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1956-03-22 第24回国会 参議院 建設・商工委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十二日(木曜日)    午前十時五十五分開会     —————————————  出席者は左の通り。   建設委員    委員長     赤木 正雄君    理事            石井  桂君            小沢久太郎君            近藤 信一君    委員            斎藤  昇君            西岡 ハル君            武藤 常介君            田中  一君            北 勝太郎君            村上 義一君   商工委員    委員長     三輪 貞治君            古池 信三君            高橋  衛君    委員            上原 正吉君            西川彌平治君            白川 一雄君            深水 六郎君            阿具根 登君            海野 三朗君            上林 忠次君   政府委員    通商産業政務次    官       川野 芳滿君    通商産業省軽工    業局長     吉岡千代三君    建設政務次官  堀川 恭平君    建設省計画局長 町田  稔君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君    常任委員会専門    員       山本友太郎君   参考人    日本開発銀行理    事       鹿喰 清一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人に関する件 ○東北興業株式会社法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ただいまから建設商工委員会連合審査会開会いたします。  お諮りいたします。政府の都合により、政務次官通産大臣もただいま出席できませんので、この連合審査会暫時休憩にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。    午前十時五十六分休憩      ——————————    午後一時五十三分開会
  4. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ただいまから建設商工委員会連合審査会を再開いたします。  東北興業株式会社法の一部を改正する法律案を議題に供します。  この際お諮りいたします。本案審議のため、日本開発銀行理事鹿喰清一君及び同銀行管理部長淡河正君の両君を、参考人といたしましてこの会議に出席させることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 御異議ないと認めます。さよう取り計らいます。  ただいま政府から建設政務次官堀川君、町田計画部長、また通商産業省から川野政務次官吉岡軽工業局長がお見えになっております。  質疑のおありの方は御発言願います。
  6. 海野三朗

    海野三朗君 私ちょっとお伺いしますが、この政府の保証する額というもの、その額はどういうところから考え出されたのでありましょうか。それをちょっとお伺いをいたします。
  7. 町田稔

    政府委員町田稔君) 三十一年度におきましては、政府が保証いたします限度を、予算総則におきまして九億九百万円にいたしております。これはセメント事業をいたしますために所要の総経費が十四億ということに予定をいたしておりまして、そのうち三十年度の一般財政におきまして一億、予算の計上がございました。それからなお三十年度におきまして、他に二億、預金部資金及び開発銀行から調達できる予定になっております。それで十四億のうち三億は三十年度でまかなうことにしました。三十一年度の産業投資特別会計におきまして二億円、他に計上いたしております。それでこれらを合計いたしますと五億円になります。十四億のうち五億を引きまして、九億円あと不足をいたしますので、これに対しまして政府保証といたしまして社債を発行するということに計画をいたしておるわけでございます。九億九百万円になっておりますのは、社債を発行いたします際に割り引いて発行いたしますので、減額の価格差を加えまして九億九百万円にいたしたのでございます。
  8. 海野三朗

    海野三朗君 この法案をお出しになった発案者政府でありましょうが、だれがこういうことをお考えになったのでありますか、それを私はお伺いしたい。そうしてその事業計画のうちに、セメントの増産、セメント計画ということをお立てになっておりますが、東北地方といたしましてはまだほかにやらなければならない幾多の事業があるのではないか。現在セメントが余っておる状態でありまするのに、それをどういうふうに考えておられますか。その所信を承わりたいと存じます。
  9. 町田稔

    政府委員町田稔君) 今御指摘のございましたように、東北地方にはセメント事業以外に、他にいろいろの事業を振興さぜる必要があると存ずるのでございます。特に今回最初セメント事業を選びました理由は、御承知のように、東北地方各種地下資源に恵まれていますが、特に品質優良な石灰石埋蔵量全国一になっておるのでございます。ところが、その利用度におきましては全国でも最も低位にあるのでございまして、そこでこの非常に豊富に埋蔵しております石灰石原料といたしまして、それを使う産業を興しますことが、東北地方にとりましてはきわめて合理的でございますので、そういう意味におきまして、セメント事業計画いたしたのでございまして、この無尽蔵に退蔵されております石灰石原料としまして、低廉なセメントを製造いたしますことは、東北地方公共事業等に対しましてもきわめて有利な条件を提供いたすことになります。これによりまして公共事業等の一そうの促進をはかろうということも、一つのねらいになっているのでございます。  なお、東北地方にいかなる産業を興すべきか、ことに東北興業をしていかなる事業に着手せしむべきかということにつきましては、セメントを選びます際に、事前に地元でございます六県の知事に相談をいたしまして、六県の知事から東北興業をして経営させるのを適当といたします各種事業を推薦させたのでございますが、そのうちにも特にセメントに対する要望が強うございましたので、そういろ意味におきまして、地元要望をも加えましてセメント製造事業に決定をいたした次第でございます。
  10. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまのお話では、低廉なるセメントというお話でありますが、そうしますと、ただいま販売されているセメント、小野田とか、いろいろありますが、それはつまり高いセメントになっているというお見込みであろうと思いますが、ここでセメントを作りましたならば、どのくらい安く上りましょうか。低廉なるセメントとおっしゃるが、値段はどのくらい安いセメントを作られるというお考えでありましょうか、その辺のお見通しを伺いたいと思います。  すべて事業というものは、そのとき、そのときの思いつきじゃ因るので、たとえば、いいからといってどんどんやっていくというと、結局今度は、まあ例を石炭にとって言ってみれば、増産しなければならぬ、増産しなければならぬといって、太鼓をたたいてやったが、今はどうだ。石炭合理化法案というものを出しておられる。そうして今度は石炭業者を救わなければならぬという羽目になっている。で、このセメントがどれだけ安くなるというお見込みであるかということが一つと、トンあたりどれくらい安くなるかということを一つ伺いたいことと、セメントがもし安くなって困った場合に、セメント合理化法案というものもまた用意しなければならぬという事態が来ないかどうか、そういう点についてのお見通しを伺いたいと思います。
  11. 町田稔

    政府委員町田稔君) セメントを興すについては、価格点等に十分な考慮をしなければ、途中において挫折をするのではないかという御意見でございまして、この点はまことにごもっともの御意見と存ずるので、ございます。この点につきましても十分考慮いたしまして、今回東北興業生産いたします方法といたしまして、シャフト・キルン方法を採用いたすことになりましたのも、その点を考えた結果でございます。御承知のように、従来のロータリー・キルン方法によります場合よりは、シャフト・キルンで製造いたしますというと、非常に生活費が安くなるのでございます。これは設備費につきましては、従来の方法よりも、大体二分の一の設備費で済みますし、その後操業をいたします場合にも、労務費等が大体非常に安くしるのでございます。そういうことを考慮いたしまして、製造方法を定めたのでございます。このシャフト・キルン方法によりまして、大体従来の価格よりは千円程度は安く販売をいたし得るというように予定をいたしているのでございます。
  12. 三輪貞治

    三輪貞治君 関連して。今の、従来の価格よりも千円安いというのは、いつの価格よりも千円安いという意味ですか。
  13. 町田稔

    政府委員町田稔君) 先般お手元に差し上げてあると思いますが、セメント事業目論見書の中に記載してございますように、大体製品のトン当り販売価格を六千五百円程度に見込んでおるのでございまして、これは三十一年、本年の二月の東北地方におきますセメントの市価よりは約千円安いというふうに考えておるのでございます。
  14. 三輪貞治

    三輪貞治君 ただ抽象的に千円安くなるというのじゃ、どうもわれわれ納得できない・原価計算をしたものが出されていますか。私初めてこの連合審査会に出たんですが……。
  15. 町田稔

    政府委員町田稔君) このセメント事業目論見書に、大体原価計算をいたしましたものが、七ページのところに一応書いてございます。
  16. 三輪貞治

    三輪貞治君 それからこれは通産省の方にお伺いいたしますが、二十九年ごろに同様の計画が、大体十億円くらいの資金で出されたことがございますか。
  17. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 私ども建設省からお話を伺いましたのは、最初の話が昨年の春ごろであったと思います。しかし、その前から会社としては計画をお持ちであったように聞いております。直接伺いましたのは昨年の春ごろだと記憶しております。
  18. 三輪貞治

    三輪貞治君 そのころの計画は、今出されたものと同様のものですか。
  19. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 販売価格は、予定価格は、最初もう少し高くなっておったように記憶しております。その後いろいろ御検討の結果、先ほど建設省からお答えがございましたような現在の計画になってきておる、こういうふうに考えております。
  20. 三輪貞治

    三輪貞治君 私が聞いておるのは、販売価格でなしに、設備費資金ですね。規模、それから十四億というその資金、これはやはり変らないですか、今の計画と。
  21. 町田稔

    政府委員町田稔君) 最初計画をその後検討いたしました。材料費その他の値段高騰等考慮いたしました。機械輸入価格等につきましても、非常に正確な材料が手に入るようになりました現在では、かなり変っております。
  22. 三輪貞治

    三輪貞治君 これも出ておるか知らないですが、建設費の内訳、機械種類価格、それらが資料として出ておりますか、こまかく。
  23. 町田稔

    政府委員町田稔君) この資料のうち、機械につきましては四ページにその種類等につきまして記載をいたしたのでございます。
  24. 三輪貞治

    三輪貞治君 昨年の春ごろの御計画は、やはり十四億じゃなかったんですか。
  25. 町田稔

    政府委員町田稔君) 当初の計画におきましても、総額におきましては十四億でございました。
  26. 三輪貞治

    三輪貞治君 そうなると、ずいぶん資材は値上りしてると思うのですよ。昨年の春、そのころの鉄の値段なんかを調べてみますと、だいぶ値上りしています。それをそのまま簡単に計算をして、今の価格でそれを修正すれば、どっかに無理が来るわけです。非常にずさんな計算じゃないかという気がするのですよ。昨年の春出されたものと今のものが、同じように十四億で、設備規模も同じだということになれば、計算の上でそういうつじつまを合わされただけで、実際はかなり実現性の乏しいものじゃないか。だから、十四億というものは、ある人の言うように、たとえば二十億かかるだろうというようなことが信憑性があるんじゃないか、こういうふうにわれわれ考えるわけなんですが、その点いかがですか。
  27. 町田稔

    政府委員町田稔君) その点につきましては、まことにごもっともな御質問でございますが、私たちこの新しい計画を立てます以前におきましては、シャフト・キルン方法を採用するのには、機械をかなり輸入に待たなければならないということも考えておったのでございます。ところが、幸いに輸入を要する部分はきわめて小部分でよいということになりましたので、計画全体をきわめて無理することなく、十四億の範囲内でおさまることに計画が立っておるのでございます。
  28. 三輪貞治

    三輪貞治君 えらいまたうまく勘定が合ったものだと思うのですがね。それで四ページの資料というのを今見ましたが、これではわかりませんよ。合計だけはわかりますがね。もっとこまかに資料として出して下さい。
  29. 町田稔

    政府委員町田稔君) これらの機械につきましては、近く入札等をして購入をいたします必要がございますので、各機械ごと価格等はここに記載をいたしませんでした次第でございまして、その点御了承をいただきたいと存じます。
  30. 三輪貞治

    三輪貞治君 ということは、出せないということですか。ここに記載しなかっただけで、要求があれば出すということですか。
  31. 堀川恭平

    政府委員堀川恭平君) いろいろ秘密な点がありますので、詳しい資料を出すということはちょっとできかねると御了承願います。
  32. 三輪貞治

    三輪貞治君 なぜこれを聞くかといいますと、先ほどお話では、昨年の春ですね、鉄鋼価格なんかは今よりも五割も低かったとき計算をして、やはり同じ規模のものが十四億円だ。今度は一年もたってだいぶ価格も変ってるのに、輸入機械を国産へかえたからといって、そうぴしゃりと十四億に合うわけないんです鬼だから、計算に非常にずさんなところがあるんじゃないかと、こういう感じがするわけです。とすれば、出されないとわからないこまかいものを、そういう意味で聞いてるのですから……もももろんいろいろ秘密に属することもありましょう。われわれもそれは守りますよ。だから、極秘書類として一つ出していただきたい。
  33. 堀川恭平

    政府委員堀川恭平君) 私は昨年春にはいなかったのでありますが、この鉄鋼価格は昨年の十二月の値段によって計算いたしたのであります。なお、またいろいろこまかいものを出せということは、簡単で問題ではない、出すことには問題ではないのでありますが、秘密を守られることはわかりまするが、漏れる点もあると存じまするので、その点は一つ差し控えさしていただきたいと存じます。  しかしながら、われわれとしては絶対に責任があることは事実であります。責任を持ってやりたいと。いわゆる十四億の金というものは相当大金でありますので、建設省といたしましては絶対に責任があるということは、痛感いたしておるのであります。
  34. 三輪貞治

    三輪貞治君 それはもちろんのことですが、私が先ほどからくどく言いますように、どうもただいまの御説明は、昨年の春ごろ、あるいはその計画は一昨年のうちにも作られたものと聞いておる。そのものが、同じ規模で、金額はやはり同じである。そして今日一年以上たって出されたものも、総計においては変らない。こういうことはおかしいじゃありませんか。内部的には、材料かなり値上りをしておることは、もう御承知のところです。それは十月末のもので計算をされておりましょう、それでは昨年の春作られたものがずさんであったか、いずれがずさんであったかということになる。だから、それを知りたいのです。  われわれも、政務次官が言われるように、もうこれは責任を持ってやってもらわなければならない。特に先ほどから質問されておるように、東北興業は何もセメントが足らないわけではないでしょう。地下資源が多いということはわかる。しかし地下資源が多いといっても、それを作れば、それだけ混乱を起す。東北だけでもすでに消費し切れずに、かなり外に出しておる。もうすでに二十万トンというものがここにふえる。その混乱を押してまでこれを強行しようとしておるのであるから、これは当然責任を持ってもらわなければならない。しかし、そのためには、そういう抽象的なお気持だけでは困る。この計算が最も精密なあなたの責任感を裏づけするものでなければならない。そのために聞いておるのですから、ぜひ出していただきたい。
  35. 堀川恭平

    政府委員堀川恭平君) お説ごもっともでありまして、委員会で絶対に出せということならば、われわれの方といたしましても出すのにやぶさかでないのであります。しかし、いよいよこれを通過させていただいて、発注するという場合になって、それが故障になって高くたると、あるいはいろいろな方面に無理ができるということになると困ると思うだけであります。絶対に出せという御要求であれば、これは出すのにやぶさかでないと存ずるのであります。
  36. 海野三朗

    海野三朗君 私がお伺いいたしたいのは、このロータリー・キルンではなくて、シャフト・キルンの法によるから、生産費を安くするというお話でありましたが、そうすれば、現在のセメントは、つまりロータリー・キルンを使っておるので、高いということになる。今新しく作らぬでも、すでにロータリー・キルン生産をしている会社が何ぼもある。それを部分的に改良してやりましたならば、生産費が安くつくではないですか。そういうところへ金を回した方がいいのではないか。国家的見地から考えて、そういうふうに私は思うのであります。たとえば鉄の生産におきましても、亜鉛板あるいはブリキ板製造方法においても、様式を変えたために、今日輸出が盛んに行われておる。そして値段もだいぶ、外国に負けない所まで行っている。これは設備改善によったものである。セメントシャフト・キルンを使うからとおっしゃいますけれども、これも新しくこれだけの工場を作ることよりも、現存あるところの旧式のロータリー・キルンシャフト・キルンに改造しておやりになる方が、国家的見地から考えて妥当ではないかと思うのですが、その点についてはいかようにお考えになっておりますか。
  37. 町田稔

    政府委員町田稔君) ただいまの御意見で、セメントを安く生産するということだけを目的といたしました場合には、御説の通りに、従来ありました工場合理化等をはかりまして目的を達し得ると思うのでございます。ただ、その場合にも、ロータリー・キルンシャフト・キルンに改めるということは、技術的に不可能のように私は聞いておるのでございます。ただ今回の東北興業セメント事業を興しましたのは、セメント自体の低廉な生産ということとともに、あわせて東北地方の振興ということを目標といたしておるのでございまして、そういう意味におきまして新たな産業を興すことを考えたわけでございまして、その点を考えますというと、単に既存セメント事業を合理化するということだけでは、その方の目的が達成し得ないように考えられるのでございます。
  38. 海野三朗

    海野三朗君 今、ロータリー・キルンシャフト・キルンに取りかえることはできないとおっしゃったけれども、それは取りかえられますよ。設備改善さえすれば、これをかえられるのですよ。ただ、すぐ入れかえるということは困難でありましょうが、このシャフト・キルンを使うように工場設備を改造していけば、できないことはないはずであります。それを、東北地方セメント原料がたくさんあるからということで、それはもっともそれを開発していかれることは産業を興す上において必要なことでありましょうが、そういたしますと、現在余っておるセメント、そういうものの混乱を来たしはしないかということが一つ。それと、これを通産行政の立場から考えてみると、こういうことをやるときに、その影響がどういうふうに響いてくるかということ。安くつくのはいいけれども、一方では高くつくものができてくるということではいけないのではないかということを思いますので、一体、需要量はどれくらいにあって、各会社東北地方に回っておる七メントはどのくらいになっておりますか。どのくらい不足しておりますか、その点をお伺いいたしたい。
  39. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) セメント需給関係は、先般もちよっと申し上げましたが、生産能力に対する実生産の割合で申し上げますと、操業率で申し上げますと、二十八年度が九四%、二十九年度は八八%、三十年度は七五%、三十一年度は七二%、三十二年度は七四%、こういうように予想をいたしております。それから東北地方につきましては、操業度におきまして、三十年度は六四%、三十一年度は六三%、三十二年度は七〇%、こういう関係になりますが、北海道におきまして、これは三十年度は一二六%、つまり生産より需要の方が上回っておる。それから三十一年度に九一%というような関係がございますので、東北北海道とをあわせて考えますと、ほぼ全国平均操業度と大差ないというような状態になっております。
  40. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ちょっとお諮りいたします。川野政務次官は三時からまた衆議院委員会の方に行かれますので、川野政務次官質疑がある方は特にお願いいたします。
  41. 海野三朗

    海野三朗君 東北地方、だけから見るとこういう状態になっておるのに、新しくセメント事業としてここにやるということは私は納得がいかないのでありまして、まだまだ芦北の方には必要なる事業がたくさんあると思うんです。そういう他の事業の面についてはお考えになったことがたいのでありますか。
  42. 町田稔

    政府委員町田稔君) 東北地方に適しております他の事業につきましても、いろいろと研究をいたしたのでございまして、たとえば合成繊維工業砂鉄鉱業天然ガス利用工業、その他の各種事業につきましても考慮をいたし、かっ将来東北興業が新たな事業を興します際には、これらの事業の中から適当なものを計画をいたすように考えておるのでございます。ただ、先刻もお答え即ししげましたように、従来から石灰石利用につきましては非常に熾烈な地元における要望がございまして、東北興業におきましてもすでにこれを利用いたしまして、福島県にカーバイド、それから石灰窒素事業場を現在持っておるのでございまして、それで今回は先刻お答え申し上げましたような理由により、セメント事業に着手いたすことにいたした次第でございます。その他の事業につきましては、将来これを計画いたして参りたい、こういうように考えておるのであります。
  43. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまのお話を伺ってみると、結局すると、こういうことなんです。東北の方では余っておる。今吉岡軽工業局長お話によりましても、北海道需要の方が勝っておるけれども、東北の方はずっと余っておる。こういうところへセメント工場を作るというのでありますから、それを作れば、これはどこに持って行かれるお考えなんでありますか。ただ余ったでは……。これを生産して、足らざる所へやるというお考えか、余っておるという上にこれを新しくおやりになるということ、事業そのことについて私はあやぶまざるを得ないのでありますが、その辺はいかがなものでありますか。
  44. 町田稔

    政府委員町田稔君) 今御質問の点につきましては、従来と同様な方法によりまして、既存のメーカーと競争をするということになりますれば、これは御心配の通りだと思うのでございまして、なかなか事業の成立が困難だと思うのであります。ただ先刻も申し上げましたように、新しい方法でやりますので、生産コスト等もかなり従来のものよりは低廉になりますので、競争の点につきましては非常に有利であるというように考えておるのでございます。ことに東北地方生産はかなり需要を上回っておるのは事実でございますが、東北地方生産されておりますセメントの非常に大きな部分は、従来は他地域に移出されておったのでありまして、この点は御承知通りでございます。それで東北地方で使っておりますセメントの多くの部分は、他の東北以外の地域から入っておったような状態がつい最近まで続いておったのでございまして、東北はそのために、セメント価格は他地域に比べてかなり高い時代がかなり最近まであったわけであります。それで今回東北興業におきまして工場を立地いたします地域は、東北需要地に比較的便利な地域でございますので、そういう点からいたしましても、東北地方だけで考え生産需要との関連を、そう重大に考える必要はないのではないかというふうに考えておるのでございまして、そういう意味におきまして、セメントの生巌を決定いたしたわけでございます。
  45. 古池信三

    ○古池信三君 ちょっとお尋ねしたいのですが、ただいま東北におけるセメント価格がそう安くない、今度できる会社の製品は相当安い価格でできる、こういう御説明だったのですが、今そうすると、東北地方におけるセメント価格は大体どのくらいであって、新会社の新しく作る製品の価格はどのくらいだということになるのでしょうか。
  46. 町田稔

    政府委員町田稔君) ごく最近の価格につきましては、これは通産省の方からお答えいただいた方が正確だと思いますが、現在仙台におきまして国鉄契約価格の推移を見ますと、三十一年の二月におきましては七千四千五十円でございまして、これは全国他の地域と同様の価格になっておるように思います。ただ、従来、二十九年八月等の数字を見ますと、私が先刻お答え申し上げましたように、他の地域と比べましてかなり高かった、かように考えておるのであります。
  47. 古池信三

    ○古池信三君 今度の会社の製品の価格は、大体どのくらいですか。
  48. 町田稔

    政府委員町田稔君) これは六千五百円で市販をいたすような計画にいたしております。
  49. 古池信三

    ○古池信三君 今伺いますと、一トン当りで千二百円くらい安くなるわけでございますが、その安くなる理由はどこにあるのですか。
  50. 町田稔

    政府委員町田稔君) これは東北興業におきましては、シャフト・キルン方法生産をいたす計画にしております。シャフト・キルンは、従来のロータリー・キルンに比べますと、大体燃料、電力、人件費、償却等におきまして、三割五分ないし五割程度安くセメントを製造できるというように言われておるのでございまして、そういう点から計算いたしますと、大体千円程度は安く販売ができるのではないかと考えておるのでございます。
  51. 古池信三

    ○古池信三君 今のお話ですと、大体この価格が安くできるという原因は機械シャフト・キルンを使うからという、こういうことの御説明であったようですが、最近日本でもずいぶん新しいセメント工場が各地にできておると思うんです。ところが、それはほとんどローダリー・キルンを使っておるように思いますが、それほど価格上効果のあらたかなものであれば、他のセメント業者もみんなシャフト・キルンを使うべきであろうと思うんですが、それを採用しないで、おそらく全国の八割以上はローダリー・キルンじゃないかと思いますが、それは一体どういうわけか、その辺についての御説明を願います。
  52. 町田稔

    政府委員町田稔君) 今御指摘のありましたような事情で、日本の生産はほとんどロータリー・キルンによっておるわけでございます。セメントを強度等から比較をいたしますと、どうも従来ロータリー・キルンで製造されておるものと、シャフト・キルン生産されておりますものとを比べますと、多少シャフト・キルンの方が規格においては落ちる点があるように承知をいたしておるのでございます。ただ、公共事業等を実施いたして参ります際に、従来の非常に高度の品質を持っておるセメントを必ずしも使う必要のない部分がかなりあるのでございまして、そういう部分につきましては、シャフト・キルン生産いたしましたセメントを十分に使い得るのでございまして、それで目的を達し得るのでございます。そういうように価格がむしろ安いセメント——規格は多少落ちても、価格の安いセメントに対する需要はかなり多いのでございます。そういう意味におきまして、シャフト・キルンで作るセメント需要は非常に潜在的にあると思いますので、この点につきましては、私たち販売に心配がないと考えております。なお、ドイツ等におきましては、全セメント生産量の三割まではシャフト・キルンによる低廉なセメント生産されておるように聞いておるのでございます。
  53. 古池信三

    ○古池信三君 最初伺った話の感じでは、同じ規格の品物ということを標準にして、今度の会社の新製品が千円ぐらいは安くなるだろう、こういうふうにわれわれ了解して聞いたんです。しかし、ただいまのお話によると、それは品質が落ちるんだと。品質が落ちるから自然値段も安いことは当然だと思うのですが、そういうことになってくると、話の前提が変ってくると思います。  そこで通産省の方に伺いますが、今までずっとセメント工場の新設の際に指導されたときに、なぜこのシャフト・キルンを使わせないで、ロータリー・キルンを使わせるようにされたのか、その点を伺いたいと思います。
  54. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) セメント工業合理化につきましては、二十九年度以降三十一年度まで三カ年計画を立てまして、各社ともその線に沿って合理化工事を進めております。それでその際の考え方といたしましては、その当時までセンメトにつきましては設備の新増設等は必要としないのではないかというふうな財政当局の考え方もございまして、いわば一般的に設備が老朽化しておったと、こういう関係がございます。そこで一昨年大蔵省とも打ち合せをいたしまして、今後必要な合理化工事についてはある程度積極的に資金を出していただくという話し合いをいたしまして、その後設備の新増設が急速に進んで参ったという現状でございます。そこでそのような関係から、従来補修等も十分行なっておりませんでした設備の老朽部分を改良するというような点について、一般的に工事が進行しております点が多いわけでございます。  それからかまの方式といたしましては、その当時から新たに採用されております方式はいわゆるロング・キルン、従来のよりも非常に長さの長いキルンを使います方法、それからレポール・キルンというふうに、長さは比較的短いけれども、回転がまの直径を大きくするような方法を採用しておる所もございます。それから特に新増設につきましては、たとえば富士鉄と磐城セメントが共同で新設いたしました富士セメントというふうなもの、高炉のスラッグを利用いたしまして、これと回飲がまのクリンカーと混合する方法、それから電気化学工業等で従来カーバイドと石灰窒素の仕事をしておりました石灰石のくずを利用いたしまして、これを使ってやる方法、まあそのような従来の副産物ないしは廃棄資源を使っていく方法を採用しておる所もございます。それからシャフト・キルンにつきましては、これは宇部興産が新規にドイツから機械輸入いたしまして、昨年の九月以降試験操業をいたしておるのでございます。このように各社によりまして、それぞれ従来の設備なりいろいろ技術面の検討を加えました結果、各種の芳油を採用しておるという現状でございます。
  55. 古池信三

    ○古池信三君 この東北の方の需要は、やはりシャフト・キルンで多少強度は弱くても安くでき上るセンメトが必要である、こういうふうに通産省の方で認めておられますか。
  56. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) これは先ほど建設省からもお答えがございましたように、日本のセメントの品質は現在世界一厳格であるというふうにいわれております。セメントにつきましてはJISの規格がございますが、その強度に、標準の強度に対しまして現状は大体七、八〇%上回るように、非常に高い強度になってきております。この点につきましては学界等においてもいろいろ御意見があるようでありまして、ただいたずらに強度のみを競うということもどうであろうかというような意見もあるようであります。ただ、実際問題といたしましては、工事の際にある程度以上あ工事でありますと、厳重な強度試験をやりまして、契約が行われるというような形になっておりますので、自然そういうふうな形に行っているかと思います。これにはいろいろ、申し上げるまでもなく、日本の地質なり地震その他の自然条件も関係しておる点があるかと思いますが、工事によりましては、必ずしもそう高い強度を必要としないのではないかという意見もあることは事実でございます。
  57. 古池信三

    ○古池信三君 建設松月に伺いますが、強度が若干落ちるというのは、大体標準的なものに対して何パーセントぐらい落ちるでしょう。
  58. 町田稔

    政府委興(町田稔君) 大体私も、その点、正確な技術的な知識を持っておりませんので、非常に大ざっぱな返事を申し上げて恐縮でございますが、JISの規格によりますと、二〇〇というのが標準になっておりますのを、現在普通のロータリー・キルンを採用いたしますと、最高三九〇ぐらいまで出るようでございますので、これ以上出るものもあるかと思います。今、宇部興産等でやっておりますシャフト・キルンの製品は、まあドイツの例等からも推測できるのですが、一応これよりは多少低くて、三五〇程度ではないかというようにいわれております。
  59. 古池信三

    ○古池信三君 今度考えておられるような製品は、堰堤工事なんかには使えますか。
  60. 町田稔

    政府委員町田稔君) これは私の方の土木研究所等とも相談をいたしまして、いろいろ研究をさしておりますが、堰堤等にも使用が可能であるというように、ほぼ研究の結論が出ております。
  61. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 私それに関連して伺いたいのですが、セメントの質が落ちても、一般公共事業に差しつかえないというような御答弁がありましたが、私は、日本の公共事業は今まで、割合にセメントの質がよかったためにいいと思っているのです。実際施工してみると、施工そのものは非常に悪いのです。これは粗雑にやっておるのです。それを補うのは、セメントの質がいいために多少補っているのではないか、こういうような観点がある。それに対して、セメントの質が悪くてもいいということは、公共事業には当らぬじゃないかと思うのですが、これはどうですかな。
  62. 町田稔

    政府委員町田稔君) 今の問いにつきましては、委員長が非常に御専門家であられますので、私からお答え申し上げますのは非常に的がはずれておるように思いますが、ただ公共事業種類によりまして、非常に高度の強度を要するセメントをぜひ使わなければならぬ部分があると思いますが、それ以外の部分につきましては、規格が多少従来のよりも低下しても使える部分が、安全に使える部分があるのではないかということをかなり言われておりますし、それにつきましては今後も十分研究を続けまして、規格が落ちたために工作物等が非常に不都合な結果を来たすことのないように、注意を千分重ねて参りたい、こういうふうに考えております。
  63. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 川野次官に対する御質問ありませんか。
  64. 三輪貞治

    三輪貞治君 政務次官にちょっとお伺いしますが、通産省推定による経済五カ年計画の数字によりましても、大体三十一年度から三十五年度まで、年産のセメントの能力は千五百六十八万トンから千六百万トン以上に上っています。それに対する需要の予想は千百五十五万トンから千百六十四万トン程度のようですが、そうなりますと、勢い操業度を低下させなきやならぬということが、はっきりこの数字で現われてくるわけです。通産省の推計による経済五カ年計画の数字によると……。そういう際に、さらに二十万トンを別な組織において作らせるということは、一体通産省は賛成しておられるのか。やむを得ず賛成なのか、非常に反対なのか。  それからもう一つ先ほど町田局長のお話の中に非常に重要なことがあったと思うのです。それは、なるほど東北は需給はむしろ需要よりも供給の方が上回っている。しかしそれは東北でできるからだけではなくほかから入っているのだというお話がございましたが、これはなるほど私の持っておる数字においても、東北でできるものが六〇%から七〇%しか東北で使われない。東北全体の需要から見ても、東北でできるものはそれとやや似たような数字だ。そうしてほかから三、四〇%のものが来ておることも事実だが、東北から関東、信越、東海、北陸、近畿に行っているということも事実だ。日本全体の立場から需給を考えなければならぬのであって、今、東北に三十万トンから来ているから、二十万トン作っても東北の需給に差しつかえないというふうな考え方は、日本全体の立場に立つ通産省としては、おそらくとられないところだろうと思うのです。  この二つの点について、一つ政府の御所信をお伺いしておきたいと思います。
  65. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) セメントの現在の需給の関係、さらに将来の見通し等につきましては、吉岡軽工業局長から御説明があったようでございますから、省略さしていただきまするが、この現況を、実は昨年三、四月ごろであったと思いまするが、建設省の方から御相談がございましたので、従いまして、御説明に申し上げましたような需給関係等も詳細に建設省にも御報告申し上げ、さらにシフト・キルン等のことに関しましても、通産省の知る限りの卸囲内においていろいろ御説明申し上げておるような次第であります。建設省におかれましては、そういう点を十二分に考慮の上、そうして今回の計画を出されたものと、こういうふうに了解いたしております。従いまして、この問題について通産省といたしましても、できるだけ一つ御協力を申し上げ、完璧を期したい、こういうふうに考えております。  なお反対であったかどうか、賛成であったかというような御質問のようでございましたが、閣議決定を見ましてここに法案が出されておりますような事柄でございますから、一政務次官の私がかれこれ、賛成であったかなどということはいかがかと考えますので、その点は御了承していただきたいと思います。
  66. 三輪貞治

    三輪貞治君 もう一つ答弁漏れがあるのですがね。第二点の、東北でできているものはなるほど東北需要の七割くらいで、あとは外から入って来るのです。ところが、それにここに新しく二十万トンの生産がでぎれば、ももろんそれを防遏する、移入することを。しかし東北のものも、また東北生産量の七〇%近くしか使ってないので、ほかへみんな出している。そうすれば、東北から他に出している部分があるので、今度は向うの方でまた東北に行かなくなった分との競合を来たすわけですね。そうすればいかにも東北は三、四〇%のものは入っているから、新しく作っても、需給のバランスには関係ないというお考えは、全般的に見るとこれはおかしいのだということですね。
  67. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 現在セメント生産は、御承知のように、一千百万トンを生産いたしている実情であります。ゆえに今回の計画は、年産二十万程度あるようでございますから、この点から考えますると、そう差しつかえはないのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。  なお、つけ加えて申しまするが、今度の計画は、東北振興というような一つの大きな目的を加味されて、御計画になったようでございますから、そういう点も加味いたしまして、通商産業省としては賛成申し上げたような次第であります。
  68. 三輪貞治

    三輪貞治君 なるほど、今仰せのように、全部の需要は千百数十万トンであるから、これに二十万トン加えても大したことはない、こう考えられますが、しかし一たび東北だけに限って考えますと、東北はこれは九十万トン以内なんですね、九十万トン以内。それに二十万トン加わるのだから、これは比率はかなり高いものになります。そうすれば、一体この二十万トンというのは何で吸収するのか。この地図で覚ると、かなり輸出をするのには不便な場所です。輸出しないとすれば、今まで使っていたものを追い返えすと。今度はほかの会社はサービス・ステーションを持っていますから、そこに響いてくるので、そうすると、入ることを防渇するという結果になる。そうすると、その地域には東北で生潰していたものが行っていたわ、けです。で、そこで競合を来たさないか、こういうことを言っているんです。通産省は何ら差しつかえないと考えますか。  もう一つは、二十万トンというものは大した数ではないように考えられますが、しかし二十万トン、プラスになることだけは事実なんです。そうしてこれを内需の増加で吸収しようとするのか、輸出で吸収していく予想であるのか。それとも、さらに、先ほどの御説明では、七二%程度までに操業度が下っていますが、さらに操業度を下げて吸収するのか。その方針ですね、通産省の……。それを伺いたい。
  69. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) ただいま御指摘のように、地区別、行政区画等から考えますと、ある程度製品の需給関係が交錯していることは事実でございますが、これは一般論になって恐縮でございますが、工業製品につきましては、私どもは行政区面上の地区というふうなものは、それほど大きな意味を持たないのじゃないかというふうにも考えておりますし、また同じように、東北と申しましても、輸送関係等から積みかえ等の関係考えますと、場合によって他の地区に出す方が便利というような関係もございます。また公共事業を初めといたしまして、ある程度の工事になりますと、これは一般的に競争入札によって購入をいたしておりますので、そのような関係から、競争関係によりまして安いものが購入される、こういう関係で、地区間の交流がある場合もございます。さらにセメントと申しましても、それぞれの工事によりまして、いろいろセメントにも種類がございますし、また特質等もあるわけでございまして、それらの関係からある程度地域間の交錯輸送ということも、これはやむを得ないのじゃないかと考えております。全体といたしまして、政務次官からお答え申し上げましたように、この程度の数量のものが建設告において考えられておりますような非常に低廉なものが供給されるということになれば、それは他の会社に対しまして十分競争関係に立ち得るということたなれば、むしろそういう意味におきましては、セメントの合理化を刺激する一つ材料にもなり得るのじゃないかと、このように考えております。
  70. 三輪貞治

    三輪貞治君 それから、これは商工委員会で前に問題になったことがありました佐久間ダムの建設について、電源開発株式会社が直営の工場を浜松に作ろうという計画が、公益事業局でもかなり進んで、委員会でも論議された。ところが、いつの間にか、これは強い反対にあって、引っ込められてしまった。これは全く同じというわけではないのですが、やや似ておるケースなんです。この問の事情が、なぜあれが取りやめになったのかわかっていたら、一つ御説明願いたいと思います。
  71. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 電源開発が創立当時におきまして、お説のように、セメント工場を建てたいという、こういうことで御計画をされたことがございました。しかし当時は会社が創立当時でもございましたし、さらに電源開発会社は電源開発をやるというのが主たる目的でもございますから、そういう関係上、実は当時磐城セメントが浜松工場を作る、こういう計画がございましたので、その磐城セメントの浜松工場に対する御援助をお願いして、そのかわり浜松工場から低廉なセメントを供給する、こういうことに実は指導をいたしまして、霊源開発の計画をお取りやめ願ったような次第でございます。
  72. 三輪貞治

    三輪貞治君 私も当時その委員会におりまして、かなり詳細な資料が出ておりました。浜松からバラで現場へ運べば、当時九千円ぐらいしておったセメントが七千円ぐらいにつくという、二千円ぐらい安くつくというまことにけっこうな案だったのです。なるほど電源開発会社は電気の建設を主とする会社であるとおっしゃいますが、しかしその電源開発それ自体が非常に安くできるということでありますから、委員会ではかなり賛成の空気も強かったのです。ところが、事実ほ先ほど申しましたように、これがいつの間にかさたやみになって引っ込められまして、セメント会社はももろん工場を作りましたが、事実上は一体どれだけ安くあの場合は提供されたのですか、佐久間のダムの建設に。わかっていたら、一つおっしゃっていただきたい。
  73. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) ただいま政務次官からお話ございましたように、磐城セメントの浜松工場建設に対しまして、電源開発株式会社が融資の保証をする。また当時一般的には、重油の消費規制の関係から、セメント工場の重油炉につきましても、石炭専焼ないしは混焼に転換を指導しておったのでございます。この分につきまして、特に重油の割当をいたしまして、そのような行政指導によりまして、電源開発の目的に沿うような措置をとったわけでございます。価格につきましては、ただいまちょっと正確に記憶いたしておりませんが、たしか一般の市価よりも三、四百円安く納入するということで、秋葉と佐久間の両ダムの工事に約六十万トンのセメントを必要とするわけでございます。現在までに三十数万トン納入いたしました。その間は電源開発用のみという形でダムの工事に必要な規格のものを専心ただいま生産しておる、こういう現状でございます。
  74. 海野三朗

    海野三朗君 政務次官に私はお伺いいたしたいのでありますが、先ほどからいろいろ政府委員から御説明がありましたが、とにかく現段階においてはセメントが余っておる。こういう状態のもとにおいて、セメント事業を始める。これは建設省からいろいろ御要求があったからとおっしゃるけれども、通産省としてはもう少し、通産行政の立場からお考えにならなければならないのじゃないか。ほかにやるべき事業はたくさんあるのです、東北の方に。それだのに、こういうふうな余っている仕事に対して、セメントを作ろう、原料があるからこれを作ろうというようなことは、通産行政の立場から考えると、はなはだ何と申しますか、建設省で言われたからこうだというような御答弁でありまするが、私は非常に無定見なように思うのですが。はなはだ失礼な言い分かもしれませんが、そういうことであってはならないのじゃないか。もう少しこういう方面を御研究になって、おやりにならなければならないのじゃないか。ロータリー・キルンシャフト・キルンにかえることはできないというような御答弁、私は納得できない。通産省といたしましては、建設省からこういうような申し入れがあったからこうだということをおっしゃるけれども、その点に対しては通産当局としてももう少しはっきりした見通しと申しますか、筋の通ったことをおやりにならなければいかぬのじゃないかと思うのですが、政務次官一つ御所見を伺いたい。
  75. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) セメント工場の新設の認許可につきましては、認許可の制度がとられておりません。従いまして、通産省といたしましては、通産省の意見を申し述べる以外に方法がないわけであります。ゆえに、セメント工場を作る主管官庁である建設省に対しまして、十分の意見を申し述べた、こういうことでございます。
  76. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、通産省としては意見をお述べになった。結局融資の場合に政府が保証するというような場合には、一体開銀が勝手にきめるのですか、どうなんですか。通産省が裏書きをしてやっても、開銀が言うことを聞かない場合も今まであるのですが、これはどうなんですか。一体開銀の金というのは……。国民の金の上にあぐらをかいて、勝手なことをやられてはたまらない。必要なところに最も有効に使わなければならない。それに対して通産省はときどき相談をされるとおっしゃるけれども、それは実行されておらぬじゃないか。私は実行されていない実例を申し上げてもいいのだが、どうもそういう点に対しては私はどうかと思うのですが、その点に対してのお考え一つ承わりたい。
  77. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 開発銀行開発銀行としての考えのもとに、融資を決定するものと考えております。幸いに開発銀行からここに御出席のようでございますから、その点は開発銀行にお尋ねをお願いしたいと思います。
  78. 海野三朗

    海野三朗君 しからば、私開発銀行の方にお伺いしたいのですが、この融資とかこういう方面は、開発銀行で勝手におきめになるのですか。いかなる基本方針のもとにおきめになるのか。
  79. 鹿喰清一

    参考人鹿喰清一君) お答え申し上げます。開発銀行といたしましては、御承知通り、毎年政府におきまして産業設備資金に対する基本計画が閣議了解ができまして、そこできまりましたら、それを開発銀行の方に政府の方から通告がございます。それには、ことしの産業設備資金としては開発銀行としてこうこういう業種をやるべきだ、こうこういう業種のこういうものをやるべきだという御通告がございます。私どもはそれに基きまして、各会社からの申し込みを受付をいたしまして、そうして審査をして受け付ける。その場合に、各所管の関係の官庁からそれぞれ推薦がございますから、その推薦を考慮いたしまして、そうして私の方の、最後には銀行でございますから、金融的の見地から勘案いたしまして、融資の可否を決定する、こういうようになっております。大体はそういうことであります。
  80. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまの御答弁にありましたが、閣議決定ということをおっしゃるが、大体その初めの案は開発銀行の方から出すのではありませんか、いかがですか。
  81. 鹿喰清一

    参考人鹿喰清一君) これは経済企画庁におきまして、各省とお話し合いになって、御決定になります。
  82. 海野三朗

    海野三朗君 あなた方のこの開発銀行のワクのきめ方は、閣議できめるのでありましょうが、これこれの仕事が願いによって出ておるということは、やはりあなた方の方から閣議にお諮りになるのではありませんか。
  83. 鹿喰清一

    参考人鹿喰清一君) 私どもは直接閣議には提出しません。経済企画庁から閣議に提出しております。
  84. 海野三朗

    海野三朗君 それではあなた方はただ命ずるままにお金を出していらっしゃるというわけなのですか。命ぜられるままに融資をしておる、こういうお考えなのですか。
  85. 鹿喰清一

    参考人鹿喰清一君) 私どもはさきに申し上げました通りに、政府から、こういう業種に出すというように政府で閣議の了解がございまして、それを私どもの方に御通知していただきます。それに、たとえば一例を申し上げますれば、簡単だと思いますが、たとえば昭和三十年度の、本年度の政府資金産業設備に関する運用基本方針、これが閣議で了解が得られまして、そうしてその中でかりに鉄鋼業なら鉄鋼業というものが、これはこういう意味で基礎産業としての基礎を強化するとともに国際競争力を増強するため、特に緊要度が高い、コスト引き下げが顕著であると認められる設備の合理化をはかるものとする、こういうふうにございます。これに一方私どもの方に、これに基きまして、各会社から、それも御希望の会社から申し込みを受けまして、そうして通産省から御推薦がありまして、私ども個々の会社に対しましては審査して融資の、金融的に融資の適当であるかどうかということを判断して、適当だと思ったものは貸付したい、こういう状況でございます。
  86. 海野三朗

    海野三朗君 しからば、今の新規事業セメントに対しては、あなた方の方で御決定になったのですね、この融資は。
  87. 鹿喰清一

    参考人鹿喰清一君) それでは今の東北興業のいきさつにつきまして、私の方の知っておることだけを申さしていただきます。これは実は私の方に昨年お申し込みが、お話がございまして、私どもの方といたしましては、これを昭和三十年度の産業設備に関する運用基本方針でどういうふうにこれが該当するかということについて、政府の方にお確かめいたしました。そうしてその結果といたしまして、十二月二十二日付の建設事務次官からの通牒がございまして、そうしてこれをちょっと読み上げさしていただきます。  建設次官から開発銀行総裁あての通牒でございます。    融資対象事業の推薦について。   今般政府東北地方産業振興のため、政府資金を供給して、東北興業株式会社に、シャフト・キルンを用いる新製造法によって、岩手県下に年産二十四万トンのセメント製造工場を新設せしめることを決定しましたが、その所要資金の一部を貴行の融資に仰ぎたく、同事業を貴行の融資対象として推薦いたしますから、何分の御配慮をお願いします。  こういう何をもらっております。これの裏づけするものといたしまして、経済企画庁の次長と建設事務次官との間に交換文書がございまして、私の方から通産省並びに建設省を通じまして経済企画庁に聞きましたところが、この両者の間に文書の交換がございまして、そうして結局こういう、これは大体本年度の運用基本方針の一の8のロによって差しつかえないと思って考えておる、こういう御意見でございます。それで一の8のロと申しますものは、さきに申しました通り、業種を列挙いたしまして、そのうちの数字の8にはその他の業種となっております。その次のロが「国際収支の改善及び国内自給度の向上に著しく寄与すると認められる左記以外の業種並びに離島航路事業に対し」、これは本件に関係ございませんが、「離島航路事業に対する設備融資については、日本開発銀行資金状況を考慮して、特に緊要と認められる設備に限り融資対象とすることができる。」この条項に該当するから、これに基いてやれと、こういうお話でございました。
  88. 海野三朗

    海野三朗君 このセメント事業については、私は非常なまだ疑義があるのです。余ってだぶついておるのに、これを新設しなければならぬと、こういうところにその金を出すのはなぜか。ところが、それは閣議の決定によったのである、指令によったのである、こういう御答弁でありまするから、開発銀行としては当然の道をお進みになったのでありましょうが、ついでであるから私はお伺いしますが、この船とか、それから電源開発の方は金利が六分五厘になって、そのほかはみな九分になっておるのは、やはり内閣からの指令によって利子をおきめになるのですか。
  89. 鹿喰清一

    参考人鹿喰清一君) それは私の方できめて、政府の御了解を穫るわけであります。
  90. 海野三朗

    海野三朗君 私はそこがはなはだおかしいと思うのです。あなた方が政府の金を番人しているわけだ、実際からいえば。そうして公共事業であるべきもののうちでも、その差別をつけて、利子をあなた方が御勝手におきめになるということは、はなはだ私は納得いかないのでありますが、その点はどうなんですか。電源開発の方は六分五厘、造船の方は六分五厘というようなことになっておる。そのほかは鉄鋼石炭は九分と、そういうふうに政府がきめて、まるで高利貸でもなかろうと思う。公共事業に対してそういうふうに金利をおきめになって、あなた方の方で勝手におきめになるのは、はなはだおかしい。高利貸なら別ですよ。そういうことをおやりになるのは開発銀行の使命ではないと私は思うのですが、いかがなものですか、御所見を一つ承わりたい。
  91. 鹿喰清一

    参考人鹿喰清一君) お答え申し上げます。私どもの方は、今の御質問に対しまして、大体私の方の金利は九分と。これは昨年から下げましたから、その前が一割でございました。一割で、昨年一分下げまして、九分になっておりますが、これが基準の金利でございます。それでその基準金利を上げまする場合には、政府の御当局と十分に協議して、その御了承を得てきめております。ただ外航船と電力につきましては、お説の通り、六分五厘といたしておりますが、これも政府との間の話し合いに基きまして、この両種の産業につきましては、特に国家の基礎産業であるし、また金利を安くする必要がある、こういうことから、この両産業について例外を設けまして、六分五厘という料率を適用することにいたしておる次第であります。
  92. 海野三朗

    海野三朗君 しからば、今の鉄鋼及び石炭は、電気などと違って、これは公益事業ではないのですか。つまり国家的事業ではないのですか。他のものが九分になっておって、そしてその電気と造船の方だけ六分五厘にするということは、私はあまりにえこひいきではないかということを言っているのです。そういう御判断をなさること自体が、私はここに疑問を差しはさまざるを得ないのです。そこを私は伺っておるのです。
  93. 鹿喰清一

    参考人鹿喰清一君) ただいまの御意見、もちろんごもっともでございますけれども、私どもといたしましては、その原則が九分でございまして、そしてとにかくそのうちで外航船とそれから電源開発をやる。国家の政策上、最もこれは優先的に一つ低い率にした方がよかろうと、こういう意味で、政府御当局の御了解を得まして、そしてそれを実行している次第であります。決して他の産業をないがしろにするとかいう意味で申しておるのではございません。
  94. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ちょっとお諮りいたします。川野政務次官衆議院商工委員会の方から呼ばれておりますが、向うに行かれることに御異議ございませんか。
  95. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 ちょっと一言、帰られる前に。川野政務次官にお伺いしたいのですが、東北興業セメントを製造されると生産過剰になるというようなさっきからのお話でありますが、この生産過剰になる分は海外に輸出するような見通しはっきませんか。
  96. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 今、日本のセメントはある程度海外に実は輸出されておるわけであります。しかし地域的に考えますると、今回新設されまする東北興業セメントは、地域的から考えますると、輸出という問題には地域上不適当ではなかろうか、こういうふうに考えられるのでありますが、しかしほかの方面のセメントをできるだけ一つ輸出面につきましても努力いたしまして、そして他のセメント工場から生産されるセメントを輸出するということになりますならば、自然と東北興業でできまするセメントが国内の需要に応じられる、こういうことになろうかと存じますが、セメント輸出に対しましてはさらに努力を軍ねたいと考えております。
  97. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 私は昨年ドイツから帰りがけに、ちょうどセメント工業の研究に行ってきた人たちと一緒になったのです。その話によると、向うでは非常に安くものができるとか、また非常な長足の進歩を示しておるとか、何かよくわからなかったのでありますが、縦ボイラー、おそらくシャルル・キルトのことかと思いますが、それの方と、横ボイラーの方とは、非常に価格に相違があるという話をしておりました。そうしてその横ボイラーといった炉は、キルンの方から申しますと、ロータリー・キルンの方だと思いますが、そこでおそらくこれはそういう工場を竹本でこしらえるということになれば、業者から非常な反対が来るものと思う、こう話しておりましたが、そういうような意味の反対だと私は先ほど来どうも受け取れてしょうがないのでありますが、そうお考えになりませんか。
  98. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 先刻も軽工業局長から御説明を申し上げましたように、日本のセメントというものは非常に品質がよい、こういうような理由から、現在におきましても百数十万トンの輸出が実はなされておるわけであります。従いまして、今回できまする東北興業セメントが質、さらに値段が低廉と、こういうことになりますれば、あるいは輸出も可能、こういうことになろうかとも考えられまするが、この点はできました品質、さらに価格によって決定されるもの、こういうふうに考えられるのであります。
  99. 海野三朗

    海野三朗君 政務次官に私はもう一問お伺いしたいのですが、この法案はこれは建設委員会に付託されておるのでありまするが、内容を吟味してみるというと、これは商工関係の方が、ウェートが大きいように思うのです。次官はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。この内容から見まして、これは商工関係の方がウェートが大きい。非常に影響するところが大きいのであります。そいつを、政務次官がこれは建設の方にお回しになったのかどうか知らぬけれども、事商工関係に非常にウェートが大きいと思うのですが、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。そうして建設省の方からこうだからとおっしゃって、何だかお客さんみたいなお気持でいらっしゃる。どうも私はそこがおかしいのですが、どうですか。
  100. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 法案をどの委員会に回すかという問題については、海野委員も御承知のように、議院運営委員会できめて、実は各委員会法案を回しておる次第であります。従いまして、どういう理由でこの法案建設委員会に回されたか、この点は一つ議院運営委員会の方にお尋ねを願いたいと思います。(笑声)
  101. 三輪貞治

    三輪貞治君 私は資料の提出の要求をいたしたいと思います。先ほども若干お願いをしまして、絶対出せと言われれば出さぬこともないと、少しおどかされましたが、(笑声)これはおどかすほどのことじゃないのです。当然出すべきです。さっきの設備費の内訳、それからもう一つ、その次の収支の計算をされております、これでは収の方はいいのですが、収入の方はいいのですが、支出の方は、この簡単な計算では、どうしても五千五百八十三円に一トンがなるのだということに簡単に納得できませんので、もっと詳細に、計算の基準になった単価等も入れて、詳細に一つ御提出願いたい。  それから次回の連合審査会には経済企画庁長官を一つ御出席いただくように、委員長から御要請をお願いしたいと思うのです。
  102. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ちょっとお諮り申し上げます。川野政務次官が、先ほど申した通りに、向うの委員会要望されておりますので、この委員会を退席されることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 政務次官、よろしゅうございます。
  104. 上林忠次

    ○上林忠次君 おそく出てきまして、質疑がどこまで進んだのかはっきりしませんけれども、先ほど聞きますと、どうも需給関係から見ると、どうもそう増産の必要がないのじゃないか。地域的に考えると、今特にセメント工業をふやす必要がないのじゃないかということを聞いておりますが、現在の輸出を見ますと、一割程度出ておるような数字が出ておりますが、大体セメントのようなどろをどんどん遠い所まで運ぶというような産業が、将来性があるのかどうか。そういうような輸出を迎えるような地域があれば、またそういうような地域に日本のプラント輸出なり、あるいは事業が行われるならば、その現場でセメントを作ったらどうか。そういうようなことを考えますと、もう将来はそうセメントの海外輸出なんということは増さないのじゃないかというような気もいたしますが、こういうふうな点に対しては、どういう工合にお考えになっておりますか。
  105. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) ただいまお話しのように、セメントの輸出は、二十九年は九十万トンでございましたが、今年度は輸出会議におきまして百二十万トンの目標を立てたのでありますが、実績は大体百四十万トンに達するであらう。今後の見通しといたしましては、三十一年度百五十五万トン、三十二年度百六十万トンというように、逐次ふえることを目標といたしております。で、このセメントの輸出につきましては、本年度以降公正取引委員会の認可を経まして、生産者の間に輸出に関する協定をいたしまして、輸出価格の維持と数量の拡大をはかっておるわけでございます。で、現在の輸出地域といたしましては、韓国、それから沖繩のこれは特需関係と、それからICAの援助資金によるドル払いという形になっておりますが、これが大体合せまして三五%程度を占めております。そのほか仏印、香港、シンガポール、インドネシアというような所がおもな輸出地域になっております。  で、日本のセメント生産能力が現在千四百万トン程度でございますが、生産は千百万トン程度でございますが、アメリカ側におきましても大体五千数百万トン程度でございます。イギリス、ドイツ等に次ぎまして、現在第四位でございます。価格もアメリカ等に比べますと、大体現在国内価格は約二十ドルでございますが、ニューヨークのFOBで大体二十五ドルいたしております。これは先ほどお話のございましたような、石灰石の資源が非常に豊富であるというような関係で、日本としては、百万トンにいたしましても大体二千万ドル程度になりますので、きわめて重要な輸出品と考えております。今後とも輸出の増加をほかって参りたい、こう考えております。
  106. 上林忠次

    ○上林忠次君 東南アジアの産業開発というようなことで、日本の資本なり技術が相当な役目を仰せつかっておるということになっておりますが、将来は、私日本のセメントを持っていって、向うの産業のお手伝いをするということにはならぬのじゃないか。現地で作ることになるのじゃないか。それが、プラントがどんどんできまするならば、この輸出ということの先はあまり明るくないのじゃないかと思うのですが、現在はそういうように輸出されておるということはありがたいことですが、将来性はないのじゃないかと考えますが、その点いかがですか。
  107. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 現在インドにおきまして、これは小野田が投資をいたしまして、プラント輸出の話が進行しておるようであります。その他、他の国からも、プラント輸出の話のある程度進行しているものがあるまうであります。やはりこれには、先ほど申し上げましたように、石灰石とか粘土、石炭というような資源が当然必要でありますので、全部の地域に、直ちに現地において工場ができるであろうというようには考える必要はないのじゃなかろうかと、こう考えております。
  108. 海野三朗

    海野三朗君 それでは開銀の方にお伺いしたいのでありますが、笠利がまちまちであるということ、どうも私は納得いかないのでありますから、もう一度御説明をお願いしたい。電気の方に六分五厘でやって、鉄鋼業、石炭その他のものには九分というような金利は、それだから石炭が安くならない、それだから鉄が安くならない、そういうふうに思うのですが、政府が高利貸しせられるのじゃないのだからして、一方では電源開発に六分五厘、造船に六分五厘であるならば、ほかの方も下げてやるべきじゃないかというふうに私思うのですが、もう一度そこを御説明願いたい。
  109. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 今ちょっと担当の政府委員が席をはずしておりますから……。
  110. 海野三朗

    海野三朗君 しからば、私は開銀の投融資の問題についてもぜひ伺いたいと思いまするので、委員長、この次には開銀の総裁を一つ呼んでいただきたいと思います。実にむちゃくちゃです、投融資の問題にしましても。これを私は委員長一つお願いをしておきます。
  111. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) お諮りいたします。この法案について本日御質疑がありましょうか。  ちょっと速記をとめて。   〔述語中止〕
  112. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 速記を始めて。  次の委員会には、日本開発銀行の総裁を参考人としてこの連合審査会に来てもらうことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) では、さようにいたします。  次の連合審査会は、二十七日午前十時から開会いたします。  本日の連合審査会は、これをもって散会いたします。    午後三時四十二分散会