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会計検査院長(
東谷伝次郎君) ただいまの点でございまするが、最初の
補助金の交付が遅延しておるじゃないか、これはまさに遅延しておるものがあるようでございます。いろいろな
事情があると見えるのでありますが、たとえばまあ三、五、二で
補助すると言って、政府がそういう方針で
補助工事に取りかからすということにいたしておりましても、
予算を調べますと
予算はそうなっていない。三、五でなしに、あるいは二の
予算である。しかもそれが国の、
国会での
予算がそうであるというものもございます。それから
予算があっても、私
どもの方は、
予算がある以上、しなければならない
工事がある以上は、適時に、的確に支出しなければ効率的な
工事というものはできない。こういう立場に立ちまして、政府の
補助金の支出などには遅ければ遅過ぎはしないかということは常に
注意しておるのであります。特に地域的にこれを見ますると、東北
方面に対する
補助の
予算を十一月とか十二月、あるいは一月、二月につけましても
工事はできぬのでございますので、やはり地域的にもにらんで、地域的に適当なる時期に適当なる額を流すということでなくちゃならぬと思う。ところがやはりそれが遅れたものが相当にあるようであります。私も
地方に参って、
補助工事を見に行きましていろいろ話を聞いておると、どうも三、五、二でくれるというのに政府はくれないから
自分たちは借りておるのだ。それなのに
会計検査院が来て文句を言うということでありましたが、まあそういう面もございまするが、やはりそういう面があるといたしましても、
工事をする方でそういう面があるということを頭におきまして、初めから、二割、三割を水増して
要求するということがあってはならぬと私は思うのであります。それからそうでなしに、せっかく
補助指令が参りましても、今度は
自分の方の村は財政が困難だから二割三割は自己負担をしなくても、あるいは
補助金でもうける形になってもいいじゃないかという
気持でやっておられるところもあるのでありますが、
会計検査院の検査といたしましては、これはえらい冷いことを申すようでございまするが、皆様方がお作りになりましたる
法律の命ずるところによりまして、
予算の額に従って
会計検査をしておるのでありまして、それよりもシビヤーなことは決していたさぬのであります。そればかりでなしに、ただいまのような点は頭におきつつ検査はいたしておるのであります。頭におきつつやっておりましても、二割も三割も水増しをした
工事とか、あるいは自己負担は全然しない。のみならず
補助金でさらに二割三割をもうけておるというのを見まして、見のがすわけにはいかないので批判をし
批難をしておるような
状況でございまして、決して全然
状況を無視して一滴の涙も流していないという検査の仕方はいたしていないのであります。しかしそれかと言って、
法律を無視し、
予算を無視してまで
会計検査院がその
工事はよろしいということはいたしておりません。それからもう
一つ査定権の問題でございますが、これは
査定検査といいますか、いたしておりますのは二十八年災から実は大がかりにやっておるのであります。二十八年災は御
承知のように非常に大きな災害でありまして、これを
査定が済み、
工事があらかた済んだときに行って検査をいたしましても、
会計検査院が
法律に従って検査をいたしましても、この
工事は相ならぬ、この
工事の半分は返せというようなことを言っても、あとの祭りでありますので、むしろ是正できるものであれば早目に是正をしてもらいたい。そうしなければ、国民の要望にもこたえられないということで、人手は少いのでありまするけれ
ども、特に二十八年災からは
査定が済んで
工事が始られない前でも行って検査をするということにいたしておるのであります。
それでちょうどそういたしますと、
地方で検査を受ける方から見ますると、一体
査定をする権限はいずくにありや、
会計検査院が来たって
査定権限はあの検査院などにはないだろう、それなのに
査定権があるような顔をしてやるのはけしからんということを耳にするのでありますが、これは決して
会計検査院に
査定権があるということでやっておるのではないのでありまして、
査定をいたしますと国の債務が生ずる、そうすればその債務の検査として
査定の当否を見ていくという立場に立ちまして、権限としては、権限の
解釈としてはそういう立場に立って検査をしておるのであります。従いまして
会計検査院が
査定の済みましたもので
工事をまだやっていないものを検査している場合に、この
査定は間違っておるということをかりに申しましても、それは直ちに間違ったということにはならぬのであります。それからまたそういう取り扱いも
会計検査院はしておりません。たとえばここにAという
工事があります。一千万円の
査定がついておる。
会計検査院が行くと、とんでもない話だ、二百万円の
査定で十分だ、たくさんそういうのがあるのであります。そういたしますと、直ちに二百万円という
査定にそれが変るかというと、そういうものはそういう筋合いには置かれていないのでありまして、
会計検査院は帰りまして、主管の局長名をもって
会計検査院の見るところでは一千万円の
査定は多きに過ぎて二百万円が相当だと思うが所見いかんというので、
農林省なり建設省の当該局長もしくは次官に照会をするのであります。そういたしますと、その建設省なり
農林省がさらに調べまして、なるほど
会計検査院の言う
通りだということになれば、二百万円になるのでありますが、それは
会計検査院長の言うだけだろうということになりますが、そうではないのでありまして、実例もありますが、
会計検査院で、これは
査定してうんと減していいという見解で当局に照会しますると、いやそうじゃないのだ、これはこういうわけで一千万円の
査定にしなくちゃならぬ、一千万円にすべきだということを言ってきまして、向うが応じない。
会計検査院がこういうわけであるからもう
一つ見直してくれということであれば、あるいは見直し、そうでなくて、書面の回答で私
どもが納得できれば一千万円の
査定そのもので当然いくべきであるし、そういっておる次第であります。それをも
批難するかというと、それは
批難しておりません。それで御了承を願いたいと思います。