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1956-04-12 第24回国会 参議院 決算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十二日(木曜日)    午後一時五十四分開会   —————————————   委員の異動 四月六日委員大倉精一辞任につき、 その補欠として亀田得治君を議長にお いて指名した。 四月九日委員亀田得治君及び大和与一辞任につき、その補欠として大倉精 一君及び湯山勇君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     田中  一君    理事            青柳 秀夫君            白井  勇君            大倉 精一君            梶原 茂嘉君            石川 清一君    委員            岡田 信次君            小沢久太郎君            西川彌平治君            白川 一雄君            長島 銀藏君            最上 英子君            久保  等君            近藤 信一君            山田 節男君            島村 軍次君            市川 房枝君   国務大臣    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君   政府委員    大蔵政務次官  山手 滿男君    大蔵大臣官房長 石原 周夫君    大蔵省主計局次    長       宮川新一郎君    大蔵省管財局長 正示啓次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    大蔵省印刷局長 大槻 義公君    会計検査院事務    総局第一局長  大沢  実君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選 ○本委員会の運営に関する件 ○昭和三十年度一般会計国庫債務負担  行為調書内閣提出) ○昭和二十九年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十九年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十九年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出) ○昭和二十九年度政府関係機関決算書  (内閣提出) ○昭和二十九年度国有財産増減及び現  在額計算書内閣提出) ○昭和二十九年度国有財産無償貸付状  況総計算書内閣提出)   —————————————
  2. 田中一

    委員長田中一君) ただいまから第十三回決算委員会を開会いたします。  まず委員の変更を御報告申し上げます。四月六日大倉精一君の辞任に伴いまして、亀田得治君が補欠として選任せられました。  四月九日亀田得治君、大和与一君の辞任に伴いまして、大倉精一君、湯山勇君が補欠として選任されました。   —————————————
  3. 田中一

    委員長田中一君) 次に理事辞任許可補欠互選に関する件でございます。理事岸良一君は病気のため理事を辞したい旨の申し出がありましたが、これを許可することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  また、理事大倉精一君はただいまも御報告申し上げましたように、一時決算委員辞任され、これに伴い理事辞任されることになりました。従って理事に二名の欠員を生じております。よって理事補欠互選を行いたいと思います。この互選方法は、成規手続を省略して、便宜その指名委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認めます。  それでは私より岸君の補欠梶原茂嘉君、大倉君の補欠大倉精一君を理事指名いたします。   —————————————
  6. 田中一

    委員長田中一君) 次に本日の理事会において申し合せた事項についてお諮りいたします。  本日の委員会日程に関する件は別紙の通りでございますが、日本開発銀行の部は、小林総裁出席がないのでこれは次回に譲ります。次回以後の日程は順次繰り下げて行いたいと存じます。なおその他、国庫債務負担調書は本日採決いたしたいと存じます。会計検査院法の一部を改正する法律案は、物品管理法案が、四月十一日の本会議において修正議決されましたので、十九日に質疑討論採決を行いたいと存じます。  以上の通り理事会において申し合せましたが、さよう取り計らうことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。   —————————————
  8. 田中一

    委員長田中一君) 昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為調書議題に供します。  本件に関しましては前回において質疑が終局いたしておりますので、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。——別に御発言もないようでございますから、討論は終局したものと認めます。  それではこれより採決に入ります。昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為調書を問題に供します。昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為調書はすべて異議がないと議決することに賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手
  9. 田中一

    委員長田中一君) 全会一致でございます。よって昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為調書全会一致をもってすべて異議がないものと議決せられました。  なお本件に関し、本院規則第百四条により、本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  それから報告書には多数意見者署名を付することになっておりますから、本件を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名    青柳 秀夫  白井  勇    長島 銀藏  岡田 信次    島村 軍次  白川 一雄    最上 英子  市川 房枝    近藤 信一  梶原 茂嘉    久保  等  大倉 精一    小澤久太郎  山田 節男   —————————————
  11. 田中一

    委員長田中一君) 次に、昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和二十九年度政府関係機関決算書国家財政の経理及び国有財産管理に関する件  を議題といたします。日本開発銀行の部については、先ほど御報告申し上げた通り、本日小林総裁が所用のため、出席できない旨のお申し出がありましたので、本件は次回に譲ります。大蔵省所管のうち、管財局の部を審議いたします。また、一萬田大蔵大臣は二時三十分から出席なさることになっておりますので、昭和二十九年度決算総括質疑もあわせて行うことにいたします。  さらにこの際、昭和二十九年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和二十九年度国有財産無償貸付状況計算書議題とし、管財局の部と一括して審議いたします。なお、昭和三十年度一般会計予備費使用調書(その一)、昭和三十年度特別会計予備費使用調書(その一)は次回に譲ることにいたします。   〔委員長退席理事大倉精一委員長席に着く〕
  12. 大倉精一

    理事大倉精一君) 速記をとめて。   〔速記中止
  13. 大倉精一

    理事大倉精一君) 速記を始めて下さい。  ただいま御出席の方は、国有財産検査課長土井五男君・武樋総務課長・正示管財局長天野国有財産第一課長上東野管財司計官、建部建設省営繕計画課長、以上の方々であります。  御質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 二十九年度で、国有財産総額は著しく増加しておるという数字になっておるのですけれども増加理由一つ説明願いたいと思います。
  15. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。ただいま梶原委員の御質問でございますが、二十九年度の国有財産増減及び現在額総計算書は、かねてお手元に差し上げまして、その概略を御説明申し上げたのでありますが、非常に増加いたしました理由といたしまして、一番大きな理由は、御承知のように、国有林野事業特別会計所属財産におきまして、昭和二十九年四月一日現在で行いました価額改定に伴う増加、これが一番大きな理由になっております。これが御説明にも申し上げましたように、増加額のうち五千八百六十七億余万円という非常に大きな数字になっております。これが一番大きな理由かと思います。そのほかは大体例年あるような増減理由になっております。
  16. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 山林関係評価基準と、いいますか、基準なり方法なり、それはどういう方法でやることになっているのですか。
  17. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) それでは国有林野事業特別会計所属国有財産価額改定につきまして概略を御説明申し上げたいと存じます。  まず価額改定根拠法令でございますが、これは国有林野事業特別会計法施行令の第九条の第二項に、「一般物価の変動その他特殊の事由に因り固定資産価格が著しく不適当となったときは、農林大臣の定めるところにより、その価額改定することができる。」ということになっておりまして、この根拠法規に基きまして、昭和二十九年四月一日現在をもちまして価額改定をいたしたわけであります。この評価の大体の方法でございますが、まず土地の再評価につきましては、近傍類地民有地時価を参酌いたしまして決定をいたしております。特に林野土地につきましては、近傍類地の比準地——これは民有林地でございます。比準地について調査した固定資産税課税価額当該国有林野当該比準地との地位級及び地利級の条件の差等を参酌いたしまして改定をいたした次第でございます。  それから第二は、立木竹価額改定でございます。この一番大きな樹木につきましては、取得時期に応じまして、取得価格時価倍率指数を乗じまして再評価額を決定いたした次第であります。それから林木につきましては、齢級に応じまして扱いを異にいたしておるのでありますが、たとえば三齢級以上のものにつきましては、その林況に応じまして、最近三カ年の平均処分価格を参酌いたして再評価いたしております。また二齢級以下のいわゆる幼齢林につきましては、その費用価を参酌して評価をいたしております。  それから第三に建物工作物機械器具及び船舶の再評価につきましては、取得時期に応じまして、その取得価格時価倍率指数を乗じまして再評価額を決定いたした次第でございます。
  18. 大倉精一

    理事大倉精一君) ただいま大澤第一局長出席になられました。
  19. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 二十九年の四月一日の改定のその前は、いつの評価できまった数字になっておりますか、前年度の数字は……。
  20. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) この価額改定が実は最近の新しいやり方でございまして、国有林野事業が先にこれをやられたのでありますが、実は従来再許価をやられましても、これによって帳簿価額改定しないという点が、国有財政管理上非常に一つの欠点として、御承知のように国会等においてしばしば御論議になったわけであります。そこで二十九年の四月に国有林野がおやりになりまして、また三十一年の三月末日をもちまして、一般国有財産につきましても同じようなやり方をやはりお考えになっております。その以前は、ただいま申し上げたように価額改定をやっておりませんで、大体二十二年ごろの価額あるいはもっと古い取得価額というふうな形で帳簿に載っておった次第でございます。
  21. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 そうしますと、国有財産総額の中で、各省所管に分けて考えると、その評価額というものはそれぞれによって異っておる。その評価改定にいたしましても、基準にしても、それぞれの省が独自できめていく、こういう現状になっているわけですか。
  22. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) この現行国有財産法、これは御承知のように二十三年でございますが、これになりまして以来は、先ほど申し上げましたように、再評価をいたしましても、これによって改定をしないということで今まで参っておったわけであります。従いまして、ただいま梶原委員指摘のように相当程度の不統一、そういうことになっておりましたので、この点を改めることにいたしまして、国有林野事業につきましてはまず価額改定を行う、かように御了承を願いたいと思います。
  23. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 やはり全体を通ずる一つ評価基準であるとかあるいはその評価の時期ですね、そういうものは何か統一されたベースに基いて実行するということが必要じゃないでしょうか。
  24. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいまの御質問趣旨は、全く私どももさよう考えておるわけでございまして、国有財産の全体の状況、いわゆる全貌を明らかにいたすという建前からいたしましても、これは統一的な基準に基いて評価をし、またそれによって台帳等に記載すべきものと考えております。従いまして今回の価額改定を、今後は五年ごとに統一的に行なっていくという考え方で進んで参るわけでございまして、これによりまして、大体ただいま御質問のような趣旨に近づくものというふうに考えておるわけでございます。
  25. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 国有財産の性質のものであって、しかもその国有財産として台帳面記載——あるいは正規に国有財産としてまだ取り扱われるに至っておらないというふうな財産が相当あるものかどうか。もしあるとすれば、大体どういう程度あるのかということを一つ説明願いたいと思います。
  26. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) いわゆるこの登載漏れといいますか、あるいは脱落財産と申しますか、こういうものがある程度あるということにつきましては、御指摘通り、遺憾ながらそれは事実でございます。もとより年々それらの点につきましては調査を進めて参りまして、発見をいたしますと、そのつど台帳登載する手続をとっているわけでございます。従いましてだんだんと減少をしてきておるのでありますが、いまだこれを絶滅するところまで参っていないという点につきましては、私ども非常に遺憾に思っておりまして、今後とも一そう、そういう点について努力をいたす所存でございます。  大体どのくらいあるかという御質問でございますが、これは非常にむずかしい問題でございまして、その実情が把握されていないために、それらの点については申し上げることができないのを非常に遺憾に思っているのでありますが、これは先般参議院の予算分科会におきまして、たしか八木委員からも御質問がございましたのですが、私も昨年管財局長に相なりまして以来、部内の者ともよく相談をいたしまして、ぜひとも、この単なる推定とか、あるいは部分的な資料によりまして憶断するようなことは非常に危険でございますので、これは一つじみちに各個別に地区別調査をしたいという考えを持ちまして、大体本年度を初年度にいたしまして、五年ぐらいはどうしてもかかるのじゃないか、これは地区別漏れなく一つ調査したいという考えであります。もとより一番大きなのは、やはり大都市の国有財産等につきましての実情の把握というふうな点が一番大きな問題かとも思いますが、そういうふうに片寄らないで、全国的に一つ国有財産台帳に未登載のものがどういうふうになっておるかという、この台帳実態とのつき合せでございますが、そういうことを一つ漏れなくやっていきたい。こういうことを考えまして、そのためのある程度の経費の予算も認めていただいておるような次第であります。今後そういうやり方で、いわば漏れのないようなやり方でぜひともこの実態を把握いたしまして、今、御心配のような点につきまして万全を期していく、かように考えておるわけであります。
  27. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 終戦後、陸海軍関係軍用財産軍用でなくなったもの、これは不動産関係でいいのですが、概算でどの程度現在あるものですか。
  28. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 相当古い資料でございますので、時間を取って恐縮でございましたが、旧軍用財産につきまして、これは一応三十年三月三十一日現在の現在額を申し上げることにいたしたいと思います。  土地でございますが、価格にいたしまして、これはやはり再評価をまだいたしておりませんので非常に低く出ますが、十五億三千五百三十万三千三百三十三円、こまかいところまで一応出しておりますが、これが台帳価格でございます。それから立木竹でございますが、これまた再評価いたしておりませんから低く出ておりますが、まず本数をもって数えるものにつきましては六百二十四万二百五十四円、石数をもって数えますものが九千二百七十四万九百四十五円、それから薪炭等のものがそのほかに四十二万一千七百三十九円、こういうふうになっております。それから建物でございますが、これまた低い価格でございますが、建物が十七億九千三百五十三が九百五円となっております。それから工作物二十億一千九百六十九万六千六百二十五円ということになっております。それから機械器具がこれが九億四千七百九万五千十五円、それから船舶は三つの態様に分れておりますが、船舶のうち汽船が八千五百七十一万八千五百十五円、それから帆船が百三十九万五千二百円、それから雑船が二千七百六十七万六千六百九十八円、地上権地役権特許権、その他の権利といたしまして十万三千六百九十八円、その合計が六十五億九百九十二万二千九百三十三円、これは先ほどもお断わり申し上げましたように、価額改定前の低い価額によりまする台帳価額になっております。
  29. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 今の土地建物だけでいいのですけれども、そのうち普通財産に入っている分はどういう見当でしょうか、もしおわかりでしたら……。
  30. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは三十年三月三十一日現在におきまして、いわゆる処分未済と申しますか、普通財産としての額でございまして、もとよりこのうちの相当額が、御承知のように駐留軍のために今日提供して使用されておるというものでございます。しかしながら、これは一時的の現象でございますので、私ども普通財産として提供いたしておりまして、それが返還を受けますとすぐ処分をいたすわけでございます。
  31. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 今の数字普通財産ですか。
  32. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) さようでございます。
  33. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 それでは終戦後の財産税による物納の部分の財産で現在残っておる分ですね、これの大体の見当わかりましたら。
  34. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。御承知のように、物納財産は古い財産税と、それからその後新しくきまりました相続税、これは毎年相続税の適用をやって参るわけでありますが、一応これを分けてお答え申し上げます。  まず財産税物納財産でございますが、これまた三十年三月三十一日現在価額改定前の数字に相なりますが、これによりますと、財産税関係でありますが、土地が四億四千九百二十五万一千八百十四円ということになります。それから立木竹のうち、木材等、石をもってはかるものが一番多いのでございますが、これだけ申し上げますと、百四十万一千九百七十四円、あとは小さくなっておりますので、一応省略いたします。それから建物でございますが、建物は四億三千八百九十二万一千四百八十七円ということになっております。それから工作物は二千五百四十二万七千円、それから有価証券その他の、株式その他ででございますが、これが四億二千七百二十三万五千九百六十五円、その総額は、先ほど省略いたしました小さなものも含めまして十三億四千二百二十五万八千三百三十五円ということになっております。  次に相続税物納財産の、これまた三十年三月三十一日現在の価格を申し上げますと、土地が五億六百五十五万二千三百九円、立木竹の一番おもな、石をもってはかりますものが百十一万八千四百三十七円、建物が三億三千八百九十万二千六百十九円、工作物が五十六万三千四百十一円、機械器具が十万五千円、有価証券その他が四千百六十万四千三百五十七円、その総額、これが立木竹の小さいものを一部省略しましたが、それを含めましての総額が八億八千九百六十三万三千五百三十七円ということに相なっております。
  35. 白井勇

    白井勇君 国有財産というものですがね、公務員払い下げできるものでありますか。
  36. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。国有財産法の中にこの点についての規定がございます。国有財産法第十六条に「国有財産に関する事務に従事する職員は、その取扱に係る国有財産の譲り受け、又は自己の所有物と交換することができない。」という規定がございます。これはただいま白井委員の御質問は、一般的に国有財産に関する事務に従事する者、あるいは国有財産の仕事をしておる役人はという御質問でございますが、この十六条の規定ははっきりと「その取扱に係る国有財産を」と、こういうふうに規定をいたしております。御承知のように国有財産大蔵省だけではございませんので、各省各庁にそれぞれあるわけでございます。そこで各省各庁の方々も、その所管国有財産事務はやっておられるわけでございますが、しかし所管が違うとか、あるいは全然事務的に関係のない財産というものにつきまして、一般国民と同じくこれらの払い下げを受ける資格のあることは、この条文から申しましても、「その取扱に係る国有財産」でございますから、取扱いにかからない財産でございますれば差しつかえない、かように考えております。
  37. 白井勇

    白井勇君 取扱いにかからないものは、今のお話によりますと差しつかえないそうですね。そうしますと大体そういう考え方大蔵省はもちろんのこと、各省は運行しておるわけですか。
  38. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 実際の行政は、ただいま申し上げたような解釈でやっておると思いますが、しかしながら、これはどこまでも法律に定められた限界のことを申し上げたわけでありまして、そういう解釈で何もかもやっておるかというふうな御趣旨の御質問かと存じますが、この法律に反しないからといって、いわば役人が自分が取り扱っておらないからというので、国有財産について特に数多く払い下げを受けるとか、そういう考え方ではないと私は考えるのでありまして、今日の行政実態は、どこまでも一般国民とこれは同じと申すよりは、むしろ役人としてはもとより、そういうことについて特にいろいろ情報を得るような場合には、これは十分注意をいたさなければならぬことは、一般公務員一般注意規定の問題になってこようかと思うのであります。ただ先ほど申し上げたのは、国有財産法十六条の法律解釈としてはそのように解釈されるということを申し上げた次第であります。
  39. 白井勇

    白井勇君 その十六条の問題はわかりますけれども公務員国有財産払い下げを受け得るということは、ほかのいろいろな公務員としての法律から縛られるような面は全然ないわけなんですか。
  40. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) この点につきましては、あるいは私はそういうお答えには適任者かどうか疑問でございまして、一般公務員公務員法等に定められた公務員注意義務と申しましょうか、秘密を漏洩してはいけないとか、あるいは職務上知り得た秘密を、これを利用して私利私欲をはかってはいけないというような、公務員一般的な注意義務と申しましょうか、あるいは服務紀律と申しましょうか、こういうことは当然私はあり得るものと考えております。またさような点について十分注意をいたしまして、いやしくも疑惑を受けるべきでないということは、その通りに心得ております。
  41. 白井勇

    白井勇君 そこで大蔵省としましては、その法十六条に触れない限りにおきましては、国有財産は、公務員である者に対しましてもこれは自由に売却等処分をするといういう方針で措置をされて従来きておったわけでありますか、そこらどうですか。
  42. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) この国有林産行政総轄庁としての大蔵省でございますから、この点は十分注意をして参っておることは申し上げるまでもありません。ただいまお答えを申し上げたのは、一応の法律解釈だけを申し上げたのでありまして、従来大蔵省部内におきまして、国有財産取扱いにつきましては、さような点について  いやしくも疑惑を受けるようなことのないように、十分注意をして参ったつもりでございます。また、先ほど私この点についてお答えを欠いたと思うのでありますが、御承知のように国有財産の今日の法律の建前は、処分をいたす場合は原則として競争契約、一般的な競争入札という建前をとっておることは申し上げるまでもございません。従いまして随意契約という場合は、一定の法律によって定められた条件に該当するときでなければできないのでございますから、さような意味におきましても、国有財産法の基本は、どこまでも公に一般競争入札に付して処分をするという建前になっておることは、これは申し上げるまでもないのでございます。
  43. 白井勇

    白井勇君 私は端的に聞きますけれども大蔵省としまして、国有財産を持っておられて、それを処分します場合は、十六条の問題、それから今のお話の、たとえば売却方法につきまして随意契約でない、競争入札とか、あるいは特別の条件のつくものは随意契約でやるというような面においてひっかからない限りにおきましては、公務員であろうが何であろうが、国有財産というものは、公務員に対しましても、積極的に処分しておったかどうかということを聞きたい。
  44. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 公務員に対しましても、ただいま申し上げたような法律や命令によりまして、条件が整備いたしておりまして、しかも先ほど申し上げました、それ以上に、公務員法等に基く服務紀律、あるいは一般注意義務というふうな点から申しまして差しつかえないものは、これはもとよりそれによって処分をした例はございます。しかしそれらの最後に申し上げた点につきましても、十分注意をして参ったつもりでございますが、たまたまそれらの点について不任意の点があったということもこれを否定しがたいと思いますが、一般の原則といたしましては、十分それらの点については注意を払って参ったつもりであります。
  45. 白井勇

    白井勇君 そうしますと大蔵省としては国有財産を、従来は今お話しのような点においてひっかからない限りにおきましては、公務員に対して処分をしておったことが相当あるということですね。そういうことですか、そう了承してよろしいですか。
  46. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これはやはり法律なり命令なり、さっき申し上げた一般公務員の服務等の制限を受けておりまするため、私は全体の件数から申しますならば、比較的少い、あるいは価格簿から申しましても少いと思いまするが、しかしそういう諸般の条件から申しまして、これはごらんいただいても何ら公正にしてやましくないという事例のものがある程度あることは、これは事実であります。
  47. 白井勇

    白井勇君 会計検査院にお尋ねいたしますけれども、各官庁ではそういう国有財産を、今、大蔵省考えておられるように、公務員に対しましてそれぞれ処分をしているという例が相当あって、しかもそれは会計法上ひっかからなければそれで差しつかえないことになっているのですか。
  48. 大沢実

    説明員(大沢実君) 大体売り払い処分する財産と申しますのは普通財産で、現在行政に使っている行政財産を売り払うことはありませんが、これは国有財産法上、普通財産は原則としましては大蔵省に引き継ぐことになっております。普通財産処分ということは、大蔵省がほとんど全部と言っていいほどでありますが、ただ一、二の特別会計におきましては、みずから持っている普通財産処分するということはあります。それで、各省においてはという例でありますが、普通財産各省……。
  49. 白井勇

    白井勇君 特別会計で……。
  50. 大沢実

    説明員(大沢実君) 特別会計で処分している例はありますが、それに対しまして、何と申しますか、公務員であるからとか何とかいって区別してやっている、そういうことは今まで注意したこともありませんし、例もほとんど承知しておりません。ただ特別会計の持っております普通財産といいますのは、相当大きね工場の跡地とかいうものでありますから、そうした公務員に売るというようなちっちゃなものはおそらくないだろうと思っております。
  51. 白井勇

    白井勇君 そうしますと、こういうことを、たとえばさっきちょっと話しましたが、国有林野ですね、国有林野というものを、あれを管理しておりますのは農林省ですか、農林省の役人に、大蔵省のお考えのような点にひっかからない限りにおいては、これは公務員たる農林省の役人払い下げますことは一向差しつかえないわけですか。
  52. 大沢実

    説明員(大沢実君) 差しつかえないかというお話が、法規上違法でないかというお話になれば、これは法規上は、ただいま管財局長説明がありましたのですが、国有財産法に抵触しない限りは法規上は違法とは言えないのではないかと思います。
  53. 白井勇

    白井勇君 その場合会計検査院といたしましては……。
  54. 大倉精一

    理事大倉精一君) 白井委員、ちょっとただいま一萬田大蔵大臣並びに石原大蔵大臣官房長が御出席になっておりますから……。
  55. 白井勇

    白井勇君 ちょっともう一言。会計検査院がその事実を発見しました場合は、それにつきましては会計法上触れないからということで、差しつかえないと認めておりますか。
  56. 大沢実

    説明員(大沢実君) われわれが検査します場合の書類では、この買い主が公務員であるかどうかということはまずわかりません。
  57. 白井勇

    白井勇君 わかった場合はどうかと聞いている。
  58. 大沢実

    説明員(大沢実君) わかった場合でありましても、法規に抵触しない限り、公務員に売ったらいかぬではないかということは、われわれの立場としては申し上げかねると思います。
  59. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 一萬田大蔵大臣がおいでになりましたので、決算委員の一員として以下の質問を申し上げることを、私は非常に遺憾とするものでございますが、それは先般来新聞紙上で伝えられております大蔵省印刷局の問題に関連いたしまして、井上前局長の問題等が出て参りました。その内容は、私から申し上げることを差し控えまするが、こういうまことに残念な問題に対する大蔵大臣のお考え、また、かようなことが今後起らぬようにするについての御所信と申しますか——もちろんこれは新聞紙が伝えておりまするので、その真相は現在において明確でないと思います。しかしとにかくあれだけ大きく出ておるということについては、私どもも非常に憂えておるのでございまして、その点についての一つ御所信を伺いたいと思います。
  60. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) ただいまお尋ねのことにつきましては、実は私も本日発言を求めまして、遺憾の意を表したいと実は考えておったのであります。このたび国有財産処分につきまして、御指摘のように部内から収賄事件の疑いをかけられまして、検察庁当局の取調べを受ける者を出しまして、心から遺憾に存じておる次第でございます。ことに私も遺憾に存じますことは、事は何せ国有財産、これはまあ国民からお預りしておるものでありまして、しかもその財産を預かっておったことにやや関係の多いことで、まあ大蔵省といえば、いろいろ法律上の問題は別にして、国民は大蔵省が預かっておる、こういうように考えておる。それだけにこういうことを起しましたことについて、私はまあ格別に実は責任も感じておる次第でして、非常に反省をし、深い謹慎の意を表すべきだと考えておる次第でありまして、今後におきまして、私はそういうような建前からもいたしまして、ぜひともこういうことが再び起こらない、まあ人間が扱っておることで、人間のもろさもありますが、従いましてできるだけ制度的に、もうこういうことが起らないようにきわめて公明に、かつ厳正に、しかもこの国有財産処分、活用が適当である。やはり国の財産が二兆以上に今日及んでおりますが、この運用がいいか悪いかでは、国に与える損害といいますか、かりに一割としても二千億、百分の一としても二百億、こういう大へんなものであります。そういう点もいろいろと考えまして、今回はまあ行政機構改革等でなるべく審議会等は廃すべき機運にあるのでありますが、しかしこれは、こういうふうな重大な事柄については、私は差しつかえないとして、今回審議会を設けまして、民間その他りっぱな方々の参画を願って、国有財産をいかに取り扱うべきかということを相談をいたして、今申しましたような趣旨が実現できるように心がけていくつもりをいたしておるわけであります。
  61. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 いま一つ伺いたいのは、ただいま大臣から、非常に今回の事件は遺憾であるが、こういうことの起らぬようにはっきりやる、こういう御所信を伺ったのでございますが、私はこの問題についての井上局長に対する措置が、今司直の手にありますけれども、新聞によると、本月の三日に免官をされておる。辞表を提出したのを受けておられる。これは一体どういうわけでそういう措置をおとりになったのか。綱紀粛正ということを強く決意されるならば、かような疑いのある者に対しては辞表を出しても取らないことが綱紀粛正であると思います。しかるに、新聞紙の伝えるところでありますが、もしこれをお取りになっておるとすれば、これは綱紀粛正には絶対になりません。もうこのこと自体について非常に寛大というか、全くその問題についての責任をとらない措置をおとりになっておるわけです。私非常に遺憾に思いをするが、それはどういうわけでございますか。
  62. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 私、自分の気持を率直に申し上げますが、実は井上前局長に疑いがかかった。これはまあ今後の取調べの経過を見なくては、どういうふうな責任があるか明確でございませんが、私のところでとりました措置の根本は、いかにして当時の印刷局の行政をよくやるか、ああいうふうなことがありまするので、なかなかいろいろとまた印刷局部内にも仕事の処理等について遺憾のことがないとも限らない。早く新しい局長を任命いたしまして、そして印刷局を引き締めて、そしてある意味では、大きく言えば一つ部内の建て直しといいますか、引き締めていこう、まあこういうことから、取りあえず疑いというところにありますので、ああいうふうな免官措置をとりまして、そして新しい局長を任命した。こういうのが私の当時の偽わらざる考えであります。
  63. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 せっかくの大臣の御所信でございますが、私不敏にいたしまして、おとりになった措置に賛成するわけにはいかないのでございます。もちろん新印刷局長に大槻さんを御任命になりまして、綱紀粛正といいますか、内部の欠陥を全部除去して、刷新されるということにつきましては、深く敬意を表するものでございまするが、私がお伺いしたのは、当の責任者である井上局長、これはまだ司直の手に渡っておるので、どうなるかわかりませんけれども、しかしあれだけのことをとにかく伝えられておる方を、辞表を出したらすぐ受け付けるということは、上司のおやりになる適当な処置ではない。こういうことをやっておられれば、大ぜいの方が問題を起しても、すぐに辞表を出せばそれで済むんだということになりまして、綱紀粛正が逆になる。かように思うので、その点についての大臣の御所信を伺ったのでございます。もちろん、私は、大臣が多年日本銀行においでになりまして、あるいはそういう事務上の手続のことについては詳しく御存じにならないので、大臣はそれが一指いいと思っておとりになったとすれば、大臣を補佐するほかの方がきわめてこれはまずい進言をされたと、かように思いまするので、その点についてはあるいは官房長からも御意見を伺いたいのでございます。
  64. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) ただいまの青柳委員のお尋ねでございまするが、あるいは懲戒免官というようなことにいたすべきではなかったかという御意見であろうかと思うのでありますが、青柳委員もお述べになりましたように、現在事案は検察当局において取調べの最中にあるのでございまして、これがどういうような落着に相なりまするか、そこのところを見きわめませんからには実態が明らかでないと存じます。それでは実態が明らかになるまで放任をいたしておくかということでございますが、これは大臣がお答えになりましたように、印刷局を新しく再建をいたしまする必要がありまするので、局長を更迭をいたしまして、新局長に仕事をやってもらうということに相なりました。そこで辞表を本人から提出があったことは、これは事案でございます。従いましてその辞表を受理をいたしまして、ここに免官の措置をとりました。何分にも免官と申しまするのは、これは官職を退くことでございまするから、行政処分といたしましては  一つのきつい処分でありますることは事実でございます。ただ御心配の点は、将来に至っていろいろな事実が明らかになったときにはどうするかということでございますが、これは御承知のように、有罪の判決を受けましたときには、禁錮処分以上の処分を受けましたときには、懲戒処分と同じようなことになりまするので、その場合にはそういうことに相なるかと思います。従いまして、今日直面しておりました事態、つまり一面におきまして印刷局の再建をいたすということ、そのためには新しい局長を任命しなければほらないということ、印刷局にあれだけの事故を出しまして、世上にいろいろ疑惑を招いておりまする点、そういう点をあわせ考えまして、当面の措置といたしまして依願免官ということにいたした次第であります。
  65. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 繰り返してお尋ねするのはまことに失礼かとも思いますけれども、私はこの問題はきわめて重要だと思いまするので、さらに付け加えて申し上げたいのでありますが、由来、大蔵省といえば、国の各省の中でも一番これは中心の省でございまして、そこにおいでになるすべてのお方々は、大学を出て最も秀才な、りっぱな方がおい空になる。こういう意味におきまして、すべての人が大蔵省を信頼しております。たとい誤まりがありましても、それは善意の誤まりであって、悪意のものは一つもない。かように信頼を持って私どもが望んでおりましたのにかかわらず、今回の事件は、もちろん今、取調べ中でございまするから、あまり先走ったことを申し上げることは差し控えたいのでございまするが、しかし、とにかくあまりいいような印象は受けておりません。もし頭のいい方が、公私混同して、悪い方に力を向けられるというならば、非常にこれは私は大きなマイナスになってくる、かように憂えるのでございます。ゆえに綱紀の粛正の点につきましても、温情は温情で進むことが必要でございまするけれども、今、官房長のおっしゃったような理由では私は納得できない。何か大蔵大臣とされましては、また、官房長とされましては、その間、印刷局長をやめても、他の適当な、何といいますか、休職とか待命、あるいは局付なり何かの手段があるのじゃないか、それくらいのことはまたおやりになっていいのじゃないか。依願免官ということは、全くこれは私どもとしては納得できない。それではいかに綱紀粛正の訓示を大臣がおやりになっても、私は綱紀が粛正しないと自分では思います。もし私の意見が間違っていたとするならば、これは私の何といいますか、気持だけでありまして、実際その大蔵省の規則なり法規との関連上できないことかもしれませんが、しかし私はそれはできると思います。また検察庁等の関係からいいましても、一応ああいう問題が起った場合においては、免職にするということは違法の処置である。大蔵省でおとりになった措置は、私は不当あるいは違法の措置である、かように思うのでございますが、重ねてその点についての御答弁を願いたいと思います。
  66. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 青柳委員がおっしゃいまするように、何らかのほかの職に前印刷局長を移しまして、しかる後に処分を待つという方法一つ方法であります。何がゆえにその方法をとらなかったかというと、むしろ今日までの印刷局に生じておりまするところの事態から考えまして、行政処分として、今日のととろで、御本人の今取調べの対象になっておりまする事実は、これは目下のところまだ何とも申せないのでありまするが、今日までのいろいろ印刷局内に生じました事件、その世上の疑惑というものに対しまして、むしろ今日において処置をとることの方がよりすっきりした印刷局の再建に向うのではないかということを考えております。従いまして、従来からのやり方からいきますと、この際むしろ免官にいたしまして、その関係は新しい局長で出発をする。一応行政処分として今日までのところで区切りをつける、こういうことを考えております。あるいはまた多少先を越したお答えをいたすことに相なるかもしれませんが、青柳委員がお尋ねになっておられる点は、あるいは恩給でありますとか、退職金でありますとかいうような点の関連かと思うのでございますが、これらの点につきましては、今後他の職員、他の事案、こういうものとの権衡を失しないように十分善処をいたしまして、そのようなことがないように十分な処置をとりたいと考えております。
  67. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 大へんありがたいお言葉ですから、私からも一言申し上げておきます。私も先ほどから申し上げましたように、国有財産については私はしろうとでありますが、それは大蔵省の職員から出た問題でありまして、このことは非常に私は残念に思っておるわけであります。これはやはり今お話しのように、大蔵省という一国の財政を預っておるところとしまして、これはほんとうに残念に存じております。この信頼を国民に回復する上からも、厳正に、忍びがたくも、やむを得ない一つの厳重な処断をすべきであると、こういうふうに考えまして、そしていろいろと幹部の者とも十分相談をいたしまして、そうしてその結果ここに官をやめてもらう方がよかろうということで、実はああいう処置をいたしたのであります。御意見は非常にありがたく拝聴いたして、非常に感謝いたしております。そのことを一言申し上げておきます。
  68. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 大臣なり官房長がこの問題を機会に非常に御心配になっておる点については、私どももぜひ一つ今後の刷新をお願いするものでございますが、私がこの井上さんの依願免官についてやかましいことを申し上げますのは、かつて私も官庁におりましたときに、自分の関係する部課からやや似たような問題が起りましたとき、本人は辞表を出して参りました。しかしそれを受けることができない。これは本人には、それはそのとき受けてもらった方が都合はいいわけであります。それでは内部の刷新、綱紀の粛正ができません。さような意味でそういうものはそのまま預りまして、事件の推移によって処置をとる。この方がほんとうの綱紀粛正になっていく。今官房長がおっしゃったような、いろいろの御都合があったかもしれぬけれども、もしそういうことをおやりになるんなら、何かの機会にそういう問題を起した者から辞表がとれぬという閣議の申し合せなり何か規則でもお作りになってやらなければ、綱紀の粛正は私は期し得ないと思う。それだけでもちろんいくものではありません。全体の積極的な、国に尽す気持、その方が先でありましょう。しかし大ぜいの人の中にはこういう問題を起すことがときにはございますから、きびしくしていくところはきびしくやっていただかないと全体がゆるんでしまうのじゃないか。私は下級の方がおやりになったのじゃなくして、局長という大蔵省でも最も首脳部の方がおやりになっているがゆえに言葉をはげしく申し上げるわけでありまして、決して今回の処置が綱紀粛正に役立つことと思いませんので、再考を一つお願いをしたい。これで私の質問はやめます。
  69. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 関連して。青柳委員の御質問と、大臣なり官房長の御答弁との間に、私どうもちょっと食い違いがあるように思うのであります。寿柳委員が言っておられる点は、事は検察当局に関係しておるのです、それがはっきりしなければ最終的の決着をつけるわけにはいきませんけれども公務員として許し得ない事態にある。それに対する処置としては、十分その行為をとがめなければならない措置を講ずることがこれは当然なんです。私も二、三の例を知っておるのであります。そういう刑事上の問題が惹起した場合に、本人の申し出によってやめさすということは、これは最も優遇したといいますか、最も厚遇した措置なんであります。私情的な考え方からいえば、それは好ましいことかもしれませんけれども、それは公けの立場からいうと許し得ないのであります。やはりそういう不適正な公務員に対して行政上の措置として、厳正な措置をもって臨むことが必要と思うのであります。そういう趣旨で、青柳委員は御質問され、その見解を述べられたと思うのであります。どうも大蔵大臣も、また官房長も、そういう趣旨におとりになっておらないような感じを受けるのであります。特に将来恩給とか退職金等の点で場合によれば考えるのだ、ということを言われましたけれども、そういう道があろうとは私は思えない。いやしくもやめちまってから、それに対してどうこうするととは、これはあり得ないように思います。何かちょっと今までの大臣及び官房長の御答弁では腑に落ちない点が抜け切らないのであります。
  70. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 前段のお尋ねの点でございまするが、依願免官ということにいたしましたのは、現在事案の内容が明らかでございません事態におきましてとり得る一番強い行政処分だというように考えておるわけであります。それは現在までの現れておりますところで、これよりも重い、たとえば懲戒処分というようなことになりますと、これはもっと事態が明らかになる……。今日においてはっきりしたある行政処分をいたそうとすればそういうことになるわけであります。ただそこで何がゆえにそういう措置を今日においてとったかということは、これは先ほどから申し上げておりまするように、新しい印刷局の再建をいたしますために、この際すっきりした措置をできるだけとっておきたいということであります。お尋ねの後段の点が前段の点と関連をいたすと思いますので、その点もあわせて申し上げまするが、今後の事案の推移によりまして、恩給及び退職金は、お話になりましたように、本来そのままにいたしておきますれば発生をいたすかと思っております。それを均衡を失わないような措置をとりたいということを申し上げましたのは、今後現われますところの事態が、そういうような自然に発生をするような事態のままでおいておくことが不均衡であるというようなことに相なりました場合には、これは本人に払わないような措置を話し合いで講ずることが可能であり、適当であるというふうに考えております。
  71. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 これは見解の相違に結局なるかもわかりませんけれども、自分が辞職をしたいという申し出をしまして、それはいいだろうということは、これは普通の場合と同じなのであります。普通の場合と何ら違いがない、形式的においても、実質的においても。普通長年善良に勤めた公務員がやめる場合といえどもやはりその方法なのであります。これがこういう場合にとり得る措置として最も強い措置だと言われることは、私は納得できない。これは普通の場合なんです。普通の場合の普通の措置であって、何らやめるその人に対する行政上の、何といいますか、訓戒的な措置でも何でもない。従ってこれが最も強い措置だと言われることがどうしても理解し得ないのであります。印刷局長を変えるということ、これは当然のことである。それを続けてやれということでは青柳さんもないし、私も毛頭思っておりません。
  72. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 私が強いという言葉を申し上げたものでありますから、あるいは非常に何と申しますか、適当でない言葉であったかもわからないのでありますが、行政上の処分といたしましては、身分をやめるといいますか、役人たることをやめるというのが一番本格的な処分であるかと思います。それが懲戒の免官になります場合と、そうでなくて、こういうような退職になります場合とあると思います。それで先ほど申し上げましたように、今日におきましてすっきりした措置をとろうという——すっきりと申しますと、また語弊があるかもしれませんが、あるはっきりした行政措置をとろうといたしますれば、これは懲戒免官というところには今日は参り得る事態でございませんので、これは依願免官という形になりますけれども、本人の役人たる身分をなくすわけでございますので、これは本人から願い出たということでございますけれども、本人も責任を感じまして辞表を出しておるわけでございまするので、本人が勝手にやめたいというだけのことでは必ずしもないのでありまして、本人として行政上の責任を痛感をいたしまして辞表を提出しておるわけでございますので、これを受理をいたしたということに相なるのであります。
  73. 大倉精一

    理事大倉精一君) 私から一つお伺いいたしますが、この辞表届は本人が自発的に出したのか、あるいは出すように慫慂されたのですか。
  74. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 一二月二十二日に本人から提出に相なりましたので、こちら側から出すように慫慂いたしたものではありません。
  75. 大倉精一

    理事大倉精一君) 大蔵大臣にお伺いいたしますが、先ほどから司直の手にかかっておるから云々という言葉がたくさんあるのですが、こういうような問題は司直の手にかかって、その結末を見るまで、これは大臣としてはじっとその結果を待っておられるというのか、積極的にその事実をお取り調べになって、そうして積極的な措置をされるというような御方針であるのか、これはどっちなのですか。
  76. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) これは一般的にどうというよりも、具体的にどういうふうな事案であり、どういうふうにこれは考えていかなければならないというようなことにもなるかと思うのであります。決してどういう場合においても常に待つというのでもなかろうと、こういうふうに考えておるわけであります。今回の場合は、当時長おいて事柄の内容について知る限りにおきまして、懲戒という処置をとるべきかどうかという点にやはり問題がありまして、懲戒というのは行き過ぎるように思うとすれば、こういうふうな……、まあそのほかにおいては、ほかの地位に移しかえるということも考えられるのですが、そういうのは適当でない。こういうふうなことで今回はこういう始末をいたすことはいたしたわけであります。
  77. 大倉精一

    理事大倉精一君) この司直の手にかかっておるのであるからというようなことは、かつての造船汚職のはなやかだったときに、これは一枚看板として使われた言葉なのです。従って司直の手にかかっておれば、これは司直の結論が出るまでは何ら手をつけられないというような説がその当時において行われておったのですが、私はそういうものじゃないと思うのです。これは大蔵省といえば、大臣がお話しになったように、非常に国の膨大な財産をあずかってこれを管理しておられる。しかもその本山の管財局長であるこういう者が、自分の役職、職権を利用して不当な私利を得ておる。こういうことにつきましては、私は司直の手を待つまでもなく、これはもう大蔵省として十分調査をして、その事実を突きとめておかなければならないと思っておる。もしこれがかりに検察庁がこういうものに手をつけない、司直の手がつかなかった場合にどうするか。それは司直の手がつかないからこれは差しつかえないということになるのか。いわゆる免れて恥じず、こういうことになってもいいのか。私はことで管財局長にお尋ねをしたいのですが、あなた、この事実に対していろいろお調べになっておると思うのですが、この事実についてお調べになったことがありますか。
  78. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいま大倉理事から、井上前印刷局長につきまして御質問がございましたが、その中に管財局長というお言葉がありましたが、これは一つ御訂正を願いたいと思います。井上前印刷局長であります。元の関東財務局長であります。  この事件につきまして、先ほど来大臣、官房長からお答えがありましたが、これについて国有財産管理の責任者といたしまして、管財局におきまして調べているか、また司直の調べを待つまでもなく、本件について責任を持って調査をしているかという御趣旨の御質問でございますが、これは私どもといたしましても極力調査をいたしております。ただ御承知通り、これは関東財務局のしかむ目黒出張所、財務局の下に出張所というのがあるのでございますが、その出張所の所長の権限としてできた事案でございます。当時の関東財務局の職制によりまして、目黒出張所長限りで処理できた事案でございまして、その関係をもちまして、本省の管財局まで参りますのに相当の時間がかかっておったことは事実であります。しかしながら、私どもは常に内部の監査ということをやっておりまして、そういうときには、先ほど白井委員からも御注意がございましたが、いやしくも国有財産事務に携わる職員が疑惑をもって見られるようなことのないようにということは、これはもとより常に注意をいたしております。さような意味におきまして、また一般的に財産処分が、その価格の面におきましても、また実際の手続等におきましても、公正妥当に行われるということが、私どもの日ごろの念願でございまするので、常に注意をして参ったのであります。で、本件につきましても、多少の問題な感じまして、かねがね調べておったのでありますが、たまたま時を同じうして印刷局の不祥事件が起りまして、私ども調査の結論を見るまでに、その前に御承知のように検察なり警察の手が伸びたわけであります。今日、井上義海君は身柄を拘束されて、一切の関係書類を押収されまして、取り調べを受けているのでありますが、その前におきまして、またその後におきまして、私ども本件の内容につきましては十分上級官庁といたしましての調べをいたすべく万全の努力を払っております。この点だけははっきり申し上げて差しつかえないと思います。
  79. 大倉精一

    理事大倉精一君) 井上局長払い下げられた金額は二百四十七万円、十年年賦ということになっておりまするが、これは正確な数字かどうかわかりませんが、もし正しいとすれば、これは適正な価格とは私は言えないと思いますが、御所見はいかがでしょうか。また井上局長が関東財務局長ですか、この在職当時にすでにこういう動きをしておった、いわゆる手を打っておった、こういうことが問題になっているのですが、そういう事実に対する御調査の結果はどうでありますか。
  80. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。この点は衆議院の大蔵委員会、また参議院の大蔵委員会におきましても御質問がございましてお答えを申したのでありますが、ただいま問題になっております土地、家屋は、昭和二十二年に当時の関東財務局におきまして山階芳麿氏から買収いたしたものでございます。その価格は、土地が二十五万五千五百円、建物が二十六万四千六百円と相なっていることは御指摘通りでございます。この建物及び土地昭和二十九年六月に当時印刷局長でございました井上義海君に、目黒出張所長が当事者として払い下げをいたしております。その総額がただいまお話のように二百四十七万八千百三十三円ということに相なっております。そこでこういう事実に対しまして、これが妥当であるかどうかという判断を求められたわけでございますが、実はこの点につきまして、先ほど申し上げましたように、目下なお私どもといたしましても調査中でございます。検察御当局ももとよりその点については一切の関係書類を押収され、本人の身柄を拘束して御捜査中であるわけであります。そこでこれが妥当であるかどうかという点につきましての御質問でございますが、これは何しろ二十二年に国として取得した財産でございまするし、その後二十九年六月までの間にいろいろと状況も変化をいたしておったこともある程度事実かと存じます。また井上前局長への払い下げが二十九年六月のことでございまして、その後もはや約二ヵ年を経過いたしておるのであります。当時におきまする実情がどうであったかという点につきましては、関係者がだたいま御承知のような状況になっておりまする点もございまして、的確にはまだ承知できないのであります。しかしながら今日の実情において、今日の状況においてどうであるかという点につきましては、先ほども申し上げましたように、極力調査をいたしておるのであります。衆議院の大蔵委員会で御質問のあったのが三月二十日かと記憶いたしておりますが、その後も極力調査をいたしておるのでありますが、その後になりまして本人の逮捕というような新しい事態の展開等もございまして、今日なお結論には至っておりません。従ってここで私は本件の結論を申し上げる段階ではございませんので、この点につきましては、調査の完結を持ちましていずれお答え申し上げることにいたしたいと思います。
  81. 大倉精一

    理事大倉精一君) これは御答弁ですけれども、司直の判決を持ってというお話なのですが、これは少くともあなたはこの問題の専門家だと私は思うのです。ですからここで二百四十七万円が当時の価格として適正であったかどうかなんということは、これは調査に手間ひまがかかるはずはないと思うのです。これは調べなくてもすぐわかると思うのです。これがわからぬというのはどういう理由ですか。
  82. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ほどもお答えを申し上げましたように、二年前に行われた処分であったということが第一点でございます。従いまして、今日の状況を基礎にいたしまして軽々に結論を出さずして、二年前の状況がどうであったかという点を十分調査をいたしたい、これが第一の理由でございます。  第二の理由といたしましては、私どもが今、現実に調査をいたしておりますいわば一つの大きな重要な要素といたしまして、役所だけの調査ではこれは適正なものということは困難かと存じまして、ただいま民間の精通者、この方々を特に委嘱をいたしまして、目下現場について調査をいたしております。これは事実でございます。これらの方々意見をも十分拝聴いたしまして、最終的な結論を出したいと考えております。なお検察庁においてもお調べ中であることは申し上げるまでもございません。さような点からいたしまして、いまだ結論を申し上げる時期ではない、かような意味から申し上げたのでございます。
  83. 大倉精一

    理事大倉精一君) どうも私は御答弁に納得いかないのですが、多少安い、高いということであれば、これは調査をしてどうであるかということになると思うのですが、不当に安いというのですが、不当に安いということが問題になっている。不当に安いということが摘発されておる。それがそうでないということであれば、これはあなたの方ですぐおわかりにならうと思う。それは二年前だからということですが、二年前の相場はわかっておると思う。それはすぐわかります。それにひまがたくさんかかって、いまだにおわかりにならぬということがどうも私は納得いかぬのですが、いまだにおわかりにならぬという理由はほかにあるのですか。
  84. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 大体先ほど申し上げたことに尽きるのでございますが、この大体の感じとしてというふうなことならば、むしろお答えが、われわれとしてもいろいろ検討しなければならぬということは認めておりまして、従って調査をいたしておることはお答え申した通りでございます。問題ないというふうには感じていないのであります。問題がありまするから、よほど慎重にこれはやらなければならぬという意味において、ただいま調査をいたしておるわけであります。  それから特に私どもといたしまして重要な点、ただいま申し上げる判断が、いわば司直の取調べを受けておりますところでございますので、これは一そう慎重な検討の上で申し上げることだということも、重要な理由でございます。
  85. 大倉精一

    理事大倉精一君) 今の問題のあるという点はどういう点ですか。調査しなければならない問題があるから調査しなければならぬということで調査をしておられるのか、その問題のあるという点はどういう点ですか。
  86. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ほども申し上げましたように、当時は関東財務局の目黒出張所が評価をいたしておるのでありますが、二年の間にどういうふうに状況が、たとえば家屋にいたしましても、これは払い下げを受けた後に、所有者がどういうふうにその家屋について手を加えたかという点も、もとより十分調査をしなければならぬのであります。また二年前にさかのぼりまして、当時の土地、立木、その他の状況について、どういう判断のもとに評価が行われるかというふうな点についても、調査をしなければならぬのであります。今日から見まして、それらの点について、私どもといたしましても率直に、客観的にとれを見直しまして、果して妥当な評価であったかどうかを判断しなければならぬということを認めておるわけでございます。
  87. 大倉精一

    理事大倉精一君) そうしますと、そういうふうな問題があるので調査をしておる。そこで、これは検察庁も取り上げておるのですから、問題があるに違いない。どういういきさつで、どういう経過をたどって、この井上さんにこの土地払い下げが行われたか、こういう経過、いきさつについて御調査になりましたか。
  88. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ほど大体申し上げましたように、二十二年に当時の東京財務局が買収をいたしておりまして、それ以後の経過というものも一応明らかでございます。これは大体その後ずっと本人がこの家に入っておりまして、そうしまして二十九年六月に至りまして、印刷局長になりました後に払い下げ手続を受けた、かような経過になっております。
  89. 大倉精一

    理事大倉精一君) それは一般の経過なんですが、そういう経過なら何も問題はないわけです。その経過に問題があり、疑問があるから司直が調べておる。あなたの方もお調べになっておると思うのですが、そういう工合に手続を踏んで井上さんの方に払い下げるようになった。そういう事務的なものではなくて、その間にやはりこういう不当な価格払い下げられるべき何かのいきさつがあったに違いない。それが大事だと思うのです。今の御答弁の経過なら何ら問題はないわけです。そういう点についてお調べになって何かお気づきの点がありましたか。
  90. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 今申し上げました趣旨は、これはこの財務局が買収をいたしました、御承知のように目的は、官舎として買収をいたしておるわけであります。その点からいえば、最初は行政財産と申しますか、こういう形で買収してその用に当てておった。それがその後用途廃止といいますか、行政財産としての用途を廃止いたしまして、普通財産になりました。この普通財産として、なお貸借関係によってこの中に居住しておりました井上前局長払い下げを受けておるわけであります。そういう経過につきましては、われわれとしましても一応はっきりいたしておるわけであります。委員長のお尋ねの御趣旨は、そういう関係に何か評価等につきまして、あるいは前職と申しますか、前の関東財務局在任当時において何かの作為あるいは不当なる影響のあるような行動があったのではないかという点の御趣旨かと存じますが、これらの点につきましては、私どもが一応の書類その他による調査というものからは、先ほども申し上げましたように、印刷局長に転任後に払い下げ手続はなされているのであります。しかしその転任前にどういうことがあったかという点につきましては、もとより私どもといたしましても書類、あるいは部内の職員の陳述等についてわかったような点については、これはそれぞれ調査をすることは当然でございまして、さようにいたすのでありますが、これは主としてやはり関係者はそれぞれ検察、警察方面の取調べを受けておるわけでありまして、その方面から最終的な結論が得られるものと、出されるものというふうに心得ております。
  91. 大倉精一

    理事大倉精一君) これは私はどうもあなたの答弁はいろいろ、何といいますか、割引して答弁しておられるように思うのですが、そういうようなことを調査をして、どうもわからないというような、かりにそういうようなことであったとするならば、さっき大臣が申されたように綱紀粛正は一体どうであるか。これしきなくらいのことがわからないようなことで、一体綱紀粛正がやれるかということになると私は思う。これはやはり管財局長として、こういう問題については司直の手を待つまでもなく、自分の所管事項として責任を持って調査をなすって、事実があるかないかということを突きとめるところの積極性がなければならない。それに基いてさっき青柳さんのおっしゃったように、処断すべきものははっきりと処断をする。こういうことでなければ、私は綱紀粛正なんてものはお題目で終ってしまうと思う。幾ら大蔵大臣が綱紀粛正をやるのだ、そうして管内の監査も厳重にやるのだ、監査を厳重にやったって、このくらいなことがわからないようなことでは監査を厳重にやりようがないじゃありませんか。大蔵大臣御所見はどうでありますか。
  92. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) こういうような事案につきまして、私としましては問題になっているたとえば土地建物等が妥当なものであるかどうか。これはなるべく早くでき得る限りに調査をすることにいたしておるのであります。ただ、今も答弁がありましたように、何分、今、警察当局の手にかかっている。どういう結論が出ますかにいたしましても、大蔵省の出す見解は、適正な、十分根拠のあり、信頼の置けるものでないとならぬ。こういう考え方で慎重を期する。まあこのくらいでよかろうというようなものは、この段階においては出せない、かように考えておるわけであります。決して事務当局においても、何ら調査について逡巡しておるということではありません。
  93. 大倉精一

    理事大倉精一君) 会計検査院の大沢局長にお伺いするのですが、検査院の方ではこの事件について、検査過程において発見しておられたか、あるいは全然この件については気がつかれなかったのか、どうでありますか。
  94. 大沢実

    説明員(大沢実君) この井上義海氏に対する売り払いの点は、昨年の七、八月の関東財務局検査の際に、これは安いのではないかという疑問を持ったわけです。ところが、ただ安いのではないかということでは疑問にもなりませんので、いろいろな資料をまとめまして、そうしてこの程度であろうという、検査院といいますか、局課長だけは、大体この程度のものではないかという一つの目安をきめまして、今年の二月の関東財務局の検査におきまして、ほぼ安いのではないかという確信が強まりましたので、われわれとしてはこう考えるがどうかということの質問を発しまして、まだ回答に接しておりませんので、この回答の結果によりましては、われわれの考えがあるいは誤まっているかもしれない。あるいはそのまま確かかもしれない。その結果により、この問題は不当な事項であるかどうか決定したい、こう考えておる次第であります。
  95. 大倉精一

    理事大倉精一君) その質問を出したいというのはいつですか、いつごろのことですか。
  96. 大沢実

    説明員(大沢実君) ことしの二月の検査の結果でございますから、三月の中ごろと記憶しております。
  97. 大倉精一

    理事大倉精一君) 大蔵大臣にこの点についてお伺いするのですが、読売新聞の記事によりますというと、一番厳正でなければならぬはずの大蔵省が、汚職、不正においては一番筆頭であるというような記事が出ております。昭和二十八年度の汚職の筆頭が大蔵省で二百八十八人が逮捕されておる。二十九年度もやはり大蔵省がトップであって百四十六人が逮捕されておる。三十年度の汚職は一月から六月までであるが、農林省に次いで第二位で、ある。こういうことを新聞の論説の中に発表されております。本年の不正事項の摘発におきましても大体大蔵省が第二位である。私はこのことの事実のいかんにかかわらず、大蔵省自体がこういう工合に大きな疑惑を持たれておるということは非常に遺憾だと思う。で、この読売新聞の論説には、これは大蔵省国有財産を私有物化している、大蔵省の官吏は私有物化していることに根源がある、こういうことを指摘しておりますので、こういうような不正が年々続発するという原因について、大蔵大臣としてどういう工合にお考えに  なっておるか、ちょっとこれを参考のためにお伺いしておきたいと思います。
  98. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) ただいま御指摘下さいました数字について、私まだ十分存じません。しかし、いずれ  にいたしましても不正の数の多寡にかかりませんで、大蔵省等から年々多数の犯罪を犯す者を出すということは、これはもうほんとうに、単に大蔵省だけでありません、国家のために遺憾至極であります。しかしながら、常に順法精神とこの綱紀の粛正には努めておるのでありますが、しかし、今回のこともありますし、そういうふうな精神的と申しますか、順法精神あるいは綱紀の粛正、特に大蔵省はどちらかというと財政経済に関連する職員が多いのであります。仕事の上の関連が多い。ある意味においてまた誘惑も多いかもしれません。これらについて、今後一そう戒告をいたして参りたい。なおまた制度の上につきましても、いろいろと先ほどから申しますように、国有財産等の処理について制度的にも間違いないようにして、そうして人間の欠点をよく補っていく、そうして間違のないようにしていきたい、かように考えております。
  99. 白井勇

    白井勇君 大蔵大臣に一言伺っておきたいと思います。一般国有財産管理しております大蔵省でその評価が適正であるとかないとかいう問題は別としまして、少くもその管理しております大蔵省役人国有財産処分します場合に、その管理しておりまする——直接管理はしないかもしれませんが、かりに法十六条に触れないとか何とか、あるいは形式上言いわけは立つとか何とかということはやっておるかもしれませんが、少くも国有財産管理しております役人が、自分たちの仲間に国有財産処分するという処置は、私は公務員として厳に避くべきものではないかと思いますが、大臣はどうお考えでありますか。
  100. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) これは私はやはり公務員だから悪いと一がいに言うのもどうかと思いますが、特にまあしかし、大蔵省役人等が国有財産払い下げを受けるというようなことについては、これはまあ私は別に、今回のことがあったからではありませんが、十分これは私は、だれが見てもいい、こういうふうなことでなくちゃならぬ。それで今後はだれに売ってはいい、だれに売っては悪いというよりは、だれに売ってもいい、だれに売ってもやましくない。こういう一つ処分の制度の管理あるいは割譲処分を制度的にやろう、そういうふうにした方が私はいいのじゃないか、かように考えております。
  101. 白井勇

    白井勇君 私の役人をやった経験からいいまして、どうもちょっと変に思うのですが、これはそのほかの特別会計に属しまする財産等もあるわけですね。そういうものは他の法律によって売却のルートがきまっておれば、その制限を受けるわけです。そうでない、いわゆる法十六条にひっかからないし、あるいは売却の場合におきましての形式上は言いわけが立つのだ、今、大臣のお話しのようにだれから見ても一点の非難する場所がないのだというようなことで、たとえてみますれば、特別会計で持っておりまする山林を農林省の役人が農林省の役人処分できるということは、実際これはやられていいものかどうか、ちょっと私は非常に腑に落ちないのですがね。
  102. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 私の考えでは、これはたとえてでありますが、たとえば、今回のように、金額等の何もありますが、同じたとえば大蔵省ならば大蔵省のこの職員が評価をして、そうしてまた大蔵省の職員が買い取る。しかもその対象は国有財産だ。こういうのは、私はどうもこれは考えてみなくちゃならぬというふうに、今私は、今回こういうことが行われておるようでありますが、私もこれは疑問に思います。それで私も国有財産処分について、どういう工合に……、国有財産払い下げ等の評価についてはもう少し何か審議会か何かあって、あるいは評価委員会というものでもあって、この評価委員会にかけていく、まあ競売というような点もあるかもしれません。そういう何か処分方法、しかもそれがために敏活を欠くというようなことのないように、迅速にいって、しかもその何らかの価格については価格決定方法なり、かようなことを考えております。今どうするということの結論は出ておりませんが、そういうことをやろうと今せっかく具体的に練っておる次第であります。
  103. 白井勇

    白井勇君 大蔵省はけさほど大蔵委員会でもそういうようなお話で、その価格評価のみが適正であるかないかだけにとらわれておるようでありますけれども、少くも公務員としてあずかったところの特別会計の財産なり一般会計の財産というものを、その公務員自体が他の法律にひっかからないということで自由に内部の同士で処分できるような格好というものは、これは果していいものか悪いものか、私は非常に今までの私たちの古い役人考え方としますと、まことにこれは腑に落ちない考え方なんですがね。どうも大蔵大臣は評価さえうまくいけばいいじゃないか、これはまことに金融政策上、まあ経済的には非常に進んだお考えかもしれませんけれども、そういうものでは、実際役所の仕事というものはうまくいくものかどうか、これは私は非常に疑義を持つのですが、もちろんそれ以上評価とか何とか以外に、やり方の問題もいろいろあるわけです。そういう面におきましても、これは競争入札その他の法手続にひっかからないということは幾らも考える余地があるわけです。しかし少くも公務員たる者が、そういう格好で国の財産処分し得るというふうに措置されるということは、どうも私は大臣と非常に考えが違いますからね。
  104. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) いや、お考えはごもっともであります。何も私御意見に異論があるわけではありません。ただ公務員なるがゆえにいかにもその間に窮屈にするのはどうだろうか。むしろ公務員ならば売ってやってもいいというくらいに、公務員は道義心も高い。私はむしろこれは法律とか規則においてよりも、公務員については道義的なそういうふうな高揚といいますか、あるいは順法精神、あるいは公益を守る、こういうふうな精神に待つようにしたい。そうしないと単に国有財産払い下げにとどまりません。これはやはり公務員が国の政治を執行しておる、もしもこの公務員がそういうふうな道義的な精神が十分でないとするならば、国有財産処分に適正でないばかりでなく、政治を行う上においても、ひとり経済面ばかりでなく、教育の面においてもしかりでありましょうが、非常に問題がある。公務員は非常に何だかおもしろくないというような印象を与えるのはむしろどうか。それよりも、やはり公務員というものは、道義心の高揚ということに努めないと国の繁栄は期待し得ない、こういうふうな考え方で実はおるわけです。まあしかし、お前の考えは理想で、どうにもならぬということになるかもしれぬ。こういう点は今後も私は国有財産管理処分、その他についての審議会を至急に作ることにいたしまして、そういう人の意見も徴してみましょう。どうするのがいいか、公務員国有財産を買うのはよろしくない、これに払い下げるのはどうも適当でないというふうな皆様の御意見ならば、十分これは傾聴する、そんな考えをしております。御了承願いたいと思います。
  105. 白川一雄

    白川一雄君 私感じだけ申し上げますが、今の公務員は非常に気楽になった感じだと思いますよ。まあそれだけ申し上げておきます。
  106. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 先ほどの委員長の御質問に関連するのですけれども、これは新聞の記事で真偽はわからないので、確かめたいと思いますけれども、問題の局長の部下の公務員が懲戒的の処分を受けたように伝えられておりますけれども、この点はどうであったか、伺います。
  107. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 現在まで起訴になっております者は、休職の処分になっております者が六名ございます。それ以外に、今おっしゃるような意味におきます別の懲戒的な処分というものはいたしておりません。
  108. 大倉精一

    理事大倉精一君) 管財局長にちょっと参考のためにお伺いするのですが、この当時井上局長払い下げられた土地建物、これはそのほかにはございませんか、その当時……。
  109. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ほかにはございません。
  110. 大倉精一

    理事大倉精一君) ございませんか……。これはたしか渋谷だと思いますが、あの付近にはもとの国有財産で民間に払い下げたというやつはほかにありませんか。
  111. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 付近とおっしゃいますが、意味はすぐ近くという御趣旨かどうか存じませんが、渋谷の近くには民間に払い下げ土地はあるはずでございます。井上前局長にはございませんが、ほかに民間に払い下げ土地はございますと思います。
  112. 大倉精一

    理事大倉精一君) それはどこでございましょうか。
  113. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいま手元にはございませんが、場合によりましては資料として提出をいたしたいと思います。
  114. 大倉精一

    理事大倉精一君) それではこの次その資料を御提出願いたいと思います。——ほかに御質問ございませんか。
  115. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 次に大蔵大臣にお尋ねしたいのですけれども国有財産がお話のように非常に膨大な金額である。先ほど管財局長に伺ったのですけれども、その膨大な国有財産、特に普通財産等につきましてもその評価がまちまちだ。相当巨額のものが戦前の価額といいますか、以前の帳簿価額そのままが計上されているような点があるような気がする。御承知のように、一般国民固定資産税で、とにかく財産評価というものについては毎年苦しみ抜いておるわけです。ところが国の方で、大蔵省でお扱いになっておるこの普通財産等の実際の評価というものはまちまちであり、しかも非常に古い。言いかえれば非常に安い。そういうととがやはりこういう問題の起ってくる一つの原因であるかもわからない。管財局長のお話では、近く評価についても適正な基準で統一的な一つ評価をやるというのは非常に私はけっこうだと思います。ぜひそういう点は御努力を願って、適正な一つ国有財産としての評価というものを作り上げるようにお願いしたいと思います。  それから国有財産管理なり処分についての大臣の御方針というか、お考え方を承わりたいと思うのであります。御承知のように吉田内閣のとき、これは吉田総理のお考えであったかもわかりませんけれども、で選る限り、どちらかといえば国有財産、特に官業のごときものは民間の方に利用さしていくというふうなお考えであったようであります。必ずしもその通り実行されたわけではないようですが、そういう大体考え方があったと思うのです。現在の国有財産を見ますると、ことに終戦後の軍用関係の引き継いでおるもの、それから財産税物納関係あたりの大蔵省管理下に属している普通財産というものは相当巨額に上っておる。そういうものはやはり一定の計画に基いて、できる限りすみやかに処分をしていくのが好ましいのではないかという感じが私はするのでありますが、二十九年度の決算を見ますると、むしろ前年に比べてそういう処分数字というものは減っておる、少いのであります。国有財産処分に対する考え方等についてのお考えを伺いたいと思います。
  116. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 国有財産処分についての私の考え方は、民間でこの活用をするといいますか、あるいは希望されるものは私は払い下げたいと思います。なるべく払い下げたい。ただしかし御承知のように非常に膨大なものであります。かつまた終戦後におきましては物納関係等もありまして、非常にこの国有財産の内容自体まあ大へん複雑化している。ですから早く処分して、できるだけ払い下げするようにするか、同時にこの管理方法を従来のような形でいいのかどうか、もう少しやはり国の財産……先ほど申しましたように二兆あれば一割に回せば二千億、私はそういうふうなことを、経済的なことを言い過ぎるかもしれませんが、一割で二千億、一分ということで三百億は、国の財源的な考慮からしても、この活用いかんはなかなか重要な意義を持つようであります。単にこれを活用すれば国有財産がいいというわけではありませんけれども、従いましてどういうふうにすればいいのか。国有財産の中にはものによってはこういうふうな形態でとれはやった方が、少くともこの活用は経済的行為を伴うから、お役人がやるべきではないとか、いろいろな問題が今後提起されようと思いますが、そのような考え方を持ちまして、今後国有財産は国の繁栄のためになり、また国民のためにもなる。しかも厳正な妥当な結果が得られるようにやっていきたい、かように考えております。
  117. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 大体御趣旨はわかったのであります。物品の方についでは御承知のように今回は物品——何ですが、物品に関する新しい管理法ができた。できたといいますか、審議中であります。相当以前の物品会計法に比べれば改善されたような内容で、特に物品を管理する公務員の責任の関係等が、これは従来からも相当明確であったと思うのです。今後さらにそういう点を改善されることが期待されるのです。ところが一般国有財産については国有財産法で従来も取り扱ってきたようでありますが、戦争前においてはそうあの法令でも問題がなかったように思うのであります。今お話のように、戦後は国有財産の内容等が非常に複雑になり、しかも非常に膨大な、本来国有財産として処理するに適しないものが非常にたくさん入ってきております。これを管理していく基本の法制というものがこれは古い法制であって、実態に必ずしも合っていないんじゃないか、特にこれを管理していく公務員の責任の関係等については格段の配慮というものが払われておらないという感じがするのであります。従って今後国有財産処分し、活用し、管理していく上においては、基本法の法制を一応再検討する必要がありはしないかという感じが私するのであります。先ほどのお話の審議会等の関連において一つどういうふうにお考えになりますか、御見解を承わりたいと思います。
  118. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 私も先ほど大体同じようなことを申し上げたつもりをしておるのでありますが、私、やはりこの際十分検討を加える、もしも予算的措置を必要とすれば予算的措置も考える、立法を必要とすれば新しい立法も考える、まあかように考えております。
  119. 大倉精一

    理事大倉精一君) この際もう一つお伺いしておきたいのですが、国際電電公社の問題についてやはり新聞で報道されておるのですが、やはりこれも関連しておると思うのです。ところが、どうもこれは新聞でははっきりしないところがあるのですが、この際、この問題のいきさつ、内容等についておわかりになっておったら一応御報告を願いたいと思います。
  120. 大槻義公

    説明員(大槻義公君) 私四月三日に印刷局長を拝命した大槻でございます。ただいま御質問のありました国際電信電話株式会社の現在の用地の交換についてどういう問題があるのか、こういう点の御質問と了解いたしますが、私まだ着任早々でありまして、あるいは私のお答え申し上げるところが十分意を尽さない点があるかもしれませんが、その点は御了承をいただきまして、私の承知いたしておりますところを申し上げます。  今回印刷局の内部の問題の一つに、やはりこの国際電信電話株式会社の用地交換に関連しまして、職員のうちの一人が収賄容疑で起訴されております。これはあの土地を交換するに当りまして、たまたまある土建業者を使って、まあその者が土地を周旋すると申しますか、土地を見つけてきて、印刷局としても、これは職員の宿舎を建てる用地を必要といたしていた事情もあって、そういう観点からそれらの具体的な土地を検討して、これがいいというような土地を七つ選びまして、それらの土地と国際電信電話株式会社の現在の用地、これは五百四十一坪余りなんでありますが、これと交換した次第でございます。その間職員の一人がたまたまその土地のあっせんに働いた者から金銭をもらったという関係がございまして、起訴になったという状況になっております。
  121. 大倉精一

    理事大倉精一君) この七カ所というのはどこですか。
  122. 大槻義公

    説明員(大槻義公君) これはけさほども大蔵委員会の方から質問がございましてお答えしましたのでありますが、具体的に申し上げます。新宿区信濃町所在の四百二十四坪、これは数量その他こまかい数字は持ってはおりますが、どの程度にお答え申し上げたらいいのでしょう。
  123. 大倉精一

    理事大倉精一君) 所有者ですね。
  124. 大槻義公

    説明員(大槻義公君) 所有者の関係はちょっと私手元に資料がございませんので、場所の所在、数量、単価、金額等はわかりますが、これは大蔵委員会の方には資料としてお出しするようにしておりますが、もしお差しつかえなくば……。
  125. 大倉精一

    理事大倉精一君) では、この次までにその七ヵ所の所在とそれから坪数、価額、前所有者、これについて資料をお願いいたします。  なお、土建業者というのはだれで  すか。
  126. 大槻義公

    説明員(大槻義公君) これは五十嵐組という土建会社の島田という者から金銭の収受があった、こういうことでございます。
  127. 大倉精一

    理事大倉精一君) それから、新聞だけだとちょっとわからないのですが、この交換が非常に価額が不当に安いという工合に書いてあるのですが、これはどういうことを意味しておるのですか。
  128. 大槻義公

    説明員(大槻義公君) この点は、価額が安いと申されますのは、大手町所在の国際電信電話の用地になっておる土地の単価が安いという御質問でありましょうか。あるいはそれと交換した七つの土地評価に関する問題なのか、その点御質問趣旨がわからないのですが。
  129. 大倉精一

    理事大倉精一君) これは新聞だけ  で私承知しておるのでわかりませんが、ただこの大手町の土地とこの七カ所の土地を交換する形式でもって譲渡をした。で、この際、国際電電会社側は印刷局幹部に働きかけて払い下げ価額を不当に安くさせ、価額の一部をリベートとして受け取っておる。こういう新聞記事が出ておる。この中の、大手町の土地を交換する形式で譲渡したこの払い下げ価額が非常に安いと、こういう工合になっておりますが、これはどういうことを意味しておるのですか。
  130. 大槻義公

    説明員(大槻義公君) 私まだそこまで詳しく実は調べておりませんので、お答えする資料を持っておりませんが、大手町の土地については坪十三万円ということにはなっておりますし、その他これと交換された七つの土地につきましても、それぞれ評価されて単価がわかっております。具体的にはその評価が低いとか高いとかいう問題になるかと思いますが、私その点についての意見をまだ持ち合せておりません。
  131. 大倉精一

    理事大倉精一君) それではこの次の委員会にその資料もあわせて御提出願いたいと思います。その価額に関する資料も、これもあわせて御提出を願います。
  132. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 開発銀行の決算の審査に入っておりますので、今回、大臣にちょっとお伺いしておきたいのですが、造船利子補給の問題です。運輸当局と大蔵当局と多少御意見の差があるようであります。海運業界の若干の好転に関連して、海運会社の配当の復活の問題が起っている。利子補給の関係もあり、関連しては開発銀行にも影響がある問題であります。この問題についての大臣のお考えを……。
  133. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 私の考えは、今回のこの海運会社、特に今問題になりました配当の問題ですが、海運界も相当見直してきまして、会社の収支もよくなりました。従いまして、この際に資本構成を是正していく、言いかえれば増資もしなくちゃならない。それには若干の配当がなくては増資が困難だ、こういうふうな見通しでございまして、ところが財務当局から見れば、税金の金を持ちまして利子補給をする、会社が配当するとなれば、この点に深い注意を払って、まあでき得べくんば配当をするんなら、今後の造船について利子補給は、従来ならともかくとして、今後はやめてはどうだろうか。あるいはまたどういう程度の配当をするのが妥当であるか。結局こういうふうなところが多少問題であったと思うのでありますが、私もそういう点に関心を持ち、事務当局とも話したのでありますが、まあ要するに問題は、今日の場合におきましては、やはり日本の海運界、日本の経済のうちでも海運界についてこれがうまくいくようにして上げることと、納税者の立場と事務当局の主張と、これをどこで調和させるかということが問題であると思う。私どもはむろん財政当局として強い線を出したいというのが、私の一応の考えであります。そうしてそれについておそらく造船の方、あるいは関係の方から、これならいいという線が出る、そうするとぎりぎりのところで妥協しなければならないという線が出てきて、だれが見てもそこの線はやむを得ないのじゃないかと、そういうところでうまい線を、調和点を見出し、結論を出したい。来年度次の造船のあの場合においてはさらに私は取り上げまして、財政負担を軽くする方向に持っていきたい。かように考えております。
  134. 大倉精一

    理事大倉精一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  135. 大倉精一

    理事大倉精一君) 速記を始めて。  それでは本日はこの程度にして、昭和二十九年度国有財産増減及び現在額総計算書及び昭和二十九年度国有財産無償貸付状況計算書、及び管財局の部分、及び総括質疑は保留することにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時十五分散会