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1956-04-11 第24回国会 衆議院 法務委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十一日(水曜日)    午前十一時三十六分開議  出席委員    委員長 高橋 禎一君    理事 池田 清志君 理事 椎名  隆君    理事 高瀬  傳君 理事 福井 盛太君    理事 猪俣 浩三君       小林かなえ君    林   博君       花村 四郎君    松永  東君       横井 太郎君    横川 重次君       神近 市子君    武藤運十郎君       吉田 賢一君    志賀 義雄君  出席政府委員         警  視  長         (警察庁刑事部         長)      中川 董治君         警  視  長         (警察庁警備部         長)      山口 喜雄君         法務政務次官  松原 一彦君         検     事         (刑事局長事務         代理)     長戸 寛美君         法務事務官         (人権擁護局         長)      戸田 正直君         法務事務官         (入国管理局         長)      内田 藤雄君         外務政務次官  森下 國雄君  委員外出席者         大蔵事務官         (国税庁直税部         長)      村山 達雄君         大蔵事務官         (関東財務局総         務部長)    廉隅 伝次君         文部事務官         (調査局宗務課         長)      近藤 春文君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 四月十日  委員池田清志辞任につき、その補欠として遠  藤三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員遠藤三郎辞任につき、その補欠として池  田清志君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員南條徳男辞任につき、その補欠として松  永東君が議長指名委員に選任された。 同日  理事池田清志君同月十日委員辞任につき、その  補欠として同君が理事に当選した。     ————————————— 四月七日  家事審判法の一部を改正する法律案の一部修正  等に関する請願長谷川保君外一名紹介)(第  一八二八号)  大阪拘置所用地不当処分取消に関する請願(  菅太郎君外四名紹介)(第一八三四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  外国人の出入国に関する件(大村収容所の韓国  人問題)  法務行政及び人権擁護に関する件     —————————————
  2. 高橋禎一

    高橋委員長 これより法務委員会を開会いたします。  本日の日程に入るに先だちまして理事補欠選任についてお諮りいたします。すなわち、委員異動に伴い理事が一名欠員となっております。理事池田清志君を私から御指名するについて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高橋禎一

    高橋委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。
  4. 高橋禎一

    高橋委員長 次に大村収容所の韓国人問題について調査を進めます。  質疑通告がありますので、順次これを許します。高瀬博君。
  5. 高瀬傳

    高瀬委員 朝鮮に抑留されている日本の漁夫と大村収容所における刑余者その他密入国者相互釈放について、実は先週の金曜日に外務大臣並びに関係当局出席を求めて質疑をいたそうといたしましたが、その当日、いかなる理由か、大臣政府委員も所在が明らかでなく、しかもその出欠の理由も明らかでないままに本委員会は散会いたしました。これはまことに空前のことでありまして、われわれ法務委員会権威のためにも、また国会の運営の点から見ても、かかることはとうていわれわれには了解できないことであります。その点をまず外務当局から一応釈明を願いたいと思います。
  6. 森下國雄

    森下政府委員 先日の委員会におきまして大臣もしくはその他の責任者が出て御答弁申し上げるはずでございましたが、当日大臣も私もほかの会議にとられておりまして、その間の連絡がよく参りません結果、大へん委員会に御迷惑をかけたことをまことに遺憾に存じます。従って、本日外務大臣が出てお答え申し上げるよう昨晩大臣と相談をいたしましたところ、時間のやりくりによってどうしても出たいと言っておりましたが、本日ちょうど四カ所の委員会及び参議院の本会議等が連続されておりまして、どうしてもからだの都合がつきません。そこで、ただいま外務委員会質疑応答中でございますが、大臣と打ち合せました結果、明後十三日閣議終了出席いたしますということを大臣の方から言質を得て参りましたので、ここに申し上げて御了承を得たいと思います。
  7. 高瀬傳

    高瀬委員 ただいまの森下政務次官お話で大体了解いたしましたが、本問題は、国民全体の世論の動向から見ましても、また当委員会としても重大なる関心を持っておるわけであります。もちろん、われわれは、当局の立場もあることでありますから、そういう点を無視じゅうりんしてまで所信をただすわけではありませんけれども、とにかくも、うやむやのうちにこの会談が行われて、その後の方針が立たない場合は、日本の法の権威にも関する重大なる問題でありますから、私は与党の議員としても重大なる関心を持たざるを得ないわけであります。ただいま森下政務次官お話で、外務大臣閣議終了後必ず出席するということでありますから、その言明を信頼いたしまして、本日は質疑を打ち切ります。いずれ外務大臣出席の上で質疑を継続したいと思います。
  8. 高橋禎一

    高橋委員長 ただいま森下外務政務次官の発言もありますので、大村収容所の韓国人問題は、明後十三日午前、外務大臣出席を待って調査いたすことといたします。
  9. 高橋禎一

    高橋委員長 次に法務行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑通告がありますので、順次これを許します。猪俣浩三君。
  10. 猪俣浩三

    猪俣委員 ちょっとお願いがありますが、明後日の重光外務大臣が出るときに、法務大臣も御出席願いたいと思います。これは私の方から要求いたしておきます。  私はかねて通告しておきました立正交成会の問題につきまして二、三お尋ねいたしたいと思います。  立正交成会の問題は、新興宗教のあり方の問題といたしまして、痛く社会問題と相なっております。そこで、この際人権じゅうりん問題その他と関連いたしまして、これを明らかにしておく必要があるかと思うのであります。そこで、立正変成会につきましては、幾多のわれわれの信じがたいことが多々伝えられておるのでありますが、それにつきまして、大体立正変成会教祖とされておりまする庭野鹿蔵あるいは長沼マサという人物、これが一体どういう経歴人物であるかということにつきまして、当局はどの程度お調べになっておるのであるか。文部省では宗教法人として任かをなさる際にお調べになっておるだろうと思いますので、庭野鹿蔵及びいま一人の教祖である長沼マサ経歴について、文部省の承知されておるところを御説明願いたいと思います。
  11. 近藤春女

    近藤説明員 立正交成会の会長の経歴等につきましては、宗教法人の認許の場合にその本人経歴等調べるという権限もございませんので、正式に履歴等調べておりません。しかし、いろいろ伺っておるところによりますと、元霊友会に入りまして、その後霊友会から脱退をして立正交成会を作り、昭和二十七年に宗教法人として認証されたという経過でございます。本人は、いろいろ他の雑誌あるいはまたそういうものから見ますと、いろいろ商業に従事されておりまして、信仰をして入ったということを伺っております。
  12. 猪俣浩三

    猪俣委員 文部省では一体この新興宗教と称せられるものについてはどういう監督指導権があるのであるか、宗教法人法に詳しく書いてあるかも存じませんが、私どもよく調べておらぬのですが、宗教法人を許可するときの条件、及びその後新興宗教についてどんな監督指導をしておるのか、あるいは絶対干渉しておらないものであるか、その辺を一つ実際について御説明願いたいと思います。
  13. 近藤春女

    近藤説明員 宗教法人認証をいたしまするのは、宗教団体施設その他の財産を持っておりまして宗教活動をやっておる、その活動をやっております場合に法律的な能力を与えるということを目的といたしまして宗教法人としての認証を行うわけでございます。その認証を行います場合の手続でございますが、その場合には法人法の第二条によりまして宗教団体というものを一応規定をしておりまして、その規定によりますと、宗教教義を広めるということが第一点、それから、第二百は、宗教活動をしておる、すなわち儀式行事を行なっておるということ、第三点は、信者を持っておりまして信著を教化しておる、この三つの点から沖人法では宗教団体をきめておるわけであります。それにあわせまして、宗封の礼拝の施設を持っておる、こういう前提がございます。これらの点から宗教法人認証をするわけであります。  それから、次の御質問監督権、その点につきましては、宗教については、信仰の自由ということから、憲法によりまして監督権を持っておりません。名宗教団体はそれぞれの教義に基きまして宗教活動を行なっておるわけであります。監督指導というものは、宗教に対する自由という前提から、またそういう建前から行わないことになっております。
  14. 猪俣浩三

    猪俣委員 この立正交成会は、過ぐる昭和二十八年ごろにも問題を起しまして、日本弁護士連合会の取り上げるところとなって、各官庁に対して連合会から警告を発しているはずでございます。そこで、警察なりあるいは法務省人権擁護局なりその他において、この教祖なる者の経歴なんかをお調べになったことがあるかないか。どなたかお調べになったことがあるなら、法務省関係あるいは人権擁護局長でもよろしいですが、それを御説明ただきたいと思います。どなたも経歴をお調べになっておらないならばそれでよろしいですが、お調べになったら、お調べになっている範囲で御説明願いたいと思います。
  15. 戸田正直

    戸田政府委員 私の方では、今の庭野とか長沼という教祖たち経歴については調査しておりません。
  16. 猪俣浩三

    猪俣委員 私どもが調査いたしましたところによれば、教祖長沼マサなる者は、埼玉県下において売春婦をやっておった人物である、大正十年から十一年、ころまで茨城県境町にあったただ一軒のあいまい宿の箱屋に酌婦となって身を沈め、その後埼玉久喜町の在の清久村、今の久喜町の上中曽根、そこの酩酒屋の斎藤楼というところで醜業婦をやっておったという調査が出ている。そして現在まで四人夫をかえている。こういう人物教祖としてあがめられている。なおまた、庭野鹿蔵なるもう一人の教祖は、新潟県十日町の農家の次男坊であって、石原淑太郎という炭屋の小僧であった。それから、近所にいる日蓮宗の信者姓名判断をやっているような人の影響を受けて、立正交成会なんというものを作る動機になったようでありますが、こういう連中が考え出してやっていることであります。文部省においても法務省関係でもだれも身元を調べる者がないということになりますと、前科者でも何でもが教祖となって出現してくることになるので、私は、かような状態でいいものであろうか、はなはだ迷わざるを得ないのでございます。とにかく、教祖として一千五十万円の自動車を乗り回しているこの妙佼なる人物は、こういう人物である。宗教の自由ということも大事でありますけれども、かような、一旦事を起して日本弁護士連合会の問題となって警告を発しておられる人物について、何人もこれを調査することがないというようなことは、私は怠慢じゃないかと思うのです。  そこで、なおお尋ねいたしますが、ただいま申しましたように、昭和二十八年の夏ごろ、都下北多摩郡の大和村の蔵敷の人である近藤豊さんの妻ときさんという人と、その人の長男輝男という人が、交成会幹部から、お前は死ぬぞと予言をされて、それを苦に病んで青酸カリ親子心中したという、これは蔵敷事件と称して日本弁護士連合会で取り上げた問題です。当時この問題につきまして国警長官にも文部大臣にも日本弁護士連合会から警告が出ているはずでありますが、この問題はどういうふうにお取り扱いになりましたか、国警長官にお尋ねいたします。
  17. 高橋禎一

    高橋委員長 猪俣委員に申し上げますが、警察庁の方から間もなく出席されることになっているのですが、まだおいでになりませんから、その点御了承願います。
  18. 猪俣浩三

    猪俣委員 それでは、警察庁に聞くのはあとにいたしまして、この問題について何か法務省人権擁護局長はお調べになったことがございましょうか。
  19. 戸田正直

    戸田政府委員 ただいまの御質問のいわゆる蔵敷事件につきましては、人権擁護局も当時この事件を承知いたしておりました。この問題が起きました当時、人権擁護局として、これをどう扱うかということにつきまして実は非常に考えたのでありますが、率直にこの当時の私の気持を申し上げたいと思います。この問題におきまして、当時どう取り扱うかということについていろいろ考えたのであります。ところが、宗教の問題でありまして、非常にむずかしい問題で、これをどういうふうに取り扱うか、御承知の憲法信教の自由という関連について、いろいろこの取扱いを考慮いたしたのであります。この信教の自由ということは、国家権力から国民信仰の自由を保障する、国家宗教というものにあまり干渉してはいけないということが本来の憲法規定されている信仰の自由だ、かように解釈いたしておりまして、この取り扱い方については、やはり日本弁護士連合会において御調査願うのが最もいいのじゃないかということで、弁護士会とも常に緊密な連絡をとっておりまして、弁護士会調査をむしろお願いしたようなわけであります。その後、弁護士会から結論が出まして、報告を受けております。この弁護士会調査に当りました人も同時に私の方の人権擁護委員をいたしておりまして、そうした関係で緊密な連絡をとって調査をいたして参りました。そこで、私の方としましては、この弁護士会調査によって、こうした新興宗教等いろいろ予言であるとか迷信的なことにまどわされるところにまだ民度が低い、こういう方面の啓発といいますか啓蒙活動がまず必要になるのじゃないかというような見地に立ちまして、その後毎年十二月の四日から十日までの人権週間に全国的に因襲打破ということを取り上げまして、こうした問題の啓発をいたして参ったのであります。従来同じテーマで人権週間に問題を取り上げてやることはほとんどないのでありますが、この因襲打破ということを昨年も一昨年も引き続き取り上げまして、こうした問題の啓蒙活動をいたして参ったのであります。ところが、今回のは当時の事情とだいぶ違って参りまして、新聞等の報ずるところによりましても、かなりいろいろな、自殺事件であるとかあるいは発狂事件であるとか、その他入会布教行き過ぎというような点について、人権侵害の事実も非常に現われておりますので、その当時の考え方とただいまとは事情が大分違いますから、人権擁護局におきましても、今回はこれらの点について、入会強制あるいは布教行き過ぎによる人権侵害等について十分な調査をしなければならぬ、かように考えておりまして、ただいま東京人権擁護協議会にも特別委員会を作りまして、またこの事件が十葉、山梨、神奈川、もちろん東京が大部分でありますが、こういう県にも関係いたしておりますので、各関係法務局にも調査を指示いたしまして、ただいま調査をいたしている次第であります。
  20. 猪俣浩三

    猪俣委員 人権じゅうりん問題が他に多々あるのでありますが、ただいま戸田人権擁護局長から御答弁がありましたけれども、いわゆる立正交成会に関する蔵敷事件といたしまして、予言めいた脅迫のため親子心中を遂げたという事件、これは日本弁護士連合会が取り上げまして、警察庁文部省その他に警告を発しておるのでありますが、これに対しましては警察庁ではどういうふうなお取扱いをなさったのであるか、それを承わりたいと思うのであります。事案は、おわかりでありましょうが、昭和二十八年夏、都下北多摩大和蔵敷土工近藤豊さんの妻ときさん三十五才と、長男輝男君の十才が、交成会幹部の死の予言におびえて青酸カリで親子心中をしたという事件であります。これは日本弁護士連合会から警察庁に対して至急調査するように要望があったはずでありますが、警察庁はこれについてどういうふうにお調べになって、その結果どうなったのであるか、もし御調査になったら、それを御説明願いたいと思います。
  21. 中川董治

    中川(董)政府委員 ただいまの御指摘の蔵敷事件でございますが、私、確かに本件につきまして警察庁調べた状況を記憶しておるのでありますが、実はその関係書類をきょう持ってきておりませんので、正確にお答えできませんから、後ほど機会を見て正確にお答えいたしたいと思います。大体、この事件は、私の記憶だけで申しますと、一生懸命やったのだけれども、結局犯罪という点について証明がうまくいかなかったという記憶があるのでございますけれども、ちょっとこれはうろおぼえでありますので、後ほど機会を見まして正確にお答えいたしたいと思います。
  22. 猪俣浩三

    猪俣委員 なお、この立正交成会には「大和ムシ風呂」という蒸しぶろの設備があって、これは株式会社組織になっておるようでありますが、結局立正交成会幹部が経営しておるものである。このむしぶろに対しまして、神のお告げと称して金をとって信者をむりやりにふろへ入れる。肺結核患者心臓病患者等、医者がふろへ入れてはならないと言った者までも入れて、中には死亡者が出ておるという。これも昭和二十八年ごろ警視庁の保安課新井警部係調査したはずでありますが、この調査の結果どうなったか、もし材料をお持ちでありましたならば御説明ただきたい。
  23. 中川董治

    中川(董)政府委員 恐縮でありますが、今の点も材料を整えて後ほど正確にお答えいたしたいと思います。
  24. 猪俣浩三

    猪俣委員 その他、私が先般ここで申し上げました東京中野区の内田清司さんの妻トラさん、これは中風で半身不随になっている人物で、これに団体参拝に出かけろと言うて、家族がそれを制止したところが、あなたは救われない、死んでしまうと言って立正交成会幹部から脅迫されて、思い悩んだあげくトラさんはネコいらず自殺を遂げたということであります。これも日本弁護士連合会に訴えられまして、連合会調査中でありますが、かような問題が一つと、いま一つ平塚新宿会社員和田竜男という人の妻、二十八才になる絹江さんが、二十七年六月ごろから立正交成会に入って、まるで家業をほうり出して本部に日参するようになった、そこで、絹江さんの父親の太吉さんが、あまりの盲信ぶりをさまそうとして、彼女が持っておった戒名やじゅずなどを焼き捨ててしまった、そうすると、支部幹部がやりてきて、三年のうちにお前の家は必ず火事が起る、子供も大やけどする、これが教祖お告げであると言って脅迫した、この婦人はとうとうその後発狂いたしまして、家が燃える、子供は助けて下さいと口ばしって、二十八年の四月に相模原病院に入院したという事件がある。こういうことに対しても日本弁護士連合会調査をしているのでありますが、こういう事件について警察庁なりあるいは人権擁護局なりで何かお調べになっておるかどうか、全然そういう事実は知っておられないのであるかどうか、それをお尋ねいたします。
  25. 戸田正直

    戸田政府委員 ただいま猪俣委員から御質問蔵敷事件平塚新宿和田竜男事件、それから中野区の内田トラ自殺事件、これらについても事件を承知いたしておりまして、すでに調査に着手いたしております。その他、山梨集団発狂事件、それから、私の方で承知しております事件で、いずれも読売新聞からの情報を得たものだけでも十数件ございます。これを簡単に申し上げます。  杉並区方南町の公務員で渡辺和雄という方、これは脅迫に当る事件であります。子供たちが病弱なので三年前入会したが、長男が病死し、長女も病臥したところ、娘を殺したかったら看病しろと、お参りを強制され、ついに長女も死亡したので、退会したところ、死に絶えると罵倒されたという事件。それから、渋谷区新橋の佐藤十太郎という人の自殺いたした事件、これは、幹部からお布施が少いとののしられ、昭和二十五年八月ごろ中野区千代田町のあき家で首つり自殺をしたという事件であります。それから、千葉県四ツ街道山崎マッ子という人、これは発狂事件であります。妹トシエ二十九才が腹膜治療のため、昭和二十九年十月に入会したところ、キツネをたたき出すと、幹部より両人がじゅずでなぐられたり火ばちを投げつけられたりの乱暴を受け、本部参りと献金を強制され、マツ子が発狂したという事件。それから、入会強制事件としまして、これは身延町、多分甲府と思いますが、身延町の田中屋旅館外六件、それから梅屋売店、これはみやげものを売るうちでありますが、外三十件、これは、入会しなければ泊ってやらない、あるいはみやげものを買ってやらないと言っておどかして、強制的に入会をしたという事件であります、それから、千葉県の船橋市の大塚ふくという方の通報によるもので、これは病死事件でありますが、近所信者滝口キミが歩行困難の神経痛になったところ、会幹部に毎日通わなければなおらないと言われ、小都に日参を強制され 無理をしたたのに病死したというのであります。それから、同じく千葉県の船橋市でありますが、家宅侵入、横領に関する事件、これは、首にはれものができ、入会したがなおらないので、お札を仏壇から下げたのを、聞いた支部幹部数名が、無断屋内に侵入して仏壇をかき回し、仏具を破壊し、さらに前納した身延山の参拝費を返済せずに横領した、こういう事件です。それから、江戸川区小岩町の蒲生明一外十数名ということになっておりますが、千葉千葉市黒砂町会社重役白石重、これは関係訴訟証人なんですが、事案がはっきりいたしませんので、後ほどよく調べたと思います。それから、大田区調布鵜ノ木町の成田一未、これは、たな子に会の信者がいて、お経を読んでおればただで家に住めるし、そのうち家主は首をくくって死ぬから家はおれのものになると放言、家賃を二年越し滞納しており、昨年八月会の悪口を言ったと同人より傷を負わされたという事件、これは起訴猶予になっているようであり ます。それから、昭島市、これは東京都と思いますが、それから、拝島町の出本加代、これは退会を阻止された事件で、昭和二十二年に入会、二十四年夫病死のためますます狂信したが、生活に因り、豊田道場パン売りを始めたが、お布施を少くしたため、毒入りパンだから買うなと幹部から言われ、退会したが、さらに、貧乏になる、気違いになる、品を開くと毒が移るとののしられ、一家心中をはかりたいほどであった、こういう退会阻止いやがらせを受けた、こういう事案であります。同じく退会阻止事案ですが、八王子市の理髪業橋本丑松、これは二十三年二月に入会し、妻淑子四十三才に対しても入会を勧め、家庭不和が絶えなかったが、妻の実兄出昇太郎急死の際に信者でないからと死に目にも会わされず、盗難被害関係から妻も入会したが、亡昇太郎妻加代が迫害を受け、怒って夫婦して退会したところ、幹部より死の予言までされて退会阻止いやがらせを受けたという事件であります。それから、もう一つ傷害事件で、葛飾区の工務員富田義雄、これは、昭和二十八年七月本部法座でふらちな質問をしたと、数日後近所信者宅に呼び出され、三十一副支部長小林という人の外五名の幹部より、なぐるけるの暴行を受け、数カ所に打撲傷を負わされたという事件、これも起訴猶予になっておるようであります。  新聞に現われただけでもこうした多くの事件が出ておりまして、これらにつきましても情報を得ておりますので、順次に調査をしていきたい、かように思っております。
  26. 猪俣浩三

    猪俣委員 今人権擁護局長説明を聞きましても、おびただしい問題がある。私のところにもおびただしい投書が参っております。これは相当広範囲にわたりまして一般の善良な市民に害毒を及ぼしておる。宗教の自由の名において取締り官憲が相当困難をしておることも私は同情できますけれども、いわゆる公共の福祉を守る意味におきまして、かような邪教に対しましては一定のやはり基準をきめて取締りをしていただきたい。大した取り締らぬでもいいような思想関係ばかりに神経過敏にならずに、こういうものこそ私は社会の害悪だと思うのです。全く姿なき暴力によって、どれくらいみな悩んでおるかわかりまん。私は煩を避けて申しませんけれども、そしてこれは人権問題とあるいは直接に関係ないかもしれませんから約しますけれども、この立正交成会のやり方で産を破ったものが数限りなく調査されて出てきております。しかもこれは、それらがみな下層な庶民階級である、ここに社会問題としても放任すべからざるものがある。しかもその教祖なるものはいかなる者であるかといえば売春婦であります。これは、私はいたずらにここに言うているのではありません。りっぱな証人がある。彼女が埼玉県下に酌婦となって身を沈めておったときに、当時の十円という金で連れ出して夫婦になった男がいます。これはその人が詳しく知っておる。大熊房吉という人物です。かようないかがわしい者が教祖となって、そしておびただしい金を集めて豪奢な生活をやっておる。かようなことは僕は社会秩序からも許されないと思うのです。  そこで、警察庁におかれましても、あるいは法務省におかれましても、いま少しくこれらの悩める者の立場に立って何とかもっと調査をしていただきたいのだが、今人権擁護局長からるる申し述べられましたような事実について何らか捜査をなさったことがあるのかないのか、警察庁の刑事局長にお尋ねをいたします。
  27. 中川董治

    中川(董)政府委員 御指摘の立正交成会関係で、かねて事件になりまして捜査中のものもあるのでありますが、それ以外に、人権擁護局長からも仰せられましたように、いろいろそういった類のことが行われておりますので、警察におきましては、警視庁を初め、たとえば甲府の場合は山梨県でございますが、そういった関係警察でいろいろそういった点を現在私たちの言葉で言いますと内偵中の事件が多いわけであります。内偵しておりますのは、大体刑法の脅迫罪その他の刑罰法令に該当するかどうかという点が非常に困難なケースが多いものですから、そういうことの聞き込み等に基きまして、刑法の、害を加うべきことを告げたかどうかといった事情等につきまして、いろいろ関係者の供述をとっておるということで、直接に当っていないケースがある、内偵中のケースがあちこちに行われておるという段階が多いのでありまして、その点御了承を願いたいと思います。
  28. 猪俣浩三

    猪俣委員 私がかようなことを申し上げますことは、たとえば、ただいま人権擁護局長からも話が出ました山梨県下における状況でも、これは信者の獲得が非常に盛んであって、山梨県下で六千名ある。しかるに、昨年秋ごろから精神病が非常にふえて参りました。甲府市にあります山角脳神経科病院などには月平均百八十名前後の人が入院しておる。これはみな交成会関係です。かような報告が私どもの調査には出ておるのであります。かようなことにつましても、いわゆる精神的暴力といたしまして何らかの取締りの対象になるのじゃなかろうか。私どもは、これは法務省としても人権擁護局を叱咤激励いたしまして徹底的に御調査願いたい。なお、警察庁といたしまして捜査をなさっておるというのであるが、これは、どろぼうや何かを捜査することも必要でありますけれども、かような何となく形の見えないような、そうして人の神経をじりじりこわしていく、こういう存在というものは、何らかの処置をしなければいかぬのじゃなかろうか。それにつきましては、宗教法人法なんかも再検討しなければならぬのじゃなかろうか。そこで、これは文部省の方にお尋ねしますが、宗教法人法の二十二条に役員の欠格条項がきめられておりますが、一体これだけでいいだろうかどうだろうか。この欠格条項を見ますと、「未成年者、禁治産者及び準禁治産者、禁こ以上の刑に処せられ、その執行を終るまで又は執行を受けることがなくなるまでの者」とあります。私は、処刑されてもりっぱに更生した人間なら、この服務中受けました宗教的教養によりまして幾らも教えを広める身になってもいいと思うのでありますけれども、かようなあばずれ女みたいな者を教祖とする場合、もう少し身分調査をして宗教法人の許可、不許可をきめられるようにしなければならぬのじゃなかろうか。あるいはその宗教法人それ自体の許可は届出主義にしても、その役員、中心幹部となるべき者についてはいま少しく責任ある調査をしなければならぬのじゃなかろうか。これは結局は宗教法人法二十二条の改正に待たなければならぬと思いますが、文部省の係官として一体いかなる御意見がありますか、承わりたいと思います。
  29. 近藤春女

    近藤説明員 宗教法人法は、宗教団体の信頼の前提のもとにできておるものであります。従いまして、法人法全般におきましてもそういう精神が一貫して流れておりまして、御指摘の二十二条もその関連において規定されておるわけでございます。この三十二条そのものが適当な条文かどうかということは、いろいろ問題点があるとは思いますが、これは宗教団体全般に関連する問題でございますので、慎重に検討しなければならぬと考えておるのであります。そういう点から、今回の事件を契機といたしまして、全般について、いろいろな不満な点等についてはさらに十分に各宗教団体あるいは学識経験者等の意見も伺いまして検討すべきものであると考えております。
  30. 猪俣浩三

    猪俣委員 それから、これはあなたに言うてもしょうがないことだから、それでよろしゅうございますが、文部省宗教法人に対しては経理の内容を届け出させておるのじゃないかと思われますが、もしさような経理の内容が文部省に届けられておるならば、一体この立正交成会がどういう届をしておるのであるか、それを公表願いたいと思います。
  31. 近藤春女

    近藤説明員 宗教法人につきましては、届出の制度はございません。しかし、宗教法人はその事務所にたとえば財産目録であるとか収支計算書を必ず備えておきまして、これについて利害関係人に見せるということが明記されております。それは、先ほど申しましたように、届出をすべしという規定はございませんので、宗教法人としましては、それを報告しなければいかぬという義務は、現行法においてはございません。
  32. 猪俣浩三

    猪俣委員 国税庁の方にお尋ねいたします。宗教法人に対しましては税法上特典があると思うのでありますが、いかなる収益が免税になり、いかなる収益が課税に相なっておりますか、その標準を御説明願いたいと思います。
  33. 村山達雄

    ○村山説明員 現行の法人税法におきましては、昭和二十五年のシャウプ税制の改正におきまして、宗教法人の法人税法上の地位を明らかにしております。すなわち、その第五条におきまして、宗教法人は収益事業から生ずる所得以外に対しては課税しない、逆に収益事業から生ずる所得は課税する、こういうことをはっきり規定してございます。これを受けまして、しからば収益事業というのはいかなる事業をいうかということを施行規則で明記しております。それは各号列挙主義でございまして、業態が一号から二十九号に至るまで並んでございます。そのおもだったものを読みますと、物品販売業、金銭貸付業、物品貸付業、製造業、無線電話放送事業、運送業、運送取扱い業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、以下ずっと業態の種類が並んでおりまして、これらの業に該当する行為から生じた所得は収益事業として宗教法人といえども課税する、こういうことになってございます。
  34. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうしますと、この立正交成会は、会そのものにおいていろいろな物品を作って、それを信者に売りつけて多大の収益をあげておるそうであります。たとえば、教典、過去帳、じゅず、たすき、線香、ろうそく、さような販売、なおまた、相当の信者を獲得して功績あった者には別なおまんだらとか御守護神とかいうものをやっておる。このおまんだらとか御守護神というものをもらうには数万円の金が要る、おまんだらは三万円で売っておる、こういう事情があるのですが、これに対して課税しておるかどうか、課税の状況を御説明願いたい。
  35. 村山達雄

    ○村山説明員 課税の経過を申し上げますと、実は、この宗教法人は資本金という概念がありませんので、従って、現在、資本金一千万円以上のものは局の調査課で調べ、それから資本金一千万円未満のものは税務署で調べる所轄構成になっております。宗教法人は資本金がありませんので、原則として税務署所管になっております。ところが、宗教法人は一般には収益事業をやっていないのが普通でありまして、税務署の方も二十五年以来うっかりして見過しておったような状況であったのでありますが、相当世間の評判が立ちまして、これは一ぺん調査しなければいかぬというので、昭和二十八年におきまして、これを調査課所管に局長の指定で移しまして、自後二十五年にさかのぼって調査をいたしたわけでございます。その調査の結果に基きまして、ちょうど二十九年に、そのときまでの事績に従って収益事業の所得を決定し、それに対応する税額をきめて、それぞれ納付を見ておるわけです。ごく代表的な事業年度で申しますと、こちらの決定しておりますのは、二十八年四月から二十九年三月までの一事業年度分につきましては、全体で課税所得が約二千万であって、これに対しまして三五%の税額をかけておるのでございます。いずれも現在まで完納してございます。ただ宗教法人の立正交成会の方からは、課税に対して異議があるというので、国税局長に対して審査の請求が出ております。その審査の請求をする理由は、ただいま猪俣委員の仰せられたようなもの、たすきであるとか教典であるとかいったふうなものは物品販売業として見るべきでないではないかということで、今審査の請求中であります。そういう理由をあげるにつきましては、実は、物品販売業というものの具体的範囲につき、国税庁の法人税法の取扱い通達が出ております。その取扱い通達との関連において疑義があるから、もう一ぺん調べてくれ、こういうことで、現在税金は納めておるが審査を請求しているわけです。ついでに、その物品販売業に関連する通達を申し上げますと、こういうことを言っておるわけでございます。宗教法人がお守り、お札、おみくじ、暦等、当該宗教法人関係のある絵はがき、絵図等を販売するときは、物品販売業として取り扱わないものとする。それで、これがかりに販売という形をとっておっても、こういうものは販売業と言うのは無理ではなかろうか。おそらく、この通達を出した意味は、一般の物品販売業は一定の代価を得るわけですが、その反対給付というようなものが考えられるものはやはり普通の販売ではなかろうか、これに関しまして、おみくじのようなものをかりに幾らかでもらいましても、その原価はほとんどゼロにひとしいから、むしろある意味で言えば、おさい銭とか、あるいは喜捨金に相当するものである、こういうところに意味を考えまして、この通達はあるものと思っております。ただ、国税当局といたしましては、先ほどあげました物品をほとんど全部——お守りとかここにあげてありますもの以外は、たすきであるとか教典であるとか、あるいは線香、ろうそく、その他全部物品販売業として所得を計算しておるわけです。これに対しまして審査の請求が出ております。最近東京国税局の方から国税庁に対しまして、自分の方はこういうふうに課税をして、宗教法人からはこういう異議の申し立てがあるが、この通達の意義をいかに解釈すべきであるかということを正式に伺ってきておりますの で、国税庁におきましては、目下、その現品等を取り寄せまして、経理の内容も分析しましてまた通達のきめら れている意味をとくと再検討いたしまして、近くこの東京国税局の課税措置が正しいかどうかを決定する段階に なっておりますことを御報告申し上げます。
  36. 猪俣浩三

    猪俣委員 国税庁で二千万円と査定されたというようなことは、少し常識はずれているんじゃないかと思うんです。われわれの調査したところによるならば、一人の信者入会すると、教典、過去帳と称するものが五十円、一じゅずが八十円、たすきが百八十円、バッジが二十円、これはほとんど強制的であります。入会金が三ヵ月分三十円、これを納める。全国二百万と称 しております。千万や二千万の収入であるはずはない。お尋ねしますが、千五十万円出して外国の高級自動車を買ったということを御存じであるかどうか。二千万円の収入があるものが、十五十万円出して自動車を買える道理かない。そうして、教祖長沼マサ、これは一千万円近い家を新築している。もう一人の教祖庭野鹿蔵も、三、四百万円で家を買って、なお三百万円はかりかけて増築している。かような豪奢な家に住んでいる。中小企業は、美に血の汗を流して働いて、税金攻勢のために戦々きょうきょうとしている。今世の中に最もこわいものは、地震、雷じゃない、税務署だと言う。こういうささやかな中小企業からも強引に税金を取り立てている。しかるに、この中小企業の零細な金を集めて豪著な生活をしているものに対して、しかもりっぱに物品販売をしている、しかも自分のところで作っている、これをもう少し精確に調査すべきではなかろりか。文部省に、昭和二十九年かち三十年三月までの間、正味資産が四億一十六百十四万二千三百六十四円のバランス・シートが出ていると聞いておりますが、これは文部省いかがです。
  37. 村山達雄

    ○村山説明員 ちょっと私の説明が足りなかったので、あるいは誤解を起されたかもしれませんが、二千万円と言ったのは、全部でありませんので、それがまた立正交成会の剰余金の全部じはありません。もちろん一事業年度り収益事業から生ずる所得と思われるものを申し上げたわけでございます。ちらの調査によりますと、今までこりらが調査いたしましたのが大体七期とざいます。事業年度はいろいろまちまちでありますが、たとえて申しますこ、昭和二十八年四月から二十九年三月までの事業年度が、これが第七番目り事業年度でございますが、このときのすべての剰余金は、報告によりますと総額一億二千九百万円あるわけで執ります。このうち、収益事業から生ずる所得と見られるものと、公益事業から生ずる所得と見られるものがあるわけです。公益事業から生ずる所得に対応する収入源は、会費、喜捨金、寄付金、病院事業収入その他、これは税法できめております物品販売業あるいは印刷業と見るわけには参らないわけでございます。従いまして、現行税法の関係からいたしまして、この方の剰余金が相当あるわけでございます。こちらは結局収支計算では二千六百万円見まして、ただ、課税所得を計算する場合には、収益事業から上げたその所得を公益事業の方に寄付しますと、そのある一定限度までは寄付が認められます。そこで、収益事業から生じた所得は二千六百万円と計算しておりますが、寄付金控除を認めますと二千万円になる、こういうことを申し上げたわけであります。従って一億三百万程度のものが公益事業から生じた所得ということになりますが、これにつきましては現行税法では課税する道がないわけでございます。これは昭和二十八年の四月から二十九年の三月までの一事業年度を申し上げたわけでございますが、これ以前の七事業年度につきましても同様に全部計算いたしまして、それで、物品販売業と、機関誌交成を発行しておりますのを印刷業と見まして、これに対応する所得だけを計算して課税しているような実情でございます。
  38. 近藤春女

    近藤説明員 立正交成会から参考のために提出を求めました貸借対照表によりますと、四億三千五百八十三万二千七百五十八円という報告を徴しております。
  39. 猪俣浩三

    猪俣委員 アメリカで禁酒法をしかれても、暴力団がはびこっておって、実際はそれが励行できなかったが、脱税事件としてその巨魁が逮捕処分されたことは御存じの通りと思うのです。宗教自由の名に隠れてインチキきわまることをやっている新興宗教に対して、警察権、警察権による徹底的な捜査は人権じゅうりん問題を引き起す憂いから困難なところがあると思いますから、私は、彼らを牽制する策は税務署が徹底的に徴税をやることだと思うのです。もう少しこういうものに対して税務署なり国税庁が真剣に調査するべきである。二千万円あるいは一億しか収入を見ないなどということは、何と言っても常識が許しません。百万円のタイヤを指にはめ、一千五十万円の自動車を乗り回している彼らがさような状態であるはずがない。だから、われわれのところにはいろんなデマが来ています。  なお、税務署に対して運動をしておる。そして何か税法の審議会みたいなものがあって、今異議の申し立てがかかってそこで審議しているということですが、それに対しても相当の運動がある。一体こういう姿を何と見るか。このごろ長沼マサ宗教法人を審議する宗教審議会の委員になっているといううわさも聞くのですが、さようなこともありますかどうか、お尋ねします。
  40. 近藤春女

    近藤説明員 宗教法人審議会というのがございまして、それは訴願関係事件につきまして審議を遂行するものでございます。その委員の任期は二年でございますが、かつてその中には庭野鹿蔵氏が委員として参加しております。
  41. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、今問題になっている立正交成会庭野鹿蔵がこの宗教審議会の委員になっておる。そうだから文部省にも何かいろいろな問題があるようなデマがわれわれに入ります。新興宗教、官庁、税務署、何か割り切れないものがある。また警察や検察庁は、どうも人権じゅうりんをおそれて、これもあまり手出しをしない。実に彼らのばっこ跳梁ははなはだしいものがある。私は現代におけるわれわれの敵は暴力団と新興宗教だと思う。しかもこの新興宗教と暴力団が一脈相通ずるものがある。それにインチキ政治家が関係して、平安なるべき社会をかき乱していると思うのです。私は、もう少し勇気を持ってこの暴力団と新興宗教、こういうものに官憲当局が立ち向ってもらいたい。ことに私は国税庁に強く要望します。今あなたはいろいろ説明されておるけれども、関東税務局と国税庁との間に意見のそごがあるやに聞きますが、どうですか。
  42. 村山達雄

    ○村山説明員 これは東京国税局でありますが、東京国税局と国税庁との間には意見の違いは少しもないわけであります。東京国税局の方も、通達が、さっき言う通り、おみくじ、お札その他これに類するものというので出ておりますので、あの通達の意味はどうであろうか、自分の方は全部課税したのであるが、あの通達をたてにとって今審査請求が出ておるが、どういう解釈をこれから下すべきであろうかということがごく最近出て参っております。そこで、国税庁といたしましては、現品をことごとく取り寄せまして、原価を見まして、幾らで売っておるかを見、総体的に売り上げが幾らになっておるか、差益はどれだけ個々の商品について出ておるか、一般の物品販売業とどのくらい同じであって、どのくらい違うか、おみくじ、お札を物品取扱い業としない意味はどこにあるかというようなことを検討いたしまして、私どもは結論を近く出すわけであります。この間の意見の差はないわけでありまして、向うも疑義があるから聞いており、こちらも今研究中であります。  それから、ついでに申し上げておきますが、一年間に一億二千九百万円では少いとおっしゃいましたが、これはもちろん剰余金でありまして、収入総額は三億六千百八十万円になっております。それに対しまして、病院経費、物品仕入れ代金、人件費等、その他普通の経費と認むべきものが二億三千百万円ありまして、差引ネット資産として残る剰余金が一億三千八十万円、そのうち、先ほど申しました収益上から生じたものと認められますものが二千六百万円になります。そのうち寄付控除を認めまして二千万円、これに対して課税しておる。これは一事業年度でありまして、実はさかのぼって七事業年度一挙に決定したわけであります。今のところこれは全部完納を見ておりますが、なお審査請求中であるという状態であります。
  43. 猪俣浩三

    猪俣委員 一体、私どもは税法はあまり詳しくないのでありますが、宗教を擁護するという意味におきまして——私も長い間クリスチャンとして生活して参りましたから、宗教の大切なことは人一倍痛感いたしておるのでありますが、私の属しております麹町二丁目のイムマヌエル教会、これは八十年の歴史を持っておるが、いまだにバラックでありまして、まことに貧弱きわまる教会の状態であります。しかるに、そのような売春婦上りの女が教祖となるや、実に驚くべき収益をあげる、ここには何かインチキがあるはずなのであります。かようなことがやすやすと行われるならば、世の中というものは、実に、何と申すか、全く私どもは割り切れないのであります。いよいよ食うに困ったら新興宗教を始めるかなどと近ごろみんな冗談に言うておる。かようなことに対して、一体私はどなたに当ればいいのだか、ふまんやげせないものがある。だから、国会はこれを契機にして当法務委員会で徹底出にこの新興宗教調査をしてもらいたいと思って、本日皆さんに質問をししおるのでありますが、場合によっては宗教法人法及び税法で教会に対する寄付金というものに税金をかけない、それは一体どういう理屈から出てくるのでしょうか、ちょっとその理屈を数えていただきたい。
  44. 村山達雄

    ○村山説明員 法人税は原則としてああらゆる法人の所得に課税することになっておりますが、あえて宗教法入に限りませず、公益性の非常に強い公益法人とかあるいは宗教法人とかいうものは、通常非営利的であり、それから非収益的である、こういう観点からいたしまして、所得の収入源も、その使途も、それぞれ基礎法で定められておるところの公益事業なりあるいは宗教活動に使われるということを予定しておりまして、税法の面でもこの点については立法的に原則としては課税しないという原則を立てております。ただ、収益性のある事業をままやる場合には、それは公益法人といえども何であろうとも、普通の法人と同じように課税する、こういう趣旨になっておるわけであります。従いまして、問題は、現行法がそういう建前でありますから、宗教法人法とかあるいは公益法人の基礎法、あるいはその許可の関係が違って参りますと、おのずからこれは税法の面にも大きく響いて参るわけでございますが、税法の面の立法的の理由はそこにあるかと思っております。
  45. 猪俣浩三

    猪俣委員 たとえば、幹部昇進ですか、この立正交成会で成績を上げた者が幹部となる場合には、その幹部の証書と思われるようなおまんだらというものが授けられる。これは三万円です。これはみな寄付金ということになっているのじゃないか。あるいは御守護神というものを売る。これは三万円です。これは寄付金ということになってしまう。そうすると、この寄付金には税金をかけないということになれば、どこまでが物品販売で、おこまでが寄付か、わけがわからなくなってしまう。そこで、実に普通の常識をもってすれば大脱税と思われるようなことを平気でやってのけておる。私は、国税庁におかれましても、文部省におかれましても、宗教法人法について、あるいは税法について、かようなインチキ宗教がばっこいたします根源をつく意味におきまして、十二分なる御検討を願いたいと思います。私どももまた当法務委員会においても調べてみなければならぬと思いますが、何としても、どう打っていいか、どうもわけのわからぬような状態であります。ただいま戸田人権擁護局長が詳しく幾多の材料を取り上げて調査をしておられますが、大へん困難なことでありますから、戸田さんに極力この調査を進めていただくために、警察庁におきましても、検察当局におきましても、どうか人権擁護局を孤立させないように十二分に連絡をとって徹底的な捜査をしていただきたい。これを強く要望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  46. 福井盛太

    ○福井(盛)委員 関連して文部省の方にお尋ねしたいのでありますが、昭和二十六年に新宗教法人法ができまして、それによって認証許可申請をいたしましたものは、ただ形式が備わっておれば許可したのでありますか、相当内容に入って調査いたした結果許すことになったのでありますか、その点が第一点と、第二点は、その申請したもので不許可になったものもあったのかなかったのかという点でございます。
  47. 近藤春女

    近藤説明員 新宗教法人法ができまして、従来の宗教法人法による宗教法人が解散いたしまして新たに法人となったわけでありますが、その際に、法人法で必要な規則がありますので、その規則の提出を求めまして、法人の要求している要件を備えておるかどうかということを検討いたしまして認証しているわけであります。その際に、宗教団体というものにつきましての調査というものは、信教の自由という点から、行なっておりません。あくまで宗教団体の上に乗っかっている宗教法人というものの要件あるいはその内容というものが検討された結果認証されているわけであります。  なお、あとの御質問の、認証されないものがあったかという御質問でございますが、かなりございます。それで、認証しないのはどういうわけかというので、認証されなかったものあるいは却下せられたものが裁判所に訴訟を起すことができることになっておりますが、そういうことで現在文部大臣が訴えられている事件が相当ございます。
  48. 福井盛太

    ○福井(盛)委員 認証が許可にならなかったやつが相当あるというお話でしたが、それはかなり多いのですか。
  49. 近藤春女

    近藤説明員 申請件数が五百件あまりございまして、認証しましたものが三百七十七件でございます。
  50. 高橋禎一

    高橋委員長 椎名隆君。
  51. 椎名隆

    ○椎名(隆)委員 先月の三十日に文教委員会文部大臣が、著しく公共の福祉に反する場合には文部省としては裁判所に対して解散請求を行う権限があるので調査を続けていくと言っているが、文部省で今事実を調査しているとすれば、具体的にどういうことを調査しているか、その点を一つお聞かせ願いたい。
  52. 近藤春女

    近藤説明員 文部省といたしましても、本件は、宗教団体全体に非常に影響を及ぼし、また一般の宗教に対する関心あるいはまた宗教心というものに対して非常に悪い影響を及ぼすということを考慮いたしまして、ただいまお話に上りましたような具体的な事件につきまして、立正交成会から報告を求め、あるいはまた利害関係人やその他の機関を通じまして事情の聴取を行う等、実情の明確化に努めております。
  53. 椎名隆

    ○椎名(隆)委員 それでは、立正交成会から報告を求めている具体的な事実としてはどんなことがありますか。たとえば、今まで戸田人権擁護局長がだいぶ事件の内容を並べているが、そのうちのどれか一つについて、立正交成会からこの事件についてはどうかというような具体的な報告を求めたことがありますか。
  54. 近藤春女

    近藤説明員 今、たとえば内田事件蔵敷事件、あるいはまた和田事件、これらについて報告を求めております。
  55. 椎名隆

    ○椎名(隆)委員 立正交成会から言ってくることは、おそらく自分たちのやっていることは正当だというようなことを言ってくるに違いないと私は思う。そうだとするならば、立正交成会の報告と相反するような報告は求めておりますか。
  56. 近藤春女

    近藤説明員 相反する報告はなかなか求めがたいのでありますけれども、たとえば、私の方といたしましては、人権擁護委員会その他で問題として取り上げておりますので、そういうような事件の経過というものを総合的に資料として使う、それによりまして正確な判断をすべきだと思います。
  57. 椎名隆

    ○椎名(隆)委員 そうすると、結局、人権擁護局あるいは警察庁、検察庁が調べた結果を吸い上げて、それで総合的に判断をするというので、文部省みずから事実を調べるということはやるように考えられないのです。ただ立正交成会に、お前さんのやったことはどうなんだと言えば、いずれも処罰されたりなんかするのがおそろしい結果、自分たちのやったことは正しいんだと言うにきまっていると思う。それじゃほんとうの調べはできないし、文部大臣が言うように、もし邪教だとするならば断固解散させるというようなことは、その場のがれの言葉としか考えられないのですが、どんなものですか。
  58. 近藤春女

    近藤説明員 もちろん、一方的な報告だけで実態が把握できるとは考えておりません。それにつきましては、各方面で検討され、調査され、あるいは究明されておることであります。それらを総合的に判定し、あるいはまた他の分野からの情報の提供を求めるというふうにいたしまして、この事情の究明をいたしたいというのでありまして、いずれにしましても、宗教の問題は他の問題と違いまして非常に微妙な点、デリケートな点がありますので、それらの客観的な事実を集めていくという方向に進めて参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  59. 椎名隆

    ○椎名(隆)委員 宗教の問題はデリケートな問題だと言うけれども、むしろ邪教が人心に及ぼす影響ほど大きいものはないと私は思う。その意味から言っても、悪いとする点があるとするならば、文部省みずから直接に手を下して取り調べることが私は必要だと思うり。  なお、戸田人権局長にお伺いするが、これは、私、うろ覚えで、新聞で見たような気がするのですが、たしか、女の教祖というか、その人が、山梨県下で女の人がキツネつきといいますか病気になったのを、毎日々々油あげだけ食わしておいて、踏んだりけったりして、とうとう殺してしまったというようなことが新聞に報道されたのを見た記憶がある。これは教祖自身がやっているらしい。これは山梨の警察署、たしか甲府であったかと思うのですが、甲府でもって取調べをしているのでしょうか。
  60. 戸田正直

    戸田政府委員 これは四月七日付の読売新聞の記事で承知いたしたのでありましてこれにつきましては甲府の法務局に調査を指示いたしております。これによりますと、ただいま仰せのように、キツネつきだというので、油あげだけを食べさして、そうして、これは妙佼という本部教祖だそうでありますが、キツネつきだというので踏みつけてあれしたということで、これがもとで死んだ、こういうような記事でありまして、これは警察等で調べておりますかどうか、私の方ではわかりませんが、私の方では一応法務局の方に調査を指示いたしております。
  61. 長戸寛美

    ○長戸政府委員 ただいまお話しのありました四月七日付の読売新聞に出ております、重病人を踏みつけて殺したと称することでございますが、これは現在甲府警察で捜査に着手しております。まだ事実関係ははっきりいたしませんが、検察庁におきましても警察庁と協力して真相を究明したいと思います。
  62. 椎名隆

    ○椎名(隆)委員 先ほど、戸田人権擁護局長から、たくさん事案のあることをお伺いしたのですが、警察庁、検察庁で現実に取り調べている事件はどのくらいありますか。それとも、まだ取調べの段階に入っておりませんか。
  63. 長戸寛美

    ○長戸政府委員 甲府の事件は今申した通りでございますが、その他の事件につきましては、先ほど中川刑事部長からお話し申しましたように、検察庁におきましても内偵段階にあるというふうに考えております。山梨県内におきまして、先ほど猪俣委員から仰せのように、立正交成会信者に精神病が多い、山梨病院その他の病院に相当入院しておる、そういう場合に、交成会信者になったことと精神病になったというふうなこととの因果関係その他についても、その関係を内偵しておるというような段階でございます。
  64. 椎名隆

    ○椎名(隆)委員 今までこういう邪教もしばしばあったでありましょうが、こういうことがたまたま警察で問題になると、むしろ、法律ありとして、ちょうど日蓮が鎌倉において法律を受けたというので日蓮宗がますます広まっていったと同じように、たとえば文教委員会なりあるいは当法務委員会なりで立正交成会の問題を審議するに当っても、だんだん立正交成会が大きくなるんだというようなことは考えられませんか。
  65. 長戸寛美

    ○長戸政府委員 法律の問題は、信仰教義に関する問題でありますれば、これは本来の法律と称し得ると思うのであります。われわれといたしまして、信仰の自由というものは尊重するわけでございますけれども、その現われた点において刑法その他の犯罪が成立するという場合には、われわれとしてそれに対して究明するという態度で臨んでおります。それについて法律と称するのは筋違いであるというように私は考えます。
  66. 椎名隆

    ○椎名(隆)委員 こういうことがあるのです。これは新聞で御承知かもしれませんが、蔵敷事件調べた磯部さんほか三名の弁護士さん——磯部さんはこのお正月に奥さんと娘さんが殺されたのですが、そうすると、蔵敷事件調べたからその罰が当ったんだと称して布教をしておる。こういうことと同じように、私たちがここでしゃべることがあるいは法律として利用されるかもしれない。そうなってくると、せっかく新聞で、こういう事実がある、こういう暴行がある、こういう殺人未遂事件があるとはっきりしているにもかかわらず、警察庁も検察庁もまだ内偵中であるというのは、一体警察庁や検察庁は何をしておるんだ、こういうことになるのです。その考えはどんなものでしょうか。民衆はおそらくそういうふうに考えるだろう。新聞にこれまではっきり出ておるのに、警察庁も検察庁もまだ内偵中であって、実際の取調べに当っておらぬのだ、あるいは、宗教なるがゆえに手足が出ないのだ、何かくさい関係があるのではないかというような疑いを受けるおれが多大にあると思う。その点についての御感想はどうか。
  67. 長戸寛美

    ○長戸政府委員 お話のように、私どもといたしましても、これに対して積極的に調査ないし捜査を進めるべきであるというように考える次第でございますが、犯罪として考える場合には、脅迫、詐欺、二百四十八条の準詐欺、これは心神耗弱の状態を利用するところの詐欺、そういうようなものが考えられるわけであります。脅迫の加害の告知がどういうふうな内容であるというふうな点が、犯罪性を認めるについての問題点である、そういう点について検討しておる、こういう次第でございます。
  68. 高橋禎一

  69. 武藤運十郎

    ○武藤委員 今立正交成会の問題について御質問がたくさんありましたけれども、邪教と申しましていろいろ非難されておりますが、そういうふうな邪教がはびこるにつきましては、私は一つの温床があると思うのです。必ずしもただ単に邪教というものが突如として現われるのではなくして、政治の貧困と申しましょうか、就職難であるとか、あるいは生活難であるとか、病気がなおらないというような、政治の貧困、国民生活が不安であるというところに邪教の興る一つの温床があるのではないかと思うのであります。法務省あるいは文部省などにおきまして、これは大臣に伺うべきことであるかもしれませんが、こういう問題等をお調べになった結果、どういう関連があるか、思い当るところがございましたらお答えをいただきたいと思うのであります。
  70. 近藤春女

    近藤説明員 非常にむずかしい問題で、私からお答えすべきでないかもしれませんが、現在いろいろな宗教団体がございます。それぞれ教義に基いて活動いたしておりますが、宗教団体というものにつきましては、御承知のように、信仰の自由については何ら制限がございません。従いまして、宗教団体そのもにつきましては、信仰の自由の上から、国あるいは政府の干与すべき限りではないということになっております。現実的に現在の社会が非常に複雑であり、また、不安と申しますか、生活の支柱を求める、生活難の問題もありますし、また精神的な不安もございます。こういう中におきまして、何かを求めておるという気持が動いておることは事実でございます。その場合に、現世利益的な立場をとるものと、もう少し大きな立場において宗教問題をとらえる場合がございますが、現世利益という面と関連をいたしまして各種の宗教活動が行われておるのでございます。その中で、何が邪教であり、何が正教であるかという価値判断というものは、結局各人の教養、良識あるいはまた同時に社会的な判断の基準、こういうものが相伴って参りませんとむずかしい問題となるのでありますけれども、いずれにいたしましても、正しい、あるいはまた自分の生命というものとつながってくるものは何であるかという識別をする能力が涵養されてくるということが一番中心問題であろうと私は考えております。
  71. 戸田正直

    戸田政府委員 ただいまの御質問は非常にむずかしいのでありますが、宗教の問題につきましては、とうてい私たちの頭では割り切れないのでありまして、一つ宗教が邪教であるかあるいは正教であるかという区別をいたしますことは、少くとも教義の上ではとうていできないのじゃないかという感じがいたします。ただ、われわれの立場からは、この布教の仕方というような面から、どうも強制圧迫だとか、あるいは布教行き過ぎがあるとか、布教に不正があるとかいうような面から、そういう立場から邪教的であるかどうかというふうに判断する以外に道がないのじゃないか、かように考えておりますが、ただいま武藤委員から御質問のように、どうしてこういう新興宗教がはびこるかどうかということの原因については、いろいろあるかと思います。ただいま仰せの通り、国民生活が安定しておらない、あるいは経済的に安定しないために非常に動揺しておる、悩みを持っておる、あるいは病気になってもなかなか医者でなおらないというような者が、つい精神的な悩みからこういうところに入っていくというような、いろいろの問題があると存じますが、私の方の立場といたしましては、こうした予言あるいは迷信というものに惑わされるいろいろの環境もありましょうし、過去の封建的な、因襲的なものがなおかなり残されておると思います。たとえば、ことしはさる年だから、結婚はどうも適当でない、早くしなければならぬというので、豆まき前に結婚するとか、あるいは、ひのえうまだとどうも嫁に行けないというような、そういうことがなお現在われわれの日常生活にうずたかく積まれております。そこで、私たちは、日常生活からこうした封建的な因襲打破しない限り、ほんとうの人権の擁護ができないのだ、こういう考えから、人権擁護一つの大きな仕事は啓蒙活動である、——人権侵害の予防的処置ということが最も重要な問題でありまして、人権がじゅうりんせられ、人権が侵害されてからは、なかなか適切な処理というものはむずかしいのであります。そこで、先ほどもお答えいたしましたように、国民の民度が低いといいますか、無知といいますか、こうした面の啓蒙活動に力を入れなければならぬというので、私の方では毎回の人権週間因襲打破という強調事項を取り上げまして、全国的な活動を続けて参っております。この事件はまだ調査中でありますので結論を申し上げるわけには参りませんが、こうした啓蒙活動に対しても今後力をいたしてやらなければならぬ、かように考えておる次第であります。
  72. 武藤運十郎

    ○武藤委員 先ほど来質疑応答がありました通り、信教の自由ということは一つの人権であろうと思うのであります。信教の自由と邪教に対する取締りといいますか、そういうことはなかなか実際面におきましてはむずかしいと思うのです。そういう場合に、たとえは、かりに実質的には邪教であっても、初めから邪教であるということを教義に書いておるものはなかろうと思う。軍隊を持つ場合に、これは侵略のための軍隊ということを書かないのと同じだと思う。そうすると、それを取り締るとか処置をしていく場合には、どういうところを限界でやるのであるか、個々の起ってきた現象、犯罪に該当するものをつかまえていくよりほかに方法がないのか、それとも、もっと根本的に何かこれを処置をしていく方法があるのかないのか、どういう心がまえでやっておるのか、やろうとするのか、これは法務省警察庁などにも御意見を伺いたいと思うのであります。
  73. 長戸寛美

    ○長戸政府委員 私どもといたしましては、個々の具体的に外面に現われたもので犯罪に当るというものについてこれを取り締るという態度でございます。一般的に、その他であれば、宗教法人法等の規制によってまかなうべきである、私はこういうふうに考えます。
  74. 高橋禎一

    高橋委員長 ちょっと、私、文部省近藤課長にお尋ねしますが、立正交成会教義というのは、その内容はどうなんですか。
  75. 近藤春女

    近藤説明員 立正交成会教義といたしておりますのは、法華経に基きまして因果の実相を明らかにする、こういうのが教義になっております。法華経の三部経が教典となっておりますので、先ほどお話のありましたように、教典の頒布ということが行われております。
  76. 高橋禎一

    高橋委員長 それから、文部省なり法務省にお尋ねするのですが、宗教法人法によって、所轄庁なりあるいは検察官が裁判所に法人の解散を請求することができる、こうなっていますが、その解散すべき事由があるかないかというようなことについては、平素やはり研究したり調査しておられるのかどうか、そして特に今まで文部省の請求によって解散を請求されたことがあるのかないのか、その点を一つ
  77. 近藤春女

    近藤説明員 今まで八十一条によりまして解散を請求したことはございません。また他の利害関係の方から解散請求があったこともございません。
  78. 高橋禎一

    高橋委員長 平素、こういう解散事由がその宗教法人にあるかないかというようなことを調査しているのかいないのか、その点はどうでしょうか。
  79. 近藤春女

    近藤説明員 宗教法人法調査権というものがはっきりいたしておりません。と申しますのは、宗教団体そのものを調査するということが信仰の自由あるいはまた宗教団体の干渉ということと非常にデリケートな関係がありますので、同時に監査し調査するということは行なっておりません。ただ、いろいろ情報、資料の収集ということは可能な範囲で行なっております。
  80. 高橋禎一

    高橋委員長 法務省の方は今の点についてどうですか。
  81. 長戸寛美

    ○長戸政府委員 宗教法人法の八十一条によりまして、「裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。」、こういうふうにあるわけであります。そして、たとえば、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。」というふうなことになっております。従って、われわれとしましては、個々の事件を追及して参るわけでございますが、総合的にその宗教法人が公共の福祉を害するというような判断に立つ場合には、職権を発動するというふうなことも考えられるわけであります。当面としましては、まず個々の事件の追及をいたしているのが現段階でございます。
  82. 高橋禎一

    高橋委員長 それでは、文部省なり法務省あるいは警察庁に希望いたしますが、立正交成会関係の、いわゆる人権侵害あるいは犯罪行為、そういうことについて調査されて、資料が集まったら、一つあまり遠くない機会に当委員会に報告していただくように要望いたします。
  83. 猪俣浩三

    猪俣委員 この前私が質問して、答弁次回ということになっておりますが、立正交成会のもとになるような霊友会、これの小谷喜美は起訴されたはずでありますが、これは今どういう形になっておりますか。それから、例の立正交成会に関する和田堀の土地区画整理に関する贈収賄事件、これが今どういう状況になっておりますか。それたけ御報告願いたいと思います。
  84. 長戸寛美

    ○長戸政府委員 お尋ねの小谷喜美の事件でございますが、小谷喜美につきましては、昭和二十八年十一月以来警視庁捜査二課から東京地検に事件の送致を受けまして捜査の結果、昭和二十八年十一月二十一日から昭和二十九年三月四日に至る間四回にわたりまして木京地方裁判所に公判請求をいたしております。その公訴事実の概要は、第一に、白い羽根募金合計約三百四万円を業務上保管中日本赤十字社に納入せず着服、横領した事実、第二に、小谷が米国等への旅行を計画した際、アメリカ人マッケナー等より米貨一万ドルを最得した代償として、所定の基準外国為替相場である一ドル三百六十円を超過する一ドル四百円の割合で合計四百万円を支払い、さらに宇田惣吉に対し外国にある米貨五千ドル取得の代償として合計百八十万円を支払った等の外国為替及び外国貿易管理法違反の事実、第三に、文部省宗務課長であった條原義雄に対し職務に関し現金十万円のわいろを供与したという贈賄の事実でありますが、この事実につきましては目下東京地方裁判所において審理中でございます。以上のほかに、小谷喜美につきまして、昭和二十八年十一月二四日、警視庁捜査二課から、暴行、障害、不法監禁致傷の事実について事件の送致を受けたのでありますが、慎重な捜査を続けて参りましたが、何分にもこれらの事件昭和二十三年、昭和二十四年当時のできごとで、事件が古く、暴行につきましては事件送致当時すでに時効が完成しており、傷害、不法監禁の事件については、関係者の供述が相互に著しい矛盾があるばかりでなく、小谷に対する極端な反感から事実を曲げてことさらに供述を誇張したと思われるふしもあり、かつ告訴人から提出した医師の診断書も加害日時から著しく期間を経過している等の事情から、暴行と傷害の因果関係を立証するに足る犯罪の証明が十分でないということのために、昨年八月十七日不起訴処分にいたしているのであります。この不起訴処分にいたしました関係につきましては、昨年九月告辞人の桑島貞子という人から東京第一検察審査会に対して審査の申し立てがあったのでありますが、本年一月三十日検察官のなした不起訴処分を相当とする旨の議決がなされております。これが小谷喜美関係の御報告であります。  それから、立正交成会に対する刑事事件といたしましては、目下東京地引検察庁におきまして和田堀第二土地反画整理組合長、同副長に対する虚偽公文書作成、同行使、背任、都市計画法違反、それから、組合評議員、立正交成会理事、同組合副長、現会計の長沼広志、それから、立正交成会顧問、同組合副長の柴田章、これらに対する背任、都市計画法違反の各容疑で捜査をいたしております。身柄を一旦拘束いたした者があるわけでございますが、事案の複雑性にかんがみまして、現在在宅のまま引き続き捜査続行中である、これが立正交成会に対する刑事事件の御報告であります。
  85. 高橋禎一

    高橋委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十九分散会