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1956-02-09 第24回国会 衆議院 文教委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月九日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 佐藤觀次郎君    理事 赤城 宗徳君 理事 加藤 精三君    理事 坂田 道太君 理事 町村 金五君    理事 米田 吉盛君 理事 鈴木 義男君    理事 山崎 始男君       北村徳太郎君    高村 坂彦君       田中 久雄君    並木 芳雄君       野依 秀市君    山口 好一君       河野  正君    木下  哲君       小牧 次生君    野原  覺君       平田 ヒデ君    山本 幸一君       小林 信一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 清瀬 一郎君  出席政府委員         文部政務次官  竹尾  弌君         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     天城  勲君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     緒方 信一君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君  委員外出勝者         文部事務官         (大臣官房総務         課長)     斎藤  正君         専  門  員 石井  勗君     ————————————— 二月九日  委員大西正道君辞任につき、その補欠として木  下哲君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 二月七日  私立学校施設災害復旧費国庫補助に関する請  願(原捨思君紹介)(第三二六号)  理科教育振興法の一部改正に関する請願原捨  思君紹介)(第三二七号)  写真技能師法制定に関する請願山口好一君紹  介)(第三二八号)  同外一件(田中利勝紹介)(第三二九号)  同(臼井莊一君紹介)(第三五六号)  同(菊池義郎紹介)(第三九三号)  同(横錢重吉紹介)(第三九四号)  水産総合練習船建造に関する請願田口長治郎  君紹介)(第三六九号)  岩手県に国立水産大学設置請願鈴木善幸君  紹介)(第三九五号)  共同実習船建造費国庫補助に関する請願鈴木  善幸紹介)(第四二〇号)  産業教育振興法の一部改正に関する請願(床次  徳二君紹介)(第四二五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本学士院法案内閣提出第六号)  就学困難な児童のための教科用図書給与に対  する国の補助に関する法律案内閣提出第二〇  号)  文教関係予算に関する説明聴取     —————————————
  2. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  まず、去る六日本委員会に付託になりました就学困難な児童のための教科用図書給与に対する国の補助に関する法律案を議題とし、提案理由説明を聴取いたします。清瀬文部大臣
  3. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 今回政府から提出いたしました就学困難な児童のための教科用図書給与に対する国の補助に関する法律案につきまして、その提案理由内容概略を御説明申し上げます。  現在小学校への就学率はほほ百パーセントに近い状態にありますが、実際の就学状況を見ますと、学校には在籍しながら、保護者の経済的困難により、就学上必要な教科用図書購入にたえないため学校に通学できないとか、あるいはまたこれらについてPTA等の私的な援助を受けながら通学しているような児童が少くございません。  もとより国としては、このような困難家庭児童に対しましては、その貧困度に応じて生活保護法による教育扶助制度を通じて必要な経費給与してはおりますが、なおこれによって就学上困難のある児童が残されているという実情でございます。特に教科用図書購入は、特定の時期にまとまった額の費用を要しまする関係から、困窮家庭におきましては相当の負担になっておるのでございます。  そもそも法令は、保護者に対してその保護する児童小学校就学させる義務を課しておるのでありますから、以上のように就学困難な事情にある児童に対しましては、義務教育の円滑な実施をはかるため、何らかの救済策を講ずる必要があるのでございます。学校教育法が、経済的理由によって就学困難と認められる学齢児童保護者に対して、市町村が必要な援助を与えなければならないという規定をしておりますのも、この趣旨にほかならないのでございます。この際国も、市町村教科用図書またはその購入費就学困難な児童給与いたしました場合は、予算範囲内で、これに要する経費市町村補助することといたしたのであります。  もとより、就学困難な子女に対する教科用図書給与に対する補助は、小学校に限らず、中学校にも及ぼすべきものと考えるのでございますが、さしあたりこれを小学校だけに限定して、国の補助制度を発足せしめるようにいたしたのでございます。  この法律案は以上の趣旨によりまして、国の補助範囲基準等について必要な事項を規定し、また付則におきましては、現在施行停止になっております「新たに入学する児童に対する教科用図書給与に関する法律」を廃止する等、所要の経過規定をいたしております。  以上この法律案を提出いたしました理由及び内容概略を御説明申し上げました。何とぞ十分御審議の上、御賛成あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  4. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 次に、一昨日の委員会におきまして、清瀬文部大臣及び天城会計課長より説明を聴取いたしました文教関係予算について、本日は質疑を行いたいと思います。質疑の通告がありますので、これを許します。小牧次生君。
  5. 小牧次生

    小牧委員 授業料問題につきまして、清瀬文部大臣大学学術局長に若干の質問をいたしたいと思います。この問題につきましては、先般同僚辻原議員から、予算委員会において大要について文部大臣に御質問をいたしまして、文部大臣の方から御答弁があったことは御承知通りでございます。しかしながら、時間の関係もあったかと思いますが、十分なる御意見も承わることができずに、私どもといたしましては、今回の授業料値上げ問題についてにわかに納得しがたいものがございますので、さらに具体的に質問いたしまして、御答弁をお願い申し上げたいと存ずるわけであります。この問題につきましては、金額がそうたくさんになりませんし、またいろいろな客観的な情勢などを考えて、この程度授業料値上げはやむを得ないではないか。あるいはまた戦前に比べて安いから、このぐらいの五割の値上げは妥当であるとか、いろいろ意見も出ておるようでございます。しかし今日の国立大学学生生活状態生活実態をいろいろな資料によって調べてみますと、私どもは、この値上げ問題が、そういったほんとう実態を十分に把握しておらない結果出てきたのではないかということを考えさせられるのであります。文部省大学学術局学生課の方でいろいろ今日の学生生活状態をお調べになった調査の結果を拝見いたしてみますと、自宅から大学に通っておる学生生活費でございますが、東京におきましては、国立大学学生は一月生活費が四千七百円となっておるようであります。これに比べまして、私立大学学生生計費は六千六百二十円、従いましてその比率は約七一%、また地方におきまして、同じく国立大学学生生活費平均を見ますと、これは東京よりも若干安くなっておりまして、約四千百二十円、これに比べまして、私立大学学生生活費は五千三百七十円、その比率は大体同じで七七%、また下宿におって通学しておる学生生活費を見ますと、東京におきましては国立大学が八千六百二十円、私立大学学生が一万一千七百円、その比率は七四%、地方におきましては国立大学が七千六百二十円、私立大学が一万七百五十円、その比率は七一%、こういうふうになっておりまして、国立大学学生私立大学学生に比べまして約七割という低い生活費生活をしておる、こういうことが大体言えると思うのでありまして、国立大学学生がどういう家庭から出ておるかということをいろいろ調べてみますと、当然こういうような低い生計費でやっていかなければならないという結果になることが明らかであります。たとえばその父兄会社員であるとかあるいは官公庁の吏員であるとか、あるいはまた教員、あるいは農村の方、漁村の方、こういう父兄が苦しい中から自分子弟仕送りをしておりますので、そうたくさんの仕送りができない。そういう子弟国立大学学生の大半を占めておるという結果であろうと私は考えるわけであります。しかも今日の学生——これは国立私立も同様でございますが、今日の学生生活状態戦前のそれと比較いたしてみますと、昭和九年の東大生徒資料がございます。ちょうどそのころ私も東大におりましたので、よく知っておるわけでございますが、昭和九年の東大生生活費は、調査資料によりますと間代を含んで、一月の生活費はおよそ四十八円五十二銭という数字が出ております。しかしながらこの数字は、実際においてはおそらくまだ若干多いのではないか。四十八円五十二銭という金では、当時学生生活といたしましては普通の生活は困難ではなかったろうか、かように私は想像いたしております。この昭和九年の物価指数と現在のものと比べてみますと約三三〇・七、これは昭和九年から十一年を平均して基準といたした指数でございますが、三三〇・七という数字になっております。従いまして前の四十八円五十二銭にこの指数をかけてみますと、約一万六千円という金額になるのであります。しかしながら四十八円幾らかが不十分な生計費であるといたしますならば、この一万六千円という金額は、実際にはまだこれ以上になるのではないか、こういうふうに考えますが、国立大学学生東京における下宿生計費は、先ほど申し上げました通り八千六百二十円、こういう数字になっておりまして、ただいま申し上げました一万六千円に比べてみますと約五四%にしか当らないということが明らかになるのであります。  まず簡単に、このように今日の学生自宅あるいは下宿における生活状態を瞥見してみますと、非常に少い金額で苦しい中から学業を学んでおるということは、これはもう否定できない現実であろうと私は信じております。ちょうど戦前の約半分の生活水準である、しかもこのわずかな生活費自分の親元の方から送ってくる金で全部まかっておる学生というものは、これまた資料の示すところによりますと全体の約半分にしか当らない。従いましてあとの不足する半分はあるいは奨学資金なりあるいはまたアルバイトをやりながらこれを補いましてそうして何とかかんとか最低生活の営める生活費を得てそうして授業を受けておる。こういうことになると思うのであります。さらにもう少し突っ込んでその内容を調べてみますと、そういった学生の中で全然内職をしないで済ますことができる者、これが全国平均で約五〇%であります。この傾向地方大学になりますとさらにひどいと考えております。九州大学の出されました資料を見ますと三八%であります。また内職せねばやっていけない者、これが三七・四%、これを地方大学の例として九州大学を調べてみますと四二%、さらに内職をしなければ全然学業の継続ができない者、これが一二・八%であり、九州大学資料によりますと約二〇%、こういうような数字が現われて参っておるわけでありまして、従いまして大部分学生奨学資金なりあるいは今申し上げましたようなアルバイトをやっていかなければならないということで相当な疲労を感じながら授業を受けておる、またあるいは病気を起しまして療養も受けなければならない、そういう療養の必要のあるような学生も相当出て参っておるようであります。しかもこのアルバイトの収入というものはごくわずかであります。これも資料の示すところによりますと大部分月千円から二千円あるいは二千五百円、平均二千二百円というわずかな月収であります。御承知のように私ども戦前大学に学んでおりまするころは、アルバイトということは決して原則にはなっておらないので、たまたま家庭教師あるいはその他のアルバイトをやっておる方もおりましたが、そういった方々はごく少数の方々ではなかったかと考えておりますが、今日は今申し上げました通り、大部分生徒アルバイトなり奨学資金にたよらなければ最低の一月の生活費すら得ることができない。その中からようやく学業を継続していくことができるという状態であります。まずこのような今日の学生生活実態というものを、今回の授業料値上げの問題が出ました場合に文部大臣はどのようにお考えになったのか。それ以外のことは今御答弁は必要でございません。この実態をどのようにお考えになったのか、まずこれから先にお伺いいたしてみたいと思います。
  6. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 今御指摘の数学はおおむね相当なものだと考えております。  それからまた文部省におきましても、大学において勉強をする学生のためにはなるべく負担を軽減するということは、過日予算委員会においてもお答えいたしました通り、もう原則としてその通り考えております。しかしながらその一般原則にはやはり限界がございまするので、わけても戦後わが国の経済状態は御承知通りでございます。ある方面においては授業料を今の案よりも高く、また現在の学生に対しても増徴しょうという主張がございましたけれども、われわれはそれはいかぬ。しかしながらものにはいかなる場合でも限度がございまするので、過日お答えしましたように、今の授業料、すなわち国立大学百二十円ときまりましたのが昭和十五年でございましたが、それから今日までの物価指数は百九十倍になっており、また国民所得も百九十二となって、ほとんど一致しておるのであります。これは所得がふえたんじゃなく、貨幣価値が下ったのでございますけれども、これなどをにらみ合して考えますると、今日多少の増額はやむを得ないのではないか。義務教育と違って、やはり大学国民全部のいくものじゃないのです。しかし大学経費国民全部が負担しておるものであります。それやこれやを参酌いたしまして、今から入る学生だけについて、本業のように五〇%の増額を妥当と考えて、それに同意したのでございます。
  7. 小牧次生

    小牧委員 ただいま大臣の方から物価指数及び国民所得、こういった点をあげて、ある程度値上げはやむを得ないではないか、こういう御答弁でございましたが、一応これを平面的に考えればあるいはそうかもしまれせん。何かそういった根拠がなければ上げようとなさらないであろうと考えますけれども、しかしながらただ単に物価指数国民所得、こういったものが上っておる、こういうことから、しからば六千円を九千円に上げるということは、五割引き上げることになりますが、その五割と、その上ったと言われるところの根拠物価指数国民所得、その関連をどのように考えて五割とされたのか、もう一度お伺いいたします。
  8. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 物価指数及び国民所得は御承知通り百九十倍になっております。この同じ比例をとりますと授業料も百九十倍になるのですが、そんなことはとてもできるもんじゃありませんから、五〇%の増額を認めたのでございます。
  9. 小牧次生

    小牧委員 それでは五〇%というのは、これはどこに基準を置いてお考えになったのか、それははっきりしないわけでございますか。
  10. 稻田清助

    ○稻田政府委員 ただいま文部大臣のお答えになりました通りでございますけれども観点を異にして見ますれば、大体一般納税負担受益者負担との割合の問題ということが一つ問題になろうと思います。授業料につきましては、従来長い年度におきまして大よそ五%前後の受益者負担ということになっておるわけでございます。ところが一面国立大学国立学校全般経費が年々増加して参っております。つい数年前百五十億程度でありましたのが今や三百三十三億になっておる。ことに明年度におきましては二十五億もふえておる。そうした場合に授業料値上げをいたしません場合におきましては、受益者負担率が低下いたします。そういうようなこともにらみ合せまして、この程度増額はあえて不当とすることではなかろうかという観点に立ったわけでございます。
  11. 小牧次生

    小牧委員 ただいま受益者負担の問題を局長の方からお話がございましたが、なるほどそれも一つ基準になろうかと考えております。しかし今回の授業料値上げに関連いたしまして受益者負担予算について比較いたしてみますと、昨年は国立学校運営費は三百八億、ことしは三百三十四億といって、相当増額されております。これに比べて授業料あるいは入学検定料、こういったものは三十年度は十二億六千万円で四・一%という比率を示しておりますが、本年は十七億になりまして、五・一%という数字になっておるようでありまして、今あなたのお話から見ますと、一%これがふえておりまして、矛盾しておるのではないかと私は考えております。  それからもう一つ大臣が先を急いでおられるようでございますので、簡単にお伺いいたしますが、育英資金予算面からは貸付金は一千万円減少しておるように考えております。こういうふうに受益者負担金は一%ふえ、また育英資金貸付金も十万円減少する。なるほど貸付金還元金というものはふえておるようでございますが、予算面においては一千万円減少しておる。こういう実態考えてみますと、ただ単に物価指数あるいは国民所得が相当上昇しておるということだけに基準を置いて授業料値上げ考えて、当初私が申し上げましたように、今日の学生生活ほんとう実情と相当かけ離れた状態に進むような授業料値上げということは、私立学校とその本質を異にするところの運営をなされておる国立大学、この学生授業料であるだけに、私は納得できないのでございますが、もう一度大臣の御見解を承わりたいのであります。
  12. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 先刻お答え申しました通り、やはりものには限度というものがございまして、この通り国民所得も百九十二倍になり、物価指数も百九十倍になておる。こういうことから考えまして、やはり大学という特殊の施設も、間接でありますけれども費用負担する者は国民全体で、大学へ入っておるものは国民の一部でございますから、かようなる際には、適当な値上げは公平ではあるまいか、かように考えたのであります。五〇%ということに非常にこだわる必要はないのでありますけれども、これが世間考える通常であろう。ある方面では、もう少し上げるべしという非常に強い意見もあるのであります。私は今小牧さんのおっしゃるような理屈を強調いたしまして、まず最小限度ここまで下げたということを御了解願いたいのであります。
  13. 小牧次生

    小牧委員 もう多くは申し上げませんが、今大臣のおっしゃるような考え方で進んで参りますと、五〇%か、あるいは七〇%か、あるいは一〇〇%か、これはなかなか際限のない問題ではないかと考えるのであります。従いまして、こういった場合には受益者負担能力とか、学生の、あるいは父兄負担能力、あるいはその支払い能力という実態をまず十分お考えになる必要があると思うのであります。そうしてまた物価指数とか、国民所得とかいろいろおっしゃいますけれども、今申し上げました通り、実際にはその生活消費水準といったものが、やはり基本にならなければならない。こういったことを考えますと、決して生活消費水準というものは五〇%は上昇しておりない。そうなりますと、父兄は三千出も上りますと、なかなかこれを仕送りすることが困難である。そうなりますと、教育機会均等という立場から考えて、拡大しなければならないこういった大学入学者を逆に狭くしていて、こういうような現象も生まれてくるでございましょうし、あるいはまた国立大学の方で授業料値上げいたしますと、また私立大学の方でも値上げをする。あるいはまた地方の公立の大字、あるいは高等学校も続々と国に見習って、授業料値上げを誘発して参る。値上げをする傾向が生まれてくる。こういうような、今日の私どもの普通の考え方に逆行するような状態を引き起して参ると私は確信いたすのでございまして、金額が少いので、何とかこれは他の方法をもって財源措置ができるのではないか。大学研究費が必要だとか、あるい研究設備が必要だから、若干の増額分をこれに充てざるを得ない。そうしてまたその上げた分は、学生の方に返ってくるというようなことをおっしゃいますけれども、こういった金額は他の財源措置をもって、十分私は別途な措置ができると考えておりますが、もう一度大臣のお考えを承わりたいと思います。
  14. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 理屈からばかり言うのではございませんが、物価指数が百九十倍になっておる。すなわち貨幣値段が百九十分の一になっておるというときに、今日五〇%の値上げでもって学校に行き得るということは、昭和十五年ごろに払った月謝よりは、ずっと安い月謝を払って学校に行くことになるのでございます。もっと昭和十五年は戦前でございますから、戦前教育制度と今の制度とは観念が違いますけれども、それでも現実においては、戦前より安い値段大学教育を受けられるのでございますから、この限度のことは、国民全体の利益を代表する国会、政府としては、やはり認めて非常なる不公平ではない、こういうふうなことでございます。五〇%という数字に決して拘泥しませんが、またほかの数字を持っていっても同じことでありまして、まあ世間で、このくらいはやむを得まいという声が多いのでございます。
  15. 小牧次生

    小牧委員 これで質問をやめます  が、なるほど戦前に比べまして、また終戦当時に比べて、国民生活は豊かにはなっております。しかし私が申し上げたいのは、くどいようでございますが、今日の私ども生活消費水準、あるいは学生生活実態、これは決して五割値上げのところまでなっておらない。おそらくこの値上りによりまして、また相当父兄は苦しむであろうし、学生はまたアルバイトなりあるいは奨学資金の崩し込み、こういったことに狂奔しなければならない。奨学資金も、御承知通り希望者を十分に満足させるところまで出ておりません。アルバイトも、大臣よく御承知であろうと考えますが、われわれはいろいろこれを頼まれまして、何とかして学生が仕事を見つけて、そうして学業が継続できるように就職もあっせんしたいということで、非常にわれわれも努力いたしておりますが、容易にそういう学生希望を満たすことができないような今日の実情であろうと私は考えておりますが、ますますこういった状態に拍車をかけるような傾向が生まれてくることは、私は否定し得ない現実であろうと考えますので、どうかもう一度他の方々と十分お話し合いを願うことを希望して、私の質問はこれで打ち切ります。
  16. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 関連して河野正君。
  17. 河野正

    河野(正)委員 授業料値上げが合理的であるかどうかということにつきましては、ただいまいろいろと計数を並べて小牧委員からそれぞれ開陳せられたところでございますが、私はさらに重ねまして、補足的にこの問題について若干の質問を行なってみたいと考えます。  先ほど大臣答弁の中で、大学というものは義務教育でないので、特殊な人が行くので、ある程度の犠牲はやむを得ないだろうというような御答弁があったようでございます。ところが今日の実情を見てみますと、単に大学授業料値上りによって起って参りますいろいろの問題のみならず、今日の情勢におきましては、各地における高等学校におきましても、今までは国立大学よりも授業料が高いということは工合が悪いので、何と申しますか、情勢待ちというような状態でございました。ところがここで国立大学授業料値上げということがきまりますならば、各地における高等学校も一斉に授業料値上げするというような状勢が待ちかまえているのでございます。そういったことで、私どもは今度の問題というものは、単に大学のみの問題のみならず、ひいてはいろいろ教育界に対して大きな影響をもたらすものと確信するのでございます。なおまた地方におきましては、今日私がいろいろ申し上げるまでもなく、地方財政というものはだんだん圧迫を受けて参りますので、地方におきましては大学授業料値上げと同時に、いろいろ大きな影響を巻き起してくるものと確信いたしますが、そういった大学に限局せず、あらゆる方面に重大な影響をもたらすのだというふうな情勢を十分お考えの上で、さような方針を示されたものかどうか、その点一つ大臣から御答弁お願いしたいと思います。
  18. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 法規の上では、文部大臣国立大学授業料をきめる権能を持っておるだけで、公立ことに今御指摘の高等学校については直接の権能がございませんけれども、不当な値上げについては適当なる抑制の策を講じたい、とかように考えております。
  19. 河野正

    河野(正)委員 ただいま答弁を聞きまして全く不可解に存じますのは、少くとも大臣教育に関しましては日本の最高責任者であるものと私ども考えております。ところが公立学校授業料については権限がないので、その点についてはわれわれはあずかり知らぬというような御答弁は、大臣教育に対する熱意を私は非常に疑わざるを得ないのでございます。今日まで私は大臣お話をいろいろ伺って参りましたけれども教育に対しては非常に熱意を持ってやつておられるというふうに考えておりましたところが、ただいまのように、公立の高等学校自分らは所管でないので、どうもそういったところまでは考えない。しかしながら大臣の立場というものは日本の教育の上におきまするところの最高責任者でございます。そういった立場からただいまのような答弁を承わりますることは、私ども全く心外といわざるを得ないのでございまするが、さらにその点を一つ答弁いただきたい。
  20. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 私はあずかり知らぬと申したのではありません。法規上は権限はないけれども、十分抑制の方法を講じると申し上げたのです。
  21. 河野正

    河野(正)委員 御存じのように、大臣は今日まで予算委員会その他におきまして私ども承わって参りますると、今日教育基本法の改正の問題を主張されておるようでございます。その趣旨を承わって参ったのでございますが、今日まで大臣が申されました趣旨は、大体今日の教育基本法というものはりっぱなものである、しかしながらなお足りない部分があるので、そういった点を今後補足してりっぱなものにしてやっていきたいというふうなお話を、予算委員会その他におきまして発表されておるのを私ども承わって参ったのでございますが、御承知のように教育基本法第三条には、教育機会均等ということが規定されております。私からいろいろ申し上げるまでもなく、その中にはすべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受けるところの機会を与えられなければならないということと、国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学困難な者に対しては、奨学の方法を講じなければならぬということでございますから、言葉のあやから申し上げますると、奨学資金を渡せばいいのだという印象を受けますけれども、私ども教育基本法の建前、精神というものは、単に修学困難な者に対して奨学金をやるというだけではなくて、能力のある者にはできるだけ教育を受けられるようにしてやる、そういう立場から申しましたならば、やはり授業料値上げによって今後新しく入ってくる人が入ってこられなくなる、あるいは今日修学しておる者が修学困難になるという面につきましても、大臣が単に奨学資金の問題だけではなくて、ただいま申し上げましたような授業料の問題等を通じまして御善処をいただくことが私は最も適切なる方法であり、今日まで教育基本法をいろいろ論議されておりました精神にものっとりますところの道だと考えておりまするが、その点について明快な御答弁を承わりたいと思います。
  22. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 御承知通り今の奨学資金法律戦前にできましたもので、ぴったりと教育基本法の機会均等に合しておるとも言えないのでございますが、戦後これが継続いたしまして、同じ趣意で運用したいと思っておるのでございます。そこで今回授業料が上りました機会に、やはり奨学資金の貸付も幾分ふやそうと考えておるのでございます。従前は、高等学校については月に七百円貸与しておりましたが、これを七百円の分と一千円の分と二種類にいたしまして、今回の授業料の変動におきまして非常に御不便を感ずる方々には、やはり一千円まで貸し得ることにする。大学の方は月額三千円と二千円とでありますが、三千円の方の数をふやしていく、こういう考えはいたしております。しかしながらこれはわずかな措置でありますから、これで十分の御満足を得るとも考えませんけれども、われわれの心持はそこにあるのでございます。
  23. 河野正

    河野(正)委員 ただいま私の質問は言葉が足りなくて、大臣多少誤解をされたようでございますが、私が御質問申し上げました趣旨というものは、教育基本法第三条の精神というものは、もちろん大臣が仰せられましたように、奨学資金増額していくということも一つの方法であるけれども、しかしながら、やはり授業料その他を押えていって、できるだけ学生たちが十分な教育ができるように、そういったことを行うことも第三条を尊重する道であるということを私は御指摘申し上げたのでございますから、その点を一つ答弁願いたいと思います。
  24. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 よく了解いたしました。教育基準法三条のうしろにひそむ思想から言えば、いやしくも授業料値上げして機会を少くすることはよろしくないじゃないか、私も同様に考えます。ただそれには毎々申す通り、幾分実際問題に当ってのしんしゃく、理論には適応の限度がございますので、このくらいなことはいいじゃないか、かように考えておるのであります。
  25. 河野正

    河野(正)委員 ただいま大臣が御答弁なさった言葉じりをつかまえるようで恐縮でございますけれども、先ほどからの答弁を聞いて参りましても、今度値上げいたしました五〇%につきましては何ら数字的な根拠はないというようなこと、あるいはまたただいまの御答弁を承わって参りましても、これくらいなことは仕方ないじゃないかというふうな御弁答を承わって参ったのでございますが、そういったことを私どもが承わって参りますと、非常に大きな一つの疑問を抱かざるを得ないのございます。それはどういうことかと申しますと、何ら基準がなくて大かた五〇%くらいな値上げならよかろう、あるいは先ほど御答弁の中にもありましたように、もっと上げた方がよろしいというような一方的な意見もあったけれども、五〇%に押えたのだというようなことでございますと、私どもは、これは単に教育を守っていくというような立場ではなくて、あるいは大蔵省当局あたりから授業料値上げしろというふうな強い申し入れがあって、そういった大蔵省当局あたりの圧力に屈して、大臣ができたら五〇%くらいでまけてくれというふうな印象を強く受けてならないのでございます。そういたしますと、少くとも私ども大臣に大きく期待しなければならぬのは、今後日本がりっぱな独立国となって参りますためにも、ますます教育を振興していかなければなりませんし、教育の大きな発展を考えていかなければならぬのでございますが、そういった意味の最高責任者でございます大臣が、少くとも大蔵省、財務当局からの圧力によって、授業料等の値上げをしなければならぬということは、私どもにとりましてもまことに残念に存ずるのでございます。そういった事実があったのかなかったのか、やはりこれは適当であるというふうな強い所信のもとに大臣がそのような方針をお示しになったものかどうか、その辺の事情を一つ大臣の口からお漏らし願いたいと思います。
  26. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 予算のきまるまでに閣内あるいは党、その他とどういう折衝があったかはここで申し上げるべきことじゃないと思います。しかしながら世間一般には大学授業料は安過ぎはせぬかという論もあることは事実でございまして、それに乗じてもう少し上げるべしという議論はありましたけれども、少くとも現在入学しておる学生は今の基準で入学しておるのであるから、これについては一銭一厘も上げない。将来の国家の施設である大学運営に関して、学生経費その他学生に還元されるということであったら、五〇%くらいはよかろうという考えを私は持っておりまして、同僚もこれには賛成したわけでございます。これ以上具体的の閣内の議論というものは申し上ぐべきではなかろう、かように考えております。
  27. 河野正

    河野(正)委員 最後に一点、お願いなり希望なり申し上げたいと思いますが、新聞の報ずるところによりましても、また先ほどから小牧委員からいろいろ数字的なことがあげられて参りましたが、そういう点から見て参りましても、文部当局が今度の授業料値上げについては非常に慎重な態度をとってこられたというようなことはわからぬでもないのでございますが、結論的に申し上げまして、今度の値上げにつきまして大臣が再考を行うお考えがあるのかないのか、やはりこれが正しいので最後まで所信を貫こうという方針で進まれるのかどうか、その点を最後にお尋ねしておきたいと思います。
  28. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 この予算は全体として今日の日本の状態を顧みて一番正しいものと考えておりますから、これを変える考えは毛頭持っておりません。
  29. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 一言だけちょっと委員長から質問申し上げますが、この授業料値上げのいきさつはいろいろ聞きましたが、これは高等学校その他の私立大学に影響するということをお考えになっておやりになったのかどうか、その点だけ一つ大臣から御答弁を願います。
  30. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 大学は最高の学府でありますから、自然これにならうものがあるというようなことは心配いたしております。それゆえに自治庁とか大蔵省その他の手を通じて、授業料値上げが抑制されるように希望しておるのであります。
  31. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 山崎始男君。
  32. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 新聞その他で伝えられておるところによりますと、教育委員会改正の原案あるいは教科書の編さんの原案がたびたび出ておるのでありますが、この文部委員会へはまだ一度もそういう問題が諮られておりません。一体こういう重要法案は時間的にいつごろお出しになる御予定でしょうか、その日にちをちょっとお知らせを願いたい。
  33. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 法案は二月下旬までには提案いたしたいと存じております。要綱もでき次第本委員会には即日にも御報告申し上げて、早く御了解を願いたいと思っております。非常に重大なことでありますから、怠慢しておるのではなく、各意見を持っておられる方が熱心にやっておられるので、今日もすでに他の場所で研究されておると思いますが、研究の結果は一日も早く皆さんの御審議を賜わりたいと思っております。
  34. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 次に国体の問題で大臣の御所見をお尋ねしたいと思います。といいますことは、先月の中旬ごろでありましたか、次の年度以降の国体の地方持ち回りを、今後はやらないのだという閣議決定を見たということが伝えられましたが、御承知のように地方ではもうおそらく昭和三十六年度くらいまで、毎年度の主催場所といいますか、県といいますか、都道府県ではある程度予定していると思います。実はこの予定されておりまする都道府県の様子を見ておりますると、それを行管内の市へ持っていって相談をして、市は市でそれをいかに実現するか、いろいろと予算上の面はもとよりでありますが、各民主団体とも連携をとりまして、その下準備をやっておることは御承知通りだと思うのであります。ところがあの閣議決定が出て参りまして、非常に何といいますか、末端では迷っておるという状態なのであります。これについて一体あの閣議決定をされました中でも、文部当局はその発言権においても、一番比重の重い場所だろうと思うのでありますが、この持ち回りをやめるということに対する大臣の御所見を一つお尋ねしてみたいのであります。
  35. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 地方で国体をやるかいなかは国体自身がきめることでありますが、それに対して費用を出すのは地方団体でございます。またそれに対して補助を従前には出し来たっておるのでございます。で前臨時国会及びこの国会を通じて国会内の最大問題は地方の赤字解消であったのです。国の経費はつじつまが合っておりますけれども、いかんせん地方団体は半分以上は赤字というよりも破産状態で、自分の雇うておる公務員の月給さえも遅配いたしておるといったような状態なのでございます。私自身としては、国体が地方に持っていかれることはいいことだと思っております。これがために体育も発達し、また地方の文化も非常に進展したことは、もう議論よりも事実でございますから、地方へ持ち回ることはいいと考えておりまするが、いかんせん総括的に一ぺん日本全国の地方の赤字を解消したいということが、一つの熱烈な希望でございますから、いずれわが国全体の行政といたしましては、御承知通り鉱工業の生産も非常に上昇し、天候の加減でありますが、農業生産も十分でありますし、貿易もよくなったのでありますから、数年を期せずして、わが国の地方財政も健全化するに相違ありませんが、一ぺんは健全化する基礎を作りたいということが、閣内の支配的の意見でありましたから、それまでの間は一時国体の地方巡回は停止することには同意せざるを得ぬものと思いまして、私も同意いたしておるのでございます。
  36. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 ただいまの御説明によりますと、結局地方財政の赤字が原因で、それを解消するということが、これがただ一つの、国体の持ち回りをやめるのだということの原因だ、こういうふうに理解できるのでありますが、私はこの点は文部大臣とされまして同意されましたことに対しては、非常に残念でならないのであります。先ほど文部大臣のお言葉にもありましたように、こういう体育に関する、しかも国体というようなものの性質から考えてみまして、あくまで日本の一つの行事として、しかも見のがしてならないことは、何といいましても、民主団体の世論というものは最もこれを尊重しなければならぬ性質のものだろうと私は思うのであります。それが大臣御自身もよくおっしゃるように、地方財政のことが原因である、しかもそれは国の体育協会でございますかがきめるごとであって云々という言葉が先ほどございましたが、もしそれを御承知であるのならば、補助金を出さないということは私は言えるだろうと思うのでありますが、持ち回りをやめるんだということは、これは私はちとおとなげない、少しひど過ぎるのではないか。こういう閣議決定というものが非常な波乱を起しているのです。この点に対して、大臣は先ほどのお言葉の中にも半ば理解のあるような意味のことがございましたが、ほんとうにおやめになる閣議決定なんですか、あるいは先へいって、一ぺんああいうことを言うたけれども、そうじゃない、またもとの通り地方の持ち回りにするのだというような見込みといいますか、様子といいますか、そういうものがあるんですか、どうなんですか。この点に対して、見通しと、それからまた大臣の御熱意のほどをもう一度一つお聞かせ願いたいのであります。
  37. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 地方持ち回りをやめるという意味は、法律的に正しくいえば、持ち回った場合の府県の経費負担はやめるということなんです。また政府補助をせぬということなんです。地方に体育大会を開くべからずという法律じゃないんですから、それを簡単に世間では持ち回りをやめる、こういっておるんです。しかしながら地方の赤字が解消され、日本の財政がよくなって、ほがらかになれば、むろんこれは始まることと思います。永久孫末代まで地方に体育大会開くべからずということではないんです。
  38. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 私一つ御要望いたしておきますが、この問題は、こういうふうに文部省所管に関係して、最も民主的な意思というものを尊重しなければならない、しかも国民の一大行事を、単なる地方財政の赤字——地方財政の赤字というものは、これは私が申し上げるまでもございませんが、いろいろ原因がございましょう。そんなことを私申し上げるのが趣旨ではございませんが、わずかな金額でもってこういう意義ある一つの行事をああいうふうな行き方をされるということには、私は文部大臣という立場においてこそ大いに私はがんばってもらわなければいけない、かように思うのであります。どうぞ一つこの点は今後大いにがんばっていただきたいということを御要望申しておきます。  次に学校給食のことで少しばかりお尋ねいたしますが、先日緊急質問でわれわれの同僚議員からいろいろ御質問されたんでありますが、重複しないように、別の角度から少し聞いてみたいと思うのであります。先日小林局長の方から学校給食の経過のお話がございましたが、まず最初にお尋ねいたしますのは、日本学校給食会というものが通産省から外貨の割当をもらって、それを日本学校給食会が輸入をするんだ、小麦粉なりあるいは脱脂粉乳を輸入するんだと言われましたが、その輸入する相手の商社は一体どのくらい数がございますか。
  39. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 日本学校給食会が取り扱っておりますのは脱脂粉乳だけでございまして、小麦の方は農林省の方で取り扱っておるのであります。それで通産省の外貨割当をもらいまして、輸入の契約をするのは、業者の選定は通産省の方で実はやっておるのでございまして、それに文部省関係官が立ち会うというような制度でございます。ただし昨年の十月一日から日本学校給食会が法律に基く特殊法人になりましたので、そのときからは文部省と同様に業者の選定それから入札に立ち会っておりますが、業者の選定は、大体外貨をもらって輸入の業務ができるということで、そういったかなり資格の点を条件にした業者の選定を通産省の方でやっておるのでございまして、普通六社ないし七社くらいがその選定にあずかっておるようでございます。
  40. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 それが輸入されまして学校給食会へ引き渡される。学校給食でありますから、その現物を末端の谷都道府県へ引き渡す、その間の金銭的な支払い——必ずそこに早いおそいという問題が起ってくるのでありますが、その支払いの状態を少しお知らせ願いたい。
  41. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 この日本学校給食会は業者と日本の港の倉庫渡しの契約をいたします。でありますから、普通たとえば横浜の倉庫で引き渡しを受ける、あるいは神戸の倉庫で引き渡しを受けるというような契約をするわけでございます。そうして倉庫にしばらく保管しておりますうちに、文部省の方から、たとえば何々県に何々ポンドを送れという配給の指示を受けるわけでございます。その配給の指示に従って輸送し、業者と契約いたしまして、それぞれの県、大体は県庁の所在地でございますが、県庁所在地のレール渡しで各県へ送ります。そしてこれは普通大体四半期分を送っておりますので、その代金の方は、大体三ヵ月分送りますけれども、一カ月消費するごとに学校から集めて、県が給食会の方へ支払いをする、こういうような状況になっております。
  42. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 そういたしますと、横浜へ着いて、入ったものの配給の方法は三ヵ月分ずつ配給をする、そうしてそれを現実に子供が消化したら、その金を集めて、その集まったものを順次中央へ持っていって、吸い上げていくことになる、こういうことなんですね。そうすると、金銭的にいいますと、現物というものは金を支払わずに先に都道府県へ行っておると解釈していいですか。
  43. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 大体対価の支払いを受ける前にすでに先渡しで県の方へは行っておるわけでございます。県からそれぞれ学校の申請に基いて学校へ渡しておるというので、先渡しで品物は行っておるわけでございます。
  44. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 それが順調に行われておればいいですが、私が非常に心配することは、入荷したときに、よく入荷量の問題であるとか、いろいろなこともございまして、各都道府県へ持っていって、非常にたくさん一ぺんに、半年分も八カ月分も引き取ってくれというような問題が運営面では実際にまま起るおそれがあると私は思うのであります。それは現に過去においてそういうことがあったのであります。そうすると、受け取った各都道府県は困るから、今度はそれを学校へ持っていって、数ヵ月分を引き取れ、そうなりますと、普通のときはよろしいが、夏場なんかになりますと、脱脂粉乳なんかは腐ってくるおそれがある。腐ってくるおそれがあるのを末端の校長は目の前に見ておってはらはらしながら、悪徳のブローカーあたりが腐るぞ腐るぞとおどかしては、わずかな数字ですが、横流しをしておった現実の例を私は知っておるのであります。今小林局長が言われたような運営が行われておるのなら、私は配給面でそういう心配はいたしませんが、三ヵ月分くらいの前渡しで、それがスムーズにいっておりますかどうですか。これは言葉ではそれはいっているとおっしゃるかもしれませんが、そういうことは必ずしも不規則に、どかどかと七ヵ月も八ヵ月も送り込んだような例もあるのでありますから、今日はそういう例が改まっておるでしょうかどうでしょうか。
  45. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 お尋ねのように、前に御承知のようなアメリカの無償の脱脂粉乳が有償に切りかわりましたときに、府県の方から非常な大量の需要申請が出まして、その需要申請に基きまして文部省購入した際に、非常に大量なものを買い過ぎた事実はございます。その際に各府県にある程度余分のものをお引き取り願った事実はあったようでありますが、その後数年たっておりまして、現在では先ほどお答え申し上げましたようにほとんど円滑に、二、三カ月分の需要を申請に基いてお送りしておるというのが現実でございます。しかも各学校等で、あるいは府県等で倉庫にしまっておる間に腐敗する、あるいは変質するというような場合には、大体学校給食会の方へ送り返してもらえばその代替品を、質のいいものを送り返すということをやっておりますので、ただいま御心配のようなことは現在においてはほとんどないと思っております。
  46. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 先日から一日、二日、新聞紙なんかで長崎以外で、北海道その他の数県からもその証拠があがっておる。なおひいてはその他十五、六県くらいの各府県でもその非違があるというようにも新聞面に出ておるのでありますが、現在までの様子はおわかりになりませんでしょうか。
  47. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 文部省といたしましては、長崎のような大規模な意識的な違反は、おそらくほかの府県ではないのではなかろうかと考えております。ただし先ほどお尋ねのありましたようないわゆる不良品と申しますか、事故品の取り扱いで間違って処理をしたというようなものがあるかもしれませんけれども、おそらくそういったものは、それほど大量なものではなかろうと存じます。しかし先日長崎県以外の数県というようなことで県の名前も出ておりますので、現在新聞に出ておりますような県については、電話等で照会をいたしておりまして、いずれ報告が参ることと思っております。
  48. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 前会に同僚議員からも聞いておりますので、私はあえてしつこくお尋ね申しません。ただ学校給食というものが最近生まれてようやく緒につかんとした今日、今回のような事件が起りましたということは、教育の一環としての学校給食そのものに対して、われわれ非常に心配するのであります。しかし今回の事件が一つの契機となって、逆に規正をされ、同時に適正なる学校給食というものが本来の目的を全うするように私は大いにやってもらいたいと思うのであります。この点を一つ強く御要望いたしておきます。これで私は終ります。
  49. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 関連して並木芳雄君。
  50. 並木芳雄

    ○並木委員 私は学術の振興の点について二、三お尋ねをしておきたいと思います。それは今度新たに非常な増額を見た項目の中に国際地球観測年事業というのがございます。本年度の八千七百万円に対して一躍九億七千五百万、つまり八億八千八百万の増となっております。そしてこの中に南極地域観測経費を含むということになっておりますが、この案が本ぎまりになってからも大臣の御説明を聞いておりませんので、南極地域観測調査に関してのいわゆる国際地球観測に対する大臣の計画、実施方法、予算の使途、そういうようなものについて、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
  51. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 このことはわが国学術の進歩発達と世界におけるわが国の、大く言えば地位のために非常に大きなことと存じておるのであります。国際地球観測年は、行うのはもう一年後であります。昭和三十二年に本観測をイギリス、アメリカ、ソ連その他十数ヵ国で一斉に地球の状態、わけても地磁気、宇宙線、それから南極、北極等の状態を全部同時に調べようということで、日本と豪州がちょうど東経百三十五度の線の上に当りまして、それを世界対等の立場でやろうというのであります。今年はその準備の年であります。それに二つありまして、一つ世間で通俗に南極探検と申しておるもので、南極における状態を調べる、もう一つは、秋田県でやはり成層圏その他の状態を調べる準備をいたしております。南極の方はこのごろよく新聞に出て、南極の図を日本人も頭に描けるようになりましたが、ちょうどプリンス・ハラルド海岸がこちらの受け持ちでございます。そこへ砕氷船、氷を砕く船を持っていく、宗谷という船がありましたから、それに砕氷の設備をするのであります。そういうことに五億ほどの金が要るのであります。それだけでは足りないので、運輸省の予算で五千三百万円の増加をまたするのです。隊長はすでに御承知のように永田武先生で、今予備のために北海道の網走の寒中で訓練をしておるような次第であります。これをやりますれば地球の成層圏の状態、地磁気の状態、各種のことが学問的にわかるので、——わが国の学問は戦時中各国に比べて幾分おくれましたけれども、幸いにしてこの方面の観測には今まで相当成功いたしておる。これでソ連、アメリカ、イギリスと互角の成績を得るということは、わが国の地位を上げることでもございまするし、また実際に、一番初めてこの仕事の結果を利用し得るのは日本じゃないかということであります。と申しますのは、わが国は南極で捕鯨の仕事をやっております。どこの国民も日本くらい南極に接して鯨をとってくるというような大きなことをようしておりません。もう一つは、わが国に訪れるものは台風であります。あれが赤道及び赤道以南の各種の地球上の状態に影響されておることは事実でございます。それゆえに、一つにおいては学問上のことと、もう一つはその成績を利用し得る希望を持って前内閣の時代よりこれに加入する決定を得て、着々準備をしておるのであります。この予算は本来は少いのです。新聞でごらんになればわかりますが、アメリカあたりは船を四隻も出して、バード少将があの通りやっております。日本はたった一隻ということでありまして、非常に少いのではございまするけれども、わが国の一般の経済状態からして、これより以上は出すことができないので、残念ながらこの程度にとめておる次第でございます。
  52. 並木芳雄

    ○並木委員 次にお伺いしたいのは、新しく設けられた学術振興の項目として、私立大学の理科特別助成補助金というのがございます。五千万円となっておりますが、今度の予算を見ますと、従来教育内容の改善として産業教育あるいは理科教育、図書館、学校図書館、そういう項目が少しずつ減っているのです。これでは教育内容の改善じゃなくて後退ということになってしまうので、われわれとしては数字の上からは非常に惜しまれるわけです。どうしてこういうところは少しずつ減っておるのか、あるいはそのかわりに今度私立大学の理科教育というものを助成するように、幾らか変ってきておるのかもしれませんが、その辺の事情がよくわかりませんので、説明をしていただきたいと思います。
  53. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 文部省は従来ことに戦前におきましては、主として国立大学に力を入れておったわけでございますが、戦後におきましては国立と合せて私学についても、私学の教育を充実振興させねばならぬということで努力しておったわけでございます。昨年中央教育審議会にこの私学の振興方策について諮問をいたしたわけでございますが、この振興方策として答申になりましたものにいろいろございましたけれども、その中で国立と並んで国が私学に特に必要とする、期待する学部、学科の教育については、国としてもっと援助すべきじゃないかというようなことが答申になりましたので、その点に基いて私立大学の理科の特別補助というものを予算要求したわけでございます。ある程度大きな数字を要求したのでございますが、これはただいまお話のございましたような五千万円程度が、この予算に実現したということでございまして、これは大体初年度といたしまして、私立大学の理科系の学部について、本年度は主として設備を中心にいたしまして、図書とかあるいは機械器具、こういったものの補助金に使いたいと思っております。それ以外の面につきまして、たとえば振興会の補助金が八億五千万円から八億円に減った。これは必ずしも私どもとしては、この数字から申せば一歩後退しているようでありますけれども私立学校振興会の出資金は御承知のように五十億までを政府で一応出すという計画のもとに年々政府からも出資を仰いでおりますので、これが八億になりまして五千万円減りましても、特に非常に大きな方策の変換があったというものではないかと思っております。  それから私立学校関係で、御承知のように共済組合の義務費の補助金等もございます。また中等程度の理科教育の振興についても、本年度からある程度私立学校については補助金が出るというようなことになっているわけであります。
  54. 並木芳雄

    ○並木委員 次に原子力の研究についてお尋ねいたします。いわゆる原子核の研究室並びに原子力の応用、これはすでに緒についておりますが、大学における原子核の研究というものについて、文部省は力の入れ方が非常に弱いのではないかと思うのです。今般のいわゆる応用化学的な原子力利用の対策の前に、大学における原子力の研究というものは先行しなければならなかったと私は思っております。それで大々的に原子力の研究学科あるいは講座、これを応用する方法、それは民間における、このたび設立されようとする原子力応用の線と並行してもかまわないと思うのです。それはそれでいわゆる原子力を商品化し、電力化し、動力化しようとする別途の用途について行われるのでありますから、それとは別に学問自体としての原子力応用というものが研究されてしかるべきものであると思う。その点については立ちおくれの感があるのでありますけれども、今後どういうふうにこれを持っていくつもりでありますか、質問しておきたいと思います。
  55. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 並木さんお説の通り、原子力の研究はまことに重大なことでございます。そこで大学は、いわゆる学問の自由で、独立して一つ徹底的に原子力の研究をしていただきたい、こういう方針でございまして、この予算関係して申しますれば、関西にあります京都大学東京の工業大学と二カ所に分れてやってもらおう、こう思っておるのであります。京都の方では化学研究所の二つの部門、それから工業研究所の二つの部門をそれぞれ原子力の研究部門に振りかえます。東京工業大学では原子炉研究施設を新設していくのでございます。また研究者、技術者養成のためには、以上二つの大学大学院にそれぞれ原子力に関する研究科を設置いたします。なおこの研究に使用します実験用の原子炉は、関西においては昭和三十二年に京都大学に一基新設します。それから関東においては原子力研究所のものを利用するようにいたしたい、かように考えておるのであります。まだ公けに発表するには少し早いのでありますが、日本における某私立学校がアメリカから原子炉の寄贈を受ける話も聞いております。  なお原子核の研究につきましては、全国の原子核研究者の共同利用に供するために、昭和二十九年度より三年計画で経費十億円をもって創設に着手いたしておりまして、三十一年度には六つの研究部門を造成いたします。既設の部門は、荷電粒子原子核の反応の部門、中性原子核反応の部門、放射能の部門、原子核測定装置でございまして、さらにこれに新設しますのは、同位体の分離、原子核理論、高エネルギー原子加速度装置、高エネルギーガンマー線の研究、中間子の物理学研究の実験の一部、原子核物理応用、こういう部門を設けましてその研究を進めることにいたしておるのであります、
  56. 並木芳雄

    ○並木委員 それでは次に国際文化の交流について、これも新しい項目であると思うのですが、外国人の留学生のための宿舎を建設する費用が計上されております。約二千八百二十万円です。これはなぜお伺いするかと申しますと、御承知通り国際学友会というのがございます。元来外国からの留学生は国際学友会で扱っておるように聞いております。この間何かあそこで宿舎ができましたところが、それが途中までできて鉄筋が少しはみ出しておる。これから先の予算は今度文部省の方へできる外国人留学生の宿舎の建設費用の方に充当されたのではないかというようなことも聞いたのですが、そこに関連性があるのでしょうか。今度できました項目では、どこへどんなものを作って、外国からの留学生としてはどういうものを見込んでおるかというような点も、あわせてお聞きしたいのです。あちらとこちら、つまり外務省管轄の国際学友会と文部省管轄の留学生の宿舎とがあまり違った方向ででき上っても考えものだと思いますし、そこはうまく調節できて、多々ますます弁ずるようになることを念願する一人でございますが、構想を明らかにしていただきたいと思います。
  57. 天城勲

    天城政府委員 担当局長がちょっとおりませんので、私からかわってお答えいたします。  今度文部省経費といたしまして外国人留学生のための宿舎を建設するということを計画いたしましたが、この計画は、大体東京と大阪の二カ所にいわゆる留学生会館、あるいは留学生宿舎というものを建設する、こういう考え方でおります。お話の国際学友会の留学生収容施設との関係でございますけれども、私途中で伺ったことでございますが、外務省の方でも学友会の宿舎の増設の予算要求をしておったということも聞きましたが、これは向うにつけるべき金をこちらにつけた、そういういきさつではございませんで、私たちの方は、それとは別に留学生の会館を作りたいという考え方で始めからきておったわけでございます。結論といたしまして似たような構想が両方にあったということで、いろいろなお話があるようでございますけれども、現在学友会の方に収容されております外国の留学生は、いわゆる日本政府の国費留学生とは限りませんで、コロンボ計画に基きまする短期の技術者とかその他いろいろな留学生が一緒に入っておりまして、日本の国費の大学におる留学生とは限りませんので、この学生のめんどうをみる点につきましては、新聞でも二、三事件があったことが報ぜられておりますけれども、やはり学生としてめんどうみる方がいいのではないか。そのために、学友会とは別途に国費留学生だけの宿舎を建てたい、こういう考え方から出たわけでありまして、どういうふうにこれを今後運営していくかということにつきましては、学友会も伝統のある団体でございますし、御心配のような両者で重複したりすることのないようによく話し合いをいたしまして、留学生会館の運営をいたしたいと、今具体的な方法につきましては外務省とお話し合いを進めている段階でございます。
  58. 並木芳雄

    ○並木委員 それでは最後に、大臣に私お伺いいたしたいと思っておりましたのを、もう一つだけお伺いしてやめますが、実は紀元節の問題なんです。最近紀元節復活という一つの声が起り、またそれが運動ともなって表面化しております。私は当時終戦直後でございまして、文化委員会があって、ただいま委員長をしておる佐藤さんなどとともに、文化委員をしておってそのとき国の祝い日を審議したのでございますが、残念ながら国を始める日というのは除かれてしまったわけです。何とかして新しい意味での国を始める日、国の誕生日だけはほしいと思ったのですが、それが実現できなかったという気持を強く持っておる者でございます。それと紀元節復活とを直ちに結びつけることは、これはかなりその間に危険性があるのではないか。つまり私が今感じておるようなほんとうの新しい意味での愛国心から出るところの国の誕生日であるならば、大いに肯定していいと思うのですけれども、今の状態でただ紀元節を復活して、それ天皇制復活、逆コース、戦前派万歳、こういうところにつながるようになってしまうと、これはまたとんでもない方に突っ走っていくおそれもあるので、この際非常にいい機会でありますから、戦前派でもあり進歩派でもある、両方にまたをかけてまことにそのところを得た文部大臣である清瀬さんのはっきりした見解を明らかにしていただくことが妥当ではないかと思いますが、いかがでございますか。
  59. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 日本人大部分は二月十一日を肇国の日と考え来たってておるのであります。日本書紀が原典でありましょうけれども、これが行きわたった日本人の伝統的観念とするならば、これをたたき破るということはよくあるまいと私は思います。伝統というものはおおむねこういうものであります。日本国がある以上は、いつか肇国の日はあったには違いないのであります。太古漠として尋ぬべからざるものでありますが、大部分の日本人が二月十一日をもって紀元節と考えている以上、これをすなおに受けとって祭日とするがよかろうと思います。しかしながら先年国会において法律をもって祭日をおきめになっておるのでありますから、これがさらに日本国独立後、新たなる社会観で多くの人が祭日とするに可であるということであったら、おのずから国会にもこれが反映して——これは前の法律が議員提案ですから、おそらく議員提案ですべきものと思いますが、さような議員提案があるならば、私は議員の一員としてこれに賛成しようと思っております。     —————————————
  60. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 次に日本学士院法案を議題として審査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。鈴木義男君。
  61. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 学士院法案の御提案になったものは別に問題はないのであります。大体これでよかろうと思いますけれども、一、二希望質疑をかねて御質問申し上げたいと思います。第三条によって学士院会員は学士院みずから選定する。これもほかに名案があるとは思えないので、妥当であるこは思いますけれども、従来学士院の会員を選定するについては、結局国立大学の教授が大部分を占めている。そして互いに年限が来れば自然になることになっておるような形であるが、真にわが国における学者の最高の優遇機関、栄誉機関として考えまする場合には、ひとり国立大学に限るはずはないのである。むろん私立大学からも出ておりますが、りょうりょうたるものであります。さらに民間の普通の学者、いわゆるセルフ・メイドの学者でもりっぱな国家的最高権威と目すべき人もおるのでありますから、野に遺賢なからしめる意味において、そういう人を網羅し得る真の会員選定の基準というものがほしいと思うのであります。おそらくこのことについては「学士院の定めるところにより、」となっておりますから、学士院の方で適当な内規等をお作りになるだろうと思うのでありますが、それらの点について構想を承わりたいのであります。
  62. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 学士院の構成については、もとから私学をうとんずるということは実はなかったんです。過日この案を研究し、ずっと見ましたが、明治十二年初めて学士院ができました時分も、有名な福沢諭吉先生なども入っておられます。中村敬宇先生、西周先生、あの時分に漢学とでもいえば加藤弘之さんですか、爾来日本は東西両京の大学が大きな学問の渕藪でありまして、今日のように何百の大学はなかったのであります。自然官学の方も多いりでありまするが、またここに名簿がございますが、私立学校の方も相当あるのであります。しかしながら今この法案審議に際して、鈴木さんの御意見のようなものが出ますれば、それもまたおのずからしんしゃくさるることとは存じまするけれども、法案では私学を尊重せいということを書くこともできませんし、こういう案になったのでございます。
  63. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 国会においてそういう点が審議の話題になったということを記録に残したいというのが趣旨でありまするから、後に学士院みずから定める場合に十分考慮してほしいと思うのであります。  それから第九条で年金を与えることができるということになっておりまするが、この年金の性格についてお尋ねをしたいのであります。もし国家公務員の特別職であるから、年金であるというならば、やはり法律をもって定むべきものでないかと思うのでありまするが、文部大臣が定めるごとになっておる。どういうふうにして与えるつもりであるのか、承わりたいのであります。
  64. 稻田清助

    ○稻田政府委員 私からお答え申し上げます。年金を支給する根拠法律に置きまするが、年々これは予算で定まりまして、御審議を受けるわけでございます。従いまして明年度予算に計上いたしておりまするのは、それぞれ院長、幹事、部長、一般会員の年金の単価を明らかにして、定めておる次第であります。どういうふうにしてというのは、その方法についてのお尋ねだと存じまするけれども、あるいはいかなる金額かというお尋ねでありますれば、院長の年金が五十二万五千六百円、幹事の年金が四十一万五千二百円、部長の年金が三十三万円、一般の会員の年金が二十三万一千六百円。この性質は、科学者優遇というような意味において支給せられる年金であると解釈いたしております。
  65. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 例外なく与えるんですね。
  66. 稻田清助

    ○稻田政府委員 全会員に例外なく支給いたします。
  67. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 関連ではありませんが、大学局長の顔が見えますので、お尋ねいたしますが、天文台の問題です。現在長野県と静岡県と岡山県の三県が候補地として上っておることは申し上げるまでもありませんが、現在どの程度まで天文台の問題は進んでおるのか、その様子を一言だけお聞かせ下さい。
  68. 稻田清助

    ○稻田政府委員 七十四インチ望遠鏡についてのお尋ねと存ずるのでございますが、望遠鏡それ自身につきましてはレンズを英国に注文いたしております。これは明年度中にはできて参るはずでございます。なお候補地の選定につきましては、問題が望遠鏡の問題でございますので、天体観測に一番好適した土地を選ぶ必要がございますが、二十九年からただいまお話がありました長野、岡山、静岡の三県に小さい望遠鏡を据えつけまして、実際において観測したり写真をとったりして、その実績を得つつあるわけであります。この現地における小望遠鏡の観測は本年度一ぱいの事業でございますので、三月末くらいにその観測を終りまして、それに引き続きまして、明年度に入りますれば、おそらく早い機会に土地の決定を見ることであろうと存じます。
  69. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 そうしますと、候補地の決定は三月三十一日以後になるわけですね。
  70. 稻田清助

    ○稻田政府委員 お話通りでございます。来年度に入って決定を見ることだろうと思います。
  71. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 ほかに御質疑はありませんか。——なければ本日はこの程度といたし、次会は来たる十四日火曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会いたします。  これにて散会いたします。     午後零時十八分散会