運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-03-27 第24回国会 参議院 建設・商工委員会連合審査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十七日(火曜日)    午後二時三十七分開会     —————————————  出席者は左の通り。   建設委員    委員長     赤木 正雄君    理事            石井  桂君            近藤 信一君    委員            入交 太藏君            酒井 利雄君            西岡 ハル君            田中  一君            北 勝太郎君            村上 義一君   商工委員    委員長     三輪 貞治君    理事            西川彌平治君            白川 一雄君            阿具根 登君            河野 謙三君    委員            古池 信三君            高橋  衛君            西田 隆男君            深水 六郎君            大谷 贇雄君            海野 三朗君            藤田  進君   国務大臣    建 設 大 臣 馬場 元治君    国 務 大 臣 高碕達之助君   政府委員    経済企画庁開発    部長      植田 俊雄君    通商産業政務次    官       川野 芳滿君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省軽工    業局長     吉岡千代三君    建設省計画局長 町田  稔君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君    常任委員会専門    員       山本友太郎君   参考人    日本開発銀行理    事       鹿喰 清一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○東北興業株式会社法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ただいまから建設商工委員会連合審査会を開会いたします。  前回に続き、東北興業株式会社法の一部を改正する法律案質疑を続行いたします。  この際お諮りいたします。本案審議のため、日本開発銀行総裁参考人として出席を求めましたが、出張中のため、本日出席ができません。つきましては、前回通り、同銀行の理事鹿喰清一君及び管理部長淡河正君を参考人として出席を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 御異議ないと認めます。  ただいま政府から御出席になっておりますのは、高碕長官、同じく経済企画庁植田部長通産省から川野政務次官吉岡局長建設省から馬場大臣町田計画局長であります。  それでは、御質疑のおありの方から、順次御発言を願います。
  4. 河野謙三

    河野謙三君 私はこの機会建設大臣に根本問題で一つ伺いたいのですが、本案審議に当りまして、私が痛切に感ずることは、東北興業そのものを、現在のように、建設省主管で置くことが果して妥当であるかどうかということについて、私は非常に疑問を持つのです。たとえば東北興業会社目的は、第一に肥料工業その他電気化学工業、第二に水産及び鉱産の資源開発事業、第三に水面埋立事業、第四に農村工業、第五にその他東北地方振興に関する諸事業、こういう目的を持った東北興業を、いろいろな戦後のいきさつで、現在まで建設省主管になってきておりますけれども、この際は根本的に、建設省主管にあらずして、むしろ経済企画庁主管であるとか、そういう方面に移管すべきが妥当ではないかと思いますが、建設大臣はこの機会にどういう見解を持っておられるか、一つ伺いたいと思います。
  5. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) 東北興業は、御承知通りに、従来のいきさつがあり、建設省所管をいたしておるのであります。ただいま御指摘のように、東北興業で直接関係をいたし、あるいは融資をいたしております方面の諸事業は、かなり広い範囲にわたっておりまして、中には、御意見のように、建設省所管いたしますことが果していかがであろうかと思われる節もないではないのでありますが、しかしながら従来の建設省所管をいたしておりました関係もあり、広範囲にわたっておりまして、どこで所管をいたす方が一番適当であろうかということは、よほど慎重に検討いたしてみなければならぬ面があると存じます。建設省所管をいたすことが適当であるかどうか、見方によっていろいろ議論の余地はあると思いますが、ただいまのところ、従来の慣例によりまして建設省所管をいたして参りたい、かように考えておる次第でございます。
  6. 河野謙三

    河野謙三君 大臣の御意向も、東北興業が持つ目的が非常に広範囲にわたっておる関係から、建設省で従来同様にこの会社所管することにつきましては、言葉は違うかもしれませんが、大臣発言内容は、少くとも相当無理があるということはお認めになっておるようでありますが、そこで私は、今回の東北興業セメント工業国家損失補償のもとに投資するということにつきましては、少くともセメント工業に関する限り、行政区分からいけば、セメント工業通産省所管であります。従って、通産省の想見というものを十分私は尊重し参酌する必要があると思う。しかるに過日通産省事務当局の御意見を聞きますと、もしこの事実が通産省所管であるならば、通産省は今回の東北興業セメント工業に投資することにつきましては賛意は表し得ないと、こういうことを言っておりますが、一体通産大臣建設大臣の間ではどう御連絡ができておるのですか。
  7. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) 先般の委員会においての通産省当局答弁は、私、他の委員会その他の差しつかえで出席をいたしておりませんでしたので、承知をいたしておりません。いかなる答弁があったか、ただいま存じませんが、通産大臣との間には十分打ち合せを了しまして、ただいま御審議を願っておりますこの法案に基いてその賛同を求め、意見も十分徴しました上で、この案で提案をするという完全なる了解のもとに提案をいたしておる次第でありまして、その点におきましては間然なく進めておる次第であります。
  8. 河野謙三

    河野謙三君 通産大臣馬場建設大臣の間には完全な了解がついておる、こういう御答弁でありますが、了解がついておるとい具体的の内容はどういうことでしょう。私から内容について、たとえば一、二御質問申し上げます。  少くとも東北興業が本事業に投資する以上は、事業目論見書によりましても、フル運転と申しますか、八五%なり九〇%の操業度を持たなければ採算に合わないのであります。しかるに、セメント工業全体は現在操業度は七五%、私の調査によりますと、東北地区にあるところのセメント工場操業度というものは、全国平均操業度の七五よりもさらに低くて、七〇%の操業度であると私承知をしております。現在、既設セメント工場が七〇%の操業をしておるときに、東北興業新設セメント工場だけが九〇%のフル運転をできる、またこれをさせるという保証は、通産省建設大臣との間に了解ついておるのですかどうですか。
  9. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) 御指摘操業度についてまでの打ち合わせは、はっきりつておりません。ただ、セメント工業を経営するにつきまして、通産大臣との間にはしばしば話し合いをいたし、なお経審方面との了解を得まして、本案を提出いたしておるのであります。
  10. 三輪貞治

    三輪貞治君 それでは、この前からお聞きして、トン千円ぐらい安くなるということなんですが、その場合の操業度は、建設省ではどれくらいに見ておられるのですか。
  11. 町田稔

    政府委員町田稔君) 東北興業操業度につきましては、月産二万トンの能力に対しまして、年間におきまして二十四万トンのところを、全体として八〇%の操業度を考え、ことに冬期におきましては七五%にそれをまた低めて計算をいたしまして、年間二十三万トンの生産目標を樹立いたしておるのであります。
  12. 河野謙三

    河野謙三君 そこで私は伺いたいのですがね、まあかりに、あなたがおっしゃるように、八〇%でもけっこうです。既設工場が七〇%の操業度まで落ちているときに、新設東北興業だけが八〇%の操業を続けていくことにつきましては、既設工場との十分な了解なり、通産省との十分な了解がなくて、こういうことはあり得ないことなんです。東北地区需要されるセメントの量というものは大体きまっておる。それに対しまして、これは東北地区新設セメント工場ができて、二十万トンなり二十二万トンなりのセメントができて、しかも通産省東北地区だけに流すということなんです。そうすれば、既設工場が、二十二万トンなら二十二万トンのものを東北地方に流せば、運賃が六百円か六百五十円で済むものを、関東地方なり、東海なり、北陸北海道へ持っていけば、千五百円から千七百円もかかるわけです。そういうことを既設工場が地元の六百円で済むところを、わざわざ運賃が倍かかる所へ持って来て、そうして東北興業フル逆転を助ける、八〇%の操業度を助けるということは、何か政府と民間の会社了解が成り立つとか、通産省建設省との間に了解が成り立つとかいうことがなければ、これは架空操業度ではないですか。そういうことは言えませんか。何か通商省の方から、既設工場については操業度をもう少し落して、東北興業操業度の方には十分これを援護するという了解がついておりますかどうですか。そういういいかげんなことを言ったって、だめですよ。
  13. 町田稔

    政府委員町田稔君) ただいまの御意見は、セメントにつきましてすでに、需給状況から考えて、特に東北地方等において生産が供給を上回っておるときに、東北興業が新たにセメントを作ることは、その点通産省了解の上かどうかという趣旨の御質問になると思うのでございます。それで、これは先般来通産省の方におきまして御質問に対しお答え申したことがあるわけでございますが、東北興業におきましてこのセメント需給状況下において新たに生産を開始いたしますことは、その量が比較的、日本全体のセメント生産量に比べてきわめて少いので、この点は全体的に考えて、ことに今回のセメント生産東北地方振興ということに主たる目的がございますので、この点通産省としては東北興業セメントを作ることについて了承をしたのだというような意味の御返事があったとお答え申し上げたのでございますが、そういう意味におきまして、建設省通産省におきましては了解を、協議をいたしたのでありまして、東北興業の特に操業度を取り上げての協議というものはいたしておりません。ただ全般的に、この機会において東北興業が、二十万程度ならば、セメント生産をすることは全体のバランスを非常に出する程度に左では至らないから、東北振興目的のための生産は差しつかえないという了承を得て、この計画をいたしておるのでございます。
  14. 河野謙三

    河野謙三君 私はきわめて具体的にものを伺っているのですからね。具体的に、私がお尋ねしたことをお答え願いたいのです。この法案国家損失補償ですからね。提案者にはもちろん責任があります。もし間違った場合には、同様に、審議に参加したわれわれにも責任があるわけですでありますからきわめて具体的に私は真剣に伺っているつもりなんです。日本全体のセメント生産量から見れば、二十万トンは少いのでありますけれども、東北地区だけの一体セメント需要量は現在幾らありますか。八十万トンか九十万トンでしょう。東北地区セメント需要量は八十万トンか九十万トンですよ。それに対して、東北地上区だけにセメント販売しようという東北興業セメント工場の二十万トンなり二十三万トンというものは、決してこれは率の低いものじゃないんです。そうでしょう。そこでこれは非常に東北地区にあるところの既設工場と利害競合する問題でありまして、私はこれは工場が成り立つなら賛成であります。しかしこれを国家補償までして、工場を建ててそれが既設工場に寄ってたかって蹴飛ばされてまた東北興業が損をしたら、東北興業の損はあまり珍しいことじゃありませんけれども、もうそういう東北興業も失敗を重ねるわけにもいかぬでしょう。そこで一体この工場が成り立つか、成り立たぬかということにつきましては、第一に既設工場操業度その他について十分の了解が成り立っているのかどうか、その間に立って通産省はどういうあっせんをしているかということを伺わなければ、この目論見書というものは、単なる架空目論見書で、すぐにぶつかる問題は操業度既設工場の競合の問題、これにぶつかるわけです。わかるでしょう、その点は。その点はどういうことかと、通産省建設省と両方あわせて、今の私のお尋ねに対して御答弁願いたい。
  15. 町田稔

    政府委員町田稔君) ただいまの御質問で、操業度につきまして通産省と具体的にどういう話し合いができているかという点につきましては、これは通産省操業度についての話し合いは特にいたしておりません。事業目論見書全般につきまして通産省に見ていただいております。その中におのずから操業度、それから全生産量についても記載がございます。その点で、操業度につきましても通産省は御指摘いただいているというように、もちろん了解をいたしております。それから既設の諸工場、諸分社との話し合い、あるいは協定等はいたしておりません。
  16. 三輪貞治

    三輪貞治君 関連して。どうも操業度というものをいかにも軽く見ておられるような感じがするんですね。しかし、少くとも一トンに幾ら安くなるというようにはっきり言っている以上は、操業度というものを度外視しては計算は出ません。ただいま河野委員の御発向にもありましたが、この前吉岡軽工業局長から聞いた数字では、東北は三十一年度はまだ六三%ですよ、操業度が。一体、これは通産省にお伺いしますが、東北はいつになったら八〇%になるんですか、今の既設工場は。
  17. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 先日もちょっと申し上げましたように、行政区画区分によりますと、ただいま御指摘のような数字が出るわけでございますが、北海道の方は相当まだ需給関係が逼迫している状況でございます。また東北地区に所在いたします工場といたしましても、たとえば福島県等の工場につきましては、新潟地区にむしろ輸送上の便宜を持っている。従って、関東信越地区需要量というようなものを含めますと、これは製品品質なり値段の関係で、どの程度競争力を持つかということにも関係するわけでございますが、必ずしも厳密に行政区画上の数字というものは、まあ一応の傾向としては当然考慮すべきでありますが、要はその事業がほかよりも安く、それにまさる製品を供給し得るかどうかというような点にも関連を持ってくるのではないか、かように考えております。
  18. 河野謙三

    河野謙三君 ついでに吉岡さんに伺いたいのですがね、一体操業度が九〇%が八〇%に下り、また七〇%に下る。操業度が一〇%下ると、原価にどのくらい影響がありますか。
  19. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) これは申すまでもなく、原価の中に占める固定費比例費部分関連を打つわけでありまして、こまかい計算はいたしておりませんが、大体運賃外原価要素といたしましては、固定費に属する部分が多いかと思います。従いまして、大ざっぱに申し上げまして、操業度が一割下りました場合に、大体五、六百円程度原価上の動きがあるのではなかろうか、かように消えております。
  20. 河野謙三

    河野謙三君 それほど原価操業度は多く影響するのでありますから、先ほどから私がお尋ねしているように、工場がいよいよ運転を始めましたときに、操業度一体幾らかという保証がない原価計算なんというものは、私は意味がないと思います。そうじゃないのですか。建設省はいかなる根拠によって八〇%の操業度保証しておりますか。根拠があるのですか。八〇%という操業度保証は、既設工場が七〇%であるのに、この工場に限って八〇%の操業度保証するという前提にこの計画を立てておられるのか、その保証根拠を示してもらいたいと思います。
  21. 町田稔

    政府委員町田稔君) 東北興業で今回セメント生産いたします生産方法は、シャフト・キルン方法によるわけでございまして……。
  22. 河野謙三

    河野謙三君 そういうことを聞いているのじゃない。操業度を八〇%に保証している何らか根拠があるかということを聞いている。シャフト・キルンロータリー・キルンのことを聞いているのじゃない。
  23. 町田稔

    政府委員町田稔君) 東北興業において生産いたしますセメント需要は、その価格の点、それから品質点等から、十分八〇%の操業をいたしまして消化ができるという予定を立てているわけでございまして、その点から操業度八〇%を決定をいたしているのでございます。
  24. 河野謙三

    河野謙三君 それは少しおかしいと思うんですがね。かりにこれを安くできるという前提をわれわれが信頼して、五千五百円でできる、既設工場は七千円かかるとした場合に、安くできるから安く売るんだ、従って高いコストの所のものを十分駆逐するだけの実力があるんだ、こういう意味だと思うんですがね。これはほんとうにそんなことをおっしゃっているんですか、あなた。かりに東北興業が安くできて、安く売る。既設工場が指をくわえて見ておりますか。そういう原則は成り立たぬですよ、そういう原則は。現在でも東北地区で八十万トンなり九十万トンのセメント需要があるのに対して、東北地区でできるセメントが、六〇%ぐらいが東北地区へ向けられて、あとは東北地区から関東なり、北陸なり、東海なり、北海道に持ち出されているのじゃないのですか。そういう実情にあるときに、東北地区東北興業が作るから、運賃関係その他からいって非常に有利である、従ってほかのものが駆逐できるということを簡単にお考えになることは、私は非常に乱暴だと思いますね。  私は通産省にお伺いしたいのですがね、通産省はそういうことをお認めになりますか。これは通産省が制圧的に、既設工場に対して一つの制圧を加えれば、別です。自由競争を一切押えて、何らかセメント販売について規制をすれば、別です。東北興業援護のために規制をされる御意思があるのですか、それを私は通産省にお伺いしたい。
  25. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) セメント需給関係は、これは東北地区あるいは北海道地方、こういう面だけで見るわけには参りません。全国的の関係、あるいはまた輸出貿易等関係を見まして、そうしてこの需給関係バランスをとらなければならない、こういうふうに考えている次第であります。なるほど現在ある程度セメントは過剰に、非常に需要に対して生産が過剰になっている、こういう点は実は認めるのでございまするが、今回計画はトン数におきまして二十万トン、しかも先ほどもお話がございましたが、東北振興という大きな目的もございますので、従いまして、そういう点も加味いたしまして、通産省としては御賛成申し上げる、こういうことになりまする次第であります。なお将来はセメント海外輸出等につきましてもさらに努力を払いたい、こういうふりに考えている次第であります。
  26. 河野謙三

    河野謙三君 政務次官、私がお伺いしたことと、御答弁は違うんですがね。私はこういうことを伺っているんですよ、東北地区で消費されるセメントの量よりも、現在既設工場東北地区で作っているセメントの量の方が多いんですよ。それで残りは運賃を三倍もかけて、二千円以上の運賃をかけて、北海道東北地区から運んでいる。東海にも、関東にも、北陸にも、千円以上の運賃をかけて運んでいる。そういう際に、ここに新しく東北地区東北興業セメント工場ができました場合に、一体既設工場がこの二十二万トンの東北興業セメント製品優先権を与えて、自分たちは進んで運賃が二倍、三倍かかる北海道なり東海関東北陸に、東北でできる既設工場セメントが運び出されるかどうか。そういう都合のいいことを考えてもだめじゃないか、こういうことを言っておるんです。それとも、それは都合がいいのではなくて、通産省建設省と協力して、既設工場にそういうような販売方針を立てさせるということにつきまして、何らかの約束ができておるのかどうかということを聞いておるんです。
  27. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 通産省といたしましては、そういうことをいたしまして民業を圧迫する、こういうわけには参らないと考えております。
  28. 河野謙三

    河野謙三君 そうだとすれば、今建設省の言われるところの八〇%の操業度というものは、成り立たぬじゃないですか。独りよがりの、作ったものは全部東北に売るんだということは、成り立たぬじゃないですか。二十二万トンのものを作って、二十二万トン東北に売るんだ、そうすれば既設工場が二十二万トン分だけはみ出るから、その分だけを運賃を二倍、三倍かけて、北海道なり、東海なり、北陸に持っていかなければならぬということになるんじゃありませんか。そういう甘っちょろい事業家というものはありませんよ。そうでしょう。これは少くとも通産行政を担当しておる通産省の者なら、その商機に機敏な業者の気持というものはよくわかるはずなんです。その通産省なり業者の方から何らかの保証なくして、建設省独りよがり目論見書をわれわれに押しつけても、われわれはそれに納得できないということを、育っておるんです。そうじゃないですか。  この際高碕長官に、その方には最も経験の深い高碕長官に、私が先ほどからお尋ねしておることについて見解を伺いたいのです。
  29. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 少し河野委員の御質問の的にはずれるかも存じませんけれども、存外私どもの方は、この東北振興ということが非常に重大な問題として取り上げておりますことと、それからセメント工業というものは日本窯業の中で非常に重要な産業であって、現在におきましては約生産の一割弱を輸出しておりますけれども、これは少くとも一割を輸出したい、こういう原則をきめておったのであります。しかるに、現在の日本セメントやり方ということにつきましては、非常な疑問があると思いますことは、戦後ドイツのセメント事業が非常に急激に発達して参りましたことは、大体ロータリー・キルンシャフト・キルンに変えておる。これを調べてみますというと、この建設費は、従前約二十万トン一年で作れば二十億円の資金が要る、こういうことが従来のやり方だったのであります。これをシャフト・キルンに変えますと、約二割建設費が安く浮く、十四、五億円でいける、こういうことが大体わかっておりますことと、それからこの生産につきましても、燃料を効率的に使います上において、燃料がよくいけば四割減ずるんだ、悪くても三割燃料を節約できるということと、それから労力が五割減る、こういうことの大体の数字が出ておりました。  これは実験したいと思っておりましたが、幸いに宇部の方でこの実験はすでにされておったわけでございます。ところが、政府として一応当局の方で実験いたしたいと思いますことは、セメントの原料は、御承知のように、石灰石、それから粘土であります。東北粘土というものは非常にいいことがわかっているわけであります。東北産業を開発しますにおいては、どうしても新しい式である一つセメント卒業を興していきたい、こういうふうなことを考えておったのでありますが、できればこれは窯業者に頼むのが一番いいかと、こう思ったのでありますが、窯業者の方といたしますと、現在東北セメント生産は消費よりも非常に多い、そしてそれを先ほどお話しのごとく、一部分北海道に送り他地方に送っている、こういうわけでありますから、もうセメント工場は作る必要がないだろう、こういうふうな考え方が窯業者意見であったのであります。で、そういう意味から申しまして、東北振興という点から考え、またセメント工業に対する新しい一つの方式を発見するという上におきまして、政府の息のかかっておる東北興業をして、こういうセメントをできるだけ小規模で、最低の小規模でやってもらうことはいいと、こう存じます。  建設大臣なり通産大臣話し合いました結果、これを採用することに決定したようなわけでありまして、従いまして、多少これには、ただいまの河野さんの御心配のごとく、需要関係から申しますれば、そこだけで売るということになれば、相当業者の競争もあり、心配する点もあったと思いますけれども、新しい産業として、東北といたしましては、新しい窯業としてやります上におきましては、これは実験いたしたいということは私どもは考えていたわけなんでありまして、これを決行することにいたしたわけであります。
  30. 河野謙三

    河野謙三君 そういたしますと、高碕長官の今のお話は、同時に、建設大臣なり通産大臣なり、広くは政府意見だと思いますが、今度のもくろみというものは、新しいこのシャフト・キルンによる、ドイツ方式の高能率のセメント工業の実験、試験を東北興業をしてやらしめてみよう、こういうことなんですか。それならそれで議論はまた別なんです。そういうことなんですか、建設大臣、どうですか、それは。
  31. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) シャフト・キルン方法は、現在ドイツで約セメント生産の四割をシャフト・キルン方式によっておる、かような状態であり、そのパーセンテージも徐々に上昇して参るという傾向にあるわけです。そこでセメントの価格をなるべく低廉にいたしたいというのが私どもの多年の要望であり、希望であったのでありますが、宇部ですでにその生産に入っておりまして、その方面の調査も十分にいたし、シャフト・キルン方法によるならば、ただいま高碕長官から御説明のありました通り、あらゆる面において生産費は安くつく、しかもこれを東北興業東北振興の一助にも資することができるならば、一挙両得じゃないか、かような考えからいたしまして、このシャフト・キルンの方式によってセメント生産をはかろう、こういうことに決定をいたしたのであります。  で、シャフト・キルンにつきましては、先般、現在生産を実行しておりまする宇部に、技術官を含めまして係官を出張せしめまして、十分調査をいたしました。なおこれからも本場でありますドイツに技術者その他を派遣いたしまして、十分な研究をいたし、これが進歩に努力をいたしていきたいと、かように考えておるのであります。ただいまのところ、宇部で実験をいたしました結果、シャフト・キルンは確かにいい成績を上げ得るものである、しかも生産原価も相当に引き下げ得るものである、かような信念の上に立っておるような次第であります。
  32. 河野謙三

    河野謙三君 通産当局を通じてわれわれが聞いている宇部興産、宇部のシャフト・キルンの成績につきましては、まだ今建設大臣がおっしゃるようなはっきりした成績の見通しを持っていないように、私は聞いております。それは別といたしまして、もしそういう試験的に、また実験的にやるということならば、通産省が持っているところの試験機関を利用しても、私は試験ができると思います。またもう少し大規模にやろうというならば、政府の予算において補助金を出して、既設工場に試験研究をやらせる方が、もっと私は早くいい結果を得られるのじゃないか、こう思うので、試験、研究、実験というようなことは、国家損失補償、全額損失補償までして、そうしてこれだけ二十万トンというような相当大規模の工場では、生み出すには少し冒険過ぎやしないかと、こう思うのですが、高碕長官、その点はいかがですか。もし長官のおっしゃるような趣旨で、実験であるとか試験であるということなら、また別途方法がありはしないかと思うのですが。
  33. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 大体このパイロット・プラントでやるということは、もうほぼ見当がついているわけでありまして、これは粘土の問題といたしまして、でき上り工合にいたしましても、ただいまのところ、パイロット・プラントで、やった結果によるというと、多少品物はよくないだろう、こういうふうな意見もあるようでありますが、そういうふうな点がありますが、大体から申しまして、もう最小限度でやはり三十万トンというのが一番経済単位でございますから、経済単位の低いものでやったら間違いないということだけは、大体見当がついたわけであります。これは経営のいかんによりますけれども、東北でやって、あの石灰石を使い、あの粘土を使ってやれば、私はあるいは西日本の方でやるよりももっといいものができると、こういうふうに私は考えております。  ただ、これに使いますあれは、コークスを使う関係がありますものですから、コークスを得るということにつきましては、他のまだ問題があると思っております。少くともこっちから持っていかなければならぬ、この点は多少西日本の方より損がいくだろうと思っておりますけれども、コークスの問題も、釜石の製鉄会社の拡張あるいは銀鉱炉の炉の拡張等におきましては、相当あるいは得られるだろうと、こういうふうな大体の目安がついておりますから、私は東北におけるあの天然資源の石灰石と、あの粘土をもっていけば、もっと大きなセメント工業ができて、どんどん東南アジアの開発をいたしまするにつきましては、さらにもっと大きなセメントを輸出しなければならぬ、こういうふうに思っておりますから、私はぜひこれは実験いたしたいと、こういう所存でございます。
  34. 河野謙三

    河野謙三君 他の委員の方の質問もたくさんあると思いますから、私は資料を一つ取り寄せたいと思います。それは現在東北興業が開発銀行に出している原価計算の資料を一つ要求いたします。なお委員長からその資料がいただけるかどうか、一つ当局に聞いてもらいたい。
  35. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 河野委員から要求されている資料は、政府はお出しいただけましょうか。
  36. 町田稔

    政府委員町田稔君) 本日お手元に差し上げました資料は、開発銀行の方に出しているわけです。この資料で開発銀行の方に借入金の申し入れをいたしております。
  37. 河野謙三

    河野謙三君 こういう簡単な原価計算なんてありません。少くとも、こんな簡単な原価計算で、銀行が調査ができるはずがありません。銀行が調査するに十分役立つだけの資料が出ているはずですから、それと同じものをいただきたい。
  38. 町田稔

    政府委員町田稔君) 銀行の方に出しております会社からの資料につきまして、十分調査いたしまして、現在お手元に差し上げました以上のものが出ておりましたら、それをさっそく調製いたしまして、お手元に差し上げます。
  39. 河野謙三

    河野謙三君 今お願いしましたように、資料をちょうだいすることになっておりますから、資料を十分検討さしていただかなければなりませんから、委員会の結論も非常に建設委員会の方ではお急ぎになるかもしれませんが、これはこの事業が引き合うか引き合わないかという重大な問題です。従って、引き合わなければ国家損失補償をかぶるわけなんです。大事な問題でありますから、この問題につきましては、資料をいただいて、資料に基いて質問をさしていただくということをお願いいたします。私はひとまず質問をこれで本日のところは打ち切ります。よろしゅうございますね。
  40. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) わかりました。  後ほど皆さんに諮ります。
  41. 海野三朗

    ○海野三朗君 先ほど河野委員もちょっと触れられたのでありますが、建設大臣の御答弁がどうも私は納得がいかないのでありますから、それを今率直に私はお伺いいたしたい。この東北興業会社内容を拝見すると、これはむしろ建設省の扱いにあらずして、通産省かあるいは経済企画庁、そういう方面が担当するのが妥当だろうと私どもは考えるんでありますが、建設大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。ただ在来の習慣によってこうだとおっしゃるけれども、あなた御自身はどういうふうにお考えになっておりますか。セメント生産に対しても、これは通産関係である。また東北興業のいろいろな事業をやっている内容を見ますると、ことごとくこれ建設省という、実におかしい所属になっておると私は思うのですが、あなた御自身、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか、御所見を承わりたい。
  42. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) 先ほども申しました通り、昔の内務省以来の関連で、ただいま建設省所管に相なっております。で、御意見のように、東北興業の仕事の内容は種々雑多でありまして、中には建設省所管がどうかと思われる節もないではございません。これは将来全般的な行政整理などともにらみ合せまして、十分検討すべき余地があると考えております。
  43. 海野三朗

    ○海野三朗君 この前、開発銀行の金利について私がお伺いしたのでありましたが、その際にもはっきりしなかったので、きょう総裁の出席を要求をいたしたのでありますけれども、来ておらない。やむを得ませんが、重ねてもう一点、私は開発銀行の金利について伺いますが、開発銀行というのは一体高利貸しの会社ですか、(笑声)どうなんですか。この金利が電気事業に対しては六分五厘、造船に対しても六分五厘、鉄鋼、石炭その他に対しては九分と、なぜそういうふうなえこひきをおやりになるのか、金貸しを目的としておられるのか、わが国産業の発達に貢献しようとして開発銀行を設立されたのか、こういうところに私は非常に疑いなきを得ないですが、これはどういうものなんでしょう。金利が違う。世界銀行でさえもが五分である。ところが、六分五厘で、石炭、鉄鋼とかその他のものは九分になっておる。どうもこの金利のあり方が私はおかしいと思うのですが、こういうものに対して開発銀行の意見と、また閣僚の方々、経審長官あたりの御所見はいかがなものでございましょうか、一つ御所見を承わりたい。
  44. 鹿喰清一

    参考人鹿喰清一君) 前回委員会で海野委員からの御質問がございましたが、私の御説明の足りないところがございますので、重ねてお答え申し上げます。  開発銀行の基準金利は年九分と定めておりまするが、電力の貸付、これは水力の自家発の買付を含んでおりますが、それと外航船の貸付につきましては、年六分五厘という低い金利を適用しておるのでございまして、何ゆえにこの電力と海運のみに特別の金利を適用して優遇しているかという点の御疑問も、ごもっともと存じます。  この私どもの銀行の金利の定め方でございますが、これは開発銀行法の十九条によりまして、「資産の運用損失償うに足るように」と申しますと、私の方は私の方の銀行の経理がございます。それから私の方の銀行はまだ運用部資金なりあるいは産業投資特別会計からの借入金もいたしておりますから、その金利を払わなければなりません。もちろん資本金にはあるいは金利のつかないものもございます。これをまとめて運用しているような次第でございます。それと経費もございます。それを償うに足るようにということが一つと、それからもう一つの条件といたしまして、一般市中銀行の金利を勘案してきめる、こういうふうに開発銀行法になっております。たから、私の方の費用を償うに足るような程度のもの、それからもう一つは、市中銀行の金利、これが今どのくらいであるか、この両者から勘案いたしまして私どもの金利をきめている。この条件を満たす限り、具体的にそれじゃ何分にするかということは、これは開発銀行できめて、そうしてまた大蔵当局とよく相談した上できめている、こういうふうにきめている次第でございます。  ところで、電力と海運につきましては、これは基準金利が九分というのとは別に、さきに申し上げました六分五厘というのでございますが、これは電源開発という問題、それからこれは御承知通り、五カ年計画に基きまして、国家の大きな政策といたしまして電源開発というものをやる。それからもう一つは、外航船の増強という問題も、同じように、国の政策として非常に強く打ち出しておりまして、御承知通り計画造船をやっている。こういう関係になりますので、こういうような部門におきましては、どうしてもやはり長期低利の資金が必要になってきている次第でございます。それも一つの理由でございますけれども、低金利の適用の効果が、直接こういう部門におきましては非常に顕著である。それからもう一つは、こういう面においては特別金利を適用いたしましても、一般金融機関の融資を阻害する点はない、こういう点からこの部門では低い金利を適用いたしております。  それじゃどうして電力、海運に限るかと申しますれば、もし、前に述べましたような理由から、電力、海運以外の問題につきましても、非常に国策的に見て重要な事業につきましては、あるいは考えなければならぬのじゃないかというお説でございますけれども、大体今まで本行におきまして、いろいろな個々の業種につきまして、政府と相談いたしまして検討いたしたいところでは、特に電力、海運並みの金利をどの業種にも適用せい、その他の業種にも適用せよというようなことはなかった。それで、ただいまのところでは、この特別金利の適用の範囲を拡げるという気持ちは持っていない、こういうわけでございます。しかしながら、現在一般の金利は、御承知通り、だんだんと低下の傾向にございまするので、あるいは本行の開発銀行の基準金利も引き下げるべきではないかという御意見もあるかと存じますが、これは今後の情勢の推移を検討いたしまして検討いたしたいと思っている次第であります。  なお、この際またつけ加えて申し上げたいと思いますことは、離島航路の整備法というのがございまして、その規定いたしております貸付につきましては、現在七分五厘の金利を適用しております。これはさき申し上げました九分の基準金利よりも低くいたしておりますが、この貸付につきましては、一般金融機関に対しては年に四分相当の利子補給がついております。これは借入先の開発銀行に対する金利負担を一般金融機関に対する金利負担並みにするという配慮から措置いたしたものでございます。それで、またもう一つ、石炭につきまして、石炭鉱業合理化臨時措置法に規定いたしておりまする、石炭貸付につきましては、同法の施行規則中に年六分五厘相当の利息を徴収いたすことにしておりますが、これは契約上の金利を年六分五厘といたすわけではございませんので、利息の一部免除ということで措置いたしておるわけでございます。それからなお炭住、例の炭鉱労務者の住宅資金、これは昭和二十七年の四月二十五日の閣議了解の趣旨にかんがみまして、同年四月一日以降の貸付利率を年六分、それ以前の期間についてはさかのぼって年五分五厘、こういうふうにいたしております。それから見返り資金を開発銀行が引き継ぎまして、これの承継いたしました債権につきましては、この電力、海運が前に述べた通り六分五厘でございますが、それ以外の一般貸付の利率は、承継当時の金利が七分五厘でございましたから、これはそのまま七分五厘として運用いたしております。  大体現在の開発銀行といたしましては、そういうような状況で金利を考えておる次第でございます。
  45. 海野三朗

    ○海野三朗君 今るる御説明になりましたけれども、そういたしますと、何ですか、場合によってはいろいろものによって利率を変えるということが、そういうことがあるから、造船疑獄というものが私は起ってくるのだと思うのです。そこで金を貸すのが、つまり金を貸して利益を上げるというのが主体ではないからして、私はもっと平等に、国家公益事業であるならば、もっと平等に扱うのが至当ではないか。こういうふうに適宜に利息を上げ下げするところに、こういうところに疑獄が生じてくるのであると私は思うのですが、あなたはどういうふうにお考えになっておるか。このあり方、大体これらの金利は業種によって変えるというようなこと、そのことは私は間違っておるのじゃないかと、こう申すのです。ほんとうに国家的な見地からこういう事業に金を貸すということであるならば、その差別をつけないのが当然ではないか、こういうふうに考えるのですが、あなたはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのですか。騒いだときにはこれを安くやる。造船の三分五厘、三分を国家補給にして、全体で六分五厘にしている。そういうことをやるから疑獄というようなものが生じやすいものであって、開発銀行というものがかえって悪いことをなし得るような機関の存在になってしまうのじゃないかと私は言うのです。ほんとうに国家的見地から考えて、これが金を貸してやらなければならないのだというような場合であるならば、そういう仕事に対しては貸してやらなければならない。私は金利の同一に行っていないということに対して、非常に私はおかしいように思うのですが、あなたはどういうふうにお考えになっておりますか。  前には復金というものがあって、あの事件を引き起した。今度は形を変えて開発銀行になって、またあの事件を引き起す。いつもそういう疑獄が起っておるのじゃないですか。それで私は開発銀行のあり方がいけないということを思うのですからして、この所見を私は伺いたい。あなたはどういう、ふうにお考えになっておりますか。それは政府が閣議できめたのだからと、そういってしまえばそれまでであるけれども、そうならば、もう少し正しいあり方が望ましいのではないかと私は思うのですが、どういうふうにお考えになっておりますか。
  46. 鹿喰清一

    参考人鹿喰清一君) 開発銀行のあり方につきまして御意見がございました。それにつきまして、私過般来の委員会にもたびたび申し上げました通り、開発銀行といたしましては、日本産業の開発及び再建のために、普通銀行ではできない融資をする、こういう目的のために出発いたしたような次第でございます。それでその際に政府との関係がございまして、それで開発銀行といたしましては、定款に、政府の財政金融及び経済の施策に順応して融資しよう、こういう意味で、定款の中にそういう趣旨の文句を盛ってございます。従って、開発銀行といたしましては、やはり政府の施策というものに順応しなければならない、全体として、そういう方針で開発銀行というものの融資をやらなければならぬ、こういうふうになっておる。  それで今電力と海運というものにつきましては、これはすでに御承知通りに、国家の政策として非常に大きく出しております。またたとえば電力をとってみましても、これは料金制度と関連いたしまして、やはりある程度低い金利の金を貸し付けなければ、緒川電力の料金へ響いてくる、こういう問題もございます。そういう国家の政策が非常に強く押し出されておりますから、これは開発銀行といたしましては、その本来の趣旨にのっとりまして、この政府の政策に順応しまして、こういうものは低いものを出すようにする、こういう行き方であります。
  47. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ちょっと申し上げますが、川野政務次官は衆議院の委員会の方からたびたび出席を要求されていますので、いかがでしょうか。この委員会でまだ御質疑もあるかしれませんが、一応向うの委員会に出てもらうことに御異議ございませんか。
  48. 海野三朗

    ○海野三朗君 私は一つだけ川野さんに聞けばいい。
  49. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) では、川野政務次官に対する質問一つ願います。
  50. 海野三朗

    ○海野三朗君 東北興業セメントに対する問題がここにあげられておりますけれども、東北方面の開発事業としては、セメント以外に重要なる仕事があるのではないでしょうか。いかようにお考えになっていらっしゃいますか。セメントは今売れないで、余っている。東北の方で余っている。操業度が六〇何パーセントだというのに、ここに十四億も投じて政府責任においてやらせるというようなことは、全然愚の骨項であって、私はそれ以外に、東北振興に対してはもっともっとやらなければならぬ仕事が残っておると考えるのでありますが、東北興業としてもやる仕事がもっとたくさんある。このセメントでなくたって、ほかにそういう点については……。通産政務次官としてはどういう工合にお考えになっていらっしゃいますか。
  51. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 東北興業がやるかやらないかは別問題といたしまして、今日わが国におきましては、カーバイド、石灰窒素等が、需給関係から非常に不足いたしておる、こういう現況下にございますので、政府といたしましてもこれらの事業に対しましては御助成申し上げなければならない、こういうふうに考えておる次第でございますので、従いまして、カーバイド、石灰窒素等の事業というものは東北地方にとりましてもよい事業ではないかと、こういうふうに考えております。
  52. 海野三朗

    ○海野三朗君 もう一つ政務次官にお尋ねしたいのは、東北地方は、御承知のように、農村県でありまして、つまり果物とか、そういうものをカン詰にでもして出さないというと、非常に困るのです。遠方まで送ることができません。たとえば洋ナシとか、あるいはサクランボとか、あるいはいろいろなものがありますが、そういうものは東北地方だけでさばかれており、余ったものは腐るというような状態でありますが、このカン詰をやるときには、カン詰のカンというものは東北の方で作っていないものだから、東北の方に何かカン詰のカンを作る工場でも東北興業が起してやったならば、東北のこの農業を救うのにいいのではないかというふうに私は思うですが、これはいかがなものでしょうか。
  53. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 東北地方は果樹の県でございますので、ただいま御質問のような点は非常にけっこうな事業ではなかろうかとも考える次第でございまするが、果樹の関係は農林省の管轄下にもなっておりますので、どうか一つその点は農林省の方に御質問を願いたいと思います。
  54. 海野三朗

    ○海野三朗君 ただいまのお話は、農林省の扱い、それはわかっておりますけれども、あなたがそのセメントの方に対して返事をなさったとおっしゃるから、こんなことよりももっと必要なことがあるのではないかということの一例を私は申し上げたのですが、農林省の扱いだからそっちの方にというようなことは、私ははなはだ無責任な御答弁であると考えるのですが、いかがなものでしょうか。
  55. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 私はそういう意味で申し上げたのではございません。実は専門的な問題は農林省の管轄でございますから、農林省の方にお尋ねいただくならば、さらに詳細に農林省の方から御説明あるものと、こういうふうに考えて申し上げたのでございまして、その点はどうぞ御了承を賜りたいと存じます。
  56. 海野三朗

    ○海野三朗君 それでは、私は建設大臣にお伺いしたいのですが、東北興業ですね……。
  57. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ちょっと川野政務次官に対する御質問は……。
  58. 海野三朗

    ○海野三朗君 もう済みました。
  59. 三輪貞治

    三輪貞治君 議事通行についてですけれども、政務次官、向うの方から呼ばれておるので御協力したいと思うのですが、しかし問題はまだたくさんあるわけですね。河野さんあたりからも、質問を保留されておる。それをさらにまたやられるかどうかにかかっているわけです。それをもしおやりにならないで、きょうでお上げになるというならば、おってもらわなければ、困るし、また次に開いてもらうのだったら、もうお帰りになってけっこうだと私は思う。
  60. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  61. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 速記を起して。
  62. 田中一

    ○田中一君 このシャフト・キルンの形式の工事は何といいますか。建設計画は宇部興産が過去にやった例があるわけですね。宇部興産は、ドイツからの特許と申しますか、機械を買って、縦がまを作ったということになっております。そこで私は月産二万トンのセメントが十四億円で、もし可能なものならば、これは日本セメント産業界の一大改革なんです。これは国家の利益からいっても、軽々に是非を論ずるわけにはいかぬと思うのですが、少くとも宇部興産がこれを作ったという現実から見て、これは困難かしらぬですが、セメント産業の監督官庁であるところの通商省は、宇部興産が現在やりましたところの建設計画、これを全部資料として提出してほしいのです。そうして現在操業しております効率と申しますか、生産というものはどういうことになっておるかという現状を、資料として出してほしいと思います。その点はどう考えますか。
  63. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 宇部興産の計画書は、その当時のものは私ども現に出ております。ただ、御承知のように、宇部興産は現在の能力は月産約一万トンでございまして、そのほかに八万トン程度であったかと思いますが、従来からロータリー・キルンの設備を持っております。従いまして、宇部興産の計画は、セメント製造の全設備ではありませんで、シャフト・キルンないしはそれに付帯いたします部分になっておりますので、直ちに両者比較するわけにはいかぬかと思いますが、その程度のものでよろしければ、御参考に提出することにいたしたいと思います。  それから成績につきましては、昨年の九月から試験操業をやっております。現在のところ、市販は来月からという予定でございます。いわゆる安定操業の状態に行っておるかどうかという点には、若干疑問があると思いますが、会社の方に連絡いたしまして、出し得る程度のものは御提出することにいたします。
  64. 田中一

    ○田中一君 今、局長はそういうことを言っておりますけれども、まだそのシャフト・キルン生産が軌道に乗っていない現状で、東北興業シャフト・キルン工場建設やるんだということは非常に危険だと思うのです。そこでセメント生産工場というものは、その工場があればどこでやっても同じ条件で生産されるものじゃないんですね。あるいは粘土生産地、石灰、石炭、輸送の問題、いろいろな問題が要素になっておるのです。従って、現在この宇部興産のやっている機械というもののがどういう性能のものであって、それによって生産されるものが、試験的な生産の段階ということよりも、あなたの方で、それを相当検討したと思うのです。あるいは宇部興産が現在やっておる工場の一部としてこの縦がまをやったところが、成績がいい悪いの問題があるとしても、岩手県下に新しく東北興業が持つ場合にはどうなるかという点の比較研究は、当然あなたの義務だと思うのです。少くともセメント産業というものを育成しようとする通産省の立場からいえば、義務だと思うのです。そうしたものを検討した後に、今現在あるものだけでなく、検討されて、その資料をお出し願いたいと思うのです。
  65. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 資料の要求でございましたが、どうですか。  川野政務次官は非常に急いでおりますので、川野さんの方、よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) ただいまの御趣旨は、できるだけそれに沿うように努力いたしたいと思いますが、実は会社といたしましても、まだ安定操業の城に達していないような実情もありまして、企業の立場として、率直に申し上げまして、現状程度の成績をこのシャフト・キルンそのものの成績として、まだ多少会社自身が不満を持っているような面もあるようでありますので、私どもからできる限り資料は調査いたしましてお出しをいたしたいと思いますが、それ以上詳細な点につきましては、もし御必要があれば、会社の担当君をお呼びをいただきまして、可能な限度、御説明し得る限度、お聞き取りを願う方が、あるいは適当ではないかということを考えます。一応できる限りの資料はお出しすることにいたしたいと思います。
  67. 田中一

    ○田中一君 それに加えまして、回転がまは日本で作っております。しかし、なぜ大事な外貨を、こうして試験的な段階にあるにもかかわらず、ドイツからそうしたものを買わなきゃならぬかということですね。それから通産省は宇部興産のシャフト・キルンの購入に対して、どういう見解を持ってその輸入を許したかということです。少くとも自立経済を標榜している高碕長官がおりますので、そういう見地から日本産業を育成しないで、なぜたくさんな外貨を使ってドイツからシャフト・キルンを買わねばならぬか、日本の現状はそうしなければならないかという点は、外貨を割り当てたところの通産省責任もあるわけです。この点も、どういう見解で許したかということも明らかにする資料をお出しを願いたいと思います。  それで、どのくらいの外貨をやったか。これは宇部興産が特許権を持ってるそうですから、またここでもって東北興業がこれを始めますと、宇部興産に相当の特許料を払わなきゃならないのですね。そういうことが、こういう国家的な事業をやる上において、どの程度のものを払おうとしているのか、こういう点も知りたいと思うのです。それをありのままの、どういう申請書が来て、どういう通産省はそれを検討されて、許可をして、その機械の輸入をしたかという、経緯を証明する資料をお出し願いたいと思います。
  68. 三輪貞治

    三輪貞治君 次回にまたそういう機会があるようですから、あとで聞いてもいいのですけれども、一言だけ、そのために基本的な問題として、聞いておきたいのです。これは製品が一番初めに出回ってくる期日は、いつごろと考えられておるのです。
  69. 町田稔

    政府委員町田稔君) 着工後一年半ということを考えております。来年の下期の予定でございます。
  70. 三輪貞治

    三輪貞治君 そうなりますと、これは次回でいいんですがね、この目論見書によりますと、七千五百円というあなた方がお出しになる六千五百円に比べて千円高いという計算になっておる。価格は去年の十二月の価格なんです。しかもそのときは操業度は六三%なんです、軽工業局の御発表によりますと。ところが、さらに来年は東北でも七〇に上るし、全国的に見ても七四に上る、こう言われておる。それが一年半先になりますと、もっと操業度が一般のものが上ってくる。そうなれば、一〇%以上操業度が上れば、先ほどの軽工業局長の御説明では、一〇%によってコストは五、六百円響くと言われておる。そうすると、これは実際的な数字じゃないということになるのですね。皆さん方の方の製品は、今から一年半先、しかも現在の市価は昨年の十二月をとっておる。こんなばかな数字の取り方はありませんよ。それで何千円上るとかなんとか言ったって、そんなものは納得できませんよ。  それからもう一つ、これも私詳細に聞きたいと思いますが、この前は、御説明では、シャフト・キルンに変えることだけによって千円下ると、こうおっしゃっておる。ところが、今日だんだん聞いておりますと、操業度もすでに一般のものよりも一〇%以上、ことしの六三%をとってみますと、皆さん方が想定されておる八〇%というのは、約二〇%高いのです。操業度だけでも、一〇%の操業度の上下によって五、六百円の影響があるなら、二〇%操業度が上ることによって千円から千二百円下らなきゃならない。そうなると、シャフト・キルンに切りかえたことによりコスト・ダウンと、操業度の上ることによるコスト・ダウンとを加えたなら、二千円以上下らなければなりませんよ。そこに非常に粗雑なずさんな計算がありますよ。その点は詳細にあとでお聞きしたいと思いますが、何か御意見があったら聞かして下さい。
  71. 町田稔

    政府委員町田稔君) お手元に差し上げました資料は、さしあたっての比較といたしまして現在の価格との比較をとりましたのでございましたのでございまして、将来一年半先にどういう程度の、一般市価がどの程度の価格になりますか、今推定することが不可能でございますので、従来の実績による数字と比較をいたしたのであります。なお操業度が高くなることによって市価にどの程度の影響があるかということにつきましては、たとえば一昨年におきましては現在より操業度が非常に高かったと思うのでありますが、必ずしもその際に一般市価が安くなっておったというようにはなかったと思うのでございまして、この点の関連につきましは、なお必ずしも今御意見がありましたようにも考えないのでございます。
  72. 三輪貞治

    三輪貞治君 現在における計算において幾ら下るなんということは、意味がないのです。セメントが出始めたときに千円下るということにわれわれは了解しておった、いつも。そういうものが資料がないから、一番近い去年の十二月の価格を基本にして計算した、こんなのは意味がないですよ。審議の対象になりませんよ。われわれは一年半先の出始めの、出回りのときに幾ら下るかということを、今論議しておる。そしてそのときのコストが、一般のものがどうなる、会社東北興業のものがどうなるかということの計算が出なければ、架空計算ではありませんか。それは経済企画庁においても、ちゃんと操業度も五カ年計画における計画はあるわけです。それを信用されないのですか。
  73. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) このセメント操業度はどれくらいにしたらいいかという問題は、いろいろ議論がございますが、古い設備でやっておりますときには、私は少くとも八〇%以上やるということは無理だと存じております。これは私の古い経験ではなはだ申しわけないのでありますが、戦前にやっておりました、私実際にやっておりました成績から申し上げますというと、一年に一回はどうしてもキルンの内部を変えなければならない。それにはどうしても一カ月もかかるわけでございますので、設備というものは少くとも、私は一〇〇%のものをもって八〇%限度にとめなければ無理だと、こういってやっておったわけでございますが、戦後の日本セメントを見ますというと、二十八年度のごときは非常な無理をして、もう全体の操業度は九〇%以上になっております。こういうふうなことのためにかえって減耗を非常に高くしたと、こういう経緯があるわけでございます。そういうわけでございますので、将来八〇%程度にするということが一番正しかろうと私は存じております。  この表を見ますと、東北は六三%になっておりますが、これは設備と消費とを見ておりますが、実際は六三%、そんなばかなことはやっておらぬはずでございます。東北は少くとも七五%以上の生産をして、それを北海道に送るなりほかに送るなり、してやっておると思うのでありまして、大体七五%であろう、こう存じておるのであります。そういう点から、やっぱり生産原価というものを考えてみなければならない、こう存ずるわけでございます。
  74. 海野三朗

    ○海野三朗君 さっきの質問途中でやめたんですが、建設大臣にお伺いしたいんですが、なぜこのセメントを選んできなさったか。ただ、その石灰石が東北地方にあるからこのセメント工場を作るという、漫然たるお考えでありますか。東北の方の振興のためには、まだまだほかにたくさんあるではないかと私は思うのですが、その点については建設大臣はいかようにお考えになっていらっしゃるか、その点を私はお伺いいたします。
  75. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) 東北振興のためにはいろいろの仕事があるのじゃないか、なぜセメントを作ろうとするのか、こういう御質問のように承わりました。この点につきましては、お説の通りに、十分考慮いたさなければならぬのでありまして、いろいろ研究をいたしたのであります。そうして東北大県の知事諸君にも御相談をいたしまして、現地の実情に最も明るく、かつ東北振興に一番真剣な関心を持っておられる東北六県の知事諸公の御意見も徴しまして、やはりセメント工場が一番適当である、かような結論に到達いたしまして、これらの意見を尊重いたしてかような計画をいたした次第であります。
  76. 白川一雄

    ○白川一雄君 議事進行で。資料の要求をいたしたいのでございますが、建設省の方に、現在の資料を見ますと、直営の仕事が三つの会社となっておりますが、一番多かったときは幾つあったか。現在の二つ以外のものは、ほかの方に移したのか、あるいは解散するとかいうので、なくなってしまったのか。それと、投資会社が九十ばかりあったのが二十幾つになってしまっておるというのも、なくなった六十余りの投資会社は現在でも現存しておるのか、あるいはなくなったのか。それの一覧の表を出していただきたいと思います。
  77. 田中一

    ○田中一君 関連して。その問題についてはかねて要求してある通りなんであります。九十の投資会社のうち七十でしたか、七十が整理をして、二十九残っておる。直営工場を持っておるのが二十五ある。従って、過去五カ年の考課状と申しますか、成績を全部報告してくれという要求がしてあるのです。私は建設委員会では、その報告が来なければ東北興業というものの実態がわからぬ、従って、その資料が出なければ審議ができるということを申し上げたのであります。これは白川委員と同じような考え方でもって要求してあるのであります。まだ資料が出てこないが、いつごろ出ますか。これが出なければ東北興業の実態がわからぬのです。
  78. 町田稔

    政府委員町田稔君) 現在すでに資料調製ができまして、今整理をいたしておりますから、次の委員会に御提出申し上げたいと思います。
  79. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) お諮りいたします。この資料が、今お聞きのように、まだ出ていないのがありますから、今まで要求した資料が全部出たときに委員会を開くとか、何かその点をあとから協議をしますが、そういうように計らってよろしゅうございますか。と申しますのは、高碕長官は衆議院の本会議の方に御出席を要求せられておるのであります。
  80. 田中一

    ○田中一君 高碕長官に二、三質問したいのですが……。
  81. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) では、なるべく早く高碕長官にお願いします。
  82. 田中一

    ○田中一君 先ほど通産政務次官にも質問したように、あなたの考えている自立経済五カ年計画というものは、外国の品物をどんどん購入しようというのが主眼なんですか、それとも、多少能率は悪くても、日本製品を少しでも育成して、国産品で間に合うものは間に合わせようという考え方が基本的な立場になっておるのか、どっちがほんどうなんですか。
  83. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) これはどうしても日本で自給できるものは自給していかなければならぬと存じますが、自給いたしますにつきましても、最初のものだけは一応外国のものを持ってきて、これをコピーすることが一番早く成功するゆえんであると存じまして、それで、あるいはいまだかって日本になかった初めてのものということになりますと、形、たけは同じでも、実質が違ってくることが非常に多いのであります。特に地金等において違いがあるものであります。そこで従前の土木機械のごときも、今回佐久間において外国のものを持って来て、これを実際に動かして日本の製造家に見せて、初めて日本の製造家がりっぱなものができるようになった、こういう実例もあるのであります。今日ではほとんど土木用の機械は国産で間に合うというようなことに相なっておるのであります。今度のセメントの機械等も、これは初めての試みでありますから、そういう場合には一応向うのものを持って来て、そして第二には日本でコピーする、こういうようにやっていきたいと存じます。
  84. 田中一

    ○田中一君 私の承知している範囲では、今度のシャフト・キルンはドイツの機械を買うのだそうでございますね。あなたのお説のように、日本人はまねが上手ですからもう宇部興産で作っている。従って、これをコピーして日本の国産品を、イミテイションを作ればいいかもしれませんが、今度の場合は、宇部興産が権利を持っているそうです。宇部興産を通じて東北興業はそれを買うのだそうでございますが、その点は矛盾はお感じになりませんか。現在はそうだそうですね。それは御承知ですか、御承知ではないのですか。
  85. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) それはよく聞いております。それで宇部興産がドイツの特許を持っておられる、こういうことでありますから、宇部興産で作る機械がりっぱな機械であるということになれば、これは当然宇部興産にある程度の特許料を払って、そうして使わなければならぬ、こう存ずるわけなんでございます。
  86. 田中一

    ○田中一君 宇部興産では、今の局長の話のように、まだ製品が出てペイするかしないかわからぬというのですよ。いいか悪いかわからぬといっているのですよ。そういういうものをまた新しく国が投資をして、あるいは借金の裏づけをしてやらすという段階ではないと思うのです、現在では。現在の段階では、宇部興産で市販の品物がまだできていないのです。いいか悪いかわからないのです。そういうことは今局員が申しております。それにもかかわらず、それを是と信ずる、是と言われたところの長官、あなたは閣議で賛成したのですから、どういう根拠で賛成したか。いままだに市販しない、損か得かわからぬという段階のものを、あなたは自立経済五カ年計画というものを主張しながら、閣議でかかるものを賛成した理由はどこにございますか。
  87. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) これは専門家が各方面から調査いたしまして、ドイツにおける実情を調査し、宇部興産がやったある程度の研究の結果等も調査いたしまして、これならば間違いないという結論が専門家から出たわけでございますから、それによってわれわれはこれを信じて作成したわけでございます。
  88. 田中一

    ○田中一君 私は、あなたは常に自分の経験によって自信のある発言をしておられるように思って、尊敬しておったのです。その点、今のは専門家がいいというからいいのだというのは、あなたらしくないと思うのです。先ほどの三輪君の質問に対して、私は自分でセメントを作ってみてこうでございますというように、自信がおありになるのです。今私の質問に対しては、それを逃げている。従って、あなた自身も、たとえ専門家が何と言おうと、あなたの本心というものは、所期の目的を逃するような効果が上るかどうかについては、疑問を持っているに違いないと思うのですよ。あなたは非常に良心的な珍しい大臣だと思っているのですよ。従って、あなたはうそをついてはいけません。あなたの良心というものは、決してこれでいいのだという考えを持っておらぬと思うのですよ。良心的に答弁して下さい。間違って閣議で賛成したならば賛成したでけっこうです。
  89. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私は良心的に御答弁申し上げております。ドイツの例等から見まして、専門家の意見を聞きまして、これは必ず日本で成功する、また成功させなければならぬ、こう存じております。
  90. 田中一

    ○田中一君 宇部興産は持っているのですから、日本は貧乏国なんですから、高い金を出して買う必要はありません。あなたの主張通り、これをコピーして、イミテイションをお作りになったらどうでしょう。その方をお進めになるのが正しいでしょう、あなたの主張からいうと。日本では土木機械と同じようにできませんから。
  91. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 現在のところは、私はまだそこまでの確信がありません。
  92. 田中一

    ○田中一君 もう一点伺いたいのです。あなたの常に主張している直立経済五カ年計画というもののうちですね、これはあなたの信念を伺うのですけれども、火力発電所の建設が本年からだいぶ進んで参ります。日本の火力発電所の技術的な限界というものは、大体七万五千キロワット程度のものが日本でできます。ところが、聞くところによりますと、通産省は一基十五万六千キロの火力発電機械というものをアメリカから輸入しようというような計画があることを聞いておりますけれども、一体こういうものに対しては、企画庁長官としてはどういう信念をもって、日本国内の経済五カ年計画並びにあなたの構想として言われておるところのアジアの開発計画というものが、アメリカの五〇%の資本と、日本の大部分と、あと東南アジアの未開発国の投資によってやろうという御構想を新聞紙上で見ておりますけれども、あなたの構想というものは、日本で作らないで全部アメリカから機械なり何なり買って、東南アジアに売って、その手数料だけをもうけようというつもりで考えておられるあなたの東南アジア開発計画なのか、あるいは外国のいいところは先ほど言ったようにまねして、日本の国内で可能なものは日本の国内で作る、そしてむろん国内の自立計画の達成と、広くは東南アジアの開発計画と申しますか、開発公社といいますか、方式は、こういうような構想はどういうところが本音なのですか。具体的に言うと、今の七万五千キロの火力発電の機械ならば、日本生産ができる。にかかわらず、十五万六千キロの発電機械をアメリカから買おうという考え方、あるいは発電機械もこれは故障があればとまります。とまった場合に危険だから、七万五千キロ二基を作った方が、一つは故障があっても一つは生きているから、いいのじゃないかとい考え方に立つか、あるいは絶対にアメリカの火力発電機械というものは故障がないのだから、だから一基十五万千キロの機械でいいのだという立場が正しいのか、そこのところを一つ見解を開かして下さい。
  93. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私は日本産業を自立させるためには、もうできるだけ日本で機械を作りたい。特に東南アジアの開発につきましては、日本から機械を供給するというところにこの開発の意義があるわけでありますから、これは曲げることはできないと、こう存じております。それを達成いたしますためには、謙虚の心をもって、われわれの足らぬ技術はできるだけ外国の技術を早く取り入れるという必要がある。そういう意味におきましては、場合におきましては、相当の反対があっても、これは日本でできない、むしろアメリカから持って来た方がこの技術を導入するのに楽だ、こういった場合には、これを持って来るという考えで進んでおりますが、持って来るということは、つまり日本の技術を向上せしむる、その製作の技術を向上せしむるという目的に沿うためであります。さように存じております。
  94. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 先ほども申した通り、高碕長官馬場建設大臣は衆議院の本会議に参りますから、御質問があればこの次の機会にお願いいたします。
  95. 三輪貞治

    三輪貞治君 簡単に……。高碕さん、先ほどどうも通産省の出しておる数字はでたらめで、操業度のごときも、通産省では六三%と言っておるけれども、実際は七五%ぐらいだと、こういうお話しだったのですけれども、そうなると、われわれはどこを一体根拠にして零歳していいのかわからなくなる。あなたの方で出ている経済五カ年計画でも、そういうあいまいな信憑性のないものか、それを一つはっきりしてもらいたい。それから吉岡さんの方にも、高碕長官の言われるように、あなたの方の数字はそういうでたらめな数字なんですか。そうなると、われわれはもう審議できない。何をもとにして審議していいかわからぬ。
  96. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) ちょっと私の方から御説明申し上げますが、先ほど申し上げましたのは地区別の生産能力と需要量との対比でございます。従いまして、高碕長官からお答えがございました通り、直ちに工場別の操業度を表わしておるのじゃない、こういう点はその通りでございます。もし工場別の操業度が御必要でございましたら、これはさらに調べまして、最近のものをお出しすることにいたしたいと思います。
  97. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) では、長官も大臣も本会議に御出席下さい。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  98. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 速記をつけて。  連合審査会は、本日はこれをもって閉会いたします。    午後四時二十一分散会