○山崎(始)
委員 これもそういう御
答弁があると私は想像しておりました。それでは私は直接に具体的な例をあげて一、二点お聞きしてみたい。この点は私は教育
委員会法の問題のときに、御
承知のように与党と野党とが不幸にして四日と五日の食い違いでもって、ついに中間報告というような不幸な事態になって私も
質問の機会を逸したので、私は当時言わなかった。きょうも本来ならば地方自治庁の
大臣でも来てもらって私は欄こうかと思ったが、
最後にこの機会に、やはり
教科書法案の底を流れる関連においては、非常な関係がありますから、私はお聞きするのでありますが、まず今回出ておりますところの教育
委員会法案によりまして——これは私から言わせますならば、
昭和三十一年の三月になってこれが出たという法律じゃないという理解を私は持っておるのです。なぜならば、こういう法律が出る下地というものは、すでに
昭和二十六年からあるということなんです。そして六年ころからいわゆる官僚というものと、ここいらにいらっしゃる、これは与党、野党を問いませんが、一体代議士というものは人がいいのです。これはあまり勉強しない。同時に当選したり落選したりして詳しい事情は知りません。今日の教育
委員会法自体が出てきておるこの
内容というものは、まず最初私は申し上げますが、
昭和二十六年から出てきておる。なぜこういうことを私が申し上げますかというと、
昭和二十八年に地方
制度調査会というものが、いわゆる
政府の諮問機関として誕生した。その誕生した地方
制度調査会が、地方自治体のあらゆる行財政あるいは教育の部面におけるいろいろのことを
考えた。その中の教育に関する、特に教育
委員会に関する
内容を見てみますると、現在参議院で論議されておりまする教育
委員会法のあの
内容と寸分違わないという事実なんであります。ほとんど変っておりません。すでにもう二十八年に今日出ておりまするあの
内容の、教育
委員の数まで出ております。ちゃんと二十八年にもうすでに地方
制度調査会という
審議機関の名前においてこれが出されておる。(「あっちは諮問機関になっている」と呼ぶ者あり)諮問機関です。ところがもっとその奥をたずねてみますると、これはどういうふうな経過でもって、この地方
制度調査会という民主的な格好をした
審議会のパイプを通じて出ておるかといいますと、
昭和二十六年の六月二十一日に——この
時分には地方
制度調査会という正式な名前ができておりません。別の名前であります。地自乙発方二三九号、
昭和二十六年六月二十一日、地方自治庁次長というこの
通達を、これは関係がないように見えますが、大いに関係がありますから、簡単でありますからちょっと読んでみます。地方自治庁次長の名において各都道府県知事殿あてでもって、表題が「地方自治
制度改革に関する
意見について」、こういう見出しです。次に本文「終戦後の地方自治
制度の改革から既に五年余を経過し、その運営には相当の成果が挙っているのであるが、更に先般のリッジウエイ声明の次第もあり、講和を間近に控えた今日地方自治
制度全般に亘る再検討を急速に行うべき情勢にあると
考えられるので、地方行財政
制度(例えば、都道府県と市町村の性格、区域、組織機構、事務
内容の簡素化、税財政
制度等)及び地方自治関係の中央機構の整備等の全般的項目に亘っての改革
意見を来る七月二十日までに御提出願いたい。」これが地方自治庁次長から各都道府県知事殿、こうしてあるのでありますから、全部へ出ておるということも予想できるのであります。これを出した日付が六月二十一日、これだけ大きな問題を返答せいという回答の期日が七月二十日なのであります。これは何を意味するか。こんな大きな問題が各都道府県に配られてそして一カ月で答申ができるかできないか。たとえていいますれば、鹿児島あたりへ郵送するのに、往復文書でおそらく一週間くらいかかるでしょう。しかも一カ月の猶余期間でこの大きな問題を答申せいという
通達が行っているのです。ところがこれが非常に問題になった県がございます。名前は申し上げません。県議会で問題になった。県知事も知らない。たった一人知っておる者があった。それから探ってみると、驚くなかれこの答申案を作る数カ月前に、各都道府県のいわゆる総務部関係の者を自治庁が中央へ呼んで、こういう試験問題を出すからそのときには答えをこういうふうに書いてくれ、こういう懇談会をやっておるのであります。よろしゅうございますか。やっておるからこそこんな大きな問題——矛盾が出てきておるのは一カ月以内に返答せいという——それがわかっておるのでありまするが、そういうことはともかくといたしまして、そのときに出ておる答申、都道府県からされておる教育
委員会に関するこの案というものが母体となって
昭和二十八年度の地方
行政制度審議会という公的な
審議機関のパイプを通過して、そういうふうな経過を経て保守合同をされました今日、教育
委員会法の改正という非常に問題となっておりまする
法案が出てきているのです。しかもこれを配っております、ただいま私が読みましたこれを配っております。幸か不幸か、不用意にか知りませんが、自治庁次長の名において、リッジウエー声明の次第もありと御丁寧に書いてある。こういうふうな経過をとっておる。よくよく探ってみますと、すでに今日の教育
委員会法の案が出てきておる。この案の母体というものはここから出ておるのです。しかもこれを根を探ってみると、リッジウエー声明の次第もあり、こう来ている。でありますから、われわれ国民といたしましては、あなた方が国家統制の方向じゃないのだ、教育
委員会の法律案にしても、
教科書法案にしてもその方向じゃないんだ、思想統一の
内容は含んでおるのじゃないのだ、
教科書の単価をただの少しでも安くして供給発行を公正かつ円滑にやろうというのだ、これは民主的なんで国定じゃないんだ、
検定の
制度をとっているのだというふうな形式論的な御
答弁を、今日まで私はだまって聞いておりますと、やられておるのであります。しかし私たちはどうしてもこれが納得ができないのであります。(「占領中のことだ、」と呼ぶ者あり)占領下です。そういう話があるから私は申し上げる。これは講和
会議の直前なのであります。御
承知のように講和
会議のときには、日本の政治家とアメリカの政治家とが舞台裏で話し合いをして、ちゃんと今日の再軍備の方向というものも性格づけられておるのであります。従ってそれを母体とした一連の関連において、いわゆる日本の教育
行政あるいは
教科書制度にいたしましても、すべてのものの再編成をやらなければならない、こういうふうな性格というものは見のがすことができないのであります。でありますから、私は申し上げたいのであります。こういうふうな背景を見て、われわれが最もおそれることは、やはり社会党がいつも申し上げますように、いわゆる小選挙区の法律案にしても、教育関係の法律案にしても、すべてこれは陰に陽にこういうふうな
一つの立法のいわゆる基礎においては、国際的な
一つの背景というものとのつながりというものがあるんじゃないかと疑わざるを得ないのであります。私はこの点に対して
文部大臣の御感想を承わりたい。