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1956-04-10 第24回国会 参議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十日(火曜日)    午前十時五十三分開会     —————————————   委員の異動 本日委員高良とみ君辞任につき、その 補欠として森田義衞君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     左藤 義詮君    理事            岡田 信次君            木島 虎藏君            早川 愼一君    委員            有馬 英二君            川村 松助君            平林 太一君            内村 清次君            三浦 義男君            三木興吉郎君   国務大臣    運 輸 大 臣 吉野 信次君   政府委員    警察庁警備部長 山口 喜雄君    運輸省自動車局    長       山内 公猷君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選道路運送法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 運輸委員会を開きます。  まず委員の変更を御報告申し上げます。四月十日高良とみ君辞任森田義衞君が補欠選任ぜられました。  次に、理事補欠互選の件に関してお諮りいたします。仁田委員運輸委員辞任されて、再び委員に復帰されましたが、理事が一名欠員となっております。よって補欠互選を行いたいと存じます。この互選は、成規手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 御異議ないと認めます。それでは、私より岡田信次君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 道路運送法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のおありの方は御発言を願います。
  5. 早川愼一

    早川愼一君 道路運送法の一部を改正する法律案提案の御趣旨の中に二つありまして、輸送安全確保ということ、それから道路運送秩序確立、こういう根本趣旨があることを承知いたしておりますが、これについても若干御質問申したいのですけれども、まず第一に、法文の中に現われておりまする現行の第二条の第二項中から「有償で」という文字を削る、こういうことになっておりますが、この有償文字を削ると、一体どういう具体的に現在の自動車界実情から変化が起きてくるのか、どういうお見込みでありますか、またどういう期待を持っておられるのかということを、一つお尋ねをしたいと思います。
  6. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 今回の改正案のおもな事項の一つでございます、今御指摘のありました第二条第二項中「有償で」を削ることにつきまして、立法の経過その他につきまして御説明申し上げますと、初め道路運送法におきましては、自動車運送事業というものの定義を、他人需要に応じて自動車を使って旅客または物品を運送する事業というふうに規定いたしてあったわけでございまして、その後昭和二十六年に全面改正をされました際に、この「有償で」という字句が入ったわけでございます。そのときの立法趣旨といたしましては、この道路運送法事業法であるということを徹底させるために、「有償で」というものを加えた方がはっきりするのではないか、他人の物あるいは他人輸送する事業を継続反覆的にやる事業であって無償でやるというようなことは考えられないというふうな考え方から、「有償で」という字句を入れたわけでございますが、その後法律を施行いたしました際に、この「有償で」があるために、無償というものでカモフラージュいたしまして有償をやるものが出て参りまして、その取締りが非常に困難になっておる実情でございます。具体的な例を一、二あげますと、たとえばある都市におきましてただで自動車を走らしておると。しかし目的といたしましては、これは新聞社にそういう例があったのでございますが、その新聞の中に乗車券を刷り込みまして、その新聞を買えばその刷り込んだもので乗車券代用で乗せるというような型も出て参ったわけでございます。これはまあ本法からいいましても、無償というものを建前にしておりますが、有償ということにもなるわけでございますが、非常にこの法律解釈を概念法的に考えますと、個々運送行為有償でなければよいのではないかというようなことも考えられまして、間接利益を得る行為はこの道路運送法の場合には適用されないというような解釈をされる方もなきにしもあらずでございまして、そういう点ははっきりさせた方がよろしいという見地に立ちまして、そういう行為であっても直接間接利益目的として他人需要に応じて人または物を運送する行為は、この本法の規定する対象であるということを、今回の改正におきましてはっきりさせようとしまして、交通秩序というものをそういう面からはっきりとさせるということのために、この「有償で」というものを削りたいというふうに御提案を申し上げておる次第でございます。
  7. 早川愼一

    早川愼一君 私の持っておる資料によりますと、昨年の十一月末の調べでは、自動車数が百四十四万台、そのうち自家用が百十九万台、営業用が十七万台、その他八万台、こういう数字を持っておるのですが、これは多分当局のお調べになった数字であろうと思います。そうしますと、第二条がこういうふうになりまして、有償でも無償でも、とにかく他人のために継続して自動車運送をやるということになりますと、これはみな新しい新立法によって自動車運送事業という、すなわち免許を受けなければならぬということになるように解釈できるのですが、そうしますと、具体的に百十九万台の自家用車のうちにかなりの数が営業用になる、こういうことになるのですか。
  8. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 自家用が全部営業用——いや全部じゃない、相当のものが営業用になるということは考えておらないわけでございまして、この法の対象といたしますのは、他人需要に応じて運送行為を行うものを規定しておりますので、純粋に自分荷物を運ぶというような運送はこの中には含まれておらないわけであります。
  9. 早川愼一

    早川愼一君 そうしますと、第二条は今度の「有償で」がとれただけで、つまりどんな形式であろうと、とにかく今御説明になったようなものは相当あるということから、この取締り上、有償文字を削った方がいいと、こういう観点に立たれたのではないかと思いますが、そう解釈していいのですか。
  10. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) その程度がどの程度であるということは、はっきり把握しておりませんのですが、自家用であるが、たまたま他人のものを有償で運んだというものはこの法の対象になっておりませんので、事業といたしまして反復継続的にやっておる、たとえば自家用荷物需要の半分くらいしがなくて、あとの半分くらいは人の荷物を反復継続的にやるというような場合には、現行法でもそれが有償で行われております場合は違反になるわけであります。今回ももちろん、それが有償である場合にはいけないわけであります。ただ、それが無償で行われたという場合でも、一応そういうものは本法対象になるわけでございます。と申しますのは、それが料金という形式で払われても、あるいはその他の契約で払われましても、結局そういう点におきまして有償をカモフラージュしておるという事実の可能性がありますので、一応そういう点を縛っていきたいというふうな適用の結果になると思います。
  11. 早川愼一

    早川愼一君 そうしますと、さらに掘り下げて御質問を申し上げますが、何かそれが多いから、取締り上どうしても有償を除いた方がいいというふうに受け取ったのですが、そうではなくて、何か第二条を「有償」とか「無償」とかいう文字を入れぬ方がいい、また元来入れてなかったのだから、今度の改正でもそれを取るのだと、ただ単にそれだけの効果しかないものですか。それとも、非常に何か実際問題として、そういう非常に解釈上あいまいなものが多くて、取締り上言いのがれをするものが多くて困るから、そういうあやふやな文字を避けて、他人のために継続反復して事業として営んでおるものというものを取締ろうということで来たと解釈せざるを得ないのですが、そうですか。
  12. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) その点は、あるいはお話にぴたっとこうだということもむずかしいわけでございますが、ただいま御指摘になったいろいろの要素を含んで、「有償で」というものを削ることに考えておるわけでございます。たとえば取締りができないというお話もございましたが、有償でやっておるか、無償でやっておるかということにつきましても、なかなか個々行為につきまして、有償であるという証明が非常にむずかしいものでございまして、役所といたしまして、そうしますと、この料金というものを別の杉でとっておるという証明もなかなかつきにくいわけですから、もちろん有償でやっておれば現行法でも処罰対象になる、やってはいけないということになっておるのでありますが、この「有償で」というものがありますと、現実にそれが有償免許を受けないでやっているというような証明役所側がどうしてもしなければならないわけでございますが、現実の問題といたしますと、なかなかそういう点もむずかしい問題がありますので、これを除いた方がはっきりといたします。それでまあ役所といたしましては、無辜の人を罰するという意思は一つもないわけでざいまして、違反者をはっきりとないようにしたい。それにはこういうふうな非常に誤解を起して、何といいますか、法の不備のために、それを利用して、免許を受けないでそういう運送行為をするという余地をなからしめた方が、この法律趣旨にも合致するものであるという考え方から、この「有償で」ということを判ることにしたいと考えておるわけでございます。
  13. 早川愼一

    早川愼一君 これは従来の御経験によって、非常にその事例が多い、どうしてもこういうものを、「有償」という文字を削ないと弊害が多いということがなければ、立法趣旨にならぬと思うのですが、それがどのくらいか、何もお調べになったことないのですか。
  14. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) それがどのくらいかということがなかなかわからないわけでございます。わかれば、もうすでにそういうものは処罰をいたしておるわけでございますが、隠れたそういうものがまあ相当あるであろうということは想像されるわけでございますが、今申しましたように、なかなか取締り困難でございまして、これは単なる想像でございますので、どのくらいそういうものがあるかということは、われわれでもはっきり把握しておりませんが、ある程度といいますか、相当そういう行為があるのではなかろうかという予想はいたしておるわけでございます。
  15. 早川愼一

    早川愼一君 それでは、ここでちょっと根本の問題についてお尋ねしたいのですが、提案理由の御説明の中に、この第二条の問題について、「事故防止徹底を期し、あわせて道路運送に関する秩序確立をはかる」と書いてありますが、これは具体的にこの「有償」という文字を取ると、そういうものの確立がはかれるという、そういう意見から出ているのですか。
  16. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) この道路運送法の貫いております最も大きな公益的な性格といたしますと、これはまず安全という面の規定と、それから自動車を利用される国民の利益を保護しようというのが、大きな公益的な目的であろうと思います。それで「有償で」ということを取りますと、無償でそういうものをやっておられる方々も一応この法の規制対象になりますので、そういう点では、両者、そういう今御指摘になりましたような、安全と交通秩序の維持ということが徹せられることになるわけでございます。
  17. 早川愼一

    早川愼一君 この具体的にどういう事例があってというのは、非常にごく簡単な事例だけがあげられただけで、数学的に非常に弊害が多かったという印象を受けるには至っていないのですが、まあそれはそれとしておいて、一体今自動車業界にいわゆるもぐり営業というものがある、いわゆる自家用車もぐり営業というものがあるということを盛んにいわれておりますが、これは一体どういう現状であるか、何か把握されておる点がありますか。
  18. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 御指摘のように、そういう自家用車もぐり営業というものは、それが有償で行われております場合には、この道路運送法によりまして処罰対象になりますので、はっきりいたしますわけでございますが、そういう点で相当、何と申しますか、いわゆる警察の問題となった事例もあるわけでございます。しかしその数はそうたくさん出ておらないわけでございまして、と申しますのは、その立証が非常にむずかしいという点もあると思いますが、しかし現在の実情からいいまして、先ほどから御説明しましたように、そういう点では相当そういうものもあるのではなかろうかということは、われわれも想定をいたしておるわけでございます。的確な数字は、もちろん検挙その他告発があればその数字はあるわけでございますが、ただいまそういう数字を持ち合わしておりませんので、的確に数字を御説明することができないのは遺憾でございますが、そのほかにも相当あるということは、先ほどからわれわれも想像しておるわけであります。
  19. 早川愼一

    早川愼一君 何か私は、この「有償」を取られた結果、自家用車でいろいろ、たとえば現実違反事件をつかまえても、いや、これはちょっと頼まれて無償でやっているのだとか、いや何とかということを言われて、その場限りにどうしてもつかまえることができないというために、この第二条の「有償」という文字を取られて、そしてそういう言いのがれができないようなある程度取締りをやられるというつもりで、この自家用車なんかのいわゆるもぐり行為で、初めて第二条が生きるというふうに解釈したのですけれども、そうじゃないのですか。
  20. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) おっしゃっておる趣旨は十分私のみ込めないわけでございますが、あるいは現在では押えられないけれども、この有償制を取ることによってそういう行為をやめさせることはできるかという御質問かと思いますが、そういう点では相当効果があるというふうにわれわれは考えております。と申しますことは、先ほどから繰り返して御説明しておりますように、無償行為という表現であるが、実際上は有償であるという証明は非常に困難なことでございまして、今度はお前の方は道路運送法違反行為でやっておるのではないかという場合に、無償で、ほんとうに無償でやっておるということをその違反者証明しなければならないということになるわけでございます。その点におきましては、つまり「有償で」というものを取ることによりまして、こういう違反行為をやめさせるということは相当できると思っております。
  21. 早川愼一

    早川愼一君 従来当局に対して、自動車業者が、特にトラック業者ですが、もぐりを何とかして取り締ってくれと言うことを、馬耳東風に聞き流しておられるのですか。その声は相当強いと思いますが、それについてはどういう御見解なんですか。
  22. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) もぐり営業自体道路運送法違反行為でありますので、運輸省といたしましても、交通秩序を確保する意味からいいましても、そういうもぐり営業というものは取り締らなければならない責任を持っておるわけでございまして、その意味からいいまして、この有償制というものもそういう意味で取り上げたわけでございまして、そういう正当な要求に対して運輸省が全然耳をかさなかったわけではなく、まあ現行法でもそれは禁じられておることでございますので、そういう点につきましては十分努力して参ったわけでございますが、さらにこの交通秩序を一段と進めるという意味におきまして、第二条第二項の改正を考えておるわけでございます。
  23. 早川愼一

    早川愼一君 この百十九万台——百四十四万台のうち百十九万台の自家用車、このうちまあ小型もありましょうが、一体これは全部自家用なんですか、実質的に。何かそういうことをお調べになったことは……。そのうちの貨物は一体どのくらいありますか。
  24. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 私のただいま持っている資料によりますと、三十年十月の調べによりまして、百四十二万二千両全部の日本の車両がございます。そのうちで百二十五万三千両が自家用車営業用が十六万九千両となっておりますが、このうち普通貨物は十五万八千両ございまして、うち自家用が十一万一千両、営業用が四万七千両、小型貨物におきましては四十九万九千両、うち自家用が四十五万八千両、営業用が四万一千両、こういう数字になっております。
  25. 早川愼一

    早川愼一君 この数字から大体想像できますのは、営業用というものは非常に少い。自家用というものは非常に多い。一体日本の事情から見て、自家用というものはそんなに多くなるはずがないのに、多いということは、一面において、比較的自家用で簡単に仕事が始められ、自動車が使用できる。そうしてしかももぐり的な営業類似行為ができる。こういう点から、こう数が多くなったんじゃないかと思うのですが、この点の見解はどうですか。
  26. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) その点は、まあ自家用は、自家用を持つ必要があって持ったのではなかろうかと思いまして、そういう点におきましては遺憾ながらまだはっきりいたしておりませんが、まあ先ほどから申し上げておるように、その非常に多いために輸送力の方があきが出ることが想像されるわけでございます。そのほかに営業類似行為が行われるということは、先ほどから申し上げているように、ある程度あるのではなかろうかというふうにわれわれは想像いたしております。
  27. 早川愼一

    早川愼一君 その実態を御調査になったことはないのですね、全然。
  28. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) もちろんそれは営業類似行為をしてはいけないということで、すでに調査をいたしておるわけでございますが、調査して、違反行為があればもちろん役所といたしましてはそれを告発する義務があるわけでございますが、そういうものは告発をいたしておるわけでございます。
  29. 早川愼一

    早川愼一君 その調査をされても、実態がつかめないというのが本当じゃないのでしょうか。そういう点はないのですか。
  30. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) その点におきまして、役所といたしましてはそう多くの人員を持っておりませんので、事務所がやっておりますので、全部にわたってそういう一人々々の調査はなかなか不可能でございます。
  31. 早川愼一

    早川愼一君 本院に対しましても、自家用自動車のいわゆる営業もぐり行為ですね、営業類似行為を取り締ってくれということが四十四件も請願が来ているのですが、われわれとしては、第二条ができた趣旨が、一応そういうものを法の規制の中に入れて、言いのがれのできないように、無償であろうと有償であろうと、継続して営業類似行為をやっているというものを第二条で、その法律の中に、法の規制のうちに入れてやれば効果があると、こういう考え方で、初めてこの第二条がいわゆる立法趣旨事故防止徹底道路運送に関する秩序確立がはかられると、こう考えざるを得ないのですが、そういう点、今の単なる法規上、取扱い上、どうも反証をあげることはむずかしいとか、出願してきた場合にその手続が厄介だとかいうことで、そういうことだけで有償を削られるのなら、はなはだ立法趣旨と違ってくると思うのです。羊頭を掲げて狗肉を売るというとちょっと語弊がありますけれども、そういう点はどうお考えになりますか。
  32. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) これは道路運送法対象といたしておりますのは、そういう純粋に自家用まで縛るというのは行き過ぎではないかというふうに考えておるわけでございまして、業としてやっておるということは継続反覆的にやるということが必要でございますし、ただいまのお話でございますと、自分のものだけを輸送するものもその対象にしてはどうかというふうにも私受け取れたのでございますが、やはりこれは他人のものを運送するということが運送業の本旨でございますので、その点でわれわれはしぼって考えておるわけでございます。
  33. 早川愼一

    早川愼一君 この附則によりますと、とにかく三十日間はそのまま継続しておってもよろしい、それからその事業について免許申請をした場合、免許をする旨または免許をしない旨の通知を受ける日までの期間も同じことだと、こういう附則がついていますが、一体これは、こういうことによって申請があり、もしくは免許をしなければならぬようなものですね、つまり自家用のものが営業用になることがこの条文で想像できるのですが、それが一体どれくらいの数字か一向見当がついておられぬということは、不思議でしょうがないのですが、それはどういうことでしょうか。
  34. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) これは、たとえば現実道路運送法違反を行なっているというものについて想像をしておるものじゃないのでありまして、一例をあげますと、たとえばデパートが駅からデパートまで無償運送しているというものも今度の対象になるわけでございます。と申しますのは、それは慈善事業としてやっておるわけではないのでありまして、本業の利益を増すためにやっておる行為であるというふうにわれわれ考えておりますので、しかしこの従来の有償無償を問わない場合に、それが少くとも違反行為になるかどうかはまだ疑問でございますので、そういったものにつきましても、一定期間純粋にそういうものを今後も続けるかどうかということの申請によりまして、この免許基準によりまして免許をしていこうというふうに考えておるわけでございます。それでそれはどのくらいの件数があるかということは、御指摘通り、その違反行為をどうしているか、あるいは違反類似行為がどのくらいあるかということは、現在まで法の対象外でありますので、十分に把握いたしておりませんので、どれくらいの件数があるかということは、御指摘通り、把握いたしておりません。申請の都度そういうことにつきましては十分慎重審議した上で免許をする、あるいは免許をしないということの決定をいたしていきたいと考えております。
  35. 早川愼一

    早川愼一君 私ばかり少し長くなるようですが、まだちょっと私の納得のいかぬのは、きわめてまれなデパート送迎用とか、こういうものをぜひとも今度は法域範囲内に置いて、そして取締り対象——いわゆる営業用ですね、営業用はかなり今度は運転手とかあるいはいろいろのまた事業者の監督の面において重い規制をかけて、そして交通安全を期そう、こういう御趣旨はよくわかるのですが、非常にきわめてまれな例をおっしゃって、そういうものだけを第二条の改革の対象にされるというのはどうも私には納得がいきかねるのですが、もう少し現状をごらんになって、すでに国会に対しても四十四件も類似行為を取り締ってくれ。しかも取締りはなかなか困難だと今おっしゃっている。そうすると、そういうことには一向耳をかされないで、きわめてまれなものを法域範囲内に置いて、それでもって輸送秩序確立するのだとか、事故防止徹底を期するのだということが、非常に私には納得がいきかねるのですが、もう少しその点を……。自家用車といえども、今日自家用車実態をよく、これはもう実態を把握されればすぐわかることなんですから、そういう民間に声があればこそ、事実があればこそ、やかましく言っているのだろうと思うのですね。その点をちっとも——それはどうしようもないのだとおっしゃるのは、はなはだ事故防止に対して徹底を期さないのじゃないかというふうに解釈できるのですが……。
  36. 平林太一

    平林太一君 こういうことは根本の、自家用車とそれから営業用に対する根本的な国の輸送の、最も高度に輸送が円滑に行われる、そういう根本の問題についてよくた、だしたいと思う。  それで根本の問題だが、これは自家用車事業用自動車と、これはいずれも国の輸送に対する目的を達成していることについては、どっちも変りはないと僕は思う。そこでそういう面を根本の問題として考えるときに、この虚業用のみに重点を置くということは、全体の輸送面において偏在してしまう。国の輸送根本の問題としては、自家用車事業用車も、ともにその持っておる能力を最高度に発揮することが焦点となると思う、それが政治だから、それを事業用にのみ偏在するような、この自家用車の円滑な活発な交通利用度というものを圧縮していくことは、全体として非常にマイナスになるのじゃないか。従って、これに対する取締りなりあるいはそれを処置するということについては、そういうことを考えなければならぬと思うのですが、これをどういうふうに考えられるか。
  37. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 自家用と営業車というものは本質的に違っておることは御了承の通りでございまして、自家用というものは、自分荷物を送ることにおきまして、その必要から、各いろいろの事業者が持たれるわけでございます。営業川の車といいますものは本来から、自分荷物というものではなくて、貨物の面におきまして他人荷物を送るという面から、その自動車の保有及び営業をやるわけでございまして、その場合におきまして法の対象といたしますのは、自分自分自動車を動かすという場合に法の保護の強い対象にする必要がないわけでございます。他人の物を、第三者の物を送るということにおきまして、他人の生命あるいは財産というものを移動いたしますために、公益事業といたしまして免許対象にいたしておるわけでございます。ただいま早川先生御指摘になりました点はよくわかるわけでございますが、その場合に営業者は、今言いましたように、公益事業としましていろいろの制約を受けております。また営業といたしまして税金その他も払っておるわけでございまして、自家用であってその遊休の輸送力を活用するといいましても、そういう何といいますか、制約を全然受けないで他人の領域を侵すということは、まあその点で取り締らなければならないという趣旨でございます。  それは今度の有償制を除くということの前に、現行法でもその点は十分取締りができるわけでございますが、有償制がありますために、その取締り相当困難になっておるということで、運輸省といたしましては、この有償制を取りますことによりまして、いろいろだだいま問題になっておりますもぐり営業というものをさらに規制をして、輸送本来の交通秩序確立をいたしたいということを考えておるわけでございます。
  38. 平林太一

    平林太一君 このもぐり営業ですね、これはおのずから常識的の問題です。自家用がそれでは文字に現われた事業用でないかというと、これはそうじゃない。大衆的な自家用も、やはり事業一つなんです。それだけのいわゆる車を持って営業をしているということは、その当事者に対してはこれは事業なんです。しかし、それをいわゆる広義な意味において事業として専門にやっておるものと、それから狭義の意味において自家用というものが事業用であるという解釈は下されるわけです。だから、そこで政府は非常に幅の広い見解をもって、ともにそれが栄えるという道を講ずることを根底にした、つまり道路事業法改正でなければいかぬと僕は思う。それを自家用を、何か事業用というものの全然仇敵のごとくこれを排撃していくということは、交通の円滑化というものを非常に阻害するわけです。ある程度においては自家用は自己の事業であるから、事業としてそれが専門の事業との差というものはきわめて、紙一重の差である。それを何といいますか、自家用車を虐待するようなことになっていくと、全体のつまり交通運輸というものが非常に阻害されていくということになるわけです。それが非常に何といいますか、日本法律というものは、国が小さいから、ものごとを非常に何かすべて階級的に考えておる、乗用であるとか、事業用であるとか。そうして一方を重く見て、一方を全然何か排他的に見ておる。非常に交通運輸ということに対しては根本的に考えなくちゃならぬ問題だと思う。こういう問題はおのずから常識上の問題として、事業用であると自家用であるとにかかわらず、それが要するに交通運輸に国家全体のために貢献されていけば、それでいいのじゃないか。そういうような両方をともに栄えさせるというような方向に考えていかなくちゃいけないと思う。  今質疑の中に、四十何件かの請願があった。これはおそらく何でしょう、今の事業用車から来たものでしょう。事業用車と称しておるものから……。自家用車というものは、そういうようなことを集団的に行ういとまはない。自家用車のごときはもっと、四十どころじゃない、何百、何千の要求が出てくる。そういう不合理な、自家用車に対して圧迫、威圧を加えるということは——ある程度自家用車自分事業用だから、それに対して事業のために運ぶ。それなら事業用自動車が、果して全体の国の輸送を完全に、これを利用してそれだけの使命を果しておるかどうかということは、非常に問題なんです。運ぶだけで、かえって事業用であるために……。今日では地方の自家用車がいわゆる事業会社、事業用自動車会社の名に連ならなければその何ができないから、それで何か名前だけを事業会社に何してもらう。そうして事業会社も、自分の車でなしに、そこでいわゆる権利金をとってそうしてやっておるというものが非常にあるのです。  従って、この架の取締りというものは、あまりこういうことをやっていくことは私はよくないと思う。おのずから事業用自家用車も所を得せしめるということをやっていくことによって、いわゆる道路運送の国全体としてのプラスになるのじゃないか。こういうことをどういうふうにお考えになるか。これは政治的な問題で大臣にお尋ねするより、当事者であるあなたに技術的にそういうものを把握してもらいたいと思う。そういう点、どういうふうに考えておるか。
  39. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 営業用を重要視し自家用を軽視するという観念は全然ないわけでございまして、自家用というものは、先ほどから申しましたように、自家用として運輸者はそういうものの保護助成をはかっておりますので、営業用につきましては営業用といたしましてその保護助成をはかっておるわけでございます。ただ、自家用といいますものは自家用として車の所有をしておるわけでございまして、第三者の荷物を運ぶという目的で持っておるわけではございません。その場台に、第三者の荷物を運ぶという必要があれば、やはり本法によりまして営業の免許を受けるということが現行法でも建前になっておるわけでございますから、そういうふうな正当な行為を踏めば、役所といたしましては免許あるいは免許しないということは、この法律の第六条によって判断がされるわけでございます。それで、たまたま自家用で、必要がないのにもかかわらず自家用の車を持ち、輸送力が余ったのでそういうもぐりで営業をするということは、現行法でも認められていないわけでございまして、そういうものは取り締らなければならないということはもう明らかになっておるわけでございます。それで全体的な行政におきましては、自家用あるいは営業用というものは、その目的がはっきりいたしておりますので、その目的に沿って運輸省といたしましてはそれぞれ保護助成をしなければならないというふうに考えておりますので、その点におきまして営業用のみの助成をはかっておるということはわれわれは考えておりません。
  40. 平林太一

    平林太一君 そういう何か潜在した真意はよくわかる。今の説明の中でよくわかるのです、潜在した真意は。そこで事業用というものに対しては、具体的には自家用車が実際は自家用車、即、営業用になりたいのだ。そうしてそれを自家用車の余裕のあるときには、やはり営業用にこれを使ってもらいたい。いなかへ参りますれば、これは自家用車というものがどんなに便利な時宜に適した輸送の使命に当っておるかということを、考えなくちゃならぬ。それをもぐりと称するけれども、しかしこれは、事業会社が自己擁護のために国全体のことを考えない一つの傾向として現われた一つの現象なんです。それだから、自家用車は、即、つまり営業事業用にするということで、すべて開放するならば、これは皆事業用になるわけなんです。それだから、そこに非常なきびしい規制を設けてあるから、つまり事業車を擁護するということは、そういうことはないとはいうが、実際はしておるから、それでそういうことを、自家用車がそのせっかく持っておる機能を発揮することができない。国全体としての非常な損失なんです、これは僕から言えば。  そこで事業用というものを考えるが、私の経験では、これは事業会社の、今日貨物自動車にしても乗合自動車にしても、かつて戦争中にいわゆる国の徴用というような傾向の当時の政治形態によって、ことごとくこれは没収、統制したものです、今日事業用と称しておるものの会社では。だから、これは戦争が終ったならば、一応開放しなければならぬ義務を持っておるわけです。事業会社はバスを、つまり路線にいたしましても車にいたしましても、そういうことをあなたはお知りになっておるかどうかしらぬが、その当時地方の警察権まで発動して、トラックなどは庭先で評価して、即日それが事業会社の所有になってしまった。それで今日それが、いわゆる戦争後においてそれがそのままいすわっておる。そしてトラック事業、それから一般旅客輸送というものが行われているわけ、であります。これはきわめて不合理な建前なんです。それだから、むしろ事業用というものは、申請があればどしどしとこれを許可していくべきなんです。それを実質上においてはそういう事業用というものの障壁を設けて、そうして事業用のいわゆる許可申請というものをみな却下しておる。今日ではそれをもう絶望して、せっかくそういうことをしたいと思っても、そういうことの意欲を失ってしまった。これはわが国の運送事業というものに対して、これはもう重大な問題なんです。それはどういうふうにお考えになっておりますか。
  41. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) ここで抽象的に、免許する、免許しないということはなかなかお答えできにくいわけでございますが、現行法の第六条が事業自動率の免許基準を示しているわけでございまして、特に第三項におきましては「運輸大臣は、免許申請を審査する場合において、前二項に掲げる基準を適用するに当っては、形式的画一的に流れることなく、当該自動車運送事業の種類及び路線又は事業区域に応じ、実情に沿うように努めなければならない。」という規定がございまして、形式的にものを考えてはいけない、実情に沿うように考えていかなければならないということでございまして、ただいま御指摘のありました、いなかにおきますようなところにおきましては、大都市における事業免許よりも実情に沿いまして十分考慮しているつもりでございまして、数字的に申し上げますと、特にそういうところにおきましては小型免許が問題が多いわけでございますが、二十六年におきましては、業者数が三百七十八ありましたものが、昭和二十九年におきましては三千百八十五というふうに、実情に沿って考えてきておりまして、特に寒村あるいは僻地におきましては、一両、二両の免許実情に沿って免許をいたしている次第でございます。
  42. 平林太一

    平林太一君 大へんけっこうなんです。しかしそれは今の三千何台というのは、決して実情には沿っていない許可をした結果なんです。  それでですね、新しくこういうものを申請してきたものに対して、いずれの場合でも、事業会社がこれに対して、運輸省のあなたの所管のところへいわゆる反対運動をして、妨害をしようとしている。それだから、自動車局長はよくお考えになっていなくちゃならぬんのですが、あなたの局の課の中におって、そうしてこの許可申請に対する仕事をしているところの、いわゆる昔の言葉でいえば、この事務的な官僚が従来の事業会社とは非常に因縁を持っている。そうして従来の事業会社というものは必ずそこに個々にわたりをつけてあるわけなんです。そういう事実をあなたは——これは一面において綱紀粛正の問題になるが、しかしこれは事業の本質からして非常に重大な問題なんです。地方のつまり運送業の許可にしても、自動車業の許可にしても、こういうことが、いかにわが国の今日の事業会社というものが、戦争中そういうようなことに何か便乗して、そうして既得権のごとく考えて、何らの反省をしていない。そうしてこの民主的な日本の運輸事業というものが、何ら今日、戦争前と異ならないというような事態にあることを考えなくちゃならぬ。今あなたの言う全国で三千なんというものは、これは非常に何か正しからざるものがあるから、三千くらいで、僕から言えば、少くとも万という数字になっていなくちゃならない。日本今日狭しといえども、この活発なる生産、戦争後十二年にして今日の産業、今日のこの国運というものを築いてきたこの現状において、三千くらいなんというのは腑に落ちない話ではないか。それは必ずその裏面にそういうものを抑制しているものがあるから、こういうことなんです。そうして事業会社にいわゆる偏在した利潤の独占をせしめ、今日多数の失業者がある、潜在失業者が七百万、完全失業者が七十万という。これをもし一台の自動車、トラックを許可してもらうならば、そういうことを希望して、その失業を回復しようという者がどのくらいあるかわからぬ。  それから地方においても、地方の事業というものは、都市でもそうであると思うが、決して貨物自動車をふやしたということによって交通事故が起るということは、決してあり得ないことだ。それは何も、車というものは自分の財産だから、そういうようなことは断じてないわけなんです。それをことさらに何か規制して、ある一定地域においてこれこれがどうして、それは支障があるとか、これこれを何しては交通障害になるとか、僕はそんな言いわけは、何というか、ことさらにそれを排撃するための理由にしかとれない、こういうことだ。今後どしどし事業用自動車として、それは一つ貨物でも事業用なんだ、その許可に対して開放するところの意思があるかどうか、これを一つ明らかにしていただきたい。
  43. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 免許申請があれば、全部開放をすることはできません。と申しますことは、やはり免許をいたしますと、第三者の荷物を送るわけでございまして、それにはやはり第六条の免許基準に適合しておるかどうかということを十分に審査をいたしました上、さらにその実情に沿うようにわれわれは考えていくわけでございまして、この席上で、免許申請があったものは全部免許するかというお問いにつきましては、非常に紋切り型の御答弁になりますが、やはりその具体的な事例につきまして、この本法目的にその事業が沿っておるかどうかということを十分審査した上で、免許のときは決定いたしたいと考えております。
  44. 平林太一

    平林太一君 それは当然なことだ。そんなことは常識で判断しなければならぬ。いつでも何も開放しろということは、それでは法律も何も必要ないのです。僕が言うのは、申請してきたものを、いわゆる当然法律によって、その免許に対しては一つの基準というものが当然あるわけなんです。しかしそれは一つの言葉のあなた方の言いのがれにすぎないのです。そういうことを事業会社の圧力というものに対して——常にそういうものが一つ何か出ると、事業会社はそんな競争相手が出るということは、もう非常にそういうことをきらっておるわけです。そういうことを改めなくちゃいかぬ、こういうことを申し上げておるわけなんです。だから、開放ということを僕は言っておるけれども、それはむろん無許可で何しろと、そんなばかげたことはありっこない。許可を、もっと今までのような、何か事業会社に違憲したり、会社の妨害によって、あなた方の運輸省内部に事業会社というものが、新たに申請してくるところの庶民の許可申請に対して、いかに堅牢ないわゆる巣をくっておるかということを、あなた方お考えにならなくてはいかぬのです。そういうことを良心的にどうお考えになっておりますか。断じてないということを言えますか。
  45. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 断じてございません。あれば、われわれといたしましてもそういうことは粛正しなければならないということで努力いたしておるわけでございます。何かお話を聞きますと、非常に運輸省の担当官が業界と結びついてそういうものを阻害しておるやに誤解があるようでございますが、そういう点は、われわれは目が届かないかもしれませんが、そういうことのないように努力いたしておりますし、もちろん現在もそういうことはないと信じて現職に励んでおるわけでございます。また業界のために新しい免許を、何といいますか、押える、あるいは業界の圧力によりましてそういうものをやるということはないわけでございまして、われわれといたしましては、行政官としてこの法律に忠実に、個々免許につきまして実情調査してやるのが当然でありますし、またそういうふうに今後も努力をいたしたいと考えております。
  46. 平林太一

    平林太一君 これは断じてないということは、それは当然なんです。あるなんというと、あなた、大へんです。しかしながら、これから後、国会があなたに対して、大過なきを期せしむるために、そういうことを言うのです。事実は、そういうことは厳然たる事実としてあるわけだ。しかしこれはやむを得ぬことだ。一々その通りにやっているわけにはいかないから、ある程度大目に見ておるのだ、われわれとしては。それはその反省がなくやっていくということになると、これはやはり道路運送自体に対して、いわゆる国家の国利、国益というものを損失して、そうして国の国損というものを、無形な数字の上にそれが増大していく。それをもって国の繁栄を阻害するということになるから、それをですね、それに対して僕は追及的なことは言わない。それは一つ、きょうそういうものの、今私が申し上げたものをあなたの腹に置いて、それはあなたの名誉を尊重しますから、一つお帰りになったら、そういうことをちょっと目を光らしてみたらいい。そうしたら、すぐわかりますから。  だから、僕は最後に申し上げたいのは、いわゆる事業用自家用のその限界を、これは広義に僕は、何といいますか、考えていかなくちゃいかぬ。あまりこれをきびしく何するということは、自家用車ということは、即、事業だ。その事業が若干いわゆる事業会社の輸送のもとに及ぶというような場合は、そういうような場合ほど実は実情においては輸送のこの時期、適切な円滑な使命を果してやるということ、僕は強く、僕の政治的な立場において、そういうことを考える。正義というものは決して、一方がよくて一方が悪いということにすべきではない。万人に所を得せしむるということがその目的であるわけだ。だから、自家用事業用とを区例をあまり冷厳に取り扱うということは、これはわれわれとしては承服ができないということを、この際申し上げます。  従って、この法律の運用の適用よろしきを得るようにしなければならない。だから、これは先般も言ったが、きょうもこれがあるようだが、第四ですね、道路運送法の一部を改正する法律案提案理由説明の第四です、「一般旅客自動車運送事業者及び特定旅客自動車運送事業者に対して、政令で定める一定の要件を備えない運転者の使用を制限し、本条違反事業者に対し罰金刑を科することとした。」、こういうことですが、その「一定の要件を備えない運転者」というのは一体どういうことだ。これをまず伺ってみたい。運転しているのだ。運転しているのが、一定の何をしないというのは……。
  47. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 自動車を運転する者は現在、運転免許を持っておれば全部運転ができることに道路取締法ではなっておりますが、この中で特に一定の要件を備えなければならないと思しますのは、特に人を運送する、営業として人を運送するものにつきましては、 ハイヤー、タクシーにおきましては半年以上の経験を持たなければならない、それからバスにつきましては一年以上の経験を持たなければならないということで、貴重な人命をあずかっておる運強者でございますので、一般にトラックその他を運転する者よりはさらに練達した運転者が必要であるということが、この一定の条件でございます。
  48. 平林太一

    平林太一君 そのことも、免許証を持たなくてはこれは当然雇用もしない、会社は、事業者は。それからまた免許証があることによってこれは運転者ということに相なるものであるから、その条件を備えておる。それからそれに対して、今お話しの通り、当然これは旅客を輸送する運転者というものに対しては、それは実にそういうこともきわめて必要だ。たとえば国会の運転手なんというものは、世俗で私は考えておるが、一度も事故を起したことはない。これはよほどそういうことは立証されておるわけです。しかしこれを具体的には、そういう免許証をとられた者に対して、その後それを要件を備えないということは、今のお話では、何か一つの具体的な一カ月とか二カ月とかという条件があって、こういうことが具体的にはどういう限度によって実現し得るか、それを実際に実行するということの具体的なことはどういうことになるのか。今一カ月とか二カ月ということは、よくわかります。これは非常に大切なことです。どういうことになりますか、これはちょっとばく然としておるようですが。
  49. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) この規定は現行にもあるわけでございまして、現行にありますものを今回はっきりさせましたものは、これは運転者を処罰対象になし得るかどうかということが問題であったわけでございますが、運転者につきましては道路取締法の方で罰せられますので、この点におきまして、それは経営者がそういう人を使ってはいけないのだということをはっきりさせた規定でございます。現行法にありますそういう運転者の要件といたしましては、ただいま申し上げました経験、一般乗合旅客自動車運送事業あるいは貸し切りの観光バスというようなものにつきましては、一年の運転経験期間が必要である。あるいはただいま申し上げました一般乗用旅客自動車運送事業、いわゆるハイタクというようなものにつきましては、六カ月の運転経験期間が必要である。そのほか年にいたしましても、二十才以上であるということが現在の規定でございまして、そういう人でなければそういう旅客を輸送する自動車に乗せてはいけないということを、事業者に縛った規定でございます。
  50. 平林太一

    平林太一君 それはきわめてけっこうなことでございます。しかし、今のお話通り、一年間の経験者というようなことは任意的に行われる、ここが大切なことになる。どうです、全国の旅客自動車会社で、いわゆる採用後において一つの練習所というような施設を持って、一年ぐらい——ことに近来旅客自動車の事故というものはほとんど連日にわたって全国に起っておる。この点はいかに今日の旅客自動車業者が不可抗力とはいうが、いずれにしても、これはその運転者のいわゆる事故によって生ずることが多いわけです。これに対して事業会社というものがそういう施設をして練習させるということがいわゆる会社経営の上から一番大切なことです。一年間ぐらい、あるいは二年間ぐらい、自分の会社の練習所、教習所のようなものを持って、そうしてそこで訓練し、あるいは人格の陶冶をする。酒なんか飲んで事故を起したり、あるいはその人物が軽率のために事故を起したことがたくさんあるわけです。だから、ただ技術だけではないわけです。その運転者の人となり、人物、そういう面もあわせて、技術的と人物的の両方の面において会社自体が訓練させる。今日旅客業者の場合でそういう施設を持っておるのは全国でどのくらいありますか。
  51. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 運転者といいますものは一応そういう施設で練習をいたしました上で、試験を通ってくるわけでありまして、その試験を通れば現在の道路取締り法におきましてはいいわけでございますが、ただいま言いましたように、旅客を運送する者につきましては、われわれといたしましてはもっと商い経歴を要求いたしておるわけであります。ただいま御指摘通り、各会社がそういう練習所を持てばけっこうなことでございますが、なかなか現在はそういう状態にもなっていないようでございますが、運輸省といたしましては、結局運転技術を高めるという面から、そういう点における各従業員の技術を嵩めるように会社に指導はいたしておりますし、たとえば毎年一回運転者の技術の何といいますか、腕比べというようなものも開催いたしておりまして、各地方々々におきましても、そういう運転技術あるいは自動車の整備ということにつきましては、常に会社でもそういうことをして十分な関心を持つように行政指導をいたしておるわけであります。
  52. 平林太一

    平林太一君 それで、だんだんわかってきました。なぜ練習所を作る法律を先に出さぬのか。免許証をとった者を採用するというようなことは、これは貨物の業者の場合でも当然のことです。しかしながら、いわゆる特定地域にそれぞれ事業会社というものはあるのだから、それだから路線はきまっている。その路線になれるということが事故防止の最大の要諦になると僕は思う。練習所を置けば技術も高められるし、人物もりっぱにさせられます。何といっても、その路線になれさせるということが、事故防止に対しては一番大切なことです。全国の事業会社がみな特定の所に限られた路線でやっておるのですから、一年なり二年なり練習所でやったり、あるいはその路線を空車で運転をするということをしていかなければならないと思う。こういうことにあなた方が気づかないということは——そうして事業会社に向って練習所を施設すべしという法律を、他の法律に優先して出すべきです。練習所を施設することのできないような弱小会社は、自家用車にしてしまえばいい。そういうところにまだ日本道路運送法根本の問題が、いわゆる何といいますか、資本主義経営の非常に独占的なものが残っておるわけであります。各事業会社に対して練習所を作らせて、そして免許証を持っておる者を採用しても、その後半年なり一年なりそこで練習させるようにしなければいけない。自動車会社はその施設の所要経費を負担することは必要である。しかし必要であるくらいの会社であるから、そういうものに耐えられるだけの会社であるから、そういう国が独占事業として許可しているということで、それをわれわれは承知しておるわけです。だから、この法律を早急にこれと並行してお出しになる必要があると思いますが、大臣、いかがですか。
  53. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) お話の点は非常にごもっともな点があると思いますが、実際問題として、今のバスその他のトラック業者にいたしましてもそれだけの施設をやるということになると、財政的に負担の問題がありまして、一律にはやりにくい問題ではないかと思います。そこで、それだからといって、大事なことをほうっておくわけにはいきませんですから、そこで私もその問題を根本的に考えますというと、実は鉄道というものと非常に密接な関係を持っておる事業でもございまするし、イギリスのように、ほんとうをいえば、やはり道路運送というものは、やはり国有鉄道というようなものと一緒に経営するという仕組みを立てるのが私は理想的じゃないかと実は考えております。ただ、そうすれば国がやるのですから、それだけの設備がむろん十分できます。ただ、イギリスの例によりましても、何せその鉄道と違いまして、道路運送の方は比較的小さい資本でばらばらに始められるものですから、全国に幾らあるか存じませんけれども、甘木の多数のものを——イギリスも同様でございますけれども、国有という形にはいたしましたけれども、なかなかそれを統一して一緒にやるというところまでは時がかかるのでございまして、私はやはり将来の問題としては、鉄道の関係があり、また航空の関係がありますから、交通政策の全般的の観点からいいますと、道路運送というものを、今お説のような観点もございますので、根本的に一ぺん考えてみなければならぬ必要があるとは考えておりますが、ただいまの現状において、今のそのバス業者というものにそれだけの施設というものを法律でもって強制するということには、あまりにその財政的な負担が強いので、現状にはそぐわないという気がいたすのであります。
  54. 平林太一

    平林太一君 大臣の真意はやっぱり僕も了解ができます。やっぱり大臣は大臣らしいお考えを持っておられると思います。こういうことを私どもは申し上げるわけです。ただ、やはりこういうことは、非常に近来の事故というものはとどまるところを知らない。毎日、新聞を見ておりますと、事故が出ておる。何らかの措置が必要だ。何らかの措置をとるにはどうしたらいいかということを考えてくると、どうしても運転者がやるのだから、それの責任があるといって、その責任を運転者に追究してみても何もならない。だから、運転者自体の、そういうことに対して事故防止の方法ができるような運転者というものを作っていかなければならない。そのためには、会社の経理がどうであるからと言っておられない問題です、人の生命に関する問題ですから。生命、財産というものは——財産というものは別に第二、第三の問題なんです。生命の問題にかかっておる。それを今までのように、依然とした会社の事業経営のためにそういう施設ができなかろうということは、そういうことは考えているべき問題じゃない。こういうことこそ、今大臣のお話通り、将来は国でやればそれは簡単にできる。まことにその通りです。しかし国でやると、事業者自分にやらしてもらいたいと言っておるのだから、国でやるといえばごう然と反対してきましょう。いわゆる自動車事業者というものはごう然として反対してくる。それで反対してきながら、やることはやらない、なすべき施設はしないということでは、こういうことを放置できますか。これほしかもおおむね、今言う通り、路線を限って特権を与えてある。全国の自動車会社というものはいずれも、今日いわゆる高級な、多い利潤配当というものをいたしておるわけです。しかもその地方の有力者というものは、おおむね自動車会社に関係している、重役とかだということがいわれておる。そういうみな地方の有力者というものはそういうものであるということの事実を見てもわかる。だから、今何もそういうことをさせるということは、要するに会社の経理、財政の上からそういうことはできないということは、これは憶測もはなはだしい。憶測もはなはだしいと同時に、それよりも重大なととは、会社の経理を考えてやって人の生命を考えてやらないということにあるわけです。人の生命と会社の経理のどっちが尊いか、会社の経理を考えてやることが大切か、乗客の生命を軽んじないということを考えてやることが大切か、はっきりいたす問題じゃありませんか。すみやかにこの練習所設置の問題を法律化して、これをするということの、これは言明を聞かなければ納得ができません。この点はどうです、これは。
  55. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) まあお話の点よくわかるのですが、なるべく行政指導でそう行くことはわれわれも希望いたしておりますけれども、法律で強制するということになりますと、やはりその前提として、まあたよりないものはすぐやめたらいいじゃないかというわけにも参りませんので、やはり今の群小なバス業者というものの間に一つ統合といいますか、合同といいますか、やはり大組織化に一歩々々前進することが僕は必要だろうと思います。どうしてもそういう形態になって、比較的やはり大規模の組織でもってやる。今のようにあまりバス業者のものが地方的な区画だけに限られた小さい業態では、今お話のありましたようなことを法律でもって強制するということには、どうも実際に合わぬように思いますけれども、しかしお話の点は非常に大事な点でございますから、私どももまあできるだけそういう点についても考慮はいたしてみたいと存じております。
  56. 平林太一

    平林太一君 それで、まあそれぐらいのことは僕が運輸大臣になれば即時やっちまうわけなんだ。それはさっそく、大臣になれば……。それはそうなんですよ。そんなことはきわめて簡単なんです。そういうことはその程度でとどめておきます。非常に大切な問題です。人を大切にするか、人の生命を大切にするか、最後の結論は人の生命を大切にするか、自業会社の経理をいわゆる憶測してこれを擁護してやるか、こういうことなんです。しかも事業会社というのは、単一的なものです。人の生命というものは、一つのバスに七十人、八十人、百人というものが一瞬にして生命を落すという事態は、これは実例で明らかです、この点は。そういうことを一つお考えになられて、根本的にそれを一つ処置せられるように——。大した問題じゃないのです、今の施設なんということは。これくらいのことをまたさしておかなければ、独占事業を許可していくことは、国としてはそれほどの思いやりを、それらの事業資本家に、自動車資本家にそういう思いやりをかけてやる必要はない。これに対して、こういうことを一つ申し上げておく。  それからその次に、やはりこれは罰金刑を科するということになっておるが、これはまあ今度は事業者を擁護するようなことになるわけだが、僕はこういうことは正しいことは正しい、悪いことは悪いので、罰金刑を科するということは、これは何か行政的に事業者に対して処理するという方法はないかどうか。罰金刑ということになると、やはり刑事上の刑事被告人として、非常に人権に対する裁判、断固たる刑罰である。刑事罰であるから、人の精神を根底から奪い去るというものですから、こういう問題に対しては何か行政的の措置で、要するに罰金刑を科するということは、こういうことを未然に防止するということのために必要が出てきた問題だから、それだからそれを行政的に何か措置して、これが矯正せられることが目的であるから、矯正せられさえすればそれはいいわけですから、そういうことは何か御方針があるかどうか。
  57. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 運送法におきまして、大体そういう司法罰の対象になります行為が行政罰の対象になることは事実でございまして、今回の場合におきましても、道路運送法の第四十三条におきまして、行政的な処分ができるわけでございます。処分の方法といたしましては、ただいま御指摘のありましたように、まず行政処分が先行いたしまして、それによりまして目的を達せればいいわけでございますが、それでもやはり業者自身が改善をなさない場合には、司法罰も考えなければならぬというふうに考えております。
  58. 平林太一

    平林太一君 非常に重大な、あなた方の考え方が間違っている。そういうような考え方であるからこそ、いわゆる事業者を一方に擁護して、自家用車を、弱い者を常に虐待冷遇する。これは日本の官僚の伝統の悪いところなんです。今さら答弁の必要ない。必要ないから答弁求めませんが、そういうものを考えていかないと順次よくならぬ、こういうことをやっておっても。僕自身としてはそういうものに大いに対決して、あなた方と対決することがあなた方の所を得せしめることになる。良薬は口ににがしということが昔の言葉にあるが、潜在した伝統の精神というものが、何か一つの特権をもって罰金刑でおどかして、その罰金を科するということの権限は運輸省にあるんだ。この点大庭いかがです、あなたの御意見として伺っておきましょう。
  59. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) これは全般の行政法規の共通の問題で、そういう罰金の規定があるからといって、それをむやみに振り回すというわけではない。やっぱりそれだけの威嚇を与えることによって、われわれとしてはなるべくその発動せざることを実は希望しておるのでありまして、お話のように、すぐそれを適吊するということでなしに、業者が納得し、悪質なものは場合によってはそういうことがあり得るということに御承知を願いたいと思います。
  60. 早川愼一

    早川愼一君 ちょっと大臣にお尋ねしておかなきゃならぬのですが、ちょっと質問が切れましたし、あるいは時間もありませんから、ごく簡単に申し上げますが、要するに、現在のわが国自動車界におきましては、特に貨物については、先ほど数字もありました通り、非常に多いですね。そうしてそれが現実には自家用と称しながらもぐり行為をやっておる。これは先ほど平林委員からお尋ねになったように、どんどん免許法域に入れられるということも一つの方法でありましょうが、これは需要供給の関係もあることですし、事業として育成発達させるにはある程度の数の制限もあることと思いますが、いずれにしましても、非常に法律外に勝手なまねができる自家用車というものが、事実は営業類似行為を行なっておる。そのために、せっかく免許を受けたトラック業者も、その運賃が守れなくて、いわゆる運賃のダンピングをやって、今日全国の自動車業界が、トラック業界が非常に困っておる。これを何とかして取り締ってもらいたいということを言うんですが、先ほど自動車局長からお話のあった通り、実際はなかなかこれは困難だ。街頭取締りということも、人日の不足等も十分察せられますから、これもおそらく不可能だろうと思います。それで今度の二条は私どもば実は多少そういう意味があるのかと解釈しておりましたんですけれども、どうもそういう意味もはっきりしておらぬ。この点について、実は衆議院の方で議員立法で何かこれをやりたいということが今問題になっているようですが、まだ事実に現われておりませんけれども、これはいわゆる現存の自家用というものは届出制一本で、実はそれだけの取締り、届出の内容はやはり自家用たることを証明するものが主要なる届出事項になっておるんです。これを一応認証制というような制度を設けて、そうしてチェックすることをやったらば、よほど弊害が少くなるのじゃないか。また法の取締りも、そう人員を増さなくても、ときどき認証制によって縛っていけば、実際自家用で必要な人は何も影響がないし、それから違反行為をやるものを行政官庁でチェックする方法もそこにできるのじゃないか、こういうような意見もあるのですが、これは非常に切実なる今のトラック業界の問題になっているのです。私どもはやはり免許を受けて堂々と営業をやっているものが、行政官庁から指定された運賃を守ってやっているものが、そういう不当な圧迫を受けて今日事業が成り立たぬというようなことは、実に見るに忍びない。そうかといって、法律によって、あるいは行政官庁の取締りによって、多くを期待できないということから、こういう問題が起きているのじゃないかと思うのですが、それに対する大臣の御見解なり、御意見をこの際伺っておいた方がいいと思います。
  61. 吉野信次

    ○国務大臣(吉野信次君) 先ほど政府委員説明が少し言葉が足りなかった点もあるように思います。つまり個人、自家用というものの取締りが、どれだけつかまえればということがちょっとわからなかったものですから、そこに少しこだわって説明——こだわってというと語弊がございますが、そういったような説明を聞いたんですが、お話通りに、今度の改正は、今お話しの通りに、やはり業界の秩序を設けるという意味は、やはりそういうものを取り締ることが改正一つの理由でございます。その点は私からあらためて申し上げておきます。  そこで、それ以上にさらにそれを徹底させるために、今の認証制度ですか、その内容も私は初めて伺ったのですが、どういうのか、一種のチャーターみたいな、特許ですね、どういうのですか内容がよくわかりませんのですが、まあそこまでこの際としては行かなくても、今度「有償」ということをとったために、つまり今までのような金をとらないような格好をすることのもぐりのことが、この法律でもってある程度私は規制ができると、こう思います。そこでそれ以上のことをさらにやるということになりますと、また既存の業者というものにさらに特別な法律上の地位というものを与えるような結果にもなるきらいがあると思いますから、私はまだ具体的に実はよく、衆議院におけるお話もほんとうにまだ承わっておらないものですから、今ここでそれがいいか、悪いかということを申し上げることは差し控えたいと思いますが、ただ感じとして、せっかくのお話ですが、感じとして、そこまで行かなくても、まずこの際はこの程度改正でもってやってみたらどうだろうかという感じを持っております。
  62. 早川愼一

    早川愼一君 認証制ということを非常に何かチャーターというようなふうにお考えになるかもしれませんが、そういうことじゃなくて、ただ届出を官がそれを認めて、具体的に言えば、もし事故が起きた場合にはそれをチェックする方法をまあ認証制と、こうわれわれは了解しているのですが、事実上の違反行為がありた場合にそれをチェックする。現在は自家用車が行政取締官にっかまりましても、いろいろ言いのがれをできる。もし、かりに最悪の場合に自動車を停止されても、直ちに、届出制でありますから、他人の名義に井きかえることもできる。まあこれはっかまえようがない。つかまえようがないところを、認証制というものは一応チェックするという形に持っていこうというのが、おそらく認証制でありまして、承認とか、認可とか、免許とかというやかましいものじゃないのです。ただ現実に現在届出制をやっておられますが、届出制を正式に政府が認めて、そして承認を生える。それはもちろん認証ということは決して、きめた場合に、それを拒否するなんというなには何ものもないのです。認めるなら、言った通りのことをやっておるかいないかということをあとでチェックするというのが、この認証制の効果であろうと思うのです。もちろん違反行為の者を罰するのであって、善良なる自家用車をどうしようということはないと思います。ただ、これは手続がいかにも厄介そうで、免許も拒否されるのじゃないかというような心配があるかもわかりませんが、そういう点はねらっているのじゃないと思います。ただ現在の取締官では手不足である、どうしても何かチェックする方法がなくちゃいかぬというのが、この認証制の起きた一つの原因であろうと思うのです。しかも、それは現在最もそういう違反行為の多い、旅客は別にしまして、旅客はまあもぐり行為というようなのはそう弊害になることはないのですが、貨物現実にもうおそらく百十九万台、この自動車のおそらく大半は——大半と言っちゃ語弊があるかもわからぬが、相当数がいわゆる現実に運賃のタンピングをやり、あるいは運賃の協定を無視して、自由自在に日本輸送を荒らしている。このために、また輸送秩序も保たれない。あるいはまた従って、事故に対しても無責任、まあ賠償法ができましたから一定の限度においては賠償責任を質わなきやならぬようになっておりまするけれども、これとても実は予防措置としてはきわめて、賠償法が予防になるとは思えないので、発生した事故に対するただ責任の明確を期そうということだけにすぎない。いずれにしましても、その現状から見て、どうもそういう声が起るのはやむを得ないのじゃないかというふうなわれわれは考え方になっておる。大臣はまあ認証制についてまだしっかりお聞きになっておらぬようでありますから、あるいは次回、もし何でありましたら、そのときに一つ……
  63. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  64. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記を始めて。  本日は、これをもって散会いたします。    午後零時三十二分散会      —————・—————