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1956-05-17 第24回国会 参議院 決算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月十七日(木曜日)    午後一時四十五分開会     —————————————   委員の異動 五月十四日委員久保等辞任につき、 その補欠として永岡光治君を議長にお いて指名した。 本日委員永岡光治君及び湯山勇辞任 につき、その補欠として久保等君及び 菊川孝夫君を議長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    理事            青柳 秀夫君            紅露 みつ君            白井  勇君            大倉 精一君    委員            岡田 信次君            古池 信三君            笹森 順造君            最上 英子君            安部キミ子君            菊川 孝夫君            久保  等君            近藤 信一君            梶原 茂嘉君            島村 軍次君            八木 幸吉君   政府委員    人事院総裁   淺井  清君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修藏君   説明員    人事院職員局職    員課長     小林 保之君     —————————————  本日の会議に付した案件 ○理事辞任の件 ○小委員辞任及び補欠に関する件 ○昭和二十九年度一般会計歳入議出決  算(内閣提出) ○昭和二十九年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十九年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出) ○昭和二十九年度政府関係機関決算書  (内閣提出)     —————————————
  2. 青柳秀夫

    理事青柳秀夫君) ただいまから第十七回決算委員会を間会いたします。  本日は田中委員長が御欠席になっておりますので、委員長の御依頼を受けましたので、私が委員長の職務を行うことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。  まず委員の変更を御報告申し上げます。五月十四日、久保等君の辞任に伴いまして、永岡光治君が補欠として選任されました。また五月十七日、永岡光治君、湯山勇君の辞任に伴いまして、久保等君、菊川孝夫君が補欠として選任されました。     —————————————
  3. 青柳秀夫

    理事青柳秀夫君) 次に、理事辞任の件についてお諮りいたします。決算委員会理事梶原茂嘉君が昨十六日本会議において外務委員長に当選されました。つきましては、同君より決算委員会理事辞任する旨の届出が参っておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 青柳秀夫

    理事青柳秀夫君) 御異議がないと認めまして、さように決定いたしました。
  5. 青柳秀夫

    理事青柳秀夫君) 本委員会におきましては、国有財産に関する小委員会を設買いたしましたが、小委員辞任の許可及び補欠選任に関しましては、今後委員会に諮ることなく、これを委員長に一任することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 青柳秀夫

    理事青柳秀夫君) 御異議ないと認めまして、さように決定をいたします。     —————————————
  7. 青柳秀夫

    理事青柳秀夫君) それではこれより議題に入ります。  昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和二十九年度政府関係機関決算書議題といたします。  まず、公務員不当事項に対する処分に関する件を審議いたします。本件は、先般大蔵省管財局関係において、前印刷局長に対する国有財産の払い下げの件が問題となっておりました際、公務員の分限、懲戒について質疑がなされておるのでありますが、この件につきまして、本日は人事院から説明を求めることにいたした次第であります。人事院からは淺井人事院総裁川崎職員局長小林職員課長の諸君が出席されております。  では、淺井人事院総裁説明を求めます。
  8. 淺井清

    政府委員淺井清君) 委員長に申し上げますが、この事件につきましては、人事院から御報告する筋じゃないように思うのでございますが、これは大蔵省から御報告したことでよろしいのじゃないかと思いますが、人事院といたしましては、この事件について特に異なった何か特殊の報告というものは持ち合せておりませんのでございますが。
  9. 青柳秀夫

    理事青柳秀夫君) それでは申し上げますが、実は大蔵省関係当局からも直接の責任者として、人事問題についての説明なり報告を受けたのでございますが、その点についていま少し詳しく政府方針といいますか、人事全般に関する問題もお伺いしたい、こういう意味をもちまして総裁においでを願っておりますから、この際、その当該事件というのでなしに、全般に対する人事懲戒事件とか人事行政の御方針ですね、そういうことについての一応の御方針なり御説明をしていただきたいと思います。
  10. 淺井清

    政府委員淺井清君) それは御質疑に従って申し上げた方がよろしいように私は存じますが、いかがでございましょうか。
  11. 青柳秀夫

    理事青柳秀夫君) それでは各委員に申し上げますが、御質問に従ってお答えを願うことにして進めてよろしゅう、ございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 一つ淺井総裁にお伺いしたいのでありますが、戦争前におきまする官庁官吏につきましては、御承知のように、有史服務紀律があり、それから懲戒に該当するような場台におきましては、それぞれそれの責任大臣が直接その処分を決定する場合と、それから別に当該賛任大臣外に特別な機関がありまして、行政裁判所評定官であるとか、あるいは枢密院関係の人とか、いわゆるその直接関係外の公正な、また中立な立場にある人々をもってそれらを審議し、懲戒を決定していく特別な農閑があったように私思うのであります。現在におきましては、国家公務員法があって、一面において公務員地位をよく保護をし、その利益を確保していくということを国家公務員法においてねらっておると同時に、それぞれやはり公務員不正行為に対しては、これを処断する各項があるように記憶しておるのであります。  ところで現実事態を見ますると、御承知のように、毎年繰り返して、それぞれの省におきまする公務員身分にふさわしくない不正な、また不当な行為がこれは続出をしている現状であります。これを懲戒等処分をいたしますについては、それぞれその担当の官庁ですか、その大臣等において処理をしておるのでありまして、そのためばかりではありませんけれども公務員に対する措置が、その各省責任者考えによってそれぞれ違うように思うのであります。ある大臣は相当これを厳正に取り扱う人もいましようし、ある向きにおいては、どちらかといえば、これを軽く取り扱っていくというふうな状況がないわけではない。従って同じく公務員でありながら、また同じような不当不正なことをしておっても、相当処分に差が出てくるうらみがあるのではないかと思うのであります。具体的にどうこうということを申し上げるわけではありませんけれども、そういう感じを持つのであります。  まずお伺いしたいのは、公務員人事行政というものは、戦前と違って、一元的に人事院においてまとめられて、国家公務員法運営を担当されているのでありますが、人事院の方において、各省におけるそういう公務員の不正不当の事件に対して、何か総合的にこれを処理していくようなことを現在やっておられるのかどうか。それは各省に全部まかしておって、人事院としては何といいますか、関知しない——関知しないと言うと、言い過ぎですけれども、まあそれは各省におまかせしておるというのであるのか、やはり人事行政の根本、基本を担当しておられる総裁としては、その手元において各省を見渡して、その間にそごなり食い違いのないように考えて何らかの措置を講じられておるのか、その点を伺いたいのであります。どうも最近の公務員に対する行政といいますか、人事行政全般は、これを保護することが非常に厚い。それは私けっこうだと思う。それは決して批判されるべきことではなくて、十分その身分保護していくということは、これは大事なことだと思いますが、同時にそれだけに、公務員の不正な行為、不当な行為に対しては、これはそれぞれ国民の納得のいくような処理というものが当然伴わなくてはならないのじゃないかと思うのでありますが、どうもその間にやや割り切れないような感じ国民は抱く場合もあるように思うのでありますが、そういう点についての一つ人事院における現実の取扱いの方針をもとにして総裁の御見解を承わりたいと思います。
  13. 淺井清

    政府委員淺井清君) まことにごもっともな適切な御意見でございまして、私どもは全く同感でございます。どうも公務員不正事件がしばしば問題になりますることは、われわれ人事行政の一環にあずかっている者といたしまして、国家に対しましても申しわけないことだと思っております。ただ現在の人事行政の機構におきまして、人事院の務めておりまする役割は限度がございますので、ただいま梶原さんからのお話がございましたように、戦前におきましては、むしろ懲戒委員会というものにおいての事前審査ということが主になっているのではないか、かように考えております。従いまして、おのずから一定の客観的な基準もあったように思われます。ところが現在におきましては、その懲戒に対する事前審査というものがなくなりまして、事後において人事院審査する、こういう立場に変っております。これはむしろ立法の精神から見れば、信賞必罰を迅速にする、委員会で慎重審議して、かえって手間のかかることのないように、任命権者におきまして信賞必罰を迅速にやれる、こういう建前からきているのでございますから、任命権者公務員法懲戒権を持っておりまするので、任命権者がその気でいくならば、むしろ戦前制度よりはただいまの方が懲戒処分は敏速にできる、こういう制度になっております。  人事院といたしましては、もしこれが不平でありまする場合は、本人保護立場から、事後において審査する、それだけの役割しか持っておりませんのでございます。これはどうも公務員法建前がさようになっているのでいたし方のないことでございますが、ただ、しかし各省におきまして懲戒処分をいたしましたときには、必ず人事院報告を受けることになっておりますo
  14. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 迅速を期することは、これはひとり信賞必罰の問題に限らぬと思うのであります。信賞必罰、もちろんこれは迅速に処理することは当然であります。しかしながら、公務員にあるまじき行為があったような場合に、迅速がこれは大事か、それに対する措置が大事かとなってきますると、これは迅速がより必要だということで転々に処理することはいかがかと思われるのであります。まあ任命権者がその気になればというお話でありますけれども任命権者はそれぞれその気になるのでありますけれども、御承知のように任命権者はたくさんあって、その判断がそれぞれ分れるわけであります。従って現在のまあ国家公務員法建前なり、あるいは人事院の持っておられる役割からいえば、今お話通りであろうと思いますけれども、どうもこの現状を見てみますると、何らか一つ、昔の懲戒委員会とかいうものが、すぐいい悪いと私は言うのではありませんけれども、何らか人事院を基礎にするなり、あるいは別個に懲戒についての仕組が必要じゃなかろうかという感じを私は持つものであります。そういうことは必要がないので、やはり現在の立て方がこれが最善であるというふうにお考えになりますか、何らかそこに検討の余地があるようにお考えになりますか、その点を一つ伺いたいと思います。
  15. 淺井清

    政府委員淺井清君) ごもっともお尋ねでございますが、この事前審査が、昔の懲戒委員会制度のような事前審査でございますが、これは今におきまして、かつて学校の教員についてやっておったのでございますが、これがちょうど裁判のような公開審理で、弁護人をつけてやるような制度になるのでございますから、事実上非常に時間をとりまして、全く一年も二年もかからなければ懲戒免官ができないというような状態もあったように思いまするので、この点はさいぜん申しましたように、ある程度迅速を期して信賞必罰を明らかにしなければならぬと思っておりますが、ただ、今お示しのように、現在の制度そのままでよろしいかどうかということは、これは考えなければならぬことだと思っております。この点につきましては、ただいま公務員制度全体の改正等考えられておりまするので、十分考慮してみたいと思っております。
  16. 八木幸吉

    八木幸吉君 人事院総裁にお伺いをいたしたいのでありますが、先般印刷局長官舎の問題で、いろいろ当委員会でも論議がかわされたのであります。事件内容は、官舎としてさきの関東財務局長が多年住んでおった家が、たまたま印刷局長に御転任になりまして、すぐに、つまり法規で自分に譲り受け得るようになってから、非常に安い価格でそれをお譲り受けになったという問題なんですが、その詳細を見てみますと、第一点は、行政財産から普通財産にかえられたこと自体に問題があるとわれわれ思いますし、第二点は、その土地なり家屋の評価が時価に比して非常に安かったという点がある。それから第三点は、その支払いの方法が十カ年の延納になっております。十カ年の延納になっておりますが、これは国有財産特別措置法によっておられるわけでありますけれども、この法律規定では、確実な担保を取って延納を認めると、こういう規定があるにもかかわらず、一文の担保もなしに、全然無担保延納を認めておる、こういう事態でありますので、印刷局関係のいわゆる汚職問題は、われわれ新聞で見る程度で、その内容を深く存じませんけれども、少くとも法律に認めておる、規定しておる確実な担保ル取るという規定すらも実行されないで、しかも関東財務局局長地位にあり、その辺のことを非常によく知っておる人がさようなことをやったということについては、われわれ非常に実はふんまんにたえない、まことに嘆わしいことだと、こういうふうに思っておるわけです。そこでこれに対して今、刑事裁判容疑者としてのいろいろ問題があるのでありまして、これはあるいは背任罪として起訴されるかどうかということはおのずから別問題なんですが、行政処分として依願免職手続がすでに終っておる。ところがわれわれ常識で考えてみますと、これはどうしても当然懲戒免職になるべき筋合いのものである、こう考えるにもかかわらず、依願免職になっておるということは、非常にこれはどうも行政上の措置として寛大な処置である、こう考えておったのでありますが、その後さらにその部下であった、現在立川の関東財務局出張所長がやはりこれに関連をいたしておるのでありますけれども、上長であった先の印刷局長土地家屋を評価するときに、非常に安く評価しておったという問題があるわけであります。ところがこれはまた今、依願免職にしよう、こういう話が大蔵省内部にあって、その話を聞いたものですから、当委員会で前の局長依願免職手続が非常に寛大に失しておると思っておるのに、また依願免職にされるということは困るから、その措置をしばらく待ってもらいたい、こういう意味のことを委員会で発議をして、現在その処置が保留のままになっておるのです。そこで私、いろいろわれわれの客観的に見て寛大であったというこの行政上の措置に対して、何らかこれを是正する方法がないかというので、研究をいたしてみましたところが、国家公務員法の第八十四条の二項に、御承知通り人事院はこれに対して調査をすることができる、こういう規定があることを実は気ずいたのであります。そこで総裁にお伺いいたしたいのは、第八十四条第二項の規定は、かような依願免職になった人に対しても当然適用されるものじゃないか、その依願免職措置が妥当でなかった、こういう客観情勢があった場合に、人事院としては第八十四条第二項の規定によって、それを是正するために懲戒手続に付することができると、こうわれわれは考えるので、ございますが、この問題に関する、この解釈に関する総裁の御意見を伺ってみたいと、こういうわけであります。
  17. 淺井清

    政府委員淺井清君) 大蔵省に関して、印刷局に関して起りました事件につきましては、すでに大蔵省から御報告申し上げておると思います。人事院といたしましても一応は事実を知っておりまするが、それは大蔵省以上のものではないように思いまするので、その点はここであえて申し上げませんが、これはまことに遺憾な事件だと私どもは思っております。そこで八木さんのお尋ねの点でございまするけれども公務員法によりますれば、懲戒権任命権者が特っておるのであります。これが本筋になっております。そこで人事院といたしましては、もし懲戒権者たる任命権者が、何か特殊の事由でもってどうしても懲戒処分をがえんじないというような場合に、いわば伝家の宝刀といたしまして、ただいまお示しの八十四条二項がある、かように解釈いたしておりまするので、そこで今度の印刷局長のように、すでに依願免官によって官吏でなくなっておる、この場合にはもう八十四条二項はきかないのだ、こういうふうにわれわれは了解して運営いたしております。
  18. 八木幸吉

    八木幸吉君 この人事院規則全体を眺めてみると、先ほど梶原さんからもお話がございましたが、懲戒処分が不当であった場合に、これを救済するという手段は御承知通りとられておる、ところが救済する手段がとられておる反面に、いわゆる信賞必罰精神からいえば、もし軽過ぎたらやはりこれを是正するという逆のいわゆる救済手段が、是正手段が当然なくちゃならぬ、その軽過ぎるものを是正する救済手段一つがこの八十四条の第二項ではないか、こう私たちは思う。そこで免職しておれば、すでに国家公務員たる身分を喪失いたしておるからこの懲戒手続の対象にならない、こういうふうな御解釈のようでありますけれども、その免職手続そのものが、非常に、たれが見ても重大な過誤であるというようなことが起りました場合には、これをやはり人事院が、全体の立場から考えまして、救済するために積極的に何らかの方法を講ずるということも同時に当然ではないか、こう思うのでありますが、今の御解釈ですと、もう免官してしまえば仕方がない、身分を失えば仕方がないのだと、こういう話なんですが、それは具体的な実例になりますと、ただいま引例いたしました印刷局長の問題でも、その部下の人に対しましても、大蔵省としては、何とか早く免官してしまって、この問題の懲罰の問題から離れてしまいたい、それでは困るというので、こちらはそれを押えたわけですね。そこで何らかの救済手段がなければならないということになると、やはりこの第八十四条の第二項がそういう場合に発動する、こういうふうに解釈することは無理であるかどうか。私その方面の専門家じゃありませんからよくはわかりませんが、常識的には発動してもらいたいという気持がするのですが、何か法律的と申しますか、その解釈法律的に全然根拠がない、無理な解釈であるかどうか、なお突っ込んで伺いたいと思います。
  19. 淺井清

    政府委員淺井清君) お答えを申し上げますが、御指摘のように、公務員保護する立場から、この懲戒処分審査するという、事後審査制度は、もうこれは裁判所と同じように非常に保護を厚く規定されてある。それに比して、今度は軽過ぎたものを強くするという方に欠けておりはしないかという御指摘はまことにごもっともであります。その通りになっておるのでありまして、これは、さいぜん梶原さんの御指摘の点とも触れ合うのであります。その一つが八十四条の二項でございますけれども、これはどうも、どう読みましても、まだ職員身分を持っておる者に対してやれるのであって、今度のように、すでにもう普通の人間に変ってしまっておるという場合には、どうも発動の余地がないのでございまして、これは、この公務員法のみならず、明治憲法時代から、すでに官吏関係を離れてしまいますと、懲戒処分はきかない、こういうのがまあ宙説でございます。そこで明治憲法時代もそうでございまするが、懲戒処分をやります場合におきましては、本人辞表を出しましても、これを聴許しませんで、これを抑えておいで、つまり懲戒処分をする、こういうやり方をいたしませんと、お示しのようにはならないのでございます。どうも八十四条はその点が不十分であると思っておりますが、現行法上は、私の申し上げましたように解釈せざるを得ないのでございます。  そこで問題は、この今度の依願免官でございますけれども任命権者依願免官をいたしまする場合は、これは人事院に別に相談があるものでもなければ、普通の任免行為の延長でございまするから、人事院といたしましては、八十四条二項を発動しようと思っても、その場合できませんです、もう依願免官をしてしまえば。そのために不十分な点ができるのじゃないかと思っております。
  20. 八木幸吉

    八木幸吉君 そこで、現行法解釈は今お示しいただきましたので、とりあえずの救済策としてですね、行政措置として依願免官措置をする場合に、問題のある場合には、発令をする前に一応人事院にそれを通知と申しますか、協議と申しますか、ということを各省とお打ち合せ願うということは現行で可能なことでございますか。
  21. 淺井清

    政府委員淺井清君) それは申し合せ等においてやることは可能でございましょうけれども、また一面から申しますると、人事院独立機関でありまする立場から、おのずからやることに限界がございまして、あまりに各省大臣と申しますか、任命権者のところへ何でもかんでもうるさく立ち入るということも、これもまた責任政治の上から考えなくちゃならぬ。そこにむつかしい限界があるように思いますが、やはりそうなりますると、少し公務員法を変えなければできないじゃないかと私どもは思っております。ただ、率直に私の考え方を申し上げれば、私はこの依願免官はちょっと意外に思いましたんです。もちろん、私といたしましては、新聞記事等以外にはあまり見ておりませんでございまするけれども、この依願免官が、辞表を提出してから十日ぐらいの間になされておるわけでございまするから、これは私として非常に意外に思っております。こういう場合に、辞表を提出いたしました場合にば、およそ任命権者として三通りやり方があるだろうと思います。もしそれが情状において非常に掬すべきものがあるならば、それは依願免官処置をとって、責任だけとらせるという方法もございましょう。それからまた公務員法第七十八条によりまして、不適格者として免官処分をする権限も任命権者にはあるわけでございます。さらに進んで、ただいまお尋ねのように懲戒免官をする手段もあるわけでございます。この三つのどれをとりまするかは、これは任命権者にまかせてある事項でございまして、公務員法任命権者の良識ある運営を前提として立っておるのでありまするから、これを非常に寛大にやられますと、ただいまお示しのような遺憾なことがあとに残るように思います。
  22. 八木幸吉

    八木幸吉君 そこで、もう一点突っ込んでお伺いしたいのですが、たとえば、人事院の方で、新聞に名前が出た、つまり問題になったというような事件がありました場合に、もしこれが辞表でも出したような場合には、ちょっと事前にこちらに連絡をしてくれという程度のことを御連結いただくことは、先ほど仰せになりました責任政治の分界を紛渇するというところまではいかぬのじ心、ないか。というのは、免職になってしまいますと、初めからるるお話しになったように、ダコの糸が切れたも同様で、どうにもならなくなりますから、少くとも新聞に出たぐらいのものは、国民立場から言えば、意外な処置である。印刷局長の問題でも、最初に辞表を出したときは、辞表を受け付ければ連絡があるかのように世間から疑惑を受けるからといって、大蔵当局辞表を押えておった。ところが、逆に知らぬうちにばたばたと依願免官手続をしてしまった。ほかの方も早くやりたいけれども、たまたまこの委員会で問題になったから実は困っておるのだ、あなたが言い出したんだから、何とか了解して、早く依願免官にさしてくれと再三実は私にも了解を求めに見えたのですが、それば私としては納得できない、こう言ってそのままになっておるような状態です。今言ったように、新聞に出たような問題は、一応事前に御注意なさるというくらいなことはいかがなものでしょうか。
  23. 淺井清

    政府委員淺井清君) 幸い人事院人事主任官会議というものが公務員法上認められておりまして、各省人事主任官を集めて定例の会議が開かれておりますから、御指摘のことは徹底いたさせることができると思います。これは法律的に強制というようなものではなくて、そういうことはできる。ただ、楽屋の話を申し上げれば、懲戒免官等の場合においては、大体事前において人事院連絡のあるのが普通で、ございます。そういたしませんと、あとで人事院へ不利益処分の申請をいたしてひつくり返されるというようなこともありますので、一応人事院意見をあらかじめ聞くということも行われております。
  24. 八木幸吉

    八木幸吉君 今の隠れみのに利用される依願免官の話はこの程度にいたしまして、次は、人事院の方で調べ得る停職から戒告までの措置についてお伺いいたしたいのであります。今度人事院からちょうだいいたしました参考資料でありますが、「全省庁懲戒処分理由別件数表」、昭和三十年四月一日から三十一年三月三十一日までの表であります。少し長いのでありますが、読んでみます。その中で、処分の理由には、監督責任、文書偽造、収賄、横領、失火、囚人逃亡、ピストル関係、公金流用、出勤関係、職務怠慢、義務違反、組合運動逸脱、政治行為、兼業、窃盗、強盗、詐欺・恐嘱、暴行・傷害、賭博、学歴詐称、官物紛失、郵厘物関係、その他、総計で免職が三百七十一、停職が百七十五、減給が八百四十一、戒告が千三百十三、総計で二千七百件、こうなっておるのでありますが、このうちで、私、実はこれを拝見しまして非常に驚きましたことは、われわれからいえば、破廉恥罪で、当然これはもう懲戒免職にならねばならぬというふうな理由に当っておりますものが戒告だけで済まされておるというのが実は相当あるので、ございます。お手元にこの資料お持ちであると思いますが、たとえば、文書偽造等は、免職になった人は三人であるが、戒告は十二人である。収賄をやった人は、免職が三十六で、停職が五十二、減給が三十四、戒告が三十五、つまり収賄関係では免職と戒告がほぼ同じである。横領でも、なお戒告で済んでいるものが五人と、さらに公金流用は、免職が三人であるが戒告は三十人である。また窃盗・強盗は免職が五十一で戒告が一と、詐欺・恐喝が、やはり戒告で済んでいるのが四人、暴行・傷害が二十二、こういったように、われわれの常識で納得のできないものに戒告が相当あるのですね。こういうようなのは、一体再調されておられますか、どうですか、その点伺っておきたい。
  25. 淺井清

    政府委員淺井清君) これは、お手元に差し上げてございまするのは、これは懲戒処分での表でございます。つまり人事院へ、懲戒処分をやりますと報告が参りますから、それを集計したものでございまするから、いきなりつかまりまして、起訴されまして、休職処分になって、それで失職したというようなものはこの中に載っておらないのでございますから、それを加えますると少しく違ってくるかとも思いまするけれども、それにしても、ただいま御指摘のような傾向があることは、これは認めぎるを得ない点があると思います。これはやはり任命権者がいろいろ異なっておりまするために、あるところでは厳重にやっておりましょうし、あるところではやや寛大というところからも出てくるんだろうと思っております。
  26. 八木幸吉

    八木幸吉君 そこでたとえば、内容に立ち入ってみなければわからぬのですが、収賄が、たとえ懲戒処分でありましても、戒告だけで済んでいるのが三十五もあるということ自体が納得がいかないのですが、こういうものは再調なさいますか、あるいは再調なさいませんですか。
  27. 淺井清

    政府委員淺井清君) 説明員から答えさせます。
  28. 小林保之

    説明員小林保之君) これは、各省庁において処分をいたしますときは、私の方に処分説明書の写しが参っておりますので、それに基きまして慎重を期せられるところは、そのつどケースを持って参りまして、こういう事案の場合どの程度の量定にいたしたらいいかという相談を受けることもございます。この一個一個につきまして、実はここに資料を持っておりませんので何とも申し上げかねますが、この同じただいまの収賄にいたしましても、おそらくこの三十五件というのは軽微なものである患っております。
  29. 八木幸吉

    八木幸吉君 そこで、事前に御相談になることもあるでしょうけれども、た身ば、こういうふうに任命権者がこの懲戒処分を決定してですね、その後に、さらに人事院独自の立場懲戒手続に付したというのは、過去一年にどれくらいございますか、件数ですね。
  30. 小林保之

    説明員小林保之君) 人事院独自のですか。
  31. 八木幸吉

    八木幸吉君 はあ、八十四条二項を発動して……。
  32. 小林保之

    説明員小林保之君) 八十四条二項は今まで発動したことはございません。
  33. 八木幸吉

    八木幸吉君  一回もございませんですか。
  34. 小林保之

    説明員小林保之君) 一回もございません。
  35. 八木幸吉

    八木幸吉君 それは総裁、常に事前連絡をするから発動するようなケースがない、こういう意味でございましょうか。
  36. 淺井清

    政府委員淺井清君) 八十四条二項は、つまり言葉をかえて申しますれば、一つ事件に二度懲戒処分は、これは裁判と同じようにできないと思っております。つまり八木さんの仰せられるのは、八十四条二項で処分が変更できるかどうかと、こういう点に帰するのだろうと思うのでございますけれども、まず八十四条二項は、これは例外でございますので、これまで実は発動したことはないのでございます。それは少しく甘過ぎるのじゃないかと仰せられればそれまでのものでございますけれども、大体事前に相談も受けますし、この収賄というようなことでなぜ戒告で済んでいるんだろうということは、これは一々のケースの問題でございまして、これはただいまここに資料を持っておりませんからわかりませんけれども、これはやはり情状によって違いますので、免職、停職、減給、戒告と、こう四種類にずっと収賄の場合は分れておりますから、おそらくそういうことだろうと思っておりますが、ただいま御指摘のように八十四条二項でもってこれまでやったことは一度もありません。
  37. 八木幸吉

    八木幸吉君 そういたしますと、私たち、今資料をお持ちじゃないでしょうけれども、収賄で戒告で済んだというようなことのごく軽い例か、重い例か、何かそこに具体例、職員課でお持ちでしたらちょっと御説明をいただけませんでしょうか。
  38. 小林保之

    説明員小林保之君) 今ちょっと例を探しておりますが、その場合、実は懲戒につきましては、その際その個人のふだんの勤務成績とか、そういうふうなものを任命権者において勘案して、その量定に非常に簡単な軽いものを多くする場合もございますし、ふだんの勤務成績というふうなものを非常に織り込みますので、その点も人事院ではわからないわけでございます。
  39. 八木幸吉

    八木幸吉君 御相談になる場合に、ふだんの勤務成績は人事院の何かむずかしい規則で非常にむずかしいものが、カードがお手元にくるのじゃないですか。
  40. 小林保之

    説明員小林保之君) 職員の勤務成績については一々人事院報告は参っておりません。
  41. 八木幸吉

    八木幸吉君 おりませんですか。
  42. 小林保之

    説明員小林保之君) はあ。
  43. 八木幸吉

    八木幸吉君 そうすると、たとえばこの表にありますこの二千七百件のうちで、どのくらい人事院事前に御相談に乗っておられますか。
  44. 小林保之

    説明員小林保之君) だいぶたくさございますが、大体各省庁がそれぞれの前例によりましてやっておる状況でありまして、そのつどむずかしいような場合のみきますので、年間このうち六十件ぐらいだと思います。
  45. 八木幸吉

    八木幸吉君 そういたしますと、どうも私、御答弁を伺ったことを総合して考えますと、やはり任命権者に大体まかしている。これはまかすのがほんとうかもしれませんけれども、われわれとしてはこのような官紀の紊乱が、あるいは弛緩と申しますか、非常に目に余るものがある。もう少し人事院がきぜんとして、国民にかわって独立的の機関としての機能を発揮していただきたい、こういうことを考えざるを得ないのです。今承わっておりますと、二千七百件のうちで六十件ぐらい相談に乗ったとおっしゃることは、おそらく免職の三百七十一のうちで六分の一ぐらい相談に乗ったことがある、こういうことではなかろうかと、私はこれは想像いたしますのですが、われわれの不思議に思うのは、今申し上げましたように収賄や横領や窃盗、強盗、詐欺、恐喝というようなものは一体戒告で済むと、たとえそれは懲戒処分一つでありましても、戒告で済むというようなことは、私どもはこれを拝見しても驚くのですから、おそらく国民がこの表を見たら非常にあぜんとするだろうと思うのです。それで私、今資料をお持ちにならなければそれをかれこれ、これ以上申し上げるわけにも参りませんが、文書偽造、収賄、横領、公金流用、窃盗・強盗、詐欺・恐喝、暴行・傷害、こういったようなものの戒告の内容を、少しお手数がかかると思うのですけれども、詳しく資料にして一つこちらにもお出しをいただくし、なお人事院の方でも再調査をしていただいて、この措置が——、二千七百件の措置が全部妥当であるかどうかということを一ぺんこういう機会にお調べを願いたいということを、これは総裁にお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
  46. 淺井清

    政府委員淺井清君) 御趣旨に従って善処いたします。
  47. 八木幸吉

    八木幸吉君 それからついででありますが、ここに「省庁別処分の種類別件数表」がございますが、やはり今の二千七百件のうちでありますが、たとえば食糧庁は戒告が十五という数字が出ておるのですが、食糧庁に関連する汚職事件なんというのは非常に実は新聞によく出るところでありますが、しかも減給もなければ停職もなければ免職もない、ただ戒告が十五あるだけというようなことは、これを拝見しただけでもちょっと私は納得ができません。法務省の方はさすが役職柄、免職が比較的多くて二十九ございます。このような点も一つ十分御検討を1再検討を一つお願いいたしたいと思います。  それから先ほどの印刷局長の問題に関連してでありますが、退職金が概算七十万円、恩給が弱年停止が過ぎると大体月一万七千円くらいになるだろう、こういう計算でありますが、今の依願免職であれば、これは法律上いかんともしがたいものだと思うのですが、いかがでしようか。
  48. 淺井清

    政府委員淺井清君) 私も御説の通りだと思っております。
  49. 八木幸吉

    八木幸吉君 ただそれが非常に国民感情には合わぬだろうということを重ねて申し上げておきます。  それからこの再検討する八十四条の二項は、これに時効はございませんか。
  50. 淺井清

    政府委員淺井清君) 時効は、ございません。
  51. 八木幸吉

    八木幸吉君 ありませんですか。そうすると十年前の問題でも問題になれば——これは極端な例でございますが……。
  52. 淺井清

    政府委員淺井清君) それはまあ常識の問題でございますけれども、理論上はございません。
  53. 八木幸吉

    八木幸吉君 官吏背任罪というものは、起訴されたものは一体どれくらいあるか、人事院にお調べがございますか。一年間に。
  54. 小林保之

    説明員小林保之君) 背任罪につきましては、ほとんど人事院懲戒処分報告を受けるときには、単にまだ横領とか何とかになっておりまして、背任というふうにはっきりしたものはほとんどございません。ちょっとその点調べたのですが、一件前にあったということですが、ほとんどございません。
  55. 八木幸吉

    八木幸吉君 それは一件というのは、人事院への報告がないだけで、実際問題——これは法務省に聞く方が本筋でしょうけれども、実際ばもっとあるのですか。
  56. 小林保之

    説明員小林保之君) はあ。
  57. 八木幸吉

    八木幸吉君 けっこうです。
  58. 白井勇

    ○白井勇君 私途中から参りましてダブるかもしれませんが、あれですか、各任命権者懲戒処分を発した場合に、人事院報告する義務があるのですか。
  59. 小林保之

    説明員小林保之君) ございます。
  60. 白井勇

    ○白井勇君 それは何によってあるのですか。
  61. 淺井清

    政府委員淺井清君) 人事院規則でございます。
  62. 白井勇

    ○白井勇君 そうすると、その建前としまして、人事院でそういう報告を受けて、さっきの話をちょっと承わっていますと、受けたからといってどういう権限があるのですか。受ける権限がありましても、それに対してどういう措置をやれるという権限があるのですか
  63. 淺井清

    政府委員淺井清君) さればその措置をひっくり返すというような権限はございません。ただ人事院といたしましては、人事行政の実施機関といたしまして、一応各省懲戒処分現状を見ておるということでございます。同時にもう一つ処分説明書と申しますか、懲戒処分をやりました場合の処分説明書が人事院にくるということであります。それは、今度は不利益処分の申し立てを本人がするかもしれません、そのときの参考になるわけでございます。
  64. 白井勇

    ○白井勇君 そういたしますと、単に後段の方だけ、極端に言いますと、本人の方からそういう申し入れがありました場合だけのことで、各官庁からそういう懲戒処分報告をとっているというだけの働きしか現在のところない・のですかo
  65. 淺井清

    政府委員淺井清君) 大体お説の通りであります。
  66. 白井勇

    ○白井勇君 それから公務員といたしましては、さっきもお話に出ておりましたが、戒告というのは公務員の何といいますか、立場から見まして、どういう影響があるのですか。
  67. 小林保之

    説明員小林保之君) 戒告は懲戒の一種でございまして、一番軽いわけでございますが、この戒告になった場合は、本人の履歴にずっとくっつくわけであります。
  68. 白井勇

    ○白井勇君 ですから、私の聞いておりますのは、履歴に戒告に処せられたということが一項載ることが、将来本人公務員としての何といいますか、昔の吉葉で言えば立身出世といいますか、そういうものにどういう影響があるか。
  69. 小林保之

    説明員小林保之君) やはり戒告がそういうふうな履歴に載るということは、勤務成績不良という一つの烙印になるかと思います。
  70. 白井勇

    ○白井勇君 それはそういうことは実際あるのですかね。私たちも見ているというと、むしろまるっきり逆であって、よく言いますれば、戒告を受ける者は、またいろいろな面におきまして役に立つ公務員であるかもしれませんが、むしろ結果的にいうと、戒告を受けるような仕事をやった者が早く出世しているというような例を私たちはよけい知っております。ですからどうも戒告というのは、一体公務員というものに懲戒処分措置といたしまして、戒告というのは一体どういう効果があるのか。全くむしろ逆のように、戒告を受けるくらいの者はむしろ働き者だというような証明をされるように私感ずるのですが、一体その懲戒処分に付する措置としてはどうも私は腑に落ちないのですが、結果的に見て人事院はどういうふうに考えますか。
  71. 小林保之

    説明員小林保之君) 戒告——これは各省庁戒告以下の、実はこれに似たような訓告ということを内部規程でやっております。この訓告というのは全く言葉だけで、そういうことを将来に戒めるという場合に使っておりますので、この戒告というのは一応懲戒処分一つとして、戒告、減給、停職、免職の四つのうちの一番軽いものに使っているような状況で、ございます。なおこの効果といたしましては、昇給なんかの場合に、戒告によって定期昇給が上らぬような場合もあると思います。
  72. 白井勇

    ○白井勇君 今の引用されました例によりますと、そのときはかりにこの昇給が半期なり一年おくれますが、そういうことがありましても、次の段階あるいはその次の段階におきましては、むしろ前の者を通り越して、戒告を受けない者の昇給なんかと同じ、あるいはそれ以上に進んでいる。これは一つお調べになれば各省がそういう取り扱いをしているということはわかる。ですから今の俸給という点から見ましても、その当時減給になっただけで、これは銀行なんかもそうですが、そういう措置がありましても、これはただその当時のものだけであって、まあ一年なり二年なり三年ぐらいたってしまうと、もう常態の場合と同じことになる。私はそういうふうに見ているのですが、ですから戒告というのは、一体懲罰を受ける処分とされまして、本人はどういう痛手をこうむるか、将来の公務員としての資格の上にどういう影響があるか、まるっきりこれは意味のないようなことに私感ずるのですが、これどういうものでしょうね。
  73. 淺井清

    政府委員淺井清君) この戒告、明治憲法時代から一番軽い処分でこういうものがあったわけでございます。この効果としてはやはり勤務成績に影響をすると、こういうことであって、私は警察方面等においては相当勤務成績にこれは影響しておるのじゃないかと思っております。ただ、今お示しのような事実があるかどうか、私は知らないのでございますけれども、私は戒告というものは昔からこういうものがあったんで、この効果はやはり勤務成績に反映させると、こういうことにあるのじゃないかと思っております。
  74. 白井勇

    ○白井勇君 これはよく総裁そういうこまかいことば御存じないかもしれませんけれどもね、実際の運用上は、私の知っている限りにおきましてはむしろ逆の結果を生んでおることは、これは実証できると思うのです。ですから、今のお話のように、警察のような特殊な官庁でありますと、これはそういう意味においてはっきりしなければいけませんけれども、他の一般諸官省においては私が申し上げるような実態であろうと私思います。こは最近また直ったかもしれませんけれども、少くともそうだったと私は思います。だから総裁にちょっとお尋ねしたいのですが、先ほどお話しありましたように、懲戒処分というものを各省でやるわけですね、任命権者が。ところで総裁あれですね、やはり任命権者立場になりますとね、どういうことが出ましても、やはりこれは自分の部下であり、いろいろ働いた公務員であるから、つまずきがありましても、これをどこまでもかばってやって、そうして軽い処分にこれをやってやるというのが、人情としましてはやむを得ないことだ。ですから各省任命権者にこれをまかしておく限りにおきましては、公務員のいろいろな事件が起きましても、これを適正に処分するというようなことは、これはまず望んで不可能なことだと私は思うのです。ですからもしいろいろ会計検査院等におきまして指摘されたというような場合の公務員に対しまする処分をやります場合には、やはり任命権者そのものじゃなしに、何かやはり一つの第三者的な立場でこれを批判して、各省によってばらばらにならないような措置でありませんと、適正を期しがたいと私は思うのですが、その辺は従来処分をずっと各省からとっておられて、検討しておられる人事院とされましては、どういうようなお考えを持っていらっしゃいますか。
  75. 淺井清

    政府委員淺井清君) この問題、この会の始まりましたとき梶原さんから最初に聞かれた問題でありますが、全く私も一部同感に思うのであります。しかし私は全体として、どうもみんな甘過ぎるとも思っていないので、ただ任命権者によって甘いところもあり、また厳重にやっているところもあると思いますし、またその事柄の内容によりまして甘くなったりあるいは厳重にやったりすることもあるように思いますので、これはどうも懲戒権者任命権者とする限りにおきましては、どうもこれは運営上、人が変るのでございますからやむを得ないのじゃないかと。それじゃこれを統一してどこかでやるということになりますと、任命権者の持つでいる重要な懲戒権というものをほかに移さなければならぬ。これは懲戒権のない任命権者の権威というものも考えなければならぬ、その辺はどうすればよいか、これは将来の問題だろうと思っております。
  76. 八木幸吉

    八木幸吉君 私先ほどの白井さんへの御答弁にちょっとはっきりしなかったところがあるのですが、人事院任命権者が行なった懲戒処分に、これを是正するために独立の調査権を行使して別の処分をなし得るのじゃないでしようか。
  77. 淺井清

    政府委員淺井清君) その権限は現在のところないと思います。公務員法上、本人が申し出た不利益処分として持って参りましたときにこれをやり得るだろうと思っております。
  78. 八木幸吉

    八木幸吉君 今、実は総裁の著書を拝見しておるのですけれども、私予備知識があまりありませんので読み違えるかもしれませんが、人事院は直接に懲戒処分を言い渡すのであるが、しかし実際は事前連絡をするので、実際の例は一つもない、しかし権利はあるんだ、こういうふうに書かれておりますが、権利がある以上は違った懲戒処分を言い渡すことができるんではないでしょうか。
  79. 淺井清

    政府委員淺井清君) それは八十四条の二項のところだと思いますが、それは人事院が独自にやりましたときには、八十四条二項を発動いたしましたときは、もとより人事院は独自に懲戒処分ができることは確かで、ございます。ただいまちょっと私が御質問を取り違えたかもしれませんが、しかしそれはすでにやってあるものを人事院において、八十四条の一項でなしに、何か改めることができるかと言われたように承わったので、そこのところをちょっと取り違えたかもしれません。
  80. 八木幸吉

    八木幸吉君 そうすると、人事院国家公務員法の第十七条の調査権によって八十四条の二項で任命権者が行なった懲戒処分と違った懲戒処分をなすことができる、ただし免職して、すでに公務員たるの資格を喪失した者にはいかんともしがたいが、公務員身分さえ持っておれば違ったことはやり得るんだ、現実にしかしやった例はないんだと、こういう意味でございますか。
  81. 淺井清

    政府委員淺井清君) その通りでございます。十七条をお引きになりましたけれども、これはまあどっちかと申せば一般的なものでございます。懲戒処分は個人に対するもので、これはもっと個別的なものだろうと思いますけれども、ただいま仰せられたようにすでに依願免官によって普通の人間に返ってしまった者には、どうも国家懲戒権というものは、人事院といわず、任命権者といわずきかないのだ。しかしそうでなければ、人事院は伝家の宝刀として八十四条の二項は持っているんだと、こういう意味でございます。
  82. 白井勇

    ○白井勇君 もう一つ念を押しておきますが、そうしましたら、規則の改正をしまして、一応人事院としましては公務員人事行政を握っておるわけですから、任命権者処分をします場合にあらかじめ人事院に打ち合せをして、人事院の了解を、承諾を得て処分をするという格好にしますと、割合に、先ほど総裁が、ばらばらに各省がやっておる処分というものは、ある程度公正にいくということは考えられないのですか。
  83. 淺井清

    政府委員淺井清君) 御説の通りであります。しかしまた一方から申しますと、人事院は内閣からもある程度独立している機関でございますから、責任政治立場から見れば、なるべく任命権者に力を置いてやるのもいいんじゃないかと思っておりますが、そのために、今言ったばらばらのようなことができてくると、こういう点はどっちがいいか、これは問題だろうと思っております。
  84. 青柳秀夫

    理事青柳秀夫君) この機会に私からも総裁一つお伺いしたいのですが、ほかの委員の方から御質問のありました点にあるいは重複するかもしれませんけれども、要点は、この間の印刷局長処分といいますか、このことにつきまして、大蔵省の官房長あるいは大蔵大臣意見は、懲戒免官にしないで依願免官にしたことがきわめて妥当な措置である、しかもきびしい措置であるということを、この委員会で強く言明されております。非常にその点私どもとは違うのでありますけど、そういう解釈でありましたので、内閣の官房長官にも伺いましたところが、官房長官は、今の大蔵大臣なり大蔵省の官房長の意見とは逆でございまして、ああいう問題を起した場合においては、依願免官等はなすべきでないと、意見が食い違っているのであります。この点はまだこの委員会ではその食い違いを、何といいますか、問い詰めてはおりませんけれども、そういうふうに違っております。そこで大蔵省の官房長の意見としては、役人がやめることは一番これは望ましくないことをするので、辞表を出してやめれば、これが一番きびしい措置である、しかしそれは平素における普通の勤務の状況においていう場合はそれでいいと思いますけれども、とにかくあれだけの新聞記事にもなり、また中身はどうなるか、これは刑事の問題でありますから軽々にはそれは判断ができません。しかしとにかくあまり好ましいことじゃないわけです。そのことについて官房長のとられた措置としては、休職にできればすべきのをしなかったのは、この国家公務員法、この規則ですな、これの七十九条に休職の場合が限定してあって、第一は「心身の故障のため、長期の休養を要する場合」、第二は、「刑事事件に関し起訴された場合」、起訴になってないのだから依願免官にした、こういう御解釈といいますか、御意見措置をとられているのでございます。私どもとしては、公務員の方が長年おやりになった人はできるだけ優遇されることは望ましいのでありますけれども、しかし一面綱紀粛正というような点からいえば、やはり問題を起した場合には正しい措置をとられることが全体の引き締めになる。そこではっきりしない場合は、休職にしておいて、休職の結果あるいは間違った場合はもとに戻して、さらに優遇されるし、それからかりに犯罪にでもなれば、そのときはむろん懲戒に処せられる、その間は休職にするということがむしろ正しい措置じゃないか。さらにまあ休職にできなければ、官房付とか何とか、印刷局長の職はやめられても、官吏身分のままで置かれる方がいいのじゃないかということも伺ったのでありますけれども、ただもう規則一点張りで、この七十九条を引例されまして、本人辞表を出した以上これを認めることは一番きびしい措置だということで突っぱられております。どうもその点が私は何となしに、そういうことでは綱紀の粛正、さらにまた決算委員会の職務たるいろいろ国有財産処分とか、すべての点における正しい措置がややゆるんでいくんじゃないか、かなりまずいことをやっても、辞表を出せば全部受け付けてしまう。起訴されるというのは、ある程度調べなければ起訴も何もできないわけですから、その点も伺ったのでありますけれども、どうもそれはできないのだと、こういうことをおっしゃっておりましたが、これは昔の話でありますが、以前は、いやしくも疑惑を抱かれて事件になった場合は、所管の官庁では辞表を受け付けることを留保しましておったように私記憶しているのであります。その点について現托そういう措置はこの規則上できないのであるか、もしできないとすれば、根本的にこの七十九条をいま一項付け加えるなり、適当な弾力性を持たせるようにできないものか。これは公務員の方をむやみに休職にしろといいう意味じゃございません。ただ綱紀粛正の意味に限定して、今申し上げたような場合にすることが、むしろ人事行政を適正にしていくという見地から伺うわけでございますが、そこはいかがなものでございましょう。
  85. 淺井清

    政府委員淺井清君) ごもっともお尋ねでございますが、七十九条の休職は、大蔵省の官房長から申し上げた通りでございましょう。ただし、この場合にさいぜん八木さんにお答え申しましたように、辞表を出しました場合に三つの措置任命権者はとれると思います。第一は、辞表を受諾して聴許する場合でございます。第二番目は、七十八条によって辞表を握っておきまして、降任または免職することができると思います。これは不適格者として降任または免職することができるのであります。その次は懲戒処分をすることができる。この三つ、どれをとるかという問題でございまして、辞表を聴許するというのは、私に率直に言わせれば一番軽い処分になったと、こういう印象を受けております。
  86. 青柳秀夫

    理事青柳秀夫君) 重ねてお伺いしたいのでありますが、総裁お答えよくわかりましたのでありますが、大蔵省の官房長が、ほかの省のことは知りませんけれども、今申し上げたような見解をとっているのでございます。印刷局のようなああいう場合にも、辞表を出せば受け付ける以外はないし、受け付けることはきびしい措置である。これじゃ人事行政というものに対する根本の考えがかなり甘いといいますか、間違っているんじゃないか。そうすれば、人事院というものはそういう考え方をしておる方面に適当なる一つ連絡をおとりになって、根本官房長官はそれと反対の意見を持っておるのでございますが、大所高所から、綱紀粛正なり適正な人事行政がいくようにやっていただかないと困るのじゃないか。私どもは個々の人事問題なんかにちっとも入りたくないのです。そういうことは国会としてやるべきことじゃない。ただ方針として進むので、具体的な事例に入ろうとはちっともしてないのですけれども、実際問題としてああいう措置がとられるならば、国民に対して申しわけない。しかし規則ではどうも何ともやりようがないという一点張りで、ございますが、今の総裁お答えによれば、三つの措置があって云々、こういうお話でございますので、一番適当な措置をとるように、大蔵省の官房長なり、あるいは各省人事行政をおやりになっている方面にはっきりした方針をお示しを願うか、また各省意見もお聞きになって、根本官房長官にも出てもらってやっていただかないと、どうもうやむやになりまして困るだろうと私は思うので、ございます。それだものですから、くどいようでございますが、一つ人事行政の中心においでになる総裁でございますから、公務員の全体の給与なり優遇なりのそういう方が重大でございますけれども、やはり一面は、何といいますか、適当でない者の処分といいますか、これについてもさらに一つ気を配っていただきまして、そういう今の大蔵省のようなことがもっときれいにいくようにお願いをいたしたいので、ございますが、何かお考えはございますか。
  87. 淺井清

    政府委員淺井清君) まことにごもっともな御趣旨でございまして、御趣旨に従って善処いたしたいと思います。
  88. 八木幸吉

    八木幸吉君 今の委員長お話に関連してでございますが、先般来大蔵省の官房長ともいろいろ折衝したのですが、依頼免官がこの場合には一番極刑であり、妥当である、こういうことを心底から信じて、信念的にお話しになる。私などとはあまりに考えの隔てがはなはだしいので、先ほどお話しになりました伝家の宝刀、八十四条二項をこの際ある程度抜いていただいてこの情勢を打破しなければ、非常に国民の気持と官庁やり方とが隔離してしまう。これは非常にゆゆしい問題じゃないかと思いますので、そこを一つ画期的に、一応やはり今、委員長の仰せられたような方向に立て直す意味で、福沢先生が、右に一尺傾いているのを直すためには左に二尺くらいは傾けなければならぬということをおっしゃったように、官庁からいえば、少しこれはきつすぎるというくらいのお立場独立機関としておとりくださることが、全体の綱紀の粛正といいますか、国民道義の高揚といいますか、その立場に非常に大きな役割をなされるのじゃないか、こう考えますので、一つそこの決断を人事行政の最高の地位にあられる総裁にお願いをしておきたい、こう思う次第でございます。
  89. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の井上局長辞表の取扱いについてお伺いしたいのですが、今起訴中の問題なんですが、この辞表を提出するについては、当局の方で辞表を出すように慫慂があったのですか、あるいは本人が自発的に辞表を出したのですか。
  90. 淺井清

    政府委員淺井清君) まずただいまのお言葉ですが、私は本人はまだ起訴されていないのじゃないかと思います。処分は留保されているだろうと思います。それから第二点は、自発的に出したかどうかということは、これはちょっと人事院ではわかりません。
  91. 大倉精一

    ○大倉精一君 これはそういうような場合に、かりに本人辞表を出したといった場合に、今の懸案中の問題がどうなるかという、黒白が明らかになるまでそれを保留するのが至当じゃないかと思いますが、これを辞表を受理して、普通の退職のような取扱いにされておる。これは私は当を得ないと思うが、あなたの御見解はどうですか。
  92. 淺井清

    政府委員淺井清君) それはさいぜん委員長にも八木さんにもお答えいたしました、結局一番軽い処分になってしまったということになっております。
  93. 大倉精一

    ○大倉精一君 それは一番軽い処分ということ自体は、私は非常に不当な処分だと思う、これは不当な処分だと思う。聞くところによるというと、出張所長ですか、目黒の方の、あの方は保留になっておるというんだな。で、いやしくもこういう今の汚職の問題について、次から次へと非常に世間の疑惑を招いておるやさきにおいて、この高級官吏身分取扱いについては、そういう私は一番軽い処分で済ましておくというやり方自体が、これはもう私はまことにけしからぬと思うのです。鳩山さんはいつでもこの綱紀粛正ということを口にやかましく言っておられるのですが、にもかかわらず、次から次へとこういうものが出ておる。しかも衝に当った当事者を一番軽い処分で済ませる、これは私はどうも腑に落ちないし、奇怪千万だと思うのです。特に下級官吏、下の方の官吏がちょっと悪いことをすると厳罰に処せられる。上の方にいくとこういう軽い処分で済まされる。しかもその人の転任をちゃんと用意してある。そういうようなことは直ちにやめなければならんと思うのですが、人事院においてこういう問題の指導といいますか、監督といいますか、そういうものに対する御方針はどうなんですか。
  94. 淺井清

    政府委員淺井清君) 御趣旨はまことにごもっともでございますが、今の制度上としては、人事院でそういう場合に任命権者懲戒権事前に云々すると、ことに依願免官の場合には別に人事院が相談を受けるわけでもなし、またこちらから言う手段もないわけでございます。これは制度上そういうふうになっておると、こういうふうに考えます。
  95. 大倉精一

    ○大倉精一君 きょうは当事者の上の責任者の方きておられるのですか。
  96. 青柳秀夫

    理事青柳秀夫君) きょうは人事院総裁あるいは人事院の方においでを願っただけでございます。
  97. 大倉精一

    ○大倉精一君 よろしゅうございます。
  98. 青柳秀夫

    理事青柳秀夫君) それではほかに御発言はございませんか……。  本日はこれをもって散会いたします。    午後三時三分散会