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1956-05-16 第24回国会 衆議院 本会議 第50号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月十六日(水曜日)     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第四十六号   昭和三十一年五月十六日     午後一時開議  第一 公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案内閣提出)     ━━━━━━━━━━━━━ ●本日の会議に付した案件  日程第二 地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案内閣提出)  日程第一 公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出)     午後五時十四分開議
  2. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより会議を開きます。      ————◇—————  日程第二 地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案内閣提出
  3. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) この際お諮りいたします。日程第三及び第三の両案を繰り上げて一括上程するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程の順序は変更せられました。(拍手)  日程第三、地方自治法の一部を改正する法律案日程第三、地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。地方行政委員長大矢省三君。     —————————————     〔大矢省三登壇
  5. 大矢省三

    大矢省三君 ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案並びに地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案につき、地方行政委員会における審議経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  この二法案は、去る三月十五日本会議に上程せられ、政府提案理由説明が行われておりますので、ここにその内容の詳細を申し上げることを省きます。  二法案のうち、地方自治法の一部を改正する法律案は、現下地方行財政実情にかんがみ、地方公共団体組織及び運営合理化をはかるために、都道府県性格及び権能を明らかにし、地方公共団体議会の開会及び常任委員会制度並びにその運営について若干の改正を行い、執行機関組織簡素化をはかるとともに、各執行機関を通じて、組織、財産の管理及び予算の執行等について、その一体的、効率的な運用を確保する方途を講じ、かつ、国と地方公共団体との関係規定整備して、相互協力ないし連絡、調整を緊密ならしめ、さらに大都市に関する事務配分特例を設けるとともに、特別市制度を廃止する等の措置を講じようとするものであります。そのおもなるねらいな、地方行政制度簡素化合理化経費節減にあり、兼ねて、行政運営総合性と能率の向上を期待しているのであります。  また、他の一法案は、地方自治法の一部改正に伴い、当然必要となる関係法規規定整備目的とするものでありまして、大都市に対する事務配分特例の新設及び特別市制の廃止による、それぞれその関係法律に所要の改正を加えることをおもなる内容としておるのであります。  両法案は、三月十五日本委員会に付託、同二十二日太田自治庁長官より提案理由説明を聴取し、四月二十七日に関係地方団体代表者等参考人として招致し、その意見を聴取するなど、慎重審議を行なって参りました。これら参考人陳述のうち、全国知事会等地方の六団体の意向は、本案作成過程において、政府がそれぞれの団体と連絡し、その意見を参酌しているので、大体において本案に対しては賛意を表し、その成立を希望する旨陳述がありましたが、なお若干の点について各一団体とも修正の希望を表明したのであります。また、人事委員会及び選挙管理委員会全国連合会を代表する参考人は、これら委員会委員報酬をいわゆる日当制にすることはその職務の性格及び勤務の実情に照らして適当でないから修正されたいという強い要望があったのであります。  かくして、同日、両法案に対する質疑を終了しましたが、その後、自由民主党側において、地方自治法の一部を改正する法律案修正したいとの議がありました。五月十五日成案を得て委員鈴木直人君より、提案者を代表して修正案提案理由説明されました。その修正案内容は次のごときものであります。  すなわち、修正の第一点は、議会議員を除く委員会委員等、非常勤の職員に対する報酬日当制は、条例で特別の定めをした場合は日当制をとらないことができることといたしたのであります。  第二点は、常勤職員に対する手当中、薪炭手当を加え、国家公務員に対すると同様の例によって、地方公務員にも薪炭手当を支給することといたしたのであります。  第三点は、造林目的とするところの土地の使用の許可、昭和二十三年八月地方自治法の一部改正法施行の際、現にその土地の上に生育しておるところの造林のための立木が、そのときまでに森林法の第七条に定めた適正な伐採年齢に達しない場合、これに達するときまではその効力を失わないこととする。  以上が修正案の要点であります。  修正案に対する質疑を行なった後、両案並びに修正案一括討論に付し、委員木崎茂男君は、自由民主党を代表して、修正案及び両案に賛成意見を述べられ、委員加賀田君は、日本社会党を代表して、修正案に対する賛成修正部分を除く両案には反対するの意思を表明されました。  採決の結果、修正案は満場一致可決され、修正部分を除く両原案賛成多数をもって可決せられました。よって、地方自治法の一部を改正する法律案修正議決すべきものと決し、地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案原案通り可決すべきものと決したのであります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  6. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 討論の通告があります。順次これを許します。加賀田進君。     〔加賀田進登壇
  7. 加賀田進

    加賀田進君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっておりまする地方自治法の一部を改正する法律案に対する自民党修正案賛成をいたしまして、修正案を除きまする政府原案に対して、並びに、これに伴う関係法律整理に関する法律案に対して、反対討論を行わんとするものであります。(拍手)  今次政府の提出いたして参りました地方自治法改正案は、昨年の二十三国会においても再度提出されて廃案となりまして、国民ひとしく安堵の胸をなでおろしました悪法案と大同小異でございます。いわゆる国民への直接サービス機関たる自治体権能を圧縮し、機能を弱めるとともに、住民のただ一つ意思反映機関である地方議会権能を不当に抑圧せんとする意図は一貫して貫かれているのでありまして、断じてわれわれの容認できない悪法案でございます。(拍手)  昨年、本法改正案が提出されるや、地方公共団体の、議会側はもちろんのこと、住民も、理事者も、執行機関も、全国民あげて強烈な反対運動が展開され、世論の猛反撃の前に葬り去られたことは、与党諸君といえども、なまなましい記憶として脳裏に刻み込まれておるものと私は思います。しかるに、政府は、おくめんもなく、またぞろ今次国会で、かかる反民主的な、時代逆行法案を提出したのであるが、鳩山内閣の図太さと執念深さには、今さらながら、われわれは驚かざるを得ないのであります。(拍手)昨年の案と比較いたしまして、少々緩和されておるようにも惑ぜられますが、実はその目標は同じであります。中央集権への魔の道が地方団体の中に設けられて、自治体本旨が根底からゆすぶられるに相違ないということは、この法案に一貫して流れておる思想であります。  ここにその二、三の例を取り上げて明らかにいたしたいと思いまするが、現行法によりますると、自治体機構の制定は、都は十局、道は九部、その他府県におきましては、人口割りに三段階に分れて、法定標準部局が単に設けられているのみであります。知事が必要に応じて条例部局を増減することができるようになっておるのであります。知事議会との自主的な意思に基いて、実情に即した機構の改変を行う権限が、すべて地方公共団体に与えられているのであります。ところが、今度の改正を見ますると、標準部局を越えて設置しようとするときには、内閣総理大臣と協議しなければ設けることができないようになっております。政府委員会におきましての質疑に対する答弁を聞きますると、協議がもし不成立の場合には、この部局の増加は許されないと言っております。このことは、明らかに地方自治体に対する政府内政干渉であって、鳩山内閣地方自治支配権確立しようとする第一歩であることは疑う余地もございません。(拍手)  しかも、最近、各府県におきましては、赤字財政再建のために、自主的に逐次その部局廃合に努力いたしておるのであります。しかし、その廃合に対して最も妨害して知事を悩ましているのは、現在の政府であり、地方公共団体と密接な関係のある各省の高級官僚であるということは、明確な事実であります。協力的立場にあるものが、逆に、自分の地位権限を保持するために、地方自治体に対して、しかも、地方自治体が真剣にこれを断行しようとする熱意に燃えているにもかかわらず、国家権力を背景として不当な圧力を加えることは、断じて許されないのであります。(拍手)かかる改正案を提出するとするならば、まず政府自体が体内に宿っている病源に断を下すのが私は適当だと思います。ちょうど酒屋の主人が禁酒同盟の会長のようなことでは、国民は納得しないと私は思うのであります。(拍手)さらに、今度の改正案には、地方公共団体または長に対して内閣総理大臣が監督的な特定の指示命令権を持つことになっております。つまり、政府は、地方公共団体に対して、事務処理が不当であるとか、執行に対して適正を欠いているから公益を害するとかの理由に基いて必要な措置を要求し、指示する権利を政府が握ろうといたしているのであります。政府が、かかるおそるべき権限を乱用して、一々地方自治体行財政干渉をし始めたら、一体自治体独立性というものはどこで保障されるでありましょう。  政府は、委員会質疑等では、明らかな法規の違反あるいは著しい不適当な事務執行の場合にのみ発動すると言っておりますが、従来の政府のやり方を見ておりますと、危なかしくてわれわれは信用することはできないのであります。現在でも、政府は、勧告や助言に基いて適正な方法をとる道が開かれているのでありますが、それにもかかわらず、さらに指揮権同様の権力確立しようとする政府のねらいは、民主政治の基盤である地方自治体を骨抜きにして、再び過去の独裁的内務省を再現させようとする陰謀にほかならないと思うのであります。そのためか、さらに、政府は、市町村に対する勧告調査権能を行使する場合には、総理大臣自治庁長官知事に代行さすことができるような道を開いております。知事権限を強化拡大して、内閣との不可分の関係に置きかえると同時に、このことは、知事官選条件を築き上げようとする悪らつな手段であるとして、市町村があげて強く反対していることは、単なる想像に基くものではないと私は思います。(拍手)  こうして、自治体執行権に対して不当なる支配権を打ち立てるとともに、他面、地方議会に対しても、活動の極端な制限の魔の手が伸ばされております。まず、議会閉会中、常任委員会活動を極端に制約いたしまして閉会住民の声を反映さす機会を失わさせようといたしております。議員審議権につきましても、議員がその議案を提出しようとする場合には、あるいは修正動議を提出しようとする場合におきましては、議員定数の八分の一以上の賛成を得なければならないという条件が定められました。地方住民代表者たる議員議会活動に制約が加えられると同時に、特に少数派正式意思表示機会を封殺することがごときことは、民主政治として断じて私は許してはならないと思います。(拍手)  常任委員会の設置についても、人口段階別に応じて、その数を制限しようといたしております。このことが、議会運営に種々の弊害を発生させることは、すでに都府県等からも指摘されている通りでありますが、まことに現状に合わない、地方自治体に対する混乱と矛盾を引き起す法案であります。たとえば、その一例を申し上げますと、京都におきましては、京都府の総人口は百九十万、改正案によりますと、常任委員会の数は六つであります。しかしながら、同じ地域の中に包含されております京都市の人口は百万をこえるから八つであります。市よりも広域にわたって事務処理を担当する団体が、逆に少数常任委員会によって運営されなくてはならないとは、全く本末転倒もはなはだしいといわざるを得ないのであります。(拍手)  このように、議会に対しても、多くの弊害と圧迫が至るところに存在いたしております。  さらにもう一つ法案の中で、従来人事交流円滑化を欠くからという理由のもとに、恩給等支給基準となる在職年限通算の処置が講じられておりますけれども、国と府県との間は義務規定として、市町村においては任意規定として、このことが定められております。そのために、国と府県間における人事交流一つ弊害は、恩給在職期間通算に基いて解決はいたしましても、市町村府県市町村間の人事交流は、依然として従来と同じような状態に残されるという矛盾が、この法案改正の中に存在をいたしております。  なお、私は大都市特例に関して一言触れておきたいと思いますが、昨年提出されました改正案においても、このたびの改正案におきましても、大都市に対して事務委譲をする内容が含まれておりました。すなわち、人口五十万以上の指定市に、都道府県より十六項目にわたる事務委譲がされることになっております。このことは、政府として都市行政の将来への一貫した基本的計画の上に行われていないというところに問題があります。政治的取引の道具に使用したということであります。  一昨年の十九国会において、政府は、世論反撃を無視して、警察法改正を断行いたしました。その経過措置として、五大市に昨年の三月一ぱい市警存続を認めたのであります。ところが、その後、五大市は引き続き市警存続することになっておりました。政府は、この五大市のその後における強き存続圧力に屈服いたしまして、いろいろ政治的な取引の上に立って、今度は五大市市警府県委譲いたしますけれども、事務の一部は市より府県に移管するという取引を行なったのであります。残念ながら、政府としては、幸か不幸か、昨年の自治法改正廃案となって、問題は今次の国会に持ち越されました。そこで、今度おさまらないのは、五大市を持つ府県側であります。政府は、ちょうど中間に立って、府県と市の一大暗躍の間に板ばさみになってしまったのであります。そのために、与党の中に、府県側から五名、市側から五名の十人委員会を設けて調整をはかったのでありますが、これまた意見がくがくとして結論を得ることができません。とうとう党幹部裁断を仰ぐことになりました。党幹部、また、理論的な手段ではなくして、例によって例のごとく、一を与えて一を取るという政治的配慮で、事務五大市委譲するが、特別市の条項全部を削り取ってしまうという、乱暴な裁断を行なってしまったのであります。市町村育成発展の政策の基本も持たずして、場当り的に、自治行政を、そのときどきの情勢によって改変されるということは、自治体こそ全く迷惑千万なことであります。(拍手)  こうして列挙いたしました範囲においても、自治法改正政府のねらいは、地方公共団体組織及び運営適正化ではなくして、その企図するところが独裁政治への瀬踏みであるということは、万人ひとしく認めるところであります。(拍手)  最後に、私は、本法案委員会審議経過を通じて自民党諸君のとった議事運営に対して、国会の将来に重大な悪例を残したことを申し上げたいと存じます。(拍手)  この法案委員長報告通り、三月十五日に提出されまして、二十二日提案理由説明を聴取いたしたのであります。自来、自治庁の要請もございまして、私たちは慎重に審議をいたして参りました。四月二十七日、全会一致をもって、与党諸君が、われわれに、にこにこ顔で、質疑打切りに対して賛同をいたしたのであります。     〔「時間だ、議長注意」と呼び、その他発言する者あり〕
  8. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 加賀田君、簡単に願います。
  9. 加賀田進

    加賀田進君(続) しかるに、与党諸君は、その直後、突如、修正案を出すから四、五日待ってもらいたいと申し出て参りました。われわれは、良心をもって、その四、五日間の猶予を与えたのでありまするけれども、とうとう、このことは、何と十八日間も、質疑打切り後現在まで採決がされなかったという状態であります。(拍手)聞くところによりますと、四月の二十七日、どうも質疑が打ち切られるから、質疑を打ち切らないように善処してもらいたいと、この法律成案に対して責任を持つ太田自治庁長官が、地方行政委員会理事に督促したということであります。早川政務次官は、質疑打ち切りが行われたと知って、童顔に顔色を変えて、同僚に対して暴言を吐いたと私は聞いております。(拍手)この、みずからの法律を育て上げ、促進さす義務がある政府機関与党が、みずから議事審議の延長をするというようなことは、国会史上かつて見ざる珍風景だと私は思います。(拍手)     〔「時間、時間」と呼ぶ者あり〕
  10. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 加賀田君、簡単願います。
  11. 加賀田進

    加賀田進君(続) 最後に、十八日間の審議過程ではございますが、政府与党の三項目にわたっての修正案に対しては、社会党として賛成をいたします。  なお、質疑打ち切り後、修正案を提出するからという理由のもとに、十八日間も採決の延期をした与党諸君に、われわれは申し上げたいと思います。野党のわれわれにいたしましても、質疑打ち切り後に、いろいろな法案に対しても、修正案提出のために、相当長期にわたる時間を今後要求することを皆様に申し上げて、本案に対する私の討論を終りといたします。(拍手
  12. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 木崎茂男君。     〔木崎茂男登壇
  13. 木崎茂男

    木崎茂男君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま上程せられました地方自治法の一部を改正する法律案に対する修正案修正部分を除く政府原案並びに地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案について、賛成討論を行わんとするものであります。(拍手)  現行地方自治法は、憲法第九十二条に規定する地方自治本旨を基調とするものであり、団体が自主、自律的に、その住民意思によって、地方実情に即して地方行政を行おうとする基本的原則に立っていることは、今さら私が申し上げるまでもないところであります。この地方自治本旨、すなわち、団体自治住民自治基本原則は、いかなる事情が将来発生いたしましても、あくまでこれを守り抜かなければならないと信ずるものであります。(拍手)しかしながら、その行政運営の面におきまして、わが国の実情に照らし、現行地方自治法施行経過にかんがみて、今日幾多改善を要する点のあることも、これまた、これを認めざるを得ないのであります。昭和二十八年十月、地方制度調査会の答申においても、すでにこのことが端的に指摘せられておるのであります。今回政府の意図する改正案は、この基本的な地方自治原則を守りつつ、民主的で、しかも合理的な自治運営確立するために、当面必要なる若干の改正を行わんとするものでありまして、私が賛成をいたします第一の理由もここにあるのであります。(拍手)  他面、現下地方自治確立のために最も重大なることは、赤字苦しみ危機に瀕した地方財政根本的再建をいかになすべきであるかということであります。政府並びに与党においては、第二十三国会以来、地方財政再建のために国の責任において措置すべき幾多施策を相次いで断行して参ったのでありますが、これらの諸施策の実現とともに、最も必要なることは、私は、地方自治団体自身の力による行政運営改善を積極的に推進させなければならないということでありましてこのような観点から本法改正を考えましたときに、これまた基本的に賛成をいたし得ると思うのであります。  これら二つの基本的な考え方の上に立ちまして、地方行政機構を簡素合理化し、経費節減行政効果充実をはかり、もって真に住民福祉積極的向上を期さんとすることは、まことに機を得たる適切なる措置というべく、われわれは双手をあげて賛成をいたすものであります。(拍手)  以下、本法具体的改正点につきまして、簡単に賛成理由を申し述べたいと存じます。  まず、改正の第一点は、都道府県市町村地位権能を明らかにしたことでありますが、現行地方自治法において、従来、この両者地位権能に区別が認められないために、ややもすれば適正なる両者関係について理解を欠くうらみがあったことは事実であります。今回、この点に改正を加えまして、市町村は基礎的な地方公共団体とし、都道府県市町村を包括する広域地方公共団体といたしまして、それぞれの処理すべき事務を明確にし、相互に競合しないよう規定せんとするものでありまして、現実に即した合理的なる改正であるといわなければならないのであります。ただいまもお話がありましたが、この改正点反対する諸君が、これをもって直ちに知事官選への一里塚のごとき議論をなさいますのは、現実を離れた、あまりにも飛躍的な理論であると私は思うのであります。(拍手)  改正の第二点は、議決機関及び執行機関を通じて、地方公共団体運営適切合理化をはからんとするものでありまして、これまた、前述の通り、巨額の赤字に悩む地方財政抜本的再建策としまして、きわめて時宜を得た措置というべきで、地方自治運営の車の両輪とも考えらるべき両者基本的な権能を制約することなく、これを合理化いたしたもので、地方自治確立のために大なる役割をささえるものとして、賛意を表せざるを得ないところであります。  改正の第三点は、国と地方公共団体及び地方公共団体相互間の関係につき、現行地方自治法施行経過にかんがみて、行政運営適切化をはかるため必要なる規定整備を行わんとするものであり、特に地方公共団体長年の熱望にこたえて、国と都道府県または地方公共団体相互間における公務員及び義務教育職員在職期間通算措置を講じましたことは、けだし、適切なる改正というべきであります。(拍手)  改正の第四点は、大都市及びその機関に対して事務配分特例を設け、これに伴って、特別市に関する規定を削除せんとするものであります。大都市発展に伴う都市の実力の充実行政必要性から、特別市制を実現しようとする大都市側の主張も、自然の要求であります。他面、現行地方自治法の上から、所在府県大都市を切り離した残存部分行政執行立場に立ってこれに反対をされてきたことも、また私は当然の理由があると思うのであります。地方自治法が幾たびか改正さるべくして改正されなかった過去の経過も、このような両者の複雑な相対的立場と強い抗争的議論があったことにその一つの原因があったこと、見のがせない事実であります。しかしながら、この間、住民福祉という立場でこれを考察いたしましたときには、大都市に限って二重行政、二重監督の弊を除去しなければならないことは、各方面で指摘せられておったところでございます。本改正法案委譲せんとする十六項目行政事務につきましては、現実府県から大都市に移されているものも少くないのであしまして、大都市行財政能力からいっても、私は当然であろうかと考えるのであります。  なお、これに伴いまして、現行特別市に関する規定の削除をされることになったのでありますが、本制度は確かに地方自治本旨に適合する理想的な制度ではありますけれども、現行府県制度を前提として考えましたときには、実際にはきわめて困難なる事情にもありますので、本問題は、むしろ、今後に残された府県制度の抜本的改革と関連をして、総合的に検討、解決せらるべきが至当であると考えるのであります。(拍手)従って、今回の改正は、過去の本制度をめぐって続けられた激烈なる両者の抗争に一応の終止符を打つ意味におきまして、適切なる措置というべきであります。(拍手)  私は、政府並びに与党が、あらゆる政治的な困難を克服して、将来の紛争の禍根を断つた英断的改正に対しましては、満腔の賛意を表する次第でございます。(拍手)  以上、本改正案に対する基本的かつ具体的事例に対しまして賛成理由を申し述べたのでありますが、今や、地方自治法実情に即しました改正は何人もこれを是認するところでありまして、本法審議過程におきまして地方公共団体関係者の方々の意見に徴しても、この事実は明らかなところでございます。(拍手)しかるに、社会党は、これらの実情を承知されながら、本案反対をされました。しかも、何らの具体的な修正案も示さざる態度は、まことに私どもは了解に苦しむのでございます。(拍手地方自治確立に対しまして全く無為無策であることをみずから表明せられたものといわれてもいたし方ないと思うのであります。(拍手)  最後に、先ほど委員長から御報告がありましたが、わが党は、本案の重要性にかんがみまして、公聴会、参考人の御意見や、各方面、ことに社会党の真剣に御議論をなさいました委員諸君のごもっともな御発言は十分尊重いたしまして、先ほど来委員長が御報告の三点の修正を行なった次第でございます。(拍手)先ほど、加賀田さんから、本案審議におきまして、わが党が党略上一方的に引き延ばしを策したとの御批判がございました。わが党といたしましてただいまも申し上げました通り、各方面の意見を尊重した修正を検討するとともに、社会党委員の皆さんから要求せられました、政令で定むる大都市委譲事務十六項目の具体的内容の確認等に若干の時日を要したのは現実でございます。むしろ、私は社会党の皆さんが、本案反対の態度をとられながら、十分なる根本的審議を行われることなく、さらには、みずから要求せられた重要なる資料の提出も待たれないで質疑の打ち切りを策されて、まことに上手に打ち切りはされましたけれども、強行されたのは事実であります。かかる態度は、私は、社会党の皆さんにこそ、党利党略のためには重要なる法案審議をおろそかにしたという非難が的中すると思うのであります。(拍手)  以上、私は、地方自治確立のため、すみやかなる本案の成立を念願いたしまして、賛成討論といたす次第でございます。(拍手
  14. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これにて討論は終局いたしました。  両案を一括して採決いたします。日程第二の委員長報告修正日程第二の委員長報告は可決であります。両案を委員長報告通り決するに賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  15. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 起立多数。よって両案は委員長報告通り決しました。(拍手)      ————◇—————
  16. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第一、公職選挙法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。公職選挙法改正に関する調査特別委員長小澤佐重喜君。     〔小澤佐重喜君登壇
  17. 小澤佐重喜

    ○小澤佐重喜君 ただいま議題となりました、内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案の、委員会におきます審査の経過並びにその結果を御報告申し上げます。  まず、本改正案につきまして、簡単に、その骨子のみを申し上げることといたします。  本案は、議会政治の健全なる発達をはかるため、衆議院議員の選挙について、小選挙区制を採用し、候補者の公認制度確立し、あわせて選挙の際における政党の政治活動の規制を合理化し、もって民主政治の基盤を強化せんとすることを提案理由とするものであります。  その改正案の要点は、第一に、衆議院議員の定数を現行より三十人増加して四百九十七人としたことであります。第二に、衆議院議員の選挙区を四百七十七区とし、そのうち、一人区は四百五十七区、二人区は二十区設けることとしております。第三に、衆議院議員の選挙における政党の候補者の公認制度確立するとともに、選挙運動期間中における政党の政治活動の規制を合理化せんとするものであります。第四に、衆議院議員の選挙における立会演説会はこれを廃止するとともに、個人演説会の制度は従前通り存置し、公営施設の利用については、同一施設につき二回まで無料としたことであります。第五に、選挙犯罪に関する附帯訴訟の制度を採用したことであります。第六に、衆議院議員の選挙運動の期間を五日間短縮して二十日とし、法定選挙費用をおおむね六十万円程度に引き下げたことであります。その他、衆議院議員の選挙に関し、立候補の辞退は選挙の期日前五日まででなければならないものとし、供託金の額を二十万円に引き上げ、繰り上げ補充は同点者の場合に限って議員の任期中行うものとし、また、補欠選挙は、繰り上げ補充ができる場合を除き、議員に欠員が生じたとき、そのつどこれを行うものとする等の改正を行わんとするものであります。  本案は、去る三月二十六日の委員会において太田自治庁長官より提案理由説明を聴取し、翌二十七日より質疑に入ったのでありまするが、その間、四月十日には参考人より意見を聴取し、また、四月二十日より三日間、仙台、名古屋、広島、福岡の各市に委員を派遣し、各地において調査会を開催し、それぞれ意見を聴取いたしました。さらに、また、四月二十三日及び二十五日には公聴会を開き、学識経験者より意見を聴取する等、慎重な審議を継続して参ったのであります。  その間における質疑のおもなる点を申し上げますると、まず、選挙制度調査会の運営に遺憾の点はなかったか、政府は何ゆえ調査会の答申を変更して政府案を作ったかとの問題が論議されたのでありまするが、これに対し、政府は、調査会の答申は有効であると認める、政府案は答申に基いて作ったものであるとの答弁がありました。  次に、一事不再議の問題が盛んに論議されたのであります。すなわち、本案政府より二月十九日に国会に提出されたが、その数日前成立した参議院提出の公職選挙法改正案内容と重複する点が多い、これは一事不再議の原則に反するのではないか、政府は撤回すべきであるとの主張がなされたのであります。これに対し、政府は、さきに成立した公職選挙法改正案は参議院議員の選挙及び中選挙区制における衆議院議員の選挙関係のものであり、今回の改正案は衆議院議員の選挙を小選挙区制に改めるもので、両法案はその趣旨、目的が違うから、一事不再議の原則に反しないとの答弁がありました。  次に、小選挙区制については、小選挙区制の実施は、過去の経験に照らし、かつまた、現状においては必ずしも二大政党の維持育成にはならないと思う、むしろ小党分立の結果になるのではないかとただしたのに対し、政府は、今回の小選挙区制は過去のものとは異なる、この小選挙区制実施によって二大政党を維持育成するものと信じているとの答弁がありました。  次に、小選挙区制実施によって、実際には、憲法改正に必要な衆議院における三分の二の議席を自由民主党が制しようという意図があるのではないかとの質疑がありましたが、これについては、政府は、憲法改正とは全く関係はない、小選挙区制によって政局の安定が生まれてくるとの答弁がありました。  次に、小選挙区の実施による二大政党の政策の近似性について活発な論議が重ねられたのでありますが、これに対し、政府は小選挙区制を実施している間に漸次政策の近似性が生まれてくると考えるとの答弁がありました。  次に、小選挙区制と死票増加、比例代表制等の問題について真剣な論議がなされたのでありますが、政府は、死票をなくするには比例代表制をとらなければならない、しかしながら、比例代表制は、小党分立を招き、政局が不安定になる、政局安定の方が重要であると答えております。  その他、新人や婦人の進出がむずかしくなるとともに、地域的なボスが進出する結果になるとの意見に対して政府は、政党が公認候補者を厳正にきめるだろうから、そういう結果にならないと思う、と述べております。  その他、次に述べるような諸問題について、熱心活発に質疑が行われたのであります。すなわち、小選挙区制の実施は時期尚早ではないか、今回の小選挙区制による区画割は党利党略によるものであって、社会党議員の減少をはかるものではないか、立会演説会は何ゆえ廃止したか、候補者の公認制を法律で定め、違反者に重い処罰を加える規定は違憲ではないか、政党が特定の候補者のために選挙運動を行うことを認めながら、これに要する費用を制限しないのは何ゆえか、附帯訴訟に関する法律案は同時に提出すべきではないか、選挙に関し特定の寄付の禁止について、その範囲を拡大する必要があるのではないか、連座制をさらに強化する必要があるのではないか等の諸問題についての質疑に対しましては、二大政党ができている現在こそ、これを維持育成するために小選挙区制の実施が必要である、区画割については、そのような意図は絶対にない、立会演説会は小選挙区制になれば地域が狭くなって公認候補者の数も少いから、その必要がなくなる、また、演説会場の秩序保持がより困難になるから廃止した、公認制の違反者を処罰することについては、憲法における自由保障は絶対無制限なものではなく、議会政治の健全な発達という、公共の福祉のための制限が認められるから、違憲ではない、政党の選挙運動の範囲は法律で限定されているので、これに要する費用は特に大きくなることはない、附帯訴訟に関する法律は、膨大な改正で、直ちに提出することは困難であるが、できるだけ早い機会に提出する、選挙に関する会社、法人等の政治献金がいけなければ、公務員からの政治献金もいけなくなるから、この両者関係について考えなければならない、連座制は、現行法において最も強い規定になっている等の答弁がありましたが、これらの質疑応答の詳細につきましては会議録に譲ることといたします。  かくて、去る五月十二日、自由民主党提案として、青木正君外二十名より修正案が提出されたのであります。  以下、その要旨を御説明申し上げますと、第一は、別表第一の改正規定を削除することとし、選挙区の区割案を作成するため、衆議院議員選挙区画定委員会を設けるものとし、なお、原案中の選挙区審査会に関する規定は削除するものといたしております。  次に、選挙区画定委員会について申し述べますと、同委員会内閣総理大臣が任命する次の委員七人をもって構成されることになっております。すなわち、その委員は一、衆議院議長が推薦する学識経験者二人、二、国立国会図書館長、三、中央選挙管理委員長、四、都道府県選挙管理委員会を代表する者一人、五、市の選挙管理委員会を代表する者一人、六、町村の選挙管理委員会を代表する者一人といたしております。  次に、同委員会は、選挙区割案を作成するに当っては、一、各選挙区の人口は、当該都道府県においてはなるべく均等になるようにすること、二、行政区画はなるべく尊重し、特に町村の区域は分割しないこと、三、地勢、交通、産業等の見地からの地域的一体性はなるべく尊重すること、以上の基準を総合的に考慮して作成するものとし、この場合において、本年三月十三日の選挙制度調査会の答申を尊重し、議員の定数は四百九十七人をこえないようにしなければならないものとしております。  さらに、同委員会は選挙区割りの案を作成し、次の国会の常会までにこれを内閣総理大臣に提出するものとし、内閣総理大臣は、その案に基いて別表改正案を作成し、国会に提出しなければならないものとすること、第二に、立会演説会は、演説会場の秩序保持のための規定整備した上存置するものとすること、第三に、供託金は現行法通り十万円とすること、第四に、選挙犯罪者が逃亡した場合の時効期間を現行の二倍、罪の種類により二年または四年に延長するものとすること、第五に、本改正法中、選挙区画定委員会に関する規定は公布の日から施行し、その他の規定は、本改正法に基いて作成される別表の改正、及び、連座制強化のための附帯訴訟の手続に関する法律の公布の日から六カ月を経過した日以後に期日の公示された総選挙から施行するものといたしております。  以上が修正案の要旨でありますが、同日、青木正君より修正案の趣旨説明があり、本修正案は予算を伴うものでありますので、これにつき、国会法の定むるところによりまして内閣意見を徴し、翌十四日、原案並びに修正案につき一括して質疑を行なったのであります。その修正案に関する質疑のおもなるものは次の通りであります。  政府案を分断して、その本体ともいうべき区割り案を将来に残し、政府案は廃案にひとしいことになる大修正をのむからには、政府は重大なる政治責任を負うべきである、その政治責任をどのように考えているかとただしたのに対しまして、政府は、修正案においては、政府案の小選挙区制度原則は維持されている、また、政党本位の選挙の強化も承認されているので、その大原則は変ってはいないのである、区割りについては謙虚な気持で再検討し、慎重を期する意味において修正案に応ずるということであって、政府において責任を負うことはないとの答弁がありました。また、修正案については、三月十三日の選挙制度調査会の答申を尊重して、選挙区画定委員会が区割り案を作成し、政府はこの案に基いて区画割りに関する法律案を提出するということになっているが、この三段の過程においては、区割り案は全くゆがめられたものになってくる可能性が十分にあるのではないかとただしたのに対し、政府は、今までの審議経過を見まして、政府としては選挙区画定委員会の答申をそのまま出すつもりである、ただし、答申後に行政区画に変更があったときは別問題である、との答弁があったのであります。その他、選挙制度調査会があるのに選挙区画定委員会を設けるのは何ゆえか、修正案の趣旨説明には画定委員会は臨時的なものであるといっているが、いつまで存続するものであるのか、画定委員会が区割り案を作成する際の基準は抽象的であって、あいまいに過ぎるのではないか、人口等について、より具体的に基準を定むべきではないか、議長裁定の詳細なる内容、その精神等について政府は承知しているかどうか等の質疑に対しましては、選挙区画定委員会は、選挙法の別表第一の区画割り案を作成することだけを目的とするのであって、選挙制度調査会と併存することは差しつかえない、選挙区画定委員会は、実際上は次の通常国会までに区画割り案の作成提出という臨時的な任務を持つものであるが、法律上は廃止のための改正手続がとられるまで存続する、法律上区画割りの作成基準を定めるとすればこの程度でよい、それ以上の具体的な点は、画定委員会委員の公正な良識ある判断にゆだねることが適当と思う、議長裁定の内容、精神は承知している等の答弁がありましたが、その質疑応答の詳細は会議録に譲ることといたします。  かくいたしまして、昨十五日、原案及び修正案質疑を終了し、引き続き討論に入りましたところ、まず日本社会党を代表して片島港君より、修正案及び原案反対意見が述べられ、次に自由民主党を代表して松澤雄藏君より、修正案及び修正部分を除く原案賛成意見が述べられ、次に小会派クラブの小山亮君より、修正案及び原案反対意見が述べられたのであります。かくて討論を終局いたしたのでありますが、その討論内容については会議録によって御承知を願います。  次いで、採決に入りましたところ、まず、青木正君外二十名提出の修正案は多数をもって可決され、次いで、修正部分を除いては原案通り決しました。かくて、内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案修正議決いたした次第でございます。  以上、御報告を申し上げる次第であります。(拍手
  18. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 質疑の通告があります。これを許します。滝井義高君。     〔滝井義高君登壇
  19. 滝井義高

    ○滝井義高君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案並びに与党修正案に対する小澤委員長報告に対し、また、それに関連して、委員会審議過程を通じて不明確であった一、二の点について、自治庁長官並びに鳩山総理に対して御所見をお尋ねいたしたいと思います。(拍手)     〔議長退席、副議長着席〕  そもそも、政府与党が今回この公職選挙法の一部改正なる世紀の悪法を今二十四国会に提出いたしました、その根本的な理由とするところを推測いたしてみますと、その第一の理由は選挙のたびごとにすくすくと伸びて参ります社会党の勢力を分断しようとすることが、まずその第一の理由であると思われます。(拍手)第二の理由は寄せ集めの、寄木細工の政党である自民党の主導権を、この小選挙区の名のもとに確立しようとする一部幹部の陰謀であったというのが第二の点でございます。この公職選挙法改正は、この二つの理由以外にないと思われるのでございます。政府与党は、この二つの目的を達成せんがために、異常な熱意を持って参りました。私の尊敬する温厚篤実なる加藤鐐五郎委員長をかえて、その名を聞けば泣く子も黙るといわれている、国会内で有名な小澤佐重喜氏を委員長に押し立て(拍手、笑声)猛虎の勢いをもって二十四国会を押し切ろうとして参ったのでございます。しかるに、何ぞはからんや、世論は強くその政府与党の陰謀と意欲とを打ち砕いたこと、現実の五十有余日にわたる審議経過が、しみじみと、三百名になんなんとする絶対多数を握っている与党諸君に味わわしたことと私は思うのでございます。(拍手)  さて、政府は、この法案を提出するに当って、二つの大きな理由を掲げました。まず第一の理由は、二大政党の育成をはかるということであったのでございます。さらに第二には、政局の安定をはかるということでございました。この小選挙区のみがその二つの目的の達成にかなう政策であり、しかも、この小選挙区によってのみその二つの目的が達成せられて、内外にわたって山積しておる重要政策を、着実に、堅実に遂行できるというのが、これが自治庁長官並びに総理が絶えず委員会において御説明下さった点でございました。そこで、こういう前提のもとに立って、私は小澤委員長並びに鳩山総理、自治庁長官に、一、二の所見をお伺いいたしたいと思うのでございます。  まず第一に、小澤委員長自治庁長官にお尋ねをいたします。すでに、事態は、政府がこの法案を提出したときとは、ずいぶん変って参りました。政府がこの法案を出したときの、その出す具体的な理由といたしましては、第一には、選挙制度調査会が、早々の間に、あの区割り案とともに、法規基本となる答申をして下さった。早々の間であったために、その全部を取り入れることができなかった。だから、まずその中で特に必要と思われる点のみを採用して法文を作ったというのが、第一の政府理由でございました。  さらに、第二に政府がわれわれに示した理由は、すでに、この国会において、三月十四日に、参議院の通常選挙を目的として公職選挙法の一部を改正する法律案が通っておる、従って、全面的な改正は一事不再議の原理にも反するおそれがあるので、とりあえず小選挙区制として衆議院議員の選挙に関することのみを今回の改正ではやるのだ、というのがその理由でございました。皆さんも御存じのように、選挙法は、これは一体的な法典でございます。参議院、衆議院、地方議会議員あるいは首長等、これらのすべてのものを包括的に規定しておるのが公職選挙法でございます。従って、当然、事態の急変というものは——次の国会政府が選挙法の改正をやろうとするならば、公職選挙法自体を、抜本塞源的に、全体的に改正することが、論理的な当然の帰結であろうと思うのございまするが、自治庁長官並びに政治的な良識を持っておられる小澤委員長の所見を私はお伺いいたしておきたいと思うのでございます。(拍手)  第二には、総理にお尋ねをいたしたいのでございまするが、大体、総理は、いかなる目的で、この法律をこの国会に無理やりにお通しになろうとするのか。その、あなたがお通しになろうとする目的は一体どこにあるのか、ということなのでございます。御存じのように、この法律は、党利党略のサラマンダーの法律だと言われました。サラマンダーは火の中のトカゲです。サンショウウオだといわれております。この、いわばサンショウウオの二つの眼となったものは何であったか。この区割り案というサラマンダーの二つの眼となったもの、その一つの眼は、立会演説の廃止と、そうして供託金の引き上げということでございました。いま一つの眼は何であったか。いま一つの眼は、選挙における政治活動の政党に対する強化でございました。いま一つは何であったか。それは公認制の確立でございました。これらの眼がそれぞれ左右について、いわば画龍点睛を欠く——画龍点睛を欠くという言葉が昔から日本にありますが、このサラマンダーは、その二つの眼を持って、この国会を乗り切ろうといたしました。ところが、おそろしいことには、与党みずからが、その左の眼についておりましたところのこの立会演説という眼と、そうして供託金の眼を、みずからの手で抜いてしまったということであります。(拍手)このサラマンダーは、左の眼を抜かれ、さらにその上に、施行期日がどこにいったかわからないということで、サラマンダーの足が奪われてしまったのでございます。一体、このサラマンダーはどこにはっていけばいいのでしょうか。どういう目的を持っておるものでしょうか。このように切り裂かれた法律というものを、鳩山総理は、やはり政局の安定と二大政党のために必要だと、その口をもって堂々と委員会で答弁したように、この場で言うことができるでしょうか。(拍手)もし鳩山総理が良心的な政治家であられるならば、この壇上で国民に向って不明を謝すべきであろうと思うのでございます。(拍手)  さらに第三にお尋ねをいたしたい点は、これは小澤委員長に対してでございます。委員長も御存じのように、今回の与党による修正案によってできまするところの衆議院議員選挙区画定委員会は、四つのワクをはめられております。第一のワクは、その七人委員会が作るべきところの議員の定数というものは四百九十七人をこえてはならないということ、第二のワクは、選挙制度調査会の答申案を尊重しなければならないということ。第三のワクは、次の通常国会の前日までに成案を得なければならないということ。第四番目には、三つの基準を基礎にして案を作らなければならない。その三つの基準の第一は、少くとも、選挙区の人口はなるべく均等にしなければならない。行政区画は分割してはならない。地勢上の一体性を考慮しなければならないという三つの基準、このような四つのワクをはめられました。  ところが、政府与党諸君は、ワクをはめておきながらも、選挙制度調査会の答申案を尊重しなければならないという一項を入れております。選挙制度調査会のその答申を尊重するというならば、何で四百九十七人をこえてはならないか、あるいは、さいぜん申しました三つの基準をわざわざ書かなければならないのか、選挙制度調査会の答申の中には、すでに、一人一区で四百九十七人と、きちっと書いております。書いておるばかりではない。区割り案の基礎になった基準というものは七つありまして、今回与党のつけた三つの基準は、すべてその七つの基準の中に含まれておるのでございます。従って、選挙制度調査会の答申を尊重するという一項で足りたのでございます。しかも、その七人委員会の良識に信頼すると政府も言い、与党諸君もおっしゃっておるのでございますから、当然そういうものは入れなくてもよかったはずです。ただ選挙制度調査会の案を尊重する、これだけで私はけっこうでなかったかと思う。それを、わざわざ多くのワクをはめることは、その七人委員会の答申を尊重すると言いながらも、これを尊重しないおそれさえ出てくると思うのでございますが、小澤委員長から、委員長として、この壇上で、七人委員会でできた案はそっくりそのまま尊重する所存であるかどうかという御言明を得たいのでございます。  さらに第四に私のお尋ねをいたしたい点は、鳩山総理に対してでございます。まず、鳩山総理に、政治責任について私はお尋ねをいたしたい。同時に、良識の士である小澤委員長についても、この点の御所見を伺っておきたいのでございます。それは、御存じのように、政府が提案いたしましたこの法律案というものを、与党みずからが大幅の修正を加え、骨を抜き、筋を抜いて、軟体動物のような姿にしてしまいました。この軟体動物のような姿になった修正案というものについて、私は太田自治庁長官の御意見を聞いてみました。太田さん、一人一区ということは、この法案のどこからも読み取れないと思うのだが、一体あなたの政治責任はどうなるのだとお尋ねしましたところ、太田さんいわく、この修正案の中には一人一区の精神が躍動しておるので責任をとる必要はないと申しました。まず、これまでは、百歩を譲って、私も了承いたしておきましょう。さらに私は質問を続けました。しからば、参議院で継続審議になった場合には、あなたの政治責任はどうなりますかと言ったら、継続審議になった場合には、まだその精神は死んでいないから、政治責任をとる必要はないとおっしゃいました。しからば、継続審議になった場合はそういうことになろうが、審議未了になった場合はどこだと言ったら、審議未了の場合は、まだその精神が浮いて生きておるから、これも政治責任をとる必要はない。しからば、一体あなたの政治責任をとるのはいつなのかと問いましたところが、それは参議院において否決されたときにおいてのみ政治責任をとると言ったのでございます。一体、政党政治のもとにおいて、良識ある政治家が、こういうことで、世論政治の政党政治ができるでしょうか。(拍手)私は鳩山総理にお尋ねをいたしたい。総理が御任命になった自治庁長官がこういう態度で、責任政治の政党政治が行われるでしょうか。あなたもまた、この重大な法案が、こんなにずたずたに切り裂かれても、なお太田長官と同じ御意見であるかどうか、これをお伺いをいたしたい。同時に、長く政党人として苦労をしてこられた小澤委員長の御所見をも、あわせてお尋ねをいたしておきたいと思うのでございます。  ざらに、与党の皆さんもよくお聞き願いたい点は、この法律施行の時期に対する問題でございます。御存じのように、非常な御無理をしてお通しになるところのこの法案がこの国会を通ったにしても、この法案で実際に実施のできる、動くところの面というものは附則だけでございます。附則だけが動いて、効力があって、この法律の本文には何ら動くものはありません。これがまず第一です。附則が動いて、今度できる七人委員会が、次の通常国会の前日までに区割り案を作ります。その区割り案が次の通常国会において可決をされて通ります。通っても、なおこの法律は動きません。通って六ヵ月たった後の総選挙からこの法律は動くことになります。従って、皆さん方がこんなに無理をして通したこの法律が、いよいよその効力を発効するのは、昭和三十二年の十月以降に行われる総選挙だということです。皆さん、二大政党の育成を考え、政局の安定を考え、内外にわたって重要政策を一刻も早く実行しようとするために出したこの法案というものは、一体どういう目的で出されたものでしょうか。私たちは、何が何かわからないのでございます。(拍手)この実施の時期に対する考え方について、鳩山総理は、それでも御満足であるかどうか、私はお尋ねをいたします。  最後に、世論政治というものは、これは政党政治であります。従って、政党は世論に耳を傾けなければなりません。もし、自民党諸君が、鳩山総理が、政府の閣僚が、真に世論に耳を傾けたならば、私は、このような悪法は、このような軟体動物のごとき法律は、すみやかにここに撤回することを要請いたしまして、私の委員長報告に対する質問にいたしたいと思います。(拍手)     〔国務大臣鳩山一郎君登壇
  20. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) ただいまの御質問に対してお答えをいたします。  まず第一に、政府はこの法案をどういう目的で出したかということをお聞きになりましたが、これはたびたび申しましたように、政府は、この法案の成立に当りまして、政局の安定と二大政党の育成をはかりたいということをたびたび申しております。決して、あなた方の主張せらるるがごとくに、党利党略を念としたものではございません。(拍手)  修正案原案との関係についての御質問がございましたが、修正案原案の根本精神をくずしておりません。ずなわち、小選挙区制を採用ぜんとする原案の精神を確保しております。また、政党による選挙運動は強化せられまして、政党本位の制度は維持せられておるのであります。  第三に、区割りについては、中正に、慎重に審議せんとする修正案は、私は当然のことと思って同意しております。政府は、修正案の将来については、かくのごとき意味において責任を感じておりません。(拍手、発言する者あり)  その他の質問については太田長官より答弁をしてもらいます。(拍手、発言する者あり)     〔国務大臣太田正孝君登壇
  21. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) 滝井君の私に対する御質問に対してお答えいたします。  公職選挙法改正全体を考えずして、衆議院選挙のみを改正した理由につきまして申し上げます。公職選挙法の衆議院議員選挙以外の部分につきましては、今後選挙制度調査会または地方制度調査会などの意見を求めまして、改正の要否を慎重に検討していきたいと思うのでございます。  また、総理大臣に対して御質問がありました、今度の修正案施行時期を先に延ばしておるということについてでございます。この大事業をやる第一歩を大きく踏み出したのでございます。さよう御了承を願います。(拍手、笑声)     〔小澤佐重喜君登壇
  22. 小澤佐重喜

    ○小澤佐重喜君 滝井君の質問に対しましてお答えを申し上げたいのでございますが、滝井君も御存じの通り委員長質疑に対する答弁というものは、委員会審議に関する事項に限られておると思うのであります。よけいなことを言って議事規則違反なんと言われると大へんでございますから、私は本案内容についてはお答えしません。  ただ一言私に対する質問と思われることは、私が泣く子も黙るようなこわい男ということでありますが、私は決してそんなこわい男ではありません。泣く子も笑うような男でございますから、この点御承知を願います。
  23. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) これにて質疑は終了いたしました。  討論の通告があります。順次これを許します。山下榮二君。     〔山下榮二君登壇
  24. 山下榮二

    ○山下榮二君 私は、ただいま議題となりました、政府提出にかかわる公職選挙法の一部を改正する法律案並びに自由民主党の同修正案に対しまして、日本社会党を代表して反対討論を行わんとするものであります。(拍手)  この法律案は、ごうごうたる世論反撃にあって、やむなく政府与党もこれに修正を加えざるを得ない羽目に立ち至り、ついに骨抜きとなり、満身創痍の法案となってしまったのであります。(拍手)しかしながら、かかる骨抜き法案とはいえども、わが社会党の断じて同意し得ざるところでございます。(拍手)すなわち、わが党は、政界の浄化と公正なる選挙制度の樹立を眼目といたしまして、政治資金規正の確立と連座制の強化、公営制度の拡充こそがその根本なりと信じて、この法案の提出と同時に、わが党は、わが党独自のこれらに関する法案を提出いたしたのであります。かかる根本的方策が優先して実施されて、初めて公明なる選挙が推進されることに相なるのでございまして、さような方法の具備せざる政府提案に対しましては断固反対せざるを得ないのであります。(拍手)  第一に、この法案の提出の動機があまりにも不純であることであります。(拍手政府は、社会党議会の三分の一以下に減少せしめて、アメリカに奉仕する再軍備を公然と行なって、徴兵制度をしくための憲法改悪と、保守政権の永久化を意図する、きわめて悪らつなる陰謀から提案されましたことは、あまりにも明白であります。(拍手)鳩山総理大臣は、憲法改正、小選挙区制の制定のみにうき身をやつして、国民の生活安定、国家将来の問題を置き去りにしておられる。勤労大衆の生活、農民や中小企業の明日の問題は、今日ほど切迫した重大なときはないのであります。わが国の直面せる重大問題は、小選挙区制や憲法改正問題にあらずして、国民に生活の安定と明日への光明と将来に対する希望を与えることが何よりも重大でなければならない。これが反対の第一の理由であります。(拍手)  次に、小選挙区制自体が持つ欠点について申し上げたいと存じます。さきに、本会議並びに委員会におきまして、わが党の同僚議員より、小選挙区制の欠陥についてはあらゆる立場から政府を究明し、わが党の提出せる法案の主張を申し上げたのでございます。ここにおいて私はそれらの詳細は省略いたしまするが、政府は、法案説明に際しまして、小選挙区は、二大政党の確立と政局の安定、なお政策の徹底と選挙費用の縮減を理由にしておられるのであります。政局の安定は、申し上げるまでもなく、政府与党は二百九十九名であります。野党たる社会党は、わずかに百五十三名にすぎないのであります。これまさに政局安定なりといわざるを得ないのであります。何ゆえに、かようなところに理屈をつけられたか、鳩山総理のその意思を私は疑わざるを得ないのであります。小選挙区制が実現したといたしますならば、選挙は一対一の一騎打ちとなって参ります。選挙が必然激烈となることは、火を見るよりも明らかであります。その結果は、三百六十五日ほとんど毎日選挙運動と化し、常日ごろから、選挙のために、それ葬式だ、やれ盆踊りだ、町内会の運動会だ等々、何だかんだとこれに忙殺されて、国政は放置され、また、その運動の費用はおそるべき金額になろうと思うのであります。(拍手)これまさしく政界浄化どころの騒ぎではないのであります。また、そういうことになって参りまするならば、またぞろ、造船汚職だ、中古エンジンだ等々の問題で、疑獄や汚職はばっこするに至り、わが国の政治はまことに嘆かわしい事態と相なるであろうといわざるを得ないのであります。(拍手)また、そのほか、平和な村にも町にも各派の対立をかもし、それはともすれば感情に走り、その結果、ひどい対立と紛争を激化することは、これまた火を見るよりも明らかであります。すでに、かつて民政党と政友会の同じ保守二大政党のときに、九州では、ある政友会の駅と民政党の駅ができた、市場も二つできた、きわめて深刻な争いのあったことは、皆さんの御承知の通りであります。われわれは、かかる対立を再び繰り返したくないのであります。その他、小選挙区制実施によって危惧される弊害は、枚挙にいとまがないと申さなければならぬのであります。  次に、その一として、私は小選挙区制の一番大きな欠陥は何であるかと申し上げますと、それは申し上げるまでもなく死票の問題であります。私は、この致命的な死票の欠陥について、いま少しく申し上げてみたいと思うのであります。  死票の欠陥については、すでに学者も識者もひとしくこれを認めているところでありまして、いかに小選挙区論者といえども、死票の欠点だけはやむを得ないと、どなたも言っておられるのであります。その死票をカバーするためには、西ドイツのブンド式等が、その死票を解決する、唯一の、りっぱな方法であるといわれておるのであります。しかるに、政府が、提出の法律案に、これらに対して何ら考慮をされておらぬことは、まことに不都合千万といわなければならぬと思うのであります。(拍手)たとえば、小選挙区の場合、保守派が六万票、革新派が五万票、無所属が四万票という選挙の結果が現われたといたしますならば、保守派の六万票の人が当選ということになるのであります。残りの革新と無所属の九万が死票になってしまうのであります。その結果は、おそるべき結果が現われて参ります。多数が少数に従わなければならぬという、不合理にして不自然な姿となり、民主主義に離反すること、これより大なるはないといわなければならぬのであります。(拍手)さらに、小選挙区制の致命的欠陥は、地方的利益の代弁者のみが国政に参与することになる。その結果は、国家将来の道を誤まらしめる以外の何ものでもないといわなければならぬのであります。(拍手)  次に、小選挙区制は、婦人候補者の当選を不可能とする結果を招来することとなる。全国有権者の半数以上の婦人の意思表示を事実上ふさぐことになってしまうのであります。過日、婦人議員が全国会議を開いて、その席上、満場一致をもってこの小選挙区制反対の決議がなされたことは、皆さん御承知であろうと思うのであります。この決議に対しては、保守党婦人議員賛成しておられるのであります。この決議文は、その会議代表者から内閣に手交されたにもかかわらず、全国婦人の意思を全く無視して、無理やりにこの法案を押し通さんとする政府与党の厚顔無恥は、ひとしく国民の指弾するところでございます。(拍手)  政府は、選挙区割りを決定するために選挙制度調査会にこれを諮問いたしながら、他方において、与党内に川島議員委員長とする調査会を設置いたしたのであります。選挙制度調査会の答申案は何ら尊重されることなく、むげにも、党内で調整された自民党のゲリマンダー区割りを政府提案として国会に提出した。このことは、小選挙区制にひそむ自民党の党利党略を擬装せんとするがために選挙制度調査会を利用するにすぎなかった。そのことは、選挙制度調査会の区割り案の起草委員長であった矢部貞治氏が、過日、毎日新聞紙上で、政府の暴挙を痛烈に批判し、全く自分らが自民党の党利党略に利用されたと、ふんまんをぶちまけているところを見ましても、自民党の党利党略、私利私欲がいかに大きなものであるかを社会に暴露したものといわなければなりません。(拍手)しかも、その政府案の作成に当っては、党内の不半分子が百名以上も署名運動を行なったといわれておるのであります。この署名運動を行なった百名以上の者を押えるために、あらゆる謀略を用いたと、われわれは聞いておるのであります。あるいは懐柔策を弄する等、全く目に余るものがあった。自民党議員の有利な選挙区を——行政的区画、地形、経済的立地条件を全く無視して、驚くべきゲリマンダーを作成いたしました。この自民党の党利党略に対して国民世論が猛然と反撃したことは当然といわなければならぬのであります。(拍手)新聞、ラジオはもとよりのこと、あらゆる言論機関はもちろん、この小選挙区制反対の声は全国津々浦々まで響きわたり、現に、神戸市議会議員三十八名が自民党を脱党し、小選挙区案に反対を表明したことは、各位のすでに御承知の通りであります。(拍手)それは、かかる自民党の現議員優先の横暴に対するふんまんの現われであると申さなければなりません。(拍手)  以上のごとき党利党略、私利私欲には、わが党の断固反対するゆえんであります。(拍手)  政府与党が、四月二十八日、突如として、公職選挙法に関する調査特別委員会の中間報告を求めるの暴挙に出たことは、民主的議会のルールをじゅうりんし、多数暴力による民主的運営の破壊といわなければなりません。(拍手)かつ、また、これは国会の権威を著しく傷つけるもので、断じてわれらの許さざるところであります。(拍手)かかる暴挙に対し、世論反撃はまさに頂点に達し、果せるかな、国会は混乱するのみで、何らなすところなく数日を空費したのであります。この国会の混乱による一切の責任は、あげて政府並びに与党諸君が負うべきであります。(拍手)しかしながら、幸いにも、正副議長の良識ある国会運営の適切な措置によって国会の混乱を防止できたことを心から喜ぶとともに、この際、正副議長に対し深甚の敬意を表する次第であります。(拍手)  かかる経緯においては、政府はこの法案を撤回することが当然の措置と信じていたのであります。しかるに、政府与党と相はかり、区割りを放棄する修正案自民党をして提出せしめたのであります。修正案の中には、われらが委員会において非民主的な規定として指摘いたしました政党の政治活動または公認制度の問題等、幾多の党利党略がなお温存されていることは、皆さんの御承知の通りであります。(拍手)このことは、すでに憲法第十四条に違反するとしわれらの委員会において鋭く指摘したところであります。試みに、私は、この際憲法第十四条を皆さん方に読み上げてみたいと思うのであります。(拍手)憲法第十四条には、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と規定されておるのであります。(拍手)しかるに、同じ政党に所属しながら公認されなかった者が、同じ政党の名前を語ることができないというこの差別は、まさしく憲法第十四条違反といわなければならぬのであります。(拍手)さらに、この法案は自民党幹部の自己保身のために作られたものと申し上げましても決して過言ではないと存ずるのであります。なおかつ、この法律案は、選挙区割りが法律の主要部分をなしているにもかかわらず……。
  25. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 山下君、申し合せの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
  26. 山下榮二

    ○山下榮二君(続) あえて区割りを切り離したことによって法律の実体を失うに至ったことは、まことに遺憾千万であると政府与党はお考えになっておるであろうと思うのであります。修正案において、区割りに対する委員会を設置するなど、きわめて不明朗な問題をあとに残したことは、われらの断じて同意できざるところであります。(拍手)  以上が本案に対する反対理由であります。  最後に、私は、鳩山総理大臣並びに太田自治庁長官の、この法律案に対する政治的責任を究明いたしたいと存じます。  太田自治庁長官は、直接自分の担当せる重要法案が、国民世論の総反撃によって、かくもむざんな運命にあったにもかかわらず、長官の席に平然として居すわっておられるのであります。われわれは、太田長官の無責任に対し、責任感那辺にあるやを問いたいのであります。(拍手)いさぎよく自治庁長官を辞して、罪を天下に謝すべきが当然であり、かかる処置をとられてこそ責任政治の常道であると申さなければならぬのであります。(拍手)次に、鳩山総理大臣に申し上げます。鳩山総理大臣は、議長が区画割り案を放棄せよと裁定したとき、すでに法案を撤回するか、総理としての責任をとるか、いずれかの道をとるべきが政治の常道であると申さなければなりません。(拍手)しかるに、総理のわれ関せずの態度は、責任政治をになう政治家のとるべき態度では断じてないのであります。(拍手)ことに、これほどまでに日本の政治に混乱を引き起し、(「議長、時間」と呼ぶ者あり)国会運営を停頓せしめた責任は、まことに重大であると申さなければなりません。(拍手)われわれは、国民全般の小選挙区制度に対するごうごうたる非難とともに、鳩山首相の責任を究明し、本案が本院を経て参議院に送付される前に、政府は以上申し述べました理由から、この法案を撤回されんことを要求いたしまして、討論を終るものであります。(拍手
  27. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 三田村武夫君。     〔三田村武夫君登壇
  28. 三田村武夫

    ○三田村武夫君 ただいま議題となりました、政府提出、公職選挙法の一部を改正する法律案につき、私は、自由民主党を代表して、青木正君外二十名提出の修正案並びにこの修正部分を除いた政府原案賛成討論を行いたいと思います。(拍手)  本法案は、去る三月二十三日本院において提案の趣旨説明が行われて以来、五十数日間の長きにわたって審議が継続され、世論の焦点になった問題の法案でありますから、内容はすでに十分御承知の通り、選挙制度としていわゆる小選挙区制を採用せんとする画期的な改正案であります。  私は、まず、この小選挙区制に賛成する理由を申し述べたいと思いますが、その第一の理由は、この小選挙区制は現行憲法のもとに民主主義政治発展の当然のコースとして提起された歴史的意義を有する重要案件だということであります。戦後十余年を経て、わが国における最高の政治課題は、安定政権の確立と、この安定政権と不離一体の関係に立つ民主政治運営基本的ルールを確立することであります。この最高の政治的課題を解決するために登場して参りましたのが、すなわちこの小選挙区制度であります。従って、この小選挙区法案は、現内閣並びに与党たる自由民主党によって卒然として提起され、また、突如として国会に提案されたものではないのであります。諸君も御承知の通り、小選挙区制を実施して、二大政党対立の基盤を確立し、この二大政党による政権の交互作用によって、民主政治議会政治の健全なる発達、伸張を期待するという世論は、すでに数年前より識者の間に強く叫ばれてきたのであります。(拍手)すなわち、さきに設けられました選挙制度調査会においては、すでに昭和二十六年八月、小選挙区制を採用すべしという答申をなしております。また、第十九国会以来、参議院においては、いわゆる緑風会案なるものが提案され、継続審議になっていたのであります。さらに、民間識者をもって構成された小選挙区制促進会においても、一人一区に徹底した改正案が発表されております。  社会党の長老、かつての輝ける委員長総理大臣の閲歴を持っておられる片山哲君も小選挙区制首唱の先覚者であることは、隠れもない事実であります。(拍手)同君は、都道府県選挙管理委員会連合会発行の機関誌「選挙」の第七巻第一号、すなわち昭和二十九年一月号の巻頭に論文を寄せられ、五項目理由をあげて、選挙法改正の急務を説き、小選挙区制の実施を主張しておられますが、同君はこの論文の中で、一政党、一公認、特にこの点を主張され、これが私の小選挙区制を主張する最大の理由であると述べ、さらに、中、大の選挙区は自然に小党分立となるが、小選挙制は二大政党の対立を促進する、日本もここらで保守、革新の二大政党対立に切りかえるため、ともかく中選挙区制度を捨てるべきだ、思い切って小選挙区制に進みたいと述べておるのであります。この片山君の所論は、社会党諸君も十分御承知のはずであります。  このような世論にかんがみ、政府においても、昨年五月選挙制度調査会を設置して、選挙区制その他選挙制度全般に関する諮問をなし、自来十ヵ月にわたって審議された結果、去る三月十二日の答申となり、今回の政府提案となったのであります。すなわち、今回の小選挙区法案は、大きな歴史的必然の要求と世論の背景によって提案されたものであることを明らかにし、賛成の第一の理由とするものであります。(拍手)第二に、賛成理由として、私は、この機会に、旧憲法、すなわち明治憲法のもとにおける政府並びに国会性格、任務と、現憲法、すなわち民主憲法のもとにおける政府並びに国会性格、任務について一言し、賛成理由といたしたいのであります。  御承知の通り……。     〔発言する者多し〕
  29. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 御静粛に願います。
  30. 三田村武夫

    ○三田村武夫君(続) 御承知の通り、明治憲法は国家主権の建前をとっており、政治権力の源泉は天皇にあったのであります。     〔発言する者多し〕
  31. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 御静粛に願います。
  32. 三田村武夫

    ○三田村武夫君(続) 従って、政府国会も憲法上独立の機関ではあったが、その性格と任務はいずれも天皇の統治大権を翼賛する機関にすぎなかったのであります。ところが、現在の日本国憲法は主権在民の民主憲法でありますから、政治権力の源泉はすべてことごとく主権者たる国民にあるのであります。従って、国会は国権の最高機関であり、内閣すなわち政府は、この国会の議決によってのみ成立するのであります。すなわち、主権者たる国民は、選挙を通じて、自己の欲する政府を自由に選択する建前になっておるのであります。ここに明治憲法下における選挙と現行憲法のもとにおける選挙とは本質的に重大なる違いがあることを、選挙法改正に関連して、私は特に強調したいのであります。  主権者たる国民が選挙を通じて自己の欲する政府を選択するシステムが民主政治の本体であるならば、選挙は政策を本位とし、政党の組織を通じて行われることが絶対的な必要条件であります。この、政策を本位とし、政党を中心として行われる選挙の最も合理的にしてかつ便利な制度が、すなわちこの小選挙医制度であります。(拍手)選挙区を小さくして、その共通の広場に立ち、それぞれの政党がそれぞれの候補者を立てて、党の組織と政策をもって選挙を争う場合に、主権者たる国民は、自己の欲する政府を選ぶことが、きわめて簡明直截にできるのであります。ここに小選挙法の最も重要な特質があることを御理解願いたいのであります。(拍手)  現行憲法施行以来すでに十年を経ましたけれども、占領治下においては、真の民主政治は存在しませんでした。講和条約発効以来ここに四年を経た今日、われわれは真に日本の民主的政治の秩序を確立しなければなりません。この民主政治の基礎固めをなすために、最も便利で最も効果的な選挙制度がすなわちこの小選挙区法であります。(拍手)すなわち、この小選挙区制を実行することによって、新しい日本のバツク・ボーンたるべき民主主義の健全な基礎固めのできることを私は強調するものであります。(拍手)  第三の理由として、私は政局の基本的安定という問題を取り上げてみたいのであります。御承知の通り、近代国家の政治的任務は福祉社会の建設であります。従って、政府の任務は、きわめて広範にして、かつ積極的な活動を必要といたします。これは今日政治学の定説でありまして、広範にして積極的な政治活動を行うためには、国民の強力な組織的支持のもとに、国民に直結した政治が行われることが必要であります。二大政党は、それぞれ組織を通じ政策を通じて国民に直結し、その国民の信頼を得て、組織の上に政策を基礎にして政府組織される場合、その政府は、きわめてスムーズに、かつ能率的に政治が行われるのであります。(拍手)三党、四党鼎立は、封建時代の権力主義の残滓であります。社会党諸君も、すべからく二人区、三人区などとという封建主義の残滓を捨てて、政策本位、組織本位、政党本位の選挙に賛成されんことを切望してやみません。(拍手)党の組織と政策によって選挙を争う小選挙区法案に対し、社会党諸君反対されることは、きわめて不可解であります。諸君は、わが民主自由党の政策をボロクソにこきおろし、わが党こそ真に国民大衆の利益を擁護し、国民に信頼される党であることを誇示宣伝し、大いに宣伝これ努めておられるのであります。     〔「議長、注意」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
  33. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 静粛に願います。——静粛に願います。
  34. 三田村武夫

    ○三田村武夫君(続) その社会党諸君が、政策を本位にし、組織を本位にして行う選挙に反対されることは、まさに民主主義の逆であります。社会党諸君が、もしも、先ほど山下君の討論にあったように、この小選挙区法案施行によって社会党の選挙が不利になるために反対されるというのならば、これまさに党利党略のための反対であると断ぜざるを得ません。(拍手)政策と組織を本位に行う選挙は、社会党こそ率先して賛成されるものであることを、私はひそかに信じておったのであります。(拍手)  次に、私は、わが党が提出いたしました修正案について一言いたします。政府提出の改正案は、冒頭に申しましたごとく、一カ月有半にわたって審議が継続されてきたのでありますが、おそらく委員会における審議国会の新レコードとなったでありましょう。ところが、この長時間に及ぶ審議にもかかわらず、容易に本法案審議は議了いたしません。その間の事情が何であったかは、諸君がよく御存じのはずであります。(拍手)やむを得ず、議長裁定という異例の事態によって、この審議の収拾をせざるを得なかったのであります。ついに、われわれは、議長裁定の意のあるところを体しまして、修正案を提出するに至った次第であります。われわれは、国会審議を通じ、その審議過程世論にかんがみて修正案を出すことは、まさに民主主義の最も正しいルールであります。(拍手修正すべき点があるならば断固として修正する、これが政府並びに与党の正しい態度でありまして、(拍手政府の出した法案であるから、あくまでもその修正を拒否する、修正する場合は責任をとれなんという言は、旧憲法時代の国家主権当時の議論であります。(拍手)  私は、討論を終る前に一言申し上げたいことがあります。私は、本案賛成理由として、新しい日本の民主主義の基礎固めをしたいと申しました。その民主主義の最も集約的な発動の拠点は、われわれが国政を審議するこの国会であります。その国会において、本案審議過程における社会党のとられた態度はどうであったか。(拍手)世間はこれを暴力といい、諸君はもし暴力という言葉がおきらいであるならば、私は社会党お得意の実力行使という言葉で説明申し上げてみたい。  まず第一回の実力行使は、四月二十七日、当委員会において行われました。これは記録に明らかであります。すなわち、小澤委員長委員会の部屋に入らんとするや、諸君はドアを閉ざし、実力をもって、委員長をついに入室せしめなかった。(拍手)われわれの委員すら入室を拒んだではありませんか。(拍手審議を忠実に行わず、委員長の入室を実力をもって拒否する、委員会審議がスムーズに行われないことは当然であります。従って、政府は、われわれは、やむを得ずして、その翌二十八日、当本会議場に委員長の中間報告を求めたのであります。中間報告を求めますと、諸君のとられた行動は、多数党の横暴、多数党の暴力を阻止するという主張と名目のもとに、議員として最も大切な投票権を妨害し、争議戦術よろしく、この階段にピケット・ラインを張って、投票に登壇する与党議員の行動を阻止し、ついに国会審議を不能に陥れたのは、社会党諸君ではないか。(拍手)こういう議事の運営は、私は、日本の過去の議会にもない、世界のどこの国にもないところと確信いたします。ついに、本会議場における審議も、諸君のいわゆる実力行使によって不能になりました。議長は、この事態を憂慮されて、たしか五月一日であります、議長の第一回の裁定が行われた。そうして、ともかく五月四日か五日ごろ、委員会審議を正常に戻して、この議事を進めようということになったのであります。ところが、相変らず委員会審議が進まない。諸君のいわゆる実力行使によって進まないのであります。ついに、議長は、五月七日、第二回の裁定を下され、委員会審議は五月十二日までに終了することと、その第二の裁定項目が重要であります。議長はいわく、議事の妨害、院の秩序を乱して院の品位を傷つけるようなことをしないという議長の裁定であります。(発言する者多し)議長が、議事の妨害をしないこと、議院の品位を傷つけないこと、国会運営を正常に戻すことを要件として出して、社会党諸君は、これを……。     〔「時間々」と呼び、その他発言する者多し〕
  35. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 三田村君、時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
  36. 三田村武夫

    ○三田村武夫君(続) 議事を正常に戻すということは、今まで正常でなかったということであります。次いで、第二回の実力行使が現われた。すなわち、五月十一日、当委員会において、小澤委員長かつぎ出しの一幕であります。これは一体総評編するところの争議戦術の何ページに書いてあるのか知りませんが、あたかも労働争議の現場闘争よろしく、徹底的な実力行使をもって、小澤委員長を、委員会のそとにかつぎ出しをあえて行なったのであります。かくのごとき事態が当院において行われることは、まことに遺憾千万であります。このような議会のあり方を……。     〔発言する者多く、議場騒然、聴取不能〕
  37. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 静粛に願います。
  38. 三田村武夫

    ○三田村武夫君(続) われわれは、この小選挙区法を提出し、真の国民の信頼を得て、党の組織を基礎にした選挙を行わんとするものであります。社会党諸君も、諸君が常に言われる政策と組織に自信をお持ちであるならば……。
  39. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 三田村君、時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
  40. 三田村武夫

    ○三田村武夫君(続) 画期的な選挙法の改正賛成されんことを希望して、私の討論を終る次第であります。(拍手
  41. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) ただいまの三田村君の発言中、もし不穏当の言辞があれば、速記録を取り調べの上、適当の処置をとることといたします。  小山亮君。     〔小山亮君登壇〕     〔副議長退席、議長着席〕
  42. 小山亮

    ○小山亮君 私は、小会派クラブを代表し、議題となった、政府提出、公職選挙法の一部を改正する法律案並びに自民党提出修正案に対し、反対討論を行わんとするものであります。(拍手)  すでに、社会党代表より、本案は史上まれに見る悪法案であり、全国民こぞってその反対と撤回を要望したものであり、断じて成立せしむべきものにあらざる理由を詳細に論断せられてあるから、さらに重複する説明を避けて、きわめて簡単に、かつ率直に、反対理由説明を試みたいと思うのであります。  公職選挙法改正法律案が、あまねく世間の悪評と反対と非難をこうむった悪法案であって、この法案の成立が国家社会、国民にとって全く百害あって一利すらもない法案であることは、自由民主党修正によって明確に立証されております。(拍手)すなわち、自由民主党は、その提出された修正案に対して、公正、妥当、適切なものである旨を強調されたことは、原案がほとんど完膚なきまでに骨抜きの修正を必要とする程度の、不公正にして、かつ妥当適切ならざる法案であった。それがゆえに、これに対し自由民主党修正を加えたのである。(拍手)だから、あなた方の修正案が適切妥当であるならば、原案はまことに不公正にして妥当ならざるところの案であったということが証明されているわけである。(拍手政府及び与党は、不公正にして、しかも妥当ならざる暴案を議会に提出しながら、当然かかる暴案に反対するところの野党の抵抗を——多数の不当な圧力によって、これを強引に通過成立せしめようとして、去る四月二十七日、審議半ばにして本会議に中間報告を行わんとしたことが、ついに与野党の激突となって、議場及び委員会の混乱を引き起したその導火線となったことは、否定すべからざるところの事実ではないか。(拍手)そこに野党の必死の抵抗があったことは当然過ぎるほど当然なんだ。その結果、良識ある議長の裁定があって、さしもの頑迷不霊の自由民主党の首脳部といえども、世論の袋だたきと、反対党の正論前に、初めて自己の非を悟って、がく然として、驚くべき骨抜きの大幅な修正を行なって、辛うじて公正妥当な修正案として、再び政府提出修正案として議会に提出したことは、ただいま自民党代表によって克明に国民の前に公表せられたことによって見ても、私の言うことが少しも間違いのないことは明らかではないか。(拍手)  自由民主党は、野党の必死の反対と抵抗に腰を抜かして、今さらに社会党の暴力などといって対外的に宣伝に努めつつあるが、かくのごとき熾烈なる反対を受けなければ自分の不当も不正も反省するところの政治的良心がないとするならば、やむを得ない行動ではないか。(拍手)かかることすらも、かくのごとき反対を受けなければ、なおかつ反省することの能力がないとするならば、議会政治家としての能力があるかないか疑わしい。(拍手)もしも野党の必死の抵抗がなかったならば、あの驚くべき法案、世界政治史にもまれなる、厚顔無恥なる暴案が平然として議会をまかり通って、ついには民主政治議会政治を破壊される悲しむべき結果を招来することになったでありましょう。わが国政治史上においても、鳩山ゲリマンダーの刻印を打たれた悪法案が記録されて、後世の物笑いになったであろうことを思えば、野党の反撃こそ、議会の数を頼んで無理を強行せんとする思い上った自民党の幹部を覚醒せしめたのみならず、後世の物笑いたるゲリマンダーの出現を粉砕したことは、まことに貴重にして意義ある議会政治救済の抵抗であったことは明瞭である。(拍手)この野党の捨て身の反抗がなかったならば、国民意思も、利益も、国家の平和もじゅうりんせられ、その結果、政党政治排撃の声がたちまち巻き起ったであろうことは明瞭である。思えば貴重の反撃であった。自民党を反省せしむるところの一大痛棒であった。自民党の首脳部は、謙虚な態度で、こうべをたれて、自己の不明を深く反省しなければならない。(拍手)  三月二十三日本案が議場に上程されてから今日まで五十余日、提出された法案が、満身創痍となって、換骨奪胎の大修正を受けて、原案とはおよそ似ても似つかぬ奇怪なる法案となった。その残骸は、説明書やら次第書きやら弁明書きをつけなければ、何の意味やら目的やらもわからないような、化けもののような法案が、蹌踉として議会を通過するということは、何たるみじめなできごとであろうか。(拍手)  太田自治庁長官は、本案提出の際に、本法案は政局の安定をはかるためにも最も重要なる法案であるなどという、こざかしい説明をしておる。かかる恥ずべき私利私欲の法案が通過しなければ、政局の安定が期し得られないのか。政局の安定なんというのは、こんな法案がなくても、幾らでも安定が期し得られる。国民の信頼を得て多数の議席を占めるところの党員があって、その党員を率いて政局の安定を期し得られないような政治家が、何で政党の首脳者の資格があるか。(拍手)政局の安定は、こんな法案など出さなくても、幾らでも安定し得るのだ。多数党政治のドイツにおけるアデナウアー政権がこれを立証しているではないか。国民生活の安定を最高の政治の目標とする政権でなくして、安定すべきはずはないのだ。日々の新聞紙上をごらんなさい。求むれども職を得られず、働けども生活を保持し得ざる人々の一家心中の哀れな記事が、毎日の新聞をあけてごらんなさい、二人や三人ないことがあるか。これがわからないのか。(拍手)その救済すらもなし得ない、しかも、その計画すら樹立することができない絶対多数政党などといっても、それで何の政権の安定が期し得られるか。  多数を擁しながら、今日自民党が不安定で、党内の動揺常なき姿は、選挙の区画や機構が悪いからではない。政党自体の構成が組織的に近代化されていないからだ。旧態依然たる督軍的な構成、ボス的運営、いわゆる親分子分式の骨董的組織の、幾多の雑軍の寄せ集めの組織であるから、おのおのが勝手な方向を向いておる。(拍手)ちょうどおもちゃ箱をひっくり返したかのように、どちらを向いておるかわけのわからないような政党ではないか。(拍手)不安定の原因はそこにある。所属代議士の頭脳を全部一ぺん入れかえなければ、これはなおらない。(拍手)  自民党が公正妥当だと称する修正案中にも、現在の四百六十七名の定員数を何ゆえに四百九十七名に増大しなければならないのか。地方議会議員数を減少し、そうして経費を節約するように強要しながら、国会みずからがその範を示さないで、どんどん人間をふやし、費用を増大していく。これでどうして国民が納得するか。(拍手)あなた方の修正案こそは、どこを見ても欠点だらけではないか。  三田村君は、今、不思議なことを言った。本案は、思いつきで出したのでも、卒然として出したのでもない、数年前から自民党が一生懸命練りに練って出した案だというのだ。それなら、これは自民党の政治的生命をかけての案ではないか。その案がこんなにずたずたにやっつけられて、何のかんばせあって政権の担当ができるのか。(拍手自民党の人みずからが克明に宣言しておる。その強い反撃がなかったら、あなた方は反省しないじゃないか。(拍手)それだけあなた方の頭が麻痺しておるじゃないか。麻痺してわからないやつには、わからしてやるよりしようがないじゃないか。(拍手)  また、賛成討論に出る人もそうだ。自民党を代表して賛成討論に出る人は、この間までは小選挙区反対の署名運動をやったところの発頭人であって、社会党まで勧誘に来たような人が反対討論に立つから、議場が騒がしくなるのは当りまえじゃないか。(拍手)  私は、以上の理由から、この原案及び修正案には絶対に反対することを、ここにはっきりと言明します。(拍手
  43. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。この採決は記名投票をもって行います。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君は白票、反対諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕     〔各員投票〕
  44. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。  投票を計算いたさせます。     〔参事投票を計算〕
  45. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔事務総長朗読〕  投票総数 四百八   可とする者(白票)  二百五十七     〔拍手〕   否とする者(青票)  百五十一     〔拍手
  46. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 右の結果、公職選挙法の一部を改正する法律案委員長報告通り決しました。     —————————————  本案委員長報告通り決するを可とする議員の氏名    阿左美廣治君  相川 勝六君    逢澤  寛君  愛知 揆一君    青木  正君  赤城 宗徳君    赤澤 正道君  秋田 大助君    淺香 忠雄君  足立 篤郎君    荒舩清十郎君  有田 喜一君    有馬 英治君  安藤  覺君    五十嵐吉藏君  井出一太郎君    伊東 隆治君  伊藤 郷一君    池田 清志君  池田 勇人君    池田正之輔君  石井光次郎君    石坂  繁君  石田 博英君    石橋 湛山君  一萬田尚登君    稻葉  修君  犬養  健君    今井  耕君  今松 治郎君    宇田 耕一君  宇都宮徳馬君    植木庚子郎君  植原悦二郎君    植村 武一君  臼井 莊一君    内海 安吉君  江崎 真澄君    遠藤 三郎君  小笠 公韶君   小笠原八十美君  小川 半次君    小澤佐重喜君  大麻 唯男君   大久保留次郎君  大倉 三郎君    大高  康君  大坪 保雄君    大野 伴睦君  大橋 忠一君    大平 正芳君  大村 清一君    大森 玉木君  太田 正孝君    岡崎 英城君  荻野 豊平君    奧村又十郎君  加藤 精三君    加藤 高藏君  加藤常太郎君    加藤鐐五郎君  鹿野 彦吉君    神田  博君  亀山 孝一君    唐澤 俊樹君  川崎末五郎君    川崎 秀二君  川島正次郎君    川野 芳滿君  川村善八郎君    菅  太郎君  菅野和太郎君    木崎 茂男君  岸  信介君    北 れい吉君  北澤 直吉君    北村徳太郎君  吉川 久衛君    清瀬 一郎君  久野 忠治君    草野一郎平君  楠美 省吾君    熊谷 憲一君  倉石 忠雄君    黒金 泰美君  小泉 純也君    小枝 一雄君  小金 義照君    小島 徹三君  小平 久雄君    小林  郁君  小林かなえ君    小山 長規君  河野 金昇君    高村 坂彦君  纐纈 彌三君    佐々木秀世君  佐伯 宗義君    齋藤 憲三君  坂田 道太君    櫻内 義雄君  笹山茂太郎君    薩摩 雄次君  志賀健次郎君    椎熊 三郎君  椎名悦三郎君    椎名  隆君  重政 誠之君    重光  葵君  篠田 弘作君    島村 一郎君  正力松太郎君    白浜 仁吉君  周東 英雄君    須磨彌吉郎君  杉浦 武雄君    助川 良平君  鈴木周次郎君    鈴木 善幸君  鈴木 直人君    薄田 美朝君  世耕 弘一君    瀬戸山三男君  關谷 勝利君    園田  直君  田口長治郎君    田中伊三次君  田中 角榮君    田中 龍夫君  田中 久雄君    田中 正巳君  田村  元君    高岡 大輔君  高木 松吉君    高碕達之助君  高瀬  傳君    高橋 禎一君  高橋  等君    竹内 俊吉君  竹尾  弌君    竹山祐太郎君  千葉 三郎君    中馬 辰猪君  塚田十一郎君    塚原 俊郎君  辻  政信君    堤 康次郎君  渡海元三郎君    徳田與吉郎君  徳安 實藏君    床次 徳二君  内藤 友明君    中垣 國男君  中川 俊思君    中嶋 太郎君  中曽根康弘君    中村 梅吉君  中村三之丞君    中村 寅太君  中村庸一郎君    中山 榮一君  中山 マサ君    永田 亮一君  永山 忠則君    長井  源君  灘尾 弘吉君    夏堀源三郎君  並木 芳雄君    楢橋  渡君  南條 徳男君    二階堂 進君  丹羽 兵助君    西村 直己君  根本龍太郎君    野澤 清人君  野田 卯一君    野依 秀市君  馬場 元治君   橋本登美三郎君  橋本 龍伍君    長谷川四郎君  畠山 鶴吉君    八田 貞義君  鳩山 一郎君    濱地 文平君  濱野 清吾君    早川  崇君  林  讓治君    林  唯義君  林   博君    原  捨思君  平野 三郎君    廣瀬 正雄君  福井 順一君    福井 盛太君  福田 赳夫君    福田 篤泰君  福永 健司君    藤枝 泉介君  藤本 捨助君    淵上房太郎君  船田  中君    古井 喜實君  古川 丈吉君    古島 義英君  保利  茂君    保科善四郎君  坊  秀男君    星島 二郎君  堀内 一雄君    堀川 恭平君  本名  武君    眞崎 勝次君  眞鍋 儀十君    前尾繁三郎君  前田房之助君    前田 正男君  町村 金五君    松浦周太郎君  松浦 東介君    松岡 松平君  松澤 雄藏君    松田竹千代君  松田 鐵藏君    松永  東君  松野 頼三君    松村 謙三君  松本 瀧藏君    松山 義雄君  三浦 一雄君    三木 武夫君  三田村武夫君    水田三喜男君  南  好雄君    宮澤 胤勇君  村上  勇君    村松 久義君  粟山  博君    森   清君  森山 欽司君    山口 好一君  山崎  巖君    山手 滿男君  山中 貞則君    山村新治郎君  山本 勝市君    山本 正一君  山本 猛夫君    山本 利壽君  山本 友一君    横井 太郎君  横川 重次君    吉田 重延君  米田 吉盛君  早稻田柳右エ門君  渡邊 良夫君    亘  四郎君  否とする議員の氏名    阿部 五郎君  青野 武一君    赤路 友藏君  赤松  勇君   茜ケ久保重光君  淺沼稻次郎君    飛鳥田一雄君  有馬 輝武君    淡谷 悠藏君  井岡 大治君    井谷 正吉君  井手 以誠君    井上 良二君  伊瀬幸太郎君    伊藤卯四郎君  伊藤 好道君    猪俣 浩三君  池田 禎治君    石田 宥全君  石橋 政嗣君    石村 英雄君  石山 權作君    稲富 稜人君  稻村 隆一君    今澄  勇君  今村  等君    受田 新吉君  小川 豊明君    大西 正道君  大矢 省三君    岡  良一君  岡本 隆一君    加賀田 進君  加藤 清二君    風見  章君  春日 一幸君    片島  港君  片山  哲君    勝間田清一君  上林與市郎君    神近 市子君  神田 大作君    川俣 清音君  川村 継義君    河上丈太郎君  河野  正君    木原津與志君  菊地養之輔君    北山 愛郎君  久保田鶴松君    栗原 俊夫君  小平  忠君    小牧 次生君  小松  幹君    五島 虎雄君  佐々木更三君    佐竹 新市君  佐竹 晴記君    佐藤觀次郎君  坂本 泰良君    櫻井 奎夫君  志村 茂治君    島上善五郎君  下川儀太郎君    下平 正一君  杉山元治郎君    鈴木茂三郎君  鈴木 義男君    田中幾三郎君  田中織之進君    田中 武夫君  田中 利勝君    田中 稔男君  田原 春次君    田万 廣文君  多賀谷真稔君    高津 正道君  滝井 義高君    竹谷源太郎君  楯 兼次郎君    辻原 弘市君  戸叶 里子君    堂森 芳夫君  中井徳次郎君    中崎  敏君  中島  巖君    中村 高一君  中村 時雄君    中村 英男君  永井勝次郎君    成田 知巳君  西尾 末廣君    西村 榮一君  西村 力弥君    野原  覺君  芳賀  貢君    長谷川 保君  原   茂君    原   彪君  日野 吉夫君    平岡忠次郎君  平田 ヒデ君    福田 昌子君  古屋 貞雄君    帆足  計君  穗積 七郎君    細迫 兼光君  細田 綱吉君    前田榮之助君  正木  清君    松井 政吉君  松尾トシ子君    松岡 駒吉君  松平 忠久君    松原喜之次君  松前 重義君    三鍋 義三君  三宅 正一君    三輪 壽壯君  水谷長三郎君    武藤運十郎君  森 三樹二君    森島 守人君  森本  靖君    八百板 正君  八木 一男君    八木  昇君  矢尾喜三郎君    安平 鹿一君  柳田 秀一君    山口シヅエ君  山口丈太郎君    山崎 始男君  山下 榮二君    山田 長司君  山花 秀雄君    山本 幸一君  横錢 重吉君    横路 節雄君  横山 利秋君    吉田 賢一君  和田 博雄君    渡辺 惣蔵君  石野 久男君    岡田 春夫君  川上 貫一君    久保田 豊君  小林 信一君    小山  亮君  志賀 義雄君    中原 健次君      ————◇—————
  47. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 本日はこれにて散会いたします。     午後七時五十五分散会