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1956-04-13 第24回国会 衆議院 農林水産委員会水産に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十三日(金曜日)    午後二時十七分開議  出席小委員    小委員長 田口長治郎君       川村善八郎君    白浜 仁吉君       鈴木 善幸君    原  捨思君       本名  武君    淡谷 悠藏君  出席政府委員         水産庁次長   岡井 正男君         通商産業事務官         (通商局長)  板垣  修君  小委員外出席者         農林水産委員長 村松 久義君         議     員 中村 英男君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         漁船保険課長) 中村 正路君         農林事務官         (水産庁生産部         水産課長)   小池 弥六君         通商産業事務官 花村 信平君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  韓国のり輸入に関する件  漁業共済に関する件     —————————————
  2. 田口長治郎

    田口委員長 これより水産に関する小委員会を開会いたします。  前会に引き続き韓国ノリ輸入に関する問題について調査を進めます。質疑を続けます。
  3. 淡谷悠藏

    淡谷委員 前回この問題でいろいろ御説明をいただきました。そのとき私から警告を出しておきましたが、倉荷証券記載にありますノリが実際倉庫に残っておるのかどうか。あるいはまた東和商事北畑商店との関係で売ったとか、売らぬとかいうようなノリの実態をお調べになったと思いますので、その点を一応御報告願いたいと思います。
  4. 板垣修

    板垣政府委員 その後調査を続けましたが、まだ全般調査を完了いたしておりませんけれども、少くとも神戸通関されました百八十一箱の分につきましては、大阪通産局において調査いたしました結果、昨年の十二月二十三日に通関されたその夜に神戸田中商店に売却されたことがはっきりいたしました。この点はまことに遺憾に存ずる次第でございます。従いまして倉荷証券記載に当るノリがどこにあるのか、東和商事の申し分によりますれば広島にあるわけでございますが、その広島にありますノリはいかなるものであるか、そういう点につきましては目下広島において調査中でございますが、当事者開梱を拒否しておるような事情もございまして、いまだ調査を完了いたしておりません。
  5. 淡谷悠藏

    淡谷委員 通産省が扱った倉荷証券ノリの全量というのは一体どれくらいになっておりますか。それから今の御答弁にございました、東和商事記載しておるノリ広島にあるというのですが、この倉荷証券倉庫主は一体どこの倉を指定したのですか。倉庫はあっちこっち動くものじゃございませんから、倉荷証券には保管しておる倉庫名前もはっきり入っておると思うのでありますが、その点はどうなっておりますか。
  6. 板垣修

    板垣政府委員 通産省で扱っております倉荷証券に該当する数量は、昨年の十二月十六日に輸入されました薩摩木材の百八十一箱、これは神戸通関のもの、それから白子商店名義分の七十七箱、これは小倉税関通過の分、これが私どもが扱っておる分でございます。それからなお北畑商店名義になっております倉荷証券で預けた倉庫広島瀬川倉庫という名前になっております。
  7. 淡谷悠藏

    淡谷委員 今の御答弁の中に、通関した夜神戸田中商店に百八十一箱売ったということが明らかになったそうですが、そうしますと、倉荷証券の中にある百八十一箱と七十七箱ではこれはとんでもない数字が出てきますが、一体その不足分は何で補充されているのか。どうお考えでございますか。
  8. 板垣修

    板垣政府委員 御指摘通りそういう疑問が出て参るわけでございまして、私の申すのは、当初この分は、広島当事者の申し立ての通り広島倉庫にあるものと思っておりました。個数はきちんと合うわけでございまするが、ただいま申し上げましたように、百八十一箱分が市販に流されたということが確認されました以上は、広島にある分は何かという点が問題になるわけでございまして、この点は私どもまだ調査を完了していない次第でございます。
  9. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは倉荷証券が偽造されたものでなければ、はっきり初めからこの売買などはできるものではありません。従って、この倉荷証券の原本についてはお取り寄せを願いまして、当委員会で見せていただきたい、これが一点。それからこのノリ通産省が押える場合に、はっきり市販しないということが一番大きな理由になって押えられたのだろうと思うのですが、この市販をしないという目的が全然ここでは破られまして、百八十一箱というものが完全に市販されておる。このために何か市場に及ぼした価格上の変化があったかどうか、これをお調べになっておりますか。
  10. 板垣修

    板垣政府委員 最初の、倉荷証券につきましては、ただいま調査の必要上広島通産局に送っておりますので、目的完了次第至急東京へ取り寄せまして御指示のようにいたします。  それから次に、この流されたノリの市況に及ぼす影響につきましては、先般の委員会でも御質問がございまして調査中でございまするが、この点はだいぶ二、三の専門家にも当ってみましたが、数量からいうとそう大きくないこのノリが市中に流されたことによってどの程度の影響があるか、実質的な影響及びさらに心理的な影響というものが当然あることになるのですが、こういう点についてはどうも客観的に判断する資料がないというのが専門家意見でございます。実は通産省としてははなはだ遺憾なのでありますが、この点につきましてはっきりした結果を一申し上げることができないのを残念に思います。
  11. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さらに一点、東和商事があなた方の方に倉荷証券を預けて、市販をしないということを言っておきながら、その裏では通関された夜これは流しておる。もうはっきり初めから悪意があって、通産省をごまかした形に見えまするが、一体東和商事がこの通関した夜の十二月二十三日に直ちに倉荷証券をあなた方の方に出したかどうか、あるいはまた保税倉庫から出して他の倉庫へ移すのですから、若干の日時はあったろうと思いますが、市販してはいけないというノリを一たん保税倉庫から出せば、はっきりと押えないと、流れることがわかっておる。倉荷証券をあなた方が入手された日と通関した日との間に何日ぐらい日があったか、はっきりお答えを願いたい。
  12. 板垣修

    板垣政府委員 御指摘のごとく私どもといたしましては、倉荷証券を寄託ないしわれわれの方へ取り上げ、かつその念書をおさめましたので、ただいま判明をいたしましたような事情は起らないという確信のもとにやったわけであります。調査の結果、その通関の夜に売られたということが発見されまして、まことに遺憾に存ずる次第でございます。それで、この倉荷証券提出につきましては、入関された日からすぐ私どもとしましては再三当事者提出方を催促したわけでありますが、当事者としましては、火入れ加工、あるいは整理のためと称しまして、相当日時がおくれて提出をされた次第であります。この倉荷証券手元にございませんのではっきりした日時はわかりませんが、相当おくれて、おそらく一月の末ごろに提出されたものと私ども考えております。なおはっきりした日にちは、倉荷証券が手に入りましてから御報告申し上げたいと思います。
  13. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この一月余りの間に現物が果して民間倉庫に移されたものかどうか、この点をお調べになったかどうか、またお調べにならないまでも、倉荷証券の出悩んでおるのは何か裏にあるということに気がつかれなかったかどうか、この点もはっきりお答えを願っておきたい。
  14. 板垣修

    板垣政府委員 御指摘の点まことにごもっともでございまして、私どもは汗顔の至りにたえないわけでございますが、この倉荷証券提出がおくれておる理由が、火入れ加工という当時の説明でございましたので、係官といたしましては、火入れ加工にはあるいは二週間、三週間はかかるだろうという誤認のもとに、特に気にせずに、現場に行って調べるといったような措置をとらなかったのはまことに遺憾でございます。
  15. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは行政官庁商人あるいは金融業者との場合は違いますけれども金融業者側倉荷証券を抵当に金でも貸そうというときは、倉荷証券現物とをちゃんと見て、何ら違いがないと確認しなければ取引に入らない。特にこれは日本の海産物に非常に大きな影響を持っております輸入ノリに関する処置でございますから、これを単なる営利行為業者よりももっと簡単に扱って、しかも一カ月余り倉荷証券を入手していなかったということに非常に疑念を持たれる一点があるのであります。これはいずれ倉荷証券ども見ましてからなおまた追及いたしたいと思いますが、非常に遺憾なことが現われて参ったのであります。特に東和商事田中商店に売っておきながら、その間北畑商店に売ったという理由倉荷証券を出していることなどは、これは明らかに刑法上の問題をも誘致するような、はっきり通産省も欺き、仲間をも欺いた形になっている。売ったということはわかっている、わかっていて倉荷証券には別な品物を予定している。こういう点もおそらくあなたはお気づきにならないでやったと思いますが、その点の実情はどうでありますか。
  16. 板垣修

    板垣政府委員 当時におきましては田中商店に売られたということは毛頭知らなかったわけでございますから、田中商店ということもわからなかったわけでございます。従いまして、北畑商店名義倉荷証券提出されたときには、やはり北畑商店所有権が移転したにすぎないというふうに実は誤認をいたした次第でございます。
  17. 淡谷悠藏

    淡谷委員 全部にわたるこのノリ現物調査並びに倉荷証券のほんとうの書き方というものもまだ判明していないようでございますから、なお後日に質問を継続いたしたいと思いますが、事は輸入ノリに関する問題であり、外貨等にも関係があるものでありますから、将来このようなことの発生がないように十分御注意をされたい。同時にまた本年度の韓国ノリ輸入に関しましても、再びこのようなことが繰り返されないように何らかの御方針があるだろうと思いますが、その点の御説明をお願いしたいと思います。
  18. 板垣修

    板垣政府委員 御指摘通り今後は絶対にこういうことが起らないような輸入方針を立てていきたいと思います。しかしながらただいままだ私ども最後的な腹案はございませんけれども、もしかりに韓国ノリをいろいろな日韓通商関係その他から入れるということにいたしますならば、一応今の考え方では、昨年生産者側ともいろいろと協議をして作りました韓国ノリ需給調整協議会という機構を活用して入れていきたい。その際いろいろと生産業者側輸入業者側との間に約束があったわけでございますが、この約束が十分履行されておらぬという点もいろいろございまして一そのために朝鮮ノリ輸入が非常に不円滑になっておるという点が大きいので、今後韓国ノリ外割をいたします際には、まず第一に需給調整協議会加入するということを条件にする。さらに従来納めておりまする協力費、これが今後どういうふうになりますか、まだ不明でございますが、何らかこういうものを出すことにいたしますれば、この協力費延滞分とか今後納めるべき分、こういうものをはっきり納める。いわゆる需給調整協議会約束を、はっきり守ることを条件といたしまして、外割をしていきたいというふうに考えます。
  19. 淡谷悠藏

    淡谷委員 当面東和商事だけが爼上に上っておりまするが、東和商事に限らず、このようにはっきり意図された手段をもって、割当外貨を不当に使っておるような事情がありましたならば、これに対して外貨割当をしない、こういうふうなところまで御決意をされているかどうか、伺っておきたい。
  20. 板垣修

    板垣政府委員 今後韓国ノリを入れる場合には、先ほど申しましたように、需給調整協議会への加入及び約束を履行することを条件にいたしますので、円滑に参ると思いまするが、従来問題のあったところに今後外割をやめるかどうがという点につきましては、まず第一にいろいろな事情で、単に協力費延滞をしておったというだけでは外割を停止するという問題は起りませんので、これはできる限り入れさせる、入れなければ外割をしないこともあるかもしれないという警告を実ば最近私の名前で発しておりますので、その点は今後は問題はないと思います。従って東和商事のごとく、明らかにわれわれ行政府に対する約束に違反したような場合に対しまして、いかなる行政処分をするかという問題になるわけでございまして、その点は今御指摘のように、あるいは外割の一部停止というようなことを考えざるを得ないかというふうに考えております。
  21. 淡谷悠藏

    淡谷委員 いずれ万般の資料が整いましてから、さらに御質問申し上げたいと思いまするが、ただ相手が商人です。非常に敏速に事後の措置をいたしまして、初めの実体がくらまされるおそれが非常に多いという話なものですので、この際調査のまだ完了していない部分につきましては、できるだけ早く御調査を願って、実体を明らかにしてもらいたいと思いまするが、大体いつごろ調査が完了する模様でありまするか、その点も伺っておきたいのであります。
  22. 板垣修

    板垣政府委員 実は先ほども申し上げましたように、神戸通関の分は大体はっきりしたわけでございまするが、広島にある分の実体の把握につきましては、なお努力をいたしてみまするが、あるいは行政権の範囲内ではこれ以上調査ができないような事態になるかもしれませんので、この点も入れまして、いつまでに調査を完了するか、あるいは調査し得るかという点にまだ疑問がございまするので、ただいまのところはっきり申し上げられませんが、できる限り、私どもの力の及ぶ限り調査を続けたいと考えております。
  23. 淡谷悠藏

    淡谷委員 今お手元にない倉荷証券を、こっちへお取り寄せになるのはいつごろになるのです。
  24. 板垣修

    板垣政府委員 広島倉庫の中の調査が現状以上ちょっとできないようでございまするから、至急一応倉荷証券をこちらへ取り戻したいと存じまするので、来週早々にはこちらへ届くと思います。
  25. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それではその資料がき次第、至急に御提示下さいますよう、あわせて要求いたしまして、質問を一時ここで打ち切ります。
  26. 田口長治郎

    田口委員 長鈴木善幸君。
  27. 鈴木善幸

    鈴木(善)小委員 この韓国ノリの審議の途上に出て参りました東和商事の問題につきましては、淡谷委員から詳細にわたって御質疑があり、当局誠意をもって目下調査中のようでございますから、この問題は私はしばらくおきまして、今後の韓国ノリ輸入の問題につきまして、通商当局及び水産庁方針をお尋ねいたしたいと思うのであります。  昨年、昭和三十年度の韓国ノリ輸入に当りまして、当小委員会におきまして、委員各位より相当突っ込んだ意見が開陳されまして、いろいろ万全の対策が通商当局によってなされるということを前提として、韓国ノリ輸入を認めたという経過になっておるのでありますが、ただいま淡谷委員質問に対しまして、板垣局長は、ちょうど去年と同じような措置を今後もとる方針である、同じことを繰り返しておるように私は思うのであります。そもそもこの韓国ノリ輸入問題につきましては、二つ観点から考えていく必要があると私どもは思うのであります。その第一点は、これは一番大切な点でございますが、内地生産ノリと、いやしくも価格の面においてもあるいは流通面においても競合しない——これは内地の零細なる沿岸漁業者でありますところのノリ生産者を擁護する建前から、あくまでこの需給調整の面が重点的に配慮されなければならない、こう思うわけであります。第二の点は、韓国ノリ輸入につきまして、非常に各商社がせり合って申請をなされておる。それから発していろいろの問題が派生いたしておるのでありますが、それは国内ノリ価格との間に相当の価格差がございまして、利幅が多過ぎる、過当な利益業者によって龍断されておる、非常に韓国ノリはもうかる、こういうところに原因があるわけでありまして、従ってこの韓国ノリ輸入に伴う過当な業者利潤を何らか吸収いたしまして、これを国内ノリ生産者に対する生産奨励金なり、そういう面に有効に使っていって、韓国ノリ輸入によって影響を受けるところのノリ養殖業者を保護する、こういう二つの面が当然考えられなければならない、こう思うわけであります。そこで私が一番重視いたしております点は、内地ノリとの競合関係をいかにして調整するかという問題でございますが、そのためには、昨年も板垣局長は、需給調整協議会に必ず入るということを条件として、外貨割当をするということをはっきり言明されまして、おそらく外貨割当に当りましては、そのような条件がついておると私は思うのであります。しかるにそういう条件がはっきりついておるにもかかわらず、この前の委員会で御報告を受けましたように、まだ需給調整協議会に入っていない者があるという事実でございます。従ってただいま淡谷委員の御質問に対して局長から御答弁がございましたが、為替管理の面からいたしまして、必ず需給調整協議会に入れ得るような行政指導ができるようになっておるのであるか、これはあくまで指導であって強制力はないというようなものでありますか、まずその点をお尋ねいたしたいと思います。
  28. 板垣修

    板垣政府委員 第一に昨年と同じだという御質問でございましたが、これは実は御指摘国内生産施設等援助をするとか、不当なる利潤を吸い上げるとかという点についての御質問は全然同感であります。またそのやり方につきまして方法がきまっておりませんでしたので、昨年の外割の仕方について、需給調整協議会方式をとったということを申し上げたのであります。  次の御質問の、需給調整協議会扱い方につきましては、実は昨年は外割条件にはしていなかったのでありまして、これはいろいろな関係上、こういうような任意団体に対する加入外貨割当条件にするということが、昨年といたしましては踏み切れませんでしたので、一応外割はしますが、この調整協議会加入させるという行政指導でわれわれはやり得ると思ってやって参ったわけであります。しかしながら過去の経緯によりますと、これが十分にやれないということになったのみならず、今度のようないろいろな問題を惹起いたしましたので、今度の新しい方針といたしましては、これをはっきりと外貨割当条件にしたいという考えであります。
  29. 鈴木善幸

    鈴木(善)小委員 局長の御答弁でだいぶ明らかになったのですが、昨年は外貨割当に当っては条件をつけずにやって、行政指導の面で需給調整協議会に入るように指導をしてきたという御方針であったが、ことしはその経過から見て、今度は外割の際の条件とする、こういう御答弁でございましたが、これは需給調整協議会に入った者でなければ外貨割当はしないということでいくのでありますか、それとも外貨割当条件として、需給調整協議会に入ることを条件として外割をするといういき方でありますか、為替管理法の面からいってそういう条件がつけられるのであるか、その点をお尋ねしたい。
  30. 板垣修

    板垣政府委員 その条件つけ方につきましては、まだ最後的な結論に達しておりませんが、私の今の考えとしては、やはり需給調整協議会メンバーたる輸入実績者に割り当てるという方がいいように考えております。
  31. 鈴木善幸

    鈴木(善)小委員 だいぶ明確になって参りました。需給調整協議会にはっきりと入った者、これは過去二年間にわたって当局指導して参ったわけでありまして、突如としてそういう条件を付するのではございませんから、この二年間にわたり行政指導の上に立って、すでに誠意をもって需給調整協議会に入っており、そして輸入実績を持っている者に外割をすることが自然でもあり、妥当な方針ではないかと私も思うわけでありまして、ぜひさようにお進み願いたいと思うわけであります。なお需給調整協議会に対する負担金、つまり内地ノリ養殖業者に対する奨励金支出につきまして、非常に怠っている者が多いようでありますが、この面について、今後これを改善するというような指導は、どういう形においてお進めになりますか。
  32. 板垣修

    板垣政府委員 いわゆる需給調整協議会に対する協力費支出につきましては、従来延滞しておった者も相当ございますので、これに対しましては、最近私の名前をもって延滞至急納めるように勧告しております。なお今後新しいノリ輸入の仕方といたしまして、需給調整協議会メンバーのみに外割をするという方針をはっきりすれば、当然こういう問題はなくなるものと確信をいたしております。
  33. 鈴木善幸

    鈴木(善)小委員 私はさらにもう一つの観点から通商局のお考えをただしたいと思います。それは内地生産ノリとの関連における需給調整の問題と、過当な利益の収奪を排除いたします点と、この両面からいたしまして、むしろ先般国会を通過いたしましたところのバナナパイソ等を対象とした特殊物資輸入臨時措置法のあの特別会計によってこれを扱いまして、政府が一般のノリ価格とにらみ合せた妥当な価格でこれを払い下げて、その価格差特別会計で吸い上げまして、これを内地ノリ増産のために使う、また政府がこれを払い下げるわけでありますから、その払い下げに当っての内地ノリとの需給関係適確に合理的にいたしますために、政府諮問機関として内地生産者あるいは配給業者等を含めた需給調整協議会というような諮問機関意見を徴しながら、政府が適当な時期に適当な数量を逐次払い下げていくということでありますれば、きわめて計画的に合理的にこの需給調整がなされるのではないかと思うわけでありますが、こういうような御措置をとる御意思があるかどうか、この点をお尋ねしたい。
  34. 板垣修

    板垣政府委員 御指摘通りノリ需給調整及び過当利益吸収という見地から、何らかの措置をとることについては私ども賛成であります。ただそのとり方の方法といたしまして、関税でいくか、寄付金でいくか、特定物資に加えて差益徴収政府でやるか、この点についてはまだ結論が出ておりませんが、今までの一応の結論といたしましては、関税は急には間に合わない。寄付金としてもあまりにもばく然としているということで、やはり特定物資でいくのが一番いいのではないかという気持でただいまおります。ただノリの場合は非常にむずかしい問題がございまして、第一に吸収方法といたしまして、バナナなどのように、非常に単純な価格、品種になっておりません。ソリといたしましてはいろいろな種類がございますので、これを技術的にどういうふうに吸収するか、そういう点がまだ今後研究をいたさなければならぬと思っております。それから使途につきましても、直接今の特定物資法案で参りますと、一応産業投資特別会計に入ることになっておりますので、それから果してノリその他の水産物の施設の方への援助ということにすぐ結びつくかどうか、こういう点もなお大蔵当局とも検討しなければならぬ問題が残っております。それから需給調節の問題につきまして、諮問機関にかけて払い下げを適宜やっていくという問題につきましては、これはやはり政府買い上げというような形でないと困難と思いますが、なおこの点につきましては、もし水産庁の方で御意見がございましたらお答えを願いたいと思います。
  35. 鈴木善幸

    鈴木(善)小委員 私は、バナナパイン等でございますれば、これは国内生産物との競合関係というものがあまり考えられない物資でございますから、主として過当利潤吸収という問題に限定して考えていいのではないか、こう思うわけであります。ところがノリの場合におきましては、過当利益吸収のほかに、国内産のものとの競合関係需給調整、こういう一番大事な面があるわけでありまして、そういう面からいたしましても、私は、バナナパインよりも、もっと政府が掌握、管理できるような方法でやらねばならない。それには、バナナパイソの場合でさえも特定物資特別会計で扱いましてやるのでありますから、それにさらに国内との競合関係を排除するような需給調整をはかるという面からいたしまして、この特定物資の制度で扱っていくことが一番妥当ではないか、こう考えておるわけであります。ただいま局長の御答弁で、政府もその点について、目下そういう点をもあわせて御考慮になっておる。ただ吸い上げたその差益は産投特別会計に入るのであるから、それが果してノリ増殖の奨励金として支出できるものであるかどうか、あるいは需給調整をやるために民間の意見をどういう工合にして聞いていくか、取り入れていくかという問題等につきまして、慎重に御検討中のようでありますが、いずれにいたしましても、私は過去の経験からいたしまして、個々の業者外割をし、需給調整協議会意見を聞くとはいいながら、個々の業者が販売権を持って販売していく、こういうような形を、政府行政指導で確実に掌握していくということは、非常に困難性があるように思うわけであります。そこで、この際従来のやり方を根本的に再検討して、別な制度によって、需給調整等も確実に計画性をもってはかり、そして過当利益吸収もできるような制度を、観点を変えてもう一つ深く検討してみる必要はないか。この点を私は板垣局長に御提案をいたしまして、せっかく御研究をわずらわしたい、こう思うわけであります。  それから水産庁の岡井次長にお尋ねいたしたいのでありますが、今まで韓国ノリ輸入につきましては、外貨の面から通商当局が中心になって当っておられるようでありますけれども、この需給調整の問題、国内ノリに与える価格面等の影響、こういうものを考えますと、これは通商当局だけにおまかせしておくべき問題ではない。水産行政をやっておられるところの水産庁は、これに対してもっと熱心な行政指導を加えられる必要があったのではないか、こう思うわけであります。なお国内ノリの養殖事業も各地におきまして、最近沿岸漁業の振興、浅海増殖の振興というような観点から、相当ノリ生産面の技術指導等がなされてはおりますけれども、これは政府がもっと力を入れて参りますれば、韓国から入れますところの百万束程度の増産は、一両年を出ないでその程度の生産の増加は可能である、これは易々たるものである、こういう工合に考えておるわけであります。従って私どもといたしましては、韓国ノリ等の輸入をしなくとも、国内の増産によって十分これをまかない得る態勢を、水産行政を推進される水産庁として考えなければならないのではないか、こう思うわけでありますが、これらの点につきましての御所見を伺っておきたいと思うのであります。
  36. 岡井正男

    ○岡井政府委員 ただいまの鈴木先生のお言葉は、私たちも大体において同様の考えを持っておるのでありますが、ただ御指摘、御注意を受けましたように、今まで通産省の方の考え方に、人の仕事みたいなのんきな顔をしておったのじゃないかと言われる節があるかもしれませんが、早く言いますと、ノリ輸入のみならず、オール水産物の輸入につきましては、別途漁業としては対韓国関係国民感情といいますか、漁民の感情問題もありまして、理外の理というような関係上、通産省に対しては、私たちは相当しぼった考え方でいてほしいというような注文をつけることを先にいたしましたために、具体的な問題については、御指摘、御注意があったような点があるかもしれませんが、今後は通産当局と十分緊密な連絡を保ちつつ御注意に沿うように努力いたします。  次に内地ノリの増産をもう少し飛躍的に進めていって、他から輸入をするということがないように努力しなければいかぬじゃないかという点につきましては、しごくごもっともでございまして、予算上はいささかではございますけれども、技術指導といたしましては、たとえば従来の広範囲な種場を要するような行き方でなくて、人工で種を簡易に集約的にとるというような試験研究の結果のデータを、直ちにこれを実施奨励によって実現化するというような明年度の行き方、また未開発漁場といいますか、そういうものがなお相当全国的に残っておるというようなのを、中央試験機関はもちろんのこと、府県の試験機関とも連絡をとらせまして、なるべくそういうものは早目に採算のとれる漁場に移行するような指導をしよう。また新農村計画の中にもノリ漁場の拡大というようなのはとられていこうという空気もあるし、またわれわれもそれを推奨するように、過般の試験場長会議などでも具体的に連絡をしたような次第でありまして、御注意の段々はわれわれとしても十二分に勘案いたしまして施行いたしたい、かように考えております。
  37. 田口長治郎

    田口委員長 別に御質問ありませんか——それでは今まで論議されましたそういう線に沿うた今年度の外貨割当の具体的計画などについて、公式でなくてよろしゅうございますから、来週なるべく早く一つ当委員会提出願いたいと思います。  ちょっと速記をやめて下さい。   〔速記中止〕
  38. 田口長治郎

    田口委員長 速記を始めて。  それでは韓国ノリの問題につきましてはこの程度にとどめます。     —————————————
  39. 田口長治郎

    田口委員長 ただいまより漁業共済に関する問題について調査を進めます。質疑を行います。鈴木善幸君。
  40. 鈴木善幸

    鈴木(善)小委員 漁業共済制度の問題は、これは長年にわたる漁業関係者の熱烈な要望でありまして、当農林水産委員会におきましても、現在行われておりますところの農業災害保険制度と同じような根本的な制度の確立を要望いたしておるのでありますが、現在政府がせっかく調査検討中でございますために、また一面これに具体的な資料を提供いたします一つの試みといたしまして、水産業協同組合法の一部を改正する法律を議員提出で制定をいたしまして全国水産業協同組合共済会に従来の施設共済と申しますか、そういう仕事だけでなくて、漁具共済保険あるいは漁業共済保険さらに漁民更生共済保険、こういうような仕事ができますように協同組合法の改正をいたしたことは御承知の通りであります。全水共におきましては、この法律の改正に基きましてさっそく準備を進めておりまして、漁民更生共済の面につきましてはすでに仕事を開始いたしておるのでありますが、漁具共済保険と漁業共済保険につきましては、まだ政府の認可が下りておりませんために実行に移されていないわけであります。私は、この全水共におきましてすでに成案を得ております団体による共済保険制度を実行に移すことが、政府が現在いろいろ調査検討しておりますところの根本的な制度の確立の上にも有力なる参考になるものと考えます見地から、一日も早くこの共済保険制度を実施するように政府は積極的に指導すべきものだ、こう考えておるのでありますが、これに対してどういうお考えでありますか、まずこの点をお尋ねしたいと思います。
  41. 岡井正男

    ○岡井政府委員 ただいまの全水共の方から認可申請が出ている案について、もう少し政府の方が掘り下げて早く仕事に入るように助長したらどうかというお話でございますが、実はもう長官と私あるいはまた関係課長を交えまして、掘り下げて全水共の行き方についても論議を戦わし、さらに内部的な意見も加えて、一つスタート切った以上は間違いなくいけるという確信のもとに進めるようにいたしたい、かように考えておりましたが、次々と起るいろいろな問題のために遅延いたしておりますので、この点はまことに申しわけなく存じておりますが、一つなるたけもよりの機会に早く、もう少し確信を得るように官民ともに研究を進めて、御説のように見通しさえつければ、少しでもすべり出せるようにいたしたい、かように考えております。
  42. 鈴木善幸

    鈴木(善)小委員 私はこの問題につきましての水産庁のお考えを再三伺っておるのでありますが、ただいま岡井次長からお述べになりましたようなお話の域をいつも出ない。それを繰り返しているだけでありまして、全く足踏み状態になっているように思うのであります。これは先ほども申し上げましたように、政府がせっかく調査検討を加えております根本的な制度への一つの跳躍台にもなる、実験台にもなるというようなことでありますから、私は早く踏み切ってこれを実行に移す必要があると思う。昨年水協法の改正以来だいぶ日時経過いたしているのでありますが、漁民が非常な要望をしておりますこの問題、全水共の案の一体どこがまだ割り切れない問題であるか、どの点をどういう工合にすべきであるかという具体的な問題につきまして、きょうは漁船保険課長もお見えになっておりますから、そういう点を御発表になって、当委員会委員諸君も非常に熱心に御研究なさっているわけでありますから、この際それらの点につきまして、もう少し掘り下げた審議を進めたい、こう思うわけであります。そういう意味で全水共から出ております案につきましての具体的な、政府の御検討の結果どういう点がどうであるという点を御発表いただきたい、こう思うのであります。
  43. 中村正路

    中村説明員 ただいままで私の方でいろいろ調査しましたのは、主としてノリ、カキの養殖業に対する災害の調査、これは漁獲の方と、それからカキにつきましては、施設についても災害の危険率その他を調査いたしました。それからさらに定置漁業についても同様の調査を行なっております。さらに漁業協同組合が自営で行なっておる漁業についてのこれは収獲でございますが、収獲についての調査を行なったわけでございます。この結果をかいつまんで申し上げますと、ノリ、カキにつきましては、私の方の調査結果では非常に危険率の高い数字が出ております。そしてカキの施設についても相当高い危険率になっております。また定置の漁業につきましては、これも漁具の全損という点だけを取り上げますと六%、年間に七%あまりの危険率、これも決して低い数字ではないと思いますが、さらに分損も加えますとこれもかなり高い危険率になっております。こういう関係で、こういった高い危険率についてかりに制度ができるとしても、あとの運営なりあるいは加入なり、そういったことがうまくいくかどうかという点に実は疑問を持っておる。これに対しまして協同組合の自営漁業というものにつきましての収獲の点を見ますと、これは今まで調査しましたもののうちの他のものに比べましては一番低い危険率が出ております。これの原因につきましてはおそらく自営漁業というようなものは、これは協同組合がみずから営むに当って危険のものには手を出さないというようなことが作用しまして、比較的安定した漁業が自営の対象になっているのではないかというふうに考えられるわけであります。これに対してただいま全水共の方のお話がありましたが、実は私の方もこういう調査をやるに際しては、全水共と連絡をとりながらやっておるわけでございますが、全水共の方も私の承知しておる範囲では、直ちにこれを実施するというところまで決意がまだ固まっていないのではないかというふうに私は考えられるのであります。一応全水共の案というのも前からいろいろ出ております。そして私の方とも検討しながら進んでおりまして、案もだんだん変ってきておりますが、最近の案では、このただいま申し上げました一番危険率の低く出ておりまする漁業協同組合の自営漁業、それから実ば名前は自営漁業ではないが、村張等の網あるいは全村の大部分が共同してやっておるという、事実上自営に準ずるもの、こういうものの範囲に限りまして発足するのが、先ほど鈴木先生のおっしゃられましたような意味でもいいのじゃないかというようなことを考えておることは聞いております。しかしこれをスタートさせるためにば、まだ末端といいますか、やっていく上に手足となるような組織の問題もあると思いますし、それからモーラル・リスクをどうやって防ぐというような点、それからさらには、一番これも大事な点だと思いますが、漁獲高を正確に把握するにはどうしたらいいかというような、そういった点の解決がまだついていないわけであります。従いましてこういうものも並行的に調査を進めまして、そういったものの見通しがついてから実施するのがこれは一番よいことではないか、そういうふうに考えております。
  44. 鈴木善幸

    鈴木(善)小委員 ただいまの中村課長の御説明についてでありますが、そといたしますと全水共の方からはまだ漁業共済についての共済規程の認可という正式の申請がなされていないようでありますが、その辺はどうなのでございますか。
  45. 中村正路

    中村説明員 私、所管が違うのではっきりしたことは申せないのですが、おそらく申請が出てくるとすると経済課の方に出てくると思います。出てきた場合はおそらく私の方にすぐ連絡があると思うのでございますが、私はまだその連絡を聞いておりませんので、これは申請書は出ていないのではないか、こういうふうに考えます。
  46. 鈴木善幸

    鈴木(善)小委員 実は私ども国会の方の非公式なことでございますが、全水共の方からは、先ほどお話がありましたようなノリとかあるいはカキとかあるいは定置とかいうようなものを除きまして、協同組合の自営漁業について、あるいは自営漁業に準ずる経営形態のものについて、さらに共同販売を確実にやっておるものを対象とした範囲のもので相当具体的に固まった案が提案されまして、いろいろ説明も聴取をし、これにつきまして私ども意見も申し添えまして、相当程度固まってきておるように思うのであります。そういうような案の内容を水産庁の方ではまだ御承知ないのでありますか。水産庁は全水共の案とは別個に、独自に、全水共にやらせる場合はこうでなくちゃいけないということで、全水共の案とは離れて独自の調査研究をなさっておる、こういうことでありますか、その辺のことを伺っておきたいと思います。
  47. 中村正路

    中村説明員 水産庁といたしましては、実はもしこの共済制度というようなことが実現できるということになれば非常にいいことではあると思うのですが、できるだけ広い範囲にわたってやりたいというようなことで、実は非常に欲ばったような考えを持って、そしてそれの基礎の資料と申しますか、そういったものを広く調査いたしまして検討していきたい、こういうふうに考えてやっておるわけでございまして、当初は全水共も大体そういう行き方ではなかったかと思うのでございます。全水共がこの種類を非常にしぼったのは、実は昨年やりました自営漁業についての資料で、比較的危険率が小さく出た、その他のものについてはかなり大きいというような点から、最近自営漁業をしぼった案で出て、私の方もこの案については見せていただいておるわけでございます。国がやるという場合には果して自営だけでいけるかどうかという点もございますので、私の方としては全水共のしぼったそれだけで進むというところまでまだいっておりません。  なおただいま共同販売にかかっておる漁業についてもというようなお話がございましたが、実は共同販売に大部分がかかっておる、そういう漁業の危険率その他はどうかという問題は、まだ調査が済んでいないのでございまして、私の方としましては本年度これを行う予定でございます。全水共の方とも大体昨年もいろいろ打ち合せしたときに、一度にはできないので、三十一年度には一つ共同販売にかかっておる漁業をやろうではないかというような話し合いをしておるのでございまして、この結果を見ませんと、共同販売にかかっておる漁業まで取り入れていいかどうかという結論は、調査の結果が出てきませんと、何とも申し上げかねると思います。
  48. 鈴木善幸

    鈴木(善)小委員 岡井次長にお尋ねしたいのでありますけれども、今までの中村保険課長の御説明を承わっておりますと、民間の団体でありますところの漁業共済事業と、政府が目下調査険討を加えております根本的な漁業災害補償制度と両方からみ合っておりますために、私どもが当初意図いたしましたところの根本的な制度は、農業災害補償制度の現状から見ても相当時間をかけて慎重にやるべきであるが、しかしその基礎的な点を制度的に固める有力な一つの基盤として、民間団体で実行できるものからやらしたい、こういう国会側の考え方とが今、両方からまっておりますために非常に時間的におくれておる、これは事実だと思います。これは余水共の方からいろいろ事情を聞いておりますが、どうも水産庁へ持っていくと、根本的な完璧なものを考えるために、やれるものからやらしていくという民間団体の行き方にブレーキをかけてくる、これが少しもこの問題が具体的に発展できない根本の原因のように私は思うのでありますが、そこで今後水産庁としては、大体自信のついたところの自営漁業なりあるいは村張なり、そういうようなできる範囲のことを民間団体でやります場合には、根本的な制度の成案とは切り離してその認可をして、これを実行に移されるという方針に切りかえるべきだ、はっきりそうやるべきだ、それがまた国会が水協法を改正をしてやらせようとした立法の趣旨でもございますので、その点を一つはっきりこの際方針をきめていただきたい、こう思うのでありますが、どうぞ一つその点を……。
  49. 岡井正男

    ○岡井政府委員 ただいまの鈴木先生の御意見はごもっともでございまして、私を初め中村課長にしても、これは水産庁の公人としてでなく、いわゆる技官仲間としての個人的なささやきとしては、時間があまりにたち過ぎるということは、非常に理想案を作るとしても、全水共の言うように手っ取り早く、とにもかくにも始めるという行き方の方があるいはいいかもしれぬという気もするというようなことを話し合ってはおるわけであります。しかし一たび水産庁全部の総合的な考え方を取りまとめた場合には、結論的には、せっかく水産関係の国会議員さんのお骨折りによって、新年度の予算に調査費も入れたことだし、今度は全国的に府県の地方庁も総動員して、さらに調査の具体化を進めるということになったのであるから、それの見合いをして、できるものならばよりいい、範囲も広げたような結論を得てやった方がいいじゃないかという空気が多いわけであります。しかしせっかく鈴木先生のお話でございますので、私たちも帰りましたら、なるべく早く、そういったものを手っ取り早く、全水共の行き方をこの際のんでやらしてみようか、あるいはやはり延ばすかという点をきめるようにいたしたいと思います。ですから、長いこととは申しませんから、もう少し内部的な意見を取りまとめる間の御猶予をいただきたいと思います。
  50. 鈴木善幸

    鈴木(善)小委員 大体水産庁のお考えも、自営漁業と村張程度の自営に準ずる範囲では危険率も少いし、モーニル・リスクも十分排除できる、こういうようなことで全水共の意見ともこの範囲では一致しておるように思うのであります。私どもこの範囲でできるだけ早く実行に移す、これがまたひいては将来全般的な基本的な漁業災害補償制度の確立の上に大きく寄与するものである、こう考えますので、ぜひこれは速急に実現をしてもらいたい。  それからなおこれに関連いたしまして、組合自営の漁業につきまして、漁業共済の制度が実施されますれば、現在行き詰まっておりますところの沿岸漁業から、組合の協同化によって、生産の協同化によって、あるいは沖合いあるいは遠洋、こういう方面の漁業の民主化をも助長しながら沿岸漁業の振興対策として大きく発展できるものと考えるわけであります。そういう観点からいたしましても、この生産の協同化、協同組合の育成、その裏付けとしての漁業共済制度というものが非常に喫緊の要務だ、こう考えますので、範囲は非常に狭くて漁業全体から見れば不十分でありますけれども、この範囲だけでも一日も早くこれは実行に移すべきものだ、こう考えるわけであります。どうか、もし全水共からそういうような意味合いで共済規程の認可の申請がありましたならば、全体と切り離してでも、速急に御審議を進められまして、実行の早くできますことを強く要望いたしまして、私質疑を終ります。
  51. 田口長治郎

  52. 川村善八郎

    ○川村(善)小委員 私はこのたびのソ連のとられました北洋漁業の問題全体については、いろいろ意見も持っておりますし、水産庁長官も御出席を願い、でき得るならば農林大臣の出席も願って、十分われわれの意見も開陳し、またこのたび代表として行かれる方々の決意のほどもあるいは考えている二と等も伺いたいのでありますけれども、そのことはいずれ機会もありましょうし、また細微に入るようなことも時期ではないと思いますので、その北洋漁業との関連性において、今共済に関する二、三のお尋ねを申し上げたいと存ずるのであります。幸い今度の代表の方々が行かれて、円満に解決つくならば、私の心配している問題は杞憂に帰すということで幸いでございますけれども、おそらくはあまり円満な、しかも日本の望むような解決がつかぬのではないかという考え方からお伺いするのでおります。  まず漁船の拿捕保険でございます。大体李ライン等の問題を見ましても、拿捕保険等をかけておらないために、あとで国が措置しなければならないということが相当に起きたのでございます。もちろんこれについてはわれわれも取り上げまして、救済の道は講じたとはいいながら、やはり制度があるにもかかわらず、その制度を活用しなかったということで、非常に漁民そのものも困り、国も迷惑をこうむっておるという点がありますので、水産庁といたしましては、もちろん今後に残された問題でお考えでしょうけれども、拿捕保険をつけていくことがいいかどうかという根本的な考え方を持っておるかという一点でございます。私は率直に言いまして、拿捕保険は考えておかなければならぬじゃないか、いつでもつけられる態勢をとっておくことが必要でないか、かように考えておるのでございます。そこで百トン未満の問題については大体解決がつきましょうけれども、御承知のように、母船式漁業には、母船を初めとして相当大きな運搬船が十数隻付属して行くのでございますが、これについての保険は現在ないのでございます。いわゆる拿捕保険ということがないのでございます。そこで先般から、この問題で関係者が集まってるる相談をしておるそうでございますが、保険会社はこういうふうな事態になると、母船などに拿捕保険をつけた場合には、保険会社をつぶさなければならぬではないかということで、拒否をしたということを聞いたのでございます。そうなりますと、円満に解決つけるということは、先決にはなりますけれども、もし不幸にして円満な解決がつかないために、出漁して、母船を拿捕されたということになると、拿捕された母船会社はもちろん致命的なものにはなりますけれども、国としても大きな問題として取り上げなければならないのでありますが、こうしたようなことを考えて、いわゆる独航船並びに運搬船等について拿捕保険を奨励するとかいった、言葉はどうかとも思いますけれども、そういうことを考えておるかどうか、この一点をお伺いしたいと思います。
  53. 岡井正男

    ○岡井政府委員 拿捕保険は、あくまでも本人の自由意思によりましておつけを願うということで、役所の方では、今まで中共地区におきましても、対韓国沿岸の出漁に際しましても、強要はしてきていないわけでございます。これは従来もつけております船が相当ありますし、こういうふうな時期でございますから、多分ことしは独航船並びに運搬船も千トン未満の船は拿捕保険の利用ができるわけでございます。川村先生は百トンとおっしゃいましたが、それは川村先生の発音が間違ったと解釈しますが、千トン未満の船であれば、つけられますので、おそらくみなつけていくのではあるまいか。母船においても、乗組員の給与保険につきましては、これはいくら大きくても適用がされますので、この方はおそらくつけるような雲行きのように私どもは聞いております。
  54. 川村善八郎

    ○川村(善)小委員 それは、今次長が言われたように、百トン未満の船については、大体つけるという考えを会社が持っておるようであります。いわゆる千トン以上の運搬船については拒否的な態度に出ている。率直に言いますと、私の方にもありますので、それを関係者とともに要望したところが、拒否をしているという態度に出ていることが明らかになったので、水産庁は、そうしたようなことを聞いた場合に、関係者を集めて、ぜひつけるような方向に持っていった方がいいという気持になって、せっかく今後進められるかどうかという問題を聞いておるのでございます。私は率直に申し上げますと、そういう拒否をしているような態度にならないように、水産庁は進めていただきたいということで、この問題はこれで打ち切ります。  第二の問題は、給与保険でございます。抑留者の保険でございますが、これも同様にかならずつけさせなければならぬではないかということでありますので、やはり水産庁からそれぞれ関係者を呼んで、こういう場合であるから、万遺憾なきを期するよう指導すべきである、かように考えるのであります。  それから先ほど鈴木君も触れておりましたが、漁網保険の問題でございます。今合成繊維の網については保険がありますが、非常に保険料が高い。そうして全損になった場合でも、五割くらいの保険料しかもらえない。それから一部の流失したもの等については一割か二割、掛け金よりも不足な保険料をもらうといったようなことで、実際にそれが実施されておりません。そこでわれわれの方とすれば、毎年二割くらいの網が流されるので、自主的に共済の制度をとっております。言いかえるならば、業者お互い同士が出し合って、そうしてある一船でも二船でも網が流されたという場合には、お互いの犠牲においてそれを負担するというようなことをやっておるのでございます。これは保険制度からいくと違反だ、こう言って指摘されておるのでございますが、これが果して違反かどうか。言いかえるならば、保険というものは、強制加入でない限りは自主的にやるべきだ、自主的にお互いが助け合いをするというように良心的にやっていく、それを違反だといってきめつけてしまうことはどうかと思うのですが、果して違反かどうか、これをはっきりこの際お伺いいたしたいと思います。
  55. 岡井正男

    ○岡井政府委員 ただいまのある関係業者だけがグループを作って、その範囲内でそれぞれで持っている漁具の共済制度式なものをとった場合に保険法にひっかかるかどうかというような問題は、帰りまして至急に研究して、次期にそれをお答え申し上げたいと思います。
  56. 川村善八郎

    ○川村(善)小委員 研究はもちろんしていただかなければなりませんが、私はむしろそういったお互いが助け合うという制度をとることを奨励していくことがいいのではないかと思う。ということは、先ほども鈴木君が指摘されたように、われわれも納得がいき、業者もあるいはその機関も納得がいってやろうとするものを、水産庁はあまり慎重過ぎてなかなかやっていけないとするならば、日々損害のある漁民だけが犠牲になるので、その犠牲を最小限度にとお互いに助け合っていくことはむしろ奨励すべきだと考えておりますので、一日も早くその問題を調査いたしまして本委員会に報告を願うと同時に、違反として取り上げられたのでは非常に迷惑をいたしますので、もし法律がそうなっておるならば、われわれは法律の改正もして——自主的のお互いに助け合うといういい方法を何のために法律違反ということできめつけるかということを考えておりますので、われわれはお互いに助け合いをするという方向にぜひいかせたいと思いますから、なるべく早くこの問題の結論を出していただきたい。  それから、実は北洋漁業の問題でかようになりましたので、本委員会なりあるいは別な機会を作って、十分水産庁長官にも農林大臣にもそのことを申し上げ、意見の交換もしたいと思いますけれども、とりあえず今動揺している問題の措置という点から申し上げておきますが、聞くところによりますと、今度代表団が行くのですが、その結論が出るまで出航を延期したらどうかということで水産庁考えておるとか、あるいは農林大臣も考えておるとかいうようなことを聞いたのですが、それによって非常に動揺しております。まず業者そのものの動揺することは当然でございますが、銀行等もそれによって資金を出し渋るということになるのでありまして、今は建造中の独航船等もできてしまったが、造船所からおろされないといったようなことや、おろしてもその設備等が十分にできないといってわれわれの方にずいぶん泣きついてきております。でありますから、少くも既定方針でいくということを水産庁長官も発表し、農林大臣も発表している以上は、会議がまとまるまとまらぬにかかわらず既定方針通りいくのだということをあらためて言って、これの出航を見合せる、延期するといったようなことを社会に発表し、いささかも不安のあるようなことをしていただかないということだけは、まず長官にそして農林大臣にも、どうか次長を通じて一時も早くそのことを伝えて、そういうことのないように御注意をわずらわしたい、かように考えます。  以上で私の質問を終ります。
  57. 岡井正男

    ○岡井政府委員 今、川村先生は答弁をあえてお求めにならなかったのでございますが、農林当局といいますか、水産庁の態度といたしては、ソ連がああいうようなアドバルーンを上げたからおびえて出航を見合せるとか、結論が出るまで出航を差し控える方がいいということは、全然私の方の役所からは出しておりません。むしろ既定の許可方針通りみな勇んで御出航なさることを私の方は希望しているわけでございます。
  58. 鈴木善幸

    鈴木(善)小委員 川村委員の御質問に関連して二、三お尋ねしたいのであります。それは北洋漁業につきましては、あらゆる場合を想定いたしまして、政府としては万全のあらゆる用意をする必要があると思いますのでお尋ねいたしたいのでありますが、特殊保険と乗組員の給与保険、これの海域の指定はあらためて指定しなくとも、北洋全般に特殊保険と給与保険は適用されるようになっておりますかどうか、まずこの点をお尋ねしたいと思います。
  59. 中村正路

    中村説明員 全部適用されるようになっております。ただし特殊保険の方には種類が二つございまして、機雷、浮遊機雷といったような水中の爆発物だけに適用される場合と、それから拿捕に対しても適用されるものと両方あるわけでございます。浮遊機雷の分につきましては、太平洋岸は除かれております。除かれているということは、これは普通保険でよろしいということであります。
  60. 鈴木善幸

    鈴木(善)小委員 次にお尋ねしたいのは、先ほどの御説明で、千トン未満の船に限りまして特殊保険に加入できるということでありますが、将来あらゆる事態を想定いたしまして、これを千トンに限定いたしませんで、運搬船、漁船等あらゆるものに、この特殊保険を国の制度として拡充するような御研究をなさっておりますかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
  61. 中村正路

    中村説明員 その点は検討いたしております。ただ私の方の保険は、もとになりますのが普通保険でございまして、特殊保険はその一つの特約という格好になっております。普通の保険の方は、主として中小の漁船が中心になっておる制度でございまして、出発当時から目的とする船は千トン未満の漁船だと限定されておるのであります。こういった事態になって参りましたので、これを撤廃した場合にどうかという点につきましては、ごく最近でございますが検討いたしております。
  62. 鈴木善幸

    鈴木(善)小委員 今の漁船の、普通保険との関連におきまして、特殊保険がなされておりますので特にお尋ねしたのでありますが、私はさらに掘り下げまして、千トン以上に漁船保険を拡大いたしますと、今までの漁船保険制度、国が再保険しております制度全体に響いて参ります関係から、いろいろ研究を要する点があると思うのでありますが、民間の海上保険に加入しておりますものを対象といたしまして、その上に特殊保険だけの面を国の制度として加入ができるようにするというような考え方も検討の要があるのではないか、こう思うのでありますが、そういうことをも含めまして目下検討中である、こういうことでありますか、重ねてお尋ねいたします。
  63. 中村正路

    中村説明員 私が特約だと言ったのが少し説明が不足しておりましたが、特殊保険に限りましては、それが原則でございますが、会社保険に入っていて——会社の方では何か百トン以下の特殊保険は従来受けなかったというような話も聞いておりますが、会社保険に入っているが、特殊だけ私の方にもっけたいというものについても、千トン以下のものについてはただいまのところ引き受けるようにしております。ですから千トンの線を取り払った場合には、これは普通保険の方もそのままといたしますと、大体普通保険に入っております漁船の平均トン数は、昨年度ではたしか七トン程度でございまして、そこへ大きいのが入ってきた場合に、もし全損事故が起ったときには、全体に対する影響が非常に大きい。そういう点をどういうふうに調整するかという点で実は苦慮しておるわけであります。  それから、これは御参考までにお聞き願いたいと思いますが、従来会社の方でも特殊保険を引き受けていたということを聞いております。これはもちろん母船だけかと思いますが、そういう大きな船を引き受けてきたわけでございます。ことしは何かああいうふうな格好で、引き受けが非常にむずかしくなっておるというふうなことも聞いておるのでございますが、これについて本日もなお寄り寄り母船会社の方でも、どういうふうに対策を講ずるかというようなことをやっておるということも聞いておりますので、そういうことの結論と申しますか、意見を参考にいたしまして検討していきたいと考えております。
  64. 田口長治郎

    田口委員長 委員長からもちょっと要請しておきますが、現下の情勢からいたしまして、千トン以上の北洋出漁船に対しても何らかの方法で特殊保険に加入させる必要があるのじゃないかと考える次第でございますから、普通保険は民間保険に加入しておるものでも、国の特殊保険に加入できるような道をぜひ至急研究していただきたいと要望しておきます。  それでは本日はこの程度にいたしまして、散会します。    午後三時五十四分散会