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1956-02-20 第24回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科員昭和三十一年二月十七日(金曜日)委 員長指名で次の通り選任された。    主査 藤本 捨助君       相川 勝六君    小川 半次君       川崎 秀二君    纐纈 彌三君       八田 貞義君    橋本 龍伍君       三田村武夫君    辻原 弘市君       矢尾喜三郎君    柳田 秀一君       山花 秀雄君     —————————————     会 議 昭和三十一年二月二十日(月曜日)     午前十時四十二分開議  出席分科員    主査 藤本 捨助君       川崎 秀二君    纐纈 彌三君       中川 俊思君    八田 貞義君       辻原 弘市君    矢尾喜三郎君       柳田 秀一君    山花 秀雄君  出席国務大臣         文 部 大 臣 清瀬 一郎君  出席政府委員         厚生政務次官  山下 春江君         厚生事務官         (大臣官房会計         課長)     堀岡 吉次君         労働政務次官  武藤 常介君         労働事務官         (大臣官房会計         課長)     三治 重信君     ————————————— 二月十八日  分科員八田貞義辞任につき、その補欠として  小坂善太郎君が委員長指名分科員に選任さ  れた。 同月二十日  分科員川崎秀二君、小坂善太郎君及び三田村武  夫君辞任につき、その補欠として小澤佐重喜  君、八田貞義君及び中川俊思君委員長指名  で分科員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十一年度一般会計予算文部省厚生省  及び労働省所管  昭和三十一年度特別会計予算厚生省及び労働  省所管     —————————————
  2. 藤本捨助

    藤本主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。議事に入るに先立ちまして簡単にごあいさつ申し上げます。今回私が本分科会主査指名されましたが、生来乏しいものでありますので、特に皆様方の御協力によりまして大過なきを期したいと存じております。よろしくお願いいたします。(拍手)  なお分科会の審査は、予算委員会理事会の申し合せによりまして、本二十日より四日間開会いたし、二十三日には全部その議事を終了することになっております。お含みおきをお願いいたします。なお資料の御要求はなるべく早い機会に私までお申し出を願いたいと存じます。  それではただいまより各省別に逐次政府説明を聴取することといたします。  まず昭和三十年度一般会計予算中、文部省所管について説明を求めます。清瀬文部大臣
  3. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 昭和三十一年度文部省所管予算大要について御説明申し上げたいのであります。  昭和三十一年度文部省所管予算額は、千三百五億三千四百八十三万八千円でありまして、これを前年度予算額一千二百三十八億二千八百四十八万八千円に比較いたしますと、六十七億六百三十五万円を増加いたしております。  なお、文部省予算額一般会計予算額に比較いたしますと、その比率は前年度は一二%強に当りましたが、今年度は一三%弱となっております。  次に昭和三十一年度予算のうち重要な事項について申し述べたいと思います。  第一は義務教育費国庫負担制度実施に必要な経費でございます。義務教育機会均等とその水準維持向上とをはかるため、義務教育費国庫負担法に基いて、公立義務教育学校教職員給与費の実支出額の二分の一及び教材費の一部を国が負担するために必要な経費でありまして、この給与費としては、本年度は五十二万人の児童生徒増加に伴う教員七千五百人の増加を含めまして、人件費として七百五十六億三千四百万円、教材費として十三億千六百万円を計上いたしました。  なお三十一年度においては、昭和二十八年政令第百六号の適用をうける団体が、地方交付税の不交付団体である東京都及び大阪府の二団体に限定される見込みなので、他の四十四道府県に対しましては、法律建前通り支出額の二分の一を負担するものとし、これに要する経費国庫負担金として計上したのであります。また昭和三十一年度から適用になる女子教職員産前座後の休暇における学校教育の正常な実施の確保に関する法律の規定に基き、産休教員補充職員にかかる給与費所要額を計上したのでございます。  第二は文教施設整備に必要な経費であります。国立文教施設につきましては、戦災を受けました国立学校特に大学附属病院その他の建築物復旧と、老朽校舎改築等、前年度よりの継続的重要工事施行重点を置くとともに、前年度に引き続き原子核研究所建物を新営するための経費と合せて、合計二十二億六千九百七十三万五十円を計上いたしております。  公立文教施設につきましては、これか整備に必要な経費五十五億五千百八力千円を計上したのでありますが、三十一年度地方財政再建の見地からも、できるだけ地方負担の軽減をはかるべきことを考慮いたしまして、木造単価を千円引き上げて二千八百円とするとともに、鉄筋比率を五%引き上げて全体の二五%といたし、これによって文教施設の質の向上をはかることといたしたのであります。これによって事業量は全体としては前年度より若干減少するものと思われるのでありますか、この点については、富裕団体に対してできるだけ起債によることとする等の措置によって、一般府県の分については極力前年度同様の事業量を確保いたしたいと存じておるのであります。  なお本年度は新しく学校統合に対する補助金を三億円計上いたしたのでありますが、これは町村合併等による学校統合を促進することによって、学校経営合理化及び教員適正配置等を進め、教育水準向上をはかることといたしたものであります。  このほか昭和三十年度に発生した災害の復旧消費及び鉱害復旧費として二億七千九十一万九千円をそれぞれ計上したのであります。  第三は教科書制度の改革に必要な経費であります。現行の教科書制度を改革するため、教科書検定審議会及び教科書発行審議会運営し、民間において編集する教科用図書検定並びに教科書発行供給等の円滑な調整を行うため必要な経費として、三十一年度は四千三百七十五万五千円を文部本省の項に計上したのでありますが、このうち教科書の適正な採択等を行うために必要な経費として、新たに全国教科書の常時研究施設を創設するための補助金として三千万円を計上してあります。このほか、三十一年度から教科書検定調査のための専任職員として、四十五名を新規増加したのでありますが、これに要する経費として、十九百十八万円を計上したのであります。  第四は指導機構整備に必要な経費であります。文部省地方教育行政機関との連絡を一そう緊密にし、初等中等教育の実態とその問題点を正確に把握するとともに、教育内容刷新改善指導徹底をはかるために、指導機構整備して、視学官六名を増員するほか、全国地区別生徒指導研究協議会を開催するに必要な経費として新たに六百二十八万三千円を計上したのであります。  第五は準要保護児童に対する教科書無償給与及び給食費補助に必要な経費であります。義務教育の円滑なる実施に資するため、経済的理由によって就学困難な者に対して、特別の対策を講ずる必要があるわけでありますが、このため第一に準要保護児童に対し教科書無償給与することとして、これに要する経費補助するために必要な経費として、三十一年度においてはとりあえず小学校児童二十一万人分として一億三千万円を計上したのであります。第二には同じく準要保護児童に対して、その給食費の一部を補助するため必要な経費として、三十一年度において小学校児童対象として新たに五千万円を学校給食費の項に計上したのであります。  第六は学校給食施設及び設備整備に必要な経費であります。学校給食普及をはかるために、公立小、中学校学校給食調理室の新営及び設備整備に要する経費の一部を地方公共団体補助するために必要な経費でありまして、三十一年度は一億五千万円を学校給食費の項に計上したのであります。  第七は社会教育特別助成に必要な経費であります。青少年団体の健全な流動を育成促進するため必要な経費婦人教育振興に必要な経費通信教育振興に必要な経費といたしまして五千万円を、芸術発達に寄与する活動を円滑に行うため日本芸術院建物購入に必要な経費として二千万円を、それぞれ社会教育特別助成費の項に計上いたしております。  第八は国際地球観測年事業に必要な経費であります。昭和三十二年から三十三年にわたって実施される南極地域観測を含む国際地球観測年事業準備等に必要な経費でありまして、昭和三十一年度南極地域予備観測に必要な経費として、観測船宗谷改装費を含めまして七億五千万円を、その他の地球観測年事業準備のための経費として、観測機器整備及び予備観測のための経費として二億二千五百万円を国際地球観測年事業費の項に計上したのでございます。  第九は文化財保存事業に必要な経費であります。文化財保存事業は終戦後逐年その成果を上げてきておりますが、本年度も前年度に引き続いて国宝、重要文化財のうち特に建造物保存修理重点を置きまして、その充実をはかるために必要な経費三億九千五百三十四万四千円を文化財保存事業費の項に計上いたしております。  第十は国立学校運営に必要な経費であります。国立大学七十二、国立高等学校八、大学付置研究所五十六、大学付属病院十九を維持運営するために必要な経費でありまして、このほかに昭和三十一年度においては新たに広島大学に医学部付属病院を、京都大学ヴィールス研究所を創設し、名古屋大学及び九州大学には航空学科設置し、東京工業大学及び京都大学付置研究所原子力基礎研究施設を新増設する等の措置を講ずるため必要な経費を含めまして三百三十三億八千二百八十五万四千円を計上したのでありますが、このうち二百四十四億七千二百七十三万五千円を国立学校の項に、六十三億二百一万二千円を大学付属病院の項に、二十六億八百十万七千円を大学付置研究所の項に計上したのであります。  このほか特殊教育及び僻地教育振興、科学の振興私立学校助成外国人留学生の招致、日本学士院の移管その他文教行政上必要欠くべからざる諸般の施策を講ずるため必要な経費をそれぞれ計上したのであります。  以上文部省所管に属する昭和三十一年度予算大要につきまして御説明申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上御賛成あらんことを希望いたします。     —————————————
  4. 藤本捨助

  5. 山下春江

    山下政府委員 昭和三十一年度厚生省所管予定経費要求額概要について、御説明申し上げます。  昭和三十一年度厚生省所管一般会計予算要求額は九百三億一千七百万円でありまして、これを昭和三十年度の当初予算八百四十六億一千二百五十五万九千円に比較いたしますと、五十七億四百四十四万一千円の増加となっておりますが、さらにこれを補正予算を加えての前年度予算総額八百六十六億六千八百七十五万四千円に比較いたしますと、三十六億四千八百二十四万六千円の増加と相なります。  次に右予算のうち、特に重要な事項についてその概要を御説明申し上げます。  まず第一は社会保険整備育成施策に必要な経費であります。  政府管掌健康保険財政昭和二十九年度以来年々多額の赤字を出し、三十一年度においても六十七億円の赤字が予想されており、その抜本的再建方策樹立の必要に迫られているのであります。よって昨年来学識経験者からなる七人の委員保険財政再建強化施策につき調査審議を願いますとともに、政府部内においても鋭意研究を重ねて参った次第でありますが、その結果、本年五月より医療給付費についての被保険者の一部負担実施標準報酬等級改訂等を行いますとともに、国庫においても保険財政再建のための補給金三十億円を負担することといたしたのであります。  船員保険疾病部門についても健康保険と大体同様の措置請ずるほか、疾病部門保険料率について若干の引き上げを行います反面、財源に余裕のある失業保険部門料率引き下げを行いますとともに、財政再建のための補給金一億円を国庫において負担することといたしているのであります。  なお三十年度以前の赤字補てんのための借入金に対する償還財源として三十一年度予定されていました一般会計より厚血保険特別会計及び船員保険特別会計に対する繰入れ措置は、借入金償還を三十二年度以降に繰り延べることといたしましたので、三十一年度はこれを行わないことと相なっております。  次に国民健康保険については、逐年その育成強化をはかって、その普及に力を注いで参ったのでありますが、三十一年度においては、さらに一そうの普及を期して、被保険者を前年度の二千六百八十五万人より三千万人に推算いたしましたほか、受診率、一件当りの点数及び一点当り単価についても、それぞれ若干の上昇を折り込み、さきに改正を見ました国民健康保険法に基いて療養給付費の二割に相当する金額を六十三億六千七百万円と算定計上いたしました。  また事務費については、人件費において若干の改善を行うこととし、その標準事務費の全額を補助するため二十億五千八百余万円を見込みましたほか、保健婦設置及び直営診療所整備のため三億七千余万円を計上いたしました。  さらに、国民健康保険運営改善強化をはかるため、保険者等指導監督府県当局に委託して実施することとし、このため、新規府県に各三人の指導職員設置する等に伴う経費として二千四百余万円を計上いたしておるのであります。  以上国民健康保険育成強化のため、合せて八十八億一千九百余万円を計上いたしておりまして、前年度より十五億七千三百余万円の増加と相なっているのであります。  次に、社会保障制度推進をはかる上において医療保障の達成が当面最も緊要な課題とされておりますので、そのすみやかな実施を目途として、全国民対象とする医療保障度制を確立するため、臨時厚生省学識経験者からなる五人の委員を置いて、その具体的方策調査企画協力を願うことといたしておるのでありまして、その設置並びに資料調査等のために必要な経費として九百余万円を新たに計上いたした次第であります。  第二は、結核対策強化に必要な経費であります。  結核は年々強力な撲滅策推進にかかわらず、今日なお国民生活に重大な脅威を与えている実情にありますので、引き続いてさらにその予防強化徹底を期することに努力を傾注いたして参ることといたしました。このため、健康診断予防接種徹底をはかることとし、特に従来最も不完全でありました一般住民健康診断徹底をはかるため、実施率引き上げ及び実施連絡費の計上を行いましたほか、中小企業、特に十人未満の事業場、事務所の健康管理徹底を期するため定期外健康診断を励行せしめる措置を講じますとともに、保健所検診機能強化のためエックス線自動車整備等に努めます等、予防施策充実強化のため四億七千余万円を計上いたしたのであります。また医療費公費負担のため十五億六千三百余万円を計上いたしているのでありまして、このうちには、社会保険適用を受けていない人人に対し、外科手術に伴う入院料及び看護料公費負担するための経費が新たに見込まれているのであります。  結核病床整備はかなりの進捗を見ているのでありますが、地域的にはなお稀薄の地方も存在しているので、三千床の増床予定し、できるだけ稀薄な地域整備に力を注ぐこととし、一億二千二百余万円を計上いたしております。  右のほか、国立療養所老朽不良施設整備改良看護体制強化のため看護要員二百八人の増員を行います等、その経営充実をはかる予定でありまして、このため国立療養所経営のための経費として百十二億六百余万円を、結核回復者の後保護施設二カ所の新設及びその維持経営のための赤字補助に必要な経費のほか、居宅隔離療養室千五百戸の設置助成に必要な経費等一億七千九百余万円を計上いたしております。  以上結核対策のための経費合せて百三十五億四千百余万円と相なり、前年度に比較しまして三億八千六百余万円の増加となっておるのであります。  第三は、医療機関整備拡充に必要な経費であります。  まず国立病院施設整備改善のため、十二億二千六百余万円を国立病院特別会計に繰り入れて、引き続いて基幹病院整備を行いまして、その効率的経営指導的機能の発揮を期するとともに、老朽不良施設改善をはかることといたしたのであります。  次に公的医療機関整備でありますが、一般病床は今日いまだ相当不足を告げているばかりでなく、その分布が依然として都市に集中しており、このため病床の稀薄または空白のままに放置されている地方がいまだかなりありますので、都道府県単位医療サービス基幹となるべき病院整備を逐次行なって参ったのでありますが、引き続きその整備を行いますとともに、僻遠の地で経済的に民間診療所の開設を期待できない無医村に公共病院出張診療所を開設せしめるために必要な経費として四千五百万円を計上いたしております。  次に精神病床は現在入院治療を必要とする患者に比して病床が過少な実情にありますので、引き続いて覚醒剤慢性中毒患者用の分を含め、三千三百床を整備拡充するための二億三千二百余万円を、また伝染病予防上必要であります伝染病院隔離病床一千三百四十床の整備に必要な経費一億一千余万円を計上いたしておるのであります。  第四は、公衆衛生改善等国民保健向上施策に必要な経費であります。  まず公衆衛生行政地方における第一線機関として重要な役割をいなっております保健所機能強化充実をはかるため、C級からA級への格上げ九カ所、不良施設改良整備七カ所を予定いたしますとともに、エックス線装置等重要設備拡充整備を行うため、一億二千百余万円を計上いたしているのであります。またその運営費については人件費において新たに期末勤勉手当所要経費を折り込む一方、従前補助対象とされておりました用人の諸給与はこれを交付税交付金一般財源に振りかえることといたしたのでありまして、このため、運営費において前年度に比して二億三百余万円の増加を示して約十八億四千七百万円と相なっておるのであります。  次に水道施設整備については農山漁村に対し、簡易水道普及をはかって伝染病発生予防生活改善に資するため、前年度同様八億四千万円を計上いたしまして、その布設を助成いたして参ることになっております。  また下水道施設整備については所要経費五億円を労働省所管特別失業対策事業費のうちに計上いたしており、実施の際は厚生省予算を移しかえの上実行される予定であります。このほか特別鉱害復旧臨時措置法及び臨時石炭鉱害復旧法に基いて鉱害復旧事業のため一億四千八百余万円を見込んでいるのであります。  次に清掃施設整備でありますが、近時都市屎尿処理困難性化学肥料普及発達によってその農村還元の困難に伴い一そう倍して参っておりますので、その衛生的処理を促進するためさしあたり急を要する都市に対し、屎尿消化槽整備助成し可及的すみやかにその合理的処理をはかることとして、これに必要な経費として五千万円を計上いたしたのであります。  次に近く原子力平和的利用研究が開始される運びになっておりますのに対応し、放射線障害に対する予防治療研究を組織的に行います必要がありますので、その所要経費として一千七百余万円を新規に計上いたしましたほか、従来より行なっております広島長崎地区におきまする原爆被爆者精密検診治療研究についても拡充いたすこととして、前年度に倍する二千五百余万円を計上いたしておるのであります。  第五は生活保護に必要な経費であります。  最近経済基調に若干好転の兆が見えているようでありますが、なお過去のデフレ施策の浸透が引き続き予想されますので三十一年度生活保護費所要見込みは被保護人員について二・五%の増加を予想し、最近一カ年の実績単価をもって推算計上いたしました。なおアメリカの余剰農産物による学校給食の拡大に伴い、教育扶助所要経費増加計上いたしましたほかは、扶助の種類及び保護基準は前年度同様となっております。従って三十一年度扶助費総計は三百五十七億八千余万円となりますが、一方旧軍人恩給裁定進捗及び日雇い健康保険実施等による減少が十億円予想されますので、差引三百四十七億八千余万円が生活保護費として計上されておるわけであります。今これを前年度予算に対比いたしますれば、十億三百余万円の減少となります。しかし前年度予算には過年度不足分が十億円含まれております上、旧軍人恩給復活等に伴う減少補正予算において二億円と予想より少額にとどまったため、減少見込み額において三十一年度で八億円ふえたことによるものであります。  右のほか、保護施設整備のために二億一千二百余万円、施設事務費に八億四千九百余万円、法施行事務費に四億三千六百余万円を計上いたしておりますので、以上生活保護のための経費合せて三百六十二億七千八百余万円と相なります。  第六は児童保護に必要な経費であります。  まず児童福祉施設に収容している児童生活を保障する児童措置費については施設増加に伴います児童増加見込みますとともに、収容児童食糧費単価につき若干の増額を行なってその改善をはかったほかは大体前年度と同様でありますが、前年度予算には二億円の過年度不足分が含まれておりますのでこれを除いたものと対比すれば二億四千三百余万円の増加を示して五十六億八千四百余万円となるのであります。  次に身体障害児福祉をはかるため、その身体的障害をでき得る限り早期に治療して正常な機能を回復せしめるため実施して参った育成医療については、その実施成果を照らし、さらに一そうこれを助成促進することとして従前実施人員の約三倍の実施を見込んで八千三百余万円を計上いたしましたほか、補装具支給等身体障害児の援護のため合せて一億一千二百余万円を計上いたしております。  次に児童福祉施設整備についても引き続いて保育所重点を置いて拡充する予定でありまして、特に今回は新たに精神薄弱児通園指導センターを六大都市に各一カ所設置して、家庭にある精神薄弱児保護者のもとから通園できるものに対して生活指導を行なってその福祉増進を期しているのでありまして、児童福祉施設整備のため四億円を計上いたしておるのであります。  また、母子福祉貸付金制度実施以来好成績をおさめており、償還も順調に行われているのでありますが、最近に至り、地方財政窮迫等の事情により、やや消化難の傾向を示しておりますので、大体前年度程度の貸付予定し、既往貸付償還財源を考慮して四億五千万円を計上いたしました。  なお、修学資金貸付については一部貸付限度額引き上げを行う予定であります。  第七は婦人保護その他社会福祉増進に必要な経費であります。  売春問題対策の一環としていわゆる転落婦人保護更生せしめてその自立を促進するため、新たに婦人保護相談事業等実施するほか、既設の婦人更生寮十七カ所の経営等に必要な経費として六千五百万円を計上いたしているのであります。  右のほか、身体障害者保護更生のため、更生医療実施補装具支給を行います等に必要な経費として約三億七千万円を、困窮世帯自立更生を促進する世帯更生運動実施助成のため一億円を、いわゆる同和地区生活改善をはかるため隣保館及び共同浴場整備のため一千二百余万円を、庶民階層の金融機関として重要な意義を持つ公益質屋の整備のため一千六日余万円を、民間社会福祉施設整備充実を促進助成するため社会福祉事業振興会に対し、さらに追加出資を行うため一億円等を計上いたしておるのであります。  第八は引揚者等戦争犠牲者の援護に必要な経費であります。まずソ連及び中共地域に残留する邦人の引き揚げについては、一応三千百人と見込みましてその受け入れ援護のため六千百余万円を計上いたしました。また引揚者の定着援護に必要な引揚住宅については新規引揚者分として二百三十戸、北海道にある老朽集団収容施設の疎開用として五百戸を建設省において建設する第二種公営住宅の中より優先確保することになっており、前述の集団収容施設でなお使用可能の施設の補修のため七百余万円を前年度に引き続き計上いたしているのであります。  次に戦傷病者戦没者遺族等援護法に基く遺族年金及び障害年金の支給に必要な経費として三十五億二千四百余万円を、また未帰還者留守家族援護法に塞ぐ留守家族手当、障害一時金及び療養費の支給等のため十四億四千四百余万円を計上いたしました。遺族年金及び留守家族手当はいずれも本年七月以降旧軍人恩給の公務扶助料の引き上げに対応して増額支給予定しておりますほか、留守家族手当については過去七カ年以内に生存していたと認めるに足りる資料のない未帰還者の留守家族に対しては、本年八月以降留守家族手当の支給を打ち切ることに相なっておりますが、未帰還者の消息の究明調査の進捗状況に照らし、さらにその支給期限を延長することとしてその所要経費を折り込んでおる次第であります。  右に申し述べましたほか、受胎調節の普及促進のため五千八百余万円、国立公園施設整備拡充のため七千四百余万円、保健婦等養成施設整備助成のための経費一千八百万円を計上いたしますとともに、医薬品の輸出振興のため香港に輸出斡旋所を設置するための経費を通産省所管に計上いたしました等、保健衛生、社会福祉の各費目につきましてもそれぞれ所要経費を計上いたしておるのであります。  以上昭和三十一年度厚生省所管一般会計予算についてその概要を御説明申し上げたのでありますが、次に昭和三十一年度厚生省所管特別会計予算大要について御説明申し上げます。  まず第一は厚生保険特別会計についてであります。さきに申し述べましたように、健康保険財政再建のため、一般会計より三十億円の補給金繰り入れを見込みますとともに、標準報酬の改訂等を予定いたしました。右に要する経費として健康勘定におきましては歳入歳出とも五百九十五億一千五百四十五万八千円、日雇健康勘定におきましては歳入歳出とも二十五億七千六十六万二千円、年金勘定におきましては歳入四百七十一億三千六百二十万三千円、歳出百七億四千五百六十一万円、業務勘定におきましては歳入歳出とも三十五億三千四百八十三万二千円をそれぞれ計上いたしました。  第二は船員保険特別会計についてでありますが、さきに申し述べましたように、大体健康保険と同様の措置をとることといたしておるのでありまして、これに要する経費といたしまして、歳入五十一億七千四百十六万九千円、歳出四十三億三千五百十九万円を計上いたしております。  第三は国立病院特別会計についてであります。さきに述べましたように、国立病院施設改善のため所要財源一般会計より繰り入れを予定いたしましたほか、三億円の国庫債務負担行為を計上いたしております。また新たに特殊小児疾患と心臓病の治療センター等をそれぞれ若干整備する予定でありまして、右に要する経費として、歳入歳出とも八十一億四千七百二十九万三千円を計上いたしておるのであります。  最後に、あへん特別会計についてであります。本年度のアヘン買い入れ予定量は輸入三十八トン、国内産三トンでありまして、一方製薬原料としての売り渡しは三十五トンを予定いたしております。この専売事業遂行のため一般会計より本特別会計に運転資本として一千五百万円の追加出資を予定いたしております。右に要する経費としては歳入歳出とも二億五十九万七千円を計上いたしました。  以上昭和三十一年度厚生省所管一般会計及び各特別会計の予算につきまして概略御説明申し上げたのでありますが、何とぞ本予算案の成立につきましては、格別の御力添えを御願い申し上げる次第であります。     —————————————
  6. 藤本捨助

    藤本主査 次に昭和三十一年度一般会計予算及び昭和三十一年度特別会計予算中、労働省所管について説明を求めます。武藤労働政務次官
  7. 武藤常介

    ○武藤政府委員 大臣はただいま参議院の本会議へ出席中でありますので、私からかわって御説明申し上げます。  今回提案されました昭和三十一年度一般会計及び特別会計の予算中、労働省所管分につきましてその概要を御説明申し上げます。  まず第一に、一般会計におきましては、歳入におして総額四億一千七百六万三千円でありまして、前年度の三億十五万九千円に比較いたしますと、一億一千六百九十万四千円の増加となっております。この歳入の主たるものは、国家公務員等退職手当暫定措置法に基き、退職した政府職員、日本国有鉄道、日本電信電話公社及び日本専売公社等の職員に対し、失業中の退職手当を支給するために必要な財源を、特別会計等から一般会計へ繰り入れまたは納付するための負担金であります。一方歳出におきましては、総額三百三十八億五千九百八十七万一千円でありまして、前年度の三百三十九億九千七十三万八千円に比較いたしますと、一億三千八十六万七千円の減少となっております。  なお、このほか、建設省所管の官庁営繕費に五千四百五十七万八千円を、労働省関係分として計上いたしておるのであります。  次に、この歳出の内容について概略の御説明を申し上げたいと存じます。  その一は、失業対策の拡大強化に関する経費であります。経済諸施策の進展に伴いまして、失業情勢は必ずしも楽観を許さない実情にありますので、三十一年度においても引き続き失業対策事業の拡大強化をはかる方針のもとに、吸収人員の増加、資材費の単価及び国庫補助率の引き上げ等を行うとともに、全国主要都市及び重要鉱工業地帯において、労働能力の比較的高い失業者を吸収するため、生産的建設的事業を特別失業対策事業として実施するのほか、失業保険制度につきましては、さきに行われた失業保険法の改正の趣旨に即応して、一そうその円滑なる運用をはかり、失業者の生活の安定を期することとし、これに必要な経費として失業対策事業費補助百五十六億八千万円、特別失業対策事業費補助三十五億円、失業保険費負担金八十七億一千七百万円、政府職員等失業者退職手当三億七千万円、合計二百八十二億六千七百万円を計上いたしております。  その二は、労使関係の安定促進に関する経費であります。国民経済の自立達成の成果がようやくその曙光の見えました今日、国民全体の基盤に立つて、多数の納得と協力が得られる労働政策を樹立推進するため、さきに設置いたしました労働問題懇談会の一そう円滑なる運営をはかるとともに、労使相互の信頼と納得とにより労使関係が円滑に処理されるよう労使の話し合いの場として、新たに主要産業ごとに協議会を設けるほか、中小企業の特殊性にかんがみ、労使当事者に対する指導援助を強化してその労働関係の合理化を進め、さらに労働教育を刷新強化して民主的な労働組合を育成し、もって労使関係の安定促進をはかることとし、これに必要な経費として、七千六百三十三万七千円を計上し、また労使関係の合理的かつ円滑なる調整をはかるため、中央労働委員会並びに公共企業体等労働関係調整委員会に必要な経費として一億一千九百一万九千円を計上いたしております。  その三は労働保護行政に関する経費であります。労働者の保護と福祉を積極的に推進労働生産性の向上をはかるため、労働基準行政を刷新整備するとともに、最近特に産業災害の頻発している屋外労働重点を指向して災害防止対策を一段と強化し、またさきに制定せられたけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法の施行当りましては、引き続き対象労働者に対する健康診断実施、配置転換を要する労働者に対する就労施設設置等、これが予防及び特別保護の方途を講ずるのほか、中小企業における労働者の技能水準向上をはかるため、前年度に引き続き技能者養成施設に対し助成を行い、また新たに労働衛生研究所を設置して、労働衛生及び災害医学に関する調査研究実施することとし、これに必要な経費として、十三億九千八百十九万七千円を計上いたしております。  その四は婦人及び年少労働者保護に関する経費であります。戦後における未亡人問題の重要性にかんがみ、婦人の職業対策をより一そう推進するため、内職職業補導所、家事サービス職業補導所の整備充実をはかるとともに、婦人労働者及び年少労働者の保護と福祉増進をはかり、さらに一般婦人の社会的地位と生活向上を期するため各種調査の実施、啓蒙資料発行等を行うほか、新たに売春問題の対策につきまして、保護更正を望む婦人に対する相談、職業補導等の機能強化することとし、これに必要な経費として八千九百三十万三千円を計上いたしております。  その五は就職対策に関する経費であります。現下の雇用情勢にかんがみまして、就職の促進をより一そう強力に実施する必要がありますので、公共職業安定所の職業あっせん機能強化して、これが効率的運営を期するとともに、産業界の要求する技能労働力の円滑なる需給調整をはかるため、職業補導事業の充実整備を行うこととし、これに必要な経費として、三十三億三千二百八十八万五千円を計上いたしております。  その六は労働統計調査の整備に関する経費であります。労働経済に関する統計を迅速かつ的確に収集整備してこれを分析し、労働行政施策の基礎資料とするとともに、労使その他関係方面に提供し、紛争議の合理的解決と生産の増強等に寄与するため、前年度に引き続き毎月勤労統計、職種別等賃金実態調査、労働生産性統計及びその他労働事情に関する統計調査を実施するのほか、新たに中小企業における雇用、賃金、その他労働条件等の実態並びに失業者の帰趨についての調査を実施することとし、これに必要な経費として、一億九千八百二十四万六千円を計上いたしております。  その七は、国際協力に関する経費であります。国際労働憲章に規定されている義務を履行し、積極的にこれに協力するために必要な分担金及びILO関係の諸会議への出席旅費等の経費並びにわが国の労働事情に関し、海外広報活動を実施するための経費として、八千六百二十万四千円を計上いたしております。  その八は労働保険の審査に関する経費であります。労働者災害補償保険、失業保険等労働保険に関する審査の公正かつ統一ある運用を確保するため、中央に労働保険審査会を、地方労働保険審査官を設けて、審査機構の整備をはかるとともに、審査手続の適正化を期することとし、これに必要な経費として、三百九十六万円を計上いたしております。  その九は、その他一般行政に関する経費であります。  以上の経費のほか大臣官房等における行政事務費として一億八千八百七十二万円を計上いたしておるのでございます。  第二に、労働者災害補償保険特別会計につきまして申し上げます。  この会計の歳入、歳出はいづれも二百五十三億五千九百四十二万九千円でありまして、前年度の二百三十二億五千六百七十三万円に比較いたしますと、二十一億二百六十九万九千円の増加となっております。  歳入の主なるものは、保険料収入の二百二十五億五百九十五万八千円と、支払い備金受け入れの十八億七千八百七十八万二千円であります。また歳出のおもなるものは、労働者災害補償保険給付費の百七十九億五千三百万円でありますが、このほか、労働者の業務災害被災者に対する療養給付の適正充実をはかるため、前年度に引き続き労災病院整備拡充を行うこととし、十二億三千六百万円を、またけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法に基き、けい肺患者及び外傷性脊髄損傷患者に対する療養、休業等の給付、けい肺健康診断実施並びに、配置転換労働者のための就労施設設置する等のため、一億九千三百六十三万五千円を計上いたしております。  なお、労災補償の事務につきましては、その内容が複雑多岐にわたり、かつ最近事務量が急激に増加しておりますので、三十一年度におきましては労働基準局に労災補償部を設け、事務の適正迅速な処理と責任体制の確立をはかることといたしております。  第三に、失業保険特別会計につきまして申し上げます。  この会計の歳入、歳出はいづれも三百五十二億九千五百六十三万二千円でありまして、前年度の四百五億九千三百五十八万四千円に比較いたします。と、五十二億九千七百九十五万二千円の減少となっております。歳入の主たるものは、保険料収入の二百四十二億二千八百万円と、一般会計より受け入れの八十七億一千七百万円であります。また歳出の主たるものは、失業保険給付費の二百四十八億三千一百万円でありますが、このほか特に本年度におきましては、本会計の積立金より生ずる利子収入のおおむね三分の一を充当することにより、労働者の福祉増進をはかるため、職業補導施設及び宿泊施設等の保険施設拡充整備することとし、これに必要な経費として、六億円を計上いたしておるのでございます。  以上をもちまして、労働省所管関係予算大要説明を終ります。  何とぞよろしくお願い申し上げます。
  8. 藤本捨助

    藤本主査 これにて所管全部についての政府説明を終了いたしました。  明日は午前十時より開会し、労働省所管の質疑に入る予定であります。本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十四分散会