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本名小委員 確かにおっしゃる
通り大きな問題かもしれませんが、しかし
考えようによってはそう大して大きな問題でもないのであります。今の
お話を伺っておりますと、今日の
北海道の
農業の
現実の姿の上に立って、
個々の
対策がこうあるべきだという
お話のようですが、私は
農林省はもう少し掘り下げていただきたいと思う。今度
調査に参りまして他の
委員の
方々とも話し合ったのですが、私は
農業はしろうとですけれ
ども、なぜこんなに何回も何回も同じことを繰り返しているのか。今日
農民の
方々はみずから非常に目ざめられて、従来のような
つけ焼き刃の
救農対策よりも、みずからが働いてみずからが
収入を得て克服しようとして立ち上っておられる。従ってそれに対しては、おそらく今後
施策を講ぜられて
賃金の上にも相当の
収入を与えて下さると私は確信しております。しかし
賃金が幾ばくか入ったところで、旧債の
返済にはおそらく追っつかないことは当然であります。そういうようなことではまだまだこれを救うわけにはいかない。だからこの
機会に
一つ抜本的に、
寒地農業の
安定化をはからなければならないと思うのであります。これは私の思うだけであって、どうしていいか実はわからないで迷っておるから聞きたかったのですが、それを聞いた上で
一つ知恵をしぼろうと思ったのですが、そこで私は一、二だけ申し上げまして所見を伺いたいと思います。
まず
土地改良であるとか
土層改良あるいは
品種の
改良、これらはある
程度人為的にしかもどちらかというと、金さえあればやれることであります。金では解決のしない問題を早く
北海道の
農業の上に見出して、それを解決してやることが必要でないか。まず第一に
考えられますのは、
日本の
農業の
歴史を追ってみましても、
零細農業の
経営方式というものは同じようにとられておる。たまたま気がついてやり出したことは
多角経営、
多角経営をやってみて
北海道で十五
町歩も十八
町歩も
耕地を持っておるけれ
ども、牛がいなかったり、いたとしても二頭くらいしかいない、こういう現状であってはとうてい
北海道の重なる
冷害を克服するわけにはいかぬ。まず国の金を突っ込む前に、
北海道の
農業経営の形式というものがどうあるべきかということを
農林省は深く
考えてせっかく使う金であるからむだのないような使い方をしてもらいたいと思うのであります。
そこでまずお伺いしたいのは、
多角経営という言葉が使われておりましていろいろな形で
農業経営の本質的な改革を期そうとしておる。しかしながら一方においてあの広大な
面積を、しかも
個々の
経営面積がかなり広い中にあって、私はこの
多角経営の姿に再
検討を加えなければならないのではないかと思うことが
一つであります。
もう
一つはそれに対照的な
考え方といたしまして、いわゆる
単純高度化の問題でありますが、
北海道の場合は、むしろ
多角経営の前提としてまず今日とることは、
単純集約経営というものが一応とられてしかるべきではないかと思う。それに
関連していろいろ意見を申し上げたいのでありますが、そのことはまた別な
機会にすることにいたします。要するに
北海道の
農業経営形態、
方式というものをどういう点に持っていくことが正しいのかということの基礎に立っていろいろな
施策をやっていきたい。
そこで今度私が歩いていろいろ
感じたことは、何といっても
有畜農業、特に乳牛を兼ねた
農業というものが絶対に必要、そのためにはビートの増産もしなければならないであろうし、幾多の
施策が必要でありますが、もう
一つ目についたことは、十町、十五町の広大な
耕作面積を持っておる
農民が、必ずその中の
土地を二割ないし二割五分というものを遊ばせておるということであります。ここに
土地のむだがあり、ここに
土地の価値が死蔵されておるので、これを活用することが必要である。そこで提唱したいと思うのは、
農林省はどう
考えるか伺いたいのでありますが、かって
農業経営の中に
林業を取り入れることを提唱されたことがありましたが、私はこの
機会に特にこれを申し上げたい。それは従来ございましたいわゆる
屋敷林であるとか、
農民のほんとうの
経営というものの中に、今日
土地の温度を守り風を防ぎ霜を防ぐところの
耕地防風林の育成ということがいかに必要であるかということがつくづくわかった。しかしこれはあくまでも霧を防ぎ、風を防ぎあるいは保温ということだけのことではなくして、
一つの大きな
農家収入の要素に加えなければならないと思うのであります。ところが、従来の観念で参りますと、一伐期がくるまではなかなか伐採はしない。少くとも二十五年、三十年たたなければ
農家の
収入は得られないというのが今日までの実情であります。今日
林業の大きな新しい使命は、決して従来のような木材の乱用にあるのではなくて、未
利用資源を活用し、さらに新しい
森林資源を求めなければならない。ここに私は
農業の中に含まれた
一つの
林業を実行しなければならないと思うのであります。時間がないので簡単に申し上げますが、
農林省は林野庁を抱えられているのですから、思い切ってこの点に力を入れていただきたい。具体的に申し上げますならば、五年か八年で収穫のできる
林業方式を
北海道の
農業の中に入れるということであります。
林野庁指導部長もいらっしゃいますけれ
ども、それは決してむずかしいことではありません。今日イタリー・ポプラというものは、御承知の
通りイタリーのポプラとアメリカのポプラとを掛け合せてできた非常に成育の早いものなんであります。
日本でも試験をいたしております。これらは十年たつと目
通り一尺くらいの大きなものになります。これをまず
農家の
収入の
一つとして、防風林と五年間の伐採
収入の計画に入れますと、少くとも今日の時価からいきまして年間に換算して反当二万五千円前後の
収入があるということを
一つ御
検討していただきたいと思うのであります。そこでこれらの問題は、それならば一体そういう生産されたものが売れるか売れないか。これは申すまでもなく今日の木材利用は、御承知の
通り。パルプにおいても闊葉樹を利用するというやさきであります。冬の間の農閑期を利用してやりまするならば、
農家の
一つの副業として当然りっぱに成り立つということが
考えられるのであります。これを真剣に
考えていただきたい。
もう
一つは
農業の機械化でありますが、今日の
北海道の
農業というものは、あれだけ広い
耕地面積を持っているから、相当機械化が進んでいなければならない。機械も相当入っておりますけれ
ども、これはなかなかうまくいかないというところに問題があると思う。そこで
考えられることは、その機械化ということをどういう姿でやるか。今日の
農業協同組合を運営しあるいは
農家個々の
関連においてこの機械の共同化ということがはかられるか。もちろん
個々の
農家にこれだけのものを備えることができればけっこうでありますが、それはなかなか容易でない。そこでこの
収入の道を外に求めることと、
農業の機械化ということについて、
農林省はこの
機会に、大いに
北海道のために新しい構想のもとに助成なり育成をしていかなければならないのではないかと思うのでありますが、この点について一、二の例を申し上げたのでありますが、
農業の
経営方式について何かこの
機会にお
考えになっていることがないかどうか伺っておきたい。