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1956-05-02 第24回国会 衆議院 法務委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二日(水曜日)     午前十一時四十二分開議  出席委員    委員長 高橋 禎一君    理事 池田 清志君 理事 椎名  隆君    理事 福井 盛太君 理事 菊地養之輔君       犬養  健君    小島 徹三君       小林かなえ君    世耕 弘一君       林   博君    横井 太郎君       横川 重次君    武藤運十郎君       吉田 賢一君    志賀 義雄君  委員外出席者         検     事         (民事局参事         官)      平賀 健太君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  罹災都市借地借家臨時処理法の一部を改正する  法律案起草に関する件     —————————————
  2. 高橋禎一

    高橋委員長 これより法務委員会を開会いたします。  罹災都市借地借家臨時処理法の一部を改正する法律案起草について議事を進めます。  発言の通告がありますので、これを許します。世耕弘一君。
  3. 世耕弘一

    ○世耕委員 私は、本案を通じまして、直接関係がございませんが、当局注意を喚起し、なお善処方を希望したいと思うのであります。この法案の理由書の中にもあります通り、「火災その他の災害がひん発する状況にかんがみ」云々ということがありますように、近来各地にひんぴんとして大火が起り、しかも、これを全国的に考えますと、国家の莫大な損害と民衆の被害が非常に大きいということが察せられるのであります。毎年出火の時期と申しますと妙に入梅あと先が多いように私は察します。この際大火のあった跡始末を急いでしなくちゃならないが、同時に、いかにしてこの災害を防止するかということをもう一歩前進して考えるべきではないか。かつて三重県に大火がございましたときに、当法務委員会に当時の関係者を呼んで大火原因を追究しましたところ、火の始末が悪かったということも一つ原因でありましたが、もっと大きな原因は、消防対策について訓練が足りなかったということ、大火に対する訓練が足りなかったということ、しかも、そのときの状況から判断してみますると、飛び火が起って、その飛び火が起るたびにあちこち消防電話で飛び回って、大事なところが大きな火災になって、ついに大火を引き起したという原因があります。それには、電話連絡の不備なこと、消防署同士連絡の不備なこと、火の見台と本署との連絡が完全についていなかったこと、当時の火災に関する流言飛語に対する対策もできていなかったということなどが大きな原因一つであったということが伺われたのであります。聞くところによると、最近の大火は二度目の大火を受けた都市もある。その二度目の大火を受けた都市を調べてみますと、一向に防火設備について進歩的な計画を立てていない。かようなことでは、いかにりっぱな対策を立ててその法律を作っておいても、何にもならぬのであります。ことに、われわれ痛感いたしますことは、放火と不始末以外に漏電という事件が多くあるのであります。犯罪捜査の面においてこれは非常に微妙な作用をなすものであるが、その漏電も、最新科学の進歩によって、漏電しない設備がごく簡易な方法によって最近できておるのであります。これを十分実施する方法考えてみなくちゃならぬ。かような考えをもちまして、私は、災害跡始末もさることながら、特に防火対策ということを近代的な頭で考えておく必要があるのではないか、これについて当局はどういう考えを持っておるか、ことに、入梅を控えて毎年日本に大火が続出することは歴史的な事実でありますから、これについて何か考えがあるか、場合によればあらためて注意を喚起する必要があるのじゃないか、この点をお聞きしておきたいと思う。
  4. 平賀健太

    平賀説明員 法務省におきましては、ただいまお尋ねの件につきまして直接所管をいたしておらぬのでございますけれども、仰せの件まことにごもっともでございまして、建設省あるいは消防庁その他防火対策につきまして責任のある省庁におきましてはそれぞれ対策を講じておることだとは存ずるのでございますけれども、ただいま御質問もございましたので、その趣旨をよくお伝えいたしまして、さらに一そう遺憾のないように措置されるように法務省からもお願いをいたしておきたいと存ずる次第でございます。
  5. 高橋禎一

  6. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は、この法律ができましたら、その運用を誤まることなく適切を期する意味において、お尋ねをしたいと思うのであります。法務省におきましては、この法律ができました場合には、問題の災害基準と申しますか、どういう場合に政令を制定しようというふうにお考えになりましょうか。
  7. 平賀健太

    平賀説明員 この法律改正になりまして、従来法律災害及びその災害地区を指定しておりましたのを、今後政令で指定することになりましても、従来すでに発生しました十数件の災害につきまして一々法律が制定されまして、この罹災都市法律が適用されました地区先例がございますので、大体この先例基準に従って災害及び災害地を指定していくことになろうかと思うのでございます。従来の例によりますと、一番罹災戸数の少うございましたのは、昭和二十五年五月に長野県の上松町で起りました火災でございまして、この場合罹災戸数五百九十二戸となっておるのでございます。これが従来の例では一番少いのでございます。多いのになりますと、八千戸であるとかいう工合に非常に多いのもございますが、大体五、六百戸から以上ということになっておるのでございます。それから、なお、この法律を実際に適用する実質的必要がございますのは、やはり借地借家法律関係がどの程度あるかということによってもきまってくるのでございますので、今後政令で定めるということになりましても、政府の方におきましては、十分被害実情というものを調査いたしまして、従来の法律で定められました先例の大体の基準の線に従っていくということになるものと考えるのでございます。
  8. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから、私どもは借地借家人罹災を受けた場合の保護、これが眼目になっておる法律のように思いますので、できるだけこういった人にこの法律が適切に行われて、その災害紛争関係が早く処理せられるよう希望してやまぬものでありまするが、この前例によりますると、たとえば長野県の場合にも、二十五年の五月十三日の災害で、そうしてこの法律公布されましたのは二十五年の七月三十一日、二カ月半を経過しております。他の実例によりますると、岩手県一ノ関及び宮古市の場合は、これは二十二年の九月十六日が災害日で、法律公布の日が二十三年十二月になっており、一年以上経過しておる。こういうことになっておりますが、これは国会が開かれなかったという原因かと推定いたしまするが、あるいは各般の調査が行き届かなかったのでこういうようにおくれたのではないかとも考えられるのであります。といいまするのは、ほかの角度からの問題でありまするけれども、最近たとえば鹿児島の名瀬市における災害復旧に関する農林省、建設省あたり復旧事業が進捗いたしませんで翌年度に繰り越しているような実例すらあるのであります。この原因を探求してみますると、やはり実態把握が適切でなかった、おくれた、こういうことに原因一つがあるようにも考えられますので、別の機会に私はそういう事実を知ったのでありますから、従って、この政令を発布するのは、できるだけすみやかに、かつ実態を正確に把握するということをしてなさるべきだと思いますが、そういうことについての御用意のほども伺っておきたい。
  9. 平賀健太

    平賀説明員 この罹災都市法律の第二十五条の二の規定の適用はできる限りすみやかにやるということが、法律関係を安定させる上において非常に重要なことでありますので、全く仰せ通り、もし不幸にして災害が発生しましたならば、早急に災害実情を調査いたしまして、できる限りすみやかにこの政令が制定施行されるように法務省の方としても今後十分注意をいたしたいと考えております。
  10. 高橋禎一

    高橋委員長 これにて質疑は終りました。  次に、罹災都市借地借家臨時処理法の一部を改正する法律案起草についてお諮りいたします。  すなわち、法律案の草案は委員各位のお手元に配付いたさせましたが、なお念のため読み上げます。   罹災都市借地借家臨時処理法の一   部を改正する法律案    罹災都市借地借家臨時処理法の    一部を改正する法律   罹災都市借地借家臨時処理法(昭  和二十一年法律第十三号)の一部を  次のように改正する。   第二十五条の二中「別に法律で」を  「政令で」に、「第二十五条の二の法  律施行の日」を「第二十五条の二の政  令施行の日」に、「第二十五条の二の  法律施行の際」を「第二十五条の二の  政令施行の際」に改める。   第二十七条第二項中「法律で」を  「政令で」に改める。     附則  1 この法律は、公布の日から施行   する。  2 改正前の罹災都市借地借家臨   時処理法第二十五条の二及び第二   十七条第二項の規定に基く法律で   定められた災害及び地区に関して   は、なお従前の例による。  以上のごとく成案を決定し、これを委員会提出法律案と決定いたしたいと存じます。これに賛成の諸君の御起立を願います。   〔総員起立
  11. 高橋禎一

    高橋委員長 起立総員。よって、以上のごとく決しました。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十七分散会