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1956-03-15 第24回国会 参議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十五日(木曜日)    午前十一時三分開会     —————————————   委員の異動 三月十日委員井上知治君、森田義衞君 及び野田俊作辞任につき、その補欠 として山縣勝見君、高木正夫君及び高 良とみ君を議長において指名した。 三月十三日委員川村松助君、平林太一 君、一松政二君及び岡田信次辞任に き、その補欠として大矢半次郎つ君、 大野木秀次郎君、長谷山行毅君及び小 沢久太郎君を議長において指名した。 三月十四日委員長谷山行毅君、大矢半 次郎君、大野木秀次郎君及び小沢久太 郎君辞任につき、その補欠として一松 政二君、川村松助君、平林太一君及び 岡田信次君を議長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     左藤 義詮君    理事            仁田 竹一君            早川 愼一君    委員            岡田 信次君            川村 松助君            三浦 義男君            三木與吉郎君            大倉 精一君            小酒井義男君            大和 与一君   国務大臣    運 輸 大 臣 吉野 信次君   政府委員    運輸政務次官  伊能繁次郎君    運輸省船舶局長 山下 正雄君    運輸省鉄道監督    局長      權田 良彦君    運輸省自動車局    長       山内 公猷君    運輸省航空局長 林   坦君    運輸省観光局長 間島大治郎君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道副    総裁      小倉 俊夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○旅行あっ旋業法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○日本国有鉄道法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査) ○運輸事情等に関する調査の件(日本  国有鉄道運営に関する件) ○空港整備法案内閣提出、衆議院送  付) ○臨時船舶建造調整法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○道路運送法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査)     —————————————
  2. 左藤義詮

  3. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記を始めて。  次に、旅行あっ旋業法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を求めます。
  4. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) それでは、提案理由について御説明申し上げます。  旅行あっ旋業法は、広く内外旅客旅行あっ旋を業とする者の監督取締り規定でございまして、昭和二十七年七月公布されて、同年十月から施行を見たものでございます。本法施行に伴い悪質業者は減少し、業界の粛正に大きな役割を果しておりますが、三年半に及ぶ本法施行経過に徴しますると、その取締り規定が不十分なため、いまだに各種の不正行為を行う業者や無登録業者も相当あり、いろいろな欠陥が表面化いたしております。そこで旅客等の保護の徹底をはかるとともに、旅行あっ旋業の健全な発展を促すため、今回のような改正法案を作成いたしまして、本国会に上程することといたした次第でございます。  改正のおもなる点について御説明申し上げますと、その第一点は、登録要件強化したことであります。  現行規定におきましては、形式的要件さえ満たせばだれでも登録を受けることができ、そのため業態が不健全で旅客を初め交通業者宿泊業者などに迷惑を及ぼすおそれが多分にある者でも登録せざるを得ず、いろいろな弊害をかもしております。  そこで、今回の改正に当りましては、登録要件のうちに、当該事業を遂行するに足る資力信用及び旅行あっ旋に関する経験または能力を有する者であること、という条件を加えることといたしました。  改正の第二点は登録更新制を採用いたしたことであります。業者が一たん登録を受けても、その後資力が不足するような場合も少くありませんので、一定期間を置いて業者資力信用その他の資格要件を再び審査する必要上、登録有効期間を三年とし、三年ごとに登録更新を行うことにいたしたのであります。  第三点は、旅行あっせん約款に関する規定を設けたことであります。現行法におきましては約款に関する規定が全くありませんので、旅行あっせん業者旅客との間の旅行あっせん契約がきわめて区々となっており、旅行を中止したような場合、旅客が不当に不利をこうむる場合が少くないのであります。  そこで、今回新たに旅行あっせん約款届出制とし、旅行あっせん契約の態様の明確化をはかるとともに、その約款旅客の正当な利益を害するおそれがあるものであるときは、その変更を命じ得ることにいたした次第であります。  改正の第四点は、職員による営業所等への立ち入り検査であります。従来は、単に報告を徴し得るにとどまり、業者取締り徹底を欠くうらみがありますため、本法目的達成必要血限度において登録行政庁当該職員業者営業所等に立ち入り帳簿書類その他を検査し、及び関係者に質問し得ることといたしたのであります。この場合、当該職員には所定の身分を示す証票を携帯せしめることはもちろん、その検査に当っては、犯罪捜査に類する行為とならぬよう厳に配意する所存でございます。  改正の第五点は、罰則の強化であります。現行規定におきましては、無登録営業者等に対しても最高十万円の罰金を課し得るにとどまり、他の類似法令に比しても低きに過ぎ、取締り上遺憾な点が少くありませんので、法務省とも十分協議した結果、罰金最高額をおおむね二倍に引き上げることといたした次第であります。  以上が今回の改正のおもなる点でございますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願いいたす次第であります。     —————————————
  5. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 次に、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から提案理由説明を願います。
  6. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 御説明申し上げます。  日本国有鉄道公共企業体として発足いたしましてから六年余りを閲したのでありまして、この間管理組織変更その他制度的に幾たびか改正が行われて参ったわけでありますが、膨大な組織でもありますので、過去いろいろと国民の御批判を受け、当国会におきましてもいろいろ御批判と御指導を受けて参ったわけであります。政府といたしましても、日本国有鉄道国民のためにより能率的に運営せしめ、もって公共の福祉に資するよう、いろいろ検討して参ったわけでありますが、一昨年内閣に設けられました臨時公共企業体合理化審議会、昨年運輸省内に設けられました日本国有鉄道経営調査会の答申を参酌いたし、さらには当国会におきまして行われました決議その他をも十分尊重いたしまして、日本国有鉄道組織財産管理等につきましてその改善の方途に結論を見出しましたので、すみやかにこれを実施に移すためにこの法律案を提出いたすことになった次第であります。  改正の要点を御説明申し上げます。  第一点は、経営委員会を廃止いたしまして理事会を置くことにいたしたことであります。現行法では日本国有鉄道意思決定機関として経営委員会がございます炉、必ずしも所期の成果をあげておりませんし、総裁との責任の限界が不明確でもありますので、これを今回廃止いたしまして、新たに総裁、副総裁及び理事をもって構成する理事会を設け、総裁がその会長となって、業務管理及び運営についての意思決定を行う機関とし、執行機関としての総裁理事会決定に従って業務を執行するということにいたしまして、意思決定機関執行機関との表裏一体化をはかり、あわせて責任の所在の明確化をはかったわけであります。この意思決定機関は、すべての事項につきまして決定をするという建前ではありますが、理事会が比較的軽いと認めまたは総裁に専決させることが適切と認めた場合には、その決定総裁に委任することを妨げるものではございません。しかしながら、この場合でも包括的委任を行うことは避けなければなりませんので、これこれは必ず理事会決定しなければならないという事項を列記いたしまして万全を期しているわけであります。執行機関といたしましては、総裁、副総裁のほかに、理事のうちから総裁の任命する常務理事がこれにあたることにいたしましたほか、総裁補佐機関といたしまして技術の改善及び進歩について総裁を補佐する技師長の制度を新たに設けることといたしました。  改正の第二点は、日本国有鉄道に新たに監査委員会を設けることにいたしたことであります。現行法では、経営委員会が、法文上は明かにされてはおりませんが監査的機能をも持っていたわけでありますが、これを廃止いたしましたためと、さらに広く国民的視野に立ちまして日本国有鉄道業務監査する必要がございますので、合議体監査委員会日本国有鉄道内部組織として置くことといたしました。これは組織上は内部監査機関でありますが、その委員運輸大臣が任命いたしまするし、運輸大臣監督上特に必要と認めたときは、監査委員会に対して監査及びその結果の報告を特に命ずることができるようにいたしまして、内部監査のとかく陥りがちな弊を防いだわけであります。  改正の第三点は、役員に関する規定についてであります。まずその任命方法でありますが、現行法では、副総裁経営委員会の同意を得て総裁が、理事総裁がそれぞれ任命することになっておりまするのを、副総裁及び理事運輸大臣認可を受けて総裁が任命することにいたしました。監査委員会委員は、さきほど御説明申し上げましたように、運輸大臣が任命いたすことになっております。次に役員任期でございますが、現行法では理事任期がなかったのでありますが、監査委員会委員とともにこれを三年といたしました。それぞれ再任ができ得るごとといたしたわけであります。このほか、役員に対して支給する給与及び退職手当につきましては、現行法では、日本国有鉄道給与準則を定め、予算で定める給与総額のワクをこえてはならないという制限があるのみでございまするのを、給与及び退職手当の基準を定めるときは、運輸大臣認可を受けなければならないということにいたしまして、職員給与総額とは別に取り扱うことにいたしたわけであります。また役員欠格条項として、新たに、運輸事業を営む者であって日本国有鉄道競争関係にあるものをも追加いたしました。  改正の第四点は、財産管理に関する規定についてであります。現行法では、財産管理につきましての規定は第四十六条のみでございまして、それも営業線につきましては明瞭でありますが、その他は、これに準ずる重要な財産ということだけで、運用上必ずしも明確な規定ではございませんし、当国会におきましてのいろいろの御批判もございましたので、これを明確にいたしまして、運輸省令で重要な財産を定め、これを貸し付けその他の処分を行おうとするときは、運輸大臣許可を受けなければならないことといたしました。このほか、現行法では国有財産法規定適用がございませんで、日本国有鉄道財産性格が不明確でとかく紛争を生じておりますので、これを明らかにいたしまして、貸付期間中でも事業の用に供するため必要を生じたときは、その契約を解除できることにいたしたわけであります。また現行法会計規程規定すべき事項を新たに明示いたしまして、財産管理規程規定もこれに包含されることを明らかにし、その規程基本事項運輸大臣認可を受けなければならないことといたしまして、財産管理の万全を期したいと存じております。  改正の第五は、いわゆる監督強化についての規定についてであります。さきに申し上げました通り政府監督監査委員会に対しての監査命令役員の任免、財産処分許可等によって強化されることになるわけでありますが、このほかに運輸大臣許認可事項として、新たに、鉄道の電化その他運輸省令で定める重要な工事を追加いたしまして、交通政策の立場からの監督強化をはかることにいたした次第でございます。  改正の第六は、役員についての恩給法その他の準用適用についての規定でございます。改正後の役員性格現行法での役員性格と異なる点もございますので、恩給法準用をなくし、国家公務員等退職手当暫定措置法適用を排除し、また国家公務員共済組合法準用につきましては短期給付のみに限定いたします等、所要の改正をいたしましたわけであります。  以上が改正のおもな点でございますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  7. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 右両案に対する質疑は次回に譲ります。     —————————————
  8. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 次に、運輸事情等に関する調査中、日本国有鉄道運営に関する件を議題といたします。
  9. 大倉精一

    大倉精一君 この際副総裁に、今国鉄の労働問題がだいぶ大きな問題になっているのです炉、これの発展いかんによっては日本交通事情に非常に大きな影響がある、こういうような問題が緊急の問題としてありますので、この問題に対して国鉄当局考え方等を若干お伺いしたいと思います。  調停案が出てからもう相当日にちもたっているのですが、この調停案に対する当局態度は、根本的にはどういうような態度でいかれるのか、その点についてまず伺ってみたいと思います。
  10. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) お答え申し上げます。ただいまお話がございました通りに、国鉄機能と申しまするのは、国民、公衆の利害に非常に大きな関連を持つものでございまして、私ども今回の争議につきましては非常に、心配をいたしている次第でございます。しかしながら私ども見ますると、今回の闘争におきましては、一部過ぎた行為もあったように見受けられる個所もございますが、全体としまして非常に良識ある行動をとっておられるように考えております。しかしながら地方につきましては、先ほど申し上げましたように、二、三国民に御迷惑をかけた点もあるので、さような点につきましては遺憾に存じている次第でございます。
  11. 大倉精一

    大倉精一君 私の聞いておるのは、行き過ぎたところがあるとかないとかいうことを聞いておるのではない。これは一つ、あとでそういう御論議があるなら、御論議があってもいいと思います。調停案が出た。これは権威がある。国鉄労働組合の方では、新聞等によりますと、内容によって不満なところがある、いわゆるベースアップは認めておる、ところがその時期と金額において不明であるという点が非常に不満であるというようなことを言っておるのです。しかしながら一応、こういう権威のある調停案が出たから、受諾をして、話し合いによって何らか解決をする方向に向おう、こういう工合に方針がきまっておるように伺います。ところが、当局の方では、これは相当期間がたち、しかも争議状態がいよいよ発展をしつつあるという現状において、調停案に対する何らの態度も示されておらず、ますます事態が紛糾する、こういうような状態になってくるというふうに私は見ておるのですが、この調停案に対する国鉄当局の根本的な態度というものは、あるいは考え方了というものはどういうものであるかということをお伺いしておるわけです。
  12. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 調停案に対しまする私どもの感じ、あるいは調停委員に対する私どもの気持と申しますと、これは調停委員会におきまして長い期間にわたりまして真剣な努力を続けられて結論を得られたということを伺っておりますので、この点は深く感謝いたしておる次第でございます。なおまたこの調停案につきましては、これもできるだけ調停委員の御苦心の跡をたどって検討いたしていきたい、こう考えておりますが、何がさてこれは財政的な関係もございますので、私どもの方ではやはり鉄道財政ということもにらみ合せて考えなければなりませんので、そちらの方の検討に手間取りまして、ただいままで延びておりますことは、私どもはなはだ遺憾に存じて、はなはだ残念に存じておる次第でございます。
  13. 大倉精一

    大倉精一君 はなはだ遺憾だということなんですが、調停案炉出てからもうすでに二週間たっておる。で、調停案の御苦労に対して感謝し、冬内容についてはいろいろ検討していきたいということなんですが、これから検討しようというのですか。今まで検討していなかったわけですか。
  14. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) もちろん調停案につきましてはいろいろ検討もいたして参ったのでございまするが、何はさてその財源につきましては、私ども国鉄収入と申しまするのは、御承知の通りに、非常に逼迫しておりまして、必ずしも余裕があるとは申せない状態でございます。こういう点につきましては、たびたびその国鉄財政につきまして表明いたしておる次第でございまするが、それもその収入の方につきましては概算が早く取れまするが、支出の方につきましてはいろいろ問題もございまするので、そういう収支の差益というようなことの検討に実は手間取って参ったわけでありまして、これがしかしながら本年度の締めくくりも十五日程度でございますので、もう見通しが四、五日のうちにはつくかと思いますので、できるだけこれを急がせまして、その財政状態を見きわめをいたしたいと、かように感じております。
  15. 大倉精一

    大倉精一君 今の御答弁でありますと、調停案内容について受諾ができないというふうにも受け取れるし、あるいは受諾するように努力するというふうにも受け取れる。両方受け取れるわけなんです。しかも二週間もかかって検討しておられるので、大体もうそのめどはついていると思うのですが、これはまあ端的に申し上げて、この争議を解決する方法というのは、これは組合側もこれを受諾して話し合いをしようと言っておるのですから、当局側もこれを受諾をして、話し合いを進める、こういう工合に歩調を合せないと、今の現状における争議というものは解決するめどがないように思うのですが、その点はどうなんですか。
  16. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 仰せの通り、労組の方で受諾いたしまして、私の方でまだ態度決定いたしかねているのは、先ほど申し上げましたように、深く遺憾に感じておる次第でございます。しかし、ただいまのところ、その収支計算をいたしておりますので、これも決して遠からずにはっきりすることでございまするからして、そのときまで日をかしていただきたい。決して今まで通りの次第ではございません。なお督励いたしまして、できるだけ早く調停委員回答ができるようにいたしたいと思いまするが、ただいまのところ、まだイエス、ノーというはっきりしたお答えまで申し上げる時期に至っていないのを残念に存じます。
  17. 大倉精一

    大倉精一君 これはことで御答弁なさるのはいろいろの言い回しがあると思うのだが、大体常識からいって、調停案が出ていまだに態度がきめかねているというのは、収支計算もさることながら、これはあたの方の戦術戦略だと私は思う。それ以外にこれはないと思う。あなたの方の戦術戦略であって、国民が迷惑をするということは、これは私は、当局としてこれこそほんとうに行き過ぎではないかと思うのです。あなたの方がそういうことをやっておいて、そして労働者の方で少し何とかしたといっては懲罰だでは、これは私は本末転倒をしておると思う。しかも労働組合の方で調停案受諾して、これから円満な話し合いに入ろうという新しい段階になったときに、懲罰をもってこれに報いるというようなことは、私はいまだかってこういうような労働争議のケースは知ったことはないわけです。  それはそれとして、あなたの方で今収支の数字を一生懸命やっているということは、あの調停案によってベースアップというものに対して、あなたの方は幾らベースアップができるか、五千円あるいは五千円以上一時金を出せ、これを五千円以上幾ら出せるか、こういうことをそろばんにはじいているのですか。
  18. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) あの調停案につきまして検討ももちろんございまするし、なお国鉄財政として、どのくらいの余裕ができるかできないかということを検討いたしている次第でございます。
  19. 大倉精一

    大倉精一君 国鉄財政として余裕というふうになると、やはりあの調停案を一応尊重されて、いや、受諾回答などは別としまして、一応あの内容を尊重されて、その内容に書いてあるところのベースアップをするという問題に対して応じられるかどうか、ベースアップがどのくらいで送るか、あるいは五千円以上のものをどのくらい出せるかということを検討なさっていると思うのですが、いかがですか。それが出ほいということになれば、拒否ということになる。その点はどうなんですか。
  20. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) もちろん調停案の各項目を受け取りましたのでございまするから、それにつきまして、その字句の解釈につきましてはいろいろ見方がございましょうが、私どもの考えるところによりまして、もちろんそういう計算はいたしておりますが、ただし、いろいろ中旬の解釈上むずかしい点は多々あるように考えております。
  21. 大倉精一

    大倉精一君 どうも私は腹に落ちないところがあるのですが、今の御答弁によるというと、調停案内容はともかくとして、国鉄は自主的にそういうようなものを検討していると、こうおっしやるのですね。そういうことになれば、組合の方から要求が出たそのときに、自主的に検討されて計画をされてもしかるべきものだと私は思うのですが、これはあくまでも調停案が出て、その内容にあれは記されている。だから、あの内容に従って計算を始めるのだと、こうなるのじゃありませんか。
  22. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) もちろん、ただいま私の言葉が足りませんでしたが、調停案の示すところによりまして、原資がどのくらい要るかということはもちろん計算いたしております。
  23. 大倉精一

    大倉精一君 そうすると、当局側としましても、大体あれの調停案受諾するかしないかという一つ要件は、あそこにあがっているベースアップというものを認めるか認めぬか、その余力があるかないか、あるいは五千円以上という金額に対して財政的に余裕があるかないか、こういうことだと思うのですが、そうすると、やはりあの調停案というものに対して、あのベースアップ、それから五千円以上、こういうものをやれと、こういう調停案に基いて、あなたの方がそろばんをはじいておられる。そうすれば、やはり組合調停案に対する態度といいますか、あるいは解釈というか、そういうものは一致してゆくのじゃないか。そこでそういうような問題はあるいは受諾して、あるいは話し合いをして、財政がこうだ、これはどうだ、ベースアップはこのくらいしろ、こういうようね話し合いをされる余地があるのじゃないか。この点はどうなんですか。
  24. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) ただいまベースアップというお話がございましたが、あの文言につきましては、私ども必ずしもベースアップと考えておりませんのですが、しかし金額につきましては、おのずからそろばんではじく問題でございまするからして、それははじいておりますが、しかしただいま申し上げました点は、私ども財政といたしまして余裕があるかどうか、そちらの方のそろばんに時日を手間取っているのでございます。これが非常に裕福でもございますれば、——裕福というようなこともあれでございますが、非常に余裕がございますれば、そういう財源の点も心配ないのでございますが、先ほど来申し上げました通りに、国鉄は経営のぎりぎりの線に行っておりまするので、やはり年度の見通しをある程度つけなければ、容易に、原資が余裕があるかないかという点が容易にはっきりいたしかねるものでございまするからしまして、ただいままでそのために手間を取った次第でございます。
  25. 大倉精一

    大倉精一君 どうもつじつまが合わぬですね。あの調停案ベースアップをしろと言っておるのではない、こういう解釈の上に立つならば、そろばんをはじく、あるいははじかぬ、はじくとかはじかぬとかいうようなことは、これは受諾を拒否する要件にはならないと思うのです。あの調停案は確かにベースアップの原則を私は認めておると思う。そのままに読めば、認めておると思う。あなたの方もその内容を承知して、これに従ってそろばんをはじいて、その原資いかんによって、あるいは余裕がどのくらい出るかということによって諾否をきめよう、となれば、調停案に対する解釈というものは一致しておるわけです。それをあなたの方は、調停案は必ずしもベースアップに関してはそうは言っていないということになれば、金額という問題は、ベースアップに対する金額という問題は、そういう解釈でいけば、受諾の、諾否の要件にはなってこない。ですから、あなたのずっとおっしゃっているのを聞くというと、私は先ほども申し上げたように、戦術戦略で延ばしておられるというように考えるほかない。特に調停案にしましても、幾ら上げろ、あるいは何月幾日から上げろということは書いてないわけです。ですから、そういうようなことについては今後相談しなさい、こういう調停案だと私は思う。ですから、あなたの方でそういう調停案であるという前提のもとにそろばんをはじかれて、そして組合の相談に応ずる材料をこれから一つ整備しよう、こういう段階にあるように思うのです、今のお話を聞きますというと。  そうしますというと、そういう方針でいくということになれば、まずあの調停案受諾して、そして自後そういうような問題につきましては、これはやはり双方がそろばんをはじきながら検討をし、あるいは交渉をする、こういうことになってくるのが大体普通のコースではないかと思うのです。どうもあなたのおっしゃっていることはつじつまが合わない。どっちがほんとうなのですか。
  26. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) お話でございまするが、たとえば第二項を見ますと、五千円以上というのがございます。これは一時金と書いてございまして、必ずしもベースアップを意味するものでもないと思うのですが、五千円と申しますれば、かりにその額を取るといたしますれば、人数はこちらでもわかっておりまするので、総額といたしまして大体二十二、三億にほるのでございまするが、そういう計算はできるわけでございます。ただ五千円出せるか、出せないかという問題になりますれば、これはやはり先ほど来申し上げましたように、ぶところ勘定になるのでございまして、その計算はまだできておりませんので、もう少し時日をかしていただきたい、こういうふう血ことでございます。
  27. 大倉精一

    大倉精一君 ベースアップの方の計算はしておられるのですか。
  28. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) ベースアップとおっしゃるのは、私どもはっきりわからないのでございまするが、先ほど来申し上げた通りに、あれは必ずしもベースアップを言っておるのではないと私ども解釈しておるわけでございます。
  29. 大倉精一

    大倉精一君 ベースアップがよくわからぬというのは、どういう意味なのですか。
  30. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) あの文面からはっきりベースアップのラインを出しておるとは、私どもあの文面からは承知いたしておらないのでございます。
  31. 大倉精一

    大倉精一君 それでは、そういう態度であれば、なかなかこれは解決のめどがっか念いわけですが、あの文面のどこがベースアップということを否定しておるかということです。あの文面のどこが否定しておるか。どういう所が否定しておる文面になっておりますか。
  32. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 否定しておると申すのでございませんで、あれはベースアップだということが私どもに必ずしも了解し得ないということでございます。
  33. 大倉精一

    大倉精一君 ベースアップを否定しておるのでなければ、肯定しておるでしょう。そのまん中はありますか。ベースアップを否定しておるのでない。否定しておるのでなければ、肯定しておる。ただ、財政上の問題があるから、そういう問題についてば話し合いをしなさい、こうなんだと思いますが、違いますか。
  34. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) あれは給与改善ということでございまして、給与改善にはもちろんベースアップもございまするし、また一時金の支給もございますので、それは全体として給与改善でございまして、あの調停案は労働条件につきまして広く指示されておるものだと、こういうふうに考えております。
  35. 大倉精一

    大倉精一君 どうもつじつまが合わない。給与の改訂には一時金もある。一時金のことについては五千円以上、はっきりしているでしょう。あとの問題ですね。昇給にしろ、あるいはベースアップにしろ、何にしろ、今の給与ではいけないから上げるのだということを肯定しておると思う。さっきあなたは否定していないとおっしゃっておる。否定していなければ、肯定しておる。まん中はあり得ない丑思う。ですから、私は肯定をされておる部分についてはそろばんをはじいておるかどうかということをお伺いしたわけですが、どうもそのお答えがないわけです。ここがやはり今の争議の解決の、何といいますか、前途に対して非常に暗たんたるものがあるような気がする。そこの辺は、当局としましてはこの際はっきりとした態度をもって、そうして争議解決に積極的に乗り出す、こういうような御意図はありませんか。
  36. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) いずれ近々私どもの方から調停委員に御回答申し上げる次第でございまして、それにつきましては、また調停委員の方の御意見はあろうかと存じます。
  37. 大倉精一

    大倉精一君 私はどうも今までのやりとりによって、あのベースアップの部面だけが非常に不明確になっておるのだが、大体あれを否定しておるのではないということであって、肯定しておるという前提に立っていろいろ苦労なすっておる、こう私は思うのですが、そこで、いずれ近々回答するとおっしゃるのだが、これは近々回答しなければ国民が承知しない。今日ぐらいに、あとの四現業ですか、調停案も出る。そういうものがそろってから、あなた方は共同戦線を張って、そうしてやろうという、そういう共同戦線の時期が熟してくるわけです。その時期に出す。あとは、そろばんをはじくかはじかぬかというようなことは、これはもう私は二の次のような気がする。これは運輸大臣もおるから、そういう人もおりますから、ですから私は運輸委員会として非常に心配しておるのは、そういう工合に、戦略でもって、あなた方の調停案に対する態度をあやふやにして、あるいはあいまいでなくて、むしろこれをひん曲げて解釈をしようとしておる。そこにこの争議というものがますます紛糾をして、混乱に陥ってくる、こういうことになっておると私は思う。  当局としては、今までおやりになっておることを見るというと、積極的にこれを解決しようというのではなくて、むしろけんかを買って出よう、いわゆる行き過ぎだといって自分勝手に解釈をして、その場合には職権を振り回して、だんびらを振り回して、そうして懲戒だ、何だかんだということで報いてくる。これでは争議の解決の方法にはならぬと思う。少くとも、公共企業の労働争議に対して当局側がそういうような態度でおいでになるということは、これは私はどうも脚にも腹にも落ちぬ。ですから、この争議の早期解決の方途は、あの調停案の趣旨をそのまま通りに受け取って、そうしてこの調停案に従って組合側話し合いをする、これ以外に私は具体的な解決の道を開く方法はないと思うのですが、お考えはどうでございましょうか。
  38. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) ただいまのお言葉中でありましたが、この調停案は、先ほども申し上げましたように、必ずしもベースアップを意味するものでないと私ども解釈しているということを、先ほどはっきり申し上げたのでございます。今何か戦術戦略ではないかというお話でございましたが、そういう点は毛頭ございません。ことに私ども同じレールの上で汽車の輸送をあずかっております身にいたしますれば、決して敵味方というふうな気持は毛頭持っておりません。むしろ今後の国鉄改善につきましては、私どもも、また労組の方も、両方で経営の改善をいたしていかなければなりませんので、常々そういう方面の協力方も労組の方にお願いいたしておる次第でございます。  それで繰り返して申し上げまするが、当方の事情で回答がおくれましたことははなはだ遺憾に存じておりまするので、できるだけ早く計数の整理をいたしまして、調停に御回答申し上げたいと、こう存じておりまして、事態を何か意図あるもとに遷延いたしておる次第では決してございません。誠意をもって事に当りたいと考えておる次第でございます。
  39. 大和与一

    ○大和与一君 あの調停案を自主的に受諾するというのですけれども、自分で計算をして何とかなればそれでいいけれども、ならなければ、計算ができたけれども、どこか足りぬところがある、そいつはだれかと相談してきめなければならぬのでしょうけれども、それを今相談をしておって、そのためにできないのか、あるいはその調停案を受ける場合に、去年の仲裁裁定だと思ったけれども受諾をするときめたけれども内容は百パーセント完全に実施するという決心がなくて裁定を受諾したことがあるのです、この前。これは大へんよくなかったと思うのですが、今度はましてや調停案だから、そんなことはあまりやかましく言わぬで、いいかげんでもないだろうが、まじめにはやるけれども、そんなに完全に実施されなくてもいいのだという気持で、心がまえで受諾するしないをきめようとしておるのか、その辺はいかがでしょうか。
  40. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 先ほど来申し上げましたように、この争議をできるだけ急速に解決いたしたいという熱意に燃えている次第でございます。それでその調停案につきましても、真剣な態度で取っ組んでおる次第でございまするが、ただいまの御質問中ありました、その計算が、その原資がなかった場合にどうするかというお話のように解釈いたしましたが、もうこちらで近近のうちに計算ができまするので、その結果を見まして何分かの考え方をきめていきたいと、かように考えております。
  41. 大和与一

    ○大和与一君 そうすると、調停案受諾するとなった場合には、もちろん尊重をして受諾することになると思います。そうすると、さっき大倉委員が言われたように、第一項についても、その解釈は団体交渉で自主的にやっていこうということになるのですか。
  42. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) もちろん調停委員があれほどの御苦労をなすって調停案を作成なされましたので、私どもできるだけ尊重して参りたいと思いますが、それを受諾するかしないかということは、先ほど来申し上げておりますように、財政的な計算もはっきりいたさなければ態度がきまらないので、まだそこまでは申し上げられないと思います。
  43. 大和与一

    ○大和与一君 そうすると今計算しておられるということは、あらゆる場合を計算して、幾つかのケースが出て、そいつを上天下に公表できるようにちゃんと計算をしておられることになりますか。今までずいぶん長い間、二週間もかかってやって、それでまだ計算ができぬということはちょっと考えられないのですが、やはり一項についての問題が一番ひっかかって計算がしにくいとか、あるいは幾ら計算してもどうにもならぬとか、そういうところで計算がおくれたということに主としてなるかどうか。
  44. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 先ほども申し上げましたが、鉄道余裕がございますればあるいは計算が簡単かと思いますが、現状は皆さんも御承知の通りに、相当経理内容は逼迫いたしておりまして、必ずしも余裕がないのでございます。それで私どもは年度の決算をで透るだけ誤差のないように見通しをつけたいと、かように考えましてただいままで参った次第でございます。ただ収入の点につきましては、これは概算で出て参りますが、支出と申しまするのは、いろいろ複雑な計算からあがってくるのでございまして、この支出の方も相当はっきり把握いたしませんければ、収入だけでは余裕がどのくらいあるということは計算が出て参らないのでございます。また逼迫いたしておりまする状態では、たとえば大きな事故でもございませんければまた余裕の出るということもございますが、もはやあと半月ほどでございまするからしてその見通しも締め切りまして、いわゆるその余裕の見込をつける段取りにまで行っておりまするので、もう決して長いことではございません。数日中にはその見通しがつくだろうと、かように考えておる次第でございます。
  45. 大和与一

    ○大和与一君 もう一つ、あの昇給百パーセントというの炉ありますね、あれは一体原資を含めてどのようにお考えになっておられますか。
  46. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) あの調停案につきましてはいろいろの角度から研究して参ったのでございまするが、あの調停案は一項より五項までございまするので、しかも年度内のものもございますし、来年度のものもございまするので、そういう点を私ども全体的に勘案いたしましてそのお答えを申し上げたいと思って、そのバランスを見ている次第でございます。
  47. 大和与一

    ○大和与一君 もう一つだけ、百パーセント原資を確保するということは明確だと思うのですが、ということは、昇給百パーセントということだと思うのですね。これは当りまえなことで、子供炉考えてもわかるのですが、その点、もう一ぺんお尋ねしたいと思います。
  48. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) あの文面から見ますれば、調停委員の方では従来の手続が、第四項につきましては、他よりも低かったのをこれを百パーセントにするのが妥当ではないかという趣旨のように私は読みました。
  49. 大和与一

    ○大和与一君 機関労働組合調停案を拒否しましたけれども、そうかといって、仲裁へ持っていこうともしないで、団体交渉をしたいということをお宅にお願いしても、やはり相手にならないと思うのですが、その点はどういうふうな、機関労働組合とのこの問題に対する処理といいますか、それをお考えになっておられますか。
  50. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 国鉄には、御承知の通り、国労と機労とございまして、私どもはなはだ、極端に申しますれば、扱いにも困ることもございまするし、またそういう二つの交渉団体があるのはいいかどうかということにつきましても、非常に心配いたしております。ことに片々は国労で三十五万の組合員を持っておりますし、片々は機労は五万でございまして、ともすれば、私、つい国労の方ばかりに気を取られがちの点がございまするので、そういう点はできるだけ機労とも接触を保ちまして、両方並べて解決に当っていきたいと存じております。  それからただいまのお話のように、国労は調停を受諾し、機労の方はこれを拒否いたしておりまするので、私どもどうしたらいいかということを非常に心配いたしておりまするが、私の気持では、両方とも合せまして円満に事を運んでいきたいと、かように考えておる次第でございます。
  51. 大和与一

    ○大和与一君 それは団体交渉ではなくて、いろいろとまあ話し合いを連絡はしておる、こういう意味ですか。
  52. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) ただいまのところは、私どもの方からまだ調停案に対する回答を出しておりませんので、国労や機労とも団体交渉に入っておりません。
  53. 大和与一

    ○大和与一君 最近のこの労使の紛議に対して公安官がだいぶ出ておりますが、この公安官のことは、昨年この運輸委員会でだいぶ、長崎前総裁にずいぶん御質問いたしました。昨年の闘争のときなんかは、公安本部長はほとんど指令権がなくて、公安官炉現地で動いたのは公安本部長の命令でなかったということは、指揮命令系統としては明確になりました、速記録にありますように。大体公安官はやみ米をつかまえるくらいまでは、われわれもそのくらいやるだろうと思っておるのですが、それ以上、仲間をふん縛ったり、け飛ばしたりということはやはりせぬように立法精神はなっておると思うのですが、それをいつまでやらせるつもりか。この辺で思い切って公安官に対する考え方をおきめいただくのが妥当じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  54. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 公安官の問題につきましては、衆議院の運輸委員会、でも赤松先生からいろいろ御指摘を受けた次第でございます。それで私ども、当時の審議につきまして、いろいろ過去の記録その他を慎重に検討中でございます。ただ、私どもも、公安官も、労組の方も、同じ鉄道職員でございまして、その間に紛争が生ずるということはまことに遺憾であり、そういう点につきましては、今後いろいろ考えていかなければならぬ問題が多々あると存じまするが、ただ数百人、数千人のデモ隊が参るようなときには、あるいは職場放棄というようなことがあります場合には、何らかやはりこの機能を維持いたしまして、国民大衆に迷惑をかけぬというだけの措置は、やはり管理者としてとりませんと、そちらの方の責任が欠けることになるのでございます。それで今後につきましてもいろいろ問題がございまするので、そういう点は十分御意見も伺いまして、研究して参りたいと、かように考えております。
  55. 大和与一

    ○大和与一君 公安官をこのまま置くことが、ちょっと今のは失言だと思うのです。あるいは労使の問題の、当局から考えて行き過ぎだとかなんとかいうことのために置く理由があるというような言い方は、少し間違いだと思うのです。それだったら、一つ調停案組合受諾をした、あるいは今まで仲裁裁定を出したけれども政府がきかない、そういう大きな理由があっていろいろな紛議が起る場合があるのであって、その方は目をつむって、下の方のことだけつかまえる。そのために公安官がいなくてはいかぬという言い方だったら、それは間違いだと思う。そうかといって、それでは警視庁に身売りできるかというと、こんなものはおまわりのうちに入らぬで、役に立たぬ。国鉄はそんなものは、公安官というようなものは、そういう警察的な要素を持たそうと思っていないはずなんだが、どっちへ行ったって役に立たぬ。こういうことになるのだから、やはりこういう検非違使的なものはなるべく早く転換をしていくという考え方を、長崎前総裁は持っておると私に言明したのです。もちろん早急にやるということはいきませんから、その人たちの職業を奪わないように考えながら善処をしていただくということを、ぜひ早急に考えていただきたい。さっき言った労使の紛議の問題は、これは労使の話し合いによってだんだんにやって、これはできるという私は確信を持っているので、そういうふうに公安官についてはお考えいただきたいと思います。  それから第二の点は、処分というようなものがあったのですが、職場大会をやっているのに、一分、二分おくれたから、けしからぬから首切るというようなことを言ったりした人も、個人的におるのでしょうけれども、今回の問題は、ある政党のある委員会なんかに国鉄が呼ばれて、それでやいやい言われた。そんなことの圧力を感じては別にやらなかったと思うのですが、どうでしょうか。
  56. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) ただいまの御質問の前に、公安官につきましては、私の舌足らずで恐縮でございましたが、もちろん公安官は労働争議を目的としているわけのものでは絶対にございませんで、公安官の使い方その他につきましては十分考えていきたいと存じます。  それからただいまの処分の問題につきましては、これは管理をあずかる責任者といたしまして、その立場から判断いたした次第でございまして、他からどうのこうのということは絶対に考えません。
  57. 大和与一

    ○大和与一君 処分のことについては、大臣にお聞きすることにします。
  58. 大倉精一

    大倉精一君 もう一点だけちょっと聞いておきたいのですが、本年度の国鉄予算を見てみると、この給与総額については、三十年度から見まして、貨物あるいは旅客の増勢等から考えて、比較して三十一年度は増額になっておらぬと思うのです。絶対額は増額になっておるかもしれないが、必要額は増額になっておらぬと思う。こういう点から見て、今度の調停案に対する予算のそろばんをはじいた結果、これは足りない分があるのですね。そうしますというと、たとえば五千円ということになれば二十三億円、これはいい、わかっておる。で、そのほかプラス何十億円、それからどの限度まで出せるかというめどをつけるということが大事だと思うのですが、これは運輸省当局なり何なりといろいろ話し合いをされて、どのくらいまでというようなめどをつけることが必要だと思うのですが、そういうような計算方法でやっておられるのか。それから今そろばんをはじいておられるというのは、どういうような内容でもってそろばんをはじいておられるのか。どのくらい上げようか、どのくらいベースアップをしようかという前提に立ってそろばんをはじいておられるのか、あるいは二十三億プラス何十億円が可能かという一つの大づかみの可能性を計算をしておられるのか、どっちなんでしょう。
  59. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 鉄道の第二項は本年度の問題でございますが、三項以下は三十一年度のことになります。それで国会に三十一年度の予算は提出してございまするが、何はさて、企業体のものでございまするからして、収入と申しましてもはっきり一〇〇%当るものではございませんで、大体におきまして、過去の例によりますと、一、二%の狂いが生じてくるわけでございます。それからまた支出の面につきましても、これはまあたとえば物価騰貴というようなことがございますれば、すぐ支出が増強いたしますが、また合理化あるいは節約ということにつきまして、あるいは支出も押えられるということでございまして、私ども予算を立てましても、はっきりその通りに行くわけのものでもございません。そういう点につきましてさらに種々検討を加えておるということでございます。
  60. 大倉精一

    大倉精一君 それで本年度の国鉄予算——来年度ですかの予算から見ますと、この前の説明によると、あれを引き延ばしていくと六十億の赤字が出る、こういう説明を聞きましたが、そういうような状態の中で今度の争議の解決、いわゆる調停案受諾というようなことと、運賃の値上げというような問題について、どういうような関連性炉あるように考えておられるのか。それと無関係ですか。
  61. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 鉄道の会計はいつでも収入と支出を一致させる建前になっております。収入が減りました場合には、それだけ償却費が縮まるわけでございます。それで収支をいつも、もし収入が伸びませんければ取り替が十分にいかない。それで具体的に申しますれば、ただいま鉄道財産と申しますと二兆円ございますが、それに対しまして大体償却費がわずか二百八十億円ぐらいしか見込まれないのでございます。で、これを通常に申し上げますならば、おそらく六百億円くらいの償却を積まなければ健全なる経営とは言えない。で、つまりそこに三百億円くらいの資本の食いつぶしがある。そういう点で鉄道は非常に窮迫しておるということが言えるのでありますが、収支のバランスということにつきましては、鉄道の予算の建前上、バランンスをとる、収支とんとんにするという建前になっております。それで、しかしながら今年度つまり赤字と申しまするのは償却不足、これを赤字に立てますれば、そこではっきり赤字が出てくるわけであります。  それからただいまのもう一つの考え方は、収入の点でございますが、本年度は幸いに諸種の条件に多少恵まれまして、予算に対しまして現在のところ約三十億円ないし三十五億円ぐらいの増収になっております。これはしかし全体の収入が二千五百億円くらいでございますから、それから見ますればわずか一%強ということでございますが、しかしその増収分につきましては、増収をあげまするために当然付随してくる必要経費もございますので、その三十億がまるまる余裕があるということではございません。おそらく半分近くは経費として差し引かれることだろうと存じます。そういうふうな点も勘案いたしまして、原資がどのくらいになるだろうかということを考えておる次第でございます。
  62. 大倉精一

    大倉精一君 国鉄の経営と予算問題に対しては、今後、たくさん資料があって、これは掘り下げていけば非常にむずかしい議論になると思うのです。私が今お尋ねしておるのは、運賃値上げがやはり依然としてくすぶっておる。この国会におきましても、衆議院、参議院のこの委員会において問題になったのですが、運輸大臣は、来年の三月三十一日までは運賃値上げはしないと、こういうことを言っておられたのですが、しかしながら非常にあいまいな言い方で、その後また値上げするのやらせぬのやら、何か新聞を見ますというと、グランドホテルかなんかでもって、来年の一月から運賃値上げをするのだ、こういうことを約束されておるとかなんとかというのですが、そういうような問題がまだくすぶっておる。  そこで組合の方としては非常に心配をしておると思うのですが、この問題は運賃値上げの口実にされては困るのだというのだろうと思うのです。国鉄としては、この問題は運賃値上げの口実にされることはよもやあるまい。この問題は、運賃値上げと関係なくこの問題の処理をされると、こう考えても差しつかえありませんか。
  63. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 御質問の通りでございます。運賃値上げと今回の問題とは、全然関係がございませんです。ただ先ほど申し上げました通りに、鉄道は今資本の食いつぶしをいたしております。非常に各方面で老朽施設をたくさんかかえておりまして、これの取替もようできないということは、皆様各所の駅その他をごらん下さればわかることでございまするが、そういう点につきましては、私ども何とかして財政状態改善して、国民の御要望にこたえたいと思っております。その一端といたしましては、経営の合理化ということを私ども極力推進していかなければなりませんのですが、また運賃の方もこれはお考え願いたいということは、前々から申しておる次第でございます。ただし運賃の是正ということは私ども限りではできないことでございまして、その点につきましては議会でおきめになることでございますからして、お願いするにとどまるのでございまするが、この今回の調停案と運賃値上げは、経営委員会の答申にもございまするが、これは全然切り離して考えております。
  64. 大倉精一

    大倉精一君 今の答弁で大体私も安心をしましたが、とむすると、運賃値上げの口実を組合側に転嫁させるというようなことがあるということを、私は実は心配しておったのですけれども、そういうことがないという言明で、非常に安心しました。従って、この争議はこれは二年も三年も続くものじゃないから、いずれは解決すると思うのですが、その解決とともに、先般の言明通りに、一つ運賃というものは三月三十一日までは上げないというふうに国民は承知してもいいわけなんですね。
  65. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 私どものところでは、そこまではわかりません。
  66. 大倉精一

    大倉精一君 じゃ、今度大臣がおいでになりましたら、大臣に対する質問をしたいと思います。
  67. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  68. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記を始めて。  休憩をいたしまして、一時半から引き続き委員会を再開いたします。    午後零時二十五分休憩      —————・—————    午後二時二十二分開会
  69. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 午前に引き続き、委員会を開きます。  空港整備法案議題といたします。  御質疑のおありの方は御発言を願います。
  70. 岡田信次

    岡田信次君 空港を整備するということは非常にけっこうです。ですけれども、空港整備法と空港整備計画というか、実際に空港が整備される速度といいますか、その関係はどうなっていますか。
  71. 林坦

    政府委員(林坦君) 空港整備法によりまして、本年度以降航空事業費による空港の整備をやっていきたいと思っておりますが、それによりますと、本年度以降約五カ年といいますか、三十五年くらいまでの間におもな国内航空に必要な飛行場を整備していきたいと考えております。この法案で第一種空港と申しております国際航空に必要な飛行場は、これはすでに羽田はだいぶ整備いたしましたのでございますが、その他の国際航空に必要な飛行場は、現在まだ米国駐留軍の管理に属しておりますので、その解除を待ちまして、本法による整備を続けていくと、こういうつもりであります。
  72. 岡田信次

    岡田信次君 国際航空飛行場ですかというのは、今羽田のほかに伊丹、板付等ですか。
  73. 林坦

    政府委員(林坦君) この法律案で申しております第一種空港、国際航空路線に必要な飛行場と、こういう考え方は、一応現在の羽田のほかに、さしあたり想定できますのは板付、岩国、伊丹、名古屋にございます小牧、そういったところでございます。しかし羽田を除きますと、それらの飛行場は現在米国駐留軍の管理に属しておるというのが現状でございます。
  74. 岡田信次

    岡田信次君 第一種の空港の整備は何年先になるかわからないとしても、必要な経費はどのくらいですか。
  75. 林坦

    政府委員(林坦君) 現在第一種の空港につきましては、さしあたり相当程度の大型の飛行機が離発着できる状態になっております。従いまして、現在の状態では、現在のままでさしあたりこういう国際航空に必要な離発着はできると考えております。ただ伊丹の飛行場は多少現在の状態があまりよくございませんので、滑走路の修理等には相当の金が要るんじゃないかと思っておりますが、現在まだ計算はいたしておりません。
  76. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、大体この法律の主としてねらうところは、第二種空港以下を急速に整備しようというのがねらいですか。
  77. 林坦

    政府委員(林坦君) さしあたりまして、第二種空港以下がこの法律案の目標でございます。
  78. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、第二種、第三種空港の整備は、まあ一部は国が出す、一部は地方団体が出すということになっておるのですが、地方団体の財政は、御承知のように、非常に窮迫しておるというのですが、これとうまく合うように行きますか。
  79. 林坦

    政府委員(林坦君) たとえば第二種空港につきましては、この法律案で考えておりますことは、いわゆる基本施設と申しますものの二割五分を地方が負担し、その七割五分を国が負担し、また付属施設と称するものは、その全部を国が負担する建前になっております。従いまして、地方が負担いたしますものは比較的少額でございまして、もちろんその場所によって相当違いがあると思われますけれども、比較的少額でございまして、この程度ならば地方が負担できるという見通しをつけて、政府の自治庁あたりとも、十分打合わせをいたしましてこの法案を出しましたので、地方においてもその程度のものは負担できると、かように考えております。
  80. 岡田信次

    岡田信次君 今までこの第二種、第三種空港の整備をある程度やっておるわけですが、その費用はどこで出しておるのですか。
  81. 林坦

    政府委員(林坦君) 第二種空港につきましては、まだ整備をいたしておりません。
  82. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、来年度の予算にある程度の地方航空弄充実しようというふうになっておるのです炉、こういう法案を出さないで、予算をとって、あと行政的の措置でやっていくというわけにはいかないのか、特にこういう法案を出す必要がどこにあるのかということを伺いたい。
  83. 林坦

    政府委員(林坦君) 飛行場の整備につきましては、本来それがその地域だけの利益に関係はしておりませんけれども、国の財政が許しますならば、航空が未発達な現状におきまして、なるべく国費をもって整備していきたいということは当然考えられることでございますけれども、第二種空港以下につきましては、これらが必ずしも国の幹線とばかりもいえない場所もございますので、そういう場所におきましては、その地方的利益という面も考えますと、地方の負担もある程度あっても負担の均衡上いいのではないか、かように考えまして、地方にも二割五分程度の負担をしてもらうというふうに考えた次第でございます。
  84. 岡田信次

    岡田信次君 先ほど航空局長は、第二種空港以下に対しては今まで国家が費用を出しておらぬというお話だったのですが、そうすると、今ローカルの空港があちこちにあるのですが、たとえば高松だとか、八丈島だとか、大島とか、ああいう飛行場の整備はどこでやっていたのですか。
  85. 林坦

    政府委員(林坦君) 米軍等によってやったものは、たとえば新潟のような所がございますが、たとえば今おっしゃいました高松のような所、それから高知のような所、それらはまだ戦前のままにねっている状態でございます。
  86. 岡田信次

    岡田信次君 戦前のままというのは、戦争中の軍基地とかなんとかいうことですか。
  87. 林坦

    政府委員(林坦君) さようなことでございます。
  88. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) では、私が質問いたしますが、空港を整備していくのに、地元といろいろ誤解というか、摩擦の起るようなことはないかどうか。たとえば今伊丹で、これは米軍の基地であるがために反対、これを将来国際空港としていくことにも、この現状であるがためにいろいろな地元との摩擦があって、将来の空港整備の上にいろいろ困難を来たす。しかも地価はどんどん上っていきまするし、できるだけ早く計画をしないといけない、行き詰まってくるというような実情にはないかどうか。それに対して政府としてはどういうような方針をおとりになっているか。
  89. 林坦

    政府委員(林坦君) 地方の飛行場につきましては、従来たとえば農地をつぶさなければならないといったような点もありましたり、あるいは現在国の所有である場所を解放してもらいたいというような要望もございまして、多少航空に理解が乏しいために、反対というような声のあった場所もございます。しかしながら今私どもが計画しております場所につきましては、大体現在考えております程度のものであれば、地元の反対のないことはもちろんのこと、大体非常に地元において熱烈に要望しているというのが現状でございます。ただ、今伊丹の点についてお話がございましたが、これも拡張というような問題になりますと、非常にこれは民間航空の場合であっても多少問題があるかと存じますが、ただいまは米駐留軍が管理しております。その中をさしあたり民間航空で使っております点につきましては、地元はむしろ歓迎しているのでありまして、決してそれを反対というふうには聞いておりません。
  90. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 米軍が管理しておって、やがては第一種空港にしなければならぬものが多いんですが、それが軍用であるためにいろいろ地元で反対をされているということが、将来こちらが引き渡しを受けて国際空港としていく際に、いろいろ困難が残っていかないかどうか、そういう過渡的な困難をどういうふうに考えておられるか、どういうような見通しをつけておられるか。
  91. 林坦

    政府委員(林坦君) 大体の見通しにつきましてはただいま申し上げた通りでございますが、この法律案の運用という点から申しますと、それらの飛行場がこちらの方に返還になったその後におきまして、この法律の運用をいたして参りますものはそのときに指定をいたします。そのときの状態を地元とも打ち合せをいたしまして、これはやっていきたいと考えております。
  92. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 先ほど、現在ではむしろみな非常に歓迎をしておるが、ただ拡張になるといろいろ問題があるというお話でしたが、ジェット機その他だんだん大型になっていく。そのために、当然第一種空港等については、第二種以下もそうだと思いますが、拡張を近い将来には予定しなければならぬと思うのですが、そういう点からも将来の困難が予想されないでしょうか。それに対してこの整備法案としては、そういうようないろいろの土地、用地問題等に処する何らかの用意があるかどうか。
  93. 林坦

    政府委員(林坦君) この法律によってそれらに対処するということは、この法律にはございません。ただ具体的の場合におきましては、指定に際しまして十分話し合いを遂げて進めていきたい、かように考えております。
  94. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 事実上はそういう用地問題では必ず困難が私どもは相当あると思うのですが、そういう難きを避けて、ただこうして形だけの整備法案というもので実際の役に立つかどうか。今私の心配するよう癒そういう問題を、もう少し根本的にこの中へ織り込む意思はほいのか。あるいはここへ織り込まぬにしても、そのときの話し合いをつけると今おっしゃっていますが、それに対する確聞たる確信があるのか、どういうような話し合いをつけていくつもりなのであるか。まあ運用をやる場合には、砂川のようないろいろ問題があったのですが、まあそれでないにしても、全然私はそういう困難が杞憂ではないと思うのですが、これはそういうことにちらとも触れずに、非常にこの難きを避けて形だけ整えているという感じがするのですが、いかがでございますか。
  95. 林坦

    政府委員(林坦君) 決してこれはその難きを避けたというつもりではないのでありまして、この法律案を出しましたのは、地方と中央との負担につきまして、その負掛の調整という面について特に考えているわけでございまして、今おっしゃいましたような点にもし問題がございました場合には、十分話し合いはいたしますが、そのほかにも、現在の法制といたしましては土地収用法というものがございますので、現に羽田のような場合にはそれらを適用いたしまして解決していっておる実情でございまます。
  96. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) そうすると、これはおもに地方との分担、地方の負担だけをきめて、これは一方では非常に平和的な形で、一方では土地収用法という武器を陰に隠しておる。これは表に平和を装って、裏にはいざとなれば土地収用法だと、こういうような両面の行き方、それでまあ空港はだんだん整備していくのだというようなおつもりであるのか、むう一ぺん念のために……。
  97. 林坦

    政府委員(林坦君) ただいまお話し申し上げました土地収用法の問題は、もちろん空港が、絶対的にこれをそのおそろしい剣というふうにお考えいただく、そういうつもりで申し上げたのではないのでありますが、できるだけこの法の運用といたしましては、話し合いをもって進めていきたいと考えております。方針といたしましては、あくまで平和的にもっていきたいと考えております。
  98. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 今のお話によりますと、何でございますか、飛行場をこしらえるときに、もし土地を持っている一部の百姓が応じないような場合、たとえば一反なら一反土地を持っているためにできないというような場合には、土地収用法を適用するのでございますか。
  99. 林坦

    政府委員(林坦君) この場合には、既存の飛行場を対象として整備していくというつもりで、飛行場その他、土地の話のついたところを対象として整備していくつもりでございます。
  100. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 そうすると、土地収用法というようなものはもうやらないのですか。
  101. 林坦

    政府委員(林坦君) そういう事態はできるだけ避けていきたいと考えております。
  102. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) そうすると、念のために承わるのですが、この法律を読んでみると、空港を三種に分けて、その負担あるいは管理についてきめてあるわけです。実際空港をいよいよ整備して、あるいは新しく作って、あるいは既存のむのを拡張して、日進月歩の航空の用に供しようという場合には、私は必ず話し合いだけでいかねい、今難きを避けると言いましたが、難いようは問題が相当起ってくると思うのですが、どうしても空港を整備していくことが国として必要ならば、そういうような場合を、そんなことがなければけっこうですが、あった場合をもう少し予想して、それに対するはっきりした方針をこの法案に織り込むべきだと思うのですが、ただ工事費用だけ負担し、あるいは管理のことだけきまっても、空港ができるものではないのでありまして、あるいは拡張ができるのではないのでありまして、そういう問題に触れていないことが難きを避けると申したのでありますが、そういうことが起れば話し合いをすると——今三木君が言われたように、わずかのものならば、土地収用法という刀を抜くけれども、まあそういうことはおそらくない、またやらない方針だ、全部主として話し合いでいくのだ、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  103. 林坦

    政府委員(林坦君) さようでございます。現在飛行場を地方に設けるにつきましては、むしろ地方の方から進んでぜひ設けてくれといって、そういう土地の問題等も地元で話し合いをつけて、進んで参ることが原則である。原則といいますか、進んで地元で話し合いをつけていくつもりでございますし、またそういう見通しでございます。
  104. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) どうもその見通しがはなはだ私は甘いと思うのですが、現に伊丹では、これはまあ米軍だからでもありますが、一方では財界等はぜひ空港として拡張してほしいというが、地元ではこれに対する相当の反対運動がある。いろいろ商工会議所等が中に入っているけれども、まだ話しがついていないように聞いているし、また一方大正飛行場ですか、これなどは戦時中に判を持ってこいといって、軍部がしやにむに農地を取り上げたので、従ってこれを早く返してくれというような非常に農民の強い要望もある。板付にも今一部そういう問題があるしようでありますが、私は事実上としては、局長の考えられるようはそんなに簡単にはいか広いのじゃないか。空港ができれば非常にけっこうだといって歓迎する人もあるが、さて実際利害関係の切実な農民あるいは付近の住民、ジェット機等の騒音によっていろいろな影響を受ける施設というようなことで、私は非常に将来は困難炉あるのじゃないか。そういう最悪の場合も十分予想して、そうして空港の整備がどんどんできるように、もう少しそういう問題を私は掘り下げ、あるいは十分に種々の場合を予想して、この法案に盛り込むべきじゃないかと思うのありますが、非常に私は局長の先ほどからの御説明は甘過ぎるというのか、希望的ね要素が多くて、現実には適合しないのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  105. 林坦

    政府委員(林坦君) この法案で予想しておりますのは、地方の要求を基礎にしてやるのでありますので、それほどの実は問題を起さないようにやっていきたいと思って、考えております。今、委員長のお尋ねのございました、トラブルを予想しないのは甘過ぎるではないかというお話しでございますが、飛行場を設置いたします場合には、航空法におきましても、公聴会その他を開きまして十分地元の意見も聞いた上でいたしますので、そういう場合には話し合いをつけて円満にいきたいと、かように考えております。
  106. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 今航空法の話が出たのですが、国としては、地元から要望があるとか地元が納得しただけ、むしろ我田引水をやるように、こちらへ作ってくれ、作ってくれという所だけでは、国全体の総合的な計画ができないので、ときによっては地元が反対する非常に困難な事情があっても、設置しなければならぬ所もあると思うのです。そういうのを三種に分けて、全国的にいろいろ配置していく。そういう総合的な、計画的な空港の配置という点から考えましたら、ただ話し合いでやれるだろうというだけではいけない場合があるのじゃないか。それとも、鉄道を敷いてくれという各地からの要望があるように、持ち込んでくるものだけ、希望するものだけ、この法案はそういう所に空港を整備するのであるかどうか。もう少し国全体の、あるいは将来の国際的ないろいろな観点から、総合的に飛行場というものを私は設置すべきだと思うのですが、その点いかがですか。
  107. 林坦

    政府委員(林坦君) 第二種を考えてみます場合に、お手元にも資料をお配りいたしたと思いますが、さしあたり私どもの方で予想しております二種の飛行場につきましては、そういったトラブルは現在のところ予想されておりません。第三種の場合にあるいはそういう場合もあるかもしれませんが、それらはこれは地方が主となって計画を立てて中央に申請してくる場合でございますので、これらにつきましてはそういう問題を解決した上でこの法律を適用していく、かように考えております。
  108. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 前にも、さしあたりというお言葉ですが、第二種についてもさしあたりの、まあ現在非常こ要望のあるような所はまあ問題ないかもしれませんが、せっかくこういう恒久的な法律を立案なさるならば、第一種空港についても私今ここにお考えになっているだけで終るものではないと思います。おそらく鉄道なんかも引っぱがしてもいいくらい、だんだん航空機による連絡が多くなると思いますが、そういうようなことを考えますと、せっかくこうして空港整備法をお出しになるならば、そういうような場合も十分予想して、あらゆる配慮を加えられるべきであって、とりあえずまあ現在はこの程度のものだという、さしあたりというようなことでは、臨時法じゃないのですから、もう一度くどいようですが、そこのところをはっきりと一つ
  109. 林坦

    政府委員(林坦君) 第三種空港につきましては、さしあたりと申しましたが、これは相当長い期間にわたって、よほどまた情勢の変化でもない限り、この程度やりますれば、地方のローカル飛行場としましては間に合うものと考えております。
  110. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 配付をいただきました資料の三十五年度の第二種空港ですね、この加工港の名前が書いてございますが、これはすでに地方の方から議会の決議とかその他によって要望があって、おきめになっているのでございますか。それとも、本省の方でおきめになっているのですか。どちらですか。
  111. 林坦

    政府委員(林坦君) ここにありますものは全部、地元においてもその代表者から要求があり、また中央におきましても必要だと考えている空港予定地でございます。
  112. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 管理というのがございますが、地方の自治団体がこれを管理することができる——私第二種を承わっているんですが、これは何んでございますか、全度計画にはめておられるのは地方の方で管理をしたい、こういう申し出があるのとないのとあると思いますが、どういうふうになっておりますか。
  113. 林坦

    政府委員(林坦君) 現在のところは、これらは第二種空港は運輸大臣が設置いたしまして、相当これが時間が経過いたしましたならば、地方においても、大体地方が負担ができる範囲で管理ができるという見通しがついてから、管理の申請があるかと存じますので、ここでは今申し上げましたような飛行場はまだ地方で管理したいという要望は出て参っておりません。
  114. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 この管理をするのには相当の経費がかかるのでございますか。
  115. 林坦

    政府委員(林坦君) 維持、保全、運用というようなことが管理でございますので、経費がかかるわけでございます。
  116. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 第八条の4でございますが、「空港用地の造成又は整備」という、この「造成」は土地の買収等が含まれ干ておるのでございますね。
  117. 林坦

    政府委員(林坦君) この「造成」という言葉には、買収は入っていない解釈でございます。
  118. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 先ほど委員長からも再三お尋ねがあったようでございますが、土地を買収するということが非常に困難な場合が現在御計画中の中にもあるのではないかと思うのでございますが、買収費用につきましても、国と地方団体が経費の分担の率は同じような工合に持つのでございますか。それとも、地方団体の方において土地の買収をして、そうしてお願いにあがる、こういうふうになっておるのでございますか。
  119. 林坦

    政府委員(林坦君) 第一種、第二種の空港につきましては、運輸大臣が設置するのでありますから、国で持つわけでございます。
  120. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 今のところは、管理は第二種においては国でおやりになるというような状態でございますが、将来管理をするということになりました場合、たとえば民間航空が着陸するその場合には、着陸するときの使用料をとるだろうと思うのでございますが、この使用料をとった場合には、国有財産を借りておる場合はこれの使用料を国の方へ払わなくちゃならない。使用料をとらないというようなこと、あるいはまたその土地をほかへ使って収益をあげないというような場合には、国有財産の使用料というものは払わなくてもいいのでございますか。あるいはまた、必ず飛行機が着陸した場合は、その飛行機から使用料をとらなければなら広い、そうなっておりますか。
  121. 林坦

    政府委員(林坦君) 使用料はとる建前でございまして、これはもし管理者が地方公共団体である場合は、地方公共団体がそれを収入するわけでございます。
  122. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 地方公共団体が管理する場合、ぜひ自分のところへその飛行機に飛んで来てほしいというような場合に、航空会社に使用料を免除するからというような条件はできないのでございますか。
  123. 林坦

    政府委員(林坦君) 地方が管理いたします場合には、その使用料をもちましてその管理費用をまかなうわけでございます。地方公共団体はそういう意味において使用料をとるということになります。
  124. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 それを免除するということは、もう要りませんということは、言えないのでございますか。
  125. 林坦

    政府委員(林坦君) 国有財産を地方に貸す、地方がその金を、貸すための費用を国が地方公共団体からとり上げるという意味ではございません。地方公共団体は自分の責任においてその航空を管理すればいいわけです。
  126. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 いや、私の承わっておりますのは、飛行機に飛んで来てもらいたいために、使用料はもう免除いたしますからもう一回余分に飛んで来て下さい、こういうふうに、今はありませんが、将来そういう場合には、飛行機の使用料を管理者がとらなくてもかまわないということになっておるのか、必ずとらなければならないということになりますか。
  127. 林坦

    政府委員(林坦君) その点、別段制限はございません。従って、地方が管理できれば免除することも考えられるわけです。
  128. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 その場合、管理者が収益が一つもないというような場合でも、国有財産管理しているのですから、国有財産に対する使用料、これは必ず使用料は国にやはり払わなくちゃいけないのですか、収益が一つもないという場合。
  129. 林坦

    政府委員(林坦君) 国が設置いたしたものを地方に管理を委託する場合には、国としましては本法規定によりまして無償で委託するわけであります。ほんとうならば国有財産を使用するのでありますから、その使用料をとるべきかもしれませんが、それをとらないことにいたしまして、この管理費用と相殺させるという考え方のもとに、本法を立案してあるわけでございます。
  130. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 第二種と第三種との間におきまして、国が負担するいろいろな率が違っておる、これはどういうわけなんですか。同じ飛行機を使うのに、一方は半分、一方は七五%。
  131. 林坦

    政府委員(林坦君) 第二種空港は比較的、地方の航空輸送といたしましても、国全体の建前から、地方の主要な中心地と幹線とを結ぶような場所でございますので、これらは必ずしも地元だけに負担させる、地元の利益だけにこれがあるというふうには考えられませんので、国といたしまして七五%を負担するというふうにいたしたわけでございます。第三種と申しますと、第二種の網の漏れたところになるわけでございまして、これらはおのずから、中央と結ぶ重要性の段階があろうかと存じまして、第三種はほかの法律、たとえば港湾法あたりの場合とも考え合せまして、国の負担率を引き下げる、補助の率を引き下げる、かようなわけでございます。
  132. 小酒井義男

    小酒井義男君 ちょっと関連をしてお尋ねしたいのですが、第十七条で北海道に対する特例を設けてありますが、これを設けた理由はどういうことでありますか。
  133. 林坦

    政府委員(林坦君) 北海道に関しましては、北海道開発という趣旨をもちまして、一般の公共土木関係が大体特例を認めておる次第でございます。本法におきましても、港湾その他のほかの公共土木関係の例にならいまして、北海道開発の趣旨から、この負担率、国の負担率を上げると、こういうふうにしたわけでございます。
  134. 小酒井義男

    小酒井義男君 それからこの末尾の「補助率以上の補助をすることができる。」とあるのですが、それはどの程度までが「以上」になるのか、百パーセントまで出し得る、出すこともあり得るのかどうか、その点はどうですか。
  135. 林坦

    政府委員(林坦君) 百パーセントまで考えております。
  136. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 これには直接関係はございませんが、自衛隊が飛行場をこしらえているというふうに聞いておりますが、この自衛隊の飛行場は民間航空が利用できるのでございますか、どうなんですか。
  137. 林坦

    政府委員(林坦君) 本法の場合は、この「公共用飛行場」という意味には、自衛隊の飛行場に入っておりませんので、その飛行場は本法とは直接関係はございませんが、現実には、自衛隊の飛行場でありましても、話し合いによって民間航空が使うということは考えられることでございます。たとえば現在自衛隊がやっております松島の飛行場、仙台の近くの松島の飛行場のごときは、やはり民間航空としても使うことはできるように打ち合せばできております。
  138. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 その場合、定期であったというような場合には、無線電話の使用というようなこともあると思うのです。自衛隊の方に相当、民間航空の保護のために経費がかかるかもしれません。そういうふうな場合は、これは当然自衛隊の方の負担というようなことでいけるのですか。
  139. 林坦

    政府委員(林坦君) 今通信のお話がございましたが、いわゆるATCと申しております航空交通管制に関連しました施設は、全部航空法によりまして航空局において扱うということになっております。民間航空機に対しましても、そういう面におきましては、十分それを補っていく——補うといいますか、民間航空機に対しましても十分その役をなしているわけでございます。
  140. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 自衛隊の飛行場を民間で使う場合、定期航路として使っているような所はあるのでございますか。
  141. 林坦

    政府委員(林坦君) 現在のところ、自衛隊の管理している飛行場というのはそうたくさんございません。現在定期航空にそれを使っているということは、現在のところございません。将来問題になりますが、将来の場合はそういうことも予想されるかとも思います。
  142. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 その場合は、容易に自衛隊の方ば許可してもらえるということになるのでございますか。
  143. 林坦

    政府委員(林坦君) 具体的の場合によってまだよくわかりませんですが、防衛庁方面とはよく打ち合せをいたしまして、その場合は善処していきたいと考えております。
  144. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 これで終ります。
  145. 小酒井義男

    小酒井義男君 自衛隊の飛行場と民間の輸送用に利用する飛行場とを、これを将来区別するというようはことをお考えになりませんか。今の質問のように、民間が使う場合があるというふうじゃなしに、旅客用の飛行場というものとそういうものが混同されておるということが、やはりいろいろ将来支障を来たすというような危険性もあるのじゃないかと思いますが、そういうことはお考えになりませんか。
  146. 林坦

    政府委員(林坦君) 主要なる飛行場につきましては、使用区域を分けるなり何なりしまして、その間にいざこざの起らほいようにしていけると考えております。
  147. 小酒井義男

    小酒井義男君 私はどこたということは言いませんが、あまり飛行機を利用することもたびたびはないのですけれども、飛行機に乗って滑走路の前まで出ていって、そこで演習をやっておるために、滑走路まで出て四、五十分そこでストップさせられた経験があるのです。あれだと、航空を利用するということに対して非常に価値がなくなるという気がしたのですが、そういうようなことはあなた御存じですか。
  148. 林坦

    政府委員(林坦君) 米軍の管理しております飛行場あたりにはあるいはそういうことがあったのかと存じますが、そういう場合にも、民間航空につきましては、もしこれが国内の問題でありますれば、十分防衛庁あたりとも話し合いをつけてやっていけると考えております。
  149. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから大体五カ年計画で空港の整備をやる方針だという説明でありますが、第一種の空港で解除になっておらないものが相当あるわけなんです。これが五カ年計画と見合うような時期に解除がされていくという見通しをお持ちになっているかどうか。
  150. 林坦

    政府委員(林坦君) その点につきましては、まだはっきりした見通しを持っておりません。
  151. 小酒井義男

    小酒井義男君 早く解除をしてもらいたいというようなことを相手方に今まで要望せられたことがあるのですか。
  152. 林坦

    政府委員(林坦君) 部分的ではございますが、そういうことの要請はもちろんいたしております。
  153. 岡田信次

    岡田信次君 きのうの新聞でしたか、今度太平洋をDC7Cというのが飛んで来るそうですが、あれは羽田の飛行場に着陸できるのですか。
  154. 林坦

    政府委員(林坦君) 7Cはできます。
  155. 岡田信次

    岡田信次君 もう少し航空の関係がいろいろ発達して、ヘリコプターでちょこちょこと言ってはおかしいのですが、たとえば新宿あたりから東京のセンターにヘリコプターをタクシーみたいに飛ばすとこいうようなことになって、空港と言っては大げさですが、そういうヘリコプターの着陸場みたいなものもそういう範疇に入るのですか。
  156. 林坦

    政府委員(林坦君) ヘリコプターのいわゆるヘリポートと称するものはここでは空港の中に入れて考えてはおりませんが、今のお話のようなことは将来予想されますけれども、現在のところまだ、いろいろ騒音の問題でありますとか、あるいは安全の点等で、いろいろ問題もございますが、将来の問題としては考え得られるかもしれないと思っております。
  157. 岡田信次

    岡田信次君 もう一つ、さっき小酒井さんからお話があったのですが、北海道の飛行場、空港を作る場合に、これは北海道以外と空港を整備する経費は違いますか。
  158. 林坦

    政府委員(林坦君) 全体の経費としては何も違うわけはないのでございますけれども、ほかの場所におきましては、すでに大部分戦争前の飛行場があるというよう血場所は比較的安くできる、かように考えられます。
  159. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、北海道の場合はその飛行場を作るのによけい金がかかる、従ってそれに補助率を高めるというのじゃなくて、北海道を開発するという意味で補助率が高いと、そういうふうに考えていいですか。
  160. 林坦

    政府委員(林坦君) さようでございます。     —————————————
  161. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 次に、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の方は御発言を願います。
  162. 岡田信次

    岡田信次君 この輸出船の船価と国内船というか、計画造船の船価とはどういうふうになっていますか。
  163. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) 輸出船の船価と国内船の船価というのが相当に問題になる点でございます。御承知のように、輸出船も当初におきましては、輸出振興の意味におきまして、いわゆる鋼材の助成措置とか、あるいはまた砂糖のリンクによります助成措置というようなものがございまして、そのために輸出船が相当行き足がついたというような状況でございます。しかしその後、御承知のように、海運界の状況が世界的に非常に好転いたして参りました。世界の老朽船が相当多いというような事情、また荷の動きが一段と瀕しくなったというような事情からいたしまして、船価も次第に輸出船につきましては上って参りました。ところが、国内船におきましても、御承知のように、造船の合理化を極力推進いたしておりまして、国内船につきましては、できるだけ日本の海運が国際的に競争力が強くなるために、輸出船に比べましては値を上げないというような方針を造船所も政府に協力をいたしてくれておりまするので現実に現在のところ輸出船と国内船との値段の開きというものは、ある程度の開きが国内船につきまして有利に展開いたしております。かりに今、かりと申しますか、実際の例を申し上げますと、十一次船におきまして、貨物船の一万トンから一万三千重量トンの船で十四ノットから十一ノットの船でございまするが、十一次船の平均の船価はデッド・ウエート当り五万八千五百円見当でございます。ところが、輸出船におきましては、同じころの船価は七万四千五百円というのが一重量トン当りの船価でございました。従いまして、相当程度値段の開きがございました。それから現在におきましては、大体これらの船は一重量トン当り八万六千円から九万八千五百円程度に上ってきております。従いまして、十一次船の船価より十二次船の船価、ただいま契約いたしております十二次船の船価がある程度上りましても、現在引き合いのいたしておりまする輸出船よりもはるかに安いということが言えるのじゃないかと思います。同じように油送船につきましても、現在のところ、国内船の方が輸出船よりも相当安いというふうに申し上げられると思います。
  164. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、輸出船の船価の方が国内船の船価より相当高い。そうすると、造船所の価格としちゃ、国内船を作るより輸出船を作った方が経営上いいということになって、従ってこういう臨時船舶建造調整法が延長になる、こういう結論になるわけですか。
  165. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) もちろん日本の船主と日本の造船所のつながりというものは、ただその船を作ることのみでなくて、その船が絶えず修繕に来、るということもございます。またもう一つは、やはり同じ日本人でございまするから、日本の海運が発展してくれるようにというような切なる願いを造船所といえども持っておるわけでございます。従いまして、日本の船主には造船所も大いにサービスをする。しかしこの輸出船につきましては、これはこの契約が相当あとになりまして建造にかかるというような状況でございますので、ある程度リスクもございます。従いまして、船価もその点は若干割高に当然なら融ければならぬということはいえると思います。  しかし御承知のように、わが国の造船業と申しまするのは膨大ね建造の能力を持っておりまして、国内船のみをもって造船業が成り立つということはあり得ない。どういたしましても、外国の船を相当程度とりましていきませんと、現在の造船所の雇用というものが維持できないというような現状でございますので、私どもといたしましては、また造船所としましても、国内船と同時に輸出船を大いにとって、また輸出船を作ることによりまして外貨の獲得にもなりますので、両々相待ってバランスをとりながら仕事をやっていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  166. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、造船所の方は国内船は船価は安い、安いけれども、いろいろな関係で、そうそでにはしない。片方また造船能力というものは相当まだ余力があって、輸出船を相当奨励して作らせたいということだと思いますけれども、この臨時船舶建造調整法を延ばす必要があるかどうかということになると思いますが、この法律は、御承知の通り、前々二十八年ですか、提案のとき相当議論があった法律なんですが、その点どうですか。
  167. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) その点につきまして、輸出船の現状を申し上げますると、現在のところ、昭和二十九年に約一億二千六百五十五万ドルの契約をいたしております。また三十年度におきまして二月末日までに、総トン数にしまして二百九万四千総トン、金額にいたしまして四億九千八百九十七万ドルというような膨大な契約をいたしております。そしてこれらの船が今後三十カ月ぐらいの間にわたりまして建造されるわけでございまするが、結局さきほど申しましたように、国内船の建造に輸出船が阻害にならないという程度、輸出船をとっていきたい。日本の船を作りたい場合に、輸出船がもう全部船台を占めており、また資材も輸出船で全部占領されておるというふうなことになりますると、国内船の建造ができないわけでございます。そういうようなことのないように、国内船の建造を十分に確保いたしまして、しかも他方外貨獲得で輸出船をやるというのが一番大事なことと思うのでございます。従いまして、輸出船と国内の計画造船との関連をうまく調整していくために、この法律が必要となるわけでございます。
  168. 岡田信次

    岡田信次君 この日本の輸出船ないし計画造船程度の大きさの船の造船能力というのは、大体三百万トンなのですか。どのくらいですか。
  169. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) 造船能力の点につきまして、一時六十万トンないし八十万トンと称せられた時代もございまするが、御承知のように、溶接技術が最近とみに進歩い失しまして、昔は船台の上に船を擬えまして、そうして逐次外板を載せましたりまたは肋骨を載せましたりいたしまして、船の形をもっていく建造方式をとりました。ところが、最近におきましては、船台の土でなくて造船の広場におきまして溶接を使いまして、船の大きなブロックを次々に作って参ります。大きいのになりますと、五十トン、六十トンというような大きなブロックもございまするが、大体二十トンないし三十トン程度のブロックを作りまして、そうしてそれがある程度できましたときに、大きなクレーンで船台の上にごそっと載せるというような建造方式をとりましたために、船の竣工の期日が非常に早くなりました。昔は一つの船台上で、大きな船でございますると、一年に一隻というのが大体基準であったようでございまするが、最近におきましては、船台につるします期間というのが、大きな三万トンもありますようなタンカーでも、船台上五カ月、普通のタンカーまたは貨物船等におきましては、船台上四カ月程度が一応の基準と考えられております。従いまして、いわゆる船台の回転が早くなったことが建造能力の点につきまして飛躍的な増加をもたらしたということもございます。それからもう一つの問題としましては、作ります船の型が非常に大きくなったことでございます。従いまして、船の型が大きくなりますると、単位当りの総トン数を作ります口数が比較的少い。こういうような観点からいたしまして、最近におきましては、日本の建造量と申しますのは、大きくとれば年間百二、三十万トンはいけるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  170. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、造船能力の方はある程度余裕がある。それから片方国内の計画造船はまあある程度計画に従ってやっておるのですから、今年度は二十万トンとか二十五万トンとかいうことがきまっておるので、特にこういう調整法を延期する必要はないと思うのですが。
  171. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) まあそういうような御質問もあるかと思いまするが、ところが、御承知のように、十二次造船におきまして三十万トンの建造を計画いたしております。それからさらに最近海運市況が非常に好転して参りましたために、自己資金による船というものが相当計画されております。私ども先般船台場の使用につきまして概算をやってみたわけでございまするが、その概算表によりますと、船台の面で相当窮屈になりつつあるというような実情になってきております。従いまして、国内船を今後円滑に推進させるためには、場合によっては輸出船の許可についてのある程度の考慮が要るのではなかろうか、というような状況でございます。さらに船台の面のみでなくて、資材の点でございます。資材と申しましても、鋼材、造船用の厚板が一番問題になるのでございまするが、厚板の生産量が、現在のところ、大体月に七万トン程度の供給があるわけでございます。ところが、需要の面を積み重ねてみますと、相当七五トンに接近いたしております。従いまして、今後無制限に輸出船を許可し、または自己資金の船を許可した場合に、造船の仕事が全般として順調に行くかどうか、相当心配になります。従いまして、私どもとしましては、これらの仕事が円満に調和されていきますように考えたい、そのためにはどうしてむこういうような許可制があって、場合によりましては輸出船をそういうような事情の上に立って十分検討をするというような必要があるのじゃないかと、こう考えております。
  172. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、この法案によって、運輸省は今の厚板ですかの生産まで立ち入ろうというわけですか。
  173. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) 厚板の生産まで立ち入るという考えは毛頭ございませんので、ただ造船の需要を出しまして、これを通産省の方にいろいろお願いをいたしております。こういうような需要がございますから、ぜひ一つこの程度のものは出して、通産省の方でメーカーの方に十分一つ作るように協力していただくようにお願いして参りたいというようなわけで、協力を要請しておるわけでございます。
  174. 岡田信次

    岡田信次君 海運界の好況がここ両三年続く、そうして自己資金が全部といかなくても、大部分声自己資金で作るというふうになるわけでありますが、この調整法との関係はどうなんですか。
  175. 山下正雄

    政府委員(山下正雄君) 自己資金の船について、何も許可制が要らぬであろうという御質問かと思いますが、しかし自己資金の船でも、それが非常に多く出ることはまことに海運界としましてはけっこうな話でございまするが、しかしそれが多く出過ぎて、お互いに資材の取り合いとかいうようなことで、全般の計画に支障があるようなことにほっては非常に困るわけでございます。またこの自己資金で作ります船会社でございまするが、これが財政資金の援助を受けております場合におきまして、その船の建造がその会社に非常に不都合な結果になり、すなわち国から借りました金の償却、償還というような問題にまでその船の建造が響くようなことも考えられないことはございません。そういうような場合にも、やはり自己資金の船についてもやはり許可制をとりまして、どういう船声作るかという一応のチェックをする必要があるかと思うのであります。
  176. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) ちょっと速記を止めて。   〔速記中止
  177. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記を始めて。  次に、道路運送法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のおありの方は御発言を願います。
  178. 岡田信次

    岡田信次君 第二十七条の「自動車運送事業を経営する者は、年齢、運転の経歴その他政令で定める」この点をもう一度説明願いたいのです。
  179. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 第二十七条の条文は、いわゆる旅客運送事業を経営する者の事業用自動車の運転者に対して、その年令、運転の経歴その他政令で定める一定の要件を備える者でなければ、それを使ってはいけないというふうに今度なるわけでありまして、その趣旨といたしましては、従来は運転者のみ炉罰せられておったわけでございます。そうしますと、この運転者というものは、従業員としての立場で、資格がなくても雇い主の命令があればやはり車に乗るということも考えられる事態があります。バスの事故が起りました際に、運転者が資格要件を備えていなかったというような事態もあったわけでございまして、交通事故の非常に多くねりつつあります現状を考えますと、ただそういう点につきましては、当事者、すなわち運転者だけを罰するだけでは足らないのでありまして、雇い主も、そういう旅客を運送するという意味におきましては、その車に乗せる従業員につきまして十分に資格を持った者を乗せるようにする義務があります。そういう者を乗せた場合には、やはりその雇い主をも罰しなければその趣旨の統一がとれませんので、その事故防止の見地から、雇い主をも処罰の対象といたしたわけであります。
  180. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、あれですか、平たくいうと、運転免許証を持っていなくてバスなりタクシーなり運転しておったという事実がたくさんあるのですか。
  181. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) そういう点につきましては、道路交通取締法上で処分されておるのでございまして、特に旅客を運送する要件というものはその上に加重してきめております。たとえば一般の自家用の自動車を運転する者につきましては、自動車の運転免許証を持っておればその要件が足りるわけであります。ところ炉、バスの運転者につきましては、その運転経歴が六カ月以上なければならない、あるいは年令については二十才以上でなければならないという規定があるわけでございます。ハイヤ、タクシーにつきましても、やはり同じく六カ月のそういう要件を備えなければならないということでございまして、そういう要件を備えないで、教習所で習い、試験を通ってすぐバスに乗るということは、多数の旅客を運送する意味におきまして、十分に安全を保ち得ないという点から、加重した経歴を要求しておるわけであります。
  182. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、運転者の方の資格というか、それは在来通りで、事業者の方はそれに違反した場合には今度は罰せられるという条項が加わったというふうに考えていいわけですか。
  183. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 運転者は、在来通り、道路交通取締法におきまして罰せられるわけでございまして、新たにつけ加えられましたものは、雇い主もやはり同様に罰せられるということでございます。罰則の規定はおのおの違います。
  184. 岡田信次

    岡田信次君 第二条の第二項の中に、「有償で」というのを削っちゃいましたね。これはどういうわけですか。
  185. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) これはいろいろ意義のあることでございまして、道路運送事業というむのが、現行法におきましては、この第二条に書いておりますように、有償で他人の需要に応じまして人または物を運送する事業となっております。「有償で」ということをつけ加えておりましたのは、昭和二十六年の改正前までは「有償で」というものが入っておりませんでした。それを取りました理由といたしましては、当然のことである。当然のことであるし、無償でそういうものを送るというようなことは、事業として考えられない。当然有償であるべきであるという見地から、「有償で」というものを削るわけでございますが、二十六年以前には「有償で」というものは入っておりませんでした。二十六年のときに「有償で」ということを入れたわけでございます。ところが、それから二十六年以降この法律を実施して参りますと、表面的には無償の運送行為でございますが、有償をカモフラージュした無償、いわゆるもぐり運送というものが非常に多く出て参りまして、法の体系といたしまして、有償であるということが、その有償をカモフラージュした無償を取り締るということが非常に困難な場合が多いので、本来の性格に帰りまして、「有償で」というものを取ることの方が、この道路運送法上の第一条にいっておりますところの秩序を維持するという意味からいきまして、法の体系として適当であるという趣旨におきまして、今回この「有償で」というものを削ることに提案をいたしておる次第でございます。
  186. 小酒井義男

    小酒井義男君 今、岡田委員から質問のあったその次の、「第六条第二項に次の一号を加える。」とあって、「当該事業を自ら適確に遂行するに足る能力を有するものであること。」といわれますが、この「能力」というものはどういう能力なのか、お尋ねいたします。
  187. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 御承知の通り、この第六条第二項は特定の自動車運送事業でございまして、一般自動車運送事業の免許基準といたしましては、ここにつけ加えました適確遂行能力と申しますか、そういう規定が入っております。それで、なぜこの特定の自動車運送事業にこれを加えなければならないかという御質問でございますが、特定自動車運送事業というものは、御承知のように、旅客の面におきましては、旅館組合がたとえばその傘下の旅館の客だけに限ってその需要に応じて運送する場合とか、あるいは農業協同組合がその傘下の組合員の荷物を送るという運送行為をしておるわけでございます。そう考えて参りますと、適確遂行能力という点を特に取り出しましたのは、そういった業態におきましても、事故を防止すると申しますか、保安というものにつきまして、今度いろいろほかの条文でも事故防止のために規定を設けようとしております。そういう方々も、やはりそういう保安という意味におきましては、十分その事業を遂行する能力がなければならないわけでございまして、そのほか一般自動車運送事業におきましては、この法を通覧いたしまして、旅客あるいは貨物の送り主の方という意味合いにおきまして、その能力を一般自動車運送事業におきましては要求しておるのでございます。そういう一般自動車運送事業において、事業の適確遂行能力を要請しております基準から照らしますと、やはりこの特定自動車運送事業にもこういう能力を入れて、そうして免許の基準として審査するのが当然ではないかということで、今まで法を実施して参りました経験上、やはりそういうものを基準として考えるべきであるということで、今回この追加をお願いいたしておるわけでございます。
  188. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから政務次官がいらっしゃるのでお尋ねしたいんですが、この第二十七条を見ますと、運転をする者に関してはいろいろな条件が要求されておるんです。ところが、経営者の方に対してやはり何か必要じゃないかと思うんです。ということは、交通事故を防止していくという問題の根本的な問題は、やはり経営者が適正な労働条件で運転手を働かせる、こういうことが事故防止に対しての最も必要なことではないかと私は思っておるんです。そういうことに対する義務づけというものがなければ、運転手の資格に対する条件だけを規定しただけでは、ほんとうの目的を達成することはできぬのじゃないかと思うのですが、そういう点お考えになったことありませんか。
  189. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) その点につきましては、御承知のように、本法律案の要綱にもございますが、自動車運送事業者に対しましても輸送安全準則というものを定めておりますが、かような、ある程度形式的なものではなくして、実体的に、御指摘のように、運転者が安んじて作業に従事できるという裏づけの客観的な面も運輸省としては十分考慮しなければならぬ。ことに小酒井先生御承知かと存じますが、一般交通事業、なかんずく鉄道交通等についての機関士、電車運転手等の資格要件並びに待遇、給与等につきましては、従来機関士等のごときは恩給その他についても特殊な恩典が与えられるというような面とも比較をいたしまして、目下まだ十分熟しておりませんが、運輸省内において検討いたしておるのでありますが、経歴並びに学歴、さらに長い間の経験度合い等によって、運転手の格づけと申しますか、階級と申しますか、そういうようなものによって、給与の面においても一定の保障といいますか、そういうような問題を考えて参らないと、この刻々非常にひんぱんになって参っておりまする自動車交通、ことに自動車交通は一般大衆に対する事故防止というものと自動車自体に対する面と両方あると存じますが、要するに自動車交通確保の面から、運転手の方々が安んじてその仕事に服し得るためには、現在のような、率直なお話しを申し上げますと、年配のタクシー、ハイヤーの運転手等は一般的に自重をした、あまりめちゃくちゃな運転をしない。ところが、若い運転手諸君は、単に自分の収入を増加したいという気持からだけで、相当無理な運転をし、輸送をする。その結果は、無理な仕事をして、自動車の面にもいい影響を与えないと同時に、自分にも相当大きな疲労を増すが、収入は非常に多く、一方まじめな運転と申しますか、自重した運転をする年配者の方は収入は少いということで、経歴の面からいっても、また大きな意味における交通安全という点からいっても、支障が、——支障というか、公平を失する問題があるではないかというので、この点は実はいろいろ困難な条件はございまするが、こういう点について将来ある程度の公平な、経験に応じた、また整備等の資格を十分持った人に対する給与の格付けといいますか、そういう問題も考えていかなければいけないというので、実はまだ研究の段階でございますが、そういう点については目下いろいろと調査を進めておるような状況でございます。
  190. 小酒井義男

    小酒井義男君 非常に運転手にとってはそういうことを一日も早くやっていただきたいことだと思うのです。もう最近特に事故に対するところの処罰が、これは一面厳格にやらなくちゃいかぬ面もありますが、しかし現場で働いている者の、まあいろいろな条件の悪いところで、道路の悪いところで車両が余計走っている、こういうようないろんな悪条件の中で起る事故に対して、処罰だけが少しきびし過ぎるんではないかという印象を受けているのです。そういう点について二重処分の問題なんかが特に多いんですが、これはまあこの法律案と少し何か違っていきますから、専門的に一つ法務大臣にでも出ていただいて、いろいろ御質問したいと思っているのです。  で、やはり運転手の労働時間が非常に長いということ、今おっしゃったような、賃金制度が歩合制度で、よけい走って稼げばよけい給料がもらえるんだというような制度が残っていると、やはり間違いが起りがちだと思うんです。やはりある程度の固定給が保障されて、そうして労働時間も肉体的に安定のでき得る、まあ精神的にも安定のでき得る程度の労働時間の中で、経済的は裏づけがなされてやっていく、こういうことを確立することが、これは乗客、一般国民にとっても非常に大切なことだと思うのです。ただ労働者がどうこうということだけでなしに、交通機関の目的は安全輸送にあるのですから、安全輸送をするというために、従来の業者のいろいろな慣習が非常に困難にしていると思うのですが、やはり適正な労働時間をきめようという問題は、前々から言われていることなんです。そういう点について、私は一つ、もう今現実に仕事している者は悪条件の中でやっているのですから、研究も必要でありますが、具体的に一つ早期にそうした点について結論を出して、それを実行しないような業者事業がやれない、やらせないというくらいの一つ腹がまえでやっていただく必要があるのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  191. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) まことに重大な御質問でございまして、私どもも基本的な考え方としては、さような方向に行かなければならぬ。ことに最近、先生御承知かと存じまするが、従来のような、ことにバス運転については比較的さような事態はないのでありますが、一般トラック輸送並びにタクシー、ハイヤー事業については、どうもそういう御指摘のような傾向が強いので、タクシー、ハイヤー事業のごときは、特にタクシーにつきましては、完全な二交代制という形でなく、一部一昼夜、これを二交代的なやり方にして、勤務の合理化と申しますか、労働条件の合理化をはかっている会社もだいぶ出て参りました。その結果については、一昼夜交代の勤務の場合と、収入量においても違わない。場合によるといい場合もあるというような点を、私ども業界の人々から聞いておりますので、そういう点ともにらみ合せて、御指摘のように、私どもも勤務の年数並びに事故をやらないいわゆる免許証がきれいな、まじめな運転手の方々、しかも家族も相当持っている、長期にあの仕事をしているという者については、基本的な生活給の観点からも、今の給与制度というものについては再検討を加えていかなくちゃならぬ。それには御承知のように、給与制度自体に役所が行政的な措置を加えるということは、現在の段階においては、御承知のように、非常に困難な状況にありますので、そうではなくして、運転手の資格と、また経歴という面から、ある程度の給与は保障しなければいけないんだ。また運転手の格づけという面の方が、比較的行政措置としてはらくといいますか、すなおなやり方ではなかろうか、かようにまあ考えて、目下研究をいたしておりまするが、基本的な考え方としては、御指摘のような方向に調査研究を進めて、何らかの措置をとりたい、かように考えております。
  192. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) ただいまの御発言は、格づけをして、それに対する最低賃金制のようなものでも、何か基準をおきめになるつもりであるかどうですか。
  193. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) 大体そういうような方向が一番いいじゃないかと私どもは考えております。これは技術の問題に関連しますものですから、単に運転だけでなく、どれだけの整備ができるかというような整備の問題も関連してきますし、また勤務年限の問題……。
  194. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 非常に今の小酒井委員の御発言は重要なことで、これに対して運輸省として御研究のようでございますが、これは法務省とも連絡をおとりになって、非常に今お話しの合理的な労働条件で、たとえば歩合で追い使うのでなしに、ある固定給的な安定した条件でやっているタクシー会社は非常に事故が少いとか、そうでない所は多いとか、何かそういうデータは、またいろいろ事故があった場合のその原因は、道路から来ているのか、あるいはそういう車から来ているのか、あるいはまた今おっしゃったような労働条件その他から来ているのか、そういうことに対するもし御調査になった資料がございましたら、審議の参考に、この次までに一つ参考になるものをお示しいただきたい。
  195. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) この次というのでは、なかなかすぐには調査が、そういった資料が出ますかどうですか。できるだけ早くそういった資料を調査したいと思っております。  それからもう一つ申し忘れましたが、運輸省当局並びに陸運局当局からは、常に警察当局には、あの何といいますか、摘発的な、無理に摘発的な巡回といいますか、隠れてスピード違反を摘発をするとかいうようなやり方でなく、危険な個所には巡査が常に、隠れていないで立っていてもらうというような指導は、絶えずわれわれ向うへ注文はしておるのでございますが、あれは警官の点数かせぎになるかどうですかわからぬのでありますが、私どもが一番経験をいたしますのは、アメリカ大使館の前を通って六本木の方へ行くあのワン・ウェイの所は、よく警官が隠れておるという次第で、ああいうことは、警官本来の使命、交通保安の見地から、摘発よりは予防が本来の使命であるので、できるだけ立っていてくれるようにということを私よく、陸運局に行きますと、陸運局と警察の連絡の際にはそういうことをよく申し入れろと言っておるのですが、こういうことについては国会その他でも十分、そういった方面の徹底についても御注意を御喚起願った方がいいのじゃないか、かように考えております。
  196. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) ベテランの政務次官が、果して点数せかぎがあるかどうか、御承知ないような話ですが、そういう点も一つはっきりして、今おっしゃったような予防的な、指導的な方面に力を入れるように、これは実態をもう少しお調べになって、確信を持ってそういう方面の指導をなさる必要があると思います。
  197. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) その点に関連をいたしまして、調査の段階でございますが、実施いたしておる点がございますので、一応御説明申し上げますと、従来事故防止という面におきましては、事業そのものの監査をそういう点に重点を置いて施行して参っておらない傾きがありました。しかし事故をなくすということにつきましては、その企業体自体がそういう方向にいかなければ、いけないという趣旨のもとに、実は昨年の十二月二十四日に運輸省におきまして自動車運送事業監査規則というものを作りまして、その第二条には「監査は、自動車運送に係る事故防止の徹底を期するとともに、運輸の適正を図ることを目的とする。」といたしまして、第三条にその監査の項目をかかげてあるわけでございますが、その第五項目には「労務の状況」というものを監査の実施の対象といたしまして、従業員の状況も、従来運輸省は十分に調査をいたしておりませんが、今後はそういう点にまでわたって事故防止の見地から労務の状況を的確に把握し、業界を指導するという態勢をとっておるわけでございます。はなはだ事務的な説明で恐縮でございますが、そういう方向も打ち出しつつ、逐次交通の安全につきまして態勢をかためていこうという意図をもって研究いたしておるわけでございます。
  198. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 本日は、これにて散会いたします。    午後四時六分散会      —————・—————