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1956-02-22 第24回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十二日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席分科員    主査 山本 勝市君       椎名  隆君    眞崎 勝次君       三浦 一雄君    宮澤 胤勇君       阿部 五郎君    井上 良二君       北山 愛郎君    西村 榮一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         国 務 大 臣 太田 正孝君         国 務 大 臣 正力松太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (北海道開発庁         企画室主幹)  柏原益太郎君         自治政務次官  早川  崇君         総理府事務官         (自治庁長官官         房会計課長)  石渡猪太郎君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         大蔵事務官         (大臣官房会計         課長)     竹村 忠一君         大蔵事務官         (日本専売公社         監理官)    大月  高君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  東條 猛猪君         国税庁長官  阪田 泰二君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    白石 正雄君         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    吉国 二郎君         大蔵事務官         (理財局地方資         金課長)    牧野 誠一君         大蔵事務官         (銀行局保険課         長)      谷川  宏君         日本専売公社総         務部長     小川 潤一君         日本専売公社理         事         (販売部長)  石田 吉男君         日本専売公社生         産部生産課長  榎園 光雄君         日本専売公社理         事         (塩脳部長)  三井 武夫君         国民金融公庫総         裁       櫛田 光男君         中小企業金融公         庫総務部長   井染 寿夫君         日本開発銀行理         事       中村 建城君         日本輸出入銀行         理事      高橋  一君     ――――――――――――― 二月二十二日  分科員久保田鶴松君、河野密君、西村榮一君及  び古屋貞雄辞任つき、その補欠として北山  愛郎君、井上良二君、田中織之進君及び阿部五  郎君が委員長指名分科員に選任された。 同 日  分科員阿部五郎君、井上良二君及び北山愛郎君  辞任つき、その補欠として古屋貞雄君、河野  密君及び久保田鶴松君が委員長指名分科員  に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和三十一年度一般会計予算総理府経済企  画庁を除く)及び大蔵省所管  昭和三十一年度特別会計予算中、総理府経済  企画庁を除く)及び大蔵省所管  昭和三十一年度政府関係機関予算大蔵省所管     ―――――――――――――
  2. 山本勝市

    山本主査 これより第一分科会を開会いたします。昭和三十一年度一般会計予算及び昭和三十一年度特別会計予算中、総理府及び大蔵省所得昭和三十一年度政府関係機関予算中、大蔵省所管を一括して議題といたします。質疑を行います。西村榮一君。
  3. 西村榮一

    西村(榮)分科員 大蔵大臣にざっくばらんにお尋ねするのですけれども、私は、やはり民間資金活用するという上からは、ある程度まで資金委員会という構想がいいと思うのです。それで、いろいろな事情でしょうけれども大蔵省内か内閣資金委員会諮問機関として置くといわれるのですが、これは、やはり僕は立法上の一つの疑義があるというだけじゃなしに、権威がないと思う。一つ国策を遂行するのに、資本主義だ、社会主義だという立場を離れても、国策を遂行するために民間資金活用するという上からは、やはり社会主義的な計画経済でなくても、一つ案内経済といいますか、計画化しなくても、資金により事業育成し、かつまた高めなければならぬ事業を選別して、国策の大局に資金というものを有効に使わなければならない。そういうことになりますと、どうしても資金委員会というものは、私は法的背景を持つ相当権威あるものを作らなければならぬ、こう思うのです。ところが、いろいろな事情政府はその立法化を避けて、諮問委員会的なものにされようと、こうするわけですね。そこで、これはやぼなことを言わないで、ざっくばらんにお尋ねするのだが、社会党のみならず、自由民主党の中にも資金委員会立法化という声があるのです。そこで、私は一つこれは政府の提案として困難であれば、議員同士が相談して、議員提出の法案として提出したらどうか、こう思うのですが、しかし政府から出してもらえればそれに越したことはない。どうなんでしょうか。
  4. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、これは経済理念といいますか、あるいはまた政治形態、いろいろありますが、そういう一つ考え方をもとにして考える場合は、一つの御意見である、また資本主義の場合においても、あるいは自由主義経済の場合においても、率直に申しまして考えられない考え方でもないと私は思います。しかし日本の今日の状況に妥当するかどうかという点については、あらゆる方面から考えてみなくてはならないのであって、今の状況ではいろいろありまして、財政投融資として従来やっておった分野が、当然政府経済計画に基いてやっておったという部面と、そうでなくて、民間資金がないから、税金でなくて、強制貯蓄という形でもって資金を集めて、そうして財政投融資でやったという部面も少くない。たとえば電力なんかは、私は民間導入金で行くべきものだろうと思います。あるいは鉄鋼についても、石炭についても、それは経済理念が違えば別ですけれども自由主義経済においては、当然民間資金でいくべきだ、これが今までは大部分が財政投融資でやった。こういうものは、当然今日の経済情勢が正常化するにつれて、民間資金に返すべきものであるという考え方一つ。従って、そういう民間資金活用という範囲にある電源の開発であるとか、あるいは鉄鋼に関するものとか、あるいは開発銀行資金造船についても、あるいは輸出入についても、民間資金輸出入銀行自身資金との比率、いわゆる協調融資比率の変更、こういうふうなものから見ても民間資金になる。こういうふうな関係において、立法化することは私は不適当だと思います。そうして民間資本蓄積から見まして、おそらく三十一年度は、私は一兆に近いものが貯蓄目標になると思うのです。三十年度は八千億、これは八千五百億ぐらいになった。そうしますと、今の民間資金の清川というものは、一割ぐらいになる。当然この民間資金自由裁量、いわゆる自主的な裁量で回すということは、ほとんどもう心配はないというふうに考えております。もう一つ、私はやはり率直におそれるのは、立法化した場合、計画経済、あるいはまた社会主義的な経済なら私はいいと思うのですけれども、そうでない場合は、立法化されて、だんだんと非民主的な形に民間資金活用という面を、このもとにおいてやられるということになれば、これは私は非常に、特にインフレ的見地から厳に戒めなければならぬということから、なるべく今の日本段階では、金融中立性というものをまだまだ尊重すべきだという建前であります。立法化はしない。従いまして、政府から出すことも考えておりませんし、議員立法されることは切にごかんべん願いたい。
  5. 西村榮一

    西村(榮)分科員 政府に五ヵ年計画があり、その五ヵ年計画に基いて年次割計画があるということであれば、それに基いて物が幾ら要り、資金が幾ら要り、雇用はどうする、そうして、それがためには輸出貿易はどうするという計画がある間は、資金計画が当然裏づけになる。資金計画裏づけになるならば、その計画を実行するためには、立法化が必要である、私はこう思っております。しかし、これはあまり議論にわたりますから、私はきょうはそれに対してのあなたの回答は求め盲せん。この資金委員会立法化するかどうかということについては、政府で今お出しにならぬということが明らかになったんですが、議員が出すかどうかは、議員考えによるよりしようがないと思います。  そこで、それ以外に、なるほど民間資金は幾らか潤沢になっておりますけれども、これを野放しにすることはかなり危険だと思います。しかし、そういう民間資金は別として、政府が変化していく国際競争に耐えられるように日本経済を建て直していくためには、私は何というても安い金利の金が要ると思うのです。それの一つ方法は、手持ち外貨を幾らほど活用できるのかということと、金利引き下げだと私は思います。  まず第一に大蔵大臣の所見をお尋ねしたいのは、今の日本貿易バランスがやや整ってきた、ある程度までは手持ち外貨資金というものは少し削ってもいいのじゃないか。そうしますと、日本の今御指摘の鉄であるとか、それから機械工業化学工業育成費に一億ドルくらいのものが活用できないだろうか、こう思うのです。ということは、あなた御存じ通り、今大体一億五千万ドルほど借金があります。しかしこれは平均して五分、しかもそのためには、愛知用水その他に入れて、借金した国の機械を買わなければならぬ、借金した国の技術、技師を高給で雇い入れなければならぬ。もちろん日本技術が劣り、機械が劣っている場合は、それはやむを得ませんけれども、なるべくなら日本機械活用し、技術者活用するということと、別に一・五%くらいの金利定期預金を外国にしなくても、それを活用すれば、国家全体のバランスとしていいのじゃないか、とりあえず一億ドルくらいの活用ができるのじゃないかと私は思うのですが、その点いかがでしょうか。
  6. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その点は、何も反対すべき理由はないのでありまして、ずっと前にはそういう方法をとって、いわゆる合理化としまして、鉄鋼を初めとしていろいろの分野外貨を貸し付けて、その外貨で輸入しまして、そして設備近代化をしたわけです。ただ問題は、一つには、そういうふうにまでなおかつ今日もしなければならぬかどうかということが一つ、ごく特殊の事業補助金みたいなものを与えると同じことにあるいはなるかと思いますが、そういうふうなことが一つ。もう一つは、かりに今後そういうことを考えるにしても、今の外貨ポジションがずっと安心できるものかどうかということが一つある。これは、今後における国際情勢の、特に経済の動きの変化がどういうふうになるか、やはり相当問題点を含んでおる。それから日本の場合においては、対外債務支払いがこれからもある。これは、かりに現物やあるいは労力による支払い、役務の支払いによるにしても、やはり日本輸出がそれだけ阻害されるおそれが多分にある。そうすると、今後の日本貿易も、もう少しこういうふうなものを振興さしてみたいという考え方で、今はそうあり余っているというわけじゃないので、慎重の態度をとっているわけです。特にそういうふうにまでしてやる場合には、日本産業の機構にメスを入れてやらなければならない。製鉄なら製鉄というものに、一つ設備に貸すと、どんな製鉄会社にも同じように貸してやらざるを御ない。そうすると、同じ設備の重複が生じて、今度はまた稼働に困るというような状態が起ります。そうかといって、それで設備が動くかというと、やはり何といいますか、スクラップ等関係から、なかなかそれほど生産が進まないという状況があります。私は、今のところそこまでいかなくてもいい。同時にそういうことまで、国内金融外貨でやるということは、国全体の政策としては、必ずしも望ましくないということはあります。もう少し情勢を見て、その上で私は考慮しよう、こういうふうに考えております。率直に申し上げます。
  7. 西村榮一

    西村(榮)分科員 大体大蔵大臣も、一億ドルくらいは日本国内産業再建のための資金に使ってもいいというようなことを、大まかに御同意を願ったのですから、私はそれ以上申しません。ただそのための条件として、手持ちドル活用して国内産業の建て直し、ないしは新興産業育成のために用いるのには、今日の産業界に一応メスを入れる必要があるのではないか、これはごもっともな話です。私はそれは同感です。一律にいきません。けれども産業界に対してメスを入れるということは、先ほどの話に戻りますけれども、やはり資金統制委員会というような法的な背景を持つものが要るのではないか、こう思うのです。思うのですが、それはまたお答えいただかなくてもけっこうです。  次に私がお尋ねしたいのは、国内における新興産業育成基幹産業再建方策と関連するのでありますけれども、そこでなお今日の手持ち外貨からいくならば、一億ドルないし一億五千万ドルというものは、日本貿易対策活用ができるのではないかと私は思う。これはあなたも御存じ通り、昨年の貿易の伸びはヨーロッパとそれからアメリカでありましたけれども日本が最も安定せる市場として最も力を入れなければならぬ東南アジア方面には、輸出は伸びかねている本年もまた、飛躍的に伸びるという見込みはどこにもありません。ここでこれを伸ばすためにも必要であるし、同時に、日本産業界が安定せる市場を求めるという意味においても、この東南アジア地域において資本輸出設備輸出、あるいはごく卑近な話で機械輸出というものが必要ではないか。去年伸びておるのは、機械造船で幾らか伸びておるのです。しかしながら、ほんとうの日本機械が伸びておるということはない。そこで、この資本輸出ということになりますと、何といっても、今日の貧弱な民間資金においてこれをやれといったって困難でありますから、資金的な裏づけが要る。ところが、昨年は政府資金が八で民間資金が二でありましたけれども、本年はそれは縮まっております。七と三になっております。その結果が、金利負担を非常に高くする。こういうような点を是正するために、輸出入銀行資金をもっと豊富にふやすとか、あるいは資本輸出についての政府資金的な援助をもっと高めるとかいうことにするための財源処置として、一億ドルないし一億五千万ドルくらいまでのものは、東南アジア向け輸出資金として活用されてはどうか、こう思うのです。いかがですか。
  8. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほどのお話ですが、外貨国内産業合理化等関係で使うことに、大蔵大臣は一億ドルくらいは大まかであるが了承したというのは、少し違うのでありまして、私は、場合によってはそういうことを過去にやったこともありますし、必ずしもそのときにおける便宜な方法として考えられないことではない。しかし今日では、国際的な経済情勢等から、あるいはまた賠償が始まると、今後の日本国際収支が必ずしもここで十分に見通されるとも限らない。よほど注意が要る状況もあるから、今のところは、そういうことは一応考えておらないということを申し上げたい。なお今それに関連いたしまして、東南アジア市場確保のために、一億数千万ドルの金をそちらに向けるように一つ考慮してはどうかというお話です。私ども東南アジア市場を確保する――特に今日東南アジア市場は、国際的に目標になっておるようであります。たとえばドイツにしても共産圏の国にしても、何とかして自分たち市場にしたいという情勢もあるようでありますから、こういう点は、日本としては非常に注意しなくてはならぬと思っております。しかし、日本東南アジアに対し経済的な関係を深めるには、やはり賠償問題を早く解決して、両国間の国交が回復し、通商航海条約等が結ばれていく。そして日本の人の居住や、あるいはまた貿易商社銀行等が十分に店舗等を設け得るというような状態を早く実現させることが、適当であろうと考えておるのであります。賠償には、御承知のように、たとえばビルマにしても、その他いろいろと予想されるような点から考えても、経済協力という形が必ず賠償には伴う。両国経済協力といいますか、民間借款といいますか、これと賠償とが一つの体をなして、賠償によって相手国経済をよくするとともに、日本経済との結びつきが生ずる、こういうふうに考えておるのでありまして、そういうことで、私は今後東南アジア市場について考えていきたいと思います。  それに関連して、日本輸出入銀行資金手当については、できるだけ配慮をいたしております。開発銀行等資金を減らしまして、輸出入銀行の方に資金的には重点を移していく方法をとっておりまして、遺憾ないようにいたしておるつもりでおります。
  9. 西村榮一

    西村(榮)分科員 予算委員会でも承わったんですけれども賠償問題の解決重点に置いて、東南アジアとの産業上の結びつきをつけるという政府答弁でしたけれども、私は、大蔵大臣、これは不満です。この答弁だけは不満です。ということは、実際論からいって、東南アジア諸国は、賠償問題の解決を待つまでに西ドイツ進出してきます。これは、今共産圏アジア対策西欧側アジア対策との間におけるすき間にくさびを打ち込んできて、その産業上の指導権を握ろうとするのは、あなたが御存じ通り西ドイツ進出です。これは、少くともヨーロッパに関する限りは、西ドイツ機械工業進出は当然でありますけれども東南アジアにおいて、西ドイツ日本産業が追いまくられるということは、日本政治並びに産業界において大きく反省しなければならぬものがあると思う。そうしますと、賠償問題の解決中心に置く間に、西ドイツ進出してくる。もう一つは、西欧陣営並びに共産圏アジアに対する経済的進出援助計画というものを考えると、日本貿易中心とするアジア経済に対する対策というものは、そういう手ぬるいことではいかぬのじゃないか。これは、一つ政府においても再検討を加えていただきたい。特に現内閣の一枚看板として、アジアに対する経済進出経済を通じてのアジア解放の確立ということをうたわれておる。この点は、私は立法上の処置じゃなしに、行政上の処置としていけるのでありますから、現内閣ば、こういうところにもう少し重点を置いていただいたらどうかと思うのですが、いかがですか。
  10. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お説の点につきましては、異論はありません。お説のように、私は今後、施策を進めていくべきであると考えております。
  11. 西村榮一

    西村(榮)分科員 そこで、私は、日本産業再建貿易振興一つの大きな要素として、金利の問題があると思うのです。これは、銀行局長からお答えいただいてもいいし、専門家であるから大蔵大臣からお答え願ってもいいですが、皆さん御存じ通り、今の貸出金利引き下げを制約しておるものは、何といっても銀行営業費だと思うのです。経済の不安定からくる貸し倒れ補償金だとか、そういうものの準備金というものは、これからはあまり考慮する必要がないのではないか、通貨の不安定からくるものもしかり。そこで今問題になってくるものは、戦後のどさくさのあの経済の混乱の中に膨脹していった銀行営業費というものは、戦前の約三倍になっております。そこで、私は大蔵大臣あるいは銀行局長にお尋ねしたいのは、一体大蔵当局としては、長期並びに短期の貸出金利はどの程度が妥当とごらんになっておるか。その理想を達成するためには、一体どういうふうな処置をとる方針でおられるか。私が三点お尋ねしたのは、私の見るところは、やはり貸し倒れだとかなんとかいうものの危険負担率よりも、むしろ営業費が三倍に膨脹しておる、これをなお安定せる今日において、営業改善を加え、是正してないことが、今日の貸出金利引き下げを制約しておる大きな要素だと思うのですが、この三点について御方針をお聞かせ願いたい。
  12. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 銀行に限りませんが、金融機関等におきまして、特に営業費の膨脹について十分な反省と改善を加えまして、営業費をなるべく少くする、これは申すまでもありません。特にそういう点について、今後金融機関考えなくてはならぬ段階に来ておるものと私は考えております。  それから金利の問題でありますが、今日の資金蓄積状況で、まず短資市場において金利が下っておることは、御承知通りであります。現在コールが一銭五厘が中心であります。貸し出しは競争が相当ありますので、私の見るところでは、平均して二銭程度じゃなかろうか、あるいは若干これを下回っておるものもあるかもしれないが、大体二銭程度じゃなかろうかと思っております。違いますれば、銀行局長から訂正をさせます。一応短資はこれとして、これに比べて長期の方の金利、言いかえれば社横等発行条件が、一回引き下げをしたのでありますが、なお十分でないと私は見ております。今は発行者支払い利息が年に九分五厘くらい、一割を割りましたが、また表面金利は八分台が出ておりますが、発行者から見るとやはり九分五厘、私は、さしあたりこの発行者のそういう利子負担を年八分合に持っていきたい、そういうところから推進していきたい。一応の考えとしては、将来の見通しとして、私はやはり長期の金の金利、特に社債をとりますと、社債金利が七分台になるということで、大体国際的な関係において太刀打ちをやっていけるのじゃないか、他の生産条件と総合的に考えて、長期金利が七分台が出ればまあやれるという一応の目標でおるような次第でございます。そういう方向に今日力を注いでおるわけであります。
  13. 西村榮一

    西村(榮)分科員 銀行局長でもいいのですが、私先ほど指摘したように、今の大蔵大臣理想目標では、私ちょっと不満なのであります。もう少し下げてもらいたい。しかしそれには、やはり金融業における大きな比重は、先ほど申しましたように経営費営業費ですね。私ども小僧時代には御承知のように紺のせびろで、鉛筆でもこれくらい小さくなるまで使わなければ、庶務課で取りかえてくれなかった。当時の私どもが上役から教えられたのは、やはり金を借りにくるのは困っておるから借りにくるので、お前たち支店を経営するに当って――支店長になるときの訓示でしたけれども、七年間で大体傷がなおるというくらいのものなら、その産業を育てるようにやりなさい、回収をあせってはいかぬ、そのかわり経営費はむだに使ってはいかぬ。そこで今の状態からいきますと、昭和十一年度に比較いたしまして、現在では三倍の経費を食っておる。こういうような状態でば、勢い回収をあせり、そして有利なものに――その事業国家社会利益があるから銀行家が育てるということよりも、むしろ目前の利回りがいいところにいく、同時に焦げつきができちゃいかぬというので回収する。だから、銀行資金運営についてゆとりがないのじゃないか。私はこれを根本的に解決して、そして銀行家産業をある程度まで育て上げるのだ、それが国家利益になるのだ、同時に産業界も、銀行を恨むことなしに、銀行が恩人となっていけるようになるためには、何と言うても銀行経営経費というものを私は縮めなければいかぬ。今だったら、大体戦前の三倍かかっているのだが、大体一期は、戦前の倍くらいまでのところで抑えることができるのじゃないか。その次は五〇%くらいまでで押えて平均化する。戦前並みにはいきません。だから、標準は戦前が一〇・二六%であるとすれば、それにやはり五〇%の増加というものは大体見込みをつけて、理想案としては、今二倍にふくれ上っているものを二倍にいたす、その次に五〇%に減らす、こういうのが私は妥当ではないかと思うのですが、それに対するあなたの御指導の方針があれば承わりたいと思います。
  14. 東條猛猪

    ○東條政府委員 お答え申し上げます。銀行貸出金利を、銀行の健全性と兄合いながら、極力金利負担の軽減をはかりますために、引き下げて参らなければならぬ、またその一つの重要な要因が経費の面にあるということは、お話しの通りであります。私どもといたしましても、この銀行経費率の引き下げということにつきましては、絶えず金融機関にその積極的な努力を要請いたしますとともに、役所側といたしましても、あらゆる機会にその指導に実は尽しておるつもりでございます。にだいま四村委員が仰せになりました、大体戦前、たとえば九年-十一年の三倍近い経費がかかっているのではなかろうか、これは確かに昭和二十九年の下期決算が三倍――ちょっと切れておりますが、というところまでかかっておったというのは事実であります。ただ一つ、ここでお考えをいただきたいと思いますのは、この経費の増高を来たしております一つの原因は、戦前に比べまして、実質的な預金の一口当りの金額が非常に小さくなっております。従って預金の口数におきましては――これは私から申し上げるまでもないのでありますが、三十年三月末をつかまえてみますと、この預金の口数におきましては大体四・〇九というふうに、いわば銀行といたしまして、貸出面もそうでありますが、預金の面におきまして相当事務量が実質的にふえておるということは、経費の問題をお考えいただきます場合に一つ頭に――もちろん御考慮になっておると思いますが、この点につきましては、なお御配慮を願いたい点であります。  そこでこういう経費率の高いという点は、先ほど申し上げましたように私どもといたしましても、積極的にあらゆる機会に経営の合理化ということを要請いたしておる次第であります。全国銀行の例でちょっと申し上げてみますると、いわゆる預金債権のコストは、二十九年の下川におきましては七・二%、それが三十年の上期におきましては七・〇六、またただいまいろいろと各方面の報告を集計いたしておりますが、下におきましては、この予金債権コストが、上の七・〇六というのが、相当大きく七%を割って参るということになって参ると思います。もちろんこの原因は、申し上げるまでもなく資金量の増加というような、いわば資金の蓄積に伴いますところの原因もあるわけでありますが、一両におきまして、金融機関側におきましても、経費率の引き下げということが非常に大事なことであるということはもうつとに認識いたしておりまして、相当努力をいたしておるということも、私ども方面から、実際各金融機関がどういう合理化の努力をいたしておるかという各銀行別の合理化の報告をとっております。それを最近つぶさに見ましたところによりましても、相当積極的に努力をいたしておるということは申し上げられると思います。しかし、もちろんこの努力は引き続きやって参らなければなりませんので私どもの今考えておりますのは、大蔵省日本銀行、あるいは各銀行の幹事銀行も寄りまして、さらにもう少し合理化の具体的な方策を立ててやるようにということも、われわれは計画をいたしております。そういうことも御想像になっておられると思いますが、私どもといたしましても、お言葉通り、この経費率の引き下げを積極的にどしどしやって参りたいと思っております。これがためには、人件費の面もあります。物件費の面もあります。広範にわたってありますが、あらゆる面に努力をいたしたいというふうに考えております。
  15. 西村榮一

    西村(榮)分科員 銀行局長には、なお今の問題を御努力願うということにして、私はあなたの今の御答弁には反駁いたしません。しかしながら、あなたは監督官庁の立場から銀行なり金融機関、信託、保険会社の経理をごらんになって――銀行、保険会社は多くの専用家を雇いまして、いかにして監督官庁をごまかすか、筋を通るようにするかということは専門家が多い。私も十八年ごまかしてきた経験がありますから、あなたの主張通りには受け取りかねる。もう少し裏面を観察なすって、有効なる指導をされるようにしたら、私の先ほど希望を述べた理想が達成されるのではないか。御検討願うことにして、一々あなたのことについて反駁はいたしませんが、御検討を願いたい。  そこで、私が次に大蔵大臣にお善ねしたいことは、今日案外世人は軽く見ておるのですけれども、生命保険の資金というものは、これはやはり長期の安定資金として、日本産業再建と、それからあなたが構想された住宅資金、地方債その他の消化の機関として、銀行業務とは別な角度から重要性を持ってきておる。単に長期資金の問題だけではなしに、これがやっぱり老後において年金資金ともなり、それから不時の災難においては救済資金ともなり、社会政策的な意義も含んでおるのでありまして、私は従来の観念と違って。生命保険業をいかにして資金の乏しい日本において――福祉国家を建設するためには、イギリス流の税金だけで福祉国家、を建設するということは、貧弱なる日本資金では困難だ。従って私は、今は何と申しましても、国家利益というものは、国民の生命をよけい長引かせる、長引かせた人を有効に社会の活動に使う、同時にそれは安定せしむる、この三つの方向においては、何といっても生命保険の利益は、人が長生きすればできてくるのですから、これは一致する。同時に貯蓄をさせて、それを不時の災難に用意するということは、国家利益になる。従って生命保険の活用というものはきわめて重要であるのですが、私からいいますならば、これは現有においてはかなり料金が高い。二、三日前ですか、少し引き下げられたようでありますけれども、私はかなりこの料金は高いと思う。おとといきめられた三十年満期に対する三十円七十銭ですか九十銭、これは私はまだ高いと思う。最も能率の低いといわれておる簡局保険でさえも、二十九円七十銭か八十銭でやっているのですから、これはまだ高い。そこで、私はやはり国民の利益を守るためには、この料金はもっと引き下げ、同時に吸収された安定せる長期資金活用方法については、もっと監督を厳重にして、国家利益と一致するような方向に向わしむるよう監督する必要があるのじゃないか、こう思うのですが、大蔵大臣のお考えはいかがでしょうか。
  16. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私も御意見の通りであります。従いまして、今回生命保険料の引き下げをやったのでございます。むろんそれで満足しているわけではないのでありまして、引き下げることは希望するのでありますが、今の状況で具体的にどれほど引ぎ下げ得るかというのが問題でありまして、理由はいろいろありますが、各社の現状からいたしまして、一挙に急激な保険料の引き下げをするということは、かえって保険業自体の今後の健全な発達に支障を来たすおそれがありますので、まあ理屈はともかくとして、若干の猶余期間を置いて、その間に各種の施策をさせまして、そして一定の時期の後にさらに引き下げをする、これが現実の問題、特にこういうふうな資金を扱っておる機関の取扱いとしては妥当である、かように考えております。
  17. 西村榮一

    西村(榮)分科員 それでは大体大蔵大臣も、今の生命保険料は非常に高いということは御了解になっておるのですね。ところが今のお答えによると、健全な発展のためにしばらく期間を置いて、しかる後に徐々に下げていく、こういうのです。その期間というのは、一体どのくらいの期間であるのか。それから同時に、その期間内において、どういうふうな指導監督によって、料金をどの程度まで引き下げるのかということについて、今日指導の目標を持っておられるかどうか、その目標についてお答えを願いたい。
  18. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 金額等につきましては、銀行局長から答弁させますが、先ほどお話しのように、死亡率が減ったというその分についての引き下げをやりまして、経費については、従来のところに据え置いたのでありますが、これは今日約手門について七円ということになっておりますが、これを一部では五円ぐらいまで引き下げるという考え方もあったのでありますが、それでは多くの会社が激変と申しますか、著しい影響を受けますので、それでは今申しましたように、保険の健全な発達にかえって全体としての立場で支障を生ずるというようなおそれもありまして、そこでやはり一応七円にしておりますが、これの経費率の節減をさせまして、大体今日七円、さらに今日特に低いという線で要望しておる五円、この間において今後近い期間にさらに引き下げ考えていきたい、私はかように考えおります。
  19. 西村榮一

    西村(榮)分科員 銀行局長でいいですが、すでに業者の中で、この料金は高い、引き下げる余地がある。今の死亡率と危険率からいって、二十五円以下に引き下げる余地がある、私はこう見ておるのです。しかし業者から率先して二十八円七十銭に申請されておる、――九十銭ですか、詳しい数字は私は知らないが。そこですでに政府の決定されたのが三十円七十銭ですか、ところが同じ政府で経営されておる簡易保険が二十九円七十銭で経営しておる。簡易保険は小口です。銀行局長は、さっき銀行経費の増大ば小口預金にあると言われたが、私はそれを一一反駁しません。実際においてそれは大したことはないということは、本店から支店に割り当てる経費の項目は大したことはない。それは、監督官庁に対する言いわけの一つの資料にすぎない。けれどもそれは別にいたしましょう。問題は、政府が経営しておる経営にして、最も能率が上らぬという官営事業において二十九円七十銭でこれがなされておるのに、今回政府が決定されたのが三十円七十銭ですか、私はこれは少し高いと思うし、ふに落ちないのですが、これに対して、どうしてこういう料金をお定めになったか。
  20. 東條猛猪

    ○東條政府委員 現在の満三十才での養老保険の場合に、従来は三十三円八十銭ということになっておりましたのを、今回これを三十円九十銭までの引き下げで、申請があれば認可いたしたい、かような考え方をいたしておる次第であります。そこで、簡保との関係において、経費の面において民営の保険の方が割高ではないかという点が御指摘の中心でありますが、この三十円九十銭という、今度改正をいたしたいと考えております場合の付加保険料の合計額は九円七十銭、このうち維持費といたしまして七円を今大蔵大臣から申し上げたのでありますが、付加保険料の合計は九円七十銭、かようなことになっておるわけであります。そこで簡保の場合でありますが、簡保の場合どうして二十九円七十銭というように低いのかというのがお尋ねの中心でありますが、私どもの見ておりますところでは、実際の経費の使い方、経費の金額におきましては、簡保も民保も実は大した違いはない。むしろ民保の方は、会社によりましては簡保よりも下回っておる会社もありますし、また会社によりましては、遺憾ながらまだ簡保より上回っておる。二十社のうちにおきましてはいろいろであります。そういうのが実は経費の内容であります。それではどこでそういう料金の違いが出て参るか。これは、結局申し上げるまでもなく準準金、積立金のところの考え方の相違でありまして、簡保の場合におきましては、政府がその経営をいたしております。しかし民保の場合におきましては、申し上げるまでもなく昂間の相互保険会社がやっておるということで、責任準備金考え方に相当の違いがありますことが、実は大きな原因であります。先ほど来一萬田大蔵大臣から御答弁がありましたように、私どもも準備期間の間に、この九円七十銭という経費の面におきましては、今後とも十分監督をいたして参りますし、また積極的な経費の切り下げという点も、業者側におきまして相当の熱意があるということを看取いたしておりますので、適当な時期を見まして、今回改正いたしたいと考えております三十円九十銭をさらに切り下げたい、こういう熱意を持っておる次第であります。
  21. 西村榮一

    西村(榮)分科員 大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、私はあなたの答弁に対してからみついて、あげ足をとるつもりはないんですから、そのつもりでお答え願いたい。一部の業者が二十八円七十銭で申請しておるのにかかわらず、そこまで引き下げるということは一部の保険会社に対して非常な影響を与えるから、一時暫定的に三十円九十銭として、あとは徐々に理想のところまで引き下げていくのだというあなたの御答弁だった。そこで私は、お差しつかえない限りお尋ねしたいんですが、二十八円七十銭でも私は高いと思っておる。その新料率を採用することにおいて多くの保険会社が非常な影響をこうむるというその保険会社は、名前は要りませんが、一体全会社の中にどの程度の影響をこうむる会社があるのか伺いたい。
  22. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは数字にわたると思いますから、銀行局長答弁をさせますが、私は十社近いものが影響をこうむると思っております。なお詳しいことは銀行局長からお答えいたします。
  23. 東條猛猪

    ○東條政府委員 ただいま申し上げました予定の経営率に達しない会社は、今大臣が申し上げましたように、小社をちょっと越える程度であります。ただ御承知のように、主命保険会社は、現在資産内容も相当改善いたしておりますので、この引き下げで経営に非常に影響があるという会社は、そう多くはありませんが、やはり数社は、もし一挙に維持費の七円を五円に下げて、過去の契約の分までさかのぼるということになりますと、この準備金にも相当の影響があるということは申し上げられると思います。
  24. 西村榮一

    西村(榮)分科員 銀行局長でけっこうですから、簡潔にお答え願いたいと思います。今保険会社の収入保険料に対して、大蔵省は一体経費はどの程度まで見ておられますかお伺いしたい。
  25. 東條猛猪

    ○東條政府委員 お答え申し上げます。今のお話は契約金額でなくて、収入保険料に対して経費が幾らかというお尋ねでありまするが、最近の実績におきましては、約四十二円であります。これは、私どもといたしましてはできるだけ下げてもらいたい。具体的な数字は、ちょっと差し控えさしていただきたいと思います。
  26. 西村榮一

    西村(榮)分科員 私は知って質問するんですが、いやな質問ですから差し控えましょう。このことについては、内容をよく知ってますから……。  そこで、私はなぜこのことを問題にするかと申しますと、御承知通り、今日生命保険の契約高は二兆円をこえて、収入保険料は七百億円です。ところが私がここで懸念するのは、七百億円の収入を取って、それを地方債なりあるいは長期資金なり、それから、従来生命保険会社は一般市中銀行で扱わなかった不動産、市中銀行がいやがる不動産、そういう方面に奉仕的に貸付をしてきた。ところが最近における生命保険の貸し付け方というものは、これはかなり悪らつです。私は貪欲だと思う。今の生命保険の経営の仕方は、その七百億円の収入保険料を取って、あなたの今説明された、百円の収入に対して四十二円の経費を食っているということになりますと、今日の生命保険料の中から、お客さんが百円払ったものを四十二円保険会社の経費として食っているのです。私はこれは不合理だと思う。これはあなたもお認めになると思う。そこで一例をいえば、戦争前はどうかと申しますれば、これは平均して二十円でした。そこで、理想は大体十七円として、二十五円をこえるものに対しては警告を発してきた。そこで私は、先ほど冒頭に申しましたように、これから長期資金の確保と同時に、福祉国家の一翼をになわせる生命保険業の機能からいって、七百億円の収益をしながら、約四二%をそれに食ってしまっているというような今日の営業状態は、改善しなければ不合理だ、こう思う。そこでその改善方法について、銀行局長対策を承わりたい。
  27. 東條猛猪

    ○東條政府委員 この四十二円という数字が、決して満足すべき数字ではないということは、お説の通りであります。ただ、これもはなはだ遺憾なことでありますが、終戦後逐次この経営率が低減いたして参りましてここに至っているということも、これは西村委員御承知通りであります。ただ私どもの方としましては、この四十二円を――一つ目標は持っておりますけれども、できるだけ早く下げて参りたいと考えております。  しからば具体的な対策はどうかということでありますが、これは、私は会社経営の全般にわたりまして、あらゆる面において経費の節減をする、また適当な時期にさらにこの保険料の引き下げが行われましたならば、これは外務員の熱恵その他によりまして契約量もふえていくということも、当然われわれとして期待いたすわけであります。一面におきましては事業量の増加、一面においては人件費、物件費の切り下げ、これはここで申し上げるまでもないと思いますが、考えられるあらゆることを講じまして、経費の節減をはかっていくということであろうと思っております。
  28. 山本勝市

    山本主査 ちょっと西村委員に御相談申し上げますが、実は北山委員が大蔵と自治庁と一緒に呼んでもらいたいというので、今自治庁の長官が見えたのです。午後長官はほかに委員会があるものですから、もし何でしたら、途中ですが、北山さんに質問をしてもらって……・。
  29. 西村榮一

    西村(榮)分科員 それでは、私はあと二間だけ……。
  30. 山本勝市

    山本主査 それではどうぞ……。
  31. 西村榮一

    西村(榮)分科員 具体的にあなたにお答え願いたいのですが、私がさっきお尋ねしたのは、たとえていうと、七百五十億の収入保険料を取って、その四二%が経費である。その経費の中で、私の目の子算用で二割倹約すると、七十億円出る。この七十億円を肺結核の対策だとか、長期疾病あるいは健康保険の赤字等に埋めてやるならば、これは大へん助かると思うのです。そこで私は、同じ経費の使い道でも、そういうことだったら、これは国民の利益国家利益と、そうしてそれで生命が長引くのですから、長い目で見れば保険会社の経費が安くなる、こう思う。具体的にいえば、たとえば、今食っている経費を二割倹約させれば七十億円であります。これは国家、国民経済全体のプラスになるわけです。そこで私は、今四十二円八十七銭ですが、これだけ食っているものを、これで満足でないということであれば、これを節約するために、大蔵省は一体どういうふうな指導をしているのか。たとえていえば、第一期計画は三十五円なら三十五円まで切り下げさせ、第二期は三十円なら三十円まで切り下げさせ、第三期は二十五円なら二十五円まで切り下げさせるというような努力の目標が必要じゃないか、私はこう思うのですが、それに対して一つ努力目標を示してもらいたい。
  32. 東條猛猪

    ○東條政府委員 御承知のように、二十社の経営の内容はいろいろでありますので、具体的な数字でもってここまで切り下げろという指導は、私はなかなか困難な面があると思いますが、当然役所といたしましては、各社ごとに一応の目標を示しまして、具体的な指導に当りたいと思っております。
  33. 西村榮一

    西村(榮)分科員 最後にお尋ねします。私は、やはり戦前における十七円というものは困難であっても、二十円ないし二十五円を目標として、経費はそれまで圧縮すべきだ、そうしないと健全な発展ができない。そこで、大蔵省において一期、二期、三期と目標を立てられて、そういうふうに指導される。そこでその指導からはずれる一さっき大体十社あるといわれたのですが、十社は、大蔵大臣、はしにも棒にもかからぬ会社です。私から言わせるならば、厳密に言えば十四、五社です。そこで、こういうふうな被保険者の料金だけを食ってしまって、その会社は存続していくけれども、契約者の利益も守られていない、そのことがほかに影響するのだというようなところは、思い切って淘汰すべきだと思う。常業停止をして、既契約者の利益はほかの方法で確保すべきだ、こう私は思うのです。そこで、それらの点においてその目標を立てられる。同時にその目標に従って、その基準に当てはまらない会社がありますならば、これは厳重に営業を停止する。そうしないと、私は社会に対する害悪を流す以外にはないと思う。それだけの決心がおありになるかどうか。
  34. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私も御意見に異存はありません。それで今回も一定の期間を与えまして、その間において、各社の今お話のような具体的な計画を立てさして実行に移したい、かように考えております。
  35. 西村榮一

    西村(榮)分科員 これで終ります。
  36. 山本勝市

  37. 北山愛郎

    北山分科員 私は、地方財政の問題につきまして、二、三疑問を持っている点について、大蔵大臣と自治庁長官にお伺いをしたいと思います。  第一の問題は、地方財政の赤字の金額でございますが、これは、すでに昨年来、昭和二十九年度の決算における地方財政の赤字は、六百四十九億であるというように政府から再々これが言明せられまして、それを基礎にして地方財政再建促進法等の措置が講ぜられたと了承しておるわけであります。ところがこの六百四十八億という決算額の赤字というものは、自治庁の数字であって、大蔵省の方では、別に算定をした数字がある。それは三百七十三億である、こういうふううにいわれておるわけであります。両者の間に二百七十五億円の莫大な開きがあるのでありまして、一体政府としては、地方財政の二十九年度における赤字というものは幾らに見ておるのであるか、六百四十八億であるか、三百七十三億であるか、その点について自治庁と大蔵省からお伺いをしたいのであります。
  38. 太田正孝

    ○太田国務大臣 御指摘の通り、私どもの二十九年度の赤字は、申された通りでございます。
  39. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 決算上の赤字は六百四十八億であります。三百七十三億という赤字は、再建整備の対象に何をするかということに関連して出て参る数字でございまして、たとえば繰り越し事業を除くとか、いろいろ再建整備の場合に対象をしぼっていく必要があるわけでございますが、そういう場合の仮定における数字でございまして、決算上の赤字は六百四十八億に相違ございません。
  40. 北山愛郎

    北山分科員 そういたしますと、大蔵省も、地方財政二十九年度の決算上の赤字というものは、六百四十八億であるというふうに認めておられるのであります。  そこで次に問題になるのは、地方財政の赤字対策としての再建促進法を適用なさる場合に、その基礎になる数字は六百四十八億であるか、三百七十三億であるか。どちらによって、どれを基準にして再建促進法を運営されるのであるか、これを承わりたい。ただいまのお話のようであれば、大蔵省としては、再建法を適用する場合の基準としては、三百七十三億をお考えになっておるようである。自治庁はどのようにお考えになっておるか、両者からこの点を承わりたい。
  41. 後藤博

    ○後藤政府委員 お答えいたします。先ほど大臣申しましたように、六百四十八億の赤字のうちで、直轄の分担金その他控除すべき、つまり赤字債をつけなくてもいい赤字がございます。そういうものを引きますと、五百二十五億になります。さらに赤字の非常に少い団体がございます。これを一定の利子で落して参りますると、大体四百億から四百五十億前後になって参ります。そういう数字を基礎にいたしまして四百億という数字をきめたわけであります。
  42. 北山愛郎

    北山分科員 そういたしますと、政府としては、再建特別措置法に対する再建債としては昭和三十年度二百億、三十一年度二百億、合計四百億を予定しておるわけであります。そこでただいまの財政部長の説明のように、今度の再建法の基礎になる地方財政の赤字額というものは四百億ないし四百五十億である。こういうふうにいたしますと、かりに四百億であるとするならば、個々の団体に対して再建法を適用する場合には、その赤字額の一〇〇%融資が受けられる。このように考えてよろしゅうございますか。
  43. 後藤博

    ○後藤政府委員 お答えいたします。個々の団体につきまして、私どもといたしましてはこの赤字額の一もちろん法律に、赤字額によって再建債の対象になるものをきめております。それ一ぱい認めていきたいと思っておりますが、個々の団体を調べてみますると、必ずしもそうでないものもあるかと思いまするので、具体的に、現在再建団体につきまして、大蔵省と調査いたしまして、一定の基準を出したいと考えておる次第でございます。
  44. 北山愛郎

    北山分科員 しかし、少くとも政府が三十一、三十両年度にわたって四百億という再建債のワクをきめておる以上は、やはりその赤字を基礎にして、大体これくらいの所要額であるというような判定に基いてやったのであって、もし今のような具体的な場合を想定しましても、それを含めて大体四百億というワクを設定しておるのですから、そのワクの中で可能な限り融資をするということになれば、やはり個々の団体についても、確かに実際上の運営措置としては、その赤字状況の具体的な事情というものを考慮することはもちろんでありましょうけれども、その建前としては、一〇〇%まで融資ができるというようなお考えのもとに四百億とおきめになったと了解されるのですが、そのように了解してよろしゅうございますか。
  45. 後藤博

    ○後藤政府委員 おっしゃいます通り、建前としては、赤字額の全額について起債ができるようなことにいたしたいと考えておりますが、これは資金の問題でございますので、いろいろな各種団体の事情によりまして、その範囲内において、この程度でよろしいということになれば、私どもはそれでもって起債をうけるというふうにいたしたいと考えております。
  46. 北山愛郎

    北山分科員 この点は確めておきたいと思うのですが、ただいまの自治庁からの話でありますが、自治庁としては、一〇〇%つけるという目標でもって個々の団体の赤字額、所要額というものをきめたい、こういうような話でありますが、大蔵省としてはどのようなお考えでしょうか。それに同意下すか。
  47. 牧野誠一

    ○牧野説明員 お答え申し上げます。ただいまの点、赤字の額というもの片確かに一応のめどになるかと存じます。それで、再建債のトータルというものは、大体そういうものを基準にいたしまして、一応のめどとして四百億ときめておるわけでございますが、個個の団体によりまして、この赤字の額と、それからその財政を立て直すために必要といたします資金の量というようなものとは異なってくるのじゃないかというふうにも思えますし、実は申し出が自治庁の方に幾つかございましたそうですが、まだその程度段階でございまして、どこに対してどの程度資金繰りをつけることによって財政の再建が可能なのか、赤字の額全額が入り用なのであるか、あるいはそれより若干少くて済むところもあるのか、その辺がまだ今のところ検討ができておりませんので、ただいま申し出のありましたところの幾つかから始めまして、できるだけ早い機会に必要な額をつけて、それで再建に乗り出せるようにという、その基準の必要な額とはどのくらいの額であるかということを、ただいまきめようという作業を始めておるところでございます。今まだそんな段階でございますので、一〇〇%とか何十%とかいうように機械的にまだ申し上げるところまでいっておりません。
  48. 北山愛郎

    北山分科員 そういたしますと、ただいまのお話のようであれば、まだ大蔵省としては、再建法の適用をする基準額というものがきまっておらない、先ほどの三百七十三億というのもまだ動く数字だというようなお話に聞えるのですが、一体そうなのですか。そうなると、自治庁とは非常な食い違う答弁になるわけです。自治庁としては、一応六百四十八億を基準にして、それから大体不要額を引きさってみると、四百億ないし四百五十億である、こういうような見当をつけておる。ところが大蔵省としては、三百七十三億と一応作業をされたようですが、それ以外にさらに作業をしておるということで、一体大蔵省のその金額がいつになったらきまるのか、どの程度の額であるか、ここで大蔵省と自治庁の意見が非常に食い違っておるのですが、それでいいのですか。
  49. 牧野誠一

    ○牧野説明員 お答え申し上げます。ただいまの額として四百億という額を財政投融資計画で予定し、地方債の計画として予定をするということは、これは自治庁と大蔵省の間で完全に一致をしておる点であります。それから三百七十幾億かという赤字の額、これは、実は地方財政の赤字というものにつきましてはいろいろな見方があるかと思います。それで、地方財政の赤字に対する国の見方としては、これはもとより自治庁がその関係の責任を持っておられる役所でありますから、自治庁の見方というものが国の見方じゃないかというふうに存じます。ただ大蔵省としては、それに対する金繰りをつけるとか、あるいは利子補給をするという問題がございますので、自治庁のやっておられるその計数についていろいろチェックをしてみた、そしてある程度のチェックを、非常に不完全ではあるがやってみた結果、そういう三百七十幾億という見方もあるのじゃないか、そのほか赤字の見方によりまして、これはいろいろな数字が出るのではないかというふうに思っております。それで、再建債の額としては四百億を予定しております。それから三百七十幾億という数字は、私ども公表した数字でも何でもないのでございまして、実はいろいろ自治庁の方や何かと、こういう数字もあり得るじゃないかというお話をしております数字が、実は漏れてしまったような次第で、非常に恐縮に存じておるわけであります。それで、赤字の額自体、あるいは再建債の額として予定する額というものについては、赤字の額は一応別にいたしまして、四百億という数字はきまっておるわけでありまして、個々の団体にどういうふうにつけていく必要があるだろうかという基準につきまして、今お話し合いを進めておるということでございます。
  50. 北山愛郎

    北山分科員 三百七十三億の数字は、部内の数字であるのが漏れたのは恐縮であるというお話でありますが、そんなことを恐縮なさらぬでもよろしいのです。もっと別のことを恐縮してもらいたい。というのは、今ここに至って再建法が実施になって、一体その再建法を適用する基準というものについて、政府部内において自治庁と大蔵省の間で意見が一致しておらない。今の答弁でもわかる通り、自治庁では一応六百四十八億からいろいろな不要額を引いて、四百なり四百五十億という見当をつけて答弁されておる。これは政府一つ答弁なんです。ところが大蔵省答弁では、さらに作業してみなければわからぬという答弁なんです。これでは政府の態度、方針が統一しておるとはいえないでしょう。大蔵大臣と自治庁長官はどういうふうにお考えですか。
  51. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういう点について大蔵省と自治庁の意見の相違があるわけじゃないと思います。ただきめてしまう間にいろいろ相談がある、こういうふうに私は了解いたします。
  52. 太田正孝

    ○太田国務大臣 事務当局の間のいろいろないきさつはあるかもしれませんが、今大蔵大臣が言ったように、両方一致して、このせっかくの再建促進法でありますから、目的を達するようにいたしたいと思います。
  53. 北山愛郎

    北山分科員 どういう答弁があろうとも、現実に一向一致した意見になっておらない。それは、私だけが納得できないばかりでなく、再建促進法が実施されるというので、今地方の赤字団体は、再建法の適用を受けるかどうかで迷っておる。その際、一体赤字についてどれだけの融資をしてくれるかということが非常な関心の的でございます。その点についての方針がきまっておらぬ。それでは、法律は一応実施したけれども、まだ政府としては、その基本的な問題が明らかにされない限りは、地方団体に適用を受けろなどといよううなお勧めばできないわけなんです。これは一日も早く決定しなければならぬ問題だと私は思うのだが、一体自治庁と大蔵省の話し合いがいつついて、どういう基準で実施するかという問題がいつきまるのであるか、どういうふうな順序できまるのであるか、これを一つはっきりとしていただきたいのであります。
  54. 後藤博

    ○後藤政府委員 この点について、大蔵省と自治庁の間に非常な見解の相違があるようなお話でありますが、そういう意味ではないのであります。先ほど大蔵省からお話しがありましたように、再建団体につける起債の額、それから赤字の額というものの検討の途中において出た数字が三百七十三億というふうに私どもは理解しておりますし、そういうふうに大蔵省もおっしゃっております。従って、その後われわれの方の数字を基礎にして四百億という数字がきまっておりますので、四百億がやはり再建債の対象とすべきもの、こういうように考えておられるものと考えます。ただ私が先ほど申しましたように、個々の再建団体におきましては、再建債を必ず全額つけてくれというものばかりではないと私ども考えております。従って、そういう場合に一体どう処置するか。希望額を基礎にいたしまして、その中でどういうものを落すべきかというようなことにつきましては、団体の再建の内容が非常に複雑でございますので、一応検討した上で、再建債の内容につきましてはっきりしたことを出そう、こういうふうになっておるのであります。その作業は、大体今月一ばいくらいやってみて方針をきめたい、かように考えております。
  55. 北山愛郎

    北山分科員 政府の部内における意見の対立というものが問題なんではなくて、むしろ外部から見て、統一した政府の意見というものが表明されておらぬということが問題なんだ。しかも、それは融資率の問題でありますから、早く明らかにする必要がある。地方団体に対して、一つのこういうふうな基準でやるんだというようなことを示す必要があるのでありますから、一つこの問題は早急に話し合いをつけて、そして地方団体を安心させるというか、納得をさしていただきたい。これを要求しておきます。  それから次に税金の問題でありますが、まず最初にお伺いしたいのは、昭和三十年度の補正について、これは私も本会議で討論をいたしましたが、昨年の十二月の臨時国会の際に、地方財政の赤字対策ないし年末手当の問題についていろいろ要望をいたしましたところが、財源がない、ことしは税の自然増もほとんど期待されないというような答弁大蔵省当局は各委員会で申しておったようであります。ところが、それから二ヵ月もたたないうちに百六十億の自然増が補正予算に計上されるということは、どうしてもわれわれは納得ができない、どうしてこういうふうな経過になったか、これを一つ明らかにしていただきたい。
  56. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 主税局長がおりませんので、私が一応かわってお答え申し上げたいと思います。  昨年の十月、十一月くらいまでの時期におきましては、租税の自然増収が大体百億どまりであろう、しかし他方専売公社につきまして七、八十億の減収が予想されるので、歳入全体としての自然増収は、せいぜい二、三十億ではあるまいか。当時地方財政で問題になりました金額は、百六、七十億という金額でありまして、二、三十億の自然増収までも全部これをさらってその財源に供することは、財政の健全性を維持する上からいかがであろうか、そういう気持でお答えもいたしておるのは事実でございます。しかるに、その後だいぶ情勢が変って参りました。と申しますのは、官公吏につきましては、〇・二五の期末手当の増額がありました。これは国家公務員のみならず、地方公務員にも及んでおるわけでありまして、もし地方において全部これを支給しておられるとするならば、百二十億くらいの金額にもなるわけであります。この一つを取り上げましても、そこに若干の自然増収が生まれるわけでございますが、のみならず、当初年末調整の結果がどうなるであろうか。これは御承知のように、昨年の減税が下半期において適用されましたので、この年末調整への影響がどうなるかということで、非常に不安な気持で見積っておりましたのでございますが、結果といたしましては、今の官公吏の期末手当の増額、民間も、おそらく若干これに右へならえをして増額したところもあろうかと思います。そういう実質的な給与の増額ももちろん原因であったと思いますが、年末調整後の十二月の所得税の収入状況は比較的良好であったわけでございまして、その当時から二ヵ月も経過した二月の状態といたしましては、補正予算で見積りましたように、租税におきまして百六十億程度の自然増収が見積れるという結論に達したわけでございまして、昨年の臨時国会におきましてお答えいたしましたときと今日との間に、ただいま申し上げましたような情勢の変化がありましたことを御了承いただきたい、さように考える次第であります。
  57. 北山愛郎

    北山分科員 十分納得はできかねるのですが、その問題はそれだけにしまして、昭和三十年度の問題でありますが、国税と地方税がどういうふうに総額において変化をしたかということを見ますと、昭和三十年度は国税、地方税を合せまして、私の計算が間違いかもしれませんが、大体一兆一千五百三十六億、ところが三十一年度は一兆二千四百二十一億というような数字になるわけであります。その内訳は、国税が三十年度は七千七百四十八億、三十一年度が八千二百六十七億、地方税の方は、地方譲与税を含んで、昭和三十年度が三千七百八十八億、三十一年度が四千百五十四億になります。そうしますと、八百八十億くらいな国税、地方税を合せて増収見積りになっているわけであります。そういたしますと、これは昨年に比べまして約七%くらいな増収を見ている。もちろん新税の設定、減税等もみな含んで、結果としてそういう数字になっているのです。ところが国民所得の方の伸びは、昭和三十一年度は六兆九千七百億ですか、昨年より四%くらいの伸びしか見ておらない。税の方は七%ということになれば、ここで鳩山内閣は増税の方針に転じたと見るのですが、その点は、大蔵大臣はいかようにお考えでございますか。
  58. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 ただいまのお示しの数字は、おそらく三十年度につきましては補正前の数字じゃございませんか。補正後の数字をとりまして国民所得と比較いたしますと、わずかながら三十一年度の方の国税、地方税の合計額の国民所得に対する割合が低下をいたしている、さような結果に相なっているかと存ずるのでございます。なお国民所得の増加額と租税収入の増加額との割合が必ずしも一致いたしませんことは、これは御承知のことでございますが、所得税等において累進税率をとっております関係もございまして、また所得の課税上の捕捉率の問題等もございまして、必ずしもこれが一致しないということは間々あるわけでございますような関係から、補正前の数字につきましては、一応三十一年度の租税負担が増加するような格好になっておりましたが、補正後の数字におきましては、その点はまだらかなカーブになっていると記憶いたしております。
  59. 北山愛郎

    北山分科員 補正後の数字を控除したとしても、やはり相当国民所博の伸びを上回る増収を見ているわけであります。しかも、その中には新税を相当含んでいるわけでありますから、やはりその点において、課税の方針において昨年よりもよけいとるという方針に変化した、こういうふうに外部からは見られざるを得ないじゃないか。大蔵大臣は、たしか財政演説の中では、国民の税負担はまだ非常に重い、だから減税の必要はある、今年は減税するとは申しませんでした。だけれども、減税の必要はあるということを言われた。減税の必要がある状態を認めつつ、しかも国税、地方税を通じてやはり税負担が重くなる。八百何十億もふえるというような、少くとも絶対額においてふえるということを、財政、金融、税の方針においてとられたということは、やはり従来の減税の方針を捨てて、ことしからやや増税の方に転化していっている、こういうふうに見ざるを得ないのですが、財政方針の演説とも関連いたしまして、大蔵大臣のこの点についての御所見を承わりたいと思います。
  60. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、財政演説にも申し上げましたように、今のところ増税で行くという考え方は持っておりません。特に私が考えておりますことは、直接税が重いということであります。御承知のように、九-十一年の戦前の比較的安定しておった年の間接税と直接税との割合は、面接税の方が三六%くらい、間接税が六一%以上を占めております。この比率が必ずしも適当かどうかなお検討を要しますが、今日では直接税の方がなお五〇%をこえて、私ここで的確には申し上げかねますが、おそらく五一%くらいではないかと思っております。このあり方は、特に戦後の情勢から見まして、直接税に重過ぎるという感じがいたします。これを減じまして、税のあり方としては、間接税に移行させる、こういうのが私の考えであります。特に直接税のうちでも、勤労所得というものに対する課税が重い、こういうふうな考え方であります。ただ、税収自体が前年度に比べて多いという点については、私の今のちょっとの直観でありますから、正確ではないかもしれませんが、これは経済がよくなって、いろいろの関係で、税率との結びつき等からふえるのでありまして、前年度に比べてそのふえ方の率が多いから、必ずしも国民負担がそれだけ大きくなっているとも限らない。そういう点については、なお十分検討を加えていくつもりであります。
  61. 北山愛郎

    北山分科員 国民の所御がふえていますから、それほど税が多くなっても、それはその自然の結果として見積ったのだというようなお話ですが、しかし、それは当然ことしの国税あるいは地方税の方針の中に織り込まれ、計算の中に織り込まれて、たしか法人税などは、五%くらいの伸びを見て計算した結果がそういうふうに出ておる。結果としては、四%以上の七%近いような数字になっておる。特に問題だと思うのは、国税においては五%くらい昨年とことしとで金額がふえておりますが、地方税の方は一〇%。どうも年年国税の方は減税をするとかなんとか言うて、あまりふやしたがらない。その陰の方で、地方税の方は年々増税を行なっておるというようなのが、今までの数年来の国の方針ではないか。三十年度、三十一年度についても、やはり国税は五%で、地方税は一〇%伸びを見ている。この点が、われわれとしては非常に不可解に思うし、地方団体の徴税に非常に困難をさせておる。こういう点も、こういうところに原因があるのではないかと思いますが、自治庁長官はこの点についてどのようにお考えでありますか。特に数字をあげますと、昭和二十七年は、地方財政計画上の地方税は二千九百三十五億、二十八年は三千六十八億、二十九年は三千五百三十二億、三十年は三千五百八十億、三十一年が三千九百七十六億というように、普通の地方税の額は、昭和二十八年に比べましても一千億近い、三分の一くらいふえておる。こういうふうな地方税は、自主財源をふやすという理由でございましょうが、とにかく住民にとっては増税になるわけです。国税がその割合には減らないわけですから、政府は地方税において増税をし、国民負担をふやしておる。面の方で国民負担をふやしておるのではないか、こういうふうに思うのですが、この点について自治庁長官はどのようにお考えになりますか。
  62. 太田正孝

    ○太田国務大臣 お言葉の通り、国の財政と地方財政とにおいては食い違いがございます。地方債が出ておるのに、片方は非募債主義をとっておる。これは公債の面でございます。それから今年百五十億の減税を国税の方でいたしましたが、一面におきまして軽油引取税でございますとか、あるいは都市計画税など、もちろん新税としてある意味の増税になっておると思います。また税と類似した関係の三公社への課税等を考えますと、増税の形に見えると思います。それはお言葉の通りかと私は思います。増税になった分と増収になった分と、二つの数字は今ここで記憶しておりませんが、私の見たところで、今後税制をどうするか、こういう問題になりますと、国の税と同じように、どうも直接税に非常に強くかかっておるようでございますので、この点は、国、地方を通ずる税制改革のときに十分考えなければならぬ点じゃないか。大蔵大臣も同じようなことを言われたと思いますが、地方財政の関係においては、公債の関係において非募債主義でない。それから片方で、税の関係においては、地方財政の立て直しをするため等の関係でもって、かような新税も出ておるような次第でございます。これを端的に見れば、増税のように見えるのはお言葉通りと思いますが、国の財政とその点は行き方が違って、地方財政におきましては、これを立て直すとか再建するためにかかる処置をとっておるのでございまして、数字の点は、もし何なら事務当局に御答弁させたいと思います。
  63. 北山愛郎

    北山分科員 特に地方税について指摘をしなければならぬ大きな問題は、地方財政計画上に見込んでおる地方税の税収見積りというものが年々きつくなっておるという点であります。今計画の方の数字をあげましたが、たとえば昭和二十八年におきましては、地方財政計画上の税収見積りは三千六十八億、ところが実際の決算は三千三百六十二億ということが、約三百億も財政計画よりも地方税の増収があったのです。自然増といいましょうか、計画を上回った数字があったから、地方財政は何とかやっていけた。ところが二十九年度になりますと、これが逆になっておる。計画の数字は三千五百三十二億であります。これに対して決算を見ると、三千四百四十八億という状況で、逆にマイナスになっておる。計画まで達しなかったという決算になっておるわけなんです。その点について、この財政計画が、歳入面において非常に無理な見積りをしてきておる。大体そういう傾向にある。それが二十九年度の決算においてはっきり出てきておる。従って、あと三十年度、三十一年度の決算はまだわかりませんが、やはり計画の方は、特に三十一年度においては二百九十億も自然増を見ておりますから、計画の上で一ぱい一ばい見ておる。一体これだけ税収が上るか、これがわれわれ非常に心配になってくるわけなんです。この点について一つ自治庁からお伺いしたい。
  64. 後藤博

    ○後藤政府委員 ただいま二十九年度の決算と財政計画との比較をおっしゃいましたが、ちょっと私どもの持っております数字と違っております。私どもは、財政計画の数字はおっしゃいました通り、三千五百三十二億でありますが、決算は三千六百七十八億でありまして、百四十六億だけ増収になっております。今までの財政計画と決算とを比べまして、財政計画よりも下回ったことは、財政計画を始めましてからなかったと記憶しております。
  65. 北山愛郎

    北山分科員 今の決算の数字というのは、地方譲与税は含んでおらないのでありますか。計画の三千五百三十二億には譲与税は含んでおるのですか、含まないのですか。
  66. 後藤博

    ○後藤政府委員 譲与税は別にして、今お話したのであります。譲与税は別に、財政計画は二百三十四億でありまして、決算もやはり二百三十四億になっております。
  67. 北山愛郎

    北山分科員 そういたしますと、約百五十億ですか、計画よりも、やはり二十八年度と比べましては、かりにその私の申した数字に間違いがあるとしましても、伸びが非常に少くなるということは言えると思うのです。特に三十一年度の二百九十億の自然増というものの基礎が非常に心配なのですが、従来の通りの伸びが見られるかどうかですね。すでに自然増において二百九十億も見ているのですから、これは無理がないかどうか。この点が一つであります。特にその二百九十億の伸びの中には、たしか法人事業税の分について、八十五億くらい昨年よりもよけい見ておるはずです。八十五億の法人事業税の増収を見ておるのですが、それは、国税の方の法人税の伸びと比べて均衡を失しないかどうかという点をちょっと疑問に思っておるわけです。法人事業税は、大体法人税の三分の一ぐらいと見るのが今までの数字のようでありますが、もしも八十五億という伸びを地方税の法人事業税で見るとするならば、その三・三倍ですか、二百八十億くらいな法人税の伸びを国税の方で見なければならぬ、そういうふうな関係に立ってくるのじゃないかと思うのです。ところが国税の法人税はそれほど見ておらない。今の比率よりも五、六十億低いようになっておると思うのです。これは、地方税の法人事業税の伸びをよけい見ておるか、あるいは国税の法人税の自然増を低く見積っておるか、私はどちらかじゃないかと思うのですが、この点について大蔵省と自治庁から承わりたい。
  68. 吉国二郎

    ○吉国説明員 お答えいたします。法人事業税の見積りは、法人税のベースと同じベースで見積っておりますが、法人税の方におきまして、昨年の税法改正によります分が今年において響いて参ります関係で、事業税との関係では増額部分は変わっておりますが、ベースは全く同じ基礎で見積っております。
  69. 後藤博

    ○後藤政府委員 お答えいたします。自治庁の財政計画を立てます場合にも、法人関係は、これは現年所得でございますので、法人税の所得をそのまま持って参りまして計算をいたしております。従って基礎は一つも違っていない。多少非課税関係で、法人税と事業税と変っておる点がありますが、その程度の差異しかございません。それ以外の個人所得の関係は、御存じ通り前年所得をとります。これは国税の所得税の前年所得を大体基礎にいたしております。これはある経度実績が出ておりますので、この方も例年通りそういう計算をいたしておる次第であります。
  70. 北山愛郎

    北山分科員 どうも今の大蔵省の御説明はわからぬですが、法人事業税の方は、昨年の計画は六百六億です。ところが今年は六百九十一億というふうに、八十五億円の増収を見ておるのです。だから、それをこの比率といいますか、大体三分の一ということで見ていくと二百八十億幾らになるわけです。ところが今度の国税の法人税の見積りは、昨年に比べて二百三十億くらいの増収しか見ておらぬじゃないか。特別な税法上の改正の増収を見込んでもそれくらいにしか見ておらぬじゃないか、こういうふうに思うのですが、五、六十億の食い違いがある。それはどういうためにそういう食い違いがあるか、先ほどの御説明ではわかりかねる、その点はっきりしていただきたい。
  71. 吉国二郎

    ○吉国説明員 お答え申し上げます。法人税は、昨年中小法人につきまして税率を三五%に引き下げた。これが平年度化いたしまして――こればかりではございませんが、そのほか特殊な減税がいろいろあるわけでありますが、これの平年度化した数字が百十二億入っておるわけであります。この関係で差が出てきておるものと思います。
  72. 北山愛郎

    北山分科員 私も税法のことは詳しくは知らぬので、特にこの計算の基礎というものは詳しく知らぬのですが、大ざっぱに考えて、同じベースであるとするならば、昨年の法人税は千九百四十八億、法人醜業税は六百六億でありますから、三・〇四倍、三十一年度の方はたしか法人税は二千百九十億でありますか、法人事業税の方は六百九十一億で、その比率が非常にくずれておるのですが、その点を一つ資料的に、今の説明を数序的に納得できるような資料をいただきたい。  それから次にお伺いしたいのは、地方税においては、発電所の施設、あるいは家屋等についての固定資産税を軽減する規定があるわけであります。ところが最近電力会社は収益が上っておる。従って、このような固定資産税を軽減するような臨時的な規定、措置はやめてしまうべきではないか、このように考えるわけであります。その他の非課税規定をできるだけ整理をするという御方針のようでありますから、電力会社の収益状態にかんがみまして、地方税の固定資産税の特例というものはやめてしまったらどうか、こういうふうに考えるのですが、これについて政府はどのように考えておりますか。
  73. 後藤博

    ○後藤政府委員 私の所管ではないのでありますが、おっしゃいます通り、同定資産税のうち大規模の償却資産、特に発電所等の固定資産につきまして、一定の率でもって落しておるということになっております。収益が上ればこれを上げたらどうかというお話でありますが、本来は収益課税ではありませんので、収益が上れば別な税の形でとるべきだ、かように考えております。固定資産税は、やはり固定資産税の立場から軽減の理由もありますし、軽減の措置をとっていくべきではないか、かように考えておるのでありまして、検討はいたしておりますけれども、現在のところこれをさらに引き上げるという考え方はいたしておりません。
  74. 北山愛郎

    北山分科員 この点はまた別な機会にやることにいたしまして、最後にお伺いしますが、これは大蔵省であります。実は例の八幡製鉄所の世界銀行からの外資の借り入れについて、ちょうど前の火力借款と同じような政府の保証をしておるわけでありますが、この保証契約の調印を昨年の十月にやった。ところがことしの一月になって世界銀行の方から、いわゆる政府の保証契約についての付属書に対する法律的な裏づけについて確認を求めてきた。その結果、日本政府と世界銀行との間にいろいろ応答があって、一応話し合いがついたということに聞いておるわけであります。問題の点は、政府が保証をする、これは、御承知通りに法律と予算の総則に基いてやった行為でありますが、なぜ一体こういうように予算と法律に基いてやった行為について、世界銀行が確認をわざわざ求めてくるのであるか、そして、政府はどのような応答をして、どのようにこの問題が片づいたのであるか、一つその経過をお話し願いたい。
  75. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。ただいまお話しのような点がありまして、これは世界銀行政府との話し合いも片づきました。その詳しい経過は、私も今ここに十分な資料を持っておりませんが、私の知っておる限りでは、別に変ったこともありません。御承知のように、国が保証する場合は、たとえば日本銀行が他からかりに借り入れをするような場合においては、世界銀行の融資の担保に当然日本銀行の資産がなるというようなことがあったり、あるいはまた地方公共団体に関係する担保関係がある、こういうことがあるのであります。しかしこちらの話し合いは、そういうことは実際上起らぬからというようなことで話がついたように聞いておるわけであります。なお詳しいことは、直接資料に基いて説明をいたさせます。
  76. 北山愛郎

    北山分科員 事務担当者が来られるようでありますが、これについては、一体政府はどのような付属文書を向うに出しておるか、その付属文書を示してもらいたい。それから世界銀行から法制局長官の確認書を求めてきたその内容、それから政府と世界銀行の交渉の経過、これを一つ具体的に文書によって提出を願いたいと思います。問題になる点は、世界銀行がなぜ日本政府に法律上の根拠を求めてきたか、実は私の方も求めたいのです。私どもとしても、どうも政府のとった措置に対しては疑いがある。それは何かというと、憲法上の疑いでございますが、今度の措置は、憲法の第八十五条に基いて、国が債務を負担するような場合には国会の議決を必要とする。あるいは八十三条の規定に基いて、昭和二十八年の法律、その前の電源開発法等の法律に基いて、政府の保証し得る法律がそこにできてきておる。ところがその法律の内容には、予算の定めるところによりという文句があるわけです。予算にはどう書いてあるかといえば、この保証限度額しか予算の総則には書いておらないわけです。従って、その金額についての金銭支払いの保証だけを政府がやるならば、それは憲法上あるいはその他の法令に基いた正当な権限に基いた行為である、こういうふうに言えるのですが、それにくっついた付属文書なるものは法律的根拠が薄いのであります。従って、世界銀行日本政府に対してその法律上の確認を求めてくる、これは、われわれも求めたいところなんですから、今の付属文書なるものが法律的に見てどのような性質のものであるか、これを一つお伺いしておきたい。どういうふうな解釈で、こういう付属文書でもって日銀なりあるいは地方公共団体の財産についての担保権の制約というものができるのであるか、こういう約束をしたような文書というものはどういう法律上の効果があるのか、これをお伺いしたいのであります。どういう考え方、どういう根拠に基いて政府はそのようなことをこの前の火力借款においてやり、今度の八幡製鉄でやり、またさらに三菱造船、トヨタ自動車、石川島重工などの場合にやろうとしているのであるか、これを一つはっきりしていただきたい。
  77. 山本勝市

    山本主査 北山君、文書で返事をもらうのですか。
  78. 北山愛郎

    北山分科員 文書は文書でもらいますけれども政府としては、どういう確信でやっているか、大蔵大臣から聞きたいのです。
  79. 山本勝市

    山本主査 午後二時に再開しますから、そのときに返事してもらうことにしたらいかがですか、今法制局長官を呼びましようか。
  80. 北山愛郎

    北山分科員 それでは御答弁がないようですから、これはもちろん法制局長官にも関係しておりますので、一つ文書を出していただきたい。午後二時といっても、いろいろほかの質問者の都合もあるでしょうから、私はあとの機会に、何らかのほかの委員会においてこれをお伺いしたいと思う。特に、これは地方公共団体の財産にも関係しているわけですから、地方行政委員会においても問題になるし、また自治庁長官としても関心を持たざるを得ないと思うのです。事は地方団体としての小さな問題と言えるかもしれませんが、私は、今後次々とこういうような借款が出て参りまして、そのたびに政府が保証する、その保証が金銭保証じゃなくて、それに附帯したいろいろな保証をしていく、極端にいえば北海道を担保に入れるということも、もしも今までのようなお考えであれば可能になってくるわけです。そんなことを国会は許しはしないわけです。法律にそういうことは認めておらない。予算の定めるところによりと、予算の中には、ただ限度額を示してあるにすぎない。それ以外のいろいろな附帯した義務、債務を国が負うということになれば、これは国会の議決が要るということは、憲法の第八十五条の精神にかんがみて当然そういうことになってくると思う。そういう点について、どうもあいまいもことして今まで事を運び、将来こういう借款をやろうとしている。この点を一つはっきりしていかなければならない。これは、われわれは相当重要な問題であるというふうに考えますので、資料をいただきまして、別の機会お伺いをするということで、私の質問はこれで終ります。
  81. 山本勝市

    山本主査 午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十分休憩      ―――――・―――――    午後二時十五分開議
  82. 山本勝市

    山本主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。井上良二君。
  83. 井上良二

    井上分科員 私は、主として大蔵省所管の税制改正に関連をいたしまして質問をいたしたいのであります。税制改正の諸問題は、大蔵委員会において詳細に政府の所信をただしたいと考えますが、昭和三十一年度一般会計における租税及び印紙収入の予算額は八千二百六十七億一千七百万円の金額に達しておって、この歳入予算の大部分を占めます租税の収入に関連して、国税徴収の実態、それから末端事務をつかさどっておる職員の問題について、二、三質問をしたいと思います。  国税徴収事務は、他の各行政庁の事務と異なって、ただいま申し上げました通り膨大な現金を扱う行政でございまして、従ってその運営及び管理というものは、きわめて重要な問題がたくさんございます。そこでまず最初に伺いたいのは、この租税徴収をいたしますのについて、政府は課税の実態調査というものを一体どの程度把握しているかという問題であります。政府が本委員会に提出しております和税収入の説明書によりますと、源泉所得における課税人員は八百四十六万七千人、申告所得者が百八十八万七千人、合計いたしますと一千三十五万四千人という膨大な課税人員になります。このほかに法人税を納めております法人及びその他各税目にあげられております納税者は相当多数に上っております。この実態を現在税務職員五万一千余名で行なっているのでありますが、一体これで完全に課税の実態調査が把握されているかどうかということです。この点に対して、まず課税徴収の実際を担当しております国税庁長官から、どの程度課税の実態が把握されているかということを御答弁願いたいと思います。
  84. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 ただいま御質問がございましたように、現在の課税対象といいますか、納税者あるいはいろいろ間接税関係等がございますが、そういうものは、お示しのように非常に大きな数に上っておりまして、これは五百人の税務職員が調査し、賦課徴収をいたしておるわけでありますが、なかなか御指摘のように、百パーセント捕捉の完全を期するということは、これは理想的にはそうならなければならないところでありますが、むずかしいことであろうと思います。ただ御承知のように、終戦直後非常に経済界も混乱いたしまするし、また税務職員も若い、まだ経験の乏しい者がこれに当っております。しかも、それでむずかしい経済情勢に処して仕事をしなければならぬ。また一方税制面におきましても、いろいろ税制改正等が次々とありまして、なかなか応接にいとまがなかったという時代がございまして、そういうときには、どう見ましても捕捉が十分でないということが考えられたのでありますが、その後税制等もだんだんと整備して参りました。それから職員の素質も向上して参りました。なお何といいましても、経済界全体が安定してきましたために、それぞれの個人の状況とか、あるいは給与の支払い状況、その他いろいろ経済の実態というものが、当時と違いまして、捕捉がしやすくなっております。なお職員の素質の向上とか、いろいろと調査技術の修練とか、こういったようなことにつきましても、ここ数年来非常に努力して参りましたから、もちろん完全というようなことは申し上げられませんが、一般に所得税の基本の捕捉というものは、最近では非常に向上してきておるのじゃないかというふうに、一応私どもとしては考えておるわけであります。もちろんいろいろと努力しなければならぬ点が多々あろうと思いますが、現状におきまして、以前に比べれば非常によくなってきておるというふうに、一応私としては考えておる次第であります。
  85. 井上良二

    井上分科員 せっかく国税庁に対する質問中でございますけれども開発庁長官にお忙しいところをおいで願いましたから、主査のお許しを得まして、開発関係のことで、先に簡単ですから、質問を済ましたいと思いますので、お許しをいただきたいと思います。  北海道開発庁長官にお伺いをいたしますが、北海道の開発の重要性から、さきに政府は北海道開発庁を設置いたしまして、符に国務大臣をしてこの主管大臣に当て、さらにその後国会におきましても、北海道開発の重要性から、満場一致で北海道開発の促進を議決をいたしたのであります。これらの関係から、最近政府与党部内におきましても、北海道における開発を急速に促進をしたいということから、北海道における国の行政機構の改革について、諸般の検討を進めておるようでございますが、政府の方において、現在の政府の行なっております開発庁の機構で、北海道の開発は実際不可能であると考えておるかどうか。もし不可能であるとするならば、国の行政機構を、北海道開発機構をどう一体改正しようとするか、政府考えております構想をまず御説明を願いたいと思います。
  86. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 お答えいたします。北海道の開発の急務なことは、仰せの通り国会でも御決議をしておる状態であります。また従って、北海道開発庁としてできるだけこれを考えております。現在の制度においても、私はまだまだ開発する方法はたくさんあると考えて、目下それを検討しております。さらにまた、現在のこの制度がいかぬから、これを改正しようという案が、仰せの通りあります。これは、今党の方において調整しておるようでありますが、ただ私自身から申しまして、この点はいかがか。北海道庁というものは、御承知通り北海道開発に関する立案、調査及び事業の実施に関する総合調整、推進、こうなっておりますので、開発庁ができておるけれども、これが直接実施機関になっておりません。この点については、私はやはりこれは不合理で、何とか改良した方がよかろうと思っておりましたが、なおその他の点において党の方でやっておりますけれども、私はまだ知りません。そういう事情であります。
  87. 井上良二

    井上分科員 御存じ通り、現在は政党内閣でありまして、政党の政策を政府が実現をするという建前になっております。与党において、北海道における開発機構の改正に関連する諸立法の立案等をやられておることについて、担当大臣が全然知らぬというのは一体どういうことでございましょう。
  88. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 お答えいたします。あるいは先ほど私の言葉が不十分であったか、知らぬとは申しませんけれども、あまり詳しくは知りませんということでありまして、そうして、先ほど申した通りに、北海道開発庁ができておるけれども、実施機関になっておらぬ、この点は理屈からいっても私はよくないと思います。その他の点について、党がいろいろやっておりますから知ってはおります。しかし詳しくは知りません。私の方でなお考究しておりますから、うかつに発言もできませんので、目下研究中ということを申し上げておるのであります。
  89. 井上良二

    井上分科員 政府で、内閣に作っております北海道開発庁は、北海道開発に対する立案、あるいはその立案に裏つける調査、また各省にまたがりますところの北海道開発の行政事務を調整する、こういうことであって、開発庁自身として実施機関としての役割を果していない。そこに非常に問題があるので、その点についてば何とか検討せなければならぬ、こういう御答弁のように承わりました。そういたしますと、政府といたしましては、党が北海道開発に所要の目的を達し得るような機構改革を検討いたしました場合、それを直ちに法制化いたし、予算化する確信をお持ちですか、それを伺いたい。
  90. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 お答えいたします。ただいま党が作って、実施の確信があるかというお問いでありますが、確信と申されますと何ですが、できるだけ研究いたします。よいものを出したいと思っております。
  91. 井上良二

    井上分科員 そうしますと、政府自身で現在の開発庁の機構を実施機関として改正するというような、政府みずからの機構改革に対する検討はせず、ことごとく与党たる自民党の政調会の特別委員会の結論を待つ、こういうことですか。
  92. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 お答えいたしますが、与党の結論を待ってやるかというお問いのように聞きましたが、私の方としましては、人の結論を待つというわけじゃありません、研究はいたしております。しかし、私はそれよりも、なお現在の制度においても大いに北海道の開発はやれる、やらなくちゃならぬ、やり得ると考えますので、それを今熱心に研究しております。
  93. 井上良二

    井上分科員 私、特にこの問題を本委員会で取り上げましたのは、実は国会に北海道開発の特別委員会を設置したいという要求が一部に起っておるのであります。設置するについては、それに付託いたします案件が必要でございます。その案件は、衆議院の各常任委員会のどの委員会に付託しましても、所管省の権限がまたがっており、争いがあってなかなか審議が促進できない。だから、特別委員会でまとめてやった方が審議が促進できる、こういうことが中心のことになっているわけです。ところが、その付託すべき案件の中心議題が北海道開発の機構改革の問題であります。  そこで、機構改革ということになって参りますと、政府提案で参りますか、あるいは議員提案になりますかわかりませんが、当然予算の伴う問題でありますから、おそらく政府提案が正当のものと私どもは了解をいたします。そうしますと、政府みずからにおいて、現在の開発庁の機構運営については非常に支障がある、大臣みずから、その長としての十分な権限が実施できない、そこで開発庁の機構をもう少し拡大強化する、そして実際北海道の開発が円滑に進むように機構を変える。たとえて申しますならば、農林省の林野、あるいは開拓等の行政事務を開発庁に取ってしまう、あるいは運輸省関係の港湾、土木等の関係を取ってしまう、建設省関係、自治庁関係、あるいは通産省関係、それぞれ各省が北海道に莫大な予算を使って事業を実施しておりますが、これらの各省にまたがる北海道の開発実施事業開発庁の実施事業として統括するという方向に持っていこうとするか。そうではなくして、これは国全体の行政及びその他諸般の事情から、やはり各省の実施面として残して、北海道に関する限りは、いたずらに二重の権限がまたがって開発振興にいろいろな弊害を生ずる面を、開発庁が中へ入って円満な調整をはかって、それぞれ開発の成果を上げるようにあなた方が努力する、こういう行き方ですか、どっちですか。
  94. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 お答えいたします。北海道の制度改革を、今たまたま政府においても、行政管理庁というものがありまして、全体的に考えております。そういう際でありますし、しかもこれはさっきお話しのありました通りに、各省にわたっている大問題でありますので、北海道だけの立案ではなかなかいかぬ点がありますから、これは慎重に考慮しております。それよりもこっちの、さしあたり現在の制度においても、もっともっと北海道の開発に寄与したいと考えております。
  95. 井上良二

    井上分科員 そうすると、こう解釈して差しつかえありませんか。北海道開発の機構改革の問題は、他の行政庁の機構改革と並行して検討すべきであって、北海道開発機構だけを特別にどうするということは困難であるので、そこで現在設置されております開発庁の機能で、成案ができ上りますまでは、現在の機構を百パーセント活用して開発に支障のないようにやっていきたい、こういうのですか。
  96. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 大体今お話しの通りと思います。ただ少し違います。私ども開発丘としては、全国の問題もあるし、なかなか大問題であるから、考慮しているが、幸いに党の方で熱心に研究せられておりますから、その方にまず一つやってもらう。われわれは、制度改革のことをやらなければならぬけれども、とりあえず現在の制度のもとにおいて北海道の大開発をやろう、こういう考えでありますから、その意味をよく御了解していただきたいと思います。
  97. 井上良二

    井上分科員 そうしますと、政府みずからとしては、積極的に北海道開発の行政機構を改善するというか、拡大強化するといいますか、そういう意思があってもやりたくない、というと語弊がありますが、そういう意図はあるけれども、実際は党がやっているから、党の成果を待ってみるということで、党の方の仕事におまかせなさって、政府みずからとしては、この機構の問題には手をつけない、こういうことですか。
  98. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 今のお話は、まことに私もその通りだと申し上げたいが、少し違っております。何も積極的に手をつけぬわけではない、こっちもやはり手はつけますけれども、党は一生懸命やっているから、まあ党のものを見まして、われわれも及ばずながらやるという程度であります。それよりも、目下の急務である事実上の開発をやるという点に力を入れている、こういう意味であります。
  99. 井上良二

    井上分科員 もう一点はっきりさせておきますが、党の方で成案が進みつつあることは、開発庁みずからが御存じのことであります。そういたしますと、今およそできております党の開発機構の改革案の大綱をごらんになりましたか。
  100. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 お答えいたします。今党の方でやっておりますのは、ただ話は聞いておりますけれども、まだ書類で見たことはありません。また詳しいことは、まだ聞いておりません。
  101. 井上良二

    井上分科員 これは、開発庁の事務当局が大臣に報告することに支障があると考えておるのか、あるいはまた他にいろいろ御都合があってのことか知りませんが、私のもとに、これだけ膨大な自局党の特別委員会で作った案が手に入っておる。これをあなたが全然知らぬ、しかも与党出身の大臣が、しかも担当責任のあなたが全然これを知らぬと言われたのでは――それは大まかな相談や話は聞いたであろうけれども、こまかい質問をされた場合に困るから、そこでこまかいことについてはよく記憶していない、大綱については大体承わっておるというところではないかと私も良心的に考えるわけです。  そこで伺いますが、その大綱を知っておってけっこうです。開発庁設置法案の要綱は、あなたがさきに御指摘になりましたように、国の行政機構の改革と並行してやりませんと、できない内容を含んでおるのです。さきにも申します通り、運輸、農林、建設、商工、自治庁、各省庁にまたがっておる行政が実施面で紛淆しますから、どうしてもそれを整理しなければならぬことになります。従って、国の行政機構の改革の一環として、北海道開発庁の機構をどうするかということは、並行して各省との調整を待たなければなりません。国全体の予算計画産業計画経済政策としてやっておるものを、あなたの方が北海道だけ分断して勝手にやるというわけには参りません。そんなことをし出したら、今度は九州は九州ブロックで、四国は四国ブロックで、東北は東北ブロックでということをやり出して、国全体の対策方針も立ちませんから、そういうことは私はできないことじゃないかと思います。そういう意味から、北海道開発庁の現在の機構がその目的を十分に果す上にいろいろな支障と困難があってできないとするならば、当然他の行政機構の改革と並行して検討されるべきである、こう私は考えますが、大臣はさようお考えでございますか、どうですか。
  102. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 お答えいたします。私も大体今お話しのような意味を申し上げておったつもりでありますが、何しろ党が非常に熱心だから、一生懸命やっておるのを聞きたいと思っておるわけでありますが、もちろんさっき申し上げたように、国家の機構の改革がありますから、それとにらみ合わされることになりゃせぬかと思うております。これは私の考えであります。
  103. 井上良二

    井上分科員 この問題は国会方でも、国会法の規定に基きまして、北海道開発の特別委員会を設ける設けぬかということで、その付託案件がどういうものであるかということを中心に議論をいたしておりますから、ただいままでの大臣の御答弁によりまして、大体の見当が私つきました。これ以上は、もしこの北海道開発の特別委員会が国会に設置されるという具体的な提案が行われます場合に、ごめんどうですけれども、議院運営委員会に大臣の出席を求めまして、そこでさらに具体的に質問をいたすことにいたしまして、本日は、あなたに対する質問はこの程度にとどめたいと思います。どうも一御苦労さんでした。  それでは、さいぜんに続きまして、国税徴収関係の質疑を続けたいと思います。さいぜん阪田国税庁長官は、最近経済事情も非常に落ちつき、かつ税務職員も漸次訓練され、次第に税法関係の各法文もよく熟知する事態になってきたので、終戦直後の時代から比べれば、和税の実態の捕捉については敗訴された跡がきわめて顕著である、こういうきわめて抽象的な御答弁でございました。私の伺いたいのは、こういう抽象的なことではなしに、たとえば源泉所得の場合、その源泉所得の何%まで実態調査が完全に行われておるか、申告所得の場合、約百八十八万七千人からの申告所得者がございますが、このうちのどのくらいのパーセンテージまでは、租税の実態を捕捉しておるかどうか、また法人税を納めております法人数はどのくらいあって、そのうちの何%までは大体調査を完了して捕捉をしておるか、こういうことを聞いておるのでありますが、その辺のところはわかっておりませんか。
  104. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 ただいまの具体的にどの程度各税目について捕捉ができておるか示せというお尋ねでございますが、そういうこと自体、具体的な数字で申し上げることはむずかしいわけでありまして、やはりお答えが抽象的になって恐縮でございますが、源泉所得税とは、御承知のように支払者が徴収して、支払者が国庫の方へ納めてくるものでございます。そういう支払者につきまして、これは全部ではありませんが、報告を監査しますとともに、そのうちの一部のものにつきまして実態を調査しております。実情としては、この捕捉は、御承知のようにかなり徹底的に行われておるというふうに私考えております。  それから申告所得税関係でありますが、これは営業、農業、その他いろいろ業態によっても差がございます。御承知のように、農業等は、実態調査といいましても、標準的なものを調査いたしまして、それによって標準率を作り、その標準率によって納税しておるといったようなものが、数といたしましては非常に多いわけであります。営業所得の関係は、実額調査をいたすものもありまするし、また他の実際に調べた業者、確実に捕捉されておると思われまする業者といろいろ比較検討いたしまして、権衡によりまして決定いたすようなものもございます。いろいろそういったような区別がございますが、本年度の実額調査の割合ばどの程度になっておりますか、ただいま正確な数字は持っておりませんが、大体営業者の対象となるものの二、三制程度は、実額調益といいますか、いろいろ簡易な調査とか、徹底した調査とか、差異はありますが、調査しておるような実情にあると思います。なおこの営業所得関係は、御承知のように申告納税、納税者自体が自己の所得を調べてみずから納付する、こういうことが建前になっております。そういったようなことが徹底いたしますように、青色申告の納税の制度とか、こういうものができておりますがこういった関係で、青色申告をしておる業者が、個人の営業所得者でいいまして、現在もう大半に近い状態になっております。青色申告者の質的内容といいますか、実際どの程度ほんとうにまじめな誠実な記帳がされ、申告がされておるかということにつきましては、これは多少問題があるかもしれませんが、しかし、誠実な申告をするということで、青色申告をしておるといったようなものは、五割近くにもなっておる実情になっておるわけであります。  なお法人税の方も、御承知のように今申告納税の建前になっておりまして、また申告額というものも、だんだんよくなってきておるように私どもは見ておるのであります。法人税につきましては、これもやはり実際に会社の事務所なり工場におもむきまして、非常に精密な調査をいたしますものと、部分的な調査にとどまるものといろいろございます。また簡易なものにつきましては、机上で申告書によって処理するものもございます。これも簡易なものも含めますれば、実額調査――ただいま正確な数字を持っておりませんが、個人の営業者よりもやや多い割合になっておるはずであります。大体そのような状況になっております。
  105. 井上良二

    井上分科員 はなはだ抽象的な答弁で要を得ませんが、私ども実際各税務署の徴税の実際を見せてもらいまして果して課税人員に対する実態調査がどの程度行われておるかという問題は、御存じ通り、最初大蔵省が内示しました予算から、与党との折非常衝でに増額をされまして、その原資に政府は困った結果、相当歳入における租税収入の自然増を、本年はだいぶ甘く見たことになっておるわけです。そこで、どうしてもその裏返しに、徴税が強化されてくるということが予想されます。その徴税の強化をするに当りまして、当然実態調査というものが完全に行われることが必要でありますのに、五万一千余の税務職員をして膨大な課税人口を対象にする実態調査の把握をするのは、非常に困難な実情になっておるというということを、私どもは実際に知っておるわけであります。たとえて申しますと、申告所得税の分におきましても、実際は三〇%くらいしか調査がされておらない。法人の場合も同様であります。そういう状態に置かれておる実態調査の上に、徴税強化を要求して参りますものですから、一そう実態調査の必要性を強化してくるわけです。そうすると、五万一千の人で果してそれだけの成果を上げ得るかどうかという問題になってくる、ここに問題があろうと私は思うのです。五万一千の人で八千億からの徴税をするのでありますが、一体これが完全に行われておるかどうか。あまりにも税務職員に対する、何といいますか、労働の強化という結果を招きはせぬかということを私どもは憂えるわけですが、その点国税庁長官はどうお考えですか。これだけの人間で、八千億からの税金を徴収するのに、ただいま申す通り、わずかに二、三〇%しか徴税の実態というものは把握されておらないのであります。そこに、どうしても税務職員に大きな圧力が加わっていくと思うが、これをどうお考えですか。大蔵大臣は、さようなことはないとお考えになりますか。長官と大臣から御答弁を願いたい。
  106. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。今日の徴税の官吏は決して楽ではない、非常に勉強願っておると思っておりますが、幸い皆さんの御精励で、まあまあやっておる、こういうようなところだろうと思っております。
  107. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 ただいまお尋ねがございましたが、本年度の自然増収を補正予算の財源に見積っておりますが、これはすでに年度末も近づいておりまして、今日までの租税の収入、あるいは賦課の実績と、これらの収入見込みを勘案いたしまして、あの程度の増収はあるということの見当がつきましたので、そういうものを計上しておるわけでございます。内容を見ましても、御承知のように、たとえば源泉所得税関係の税収入、これはいろいろと年末の給与関係等で、予想よりも多く出たというようなことが原因になってああいうふうになっておるわけでありますが、いろいろ客観的な事態に応じまして増収が出てきておるということでありまして、増収を上げるために特に徴税を強化する、その収入を上げるために崎に調査をして、税務職員を督励して収入を上げるというようなことは考えていないわけであります。それで、ただいま仰せになりましたように、営業者等につきまして、実態を調べないでやっておる、あるいは今の人員で調べられるかどうか、こういうふうな問題でありますが、先ほど申し上げました実額調査といいますのは、これは業者の実態について、帳簿その他から収支のそれぞれの金額につきましてすべて実際を調べて、それで所得を捕捉するといったような調査をする場合を申しておるわけでございますが、もちろんその他の問題につきましても、調査をしないで課税をするということはありません。ただ実額調査というその全面的な収支全体についての、実地に当っての調査はしていない、こういう趣旨ですから、御了承を願いたいと思います。  なお先ほど申し上げましたように、青色申告の方が五割程度まで現在あるわけであります。中には不完全なものがあるかと思いますが、とにかく収支について記帳をして、所得を出しております。そういうふうな実態であります。  なお実額調査の問題は、ただいま全部実額調査というふうなお話もございましたが、青色申告になっていないものにつきましては、税務署員が行って実際を調査しようといたしましても、帳簿がない。従って営業の実態を調べるというところの実額調査というまでの調査ができないものも、これは白色申告の方にはかなりあるわけでありますが、現状におきましては、お示しの申告所得税関係の税額に比べまして、署員の人手も要しますし、手数のかかる税であります。しかし、できるだけ人を差し繰りまして、現状においてやれる限りのことはいろいろ工夫いたしまして、調査はいたしておるようなわけでございます。御了承を願います。
  108. 井上良二

    井上分科員 時間があまりありませんから、要点だけ大臣及び長官の所見を伺いたいのですが、私の考えておりますのは、全国五万一千余の税務職員でもって、果して完全な収入の実額が捕捉されておるかどうか、実際はされてないのです。その上に徴税攻勢をかけていけば、結局この五万一千の税務職員の大きな負担になる。だからもう少し職員の数をふやすか、待遇をよくするか、それとも徴税機構を機械化し能率化する方法を新しく考えるか、何かここで手を打たなければいかぬことになりはせぬか。五万一千の職員を使って、完全に徴税がされておるという自信はお持ちでないと思う。というのは、今大臣も、まあまあとにかくやっておると言っておる。まあまあどうにかやっておるようなことでは、それは政府としては、まじめに税金を納めておる者の立場からいえば、一方にごまかす者がおったということになりましては、これは妥当な徴税行政とに言えません。   〔主査退席、椎名(隆)主杏代理着席〕  そこで、だれが見ても、だれが調べても正当に税金が納まっておるということにしなければいきませんので、そうするには、この五万一千の職員では足らぬのではないかと思うが、これでいいとお考えになっておるか、この二つについてお答えを願いたい。
  109. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 徴税の人員が十分であるかどうかという点につきましては、国税庁長官から答弁をさ、せますが、この税務署の方々に、これは徴税をするとか、あるいは税務に携わるというような意味から、私も実は同情を持っておるのでありまして、普通のお役人と違います。従って、できれば、たとえば公務員住宅でもできた場合に、税務署の人は警察官等と類似というと悪いのですが、同じように、なるべく入れてあげたいという気持を持っております。
  110. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 現在税務官吏五万数千の人員で十分かというお尋ねだと思いますが、これは、私ども国税の賦課徴収に当っております者といたしましては、やはり自信のある良心的な仕事をするというためには、人員が多ければ多いほどいいということは言えると思います。ただ現状におきまして、職員の数を増加するとか、あるいはまたその結果徴税費の増高を来たすということは、やはり自分の都合ばかりは考えておられない、そういった面も十分考えなければならぬと思いますし、なお税の賦課、徹底、公平を期するという点については、税務署員をたくさんふやして調査なり徴収を徹底すればよいというものでもないのでありまして、やはり現在の税制の考え方からいたしますれば、納税者に税制なり納税のことにつきまして理解をしていただいて、民主的といいますか、自主的な納税がされるように持っていくというようなことも、一面では非常に大事なことであると思うわけであります。ただのがれようとする者を税務官吏の数をふやして捕捉しよう、こういったような考え方だけではいきかねる面があるのじゃないかというふうに私どもとしては考えておるわけであります。
  111. 井上良二

    井上分科員 私の、その人員で徴税が完全に行われるかどうかということを質問しております重点は、一方政府は、予算額にきめられておる税収を確保しなければならぬ。そのためには、どうしても徴税を強化していかなければいかぬ、強化するためには、そのしわが税務職員にかかってくる、この結果から税務職員の待遇、身分というものが十分考えられないと大へんな問題を起す。現在あなたの手元に集まっております全国の国税関係の税務署で税に関連した刑法上の犯罪、これが一体どのくらい昨年から最近まで上っておりますか。相当数ございましょう。この件数を御存じでありますか、どのくらい件数がありますか、ちょっと伺いたい。
  112. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 ちょっとただいま手元に資料がございませんので、調査いたしてお答え申し上げます。
  113. 井上良二

    井上分科員 その次に伺いたいのは、この国税関係職員の過労からくる健康の問題です。他の省庁の職員と比べて国税庁の職員の健康がいかに悪いかということは、すでに先般大蔵委員会でも問題にいたしました。しかし依然として直っておりません。私ども最近の昭和二十九年三月までの調べをいたしましたところが、総職員五万一千のうちに、実に五千七百人の疾病者があって、これは全体の比率にすると一一%に上っておるのであります。こういう状況のもとで、ここ数年間において、この比率は一体どうなってきておるか、最近かような状況にはない、もっと健康になっておると言えますか。それから一方、徴税にからんでの犯罪によって検挙される者がふえていく、一方はみずからまじめにやるためにからだをこわす、そうして、中には長期結核その他のために倒れなければならぬ職員がたくさん出ておることに対して、依然としてわずかの人間にかかえ切れぬような仕事を背負わして、そして事を期そうったって無理です。この犯罪による責任を間われた場合には、その人みずからが悪いということで処分をされて免職されるわけです。さような事態に追い込んだ行政監督者たるあなた方は、何ら責任を感じない、そんなべらぼうなことがありますか。そういうことをやることはもちろん悪いけれども、悪いような仕組み、陥れるような行政指導というものはよくない。そんな指導はしておらぬと言うかもしれないけれども、これは間接にそうなっていくのです。だから、そういうことにならないように、無理のないような仕事の分量を与えて、無理のない仕事をさすということにしなければ、犯罪が起って検挙されるのは勝手だ、病気で倒れるのは勝手だということでこの事実が放って置けますか、どうお考えになりますか。
  114. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 国税庁関係税務職員に病気が非常に多いというお話でありますが、これは、確かにお話しのように約一割程度の――これは、実際に結核等で入院して休んでおる者以外に、要注意とか、要軽労といったような分類に属する者もすべて含めてのことでございますが、この点につきましては私どもも非常に気にしておりまして、いろいろと健康管理という面につきましては、事前にこういうような病気が発生しないように施設をいたしますとか、あるいはしょっちゅう診断その他の注意を加えまして、ひどい病気にならないうちに早く休ませて回復させるといったようなことは、ここ数年来非常に気をつけてやっておるわけであります。それで現状におきましては、総数といたしましては、非常に目立って減るという域には至っておりませんが、ただ実際入院しておる、働けないといったような病人の数は、むしろ減っておりまして、要注意、要するに現在仕事に従事しておりますが、気をつけて仕事をしなければならないといったような分類に属する者、いろいろ症状が見られますが、発病するというようなところまではいっていない、あるいは直りつつあるが、現状軽微な作業しかできないといったような者が中にはふえてきておるわけであります。全体としては、やや状況改善されてきたと思っておりますので、これからなお一そうこういう施設も充実し、健康管理面に一そう力を入れたいと考えておるようなわけであります。  それから非行事件の関係でございますが、ただいまちょっと数字がわかりましたが、昨二十九年度では六百五十七件、本年度は四百五十件ということで、だいぶ減少はいたしております。このことにつきましては、これは、税務の仕事というものが直接納税者の利害に大きな関係を持ちますので、非常に誘惑を受ける、あるいはあやまちに陥るという機会も多いわけでありますので、根本的には、やはり税務職員自体にしっかりした考えを持ってもらうということが、何といいましても一番大事なことであります。その点につきましては、職員の素質の向上、訓練につきましてなお一そう気をつけて参りたいと思いますが、なお御承知のように、税務官署には監察官という制度がございまして、職員の非行につきましては常時調査をいたしております。なお警察等地方官憲とも協力いたしまして、もし非行があれば摘発され処置されるというような体制にして、悪い者が発見されないで済むというようなことがないようにいたしたいという面につきましても、よほど力を入れてやっておるわけであります。そういうような状態におきまして、昨年度と本年度の数字で申し上げたわけでありますが、一昨年等に比べましても、ずっと減ってきておるようなわけでございます。その辺も非常にけっこうなことと思っております。しかしこういう事件が一件、二件あるということ自体、決して喜ぶべきことではございませんので、一そう本年は慎重に処置してやって参りたいと考えておるようなわけでございます。
  115. 山本勝市

    山本(勝)分科員 私も関連して申し上げたいのですが、今井上委員から、税務職員の数が少いために、八千億に余る税の徴収が五万一千人の税務職員では無理だというお話があったのですが、大臣も長官もまだ新しいのですけれども一つよく心して聞いておいていただきたい。これは、井上委員も私も大蔵委員として長くおって、税務職員に対して欠点も長所も理解は十分あるのです。確かに今日の税務職員というものは、酷使というか、ずいぶん仕事が過ぎる。そのために、一般の国民もまた非常な迷惑を受けることにもなってきておる。納税者の納税意識を高めるというお話もありましたけれども、確かに日本の納税者というものの現状が納税意識が低いということは事実で、それなればこそ、よけい税務職員というものは骨が折れる。ですから、井上さんの質問を聞いておって、非常に理解のある質問だと私は思う。国税庁長官としては、感謝していい質問だと私は思うのです。われわれが国政調査をしたり、あるいは大蔵委員会に関係しておる上から、税務署に対しての徴税上の間違いについて文句も言いますけれども、文句を言いながら、これではどうも無理もないという気持をいつも持たされるのです。先ほど大臣が住宅問題について一言触れましたけれども、この住宅などでも、署長を初めとして、税務署の所在地に住居がない。それで遠方から電車で押されたり、自転車に乗って通うておるという実情です。ああいう税務署の職員のような、国民ときわめて重大な関係を持っておる職員が遠方から通って、役所に着いたときにからだが疲れておるというふうな状況において一般の納税者に応待させると、神経も立ってくる。納税者の方からいっても、非常に税務署を恨むというのは、そういうところにも原因があるのですよ。一生懸命にやっておるのだけれども、そういうことでトラブルが多くなる。あなたは、実態をつかんでいないとは答弁できないでしょうけれども、事実上無理なんです。ですから、住宅問題などは私どもたびたびこれまで言っておるのですけれども、知れたものです。税務署の署長と重要な責任を負うておる職員の住宅くらいのものは、そう大したものは要らぬのですから、公営住宅でやるか何でやるかという方法はいろいろありましょうけれども、早く税務署の所在地に宿舎を作る。そうすると、少し悪い者があれば転任させるとかいうこともできますけれども、住宅がないから転任もさせられないという実情にあることはよく御承知通りであります。ですから、これは与党、野党を問わず、痛切に感じておることなんで少くとも税務職員の住宅とか、あるいは人数とかいう問題については、一つ真剣に考える必要がある。それは税務署職員のためだけではなくて、一般の納税者の立場からもぜひとも考えてもらいたい。私は井上さんからいいことを聞いていただいたと思う。この機会に、大臣も国税庁長官もこれを真剣に取り上げていただくことをお願い申し上げる。別に答弁を求めるつもりはありません。一音関連してお願いしておきたいと思います。
  116. 井上良二

    井上分科員 ただいま税務職員の健康の問題及び犯罪関係について非常に改善されたと、こういう話ですが、それは、食糧事情も最近だいぶ落ちついてきておりますし、また漸次税務法規も整備されてきて、一時のような税制改革の大幅な混乱がおさまったのでありますから、漸次落ちついてきておるだろうと私どもにも想定されますが、なおかつわれわれは、過軍労働の問題について、簡単にさようでございますというて済ますわけにはいかぬ問題がございます。   〔椎名(隆)主査代理退席、山本主査着席〕  私が特に大蔵委員会で質問をせずに予算委員会へ来て質問をしておるゆえんは、これが八千億の税収を確保する原動力であるがゆえに、特に大蔵大臣の御同席を求めて、この税務職員の問題について慎重に政府対策を要望したいからであります。そこでいま一つ伺いたいのですが、この税務職員に対する過重労働がいろいろな面で現われて参りますが、特に超過勤務に対する勤務手当が完全に支払われていないのです。私の調べたところによると、たとえば大阪国税局の北税務署において、全員が勤務時間外まで事務に専念しないと徴税能率を上げることができないということで、超過勤務をいたしました。その超過勤務の手当が、予算がないということから、この一税務署において実に四百六十万円が未払いになっておる。これは単に北税務署だけではありません。このケースは、全国の税務署にあるのです。こういう状態で、働いても手当さえくれぬという、こんなむちゃな話がありますか。一体これはどうしてくれるのです。大蔵大臣、払うてくれるのですか、予算がないからがまんせいと言い張るか、大蔵大臣一つ答弁を願います。
  117. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 ただいまの大阪の税務署の問題につきましては、私もそういう話が起っておることは承知しておりますが、実は労働組合との間にいろいろ起っておる事件であるし、まだ話もついておりませんし、実態もまだ確認しておりません。なお十分に調査をいたしていきたいと思っております。ただ超過勤務全体の問題といたしましては、税務官署は、先ほど来いろいろお示しのように、なかなか時期的に多忙なこともございまして、いろいろ事情がございますので、一般官庁よりは超過勤務手当も多目についておるわけでありますが、しかしこれはいろいろと無制限といいますか、その場その場で超過勤務をやっておるというようなことでは、予算に対してやはり過不足を生ずることが当然あるわけでありますので、予算額と見合いまして、適切な時期に超過勤務の命令を発する、そういうことを十分に注意さしてやるようにいたしておりますので、一般的に申しまして、ただいま全国の税務署でそういう問題が起っておるというお話がございましたが、一般的には、大体現状におきましては、予算のつかない支払われない超適勤務というようなことはいたしていないはずでございます。御了承願います。
  118. 井上良二

    井上分科員 徴税に全力を上げて、時間外勤務までして働いておる者に対して、その手当を完全に支払わない。たとえば、今度の官公庁の春季闘争でいろいろ問題を起しておりますが、この春季闘争のいろいろな運動に対しては、ここからここまで出た場合はこうするぞ、ああするぞと言って、えらくむずかしいことを政府が指示するほどに御丁寧な訓示を与えておるのですが、ほんとうに官公吏をして弄ばして国のために働いてもらうのには、こういうところに気をつけてもらわんといけません。ただ文句を言ったら片っ端からひっくくるぞ、ほうり込むぞ、縛るぞということだけではいかぬから、これらの問題を、あなたは監督者として、具体的に主計局その他の方とも連絡をとられて解決を願いたい。  それからいま一つ重要な問題は、国税関係の職員に対しましては、昭和二十三年、社会党内閣当時から税務特別俸給表が適用されてきたのでありますが、これは大蔵大臣御存じですか。
  119. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 さように了解しております。
  120. 井上良二

    井上分科員 大体これは税務職員の地位を安定さして、一切の誘惑や一切の権力におそれずに適正な課税を行うという、その職を国が保障する意味で督別俸給表を作って、税務職員の待遇を保障しておるわけです。この特別俸給表が実施されます前に、税務職員に対しましては税務特別手当というものが二割五分ついておりまして、その二割五分を俸給表の中に織り込んだわけです。従って、一般職とは俸給の上で二割五分の開きがなければならぬことになっておるのです。そこでこれを最初実施しましたときは、法律上の規定に基きまして行われて参りましたが、それが実施後二年、三年、五年、七年、八年とたっていくうちに、いつの間にやらその二割五分の較差は次第次第になくなって、上に来れば上に来るほど逆に一般職の方が高くなっていっておるという事実を一体どうお考えになりますか、これは、どういうことで役所の勘定はそうなるのですか、とても私らのしろうと勘定ではわかりませんが、これはどういうことですか。初めに二割五分の開きがあったのなら、しまいにも一般職との間に開きがなければならぬわけだが、どういうわけでしまいになったら一緒になるのか。一緒になるならいいが、一般職の方が――税務職員は九級九号ですか、ややこしい俸給段階がありますが、それで頭打ちです。ところが一般職の方は十一級とか十二級というところまであるんですね。片一方は九級で頭打ちだ、片一方の一般職の方はさらに段階がある。そうして、その方で税務職員をほるかに追い越していくという二とになっている。一体これはどういう計算の仕方をおやりになっているのですか、そういうごまかしをしてはいけませんよ。初め二割五分の開きをもって計算をしておるなら、その二割五分の開きによって定期昇給を行い、それがずっと段階的に上っていかなければならぬのです。どういうわけでさようなことになりましたか、それを説明願いたい。
  121. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 税務職員と一般職員との俸給の問題でございますが、これはただいま井上委員からお示しのように、二十三年の一月一日に新しい給与ができたわけですが、そのときに、当時ありました税務特別手当というものを取り入れると申しますか、もっと根本的に言いますと、やはり税務という職務の特殊性、仕事もなかなか特殊な性格を持っておりますので、そういうような点を考慮いたしまして、一般の職員よりやや高い号俸差のある特別の俸給表がきめられたわけでございます。ただこの特別俸給表は、その後二回にわたりまして形も変りまして、一般職員との間の号俸差が多少縮小して参っております。これは、やはりその後の職務の実態の変化に伴って、制度的にもそういうような変化があったものであるというふうに私ども考えておるわけであります。ただこの間におきまして、いろいろ実際の昇格昇給等の処理に当りまして十分な措置がとられませんでしたために、実際持つべき号俸の差、これは大体税務の二級で一号、三級では三号、四級ないし八級では四号、九級では一号というような差が一般職との間にあるわけであります。それだけ高いことになるはずでありますが、それだけのものが昇給昇格の操作の関係で実際についていないという問題がだんだんと起ってきました。それを、実は二十九年の一月以後数回にわたりまして是正をいたしたわけであります。それで現状といたしましては、税務職員全部完全には完了いたしておりませんが、税務職員として、現在の俸給制度からしまして、一般の職員に対して持つべき号俸差は持っておるという形に現状ではなっておるわけであります。  なお御質問のございました、税務署である程度のところまでいくと、――税務俸給表は九級までしかございませんから、九級以上に上りますと、これは一般職の方の俸給表に移るわけでありまして、俸給表は変りますが、これはやはりある程度以上のところになりますと、一般の行政職の高いところの仕事とある程度職務内容が一緒になっていくというようなところから、そういうふうな形になってくるわけでありまして、これは、やはり税務俸給表というものの立て方からいいまして、やむを得ない点であるというふうに考えるわけであります。ただ、これは御参考までに申し上げますが、こういうふうに、税務署長なら税務署長がある程度まで行きますと、税務俸給表にとどまる限り、九級以上に上れないということになりますが、これは、やはり経験年数もあり、能力、地位の高い署長で、ある程度資格を備えておる者につきましては、一般の十二級なり十三級なりに上れるわけであります。なおその十二級とか十三級とか、そういう級の税務署長の定数が、これも、従来は実は十三級は三名しかなかったわけでありますが、最近これを八名にふやしました。それから十二級の定数も三十七でございましたが、これも六十六にふやしたわけであります。これも人事院の方にいろいろお願いしまして、こういうふうにふやして参ったわけであります。税務職におるから頭がつかえてしまう、こういったような形には、現状ではなっていないわけであります。その辺も一つ御了承願いたいと思います。
  122. 井上良二

    井上分科員 あなた方上の方で計算のやり方でもっていろいろやられることは、予算その他の関係で起ってくることじゃないかと思うけれども、実務に携わっておる者の考えからいくと、もっとはっきり常識的にわかる計算をしてやりなさいよ、ややこしいことを言わぬで。一般職とはこれだけ違うということが初めから約束されて、出発のときにはちゃんと二割なら二割、二割五分なら二割五分ということになっているんじゃないですか。職員として採用したときの初任給はそうです。それが二年、三年、五年たつと、いつの間にやらひっついてしまう。一般職との間にちっとも特別待遇の価値がないようになってしまっておる。そこに問題がある。だから最初二割なら二割、二割五分なら二割五分の一般職との間に俸給の特別表が作ってあるのだから、その段階でやはりいってもらわぬと働きがいがないではありませんか。現に私ども調べたところによると、これはある税務署から調べてきたのだが、就職してから二十年から二十四、五年たたぬと課長になっておりませんよ。やっと課長にしてもらって、何ぼやと思って調べてみたところが、二万円そこそこです。これで国の大事な税金を扱えといっていばらしてみたってあかんや。私は無理を言っているのではないのですよ。大蔵大臣、ここを聞いて下さいよ。税務署のあるのは大がい二万か三万の町にございますが、その町に一緒におります他の省庁の同じ所長級の俸給を私は行って調べてみた。そうしたら、地区電話局分室長というのが本給が三万二千五百円、これは諸手当を加えますと四万六千七百十四円、地方郵便局長が本給が三万二千三百五十七円、諸手当を加えると四万二千四百八十八円、警察の署長さんが三万五千九百四十二円で、諸手当を加えると五万千四百三十円。保健所長が三万五千四百円で、四万八千五百七十五円、地方の税務署、つまり府県の税務署ですが、この府県の税務署の署長の俸給が五万三千四百三十七円で、手当を加えると五万八千円ほどになっている。あなたの直轄の税務署長の本俸は何かというと、二万九千五百六十一円、この地方庁の税務署長の給与の半分ちょっとです。あなたの税務署長はそれに諸手当を加えると三万九千円、手当を一切入れてやっと三万九千円です。これが署長の俸給です。しかも課長になれば、さっき言った、二十何年も勤めてやっと課長にしてもらったと思って何ぼやと思ったら、二万そこそこや。これであなた、やあやあ言ってみたっていけませんぞ。大蔵大臣、これでいいとお考えになりますか。他の省の待遇の実態と比べて、税務署は大蔵省所管だから、武士は食わねど高ようじだ、腹は減ってもがまんせいということでやらすおつもりですか。こんな不均衡な俸給の実態をわれわれは見て、これではいけませんぞ。どうこれをしようとお考えになっておるのですか。このままでいいとお考えですか。
  123. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 税務職員のためにいろいろと御注意を受けまして、まことにありがたいですが、同時にまた今御指摘のような点、特に税務署長を初めとして、職員が他の官庁の職員に比べて均衡を失するというようなことはあってはいけないと思います。先ほど申し上げましたが、私はやはり税務署の職員等は、待遇の若干よい方がよいだろうというような私の考え方でありますから、そういう不均衡については、今後十分気をつけて、なるべく是正をしていきたいと考えております。
  124. 井上良二

    井上分科員 大蔵大臣からさような御答弁がございましたから、次年度予算編成において、あるいは本年度予算の調整の場合に、これは何かの名目で、法制上の格差にもう少し訂正を加えてもらえば、さらに実質的な待遇が改善されるのではないかと思いますから、これは無理をせなくてもでき得るのですから、ぜひそういうふうに御努力を願いたいのと、それから今申しますように、税務職員は、一般職員に比べて二割からの高い地位を俸給的に保障されております。それが実際行って調べてみたところが、一般地方職員よりも、また他の官公庁の職員よりもはるかに安い給料で放任されておるのです。これは国会におきましても、税務職員に対して、お前たちは他の職員と違って、国が法律でもって、お前さんらの給料は一般職の二割もよけい払うことにしてあるぞ、こういって大きなことは言えない。これではだめになってしまう。だから、私どもがせっかく国会で御審議を願って、協賛を経て、実施面をあなた方におまかせしても、実施面でこんなにごまかされてしまったんでは、国会の議決の意思に反すると思う。それだから、これはぜひ直してもらわなければならぬが、直しますか。
  125. 山本勝市

    山本主査 ちょっと国税庁長官に言いますが、まだあと控えておりますから、答弁はなるべく簡潔にして下さい。
  126. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 ただいまの税務職員と一般職員との間の差を法律の規定通りつけるようにというお話でございますが、これは先ほど申し上げました号俸調整という作業によって、現在制度上定められておりますように、各級について一号ないし四号一般と差があるわけでございます。それはつけられておるという形になっております。なおこの点につきましては、実はいろいろそういう問題もございましたので、全体ではありませんが、一部について抜き検査をして調査してみたことがありますが、やはりそういう調査においても、調整号俸程度の差は一般職員とついているというような結果が出ております。  それからお示しの署長の給与と他の官署の長の給与との比較でございますが、これもいろいろ調べてみたことがございます。これはいろいろございますが、地方団体におきまして、特に全体としまして政府の官署よりも高い給与を得ておるような実例がございますし、税務署長よりも高い給与を同じ程度の官署の長がとっておるというような例もございますが、一般の中央官庁の出先、農林省とか通産省とか法務省とか労働省とかございますが、そういったような同じ程度の出先官署の給与と比較して、税務署長がお示しのような非常に悪い給与をとっておるというような数字は出ておらないわけであります。大体法規上というか、制度上認められております程度の形の給与は税務署長ももらっておるというような結果が、その調査においても出ております。
  127. 井上良二

    井上分科員 私は、国政調査でよく各地方の税務署の実態を伺いに参りますが、その場合、私どもがいつも誇りに思っておりますことは、お前さんたちは国の一番大事な予算の歳入面を受け持っておる、大事な仕事を背負っておるから、金銭、酒食等の誘惑に陥らず、また他の圧力におびえたり、こびたりせずに、公正妥当な課税徴収をやっていただきたいということを私どもは申し上げますとともに、そのためには、国としても所要の待遇、保障等について十分検討して参るからと、一方においては私ども激励をいたしてきておるわけです。そういうことを言うて、今度は税務署を出て向いにありまする市役所に行ってみると、税務署の署長級の給料が市役所の係長級の給料です。それほど開きがあるのです。これでは、実際とても話になりません。しかし、私は決して法を曲げたり、また他の慣行を無視して無理にさような待遇をよくせよとは申しません。きまっておることをまじめにあなた方がおやり下さればいけるのですから、俸給格差を、最初の二割なら二割をずっと続けてもらいたい。途中で縮めたり伸ばしたりせぬようにしてもらいたい。それから超過勤務がありますれば、超過勤務手当を完全にお払い下さったらいい。それでなおかつ人が足らぬという場合は、人を多少増員してやるということも考えなければいかぬ。  そこでお伺いいたしますが、おわかりでございましょうが、国税の百円に対する徴税費はたしか二円そこそこじゃないかと思うておる。それが府県税は何ぼになっておりますか、市町村税は何ぼになっておりますか。どのくらいの割合になっておりますか。確かに国税は百円につき徴収費が二円くらいかかっているのじゃないかと思っておりますが、それが都道府県税と市町村税との割合はどうなっておりますか。国税が一地安いと私はにらんでおるのです。
  128. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 徴税費の割合につきましては、ただいま仰せの通り、国税につきましては本年度予算あるいは来年度予算、いずれも大体二・三二%というくらいの数字になっております。これに対しまして地方税の方は、ことに市町村等は、正確な数字のまとまったものはございません。しかし大体におきまして、少くともこの率の倍以上くらいになっておるだろうと思っておりますが、ただこれは、御承知のように税法の体系、どういう税をとっておるかというその税につきまして、手数のかかるもの、かからぬものいろいろございますので、一がいに地方が費用をよけいとっているとか、あるいは非能率的であるとか、こういうことは申せないのであります。やはり税全体とにらみ合せて、徴税費がどの程度かかっているかということを判定しなければならぬのじゃないかというふうに思っております。
  129. 井上良二

    井上分科員 最後に一つ、二つ伺いたいのです。それは、税金の滞納額が二十九年度末でどのくらいになっておりますか。そしてそれの整理は、どういう機構でもって、どういう工合におやりになっているのですか、その点をお伺いしたい。去年の十二月ころまでわかりませんか。
  130. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 滞納の額でありますが、昨年の十二月末の数字で、執行停止になっているものその他も含めまして、全体の滞納が税額で八百九十三億二千四百万円ということになっております。この中から執行停止になっておるものを除きました純滞納だけをとりますと、六百二十六億五千万円というような数字になっております。滞納の額につきましては、あまり顕著に減りませんので、いろいろ努力を要すると思いますが、これも先ほどからいろいろ申し上げておりましたように、経済界の状況もよくなっている点もありまするし、最近としては、この純滞納六百二十六億という額は、数年来の一番低い額になっておるようなわけであります。この徴収につきましては、いろいろ滞納の実態によりまして処置を異にしなければならぬという点があるわけであります。ただむやみに徴収を強化する、差押え、引き揚げ、公売というようなことを強くやるというだけでは、なかなか円滑に整理がはかどらないという点もありますので、現在といたしましては、やはり滞納の実態に即した徴収をやっていく、いろいろ滞納者の実態、経理の内容等を調べまして、その資力を調べて、その資力に応じた整理をやっていくといったような方法でも考えまして、実態に即した方法をとるという点に重点を置きまして、現在は滞納の整理をやっておるような状況であります。
  131. 井上良二

    井上分科員 最後にちょっと大蔵大臣に伺っておきますが、大蔵大臣は、御存じ通り、最初大蔵省が内定いたしました予算額から最終の予算額がきまりましたときに、相当この予算全体がふえた。その関係で、原資について政府みずから非常に困って、さいぜんも申します通り、徴税を相当強化せなければならぬ実情に実際はなってきておると思うのです。そうすると、徴税強化の裏づけとして、政府はどういうことを考えておるのか。現在のままの機構で、現在のようなやり方で果して所期の目的を得ることができるかどうか。私は、もし現在以上に徴税を強化しようとするならば、どうしても課税の水増しを考えなければ、予定通りの徴収に達しないことになりはせぬか、こう考えるわけです。と申しますのは、私ここ数回選挙区の方へ帰っておりますが、最近各税務署が二十八年度以降の所得について実態調査を始めております。これはもうすでにおかしい。二十八年、二十九年というようなものは、来年度徴収に何ら差しつかえがないものであるのに、二十八年、二十九年の調査をやっておるというのは、これはその後の水増しを予定してお前はこれだけもうけておるぞ、それを隠しておったじゃないか、だから本年の査定はこれをのんでおけ、こういうところへ持ってくる作戦じゃないかと私はにらんでおるのだが、大蔵大臣はそういうつもりでやっておるのと違いますか、一つ徴税強化に対する裏づけ対策を御説明を願いたい。
  132. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 予算のことですが、これは当初予算が一兆三百億ときまりましたが、一兆三百五十億と五十億の違いが出たのでありますが、だからといって、何か特別に徴税を強化して、無理にでも税金をとるというようなことは夢にも考えておりません。経済状況も、幸いおかげでよろしいようでありまして、同時に、これはいろいろな関係から見て非常にいいことであります。とるべきものはむろんちょうだいいたしますが、無理にということはいたしません。普通にいきまして、しかもこういうふうにやって財源が確保できる、かように考えて、そういう趣旨で税務職員にも指示をいたしております。特別に何かやるということは、特別なことがあれば別ですが、一般的にそういうふうな指示をいたしておることはありません。
  133. 山本勝市

  134. 阿部五郎

    阿部分科員 私は最近山村の葉タバコ耕作地帯を訪れまして、耕作農民の方々が大へん苦労しておるのを見ましたので、何とかその苦労を改善する方法があるまいかというのが、これからお尋ねする趣旨なんですから、大臣がときどきおっしゃるように、体をかわすようなことはどうぞおっしゃらないように、率直に、親切にお教えを願いたいと思います。  まずタバコでありますが、ことしの予算では、葉タバコの購入費が四百十八億四千八百二十九万一千円になっておるようでありますが、葉タバコの収納代金の決定の基準が、どういう単位か私は知らぬのですが、何ぼを幾らに買うという価格決定の基準は、どういうふうになっておるのでございますか。
  135. 大月高

    ○大月政府委員 毎年の葉タバコの収納価格につきましては、現在葉タバコの収納価格を決定する協議会が専売公社に置かれておりまして、学識経験者、公社の関係者が集まりまして、一定の基準を設けて法定することになっております。その決定の基準といたしましては、農産物、たとえば米とか麦とかのその年のパリティ計算、そういうものを参酌いたしまして、均衡をとってきめることになっております。
  136. 阿部五郎

    阿部分科員 お答えが抽象的でよくわかりませんが、実際の面を見ますると、査定官とおっしゃるか、公社の方が出張していって、耕作者が出してきたものを肉眼で見て、その場で直ちに等級をきめる、その等級がきまると、収納していく農家の所得がその場で立ちどころにきまる、こういう方法でやっておられるようであります。そうして、その決定をなさる査定官ですか、その人はたった一人でなさっておる。これはあまりにも非科学的であり、実情に沿わないと思う。こういう重要な、農家のたちまちその日の生活に決定的な影響を及ぼすところのこの査定が、たった一人によって、その人の、そのときの、その瞬間の気分のいかんによって大きく変る、こういうふうな方法をとるということは好ましくないのじゃないかと思うのでありますが、何かこれは改善方法をお考えになったことがあるのでございますかどうか。これは邪推かはしりませんけれども、決定をなさる上には相当大きな、公正を欠いた面があるように、少くとも耕作農民は申しております。しかも耕作農民の団体――これは専売公社の方で非常に手厚い保護を与えておられる団体ですが、その役員などは、非常に有利に決定されておる。またその査定をなさるときの個人的な縁故とか、交際とかいう方面も非常にしんしゃくされておるというふうに、一般に思われておるのでありますが、これに対して何とか改善方法をお考えになっておるかどうか。また今のこのままではいけないと思っておられるかどうか。この点一つ伺いたい。
  137. 大月高

    ○大月政府委員 先ほど申し上げましたのは、本年度の葉タバコを収納いたしますときに、一級品、二級品、三級品というふうに等級がございますので、この等級の葉タバコは幾らで買おうかという抽象的な基準をきめることを申し上げたわけであります。ただいまお尋ねの、具体的にこの葉を何等級に格付けして、幾らで買うかという手続につきましては、二人の鑑定官が鑑定をいたしまして収納せしめる、こういうことになっております。この鑑定の方法つきましては、あるいは機械で鑑定したらもっと正確なものが出るのじゃなかろうかというような意見もございますけれども、現在の段階におきましては、やはり専門家の熟練した目でもって決定するのが最も正確であるという結論になっております。もし耕作者の方でこの価格決定に不服がございましたならば、さらに再鑑定を申請する手続も設けてございます。しかもその鑑定におきましては、耕作者自身がその場に立ち会って見ておりますので、特に不公平だという非難を聞いたことはございませんので、目下のところ今の制度が最善の方法だろうと考えております。
  138. 阿部五郎

    阿部分科員 それは、あなたが実情から大へんかけ離れた立場におられるということを示しておると思います。というのは、この検査をなさる人は、近ごろの世の中にはこんなことがあるはずはないと思うほど、耕作農民に対しては非常な権威を持っております。これは、私が実地に見た事実でありますが、権威といいましても、決して耕作農民から尊敬されておるわけじゃありません。むしろおそれられ、いやがれておる。しかしながら、目の前においてはまるで殿様がきたような扱いをしております。あなたは、不服があったならばそれは申し出たらいい、そういう制度になっておるとおっしゃいますけれども、実際はそんなことをしたら、たちまち次の査定に影響をして、不利益を受けなければならない。それをおそれるものですから、農民の方では、決して不服などは申さないのであります。そういう実情をあなたは全然お知りにならぬのでありますか。また多少そういうこともあるということをお考えになっておりましょうか。
  139. 大月高

    ○大月政府委員 ただいまやっております方式は、長年慣行としてやっておりまして、新しい方式については終始研究いたしておりますが、これ以上の方式というのはなかなか見つからないので、これを踏襲しておる次節でございます。もちろん鑑定員の人格等によりましては、間違いが起きることがあるいはあるかもしれないと思います。何分人が鑑定するわけでございますので、全然不公平がないとも私は断言しかねるわけでございますけれども、全体として見まして、現在の制度が非常に弊害があるという声は私耳にしておりません。
  140. 阿部五郎

    阿部分科員 お聞きになっておらぬそうですが、これは、あなたが現場に行ったっておそらくわからぬでしょう。しかしながら、民間の者が行ったらよくわかるのであります。また二人で鑑定なさっておるとおっしゃいますけれども、それは、二人でやる制度になっておることは私も聞いております。しかし、それが往々にして一人でやっております。これもあなたは御存じないでしょう。しかしそれは事実であります。私は、これは押し問答をするつもりはありません。きょうは大臣に御答弁を求めるつもりはなかったのでありますが、せっかくおられますから、この点、大臣におかれては実情を、決してこれはあなたの部下の方からではなくて、民間の者からお聞きになって、御承知になった上で、もし実情が私が申し上げたようなことであったならば、何らかそれに対して適切なる御処置をおとりになるお考えがございますかどうか、お答えいただきたいと思います。
  141. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいま事務当局から答弁をいたしたように思いますが、なるほどお話しのように、やはり不備な点もあるかもしれません。なお一そう一つ研究をいたしまして、いい方法もありますればできるだけ取り入れまして、善処をいたしたいと考えております。
  142. 阿部五郎

    阿部分科員 次に耕作の決定のことでありますが、これによりますと、在来種の耕作面積が、昭和三十一年度は二万五千八百三十五町歩、黄色種が四万八千五百町歩、こうなっておりますが、これは前年の三十年度、二十九年度というものと比べまして、増加しておるのでございますか、それとも減っておるのでございますか。
  143. 大月高

    ○大月政府委員 増加いたしておりますのは黄色種、バーレー種、それから在来種のうちの第二、第三でございまして、在来種の第一のみが減少いたしております。
  144. 阿部五郎

    阿部分科員 私は四国なんでありますが、四国の方の在来種につきましては、毎年減少する、耕作反別を減らす、こういううわさが伝えられまして、耕作農民に対して非常な不安を毎年与えておるのであります。山村におきましては、かわるべき耕作柾目がないので、過般も貨幣の鋳造に関しまして、ミツマタが廃止になるのではないかという大へんな不安があったのでありますが、これは幸いにして、当面はそういう心配はないということになって、一安心しておるのでありますが、毎年々々この在来種のタバコの耕作面積を減らされるというおそれがあって、非常な不安をいたしております。この特定の農家に対して耕作を許すかどうかということが、専売公社の方で、しかもそれはあまり上の方の人とは思われぬ方々のほしいままなる決定によってなされるようなのであります。従って、その方々の農民に対する権威たるや大へんなものでありまして、先ほどの鑑定をなさる役人の方と同様に、このタバコ耕作指導員といいますか、その方々は、農家においては、表面は神様のように扱っております。そして、それらに対してずいぶん不平もあり要望もありますから、私たちがその耕作農民を集めて集会を催して、それらの人々に来てもらって、自由にお互いの立場の言い分を言い合って、そして改善をはかっていく機会を作ろうじゃないか、こういうことをわれわれが申しましても、農民の方は決してこれに応じません。そんなことをしたならば、何かものを言えばたちまちにらまれる、とてもそんなことはできませんと言って、どうしても応じません。それほど――今は一般官庁においては、官尊民卑というのはよほど改善されてきたのでありますが、このたばこ専売に関する限りにおいては、これは封建時代そのまま残っておるのであります。こういう実情であります。  そこで私が開きたいのは、何とかしてこういうふうな官庁のいばる、官尊民卑の風潮をもっと改善する方法はあるまいかというのが一つ。それともう一つは、在来種の葉タバコというものは、専売公社におかれてはだんだん減らす方針であると伝えられております。それで、実際その真相はどこにあるのか、現在くらいの生産高はやはり維持していく方針であるのか。あるいはうわさの通りにだんだん減らしていく、こういうお考えを持っておられるのか、そこのところをはっきりさしていただきたいと思います。
  145. 大月高

    ○大月政府委員 在来種の数量を将来どうするかというお尋ねでございますが、大体におきまして現状維持、若干の増ということを計画いたしております。今後、昭和三十一度から三十五年度までの生産計画によりますと、在来種は、三十一年度におきましては、本年度、三十年度に比べまして若干ふえるわけでございますが、三十二年度はそれよりももう少しふえまして、三十二年度から三十五年度まで、それをほぼ並行に持っていきたい、具体的には、耕作面積体二万六千町歩というところでコンスタントに持っていきたいということでございますので、在来種を減少せしめるということは、大体考えておりません。  それから作付の具体的な場所及び人をきめる手続が非民主的であるというお話でありますが、何分この制度自体といたしましては、直接タバコの葉の品質、数量に関係もいたしますし、間接には財政収入に響くわけでございますので、相手の人物、あるいはその土地がタバコ耕作に適しておるかどうかという点については、非常に慎重に考えておる次第でございまして、そういう点を客観的によく審査いたしまして決定することになっております。決定の手順は、タバコ耕作組合を通じまして、専売公社の地方局で決定することになっておりますが、単に現地の指導員にまかせてあるということではございませんので、地方局長のところで、慎重に全国の計画を勘案いたしまして決定する、こういうことになっております。農民の方に対する態度等につきまして、いわゆる官僚的になるというようなことがないように、その態度等につきましては、専売局という官庁の組織が公社にもなったことでございますので、特に注意して指導いたしておる次第であります。
  146. 阿部五郎

    阿部分科員 今のお答え、そうであればまどとにけっこうでございますが、事実は、何か少し不平でも言えば、たちまち、それではもう耕作を取り上げるぞ、来年から作らぬでもいい、こういうことをすぐ言うようであります。お話によりますと、御指導なさっておるそうでありますが、私はその御指導が足らぬと思います。そこで、そういう耕作指導員に対する指導をさらに徹底して、もっと民主的といいますか、親切に公正にやるように、一そうの御努力を望んでおきます。  それから、ただいま耕作組合の話が出ましたが、この耕作組合というものが実に奇怪なしろものであります。今の世の中にこういう天下り的な団体というものはないと思います。もうこのごろは、どの団体もみんな下から積み上げた、自由なる民衆の意思に基いて役員の構成も運営もされるというような機構にもなり、機構ばかりでなく、運営の方も相当そういうふうな運営になれてきたようでありますが、このタバコ耕作組合だけは実に驚くべきものである。ことにその府県連合会においてしかりであります。これは、もう全くの天下りであって、耕作農民自身の意思は、ほとんど流れておらないと言うてもいいくらいだと私は思っております。しかし、それはやはり公社の方が天下り的で、頭から官僚的で、一方的に抑えつけてかかる、こういうやり方を、その下請仕事を請け負うような人間を役員に選び、そういう人間によって構成をしておるのであります。そこから改革していかなかったならば、とてもこの煙草耕作組合の民主化はできないと思います。それを今ここでやかましく言うても始まりませんが、私が耕作農民に接して一番に不平を聞きますことは、この煙草耕作組合連合会が肥料の配合の工場などを持って、そしてそこから押しつけてくる肥料を買わなかったならば、公社の方でタバコの耕作を取り上げられてしまう。おそろしいものですから、いやいやながらそれを買う。しかもその配合肥料たるや、きき目は悪くて、しかも金は高い、こういうのであります。私は肥料の成分についても知らず、実際に施肥を行なってどれだけ効果があるかということも知りませんから、詳しいことになってくるともちろん話にはなりません。議論ができませんけれども、実際耕作農民の口から直接に聞くのでありますから、やはりこれだけ声が出てくるところは、何か事実があるに違いないと思いますが、これに対して、専売公社においては一体どういう態度をとっておられるのであるか。あくまで連合会の肥料の配給を擁護して、それを使わなければよい耕作者じゃないと少くとも見ておられるように思われるのでありますが、いかがでしょう。
  147. 大月高

    ○大月政府委員 耕作組合の設立は任意でございまして、特に法制的に強制されておるものでもございません。それから役員の選任につきましても、組合みずから決定するということでございまして、専売公社は何らこれに関与いたしておらないわけでございます。しかし、何分つかさどっております仕事の中に、今の耕作反別の決定とか、その他いろいろ公社の下請的な仕事があることは事実でございますので、あるいはそういう経営機関になるとか、あるいは相談を受けるとか、そういう面におきまして、やや非民主的な行動があるかもしれないと思います。私、不幸にして具体的にどうということは存じませんけれども、あるいはそういうことはあるかとも存じますので、その点につきましては、今後ともよく注意して参りたいと思います。  それから肥料の点でございますが、特にどの肥料を使えということは、強制はいたしておりませんが、こういう肥料がタバコの耕作にはいいだろうという勧奨ないし推薦ということは、組合がやっておるわけでございまして、これは専売の当局といたしましても、葉タバコの品質を改善するという意味から、いろいろ試験研究所も持っておりますし、葉タバコの耕作上の効率、良否というようなことをよく考えまして、こういう肥料を使えば葉タバコにはいいんだ、こういうことはもちろん育っております。ある意味では必要なことがありますが、ただ、そういう肥料を使わなければ今後割当をしないとかいうような意味の強制は加えておらないことを、御承知願いたいと思います。
  148. 阿部五郎

    阿部分科員 どうも私には、最下部の実情にうといように思われてならないのであります。そこで、これは一そうの民間側からの御調査を願いたいと思います。耕作農民の間では、連合会の役員と、専売公社の地方専売局ですか、その方の上の方の人との間には特例のつながりがあって、高い肥料を押しつけられても仕方がないのだ、こういうふうに理解しておるのであります。そこで、これはまことにゆゆしきことであると思いますから、一そうの御調査をお願いいたしたいと思います。  それから、この予算によって葉たばこ調達費としてあげられておる中には、利子補給金、補償金及補填金、たばこ耕作団体交付金、こういうものがあるのでありますが、この内容は一体どういうものでございますか。
  149. 榎園光雄

    榎園説明員 お答えいたします。利子補給金は、二-八年八月に成立いたしました災害の特別措置法に基く利子補給金でございまして、主として関西地方、北九州並びに熊本、山口、それらの各管内の耕作者に対して補給いたしております利子補給金でございます。それから補償金、補てん金は、たばこ等化法に基きまして、タバコ耕作者が災害をこうむりました場合に交付いたしておりまする、農業共済に類するような補償金でございます。耕作団体の補助金といいますのは、たばこ専売法二十四条に基きまして交付しております補助金でございます。
  150. 阿部五郎

    阿部分科員 その耕作団体の補助金というのを、もう少し詳しくおっしゃつてくれませんか。
  151. 榎園光雄

    榎園説明員 たばこ専売法の二十五条によりまして、タバコ耕作団体に対しまして、公社は五号から九号まで、いろいろこういう仕事をしなさいという指示をいたすわけでありますが、さような指示をいたしました場合に、必要といたします経費がかかるわけでございます。さような経費をば公社の方から全部または一部、予算の範囲内におきまして補助するという建前になっておりますので、これにつきまして、三十一年度の予算といたしましては、おそらく六千百四十万円くらいのものが計上されておると思いますが、全国の単位団体が約三千、中岡の連合体が約二百くらい、府県の連合体が四十二、三、それらの連合体にその約六千万円の額をば交付することにしております。
  152. 阿部五郎

    阿部分科員 どうもそういうところに耕作組合連合会の天下り性、官僚性が起ってくるのではないかと思いますが、私はまだあまり実情を知りませんので、もう少し研究することといたします。しかしながら、これは大いに改革の余地があろうと思われますので、専売公社におかれても、一そう御検討をしていただきたいと思います。  それから公社におかれては、農民の耕作の便宜をはかるために、耕作するためには農機具も肥料もいろいろなものが要りますから、その関係であろうと思いますが、収穫をして公社に納める以前に、収穫の予想される高に対して何ぼ、こういうふうな収納代金の前渡しをなさっておるようであります。ところが費用が要るのは、収穫の前に要るのであります。ところが実際前渡しをして下さるのは、植付検査をして、さらに収穫の量目検査をして、それが済んでからとなっておる。事実上毎年七月に入ってからやっておる、こういうことでありますが、これでは、実際金の要るときに前渡しをしてくれるのではなくて、もう金が要ってしまってから前渡ししてくれる。それでは、要るときにはほかから金融をしなければならぬし、あるいは肥料その他においても掛買いをしなければならぬ。掛買いをしても高くつくし、金を借りれば金利が要るのであります。そこで農民の間には、これをもっと早く、値付間もなしに前渡金を出してくれ。すでにもう耕作面積は、その時分にはきまっておるのですから、大体の収穫は予想できるのであります。もちろん災害があって、収穫が思わしくないというようなこともございましょうから、耕作者としては、若干の危険はあるかもしれませんけれども、それはそれでまた補償の道もあろうと思います。それでその時期に、ほんとうに耕作に金の要るときに前渡しをするということはできないであろうか。またその金額でありますが、耕作者の前三ヵ年の収穫を平均して、それに対し、二五%まで渡してくれる、こういうのだそうでありますが、肥料も農機具も高いのでありますから、もうそれでは不十分である。せめて五〇%ぐらいにふやしてもらえないか、こういう要望が強いのでありますが、公社におかれては、一体これに対してどういうお考えを持っておられますか。
  153. 大月高

    ○大月政府委員 収納葉タバコの代金の前払いでございますが、これは、お尋ねがございましたように収穫前に概算額の二割を前払いいたしております。この趣旨は、大体葉タバコの耕作に使います油かすが七月ごろから出回って参りまして、特に時期的にも安い季節になりますので、これを来年度の葉タバコの耕作に使うというために、二割の概算払いをしておるわけでございます。なお耕作面積が決定いたしましても、公社といたしましては、具体的に植付をしたかどうか、植付したあとの状態がどうかという検査をいたしまして、それを確認した後でなければ適当でないということで、現在七月以降ということにいたしておるわけでございます。もし災害のございましたような場合に、災害の補償をいたします限度が現在四割になっておるかと思います。従いまして、少くとも概算払いをいたします限度は、その金額にとどまるであろうということで、かたく踏みまして二割ということになっておるわけでございまして、時期の点におきましても割合の点におきましても、現在の制度で大体いいんじゃないかというふうな考え方をしております。
  154. 阿部五郎

    阿部分科員 来年の肥料を前の年に買うておけという趣旨で前渡ししておられるとおっしゃるのですが、それは農家の経済状態からちと離れ過ぎたお考えではないかと思うのであります。それほど農家は豊かでありません。  それともう一つ、収穫がほぼわかった、すなわち量目査定というのがもう収穫直前にあるそうでありますが、その時分にお貸しになった。しかしながらそんなときでなくて、あなたの今おっしゃった、植付検査が済んで間もなく貸す、こういうようなことはできそうに思われるのでありますが、その点と、四割の補償があるとすれば、二割でなくて、とにかくもう少し上げることはできないかこれはできそうに思われるのでありますが、そうしない方針であるというのであればいたし方がありまんが、それはいかがでございましょう。
  155. 大月高

    ○大月政府委員 交付の支給の時期の問題でございますが、大体作付の検査を終了いたしますのが七月の前のところでございますので、検査終了次第払うということで、これが七月一日ということになっておるわけであります。  それからこの前払いをいたします金額につきまして、趣旨につきましては、この前払いをできるという法律が議員立法になっておりまして、そのときの御趣旨が、来年度の肥料を買いますにつきまして、ちょうど出回り期を考え、一番安い時期にこれを買わすようにしたらどうだろうか、こういう趣旨でできておりますので、その趣旨を踏襲いたしておるわけでございます。  なお金額の点につきましては、あるいは若干の増額ということは研究の余地があるかと思いますが、公社の資金繰りその他もございますので、よく研究してみたいと思います。
  156. 阿部五郎

    阿部分科員 金額のみなならず、その時期についても、一層の御研究を希望しておきます。  それからこの書類を見ますと、製造高と販売高との間にいずれもどのタバコの種類も若干の差があるようであるようであります。ただ一つ差がないのは朝日というたばこだけであります。こんなことになっておりますが、これが不思議なんです。  それから専売公社は、相当たばこを販売なさるのに宣伝費を使っておられるように見受けられるのでありますが、それがちょっと見つからないのです。お使いになっておるのはどの費目で、どうお使いになっており、その金額はどのくらいであるかということを伺いたいと思います。
  157. 大月高

    ○大月政府委員 毎年度の製造本数と販売本数の違いは、たばこの各品種ごとによりまして、ストックの現状を見まして計算いたしておるわけでございまして、大体在庫といたしましては、一月ぐらいあればいいであろうかということを見ておるわけであります。ただ、御存じのように、最近のように上級たばこの売れ行きが不振でございまして、下級品でございます新生等がよく売れるというようなことになりますと、最初見込んでおりました在庫の計算が狂って参ります。そういう意味で、ある品種につきましては増産をする、ある品種については押える、こういうことで販売の数量と生産の数量が違ってきておる、こういうように考えておるわけであります。  なお宣伝費につきましては項目が立っておりますが、今調査いたしましてすぐお答え申し上げます。
  158. 阿部五郎

    阿部分科員 それでは、あとでお答えを願うといたしまして、次に塩について少しお尋ねいたしたいのであります。この予算で見ますと、昭和三十一年度は、外国からの輸入数量を約三十五万トン、それから日本国内生産される数量を十万トンくらい増産することになっておるようでありますが、三十年度は、御存じ通りにこの夏は非常なひでりが続きまして、特に増産ができたかと思いますが、三十一年度は、そういう天候に恵まれるとも限りませんし、これはどういうふうな方法で塩田をふやすのでありますか、それとも、何か能率の高まる生産方法を御採用になるのでございますか。それから輸入の塩をふやしなさる理由でございますが、それは何か化学工業塩でありましょうが、工業塩が需要の増加を来たすはっきりした見込みがあるのでございましょうか。
  159. 三井武夫

    ○三井説明員 外国塩の輸入数量につきましては、三十年度につきましては、大体実績は二百十万トンぐらいの数量になるようでございます。それから来年度につきましては、ソーダ工業塩の需要が相当ふえますので、その点を見込みまして、来年度は二百三十万トンと一応予算に組んでございます。
  160. 阿部五郎

    阿部分科員 国内産を増産する予想はどういう手段でやりますか。
  161. 三井武夫

    ○三井説明員 国内塩の増産につきましては、ただいま専売公社といたしまして一番重点を置いてございますのは、塩田の改定でございます。従来の入浜式塩田を流下式塩田に改良いたしまして、この方法によりまして、従来より大体五割程度の増産が可能である。すなわち従来一ヘクタール当りから百トンの生産が期待できる程度でありましたのを、百五十トンの生産は可能であろうというふうに考えて参ったのであります。しかしながら、最近の成績によりますると、改良いたしました流下式の塩田に枝条架法と申します濃縮の特別の施設がございますが、これを組み合せまして操作いたしますると、少くとも百八十トンくらいの生産が可能である、すなわち八割増しの生産が可能であるという状況になっております。現に本年度はまだ流下式転換の途上でありますけれども、大体六十万トンくらいの生産が期待できるような状況になっておりまするが、来年は、ただいまのところ各地方局からの予想を取りまとめますと、これが七十万トン以上にはなるのではないかというふうに期待いたしております。少くとも十万トン以上の増収は期待できる。もちろん塩の生産つきましては、天候に非常に支配されますので、今年と同じような天候ということを前提に考えた場合の数字を申し上げた次第でございます。そういたしますと、十万トン以上の増収が期待できるということでございます。
  162. 阿部五郎

    阿部分科員 進んだ生産方法を採用せられまして増産が実現するのは、まことにけっこうと思います。ところがその流下式に問題がございますのは、失業者の出ることでございます。私が聞いたところによると、大体五人に残るのが一人半ぐらいであるという話なのでありまして、そうすると、今までたくさん塩田労働者がそれによって生活しておったのでありますが、この流下式の採用のために、生産能率が上るのはいいけれども、職を失って生活のできなくなる者がたくさん出るのであります。私は、一昨年この問題について質問雷を出したことがあるのでありますが、それに対して政府の御答弁は、まことにどうも不満足なものであったと記憶しております。すなわち、それは公社がやることであって、政府は直接には知らぬのだということ、それから公社の方も、それは塩業家が自分の常業として人を雇ってやっているのであるから、公社としてはいかんともいたし方ない、こういうようなお話でありましたが、私が承わりたいのは、先ほどのタバコの価格の決定と同じことでありますが、この塩の価格の決定をどういう基準をもってなさっておるかということであります。なるほど塩の生産は、塩業家が利得を得るために営業としてやっておるには違いないのでありますが、しかしながら、その利得がとれるかとれないかということは、専売公社の決定いかんにかかっておるのでありまして、ほかの一般の自由な営業とは全然性質を異にしております。公社の方で収納価格を低く定めましたならば、利益どころか損がいくのです。高く御決定になれば、これは労働者に対して適正なる賃金を払ったのみならず、万一今回の流下式のごとく、進んだ生産方法を採用して失業させるという場合においても、相当なる失業手当も退職金も出すことができるし、あるいは費用をかけてその他の方面に職を求めさせるような扱いもできるでありましょうが、今まで専売公社がなさっておったところの収納価格の決定というものは、そんなものではなかったはずであります。第一、日本国内生産される塩というものは、非常に生産費が高いのであって、外国から買えば、ほとんど十分の一で買えると聞いております。そこで専売公社として、それほどゆとりのある経営ができるように高いきめ方をしておったはずはないと思います。またそんなことをしておったら、公社はけしからぬ、こういうことにもなるのであります。そこで専売公社としては、塩業家に対しては、どうにか営業を続けることができて、適正利潤といいますか、まず低目の適正利潤を得ることができるくらいの範囲にきめておったのではないかと思いますが、まず第一番に、その塩の収納価格のきめ方からお答え願いたいと思います。
  163. 三井武夫

    ○三井説明員 国内塩の収納価格につきましては、生産費をもとにしてきめるという建前になっておりまして、現在の国内塩の一万三千六百円という収納価格は、昭和二十八年の九月に決定されておりますが、当時の収納価格は、塩の生産費の調査の結果によりまして、全国の塩業者の大体七割程度が採算がとれるというラインを出しまして、それをもとにいたしまして決定いたしたのであります。従いまして、その七割に入りません三割の塩業者につきましては、赤字が出るというような状況になるわけでございまするけれども、その七割の中に入っておりまするものにつきましては、能率のいいところは十分な収益が期待できるというような価格であったのでございます。その後相当の時日が経過いたしておりまして、実は今日の一万三千六百円の収納価格につきましては、公社といたしましても相当の検討をいたしておるのでありまするが、まだ今日までは一応その価格を踏襲いたしております。しかるにその間におきまして、塩の生産方法、あるいは技術の問題でいろいろな進歩ができておりまするし、また塩業者自身の熱意にもよりまして、相当この生産費につきましては切り下げの努力がなされ、また流下式の転換が次第に進行しておりまして、その面からの増産あるいは生産費の切り下げというようなことが十分にできておりますので、今日では、現在の収納価格につきましては、塩業者が実際には相当程度の利潤を得られるような金額になっておると私ども考えておる次第でございます。
  164. 阿部五郎

    阿部分科員 大体私の予測しておったような実情のようであります。ところで七割の塩業家が採算がとれて、三割は赤字を生ずるがごとき価格を定めておった、こうおっしゃるのでありますが、主として流下式に改革をせなければならない塩田というものは、過去において長らく採算がとれなかったところの三割の塩田を主とするものではないかと思いますが、いかがでしょう。
  165. 三井武夫

    ○三井説明員 現在全国の塩田の成績の悪いものから流下式の転換をやらせるように指導いたしておりますので、現在のところは、先ほど申しました全国の塩田の平均成績でありまする一ヘクタール当り百トンに達しない塩田を優先的に取り上げるということで考えております。
  166. 阿部五郎

    阿部分科員 そういたしますると、今までに流下式に改良をしてきたところの塩業家というものは、過去の成績が悪くて、この流下式に改良いたしましたために、今まで雇用しておったところの労働者を解雇するに当りましても、今までの利潤を積み立てておいて退職金を支払ってやるというような余裕のない者が多かったであろうということは、当然想像のできることだろうと思います。しかもそういうふうにしてきたのは、絶えざる公社の奨励方法、指導方法に基いておるのでありますから、一般民間産業がその従業員を産業合理化のもとに首を切る場合とは、よほど趣きを異にしており、公社が何らかの責任を負ってそれが救済の任を果さなければならぬという筋合いになってくるものと思います。これはあえて公社のような場合のみならず、一般産業の中においても、やはり政府経済政策のいかんというものが大いに関係があるのであります。石炭産業のごとき場合においても、この産業合理化をやるに当って失業者が出ることについて、政府がそれに対して十分な施策を用意しておらなかったということは、世間のごうごうたる非難を招いておるぐらいなんでありますから、いわんやこの専売公社のごとく、一切の経営を公社の指導のもとに、そしてその死命を制するところの製品の価格の決定は公社によって一方的にきめられるという状態にある産業に、しかも失業者を出すがごとき産業合理化の施策を奨励してやらしておいて、それによって出てくるところの失業者に対して公社が何らの責任を負わないというのは、ちょっと筋が違うのではないかと思いますが、これは政策の問題でありますから、大蔵大臣はどうお考えになりますか、一つお答えをいただきたいと思います。
  167. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お話の点につきましては、公社の方も十分考えられて対処しておると思います。たとえば塩業者の資力に応じて退職給与をするとかいうように、いろいろの手を講じておると思いますが、なお詳細については、一つ公社の方からのお答えをお聞き願いたいと思います。
  168. 阿部五郎

    阿部分科員 大臣はそうおっしゃるけれども、それは考慮しておらぬのですよ。塩業家に対して改良の補助金は出しておりますが、しかしその補助金は、おそらく改良工事費の三分の一か、あるいは四割か、それくらいだろうと思います。これはあとから聞いてみます。それで、この改良をすることによって、塩業家は出費こそ要るけれども――それは投資でありますから要るのは当然でありますが、自分の雇用しておったところの労働者の首を切るに当って退職金を出すような余裕は絶対出てこないのであります。決して公社はこれに対して考慮を払っておらなかったと思う。現に払っておらないのでありますが、公社の方からこの事案をはっきりおっしゃっていただきたいと思います。
  169. 三井武夫

    ○三井説明員 流下式の転換に伴いまして生じまする失業者の問題につきましては、公社としても非常に頭を痛めておるのでございます。ただ、この流下式の転換をいたしますると、先ほど来申しますように、塩は非常な増産になる、またコストの切り下げができるということで、転換をいたしましたあとの塩業者の業績の向上ということは、これは今日では異論のないところでございまして、従って塩業者自身が、このごろでは非常な熱意でもって流下式の転換をやりたいということを希望して参るような状況になっております。お話しの通り、流下式の転換につきましては補助金も出しております。また国家賃金の援助もいたしておるのでありまするが、このごろでは、地方によりますると、塩業者としては補助金も要らない、また国家資金援助も場合によっては要らないから、ぜひ転換をやらしてもらいたいということを非常に熱望してくるくらい、この流下式転換に対する熱というものが全国的に広まっておるのであります。従って転換をいたしますれば、塩業者の資力、能力というものは確かに向上するのでありますが、またその塩業者の組合、あるいは会社等、それぞれの企業形態に応じまして、従来の蓄積はもちろんのこと、場合によりましては、一時資金を借りまして適当な退職金を払うというようなことで、この流下式転換に伴います失業者に対しましては、塩業者としてできるだけの待遇をするようにいたしておりますし、それからまた公社としても、できるだけ温かい配慮をするように指導いたしております。ただ資金の借り入れ等につきまして、塩業者から希望があればその融資のあっせんをする、これは中小企業金融公庫から資金の借り入れができるように、国庫の方にも連絡をいたしておりまして、希望に従ってこの中小企業金融公庫の融資のあっせんをするといったような配慮もいたしております。阿部先生は徳島県だと存じましたが、徳島県で、一昨年の募れに退職金の問題につきまして組合と塩業者といろいろやりとりがございまして、そのときには、一人当り最低七万円の退職金を出すということで塩業者と組合との間に話がまとまったのでありますが、今日となりましては、この徳島県の例はむしろ低いのでありまして、よその塩業者の資力のあるところでは、最低十五万円程度くらいの退職金が支給されておりまして、この点につきましては、当該組合におきましても了承をいただいております。また失業者として退職をさせました者も、今後流下式の転換の工事に人が要りますので、できるだけその工事に採用するというようなことで、個々の状況を見ますと、組合と失業者との間に円満に話し合いができておるのでありまして、今日そうした意味で、塩田労務者側からも非常な御協力を得て流下式への転換が円滑に進行しているというふうに私ども承知いたしております。
  170. 阿部五郎

    阿部分科員 徳島の塩業の場合、一昨年そういう七万円で話がついたことは、あなたのおっしゃる通りであります。われわれもそのお世話を若干したのでありますが、それくらいのことで首になった塩業労働者が救われるはずのないのは、だれにも明らかであろうと思います。その後若干上っておるとも聞いておりますが、それまた同様であります。そんなことでこの苦しい失業生活を送れるものでもないのであります。それで、さらに一歩進んだ御考慮を私は希望したいのであります。  そこで、この際伺いたい。私が知らなかったのは、中小企業金融公庫から退職資金に充てるための金を借りることができるように専売公社が融資のあっせんをしている、こういうお話であります。それで、全国でそれはなんぼ今まで融資しているか、これを一つ伺っておきます。
  171. 三井武夫

    ○三井説明員 一昨年徳島て問題が起りました当時から、中小企業金融公庫へ話をいたしまして、注文があれば、いつでも中小企業金融公庫へ連絡をすることになっておりまするが、その後に、この融資あっせんにつきまして公庫の方に依頼をして参りましたのは、たしか一件あったと思いまするが、これも実際には、中小企業金融公庫からの資金が出ないで済んだと思います。と申しますのは、この流下式の転換につきましては、各塩業者とも一部は自己資金を充てることになっておりまするが、この自己資金をそれぞれ心配してもらいまする金融機関が、こうした点につきましても相当めんどうを見てくれているようでありまして、そうした方法によっての金融見込みが立たないで、公社を通じて中小企業金融公庫に借りに行かなければならないという塩業者が、実際問題としては出て参らないようでございます。
  172. 阿部五郎

    阿部分科員 ちょっと納得がいきかねるのでありまして、そういう豊かな塩業者もありますけれども、なかなか手元の苦しい塩業者も相当多いように思っております。しかし、それはそれといたしまして、流下式への改良は、今まではそう利益を蓄積しておらないけれども、将来これが完成すれば利潤率が高まって、今借金をしておいても償還の可能性がある、こういうふうなところからどんどん行われておる、こういう御答弁いただきましたが、そうすると、そのおっしゃる通りになるかどうかは、将来とも専売公社が塩の収納価桁を切り下げない、こういうことを前提として話になってくるわけであります。ところで私が聞きましたところによると、昨年はや専売公社におかれては、価格は引き下げなかったけれども、規格といいますか、品質の方で引き上げられて、そのために虚業家は予想しておった利益がだいぶ減ったというか、あるいは損をしたというか、それは業者それぞれまちまちでありましょうけれども、とにかく何ぼか収入減を来たしたというようなことを聞いておるのでございますが、そういう事実がございますかどうか。それからまた、こういうこと、あるいは値下げというようなことを将来とも行なっていくのでありましたならば、おっしゃったようなことが事実と達ってくるわけであって、従って塩業家も、気前よく失業者に対して待遇を厚くすることはできなくなるわけでありますが、その点どうでありましようか。これは総裁に開かなければならぬし、大蔵大臣にも聞きたいことでありますが、いかがでございましょう。
  173. 三井武夫

    ○三井説明員 昨年の四月から収納基準の引き上げをいたしまして、お話しのありましたように、塩業者としてはそれだけ収入減と申しますか、きつくなったわけでありまして、確かにお話しのように、塩業者の手元工合は変って参っております。しかしながら、流下式転換の成績につきましては、先ほども申し上げましたように、当初公社で予想いたしておりましたよりはよほど実際の成績がよろしかったのであります。先ほども申しましたように、当初の計画では五割増しの、ヘクタール当り百五十トンの生産が確保できればよろしいと考えておりましたのが、実際は少くとも百八十トンはとれる。現在では、平均二百トンの成績を期待することは決して行き過ぎではないのでありまして、成績のいい塩田では、ことしのような天候のいい年には、ヘクタール当り三百トンぐらいとれているというようなことで、塩業者の収益状況はよほどよくなってきている。予想された以上に好転しているわけであります。従いまして、そういった点も考慮いたしまして、昨年の収納基準の引き上げは、トン当り大体七、八百円くらいの値下げをいたしたのと同じことになるわけでありますが、その程度の負担には十分耐えるということを見きわめまして、この基準の引ぎ上げをいたしたような次第でございます。なお今日の状況から申しますれば、収納価格は、もう少し引き下げるべきであるかもしれません。理論的には、今までの負担を変更するようなことにはならぬような引き下げが十分可能であると考えておるのでございますが、御指摘のように、塩業者が現在借りております借入金の償還に直接それが響くのでありまして、なかなか公社が考えているような引き下げができない実情にあるのでありますが、しかし、今後の塩業者の実際の収益状況の変化、また生産成績の向上にかんがみまして、引き下げの余地がありますれば、われわれとしては少しでも収納価格は引き下げたい。ただ、それをもって直ちに借入金の償還に支障が生ずるような引き下げはやるべきじゃないというふうに配慮いたしたいと思います。
  174. 阿部五郎

    阿部分科員 時間もたちましたから、私ももうこれで質問はやめますが、大臣にお願いしておきたいのは、タバコは、特に山村の非常に所得の少い農民がこれを命の綱として耕作しておるのでありまするし、また塩業の方も、これまた労働者としては、まず都会の失業労働者に次いで非常に生活条件の悪い、所得の少い労働者が従事しておるのでありまして、それらの人人が、一歩誤まったらもう一つ下へ落ちもという非常に深刻な問題を生するのでありますから――もちろん、これは専売公社において大いに利益を上げて、専売益金を一般会計に入れなければならぬのでありますから、何もかも負担を公社に負わして、その利益を少くしようという考えは私は毛頭ないのであります。しかし、そういうもう一歩下へ下ったならば、最低生活におる人々でありますから、大へん深刻な問題になります多数の関係者を擁しておるこの専売公社の問題につきましては、どうか一つ特に慎重に、しかもそれらの人々の生活を思いやったあたたかい気持で御処置を願いたい。これは、大臣及びきょうはおいでになりませんけれども、総裁にもとくとお願いをいたしておきます。  それともう一つ私が伺いいたいのは、近年専売公社の専売益金が、二十九年度から比べて三十年度は約百億円減っております。それからこの予算でみますと、三十一年度はまた百億減っております。原因は、消費税の増徴とかいろいろあると思いますが、将来のお見通しは果してどうであるか。一般会計の重要なる財源であるこの専売益金が毎年百億円ずつ減っていくということは、相当重大な問題であろうと思いますから、その主たる原因と、将来の見通しを大臣から一つ伺いたいと思います。
  175. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 昨今の専売益金の減少は、高級たばこの売れ行きが悪いというところに主因があるようであります。さらに三十一年に減った分は、消費税が増徴されるという点にあると思います。私の考えとしては、人口もふえますし――むろんたばこの国民衛生に及ぼす関係等は別個に考えるべきでもありますが、人口もふえるのですから、たばこからの収納というものもやはり増加すべきだと考えております。専売益金が減ったから、たばこの消費量が減ったとは必ずしも言えません。従って、国民健康に及ぼす影響は必ずしもいいとは言えません。要するに販売政策、あるいはまたどういうたばこを製作するかという点にもあると思いますので、それらの点を考慮して、やはり今後専売益金がふえますように、むろんそれだからといって、今お話しのような点は十分配慮を加えていきたい、私はかように考えております。
  176. 阿部五郎

    阿部分科員 さっきの広告費が売上高のどのくらいに当るか、お調べ願えましたか。
  177. 大月高

    ○大月政府委員 三十一年度の予算におきましては、たばこの事業費のうちの役務費の中に入っておりまして、金額は二千五百万円でございます。三十一年度のたばこの売り上げの予想が大体二千億円でございますので、二千億円のうちの二千五百万円、約一万分の一に近いもの、こういうふうに考えております。
  178. 阿部五郎

    阿部分科員 これで私の質問を打ち切ります。どうも御方労さまでした。
  179. 山本勝市

    山本主査 明日は午前十時より開会し、大蔵省及び法務省所管の審査をいたしたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会