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1956-10-03 第24回国会 衆議院 農林水産委員会台風等による農林漁業災害に関する小委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十月三日(水曜日)    午前十時五十分開議  出席小委員    小委員長代理 田口長治郎君       石坂  繁君    大森 玉木君       赤路 友藏君    足鹿  覺君       井手 以誠君    稲富 稜人君       中村 英男君  小委員外出席者         大蔵事務官         (主計局次長) 宮川新一郎君         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局農         政課長)    保坂 信男君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    和田 正明君         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君         農林事務官         (農地局管理部         長)      立川 宗保君         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      清野  保君         農林事務官         (食糧庁総務部         総務課長)   岡崎 三郎君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      仰木 重蔵君         水産庁長官   岡井 正男君         農林事務官         (水産庁次長) 奥原日出男君         運 輸 技 官         (港湾局長)  天埜 良吉君         建設事務官         (河川局次長) 美馬 郁夫君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 十月三日  小委員中村英男君同日小委員辞任につき、その  補欠として足鹿覺君が委員長の指名で委員に選  任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  第十二号台風による農林漁業災害対策に関する  件     —————————————
  2. 田口長治郎

    田口委員長代理 これより農林水産委員会台風等による農林漁業災害に関する小委員会を開催いたします。  本日の政府側出席者は、大蔵省宮川主計局次長、同じく大村主計官建設省美馬河川局次長運輸省天埜港湾局長農林省安田農地局長立川管理部長保坂農政課長和田金融課長岡井水産庁長官奥原水産庁次長であります。  ただいまから第十二号台風による農林漁業災害対策について調査を進めます。質疑を続行いたします。井手以誠君
  3. 井手以誠

    井手委員 まず干拓堤塘について農林建設大蔵各省お尋ねいたしたいと思います。それは当面の緊急な災害復旧と、さらに今回の台風にかんがみて、今後の根本的対策を承わりたいと存じます。  九号台風災害状況につきましては、先般の委員会で詳しく申し述べておりましたが、さらに十二号台風が加わりまして、有明海沿岸干拓堤塘はほとんど全面的に決壊し、あるいは崩壊危機に瀕しておるのであります。特に私のこの際申し上げておきたいことは、この重大な干拓堤塘に対して、その潮位や風向などに対しての備えが少かったのではないかと思うことであります。特に南の風、あるいは西南の風に対する備えが非常に少かったと思う。その証拠には、佐賀県、長崎県の干拓堤塘被害が特に著しいのであります。他の県においては七メートル前後の高さがあるにもかかわらず佐賀県、長崎県の一部においては四メートル八十から若干上回る程度でありまして、そのほとんどが先刻申し上げましたように決壊し、あるいは崩壊危機に瀕しておるのであります。従来幸いにして昭和の初め以来九州の西を通る台風、すなわち南の風、西南の風は少かったのでありますが、今回は続けてそういう台風が二回も襲っておるのでありますし、気象庁の予報によりますと最近は異常気圧配置だそうでありまして、今後九州の西を通る台風が再々襲うのではないかという警告が発せられておるのであります。従ってその対策はきわめて重大でありますので、各省お尋ねをいたします。そういう前提のもとに当面の災害復旧工事も進めていただかなければなりませんし、今後の根本対策も講じてもらわなくてはならぬのでありますが、当面の災害復旧工事はいつまでに完了なさる予定であるのか、ただ各省の希望ということではなくして、政府の一本になった対策をその主管省大蔵省から承わりたいと思います。その点が第一点であります。  それから今回の災害復旧工事に当って、その災害状況を見ますと、いつの災害でも多い例ではございますが、裏打ちによる決壊が非常に多いのであります。もし従来のような原形復旧で参りますれば、再び決壊をする危険が非常に強いのであります。現地状況を見て参りますと、どうしても表側はもちろんのこと裏側もコンクリートで張り、あるいは排水路を作って、高潮、暴風に対する対策に万全を期しておかなければならぬと思っておりますが、その工事に対する査定方針はどのようでありますか、その点を第二に承わりたいと存じます。  それから第三には、決壊したところはもちろん災害復旧工事ですでにほとんど査定を受けておるのでありますが、堤塘の中には、のこの歯のように上部が決壊しておるけれども災害復旧工事には該当しない多くの部分がある。しかしその堤塘は非常に弱まっておるのでありまして、高潮が襲いますならば決壊をするおそれが非常に強いというところが非常に多いのであります。しかもその堤塘の中間は、内部が空洞になったところもあり、そういうようなことを考えますと、これもすみやかに手直しと申しますか、防災工事と申しますか、そういうような工事を施さなくては安心して農業経営をやっていくわけには参りません。それどころか人命の危険すら多いのであります。干拓地内部にも人家もありますし、生命の危険すらある。この堤塘危機に対してこの防災工事と申しますか、何と申しますか、その点的確な言葉はわかりませんが、そういう災害工事に至らない多くの個所についての復旧工事をどのようにお考えになっておるのか、以上三点について農林省建設省大蔵省のお考えを承わりたいと存じます。
  4. 安田善一郎

    安田説明員 井出先生のこの前からのいろいろの御説に続きまして、ただいまの第一点の御質問でございますが、農林省関係の、特に干拓堤防等農業用施設災害復旧に対しまして、九号台風関係の措置及びその考えについてお答えを申し上げます。  いつまでに復旧をはかるかということでございますが、すでにこの干拓地工事を完了したところもあり、継続事業として工事実施中のところもあり、その双方について今回まれに見る風浪、うねり、風、その方向等において、また満潮という三重の異例な災害の原因が参りましたので、相当の規模におきまして災害を受けたのでありますが、もともと復旧というものは原則としましては原形復旧することが建前のものでありまして、その緊要なものにつきましては、国会の御意見もありましたように、また法律を御制定下さいました御趣旨にもよりまして、三カ年間主として——目下基準は三・五・二くらいで期待いたしておりますが、その方針復旧をしたいと思っておるわけであります。ただ私どもは相なるべくば、翌年の同じ作物を植える時期までには、理想としましては八割くらいのところまでは復旧していくことが災害復旧事業としての理想である、こういう、ふうに思っておるわけであります。すでに九号台風におきましては、直轄代行工事に関しまして六千三百万円余の予備費支出大蔵省と御協議の上、いたしましたし、御質問はありませんでしたが、十二号台風につきましてもさらにつけ加わった災害復旧費用と同種のものとしまして、千三百七十万円余の予備費支出をお願いしまして、現地に送付いたしておるのであります。別途これに照応しまして、公庫資金といたしましても二億弱の金を他の災害部分とともに、九号を含めまして割当済みでもある欠第でありますが、これはなるべく緊要な災害復旧を早く進める建前におきまして、当面あるいは十一月あるいは十二月、言いかえますと本年のうちに復旧工事費として支出すべきものを出していただいたのでありまして、今年度中の来年におきましても、ほぼ同額のものを支出して工事復旧を促進いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  第二点の査定基準につきましては、数回前の委員会で御意見が出ましたこともございますが、原則といたしましては原形復旧建前でありますが、その後若干修正をいたしておることもあるのでありますし、また四・八メートル、ある部分は六メートル等、いろいろ農地開発営団がやりました場合の工事が割合悪くて、最近の国営工事などは割合りっぱにできており、今度の災害においても被害を受けませんでした、こういうようなところもかなりあるのでありますが、これは一に、一方財政理由によりますとともに、第二といたしましては農業土木基準、また第三点といたしましては通常あるいはある程度以上経済面からする要因を入れながら、日本の災害はどの程度災害がくるところで食いとめることを基準にして工事をあらかじめ進めるか、建設工事をするか、こういうようなことについては干拓堤防のみならず河川その他の農業用施設についてもいろいろあろうかと思いますが、ただ技術の進歩と、災害をそう繰り返すのは国家的にもまた民生の上においても最も不適当なことでございますので、逐次これを改善いたしまして、今回におきましても単なる原形復旧のみならず、予備費等金額につきましては、約八%くらいは災害関連事業といたしまして、よりいい復旧事業が行われますように査定基準としても考えておるのであります。補助事業についても今査定中でありまして、十月の中下旬においてはこれを完了して、予備費要求をいたしたいと思っておるわけでありますが、この場合にも従来よりは、過般清野建設部長お答えいたしました限りにおきまして、査定基準も変更しまして査定をお願いするようにいたしておるわけであります。  第三点の、災害復旧工事に該当しないが、今後災害を起しやすいような部分と申しますか、とにかく痛手を受けておる施設部分ということだと思いますが、これまた災害関連工事といたしまして工事対象になるように考えていきたい、こういうように思っております。
  5. 美馬郁夫

    美馬説明員 建設省方針もただいま農林省からお述べになりましたのと基本的な考えはほとんど同じであります。少し具体的に申し上げますと、九号、十二号の台風査定につきましてはすでに先月中に全部完了いたしまして、ただいまはその計数を取りまとめ中であります。これができ次第六蔵省の方面と協議いたしまして、予備費支出の段取りにいたしたいと考えております。その場合の、これもたびたび問題になりました点でありますが、災害復旧原則は、御承知のように三・五・二というような原則になっております。この海岸の場合につきましては一日も放置できないというような関係にございますので、できるだけ当年度におきまして、次期台風の来襲に備えまして支障のない程度までに復旧をやりたい、こういう方針のもとに大蔵省予備費要求をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。いつごろまでに工事を完了する見込みであるかということでありますが、それはできるだけそういうふうにいたしたいと考えております。  次に第二の問題でありますが、これも農林省と同じでございまして、私どもの方にも復旧費で取れる程度はできるだけ災害復旧費で取りまして、改良部分のどうしても復旧費でだめなところは、幸いに災害関連事業助成費というものが手持ちにございますから、これを打ち足しまして、できるだけ支障のないような方針をとりたい、こういうふうに考えております。  第三の問題につきましては農林省と全く同様であります。
  6. 宮川新一郎

    宮川説明員 井出先生の御質問の点でございますが、先ほど農林省並び建設省からお答えいたしましたと大体私ども基本方針は同じでございます。災害が起りましてそれを復旧して参ります場合に、緊急にやらねばならぬ事業は早くやる。それから原状回復原則といたしておりますけれども、多少の手直しをすることによりまして今後の災害を未然に防止できるというような点がありますならば、災害関連事業と抱き合せまして、もう少し有効な工事ができるようにいたしたいと考えております。  緊急査定につきましては、すでに九号並びに十二号の関係につきましては、直轄工事分については予備費支出いたしておるのでありますが、補助事業につきましては両省から答弁いたしましたように、現在査定中でございまして、両省からの申請を待ちましてできるだけ早く出すようにいたしたいと考えております。査定基準並びに第三の点につきましても、大体両省考え方と同じ考え方でもって臨んでおります。
  7. 井手以誠

    井手委員 本日の大蔵省答弁は近来にないけっこうな答弁でございましたが、従来、答弁はうまくなさるけれどもなかなかそうは参らないのであります。かりに主管省実情をよく観察なさって努力されても、大蔵省で待ったりということが間々じゃなくて非常に多かったのであります。そこで私はもう少し突っ込んでお尋ねをいたしますが、干拓地にあって人家があり、また背後農地がすでに熟田になって八俵、九俵もとれておる地帯干拓堤塘は、私はゆるがせにすることはできないと存じます。緊要な工事として、三カ年間、こういうことがありますけれども、どうしても一カ年間でやってもらわなくてはならぬのであります。まだ埋め立て、干拓途中のものは、財政都合上これは単年度というわけには参らないところもございましょう。しかしすでにりっぱな水田になって相当の年数もたっておる、あるいはそうでなくても入植者相当入っておるようなところにおいては、これは原則というよりも絶対的に単年度復旧してもらわなくてはならぬと考えております。農林省においては特にそういうおつもりでございます。建設省でも大体そのようなお考えでございますが、念を押しておきたいことは、ただいま私が申し上げましたところ、潮か入って、もう水圧か全滅したしまして一粒も米がないようなところ、そういったところは、来年同じ作物を植え付けるときまでには必ず完成なさる御次意でございますか、この点を重ねて大蔵省お尋ねをいたします。
  8. 宮川新一郎

    宮川説明員 どうも突っ込まれまして弱りましたのですが、私最近着任いたしましてこの関係の仕事を担当いたしましたので、よく従来の経緯を存じません。しかしながら私個人の考えといたしまして、災害工事につきましてはできるだけ早く完成するようにしたいということを申し上げたのでありまして、申すまでもなくやはり財政事情もございまして、それから他とのバランスもありまして、原則をくずして単年度に今言われました工事完成するということにつきましてはお約束いたしかねます。
  9. 井手以誠

    井手委員 それじゃはなはだたよりない話であります。農林省は直接農家を守る立場だから、各機関とも現地を視察されておるし、河川局次長はおいでになったかどうか知りませんが、災害復旧課長はよく現地をごらんになっておりますから、ただいまのような御答弁が出たと思うのであります。あの現地を見て参りますならば、従来のいきさつとか、あるいは均衡などとか、あるいは財政都合などと言えたものではありません。国が本数億を入れて作った干拓地が一朝にして決壊し、廃墟になっておる、この状態を見ますときに、国の財産を守る立場からでも私は直ちにこれを復旧する、一年というよりも一カ月でも二カ月でもやってしまうというだけの決意を持つことこそ国の財産を預かる大蔵省の任務だと私は思うのです。大蔵省からだれか現地に行かれましたか。
  10. 宮川新一郎

    宮川説明員 本省からは特に人を派遣いたしておりませんが、財務局の関係官関係各省との災害査定の際に立ち会わせております。
  11. 井手以誠

    井手委員 実情についての報告書が参っておりますか。
  12. 宮川新一郎

    宮川説明員 来ておるはずでございます。
  13. 井手以誠

    井手委員 はずでございますならば、報告書をお読みになりましたか
  14. 宮川新一郎

    宮川説明員 まだ見ておりません。
  15. 井手以誠

    井手委員 今回の台風による被害は、全国的に見ますならば昭和二十八年と比べますれば、金額においてはさほどではございませんけれども干拓堤塘という立場から考えますれば、これは局部的にはきわめてひどいのであります。想像してごらんなさい。陸地から突き出た干拓地に一番大事な生命とも言うべき干拓堤塘がぼろぼろになって、数百メートルも決壊しておる。海水が朝晩二回も襲って、人家の二階まできておるような状態作物は何もできておりませんし、全滅しております。家が流れておる。今日でもいらっしゃると家が流れておるさまがおわかりでしょう。そういう場合に、地元からは単年度復旧を強く要求しておる。主管省もまた単年度でぜひ復旧したいという要望がある今日、やはり主管省として、査定をなさる大蔵省立場として、報告書ぐらいはお読みになるのがほんとうじゃないかと私は思うのですが、どうですか。
  16. 宮川新一郎

    宮川説明員 次長として報告書を読むべきではないかということでございますが、担当主計官のところでそれを読みまして、十分その辺のところは反映しておるものと考えておるのでございます。なお私さらに自身で読みまして検討をいたしたいと思います。
  17. 井手以誠

    井手委員 ここで報告書を読んだかどうかということをせんさくする必要もそうはないと思います。ただあなた方の認識がどうかというその証拠になりますので、申し上げたわけであります。大体御想像がつくと思うのですが、国の財産を守る——もしそのまま放置いたしますならば、全部でどのくらいになるかわかりませんが、数十億に上る、あるいは数百億に上る今までの国費がだめになってしまうのですよ。それをお考えになるならば、やはりそういう干拓がすでに完成をしたところ、すでに建設省に移管されておる海岸堤防あるいは入植者が多数入っておる干拓堤防については、、どうしても単年度完成をするという決意だけは、私は示してもらいたいと思う。これはそうむずかしい問題じゃないのですよ、そのくらいの決意は。いやしくも国の台所を預かる主計局次長さんならば、私は御言明ができると思うのです。どうぞお願いいたします。
  18. 宮川新一郎

    宮川説明員 御趣旨は十分了承いたしました。十分私の方で検討させていただきたいと思います。
  19. 井手以誠

    井手委員 建設省河川局次長は、失礼ですが技術関係の方でございますか。
  20. 美馬郁夫

    美馬説明員 そうではございません。
  21. 井手以誠

    井手委員 技術関係の方はいらっしゃいますか。
  22. 美馬郁夫

    美馬説明員 建設省からは参っておりません。
  23. 井手以誠

    井手委員 次長になっておられますので、多分大体は御承知だろうと思いますので、それで一つ御判断を願いたいと思います。先刻私が冒頭に申し上げましたように、九州の西を通る台風による被害備え、これが万全であったかどうか。四・八メートルあるいは四メートルそこそこという堤防の高さのところもかなりあるのであります。一方においてはがんじょうな七メートルの堤塘が築かれておる地帯もあるわけです。しかもそんなことは何十年に一回あるかないかわからないというようなことがよく技術家では申される。何十年に一回あるものに備えてやるのか、あるいは何年に一回予想される災害備え工事をやるのかということについての、いろいろな意見があると私は承わっております。しかし何十年に一回だといわれているような今度の災害についても、すでに二回も相続いて起っている。この南の風、西南の風に対する備えが万全であったかどうか、これは特に海岸を預かっておられる建設省の御意見を私は承わりたいと思う
  24. 美馬郁夫

    美馬説明員 私も先ほどお断わりしておきましたように、技術家ではございませんし、河川局に参りましたのもそう古い方ではございませんから、詳細なことはわかりませんが、いやしくも建設省として、当該年度々々の予算を引き受けましてそれで工事を執行している上におきましては、海岸堤防工事につきましても過去のいろいろな経験なり実績なり、そういう点を十分に勘案したしまして、台風に対する点については私は十分であったと思います。この問題は、先般もこの委員会におきまして私の方の専門家防災課長井手委員でございましたが、その間にいろいろ御議論がありまして、私どもの見解はそのときに十分申し上げたつもりでございます。過去の問題につきましては、私どもとやかく申しませんが、今後の災害復旧につきましては、そういう点は十分に勘案いたしまして、先ほども申しましたような災害費の足らざるところは幸い助成費を十分持っておりますから、それをつぎ足しまして遺憾のないような対策をとりたい、こういうふうに考えております。
  25. 井手以誠

    井手委員 従来建設省のとってきた堤塘に対する備えは万全であったというお答えであります。それはおかしいのです。欠陥があっておればこそ、こういう被害を受けた。万全であったならば被害は受けないはずです。それはごく一部のものが特別の事情によって決壊したというものであれば、私どもも了承できるのでありますが、海岸線がほとんど決壊しておる、崩壊危機に瀕しておる現状を見ます場合、万全であったとは、いかにひいき目に見ても言えないのであります。ただあなたの方として、過去の当事者にさわるようなことはお話はできないでしょうから、それは責めません、追及はいたしませんが、少くとも堤塘の高さは六メートル、それに強固な波返しを加えて七メートルは必要であると、ほとんどの人が考えている海岸堤塘、これに対して四メートルそこそこ堤塘が非常に多いのであります。今回決壊いたしました佐賀県鹿島市、あるいは杵島郡の有明村、こういった建設省関係提塘は四メートルそこそこ、もう波がいつも上にかぶっておる。そういう状態で万全であるとは言えないのです。私はこの際海岸法がすでに施行されました今日を機会に、この海岸線復旧については、国で直轄工事として責任をもって復旧なさり、改良なさる御意思はないかどうか、この点を一つ承わっておきたいと思います。
  26. 美馬郁夫

    美馬説明員 建設省海岸につきましては、三十二年度におきましては直轄海岸工事施行の計画はございません。
  27. 井手以誠

    井手委員 現在はないでしょうけれども、今回の災害にかんがみて、そういうふうにお考えになる御用意はないかどうか。
  28. 美馬郁夫

    美馬説明員 将来の問題としては十分検討いたしたいと思います。
  29. 井手以誠

    井手委員 委員長に私は御相談したい。きょう建設大臣においで願う御意思はないでしょうか、この問題については、背後農地であります建前から、どうしても現地もよく視察された大臣の御意向を承わりたいと考える。一つお取り計らいを願いたいと思います。
  30. 田口長治郎

    田口委員長代理 もっともみな御要求だと思いますが、きょうは時間はないでしょうが、あすいかがでしょうか。
  31. 井手以誠

    井手委員 あすでもけっこうでございますが、ぜひ一つ出席方をお取り計らい願いたい。
  32. 田口長治郎

    田口委員長代理 承知しました。
  33. 井手以誠

    井手委員 続いて建設省河川局次長お尋ねいたしますが、他の府県にはすでに実施されている海岸堤塘の高さ、所にもよりましょうけれども、今度の災害からいたしますれば、有明海沿岸堤塘は一律に七メートル以上でなければならぬと私は考えている。それは強固な波返しを加えて七メートル以上でなければならぬと考えている。それは、改良工事として予定されております農林省工事においても、大体五・七メートルに加えて一・三メートルの波返しをつけるということであります。加えますと七メートル。この七メートルということを標準にいたしまして、私どもずっと海岸線を視察して参りますと、大体七メートルあれば、強固なものであれば台風には耐え得られる、高潮にも耐え得られるという結論を私は見出したのでありますが、同僚議員も大体そのような観察をいたしております。これは地元意見もさようである。従ってこの際有明海の海岸堤塘七メートルに統一して、すみやかにこの工事を完了なさる御計画はないかどうか、この点をお尋ねいたします。
  34. 美馬郁夫

    美馬説明員 ただいまの堤防の高さを五メートルにするか七メートルにするかの問題でございますが、これは先ほども問題になるましたように、過去のいろいろないきさつもあり、この際建設省としては十分検討してやりたい、こういうことで専門家防災課長現地に参ったような次第でございます。ここで私七メートルにする方がいいんだという結論は申し上げるわけにはいきませんが、帰りまして十分検討いたしまして、後刻お答えいたしたいと思います。
  35. 井手以誠

    井手委員 それでは肝心の点については御研究の上に、明日大臣とともにお尋ねすることにいたしたいと思います。  そこでこの際大蔵省に承わっておきたいと存じますが 従来大蔵省の見解はとかく第二線堤防は必要ないではないか、こういうお考えが強いことを私ども承わっておるのであります。新聞にもさようなことが書いてある、第一線堤防ができているなら第二線堤防は必要ないではないか、なるほどこれはしろうとにはうなずけるような言葉でありますが、現在のような脆弱きわまる、主管省技術家でさえ危ないと言っている第一線堤防、早急に改良工事を加えなければならぬと言っている第一線堤防がこのような状態にあるときに、この第二線堤防を放置するわけには私は参らないと存じます。今回の災害考えましても、第一線堤防決壊する、その潮流がさらに第二線堤防に押し寄せて、これまた決壊して人家被害を及ぼしたということが非常に多いのであります。これは明日か明後日あらためてお尋ねするつもりでありましたが、そういう危険が従来から予想されますので、干拓地においては必ず農家は第二線堤防以内に設けることが建前でありました。第一線堤防は大丈夫であろうけれども、やはり万一の場合を考えねばならぬから、住宅というものは第二線堤防以内に置くということが建前でありました。ところが最近の開拓政策は、特殊な実情からやむを得ない事情もありましたけれども、もう堤塘が一部できれば直ちに入植させるという行き方になっておる、これは再検討してもらいたいと存じておりますが、このような第一線堤防が脆弱である今日、第二線堤防をほったらかしておくわけに参らないという実情から考えまして、第二線堤防の強化について、いわゆる強化というよりも原形復旧するという程度のものについては、どのようにお考えであるか。主務省からこれに対する防災工事か何かの要求がおそらくあったでありましょうと思いますが、そういった場合に、どのようにお考えになるのか、その第二線堤防に対するお考え方をこの際承わっておきたいと思います。
  36. 宮川新一郎

    宮川説明員 ただいま第一線堤防の問題につきまして、重ねと申しますか、堤防を高くする問題につきまして建設省の方で今後十分研究したいということでありますが、第一線堤防の強化の問題と関連いたしまして、第二線堤防の問題を検討することにいたしたいと考えております。
  37. 井手以誠

    井手委員 それから農地局長にもう一、二点お尋ねをいたしたいと思います。  ただいままで繰り返しました干拓堤塘の強化について、いわゆる代行干拓、この堤塘主管省である農林省では、かさ上げをして改良しようという御計画があるようであります。ところが今日までの予算の割当を見ますると、この急を要する、たとえば四メートル幾らのものを波返しを加えて七メートルにするという改良工事が、これが今までの予算の配分で参りますと、十数カ年間も要するようであります。この欠陥を今度はっきりと露呈をいたしました。どうしても私はこの第一線堤塘改良工事——災害復旧工事ではない全面的な改良工事は、財政都合もありましょうが、少くとも三カ年以内くらいには完了してもらわなくては、安んじて水稲の栽培はできないのであります。主管省農地局長の御所信を一つこの際承わっておきたいと思います。あわせてさらに承わっておきたいことは、各地で干拓工事をやっておりますが、この干拓堤塘は潮どめ終了後少くとも五年以内に完了しなくては、せっかく巨額を投じてやっておる農地の造成の効果が私は薄いと思う。十年も十五年もかかるようなことでは、私は効果が上らないと存じております。従って潮どめ工事完了後は地盤が沈下する関係もありますので、少くとも三カ年ないし五カ年以内に完了してもらわなくては、技術上もあるいは効果の上からも、私は困ると思っておりますが、いかがでありましょうか、この二つを承わりたいと存じます。
  38. 安田善一郎

    安田説明員 井出先生の所信を述べよという二つの点については、農地関係干拓建設工事の予算の現状、特に過去からことしまでの現状と、干拓地を作りました場合の地盤沈下及び塩の含有分等につきまして、非常にお詳しい御知識の御質問でございましたから私は何も申し上げることはありません。同様でございますが、ただ来年度の予算編成等を含め、また日本の干拓農地を造成していくという事務を担当しております側としての望ましい姿、こういうものを申し上げますと、第一点につきましては、お話の通りの現状できましたので、一方予算の増額をお願いしたいのであります。また他方過去のデッサンとでもいうべき基礎的なアイデアあるいは調査等において、りっぱな干拓ができそうであるということがありましても、予算の実情からしまして、やや散漫に工事に着工をした傾向もあると思うのであります。第一には事業費の増額についていろいろ工夫をこらし、第二にはきまりました予算な、しは資金の点におきまして、早期に干拓堤防——堤防ばかりではありませんで、干拓建設工事完成をはかる建前でもっと強力な行政を行わなければ日本の国情に即さないし、将来の日本にも適当ではないと考えております。すでに着手しておりますものについて十数年間かかる、あるいは残事業の平均が十数年という点も確かでありますので、まだ農林委員会の皆さん方にはお話すべき段階ではありませんけれども、かりにここに私の一つの試みとして申し上げますと、一般会計の負担をそう削ってもらっては困りますが、むしろ増額してもらう。他方政府資金を有効に使うことによりまして、その間には政府資金外の資金をも有効に使う道を講じさえすれば、長期継続の事業に、予算規模が一定の場合に、従来の方式で干拓建設工事等の予算を組んだよりは、多くの事業費を日本の国力の中から出せる方法もあるんではないか、こういうことを考えておるのであります。これにつきまして大蔵省と目下お互いに協力する立場おきまして協議中でありまして、かりに成案を得ましたならば、国会にも、予算面においても法律面においても御提案を申し上げたい。そのおもな骨子はやはり工事の早期完了にある、その一番私どもの望ましいところは、大体五年から七年ぐらいの間に完了しなければ経済効果としても速度においても落ちるであろうということを目標にいたしておる次第であります。第二点といたしましては、これは土壌の関係とか干拓地の潮の関係とか作物関係でありますとかの関係から、自然出てくることでありまして、第一点の私の試みの所見として申し上げたことと、一方は経済的に、一方は自然科学的にほぼ一致することだと思います。御意見の通りのように私は思います。
  39. 井手以誠

    井手委員 せっかくいい案が示されましたのでお尋ねいたしますが、この方式は公団方式ですか、かりにおつけになれば、構想としてどのようなお名前でありますか承わっておきたいと思います。
  40. 安田善一郎

    安田説明員 少くとも農林省の省議において、次年度に処してその案を進めようとしておりますものは、国営工事を中心にいたしまして特別会計方式でいきたいと思っております。農林省農地局は優秀な技術者と機構を持っておりますので、事業体の経費その他の合理化と申しますか、運営の簡便さ等をも考えまして、工事機構としては現状のものがいいのではないか、これを改善していけばいいのじゃないかと思っております。
  41. 足鹿覺

    足鹿委員 ただいまの井手委員の、干拓地護岸の復旧問題に関連をいたしまして、建設省農林省の両方にお尋ねをしておきたいのですが、私はこの間の台風被害調査班の第三班で鳥取、島根、山口に参ったのであります。その際に鳥取県米子市の彦名地区と境港市の渡地区の護岸の決壊状況をつぶさに見たわけですが、その際に、私ども現地を見た者のひとしく納得のいかない点は、米子市の彦名地区は建設省の所管になって、昭和二十九年の災害町で承認を受けたものが約四千メートルのうち三、四百メートルだけやってほったらかしてある。そのため高潮によってもとの工事も全部台なしになり、沿岸地帯は全部水びたしになって大変な騒動です。地元では消防団その他を総動員して、高潮の前ぶれがあってから土のうを築いて非常な予防対策を講じたにもかかわらず、何の効果も上っていない、こういう実情であります。ところが一歩その境界を離れて境港地区の渡地区に入りますと、これは農林省農地局の所管で、これも同様にちょっと手当をしたまま、昭和二十九年災害以来ほとんど手を加えずにほったらかしておる。一体どういうわけでこういうことになったのかと聞いてみたところが、一方米子地区は米子港という港がある。そこで港の一部であるというのでこれは建設省の所管だと言って、同じ農地保護の港の防波堤よりも一里も離れた、外港とも全くつかぬところ、地図をごらんになればわかりますが、それを港の一部だというので建設省が御主張になって、県も地元もそういうことで一応建設省の所管にする。一方地続きのところは行政区画が違うというだけでこれは農地局。所管、どちらでもかまわぬが、そういうことで議論をしておって、とにかく全く手をつけておらぬ、そのために両地区とも消防団の出動を求めて大々的に土のうを築いて高潮の防災施設を漁民や農民が寄ってやったにもかかわらず何の役にも立たぬ、もと二、三百メートルやったところもそのままになっておる、これをよく調べてみますと、鳥取の大震災のときに地盤沈下が相当行われた、これに対するところの対策も全く放任してある。現在これを直そうとするならば、地盤沈下で相当下っておりますから、今までのものよりも相当その護岸の頂点を石の二こん積みぐらい高めていかなければ意味がないということがわかっておるにもかかわらず二、三百メートル手をつけたところがもとのままの復旧方式でやってある。しかも練り積みでも何でもありませんからごろごろごろごろひっくり返ってしまう。全く私はこの状態を見て、建設省に責任があるのか、農林省に責任があるのかそれは存じません。だがしかし同じ地域であります。相当距離が離れているならよいのですが、同じ地域を行政区画に仕切って渡地区は農林省、米子の彦名地区は建設省、そうして区画はしたものの昭和二十九年災害をそのままほったらかして全然手をつかねておるというようなことは、どこからこういう事態が起きてくるのでありますか。これはただ単に私が現地を見た一つの事例であります。が、ほかにもただいま井手委員の御質問を聞いておりますと、第一線堤塘と内堤塘との関係農林省建設省との所管問題がからんでおる。これはもうすでに何年も前からきまりきったことが、私どものような既耕地の面においてもこういう矛盾がある。そうしてそれが一つも是正されないで、依然としてこと上の有明干拓においてもはからざる大被害を受けて、農家をして悲嘆のどん底に陥らしめている。どうしてこういう事態になるのか、もう少し、行政庁のなわ張り的な考え方ではなしに、農地保全なら農地保全という立場から方針を一貫させて、そうして昭和二十八年、九年の災害というのは異例の災害であります。また異例の補助率も相当加わっておる、でありますからもっと迅速にいくべきものではないかと私は思います。これらの矛盾は一体どういうふうに御解決なさるのでありますか。私は他にもこういう事例が相当あるように思います。この際、建設省なり農林省関係の方の具体的な対策方針を承わって遺憾なきを期してもらいたいと思います。この点について……。
  42. 美馬郁夫

    美馬説明員 私の方の部分についてお答えいたしますが、お説のように従来海岸の所管につきましては法制的にも欠陥がございまして、地方庁で申しますと、建設省系統は土木部あるいは運輸省系統は土木の港湾課、農地局系統は農地部、こういうふうなことで、いろいろ実際の事業の実施が行われておったのでありまして、こういう点にかんがみまして、去る国会におきまして海岸法が制定されたのであります。その海岸法原則につきましては、ここで私からとやかく申し上げることはできませんが、国の方針といたしましては、一応この海岸法方針のもとに各省所管の関係ははっきりしたのでございます。しかしながら実際に申しますと、この方針が具体的にどういうふうになるかという点につきましては問題がございまして、先般来の新聞等にもございましたように、有明海の建設農林との所管の問題、あるいはただいまのお話のような問題が具体的な問題として起るのでございますが、私ども今回の災害復旧につきましては、そういう点につきましてはどこでとるかということは、農林省なりあるいは運輸省とよく相談を具体的にやっております。またこれは災害復旧の問題でありますか、今後の改修工事をどこでとっていくかというような点につきましては、関係各省と十分連絡をとりまして、この点は遺憾のないようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  43. 安田善一郎

    安田説明員 一番最後に足鹿委員がおっしゃいましたように、海岸堤防につきましては建設省海岸法の定めるところによりまして、仲よくちっともセクショナリズムでないようにやっていきたいと思います。今まではそれらの区分が明確でなくて海岸法等もなかったようでありますが、その後の取りきめもありますのでそうしたいように思いますが、しかしこの海岸堤防の管理は、実は県知事がやっておるわけであります。県知事のもとに土木部と農地部があるわけであります。そこを仲よくやってもらいたいと思いますが、お話の彦名地区あるいは渡地区の点については、これは二十八年災害の際におそらくは——と申しますのは、私は過去のことになりますので沿革を聞いたり経過を聞きまた最近岡山農地事務局長をして調べしめたにすぎないのでありますけれども、一応農林省系統の建前災害復旧をやり出そうということで、県知事さんがそういうようなあんばいをされたところ、その後建設省関係事業として事業を施行するような考えに変られて、農林省工事としては廃工届がありましたので、農林省としてはその通りに従ったことによるかと思います。またその基礎になりますところの例の地盤変動の問題でありますが、これは地盤変動地域の地盤変動の対策を講ずべき地域の認定と申しますか、そういうものがかなり不明確なものが昔はありまして、三十年以降についてようやく政府が毎年六億前後の予算を計上してその対策を講ずるようになっておると聞いておるわけです。なお残事業相当あると思いまするが、当時の沿革からしまして県の意見を尊重しまして、県が付したる順位と申しますか順序に応じまして関係各県において第一期工事と第二期工事を分けてあるようであります。その中でたまたま第一期工事の中に入れてやるものにまだ入ってなかったことだと思うのでありますが、三十二年度にはこれの実施ができますように客土工事として事業費の計上も要求したいと思っておるものであります。
  44. 足鹿覺

    足鹿委員 十月から実施になるというその海岸法ですが、海岸法でどういうふうにして統一をとっておやりになるのですか。やはり今のように農地局所管の農地保全の立場からやる部分と、港湾その他の保護の立場からやられる部分と内容は別々にして、そして海岸法という一本の法律でどういうふうに施行されるのですか。もう少し具体的になっておるわけですから、こういう地区が全国にどういうふうに分布しておって、これに対してはどういう計画でもって具体的にやるというならいいが、ただ海岸法ができたから遺憾なくやるというのでは困るのです。
  45. 美馬郁夫

    美馬説明員 今私が申し上げたのはその所管の建前を申し上げたのでありまして、どこの所管に属するかという問題は海岸法ができましてこれが基準になると思います。しかし具体的には、現実の海岸と申しますと具体的な問題になりますから、そういう点は関係各省が具体的によく行政連絡をとってやるということになるだろうと思います。
  46. 足鹿覺

    足鹿委員 行政上の連絡をとられることはこれは聞くまでもないことなんですよ。ただその場合、たとえば海岸法を実施するに当って、何か特別な連絡機関が設けられるとか、その機構が府県にもきて末端へ浸透して下りていく、そして実際遺憾なき方法が講ぜられる、こういうことになるのですか。そして今私が指摘したようなところは、これはたくさんあるのです。そういった地区を海岸法を実施されるのに当って、従来そういう間違いを起し放任されたものを昭和三十二年なんて言わないで優先的に、具体的にはどうするかというような、そういう具体的なことを私は聞きたい。特にこれは小委員会ですから掘り下げて承わりたい。  それから大蔵省も、先ほど例にあげた地点等は、二十九年災害としてあなた方は承認しておられる。そういった場合は大蔵省は一体どういうことになるのですか。従来はその工事をしたとかしないとかいって相当きびしく地方では出ておる、そのために地方民は萎縮して、少々の補助金だったらもうもらわぬがいい、こういう気持に漸次なって非常に萎縮しております。そういうことを根掘り葉掘りやられることも必要であるが、あなた方の責任において、いわゆる承認をされたものを、何年もほったらかされてあっても大蔵省は責任はないのであります。要するに欠陥を指摘することは必要でありますが、あなた方は財務官を派遣して現地を調査し、これはやらなければならぬといって承認をされた以上は、一体的な責任においてあなた方はおやりにならなければならぬはずと私も思います。何か農林省建設省のやった仕事に対していろいろほじってみる、そしてこういうところは欠陥があった、こういうやり方はつまらぬではないかということのみ前面に出て、あなた方は当然責任を分担しておやりにならなければならぬはずの面はほおかぶりで一向進まぬということは、私は非常に遺憾に思うのです。そういう点はどうなんでしょう。欠陥を指摘された以上は、あなた方も共同の責任において承認をされたことに対しては、もう少し責任を持って、年度内に方針の通り完了される熱心さと推進力があっていいと思います。そういう感じを受けます。その点もあわせてお尋ねしたい。
  47. 美馬郁夫

    美馬説明員 海岸の所管の問題について具体的にもう少し掘り下げた点を説明してもらいたいということでありますが、この海岸法が施行せられますと、まず県知事が海岸区域の指定ということになります。この海岸区域の指定をやった場合に、初めてそれが正式の法律にいう海岸ということになりまして、国庫補助も正当にそれから流れるという建前になってくるわけでありますが、まずこういう指定の問題がございまして、その次に県知事が海岸整備基本計画というのを当該県について樹立いたしまして、これを農林省なり建設省なり運輸省所管大臣に報告してくるという建前になっております。九月一ぱいでどこの海岸をどこ一の県においては県知事が指定するという計画が出て参ってくることになっております。この計画が出て参ってきますと、建設省農林省と運輸省の三省が具体的に連絡協議会を開きまして、この海岸はだれがやる、この海岸はだれがやるということをきめる手はずになっております。従前ともわれわれはこういう打ち合せ会をしょっちゅうやっておりまして、海岸の問題につきましてもただいまのような非難と申しましょうか、こういう点があるのは重々わかっておりまして、災害の採択につきましても、将来の海岸改良計画につきましても、十分この指定制度なり整備基本計画を検討いたしまして違算のないようにいたしたいと考えております。
  48. 宮川新一郎

    宮川説明員 大蔵省は予算をつけました分につきまして、いろいろ使い方が悪いところを指摘するに急で、予算のついたものが円滑に施行されることに対する努力が足らぬというおしかりがございましたが、大蔵省査定をいたしまして、この事業は必要であるというふうに認定いたしまして予算をつけました以上、御指摘の地点につきましてはいろいろ経緯があったようでございますが、大蔵省といたしましても関係各省と連絡を強調いたしまして、予算が円滑に施行されるように努力いたしたいと思います。
  49. 足鹿覺

    足鹿委員 ちょっと大蔵省次長に伺いますが、今私が指摘したような地帯で何か御調査になったものがありますか。
  50. 宮川新一郎

    宮川説明員 ございます。
  51. 足鹿覺

    足鹿委員 今後欠陥を指摘されていく場合においては、行政管理庁、会計検査院あたりはずいぶん手きびしくおやりになっているのです。あなたの方の財務官が現地へ御出張になって精密に調査をされた、そしてそれが適当だといって承認されたものについてまだほったらかしてあるというようなものについては、この欠陥を指摘されることに急であることもときによってはけっこうですが、あわせて今秋が言ったような点も、ほんとうに責任を分担して国土の保全なり災害の未然防止なりあるいは災害の早期復旧完了なりを念願されるならば、そういった地区が全国にどういうふうに分布しておる、これについて農林省建設省はどう考えるという程度の親切と推進力があっていいと私は思うのです。海岸法ができたできたと今河川局次長はおっしゃいますが、できてみたところで、今までおやりになったようなことが一つの法律的な根拠を持ったというだけのことでありまして、実際において私が今指摘したように大蔵省関係その他と、推進の方法というものが具体的に立てられて、現在こういった事態が全国にどういうようにどの程度残っておる、これに対しては早急に、こういう方針に基いて予算を計上してこう処理するのだ、こういうことにならないと、災害は毎年毎年追っかけて参ります。今私が指摘した地帯など昭和二十七、二十八、二十九年と三カ年食っておる。その前からは地盤沈下も食っておる。こういう地帯であって、ここへ写真もたくさん持ってきておりますが、全く目を明けて見られない状態です。それをほったらかしておる。そういう状態を繰り返し繰り返しやっておったのでは、先ほども井手委員が指摘されたように、つぎ込んだ国民の血税が何の役にも立たぬ。ここへ地図を持ってきておりますが、約四千町歩のところに七、八百メートルほどやった地域がある。それが何の役にも立っておらない。私は全部ここに資料を持ってきております。お目にかけてもよいです。やったところがちょいちょいとある。それが何の役にも立たぬ。こういうようにちょいちょいとつまみ食い的に何だかわけのわからぬことをやっておられるのは一体どういう意味なのか。それをやるのは続けてやるという意味において意味があるのだが、あとはやっていない。全く無責任というより言葉がございませんな。こういうことによる国費の乱費ということの方を、むしろ大蔵省としては御注意になってしかるべきではないかと私は思います。少々の補助金をほじくりまわすということもいいでしょうが、そういうことよりも、もっと大きい面において、国費が何の意味もなさずに死に金になっておるという点を、私は海岸法施行を機会として十分にお考えになっていただきたいと思います。私は一つの事例を申し上げたにすぎませんが、こういった事例について、海岸法を御施行になりそれを実施になるというならば、その対象となるべき内容が相当はっきりしてこなければならぬと思うのです。それをきょう直ちにとは申しませんが、もしできれば今後の私どもの審議の参考にもいたしたいので、一応御調査になってわれわれに見せていただきたい。特に農林省との関連において、農地の保全等を中心として見たものを、この際一つ資料として御提出願えぬでしょうか。
  52. 美馬郁夫

    美馬説明員 ちょっとお尋ねいたしますが、私どもの方に御要求されておるのは、具体的に言ったら、今後の建設省所管の海岸復旧工事なり改良工事なりの全貌、こういうことでございますか。
  53. 足鹿覺

    足鹿委員 それももちろんそうですが、結局今までずっと農林省といろいろ連絡をおやりになっておった、それを今度海岸法によって何か会議のようなものを持って知事が指定する、こういうことになるとおっしゃるのですが、もうすでに形式は整っておられるか、内容的に知事が指定する段階に至ったものが、あなた方のところには把握されておると思うのですよ。海岸法施行の中心省は建設省でしょう。建設省がおやりになるなら建設省に資料をお集めになって、全国的にこういう地域こういう地域というふうに対象となるものをお示しになればいいのです。
  54. 美馬郁夫

    美馬説明員 了承いたしました。
  55. 井手以誠

    井手委員 ちょっと河川局次長にお伺いいたします。今も足鹿委員答弁があったように、海岸法ができたからというのですが、この比較的経験のある小委員の前では海岸法だけでは隠れみのになりかねるのです。その証拠に、行政の一元化を目標にした海岸法が案外すらすら通った意味は、結局今までと大体変りないということなんです。あれは法律をよく見てみますと、結局同じです。しかも府県知事が計画を立てる。そして本省に持ってきて各省と連絡し計画を立てて予算化するということになりますと、かりにうまくいってもほんとうに効果の上る時期はずっと先だと思う。だから海岸法ができましたからとはおっしゃって下さらぬようにお願いしたい。  そこで私は、白浜小委員の御出席を待っておりますが、まだ見えませんので次にお尋ねいたします。先刻も海岸堤塘のことにちょっと触れておきましたが、海岸堤塘あるいは漁港の防波堤などのほかに、災害復旧事業に至らない海岸線決壊、荒廃がきわめて多いのであります。これは建設省にも農林省にも関係が深いことでありますから一つお聞きを願いたい。たとえて申しますと、長崎県におきましては海岸線、離島—海岸線はほとんど決壊あるいは崩壊危機に瀕している。というのは、島原半島において護岸が決壊している。その上は農地であったけれども、経済効果が薄いというので農地災害復旧にはなかなか認めてくれないそうであります。経済効果が薄く二十万円もかかるというのでなかなか認めてくれない。ところが続いて崩壊危機にありますので、その農地の横を走っている県道が近いうちに崩壊しないかという心配が非常に強いのであります。これは災害の関連事業として工事を取り付けるべきものであると思う。あるいは長崎市郊外の茂木町に参りますと、海岸線の道路がずたずたにやられている。ところがその道路の復旧災害復旧工事として認められておりますが、その横の何十丈という高いがけがくずれております。しかもその上に人家が二つも三つもあり、神社もございます。あすにもくずれそうな崩壊場所、これが災害復旧工事に至らないというので認められていない。しかしこのまま放置いたしますならば道路は決壊するのであります。埋没するのであります。あるいは千々石町に参りますと、数十戸の漁村を守っている護岸が全部洗われてなくなってしまっている。しかしこれは災害復旧工事には該当しないというので査定から漏れているのであります。私はここに三つの例をあげました。しかし、どれ一つをとりましても、災害復旧工事に至らないというのでこのまま放置するわけには参りません。やはり海岸線を守る上には、防災工事と申しますか治山治水事業と申しますか的確な言葉は知りませんけれども、何かの方法で工事をやらなくては人家を守り道路を守りあるいは農地を守ることができないのであります。危機に瀕しているこの状態に対して建設省はどのようにお考えになっているか。農林省関係がございますから両方からお考えを承わりたいと思います。ただ災害復旧工事ではないからというのでは済まされないと思います。すでに報告もあったと思います。大蔵省は報告をお読みになっていないかもしれませんが、建設省はなっていると思いますから、一つこの点についてお答えを願いたい。  続いてお尋ねをいたします。こういう場合は、お答えの便宜にもなろうかと思いますので申し上げておきますが、直接災害復旧工事には至らないけれども放置するわけには参りません。従って当局の立場考えてやりますならば、防災工事のワクをうんとふやしてこれで工事をやっていく、こういうことが私は一番実現性のある方法ではないかと思うのです。地元も負担をさせる。主管省も補助をやる。こういうことで護岸なりあるいは道路を守っていく方法はないものかどうか、私はいろいろと考えて参りましたが、あの寸断されておる長崎県、佐賀県、熊本県の海岸線考えますと、何とかこの際思い切った措置をとってもらわなければならぬ。いわゆる現行法でまかない得る方法——しかも私はこの際申し上げたいことは、自衛力増強、自衛力増強と盛んにおっしゃいますけれども、国土がこんなふうに荒廃していて自衛力増強もあったものではありません。内側からこわれておる。まざまざと私は見せられましたが、大蔵省の方も幸いいらっしゃいますので、主管省も大いにふんどしを締めて予算の交渉をなさって——どうせ補正予算も出るでございましょう。防災費かあるいは治山治水の費用かで、うんとそういう方面の費用をとって、海岸線を一応もとの姿に返すという御誠意がおありになるかどうか、その点をお尋ねしておきたい。
  56. 安田善一郎

    安田説明員 実情の報告は簡明なものをいただいてよく読んでおりますが、農林省は御設例の中ではちょっと関係が少かったと思います。他の方では同じようなことが多いと思います。中央官庁も十分に考慮をしなくちゃいかぬ問題でありますが、目下直轄、代行、補助事業についてあわせて融資事業を加えて努力中であるのであります。目下それぞれ調査中であります。さらに県知事の意見をいただくように連絡をしておる。県でいい意見を立てて下さると、大蔵省農林省建設省もやりやすいんじゃないか。防災も一方法でありましょうが、問題を解決するには非補助融資等の方法もあろうかと思います。よくさらに具体的に調査をしたいと思っております。
  57. 田口長治郎

    田口委員長代理 委員長からも申し上げますが、ただいまの話、これは実際ひどいところがあるんです。長崎県の小長井に行ってみますと、海岸に約三メートル程度の防波堤がありまして、その上は国道が走っているわけです。国道の隣は国鉄が走っている。その道路の下に耕地の樋門がありまして、この樋門がこわれかかっている。これがこわれて参りますと国道が不通になるし、国道がこわれると国鉄の汽車が通じない、こういうような状態になっておるけれども、この樋門の改造、修理というのが、防災に乗らないということで、災害にかかることを待っておるような状態なんですが、こういうような例が至るところにあるのでございます。これはどうも国費の都合だとかなんだとかいうことで、そのまま放置することができないような事情のものが、もう至るところでございますから、これが対策については真剣に一つ農林省建設省大蔵省で研究してもらわなければならぬ問題と思っておるのでございますが……。
  58. 美馬郁夫

    美馬説明員 ただいまの井出先生の御質問でございますが、来年度の問題という御質問であれば私ども答弁が非常にしやすいのでありますが、実は来年度におきましては災害復旧費も、治山治水、海岸堤防費についても、十分の予算要求を目下やりつつありますが、そういうことではなく本年度の問題へどうするかということだろうと思います。そういうことになりますと実は答弁が非常にむずかしいのであります。私まだ具体的な個所等については詳細に存じませんが、ただ現在の予算制度でやりますとどういう関係の点でまかなえるか。もちろん災害復旧工事では問題にならぬと思いますが、それ以外の——おそらく改良工事関係することだろうと思います。改良工事の場合は、海岸になるのか道路になるのか、あるいは川になるのか、そういう点につきましては私どもよくわかりませんが、もし今年度の予算に残があるというような場合には、そちらの方面にも回し得るということも考えられるのでありますが、具体的な問題をよくお伺いいたしまして十分に検討いたしたいと考えております。
  59. 井手以誠

    井手委員 そうすると関係県からのそういった相談はあっていないのですか。大蔵省の方もお聞きを願いたいと思いますが、五島方面に参りますと人間の作ったものは何もないという話がある。たとえば防波堤でも漁港でも家でも全然ない。なるほど行って見ると、普通の災害の場合は跡形がありますけれども、あの辺はきれいなものです。防波堤もない、家もない、そっくり持っていって跡形もない、それほどひどい災害でございましたが、海岸線の痛めつけられたものは言うにたえない惨状でございます。従って災害復旧工事に至らないものも随所に破損しておることは、視察などなさらないあなた方でも御想像がつくと思うのです。いろいろ考えてみますと、現行法からいたしまして災害復旧工事には該当しないが、何とかしなくてはあすにでも復旧工事としてたくさんの国費が要るというのが多いのであります。先刻例を申し上げました農地の効果が上らないので復旧工事に乗らないという問題、これは長崎県の小浜町にございます。海岸線の護岸がやられましたために、その復旧には一反歩二十万円ないし二十五万円かかるそうでありますので、どうしても査定に乗らないという話を聞きました。ところがこれがくずれることは目の前にきておる、これがくずれると道路が決壊することはもう目の前に見えておるのであります。茂木町へ行きますと、冠は説明が下手でございますので、なかなかわかりにくいかもしれませんが、高い道路の横のがけが今にもくずれそうになっておる。家が三分の一くらいがけの上に出ておるのです。これが落ちたら道路が破壊することは申し上げるまでもないのです。その危険を目の前にして、これをほっておくという手はないと思います。今度の場合には、こういうことは随所にあります。だから私は、この際建設省は、本省から直接現地に係官を派遣されて、災害復旧工事査定ということではなくて、こういう危険な場所をどういうふうにしたら食いとめることができるかというような熱意を私は示してもらいたいと思う。どうせ来年度予算になりますと、災害復旧工事あるいは治山治水の工事費をとるつもりでございますから、答弁しやすいというお話でございましたが、なるほど希望的考えはお述べになることができるでございましょう。しかし大蔵省と話し合った結果についてはなかなかこれは言えないと思います。希望だからそういうお答えができると思う。私は本年度の補正予算においても、そのくらいの予算は強力に大蔵省要求するだけの、建設省は熱意を持ってもらいたいと思う。従ってこの際、関係県に関する工事——改良とまではいかないでしょう、原形復旧するだけでけっこうですから、そのものについて積極的に工事を進められる、対策を講ぜられる御用意があるかどうか、その点だけを承っておきたいと思います。
  60. 美馬郁夫

    美馬説明員 十分に検討したいと考えております。
  61. 中村英男

    中村(英)小委員 海岸堤防の問題が出ましたから、ちょっとお伺いしますが、農地局長は、当時私ども調査したときに農地局から一緒においでになったから、あるいは報告を受けておいでになるかもわからぬが、防府市は、御承知のように昔はあそこの国道の上に堤防を築かずにおったそうです。その当時は台風がくるとそのまま海水と一緒に船もあそこに上ってしまった。それを何ぼですか、五尺くらい上げておるようですが、その上げ方が海の方へ傾斜しておるものですから、当時ちょうど干潮だったから被害が比較的少かったのです。これが満潮でしたら大変なことです。干潮でも海の方に傾斜しておるものですから、波がこれにぶち当って、そして当った波がそのまま上へはねまして、雨がないものですから風に送られて濃度がこくなって、あの辺一帯の何千町歩の農地の農作物をまるで焼いたようにしてしまったわけでおそらく山口県の海岸寄りは大なり小なりそういう地帯がたくさんあろうと思います。私その後汽車で見ましたところも、部分的にそういう堤防がこわれたところがあります。これを復旧されるときは、おそらく今までと同じような高さに復旧されるでしょうが、農民が毎年作ってもこんなことだと、おそらくことしみたいな七割、八割の減収はないにしても、何ぼか毎年減収になるわけです。ですから復旧されるときももちろんそうですが、今後背後農地をどうしたら守れるかということについて十分検討をしていただきたい。これは山口だけでなくて他の地帯にもあろうと思います。堤防の高さの問題、角度の問題も十分一つ御検討願いたいと思います。
  62. 安田善一郎

    安田説明員 お話の点は十分に検討したいと思いますが、先生のおっしゃいました点は海岸線堤塘等のことのみならず、むしろおもに背後地の農地の農作物についてのことだと思いますが、湾のような状況を呈しておる地形のところで背後に山がありまして——今回の場合もそれだと思います。が、雨を伴わないような、また伴った場合でも割合少いような台風のようなものが出ますと、気圧が非常に少くなりましてフェーンという現象を起しまして、き圧からくる作物の生きているところをとめるという現象だと思いますが、−二号台風にもまた今回の場合も、中国、裏日本や三重等にそういう現象をお越しております。これは研究中でありますが、なかなかむずかしい問題で、いい作物対策がない段階であります。
  63. 井手以誠

    井手委員 この機会にもう一点建設省にお伺いしておきますが、この九号、十二号台風に関連して、長崎県の世知原、佐賀県の伊万里市、東山代の地区に、大きな山地の崩壊、地すべりがありまして、被害が非常に大きいのであります。幸い今のところとどまってはおりますが、いつこれが継続してさらに拡大するかわからない危険性を持っているのであります。長崎県北松浦郡を中心にして、佐賀県の北部に及ぶ地帯の地すべり、これは二十八年の水害から特に問題が大きくなって参りました。危険に瀕している世知原地区と東山代地区などについての建設省対策農地を守り人家を守る意味において、どういう対策を立てているか、この機会に御説明いただきたいと思います。
  64. 美馬郁夫

    美馬説明員 長崎のただいまの地すべり地帯につきましては、先般私どもも報告を受けまして、係官が現地に参りましてよく調査したはずでございます。その報告に基きまして、十分なる対策を立てたいと目下検討中でございます。
  65. 井手以誠

    井手委員 その十分なる対策とはどういう名称のもとに、どういうような工事をなさるおつもりでございますか。
  66. 美馬郁夫

    美馬説明員 ただいまのところ、申し上げるまでにはっきりきまっておりません。
  67. 田口長治郎

    田口委員長代理 宮川次長にちょっとお伺いいたしますが、長崎県の口之津へ行きますと、港湾がずっとあって、港湾関係からいうと、その堤防は運輸省関係のようでございます。それから堤防から約十メートルくらいは、これは耕地保全のために農林省の所有地になっている。その次に民間耕地が二十二町歩ばかりあり、それから低いところに二百十二軒くらいの人家があるわけであります ところがこの堤防が町の所有でもないし、県の台帳にもないのです。ですから所有者のない堤防ということになるから、これは結局国有ということになるでしょうね。ところがこの堤防が、九号台風、十二号台風で、さっき井出さんからのお話のような状態になってしまっているわけです。これをこのままにしておきますと、この二十二町歩の耕地がやられるし 二百十二戸の人家もやられるということで、地元では大騒ぎしているわけです。しかし所有者がないためにどうにも手がつけられないのだが、所有者のない財産は、これはいろいろ研究いたしますと大蔵省の所管で、あなたの方で何か処置をしてもらわなければいかないことになるのじゃないかと思いますが、こういう問題がありますから、一つ御調査を願いたいと思います。
  68. 宮川新一郎

    宮川説明員 ただいまの問題、具体的に事情を調査いたしておりませんが、管財局関係の仕事になるわけでございますが、堤塘とか道路とか、こういう公共物は建前として国有になっておって、それの管理を都道府県に委任しておるのじゃないかと思います。従いましてそういう当該物件について補修の要があるかどうかという問題になりますと、管理者たる県当局より、それぞれ運輸省、建設省あるいは農林省になるかもしれませんが、そこを通じて復旧の要請が来るものと考えます。詳細のところもう少し調査いたしまして対策考えたいと思います。
  69. 田口長治郎

    田口委員長代理 御調査を願います。  本日はこの程度にとどめ散会いたします。    午後零時三十一分散会