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1956-07-17 第24回国会 衆議院 文教委員会 第48号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年七月十七日(火曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 佐藤觀次郎君    理事 高村 坂彦君 理事 米田 吉盛君    理事 辻原 弘市君 理事 山崎 始男君       伊東 岩男君    池田 清志君       田中 久雄君    並木 芳雄君       町村 金五君    大西 正道君       小牧 次生君    高津 正道君       野原  覺君    平田 ヒデ君       小林 信一君     —————————————  出席国務大臣         文 部 大 臣 清瀬 一郎君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奥野 誠亮君         総理府事務官         (自治庁税務部         市町村税課長) 鎌田 要人君         大蔵事務官         (銀行局保険課         長)      谷川  宏君         文部事務官         (大臣官房総務         参事官)    斎藤  正君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     緒方 信一君         文化財保護委員         会委員長    高橋誠一郎君         文部事務官         (文化財保護委         員会事務局長) 岡田 孝平君         通商産業事務         官         (鉱山局長)  森  誓夫君         専  門  員 石井  勗君     ————————————— 七月十七日  委員稻葉修君及び木下哲辞任につき、その補  欠として池田清志君及び大西正道君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員池田清志辞任につき、その補欠として稲  葉修君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国立及び公立義務教育学校児童及び生徒  の災害補償に関する法律案山崎始男君外六名  提出、衆法第八号)  教科書問題及び文化財保護等に関する件     —————————————
  2. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  本日は昨日に引き続き国立及び公立義務教育学校児童及び生徒災害補償に関する法律案並び教育公務員特例法及び教育公務員特例法第三十二条の規定の適用を受ける公立学校職員等について学校看護婦としての在職を準教育職員としての在職とみなすことに関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  なお審査の便宜上、文教行政に関する質疑もあわせ行うことといたします。  質疑の通告がありますのでこれを許します。並木芳雄君。
  3. 並木芳雄

    並木委員 文化財につきまして二、三高橋さんにお尋ねいたします。  その第一は名古屋城復旧についてでございます。名城がかなり荒れておりまして、各地の荒れた城を復旧していくことはやはり大事な問題であると思いますが、本年度の荒れた城の復旧計画はどうなっておりますか。この中でも名古屋城の、例の有名なシャチホコを持った名城復旧急務中の急務と思われるのでございますが、この復旧については地元ではずいぶん熱心のように承わっております。あそこではみごとな写真版にとっておりまして、元の形がそっくり写真によって保存されておりますので、いにしえの名古屋城を復活することは不可能のことでないと思いますが、それに対する御計画もお示し願いたいと思います。
  4. 高橋誠一郎

    高橋説明員 特別史跡となっております名古屋城跡のまず石垣でございますが、これにつきましては昭和二十六年度から三十年度まで五カ年継続で小天守、大天守石垣を修理いたしましたことは御承知の通りであります。総工事費は千五百六十万円でございます。そのうち半額七百五十万円の国庫補助を行いましてこれは完成いたしたのであります。さらに名古屋市におきまして天守閣復興をしたいということは話には聞いておるのでありますが、焼失いたしました旧国宝の復元に対しまして、国が経済的に援助をするということは通常行なっておらないのでございます。この場合も補助ということには非常な困難が予想されるのであります。もちろん技術的援助をするということは可能であります。またやぶさかならざるところでありますが、この点はでき得る限りの御援助をいたしたいと考えております。また別に国際的観光資源としての名古屋城天守閣復興は望ましいことと考えられますので、こういう観点から観光計画一環といたしまして何か援助の方法はないものかといろいろ研究してみたいと考えておるのであります。  なお御参考までに申し上げますが、名古屋城内にあります二の丸庭園の修理も国の事業といたしまして二年計画で行いまして、体裁は整っておるのであります。名古屋城復興につきましては大よそまずかようなことになっておるのでございます。
  5. 並木芳雄

    並木委員 第二にお伺いいたしたいのは、岡山県の松山城のふもとにあります天然の放し飼いのサルでございます。これは前に山崎委員から要望的質問もございましたが、先般佐藤委員長と私は調査のため行って参ったのでございます。なるほど非常にみごとな景勝の地を利用して天然サルが百から百五、六十匹おったと思います。皆さんが非常に熱心に飼いならしておるのを見まして、みごとなものであるといって感心したのでありますが、これについても文化財としての国家援助を要望する声が多かったと思いますが、高橋さんの方ではどういうふうにこれをお取り扱いになっておりますか、お伺いしておきたいと思います。
  6. 高橋誠一郎

    高橋説明員 実はこの点でございますが、これは委員会といたしましては、まだその詳細な調査書を手に入れておらないのであります。なるべく早い機会に専門家現地調査を行いまして、性態観察の上に価値の高いことがわかりますれば、指定の上保存いたしたいと考えておるのでございますが、まだ調査書が実は参っておりませんような次第でございまして、はなはだ遺憾に存ずる次第であります。
  7. 並木芳雄

    並木委員 これはもう半年以上も前だつたのですが、山崎さんから御発言があったのです。まだ調査ができていないということは怠慢のそしりをまねがれませんから、至急やっていただきたいと思います。  第三にお伺いしたいのは、非常に貴重なものでありますが、カモシカでございます。これがやはり乱獲されたり料理屋の食膳に自由に乗せられたりして、不当な扱いを受けておるということを聞いておりますが、こういう重要なものについても当局としてはやはり関心を寄せておることと信ずるのであります。カモシカ保護についてはどういう対策を取っておられますか。
  8. 高橋誠一郎

    高橋説明員 カモシカでございますが、これは先ごろ非常に大きな問題をかもしたのであります。このカモシカはむろん本邦特有の動物であります。その生息地はかなり広い範囲にわたっておるのでございまして、その数は推定およそ三千程度といわれまして、戦後はやや増加の傾向にあると報告せられておるのであります。むろん先ごろ起りましたようなはなはだ遺憾な事件に対しましては、十分注意をいたさなければならず、またいたしておるのでございますが、カモシカ保存につきましてはただいま申しましたようなわけで、いささか安心できるのではないかと考えております。
  9. 並木芳雄

    並木委員 それではもう一つ、これは古墳についてであります。特に大阪の堺の周辺にはなかなかりっぱな古墳があるのでございます。ところがこれが案外見捨てられておりまして、ずいぶん由緒ある古墳のようでありますが、それが人の目にとまっておらない、特に当局の目にとまっておらないということですが、何でも仁徳天皇関係のみささぎなどかなりあそこにございます。堺市周辺古墳あるいは全国各地にもずいぶん大切にしなければならないのが多いと思いますが、古墳についての取扱いは当局としてどういうふうに進められておりますか。
  10. 岡田孝平

    岡田説明員 大阪の堺市付近には仁徳、履仲、反正各天皇の御陵を含む幾多の古墳がございますが、そのうち御陵とそれから陵墓参考地になっておりますものは宮内庁が主管して、これは相当りっぱに保存されておりますが、それ以外のものにつきましてはいろいろ問題があると思います。その一つでありますイタスケ古墳土建業者の手に渡ってまさに破壊されんといたしておりましたが、これにつきましては大阪府並びに堺市は非常な御熱意を示されまして、堺市でこの古墳を買収する、そうしてそれに対して文化財保護委員会及び大阪府から買収に対する補助金を出しまして、破壊寸前にこの問題は救われたのでございます。さような問題は、それほどの程度のものではございませんが、ほかにも大阪奈良地方にもあるように思われます。これらにつきましては、私有の古墳などは、そういうようにもしこれが破壊されようとするような状況がありますような場合には、やはり地元熱意によりまして、まずその破壊防止対策をとられまして、それに対して国庫の方から補助するというような行き方で、できるだけ配慮したい、かように思っております。  なお古墳につきましては、全般的の調査を最近いたしまして、従来仮指定でありました古墳につきまして、これを本指定にすることを最近いたしました。なお未指定古墳につきましても、価値の重要なものはこれを史跡指定する等の措置も講じましたので、それらの点も合せまして、なお宮内庁方面とも十分連絡をとりまして、この保護対策に遺憾なきを期したいと考えております。
  11. 並木芳雄

    並木委員 最後に、高橋さんに国立劇場のことでお伺いをしておきたいと思います。  高橋さんは非常な意気込みで国立劇場を設立すべく努力をされてきたのでありますが、事志と違って思うように進捗しておらぬように聞いておりますが、国立劇場設置に対しては、どんなふうに計画が進められておりますか、その状況をお尋ねしておきたいと思います。
  12. 高橋誠一郎

    高橋説明員 国立劇場設立計画でございまするが、これはまず予算が前年度におきまして二百五十万円調査費としてとることができましたので、国立劇場設立調査研究協議会というものを設けました。これはおおよそ三十六人でありますかの各方面からの委員からなるものでありまするが、これにまず国立劇場といったものを今早急に設立する必要があるかどうか、日本の現在の状態におきまして、かようなものを設ける必要があるかどうか、こういう問題を付議いたしたのであります。これに対しまする答申は、早急にやらなければならぬ、こういうことでございました。それならば、いかにその計画を進めるべきであるかというような種々なる点を諮問いたしまして、今年の三月にその答申を得たのであります。それから本年度におきましては千七百万円の予算をとることができましたので、これによりましてまず協議会を設けまして、これに種々重要な問題を付議いたしておるのであります。まだ始まりましたばかりでありまして、答申を得るに至っておらぬのでありまするが、まず第一の問題といたしましては敷地であります。これをどこに設くべきであるか、われわれといたしましても、また先ほど申し上げました協議会におきましても、いろいろ研究せられたのでありまするが、私どもの最初考えましたのは、日比谷公園であるとか青山御所であるとかいうようなところであったのでありますが、いろいろ支障がございまして思うにまかせないのであります。その後になりまして、むしろこれらの場所よりもさらに適当なところではないかと考えまする場所、これはまず第一に国有地であるということが条件になっておりまするし、その環境がいいということがまた条件になっておるのであります。交通が至便であるということ、都心にあるということ、こういう点から考えますると、必ずしも理想的なものとは言い得ないかもしれませんが、まず隼町にありまするパレス・ハイツ、ただいまではかまぼこ兵舎に相なっておりまするが、あのかまぼこ兵舎のようなものは、こういう場所に置くことは必ずしも必要がないと考えまするので、これを他に移転してもらいまして、そうしてあの場所をちょうだいすることができないものであろうかというので、大蔵省とたびたび打ち合せをいたしました。最近におきまして、大蔵省に設けられておりまする国有財産中央審議会でございますか、これが開かれましたので、私ここに出席いたしまして、種々われわれの考えを述べて参りました。いろいろ質問があったのでありまするが、国立劇場設置には賛成であるという意見が強かったように聞いております。そんなようにいたしまして、国立劇場設置が頓挫しておるとは考えられないのでありまして、いろいろ前途に難関は想像されるのでありまするが、相当その歩を進めておると申し上げることができると存じます。
  13. 佐藤觀次郎

  14. 山崎始男

    山崎(始)委員 ただいま並木委員から岡山県の高梁市の臥牛山サルのことで御質問がございましたが、実は本年のたしか二月ごろかと思いますが、高梁市に野猿が百数十匹出ますのを高梁市が非常な苦心をしましてようやく飼いならした。そうして現在では日収で大体三万円くらいの収入を市が上げておるのであります。当然観光地としてたくさんの人が最近見に来ておる。このことは本年のたしか二月私申したと思うのでありますが、われわれ文教委員会の方も本年の二月の終りごろ、委員長初め並木委員その他国政調査一環としてこの高梁市のサルを見に行ったのでありますが、実はこの問題で新しい事態が最近発生いたしております。と申し上げただけではおわかりにならないと思いますので、ごく簡単に概略を先に申し上げて、それから御答弁いただきたいと思うのでありますが、大体臥牛山という山、これは国有地でございまして、その山のてっぺんにお城がある。大体山のてっぺんにお城が原形を保存されて残っておるということによって重要文化財になっておる。そうして史跡指定を受けておるわけでございます。ところが今から二週間くらい前だと思いますが、ある鉱山会社が、臥牛山地下から金、銀、銅、その他八つばかりの鉱石が出るというので、実は鉱山局の方へ採掘申請をやっておる。ところがここに非常に複雑な問題が起ってくるのでありますが、こまかい点はあと回しにいたしまして、この臥牛山全体が——それは地下資源でございますから、許可になったあかつきにおいては、どの辺から掘るのか存じませんが、もし掘り方のいかんによると、当然ハッパをかける、ハッパをかけるとせっかく飼いならした野猿というものは全部逃げてしまう。それから同時に先ほど委員長並木委員質問に対して、まだ詳しい資料がないとおっしゃいましたが、おそらく三月の末に県の教育委員会を通じて文化財保護委員会にも天然記念物指定申請が出されておると思うのであります。でありますから、その点はあと回しにいたしましても、今申し上げましたような話の概略から一つ答弁を願いたいことは、そういうような場合に、なるほどサルはまだ天然記念物指定は受けておりませんが、上のお城は先ほど申しましたように文化財指定になっておる。そういたしますると、これは一体採掘権というものが優先するのか、あるいは文化財保護立場から、なるほど指定の区域というものはその臥牛山のお城の周辺に限られておるということになるのでありますが、こういう場合に一体どちらが優先するのか、まずその点をお教え願いたいと思う。
  15. 森誓夫

    森説明員 お答えいたします。ただいま御質問のありました地点につきましては、昨年の十二月に二件ばかり試掘権の出願がございます。これをいかに処理いたしますか、鉱業権設定仕事地方通産局でやることになっておりまして、私のところへはまだ詳細な資料は届いていないのでございますが、しかしただいまの御質問は、一般的な方針についての御質問のようでありますので、それについてまず申し上げたいと思います。  文化財保護地下資源の開発とどちらを優先するかという問題は、一概には割り切れない問題でございまして、鉱業法について見ますると、文化財保護支障を与えるようなところには鉱業権設置してはいけないという規定がございます。しかしこれは全然設定してはいけないという、百パーセントそういう意味の規定ではございませんで、そういう精神で運用していくということでありまして、文化財保護について非常に強い精神を現わしておるわけであります。一方文化財保護法の方でもまた文化財指定をする場合には鉱業権その他の財産権は尊重しなければならないというような趣旨のものがございまして、現在の法制としてはできるだけ両者お互い支障のないように、両立させようという気持が出ておると思うのでありますが、私たちの方の鉱業権設定につきましては、ただいま御質問のケースなどを考えてみますると、鉱業権設定によってただいまのお話文化財が非常な支障を受けるということのないようにいたしたいと考えております。それではどういうことをやるかと申しますると、まず現在の法制あるいは文部省、通産省両省覚書等を基礎にして考えていきますると、鉱業権設定をする場合に、通産局長知事協議をしなければならないという規定があります。それによりまして当然通産局長知事協議をいたします。知事はまた教育委員会意見を聞くということで、文化財保護関係の機関と通産局長が話をしてやるということになります。また一方中央におきましても文化財保護委員会通産省とが協議をするということに、これは覚書できまっておるのでありますが、そのようにして、両者ばらばらの行動をしないということになっておるわけであります。そうして法規の面からいきますと、先ほど申しますように文化財支障を与えるようなところには、そういうやり方では鉱業権設定しないということになっておりますので、たとえばその影響のある地域は除外して鉱業業設定するということがまず考えられるわけであります。またかりにその地域を含めて鉱業権許可しましても、さらに掘る場合に施業案——工事実施計画と申しますか、そういうものを業者通産局長に出しまして、その指導を受けるということになっておりますので、その施業案、掘り方の指導によりまして、そういう文化財支障を与えることのないようにする、こういうことが考えられるわけであります。大体現在法規で、あるいは覚書できめております仕事の運び方、あるいは法の精神というものはただいま申し上げましたようなわけでございまして、私の方としましては通産局でそういう地元の県とかあるいは教育委員会等とよく協議して、支障のない範囲鉱業権設定するように持っていく、あるいは鉱業権設定許可になっても、その採掘実施について、その施業案と申しますか、それを一々よく指導するということで、文化財支障を与えないようにやっていきたいというふうに考えております。
  16. 山崎始男

    山崎(始)委員 高橋委員長にお尋ねいたしますが、先ほども申しましたように大体臥牛山全体が七十町歩くらいな山なのですが、史跡指定はその一部分なのです。そういう場合に今のような鉱山申請が出て、非常に史跡保存上おもしろくないことが当然起りがちなのでありますが、そのときには環境保全と申しますか、手続が間に合わなければ仮指定ということで、その史跡範囲を広げて指定する、そういうふうな処置がとれるものか。今の局長お話ではございませんが、これは試掘権申請は出ておりますが、それがまだ許可になっていない段階なのであります。そういう場合に一歩先んじて周囲の環境まで仮指定をするというようなことはできるものなのかできないものなのか、もしできるといたしますと、今度は鉱山局の方ではそれをしもあえて許可をされるということは、私は考えられないのじゃないか。今の御答弁にもありますように、やはりそういう点は十分考慮するという御答弁なんでありますが、そういう環境まで含めて早く仮指定をするということができるものなのかできないものなのか。  それからいま一つ、これは今の天守閣付近史跡のことを私は申し上げておるのでありますが、いま一つは本年の三月の末にサル天然記念物申請を出しておりますが、その問題もやはり早く天然記念物指定をされるものならば、私は両々相待ってそこに権威がつくのではないか、権威がつけば当然鉱山局の方でも考慮される、こういうことになるのじゃないか、かように考えるのでありますが、ただいま私がお尋ねした点を簡単でよろしゅうございますから、一つ答弁願いたいと思います。
  17. 岡田孝平

    岡田説明員 文化財保護法では、史跡名勝天然記念物に関しまして、その現状を変更し、またはその保存影響を及ぼす行為をしようとするときはすべて文化財保護委員会許可を受けるということになっておりますから、たとい鉱業法等によりまして鉱業権等のいろいろのことがありましても、文化財保護委員会現状変更許可のない限りはそれは無効であるということになろうかと思います。無効といいますか、要するに鉱業権設定されましても保護法許可を得なければ現状を変えることはできない、従って事実上において鉱業権等実施はできないということになろうかと思います。さような点で先ほど通産省の方から御答弁がありました通り国家意思二つに分れては困りますので、両者でいろいろ事前に相談いたしまして、文化財保護という立場と他の鉱業というような産業立場、あるいはまた他のいろいろな立場を調整しようということで、いろいろ苦慮いたしたのでありますが、お話場所史跡に最近指定されております。そのときには何らそういう鉱業お話はありませんでしたので、問題なしに史跡指定したのであります。その鉱業云々の話は、私今日初めて聞きましたので、今後は通産省ともお話をしなければならぬかと思います。  なお環境保全の問題でありますが、これは文化財保護法の八十一条に環境保全規定がございまして、これは史跡等保存するため必要がある場合には、一定地域を限って一定行為を制限するといういわゆる環境保全ができることになっておりますが、これはまず実際の場合といたしましては、よほどの必要性あるいは緊急性がない限りはいたさないことにいたしております。いろいろ他の権利、公益等の問題がございますので、緊急やむを得ざる場合には、環境保全措置もできますが、実際の場合はまずこういう例はないのが普通でございます。なお仮指定は、これは緊急の場合には県の教育委員会が仮指定をする。これは史跡名勝天然記念物いずれもでございますが、その効果は保護指定と全く同じことになっております。この問題は初めて承知いたしましたので、今後十分研究いたします。先ほどお話サル天然記念物指定の話は前から聞いておりますので、これはなるべくすみやかに調査いたしまして、これらの問題とあわせまして問題を解決したいと考えております。
  18. 山崎始男

    山崎(始)委員 どうも至っておざなりの御答弁で不満足です。それはもとより最近に起った新しい事態ですから、御存じないと思いますが、全山七十町歩ばかりで、それでもってハッパをかけられるということは当然予想しなければならない。今の合法的な手段によって申請をされて、その申請が正式に許可になっていない。私お尋ねしているのは、その全山七十町歩ばかりの山なんですから、これでハッパをかけられたらサルも逃げてしまう、それは御想像願えるだろうと思う。そのときに、私がお尋ねしているのは二つの点で、三月の末に申請をしているこのサルを早く天然記念物にするということによって、まだ許可になっていないその試掘権に対して、当然当局においてはお考えになるのではないかということが一点。いま一点は、今の天守閣のその周辺という限られた地域、この点まで現在試掘権申請がありましても、それは現在限られた小部分の山の上の方でありますから、あるいは許可にならぬのではないかと、しろうと考えで想像できるのです。ところが今申しますように、片方にサルというものがいる。だから今のようななまぬるい御答弁でしたら、万一許可になった場合は、申請者は臥牛山そのものを申請している。それが七十町歩ばかり。ところがその中でサルというものがいるのだから、これはもし許可になってハッパをかけられれば逃げてしまうのです。だから市はあげてテンヤワンヤしている。それも今から二週間ほど前に今の通産局の出先の方から出張して、それを調査しているので、地元も初めて知った、こういう事態なんです。だからあなたが新しい事態だとおっしゃることは当然でありますが、こういう緊急な事態に対していま少し明確な御答弁が願いたいと思う。
  19. 岡田孝平

    岡田説明員 鉱業権云々の問題が最近起りまして、事態が相当めんどうになったと存じますので、懸案になっておりますところのサル天然記念物指定に対しては、早急に調査しまして、早く一つ解決したい。ここには天然記念物の問題、それから城の修理の問題もございます。それから史跡にも指定されております。重要文化財史跡天然記念物等の保護に遺憾のないようにいたしたいと思います。
  20. 山崎始男

    山崎(始)委員 それでは今度は通産局の方へちょっとお尋ねいたしますが、もしサルが早く天然記念物指定されたと仮定した場合は——今のところ先ほど申し上げますように、まだ正式な許可は出しておられないと思うのでありますが、その場合には試掘権範囲といいますか、その点は、今私が申し上げますように、相手は動物ですから、音の問題がある、そういう点を十分御考慮になる御意思がありますか、ありませんか。
  21. 森誓夫

    森説明員 お答えします。サルの問題だけについてお答え申し上げますと、ただいまの状態では非常に私の方も判断しにくいのでございまして、文化財指定されますと非常にはっきりした態度がとれるかと思います。なおまたハッパの問題は、それもやはり試掘権が他のものに影響を与える一つの重要な要素であるということは考えておるのでございまして、もしハッパをかけることによって、その震動が城に非常に影響を与えるならば、もちろんそのハッパも制限すべきものであると思いますが、城に大して影響を与えないでサルにだけ与えるということになりますと、やはりサルに、特別な国家的な角度から、これは非常に重要な文化財であるというような張り札をしていただけると、非常にわれわれとしては動きいいのですが、張り札されない場合は、これは非常にむずかしい話になってきはしないかと思います。
  22. 山崎始男

    山崎(始)委員 非常に論理的な御答弁で、私は満足するのでありますが、それだから私はお尋ねしているのでありまして、今度は文化財の方の高橋委員長は、今のような御答弁をお聞きになった通りなんですが、天然記念物という指定でもあれば当然考慮する、こう言われている。やりやすくなる。だから私のお尋ねしているのはそこなんです。いま少しく速急に調べて、この野猿の集団を天然記念物にするべく一つ御努力願いたいと思う。当然試掘権申請者は合法的な手段で出してきている。いまだ未許可である。いわゆる許可をおろす側とすれば、ああいう答弁があるのは当りまえです。だから私はもうこれ以上御質問いたしませんが、一つ速急に御調査に相なって、早くイエスかノーかの結果を出していただきたいのであります。今年の二月に当文教委員会でも、国政調査一環として、この臥牛山の猿は、先ほど並木委員じゃございませんが、わざわざ見に行っておるのであります寺一月の末に申請書が出ているはずなのであります。私はしつこくは申しません、今の通医局の方の御答弁で私は明白だと思うのであります。その点を文化財保護委員会の方へ特に御要望申し上げておきます。同時に通産局の方には、先ほど私が申し上げましたような事情ですから、どうか許可をおおろしになるときには、そのような周囲の環境その他十分御考慮願って、慎重にやっていただきたい。そうしておるうちに、文化財保護委員会の方から、天然記念物指定があるだろうと思いますから、どうぞその点に対して、最後でございますから、高橋委員長の御親切な御答弁をお願いいたします。
  23. 高橋誠一郎

    高橋説明員 本年の三月にこの野猿保護につきましてお話を伺いましたときに、専門家その他の意見を私徴したのでございまするが、どうも野猿の類は、だいぶ他にもすでに保護の対象となっているところなどもありまするので、この高梁市の臥牛山野猿を特に保護する必要があるかどうかということは問題であるというような意見を述べておられた方々がございましたので、とにかくこれが文化財保護の見地から見て、果して指定に値するものであるか、また指定すべきものであるかどうかを十分調査してもらいたい。その調査の結果を待って、文化財保護委員会としては態度を決定したい、こういうことを申しておったのでございまするが、その後決して——忘れたと申してははなはだ何でございましょうが、実はそのままになっておりまして、まだ私の手元までその調査の結果が届いておりません次第でありまして、今日重ねて御質問を受けましてはなはだ恐縮に存じておるのでございまするが、ただいま局長のお答え申しましたように、至急調査の結果を求めて委員会の態度を決定したいと存じております。むろん、文化財保護を第一に置かなければならぬのでございましょう。が、委員会といたしましては、資源の開発そのほかの点と考え合せまして、果してこれが保護の対象となり得るものであるということが明らかになりますれば、むろんわれわれといたしましては、これを指定いたしますることにやぶさかならざるものでございます。
  24. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 野原覺君。
  25. 野原覺

    ○野原委員 私はまず高橋委員長にお尋ねいたしたいと思いますが、過去数回にわたって、委員長も御承知のように、正倉院の問題についてお尋ねをして参ったのであります。その私の質問に対する文化財保護委員会の御答弁を要約してみますと、結局すみやかに善処したい、こういう一語に尽きるのではないかと思うのであります。一体この問題はその後どういうように善処されておりますか、私は誠意をもってなされていると考えておりますので、お尋ねをいたします。
  26. 高橋誠一郎

    高橋説明員 前会野原さんの御質問を受けました当時は、ちょうど肥鉄土会社の社長鍵田氏と会見いたすことを申し入れておりましていまだ会見の機を得ずにおりました際でございまして、その点申し上げたと存じますが、私の方から会見を申し入れ、向うは上京いたしまして日取りも時間も約束しておったのでありますが、とうとう参れないという返事を受けましたのであります。それからその後さらにまた日を約束いたしたのでありますが、このときも会えませんでございました。三度目になりまして、日は、必要があれば、事務局の方でむろんわかっていると思いますが、鍵田氏が文化財保護委員会に参りまして、私会見いたしたのであります。そうしてどれだけの誠意があるかということをよく知りたいと存じまして、いろいろ問答をかわしたのでありますが、たびたび申し上げております条件の履行、これにつきまして鍵田氏は、舗装はあくまでもやる、それから植樹、芝張りのごときものもむろんやる。もうすでにやっているところもあるのであるが、しかしながら散水については自分は今日はなはだ悔いている。どうしてああいう約束をしたものであるか、自分ながら後悔いたしているというようなことを申しているのであります。これは何によるのであるかと申しますと、舗装などは後に残るものであるが、散水はそれぱなしになってしまうのである。資本家的な見地から見ておるのでございましょうが、はなはだ何かむだのように考えられるというようなことを申しておりますので、これはどうもはなはだ遺憾なことであると存じまして二、三押し問答いたしておりますうちに、それでは散水もいたします、必ず初めお約束いたしました条件は全部履行いたします、こういうことを申したのであります。それからなお史跡指定地域内におきまして肥鉄土の採掘を行いました点、この点はどうかと申したのでございまするが、むろん一応は、これは遺憾であった、まことに申しわけがないというような口吻を漏らしておったのでありまするが、根本におきまして鍵田氏は、私有権の神聖を深く信じておるものでありまして、自分の所有地内において自分が土をとるというようなことをしてなぜ悪いのであるか、国家はこれに対してどういう賠償をしてくれるのであるかというようなことをしきりに申しておるのであります。私は法律にはうといのでありまするが、所有権というものはそういう絶対なものとは私どもは考えないのでありまして、なるほど所有権は総括的な支配権でありましょうが、しかしながら公益あるいは他の個人の利益の点からしていろいろな制限を受けなければならぬものと考えておる。ことに史蹟に指定せられておる場所であるならば、文化財保護の点を十分考えてもらわなければならぬ、こう申したのであります。いろいろ話をいたしておりまするうちに、どうやら納得したようでございまして、そのほかいろいろ打ち合せをいたしまして、帰ったのであります。それで果して同君が約束いたしましたことを実行しておるのかどうか、これまでの例に徴しますると、いささか心がかりでありましたので、文化財保護委員会事務局の記念物課長補佐、荻原君を奈良に派遣いたしまして、実際道路そのほかを調べてもらったのでありますが、向うの会社の人に案内をしてもらいまして、いろいろ説明を聞きながら調査いたしたのでありますが、どうも社長の申しておりますところと、あちらの事務員の申しておりますところとでは相当食い違いがあるようであります。私どもはさような命令を社長から受けておらぬというようなことを申しておる個所が二、三あったと聞いております。それで私はどうも鍵田社長の誠意がはなはだ疑われるのである。国会におきましても正倉院委員会におきましても、私は罰則の適用というようなことはでき得る限り避けて、他の方法でこの問題を解決したい、正倉院そのほかの貴重な文化財を守り抜きたい、こう考えておるということを答弁いたしたのでありまするが、どうも鍵田氏がかような態度をとっておりまする以上、はなはだ遺憾であり、その効果のほども疑われるのでありますが、罰則の適用以外に道はないのではないか、こう考えまして、他の委員諸君にもお諮りいたしておったのであります。そして事務局に対しましては、でき得る限り早くその手続をとるようにということをたびたび督促いたしておったのであります。ところが先週の土曜日に奈良の教育長の足立氏が出て参りまして、ちょうど委員会が開かれておったものでありますので、委員会に出席してもらいまして、いろいろ氏の述べたいと考えておりますことを述べてもらいました。非常に長時間にわたったのでありまするが、教育長は、今鍵田社長並びに会社は非常に態度を改めまして、恭順な態度というような言葉を使ったのでありますが、恭順の態度を示しておる、こういう際にもし罰則の適用というようなことが行われまするならば、かえってやけっぱちになってしまって、すてばちになりまして、事態を悪化させることを自分はおそれておるのであるというようなことを申しておられたのであります。どうもそういうことでありますならば、たとい効果がないにしろ、いよいよわれわれとしては法律の定めるところによりまして進んでいくほかに道はないではないか。しかし、この点につきましてはなお教育長からよく鍵田氏に話をしてもらいまして、決してすてばちにならないよう、やけくそを起さないように話をしてもらえないものであろうか、この点なお慎重を期したいのである、こういうことで別れたのでありますが、まだその返事を今日まで受け取っておらないのであります。先方の態度いかんによりましては、むろん罰則の適用もやむを得ないことと思いますが、なお地元からの返事を一日、二日待っておりまして、さらに事務局をして適当な措置をとるようにいたさせたいと存じております。  それから塵埃でありますが、これはこの前申し上げましたように百葉箱を据え付けたのでありますが、正倉院の倉の中にこれを入れることが許されないのであります。倉の中に試片などを置きますのは、この秋の曝凉を待たなければならぬ、こういう遺憾なことに相なっておりますので、倉の外にこれを置いておるのでありますが、その中の一番道路に近いものが最近に至りましていささか影響を示しておる、こういうことであります。これは道にごく近いところでありますし、そうして他の場所に置きましたものには影響が現われておりませんので、さらに研究を進めていかなければならぬと考えておりますが、まずさような報告を受けております。  それから一番正倉院に塵埃の影響を及ぼすことの大であると考えられましたもの、これは正倉院委員会でもそういうことに到達したようでありますが、これは東側の道路であるということであったのであります。その東側の道路は奈良県におきまして立て札をいたしまして、バスを通さぬようにいたしましたそうでありまして、これによりましてよほど塵埃は防ぎ得ておるのではないかというような報告を受けております。今日まで委員会のいたしましたことは大体これくらいでございまするが、あるいは私の言葉の足りませんところがございましたらば局長から補わせることにいたします。
  27. 野原覺

    ○野原委員 非常に詳細な善処についての経過の御説明を承わったのでございますが、私に言わしめますと、文化財保護委員長がおとりになりました善処の御努力は、私は率直に認めます。この問題に非常に関心を持たれて、何とかしなくちゃならぬという御誠意は私も認めるのでございますけれども、しかしあなたのやり方は、あなたのこの問題に対する仕方というものは、私に言わしめるならば、一言で言うならば非常になまぬるいのです。これは高橋先生というお人柄からきておる点もあろうかもわかりませんけれども、私は非常になまぬるいと思う。たとえばあなたが今日まで長い間かかって——実はこれは昭和二十六年からの問題で、ここ四、五年来懸案の問題に今日結論をお出しになって、罰則を適用しなければならぬじゃないか、こういう結論に到達しておるときに、たまたま奈良の教育長が上京してきて、あなたに長い時間哀願をしておる。いろいろ哀願をしたのかどうか知りませんが妙なことを言われている。その妙な言葉の中に、今や鍵田氏は恭順の態度を示しているのだから、あなたが罰則を適用することになると事態は悪化するかもわからぬ、このことが私にはどうも得心がいかぬのであります。文化財保護法というその法律を適用して、このようなふらちな業者に対して、史跡保存しなければならぬ、文化財保護しなくちゃならぬという立場から国の法律を適用したことによって、一体いかなる理由によって事態が悪化するのか、教育長はどういうようなお考えでこういう言葉を言われたのか、あなたはどういう受け取り方をされておるのか、事態が悪化すると言われたから、あなたとしてはなおまた明快なる御態度を今日とることができないでいらっしゃるように私は承わったのであります。一体事態が悪化するとはどういうことなのでしょう。この点について委員長がどう把握されておるのかお聞きしたいと思います。
  28. 高橋誠一郎

    高橋説明員 私の承知しておりまする点、私の聞きましたところによりますると、罰則の適用を受けるというようなことであるならば、約束したような条件の履行を中止してしまうというような態度を示しておる、こういうことであったのであります。これもはなはだけしからぬことであって、条件を履行しないというならば、果して鍵田氏がそういう態度を示したといたしまするならば、これはむろん許可を取り消すというようなこともまたやむを得ないことになってきはしないかというような話をいたしたのであります。  それから私の態度がはなはだなまぬるいという御非難、これはまことに私といたしましてもいろいろ反省させられておるところでございますが、この罰則の適用を行うべき時機をもし逸したといたしますならば、これは罰則の適用は申すまでもなく裁判所の権限にありますので、果してこれがやれるかどうか、そこにだいぶ問題があるように報告を受けておりますので、私といたしましてはその点遺憾のないように十分一つ調査してもらいたいということを、事務局にたびたび申し入れておるのであります。この肥鉄土採掘の点などに関しまして、これは鍵田側の主張だということで教育長から聞いたのでありますが、あれがもし名勝に指定されておるならば肥鉄土を取って山はだが現われるようになったら名勝を破壊するということが言えるかもしれないのであるが、史跡にどういう影響があるか、あそこからは古がわら一枚掘り出されたことがないのだ、むしろ史跡指定を取り消すべきであるというようなことを——これは私には鍵田氏は申さぬのでありますが、教育長などには申しておるそうであります。これはしかし奈良の方でも、かような申請などはとうてい成り立たないものであるというので、出しました書類をそのまま返したというような報告を受けておるのであります。
  29. 野原覺

    ○野原委員 高橋先生、相手が開き直ればあなたの方ではいかんともなしがたいというなら、これは今や法治国家じゃないのです。私はあなたのただいまの御答弁一つの大きな問題を提起しておると思って承わっておる。あなたがこういうような開き直られ方をして逡巡されるならば、今やあなたには文化財保護を託することは私はできない。私は率直に申し上げます。そういうような御態度で今日の日本の文化財保護が一体できると先生はお考えになっていらっしゃるか、ここなんです。たとえば事態が悪化するとは一体どういうことだ。保護委員長としては奈良の教育長からの申し出を一体どう了解したのかという私の質問に対して、約束したところのあの道路の許可の六条件を履行しないかもわからぬ、そういうようにも実はとれたということであります。私はその道路の許可の六条件を履行しないならば、先生もただいま申されましたように、行政処分による取り消しをやるべきである。文化財保護法にはちゃんと明記しておるじゃありませんか。そのために行政処分による取り消しをしなくてはならぬということが明文にうたってある。たとえば、私はここに図面を持ってきております、これは先日も事務局にお目にかけたはずでありますが、この史跡地内の点線の中で、無断で肥鉄土を採掘しておる。これはあるいは鍵田氏の所有であるかどうか知りません。しかし、かりに所有であると仮定しても、史跡地内においてその現状を無断で変更することは許しがたいと法は明記しておるのであります。そのこと一つを取り上げてみましても、明らかに違法の事実なんです。そういう違法の事実を委員長から指摘されても何ら反省するところなく、過去五年来の懸案のものを、おれの所有権から泥を掘ろうと何しようと勝手じゃないか、こういうたんかを切るような業者は、何といっても片方奈良の識者から非難されるだけのことしかないと私は実は考えておるのであります。最近私が手に入れました新聞にこういう記事がある。奈良県奥田知事の話「法律を守らないでドライブ・ウエイをつくった人物に対し法律で通行を許されている正倉院横の公園道を通るなといっても無理だ。文化財保護委員会も無責任だ。」と奈良の奥田知事は新聞に最近談話を発表しておる。文化財保護委員会の無責任は——これは私は申し上げにくいことでございますけれども、私は保護委員長の人格を、何回も申し上げますように非常に尊敬しております。しかしどうもあなたのやり方は、こういった文化財保護するのには適切な処理、そういう方策に欠けておる面が多々あるのではないかと思うのであります。  そこでもう一ぺんお尋ねをいたしますが、文化財保護委員会は無責任であると奈良の行政庁の責任者である奥田知事が明言をされておることに対して、文化財保護委員会としてはこの史跡地の肥鉄土の無断採掘の問題、あるいは正倉院横道路の問題、その許可もない道路にバスを走らせておる問題、六つの条件を与えておるのにその条件を履行しない問題、こういう問題が過去数年来放擲されておることに対して、何らの責任もお感じになりませんか。一体責任を感じているのか感じていないのか、私はその一点だけお尋ねをしたいのであります。
  30. 高橋誠一郎

    高橋説明員 実は私もちょうど、はなはだしり馬に乗るようで恐縮でございますが、ただいま野原さんのお使いになりましたと同じような言葉を使いまして、奈良県の教育長と話をいたしたのでありまするが、これがもしいよいよ事態を悪化させるようなことになって、法を無視して肥鉄土会社が暴挙に出るということがあるならば、もうわれわれの力がどれだけ及ぶかはわからぬのであるが、われわれとしては法に基いてこれと戦い争うほかに道はないではないか、かようなことを申したのであります。肥鉄土を無断で採掘いたしました点、指定地域内に入っておりまする点、これはくっついておりますので、何カ所ということがどうもはっきりいたさないそうであります。こちらの調査によるのでありますが、はっきりはいたしておりませんが、大体四、五カ所あるということでございまするので、これだけは裁判所の方でもはっきり認めてくれておることと思うので、この点につきましては罰則の適用ができるのではないか。もしまた罰則の適用が行われた結果といたしまして、かえって彼らを暴挙に導くようなことがあるならば、ただいまも申しましたように、私どもの委員会といたしましては、でき得る限り戦って、文化財を守り抜くことに努力しなければならぬ、こういうことを申したのであります。ところが教育長の方でも、条件の履行は必ず一つ行わせるように自分たち先方にかけ合う、こういうことを申しまして引き取ったのであります。奈良県知事談の載っております新聞、私はなはだ不念でございまして、まだ見ておりません。ただいまお読みになったので初めて承知いたしたのでありまするが、ずいぶん新聞記事には間違いもありまするし、新聞記事にかようあると申しまして先方に問い合せますると、さようなことは申したことはない、そういうようなことを言われることがたびたびありまして、最近におきまして奈良へ参られました宮内庁長官の言葉なども、私が朝のラジオで聞きましたことと、それから奈良県側で聞きましたこととがまるでうらはらでありまして、全然あべこべなことになっておりますので、直ちに岡田事務局長に宇佐美長官と会見してもらいまして、その真意を確かめたのでありますが、どちらも正しくなかったように考えられておるのであります。もしかようなことが次々と起りまして事態を悪化させる、実はいろいろ問題が文化財保護委員会に対しまして起ってはおりますが、おそらくこれは最悪な場合ではないかと思うのでありまするが、それに対しまして私がいかにも無力である、私どものとりました態度のために重要な文化財、ことに正倉院御物を危うからしめたというようなことがありまするならば、私むろんその責任をとらなければならぬことと存じます。これははっきり申し上げることができると存じます。
  31. 野原覺

    ○野原委員 史跡地に関しましては、ただいま委員長が申されましたように、史跡地内で肥鉄土を採掘しておる個所は五カ所なんです。その境界点で二カ所あります。しかもその史跡地内の肥鉄土の採掘は、正倉院に近いところで昭和二十七年に採取を始めておるのです。一体史跡地内の採取が昭和二十七年に始められて、今日までこれを黙認してきたということの責任は、文化財保護委員会としては一体どうなるのでございましょう。こういうことは法律の建前からいって直ちにやめさせなくちゃならないのじゃないか。それが黙認をされておるのであります。一カ所は、これは東側の十固眺望台のところでございますが、昭和二十九年に採取になっておる。これも黙認されておる。黙認してきたために、鍵田社長のごときは開き直るのかもわからぬのでありますが、あとの三カ所は、昭和三十年以降の採取。これにしたって一年ないし一年半の日子が経過をしておるのです。こういうことについて委員長はどうお考えですか。こういうことで無断で採掘されておるものを、何ら今日まで知らなかった、何らの手も打たなかったということについて、それじゃ委員長なり事務局はどうお考えですか。まずこの点を承わりたい。
  32. 高橋誠一郎

    高橋説明員 この点を知りましたのは、事実は記録に残っておると存じますが、相当おくれておったのであります。これが明らかになりますと同時に直ちに鍵田社長に対しましてその責を問うておるのであります。しかしそこで直ちに罰則の適用に出なかったという点を、もしわれわれの責任であると仰せられれば、これはやむを得ないことでありますが、たびたび申しておりまするように、でき得る限り罰則の適用などは避けたいという考えで進んでいったのでありまして、決してこれを黙認しておるというようなことは私どもはいたさなかったつもりでおります。先方から何度となく始末書などをとっておるのであります。ただいま御指摘の点、五カ所と伺っておるのでありまするが、文化財保護委員会の事務局で調査いたしましたところによりますと、先ほど申し上げましたように、どうも何カ所ということを、くっついておるようなところがあるので、はっきりは申せないが、大体四、五カ所ということでございまして、野原さんのおっしゃるところと大体一致しておるのではないか、かように考えております。決してわれわれは今日まで黙認してきておるのではないのであります。ただ既成事実であるからやむを得ないとい三態度を文化財保護委員会ではとっておるのではないかというような非難のあることを耳にいたしまして、特にこの点はなはだ遺憾なことであるから、罰則の適用そのほかを行わなければならぬということは私再三申しておったのでございますが、先ほども申しましたような事情によりまして、延び延びになりまして、今日に至りましてもまだその運びに至っておらぬのであります。だんだん鍵田氏もその態度を改めまして、肥鉄土の採取、採掘は今日のところではいたしておらぬということを最近に報告されたのでありまするが、この点もさらにまた調査しなければならぬと考えております。今のところではまだそうやけくそになって、自分の思うことを何でもやるというようなところまでは参っておらぬのであります。
  33. 野原覺

    ○野原委員 私は、無断で史跡の変更をした、こういう場合にはやはり法に照らして厳然たる処分をするように法は規定しておるわけですから、そのようにしていただきたいと思うのです。ただし、私といえども罰則を適用することが決して目的ではありません。私はもし鍵田氏がほんとうに良心があり、そのやったことに対する反省があるならば、これは罰則を適用する場合に情状酌量の余地もあるわけでございまするから、そこは法の裁断に待たなければなるまいかと思うのであります。けれども委員長もかねてからお認めになっておられますように、非常にこの人のやり方は悪質なんです。これは速記録に委員長も何回となくおっしゃっておる通り、非常に悪質なんです。実は私もこの問題に関与するたびに憤慨しておるのです。私も決して人を犯罪者扱いにする、罰則を適用する、そういうことだけを考えて申しておるのじゃない。こういう悪質なものをはびこらしておくと、奈良の史跡、奈良の文化財というものは完全に破壊されてしまう、若草山が破壊されただけじゃないのですね。世界的な国宝である正倉院にまで、おのれの利潤追求のためにそういった史跡を無断で変更して、今度は道路を勝手に作って、正倉院にまでおのれの魔手を伸ばそうというようなことは、私は断じて許すことはできぬと思う。私が先ほど奥田知事の談話を読み上げましたところ、委員長はそういう談話はどうも信用できぬということでございまするから、それじゃ私は談話でなしに、その御自身お書きになられた安倍正倉院評議会議長の手記を読み上げてみます。これは談話じゃございませんからほんとうだろうと私は思う。もしこれが間違いであれば、私は安倍委員長には、実は近い機会にあなたの御態度いかんによっては文教委員会に出てきていただいて、御証言も仰がなければならぬかと考えておる。安倍委員長はこう言っております。「正倉院や正倉院の宝物がいわゆる御物であって、委員会の取締る文化財でないというのは、三百代言的言い逃れに過ぎない。中略。私は春日山の奥山回遊道路から、肥鉄土会社の経営する新道路をドライブして、正倉院まで下って見たが、まだ公許されていないというこの道路が、砂ジンを防ぐ舗装や並木は一向実施しないくせに早くも県の通行税と共通な料金切符を発行しているのには、一驚を喫せざるを得なかった。そのうえ史跡区内からも肥鉄土を掘りおこし、史跡を一歩越えると、醜悪な温泉宿を建て、美しい旧都奈良の背景なる美しい自然に、文字通り「赤はじ」をかかせる冒トクを無視するわけにはゆかない。」安倍先生はこのように憤慨されておる。そうして一体こういうことにならしめたその責任は、文化財保護委員会にあるのではないかということを、この文章の言外の至るところで実はにおわしておるのであります。私はこれ以上もう申し上げません。私は文化財について質問をするたびに、正倉院の問題をしつこく申し上げまするのは、とにかく今日の文化財保護委員会が、せっかく国会がああいうりっぱな保護法を作っておるにもかかわらず、その保護法によってきぜんたる態度をとらないということが、今日幾多の日本の文化財を棄損しておるのではないか、こういう懸念を持っておるから申し上げておるのであります。私はこれ以上申し上げてもどうかと思いまするから、委員長におかれましては、決して相手が開き直ったからどうだこうだということでなしに、やはり法に照らして罰すべきものは罰し、取り消すべきものは取り消す、こういうきぜんたる態度をおとりになられるよう、私はこれで四回目の要望でありますが、このことを申し上げて終ります。
  34. 高橋誠一郎

    高橋説明員 先方がそういう態度に出れば出るほど、われわれは強く出なければならぬ。第二、第三の手を打たなければならぬということは、私も同様申しておる点でございまして、十分私ども決心を固めまして、これに対処いたさなければならぬと固く決意いたしておる次第でございます。  それから決して鍵田氏を弁護するわけではないのでありまするが、先ほどお読みになりました安倍さんの手記の中にも、たとえば共通の切符を売り出す点などは、その後改めておると、問い合せました際には返事をいたしておりまするので、今日に至りまするまで、そういうような点を考えますると、だいぶ態度を改めてきておるように存じます。それから温泉とおっしゃいましたのは、おそらく三笠温泉をさしておられることと存じまするが、これは指定地域外と伺っておりまするし、私の聞きましたところでは、この会社の一番大きな利益を上げておるところだと、こう申しておるのでございまするが、さらに広地域指定せられるようになりますれば別でございまするが、今日のところにおきましては、ちょっとわれわれとしては手の出しにくい範囲にあるのではないか。先ほどお話にもありましたように、環境を守るということにも力を尽さなければならぬのでありまして、奈良、京都のようなところは、さらに広地域にわたりまして指定を行う必要がありはしないかということが、委員会におきましてもしばしば問題に上っておるのでありまするが、何分大問題でありまするので、その結論を得ずにおるのであります。それからまた罰則のごときものがあまりに軽過ぎる、この点において法の改正を行わなければならぬのではないかというようなことも、しばしば話に上っておるのでありまして、これらの点もあわせて考えて参るつもりでおります。
  35. 岡田孝平

    岡田説明員 なお補足申し上げますが、この問題は宮内庁、建設省、運輸省等多くの省に関係ある問題でございまして、建設省、運輸省ではすでに道路の許可を与えてしまっておるのであります。宮内庁におきましても、条件つきならばどうもやむを得ないというような返事をいたしておるのでありますけれども、私どもといたしましては、文化財保護の見地から、できるだけかような問題は慎重にいたしまして、いやしくも正倉院に対して影響ないようにいたしたいという見地から、今日なお最後の断を下さないでおるわけであります。お話にもありました通り、正倉院は宮内庁の所管でありまして、文化財保護法の適用範囲ではございませんから、知らぬとは私ども申しません。たとい他省の所管でございましても、この超国宝的な文化財は、私どもとしても宮内庁と同様に、それ以上に関心を持って何とかいたしたいということで、最近では特に念のために東京文化財研究所に命じまして調査をいたしておるというようなことでございまして、決して私どもこれに対して何ら投げやりにして文化財保護を放棄するということはございません。ただ事務処理につきましてはいろいろ経過もございまして、なかなか私どもの思うようには参りませんけれども、私どものとりましたところの立場だけはただいま申し上げた通りであります。
  36. 野原覺

    ○野原委員 同僚議員の諸君からもたくさん質問があるようでございまするから、私は簡単に続きまして文部大臣にお尋ねをいたします。  まず第一点は臨時教育制度審議会の法律案は、大臣御承知のようにあなたとしてはきわめて遺憾な事態に立ち一至ったのでございますが、臨時教育制度審議会法案を御提出になられましたその理由は、二つあったということをあなたは申しておられます。その一つは今日の教育基本法なり学校教育法というものを検討しなければならないということが一つ。もう一つはあまりに大学が多過ぎる、四百九十九もある。こういうようなことだから大学制度についても検討し直さなくてはならぬ、こういうことを申していらっしゃるのでございますが、臨教審がつぶれた限り、一体大臣がお考えになられました基本法なり学校教育法、大学問題の検討というものはどういうことになるのでございますか、これはしばらく見送る、こういうことであるのかどうか承わりたい。
  37. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 次の通常国会に提案いたしまして、この法律の成立をみたい、かように思っております。
  38. 野原覺

    ○野原委員 次の通常国会に御提案になるということであれば私どもは次の通常国会でまたこれをつぶさなくてはならぬ、こういうことを考えております。これは全くあなたとは遺憾ながら見解が反対でございますから、私どもはそう考えておる。  それでは第二点に入ります。簡単に申し上げます。昨日わが党の議員から教科書法の行政措置についての質問があったようでございます。私は大臣の答弁を直接聞くことができなかったので、実は重複する点があればこれはごかんべん願いたいと思います。従って簡単に私はお尋ねいたしますが、例の検定審議会、これは御承知のように法律案で八十人内外というようにうたわれておる。ところがその八十人内外という検定審議会が国会の意思によって成立をしなかった。成立しないということであれば、国会は検定審議会に関しては現状の十六名でいくべきだということを意思決定をしたものと思うのです。しかるにもかかわらず予算に計上しておるからこの検定審議会委員の増員をはかるということは、一体議会の意思というものを大臣はどのように考えておられるのか、この点を私は非常な疑問を持っておるのであります。これをお教え願いたいと思う。
  39. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 あの教科書法案は本院は通過いたしましたが、参議院においては委員会を開くことを物理的に拒否する団体がございまして、それゆえに参議院においては審議されなかったのであります。この法案は一つのコードとしてやりましたがために、立法事項のみならず、行政でできることもあの中に書き込んであります。教科書の検定は法律であります文部省設置法で文部大臣の権限になっておるのであります。いかなる方法でいかなる程度で審議するかは、法律がなくても文部大臣の権限でできることであります。権限でできる範囲においては、私は国家のために一番いいと思うことをやろうと思っております。
  40. 野原覺

    ○野原委員 法律案には第十五条に「検定審議会は、八十人以内の委員で組織する。」とある。私どもはこの点についていろいろ質疑をいたしました。ところがこれに対する大臣の御答弁は、検定審議会を拡充強化するということも、この教科書法案を提出した一つの理由だということであったのです。私はその通りだろうと思います。いやしくも提出いたしました法律案の第十五条に「検定審議会は、八十人以内の委員で組織する。」と明記している限り、検定審議会の委員を八十人にするということが、やはりこの法案を提出した一つの理由ではございませんか。これが国会を通らなかったのです。審議未了、廃案になったのです。審議未了、廃案になったということは、事検定審議会の委員に関しては、これが国会を通らない以上は、現行の十六名でいくということが、国会の意思を忠実に履行すべき行政府の当然の責任だろうと思うのです。あなたはこれは行政措置でもできるのだと言うけれども、いやしくも法案として提出して、それが通らなかった限り、国会は現行の十六名ということを再確認したことになるのじゃありませんか。あなたは法律学者でもございますが、どうもこの点になりますと、私は納得できない。これを御答弁願いたい。
  41. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 あの法案に書いた検定審議会を作ろうという考えは持っておりません。現在は政令で検定調査審議会というものがあるのです。これは法律ではありません。文部大臣の権限内であります。その検定調査審議会は検定を十分にするために拡充する考えであります。
  42. 野原覺

    ○野原委員 法律案の内容に、検定審議会の委員は八十人以内にする、こううたってあるわけです。だから八十人以内に検定審議会の委員を増員するということは、やはりこの法案を提出した一つの要素だと思うのです。この要素がだめになったのです。だめになった限り現行の十六名でいくべきではありませんか。実は大臣の御答弁いかんによっては、これは私どもの党としては大問題にしたいと思っておるのです。(「おどかすな。」「脅迫か。」と呼ぶ者あり)おどかすのではない。これは大へんなことなのだ。国の立法機関が否認したものを行政府の恣意的な考え方によって強行するというがごときことは、断じてこれは三権分立の精神からいっても許しがたいことなのです。これは国会の無視なのです。御答弁のいかんによっては私どもはそう断定せざるを得ない。どういう理由でこういう行政措置をやるのか、もう一ぺん伺いたい。
  43. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 あなたのおっしゃることと同じことを、もう少し小さい声で昨日はおっしゃいました。私はこれは思いつきではなく、私も法律学者であります、十分考えております。前の法案はあの通りで審議未了になりましたから、法案なかりしことと同じことです。国会は検定審議会を置くべからずという決議は何もしておりません。なかりしことと同じです。その前に復元して、文部大臣の権限を制限したものはだれもいない、そこで今やっておりますものは政令によるところの検定調査審議会というものがあります。検定調査審議会を、あの法律では調査審議会をやめて、検定審議会を八種作ろう、こういうことであったのです。私はもとに戻りまして、検定調査審議会の方を拡充していこう、こういう考えを持っております。
  44. 野原覺

    ○野原委員 大臣にお尋ねしますが、これは何ですか、予算にすでにあなたはこの増員分を要求して、その予算が通過しておるから、大臣の行政措置ということでやったのだ、予算は通っておるし、大臣の権限内でできることだからやったのだ、こういうように受け取ってよろしゅうございますか。
  45. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 違います。まだやっておりませんです。やったのだということは違っております。検定の手続きをもっとよくしようという考えで、予算はとっております。そこで検定調査審議会を拡充して、今の教科書には欠点があるということが確認されておりますから、これをよくする。国のために行政権限内でできるだけいいことをするのは私の義務であります。
  46. 辻原弘市

    ○辻原委員 関連して。重要な点でありますので、ちょっと大臣に参考に承わっておきたいのであります。私も予算委員として予算の審議にあずかった一員でありますが、昨日私が質問いたしました三十一年度の教科書制度に関する予算の中で、今問題になりました野原委員が指摘をした検定審議会の予算というのは、これは検定審議会という名前で予算が取られているはずです。ところが今の大臣の御説明によると、今度動員するのは検定審議会ではなしに、もとへ戻って現行の検定調査審議会の委員を動員するために所要の行政措置をとりたいと考えているのだ、こういうことであります。そういたしますと、予算は検定審議会という予算がとってある。動員分の予算はこれは一体どこから出されるのですか。その検定審議会として取った予算の中から検定調査審議会の委員動員の予算を支出するという心組みであるのかどうか。予算の支出の権限はこれは行政府にありますけれども、しかしその点明確にしておいていただかないと、そう簡単に、予算があるから、同じようなものだから、ここから出してもいいということでは相済まない問題だと思う。その点いま少しはっきりしておいていただきたい。
  47. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 ここに予算書を持っておりませんが、予算は検定審議会の項目のうちから支出を願おうと思っております。
  48. 辻原弘市

    ○辻原委員 そうすると検定審議会で取ったということは、これはこの前に提出して審議未了になったあの法律に基く検定審議会ということではなかったのですか、文部省がどういう説明を大蔵省にされたか、私どもが国会の予算委員会あるいは分科会等で説明を承わったときには、明確にそういうことになっておる。しかも大臣が今説明されたように、検定審議会というものと検定調査審議会というものは性格が全然違う。片や政令、片や法律できめようということで、その人員構成、性格が全然違う。違うものをもとに戻して、新しく立法した上で支出をしようと考えたものの中から出すというようなことは、予算支出上の正当な措置であるかどうかをはなはだしく私は疑問に思いますので、そういうこともこれは適当にやれるのだということならば、私は後日の参考に承わっておきたい。もしそういうことをたびたびあなた方がおやりになるなら、今後われわれは予算の審議の上に当ってこれは相当考えなければならぬ。何かの名目でもってとった予算が、それがかりに事志と違ってうまく行かなくても、適当な振り出しに戻って名前を変えれば、どんどん予算が支出できるというようなことは重大だと思います。こういうことは予算編成上も決算の上においても問題でありますから、私は参考に十分聞いておきたいと思うのです。今うしろの方で政府委員の方々もまことにそれはその通りですと肯定されておりましたが、それはそれでいいのですか。
  49. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 前の答えの通りでいいのであります。
  50. 辻原弘市

    ○辻原委員 いいんですということでは、いいんだとお考えになっておるということがわかるだけで、何がゆえにいいのだということはわかりませんので、一つうしろの方の方々から、どういう形でどういうふうにして出るのが会計法上妥当であるのか、それをちょっと参考のために聞かしておいていただきたいと思います。
  51. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 予算の目的範囲内でありますから、その支出はいいのであります。
  52. 斎藤正

    ○斎藤説明員 先ほど委員の人数のことでございますけれども、文部省の諮問機関には中央教育審議会のように人数まで法律で定めてあるものと、それから審議会につきまして他の大部分のものは名前とその目的とだけを掲げ、あとは人数その他構成に関しましては政令に譲っているものがあるわけでございます。でございますから、現在の教科用図書検定調査審議会は、人数をいかようにするかということは政令で定められておる問題でございますので、政令の改変によって人数の変動ができる、これが前段で大臣のお答え申し上げたところであります。  それからなお予算に、「教科書制度の改革に必要な経費」としてあげてございますが、その説明の第二項を辻原委員はおっしゃったのだろうと思います。「教科書検定審議会および教科書発行審議会を運営するとともに、」云々というところだろうと思いますが、これは科目として同じ目的で、教科用図書検定調査審議会の現在ありますものは、これは制度が変りますれば検定審議会と発行審議会の機能に分れるのでございますけれども、現在はこのままで執行できると考えております。
  53. 辻原弘市

    ○辻原委員 斎藤さんの説明はちょっとぴんとこないのでありますが、予算書では検定審議会という。これは項目か費目かちょっとそこのところは明確でないが、別に分けて出してあるはずです。説明書を見てごらんなさい、検定審議会というふうに分けてあがっているはずです。それは説明であろうと何であろうと、そういうことは極端に言えば一種の詐欺行為です。きちっと検定審議会と書いてある。その説明に、この予算に並行して将来出されるであろう法律による検定審議会の費用でありますという説明がある。それは明確なんです。だからわれわれは審議するときにそう了承して、さようならばそのために八十人増員する経費、報酬その他は必要であろうと考えて、そういう建前で国会が認めた。それを今になって、それは同じようなもので、単なる説明で、類似のものだから出してよろしいということは、款項費目の軽重の別はどうあろうとも、それは正当なる説明ではない、正当なる支出ではないと私は言っているわけだが、それに対してどうお考えになるかということです。説明であろうが何であろうが、予算書において款からずっと下ってきて説明の項まで一つの筋もって書かれているわけであります。その点を明確にしてもらいたい。単に、できますとか、それでけっこうですというような一方的判断の答弁においてはどんなことでも言えますよ。中古エンジンを買う費用で、実際はそういうものを買うのだけれども、それには新しい構想をもってやるのだ。こういうような費目をもって金を取って何でもやれるのですから、そういうことが問題だ。だからきのう私はあえて強くは質問しなかったのでありますが、行政執行上はっきりどこから何をしても間違いない部分については、見解の相違があっても——見解の相違は別として、そのことについての違法措置はないかもしれぬけれども、しかし今のような点はもう少しはっきりしておいてもらわないと困ると思うのであります。
  54. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 それでははっきりした説明を一つやってみたいと思います。あの予算を提出する時分には、教科書を検定する機関は検定審議会となるつもりでありました。しかしながらそれは今の検定調査審議会が変形すべきものであります。それゆえに、検定審議会が通らなくなったというたならば、もとの調査審議会の予算は零ということになるのですか、たとえば十六人の調査審議委員をやってはいかぬということになりましょうか、それは拘泥した見解だと思います。少くとももとの定員の十六人の分は、私のような考えじゃなくても、皆さんのお考えでも、この予算調査審議会から取ることはお認めになるだろうと思います。十六人がとれれば、三十人も五十人も同じ性質のものでありますから、こういうことになるのです。しかしながら、そのためには省令の方で十六人の数をふやさなければなりませんから、省令の方は変ります。ですから調査審議会と審議会とは性質は同じもので、予算はこういうふうにゆとりをとって使っておることは新憲法このかた慣例でございます。これは決して私が考えたことじゃございませんです。それで御了解下さると思います。
  55. 野原覺

    ○野原委員 これは了解できないのであります。これは辻原委員も指摘いたしましたように、検定審議会として組んだ予算、この検定審議会で組んだというのは、別個に教科書法を提案する、教科書法を提案すると、教科書法の内容に教科書検定審議会というのが書かれてあるのだからして、教科書法が成立した場合の措置をとらなければならないから、検定審議会の予算を組んだことはこれは明らかなんです。それが明らかであるにもかかわらず、一方教科書法は通過しなかった、通過しなかったからして今度は検定審議会の予算というものを現在の検定調査審議会の予算に使うということでありますが、これは検定審議会として予算を組んだ限り、検定調査審議会が使うべきじゃない。あなたに言わせるとそれじゃ一体今日の十六名の金はどこから出すのか、こういうことでございますけれども、この点は何らかの別個の措置をとらなくちゃなりませんよ。当然に検定審議会の予算を持ってくるということは違法なんです。従ってこれはただいままだ決定していないということでありますが、大蔵省と交渉中なんですか。私は新聞で読んだわけだけれども、検定審議会の予算から検定調査審議委員の人数を増員する、八十人分組んでおるのでございますから、これは十分できるでしょう。ところがその八十人が否認されておる。否認されておるものを今度調査審議会ということで脱法的にごまかして増員するということは、何といっても私が最初申し上げましたように、国の法律を無視したやり方、国の法律じゃなしに、国の意思、国会の意思を無視したやり方であります。この点についてはぜひお考えおき願いたい。もう一ぺん参考までに大臣の御所見をこの点について承わっておきましょう。これは私どもここで解決できなければ——あなたもなかなかシャッポを脱がないようなおたちですから、これはどうにもならぬと思いますが、そうなればそうなるで、私どもはこの問題はいろんな方法をとって追究いたしますから、もう一ぺんお聞きしたい。
  56. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 昨日辻原君及び本日あなたに答えました通りでありまして、文部大臣も文部省設置法で教科書検定の権利を持っておるのであります。この権利及び責任の範囲内において機構をどうするかということは行政でできることであります。それゆえに行政の範囲内において今の検定調査審議を拡充いたしたいと思っております。そうしてその予算はどこからとるかというお問いでございましたら、過日の予算——検定審議会の予算から支出をするつもりであります。これで間違いありません。御非難がありますれば私一身をもって責任を受けます。
  57. 佐藤觀次郎

  58. 高村坂彦

    ○高村委員 時間がだいぶたっておりますから、ごく簡単にお尋ねをいたしたいと思います。  京都市において実施せんといたしております観光施設税というのがございますが、これにつきましては、実は社寺関係方面で相当の反対があるようでございます。そこでこの問題はひとり京都だけではなくて、やはり同様な関係地方に将来波及する可能性のある問題でもございます。それからその内容が宗教並びに教育にも関係がございますので、それらについて反対者の意見等もございますので、反対者の意見等について納得のいくような御説明をいただくことがこの際必要かと存じますので、お尋ねをいたしたいと思います。  元来宗教法人に対しましては、納税が原則的に免除されておるようでございますが、地方の観光施設税の内容を見ますと、社寺は徴税義務者であって、納税義務者じゃない。納税義務者は観光に行った者であるというふうになっておるのでございますが、しかし実質的にはやはり納税義務者ということになるのではないか、こういう考え方を社寺方面ではとっておるわけでございます。市長が拝観料を全廃すれば観光税はとらないといっておられるそうでありますが、そういうところから推しても、実質的には明らかに拝観料というものを対象とした課税であるから、従ってこれはやはり宗教法人である社寺を対象とした一つの課税である。従って少くともそれは宗教法人に課税をしないという精神に反するものだ、こういう意見一つの反対理由に相なっております。この点に関して自治庁のお考え一つ承わりたいと存じます。  それからその次は、拝観者に課税するものであるとしても、拝観者と信者との区別は困難であるから、一般には信者にも課税するものであって、これは明らかに信仰の自由をはばむものである。結果として宗教に対する一つの干渉であって、このことは信教の自由を保障いたしておる憲法に違反することになりはしないか、こういう反対理由がございいます。これにつきましては一つ文部大臣の所見を伺いたいと存じます。  それから次は、この内容は、一般の人に対しましては、一つの拝観個所一カ所について十円ということになっておりますが、生徒児童については五円ということになっております。そこで生徒児童が社寺の拝観者の大体七〇%ぐらいあるそうでありますが、彼らが社寺拝観を行うのは、これは文化財に対する学習研究である。単なる名所見物ではない。観光という意味よりも、むしろ学習研究というふうに見ることの方が妥当である。かような文化財の学習研究に児童が行った場合にこれに課税をするというのは、教育の精神に違反するものではないが、こういう反対理由があるわけでございます。これに対しまして文部当局としての御所見をやはり明らかにしておいていただくことが、いろいろな今後の点から申しましても必要ではないかと思います。この点についても文部大臣の御所見を明らかにしていただきたいと存じます。  それからこの税は、目的税でございまして、その設置の動機は国際文化会館を建設する財源を得るがためのようでありますが、こうした目的税を設置することによってこの目的を達成しなくとも、何かほかの方法でなし得るのじゃないか。たとえば社寺側においては寄付金等も、これにある程度分担をしてもいいというふうな用意もあるということでございますから、一つの行き方として、今申しましたような宗教への干渉とか、あるいは学生児童の学習研究を阻害するといったような非難もあり得るようなやり方によってそうした目的を達成しなくても、他に方法があるのではないかという意見もあるのでございますが、これらの点について自治庁として、この税を御認可と申しますか、御許可になる場合にいろいろ御検討になったかと思いますので、それらについてのお考え等も一つ承わってみたいと存じます。  以上、簡単に質問申し上げます。
  59. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 今高村さんのお取り上げになった問題、私は過日参議院の選挙の際に、京都市において市長、すなわち課税しようという市役所側の説明、それから社寺の側の説明も一応聴取いたしました。その後帰京して執務の際に、奈良県の社寺の側からの陳情も受けました。その結果、お問いのことで私の関係しておることをお答えいたします。  信教の自由のことでありますが、これは高山市長と話したのでありまするが、信仰心から奉納しまするおさい銭、お布施、それは課税の対象としておらぬということであります。観覧という、見る方だけだという説明でありまするから、その憲法問題はなかろうかと私は考えております。この課税の許否の権限は自治庁にあることでありますから、省内の、ことにここにいらっしゃる文化財関係の方からもいろいろ意見があるのでありまするが、所管の権限以外のことでこれを許す許さぬということを文部省が発表することはよくなかろうと思いまするが、文教並びに文化財の所管の責任者として、必要なる注意と希望は述べておきました。それで希望として具体的に述べたものは二つであります。一つは、学生児童の修学のための観覧は無税にしてもらいたい、歴史教育、それから文化の方面の教育は文部省の方で特に重要視しておることなんだから、これに対する課税はお許しになる場合でも、これは免除してもらいたいということを直接自治庁長官に申し出ておきました。もう一つは、あなたのおっしゃった目的税のことでありまするが、目的税は観光会館、道路及び文化財保護ということが書いてございますが、文化財保護ということを第一にしてもらいたい。文化財を見に来る者から得た金で、ほかの会館を作るといったようなことは、余れば別でありまするが、文化財保護を第一にしてもらいたい、この二カ条は、口頭でありましたが太田長官に申し出ておいたのであります。これをとるかとらぬかの採否の決定は自治庁長官の方の職権でありまするから、しいて私は立ち入って干渉がましくは申しませんでした。私一個の考えとしては、地方の財政が許せばこういうことは好ましくはないと思っております。
  60. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 文化財の観覧につきまして負担を求めることはできるなら避けたいというふうに存じております。しかしながら半面、京都におきまして観光施設を整備しなければならぬ、それには相当な財源を必要とするということも事実でございますので、両者を比較考量して検討されてしかるべき問題だというふうに考えたわけであります。その場合に、京都国際文化観光都市建設法という法律がすでに制定されておりまして、観光都市建設のために国は必要な援助を京都のために与えなければならないというような規定もございます。もう一つは、自治団体は自治権の一つとして課税の権能を持っている。従って自治団体が新たな税を起そうとする場合に、必要な財政需要のある限りはこれに許可を与えなければならないという立法もなされておるわけでございます。そういうようなところから、先般観光施設税を設けたいという事前の京都市からの協議に対しまして、すでにそれに対しまして自治庁から一週間ほど前に返事を与えておるわけでございます。その内容は、観光施設税が主として観光財の保存のための財源及び観光財の公開に要する施設の整備のための財源を得ることを目的とする限り、京都市の財政が余裕を持たない現況においては、文化観光都市としての京都市の特殊性にかんがみ、やむを得ないものと思料されるが、その内容については次のような意見を有するので留意されたいということで、五つの事項を掲げております。  その一つは、本税の運営に当っては、あくまでも観光施設の整備、観光財の保存等に要する経費に充てるよう、いわゆる目的税的運用をはかることとし、いやしくも一般財源の不足に充当することのないよう特に留意することであります。その二は、右に伴い、この税は観光施設の整備、観光財の保存等の事業が一応の見通しを得るまで課する限時税とすることであります。その三は、課税客体に関する事項中、観光財が何らの対価または負担を求めないで無料で公衆の観覧に供するものとされている場合においては、当該観光財観覧については、これを課税客体としないことが適当であること、また観覧料が低額でありかつ観覧者の少いような施設についてまで課税の範囲を広げることば、社寺の経済に及ぼす影響を考慮して、これを避けることであります。その四は、納税義務者に関する事項中、学校生徒児童については、観光財の観覧が学校教育の一環としてその教材的役割を果していることにかんがみ、新たなる負担を求めないようにすることが望ましいので、観光施設整備に要する費用ともにらみ合せ、可及的に負担の過重を来たさないよう努めることであります。その五は、観光財を所有しまたは管理するものの多くは社寺等であり、社寺等が特別徴収義務者として指定されることが多いと予想されるので、社寺側の納得が得られるよう、事前に十分協議懇談を尽すこと、こういたしたわけでございます。  そこで、御質問になりました、社寺が納税義務者になるのではないか、こういう点でございます。お示しにもございましたように、観覧する者にその回数に応じまして税を負担してもらう、それを社寺側が観覧料と一緒に受け取っておいて、税金の部分だけを京都市に納入していただく、こういうことになっているわけであります。従いまして、納税義務者じゃなしに特別徴収義務者ということになるわけであります。特別徴収義務者という点におきましては、現に社寺が職員に対しまして給与を支払う、その場合に職員の給料のうちから市民税を差し引きまして、その市民税を市に納入するという義務も現に負っておるわけでありまして、所得税につきましても同じような源泉徴収の義務を負っておるわけであります。従いまして特別徴収の義務を負ってもらうという点につきましては、従来と全く違った新たな義務を課せられるものではないというふうに存じておるわけでございます。
  61. 高村坂彦

    ○高村委員 ごく簡単にお尋ねいたしますが、文部大臣の御説明の中にございました憲法の違反にはならぬ、これは観光に対する観光税であるからというお話しでございましたが、これは考え方だと思うのですが、社寺の拝観というものが、古来一種の宗教行事だ、こういうふうに見られるとすれば、これはやはり若干の疑問が起るのではございませんでしょうか。ただ拝観というここが宗教行事の一つというふうに見られる場合と、単に観光と見られる場合と、両方あるのじゃないか。そこで今の宗教行事の一つと見られる場合には、観光料といってもちょっと違った意味で、むしろこれはそういうものを保存するものを信者として一部負担するのだ、こういう考え方ができるのじゃないか、そうするとその点が観光という意味とちょっとそれは違ってくるような気がいたしますが、その点について、やはり反対される人にそういう意見がございますので、その点を一つ明らかにしていただきたい。  それから児童生徒の問題でございますが、これについてはできるなら避けるようにしてもらいたいということを文部大臣が自治庁長官におっしゃったということでございますが、ただいま自治庁の係官のお話しを承わりますと、児童生徒に対しては可及的に負担が過重にならぬようにという文面でお出しになったようでありますが、そういう抽象的なことをおやりになりましても、結局市としては児童生徒には五円ということに具体的になった場合に、ただいまそういう書面をおつけになったことがどういうことに相なるか、これはやはり一つのそういった法律精神に反するからというので、是正の措置をやられるようなことができるのかどうか、その点を一つ伺ってみたいと思います。以上二点でございます。
  62. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 第一の信仰のことですね、私も京都で、市長の高山君と、あなたと同じ考えでいろいろ質問したり研究してみたのです。本尊を崇拝して信仰、並びに今までの慣例でおさい銭箱に南無阿弥陀仏といって拝んで上げるものは、それは信仰の方だから課税しない、しかし門前で観覧料として切符を売って入場さしているのは、これは観覧料なんだから、それにかけるんだから、その限界でよかろうという京都側の意見でありました。なおしかしそれが混濁せぬように十分に工夫して下さいといったようなことを私は友人としてのアドヴァイスとして市長に対してしておったようなわけであります。それ以上いい限界のつくところがありましたら高村さんのお教えを乞いたいと思います。今自治庁でお読みになりましたもので、一項と四項が長官が私の言うことを入れてお書きになったものと見えるのです。その説明は聞きませんけれども、今までの目的のほかに文化財保存等に要する経費に充てるということを言って下さっております。官庁の文書ですから遠回しでありますけれども、これはこれでいい。第四項も、かねて考えていたかあるいは私の申したことでか、その教材的役割を果しておることにかんがみ、新たな負担を求めないようにすることが望ましいと一たん書いてくださっておるのですね。教材的役割といったのは、私が言うた言葉をお使いくださったんだろうと思います。しかしそれを緩和し、観光施設整備に要する費用とにらみ合せてなるべく負担の過重を来たさないように、ここはちょっと骨が抜かれているわけですね。しかしながら五円は私は高かろうと思うのです。遠足に京都へ来ると一カ寺を見るのじゃありません。十も十五も見るところがあります。清水、知恩院、八坂神社、金閣寺、銀閣寺、たくさんありますから、五十円にも百円にもなる。国民教育は無償が原則ですから、これがあまり高いようなきめ方であったら、公式にも非公式にも市役所の方へ私は言うていきたい、かように考えております。
  63. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 生徒児童等の問題その他につきまして文部大臣の御意見もございましたので、そういう趣旨も十分に入れて京都市へは通達いたしたつもりでございます。生徒児童につきましては観光施設税を課さないことが望ましい、政府としては基本的にそう考えておるのだということを、まず京都市に対しまして意思表示をしたわけであります。その範囲内においてどう考えるか、しかしながら観光施設整備のためにどうしてもこれだけの金が要るのだということであって、あえて生徒児童についても若干の観光施設税を取らなければならないということになった場合でも、負担の過重を来たさないようにしてもらいたいという趣旨でございます。現に生徒児童につきましては拝観料は徴収されておるようでありまして、その辺ともにらみ合せて考えていかざるを得ないじゃないかという感じをわれわれとしては持っておるわけであります。
  64. 高村坂彦

    ○高村委員 もう一点で終ります。目的税の目的なんですが、これはその後変っておるかもしれませんが、市で考えておる目的の中に観光施設として道路橋梁の修築というのがある。便所、休憩所の設置ということは、これは観光としていいかもしれませんが、道路橋梁の修築ということは、こういう目的税として取ったものが、観光施設というものと一般の何というものの限界がつかない、こういうものに非常にたくさん使われるようになっておるようでありますが、これらの点についてはその後何か自治庁でご検討なさるときにお話しがございましたかどうか、その点をちょっと明らかにしていただきたい。
  65. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 京都市から最初に話がありましたときに、道路整備のために幾らを使いたいのだ、こういうことでございました。しかし今おっしゃいましたような疑問もございましたので、どの道路をどう整備するのか、具体的にしてくれなければ話しにならない、こういうことをお答えをいたしました。その後京都市側からは、道路につきましてもすべて箇所別にどう修築していくのだという計画が出て参っております。それぞれ社寺に直接結びついた道路を整備したいということでございます。
  66. 佐藤觀次郎

  67. 大西正道

    大西委員 今の説明で大体大きいところはわかったのでありますが、なおこまかいところを二、三伺いたいと思います。  今の奥野さんのお話しで、この税金で文化財保護に充てる、こういう一とで許可するのだというお話しでありました。これは京都のみとは限りませんが、今の文化財保護に関する国の予算が非常に少い。ですから、重要な国の文化財が荒廃に帰し、そして非常な危機に直面しておる。そういう場合に、従来その荒廃に瀕しておるところの文化財を守り、かつまたこれを修理するというような場合に、国の予算が十分ではありませんから、私はおそらくその文化財の管理者あるいは所有者がかなりの自己負担でもってそれを保存し修理をしておるのではないかと思う。そういうふうな現状から考えますと、古い寺や宮なんかがかなり高い拝観料を取っているということも、これは見方によってはその文化財を国が十分保護してやらないから自分の財源でそれを保護する、こういうことが私は言えると思うのです。そうしますと、今税を取る目的としてことさらそれを集めて、そして文化財保護するという理由でもって新たに税を設定するというよりも、むしろ適当な指導さえあれば、このままにして、そして自分の集めた財源でもって自分の管理し所有しているところの文化財保護整備していく、こういうことも私は許されてよいのではないかと思うのです。もしそういうことが非常に効果的であるとするなれば、この法律を作る大きな目的は私は失われると思うのですが、こういう点について、自治庁の方もそうですが、高橋さんに一つ見解を聞きたい。
  68. 高橋誠一郎

    高橋説明員 文化財保護委員会といたしましては、文化財の活用、鑑賞等がことごとく無料であることを望んでおるのでありまして、われわれは、今日の世界におきまして、自然的な自由財がだんだん減少して参りまする際に、社会的な自由財をでき得る限りふやすようにいたしたいというふうに考えておるのでありまして、ことにたっとい日本の文化財のごときものは、これを鑑賞し研究しようとするものがありまする場合、ことに学童などに対しまして、十分こういう方面の知識を与えまするような場合には、でき得る限り無料でなければならぬと考えておるのでございます。しかしながらただいま御意見のございましたように、文化財保護のためにさかれておりまする予算がまことに少いのでありまして、十分な修理そのほかの費用を所有者に負担させますことができない事情にあり、国家がこれを補助いたしますことも思うにまかせないものがあるのであります。やむを得ざることではありますが、所有者が修理そのほかに費用を支出いたしますために、観覧料を取るということもやむを得ないことと存じておるのでありますが、これに対しましては十分の考慮を払ってもらいたい。ことに学童の観覧料などに対しましては、かりに課するにいたしましてもきわめてわずかのものにしてもらいたいと考えておるのでございます。なるほどこれを負担いたしまするものは一応社寺であるかのごとくに考えられますが、結局転嫁いたしまして観覧者の肩の上に課せられることと存じますので、文化財保護行政の上においてもまことに遺憾な結果を引き起しはしないかと憂慮しておるのでございます。しかしながらやむを得ずしてかくのごとき税金がかけられるようになりまするならば、先ほどお話のありましたように、純然たる目的税の性格を帯びるものにしていただきたい。初めは目的税のように伺っておったのでありますが、だんだん話を聞いてみますと、必ずしもこれは目的税とは称し得ないもののような印象を受けておりますので、文化財の観覧に対して徴せられましたところのものは、でき得る限り文化財保護のために使ってもらいたい、かような意見を申し述べておる次第でございます。
  69. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 文化財の観覧につきまして社寺側が観覧料を取ることは望ましくございませんけれども、現状においてはやむを得ない、これは全く私どもも同じように考えておるわけであります。同じようなことが市についても言えるのではないだろうかと思うのであります。一千万に上る人が観光財の観覧に京都市にやってくる、そのために道路もいたむでありましょうし、駐車場も設けなければ交通が混乱してしまうだろうと思うのであります。そういうような費用を社寺が観覧者について観覧料を徴しますように、市としても若干の財源をそれらの人から得たいというふうに考えてきたのだろうと思うのであります。そういう意味において、観光施設税が起ってきたのだろうと考えております。今観覧料を三十円なり四十円なりもらって、観光施設税ができました場合には、実質的には観覧者の負担が四十円なり五十円なりにふえていくわけであります。その結果観覧者が減って参りますと、社寺の収入はやはり実質的に減ってこざるを得ないのではないかと思うのであります。しかしながら反面京都市の観光施設を整備して参りますと、逆に観覧者がもっとふえてくるということも期待されるわけでありますし、京都市は現実にそういうことを目途としていろいろと行政をやっておるように見受けられるわけでございます。そうします場合に、観覧料を現状に据え置く限り逆に収入がふえてくる、下げても収入は減らないという問題にもなるのではなかろうか、こういうような考え方もしておるわけであります。
  70. 大西正道

    大西委員 少し具体的なことを聞きますが、京都市の市会ではいつこの案が提案される見通しですか。
  71. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 二十五日に市会を開いて、その際に提案をしたいというふうに聞いておりますが、そういうふうに最終的にきまったかどうかは承知しておりません。
  72. 大西正道

    大西委員 それでは提案の内容はごらんになりましたか。
  73. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 提案する案は承知しておりませんけれども、何回も案自体が変っておるわけでありますが、経過的には相談は受けております。
  74. 大西正道

    大西委員 そうしますと、自治庁の方で指導ないし条件をつけられたことが、その点が提案の内容に含まれているかどうかということについてはあなたは検討していないのですか。
  75. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 正式に市会の議決を経ましてから後に正式の許可申請があるわけでございまして、その場合には自治庁がすでに条件的に申しております点が満たされていなければ困るのではないかというふうに存じております。
  76. 大西正道

    大西委員 大体これは法律によって、地方から申請しますと、あなたの方で指導したり条件をつけたりすることはできても、これを拒否することはできぬというのが法の建前でしよう。そうしますと、今提案されて、市の議会で通過してしまった、そのときに、あなたが指導したものと違うからというので、自治庁でそれを許可しないというようなことができますか。あるいはまた従来にそういう法定外の普通税でもって、そういうふうな地方の議会が決定したものをあなたの方で許可しなかったというような例がありますか。
  77. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 法律規定によりまして、その中にあげられております条項に該当します限り、許可をしないことができますし、またそういう例もございます。
  78. 大西正道

    大西委員 それじゃもう少し。あなたが指導なさったあるいは条件をつけられたことを大体お伺いしたのですが、五つばかりのことが出ておりますから、これを少し私は詳しく聞きます。この法の建前でありますと、社寺が徴税義務者になっておりますね。そうしますと、無料の場合にも税をかけるというようなことがありますか。
  79. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 先ほどお答え申し上げましたように、全く何らの負担も課さないで、一般的に公開されているような場合には、観光施設税は課さない、こういうことを一つ条件にいたしておるわけであります。
  80. 大西正道

    大西委員 それから京都の案ではおとな十円、子供は五円ということになっておるそうでありますが、これはあなたはその点についての了解を与えておきましたか。あるいはあなたはその点についてはもっと安くした方がよかろうという見解なのですか、いかがですか。
  81. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 先ほど申し上げました通りでありまして、政府としては生徒児童につきましては負担をかけないことを期待いたしておるわけであります。しかしながら整備したい施設があります場合には、そうまで行き得ない、その場合でも負担の過重を来たさないように、こういうことを期待しているわけであります。しかもまた現状において予想いたします税収入と、これを実施いたしました場合に、現実に入ってきます収入との食い違いもあり得るわけでございまして、かりに負担をかけましても、将来予想以上の収入が得られます場合には、さらに無税にするというような方向にまで期待をいたしておるわけでありまして、そういう意味のことを京都市当局に申しております。
  82. 大西正道

    大西委員 具体的に条例の中に、大体おとな十円子供五円ということがきまったように言われておるのですね。それに対してあなたの方はどうだということを言っておるのであって、かけない方がよかろうというあなたの指導条件に対して、もし向うで五円並びに十円とかけてきた場合に、これを許可いたしますか、どうですか。
  83. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 正直に申し上げますと、そういう質問に実は答えたくなかったのであります。もっと下げるなり無税にしてくれるなら、するのが一番よかったと思います。それにもかかわらず五円にしても許可するかという質問には正直にいいますと、実は答えたくないのであります。しかしあえて答えろとおっしゃるならば、答えてもいいと思うのであります。
  84. 大西正道

    大西委員 何を言っているのですか。答えたくないというが、私がここで質問している以上、あなたは責任において答えなければいけません。外交の問題でも、国民に明らかにするために、委員質問に対して答えなければならぬのに、答えたくないというような、そういう主観的なことを言ってはいけません。ですからその問題について、これは明らかに出す方にしてみれば大へんです。今も大臣が言ったように、京都市の文化財は一カ所ではない、何十何百とある。そこで一つ一つ五円なり十円なりとられた場合は、これは大へんな負担です。またとる方の徴税義務者も大へんなことであります。ですから、そういう問題について自治庁として指導並びに条件をつけるということが可能である。その範囲内において許すことができるのでありますから、この点について明らかにされることに何ではばかりますか。どういうふうなところに明らかにすることが悪影響があるんですか、答えたくないという理由はどこですか。
  85. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 十円、五円、こういう案であってもやむを得ないと思っております。ただ文部大臣もたびたびおっしゃっておりますように、まだ自治庁から、先ほど述べましたような文書を出したまでであります。その後京都市側の意見が回付されていないわけであります。その点政府側はこういう期待を持っている、こういう意味で答えたくないということを申し上げたのであります。それは多少大西さんに誤解を与えたようでありますから、率直にお答えいたします。
  86. 大西正道

    大西委員 これは目的税ですか。
  87. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 形式的には目的税ではございませんが、実体的には特定の費用に全額充てなければならないことになっておりまして、そういう意味において目的税でございます。
  88. 大西正道

    大西委員 形式と内容と区別されてははなはだ判断に苦しむのでありますけれども、この法律を作る意味は、目的税的な点を強調して、社寺側とかその他を説得しているような形だと思うのです。ところが目的税ということになりますると、法の建前から法定外の普通税ということになっておりますから、これは目的税としては矛盾します。おそらく私はそうだろうと思う。だから形の上ではこれは目的税ではありませんけれども、実質上は、目的税であります。このような非常に矛盾した答弁が出てくるのだろうと思いますけれども、この点は明らかに形式はどう、内容的にはどうということでなく、一つはっきり割り切って説明していただきたいと私は思う。
  89. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 地方税法に法定されておりません税を地方団体が起します場合に、包括的に地方税法では法定外普通税という言葉を与えているだけでございまして、その中でさらに使途が特定されるもの、特定されないものといろいろあるわけでありまして、京都市が設けようとしているものは使途を特定しようとしておりまして、条例でそういうことを明記いたすことになっております。そういう意味で目的税でございます。
  90. 大西正道

    大西委員 ですから私はその法定外普通税の形で目的税的なものをやろうというところにこの法自体が非常に無理があると思う。たとえば今あなたが言われた道路なんか、あるいは観光会館なんかを作るというようなことは、私の聞くところによりますと、寺や宮の方はむしろそういうものは法律で煩雑な形でとってもらわなくとも、話し合いによって寄付行為等においてそういうものを解決する用意があるというふうに言っていると私は聞いている。法の建前もこれは時限立法になっておるが、また私が前に申しました文化財保護するということも、これは何も税金で取ってまたその同じものを、直すために、そこへやる必要はないじゃないか。寺や宮それ自体がその観覧料でもって修理したりいろいろやっているんだから、それを取ろうというのは、やはり目的税だといいながら、だんだん別の方面の京都市の赤字に埋められていくのではないかというふうな懸念を私は持つんです。これは寺側でもそういう懸念を持つと思うのです。だからどうもそこに矛盾があるから、私の結論としては、こういうふうに非常に問題が起きているこの観光施設税を今直ちに許可するというようなことについてはもう少し慎重であっていいのではないか、こういうふうに考える。こういうふうな点についての自治庁の見解を伺いたい。
  91. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 お話のように、社寺側からは、かりにどうしても観光施設のために財源を得たいという場合であっても、税の形でなく寄付金の形にしてもらいたいということを言っておられます。こういう意見に対して、京都市側では、その点は絶対困る、こういう考え方をしておられるようであります。私どもにはどちらの気持もよくわかるわけであります。市側といたしましては、どうもそういう不明朗な形といいますか、その金額についていろいろ非議されるような形を残したくないと思われるわけでありましょうし、また観覧者の現実に負担しておるものが、社寺の収入が幾らであって京都市の収入が幾らであるかということが常に明確にされておることが、将来の財源の経理の上においても望ましいのではないか、こういう見方もできるだろうと思うのであります。どちらの言い分もよくわかるのでありますが、私はやはり京都市自体が自治団体として内部でいずれの道を選ぶかをきめるべき問題ではなかろうかというふうに存じております。
  92. 大西正道

    大西委員 あなたの方の条件一つに、社寺側と十分納得していけ、こういうことになっているのです。これは単なる法律解釈の適用の問題ではなしに、非常に政治的な配慮が現われている。ところがきのうの新聞を見ましても、苔寺なんかは拝観の期日を春と秋の二回に限定してしまってあとは見せない。こういうことを言っている。ほかの神社仏閣なんかも、ことによったら拝観料もとらない、あるいはまた信者以外には見せない、こういうことに、非常に険悪な方に動きつつあるように私は見るのです。だからそういうふうな情勢に対し、自治庁は単なる法の適用云々の以外に、あなたの言われた社寺側との納得をどのように見ておられるのですか、もし今、対立しているのなら、それはあなた方の示された条件が十分満足されていないのですから、もう一回あなたの方でも何とかおっしゃるはずだと私は思うのです。私は少くとも新聞やその他の動きを見ておりますと、円満な納得の段階に事が運んでおらぬように思うのですけれども、いかがでしょうか。
  93. 奥野誠亮

    ○奥野説明員 社寺側がいろいろ反対していられます理由がございます。その一つとして寄付の形をとりたいという問題もあるわけだろうと思います。京都市側と社寺側と話し合う項目は、それだけに限らないのではないだろうかというふうに存じているわけであります。そうして私たちとしては、あくまでも協議懇談を続けていただきまして、十分納得した上でこの税が施行されることを期待しているわけであります。しかし、不幸にしてそれが完全に円滑にいかない場合がありました場合には、どういう事由で円滑にいかないのか、その点をよく調査しなければならぬ、かように考えているわけでございます。
  94. 大西正道

    大西委員 どうもこういうふうな態度では事が起ることを防ぐことについて非常に消極的だということになると思います。これは部長を責めてもしようがないと思いますけれども……。  それから文部大臣に一つ聞きますけれども、今学生児童に対しては無料ということを強く言われた。現実には無料にならぬようです。これはまことに残念なことです。が、そうしますと考え方としましては、学校生徒には教育的な見地から安くないし無料ということで、一応けっこうですが、一般の人々に対して、これが信仰の対象としてではなくして、ただ観覧ということであっても、これは私は社会教育の見地から、学校教育のみでなしに社会教育の見地からやはりこれも高い税金を払うよりは安くないしは無新というふうに、文部大臣としては一つさらに自治庁に対しても要求されるのが、私は当然ではなかろうかと思う。
  95. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 今文化財保護委員高橋さんのおっしゃいました通り、社会的の無料文化財が維持されることがいいのであります。この点はあなたと同意見であります。なるべくは一般の者、ことに研究者に対して一々観覧料名義で金銭を徴収するということはよくなかろうと存じております。しかしながら、今特殊の事態であって、それゆえに時期を限って市の方でやりたいということだったら、それを横やりを入れて、文部省が差しとめ的のことを言うのはどうかと思って遠慮をいたしておるところであります。
  96. 大西正道

    大西委員 これくらいにしておきますが、私の見通しでは、まだ少し、小ぜり合いといっては誤弊がありますが、問題が起きると思う。二十五日なら二十五日に京都市できまった、あなた方の指導した条件は、たとえば十円、五円というものを一つとりましても、必ずしも満足されないでこちらに申請してきたという場合に、私は問題が起きると思う。それでは、あなたの方はそれ以上しようがないと言われれば何ですが、この点文部省は文教政策の建前から、そういう事態に対してはもう少し強い発言をこの際なさるべき必要があるのではないか、たとえば観覧料が高くなりますと、これはもう生徒だって見ることを差し控えようかというようなことになりますし、もううるさいから社寺側が見せないということになりますと、これは全然研究の機会が与えられないことになるのですが、私はかなりそういうことが出てくるのではないか、もう苔寺がそうである。そういう事態に対して文部大臣の方は、初めの御努力はけっこうでありますがもう一段強く要請される必要があるのではないかと思うのですが、文部大臣、いかがですか。
  97. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 情勢に応じまして善処いたしたいと思っております。
  98. 大西正道

    大西委員 それから最後に一つ、この問題にからんで伺っておきたい。文部大臣は私と同じく姫路でありますけれども、姫路の城のあの石がきでありますが、この上にあの辺の浮浪者が集まって、石がきをくずし土地をくずして、バラックを建てている。電気もついておりますし、夜になれば中から楽しいメロディも聞えてきている。春秋になれば町の名前をつけて運動会も余興会もやる。もう単なる浮浪児のたまりというのでなしに、あそこに住居が固定化したように見えるのです。これは市の責任もあろうかと思いますが、文化財保護委員会並びに文部大臣としても、これは一つ事態の解決のために何らかの手を打たなければならぬのではないかと、私は思っております。この機会に高橋さん並びに文部大臣から、すぐに応急の措置ができないとすれば調査するとか、その他この問題の解決のために熱意のほどを示していただきたいと思う。なおその中に、濠の端の方に、地方の有力者が病院を建てて堂々と営業しているようなこともありますし、また片方の端の方には、あるタクシー会社がガレージを大きく作っているということもありまして、こういうのが半ば公然と認められたようでもあるし、まことにもって私もこの点については残念に思っているのでありまして、一つ善処のほどを願いたいと思いますが、見解を一つ承わりたいと思います。
  99. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 御注意ありがとうございます。さっそく調べさしてみます。濠並びに石がきは史跡として大切にしております。昨年は濠の浚渫について予算を要求したのですが、あれは成立しませんでしたけれども、これもやりたいと思っているのです。
  100. 高橋誠一郎

    高橋説明員 姫路城には私も何年前でございましたか参りまして、しさいに見て参ったのでありますが、あの城を保存いたします上におきまして、いろいろ遺憾の点がございましたので、それぞれ指示を与えておったのであります。最近におきまして、私どもの事務局の次長清水君を姫路に派遣いたしまして、なお詳細の調査をいたして参りまして、先日その報告を受けましたのでありますが、これらをもとにいたしまして、あの名城保存いたしまするがために、でき得る限りのことをいたしたいと考えております。
  101. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 ちょっと訂正します。私今濠を掘って来年度浚渫させると言いましたが、すでにその浚渫は着手いたしておるそうでございます。私の答えが間違っておりました。
  102. 大西正道

    大西委員 掘はきれいにしておりますが、私の言っているのは、掘のこちらにある土手の上にバラックが、もう数百軒というものでしょう。ですから、あれがどかないから、だんだん立ちのき料とかその他で費用がかさむであろうということを言っているのであります。
  103. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 わかりました。
  104. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 山崎始男君。簡単に願います。
  105. 山崎始男

    山崎(始)委員 だいぶ時間も経過いたしましたので、ごく簡単にお尋ねいたしますから、御答弁も簡単でけっこうでございます。  初中局長にまずお伺いいたしまするが、この児童災害補償の問題に対して、大きな点はきのう文部大臣にお尋ねいたしましたので、ただ事務的な点だす三、四お尋ねしたいと思います。まずこの災害補償の問題で、文部省の方では学校安全会というものを大体御決定になったというふうに新聞報道で見ておるのでありますが、これは決定になったのか、まだならないのか、その点一つお答え願いたい。
  106. 緒方信一

    ○緒方説明員 先般関係の府県の教育委員会関係の課長を集めまして打合会をいたしました。それは昨日お話がありましたような経緯がございまして、現在島根県でやっておりますけれども、あの方式が保険業法に違反するということでありますので、何らかの措置を講じなければならぬ、その相談をするために課長会議をやったわけであります。その際に文部省としましては、保険業法に抵触しないような措置を講ずるための一つの目安といたしまして、ああいうものを、こういう方法であればいかがであろうかというような意味で示したわけであります。従いまして、文部省がそれを全国的に実施しようという意味で決定したということではございません。
  107. 山崎始男

    山崎(始)委員 それでこの問題は、島根県でやっております組合制度の補償組合のやり方に対して、中国財務局の方から大蔵省の方へ、違反ではないかという問い合せがあって、そして大蔵省の方から今度は法制局の方へまた問い合せがあった。そういうふうな経過を経て、文部省とすると何らか措置をしなければいけないというので、この学校安全会というものをやるならば、一応今の法的な違反にはならない、保険業法の違反にはならない、こういう御見解だと聞いているのでありますが、やはり事の起りは島根県から起っているのですか、その点ちょっと……。
  108. 緒方信一

    ○緒方説明員 ただいまお話通りでございます。
  109. 山崎始男

    山崎(始)委員 それでまず大蔵省の見解と法務省の見解をおっしゃっていただきたい。
  110. 谷川宏

    ○谷川説明員 御説明申し上げます。大蔵省といたしましては、島根県に行われております児童生徒の障害補償の問題につきましては、非常に社会的に重要かつ有意義な事業でございますので、できれば保険業法のもとにおきましても、大目に見ると申しますか、そのまま継続することができるようなふうにしたいという配慮をもちまして研究をいたしまして、さらに念のため法務省あるいは法制局と連絡をとりまして正式の見解をただしたのでございますが、その結果は、ただいまお話がありました通り、法務省におきましても、民事局、刑事局両方の関係官がいろいろ相談した結果、現在の島根県において行われている補償組合の規約から見ますと、保険業法の第一条に違反する疑いが非常に濃い。従いまして、法律に違反しないようなふうに補償組合の規約を変えた上で実施するならば、それでもよろしいというふうな答えが出たわけです。  それではどうして保険業法に違反するかということを御説明申し上げますと、保険という概念と共済という概念との区別という問題になるわけでございますが、保険という概念は、その本質的な部分といたしまして、保険者と被保険者あるいは契約者との法律関係につきまして、契約者が保険料を払う義務を持ち、保険者がそれに対しまして損害の補償をする義務を負う、いわば保険料納付の義務と保険金の支払いの請求権を伴う、そういう法律関係がはっきり規定の上で、あるいは実体的にはっきりしている場合には、これは保険関係として保険業法の第一条にいう保険ということになりますので、それを継続反復するということであれば、保険業法に基いて所定の手続を踏んで事業を営むことが必要であるという解釈がはっきりいたしたわけでございます。大蔵省といたしましても、法務省あるいは法制局がそういう解釈をする以上は、現行法のもとではどうしても今のやり方は工合が悪い。でありますから、できればその法律にひっかからないようなふうに共済式なやり方をするように変えていただくように文部省にお願いしたわけでございます。
  111. 山崎始男

    山崎(始)委員 ちょっと大蔵省の方にお聞きいたしますが、この問題と時を同じくして、いわゆる一般の損害保険の会社が、本年の七月から、一年間、一人が百十円でしたか掛金しますと、十万円の補償がもらえる。だから一万円に対して十一円ということになるようですが、この営利会社の保険会社が、ちょうどこの問題が大きく騒がれると同時に、この七月からそういうふうな児童生徒に対する特別な保険というものを申請をして、許可になったとかならぬとか聞くのでありますが、その様子はどんな様子でしょうか。
  112. 谷川宏

    ○谷川説明員 まだ保険会社からは正式の申請は出ておりませんし、従いましてまだ大蔵大臣は認可をしておりません。ただ今お話がございましたように、たまたま時を同じゅうして問題になったわけでございますが、実は保険会社の一部におきましては、かって学校の中におきまして不幸にして殺されたといういろいろな事件が出ました場合に、これを保険という制度を通して救済する方法はないかということにつきまして研究を始めておったことは事実でございます。それがいろいろの事情もあわせ加わりまして最近になりまして成案の運びになって、近く正式の申請を出してくるという段階に至っておるわけでございます。大蔵省といたしましては現在におきましても、たとえば前の国会で通過いたしました自動車の損害賠償責任補償法というのに基きまして、全部の自動車を強制的に保険に入らせ、事故があった被害者に対する救済を手厚くするというような種類の保険、すなわち営利会社が営む保険でございますが、時の移り変りに従いましてできるだけ社会性を持つという方面にいくべきではないかという方針のもとにおきまして、学童の傷害保険に限りませんで、今後いろいろな事象が出て参りますが、営利会社が営み得る限度内において、特別の安い料金——損をするわけではございませんが、営利をほとんど加味しないでもやり得るという保険を考えることができるならば、私たちとしてはそういう方向で保険会社を指導していくという建前をとっておるわけでございます。
  113. 山崎始男

    山崎(始)委員 そこで私ちょっと文部省の御見解をお尋ねしたいのですが、自主的な災害の共済制度がおそらく十数県全国でできていると思うのですが、中には一、二の県は、県が年額百万円ぐらい補助して育成をはかっておる県もあるはずであります。こういうふうにあちこちから自主的に起ってきかかったところに水をさされた格好になっておるのです。そうして文部省は昨日のお話やまたきょうのお話のように、ただ現在あります組合が違法にならないようにという立場から、学校安全会というものの構想を一応立てられたということなんですが、先ほどの保険課長のお話じゃございませんが、営利会社が日本全国の災害補償に対する動きというものを、いわゆる商魂たくましい眼でもって見て、今のお話のごとくもうすでに相当の成案ができて、認可申請の一歩手前にある、こういう事態と相関連して考えた場合に、もし文部省の方で政府提案にいたしましても、この趣旨の児童生徒災害補償法という法律をお作りになった場合は、今度は一ぺん大蔵省の方では許可された今のお話児童生徒の集団保険の新しい申請をした者が、逆につぶれるということにならないとは限らない。そこでもはや申し上げるまでもございませんが、義務教育児童生徒なのでありますから、これが全額でなくとも、半ばを国が持つ、半ばを地方の都道府県あるいは市町村がすべて持つという一応の筋道の立つた考え方から、どうしてもこれは行く行くは法律を作らなければいけない。この点は私は昨日の文部大臣の御答弁でも、かなり誠意があるような御答弁のように聞くのでありますが、今秋は大蔵省の方のお話を聞きますと、その間に非常にデリケートな問題が将来起ってくる。ほんとうに文部省の方でこの法律をやはり国が何がしかの補助をもって国の責任を明らかにしてやらなければならないのだというふうなものができました場合は、きっと営利会社が作られる保険の制度より有利なものができなければならない。そうなると保険会社というものは、今度は非常に困ることになってくる。こういう点に対して文部大臣は矛盾といいますか、そういうものをお感じにならないでしょうか。
  114. 清瀬一郎

    ○清瀬国務大臣 営利会社の団体保険のことは、まだ具体的に許可申請してきておりませんから、それが今世間で考えられております児童の災害保険がどうなるだろうかということまでは意見はきめておりません。
  115. 緒方信一

    ○緒方説明員 先ほど山崎さんの御質問の中に県の段階で相当数の県がすでに実施をしておるというお話でありましたが、県の段階のものは今のところ島根県だけであります。ただ県内の市町村の市町村単位でやっておりますところは相当ございます。あるいはまた学校単位でも任意に始めておるところがあるようであります。そこで今の保険の関係等た今大臣の御答弁通りでございますが、文部省といたしましてもその保険の内容等につきましては、非常な関心を持ちまして大蔵当局ともいろいろとお話をしておるようなわけでございます。
  116. 大西正道

    大西委員 関連して。大蔵省の保険課長の今のお話ですが、認可しておらぬけれども、もう構想も大体きまっておるでしょう。そうして最後には、これは保険会社はもうけ仕事だが、しかしそのもうけた分だけは返すというような問題について大蔵省が多少の意見を述べて向うで検討中である、こういう段階でそれがもうぼつぼつ結論に来ておるように私は情勢をつかんでおります。それに対して今の文部大臣のお話では、まだそれに対しては意見をきめておらぬということは非常に怠慢です。もちろんこれは一般の保険会社がやることでありまして、それを妨害するとかとやかく言う必要はありませんけれども、事学童の団体保険でありますから、おそらく私は今のような安全会というようなああいう類似的な団体が自発的にぼつぼつできるという、こういう風潮の中におきましては、事のよしあしを問わず私はちょっとした勧誘によってだっと入るおそれがあると思います。ところがそれがよく運営されればけっこうですが、私も多少これは研究してみましたが、おそらくその運営については学校側の要求と、それから会社の営利的な打算的なそろばん玉をはじく方との妥協点というものが、なかなかつきかねるのじゃないか、実は私はこういうふうに考えております。あるいはこれを保険会社がやるのは、これはもともとこんなものでもうけようと思ってやっているのじゃない、こんなものをやっても実際入らないということを保険通の人は言っている。ただほかのいろいろな類似のそういうものに食われることを防ぐために認可だけをとっておこうとしている、ですからこれは本物じゃないですよということを保険通の人は言いますけれども、私は別の観点からだっとこっちに入るかもしれない。そうしますと今度は、御承知のように保険会社でも今満足なのは五つか六つでしょう。そういうような脆弱な保険会社の中で大きな学童対象の団体保険を文部省の方で十分な計画もなしにこれを野放しにしておくということになると、これは非常に重大な段階にくるのじゃないか、こういうふうに実は考えておるのです。保険課長は、今は認可はしていないけれども、認可の申請をしてくれば——もう認可の段階にまできておるのでしょう。そこらのところも少し話してみて下さい。
  117. 谷川宏

    ○谷川説明員 保険会社からの認可の申請がいつくるかという点につきましては、ただいまのところ私はっきり承知しておりませんが、そう日数はかからないと思います。その上は慎重に約款あるいは料率につきまして検討を加えまして、認可すべきものであれば大蔵大臣の名前におきまして、法律に基いて認可する運びになるわけでございます。ただただいま委員の御質問の中に、保険会社は営利本意であって、まかせることはできないのじゃないかという点につきまして、私の意見を簡単に述べさしていただきたいと思うのでありますが、現在保険会社は、損害保険会社は二十ありますが、そのうち再保険会社が一つ、残りの十九の保険会社が元受けでありまして、三十年度の決算は全部黒字でありますし、たとえば新潟に大火がありましても十五億の金を一時に払えるというふうに資産の内容も堅実になりまして、それに対しまして、たとえば消費生活協同組合あるいは中小企業等協同組合法に基くところの協同組合員が、共済という名前によりまして、火災保険等をやっておるわけでございますが、そういう協同組合がやっておりますところの類似保険行為に関連いたしましては、能代あるいは新潟の大火におきまして二、三支払い不能になりましてつぶれた例もございます。これに反しまして保険会社は大蔵省が今後とも十分に監督を加えていくつもりでございます。ただ対象が生徒児童という団体でございますので、その運営につきましては、特に今までの一般大衆を扱う保険のやり方とは違ったような慎重な態度で臨むようにということを、さらに今後徹底さしていきたいと思います。従いまして学校の方で任意的にお入りになりたいというところは契約を受けつけますが、無理に無理押しをして文部省の御指導になろうとしている安全会の方と、競争的に保険会社が契約をとるというふうなことにならないように十分配慮していきたいと思います。
  118. 山崎始男

    山崎(始)委員 もうあと一、二点であります。大蔵省の方にお尋ねしますが、社会党から出しております議員立法をあなたはごらんになったことがありますかありませんか、ちょっとお聞かせ願いたい。
  119. 谷川宏

    ○谷川説明員 私自身は拝見しておりません。
  120. 山崎始男

    山崎(始)委員 あなたはごらんになっていなくても大蔵省の方で御研究になりましたかなりませんか。
  121. 谷川宏

    ○谷川説明員 保険課におきまして参考的にどういう内容であるか研究しておると思います。
  122. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 山崎君、簡単に願います。
  123. 山崎始男

    山崎(始)委員 あの議員立法に対して大蔵省の保険課の方では、多少内容に若干問題点があるというふうに聞いておるのでありますが、そういう御見解ですかどうですか。
  124. 谷川宏

    ○谷川説明員 ただいま私自身法案を見ておりませんので、今後十分研究いたしまして先生のところに個人的に御連絡に参りたいと思います。
  125. 山崎始男

    山崎(始)委員 見ておられませねば仕方がありません。  それでは最後に初中局長にお尋ねしますが、実態調査をやっておるといわれますが、どの程度に進行しておりますか。
  126. 緒方信一

    ○緒方説明員 これは昨日もお話が出ましたけれども、今年度一杯に完成することでやっておるのでありまして、一年間の実態について詳細に調査をしております。御承知のように前に山形県外八県で抽出調査をいたしましたが、これは非常に雑駁なものでありますので、今後児童生徒の災害の発生の状況あるいは特に学校管理ということで問題になりますから、これらの点につきまして十分でございませんので、本年度一ぱい年間調査としてただいま実施しておるのであります。
  127. 山崎始男

    山崎(始)委員 大体以上で終りますが、最後に要望いたしておきます。先ほどもお聞きのように、損害保険の業界の方ではそういうような制度が今の大蔵省の方のお話ではほとんど内定しておると見ているのでありますが、そうなりますと先ほど私が申し上げましたように、文部省の方でかりにこれを政府提案でもし法律を作られるというお気持がおありならば、誠意を持って早くやっていただきたいと思うのであります。あまり膨大なことをわれわれは望むのじゃございませんので、国が何がしかの補助をして、それへ持っていって各地方団体が多少出費をする、そうして児童生徒自体も何がしか出してもいい、私たちはそのようなふうに実は考えております。国が全額を持つのも二つの理想ではございましょうが、一ぺんにそこまでいくということは、これは望む方が無理だろうと思いますので、どうぞ一つ早くその法律の芽を出していただきたい。たびたび申し上げておりますのでくどくは申し上げませんが、文部大臣の方へ強く御要望申し上げて私の質問を終ります。
  128. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 本日はこの程度といたします。これにて散会いたします。    午後二時八分散会