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1956-05-22 第24回国会 参議院 外務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十二日(火曜日)    午前十時四十九分開会     —————————————   委員異動 五月十七日委員山川良一辞任につ き、その補欠として上林忠次君を議長 において指名した。 五月二十一日委員須藤五郎辞任につ き、その補欠として長谷部ひろ君を議 長において指名した。 本日委員長谷部ひろ辞任につき、そ の補欠として須藤五郎君を議長におい て指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梶原 茂嘉君    理事            小滝  彬君            鶴見 祐輔君            羽生 三七君            須藤 五郎君    委員            黒川 武雄君            津島 壽一君            野村吉三郎君            加藤シヅエ君            上林 忠次君            佐藤 尚武君   国務大臣    外 務 大 臣 重光  葵君    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    文 部 大 臣 清瀬 一郎君    国 務 大 臣 高碕達之助君   政府委員    外務事務官    (公使)    木村四郎七君    外務省条約局長 下田 武三君    外務省情報文化    局長      田中 三男君    大蔵大臣官房長 石原 周夫君    日本専売公社監    理官      大月  高君    文部省管理局長 小林 行雄君   事務局側    常任委員会専門    員       渡邊 信雄君   説明員    外務省経済局次    長       西山  昭君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選日本国フィリピン共和国との間の  賠償協定批准について承認を求め  るの件(内閣送付予備審査) ○農産物に関する日本国アメリカ合  衆国との間の協定締結について承  認を求めるの件(内閣提出、衆議院  送付) ○千九百五十五年五月三十一日に東京  で署名された農産物に関する日本国  とアメリカ合衆国との間の協定第三  条を改正する議定書締結について  承認を求めるの件(内閣提出、衆議  院送付) ○国際情勢等に関する調査の件(水爆  実験に関する件)     —————————————
  2. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。五月十七日付をもって山川良一君が辞任され、上林忠次君が委員になられました。また二十一日付をもって須藤五郎君が辞任され、長谷部ひろ君が委員になられましたが、本日付をもって辞任されました。     —————————————
  3. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 次に理事補欠互選の件をお諮りいたします。ただいま御報告いたしました通り須藤理事が一時委員辞任されましたため、本委員会理事が一名欠員になったわけでありますが、須藤君には委員に戻られましたのでこの際成規の手続を省略して 須藤君を理事に指名したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 御異議ないと認めさように決定いたします。     —————————————
  5. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 次に、日本国と、フィリピン共和国との間の賠償協定批准について承認を求めるの件を議題といたします。まず政府側から提案理由説明を願います。
  6. 重光葵

    国務大臣重光葵君) ただいま議題となりました、日本国フィリピン共和国との間の賠償協定批准について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  フィリピン共和国は、昭和二十六年九月にサン・フランシスコ平和条約に署名いたしたのでありますが、賠償問題が解決されない限りこの条約批准を行わない、従ってわが国との間に正常な国交関係を回復しないという方針を持して参りましたことは御承知通りであります。  よって、わが国は、東南アジアにおいて政治経済わが国にとって重要な地位にあるフィリピンとの間の賠償問題の早期解決をはかるために、あらゆる努力を払って交渉を重ねて参りました結果、昨年八月マグサイサイ大統領から鳩山総理あてに、賠償問題の解決方式に関する提案が送られて参りました。本年三月鳩山総理から右提案及びその後マニラにおける会談によって解明せられたところを基礎として、正式交渉に応ずる旨の回答が送られました。その後直ちに協定文及び関係文書についての具体的交渉を開始いたしましたところ、四月下旬に至りまして妥結に到達いたしましたので、藤山政府代表ネリ代表の間でイニシアルを施した上、五月九日高碕全権首席とするわが全権団フィリピン全権団との間で正式調印を行うの運びに至った次第であります。  この協定により、わが国賠償として五億五千万ドルにひとしい円に相当する役務及び生産物を、二十年の期間内にフィリピンに提供することを約束しております。賠償実施方式につきましては、毎年両政府間の協議によって実施計画を作成し、実施計画の範囲内でフィリピン使節団日本人業者との間で結ばれる賠償契約によってフィリピン政府役務及び生産物を入手することとし、わが国はその賠償契約の履行に要する経費を支払うことによって賠償義務を履行したものとされることになっております。その他協定は、使節団の特権、協定実施に関する協議機関たる合同委員会の設置、紛争の解決方法等について協定いたしております。  また、経済開発借款に関しましては、二億五千万ドル目標額とする民間の商業借款に対し可能な限度の便宜をはかることに意見の一致を見ましたので、これを交換公文の形で取りきめた次第であります。  さらに、賠償協定の署名と同時に、両国全権委員は、両国が均衡のとれた貿易の伸張のため貿易金融協定の改訂及び通商航海条約交渉早期に開始することを予期する旨の共同声明を発表いたしたのであります。  本協定による五億五千万ドル賠償は、わが国にとって相当大なる負担を課するものであることはいうまでもないところでありますが、過去の戦争においてフィリピンに与えた莫大な物質的精神的損害に対し、わが国が本協定で約束した賠償を誠実に履行することによって日比間の友好関係を樹立し、さらに同国との間に政治経済の各般にわたる協力提携関係を発展せしめ得ることとなる次第でありまして、本協定は窮極においてわが国利益に資するものであることを信じて疑いません。  よって、ここに本協定批准について御承認を求める次第であります。なにとぞ慎重御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望してやまない次第であります。
  7. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいま外務大臣から提案いたしました日比賠償問題につきまして、私首席全権として参りました関係上、一応その当時における空気を申し上げまして、御協力をお願い申し上げたいと思います。  昨年の五月の十日にネリがこちらへこの賠償問題で参りまして以来、問題が経済問題であるからお前が一応折衝してみろ、こういうことで私、非公式に彼と折衝に当ったのであります。いろいろ折一極を重ねました結果、外務大臣が御報告いたしました通り結論といたしまして、五億五千万ドル役務及び生産物をもって二十年間の賠償とする。ほかに二億五千万ドル、これは純商業ベースをもって両国間においてこの投資関係を結ぶ、これについては両国政府はできるだけこの投資関係が結ばれるように力を注ぐが、万一できなかった場合においてもこれは両国政府はこの跡始末をする責任は負わないのだ。けれどもできるだけこれが提携ができるように努力する。こういうふうな申し合せであったのでありますが、その当時にこれが成文化せられまして協定締結し、二億五千万ドルにつきましては文書を交換することに相なったわけであります。御承知のごとく、津島全権が初めてあちらへおいでになったとき以来相当の時日を経過しておるのでありますが、当時津島全権おいでになったときには、大へんフィリピン空気が非常に悪かったように聞いておりましたが、引き続きまして、村田全権が大野、ガルシアのときに参られましたときにも、相当空気が悪くて一行はホテル以外には出ることができなかった、こういう状態でありましたが、今度私が参りましたときには、全然その空気は影も形もないといっていいくらいで、ございまして、どういうわけでこういうふうに空気が好転しているかということを想像いたしますと、これは昨年のバンドン会議の結果、ここに民族意識が非常に盛んになってきた。東洋人東洋人の手で、やはりお互い提携しようじゃないかという空気が一応わいてきているところに、日本との通商関係が、戦前に比しまして、フィリピンから日本に持って参りますものなどは、戦前は二千万ドル近くであったにもかかわらず、今日は日本フィリピンから八千万ドル近くの輸入をする。そうして日本からいっておる品物も、やはり二千万ドル近くふえてきておる。こういう状態でありまして、しかも日本商品の、あるものはアメリカの手を経てフィリピンに入ってきておる。また日本商品の、あるものは香港の手を経て入ってきておる。こういう場合に、日本フィリピンの間の貿易が直接開かれれば、今日フィリピンはある程度インフレーションになって困っておる、物価が騰貴しておる、これが緩和できるだろうということは、期せずして大衆は非常に希望しておるところでありまして、今日はそういう空気になってきておるわけでございまして、どうしてもこの賠償協定を早く結んで、両国の間の国交関係を正常化してもらいたいということは、フィリピン人が心から希望しておった、こういう状態になってきておるわけであります。そういうわけでございますから、先方におきましても、この協定は、先方国会は五月の十七日に終ることになっておりますが、日本の方でこの国会承認を得られれば、即刻大統領国会を開いて、これを承認しよう、こういうことに非公式に話ができておるようなわけでありまして、私は日本に帰りまして、できるだけすみやかに万難を排しても、どんな説明でもするから、国会承認を得ることに努力したい、ということを約束して帰ったようなわけであります。どうかこの意味におきまして、十分慎重に御検討願いまして、そうして今国会を通過するようにお願い申し上げたいと存じます。  以上、私は御報告申し上げまして、私のお願いを申し上げる次第であります。
  8. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 本件に関しまする質疑は次回に譲ることにいたします。     —————————————
  9. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 次に、農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件、及び、千九百五十五年五月三十一日に東京で署名された農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定第三条を改正する議定書締結について承認を求めるの件、以上両件を一括して議題といたします。本件に関し御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。     —————————————
  10. 羽生三七

    羽生三七君 この農産物に関する協定質問に入る前に、ごく簡単ですが、一点外務大臣にお尋ねしたいことがあります。  それは昨日太平洋上において、強力な水爆実験アメリカによって行われたことは御承知通りであります。この水爆実験につきましては、衆参両院の本会議において、それぞれ実験禁止を要望する決議を行なっておりますが、当参議院においてもその決議を行い、なかんずく、この参議院外務委員会が、この問題には大きな関心をもってあの決議の実現に至るような努力をしたことも周知の通りであります。そういう日本議会水爆実験に関して、これを中止してもらうという要望を重ねて行なったにもかかわらず、昨日の実験はまれに見る大規模なものであり、場合によってはどういう影響が起るかもはかり知れないものがあるようでありますが、外務大臣は重ねてアメリカ日本議会の意思を表明することによって、実験禁止をさらに強力に要望すべきであると思いますが、御見解を承わりたいということが一点で、いま一つは、昨日のニュースにして間違いがなければ、あの水爆原子弾頭にも付け得るものであるということをニュースで伝えております。そうなってきますというと、この日本における防衛概念自衛力というようなものと非常に異なった形で、もしアメリカから日本原子兵器持ち込みというようなことが起った場合に、従来の自衛というような観念と非常に異なった観念で考えなければならないような事態に立ち至ってきておると思うのでありますが、外務大臣はどういうふうにお考えになるのか。とにかくいずれにしても私は非常に大きな問題であると思いますので、農産物協定質問に入る前に、まずこの点につい外務大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  11. 須藤五郎

    須藤五郎君 関連して私も外務大臣お答えの前に一、二お伺いしておきたいと思います。この前私も確かにアメリカからの回答に対する外務省見解をお尋ねしました。アメリカはビキニの実験日本被害を与えないものと確信するという回答をよこしております。それに対して外務大臣政府見解を質しましたとき、外務大臣は、ただいま被害があるかないか外務省において調査中だ、こういうお答えでありましたので、それからもう一月以上になりますので、外務省研究の結果をここで発表していただきたい。
  12. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 第一点は、原水爆実験禁止に関連をする外交交渉がどうなっておるかということにお二方の御質問は集約することができると思います。衆参両院に戸、原水爆実験禁止に関する決議がなされました。もっともその前から日本政府といたしましては、原水爆の使用はもちろんその実験をもすべきじゃない、人道上の見地からそういう考え方を持っておって、そういう考え方のもとに交渉を進めてきておったのでありますが、衆参両院決議がありましたから、さらにその趣旨を明確に、かつ強力に関係国に申し入れましたことは御報告いたしておきました通りであります。その申し入れば、原水爆実験をやる国々に対してやりました。ソ連、米、英であります。それに関して米国よりは回答があった。その回答は発表された通りでございました。英国回答も発表されたと思います。ソ連回答は口頭をもって参ったのでございます。しかしソ連の態度は、すでにソ連において発表しましたから、それによって知ることができておるわけであります。しかしその回答は、まだ原水爆実験をやめるという目的は達しなかったわけであることは御承知通りであります。たびたび御説明申した通りに、原水爆禁止を今することが国際法としてまだ今日確立をしておらんから、国際法としてこれが確立するようにしむけるということは、非常に大きなねらいでなければならん。こういうことを申し上げておきました。従いましてこれらの意向日本側各国に対する要請文書を、そのまま国際連合に対しても通報して、国際連合において国際的にこれを取り上げてもらいたいという意向を表示したのでございます。さようなことで漸次空気は動いてきておると、こう信じております。さらにまた米国回答英国回答が全部満足なものではございませんでした。そしてわが方の考え方研究の結果もこれに必ずしも一致するものではございませんでした。そうでありますから、その後に至りまして、わが方の立場をさらに詳細に申し入れることが適当であると考えまして、詳細にわが方の考え方を記述しまして、これらの国の回答の駁論と申しましょうか、駁論的の回答を出して、それと同時にこちらの立場をはっきりと記載しておいたのでございます。それにもかかわらず原水爆実験を中止するとまでは今回はいかなかったのでございます。これはまだわが要求が貫徹しないわけで、今後一そう努力をしなければならんと考えております。わが方の立場が、最近送りましたわが方の文書によってはっきりといたしておると思います。いずれ適当の機会先方ともこれを打ち合せる必要があると思いますが、適当な機会にこれらの文書を発表して御批判を仰ぎたいと思っております。
  13. 羽生三七

    羽生三七君 第二点ですね、原水爆原子弾頭にもつけ得るのだということがはっきりしているのですよ。そういうものだから、原子砲日本に持ち込んでくる場合には、非常に重大な問題になると思うのですが、自衛概念からして検討されたいと思うのです。
  14. 重光葵

    国務大臣重光葵君) ええ。それはまだ防衛庁においてどこまで研究が進んでおるか、実はまだその点を承知をいたしておりません。もちろん研究していることだと思います。それが普通の自衛上の兵器であるかどうかということの研究ができましたならば、それによって判断をいたしたいと、どう考えております。
  15. 須藤五郎

    須藤五郎君 僕の質問に対する回答が少しもされていない。外務省は、今度の実験日本被害を与えないというアメリカ回答に対して、研究中だという、その研究はもうすでにできているでしょう。
  16. 重光葵

    国務大臣重光葵君) それに私は答えたつもりですが。
  17. 須藤五郎

    須藤五郎君 言われてない。
  18. 重光葵

    国務大臣重光葵君) それに対してわが方の研究は、今申し上げた駁論的、反駁的回答に申し述べました。そうして向うの反省を促すことにいたしておきました。その発表は将来適当なときに発表いたすことにいたします。
  19. 須藤五郎

    須藤五郎君 被害があるかないかということを僕は尋ねているのです。アメリカ被害がないという回答をよこしたから、それでは被害がないのかと言ったら、外務省研究中だ。だからここで被害がないという結論に達したのか、あるという結論に達したのか答えなくちゃいけない。それでなくちゃ僕に対する答えにならない。重大な問題だから、あなたはこの前僕の質問に対してごまかしているのだ。もう一カ月もたっているのだから、ごまかしがきかないからはっきり答えなさい。
  20. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 御質問被害があるかないかという点、わが方は被害がないとは限らないから、それに対する処置は考えておいてもらいたい、こういうことを言ったのであります。
  21. 羽生三七

    羽生三七君 私は大臣のただいまのお答えの、公海上のそういう実験禁止し得る根拠が国際法上あるかどうかというような、そういうことはもう言っておる段階ではないと思うのです。人類を破滅に導くような明らかな大規模水爆時代において、しかもそれが日本に近い太平洋上において行われて、まだ国際法上の解釈を云々しておるような段階ではないと私は思う。だから衆参両院がそれぞれ決議をしておるから、重ねてアメリカに警告を発する御用意があるかどうかということが一点と、それからあとの問題は、防衛庁研究しておるとかいないとか、そんな問題じゃないと思う。研究するまでもありません。こんなものを持ち込まれたら、そんなものはもう自衛法概念防衛概念もありゃしない。それこそお互いが傷つき倒れることになるのですから、そういう持ち込みについては好ましくないということをはっきり意思表示すべきであるし、これはもう御研究余地はないと思う。法律上の解釈はどうあろうとも、日本の国民を代表する政府としてはこういうふうに考える、というその御見解をはっきり承わればそれでよろしい。
  22. 重光葵

    国務大臣重光葵君) お答えします。第一点の御意見でございますが、そういう御意見に私も共鳴しておればこそ、この問題は両院決議趣旨を十分実現しなければならんと思って、各国別に、もしくは国際的に努力をいたしておるわけであります。米国その他の国の回答に対しては、さらに反駁したということは先ほどお話しした通りであります。これも適当な時期に発表して御批判を仰ぎたいというところまで私は言っておるのであります。それに対してまた向うから何か言ってくるかもしれない。それならばそれに応じてまたやります。すでにその御注文の点は処置済みだと私どもは考えておるのであります。しかしそれに尽きたことはございません。必要があればまたやります。  原子弾頭の問題でありますが、それが自衛の武器であるかないかということは、これは私は専門家研究をさせる必要があると思います。それは一つ意見は、そういうものは一切いけないのだ、こういう御意見は私は承わっておきたいと思います。
  23. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) この問題はその程度にしておいて下さい。     —————————————
  24. 羽生三七

    羽生三七君 じゃこの問題はこの程度にして、農産物に関する協定質問に入りたいと思いますが、私はごく簡単に一点お伺いして、あとは他の委員の御質問があるようでありますからそれが済みましてから入りたいと思いますが、それは先日来二、三回にわたってこの協定を審議する際に問題になったことでありますが、これは主として高碕長官大蔵大臣にお伺いしたいと思いまするが、それはこういう農産物協定をやる趣旨がどこにあるか。もしそれが食糧の足りないという点でというならば、普通の商業ベース取引をやればよろしい。それから長期にわたる借款で何か経済的利益があるというならば、これはあとから津島委員あたりからお尋ねがあると思いますけれども、そういう場合には、私はむしろ今日本が持っておる手持ちのドルを有効に活用した方がいいと思う。ドルがないわけではない。日本経済の全体からいって、必ずしもあり余っておるというほどの保有ではないけれども、とにかく現在ある程度活用できるだけの余地はあると思うのです。そういう面から見てもおかしいし、それから農産物の点からいえば、あえてこういう協定を結ばなくても、他に一般的な食糧計画の一環として普通の商業取引で買える余地があるのに、どうしてこういう協定をしなければならないのかという、その根本的な問題について、これは外務大臣の御見解は承わりましたから高碕長官から一つ見解を承わりたいと思います。
  25. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 日本食糧は絶対に不足しておるということは事実でありまして、それなら普通ベースで買えばいいじゃないか、こういう御意見もその通りでございますが、同じ買うならばその支払い条件の楽な方法をもって買った方が便宜でなかろうか、こういうことも考えられるのであります。その意味から申しまして、余剰農産物を買ったのでありますが、ところがしからば金は今、日本外貨が十分あるからそんなことをせずにその外貨を使えばいいじゃないか、この御意見もごもっともであります。今日日本外貨事情は非常に好転しているのは御同慶にたえない次第でありますが、これとても日本輸出がほんとうにはっきり将来間違いなくこれだけできるかということになれば、私はまだまだ疑問があると思うのでございます。昨年の輸出が非常に好調であったというのは、一つ外国事情がよかったということも大きな理由になっておりまして、これは外国事情によって左右されるという、こういうあさはかな一つの原因が根底をなしております。こういうわけでありまして、その上にまだなおかつ今日日本外貨事情を好転するためには、あの特需外貨の所有というものがあるわけでございます。これは五億ドルあるわけでございます。これも依存するわけにはいかない。こういう点を考えますと、今日の外貨事情は永久的にこういうふうにもつていけるかということは相当疑問があるわけであります。そういうことから考えまして、支払い条件の楽な、そして場合によれば円で支払ってもいいという、こういうものをとった方が国のために利益だと考える次第でありますも
  26. 羽生三七

    羽生三七君 日本外貨事情が、貿易事情が一変すればすぐ非常な強い影響を受けるような性質のものであるということはよく知っております。それから特需による貿易外の受取り勘定で支えられておる経済であるということもよくわかっております。しかし将来日本経済が悪くなったらそのときに処置したらいいことで、今何でもこの協定によって無理やりに将来を予測しながら、こういう取りきめをやらなければならないという事情は何にもないのです。それから今の長官の御説明では根拠は非常に薄弱だと思うのです。いかがでありますか。
  27. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私が若干補足します。これはこういうふうに初めのスタートからお考えになった方がいいかと思うのでありますが、この話は、そもそも出ました当時は国際収支も御承知のように悪かった。当時の資本蓄積もよくなかった。食糧の輸入も非常に多かった。こういう事態のときにこの根本といいますか初めの話は出たのであります。これは私はその当時としてまことに適切なお考えであったろうと思いますが、しかしその後御承知のようにこれら諸条件が非常に日本に有利といいますか、資金の運営状況もよくなっているし、それから国際収支もよくなっている。従いまして今後これに慎重な態度でやらなければならぬということは私は言えると思います。がしかし今の状況では、それだからといってすぐやめてしまった方がいいともいいがたい。今日日本食糧事情は輸入が非常に大きな部分を占めておる。輸入はやはり必要な食糧の輸入になっておる。その必要なものを入れる。しかしこの輸入する場合の要件がほかのものに比してより有利であれば、私はもう今すぐ打ち切ることもなかろう、かように考えております。
  28. 津島壽一

    津島壽一君 私は主として大蔵大臣に御質問申し上げたいのです。ただいまの羽生さんの質疑応答を拝聴しながら、もう一ぺん念を押しておきたいと思います。  この協定利益は端的にいえば、必要とする食糧の輸入に対する資金をアメリカからまかなってもらう、長期で低利でこれが償還できる、こういったような為替関係一つある。第二には、この取引によって生ずる積み立てた円をもって、国内の産業開発の資金に利用できる、こういう対内的の利益もある。もう一つは、それは前回の委員会であったと思いますが、学校給食等に関しての贈与を受けるという利益を行なっておる。大体この三点にしぼるべきだと思う。  そこでまず国際収支の関係の御質問がありましたから、それに関連して大蔵大臣に御答弁を願いたい。私のこれから質問することは多少私の意見めいたことを交えるかもしれません。しかしそれは私の最終的な意見ではないのでありまして、質問趣旨をなるべく明確に理解を願い、また御答弁が要点に触れるようにという期待で、意見にわたるようなことを申し述べますが、これは最終的な意見でないということをあらかじめ御了解を願っておきたいと思います。  私は基本的に外資導入がいいか悪いかといえば、日本経済事情は外資導入ということはまだ必要な段階である。この基本的な考え方は捨てておりません。がアメリカ政府日本政府との借款契約ということになると、これは通常の経済取引じゃないわけです。政府間の借款契約で、これはよほど慎重にやるべきことであるということが言ってあるわけであります。この問題についてはあまり深くこの場合申し上げませんが、国際収支の関係がただいま高碕長官大蔵大臣も御同様でありますが、今日の状態はよほど改善されておるが、また将来長き見通しを考えるとそう楽観はできないから、食糧の輸入等についてもできるならば外貨を使わないでやろう、まあそれの方法としてこの制度を一つ考えられる、こういうお話、これはごもっともだと思います。ただ食糧品というものはその年にみな国民が食ってしまうもので、これが建設資材であるとかそれによって生産が直接増加するというようなものでない。産業経済の発展という直接の仕事、もちろん食糧は絶対なものでありますが、借款の内容としては建設資材の輸入であるとか、そういったような意味における海外の借款は、これは私は非常に条件いかんによって希望すべきものだと思う。とにかくその年々の国民の食べる食糧品を、四十年の間にわたっての借金で逐次後代の負担において、現在の国民がこれを食べていくという、この政府間の借款というものには非常な考慮を要するのじゃないかということがある。もっともそれは現在の人が食べてこの食糧の対価というものを円で積み立てるから、この金は現在の人が払ったということが言い得るでしょうが、しかしまあできることならばこういった借款は、なるべく避けるべき性質のものじゃないかという感じがするわけです。しかし現在の国際収支の状況からいって、これだけの外貨節約、約六千何百万ドル外貨節約ということは相当大きなものでありましょうが、ただいま大蔵大臣が言われたように、この話が出た当時には外貨事情、国際収支の状況はよくなかったのだから、まあ背に腹はかえなくてもこういうもので外貨を補充する、為替の状態を良化するという考え方は、これは先ほど言ったような考え方があったとしても了承できる点だと思うのであります。ところがこれはもう御承知のように、今日の国際収支は私は戦前にもなかったと思うのです。海外にあった外貨というものは三億ドル強が大きかったわけです、一次戦争直後は別でございますが。その後一億ドルになり六千万ドルにもなった時代があったのです。しかし通常の輸出をもって、また貿易外の収入をもって、あくまでこの難局を切り抜けるのだという基本方針に国民が沿うてきたわけです。で、今日のような外貨事情、国際収支の状況において、将来長期で払える借款は借りておけということは、国際収支の実相を国民に知らすのに非常に私はまずいと思うのです。でありますから、最近の各経済界におけるいろいろな議論、また経済記事等に現われるものは、日本は非常によくなったというような感じが出ている。インフレ的の考え方もその中から芽を出すということにもなるので、どうしても絶対必要な食糧品というものは、今なけなしの金でも出して、国民に国際収支の実相を示して反省を促して、輸出の増加、貿易外の収支というものを改善するように、政府は国民を指導していくのが、政策としてはいいんじゃないかということを考えておるのです。わずか五千万ドルか六千万ドル外貨を長期に借りて、四十年かに払うということで、今の食物を補給してやっていって、そして外貨収支は幾らになったかというと、これは外貨を払わんでこれだけのものが得られるのでありますから、それだけ数字的にはまあ当面はよくなっておるが、これは全部借金としてあとで払うわけであって、国際収支が実態的にはよくなっていないということなんです。借金でそれだけの外貨を補充したと同じことでありまするから。でありまするから私は今日の政府の方針としては、あくまでも国際収支というものは改善していない、という実相を示す方に努力をしていくべきであって、個々の措置もそれに沿うたように考えていくべきが、私は政策の本来じゃないかと思うのです。で、今日まで戦前においてたびたびこういう外資の導入をやったわけです。それはよかったかというと、国民がそれをよく受け入れて正当に理解しないで、真相が通じないで安易な考え方になりがちなんです。でありますら為替管理法の適用なんかというのはずっと長年おくれて、昭和の初めに初めて一部の外資導入に対する制限というような法律ができたくらいで、十年あまりというものは国際収支の真相というものが国民に納得いかなかったわけです。そういった意味において今また、戦前のような安易な考えになってはこれは将来がどうかということを私は憂慮するという点からいって、年々の食糧品くらいはなけなしの金を使っても買って、そして輸出の促進という方面にもっと拍車をかけるという、国民に反省を起すのが大きな政策じゃなかろうか。これは大局的の方面から言っておるわけです。ことにこの話が出た当時の状況は、二十九年であったと思いますが、国際収支は非常に悪い、赤字を予想したものである。でありまするから、外貨予算というものについては非常な圧迫を加えてあれだけの犠牲を一般に負わしたわけですが、今日は非常に外貨予算がゆとりが出てきている。そういう上にこういうものを節約していこうということであるから、どうしても国民の精神的の反省というか、緊張味というものが欠けるおそれがあるということは、ある意味において大きなマイナスである。でありますから、この協定というものはこれだけの利益がある、低利で長期の借款が得られるということは利益には違いないのですが、これは当面の経済的の利益であって、国民思想なり精神的な面においては、私は政府としては考えなくちゃならぬのじゃないかというような一応の見解を持つのです。  それが第一点で、それに関連しての話でありまするが、政府の公債政策の関連がどうなるかという問題も考慮の余地があると思う。大体この借款協定は円に積み立てた金をもって、ここに書いてありますように、電源開発会社であるとか、生産性本部の必要な資金であるとか、あるいは愛知用水の資金であるとかいうような産業的の資金に供給する、その資金をこれによって間接に得ようという建前になっておる。しかし端的にいえば食糧そのものを食べた者はみな円資金を払うわけですから、だから外貨を払ったような格好になっておる。食糧消費者に対してこれだけの金を貸すという制度ではないわけですね。でありますから、この借款協定というものは、産業資金を獲得する一つの方便であると見ていいだろう。もしこの借款ができなければ愛知用水の資金はないわけですから。が、日本国民の食糧品の代価を払う消費力というか、資金はあるわけです。でありますから、回り回って見ますれば、これは産業資金をアメリカの資力、物にかえた金によって供給する方便としてやったということははっきりしているわけです。そこで産業資金についても、今日は、政府の財政政策は公債の発行はいかん、国家資金に関する限りは。そういう建前で予算が編成されているわけです。ところが、これはアメリカから借りて、将来ドルで払う六千五百万ドル、このうちの七割五分というものがほんとうの借款でありましょう、その約五千万ドルという金を借りて愛知用水その他の資金供給を国家の手でやる。これはおそらく融資特別会計の中に入る金ですから、国家の会計に入るわけです。それを出そう、こういうわけです。ここにおいて、内債においては産業資金は政府は発行しない、公債不公募主義です。外債においては公債を発行してもいいということが基本になって、こういう協定ができたのであろうかという問題なんです。外債に関する限りはこれは非募債主義じゃない、借金して産業資金に当てる。内債を起して国民の貯蓄によった資金によるやつは、これは通貨関係に大きな影響があるから、非募債主義であるからやれんというふうな考えがここにあって、つまりもう一度言えば、借金政策はいいのだ、外債は発行してもいいのだ、従ってこれを四十年で払う国家の負債というものは、外債です、債務ですね、これはやっていいのだ。そういう基本的の観念がこの中にあってやっているのであるかという問題があるわけです。その点を一つ、そうじゃないという御説明があれば承りたい。もしこれがいいとなれば、内地において産業資金を、政府がいわゆる産業国債というか、公債というか、それでやることがなぜ悪いかというところにどういつたけじめを作るか。今日はいわゆる拡大均衡という、拡大経済という名前において政府はもっと公債を発行したらいい。それが産業の目的のためなら何にも通貨の面に影響はないじゃないか。生産が増加するならば物価も上ることはないじゃないか。こういう議論も相当あるわけです。それを政府がいけない、政府のみならず与党もそういう観念で押し通してきているわけですが、それが外債に関する限りは例外であるということになるのであるかということが私の第二の疑問です。  これに関連してもう一つ。それならば外債によって産業資金を獲得して、産業資金を日本銀行から放出するということの日本の通貨に及ぼす影響と、内債を発行し、あるいは日本銀行が引き受けたところの国債によって通貨を出して、そうして産業資金を供給する、いわゆる信用の創造、クリエーション、それとどういう違いがあるかということになってくる。この場合を見ますと、本来は食糧を輸入すれば、内地としては食糧代価として輸入資金が要るから、これは輸出入銀行を通じて日本銀行へ吸収し、それが落ちるという恰好になって資金吸収になる、通貨の吸収になる、輸入すれば。輸出があれば外国が買い取った資金を日本内地で放出するから国内資金の増加になる。これが普通の経路であるわけです。ところが今回の場合は、別途大麦その他の物を売ってこの資金というものを円資金として積み立てるから、信用になるから、資金吸収の目的は達している。そこで、そのままならばいい、これは産業資金として、これを日本銀行の勘定にある円積立資金から放出するわけでありますから、輸入で吸収さるべき資金が産業資金のためにここに出る。どうして出るかというと、外債が発行されて、日本銀行に信用が創造されるということにあるわけであります。そこで通貨関係からいえば、外債によって通貨の収縮というものが起るものを、起らないように産業資金を放出するということになるわけでありますね。それで外債でなく内地の場合、かりに日本銀行が公債を引き受けて信用を創造する、これは外債にかわるものとして日本政府の国債を利用して、それだけの資金が出るのであるが、食糧輸入によって資金が日銀に入るが、同時に産業資金として日本銀行から放出されるから、とんとんになる。であるから通貨に及ぼす影響の点からいえば、本協定による産業資金の供給も、内債発行による資金の放出も変らない。国民の負担からいえば外債においては低利であるという利益はある。内債発行であるならばもっと高い利子になるであろうというところにおいて財政上の負担は違うだろうけれども、通貨問題としては同様のオペレーションとなる。もしそれが例となり、通貨関係に及ぼす影響は同じであるとするならば、内債を発行し、日本銀行が引き受けてやってもいいのじゃないか、産業資金の借款が大事じゃないかという議論が出てくる。その主な理由が産業資金の供給を潤沢にすると言うことであり、低利ということは別、長期ということは別にして、ここに産業資金に関する限りにおいても同様のオペレーションをすれば利率は高くなるかわからぬが、通貨に及ぼす影響、物価に及ぼす影響も変りがないというように一見思われるわけであります。そういった点において通貨問題に及ぼす影響はどうであるかということについて考慮をめぐらされておるか。その考え方いかんによって内債発行可なりという議論を生ずる可能性があるとも考えられるので、大蔵大臣のこの点に関する御所見なり、また御答弁を伺っておきたいと思います。  で、基本的の問題はそういう問題でありまするが、この協定の内容についていささか疑問の点をお伺いしたい。それは主として第五条の関係、これが借款契約になっておる。第五条にその償還その他の条件を書いておる。まず第一にこの支払い方法に基本的な問題はありまするが、それはあとにしまして、まず簡単なことからお伺いしたい。この借款ドル借款にしようという規定になっておるのじゃないかと思います。なぜドル借款にする必要があるかということが疑問であります。アメリカ余剰農産物の処理援助法には、これを買いとる当該国の通貨によって支払うと、こう書いてあるのです、この代価は。端的に言えば円で払えばいいということになっておる。また大統領も実際においては円で払う、というような協定を結ぶ権限を与えられておると百一条に書いてある。であるから円借款をすればいいわけだ、支払い方法としてこれをドルで払うか、ポンドで払うか、ペソで払うかということは償還の条件である。元の債務は円建の債務であるべきだ、これはアメリカの法律に書いてある。であるからすなおにそう書いていいわけである。しかるに第五条の第一項においては、どうも持って回って、日本銀行を通じてアメリカドルに交換し、そのドルをまた日本にもらって、ドル借款に変形しようとするわけです。そうするとこの借款協定は、大統領農産物処理法に基く円建借款と別途の借款をここに規定しようということになるわけであります。これが誤まったらこの解釈をお伺いしたい。  なぜそういうドル借款にする必要があるかというと、やっぱりこれは、ドル貨で払うようにしておかぬと、ドルクローズをつけるということになってうるさい。これは内地のブロック円というものがまたドル払いになるといかぬから、これはドル借款で、ドルで払うようにしようという一つの方式を考えられたと思うが、私は読んでも非常にわからぬ規定である。そこで端的にこれは円債務であるけれども、ドルでお払いいたします。また日本の選択によっていつでも円でも払います。その円の価格というものについての協定は、これと同様な意味を持つ規定があればいいので特殊のものでなくていい。円の下落した場合には元の値で支払うという一定のフォーミュラがあるわけです。であるから、なぜドル借款を特に結ぶか、不必要なる、煩瑣なる、理解のしにくいものであり、またアメリカ側から言えばこれは援助法の規定違反だとなぜ言わないかということが非常に疑問となるのです。日本の外債、過去においてたくさんあります。原契約においてドルと書きポンドと書きあるいはフランと書いても、支払い通貨、償還に使用する通貨というものは円でこの場合もある、スイス・フランで払う場合もある。ポンド発行の外債がドルで払ってもいいと書いたものもあるのです。この協定においてもただ支払い、償還の通貨は何にするかということを書けばこれはドル借款にする必要はない、円借款、ただしこれは、ドルで払いますといって書けば、円借款でも償還はドルということになる。しかるにこういうふうに持って回わった条項を書くことは、これはかえってわれわれにはっきりわからぬものができてくる。国民の負担には何ら関係ないことですから円建ての借款を、ドルで払い、また日本は自由に円でも払います、どちらでもいい、そのオプションをとるということを書けばいいのであります。日本輸出入銀行に渡すべき約束手形の文面というものははっきりしている。これはドルでも払います、しかしまた円でも払いますと、日本の単独のオプションでやると端的に書いてある。日本銀行をこの手続の中に入れてドルに交換させるとか何とかいうことは、これは何のためにやるのかどうも読んでわかりかねる。この点はもっと言えば理解ができるかと思うのですが、私の質問趣旨が。どうしてこういうような協定をお作りになったか。原借款の表示通貨は何でもいい、たとえばフィリピンのペソを何ぼ借りた、払うのはドルでやりますと言っても借款契約としては成り立つことは、過去の日本の外債にたくさんの例がある。ドル借款にしないと、ドルで払われないということを考えるのはとんでもないことでありますが、一体どうなんでございましょうか、支払う通貨は、ドルで払う場合は三分の利子が当てはまるからドルで払うようにした方がいい、それだからと言って円借款ドル建てにするということは何らの必要ないことと思いますが、これは絶対必要なことでありますかどうか、お聞きしたい。  第二はこの五条に関して、この借款協定といいますか、これは借款協定とわれわれは思うのでありますが、この協定は四十年の長期契約です。そうして第一回の元金償還は千九百六十年、四年後に始まるわけです。それで三十六年間に払おうと、こういうことになっております。が、そのうちに一つ重大な借款の基本的条件として欠けておるものは、四十年間のうち日本は資金に多くの余裕があったときには、三分の利子を払わないで早く全額の、繰り上げ償還できる、もし来年の景気が非常によくて、ドルがたくさん余ればこういう金利を払わなくてすぐ返してもいいとすべきです。今日の日本の保有、ドルというものが何分の利率でもって運用されておるか、十何億ドル、よくなれば二十億ドルにもなる。これがかりに無利子のものもあり、三分のものもあり二分になるものもありましょう。一方、この借款というものは四十年間に支払い、三分の利子をどうしても払わなければならないというふうに解釈できるとすれば、日本の権利をここで拘束されることになる。もともと借款には一定の年賦償還の期限、たとえば三十年、四十年とございますが、その借款契約にはたいてい、いつでも債務者の選択によって全部または一部の繰り上げ償還、満期前の繰り上げ償還ということがある。これで利払いの免除が行われるのですから、そういう、これは特に借款の基本的条件です。これがどうしてここに書いてないかということが非常に私はおかしいと思う。ただこういう規定がないものは一九二八年の東拓外債である、この外債はノン・コーラブルとなっておる。期限前償還ができないことになっておる。先方は期限前償還の規定をどうしても認めてくれなかった、日本は金の余裕があったらすぐ返します。五分半の利子は負担が重いからと言ったが、相手方の銀行国は、いやこれは三十年間この利子をとって償還を受ける最後までとっておる、確実有利な投資とするのであるからというのでノン・コーラブル・ポンドになっておる、これはいかにも残念だった、実は私がやったからよく知っている。先方はたとえば十年後にぱっと全部払われたら保険会社等は利回り採算ができないから、繰り上げ償還ができないようにしてくれというので議論したのです。この借款の場合あるいは別の契約によって繰り上げ償還のことを定めてありますか、この繰り上げ償還の規定はどうしてもつけておきたいのです、あるいは話合いによってそういうことをやってもいいのだというのでしょうか。しかし、いやしくもこの基本条件をこの協定の中に書かぬということは、これは非常に大きな協定の欠陥であるという考えを持つわけなんですが、一体どうなっておるのですか、これも事実を私はお伺いいたしたいと思うのです。これは今の第五条の一の関係であります。  第三は、その一の(6)というところがある問題です。これは「借款のその他の細目及び手続並びに借款の変更は、日本国政府アメリカ合衆国政府又はその機関たるワシントン輸出入銀行との間で相互に合意する」とある。そこで借款の細目を協定に入れるということは困難であるから、細目及び手続といったものを双方の合意できあろうとする規定は、当然のことだと思うのですが、どうも翻訳が悪いのか、借款の変更を双方の合意でできるという、この借款の変更というのはどういう意味であるか。借款の基本的要件を変更することを、手続と同様に国会承認を経ないで両国政府間で随意に合意できめたのでは、この委員会で幾ら協議しても、承認しても、あとで期限を三十年に変更するとか、利子は幾分に変更するのだということになりますと、これは基本的の条件が変るわけです。この翻訳が悪いのか、英文を読みましたが、借款モディフィケーションと書いてあって、そういうことを一般に細目をきめるということと相待って変更してもいいのだ、というところまで規定をするということは、これは国会承認というものは、承認しても、あした条件が変更したのだと言われたら、どうも困ることになる。であるから基本的の条項に関しては、もし変更が生じたならば、さらに国会承認を得るべき手続をとるのであるか、それともこれは翻訳が聞違いであって、微細な点であって、細目の変更手続の変更ということと同様と考えるということであるか、これは翻訳の誤りであるか。または実態について将来の変更は国会承認を経ないでやられるという解釈をおとりになるのか、この点を一つはっきりと……。どうも読みまして重大なことじゃないかという感じがいたすわけであります。  だいぶたくさん言いましたから一応ここらで区切って、要は国際収支に対する国民の何というか、協力を得るため実相をここに赤裸々に出して、そして一そうの奮発をやるという基本的な方針というものが、こういうものであいまいにされるおそれがありはせぬかということが非常に懸念される。  それからもう一つは、この借款は産業資金の調達の一つのやり方であり、悪いとは申しませんが、この外債は政府公債である。それの理論からいえば内債を起してもいいんじゃないか。通貨関係で両者がどこが違うかという質問に対してどうお考えになりますか。また第五条の規定においては、なぜこういうドル借款を作ったか、それは必要ないじゃないか、輸出入銀行に渡す約束手形そのものの文句をここに書いておけばそれで足りたものじゃなかろうか。もしあの書いた文句がこれと違うならば、こういった約束手形というものは出せないものであるということになるから、この五条の第一項というものはどう考えるか。またこの五条第一項に関連して繰り上げ償還の規定をどうして盛り込まなかったか。またこの(6)による借款の変更というのはどういう意味であるか、これが主な点ですから、どうぞ教えを請いたいと思います。
  29. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) まず第一点の外国に借金をすることに関する原則論、これは私、津島委員と全く意見を同じくいたしておると思います。特に今日のやすきを求めて特に外国に対する将来の負担を残す、国民負担を将来残してゆくということは、これは厳に慎しまなくてはなりません。ただ余剰農産物のこの点に関しまして、先ほどからこれは特にそういう物資であるから考えようじゃないか、私もその点においては異議ありません。ただこれは私どもが今日認めているゆえんは、今日日本食糧事情が御承知のように非常に輸入を必要といたしまして、どうしても必要な輸入量はどっかから確保しなければならない。それが第一点でありまして、この必要な輸入量の範囲内においてこの余剰農産物も輸入を考える。それからまあそれはそれでわかるが、それなら国際収支がいいからむしろきっちり現金払いをして、今日消費するものは今日現金で払って、そうしてはっきりして、国の経済を立ててゆくべきではないかという御意見も私原則としては別に異議はないのであります。ないのでありますが、まだそういうふうに割り切ってしまってゆくのには、時期的にどうするかという見解の相違はあり得る。これは御承知のように国際収支につきまして日本経済自体から楽観は必ずしもなお許しがたいという事情がありますが、一そう今後において、ほんとうに賠償も、すべての対外債務の支払いというようなものも今から起ってくる。これは大いにそうであるが、他面国家間の親善を増進して貿易を増すんだ、こういう行き方。これはむろんそう行くべきでありまして努力をいたしておるのでありますが、しかしそれは必ずしもそう行くか。まあ大体において賠償を払う国が後進国であります。そうしますとなかなか後進国の経済力というものは限界があるので、購買力がそれほどないとすると、ともするとやはりまず賠償からもらって、まあその辺で行こう、こういうような形になりがちで、ともするとやはり私は正常な日本輸出に食い込むおそれがあるかもしれぬ、というやはり注意を持っていていいであろうという考え方でありまして、そういうような見通しも若干今後に待たねばなりません。なおまた民間で資本蓄積が十分できておるじゃないか。これも私は想像できることで喜んでおるのでありまするが、しかし農業の開発等にはこれは非常に困る。なるべく低利な長期の資金を回さなくてはならぬ関係もあります。そこまで今、日本の資金関係が十分に成長しておるとも言いかねる点があるのであります。なおこれは今後の努力に待たなくちゃなりません。こういういろいろな点を総合的に考えてみました場合に、私は原則論といたしまして全く同感であるのでありますが、実際のやり方、経緯といたしましては私は今後慎重にかまえてゆくというところくらいに、これはまあ意見の相違もありましょうが、今これを余剰農産物なんかはどうでもいいというところまでは来ていない、かように考えておるわけであります。  なおこういう措置による通貨関係に及ぼす影響、これを内国債の発行と外債の発行とに関連しての御質疑であります。私は若干これについては異なった見解を持っておりまして、むろんこの余剰農産物の受け入れにこういうふうな方式をとったことについて、何もこれを引き継ぐものとして将来の公債発行を考えてはおりません。これは公債発行というようなことはまた別個に考える必要があるとすれば考えてゆくことでありまして、私は今そういうことは考えておりませんが、まあ公債発行をした場合の通貨に及ぼす関係ですが、これは余剰農産物の場合におきましても、円資金というものは国民の所得の中から、いわゆる麦や他の代金として国民所得から政府に集まってくる。こういう意味においては蓄積資金の利用で、公債発行する場合は政府が公債発行し、民間の資金を吸収していく、この点は御承知のようにまあ似ている、私はそう相違はないだろうと思うのでありますが、こまかく言えば、これも若干の相違はあるだろうと思いますが、大体として似ている。しかしこの場合においては、農産物を必要な輸入量の限界においてこれを輸入しているのでありまするから、もしもこれがないとすれば、どうしてもどこかからドルなりポンドを使って輸入してこなければならぬ。言いかえるとこの方によるとポンドかドルの清算ができる。現金がそれだけたまっている。この外貨で物をさらに輸入する力がある。そこでインフレに対する力はよりこれは強い。この方がいいのだ、こういうふうに私は考えるのです。  それから外債の場合も同じようなこと。外債の場合においては私の考えは、これは特殊なまた通貨を吸収する、とれば別でありまするが、外債を募ってそして日本銀行でこれをあるいは外為会計にいって円資金をここに作る、こういうふうになる。かりに国内通貨との関係で考えればそういうことになると思うのですが、そうした場合はこれは私はやはりそれだけ国内通貨を引き揚げるこれは力を持っておりまして、それだけでは、ただ日本銀行から出る円資金に対応して外貨があるから、それで物を輸入すれば大体日本銀行から出る通貨とその輸入する物とが見合うのじゃないか。そういうふうなことは言えるのでありまするが、しかしその場合には先ほど言った国民から引き揚げるというところが、またやはり欠けている。内債の場合はやはり外債がここでプラスしていない。それから外債の場合は、円資金の吸収ということに別個の手段をまたとるというような必要があるのではないかというように思う。しかしこれは根本においてやはりその外債の場合は、私の考えでは国の通貨とは関係を直接には制限した方がいいのではないか。言いかえれば外国に借金までして外債をする場合は、外国に払う外貨が足らない、ないのだ。あるいは外国から物がどうしてもこれだけは必要で輸入しなくちゃならんが、その外貨がない。要するに決済のためにそのとき必要外貨を使う。その必要のために外債を募るというのが普遍ではなかろうか。日本の場合において円資金調達のために今後外債を募るという必要は、あるいはまたそういうことはやるべきでない、かような考えであるのであります。  それからその次の円建でありまするが、大体この余剰農産物については現地通貨によるということになっていることは御承知通りであります。それをまたドルに七五%かえているじゃないか。そんな必要はどこにある、こういうふうな御指摘だと思うのです。これも、ごもっともだと思いまするが、実はこれは円建としていけは、ドル借款をつけるようにという要請があったわけであります。ところがこの円の対外債務についてドル借款をつけてほしいということは、他の対外債務に要請が強いのであります。相当あるわけです。たとえばこれは戦前、戦時中においていろいろ対外債務は、どうもアメリカ政府とする円建の借金にドル借款をつけるので、まして民間のものには数億のドル借款をつけてほしい、こういうふうな、これは日本の非常に大きな負担になるわけであります。これは従来私どもはそういう必要はごうもない。日本の円というのは、日本経済はいい、これで十分やっていけるのだ、維持ができるのだ、そういうふうにしてまたそれをやっているわけであります。そういうふうな見地からドル借款をつけることは適当でない。それで実はこういうふうなドル建に直す、こういう形にして一応始末をつけた一わけでありまして、この点についてはアメリカも同意をしている。かような次第であります。  その次に繰り上げ償還でございますが、これはやることができるのでありまして、これは借款協定の方にそういうふうな規定があるわけであります。ドルで払う繰り上げ償還をする。従いまして今後の外貨ポジションの状態においては、これは私は繰り上げ償還も原則的にすることが適当である、有利である、かように考えております。  それからもう一つ、六番目の条約文自体について、借款の変更ということについての御質疑でありますが、これは条約文自体に関する事柄でありまするので、外務省の方から御答弁を願うことにいたしたいと思います。
  30. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 協定第五条1の(6)の借款の変更という字句につきまして、借款の変更が、日本政府アメリカ政府またはその機関たる輸出入銀行との間に相互に合意をして決定される、この協定自体が、国会承認を得て発効するものであるにもかかわらず、借款の条件の変更を政府限りでやることはおかしいのではないかという御質問でございましたが、実はこの五条の1の(6)の規定の趣旨は、ここに掲げられました借款の条件は不変のものではない、その場の情勢に応じて変更し得るものであるという余地を残すのが趣旨でございまして、従いまして、まあ支払い期日の変更のような小さなことは細目に属しますので政府間でやるのでございますが、利率の変更その他重要な基本的な条件の変更の際には、当然変更した取りきめにつきまして、あらためて国会の御承認を得なければならないと考えております。そこで第六条の規定をごらん願いますと、この協定の実施のための必要な細目取りきめは両政府間の合意でされる。第六条が実は政府間に対する授権の規定でございまして、従いまして第五条の方の借款の変更も、細目取りきめになりますと、六条の授権によりまして政府間でさしていただくわけでございますが、細目でない基本的な条件のものにつきましては、第六条の授権がきかないわけでございますので、あらためて条件変更の取りきめにつきまして国会の御承認を得ることになるわけでございます。
  31. 津島壽一

    津島壽一君 もう一つ。それでは今の御答弁の中でまた疑問にわたる点がありますが、それは省略いたします。  そこで繰り上げ償還は可能である、こういうことの御答弁です。なぜこの協定の中にお書きにならないか。それが御答弁がなかった。これは基本的の条件である。もし繰り上げ償還ができて、政府が自由にこれを返すことができるということになれば、これはあらためて協定の変更として承認を得るのであるが、国民の負担というものはもう半期年賦による四十年間でこれは義務が確定しているのであるか、あるいは政府の自由裁量によって二年目に全部償還することができるという協定がほかにあるとおっしゃれば、なぜこれを同一の条項として盛らないか。これは借款の重要なる基本的の条件なのです。それを他の約束というか、細目的に取り扱って、この承認を得ない重大な条項がそうなっておるとおっしゃるなら何によってきまっておるか。それを一つ御答弁願いたい。どういう形式になっておるかということを一つ明瞭にお答え願いたい。
  32. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 繰り上げ償還の点でございまするが、先ほど大蔵大臣から御答弁がありましたように、これは借款協定の方でその可能性を規定することになっております。第一次協定の際にも同様な輸出入銀行との借款協定で規定いたしたのでございまするが、その将来繰り上げ償還を実際にやる場合には、あらためて慎重にそのときの情勢から考えるべきだと思いまするが、一応政府部内での協議の結果は、この四十年の期日というものは大ワクをきめたものである、その大ワクの範囲内でありまして、日本の義務を加重するような結果となる繰り上げ償還でございましたならば、これは国会の御承認を求むべきでありましょうけれども、先ほど藤島先生の御指摘になりましたような、たとえばこの国際的な金利水準が下った、一分になる、そういうような場合には一分に切りかえるということがむしろ日本利益である、それで日本利益になるようにこの大ワクの範囲内で切りかえるということは、これは政府でできるのではないか。また借款協定の規定を見ますると、両当事国が繰り上げ償還を言い出し得るのではなくて、日本国だけが一方的な選択によりまして、日本利益のある場合には繰り上げ償還をなし得る、そういう規定になっておるわけでございます。従いまして日本の義務が加重されるような繰り上げ償還ということは実際はないかもしれませんが、この四十年の大ワク内で日本の選択によって日本の義務が軽減されるという方向に向うならば、これは協定の大ワクの範囲内であると考えていいのではないかというのが、ただいままでの政府部内の検討の結果の結論でございます。しかしこれは繰り上げ償還が実際にもし行われるといたしましたら、その場合の情勢に照らしまして、それが果して日本の大ワク内の義務の軽減であるかどうかという実態をきわめまして、あらためて考えて対策を考えるべきだ、そう存じております。
  33. 津島壽一

    津島壽一君 どうも繰り上げ償還という意味が十分理解されていないような感じを受けたのであります。繰り上げ償還というものは、四十年後に償還し得るのを利益とみれば、四十年目に返してもいいわけです、途中で償還したら日本にとって利益であればいつでもいい、必ず選択権は自由なんです。権利であって義務じゃないのです。従って債権者からいってもこれは重大な問題であります。ですから債権者債務者相互が合意的に基本的条件として、借款条件の基本的一項として書くべきものなんです。であるから、おっしゃったのは了解があるとか何とかいうことですが、それは何の書面でそういうことがきまっておるのですか。日本が考えてそれでよければワクの中で自由にできるのだという協定ならば、これを変更するところの協定一つあるわけです。決して今のようにワクの中でよければやろう、悪いけれどもやるというような義務はないのです。いつも権利なんです。ですからこれを利益とみればこれはことしはよけい返す、あとの部分についての利子は負担しない、こういうことであるなら必ずその相手方と協議する必要もなければ、また日本単独の利益を考慮して、実行するかどうか、そのつど決定し得る権利をなぜここで明確にしないか、それができるとおっしゃればその協定文書は何によっておるかということを聞いているのです。それは同時に国会承認を受ける事項ではないのかと、そういうことを質問しているのです。ですからどういうものでそういうものが約束できるのか、それは国会承認を経ないできめている関係のものであるかという御答弁でなければならない。
  34. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 第二次協定に伴います借款協定はまだできていない、交渉中のものでございまするが、おそらく第一次協定の際の借款協定と同じことになるようにただいま話しております。そこで第一次の協定を見ますと、ただいま仰せの通りに、日本国はいずれの指定日におきましても、元金の全部または一部を、違約金または割増金を伴うことなく、前払いすることができるというここに規定してありまして、完全に日本側の選択でできるというように借款協定自体で書いてあるのでございます。そこで第一次協定の際にもこれを作りましたが、これは先ほどの四十年の大ワクの中で日本利益のためにそういう変更をなし得ることであるから、細目と心得まして借款協定だけに規定いたしまして、本協定に掲げることなく、従いましてこの点につきましては国会の御承認を経ないで第六条のこの政府に任された事項といたしまして処理したわけでございまして、今回も第一年度の際に確立いたしました前例を踏襲いたしました次第でございます。
  35. 津島壽一

    津島壽一君 そうすると、その借款協定は前回のようなものを、これが承認をされて実行に移した場合に、そういうものを作る、それには前回同様のものを今度はきめるべきである。しかしてそれは第六条のこの協定のオペレーション、ここにどう書いてありますか。それに必要なるところの協定というこの六条の根拠によってそういう協定をなさるというのですか。ところがこの協定の中には繰り上げ償還のことは書いてないのですから、そのオペレーションに関する限りは繰り上げ償還のことは協定ではできないわけですよ。もしそういうものをやれば、ここできめた条件以外のことを、これはこの条約のオペレーションのために必要なアレンジメントとしてやれるという、この規定を根拠にしてそうした借款の重大な条項をやるということは手続上もおかしいじゃないか。いずれの場合におきましても、借款契約において繰り上げ償還ができるかできないかということは基本的条件である。日本の過去においてやった協定をごらんなさい。それがなければ借款契約というものは完全じゃない。なければそれはできないという解釈なんです、今までは。だからこれもできないのじゃないかというおそれを抱いたから質問したのであって、別途の協定でやるがその協定は細目協定であって、六条の根拠に基くものだと、こういう解釈はどうも……もう一ぺんお考え願いたいと思うのです。  そこで最後に、あまり長くなりましたから、もう一つは、この問題は産業開発の資金の用途というものがあって、この七割五分の部分に相当したものはこのカテゴリイにおいてきめるということになって、大体の計画としてはこの交換公文にも書いてあるように、電源開発であるとかあるいは潅漑排水といったようなこと、森林関係であるとか、生産性本部の関係とかいうような具体的な項目はあるわけです。そこでこの資金がおそらく農産物、まあ何というか融資特別会計から出て、この償還資金はこの産業機構からこの会計に返るのだと思う。そこでこれらの内地の産業資金の融資の条件でございますが、この場合でいえば、利率じゃなくて年限です、この年限が十年なり二十年なり三十年であると思う。しかしおそらく私の見通しでは四十年にわたるものはないと思います、電源開発にいたしましても、愛知用水にいたしましても。そこでこの借款の償還は、もし繰り上げ償還がなければこれは四十年間にぼつぼつ払えばいい、半年賦で。一方こちらで貸した金は期限前に返ってくるわけです。アメリカに対する借款は期限の前に、十年のものは今後十年たたない間に返ってくるわけです。二十年のものも返ってくる。四十年間にわたって返せばいいから、この金が全額償還でなければだぶつくわけです。特別会計の資金としてこの資金はさらに再融資に使うかどうか。アメリカに返すのは四十年であるから、半年賦で、利子を加えましても、あとの二十年間はまだ金を使わないでも、年間の資金として、その資金はこの会計において今の交換公文に規定されたる事項にのみ融資し得るのであるか。いやしくも一年間でもいいからこのカテゴリイのものに内地円で金を貸して、借りた資金もこの協定の目的、交換公文の目的は達したから、これは何かはかのものに貸してやろう、このカテゴリイの拘束を受けない。七五%全額もそういうことが起る。そうなればこの金は一たん約束した通りの目的に貸してやった金は自由処分し得る金となるのであるかどうか。しこうしてアメリカはこの金がある以上は、この法律の規定からいって、こういう後進国の経済開発、こういう目的で交換公文をしておるから、とにかくこのカテゴリイに折り返し資金というか、たまって返った金の貸付というものは項目を制限されるのであるか。私は繰り上げ償還のことをやかましく言ったのは、内地の産業資金に対する貸付は四十年かからないはずです。だから十年なり十五年なりで返ってくる金、その金を繰り上げ償還に使えばだぶつく金はないわけです。この繰り上げ償還の規定というものは、見返り資金というものは非常に必要ではなかったかと思う。この規定が漏れていることは非常に遺憾であると言ったゆえんはそういう意味であったのです。それはそれとして、その融資会計に愛知用水公団から二十年目に返ってくる。この金は自由に使える金か、やはりこの法律の趣旨交換公文趣旨によって一定の限度というか、その目的に使われるべき拘束を受けている資金でそるかという問題は、この会計の将来の運用に非常に関係があるし、また将来の財政の国家資金の融資計画を立てる上において、もうあとは十年たてばほかにこの金を貸すことができるというならば、これは何年計画の財政の中に盛り込んでいける金と思えるのですね。そこのところはどういうふうになっておりますか。この交換公文趣旨ですね。折り返し償還を受けた資金というものが、どういうような制約を受けているか、自由であるか、これはどういうようになるか、一つ運用の方針ですね、お聞きしたいのです。
  36. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは条約文のあるいは解釈になりますから、いわゆるこの条約協定したときの問題になると思います。これは外務省からお答えした方がいいと思いますが、私の承知しておる限りで一応答弁しておきますと、やはり当初こういうような大ワクがありまして、大ワクが合意されてこの範囲内で自由にやれる、こういうことになっております。この趣旨は根本的に尊重しなければなりませんが、この趣旨を私は尊重して、相当長い期間に融資をして回収金があったというような場合、そういうような場合の後の運用は何に運用するかは、そのときの日本経済情勢によるのでありますから別個でありますから、自由にできると私は考えておるわけであります。なおその点については、やはり条約解釈に属するかと思いますので、外務省からお答えした方がいいと思います。
  37. 下田武三

    政府委員(下田武三君) ただいま大蔵大臣から御説明通りでございまして、この協定に関連しまして、またいかなる付属文書におきましても、ただいま御指摘のありました資金の用途につきまして、いかなるアメリカ側からの制約も受けておらない、完全に日本側の自由に使えるものと、そういうふうに考えております。
  38. 津島壽一

    津島壽一君 最後に、外務大臣が来られたから一つ簡単に質問をしたい。私は、先ほど大蔵大臣の、なるべく現金払いをしてもいいけれども、正貨の状況の将来をおもんぱかって、この際こういう借款をした方かいいという、これは一つの方策であろうと思います。しかし対米の輸出を増加して、そうしてこういういろいろな協定によらないで、現金で余剰農産物、このいろいろな制約のもとになくて必要な食糧物資を現金でやる、これは外貨のそれだけの減少になる一方、そういった日本が態度をとって、これはまた現金で買える、すぐ即金でやれます、そのかわり正貨が減るのです。であるから日本の対米輸出に対するいろいろな制約、これをとっていただいて、五千万ドルくらいのものでしょうが、これの輸出を、たとえば綿製品等の輸入の制約であるとか、また関税定率の改正であるとか、日本輸出品はいくらも剰余がある、向うは食糧品、農産物の剰余を持っておる、日本はどちらかというと、そういった対米輸出に向くようなものがあるわけです。そこで対米輸出を増進すればドルができる、ドルのできた金で、この現金払いでどんどん買いましょう、余った農産物はずいぶん処理にお困りでしょうし、こういう後進国の財政援助でなくてやりましようという意味で、これは相互の利益のために、日本は対米輸出を増進することによる正貨の補充、また同時に現金で買うことによる正貨の喪失というものを見合って、そこに一つのまあ対外折衝というか、そういう段階が行き詰まって、やむを得ないのでこういう段階に来るのじゃないかと私は思うのです。従って対米輸出に対する交渉なくして問題はない、ただ、いきなり借款に飛びつくということは、一体どういうものであるかという疑念を抱くのですが、そういった交渉が払われたか、またそういう考えがいいか、そういうお考えであるか、それはいかぬというお考えであるか。これはアメリカ両国の外交問題に重大な関係があるから、外務大臣の御所見というか、お伺いいたしたいと思います。
  39. 重光葵

    国務大臣重光葵君) それでは私、貧弱なる識見をもってそれにお答えいたします。私を今までやっていますことは、さような借款とか何とかいうような制約を受けずして、貿易貿易で、純粋な形においてこれを見合って発達せしめることが、まず基本的の方針でなければならぬと、こう考えております。それでありますから、お話の点もそこにあると思いますが、私はアメリカとの間において、日本輸出を増加し、それから向うから輸入しなければならぬ物に見合って、そうして全体の貿易の分量は増していく、これはあくまでとらなければならぬ政策だと、こう考えております。ただし、その間に、まだ米国との関係輸出入の関係は、非常にバランスのとれないものでありますから、食糧の輸入をした方が利益であるという場合に、かような借款をして、日本の国内の経済を発達せしめる方向にその金を使うということに向けることも、これまた便法として私は考えるべき方法だと思ってこれに賛成をしておるわけでございます。
  40. 羽生三七

    羽生三七君 議事進行。三大臣はまだしばらくおられるのか、一時から本会議参議院であるようですから、御都合もあると思いますが、私は三大臣が列席されておるところでお伺いしたいことがまだ一、二点あるのですが、時間は十分以内で済むのです。あとは事務当局からでけっこうであります。
  41. 須藤五郎

    須藤五郎君 大蔵大臣にちょっと最初御質問申したいと思いますが、大蔵省の資金計画によりますと、三十五年度まで見返り資金が入ってくるという計画を立てていらっしゃるようでありますが、大蔵大臣は今後も引き続いてこの余剰農産物を毎年受け入れるというふうに考えていらっしゃいますか。
  42. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 余剰農産物の受け入れについての当初からの経過、並びに受け入れについての諸条件について、先ほどからるる申し上げたつもりであります。従いまして今日、今後の情勢では、私はよほど慎重な態度をとらなければならぬ、慎重な態度をとる、かように考えております。
  43. 須藤五郎

    須藤五郎君 それでは今後必ずしも五カ年間続けて農産物を受け入れるというふうに決定をしていらっしゃるわけではないのですか。
  44. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) さようなことはありません。
  45. 須藤五郎

    須藤五郎君 高碕さんはいつかの新聞で、今年は余剰農産物を受ける気持はないという意味のことを発表なすったと思うのでありますが、その高碕さんが、今度の受け入れに対して賛成をなさるようになったのは、何によるのか、また今後どういうふうに毎年受けるように考えていらっしゃるのか、あなたの考えをお聞きしたい。
  46. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) そのときの情勢によってきめなければならぬと思いますが、初年度はその受け入れについては主として私やったのでありますが、今度の分につきましても、この程度のものならばいいと私は考えておりますが、今後三年、四年先はどうなるかということになりますと、国際的の情勢の変化によるものでありますし、特に先ほど津島先生のおっしゃったような工合に、今後におきましてはそういう貿易を、向うの余ったものをできるだけ安く、こちらの余ったものを買ってもらうということで進んでいきたいと思います。
  47. 須藤五郎

    須藤五郎君 そのときの情勢に応じてという御意見でありますが、昨年と今年と比べると、今年は余剰農産物を受け入れないでもいい条件が、去年より大きくなっておると思うのであります。と同時に、津島さんが指摘なされたように、外貨の手持ちのたくさんあるときに、なぜこういうことを再び繰り返さなければならぬかという点が、私たち不思議にたえないのであります。
  48. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) そういう意味におきまして、昨年と比較いたしまして数量は減じております。また昨年は米を取ったけれども、もう今年は米を取らない、そのかわり、雑穀を取るとか飼料を取るとかいう工合に、内容を変更したわけであります。
  49. 須藤五郎

    須藤五郎君 外務大臣大蔵大臣にもう一つ聞きますが、支払う場合にドルで支払う場合は利子が三%、円で支払う場合は四%、こういうふうに三%、四%と利子に違いがあるわけですが、これは何に原因するのでありましょうか、大蔵大臣に伺いたいと思います。……だれからでもいいですが。
  50. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) これは第一次の協定をやるときに話したことでありまして、円で払う場合にはどうしてもこれは四分にしろ、こういう向うの規則があるわけです。しかもそれにはドル・クローズがつくということになっておりますからやはりドルで支払ったと同じことになる、こう私は見たのであります。それならばドルで払ったら幾らにするか、これは三分にしてもいい、こういうことだったから、それは利益のある方をとって、そして場合によれば円で払ってもいい、こういうふうにやったわけであります。
  51. 須藤五郎

    須藤五郎君 ドルで払う場合が三%、円で払う場合が四%、こういうふうにきめたのは、何だか日本の円をドルよりも非常に価値のないように日本みずからがきめておるような感じで、非常にわれわれアメリカに対して屈辱的な感を感ずるわけです。なぜドルでも円の場合でも両方とも三%なら三%、こういうように決定ができなかったのか、そこをはっきりしていただきたい。
  52. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) それはアメリカの考えでありまして、アメリカは四%を取るということはひとり日本だけでなくて全体にきめておるわけです。対外的なものにつきましては、ブラジルにつきましてはペソで払っておる、それに対しては四分で取るということをきめておるわけです。ところが今度はドルで払う場合に何ぼか安くするのか、こういった交渉をしたところが、一分減らしてもいい、こういうことだったから、その方が利益だからということです。
  53. 上林忠次

    上林忠次君 大蔵大臣にお尋ねいたします。これは協定の根幹の問題ではございませんけれども、アメリカからタバコを約八百万ドル近くも輸入しておる。タバコのような完全に消費するものを、しかも日本でできるものをどうして輸入したかについては、大蔵大臣自身が今の専売のやり方についてお考え違い……、あるいは財政収入ということから専売をやっておられる点から考えますればそれでいいのかもしれませんけれども、日本の農作物という点から考えますれば、これはもう少し考えなければならぬのじゃないか。あらゆる産業が、商品輸出本位にやっている。出血輸出でやっているという時代に、タバコの輸出ということに大蔵大臣相当な援助あるいは奨励の施策をやっておられる。ほとんどそれには関係なしに、ただアメリカの葉を買ってきて、少しはうまいかもしらぬが、よけい売りさえしたらそれで財政収入はふえる。とにかく一般会計にこれだけ入れたらいいのだ。きまった、あてがわれた千五百億になりますか、千六百億になるか、それだけの金を入れさえしたらいい。ところがタバコは農産物でありまして、これは財政収入の、専売の原料としてタバコが作られておるのじゃないのだ。その点大臣と私は考えが違うかもしれませんが、日本の国の農産物輸出しようにもできぬような……昔のあの絹のいい時代ならよかったのですけれども、最近は絹もだんだん低調になっておる。大きな将来の見込みがないということになりますと、日本の農村はどうして生きるか。河野農相は盛んに新しい農村の建設なんて言っていますけれども、タバコのような一反当り相当金の取れるものこそこの狭い地積の日本で一生懸命奨励しなければならない。昔はさすがに日本のタバコは出なかった。最近は出るような状態にあるのじゃないか。これに対して努力を払っているかどうか。ほとんど大蔵省はこれを等閑視しているのじゃないか。大蔵省の専売の原料としてのタバコじゃなく、昔の桑のかわりになるようなタバコに仕上げない限りは日本の農村というものはいつまでたっても現金収入はふえない。いい農村にはならない。ところがこんな完全消費するものは多量にお入れになっておる。これは先ほどの話では何年も続くものではない、もうやめるという時期に考えておられるかもしれませんけれども、かようなものをどんどん入れて、しかも日本でできるものを、しかも一反歩当りの一番収益のあがるものを、これこそわれわれは日本の特殊な作物としてこれから作り上げていかなくちゃならない。かような時代にどういう気持でこれらのものをお入れになったか。どうも大臣のお気持がわかりませんので、原料タバコに対するお考えを一つ御披露願いたいと思います。
  54. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 率直に御答弁申しますが、全くおっしゃる通りでございます。ただこの輸入した葉タバコは日本にはできない、これは御承知通りであります。でその分量をどうするのかということに結局なるのでありますが、まあ私もこれを入れることについては必ずしも積極的ではないのであります。がしかし全体の協定を成立させるためにどうしてもやむを得ないということで、専売局とも相談いたしましてまあこの辺でということであります。しかしこれは今後十分こういうふうな取りきめもありますから、全体としてやはり余剰農産物を入れるについては、私は数の面から慎重な検討をしていきたい、かように考えております。
  55. 上林忠次

    上林忠次君 戦後長い間食糧重点主義という国是のような方針に向ってきたようですが、農林省自身も食料増産ということを標榜するなら予算も取りやすい、大蔵省自身もそういう食糧ならばやるというふうでいろいろ計画が講じられたのでありますけれども、その当時から私申し上げておったのでありますが、日本の国は幾ら開拓しましても干拓しましても食糧自給の時代なんか来ないのだ。もう現在戦争はないじゃないか、戦争にならぬなら何も日本食糧自給自足をやらなくたっていいのじゃないか、何とか小さい面積で食糧の二反歩でも三反歩でもできるようなものを作らなければ農村は立たぬということを言っておりますが、長い間農林大臣はなかなかがえんじてくれなかった、そういうような時代が続いたが、最近河野さんがいろいろな作物を取り入れて堅実に収入の多い農村を作らなければならぬという意見になりました。これはけっこうなことと思いますが、大蔵省は今いうタバコのようなもう唯一無二というべきような、狭い面積を有効に使うためにはタバコをやらぬ限りは日本は立っていけない。私はそういう工合に言っております。一反歩の土地からできるタバコをアメリカから取るということになりますと、その金でもし米を買うなら日本の三反歩、四反歩分の米が買える。そういう工合に考えると、こんな高い農産物、特に高い農産物であります、こんなものをわざわざ何に関連してとられたか知らぬが、もっと有効なものをとったらいいじゃないか、交渉に必要ならもっと有効なものを交渉に使ったらいいじゃないか、こんなものを交渉に使うというのは一番下策であります。何とかしてこういう反当りの収入の多いものは日本で自給する、また特別なタバコは日本ではできませんけれども、輸入は局限しながら日本でできるだけふやしていく。しかもこれは専売で必要な原料だけでなしに、内容を消費の原料だけでなしに、輸出をどんどんしていく、輸出のための努力をもっと大蔵省は考えていただきたい。どんどんふやしていただきたい。先ほどお話を聞いておりますと、もうタバコは要らぬぞ、一部の種類はもう日本では必要ない、飽和状態であるということを聞いておりますが、貿易努力をちっともやろうとせずに、あらゆる産業商品が出血輸出をやっておる時代に、大蔵省はちっとも努力していないじゃないか、こんなことでわれわれの農村建設のための有効なこの作物を大蔵省だけで独占されては因る。専売だけで独占されては困る、もっともっと輸出進展の方策を講じてもらいたいと考えておるのでありますが、これに対する御意見を。
  56. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 御意見ありがたく拝聴いたしました。
  57. 須藤五郎

    須藤五郎君 ここに専売局の人も来ておりますので……。
  58. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 大臣の方から一つ
  59. 須藤五郎

    須藤五郎君 大臣の方を先にしましょう。外務大臣にお尋ねしますが、この第三条に、アメリカ合衆国に対する非友好国に対してこれを譲渡してはいけないというような規定がされておりますが、非友好国というのはどこをさしたものか説明していただきたい。
  60. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 条約局長からお答えさしていただきます。
  61. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 非友好国とは、アメリカの国内法で定めておるのでございますが、ソ連その他の地域で世界共産主義運動を統制している外国政府または機関の支配または統制を受けておる国と、こういうことに相なっております。すなわちソ連及び共産圏諸国ということに相なるわけでございます。
  62. 須藤五郎

    須藤五郎君 そういうことを聞きますと、この余剰農産物受け入れの問題がすでにもう非常に軍事的なにおいがずっとしてくると思うのですが、外務大臣はどうお考えになりますか。
  63. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私は実はその規定はあまり好んでおりません。おそらくこれはアメリカのいろいろ国内の考え方が反映しておるのだろうと思います。これは余剰農産物を受け入れるためにやむを得なかった規定だと思います。将来国際関係は急激に改善をして、さようなことの考え方がなくなるように私は希望するのでございます。でありますから、これは好んだ規定ではないということを申し上げて、私の気持を申し上げておきたいと思います。
  64. 須藤五郎

    須藤五郎君 もう一つお尋ねしますが、そうしますると、アメリカ余剰農産物で来た綿で作った綿糸布は、中国で買うといいましても中国に売ってはいけない、こういうことになるわけですか。
  65. 西山昭

    説明員(西山昭君) 協定上は、協定に基きましてアメリカから買います綿花を加工いたしまして、その製品を共産圏諸国に出すことはいたさない建前になっておりますか、実際問題といたしましては、国内で綿花の割当をいたします場合には、内需用の協定に基きます綿花を割り当てまして、実際問題として本件の、抵触するような事態は起らないことを想定いたしております。
  66. 須藤五郎

    須藤五郎君 一般の貿易で輸入した綿花とこの条約によって入れた綿花と、綿花は同じで区別できないと思うのですがね。実際にはこんなばかげたことはあり得なと私は思うので、質問しているわけですが、どこで区別して、これは余剰農産物で入れた綿花で作ったきれ地だ、これは普通の貿易で入れたきれ地だ、そういうようなことをどこでどういうふうに区別をしていらっしゃるのか。
  67. 西山昭

    説明員(西山昭君) 先ほど申し上げましたように、実際の割当を内需向けの割当をいたしておりまして、現実に個々のでき上りました製品を、これが協定に基く原料による製品であるか、あるいはたとえばパキスタンから入れた綿花による製品であるかということは判別しにくいことは御指摘の通りでありますが、これはいわばアメリカの政策といいますか、考え方というものを宣伝的な意味で作りました条文でございまして、実際面におきまして、このような事態をとやかくどうこうするということにはならないということに米側とも話しているわけでございます。
  68. 須藤五郎

    須藤五郎君 そのように実に内容はばかげた笑うべき内容を持ったものだと思います。今外務大臣が、私はこれを好ましくないとおっしゃいますから、私はこれ以上責めはいたしませんが、好ましくない条約をなぜ日本外務省はそれを受け入れているか、こういう点で私はやはり非常に不満を持つものです。それと同時に、やはりこれがこういう点から見ましても、津島さんがおっしゃったように、手持外貨があるのになぜこんなものを受け入れなくちゃならないか。これはアメリカから日本が好まないにもかかわらず、やはり押しつけられているものであるということが、いろいろな点からはっきりしてくると思います。  その次に第四条に関しての交換公文の中に、合衆国農産物の販売の促進及び市場の調査等のため並びにこの問題に関係する合衆国及び日本国の公務員及び事業家の交換訪問のためこの金を使うと規定がありますが、これははなはだ私はおもしろくないと思うんです。先に外務大臣から、ソビエト、中国から招待を受けた、その招待を受けて、日本国会議員並びにいろいろな人たちが行くのは非常に国辱的だという意見を私は伺った。いわゆるまるがかえで、すべて費用は向う持ちで日本人が中国、ソビエトを訪問することは、日本の国辱的なことであるというふうな意見を述べられて、それは反対をされたと思うのでありますが、これこそ全く僕は国辱的なことではないだろうかと思うんですが、外務大臣はどうお考えになりますか。
  69. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私はこの協定はそうまでは考えませんが……。
  70. 須藤五郎

    須藤五郎君 恥かしいこととはお考えになりませんか。
  71. 重光葵

    国務大臣重光葵君) このくらいなことはこれでよかろうかと考えております。
  72. 須藤五郎

    須藤五郎君 すると、あなたは二十二国会におきまして、曽祢君の質問に対しまして、——同じ質問を実は曽祢君がしているわけですが、その質問に対して、「私も少しどうも気がきかんように思います。」というふうにお答えになっていらっしゃる、これが今日はそういうふうな心境の変化を来たされたんですか。それともこの答えが正しいならば、このような気のきかぬ条項は省くように努力すべきものだと思いますが、どうでございましょう。
  73. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私もあるいは曽祢君の質問にそう答えたかもしれません、記憶はいたしておりませんが。
  74. 須藤五郎

    須藤五郎君 ここに速記があります。
  75. 重光葵

    国務大臣重光葵君) まあこのくらいな程度ならばよかろうと思っているんですが、これは次に同じような協定ができるかできぬかはわかりませんけれども、将来のことはまだ十分そういう点も考えていかなければならぬと思っております。
  76. 須藤五郎

    須藤五郎君 日本の公務員がアメリカの金をもらって、そうして余剰農産物を受け入れることに関して、販売網をふやしたりなんかすることに関して宣伝に行くということが、何で日本の公務員に対する侮辱でないというふうにお考えになることができるんですか。はなはだ日本の公務員を侮辱した問題だと思うんですが、どうでございましょうか、販売の促進のためという意味ですからね。日本の公務員はアメリカ余剰農産物のセールスマンです。
  77. 下田武三

    政府委員(下田武三君) それは……。
  78. 須藤五郎

    須藤五郎君 大臣に僕は答えを要求しているのです。
  79. 下田武三

    政府委員(下田武三君) その前に事態をはっきりいたします事実を御説明いたしたいと思いますが、これは実際にやりますことは、今日本で粉食が奨励されていたりしますが、日本の製パン技術その他の点はまあ必ずしも発達いたしておりません。そこでそういうような関係の農林省のお役人や事業家が行かれるわけでありますが、これはアメリカのまるがかえということで行かれるのではなくて、日米合意の上で積立円の資金の使い方を協議いたしまして、プールいたしましたものでありますから、両国の合意の上に立って共同の資金でいくということでございます。
  80. 須藤五郎

    須藤五郎君 共同の資金じゃないでしょう。アメリカから農産物が来た。それをアメリカ日本に売った金で、それで行くわけですからアメリカのまるがかえでしょう。
  81. 下田武三

    政府委員(下田武三君) まず円の七五%、二五%と、日本の方がうんと取りまして、その残り二五%の使用につきましても、日本側の注文をつけてひもをつけておるわけなんです。日本利益のために使うわけです。
  82. 須藤五郎

    須藤五郎君 それはどちらにしてもアメリカ余剰農産物日本へ売り込んだ、その金でとにかく行くというのだからアメリカの金に違いないでしょう。二五%はアメリカの金なんでしょう。そのアメリカの金で日本の公務員がアメリカの小麦の宣伝にいくというのだから、日本の公務員をセールスマンにしているのにすぎないじゃないですか。こういう侮辱は私はないと思う。だから外務大臣は二十二国会で非常にまずいことでございますということをちゃんと答えておるのです。そのまずいことがなお今日に至るまで続いておるという実情で、私ははなはだ遺憾だと思う。それで外務大臣質問をしているのですが、どうですか。あなたたちはこれはまずいことだと思わないのですか。
  83. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 先ほど申し上げましたように、積立円を日本アメリカの三倍確保しまして、なお残りの四分の一につきましても日本の希望によって日本利益になるように使うのでございまするから、これは非常にまあうまいことだと思うのでございます。
  84. 須藤五郎

    須藤五郎君 日本利益のために使うということは、これはおかしいですよ。アメリカはほっておけば腐って困る小麦を日本に押しつけて、そうして日本で円をかせいでそしてその金をアメリカのいろいろな軍事費にまで、軍関係の費用にまでアメリカ日本で使おうと、こういうことをされれば日本ドルの減収になるのですよ。それが何の日本利益になるのですか。それを日本利益だと考えるところに僕はあなたたちの頭がおかしいと思うのです。何で日本利益になるのですか。
  85. 下田武三

    政府委員(下田武三君) この農林省の役人や事業家がおいでになる際にちゃんと目的を立てておいでになるわけですから、日本側利益にならないような目的でわざわざ行かれることは絶対にあり得ないことでございます。
  86. 須藤五郎

    須藤五郎君 冗談じゃない。それじゃなぜ外務大臣は私も少しどうも気がきかぬように思いますと答えたのですか。こういう答えは出てこないじゃないですか、それならば、最初から。外務大臣ははっきりそう答えておりますよ。どうですか。何でそのときはっきり外務大臣は答えられないのですか。
  87. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私は先ほど申し上げた通りに、また今政府委員説明通りのようなことでございますから、これは適当なことだと、こう考えておるのであります。
  88. 須藤五郎

    須藤五郎君 それは精神の髄まで腐っておることになりますね。
  89. 羽生三七

    羽生三七君 それでは三大臣おそろいの際にお伺いいたしますが、この農産物協定そのものについての意見は別としまして、いま一方の学童に対するミルクなんかの贈与の問題なんですが、このこまかいことは事務的な問題ですから、これはきょうはやめておきますが、ただ問題は、私第一次の協定のときに申し上げましたように、日本の農業の現状が必ずしも豊かであるとは言わないが、どうして国と国との間でそういう贈与の取りきめをしなければならないかということに私は非常に大きな疑問を持っておる。これは非常に大きなむだが日本の国内において行われて、あるいは予算上の取扱い上においても、防衛庁に見る最近の中古エンジンのあの事件を見てもその他を見ましても、ちょうどその協定の総額に値するようなものを平気で予算上不適正な取扱いをしておる。そういうことをやりながら、外国からこういう贈与を受けるということに私は非常な大きな疑問を持ってくるわけです。そこでそのことのよしあしは別として、贈与を受けるならば政府が受けるのは好ましくない、私は赤十字その他の適当な機関でおやりになるのならよろしい。私と同意見の方が政府与党の中にもおありだと思う。その贈与を受けることのよしあしは意見の異なるところでありますから、これはかれこれ申しません。かりに受けるとしても、国と国との形で日本国政府がかような贈与を受けるということは適当でないと思う。赤十字なり他の機関が受けるならば、事のよしあしは別として、一応筋が通ると思うのですが、今後そういうふうになさるお考えはございませんか、いかがですか。
  90. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私はその点はこの問題の基本的な考え方として非常に傾聴しなければならぬと思っております。従いましてこういうことがまた次に行われる場合においては、十分に一つその点考究したいと私は考えております。
  91. 羽生三七

    羽生三七君 それではその点は十分御検討をお願いいたして、この問題はこれ以上申しません。  それから次のもう一点は、これも時間も切迫しておるので、意見のようなことになるのでありますが、先日来当委員会でこの問題の質疑の過程で一応は問題になったことでございますが、総体的な日本食糧輸入計画の一環として余剰農産物協定が行われるのか、そのワクの外で行われるのか。こういう問題を提起した際に、政府の御答弁は、総体的な食糧輸入計画の中でやる、それは品種等によって操作できるという自由をその中に留保しておるというような意味の、そういうお答えでありました。そこで私は非常に不思議に思うことは、もしそうであるとするならば、なぜアメリカ余剰農産物というような協定農産物日本に贈らなければならないか。普通の商業取引でも事足りると思うのが、なぜそういう形をとらなければならないかということを非常に疑問に感ずるわけです。それはそれとして、それと関連して、これは特に高碕大臣お答え願いたいと思うことは、日本の農業の圧迫になるかならぬかという点で、私は直接的に必ずしもそんなに大きな問題を提起するとは思わない。しておるとは思いませんが、しかし先般の予算委員会でも私は高碕大臣と河野農林大臣に希望だけ述べておきましたが、大体食糧が足りないときに買うのは当りまえだ、あり余った国から買ったらいいじゃないかという考え方で出発してくる場合には、あるいは日本の農業に対する政府の施策というものはかなり異なってくると思う。私どもは狭隘な戦時中のようなアウタルキーそういうことを考えておりません。何でも自給自足でやればいい、どんなに高いコストになっても自給自足主義でいった方が日本経済のためになるというようなことは毛頭考えておらない。しかしそうではあっても、外国の耕地面積に比べて非常に零細な日本の農業で、しかも資本の蓄積も何もない悪条件のもとにある日本の罷業においては、なるべく食糧は国内でまかなうことにウエートを置くような施策をとるべきである。そういう場合には、この農産物協定が、その与える影響はわずかであっても私は見のがすことはできない部面を含んでおると思う。ですから農林問題を論ずると長いことになるし、意見になりますから多くは申しませんが、どうか、今後協定を第三次をおやりになるならば、私は通常な商業取引でやるべきであって、こういう形をとるべきでない、第一次のときの御注文を入れて下さって第二次は米をはずされた。これは東南アジアにおいて経験をする意味において非常に進歩だと思う。どうか第三次においても非常な条件の変化でもあれば格別、現在の条件においても先ほど来の外貨保有との関係もあり、また日本農業に対する今私が申し上げた点からも考えて、第三次協定についてはなるべくそれを取り結ばないことが日本のためになるのではないか、という私は希望を述べておきます。そのほかにいろいろ申したいこともありますけれども、時間も切迫しておりますからあとは事務的なことを他の方にお伺いいたします。
  92. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お説のごとく日本の農業政策は単純なる経済問題として議論すべきものじゃないと思うのです。それはどこまでも社会問題、人口問題いろいろな点から考慮いたしまして、かりにそろばんは高くても、開拓し得べき土地があればいかなる努力をしてでもこれを開拓して、食糧増産の措置を講じなければならぬということは、根本方針であると考えております。しかしながらいろいろやってもなおかつどうしても必要なる食糧品は輸入する。輸入する場合に輸入のワクというものがありますので、そのワク内において支払い条件のいいものならば輸入をする、条件のいいものならば幾らでもという方針をとるのが適当だと私は思います。
  93. 羽生三七

    羽生三七君 明年度は検討されておるのですか。
  94. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 本年の米作、農作物の工合等を考えまして順次検討しておるわけであります。
  95. 羽生三七

    羽生三七君 なるべく私の先ほどの希望を満たされることを期待いたします。
  96. 須藤五郎

    須藤五郎君 専売局の方に質問いたします。この前農林省の方がいらっしゃったのですが、もう一つ詳しくわからないのできょう専売局の方に来てもらって確めたいと思うのですが、この前私は岡山県に参りましたときに岡山の農民からこういう訴えを受けたのです。自分たちはタバコ増産のためにいろいろな準備をした、ところが最近政府余剰農産物によりましてタバコをうんとこさと輸入したために、岡山専売局だけでも三年分のストックができてしまい、そのために準備をして設備をふやしたところが、タバコ増産計画を中止しなければならない段階になって非常な損失を招いた、こういう報告を受けたわけです。ところが農林省の方は農民に対して実害は与えていないはずだとこういう意味の答えがあったのであります。私は、岡山専売局のみならず全国の専売局におけるタバコのストック状況並びにタバコ生産業者の状況等を報告してもらいたい。
  97. 大月高

    政府委員(大月高君) 今般余剰農産物といたしまして葉タバコをアメリカから輸入いたしますわけでございますが、その数量は、第二次協定の分は千五百トンでございます。それに対しまして昭和三十年度に生産いたしております国内産の葉タバコは十四万トン余りでございます。そういたしますと、数量的に申しまして、全体の葉タバコの供給のうちの約一%くらいが今度の余剰農産物協定の葉タバコになるわけでございます。そういう絶対量から申しましても、国内の葉タバコの生産に影響があるということはまず私はないと思うのでございますが、このアメリカ産の葉タバコと国内産の葉タバコとは、専売公社の計画といたしまして全然区別してまず考えておりますので、アメリカから入ります葉タバコは味つけ用として使用するとい丘意味でございます。従いまして上級品でございます富士でございますとか、あるいはピースあるいは光、そういうところに若干ずつまぜて味をよくする意味に使う。そういうことでございますので、アメリカの葉をもって国内の葉に代用するということもできませんし、また国内産の葉が大いに増産されたからもうアメリカの葉は入れないのだ、こういうことにもならない。そういう意味におきまして論理的に直接つながりはない、こういうことでございます。  それから現実の問題といたしましては、国内の葉タバコの生産計画は毎年、本年何万町歩作る、どの種類はどのくらい作るということを前年度に公示するわけでございますが、昭和三十一年度の分は昭和三十年度、昨年の八月に公示いたしておりまして、そのあとでこの第二次余剰農産物交渉が始まったわけでございます。そういう意味におきましても具体的に影響がない。それからここ数年間の生産計画も確立されておりまして、毎年七万五町歩前後を耕作する。そういうことになっておりますので、そういった面からも今の岡山県の事例は因果関係のない所に因果関係があるようにお考えになっておる、そういうように考えております。
  98. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると、岡山県の専売局の三カ年分のストックということは、これは全国的に三カ年分のストックができておるということではないのですか、どうですか。
  99. 大月高

    政府委員(大月高君) 大体葉タバコの関係のストックの正常在庫は、アメリカから入りますヴァージニア種は大体二年分、二十四カ月分を標準にいたしております。それから国内産の葉タバコにつきましては大体一年半くらいが正常だと、これは葉タバコを生産いたしましてから次第に乾燥いたしました味の最もいいところで使う、そういう意味合いで大体標準にいたしている月数でございます。従いまして、在庫の面におきましても、用途が全然違いますので、米国産葉と国内産葉と別々に在庫量を計算している。それでありますので、国内産の葉が多いから非常にどう、こういう関係はないとこういうふうに考えております。
  100. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうするとアメリカ産の味つけの葉ですね、これは日本で一年にどれだけあったらいいのですか。
  101. 大月高

    政府委員(大月高君) 現在使用計画を立てておりまして、昭和三十年度におきましては二千四百五十二トン、それから三十一年度におきましては三千六百四十七トン、それから三十二年度におきましては三千八百七十三トン、その後三十三、三十四、三十五年度あたりまで一応の目安は持っておりますが、大体三千五百トンやや上回ると、こういうような数字で計画いたしておるのであります。しかしもちろんこれは見通しでございまして、たとえばピースの売れ行きが悪いということになれば、そこへ入れる葉は少くなる、あるいは光の売れ行きがかりによくなりますればそこへ使うアメリカ産の葉が必要だと、こういう需要供給の関係もございますけれども、味つけのために使う葉の割合も年々研究いたしましてそれぞれ増減もいたしております。そういう将来の見通しを見てこの程度に考えておるわけでございまして、千五百トンという数字はその中に入っております。大体そういうように考えております。
  102. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると通常輸入として昨年ですね、二千九百トン輸入して、それから昨年は余剰農産物のこの条約によって二千七百トン輸入しておる。そうしてことし千五百トン輸入するというと、総計相当な額になるんですが、なおことし千五百トン輸入する必要があるのかどうかということが問題になると思うのですが、どうですか。
  103. 大月高

    政府委員(大月高君) ただいま申し上げましたのは使用の面でございますので、やや具体的に繰り越しの輸入量、それから来年度の繰り越し、こういうものについて申し上げてみますと、大体昭和二十九年度から三十年度へ持ち越しましておるのが六千六百十九トンでございます。それに対しまして通常輸入、昨年度の第一次のこれは三千トンでございます。これを入れまして五千七百四十四トンを入れたわけでございます。それに先ほど申し上げました使用量二千四百五十二トン、これを引きまして九千九百十一トンでございます。これを大体使用量の見込みで割ってみますと三一・六カ月という数字でございまして、これが先ほど申し上げました二四カ月に比べてやや多い。そこが問題だと思います。これを本年度以降次第に、千五百トンというのは固定した数字でございませんので、できれば来年度以降はもうやめたいと考えておりますが、本年度におきましては二千九百トンという通常輸入の制約はもうすでにございませんので、すでにその分は入っております数字でございますから、三十一年度、三十二年度にわたりまして供給に比較いたしまして需要が少しずつ上回って参ります。そういう意味昭和三十五年度におきましてほぼ正常在庫に復するだろう、こういう意味に一応考えておるわけでございます。
  104. 須藤五郎

    須藤五郎君 来年からは入れたくないという意見ははっきりされているわけですね、あなたの見解として。
  105. 大月高

    政府委員(大月高君) 専売公社自体の立場におきまして、それだけの見地で考えますれば入れる必要はないと、こういうことでございます。
  106. 須藤五郎

    須藤五郎君 すると三十年度に二千四百五十二トン、三十一年度に三千六百四十七トン、三十二年度に三千八百七十三トン、三十年度に比べて非常にタバコの使用量がふえているわけですね。大体私たち最近タバコが売れ行きが悪いということを聞くのに、このような増加率を見込んでおるということはどうなんですか。
  107. 大月高

    政府委員(大月高君) 最近のタバコの売れ行きが悪いと申しますのは、絶対量はふえておるわけでございますが、上級タバコの売れ行きが悪くて下級タバコの売れ行きが多いというところに専売公社側の悩みがあるわけでございます。それで本年の三月一日から上級タバコの値下げをいたしまして、富士が従来二十本で百二十円でございましたのを二十本で百円に値下げいたしました。それからピースは、従来十本で四十五円というのを四十円に値下げいたしたわけでございます。で、これはそういうことによりまして下級のタバコをできるだけ上級のタバコに移行いたしたい。こういうことでございまして、三月一日に値下げをいたしましたあとの結果を見ますと、大体富士は絶対量が少いんでございますが、昨年に比べて五倍から六倍くらい売れておるのです。これは絶対量が少いので大勢に影響ありません。それからピースですか、いこいという新種を発売いたしましたのでございますが、その前には従来の実績の約五割増という実績を示しております。光はもう少しいこいに食われるという予想でございましたが、比較的需要が落ちないと、こういうことでございまして、次第に上級タバコの需要がウエートとして多くなっておると、こういうことでございますので、この米国葉の需要もふえると。それから混合率でございますが、たとえばピースで考えまして、従来二〇%程度入れておりましたのを、去年の十二月から二四%にいたしたのであります。それから光の一七%でございますが、ここまでふやしたというようなこともございまして、いろいろ技術的な混合割合等を考え、それから上級タバコの需要の傾向を考え、この程度のことはできるであろうと、昭和二十九年、三十年が大体上級タバコの、需要の底であろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  108. 須藤五郎

    須藤五郎君 もう一点聞いておきますが、岡山県農民が増産計画を中止しなければならないと、非常に損害を受けたということは、アメリカ・タバコは上級タバコで味付けタバコであって岡山県の農民の作るタバコとはおのずから性質が違うのである。だからこの余剰農産物の受け入れとは全然関係のないものであって、国内産のタバコが豊作であるために、この増産計画を中止しなければならんようになったのだという意見ですか。
  109. 大月高

    政府委員(大月高君) 仰せの、前段の影響がないという点はその通りでございまして、それから増産計画を中止するという問題は、先ほども申し上げました、先の五カ年計画まで立てておりますので、この計画を変更という問題もございません。タバコの豊作の関係では昨年に比べまして約三割ばかり増収になっておりますが、これも農作物の関係でございますので、常に豊作であるとは限らないと、そういう意味で作付反別というものもあらかじめ計画を立てておりますので、豊作だから急に変更したとこういうこともございません。そういう意味におきまして余剰農産物関係は全然ないと申し上げていいと思います。
  110. 須藤五郎

    須藤五郎君 文部大臣が来られたので文部大臣一つ質問をいたしますが、文部大臣はこの余剰農産物を受け入れる結果、そのうちの二五%が日本の国内で使われると、そのうちの何パーセントですか、八%ですか、第四条の(4)にある「国際教育交換活動の資金に充てるため」これでしょう。このためにその中のある額が贈与の形で入ってくるということなんですが、こういうことに対しまして文部大臣はどういうような見解をお持ちでしょうか。
  111. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 米国の方でわが国の食精事情にかんがみ贈与をするというのでありまして、昨年は米産はあの通りでございましたが、やはりわが国においては食糧事情が悪いことは事実でありますから、贈与は受けておりますです。
  112. 須藤五郎

    須藤五郎君 贈与を受けるということは好ましいことであるかどうかと、そういうことを文部大臣立場で教育の責任者として、私は聞いておることなんです。
  113. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 私は大体今日の状況にみまして、やはりいいことじゃと思っておるのであります。これはやはり国際教育交換活動の資金に充てられるのでありますから、お尋ねは外国からの食物をもらって子供に食べさせるということが、ある意味で教育上弊害がないかというお心持かと存じまするが、実際においてそれは認めるような事実もございません。それがために、もらった子供がわが国よりもアメリカの恩恵を感じるというふうな傾向にでもなりますと、これは大へんなことであります。その傾向は今のところ認めておりませんです。
  114. 須藤五郎

    須藤五郎君 文部大臣大臣になりたてのほやほやとみえて、今の日本の国内に起っておるいわゆる学童のアメリカ崇拝というばかげたことに対して、あまり知識を持っていらっしゃらないようですね。小学校でずっと児童に対していろいろ日教組なんかでためしておりますが、アメリカが一番えらい国だというようなこと、どこに生まれたいというとアメリカに生まれたい、こういう回答を答えておる生徒が非常に多いのです。われわれは本来ならば、もう一度生まれるならば日本に生まれたいと答えるのが私たちの気持である、それが今日の児童はそういうふうに答えない。そういうことが今日現われておるときに、なおアメリカは何のための目的を持って、余剰農産物日本に押しつけて、そして残った小麦で日本人の気持を押えていこうという意図を持っておるかということを、文部大臣が察知しないということでは、私ははなはだ遺憾だと思うのですが、どうですか。
  115. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) そういう御推定もあろうかと思いまして、御質問以前に、失礼でありましたけれどもお答えしたのであります。事実において今わが国の義務教育、学校の教職員諸君は民主主義の教育をやっておるのであります。そしてまあ民主主義といえば、イギリス、アメリカが法制上はまず先に試みた国でありますから、学校における教育の話題が英米のことがたくさん出はいたします。しかしながらこの給食の一部分をアメリカからの贈与が入っておるということで、英米の文物を憧憬するということはなっておらんように感じておるのです。私がほやほや大臣であるとはあなた御承知通りでございますけれども、これは大臣じゃなく、国民として私も子供を学校にやっておるんです。孫も行っております。そういう世間的の観察から、そのために彼らがアメリカ崇拝になっておるという感じはいたさないのであります。お答えになっておるかしりませんが。
  116. 須藤五郎

    須藤五郎君 あなたはおじいさんだ、たしかにおじいさんだ。僕もおじいさんだ。だから自分の孫が学校へ行って、アメリカの贈与の小麦で給食を受けなければならんということに対して、決して私は快い気持を持ちません。そして今日の日本はもうそういう時代を抜けていると思うのです。食糧も豊富ですし、今ごろになってまだアメリカからただの小麦をもらって、かわいい子供や孫に給食をしなくちゃならぬというような情ない状態ではないと思うのです、私は。あなたはまだ今日そのような情ない状態だとお考えですか。
  117. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) わが国経済の情勢は、御承知通り一昨年、昨年にかけて回復いたしていることは事実です。ただしかしながら食糧の一点に至ってはいまだ十分と申すことはできないと感じております。
  118. 須藤五郎

    須藤五郎君 経済が立ち直ったら食糧は買ったらいいじゃないですか。自分で金を出して買ったらいい。十五億ドルの手持ちの外貨がありながら、なぜかわいい孫や子供に食べさせる給食のパンを、アメリカの残りものをもらって食べさせなくちゃならない、なぜこういうことをしなくちゃならないのですか。その点理屈に合わない。
  119. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 私はこれは決して情ないことであるとか、教育に影響があるとは思っておりません。ただあなたのお考えに通ずるものは、食糧は別として、日本人に独立精神を養うということは、私は考えているのです。今回の教育各法の改革をお願いするのもその心持は同一であります。(笑声、「えらいころへ持っていきますな」と呼ぶ者あり)そのアメリカの小麦を食べたから、アメリカ人崇拝になるとまでは私感じておりませんが。
  120. 須藤五郎

    須藤五郎君 あなたはアメリカから残りものの小麦をもらって、そうして孫や子供に食べさすことが恥かしいと思わんという、一方でそういう答えをしながら、片方にあの反動立法、教育二法案を改悪しよう、こういう考え方を持っている。これはあなたは僕は頭が分裂しているように思うのです。一方では非常に反動的なことをやっていると同時に、一方では非常に従属的なアメリカ崇拝的な、何といいますか、私たちのよく使う言葉で言ったら、あまり失礼な言葉は使わないようにいたしましょうが、非常に従属精神に満ちたお考えをしていらっしゃるようですが、どうですか。おかしいと思うのですな、私は。やはりこれはおかしいようにみえるけれども、実はこうじゃないのですか。非常にあなたの頭の中に、こういうことがありがたいと思う気持があるがために、そこでその教育二法案などを改悪して、一つアメリカさんの御趣旨に沿いたいというような気持でもって、今急いでやっていらっしゃるのじゃないですか。
  121. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 教育二法案は決してアメリカさんの御趣旨に迎合するという考えは少しもありませんです。今度の教育案の趣旨は、もしあるとすればわが国の独立の教育をやりたいという下心はあるのかもわかりません。しかしアメリカに迎合するために、今度の教育案を出したということじゃございません。
  122. 須藤五郎

    須藤五郎君 僕はここであなたと教育法案の戦いを、もしも許されるならば私は一日でも二日でもやってみたいと思いますが、ここは外務委員会で今日は余剰農産物がかかっているときなので、そういうふうに責めることもどうかと思いますから質問をもとへ戻しますが、この中にこういうことがあるのです。この交換文書の中にあるわけですが、「両政府は、アメリカ合衆国政府が行う贈与の農産物の効果的な利用を確保するため、定期的に協議し、また、日本国政府が計画の進むよく状況の観察のためにあっせんする現場視察に共同して参加することに同意する。両政府は、さらに、贈与が行われた農産物の積出、配給、利用等の諸状況について公衆に周知させる広報計画で双方が満足するものを実施することに同意する。」という条項があるわけなんですね。
  123. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) ございます。
  124. 須藤五郎

    須藤五郎君 おわかりでございますか。そうしますとアメリカは単にくれたというだけじゃなしに、くれた目的、何かをかり取ろうという意図がここにはっきりしてきておるわけですね。もっとはっきり言いますならば、この。ハンはアメリカからちょうだいした。ハンであるぞということを、学童たちの頭に畳み込もう、という意図をもってやられるということがはっきりしてくるわけですが、どうでございましょうか。そういうことをされて日本の児童に対する何ら影響がない、それでもありがたいものだというふうな気持で済ましておることができるでしょうか、どうでしょうか。
  125. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 実際においてこのパンはアメリカからもらったんだからして、お前たちアメリカびいきになれといったような意味ではないので、もらった以上はもらった趣意はこれは感じなければならない。贈与の分がもっともプールしておりますから、ちょうどアメリカからもらっただけのパンというものはないのですけれども、それが入っておるということは、もらう者はこれは知らなければなりません。もらって知らん灘をするわけにはいきませんが、しかしそれが教育上にあって悪影響があろうということは事実において今考えておらんわけです。  それからもう一つ、お問いじゃありませんがお答えいたしておきます。これはことしが初年でありまして、第二年は四分の一減じ、三年は二分の一減じ、四年目には四分の三減じ、その次にはなくなる、こういう一時のことであります。わが国食糧状態をかんがみてこれは一時やったことであります。わが国が従属的な教育をするということじゃございません。
  126. 須藤五郎

    須藤五郎君 それでは学校へアメリカの人が何のために、学校給食を何のために調査しに行く必要がありますか。くれたものならくれっぱなしで、何らそういうことをする必要がないじゃないですか。なんで広報活動をしなくちゃならない。
  127. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) この中に日本側と共同して視察するということがありまするが、それはもらった物が目的通り使用されておるかどうかを見る、こういうふうに私は考えます。
  128. 須藤五郎

    須藤五郎君 それは単なる言い逃がれであって、アメリカの目的とするところは、やはりこのパンはアメリカからもらったんだということを日本の国民に、児童の頭につき込もう、こういう意図をもってこういうことがなされる。ここにある広報活動というのはどういうことをやるのですか、これは。
  129. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 交渉の途中の段階では、アメリカ側から具体的にその広報活動について何ら申し出はございませんのでありますが、政府といたしましては、大体今回贈与される小麦あるいは脱脂粉乳の船積みの状況、あるいは日本に到着した状況、それから配分の状況等についてまあ一応周知するということを考えておるわけでありますが、しかしこれは大体ここにございますように、日本国政府が計画して、両国政府の合意によって両方とも満足できるようなものについて行う、というふうに考えておるわけでございますので、特にアメリカ側からお前たちの食べているものは、アメリカがただでやったんだぞというようなことを特に印象づけようとして視察する、というふうには考えておりませんし、私どももそういうふうなことになる場合には、これはできるだけそういった悪影響を及ぼさないように注意をいたしたいと思います。
  130. 須藤五郎

    須藤五郎君 大臣などはこの学校給食にもらうことを非常に感謝していらっしゃるようでありますが、大体余剰農産物というものはどんなものか、大臣は一体御存じなんでしょうか、そしてどういう条件で日本に押しつけられておるかということをよく御存じの上でやっていらっしゃるのでしょうか。そして学童に対する給食用のこんな小麦などを、全くばかに恩を着せてよこしておるようでありますが、余った小麦を日本が無理やりに買わされておる、付録みたいなものです。こんなものこそ私何らありがたがる必要はないし、しかもそういうものを押しつけられて、条件をつけられて、常に監視されて、そして児童に対してはこれはアメリカからもらったものであるぞという印象を与えなくちゃならん。こういうばかげた条件をつけられて、こんな物もらう必要がどこにあるか。それをあなたはありがたいものだとお考えになっていらっしゃるのですが、それではあなたの独立精神と非常に縁遠いものになるのではないかと考えるのですが、どうですか。
  131. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 物事は実際で見なければなりませんが、今これをやっておりますけれども、小麦の贈与を受けた、脱脂ミルクの一部分の贈与を受けたということは、教育に悪影響は及ぼしておらんと見ております。
  132. 須藤五郎

    須藤五郎君 何ですか、悪影響は及ぼしていない。
  133. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) いない。
  134. 須藤五郎

    須藤五郎君 しかし今度こういう条項をたくさんつけてきておりますね。これまではなかったことです、今度こうやってきておるのです。それに対してこの問題についても、学校の子供たちに給食しておるときにアメリカのやつがやってきて、これはアメリカからもらったパンでございますということを学校の先生が言わなくちゃならん。また子供にそういう印象を与えるということが起ったとき、果してそれは好ましいことであるかどうかということを私心配しておるのですが、文部大臣はそれに対してどういうことを考えるのですか。
  135. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 事実において悪影響はないと認めておるのであります。
  136. 須藤五郎

    須藤五郎君 ははあ驚くべきことです。これはそこまでいったら私は見解の相違です。それははなはだ驚くべきことだと思います。もしも文部大臣が心の底からそういうことを考えておるならば、あなたは日本の文部大臣としての資格はありません。私はもう論議をやめます。
  137. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 他に文部大臣に対する御質問の方はございませんか。……それでは本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十七分散会