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1956-03-08 第24回国会 参議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月八日(木曜日)    午後一時五十五分開会   —————————————   委員の異動 本日委員小幡治和君、古池信三君及び 長島銀藏君辞任につき、その補欠とし て井上知治君、井村徳二君及び西川甚 五郎君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     田中  一君    理事            青柳 秀夫君            紅露 みつ君            白井  勇君            岸  良一君    委員            井上 知治君            井村 徳二君            小沢久太郎君            西川彌平治君            笹森 順造君            西川甚五郎君            安部キミ子君            近藤 信一君            奥 むめお君            島村 軍次君   国務大臣    法 務 大 臣 牧野 良三君   政府委員    内閣官房長官  根本龍太郎君    法務大臣官房経    理部長     竹内 壽平君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修藏君   説明員    会計検査院事務    総局第二局長  保岡  豊君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○本委員会の運営に関する件 ○会計検査院法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○昭和二十九年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十九年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十九年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出) ○昭和二十九年度政府関係機関決算書  (内閣提出)   —————————————
  2. 田中一

    委員長田中一君) ただいまから第八回決算委員会開会いたします。  議題に入る前に委員の変更について御報告申し上げます。  本三月八日、委員小幡治和君、古池信三君、長島銀藏君が辞任せられ、井上知治君、井村徳二君、西川甚五郎君が補欠として選任せられました。   —————————————
  3. 田中一

    委員長田中一君) 次に本日の理事会において申し合せました事項について御報告申し上げます。  先般決定いたしました決算委員会日程におきましては、毎週火曜日及び木曜日の二日委員会開会いたすことになっておりましたが、決算委員兼務委員でありまして、兼務しておられます各委員会において法案が山積し、これが審査のため連日開会されておりますため、当委員会は定足数を欠き開会できないおそれが多分にあります。それですから当委員会開会を毎週一回、木曜日に変更いたすことにいたしました。従って次回は三月十五日とし、審査日程は以下順次繰り下げて参ります。なお週一回以上開催する必要が生じて参りました場合には、委員長において適当に取り扱いたいと思います。  次に会計検査院法の一部を改正する法律案が去る六日当委員会に付託されました。本法律案参議院先議でございます。本件につきましては、本日の委員会において提案理由説明を聴取いたします。それ以外の質疑日程は追って御協議いたします。  次に、昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為調書昭和三十年度一般会計予備費使用調書(その1)、昭和三十年度特別会計予備費使用調書(その1)の取り扱いでございますが、右三件につきましては、去る六日質疑を終了いたしましたので来たる三月十三日に討論採決予定でおりましたが、右三件中、昭和三十年度一般会計予備費使用調書(その1)、昭和三十年度特別会計予備費使用調書(その1)の二件がいまだ予備審査段階でありまして、十三日までに本審査になるかいなや不明瞭でありますので、右三件の討論採決は暫次延期し、衆議院より送付があり次第委員長において日程を決定することに決定いたしました。  次に昭和二十九年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和二十九年度国有財産無償貸付状況計算書につきましては、去る三月六日提案理由説明を聴取いたしましたので、来たる三月十五日の委員会において質疑を行います。  次に前回の委員会において大倉委員から御提案のありました会計検査事務執行上の問題に関する件は次回三月十五日の議題に追加いたしました。  以上のように理事会で申し合せました。さよう決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認め、理事会の申し合せ通り決定いたしました。   —————————————
  5. 田中一

    委員長田中一君) では本日の議題に入ることにいたします。  会計検査院法の一部を改正する法律案議題といたします。根本内閣官房長官提案理由説明をお願いいたします。
  6. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) ただいま議題となりました会計検査院法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明いたします。  今回、物品管理法が制定されるのに伴いまして、会計検査院法の一部を改正する必要が生じました。  まず、物品管理法で、政府物品増減及び現在額総計算書を作成し、会計検査院がこれを検査することになりましたが、従来、国の所有する物品は、会計検査院任意検査事項となっておりましたので、これを必要検査事項とするため、第二十二条第二号及び第二十三条第一項第一号の規定改正することにいたしました。  次に、物品管理法で、従来、物品出納保管に関する事務をつかさどる職員にだけ課せられておりました弁償責任が、広く物品管理に関する事務をつかさどる職員物品の供用に関する事務をつかさどる職員にまで課せられることになりましたことなどのため、その弁償責任検定等につきましても所要改正を加える必要が生じましたので、第十一条第六号、第三十九条第六号及び第三十二条の規定改正することにいたしました。  以上がこの法律案のおもな改正点であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  7. 田中一

    委員長田中一君) 本件につきましては、本日はこの程度にとどめます。   —————————————
  8. 田中一

    委員長田中一君) 次に昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納金整理資金  昭和二十九年度政府関係機関決算書  国家財政経理及び国有財産管理に関する調査  を議題といたします。  まず法務省の部を審査いたします。検査報告批難事項は第三十三号、第三十四号、第三十五号であります。本件に関しましては、ただいま竹内経理部長横井刑事課長会計検査院から保岡第二局長が出席いたしております。  まず保岡第二局長説明を求めます。
  9. 保岡豊

    説明員保岡豊君) 三十三号は京都刑務所で水道切りかえ、かたがた雑用水浅井戸水量が不足いたしておりますので、そのために深井戸を掘りましておったのでありますが、水が悪く飲料水として不適当で工事目的を達していないという件であります。  この原因は、着工に先立ちまして調査に当りまして、一キロばかり離れた鐘紡工場の、飲み水には使わない工業用水井戸を掘ったときの地層図参考としただけで、その水質調査しなかったようなわけで、当初の計画の三百尺を掘さくいたしました際にも、契約条件となっておりました水量水質試験を行わないで追加工事を施行して、結局約百七十万円を投じて目的を達していない工事をやったというのであります。  三十四号は、職員不正行為でありますが、二事項ありまして、一つはこの七十一ページの末に表示してありますものでありまして、長崎地方検察庁島原支部及び島原検察庁、これは一緒のところにありますが、この出納官吏である職員罰金などとして納付された現金押収物、これは船でありますが、それの換価代金収入印紙合計九十七万円を領得されたもの。もう一つは、北海道の鵡川法務局出張所でありますが、その職員に、登録税として納付するには収入印紙によるのでありますが、それにかえて現金を受領して、それを領得されたもの二十四万、合計ここに書いてあります百二十二万円であります。  次の三十五号は、警察に留置されている被疑者などに対しまして、勾留状が発せられた日から出所の前日までの分に対しまして一日七十七円、八十円、八十三円、これは地域によって違いますが、これを都道府県に交付する、いわゆる代用監獄に拘禁留置した者の費用償還金におきまして過渡しあるいは支払い不足があったものであります。会計検査院実地検査に参りまして調べましたものと、会計検査院のそれによりまして、会計検査院から照会を発しまして、当局調査された結果発見されたものを分けてここにあげてあります。  そこで当局がこの調査をされた際、宮崎刑務所におきまして正当支出額に付け掛けして小切手を支出外に振り出させて二百三十七万円をとった不正行為が偶然にも判明したわけであります。  以上で説明を終ります。
  10. 田中一

    委員長田中一君) ただいま牧野法務大臣が出席されました。  次に法務側省からの説明を願います。
  11. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 会計検査院から批難に立てられました各事項につきまして簡単に所見を申し上げてみたいと思います。  まず三十三号の京都刑務所におけるさく井工事批難事項について申し上げます。批難の要点は、京都刑務所昭和二十九年七月、中島工業所に請負わせましてさく井工事実施し、同年十一月その工事を完了いたしましたが、その第一はさく井工事計画に当りまして、約一キロ隔てました鐘紡山科工場さく井工事参考といたしておりますけれども、単に地層図参考としただけで、三百尺掘れば目的水量の六千石が得られるものと判断をいたしましたが、その見通しを誤っているという点。次に三百尺掘さくいたしました際確実な根拠もないのに約六千石の水量が得られないものとして計画を変更して増し掘り工事を進め、そのために追加工事費に二十八万余円を支払ってしまったという点。第三としましては、工事完了水量水質検査いたしましたところ、水量目的量をはるかに上回る九千四百石を得たのでありますが、水質が悪く、鉄分雑菌が含まれているために、飲料水としては不適当と判断されて、工事目的を達することができないというような点で、結局不経済な国費支弁になってしまったということになるのでございます。  なお、会計検査院は、特に増し掘りの際に水量から水質試験を行わないで追加工事を施行いたしました点につきまして、結果から見て全く余分なことをして不経済なことになっていると批難をしておられるようでございます。  この計画を立てるに当りまして大切なことは、三百尺掘れば需要量の六千石が得られるかどうかという点、また水質飲料水にも適するものであるかどうかという点でございます。六千石の水量につきましては、刑務所から一キロ離れた鐘紡山科工場に四百五十尺のさく井がございまして、これが参考となるわけでございます。そこで同工場さく井について地層図参考にさせてもらいました。それによりますと、地下百尺から三百尺までの二百尺の区間に百三尺の滞水層があるのでありまして、そこから一日約四千八百石の水が出ることがわかりました。すなわち、尺当り四十七石の水量となるわけで、刑務所の位置が工場に比べまして低い所になっております関係上、地形のそういう状況を勘案いたしますると、刑務所の場合には二五%の増加水量を見込んで差しつかえないということになりまして、百三尺の滞水層は変化はないものといたしますれば、その比率を乗じて計算いたしますると、刑務所の場合には六千五十一石の水が得られるという計算になるのでございます。  次にこの水質の点でございますが、鐘紡では地下百尺までの区間の滞水層の水をとって工業用の水として使っておりますために、その水質の良否は直接には参考にならないのでございます。刑務所では百尺までの区間の滞水層からは水を取らないことにしておりまして、一般的に申しまして、地下百尺以下に掘り下げますると、地表から水を浸透しない粘土層が必ず百尺までの地層の中にあるのでございまして、それ以下の水は地表水が含んでおります雑菌などは通さないのでございまして、雑菌のまじらない水が得られるというのが常識になっておるのでございます。そこで刑務所の場合には、工場の前例を調べるまでもなく、飲料水には適する水が得られるというふうに判断をしたわけでございまして、この点は今日になって考えてみますといささか軽率のきらいがあったかと思うのでございます。雑菌の点はともかくといたしまして、鉄分その他異味——異なった味の有無等は、工場水質検査をすることによってこの計画実行の有力な資料とすべきであったというふうに考えるのでございます。  次にこの三百尺までに掘り下げましたときに追加工事をした点でございますが、三百尺の地点で滞水層を調べてみますると五十五尺でございました。鐘紡の場合には百三尺でありましたので、それに比べると半分にすぎないことがわかったわけでございます。これは見込み違いでございまして、この五十五尺に対して前に申しました比率計算をいたしますると、推定水量は三千石になるのでございます。これでは工事の所期の目的を果しませんので、さらに百尺掘り増し追加工事をすることにしたわけでございます。で、四百尺の地点までに二十一尺の滞水層がございました。これを合計いたしますると七十六尺になるのでありまして、前の比率をかけて計算をいたしますると約六千石になる。そこで六千石という目的水量に達するということからして、ここで一まず工事を終了いたしたのでございます。ところが水量をその段階検査をいたしてみますると、滞水層七十六尺で九千四百石も出ることがわかったのでございまして、鐘紡に比べて水量の多いことに実は驚いたわけでございます。こういう比率からいたしますると、あるいは三百尺のところで目的量の六千石を湧出していたのかもしれないということがあとになって結果的には想像されるのでございます。そういう意味で参りますると、会計検査院が特に指摘しておられますように、三百尺のところで水量とか水質試験をなぜ行わなかったのかという問題が起って参ります。で、まず結論的に申しますと、この右の試験を行うということが技術的に見ましてすこぶる困難でありますし、また経済的にはほとんど不可能であろということでございます。このさく井工事にはローピング式を採用いたしておりまして、さく井方法によりますと、このさく井の中途において水量水質検査することが実際上できないのでございます。すなわち三百尺の地点水量水質検査をしようとすれば、それ以上の増し掘りを断念するほかないのでございまして、前に申しましたように、三百尺の地点までの滞水層合計五十五尺というようなことから、先ほど申した比率をかけて推定水量を算出しますと三千石ということでありましたので、通常の技術から申しますると、さらにここで掘り進んで所要量を得るということに努力するのがこの場合適正な措置であるというふうに考えるのでございまして、この点に関しましては、会計検査院の御批難の点は、多少情状を酌量していただきたいように思うのでございます。  これを要しまするに、本件におきまして結局批難を受けるに至りました重要な点は、増し掘りまでしてさく井工事を完了したのに、結局飲料水にも適しないような水しか得られなかったという点に帰するのでございまして、結果論的にはまさにその通りでございますが、この批難すべき結果を招来する過程においてどこが悪いかというふうに申しますると、今まで申し述べて参りましたように、実施計画に当りまして、鐘紡工業用水水質試験をしてみるとか、あるいはまた専門学者につきまして地質の検査を受けるとか、いろいろなまだ尽すべき手があったかと思うのでございますが、その点につきまして非常に慎重を欠いたということになると思うのでございます。もしもそういう慎重な態度をとっておりますならば、あるいはこのさく井工事は取りやめたというような結果になるかもしれないのでございまして、その点まさに会計検査院の御指摘通り、私どもとしては申しわけないと、かように考えるのでございます。  つきましては、この工事でございますが、その後湧水を続けておりまして、その結果によりますると、ただいまでは雑菌一つも入っておりません。ただ鉄分がございますのと、飲料水としては不適の判定を受けたのでございますが、異質と——異なった質と書きまして、そういう判定を受ける要素がまだ残っております。しかしながら、最近気曝法と申しまして、空気で一たん水をさらして、それを沈澱させるという方法で、小さい規模のもので試験をいたしました結果、気曝法によって濾過いたしますならば完全に飲料水になるという試験の結果を得ております。従いまして私どもといたしましては、本工事について来年度約百二十万円の予算をもちまして、気曝法によってこの井戸水を濾過して、飲料水及び雑用水として使用いたす考えをいたしておるのでございます。  次に不正行為関係、第三十四号について申し上げます。その第一は、長崎地検島原支部及び同区検検察事務官津留愛生にかかる罰金等徴収金及び換価代金横領でございます。犯罪期間は二十七年二月から三十年三月に至る約三年間にわたるものでございまして、横領金額は九十七万九千四十六円ということになっております。犯人津留島原支部及び区検におきまして徴収主任証拠品係領置物取扱い主任、分任収入官吏歳入歳出外現金出納官吏というように五つの役を一人で兼ねていたのでございます。地方検察庁、本庁のように、職員の多数おりますところでは、それらの役職は別々の職員が担当しておりますから、お互いに、いわゆる相互牽制の結果、不正も敢行いたしにくいのでございますし、また長期にわたって発見ができないというような事態も少いかと思うのでございますけれども支部以下の小さい出先機関におきましては、職員の手不足からやむを得ず一人で幾つかの役を兼務せざるを得ない結果となっております。会計検査院からも毎年このような執務体制犯罪を誘発するということで御注意を受けておるのでございますが、本件はまたその好適例となってしまいました次第でございます。  御承知のように、会計法収入官吏歳入歳出外現金出納官吏という職員でありませんと、罰金とか換価代金等現金を取り扱うことができないのでございます。通常この罰金徴収をしたり領置物取り扱いをする職員はさような会計官吏ではないことになっておりますので、現金取り扱いができないのでございますが、津留は先ほど申しましたように一人で五役を兼ねておりましたために、罰金納入者から現金を受け取りまして処理する権限を持っておったのでございます。まあ証拠品の換価しました代金をみずから取り扱うことができたわけで、この職務上の権限を乱用いたしまして、納入された現金罰金や手元にある換価代金横領いたしまして、別の帳簿を用意しておって、正規帳簿にはそのようなことを記載しておりませんために、正規帳簿幾ら検査をいたしましてもその面からは発見ができなかったということであったわけでございます。  それからもう一つのは、札幌法務局鵡川出張所所長事務取扱法務事務官川島篠松にかかる登録税横領でございます。犯罪期間は二十九年六月から三十年四月に至る約十カ月にわたる横領でございまして、金額は三十四件、二十四万二千八百七十八円となっております。この犯人川島出張所長事務取扱という地位でございまして、これは鵡川出張所においては一人でございます。本人の心がけ次第でまあ自由自在というようなことになるわけでございまして、御承知通り、この登録税登録申請の際に原則といたしましては収入印紙をもって納めていただくことになっているのでありますが、これは登記官吏収入官吏、あるいは歳入歳出外現金出納官吏というような役職を兼ねておりませんので、現金を扱うことが会計法上許されておらないのでございます。その犯行の動機は、最初の横領になっております一万四千円の収入印紙でございますが、その鵡川の土地の郵便局にその収入印紙がございませんでしたために、申請者から何とか便宜現金で受理してほしいというような申し出がございまして、これを入れて保管をしておりまするうちについこれを流用費消してしまったということが発端に触りまして、ずるずるとあと何回か犯罪を重ねてしまったのでございます。  で、この事件はその当時、昭和三十年の四月でございますが、特に不正防止意味をもちまして管内の事務監査をいたしたのでございますが、行なってみますると、収入印紙の張ってない登記申請書がございますので、これは直ちに発見された次第でございます。  なおこの不正事故に対しまする防止対策につきましては、特に所管の中に人の非違を糾弾いたしますところの検察庁を含んでおりますし、その検察庁職員がかような犯罪を犯すということになりますると、検察の威信を失墜いたしますことこれよりはなはだしいことはないのでありまして、私どもとしては何とかこの不正事故を、検察庁はもちろん、法務省所管の各組織から根絶いたしたいという考えをもちまして、いろんな角度からこれの対策考えて参りましたが、遺憾ながら今もって減少はしつつありますものの、なお根絶という段階に至らないのでございます。たくさんの通知を出したり訓示をしたり、いろいろ手を尽しておりますが、特に申し上げておきたいと思いますことは、私どもは昨年の六月、当委員会並び衆議院決算委員会におきましても、特にいろいろな面から御注意をいただきまして、それらの資料をもとにいたしまして、事故防止のために特に会同を開きまして、かなりの長い時間を費してこれの対策を協議いたし、お互いに反省をし合ったのでございます。その後検察庁につきましては、最高検察庁法務省経理部における監査の業務とを有機的に結び合せまして、両者共同監査実施をいたしまして、すでに数カ所試みたのでございますが、かなりいい成績を上げております。  それから先ほど御説明申し上げましたように徴収金の、つまり罰金を収める人が現金を持ってきた場合に、まだ受け取っていないかのようにつくろって、その実受け取って、それを横領してしまうという形をとりますので、罰金未納者について調査をする必要がございますが、この未納者管理について今日まで少し組織上不備な点がありましたので、今回法務大臣訓令をもちまして徴収金事務規程というものを作りまして、本年四月から実施いたすことになっております。さらにはまたこの一月から二月にかけまして、ことに検察庁におきましては、各全国の地方検察庁不正事故防止対策協議会というものを開きまして、事故のありましたところにつきましてその原因を究明するとともに、その対策をそれぞれ打ち立てまして、直ちに検事正の命令で実施に移しております。それから前国会の決算委員会でも御指摘のありましたように、会計職員につきましてもっとみっちりした研修を施す必要があるのではないかということにつきまして、大臣、政務次官も同感の意を表されております。私どもも全く同感でございまして、これが対策の一環としまして、法務研修所検察研究という部門がございますが、部内の不正事故防止に関する検察研究を来たる四月に実施いたします予定でよりより準備を進めております。この検察研究におきましては、不正事故防止等につきましてはまず人員配置適正化という問題、それから事務機構合理化という問題、監査励行という三つの問題をそれぞれの角度から考えたいということで、人員配置適正化の問題、事務機構の問題と並行いたしまして監査励行の問題、特に監査方法、そういう問題について実際的に事故原因を探究いたしまして、それぞれの事件について系統的に検討をいたしたい、そうしてそれをまとめて今後の指針といたしたい考えで、ただいまその準備を進めておるような次第でございます。  なお最後に、これは本年はまことに異例なことでございましたが、留置人費の償還の取扱い処置当を得ないという批難がございます。この点につきまして申し上げてみたいと思いますが、この批難は二つに分れます。一つ代用監獄に対する留置人費の償還に当りまして、東京拘置所外三十三の一応の処理状況を見ますると、支払不足と払い過ぎ、過払いとがありまして、結局内容算出に対する検討が不十分であるという点でございます。  それから第二は、宮崎刑務所におきましては、法務事務官の坂本秀雄が留置人費の償還業務を担当中に、正当の支出額に付け掛をいたしまして、小切手を振り出さして、二十六年三月から二十九年八月までの間に二百三十七万三千二百八円を着服横領したということになっております。  この指摘事実は検査報告の通りでございまして、特に弁明を申さなければならない事項はないのでございますが、まずこの支払い過不足の点でございますが、代用監獄に対する費用の償還は、匂留状が発せられた日から計算いたしまして、出所の前日までの分に対して日額七十七円ないし八十三円を償還することになっております。従来刑務所側におきましては、警察側の請求を一応措信して支払いしなければならないような事情になっていたのでございます。拘置所におきましては、被疑者が拘置所に移管されて参りますると、必ず本人についていつ匂留状が出たかというような点を調べますので、その点は間違いはないのでございまするが、代用監獄の留置人の中には、匂留状が発せられて起訴を受けたものでございましても、必ずしも全部が刑務所あるいは拘置所に移管されてはこないのでございます。中途において、保釈によって拘置所には参らないままで起訴されてしまうものもあるのでございますが、それらの者についても留置人費を償還をすることになるのでございます。特に今申しました移管して参らない留置入費につきましては、支出官である刑務所側において警察からの請求書を信ずる以外にはちょっと手段がないということになっておったのでございます。今回会計検査院とわれわれ当局において調査いたしました結果によりますると、警察側の請求の中にもかなり誤謬の存することがわかりました。これはまあ警察制度の改革等によりまして、職員の異動がひんぱんに行われましたために、一般的に申しまして、この種の事務に不なれであって徹底を欠いておるように思いますし、たとえて申しますと、留置人名簿に誤記があって整理されていない個所がたくさんある。あるいは請求の際に起算日や留置期間を誤って記載した例もたくさんある。月をまたがっているような場合には計算に間違いがあったり、あるいは自弁の食糧分を誤って拘置所で計算しておるものも見受けられる。まあ、極端な例を申し上げますると、栃木県の警察で一銭も請求してないというようなところもあったのでございます。刑務所側としましては、この請求を検討する場合に、これまた不十分であり、遺憾のない点が見受けられたのでございます。何はともあれ、警察が請求するんだからといって頭から信用してかかるという風潮も見受けられましたし、また警察署が府県各地に散在しておりますために、実地調査や連絡がすこぶる困難で、手を尽せないという点もうかがわれたのでございます。  かような事情でございましたので、今後この種の過誤を繰り返さないためには、警察側の注意も喚起して協力を願わなければなりません。それからまた一方刑務所に対しましても大いに注意を促す必要がありますので、それぞれ各関係庁に対しまして即時所要の通達依頼をいたしまして、今日におきましては、現地においても相互に連絡を密にして、打合会を催するとか、着々改善をはかっておるのでございます。  なお、私どもから見ましていささか不十分な点と思われますことは、警察の請求に対して刑務所が支払うという関係でございますが、第三者がこれを確認するという方法はとれないものだろうか。その第三者といたしましては、匂留の事務を扱います役所は裁判所、検察庁でございます。この裁判所、検察庁、いずれかの役所によって、この確認の方法が得られないものだろうかという点につきまして、先般来まず所管検察庁に対してお願いはできぬかということで、いろいろ事務折衝をいたしておりますが、検察庁もただいま非常に手不足になっておりまして、果して責任のある協力ができるかどうかという点につきまして、まだはっきりとここで、そういう方法がとれるのだということを申し上げる段階に至っておりませんが、いずれにいたしましてもそういう点につきまして、今後支払い足らず、支払い過ぎといったような過誤を再び繰り返さないように、万全の対策を立てているのでございます。  次に、宮崎の不正行為の点でございますが、犯人坂本は、延岡警察署の留置人費の請求書を偽造いたしまして、正規の償還金に付け掛けをして、付け掛けの分を騙服していたものでございます。二十六年の三月から二十九年の八月まで、回数にいたしまして二十回でございます。詐欺いたしました小切手は二十通、額面が三百三十五万五千九百四円でございますが、うち正規の分を除きますると差引二百三十七万三千二百八円になるのでございます。  この犯行はどうして行われておったかと申しますと、本人の手口が非常に巧妙であったというだけでなく、留置人費の償還においての支出の形式が非常におざなりでございまして、内容をほとんど監督者が検討していなかったというように思われるのでございます。監督者側の責任もその意味におきまして決して軽くないと思われるのでございますが、特に問題点と思われますことは、隔地債権者に対する支払い方法が、予決令の規定に定められた原則によらないで、記名式の持参人払いの小切手を振り出しまして、これを手元で現金化して、正当額を書留郵便で小為替で送るというような方法をとっておったことでございまして、かような措置が常に必ずしも違法ではないのでございますけれども、そういう特別な場合に相当しないにかかわらずこういう特殊なやり方をやっておった。そうしてそれを放任しておったということが、結局犯人をして本件のような犯罪を犯すようにまあ乗ぜしめたということに相なろうかと思うのでございまして、この点事務運営上遺憾の点があったことを深くおわび申し上げなければならないと思うのでございます。この点につきましては、さっそくながら今のような隔地債権者に対する支払い方法は厳重に訂正をさせることにいたしまして、それから公文書等は、すべて所長とか上級の責任者が監視して、公文書を私しないように注意をさしておりますし、その他本件の犯行の判だとか用紙とかというものを、刑務所内の工場を利用しておりますので、そういう点につきましての取扱い方を厳重に指示いたさしておるのでございまして、今後はかようなことは再び起るまいと、かように確信いたしておるのでございます。  るる申し上げましたが、法務省側といたしましてはまことに遺憾に存ずるのでございまして、ここ数年来のいい傾向をますます徹底させまして、根絶を期したいというふうに考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
  12. 田中一

    委員長田中一君) では質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言下さい。
  13. 近藤信一

    ○近藤信一君 ただいま法務省側から詳しい釈明報告がございましたが、まず二、三お伺いいたしますと、このさく井工事に当って、三百尺を掘さくすれば六千石の飲料水が得られるであろうと、こうお考えになられて、そうして工事に着手されたのでございますが、結局三百尺では足らず、さらに百尺を掘らなければならぬ、こういうことでさく井をされたのでございます。ところが四百尺掘ったところが予定量より三千石くらいよけい水が出た。しかし水はたくさん得られたが、水質が、結局鉄分雑菌が含まれておって、飲料水にならなかったというような結果でございますが、一体最初からもっと科学的な調査といいますか、そういうことができなかったんですか、この点一つお聞かせを願いたいと思います。
  14. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) ただいま御指摘通り、徹底的な科学的調査方法と申しますものは、結局地下のことでございますので、今日ではできないように聞いておりますが、なおそれにいたしましても、本件のように一千メートルのところに現にさく井工事があるわけでございますし、さらにまた山科の地形、地質というものにつきましては、地質学者に地質の状況等を調査させるべきでございます。そういうふうにいたしますると、ここは水が出る所であるか、出ない所であるか、あるいは出ても水は鉄分を含んだ水であるかどうかというようなことは推定できるようでございます。そういう点を十分尽しませんで、もう百尺以下の水をとるんだから水質については間違いないのだ、かように軽信いたしましたところに本件の慎重さを欠いた点があるわけでございます。  水量の点につきましては、これは滞水層から、先ほど御説明申しましたように計算をいたしましたので、ここでも百三尺の滞水層があるであろうということでやってみたところが、五十五尺しかなかった、そこで一尺当り四十七石の水ということで、さらに二五%よけい出るだろうというこの計算によってやりましたところが、三百尺掘ったところでは、五十五尺でございますので、三千石しか得られないのでございます。それでは六千石ほしいという当初の目的に沿わないので、さらに掘り進もう、こういうことになったようでございまして、私は当初の計画実施に当りましてもう少し基礎的な調査をすべきであったというふうに考えるのでございまして、それから先の手続の中におきましては、どうももちろんほめたことではございませんが、ある程度御諒恕を願って差しつかえないのではなかろうかというふうに考えております。
  15. 近藤信一

    ○近藤信一君 最初からさく井工事にかかる前の調査といいますか、そういう点が非常にルーズでなかったかと私は思うんです。なぜならば、ここに指摘されておりまする点からいいますると、鐘ケ淵紡績株式会社の山科工場、この工場工業用水を得る目的さく井した際の地層図参考としただけでというようにここに指摘してあるんです。おおむねこういう化学工場がある付近の地下水といいますか、そういうものにはいろいろと飲料水としては不適当な結果を招くということは、従来もしばしばあったと私思うんです。そういう点から考えましても、もっと十分なる、的確なる調査というものが必要でなかったかと私思うんですが、その点いかように考えておられますか。
  16. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) お言葉を返すようでございますが、工業用水をとります場合には、地下百尺までの滞水層からも水をとって、できるだけ水量を多くとろうという考えになる場合が多いと思いますが、刑務所の場合には百尺までのところの滞水層からの水はとらないで、百尺からさらに深いところの、つまり百一尺から三百尺までのところから水をとろう、こういう考えであったわけでございます。で、百尺以下になりますると、百尺までの間に粘土層というものが必ずあるのでございまして、粘土層を通して地表水が下に参ったものはもうすでに濾過されておりまして、普通は飲料水に適するというのが常識になっているように聞いているのでございまして、その点の過失と、慎重さを欠いたという点につきましてはあまり責められないのでありまするが、それはまあ主として雑菌類のことでございます。しかし水の性質につきましては、これはまた別でございますので、やはり工業用水でありましても、鐘紡水質を十分検討すべきであったと思いますが、その点をいたしておりませんので、この点まことに申しわけないというふうに考えております。
  17. 近藤信一

    ○近藤信一君 三百尺の掘さくという最初の計画でございましたが、いろいろと考えてみた結果が、三百尺ではだめだろう、そういう結果さらに百尺を掘さくした、こういうことでございますが、三百尺掘ってだめだろうという推測でなくして、三百尺掘さくした際に、一応水質やそれから水量の点について検査しようというような意図はなかったですか。
  18. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 先ほどもちょっと御説明申し上げたつもりでございますが、ローピング式という掘さく方法によりますと、三百尺の所で水質水量検査いたしますには、私もしろうとでございますが、一たん鉄管を入れまして、そうして滞水層に沿って穴をあけました鉄管を入れまして、そうしてこれを吸い上げるという装置をして、そうして一体幾らくらい水がとれるか、そうしてその出た水を検査する、こういうことをいたすわけでございます。それでもしその結果水の量が足りないということになりますと、それじゃその鉄管をとって、またもとのローピングを入れて突き進めるかというと、そうじゃなくて、もしそこでだめだということになれば、それはそれでおしまい、また別の所に穴を掘るという以外にないのだそうでございます。で、先ほど申し上げましたように技術的に絶対不可能ではないと思われますが、きわめて困難である、経済的にはもう非常にマイナスであるというふうに伺っておりまして、現在さく井工事をしておりますたくさんの会社がございますが、経済的に見ましてもローピング方式というものが普通とられておるようでございます。で、もしだめだったならばそこで放棄をするという結果になっておるようでございまして、本件の場合も三百尺の所で一度試験をしてみるということが、しろうと考えでは私も初めそう思ったのでございますが、技術者にだんだん聞いてみますると、それはできないことだそうでございまして、この点もそう考えるほかはないのじゃないかというふうに思うのでございます。
  19. 近藤信一

    ○近藤信一君 そうすると現在この井戸は、先ほどちょっと報告のところで、雑菌がもう含まれていない、しかしながら鉄分がある、こういう結果で、この井戸はもう将来使えないのですか。それともまだ何とか努力して使えるようにされるお考えか。検査院の報告によりますと、三十年の十月に至ってもまだ飲料水には使用されない、こう指摘しておられますが、今後どのようにお考えになっておられますか。
  20. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) これはむだな施設ではございませんので、今後の方法としましては、先ほど申しました気曝法と申しまして、空気の中へ一度吸い上げましてざっと空気の中へ落すわけです。そうして空気の中の酸素と鉄分とを化合させまして、鉄分の粒子を作って、その粒子を濾過いたしまして、そうしてとった水は飲料水に適する、この実験の結果大へんいい結果を得ております。それでその気曝法によって濾過して、これを使用するということに決定をいたしておりまして、予算としましては三十一年度予算を使って、ただいまの計画では約百二十万円の予算をもちまして、気曝法によってこの水を使用するという方針にいたしております。
  21. 近藤信一

    ○近藤信一君 そうするとその濾過しなければならぬところの分だけで三十一年度の予算が百二十万円ですか。
  22. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) さようでございます。
  23. 近藤信一

    ○近藤信一君 これは工事が、濾過するだけに百二十万の予算が要る、工事費はどれだけかと申しますと百七十八万、そうすると非常に損失というものが大きくなってくるように考えられるのですが、その点いかがですか。
  24. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 御指摘通りでございまして、もし予定通り三百尺のところで飲料水にも適する水、しかも六千石が得られておりますればりっぱな工事であったわけでございますが、今申したような事情で、掘り下げた上に水質が悪いために、さらにこれを利用しますためには百二十万円を投じなければならぬという結果に相なりました次第で、この点不経済な結果に終りましたことは遺憾に存じております。
  25. 田中一

    委員長田中一君) ちょっと私伺いますが、法務省では営繕関係の仕事は全部建設省の営繕局の方に依頼していましたね。
  26. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 営繕関係の仕事は大部分を法務省でいたしておりまして、一部を建設省にお願いいたしております。
  27. 田中一

    委員長田中一君) そうしますと大部分のものは法務省がやっている、一部のものだけを建設省に移しているということになっているのですか。
  28. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) さようでございます。
  29. 田中一

    委員長田中一君) そういうことになりますと、大体ボーリングする場合ですね、まあ多少技術家がおるならばこういったことが少いわけですね。むろん水のことですから掘ってみなければわからぬということは言えますけれども、大体経験でわかるわけです。で予算を組むにいたしましても、水質が悪いならばこうしようというような予算の計上の仕方があると思うのです。私はここで非常な大きな欠点というのは機構上の欠点であって、こうしたことは間々あることなんです。ただあなたの方で適当な技術家がおらないというところに欠陥があるんじゃないですか。今多くのものをやっておる営繕関係の技術家というのはどういう方々をどのくらい使っていますか。
  30. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 営繕課におきましては百四十名くらい職員がおります。技術経験といたしましては決して見劣りのするものではないと確信いたしておりますし、さく井関係につきましては過去におきましてたくさんの経験を持っておりまして、こういうような失態に終りました例はまことに特異な例でございまして、実はちょいちょいある例ではないのでございます。今までたくさん経験を持っておりますので、その経験等から推しまして判断をしたわけでございましたが、遺憾ながら結果において非常に不始末になった次第でございます。
  31. 田中一

    委員長田中一君) 会計検査院に伺いますが、最近五年か十年の間にこの種の批難があった営繕部門を持っている各省は従来ございましたか。
  32. 保岡豊

    説明員保岡豊君) 私の記憶では二、三そのさく井工事があったと思います。
  33. 田中一

    委員長田中一君) その際にはどういう原因で……やはり同じようなケースですか。
  34. 保岡豊

    説明員保岡豊君) やはり着工前の調査が疎漏であるということであります。ただこの場合はちょっと先ほどのあれにつけ加えさせていただきますと、この仕様書を見ますと、深度三百尺を標準とし、涌水量を推定し、水量を確保しがたい場合は試掘のみをもってその工事を打ち切るものとすると、推定と書いてあるわけでございます。こういうところは、そのやっている途中においてこういう水量とか水質とかを見る場合には、この工事それ自身が調査とも考えられるわけであります。それですからここでこういうふうに書いてありますから、先ほど経理部長さんのお話にありましたように、一応そこで打ちどめにするようなことになるかもしれません。しかしこういうふうに仕様書が書いてありますのですから、そこで一応この仕様書によってやるのが本筋じゃないかと、こう思っております。
  35. 田中一

    委員長田中一君) そうしますと今のようなあなたの御説明の仕様書を、さく井の場合には常にそういう仕様書を使っておったのですか、今まで会計検査院検査した範囲では……。
  36. 保岡豊

    説明員保岡豊君) こういうのはちょっとないと思います。
  37. 田中一

    委員長田中一君) 法務大臣に伺いますが、現在建設省所管で官庁営繕法という法律があるのです。これはまあ少くとも各官庁の営繕事業というものは一本にして、かって気ままにさせないで計画的にやろうという趣旨からでき上ったものであって、この法律を作るという、立法化しようといったころは、ちょうど技術家もおらない戦後の混乱した時代であって、各省が思い思いかってな土木建築の技術員を雇い入れてやった時分に法律を作ろうといった原因があったのですが、現在でも法務省は今経理部長がお話のように百四十人かの人員を持っている、そして優秀な技術家とおっしゃっているけれども、やはりまあどういう技術家を持っているか、内訳を知らせてもらえばわかるのですけれども、私はそれよりもやはり、相当たくさんな経験の深い技術家を持っているところの建設省所管の各地方の建設局とかにすべての事業を依頼してやらす方がそうした間違いはないのじゃないか、こう考えるのです。そこで最近国会にも官庁営繕法の一部改正法律案提案されるようになっておりまするが、こういう点につきまして、官庁営繕の一元化というものに対しては法務大臣はどういう御見解を持っておりますか。
  38. 牧野良三

    ○国務大臣(牧野良三君) 私は官庁営繕の一元化といわれる現在のアイデアはよくないと思っております。専門専門で重要なるものを建設省の中に置くということには私は異論がございませんが、ただいま日本の国というのは建設途上にありますから、一元化したら手が回りません。そこでこの点は委員長も私も多年のその方面の経験者でありますが、こういう考えは、官庁に一元すればものが簡単に迅速に誤りなくいくだろうという、日本人の誤った昔の旧憲法時代の考えでは、新らしいこの民主主義の思想からいいますと、そんなふうに同じものだからといって一つのところにまとめちゃうのはだめでございます。やはりこれはおのおのそこに特殊な経験者を置きまして、そうして別々の発達をさせることが、競うことがりっぱな結果を得るのでありまして、ことにただいまの建設省なんかにはやってはいけません。そうしてかえって私どもの専門である入札方面の犯罪その他を培養するような結果になります。ただ本件のごときはこれは非常な異例の事案であります。慎重を欠いているということに対しては批難を受けるのは当然でありますが、こんな事項を統一的にやっているとよけいずさんになります。やはりただいまのような程度にとどめておきまして、各官庁が別々な角度からりっぱなものを進めていくというところにいくわけじゃないかと思います。ただ現在のところでは進駐軍のやっているところに非常な欠陥、その弊害が各省庁にありまして、あれを一つ是正していきたいと存じます。
  39. 田中一

    委員長田中一君) 重ねて伺いますが、さく井工事をするというような場合ですね。これはまあ刑務所が相当たくさんありますから、相当万全を期してやっていると思うけれども、これは簡単なんですよ。建設省の持っている、たとえばあそこの近畿地方建設局に相談すれば簡単でありますね。これはもうあらゆる地層に対する研究はできているのですね。従って優秀かどうか知らぬけれども、指名競争入札さした中島工業所ほか何軒かの業者を信頼して、あるいは鐘紡一つの事例を信頼してやるというならば、三十分も行けばすぐに大阪に近畿地方建設局という役所があるのです。それは大体のことは調べがつくのです。これは今法務大臣が言っている専門の場所なんです。今法務大臣が旧憲法か新憲法か知らぬけれども、少くとも今日地層の問題とか水の問題を十分調査しているのは、われわれは建設省と考えている。これは専門と思っているのです。従って百四十名の技術家を、どういう技術家を持っているか、だいぶん牧野さんはおれの方に、おれの部下にはいいやつがいるというのだから、一つ百四十名の技術家のうちの一人々々について出身学校、経歴、採用年限、職歴をお出し願いたいと思うのです。そうして大体まあ各省各庁が持っているところの営繕関係は、建物の維持、管理の面は当然これは必要です。こんなことをまた一々やっちゃたまらんのですよ。しかしながら、こういう新設等の問題につきましては、そのために専門の役所があるのです。今法務関係の営繕に関してはある一部は建設省に委託しておる、だいぶ大臣そちらに持っているとおっしゃるけれども、これはそんなことを建設省へ委託するのをやめて、御自分でなさった方がいいと思う。その方が牧野法務大臣は御満足らしいから、私はその方がいいと思うのです。しかしながら当決算委員会としてはどうも国費の乱費はこれは警戒しなければならぬと思います。従って今百四十名の技術家のどのような経験とどのような仕事をしているか、それを一つ資料としてお出し願いたいと思うのです。その上で私が旧憲法的感覚ならば牧野法務大臣と一ぺん一戦を交える機会もあるかもしれないと思いますが、それはいつ出していただけますか。
  40. 牧野良三

    ○国務大臣(牧野良三君) いつでもお出しします。原本だけにしてもらいたい、原本をお目にかけます。
  41. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 二、三日中に提出いたします。
  42. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 大臣がおいでになっているのでお伺いいたしますが、法務省指摘になっている事件は、まあ会計検査院から指摘になりましたもので、不正とか不当とか、喜ばしい事項じゃございませんから、とにかく一番他の方面に向ってもこういうことを御指摘になる法務省としては、極力まずみずからを正しくするという精神を徹底さしていただきたいのでありますが、これに関連して大臣にお伺いしたいのは、国費がまあ一兆円以上の多額なものがいろいろな形で出ておりまして、その中でいつも決算委員会で問題になりますのは補助金なんでございます。補助金につきましては、先に補助金の執行の適正化にかかる法律というのが実施になっておるわけでありますが、私どもはこの法律の運用について非常な期待といいますか、効果を望んでおるわけです。もちろんこういう補助金等の使用が適正であって何も問題がなければそれにこしたことはございません。しかし各省にわたっておりますし、今までも非常にこの補助金のことは残念ながら問題が多いわけなものですから、法律が特に実施になった以上はぜひ一つ、ただ有名無実の法律というんでは何もならないわけでありまして、摘発主義というのは少し言葉が悪うございますけど、しかし死文であってはならない。ぜひ一つこの法律が国家のために有効に運用されるように特別の御配慮を願いたいのであります。これはあるいは大蔵省の関係が主でできたように思っておりますけど、法務省とは私は一体のものと思っておりまして、この法律に対する大臣の御感想といいますか、どんなふうにやっておいでになるかという点について御所見を伺いたいのであります。それというのは、これを運用するについての費用でございますね、それがかなり少い、そのために法務省ではどうもやりにくいというようなこともある方面から伺いましたので、   〔委員長退席、理事岸良一君着席〕 それであっては何千万という多額の補助金が出ておりますとき、わずかな経費がないためにそういう大きな問題が解決できないのでは非常に残念であると思います。その点についても御所見を伺いたいのでございます。
  43. 牧野良三

    ○国務大臣(牧野良三君) お答えを申し上げます。実はだいぶん痛いところをつかれたのでございます。戦後補助金その他の乱費ということが目立ちます。そこで参議院から出ました法律案法務省でしっかりやれということになっておりますので、前任者が大蔵省へ、その方面の検察陣に対して必要と認める検事増員の予算を要求しておったのであります。ところが青柳さん、非常に私はこの件について困った。と申しますのは、この際主任官を置いて犯罪検挙をひんぱんにするということが果して目的を達するかどうか、あの法律を作って下すったことによって、深くすべての役人を反省せしめて、そうして現在の法務省が持つところの検察行政の程度において効果を上げるということの方が適切じゃないか。なぜかといいますと、あの補助金の使途というものを調べてみますと、大半は政府が悪いのですね、そういうことを私は見たんです。適切なところに適切な時期に金をやっていないので、融通をするということ。そこで試みに検挙さしてみたんです。そして私が事件をずっとにらんでみますと、無罪でございます。犯罪的な形を持つのですね、そこで前の町長、今の町長、町会議長、議員というようなものがずっとやっていくと、非常に気の毒な事件が出てくるのです。だからこれは政府を反省させはければならぬ。そこで私が、大蔵省は大臣初め関係の人たちの前で、これはいかぬ、あなたのところは犯罪をこしらえている、私はこういうものを検挙するに忍びない、だからきっと参議院ではしかられますよ、だからそのときの責任を負いましょう、お互いに。だから検事の増員をやって、この法律のために検挙官を別に作ることはやめましょう。しかしながら私は現在の乏しい定員において必ず努力しますから、政府の方の補助金の支出をもっと迅速に適正にしてくれということにやっております。従って青柳さん、ちょっと一年だけ見させてくれませんか、必ず効果を上げたいと思っております。
  44. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 いま一言お伺いしたいのでありますが、それはもう大臣もごらんになっておるかと思いますが、この会計検査院から出て参りまする多数の中には、今おっしゃったような実情から見ると、かなりむりの点もありまして、一概には不正とかいって特に検察庁がその方に関与されることはあるいは好ましくないこともあるかもしれません。しかし昨年私どもがここに参考人を呼んで伺った事件等は例外かもしれませんけれども、ほうっておいたらどうも何が犯罪だか、正しいんだかわからない、それが特に公共団体の関係に多いのであります。くどいことは申し上げませんけれども、たとえば船が現に沈まぬでおるのに沈んだといって申請して、そのまま補助金が出てしまった。しかもその船は現にある。全くあきれた話なんですが、そういうものにまで補助金が出てしまった。それはある村で村長さんが発議して村会で議決してきめておる。そういう一人、二人のことじゃない。多数の公衆の前ですべて公けに取り扱われておる。その内容がただいま申し上げましたように全然船が沈んでいないのに沈んでいろというような虚偽の記載できておりまして、そうしてしかも今の法律ではそういうものは何とも手がつけられないんだというような、その当時の政府のお答えがあったわけであります。ですから私どもとしては今、大臣からお述べになりましたような点については、十分これは考慮いたしまして、無理なことをお願いするわけではありませんが、しかしあまりに度が過ぎて、何でも地方公共団体のためなら、地方の一部が利益を受ければ国費をどんどん取ってもいいのだというようになっちゃこれは非常に弊害の方が多いのじゃないかという点もありますので、繰り返して申し上げましてはなはだ恐縮でございますけれども、そういうところにつきましては一つ寛厳よろしきを得て、悪性なものには一つ強い態度で出ていただくことが、全体を引き締めることになるのじゃないか、かように思いますので、どうか御関係当局の方でこれをよくお読みになりまして、その中できわめて悪いものは大臣にも直接おっしゃっていただくようにお願いしたいと思う。どうかその点について御配慮を願いたいと思います。
  45. 牧野良三

    ○国務大臣(牧野良三君) 全く青柳委員のおっしゃる通りであります。もうほとんど目にあまるものがあります。これをこのままほうっておいてはいかぬ。ところが昨年こちらで作られた法律は思いのほか威信を発揮しつつありますので、私どもの方で緊張してこのまま続けていけばりっぱな効果が得られると思います。この上ともさらに努力をいたします。
  46. 安部キミ子

    安部キミ子君 大臣にお尋ねいたしますが、私は法務省というようなところからこのような不正行為が出るとは実は思っておりませんでした。ただいまいろいろ詳しくお話を聞きまして、こういうことであるから、法務省でさえがこういうことをやるのだから、まして各省からこのようにたくさんな不正行為が出てくるのは当然だというような、これは極端な私の感覚かもしれませんが、そういうような印象を受けるわけなんですが、その点について法務大臣はどう考えておりますか。   〔理事岸良一君退席、委員長着席〕
  47. 牧野良三

    ○国務大臣(牧野良三君) 全く申しわけございません。法務省自身がこんな明瞭な犯罪人を出して、しかもこれが二年、三年にわたって知らなかったというようなことであっては全国に対し威信が示されません。今後深くこの点は戒めたいと思います。
  48. 安部キミ子

    安部キミ子君 このような不正行為が出た原因について大臣はどうしたらいいというようなお考えを持っておられますか。
  49. 牧野良三

    ○国務大臣(牧野良三君) これは全く定員不足……法務省の行政を今のようなものにしておいてはならない。ところが法務省の予算は定員の増加と営繕費のほかにはなかったのです、今まで……。ほんとうの行政の機構化というものが明瞭でなかった。それで大蔵省は定員の増加というものは押えるにきめておる。営繕というものはなるべく押えるにきめておる。そのために法務行政というものが拡大強化されなかった。もう文明国においては法務行政というものは人を縛るのじゃない、文化行政をやってどこまでも国民の品位と地位とを上げていく、全体的に犯罪並びに犯罪類似の行為がないようにしていかなければならん。ところがそれが怠っておりました。そこで今度は政務次官並びに経理局長非常な努力をいたしまして、大蔵当局に、法務省としてかつてない行政機構化をいたしました。で今後はこの行政をこういうふうに動かすためにはこれだけの人が要る、これだけの仕事をやるにはこういう事柄が必要だということが明確化いたして参りましたから、来年度からは私は定員も相当認めなければならなくなると思います。はなはだしいのは、もう人権擁護なんということは大切で、あなたのところであれぐらい強調されるにかかわりませず、もうほとんど顧みられていないのです。人権擁護の事実が出てからそれを調べる費用しか与えていない、その人を与えていない、こんなことではいけないので、大蔵省に、大蔵大臣、政務次官、主計局長に、あなた方こんなことでよろしいのかと私は叱咤したのでありますが、ようようわかって参りました。この犯罪の二件のごときは、全く、定員の不足が犯罪を誘発しておるのですね。これはティピカルな例です。こんなふうに多くの仕事を一人にやらせたり、ちょっと一年や半年金を融通してもわからないだろうというようなことを思わせるということは、人心をしてついこの頽廃した昨今の国民道徳と生活困窮の場合においては、すぐそこに追い込むのでありますから、その点は十分心いたしまして、今後かようなことのないようにしたいと思います。
  50. 近藤信一

    ○近藤信一君 ただいま大臣から、法務省の内部行政機構を改革してがっちりとやっていきたい、こういう御答弁でございましたが、私どもがしばしばこれを体験しておる問題でもあるのです。それはまあいろいろな事件検察庁に告訴をする場合がある。ところがそこの検察庁の検事がそこのボスと関係がございまして、告訴した事件も、これは事件にならぬと言って突っ返す場合がしばしばあるのです。こういうことに対して法務大臣はいかように考えておられますか。
  51. 牧野良三

    ○国務大臣(牧野良三君) もう一時その弊にたえなかったのであります。だからこれは内部の組織が大へん大切だと同時に、それに今、一人の検事が三千件も事件を持っていちゃこれは弊害がますます出るのです。だから私はむやみに犯罪検挙をしちゃいけない、がっちりしたものを握る。そうして裁判所へもむやみに無罪になるような事件を送ってはならないというので、根本的な改革をやるということを志しておりますが、そのために部内から反感が起きるかもしれないけれども、私はそれをあえてやろうといたしておりますから、どうかその方面へ御支援をいただきたい。今後とにかく紛糾するような事態にならないようにと思っておりますから、御援助をお願いいたします。
  52. 近藤信一

    ○近藤信一君 手続としては、一つ事件が起きた、警察へ告訴状を持っていく、そうすると警察は取り扱わない。そこでやむを得ないので検事局、検察庁へ持っていく、検察庁でも取り扱ってくれない。こうなると犯罪がここにはっきりと、われわれしろうと目に見てもここで犯罪があるのだ、こういうことがわかっても、そういうボスとの関係で、もう全然これは警察も検事局の方でも取り扱ってくれないということになると、これはもう持っていきどころがないと思うのですね。そういう場合どのようにしたらいいか、大臣で御所見があったら一つお聞かせ願いたいと思います。
  53. 牧野良三

    ○国務大臣(牧野良三君) どうもそういうことをもうしばしば聞くのでございます。それで私はこの法務行政をおあずかりしてから、そういう事案に対してみて個別的に具体的に調べておるのでございますが、何といいましょうか、瓦礫混淆でありまして、どうも地方のいろいろの政治に関係ある連中が政治上の何か特殊の希望を検察庁、警察及び裁判所を利用して達しようとするような傾向が戦後特に多いようでありますから、軽率に事案を判断しませんで、じっくり落ちついて成果を見たいと思っておりますが、せっかく志しております。もう四、五カ月もすればある程度の私は成果は得られる、そしてあなた方に対しても御答弁することのできる確信が得られるんじゃないかと、かように思っております。
  54. 安部キミ子

    安部キミ子君 ただいま大臣のお話の中で、大蔵省の無理解から定員が増加できなくて、ほんとうの法務行政ができないというようなお言葉だったと思います。その一例をとって私が思い出しますことは、一月二十四日に大村収容所を訪問しましたときに、御承知のように、あの北鮮に帰りたいという、また北鮮系の人が南鮮系の人のために撲殺されたという事件がありましたことは大臣も御承知通りであります。こういう原因はどういうところからきたかと当局に聞きますと、結局私どもわずかの三名、その晩の監督者が、警保関係の方がおったらしいのですが、とにかく定員が足らなくて目が届かないのだ。結局今大臣が認めておられるように定員が足りないから十分な管理ができないということで、あのような国際的な不祥事が起ったと私は思ったのです。そういう点から考えましても、日本の国民が人権をじゅうりんされることはもちろんままあることでありますが、このような国際的な問題ともなれば、十分な責任が日本の法務省にもあるはずなんですね。そういう観点からしまして、今度法務大臣がたくさんの要求額を出されて、ある程度大蔵省が認めた、今度こそ自分たちは万全を期していきたいのだというようなお言葉があったようでございますけれども、実際はなかなか大臣が思っておられるほど法務行政はスムーズにいっていない場面がたくさんあるんじゃないか、こういうふうに考えています。そう言いまして、法務省の方で予算を取られましても、今ここに掲げてありますように不当に予算が使われたり、あるいは法務省の部内の人にこのような不正な行為がこういうふうに現われてきたということになりますと、せっかくあなたがそういうふうな大きな理想を持っておられましても、これは口で言うだけで、実際行われていないということになると思うのです。でありますから、今後こういうことが起きないように、またこういう不祥事がどういう原因から起ったかということも、あなた方自身が今反省されておりますようにわかっておることでありましょうから、私は希望条件として、こういうふうな国内的な問題はもちろん、国際的なこの大村収容所の問題につきましても十分な責任をとってもらうように、また責任が果せるように行政を円満にやってもらいたい、これは希望条件であります。きょうはちょうどいい機会でありまして、大臣にお目にかかりましたから、この大村収容所の問題を重ねてここに持ち出しまして、この問題がまだ未解決になっておりますので、何とか円満に国際的な問題として処理してもらいたい、こういうふうにお願いする次第でございます。
  55. 牧野良三

    ○国務大臣(牧野良三君) ただいま私が申したことは、予算が足らない、定員が不足しているということによってこの問題を逃れることはできません。それに藉口してはならない。どこも足らないのでありますから、この程度で十分やっていかなければなりません。これは何といいましても、戦後における各方面の官紀の弛緩、非常にゆるんでいる——この事件なんかそれでありますが、必ず定員が乏しくともこれはやっていかなくちゃならん。  次の大村収容所のことについては、実に困りました。これはもう実に今のような状態になぜ置かなければならぬかということを私は非常に憂慮しております。あんなにたくさんあんなところへ入れて、そうして日本の政府があの人たちを無理に養っていなければならぬというようなことは、こんな不合理なことはございません。だから一日も早く解決したいと思いますが、あいにく韓国で李承晩大統領の選挙というやつが——どこの国でも選挙というやつは正しいことをやるのに邪魔でありまして、それで苦しんでおりますが、けれども何とかして私は突破したい。重光外相とともに苦心いたしましたが、どうももう一度や二度はこの間ごらんのようなことは起きるのじゃないかと思うのです。困ったことです。殺伐です。そうして北と南と大へんな対立をやりだしたのです。これは大村の監督している者も気の毒です。それで早く根本的な解決をしたいと思いますが、また途中にちょっとしたしくじりが起きたとしても、どうもあまりおしかり下さらぬように願っておかなければいかぬ、が同時にこんなことは起らないようにしなければならぬ、えらく注意を払っているわけでございます。全く困りきっている。けれども、困りきっているじゃ責任が果せない。だから根本的な解決に全力をあげております。御了承願います。
  56. 安部キミ子

    安部キミ子君 質問を打ち切ろうと思いましたけれども、ただいまの大臣のお話の中で重大な言葉がありましたので、私は重ねてお尋ねいたしますが、このようなことが一度や二度も起るのじゃないかと思うという言葉は大へんな言葉だと思うのです。これは失言なら失言でも取り消してもらわなければなりませんが、気持の上で大臣は正直におっしゃったのでありましょうけれども、大臣の立場で起るのじゃないかと言われたのでは、これは国際的の影響というものはちょっと問題になると思うのです。そこで私はこういうことが今後起らないようにするにはどうしたらいいか、こういうことで大臣がいろいろ御心痛しておられることもうすうす聞いておりますし、また大臣の御配慮には敬意を表するとともに非常に力強く感じているわけです。と申しますのも、外務省の態度と法務省の態度がちょっと食い違っているという印象を、私どもは入国管理局へ行きましていろいろ聞きましたときに感じたわけなんですが、これはやはり法務大臣の英断といいますか、外務省では私は解決できないと思うのです。一月二十四日の十時現在の大村収容所の人員は千六百六十三名であったと思うのです。その中で約百九十八名という小学生が、当然学校へ行かなければいけない児童が、学校へも行かないであの中にほうり出されている。そうしてあの中の空気は非常に険悪でありまして、北鮮側の人たちはいつ自分たちが南鮮側の暴力のために殺されるかわからないという空気の中で日々を暮してきている。それだけに早く自分たちが志している北朝鮮に帰りたいという熱望は強いわけです。この問題は日本が早く処理しないと私はこれは重大問題になると、今、日本としてもこれを責任をもって解決しなければならない義務があると、私はこういうふうに考えておる。それでいろいろ現在の国際情勢から考えますと、正直に言って私は外務省の腰が抜けていると思うのです。外務省は当てにならない、外務省は南朝鮮のごきげんばかり伺っている、ほんとうに日本の国のためを思っていないように思う。そこで法務大臣はまあ公けのところでいろいろな所信といいますか、法務省としての、また大臣としての解決方法考えておいでになることをおっしゃることは、あるいは仕事の上で実際の行動の上で支障があると、しかし結果からいうて、今おっしゃいました通りに、北朝鮮に帰りたいという人は早く帰してやった方が日本のためにもなるし、また向うの人のためにもなるし、第一、二十億と聞いておりますが、朝鮮系の人の生活保護に出している金は莫大なものです。このような金でさえも本人たちが、帰りたいという人たちの意のままにしてやればそんなむだな金を……、しかも貧乏な日本が朝鮮の人たちのために、それもそうしなくてもいい理由だのにわざわざそんなむだな金を使われているというのが現状だと思うのです。こういう点では政党の立場がどのようにあろうとも、やはり私は一致していると思うのです。結局日本の国のためになるということの一点に集中して考えたときには、やはり北朝鮮に帰りたいという人には早く北朝鮮に帰してやった方がいい。現在六十数万の人が登録されております。けれども実際は百万以上の人がおるだろう。朝鮮人の日本における居留民の数はそれほど膨大な数に上っておるわけですね。その数の八割近くの人が北朝鮮に帰りたいと言っているのです。法務大臣のところへも北朝鮮に帰りたいという願書が出ていると思います。この間も千何人か署名しているのが出ておりました。こういう実情でありますので、何とか道を開いて、今、日赤の葛西さんが行っておいでになりまして、いろいろな話を進めておられるようですけれども、結局はこの在日朝鮮人の問題には触れないで、問題をあとに残してお帰りになったようでありますけれども、これは当然赤十字社の問題として解決されなければならない、これはそういう意味で解決されるならば、李承晩に気がねすることもアメリカに気がねすることもないと思うのですが、人道上の問題として解決する範囲において私はだれにも気がねしなくていいと思うのです。それを気がねしているのが私は外務省だと思うのです。だからそういう点で非公式にでも法務大臣が超党派的にこの問題を研究し、解決しようという御意思があるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  57. 牧野良三

    ○国務大臣(牧野良三君) そこなんです。今ひどい険悪な事態だとおっしゃったでしょう、あれなんです。あなたが失言じゃないかとおっしゃったでしょう。あれを知らせたい、アメリカに、世界に、世界は少し眠っています。日本にこんな危険な状態が国際的にあるということを、一つ失言でなく、あれを新聞を通じて知らせて下さい。そうすると、ははあと感ずる。日本の状態は決して小さな問題じゃない。だから時によると法務大臣が失言と思われるようなことを言ったが、彼は失言だと言わなかった、取り消しもしなかった、あの状態を国際的に何と見るかといって彼は嘆いていたと、それは外務省の弱腰じゃないのでございます。実際国際連合というのは何をやっているのか、人道の点からこんな問題が危険化して大きな問題になろうとするときに、国際連合はあるのですが、日本は加盟していないけれども、その点にもう少し列国が皆注意をしてくれなければならぬ。しかしこれくらいなものは、私があれほど帰したい帰したいと申し入れているのに受け入れないのですね。もう一人について百円余りの食費も要るでしょう、それを受け入れさせようとすると受け入れないのですよ。だからもう少しあなたの今おっしゃったようなことを声を大にして下さい。そうして非常な危険状態をはらんでいるよ、そうして法務大臣は責任を持って何とかしたいけれども、何か起るかもしらぬと、実に失言に近いことを言っているぜ、それほど深刻だということを日本国民にもだが、そしてより国外に知らしていただきたいと思うのでございます。だからそのようなことにほんとうに入っていかなければいけません、これはいいかげんのことをしておっては。
  58. 安部キミ子

    安部キミ子君 朝鮮人を南・北の両国が受け入れないということはないのです。南の方は存じませんけれども、北朝鮮の方は、昨年私が行きましたときもぜひ帰してもらいたいのだと、これは南日外相の声明にもありましたし、先日日赤の代表が行かれましたときも、この問題を議題として載せようと向うでは相当にがんばったようです。けれども日本の代表が、自分たちにはこうした権限は与えられていないのだと、いうふうな言い逃れをして、とうとうとの問題を抹殺してしまった。と申しますのは、衆議院の外務委員会での御承知のように、外務省が日赤の代表に圧力をかけて北朝鮮との交渉をやっているわけねんです。でありますから、私は今あなたは外務省は弱腰でやっているのじゃないと、こうおっしゃいましたけれども、あのときの衆議院の外務委員会の実情を考えましても、結局私は外務省は腰がないと思う。第一日赤の問題を政治的に扱おうとしているところの外務省に私は大きな困難性があると、私どもはこういうふうに考えておるわけです。でありますから、その外務省をどういうふうに正しく認識させるかということは、これは法務大臣の力次第だと思うのです。法務大臣が、これはどこまでも人権の問題だから、当然赤十字社においてこれを取り上げなければならないのだと、そうして出入国の管理については私の方で責任を持つから、北朝鮮へ帰りたいという希望の人はどんどん帰したらいいのじゃないか、こういうふうにおっしゃれば私はできると思うのですよ。私は実際において日本の外務省は信頼できないと思っておる、あらゆる形で信頼できない。原水爆の禁止の緊急質問の答弁を見ていきましても、ほんとうにこれは日本の外務省であろうかと思うほど私には信頼できません。そういう点で、今度牧野法務大臣が大臣になられましたので、私どもは大へん大臣に期待をかけております。で、先日政務次官にもお会いしましていろいろお話をしましたけれども、これは結局日赤の代表が帰ってきてからもっといい話を出すように話し合いましょうということで、一応今ストップしている形でありますけれども、どうしてもこれは法務大臣が本気になってやって下さらなければ解決できないと思っておりますので、重ねて法務大臣の奮起をお願いする次第でございますが、大臣の御所見はいかがですか。
  59. 牧野良三

    ○国務大臣(牧野良三君) おそれ入りました。できるだけのことはいたします。
  60. 田中一

    委員長田中一君) 一つ聞きたいのですが、今の都留何がしと坂本秀雄、この二人は刑事罰はどうなっておりますか。
  61. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) それぞれ処分を受けまして確定いたしておりますが、都留愛生の方は昭和三十年五月三十一日付で懲戒免職になりまして、同じ月の二日に刑事訴追を受けまして、同年六月十四日、懲役一年六カ月の判決を受けて確定しております。他方川島篠松につきましては、三十年五月十三日付で懲戒免職になりまして、同年八月三十一日起訴処分を受け、同年十一月十八日、懲役一年六月、三年間の刑の執行猶予の判決を受けまして、同年十二月三日確定いたしております。
  62. 田中一

    委員長田中一君) もう一回伺いますが、この坂本秀雄は執行猶予になったのですか。
  63. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 申し落しましたが、坂本秀雄につきましては、ただいま審理中でございまして、まだ判決を受けておらないのでございます。三十年の十二月二十六日に懲戒免職になりまして、それより前の三十年十月二十九日公文書偽造行使詐欺で起訴処分を受け、宮崎地方裁判所で目下審理中でございます。
  64. 田中一

    委員長田中一君) では、この坂本の処分が確定すると監督者の処分はきまるということですね。
  65. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) これは確定を待たないで行政処分はきめる予定でございます。ただいま関係者について職責を調査中でございます。
  66. 田中一

    委員長田中一君) きのう最高裁判所の方の批難事項に対していろいろ質疑をやったのですが、これは牧野法務大臣に伺うのですが、大体裁判所の方では監督者の行政処分は、事故を起した犯人よりも監督者の側の方は長いものは三年かかって処分をされる、その間にその監督者の方は栄転するのがたくさんあるのです。二十七年までの犯罪を犯した者は刑が確定している。しかし、その監督者の側の方は、長いのは三年かかるというのですね。現にもう本人も犯罪は確定して、六カ月以上たってもまだ何にもきまっていない。長いものは三年かかるというような答弁がきのうあったのですが、法務大臣はどう考えるか、伺いたい。
  67. 牧野良三

    ○国務大臣(牧野良三君) どうもいけませんな。あんなことをやっちゃ。監督者の方はびしびしやらなければいけません。日本の過去における悪い例でありますので、上の方にもっと責任が重くなくちゃいけません。
  68. 田中一

    委員長田中一君) ではもう一ぺん伺いますが、法務省所管の監督者に対する懲戒処分というものは一番短いのが何日ぐらいで、一番長いのが何年ぐらいですか、これは経理部長知っているはずでしょう。
  69. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) ただいま御指摘のように、一番近いのは幾らで、長いのは幾らというのはちょっとたかいまわかりませんのですが、今回資料として差し上げましたのでおわかり下さいますように、さく井関係と宮崎関係だけが未定になっておりますが、その他はそれぞれ事故発覚当時処分を了しておりますので、三年なんということはとうてい考えられません。発覚後一、二カ月の間に処分を了しておるはずでございます。
  70. 田中一

    委員長田中一君) ほかに法務大臣なり法務省に対して御質疑はありませんか。——なければ法務省の部の検査報告の事項につきましては一応質疑を終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 田中一

    委員長田中一君) 御異議かければさよう決定いたします。予定されておりました自治庁並びに国税庁の件は、他の委員会もございますので、定足数を欠きましたので、これを次回に譲ることにいたしまして、本日はこれをもって散会いたします。    午後三時四十七分散会