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1956-05-17 第24回国会 衆議院 本会議 第51号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月十七日(木曜日)     —————————————  議事日程第四十七号   昭和三十一年五月十七日     午後一時開議  第一 日本放送協会昭和二十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書     ————————————— ○本日の会議に付した案件  土地調整委員会委員長及び委員任命につき同意を求めるの件  肥料審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議  決を求めるの件  重光外務大臣日本国フィリピン共和国との間の賠償協定批准について承認を求めるの件についての発言及びこれに対する質疑  日程第一 日本放送協会昭和二十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書  物品管理法案内閣提出参議院送付)  国の債権の管理等に関する法律案内閣提出参議院送付)     午後一時二十二分開議
  2. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) お諮りいたします。内閣から、土地調整委員会委員長大池真君を、同委員会委員青沼亜喜三君をそれぞれ任命するため、土地調整委員会設置法第七条第一項の規定により本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出通り同意を与えるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。(拍手)      ————◇—————
  5. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 次に、内閣から、肥料審議会委員に本院議員井出一太郎君、同平野三郎君、同稲富稜人君、同芳賀貢君及び参議院議員河野謙三君を任命するため、国会法第三十九条ただし書きの規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。(拍手)      ————◇—————
  7. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 外務大臣から、日本国フィリピン共和国との間の賠償協定批准について承認を求めるの件について発言を求められております。これを許します。外務大臣重光葵君。     〔国務大臣重光葵登壇
  8. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 日本国フィリピン共和国との間の賠償協定批准について承認を求めるの件につきまして、提案趣旨説明を申し上げます。  去る五月九日にマニラにおいてわが国フィリピン共和国全権委員の間で署名を了しました、日本国フィリピン共和国との間の賠償協定批准について御承認を求めるの件について、その交渉経過及び協定内容を御報告申し上げます。  フィリピン共和国は、昭和二十六年九月サンフランシスコにおいて平和条約署名いたしたのでありますが、同国は、わが国との間の賠償問題が解決せられない限り、同平和条約批准を行わず、従って、わが国との間に正常な国交関係を樹立しないとの方針をとって参りましたことは、御承知通りでございます。よって、わが国といたしましては、賠償問題の解決をはかり、もって戦後のアジアにおける平和外交を推進するために、すでに昭和二十七年以来フィリピン国政府交渉を重ねて参ったのでありますが、本年四月末に至り、双方の意見は一致し、賠償協定草案を完成するに至りました。よって、政府は、直ちに署名調印のため高碕国務大臣松本官房副長官、水田衆議院議員藤山愛一郎氏及び永野護氏の五名を全権委員に任命し、五月九日正式調印を終了するに至った次第であります。  交渉経過につきましては、すでに国会においてその都度説明いたして参りました通りでありますが、本日は主としてこの協定内容について御報告申し上げます。  わが国は、この協定によって、五億五千万ドルにひとしい円に相当する役務及び生産物を二十年の期間内にフィリピンに提供することによって、賠償義務を履行することを約束したのであります。賠償実施方式は、直接方式、すなわち、フィリピン日本に設置する使節団日本人業者との間で直接に結ばれる賠償契約によることを原則とし、わが国はその履行に要する経費を負担することによって賠償義務を果すものと相なっております。その他、右使節団に一部の外交特権を認めること、賠償契約に関する紛争の解決について、最終的に日本の裁判所に提訴し得ること、協定実施についての協議機関として合同委員会を設置すること等については、いずれもビルマの場合と同様に定められておるのであります。さらに、賠償実施に当り、わが国が過重な外貨負担を受けないようにすることとなっており、もって賠償の円滑な実施をはかるようにいたしておるのであります。  また、経済開発借款は、二億五千万ドルを目標額とする民間商業借款によることとなっており、政府においてこれに対して便宜をはかるという趣旨になっておるのでありますが、これは賠償協定のごとく国家間の法律上の権利義務を定めるものではなく、その内容実現は、もっぱら民間商社間の商業上の話し合いによることになっておるわけでありますので、当初予定せられた協定形式によらず、交換公文の形として取りきめた次第でございます。  さらに、両国全権委員は、日比間の正常なる国交関係回復に伴い、均衡のとれた貿易の発展に努力する旨の両国政府の意図を表明した共同声明を発表いたしております。政府といたしましては、今後対フィリピン貿易の伸張に一そう力を注ぐ方針でございます。  本協定による賠償義務は、わが国相当大なる負担を課するものであることは申すまでもございませんが、過去の戦争においてフィリピンに与えた莫大な損害に対し、わが国が今回約束した賠償義務を完全に履行することによって、日比間の平和友好関係を樹立し、さらに将来同国との間に政治経済各般にわたる協力提携の実をあげ得る端緒を開くことを得ましたのは、東ア及び世界の平和に貢献するところ少からざるものがあることを信じて疑いません。  よって、ここに本協定批准について御承認を求める次第であります。  以上で本件に関する報告を終ります。(拍手)      ————◇—————
  9. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。森島守人君。     〔森島守人登壇
  10. 森島守人

    森島守人君 私は、ただいま重光外務大臣から御説明のありました日比賠償協定に関連いたしまして、日本社会党を代表いたしまして、鳩山総理重光外務大臣並びに関係閣僚に対して、重要なる数点につきまして質問をなさんとするものでございます。(拍手)  鳩山内閣は、内政におけると同様、外交におきましても幾多の失敗を重ねておりますが、(拍手)この主要なる原因は、第一には、世界情勢を正確に認識し、かつ、わが国経済財政等全般の見通しのもとに立ちました総合的政策を欠除いたしておることでございます。(拍手)その政策がその時々の思いつきに出ております点は、吉田内閣時代のそのつど外交と、こうも異なっておりません。(拍手)第二は、鳩山総理が閣内及び党内を統率する能力意思とを欠いておりまして、外交が二元的、三元的に行われておる点でございます。(拍手)第三は、党利党略に基く保守合同実現でありまして、これらの見地から見ましたときに、日韓問題の行き詰まりといい、日ソ交渉経過といい、中共対策失敗といい、いずれもその失敗と目すべきものであります。モスクワにおける河野農相交渉のごときも、その軌を出ないのでございまして、国交早期回復を前提といたします点におきまして、自民党のいわゆる緊急政策なるものを無視し、重光外相一派慎重論を完全に裏切ったものでございまして、わが党の方針無条件降伏をしたものと断ぜざるを得ないのでございます。(拍手)また、今回の日比賠償協定も、政府与党の宣伝と異なりまして、決して成功と目すべきものではございません。与党諸君の中にも、われわれと同感の方々も多数おられることと拝察いたしておるのでございます。(拍手)  私の質問の第一点は、賠償総額に関する点であります。政府は、ことさらに賠償総額を五億五千万ドルであるやの印象国民に与えんとしておりますが、賠償交渉の発端及びその経過から見まして、実質的には八億ドルであると断定せざるを得ないのでございます。吉田内閣時代に、四億ドルを基礎といたしまして、いわゆる大野・ガルシア協定が妥結したにもかかわらず、不幸にして流産いたしました。そのあとを引き受けた鳩山内閣といたしましては、四億ドルまたはこれを少しく上回る額を基礎といたしまして話し合いを始めるべきでありまして、何もフィリピンの提示しました八億ドルをそのままうのみにするがごとき必要はなかったのでございます。(拍手)いましばらくかすに時をもってし、フィリピン側申し出額の軽減を持つべきものであったことは、常識ある者のことごとく一致せる議論でございます。しかるに、鳩山総理は、重光外相や一萬田蔵相を差しおいて八億ドルをうのみにいたしましたことは、軽率のそしりを免れないのでございまして、総理といたしましては、これをうのみにせざるを得なかった特別急迫した理由がありましたかいなか、この点を、まず第一に、詳細にかつ具体的に伺いたいのでございます。(拍手)  質問の第二点は、ビルマとの賠償協定及びインドネシアとの賠償協定に及ぼします影響いかんの点でございます。一昨年の秋、ビルマウ・チョー・ニェン臨時外務大臣が来邦いたしました。その際、ウ・チョー・ニェン氏は、賠償については国別による差別待遇を絶対に受諾し得ないとの建前を堅持したのでございます。当時の吉田内閣は、この点を考慮いたしまして、いわゆるフィリピン四、インドネシア一、ビルマ一の比率を改めまして、ビルマ賠償額インドネシア並みに引き上げて、一億五千万ドルに決定いたしました経緯があるのでございます。しかも、ビルマは決してこれに満足いたしておりません。ビルマとの協定の中に、賠償要求国に対する賠償最終的解決を見た場合においては、その解決の結果並びに日本負担能力考慮してビルマ賠償額を再検討する旨の規定が挿入せられましたのも、このためでございます。重光外務大臣は、本議場において、しばしば、何ら明確なる理由を示さず、漫然として楽観的見解を述べておられるのでありますが、政府は果していかなる論拠に基いてかくのごとき判断を下されたのでありますか。私は、将来ビルマ増額要求は必至と考えられます上に、他方、インドネシアも、従来の非公式交渉経過から見まして、フィリピン以下の額で満足するものとは考えられないのでございます。政府はこれらの要求に対していかに対処せらるる意向であるか、総理外相並びに蔵相の明確なる御所見を求める次第でございます。(拍手)  質問の第三点は、本賠償協定日本対外支払い能力関係でございます。元来、賠償額決定は、日本対外債務支払いの一環といたしまして、支払い可能な限度において決定せらるべきことはもちろんでございます。前に述べました賠償額決定に対するビルマインドネシアの態度のほか、わが国にとりましては、旧敵国関係では英米仏中立国関係におきましてはスペイン、ポルトガル、スエーデン、また、旧同盟国関係におきましてはイタリア等の間にも賠償の懸案が存在しておるのでございます。これらは全然解決に至っておらない現状でございます。私見をもっていたしますれば、日本賠償支払い額は、少くとも年間一億ドル、すなわち、輸出総額の五%に達することと思われるのでございますが、総理外相及び蔵相は、フィリピンとの賠償額決定するに当りまして、日本賠償総額及びその他の対外債務支払い総額を、それぞれいかなる額と認めておられたのでございますか。賠償額増加は、年々増加の道をたどっておりまする防衛費と相まって、ただに国民生活を圧迫するにとどまらず、子々孫々に対しましても過重な負担を残す重要問題でありまするがゆえに、この際特に数字的基礎を明らかにしていただきたいのでございます。(拍手)  第四の質問は、本賠償東南アジア諸国に対する政策との関連性の問題でございます。わが国経済貿易に対する東南アジア重要性につきましては、重光外相ももとよりこれを重要視しておられます。しかし、外交演説中において説かれまするところは、抽象的な範囲を出ておりません。総合的、計画的な政策の一端をもうかがい得ないことは、私のまことに遺憾に存ずるところでございます。ことに、フィリピンに対しましては、今や膨大なる賠償を支払うこととなりました以上は、本賠償フィリピン経済開発に貢献し、ひいて同国に対するわが国貿易増進のために役立つものでなければなりません。しかるに、今回の協定締結に当りましては、政府フィリピン側要求に屈しまして、単に道義的意義を持つにすぎない共同声明を発表するにとどめましたことは、私のまことに遺憾とするところでございます。政府は、東南アジア諸国経済開発計画に即応して、いかなる成案ないし構想を持っておらるるのでございますか。外相通産相経企長官の、この点に関する御答弁を求める次第でございます。  最後に、私は、賠償内容等につきまして二、三点伺いたいのでございます。賠償は、元来、平和条約第十四条の明文にあります通り役務原則といたしまして、現金賠償はこれを避けねばならぬのであります。また、原材料からの製造が必要とされる場合には、日本外国為替上の負担を負わないために、原材料供給賠償要求国に求むべきものであります。しかるに、今回の協定においては、順逆を転倒して、役務を三千万ドルの少額にとどめ、資本財を五億ドルに決定しておりますが、右は平和条約上におけるわが方の権利をみずから放棄したものと断定せざるを得ないのでございます。(拍手)また、政府は、現金賠償の名目を廃して、ことさらに加工賠償形式をとっております。これは実質的には現金賠償とみなすべきものと思いますが、いかが。さらに、また、フィリピンからの原材料供給の点につきまして、ただいま重光外務大臣説明は抽象的に過ぎております。私は、同外相及び経企長官より、国民を納得せしめるに足る具体的な説明を求めたいのでございます。  なお、民間借款一億五千万ドルの供与につきましては、日本政府は、純粋な民間借款でありまして、賠償とは別個であるとの建前をとっておりますが、交渉経緯から見ますとき、賠償の一部であるとの結論に到達せざるを得ないのでございます。(拍手)もし、政府の言う通り、純然たる民間借款であるといたしますならば、何ゆえ両国政府間において交換公文を取りかわすことを必要といたしたでございましょう。私は、政府といたしましては文書による形式を一切取りやめまして、完全に民間自由意思のみにまかすことが適当でないかと信じておる次第でございますが、この点に関する御所見をも求めたいのであります。  なお、政府は、フィリピン側の出しました助け舟に乗って、協定を廃して交換公文といたしました。しかし、政府は、当初の予定通り、何ゆえ民間借款に関する交換公文をも国会審議にまかさないか、この点につきましても御所見を求めたいのでございます。また、現在フィリピン国内事情では、ビルマの場合と異なりまして、合弁事業を全般的に歓迎していないと伝えられております。その上に、ペソ貨につきましては切り下げの可能性さえ問題となっておる現状におきまして、民間借款が不成立の場合も想像せられるのでございます。政府は、かかる場合にいかなる対策を講ぜんとする御意向でありますか。これらの諸点につきましても、外相蔵相の責任ある御所見を伺いたいのでございます。  要するに、賠償問題は、現代に生を受けましたわれわれだけの問題ではございません。将来長日月にわたって次代国民を拘束する重かつ大なる問題でありまするがゆえに、以上の諸点に関しまして、あらためて誠意ある御答弁を要望いたしまして、私の質問を終る次第でございます。(拍手)     〔国務大臣鳩山一郎登壇
  11. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 森島君の御質問お答えをいたします。  八億ドル案を先方の言うがままにうのみにしたというような意味においての御質問がございましたが、全くその当を得ておりません。重光君の先ほどの御説明で十分明瞭であるべきはずであります。  ビルマ賠償インドネシア賠償について悪影響があるだろうというような御質問がありましたが、悪い影響を及ぼすはずはありません。  第三点として、賠償問題の根拠についての御質問があったと思いますが、これはむろん財政的、政治的考慮を総合いたしまして決定さるべきものでありまして、日比賠償についても、政府がこれを十分に考慮をして決定いたしました。(拍手)  他国との折合いを考慮したかという御質問がございましたが、対比賠償額決定には、もちろん、わが国のすべての対外債務支払い問題を考慮して決定をいたした次第でございます。(拍手)  その他の点につきましては、外務大臣、その他の担当大臣から御答弁を申し上げます。  調印後の改訂については私に対しての質問であったかもしれませんが、調印後の改訂ということは考えておりません。(拍手)     〔国務大臣重光葵登壇
  12. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私に対する分の御質問お答えいたします。  この協定を急にまとめなければならぬ急迫せる事情があったかどうかということが、お尋ねの一点でございました。私どもがたびたび申し上げる通りに、なるべくすみやかにフィリピンとの間に平和関係を樹立したいという方針のもとに、この交渉を進めて参りました。  なお、東南アジアとの経済開発について御意見の表示がありました。東南アジア経済開発についても、この賠償問題が貢献することがあると信ずるものでございます。この方面について総合的に計画を立てるということにつきましては、私は全く御同感でございます。それらのことについて、十分に資料を集めて検討をいたしておるのでございます。しかし、このことについて特に注意を払わなければならないのは、東南アジアにおいては、各国とも経済開発をみずからやりたいという計画を樹立して、非常に努力をいたしております。そうでありますから、日本立場といたしましては、その各国自主的計画に協力するという立場でやるべき問題だと考えております。日本側からみだりにこれに関与するというような印象を与えることは努めて防がなければならぬと考えておる次第でございます。(拍手)  最後に、協定内容につきまして、役務賠償が少いというお話もございました。賠償は、なるたけ役務賠償のみによってやりたいというのは、サンフランシスコ条約趣旨として、われわれもそう交渉をして参ったのでありますが、サンフランシスコ条約は、御承知通りに、フィリピン批准をしておりません。その条約によってフィリピンとの交渉をやるわけには参らないのでございます、こちらの希望希望として。——そこで、交渉の結果、この賠償役務及び生産物をもって支払うということに相なりました。  それから民間借款のことでございますが、民間借款については、たびたび御説明を申し上げた通りに、これは民間借款で、政府において権利義務関係を持っておらぬということを申し上げました。それが交換公文になったわけでございます。民間借款で、民間がやるのであります。民間がやるから、その意思を、そのことを交換公文規定したのであります。しかし、民間がやるのでありますから、これは行政的に処置するのでありまして、議会の協賛の対象にはならないと考えておる次第であります。そこで、これは議会には提出はいたしませんけれども、御参考のために議会に出しておるわけでございます。  以上をもって御答弁といたします。(拍手)     〔国務大臣萬田尚登登壇
  13. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 質問の一つは、対外債務支払い能力総額はどのくらいか、こういうようなお尋ねがありますが、このことは、対外債務条件内容、また、わが国経済力の消長、国民生活あり方等各般のことが関係いたしますので、これは軽々になかなか申し上げかねるのであります。ただ、賠償等の、いわゆる対外債務で今日までに確定いたしておりますものは、ドルで計算いたしますと、ビルマ賠償総額が二億ドル、年平均で二千万ドル、十年間払うのであります。タイ特別円総額が千五百万ドル、年三百万ドル、オランダのクレームが総額一千万ドルで、年二百万ドル、これに今回調印を見ました対比賠償総額五億五千万ドル、最初の十年間年平均二千五百万ドルが加わることになるのでありますが、以上合計いたしますと、一年平均五千万ドルになります。このほかに、英米貨債の元利払いとして年間三千五百万ドルがありまして、これの合計が八千五百万ドル程度になります。今後なおインドネシア賠償その他予想される対外債務があるのでありますが、今までの交渉経過等から見まして、私はわが国経済としてこの支払いに耐え得る、かように考えておるわけであります。  なお、民間借款につきましては、これは商業ベースで行われるものでありますから、政府は何ら関与することはありません。しかし、両国民間におきまして経済提携が熟しております機運にあることを申し上げておきます。(拍手)     〔国務大臣高碕達之助登壇
  14. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 先ほど大蔵大臣お答え申し上げましたごとく、民間借款につきましては、これは両国商社間において商業ベースでやるわけでありますから、その商業べースでやりましたものが条件においてでき上らなかった場合には、政府は何ら責任を負うことでありません。従いまして、これは二億五千万ドルになっておりますが、これが二十年間にできなくても、二十年後においてまた相談し得ることになっておるようなわけであります。  また、東南アジア各国におきましては、それぞれ五カ年計画あるいは十カ年計画を持っておるわけでありまして、わが国といたしましても、やはり長期の計画を持っておりますから、その賠償問題、経済協力というものは、わが国状態各国との状態とをよくにらみ合せて、お互いにいいように話し合いをつけていきたい、こう存じておりますから、この賠償解決及び経済協力におきまして、各国経済自立ということにつきましては非常に貢献し得ることと存じます。ただ、これが、日本側で独善的にいろいろな計画を立てて、これを強要するということになれば、また日本は再び経済侵略をするであろうというふうな誤解を受けることがありますから、この点はよほど注意していきたいと存じておる次第でございます。  また、一面、サンフランシスコ条約におきまして、役務ということが主体となっておるにもかかわらず、今度は物質を持っていく、資本財を持っていくということは間違いではないか、こういう御質問でありますが、この点につきましては、昭和二十六年の六月の本国会におきまして、鈴木先生の御質問に対し、当時の吉田総理は明確に答えておりまして、これは役務賠償を主としたいけれども、場合によれば資本財を持っていく、あるいは生産財を持っていって、早くこの賠償解決することが必要だ、こういうことを答弁されております。この趣旨をわれわれはくみまして、今日の賠償を締結したようなわけであります。  以上をもってお答えといたします。(拍手
  15. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 通商産業大臣は出席されておりませんので、その答弁は適当な機会に願うことといたします。  これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  16. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第一、日本放送協会昭和二十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書議題といたします。委員長報告を求めます。逓信委員長松前重義君。     〔松前重義登壇
  17. 松前重義

    松前重義君 ただいま議題となりました、日本放送協会昭和二十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書に関し、逓信委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  本件は、放送法第四十条第三項の規定に基き、会計検査院の検査を経て、内閣より本年一月二十五日に提出されたものであります。  本議案の内容を概略御説明いたしますと、昭和二十九年度末現在における協会の資本総額は三十五億九千五百余万円であり、これに照応する資産は七十五億五千八百余万円、負債は三十九億六千三百余万円で、資本総額において前年度末に比し約五九%の増となっております。  損益につきましては、事業収入は、ラジオ関係が九十六億三千余万円、テレビジョン関係が一億二千二百余万円、事業支出は、ラジオ関係が八十八億五千余万円、テレビジョン関係が六億七千五百余万円で、ラジオ関係においては、差引当期剰余金七億八千余万円、テレビジョン関係においては、差引当期欠損金五億五千三百余万円となっており、協会の事業収支全体から見ますと、差引当期剰余金二億二千七百余万円となっております。  なお、本件には、会計検査院においては特に記述すべき意見はない旨の検査結果が添付されております。  逓信委員会におきましては、去る一月二十五日本議案の付託を受けまして以来、しばしば会議を開き、郵政省並びに会計検査院当局より説明を聴取し、質疑を行いましたほか、特に参考人として日本放送協会の会長及び理事等の出席を求め、慎重審議を重ねたのであります。  質疑応答の詳細については会議録によって御承知願うことといたしまして、ここでは、主要な質疑としては、昭和二十八年度の協会決算審議の際、協会が買収を約したラジオ・サービス・センター名義の建物に関するその後の措置、国の負担による放送技術の研究実施についての政府方針、テレビジョン放送の急速な発展に伴う放送債券の発行限度額改訂の要否等に関するものがあったことを御報告申し上げておきます。  かくして、委員会は五月十五日質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決の結果、全会一致をもって本議案については、異議なきものと議決した次第であります。  これをもって御報告を終ります。(拍手
  18. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 採決いたします。本件委員長報告異議がないと決したものであります。本件委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本件委員長報告通り決しました。      ————◇—————
  20. 長谷川四郎

    ○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出物品管理法案、国の債権の管理等に関する法律案、右両案を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  21. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  物品管理法案、国の債権の管理等に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員長松原喜之次君。     〔松原喜之次君登壇
  23. 松原喜之次

    ○松原喜之次君 ただいま議題となりました二法律案について、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、物品管理法案について申し上げます。  この法律案は、物品の適正かつ効率的な供用その他良好な管理をはかるため、国の所有または保管にかかる物品の取得、保管、供用及び処分に関する基本的事項を規定しようとするものでありまして、その内容は概略次の通りであります。  第一に、この法律の適用を受ける物品は、国が所有する動産のうち、現金、日本銀行に寄託される有価証券及び国有財産法の適用を受ける動産を除いたもの並びに国が使用するために保管する動産であります。第二に、物品は、その供用の目的に従い、かつ予算の目的に反しないように分類を設けるものといたしますが、予算の目的に従って分類することが物品の適正かつ効率的な供用上不適当と認められるものについては、必要な範囲内で、予算の目的を越えることも差しつかえないことといたしております。  第三に、各省各庁の長を物品の管理機関にいたしまして所管物品を管理させ、なお、その委任を受けて物品の管理事務を行う物品管理官、物品の出納、保管を行う物品出納官、物品の供用事務を行う物品供用官を設けることといたしております。また、大蔵大臣は、物品管理の総括機関として、各省各庁の長に対し、必要な報告を求め、実地監査を行い、または閣議の決定を経て必要な管理上の措置を求めることができることといたしております。  第四に、物品の計画的な調達と供用をはかるため、重要な物品については、各省各庁の単位で、予算及び事務または事業を考慮して毎会計年度の需給見積りを立てるほか、各物品管理官単位で、各省各庁の承認を経て、毎会計年度の物品の供用計画を定めることといたしますとともに、物品の出納、保管、処分、検査及び報告等、物品の管理の基準及び方法を規定いたしております。  第五に、物品管理職員は、法令に従うほか、善良なる管理者の注意をもって物品の管理をしなければならないこととし、故意または重大な過失により、これに違反して国に損害を与えたときは、会計検査院の検査に基いて、その損害を弁償しなければならないこととし、また、物品使用職員が、故意または重大な過失により、物品を亡失または損傷した場合には、その損害を弁償しなければならないことといたしております。  なお、本案は、さきに参議院において修正議決いたされたのでありまするが、今その修正の内容を簡単に御説明申し上げます。  政府原案におきましては、供用の定義を「国の事務又は事業の目的に従い、用途に応じて、物品を国において使用させ、又は処分することをいう。」と規定しておるのであります。すなわち、使用させることと処分することとの両者を供用という法律観念にまとめているのでありますが、処分することまでも供用に含ませることは適切でありませんので、供用を使用させる意味に限定し、従って、供用を供用と処分とに分離し、この場合の処分について、その意義を明確にするとともに、供用計画を運用計画と改めるほか、条文の配列及び字句について所要の修正を加えることといたしたのであります。  本案につきましては、審議の結果、本十七日質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって参議院送付案の通り可決いたしました。  次に、国の債権の管理等に関する法律案について申し上げます。  まず、提案の理由並びに概要について御説明いたします。従来、国の債権につきましては、会計法その他個々の法令に部分的な管理規定があっただけで、一般的な管理法規がなく、管理機構もまた整備されていなかったため、関係職員の連絡不十分、怠慢等による徴収不足や徴収遅延を来たす等、国に損害を与えた事例が多かったのであります。また、他方においては、管理費用に満たない少額の債権あるいは債務者の所在不明の債権等につきましても一律に処理することとなっていたため、事務の能率性をそこなうことが少くなかったのであります。本法律案は、このような情勢にかんがみまして、債権の管理に関する制度を確立しようとするものであります。以下、この法律案内容について、概略御説明申し上げます。  第一に、この法律案は、いわゆる金銭債権を対象といたしておりますが、罰金等にかかる債権、租税債権、国が保有する資金の運用により生ずる債権等につきましては、原則としてこの法律を適用しないことといたしております。  第二に、国の債権の統一的な管理組織を確立するため、各省各庁における債権の管理事務を担当する機関として債権管理官の制度を設けるとともに、債権管理官が行うべき債権の保全及び取り立て等に関する事務の処理につき一般的な管理基準を定めて、その適確な処理をはかることといたしております。  第三に、取り立て費用に満たない少額の債権や、債務者の所在が不分明で徴収見込みのないような債権につきましては、内部的に徴収停止として整理を行うことができることとするほか、一般に債務者の資力その他の状況を考慮して、五年または十年以内の期間において債権の履行期限を延長することができる道を開き、また、一定の場合には減免等の措置をも講ずることといたしまして、債権の管理事務の効率的な運営をはかることといたしております。  第四に、債権の発生の原因となる契約の内容につきまして、その基本的事項を定め、発生後における債権の徴収を確保するとともに、特に貸付金債権につきましては、あわせて貸付の目的を保全するため必要な諸条件を定め、もって貸付事業の遂行の適正化をはかることといたしております。  本案につきましては、審議の結果、本十七日質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決いたしましたところ、これまた全会一致をもって原案の通り可決いたしました。  右、御報告いたします。(拍手
  24. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  26. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) この際暫時休憩いたします。     午後二時十六分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕