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1956-02-03 第24回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月三日(金曜日)    午後二時二十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     田中  一君    理事            青柳 秀夫君            白井  勇君            大倉 精一君            岸  良一君            石川 清一君    委員            小幡 治和君            西川彌平治君            笹森 順造君            長島 銀藏君            安部キミ子君            久保  等君            近藤 信一君            湯山  勇君            島村 軍次君            三浦 辰雄君   政府委員    大蔵政務次官  山手 滿男君    大蔵省主計局次    長       宮川新一郎君   —————————————    会計検査院長  東谷伝次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   —————————————   本日の会議に付した案件昭和二十九年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十九年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十九年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出) ○昭和二十九年度政府関係機関決算書  (内閣提出)   —————————————
  2. 田中一

    委員長田中一君) ただいまから第二十四国会の第三回決算委員会を開会いたします。  昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和二十九年度政府関係機関決算書 を議題といたします。  本日は、総括質疑を行うことにいたします。ただいま出席方々は、山手大蔵政務次官宮川主計局次長柳沢主計局司計課長の三名でございます。御質疑のおありの方は順次御発言をお願いいたします。
  3. 大倉精一

    大倉精一君 今日、大臣が御出席にならぬという理由はどういう理由ですか。
  4. 田中一

    委員長田中一君) 今、衆議院の予算委員会答弁をそれぞれなさっているそうであります。
  5. 大倉精一

    大倉精一君 やはり総括質問というときには、決算委員会になるべく、なるべくというよりも、むしろ必ず大臣、あるいは要すれば最高責任者総理大臣に出てもらうというくらいな、そういうような形をとってもらわないというと、ほんとうの総括質問ができないと思うのですが、今後は一つそういう点に格別の御配慮を願いたいと思います。
  6. 田中一

    委員長田中一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  7. 田中一

    委員長田中一君) 速記を始めて。
  8. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 この二十九年度の会計検査院からの報告によりますと、批難事項が二千二百四十七件、その金額が大体七十三億となっております。これはこの説明にもありますように、前年度から見ると相当減っておることはまことに喜ばしいことでありますが、しかしこれだけの厚い刷りものにしなきゃならぬということはまことに国家のために残念に思います。  で、政務次官にお伺いしたいことは、補助金等に係る予算執行適正化に関する法律、これはこの前の国会で制定されたのでありまして、御承知のように補助金が一番不当、あるいは会計検査院指摘になるような問題が多いために、補助金については特にこれの執行を厳密にしたいという意味で制定されたものでございますが、これの執行状況についての概要と申しますか、その意の御説明を願いたいと思います。
  9. 山手滿男

    政府委員山手滿男君) 補助金の問題につきましては、ただいまお話し通り、いろいろ零細なもの等もございまして、その配分の困難な点などもございますし、補助の目的に沿わないような方向に流したり、いろいろな問題がたくさんございまして、その使用適正化と申しますか、効果を上げることについては非常に皆さん方の方でも御心配をいただいておるところでございますが、まあ大体その後は注意をいたしまして、効果をあげ、適正に動きつつあると、こういうふうに考えておるのでございますが、さらに一そうその適正化現実に即して行いますために、中共、地方を通じまして連絡協議会を設けたり、あるいは行政官庁相互間に連絡協議を密にする等措置をいたしまして、まあ必ずしもそうもいかないで、批難会計検査院から受けた事例も相当あることは、この報告に明らかな通りでございますけれども、順次適正化方向に向っていくものと考えておる次第でございます。
  10. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 この会計検査院批難事項というのは、不正事件もありますけれども、大体不当の経理が多いようでございます。それが毎年続きまするのは、どっかに困難な点があったり、あるいはやる人に心のゆるみがある。いろいろな事情によるのだと思いますが、いやしくも貴重な国費を用いていきます場合には、われわれが自分の個人的の金を使う以上に慎重にやらなければならぬと思うのでありますが、それがどうも例年の惰性からいいますと、毎年相当多額国費が乱費されておるという状況でございまして、その中でも補助金が一番そういう傾向が多い。これをそういうことの起らぬように徹底させるには、どうしても必要だというのでこの法律ができた。しかし法律ができましても、これの執行が徹底しなければ全く意味がないのでございまして、私どもはこの法律ができるだけ効果的に適用されることを切望しておるわけでございます。  それで、ただいま政務次官からの御説明がございましたが、できればほかの方からでもけっこうなんでありますが、今までにどれくらいの該当した件数があるか、それからいま一つは、これは私実は精密なるものを持っておりませんのですけれども新聞等で見ましたところが、これは検察庁関係に伺った方がいいかもしれませんが、何かこの法律執行するに必要なる経費が非常に不足しておる、足りないというような記事を見たのでございますが、これはむしろ大蔵省でこの法律をお作りになって、自分法律なんでありますから、主計局等においても少しの金で効果の非常に上るものでございますから、そういう不便があっては私は相ならぬと思いますので、その点についての事情といいますか、十分やれるものかどうか、どのくらいの経費をこの方にお使いになるという点もお答えを願いたいと思います。
  11. 山手滿男

    政府委員山手滿男君) お示しの点もございまして、綱紀粛正を行いまして、厳正に施行をせしめますことはもちろんでございますが、会計職員研修ども励行をいたしまして、その後次第にこの成績を上げていると思っております。現在報告を受けておりまする補助金に関する刑事事件は、詐欺罪一件だけが報告されている現状でございまして、いわゆる検察当局の手をわずらわしたような問題はほとんどないと言っていい程度のものじゃないかと思っております。会計検査院の方で報告されておりまする不当事項は、ここにございまするように不正行為は三十八件でございまして、これの多くは刑事事件に問われたものであろうと考えますが、補助金等適正化については、今言いましたように一件だけが刑事問題になったものと思われます。
  12. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 私の伺いました後段の点がまだ答弁漏れになっておりますので、この機会に今一言私つけ加えて申し上げたいのでありますが、それはわれわれも刑事問題というようなことを好んでいるわけじゃございません。ですからお話のように一件くらいであるということは、むしろ喜ぶべきことだと思います。しかしそれだからと言って、検察庁その他がこの法律執行するについて、捜査とかいろいろについての経費がないために摘発ができぬ、調査ができないのだというのでは、法律があっても何も活用ができない。これでは困るのでありまして、むやみに私ども刑事被告人を出すことを好んでいるのじゃない。むしろこの法律があるために、何といいますか、そういう方面でもまじめにやるという空気で、予防的な意味をもって法律が生きていけばこれに越したことはございません。しかしかりにたくさんの方面で金をお使いになりますから、あやまった考えでもし間違ったと、非常に悪性なものがあるというようなときには、これをどうしても摘発する。それには検察庁でも相当な費用が要ると思うのでありますが、さっきお尋ねいたしましたが、これに対する費用はどのくらいであるか、またそれで十分かどうかという点についてのお答えをお願いいたします。
  13. 山手滿男

    政府委員山手滿男君) さっきのお尋ね後段の点を申し忘れましたので、ただいまのお尋に重ねてお答えをいたしますが、補助金等のこの適正化に関する問題について検察庁側の方で予算要求をしたのであるが、今度の予算査定において削られた云々というふうな記事が一部の新聞に載っておったようにも思いますし、ただいまのお尋ねもいろいろ御心配をいただいていることから発していると思いますが、私どもはあの新聞記事なり何なりに出たような意図などを持っているわけではもうとうございませんし、今後この法律の趣旨についても十二分に、この問題が解決されていきまするように、適正に行われまするように励行をいたしたいと思っております。  予算金額そのほかにつきましては、あるいは多いか少いかというふうな点につきましても、いろいろ主計局の方で考えておりまするので、次長の方から御答弁いたします。
  14. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) ただいまの御質問の点でございますが、補助金適正化法律執行に要しまする検察庁費あるいは人頭経費、それらにつきましては、予算査定に当りまして十分検察当局とお打ち合せいたしまして、たとえばこの関係常勤労務者の数を増員しますとか、あるいは今まで一般職員でありましたのを検察事務官に格上げする等の措置を講じますほか、その他の諸経費を合せまして、この法律執行に遺憾のないように査定いたしまして、事務当局と話し合いを進めておるものでございまして、新聞に出まして私ども遺憾に思っておるのでございますが、所要の予算をもちましてこの法律執行支障のないようにいけるものと確信いたしております。
  15. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 くどいようでありますけれども金額は幾らぐらいなんでございますか。
  16. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) はなはだ遺憾でございますが、ただいまちょっと手元にその金額を持ち合せておりませんので、後日御報告申し上げたいと思いますので、御了承願います。
  17. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私、今の青柳委員の御質問に関連して、一つこれは資料としてお願いしたいのですけれども、この補助金適正化法律が実施されて、各府県ごとに、北海道、東北といったような寒冷積雪の非常に……、三月三十一日が雪の中だといったような地帯はずいぶん執行者の方としては苦労を重ねて、あれに抵触しないように努力を払っておられるようだけれども、なかなか実態はそうはいかないというようなことからいろいろな、何と申しますか、取扱いについての伺い等がひんぱんに関係局の方へ参る。そこで大蔵当局でもとにかくさしあたりとしてはあの適用についてはこういうような考え方でいくのもやむを得ないだろうといったような何か基準と申しますか、事実運用上の標準を出したやに聞いているのです。私は急場の際としては当然そういったようなことも必要であるとも思うのですが、一つそのお示しになった基準があるとすれば……、あるのかないのか、あるとすればそれを一つ参考に次の機会でけっこうですから御提示を願いたいと思うのです。
  18. 山手滿男

    政府委員山手滿男君) そのお話につきましては、先般来一部新潟等の地区からの御陳情がございまして、会計年度内完成すべき補助事業等につきまして、今お話しになりましたように、天候のかげんそのほかによりまして、その年度内にとうてい完成をするわけには参らないというふうな場合がありまして、実際問題としては非常に困っておった、こういうことでございましたので、いろいろ研究もいたしまして、いたずらに長々とそういう事態が起きることはもちろん困るわけでございますが、まあ二カ月ぐらい以内に工事完成をするということであるとするならば、この概算払いとかあるいは前渡し的な措置をとりまして、特別な、降雪に見舞われて工事が二月、三月等はほとんどできないとか、しかもこの三十年度のように暫定予算をたびたび組んだというような事態ども原因をしているというふうな事情もございますので、そういうふうにして地方便宜をできるだけはかろうじゃないか、こういうことを考えたわけでございます。
  19. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そうするとあれですか、今のはたとえば新潟という例をおあげになられましたが、そういうことに端を発して御研究の結果、直接伺いを立てられた、今の例でいうと新潟以外にもそういった当然同じ条件があるような所については通達をして御指導をなさっているということなんですか、その点どうですか。
  20. 山手滿男

    政府委員山手滿男君) 今の問題は、私が承知をいたしておりますのは、直接には新潟付近の問題でございますが、大蔵省主計局長名をもって各財務局長通達が出してございますから、真にやむを得ないような地方についてはそういう適用が、便宜がはかられることがあると考えられます。
  21. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 実はその問題、私先般農林関係の連中に会ったときに、どうもあれは実情に沿わない、ところが北の方についてはそういうような何か手続か何かをされたようだ、そこで一応心配というものは薄らいだけれども、さらに話しておりますと、たとえば私は自分のよく知っている畑だから詳しいのですが、鹿児島だとか宮崎といったような、いわゆる同じ公共事業関係といいますか、補助費の対象になっている植林のような仕事でも、ちょうどシーズンが盛んなときであると、どうも一日違いといったようなことも厳格に言えば問題になる。そういうことからして実情に合う特例的な……、列挙的にして法律例外を作るという問題を、立法するという問題を方々に依頼しておるという話があったのです。私はしかし農林省だけでそういうことはおかしいじゃないか。農林省農林省として扱っておる仕事の中で、そういう気象、環境等においてどうしてもこれは不可避だというものについては例外を求めたいという気持はわかるけれども、これはおそらく鉄道にしても建設等にしてもあるのだろうし、そういうものは各省通じてのものでなければ、やるにしてもおかしいじゃないかといったようなことがあるので、このことをお尋ねしたのです。  一体、そういった観点から見ますと、どうも会計法規に、その例外というものは直接正面衝突をするような問題も含めないというと、あけすけに言うと、実際にはぴたりとこないという場合があるようです。一体そういうことについてどのように大蔵省方面で今お考えになっておるか。一つ法律を作ったからには法律通りに実施させなければいけないし、そういう指導を極力いたさなければならない。ところが他面実情を見るというと、どうもよく聞けば、ある種のものについてはこれはどうもやむを得ぬということになれば、やっぱり法律を守らせる、それを実施していく関係からいうと相当につらいところがあるのではなかろうか。この特例問題というものについてはどういうふうにお考えになられますか、もし御意見がありましたらお聞きしたい。
  22. 山手滿男

    政府委員山手滿男君) こういう制度をみだりに幅を広げたりいたしますと、お説の通りいろいろ障害、思わざる問題も起きてくるわけでございますから、これはもう今申し上げましたように、天候そのほかの自然的な制約によって真にやむを得ざる場合のみに厳重に限るべきである、こう考えます。特にそういう場合でありましても、現実にその年度を越してから工事を始めるとか、いろいろな非常な常識はずれのような問題がございました場合に、なおかつこういう特例を認めるというふうなことが許されるかどうかと申しますと、これはまあそういうふうにはわれわれは解釈をしておらないのでございまして、一月か二月ごろにすでに工事を始めておって、しかし大雪とか何とかいうことで工事が非常におくれて竣工、完成をしない。こういうふうな場合などがございます場合には、概算払いでもいたしまして、二月以内ぐらいの限度で工事完成させよう、こういうことでございますから、その点は御了承をお願いいたしたいと思います。
  23. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 大体気持は私どもも同じなんで、あの法律なんぞはかなりこの決算委員会としては強硬に通すべきである、こういう方法をやる側としては賛成である、お気持もよくわかるのですが、今言ったような問題、たとえば二カ月という、今、前にお願いした資料が来れば明らかになるのかと思いますが、これは天候のかげんだ、これも天候のかげんだというようなことで、われわれとしてはあまりにそれがルーズに扱われることは、これも同時に好まない。ある意味じゃそれを正しく守らせるためには、不可避理由があれば、それは形式的にあまりにもとらわれた形でも、これも仕事を進行していく上に支障があるだろう。また、今お話しになったような気持は私どもも持っておるわけなんですが、そこでまた口実をいろいろ設けさせないという問題も確かに必要なんで、それらについては具体的に天候なりその他不可避であったこと、当時あったところの何か証拠といいますか、証明といったようなものにまで今の御指導の点は及んでいるのですか、どうなんですか、それを一つお聞きしたい。これはもう次官からでなくてけっこうです。実情一つ
  24. 山手滿男

    政府委員山手滿男君) その点の判定も非常にむずかしいと思いますが、できるだけそういう措置は、ワクを広げないように、ごくまれな例だけを承認をしていきたいと考えております。今年度は、昭和三十年度は暫定予算なんかを組んだ関係もございまして、工事を始めるのも総体的に相当おくれておるという実情もございますので、そういう指貫をとって国民の便宜をはかろうということにいたしたわけであります。法律的には大体問題ないものと私の方は解釈をいたしておるわけでございます。
  25. 田中一

    委員長田中一君) 今の三浦委員からの要求資料は次回にお出し願えますか。
  26. 山手滿男

    政府委員山手滿男君) 承知いたしました。
  27. 大倉精一

    大倉精一君 二十九年度の決算報告を見ますというと、やはり二十八年度と同様に、ほとんど批難事項金額等も変っていないようであります。表面に現われておる金額は、なるほどたくさん減っておるというふうになっておるのですが、たとえば会計検査院長報告によりますというと、補助金等におきましても、災害復旧事業費早期検査にかかるもので八十四億八千四百万円余の激減を示しておるのでありまして、この分を除きますと、補助金批難金額は前年度とほぼ同様である、こういうふうに御指摘がございます。あるいはまた未収金の問題にいたしましても、これが前年度より非常に減っておるというふうになっておりますが、これは二十九年度から国税収納金整理資金が設けられて、国税収入収納未済額決算に計上されなくなったためである。従って、これを入れるというと、前年度の徴収決定額に対する割合は四%であって、前年度の四・二%に比べてほとんどまあ変りがない。こういう工合に報告されておるのですが、毎年報告されておるのを見ると、大体まああまり変りがないというふうになっておるのですが、これに対してたしかこの前の決算委員会、この前の国会における決算委員会だと思うのですが、総理は、こういう状態をなくするために綱紀粛正をやるのだ、こういうことを申されましたが、ここでお尋ねをしたいことは、この予算執行に関する綱紀粛正というものに対して具体的にどういうような方法をとられておったかということを、まず一つ伺いしてみたいと思います。
  28. 山手滿男

    政府委員山手滿男君) 綱紀粛正につきましては、お話がございましたように、いろいろ総理以下お話もございまするし、公正な懲戒をいたしますとか、あるいは行政各部内部監査励行いたしますとかいろいろな、さっき申し上げました会計職員研修をさらに励行する等の措置をとりますことによって、公正な運営ができますように非常な勉強をいたしていることは、皆さん承知通りであります。しかし非常に複雑な多岐にわたる事務がございますので、さらに今国会におきましては補助金等適正化法のほかに、物品管理法あるいは債権管理法というような法律も新たに制定をいたしまして、この会計検査院から突っ込まれる、あるいは会計の粗漏がないようにする等の措置を、できるならば今国会にそういう法律ども用意をして御審議をいただき、十全な態勢を整えたい、こう考えて今用意をしつつある状態でございます。もちろん刑事責任を問われるような案件につきましては、国税庁あるいは大蔵省関係でございますと、大蔵大臣が直接いたしますが、各省関係につきましては、農林省については農林大臣、運輸省については運輸大臣が直接にはこの告発をするなり、いろいろな問題を処理をいたしますことは当然でございますし、さらにその責任の軽重によりまして、あるいは減俸とかあるいは異動を行うとか、そういうことを励行をすることにいたしておるわけでございます。
  29. 大倉精一

    大倉精一君 私はこの綱紀粛正ということは、表面に現われているものでなくて、もっと根本的なものがあるような気がするのです。特にこういうことは、あとでまた大臣にもお伺いしたいと思うのですけれども繰越金の問題であるとかあるいは不要不急購入品がたくさんあるというようなことは毎年あるわけです。特に二十八年度を見ましても、その最も大きなものは防衛庁費でありまして、二十九年度は二百三十四億円の繰越金が計上されております。同様にまた不要不急品の一番うんと買い込むのは防衛庁である。それだけよけい不要不急品を買ったにもかかわらず、なおこれだけたくさんの繰越額が出てくる、こういうところに私は非常に疑問を思うわけなんです。大蔵省としてこういうような不要不急品を買う、そうしてまたこういうたくさんの繰越金を生ずる、こういうのは一体原因はどこにあるのかということを、当然これは監査なさっていると思うのですが、そういうような点について御所見を承わってみたいと思います。
  30. 山手滿男

    政府委員山手滿男君) ただいま申し上げましたように、大蔵省としては予算につきましては包括的な責任を持っているわけでございまして、直接には各省大臣が、たとえて言えばお示し防衛庁につきましては、防衛庁長官がそういう持てあますほどの品物を買い込んだりなんかするようなことのないように注意をするのが、その建前でございますけれども大蔵省といたしましては、予算が適正に使用されますように、各省内部監査を十分に励行する、そのほかいろいろな警告を発しまして、遺漏のないような処置をとっておるわけでございますが、今お示しのような問題もございますので、物品管理法とかあるいは債権管理法とか、そういうものがどこまでその中に包含されるか、まだ未確定でございますけれども、そういうよけいなものまで買い込むとかあるいはずさんな設計をするとか、そういうようなこと等についても、大蔵省としてはできるだけこの適正な予算使用が行われますように処置をする所存でございます。
  31. 大倉精一

    大倉精一君 参考のためにお伺いするのですが、三十年度から三十一年度への繰越金見越し額はどのくらいになりますか、どのくらい見込まれますか。
  32. 山手滿男

    政府委員山手滿男君) 約二百十億……。
  33. 大倉精一

    大倉精一君 今の政務次官の御答弁によるというと、そういうものは各所管大臣においてやるんだ、こういうような御答弁なんですが、私はこの予算編成の根本的なものにこれは問題があると思うのです。それで昨年各省に対する警告決議を出しましたが、大蔵省に対しては「昭和二十八年度決算において各省各庁に多額繰越を生じ、又幾多の不経済事項が行われた事実に鑑み、三十一年度総予算編成に当っては厳密合理的な基礎に立ち必要な調整を行うべきである。」、こういう決議がなされました。これに対しまして大蔵大臣は、「御指摘の点はまことにごもっともでございまして、昭和三十一年度の予算編成に当りましては、御趣旨に沿いますよう万全の努力をいたします。」、こういう答弁をなすっております。  そこで私は、こういうような余剰金やあるいは不要不急品の購入がたくさんな金額になるというのは、予算がいわゆるこういうような合理的な基礎の上に立ったものではなくて、特に本年度に見られるように、ああいうふうな変則的な格好で予算編成が行われる。こういうところに必要額以上のものがある部分においては投入されていく、そこにこういうような不要不急品の問題もあり、繰越金の問題もあると思う。  そこで、本年度のこの予算編成に当って、この大蔵大臣答弁に対しまして、具体的にどういうような方策をおとりになり、あるいは措置をなされるかということについて承わっておきたいと思う。
  34. 山手滿男

    政府委員山手滿男君) ただいま御指摘の点はまことにごもっともでございまして、今度の予算編成に当りましても、各省と十二分に緊密な連絡をとりまして、各費目別に詳細を検討をいたし、経費の性質、あるいはどういうふうに効率的に組まるべきかというふうな問題を十二分に検討をいたしまして、今御指摘になりましたような不要不急なものなどを組まないように、そういう配慮をいたしたわけでございます。  予算がもし三月の終りに通りますと、大蔵省では主計局を中心に来年度の、翌年度の予算を四月から間違いないように組むために、四月早々から翌年度の予算編成準備をいたすわけでございまして、昨年度——三十年度におきましても、予算編成が終りましたらすぐその手でいろいろ準備をいたし、御指摘のようなことが少しでも減っていきますように心がけておる次第でございます。
  35. 大倉精一

    大倉精一君 何か抽象的な御答弁でぴんとこないものがあるのですが……。新聞等で見ておりますというと、本年度の予算編成に当ってまことにはなばなしいぶん取り競争が行われた。ことに大蔵当局はふんばって、辛うじて一兆三百四十九億ですか、この線を守ったということが書かれておる。この点はまあ当然予算委員会においてもいろいろ論議をされると思うのですが、こういうようなことをやっておったのでは、結局不要不急の金が不要不急のところに回っていくという結果になって、そうしてそれが使い切れずに妙な物をたくさん買ってみたり、使い切れずにたくさんの余剰金を生む、こういうふうなことが毎年繰り返されていくと思うのです。その半面において緊急必要な経費というものはだんだん削られていく。  たとえば数年来問題になっておるところの気象業務関係でもだんだん削られる。あるいは南極探検の費用もぴしゃんと削られる半面に、不要な金が不要なところへ回っておる。こういうようなことが繰り返されておったのでは、これはさっきも青柳君が言われたように、毎年これは跡継ぎというものがどんどん出てくると思う。今の御答弁では、これはもう大蔵大臣にもまたあらためてお伺いしたいのですが、きわめて抽象的で、まあぴんとこないわけです。従って、これはどうするのかと言えば、必ず綱紀粛正をいたしまして、職員の督励をいたしますという御答弁がある。こんなことはだれでも言うことですが、それをどうやるかが問題だ。どうもこの実績が上っていない。これは一つ私は政府としても責任を負ってもらわなければならぬと思うのですが、まあこれ以上お尋ねしても何ですから、あとは一つ大臣にあらためてまたその点お伺いしておきたいと思う。
  36. 小幡治和

    ○小幡治和君 災害の問題なんですが、われわれ実際よく見ますと、大体二十八年度からの災害の総額の九割くらい補助ということで非常に喜んでおるようですが、しかしそれも実際会計検査院の検査した実態というものを見ると、一割の地元負担というものをごまかしているというふうなことで、ずいぶん摘発されておるんです。しかし地元のそういう連中は、それに対してどういうふうに、抗弁というとおかしいですが、政府の方のやり方を恨んでいる。それはどういうことかというと、結局補助金というものの来方が非常におそい。ですから今九割補助すると言いながら、それを三年で災害というものは全部補助をやると言いながらも、三年たっても半分も来ないというような実情です。そうするとそれに対して地元としてどういうふうなやり方をやっておるかというと、ことに農地の関係はすぐに植付をやらなければならぬというわけで、政府の方では三年あるいは五年でやるということで補助をよこしても、現地としては一年でもって米の植付をやらなければならぬというわけで、結局立てかえということをやる。そうすると結局農協から借りたりあるいは銀行から借りたりして、利子を払ってやっているわけです。そうして利子を払ってそういう工事は済むわけだけれども補助金というものはなかなか来ない、何年たっても来ないということだと、結局九割の補助というものは八割、七割、六割くらいの補助にしかならぬ、実際にならぬ。みんな利子を自分たちが払わなければならぬ。そうすると結局九割補助をすると言いながらも、非常に利子というものを高く負担しなければならぬ。そういうような苦しさというものから、地元負担をしてはしょい切れないということで、それをある程度ごまかすというふうに、まあ背に腹はかえられぬというところに入ってくると思う。そういうところをただ会計検査院が追っかけていって取っつかまえてみたところで、国民としては腹に入らぬという声が非常に高いんです。  で、どうぞこういう面については、ほとんど全国的な趨勢だと思うのですが、要は災害予算というものは一つ早くやっていただいて、特にそういう農地みたいに一年ですぐ植付を可能にしなくちゃならぬというものを、何年間かほおっておくというその制度そのものが無理なんです。そういう無理があるから、会計検査院に調べられてそういう不正というものが出てくる。会計検査院の調べというものは、ただ不正摘発ということだけでなく、そういう無理を生じているものを政府としては直していかなければならぬと思うのですが、それについてどうお考えになりますか、まずお伺いいたします。
  37. 山手滿男

    政府委員山手滿男君) 今度の会計検査院報告にもありますように一昨年あたり、昭和二十八年度あたり非常に災害が多かった関係で、二十九年度は災害関係についての批難事項などは非常に多かったのでございますが、その前、今度の会計検査院報告に現われておりまする批難事項は、災害については非常に少くなっておることは御承知通りでありますが、今お話しのように立てかえ工事等につきまして、政府からの補助金が届きますのが、非常におくれるために、立てかえた金額に対する利子等がかさんで、地方方々がお困りであることはよくわかっております。しかし予算編成をいたすにつきましても、従来二十五年災がまだ渡ってないとかいろいろ抗議を受けたこともあったわけでございますが、そういうふうなものはできるだけ全部完成をさせよう、古いものについてはできるだけもうそういうふうなことの批難を受けないように予算編成もしようということで、努力はいたしたわけでございます。今お示しの点につきましては、私どもも重々わかっておりまして、遺憾に思っております。今後是正をいたしたいと思う次第であります。
  38. 小幡治和

    ○小幡治和君 一つぜひその問題は走れと言って縛ってたたくようなやり方だと思うので、政府としても災害予算については少くとも大きなものでも三年で全部処置するというふうなことで、厳重にこれは守るように、大臣にも一つ強く次官から言っていただきたいと思います。  それからもう一つ、いろいろここにも建設省並びに農林省の災害関係の検査報告を見ますと問題が出ておるのですが、われわれも実際体験してみて非常に感ずるのは、災害を受けた場合にいわゆる査定というものが行われるのです。そうしてその査定に基いて、今言ったように農地関係なんか早くやらなければならぬということで、そうすると農林省としてはすぐに農林省の出先機関の農地局というものが出動していく、建設省は地建というものが出ていく、そしてそこへ大蔵省の出先の財務局というものが一緒になって、ある程度そこで査定をする。そうして設計もできて、それに基いて大体よかろうというわけでどんどん工事を始めていく。始めて、そうしてそいつが半年くらいたって会計検査院が来て、またこれに対して査定のし直しみたいなことをやる。また一年くらいたって大蔵省で来て、どうもこいつは改良が多過ぎる。要するに原状復旧でいくべきなのに改良が少し付加しすぎておるというようなわけで、その改良部分を削れと言う。しかしそういうふうな半年一年たったあとでは、もうそれはやったことである。そうするとやったものに対して大蔵省なり会計検査院が、そいつはやり過ぎなんだから返せということで、ここにおける出来過ぎ工事というものをやるわけです。しかし地元としてはとにかく急いでいるわけなんだし、それからもう国の出先機関の了承も得て一応工事をやっておるわけです。そういうので非常に戸惑うわけですこういう面について、ことに災害の予算で非常に会計検査でしかられる、あるいはごたごたが起きるということは、査定というものの統一がきちっとされていない。一体査定責任官庁というものはだれだということなんです。これは一体大蔵大臣査定責任官庁なのか、あるいは農地関係なら農林大臣がそうなのか、建設関係なら建設大臣がそうなのか、そこのところをはっきりしていただかないと、事業官庁は事業官庁で査定をする。大蔵省予算関係査定する、財源で。それではどっちへ従っていいかわからぬ。あげくの果て会計検査院からしかられて、やれでき過ぎだとか返せとか、こういうことを言われる。そういうような面から災害査定というものは、災害が起きた場合至急やる、早くやって、そうして統一意思というものをはっきり決定してもらいたい。そうすればあえて逆らうということはしないと思う。そこに政府のいろいろの査定がこんがらがっているから、地元も自分に有利な方に従ってやってしまってあとでしかられる。そういう意味において災害の査定の実際の責任者はだれか。またそれを早く査定して、将来会計検査院の方でもっていろいろ言われないように早く確定させてやるということが大事だと思う。これは全国的に起きている問題だと思う。そういう点について一つ御意見を承わりたい。
  39. 山手滿男

    政府委員山手滿男君) その問題は、昭和二十八年度のように非常に災害がたくさんありました年のあとにそういう問題がいろいろ起りまして、やかましい議論になったと私ども考えておりますが、もちろんこの当面の責任者は、農地等の問題でございますというと農林大臣が当面の責任者でございますが、大蔵大臣予算関係で立ち会って査定をいたしているわけでございますから、責任がもちろんあるわけでございます。あるわけでございますけれども、災害が全国で各所に相当大きなのが発生をいたしましたような場合には、手不足でもございますので、十二分な査定もいかなかったうらみも昭和二十八年度のような場合にはあったわけでございます。その後時日が経過し、よく調査し、あるいはいろいろの関係で判明いたしましたところによって厳重な査定をいたしたのですが、十二分な審査もされておらなかったような箇所も一、二あったようでございまして、それを契機にさらに会計検査院等から厳重な調査をするというふうなことが行われて、今お話しのような事例が起きたわけでございます。  今後はお示しになりましたように、災害がありましたら、できるだけ全力をあげて早く、かつ的確に査定をいたして、あとからそういうようなことのないように努力をさせたいと思います。
  40. 小幡治和

    ○小幡治和君 大体今次官から御説明聞いて、あのときはほんとうに全国的に非常に多かったので、手不足の点もあり、そういうような事故というものもあり得たと私は思うのです。ただ、それはそういうことはあるのだが、あとになって会計検査院があまり厳重にこれを返せとか、でき過ぎとか言って、政府の責任をたな上げにして、そういう点ばかりを非常に強調されると、地元の方としてはずいぶん身勝手じゃないか、こういうことになるので、そういう面については、一つ当時の事情というものをよく勘案して、会計検査の、たとえば是正に対する命令というふうなものについても手心を加えていただきたいということだけ申し上げておきます。
  41. 田中一

    委員長田中一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  42. 田中一

    委員長田中一君) 速記を始めて。それでは大蔵省の方はお帰り下さってけっこうです。  会計検査院から小峰局長が来ておりますから、継続して御質疑願います。  ただいま東谷会計検査院長、小峰次長出席されましたので、総括質問を継続していただきます。順次御発言を願います。
  43. 安部キミ子

    安部キミ子君 院長にお尋ねいたしますが、きのうの新聞にもきょうの新聞にも、いろいろ不正な事項が取り上げられて、しかもそれが文部省関係というふうな重大な教育に関連して起っているようであります。私が過日九州を調査に参りました際も、その検査院の方の努力に対しましては、私率直に敬意を表しているものであります。  私自身のことを申し上げては失礼でありますが、予定の時間がきましたので、食事を中途にして自動車に乗って調査しまして、私としては、これは自分としては大へんいいことだと思いまして、ある県の課長さんに話しましたら、いや、そうじゃない、会計検査院の方は七つ道具を持っておられて、天井の上、それから床の下へもいつでも入れるような武装の用意をしておられて、非常に活発だ。それから泊っておられる宿も、私どもよりももっと粗末な宿に甘んじて活動しておられるということを聞きまして、私はとてもいいことをしたというようなことは何でもないことであったということを反省したのであります。  そういうふうにりっぱな方ばかりだと思いまして、私は会計検査院に勤めておられる方の人格というものを心から尊重しておるのでありますが、ただその中で問題は、このようにほんとうに一生懸命やっておられるにもかかわらず、まだまだたくさんの不正があらゆる形で出ている。出ているだけでなくて、どれだけまだ政界あるいは経済界、あるいは教育の中にまで行われているかもしれないというふうな印象を持つものでありますが、一体会計検査院の今日の予算が、そうした目的を達するに十分であるのかないのか、もしないとすれば、なぜ十分に活動ができるような予算が取られないのであろうか。私はこの点についてまずお伺いしたいのであります。
  44. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) ただいまの御質問でありますが、新聞紙上にいろいろと不正事項が出ます。ただいま仰せのは文部関係と仰せになりましたから、ミルクの問題かと思うのでありますが、新聞の報ずるようなことでありませば、会計検査院の検査の関係としては関税の問題になるかと思うのでありまするが、さしあたりその問題は、ただいま私まだ報告は受けておりませんけれども、十分に検査し調査いたしたいと思っております。  不正事項と仰せになりましたが、一般的に不当事項も入ってのお話かと思うのでありますが、不正不当の事項をごらんになりますると、二十八年度の検査報告も二千二百三十二件、二十九年度になりますると、さらにそれを上回っておるので、仰せのごとく非常に不当不正の事項が多く、毎年同じようなことを繰り返されるのでありまして、ここのところは、私ども会計検査に従事しております者から見ましても、ねらいはやはり適正な会計経理をしてもらう、悪いものは是正さすというところに会計検査の目的があるのでありますから、一日も早く不当不正の事項を絶滅して、適正な会計経理を実現するようにその方向指導もし、検査もしているのであります。  しかし、そう申しても年々歳々不当事項あるいは不正事項がたくさんあるのでありまして、それならば会計検査院の検査能力が足らないのではないかということにまあなるのでありますが、正直なところ、会計検査院の検査能力は十分でないのでございまして、幸いに昨年皆様方の御協力によりまして、少しではありまするが、人もふやしていただき、局も一局ふやしていただきまして、せっかく努力をしておるのであります。ありますが、なおかつそれでもむろん十分とは言えないのでありまして、昨年あたりも、今まであまり見なかった代行工事なりあるいは農業共済事業という方面に努力を傾注いたしますると、非常にたくさんの不当事項が出る。それではほかの方面はどうかというと、ほかの方面にも相当程度ありますので、本年といいますか、三十一年度の予算でも実は人員の増加要求もあったのでありますが、しかしまたひるがえって財政状態を見ますと、非常に国の財政全体として困窮している状態でありまして、どこの役所におきましても人をふやさないという、あるいは進んで整理をするというような状態でありますのにかんがみまして、人手が足りないとは思っておりますけれども、実は三十一年度は人員の増加要求はいたさなかったのであります。それでただいまおりまする千二百人の者を督励いたしまして、一面においては教育をし指導を中でいたしまして、そうして実地検査なり書面検査をやらすというので、自分たちに与えられている千二百人の範囲でせいぜい勉強いたしているような次第であります。
  45. 安部キミ子

    安部キミ子君 今私が教育関係の話を例にとりましたので、教育関係だけというふうな印象を与えたかと思いますが、朝日新聞をごらんになりましても、農林関係と印刷局の問題がもう出ているのです。一つの、三面記事に変った種類の汚職が出ておるというような格好で、毎日といってもいいくらい、何か一つ地方の汚職だとか、ラジオを聞きましても、拘留されたとかあるいは引っ張られたというような話が出るのです。  今、予算を本年度は要求しなかった、こうおっしゃいますが、一体それではどういうふうに、率直にあなたのお考えになりましたところでどういうふうに政治を持っていったならばこれがよくなるというふうなお考えでもあるでしょうか。私は結局政治の貧困からこういうふうなことになっておると、一口に言って、いろいろな条件もあるでしょうけれども、終局の結論は私は政治の貧困だと思うわけなんですが、その点どういうふうにお考えになるでしょうか、どういうふうにしたらいいとお思いになるか。
  46. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) 非常に大きな問題でむずかしい課題でありますけれども、まあ政治の貧困、あるいはそうであるかと思うのでありますが、私はしばらく政治の方から離れまして、会計検査院の面から申し上げたいと思います。私が長年会計検査院におりまして、そして毎年々々不正不当の事項がたくさんある。近年は年々それが多くなってきているというような状態をみまして、自分たちの努力の足らないことを反省すると同時に、実は憤りを感じておるのであります。どうしたらこれが直るかと申しますと、やはり各省各庁の予算を実行する面の方方、これを指導する上の方の方々がその気になることが一番必要であると思うのであります。一口に申せば、安部さんは政治の貧困と仰せになりましたが、私は一口に言えば、やはり実行者が血税の認識が足らんのだと、そうじゃないかと思うのであります。この予算も、この金も、すべてはこれ国民の泣きの涙で出された膏血のかたまりである血税であるということをほんとうに心から認識すれば、売り払いに当ってそう安く売り払う、公示する場合に手の中を見せるとか、あるいは高い工事を知りながらやらせるということはなくなるであろうと思っておるのであります。
  47. 安部キミ子

    安部キミ子君 私はただいまのお話を聞きまして、あなたの立場としては、政治の貧困なんということを言われることは妥当でないというふうにお考えになって、そういうふうにおっしゃるのでしょうけれども、私どもはこれはやはり結論的にみて政治が悪いから、各省責任者が責任を持って、こういう間違いのないようにすることが望ましいのですが、その責任者がかつてはやっておられた汚職収賄というようなことだってたくさんあったのですね。その一番最高の責任者である人が、汚職収賄不正不当なことをしておられるということになれば、それを監督するのがだれかと言えば、これは今の日本では一体だれと言ったらいいか、やはり大きな意味では国民にも、そういう代議士を出す、あるいは大臣を出す、あるいはそういうふうな責任者の自覚のない人を国会議員に出したというところに問題があると思うわけなんです。私はそういう観点から、今この問題を考えますと、今のような資本主義の機構では、どうしてもこういう問題は永久になくならぬのだろう、こういうふうに考えるのでありますが、なくならぬからといって、じゃ、ほうり出していいということでは、これはますます日本がみじめな国になるだけでありますので、そういう困難な政治の中で、やはり凛としたものを持ってもらうには、会計検査院の皆様方の努力によるよりほかないと思うのです。そういう点で予算が取れない、また今の日本の状態では困窮をしておるからというその御配慮というものは、私は一応理解いたしますけれども、それかと言って、その予算よりもっともっとたくさんな、五倍も十倍も百倍ものこういうふうな血税が、貴重な血税が不当に使われている、不正に使われているということは、やはり結論的に見てよろしくないと思うので、ほんとうを言いますと、予算をもう少し思い切って取っていただいて、そして機構も拡充していただきたかった、やはり私の感想として率直に院長に申す次第でありますが、この点どうでございましょうか。
  48. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) まことに会計検査院の検査の徹底を期する上においての御意見で、私どももやはりそうありたいとは思うのであります。先ほども申しましたように、そうありたいというのですぐ要求をするかということに相なりますと、やはり会計検査院要求する予算は、今仰せのように、やはり要求いたしましても、せいぜい一億とか二億という要求にしかならんと思うのでありますが、全体の予算からみれば非常に小さい要求ではありますし、また不当不法の事項の金額からみても非常に小さいのでありまして、会計検査院要求いたしませば、その何倍かに相当する検査効果といいますか、それは上げ得るとは思うのでありますが、やはり要求するほんとうの立場にありますと、一億といえども、あるいは五千万円といえども、非常に大きな金でありまして、国の全体の財政状態にかんがみ、むろん要求したいという気持はありましても、差し控えているというのが実情であるのです。
  49. 安部キミ子

    安部キミ子君 こういう問答をいつまでも続けましても、もう同じだと思いますから、私はやめたいのですけれども、実際会計検査院の皆様の努力は、先ほど申しましたように、ほんとうに涙ぐましい気持で私は聞いております。そういう意味で院長のその態度といいましょうか、人格というものにも私は敬意を表するものでありますけれども、そうした小さな感情よりも、国の全体を考えていただきますならば、もっと勇気を出してですね、やはり幾ら努力をするといいましても、人間には限度があることでありますし、また働いておられる皆さんにも、あまり不当な要求をいたしましても、働くには限度があると思うのです。それにはやはりそれに似合ったような予算会計検査院に組まれて、そういう陣営が整備されなければ、私は今の日本のこうした醜態はいつまでも続くのじゃないか、全く文化国家などということを口でいいましても、いろいろ犯罪などありますけれども、こういう犯罪が私は一番恥かしい犯罪じゃないかと思うのです。それが公然となされて、しかも責任ある大臣になっているような立場の方も、かつてはそういう嫌疑がかけられたというふうなこともあったくらいでありますから、この際、私はもう少し院長の勇気が望ましいと、こう思いまして、私の要望に添えておきたいと思います。
  50. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 一言だけ私の考えを述べまして、検査院長の御意見を伺いたいのであります。それはきわめて形式的なことなんですが、この決算報告書を毎年いただいておりますが、この報告書は一定の様式でできておりまして、非常に御苦心のものと思います。また要を尽していると思うのでありますが、私はこの国の経理が、不正とか不当のことがなしにいけば、これは非常に理想的なんです。ぜひそういうふうにそれぞれの官庁の方も考えられるし、また監督される検査院の方でも御指導願いたいと思っておりますが、ただ実際は内閣がかわるとか大臣がかわられるとかいうので、大臣にしても前の人のやったことを——自分責任ではありますけれども、非常に自分が直接やらない問題を釈明されているような、ちょっとこういう感じがいたします。また各省から会計課長その他の方がみえましても、それは自分責任の地位にはありますけれども、やはりやっているのは地方の人がやるとか、官庁でも自分以外の人がやっておりますものですから、どうも上すべりがしておって、まあ悪いことは悪い、不正なことは不正、不当は不当だから、直そうという気持はございますけれども、非常にその点が……、ただやはり一応の理論的の——理論的といいますか、その事情を釈明することによって、これが過ぎていくように思います。それではどうも非常に弱いのでございまして、何とか不正不当、ことにその中でも悪いようなものは、ぜひこれを改正するという一つの行き方をするには、事実を述べると同時に、私はこの事件々々が一つの裁判のような気がいたしまして、やはり責任者というものをはっきりして、その事件の責任者は省で言えばもちろん大臣であります。大臣でありますけれども、それは形式上の責任者であって、実際の責任者はそのことに一番タッチした、その問題を起したほんとうのそれをやった人が責任者になるのでありますから、どの事件でも一人は責任者になる、もしことによれば二人なり三人なり関連してあると思いますが、そういうところを私はいたずらに摘発するとか、そういう人を困らせるという気はありませんけれども、やはり事件を明白にしていく意味において、この刷りものの、この本のどこかにこの事件はだれによって起されたのだということを明記していくことが、大きな意味において綱紀粛正にもなれば、この決算といいますか、経理を合理化していくことになるのじゃないかと、かように思うのでございます。非常にこれはしろうと意見のようでありますけれども責任者もなしにこれが各ページともこの事実がずっと書いてあります。一部には不正の問題等のときには名前も出ておりますけれども、どの案件でもだれがこれをやったのか、やった人はどこかにいるでしょうけれども、その人の名前もわからんというのでは、別に資料要求すると、各省から出していただけますけれども、それではどうも不備じゃないか、まあほめるならばいいのでありますけれども、逆でどうも私も心苦しいのでありますけれども、しかし国家的に見て、こういう問題をなくしていくには、どうしてもそういう点に注意して、ことを処理していくことがお互いの責務であると思いますので、今後この決算報告書をお作りになるとき、形式についても何か改善といいますか、そういう点についての御配慮が願えるかどうかということをお尋ねするものであります。
  51. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) 者のことでありますが、まことにごもっともな御意見であります。不当不正の事項がございまするが、これはやはり少くし、あるいは絶滅していきます上には、先ほども申し上げましたように、血税の認識の上に立つということはもちろんでありますけれども、一たんこういうことを起した場合には、その責任者の責任を追及するということは励行しなければ、またその次にやりましても責任の追及はないのだからという気持もございまするので、これは国会におかれましても、毎々御意見がありましたのですが、責任者の責任の追及ということは、会計検査院も各関係者につきまして責任を場合によれば正式に追及することもありますし、そうでなかったら、向うの局長その他に注意いたしまして、そしてその責任者の処分の模様を調査いたしておるのであります。そういたしまして、責任者の追及、責任者の処分が軽過ぎるという断定がつきますれば、その場合にはまたさらに責任追及、処分要求をするというふうにいたしておるのでございます。それでこの検査報告でございまするが、なるほど今仰せのように毎件ごとに責任者のといいますか、関係者の職種名を書くことも一つでありまするが、それはどうだろうというので、実は毎件ごとに、関係といいますか、責任者の職種名を調べておるのでございます。ただいま青柳さんからそれを書いたらどうかというお話がございまするので、まあ来年度の、三十年度の検査報告を作ります場合には、御意見を頭に入れまして協議し、善処したいと思っておるのでございます。
  52. 湯山勇

    ○湯山勇君 ちょっと一つだけこの説明概要の十四ページですね、その二十八年度決算検査報告に掲載したものの是正処置状況についていろいろ御指摘があるわけですが、これはもう二十八年度のはこれで出ただけで、あとは出ることはないと思うのですが、どこまで一体これらの二十八年度指摘のものを見ていくわけですか、検査院としては。と申しますのは、この中に工事に着手していなかったものもあるし、それから指摘されて一部だけ済ましておるものもある、こういう状態にあって、このままこれは三十年度へ持ち越されていくわけですね、それをどこまで一体検査院としては見ていくのか。指摘したものがちゃんとでき上るまで見ていかれるのか、もうこれはこれで終りということになるのか、その辺はどうなんでございましょうか。
  53. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) 御質問でございまするが、これは実は会計検査院におきましては、従来は会計検査報告に掲げて批難をする、その事項をまたさらに追及して、各省側が説明いたしました通りにしておるかどうかということまでは、実は調べない時期もあったのであります。あったのでありますが、数年来この方、どうも批難をした事項を、ほかの当該年度の事項と一緒に見ますると、どうもやはり半分しかできていないといった時分に、手直しをしますということを責任者が会計検査院答弁をし、国会説明をされているにもかかわりませず、どうもやっていないように見える。それからもう一つは、国会におかれましても決算委員会で、一体会計検査院批難しっぱなしかというような質問もございましたので、数年来この方、会計検査院で検査したもので、事後処理の伴うものにつきましては、私どもの方はこれを事後処理検査と言っておりますが、事後処理の検査をすることにいたしておるのでございます。その中で一番多く取り上げておりまするのは、災害関係補助でありますが、補助工事については非常に事項も多うございますし、また大へん悪い事態も多いのでございまするので、これはこの事後処理検査班というものを作りまして、特に見さしておるのでございます。見ますと、ここにございまするように会計検査院へ監督官庁を経まして、もう会計検査院に前に言った通りにいついつ工事に着手して完了しましたと、場合によると写真までついて出ておるのであります。出ておりますけれども、それをあえて信用しないわけじゃありませんけれども、いかにその通りにできておるかということを見させてみますると、あにはからんや、全然着手もしていないということもあるのであります。それならば、いつまで会計検査院は見るかというのでありまするが、私どもの方針としましては、これが手直しをするというのでありますから、手直しが完了するまではどこまでも見ていく、それから返納するというものは、返納するまではどこまでも見ていくという気持で検査をいたしておる次第であります。
  54. 湯山勇

    ○湯山勇君 そうすると、二十七年度についても、そういう事後検査の結果の資料というものは検査院にはあるわけですね。
  55. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) ええ。
  56. 湯山勇

    ○湯山勇君 二十八年度の現在こういう御指摘をなさった資料もあるわけですね。それはお出し願えますでしょうか、その資料は。
  57. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) 報告にもここへまあ院長の概要説明でございまするが、ここにあるくらいでありまするので、この検査報告には相当詳細に書いております。  それからなおもし資料がお入りようであませば資料の提出もいたしたいと思っております。
  58. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは二十八年度ですが、二十七年度も出ておりますか。
  59. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) 二十七年度の分は特には掲げておりませんが、検査はいたしております。
  60. 湯山勇

    ○湯山勇君 つまり昨年もこういうふうに指摘して一部だけしか終っていないで大部分残っておる、それが今年になれば、もうこれにも指摘されないというままでおかれることに問題がありますと思いますので、二十七年度のはその後どうなったか、そういうことについての資料一ついただきたいと思います。
  61. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) 具体的な問題になりますと覚えておりませんが、大体先ほど申しましたように、数年この方は、会計検査院の検査をいたしましたものの事後処理状況の検査というものは、毎年執行いたしておるのでありまして、その事後処理の初年度の検査で思わしくないものは次の年度でさらにそれを見ていくというようにいたしておるのであります。
  62. 湯山勇

    ○湯山勇君 資料ございますね。
  63. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) ございます。
  64. 湯山勇

    ○湯山勇君 お出し願えますか、そういう種類別の。
  65. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) 大体まとめてお出しすることができると思います。
  66. 小幡治和

    ○小幡治和君 先ほど大蔵政務次官質問したので大蔵政務次官から御答弁あったのですが、会計検査院長にも同じ問題ですが、ちょっとお話しをしたいと思います。  実を言うと、二十八年災の問題ですけれども、二十八年災のいろいろな状況を見てみますと、まあ補助金の支出というか指定が非常に遅れておる。そのために九割補助といっても、みんな農地関係なんかは早くやらにゃ植え付けできぬというわけで、補助金がこようとこまいと、とにかく一括して、早く立てかえ工事をやるということになると思う。そうしますと、農協なりいろいろなところから借りているわけですね。そうすると、補助金がなかなか三年たってもこない、四年たってもこない。そうすると、九割補助が六割補助にしかならない。そうすると会計検査院がいろいろ調べてみると、実際をだんだん調べてみると、地元負担の一割をごまかしているのではないかと、こう言って、とてもしかられるわけだけれども、地元から言うと、少しぐらいごまかしたのは、まことにいけないが、五年たっても四年たってもよこさぬというのは、政府の方が詐欺ではないか、九割補助といっても、結局利子を払っていれば六割ぐらいの補助にしかならないではないか、そうすると、一体自分の地元の負担を、利子も払わなければならぬということで、非常に追及を受けた。自分たちは災害が起って困っている、そういう事態を無視して政府自体が補助金をいつまでたってもよこさぬのに、それを立てかえてやっておるものに対して、地元負担を一体ごまかしておるということできゅうきゅうやられてはかなわぬという説が多いのです。その面について大蔵政務次官は、まことに実際それはその通りなんだから、一つこれからも早くやるように一つしょうということを言っておられましたが、そういう実情もあるということを頭に入れて、そういう点の会計検査のやり方というものが、政府のそういう実情というものを頭に貫きつつ、それに対する是正をやってもらいたいということが一つと、もう一つ大蔵省もそのときに今日認められたと言っておられたが、二十八年災のときにはあちこちに一どきに災害が起ったので、査定の問題のときに混乱した。われわれが実際見てみると、農林当局並びに大蔵当局の出先機関、すなわち農地局並びに財務局というふうなものが一緒になってきて、この災害というものはここまで復旧しなければいかぬということで、ある程度の査定というものを、ここへ決定して言ってくる。そうすると、もう植え付けをやらなければならぬというので、早く工事をやるので、大体農林当局、それから大蔵当局も一応認めたからということで工事は進めていった。そうすると半年ぐらいたって、そうしてどうもこれは二十八年度の災害としては少し多過ぎるからもう一ぺん査定せいということで、こいつを一割査定とか二割査定とかやって来る。現地ではもうやっちゃっておる。そういうものを一年ぐらいたって、そうして会計検査院がやってきて、こいつは要するに改良超過だというふうなことを言っていろいろされると、地元としては非常に困る。一体そういう査定の権限を持っておるところはどこなんだということをさっきも聞いたら、それは主務官庁、すなわち事業官庁だ。それなら事業官庁の言った通りにやったことがなぜ悪いのだというと、そのときには非常に混乱しておったからということになる。だから混乱しておるときならば、あとでもって会計検査院一つ、しかるときには、混乱してそういうふうになったら、しかり方も少し考えてくれなければ困ると言ったら、全くその通りですという答弁だったのですが、会計検査院としてはそういう点に対してはどういうお考えか。
  67. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) ただいまの点でございまするが、最初の補助金の交付が遅延しておるじゃないか、これはまさに遅延しておるものがあるようでございます。いろいろな事情があると見えるのでありますが、たとえばまあ三、五、二で補助すると言って、政府がそういう方針で補助工事に取りかからすということにいたしておりましても、予算を調べますと予算はそうなっていない。三、五でなしに、あるいは二の予算である。しかもそれが国の、国会での予算がそうであるというものもございます。それから予算があっても、私どもの方は、予算がある以上、しなければならない工事がある以上は、適時に、的確に支出しなければ効率的な工事というものはできない。こういう立場に立ちまして、政府の補助金の支出などには遅ければ遅過ぎはしないかということは常に注意しておるのであります。特に地域的にこれを見ますると、東北方面に対する補助予算を十一月とか十二月、あるいは一月、二月につけましても工事はできぬのでございますので、やはり地域的にもにらんで、地域的に適当なる時期に適当なる額を流すということでなくちゃならぬと思う。ところがやはりそれが遅れたものが相当にあるようであります。私も地方に参って、補助工事を見に行きましていろいろ話を聞いておると、どうも三、五、二でくれるというのに政府はくれないから自分たちは借りておるのだ。それなのに会計検査院が来て文句を言うということでありましたが、まあそういう面もございまするが、やはりそういう面があるといたしましても、工事をする方でそういう面があるということを頭におきまして、初めから、二割、三割を水増して要求するということがあってはならぬと私は思うのであります。それからそうでなしに、せっかく補助指令が参りましても、今度は自分の方の村は財政が困難だから二割三割は自己負担をしなくても、あるいは補助金でもうける形になってもいいじゃないかという気持でやっておられるところもあるのでありますが、会計検査院の検査といたしましては、これはえらい冷いことを申すようでございまするが、皆様方がお作りになりましたる法律の命ずるところによりまして、予算の額に従って会計検査をしておるのでありまして、それよりもシビヤーなことは決していたさぬのであります。そればかりでなしに、ただいまのような点は頭におきつつ検査はいたしておるのであります。頭におきつつやっておりましても、二割も三割も水増しをした工事とか、あるいは自己負担は全然しない。のみならず補助金でさらに二割三割をもうけておるというのを見まして、見のがすわけにはいかないので批判をし批難をしておるような状況でございまして、決して全然状況を無視して一滴の涙も流していないという検査の仕方はいたしていないのであります。しかしそれかと言って、法律を無視し、予算を無視してまで会計検査院がその工事はよろしいということはいたしておりません。それからもう一つ査定権の問題でございますが、これは査定検査といいますか、いたしておりますのは二十八年災から実は大がかりにやっておるのであります。二十八年災は御承知のように非常に大きな災害でありまして、これを査定が済み、工事があらかた済んだときに行って検査をいたしましても、会計検査院法律に従って検査をいたしましても、この工事は相ならぬ、この工事の半分は返せというようなことを言っても、あとの祭りでありますので、むしろ是正できるものであれば早目に是正をしてもらいたい。そうしなければ、国民の要望にもこたえられないということで、人手は少いのでありまするけれども、特に二十八年災からは査定が済んで工事が始られない前でも行って検査をするということにいたしておるのであります。  それでちょうどそういたしますと、地方で検査を受ける方から見ますると、一体査定をする権限はいずくにありや、会計検査院が来たって査定権限はあの検査院などにはないだろう、それなのに査定権があるような顔をしてやるのはけしからんということを耳にするのでありますが、これは決して会計検査院査定権があるということでやっておるのではないのでありまして、査定をいたしますと国の債務が生ずる、そうすればその債務の検査として査定の当否を見ていくという立場に立ちまして、権限としては、権限の解釈としてはそういう立場に立って検査をしておるのであります。従いまして会計検査院査定の済みましたもので工事をまだやっていないものを検査している場合に、この査定は間違っておるということをかりに申しましても、それは直ちに間違ったということにはならぬのであります。それからまたそういう取り扱いも会計検査院はしておりません。たとえばここにAという工事があります。一千万円の査定がついておる。会計検査院が行くと、とんでもない話だ、二百万円の査定で十分だ、たくさんそういうのがあるのであります。そういたしますと、直ちに二百万円という査定にそれが変るかというと、そういうものはそういう筋合いには置かれていないのでありまして、会計検査院は帰りまして、主管の局長名をもって会計検査院の見るところでは一千万円の査定は多きに過ぎて二百万円が相当だと思うが所見いかんというので、農林省なり建設省の当該局長もしくは次官に照会をするのであります。そういたしますと、その建設省なり農林省がさらに調べまして、なるほど会計検査院の言う通りだということになれば、二百万円になるのでありますが、それは会計検査院長の言うだけだろうということになりますが、そうではないのでありまして、実例もありますが、会計検査院で、これは査定してうんと減していいという見解で当局に照会しますると、いやそうじゃないのだ、これはこういうわけで一千万円の査定にしなくちゃならぬ、一千万円にすべきだということを言ってきまして、向うが応じない。会計検査院がこういうわけであるからもう一つ見直してくれということであれば、あるいは見直し、そうでなくて、書面の回答で私どもが納得できれば一千万円の査定そのもので当然いくべきであるし、そういっておる次第であります。それをも批難するかというと、それは批難しておりません。それで御了承を願いたいと思います。
  68. 小幡治和

    ○小幡治和君 前段の問題なんですが、今院長の言われたように、非常にそれでもうけようとか、また地元負担を全然やめてもうけようとか、そういうものはいかんと思うのですけれども、しかし幾分のそういう面はあると思うのです。ということは何かというと、今言ったように、補助金が非常におくれますから、現実おくれるのだから、そうするともう九割の補助が六割の補助にしかならぬ、利子を全部払わなければならぬ、その上に地元負担もやらなければならぬ、しかも自分たちは災害でやられているのだ、どこから金を出すかということで、背に腹はかえられぬ、そういうことになる。それが非常に悪質で、今言ったようにもうけるということはけしからんけれども、そうやられる点は、一つ政府一体なんだから、そういう意味において会計検査院等も、そういう事情をくんで一つあまり酷にならぬようにやっていただきたいということです。それは御了承願ったと思います。さっき言ったように、あまりひどいやつは仕方がありません。  それから第二の問題としては今言ったように、査定を早くやってもらいたい。要するに今言ったように農地なんというものは早くやらんともう植付も何もできぬということで、地元は一生懸命なんです。そうしておいて農林省がすぐ来て査定する、また大蔵省が来て査定する。ある程度相談して決定したら、それでもって工事にかかるのです。地元はかかってしまう。そうすると、かかってしまったあとで、会計検査院が来ておればこう思うのだといってまた農林省にいって、なるほど君の言うこともそうかといってひっくり返されたところで、工事はもうすでにかかってしまっているじゃないかというと、そこのところはあとでもって役所の方がそいつはお前少しやり過ぎなんだということを言われてみたところで、やってしまったところはどうするのだということになると思う。ですからそういうお考えならば、一つ査定のときに会計検査院も一緒に来て、そうしてそのあとでもってそういう理屈の出ないように、議論の出ないように、査定のときに一緒に会計検査院大蔵省もそれから主務の建設省なり農林省なりも来て、きちっと査定して行ってもらいたい。査定する前に仕事はやらない。査定が済んでから仕事をやる。済んでからいろいろな人たちが来ておれはこう思う、おれはこう思うといって、それをまた是正なんかされたりしても、たとえその是正が正しくても現地としてはかなわぬと思うのです。ですからどうぞ今のお考え、まあそれを会計検査院として実際そうだと思うときは主張なさってけっこうだと思うのでありますが、早く言っていただいて、手をかけてしまってから、工事をやり出してしまってから、直せ直せと言っても困る。はなはだしきに至っては完成したやつを、おれはこう思うのだ、その分だけ直せというようなことをやられていることがあると思う。そういうようなことだったら、どこを一体おれたちは頼ってやったらいいか。農林省の人たちが来てこれでやりなさいといったからやったのではないか、それを一体政府の別の機関が来て、またそれはいかぬといっても、それではだれが来るまで待っていたらいいのですか、こういうことになると……。そういう点一つよろしく考えてやっていただきたいと思うのです。
  69. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) お話ごもっともでありまするが、完成した後に来て批判するというようなことがある。これは実は私どもの方の検査人員その他から申しますと、それが割に多いのであります。工事中もしくは工事完成した後に行ってみても、たとえばあまり悪い例を申して失礼でありまするが、道路のないところに道路がこわれたのだといって完成しておられる。完成したのだから農林省がいい、建設省がいいといったのだからこの道路は補助をつけてもらわなければ困るというのでも、私どもの方も検査上困るのでありまして、やはり完成後に行きましても一応のものさしで検査をする。そうしてそれが復旧の程度をこえておれば、こえておる分についてはこわせというのではありません、その分については自分が、自治団体が負担すべきじゃないか、こういうことで結局それに相当するものは補助金を返してもらうという意見をつけるわけであります。それは会計検査院の意見で、当局はそれに従ってやるということになるわけでございます。それでなるべく早くやれ——これは補助金使用適正化に関する法律というのが出まして、今年などは今の小幡さんのお話に沿いまして、私どもはなるべく早く検査に行って、査定あるいは工事を始めたというところになるべく早く行って、是正をさすことができるものは早く是正さして、そして罰則がありますが、体刑が伴っておりますが、あの罰則の適用のないように早目に是正さすという検査上の親切心は、あるいはよけいな親切心かもわかりませんが、持っておるのでありまして、なるべく早く検査したいと思っております。それからなお、酷に過ぎないように、というお話はまことにごもっともでありまして、私どもの感じから申しますると、二十八年災などのような大きな災害のときに、村の大半は流れたというようなときに、一体補助工事でおやりになるということ自体が無理じゃないか。たとえば九割の補助だとおおせになりましても、一億、一億、三億の復旧工事を無理にやる。一割を持っても一億であれば一千万円、その村の財政状態は、二百万円、三百万円という財政状態で、これを持つということがいわば不思議なんであります。ですから、事情はよくわかるのでありますが、しかしながら私どもの検査をする尺度を見ますると、法律にはちゃんと九割しか補助しない、あとの一割は自分の負担でやるのだと、予算もまたそうなっておるのでありまして、その辺のところは、やはり今後ともお考えをいただかなくちゃならぬのではないかというふうに考えております。ああいう大きな災害で、九割を補助したからあと一割は自分で持てと言っても、持てるわけがありません。それは私どももわかっておりますが、しかしながら、尺度がそういうふうにお示しになっておるのでありますから、その尺度によって、まあ涙を流しながら検査をやり、ものを言っておるようなわけであります。そう小幡さんのようにおしかりになりましても、私ども検査をやりますものとしては、皆さんがお示しになった尺度によってやるのであります。形式的にだけでなしに、ほんとうに涙を流すべきところ、そしてそれが理屈のつくところは涙を流してやっておるつもりであります。
  70. 小幡治和

    ○小幡治和君 まあ今のはあなたに御質問するのは無理だったので、大蔵大臣にまた御質問し、そういう点を是正してもらおうと思います。前段の方はそれでいいのです。ただ、後段の方、今院長の言われたように、できてしまってから検査する、また、ほとんど大半ができてしまったあとに検査をする場合が多いので、しかも、それでもって、自分たちが見て、これは改良部分が多すぎるというようなときには、やり直しをさせるのだ、というふうなことを言われましたが、そいつは困る。なぜかと言うと、だからこそ、初めに査定責任官庁というものはだれかということを聞いたのです。それに対して大蔵次官もそれは事業官庁だとお答えになった。しかるに査定責任官庁である事業官庁がこれでやりなさいと指令して、その設計も、事業官庁の建設省なり農林省なりも認可しておる。そして、それに従ってやったものを、あとから会計検査院が行って、おれはこう思うのだと言って、そして主務官庁ともいろいろと話をして、それをひっくり返すということになってくるとすれば、一体現地としてはだれを相手に仕事を進めて行ったらいいのか。工事の大体終った半ば過ぎごろにしかあなた方は来られないのだとするならば、一体いつまで待っておればいいのだ、と、こういうことになる。早くやってくれというのはそれなんで、ですから、今言ったように、早くできないのだ、早くできないのは、結局は自分等の手のうちから考えて、どうしても半ば過ぎにしかできないのだ、しかも半ば過ぎに来てどうもいかぬというので直させるというのでは困ると思うのです。手が足りなければそれをふやしたらいい。その点については私はどうも承服できないのですが、どうですか。
  71. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) 実情の問題としてはごもっともではありますが、会計検査院はなるべく早く検査をしたいと思っております。それから院法を見ても、常時に検査をするということになっておりますが、しかし大体は、ただいまで言えば、三十年度の分について検査をする、また、今年の八月、九月になっても、やはり大体は三十年度の方について検査をする、というのが本態でございまして、一口に言えば、日本の会計検査院の検査は事後検査なのでございます。本来ができたあとから見るという、そういう姿なんであります。しかしながら先ほど申しましたように、債務が生ずればやはり債務の検査をしなければならぬという立場もありますので、なるべく早く査定がつけば、できるだけその方にも手をさいて、すぐ検査をするということにいたしておるのであります。査定権者が査定をし、大臣がうんと言ったから、これでもうよろしいのだというのなら、会計検査院の検査というものは要らぬと思うのであります。査定権者がよろしいと言って査定をし、大臣がうんと言ってやらしたものについても、会計検査院が検査を多くの場合するのであります。それによって、会計検査院がこの工事は行き過ぎであるとか、あるいはこの工事は、先ほど申しましたように、どだい初めから道はなかったのだ、または初めから橋はなかったのだと指摘する。もし、査定をして、その査定予算がついて、それで橋を作ったのだから、それは認めろ、ということになりますと、私は根本が崩れてしまうのではないかと思うのであります。それだからと言って、会計検査院査定権があるのだと申すのではありません。査定権はないのでありますが、査定権者が査定し、一般の購入ならば購入をする権限のある契約担当官が契約をいたしまして、そうして検収をして、それに対して金を払う。そういった場合に、よろしいといって契約をし、ある官庁は、検収して金を払ったんだから、自分たちの方で何も不当はないのだ、不正はないのだということになりますと、大へん会計検査院の今までの検査のし方と違うのでありまして、契約担当官と契約をする、権限者が契約し、支出し得べきものが支出した。あとから行きまして、会計検査をして、このものは高い、このものは買わんでよかったということを批判しておるのが実態でございます。
  72. 小幡治和

    ○小幡治和君 どうもそこのところは私ははっきりわからないですが、たとえば、査定権者が農林大臣であって、その査定権者たる農林大臣が判を押して、この程度の改良ならば災害復旧として認められるといって、農林大臣が判を押しても、査定権者ならざる会計検査院がそれを不当と認めたらひっくり返すことができるのか、あなたはできるとおっしゃったが、できるのですか。要するに、私は会計検査院というものは、農林大臣が判を押したものに対して、その判を押したもの以外の使い方をした、あるいはそれ以上の、何と言うか、出過ぎの工事をやった、またそれと少し違った経理をやったというものを会計検査院が調べるのであって、一たん農林大臣が判を押してきめたものすらも、会計検査院があとから行って、そいつは農林大臣査定の権限があっても、自分会計検査の面からこれは改良でき過ぎだということでひっくり返すことができると、あなたは言われたが、そういう権限はあるのですか。
  73. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) ひっくり返すことができると言うと、ちょっと語弊があるかと思うのでありますが、農林大臣査定権限をお持ちになって、査定をして、その通りにやっておるという場合に、会計検査院はどういう立場をとり得るかということかと思うのであります。そういう場合に、やはり会計検査院は、この査定が間違っておるということは、会計検査上当然批判はできると思う。そのために、そう言ったからといって、すぐその工事をひっくり返してなきものにするか——そこまで言うのじゃございません。査定そのものが間違っておる場合に、査定が行き過ぎておる、あるいは間違っておるということは、会計検査上当然批判しなければいけないのだと思っております。いわば、各省の支出の最高責任者大臣でありまするが、大臣がきめたから会計検査院の検査ができぬということでは一般の検査ができないことになるかと思うのであります。
  74. 小幡治和

    ○小幡治和君 そうすると、現地としては、農林大臣大蔵大臣というか、要するに、農林省なり大蔵省査定を受けても、会計検査院が判をつかない限りにおいては仕事はやっちゃいけない、こういうことになるわけですか。そうしませんと、農林大臣大蔵大臣の出先機関がこれでよろしい、やりなさいといってやっちゃった。やっちゃって改良が九分通りできてから、これはでき過ぎだ、返せ——返せと言われたって、地元は一体どこから返すんだ、農林大臣がやれと言った、大蔵大臣もやれと言った、それを会計検査院があとから来て、そうしてこれは違うのだ、返せと言われても、一体自分らはだれを頼って行ったらいいのか。結局会計検査院長が判を押すまでは、われわれは危なくて仕事もできないということになると思うのでありますが、地元の身になって考えて、地元というのは、会計検査院が判を押すまでは、いくら主務官庁、査定官庁がこれでやれといってもできないのかということをはっきり聞きたい。
  75. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) 私の説明が足らなかったかと思うのでありまするが、補助工事で申しますると、査定査定権限者が査定をして、工事をしてよろしいということであれば、工事はしてよろしいのであります。会計検査院の文句を言う筋じゃありません、工事することについて。しかしその工事査定自体が行き過ぎじゃないか、違っているじゃないかという批判は、会計検査院はそのときでもできますし、あとからでもできるわけであります。それならば、会計検査院が判を押さなければ工事ができない——そうじゃございません。先ほど申しましたように、査定権者が査定をして、工事に着手してよろしいといえば、工事に着手をしてよろしいし、工事を完了してよろしいわけであります。工事をしており、工事を完了したから、もう既成事実であるから、会計検査院は文句言うべからずという線は引けないのだということを申したのであります。
  76. 小幡治和

    ○小幡治和君 それでは査定権者の誤まりということをあなたは正せばいいのでして、地元の方としては、査定権者がこうやれといったからやった。それに対して、会計検査院査定そのものが誤まりならば、自分はそいつの誤まりを直す権限があるのだということで直す、これはけっこうです。そうすると、それの責任というものは査定をした者が間違ったのだから、査定をした者がすべての負担をすべきだと思う。それを一体われわれ受けた者が、そいつに金を返せとか、やれ何とか言われることは迷惑千万、それは要するに査定権者の誤りをあなたが直したのだから、査定した者にそういうものを追及していけばよろしい。地元としても査定権者に言われたからやったのだ。それを査定そのものが間違っているのだといって、建設大臣農林大臣がしかられることはけっこうです。しかし地元としてはそのためにやっちゃったものを、金を泣く泣く出さなければならぬ。そういうことが一体許されるかどうかということなんですね。どうお考えになりますか。
  77. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) 査定の問題でありまするが、なるほど査定権者が査定をしてその通りに着手しておるという場合に、会計検査院がその査定そのものが行き過ぎじゃないか、間違っておるといった場合は、私の方の批判する、何といいますか、相手はその査定権者に対してやるのでありますから、査定権者が責任をとられるだけであります。ただそれがはね返ってきて町村にいくということはあり得るだろうと思います。  それから一般の場合でも、たとえば返納するという場合に、返納しろということは会計検査院は言いません。返納ささなくちゃならん事態じゃないか、行き過ぎの事態じゃないかということを責任官庁に申し述べ、責任官庁はそれじゃそうであると言えば、自分で善処するのを、やはりはね返えるというか、町村にお前のところの工事は行き過ぎなんだから、幾ら幾らを返済しなければならんということを責任官庁が申されるのであります。
  78. 小幡治和

    ○小幡治和君 そういうことであるならば、もう地元としちゃ非常にいい迷惑なんです。ですから、そういう点、非常にいい迷惑がこれからもたくさんあるということ、だからこれはいい政治じゃないと思う。そういう意味において、一つ会計検査院長としてそれだけの権限を主張されるなら、事業官庁に対してそういうことがあとになって起って、そうしていい迷惑を受ける国民が大勢じゃないように一つやっていただきたいと思うのです。たとえば時期を早めるとか何とかそこのところをやっていただきたい。
  79. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) ただいまの点でありまするが、私どもも非常にそれは地方が迷惑されるだろうと思うのでありまして、軒並みに二十八年災は悪かったのです。どこに原因があるかというと、まあいろいろ原因がありますが、おもな原因は、ほんとうは今小幡さんは査定権者が見にきて、そうしてこれでいいのだと言って査定をつけたとおっしゃいますが、そうじゃなしに、見もしないで一つの調書が出て来る。こういう補助工事を申請する、そうすると、さっき申しましたように、道路はなかったけれども、道路があったように書いてあるから道路はよろしいというわけで、机上査定というのですが、実地査定じゃなくて机上査定が非常に多かったので、ああいう事態が非常に多く起ったのでありますが、それで会計検査院も、昨年、一昨年あたりから机上査定をよして実地査定に切りかえなくちゃいかぬ、このためには人を増しても切りかえなくちゃいけないじゃないかというので、実行庁もそれにのっとっておるのでありまして、現に二十九年災あたりには相当によくなっております。
  80. 田中一

    委員長田中一君) では本日はこの程度で議事を終りたいと思います。  次回は十六日午後一時に開会する予定でありまするが、総理大臣並びに大蔵大臣には文書をもって、出席要求するようにしてあります。  これをもって決算委員会を散会いたします。    午後四時三十五分散会