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1956-09-28 第24回国会 衆議院 文教委員会 第50号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年九月二十八日(金曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 佐藤觀次郎君    理事 加藤 精三君 理事 高村 坂彦君    理事 坂田 道太君 理事 辻原 弘市君       稻葉  修君    纐纈 彌三君       田中 久雄君    並木 芳雄君       古川 丈吉君    町村 金五君      茜ケ久保重光君    伊瀬幸太郎君       小牧 次生君    山本 幸一君       小林 信一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 清瀬 一郎君  委員外出席者         文部事務官         (大臣官房総務         参事官)    齋藤  正君         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     天城  勳君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     緒方 信一君         文部事務官         (初等中等教育         局教科書課長) 安達 健二君         文部事務官         (社会教育局         長)      内藤譽三郎君         文部事務官         (調査局長)  福田  繁君         文部事務官         (管理局長)  小林 行雄君         専  門  員 石井つとむ君     ————————————— 九月二十八日  委員久野忠治君、古川丈吉君、高津正道君及び  野原覺辞任につき、その補欠として纐纈彌三  君、塚原俊郎君、茜ケ久保重光君及び伊瀬幸太  郎君が議長の指名委員に選任された。 同日  委員纐纈彌三君及び茜ケ久保重光辞任につき、  その補欠として久野忠治君及び高津正道君が議  長の指名委員に選任された。 同日  理事加藤精三君六月十三日委員辞任につき、そ  の補欠として同君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  昭和三十二年度文教関係予算に関する件  学校教育に関する件  社会教育に関する件  教育委員会制度に関する件     —————————————
  2. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  この際理事補欠選挙についてお諮りいたします。すなわち、去る六月十三日に理事加藤精三君が委員辞任され、理事が一名欠員となっております。つきましては理事補欠選挙を行わなければなりませんが、先例によりその手続を省略し委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって加藤精三君を理事指名いたします。     —————————————
  4. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 それではまず文教関係予算について天城会計課長説明を聴取いたします。天城会計課長
  5. 天城勳

    天城説明員 三十二年度文部省関係概算要求でございますが、実はまだ政府の明年度予算に対する基本方針がきまっておりませんので、最終的な段階でございません。事務的には財政法その他で大蔵省との交渉を進める時間的な段階にきておりますので、省内で事務的に現在考えられる案をまとめて大蔵省と交渉中でございますから、それにつきましてお話申し上げたいと思います。従いまして、お手元にお配りいたしました数字的な資料につきましても最終的な決定のものばかりでございませんで、今後加わるものもありましょうし、場合によれば取捨の行われるものもあろうかと思いまして、数字的にも最終的には変動のあることをお含み願いたいと思います。  三枚つづりで数字的な紙がございますが、三枚目の一番最後に文部省所管合計額が載っております。二十二年度概算要求額は現在のところ千六百四十億となっております。前年度の千三百五億に対しまして三百三十五億の増額を要求いたしておりますが、比率で申しますと大体本年度の二五%増程度でございます。この数字的に並べましたもののほかに一枚紙で項目だけいわば重点的なものを列挙してございますので、大体考え方中心は半ぺら紙列挙事項に要約しておるつもりでございます。両方をごらんいただきまして御説明申し上げたいと思います。  最初義務教育費国庫負担金でございますが、これは御存じのような義務教育の諸学校教職員給与実績半額負担の法律がございまして、明年度なお教職員の増が見込まれておりますので、その増額分昇給財源その他を織り込んでおります。ただ明年度につきましては、小学校児童は本年度よりも増加いたしますが、中学校児童は本年度よりも若干減少いたします。プラス、マイナスがございますが、総体では児童数は増加いたしますが、中身においてそういう出入りがございます。従ってその純増に対しまする教員増を見込み、昇給財源を見込む、こういう考え方でおります。なお本年度から教職員恩給費を半額国庫負担することになっておりますので、明年度はその恩給費負担が平年度化しまして、約五億ほど新しい負担金としてこの中に計上されております。  第二番目は文教施設整備でございますが、中身国立文教施設国立大学研究所等施設建設費と、公立学校建設費補助金の二つに分れます。両方とも大体本年度の額の約倍額ほど要求いたしておりますが、国立学校につきましては現在緊急整備計画というのを三年計画で進めてきておりますが、その計画の継続という形で要求いたしております。なおこの五十四億の中には、従来の計画以外に新しい——後ほど触れようと思いますが、学術関係振興に伴います分野の拡張に伴う施設費を含めております。  それから公立文教につきましては、これも従来からの計画の基礎がございますので、それらについてできるだけ増額をいたしたい、こう考えておりますが、特に現在の公立文教の実態にかんがみまして、幾つかの重点を考えております。たとえば中学校義務教育の年限に伴います中学校建設、あるいは老朽危険校舎の改築、不正常授業の解消、さらに学校統合等に伴います校舎の建築、こういう点につきましては特に重点的に考えていくわけでございます。  次は育英と学徒援護関係事業でございますが、最初育英会育英事業の拡張でございます。これは育英会奨学金中心をなす経費でございますが、明年度高等学校の奨学生の対象を拡大していきたい、こう考えておりまして、現在高等学校は全日制で三彩定時制で二・五%いうような率でございますが、両者を合せまして三・五%くらいまで拡張していきたい。あわせて現在単価がなお一部七百円という少額が残っておりますので、これも全部千円にしていきたいというようなことを内容にいたしておりまして、そして高等学校の面に重点を置いております。大学につきましては現在単価に二千円と三千円の二種類がございますが、三千円口の比率を増大していく、こういうのを主とした中身にいたしております。  学徒援護会補助金でございますが、これは学徒援護会という団体がございまして、学生就職あっせんとか、あるいはアルバイトとか、宿舎というような事業をいたしておりますが、その団体に対しまして補助金を出すわけでございますが、明年度新しい問題として学生会館の新しい建設等を見込んでおりますので、増加いたしております。  次の学生寮建設、これは一昨年から進めておりますが、公益法人補助金を出しまして、現在のところ東京でございますが、学生の寮を建設するという事業でございます。これも当初立てました計画がございますので、これも続いて明年度も要求していく、こういう考え方でおります。  その次は学生保険制度の実施でございますが、これは全然新しい問題でございまして、大学学生に対して健康保険制度を実施したい。現在共済制度とかあるいは国民健康保険制度が確立されておりまして、一般社会人健康保険については制度がございますが、一番健康の問題が多い学生に対して健康保険制度がございませんので、この面に健康保険制度を実施したい、こういう考え方でこの制度考えておりますので、それに伴う予算をここに計上いたしておるわけでございます。大体考え方といたしまして、学生の病気の中で一番多い結核につきましては、全額給付をする。国はそれに半額補助をする。その他の病気につきましては半額給付、大体学生保険料は年間千二百円くらいで保険経理をやっていきたい、こういうような構想でございます。  それから科学技術振興という項目でございますが、現在科学技術振興はいろいろな方面から強く叫ばれておりまして、その基礎的な研究技術者の養成という面を教育関係が引き受けておりますので、われわれといたしましても、科学技術振興のための経費は相当大幅に要求する必要があると考えて以下かような経費を計上いたしております。  一つ理科教育設備費経費でございますが、これは理科教育振興法に基きます補助金でございます。従来から計画を立てて補助金を計上いたしておりますが、この計画に従って明年度も要求をしておるわけでございます。  第二番目の産業教育振興のための補助金でございますが、これも産業教育振興法がございまして、これに基いて中学校高等学校等産業教育施設及び設備補助金を出しておりますが、それに伴う金額でございます。  三番目の科学教育研究室、これは金額は少額でございますが、国立大学の主として理学部で、公立学校の先生の一種の現職教育を行っておりますが、この面を拡張していきたい、こう考えております。  第四番目に在外研究員派遣費でございますが、これも学者研究者研究を深めるために在外研究ということもきわめて必要なことでございますが、従来大体七千万円くらいの予算でございまして、十分な研究者の派遣ができかねておりますので、この面も増額していきたいと考えております。  それから五番目の科学研究費でございますが、これは学術研究につきまして非常に重要な経費でございまして、現在も約十一億計上いたしておりますが、極端に申しますれば多々ますます弁ずるというような経費でございまして、特に新しい学問、技術の分野が広がって参りますと、この経費の必要が要求されて参ります。従ってこれも増額を要求いたしているわけであります。  次は私立大学基礎研究設備費助成するという経費でございます。これは現在も三千八百万円計上いたされておりますが、科学技術振興という面では国立学校のみならず、私学についてもこれを成助する必要があると考えまして、これはかなり大幅な増額をいたしております。  次は民間学術研究機関補助でありますが、これも従来から続けてきております民間の学術研究機関できわめて優秀なものがございますが、財政的に必ずしも十分でございませんので、こういう機関に援助を与えて、その研究を伸ばしていこうというための経費でございます。  次が公立大学設備整備のための補助でございますが、国立はもちろん国でまかなうわけでございますし、私学につきましては今申し上げましたような形で国の助成も行われておりますが、公立大学につきましては現在のところ特に財政的な援助は一般的なもの以外はございません。地方財政事情等もございまして、公立大学につきましても科学技術振興という見地から国の助成が必要ではないか、こう考えて新しい事項を要求しているわけであります。  その次は国際地球観測年事業費でございますが、明年の七月からいよいよ国際地球観測年観測事業が正式に始まるわけでございまして御存じのように今年南極地域観測につきましては予備観測隊が十一月ごろ出発いたしますが、明年は本観測の年に当りますので、必要額を計上いたしております。  その次は高等学校定時制教育振興の問題でございますが、定時制の問題につきましては現在財政面から考えますと地方財政事情等からかなり計上困難な問題が出ております。これを財政的に救済する道はいろいろ考えられるわけでございますけれども、ここに四つの重点的な方法を考えたわけでございます。一つ定時制教職員給与費、これの国庫補助の道でございます。これにつきましてはすでに御承知のように昭和二十四年まで国において四割国庫補助をいたしておりました。平衡交付金制度ができましたときにこれが吸収されて今日に至っておりますが、何と申しましても給与費というものが大きな財政負担になっておりますので、そういう関係で過去の給与費の四割国庫補助を復活するという形で財政補助を国でいたしてみたいというのが最初事項でございます。  第二番目は現在定時制及び通信教育振興法がございまして従来も財政援助をいたしておりますが、それを拡充計上いたしたのが第二番目の項目でございます。  それから第三番目は、夜間の定時制における学校給食の開設ということが前国会で立法化されましたので、これに伴う施設設備補助金を新たに計上いたしました。  第四番目は、これは広い意味では公立文教施設中身でございますけれども、定時制高等学校施設費、建物の補助金が現在計上いたされておりませんが、これを新たに計上していきたい、こういう考え方で第四番目の項目を起したわけでございます。  その次は、青少年対策費と申しますか、社会教育経費でございます。最初青年学級運営費補助金、これは青年学級振興法に基きまして青年学級に国の補助金を出しておりますが、現在実施の学級数もふえて参りましたので、対象学級数をふやしていきたい、こういう考え方でおります。  二番目の青少年指導者講習会、これは現在もやっております事業を続けていくという考え方でおります。  それから次のページの第三番目でございますが、青少年教育キャンプ、これは青少年に対しまして、キャンプを実施することによって青少年活動を健全に導くという目的のもとに現在も昨年度から実施いたしておりますが、地方の要望も非常に強いのでそれを増額していきたい。  それから第四番目は青少年教育施設等整備、これは中身といたしましては、青少年の家というような形で現在も実施いたしておりますが、青少年のレクリエーションその他指導の中心拠点となる施設建設しておりますが、その事業を拡充して続けていきたい。なお体育面としてはモデル的な屋内体操場とかあるいはプール等建設も進めていきたいと考えて、それらのものを内容としております。  五番目、六番目、七番目は、事項としては似たような形で出ておりますが、これは一括申し上げますと、青少年映画に対する対策のための経費でございます。現在青少年に対する映画の影響が非常に大きくて、それがいろいろな社会的な問題、教育的な問題として議論されていることは御存じの通りでございますが、これに対して青少年に向くいい映画を積極的に国で供給するということもきわめて必要な仕事でございまして、いたずらに観覧を禁止するとか押えるとかいうことが映画対策考えるよりも、いい映画を積極的に青少年に供給することが必要と、こう考えまして、かなり大幅な金額を計上いたしまして、教育映画のよいものを国で買い上げて積極的に地方団体に回していく、こういうのが一言で申しますと、これらの経費中身でございます。  それから八番目の青少年のための巡回文庫、これは図書でございますが、これも現在府県を中心としまして巡回文庫を実施しておりますその図書を国で積極的に助成していく、こういう考えでおります。  それから九番目は、これは新しい構想でございますが、音楽あるいは演劇につきまして現在地方的にはかなりいい芽ばえを持っている楽団、劇団等もございますが、なかなか伸び悩んでおります。こういういい劇団ないしは楽団の基礎を援助していこうということと、一方中央における中央楽団あるいは中央の劇団の優秀なものを積極的に地方に巡回してもらいまして、いい鑑賞の機会を与え、かつ音楽演劇の鑑賞の指導をする、こういう構想で新しく予算を要求しているわけでございます。  その次は、教育機会均等という考え方でくくった一連の経費でございますが、中身は大体従来から計上しておりますものを伸ばしていくのが中心でございまして、最初義務教育関係教科書無償給与費でございます。これも三十一年度から実施しておりますが、いわゆる準要保護児童に対する教科書無償給与でございます。本年度経費では予定の対象児童がふえませんので、当初考えた線まで拡充したい、こう考えております。  それからちょっと飛びますが、この項の六番目に準要保護児童生徒給食費補助、これも本年度から始めた事項でございます。給食費を準要保護児童に対して補助する。同じ思想でございますが、この金額につきましても、前年度考えておりました水準まで伸ばしていきたい、こう考えております。  もとへ戻りまして、第二番目の僻地教育の充実のための経費補助でございます。現在いろいろな制度がございますが、これに加えまして新しくスクール・バスあるいはスクール・ボートその他無電灯地帯における学校の簡単な発電装置というようなものの補助を起したい、こう考えております。  それから特殊教育振興、これも主として盲、ろう学校中心に進めて参りましたけれども、前国会で法律の一一部改正がありまして養護学校もこの対象にいたす、あるいは高等学校教科書についての負担率をかえる、こういうような制度が新たに加わりましたので、それに伴います必要な経費を計上いたしたわけでございます。  それから四番目は、公立養護学校教職員給与教材費国庫負担金、これも前国会で新しい法律が制定されましたので、義務教育学校と同じように、養護学校につきましても給与費教材費国庫負担をいたすことになりました。これに必要な経費を計上いたしております。  第五番目は、僻地教員住宅建設費でございます。明年度はこの住宅費をさらに拡充していきたいという考えで要求いたしております。  給食は先ほど申しました。  次の特殊教育施設整備費補助、これは公立文教の広いワクの中に考えらるべきものでございますが、特殊教育関係の盲学校ろう学校のほかに、養護学校につきましても、その建設費補助を出すという考えで、本年度始めておりますものを拡充していきたいと考えております。  第八番目の僻地集会室整備費補助、これも公立文教の一環でございますが、僻地教育の充実という面から特に伸ばしていきたい、こう考えております。  その次は私学振興に関しまする経費でございますが、一つ私学振興会に対する出資金でございます。これは三十一年度八億出資いたしておりますが、明年度一応目標額考えておりますものの残額として十三億を要求いたしておる形でございます。  それから私学共済組合に対しましては、これは一般の健康保険と同じように給付の一五%を国で補助いたすことになっておりますし、その実績に基きまする補助金増額とその他事務費等を含めております。  第三番目の理科助成、これは私学におきまして、特に理科方面教育には非常に経費がかかるわけでございまして、理科系教育施設ないし設備に対して国が特別の助成をしようという考えで、三十一年度発足したのでございますが、その経費増額していこうというのが、この三番目の経費でございます。  その次は芸術、スポーツの振興としまして、特に大きなものがございますので、ここに特出いたしました。一つ国立競技場建設の問題でございます。これは三十三年に予定されておりますアジア・オリンピック大会に備えまして、国立競技場建設するための経費でございますが、これは本年度設計その他準備費がすでに入っておりまして、明年度中にこれを建設する運びになっておりますので、その建設費でございます。  その次は、国立西洋美術館建設、これは松方コレクションを受け入れましてその美術館建設する、こういう話が二、三年前から進んでおりまして、いよいよ建設の段階になりましたので、明年中に美術館建設するという金でございます。  その次は、国際文化の交流のために幾つかの項目をまとめたわけでございますが、最初教育映画国際交流、これは新しい項目でございますが、現在日本映画が非常に国際的に進出して参りまして、相当の評判になっておることは御存じの通りでございますが、これは主として劇映画でございまして、教育映画はなかなか自主的には国際的に進出できない状況でおります。主として教育映画社の財政的な事情かと思うのでございますが、日本教育映画にもすぐれたものがたくさんございますので、こういうものを積極的に国際的に紹介したいという考えで、教育映画の優秀なものの外国語版を作りまして、国際コンクール等に積極的に出し得るようにしたい、同時にそういういいものにつきましては、プリントを作っておいて、日本事情紹介国際交流のためにも積極的に海外に出す、こういうようなものもしたいと考えております。  それから第二番目は、国費外国人学生宿舎建設でございます。その次に国費外国人留学生の招致というのが関連いたしますが、現在国費によりまして外国人留学生を招致いたしております。主として東南アジア関係でございますけれども、なおヨーロッパ、米大陸等にも及んでおりまして、現在学生が来ているわけでございますが、この留学生をさらに大幅に招致して国際文化交流の道を開きたいと考えて、第三番目では明年度から外国人留学生招致数を拡大するという案を持っております。それに関連いたしまして、招致しました留学生宿舎がこれまた現在不十分でございまして、せっかく呼びましても生活上のいろいろな問題が出て参りますので、積極的に受け入れ態勢としてこの宿舎建設したいと考えているのがこの一連の経費でございます。  四番目は諸外国との留学生及び人物交換外国から相当の学者留学生日本に来ておりますが、一面日本学者研究者間に外国の資金で留学しているケースも相当あります。これらは国によっていろいろ方法が違うのでございますが、旅費等について必ずしも先方が負担しない場合もございますので、そういう場合の旅費補助というようなことを中心考えまして、留学生交換を促進したいと考えているのがこの経費でございます。  それから在外公館におきます文化アタッシェの設置の問題でございますが現在。パリのフランス大使館にはいわゆる文化アタッシェが設置されておりますが、将来これを他の国にも拡充したいという考え方で計上いたしております。設置する場所等につきましてはまだ最終的な決定は見ておりません。  六番目は琉球教育に対する協力援助、これは琉球の学生日本大学に来て勉強いたしておりますが、それに対する財政援助で、ございまして、明年は琉球の大学の先生の内地留学ということも考え経費増額いたしております。  以上が大体本省関係経費でございます。  その次に国立学校経費考えられます。これは三枚目の中ほどに国立学校合計とありまして本年度三百三十三億八千二百万というのが計上されておりますが、明年はこれを約四百十二億と見込んでおります。これは項目が非常にたくさんございまして、いろいろの経費がございますが、特にここに掲げました科学技術振興という関係から新しい問題の重点を申し上げたいと思います。  明年度から国立大学におきましても原子力関係の講座を開設いたしまして、この諸研究技術者の養成を開始したい、こう考えまして、五大学に講座の増設、それから大学院学生の募集、その他研究所原子力関係の部門の増設をはかっていくというのが最初の項でございます。  それから第二番目に、これは学術会議の強い要請もございまして、新たに物性物理学研究所を創設するという構想が出ておりまして、これを取り上げまして、明年度以降計画を定めまして物性物理学研究所を作る。これは諸大学学者共同研究機関といたしまして、なお最終案につきましては関係のところで協議いたしております。場所等につきましてはあるいは東京あるいは関西というような意見もございますが、一カ所共同研究施設として創設する考え方でおります。  それから最後に、文化財保護委員会の経費の中でおもなものとして文化財保存事業の強化、一つ国立劇場の設立の経費でございますが、本年度準備費が千七百万円計上されまして準備を進めてきております。明年度は時間的なズレもございまして、直ちに建設の段階まで至りませんで、基本設計、実施設計の一部くらいまでやる前提で必要額を計上いたしております。  第二番目の文化財保存事業費、これは文化財事業中心をなす経費でございますが、建造物の改修や防災施設等につきまして直営あるいは補助金事業をいたしておりますが、それらの経費増額していきたいと考えております。  それから第三に文化財観光施設整備費でございますが、これは従来の文化財保存事業と若干観点を異にいたしておりまして、観光事業整備する、そのために観光施設整備するという案が出ておりまして、道路であるとかあるいはホテルであるとかいろいろな分野で総合的に整備していくという案が考えられております。文化財事業といたしましては、文化財が同時に観光の対象となることがわが国においてきわめて多いので、それらの文化財につきまして観光の面から見た施設整備するという全体の政策がございまして、その一環として必要額を計上いたしたわけでございます。  以上きわめて簡単でございますが、合計いたしまして千六百四十億という金額を計上して、現在大蔵省と事務的に話を進めておりますが、最初に申し上げましたように政府の明年度予算編成方針も確定いたしておりませんので、将来にわたりましてはこの事項、数字については変動があることを御承知おき願いたいと思います。
  6. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 ただいま天城会計課長より説明がありました文教関係予算に関する質疑は追って行うことといたします。     —————————————
  7. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 次に、昨日に引き続き文教行政に関する質疑に入ります。辻原弘市君。
  8. 辻原弘市

    ○辻原委員 映倫の問題は大臣に少しただしておきたいこともありますから、大臣が見えられてからにいたしたいと思います。それまで最近これも非常に重要な問題になっておりますし、いろいろな観点があってやや論争が起っております学校統廃合に関する問題について、最初に初中局長に伺っておきます。すでに文部省では一応学校統合に関する方針を定めて、これを中教審に諮問されたということを聞いておりますが、その方針とは一体どういうものであるのか。それからいま一つは、中央教育審議会でどのような審議の過程をとっておるのか、その中間的な報告が文部省に参っておるならば、これを明らかにしていただきたい。  それからちょっと委員長に希望がありますが、説明一つ簡潔にやっていただきたい。
  9. 緒方信一

    ○緒方説明員 公立小中学校学校統合方策につきまして、八月二十七日に大臣から中央教育審議会に諮問をいたしました。これは町村合併が進みまして、学校統合の気運も地方で起っておりまするし、またわが国におきまする学校の規模を考えてみます場合に、小規模の学校相当多い。たとえば五学級以下の学校が三割を占めるといったような現状でございまして、これは教育効果の点から申しましても、あるいはまた学校経営の経済的な効率の観点から申しましても、できるならばこれを適正規模に改めていくということが必要であろうと存じまして、冒頭に申し上げましたように、現在地方におきまして実際に町村合併の促進、あるいはまた新町村建設促進法でございますか、この法律実施等によりまして、気運が起っておりますので、文部省としましてもこれに対しまする方策をはっきりきめまして、そうして地方指導していきたい。その方策をきめますために、中央教育審議会に諮問をいたしたのであります。目下審議中でございまして、そう遠くないうちに答申を出してもらえるのじゃないかと期待をいたしております。
  10. 辻原弘市

    ○辻原委員 やや抽象的で、具体的な方針というものがわかりにくいのでございますが、学校統合ということになりますると、ひっかかってくる問題は、第一に新しい統合の場合に適正規模をどうするか。もう一つは現在持っておる特に教職員定員、これ等とのにらみ合せの問題が起ってくると思います。それから建設にからまる新しい施設の問題が起ってくる。私は重要な問題はこの三つに帰すると思いますが、その中で第一のいわゆる新市町村建設といいますか、町村合併の促進法に基くものは、大体本月をもって一応完了するようであります。大体それらの合併がほぼ一段落ついたと見ていいわけでありますから、それらの現況に見合って、どの程度の規模のものをどういう形で設置していくかについての具体的な方法、方策というものをもって、おそらく中教審に示されたのではないかと私は思いますが、どの程度の具体的なものを示されたか、それを一つお知らせいただきたい。
  11. 緒方信一

    ○緒方説明員 簡単にというお話でございましたから、きわめて抽象的に申しましたが、さらにお尋ねでございますので申し上げますが、諮問をいたしました要点はただいまお話の通りでございまして、統合の方策をきめます上におきましては、第一にいかなる規模を適正な標準規模としてそれを基準にやっていくか、これが一つございます。これをどういうふうにきめるかということを諮問いたしておるわけであります。文部省としてあらかじめ原案をもって示したわけじゃございませんで、中教審にお諮りして、そして中教審の審議に伴って文部省も研究資料を出してきめていただく、こういうことにいたしております。そこで先ほど申し上げましたように、わが国は相・当小さい規模の学校が多い、いろいろ統計的に見ましても、概括的に申しまして十二学級あるいは十八学校、その程度のところが、一番実際の効率の点から申しましても、教員配置の点あるいは学校経費の点等から申しましても、一応大づかみに申しますと、その辺じゃなかろうかというふうな考え方がございます。それをなお精密に検討いたしまして中教審に示し、中教審の研究と待って一応のところをきめていきたい、かような考え方一つ。それからもう一つは、統合いたしますと、どうしても通学距離の問題が起ってきます。通学距離をどれくらいに考えるかということが一つの要点であろうと思います。現在各地方ですでに学校統合の方針をきめてやっておるところもございまして、県によってきめておりますけれども、これも大体実情でございますが、四キロないし六キロということをきめておるところが多いようであります。これらの点につきましても、なお文部省として検討してみたいと考えております。それから今お触れになりました統合するにつきまして助成の問題がございます。一つは統合のための施設助成、あるいはまた通学のための交通機関等に対しまする助成、かようなことがございますから、それについて答申を求めておるわけでございます。学校統合の施設につきましては、三十一年度からすでに予算がついておりますが、さらに来年度要求中でございまするし、それからなおスクール・バス等につきましても、これは僻地の教育振興等に関連いたしますので、その観点からいたしまして、これも必要でありますので、予算要求をいたしております。
  12. 辻原弘市

    ○辻原委員 その中教審の答申は、大体いつごろ行われる予定であるのか、それからこれは大臣にお伺いする問題であろうと思いますが、その答申が出ましたならば、これをどういう形で実施していくのか。助成の問題は別でありますけれども、一つの新しい統合に関する具体的な方策というものが確定した、それにのっとって何かの法的措置をとろうというのか、ないしは行政措置でやろうというのか、また、それをある程度強制力を持たしてやろうというのか、この点について……。
  13. 緒方信一

    ○緒方説明員 学校統合ということは、いろいろその地方の実情もございますし、社会的ないろいろな条件もございますので、これを一律に一つの基準をきめて強制をするというやり方はできないと思います。従いまして今私どもの考えは、やるならばこういう基準だと、一つの基準といたしまして示しまして、ただ先ほど申しましたように、相当地方でも熱意が起っておりますから、その点につきましては積極的に指導はいたしておりますが、行政指導としてやって参りたい、かように考えております。
  14. 辻原弘市

    ○辻原委員 中教審の答申の見通し……。
  15. 緒方信一

    ○緒方説明員 答申の見通しは、ちょっとまだ申し上げかねますが、そう遠からぬうちに出て参ると思いますけれども、まだいつということはちょっと申し上げかねます。今小委員会を作りまして、中教審自体といたしましても、鋭意研究していただいておる段階でございますから、ここ半月か一月以内には出していただけるのではないかと、かように期待いたしております。
  16. 辻原弘市

    ○辻原委員 教育的に見た場合に、学校統合というものは価値のあるものだとわれわれも考えております。ただし問題は、これは町村合併でも同じでありますが、一つの方策を国が、確定してそれを行政的にしろ法的にしろ、強制するような傾向が生まれたならば、これは地方に紛糾を招くもとであります。それと同時にいま一つは、教育の中でも、日本の場合に、山間僻地というものは特に僻地教育というものが強調されておるように思う。私は地方に間々見るのでありますが、非常に無理な山間であっても、国の方針がそういう形に確定したとなると、どうもそれにくつついて、無理な町村合併、無理な学校統合が行われるような傾向もある。その点は指導に当っては一つ十分お考えをいただきたいことと、それからいま一つ学校を統合する妙味は、おそらく文部省の腹の中あるいは大蔵省等では、教員定数の問題に対して相当有利になるのじゃないかという見方がある。この点は安易に統合を、定員を減少させるというふうなことに妙味を置いて、促進するようなことは、逆にそのために過大な教員減を来たすおそれが非常に多いと思いますので、その点についても留意をしていただきたいと思うのであります。特にこの問題は、文部省の方では何か新しく教員定数の算定方式を考えられておるようでありますが、それらとも見合って、少くとも現状の教員定数——と申しますのは、先ほど会計課長説明にもありましたように、小学校においてまだ生徒数が増加している傾向でありますから、今減少させるような方向をとることは非常に問題がある。その点は考えていただくと同時に、今町村合併に基く教員定数の問題をどういうふうに考えているか、初中局長の見解を一つ聞いておきたいと思います。
  17. 緒方信一

    ○緒方説明員 前段に言われました、強制をしてはいかぬという点は、初めからその通り考えております。  それからなお、いかに学校統合をやるといたしましても、それは事実上できない、こういうことです。特に山間僻地におきまして、むしろこれは非常にむずかしい点がある。これはもちろん残る僻地につきましては、僻地教育振興という観点からまた施策を進めなければならぬと考えまして、先ほど会計課長から説明がありましたように、その面の予算要求等もいたしておりますし、その努力は従来と変らず一そう強化していきたい、かように考えます。  それから教員定数の問題は、これもお話の通りでございまして、むしろねらっておりますところは、先ほども申しました通りに、小規模学校におきましては教員の配置が効率的でなくて、三学級五学級という学校ではそう豊富な教員配置はできませんので、どうしても教育的に見まして欠けるところができて参ります。それが相当大きな規模の学級数になりますと、それが十分効率的に活動ができまして、教育内容の面から申しまして非常に利点があると考えております。そういう観点から進めておるわけでありまして、今お話のように何か教員定数を減らすということを目標にしてやっておるということはございません。これは純粋に文部省の施策なのでございます。
  18. 辻原弘市

    ○辻原委員 私もこの問題について文部省の状況をいろいろ漏れ承わるのでありますが、今お話を承わりますと町村合併あるいは新町村建設という、そういった今の地方の動きに即応した統合であるというふうに考えるのでありますが、そういうふうにはっきり割り切られておるのか。それとも教育的にやはり統合を推進していかなければならぬ。従って小中学の統合という形が一応終ればあるいは高等学校ないしは大学こういう形に即応して及ぼしていかれるような、そういう全体の体系の中でこれを考えられておるのか、その点についてやや疑問がありますので、義務教育の面、いわゆる新町村建設という面にくつついた学校統合をやるという形だけでやるのか、さらにそれを上位の学校に及ぼしていくのか、この点だけ一つ承わりたい。
  19. 緒方信一

    ○緒方説明員 これは新町村建設、町村合併の観点だけかとおっしゃいますと、そうでないと申し上げなければならないのであります。小規模学校というものの教育的の観点から見まして、非常に不効率、能率的でありませんから、これを教育的観点から見まして適正の規模に持っていきたい、こういう根本的の考え方がございます。しかしこれはあくまでも公立小中学校の問題でありまして、高等学校以上の問題につきましては考えておりません。その意味におきましては新町村建設とからみ合う問題であります。  なお高等学校の問題につきましては定時制の分校の統配合の問題等がいろいろございますが、これは別の問題として考えなければならないと考えておるのでありまして、先ほど会計課長からも説明いたしましたように、その面に対します財政的な力を強化していきたい、かように考えております。
  20. 辻原弘市

    ○辻原委員 でき得べくんば、今お答えなさったような形のものが中教審に諮問されたんだろうと思いまするから、中教審に諮問された、そういった材料がありましたら、一つ委員会に御提示を願いたいと思います。  それから次に管理局長に伺いますが、今初中局の方で町村合併に基く学校統廃合の問題に対する方針を近く確定されるような話でありますが、そういたしますと、問題はやはり施設に対する助成でありますが、これはたしか当委員会でこの問題を取り上げまして、地方が自主的に統合を決定してやるという場合においては、積極的に国も援助すべきである、こういうことを議決したことがありましたが、本年度三億の予算でもってやった結果、おそらく不十分であったように思いますが、それについて大体もう結果が出てると思いますので、簡単に現況を、どの程度の規模があってどの程度の助成が行われたか、さらに本年度実施計画として先ほどの予算説明の中ではこまかくわかりませんが、概略どういう計画を持たれておるか、これをちょっと承わっておきたい。
  21. 小林行雄

    小林説明員 町村合併に伴う学校統合の予算は、ただいまお話のございましたように、今年度初めてとれたわけでございますが、予算額は三億でございまして実施の予定坪数は大体一万七千坪でございます。これは各府県に平等に割ったといたしますと、大体一府県三百坪程度という計算になるわけでございます。これに対しまして、実は私どもは予算坪数が少いものでありますので、各府県からの申請を相当しぼったのでございますが、それでも五倍程度の申請が出ております。もしこれをしぼらなければ十倍以上にも申請があったのじゃないかというふうに考えております。現在この学校統合の予算は各府県とも大体配分を終っておりますが、学校数にして大体五十校程度のものに配分されておるようでございます。今年度予算実施状況はそういった状況でございますので、来年度についてはこの学校統合に関する予算は、特に重点を置いて大蔵省と折衝いたしたいと考えております。大体本年度予算が三億と申しますと、私どもの一応の計算からいたしますと、大体十四分の一程度のものでございますので、これでは今後本年度のままで行きますと十四年もかかるということになるわけでございます。私どもといたしましては、できればこれを今後三年間のうちと完全に実施をしたいというので、残りの予定坪数約二十五万坪の三分の一を大蔵省要求することにいたしておるわけでございます。
  22. 辻原弘市

    ○辻原委員 町村合併促進法を作って、地方にほんとうに町村合併に国が助成をするということを具体的に現わしたのは、おそらく私はこの文部省の統合予算くらいであろうと思います。その他いろいろ起債関係等の援助があるようでございますけれども、実際目に立って国が地方の合併に対して協力をしたという例は、この予算一つだと私は申し上げても差しつかえないと思う。この予算のありがたみは地方は感じておると思います。ただ問題は、この予算のみに限らず、その他の施設助成を全般的に見た場合に、やはり地方負担が非常に増大しておるという傾向です。この点について十分一つ思いをめぐらしていただきたい。私は特に今年文部当局にも、また近く予算が確定した後においては国会においても、そういう点を強調いたしたいと思うのでありますけれども、坪数を確保して多くをやるという方針まことにけっこうでありますが、それを急ぐあまりに置き捨てられて、結局地方では補助があるから建設をしたい、しかしもらったところが地方負担が非常にかさんできて、耐えられない新たな赤字の原因を生んでおる、こういう結果が出ておることを局長もよく御存じだろうと思いますので一つ。——幸いに対象はゼロから出発をいたしておるようでありますから、その点についてはこれは非常に画期的だと思う。  さらに今年度重点として考えて、大蔵当局とも、十分なる折衝を遂げていただきたい点は単価の問題なのであります。御承知のように昨年からの鉄資材の値上りは目ざましいものがあって、株式その他を見ましても一目瞭然でありますように、約三割ないし四割、ひどいものになると五割方上っておる。本年配分されましたものを見ますると、予算単価五万七千、実際地方に鉄筋校舎等でやった場合には五万五千ないし五万四千程度で配分せられていると思いますが、ところが事実上現在請負契約を済ましたものを見ますると大体六万ないし六万五千、少しかさむものになりますと約七万程度、こういうのが一般の傾向だと思います。そうしますると認証は、坪数において相当量のものを見ましても、単価の面における切り捨てが非常に多い、その方だけはこれは助成もなく、起債の対象にもならない、純町村の負担ということになる、ここに私は非常に重要な問題があると思います。本年度下半期等において鉄鋼資材の値下りが予想されるならば、これはけっこうでありますけれども、今の場合ちょっと予想されがたいので、本年度予算については昨年一昨年とは相当傾向が違うということはすでに御認識だと思いますので、多くは申し上げませんが、この点は十分考慮を願って、資材の値上りに見合う単価補正を御考慮いただきたい。三十二年度予算はこれは当然のことでありますが、すでに配分をした本年度予算についても何らかの臨時的措置でも講じなければちょっと追っつかない町村が出るのじゃないか。これをおそらく行政上の立場から見れば、予算が少いんだからそのためにやれないところはやらぬでもいいじゃないが、こういう議論になると思いますが、しかしやらなければならぬというところはそれはどうしてもやらなければならぬということになる。それは金があるからやるということじゃない、必要欠くべからざるものとしてやるということでありますから、そういう一行政上の冷たい観点を出されないで、との点についての補正措置、これを一つ考慮願いたいと思いますが、いかがなものでしょうか、何か方法をお考えになっておられるか、お伺いいたします。
  23. 小林行雄

    小林説明員 前段の地方負担の増大、設置者の負担が増大するということに関連いたしまして補助予算の充足率の問題がございますが、従来は御承知のように市町村で予定いたしました工事に対しまして四〇%あるいは五〇%程度の補助しかなしてないというような事例もございまして、そのために設置者の負担が非常に大きくなるということもあって、これが批判されておったのでございます。今年度につきましてはこれをできるだけ引き上げまして、原則として八〇%を目標にするようにしてもらいたいということで、府県に指示をいたしておるのであります。場合によっては多少それを割っておる府県もあるかと思いますけれども、大体充足率は高まっておると思うのでありましてこの点につきましては明年度以降もできるだけそういった線に沿っていきたいと思っております。なお後段の鉄鋼の値段の増高に伴う鉄筋あるいは鉄骨校舎の建築難という問題でございますが、確かに一部では最近非常に値上りのために請負が困難になっておるというような話もございます。しかしまた他面一部の府県では現在なお、現在の予算単価を下回って低い単価で工事が進行しておるというようなものもございます。従って請負工事の値段が非常にアンバランスな状況であります。私どももこの点は心配をいたしておりまして先般も各府県の、その方の学校建築の主管の課長に集まってもらいまして、最近の建築状況についていろいろ意見を聞いたのでありますが、現在ではまだそれほど府県の主管課長としては強い要望ではないようでございます。しかし文部省といたしましては今後も十分状況の推移を注目いたしまして、もし必要があれば何らかの対策を講じたいと思っております。単価の引き上げというようなことは、これは文部省だけでなしに、関係の各省がございますので、なかなか困難かと思いますが、いずれにいたしましても何らかの対策を講じたいと思っております。
  24. 辻原弘市

    ○辻原委員 その点はやや私と局長の認識が違うようであります。またこの間何か二十五日、六日に課長会議を開かれたようでありますが、課長さん方の意向とも若干違うようであります。おそらく実際の町村の工事施行者を集めて意見を徴すれば私のような意見になるかと思います。それは先ほど私が申しましたように、やはり行政をやられる立場に立たれると、むしろやはり非常に希望が多いために、でき得べくんば坪数が多い方がよい、あと単価の問題、これは町村の問題なのであります。従ってどうもその点の意見を強調するよりも、多々ますます弁ずで、坪数を確保していく、充足率を高めるということに重点が置かれるのが人情の常ではないか、こういうふうに局長の答弁を拝察したわけであります。やはり実際は確かにアンバランスは多少あるかと思います。私も若干調査をいたしましたが、アンバランスはあると思います。しかし目ざましい値上り傾向はこれは否定し得ません、請負の仕事はいろいろ方法がありますから、必ずしも適正な時価によって請負契約が結ばれておるとは考えられません、地元請負もあれば、いろいろの傾向があると思いますが、しかし大体において今まではあまり問題にならなかった資材の値上りということにおいてのいわゆる契約変更あるいは請負契約の不成立、こういうことが頻発しておるという現状は、これは全国的におそらく今びまんしておるだろうと思います。そういう点からおそらく私はこれは実際建築に入る時期には相当声が上ってくるのじゃないか、しかしどちらをとろうかということで非常にこれは地方としても、また文部省としても悩まれる点だろうと思います。ウエートの置きにくい点であると思いますけれども、やはり私は今の地方財政の現況、それと先ほど申し上げましたように、せっかく政策として統合を推進する以上、そのために新たな赤字を追加するような施策は厳に慎しむということが私は正しいのじゃないか、そういう観点で単価補正を考えていただきたいと思いますが、まだまだその時期にあらずということではややこの点のテンポがおそいように見受けられますので、一つ再検討をお願いいたしておきたいと思います。  町村合併に関する問題は以上にとどめまして、次に初中局長に別の問題でお伺いをいたしておきたいと思います。それは昨日高津委員がちょっと触れられましたが、教育委員の選任の問題であります。これもむしろ方針として大臣に承わった方がいいのでありますけれども、今ちょうどここ二、三日でほぼ全国的な選任が完了するようでありますが、その過程で起きた問題の一つは、これは自民党が何か幹事長、それから文教の責任者名で出しました通牒からかもし出されたものであります。いま一つは、文部省が、通牒ではなかったようでありますが、通知ですか、国立大学、いわゆる国家公務員である教職員については兼職は好ましくないというような通知、この点で地方での選任に相当影響を来たしておるようであります。前者の問題は、局長にお伺いしてもあずかり知らぬところだろうと思いますので、大臣に承わりたいと思いますが、そのあとの国立大学の教授の兼職は好ましくないというのですか、これは許可しないというのですか、これについて若干お伺いしたいのです。これはそういう質問があったので回答されたということでありますが、どういう観点で、なぜいけないのかということを一つお知らせを願いたいと思います。
  25. 緒方信一

    ○緒方説明員 これはただいまお話のように、岡山市の教育委員といたしまして岡山大学先生を任命することについて問題が起ったわけでありまして、文部省といたしましてその間い合せに対しまして、その場合におきましてその大学の教授としての職務に専念するためには、教育委員を兼ねることは好ましくないという考え方を示したのであります。そのことを参考といたしまして各大学に通知をいたした、それが今のお話の問題であろうと思います。これは本質におきまして、国家公務員につきましては、その兼任の場合には国家公務員法に基きまして任命権者がそれぞれ規制をいたすことになっております。許可をすれば法律上は任命できるのでございますけれども、しかし大学教授の職責からいたしまして、実際に教育行政事務の執行機関でありまする教育委員会の委員といたしましては、それを兼ねることは好ましくない、こういう観点でそういうふうな通知をいたしたのであります。
  26. 辻原弘市

    ○辻原委員 これは一般的に許可しないという、そういう意味合いでの通知なんですか。というのは、今お話のごとく、われわれの理解としては法律教職員の場合には国家公務員法の特例法ですか、あれによって所轄庁の許可を受ければ兼職してよい、兼職してならない職務を除いて、差しつかえない場合には所轄庁が許可をするということになっておりますが、従来やられておった例を見ると、これは個々にやっておるようであります。全般的に禁止をする必要があるならば、これは法律上の措置を伴う。しかも新教委法はようやく二十四国会で成立したばかりで、相当不要な項目まで入れて膨大なものになっております。もし必要とあらば、なぜ新教委法の中で措置をしなかったかという疑問が起ります。その中に法的措置をとっておらないから、これは一般的に禁止するのではなしに、個々に法律に準拠して一々のケースについて許可あるいは不許可をきめておる、こういうように理解しておる。おそらく実際選任する地方の側においても、そういう理解であったのではないかと思う。それを通知という形で一般的に禁止されたような傾向がありますが、そう理解していいのですか。
  27. 緒方信一

    ○緒方説明員 お話のように国家公務員につきましては、それぞれの任命権者の判断にまかせておるわけでありますから、何も大学教授だけの問題ではございませんで、国家公務員として地方に働いておるいろいろな種類の国家公務員がありますから、それを任命権者である道都府県あるいは市町村の長が任命しようとする場合には、それぞれの任命権者の許可が要る、こういうことに相なるわけであります。そこで大学教授につきましては、先ほど申しましたように、文部省としましては、文部省が任命いたしますから、任命権者としての立場からいたしまして大学教授の職責に専念をしてもらうためには、この際教育委員を兼ねることは好ましくない、こういうことを岡山に対して申しました。そしてこれはやはりいろいろほかの大学でも問題がありましようから、その意向をほかの大学にも一応通知をしたというのが、今の通知の問題でございます。従いまして、これは許可を受けようとする場合には個々に出て参ります。しかし文部省の態度としましては、今申しましたような好ましくないという態度で臨む、こういうことでございます。
  28. 辻原弘市

    ○辻原委員 態度として好ましくないというのは一般的ですね。そういう態度を文部省が持っておるならば、地方では選任を差し控えるということは当りまえです。従ってどなたが非常に教育委員に適任であり、しかも業務上そうさした支障もないと考えておろうが、それは問題じゃなしに、ともかく甲、乙、丙、丁、いずれもが国立学校教職員である以上は全般的に不許可の方針なんだ、こういう取扱いですね。それはおかしいというのです。それならばその他のこれと同じような非常勤の委員についても、同一の方針をとっていなければならないが、事教育委員にだけそういうような通知を出されて、不許可方針をとっておるということについては、何らかへんぱな取扱いのように考えられる。労働委員等については相当有能な大学教授が兼任をして、しかも実績を上げております。こういう点はなぜ教育委員だけそういうふうに限定されたか。もちろん教育という非常にボリュームのある仕事でありますから、常識的にはわかるのでありますけれども、しかしそれは個々に検討すれば解決のつく問題です。かりにその個人の仕事が忙しくっても、その人がより有能であり、より能率的な人であるならば、兼任することも可能でしよう。そういうことは一つ一つのケースを調べてみなければわからない、それを最初からシャット・アウトするということは、これは何かの考え方があるとこういうふうに見られてもいたし方のない事柄だと私は思う。この点についてはどうでしょうか。
  29. 緒方信一

    ○緒方説明員 何かの考え方はこれは全然ございません。先ほどから申しますように、大学教授としての職責に専念するために——やはり今お話の点もございましたように、教育委員会の委員といたしましては、相当仕事の内容がボリュームもございますし、具体的な執行機関の職責でございますから、大学教授としての職責に専念してもらうという意味からいたしまして好ましくないということであります。そのほかの意味は全然ございません。
  30. 辻原弘市

    ○辻原委員 新教委法に基く委員の選任ということについてあなた方がこういう利点があると特にやかましく言われたのは、広く人材がどういう方面からでも得られるからです、それだから公選よりもその方がいいのだというようなことを言われる。ところがそういうことを言われながらに、片方においてやはり地方では大学の教授というような立場は比較的これは純粋な立場で、政治的にもあるいは社会的にも一応認められておる人たちです。そういう人たちをシャット・アウトして、そうしてそれ以外から選任をしなさいということは、それ自体すでに人材を網羅するというあなた方の提案趣旨の新教委法の考え方にももとっておるように思う。理屈をこねれば、大学先生は非常に忙しい、学問に専念をしなくちゃならぬ、教育委員も非常に忙しい、しかし忙しいからという事柄を全部に推して、それじゃいかぬということならば、労働委員だって同じようなことが言えます。労働委員の最近の仕事のボリュームというものは——地域にもよりますけれども、都会地の労働委員なんというのは非常に激務であります。むしろ教育委員方よりもある時期における時間的なことから言えば、夜を徹して調停に当らなければならぬ、あるいは労使の間を歴訪してそれの解決に尽力をせなければならぬ、その仕事のボリューム、精神的な労苦というものは、私は教育委員に決して劣るものではないと思う。それを片方においては問題にしないで許可しておいて、一方においてこれだけを禁止するということは、どうも非常に仕事のボリュームが多いからということの理由だけでは、これはうなずけません。しかしこれは水かけ論になります。しかしそういうことが必要であるならば、あなた方が法的措置をとればよろしい。法律で、国民の批判、国会における審議を待たないで、全般的に及ぼすような事柄を一片の通牒で事実上シャット・アウトしてしまうというのは、私は行政措置として行き過ぎであるように思います。何か方法考えるべきじゃないか。  それからもう一つは、東京ですでに発足しおりますが、季さんが、たしかこれは該当する国家公務員の教職員だろうと思いますが、この人については許可をされました。許可をされたから委員に選任されたんだろうと思うのですが、あなた方のそういう態度であるならば、この人も当然不許可にならなければならぬはずなんだけれども、許可をされているのはどういう考え方ですか。
  31. 緒方信一

    ○緒方説明員 その広く人材を求めるという要請が一つございます。しかしまた一面任命権者としての文部大臣の立場から判断するという立場も一つあると思います。それは両方勘案して運営していくべきものであろうと考えております。  それからなお、これは先ほど申しましたように、大学教授だけではございません。国家公務員いろいろございますが、中にはその任命権者の判断からいたしまして、そういう任命があった場合に許可をするということもあり得ると思います。これは法律措置の問題とは関係ないと思います。  それからなお、お尋ねの東京の教育委員に任命されました木下学芸大学学長の問題でございますが、これは近く任期が参りまして、これはそれが前提になって許可をしました。
  32. 辻原弘市

    ○辻原委員 最後に一言局長に申し上げておきますが、今大臣が見えられましたので、大臣に伺ってもいいのでありますけれども、木下さんはまことにりっぱな人でありますから、私は選任されたことについては何ら問題はないと思う。しかしながら選任をすることが好ましくないという一般法則を立てられた通牒を流しておきながら、やはり大臣の権限にあるんだから、その裁量の余地があるというようなことになれば、それは選り食いですよ。この人ならば気づかいないだろう、自分の気にかなった人だけは選任をして、それ以外のものは一般原則で締め出すというようなことに運用されるんです。それは現実にそういうことがあったというんではありません。しかし一例としてすでに——全部いかぬということならば、いい悪いという論争の問題になる。ところがいけませんぞと言っておきながら、最も手近なところでちゃんと選任してある。任期が切れるかどうかは将来の問題なんです。今現実の問題で、やはり判断すべきです。そういうことになれば、教育行政というものは間に合せだということになりますよ。かりに一カ月だろうが二カ月だろうが、仕事にたえられないということならば、学芸大学学長のお仕事が、その間留守だという議論になるわけです。あなた方の立論から言いますならば、それをおやめなさってから別個に選任されますのならばけっこうです。しかしそうではなくして、現実にその職にあるときにやっておりますから、すでに一般原則は破っておる。それならばそういうふうに全国的に、やはり岡山県でこういうりっぱな人が推薦されたならば、その人の仕事の分量、岡山県の実情等に立って検討して、許可、不許可をきめるべきであると私は言うのです。これは通牒でありますから何らの拘束力を持ちません。しかし所轄庁としてのあなた方の権限がございますので、その権限を行使される場合には、一つ今申し上げたようなことも考慮されて選り食いをしたりあるいは全部シャット・アウトしたりするというふうな、そういう行政上行き過ぎたことのないように、一つこの点はおやりをいただきたい。ちょうど今時期であります。しかもその問題でひっかかっておる県が一、二あるように私も聞いております。十分考慮を願っておきたいと思います。
  33. 緒方信一

    ○緒方説明員 先ほど私木下学長について申し上げました説明が、不十分だったかと存じますので、さらに補足して申し上げますと、木下学長は任期がたしか十月の二十日までだと思います。そこでもう御自身お出にならないわけでありますから、任期がそこで切れます。そこで今わずかの期間でもというお話でございますけれども、しかし一般的な態度として、先ほど申しました問題と、今の二十日間という問題は、これは質的に違う問題であると思います。その点だけつけ加えて御説明を申し上げます。
  34. 辻原弘市

    ○辻原委員 文部大臣が見えられましたので、本論に帰りまして、この機会に最近非常に問題になっておりますし、われわれもどうも文部当局の態度にいささか不審な点もありますから、お伺いをいたしておきたいのでありますが、それは不良映画等に対する文部省の取扱い態度、また今後の指導方針であります。俗にいわれる太陽族映画「太陽の季節」を契機にいたしまして、あるいは「暴力教室」とかその他類似の映画が市中に公々然として上映されております。まあ映画館のわきにはちょっぴり小さい札で、何か未成年者の入場を禁止するというようなことかかかっておりますが、事実上大した効果はございません。こういうことかり非常に世論に問題を提起いたしまして、言論機関とかあるいは関係団体、こういうところからの文部当局に対する批判の声が上っておりますし、同時にまた映画製作者に対する痛烈な反省を求むる声も上っておるようであります。同時に現在これらの映画の審査を取り扱っておるといいますか、映画一つの道徳的な基準を取り扱っている映画倫理規程管理委員会に対する手きびしい声もわれわれは聞くのであります。これらの問題をめぐって、いろいろ文部省の方でも検討せられておるようでありますが、どうもはっきりした態度が見えないのであります。そこで私は端的に伺いたいのでありますが、こういう一連映画について、大臣はいかに考えられておるか、この点をまず伺っておきたい。
  35. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 今辻原君より御提出の問題は、青少年教育上実に重大な問題でございます。それゆえに文部省といたしましても、いかにこれを扱うか研究を進めております。御承知の通り、戦後の文部行政は、かような重大な問題については独断することなく、審議会等の議を経て決しておるのでございます。これに関係しております審議会は、わが文部省に社会教育審議会の中で、青少年の分科会というのがあります。それから内閣における青少年問題協議会もございます。これは法律によるものであって、その中には国会議員も入っていらっしゃるし、教育家も入っていらっしゃる。ここに御列席の委員も入っていらっしゃるのであります。この二つの機関で今対策を審議研究いたしておるのであります。前者すなわち文部省内の社会教育審議会は分科会を設け審議された結果、本年の八月三十一日に一つの答申を受けております。皆さんの御審議の参考としてごらん下さるならば、差し出してよろしいのでございます。長文でありますから、これを朗読すると、ちょっと時間がかかりますけれども、三段に分けて、一段はまず優秀な、よりいい映画を作成して不良なものを競争場より駆逐するという考え一つであります。第二は不良映画の未成年者に対する観覧を制限する、この制限も一足飛びに法律というのではなくして、第一には民間における国民運動、第二は優秀な映画については保護を与える、あるいは免税の保護を与えるとか、児童映画館を作ってその方を見せる、それから第三に調査の上立法の措置もとる、こういう三段に分けております。終りに積極的対策として青少年の教養、娯楽、リクリエーションの向上をはかる、こういうふうなきわめて念を足したいい答申が出ておりまするから、これは尊重いたしたいと思っております。内閣の方の審議会は過日ほぼこれと似たような案を——だれか原案者であったか知りませんが、これに基いて意見がかわされたと聞いております。それについてはいまだ結論を得ずして、なお引き続いて調査するということの報告を得ておるのでございます。  今の御質問の最後は、私はどう考えるかということでありまするが、これは教育上重要な問題でありまするから、文部省、すなわち文部大臣の諮問機関としてお出しになった社会教育審議会の決議を尊重いたしたい、かように思っております。
  36. 辻原弘市

    ○辻原委員 文部省内における社会教育青少年分科審議会での結論は今承わりました。そこで私は先刻太陽族映画というふうに前提を置きましたが、私はもう少し映画全般について幅を広げて考えてその問題と取っ組んでみたいと思います。それは太陽族映画という形で銘打たれて世間に喧伝されましたので、その問題だけが、映画の及ぼす悪影響という点について非常に大きく取り上げられておりますけれども、私はそれ以外に特に義務教育関係の生徒児童に及ぼす影響としては、あるいはギャング映画、あるいは戦争まがいのちゃんばら映画というようなものも太陽族映画等の性的映画にまさるとも劣らぬ悪影響を与えておると思うのであります。従ってその対策については問題を二つに割って一つ考えをいただきたい。これは考え方としてはむずかしいのでありますけれども、一つ一般の大衆が映画を見るという場合に、それらの映画についてどういうふうにして文化性を高めていくかという問題、それからもう一つは、直接文部大臣とされまして毛やはり教育の主管大臣でありますから、いわゆる教育対象となっておる生徒、児童映画がいかなる影響を及ぼしているか、その悪影響をどういうふうに取り除いていくか、この二つに問題を限定して考えていただきたい。そういう立場から今の御方針を承わりますと、三つのうちで第一の優秀作品をどんどん作っていって、それによって不良を駆逐する、これはだれもが異論のないところでありましょう。しかし言うべくしてなかなかむずかしい、これができれば物事は簡単でありますが、言うべくして非常にむずかしいことであります。しかし考え方にはもちろん異議のあるはずはありません。第二番目の不良映画の未成年者に対する観覧の制限、これに私は具体的措置として後刻申し上げたいと思うのでありますが、いま少し端的に、しかも具体的に一つ措置をお考えになられてはどうかという意見をあとで申し上げたい。第三番目の立法措置ということでありますが、これは未成年者ということを対象にして立法措置をとりたいというのがお考えのように今まで聞いておるのでありますが、この立法措置について文部省内の審議会は一応答申をされた。それから聞くところによりますと、八月十四日に閣議においてもそういう問題が爼上に上ったとかいう話でありますが、その話を聞いてもやはり何か立法措置、さらにその立法の幅を広げて映画法というようなものを作りたいというふうな話し合いが行われたということも聞いておるのでありますが、この立法措置ということについての閣議、それから審議会じゃなしに文部当局としてすでに正式な態度をきめておられるのかどうか、この点を一つ承わりたいと思います。もしその立法措置ということになれば、大体どういうような範囲、内容を持つのか、これも承わりたいと思います。
  37. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 閣議で映画法を作ろうということのあったという報道は誤報であります。間違いであります。そんなことは言ったこともなし、決定されたこともございません。しかしながら今説明いたしましたように、文部省内の青少年の審議会においては最後の手段として不良映画に対しては積極的に立法措置をも講ずることということをわれわれの諮問に対して答申されております。これは答申の順序から言えば、やはり国民運動が第一で、第二には優秀映画の奨励、第三の方法として推奨されておるのであります。先刻もお答え申し上げました通り、この答申は尊重したいと私は思っております。しかしながら内閣における他の審議会が今審議中でございまするから、私も閣僚の一人としてその答申を待っております。しかし質疑応答が重複せぬように申し上ぐれば、わが国では憲法に検閲は禁止せられております。これはほかの規定と違って絶対禁止であります。ゆえに法律を作るとしても検閲法は作らないということは、私ここで明言いたしておきます。目的は教育目的で、観覧の側の検閲といえば映画自身を審査する、観覧の側における学校教育程度とか青年の年令とか、そういうことの方の制限に進むのじゃないか、かように思っております。
  38. 辻原弘市

    ○辻原委員 非常に考え方の大事な点でありますので、今の大臣のお考えによれば、一般的に映画を検閲するというようなことを、戦前に行われた検閲制度、こういうものは憲法上絶対やらない、もし審議会が答申をした線に沿って立法措置をするならば、教育上の観点でいわゆる観覧者を制限するというような形の立法に進むのではないか、こういうふうに今お答えになられたのですが、そういうふうに承わってよろしいでしょうか。
  39. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 おおむねそれでいいと思っております。教育目的のためにということが一つ。それから対象たる者は、青少年、学童、こういうことになるのであります。この制限をする機関については、あるいは教育委員会にまかす場合もありましようし、今までの各府県の条例は、知事がきめておる場合もあるのですね。知事がきめる場合は県会に響くことと思います。あるいは学校長ということもありましようし、このごろはPTAというような会もあります。おもに教育系統の人が、また機関がそのエレメントになって作業をする、こういうふうに私は考えておるのです。しかしながら、これは先のことですから、その通りにするという公約じゃございませんけれども、率直にお答えする方がいいと思って申し上げておるのであります。
  40. 辻原弘市

    ○辻原委員 検閲制度を復活しない、これは当然のことであります。しかし世上どうも映画法だのあるいは立法措置、相当な強制措置をとるということが誤解をせられて、またぞろ戦前のように文化に対する統制を加えるのではないかというような声が起っておりますが、本日の大臣のお答えによりましてその点ははっきりいたしました。われわれも検閲制度、いわゆる文化に制限を加える意味の立法措置には全く反対でありまするし、大臣。お考えに、その点に関する限りは賛成であります。  そこで、次の教育上の観点の問題でありますが、これも今承われば、法律上の措置によられようとしております。この点は、法律上の措置以前にもう少し積極的な手を打たれる必要がある、社会局長がおられますが、決して責めておるのではありませんので、非常にむずかしい問題ですから、寄ってたかっていい知恵を出して、国民児童の環境からそういう不良環境をなくしていくことに努めなければならぬとかねがね思っている一員です。その立場において、ただ観覧を禁止するということだけでは——これは私どもの小さい時分の経験から見ますと、どうも禁止せられれば見たくなるというのが子供心にもありますから、そういう子供の心を満足させる——昔の教育映画というようなものではなしに、もっと高い文化性を持った映画が、今の一般常設館においても、よく見れば中にあるのであります。いわゆる文化映画の範囲に入るか、劇映画との中間に位するか、それはわかりませんけれども、とにかくあることはあるのであります。そういうものに対する的確な取捨鑑別が行われ、そして児童生徒にそういうものを十分観覧させる機会を国として作らなければならぬ。今審議会の答申の中に、児童映画館の設置ということがありましたが、これはその答申だけでなしに、ほんとうに大臣おやりになるような心組みがあるかどうか、この点を一つ承わっておきたいと思います。  その前に、もう少し私の考え方を申し上げておきたいと思うのですが、今までのように野放しで、小さい一年生の子供から全部、だれも補導責任者がなしに場末の常設館で見させることは、これは教育上どう考えましても悪影響があります。そこで子供の興味をそらせるためには、やはりよい映画を、それもいわゆる勧善懲悪式の昔の教育映画では、これは子供に対する文化の与え方としては不十分だと思う。そういうことではなしに、幸い先ほど御説明いただいた予算の中にも、積極的に教育映画を何していこうという心組みが見られるのであります。教育映画というとどうもニュアンスがおもしろくないのでありますけれども、しかし教育映画と俗に言いますから、教育的な価値を持つ優秀映画、私はこういうふうに定義づけたいと思います。そういうものを一つ学校という教育環境の場、それぞれ学校でもう少し映画教育ということに頭を打ち込んでやっていけば、現在では決して常設館に劣らないだけの上映が私は可能だと思う。そういうことにして映画に対する子供たちの魅力をそこに十分集める。しかしそれだけではどうしても私は不十分であると思う。教育くさくなって子供にきらわれる傾向になっていく。そこで問題になるのは、今日市中でもニュース館等で、独立した常設館という形をもって相当の観客を集めている。こういうものにもう少し進んだ文化映画あるいは教育映画というものを加味して児童映画館というものがそれぞれのセンターとして作られるならば、子供たちの映画に対する興味とあわせて映画による教育、これを十分行い得るではないか。だから、いろいろ方針を並べるよりも、そういう積極的な具体策を一つここらで講じてみるお考えをはっきりお持ちになるかどうか、この点大臣の御方針でありますので、率直に一つ承わりたいと思います。
  41. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 今お問いの児童映画館は作るつもりでございます。それからまた教育映画を用いることもやるつもりであります。およそ人間の育成は直接の経験が一番よいのですね。失敗しても成功しても自分でやった経験が一番教育上よい。その次は見ることです。見ることといえば、絵画とか今の教科書のさし絵をたくさん使っておりますのもそれです。映画とか、その次に聞くことなんです。経験主義の学説ですでにきまっていることで、たれが考えてももっともであります。教育に動いておる絵、ムービー、映画を使わないということはないので、これも大いに使わせるつもりであります。今のお問いは二つであったと思います。二つともあなたのおっしゃることに大賛成であります。
  42. 辻原弘市

    ○辻原委員 そういたしますと、少し突っ込んで伺っておきたいのであります。先ほど大体三項目ありましたが、青少年に対する映画教育としてここにあげられているのは、会計課長説明によりますと、主として民間でやっておる映画の中でよいものを選んで買い上げるというふうな程度できわめて微々たるものであります。大臣から今やりますと非常にはっきりした答弁を伺って私もうれしいのでありますが、児童映画館をこの際やって、その環境の浄化と、いま一つ映画により教育のあれを高めたい、まさに私はけっこうだと思うのであります。ところが文部省の予算要求の中にそれは出ていないのですか、これは一体どういうことでしょうか。
  43. 内藤譽三郎

    ○内藤説明員 実は要求書の中には出ておりませんけれども、本年度ないし来年度事業といたしまして、先ほど会計課長が御説明申しました国立競技場の建築計画がございます。その競技場予算を一応十四億出しておりますが、その十四億の中には競技場施設のほかに、大体円形になっておりまして相当なスペースがございますので、その下のスペースを利用いたしまして児童映画館とかあるいはプールとか室内競技、そういうような子供のセンターにいたしたい、かように考えておりまして、一つモデル・ケースに中央で作ってみたい、非常に効果をあげますならば今後予算に計上いたしまして地方のセンターを助成して参りたいと考えております。
  44. 辻原弘市

    ○辻原委員 これはややこまかくなりますけれども、そういうものを国で大都会のどまん中にたった一つ建てるということよりも、むしろできれば地方にそういうものを持っていくという考え方にだんだん及ぼしてもらいたいということと、それから何も国だとか地方公共団体だけがそういうものを作るという考え方に立たなくてもいいと思います。これは映画はもうかるからどんどん常設館が立っていくのであります。今教育映画の会社はほとんどもうかっていない。いい映画を作ろうとしたってつぶれている現状です。そういう現状だからいい映画はできない。国際交流なども今はなかなかできませんよ。実際いい映画はできない。できないということは、つまり興味を持って見ないということです。それを子供がそういう施設を持って見ることになり、あるいは学校においてそれがどんどん活用されていわゆる一般のエロ・グロ映画から子供の目が遠ざかっていってそこへ集中するということになれば、私は企業的に製作者の目がそういうところに向いていくと思う。そうすると映画と同時に常設館の建設等についても、成人向きの一般常設館だけでなしに、児童のものだけをやっても採算がとれるということになれば、民間の自力で行われる傾向も生まれる、その一つの契機を国が作ってやる。それを文部省の社会教育の立場で指導していく、こういうふうな認識に立って私は何か手があると思います。その点で予算上の問題も考えてみれば、国でモデル・ケースを一つ東京のどまん中に作って、それが今度は私のいなかのようなところへできるまでには、考えてみると少々ひまがあるように思う。ところが映画の問題は、そうのんべんだらりとした問題じゃなしに、今何かの方策を立てなければならない。それを短兵急に手早に立法措置なんかでやろうとしたら、とんでもない方向に走ってしまうと思う。その点に相当重点をおいて、民間から買い上げるのもけっこうでありますけれども、何か子供たちの興味と関心がそこへ向けるような施設を作っていただくということも、当面のこれらの問題の施策の重点にお考えをいただきたいと思います。それと並行的に、私は法的措置はいらないと思います。これはかつて義務教育教育管理の中に含まれる子供たちに対する映画の取扱いは、自主的に学校がやっておったと思います。これは法的な措置がなくてやれると思う。何かその点行政を行われる人も、また教育を直接担当される人も、考えれば法的措置はいらないと思います。先生が目を放して子供たちを野放しにしないでおくならば、学校独自ででも、常設館においてこういう映画を自由自在に見られるということによって補導は行える。あるいは教育委員会がそれを主管してやればできると思います。少くとも私は小学校の生徒児童について、今の比較的低俗な一般映画を見さしての教育的効果というものは感じません。従ってこれを制限するということについては私は賛成であります。しかしその制限を法的にやるとか、あるいはそれだけにしっぱなしにして子供たちの目をそこへ向けていこうというような形に放置しておいては重大な問題になる。それを並行的におやりなさるような方策をこの際にとっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それから次に、別な点でありますが、文部省なりあるいは厚生省なり、また内閣の方の動きが、どうも法的措置ということに動き出しておるというような傾向を受けて、これも聞くところによると、有力映画会社等においては、それを避けるために自主的な——何といいますか現在の倫理規程管理委員会の機構を強化して、それに対抗しようというような動きがあるやに私は聞いておるのでありますが、この点は大臣でなくてけっこうでありますが、社会教育局長はそれらの動きをどういうふうに判断しておられるか、またその倫理規程管理委員会についてどういうふうに考えられておられるか、この点を承わっておきたい。  それからもう一つは、今まで文部省は推薦映画というものをたびたびやりましたが、どうも推薦映画というものはあまりぱっとしない。もう一つ毒舌を振わしていただければ、文部省でずいぶん芸術祭をやっておりますね。この芸術祭というものはあまり成功しているように思われない。何か間延びしているように私は感ずるのです。もう少しこういう点について改善する余地があるように思う。時間がありませんので具体的に申し上げることを避けますけれども、これは賢明な内藤局長はすでに感じられておるはずでありますが、これらについて一つこの機会に意見を承わっておきたい。
  45. 内藤譽三郎

    ○内藤説明員 先ほどの児童映画館は、一つというわけじゃございませんで、私の方では全国に五百カ所の映画のセンターがございますので、そのセンターを利用いたしまして優秀映画を来年度予算で買い上げまして、センターを中心に各学校に回して、映画館へいかなくても十分優秀映画が見れるような予算要求をしております。これは形の上では児童映画館とはなっておりませんけれども、実質的には児童のための映画鑑賞機会になると思うのであります。その予算要求しておりますので、よろしくお願いいたします。  それからただいまの映倫の問題でございますが、映倫の改組が実は先月の十五日に、五社長会議で一応決定を見たのでございますが、従来は映画会社五社が関係しております映連というものがございました。この映連の方の各会社から資金が出ておりまして、その他審査料等を合せまして映画倫理規程管理委員会の運営をしておるわけです。しかしどうもそれだと映画会社のひもつきだという非難もございますので、去る八月十五日の五社長会議では全部白紙に戻しまして、これを民間人をもって充てるという線を打ち出したのでありますが、あと財源をどうするかという点につきましては、まだ詳細にきまってないようでございます。もちろん審査料等を徴集しなければならぬと思うのですが、その分と、それからどういう顔ぶれをもってこの五人の委員会を組織するか、あるいはどういう方が委員長になるのか、こういう点についてはまだきまってないようであります。文部省といたしましては、この映倫の自主的な改組によりまして業界の自粛が一そう強化され徹底されることを期待しているわけでありますしが、現在のところその実施がおくれておるようでございまして、先般マス・コミ臨時懇談会の方から映倫に対してその実現方についての回答を求めたということを聞いておりますが、その点は私どももその後の結果については同っておりません。一方興業者側の方からは、そういう不良映画については上映を拒否するから、こういう立法措置を講じないでほしいという希望も出ておるようでありますが、私どもの最近までの調べによりますと、大体一連の太陽族映画に入っているのは主として青少年でございまして、十八歳未満が約六〇%入っているそうでございます。そのうち大部分が学割を使って入っておる。ですから実際御遠慮下さいといっても、その効果が上ってないように見受けられるのであります。一応一段落したかに見えましたが、最近また「日蝕の夏」とか「夏の嵐」というような映画が出て参っておるのでありまして、私どもとしてはあまり好ましくない傾向ではなかろうかと感じておるのであります。もちろん業界の自粛を希望いたすものでありますが、やはり成人向き映画というものが何本かあると思うのでありまして、こういう映画をどうするか、もう一つ最近外国から輸入されたもので「日本かく戦えり」とか、あるいは「アリスのような町」とかいうようなものが問題になっております。これもやはり青少年に見せるのはあまり好ましくない映画ではなかろうか。それから一番手を焼いているのは産児制限というような名目でエロ・グロの映画、これは映倫の審査を受けてないのが相当あるのであります。こういうものをどうしたらいいかというのが今の問題点でございます。それからお話しのように法的措置だけで片づくとは考えておりません。もちろん補導の面において、あるいは指導の面において、優秀映画の面において、いろいろな面からこの問題の解決をしなければならぬのですけれども、現状においては、審議会の答申もございますし、今申しましたような問題を処理するためには何らか強力な措置が必要ではなかろうかと考えておるのであります。  それから最後に芸術祭のお話が出ましたのですが、芸術祭というのは結局終戦直後に始まりまして、広く一般国民に優秀な芸術を観賞する機会を与えたいというのが一つのねらいでございます。もう一つ日本の芸術というものが高いかおりを持つように芸術の創造性を高めようというので、毎年やっている行事でございまして、この部門が最近は非常に広まりまして、演劇から音楽から舞踊から、あるいは放送、テレビ、レコード、大衆芸能、映画とか、あらゆる部門に広まって参っております。しかし国民の各階届を通しまして、予算は非常に少いのでございますが、文部省が直接やっているというわけではなくて、芸術祭執行委員会という組織を設けまして、予算は文部省の方から出しますけれども、今のところ相当な成果を上げていると思います。もちろんお話のように改善すべき息は大いにあると思いますが、ことしは特に演劇関係重点を置きまして、創作劇のコンクールを三つほど出しております。それから地方演劇音楽地方巡回をいたしまして、東京でやった芸術祭を地方でも観賞する機会を与えたいというふうに考えておるのであります。ともかく一番の大きなねらいは、わが国の芸術界がその時期を所って競って、新しい文化の創造発展に寄与するような芸術を作られ、しかもこれを安く観賞の機会を与えてもらうという点にあるのですが、このあとの安く観賞の機会というような点が税金その他で効果を上げておりませんけれども、今後一そう努力いたしましていい芸術を安く国民大衆に観賞の機会を与えるようにして参りたいと考えております。
  46. 辻原弘市

    ○辻原委員 最後に一つ。だんだん承わりまして、具体的な方向でもとられる点、われわれも賛成いたすべき点もありますが、この点はけっこうだと思います。大臣が述べられましたように、教育上管理しなければならぬ点については十分必要な措置、また教育的観点で積極的な手を打っていただくのですが、たとえば太陽族映画であろうとも、一般成人が見る場合にはそれぞれの観賞なり、批判というものがそこにあるわけですから、それを大衆の批判に仰がないまでの強力な措置、いわゆる検閲ということでなくても、審議会を設けてそこに強力な映画に対する一つの審査規程を設けるということは、やはり文化を高めるという意味から申せばこれはあまり良策ではないと私は思う。こういう点については一つその部面に関する限りは慎重に、急がれないで——一般の大衆が見る映画というものについてはできる限り私はオープンにすべきであると思う。その批判の中からいいものを生んでいく、こういう一つの価値の創造に御努力願いたい。教育上の問題とごっちゃにして考えるとそこに何もかも一緒にして強制するというような格好になって、文化性を高めるという文部省一面の仕事がそれによってそこなわれる結果を引き起しますので、この点を重々大臣においても政策の上で配慮をしていただきたいと思います。  以上で私の質問は終了いたしました。
  47. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 小牧次生君。
  48. 小牧次生

    ○小牧委員 大臣に簡単にお伺いいたしたいと思います。聞くところによりますと、来月中旬でございますか、全国校長会議をお開きになるという話でございますが、どういうお考えで校長会議をお開きになるのか。終戦以来まだ一回もそういう例を聞いておりませんが、今回初めて全国の校長会議を開く、しかもなお新しい教育委員会法が来月の一日から実施されるというこの段階におきまして、そういった計画を持たれるというのはいろいろな意味において非常に重要な関心事たるを失わないと考えますので、まずその点をお伺いしてみたいと思います。
  49. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 小牧さん御承知のように、わが国において学校長の任務は非常に広大でございます。学校教育法には、校務を統括して所属職員を監督するとのみございますけれども、各種の法規をずっと通覧いたしてみますと、非常に大きな権限を持っております。この間できました地方教育行政の組織及び運営に関する法律でございましても、所属教員の進退に関して意見を委員会に申し出るということも過日作ったような次第でございます。また学校施設一般者をして利用せしめるように同意するのには、やはりこれは校長の意見による、学校の始業の時間、終業の時間も校長できめる、あるいは児童の課業終了を認定して卒業の証書を与えるとか、児童に懲戒を加えるとか、これも教育の規模の中心といってもいいのでございます。過日地方教育の行政組織並びに運営の規則も一新たにできましたことでありますし、それからまた今日この院内においてもそうでありますが、世間においてもわが国の教育の傾向——世間で新教育とは言いますが、私はこの言葉はあまり感心しませんけれども、新たなる教育の方針についてもいろいろ異論のあるところであります。この際かくのごとき重要なる人にお集まりを願って、行政上のわれわれの見解なりあるいはまた校長相互の間で研究されたことの意見交換なり、さようなことをいたすことは日本教育のために非常にいいことと考えまして、これを発起しております。
  50. 小牧次生

    ○小牧委員 重ねてお伺いいたしますが、どういう基準でどの程度の校長を各県から集めるというお考えでございますか。
  51. 緒方信一

    ○緒方説明員 ただいま大臣から御説明がありましたように、学校の運営管理の責任者であります校長を集めまして、その校長の職につきましての研究協議会ということでいたしたいと考えております。ただいまのお尋ねはどういう範囲で集めるかということでございますが、これは幼稚園から高等学校までの、あるいは盲ろう学校等につきましても、校長を全国で教育委員会から選んでもらいまして、総数千五百近くになると思いますが、それで三日間研究協議をいたしたいと思っております。  そこで若干補足して御説明申し上げます。教育内容の刷新改善のためには、文部省で行いまするいろいろな教育内容につきましての施策を文部省できめます。基準を作ります。それを具体的には学習指導要領等によりまして、これを地方に示すわけでございますが、その実施につきまして、各教科別にわたりましても、あるいは各種の問題につきましても、現在文部省は予算を取りまして、地方先生自身、あるいは教育委員会の担当の職員を集めまして、毎年講習会あるいは研究会等を行なってきております。特に三十一年度におきましてはこの活動を強化いたしますために、予算相当増額いたしまして、すでに本年度当初からこの計画は着々進めてきております。たとえば小、中、高等学校にわたりまして指導養成、現職教員の再教育のためにも相当力を尽して参りました。全国各地にブロック別に機会場かを作りまして、そうして著名の学者先生、一流の権威の人々から講義をしてもらいましてあわせて教師が地方で当面しております問題について、お互いに研究協議をしていくというふうな試みをずっとやってきております。その間にはいろいろな生活指導の面につきましても、ことしは特に全国協議会を開きまして成果を上げておると私は考えております。社会教育につきましても研究協議会を開きました。その一環といたしまして、この校長の研究協議会も開きたいわけであります。  それから、校長は初めてではないかというお話でありますが、これは従来もそういう研究協議会に校長は集まっております。ただ今度違いますのは、学校運営管理という問題を取り上げまして研究協議をするということが違っております。時期にいたしましても、これはずっと年度計画がございますので、これは昨年今ごろから計画いたしまして、そうして予算を取って年度当初からスケジュールを組んで、十月にやるということは、前からきめまして行うことになっております。そういう次第でございますから、一応御説明申し上げます。
  52. 小牧次生

    ○小牧委員 昨年度から計画されたというお話でございますが、戦前にはこういう事例があったと思いますが、今度新しい教育委員会法ができまして、いろいろそういう計画をされるそのこと自体については、とやかく申し上げませんが、ただ私どもが考えられるのは、新しい教育委員会法ができて、その法のもとに初めてこれをやられる、こういうやり方についていろいろ疑念がないとしないわけであります。戦前いろいろ行われたことをここでまた復活されるのではないか。戦争中は学校長を通じて、当時の戦争目的の遂行というようなことで、文部大臣の訓示とか、いろいろなものが行われたことを聞いておるのでございます。そういったこととあわせて考えましてもう一つは、これも確かであるかわかりませんが最近文部省においては、いわゆる教職員組合の組合員から、学校長、また教頭を除外するというようなことも考えておられるのではないかというようなうわさを耳にいたしたのであります。そういうことと関連いたしまして、いろいろこの問題を考えてみますときに、清瀬文部大臣は、学校長あるいは教頭、こういったいわゆる管理者といいますか、管理職の人々の人事権を強化していこう、こういう考え方がそこに動いておるのではないかということか考えられるのでありますが、この点については大臣はどうお考えでございますか。
  53. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 校長職員に対する人事管理、すなわち文部省の人事管理を強化するという考えは持っておりません。
  54. 小牧次生

    ○小牧委員 この新しい教育委員会法でも、大臣の今までのたびたびの御説明では、教育委員会は決して自主性、その独立性を失うものではないということを申しておられたのでございますが、こういった学校長を全国一ぺんに中央に集めてやるということは、決して悪いことでないかもわかりませんが、ただこれが文部省の主催においておやりになる。そうじゃないのですか。——そういうふうに聞いておるのであります。教育委員会が独自性を持ち、自主性を持つというならば、これはやはり新しい教育委員会でそういったことをおやりになっても決して悪くはないのじゃないか、こういうふうに私は考えるわけでございますが、それを文部省の方で中央に集めてやるということ、それからいろいろ新しい教育委員会の法律の運営という点、あるいはまた学校管理ということ、そういったことを直接いろいろ文部大臣が指示をされるのか、あるいは話をされるのかわかりませんが、そういった動きを見ますと、やはり私どもが前にこの新しい教育委員会法案が審議される過程においていろいろ意見を申し上げた、いわゆる戦前の教育体制の復活ということが、こういう点にもだんだん現われてくるのではないか、また県の教育委員会の教育長を任命するにも文部大臣の承認を必要とする、そういうことから、教育の国家統制あるいは中央集権化という傾向が生まれてくるから、これが教育の民主化に反するのではないかといういろいろな立場から、私どもは前にこの法案の実施について反対をいたしたのでありますが、そういういろいろ総合的な観点から考えてみますと、やはりこういった学校の管理者を集めていろいろおやりになるということについても、そういう点がここに現われて参ってきておるのではないか、こういう考えが起るのであります。これについては大臣どうお考えでございますか。
  55. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 お尋ねの本旨を少し私とりそこなっておるかわかりませんけれども、前提として私は戦前の教育の復活は考えておりません。これは前の国会においてたびたびあなたとも論じたわけであります。ただしかし、日本が占領された初期に進駐軍がやったことをそのまま守ろうとも思っておりません。独立国家にふさわしき国民の品性を陶冶する、こういうふうには考えております。校長会議を開く趣意は、あなたのお尋ねに対して私の答えたところ、あるいは緒方局長の補足されたところによって御了承を願いたいと思います。決して校長を集めて反動教育をやってくれというような下心でやっておるのではございません。御承知の通り、今度は教育委員会法も新たにできましたし、それからまた何を申しても、やはり教科書の検定権は文部大臣にあるのです。それから学習指導要領もこちらでこしらえるのです。でありますから、まるきり学校の教員なり校長と切り離して何もせずにおれという思想ではないので、国のためにいいことはやっていきたい、悪いことはしないようにしたい、こういう考えであります。
  56. 小牧次生

    ○小牧委員 来月中旬に開かれるわけでございますから、その結果を見なければこれ以上具体的にどうということも申し上げられないと思いますので、この点については一応ここで打ち切ります。  先ほどの私の質問でもこれと関連して申し上げたのですが、校長なりあるいは教頭を組合員から除外するというようなことが、たしか新聞の記事であったと思いますが、そういう記事を見たような記憶があるのであります。そういうふうに考えておられるのかおられないのかわかりませんが、この点についてはどういうお考えでございますか、お伺いいたします。
  57. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 組合から除外するのは組合のなさることで、私のすることではございませんが、しかしながら世の中でほかの労働組合にも、同じように管理職を除外しておる組合もございます。そういうことは聞いてはおりますけれども、私はそれについて立法的強制をするやいなやということについてはまだ心はきめておりません。
  58. 小牧次生

    ○小牧委員 それではもう一つお伺いいたしますが、現在私の聞くところによりますと、いろいろな県において学校教職員の昇給の問題が相当問題になっておるようであります。御承知の通り地方財政再建促進特別措置法が実施されまして、赤字を持っておる県において、あるいは市町村においても、その適用を申請し、またこれを決定いたしておるところがあるのであります。特にそういう適用の申請をいたしておる県においてはこういった現象が強く現われて参っておりまして、九州各県の事情をいろいろ聞いてみますと、まだ一県も昇給が実施されておらない。そうして県の職員なりあるいは警察職員は昇給を実施いたしておるにもかかわらず、学校職員に限って今申し上げたようないろいろないきさつもございましょうが、とにかく昇給が実施されておらない。このために学校教職員としては非常に不安定なままに今日まで参りました。生活の問題は非常に大事な問題でございますので、こういった問題が陰に陽にやはり教育効果といったものに及ぼす影響は大きいと考えております。これは直ちに文部省自身の直接の責任であるとは決して私は申し上げません。それぞれ各地方公共団体の問題でございますので、それぞれの地方公共団体で善処してもらわなければならない面が非常に多いわけでございますが、ただ私がここで今度の新しい教育委員会法に関連して大臣にお伺いしてみたいと思いますのは、私どもは、今度の新しい教育委員会法によって新しい教育委員会は財政権を持たない、もしそうなると従来でさえも地方公共団体の首長に対して非常に力が弱いのが、さらにこの財政権がなくなるとほとんど無力の状態になるということをたびたび文教委員会の席上で意見を申し上げた。ところがこの昇給の問題について、私どももいろいろ体験をいたしましたが、全く今申し上げたことが如実に現われて参りまして、まだ新しい教育委員会は発足はいたしておりませんが、もうすでに従来の任期短かい教育委員会としては知事なりあるいはその他の行政の首長に対してほとんど発言権もないし、停滞しておる昇給問題を解決する力を欠いて、その結果、全国的にどういう状態であるかわかりませんが、これは行き詰まりの状態を来たしておる。ほとんど行政の首長の考え通りでこれが行われて参って、大臣がこの法案の審議の際にたびたび申された調和、これは大臣の独特な言葉であったと思いますが、こういったことが果して行われておるかどうか、これを大臣はどう考えておるか、お伺いしてみたいと思います。
  59. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 そのことは過日の地方教育行政組織の法案の国会審議中においてもたびたび申し上げましたが、法律第二十九条においては首長が予算提案前に意見を徴することになっておると思います。それゆえに委員会に発言権なしとは相なっておりません。それからまた今度は長の方も教育に関する責任を非常に持ってくる。自分が責任を持てばなおさらこのことについて注意してくれると思います。今教育委員の任命は行われつつあるので、こう申しておる瞬間においても府県でまた町村で多々任命されることと思います。数日来の傾向を見れば、みなこれ首長、県議会また町村議会の信任する人でありますから、これらの人が教育委員と相なって、教育においてはかくのごときことが必要だといってまじめに誠意を持って求むれば、私は教員の俸給が昇格を禁ぜられ、また教育財産が修繕、拡大を禁ぜられるというような結果にはならないと思っております。もう数日にして十月一日から実施されますから、私は非常に楽観的心持を持って楽しんで結果を見ようと思っておるのであります。これがために日本教育が破壊されるというようなことがありましたら私の責任であります。さようなことはなかろうと思っております。
  60. 小牧次生

    ○小牧委員 まだ新しい教育委員会が発足しておりませんから、これ以上大臣との論争はできませんけれども、しかし大臣は御承知かどうか存じませんが、すでに数県においては教職員の数百名の人員整理ということを打ち出して、着々これを実施に移しつつあるようでございます。しかしながら先ほど予算説明もございましたが、今日の、特に義務教育指導者、こういった面から見まして学校教職員の配置がいまだなお不十分であるということは、もうだれしも否定ができないと思いますが、その傾向に比べまして学校先生方を減らしている。しかも今申し上げたように県の職員とか警察職員は昇給実施をいたしておるにもかかわらず、学校教職員の員数は相当多いというような関係もあるかもしれませんが、いずれにいたしましても教職員だけが昇給をストップされておる。これは緒方局長にあとでお答えを願いたいと思いますが、九州ですでに昇給を実施した県があるかどうかお答えを願いたいと思います。こういう状態のところに、新しい教育委員会法によって、知事がそれぞれ教育委員を新たに任命する、これが来月一日から発足をする、こういう段階に相なったわけでございますが、私どもの見るところでは、これはまことに失礼な言い方であるかもわかりませんが、今度できるそれぞれの新しい教育委員会、これはほとんど名誉職に近いものである、こういうことを考えますと、今停滞しておるこの昇給の問題あるいは学校先生方を整理する、こういった問題等についても、どれほどの熱意をもって、この問題の解決に当られるか、これはきわめて疑問であると考えておりますが、せっかく全国校長会議をお開きになるならば、こういった問題も——学校の校長自身が非常に困っておる。一体だれを昇給さしていいのか、全然これはできないという非常に困難な状況にあって、学校の校長自身が非常に苦しい立場に追い込まれておる。われわれがいなかに帰りまして学校を回りますと、校長が非常にその苦衷を打ちあける。こういう実情でございますから、せっかく校長会議でもお開きになるならば、こういった問題も十分一つ真剣に取り上げていただきまして、そうしてほかの県の職員なりあるいは警察職員、こういった人々と同じように、学校の職員も決して差別待遇をしないで、この問題が円満に解決のできるように、そういうことも重要な課題として一つ校長会議の中で文部大臣も善処していただきたい、こう思いますが、そういう考えがございますかお伺いいたします。
  61. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 先刻お答えいたしました通り、出席の校長がおのおの自分の経験に基いて意見の交換をされることと思います。そのうちには必ず今あなたのおっしゃった痛切な問題は発言され研究をされるものと予想いたしております。
  62. 緒方信一

    ○緒方説明員 昇給の問題につきましていろいろ御意見がございましたが、昇給が適確に行わるべきことはまことに必要なことだと存じます。ただしかし地方財政の観点からいたしまして、特に赤字再建に懸命になって努力しておりまする団体におきまして、いろいろ財政の事情から昇給等がおくれておるという事情も、また一面やむを得ないものがあるかと思います。しかしその場合におきまして、今御指摘のようにほかの職員は昇給しておって、教育関係だけがおくれておる、こういう事実はいかにしても納得のできないことだと思います。これはお話にもありましたように、地方教員の給与につきまして文部省は直接の権限はございません。これは地方団体の権限になっております。しかしさようなことがあるとすれば、やはり文部省としましても十分注意しなければならぬことだと思っておりますので、先ほどのお尋ねは、九州で昇給をやった県があるかというお話でございましたけれども、それは七月昇給のことでございましょうか。ちょっとここに資料を持っておりませんので、どの県がどうということはお答えいたしかねますけれども、今のような意味で、教育関係だけがおくれておるというようなことがあれば、これはいろいろと相談もしなければならぬと思っておりますが、十分調査いたしてみたいと思っております。
  63. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 最後に小林信一君。
  64. 小林信一

    小林(信)委員 だいぶ時間が過ぎていますので、簡単にしたいと思いますが、委員長の方からも時間を短かくというようなお話ですから、箇条的に御質問申し上げますが、今まで質問された方たちの中で、私のちょっとふに落ちない点がありますので、それを最初にお伺いいたしますが、先ほどの小牧委員の質問の校長会議の問題ですが、私はその校長会議云々は申しませんが、校長に対する見解ですが、これは教科書法の法案審議のときにも、教育委員会法の審議のときにも、校長という問題について文部省は一応あれらに掲げられておる条項についての校長の見解を言われたはずなんですが、この招集される校長会議は校長個人ですか、学校を代表する校長ですか。
  65. 緒方信一

    ○緒方説明員 ちょっと御質問の趣旨を私とりかねるのでございますが、学校の運営管理者としての校長をここに——その意味では個人でございますけれども、教育委員会の方で選定をして、適当な人を推薦してもらう、こういうことでございます。
  66. 小林信一

    小林(信)委員 つまり一般教職員とは別個の、校長という任務の——任務というのか、校長その人ですね。そういうものを考えての校長会議ですか。というのは、先ほど文部大臣のお話の中に、あげ足とりじゃないのですが、これは重要な問題だと思うのです。教育委員会法審議の場合には、校長が人事の問題で教育委員会に対して内申をすることができるというときには、一それは校長個人じゃない、教職員の意見の統一の上でもって内申をするのだ——これがもし間違いであれば、教科書法のときには、採択の問題のときに、学校側の意見を教育長なり教育委員会に述べることがありますね。その場合校長という言葉が書いてある。そのときの校長はどうかと私が尋ねたときに、それは教職員全体の意向をまとめた校長の意見である。つまり校長の見解というものは、法案審議のときにはそういうふうになっておった。ところが今大臣の話を聞いていると、校長には内申する権利がある、権限がある。校長個人にあって、それはもう部下職員とは縁のない立場での権限のような感がする。それからこれは自民党の、教育行政ではきわめて重要な地位につかれている人も、そういうことを言っているのです。今度校長に内申権を与えておる。これで部下職員ににらみがきくんだ。そうするとこれはもう全然部下職員というものは別個にして、校長が終始教員の指導あるいは一般行動を見ておって校長が独自でもって、これは転任させるべきであるとか、これはこうすべきであるというふうな、そういう見解を持つんだ、つまりにらみがきくんだ、これはあまりこういう法案の審議に関係なかった方だから私は無理はないと思ったのですが、その方が今度の教育委員会法を地方に出まして盛んに指導されたのですが、そういう形で政党が指導されておると、これは大きな間違いであるが、大臣も同じような見解を持っておられるかというふうに私感じたのですが、この場合の校長というのは、どういう見解でお集めになりますか、お聞きしたいのです。何か運営管理をするのだというような形で、管理される者と管理する者というふうな立場に校長を立たして校長会議をするというふうな印象を私は受けたのですが、そうなりますと、またここに文部省の見解というものを聞かなければならぬことになるのですがいかがですか。
  67. 緒方信一

    ○緒方説明員 御質問の趣旨がわかりましたが、私は今のお話は校長の権限いかんということに関連してくるかと存じますが、校長といたしましては学校運営管理の責任の立場にあります。その意味におきましていろいろな権限があると思います。ただ実際上学校を総括、統括していきます上におきまして実際上どういうふうに運営していくかということにつきましては、いろいろ問題があると存じます。それは教員全体の意見を聞いていくとか、そういうふうな学校を総括し統括していく立場において、その運営の方法におきましてはいろいろと校長自身の工夫もあろうかと存じますし、その間に教員の意向も十分反映させてやっていくことがよろしいと存じます。しかし権限といたしましては、校長独自にいろいろな権限が与えられておる、かように思うのであります。
  68. 小林信一

    小林(信)委員 きわめて明快とは私考えておりません。やはりこれも何か世間に、校長だけを集める、そうして部下職員と別個のものにするんだという印象を与えるのではなくて校長会議を招集するならば、それは教育全般というふうなものをやはり大きく掲げた、学校の教員の代表だというような形であり、またその校長自体の問題もあるんだというふうに印象づけた方がいいと思うのですが、そうしないと、何か校長だけは別個にして、教員の中を分離させるんだ。今日教育委員会法がすでにそういう誤解が多分に持たれておるのですから、そうすべきだと思って、校長に対する見解というものを文部省は明確にして、今回の会議をもしやるならばおやりになったらいいと思うのです。今お話を聞いておりますと、極端に申しますと、にらみがきくんだという、そういう非常に偏した解釈をするような、教育委員会法にもとった会議のような感がするわけです。これが今の小牧委員の質問の中から感じた点でございます。  さらに辻原委員の質問に対する御答弁の、いわゆる児童映画劇場の問題ですが、おそらく社会教育局長はこの方面については研さんを持たれておって、しかも最近欧州の各方面を、この方を主として御視察なさったので非常な御抱負を持っておられるからかと思いますが、しかし私は今のお話を聞いておりますと、もっと日本の現状をしつかり考えて、それに即応するような措置をとるべきだと思うのです。今時間もございませんから簡単にいたしますが、視聴覚教育というものは、各学校教育の大きな部面をもって重視されておるわけなんです。しかしナトコというようなものが普及いたしまして、各学校が大体十六ミリくらいの映写機をもってやっておりますが、問題はよいフィルムを安く手に入れるということが今一番困難になっているわけです。こういうものをもっと安く、きわめて簡便に供給するということが、私は一番大事だと思うのです。五百カ所のセンターに併設した劇場を作るとか、あるいはそういうところを利用してフィルムの配給をやるとかいうようなことも、もちろんやっていただきたいと思いますが、そういう実際今先生方が苦しんでおるこの視聴覚教育の悩みというものを知って、それに対して対策をされることが大事だと思うのですが、予算を拝見しますと、きわめて微々たるものであって、それすら十分にすることができないと思うのです。一つくらいはモデル的なものを作ることもいいかもしれませんが、そういう悩みに沿っていくことが大事であって、何か文教行政を宣伝するようなことをされるのは、私は今の日本の現状としてはおもしろくない。内藤局長にこの際、先ほど来問題になった欧州各国の映画対策の実情というようなものをお伺いしたいのですが、委員長から言明がございまして、そういう時間が与えられないというので、またいずれかの機会にお尋ねしたいと思うのですが、一つそういうことも参考にしていただき、日本の現状を——先生たちが実際この問題では苦しんでいるのですから、これを取り上げていただきたいと思うのです。こういうふうに文部省から予算要求額が出されるときに、社会教育費というものはいつも少い。今回もずいぶん御苦労なさっておるようですが、私としては非常に不満なんです。青少年対策のいろいろな動向がありますが、これらの予算をもってしては、その講習なりあるいは講師派遣というような、それくらいの費用であって、決してよいフィルムを作なるんという費用はないと私は思うのです。もっともっと予算を十分にとって初めてできる問題ではないかと思うのです。  ついでに申しますが、青年学級の問題です。わずか予算がふえておりますが、これすら大蔵省でもって認めるか認めないかわからぬと思うのです。文部省の要求しておる額というようなものは、私それすら非常に不満なんですが、文部省でかつて青年学級を設置する場合の大きな構想があったはずです。そういうふうなものを実現するくらいに——不良映画をいろいろ問題にしてこれをどうしたら青少年をよくすることができるかというふうな末梢的な方面に話は飛びますが、青年学級あたりの施設をもっと完備して、青年の要望にこたえるような施設をする、そういうふうなことを怠っておるから、こういう問題をいろいろしなければならないんだというふうに考えていきたいと思ってできるならば文部大臣にもっと青年学級に対する大きな構想を持って、大きな予算要求をされることを望む次第です。  予算につきましていろいろお伺いしたいのですが、もう一つ管理局長にお伺いいたします。学校統合、それにからまるいろいろな問題はともかくとしまして町村合併は、学校を統合することが何か第一条件のような形で町村合併がされたくらいに考えていいと思うのですが、それが今日まで取り残されていることは非常に遺憾です。三億という金を出してみれば、どんな犠牲を払ってもこれを実現しなければならぬという各市町村の要望というものは、今回よくわかったわけなんですが、この中にどれくらい含まれておるか、パーセンテージでもけっこうですが、お伺いしたいと思うのです。一言でよろしゅうございます。この公立学校施設費の中に学校統合に対する費用がどれくらいあるか、そしてできましたら、それは何年計画くらいでおやりになるつもりか、お伺いしたいと思います。
  69. 小林行雄

    小林説明員 本年度公立文教予算要求額は百十八億でございますので学校統合は十六億要求いたしております。二二%程度に当っておると思います。大体今後三十二年度以降三カ年で実施したいという計画でございます。
  70. 小林信一

    小林(信)委員 年限につきましては短い方がいいわけですが、やはり予算関係でそう短縮することは無理でしようが、三年ということは妥当だと思います。しかし果して十六億で、しかもこれは削られることが予想されるわけですが、十六億というのは非常に少いように思う。しかも地方の要望はここに集中されておる次第でございますので、がんばっていただきたいと考えます。  それからこれは私特にお伺いしたい問題ですが、赤字の地方自治団体が再建計画をいたしますについて自治庁と盛んに折衝をしたわけです。まだ折衝しつつあるかとも思いますが、そういう場合に非常に教育関係の密接なものがあるわけなので、そういう折衝をされるときに、文部省というものが関係したかどうか、お伺いいたします。
  71. 緒方信一

    ○緒方説明員 これは、たとえば定数の問題にいたしましても、具体的な問題になって参りますと、文部省としても関係いたしますけれども、抽象的な計画が立ちまして、それによって毎年度計画が立っていくという立て方が多いわけであります。その立て方によりましていろいろ関係の度合も違って参ります。必要な限度におきましては意見も述べたりいたしております。
  72. 小林信一

    小林(信)委員 そうすると、これは大臣にお伺いいたしますが、そういう教育行政も含めた地方自治体の再建計画に対して、文部省に関係のあるようなことが出た場合には、文部省はそれに携わるというふうに今局長がお話しになったのですが、そうすると大体各再建団体計画というものに対しては文部省は一応の了解をしておるわけなのですか。
  73. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 一体国の政治はみんな牽連しておりますので、全く独立の部門は少しもございません。わが国のたとえば貿易がよくなるということは、やはり国の経済がよくなる、従ってまた地方の財政もおいおいにはよくなるということ、あるいは国の防衛にしましてもやはりこれは教育にも関係いたしまするし、外交はむろんのことであります。それゆえに地方再建整備のことも、あの法律を作るときから私ども意見を述べております。今回京都で観覧税を取ろうということも、ひとり文部省所轄の文化財ということだけではなくして、地方の財源を満たすということ、地方の財源が十分になれば、先刻おっしゃった教員の待遇等もよくなるのでございます。それゆえに、一体的に私は見ておるのであります。なまいきなことを言うようでありますけれども、国務大臣としての任務を尽そうと思って、毎週定期の閣議にも臨み、臨時の閣議にも臨んでおるのでございます。  最後に、小林さんの先刻来の御質問は、すべてわが文部省のいうことは御是認下さって、その上に、いかにも予算要求が不足だろうというので鼓舞激励して下さるので、ありがたく思っております。できるだけがんばって、少くとも要求しておるものは取りたい、こう思っております。思ってはおりますが、やはり国の政治は一体でありまするから、国の財政計画にも影響はします。来年の収入は多いのです。多いけれども、大蔵省方面では、これを使うてしまわないで減税に充てよう、こういっておられる。一千億も減税するということになると、やはり文部省も影響いたします。それゆえに、国民の今望んでおるところは積極的に仕事をしてくれというのか、負担を減ずるということがおもか、国民全体の考えも見なければなりませんし、国の将来も考えなければなりません。いろいろのことに影響いたしまするが、われわれは山をはって大きう言って、夜店の植木屋のような予算要求をしたわけじゃありません。これだけは要るものですから、あなた方の間接直接の御尽力によりまして、これはぜひ取ってみたい、かように考えております。御意見はありがたく拝承いたしておきます。
  74. 小林信一

    小林(信)委員 最初の御答弁の、政治は一本である、これはかねがね承わっておりますので、地方の赤字を解消するために教育もやはり犠牲にならなければならぬということは、私も承知しておるわけなんですが、これに対しましては、もしほかの方はそれほど影響を受けなくて教育によけいに影響がくる、いわゆる教育にしわ寄せがあるような、そういう再建計画に対してはやはり大臣といえどもがんばってもらわなければならぬというわけなんです。それから、次の予算の問題につきましては、私の言いたいことは、どれもこれもみんな大事なことであって、これはいろいろ折衝の上で、文部省内でもお互いに譲り合ってできた予算でしようが、私は社会教育ということが今いろいろな問題を考えても非常に大事だという点と、どうもそれが軽く取り扱われておるんじゃないか、形だけに終っておるような印象があるということ、そうしてもう一つ、問題は、予算の範囲内ということは大事でしようが、地方の赤字財政——今問題にしております——それによって受けることが教育行政の中には今後相当の間起きてくるわけなんですが、それに対して国の予算計画でこれを補っていかなければならぬという、その二つの点が私は大事じゃないかというので伺いしておるわけですが、結局、結論的に申すと、各府県の再建計画は互いにがまんしなければならないので、教育ばかりのせいじゃないんだというその大臣の御意見からしても、一応文部省としても妥当と認めるという御答弁だと思うのです。先ほど小牧委員から昇給等の問題があったのですが、府県の再建計画というようなものを地方自治庁との折衝の中から探ってみますと、昇給などにつきましては、予算に余裕があった場合には昇給をさせるというふうなことが多く見られるのですね。それから教員の数の問題につきましては、まず質から言うならば、自治庁からこういう指示をされた県があるのです。あなたの県は臨時教員などをやらずに、代用教員の採用の仕方がほかの府県に比べて少い、だから教育費によけいな金がいるんだというようなことを自治庁が平気で出し、これを平気で地方の長が受け取っておるのですね。それから再建計画からいきますと、一番問題になるのは定時制高校の分校だと思うのです。これはもう町村が再建計画のために縛られて、分校に対して町村が負担する分をとても出し切れない。それから、これは小さい問題ですが、秋になりますと、大がいどこの県でも同じだと思うのですが、郡別ぐらい——あるいは県に統合される場合もあるのですが、中、小学校が子供達の競技会なんかを開催いたします。全県の競技会もいたしますが、そういう費用はどこからも出てこない。これは大がい教育委員会程度のものが主になってやりますが、その費用は町村の寄付金による。ところが町村の寄付金は財政需要額の何パーセントというふうに限定されるので、そういうところには出せない。母親学級とかあるいは婦人会とかあるいは青年団というふうなものに対する寄付金というものがあって、かろうじてそういう修養団体ができておったのですが、そういうものに対する寄付金は出てこない。これは社会教育のほんとうの末端のところに大きなしわ寄せが出てきておるわけなんです。自治庁の役人がこういうことを言っております。一体文部省はこういう計画をしても何とも感じないのか、こんな計画をすれば大事な定時制学校の分校なんというものは廃止されなければならないような状態になるけれども、文部省はどうしてこれを黙っておるのかというくらいに、自治庁の方がもう私たちが聞いておられないようなことを言って私たちを憤慨させるのですが、そういう点を了解し合っておるのか、仕方がないと考えておるのかどうかを私はお伺いするのです。
  75. 緒方信一

    ○緒方説明員 今の御質問の中心は主として定時制高等学校の分校の統廃合の問題でございますが、これにつきましては、先ほどお話になりましたように、赤字団体における寄付金、負担金の制限が法律で課せられておりますか、これにつきましての制限の緩和、撤廃、これにつきまして自治庁と現在折衝中でございます。その点はまだ話が就いておる次第で、まだ結論を得ませんけれども、そういう緩和をしてもらうように努力をいたしております。なおまた先ほど予算の御説明に関連して申し上げましたけれども、定時制高等学校で一番問題なのは、やはり教員の給与費でございます。定時制経費のうちで、八三%ほどを教員給与費で占めておりますから、それに対しまして国庫補助制度を復活したいということで、金額にいたしまして三十二億ほどの要求を今いたしておる次第でございます。これは金額から申しましても、折衝につきましては非常に困難があると思いますけれども、文部省としては努力をしていきたい、さようなことによりまして、財政的な援助地方に対しまして強めていきたい、かように考えております。
  76. 小林信一

    小林(信)委員 定時制高等学校の分校というようなものも大事であるので、私は非常にお聞きしたいところなんですが、それは私も予算要求を見まして、相当文部省としては対策が講ぜられておるなと思うのですが、しかしこれによって救われるのは県財政だけなんです。町村の分担というものはどうするかということが問題になっておるのです。それから、同じことですが、定時制高等学校の問題でも、高等学校先生の定員減という問題が、どこでも再建計画の中に入っておるわけです。そういう場合には、定時制高等学校の分校の先生、こういうところを切ろうというのが県の考えになってくるのではないかという問題、その定員減の問題で、私の県あたりでも小中学校合せて七千人ですが、今後八年間の間に八百人近い、一割以上の定員を減ずるということが約束されておるわけです。これも文部省としてはがまんをしろというのか、あるいは何らかそれに対しては今後対策をするというのか、どういうところでもって了解しておるのか、これがほんとうに聞きたいところなんです。
  77. 緒方信一

    ○緒方説明員 今お話でおあげになりましたうちで、小中学校義務教育に関しましては、財政的に文部省が発言をし得る限度は、権限といたしましては義務教育国庫負担法に基きます関係だけでございます。給与をつかさどります主体性はもちろん地方団体にございます。しかし一面、教育全体の立場からいたしまして、文部省はいろいろと注文するわけでございます。そこで、今一例をおあげになりましたように、各県でいろいろ計画がございますが、今お話のように相当長期の計画が立っております。そこで、今後生徒、児童の増減の傾向がだんだん減少になっていきますので、それに見合ってそういうような計画が立っておるわけでございまして、これは先ほど申しましたように、前提といたしまして権限は地方団体にありまして、地方団体が財政再建の努力のその計画として、そういう計画を立てるわけでございますから、それは一応尊重せざるを得ないと思います。ただ教育全体の質が低下しないようにという観点から、文部省としてはそれに対して関与をしていくということでございます。それが一々適当かどうかということにつきましては、いろいろ御意見があると思いますが、財政再建という努力につきましては、ある程度協力していただかなければならぬ、かように考えます。
  78. 小林信一

    小林(信)委員 ここがどうしても一番聞いておかなければならぬところですが、今の局長の御答弁は少しこんがらかってわからないのです。地方自治団体に対しては、文部省としては干渉することができないのだから、その自主性にまかせる。そうすると、結局自治庁と地方団体と折衝する場合には、地方自治団体に向って何ら干渉することができないのだから、その自主性にまかして文部省は手をこまぬいて見ておったということになるのですか。
  79. 緒方信一

    ○緒方説明員 それはあの法律の制定のときにもいろいろ意見も私ども述べましたし、それからまた国会の御意見としても、あの法律自体が政府提案が修正されまして、再建計画を立てます場合に、教育委員会がそれに意見を述べる、教育委員会の意見を聞いて再建計画を立てる、かような建前になっております。それで教育委員会がその再建計画に対しまして十分関与し得るという制度になっておりますが、その観点におきましてその団体々々として適当な計画が立てられる、これが前提になっております。さらにその上におきまして自治庁に出て参ります。ただその場合に大体原則的な計画が立てられまして、それを漸次実施していくということでございます。文部省がそれに一々関与することはむずかしい場合が多いわけでありますけれども、意見としてはいろいろ述べる、かようなことに申し上げた次第であります。
  80. 小林信一

    小林(信)委員 まことに申しわけないのですが、今後の教育行政という面からこういうところははっきりとしておかなければならぬ。大体教育委員会があって、その教育委員会と折衝して、そういう先生を減らすというような話をしてくるのだから、もちろん不当なことはあり得ないというのは機構上の問題であっていいのじゃないか、こういうふうなお話のようになるのですが、今現実に私の県あたりで一割以上も先生を減らされて——そういう機構でつながって、その機構にのっとって話がされてきたから間違いないだろう、あるいは今お話のように、今後八カ年という長期の間だからその間には児童減がある、それにのっとってそういう定員減もあったのだろう、当然だというふうにお考えになって——この問題を今文部省が権限がないからどうすることもできないと言えば、それまでですが、しかし教育行政をあずかる者としてこの事態がいいのか悪いのか、はっきりしていただきたいと思うのです。
  81. 緒方信一

    ○緒方説明員 いいのか悪いのかというのは、教育の具体的な問題としまして、具体的な場合々々におきましてその教員減の程度が教育の水準を非常に低めるというようなことになれば、これはいけないということは言えると思う。ただしかし事は具体的な問題であります。各県の財政計画の問題でございますから、国としては先ほど申しましたように、半額を負担をしていくというだけの責任を持っておるわけです。その問題自体はやはり各団体の財政再建という計画を立てる問題でありますから、それは全般的に考えていかなければならぬ、かように考えております。しかし教育の水準をずっと割るということであれば、適当でないということはだれしも言えることだと思います。
  82. 小林信一

    小林(信)委員 結局は、文部省としては問題がどうであろうと、どうすることもできない、こういうふうにしか私承わることができないのです。先ほど大臣は、今こうやって話をしておる間にも全国の教育委員は出つつある、りっぱな教育委員が出るならば、おそらく昇給のことも心配してくれるだろう、こう簡単におっしゃられるのですが、そういうことが決して甘く考えられない現状にあるわけです。これをどうするかということをお伺いしているわけなんですが、しかしそういう機構で話し合いがされたのだから、その自主性にまかせる以外にない。これに対して文部省としては何ら干渉することかできない。こう言えばこういう状態でこの問題は解決されることになってしまうわけですが、そこで先日何かの新聞に、定数基準が定められたというふうに見えておったのですが、きめられたんですか。
  83. 緒方信一

    ○緒方説明員 定数基準と申しますのは、今国といたしましては小中学校の教員の定数につきましては、何らきめたものはありません。地方の各団体におきましてこれがきまりまして、それにつきまして先ほどから繰り返し申しますように、財政負担として半額を国庫が見ていく、こういうわけでございます。国庫が見ていきます場合に、あくまで地方の実質を基礎にしてその半額を見る、こういうことでございます。そこで国として定数をきめるという考え方は、何と申しますか、法定をしていくといったような考え方は、その関係とは矛盾いたしますからございません。ただしかし先ほどからお話になりますような、いろいろと地方財政関係もございまして、教員の定数がだんだん減っていくということじゃ、これは困りますし、そういう観点からいたしまして、新しく何らかのそこに標準的な考え方が出てこないかということで、私どもは研究をいたしております。これは繰り返して申し上げますけれども、法律措置としてそれを強制していくという立場になって参りません、方法にはなって参りません。何と申しますか、一つの標準として行政指導地方予算を組む場合、定数をきめる場合に、一つのよりどころとなるものがあれば、非常に便宜でございますので、そういうものを作ることを実はずっと前から研究をいたしております。しかしこれは結論に到達しておりませんので、まだ研究段階でございます。
  84. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 小林君、そろそろ結論をお願いいたします。
  85. 小林信一

    小林(信)委員 結論を得たいのですか、どうも私の質問が悪いのかもしれませんが、実に地方でも困っておるのです。文部省としてもここでどうするということをおっしゃってくれないのですが、結局その方の結論はまた後日に譲ることにいたしまして今の問題は、やはり私もそう考えておったんです。一応文部省が、何というのですか、その一つの標準というふうなものを出そうとしておる。一学級何人が適当であって、そして一学級に対する先生の歌が一コンマ幾つというふうなものを出される。やはり地方では大体それに準拠するというふうな考えで、そういう話があればそれをやっていくわけなんです。新聞に先ごろ出たものですから、これがそうかというふうに承わっているらしいんですが、私はそれをこの際明確にしたいからお伺いしたので、その算定する基礎というふうなものをどういうふうに——減ることもあるし、そうでないところもある、その基準となるようなものをどういうふうに考えられておるか、それを私は実はお伺いし、そしてそれを今度はただそういうふうなものを参考として持っているのではなくて、やはりこれは文部省としては暗に地方に生かしていくということになるのではないか、こう患うわけです。その場に今度はそういうふうなものは一応それとして、今度は八カ年間に一割以上も先生を減らさなければならぬ、こういう中で今果してそれが生きていくかどうか。そういうものに対して沿うような基準というふうなものを作るべきであって、それは簡単にできるものじゃない。かえってそういうふうなものが出るために、地方が今度混乱してきまして、生徒数は大体五十五人が適当である、そして一学級に対して先生は小学校で一コンマ幾ら、中学校一コンマ幾らだ、そうだとすれば、今度は自治庁とは再建計画の約束をして八百人減らすんだ、こういう現実の問題にどういうふうにこれがかみ合っていくか、これは実に問題なんです。そういうところを文部省はいかに御研究になっておいでになるかということを伺いたかったのですが、またいずれ次の機会に伺うこととして本日はこれで終ります。
  86. 伊瀬幸太郎

    ○伊瀬委員 委員長一つ要望しておきたい。それはしばしば本委員会で審議されております、例の奈良正倉院の道路の問題です。これは過般文部省でも実地に御視察なさったと聞いておるのでありますが、この際本委員会からぜひとも国政調査に御出張願って、何らかの結論が出るような御審議をお願いしたい、かように存ずる次第であります。
  87. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 伊瀬委員の発言の正倉院の件は、重要な問題でありますから、他日理事会を開いて協議して、適当に処理いたしますので、御了承願います。  以上をもちまして本日通告のありました質疑は全部終了いたしました。  本日はこの程度といたし、これにて散会いたします。     午後二時十分散会