○
森永政府委員 ただいまの
大臣の
説明を事務的に若干補足いたします。お手元に
昭和三十一年度
予算の
説明といういつものパンフレットがお配りしてございますので、詳細はこの
資料にお譲りいたすことにいたしまして、特にお目をとめていただく必要があると思われる点だけにつきまして、申し上げることにいたしたいと存じます。
この
資料は、
総説、
一般会計、
特別会計、
政府関係機関の四つに分れておりますが、この
総説につきましては、本
会議における
大蔵大臣の
説明、またただいまの
説明に尽きておりますので、省略することといたします。
ただ、二ページをごらんいただきたいと思いますが、二ページの左側の上段に、
財政規模につきましての計数が出ております。三十一年度の
予算規模は一兆三百四十九億円でございますが、同年度の
国民所得は六兆九千七百十億円と推定されるわけでございまして、これに対する割合は一四・八%ということに相なっております。三十年度の当初
予算の割合も、ちょうど同じ一四・八%ということに相なっております。
なお三十一年度におきましては、
金融正常化の方向に即しまして、
財政投融資のみならず
民間資金につきましても、広くこれを総合的に
活用いたすことといたしておりますが、それらを含めました計数は、この二ページの下にございますように、
一般会計が一兆三百四十九億円、
一般会計以外の
財政投融資が二千五百七十二億円、
民間資金の
活用が千三百九十七億円、合計いたしまして一兆四千三百十八億円ということに相なっております。前年度のこれに相当する数字は、一兆三千百九十六億円でございまして、千百二十二億円の
増加、
国民所得に対する割合は三十一年度二〇・五%、三十年度は一九・七%ということに相なっております。
次は五ページをお開きいただきたいと思います。五ページに
一般会計の
歳入歳出の概観、
歳入につきましては大分類別の計数、
歳出につきましては
重要事項別の計数、前年度との比較が出ております。これにつきましては後刻順次申し上げますので、ここでは申し上げませんが、ただ一つ記載漏れがございますので申し上げたいと存じます。このページの一番下の
公共事業関係費三十一年度千四百十九億云々とございますが、その上にカッコいたしまして、千五百十八億云々という数字がございます。このカッコ内の数字は、特別
失業対策、それから
臨時就労対策事業費という名目で計上せられておりまするものをも含めた計数でございまして、むしろ常識的に考えます場合には、このカッコ内の数字をおとりいただいた方がいいわけでございます。そのことを備考にうたうのを漏らしておりますので、特に申し上げておきたいと存じます。
次のページに参りまして、
特別会計の
歳入歳出予算、各
会計につきまして、
歳入歳出のごく簡単な内訳がございます。これにつきましても後刻おもなものにつきまして申し上げますが、ただここで申し上げておきたいことは、
特別会計の数が三十七でございます。そのうち本年度新たに設けまするものが二つございます。一つは
賠償等特殊債務処理特別会計、もう一つは特定物資
納付金処理特別会計、この二つでございます。特定物資
納付金処理特別会計は、三十年度の
予算にも出ておりました特殊物資
納付金処理特別会計、これは
予算では成立いたしましたが、関係法案が
審議未了になりましたので、自然消滅いたしたわけでございますが、これにかわる新たな
特別会計でございます。内容につきましては後刻申し上げることにいたします。
八ページに参りまして、
財政投融資の表がございます。原資、運用とも二千五百九十二億円でございます。この内容につきましては、あとで
理財局長から詳しく
説明をいたすことに相なっておりますので、省略いたします。
次は
一般会計でございますが、
重要事項の順を追いまして、簡単に積算の根拠等を申し上げたいと存じます。
生活保護費三百六十二億七千八百万円でございます。前年度に対しまして十四億四千四百万円
増加いたしておりますが、三十年度の
予算には二十九年度の
不足補てん十億円が入っておりましたので、それを考えますと二十四億余りの
増加ということに相なります。積算の根拠といたしましては、結局人員が問題になりますが、最近の実績を勘案いたしまして、三十年度に対しまして二・五%の保護人員の
増加を見込んで精算をいたしております。
次は児童保護その他社会福祉費七十五億九千五百万円でございまして、八千九百万円の
増加でございます。この
経費につきましても、三十年度
予算が前年度の
不足補てん二億を含んでおりましたので、その点をあわせ考えますと、二億八千九百万円の
増加になっております。積算の内容といたしましては、児童福祉施設の増設に伴う保護人員の
増加のほかに、食費等の単価の
引き上げを計上いたしております。
次は遺族及び留守家族等援護費であります。四十九億五千八百万円、三億五千二百万円の
増加でございます。この
経費は、失権等によりまして順次対象人員が
減少いたすのでございますが、昨年軍人遺家族の公務扶助料につきましてベースの改訂がございました。そのベースの改訂がこの
経費にも及んでくるわけでございまして、そのための
増加を計上いたしておる次第でございます。
次は
社会保険費百六十億六千九百万円でございます。前年度に対しまして三十六億八千百万円を
増加いたしております。この
増加のうち約二十億は
政府管掌健康保険の関係でございます。
政府管掌健康保険につきましては、一昨年度来赤字の問題がございまして、これについての
対策が問題になっておりましたが、三十一年度を期しまして
根本的対策を講ずることとなり、一面におきまして被保険者の一部
負担と、
標準報酬月額の
引き上げ、
薬価対策等の
措置を講じますとともに、他面
国庫におきましても、
財政再建のための
補給金として三十億円を繰り入れることといたしたのでございまして、それによる
増加が出ておるわけでございます。
なお昨年御決定をいただきました過去の赤字六十億円のうち、三十一年度に
予定されております償還金十億円の返済は、三十二年度以降に繰り延べることといたしまして、この返済
財源としての
一般会計からの繰り入れは、本年度は行わないことといたしております。
なおこの関係は、船員
保険特別会計につきましても同じような
対策を講じておりますことはむろんでございます。
国民健康保険助成費におきましても、約十六億円
増加いたしております。この積算の根拠は、国民健康保険のすみやかな普及を期待いたしまして、被保険者数を三千万人と
予定いたし、また事務費の補助等につきましても、単価の改訂を行いまして、
所要の
金額を計上いたしております。
次は
失業対策費三百五十一億六千七百万円、前年度に対しまして六十二億八千三百万円の
増加でございます。この
経費は、
失業対策事業費補助、
臨時就労対策事業費、これは新しく設けました、それから失業保険費、
政府職員等
失業者退職手当、この四つに分れておりますが、失業保険のところで約三十円億くらい
減少いたしております。従いまして他の項目での
増加は九十億円以上
増加いたしているということになるわけでございまして、
失業者の
吸収につきましては、特に努力をいたしたような次第に相なっております。
まず
失業対策事業費補助二十三億の
増加でございます。これは一般
失業対策における
増加でございまして、特別
失業対策はほぼ前年
通り、
失業者の
吸収人員を
増加いたしますとともに資材費の単価の改訂、
補助率の引上げ、
失業者多発地帯の
補助率の
引き上げ、そういうことに力を入れておるわけでございます。
臨時就労対策事業費、これは
公共事業費中
失業者の
吸収に特に適しておると思われる
道路事業を選びまして、
公共事業としての能率向上と
失業者の
吸収、この二つの目的を達成しようというわけでありまして、所管は
建設省所管に六十九億を計上いたしました。
この一般失対、特別失対、
臨時就労対策事業、この三者を合せましての
失業者の
吸収人員は十三ページの上にございますように一般失対が二十万八千人、特別失対が三万人、
臨時就労対策事業が二万人、合計二十四万八千人でございまして、前年度の二十二万に比べますと、約三万人
増加をいたしておるわけであります。
次は結核
対策費でございます。百三十三億六千六百万円でございまして、前年度より三億七千百万円
増加いたしております。特に力を入れましたのは健康診断、予防接種等の予防
対策並びに結核医療費の公費
負担の対象の拡大でございます。また国立結核療養所につきましては看護体制の強化をはかっております。
次に参りまして
義務教育費国庫負担金七百六十九億五千万円、前年度に対しまして三十二億五千万円の
増加に相なっております。
増加いたしました理由は
児童生徒数の
増加による職員の
増加並びに昨年末行われました期末手当の改訂による
増加ないしは昇給による給与の自然増、それらを理由といたしまして
増加いたしております。
国立学校の運営費三百三十三億八千二百万円でございまして、二十五億二千万円の
増加でございます。
増加の内訳は約半ばが人件費、そのほかに特に力を入れましたものといたしまして、教官
研究費の
増加あるいは
原子核研究所の設備の
充実等がございます。
次に文教施設費八十億六千五百万円、この
経費は前年度に対しまして三億九千五百万円の
減少に相なっております。
減少の原因は災害の関係でございます。三十年災害が前年度に比較いたしまして少かったために災害復旧費で四億円
減少いたしました。その
減少がここに現われておるわけであります。
育英
事業費四十二億百万円、ほとんど前年と同額でございます。ただし大日本育英会といたしましては、返還
金額が相当入って参るわけでございまして、その点をあわせ考えますと、三十一年度の貸付
計画といたしましては、実質的に約二億円の
増加が期待できるわけでございます。この二億円の
増加を
活用いたしまして、高等学校、大学等につきまして育英制度の内容の
充実を若干はかっております。
次は
科学技術振興費、この費目は本年度から新たに
重要事項に特掲いたしたわけでありますが、百十四億四千六百万円でございまして、前年度より三十億九千七百万円相当大幅に
増加いたしております。各省を通じましてこの
経費は特に力を入れたのございますが、特別に申し上げなければならぬことといたしまして、まず
原子力の平和利用の関係の
経費十五億六千四百万円を計上いたしております。このほかに
原子核研究所、これは国立学校の方へ入っておりますが、この分をかりに
原子力関係として加えて計算をいたしてみますと、二十億千九百万円ということに相なる次第でございます。このほか南極探険のための
経費として七億五千万円、国際地球観測年の
事業遂行のための
経費として二億二千五百万円、そういった
経費もこの中に計上をされております。
次は国債費でございます。三百八十五億三千万円、前年度より四十八億二千七百万円の
減少になっております。この
経費は償還と利子とに両方分れておりますが、償還の方は財政法の規定による二十九年度決算剰余金の二分の一額を償還金として計上いたしておりますほかは、国債の現在額に即しまして事務的な積算をいたしまして、この
経費を計上いたしました。
次は十六ページに参りまして、文官等
恩給費でございます。百七十二億九千八百万円、前年度より八億九千八百万円
増加いたしております。この
増加は受給者の
増加による自然増のほかに、二十三年六月以前に退職した文官に対する
恩給の不
均衡是正のための
措置といたしまして三億円を計上いたしております。
次は旧
軍人遺族等恩給費でございます。七百二十六億二千九百万円でございまして、前年度より五十六億九千三百万円
増加いたしております。この
増加の内訳は十七ページにございますが、号俸是正、
ベース改訂等による
増加九十九億八千万円、人員の
増加による
増加が三十一億六千三百万円、既定
計画による年金及び一時金の
減少が七十四億五千万円、差引五十六億九千三百万円の
増加という積算の内容に相なっております。
次は
地方交付税交付金でございます。千六百二十七億九千八百万円でございまして、前年度当初
予算より二百五十三億九千五百万円の
増加に相なっております。この
金額は三十一年度における
所得税、
法人税、酒税、この三税の
収入見込額六千四百六十三億六千五百万円に対しまして二五%——
現行の交付
税率は二二%でございますが、これを二五形に引き上ぐることといたしまして、この
金額を積算いたしているわけでございます。
なお
地方財政につきましては、別途
地方議会及び
地方行政機構の
合理化を中心とする地方自治法の
改正、
教育委員の
公選制の廃止等による地方
歳出の削減、また
公共事業の
国庫補助率の
引き上げ等による
地方団体の
財政負担の軽減、それから
国有鉄道、電電
公社、日本専売
公社、放送協会、中央競馬会等に対する
固定資産税の課税——もっとも
国有鉄道、電信電話
公社、専売
公社に対する
固定資産税の課税は形式的に税の形をとるか、あるいは三
公社からの各市町村への交付金という形をとるか、この点につきましては、まだ最終的に決定いたしておりません。目下検討中でございますることをつけ加えて申し上げたいと存じます。こういった
固定資産税に相当する収入の増強、
軽油引取税、
都市計画税等の新設、そういった各般にわたりました地方自治
財源の
充実も考えられております。また
公債費の累増につきまして、借りかえを相当見ることによって
地方負担を緩和するということも考えられております。さらに
地方団体間の
財源調整の一助といたしまして、
入場譲与税の
配分方法につきましても是正を考えておる次第でございます。これらの各般の
措置を講じましてなおかつ
不足する
不足額を
補てんするために、交付
税率二二を二五に
引き上げることにいたしまして、この交付税の
金額を算定計上いたしておるわけでございます。
次は防衛支出金でございます。四百五億六千五百万円、前年度より五十三億九千九百万円の
減少でございます。この
経費は十八ページにございますように、合衆国軍交付金、
施設提供等諸費、軍事顧問団
経費、その三つの
経費に分れております。合衆国軍交付金は三百億でございまして、前年度より八十億の減、施設提供費は九十九億五千五百万円で前年度より二十五億八千百万円の減、軍事顧問団
経費は六億一千万円でありまして二千万円の減、この施設提供費と軍事顧問団
経費を合せまして約二十六億の
増加でございますが、これと十七番の
防衛庁経費千二億——これは前年度より百三十三億九千九百万円の
増加に相なっておりますが、これを含めました
増加額がちょうど百六十億になるわけであります。その百六十億の二分の一を合衆国軍交付金から削減をいたしまして、三百億にいたしたのであります。そういうような
経費に相なっております。
その
防衛庁経費の千二億でございますが、これによりまして
予定されておりまする増強は、陸上におきましては制服一万人、一般職員三百六十二人を
増加いたしまして、一混成団、特科三個大隊の新設を
予定いたしております。海上におきましては、艦船七隻、航空機四機の購入、そのほかに米からの供与艦船三十隻、航空機三十機、これを基礎といたしまして、制服三千三百二十五人、一般職員三百四十八人を
増加いたしております。航空関係では、
航空団一の新設、操縦教育の
充実強化という
計画のもとに、米国から百十一機の供与を受け、日本側の調達百二十機を
予定し、これに要する職員として制服四千八十八人、一般職員七百七人、こういう人員の
増加を
予定いたしております。
なお千二億円のほかに、
予算外
国庫債務
負担契約といたしまして百四十二億八千二百万円、継続費といたしまして二十七億千八百万円を計上いたしております。
国庫債務負担行為の内訳は、装備品購入のために四億九千百万円、航空機購入のために九十九億四千七百万円、施設
整備のために十四億百万円、艦船建造のために二十四億四千三百万円であります。継続費は三カ年
計画でございまして、潜水艦の建造に着手する
予定でございます。
次は
賠償等特殊債務
処理費でございまして、この百億円は前年度同額でございます。これにつきましては後ほど
特別会計のところでまた申し上げることにいたします。
次は
公共事業費でございます。この
公共事業費のところの記述がすこぶる複雑かつ長文にわたっておりまして恐縮でございますが、時間の関係もございますので、ごく概略を申し上げることにとどめたいと存じます。
まず
公共事業費の計上額は千四百十九億四千三百万円でありまして、先ほど申し上げましたように、特別失対、
臨時就労対策事業を含めた数字で申し上げますと千五百十八億四千三百万円でございます。常識的な特別
失業対策並びに臨時就労
対策を含めた数字で申し上げますと、前年度より十七億二千七百万円の
増加と相なっております。
公共事業費の範囲を少し広げておりまして、一つは
工業用水道
事業、これを新たに
公共事業の中に取り込むことといたしました。もう一つは空港
整備事業、これも
公共事業の中に取り込むことといたしました。さらにもう一つ
経済企画庁に国土総合開発
事業の
調整のために
国土総合開発事業調整費という費目を新たに計上いたしました。こういう範囲の変更がございましたことをまず申し上げたいと存じます。
ただいま申し上げましたように、
公共事業費の
総額といたしましては、特別失対、臨時就労
事業を含めまして十七億の
増加でございますが、これを十九ページの表につきましておもな種目別の増減を申し上げてみますと、治山治水
対策事業費では八億五千七百万円の減、
道路整備事業では八十四億一千万円の増、港湾漁港等
整備事業費では七億四千二百万円の増、
食糧増産対策事業費では一億五千八百万円の増、災害復旧
事業費では七十一億七千四百万円の減、鉱害復旧
事業では五千三百万円の減、
国土総合開発事業調整費で五億円の増ということに相なっております。すなわち
道路で大きく
増加いたしまして災害復旧費で大きく
減少いたしましたほかは、若干の出っ込み引っ込みはございますが、大体前年度程度の
予算が計上されておるということが言えようかと存じます。
道路で
増加いたしましたのは、申すまでもなく揮発油税の三十一年度の収入見込みが
増加いたしました。また二十九年度の
予算と決算との開き——決算の方が税収入が多かったわけでございまして、その分は
道路費に計上しなければならぬわけでございますが、そういった税収入の関係から
道路費の
予算を
増額計上いたしました。災害が大きく
減少いたしておりますが、これは二十九年度、三十年度と引き続き災害が比較的少なかったわけでございまして、そのために大きく
減少いたしております。この
予算の中で、個々的な費目の計上に当りましては極力
重点化に努めたわけでございますが、特に申し上げておきたいことは、
地方財政の
現状にかんがみまして、極力
地方負担を緩和するという観点から、
公共事業費のほとんど全般にわたりまして
補助率の
引き上げを行なっております。そのために
公共事業費の総体としての
事業量は若干の
減少を免れなかったのでございますが、他面
道路公団の
新設等によります
有料道路整備事業の拡充、また愛知用水、農地
開発等、既定の
事業の遂行等によりまして
事業量が
増加する部面もあるわけでございまして、それらの点もあわせ考えました場合の三十一年度の総
事業量は、若干ながら前年度より
増加いたすことに相なっております。
公共事業費につきましてはこの程度にいたしまして、二、三枚めくっていただきまして、次は
住宅対策でございます。百三億四千七百万円でございまして、前年度より六十九億九千九百万円の
減少になっております。この
減少は、
一般会計から出資いたしておりましたものが他の
財政投融資に譲られたための
減少でございます。実質的には大きく
減少いたしておるわけではございません。
住宅対策費の内訳といたして、
公営住宅は百三億四千七百万円で前年度より二億九千九百万円
減少いたしております。
建設戸数は約四万九千戸でございまして、うち一般住宅が四万八千、災害住宅一千戸ということになっております。住宅金融公庫は、先ほど申し上げましたように、
一般会計からの出資を他に譲りましたので、
一般会計には計上されておりませんが、
財政資金といたしましては百九十六億をつぎ込んでおります。これによりまして住宅の新築四万七千戸、増築等三万、合せて七万七千戸の
予定をいたしております。住宅公団、これも出資がございませんで
一般会計には計上されておりませんが、
財政資金といたしましては百九億を計上いたしております。この百九億のほかに
民間資金の
活用百四億を
予定いたしておるわけでございまして、合計二百十三億の
資金をもちまして二万三千戸の新築その他宅地造成等を実行することに相なっております。
次は出資及び投資、前年度四十億ごさいましたが、これはすべて
一般会計からはずしまして、他の
財政資金による投融資に肩がわりをいたしております。ただし農林漁業金融公庫並びにただいま申し上げました住宅公団につきましては、
資金コストの高騰を抑止する
見地から特に産業投資
特別会計からの出資を一部見ております。これらの点につきましては後ほど
財政投融資のところで御
説明があると存じます。
農業保険費百十一億六千百万円、前年度より三十四億千八百万円
減少いたしておりますが、これは大部分は、昨年予想外の豊作であったことに伴いまして
一般会計からの
不足補てん金が要らなくなったということによるものでございます。
次は、外航船舶建造融資利子補給三十一億三千二百万円、前年度より三億七千三百万円
減少いたしております。この
減少は金利の低下に伴う一般融資利率の引き下げ、並びに来年度新たに
予定されておりまする新規造船二十二万トン分につきまして、利子補給の割合を従来の二分の一程度に引き下げることを
予定いたしておりますが、それらによる
減少でございます。
最後に
予備費は八十億でございまして、前年度と同額でございます。
次は
歳入でございます。まず
租税収入は八千二百六十七億、前年度より五百十八億九千九百万円の
増加でございますが、この点につきましては
主税局長から
説明いたしますので省略いたします。
専売納付金千百二十七億円、うち日本専売
公社は千百二十四億でございまして、前年度より四十七億七千六百万円
減少いたしております。最近高級たばこの売れ行きがとかく不振でございまして、今年度も相当益金の
減少を避けられない実情にございますが、今後新製品の発売、
価格体系の
整備、
経費の節減等に努めまして、極力その挽回に努めることといたしまして、三十年度当初
予算と同程度の業績を確保することにいたしておるわけでございますが、一面
たばこ消費税の
税率が
引き上げられることによりまして、四十六億七千万円の減収はどうしても免れないわけでございまして、その
減少額がここへ現われておるわけでございます。
官業益金及び官業収入百三十六億千九百万円、前年度より十四億千三百万円の
増加でございますが、これは主として病院収入等における増収入でございます。
政府資産整理収入七十七億二千二百万円、前年度より五億七千六百万円
増加でございますが、これは回収金収入等における増収によるものでございます。
雑収入三百六十億八千六百万円、前年度より二十九億
減少いたしております。
減少の一番大きな原因は、日本銀行
納付金の
減少でございます。最近の
金融正常化に伴いまして、
市中金融機関に対する日銀の貸し出しが大幅に
減少いたしております。そのために日銀
納付金におきましては前年度より約六十六億円の
減少を免れないわけでございまして、この
減少が大きく響きまして、いろいろ増減の理由はございますが、差し引き二十九億の
減少に相なっております。
前年度剰余金は、決算上確定いたしております
金額を計上いたしております。
以上で
一般会計を終りまして
特別会計でございます。
まず交付税及び譲与税配付金
特別会計でございますが、これにつきましては三十五ページの表の下の方にございます数字を申し上げるだけでよろしいかと思います。すなわちこの
会計から地方に参ります
金額は、
地方交付税交付金が千六百二十七億九千八百万円、
入場譲与税譲与金が百六十二億二千百万円、これは入場税収入の全額でございます。地方
道路譲与税譲与金が七十四億二千万、これだけのものが国から地方に参ることに相なっております。
次に
資金運用部、産業投資、余剰農産物、これらにつきましては
財政投融資の際の
説明に譲ることといたしまして、省略いたします。
賠償等特殊債務処理特別会計でございます。この
会計は来年度新設を
予定しておるものでございまして、連合国に対する
賠償の
支払い、連合国もしくは旧連合国人の本邦内財産の戦争損害の補償、その他戦争の遂行の結果、または戦争の遂行もしくは連合国の軍隊による占領に関連して
負担する
対外債務の
処理に関する経理を
一般会計と区分して経理して、これら事務
処理の円滑を期したいという目的に出づるものでございます。この
会計の
歳入は
一般会計からの繰入金百億円がございますが、そのほか三十年度末における
一般会計の決算上の剰余金の中から平和回復善後
処理費、連合国財産補償費及び
賠償等特殊債務
処理費の支出未済額、これに相当する
金額をこの
特別会計に繰り入れることといたしまして、それを含めてこの
会計で経理して参りたい、その
金額が百二十億と
予定せられるわけでございまして、
一般会計からの繰り入れ百億と合せて二百二十億円の
歳入に相なります。
この
歳入に対しまして
歳出は、
支払いのきまっておる確実度に従いまして区分いたしまして、
賠償等特殊債務
処理費といたしまして百五十億円、
予備費として七十億円を計上いたしまして、今後の
外交交渉の
処理の円滑を期しておるわけでございます。
厚生保険特別会計につきましては、先ほど健康保険につきまして申し上げましたことにとどめまして、省略いたします。
船員保険につきましても省略いたします。
次は
食糧管理特別会計でございます。この
会計の
予算編成の前提といたしましては、
食糧管理制度につきましては制度の急変を避ける、さしあたり
普通外米につきまして
消費規制を自由にする、また米の集荷につきましては前年度同様に事前売り渡し申し込み制度を継続する、そういう大きな前提で
予算編成に臨んでおります。米の集荷数量は平年作を考えまして、当
年産米二千三百五十万石、前年度産米百三十万石を考えております。麦その他につきましては大体前年度の実績を踏襲いたしております。価格につきましては、三十年度の
買い入れ価格算定に準拠した方式によっておりまして、ただ農業
パリテイ指数の変化を織り込んで若干の
調整をいたしております。すなわち米につきましては九千九百六十円を
予算米価といたしまして算定いたしております。
消費者価格でございますが、米につきましてはこれを据え置いております。外米につきましては、
消費規制の撤廃とあわせまして内地米との格差を
適正化するように改訂をいたすことといたしております。また麦でございますが、麦につきましては消費者麦価水準の実勢を考えまして、若干の改訂を
予定いたしております。
以上のような大きな前提で
予算を
編成いたしておりますが、御参考までにこの
会計の損益を申し上げますと、三十一年度は収支償うということに相なっております。三十年度末までにこの
会計の
損失百六十七億円になる見込みでございますが、そのうち百億円はいわゆる
一般会計からのインベントリー・ファイナンスを将来取りくずして
補てんするわけでございまして、それと見合っております。残りの六十七億円につきましては、不日お願いいたすことに相なっておりまする
一般会計の
補正の際に、
一般会計からこの
特別会計に繰り入れる
予定と相なっております。
次はずっと省略いたしまして、四十二ページに参りまして輸出
保険特別会計でございます。この
会計におきましては、海外投資の活発化をはかるために新たに海外投資保険を新設いたしております。また輸出代金保険の対象を海外
建設事業の請負代金及び技術の対価にも拡大いたしまして、輸出
振興の一助といたしておることを一言いたしておきたいと存じます。
次は特定物資
納付金処理特別会計——先ほど申し上げました新設の
特別会計でございまして、バナナ、パイナップル・カン詰、時計、スジコ等の輸入差益を
吸収してこの
会計で受け入れる。その差益は産業投資
特別会計に繰り入れまして、財政投資の原資の一部として
活用いたしたい、さような考え方をいたしております。
郵政
事業特別会計につきましては、別に申し上げることはございませんが、郵便貯金の
増加目標額は九百九十億円でございます。なお局舎の
建設費でございますが、四十三億円を計上いたしております。
最後に特定
道路整備事業特別会計、この
会計は
道路公団ができますれば、それに
事業を引き継ぐわけでございまして、それができますまでの間の二、三カ月の
予算を計上いたしておるということだけを申し上げておきたいと存じます。
第四に、
政府関係機関でございますが、専売
公社につきましては、先ほど益金の見込みを申し上げましたので、省略いたします。
国有鉄道につきましては、運賃は値上げをしていないことは、先ほど
大臣の御
説明にもございました。工事
勘定の
金額が幾らになるかということでございますが、四十六ページの右側の中ほどにございますように、
総額五百八十三億七千百万円でございまして、前年度より五十七億円
増加いたしております。内訳といたしましては新
線建設費五十五億、通勤輸送五十七億、幹線輸送二十六億、幹線電化八十億、以下省略いたしますが、幹線電化、新線等に特に力を入れてございます。この
財源といたしましては、損益
勘定からの繰り入れのほかに、鉄道債券として公募を二百四十億、
財政資金からの借り入れ五十五億を
予定いたしております。
電信電話
公社でございますが、これにつきましても
建設勘定の
総額だけを申し上げますと、四十七ページの左側の中ほどにございますように、五百五十五億九百万円でございまして、前年度より四十二億
増加いたしております。
その
財源といたしましては減価償却引当金等のほかに電信電話債券を公募分として八十五億、加入者、受益者引受分として五十五億円を
予定いたしております。
以下公庫、銀行等につきましては、
財政投融資の
説明の際にゆだねますが、四十八ページの北海道開発公庫は新たに設けられるものでございまして、
資金量といたしましては八十億を
予定いたしております。このことだけを申し上げまして、あとは省略させていただきたいと思います。
以上で
説明を終りますが、
昭和三十年度
特別会計予算補正につきまして若干の補足を申し上げたいと存じます。
お手元に
説明資料がお配りしてございますが、詳細はそれにゆだねることといたしまして、まず食管
特別会計から申し上げますと、
米麦の買い入れ数量は、米が当初
予算では二千二百八十五万九千石でございましたが、これを今回三千四百二十万石に
補正いたすことを前提といたしております。価格につきましては、当初
予算におきまして米は九千七百三十九円の
予算米価でございましたが、今回の
補正におきましては一万二百十六円に相なっております。昨年の米価決定時には平均石当り一万百六十円でございましたが、実績は早場米等の
増加によりまして、若干高騰いたしまして、平均一万二百十六円に相なっております。
消費者価格につきましては、米は当初
予算同様据置でございます。麦につきましては、昨年七月以降改訂せられました実績を採用いたしております。
以上の結果、食管
特別会計の損益がどうなるかということを多少年度区分をして申し上げますと、二十九年度末の損金が三十億ございまして、これに今回の
補正の結果加わります損が百三十六億千四百万円、合計百六十七億円の
損失になるわけでございます。これに相当する当初
予算の
損失は九十九億六千四百万円でございます。今度この百六十七億円につきまして、百億円は先ほども申し上げましたように、
一般会計からのインベントリー・ファイナンスを適当な時期にとりくずして
補てんするわけでございますが、残りの六十七億円につきまして、不日
一般会計予算補正の際に
一般会計から繰り入れることを
予定いたしておるわけでございます。そのためにさしあたりこの食管
会計の
補正の
財源といたしましては、
食糧証券及び借入金の収入を
増加いたしまして、それによってまかなっておるわけでありますが、その割引差額をまかないますために、形式的に
国債整理基金特別会計を通さなければならぬわけでございまして、その関係から
国債整理基金特別会計に二十四億の、
歳入歳出同額でございますが
補正をいたすことに相なっておるわけでございます。
漁船再
保険特別会計につきましては、先ほど
大臣の
説明にございましたところに特に補足して申し上げることはございません。
以上簡単でございますが、補足しまして
説明を申し上げました。