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1956-02-14 第24回国会 参議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月十四日(火曜日)    午後二時七分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     左藤 義詮君    理事            木島 虎藏君            早川 愼一君    委員            川村 松助君            一松 政二君            平林 太一君            三浦 義男君            三木與吉郎君            大倉 精一君            大和 与一君   国務大臣    運 輸 大 臣 吉野 信次君   政府委員    運輸政務次官  伊能繁次郎君    運輸大臣官房会    計課長     梶本 保邦君    運輸省船舶局長 山下 正雄君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    運輸事務次官  荒木茂久二君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○鉄道抵当法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○運輸事情等に関する調査の件  (昭和三十一年度運輸省関係予算  に関する件)  (日本国有鉄道の運賃に関する件)   ―――――――――――――
  2. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) これより運輸委員会を開会いたします。  まず、鉄道抵当法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から提案理由説明を求めます。
  3. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) ただいま議題となりました鉄道抵当法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由とあらましを御説明申し上げます。  鉄道抵当法は、明治三十八年施行以来、他の法律改正に伴い必要とされる応急的改正が数度行われましたが、制度的には今日に至りまするまでほとんど見るべき改正がなされていないのでございます。従いまして、約五十年間の時代の推移によりまして運用上いろいろと不便な点が生じて参りました。近年におきます同法の利用は逐年増加いたしておりますので、運用上の欠陥を除くことによって一そう金融を円滑化するため、同法を改正することといたしているのであります。  この法律案の主要な改正点を次に申し上げます。  第一に、鉄道財団抵当権消滅後も六カ月間存続することといたしております。  現行法上は、鉄道財団に設定された抵当権消滅いたしますと鉄道財団も同時に消滅する建前になっておりますので、抵当権消滅後その財団を他の抵当権目的とするには、あらためてもう一度鉄道財団を組成し直す複雑な手続を踏まなければなりませず、日時と費用とを要し不便でありますので、抵当権消滅してから後も六カ月間鉄道財団を存続することといたしているのであります。  第二に、鉄道財団拡張制度を設けることといたしました。現行法によりますと、鉄道が延長されました場合は、その部分について別に鉄道財団を組成し、元の債権の追加担保といたしていますが、延長部分が短区間の場合はそれのみで独立性を有しないこともありますので、このような場合に元の鉄道財団を一体として財団を形成できる拡張制度を認め、所要規定を設けることといたしております。  第三に、鉄道財団分割及び合併制度を設けることといたしております。現行法のもとでは分割及び合併制度が認められておりませんので、償還により余剰担保価値を生じましても財団の一部を抵当権目的から除くことができず、また、共同担保によって合併制度のない不備を補っておりますが、登録手続上煩雑でありますので、鉄道財団分割及び合併制度を認め、これに関する所要規定を設けることといたしております。  右に述べました諸点のほかに、鉄道財団組成手続上第三者の保護に関する規定を整備し、法律上の係争を予防するため鉄道財団成立登録を設け、あるいは過料の額を適正化する等の趣旨の規定を設けることといたしております。  以上この法律案につきまして概略御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) いかがですか、質疑は次回に譲りますか。もし質疑がございましたら……。
  5. 大倉精一

    大倉精一君 次回にお願いいたします。
  6. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) それでは、本法案の質疑は次回に譲ります。   ―――――――――――――
  7. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 次に、捕獲審検所の検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑の方は質疑をお願いいたします。
  8. 大倉精一

    大倉精一君 この法律の案に対する質疑は、なお問題点があると思いますので、次回に留保したいと思います。
  9. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 本件に関する質疑は次回に譲ることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   ―――――――――――――
  10. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) では、次に、運輸事情等に関する調査中、昭和三十一年度運輸省関係予算に関する件を議題といたします。  御質疑の方は質疑を願います。
  11. 平林太一

    平林太一君 これは資料提出を求めたいと思います。先日大臣の御説明中の日本航空株式会社に対する政府出資、それから補助金についてのことであります。一応これを大臣説明をここで申し上げると、「国際航空事業補助に必要な経費として三億三千五百九十三万円を計上しましたが、御承知のように、日本航空株式会社は創業以来いまだ日浅く、その経営内容を見ますと、国際線について操縦士外国人をもって充たしている関係上、人件費が相当膨張し、また航空機購入資金を初め多大の借入金を背負い、その利子負担相当額に上る等、きわめて苦しい経理状態でございまして、国が何らかの助成策を講じない限り、各国との競争に立ちおくれ、これによる外貨の収入も望めず、ひいては日本航空界の将来に暗影を投ずる結果となるものと考えられるのでございます。ここにおいて政府といたしましては、本年度も引き続き前述の補助金を交付いたしまして、本事業の健全なる発展をはかろうと意図している次第でございます。」これでありますが、「なお以上のほか、日本航空株式会社に対する政府出資として、前年と同額の十億円を大蔵省所管産業投資特別会計中に計上しております。」こういうのですが、これはいわゆる十億円の産業投資特別会計投資であるから、従いましてこれは貸付金ではないはずである。この補助金の方は、投資特別会計から出しておる十億円、これを二つに取り扱っておるということは、今これは先日の大臣の御説明によって一応の概念はこういうことでわかり得るわけだが、しかしちょっと腑に落ちない。いずれにしても、これはこの十億円も、三億二千五百九十三万円も、これは日本航空に対するいわゆる補助助成のための措置だというのですが、それについて一応資料提出の前に、これに対してもう少し具体的に、何ゆえこういうふうに二つに分けてあるのか。分けるということは理由はきわめて明白であるが、われわれの感覚から考えますというと、十億円の政府出資というものも、いわゆるこれは補助金と同様の性格をもって出資をしたわけでありますから、それに対して別に三億二千五百九十三万円を補助金として計上しておる、こういうところに、何か日本航空に対する政府措置がすっきりしてない。もっと端的に、率直にこれは現わさるべきものであるという感じを持つわけであります。この点、一応もう少し詳細の説明を求めたいと思います。
  12. 荒木茂久二

    説明員荒木茂久二君) 十億円も、三億二千何がしの金も、全部日航に入っていくわけではありますけれども、十億円の方は、申し上げるまでもなく、資本金として、出資でございますから、それに対しては国が株主たる地位を取得するわけであります。それから三億二千何がしの方は補助金でございますから、日航補助として渡していいということになりまして、何といいますか、国の支配権といいますかがないわけでございます。  そこで、なぜしからばそういう補助金を出すかと、こういう問題でございますが、これは航空事業と申しますものは、初期段階におきまして各国とも非常に困難をいたしまして、国が政府出資し、あわせて補助を出すというような制度をとってきておりますので、その点を参考にして出したわけでありますが、この補助金をこういうふうにいたしました根拠といたしましては、この補助金国際航空事業に対する補助金でありますが、現在日航がやっております路線で最も強い競争者といわれますのはパンアメリカンでありますが、こういった会社はその航空機を買う資金等が非常に安い利子で借りておるわけであります。ところが、日本では御存じのように、一割近くの金利を払いますので、従ってイコール・ベースでもって競争をさせるというわけに参りませんので、一応外国金利を五分と見まして、その差額補助して、そうして資金コストの面におきまして外国航空会社と平等の立場において競争をさせるという考え方のものが一つ。それからもう一つは、本来日航日本人をもって運航することを建前としておるわけでございますが、発足早々で、全部日本人によるということができませんので、これを全部日本人に置きかえた場合と、現在のような非常に高給な外国人を使っておるときとの、給与の差額補助してやるのが第二点でございます。第三点は、乗員を一人前にするということになりますと、この四発の大きい三十トン近くの飛行機を太平洋を渡って運航するというような一人前のパイロットを養成するということになりますと、初歩からやりますと、一人前二千万円もかかるというようにいわれておるくらいなものでございまして、その養成に各航空会社とも非常に金を入れておるわけでございますので、その点につきまして、養成訓練に要しました経費をおおむね四年ないし五年をもって償却するということにいたしまして、その償却分当該年度分を合せまして、この三つを補助して、合せて三億二千五百九十三万円補助いたしまして、戦後細々とスタートした日航に対しまして、すでに多年政府補助を得まして地歩を築いて実績を持っております外国航空会社競争をして、これにたえて発展するための措置として補助金を計上したわけでございます。
  13. 平林太一

    平林太一君 これは今一応の――特別の御答弁にならないと思うのであります。現在日本航空のいわゆる市中金融機関、そういうものからの借入金というものは、大体こちらでは承知しておるが、正確な総額はどのくらいに達しておるか。
  14. 荒木茂久二

    説明員荒木茂久二君) 約五十四億円でございます。
  15. 平林太一

    平林太一君 そうすると、五十四億円に対して一割の金利、まあ一割ということであったが、一割ということは正確ですか。これを一つ答弁願いたい。
  16. 荒木茂久二

    説明員荒木茂久二君) 飛行機を買いました金にもいろいろあるわけでございまして、実は別口外貨を借りたものもございます。また外国銀行から借りたものもございまして、そういうものは利子が安うございますので、それは補助対象といたしておりませんので、十七億何がしと思いますが、それを市中銀行から借りておるわけでございますが、その分に対するそれがたしか二銭六厘だったと記憶しておりますが、それと五分との差額というものでございます。
  17. 平林太一

    平林太一君 そうすると、五十四億円、五十数億円、それに対して十七億が国内市中銀行からの借入金である。そうすると、残額の、かりに五十五億とするというと、十七億を引いた三十五億になりますか、六億になりますか、それが国外銀行から借り入れた借入金である。それに対して五分である。こう見ていいのですか。
  18. 荒木茂久二

    説明員荒木茂久二君) 別口外貨で、まあ外国銀行だけではございませんで、今申し上げましたように、別口外貨で借りたものは、ドルは五%でございます。それからポンドは三%でございます。それから外国銀行から借りましたのは四銭六厘五毛だったと記憶しますが、それに保証料とそれから為替保証がつきますから、二分加えまして五分を超過いたしますけれども、そういう保証の分は考慮しない。その分につきましては、五分より上回っておりますけれども利子補助考えませんで、先ほど申し上げました十七億何がしの市中銀行から借りたものについて補助対象としたわけでございます。なお利子につきましては、来年度の分につきまして二銭五厘という計算にいたしております。
  19. 平林太一

    平林太一君 そうすると、これは、この場合は概算でよろしいが、三十年度において日本航空の支払った利子総額というのは、いわゆる国内国外金融機関に対してどの程度を支払っているのか。これを明らかにせられたいと思います。
  20. 荒木茂久二

    説明員荒木茂久二君) ちょっと、今資料を持っておりませんので、後ほど正確な数字を調べて、御説明申し上げます。
  21. 平林太一

    平林太一君 正確にということは、今言った通り、申し上げてありません。ですから、概算の――そういうことがおわかりにならなくて、日本航空に対する行政というものはあり得ないはずである。どのくらいの利子を払っているか。たとえば五億払っているとかということを、あなたはいつでもこれは公表のできるようになさっておかなくてはならないことです。概算でいいんです。何億何千何百万というようなことでなくてよろしい。
  22. 荒木茂久二

    説明員荒木茂久二君) 三億ないし三億五千万円の見当だろうと思います。
  23. 平林太一

    平林太一君 そうすると、三億から三億五千万円というと、五十億として、年一割の場合には五億円であるから、これは今お話を承わった十七億に対して一割、他の、残余の借入金に対してはいわゆる五分あるいは四分であると、こういうことになると、非常につじつまが合わないと思うが、その点どういうわけですか。
  24. 荒木茂久二

    説明員荒木茂久二君) 先ほど申し上げましたように、五分のものもございますし、それから外国銀行から借りましたのは、利子と実質的に同じと考えて、保証料とそれから為替予約保証とをつけますと、六分七厘何がしになるわけでございますから、それを通計して、平均して資金コストを見ますと、七分見当になるかと思いますので、今申し上げたような金額に相なる次第でございます。
  25. 平林太一

    平林太一君 その点は、それ以上のことは後日に正確な資料ができてからお伺いしたいと思うが、ここで御注意を申し上げておきたいことは、この十七億に対して一割というような高金利を払っている。それに対して政府が、いわゆるこの高金利に対して、政府出資によってこれを補助するというようなことは非常に考えなくちゃならないと思う。今日の金利の状況が、一割というと、市中実際の少額な借入金に対しても一割ないし一割一分が限度であるが、それに対して、あえて日本航空が、国としては三十一年度においては十億も株式投資をして、そうしてこれを処置してゆこうというものに対して、日本航空経営というものに対して、こういう一割というようなものを支払っていかなければならないというようなことは、非常に、事業上のこの一点だけを見ましても、日本航空経営の中に非常に熱意の足らない、何か常に国にのみ依存してこれをやろうというような片鱗が非常に深いわけである。こともあろうに、十七億というようなものに一割というような高額の金利を支払うということは、あり得ないと考える。こういうことに対してどういう御答弁をなさるか、伺っておきたい。
  26. 荒木茂久二

    説明員荒木茂久二君) 今申し上げましたのを御訂正申し上げたいと思いますが、一割というのは、ラウンド・ナンバーで申し上げましてはなはだ恐縮でございますけれども、九分四厘九毛になるわけでございます。なお来年度はさらにそれを一厘下げて、二銭五厘ということで予算の方では考えておる次第でございまして、金利低下の傾向によりまして、この金利銀行と交渉して低下すべきであるとの御意見はまことに御同感であります。また日航経営陣資金コストを下げ、経営内容をよくするということに絶大の努力をすべきであって、国にたよるという考え方を払拭すべきものであるということも、まことにその通りだと考える次第でございます。
  27. 平林太一

    平林太一君 この際その金利の問題については、いわゆる国策会社としての日本航空、いわゆる航空事業であるそういう性格からして、僕の考えでは、その金利というものは六分程度銀行と交渉がつくはずであるから、銀行は当然、これは商業ベースとしてそういう範囲で採算のとれるものである。それをあえてそういう努力を払わないということは、銀行日本航空の当事者との間に何らかのいわゆる準々たる、いわゆるその資金借り入れあるいは融資を受けるということについての利便があると、そういうことが高額不当の金利を払っている、こういうふうに思う。そういうものではないとむろん言われるが、いやしくも国が三億二千五百九十万円内外の補助金もしなくちゃならない、またするということに対しては、これは厳重なる内容調査を必要とするということを申し上げておきます。  それから僕の言いたいことは、十億円のいわゆる株式投資をするなり、それから三億二千五百九十万円は補助金だと、一応これはまことに無難な世間通例のあり方であり、また御答弁内容であります。しかし僕の方の考えは、これはいずれにしても、十億円というものは、これは今日まで、前年度も十億円してきた。これは彼から返済を求めるものでないんです、株式というものはいわゆる投資ですから。これは実際からいうと、いわゆる心理的な、精神的なものから申しますれば、補助なんです。実は日本航空に対して、今日の国事多端の際に、できるだけ他の方面に非常な経費を使用しているときに、あえてこれをするということは、これはすることが必要であるから当然にするわけなんですから、しかし実質上はこれは補助投資なんです。だから、それに対してなおかつ補助金の三億二千五百九十三万円をするということは、われわれから見ますというと、いわゆる民間の、税を負担して国の経営を営んでおる国民の立場からすれば、非常にこれは納得のいかないことなんです。それならば、むしろ補助金なんていうものは必要がない。投資として、いわゆる株式投資として十三億二千五百九十三万円やったならばそれでよかろう、こう思うわけです。しかも日航配当、そういうものに対して配当をしておる。今配当というようなものはあり得ない。今日日本航空に対しての民間出資に対する配当などということは、いたすべきでは断じてないので、その点ちょっと伺っておきますが、三十年度においてむろんこれは無配だと思うが、その点いかがですか。
  28. 荒木茂久二

    説明員荒木茂久二君) 設立以来、遺憾ながら、まだ配当をし得る段階にきておりません。
  29. 平林太一

    平林太一君 これは当然それでしかるべきなんで、配当がこれはできないでしょうし、またしていないということですから、それであるから、この補助金及び株式への政府資金投資というものがそこに必要になってくる。こういうことです。だから、これはこういうような何か三億二千五百万円というものを補助するというようなことよりも、これを十三億何がしにして、そうして株式投資して、そうしてその航空会社経営経理というものを締めていくことが、国の行政上としてはきわめて適切であり、補助金というからこれはいわゆる向うがもらったということになる。何らこれは責任を持たないわけです、補助金には。そういう点をもう少しつっ込んで、日本航空というものの進展をはかることは、これは当然のことです。しかし一つ企業であることは明らかなわけですから、その企業が、依存をしておる企業というものは永遠に発展しないわけなんです。これは外国飛行機会社というものは、そういうことに対しては実に微に入り細に入り、これの経営に対する苦心を払っておる。何か日本航空のいわゆる社長なり副社長というものは、官界におって、立場航空会社にかえたというような印象がまことに深いわけなんです。そういうところに企業としての堂々たる苦心を払っておるというようなことが非常に稀薄であるということを、この際強く私は御注意を申し上げたい。  同時に、この際資料として――私の方はその程度にきょうはいたしておきますが、日本航空の三十年度、三十年度は四月までであるが、二十九年度及び三十年度の今日までの経理の実情、それを詳細に一つ資料として提出せられるように取り計らいを願いたいと思います。
  30. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 他に御質問ございませんか。
  31. 大倉精一

    大倉精一君 大臣が三時ごろまでしかおいでにならぬそうですから、大臣おいでになったらちょっと……。
  32. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 今参ります。
  33. 平林太一

    平林太一君 先日資料を要求いたしましたので、これは前回の委員会において資料提出要求をいたした中に、外国輸出船の現在の現況、輸出船のそれぞれの該当造船会社が今建造中の船舶、これに対して詳細な隻数、トン数、それからこの当核、外国より注文を受けておるわけですから、その国名及び注文をいたしておるところの会社、あるいは個人の場合でもよろしい、こういうものを一つ明らかにするように要求いたしておきましたが、この資料の中にちょっと見受けられないのですが、それに対する一応御答弁を承わっておきたいと思います。
  34. 山下正雄

    政府委員山下正雄君) お手元に資料がお出ししてあると存じますが、主要造船所別輸出造船手持工事量表仕向国別輸出船手持工事量表というのがございますが……。横の表でございます。
  35. 平林太一

    平林太一君 そうすると、その輸出船の中に、外国注文会社から注文を受けた船が、直ちに船によって売買されておるところがあるというようなことを聞き及んでおりますが、その会社が、日本の場合でありますというと、船主が郵船であるとか、それぞれの会社がそれを直ちに、貨物船の場合は貨物にこれを使用する、客船の場合は客船に使用するということだが、それが直ちに船によって――一たびそれは所有権向うに移っているから自由であるが、そういうものが船によって売買されておるというような事実を聞き及ぶが、そういうことについて内容調査したことがあられるかどうか、この点伺っておきたいと思います。
  36. 山下正雄

    政府委員山下正雄君) 輸出船の場合におきまして、私どもの存じております唯一の例は、新三菱で多分ギリシャの船でございましたが、それを作っておりまして、建造半ばにおいてそれをやはりギリシャ船下に転売したという例がございます。その詳細につきましては今資料を持ち合せておりませんので、後刻調べまして御報告申し上げますが、それ以外につきましては私の記憶に、ただいまのところ、ございません。
  37. 平林太一

    平林太一君 それから船価についてですが、輸出船船価、それから国内船船価造船所が造船するところの船価というものの比率ないし比較、そういうものに対してはどういう調査が出ておられるか、これを明らかにして下さい。
  38. 山下正雄

    政府委員山下正雄君) 国内船船価につきましては、私ども国資金がこの船の建造に使用されるというような見地からいたしまして、極力船が実質的に優秀であってしかも船価が安くなるように、というようないろいろの指導をいたしております。従いまして、十一次船の船価につきましてくわしいことを申し上げますと、貨物船につきまして、ライナー・ボートでは重量トン当り十万九千円、それは十七ノット以上の船でございますが、十六ノットの船につきましては九万五千円、それから十四ノット程度不定期船につきましては六万九千円、それ以下の船につきましては六万六千円というような数字が出ております。また油送船につきましては、スーパー・タンカーにおきまして重量トン当り四万七千円、またスタンダード・タイプにおきましては五万四千円というような数字が出ております。  ところで、輸出船におきまして、御承知のように、初期段階におきましては、日本造船量も豊富ではございませんので、ある程度無理をして船の注文をとったというきらいがございます。もちろん造船企業と申しますのは、ある程度仕事量がございませんと企業の能率が上りませんので、そのために船価が割高になる。従いまして造船主はある程度の量を持つということが必須の事項でありまして、その量をいかにうまくこなしていくか、しかもそういうような過程によりまして船の合理化船価の引き下げということが実現できるのでございまして、そういう趣旨におきまして、最初若干ぎりぎり一ぱいの線で輸出船をとったという傾向はございます。しかし最近におきましては、日本注文を受けております量は相当多量でございますのと、さらに世界的な船価の値上りというような点にかんがみまして、この最近三カ月間のうちに、船価といたしまして一〇%程度の引き上げに成功いたしております。従いまして、現在の輸出船船価と申しますのは、国内建造いたしますものよりもはるかに高いというような現状でございます。もちろん、輸出船につきましては納期がはるか後になるというような関係もございまして、若干のリスクがございますので、その点につきまして当然輸出船船価国内船よりもはるかに上回っていなければならないということはいえると思います。現在のところ輸出船の方が国内船よりも高いということは申し上げられると思います。
  39. 平林太一

    平林太一君 その率は、パーセンテージにしてどのくらいでありますか。
  40. 山下正雄

    政府委員山下正雄君) この輸出船の船がいろいろございます。ことに貨物船におきましては、向う注文されますのはタービン船が多うございまして、国内船におきましてはほとんどディーゼル船でございます。従いまして、同一基準においてこれを比較するということは非常に困難でございますが、大体の見当を申し上げますと、現在のところ、輸出船の方が一割が一割以上船価が上回っているというような現状でございます。大体現在のところ、貨物船では、輸出船はタービン船にしまして二百三、四十ドルから三百五十ドル重量トン当りという船価でございますが、国内船につきましては、先ほど申しましたように、六万九千円程度、しかもそれはエンジンがディゼルであるというような状況で、もちろん十二次の船価は若干これよりも上回ると思いますが、約一割か一割以上の開きがある、こういうふうに思っております。
  41. 平林太一

    平林太一君 そうすると、この輸出船に対する運輸省は建造の申請に対してこれを許可し、あるいは不許可にする場合がある。こういう場合に、当該の造船会社船価を、何か会社との間に、許可内容に対して、それを内容部分とするか、それとも、船価に対しては造船会社が当該の注文会社との間で取りきめることを自由放任にしておくのか、その点をどうお考えですか。
  42. 山下正雄

    政府委員山下正雄君) 私どもといたしまして、外国船の契約の船価につきましては非常な関心を持っております。ところが、実際の面といたしまして、船の建造を許可します基準法規であります臨時船舶建造調整法というのがございます。その法律の中での許可基準の中で、不当な輸出船について、それを許可し許可を拒絶するというような文句は中に見当らないわけでございます。従いまして、私どもとしましては、法律に基く不許可というのでなくて、非常に安い船価のものが出ました場合には、造船所を呼びましてよく事情を聞きまして、その内容をよく洗いまして、そして必要がありましたならば、船主を呼びまして了解を求める。まあ非常に契約しておられるのは安いように思うが、しかし現在においては鋼材等が相当値上りしておるから、造船界も非常に苦しいようだからというようなことを申しまして、船主の方に再考を促すというような、まあ行政指導を行なっております。そういうような指導の結果、船価を若干上げたというような例がございます。そういうふうに指導いたしております。
  43. 平林太一

    平林太一君 その点了承をいたしたのであります。なお輸出船に対しては一そうこれが活発に行われていくことを強く希望いたしておきます。それに対して運輸省は十分の措置をして、一つの、国際的にも、国際親善の上にもそういうことは、輸出船というものを通じて非常な貢献をなすものと思いますので、その点一つ申上げておきます。  それから、それにつけても、これだけの輸出船建造し得る国の造船施設及び技術というものは、ともに並行して、国内船建造ということに対して鋭意これは力をいたさなければ相ならないと思います。三十一年度においては二十二万トンだけは一応予算措置ができておる。しかし目標は三十万トンである。残る八万トンは、先日一応はばく然とした説明大臣からもありましたが、これは具体的にはどういう処置をもって残余の八万トンの建造を完成するのか。われわれとしてはこれを完成せしむべきものである。こういうふうに考えておる。これに対する責任のある回答を願いたいと思います。
  44. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) 先般の、平林委員から大へんありがたいお話をいただきまして、私どもとしてはその趣旨に向って目下鋭意努力中でございまして、お説のごとく、予算措置といたしましては財政投融資百二十七億、利子補給三十一億数千万円ということに相なっておりまするが、この内容につきましては、すでに予算提出いたしました資料にも明らかであると存じますが、財政資金五割、民間投融資五前という標準で予算が計上されておる次第でございまするが、一方民間側、市中銀行側においては、昭和三十年度においては財政資金八割、民間資金二割ということで、今直ちに、五割というような高額な貸し出しをすることは非常に困難であるということで、四割が最高限度というような申し入れもございまして、目下協議中でございます。従いまして、一割は自己資金という形に相なるわけでございまするが、これは全体として平均した財政資金民間資金五割五割でありますから、海外航権の確保について、比較的な利益率の薄い定期船、あるいはそれに比較して利益率の多い不定期船もしくは油送船というようなものとの間において、必ずしも平均五割五割という数字をそのまま適用することもいかがかということで、目下市中銀行側とこの点についても鋭意折衝中でございます。われわれとしては予算で許された範囲内において、二十二万トンもそれ以上作りたい、それには市中銀行側の援助も得なければなりませんし、また不定期船、油送船等の比較的収益率の高いものについては、必ずしも財政資金五割を投じなくてもいいのではないかということで、目下折衝中でございます。従いまして、市中銀行側その他の協力が得られますれば、その面においても二十二万トンは上回ることができるだろうと考えまして、目下努力折衝中であり、率直に申し上げますと、ただいま大臣、よんどころない用事で退席をお許しいただいたのでありますが、その用事も市中銀行側首脳部と大臣とで特に懇談を願いまして、格別な御援助をいただきたい。また政府側としても、さいぜん平林先生から御指摘のありました日航に対する利息の問題等につきましても、最近の現状にかんがみ、政府側としては市中銀行は三厘の利下げをして、海運界の貸出しに対して利下げをするのが至当ではないかというような予算上の措置でありましたが、市中銀行側もこれに対しましては二厘の利下げを声明いたしまして、われわれの方に協力的な方向をたどって参っておりますが、さらにもう一厘の引き下げについても目下鋭意努力中でございます。  従いまして、差が八万と予想されていますものがどのくらいに縮まりますか、その縮まった分につきましては、御承知のように、閣議決定の内容が、政府内の決定の内容が、本年度の海運業者からの開発銀行への返済回収金の見込がすでに本年度内において五十億をこえるであろうというような予想もされておりますので、来年度において現在の海運市況が継続するならば、相当多くの返済回収金が開銀において可能であろう。その際におきましては、所定の回収金以上に海運業者が開銀に対して返済した際には、その金、これは率直に申しますとひもつきというような、自分が返したものをさらに自分に使わしてもらうという、やや銀行金融の上から申しますと身勝手ということではありますが、政府としては現在の海運界の情勢、ことに御指摘にありました外国船ばかりを作らないで国内の船もできる限り作って、海外航権の確保並びに国際収支の改善に資したいという方向から、八万トンもしくはそれに近に数字につきましては、開発銀行資金か、回収金が予定以上に達した際にはそれを海運業者にさらに貸しまして、その金によって残りのトン数を、三十万トンまで造船を確保して参りたいというような努力を目下いたしておる状況でございまして、現在の市況からいたしますれば、ある程度の回収金が余分に見込めるということで、その点の見通し等につきましても、開発銀行政府部内、大蔵省等と折衝中でありまして、この点もできるだけ早く見通しをつけたいと存じますが、何分にも回収金のめどは秋ごろでなければつかぬというような話もございまするが、その点は本年度の実績を見て、できるだけ早く決定をしてもらいたいということで申し入れ中でございますので、御指摘のように、二十二万トンをでき得る限り早く作りたい。ただ一部については、二十二万トンもしくは予算内でそれ以上になりますものについては利子補給等がなされるわけでありますが、残余のものについては利子補給はなされない。開発銀行の財政資金の融資は、これは余裕金の状況を見て可能でありますが、利子補給がなされないという点にやや取扱いの違う点もございまするが、この点は予算の都合上やむを得ぬと存じまして、でき得る限りそういうことの差等をつけることを、なるべく範囲を少くしたい。従って、二十二万トンをでき得ればもう少し余分にでも予算をうまくやりくりし、市中銀行側の援助を得て八万トンをなるべく少くして参ることが、海運政策上も適切かと存じまして、目下努力中でございます。
  45. 平林太一

    平林太一君 政務次官が非常に御努力になっておられますことが非常に了承し得て、私は満足いたしますが、そこでその際、二十二万トンに対しては、百二十億有余が回収資金政府出資である。それからそれと同額の百二十億というものが借入金になっておりますが、これは切半した五分五分の比率である。しかし今御説明によりますと、市中銀行が何かそれを五、四にしたい。五、四でしか借り入れができないと、こういうようなお話でありましたが、事柄はあまりに大きくいう問題ではないのだが、しかしその政治的の性格からいきますと、これは非常に容易ならないことである。国が国の財政資金を通じて今日船舶の増強をはかろうとしておるときに、市中銀行がそのようなことを態度においておるということは、それからまた政府としての、これは大臣、次官初め関係当局ですが、そういう考え方ではこれはならないはずなんです。市中銀行というものの一切の責任保証は国家がしてやる。それであるから、安んじていわゆる大衆の資金というものが市中銀行へ吸収されておる、あるいは預金されておる。今日は日本銀行というものが全国の各地方銀行に至るまで、それぞれ支店を配置して、常にこれが市中銀行経理運営を監督し、これを助成しておる。そういうことで、一体往年のように、かってのように、銀行のパニックであるとか銀行が破産するというようなこととはあり得ない。あり得ないということは、いかなる場合であっても、そういうような銀行ができた場合には、直ちに日銀を通じてそれに対する金融界の秩序を調整する。であるから、市中銀行の今日のわが国の実際の運営は、いわゆる国が全面的にこの責任を持ち、そうしてこの銀行の信用というものを裏書きしておるからである。その銀行に対して、政府が何かこれを依頼するとか、それを露骨に言うというと、今大臣もこの席を離れて、そうしていわゆる市中銀行当事者に懇請するなんて、そういうことはわれわれからいいますと、実に理解に苦しむことなんだ。五のものを四にしろというような、そういうようなものは、何といいますか、あり得ないことなんです。国が五分出すなら、五分出すということはオーケーです。それであるから、資金委員会というものが出てくる。  資金委員会が出てくるということは、それは困ると市中銀行が言い出す。それは今あいまい模糊となったように聞いておりますが、資金委員会の問題も、しかるに金利が高いという。低金利に抑制することもできない。これは非常に、事海運に関してのことだけをここで取り上げますれば、政務次官、船舶局長は一つ新しい角度で、新しい認識で市中銀行というものに対処せられたい。有無を言わせず。しかも市中銀行はそれなら資金が今日不足しておるかといえば、そうでない。今日の日本国民の所得というものは年々、累年増大して、六兆から六兆五千億、七兆、それくらいになりますれば、そのうちの九割くらいまでは、政府保証しておるゆえに、その手持ち資金というものはことごとく銀行の窓口に入っておるわけだ。それですから、今日もう企業として、銀行くらいきわめて繁栄にして、しかもいわゆる金融企業として盛んな実態というものはない。日本の実情から見まして、いずれの企業よりも最も有利の企業として利益をあげておる。そういうようなことが国の保証がされておるということによって行われておるということを、市中金融機関関係当事者に十分にこれは納得のいくように指示する必要がある。そうすれば、ことしの計画造船に対しても、これはまあほかのこと全体がそうだと思いますが、特にここに俎上に上っておりまする海運のことに対しましては、当然そういうようなことは、五が四になったというようなことはあり得ないことですから、そその点を一つ、政務次官は政治的にそういうことに対しては幅を広く望むわけですが、一つ市中金融機関にそういう認識不足の点をよく何するようにせられたい。それで聞かなければ、これは資金委員会を作るべきだ。資金委員会の指示命令です。市中金融機関というものは、非常に、何といいますか、経営者というものが常に何か独善的な、国に協力するという態勢が非常に薄いように思われる。それが中小企業者に対しても貸付金が行われない、つまり零細な貸付金というものはこれを非常にきらう。そういうことが今日市中金融機関に対する非常な国民的怨嗟の声である。もしこのまま放置するならば必ず私の考えでは、市中金融機関というものを一つ対象にした政治的な異変が生ずるのではないかと、こういうようなことをすら私は心配しておるわけです。でありますから、いわんや今日この計画造船に対してこれを五が四になるというようなことは、単にそれだけの問題ではない。自己資金一割で作るというような計画で今お話は進められておると言われるが、自己資金一割で作れるくらいの自己資金があるならば、それで千トン以下の小さな船でもよろしいのですから、国内船、それを作らせる。そしてこの計画造船に対しては所定の通り、これは先日大臣説明せられた通り、所定の方針で臨まれることをこの際強く要望いたしておきます。  それから残る八万トンに対しての処置に対しては、これは一体開発銀行が当然労をとることになる、今お話の通り、返済金によって大体見込みがつくということですが、この場合八万トンというと三十億円内外と思うが、そのくらいに承知してよろしいか、ちょっと御答弁願いたい。
  46. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) 残りの八万トンにつきましては、現在の、さいぜんお話申し上げました定期船、不定期船、油送船というように、若干の等差を設けまして計算いたしますと、大体二十億程度で残りは可能ではないか、かように考えております。
  47. 平林太一

    平林太一君 それで了承いたしました。すると、そういう場合には当然市中金融に対しては二十億円か出資を求めるということになる、そういうふうに了承してよろしいのですか。
  48. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) その点につきましては、市中銀行側は、二十二万トンをまあ一応決定したので、残りの八万トンもしくはそれに近いものについては、政府と開銀との話し合いがつき次第、でき得る限りの協力態勢をとろう、こういう話し合いまではできております。
  49. 平林太一

    平林太一君 そうすると、その今の二十億というのは政府出資予算総額であって、八万トン完成のためにはさらに二十億を市中銀行からこれを融資せしめる、合計四十億と、こういうふうに承知してよろしいのですか。
  50. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) お言葉の通りでありますが、さいぜん当初に御説明申し上げましたように、百二十七億で二十二万トン以上を作りたいということで目下いろいろとやりくりをいたしておりますので、それが二十二万トンだけしか作れないということになりますと、さいぜん先生御指摘のごとく、三十億近く要ると思いますが、その中からやりくりをして、ある程度利子補給をつけた計画造船、本来の姿のものを二十二万トンから若干でもふやしたいということで、その方の市中銀行側との話し合いがつきますと、大体二十億程度でいい、かように考えております。
  51. 平林太一

    平林太一君 それから、ちょっと僕にはわかりかねるが、二十億というのは八万トンに対する、八万トン建造するために総額で二十億でよろしいというわけか。それとも、ただいま出ております第十二次計画造船のいわゆる二十二万トンに対して約二百四十億円内外、こういうことですか。
  52. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) その点につきましては、御承知のように、八万トンのものは、二十二万トンもしくはそれより若干ふえますものを決定したあとで、八万トンの方に手をつけますので、実際の契約起工につきましては少しずれると存じますので、その契約起工の金として二十億ということに相なっておるわけでございます。
  53. 平林太一

    平林太一君 ちょっと僕にはわからない。明らかにしておきたいと思うのですが、二十億というと、そうすると、十億あれば政府出資はよろしいのか。それから銀行から借入金が十億、合せて二十億でよろしいのか。それとも、今の二十億ということは、政府出資が二十億で、それで銀行出資がさらに二十億必要として、合計四十億で八万トンができるのか、その点をちょっと明らかにしておきたいと思います。
  54. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) 御指摘の通り、後段の、財政資金二十億、政府資金二十億で、四十億になるのでございます。それが完成する際には、年度をこえます等の起工その他の関係から、さらに倍になりまして八十億ということになるわけであります。
  55. 平林太一

    平林太一君 それで大体了承いたしました。そういたしますというと、この際八万トンの残余の建造完成を期するためには、第一の手段として、日本開発銀行がこれに対する所要出資の操作をいたすということが、これはやはり目標になってきますね。それに対して先刻御説明がありましたが、先日資料提出を私が求めておったことは、そういうことを意図して申し上げたわけであるが、これは日本開発銀行はいわゆる返済金というものが、何か計画が立たない、未定であるというようなところに、今八万トンに対する建造というものがあいまになっている。しかるに開発銀行が海運関係に貸し付けた返済金が、本年度においては何十何億何千万円返済期間に達している、こういうことは明らかである。今日の海運の状況からいたしますれば、これは返済が不能であるというととは、常識上判断ができないわけなんであります。しかも、これらの船主はさらに第十二次造船、ことに三十万トン内外が今日大体予想されていることであります。さらにそれを政府出資によって自己の船を作ろうとしているのですから、こういう際に、その返済金の計画の見通しが、明確につかない。それがために、いわゆる八万トンの建造がここに明確に建造し得るということが言えないということは、いかにも腑に落ちないことなんです。その点開銀とはどういう話し合いをなされたか、これを一つ伺っておきたいと思います。
  56. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) 平林先生御指摘の通りでありまして、私ども御指摘のような形で目下開銀と折衝中でありますが、開銀としては本年度の回収状況から見て、われわれが指摘いたしておりまする通り、ある程度の余裕金は生ずるであろうということも、一応了承はいたしております。また政府部内におきましても、理財当局等とこの問題につきましては十分協議をいたしまして、早急にこの点の解決をはかりたいということで、目下相談中でございますが、将来の一応未定のものについて現在確たる返事をすることは、開銀としてなお慎重を要するということで、昭和三十年度の回収金が現実に幾らになるか、あと一カ月半余りございますが、幾らになるかという点等もよく見きわめた上で、この点に対しての相談を至急いたしたい。こういうように申し上げておりますので、われわれもそういう方向ででき得る限り海運業者が健全に、従来の借入金の返済等においても遺漏のないように見きわめました上で、至急この問題の解決をはかりたい。政府部内といたしましては、われわれの要求についてはすでに了承いたしておりますので、政府部内一致して開銀との折衝に当りたい、かように考えております。
  57. 平林太一

    平林太一君 今の立場からいたしますというと、私どもの方としても、それ以上は申し上げることは差し控えたいと思いますが、開銀の性格から、いわゆる政府関係機関としての特別の開銀の使命、それから政府出資をもって特に開銀を運用いたしておるところの実情から見て、いやしくもこれらの問題に対して開銀がある程の余裕金をみてやるというようなことを、あなたのお手元にそういうことを言わせるということは、非常に何といいますか、開銀自体の独善性というものがわれわれ非常に不満に思うのである。開銀がこういう問題に対しては、微に入り細に入り、数字的にそういうものを表わして、明確な資金上の報告を運輸省当局に対していたすべきものだ。それをある程度余裕金というような、そういうような実に不責任きわまる処置に開銀が言っておるということは、事海運の、今日の造船を意図しておる海運行政における今日の性格からして、言わしてはならないことと思います。  でありますから、これは前日もこの資料を私の方から、これまたそういうことのあることを心配して資料提出することを求めてありましたが、今日それは出ておりませんが、開銀はいわゆる三十一年度の第十二次計画造船に対して、二十二万トンの残余の八万トンに対する経費予算というものを確実化するために、むろんこればかりに使うということではないわけですが、これは各会社から返済されるところの本年度期限に達しておるところの返済金に対する各会社の明細書というものを提出を求めれば、何でもないものだと私は思います。それでありますから、この際一つ開銀に対して、この余裕金というのは決して、何か根拠のない余裕金というものはそういうことはあり得ないのですから、しかし余裕金というものは何か根拠がないような、ばく然としたような意味がここに現われておりますので、今年度返済せらるべきところの、この貸し付けた関係会社の名前、それから期限に達しておる、これはいずれ十五年とか二十年とか貸し付けてありますから、本年度においてどれだけの金がどの会社から返済さるべきものだということを、至急開銀に、私は当委員会の権限において、そういうことを運輸省を通じて、運輸省にそういうことを要求する。従って運輸省は開銀に対して、明細書を提出することを、これをこの際要求いたしておきます。もしこれが開銀が言をあいまいにし、あるいは左右にして、そういうようなことをしないというようなことになりまするならば、これはあらためて開銀に対する委員会としてのそういう権限を、この際通じていたさなければならないという、こういうことになりますことをこの際つけ加えまして、次回までに開銀から提出せしめる。海運関係の返済金ですから、当然それはできることと思う。他の海運関係以外のところについては、これは今日要求いたしておきません。その点一つ、次官から御答弁を願っておきたいと思います。
  58. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) 御指摘の御希望の資料につきまして、至急取りそろえまして出したいと思います。開銀とも折衝いたしたいと思います。
  59. 平林太一

    平林太一君 了承いたしました。
  60. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 先ほどのお話にございましたが、臨時船舶建造調整法では、輸出船あるいはその条件等について、行政指導以外に何も処置がないということですが、それでずっとやっていけるものであるか、あるいは何らかの法的措置考えておられるか。ことに輸出船が相当の長期の支払いになりますので、将来いろいろな問題が起ってこないかどうか。そういう点について、現行の調整法の範囲でまかなっていくつもりであるかどうか、行政指導だけでゆけるものであるかどうか、そのお見通しを一つお願いいたします。
  61. 山下正雄

    政府委員山下正雄君) お答え申し上げます。臨時船舶建造調整法はおもに造ります船について規制を加えるという趣旨でございます。従いまして、臨時船舶建造調整法の中には、造船事業の面から許可または不許可を決め得る要素が全然入っておりません。しかもこの調整法は臨時でございまして、来年の三月三十一日で失効することになります。しかし現在許可しなければなりません船は、着工がそれよりあとになるという船が相当ございます。従いまして、この点につきまして先般法制局に意見を述べましたところ、そういう失効後建造云々ということについては変えるべきではなかろうという御意見がございます。従いまして、私どもは先ほど申しましたように、現在の造船事業といたしまして、価格の問題もございましょう、しかしまた国内船輸出船建造のバランスという点もございましょうし、また船を造りますに必要なる材料、鋼材というような問題も関係がございますので、やはり造船企業としましては、この臨時建造調整法を通じて健全なる発達が期待できるような形に変えたいというわけで、今研究をいたしております。おっつけ成案ができまして、本委員会でもいろいろ御審議を願うことになろうかと思いますが、その節にはどうかよろしくお願い申し上げたいと思います。
  62. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 他に御質疑はございませんか。
  63. 平林太一

    平林太一君 政務次官がおいでになりますので、他の運輸省の一般の状況の問題についてでございますが、これは衆議院の予算委員会で運輸大臣から国有鉄道の値上げをしないということを言明せられておるようなことを承知いたしておりますが、その点に対して次官の先ほどの補足の御答弁をお願いいたします。
  64. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) 衆議院の予算委員会におきましては、大臣は、昭和三十一年度予算内容といたしましては、一応運賃値上げの問題を慎重に考えました結果、この際は予算上の措置として計上していない。しかしながら国有鉄道の財政上の、その他原価計算等、また国有鉄道運賃法の観点から独立採算制等の形で、将来の問題としてはどうしても上げなければならぬような状況に迫っておることは事実である。従って、もし上げるとすれば、現在の日本の経済事情その他を考慮して、できる限り経済状況に大きな影響を与えないような方向で上げたいとは考えておるが、目下のところは、予算上、予算の面では上げるということを考えずに、予算措置を講じたい。かように御答弁をしたと存じますが、実際問題としては国有鉄道は非常に窮迫な状態にありますので、将来の問題として適当な機会には上げなければならないのではないか、かように運輸当局としては考えております。
  65. 平林太一

    平林太一君 そうすると、三十一年度予算としてはこれはしないということだが、三十一年度というのは、そうするというと、昭和三十二年の四月までは上げない、こういうことに了承してよろしいでしょうか。
  66. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) 補正予算措置その他もありますものですから、三十一年度中は上げないのかというお問いに対しては、現在のところ、明確な御答弁を申し上げる段階ではないと存じますが、少くとも、本予算提出の現在においては、一応値上げの問題は考えずに予算提出いたした、かような御答弁であります。
  67. 平林太一

    平林太一君 そうすると、この際はということに相なるわけだが、それはまあ非常に予算に現われたごく形の陰に隠れての答弁のようにわれわれ思うが、今後そうすると、期間的にはどういう期間においてこの処置を考えられておるか。こういうことをもう少し具体的に、これは次官でも大臣でも同じだと思いますので、一つ答弁を願いたいと思います。
  68. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) 大へん率直なお導ねで、どういうように御答弁をしてよろしいか、私どもとしては、国有鉄道のためには、その独立採算制、自給自足の体制、現在財政投融資並びに一般鉄道公債と、民間の方面からも相当資金吸収をいたしておりますので、これらの資金吸収も赤字の補填にならないように、率直に申し上げますと、電化でありますとか、あるいはディーゼル・カーでありますとかいうような、収益の増強を来たすような方面については、これは自由に民間資金もしくは財政投融資の援助を得まして拡充をすることは適切かと存じますが、減価償却あるいは当面収益の著しい増加を伴わずに、さらに設備の近代化として若干国鉄に大きな負担となる場合であっても、大都市の通勤緩和並びに大都市の雑踏を緩和するための輸送力の急速な増加というような面、あるいは新線の建設、大きな国家的な観点から地方の開発並びに各地域開発のための循環線というようなものについては、これはしばらくの間、直ちに収益性を生ずるというような状況でもありませんので、これらのものについては、何としても自己資金でこれを調達することが、たとえ公企業でありましても、企業体の建前上、当然ではないかと考えますので、私それらを彼此考慮いたしますと、現在の国有鉄道においては、一応非常な困難な状況にあり、黒字という状態には相なっておりませんので、現在の日本の経済事情等を見合せて、なるべく早い機会に、経済状況の好転が許されれば、値上げをしなければならぬ、かように考えておりますが、いろいろな状況から、現在においてはそこまでまだ踏み切れないというのが実情でございます。
  69. 平林太一

    平林太一君 今次官は、国鉄のための値上げ、それから国鉄の経営のためにこれの値上げはただいまはできない、こういうことですが、私どもの方の何は、国鉄のためというような輪郭狭小のものではないと思います。船舶のことも伺ったが、その性格はどうか。大体三十億ないし三十五億の国鉄の、いわゆる一たび乗車せしめた以上は、生命財産を責任を持って保障してこの運営に当っている。貨物もまた当然であるが、最も考えられることは、人命を取り運ぶ、それに対して今日所要経費が非常に不完全なために、この施設がそれに伴っていないというようなことをそのままに放置して、そうして予算がないからということでそのままにいたしておるというようなことは、これは大臣でも次官でも同じですが、これは重大な責任だと思います。おそらく三十一年度中に、これがいずれにしても一割五分値上げすると、二千五百億ですから、三百七、八十億と私どもは予定いたしますが、一割の場合でも二百五十億、しかしこれを他からその運用資金として処置することができないという今日の現状ですから、それに対してごく一部分を今お話しのように利用する、こういうことですが、これは一つ全面的にこの問題は、鉄道の輸送のごときは、たとえばほとんどがよくても、ある一カ所が悪いために重大な事故が起きる。あるいは一カ所が悪いために全線の完全な運行ができない、こういうことはきわめて明らかであります。そういうことをそのままに、そういう事態があるにもかかわらず、なおかつ予算がない、そのために処置ができないということで、そのまま放置していることは、運輸当局の責任ある態度であるか、行動であるかということを、この際強く追及しておきたいと私は思っております。  おそらくこのまま、三十一年度は来年三月までになるが、このような状況下においてこれらの施設をそのままに放置しておくとすれば、必ずこの一年の間に、あるいは本年の六月から九月ごろまでの災害、そういうようなときに、旅客上において、かっての紫雲丸でありますとか、洞爺丸であるとかというような、これは一つの不可抗力の天災上の事柄であるいはあったとわれわれとしては善意に解釈しているが、そういう事例もある。しかし今度はこのような現況にしておきますと、これは一列車の取り返しのつかないような一つの事故が生じて、そのために多数の人命が、これまた取り返しのつかないというような事態が、今後非常にそういうことが予想される。むしろ私はこれを予言してはばからない。三十一年度の三月まで、この際はというようなことをいって、このままにいたしておきますれば……。  だから、言われる通り、当局の責任者としては、自己の毀誉褒貶を度外視して、一つの断行をするということがなければ、こういう問題に対処する態度では私はないと思います。しかるにもかかわらず、昨日大臣である吉野君の御答弁というものを伺っていると、しない。そうしてしないということは、結局そういう施設をしない、もし処置いたしても、ごく何か申しわけ的な部分的な処置しかしない、こういうことなんです。この点に対しては責任が持てるかどうか。こういうような状況にしておいて、人命及び事故のそういうことが起きないということを、責任をお持ちになれるかどうか、その点を承わっておきたい。
  70. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) 大へん適切な御勧告をいただいて、われわれ大いに努力いたさなければならぬと考えておりますが、申し上げるまでもなく、御指摘のように、交通機関の使命は安全、迅速、正確、その中でも安全ということが交通機関の使命として一番高いということにつきましては、私どもも万承知をいたしておりまして、本年度予算の中におきましても、乏しきを傾けましてその方向にあらゆる努力を尽した予算を計上いたしたわけでございます。先般の御指摘のような経営調査会の答申の内容におきましても、技術的には隧道、橋梁その他の施設がすでに老廃をしておるというような明確な答申も出まして、われわれもそれに対しまして、その近代化なり修復なりについてはあらゆる努力を傾けたい、かように考えておりまするが、現在の日本の経済の実情からいって、御指摘のように、直ちにここで断固として値上げを断行するという方向にまで行き得なかったことについては、まことに申しわけなく、われわれも責任を感じておる次第でございますが、この点についてもさいぜん御指摘がありましたが、今回の予算面では一応値上げを前提としない予算を計上いたしましたが、現在の経済状況がこのまま平静のままで継続する、また特段の不景気その他の影響等もないという見込みが立ちますれば、この点については政府部内においてもいろいろと目下論議も重ねておりますが、そういうめどがつけば、何としても上げなければならぬと考えておりますが、それじゃ時期はいつかということに相なりますと、私ここで、政府部内でまだ十分に確定的な意見の一致の段階に至っておりませんので、お答え申し上げることができないのを残念に存じますが、さればといって、御指摘のように、交通機関、特に日本の陸上輸送の根幹である国有鉄道の輸送が一部においてもその使命を達成するに大きな欠陥があるというようなことがあっては万ならないと存じまして、それらの点につきましては万全を期して参りたい、かように考えておる次第であります。
  71. 平林太一

    平林太一君 今の次官の答弁は、日本の経済の現況においては値上げは不可能だ、適せない、こういうことですが、国鉄の値上げは、取りあえずの処置として一割、それからそれ以上しても一割五分ということが大体考えられると思うので、この一割というのは、かりに百円の運賃に対して十円上げるということになるわけです。鉄道の旅客運賃は、一乗客が千円の運賃を払う場合に、百円上げればそれで事が済む、こういうことなんですが、それが日本経済の実情に沿わない。そういうことは、どういうところでそういうふうに物を誇大にお考えになるのか。  これは鉄道運賃が上れば、関連して他のものも上ると、こういうのだが、たとえば私鉄のごときものは、いずれにしても、運輸省が運賃の値上げに対してこれをする決意を持っておるといえば、一律にそういう値上げをする必要があるとは、われわれには私鉄の現状よりあり得ない。今日利益の上っておる私鉄、上っていない私鉄というものはよくわかるわけですから、欠損をしておるようなところに対しては、それは国鉄が上ればそういうことをしてもいいが、しかし今日の全国の私鉄の状況というものはみな独占資本だ、独占企業だ。それですから、そういうことは、影響ということはあり得ないと思う。国鉄だけにこれはとどめられる問題であり、もしそれぞれに便乗して値上げをしようというものに対しては、それをさせなければよろしいのであるが、その点はどういうふうに一体ここをお分けになってお考えになるか。これを一応承わっておきたいと思います。
  72. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) 今事例をおあげになりました点につきましては、お説の通りと存じますが、率直に申し上げますと、一般旅客運賃よりも、一般の大衆のふところあるいは経済の実態に影響を及ぼすというおそれのありますものは、定期運賃と貨物運賃、この二つが主として一般の日本国内の経済情勢に影響を持つということに相なると存じますが、御承知のように、来年度の国家予算も一応均衡財政という点を打ち出しておりますので、その均衡財政並びに経済の平準化が、来年度予算の実施に当って政府が意図しておりまする方向に進むという前提でありますれば、私どもも御指摘のように、一割もしくは一割五分の値上げも可能ではないかと、かように考えておりまするのでありまするが、まだ予算も審議中でありまするし、また来年度実施に際しての各般の条件等についても、現在のところではまだ十分に的確な見通しも値上げ等についてすることは、早いのではないかという政府部内の意見もございまして、政府部内としては、来年度予算としては一応運賃値上げを前提としないで、でき得る限り国鉄当局にも交通機関としての安全性の確保に万遺憾ないような予算編成をせしめて、その上で事態をもう少し見きわめて、できるだけ早い機会に値上げの措置が必要であればとらなければならない、かような見解に到達したわけでありまして、さいぜん来まことに適切な各般の御質問をいただきましたが、率直に現在のところ申し上げかねるのは、まことに遺憾だと存ずる次第でございます。
  73. 平林太一

    平林太一君 ただいま貨物運賃のことについてのお話があって、これはまあ僕の方からそれには触れていなかったが、そう言うので、こちらからあらためて明らかにしておきたいと思います。貨物運賃にいたっては、旅客運賃とは違って、さらにその影響力というものは低いものである。なぜかというと、貨物というものは、値上げしましても、一トンにしましても、二トンにしましても、その内容というものを分析すれば、何十、何百、あるいは何千というような零細なものになる。それに一割の運賃、たとえば一つ貨物の、醤油一本にしても、お酒一本にしても、あるいはたばこのようなものにしても、それが一個のピースなり、あるいは一個の光、それに響いてくる一割の運賃なんというものは、これが生活を脅威するような問題にはならないと思うのです。それであるから、そういう何か均衡財政をとっているというようなことは、かえって何か政府としてはそういうようなことをおそれる、政府が自己保身のためにそういうようなことをする。他にはもっと、国鉄運賃なんかでない、表面に現われないものについては、それ以上はなはだしいような、たとえば均衡財政に対する非均衡財政的の処置が行われている。しかるに、非常に何か、こと表面に打ち出されている国鉄の運賃というようなものに対しては、非常にはなばなしい。そういうようなことで運賃を上げないということは、その影響が政府の何か政治の上に悪影響を及ぼす、こういうような、何というか、非常に卑怯な態度ですから、私から考えますれば、それを一つ十分に再検討をされて、政府というものはいやしくもただそのときの目前の自己保身にきゅうきゅうとすべきものではない。それが国民全体の生命安全の保障になるためならば、あえて世論に優先してそういうことは断行すべきものであると私は思う。そのときはにくまれても、後日に至って不幸が未然に防がれたということになれば、だれからもそれは顕彰されない、だれからもよくは言われないのでありますが、その目に見えない大きなやはり国の秩序のある政治がそこで行われたということになる。そういう点をもう少し私は次官としてのあなたに、これは大臣がここにいなくても、そういうことを対象として申し上げておるわけです。その点を一つ正直に、もっと誠実にこの問題は取り上げられて、鉄道予算に対する明らかな措置というものを急速にお講じになる必要がある、かように考えますので、私の所見を申し述べておきますが、今重ねて一応それに対する見解の相違ということもありますので、おそらく次官からお話を聞いておりますと、今の答弁では、僕とは見解の相違であるということにそれは相なるのでありますが、見解の相違は見解の相違でよろしいのでありますから、その点はいわゆる当事者として責任ある一つ答弁を願いたいと思います。
  74. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) たいへん御理解あるお尋ねをいただきましてありがたく存じておりまして、実は率直に申し上げますと、平林先生の御意見と私の見解とは、私は相違いたしておらない。私ども御指摘の通り努力をいたして参ったのでありまするが、残念ながら、力及ばずと申しますか、また現在の財政状況に対する見通しが政府部内において意見の一致を見なかったと申しまするか、そういうような事情で、今回の予算提出に際しましては、運賃値上げを前提としない予算を編成せざるを得なかったという状況でございまするが、今御指摘の点については、今後あらゆる努力を傾けまして、国鉄財政再建並びに国鉄が本来の機能を発揮し得るような措置を私どももとって参りたい、かように存ずる次第でございます。
  75. 平林太一

    平林太一君 けっこうです。
  76. 大倉精一

    大倉精一君 運賃の問題は実は大臣から直接お伺いしたいと思っておったのですが、最近のもやもやした中で、鉄道運賃がその一つになっているのですが、今次官のずっと御答弁を聞いておりますと、ますますわからなくなってきます。ますますわからない。先ほどの答弁の中で、率直にお答え申すことができないのは残念だというような御答弁がありましたが、これは一応本年度予算においては運賃は値上げはしておらぬが、しかしながら補正予算ということもあるので、というようなお言葉がちょっと御答弁の中にあったのですが、状況によっては補正予算で運賃値上げの措置を取り得るということもあり得る、こういう工合に解釈してもよろしいのでございますか。
  77. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) 将来のことでございますので、私もいろいろと前提を設けずして申し上げましたが、われわれの気持としては、国鉄財政再建のためには運賃値上げをいたしたいのだという気持は持っておるのでありますが、政府全般の方針として、今回の二十一年度予算の編成に対しては、国鉄運賃の値上げを前提としない予算を組むに至ったということを申し上げましたので、将来の問題としては、私さいぜん来るる申し上げましたが、均衡財政の方向に支障を来たさないような方向で値上げができるものであれば、これは値上げをいたさなければならないのではないか、かように考えておる次第でございます。
  78. 大倉精一

    大倉精一君 この問題は、私も新聞等で見る範囲であって、真相はわからないのですが、一転、二転、三転しておるように思うのです。大臣はかつて車中談あたりで、この秋ごろは値上げを云々と言われたこともあったと記憶しております。あるいは行政管理庁の勧告でいくというと、値上げはしなくてもいいのだというような内容にも見える。運輸調査会あたりですと、一割五分ぐらいは値上げ必要だということになる。そういうことになると、昨日の衆議院において、本年度は値上げしないのだというので、国鉄の総裁はびっくりして大臣に会見を申し出ているというようなことを聞きます。こうなってくると、一体これはどうなるのか、さっぱりわけがわからぬ。  今の答弁の中で、一応本年度予算措置はしていないが、見通しがつけばというお言葉があり、あるいは補正予算ということもありますのでということを伺うと、やっぱり本心は秋ごろは運賃価上げという情勢を作っていこう、そこで一つ値上げをしよう、今はどうも政治情勢等にからんで、運賃値上げは必要であるけれどもあまり良策ではない、だから少し見送って、秋ごろになって、そういう情勢が出てきたらばやろうというようなことが、本心のように思うのですが、どうですか。次官、率直にそこのところずばっと言ったらどうですか。
  79. 伊能繁次郎

    政府委員伊能繁次郎君) まだ政府部内で確定的に決定を見ないものを、私から想像をたくましゅうして申し上げるわけには参りませんが、さいぜん来申し上げましたように、均衡財政との関連がきわめて濃厚でありますので、一応政府の方針として、来年度予算建前としては、運賃値上げを前提としない、国鉄予算を組んだ次第でありまして、将来均衡財政に支障を及ぼさないような経済情勢に相なれば、またその見きわめがつけば、われわれとしては運賃値上げをしたい、かようなことに目下協議中でございます。
  80. 大倉精一

    大倉精一君 この問題は大臣にお聞きしなければならぬと思うのですが、どうもつじつまが合っておらないのです。ずっと聞いておるというと、どうも均衡財政の見通しがつけば、あるいは景気の変動の見通しがつけばというようなお話でございますけれども、本年度予算編成に当って大体政府としては、今年度の景気はこうするのだ、経済界の状態はこういう状態にするのだという一つの見通しと自信を持って、予算を編成されたと思う。その政府がこの秋なり一年なりの景気の変動の見通しがつかないということ自体が、どうもこれは腑に落ちない。なかなかこれは、経済条件以外にこの問題がもやもやしている要因があるので、ますます話がこんがらがってややこしくなると思う。これはいずれ国鉄の総裁と大臣とお会いになると思うのですが、その結果によって、この問題がはっきりしなければ国民が困ると思う。上るのか上らぬのか、政府はどうするのか、国鉄はどうするのか。これでは国民非常に迷惑だと思う。  先ほども平林委員がおっしゃったように、運賃値上げの是非論は別といたします。別といたしますが、やはり政府として、この際こうするのだという一つの方向をやっぱり示してもらう必要があるのではないか。これ以上お尋ねしてもお答えは同じだと思う。ただ、ずっと御答弁を聞いているというと、ますますややこしくなってくる。ますますわからぬようになってくる。この速記録をずっと国民に公表したら、一体どうなるのだということになると私は思いますので、その点は一つ大臣と総裁とお会いになったら、こういうあいまいなことでなくて、国鉄の運賃はかくあるべきだということをはっきり明示する段階にしてほしいと思います。
  81. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  82. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記を始めて。  本日は、これにて散会をいたします。    午後三時五十九分散会