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1956-08-03 第24回国会 衆議院 農林水産委員会水害による農林災害に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年八月三日(金曜日)     午前十時三十九分開議  出席小委員    小委員長 松浦 東介君       吉川 久衛君    笹山茂太郎君       助川 良平君    石田 宥全君       川俣 清音君    神田 大作君       平田 ヒデ君  小委員外出席者         議     員 赤路 友藏君         議     員 稲富 稜人君         総理府事務官  及川 角壽君         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         大蔵事務官         (理財局地方資         金課長)    堀口 定義君         大蔵事務官         (国税庁徴収部         長)      飯田 良一君         厚生事務官         (社会局施設課         長)      鶴田  寛君         農林事務官         (大臣官房長) 永野 正二君         農林事務官         (大臣官房総務         課長)     伊達  博君         農林事務官         (農林経済局農         政課長)    保坂 信男君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    和田 正明君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  野田哲五郎君         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      清野  保君         農林事務官         (振興局参事         官)      庄野一郎君         農林事務官         (畜産局畜政課         長)      丸山 幸一君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      仰木 重藏君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部金融課長) 安達 次郎君         郵 政 技 官         (簡易保険局次         長)      中村喜代嗣君         郵政事務官         (簡易保険局運         用課長)    北脇 信夫君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (河川局防災課         長)      山内 一郎君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  東北北陸地方における七月中旬の水害対策に  関する件     —————————————
  2. 松浦東介

    松浦委員長 それではこれより昨日の小委員会に引き続きまして、農林水産委員会水害による農林災害に関する小委員会を開会いたします。  昨日の第一回の小委員会におきましては、主として農林省当局と本小委員会委員同士におきまして、懇談の形式で今回の水害に対する内容についての報告を求め、意見の交換をいたしたのでありますが、本日は最初農林省から、今度の水害についての農林省のとった処置等について御報告を求め、引き続いて政府に対して質疑を行いたいと思います。なお本日は昨日の申し合せによりまして、大蔵省自治庁郵政省建設省通産省厚生省からそれぞれ係官が出て参っております。  それでは最初農林省から報告を求めます。
  3. 永野正二

    永野説明員 七月の十四日からその後二、三日にわたりまして、東北北陸方面に非常な豪雨がございまして、そのために各地の農地その他の農林水産業施設、あるいは農作物に対しまして相当な被害を及ぼしておることが判明をいたしましたので、農林省といたしましては、その善後措置参考にいたしますために調査班を組織いたしまして、振興局及び農地局担当官を派遣をいたしました。十八日には、石川、新潟方面に、十九日には二班に分ちまして福島、山形、宮城県方面にこれを派遣いたしたのでございます。  その後、各方面からこの水害対策につきましていろいろな御要望があるのでございまするが、この被害面積及び程度につきまして、なおある程度確実な見通しを得ました上で、従来の災害対策等参考といたしまして、できるだけ現地の御希望を取り入れ、農民諸君被害を軽減いたしますための対策をとりたい、こう思っておる次第でございます。
  4. 松浦東介

  5. 助川良平

    助川委員 ただいま農林省の方から、それぞれ今度の水害に対する対策についての考え方をお話し願ったのですが、昨日もいろいろお話し合いをいたして参りまして、統計調査部の方における被害数字につきましてはおおよその統計もでき上っておるように伺ったわけでございますし、それぞれ今日まで災害対策として確立して参りますための諸般方策について決定されておるよう方式があるわけでございますので、もう少し具体的な農林省考え方をお示し願えるものと期待をいたしておったのですが、まことに不明確なお話で遺憾にたえないところがございますが、一つ速急に具体策を御検討願いましてお示しを願いたいと存じます。いろいろ今日までの協議の間で、それぞれ問題の所在が明確にされたものもあるわけでございますが、この際二、三の点につきまして問題を敷衍しておきたいと存じます。  最初災害復旧の問題についてでございますが、過般の第二十四国会におきまして農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部改正を行いましたことは御承知通りでございます。その法律改正に伴いまして緊急災害復旧の問題が決定を見たわけでございまして、すみやかにこの政令の施行を見まして、今次災害にも適用されますことを強く要求してやまないわけでございます。本来閣議了解事項といたしまして、三年間で災害復旧を完成するという前提に立って、災害対策が立てられるのが当然であるわけでございますが、今日まで、災実の都度同僚委員各位から繰り返して指摘されて参ってきておりますように、常に災害復旧措置がきわめて遷延いたして参りまして、災害復旧自体を非常に困難にしておるのみでなく、地方自治体なり、あるいは被害生産農民なりに、非常な迷惑をかけてきておりますことは、まことに遺憾にたえないところでございますが、ともかくもこの改正に伴いまして、緊急災害復旧の問題が決定を見たわけでございますので、これを施行して参りますのにつきまして、政令をいつごろ施行できるか、その時期等につきまして明白な態度をお示し願いたいと存じます。
  6. 清野保

    清野説明員 前国会で成立を見ました緊急災害部分に対する政令内容につきましては、目下大蔵省と打ち合せをいたしております。農林省といたしましては、政令内容につきまして省の意見をとりまとめて、大蔵省に提出いたしましたところ、その内容が若干抽象に過ぎる、もう少し具体的にするようにという話がありまして、その内容をさらに具体化いたしまして、昨日も、また本日の午後も引き続き大蔵当局と打ち合せをいたしまして、今次災害につきましてもこの法律適用を受けるように、速急に政令の公布をいたしたいと思います。
  7. 助川良平

    助川委員 繰り返してお聞きいたしますが、今度の災害にも適用できる、そのように解釈して差しつかえないですね。
  8. 清野保

    清野説明員 その通りでございます。
  9. 助川良平

    助川委員 なお今度の災害地を視察して参りまして、非常に大きな特徴と申しますか、それは山奥に入り込みました沢の部落、その部落ため池決壊、しかも山くずれを直接的な原因としてのため池決壊による災害、そういうものが非常に多いように見受けて参ったわけでございます。従いまして、局部的に非常に大きな深い傷あとを受けておるわけでございますので、その災害復旧につきましては、まことに容易ならざるものがあるよう考えられます。被害農民はあるいは海外に移民しなければいけないのではないかとか、とうてい農地災害復旧は困難である、よそに開拓にでも出る以外に方法がない、そういうような悲惨な心境に陥っておられる姿を見まして、まことにお気の毒にたえなかったのでありますが、この際災害復旧の問題につきまして、あるいは農地の造成なり、あるいは開拓なり、そういう方式まで取り入れて、災害復旧を完全になし得るように進めていっていただきませんことには、これらの被害農家の立ち上りというものを、全く困難にしてしまうよう考えられるのでございます。  そこで災害復旧につきましては、当然そういう地域には高専補助適用が受けられるものと信じておりますが、あるいは二、三百貫なり五百貫なり、まことに大きな石が表土、田の上に取り残されて、しかも大小無数の石でたんぼがおおわれておる、そういう農地災害に対しまして、被害農民が安心できるよう災害復旧方策をお示し願えれば幸いだと存じます。
  10. 清野保

    清野説明員 農地災害復旧の中で、特に山地の崩壊あるいは河川流失等によりまして埋没したりして非常な被害を受けました農地災害復旧につきましては、現在農林省といたしまして、緊急を要するものにつきましては、各事務局災害復旧用のために保管してありますところの大規模土工機械を直ちに現地へ派遣するような手はずを整えております。現在のところかかる地域への配置がえは、各県の要望によって行われるようにしております。農地災害復旧は、現在のところでは、直ちにというよりは、むしろ県の災害計画概要書の提出を待ちまして、その査定後できるだけすみやかに機械力を使って急速に復旧を始めたい、こういう考えでおります。従いまして手動力人力等でできない場合には、ただいま申し上げたよう処置を講ずる考えであります。
  11. 助川良平

    助川委員 ただいま申し上げましたように、災害実態が、山奥老朽ため池災害による農地あるいは農作物の大被害というのが非常に多いのでございまして、現在まで承わっておりますと、老朽ため池の数もきわめて多いよう承知をいたしておりますし、また老朽ため池維持管理等につきまして、なかなか手が届いておらないよう承知をいたしておるのでございますが、こういった災害地帯におきましては、災害に直面をいたしまして、ため池災害復旧に非常に恐怖心を抱いておる。またこういう災害を受けたのではとうていわれわれの生活設計が立てられないから、ため池では困るというまでの恐怖心を抱いておる地域すらあるのでございます。しかもそういう恐怖心を呼び起す原因となる老朽ため池が無数に散在している。しかもそれがほとんどほったらかしで投げられておる。こういうことでは今後ますますこうした大きな災害を引き起しまして、生産農家恐怖心をあおるばかりでございますので、今後老朽ため池の問題につきましてはどういうふうな対策をもって臨まれますか、その点をあわせてお伺いしておきたいと思います。
  12. 清野保

    清野説明員 老朽ため池につきまして、昨年に比べまして本年は約三倍、前年度六千万円の経費に対しまして、本年度は一億を計上いたしまして極力災害未然防止に努めております。しかも現在全国で二十七万個所のうちで一万九千個所が老朽化しております。これを急速に復旧する必要があると認めておりますが本年度成立しました予算ではわずかに百数十個所しか復旧できないという現状であります。農地局といたしましてはできるだけこの予算増大をはかりまして、災害発生未然に防止する策を全力をあげて講ずるつもりであります。
  13. 助川良平

    助川委員 ただいまの老朽ため池の問題につきましては、大蔵省におきましてもそういった事情をとくと御認識願いまして、今後の対策に遺憾なきを期されるよう要望いたしておきたいと存じます。なお、こうしたため池なり水路の決壊に伴いまして、残されたわずかな完全な水田に対する用水の道がきわめて困難にされておるわけでございます。それぞれの被害地におきまして、可能な地域においては、人力をもってそれぞれ応急対策を立てて用水の作業に取りかかっておるのでございますが、どうしてもため池を作る以外用水を持ち込むことのできない地帯においては、井戸を掘るとかあるいはポンプアップをするとかいったことで応急対策を立てざるを得ないのでございますが、そういった井戸を掘さくいたしましたりあるいはポンプアップすることに伴って非常に多くの経費支出が出て参るわけでございます。こういった経費の加重に対しまして特段の措置を講じてもらいませんことには、わずかきりしか残されておらない水田にのみ依存してこれからの経営設計を立てていかなければならない被害農家はまことに容易でないので、こうした経費の投下された事実に対しましてどういう措置を講ぜられますか、お伺いいたします。
  14. 清野保

    清野説明員 災害水田用水源がなくなったために旱魃を受ける、こういう場合には二つの方法があります。一つ方法用水溝決壊いたしまして水が入らない。応急措置といたしましては、生ほど申しました農地災害復旧の取扱いと同じように、各事務局に百ミリまたは七十五ミリ程度ポンプを現在保管してございます。それを要求によりまして直ちに現地配置がえをして、これでポンプアップをする。もう一つ方法応急措置経費の問題でありますが、借り入れをする等の措置によって一応その年度経費間に合せよう、そういうふうな場合には農林大臣の認定する範囲内においてかかる応急対策の費用も補助の対象にいたしております。
  15. 助川良平

    助川委員 次に金融関係の問題について一点たけお伺いいたしておきたいと思うのですが、御承知ように、営農資金につきましては地域指定を行いまして、低利資金融通が行われるということになっておるのでございます。承わりますと、過般の凍霜害につきましても、いまだこれが地域指定を行なっておらないという話でございまして、まことに遺憾にたえないわけでございます。このたびの被害地帯考えてみますと、ほとんどが水田単作地帯でございまして、水田のみに依存して農業所得を上げておるので、こういった地域指定に対して必要な条件を把握することは、きわめて簡単だと考えられるのでございます。従いまして、今次の災害に伴う営農資金融通につきましては、すみやかにこの指定を行うようにお願いをいたしておきたいと思います。またその地域指定をいつごろ行うことができるか、これもあわせてお伺いいたしておきたいと思います。
  16. 保坂信男

    保坂説明員 営農資金の三分五厘等の低利資金についての地域指定のお尋ねでございましたが、凍霜害等につきましても各府県の具体的な実情申請を待って関係当局協議の上措置をすることにいたして参っておりますが、まだその具体的な措置決定いたさないことは、まことに遺憾に考えておるわけであります。今回の水害につきましては、凍霜害等と若干様相を異にいたしますことは御指摘通りでございまして、特に山間部等、特殊な地域における水害で、農地流失埋没等、その損害の様相が具体的にはっきりいたして参ります場合には、それぞれ当該県の具体的な実情申請に待って、できるだけ早くそういうよう措置につきましても、御要望に沿えるよう関係当局協議を進めて措置をいたして参りたい、こういうよう考えておる次第でございます。
  17. 助川良平

    助川委員 もう一つ自作農維持資金の問題についてでございますが、非常な深い傷を負った地帯が多いのでございまして、中には、あるいは牛や馬をすでに手放しておる地域もあるように聞いております。あるいはまた土地の放棄まで考えなければならないというような、悲惨な気持に陥っておられる被害農家も多いのでございますが、こうした実情にかんがみまして、自作農創設維持資金ワク最大限度に拡大をいたしまして、再建のための協力をすべきである、さよう考えるわけでございますが、この自作農維持資金につきまして、当局のお考えを承わりたいと存じます。
  18. 保坂信男

    保坂説明員 自作農維持資金ワクにつきましては、今年度の当初の規模におきましては、二十五億のワクがあるわけでございますが、今日まで十六億につきまして各府県配分をいたしておるわけでございますが、当面残りの九億円につきまして、災害実態に即応いたしまして、自後の配分等を考慮いたすことが適当であろうと考えておるわけでございます。  なお、全体として自作農維持資金要望が非常に多いということにかんがみましてのワク増大の問題につきましては、財政事情等諸般事情の制約もあるかと考えるのでありますが、これらの点につきましては、関係当局ともいろいろ協議を進めて参りたいと思います。
  19. 助川良平

    助川委員 次に農薬補助の問題についてお伺いいたしておきたいと思いますが、このたびの水害調査に当りまして、どこに参りましても一番強い要求を受けますのが、農薬補助についてでございます。すでにわれわれが水害調査をいたして参っております過程において、非常にいもち病発生を見ております。一回あるいは二回の薬剤散布を行なっておる。非常な災害の悲惨の中から、農薬共同防除等を行いまして、生産維持、増強に努めておる実態であったのでございます。どうも農薬補助の問題になりますと、いつも大蔵省でございますが、なかなか補助支出について渋ってきておる。一度の農薬補助支出についての会計検査院指摘事項におそれをなしまして、その後農薬補助交付方法を見ておりますと、きわめてめんどうくさい、何が何だかわからないよう方法補助金交付を行わせておるよう承知をいたしております。きわめて精密化して、補助金が間違いなく末端にいくようにというお考えでやられたことでございましょうが、かえってそれが農薬補助というものをほんとうに被害農家なりあるいは農業生産の上に現実的に、また実態に即応して役立ち得るような姿ではなかなか回っていきがたい、そういう状態に陥っておると認めざるを得ないのでございます。しかも共済組合なり、農家組合なりを単位にいたしまして、それぞれ共同防除というものを中心にしてやっておるのが現在の実態でございまして、あまりむずかしいことをおっしゃらずに、農薬補助につきましては、一つ相互助成補助方式なり、ああいうふうな方式で、今回の水害対策としましての農薬補助をしていただきたい、そのよう考えておるわけでございますが、その点について、農林省大蔵省のお考えをお聞きしたいと思います
  20. 庄野五一郎

    庄野説明員 お答え申し上げます。御指摘ように、ことしは天候の状況等から一般病害虫多発の傾向にあるのでございますが、特に水害地におきます冠水いたしました稲等につきましては、いもちが激甚の状況になっております。これにつきましては、さしあたりといたしましては、県の備蓄農薬なりあるいは全購連で備蓄しておりまする全国段階におきまする異常発生用農薬備蓄を緊急に放出いたしまして、そういった現物の手当をいたしておりますとともに、防除器具につきましても、県段階におきまする動力噴霧機あるいは国有のものを福島あるいは横浜の保管所から現場に県を通じて出す、そういった方式でとりあえずの措置は講じておる次第であります。  なお御質問になりました農薬購入費補助につきましては、昨年の水害に対しまする例もあり、また本年におきまする凍霜害等におきまして農薬購入金補助をいたしました前例もありますので、ただいまの多発状況等から、われわれといたしましては、最終的な冠水面積等数字のはっきりいたしました段階において、早急に大蔵省とも打ち合せまして、そういう方向に善処いたしたい、そういうふうに考えております。  なお補助方法方式等につきましては、いろいろ御指摘もございますので、共同防除として的確に防除効果が上るようにいたしたい、こう考えております。
  21. 大村筆雄

    大村説明員 お答え申し上げます。農薬の問題につきましては、特に最近は災害の際にぜひ農薬をという要望も大へん強くなっておりますことは、一つ農薬使用というものがだんだん普及して参った結果と思いますが、実は災害につきましては、農薬補助をどう考えるかという点につきましては、今までもいろいろ問題があったのでありますけれども、今まで申し上げたことをまたここに蒸し返してもなんだと思いますが、一つには先ほども御質問ございましたように、どうも農薬使用の結果が思わしくない、その通りなかなか使われておらない、途中にどこか消えてなくなっておるという例もある、会計検査院検査の結果思わしくない点もありますし、それからもう一つの点は、何といいましても、災害の場合には農家経済に対する損失補償じゃないか。現在のところ国災害対策をやります場合に、個々の固有経済に対する災害補償という見地からやっておりません。そこまでやりますと、非常に災害対策経費が膨大になるということもありますし、実はそういう見地からやっておりませんので、そういういろいろの立場からいろいろ御要望もありますし、また非常にお気の毒の点もあるのでありますが、大蔵省としては渋って参ったというよう実情であります。今回の問題につきましても、いろいろ御要望があると思います。この点につきましても、農林省の御意見なんかも伺いまして、慎重に検討しておる次第であります。
  22. 川俣清音

    川俣委員 関連して……。今主計官答弁中非常に聞き捨てならないところがあった、それは会計検査院及び大蔵省農薬がどこへ行ったかわからないというよう答弁をされておる。これは食い物と違って、農薬というものは捨てるものでもなければ、どこかに転用するものでもない。結局農薬農薬として使われておるのであって、しかもこの農薬生産量が最近非常に増大いたしておるということは、生産の工程から明らかだ。これは需要がなければ、これだけの生産が上ってこないはずです。これを長い間何年もストックするわけにいかないから、需要がなければ生産が起きないものなんです。従って年々あれだけ増大するものが、どこへ行ったかわからないというようなことは、これはあなた方の非常に大きな認識の誤まりだと思う。一体農薬の増産からくる税収入はおびただしい、これだけの大きな税収入を上げていながら、これだけの大きな需要があるにかかわらず、どこへ行ったかわからないというよう答弁をされるということは、非常に不穏当だと思う。もう一度御答弁願いたい。
  23. 大村筆雄

    大村説明員 ただいま川俣先生からおしかりを受けましたが、多少説明の足らない点がありますので、もう一回答弁させていただきますが、ただいま御指摘通り農薬需要は最近非常にふえて参っております。これは御指摘通りでございます。その点は実は農薬につきまして、一昨年まで実は毎年相当な補助をして参っておりまして、その効果があるものと思います。そのほかいろいろ農林省の御努力の結果によると思いますが、最近は一般に必ず農家では肥料と同じよう農薬使用なさっております。これが実情でございます。そのほかいろいろ御指摘通り農薬使用なり消費が非常にふえて参っております。これはまぎれもない事実でございます。私が先ほど申し上げましたのは、実は災害の際に、農薬補助を出しました結果につきまして、検査院検査したところによりますと、これだけ農薬の方にやったということになっておるにかかわらず、その通り農薬に使われていない、はなはだしいのは組合事務費などに使っておるという例もありますので、御参考までに申し上げた次第であります。
  24. 助川良平

    助川委員 ただいまの農薬の問題につきましては、いずれまた機会をあらためてゆっくり申し上げたいと思います。  次に予約集荷制度に伴う概算金の返納の問題についてでございますが、非常な災害を受けまして約束をした予約の供出が困難な農家が非常に多く出ておるわけでございます。現在の制度を見て参りますと、昭和三十一年産米の事前売り渡し申込制集荷要領というので、その大綱をきめておるようでございますが、それによりますと、今度の被害県の概算金の返納の時期が十二月三十一日ということになっておるようでございます。それで非常に被害の多い農家におきまして、御承知よう概算金を返納しなければならないということになりますと、なかなか容易でない事態になってしまうわけでございますので、その前渡金の取扱いにつきましては、特段の措置を講じていただかなければならないと存じます。その点について政府の考えをお聞きしたいと思います。
  25. 永野正二

    永野説明員 本年産米の売り渡し申し込みによります概算金が、今度の水害で売り渡すべき米穀がとれないという事態になりました場合には、ただいま御質問の点の概算金の返納という問題が起きてくるわけでございます。ただ概算金は米の代金のきわめて一部でございまするので、申し込み数量のほとんど全部が売り渡し不可能になったという場合にのみ今の問題が起ってくるわけでございます。そういう場合にこういう不幸な災害によりまして、売り渡す申し込みをしたにもかかわらずそれが不可能になったという事態は、まことにお気の毒な事態であると考えますので、これの概算金の少くとも金利の問題等について何らかの措置を講じたいと思いまして、ただいま部内では研究中でございます。ただこの問題は、場合によりましては立法措置を必要とするのではないかというような問題点もございまするので、なお部内におきまして十分検討いたしまして何らかの措置を講じたい、こう存じております。
  26. 助川良平

    助川委員 ただいまの概算金の問題につきましては、その指導要綱を見てみましても、共済金をこれに充当するとかあるいはまた返納のための別建て預金をさせるとかいうような指導要綱ができておるようでございますが、そういった点から見て参りましても、一つぜひとも利息の免除というふうな措置を講じていただきまして、被害農家に対する援助の手を伸べていただくよう要望いたしておきます。  なお先ほど建設部長から、今度の農業災害に伴いまして人力以外の大きな機械力を使わなければ農地災害復旧なりあるいは農業施設の復旧なりが困難なものが非常に多いように話が出たわけでございます。そこでぜひともこの際お聞きしておきたいと思いますことは、これは基本的にはここで最後的な御回答をいただくわけに参らないと思いますが、農業用の軽油引取税の問題についてでございます。過般の地方財政に関する法律改正に伴いまして、農業に関する軽油引取税は免除をする、そういう前提に立って法律改正がなされたはずだと承知をいたしておるのでございますが、現実の軽油の引取税の措置を見ておりますと、農業用軽油が課税対象になされておる。今度の災害復旧であるいはブルドーザーを使う、その場合に使う軽油はおそらく全部課税対象になるであろうと考えられるのでございます。災害にたたきのめされた農民から、しかもその農家生産基盤である農地復旧をするために——もみずりのための発動機の軽油なり揚水のための軽油なりそういうものに対しては免税されておりながら、基本条件である農地復旧のためのブルドーザーの軽油は課税される。しかもなかなか高い税金のよう承知をいたしておるわけでございまして、このままで農業用軽油の引取税が課税されるということでは、非常に容易でない問題であろうと考えられるのでございます。法律の規定の上から見ますならば、あるいはまた法律提案の趣旨の上から見ますならば、農業用の軽油は免税だという大前提の上に立って立法されております。それがまた立法の精神でもあるわけでございますが、遺憾ながら政令の中でこういった軽油については課税対象にするというふうに規定されておるのでございまして、まことに遺憾にたえないのでございますが、この際緊急を要するこの災害対策としての農業用軽油の引取税につきましては、何とかして免税措置を講じ得るよう政令改正まで進めていただかなければならないと思うわけでございますが、その点についてお考えを承わっておきたいと思います。
  27. 清野保

    清野説明員 農業用軽油引取税の適用につきまして農地災害復旧用のブルドーザー等の軽油の免税措置の問題につきましては、関係方面とさらに協議をした上でこれに対する措置を講ずるようにしたいと思います。
  28. 助川良平

    助川委員 今の問題につきましては、なお一つ十分御検討願いまして、法律改正でなくとも政令改正でいける仕事のはずでありますから、一つすみやかに善処を願いたいと思います。  なお河川局長がお見えになられましたので、あと一点お伺いしておきたいと存じます。地方のことで恐縮でありますが、猪苗代湖の水利の調整の問題について一点だけお伺いしておきたいと思うのであります。御承知ように猪苗代湖の水利の問題につきましては、安積疏水及び東京電力の二つの受益者があるわけでございますが、今日のこの水利の許可命令なりそれぞれの施策が、あるいは安積疏水と東京電力の受益者間の利益について、あるいは猪苗代湖の沿岸の住民に関する利益の問題につきましては、それぞれ問題点を解明しておられるようにも考えられるのでございますが、肝心かなめの猪苗代湖から放流される日橋川沿岸の住民に関する利害の問題については何らの手も打たれてきておらないよう承知をいたしているのでございます。しかも猪苗代湖の許可命令書におきましては、最高水位を一メートル八十八というふうに押えているわけでございますが、今次の水害におきましては二メートル三十七、八センチというような非常な高水位にまでこれが高まりまして、そのために毎日三千個あるいは六千個の水が放水されましたために、日橋川の流域の農地に対しまして三百町歩にも及ぶ冠水面積を出してしまった。これがすっかり雨が晴れ上って連日晴天になりましても、一週間も十日も引き続いて冠水しているという事態に陥りまして、日橋川流域の沿岸民は非常な憤激をいたしているわけでございます。人工洪水によるわれわれの農業災害であるというふうに申しましてほんとうに憤激をいたしまして、これが解決に努力をされているのでございますが、大体この放水量を決定するに当りましても、八千個の水を流してもよろしい、最高放水月毛をそこまで許可しているように伺っているのでございますが日橋川自体は今日まで放水の操作に伴いまして河床が非常に上ってきております。水田よりもはるかに高い。そういう状態であるということを聞きました。日橋川の状態は当時におけるとは非常な変化を来たしております。それをそのままで打ち捨てて参りましたために今日のような大洪水を引き起しているわけでございまして、建設省では日橋川は直轄河川でございますから、その川の実態を十分承知されておられるはずでございますし、承知されなければならないわけでございますが、これを承知しながら、今日までまことに現実に合わないような許可をそのまましてきているということはどういう理由でございますか。また今後どういう対策をお立てになられるお考えですか、お伺いしたいと思います。
  29. 山本三郎

    山本説明員 ただいまの猪苗代湖とその流出河川であります日橋川の関係について御質問があったわけでございますが、お説のように猪苗代の湖は農業用水並びに発電に利用されているわけでございまして、日橋川の流出口にあります十六口の水門の操作は、県知事の監督のもとに安積疏水土地改良区が水門を操作しているわけでございまして、東京電力は用水に支障のないように湖水を調整使用いたすことができるということになっております。お説のように今回は日橋川の流域に対しまして相当の被害を生じたのでございますが、その原因考えてみますと、この猪苗代の流域には、今まで長期間にわたりまして記録した雨などに比べますと、まれに見る大雨が来たのでございまして、今お話がございましたように、この雨がおおいかかったために湖水の水位も今まで予想された水位よりも高くなり、しかも下流に相当放流をいたしたのでございますけれども、湖水の方も高くなるし、また下流の河川の方の流量も相当大きくなりまして、両方に被害を生じたというのが実情でございます。そうしてその操作に関してはどういう措置をとったかということでございますが、ゲートの操作につきましては県の指示を仰ぎつつやったのでございますし、しかも県は四千個以上の放流につきましては事前に下流の町村と協議を行なっている、こういう報告を受けております。そういうことで県といたしましては、なるべく日橋川の沿岸に被害を及ぼさぬようにとびらを操作するように努力をした、こういう報告になっております。  それからもう一つの方、今後の設備の問題でございますが、お説のようにこの操作規程につきましては、非常に古い規定でございまして、それを逐次引き継いで参りまして、現在は安積疏水がその水門を操作しているわけでございますが、日橋川の下流につきましては、今お話がありましたように国で河川工事をやる計画に入っているのでございますが、御承知かもしれませんが、いろいろの土地の事情等がありまして今日まで仕事ができなかったよう事情でございますので、しかし今後におきましては今回の出水にかんがみまして、あるいは計画の再検討を必要とするかもしれませんけれども、地元の協力を得まして河川の改修を進めていきたいと考えております。また水門の操作の問題につきましても、今回の洪水等の記録も参照いたしまして、実情に沿うよう改正する必要があればやりたい、こういうふうに考えておりまして、県と密接な連絡をとって相談をしているところでございます。さよう御了承を願いたいと思います。
  30. 助川良平

    助川委員 最後にもう一点だけ伺っておきたいのでありますが、それは家畜の飼料の対策についてでございます。今度の水害が非常な山くずれを伴う水害でございましたので、畦畔なり堤塘なりが非常な損傷を受けましたために、飼料を確保するための方策が全く閉ざされてしまう。そういう事態に入っている地域がきわめて多いようでございまして、そのために家畜の飼育がきわめて困難になりまして、すでに数頭の家畜を安値で買いたたかれておるというような事態に陥っておる例があるのでございます。あるいはまたせっかく受けました有畜農家創設の家畜導入の割当も全部返上しなければならない、そういう格好で、まことに憂うべき事態に入っております。草は刈れなくなってきており、あるいはまたわらは浸水のために家畜の飼料としては使いものにならない、とほうにくれて安値を承知で買いたたかれる、こういう事情に陥っておるのでございまして、これはすみやかに飼料対策につきまして特段の処置を講じていただきませんことには、せっかく国で有畜農家の創設を太鼓をたたきながら奨励して参りましても、何とも対策が立たない格好であるわけでございます。一つこの際、この飼料に全く困窮を来たしておる被害農家に対しまして特段の飼料対策をお立て願いたいと思いますが、この点のお考えを承わりたいと思います。
  31. 丸山幸一

    ○丸山説明員 家畜の関係の被害につきましては水稲その他に比べて全体として見ますと比較的軽微なようでございましてこの点は実は不幸中の幸いだと思っていますが、場所によりましては河川敷その他が押し流されて、ちょうど夏時期の青刈り等の粗飼料を食べるのに非常にお困りな実情にある個所もあるようでございまして、こういう個所につきましては非常に同情を禁じ得ないわけでございます。ところがこれは——これも不幸中の幸いと申しますか、今後食用作物のまきつけその他によりましてもなかなか実が実らないというようなことがございまして、これはよく災害のたびにあることでございますが、青刈りその他で飼料用に回るという点もございまして、こういう点で若干の操作はあるいはできようかと考えておりますが、しかしさしあたりの問題といたしまして、非常に飼料に不足いたしますわけでありまして、これにつきましては濃厚飼料等の配給と申しますか供給を円滑にして参りたい。幸いこの前の国会におきまして需給安定法の一部改正の御審議を得まして御了解願っておるわけであります。これは外国の飼料が、品質が夏場になって水分を吸収し過ぎて悪くなるという場合におきましては、国内のたとえばふすま等の買いかえの制度があるわけでございます。従いましてそういうふうな外国飼料を、主としてふすまでございますが、これを放出いたしまして、たとえば全購連の系統を通じて末端に配給供給をして飼料対策に使って参りたいという所存でございます。
  32. 松浦東介

    松浦委員長 石田宥全君。
  33. 石田宥全

    ○石田(宥)小委員 救農対策については、助川委員からの御質疑でほぼ一般的には明瞭になったわけでありますので、私はさらに補足的に御質問を申し上げたいと思うのであります。第一に営農資金の問題でございますが、営農資金についての貸付は系統金融機関を通じまして、下部におきましては農協がこれを貸し付けることになるわけであります。従って営農資金というものは償還能力中心に貸付をされることになる。今回のような深刻な被害を受けた農家では——償還能力に十分の信用のある農家などでは他の方からも借り入れすることができるのでありますけれども、深刻な被害を受けた農家におきましては信用程度がきわめて低い。それがために一番その資金を必要とする農家には及ばないおそれがあるわけであります。そういう場合に営農資金以外に何らかほかの方法をお考えになっておられるかどうか、これは零細農家にとってきわめて重要な問題でございますので、お考えを承わっておきたいと思います。
  34. 和田正明

    ○和田説明員 ただいまお尋ねの、非常に零細な農家は、信用力の関係でほんとうにほしい金がいかないではないかというお話でありますが、お話のようにそもそもが金融でございますので、やはり農協が貸付をいたします場合には、ある程度本人の信用なり償還能力なりということが審査の対象になることはやむを得ないと思います。そういう弊害をカバーをいたしますために、国と県とで五割までは金融機関に対して損失の補償をいたすような制度になっておるわけでございます。運用面でできるだけ御趣旨に沿いますように、県庁なりあるいは農協関係者に対しましてはその都度十分指導をいたして参っております。今後もそういう点を強調いたしまして、御趣旨に沿いますように、農家にできるだけ営農資金が参りますように努めたいと思います。
  35. 石田宥全

    ○石田(宥)小委員 ただいま御説明ような点はきまっておることなのでありますが、私がお尋ねしたいことは、特に先ほど助川委員からも質問がございましたように、本年度自作農創設維持資金が二十五億ほど上っておって、なお保留分が九億くらいあるように承わっておるわけでありますが、自作農創設維持資金は、その運営は災害等の場合も考慮して配分することができるように存じておるわけでありますが、自作農創設維持資金等を特にそういう面に運営をするというようなことはお考えになっておられるかおらないか、この点を明らかにしていただきたいのであります。
  36. 和田正明

    ○和田説明員 御質問の趣旨を取り違えて答弁いたしまして恐縮でございます。ただいまお尋ねになりました自作農維持創設資金の点につきましては、御承知ように本年の融資が二十五億で、十六億だけ上半期に配分いたしまして、下半期分九億保留してございますが、これを九月以降配分いたしますに当りましては、従前のように単に農地の移動件数割でありますか、農地面積割ということで配分いたしませず、今回の災害によります被害状況等配分の基礎に加えまして配分いたしまして、自作農資金と先ほど申しました災害営農資金と両方がかみ合いまして、災害の資金対策が万全になりますよう措置をいたすつもりでございます。
  37. 石田宥全

    ○石田(宥)小委員 既定予算は先ほど申しましたようにきまっておるわけでありますが、今回のよう災害におきましてはこれを特別なワクをとって、すなわち従来の予算の上にプラスアルファーとして若干の金額を確保することに努力をされる意向はあるかないか、同時に大蔵省はそれに対してどういうふうに考えておられるか、御所見を承わりたいと思います。
  38. 和田正明

    ○和田説明員 ワクの増加につきましては、回収金の増加、その他原資の関係の見通しをつけまして、大蔵省とも打ち合せをして、できるだけ御趣旨に沿うように努力はいたす考えでございます。
  39. 大村筆雄

    大村説明員 お答え申し上げます。農林省からいろいろ御相談のありました場合は、十分御趣旨の点については検討を加えて善処いたしたいと思います。
  40. 石田宥全

    ○石田(宥)小委員 今の御答弁ではどうもまだ満足いかないのですが、元来自作農資金は、二十億や二十五億円ではどうにもならないので、農家はどんどん転落をしておる。そこで昨年から始まったので、ことしは少くとも五十億程度なければこの転落農家の防止ができないと私どもは実は考えておったわけなんです。しかるに予算では二十五億という少額でしがなかったわけであります。最近の日本の農業情勢からいたしまして、これは相当額の増額をしなければならない情勢にあると思うのでありますが、そういうふうな情勢判断について大蔵省のお考えを明らかにしておいていただきたいと思います。
  41. 大村筆雄

    大村説明員 自作農創設維持資金につきましては、御承知通り昨年から始まったのであります。昨年二十億、本年度二十五億と、ふえ方は御期待のほどのふえ方ではございませんけれども、御指摘ような転落農家がふえつつあるという点につきましては、十分実情を把握することに努めまして、全体のワクの関係もございますけれども、できるだけその方の融通には努力をして参りたい、かよう考えております。
  42. 松浦東介

    松浦委員長 石田さんに御紹介しますが、この自作農維持資金の問題につきましては、大村主計官、和田金融課長の御答弁では大体この程度だと思います。でありますから、次会において責任者にこの点はなお念を押すということで御了承願いたいと思います。
  43. 石田宥全

    ○石田(宥)小委員 けっこうです。
  44. 川俣清音

    川俣委員 関連して。農林省答弁も、大蔵省答弁も、どうもその点であいまいです。今石田君の質問通り、通常転落の防止のために自作農維持資金の制度が生まれてきたわけであります。災害農家のために生まれてきておる法律でないことは明らかでございます。従いまして今度の災害あるいはときどき起るところの災害に対しましては、国民の相互援助の観念でこれを救済していこうというのが災害に対する対策でなければならないと思うのです。従って通常に経費を盛られたものからこれを災害用に回すということは予算の執行上妥当ではないと思われるのですが、妥当だという考え方での答弁であるのかどうか、この点両当局からお答え願いたい。事務当局意見でけっこうです。
  45. 和田正明

    ○和田説明員 御承知ように、自作農維持資金融通法には三種種の資金を法律で規定いたしてございまして、一つ農地を買い取りまして、小作地を自作地に直す、二つ目は、相続によります零細化を防ぎますこと、第三には農地を売らなければ生活あるいは経営の維持が不可能であって、経堂機構を縮めるおそれがあるからということで、その前提として災害、疾病ということを例示をいたしておりますので、必ずしもお話のよう災害は当初から予定をしていなかったものというふうには観念をいたしておりませんけれども、もとより予算を組みます最初からその年の災害の度合いを完全に予測をいたすことは不可能なことでございますので、そういう面からは先ほど来のお話のように、必ずしも現在の予算ワクが十分であるということは申し上げかねると思いますので、できるだけ増額については今後とも努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  46. 大村筆雄

    大村説明員 ただいま農林省から御答弁ありました通りに私どもも考えております。全額の点につきましては、できるだけ御趣旨に沿うように努力して参りたいと考えております。
  47. 川俣清音

    川俣委員 いわゆる類例をあげられました災害というような場合は、これは個々がこうむった小規模災害をさすものだと思う。なぜかというと、天災的な大きな災害が起きた場合は、通常経費でまかなえないことは明らかなのです。大蔵大臣の予備費を設置する説明の中にも、予測せざる災害発生の場合における予算措置として留保されておるのでありまして、通常起るべきよう災害と予知せざる災害とは当然予算上区別されておる。この観念が財政当局においてあるはずなんです。私はその点をついておるのです。火事があった、不幸があった、小さな災害から起きた場合の、個々の災害から起きた場合のことは含まれておることはわかる。異常な天災等をこうむった場合に、二十五億で足りますか。そういうことを予知した予算上の措置をとっておられるのか。とっておられないでしょう。従って別に予備費をとっておることは、予算総則の上において明らかなのです。それをごっちゃにしたよう答弁は因る。あなた方はまだごっちゃにして答弁されるつもりであるか、その点もう一度。
  48. 和田正明

    ○和田説明員 先ほども申し上げましたように、完全にその年の災害の全体を予測することは不可能でございますので、災害の度合いによりましては、先ほど来申し上げておりますように、予備費をとりますか、その他適当な原資の調達を考えまして、増ワクいたすことについては御趣旨に沿って努力をいたします。
  49. 石田宥全

    ○石田(宥)小委員 次にやはり営農融資の問題でありますが、開拓地の関係で、今年の春の凍霜害の際にも開拓地が相当被害を受けました。これについては、年限の点においても、あるいは利率の点についても、若干特例を認めていただいたわけでありますが、今回の災害は、幸いにいたしまして開拓地はあまり多くの被害は受けておりません。しかしながら御承知ように、開拓地もようやく開拓開墾を終りまして、これから立ち直ろうとする段階にあるわけでありますが、その実情は必ずしも経済的には楽ではないのであります。ことに借り入れがすでに限界に達しておるよう状況でありますので、もうしばらく、やはり開拓農家についての保護政策を続けなければならないと考えるのでありますが、今回の災害に当っても前の凍霜害被害対策と同じように特別に見ていただけるかどうか。同時に開拓融資の資金ワクの拡大に伴う、そういう面からの財政的な援助も必要であろうと思うのでありますが、これは法律改正に待たなければならぬことでありまするけれども、十分一つ考えを願わなければならない点であろうと思うのでありまして、これについての御所見を承わっておきたいと思います。
  50. 和田正明

    ○和田説明員 前段の災害営農資金を開拓者について融通をいたします点につきましては、先般の凍霜害の際にとりましたと同様に、今回につきましても年限を延期するとか金利を一般より下げるとかいうよう措置を続けて参りたい、かよう考えております。
  51. 永野正二

    永野説明員 後段の点につきましても、なお開拓者についての十分な措置ができるように、できるだけ研究いたしたいと思います。
  52. 石田宥全

    ○石田(宥)小委員 次に農薬の問題ですが、先ほども質疑がありましたけれども、肝心な点が抜けておったように思うのであります。御承知よう農薬一般防除と特別な異常発生並びに災害等の関係がございますので、昨年の北海道その他の水害の際におきましては、一回分だけは一般防除として除く、それ以外のものについての算定ということで線の引き方について非常にむずかしい問題が起ったように承わっておるわけでありますが、本年度は先刻の答弁にもありましたように、病害虫の多発が憂えられるような気候状況であり、すでに今回の水害を受けた地域におきましては、パラチオン剤その他の防虫剤は、ほとんど共同防除で全面的にやっておる。さらにその後またもう一回くらいを全部やっておるのでありますが、水害後おそらく二回以上三回くらいが、まあ普通行われておる防除態勢であります。そういう場合に、災害地についての農薬補助をする場合に、どういうふうな基準で行われますか。春の凍霜害の際には、全面的にこれを見ましてその使用量の比率をきめて決定したようでありますが、その考え方の基本を承わって今後の対策考えたいと思うわけであります。
  53. 庄野五一郎

    庄野説明員 先ほど答弁申し上げた際も、この算定基準なりあるいは補助方式等につきましては、前年の水害の例もあり、本年におきまする凍霜害の関係の農薬補助の例もございますので、先ほどいろいろ末端におきまする事情等も御説明があったわけであります。そういう点を考え合せまして、十分実情に沿うようにいたしたい、そういう考え大蔵省と話し合いを進めていきたい、こう申し上げた次第でございます。今御質問の点につきましても十分考えまして、末端の実情に沿うようにいたしたい、こう考えております。
  54. 石田宥全

    ○石田(宥)小委員 どうも実情に沿うようにということですが、私はずいぶん具体的に申し上げたはずなんです。一回分は通常防除と見るならば あとは全部異常発生的な考え方でいくか、あるいは被害を受けた災害対策であるから全面的に全額を見るか、あるいは二回分は平常防除として見て、それ以上のものを異常災害として見るかというようなふうに具体的でなければ、そういう抽象論は聞く必要はないのです。抽象論はさっき承わったのです。その考え方をもっと具体的に承わりたいのです。
  55. 庄野五一郎

    庄野説明員 二十九年に閣議決定いたしまして、先ほど御質問がありましたような平常防除については、これを通常の肥培管理として、異常発生対策としては平常分を越す部分についてこれを行われる、そういったような方針が二十九年度から一応とられております。それによりまして昨年の水害は決した次第でございます。今御質問よう水害対策かどうか、こういうことになりますと、これは考え方にもよりますが、水害によって誘発された病害虫の病害対策となるわけであります。どちらに重点を置くかということによって、考え方が変るわけであります。農林省といたしましては凍霜害等よう措置で、この補助方式大蔵省と打ち合せたい、こういう考え方でございます。
  56. 石田宥全

    ○石田(宥)小委員 農林省考え方は明らかになりましたが、それについて大蔵省ではどう考えておられますか。
  57. 大村筆雄

    大村説明員 お答え申し上げます。実は農薬につきましては先ほど御答弁したところでございますが、私どもの方につきましては、災害の場合に農薬をどうするかという点は、これは非常に問題のある点だと考えておるところでございまして、従来の例から申しますと、たとえば昨年の六、七月には実は一千万円を出しております。これは災害後における病害虫予防のための農薬効果という点も、まだ効果が十分でないという点を考慮して出せることになっておると考えております。  それから本年の凍霜害につきましても、一度は出すことになったわけでありますが、ことしの凍霜害は実は二十八年を上回るような百二十四億というような大きな被害の凍霜害でございまして、これは国民経済的にも放置できないという点から考えまして、実はいろいろな対策が講じられたわけでございます。  そこで今回の水害につきましても、被害様相なり何なりを考えまして十分慎重に研究いたさなければなりませんけれども、ただいまの被害程度では、私どもの聞いているところでは昨年の六、七月より下回るような、金額で申しましても二十億程度被害じゃないかと思います。もちろん個々の被害を受けられた農家の方には、非常にお気の毒には存じますけれども、先ほど申しましたように、個々の農家被害損失補償というところまでは、災害対策は及んでおりません。なかなかそこまでは参らぬ点もあるかと思いますので、十分慎重に検討さしていただきたいと思います。
  58. 石田宥全

    ○石田(宥)小委員 大村主計官答弁ですが、考え方としては、今答弁になったよう考え方で政府はおるようであります。しかし先ほどの答弁にもあったように、病害虫の異常発生につきましては、特別にこれを考えるということが閣議の決定でもあり、主管大臣が委員会において言明をいたしておる点なのでありまして、この点は事務当局が勝手に考えられておるということは越権行為であると思う。やはり閣議の決定なり主管大臣の言明に基いて、事務当局措置されなければならないと思うのでありまして、今回の災害被害総額が、必ずしも本年春の凍霜害ように大きいものではないからというようなことで考え方を変えるということは、これは事務当局の越権であると思いますので、そういうことのないよう一つ注意を願いたい。  次に私は、今度の災害に当りまして、田畑とも全く収穫皆無になった地域が非常に多いのでありまして、これらの地域についでは、あるいは転作をし、あるいはまた従来全然なかったところのソバなどの作付をしなければならないような状態の地域も相当にあるわけでありますし、そういう転作用の種子の手当その他についてどういうふうに措置なさるおつもりであるか、この点を一つお伺いをしておきたいと思います。
  59. 庄野五一郎

    庄野説明員 代作または転作用の種子につきましては、二十九年以来、雑穀種子については、県に対する国の補助で県において災害用種子を備蓄いたしております。これは大体ソバその他のアワ、キビあるいは豆といったような雑穀を中心としております。  それから蔬菜用の種子につきましては、全国段階備蓄組合を組織いたしまして、優良な観葉種子を備蓄いたしております。こういうよう災害時に随時市価よりも三割くらい安い値段で放出できるといったような制度を同じくとっております。この制度の運用については、雑穀は県自体が運用いたしておりますし、その県に不足する種子については農林省があっせんして、隣接府県等で余っているところから動かす、こういった手当をいたす次第でございます。観葉用につきましては、県から連絡があり次第放出いたす段取りにいたしております。そういう措置をとっております。
  60. 石田宥全

    ○石田(宥)小委員 河川局長が見えておりますので、二、三お伺いをしたいのですが、今度の水害で阿賀野川が大増水をいたしまして、安田橋、常浪橋その他の橋梁がだいぶ流失いたしたわけであります。この流失いたしました常浪川の常浪橋の方は、大部分永久橋でありますので、ほんの一部分でありますので、これは災害の原形復旧で大体差しつかえないと考えておるわけであります。安田橋につきましては、従来は木橋でありますので、三百二十一メートルのうち百四十メートル流失をして一部残っておるわけであります。従来の災害対策の建前としては、原形復旧として考えておられるようでありますが、今回のこの災害に当りまして、阿賀野川沿岸の橋梁を中心とする交通網の実情を御勘案願いまして、永久的な措置を講じていただかなければならないと考えるわけであります。御承知通り、阿賀野川は大河川であるにもかかわらず、東蒲原郡の津川町から新潟市に至るまで、約四十四キロの間完全な橋は一橋もない、おそらく日本じゅうどこを尋ねても、大河川であって四十キロ以上もの間橋梁が全然ないというところはないのじゃないかと思う。従って少し重い荷物を積んだトラックなどは四十キロの間を迂回しなければ対岸に行けないというよう実情にあるわけであります。特に安田橋については、すでに先年来懸案となっておりまして、永久橋にかけかえの予定もされておったわけでありますが、今回この災害の機会におきまして、建前としては原形復旧でございましょうが、すでに永久橋にかけかえの問題も具体的に討議されておる段階でありますので、この機会に永久橋としてのかけかえをなさる方針であるかどうか。それからその他の阿賀野川流域にかかっておる橋梁についての御所見を承わりたいと思うわけであります。
  61. 山本三郎

    山本説明員 ただいまの安田橋の件につきましては、近く八月の十日から私の方より査定官が現地に参りまして、災害問題の査定をいたすわけでございます。これを永久橋にかけかえようという話が前からございましたのも私どもは存じております。しかし災害復旧工事としてやりますのにはおのずから限度がございまして、永久橋を全部災害でやるということはおそらくできないことだと思います。しかし現在のような本稿をそのままかけたのではまた流れてしまうというふうなこともありますし、先ほどお話もありましたように、非常に重要な路線であるということも私ども承知しております。従いまして災害工事に、でき得るならば道路の改良費をつけ加えまして、一緒にやるのが一番よいことだと思います。従いまして災害の査定が終りましたならば、道路局——私どもの内部といたしましては道路局と連絡いたしますし、また大蔵省方面の御意向も聞きまして、そういうこともきめていきたいというふうに考えております。
  62. 石田宥全

    ○石田(宥)小委員 それから安田橋の下流に床どあ工事をやっておられます。床どめ工事はなかなかマンマンデーの工事で、着工してからなかなか進行しない。水害のたびにまたもと通りに洗い流されるよう状況でありますが、これはぜひやってもらわなければならない工事です。ところが今回の水害で床どめ工事をやっておるのは今の本流ですが、本流と反対側の——厳密に言えば右岸の方に床どめ工事をやっておるのですが、左岸の方に相当面積の耕地がある。床どめ工事をやっておって、建物等があったり、それが下流の妨害になって、逆に耕作地帯を相当荒し回っておるわけです。耕土が荒されたりあるいは大きな土砂が流入するよう被害を受けておる。床どめ工事をおやりになるのはけっこうだけれども、それに関連いたしまして農耕地にそれがために被害を受けるようなことかあっては困るので、床どめ工事を進行されるに当っては、一面そういう耕作地に被害を与えないような適切な措置を、たとえば簡単な護岸のようなものを設置していただけるかどうか。これは現地をごらんになればすぐわかるのですが、そういうことが付帯工事としてやり得るかどうか、お聞かせを願いたい。
  63. 山本三郎

    山本説明員 ただいまのお話につきましてはよく実情調査するつもりでございますが、工事中に耕地なりあるいは他の耕作物に被害を及ぼすようなことはもちろんないようにしなければならぬのが建前でございまして、今言うのは、工事のためにほかに被害を及ぼすおそれのあるところにつきましては、かりに被害の起らぬような施設はできるわけでございまして、そういうおそれのある点につきましてはなるべく被害を起さぬように仮施設なりをやるように指導するつもりでございます。
  64. 川俣清音

    川俣委員 関連して河川局長にちょっとお尋ねしておきたいのですが、今災害復旧について永久橋の問題が出たのですが、災害の場合の原形復旧というようなことを河川局はいまだにとっておられるのであろうと思います。ところが一方火災があったような場合は、従来のような建造物を許可しないというような強制手段を民間にとっておる。いわゆる火事を受けて非常に疲弊いたしたにかかわらず、その復旧は今度は都市計画法に基いて、いわゆる堅牢な建物でなければならないというよう指定をして、強要しておる。一方民間には火災が起きたような場合においては、再び火災の起きないような強要をあえてしておりながら、国の公共施設であり、しかも重要河川におけるこれらの復旧が従来と同じような形でなければならないというよう考え方について、事務当局はみずから矛盾を感じておられるはずだと思う現に日本のセメント工業も非常な発展を逐げまして、木材を利用するよりも、セメントを利用する方が、あるいは鉄骨を利用する方が、現在の情勢に最も即応してきておるのです。それにもかかわらずわざわざ木橋でなければならならない、原形復旧であるから木橋でなければならないというようなことをいまだにお考えになっておるのかどうか、事務当局はすでに反省しておるけれども、政治の貧窮で解決つかないでおるのか、事務当局が怠慢であるのか、この点を明らかにしてもらいたい。
  65. 山本三郎

    山本説明員 私どもも、今申されましたように、災害を原形に復旧しただけではまたやられるおそれがあるということは、十分承知しておるわけでございまして、それにつきましては、ほかの災害復旧の助成工事とか、あるいは災害の関連事業とか、別途の要するに改良面に属する費用、あるいは先ほどのお話にもございました道路改良費、そういうものを付加いたしまして、重要なものについては合併施行して、再度こわれないようにという方法を講じておりますので、重要なものについてはそういうもので処置できる。今後におきましても、なるべくそういうふうな処置をとりまして、原型にとどまらないように努力したい、こういうふうに考えます。
  66. 石田宥全

    ○石田(宥)小委員 もう一点だけ伺いたいのですが、やはり河川の関係でありますが、大河川では、これは全国的な問題ですけれども、水害の場合を考慮されまして、河川敷地内における耕作は知事に移管をされて、知事がこれを許可して大体やっておるわけです。その場合に、畑地として耕作する場合には認めるのが建前であるけれども、これを水田にするということについては、原則的にはこれを認めない、こういう建前のようであります。しかし実際問題として、私どもが見ておるところによりますると、たとえば阿賀川などにつきましてもやはり敷地内に水田がございます。むしろ水田の方が水害の場合には土がよくかたまっておって被害が少い。水はけがよろしいのです。ところが畑の方は洪水の場合にはすぐ土砂をみんな持っていかれたり、いろいろして、これはもう簡単な理屈で、畑に水をかければみんな土がわくといいますか、じゃんじゃん流れてしまう。あるいはまた畑でありますと、どうしてもやはり桑とかその他のようなものを植えることになる。従ってたんぼにされた方が、河川管理上実際問題としては非常によろしいように現実に見ておるのです。それをどうも原則的になかなか水田造成は認めない、こういう態度をおとりのようでありますが、それについて一つ局長の御所見を率直に伺いたい。現に実は新潟県でも、信濃川流域に紛争を起しておりまして、六百万円ほどの資本投下をやって水田造成の計画をやりました。ところがその工事半ばにして差しとめをされた。差しとめをされたが、一部やはり水田を作った。そういうようなことで紛争をやっておるところもある。これは建設省と農民の間の紛争でなしに、農民同士に紛争をやっておるような問題もあって、出先の機関はまあまあ水田にやることにしようというようなことになっておるのですが、これは全国的な問題でもあり、大きな問題でございますから、この機会に御所見を承わっておきたい。
  67. 山本三郎

    山本説明員 お説のよう河川敷地の利用につきましては、当該河川を管理いたします府県知事が許可をいたしまして、耕作を許しておるわけでございます。そうして耕作する場合におきまして、たんぼが悪いとか、あるいは畑が悪いとかいう問題は、場所によりましても非常に違うわけでございます。ただ原則的に洪水に際しまして、洪水を流れやすくいたしますし、それからそのために堤防とか護岸とかに被害を与えないようにするということが、耕作を許すための条件になってくるわけでございまして、従いまして多くの場合におきましては、やはりたんぼの方があぜがありますし、でこぼこが生ずる。それから堤防の付近あたりにそういうものを作りますと、やはり湿地化する、堤防に水分が上りやすいとか、そういうふうな理由がございまして、たんぼならいけないというような場合が相当あると思います。それからもう一つは、たんぼを作らないという一つの理由もございまして、これは夏作は洪水があるために、作る方がなるべく避けるという傾向もあるのでございまして、冬作なら確実でございますので、作る側におきましても、なるべくなら畑にしようというような観点からいいまして、畑の方が多いというふうな実情もございます。許す方におきましても、先ほど申し上げましたように、畑なり芝地の方が、洪水を流す見地、あるいはその上を洪水が流れたときに付近に影響を及ぼさないように、——及ぼす程度は畑の方が少い。それから湿地などを持っておりますと堤防が弱くなるというよう原因から、許可する方におきましてはたんぼは許可しないというような場合が相当あると思います。利用する側におきましては、夏作は危険があるものですから、畑にして利用する、この二つの要素で、畑が多いというよう実情になっておる、そういうふうに考えております。
  68. 石田宥全

    ○石田(宥)小委員 どうもよくおわかりにならないのじゃないかと思います。湿地帯を作っておけば悪いのはわかっておりますけれども、堤防から十メートルなり二十メートルなり離して、そこはたんぼにさせないならばよろしいのです。それから畦畔があるとおっしゃるけれども、畦畔などよりももっとひどいものが畑の方にある。水田なら平らにしなければならぬ。畑なら、どんなでこぼこでもよろしい。ですからこれは逆なんです。ですからその施設がじゃまになっていけなければ、施設はどんな方法でもできるのです。きわめて簡単な、水の流れに障害にならないような布設は、いかようにもできるのです。それから夏作云々というお話ですけれども、大体大河川はそう長い間湛水をしておることはない。信濃川とか阿賀川というような大河川になりますと、せいぜいもぐっておっても一昼夜ともぐっておることはないのです。従ってきわめて安全なんです。むしろ畑作の方が、今度の場合でもバレイショ等は一粒残らず全部腐ってしまう。稲の方はほとんど被害はない。そういうことでありますから、今後やはりその地方々々の実情もございましょうけれども、従来のような原則論にあまりこだわらないで、やはり地勢上から見ても差しつかえはないということならば、やはりその地方地方の特殊事情を考慮されて許可になるよう一つ考えを願いたいのです。
  69. 松浦東介

  70. 笹山茂太郎

    ○笹山小委員 簡単にお伺いいたします。最初自治庁の方にお伺いするのでございますが、今回の災害を受けた地方は、大体財政状況が非常に悪い県でございますので、今度の地財再建特別措置法の指定を受けておる県が大部分であります。今度指定を受けた県は、公共事業費の配分については従来の実績の七五%というふうに圧縮されておるようでありますが、災害を受けた県でありますから、地方におきましてもこうした公共事業の費用は将来相当かさわだろうと思います。そういう場合におきまして、そこに弾力性を与えるような何か考えを持っておられるか、その点をまず伺いたい。
  71. 及川角壽

    及川説明員 お答えいたします。ただいま御質問の財政再建団体におきます災害復旧事業の専業費に対する取扱いの問題でございますが、これはただいま自治庁長官が承認いたしております再建計画を改訂いたしまして、この災害復旧事業を織り込む。それに対する財源措置というものは当然考えられて参るのであります。
  72. 笹山茂太郎

    ○笹山小委員 次に地方の起債の問題でございますが、起債については現在どういうふうな考え方を持っておられますか。地方から申請があった場合に認めるかどうかということです。
  73. 及川角壽

    及川説明員 当然でございます。
  74. 笹山茂太郎

    ○笹山小委員 それから災害があった場合におきましては、税収を補うためにあとで特別交付税というものを与えることになっておりますが、これは地方の現状からするとできるだけ早い方がいいと思います。それで自治庁としましてはいつごろこの特別交付税を与えるのか、その点をお伺いしておきたい。
  75. 及川角壽

    及川説明員 特別交付税の決定の時期は大体二月ということに法律できまっております。それでただその間のつなぎという問題が出て参りますので、その分はただいま概算交付という面においてもその点を考えております。
  76. 笹山茂太郎

    ○笹山小委員 次にさっき問題になりました堤外地におけるところの農地復旧の問題でございますが、私の見たところによりますと、堤外地の農地はほとんど埋没流失しているようであります。この堤外地の取扱いについて建設省としては、まだ民有地になっておるところも相当あり、中には二十数戸の集団の住宅もあるといったような工合でありますので、今後これの取扱いをどうするのか、その方針をまず聞かしていただきたい。
  77. 山本三郎

    山本説明員 現在におきましては、改修工事なりあるいはその他の河川の工事を行うために必要な耕地なり人家を移転するなり買収するなりするというような建前になっております。また改修工事のためあるいは砂防工事のために必要となった用地なりあるいはそのためにどうしても移転を要するような人家の移転をお願いしておるわけでありまして、それ以上につきましては目下のところは考えておりません。
  78. 笹山茂太郎

    ○笹山小委員 次は堤外地におけるところの住宅の問題でございますが、今から十数年前に移転の交渉があった。ところがそのときにおきまして地元民が納得しないためにまだ民有地として残っているというところもあるのです。そういった時期おくれの場合におきましても、今度の災害の経験でこりて移転費をもらって移転しようというときには、建設省としては考えてくれるのであるかどうか。
  79. 山本三郎

    山本説明員 ただいまの話は具体的にお話をお伺いしないとお答えできないのでありますけれども、改修工事のために必要な土地なりあるいは人家の移転なり等は、従来の経過というようなことは考えずに、必要なものであるならばやりたい、こういうふうに考えております。
  80. 笹山茂太郎

    ○笹山小委員 堤外地における農地復旧の問題でございますが、一ぺんああした泥をかぶったところを復旧したところで、いずれまた水が来るとまた不毛地になるというようなところについても農林省としてはやはり普通の農地と同様に復旧費を出すのであるかどうか。
  81. 清野保

    清野説明員 堤外地における民有農耕地を復旧しなければ農家の経営ができない、こういう事情にあろうと思いますので、普通の一般災害と同様の取扱いをもって復旧いたします。
  82. 笹山茂太郎

    ○笹山小委員 そうした堤外地を守るために従来小さな堤防を築いておるところが相当ある。その小さな堤防も今回の水害によって流れちゃったという場合においては、農地を守るために小堤防の復旧について建設省では考慮して下さるかどうか。
  83. 山本三郎

    山本説明員 私どもといたしましては、それが公共施設ということになっておりますと建設省で直すことになっておりますので、そのものが公共施設であるかどうかということによりまして私どもの所管になります。
  84. 笹山茂太郎

    ○笹山小委員 多分それは公共施設というふうな大げさなものではないと思います。ただし農地の方の側からいうと、農地を保護するところの小堤防でございますから、これは農地を耕作していく上においては絶対不可欠な問題だろうと思います。そういう場合におきまして建設省としてはできないけれども、農林省としてはやってやるというのであるかどうか、その点を一つお伺いしておきます。
  85. 清野保

    清野説明員 河川地域におけるところの農地を保護する農業用施設につきましては、その施設が農地復旧に必要欠くべからざるものである場合には、それは当然農地災害復旧施設としてやることにしておるのであります。
  86. 笹山茂太郎

    ○笹山小委員 次に通産省に伺いますが、今度の水害におきまして市街地方面においても商品等に甚大な被害をこうむったところがあり、あるいは店舗等が破損したような場合もあるわけであります。そういう場合におきまして更生といいますか復興といいますか、そういう点についてこれら商人の経営資金あるいはまた店舗の復旧資金というものについて、通産省はどういう対策を講ぜられるつもりでありますか。
  87. 安達次郎

    安達説明員 お答えします。中小企業の関係のこのたびの水害による復旧の費用、その資金の融通につきましては、関係府県知事に対し、金融機関別の資金需要等の調査をしております。ただいままだ集まっておりませんが、これが出そろいましたならば、中小企業金融公庫あるいは商工中金等の政府関係の金融機関に対しそれぞれの措置をしたいと思っております。
  88. 笹山茂太郎

    ○笹山小委員 林野庁の方に伺います。実は今度の災害復旧につきまして、地元の財政が不十分なために、橋あるいは住宅の再建について国有林の払い下げを望んでおる地方が相当あるわけでございます。ところが従来におきましても、国有林の資材の払い下げについては、主として公共用施設に充てる分については払い下げが行われておるのでございます。住宅等の建設についても非常に困っておる地方が相当ありますが、これらについて新しい例を開いて、国有林資材の払い下げを行う方針があるかどうか、それを一つ伺います。
  89. 仰木重藏

    ○仰木説明員 国有林資材の払い下げにつきましては、災害等によります場合には、お話のように公共施設のものにつきましては、市町村が管理する事務所とか学校、病院、診療所、あるいは橋とか提防等につきましては、五割以内の減額対価で譲渡する方法を講じております。今御指摘ように、これらのもの以外におきまする民家の復旧用材等につきましては、予決令の九十六条によりまする特売等の措置を講じてこの復旧に資したい、かよう考えております。
  90. 笹山茂太郎

    ○笹山小委員 先ほど問題になりましたところの原形復旧の問題でございますが、これは河川局長の御説明によると、合併施行ということになりますれば、場合によって永久橋への復旧本可能である、こういうようなお話がありましたが、合併施行という場合の標準といいますか、これはどういうふうになっているのであるか。あるいはまたこの合併施行の永久橋へのかけかえということによって、従来の木造よりも経費が増高すると、増高分については地元負担がそれだけ要するのであるかどうか、あるいはその部分について政府の方から補助等があるのであるか、その点お聞きします。
  91. 山本三郎

    山本説明員 橋梁の場合に、木橋が流れまして、それを永久橋にした方がよろしいという場合に、その交通上の問題から考えまして、道路の交通の面からいいましてもこの線は非常に重要だ、たとえば道路整備の五カ年計画に入っているような橋梁であるというような場合には、すぐ近いうちにもこれは永久橋にかけかえしなければならぬというような目安がございます。それがたまたま災害で流れたというような場合につきましては、年次を多少とも繰り上げまして災害と一緒に橋梁の改良費を入れまして、一緒の金で永久橋をかけてしまうというよう方法をとるわけでございます。その合併施行によりまして災害以外につけ加える金につきましては、普通の道路の改良費と同じように国の費用と県の費用とを合せて地方道の場合にはやる、こういうふうなことになるわけでございます。普通の道路の改良に要する負担割合で、ふえた分については持つ、こういうことになります。
  92. 笹山茂太郎

    ○笹山小委員 ただいまのお話によりますると、道路計画に載っているようなところは、まずそういったことができるけれども、そうでないところはできないような話を聞きましたが、毎年流れるような橋を作るよりも、今度は一つ流れない橋を作りたいと地元が要望しているところが非常にあるわけでございます。そういったところは、何も県道とかあるいは国道とかいったような大きな面でなくて、地方の地元町村道、こういった小さな橋が相当あるようでございますが、こういった橋の永久橋へのかけかえは認めぬ、災害補助はやらぬというようなことではいかぬと思いますが、地元のそうした熱望の強いところには、政府の方でも便宜を与えてやることは至当だと思うのですが、その辺はどうなんです。
  93. 山本三郎

    山本説明員 災害復旧の場合におきましては、再度災害を受けない程度にまでは、災害復旧できるということになっているのでございまして、今お話のように、かけたらすぐ毎年流れるというようなことではいけないわけでございますので、従来の災害実情とかあるいは河川実情等を勘案いたしまして、必ずしももとが木橋で帳入れが何メートルであったから、その通りしなければならぬということではございませんで、流れない、すぐ再度災害をこうむらぬ程度までの災害復旧はできるような方針にしております。
  94. 笹山茂太郎

    ○笹山小委員 補助金が遅れますので、その間のつなぎ融資が必要であると思うのでございますが、つなぎ融資の今までの進捗状況並びにその資金源、並びにその利率等について、どういうふうになっておりますか、わかっている範囲において、お答えを願いたいと思います。
  95. 永野正二

    永野説明員 農林水産——農地災害復旧、あるいはこれに伴う施設の復旧に必要なつなぎ融資の問題でございまするが、これは具体的な補助対象としての計画がほぼ確定いたしました後でありませんと、なかなか具体的には手がつかないわけでございますが、できるだけこの問題の方針を早くきめまして、それに並行いたしまして、必要なつなぎ融資の措置を講じて参りたい、こういうふうに現在考えております。
  96. 山本三郎

    山本説明員 つなぎ融資の問題につきましては、従来におきましても、国の予備金が支出されるまでに、どうしても府県なり市町村なりでやらなければならぬものがあるときに、予備金が出るまでのつなぎといたしまして、従来も融資を大蔵省からしていただいているわけでありますが、今回におきましても、すでに二、三の県からはつなぎ融資の申し込みがございまして、私どもの方と大蔵省と相談いたしまして、目下話を進めております。そういう状況であります。
  97. 笹山茂太郎

    ○笹山小委員 最後に今年の水害復旧は、台風時期も迫っておりますし、非常に急がなければならぬと思いますが、現在各省の現地における査定官の派遣、これの実施状況はどうなっていますか。またそれに関連しまして、さっき建設部長から話がありました、まだ緊急災害と普通災害の区別が政令でもってきまらないというような状態ではせっかく査定官が行って現地において査定をしても、何も意味はないと思いますが、そういった関係についてはどうなっておりますか、一つ説明を願います。
  98. 清野保

    清野説明員 七月水害に関しまする府県計画概要書の提出はおおむね八月の中旬ごろと予定されております。農地局は直ちに査定官を派遣いたしまして、八月下旬または上旬までにこの間の査定を終る予定であります。
  99. 山本三郎

    山本説明員 私どもの方といたしましても、県の緊急査定の申請がございまして、今回の分につきましては、早いのは八月十日から現地に参ります。そうして今回の東北、北陸の災害につきましては、二十二、三日ごろまでには緊急査定を終る予定になっております。
  100. 松浦東介

    松浦委員長 平田ヒデ君。
  101. 平田ヒデ

    ○平田小委員 私、これからお伺いいたします点につきましては、他の委員からもうすでに御質問もあったことで、重複いたすかとも存じますけれども、私、福島県で最も災害のひどかった中心地の会津でございまして、特にその中から二点だけお伺いいたしたいと思います。  本年度において工事を完了いたしませんと、明年度の植付にも支障を来たすよう農地、農業用施設の被害が非常に莫大な金額に上っておりますので、これが復旧についてぜひとも本年度において補助金交付せられたいというのが一問でございます。  それからもう一つは、このたびの豪雨に際しまして、会津並びに一部県北方面の山林に発生しました新生崩壊地は五百カ所、金融にいたしまして復旧額が三億五千万円に達しております。この莫大量の土砂を流出して、諸種災害発生の主要原因をなしておりますが、今後ますますその拡大のおそれがあるということでございまして、この早期復旧をはかるために、予算措置をぜひお願いいたしたい、こういう強い要望がされておりますが、この点についてお答えをお願いいたしたいと思います。
  102. 清野保

    清野説明員 新潟県下、会津方面災害につきましては激甚だということを聞いておりますので、これに関する災害復旧措置はできるだけ早く講ずるつもりでおります。今御質問になりました作付までに農地または施設の復旧を終るようにということでございますが、先ほど来話のございました緊急災害の分につきましては、法律にあります通り三年間に終りたい、つまり初年度三割、次年度五割——三十一年度に三割、三十二年度に五割、合計八割というものをもっておおむねの災害復旧を終りたいという考えでございます。それらの点につきましては、査定後大蔵省と交渉いたしまして、法律にあります通り三年間で終りまして、農民の作付に支障ないように努力いたすつもりでございます。
  103. 仰木重藏

    ○仰木説明員 お答えいたします。新生崩壊地の拡大防止をいたしまするための早期復旧につきましては、私どももこれは非常に優先的にやらなければならないと考えております。当年度災害復旧予算六億七千万円の中から優先的に支出いたしまして、その復旧に当りたいと考えております。
  104. 平田ヒデ

    ○平田小委員 ただいまの工事完了の予定でございますが、それは確約おできになりますか。三五二の比率でございますね。
  105. 清野保

    清野説明員 法律によりますと、緊急を要するものは予算の範囲内において三年間に復旧することができるとなっておりまして、農林省といたしましてはその精神にのっとり、極力三年の間にその復旧ができるようにいたしたいと思います。
  106. 平田ヒデ

    ○平田小委員 私しろうとで、よく懇切にお話し願わないとわからないのですけれども、ただいままでの例によりますと、これは実行されていなかったということを、私は昨日の小委員会のお話合いのときにも伺っております。それでこの際はぜひともこれを実行していただきたいと思いますけれども、この前のようにずっと延びておっては、お言葉だけでは地元の人たちは承知いたすまいと私は思うのでございます。その点についてもう一度お答え願いたいと思います。
  107. 清野保

    清野説明員 御指摘ように、過去の災害は五年ないし六年を要しております。従いまして、前国会におきまして、緊急なものにつきましては三年間に終ることができるというよう法律ができましたので、農林省といたしましては、緊急災害の分については三年間に終るように極力努力いたしたい、こういうふうに申し上げたのであります。  なお従前の例を申し上げますと、昭和三十年度災害の第一年度分につきましては約二六%、ただいま申し上げました三〇%に比べまして四%くらい下っておりますが、そういうような例もございますので、本年度災害につきましては、極力法律の趣旨に即しまして、予算の成立に努力いたすつもりであります。
  108. 平田ヒデ

    ○平田小委員 土砂の崩壊のところでございますね。これは六億何千万円の予算の中から出すとおっしゃいましたけれども、現行法でははっきりと予算措置が講ぜられるのでございましょうか。
  109. 仰木重藏

    ○仰木説明員 予算措置が講じられておるものであります。
  110. 平田ヒデ

    ○平田小委員 それじゃもう一点だけ。先ほど助川委員から御質問がございましたけれども、発電用貯水池、猪苗代の水位の調整の問題でございますけれども、この七月の十四日であったかと思いますけれども、水門の開閉につきまして、猪苗代の東京電力事務所で午前の十時から午後の八時まで私は傍聴の形でございますけれども、出席いたしておりましたのですが、先ほどの御答弁ような、あんななまぬるいものでは決してございません。それはまことに血で血を洗うような切実なものがございました。これはその点につきましてはそこまではいかなかったのですけれども、あの農民がどんなにほんとうに水田を大切にしているかということを、私も農村に育ったのでございますけれども、あんなに切実な訴えを聞いたのは初めてで、実は胸をえぐられるような思いでございました。水門を閉じておきますと、湖岸民は二百町歩のその上にもまたもうすでに冠水いたしておりました。私がその後調査に参りましたところによりますと、猪苗代湖の磐梯山の方とそれから対山甲でございますけれども、あそこで私はあのたんぼの中に入りまして、稲にさわって、そのうち一株を抜いてみたのでありますが、しろうとの私などが見ましても、中はもう大へん熱い、熱湯とまでは参りませんけれども、なまぬるく暖かく、そうして抜きました稲が、これからずんずん伸びて稲の穂ができる部分がございますけれども、それはこれから水が引いてしまってもだめだそうでございます。そうして水の中に入っていた部分は、それは水につかってからちょうど七日目でございました、それであふれた水がずっとそのまま乗っていて、見たところは大へんきれいでさしつかえないように思うのですけれども、熱湯とまではいきませんけれども、お湯をかけたようになって境目が茶色くなっております。それはこれから水を引いていただいても、いわゆる米になる可能性はないんだということを伺って参りました。それから下流の日橋川の人たちはどう言っているかと申しますと、特に塩川の町でございますけれども、大塩川という川がございます。この川がはんらんいたしますところへまた水門を抜いた水を出したものでございますから、それと一緒になりまして、しかもそれがゆるやかではあっても流れておりますので、土砂をかぶっております。ただあふれて冠水したのと、土砂をかぶったのとでは、見た目には流れた方が非常にあとの始末もございますし、大へんであるということはわかりますけれども、それでも三日に一ぺんぐらいは日に当てられたようでございます。全然だめなところと、それから水門を締めることによって助けることができる何町歩、何十町歩かがあるということでございまして、特に塩川、笈川村の人たちが、こぶしで涙をふきながら訴えておるあの状態は、ほんとうにここで御答弁なさる方々に私はお見せしたいような気がいたしたのでございます。こういう点につきましても、水位の問題でございますけれども、あれは何十年に一ぺんか起る水害だというようなお考えではなくて、ほんとうに地元民の切実な訴えによく耳をかされて、そうしてこれからただいますぐにどうということはできないかもしれませんけれども、その点を十分私は研究していただきたいと思うのでございます。  それから先ほどの御答弁の中に、国は河川工事に着手することになっているとおっしゃいました。これは日橋川だけでございましょうか。それとも今度の水害のもう一つの大きな原因は、支流じゃなくて大塩川というのが非常にこれが問題だと思います。これがへびがくねったように曲りくねっております。そうして大へんな水量を流しておるのですけれども、それがために水が急にはけないというわけでございます。自然にあふれておる、それに日橋川の水門をあけますと、あふれてきてそれと合流してますます冠水をひどくしたというのが私は実情であったと思います。水をあける、あけない、水門を閉じろ、あけろということで、これはほんとうに血を流さんばかりの問題でございましたけれども、それまでにはなりませんでしたけれども、ほんとうにあの姿というものは、国は手をこまねいてそうして適当な調整を県がするんだと、何か焦点が次々とぼけていっているような気がいたしますけれども、これは十分今度の機会を利用されて、もう二度と再びこういうあやまちを犯さないよう措置を講じていただきたい。これは私は地元民を代表いたしまして切にお願いを申し上げる次第でございます。この点についてももう一言お答えを願えれば大へん幸いだと存じます。
  111. 山本三郎

    山本説明員 ただいまのお話のように、猪苗代湖の湖岸並びに下流の日橋川の沿岸につきまして、非常に被害を受けたという点につきましては、私の方といたしましても、直ちに係官を派遣いたしまして、実情調査いたしました。その後におきましても、よく県なりあるいは東電、あるいは地元の方からもいろいろの様子について報告を受けております。そういうふうな関係から実情を十分お伺いしまして、今後におきまして間違いのないように、県ともよく相談いたし、地元の意見も十分お伺いいたしまして処置したい、こういうふうに考えております。また日橋川の下流の改修の問題でございますが、これに関連いたしまする支川ももちろんあるわけでありまして、それらも総合的に勘案いたしまして、改修工事なりあるいは砂防工事なりを行いまして、被害が最少限に食いとめられるように早く処置したい、こういうふうに考えております。
  112. 川俣清音

    川俣委員 この春に農林水産業施設災害復旧費国庫補助暫定措置に関する法律の一部改正を行なったわけでありまして、先ほど清野部長からそれに伴う御答弁があったわけですが、これについて清野部長並びに大蔵主計官からお尋ねしたい。  せっかく国会で意思決定をして法律ができたのでありますが、この法律というものは政令または省令が伴っておりませんと実施できない。立法府が法律を作ったものを、行政府は当然これに伴う施策を講じなければならないはずなのです。その義務があるはずなのです。ところが法律はできたけれども、その法律を執行するだけの政令または省令ができていないということなんです。これは非常に怠慢だと思う。せっかく法律ができたからには、すみやかにその処置を講じなければならぬはずだが、いまだにその処置を講じておられない責任は大蔵省にあるのか、農林省にあるのか、この点明確にいたしたい。
  113. 清野保

    清野説明員 法律の御承認以来、農林省内におきましては政令の案を検討いたしておりまして、省内の意見がまとまりましたので、大蔵省に直ちに協議いたしましたが、先ほども申し上げましたが、多少見解の相違がありまして、いまだに決定になっていないことはまことに申しわけないのでありますが、ただわれわれといたしましては、昨日もまた本日も引き続き大蔵省協議することにいたしておりますので、おそくとも今月一ぱいには政令を公布するという予定を組んでおりますので、御了承をいただきたいと思います。
  114. 大村筆雄

    大村説明員 ちょうど本件につきましては責任者が欠席しておりますので、便宜私がかわって御答弁申し上げます。  実は御承知通り法律は「災害復旧事業のうち緊要のものとして政令で定めるもの」ということで、多少法律自体が政令にこまかい点を譲っているきらいがありますが、財政当局といたしましては、政令に掲げるものはやはりこまかく基準を定めませんと、現実にうまくいきません面もございますので、その点で政令農林省案につきまして、一部はっきりしない点がございますので、その点をもう少し明確にしたらどうかという意見を出しております。これは川俣先生おっしゃった通り災害が起っている際でもございますし、ぜひともどうしても早く出さなければいけませんので、帰りましたら至急関係者に連絡いたしまして、ほんとうに近々のうちに事務を進めるように鞭撻いたしておきます。
  115. 川俣清音

    川俣委員 この前のときも、いろいろと具体的に法律を書こうといたしましたとき、大蔵当局も農林当局もそこまで入らないでほしいというあなた方の要望に基いてこれができている。今後そういう怠慢だというと、立法府がこまかく法律を作らなければならないということになると思うのです。そうなると事務当局は非常に苦境に陥るのではないかというふうにも考えますから、そういうことの起らないように、すみやかに政令並びに省令を作って法律の実施に当るよう、特に要望いたしまして、私の関連質問を終っておきます。
  116. 神田大作

    ○神田小委員 各委員からだいぶ質問がありましたから、私は二、三点について簡単にお尋ね申し上げます。  先ほど笹山委員の方から、堤塘内における耕作について御質問がありましたが、私は今回の水害で山形及び宮城等を見まして、堤塘内における災害が非常に甚大である。しかもその災害の大部分を占めている。ところが堤塘内に民有地がたくさんあって、この堤塘内における耕作によって生計を立てているよう農家が非常に多い。そういう場合において、この河川敷地内における民有地の問題を建設省としてはどうお考えになっておられるか、それをお尋ね申し上げます。
  117. 山本三郎

    山本説明員 現在におきましては、改修工事のために地形を変更いたしまして、土を掘ってしまうとか、あるいは人家を移転しなければならない、あるいは堤塘の敷地に入りまして土地がつぶれるとかいうような問題についてはもちろん買い上げをしております。しかしその他の土地につきましては、その土地が相当の生産を上げているというような場合には、それはそのまま作っていただく、しかしこの河のために災害を起す原因になるというような問題があるときには、補償を出しまし、移転するわけであります。こういうよう処置をとっているわけでございます。
  118. 神田大作

    ○神田小委員 堤塘内における民有地というのは一体全国にどのくらいの町歩がありますか。
  119. 山本三郎

    山本説明員 大きな河につきましては調べたものがございますが、ただいま持ち合せがございません。たとえば埼玉県から東京に入っております荒川などにつきましては、横堤というものがございまして、その間はほとんど民地になっておりまして、荒川の中にはおそらく五、六千町歩の民地がある。利根川あたりは比較的少い方でございますけれども、それにいたしましてもやはり何千町歩という土地がございます。もし詳しいことがお入り用ならば、大きな河につきましては調べたものがありますのでお知らせいたします。
  120. 神田大作

    ○神田小委員 あとで詳細な調査を御報告願いたいと思います。  今答弁がありましたように、堤塘内においては全国には相当の民有地がある。しかも堤塘内における民有地によって生計を立てている農家が、少しの洪水によっていつでも脅威を感じている。しかも堤塘を築く以上は、堤塘内に洪水が起るというのを建設省では計数的にわかって今やっているわけですね。危険であるというのを承知して堤塘内に民有地を置くということはどうも私は納得いかない。堤塘内における民有地は見かわりの土地を見つけてやるとか、あるいは納得してもらって買上げるとかして、そして一応国のものにして、それを今度は従来耕作していた者に貸し付けるとかいうようなことであれば話はわかるのでありますけれども、ここへは大水が来るぞ、災害があるということを承知させながらも、しかもそれを民有地としてほっておくことはこれは不合理ではなかろうかと思うのであります。  特に今回私が遺憾に思うのは、阿武隈川の河口に近い宮城県の土地でありますけれども、ここへ堤塘を築くために在来の耕地を横切って堤塘を築いて堤塘内の耕作地をそのままにしておいて、しかも従来の古い堤塘の土をとってそれを全部新しい堤塘に築き上げておる。ところが古い小さな堤塘があったからこそ今まで少しの災害でも防いでいたのでありますけれども、この小さい堤塘をとって大きい堤塘に持ってきたから、今度の水害では、全部が耕地に復旧できないような河原になって、一部落が路頭に迷うというような状態ができている。こういうことについて建設省農林省当局は何らの話し合いもせずに、いわゆる無知——無知といっては語弊があるかもしれませんけれども、先の見通しができかなかった。農民をだまし討ちみたいにして耕地を流矢させたというようなことは、見のがすことができない問題であろうと思う。今後河川敷地内における耕作地の問題、堤塘の建設問題等について、根本的に農林省並びに建設省は話し合いをして、ことに沿岸農民に被害を与えないよう方法を論じなくちゃならぬと思うのですが、こういうことについての建設省並びに農林省の見解をただしたいと思います。
  121. 山本三郎

    山本説明員 河川の工事のために従来の農地等に対しまして被害がよけいに生ずるということは本意でないのでございまして、そういうふうなことがないように努めておるわけでございます。ただ洪水がこのごろ大きくなってきて、堤外地にあるものを危険であるから移せというようなお話でございますが、それも国家的に見れば非常に重要なことであるとも考えられるのでございますけれども、改修費あるいは治水費をもってそれを処置するということにつきましては、多少の疑問もあるわけでございますし、またそれを全部そういうことに処置するためには膨大な金も要する次第でございますので、そういう点につきましては別途考えたい、こういうふうに考えております。また先ほどの河川工事のために特に被害を受けたということがありまする場合には、私どもといたしましてもそういうことのないよう処置するはもちろんのこと、そういう気の毒の場合がありましたときは、それに対する処置考えたい、こういうよう考えております。
  122. 清野保

    清野説明員 河川敷地内の農地復旧につきましては、先ほど申しましたように、その農地を失うことによりましての農家の経営の問題もありますので、これを復旧する方針であります。ただしそれを保護する堤防につきましては、従来から河川敷地内にありましていわゆる河川法の河川工作物として許可ある場合には当然農用施設として復旧をして、小水害の場合には、それによって耕地の逸流を防ぐ、こういうふうにいたしたいと考えております。また現にさようにいたしております。建設省河川改修に伴う——ただいま例をあげてお示しになりました阿武隈川の事例につきましては、遺憾ながら事前に河川改修の内容につきまして農林省の方にはございませんでしたが、おそらくは県の河川管理者である県知事のもとにおきまして、県の農地部と土木部との間に話があったものと思います。そういうことにつきまして、現在の制度のしにおきましては、農林省の方に協議してもらうというよう法律になっておりませんので、事前にそういう問題がわかりました場合には、農林省から建設省の方へ申し入れをいたしまして、よく御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  123. 神田大作

    ○神田小委員 阿武隈川河口の問題は現実の問題でありますから、現地を調べて、どういうわけで農地関係と建設関係とがああいうことになって農地が荒廃に帰したか、原因を究明してもらいたいと思います。  次に中小河川の堤塘の建設でございますけれども、今度のはんらん等大河川より中小河川に多い。中小河川堤塘の建設費も、われわれ予算面から見ますと微々たるものである。たとえばわれわれの関係しております小貝川、五行川等は、堤塘建設のために百億円かかる。ところが一年の予算が二千万円であり、あるいは千五百万円である。そうすると、百年かからないとこれが完成できない。百年もかかる予算措置をしておっては今日の水害の役には立たないと思う。この中小河川の堤塘の建設になお一段の御努力を願いたい、これをつけ加えてお願いいたしておきます。  次に、宮城県の今度の水害状況を見ますと、排水設備が不完全なためにいつまでも排水されないで、水がたまっておって水稲の被害が甚大であった。干拓事業をやって農地を造成することももちろん必要でありますけれども、現在あるりっぱな水田地帯の排水設備を完成して美田にすることもまことに大事なことであろうと思います。特に宮城県の阿武隈川流域におけるところの排水施設に対しまして特段の御考慮が必要じゃなかろうか、こういうよう考えまするので、この点について農林省考えをただしたいと思います。
  124. 清野保

    清野説明員 低湿地帯の排水改良につきましては、従来から、三千町歩以上の排水改良の面積を持っておりますものについては国営、三百町歩以上の地域につきましては県営、それ以下は団体営、この三種類の灌漑排水事業をもちまして、現在各地元の土地改良区の申請によって行なっております。宮城県におきましても阿武隈川、十上川の沿岸において一部施工はしておりますが、今後それらの改良の必要な地域につきましては、予算の拡大をはかりまして御趣旨に沿うよう努力いたしたいと考えます。
  125. 神田大作

    ○神田小委員 いま一つ簡単に御質問申し上げます。もちろん今度の水害につきましても救農土木事業を起さなければならぬと思いますけれども、この点についてどのようなお考えがありますか。
  126. 永野正二

    永野説明員 今度の水害対策といたしましての救農土木事業としましては、いろいろ御要望もあるのでございますが、なお関係府県の計画を徴しまして対策を講じたい、こう考えております。
  127. 神田大作

    ○神田小委員 今度の水害で特に小河川のはんらんのひどかったのは山形県の最上川へ流れ出る河川で、特に上ノ山町が危険に瀕した原因は、最上川の河川の河床が上ったことはもちろんでありますが。乱伐によりまして今まではんらんしなかった川がはんらんした。これは全国的な問題であろうと思いますが、今回の水害に徴して特に最上川流域の小河川のはんらん等について考えなければならぬ点がたくさんあると思います。この点について農林省関係、建設省関係の所見を伺いたいと思います。
  128. 仰木重藏

    ○仰木説明員 山林の荒廃が下流の河川の治水上に非常に大きな影響を及ぼしておりますことにつきましては、私どももかねがね対策考え、特に昭和二十八年度には、治山治水の基本対策を樹立いたしまして、その線に沿ってやってはおりますけれども、まだまだ施策は十分でありませんので、今御指摘のうな事実のできておりますことについては、はなはだ遺憾に感じますが、今後もこの対策については十分な努力を払いたい、かよう考えております。
  129. 山本三郎

    山本説明員 お説のように、今回の水害におきましては、むしろ大河川決壊等のことがなくて、小河川のはんらんあるいは土砂の流出というようなものが多いことは、私どもも十分承知いたしておりまして、その点につきましては、農林省方面とも十分連絡いたしまして、川の一貫計画を立てまして、実行していきたい、こういうふうに考えております。
  130. 神田大作

    ○神田小委員 最後に水害と同時にひょう害の問題でございますが、関東地方を襲いました七月中におけるひょう害でございますが、これはひょう害をこうむった地域が非常に甚大な被害をこうむっておる。これは水害と違いまして、いわゆる降ひょうの地域というものは限定されておりまして、その地域は徹底的な被害をこうむっております。こういうことにつきましても、関係官庁等におきまして、水害によって災害をこうむったと同様なる施策をされんことを要望いたしまして私の質問を終ります。
  131. 永野正二

    永野説明員 先般のひょう害の関係県——おもな県は岐阜、愛知、栃木、茨城、千葉でございますが、これにつきましては局地的に相当な被害になっておるのでございますが、ちょうど先般の凍霜害の際に天災等による営農資金の融資に関する政令が出ておりますので、この政令の一部改正をいたしまして、これらの被害地域に対する営農資金の融資をする措置をきめたのでございます。すでに県別の融資のワクも大体決定をいたしましたので、今後できるだけすみやかにこれを具体化して参りたい、こう考えておるわけであります。
  132. 松浦東介

    松浦委員長 本日の小委員会はこの程度にとどめまして、散会いたします。  次会は公報をもってお知らせいたします。    午後一時十四分散会