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1956-02-09 第24回国会 衆議院 予算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月九日(木曜日)    午前十一時一分開議  出席委員    委員長 三浦 一雄君    理事 稻葉  修君 理事 小坂善太郎君    理事 重政 誠之君 理事 西村 直己君    理事 小平  忠君 理事 柳田 秀一君       相川 勝六君    赤城 宗徳君       井出一太郎君    今井  耕君       植木庚子郎君    小川 半次君       北澤 直吉君    北村徳太郎君       纐纈 彌三君    河野 金昇君       河本 敏夫君    周東 英雄君       須磨彌吉郎君    竹山祐太郎君       楢橋  渡君    橋本 龍伍君       藤本 捨助君    古井 喜實君       眞崎 勝次君    松浦周太郎君       三田村武夫君    宮澤 胤勇君      山口喜久一郎君    山本 勝市君       山本 猛夫君    足鹿  覺君       井手 以誠君    今澄  勇君       久保田鶴松君    小松  幹君       河野  密君    田原 春次君       辻原 弘市君    成田 知己君       西村 榮一君    古屋 貞雄君       矢尾喜三郎君    八百板 正君       山花 秀雄君    川上 貫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         文 部 大 臣 清瀬 一郎君         厚 生 大 臣 小林 英三君         農 林 大 臣 河野 一郎君         郵 政 大 臣 村上  勇君         国 務 大 臣 太田 正孝君         国 務 大 臣 正力松太郎君         国 務 大 臣 高碕達之助君         国 務 大 臣 船田  中君  出席政府委員         法制局長官   林  修三君         外務政務次官  森下 國雄君         外務事務官         (アジア局長) 中川  融君         外務事務官         (欧米局長)  千葉  皓君         外務事務官         (経済局長)  湯川 盛夫君         外務事務官         (条約局長)  下田 武三君         外務事務官         (国際協力局         長)      河崎 一郎君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         国税庁長官   阪田 泰二君  委員外出席者         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 二月九日  委員眞崎勝次君及び矢尾喜三郎辞任につき、  その補欠として楢橋渡君及び井堀繁雄君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員楢橋渡辞任につき、その補欠として眞崎  勝次君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十一年度一般会計予算  昭和三十一年度特別会計予算  昭和三十一年度政府関係機関予算     —————————————
  2. 三浦一雄

    ○三浦委員長 これより会議を開きます。  昭和三十一年度一般会計予算外二案を一括して議題といたします。質疑を継続いたします。矢尾喜三郎君。
  3. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 本日外務大臣大蔵大臣経済企画庁長官厚生大臣並びに防衛庁長官出席要求したのでございますが、ただいま出席されておりますのは船田防衛庁長官お一人でございます。私の質問は大体において防衛問題、防衛予算中心として質問を続けつつ、それに関連して経済企画庁長官あるいは厚生大臣に伺いたいと思うのでありますが、ただいま防衛庁長官お一人でございますから、特に防衛庁長官中心とした質問をしたいと思うのであります。  まず第一にお伺いしたいのは、今日まで日本防衛ということにつきまして、われわれは再軍備という立場において反対をしてきたのでございます。しかしながら吉田前総理以来今日鳩山総理に至るまで、自衛のためならば軍を持つということもやむを得ないということを申されてきたのでございますが、先般参議院におきまして鳩山総理は、陸海空の三軍を持てないような憲法には反対だと言って問題が起ったのでございます。しかしながら今日まで自衛のためならばということで陸軍も海軍も空軍も現実において持っておるのでございます。その腹の底は、陸海空軍が持てないということではなくして、これを拡大して、海外派兵であるとか、アメリカ要求によって自由に動くことのできるような軍隊を持ちたいという意図の現われであると私たち解釈をしておるのでございます。鳩山総理あるいは防衛庁長官自衛のためならば軍備を持ってもいいと言われておったが、自衛と申しましても今日の段階におきましては限界があるのでございます。日本財政の上から考えましても、また世界軍備の上から、特にアジア中心といたしました軍備から考えましても、その軍備そのもの限界がなければならない、目標がなければならない。日本自衛々々と一口に言っておるけれども、それは国民に呼びかけるときには当然のように聞えますけれども日本自衛というものの限界がどこにあるかということを、はっきりと示さなければならないと思うのでございます。しかしながら今日まで政府当局が主張してきましたのは、まず日本目標は現在日本に駐留しておるところのアメリカ軍に帰ってもらうためである、まず何をおいてもアメリカ軍に帰ってもらうために、自衛力漸増を行なっておるのであるということを申されておったのでございますが、本国会が始まりまして、本会議におきまして、あるいは当委員会におきましてわれわれの同僚が質問をいたしますと、日本自衛体制が確立しても、六カ年計画が完成しても、アメリカ軍隊が帰るか帰らないかわからない、そうして帰るというような条約上の約束というものは何もないのだ、こういうことを言っておられるのでございます。また昨年まで内閣委員会におきましても、当予算委員会におきましても、日本防衛計画の発表を政府に強く要求したのでございますけれども防衛庁当局は六カ年計画であるとか、五カ年計画であるとかいう計画はないい、こう言って、突っぱってこられたのでありますが、これも本国会に入りまして初めて六カ年計画の片鱗が表に思われてきたのでございます。私はそういう立場に立ちまして、まず防衛庁長官にお尋ねしたいと思うのでございます。現在あなたは本年度におきましても陸上部隊の一万人の増員その他をはかられまして、この国会に提案してこられておる。しかしながらその増強の目標はどこに置かれておるのであるか。一国の軍備というものは、それがどこの国であろうが、ある仮想敵国がある、あるいは侵略を受けるおそれがあるから、その侵略に備えるために、あるいはこちらの国が侵略の野望を持っておって、相手の国を脅かすために軍備をやるとか、とにかくそういう計画の上に立って軍備というものは続けられていくのであって、無計画的に不生産的な軍備をだんだんと何ぼでも拡大していくということは、どこの国でも耐え得られないのでございます。現在の日本軍備——いわゆる軍備ということが悪いならば、日本自衛は何を目標にして、何を限界にしてこれを打ち立てておられるかということについて、まずお伺いしたいと思うのであります。
  4. 船田中

    船田国務大臣 ただいまの矢尾委員の御質問に対してお答え申し上げます。ただいま矢尾委員の御質問の中に、従来政府のとっておりました解釈もしくはお示ししておりました方針と、この国会において総理あるいは私から申し上げた防衛についての意見なり方針なりが違っておるようにお話がございましたが、これは全然そういうことはございません。従来の解釈及び方針については、何ら変更を加えたことはないのでございます。この点をあらかじめ御了承をいただきたいと思います。  ただいま御質問のありました自衛目標をどこに置くかということでございますが、これは予算委員会においてもたびたび申し上げておりますように、わが国国力国情に相応するように自衛体制を整備いたしまして、外国駐留軍撤退に備えるということが目標になっておるわけでございまして、そのために防衛庁試案といたしましては、いわゆる防衛六カ年計画というものを持っておるわけでありまして、これもすでに御説明申しておるところでございます。しかしこれは防衛庁の持っておりまする試案でありまして、政府が持っておる、政府の確定した防衛長期計画というものではございません。そこで政府といたしましては、従来の経過から見ましても、また御説明申し上げておりまする通りに、国防会議法案をなるべくすみやかに国会に提出いたしまして、国防会議の成立を待って、国防会議にかけまして、そうして長期防衛計画をすみやかに確立するようにいたしたい、かように考えておる次第であります。
  5. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 私は何も総理大臣意見とあなたの意見とが食い違っておるというようなことを聞いておらぬのでございます。総理大臣もあなたも、この国会を通じてともに申されておるということを申したのでありまして、食い違っておるということを申したのではございません。現在六カ年計画というものは試案としてそれが計画されておるものであって、国防会議ができて初めてそれがはっきりするというように申されておるのでございますが、私の問うておりますることは、この計画というものは、アメリカ軍撤退ということを目標にして今日まで立てられておった。それがこの六カ年計画という試案であるか何であるか知らぬけれども試案々々といわれておる。これは昨年においても論議されたのでございますが、アメリカにおいてもはっきりと、日本政府として提案されておる、相談されておるということを承わっておるのでございますが、この問題につきまして、政府がこの国会を通じて発表せられておるのは、陸上十八万海上において十二万四千トン、こういうような最終的な防衛計画というものを立てておられるのでございます。これを立てた暁において、アメリカ軍が帰るか帰らないかわからないと、防衛庁長官総理大臣も言われておるのです。しかしもしも帰るか帰らないかわからないというならば、今日まで国民に約束してこられたのはどういうことを約束してこられたか。アメリカ軍に帰ってもらうため、帰ってもらうためといって、あなた方は選挙を通じて言明されておったのです。国民もこれに対してある程度まで共鳴してきたのです。それが今日の段階になって、帰るか帰らないかわからない。そうするとその目標というものが……(「帰る可能性もある」と呼ぶ者あり)そういう可能性が出てくるかもわからないけれども、それもはっきりした条約も何もないということならば——私は時間が制限されておりますから、詳しい討議を重ねておる時間はございませんが、しかしながらこの最終段階にきたときに、あなたは帰ってもらう自信があるか。そうするとこの六カ年計画の完成の暁と、現在アメリカ日本に保有しておる軍力というものとをどういうように比較になっておるか。あなたの構想の最終年度計画と、現在日本が守られておると称するアメリカ軍備というものとどういうような差異があるか、日本が優位になるか、現在のアメリカが優位になるか、その点についてお伺いしたいと思います。
  6. 船田中

    船田国務大臣 ただいま防衛庁として持っておりまする長期防衛計画試案でありますがへこれが完成したということは、要するにわが国防衛の一応の基礎ができる、すなわち米駐留軍撤退基礎ができる、こういうことになると存じます。またそういう確信を持っております。しかし米軍撤退するしないという問題は、国際情勢にも関係をいたし、この防衛庁試案が完成したから必ず米軍がそれに見合って撤退するのだ、こういうことは今日の場合私としては言明ができない、こういうことをしばしば申し上げておる次第であります。
  7. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 その点はあなたのたびたびの答弁によって承知しておるのでございますが、そういたしますと、日本のこれから進められていく軍備というものは、ただ単に目標というものは、あなた方がたびたび今日まで総理以下申されておりましたアメリカ軍撤退というものは、その基礎になるかもわからないけれども、しかしながら条件ということにはならない、こういうことでございますので、ここでお伺いいたします。あなた方は口を開けば国力に従って日本防衛体制を増進していくのである、強化していくのであるということを言われますが、ただ単にあなたの言われる国力そのものは、国民食糧事情がどうなっていますか、今日まだ半月分しか配給をもらっていない現実じゃございませんか。また健康保険にしてもその通り、ちょっと赤字が出たからといって、これを患者に負担せしめておる、こういうような問題が起っておる。学生授業料にしても、国立大学授業料を値上げしなければならぬというような現実じゃありませんか。それについてアメリカ軍が帰ってもらうためならばあるいは急いでやらなければならない体制になるかもわからない。しかしながら帰らないとするならば、今急いで軍備拡充しなくとも、現実においてアメリカが守ってくれるとあなた方は思っておるのじゃありませんか。そういたしますならば、何を急いで私たち日本軍備拡充をしなければならないのでございましょう。私はこの点について防衛庁長官にお尋ねいたしますとともに、厚生大民にお尋ねいたしますが、今日日本の国において軍備漸増と称しつつかくのごとく増大されておる。そうしてこの軍備社会保障とのつり合いというものは、いかに申されましても、軍備の方が上位にきておる。今日世界を通じて大砲が、バターかといわれておる。日本現実に即して私は厚生大民としての立場からお聞きをしたい。今日日本の国において大砲と、バターというものが両立していくかということでございます。今日健康保険赤字にしても、あなたはきのう三千万の国民を対象としたところの医療制度を確立するために努力をしておる。三十五年度におけるところの目標はそこに置いておるということを言われた。そうしてこの健康保険赤字にしても、一部の人だけが今日利益を受けておることを国民全般税金で補うということは間違いであると言っておられるようでございますけれども、私はそういうような議論は成り立たないと思う。国民税金でこの赤字を埋めたときにおいて、一部の人だけに利益をもたらすようなことにほるというよう血ことを言っておられるけれども、今日の財政的な立場からすべてを考えてみますならば、国民から受けた税金がすべての人に行きわたっておるとは断言することができない。私はそういうような議論は、ただ単にその場をごまかす議論にはなるかもしれないけれども、全般的な議論としては成り立たほい。かく考えて迭ますと、この国民健康保険赤字にしても、健康保険というものは、保険というものはどういうものですか。保険というものは、生命保険にしても、火災保険にしても、赤字が出たからもっと出せ、そういうことではない。備えるために保険というものはあるのでありましょう。掛金というものをしておるのじゃありませんか。それを赤字が出てきたからもっとお前ら出せ、それでは保険じゃありません、健康保険じゃないのです。保険の性格を脱却しておるじゃありませんか。また今の学生授業料の値上げにしても、その通りです。私はそういうことを考えていったときにおいて、厚生大臣として、今日のいわゆる日本軍備拡充というものは、今日の日本厚生事業の上において、あなたの担当しておられる厚生関係の上におきまして、果して両立していくか。さらにもしもこの軍備というものがあと回しにせられて、軍備に使われておるような予算厚生の方に、国民生活安定のために使われるようなことになるならば、あなたの担当しておられるところの厚生事業というものは、もっと拡大強化されていくと思うのですが、あなたはどういうお考えを持っておられるか、この点についてお伺いしたいと思います。
  8. 船田中

    船田国務大臣 私ども防衛担当責任者といたしましてももろん経済問題、民生安定の必要というようなことを無視しておるのではございません。わが国国力に応じて、国情に沿う防衛体制を整備する、こういう考え方であります。ただ私どもは無防備中立論というものはとっておりません。その点は十分御了承をしていただきたいと思うのでございます。三十一年度防衛関係予算総額が一千四百七億円でありまして、そのうちの直接自衛隊に関係のあります防衛庁費が一千二億円、こういうことになっておるのでありますが、防衛関係費全部の国民所得に対する割合も二万強ということでありまして、総予算における割合にいたしましても十三・四%、こういうことであります。これを諸外国に比べてみましても、決して私は多いとは考えないのでありまして、日本と同じような敗戦国であるドイツにおきましても、防衛の費用が大体国民所得の八・三%・総予算に占める割合が三四・六%というようなことになっておるのでありまして、もちろん私ども経済力を強化し、一方において民生安定をしなければならぬ、その間の調整を十分とっていかなければならぬと思いますが、ただいま防衛関係費としてあげておりまする金額は、それを超過するものではない、かように考える次第であります。
  9. 小林英三

    小林国務大臣 日本の国が独立いたしました以上、みずからの手によって日本の国を防衛するということは、これは当然のことでございます。ただ問題は社会保障費というものを全部犠牲にして防衛庁費に使うというのであれば、これはいけませんけれども防衛庁費防衛庁費、また社会保障費社会保障費として、国家が財政の中から使っていくのでありますから、これは当然のことであります。ことに今年の社会保障費全般というものは、三十年度に比べますと百二十二億の増でありす。従いましてこのパーセンテージは一二%の増でございます。一方防衛庁費は八十億円の増でありまして、これは昨年に比べますと六%の増でございます。社会保障制度の方にはるかに十分なる重点を置いておることはおわかりと思います。
  10. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 厚生大臣あるいは防衛庁長官答弁も私の聞かんとするところに欠けておるように思うのであります。厚生大臣が今申されましたが、私の聞いておるのは、厚生大臣としてあなたが厚生事業を強行される上において、もしも今日本軍備に回されておるものが厚生の方面に回されたときにおいて、あなたのやっておられる厚生大臣としての仕事が完全に行われるという上においてどうですかということを承わっておるのでございまして、その日本軍備あるいはそういうものと離れて、その予算の上に立っての厚生大臣意見を聞いておるのでありまして、あなたが予算の折衝を閣議においてやられたときにおいて、あなたの要求というものが完全にいれられておるか、私はそういうことを考えまするときにおいて、この厚生事業というものに対しまして、今日軍備の方に回されておるような金が、この赤字補てんの方に回されたときにおいては、あなたは決して今日のような苦慮をしなくてもいいでしょう。しかしながら私はあなたと議論するのが趣旨ではありませんので、打ち切りますが、一点だけお伺いします。今日あなたは健康保険の問題にいたしましても、これは患者が負担するのが当然であるということを、きのうの議論においてもはっきりと言っておられる。しかしながら今日の情勢というものは、健康保険医あるいは歯科医は、もしもこの法案が通ったら総辞職をするという態勢を整えて、大会において決議しておる。こういうことについて……(「やりはしないよ」と呼ぶ者あり)やるかやらないかということはわからない。やった場合においては、あなたはどういう態度をとられるか。  さらにもう一点、本日の新聞にも出ておりますが、あなたの昨日の決意は当るべからざるものであって、一部の人たち利益のために国民全般の負担した税金犠牲にすることはできないというような、はっきりした決意山花君の質問に対して答弁をされましたが、本日の新聞は、あなたの所属しておられる自民党の昨日の最高幹部会において、今日の世論はいわゆる医師会あるいは労働者、被保険者立場を支持しておる。こういうことでは来たるべき参議院選挙に対して大きな影響がある、だからこの問題を何とか解決しなければならぬ、そして水田政調会長に対してこのように言われて、現在自民党政調会においては改正案を練られておる。その結果は、新聞紙の報ずるところによると、あなたが計画して確信を持って出されておるこの予算が、骨抜きになるかもわからないということを報じておる。果してしかりといたしますると、昨日あなたが本議場において強く主張されました山花君に対する答弁、そしてその現われてくるであろうところの結果と相違を来たすのでございますが、この点に対しましてあなたはどういうお考えを持っておられるかということにつきまして承わりたいのであります。
  11. 小林英三

    小林国務大臣 健康保険赤字の問題に対しまする処理の問題につきましては、私はただいまといえども、今日の健康保険赤字を克服いたしますには、健康保険それ自体が、数年前よりも非常にレベル・アップいたしておるのでありますし、一方におきましては、全然社会保険の恩典に浴していない三千万の国民がいることでありますから、国庫も一部を負担し、また今日の状態においては、被保険者も一部を負担する。事業家も一部を負担する。そして健保赤字を克服して健全なる健保財政にすることがけっこうだと思っておるのであります。一方党の問題が出たようでありますが、党は党といたしまして、この一部負担の問題についてどうするかということを御検討になっておるわけでありますから、その問題はその問題として、私も傾聴いたしておるのであります。
  12. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 厚生大臣に対する質問は大体において、私はあなたの意思を聞いておけば、また後日あなたと問答を重ねる時期もあると思いますので、厚生大臣に対する質問はこれで打ち切ります。  引き続いて私は、防衛庁長官にお伺いするのでございますが、あなたは日本軍備漸増をやっていくということについて、先ほども述べられました。それで私はたびたび聞いておるのでございますが、私が聞いておりますのは、漸増ということにつきましても限界がございます、その限界というものをどこに置いておられるかということです。結局においていわゆる仮想敵国があって、それに備えるためである、これも一つ目標でございます。さきに何回も聞きましたように、アメリカ軍に帰ってもらうためにアメリカ軍と匹敵するような軍備を持つ、これにかわるべき軍備を持つ、これも一つ目標でございます。しかしながらこの目標というものについて、あなたがこの六カ年計画最終年度に示されたものが日本防衛限界であると解釈してよろしゅうございますか。
  13. 船田中

    船田国務大臣 わが国防衛体制をどういうふうに、またどの程度にまで整備していかなければならぬかということは、これは主として国際情勢の今後の見通し、そういうことをよく検討いたしませんと、ここでどれだけが限界であるということは申し上げかねると思います。従いまして、先ほども申し上げましたように、政府といたしましては、国防会議を設置いたしまして、諸般の情勢を勘案して、わが国国情及び国力に相応する防衛体制を整備していくようにいたしたい、かように考えておる次第であります。
  14. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 そういう抽象的な問題について、あなたと議論をしておりましても、時間がすぐたってしまいますが、そういたしますと、あなたが今計画されております防衛体制というものを拝見いたしますと、最終において、地上軍が十八万、そして海上部隊が十一二万四千トン、こういうような兵力を備えるということのために、多額なる防衛費を使っておられるのでございます。しかし兵器の進歩している今日、そういうような体制において日本防衛されるということは、とうてい私はできないと思うのでございます。昭和二十年の八月十五日——日本が敗戦をしたとき、日本が保有しておりました戦力というものはどれだけあったか、昨日あなたの方から資料をもらいましたが、昭和二十年の八月十五日現在で日本は八百二十六万三千人の兵力を保有しておった陸軍が六百四十万・海軍が百八十六万三千人、日本はこれだけの兵隊を持っておった。そして船舶においては四百五十九隻、総トン数において七十万八千トン、航空機においては一万九百三十八機、うち陸軍が二千四百七十二機、海軍が八千四百六十六機、陸軍においては、今申し上げました二千四百七十二機は最前線の優秀部隊の使っておる飛行機でございまして、このほかにその補充部隊として、その三分の二に匹敵する約一千機余りの飛行機をまだ保有しておった。海軍においては八千四百六十六機を持っておったけれども、このほかに特攻機として五千機を保有しておったのでございます。終戦の当時において日本は八百二十六万からの、兵力を持ち、飛行機においても一千数百機の飛行機を保有しており、命ともども爆撃していこうとする優秀なる特攻機を五千機保有しておったのです。しかしながらあの戦争は日本は守ることができなかったじゃありませんか。私たち社会党はいたずらにアメリカ反対するため、あるいは一国の利益のために再軍備反対しておるようにいわれておるけれども、自分の国は自分で守るのだと大きなことを言うが、これだけの兵力があっても日本を守ることができなかった。今これだけの兵力を持とうとするならば、一兆の予算を五倍にしても六倍にしても足りないでありましょう。この兵力を持っても、日本自身においてもこれを守ることができないという体制の中にあって、何の目標もなく——アメリカ軍に帰ってもらうという目標もなければ、あるいは仮想敵国があるというわけでもなし、ただ単に国力がふえれば軍備をふやしていくというようなことに社会党は賛成することができないから、われわれは反対しておるのであります。私はそういう立場に立って今日の日本防衛というものを考えていきますならば、ただ単に国力をふやしていくということでは納得することができないのです。地上部隊の十八万を持って何の役に立つか、軍艦を十二万四千トン持って何の役に立つのです。ほんとうに日本を守るというような体制を打ち立てることはできない。そういうことについて防衛長官はこの限界をどこに持っておられるか。あくまでもアメリカと相提携してこの防衛体制を持続していくという体制をとっておられるのか、そうすることによって日本が永久に安全であると考えておられるのか。私はこの点につきまして防衛長官のほんとうの意見をお聞きしたいと思うのでございます。
  15. 船田中

    船田国務大臣 ただいまいろいろ御議論がございましたが、今日の国際情勢におきまして、日本が相当大きな兵力を持っても、ただ独力で日本防衛を全うすることのできないことはわかり切ったことだと思います。従いまして自由主義国家群との協力によってわが国の国土の安全を保つ、こういう体制を整備していかなければならぬ。従いましてそういう点におきまして、われわれといたしましては、できるだけわが国防衛体制を整備していきたい、国力に不相応な膨大な軍備を無限に整えようというような考えを持っておるむのではないのであります。しかしさればといって、全然防衛体制がなくてよろしいかということになりますと、先ほども申し上げましたように、無防備中立論というものは私は架空な議論であって、とうてい今日の国際社会においては行われない議論であると思います。ことに日本の置かれた立場から考えまして、これはどうしても日本国力及び国情に沿う最小限度の防衛体制はできるだけすみやかに整備していくということが、私は国策として適当なことであると考える次第でございます。
  16. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 そういたしますと、今日の日本に相応した防衛体制と言われますが、日本は、今侵略をされる危険というものがございますか。またその危険がありとするならば、あるいは仮想せられるとするならば、それらの国の軍備、その体制というものに対しまして十分調査されておるような事実があるか、調査をされておらないかということについてお伺いしたいのです。
  17. 船田中

    船田国務大臣 仮想敵国というようなものをここに明言することは、私ははばかります。しかしながら国際情勢、ことに極東における諸般の情勢というものは十分考慮いたしまして、この防衛体制を整備していかなければならぬと存じます。われわれが将来の計画を立てるにつきましては、どうしても各国の過去の歴史及びわれわれの体験というものを十分生していかなければほりません。侵略国がどこであったか、どういう方法で侵略されたか、またどういう場合に侵略が起ったかというこの歴史を十分考えて、将来の防衛体制を整備していくべきである、私はさように考えます。
  18. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 日本侵略された歴史を考えてみるということでございますが、日本侵略されたという歴史を考えるのよりも、日本侵略をした歴史を十分調査せられ、何のために日本侵略をしたか、その反面もしも日本侵略しようとするような国があるならば、何が目的で侵略をしておるかというようなことをお考えになった方がよかろうと私は思うのであります。そういうような論議を重ねておりますと時間がたっばかりでございますが、私が最後にあなたに二つお聞きしたいのは、昨日ワシントンからUP特電が報ずるところによりますと、アイゼンハワー大統領が誘導弾のことにつきまして声明しておるのでございます。この誘導弾の完成はもはや戦争というものを越えて人類を破滅せしめてしまうものである、こういうことを言っておられるのでございまして、今日誘導弾におきまして、アメリカ・モスクワをつなぐような長距離誘導弾というようなものが完成されつつあるのでございます。これにつきまして今あなたは、日本防衛漸増であるとかなんとか言われておるけれども、こういうような兵器ができたときに、あなたが計画されておるような防衛体制というものが果して安全なものであるかどうかということに対して、私は一つあなたのお考えを承わりたいと思うのであります。
  19. 船田中

    船田国務大臣 ただいまお話のようにICBMといったような大きな誘導弾ができまして、そして大陸間で発射し合って敵を殲滅するというような事態が起る場合に、日本の現在の防衛体制ではどうかというような御質問でございますが、しかしいかに大きな殺人的な兵器ができましても、日本の今日置かれた立場におきまして、また国際情勢、極東の情勢を勘案いたしましたときに、日本国力及び国情に沿う防衛体制を整備していくということは大切でありまして、これはどうしてもやらなければならぬことと私は信じます。
  20. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 時間がありませんから防衛問答を重ねておりましてもなんでございますから、私はこの際経企長官にお尋ねしたいと思います。この防衛予算につきまして、私は大蔵大臣出席されておりますならば、この防衛予算の成立の経過その他につきまして詳細に承わりたい、そうしてその上に立って経企長官にお尋ねしたいと思っておったのでありますが、不幸にして大蔵大臣が本日午前中出席されることができないそうでございますので、また機会を見ましてお尋ねいたすことにいたしまして、経企長官にお尋ねいたしたいと思いますのは、今日日本防衛予算というものが防衛庁要求通り大体において通過しておる。それは新聞その他におきまして詳細に報じられておるのでございますが、この防衛予算というものと、日本防衛ということと、あなたの計画されております経済五カ年計画というものとの関連性でございます。私はあなたが発表されました経済五カ年計画というものを詳しく読んでみましたが、日本防衛体制との関連性というものがどこにも書いてないのでございます。この点につきまして経企長官は日本防衛ということと、五カ年計画完成ということにつきまして、何らのそこに関連性というものを考えておられないのか。経済五カ年計画は経済五カ年計画軍備拡充軍備拡充として並行して進んでおるのか、この点についてまずお伺いしたいと存じます。
  21. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答え申し上げます。経済五カ年計画におきましては、大体経済的に考えまして、国民の負担し得る防衛費というものはどれくらいだというふうなことから割り出しまして、過去の実績から見まして、二十七年から本年までの防衛の比率は、大体国民所得の二・二%程度になっております。その程度のものを、将来国民所得が増加いたしますにつきましては見ていく、こういうふうな考えで五カ年計画を立てております。
  22. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 そういたしますと、本年度防衛予算というものは、五カ年計画完遂の上におきまして何ら支障がないということであると私は考えるのであります。しかしながら今日日本予算というものが出されて、その予算特に防衛庁予算というものが、ここにアメリカさんとの折衝の上において、この予算が成立するまでの経過というものを新聞その他において想像してみますと、防衛庁アメリカ当局との間において折衝してまとまった予算の九七%というものが通されておる。最初大蔵省はこれに対して相当削減しようとしたけれどもアメリカさんのために一蹴されて、防衛庁予算だけは事務的な費用を除いた九七%というものは認められておる。そういたしますと、こういうようなアメリカさんの力が日本防衛費というものに強く反映してくるときにおいて、経企長官として五カ年計画を完遂する上において差しつかえがあるかないか、もしも今度防衛分担金を削減するために、いわゆる軽減してくれる倍に当るところの施設費あるいは軍備拡充というものをやらなければならぬ。そのときにもしもアメリカが強く来年度においてこれだけやれというような要求をしてきたときにおいて、五カ年計画完遂の上において、私は大きな支障を来たすと思うのでございますが、あなたはあなたの計画を立てられておるように、いわゆる日本国民生活安定のためにこれだけ要る、あるいは完全雇用のためにこれだけ要る、そうして余裕が出てきたから軍備の方にこれだけ回すというのなら話はわかるけれども、先に軍備だけ天引きしてしまって、これでやれというのなら、私はいわゆる五カ年計画を完遂する上において相当困難があると思うのでございますが、経企長官はどういうお考えを持っておられますか。
  23. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 今のお話のごとく、軍備優先だといってそれだけ天引きされてあとやられるというふうなことは、計画上絶対にできません。また同様に社会保障費がこれだけ必要だといって厚生要求を天引きされて、ほかの計画を立てるということはできませんので、総合計画というものは各方面の緊急相応じて全体をよく見て、その上に立てるわけでありまして、かりに一部の軍備論者が、ドイツは国民生活の六%、あるいはインドは国民生活の五%とか、アメリカは二〇%とかいわれても、これは日本日本の独自の立場から考えていかなければなりませんから、現在われわれは経済計画を立てる上におきましては、今申しましたように、国民所得の二・二%程度にとどめたい、こういう所存であります。
  24. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 私が経企長官にお尋ねしたいと思いましたのは、大体におきまして日本軍備予算というものが、あるいは賠償費は、これもきまったものだから仕方がないから、これだけ引いてしまう。軍備はこれだけ引いてしまうという上において、五カ年計画というものが立てられてスムーズに進んでいこうとしても、そういうような障害がくるときにおいては、五カ年計画というものは完全に履行せられほいということについて私はお伺いしたのでございまして、いろいろ申されましたが、もしもこういうものが軍備のために必要だから天引きされるというようなことであるならば、五カ年計画の完遂というものは非常に困難を来たすというような結果を私は想像することができるのでございます。  時間があと十分しかございませんので、この点につきまして、私は経企長官にお聞きすることを控えまして、最後に日米行政協定の問題につきまして外務大臣質問をしたいと思うのでありますが、外務大臣が病気で入院されたそうでございますので、この点につきまして、防衛庁に関する限り、船田防衛長官にお尋ねしたいと思うのでございます。  鳩山内閣が成立以来、国民に対しましてもあるいは国会に対しましても、憲法改正の問題を取り上げられておる。その憲法改正の骨子というものは、自立憲法——この間も日比谷の公会堂で演説をやっておられましたが、これはアメリカに押しつけられた憲法であるから、日本がみずからの手によって作り上げた自立憲法を作り上げるのだ、こういうことを言っておられるのでございます。私はそういうような考えに立って考えますと、今日日本軍備拡充というものについて推し進められておるところの根拠というものはどこにあるか。あるいは日本の経済五カ年計画の達成に支障を来たしておるということはどこにあるか。日本厚生というものに対しまして大きな支障を来たしておるのは何であるかということを考えてみますと、やはりこの軍備、そうして日本軍備の強大になっていくというその根拠というものは、行政協定にその端を発しておるのでございます。今日外務大臣はあたかも自分の手柄のように日米共同声明を発表されておりますけれども、何ですか、これは。日本の屈辱的な条項にすぎないではありませんか。日本が最初防衛分担金を負担するという根拠は、アメリカが駐留してくるために必要ないわゆる派生的な負担をするということが契約されて出発したものではございませんか。それが日本防衛体制とどれだけの関係があるのですか。日本防衛体制と何らの関係がない。汽車賃を負担するとかあるいはアメリカが駐留するためにこういう費用が要るからそれを負担する、こういうことでやられておる。それが今日は日本防衛をやらなければこれを軽減しない。最初日本に駐留したときにおいては六個師団の兵力を持っておった。それが一個師団に減っておるのです。そうすると汽車賃にしてもいろいろ使う派生的な費用というものは、その六分の一にねっておらなければならぬ。それを六分の一に減らすということに対して何ら力を入れずして、そうして日本防衛体制を確立したらそれの半分だけは負けてやろう、こういう屈辱的な条約を日米共同声明というような形で出されて得々としておるのでありますが、そういうようなことを考えましても、今日日本の国においていろいろの問題が起っておりますけれどもこの行政協定というものはいつ作られたかといえば、最初はあの朝鮮動乱に対して日本の国内において義勇軍を作り上げようとする計画に対して国民的な反撃を受けて、その落し子として生まれてきたのがこの行政協定なんです。だからこの行政協定というものはアメリカさんの御都合主義によって——日本の主張が一つでも通ったことがありますか。すべてはアメリカさんの言いなりほうだいの方向に持っていかれておる。今度でも兵力が減ったのだから負担金を当然凌げてもらわなければならぬ。それでも結果において倍にふやされるような、三百億円まけてもらおうと思ったら六百億円の金を軍備に使わなければほらぬ、こういう結果に達するような条約を結んでおる。そういうことを考えますならば、この行政協定というものがあるがために、日本の進展の上において、五カ年計画完成あるいは厚生、すべての上において大きな支障を来たしておる。これに対しまして外務大臣がおられませんから防衛庁長官にお尋ねしたいのでありますが、防衛庁長官はこの行政協定を日本国情に従った、あなた方の好きな憲法改正に唱えられておるような理由をまずこの方面に変更して、この行政協定の改訂を要求せられるところの意思があるかないか。もしもないとするならば……(「簡単にやれ」と呼ぶ者あり)それで私たちはその内容において……。   〔発言する者あり〕
  25. 三浦一雄

    ○三浦委員長 静粛に願います。
  26. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 防衛庁長官の御答弁を願いたいと思います。
  27. 船田中

    船田国務大臣 行政協定の問題につきましては外務大臣から御答弁するのが適当であると存じますが、防衛庁に関する限りにおきまして私の意見を申し上げますれば、現在は行政協定を改訂すべき時期には到達しておらぬと考えます。
  28. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 行政協定を改訂する時期には至っておらないと非常に簡単に申されておりますが、行政協定を改訂せずしてあなたが日本防衛体制を推し進めていかれる上におきまして、あなたの思う通りの方向に進んでおりますか。現在あなたはアメリカの援助によって予算も何もそのまま通してもらっておるから、行政協定はその点においてはいいと思っておられましょうけれども日本全体から見ますならば、この行政協定のために日本全体においてどれだけ屈辱的な立場に追い込まれておるかということは、私が申し上げるまでもないのでございます。一昨日のUP特電において、西ドイツにおいては、講和会議はいまだできておらないにもかかわらず、アメリカ、フランス、英国に対する防衛分担金を拒否したではありませんか。私はこの情勢を見たときにおいて、日本アメリカさんのおっしゃる通り何でも御無理ごもっともだ、どのような屈辱的な方策を講じられてもいたし方ないといって、そういうような軟弱的な態度においてアメリカに迎合するということは——行政協定の改訂をする時期ではないと言われるならば、日本の憲法をなぜ改正しようとしておるのであるか。その目的とするところは、何と言おうと、いわゆる陸海空が持てないからではないか。陸海空を持って、アメリカの命令によって海外派兵がしたいからだ。それを鳩山さんが簡単に言ったから話がもつれてきたのでございますが、派兵のできないような軍隊反対だ、これが本心だ。今日行政協定を改訂せずして、どうして日本の自立体制というものを達成することができますか。憲法を改正しても、この行政協定がある限りにおいては、日本のほんとうの姿というものは現われてこないのでございます。今日アメリカに便乗して、予算を思う通りにもらって、そうして防衛庁内におけるところの予算の使い方、警察予備隊から今日に至るまでの、その中におけるところの会計検査院の報告を見てごらんなさい。一番大きな不正を出しておるのは、いわゆる警察予備隊から自衛隊に至るまでの日本の軍関係におけるところの不正事件、そうして要らないものを買うて、来年に金を繰り越しておる。そういうような不正事件がたびたび起っておる。またあなたは一月の九日、自分の選挙区に帰るのに、いわゆる国民税金によって作ったヘリコプターに乗って、そうして、あなたの弟さんの享二さんの経営している学校の校庭に着陸をして、東京から海上自衛隊の軍楽隊を連れていって、どんちゃん、どんちゃんと軍艦マーチを鳴らして、四千人の選挙民に迎えられて、そうしてあなたはお国入りをせられたじゃありませんか。(笑声)私はその……(「落ちついてやれ」と呼ぶ者あり)時間がないから落ちついておられぬ。(笑声)そういうような立場において、今日の防衛庁の綱紀を粛正し、そして範を示さなければならぬ長官みずからが、そういうような態勢をとられているというようなことに対しては、まことに遺憾の意を表するものでございます。  この防衛ということにつきましては、社会党とあなた方の所属しておられる党とは、根本的に立場を異にしているのでございますから、私はこの上時間が二時間あろうが三時間あろうが尽きないのでございますけれども、将来においては必ず日本国民が審判するであろうということをあなたに申し上げまして、そしてあなたの、いわゆる自粛を私は要望いたしまして、私の質問を終ります。(拍手)
  29. 船田中

    船田国務大臣 防衛庁費の使用についてただいまお話がございましたが、この点責任者といたしましては十分戒心をいたしまして、私が就任早々幹部にあいさつをいたしましたときにも、この点を強く要望いたしておったところでございます。今後においても十分注意をいたします。  なお行政協定の改訂の問題は、これは外務大臣から御答弁申し上げるのが適当と存じますけれども防衛責任者といたしましても、今日は、先ほど申し上げましたように、いまだ行政協定を改訂すべき時期ではないと考えております。
  30. 三浦一雄

    ○三浦委員長 外務大臣に対する質疑は、外務大臣出席の際に答弁することにいたしますが、その点御了承願いたいと存じます。  午後は一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五分休憩      ————◇—————    午後二時四十四分開議
  31. 三浦一雄

    ○三浦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。足鹿覚君。
  32. 足鹿覺

    足鹿委員 私は農政一般につきまして、河野農林大臣、一万田大蔵大臣並びに正力国務大臣等の関係閣僚にお尋ねをいたしたいのであります。他の委員会との調整の都合もあるそうでありますので、まず最初に大蔵大臣にお尋ねをいたしたい。  政府の三大政策であります減税の公約に関連をいたしまして、農村課税の増徴の矛盾を持っていねいか、この点であります。すなわち、政府は租税負担の均衡化をはかるために、昭和三十一年度において給与所得の控除額の引き上げによりまして、給与所得者の所得税の負担を若干軽減する方針のようでありますが、一面におきまして、これは従来からでありますが、地方税、特に住民税や固定資産税の増大が顕著になってきておるのであります。また昭和三十年度の農業所得税については、従来の水稲所得に関する所得基準を、石詣り標準からこれを反当り標準に変更することになって、現在それが行われんといたしておるのであります。大蔵省当局は、豊作によって三十年度の所得税課税農家は、一割ぐらい増加するであろうといっておりますが、地方によってはその程度ではありません。二割ないしはなはだしきに至っては、二十九年度に対して二倍という驚くべき増大傾向がうかがわれるのであります。この一例を申し上げますならば、昭和二十九年度の課税対象農家は約四十万戸、主税局の調査によりますと、全農家の一五八%に当っているのであります。三十年度の当初予算と比較してみますと、当初予算は課税農家を大体六十万と押え、税額を七十億程度予定しておったようにわれわれは見ておるのであります。この場合は、当初の七千三百万石の収穫と見込んでのことであります。ところが昨年豊作であったために、七千九百万石を大体推定されることになった。従って税額も百二十億程度を予定されているといわれております。約五十億の増加が予定されていると伝えられるのであります。また課税農家も、昭和二十九年度の約二倍、八十万戸前後に達するであろうと大体想定され、税額は大体二倍というふうに今のところ想定されるのであります。こういった状態におきまして、一方において政府が減税公約を大声でもって国民に約束しておきながら、一面においては豊作に名をかり、相当重税を農村方面に課しておることについて大蔵大臣に伺いたい。  質問の第一点は、昨年十月二十八日、閣議決定による所得算定方式の変更により、税の増徴は行わないようにという意味のことをいっておりますが、その意味はどういう意味でありますか、大蔵大臣に伺いたい。
  33. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 従来農業課税につ一きましては、これは供出が行われておりましたので、石当りで計算をいたしておりましたが、それが予約買付制度に変りましたので、反当りに変更いたしました。そこで一体反当りについて農業所得はどのくらいあるか、こういうふうな問題が起るのであります。そのときに税務署だけで考えて、何だか農業について税をたくさん取りばしまいかという心配もあったように思われるのでありますが、そういうことは絶対に念いのであるということを、政府としてはっきりしたわけであります。そしてその具体的な措置といたしましては、そういうふうな場合においては、市町村長あるいはまた農業協同組合の長等と十分相談もし、その意見を尊重するようにということも閣議決定をいたしております。なお農林省のやっておる統計調査、これも一つ尊重する、こういうことになって、農業課税について公正を期したい、こういうことです。
  34. 足鹿覺

    足鹿委員 閣議決定は大臣も御存じのように、「政府は、作況による所得の増減は別として、石当所得標準から反当所得標準への所得基準の変更による税の増徴が行われることのないように配意すること。反当所得標準の作成およびその適用等に当っては、税務官庁は、現地の関係市町村長並びに農業委員会及び農業協同組合等の農業関係諸団体の長と緊密血連絡を保ち、現地の実情を反映した意見を尊重することとし、また、関係官庁は、これらの者が税務官庁に所要の資料を提供することについて協力するよう指導すること。前記の場合において、市町村の反当収穫量につき、当該税務官庁は、農林統計調査機関の作成する市町村別反当収穫量を尊重して妥当な課税標準の基礎となる収穫量を決定すること。」こういう全文になっております。これに基いて農林当局は農林当局、大蔵当局は大蔵当局でそれぞれの出先に向って指令を発しておられることはわかっておりますが、最近、三月十五日の確定申告を前にいたしまして、各地で非常な紛争と申しますと少し語弊がありますが、大蔵出先当局と農業諸団体の間にあって非常に話がつきにくい事態が起きております。たとえば、あまりこまかいことは予算委員会でありますから申し上げません。いずれ機会を得て申し上げますが、すなわちこの閣議決定が出先の財務当局によって厳守されておらない実情が各地に出てきておるのであります。たとえて申しますと、私の鳥取県の例を申し上げますと、標準村は山間地帯と中間地帯と平川地帯と三つとってあります。この三カ村の反収を算術平均した数字をもって、これに面積を加味した反収がきめてあるのであります。ところがふしぎなことには、面積というものが若干加味されているだけであって、加重平均の算式がとられておらない、この三つの算術平均で反収がきめてあるということであります。その結果は著しい反収の増加となって現われ、その標準率でもって一律の課税標準がきめられんとしておるのであります。これをめぐって農業団体は出先の、鳥取の場合で申しますと、広島国税局までも数字にわたって出かけていっていろいろ折衝しても、ほとんど話がついていない、折衝が円満に妥結をしない。たとえば平年反収二石九升の山間地帯において、農林省の統計調査部は二石六斗三升九合だと言っているものが、国税局は二石八斗九升だと言っておる。平年反収よりも一石近い増収を見込むなどということは、いかに昨年が豊作といえども、私は無謀きわまる態度ではないかと思うのです。この事例は中間地帯にも平川地帯にも全部そういう事例が現われております。要するに作況は別として石当りから反当りへと方式の変更だけで増徴に触るということは明白であります。香川県の方からも熱烈な陳情が来ておりますが、これによりますと、若干のなわ伸び問題を当局はおっしゃいますが、香川県下の農業会議は方式の変更だけで増税になるということを、役場の課税台帳に載っておる実際の農家を当てはめてみて、はっきりそういっております。私の手元にありますこういう事例はほとんど地方から届いた課税関係の資料でありますが、こういった事実から考えてみますと、昨年の豊作を奇貨として政府は事実上において減税公約を裏切り、農業所得税の増徴を意図しておるのではないか。そうでないとするならば、現状に即して大蔵当局は少くとも閣議決定の線に従って出先を厳重に監督し閣議決定の線が末端へ正しく反映をし、いたずらに三月十五日以後におけるところの農村課税問題を通じて紛議の起らないように、未然に起らないように、未然に万全の措置を講ずべき責任があると私は思うのであります。その点について実情をどのように大蔵大臣は把握しておいでにねり、また今後どのようにして閣議決定を実践いたされる御所存でありますか、それをお伺いいたしたいのであります。
  35. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 閣議決定の趣旨は、さっそく国税庁長官から、末端に至るまで・その趣旨に基いてやるように指令を出してあるのであります。そしてそれが守られておると私は確信いたしておるのでありますが、今具体的に事例をお示しになりましたので、国税庁長官もおるようでありますから、その方から説明させたいと思います。
  36. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 ただいま御質問の問題につきましては、御承知のように国税庁からも閣議決定の趣旨に従いまして、ただいま仰せになりましたように、石当り標準から反当り標準に切りかえる、そのことのために課税額がふえるということがないように厳重に国税局、税務署にも指示いたしまして、やらせておるわけであります。ただ御承知のように今年といいますか、三十年度は非常に豊作でありましたので、その関係から税額がふえるということが起るわけでありますが、閣議決定の趣旨に反したようなことは絶対にほいようにやって参りたい。それでただいまお話がありましたが、最近に至りまして、各出先の税務署で調べております反当所得標準率の案が、まだ全面的ではありませんが、だんだんできて参りましたので、それで農業団体等とお話しいたしておるのですが、御指摘のような問題につきましては、いろいろ基礎となりました反別のとり方が違っておりましたり、災害地の関係を除外してあるとか、いろいろそういう問題がありまして、ただそういった平均の数字だけで比べたのでは実態がはっきりしない点があるのです。ただいま伺いました点につきましては、私ども現在現地でどういうふうなことをやって、どういうふうになっておりますか、詳しく実情を承知いたしておりませんので、さっそく調べまして、それぞれ現地におきまして無理な、閣議決定に違反した、取扱い、やり方がないように注意してやるつもりでありますので、御了承願いたいと思います。
  37. 足鹿覺

    足鹿委員 河野農林大臣がおいでになったようですが、今の私の質問は聞かれましたか。——それでは聞いておられないようですから申しますが、あなたは去年の十二月二十八日に米の事前売り渡し申込みと水稲所得に対する所得税について、という農林大臣談話を発表しておる。その談話の要旨は、課税方法が変ったため税収が増加することのないよう十分注意することとなった、こう結んでおられる。まことにけっこうな話でありますが、事実は今あなたがおいでになるまでに私大蔵大臣にるる御説明申し上げたのでありますが、同じ政府の中であって、あなたの出先の統計調査部の反当標準の収穫高と税務当局の標準田の反当収量とが一石近くも開いておる事例が随所にありました。このことは豊作でありますから、私は今までの平年反収に比して若干ふえることはやむを得ないと思う。しかし同じ政府の出先機関の間にこのような無統一なことで、しかも課税をするということになり、農林統計調査部と国税局との必要経費の算定についても、大蔵当局は必要以上にこれを下げようとする。適正妥当なものがすでに政府によって表明されておるにもかかわらず出先の税務署や国税局は必要以上にこれを下げる。そして所得高をなるべく高めようという努力が払われておる。疑う者に疑わしめるならば、やはりこれは依然として割当課税だ。そういうことはないと政府は言いますが、国税局単位に全部割り当てる、それを税務署に割り当てる、そこにこういう無理な課税が起きておるのじゃないか。すでに三月十五日の確定申告も近づいてきておりまして、各地では非常に問題になっておりますが、この点についてどのような対策をお講じになるつもりでありますか。同じ内閣であって課税の基準となるものが著しく開き、そのために政府の減税公約とは似てもつかない増税にほるというような矛盾があっていいのか。この点はあほたの談話を持ち出すまでもないことでありますが、どのようなお考えを持っておられるか、伺いたい。
  38. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。その点につきましては、農林省といたしましてはその町村におきまする収穫量の決定その他税の決定について、所在の農業団体もしくは町村長等の集会によって、これと税務関係者との間に話し合いをして、そうしてその話し合いがつかなかった場合には、そこに農林省の今の統計によってこれの裏づけをしていくということにしてやるようにという指示を私はいたしておるわけであります。
  39. 足鹿覺

    足鹿委員 その指示をなさっておることは、文書によっても私どもは知っておりますが、大蔵当局の今までの天下り課税方式によって、事実それが実行されないのです。第一農民は青色申告をする能力を持っておらぬ。従って課税当局はある標準によって右へならえをする。その右へならえをするときの標準田の反収に大きな誤差があった場合は、これは非常に画一的な課税になって、適正課税の線を逸脱することになると思うのであります。それで私は事例をたくさん持っておりますが、きょうは予算委員会でありますから残念ながら触れられません。農林大臣はもっと当初の方針を大蔵当局がよく受け入れて、出先現地が忠実に閣議決定の線を順守するように、一段と努力されるべきではないか。  なおこの際この問題にあまり拘泥しておっても困りますから国税庁長官にも申し上げますが、昨年十月国税庁で全国各地の国税局に対しまして、所得標準率を山間、中間、平川部と作ったが、その数字を資料として出されたい。先ほど長官はそういう遺憾な事実を知らないというようなことをおっしゃった。これだけ問題になっておることがわかりませんか。これは東北においては秋田においても山形においても、あるいは関西においては鳥取においても香川においても、全国至るところにあるではありませんか。政府の減税公約の手前もあってこういうことを放任されということは、私は同じ政府の中におって、不統一のそしりを免れないと思います。もっと真剣に政府が真に減税公約を忠実にやらんとするならば、昨年の豊作の美名に隠れて増徴をかりにも来たすがごときことは、断じてあってはならないと思います。そういう点についていま一応大蔵、農林両大臣の御所信を承わって、この問題を終りたいと思います。
  40. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 御趣旨はよくわかりました。持に豊作なるがゆえに不当に増徴するというようなことは毛頭考えておりません。閣議決定の趣旨は、なお一そう出先にも徹底するようにいたしますが、なお具体的な例をお示しになりましたから、私も国税庁によく申し伝えます。そしてどういう理由でそうなっておるのか、私もよく調べてみることにいたします。
  41. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。ただいま大蔵大臣からお話があったことでございますから、その線をぜひ逸脱しないように、私からも十分注意をするつもりであります。
  42. 足鹿覺

    足鹿委員 次に移りたいのでありますが、今の問題は分科会その他適切の機会の際に、さらによく具体的な資料を御提示して、あなた方が納得のいかれるまで私は申し上げたいと思います。  次に河野農相の構想のただ一つのねらいといわれております、首相の施政演説にまで織り込まれた新しい村作りの構想と、適地適産の問題について私は農林大臣に主として伺いたい。あわせて高碕企画庁長官にもお伺いいたしたいのであります。それは適地適産、新しい村作り、このことは今に始まったことではない。昭和の農業恐慌の際に、経済更生運動の姿をとったこともありますし、類似の形はいろいろとっております。ただ今われわれが当時の背景と今の背景の違った点を指摘すれば、現在は国際的に食糧が過剰傾向を持ってき、安い食糧があり余っておる現状のもとにおける世界農業の一環としての日本農業の問題であろうと思います。こういう食糧の世界的過剰傾向を背景とする場合において、河野農相の言う適地通産ということは、国内における適地適産というよりも、むしろ国際的ね環境の中における適地通産を目ざしておるものではないか、こういう点が相当強く指摘されると思います。  第二点は、米麦の増産行政から持産物の行政への転換を意味し、結論的には食糧の輸入依存主義に発展、通ずる結果となるのではないか。要するに今までの国家の要請があまり強過ぎた米麦の増産は、これは農民の自主性によってさじかげんをする、新しい農産物を適地通産で育成するというが、価格政策の先行しない農産物政策が果して成立するかどうか、価格政策の先行しない持産物政策の成立というものは日本の農業市場にはありません。早い話が昨年のカンショの場合は、ただあれだけの豊作傾向によって、昭和二十九年三十五円しておったものが二十六円に暴落する。要するに今の日本の状態において五千町歩以上の持産物などというようなものはあり得ないと、斯界の権威者は言っておるではありませんか。五千町歩以上の作をつけて、果して価格の暴落を来たさない安全作物というものはどういうものであろうか、河野農相の適地適産の世界的国際食糧過剰の段階におけるところの意味と、国内における適地適産の具体的事例は一体何か。同時に価格政策を伴わない特産物の育成政策というものはどういう形においてできるか。  この三点を河野農林大臣に伺いたい。
  43. 河野一郎

    河野国務大臣 足鹿さんから価格政策の先行しない政策はいけないということでございますが私は戦後の農村政策において一番大きく取り上げられておるものは、価格政策だと思うのであります。一番やかましく論議せられるものも価格政策だと思うのであります。これは価格政策を表面から打ち出しておりませんけれども、御案内の通り、第一には国際価格と国内価格とをチェックする意味において、常に国内の農産物の価格を維持するという面も十分勘案いたしまして、為替の政策を行なっております。またこれからも強く行なっていかなければならないと思います。外国が安い、国内が高いからといって、これを自由に輸入するということは今日何人も考えておる人はない。この事実をもってもおわかりいただけると思うのでありまして、今カンショの例をおとりになりましたが、カンショにいたしましても、これは御承知の通りのような事情でございまして、昨年は何人も予想しないような未曽有の豊作である。その豊作の収穫量を勘案して価格を決定するということになって、これすなわち価格政策を取り入れて、あの程度の価格が妥当であろうということで決定した数字でございまして、十二分に私は価格政策を勘案しておると思うのであります。米麦についてももちろん御承知の通りでございます。ただみだりに世界的な価格に追随して、国内の農産物の価格が移行して参るということは絶対にあり得ない。十分その点については配慮せられておる。その他主要農産物については、一々取り上げて論議の対象になっていくべきものと考えております。菜種についても御承知の実情でありまして、これの輸入については、十二分に政府は考慮を払いつつ、国内の消費者との関係を勘案してやっております。そういうことで、別に法律をもってし、何をもってするということにはほっておりませんけれども、われわれといたしましては、農産物の価格についても、十分各方面の意向を尊重するために・農産物価格の審議会等も作りまして、全面的に農産物の価格の均衡性についても考慮を払っておるわけでございまして、これらの点については、今後も引き続き十分の配意をして参らなければならないことは申すまでもございません。ただ御指摘の点で持にここで申し上げておきたいと思いますことは、今後の農業政策の根幹をなすものは、国民食糧の自給度を高めていかなければならないという国策の線と、農家経済を安定確立するという、この二つの目標のどこに安定値を求めるかということだと思うのであります。食糧の自給度を高めていく、もしくは食糧の自給を絶対にしなければならない至上命令的な事態においては、ときに農村に対して極度の保護政策をとり、そして農家の経済を多少無視しても食糧の自給を勘案しなければならない事態も私はあると存じます。しかし今日の段階におきましては、これと見合いつつ、一方において相当に強く農村の経済の安定にわれわれは配意をして参るということは、当然農業政策の上において考うべきことだと思うのであります。そういう意味からいたしまして、これを軽重いずれにすべきかということはあえて私は申し上げませんが、この両面を十二分に勘案して、方針を実情に即して持って参らなければいかぬということは御了承願えると思うのであります。特に今日の窮乏せる農村の事情を考えますときには、農村の経済の安定、特に国際的に農業事情等を勘案いたしますれば、すみやかにわが国の農村に対して強力なる裏づけをして参ることが必要であるという意味に立って、今日新農村運動を展開して参りたいと考えておるのでございます。これを適地通産という点について、国際的に考えてやるか国内的に考えてやるか、これはむろん国際的に輸出の可能な部面については、十分考える必要があると私は思います。しかしただ輸出農産物にあまりに意を注ぎ、適地適産を強力に推進する半面において、今申し上げますように、国内の自給計画を非常に狂わすというようなことも反省しなければいけない。これらはいずれも限度のあることでございまして、一面に偏して物を考えるということは間違いを生ずるもとでありますから、それら御指摘になりましたものをすべて十分に勘案して、そうして適当なところにこれを推進していくように、これらの点については、農家の諸君に対しても間違いのないようにこれを十分御相談をいたしまして、協力してやっていくということが必要であろう、こう思っておるわけであります。
  44. 足鹿覺

    足鹿委員 河野農林大臣は東畑東京大学教授との新春対談で、主要食糧に重点を置いて、相当長期にわたって生産の助長をやってきた経済構成を一ぺん再編成し、新しい村を一つ作ろうではないか、こういうことを言っておられるし、これに類することはあらゆる機会にしばしば言っておられます。今の御答弁で、この適地通産ということは国内のみではない、国際的な面も含むんだということで、大体その性格が明らかになってきました。といたしますと、現在日本で米を作るよりもビルマ、タイで米を作らせて、これを日本に入れた方が適地通産でしょう。麦の場合はアメリカ、アルゼンチンあるいはオーストラリアというような適地があるのでありますから、そこで作って日本へ持って来ることの方が通産でしょう。日本は蚕とかその他のものを作って、これを輸出していく、こういうことに通ぜざるを得ない。従ってそういった場合に日本の農業はどうなるかということを考えてみますと、もうすでにアメリカ大豆と中共大豆の入荷によって、一時四千六百円台を伝えておった大豆は二千六百円台に崩落し、辛うじて年末国会の論議によって、政府が安定措置を若干とったせいもあるでしょうが、現在三千円台を往来しておるというところに持ち直しておる。東北、北海道あるいは国内におけるところの開拓地の農民が、適地通産というよりも、ほかに作るものがないので大豆を作れば、国際的影響を受けてこういう崩落をする。これに対して、農産物価格安定法に大豆を入れるべきである、これはもう国会の内外を通じての世論であるけれども、一向に政府はその気配が見えない。ですから私が、特産物の育成強化ということについて、価格政策を先行しなさいということをいわざるを得ないのはおわかりでありましょう。現にそういう事態が起きておるのであります。いわんや今後適地適産を強力に推進していく場合においては、まず価格政策というものが先行して、初めてそこに増産の問題が起きてくると私どもは思うのであります。現在米や麦は強力な支持価格制度、国家管理のもとにあるから、農民が安んじて、不満ではあるけれども、一応これについては安全策になっておる。ただこの場合においても、的確な買収価格であるかどうかは別として、政府が一たん公示した価格においてこれを買収するという立場において安全感があるのであります。そういった強力な国家的な干渉、国家が強力な施策で干渉して、てこ入れをしていくということにおいて、初めて現在の日本の農業というものは、この劣悪な国際環境の中にあって成立する条件を辛うじて得るのであります。現在の農林大臣の構想のように、適地適産を真正面に掲げ、半ば今までの国家的な干渉政策をやめて、これを自由に放任するに通ずるよう血ことになってきた場合は、恐るべき結果が出はしないかと私は思う。むしろ後進産業としての日本の農業は、もっと国家が干渉していって、民主的血気持を助長しながら国家が干渉——と言うと語弊がありますが、国家がいろいろと指導を加え、計画性を与えていくのが、私は現在の日本の農業政策の根幹をなす問題だと思う。  ところが一方において政府は、このごろ通産省あたりから意見が出まして、独禁法緩和が盛んに論じられておる。たとえば鉄鋼界において、最近一年を限度とする製鉄の生産協定がすでに論じられており、これに対して政府もやや同調の態度を示しておる。また昨年来酪農の危機が伝えられ、乳製品の暴落があったときにも、日本の乳業資本が独禁法の違反法をやっておることは明らかである。これが審査活動を公取に要求いたしましたが、弱体化した公取は、ほとんどその機能を発揮することはできなかった。一方大き血独占資本たる他の産業方面においては、むしろ独禁法の緩和によって、業者みずからの協定行為、購買カルテル、販売カルテル、いろいろな協定行為が公然と独禁法をくぐって行われる、すなわち計画化していく現状にあって、それを政府は助長する独禁法緩和の政策を堅持しておきながら、一方において農業政策の面においては、自由主義に通ずるがごとき適地適産政策をとるということの矛盾、これは現内閣の持つ農業政策と一般産業政策との間における政策上の大きな矛盾だろうと私は思う。高碕経済企画庁長官は、独禁法の緩和の問題と関連して、このような状態に対していかような御所見を持っておいでになりますか、承わっておきたい。
  45. 河野一郎

    河野国務大臣 先にちょっと私からお答え申し上げておきたい点があります。今、足鹿さんのおっしゃいますように、私は、先ほどもお答え申し上げました通りに、農業政策を一方に片寄ってやるということは、劣弱な農業経営に支障を来たすおそれがあるから、すべての点を勘案して、中庸を得ていぐ必要があるということを申し上げたのでございまして、決して私は自由放任をして、そうして安いビルマの米を買え、安いカナダの麦を買えということは考えておりませんことは、すでに十分御承知だと思っております。なればこそ、安い外米を買い、安い麦を必要な限度において買って参ります。しかしそれを国内に持ってきた場合に、これを勘案して、国内の麦もしくは米の価格差に与えてやっておることは、御承知の通りであります。この線を逸脱しようとだれも考えていないのでございます。  今大豆の点についてしきりにお話でございましたが、大豆についても、私は十分に考えておりますことは、先般もここで申し上げた通りであります。二十万トンの国内生産の大豆、六十ないし七十万トンの海外から輸入して参ります大豆、この大豆を見合ってどういう政策がよろしいか。たとえばそれをしぼって、豆かすになりました場合に、その豆かすは全部農村の肥料となり飼料となるのであります。してみれば大豆の価格を上げて、そうして高い豆かすを買うことがいいか、大豆の値段を下げて、安い豆かすを農村に持ってくることがいいかというような点も考慮の必要があると思うのであります。そういうふうにして、一部非常に不利益をもたらすところの東北、北海道の大豆生産者には、どういう政策をしからばそういう場合にはとらなければいかぬか。また国内の大豆の値段を上げて、そうして外国の大豆の値段を上げて、一部のこれを取り扱う商社並びにこれを加工する業者に不当な利益を与えるというようなことは、ちょうど今のサツマイモの価格を維持するためにとりますところの砂糖の問題と同様の結果になるおそれがある。これをどういうふうにしてチェックしていかなければならないかというような点を、各方面を勘案して結論を出しませんと、ただ大豆の価格安定の中にこれ取り入れる、それで入れておきさえすればいいという問題ではないと私は思うのであります。これを入れることによって生ずる諸般の影響、結果をすべて考慮しなければいけない。それによってえさの値段が上って参ります。そうしたときに、えさの値段が上っていいか悪いかということも考えなければならぬと思うのでございます。でございますから、諸般の点を勘案して、いずれの方策をとるのが一番農家のために有益か、全体の消費大衆の食生活の上にいいかということを目下検討中であります。しかし、これはいつまでも考慮検討して長引かそうという考えは持っておりませんということは、先般申し上げた通りでございます。私は放任主義無理に自由にし、そうして農家に不利益を来たすようなことは決して考えておりませんことは、従来しばしば申し上げた通りでありますから、どうかその点は御了承いただきたいと思うのでございます。
  46. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 独禁法のことについての御質問でございますが、独禁法緩和ということを、ただいま政府としてやっております問題は、輸出産業に対して中小工業者がいろいろ価格競争をして、そうして十分取れるべき外貨を取らないでおるとか、のみならず、かえって外国において、販売競争をした結果、日本商品に対する信用を落す、こういう実例が非常に多いのでございますから、輸出振興の意味におきまして、主として独禁法の緩和をやっておるのでございます。ただいまお話のごとく、農産物の買い入れ等につきましては、かえって価格を上げるというようなことでわれわれは考えていきたいと存ずるわけであります。  それから先ほどの御質問で、大体河野農林大臣が答えた通りでありますが、外国の食糧が安くなるから、日本の食糧自給というものはだんだん減すのではないか、こういうふうな御質問でございますが、これは全然そうではありません。経済長期計画におきましても、大体日本の食糧の自給度というものにつきまして、数字で申し上げますと、二十九年度には七九・八%が自給度であったが、三十五年度を期して、われわれは八一・四という自給度に持っていきたい。こういう工合で、食糧の自給ということは十分考慮に置いて計画を立てておるわけであります。輸入食糧のごときも、大体主要食糧は二十九年度が三百二十八万トン、これは三十五年度においてもその数字を上面らない、三百二十八万トンというところで押えていく、こういうふうな方針をとっておるわけでございます。
  47. 足鹿覺

    足鹿委員 この問題はあとでまた申し上げますが、大蔵大臣がお急ぎのようでありますから、大蔵大臣にいま一点お尋ねいたします。昭和三十年九月刊行の「図説・日本財政」大蔵省大臣官房調査課編によりますと、「食糧増産事業について根本的に考えなくてはならないのは、それがあまりに高いコストを要するということである。たとえば土地改良によって米麦一石を増産するのに費用は四万円から八万円、平均して五万円ばかりかかり、開拓によると四万八千円もかかる。農林省が計算したものによると、これから将来土地改良と開拓によって九百六十三万石増産するためには約五千百二十一億円必要だということである。そこでこの巨額の資金がもし調達できたとしても、その生産費は非常に高いものにならざるを得ない。農産物の国際価格が値下り傾向にある現在では、ここが必要ですよ。「ますます日本の農業の国際競争は弱くなるだろう。さらに生計費、賃金にはね返って国民経済全体の国際競争力が弱くなることも当然考えられることである。」かくのごとく断じておるのであります。大蔵大臣の日ごろの御所信によく似た点がここに端的に現われておる。そこで大蔵大臣に伺いたいが、大蔵大臣は、国内の食糧自給の可能性について確信を失っておられるかどうか。今述べたような点において、非常にコストが高くつく、こういうものについて、大蔵省としては同調できないと言わんばかりの論調であります。大体大蔵省の主張がよくこれには現われておりますが、国際農産物の過剰傾向と値下りにつきましては、今さら申し上げるまでもありません。しかも国内増産の非能率性はおおうべくもありません。それは、今述べたような事態も一部にはあるでしょう。しかしながら、国情を同じくするイギリスにおいてはどうですか。イギリスの場合においても、かつてあなた方の同僚である綱島正興君が衆議院の農林委員長のときに、「イギリスの前途を思う」という冊子の翻訳を命ぜられて、これを国会のわれわれ同僚全部に配付されました。これです。イギリスの朝野をあげて大きな世論になって、この論文発表からイギリスの食糧政策が一変したとさえいわれるくらい、世論を尊重したイギリスの食糧政策転換の基調をなした、この論文をお配りになった。われわれはそれを読んで、日本より以上に、三分の二を海外に食糧を求めなければやっていけないイギリスが、戦前水準の六〇%まで食糧の増産を計画するために、いろいろ必要な措置を講じておるではありませんか。この事実は、日本においては三分の一を輸入しておるので、これは努力いかんによっては克服できるんです。ただその非能率性とコストの問題については、一時耐え忍ばなければならない困難な時代はあるでしょう。いたずらにコスト高をもってのみ論断することのできない厳粛なものがあると私は思う。また日本と同じような国情にありますところのもう一つのスイスの場合におきましても、御存じのように、大蔵大臣は御存じであるかどうか知りませんが、一九五三年三月三十日に、スイスは国民投票によって、スイス農業法というものをきめておる。そうしてこのスイス農業法におきましては、あらゆる角度から、農民教育に至るまで一貫した基本法を作って、永久に不変の長期一貫性の農業政策の基調を国民投票によって求めておるではありませんか。わが日本の場合は、イギリスの場合、スイスの場合よりも、世界に冠たる農業国であることは、今まで日本国民のむしろ誇りにしておったところでありましょう。そういった事例から考えてみた場合に、ただ単に、コストが高くつく、非能率である、経済効果が薄い、そういう事情によって、ことしの予算は著しい国策の転換を行わんとしておる。あとでいろいろと申し上げますが、大蔵大臣はそういう点についてどのような御所信を持っておいでになりますか。あなたの財政金融政策を通じて考えますならば、国内における食糧の自給自足の可能性の自信を喪失され、当面まず食いつきやすい外国輸入食糧依存主義を、農林当局をしてのましめねばならないような財政措置をあなた自身が打ち立てられておるのでは慮いか、こういう考え方すら持たざるを得ないのであります。要は国内の食糧自給の可能性について、大蔵大臣の御所信をこの際はっきりしていただきたい。
  48. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいまお読み上げになりました資金と生産コストとの関係、これは私は、一応事実は事実としてそういうようなことはあり得ると思うのでありますが、それと農業政策というものは、これまた別個なものでなくてはならないし、またあり得べきものと思います。やはり日本の場合においてもできるだけ人口等を考えて、食糧については自給自足が可能なりやいなやはよほど時間的な考慮も必要ですから、いろいろと問題がありましょうが、できるだけ自給度を高めていくということについては、私は異存はないのでありまして、むろん考えたい。同時にまた、日本の今日の国情からして、いろいろと貿易関係考え、国際的な関係考えていく。その辺の調整を考えつついくのが当面日本の行くべき道じゃないか、こういうふうに考えております。今すぐに食糧が自給できると言う人はだれもない。おそらく増加する人口の必要とする食糧をカバーするのも容易じゃないぐらいではないかと思っておるのでありますが、しかしそう御意見と違うこともないだろう、自給度を高めることに異存はないのであります。
  49. 足鹿覺

    足鹿委員 全く自信のない御答弁のようです。高碕長官は、先ほど二十九、三十年の自給度の向上の点について数字をあげておいでになった。現在国民所得の面からは、農村は大体一九%ぐらいしか持っておらぬ。大蔵省は、ややもすればワクとしての農家所得がふえたということをもって、直ちに農業純所得がふえたような議論をいつもしておるが、これは大きな間違いである。農家も生きていく以上は、農業の所得が減っても、それを他の兼業あるいは副業収入に求めるから、勢い農家全体としての所得の増加ということにならざるを得ない。現に政府が示しております重大な資料によりますと、農業所得が歴年減ってきておる実情になっておるのであります。二十九年は、大体一八・一三%のものが一七・二四%に減っております。これは産業構造をどう変えていくかという基本問題とも関連があります。農村人口の問題・農業所得の問題は、産業構造との関係においてこれをどう変えていくかということに私は大きな問題があると思いますが、そういった点についてどのような配慮と構想を持たれておるのか、何年の後には農村人口はどの程度に押え、これをどういう産業に配置転換していき、農村の人口を、産業の再編成と配置転換によってどう消化していくという見通しを立てておられるのか、そういった点についてあなたの説明があって初めて今の大蔵大臣の抽象的なお話が具体性を帯びてくると思うのです。議論をしているのではありませんが、どういう計画を持っておりますか、あれば具体的に承わりたい。
  50. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答え申し上げます。大体日本の人口の配分から申しますと、戦前の昭和十五年は農業方面の人口、第一次産業は四四%、ところがこれが二二%にほりまして、終戦後急速に農家の方に人が入って参りまして、これが五三・四%になったのであります。それから逐次経済が安定するにつれて農業方面の人口が減って参りまして、二十五年には四八%、二十九年には四三・五%という数字でございます。私どもはこれを三十五年には四〇・三%に持っていきたい、こういう考えであります。そうゆうふうに人口の配分比率は減って参りましたが、実際の数量は農業方面におきましても五ケ年間に大体四%ずつふえる、こういうわけでございます。この比率は減りますけれども、ほかの方は多いわけであります。先ほどイギリスのお話もございましたけれども、イギリスのごときは、現在におきましては、農業方面の人口というものは四・九%、ごくわずかでございます。インドのごときは九二%もあるというようなわけであります。われわれの国とよく似ておりますフランスでありますが、これは農業立国でやっておりますが、これはどうかというと、三六%という農業人口の配分になっておりますから、大体四〇%くらいでとどめていきたい、こういう考えで進んでおるわけであります。
  51. 足鹿覺

    足鹿委員 正力国務大臣に原子力の農林業利用に関して一点お尋ねしたいと思います。原子力についてはエネルギー利用の面のみがはなばなしく取り上げられておるきらいがありまして、アイソトープの利用研究はこれに劣らぬ重要な意義を持っておりますが、特に農業、医療、工業方面への活用は即博手をつけるべきもので、すみやかに研究普及の後進性を取り戻して、わが国独自の真の平和利用の基盤を固める必要があると思います。政府は果して原子力の政策及び予算の重点をエネルギー利用とアイソトープ利用のいずれに置いていこうと考えておられるのでありますか、お伺いをいたしたい。
  52. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 お答えいたします。原子力の平和利用については、エネルギーの利用、つまり電力ということに力を入れて、これにも劣らずにアイソトープの利用を考えております。すでに農林省の試験場で研究をしておりますが、今後いよいよ私どもの方へ研究所ができますればこれを大いにやります。何分まだ原子炉も日本には入らぬものですから、原子炉が入ってくれば、これは農業方面に特に力を入れていきます。現にアメリカでは、小麦のごとき二毛作になるという研究もしているくらいですから、日本でも二毛作をやりたいと思っております。御安心下さい。
  53. 足鹿覺

    足鹿委員 原子力関係予算を見ますと、大体三十六億円のようであります。このうち、農林省の分としてはわずかに五千六百万円計上されておるようであります。しかも農業、林業、水産業、畜産業、蚕糸業等は独自のアイソトープ利用の研究施設を必要としているようであります。これらの各部門に総花的にこの五千六百万円を振り向ければ幾らに触るでしょう。特に河野農林大臣にお伺いしますが、最初は最高会議だったと思うが、四月から農業技術会議というものが発足し、農業方面への原子力の利用施策に当らせる方針のように聞いておりますが、各部門の研究促進や予算の配分等について現在いかように考えられておりますか。わずか五千六百万円程度のものではあまりにも——原子炉を作るのがまず先決だと正力さんはおっしゃいますが、しかしこのアイソトープの問題については今から手をつけていかなければ間に合わない。第一、品種の改良、食品加工の問題を通じてみましても、このアイソトープを当てることによって、突然変異の著しい変化ができる。革命が農業技術の世界に今起きつつある。また食品加工の面におきましても、農産、畜産、水産の方面において、その貯蔵方面においてはカン詰工業がほとんど破産をするような、大きな時代的転換が起きるかもしれないという段階にきておる。しかもアメリカ等においては、すでに原子力利用の農場等を作って、積極的にやっております。そうした具体的な問題をやることこそが、原子力の平和利用の中身ではないかと私は思うのです。そういう点について、河野農林大臣の構想を伺いたい。
  54. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。実は私も原子力の農業利用ということについて十分に注意をいたしまして、昨年アメリカに参りました際にアメリカでこの方面の人といろいろ話し合ってみました。ところが今世上で言われておりまする実態と、実際のアメリカの進捗状態とが必ずしも一致していないということを私は考えたのであります。同時に、日本にあれと同等の設備をするということはなかなか困難があるということを考えまして、一面に正力国務大臣の申される方向において基礎のものは着々とこれは進行するのでありますから、われわれこれを利用する方面におきましては、むしろ日本の優秀な技術者をアメリカに派遣をいたしまして、そして日米の間に十分緊密な連絡をとって、そして向うで勉強させた方が便利であり、より効果的であるというふうに私は結論を持ったのであります。その意味において今回予算に計上してありますものは、各種の技術者をアメリカに派遣いたしまして、アメリカの方でも喜んでこれを受け入れて十分に便宜を与えるということの了解を得ておりますので、予算には技術者をアメリカに派遣して、そして農業方面の利用を、アメリカの現在やっておりますものと、わが国で今までわずかな施設でやっておりますものとを十分突き合せ、そして一段とこれを進めて参りたい。こうしてアメリカの設備を利用して勉強し、技術を研究しておりますうちに、わが国内におきましても、適当に機会を得れば設備をして、こちらで勉強できるようにしていくことの方が妥当であろうというふうに考えて、今御指摘の五千数百万円の金は、技術者の海外派遣費を主としておるのでございます。  なお今試験研究所の会議のお話でございますが、これは原子力の問題を対象にしたのではないのございまして、それもむろん入ってはおりますが、従来各種の農業試験研究所が、個々にいろいろの方向に向っておりますものを、一貫して企画性をもって、そして常にアメリカ等でやっておりますように、その試験研究の発表もしくは試験研究の方向等をきめるために会議を持ちまして、その会議日本農業とこれらの試験研究所等の調査研究の方向等を定めて参りたいという会議をもってやることの方が効果的である。しこうして各試験所、研究所等が、それぞれ研究試験の結果を一カ所に集めて、これを総合的に検討していくということが非常に必要であるということのために、この会議を持つことにしたわけでございます。
  55. 足鹿覺

    足鹿委員 私はいろいろともっと農業技術問題については触れたいのでありますが、先を急ぎますから次に移ります。  最近の傾向として著しいものは、公団の乱立傾向がその一つだろうと思うのです。その利害得失はいろいろあろうと思いますが、現在ありますものは愛知用水、機械開発、住宅の三公団、それに全度道路公団というものを作ろうとしておるし、また熊野川その他の森林資源の開発公団を考え、続いて干拓関係についても公団説が伝えられております。なぜこれら公団システムをとらなければならないのか。またならなかったかということについて、私どもはその理由がよくわかりませんが、しかし事実やる仕事自体は悪くないし、愛知用水も最近われわれは議論はいたしましたが、一応賛成いたしました。ところが、公団そのものについての目的とか性格とかいろいろな点を、経済が統制下にあるときと自由になった今日と、もっと検討を本質的に試むべきものであったが、十分その時間を得ずして今日に至ったのであります。特別会計は現在三十五もあります。現在公団のやっておることを、特別会計をもってしてもやれないことはありません。十分やれると思う。ただ公団にした場合には、公法人として、政府関係機関として一応仕事がやれていくということであります。公団の役職員の身分は公務員ではありません、一般民間人と同格であるが、ただし恩給をもらう権利の継続あるいは刑罰の適用に公務員としての同一の取扱いを受けるという点で違っておるだけでありまして、最近においては、民間人の総裁が迎えられる。また政府の役人がこれに出て、いろいろと仕事に参加するというような形がとられておることも御存じの通りでありますが、資本金がない、これは一つの特徴であろうと思います。住宅公団の場合は別といたしまして、公団の財務会計は一般公法人とは本質的には変らないのでありますが、予算、決算も国会に提出しない、こういう点で公社、公庫とは違っておると思います。以上のように、事業の実態は特別会計または公社と本質的に異なるところはありせんが、事業の実施に当って民間人の知識と創意を取り入れる、また会計方式に弾力性を持たせない場合にこの公団方式をとるように、大体わかるのであります。そこで私は愛知用水の問題を一つこの際問題点を明らかにして検討してみたいと思うのでありますが、愛知用水を公団方式でやるのがよかったか悪かったか、直ちにその結論は出ませんが、最近の愛知用水の事業の進捗状態が芳ばしくないということは周知の通りであります。有名な財界経済人を迎えられまして、また世界銀行なり余剰農産物会計からも金が繰り入れられ、いろいろやられておるのでありますが、最近話に聞くところによると、民間人と政府から入った役人との間に相剋摩擦が相当ある、またいろい経費の面において乱費的傾向が現われていはしないか。特に世銀融資をめぐって交際費の乱費、また技術の導入、機械の購入等についても世銀側から不当な圧力を受けておるような傾向恋しとしない。たとえば三十六億円の金が愛知用水に出た。ところがこれは技術顧問団と機械の購入費に、ほとんど消えてしまっておる。世銀から厄介になっても、事実上において技術顧問団の経費とそれらの接待費、これに伴う雑費、そうして開発用の機械にほとんどその三十六億は消えてしまっておる、こういう実情であるようにわれわれは聞いておるのであります。現在のようにあれだけの大きな動きを示した愛知用水が非常に最近事業が停滞しておるのは、一体どこにその原因がありますか。これは大蔵大臣にも、通産大臣にも、あるいは建設大臣にも皆さん関係があるようでありますが、主管大臣は農林大臣のようでありますから、この公団方式の問題について基本的な再検討をする必要があるとわれわれは思いますが、とりあえず今問題にほっておる愛知用水の問題について伺いたい。  いま一つは私は先日青森県の方を見た。上北の機械開墾公団を見ましたが、ジャージー種の乳牛の導入までやっておる。そしてこれは政府関係機関ではあるが、政府の直営ではありませんから、普通の土地改良事業のように、国と地方自治体のように連絡がう凄くいっていない。地方自治体はそっぽを向いておる。あれは公団がおやりになるのだ、こう言っておる。林野庁は林野庁でその対象地域に大きな森林があっても、積極的に出して利便をはかろうとしない。全く当初の計画事業が似ても似つかないような現状に停滞しておる。こういった矛盾を農林大臣は御存じでありますか。もっとこれらの問題については、本質的にはいろいろ問題があることはただいま指摘しましたが、現状の愛知用水の場合あるいは機械開発公団の一、二の例をとってみても、私は納得がいかない。運営上の回において大きな欠陥があることを指摘したい。御存じであればもう少し御心境を承わりたいし、その対策も承わりたいのであります。
  56. 河野一郎

    河野国務大臣 お話のように、愛知用水公団が設立の当初以来、いろいろな問題に直面いたしまして、事業がなかなか進みかねておることは、御指摘の通りでございますが、しかしこれは他の電力会社等が、ダムを作ります場合に、いろいろ困難に直面いたしておりますのに比べれば、決しておくれているということは言えない。比較的順調にいっているのではないかと思うのでございます。それで今お話のように三十何億の金を機械を買ってしまったとか、そういうことは全然私はないと思います。まだ機械を買ったという話は聞きません。そういうことは何かのお間違いじゃないかと思います。何でも最近に北海道の方の機械公団が機械を買り公入札をやると告示をするということに聞いておりますけれども、愛知用水の方についてはまだそこまでいっていない。むしろ今お話のように世銀との間にいろいろ交渉を続けておるという実情であって、ようやく設計者について話し合いをつけたいというところで、今準備時代でありますから、いろいろ困難な問題もあるようでございますが、今足鹿さんのお話の点とは少し違うと思います。なお御承知の通り浜口総裁は非常に手がたくすべてを運用しておられるようでありますから、交際費をべらぼうに使っておるというような、そういう点は絶対にないということを申し上げることができるのではないか、こう思っております。それからなお役所から行った者と民間の人との間に摩擦があった云々、これはそういう事実は絶対にないと思います。
  57. 三浦一雄

    ○三浦委員長 質問は簡潔にお願いいたします。
  58. 足鹿覺

    足鹿委員 愛知用水の技術顧問団の点についてでありますが、日本の農業技術水準をもってして、愛知用水の設計その他施工のできないはずはない。技術顧問を入れてくるというのは、いわゆる世銀の資金を導入するための一種のひもである。われわれはこれを農林委員会において審議したときには、いよいよあすで国会が終るというその前日にようやくこの問題が本格審議になった。そのこと自体はあえて悪いことではないから、運営の面については後日よく検討しようということで、われわれ一応賛成したのでありますが、その後運営の内容を見ますと、必ずしも大臣が今おっしゃるように、うまく、はいっておらないと思います。たとえば最近工事施工のエリック・フロアの会社から技術団が来るということを聞いた。大体その経費が十億円程度であるということを伝えられておる。その真相はよく存じませんが、三十五、六億の金を世銀から入れて、ほとんどその金をそっくり外国の方へ持っていくほど日本の土木技術はおくれているとはわれわれは考えられない。ロックフイール・ダムを作っておるが、これは第一に現地に粘土があるということが条件でございますが、その粘土の掘さくがうまくいかない。外人技術をもってしても、地下資源の問題はすでに行き詰まっておる。日本のセメント工業をもってすれば、ロックフイール・ダムを作らなくても、十分セメント・ダムで間に合うはずだ。ところが初めてこれを施用してみたところが、事実において粘土が不足しておる。そこでダム工事の施工が手間取っておるという話もわれわれは聞いておる。ともかく技術顧問団を高額で迎えておっても、何らその価値に値するような——価値がないとは言いませんが、必ずしもわれわれの期待するようなものでないかもしれない、もっとあなた方はお考えにならなければいけない、そういった点を私は一応指摘し、公団の今後の運営等については十分留意せられるよう警告を与えてこの問題は打ち切ります。  いろいろたくさんありますが、どうも時間が十分ありませんので、あとは簡潔に申し上げます。余剰農産物と国際小麦協定の問題についてであります。大体河野大臣が昨年アメリカへ渡られて、第二次協定は事実上調印されたも同様である、近く国会にこれを協定案としてお出しになる見込みであるように思いますが、その中で注目すべきことは一応われわれが去年指摘した米がなくなった、これはけっこうであります。ところが葉タバコが千五百トンも入ってくる、飼料が六万トン、綿花が十万俵というふうに入ってくる、綿花はメキシコ綿花と品質は変りない、しかもトン当り十ドルくらいも高い、こういうものを事実上において買わなければほらぬ。葉タバコは日本の内地生産の千百二十トンに匹敵する千五百トンが入ってくる。専売公社は三カ年分の外国葉タバコのストックを持っておる、従ってその上にまたこれが入ってくるというために、事実上においては国内の農民は野菜の暴落その他によって葉タバコに転換したいという希望を持っておっても、昭和二十九年に七万四十八町歩に専売公社が作付面積を規定して以来ほとんどこれは増加しておりません、余剰農産物が入るとたんに葉タバコの増産計画というものはストップしております。事実において余剰農産物が日本の内地農業を圧迫しておる証拠じゃありませんか。この間も重光外務大臣は、内地の農業に対しては圧迫はないと言われ、河野大臣もそうおっしゃったが、この一つの葉タバコの事実を見ましても、明らかに日本の農業生産を圧迫しておることは疑うべき余地もございません。こういった点にいろいろ問題を残しておりますが、結局余剰農産物は向うの余った農産物を買うこと自体が目的ではない、目的はその見返り円にいわゆる魅力を感じてのことだろうと思う。しかしわれわれは見解を異にいたします。しからば日本の農業を犠牲にしておるところの事実において、来年度において見返り円の使用は大体百七十億この予算を見ると予想しておりますが、パキスタンのごときはアメリカが大体一〇%、パキスタン自体が使用の見返り円は九〇%であります。日本の場合は二五%をアメリカが持ち、七五%を辛うじて使わしてもらっておる。あの後進国であるパキスタンには九〇%の見返り円を出し、しかも日本には七五%しか出さないような劣悪条件である。これは河野大臣も御存じでありましょう。しかも年間八千五百万ドル分も買うのは、ここにたくさんの資料を持ってきておりますが、十数カ国の余剰農産物の受け入れ国において日本が最大であります。日本の八千五百万ドルに次いではイタリアあるいはその他アルゼンチン等の五千万ドル台が大体これに相次いでおりますが、日本アメリカの余剰農産物の一番大きなお得意先である。この大きなお得意先日本の農業に圧迫を与えながら、パキスタンよりも受け入れ条件が悪い。こういう協定をなぜ日本はのまなければならなかったか。百歩を譲ってもし入れなければならなかったとしても、なぜもっと条件の緩和等についてあなたは御善処ほさらなかったか。これらも大いにおやりにならなければならぬ責任があろうと私は思うが、現在までの余剰農産物の受け入れの経過、今後の所信、対策ということについて伺いたい。同時に大体土地改良に四十七億、その他に四十一億見返り円の使用を予定しておられるようでありますが、伝え聞くところによると大体二百億くらい、押すな押すなの盛況だそうであります。森林開発の熊野、剣山あるいは漁港、テンサイ糖、紙袋、麻袋、セメント、いろいろなものがうわさに上っております。一月十日の農相の記者会見の談話によると、米の俵をやめて麻袋を協同組合にやらせることを今考えておるというようなことを漏らしておられますが、そのものはこの対象になっておるのでありますか。一体その他の四十一億の見返り円使用の分類、内訳はどういうものに重点を置いていくのか。日本農業の犠牲において得たこの血の結晶のような見返り円を、日本農業をつぶしていくような方向、あるいは農業と全く無縁の方向へこの金をほとんど使わんとしておる。私はこの点においても余剰農産物の問題については承服できないのでありますが、こういう点について大臣はいかような対策を持っておられますか、この点を伺いたい。
  59. 河野一郎

    河野国務大臣 だんだんお話でございますが、お言葉を返すようでございますけれども、たびたび申し上げます通りに、こちらで足りないものを買うのであって、日本農業を圧迫する、圧迫すると頭からきめておかかりにありますけれども、少しも圧迫しておらぬじゃありませんか。米の輸入も余ったからやめた、要らぬものはやめておるじゃないですか。麦の輸入も一体どこが日本の農業を圧迫しておりますか。綿にしてもそうであります。私は綿のことは詳しくありませんから、通産当局と相談の上、通産当局でこれくらいでよかろうというところを私はやったのであります。その他飼料も常に入れておる、必要なものだけ入れるのであります。要らない飼料を入れようとは決してしていないのであります。要らぬものは買わぬのであります。葉タバコにしてもそうであります。昨年の半分のものを入れる。昨年同額のものを入れたら、前年からの持ち越しがあって余まっているから、そういうものは要らぬということになるかもしれませんが、たばこの嗜好は急に変るものと私は思いません。たばこにしましても、内地の葉タバコだけでは日本のたばこはできていないと私は思います。米葉を入れる、入れるからそれについての国民の嗜好がそこにある。そうすると相当の使用量のあることは私は当然だと思います。それを前年の半分に減らして、半分に減らしてまた多ければ来年はこれを半分に減らしてとか、さらになくするということでいいのであって、それによって農村に非常に悪い影響を及ぼすというようにはちっとも考えておりません。今の条件においてどんどんタバコがふえていくということは、他の農作物の生産との関係において、いろいろ足鹿さんの御承知の通りでありまして、桑畑の中にタバコの畑がむやみにできたら、養蚕農家にどういう影響を及ぼすか、いろいろな問題があります。しかし私は葉タバコの耕作をふやしてはいかぬとは申しません。またこれによって農村の生産に非常に悪影響を来たしておる、圧迫をしておると頭から非常に大問題のようにおきめつけになりますけれども、全国の農村にわたってそんなにこれが悪影響があるというふうに、やかましく今ここでおしかりを受けるほどの問題ではないというふうに私は信じて疑いません。しかもその金を農村と全く関係のない方に使ったら大へんだ——どこに一体私がその金を関係のない方に使おうとしておりますか。すべて農村と密接不可分のものに使うのであって、密接不可分以外のものにこれを使おうなどとは全然考えておりません。麻袋にしてもそうであります。麻袋は、今俵だけでは——今日農村において麻袋に入れようという要求が非常に強い。争ういうのを私が独断で麻袋にしようということをやることはよくありません。よくはありませんから、もし麻袋を使ってもよろしいという段階になれば、各府県の農民の決定によって、府県ごとに俵と麻袋を別々にしたらどうだ、農林省が全国一様に、俵と麻袋とどっちがよろしいということを一律にきめるというような軽率なことを考えたことは決してありません。各府県ごとに要求が違いますから、その各府県ごとに違う要求をいれてもいいかどうか、それによって農家の副業が圧迫を受けて非常な問題が起りはせぬかどうかということを第一に勘案する必要がある。第二は麻袋屋をもうけさせてはいけない、そこに問題が起るから、もし麻袋を使うとすれば、全購連を通じて麻袋の製造をやらして、そうしてそれを全国の農家に使わせるようにしたらよかろう、そういう道はないであろうか、それについて全購連で研究してくれ、もしそれができるならば、この金をその方に使ったらどうだろうということを、今全購連に研究してもらっておる。セメントについても同様であります。今日農業土木のセメントが割高であります。割高であるから、そういう割高のセメントを使うよりも、全購連をしてセメント工場を作らして、そうしてその割安のセメントで農業関係の土木事業をやったらどうだろうか、これについても研究をしてもらいたいということでやっておるのでありまして、農村以外のものにこの金を使うというようなことは全然考えておりません。これをどういうふうに按分していくかということは、今せっかく検討中でございますから、今ここでこの詳細を申し上げるまでに至っておりませんけれども、結論はいずれそのうちに申し上げ、御審議を願うことになると思います。これは決して農村に関係がない、農村の利害に関係のほいものに使おうというようなことは、一ぺんも考えたことはございません。その点を御了承願いたいと思っております。
  60. 三浦一雄

    ○三浦委員長 足鹿君、申し合せの時間が過ぎましたから、分科会等にお譲り願って、簡潔にあと一問に願います。
  61. 足鹿覺

    足鹿委員 それではもう一、二点で終ります。ただいまの余剰農産物の資金会計の点で、農業関係以外のものに、たとえば電源開発のごときものには半分近いものが出ておるのです。これは農業に関係がないとは申しませんが、事実上においてはそういうことになっておるのです。ですから、こういうこまかい数字上の検討は分科会等に譲りますが、とにかく麻袋の問題にしましても、紙袋を俵にかえようという計画もあるやに聞いておりますが、農村が受ける俵の収入金というものは百億に近い。これは農業にとってはなかなか大きな問題であります。便、不便の問題はありますし、農業の近代化の問題はありますが、河野さんが考えられるように、そう簡単にこの問題を割り切ることはなかほかできまいと思う。そういったこまかい議論はいずれ後日に譲りたいと思うのであります。  続いて、この関係で大臣がおいでになっておりませんが、国際小麦協定の問題について農林当局なり外務当局の意向を簡単にお尋ねしたい。二十日からジュネーヴで国際小麦協定会議が開かれる。七月以降の新協定にいかに対処するかという点でありますが、御存じのように、最大の需要国であるイギリスは、すでに脱退をしておる。大量の供給国であるアルゼンチンも脱退をしておる。一体この不参加は何を意味するか、あまりこれが芳ばしくないのではないか、こういう点が私はあろうと思います。大体政府はいろいろなお考えがあるようでありますが、いわゆる現在の市況の一ドル七十セントを中心に、もっと上限下限の問題を考えて、一定後のあるいは優遇条件とかいろいろなものを勘案して結ぶつもりである、それともイギリスのようにこれは脱退して必要な分を必要な国と取引していく考え方でありますか、もし方針が伺えるならば、この一点を伺っておきたい。  時間がありませんので、あとはずっと羅列しますから、メモをしておいて答弁して下さい。私の先日の質問に対して、米の特集米制度について、農林大臣をやらない、しかし慎重検討する、買付制度はやらない、しかしもう一つの方法については慎重検討中で、今言えないということでありますが、きのうきょうの情報によりますと、大体特集米を臨時特例集荷制度と銘打って事実上高碕さん、あなたの出されたあの省令はそのままに眠らして、新しく内容が同じものをやろうとしておる。そういう点では全く許しがたい、全く抜け目のないやり方だと思うのですが、希望配給は続けていく、外米の希望者には無制限にこれを配給していく、そうして特集米制度も一応許す、こういうことになりますならば、あなたは米の統制撤廃はやらないというが、しかし事実において統制撤廃の準備と用意を、この三つをやることによってあなたはやろうとしておる。もう特集米へ集まる米は私どもはないと思う。制度自体をくずすということによって、あなたの米のなしくずし統制撤廃に通ずるものがあると思うが、果して特集米制度を臨時特例集荷制度というがごとき、名を変えて、内容は同じものでやる考えでやっておられますか。大体二十日ごろを予定しておる、百万石を大体集荷目標にしておる、これはちゃんと情報が入っておるのです。たった二、三日前までやらないと言っておって、きょうになったら、すでにやるということを言っておる。そういう点では、牽強付会というか、全く信用がおけない。やるならやると、もう少しはっきりしてもらいたい。検討中だとか、慎重に考慮中だとか言いながら、あなたは、いつもあとになってずばりとやってしまうというくせがありますが、特集米制度についてはどういう考え方であるか、この際明らかにしてもらいたい。これが第二点。  それから、大蔵大臣がもう逃げてしまったのでわかりませんが、本年度予算を見ると、食管特別会計において、予算麦価は大麦において七十七円下っておる、裸麦は五十一円下っておる、小麦は四十二円下っております。これについては、大体予算麦価であるからと言われるかもしれませんが、事実食管法第五条の二項により、パリティ指数に基いて厳重に麦価は算定さるべき法律の規定があります。麦の買入価格をめぐって、農林省と大蔵省の間に激しい論争が行われ、最後までこれは持ち越されたいわくつきの麦価で“りますが、三十年内地麦の買入価格算定にあたって、大蔵・農林両大臣に食管法の改正をやるという密約があるというふうにわれわれは聞いておるが、麦価は法律に示した通りで買い上げるかどうか、この点を伺っておきたい。
  62. 三浦一雄

    ○三浦委員長 足鹿君にちょっと申し上げますが、一間という名のもとに続行しないで、簡潔に願います。
  63. 足鹿覺

    足鹿委員 それから農業災害補償制度の改正についての構想いかんということ。団体再編成と関連して、共済組合のあり方にいろいろ変化を来たそうとしておるが、改正の構想中重大な点は、無災害地帯は対象地帯からはずす、第二種兼業者は加入脱退を自由とする農家単位の共済制に切りかえるというのが、大体改正の骨子であるかのように伺っておるが、ただ加入脱退の自由を認めた場合に、日本農業政策の支柱の一つである農家が、不時の災害から受ける共済金の問題について、百四、五十億の経費を使って現在までやってきておりますが、この運営よろしきを得ず、各地に不満が勃発している。この改正をしていくということはけっこうであるが、その制度自体を結局殺してしまうような加入脱退の自由性は、果して妥当であるかどうか、慎重に検討していかなければならない。また団体主義がいいか、市町村に委譲するがいいかということについても、相当検討の余地があると私は思います。そういう点について農林大臣はいかようにお考えになっておりますか、この点を伺いたい。  最後に郵政大臣に一点だけ伺っておきますが、市町村合併に伴い、いろいろ大きな地方行政に変化が起きている。たとえば郵便局のいわゆる統廃合が行われておるようであります。そういった市町村合併は、市町村の自治体を適正規模化するという構想のもとに行われたものが、これに準じて次から次といろいろな地方住民の利益と反するような施策が行われますることは、われわれは好ましくないと思うが、この点について郵政大臣の御答弁を後日に保留しておきますが、いかような構想を持っておりますか、十分にお答え願いたいと思います。  またたくさんありますが、時間の都合もありますし、御迷惑をかけるようでありますので、以上の四点を河野農林大臣から承わりまして、私の質疑を終りたいと思います。
  64. 三浦一雄

    ○三浦委員長 郵政大臣に対する質疑は、適宜のときに答弁することに御了承願います。
  65. 河野一郎

    河野国務大臣 第一の小麦協定でございますが、わが国が非常に食糧に困っておりました当時に、いろいろ各国の協力を得ておりますので、そうにわかに脱退ときめるわけには参らない、十分わが方の主張を申し述べまして、その上で脱退するとか、これを続けていきたいとかいうことは、あらためてきめることにいたしたいと思います。  第二の特別集荷の点でございますが、これは今お話の通り、両三日前足鹿さんがお尋ねになりましたように、買い取りはしてはいけないということでございますから、それはいたしませんと確かに私はお答えいたしました。それについてはやろうと考えておりません。これはいたさぬのでございますが、その当時申し上げましたように、今日農村を中心とする地方にやみ米が非常に多いとか、もしくは集荷がおくれているとかいうような一部地方もございますので、これらの地方にも特別な施策を考える必要があるということで、せっかく検討中であります。  三番目は、農業災害補償制度につきましては、御指摘の点は十分検討しなければならない問題で、これを軽々に結論づけることは危険でございますから、目下十分各方面の意見を伺って研究しております。
  66. 三浦一雄

    ○三浦委員長 明日は午前十時より開会することにし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十六分散会