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政府委員(
富樫凱一君) お手元に差し上げてございます資料の中に、
日本道路公団法案要綱というのがございます。これを読んで参ります。
日本道路公団法案要綱
(この法律の目的)
第一
日本道路公団は、
有料道路の管理を綜合的かつ効率的に行うこと等によって
道路の整備を促進し、円滑な交通に寄与することを目的とする。
(
法人格)
第二
日本道路公団(以下「公団」という。)は、法人とする。
日本道路公団は
日本道路公団法に基く
特殊法人でございます。常
造物法人とも言えるわけでございますが、また
道路管理者の権限の一部を行うという点からいいますと、広い意味においての
行政機関というふうに考えられるのでございます。
(
資本金)
第三公団の資金は、
公団成立の際、公団が引き継いだ
特定道路整備事業特別会計の資産の価額から負債の金額を差し引いた金額とする。
これは資産の
評価いかんで多少の変動があろうと思いますが、ただいまのところでは、十億三千六百万円が
資本金であるということにされております。
(役員)
第四(1)公団に役員として総裁一人、副総裁一人、理事五人以内及び監事二人以内を置くものとする。
(2) 役員のうち総裁及び監事は
建設大臣が任命するものとし、副総裁及び理事は総裁が
建設大臣の認可を受けて任命するものとする。
(職員の任命)
第五 公団の職員は総裁が任命するものとする。
(役員及び職員の公務員たる性質)
第六 役員及び職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなすものとする。
これは公団の事業が
公共性を持っておりまするので、
公文書偽造、
公印偽造、涜職、
公務執行妨害等の犯罪の対象になるということをいっておるものでございます。
(業務の範囲)
第七 公団は、第一の目的を達成するため、次の業務を行うものとする。
一
有料道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理を行うこと。
二 前号の
道路の
災害復旧工事を行うこと。
三
有料自動車駐車場の建設及び管理を行うこと。
四 前三号に附持する業務を行うこと。
五 前三号に掲げる業務の遂行に支障のない範囲内で、国又は
地方公共団体の委託により、
道路の新設及び改築並びに通路に関する調査、側壁、設計、試験及び研究を行うこと。
これは公団が国または
地方公共団体の委託を受けられるようにしておることでございますが、また一方、
建設省設置法を改正いたしまして、公団の業務を地建に委託できるようにいたしております。
(
業務方法君)
第八 公団は、
業務開始の際、
業務方法書を作成し、
建設大臣の認可を受けなければならないものとし、これを変更しようとするときも同様とする。
(
事業年度)
第九 公団の
弔業年度は、毎年四月一日に始まり翌年三月三十一日に終るものとする。
(
予算等の認可)
第十 公団は、毎
事業年度、予算、
事業計画及び
資金計画を作成し、
事業年度開始前に
建設大臣の認可を受けなければならないものとする。
(決算)
第十一 公団は、毎
事業年度の決算をその翌年度の七月三十一日までに完結しなければならないものとする。
(
財産諸表)第十二 公団は、毎
事業年度、
財産目録、
貸借対照表及び
損益計算書を作成し、
決算完結後二ケ月以内に
建設大臣に提出し、その承認を受けなければならないものとする。
(利益及び損失の処理)
第十三 公団は、毎
事業年度、経営上利益を生じたときは、前
事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、
積立金として整理するものとし、経営上損失を生じたときは、
積立金を減額して整理し、
なほ不足があるときは
繰越欠損金として整理しなければならないものとする。
(
借入金及び
道路債券)
第十四 公団は、
建設大臣の認可を受けて、
長期借入金若しくは
短期借入金をし又は
通路債券を発行することができるものとする。
(政府からの
貸付等)
第十五 政府は、公団に対し、長期若しくは短期の資金の貸付をし、又は
道路債券の引受をすることができるものとする。
(
債務保証)
第十六 政府は、法人に対する政府の
財政援助の制限に関する法律第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、
道路債券の元本の償還及び利息の支払について、
保証契約をすることができるものとする。
これは
道路債券の元木の償還及び利息の支払いについて
保証契約をすることができるものとしております。公団の他の
長期借入金は政府の
低利資金でございまするので、
道路債券の償還について
保証契約をすることができるものとしたのであります。
(
償還計画)
第十七 公団は、毎
事業年度、
長期借入金及び
道路債券の
償還計画をたてて、
建設大臣の認可を受けなければならないものとする。
(
補助金)
第十八 政府は、予算の範囲内に於て公団に対し、第七第一号及び第二号に掲げる業務に要する経費の一部を補助することができるものとする。
第七の第一号は新設、改築でありますし、第二号は
災害復旧のことでありますが、これに要する経費の一部を補助することができるものといたしております。
(監督)
第十九 公団は、
建設大臣が監督するものとし、この法律を施行するた
め必要があると認めるときは、
建設大臣は、公団の業務に関し監督上必要な命令をすることができるものとする。
この監督のために
日本道路公団監理官を
建設省に置くことといたしております。
(
大蔵大臣との協議)
第二十
建設大臣は、次の場合には、あらかじめ、
大蔵大臣と協議しなければならないものとする。
一 公団に対する毎
事業年度の予算、
事業計画及び
資金計画の認可、公団が
長期借入金若しくは
短期借入金をし、若しくは
道路債券を発行することの認可、
短期借入金の借換の認可、
道路債券の発行の委託の認可、又は公団に対する毎
事業年度の
長期借入金及び
道路債券の
償還計画の認可をしようとするとき。
二 公団に対し
財務諸表の承認、又は役員及び職員に対する給与、及び
退職手当の支給の基準の承認を行おうとするとき。
三
業務方法書又は
公団財務及び会計に関し必要な事項を
建設省令で定めようとするとき。
(
権利義務の承継)
第二十一
現行道路整備特別措置法第三条の規定により
建設大臣が自ら行っている
有料道路の
整備事業及び同法第七条の規定による
地方公共団体に対する資金の貸付に関し
公団成立の際現に国が有する権利及び義務は、原則として公団が承継するものとする。
(
特定道路整備事業特別会計法の廃止)
第二十二
特定道路整備事業特別会計法は廃止するものとする。ただし、昭和三十年度及び昭和三十一年度の決算に関しては、なお従前の例によるものとする。
(
道路整備費の
財源等に関する
臨時措置法の特例)
第二十三 政府は、
道路整備費の
財源等に関する
臨時措置法第三条第二項の規定にかかわらず、昭和三十一年度以降三年間は、毎
年度当該年度の
揮発油税法による
揮発油税の
収入額の
予算額に相当する金額の一部を、
道路整備五箇年計画に係る
道路に関する工事を公団が行うものに要する経費の二部として、公団に対し補助することができるものとする。
(
非課税措置)
第二十四
登録税法、
印紙税法、
所得税法、
法人税法及び
地方税法に所要の改正を加え、公団については、
非課税とするものとする。
以上が
日本道路公団法の要綱でございます。
次に、
道路整備特別措置法案の要綱を読んで参ります。お手元の資料の
うしろの方に付いておりますが、
道路整備特別措置法案提案理由の次にございます。
道路整備特別措置法案要綱
(この法律の制定の趣旨)
第一
日本道路公団(以下「公団」という。)又は
道路管理者が行う有料の
道路の新設、改築その他の管理に関し、
道路法に対する特別の措置を定めるために、現行の
道路整備特別措置法を廃止し、 あらたに、
道路整備特別措置法を制定するものとする。
この趣旨につきましては、
先ほど提案理由の説明にありました通りでございます。
(この法律の目的)
第二 この法律は、
有料道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理を行う場合の特例の措置を定
め、もつて
道路の整備を促進し、交通の利便を増進することを目的とするものとする。
(公団の行う
有料道路の
管理等)
第三(1) 公団は、
一級国道、二級国道、
都道府県道一又は指定市の市道
(
都道府県道又は指定市の市道にあっては、国の利害に特に関係があるものに限る。)が次の各号に規定する条件に該当する場合においては、
建設大臣の許可を受けて、
当該道路を新設し、又は改築して、料金が徴収することができるものとし、公団は
当該道路の
工事完了の日の翌日から
料金徴収期間の満了の日まで
当該道路の維持、修繕及び
災害復旧を行うものとする。
一
当該道路の
通行者又は
利用者がその通行又は利用により著しく利益を受けるものであること。
二
通常他に
道路の通行又は利用の方法があって、
当該通路の通行又は利用が余儀なくされるものでないこと。
これは現行の
道路整値特別措置法と変りはございませんが、ただ、この条件が現在の法律では三つでございまするが、一、二はこの通りでございまするが、三にはこの
建設費が償還を要する金であるというこの条件があったわけでございますが、公団は主として償還を要する金で運営されますので、この方は除いてございます。
(2) 公団は、
建設大臣の許可を受けて新設し、又は改築した
有料道路の維持及び修繕に特に多額の費用を要し、かつ、
当該道路の
道路管理者が
当該道路の維持及び修繕を行うことが著しく困難又は不適当であると認められるときに限り、
(1)の規定にかかわらず、
建設大臣の許可を受けて、
当該道路の維持、修繕及び
災害復旧を行って、料金を徴収することができるものとする。
これはたとえて申しますと、
関川国道のようなもの、あるいは明石・鳴門間の渡船、フェリー・ボートのようなものがこれに当るわけでございます。
(3) 公団は、(1)又は(2)の許可を受けて
有料道路を管理する場合においては、必要な範囲内で
当該道路管理者の権限を代行することができるものとする。
(4) 公団は、(1)又は(2)の許可を受けようとする場合において、申請に係る
道路が
一級国道又は二級国道であるときは、あらかじめ、
当該道路の
道路管理者と協議し、
都道府県道又は指定市の市道であるときは、あらかじめ、
当該道路の
道路管理者の同意を得なければならないものとする。
一級国道、二級国道は国の常造物でございますし、公団は
建設大臣の許可を受けて
有料道路をやるわけでございますので、
一級国道、二級国道については
道路管理者と協議するということにいたしております。
都道府県道あるいは指定市の市道は、これは
都道府県の
営造物あるいは指定市の
営造物でありますので、同意を得なければならないものとしておるわけでございます。
(5) 公団は、(1)又は(2)の許可を受けた後、これらの許可に係る
道路の新設又は、改築に関する工事を廃止しようとするときは、
建設大臣の許可を受けなければならないものとする。
(
道路管理着の行う
有料道路の
管理等)
第四(1)
都道府県及び
市町村である
道路管理者は、
道路の新設又は改築に要する費用の全部又は一部が償還を要するものであり、かつ、
当該道路が第三(1)に規定する条件に該当する場合に限り、
建設大臣の許可を受けて、
当該道路を新設し、又は改築して、料金を徴収することができるものとする。
(2)
道路管理者は(1)を受けた後、許可に係る
道路の新設、改築又は料金の徴収を廃止しようとするときは、
建設大臣の許可を受けなければならないものとする。
この第四は、
都道府県及び
市町村である
道路管理者がみずからの費用で
有料道路を建設できるということを規定いたしたものでございますが、この場合の条件はさきに申し上げました公団がやれる場合と同じような条件にいたしております。その条件に該当するものについては、
管理者も
有料道路を建設するということであります。
(料金の額の基準)
第五(1) 料金の額は、
有料道路の通行又は利用により通常受ける利益をこえないものでなければならないものとする。
(2) (1)に規定するもののほか、料金の額の基準は、政令で定めるものとする。
これは現行の基準と同様でございます。
(
料金徴収の対象)
第六(1)料金は、
有料道路を通行し、又は利用する
道路交通取締法第二条第四項に規定する諸車及び同条第七項に規定する無
軌条電車から徴収することができるものとする。
ただし、同法第十条第三項に規定する
緊急自動車その他政令で定める車両については、この限りでない。
(2)
トンネル、橋並びに
渡船施設、
道路用エレベーター、その他政令で定める施設については、(1)にかかわらず、
当該トンネル若しくは橋又は施設を利用する人からも料金を徴収することができるものとする。
これは現在の法律では
渡船施設、
道路用エレベーターは人からもとれるようになっておりますが、これに今回の案によりますと、
トンネルもしくは橋を利用する人からもとり得るようにしてあるわけでございます。これは通行する人のために特に多額の費用を投じて施設をし、また通る人も受益するというものがある場合に限り、人からもとれるということにしておるわけでございます。
(
運輸大臣の意見の聴取)
第七
建設大臣は、第三(1)若しくは(2)又は第四(1)をしようとするときは、
当該許可のうち料金に係る部分について、あらかじめ、
運輸大臣の意見をきかなければならないものとする。
これは現行の法律においても同様でございます。料金については
運輸大臣の意見を聞くことにいたしております。
(
有料道路の工事の検査)
第八(1) 公団又は
道路管理者は、
有料道路の新設又は改築に関する工事の途中において、又は工事が完了したときは、
建設省令で定めるところにより、公団又は
都道府県若しくは指定市である
道路管理者にあっては
建設大臣の
市町村(指定市を除く。)である
道路管理者にあっては
都道府県知事の検査を受けなければならないものとする。
(2)
建設大臣又は
都道府県知事は、検査の結果
当該道路の構造が許可を受けた
工事方法に適合しないと認めるときは、公団又は
道路管理者に対し、
工事方法の変更その他必要な措置をとるべきことを命ずることができるものとする。
(
有料道路の供用の開始)
第九(1) 公団は、第八(1)の規定による検査に合格したときは、その旨を
当該道路の
道路管理者に通知しなければならないものとする。
(2) (1)の通知を受けた
道路管理者は、遅滞なく、
当該道路の供用を開始しなければならないものとする。(3) 第四(1)の許可を受けた
道路管理者は、第八(1)の規定による検査に合格した後でなければ、
当該道路の供用を開始してはならないものとする。
(
道路管理者が権限を行う場合の意見の
聴取等)第十(1)
道路管理者は、公団の管理する
有料道路について、
占用許可、
監督処分、その他の権限を行おうとするときはあらかじめ、公団の意見をきかなければならないものとする。(2)
道路管理者は、(1)の権限を行ったときは、遅滞なく、その旨を公団に通知しなければならないものとする。
(
道路管理者に対する
処分等の請
求)第十一 公団は、公団の管理する
有料道路の管理に関し必要があると認めるときは、
当該道路の
道路管理者に対し、必要な
処分等をすることを求めることができるものとする。
(公団が行う
有料道路の管理に要する費用)第十二 公団の管理する
有料道路の管理に関する費用は、原則として、公団の負担とするものとする。
(
道路に関する費用についての
道路法の規定の準用)第十三
道路管理者以外の者の行う
工事等に要する費用、
原因者負担金、他の工作物の
管理者の行う
道路に関する一瞬に要する費用、受益者負担金、占用工率の御用等に関する
道路法の規矩は、公団の管理する
道路について準用するものとする。
(収入の帰属)
第十四 第三(1)又は(2)の規定に基く料金及び第十三の規定に基く負担金は、公団の収入とし、第四(1)の規定に基く料金は、
これは
道路管理者の管理する
有料道路でありますが、
道路管理者の収入とするものとする。
(法令違反等に関する監督)
第十五
建設大臣は、公団の管理する
道路に関し、法令違反その他の事由により必要があると認めるときは、公団に対して、監督上必要な措置を命ずることができるものとする。
(訴願)
第十六 公団がこの法律の規定に基いてした処分について不服のある者は、処分のあった日から三十日以内に
建設大臣に訴願することができるものとする。
(
道路法の適用)
第十七 この法律による
道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理については、この法律に定めるものを除くほか、
道路法の規定
(第五十条から第五十三条までを除く。)の適用があるものとする。
この
道路法の第五十条から五十三条までは管理に要する費用の規定でございまして、五十条は
一級国道、五十一条は二級国道、五十二条は
市町村の分担金、五十三条は負担金の納付または支出について規定したものでございます。これは除かれております。
(経過規定)
第十八 この法律の施行に伴い、
現行道路整備特別措置法を廃止することとなるので同法に基く
有料道路整備事業のうち国の直轄事業と
地方公共団体施行の事業で
地方公共団体との合意が成立したものとを公団が引き続き施行することとする等の所要の経過規定を設けるものとする。
現行の特別会計から公団に移る場合の経過措置をきめておるわけでございます。
以上が
道路整備特別措置法案の要綱でございます。