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1956-10-29 第24回国会 衆議院 農林水産委員会 第59号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十月二十九日(月曜日)     午後二時十六分開議  出席委員    委員長 村松 久義君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 稲富 稜人君    理事 芳賀  貢君       足立 篤郎君    五十嵐吉藏君       伊東 岩男君    川村善八郎君       木村 文男君    小枝 一雄君       中馬 辰猪君    綱島 正興君       原  捨思君    本名  武君       足鹿  覺君    伊瀬幸太郎君       小川 豊明君    中村 英男君       中村 時雄君    永井勝次郎君       日野 吉夫君    森 三樹二君  出席国務大臣         国 務 大 臣 正力松太郎君  委員外出席者         総理府事務官         (北海道開発庁         企画室主幹)  柏原益太郎君         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         農林政務次官  大石 武一君         農林事務官         (大臣官房総務         課長)     伊達  博君         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局農         政課長)    保坂 信男君         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君         農林事務官         (振興局総務課         長)      酒折 武弘君         農林事務官         (畜産局長)  谷垣 專一君         食糧庁長官   小倉 武一君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   中西 一郎君         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 十月二十九日  委員山本幸一君辞任につき、その補欠として森  三樹二君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  北海道における冷害対策に関する件  農産物価格安定法に基く昭和三十一年産しょ  及び馬鈴しょ基準価格並びに甘しょ切干、  澱粉大豆政府買価格に関する件     ―――――――――――――
  2. 村松久義

    村松委員長 これより会議を開きます。  農産物価格安定対策について、調査を進めます。発言を求められておりますので、これを許可いたします。綱島正興君。
  3. 綱島正興

    綱島委員 先ほど来委嘱を受けて、カンショ、なま切りぼし、大豆その他に関する農産物価格安定維持に関する件で協議会を作っておられましたところ、その協議会においてきまりました事項で、しかもこの協議会協議事項を達成するために、諸般手続をしていただくために特に協議会から本委員会申し入れをいたしたいということに決定いたしまして、その決定事項を一応ここで読み上げますから、ぜひしかるべく御処置をお願いいたしたいと思います。    農産物価格安定法に基く昭和三十一年産しょ及び馬鈴しょ基準価格並びに甘しょ切干澱粉大豆政府買価格に関する件   政府は、農産物価格安定法に基く本年産しょ及び馬鈴しょ基準価格並びに甘しょ切干澱粉大豆政府買価格については、本年度における作況、農業災害発生状態卸売物価指数の上昇の実情等諸般の事情を考慮し、左記各項を尊重して決定すべきである。     記  一、甘しょ澱粉及び甘しょ切干の原料たる甘しょ基準価格は、一貫当り二十四円五十銭とし、この基準による価格支持目的を達しうるよう澱粉買入方針を速急に決定公表すること。  二、甘しょ切干政府買価格は昨年度の価格を据置くこと。  三、馬鈴しょについては、本年の異常気象による凶作に基因する歩留りの低下、商品化率の激減、今後における収穫量漸減等を考慮して、昨年度価格を相当上廻る線で決定すること。    なお、馬鈴しょ澱粉については、加工賃を再検討の上是正すること。  四、大豆については、価格支持目的を実現しうるよう価格算定方式の確立に慎重を期することとし、生産者価格は、小粒二等、農家庭先裸値概ね三千円を下らざるものとすること。 こういう要望事項決定いたしましたので、委員会でどうぞ御善処方をお願いしたいと思います。  右報告いたします。
  4. 村松久義

    村松委員長 ただいま綱島正興君より農産物価格安定法に基く昭和三十一年産カンショ及びバレイショ基準価格並びにカンショなま切りぼし、澱粉大豆政府買い入れ価格に関する件に関しまして、ただいまお読み上げになりましたような内容をもって政府申し入れをいたしたいという御提案があったのでございます。  本御提案を本委員会決議とするに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認めます。  この取り扱い等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、政府において何か発言がございますか。
  6. 小倉武一

    小倉説明員 ただいま本委員会におかれまして御決議になりました本年産カンショバレイショ基準価格カンショなま切りぼし、澱粉大豆政府買い入れ価格、これらにつきましての御決議の各項目につきましては、御趣旨を体しまして、御趣旨にできるだけ沿うように決定する所存であります。     ―――――――――――――
  7. 村松久義

    村松委員長 なお引き続いて災害対策に関する件の調査を進めます。  政府委員出席がまだございませんので、その間暫時このままの姿で休憩をいたしたいと存じます。    午後二時二十二分休憩      ――――◇―――――    午後二時四十五分開議
  8. 村松久義

    村松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  永井勝次郎君。
  9. 永井勝次郎

    永井委員 北海道冷害対策が喫緊の要件であるということは言うまでもないと思うのであります。そういうような事柄で、政府当局においてもせっかく作業を取り急いでおることはわかるのでありますが、当農林委員会におきましても小委員会を設けて現地の視察に基く審議が行われ、本委員会決議をしてそしてこの問題に対処すべきことを要望してあります。従って当局予算審議に当りましては、委員会のこの決議を尊重しつついかにこれを充足するかということ、それからさらに現地実情を正しく織り込んで、そうしてより多く現地窮状を救うところの予算を補正するという態度で臨まなければならないはずであるにもかかわらず、土曜日の本委員会において出席要求いたしましたが出られない。本日もずっとこの今の時間に、ようやく哀訴嘆願するような形においてお出ましを願った。どのくらい偉いのであるかわからないけれども、少くとも議会は国家の最高機関であります。最高機関を行政府において無視するような、あるいはこれを軽視するような態度でありますことに対しましては、私非常に遺憾であります。そういう態度を繰り返す限りにおきましては、われわれは委員会においてまた別途な態度で、決意を新たにして臨まなければならないと思うのでありますが、本日は出席されましたのでありますから、それについて一つ誠意のある、また現在どうなっておるかというような事柄について、率直にお答えを願いたいと思うのであります。  まず大蔵当局に対してお尋ねをいたしますが、北海道救農土木事業について、北海道救農対策について率直にどの程度作業が進んでいて、そうしていつこれが最終的に決定される段階であるか。そして事務的には現在どの程度のところまでいっていて、あとどういう手続を経てこれが決定されるというところまで来ているのであるか、これを伺いたいと思うのであります。あるいは本日次官会議がありましてまたあした閣議が開かれるわけでありますが、行政的にはこの次官会議に議題をかけ、あすの閣議でこれを決定するという運び作業を取り急いでいるのか、あるいは河野農林大臣等が帰ってくるのを待って、それまでに準備を整備しておいて速急に決定しようという運びであるのか。現在北海道凶作対策予算はどういう段階にあるのか、これをまず伺いたいと思います。
  10. 大村筆雄

    大村説明員 お答えを申し上げます。お言葉通り救農土木事業は特に取り急いでいかなければいけませんし、今回の冷害対策の一番の主眼点でございますので、私ども救農土木事業に中心を置きまして、それからまた事は冷害対策でございますので、できましたら先週の金曜日の閣議決定に間に合わしたいくらいのつもりで実は作業を取り急ぎまして、先週実は火曜日に私の方の案を各省にお示ししたわけであります。それに対しましてなおそれではどうも十分でないという御意見もございまして、それで復活の要求がございまして、目下どのようにしたら御満足がいくかという点に頭を悩まして、現在作業中でございますが、あすの閣議にはぜひともこれを間に合わせるように、きょうじゅうにはぜひ決定運びに持っていきたい、かように考えてせっかく今作業を急いでやっております。
  11. 永井勝次郎

    永井委員 それならば、本日中に大蔵省の案がまとまってあすの閣議にかけるというなら、もう事務的には最終段階に来ておると思うのでありますが、その最終段階における大蔵省査定案を大まかでよろしいですからお示し願いたいと思います。
  12. 大村筆雄

    大村説明員 まだ最終的な数字ができておりません関係上、各省にもまだ実は申し上げてございません。考え方を申し上げますと、救農土木事業もできるだけこういう費用は要るかと思いますけれども全般の財政のワク関係もございますし、またほかの災害対策金額もございますので、私どももできるだけこれをふやしてやりたいという気持で、今の案を手直しできる範囲のことはできるだけやりたい、こういうふうに考えて今作業をやっております。
  13. 永井勝次郎

    永井委員 最初に示された大蔵省の案では、救農土木事業関係については総額三十億、その三十億の算定は大へんけっこうなんですが、民間事業がこれこれある、何がこれこれある、一切がっさいのものをこれに含めて算術計算的に三十億という数字をまとめて、そうしてこれだけの事業を行うのだ、こういうようなお示しであったのでありますが、現在その後努力されて大体どの程度の――たとえば三十一億五千万円、場合によればそういう話もあるのでありますが、そういうような額のところまではふやせておるというようなことも聞くのでありますが、果してどのような状況でありますか。そうして民間事業、こういうような事業をこの中に含めて、要求する金額だけは合せておるが、中身はだいぶ違ったものであるというような結果になっておるのでありますが、大蔵当局としては、ただ算術計算的に三十億あるいは三十一億の予算だぞと言って予算数字の大きいことだけを発表して中身はどうでもいいのだというような扱いのように思うのでありますが、その点についてはこの査定に当っての基本的な態度――ほかのこととは違って現地窮状を正しく把握して、その窮状に即応する一つ予算というものが編成されなければならないと思うのであります。問題は政策的な段階ではなくて、社会問題としての、生活をいかにして食っていくか、こういう段階の現在は処理であろうと思うのであります。これは対象罹災農民生活の問題であります。その生活問題を切り詰めるだけ切り詰めてそれで食っていけるはずだ、こうお示しになっておられるようでありますから、まずその予算の総ワクが現在どのくらいになっておるのか、その救農土木事業中身はどうなっておるのか、従来の査定についてどういう点に重点を置いて手直しを進めておるのか、そうして現在ここまできておるのだという状況を、一つ明確にしていただきたい。
  14. 大村筆雄

    大村説明員 救農土木事業の点でございますが、私ども目標にいたしましたのは、全体でこの冬場におきまして被災農家にどれだけ現金収入を見込んだらいいかという点でございますが、実は道庁から要望されておりますのは三十五億でございます。道庁もその中に三億五千万円、民間事業でこのくらいは現金収入が確保できるであろうという数字を見込まれております。私どもは別途その三十五億に対応するのを三十億と一応見込んだわけでございますが、その中におきまして、道庁でお見込みになっております民間事業で確保できるところの現金収入は約三億五千万円、この程度冬場において期待できるであろうと思われますので、やはりこれを見ておるのであります。そのほか既定事業とか、国鉄とか、単独事業とかあるいは失対事業等で期待できるものを差し引きまして、新たに新規事業として起しますのを算定いたしますと、一般会計におきまして七億五千万円の賃金収入を得られるように新規事業を起す。それに対応するために予算費としては十一億五千万円程度を支出する。そのほか国有林におきまして新たに三億五千万円程度新規事業を起すことによって賃金収入を確保させる。それから別途道の単独起債を三億五千万円程度見込むことによりまして、同じように賃金収入の確保をはかる。従いまして約十八億五千万円程度新規事業を別途起すという仕組みにいたしております。
  15. 永井勝次郎

    永井委員 大蔵省救農土木事業関係予算査定基礎罹災農家一戸に現金収入をこれだけ与えればよいというような基礎は、どういう根拠に基いてはじき出されたのか。道の原案では一日の賃金収入を四百二十円から四十円と見込んだ。それを三百百五十円に切っておる。それから八十日から百日前後を見込んだけれども八十日に切っておる。それから対象罹災農家を十一万と算定しておるのに、九万と査定しておる。しかも五町歩以上の農家は、これを対象にしないというような、いろいろな切り方をしておるわけですが、そういう根拠は、どういう資料に基いてなされたのか。この大蔵省査定に基きますと、農家一戸のこの十一月から四月までの冬季六カ月問の現金収入は、二万八千円前後にすぎないのであります。そうすると収入は何もない。働いて生活を立てるのだ。しかも冬季における北海道道民生活のきびしさはすでに御承知であろうと思う。そういうように何も取れないで、しかも累年の凶作のために着るものもない、食うものもないという罹災者に対して、冬季六カ月間、三万円前後の賃金収入でよろしいのだ、しかも一日の賃金を四百二十円でなければというのに、そう高い賃金ではないのに、これを削る査定をしている。対象を削るというような根拠は、やはり北海道のこの窮状に対する現実の把握が大蔵省はこれで十分なんだ、道庁要求にはこういう水増しがあるのだ、こういうようなところで斧鉞を加えたものであろうと思いますが、その根拠一つ示していただきたい。二万八千円前後で六カ月間食いつないでいけるのだ、こういう生活設計であるが、月どのくらいあったらやっていけるのだという根拠一つ示してもらいたい。
  16. 大村筆雄

    大村説明員 実は道の要求の点でございますが、ただいまお言葉の点に四百二十円ということがございましたけれども、道の計算は相当複雑になっておりまして、収穫皆無のところは一日四百二十円、三分作未満はそれの八掛、五分作未満はそれの五掛という段階に区分しておりまして、平均いたしますと二万九千六百円くらいという計算になっております。しかも百日でございますので、一日二百九十六円という単価になります。ところが私の方はそういう道の単価と別の計算をいたしまして、むしろ従来のあれでいきますと、二十八年も実は二百五十円でやっておりますので、そういう単価とりようもできるわけでございますけれども、むしろ私どもは道の現在の賃金収入がどうかという点から別に考え直しまして、PWにおきますところの重軽労務者の平均が大体三百五十円でございます。その他公共事業の方で人夫賃三百三十円としているところもございますし、また失対においても三百円余りの単価を使っておりますけれども、重軽平均の三百五十円という数字を使ったわけでございます。そこで日数の点は、これは前々回通り――前回も前々回も同じように八十日ということにいたしまして二万八千という数字を出しております。  それから対象農家でございますけれども、これはいろいろな案が実は内部で検討されておりまして、ただいまおっしゃいましたように、これは平均五百町歩以上は除外したらどうかとして九万という数字が出たこともございます。これは農林省あたりからいろいろ御意見を聞いておるうちに、道も広うございますから、中には五町歩で切るととんでもないところもございます。これは平均が五町歩くらいのところもありましょうし、また内地の経営規模に近い地区もございましょうし、それは平均のところでございますから、一律に五町歩とすると地区によっていろいろな隔たりがあろうと思います。そういう切り方をしたところもありますが、それでいきますと九万という数字が出ると思いますけれども、一面にまたそれはきついししいう意見もございますので、あるいは十町歩以上平均のところで切るという案もございます。それはやはり被災農家全部が救農土木で救わなければいかぬというのじゃなくて、やはり一定のレベル以下の方だけをめんどう見てあげるという考えでいっていいのじゃないかという点でございますが、そういう切り方をいたしますとあるいは十万という数字も出るわけであります。目下その案につきましていろいろ検討中でございます。
  17. 本名武

    本名委員 今検討中ということですから特に申し上げておきたいと思いますが、実はさっきから伺っていると、救農土木事業費総額を三十五億農民に所得させればいいという道庁要請ということでございます。私は道は責任立場からそういう数字を出していると思いますけれども、実は私、道の数字を基本にして考えたりあるいはまた道がこう言ったから大蔵省はこれを一応検討しているのだというようなことではいかぬと思うのです。そこで私は、大蔵省にはおそらく政府責任において関係各省要求された数字があろうと思います。私の聞くところでは一般民間事業を除いて三十一億四千何がし、約三十一億五千万ほどの数字要求されていたと思うのですが――開発庁いないようですが、開発庁が何かまとめてそういう要求をした。私は大蔵省はこの数字基礎にして検討すべきであって、道の要請である三十五億の中に一般民間人は含んでおるから、それを検討した結果三十億になったとか何億になったとかいうのでなしに、政府責任において各省が出された数字に対してどうかということをお考えいただかなければならないと思うのが一点。  もう一つは、被害農家と要救済農家、いわゆる賃金収入を与えなければならない農家数字というもの、この考え方はおそらく両者主張すれば水かけ論になるかもしれません。ここに私は、大蔵省が非常に窮屈な考え方に立って検討されているのではないかと思われる節があります。それはいろいろ検討した結果、最初は三百五十円の八十日で、五分作未満で、五町歩以上は除くというようなことを基礎にして九万人をはじかれた。しかしこの九万人というのはその後の検討によって、今お話を伺うと何か十万人という数字も出そうだというお話です。そういうふうにあなたの方自体が、最初九万人というものが不適当であったといって十万に近い数字が出そうだという御意見が出るほど非常に対象農家というもののつかみ方がむずかしいと思うのです。そこらは私は現地実情というものをよく掌握されて、賃金並びに稼動日数それから対象面積あるいは被害状況というものをもう一度再検討されて、救農土木事業費というものをはじき出されなければならないと思うのです。  この二点について、道の主張が三十五億の中に公共事業費が含まれているから、それを基礎にして考えたと思われるような御発言に対して一つ明確にしておいていただきたい。特に各省要求の三十一億五千万円というものを一体どう考えておられるか、そういうことをおっしゃったか、これと対象戸数ですね、それから出すところの賃金所得が二万六千円が妥当だ三万円前後がどうだということよりも、対象そのものをどんなふうにして掌握するか、五町歩を十町歩に引き上げたい、あるいは八十日を九十日にするとか、こういう数字のことばかりでなく、対象農家というものをどうしてつかむかということを、もう少し基本的に考えていただきたい。それによって果して五町歩がいいのか十町歩がいいかという理論が進展しなければならない。ちょっとさっき伺っていると、最初は五町歩くらいでおやりになったようですが、その後少し検討してみたら十町歩になって対象農家がふえたというようなお話になったり、それほど確定した数字がお持ち合わせないならば、一方の要求も決して間違いではないということを考えられる。理論を扱われる大蔵省ですから、もう少し的確な考えをお聞きしておきたい。
  18. 大村筆雄

    大村説明員 各省要求しております三十一億五千万円でございますが、実は今回の救農土木事業農林省だけでございませんので、建設省も運輸省も関係いたしております。そういう関係で、各省ばらばらにやりますとそれぞれみな仕事の熱心な省ばかりでございますので、自分のところ主体で計画をお作りになるものですから、合せますととんでもない数字にもなりますので、実は開発庁にこれが是正方をお願いしたわけであります。開発庁とされましては、道が三十百五億要求されまして、そのうちから民間事業三億五千万円を引きまして三十一億五千万円の政府に対する要望をなさっておりますものですから、それで三十一億五千万円という数字を道で調整目標としてお使いになったわけでございます。従って同じように三十五億に対してどのくらいという査定をいたしました場合に、その中で道と同じように民間事業をこちらで見たわけでございます。  それともう一点、被災農家は道と同じ数字をとったらどうかという点でございますが、これは全般救農土木で救わなければいかぬような農家はどういう農家であるかという判断の点とも関連いたしますし、それから社会保障で国が生活保護とか、あるいは、たとえばこれと似たような事業失業対策事業でございますが、そういうところで一体どの程度まで救済の手を延べておるか、それとのバランスの点もあるかと思います。従っておよそ被災農家は全部救わなければいかぬのだというと、多少政府施策相互間のバランスの点もございますし、また被災農家でありましても従来相当蓄積もございますし、経営規模の大きい方は冷害に対する抵抗力も実際あるわけでございますので、全部が全部救わなければいかぬものじゃないという点を根拠にいたしまして、先ほど御説明したような判断にいたしたわけでございます。
  19. 永井勝次郎

    永井委員 先ほど来の主計官の答弁を聞いておりますと、算術計算基礎だけを話しております。その結果が罹災農民生活を正しく守ることになるかどうかという問題については何ら触れていない。私が今この席で事務当局主計官をつかまえて、かれこれ予算のこういう大きな問題について言うことは無理だと思うが、大蔵省責任者がここに出てこないで、主計官責任を持って来た以上は、私は主計官という資格や、 そういう立場の人にものを言っているのではなくて、大蔵省へ帰ったら大臣なり何なりに明確に伝えてもらわなければならぬと思うのです。この三百五十円の単価の問題もそういう基礎はありましょう。こんなものは吹けば飛ぶようなもので、こういう基礎でやったのだということだけであって、それの妥当性ということについては、別個にまた価値批判があると思う。あるのだが、数十年来かつてない北海道の連年の凶作、四年のうち三年被害を受けた農民が、この予算によってこの冬の間生活を正しくささえられていくかという問題がここにあるわけです。その算術計算基礎がどこにあって、どうかけたら、こういう数字ができたとか、そういう問題を私は論議しているのじゃない。問題は一兆何百億という予算を使っておる日本の一年間の予算の中から、北海道という地域が何十年来ないという凶作を受けた、そして被害の中に呻吟している、しかも全国は豊作だという、こういう条件の中で、同胞的な愛情から農民を救おうとするのに、予備費の中からわずか十一億五千万円を支出すればこれで足りるのだ、あるいは五町歩以上は切ってこういうふうにすれば足りるのだ、こういう冷酷むざんな算術計算では農民は救われないということです。あなたはこの予算で果して救われるという確信がありますか。もし大蔵省がそれだけの責任を持ってこの予算査定したというならば、この二万八千円の現金収入で十一月から四月までの冬季間、どういう生活ができるのか。たとえば五人の家族においてどういう生活設計が立つかということを明確にしてもらいたい。責任のある答弁を望みます。
  20. 大村筆雄

    大村説明員 この単価の点につきましてはいろいろ御議論もあるかと思います。しかし先ほど御説明申しましたように、三百五十円と申しますのは、これは道におきますところの重軽労務者のPWの加重平均でございます。それから今社会保障の一環としてやっているところの失業対策事業におきますところの労務費単価もこれは一日平均三百数十円でございます。そういう点から参りますと、失業対策の単価も三百数十円でいいのかという問題はこれは議論の対象にはなり得るかと思いますけれども、国としては社会保障の一環としてやっております失対における労務単価が三百数十円でございます。それからいきますと、三百五十円という単価は低い、これではどうにもならぬじゃないかということはないので、むしろ失対よりいいんじゃないかという点もあるのじゃないかと思います。その点は一つ御了承を賜わりたいと思います。
  21. 芳賀貢

    ○芳賀委員 関連して、大村主計官に尋ねますが、当委員会においては、本日大蔵大臣並びに主計局長の出席を求めておるのに、まだ出席になっておりません。それで大臣並びに主計局長は出席できないので、一体大村主計官大蔵省を代表して責任をもって出席するということで来られておるかどうか。その点はいかがですか。
  22. 大村筆雄

    大村説明員 できるだけ私でもって、責任の持てる範囲で御満足できる御答弁をいたしたいと思っております。
  23. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それではお尋ねをいたしますが、ただいま問題になっている北海道冷害地の緊急救農対策の問題は、これは大蔵省の御方針でやるということではなくて、政府の方針に基いて処理されておると思うのです。その場合一番基本になるのは、やはり政府の方針を確立された時期です。それで、やはり閣議決定において北海道冷害対策をどうするという基本的な方針はきまっておると思う。それは大蔵省でもわきまえておると思うのです。その点はどうですか。
  24. 大村筆雄

    大村説明員 お答え申し上げます。実は冷害対策につきまして、まだ閣議決定というような基本方針は決定いたしておりません。ただ先週、高碕農林大臣より閣議におきまして、現地における視察報告かたがた救農対策事業に三十億程度一つぜひお願いしたいという御要望発言があったということを伺っております。
  25. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは大村さん、実に重大な発言ですよ。政府がまだ正式な北海道に対する救農対策の方針をきめておらぬというのは、これは全く重大な問題ですよ。そういうことはわれわれとして了承できないのです。では何のために高碕さんが老体をひっ下げて北海道冷害調査をやって閣議に報告して、大体七項目にわたる方針なるものをきめたか。そういうふうにわれわれは承知しているわけです。その内容をあなたは全然御存じないのですか。もちろんあなたは閣僚でないから知らぬかもしれぬけれども、もし御存じないとすれば、高碕農林大臣は来ておりませんが、これは政務次官の大石さんは大体知っているだろうと思うので、大石政務次官から閣議において北海道冷害対策をいかに扱ったかという点に対する具体的な御説明をお願いいたします。
  26. 村松久義

    村松委員長 なお正力北海道開発庁長官がただいま出席をいたす予定でございますので、その分の御質疑は留保なさってはいかがと思います。
  27. 芳賀貢

    ○芳賀委員 けっこうです。
  28. 村松久義

    村松委員長 では留保を願います。
  29. 永井勝次郎

    永井委員 先ほど来私が質問していることに対して答弁がないのですが、たとえば単価の三百五十円がいいかどうか、それから日雇いとのバランスがどうかとか――バランスや何かで生活が打開されたり、浮いたり沈んだりするものではないのです。現実の経済的な条件が生活をささえていくのですから、そういう問題は別として、私は現地における農民生活が、この予算の中で十分ささえられていくという根拠のもとにこういうものが算定されたのだろうから、二万八千円の現金収入で六カ月間の生活がささえられるという生活設計をあなたに示してもらいたい。可能であるという条件を示してくれと言っているのです。計算基礎は一応聞いたからわかります。それを一つ答弁して下さい。
  30. 大村筆雄

    大村説明員 生活設計ということになりますと、実はこれは農家の個々の家族構成、その他の複雑なる実態的な数字を必要とするかと思います。それにもしそういう作業をやるといたしますと、それほどのやっぱりこまかい数字を得まして、それに、国として社会保障の限界でありますところの生活保護費に使っております一人当りの最低の生活費は幾らかということを当てはめて作業をしなければいかぬかと思いますけれども、こういう匇々の間にそういう複雑な資料を要求いたしましても、これはとても間に合いません。従いまして今のところ使えます資料は、これは道の要望数字とか、それから前回やりました冷害対策の資料を使わざるを得ないのでありまして、前回この程度いっておりましたら、それを使うことによって大きい狂いはないというふうにまず判断しなければいかぬかと思いますので、ただいま申し上げておりますような前回の数字等を参考にいたしまして、多少それよりよく見たという程度数字でやっておるわけであります。
  31. 永井勝次郎

    永井委員 前例々々ということを盛んに言う。それからまたほかの方とのバランスということをよく言われる。一体凶作という条件が――これはバランスをとるなら本年の凶作というものが二十九年と二十八年の凶作バランスしている、そういう同じ条件だというならば、たとえば賃金やその他の関係が前回の基礎に基いてということが言えるでしょう。そういうものは対象になりゃせぬじゃありませんか。被害の実態が違うのです。それからもう一つは、私が先ほど来言っているように、一兆何百億という予算を使う国の財政の中で、何十年来ない大凶作だという北海道凶作対策に対する予算の支出は、これがぎりぎり一ぱいのところで、これ以上出す余地がないんだ、これがことしの予算の中におけるいろいろなものとの支出のバランスのとれた凶作対策予算額なんだと、こう言われるのかどうかということを聞いている。こまかい数字のことは、いろいろ質問すればあります。こういう数字の中で道民は果して救われるかどうか、生活設計をどの方式にして、どのようにして出せというのではなくして、二万八千円で六カ月間食えるか食えないかという、一般社会常識なり通念で判断できるものだ。その常識を聞いている。何もむずかしい理論的な根拠を聞いているのではない。二万八千円で六カ月食えますかと言うのです。
  32. 大村筆雄

    大村説明員 その点は、実は先ほど申し上げましたように、被害のもう少しこまかい実態を選びまして、そして被害農家の家族構成なり何なりをもとにいたしまして、それに生活保護費で使っております最低生活計算をやりませんと、最低のところが出てこないと思います。従いまして前回もやっております各農家単位の救済の規模を参考にいたしまして、それに被害程度によるところの農家数を加味いたしまして算定しておるわけでございまして、現在の段階ではその程度の把握しかできないんじゃないかと考えております。
  33. 永井勝次郎

    永井委員 そうすると大蔵省のこの予算は、そういう非常に不用意な、あるいは不備な条件で算術計算をしただけなんだ。道民の凶作を受けた生活実情というものはここにあるんだ。この予算北海道凶作の実態と、マッチしているんじゃないんだ。この実態の上に立ってこの予算が編成されたんでなくして、あなたの方はあなたの方でただいろいろなバランスをとって、そうして算術計算をしたんだ。この予算実情を合せろ、このワクの中でやれ、これで生活ができるかどうかわからぬが、これより予算がないんだからこれで生活せよという趣旨であるということは明らかになったと思うのであります。  そこで私は正力国務大臣にお尋ねいたすのでありますが、一体今の政府は、北海道の本年の凶作対策に対して、政府としてどういう基本的な対策方針を決定して、これの具体化にどういう作業が進められておるか、こういうことを国務大臣としての責任においてお答えを願いたい。
  34. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 北海道の今度の冷害につきましては、仰せの通りもう数十年来の大凶作でありまして、その損害も三百数十億に上っておるということでありますので、政府といたしましては、その対策として少くとも賃金収入三十数億をあげたいと思いまして、これを公共事業費によってやろうと思っております。それで今、なおそのほか一般会計からの予備支出として二十九億ばかり大蔵省に請求して、交渉中であります。その中の十数億は実は内諾を得たけれども、それではわれわれは不満足であります。どうしても二十九億はやりたいと思って、目下大蔵省と折衝中であります。
  35. 永井勝次郎

    永井委員 政府責任ということになれば、大蔵省も何も全部含めて、これは政府です。あなたが行政府の担当大臣として大蔵省に折衝したということは、それは行政の範囲であって、われわれはその報告を聞けばわかるわけですが、政府責任を私は聞いておる。大蔵大臣がどう言おうと何しようと、全体のワクからこれだけの予算が必要だから出せというような方針がきまったら、それは政府責任として、それだけの必要な予算の捻出はしなければならない。伴食大臣かなんか知らないけれども、大蔵大臣にお願いしたけれどもだめだった、今の段階はそうだと言うけれど、予算はもうきょうあすにもきまろうとしている。そういうときにそういう答弁では、政府の閣僚としての責任ある答弁にならぬと思う。政府北海道凶作対策に対してどういう方針で臨まれて、どれだけの予算があれば当面北海道凶作の現在の実情救済できるのかという、大体の目安をどういうところに置いておるのか。そのためには、必要なことであるならば立法措置も講じなければならない問題が出てくるでありましょうし、いろいろあろうと思うのでありますが、政府は単に行政の措置だけの限界で本年の凶作対策を処理しよう、立法措置はしないというようなお考えをきめておるのかどうか、そういう関係についても明確にしてほしいと思う。
  36. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 先ほど申し上げました通りに、どうしても予備金からの支出を二十九億必要とすると思っております。それで今大蔵省には、他の公務もありますから、ただいま折衝しておるのであります。大蔵省はだめとは言いません。それでやっております。これが政府の方針です。
  37. 森三樹二

    ○森(三)委員 関連して。正力大臣北海道開発庁長官として、私ども審議委員としていろいろ折衝して参っておる。ところがあなたの今の言葉は、実はあなたのうしろにおられるところの大村主計官が先ほど説明したことをあなた何も聞いていないから、非常に大きなギャップがあるんですよ。大村主計官はとにかく三十一億という数字をはっきり言っておる。そうしてその内容をずっと説明しているんですよ。だから正力さんとしてもその内容を詳細に言わなければならぬと思う。ただ二十九億、二十九億と言っていたところで、何が二十九億になるのかわからないから、やはり明確に……(「予備費だ」と呼ぶ者あり)予備費から二十九億だというたところで、うしろにいる大蔵省の事務官は十一億五千万ということをはっきり言っているから、あまりギャップのあることを言ったところで問題にならない。実はきょうはお互いに北海道の議員諸君――私も北海道ですが、議員諸君が多い。北海道冷害対策委員会といってもしかるべきような、委員長の取り計らいでやっていただいているんですから、もう少し詳細に説明しなければ、ただばく然と二十九億要求しているんだというよりなことではわれわれは納得できない。そうすると私は、正力さんはそういう非常に大きな山をかけての大蔵省この現在までの話し合いというものが、実際行われているかどうかということを疑わざるを得ないと思うんです。そうでなく、大蔵省とは現段階ではこうなっている、大蔵省はこういう考えを持っておるのだが、自分はこうなんだとか、もう少し明確な答弁をされないと、あなたのうしろにおられる大蔵省の事務官との話合いというものは、全くわれわれは納得できないんですよ。詳細に説明すると同時に、また大蔵省との交渉の経過等についても十分一つお話を願いたい。
  38. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 ここに数字の詳しいのもありますが、ただ私は総括的にだけ申し上げたのであります。大蔵省は十一億五千万円と言っております。けれどもそれにはわれわれ不満です。こっちの言っておるのは二十九億です。それで折衝しているのです。その数字はここにありますが、詳しいことは事務官から……。
  39. 永井勝次郎

    永井委員 それはあとで伺うことにいたしますが、私がここでいろいろなにをするのは、たとえば北海道が災害にあった、そこに私が選挙区を持っておるから、その選挙区のためには熱心で、選挙区向けの放送をするんだというような、そういうけちな考えで私は質問しているのじゃありません。また大臣にいろいろなにしたり、大蔵省当局に申しますのも、私はことしの現地凶作のこの悲痛な状態というものを見るにつけましても、政府の代表として農林大臣代理が行かれた。また正力大臣の所管の開発庁からも次長が現地に行かれた。農林省からも渡部農林経済局長初め官房長等も行かれた。衆参両院の農林委員も行かれた。自民党も行った、社会党も現地に行った。そうして罹災農民に対しては、気を落さないでしっかりやってくれ、自分たちは皆さんの窮状はわったから、これに対処する措置は中央で十分やるからといって、それぞれの人たちがそれぞれ現地において約束をしてきておるわけです。また同胞として、今晩食べるものもないというような窮状、それから夜寝る夜具も持たないというような、あの悲痛な開拓農民窮状を見たならば、この現在の状況を見てでも、政治がいかに正しく行われないで、こういう無事な民が正しく自分の天職に努力しながらこういうような悲痛な状態でそのまま放置されているかということについて、政治家としてわれわれの良心がうずくわけです。しかも三年連続の凶作を受けて、ことしは何十年来ない大凶作を受けている。この大凶作を処置する態度としては、従来の例がごうであったからとか、あるいは政府責任においてこうやるとか、野党だから政府の措置に対して攻撃するとかいうことではなくて、ほんとうに政治が国民の苦しみに触れ、喜びに触れて、そうして一体の関係で政治が正しく行われるというためには、それぞれの立場におる者がまじめにこの問題を処理しなかったならば、国会が国民の信任を失います、政府が国民から信任を失います。そういうことがあってはならないのでありまして、やはりこの凶作に対する政府なり議会なりの現状の把握の仕方、及びこれに対処するところの政治の具体的な表現というものは、予算総額なり予算の内容によって実証する以外にはないわけです。言葉の上だけではどんなに慰めたって、お気の毒ですと悲痛な顔をして涙をこぼすようにして慰めたって、そんなものでは腹はふくれないのです。ですから予算政府なり、議会の具体的な政治の表現であるから、予算の最終決定段階に来ておるから、この数字計算基礎がどうあろうと、何であろうと、この集計された予算総額によって、四百億に近い被害を受けた農民の本年の生活をささえることができるかどうかということを当面論議しているわけです。農政の問題として今後いろいろ論議する恒久対策その他の面についてはいろいろ問題を持っております。しかし事は農政以前の問題で次元が違うのです。われわれは食うに困っておる人たちをいかにして救うかという農政以前の社会問題として今論議している。それが、単にこういう基礎によって、前例によってこうやった、こういう大蔵省当局の答弁だけであって、この結果が農民を正しく救うことができるのだという確信のある答弁は一つも得られないのです。そこで正力国務大臣がここに来られて、二十九億の予備費から支出することを要求しているということですが、要求しているというその事実は認めます。しかしその結果が得られなければ、政府の政治的な責任というものは果せないわけです。それから道民はそれによって救われないわけです。こういう問題はなおほかの同僚諸君も言われるから、私は具体的な問題はあとに譲りますけれども、この問題を処理しようとすれば、これだけの予算で処理できる、これだけの予算でなければ処理できないということも成り立つわけです。問題はそれによって羅災農民が救われるか救われないか、政治が正しく行われているかどうかということの価値批判がそこに生まれるだけのことだと思うのです。シナでは災害が起ると、従来はどうやっておるかといえば、災害が起ったところの町村長なり知事がこの何千という羅災農民の集団をここに集めて、この者たちは水害によって災害を受けた気の毒な者であることを証明する、天下のそれぞれの為政者はこれに対して適当に同情と処置をしてもらいたい、こういう紙一きれを与えて旅に出す、この村から追い出すのです。そうすると隣村へ行ってこの書類を見せる。そうしてその村に長く滞在されるとその村を食いつぶされますから、そこでその村は大急ぎで町村長がおかゆを作って丁重にもてなして、次の村へ送ってやる。次々と送ってやるわけです。そのうちに、出発のときには二千人おったのが、半年もすると千五百人になり、千人になり、五百人になって、だんだん雲散霧消していく。その羅災民はどこかに消えてなくなってしまう。災害が起ればみんな一札つけて送り出す。こういうやり方でも問題は解決するのです。解決するというなら予算は一銭もなくったってできるのです。しかしそういう解決の仕方でいいかどうかということなんです。一兆何千億という予算を使っておるのです。予備費も何十億というものを持っておる。しかも聞けばこの予備費から治安費を捻出しようというような――これはうわさかどうか大蔵省から明確に聞きたいのですが、そういう予算さえ出そうとしておる。そうしてこの何百万という羅災農民に対する予算はこれだけしぼった、しかも冷酷な計算基礎によってしぼった。これで実際に救われるか救われないかということは別問題です。計算の結果としてこうなりましたという、生きた政治でない。窮状基礎を置いた予算というものでない、生きた予算でなくてこの数字はみんな死んでいる。冷酷むざんな血がこの数字の中に流れておる。あたたかい同胞としての血が少しも流れていない。こういう予算で一体いいのですか。僕は国務大臣の決意を聞きたいと思う。
  40. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 ただいま御質問の点はまことに私も同感です。むろんその趣意でやっております。それからまた大蔵省も今の十一億五千万円云々で動かさぬというのじゃなく、大蔵省も目下考えておると思うのです。とにかく大蔵省へ今交渉中でありますが、何も大蔵省は固執しておるわけじゃないと僕は思います。ただこっちの要求通りそのままいくかどうかは問題だが、現在十一億五千万ということで、大蔵省はこれよりできぬということじゃないかと思うのです。
  41. 森三樹二

    ○森(三)委員 関連して、正力さんに私はお尋ねすると同時に大蔵当局にお尋ねします。あなたはそういうふうに威勢のいいことを言っておるが、今同僚の永井委員が、これは冷酷無比な予算だと言っておりますけれども、あなたにそういうようなお考えがあっても、あなたのうしろを一つごらんを願いたい。あなたのうしろにちゃんと大村主計官が来ておるのです。そこで私はまずあなたがどういうような政治折衝をなさっておったか、可能性はどういうようになったか、そうして同時に大村主計官は、大体予備費から十一億五千万円程度の云々と言っておる、そうしてあしたの閣議にその原案を出そう、こういう意向をはっきり示されておるのですよ。だから大村さんの答弁も私は一応聞いてみたいと思う。そんな大きなギャップのあるでたらめな――あなたは、倍になるような大きな金額を言っておられるのですが、一体可能性があるかどうか。当委員会をあまりにも愚弄するような答弁をなさっては私はいかぬと思う。どの程度の可能性があるか、一つあなたから御答弁があって、それからうしろの大村さんからさらに御答弁を願いたいと思う。
  42. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 私は決してでたらめな答弁をいたしておりません。自分の良心に問うて言っております。そこで二十九億はどういうことから出ておるかということについては事務当局から詳細に説明をいたさせます。それを聞いていただきたい。それからまた大蔵省は十一億五千万で押し切るものとも僕は思っておりません。多少考えてくれるものと私は信じております。
  43. 大村筆雄

    大村説明員 先ほど、御説明申し上げましたように、せっかく各省からも復活要求がございますので、目下それを検討中でございまして、その検討の結果、きょう中にはきめたい、かように考えております。
  44. 中村時雄

    中村(時)委員 関連して……。主計局の方で、予備費というものはこの前の発表では六十億あると言っているのですよ。大臣よく聞いていただきたい。あなたが十一億五千万円で妥協することはないとおっしゃっても、二十九億という線は当然出てくると思います。あるいはそれ以上のものが当然出てくると思う。一体予備費は何に使おうとしているのですか。しかも目下検討中といいましても、災害の起ったのはいつですか、よく考えてごらんなさい。もうすでに冬が来て、北海道はどうにもならない状態になっている。それを今まで延期しておったということは、あなた方の怠慢もはなはだしいと私は思う。ここで同僚委員が声高らかにあなた方にほんとうに真情を吐露しているのだから、あなた方は真剣に考えてもらいたい。ここでおざなりに二十九億われわれは要求しているといっても、すでに何カ月も経過しておるではありませんか。それをいまだに折衝さえできない、今勘案している、そんなばかげた答弁はないと思う。ほんとうに良心があるならば、当然はっきりした線を打ち出してもらいたい。あなた方が六十億あるという線を、今言ったように十一億五千万円だといって逃げているのでは、話にならない。今国務大臣は一生懸命になって二十九億を要求しているといって、それを今勘案している、そんなばかげた答弁をするものではない。もっと真剣に答弁してもらいたい。
  45. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 私は真剣に答弁しております。今まで決して怠慢はありません。大蔵省にずっと折衝しております。実情調査してやっておることでありますから、決して怠慢しておりません。なお数字的の詳しいことについては、事務当局から説明をさせます。
  46. 柏原益太郎

    ○柏原説明員 それでは当初予備費の要求をいたしました考え方を御説明いたします。(「委員長、資料を配らせなさい」と呼ぶ者あり)資料はございません。(「要求したのはいつか、もっと親切丁寧に」と呼ぶ者あり)実は北海道冷害による被害実情を把握いたしまして、審議室が中心となりまして、内閣に各省の連絡協議会を設置したのでございます。これが今月の初めでございますが、その各省関係協議によりまして、一応救農土木関係におきまして地元に落ちる現金を幾らに見るかということについて、いろいろと各省との間で検討をいたしたのでございます。当初道の方からも要望が出ておりまして、道の方の要望といたしましては、地元の現金収入として三十五億を確保いたしたい、ぜひ三十五億確保したいということでございました。なおその三十五億のうちに、民間の事業によって約一割、三億五千万円くらいは地元に現金が落ちるであろう、それで三十五億の地元現金が必要なんだが、民間の三億五千万を見れば、約三十二億というものを公共事業費関係の国の事業によって確保する必要があるのだ、そういう要望でございます。それでこの大体三億五千万という民間の事業による地元の現金収入というものは、若干不確かな面もありますので、一応とにかく三十五億という現金収入は必要であるが、少くとも三十一億五千万程度公共事業費による地元の現金の収入を確保したいという各省協議の結果、一応その目標をきめたのでございます。それで三十一億五千万という賃金目標に対しまして、三十一年度の公共事業費、食糧増産対策費等による既定経費を幾ら回すか、その既定経費の充当によるほか不足の分を予備費を要求するということになったのでございます。その不足の分として出て参りましたのが、先ほど大臣から話がありました二十九億の予備費要求でございます。私おくれて参りましたので、大蔵省の方からの説明のあったことを存じませんが、多分大蔵省が予備費として十一億五千万円を一応考えたというこの線は、この目標額を三十億という……(「三十一億五千万だよ」と呼ぶ者あり)三十一億五千万円という賃金目標に置かれて考えられたことでございます。しかしこの賃金を出すにつきまして、民間事業の三億五千万もこれは三十一億五千万の中に入れて考えていいのじゃないかということ、その地道、市町村の単独事業による現金収入、それから国鉄関係あるいは失業対策、そういったものから出まする賃金を差し引きますと、七億五千万くらいの賃金に見合うだけの予備費を必要とするのではないか、そういう計算から十一億五千万が出たと思うのでございます。ところが各省で一応考えました二十九億というものの内訳といたしましては、地元の民間の事業による賃金収入あるいは道の単独事業、市町村の単独事業によって出て参ります現金収入あるいは国鉄関係による現金収入、そういったものを見てない数字でございます。それで二十九億というものの中からさらに大蔵省の言われるようにそういったものを引くとしますと、十一億五千万に対する二十九億との開きというものはもっと狭まるはずでございます。
  47. 永井勝次郎

    永井委員 主計官にお尋ねしますが、六十億あるといった予備費が現在どうなっておるか、六十億あると報告した後における支出、そして現在どのくらい残っておるか、お示しを願いたいと思います。
  48. 大村筆雄

    大村説明員 私八月ごろでございましたか、当委員会におきまして六十億程度予備費がまだ残っておりますとたしか申し上げたかと思いますが、その後台風等でどんどん出ておりまして、今日までのところしかと覚えておりませんが、五十億程度は残っておりはせぬかと思っておりますが、なおこれにつきましては、目下台風関係のものをどんどん査定をやっておりますので、その方にまだ相当出る予定にはなっております。
  49. 永井勝次郎

    永井委員 それから治安費なんかは出す予定はありませんか。
  50. 大村筆雄

    大村説明員 その点ははなはだ恐縮でございますけれども、私その方のことに関係いたしておりませんので、治安のことは承知いたしておりません。
  51. 芳賀貢

    ○芳賀委員 正力国務大臣にお尋ねしますが、先ほど大臣が御出席になる前に、私は大蔵省に対しまして、北海道冷害対策に対する政府の基本的な方針がきまっておるはずだが、その内容いかんという質問をしたのです。しかし私どもの了承できるような答弁がなかったので、正力さんの出席をお待ちしておったのですが、過般臨時農林大臣の高碕さんが北海道冷害調査に行かれて、その後その実情というものを閣議に報告しておるわけです。その閣議の席上において北海道冷害対策に対する政府の方針というものは決定しておるとわれわれは承知しておるわけです。これに対しまして高碕臨時農林大臣も御出席になっておりませんので、閣僚としての正力大臣からその内容をお尋ねするわけであります。
  52. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 先ほど申し上げました通りに、予備費からの支出を私の方では二十九億という計算をいたしておりますが、ところが大蔵省の内容と多少違うところがありましたので、それで大蔵省が十一億五千万にきめた、そちらはそれでは足りないといって今折衝しておるわけであります。この点はまだ閣議できまったわけではありません。
  53. 芳賀貢

    ○芳賀委員 高碕臨時農林大臣が帰った後の閣議において災害の報告が行われて、昭和三十一年の北海道冷害地緊急救農対策に関する政府の方針がきまっておるわけなんです。その内容につきましては、これは七項目にわたっておるわけですね。第一は救農土木事業を起す、第二は営農資材対策、第三は農業金融対策、第四が開拓者に対する対策、第五は昭和三十一年の産米の予約金、概算金の処理に関する対策、第六は農業共済金の早期支払いの点、第七は飯米確保対策、これは閣議において取り上げられた問題だと思いますがどうですか。
  54. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 閣議においてはそれほど具体的にきまっておりません。ことに数字のはっきりしたことまできまっておりません。
  55. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうすると政府においては北海道冷害に対する政府の方針というものは全然きまっていないのですね。
  56. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 大体の方針はきまっております。さっき私が申し上げた通りです。しかしながら金高については今大蔵省と折衝中であるというのが実情であります。
  57. 芳賀貢

    ○芳賀委員 方針がきまらぬようでは、予算の方は金高は出てこないですよ。ですから基本的な方針はきまっておるのかおらぬのかということを聞いておるのです。
  58. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 基本的方針はきまっておるのです。しかしながら具体的な金についてはまだ折衝の余地があるのです。それだけです。
  59. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それではその基本的な方針に基いて若干お尋ねします。要点だけをお尋ねしますから、適切な答弁をお願いします。第一の救農土木事業に対しては、被害農家に早期かつ的確に労賃収入約三十二億程度を得させることを目途にしてこれをやらなければいかぬ。それがやはり基本になって、開発庁農林省、建設省、関係省の意見を調整して予備金二十九億円を出すべきであるということの方針を堅持されておると思う。そうじゃないですか。
  60. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 先ほど申しました通りに、根本方針はきまっておりますけれども、金が具体的にはきまっておらない。つまり救農土木事業は、私どもは三十二億要求しておる。それを三十億といってきておる。そこがまだ折衝のついていないところです。だから、根本はきまっておるけれども、具体的な数字についてまだ多少違いがあるというわけであります。
  61. 芳賀貢

    ○芳賀委員 根本方針をまず聞いているのです。まだ最終的にきまっておらぬというから、具体的な予算決定等がその過程にあることは当然わかる。ただ根本方針は救農土木事業については三十二億円の政府の支弁において賃金収入被害農家に得させる、根本方針はこういうことなんでしょう。だから開発庁において各省意見を調整されて、予備金に対しましては二十九億円の支出を要求しておられる。それに対して大蔵省はけちけち言って、まだ十一億五千万円しか査定しておらないというのが今の段階だと思う。そうじゃないですか。
  62. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 先ほどからもたびたび申しておりますが、根本方針はきまっておりますが、具体的な金がきまっていないのです。われわれの方は救農土木事業は三十二億要求しておるのです。それを三十億といわれておるのです。そこに違いがある。あとの二十九億に対しては予備費から出す。その内容について多少大蔵省とまだ行き違いがあるので、それを今折衝しておるわけであります。
  63. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その内容は結局本年度の既定予算の中から十八億九千万円でしょう。予備金から二十九億の要求をしておられるのでしょう。それが折衝の過程にある、そうじゃないですか。
  64. 柏原益太郎

    ○柏原説明員 先ほども申し上げましたように、三十二億を公共事業その他国の事業によって労務費を捻出する、現地に落ちるようにしなくてはいけないということから出発いたしまして、それに見合う事業を起すために、幾ら金がいるんだということになるわけでありますが、まず三十一年度の予算でこれから使う分について、救農関係にできるだけ使えるようなものを拾い出して、まず幾らになるかということです。それで足りない事業費は、一般会計の予備費という国有林野特別会計の予備費からそれを捻出しようということでありまして、開発庁として、まとめて一般会計の予備費を要求しました額が二十九億に相当するのでございます。
  65. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もう一点関連して……。その次にお伺いしたいのは、民間の事業に三億五千万円云々という発言がしばしば行われておるわけなんです。われわれとしては政府が対策を立てる場合において、何のために民間の三億五千万がどうだ、こうだということを言う必要があるのですか。それでお尋ねしたいのは、民間から吸収されると予測される三億五千万円ですが、北海道冷害によって生ずる新しい民間事業等があるのですか。冷害によって新たなる民間事業が起きて、それによって北海道の災害農民というものが三億五千万の賃金を得ることができるのであればまた一考に値いするのですが、そういう事例があれば詳しく御説明を願いたい。納得ができればいいのですから……。
  66. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 数字的の詳しいことは事務当局から説明いたさせます。
  67. 柏原益太郎

    ○柏原説明員 民間事業によって三億五千万の労賃収入考えられるということでございますが、実は道の方の話を承わりますと、昭和二十九年の冷害のときだったと思うのでございますが、約六億の民間事業があった。その六億について約六割程度は労務費として地元に落ちたんだということでございまして、三億六千万円の現金収入が、民間事業によってあったということになるわけでございまして、今回もその三億五千万程度は、やはり民間事業によって被害農家現金収入を確保させることができるのだという考え方でございます。
  68. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点は非常に大事な点です。今主幹の言われた三億五千万というのは、冬季北海道に対しておよそ三億五千万程度賃金が落ちるということで、それは災害農民に対して三億五千万円の賃金が渡されるというのと違うのではないか。冬季北海道に落ちる民間事業の労賃はその六割の三億五千万程度である、そういうことならば何もこれによって新たに北海道の災害農民がことしに限って三億五千万潤うということにはならぬと思うのです。平常時においてそういうことが行われておるということを、何のためにこの災害対策の中へ取り上げてやらなければならぬのか。政府責任においてやり得る分だけをここに計上すればいいんじゃないか。三十二億も私はそれだと思うのです。いかがですか。
  69. 大村筆雄

    大村説明員 私からかわって御説明申し上げます。それはおっしゃる通り、民間事業はもちろん冷害対策のうちに入りません、ただその場合に一体現金収入をどれだけ確保さしたらいいかという点から計算いたしまして、道庁は――道庁計算もそうでございますが、大体三十五億ぐらいは見てやりたい、そうすると三億五千万くらい民間事業賃金が落ちてくるから、それを引いて三十一億五千万くらいについて一つめんどうを見てもらいたいというのが道の要望でございます。それで三十五億がいいかどうかという点が今問題にされておるのだと思うのでありますが、それを私の方で実は三十億というように査定したわけであります。その三十億から、先ほどの民間から三億五千万落ちると道庁の方で言ってきておりますので、それを引きまして二十六億五千万ということでございます。
  70. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういうことを聞いているのではない。三億五千万円のよって来たるものはどこにあるかということを聞いておる。去年もおそらくこの三億五千万という金は、災害がなかったけれども冬季北海道へ落ちている。そういうものはすでにこの予定は入っている。ことしの災害によって農家の経済的な面から四百億という陥没が生じている。それをどうやって埋めるかというところに救農事業の必要性があるのでしょう。災害がなくても三億五千万というものは、兼業農家はいろいろな形で予定済みなんです。これは既定予算と同じなんです。そんなものを今ごろ引っぱり出して、しかも三十二億を三十億に圧縮して、そのワク内から三億五千万引き去るということは全然筋が通らないと思うのですが、正力国務大臣は筋が通るとお考えですか。
  71. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 それはつまり三十五億の金がなくちゃいかぬという見当、だから現金はそれだけ得る、そうすればすでに三億五千万は今まで通りあるから……。(「それは別だよ」と呼ぶ者あり)それは考え方の相違だと思います。
  72. 永井勝次郎

    永井委員 先ほど来みんなが質問しておるのは、北海道関係者が多いのです。北海道関係者は実情をあまりによく知っておるから、この予算はあまりに実情から離れた予算であるから、今これが最終決定をされるという前夜みたいなものだから、そこで政府にあやまちをなからしめたい、また議会の威信も失わしめたくない。そしてかりにこれがこのままきまって、政府も面目を失して国民の信を失う、議会もあれだけ見に来て下さっても役に立たぬじゃないか、政党代表だって見に来てくれたけれども、結局一大蔵官僚の計算にかなわないじゃないか。こういう政治に対する不信、議会に対する不信が生まれたとしても、これはわれわれの力が及ばなければそれで仕方がないのですが、それにいたしましても、現地罹災農民はそれによって救われないのですから、そこで昔のシナのような、どこかに雲散霧消させるというような、そういう罹災者への冷酷な仕打ちでなしに、あたたかい政治を確立するためにここで話し合いをしておるわけです。決して当局を攻撃しようとか何とかいうのではないのですから、もう少し胸襟を開いたまじめな答弁をしていただきたい。大臣は非常に誠意ある答弁だと思うのですが、大蔵当局としては、事務当局ですから計算基礎だけを言うわけです。私先ほど来大蔵省に、この計算でいきますと六カ月間二万八千円の現金収入よりないわけです。その二万八千円の現金収入で、冬季間石炭を四トン近くたかなければ冬を過せないというあの北海道の厳寒のさなかにおいて、罹災農民が、社会常識として生活できるかどうか、こういうことを聞いておるのですが、それについてこれでできるのだという答弁はないわけです、大蔵省はただこうやって計算したのだとこう言う。計算生活ができるならこれはいいのですが、計算生活はできないのですから、そこで大臣は、先ほど来三十億という単に予算のトータルを合せるためだけに計算したような、民間事業を中に入れたりなんかして、こういう二万八千円という計算を出しておる。大臣一つ政府の代表として、二万八千円で六カ月間生活できるかどうか、こういうことを御答弁願いたい。それから政府責任において、この委員会で、三十億の救農土木事業の中に民間事業を入れたのは正しくない、これを外に出して、少くもそれだけのものは予備費から補てんしよう、二十九億の要求はまた別にして、この計算の上におきましてそれだけの修正はさせるというだけの政府代表としての答弁をわずらわしたい、こう思います。
  73. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 先ほど申し上げました通り、開発庁としては決してただ数字を合せるために出しておりません。次長が十日にわたってわらじがけで現地を見て回り、農林省の局長も行き、また大臣代理も行ってよく知っておることと思いますから、実情に即したことをやっておると私は思います。だから決してつじつまを合せるようなそんな形式的なことはしておりません。その意味で私は信じてやっております。から……。
  74. 永井勝次郎

    永井委員 三億五千万をこの救農土木事業新規事業の中に含むことが妥当であるか、妥当でないか。先ほど来妥当でないと言っておる。
  75. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 大体この金は得られるという計算できておると思う。三十億出るのだから、すでに今まで民間事業で三億五千万あるから、そうすればそれは三十億でいける、こういう計算だと思います。
  76. 永井勝次郎

    永井委員 それならば、この中に含めた三億五千万円の民間事業は、従来の方法とは違って、救農土木事業対象として罹災農民だけを就労させるんだ、従来やってきた労務者は一切ここで使わないんだという、何か行政措置か立法措置でも講じよう、こういうことを裏づけとして三億五千万円をこの中に入れたのかどうか。
  77. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 決してそういうようなことを裏づけにしておるとは思いませんが、なお一つ主幹から答弁させます。
  78. 柏原益太郎

    ○柏原説明員 三億五千万を大蔵省考えておられます三十億の内とすべきか外とすべきかという問題は、今いろいろ議論がございまして……(永井委員「いやこれが救農の対象になるかどうかということです」と呼ぶ)内ワクにする場合はこれが救農の対象考えられておるわけでございます。現在はそういう段階でございます。(永井委員「それは立法措置かあるいは就労について行政措置をとるのかどうか」と呼ぶ)それでこの三億五千万円を外に見るべきであるという御要望でございますが、これにつきましてはせっかく今検討中でございますので、もうしばらくの時間をお貸しいただきたいと存じます。
  79. 中村時雄

    中村(時)委員 正力国務大臣が熱心に一生懸命やっておられる気持だけはよくわかるのです。せめてその気持を行為に現わしていただきたい。たとえば、あなたは先ほど考え方の相違であると言っておきながら、あとで三億五千万円は当然救済に使われておったんだ、こう言い切っておる。そうすれば外に置くあるいは置かぬという問題じゃなくて、救農として考えていく場合には、新規に三億五千万円のそういう工事なり、いろいろな問題がここに出てこなくちゃならぬということになる、そうでしょう、わかりますか。そうしますと、新規としてどういうものが出てきておるかということを具体的に突っ込んで、いけばはっきりしてくるのです。そういうことを大蔵省主計局の方にはっきりさしていけば、その問題ははっきり取り上げられる。そうすると在来の三億五千万円プラス・アルファということで、この三億五千万という線がぴしゃっと出てくる。それをやらないでほったらかしてしまうからこの問題がはっきりしなくて、三億五千万の行く先がぶらぶらしておる、そういうことがわかっておるのです。わかっておるにかかわらずあなたの答弁があいまいになっているのはおかしい。せっかくあなたが主管大臣になって、われわれりっぱなものだと見直している、決して伴食大臣じゃないと思っておる、それを、そこのところをはっきりさせなくてはだめです。それがほんとうのポイントなんです。そういうことであなたの答弁をはっきりさして、大蔵省にぴしゃっとくぎづけさしていただきたいと思います。
  80. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 そういうふうに思うのでありますが、なお事務当局から詳しいことをお答え申し上げます。
  81. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 ただいま各委員からの質問を聞いていきますと、大体二つにしぼられたようであります。その一つは二万八千円で農民が約六カ月の間暮せるかどうか、これに対しては、大村主計官はまだ計算中で、その結論は出てないようでありますし、もう一つは三億五千万が民間の事業から収入を得させる、こうなっておりますが、この民間の事業が新しく救農土木的な事業として現われれば別問題でありますが、おそらくこの事業はやはり木材の搬出とか伐採とかあるいは鉄道の除雪とか、こういう問題だろうと思います。ところがこの問題は、冷害がなくてもやっておる。従って冬季間のいわゆる漁のないときは漁民も参画して行っております。農民からも行っております。それからくろうと、今までおった方々もいっております。従って冷害の対策として三億五千万円を取らせるということになれば、冷害農民だけをやらなければならぬとすれば、あとの今まで行っている者の失業対策を考えなければならぬということになります。結局新しい事業を起さざる限りは三億五千万円で新たに冷害対策農民救済するということはできなくなる。それからかりにその問題が半分半分いかれるとしても、今くろうとでなければなかなか木材の伐採搬出はできません。と申し上げるのは、民間の事業というものは利益がなければだれもやるものじゃない。従ってしろうとをつれていって伐採をする、搬出をさせるといったって、民間がそんな高い賃金を払っては間に合わない。それから搬出等も最近は冬季間でもどんどん除雪してトラックでやっております。今まで何十台、何百台といって馬力をもって搬出したものが、今トラックにかわっているということでありますから、冷害にあいました農民が参画しようと思っても実際上できない。そうしますと数字では三億五千万円出ましても、さて一体冷害を受けたところの農民が何人行けるかということになると、ほとんど行けないじゃないかということを考えております。それから北海道の鉄道の除雪、これは雪が降らないということはいつでもありません、常にこの周囲の除雪人夫が出ておりまして、これは女も出ております。ですからそういうものに冷害を受けた農民が入ってくることができなくなれば、数字上三億五千万円出ますけれども、実際上冷害救済の対策には一つもならないということになりますから、それはどこまでもワクの外にして、三十億なら三十億というものを救農土木であるというふうな裏づけをしなかったならばとうてい救われるものでない。かように北海道の事情からいって私は言えるのであります。それからいわゆる救農土木による二万八千円の賃金農民が暮らせるかどうか。これはだれが考えたって暮らせません。都会ならば一カ月の費用でしかありません。農民ならば若干のまきを持っているとかあるいは冷害といいながら若干の食糧を持っているから暮らせるだろうと判断するかもしれませんが、これはできるものではございません。ただ大村主計官の答えがないということは、十万戸二十八億という根本の数字対象にしているから二万八千円と言いますけれども、私らの考えでありますと、十万戸が果して出るかどうかということも考えられます。従って中には三万五千円収入する人もありましょうし、あるいは五万の収入をする人もあるでしょう、また人によっては、零細農民によりましては一万五千円しか収入を得ない人もあるでしょう。これを平均で二万八千円という数字を出しているのでありますから、それはその通りいかないことは事実であります。それを勘案して大村主計官が、あんた方が案を立てられましたならば堂々と勇敢にお答えしたらいいじゃないですか。永井君が幾ら突っ込んでも、それを一つお答えしないということは――大蔵省としては案を立てたはいいが、一体二万八千円で暮せるのだという確信のある答弁ができないことは、まことに私は遺憾だと思っております。従ってこの民間事業の三億五千万の賃金収入をどこからどうお出しになるという具体的な点を、事務当局でもよろしゅうございますし、大村主計官でもよろしゅうございますから、はっきりすると、おのずから一体どのくらい救農土木をやって賃金収入をさせるかということが出ると思いますから、私は関連において質問いたしたのであります。従ってどうかわれわれの安心できるような御答弁を願いたいのであります。
  82. 大村筆雄

    大村説明員 お答え申し上げます。予算をはじきます場合には、これはある程度単純化いたします。これが実行されます場合は川村先生が言われますように、相当実行段階においてはいろいろ差が出てくるものでございます。その点は道が最も現地のことをよく把握されておるわけでありますから、道の御判断を仰がなければならぬと思います。従って道から要求されておるものは収穫皆無のところ、三分作ぐらいのところ、五分作ぐらいのところを見てやってくれということが出ております。御参考までに申し上げますと、先ほど申し上げましたように収穫皆無のところは一日四百二十円、三分作のところはその八掛、五分作のところはその六掛ということになっておりまして、平均いたしまして二万九千六百八十一円という数字が出ております。それで私の方で今二万八千円というものを出しておりますが、二万八千円ということでいきますと二十八億ですか、それでは窮屈でございますので三十億になっております。三十億となって十万戸となりますと、三万円になるわけでございますが、むしろ一戸あたりにしますと、道より若干多いということになるわけでございます。この点は道の御要求基礎にいたしますと、ほぼ妥当なところではないかと思うのであります。  それから民間の点でございますが、道の御要求になっておりますのは、同じように二万八千六百円を基礎にいたまして、これに被災農家数をかけまして、実は被災農家全部を対象にするということで三十五億という数字が出ておりますが、私どもが今考えておりますのは被災農家全部ではなくて、中にはやはり救農を要しない農家の方もありますし、こういう際でもありますので、そういう農家の方は多少とも遠慮してもらったらどうかということで、相当上の方の方は遠慮をしていただくということで査定をしておりますので、三十五億といたしまして、実は三十億という数字も出ておるわけでございます。
  83. 永井勝次郎

    永井委員 芳賀君も限られた時間の中で質疑があるということですが、私は大村主計官一つ最後の質問をして、そしてあとの質問は、農林当局開発庁は留保いたしまして、質問を芳賀君に譲りたいと思いますが、今度の救農土木事業だけでは農民が救われないことは明らかでありまして、これは来年の営農その他にも関係してくるのでありますが、救農土木事業関係において今のような予算の切り方をしておる。そうしてこの農林省から要求しておりますいろいろな関係におきましても、たとえば飼料作物の種子の問題、あるいは飼料の確保の問題、あるいは予約米概算金の対策の問題等、それぞれ大蔵省予算要求よりも相当切ってあるわけです。ことに開拓農民なんかは、とてもこれは買えと言ったって買えない実情であるにもかかわらず、そういう予算を切ってあるわけですが、私はいろいろ小さい問題、内容に入っていたしますと、相当時間がかかりますから簡単にお尋ねをいたすのでありますが、種もみをこのように削ったのはどのような根拠によるのか、予算バランスからこうやったのか、農家の実力はこれだけのもので十分だという考えによったのかどうか、これを伺いたいのです。種もみと畑作関係の種子の問題、それから飼料作物でもゲントコーンは、これは種は必要でない。転換せいと言いっぱなしで、予算一つもつけていないわけです。それは口の先では、簡単に転換せいと言うことができるかもしれませんけれども、転換するためには種子その他全部営農の態勢というものを切りかえなければならないわけです。たとえばゲントコーンにかわってオーチャードを入れる、チモシーを入れるクローバーを入れる、根菜類を入れると言ったって、全部新たに種子を入れなければいけないのですが、こういう関係予算を一銭もつけていない、言いっぱなしだ、こういうことはどういう根拠によったのか。それから亜麻種なんかもやめてしまえというなら別ですが、これはやはり更新をしなければならぬ事情があるのですが、こういう問題はどうか。それから人間の食べものの問題についてもいろいろあります。一応今問題は手を触れておるのでありますが、家畜の飼料の問題については、全然理解を持たない、けだものだから何か食っているのだろうという単純な考え方だろうと思いますが、トレンチサイロの問題だって、現地の実際有畜農家から申しますと、これは人間の食糧と同様に生き死の問題に関連するわけであります。こういう問題、それから予約米の概算金に対する利子の問題、こういう問題を一つ伺いたいのです。そうしてこれらの問題を処理していく上においていろいろ立法措置を講じなければならないと思うのですが、その立法措置をいろいろ考えているか、考えているとすると、どういう問題、どういう案件が立法措置をしなければならないと考えているのか、あるいは立法措置でなく全部行政措置でおれの方の権限内でやるのだ、こういうお考えでずっと進めていられるのか、一括して答弁を願います。  大蔵省に対する質問はこれで終り、あとの農林省開発庁に対する質問は留保いたします。答弁を願います。
  84. 村松久義

    村松委員長 経済局長も畜産局長も来ておりますが、それぞれ答弁しますか、それとも一括して……。
  85. 永井勝次郎

    永井委員 大蔵省についてだけ、あと農林省はあらためて……。
  86. 大村筆雄

    大村説明員 お答えを申し上げます。今御質問の点はそれぞれ農林省開発庁の点でございまして、まだ確定はいたしておりません。これから帰って至急きめなければいかぬ点でございます。御質問の点は十分意にとめまして検討を加えたいと考えております。(「いつ検討するのですか、夜の十二時か」と呼ぶ者あり)きめるときは徹夜でもきめなければいかぬわけでございますが、実はきょう中にきめたい所存でおります。
  87. 永井勝次郎

    永井委員 それでは予算がつく可能性はあるのですね。
  88. 大村筆雄

    大村説明員 十分農林省の御意見等も伺いまして、検討を行いたい、かように考えております。
  89. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 関連。今永井君から最後に飼料についての質問がありましたが、一切検討中だということであります。冷害はひとり作物ばかりではございません。いわゆる雑草その他の草類にも相当影響がございます。そこでもし飼料対策の完璧を期さなければ乳牛等もまた手放さなければならぬということに相なるのじゃなかろうか。それで一昨年の冷害の場合に牛馬等約一万頭近くが食わんがために内地に売り払われております。もしこの飼料対策が本年度の冷害によって完璧を期されるということでなければ、おそらくまた二十九年の倍の数字の二万頭も売り払われなければならないということになるのじゃなかろうかという心配を私はしておるのであります。そこでこの対策が今のところは考えられておらないようでありますが、これは大蔵省としてももちろん考えなければなりませんけれども、原局である農林省畜産局で考えなければならぬということがやはり重点になるかと思います。畜産局の方からもお見えになっておりますが、一体北海道の農業政策というものは、いわゆる有畜農業に切りかえをしていかなければならぬということでがんばっておるにもかかわらず、それが今度あべこべに有畜を他に売り払わなければならぬということになれば大へんな問題になるのですが、これに対してどういうお考えを持っておるか。いわゆる飼料対策についての御意見をお伺いいたしたいと思います。  それからもう一つついででございますが、もちろん今度の冷害対策については、いわゆる道庁並びに市町村等には対策の事務費等の助成をしなければならぬと思いますが、現地状況を申し上げますと、農協並びに共済連等で非常に多く人を使って経費を出しておりします。もちろん今支弁ができないこともないでありましょうけれども、今支弁したことがあとで行き詰まりを生ずるのじゃないか。そういうように行き詰まりますと、今度冷害対策救農土木その他明年度の営農の対策等につきましても齟齬を来たすおそれがあります。率直に言いますと、いわゆる農協あるいは経済連に対して事務費の助成、すなわち冷害対策で事務費の助成をしてやらなければ、行き詰まりになったがために、いわゆるせっかく農林省なり大蔵省が親心をもってやられましても、その行き詰まりによって末端に徹底をしないということになれば大へんな問題になりますので、そこでいわゆる公共団体並びに直接農協あるいは共済連等に対して事務費の助成をする意思があるかどうか。あるなれば、具体的に一つどういう方法でその助成策を講ずるかということを答弁を願いたいのであります。
  90. 村松久義

    村松委員長 畜産局長が今見えておりませんので、後ほど出席要求して、その際に答弁をさせたいと思います。
  91. 大村筆雄

    大村説明員 後段の点について私よりお答え申し上げます。今回の冷害に伴いまして農業改良普及員あるいは営農指導員その他をずいぶん煩わしておりますので、そういう点については事務費の増額の点についてもあわせて配慮いたしたいと考えております。そのほか共済組合等につきましても目下その事務量等についても検討を加えておりますが、できるだけの援助をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  92. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 そうしますと今大村主計官お答えになりましたことは、もちろん道庁あるいは市町村に対する事務費の助成もするが、さらに農協あるいは経済連等に対しても必ず事務費の助成を考えてやる、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。それが確定したというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  93. 大村筆雄

    大村説明員 お答え申し上げます。先ほど申し上げましたように農業改良普及員あるいは営農指導員等県の職員に対して従来補助しておりますが、今回の冷害に当って特にその活動をお願いする点については補助を加えたいと思っております。それで今御質問のありましたのは共済連合会のことと思いますが、その点につきましては実は従来冷害のときにはやっていなかったと思いますけれども、今回特に冷害の場合にある程度見てほしいいう御要望もございますので、なかなか今度の冷害のために特別に事務費がかかるという点について検討を加えまして、善処いたしたいと思います。
  94. 村松久義

    村松委員長 なお芳賀君の御質疑につきましては、先ほど留保した正力国務大臣に対する質問から始めていただきたいと思います。芳賀君。
  95. 芳賀貢

    ○芳賀委員 正力国務大臣がお見えでありますから、先ほどの留保されておる公共事業費関係について御質問いたします。先ほども北海道救農土木事業の問題で、民間の三億五千万円を内ワクにするか、外ワクにするかという論議が行われたのでありますが、これは私は論議の外だと思うのであります。こういうものをわざわざ持ち出してきて、いかにしたならば北海道災害対策費を内輪にとどめるかという大蔵省の苦心のほどはわかるけれども、こういうものは天下に公表して賛成を求めるなんということは絶対できないことなんです。ですからこの点は、私は正力国務大臣には、先ほどから北海道災害対策に対してはとにかく二十九億の予備金の支出を要求して、信念的にこれに努力するということを一応期待しておるわけです。  それでもう一つ同じような事例があるわけです。この点に対して国務大臣の御意見をお伺いしたいのですが、大蔵省のいわゆる救農土木の予定の中には失業対策として一億円考えておるのですけれども、私はこの点に対しては全く理解ができないのです。もしも北海道冷害農民を失業者と規定して、これによって失業対策をやるというならば、社会政策としてそういうことを新たに考えるということであればこれは一応その理由を聞く必要があると思うのですが、この一億円の失対費を救農土木の総ワクの中に見るという根拠が理解できないのです。この点は中心にこれを扱っておるところの開発庁においてどういう考えでおられるか、まずお伺いしたいのです。
  96. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 先ほどの二つの問題ともよく似ておる問題でありますから、なおこれは事務当局から説明させていただきたいと思います。
  97. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは似ておらぬです。被害農民を失業者として今後扱う御意思であるかどうかという根本方針なんです。その点はどう考えていらっしゃるのですか。
  98. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 それは失業対策とは別に考えなければならぬと思っております。御趣旨の点よく了承しております。よく考えます。
  99. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、大蔵省考えておる失業対策の一億円というのは、こういうところに計上すべきでないという御趣旨ですね、いかがですか。
  100. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 失業者と認定すれば、それでいけるという考えを持っております。その点をよく御了承いただきたい。
  101. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは今後農民凶作に遭遇した場合はこれを失業者と規定して、来年の収穫期まで政府責任を持って救済するという道を開くわけですね、それにしては少な過ぎるじゃないですか。北海道の二十万の農民は、ことしは約四百億の冷害による損害を受けておるのです。それを失業対策として失業者扱いにして一億円しか計上してないということで、どうして失対事業の中で救済できますか、これはどういう考えですか。
  102. 大村筆雄

    大村説明員 私から御答弁させていただきます。実はただいま芳賀先生が御質問されました点は大へん微妙な点かと思います。この正確な解釈は労働当局からお聞き下さるといいかと思いますが、二十八年、二十九年の冷害におきまして、北海道におきまして被災農民のうち特に非常に気の毒な方を失業者と認定しまして、失業対策事業を実施しております。そういう関係で特に一億予定いたした次第でございます。これは全般的に常にそうあるということでなくて、二十八年、二十九年に特に労働当局で一部の農民を失業者と認定いたしまして、失対事業を実施しておるわけでございます。
  103. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これはおそらく北海道冷害によって、農村に依存しておった労働力が、やはりそのことが原因して失業という現象がだんだん拡大されてくるわけであります。ですからこれは救農土木事業ということではないですよ。北海道における冷害が原因になって生ずる失対事業政府の支出を拡大していかなければならぬという、これは当然起る事態なんです。ですからその予算を、これも救農土木事業の中に入るという解釈それ自体が間違っておるのではないかということを私は指摘しておるわけです。  もう一つ申し上げたい点は、これは開発庁要求にはないのですけれども大蔵省の方ではこの国鉄関係事業の中からやはり一億円というものを救農土木に見込んでおるわけです。これは北海道冬季間予想されることは、鉄道の除雪とかあるいは特定の個所における砂利の採取というようなことに局限されておると思いますが、毎年北海道は冬になれば雪が降る、それから鉄道の砂利採取なんか、これは年間特定の業者と契約を結んで砂利採取をやっておるわけです。ですからこれらの点に対しましても、先ほどの民間事業の三億五千万と同じように、全くこの一億円が新たに国鉄の予算の中から冷害対策として支出されるということではないと思うのです。そういう積極性は全然ないと思うのですが、この点はいかように考えておられますか。
  104. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 今の点も大へん微妙な点で、まことにこれはむずかしい点でありますから、大蔵主計官からひとつ御説明いたしたいと思います。
  105. 大村筆雄

    大村説明員 私から便宜かわって御答弁申し上げます。国鉄の問題でございますが、実は道庁から、三十五億の内訳といたしまして、国鉄関係九千万という要望が出ております。私どもも果してそのくらいのことはできるかどうか国鉄に当ってみたわけでございますが、非熟練労務費では下半期におきまして道内におきます今後予定される金が約二億ございます。従いましてそのうち半分くらいは被災農民に回し得る、そうすると大体道で計算されてもまず合いますので、それで計上いたした次第であります。
  106. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点はそういうことになると、たとえば毎年のように冬季間に国鉄の除雪とか砂利採取に従事しておるその実績を持った人たちの仕事をことしは全部取り上げてしまうのですか。そういう仕事を全部取り上げてしまって、そうしてこの被害農民と入れかわらしてことしだけはやるというお考えですか。たまたま北海道知事はこういう数字を出した出したということを言われますが、北海道の場合においては、ただ参考的に、たとえば冬季間における北海道民間事業に対しては実績として三億五千万とか、あるいは国鉄関係では一億円ぐらいの収入が通常の年でもあるということが参考の数字として付加されたと思うのです。大蔵省査定ワク外においてこういうことをやってくれという要請は絶対になかったのですか。それをもっけの幸いに悪用して北海道知事はこう言ったからこれも採用しました、これも採用しましたということで、一番大事な政府の予備金支出というものを、それを理由にして極端に削減しておるじゃありませんか。二十九億の要求に対してわずかに十一億五千万でしょう。こういうことが良心的でないというのです。ですからこの点に対して明確な御答弁を願いたいのです。それができないとすれば私は委員長要求して、北海道知事を参考人として招致してもらって、こういう民間事業の三億五千万とか国鉄の一億円というものは、果して純粋の意味の救農土木事業として凶作農民を救うことができるかどうかという真意をたださなければならぬと思うわけですが、責任のある答弁をお願いしたい。
  107. 大村筆雄

    大村説明員 道がお出しになっておりますのは、先ほど申し上げておりますように、全体として三十五億程度は現金が落ちるようにして参りたい、その内訳といたしまして民間で三億五千万、国鉄で約一億という内訳が出ておるのでございますが、その前に三十五億という現金収入というのがいいかどうかという検討の問題が別途あるわけでございまして、実は私ども検討した結果二十五億あるいは二十八億という数字が出たのでありますが、事態が事態でございますので、三十億というふうにいたしまして、それを基礎にいたしまして、その内部的な計算は道と同じ計算をとった次第でございます。
  108. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それで結局大蔵省の今後の方針ですが、あくまでも三十億というものを一応の対象ワクにして、その中に民間事業の三億五千万、それから失業対策の一億円あるいは国鉄の一億円というものを、筋が通るというお考えでこれをあくまでも強行するという考えでおるかどうか、これをまず聞かしてもらいたい。そういうことをやるとすれば、これは全く正力国務大臣の先ほど来の発言と本質的に異なった態度大蔵省は今とっておるということになると思うのですが、この点に対してもう一度明確な答弁をお願いします。
  109. 大村筆雄

    大村説明員 この点につきましては各省からの復活もございますので、実はここ数日もっぱらその方の折衝をやっておる次第でございまして、十分検討いたしまして本日中には決定いたしたいと考えております。
  110. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは新たな観点で十分検討してやるというのですね。今までのような良心的でないやり方は一応捨てて、すなおな気持でやるというのですか。
  111. 大村筆雄

    大村説明員 毎回十分良心的にやっておるつもりでございますが、この上とも良心的にやりたいと考えます。
  112. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それからもう一点お伺いしたい点は、ことしの救農土木事業の場合は、国の直轄とかあるいは道営というような公共土木事業だけでは、これは相済まぬわけです。それで北海道といたしましても、この際特に市町村の道路あるいは河川等を救農土木事業対象にして、政府が十分な補助金の支出を行なって、これを早急に実施すべきであるというようなことは、今月十日の当農林委員会の議決の中にそれがあるわけです。特に馬場建設大臣出席されて、この点に対しましては北海道冷害が非常に激甚であるから、特に検討をして期待に沿うようにするという言明を受けておるわけです。この点に対しましてはどのような段階まで進行しておるかお伺いします。
  113. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 ただいまの御質問の御趣意は大体こちらもそのつもりで誠意やっております。
  114. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に公共土木事業以外の産業経済関係についてお尋ねしたいと思います。これは正力国務大臣の言われた根本方針の中にも盛られておるわけでありますが、先ほどの大村主計官の答弁によりますと、できるだけ趣旨を尊重して善処したいというようなことでありましたが、これはそう楽観は許さないと思うのであります。たとえば農林省要求がどの程度であって、大蔵省が現在まで考えておる金額はどの程度であるかということを参考までにまず聞かしてもらいたい。正力さんはもういいです。
  115. 大村筆雄

    大村説明員 お答え申し上げます。目下農林省と折衝中でございますが、今晩中にぜひきめたいと思っております。きまった結果御答弁さしていただきたいと思います。
  116. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは種子対策等はどうなっておるのですか。方針としては一俵三千円程度に買い上げるということは実現されると思うのですが、ただその場合、被害農家に対して果してどの程度の額で食管会計を通じて払い下げをするか、この点もあわせて方針をきめないと、三千円で買い上げるということだけきまっても、全く種も取れないという農家に対して種子をどれだけに売り渡すかということがはっきりしないと、これは非常に片手落ちにもなるわけです。これらのお考え大蔵省においてどういうように思っておられるか、お尋ねいたします。
  117. 大村筆雄

    大村説明員 お答え申し上げます。種もみの点につきましては、一応私どもといたしましては購入費の補助金といたしまして一俵六百円というようなことを考えておりますが、これにつきましてはもう少し出してほしいという農林省の復活要求もございますので、目下検討中でございます。
  118. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その六百円というのは生産者に対して出すのか、被害農家に対して六百円の補助を与えて安売りをするというのか。あるいはどちらにも六百円を出すというのですか。
  119. 大村筆雄

    大村説明員 今回は六百円は購入者に対しまして出しまして、それだけ安く買えるようにしたい、かように考えております。
  120. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは経過ですからそれ以上追及してもどうかと思いますが、とにかく値段をきめても優良な種もみが集まらぬようなことでは何にもならないのです。だから再生産に必要な種子が完全に出荷されるようなそういう条件をまず作る必要がある。もう一つは災害を受けて種もみも持てない農家に対しましては、やはりこれは低廉な価格で売り渡すという二つの条件はどうしても必要だと思うわけです。それから一つは、北海道においては毎年続いて風水害あるいは冷害を受けておるので、農家の負債というものは非常に累増されておるわけですね。たとえば二十八年、二十九年それから本年度と、四年のうちに三カ年大きな災害を受けておって、その都度営農資金等の法律に基く融資を相当額受けておるわけでありますが、これらはことごとく短期資金でありまして、それらが累積しておるということになると、今後規定に基く短期間における返済というものは非常に至難なことになるわけですね。ですからやはりこれらの負債償還に対して、政府としては適切な方針を立てて、しかも指導を加えながら、北海道の農業というものは今後自立する形の中でこれが処理されていくようにする必要がどうしてもあると思う。そのために今回の災害対策に当っては特に自作農創設維持資金のごとき長期資金を大幅に政府の努力によって災害地に流してもらって、そうして今後の農業の安定並びに負債処理をやれるようなことにすべきであると考えるわけですが、これに対しましてはどのような・判断作業を進められておるかお尋ねいたします。   〔村松委員長退席、笹山委員長代理着席〕
  121. 大村筆雄

    大村説明員 お答え申し上げます。ただいまの御質問の御趣旨につきましては私ども同感と考えております。なるべく長期低利資金を融資するようにできるだけ便宜を計らって差し上げたい、かように考えて目下作業中でございます。
  122. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点に対しましては大村主計官も御承知と思いますが、当委員会決議においては、北海道冷害対策におおむね二十五億円の自作農創設維持資金を流すべきである、こういう議決も行われております。この趣旨は十分尊重さるべきものであると考えますが、大体これに近い決定は行われますか。
  123. 大村筆雄

    大村説明員 お答え申し上げます。できるだけお要望に沿うようにいたしたいとせっかく努力中であります。金額の点につきましては必ずしも御要望の通りに参らぬと思いますが、できるだけ御要望に沿いたいと思います。
  124. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に安田農地局長並びに大村さんにお尋ねしますが、開拓者の対策ですね。災害地の中で特に開拓農民被害の度合いというものは非常に強いわけです。それは農業経営の基礎自体が非常に脆弱だからして、ちょっとした災害にも抵抗する力が全くないわけでありますので、この際やはり北海道の開拓行政等に対しましても、国の責任で根本的な対策が応急対策とともに講ぜられる必要があると考えるわけであります。特に本年度は営農資金対策等に対しましても、単に天災融資法だけに基く融資によってこれを処理するということでなくて、たとえば今年度の春の議会におきまして開拓者資金融通法の改正も行なって、開拓地における連年の災害によって開拓者の負債が増大しておる分に対しては資金融通法の方にこれを切りかえることができるというような改正さえも行われておりますので、今年はやはりむしろ単刀直入に北海道の開拓者の資金融通等に対しましては、天災法による短期の資金融通よりもやはり開拓者資金融通法等によって長期低利の有利な条件で資金を流すべきであると考えるわけですが、この点はいかがでありますか。
  125. 安田善一郎

    ○安田説明員 北海道においては特にそうでありますが、開拓者の現状及び災害がくる都度特に北海道では開拓営農、開拓者の経済が将来も含めてなかなかむずかしく、かつ、過去の災害の融資資金の償還が不可能なほどたまっておることに対して当委員会の御決議があり、また芳賀さんの基本的な考えにおきましては私ども考えが違っておるわけではありません。大蔵省とも熱心に議論をし、要求もし、大蔵省から御意見もいただきまして、現在の対策及び来年度以降に処する対策を研究中であります。御指摘のような事態でありまするから今回の冷害、ことしの作物の災害対策に関しましては当委員会でおきめになりました決議趣旨に沿いまして、なるべく融資政策によらないで、正当なる賃金収入によって借金がたまらないことを念願とすることにおいてまず第一点を行うことといたしまして、まだ最終決定大村主計官や正力国務相の言われた段階でありますが、開拓地における建設工事あるいは開墾作業費の瀬越しを早く応急策で予備金支出をしてもらって、また既定予算の中の開拓作業費は北海道に十分に回すようにして、他の冷害農家よりも開拓農家に現実の賃金がまず落ちる、こういうことを念として要求中でございます。今晩を目途に極力がんばるつもりでおります。開拓地は大体原則として、北海道においては土地の売り渡しをまだいたしておりませんけれども、この売り渡したものについては優先的に自作農資金を出したいと思っております。なお今回の対策としましては、天災融資法をそうきらわないで、天災融資法の最大限度まで開拓者の需要に合う、こういうことをするのも、その資金源がいろいろ御指摘になりましたうちの特別会計では政府の特別会計資金として国会でも御了承願いました融資であり、他方天災融資は中金資金等の系統資金を使いまして、相互扶助の金利の高い原資を利用しつつ利子補給を政府がいたしまして行うことでございますが、短期というものの、ただいま成案折衝中でおおむね見込みがあるものは、金利も三分五厘で、過去の負債も延期でなしに、限度は若干ありますが、借りかえて過去のものは整理して、そして新しく貸すものを三分五厘でなるべく与えますと、高い地域でも五分五厘ですが、開拓地は大体低い方だと思いますが、五年均等になりますから、五年均等にするもので、三分五厘ならば、作物災害を最近は年年受けましたけれども、天災が冷害の形において受けるばかりが北海道農業の、しかもまた開拓地においてすらそういうのが本体ではないというところにかんがみまして、それでいいと思うのであります。なぜかと申しますと、自作農資金でも五分、十五年償還であるように、天災融資法だって三分五厘、五年間でございます。五年間に、いつも冷害その他の災害を受けないことを期することがまず第一だ、そのためには救農土木でも土地整備、小団地等に比較的重点を置きまして、畑地といえども、水田ならいわんやそうでありますが、北海道においては排水を非常に重点に置いた土地条件を整備しないと、気温の低下のほかにさらに冷害を加える基本的な要素がございますので、そこに重点を指向しようと思っております。なお開拓地に限りましては、種バレイショとか営農指導員、保健婦等の――これは彼此融通する場合があるかと思いますが、そういうものに対してはもっと補助制度と申しますか、補助金が今回講ぜられますように折衝中で、多少金額程度大蔵省と違いますが、なお私ども意見が合うように折衝中でございます。負債整理というものについては、災害の場合と、もともと開拓者の営農類型と申しますか、営農の仕方と申しますか、土地条件の整備という仕方のものの根本がございますので、それらを通常国会を目標に総合的に考えまして、とりあえず天災法その他の条件を従来よりよくするとともに、そこに時間的余裕がございますから、通常の農業形態や、平年のときでも資本の蓄積ができない、生活が十分でない、災害に対応する場合の農業の所得が年々得られないというようなことがないように、根本的に営農の仕方、開拓農家の規模その他のあり方、こういうものを考えて、なおかつそれでも過去の災害のために受けた融資が払えない者は、これは根本的に開拓者の中でも払える人と払えない人とを分けまして、それ自身をあるいは御指摘になりましたように、そのときにおいて特別な低利長期の資金で借りかえたり、あるいは若干言葉が悪いかもしれませんが、どうしても払えなくて営農をさせなくちゃならぬ者は負債整理をしましたり、立地があまり悪過ぎて昭和二十三年以前からでもだめな人は、再入植をさせてもらって、また特別会計におきましても、一応これは比較的使いたくないと思うのでありますが、なぜかと申しますと、北海道を含め、内地全国におきまして、開拓者の予定しておる営農進度を進めさせるための資金でございますので、次期国会においてこれのワクを拡大しない場合はこれを進める。また融資の傾向として特別会計の融資、自作農の融資、天災法の融金という系列はそう性格の悪い融資ではないと思います。重複しないようにこれをうまく使うようにして基本的な対策は来年度に御審議をいただいてやっていきたいと思っております。
  126. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今の開拓者の資金対策ですけれども、安田さんも御承知と思いますが、単に天災の融資だけでは開拓者の末端になかなか思うように流れないような障害が幾多出ております。それがまた累積されて、結局開拓者の資金融通法を切りかえる事態が出ておるのでありますから、そういう迂遠な方法をとるよりも、率直に開拓者融通法なら融通法の特別会計のワクをこの際拡大して流してやるということの方がむしろいいのではないかとわれわれは判断しておるわけであります。基本的にいろいろ検討されるということでありますから、この点も十分考慮に入れて開拓者に対する――もちろん借金依存だけでは済まない事態になっておりますので、しかし払えない借金はどうするかということは考えていかなければならぬと思うのであります。この際やはり恒久、応急の二つの対策を特に開拓者行政には立てる必要があるものと思われます。  次に申し上げたい点は、やはり今後の北海道農業の確立の上には、まだまだ酪農業を振興させることがどうしても必要であるし、今までの災害地の実態を見ても、酪農をやっておる農家は一番災害に対する抵抗力が強いわけであります。ところがことしは家畜の飼料であるところのデントコーン等も地上からわずか伸びただけで全く飼料にすることができないような状態なんで、す。それで災害政策としてもっとデントコーンのような飼料作物をこの際転換して、豆か根菜類のような飼料作物に切りかえるということをやるために、これは開拓者も既存農家もそうでございますが、そのために家畜の飼料作物等の種子の助成金であるとか、あるいはトレンチ・サイロの設置に要するわずかな費用というものが要請されていると思うのであります。これは先ほど永井委員が言ったように、大蔵省は現段階においては全面的に否定しておるわけですね。こういう北海道の寒地農業に対する災害の中から判断された今後の転換というものを否定するような現状であれば、いつまでたっても現状維持で災害対策は確立できないと思う。であるからわずかの予算であっても、こういう一つの転換を行うという時期においては、やはり予算の裏づけというものが必要になってくると思いますが、この点はいかがですか。これは大村主計官にもぜひ具体的な御答弁をお願いしたい。
  127. 大村筆雄

    大村説明員 えさにつきましてはいろいろ考え方がございまして、実はこれは前回もやっていないのでございます。それで種の補助というのは、御承知の通り個々の農家にいたしますと、全般的に金額もわずかな、非常に零細なものになりまして、従来からも検査院などからしかられておるのでありますけれども、特に飼料などになりますと、雑穀より金額がわずかになりまして、資金効率は補助金としていろいろ問題を起す割合に薄い。むしろわずかの金でありますから営農資金で十分まかなえるのじゃないか。ことしは営農資金も普通より天災等により家畜関係ワクを特別に見ることにいたしておりますので、その方でいけるんじゃないかという意見もあります。それに対して、いややはり飼料の種は要るんだという意見もありまして、今私たちそれを調整中でありますので、できるだけ御質問の点も織り込みしまして、検討を加えたいと思います。
  128. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは過去の実績によって補助金を出すとか出さぬという問題でなく、先ほども言った通り、この冷害とか災害の場合には、たとえばデントコーンですね、デントコーンというのは御承知でしょう。ことしはとにかく三センチくらいしか伸びていないのです。ですから飼料を獲得できないのです。だから災害のときにはこういう事態がまま生ずるから、この際飼料の転換を行なって、根菜類であるとかあるいは豆科の飼料にこれを切りかえる必要があるのじゃないかということを今考えてきておるのです。ですから新たにそういう種子購入という事態が出てくるし、これはどうしても奨励しなければいけないと思うのです。ですからことしはそういう要素が飼料作物の種子とかあるいはトレンチサイロの設置に対する要求が中には含まっておると思うのです。だからこういう点は大蔵省においても検討されて、今後の災害をそれによって相当防ぎ得るのですから、この飼料の面においては、こういう点はやはり積極性を持って十分取り上げて期待に沿えるような方策を立てられる必要があると思って申し上げたわけです。
  129. 大村筆雄

    大村説明員 冷害に弱い作物からできるだけ強い作物に転換せよという意見でありますが、これは何と申しましても、まず改良普及員等を主体とする指導がまず第一でございますので、その点につきましては、農林省からも十分御指導願いたいと思っておりますが、転換につきましても、できるだけそういう方向で、私ども冷害対策の一環として十分配慮しなければいかぬと思っております。そういう見地からこの補助金も検討を加えていきたいと考えております。
  130. 永井勝次郎

    永井委員 関連して。現地を視察した皆さんは、農林大臣を初め、これは米作その他を転換しなければいかぬ、酪農業を相当推進しなければいかぬ、現地では盛んにそう言っておる。ところが具体的な政策の面では、今言ったように飼料確保について何ら対策を立てていない。ゼロだ。それからこれからの酷農業の基礎になるところの飼料極子についてはゼロだ。こういうようなことは、一体言っていることと実際の行動に現わした場合とでたらめじゃないか、行き当りばったりでものを言っているじゃないか。責任のある発言ではないじゃないかということで、現地農民は非常に不信を抱くと思うのです。現在凶作をくってから、あわてたように酪農業々々々と言っている。終戦後のころどうであったかと言えば、主食を増産することにあまりに急であるために、家畜の飼料畑というものを全然認めない。そうして主食ばかりを割当のようにして植えさせて、家畜を農村から追い出しておいて、そうして今になったら酪農業でなければならぬというふうに、そのときそのときの出たとこ勝負で、でたらめな指導をやっている。こういうことは、やはり農林省責任を負わなければいけないし、大蔵省責任を負わなければいかぬ。ことにこういう凶作を受けて、だれが考えたって酪農業へ大きくこれは推進をしていかなければならぬときに、こういう主要な条件というものを全然認めないということは、一体どういうことなのか。これは芳賀委員の質問にあわせまして、一つ渡部経済局長と大村主計官から答弁をわずらしたいと思います。
  131. 渡部伍良

    ○渡部説明員 お話の通り寒冷地の農業の対策について酪農が非常に重要であるということは、前からも言われ、今度の冷害ではっきり出されているのであります。私が現地に行ったところでも、相当早くからやっている人は、基礎もありまして、トレンチ・サイロに、情ない話だけれども、すでにイタドリの葉を入れてやっているというような人もありました。しかしそれは相当前からそういう経験を積んでそういう準備をしている人でありますので、なかなかやりたくても開拓者等ではそこまでに手が伸びない、何とかしなければいかぬと、こういう声が非常に強かったのであります。畜産局の方からそういう案が出たことについては、これで十分ではないと私考えますけれども一つでもいいことは前進さしたらいい、こういうふうに考えております。そこで農林省の案の中には、家畜の飼料なりあるいは種なりあるいはトンチ・サイロについての補助金を出しているのであります。先ほど来の大村主計官との質疑応答でお話がありましたように、まだ結論が出ないのであります。農林省としましては、何らかの方法で一歩も前進さしたい、こういうふうなことで主計官の方に強く要望しているのであります。
  132. 大村筆雄

    大村説明員 お答え申し上げます。御質問の点は非常に大事なところでございまして、冷害になったからといってあわててそういうことをやる、どろなわではいけませんので、平素からそういう方向に強く指導しなければいかぬと思います。  そこで冷害の場合の問題でございますが、実は種の点は、補助金にいたしますと、金額は非常にわずかでございます。それからトレンチ・サイロにいたしましても、これはごくわずかでございます。それで私もそういう点を考えますと、今度営農資金で家畜を持っている方には、特別に別のワクで低利の金をお貸しするのでございますから、それでやれるんじゃなかろうか。また家畜を持っている方は、冷害に比較的抵抗が強いんだから、持っていない方よりは比較的恵まれているんじゃないかという意見もありますが、農林省の方は、こういう際に補助金を出しておくと転換が非常に早く、むしろそういう奨励になっていいんだという御意見もあります。そういう点もありますので、十分検討を加えて善処したいと思います。
  133. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に予約米の概算金の取扱いの問題でありますが、これは食糧庁当局においてもいろいろ具体的な案を立てていると思うのですが、まだこれは明確になっていない。早期に政府の概算金に対する取扱いをどうするかということを明確にしておかないと、現地においては非常に概算金問題に対して不安を感じておるわけですから、大蔵省当局検討を加えておると思いますが、おおよそどういうような方針でことしは凶作地帯の概算金の返せない分のたな上げをやるかという点に対して、大村さんにお尋ねいたします。
  134. 大村筆雄

    大村説明員 お答え申し上げます。この点につきましては、予約の概算金の要綱がきまりましたときに、災害の場合の取扱いをどうするかという点につきましては、実は例外を認めていないわけであります。これは軽々にそういう例外を認めると、予約制度をそこから崩壊していくことになりはしないかということがおそれられたからだと思うのでございますが、実際問題として収穫皆無で概算金を一つも返せませんという農家があることは事実でございます。そういう場合どうするかという問題が現に出てきておるわけでございます。この点につきましては実は昨年もあったようでございますが、これは農林省におきまして営農資金でもって処理されております。それて予約制度維持というむずかしい問題をはらんでおります関係上、実は農林省におきましてもその案が固まりましたのがつい最近でございまして、私ども数日前から相談を受けたのでございますが、技術的にも非常にむずかしい点がございますので目下検討しておりますが、これも早急に決定いたしたいと考えております。
  135. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私どもとしてもやはり現在の事前売り渡し制度を存続させなければならぬというような考えの上に立っておるわけです。ですからこの制度が災害対策のためにゆがめられるということではいけないと思う。今言ったような非常に複雑な要素もあるけれども、しかし現実の問題としては概算金をどういうふうにして処理して、被害農民に安心を与えるかということが切実な問題なんですから、私ども判断としては立法措置を全然行わないで、行政措置だけで十分の処理ができるとは考えられないわけです。聞くところによると政府当局は、北海道冷害対策に対しては立法措置を全然やらないで、行政措置だけで適当に済ますというような説も非常に流布されておるわけであります。特に概算金の問題等に対しては、あるいはあとで申し上げるところの飯米の問題等に対しても立法措置が必要であるというふうにわれわれは考えるわけですが、政府当局としてはどのように判断されていますか。
  136. 渡部伍良

    ○渡部説明員 立法措置の問題でありますが、現在大蔵省と話の途中で、食糧庁としては必要な立法措置を考えたいというので案を立てております、しかし必ずしも立法措置を講じなくてやれる方法はあるじゃないか、こういう検討もしております。しかしやりたいことの最低限はこういうことであるということで交渉しておるのであります。そのことをはっきりするのには立法措置の方がよろしい、こういう考え方であります。ただし必ずしも十一月に開かれる臨時国会でその立法措置ができなければ間に合わないというふうには考えておりません。政府部内で要綱をきめまして、それを末端に流しまして、もし立法措置を必要とするものがあれば通常国会で立法措置をやってもいいじゃないか、そういうふうに考えております。ともかくにも早く方針をきめて、末端の農家がどうやればいいかということがわかるようにしたいというので今関係方面と折衝しておるわけであります。
  137. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの渡部さんの答弁によると、本来は立法措置でなければ十分のことはできないという。しかしちょっとごまかしにやろうとすれば、これは行政措置でもやれるというのですね。だから十分なことをするにはどうしても立法措置が必要であるということなのでしょう。
  138. 渡部伍良

    ○渡部説明員 これはたとえば食糧管理特別会計で利子の免除をするということにすれば法律が要るわけです。そのかわり利子の免除をするのでなしに、利子補給をする、利子補給の助成金を出すということなら法律は要らぬわけです。どちらの方法によるかというのは目下検討しているわけです。そういう点が大蔵省との建前等もありまして、まだ未解決になっておるのであります。補助金を出すのに法律がなくても出せるのであるが、よりものごとを明確化するために、法律を要しないでも法律を出してやっているのもありますから、そういう意味であります。決して法律ができないからやらないというようなことでなくして、そういう手続上の問題なりそれぞれの立場あるいは見解の相違がありましてまだ結論が出ていないのであります。
  139. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点はいずれにしろ政府として早く態度をおきめ願いたいのです。法律案の提出等に対しては別に政府が出さなければ絶対に出せぬといりものではないのですから、出す意思があるかないか、それから概算金に対しては積極的な考えでやるかやらぬかこいうことがわかれば、これは当委員会の小委員会においても必要な立法措置の検討を加えるということは災害小委員会において方針がきまっておるわけです。予算関係の最終決定を行うと同時に、概算金の問題や飯米確保に必要な法律措置に対しては、政府として立法措置をする意思があるかないかということは早期に意思表示を願いたい。  次にお尋ねしたい点は米麦の安売りの問題でありますが、生産者価格で米麦の安売りをやる場合にこれは当然臨時立法が必要なことになるわけですね。二十八年、九年の災害にもそういうことで生産者価格の売り渡し、延納をやっているわけです。今年の飯米確保対策はどういう形でおやりになるのですか。
  140. 渡部伍良

    ○渡部説明員 今年の飯米対策は値引き販売ということは考えておらないので、普通の消費者価格でお売りする、こういうのであります。ただし一年間の代金延納、それから今の場合ちょうど該当するのでありますが、二十八年に生産者価格でやるということにしたのは法律があったじゃないか、これは必ずしも立法事項でないけれども、政策として打ち出すために法律を出したのであります。そういう問題があるのじゃないかと思います。
  141. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ですから行政措置でやるつもりならこれはやはり生産者価格で売れないのでしょう。安売りをする場合にはやはり立法措置が必要なことになると思うわけですが、今の局長の答弁では普通価格でしか売らぬということですからこれはこれ以上追及はいたしません。ただ一カ年延納の場合どうなのですか、払い下げをしたときを起算日にして、それから一カ年後に代金を納めればいいということ、そのようにわれわれは考えているのですが、今までの取扱いというものは必ずしもそうでなかったわけですね、今度はどうやるのですか。たとえば今年の十一月払い下げをした場合には来年の十一月でちょうど一年になる、それが期限ですね。年がかわって二月、三月等の払い下げに対しては、やはりそこから起算した場合には一年後でいいということになるのです。ところが今までの取扱いでは、二月に払い下げたのも三月に払い下げたのも十一月なら十一月に全部返せというようなことになっている、特に十一月の返済ということは時期的に見ても非常に困難や支障があるわけなのですね。ですから今年度延納、安売りをやる場合には返済の期日等に対してはどのように善処されるのか。
  142. 渡部伍良

    ○渡部説明員 これはお話の通り払い下げのときから一年でいいわけであります。ただし、今までのものでも同じですが、都道府県市町村を通じてその手続をやっております。その都道府県市町村で今度北海道にいった場合に、そんなのめんどうだから、米はたくさん余っているからやらんでいいというような一部の議論も聞いたくらいでありまして、今までは非常に手続がめんどうだったわけです。従って出来秋が十一月なら十一月に米の供出代金が入るのだから、一ぺんに払ったらいいじゃないか、食糧事務所もその方が便利だ、こういうような話になったように私は承知しております。従って一つは事務をある程度整理いたしまして、一月分のものを一月ごとにまとめて、十一月、十二月というふうに払っていくのもいい方法だろうし、あるいは出来秋に供出代金から一カ月で、あるものは十二カ月だけれども、あるものは八カ月なら八カ月の延納にしかなっていないものも一緒に払う方法もあるだろうと思います。これらは実情に応じて処置をしたらいいので、もしかりに食糧庁だけがめんどくさがるのだったら、私の方でそれを促すように努力いたします。これは率直に申し上げますが、北海道庁でその気になってくれないと、うまくいかないと思います。
  143. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点は、政府が延納、安売りをしても、これは知事に責任を負わすのだから、代金回収に関してはいささかも心配はないと思う。ですから局長の言われたように、現地と十分相談されて適切な措置をぜひ講じてもらいたいと思います。  それから、最後にもう一点申し上げたい点は、共済金の年内支払いの関係で、農林省当局としても共済の事務費としてこの災害予算の中で若干の要求をされているわけです。これは今のところ全面的に認められていないのでしょう。これに対しましては、そのまま納得はもちろんできないと思いますが、これは大蔵省当局の見解をどうしても尋ねておきたい。
  144. 大村筆雄

    大村説明員 お答え申し上げます。実は先ほど申し上げたのでございますけれども、これはまた従来の先例を申し上げるわけでありますが、従来こういうものは出してないわけであります。しかし、今回特にこういうものを見てほしいという農林省の御要望もございますので、冷害調査のためにどの程度手間がかかるかどうか、その点を目下話を聞いておりまして、できるだけ御要望に沿えるように考えてみたいと思っております。
  145. 笹山茂太郎

    ○笹山委員長代理 それでは本日はこの程度にとどめまして、明日は十時から台風災害の小委員会を開きまして、午後一時からこの委員会を開きます。これにて散会します。  午後五時三十四分散会