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1956-02-07 第24回国会 衆議院 文教委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月七日(火曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 佐藤觀次郎君    理事 加藤 精三君 理事 坂田 道太君    理事 米田 吉盛君 理事 鈴木 義男君    理事 山崎 始男君       伊東 岩男君    高村 坂彦君       杉浦 武雄君    並木 芳雄君       野依 秀市君    山口 好一君       大西 正道君    河野  正君       小牧 次生君    高津 正道君       野原  覺君    平田 ヒデ君  出席国務大臣         文 部 大 臣 清瀬 一郎君  出席政府委員         文部政務次官  竹尾  弌君         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     天城  勳君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君         文部事務官         (管理局長)  小林 行雄君         日本学術会議事         務局長     本田 弘人君  委員外出席者         文部事務官         (大臣官房総務         課長)     斎藤  正君         専  門  員 石井つとむ君     ――――――――――――― 二月七日  委員木下哲君辞任につき、その補欠として大西  正道君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 二月六日  就学困難な児童のための教科用図書の給与に対  する国の補助に関する法律案内閣提出第二〇  号) の審査を本委員会に付託された。 同月四日  北海道に総合大学設置陳情書  (第一二六号)  名古屋大学医学部等施設整備拡充に関する陳  情書(第一二七号)  地方教育委員会廃止に関する陳情書外六十件  (第一二九号)  同外一件  (第一九七号)  地方教育委員会制度存続に関する陳情書  (第一三〇号)  建国記念日制定に関する陳情書  (第一三一号)  生徒児童傷害補償に関する陳情書  (第一三二  号)  練習船建造費国庫補助に関する陳情書  (第一三三  号)  教職員の定数確保等に関する陳情書  (第一九八号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本学術会議法の一部を改正する法律案内閣  提出第七号)  文教関係予算に関する説明聴取  学校給食用粉ミルク不正横流し事件に関する  件     ―――――――――――――
  2. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 これより会議開きます。  まず日本学術会議法の一部を改正する法律案議題といたします。提案理由説明を求めます。根本官房長官
  3. 根本龍太郎

    根本政府委員 ただいま議題となりました日本学術会議法の一部を改正する法律案につきましてその提案理由及び概要を御説明いたします。この法律案は、日本学術会議法の第二章及び第四章、すなわち、日本学術会議職務及び権限に関する規定会員選挙に関する規定の一部を改正しようとするのが、主眼でありまして、その他若干の規定整備をしようとするものであります。まず、日本学術会議職務及び権限に関する規定の一部改正でありますが、日本学術会議は、その設立の目的及びその職務として、科学に関する研究連絡をはかり、その能率を向上させるために、国際学術団体加入してきておりますが、この加入に関しましては、現行日本学術会議法明文規定がなく、日本学術会議の前身である学術研究会議及び日本学士院が当時の規定によって文部大臣認可を受けて学術上の国際団体会員となっていたものを、それらの廃止の際日本学術会議法第三十一条の規定によって継承した趣旨と、同法第二条及び第三条第二号の規定の解釈による運用によって、加入してきていたのでありますが、最近、国際学術交流の促進はことに著しく、将来、ますます国際学術団体への加入の必要が痛感されますので、この際、これに関する明文規定を設けて日本学術会議職務達成に遺憾のないようにいたしたいと存じまして、第六条の次に第六条の二として、日本学術会議学術に関する国際団体加入することができること及びその加入する場合において政府が新たに義務を負担することとなる場合においては、あらかじめ内閣総理大臣の承認を経ることの規定明文化した次第であります。  次に会員選挙に関する規定の一部改正でありますが、日本学術会議会員は、わが国の一定資格を有する科学者の互選によって就任するものでありまして、その選挙は、日本学術会議法に基く日本学術会議会員選挙規則の定めるところによって実施されておりますが、この選挙において、選挙規則規定に違反する行為をした場合における制裁に関しては、規定されておりませんでしたので、このたび、第十七条の次に、第十七条の二として、会員選挙権及び被選挙権を有する者が選挙規則規定に違反する行為をした場合には、同規則の定めるところによって、選挙権及び被選挙権を停止され、または当選が無効とされる旨の規定を新たに設けることとしたのであります。  これとともに、この選挙権の行使については、現行法に、一定資格を有する科学者で登録された者のみに限る旨の明文規定がありますが、被選挙権については、明文規定を欠いているために、ややもすると被選挙権者は、必ずしも登録されている者のみには限らないかのように解釈されるおそれがありますので、被選挙権についても、登録された者のみが有するものである旨、第十八条の規定改正して明文規定を設けることとした次第であります。  なお、これに伴う他の条文の改正と、その他若干整備を要する規定改正を加えました。  以上がこの法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同下さるようお願いいたす次第でございます。
  4. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 本案に関する質疑は次会にこれを行うことといたします。     —————————————
  5. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 それでは次に学校教育に関連して粉ミルク給食不正事件について、野原委員より発言を求められております。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。野原覺君。
  7. 野原覺

    野原委員 学校給食用としてアメリカから脱脂粉ミルクが免税で輸入されておるわけでございますが、この脱脂粉ミルクが最近横流しをされまして、新聞報道によりますと、長崎教育委員会の不正がすでに暴露され、東京地方検察庁なり警視庁なりあるいは東京税関等極秘裡調査した結果、全国的に発展する傾向が看取されたと言われておるのであります。しかも去る今月の三日には、私ども委員会が最も関心を持っておる文部省外郭団体であります学校給食会家宅捜索を受けておるというのであります。このことはきわめて重大な問題でございまするので、本日私はその責任監督者である文部大臣から学童給食ミルク横流しされておるその実情について、的確なる御説明をまずお願いいたしたいと思うのであります。
  8. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 学童給食用ミルク横流し事件が発生いたしたことは、実に遺憾なことでございます。ただいま関係者は逮捕せられ、また関係書類は押収されておりまするので、正確な御報告を申し上げることはできないのでありまするが、今日までにわかりましたところによりますると、大体昨年の十二月中旬に二百五十ポンド入り二百本、すなわち約五万ポンドを大原平一という者に売却しておったようでございまして、一たんこれが長崎へ送られたのを、東京汐留倉庫に入庫いたしたのを探知いたしたのでございます。文部省としてはみずからこれを差し押える権限はございませんが、しかしながら学童給食用ミルク学童給食以外に使うことは関税関係法規に違反いたしますので、東京税関と協議の上、ひとまずこれを差し押えたのでございます。これが今までの事実でございまするが、この横流しについては、実はかねて何か風評が出ておるのであります。長崎がどうのどこがどうのということじゃありませんが、何を申しても学校給食のために二十円でくれますのに、この品物は百円以上するのでございますから、何人も考え得ることで、さようなうわさが耳に入りましたから、すでに昭和二十九年の七月に特に公文をもって各関係者警告をいたしております。それから引き続き給食に関してブロック会議というのを年に数回開きまするが、そのたびごとにかくのごときことがないようにという警告は十分いたしておるのでございますが、それにもかかわらずかような問題の生じたことは返す返すも遺憾でございます。  この長崎のことにつきましては、実はこういうわけなんです。一年を四つに分けて申請をとりまするが、第一・四半期は割に少なかったたのです。しかるに第二・四半期から数量が非常にふえておることを給食課で認めまして、どういうわけだということを電話で照会いたしました。また御承知通り各県の東京出張所というものがございまするが、長崎県の東京出張所にも照会いたしたのであります。その答えは、長崎県は島が多いところですが、島の方ではあまりミルクを使わなかったのを、近時使うようになりましてこの通りたくさん必要を生じたというのでたびたび調べましたが、そういうこともあるべしと思って、今から考えたら水増しでありますが、給食認可をいたしたというふうなことになっております。なおお問いのうちの、全国的にこれに似たようなことが一体ありはしないかということはわれわれも疑いまして、そのなからんことを希望しつつ谷方面の調べをいたしておる最中でございます。迫って詳細わかり次第この委員会にも御報告申し上げたい、かように存じております。
  9. 野原覺

    野原委員 ただいま大臣から、大体の実情についての御報告を承わったのでございますが、この種の問題は大臣かただいま申されましたように、横流しのおそれがあったのではないか、こういう心配があったから、数回にわたって関係方面には警告を発しておったのだ、こういうことであります。しかしこれらの問題は通り一ぺんの警告だけで解消するとは私ども考えていないのでございまして、一体全国的に問題があるかどうかは、今日ただいま出方検察庁なり警視庁税関等捜査をいたしておりますから、いずれ明確になるのでございましょうけれども、一長崎県の問題だけを取り上げてみましても、五百万円に上るさやかせぎがされておる。新聞報道によりますと、実は日本の相当大きな乳業会社、私は名前を申し上げませんが、相当たくさんの乳業会社学童用ミルクの横しを受けて膨大な利潤をかせいでおるといわれておる。これは相当重大な問題でございます。従って一体どういうわけでこういう問題が起ってくるのか、原因はどこにあると大臣考えていらっしゃるのか、あなたの警告だけではこれは解決するものではありせんが、これらの横流しの問題が起ってきたその原因は、一体どこにあると文部当局は今日考えておられるか、承わりたいのであります。
  10. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 この給食制度は新しい制度でございまして別段完全なる取締り法規もできておりません。むろんわれわれ局に当る者が目が届かなかった不注意のことは、国家に対して陳謝いたしますが、やはりこれについてはなお今回の経験にかんがみ、厳格な法規等を作らなければなるまいか、かように感じております。
  11. 野原覺

    野原委員 給食用ミルクを都道府に配給する場合の経路、それは今日どのようになっておりますか、承わりたい。
  12. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 今給食関係しまする法規のごときものは二つあるのでございます。一つ関税関係法規でございます。すなわち給食のために関税なしで陸揚げいたしますから、それをほんとうに給食の用に供せられたるやいなやを明らかにするための帳簿制度がございます。それをまじめにその通り帳簿につければ関税目的も達せられますし、また給食ミルク子供の口へ入るのでございます。この帳簿制度一つでございます。もう一つ法規と申すわけにはいきませんが、文部省、それから農林省その他関係の者が寄りまして、一つ給食配給要綱を作っております。この要綱によりますると、幾ら給食ミルクが要るかということを文部省へ言うて参りまして、文部省はそれを認め、これを集計いたしまして、通産省に対して外貨のワクを求めます。そのワク内で輸入商輸入を命ずるのであります。輸入商が横浜へ輸入しますると、それを昨年の法律日本給食会という特殊法人ができております。御承知のように生悦住という人が会長をやっております。あそこで買いまして、それを各府県委員会に売るのであります。しかしながらこの委員会と申しましても、今問題になっておる教育委員会と裏表に給食会というものを作っておるのです。法人にまだ完全になっておりません。任意団体でありますが、給食会というものが買い入れるのです。しかしながら給食会というのは独立のものではなくして、その理事長はやはり多くは府県委員会事務当局がその理事長をやっております。長崎では今回問題になりました吉岡課長給食会理事長なんです。そこでこれでおわかり下さる通り東京日本給食会、すなわち生悦住のところから売ったものを、長崎県の給食会理事長吉岡がこれを処分した、こういう経路になっておるのでございます。これらのものも必ずしも法規でその通りなっておるのではございませんので、関税関係法規でありますけれども、片一方の方は各省の申し合せみたいなことでございます。しかし学校給食はもうほとんど国の永久の制度みたいになっておりますから、いつまでもこういうことをしておくべきものではなかろうと、数日来私は感じておる次第でございます。
  13. 野原覺

    野原委員 先ほど大臣の御答弁によりますと、長崎県の場合、第一・四半期要求したミルク数量と、第二・四半期要求したミルク数量に相当大きな開きがあって、実は疑惑を持ったんだ、こういうことでございましたが、一体どれだけの開きがあったのか、これを一つ具体的にお示し願いたい。
  14. 小林行雄

    小林(行)政府委員 本年度年間需要量、これは御承知のように年度の始まります前に実はとるわけでありますが、長崎県から出て参りました数量は——これは昨年の一月二十八日付で出て参りましたものでございますが、九万九千百二十二ポンドというようになっております。しかしこれは後に一けた違っておるというので、九十九万千二百二十ポンドというように訂正されております。小数点の違いでございます。しかしこの訂正は六月以後でございましたので、第一・四半期には一応この九万九千百二十二ポンドを根拠といたしまして、文部省としては、その大体四分の一ちょっと上回っておりますが、三万七百ポンドだけを一応割り当てました。これは第一・四半期申請書はこうなっておったのと、それからブロック会議あるいは電話連絡等で一応確かめた結果、向うも間違ったのだと思いますが、間違いないということでありましたので、それだけを送ったわけであります。第二・四半期になりますと、これは六月の十九日でございますが、申請量は二十万一千七百九十七ポンド、こういうふうに増して参っております。その間、御承知のように第二・四半期と申しますと、七月から九月までの量でございまして八月は大体学校が休暇でございますので、給食も従って行われないのでございますから、文部省としては非常に急増しておるんじゃないかということで、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、いろいろな手段で長崎県の当局連絡をいたしたわけであります。その結果、長崎県の方では、いわゆる島嶼において人員増加があった、非常に急激な給食の開始に伴う人員増加があったということで、文部省としても一応これを信頼して、大体その数字に沿う量を流しております。ただ先ほど申しましたように、六月十九日付の申請でありますので、一応七月分は需要量からある程度削減をいたしまして、二十万の申請に対して第二・四半期分として大体十三万七千六百八十ポンド程度文部省としては給食会を通じて行っておるわけでございます。数字としてはそういった工合に急増しているという状況でございます。ただ長崎県の県内の給食延べ人員等から見ますと、これは必ずしもそう多い量ではないように感ぜられます。一応一日一回二十二グラムで計算しますと、必ずしも多い数量とは思われない点がございます。ただ長崎県には、御承知のように北の部分に中小炭鉱等もございまして、これ以外にある程度四半期ごとに三十年度においては無償のミルクが行っておりましたので、そういったものも多少在庫として残っておったんではなかろうかというふうに感ぜられるわけでございます。
  15. 野原覺

    野原委員 問題は、ただいま監理局長答弁をした点と、先ほど私の質問に対する文部大臣の、ミルク都道府県に流されていく経路、そこにあると私は思うのであります。というのは、すでに大臣が申されましたように、都道府県の方では、どれだけのミルクが要るかという数量を出して大臣申請をする。そうすると大臣は、現物を持っておりませんから、日本学校給食会に対して指示を与える、どの県にはどれだけのものを出すということの指示を与える。そういう経路であるということになりますと、一体都道府県数量大臣申請して参りました場合に、水増し割当申請しておるかどうかというところの調査を厳重にしなければならない。ここに私は問題が残されておるように思うのであります。たとえば長崎県の場合、第一・四半期と第二・四半期数量の比較をいたしてますと、お話にならぬ。お話にならぬ数量がここに出されてきたときに、これが一体給食人員から見ても、あまり過大な数字ではないとか、あるいは長距離電話で調べただけで給食会指示を流す、こういうようなことでは、当然問題は残されておるのではないかと思うのであります。  そこで大臣にお尋ねをいたしますが、どのようにして都道府県からの申請調査を進めておられるのか。私は長崎県だけではないと思うので、あなたの方は府県から出てきた場合にどうもうのみにしているような傾向に見えるのでございますが、調査は一体どのようにしてやっているか。単なる電話連絡あるいは都道府県出張所等に問い合せる程度で、今日までこの重要な給食用物資配給をしてこられたのかどうか、この点について重ねて承りたいのであります。
  16. 小林行雄

    小林(行)政府委員 先ほど大臣からお答え申しましたように、この給食ミルク配分につきましては、年度初めになります前に年間の大体の需要量をとります。それからまた各四半期ごと需要申請書をとって、それに基いて配給するわけでございますが、その数字上の変動というものにつきましては、文部省としても一応審査をやっております。単に長崎県ばかりでなく、ほかの県につきましても照会したものもあるわけでございまして、それらについていろいろ実情調査した結果、先方の数字を訂正してもらったような実例もあるわけでございます。単に出てごました数字をそのままうのみにしておるというわけではございません。しかし給食ミルクは、学校給食性質上、やはりある程度余裕を持たせませんと、全部県の倉庫から払い出してしまって給食がとだえるということになりますと、これは学校給食事柄性質上からも困りますので、多少の余裕は認めてやる。それから最近の学校給食普及関係の指導ということから、新たに学校給食を開始するという学校もかなりあるわけでございまして、そういう方面の新規の増加ということもある程度見なければなりませんので、多少の余裕は見て一応配分するということでございます。しかしながら先ほども申し上げましたように、県からの数字をそのままうのみにして配分をしておるというわけではございません。文部省としても一応その数字人員と照合させて審査を行なって、それに基いて配分しておるわけでございます。
  17. 野原覺

    野原委員 この新聞報道でございますが、捜査当局は、これは調べてみないとわからぬけれども横流し合計額は数億円にも上るかもわからない、すでにその捜査をした結果、昨年暮れの分だけで市中に流されたものが二千万円に達するということも言われておる。こういうことになって参りますと、捜査当局が言っておるように、長崎県の場合はもう氷山の一角なんです。そうなれば、ただいま監理局長答弁したようなその御答弁では、私はどうも了承ができぬのであります。従ってこの問題は、われわれもいずれ法規その他を検討いたしまして、重ねて究明をしたいと思うのでありますが、日本学校給食会法の第六章、監督及び助成の項を見ますと、第二十六条には「給食会は、文部大臣監督する。」ということになっております。第二十七条は「文部大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、給食会に対して、その業務に関し、監督上必要な命令をすることができる。」という規定もあります。第二十八条には「業務状況若しくは帳簿書類その他必要な物件を検査」しなければならぬ責任文部大臣にあるのであります。私は、この給食横流しの問題は、単に今日の学校給食物資配給する経路法規が不十分であるとか何とかいう通り一ぺんの答弁では、文部大臣責任はのがれられないと思う。一体このことに対して大臣は、今日どのような責任を痛感していらっしゃるのか、どういうお考えでございますか、承わりたいのであります。
  18. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 事柄が明白になったときにいかなる責任をとるやは考えたいと思います。今何を申しましても、関係者は逮捕せられ、関係文書は押収せられておりまして、いまだ全貌がはっきりいたしませんから、私の責任の限度を明言する時期ではなかろうと思います。
  19. 野原覺

    野原委員 そうなりますと、問題の真相が明確になった上であなたはあなたの責任について考えていこうということでございますか。
  20. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 さようでございます。
  21. 河野正

    河野(正)委員 大体の問題につきましてはただいま同志でございます野原委員から指摘されたことでございますが、関連いたしまして二、三の点につきまして大臣並びに当局に対しまして質問を続行したいと思います。今度の問題が起りました原因はいろいろと述べられたのでございますが、新聞紙上を見て参りましても、文部省給食課の談話を見ますると、学童にたくさんのミルクを飲ませることは好ましいことであるので、申請があったならばその申請を認めて増加したんだというようなことが発表されております。しかしながら今日まで予算にいたしましても、その他の要求にいたしましても、いろいろな要望が各地からあるわけでございますが、そういった要求なりあるいはまた要望というものも、教育を愛しあるいはまた学童を愛するがための要求であり、要望であると私どもは確信して疑わないのでございます。そこで言葉をかえて申し上げまするならば、そういった要望あるいは要求ということも、まことに望ましい要求でありまた要望であるといわなければなりません。ところがそういった予算やその他の要望につきましては、非常に厳格な査定を行いあるいはまた非常に厳格な制約を行なっておりましたのが、今日までの文部省当局態度であったと確信いたします。ところがこのミルクに関しましては、先ほども申し上げますように、たくさん子供たちが飲むことが望ましいことであるので申請通りどんどん認めたんだ、こういったようなことが今日までとって参られました文部省当局態度と非常に矛盾があるというふうに考えておりますが、その点につきまして、大臣はどのようにお考えになっておりますか。まずお答え願いたいと思います。
  22. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 何を申しても目的以外にミルクを流したのでありますから、行政の上においてもまた今までの取扱い慣例の上においても、欠陥があったことは事実であります。十分その原因を調べまして、あやまちを繰り返さないようにいたしたいと存じております。
  23. 河野正

    河野(正)委員 先ほど監理局長からの答弁にもありましたが、なおまた新聞紙上でもミルク横流しのうわさはすでに数年来広まっているというようなことが報道されております。かつまた先ほど局長からも答弁がありましたように、今日まで単に長崎の問題に限らず、その他においても数字を訂正してもらったという事実があったというようなことが申し述べてあったのでございますが、そういったものにやはり何らかの疑問があったのではなかろうか、こういったことを私どもは強く感ずるのでございますが、長崎以外の各県におきましてもおかしい数字を訂正さしたというような事実があったそうでございますが、その間の事情を一つ具体的に御説明願いたいと思います。
  24. 小林行雄

    小林(行)政府委員 先ほど大臣がお答えになりましたミルク横流しの風潮に対する策でございますが、私どもといたしましては、ミルクはおそらく横流しはないだろうという考えを一応しておったわけでございますが、しかし世間でミルクが横流れしているのではないかというようなうわさがまま耳に入りましたので、このミルクの取扱いは学童の心理にも及ぼす影響が大きいから、そういう取扱いについては間違いのないようにしてもらいたいというような通牒も出し、また会議等の際はそのつど実はそういった指示を行なって来ておったのでございます。先ほど私のお答えの中に申し上げました、数字の訂正をしてもらったと申しますのは、やはりこれはけた違いでありまして、長崎の方は一けた少かったものがその後の申請でけたが上ったわけでございますが、私の例にあげました県はけたが一けた多かったのをいろいろ話し合って見ましたら、けたが違っておったというので一けた下げたという例があったのでございます。
  25. 河野正

    河野(正)委員 言葉じりをとらえて失礼かもわかりませんが、ただいま局長が答弁されました中に、今日までいろいろとそういったうわさも聞くしまたいろいろ問題もあるようであるので、いろいろな会合においてそういった面も忠告をし、警告を発し、あるいはまたいろいろ通達を行なったというようなことでございますけれども、しかしながら今日のような問題が起って参りましたし、さらに捜査当局は、この問題が非常に大きく拡大する危険性があるということを報じております。そういたしますると、今日まで局長がやられました警告なり通違というものが、全く権威のないものであり、全く威令が行われなかったということでございまするが、その点につきましてどのような責任をお持ちになっておりまするか、これは一つ大臣の方から承わりたいと思います。
  26. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 先刻も申しました通り、まだ事実が判明いたしませんし、一体いつこの違法が行われたかも実はわからたいのでございます。私の就任後が前かも不明でございまするし、これらが判明いたしましてから、皆さんによくてんまつを報告いたし、とるべき責任はとり、またはとらしめるようにいたしたい、かように考えております。
  27. 河野正

    河野(正)委員 ただいま大臣が申されましたように、具体的な事実が判明するまでということでございまするから、私もその点につきましては留保いたします。  しかしながら私どもさらに一点お尋ね申し上げたい点は、御承知のように今度の輸入ミルクというものは、いわゆる免税等が行われまして、関税等がかかっておりませんし、ある意味におきましては、こういった問題というものは、私は国際的な関連のある問題だというふうに考えております。従いまして、そういう免税を行い、関税をはずして輸入いたしましたミルクというものが、このような汚職を惹起し、あるいは横流しが行われるというようなことが今後起きますと、私は対外的に非常に大きな信用上の問題が起ってくると思うのでございまするが、この点につきまして大臣はどのようにお考えになっておるのか、一つ明快な御所見を承わっておきたいと思います。
  28. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 全く御質問通りで、日本が代金で安く買うた場合はむろんのことであります。学用だからといって安く売ってくれておる。またユニセフのミルクなれば、もらっておるのです。そういうものが、贈与者または安く売った人の意思に反して学童以外に使われるということは、まことに国際的にも責任を尽したゆえんじゃないと思っております。何かの方法をとりたいと思っております。
  29. 並木芳雄

    ○並木委員 関連して。このことで学校給食のスピードが落ちるようなことがあると、私はまた別個の意味で問題になると思いますが、本年度並びに来年度学校給食計画というものは、これでそごを来たさないかどうか、それをはっきりお伺いしておきたいのです。来年度ミルクのあるいは小麦粉、それから綿花を、学童用の衣料に仕立てて配給するという話もございましたが、それらの点について、この際学校給食の体制というものが、今度の不祥事といわれておる事柄によって阻害を来たさないように念願する者の一人として当局の御意向を明らかにしておいていただきたいと思います。
  30. 小林行雄

    小林(行)政府委員 私ども、今回の事件が起きましたことは、給食の事業が従来非常な勢いで伸びてきましたことにとって非常なマイナスであると思っております。そういった意味から、まことに残念なことでありますが、しかしこういった横流しが現実に行われておったものであれば、しかもそれが表面に出てきたものであれば、これはやはり明確に粛正されていいことじゃないかと思っております。  ただ、これが将来の給食の計画に大きな影響を及ぼさないように、今後再びこういった事柄が行われないように対策を考えたいと思っておるわけでありますが、さしあたって来年度給食の計画につきましては、ただいま並木さんからおっしゃったアメリカの余剰農産物の贈与分のうち、綿花につきましては、いろいろ米国との交渉の結果、難点が相当ございましたので、これを給食用物資に振りかえることにいたしまして、綿花については、綿花及びそれらを製品化した学童服の配給は、現在行わないことにいたしております。従いましてこの綿花一万五千俵の代金の三百万ドルが、それぞれミルク及び小麦粉に振りかわってくるわけでございまして、従って小麦粉の数量ミルク数量がふえる。これに伴いまして、給食の計画といたしましては、もちろん従来の小学校給食人員増加も見込まれるわけでありまするけれども、この際できれば文部省としては、やはり中学校の方にも、同じ義務教育学校でございますので、希望するものについては小麦粉の配給を受けられる、ミルク配給を受けられるようにしたいということで、予算をとり、また学校給食法の改正もいたしたいと考えております。また従来は御承知のように給食用の施設設備の開設につきまして補助を与えられるのは小学校だけであったわけでありますが、従来の予算額をかなり増加いたしまして、昨年まで五千万円であったものを一億五千万円に増加いたしまして、中学校の方の施設設備も希望するものには補助金を与えるというようなことで、文部省としては一応給食の計画としては非常に大きな躍進を見込んでおるわけであります。こういった今回の事件のようなことが文部省の今後の給食の計画に影響のないように、できるだけ努力して参りたい、こういうふうに考えております。
  31. 並木芳雄

    ○並木委員 大臣に、今後の防止策として、具体的にどのような点をお考えになっておりますか、お尋ねをしておきたいと思います。先ほど来野党の皆さんから大臣責任を追及する言葉もありましたけれども、このことはやはり事柄教育上の問題であり、これを取り扱う者の人柄を信用しての扱いでありまして、その中にたまたま不正なことをする者が出たからといって、直ちにこれが大臣監督不行き届きというところにはいかない、むしろ寛容にしておいたにもかかわらず、それを裏切った、その者の行為をこそ私は責めるのであって、この際前からずっと続いてきた事柄に対して、新しい大臣責任という問題は二の次だろうと思っております。それよりも、今後こういう事態が再発しないように、大臣は専門的な法律家のセンスをもってどういうように防止するかという具体的対策がおありであろうと思いますから、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
  32. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 寛大公平なる御意見を賜わって感激にたえませんが、この欠点が一体どこにあるかをもうちょっと掘り下げて考えてみたいと存じます。概括からいって、われわれの監督の不十分であったことは事実として認めなければなりませんが、今日の配給のやり方、方法についてもこれを機会に改善いたしまして、将来あやまちを再びしないようにいたしたいというように考えております。
  33. 並木芳雄

    ○並木委員 法律改正をお考えになっておられますか、それとも行政上の措置の強化というような点で防止したいと考えておりますか、もう大臣はその辺の構想ができておることと思うのですが……。
  34. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 研究の結果によれば、あるいは法律の必要を生ずるかもわかりません。今のわが国の法規では、政令等で刑罰は使えませんから、こういう大事件が起るとすれば、刑罰の背景のある法規を必要とするかもわかりません。
  35. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 本問題はこの程度にして、他日に譲りたいと存じます。     —————————————
  36. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 次に文教関係予算に関し説明を聴取いたします。天城会計課長
  37. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 私から先に概略のことを申し上げまして詳細は課長から説明をさせたいと思います。  御承知通り文部省予算は組織別に言いますれば、本省と国立大学と試験研究機関と文化財保護委員会との四つの組織からできておるのでありまするが、その総額は一千三百五億でございます。それゆえにわが国の国家歳出一兆三百五十億円に比べますると、国の会計の一割三分を占めておるのであります。非常なたくさんの金を国家から出していただいております。この歳出のうちの金額からいっておもなことは、義務教育費の国庫負担、それから国立、公立の文教施設でございます。そのほかに育英事業費、学術研究費といったものが、いずれも何十億というものでございます。本年、金額の大小にかかわらず心を用いましたことの一つは、教育の機会均等をやりたいという心持で予算を編成しております。すなわち先刻話のありました給食のことでありまするが、ひとり生活保護を受ける児童のみならず、それに準ずべき家庭の児童に幾らかでも一つ給食方面で無料または適当の補助を与えるという考え、また同様な学童に教科書を無料で与えたいといったような考えをしておるのであります。また僻地教育のためにも、その振興を、思う通りの金は取れませんでしたが、いたしたい。こういう社会政策的の意味を加味した教育の機会均等ということが一つと、もう一つは昨年以来われわれ同士が研究しまして、わが国の教科書制度に憂うべき点があることを確認いたしましたから、一日も早く教科書制度を改革するために適当の施設をいたしております。専任の検査官を置くようにいたしております。それからもう一つは、学校の指導機関を充実しようということを考え、また大学の今日までの研究学生費等ははなはだ少かったというので、これを増加したいという考えを持っております。わが国の将来は科学技術、学術の振興にあると考えまして、現に航空工学、これは非常に心配したことでありましたが、名古屋、九州両大学ともに航空工学の調査を始めることになりました。京都ではビールスの研究を始めることをやっております。こういう心持で組んだ予算でございます。  なお加えておきまするが、わが国では今度は国際地球観測年に加入をいたしまして、相当の金額を、南極探検隊あるいはまた内地における上空の調査ということに予算を組んでおるのでございます。  大体以上の通りでございますが、なお詳細は事務当局より御説明申し上げ、また御質問に応じてお答えいたしたい、かように考えます。
  38. 天城勳

    ○天城政府委員 お手元に配付してございます昭和三十一年度予算要求額事項別表、これにつきまして大体御説明いたします。なおそれに補足しまして三十一年度予算事項別内訳のおもなものを参考として配付してございますので、ごらんいただきたいと思います。  まず第一番目に義務教育の充実、この関係で最初に義務教育国庫負担制度の負担金の金額でございます。本三十一年度七百六十九億五千万、前年度に比べまして三十二億五千万の増でございますが、これは別紙にもございますように、明年度児童、生徒増約五十一万に対しまする教員増を約七千五百ほど見込んでおりますことと、給与の昇給財源といたしまして国の国家公務員の例にならいまして四%の昇給率を織り込んだ経費でございます。  第二番目の義務教育の教科書無償給与、これは一昨々年まで実施しておりました新たに入学する児童に対する教科書の無償給与、これにかえましていわゆる準要保護児童に対する教科書を無償給与する方法に変えまして、明年度は最初でございますので一億三千万の予算を計上いたしておる次第であります。詳しいことは参考表に中身が載っております。  第三番目に特殊教育の振興、これはいろいろな事項がございますが、新しい問題といたしましては就学奨励費、これは盲ろうの中学までの義務制が一応終りましたので、明年度は高等部まで及ぼす考えで、特に盲学校の教科書の問題が紛糾の問題になっておるのでありますが、高等部の教科書の給与、それから備考の方面でございますように、新たに点字印刷機を買い込んでいただきまして、高等学校の点字教科書の作成を促進しよう、こういう考え方であります。  第四番目の僻地教育の振興でございますが、これは明年度は主として教育内容の面に重点を置きたい、こう考えまして、金額的にはそう大きな伸びではございませんが、備考(3)の単級複式学校教育課程の作成を促進するということと、四番目の僻地勤務小学校教員の臨時養成施設、この金を充実していきたい、こう考えて、前年度に比べて約八百七十万ほど増額いたしております。  学校給食につきましては、ただいまお話がありましたように、学校給食を中学校まで拡大していく、そのために学校給食の施設設備費の補助を前年度五千万に対しまして一億五千万、それから新たに教科書と並んで準要保護児童に対する給食費の補助というのを盛り込んだ次第であります。  それから教科書制度改正でございますが、これはあらためて法律案を整えて御審議を経ることになるわけでございますが、それに伴いまして教科書の検定事務を厳格にいたしますので、これに伴う検定審議会あるいは発行審議会の経費及び新たに文部省に専任の調査官を設置いたします経費、それから地方では従来の展示会をやめまして、いわゆる常設の展示会費、それは同時に教科書の常時研究機関という考え方で、大体六百カ所くらい常設の教科書センターを設置するという金額を三千万円見込んでおります。  それから教育内容の改善充実の項でございますが、これは中身はいろいろございますけれども、大きく分けますと、中央における指導機構の整備、これは現在二名おります視学官に対しまして六名を増員いたすことと、それから教育内容の刷新改善の仕事といたしましては、従前から続けております指導要領の改訂、これに伴います手引書、参考書等の作成を続けて参りますが、この事項の(3)、(4)、(5)にございますように、地方に対する指導におきまして、第三番目が指導行政、学校管理面の指導を強化する、その次はできました指導要領の趣旨徹底を行う、それから教員の資質向上の講習会を行う、こういうような構想にまとめ直しまして……。(「資料がない」と呼ぶ者あり)文部省所管、昭和三十一年度予算要求額事項別表というのがございますが……。(「そんなものないぞ」と呼ぶ者あり)すぐ持って参ります。
  39. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 それでは資料がくるまでちょっと休憩いたします。     午前十一時五十三分休憩      ————◇—————     午後零時開議
  40. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 引き続き会議開きます。天城会計課長
  41. 天城勳

    ○天城政府委員 次に、第一ページの最後のところでございますが、教育内容の改善充実としまして、地方に対する指導機構を充実いたすのが一応の予算の項目でございます。  第二枚目に入りまして、産業教育、理科教育学校図書館、これらの振興につきましては、それぞれ振興法がございまして地方に対して補助金を出しておりますが、この三法につきましては、本年度は前年度に比べまして額が減じております。これは補助金に対する国の一般的な政策の線がございまして地方財政の再建ということと関連いたしまして、全体として補助金の圧縮をいたしたためにやむを得ない措置でございましたけれども、その中でもできるだけ重点的に事項をしぼって必要なものを載せて参ったわけでございます。  第四番目の文教施設の整備でありまするが、最初の国立文教施設の整備、前年度の二十一億に対しまして二十二億、約一億三千万ほど増でございますが、これは昨年から続けております整備計画の第二年目に入りまして特に大学教育施設の緊急整備あるいは戦災、復旧というようなものに重点を置いて計画を進めて参るつもりでおります。公立文教施設の整備におきましては、金額は前年度に対して約一億落ちておりますが、これも先ほど申しましたように、地方財政の再建という問題と関連いたしまして、補助金に対する国の全体の施策から出て参ったわけでございます。しかし中身においてはいろいろございますので、重点的に必要なものは伸ばすという考え方をとったわけであります。その中で、二、三新しい問題を申し上げますと、右側の備考欄の(3)にございます中学校屋内運動場の整備、これは従来寒冷湿潤地帯のみでございましたけれども、明年度からその地域をある程度緩和していきたい、そういう考え方を盛り込んでおります。それから事項としての(ハ)の公立諸学校危険校舎改築、これは高等学校分につきまして要望も強いし、また実情においても必要でございますので、前年度に比べまして高等学校分を伸ばしております。それからその次の不正常授業の解消、これにつきましても前年度より金額は伸ばしました。純然たる新しいものとしましては、(チ)という項目の公立小中学校統合特別助成補助金、これは主として町村合併に伴いまして学校の統合が問題になっておりますので、統合を促進していく。これは町村合併の実を上げるとともに、教育の水準も向上いたしますし、全体的に教育費の合理化にも資するところがあるというので、学校統合の助成を新しくすることにいたしました。次のページの学術振興という項目でございますが、最初に国際地球観測年関係の事業費でございます。すでに御存じのように、国際地球観測年に三十二年度から入りますが、その準備といたしまして明年度かなりの経費を必要といたしますので、ここに九億七千五百万円、このうち南極地域の観測が七億五千万円、それからそれ以外の国際地球観測年の経費が二億二千五百万円でございます。それから科学研究費その他につきましては、大体前年度と同額の線を計上いたしておりますが、四番目の私立大学理科特別助成補助費、これが新しいものでございます。これは理科系の私立大学の助成を必要と考えまして、新しく国の補助金を計上いたしたわけでございます。その他の事項は大体前年と同じ額でございますが、国際文化交流の中で、四番目に外国人留学生宿舎建設、それを新しい事項として起したわけでございます。  次のページに入りまして、六番目の勤労青少年教育の振興、これの定時制高等学校及び通信教育整備、青年学級の振興、この二つの事項でございますが、定時制の方は、先ほど申しました振興法と同じ考え方で、地方財政の関係で圧縮を受けたわけでございまして、この二つは特に顕著なことはございません。育英事業の項でございますが、国の貸付金は前年度とそう大きな違いはございませんが、これは育英会自身の返還金の増が見込まれておりますので、実際学生に貸与いたします金額におきましては、参考資料にもございますように、三十一年度では約四十四億ほど見込まれております。中身において大学生に対する貸与額二千円と三千円がございましたその三千円の口を拡大いたしますことと、高等学校の従来一律七百円でございましたのを、継続費について千円口を作った。それから金額の増をはかっております。学徒援護会の方は、新しく第二相談所を建設する。学生寮の建設は前年度と同様一千人分の建設の補助をやるという考え方でおります。  私学関係の振興といたしましては、出資金が八億、共済組合は国の補助百分の十五とありましたのの平年度化に伴う増でございます。教育委員会関係はまだ制度がはっきりいたしませんので、一応前年度を基準とした金額で組んでおります。  社会教育関係でございますが、社会教育の助成という事項では、特に今年オリンピックがございますので、第五番目に選手派遣費を二千万円計上いたしております。それから、その後アジア・オリンピック大会の開催が予定されておりますので、体育施設を国で作る考え方が進んでおりまして、その準備費として千五百万円を計上いたしております。それから社会教育の特別助成費でありますが、これは前年度と同額を計上いたしまして、昨年の経験によりまして必要なものをそれぞれ実施していく考えで、備考欄に計画いたしております事項を掲げてございます。それから特別助成費の中で特に婦人教育の振興と社会教育関係の通信教育の振興を重点にとりまして、それぞれ前年度と比べますと、かなり飛躍的な金額を計上いたしているわけでございます。それから芸術院の建物が現在ございませんので、芸術院会館を新しく購入するという経費を計上いたしました。  十一番目のユネスコの活動、それから文化財保存事業の問題でございますが、ユネスコの事業といたしましては、従来からやっておりますここにございますような事業をそれぞれ強化、進めて参りますが、文化財保存事業におきましても、従来からの継続事業がたくさんございまして、それを続けて参る考え方でおります。保存事業の中で一番大きいのは、前年度で法隆寺の事業は終りまして、明年度からは新たに姫路城の改築に八カ年計画で取りかかることにいたしております。それから三番目に、国立劇場を建設するという案がございまして、明年度設計その他の設立準備費を千七百万円計上いたしております、  その他は経常的な経費でございます。今まで申しました事項を除きました経常的なものをここにまとめたわけでありますが、減になっておりますのは、総体の関係で、主として災害復旧が明年度落ちておりますので、そのことに伴うものでございます。本省費としては先ほど申し上げました視学官六名、教科書の検定の調査官四十五名、計五十一名の人員増を見込んでおります。  最後のページに国立学校の項がございますが、国立学校経費は、中身は国立学校と病院と研究所でございます。その計で三百三十三億八千万、前年度に比べまして約二十五億の増でございますが、それにつきましては別刷りの参考資料の三枚目にごく大ざっぱな内容を掲げてございます。その中では国立学校関係費、特に基準経費の引き上げということに明年度は重点を置きまして、教官研究費、学生経費の増を考えておるのでございます。特に研究費におきましては、講座研究費を前年度に比べまして大体二〇%、それから学生経費で二五%ほどの増を見込んでおります。その他新規といたしましては、ここにございますように、学科としては名古屋、九州に航空工学科を新設すること、その他講座の増設なりあるいは不完全講座の充実、それから工業大学に原子力の基礎研究施設を始めるというような事項でございます。病院につきましては、診療費その他の増がございまして、前年度に比べて約六億増になっております。大学の研究所におきましては新しく付置研究所として京都大学にヴィルス研究所を設置することになりまして、これは別途法律案を準備しておるわけでございますが、そのほか研究部門の増加といたしましては、それぞれの部門の必要性と時代の要請に応じましてここに掲げました基礎研究部門の増をはかったわけでございます。  途中で資料のことで時間をむだにいたしまして申しわけございません。概略明年度予算要求の中身を御説明したわけでございます。
  42. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 これにて文教関係予算に関する説明は終りました。質疑は次会にこれを行うことといたします。  本日はこの程度とし、次会は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。     午後零時十六分散会