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1956-10-02 第24回国会 衆議院 農林水産委員会冷害による農業災害に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員昭和三十一年十月一日(月曜日)委員 長の指名で次の通り選任された。       足立 篤郎君    川村善八郎君       吉川 久衛君    笹山茂太郎君       林  唯義君    本名  武君       淡谷 悠藏君    石田 宥全君       小川 豊明君    小平  忠君       中村 時雄君 同日笹山茂太郎君が委員長指名で小委員長に選 任された。     ————————————— 昭和三十一年十月二日(火曜日)    午後一時五十三分開議  出席小委員    小委員長 笹山茂太郎君       足立 篤郎君    川村善八郎君       林  唯義君    本名  武君       淡谷 悠藏君    小川 豊明君       小平  忠君    中村 時雄君  小委員外出席者         農林水産委員長 村松 久義君         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    和田 正明君         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君         農林事務官         (農地局管理部         長)      立川 宗保君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      河野 恒雄君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      仰木 重蔵君     ————————————— 本日の会議に付した案件  北海道における冷害による農業災害対策に関す  る件     —————————————
  2. 笹山茂太郎

    笹山委員長 ただいまから冷害による農業災害に関する小委員会を開会いたします。  まず北海道における冷害による農業災害対策について調査を進めます。被害状況につきましては、きのうの委員会の席上におきまして、政府から説明を聴取いたしたので、これからはその質疑に入りたいと思います。淡谷君。
  3. 淡谷悠藏

    淡谷委員 農林省にまずお尋ねしたいのですが、北海道の今回の冷害による災害は全く予想以上深刻なものがありまして、特に累積した災害になっておりますので、さまざまな問題がたくさんございます。これについてはもうすでに調査もお済みのようでもありますし、何らかの心構えはできておると思いますので、まず農林省として、これに対する対策一つざっくばらんにお話し願いたいと思うのであります。
  4. 渡部伍良

    渡部説明員 北海道冷害状況につきましては、昨日申し上げた通りであります。私も二十五日から二十九日まで現地を見て参りまして、こちらで想像した以上に深刻なものがあるのをつかんで帰ってきております。そらして昨日幹部連絡会に報告いたしまして、現地要望の各項目につきまして、具体的にどの程度まで実現できるかということを現在作業をいたしております。たとえば帯広管内、北見あるいは宗谷方面は、米についてはほとんどゼロ、豆についても非常にひどい収穫減になっておりますので、そうういう方面につきましては、しかも二十八、二十九、三十一年と引き続いて災害をこうむっておるのでありますから、特別な処置が必要である、こういうふうに考えまして、その趣旨で今関係各局と相談をいたしておるような状態であります。まだ最終的な結論まで出ておりませんが、早急に案を立てたい、こういうふうに考えております。
  5. 淡谷悠藏

    淡谷委員 御承知の通り北海道は、もう雪が降ってくるといったような差し迫った状態にございます。特に賃金収入などに対する要求が非常にはげしいようでありますので、おそくなりますと全く農民を飢えさせるという極端にひどい状態に陥ることが懸念されますが、作業は大体いつごろ終るつもりであるか、大体の見通しとしてどれくらいの予算を見込むつもりでありますか、その点はまだおわかりになりませんか。
  6. 渡部伍良

    渡部説明員 予算的措置を必要とするものは、救農土木関係、あるいは種の確保で、これはどうしてもある程度補助金を必要とするのではないか、こういうふうに考えております。従ってそれらは道の数字統計調査部数字、両方を今検討しましてそれに基いてやっております。ほかの方の関係、たとえば営農資金の問題、あるいは二十八年、二十九年に貸してある冷害資金償還期限延長、こういうものは予算的措置を待たずにできますから、現在要綱を整理しております。  それから共済金の支払いの問題でありますが、これは先ほど申し上げましたように、一〇〇%の災害をこうむっている地域等がはっきりしておりますので、道全体を待たないで、共済組合連合会支部別数字のまとまったものから払っていこう、こういう方針をきめまして、連合会等の方に連絡をいたしまして、数字の上ってくることを待っております。  それから救農土木にいたしましても、道庁から一応数字が出て来ましたから、それをもとにしまして、継続事業、それから新規事業区別等の割振りも考えまして、できるだけ早くやりたい、こういうふうに考えております。
  7. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは時期を失しないように、あとの方と違いまして漫然と日を延ばしておりますと、取り返しのつかない事態に追い込まれると思いますから、十分これは作業を急いでいただきたいと思います。特に現地要望もそうでございますが、長い間の冷害のために営農資金方面では償還が不可能になりまして、これ以上借金をしたくないといったような空気もだいぶ多いようでございますし、この救農土木工事による生活資金の拡充については非常に大きな期待を持っておりますので、これは新しい——既定事業のほかに新規事業拡大措置等も行えるのかどうか、この点もお伺いしておきたい。
  8. 渡部伍良

    渡部説明員 道の方からの要求はそういうものが出ておりますから、これはやはり予備金要求して、それを満足させなければならないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  9. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さらに一般土木事業等につきましても、道路はワクがあまり厳重になっておりますので、実際被害甚大な地方に均霑しないうらみがございましたが、その点も何らかの措置を講ぜられておるかどらか。今までの事業ですと、末端まで浸透しないで、局部的に救済されるきらいがあった。ですからできるだけそれは現地で調整しまして、実態に即して均霑し得るような措置をおとりになっておるかどうか。
  10. 渡部伍良

    渡部説明員 冷害対策を講ずるにつきまして、救農土木が必要であるということは前々から本委員会等でもお話がありまして、私の方もその趣旨で、道庁の方の町村別継続事業がどうあるか、それから新規にはどういう事業をやってもらいたいか、一々町村別図面ではっきりしてもらわなければ、私どもの方でやるにしましても、当を得た査定ができないから、そういう準備をしてくれ、こういうふうなことを道に希望しておきました。現地に参りまして私が行った村では、その図面を全部見せていただきましたが、おそらく道ではそういう準備ができておると思います。中には希望せられて引いたような図面もありましたけれども、可能の限度を道で見ていただければおのずから数字が出てくる、こういうふうに考えております。
  11. 淡谷悠藏

    淡谷委員 申すまでもなくこれはそういうふうな措置をおとりになりまして、一つ十分に現地要望にこたえていただきたいと思うのでございます。  もう一つ、これは大きな問題ですが、北海道種もみの件であります。北海道種もみは、内地と違いまして、他の方から移入するわけにいかないという特殊事情がございますが、この種もみ一般農家に移動いたしますと飯米措置が非常に大きくなってくる。同時にまた種もみの移動に関しましては、この換算率代金の点において非常に違ったものができてくる。これははっきり申し上げていいかどうかわかりませんけれども一般に行われております飯米種もみとの交換率が、若干公定価格等の点で触れ合うような面があるように伺っておりますが、そういう悩みはございませんか。
  12. 渡部伍良

    渡部説明員 その点は非常に問題でありまして、二十八、二十九年度のときの種の集荷価格が、一般の種の価格でやったので補助金の使途について、それでまかなえないものを回したというので会計検査院にひっかかったような問題があったので、ことしは、そういうことでは各方面が迷惑いたしますから、種のとれた農家にもできるだけがまんをしてもらうけれども、従来の種の価格ではいけないのじゃないか。従って特別の災害用の種の価格をきめなければいけないのじゃないかということで、これは今中で相談しております。具体的に何ぼにするかということは、現地声等も聞いてきておりますが、よく検討したいと思います。  それからこれも私が回ったところで、支庁別に種の不足量が何ぼで、これを管内から何ぼ出し、管外から何ぼ出すということで町村別に各支庁できめておったようであります。そうすると、あとの穴埋めの問題がありますので、この問題は、私が行くまでには、行政措置でできるのは——飯米行政措置代金一年間延納できるのだから、道が中に立って飯米心配がないようにやってくれということを繰り返し言うてきております。従って今の種、量的には種の価格でそれの何割増しかの飯米が得られるわけだと思いますから、飯米の現物なり飯米代金延納等については、これは新聞にも私の言として出ておりましたから、相当徹底しておるのじゃないかと思います。しかしこれはなおよく念を入れましてもし食糧事務所が文句を言って簡単にやってくれなかったら、すぐ本省に言ってきてくれと言ったところでは、言ってきましたけれども、注意いたします。
  13. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それからこれはまだはっきりした規則ができたことを聞きませんが、例の米の予約買付による前渡金の問題ですが、これは災害等によりまして何らかの措置がとれるように法制的なおきめがあるかどうか。
  14. 渡部伍良

    渡部説明員 前渡金の問題は、まだはっきりした結論を出しておりません。これはせんだっての農林委員会で、農林大臣から供出時期までに心配のないように措置するという言明をしておるのであります。中で現在検討を加えております。検討を加えておるというのは、食管会計でそのまま延ばすとすれば、法律が要るわけです。それでもいいじゃないか、あるいは逆に予約金は全部協同組合系統を通じて、その委託事業になっておりますから、末端協同組合で延期し、府県連、全国連とずっと延期してしまって、全販連でまとめて、そこで全販連が融資を受けて政府に払うなりあるいは全販連政府から猶予をしてもらう、そういういろいろな手続上の問題を今検討しております。いずれにしましても、大臣の言明通り実施しなければならぬということで、まだ結論は出ておりませんが、早急にいたしたいと思います。
  15. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これまでの救済策をいろいろ検討してみますと、どうも国がこういう災害に対してはっきり責任をとることを回避するために、末端において被害農家恩典に浴しないということがたびたびございます。たとえば代金延納にいたしましても、この責任返済ができないと思われる農家、こういう農家が一番被害を受けておるのでありますが、そういう農家に対しては延納を認めず取り立てる、こういつたような責任の転嫁がだいぶ行われておりまして、全く被害農家が困っておるという現象がたびたび起っておるわけでありますが、ただいまの措置につきましても、協同組合経営も非常に困っておる状況がございますので、協同組合経営上その恩典末端まで浸透させ得ないという心配が多分にございますから、むしろ協同組合にこれをやらせるような場合には、その利子等補給はお考えになっておりますか。これも末端からはとれないという事態が非常に多い、その場合に利子に対する措置は今どう考えておられるか。
  16. 渡部伍良

    渡部説明員 利子の点も今あわせて検討をしておるわけでありますが、お話通りだと思いますので、利子補給をするなり、あるいは食管会計利子の分を負担するなり、あるいは一般会計から食管会計利子に相当する分を繰り入れるなり、そういういろいろな方法検討しておるわけであります。
  17. 淡谷悠藏

    淡谷委員 まだどうも全般にわたって農林省対策は固まっていないように思われますが、大体この現地要望をいれるために、現在の法律の範囲内で行われるものがどれくらいございますか、あるいは法律改、正をしなければならぬ必要がないかどうか、こういう点を一つ検討になっておりましょうか。
  18. 渡部伍良

    渡部説明員 ただいまの米の供出予約金の点を除きましては、農林省関係する限りにおいては法律なしに行政上あるいは予算上の措置でできると思っております。向うの要求としてもし飯米値引、これは二十八年のときにやったと思いますが、もし値引をやるということになると、これは法律を必要といたします。そのほかは政令程度でほとんど行けるのじゃないかと思っております。予約金の問題は全般として法律改正が要るわけであります。ほかの利子営農資金利子補給等は今の法律で行けると思います。
  19. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それから累積災害のために償還延期をしなければならぬという問題もたくさんございますが、これは大体集計は押えられましたかどうか。それからこの利子補給等に対して 一法律改正準備などされたかどうか。営農資金もたくさんございます。ずいぶんあるのですが、大体今年は返せないという見込みが強いようでありますが、この措置はどうなっておりますか。
  20. 渡部伍良

    渡部説明員 営農資金関係は、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する法律で、法律改正は要らないと思います。ただあそこで五年以内となっておるやつを十年にするとか、あの法律に書いてある条件を変える必要があるとすれば、これは当然しなければならぬと思います。
  21. 笹山茂太郎

    笹山委員長 それでは通告順に従いまして、本名さん。
  22. 本名武

    本名小委員 ただいまの淡谷委員の質問に関連してちょっと伺っておきたいと思いますが、先ほどの賃金収入のための救農事業ですが、これは既定予算の中でどの程度これに役立つかということ、さらに予備金その他からの支出によって新規の計画はどのくらいなさるかということが、まだ数字的にわかっていないようでありますが、これを検討いたしますのには、どうも農林省だけでこれを判断するということは私どもとしては納得できませんし、本小委員会においても、ぜひこれに関連のあるところの北海道開発庁並びに建設省、大蔵省はお見えになっておりますけれども、これらの関係各省方々出席の上で、あらためて一つ救農事業のことについて検討したいと思いますが、それまでに関連各省とのお打ち合せを早急に済まされて、一日も早く具体的な方針を明示されたいと思います。先ほどのお話にもありました通りに、すでにもう山には雪が降っております。こういうような事情を、とうてい事務的な手続あるいは検討の遅延のためにわれわれとしてはほうっておくわけにいきませんので、委員長においては、ぜひそれらの関係各省出席を明日の委員会に実現していただきたいと思います。
  23. 笹山茂太郎

    笹山委員長 承知しました。
  24. 本名武

    本名小委員 私は明日各省がそろってからいろいろ伺いますが、その前に一つ伺っておきたいことは、もう口ぐせのように北海道は二年、三年目に必ず冷害に見舞われるという。このことは歴史上の事実ばかりでなく、現実として今後においても容易に予測されるのでありますが、今日まで農林当局は、北海道農業に対する行政措置として、あるいは北海道農業冷害克服のための基本的な対策というものを、われわれの目から見ますと非常に怠っていやしないか。一例を申し上げますと、前年度の予算編成におきましても、内地状況北海道状況があまりにも違うにもかかわらず、その編成方針は毎年同じような方法でやられているということ、たとえば公共事業の中に含まれる農業関係のものにいたしましても、全体の日本ワクの中から北海道は何%という。パーセンテージを毎年踏襲して、それをおっつけておる。予算措置の上からいってもこのような矛盾がある。さらにもう一つ大事なことは、寒地農業安定策として、今日まで政策の上で、あるいは施策の上でどういう変ったことをおやりになっていたか、われわれはどうもあまり目立った変り方というものは感じなかった。もちろんそれは未墾地の多い、しかも寒冷地のいろいろな土層事情その他の違う北海道ですから、特殊科目予算が若干ないではなかったのでありますけれども、それはまことにりょうりょうたるものであって、必ずしも年々来る冷害を克服する基本的な対策にはならなかったと思うのであります。私は今年の深刻な冷害を契機としまして、一つ農林行政北海道農業の安定の上に、あるいはやがてまた来るであろうところの冷害克服のために、この機会に大いに方向転換をしていただいて、新しい施策を示していただきたい。それについていろいろ問題がございますが、まず大臣にお聞きしたいところでありますけれども大臣はきょうお見えにならないので、経済局長からでもけっこうですが、何かこれを機会北海道農業に対して抜本的な対策を打ち立てられるというお気持があるかどうか、あるとすればどういうことをおやりになろうとするか、伺っておきたいと思います。
  25. 渡部伍良

    渡部説明員 これは非常にむずかしい問題であります。繰り返された問題でもあるわけでありまして、一言でお答えすることは不可能と言ってもいいのでありますが、とにかく北海道が開発されて、日本水田農業延長というふうになって、水田では北海道独得の品種がたくさんできまして耐冷的品種ができて稲作の北限も非常に北の方まで行ったのであります。ところが稲作についても完全に耐冷的品種なり、あるいは人口の増につれて、栽培のできないほかの土地農業をどうするか、こういう考え方でいろんな試みができておるのでありますが、これもきめ手になっておらないのが現実であります。しかしここ数年来の冷害状況を見ますと、先般の委員会でも申し上げましたが、根菜類耐冷性が非常に大きく、また牧草の耐冷性が大きい、そういう点からおのずから北海道農業のいく一つ方向が示されておるように私どもは思うのであります。これがためには、一つにはたとえば牛乳の消費なり価格定安という問題、あるいは水田以外の畑地の土性改良なりあるいは土地改良というものが残っておるのじゃないか、こういうふうに考えるのであります。そのためには、私の見てきた感じでは相当思い切って短期に金をつぎ込まなければ、幾らりくつがわかっていても実現はなかなかむずかしいと考えるのであります。その点は、これは個人的な考えというものではいかんともしがたいのでありまして、お話のように、引き続くここ三回の冷害で、この際関係方面の衆知をしぼって、北海道農業の発展的な転換の方策を見出す必要があるということを私は痛切に感ずるのであります。  あまり問題が大きくて、一局長が答弁する限度を越えておると思いますが、率直に私の感じを申し上げましてお答えにかえたいと思います。
  26. 本名武

    本名小委員 確かにおっしゃる通り大きな問題かもしれませんが、しかし考えようによってはそう大して大きな問題でもないのであります。今のお話を伺っておりますと、今日の北海道農業現実の姿の上に立って、個々対策がこうあるべきだというお話のようですが、私は農林省はもう少し掘り下げていただきたいと思う。今度調査に参りまして他の委員方々とも話し合ったのですが、私は農業はしろうとですけれども、なぜこんなに何回も何回も同じことを繰り返しているのか。今日農民方々はみずから非常に目ざめられて、従来のようなつけ焼き刃救農対策よりも、みずからが働いてみずからが収入を得て克服しようとして立ち上っておられる。従ってそれに対しては、おそらく今後施策を講ぜられて賃金の上にも相当の収入を与えて下さると私は確信しております。しかし賃金が幾ばくか入ったところで、旧債の返済にはおそらく追っつかないことは当然であります。そういうようなことではまだまだこれを救うわけにはいかない。だからこの機会一つ抜本的に、寒地農業安定化をはからなければならないと思うのであります。これは私の思うだけであって、どうしていいか実はわからないで迷っておるから聞きたかったのですが、それを聞いた上で一つ知恵をしぼろうと思ったのですが、そこで私は一、二だけ申し上げまして所見を伺いたいと思います。  まず土地改良であるとか土層改良あるいは品種改良、これらはある程度人為的にしかもどちらかというと、金さえあればやれることであります。金では解決のしない問題を早く北海道農業の上に見出して、それを解決してやることが必要でないか。まず第一に考えられますのは、日本農業歴史を追ってみましても、零細農業経営方式というものは同じようにとられておる。たまたま気がついてやり出したことは多角経営多角経営をやってみて北海道で十五町歩も十八町歩耕地を持っておるけれども、牛がいなかったり、いたとしても二頭くらいしかいない、こういう現状であってはとうてい北海道の重なる冷害を克服するわけにはいかぬ。まず国の金を突っ込む前に、北海道農業経営の形式というものがどうあるべきかということを農林省は深く考えてせっかく使う金であるからむだのないような使い方をしてもらいたいと思うのであります。  そこでまずお伺いしたいのは、多角経営という言葉が使われておりましていろいろな形で農業経営の本質的な改革を期そうとしておる。しかしながら一方においてあの広大な面積を、しかも個々経営面積がかなり広い中にあって、私はこの多角経営の姿に再検討を加えなければならないのではないかと思うことが一つであります。  もう一つはそれに対照的な考え方といたしまして、いわゆる単純高度化の問題でありますが、北海道の場合は、むしろ多角経営の前提としてまず今日とることは、単純集約経営というものが一応とられてしかるべきではないかと思う。それに関連していろいろ意見を申し上げたいのでありますが、そのことはまた別な機会にすることにいたします。要するに北海道農業経営形態方式というものをどういう点に持っていくことが正しいのかということの基礎に立っていろいろな施策をやっていきたい。  そこで今度私が歩いていろいろ感じたことは、何といっても有畜農業、特に乳牛を兼ねた農業というものが絶対に必要、そのためにはビートの増産もしなければならないであろうし、幾多の施策が必要でありますが、もう一つ目についたことは、十町、十五町の広大な耕作面積を持っておる農民が、必ずその中の土地を二割ないし二割五分というものを遊ばせておるということであります。ここに土地のむだがあり、ここに土地の価値が死蔵されておるので、これを活用することが必要である。そこで提唱したいと思うのは、農林省はどう考えるか伺いたいのでありますが、かって農業経営の中に林業を取り入れることを提唱されたことがありましたが、私はこの機会に特にこれを申し上げたい。それは従来ございましたいわゆる屋敷林であるとか、農民のほんとうの経営というものの中に、今日土地の温度を守り風を防ぎ霜を防ぐところの耕地防風林の育成ということがいかに必要であるかということがつくづくわかった。しかしこれはあくまでも霧を防ぎ、風を防ぎあるいは保温ということだけのことではなくして、一つの大きな農家収入の要素に加えなければならないと思うのであります。ところが、従来の観念で参りますと、一伐期がくるまではなかなか伐採はしない。少くとも二十五年、三十年たたなければ農家収入は得られないというのが今日までの実情であります。今日林業の大きな新しい使命は、決して従来のような木材の乱用にあるのではなくて、未利用資源を活用し、さらに新しい森林資源を求めなければならない。ここに私は農業の中に含まれた一つ林業を実行しなければならないと思うのであります。時間がないので簡単に申し上げますが、農林省は林野庁を抱えられているのですから、思い切ってこの点に力を入れていただきたい。具体的に申し上げますならば、五年か八年で収穫のできる林業方式北海道農業の中に入れるということであります。林野庁指導部長もいらっしゃいますけれども、それは決してむずかしいことではありません。今日イタリー・ポプラというものは、御承知の通りイタリーのポプラとアメリカのポプラとを掛け合せてできた非常に成育の早いものなんであります。日本でも試験をいたしております。これらは十年たつと目通り一尺くらいの大きなものになります。これをまず農家収入一つとして、防風林と五年間の伐採収入の計画に入れますと、少くとも今日の時価からいきまして年間に換算して反当二万五千円前後の収入があるということを一つ検討していただきたいと思うのであります。そこでこれらの問題は、それならば一体そういう生産されたものが売れるか売れないか。これは申すまでもなく今日の木材利用は、御承知の通り。パルプにおいても闊葉樹を利用するというやさきであります。冬の間の農閑期を利用してやりまするならば、農家一つの副業として当然りっぱに成り立つということが考えられるのであります。これを真剣に考えていただきたい。  もう一つ農業の機械化でありますが、今日の北海道農業というものは、あれだけ広い耕地面積を持っているから、相当機械化が進んでいなければならない。機械も相当入っておりますけれども、これはなかなかうまくいかないというところに問題があると思う。そこで考えられることは、その機械化ということをどういう姿でやるか。今日の農業協同組合を運営しあるいは農家個々関連においてこの機械の共同化ということがはかられるか。もちろん個々農家にこれだけのものを備えることができればけっこうでありますが、それはなかなか容易でない。そこでこの収入の道を外に求めることと、農業の機械化ということについて、農林省はこの機会に、大いに北海道のために新しい構想のもとに助成なり育成をしていかなければならないのではないかと思うのでありますが、この点について一、二の例を申し上げたのでありますが、農業経営方式について何かこの機会にお考えになっていることがないかどうか伺っておきたい。
  27. 渡部伍良

    渡部説明員 北海道農業は、水田地帯と畑地帯とに区別して考えられなければならないと思います。主として問題は、水田地帯よりも畑地帯に残されている、こういうふうに考えます。従いまして畑地の問題でありますと、単位収量というものはどうしても作物の関係から落ちる。従って規模が大きくならざるを得ないのであります。そうしますと、経営の基盤を作ります土地改良にしても、あるいは家畜の保有にしましても、あるいは作業を行うための農作業機にしましても、勢い大きくならざるを得ない。従いましてお話のような機械化の問題は当然起ってくるのであります。これはわれわれが承わるところでは、北海道の中に機械専門でいく、あるいは機械はどうするかという議論が従来からあったと思いますが、必ずしも機械か畜力かということについて、どちらか一方だけで解決することはできない。やはり機械を相当入れなければならないということははっきりしておるのではないかと思います。従いましてそういう問題は最初に私が申し上げましたように、北海道の適正規模はどういうものだ、その中にロテーションを考えて入れる作物はどういうものである、家畜の保有はどういうふうにすべきかという一つの類型ができまして、それをもとにして施策考えられていかなければならないと考えております。これらは今までずいぶん議論されておりますけれども、一方では何といっても水田重点主義あるいは戦中戦後の食糧作物、米麦雑穀重点主義から脱却しまして、ようやく自由な構想が行われ得る状態になってきてまだ日がないのでありますから、今後そういう問題を早急に確立する必要があると思います。これは私ども回ってみましたところでも、相当数の農家においては、みずからの力でそういう問題を解決している農家を私は相当見つけたように考えます。しかしそれらはその経営者の長年にわたる苦心さんたんの結果到達しておるのであります。果して行政的にそういう類型を、この地方はこういう類型、この地方はこういう類型ということで個々農家に押しつけるということがすぐできるかできないかというところが問題になると思います。そういう点は今後十分検討をしていかなければならないように考えます。とにかく御指摘がありましたように、この際北海道の営農形態、北海道に適する方策を見出すことが必要であります。そのためには関係方面の衆知をしぼって、そう無理なく各農家が取り入れられるような方策が必要になってくるのではないかと思います。  なお今の経営の中に林業を取り入れる問題であります。これらもどの地方でありましたか、たしか帯広近辺だったと思いますが、短期間ではなく二十年、三十年かかっていると思いますけれども、すぐそばに植林をして古いのと切りかえをやるというようないい設計のできている地方も相当あるわけであります。それが北見、宗谷の方に行くと、のべつ切ってしまって灌木林しかないというようなことになっておりまして、これらも今までのそういった問題に対する注意が十分検討されていないためにそういうことになっていると思いますが、それらの点は十分検討しなければならぬと思います。皆さんがデンマークに行ってきての話では、デンマークの農業が数十年の間にこれだけ進歩した大きい理由は、防風林あるいは保安林のおかげであるということが指摘されております。北海道においても、同様のところにおいては十分検討すべき問題ではないかと思います。
  28. 仰木重蔵

    ○仰木説明員 イタリアの巨大ポプラの話が出ましたが、私どもにおきましても、林業の企業性あるいは将来の木材の需給の観点から、短伐期で生産できるものを大いに取り上げなければならないということで、育種につきましては今後大いに推進して参らなければならぬと考えております。
  29. 本名武

    本名小委員 今局長の御答弁によりまして、北海道は米作中心から畑作に相当重点を置きかえなければならないというお気持のあることはわかっております。そこで冷害対策を契機として先ほど来お伺いしたかったのは、そのお気持が果して来年度の予算に現われるか現われないかということが問題だと思います。一例を申し上げますと、耕地防風林は非常にけっこうであると思いますが、耕地防風林の所管はどこにありますか。林野庁かほかの局か、どちらなのか。とにかく所管がぼやけているところに一つの問題がある。幸い今年度は新農村建設費の中から若干の予算をもらえる町村だけは、この計画をやれるような道が開かれておる。それじゃ三年、五年おくれる町村はどうなるかというと、手をつけることができないというのが現状だ。従っていいとおっしゃる防風林の予算についてさえもこのような状態である。さらにまた畑作振興、特に寒地農業安定化をはかるために、われわれはビートをもっともっと増産しなければならないと思う。そのビートを増産するためにはいわゆる心土耕をやらなければならない。それには機械がいる。トラクターがいる。その予算を今年おつけになったかどうか。一般心土耕について予算をつけておるか。この際ビートを作って、寒地農業を安定させようというときに、心土耕用のトラクターは予算を一銭もつけられないというのが今日の農林省状態である。さらにわれわれはビート増産のためにある程度二十町なり三十町なりのある区域を区切ってモデル機械化の構想を実現して予算を広げようじゃないかということをいっておるが、農林省は一銭も予算を計上なさらない。財政が乏しい折からとおっしゃればそれまでであるけれども、ここらで大転換をして、せっかく畑作に重点を置きたいとお考えになるなら、まず手っとり早いビートの増産に必要な予算は来年度つける。出なければ委員会を開いて、ああでもない、こうでもないと話をすることもけっこうです。うんと出してもらわなければならないが、来年度の予算に対して今からでもおそくない。今からでも十分大蔵省にかけ合って、北海道農業方針の切りかえに役立つような予算の獲得をしていただいて、事を実現するような手段を講じていただきたい。その点で今度農林省が大蔵省に要求された予算には片手落があると思う。経済局長の御意思といささか違う点があるように思うので、その点をがんばるような御発言をいただいて、こまかい要望の内容についての質問は明日伺うことにして私の質問は終ります。
  30. 笹山茂太郎

    笹山委員長 通告順に従いまして、次は小川委員
  31. 小川豊明

    小川(豊)小委員 この惨たんとした北海道冷害の中で、これが間もなく雪に埋まってしまうことを目のあたり見て、私も非常に驚いておるわけでありますが、この対策についてまずこの際とられなければならないのは、当面の生活をどうして維持するかということが第一にとられなければならない問題である。次にとられなければならない問題は、再生産に対してどうして希望を持たしていくか、こういう問題だと思うのです。今淡谷委員との質疑を聞いておりますと、目下考究中だ、こういうことなのです。考究中でもいいですけれども、これはそうほっておけない問題である。これは非常に急がなければならない問題である。そこでその考究中の中からいろいろ法律改正をしなければならない問題、あるいは法律改正をしないでもできる問題等をあげられたわけですが、この法律改正をしないでできる問題というのは、結局予備費等から支出する問題になるだろうと思うのです。そういう打合せに対して、農林省がそういうふうにお考えになっておることを発表されたわけですが、この問題について大蔵省側の御意見をはっきりお聞きしておきたいと思います。
  32. 大村筆雄

    ○大村説明員 北海道冷害の問題ですが実は私どもも相当ひどいという話を聞いおりますので、現地の財務局に至急実情調査を目下やらせております。土曜日に道知事さんや農林省から最近の数字を伺ったのですが、相当ひどいので驚いているわけですが、私のところからも実はあす現地に見にやろうかと考えております。農林省からも現地においでになりまして、それを基礎にしていずれ対策についてのお話があるかと思いますが、私どももよく現地を見まして、実態に即応した施策を進めていけるように配慮したいと考えております。従いまして経費の点なんかにつきましても、必要の場合にはあるいは予備費ということにもなるかと思います。
  33. 小川豊明

    小川(豊)小委員 私、重ねて要望したいのは、正確な調査、これはもちろん必要です。それを否定するものではないのです。しかし間もなく雪の中に埋もれてしまう、この中で救農土木事業をやって現金収入の道をはかってやらないと、生活困難に追い込まれるのですから、これは時期を逸しないことが必要だと思う。この点については調査ももちろん必要でしょうが、農林省と協力して、急速にこの方法を立ててもらいたい。  そこでお尋ねしたいと思うのですが、自作農創設資金資金ワクの拡大というものが当然出てくると思う。こういう問題に対してあなた方はどういうふうにお考えになっておられますか。
  34. 大村筆雄

    ○大村説明員 自作農創設維持資金の問題につきましては、いずれ農林省からも御要求が出るかと思いますけれども、御要求が出ました場合につきましては、公庫のワクの拡大等につきましても十分配慮いたしたい、かように考えております。
  35. 淡谷悠藏

    淡谷委員 関連して伺いますが、自作農資金の問題でありますが、これはこういう災害に際してこそ立法の趣旨を十分生かす必要があると思う。各地ともこの自作農資金ワク拡大について非常に大きな要望があります。一体農林省はこれに対してどのくらいのワク要求しているか、この点をお聞かせ願いたい。
  36. 安田善一郎

    ○安田説明員 便宜私から御答弁申し上げます。午前中十二号台風を中心にいたしました委員会がありまして一部を申し上げたのでありますが、本年度は御承知のように自作農維持資金は二十五億のワクで公庫の中にあるわけです。一年を二分いたしまして上半期分として便宜十六億を配分済みでありまして十五号台風の結果が必ずしも詳細を得ておりませんけれども、その災害状況も勘案しまして、本年度の当初のワクの半年分とでもいうべきものを残しておったのが二十五億マイナス十六億の九億、この九億のワクにつきまして災害に応じて自作農を維持救済していくという建前からいたしまして、とりあえずさらに一億のワクを増加いたしまして十億のワクで数日中に県別の需要を勘案しましたワクをおろしたいと思っているわけであります。その内容は経済局、大蔵省等と話をしなければなりませんが、私どもの目下立案中のものは四億を十五号台風までの九州、四国、中国その他の被害農家用に、簡単に申しますれば、災害ワクとでも申しますようなものとして優先的に災害農家のうちの自作農家に配る、残りの六億を全国的な他の自作農維持創設資金趣旨に沿うたように県別に分ける。災害県は多少二重になって厚くなることになるわけでありますが、とりあえずそういうふうにいたしたいと思っております。それについてもなお県から要望が強うございますので、なおその要望に応じてワクを越えて必要なものはできる限り公庫の回収金の増額、繰り上げ償還等の財源をもちまして増加していくように、あわせて府県知事さんの方へ御通知申し上げて要望に沿いたいと思っておるのでありますが、ただいまの北海道を中心にして東北あるいは内地の高冷地等についてあります被害は相当額がひどいようで、被害額は相当に上るようでありますが、風水害におきます被害と照応しましてちょうど被害地を四億と作りました程度——風水害に対して十五号までをかりに四億と見ましたならば、冷害がどのくらいの被害かの対比によりまして、その程度はぜひワクの増額を要求して配付したいと思っているわけであります。
  37. 淡谷悠藏

    淡谷委員 全体のワクの増加は一億という御説明が今ございましたが、冷害等によるワクをさらに四億ふやすならば、一億のほかに四億増加するというのは、他の府県に回す分を削って四億にするのか、その点がどうもあいまいのようですが、はっきりして下さい。
  38. 安田善一郎

    ○安田説明員 私の今の考えでございますが、それは本年度の二十五億のワクよりも現在一億ふやしまして二十六億について風水害、十五号台風までのことを考えまして、冷害に対するものとしましては、その外で考えたいと思いますし、被害状況についてみますると、一方が四億ならば他方も四億であるとは必ずしも思わない。事によるとそれ以上じゃないかと想定しております。なお来年度は皆様の御協力を得て、もっと要求いたしたいと思います。
  39. 淡谷悠藏

    淡谷委員 実はそれについてもう一つ私質問したいのでありまするが、この自作農資金については農地の担保の問題でだいぶ議論があったのであります。これは法文の上からは農地担保は削りまして、担保を徴しあるいは徴しなくてもいいようになっておりますが、具体的な事例を見ますと、担保をとっているものが多い。ほかに経営の計画などもかなりやかましく要求されまして、もう自作農資金を出すのは大へんにめんどうで、どうにも処置がないといったような投げ出したような気持も大へんに多い。と同時に、またあまり困らなくとも、償還能力のある、かつ担保などを提供してもかまわぬというような白の担保を持っている人が借り出しまして、逆に困っている農家がこれを借りていないというような事例もあるやに伺っております。そうしますと金利の安いこれらの資金が生活困窮者や農地を手放そうという農家には渡らないで、むしろ余裕のある農家にわたってまた貸しをしておるといったような状態も起らないとも限らないのであります。ことに今度の災害等において相当つらい農家も出てくると思いますので、そういうふうな借りの手続の緩和、条件の緩和等について考えておられるかどうか、お伺いしたいのです。
  40. 安田善一郎

    ○安田説明員 御指摘の基本的な考えは、前国会におきまする当委員の決議もございまして、私ども当時政務次官もお答えを申し上げました通り、その通りに思っておるのであります。第一にはワクが足りないこと、もっと拡大すべく、年度内でも公庫の回収金その他の余裕金があったり、他の資金の融資残等の見込みがある場合には、適期には関係局、関係省と打ち合せて増加をはかりたい。またその融資対象は中小農、中農以下の零細農を目標にして、これを維持するという目的で自作農対象に貸すというわけでありまして、これはほぼ目的の通り全国統計においては成果を上げておるように私は伺っております。地方的に一、二の例外があるならば別ですが、その目的は達しておると思います。第三点は手続の簡素化の点でありますが、正直に申しましてまだ成案を得ませんが、もう少し時間をかして下されば、必ず手続の簡素化をはかるつもりでございます。特に災害の場合は営農安定計画を立てて、場合によったら、農業委員とか農業改良普及員に手伝ってもらってむずかしいものを書いてもらって、それの審査を受けて融資するというような、そうして東京の公庫の確認を得て融資するというような従来の手続をやめまして、災害が確実で府県庁の認定するところであればこれを貸しておきまして、それから立ち直って、——たとえば冷害がうんとひどいとか、あるいは連続災害農家である、また今度の九州の、堰堤が流れてしまって田畑、家屋が流失したような干拓地、こういうようなところは、それが立ち直って生産条件、土地条件の整備があってから、営農計画を簡素化しながらつけていただく。これは償還のためでもあるし、なお一そう農家のためでもあるし、改良普及員その他が被害あとで営農をはっきり速度を上げてやっていくという上にも必要かと思いますので、営農計画ないしは自作農資金にくっついておりまする契約提携額は振興局の所管でございますけれども、それと連絡をとりまして所期の目的に達しようと思っておるのであります。
  41. 中村時雄

    中村(時)小委員 いずれあとから詳しいことはお話しするとしまして、今局長考えていらっしゃる考え方について私一、二お尋ねしておきたい。というのは、自作農維持資金の問題で二十五億円ある。そのうちから十六億引いてそうして九億円を配分してやる。それに持ってきてプラス・アルフアを一億円と考えて十億円にするのだ、こういう考え方、そうして十五号台風までを四億円支給してみたい、残りの中において配分をするのだ、だから四億円を十五号までの問題として取り上げながら、残りの六億の中に冷害の対比を考えていって幾らになるかということを考える、こうおっしゃったのですが、しかしその考え方は私は基本的におかしいのじゃないか。冷害なり災害というものは不時に起ってくるものである。だから冷害の方が幾ら、こういうふうになって幾らの災害、幾らの冷害被害があったのだ、また一般災害がこれだけの被害があったのだという結果において対比というものは考えられるべきだ。だから蓄積していって、そういうふうな考え方を打ち出してもらいたいという私たちは考え方です。現在あるものの中から、これだけのワクだからこうしょうという考え方よりも、あなたのような明敏な人だから、特にもう一歩それを前進した、こういうふうな方法をとる。そのためには現実災害を蓄積さしておいた結果において考えてもらいたい。これだけ一つぜひお願いしておきたい。
  42. 安田善一郎

    ○安田説明員 中村先生にお答えします前に、担保の問題でございます。これは当初政府案を法律案として提案した際に、農地担保というのを国会では削ったわけであります。その結果といたしまして、物的担保でもよければ人的担保でもいいということを公庫の業務規程において行なっておるわけでありまして、現実の結果から見ますと、三分の一が保証人を立てていただくことがきわめて困難であって、何しろ長期低利の融資でありますが、金融でございますので、目的は達しながら金融である実を上げるという意味で、やむを得ず農地が担保になったのは三分の一以下でございます。他は農地担保は要件とはいたしておりません。  それから中村先生に対しますることでございますが、私の説明が不明確であったと思いますが、十億を四と六に分けました六というのは、災害県に重点を置く災害農家の自作農用ではありませんで、本来の目的で農地移動を避けるとか相続に関する移動のために、農地の零細化を防ぐために、一般的に本来的に自作農維持資金がねらっておる分についてこれを配分するのでありまして、なおそれはそれだけでは十分でないというのはよく存じております。需要量調査等から見ましてよくわかるのであります。本年度は何しろ公庫が二十六億のワクでございますので、公庫のワク二百九十億という全体のワクの中から、自作農維持資金という最も需要の強い資金の方にどれだけ回していただくかを、先ほどのような目安を立てまして、関係省と御相談を申し上げたい。それも数日中に終りたい。多分これだけは少くとも見込みがあるから申し上げてもいいだろう、こういうつもりでありまして、本年度もさらに増せ。来年も一そうそれを需要の方から見て増すべきではないか、こういう御意見に対しましては、本年度はいかように扱いますか、まだ私どもとしてコンクリートなものを持ちませんが、来年度はうんと増加するように要求したいと思っておるわけであります。
  43. 小川豊明

    小川(豊)小委員 経済局長にちょっとお尋ねしたいのですが、北海道へ行って冷害を見て、冷害に耐えられない作物というものがかなりあるように見られる。これはもともと北海道というのは寒冷地なんだから、酪農なり特用作物なりが主軸となっていくべきではないか、こういうように考えておったのでありますが、これはひとり農家の方の責任だけではなくて、おそらく戦争中から戦後にかけてそういう方向に進んできた農民を、主食べの強制転換をさせたことが原因をなしているのではないかと思う。そういう点から、今後北海道農業がこういう冷害に耐えられるような指導をしていくように考えなければならぬと思う。それは共済の問題なんです。共済を適用されるのは米や麦だけでしょう。そういう点からいっても、特に北海道等に対しては共済のワクをもっとほかの品種にも、そうした特用作物というようなものに拡大することは、北海道農業の今後の災害に対する対策として必要になってくるのではないか、こう私ども考えているのですが、あなたはそういうことを考えられますか。そういうふうなことをやってみる必要がありとお思いになりますか。
  44. 渡部伍良

    渡部説明員 共済制度を米麦以外のものに広げる問題でありますが、これは非常にむずかしい問題があるのであります。というのは、現在のような共済制度で掛金をかけて、共済金をもらうという制度ではおそらく成り立たないと思うのであります。これはすでに昨年の水害で、菜種を共済の対象としておった数県が手をあげておるのであります。というのは、一つはそのほかの作物に対する共済制度の根本となる長期の災害の実績の調査がないわけであります。従ってなんぼの掛金にしたらいいかというようなことが算定できないわけなんです。もしこれを無理にある程度の推定でやるとすれば、現在米麦でも共済制度そのものが非常に問題になっておるのでありますから、収拾のつかないことになるのではないか。従って今すぐ共済制度の対象品目に追加する考えは、私のところではよう踏み切れないのであります。それではほっておくかという問題でありますが、これもほっておけないのでありまして、先ほど来申し上げましたように、安全作物を中心にした農業に切りかえる。それとある程度作物によって危険を分散する、こういうことを考えなければいけないのじゃないかと思います。今の十勝平野のように大豆とかアズキのようなものばかりでは、オール・オア・ナッシングという状態を呈するのでありますから、ビートも入れ、家畜も入れ、そういうふうな面も考えて、安全作物が成り立つような営農経済に持っていかなければならないのではないか、こういうふうに考えております。
  45. 小川豊明

    小川(豊)小委員 最後にもう一つお尋ねしますが、これは共済の問題はいろいろ技術上の困難があることは私もわかるのです。少くとも北海道冷害等の災害から守ろうとするためには、特に北海道だけでもいいから、こういう点は考えていくべきではないかと考えてきたので申し上げたわけです。そこで今までのいろいろな質疑では、みな考究中であり、あるいは割り振りを考慮中だということになっているが、先ほどから再々言うように、北海道の救済は非常に急を要するのだから、そこでこれをでき得れば幾日までくらいにはこれを決定するということを私どもはここで聞きたい。今ここで数字をあげたくてもこの問題については幾ら、この問題については幾らというような議論をしていっても、あなたの方で決定した腹案がない。だから何ともならない。といってじんぜん口を経るわけにはいかないのですから、あなたの方で幾日までにはこういうことを決定する意思だという、そのくらいの表現はできませんか。
  46. 渡部伍良

    渡部説明員 それはちょっと無理なのです。それぞれみなやることについては基礎の数字が手に入らないと、きめても下へおろしたときにギャップができまして、かえって混乱を起すことになると思います。ある程度道庁なりあるいは関係各省北海道開発庁、そういうところの数字もにらみ合せて調整を加えなければならないのだと思います。私の方で今申し上げられるのは、それらをできるだけ督促いたしまして、具体的な数字的な計画に持っていかなければならない、こう思っております。しかしたとえば利率をどうせよ、期間をどうせよとか、そういうような点はこれはそういう数字はなくてもできるのでありますから、そういう問題については別途協議を進めていくべきだ、こういうのであります。それからたとえば共済金の支払いなんかは、私の方では、とにかく一番早くいくのは共済金だから、北海道みたように非常に程度がきついところは概算金でも相当いくわけでありますから、それだけでも早くきまったところは出せということで、私どもも連合会と具体的に打ち合せを急いでおりますが、そういう急げるやつは急いでおるのであります。いたずらに時を過ごすということは、お話のように北海道につきましては気候の特質上ほっておけないと思いまするので、一生懸命やっておる次第であります。
  47. 川村善八郎

    ○川村(善)小委員 このたびの北海道冷害はびっくりするほどひどいということは皆様もよくわかっておる通りでありまして、農林水産委員会でも、あるいは渡部経済局長調査に行って、その実態をよくつかんできたのでありますが、それに対する対策については、今いろいろ述べておられましたが、この調査に行かれた方々はいずれも便利なところを調査されまして、開拓農の問題については十分な調査もできておらないのじゃないか。私開拓農民の意見を十分聞いて参ったのでありますが、開拓農民のいわく、豊作時ですらわれわれが不便なところに、しかもやせたところに入って容易に経営ができないのだ、しかるに数年の継続的な冷害にあってなおさらひどいので、実際に一家心中をしなければならぬというような事態に追い込まれておる、農林省その他の役所でも救農土木等も考えておられるようであるけれども、いわゆる開拓農民の入っているところはなかなか不便なところで、救農土木も起していただけないというような実態である。また救農土木をその付近で起していただいても、二里なり三里なり山奥から出てこなければならないので、牛やあるいは豚その他一部の生き物を飼っている以上は、それを投げ捨ててまでも救農土木賃金獲得のために来られないというような実態なんだ、何とかわれわれを救う特別のものを考えてもらえんかというのが開拓農民の声であります。これに対して一体特別な対策をお持ちであるかどうか。これまで風水害等の災害があった場合には、立法するに当っても開拓農民等についてはいわゆる利子補給の特典もあり、特別な率の引き上げといったような恩典もあり、それから補助の面についても恩典があったのですが、このたびの冷害について、北海道の開拓農民に対して一体特別に既農家以上の恩典に浴させるような方法考えておるかどうか。この一点をお伺いいたします。
  48. 渡部伍良

    渡部説明員 開拓地のお話は私も数カ所拝見いたしました。それから農地局の開懇建設課長が一緒に行ってきましたので、開拓地だけは要所々々特別に編成して見てまいりました。非常にむずかしい問題がありまして、入植の程度によって相当営農の確立しているところあるいはそれができていないところ、千差万別でありまして、それからまた救農土木をあてがうにしましてもなかなか適したものがないというような問題があって、非常に苦労しておるのであります。しかしそれらも十分よく調査していって、遺憾ないような措置考えようじゃないかということで帰っております。これもまだ具体的な対策を申し上げるところまでいっておりませんが、ただお話のありました資金等についての特別措置考えております。三分五厘で期間も長くする、こういうことを考えておりますが、それだけでは開拓地は十分でないと私ども考えております。そのほかのことについていろいろな点を研究しております。
  49. 川村善八郎

    ○川村(善)小委員 開拓農民に対する今後の処置につきましてはただいま答弁がありましたが、とにかく事実上開拓農民が困っておることがはっきりしております。今後の対策については十分留意せられまして、開拓農民恩典が既農家よりもより以上に行われるように考慮を払ってもらいたいということを申し上げておきます。  それから次に本名君から先ほど、農家のいわゆる暴風雨あるいは霧あるいは霜の防除のための植林をしなければならない、しかも早期に経済的に成り立つような植林をしたらどうかということについて指導部長から御答弁がございましたが、お座なりの御答弁であったようにわれわれは思います。そこで北海道におきましても、もちろんポプラは相当生育が早いことは事実であります。ドロノ木というのがございます。これは私の方に例がございますが、駒ケ岳の爆発の際に五尺ないし六尺も灰が降ったのでございますが、その中からドロノ木だけはぐんぐん抜いて育っておりまして、普通のものならば三寸か四寸より太くならないものが、一尺以上になっておる実例がございます。こうしたものはいわゆる火山灰地帯だから育つのかどうか私はしろうとでございますからわかりませんけれども、それらの調査もして、そういう早期に役立つようなドロノ木の研究も、北海道に適しておると思いまするから、その点も十分あなたの方でも研究あるいは御指導願いたい。それからいわゆる湿地地帯はヤチダモという木が、私が説明するまでもありませんがこれも非常に生育が早い。しかも本日が非常にいいので高級家具等の用材に使われております。こうしたような木も北海道等にもございますので、林野庁におきましてはお座なり主義のことでなく、ほんとうに北海道農民の経済のプラスになり、しかも暴風雨あるいは霜あるいは霜等の防除にも非常にいいことになりますから、十分御研究なさることを御要望申し上げて私の質問を終る次第であります。
  50. 笹山茂太郎

    笹山委員長 それでは先ほど本名委員からお話がありました規定予算の中で、さしあたり救農土木事業的に回せるものについて各省がどういうふうな対策を練っておるかについては、一つ明日の委員会において表明を願いたいと思います。  本日はこれにて質疑を終りますが、明日は午後二時から小川委員の質疑を続行したいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十七分散会