どうでしょうか。
  73. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) こういう法律がございますれば、これによりました計画は、府県のこの法律の担当の方としては、この計画通りぜひやってくれというような要望も出て参るわけでございます。また一方、それぞれの事業の方におきましてはまた一定の計画がございますので、その間の調整ということは当然とらなければならないと思うのでございます。それからまたこの六百億の計画があるのだから、これを五カ年計画でやるのに、その三分の一しか実行できなかったのはおかしいじゃないかという非難も私ども受けるわけでございまして、この法律を所管いたしております者からいたしますれば、できるだけこの六百億の計画が、目標とされました五年間に達成するように努力する責任もあるわけでございますが、一方関係各省の仕事に支障を来たすような無理はできないわけでございます。私ども企画庁といたしましては、各省に圧力をかけない方法で、円満に話し合う方法でやっておるわけでございます。先ほど赤木先生お話しになりましたような事情がございましたといたしますれば、私どもの力の至らないところでございますので、周知いたすことはやぶさかではございません。
  74. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 十分その点、円満に解決を願います。
  75. 田中一

    田中一君 災害復旧費ですね、災害費との関係はどうなっているのです。やはり本来の特殊土壌事業をやっていくようにしているのですか。改良という面にも、どのくらい投入されています。この計画されたもの以外に……。
  76. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 災害復旧費はこの計画とは別になっております。ただいまこの関係の県に災害復旧費がどの程度出されているかということは、ちょっと資料を持ち合せておりません。
  77. 田中一

    田中一君 ですからね、これはもう提案者や十二府県は、災害があった方がいいんです。あれば一挙に解決されるから……。その場合に、特殊土壌事業費として投入されるもののほかに、災害復旧としてのものがあるはずなんですよ。たとえば宮崎県にしても、災害があって、その土地がこわれた方が、災害費でもってプラス・アルファになる。結局、こわれればこわれるだけ、災害復旧費でもって整備していくという考え方をするわけですけれども、というのは、特殊土壌法案によるところの整備は行われないということになっているのですけれども、そういう点はどうなっているかということを伺っているのです。
  78. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) どうも、田中委員お話でありますが、これは先ほど開発部長が御説明申し上げましたように、災害は全然別途な考えでやっているのです。従って、御承知のように、災害関係は、別の法律によって計算をいたしましただけの災害復旧をやっているのです。この法律のねらいとするところは、もちろん非常に災害が多いのでありますが、従って、災害を予防するところにこの法律目的がありますので、全然災害との、何と申しますか、資金の使途というものは別個に考えております。もちろんこれは非常に効果を現わしております。崩壊する土地でありますから、農地保全の場合に、災害が始終起っております。従って、災害復旧ということにもなるわけでありますが、災害復旧より以上と申しますか、改良の部面が相当に大きいのであります。従って、そういうときには、災害であるのか、あるいは農地保全予算であるのかということを、関係機関がよく協議いたしまして、災害である場合と、災害以外のこの特殊土壌法律に基く資金で改良をやる、こういうふうに全然区別をして、現任やっておるのであります。
  79. 田中一

    田中一君 そうだと思うんですよ。しかしながらね、まあ宮崎県の場合を見ても、昨年は幸い災害はなかったけれども、一昨年あったという場合、今までの計画の約六百億というものから見て、三十年度までに二百億も実績があった。残っているのは三百九十八億だとおっしゃっているけれども、二十八年、二十九年にこの災害があれば、やはり六百億の事業費区域の中の、計画された中の災害が起る場合があるのですね。そういう場合に、それは災害復旧費でもって原形復旧するわけじゃないと思うのです。あなたが写真で示されているようなものは、これは原形復旧するのじゃなくて、改良という形でもって効果が現われているのです。災害復旧費で、そういうものはプラス・アルファにならなければならないと思うのですよ。六百億を、いいですか、六百億の予定計画のうち、二百億はできた。しかしながら、これは今言う通りに、この予算でもってやってあるのであって、そこに災害があった場合、まさかそれを、シラス地帯のシラスが流れたにもかかわらず、盛り土をするわけじゃないのでしょうから、そこにやはり効果としては、この法律によってなされる結果と同じようなことに、災害復旧するのじゃないかというのですよ。そうする場合には、やはり実績というものは、この計画によってなされた実績と、災害復旧によるところの実績というものはプラスされなければならぬと思うのです。その点はどうかと聞いているのです。
  80. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) プラスにならないとは申し上げません。プラスにならないとは申し上げませんが、全然それがプラスになるとは考えておらないのであります。実際の事業を見ておりまして、ある程度重複しているというか、プラスになる面がありますが、御承知のように、こういう特殊な、この資料に出ておりますような地帯は、これは日々夜々崩壊しているのであります、実際は。でありますから、それが台風あるいは水害のときに災害をこうむりますが、普通の災害復旧のやり方では全然といっていいくらい効果がない。従って、こういう所には特別な工法を、専門家が長い間研究された特殊な工法をもって実際やっているのです。実は写真に現われておりまするようなことは、今日までのこの法律を制定いたします前に、もちろん崩壊個所は災害復旧をやっておるのです。やっておりますが、それは田中委員も御承知通り、現在の災害復旧は、改良を考えないわけではありませんけれども、原形ということを中心にして考えております。これはもうああいう地帯には効果がないというくらい、災害を繰り返すというような事態が繰り返されておるのです。ですから、この法律に基いてやる場合には、そういうことのないように——これは今日までの経過がそうずっとなっておりますが、相当金のかかる工事をやる、こういうことをやっております。ある程度は災害復旧といいますか、災害を防ぐ工事にもなりますから、プラスになりますが、全然それが災害復旧とこの改良とが完全に合計されたということには私はならないと、こう考えます。
  81. 田中一

    田中一君 これはおかしいですよ、それは。それじゃこの特殊土壌地帯におけるところの災害というものは、災害費で復旧はしないという前提ですか。この十三府県というものはですよ、特殊土壌に関しては、災害を受けた場合、これに対しては災害費を要求する基礎に入れてないという前提なら、あれでありますよ、それじゃ。
  82. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) そういうことは全然ないのでありますが、実は先ほど経済企画庁から御説明申し上げましたように、たとえば予算が今日までにおいて二百億という計算になっております。たとえば河川改修も一応入っておりますが、河川の災害復旧と河川改修、こういうものが全部入っておりますが、これは特殊土壌地帯なるがゆえに特別にプラスの仕事を私はあまりやっておらない、正直のところ。これに計算されております金額は、私どもの立法の趣旨からいうと、先ほど赤木先生もおっしゃいましたが、本来ならば一般的にやる工事の上に全然プラスの工事をしなければ、その地帯のいわゆる災害防除、それから振興にはならないという考え方をもって、法律を制定したつもりでありますけれども、しかしながら国の財政上、そういうことになっております。計算上はこういうふうな多額の金額になっておりますが、これはこの法律ができなくても一般的にやる工事の、その地帯の工事であるから、その事業費がこの計算の中に入っておる、こういうふうになっておるのです。ですから、河川の問題なんかでは、災害があれば、もちろん災害復旧費によってやらなければならぬ。特殊な、特異な性質が出ておりますのは、これは砂防と農地保全、これは具体的に申し上げますと、砂防と農地保全がこの法律の特別なプラスになっておる、こういうことが実情なんです。ですから、今おっしゃったように、災害復旧費は全然それではやらないのかと、こういうことには私どもは考えておりません。
  83. 田中一

    田中一君 どうも今あなたの、詳しいか知らぬけれども、防災課長に聞いてみましょう。私はこう考えるのですよ、しばしば台風に見舞われるという所が指摘されるならば、シラス地帯にも必ずこの台風災害を受けるのです。受けた場合ですよ、予算の立て方は、災害復旧の立て方もあれば改良の立て方もある。そこで当然、金さえあれば何年かにこの地域土地改良、特殊土壌の改良をしなければならぬと予定されている所に、災害があった場合には、災害復旧費は原形復旧の原則だといっても、何も流れていってしまったシラスをまた運んできて積み重ねるという愚はしないと思うのです。従って、今度は改良という部分に現われてくるのではないかというのですよ。その場合に、シラス地帯における、特殊土壌地帯における災害というものは全然見ないのだということなら、別ですけれども、少くとも大したプラスにならぬということではなくて、その部分を、やはり改良費を多少でも入れてですね、今この法律目的とするところの特殊土壌地帯の改良というものは災害費を含めた資金でもって、事業費でもって行われるのではないかということを聞いているのですよ、私の言っているのは。これはあなたおわかりにならぬと思いますから、今防災課長が来たら一ぺん聞いてみますが、私はその方が望ましいと思うのですよ、当然。  その場合にどういうことになっているか。今までこの法律ができて以来というものは、二百億というものができたと言っておるが、それは多少とも災害費というものが入ってくるならば、プラス・アルファになるのじゃないかと思うことが一つと、ここに言っておるのは、全部災害切除とか改良費は出ておるのですよ。災害復旧費は出ていないですよ。実際出ているものなら、やはりこの年度の二百億にすぎませんけれども、これがこの二百億の中にはそういうものが全然入らない、入らないならば……やはりそういう地帯に対する災害復旧費が出ておるものとするならば、三百九十八億という計算が減るのではないかというような見方をしておるのですよ。これは今あなたに聞いても、僕はだまされちゃうから、だめだよ。防災課長に聞いた方がいいというのですよ。
  84. 植田俊雄

    政府委員植田俊雄君) 実は田中先生のおっしゃいますこと、よく私横で聞いておりましてわかっております。災害が、台風がしばしば参りますれば、災害復旧もございますので、この六百億の計画の中に入っておりましたものは、たまたまそれは災害を受けたための災害復旧事業で、改良とまで参りませんでも、ある程度しんぼうできる形でおさまることもあり得るだろうと思います。そういたしますれば、残事業から差し引くべきでございます。厳密に申しまして、残事業がもう少し少いものでございますれば、私ども厳密に申しまして、それを引いて参るべきでございますが、何しろ三十一年度事業予定を入れましても四割ちょっと上回るような計画でございますので、先ほどお話がございましたように、あと五カ年延長して果して全部できるかとおっしゃいましても、確実にできますともお約束できない状態でございますので、実は残事業検討をただいま中先生がおっしゃいましたような線で検討すべきだと存じております。  ただ私ども毎年度各省と打ち合せまして、大蔵省に予算を要求いたします場合に、三十一年度予算はどういうふうに要求しようかと、こういう打ち合せをいたしておるわけでございます。こういう際におきまして、災害復旧で一応解決ついているものは、それは入れないようにいたしております。厳密に申しましたら、お話のありました通り残事業の中にあるいは災害復旧をして解決できたものもあるということを、正直に申し上げていいかと存じます。
  85. 田中一

    田中一君 防災課長、来るのですか。
  86. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 参ります。
  87. 田中一

    田中一君 じゃ、瀬戸山君、今の埴田君の説明通りだと思うのですよ。そうでなければならぬと思うのです。ことにしばしば台風を受けるということが条件になっているのですから、相当災害復旧に大幅に投入されることは間違いないですよ、現実に災害を受けるのですから。そうすると、今の残事業なんというものも、計数が変ってくるのじゃないかと思います。
  88. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) その点は、そうではないと申し上げたのではないのですよ。先ほど申し上げましたように、御調明いたしたように、完全にそれが一プラス一で二になるのではなくて、ある程度そこに重なるところがある、こういうことを申し上げたので、もろん災害復旧をすれば、この計画によって保全事業をしよう、防災をしようという事業災害にかかって、従って災害復旧費の投入によって相当の改良が行われる。それはそれだけのプラスになっておりますから、この方からはマイナスにしなければならない、こういうことはもちろん考えておるのです。しかし一両において、先ほど部長お話しになりましたように、これは崩壊していく方が毎年多いのでありますから、当初に申し上げたように、残事業というものはだんだん広がるというような妙な格好になってしまって、最初計画した計画だけが残っておる、こういうことではないので、五カ年でこれが完成するかと言われると、まだまだそういう新しい所が口々出てくるような状態でありますから、これを五カ年延長してもらって、計数に出ましたように、必ず二百四十五億の産業費でおさまるということは、ちょっと確信がない、こういうように申し上げた。今おっしゃったように、その点はもちろん重なっておって、災害復旧によって改良が加えられた所は、当初の計画からはそれだけはマイナスに、引かなければならないということは、これは間違いありません。
  89. 田中一

    田中一君 それはわかっております。あなたの説明はそれでいいのです。しかし条件台風の頻度がはなはだしいという条件になっておれば、それは相当な災害復旧費が投入されておるはずですよ。それがどのくらいかと聞いておるのであって、これを否定しようなどというようなことはないのだから、瀬戸山君、心配しないでいいですよ。
  90. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  91. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 速記をつけて。
  92. 田中一

    田中一君 今、防災課長を呼んで質問しようと思ったのですが、これは資料として、この特殊土壌に対して、この区域に対しまして、法律制定以来昨年まで、どのくらいな災害復旧費が出ておるのか。その工事の実態というものは、むろん原形復旧でないはずです。従って、特殊土壌地帯の改良工事にどのへんまでの基礎として乗っかっているかという点の資料を出していただきたい。その資料を要求します。
  93. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) それでは、本法案に対して質疑は終局したものと認めまして、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 御異議ないと認めます。  これから討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにして、お述べを願います。
  95. 田中一

    田中一君 本案は、審議の過程においてだいぶ討論的な審議をやっておりますから、討論を省略して、直ちに採決に入ることを希望します。
  96. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 採決に入ることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
  97. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 本案の採決を行います。  特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  98. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 御異議ないと認めます。よって、さように決定いたしました。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     石井  桂  小津久太郎     近藤 信一  入交 太藏     斎藤  昇  西岡  ハル     田中  一  北  勝太郎     —————————————
  100. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) では、引き続き、今お手元にあります東北興業株式会社法の一部を改正する法律案議題に供します。御異議ございませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、この参考資料を今政府から出していますから、これに対する説明を聞きます。
  102. 町田稔

    政府委員(町田稔君) 本日お手元資料を御配付申し上げましたが、前回、これ以外に、東北興業株式会社の概要とそれから従来の実績とを差し上げてございます。それで本日御配付申し上げました資料を御説明いたします前に、前回お配りいたしました資料の方を先に簡単に御説明いたした方がおわかりいいかと思いますので、この前の資料をごく簡単に説明さしていただきたいと思います。  まず最初に東北興業株式会社の概要でございますが、会社の設立はここにございますように、昭和九年に東北地方が受けました大冷害に対しまして、総合振興静岡の推進をいたします中枢機関といたしまして、昭和十一年にこの会社は設立をされましたのでございまして、この会社の設立のために特別な法律ができております。いわゆる特殊会社でございます。会社の目的といたしておりまする事業は、ここに書いてございますように、多極にわたっておりますが、その中でも肥料工業その他の軍気化学工業、水産及び鉱産の資源の開発事業、水面埋め立ての事業等があるわけでございます。その他ここに書いてある通りでございます。  それで現在会社は一億九千五百万円の資本を持っているのでございまして、本法、それから東京事務所、それから直営の工場といたしまして福島と木友の事業場がございます。  直営事業につきてましては、ここの資料にございますように、福島工場におきましてはカーバイド、それから石灰窒素等を作っております。山形県にございます木次鉱業所におきましては石炭の採掘をいたしているのでございまして、この二つが現在直営の事業でございます。投資事業は、会社ができましてから九十社に及んだのでございますが、現在は二十九社でございます。  そこで今回特に法律改正いたしまして、この会社にやらしたいと思います事業は、ここに書いてございますように、新規事業としましてセメント事業計画いたしているのでございます。  それで今回特に法律改正を要します点は、従来から東北興業株式会社は事業をいたします際に社債を発行いたしまして、それによりまして事業費をまかなって参ったのでございます。ただ、その社債の発行は、東北興業株式会社の持っております資本金の五倍を限って発行することができるとなっておりますので、こういうように非常に多くの債券を発行するためには、どうしても政府の保証を必要といたしますので、保証をできるような規定が東北興業株式会社の会社法の中に規定されておるのでございますが、昭和二十一年に法人に対する政府財政援助の制限に関する規定というのができまして、政府は法人等に対しまして社債等の元利についての保証をしてはいけないという法律ができましたので、そのために、せっかく東北興業株式会社にこういう社債等を発行したときに保証を政府ができるような規定がありましたのが、現在は死んだ形になっておるのでございまして、それで今回は特にこの点を改正願いまして、法人に対する政府財政援助の制限に関する法律第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、政府が東北興業債券の元木の償還及び利息の支払いについて保証をすることができるようにいたしたいというので、改正案を提出いたしたような次第でございます。  なお、従来やりました実績等につきましては、特に差し上げてございます資料について御説明申し上げるほどのこともございませんので、特にこの際申し上げますことを省略さしていただきたいと存じます。
  103. 石井桂

    石井桂君 従来やっておることを説明してもらいたいのですが、特に御説明することはないんじゃ、この会社が大した用もないようになってしまうから、どういう仕事をおもに、おもにどういう功績があったかということ……。
  104. 町田稔

    政府委員(町田稔君) それでは、その点を御説明申し上げます。東北興業の既往の事業実績表で御説明申し上げますのが一番おわかりがいいかと思いますので、申し上げます。  これに書いてございますように、会社は直営の仕事と投資の仕事をいたしておるのでございまして、直営の仕事といたしましては、従来二十五種類にわたる仕事をいたして参ったのでございまして、その事業をいたしますために、五億一千九百六十万円に達する資本金の投下をいたしたのでございます。その事業種日別、その県別の事業数等はここに書いてございますが、大体化学工業、機械工業、鉱産業等の種別に分けまして、二十五種類に達しております。この事業は、ロ、の県別事業数及び投下額のところに書いてございますように、東北六県各県にわたっておるのでございまして、大体その分布の状況は、各県に平均的に事業が行われるようにやって参っておるのでございます。この県別事業数のところに「その他」とございますが、これは二県にまたがって事業をやっているものを特に記載いたしたのでございます。こういう直営事業のうち、主要な事業といたしまして、事業実績の次のところに書いてございますように、大貫鉱山及び金製練所、アルコール工場と、ずっと書いてございますが、このうち現在なお実施いたしております事業は、〇のついております木友鉱山、これは先刻ちょっと御説明いたしましたような亜炭採掘をいたしております。現在、別に最近五年度貸借対照表といたしましてきょうお配りいたしました中に書いてございますように、かなりの実績を上げておるのでございます。それから次に福島工場、これは先刻御説明いたしましたように、石灰窒素とカーバイトを実施いたしておるのでございまして、これの実績表も最近五年度貸借対照表の方に書いてございますので、それであとから御説明申し上げたいと思います。それから次に、秋田県の方で土地の造成をやっておりまして、これは現在も造成をいたしました土地がかなりあります。それでこういうような直営事業といたしましては、おもなものを掲げましても、これにたくさんあるのでございますが、そのうちで現在やっておりますのは木友鉱山と福島工場、この二つがございます。それから造成した土地が秋田にある、こういうのが直営事業実情でございます。これは先刻御説明しました通りでございます。  それから次が投資事業でございまして、投資事業は、創立以来投資いたしました会社が九十九ございまして、その投資額は累計一億九千二百万円余に達しておるのでございます。その事業種目及び県別の会社数は次に書いてございますが、これらの会社に投資をいたしまして東北興業株式会社が育てて参ったのでございますが、東北興業株式会社は、会社を育てまして、その会社が一人立ちできるようになりますれば、その会社から年を引きまして、そしてそこの会社に投資いたしておりました金を、また別個な、新たな会社に投資をするというようにいたしてゆきますのがその使命でございます。そこでいい会社ができますというと、今度は別個の新しい会社を興すということになるわけでございまして、だんだんいい会社から自分は離れてゆくという形になります。  それで東北興業株式会社が今までに生みました会社のうちで、特に現在活動をいたしておりますのは、ここに書いてございますように、東北振興電力というのがあります。これは東北電力の前身でございます。現在の東北電力は、東北興業株式会社が育てた会社ということでございます。それから次に東北パルプ、東北肥料、同和鉱業、合同酒精等の会社が、すべて東北興業が投資をいたしまして育ててきた会社でございまして、御承知のように、これらの会社は非常に現在大きな活動をして、東北地方の振興に役立っておるわけでございます。先刻申しましたように、九十九社に及んで投資をいたしておったのでございますが、終戦後、昭和二十一年の八月に会社経理応急措置法に基く特別経理会社に東北興業が指定されまして、そのために投資事業の大整理を行なったのでございます。それで現在においては投資会社数は二十九になりまして、投資額も六千万円に縮小いたしたのでございます。  それで、非常に多くの会社に投資しながら、現在二十九しか事業が残っておらないのはどうしたわけかという御疑問が、常にこの会社に対しまして持たれるのでございますが、今申しましたように、育てた会社は一人立ちができれば離していく。それからことにこの数が少くなった理由としましては、終戦後の特別経理会社に指定されたために、投資会社数を極端に減らしたということに基くわけでございまして、直営の事業におき幸しても、それから投資会社におきましても、非常に東北地方の役に立つような仕事を従来も非常にやってきたということなのでございます。  ところが、終戦後こういうように、投資会社の数もかなり減しましたし、しかも投資先が経済事情の変化によりまして非常に経営が困難になったというような関係で、数年前には東北興業株式会社の経理状況が非常に悪くなったのでございます。そこで直営事業も木友と福島だけに整理をいたしまして、大へん縮小をいたしました。その後関係者の非常な努力によりまして、幸いに直営の事業も大へん現在では堅実に進みつつございます。東北興業株式会社という特殊の会社で、しかも東北地方の振興のためにできておる会社といたしましては、直営が二つであるということはきわめて貧弱な状態でございますけれども、現在この二つの工場は幸いに堅実な経営ができつつあるということを申し上げてよろしいと思うのでございます。  そこで、本日差し上げました最近五年度貸借対照表でございますが、これは会社がこの五年間に投資いたしましたり、それから直営をいたしましたりしました事業の大体の推移が、これによって御判断いただけると思うのでございますが、特にこのうちで、最後から二枚目の直営事業の方につきましてごらんいただきますと、おわかりいただけますように、福島工場におきましては、これはカーバイドと石灰窒素をやっておりますが、この損益計算書の一番最後の欄に当期損益金がずっと書いてございます。それでごらんいただきますとおわかりになりますように、二十五年度、二十六年度におきましては、当期損益金の欄がマイナスで赤字になっております。二十七年度以降、関係者の非常な努力によりまして、幸いに毎年相当の益金を出すようになって参っております。それから次の木友の鉱業所でございますが、この木友の鉱業所も、二十五年度等におきましては非常に、当期損益金の欄にありますように、利益金が少かったのでございますが、大体年とともに利益金の額も多くなってきたという状況でございます。  こういうような実績をおさめて参っておるのでございますが、それにいたしましても、なお利益金総額は、本社の従来の社債等の返還に大部分が充てられてしまいます関係で、実際事業拡張のために使い得る金は、本社といたしましてはごくわずかになってしまう。そこで今回セメント事業を起しまして、その事業を経営することによって東北興業株式会社自体を強めていきたい、株式会社の強化を通してだんだん投資能力等もつけて参りたい、こういうように考えて、特にこのセメント事業計画いたしましたような事情でございます。
  105. 石井桂

    石井桂君 このプリントの中で主要事業概要と書いてあって、木友、福島以外の工場で、たとえば秋田農機工場というようなのは、これは採算が合わなくなって休止しているのですか、とまっているのですか、どっちですか。
  106. 町田稔

    政府委員(町田稔君) 秋田農機工場は、主として満州の開拓向きの農機具を作っておった工場でございまして、現在は閉鎖いたしております。
  107. 石井桂

    石井桂君 そういたしますと、ここに主要事業概要と書いてある欄の中で、まるのついていないものはみんなやめているのですか。
  108. 町田稔

    政府委員(町田稔君) たとえば大貫鉱山は金鉱整備でやめております。それからアルコール工場は独立いたしまして、先刻申し上げました合同酒精になっております。これが合同酒精の前身でございます。それから漁船貸付事業は、貸付をいたしました漁船が大部分戦時中沈没いたしまして、現在新たな貸付事業はいたしておりません。それから木友鉱山は直営をいたしております。下北鉱山というのは、これは石炭採掘を戦時中まあ強制的にやらされておったんですが、現在では採算が取れなくなりまして、統制撤廃とともに閉鎖をいたしました。それから松川鉱山は、金銀の採掘製錬をいたしておったんでありますが、金鉱整備によりまして、これも閉鎖をいたしております。それから福島工場は現在直営をいたしております。滝ノ沢鉱山は、軍の要請によりまして銅の採掘をいたしたんでございますが、経営が不振になりまして、これは閉鎖をいたしました。それから造成土地、秋田県の分は現在ございます。それから花崎鉱山は、二十四年の大水害で被災をいたしまして、現在復旧いたしておりません。
  109. 石井桂

    石井桂君 これは休止ですか。
  110. 町田稔

    政府委員(町田稔君) さようでございます。そういう状況でございます。
  111. 石井桂

    石井桂君 もう一つ、投資事業のうちの九十九事業のうち今二十九になった、で、まあこれは算術計算でやると、七十が減ったわけですが、そのうちで一本立ちになって離れていって活動しているのは、幾つぐらいあるんですか。
  112. 町田稔

    政府委員(町田稔君) 今その関係資料を作っておりますので、次のときにお手元に差し上げたいと思います。
  113. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次回は十三日(火曜日)の十時といたしまして、その際に今問題になっています東北興業株式会社法の一部を改正する法律案と、住宅金融公庫法の一部を改正する法律案、この二案を審議することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) それではさよう取り計らいまして、本日は、これをもって閉会いたします。    午後零時三十六分散会      —————・—————