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1956-10-27 第24回国会 衆議院 農林水産委員会 第58号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十月二十七日(土曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 村松 久義君    理事 吉川 久衛君 理事 白浜 仁吉君    理事 田口長治郎君 理事 稲富 稜人君    理事 芳賀  貢君       足立 篤郎君    五十嵐吉藏君       伊東 岩男君    大森 玉木君       川村善八郎君    楠美 省吾君       小枝 一雄君    綱島 正興君       原  捨思君    本名  武君       松浦 東介君    淡谷 悠藏君       足鹿  覺君    伊瀬幸太郎君       石田 宥全君    小川 豊明君       田中幾三郎君    中村 英男君       中村 時雄君    永井勝次郎君       日野 吉夫君    山本 幸一君  委員外出席者         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      清野  保君         農林事務官         (振興局総務課         長)      酒折 武弘君         食糧庁長官   小倉 武一君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   中西 一郎君         農林事務官         (食糧庁業務第         一部需給課長) 小池 弥六君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 十月二十七日  委員神田大作君辞任につきその補欠として永井  勝次郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農産物価格対策に関する件     —————————————
  2. 村松久義

    村松委員長 これより会議を開きます。  農産物価格対策について調査を進めます。質疑の通告がありますから、これを許します。田口長治郎君。
  3. 田口長治郎

    田口委員 私、今年決定されるカンショ澱粉及び切りぼしの問題と精麦の問題、この二つについて政府所見を明らかにいたしたいと思うのであります。まずイモの問題につきまして、今年のイモ作柄について政府の方ではどうお考えになっておりますか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  4. 小倉武一

    小倉説明員 カンショ作柄についてのお尋ねでございますが、昨年の実収よりは多少下回っております。十八億というふうに予想いたしております。
  5. 田口長治郎

    田口委員 昨年の作柄に比べまして下回っておる、大体十八億程度ではないかという御答弁でございますが、この予想を立てられました作報は、幾日の材料をおとりになったのでございますか。その点をはっきりさせていただきたい。
  6. 小倉武一

    小倉説明員 これは私もしかと記憶しておりませんが、たしか十月の初めの予想だと思います。
  7. 田口長治郎

    田口委員 十月の初めまではイモのつらなんかを見まして本年は相当豊作でないか、こういうような予想農家でもしておったのでございますが、その後実際に掘ってみますと、御承知通り非常に天候が悪かった、日照時間が少かった、こういうようなことで、こんな豊作的な作柄でないということを各地で申しておるのでございますが、その点につきましてその後の試験的の作報、予備的の作報を今日までにとられたかどうか、その点をお伺いいたします。
  8. 小倉武一

    小倉説明員 その後の作柄の推移のお尋ねでございますが、これについては私どもも絶えず統計調査部等と連絡いたしておりますが、予想収穫数字を動かすというほどの材料もございませんので、推算の基礎といたしましては、先ほど申しましたようなものを基礎にいたしておるわけであります。
  9. 田口長治郎

    田口委員 私の承知しておるところによりますと、昨年の生産高は十九億七千九百万貫というような数字と記憶しておるのでございますが、この数字とただいま長官から発表されました十八億の数字とを比べますと、少くとも一億八千万貫程度生産減になっておる、こういうようなことを前提にいたしますと、今年の澱粉あるいは切りぼしの支持価格の問題につきましては、私どもといたしましては昨年を下ってはいけない、こういうような感じを持っておるのでございますが、私具体的に数字をどうだということは伺いませんけれども、概略昨年を下らない価格であるべきだ、こう考えておる次第でございますが、政府所見はいかがでございますか。
  10. 小倉武一

    小倉説明員 ごもっともでございまして、明年の実収と比べまして今年の予想が下っておる、従いましてその点から申しますとカンショ価格については少くとも去年よりは下るはずがあるまいというような御趣旨でございましたが、ただちょっとそこで御説明をいたしたい点は、この需給状況を見ました価格算定方式は、昨年の数字だけを基礎にするのでございませんことは御承知通りでございまして、過去三カ年の数字と今年の見込み一つの対象になるわけでございます。それからもう一つは、昨年計算いたしました時分には、実はこれはやはり予想でもって数字をはじくわけでございまして、ちょうど今年の十八億に相当する数字といたしましては、昨年は十九億ではなくして十六億七千万が計算基礎に実はなっておったようなこともございまして、実収自体と比べますと御説のような疑点が生ずるのでございますけれども計算方式から申しまして、昨年の計算基礎になりましたカンショ予想収穫と今年のとを比べますと、今年の方がむしろ多い、こういったような実は矛盾した結果になっておるのでございまして、そういう点をちょっとつけ加えて申し上げたいと思います。
  11. 田口長治郎

    田口委員 昨年の澱粉が滞貨をしておる、こういう要素は、本来ならばこの価格決定要素にならない。たった一年間やって、多少の手持ちができた、それを価格決定要素にするということになりますと、価格安定法というものが何のためにあるかというようなことになってしまう。少くとも五年、十年滞貨したものがあるというようなことでありますればある程度考えなければならないと思うのでございますけれども、たった一年分のものが残っておる、だから今度は安くするのだ、こういうことでは私ども価格安定法そのものを非常に疑わざるを得ないことになるのでございまして、この点澱粉が残っておる、手持ちがあるということを要素にして計算されることは非常に遺憾千万と存ずるのでございますが、かりにこの三千万貫近くの手持ち澱粉がこの供給の中にあるといたしましても、これをなまイモに換算いたしまして、約一億三、四千万貫と思うのでございますが、本年予想されておるところの十八億にこの数字を寄せましても、昨年の実収にはるかに及ばない、かような点から考えまして、どうしてもこの程度作柄見込みでありますれば、この手持ちのために澱粉及び切りぼしの価格を昨年よりも下げるというような理由は全然成り立たない。もしこの理由が成り立つとすれば、農産物価格安定法そのものが不必要である、何にも効力を発揮する法律でない、こういうふうに私ども考えるわけでございますが、その点政府ではどうお考えになっておりますか、重ねてお伺いいたします。
  12. 小倉武一

    小倉説明員 お尋ねのように政府手持ち澱粉を、価格算定の場合にどういうふうに見るかということは確かに問題でございます。おそらく建前から申しますればやはりこれをイモに換算いたしまして、供給に立てて、全体の供給を見ての計算ということがどうも理屈に合っているのではないかというふうにも思われるわけです。と申しますのは、供給に立てないということで計算をいたしますと、それを今後一年間少くとも政府は全然放出しないということをあらかじめ決定するというようなことになりまして、カンショ作柄等状況によりまして毎年そういうことを続けていけば、政府の買ったものは売れないということになってしまうおそれが生じて参るのであります。とは申すものの、他方イモ生産農家等事情考えますれば、御説のようなことも当然言われ得ると思います。私どもといたしましてはその両方の見解一つ取り入れまして、あまり理論的ではございませんが、手持ち澱粉の約半分くらいは供給に立てて計算するということが妥当ではないか、こういうつもりでおる次第であります。
  13. 田口長治郎

    田口委員 ただいまの御答弁によりますと、手持ち澱粉の約半分程度供給量に加算するというようなお考えで、その点は半分だけ私ども考えに接近しておるわけでありますが、どう考えましても、手持ち澱粉が少しできたからそれを要素にして今年のイモあるいは澱粉値段を安くしてしまう、たった一年の品物が残ったばかりでそういうことをされるということはふに落ちないのであります。私どもは、たった一年間の手持ち澱粉のためには、イモ価格を下げるべからざる要素であるというように考えておるものでございますから、この手持ち澱粉がもしなかりせば、なまイモ価格というものは幾らに決定さるべきものか、その数字一つ伺いいたしたいのでございます。
  14. 小倉武一

    小倉説明員 ちょっとお尋ねの点を聞き漏らしたのですが、手持ち澱粉を全然供給に立てないと仮定した場合の価格がどうなるかという御質問だろうと思いますが、たしか計算したものがあると思いますので、それを探しましてからお答えいたします。
  15. 田口長治郎

    田口委員 なおこのイモ価格の問題につきましては、いろいろな理論上の計算もありましょうが、農家の生活という点から申しますと、一般物価との関係が実際問題として起ると思う。その参考資料といたしまして、食糧庁で、日銀物価指数、これが今年どんなふうに動いておるか、この点もはっきりお願いいたしたいのであります。
  16. 中西一郎

    中西説明員 今の日銀卸売物価指数関係資料、今手元にございませんので、後刻用意したいと思いますが、手持ち澱粉を全く売らない場合の計算、これは実はことしの作柄の概況が予想収穫高段階になります前にそういう計算をしたことがあります。そのときは三十一年産のカンショの出回りを十七億二千六百万貫と実は置いたわけですが、そう計算に大きな響きはないと思います。そういたしまして、政府手持ち量供給量に見ないで計算いたしますと二十五円七十四銭になっております。そこで十七億二千六百万貫を十八億という最近の予想収穫高計算いたしますと、約二、三十銭はこれより下ってくるのじゃないかという見当だと思います。
  17. 田口長治郎

    田口委員 私どもはこのなまイモ価格問題につきましては、大体一カ年やって手持ちができた、それはいわゆる供給量に挿入すべき性質のものでない、かような見解を持っておりますし、昨年の実際の生産高と今年の生産高と比較した場合におきまして、昨年の二十六円というものを割るべき年ではない、もしこれを割るということになりますと、私どもとしては一般物価でこれを説明して農民を納得させるよりほかに方法がない。従って日銀物価指数が今年特に下っておる、こういうことでございますと、これは説明がつくと思いますからして、このなまイモ価格につきましては、そういう点を一つども考えておるということをここにはっきりしておく次第でございます。  次に切りぼしカンショの問題でございますが、これは御承知通り昨年は一貫目九十七円でございました。この九十七円は県外倉庫に入れた場合の運賃まで計算して九十七円と思っておるのでございますが、これは御承知通り手持ち澱粉には全然関係がない、いわゆる主として酒精の方にいく材料でありますから手持ち澱粉には全然関係がない。のみならず今年手持ち澱粉を持っておられるというと、なるべく酒精の方に切りぼしを回して、そうしていわゆる澱粉原料の数量というものを少くしなければならぬ。かような事情もございますし、また酒屋関係をいろいろ調べてみますと、この酒税というものが石数によって国がかけておる関係からいたしまして、農民から買い上げるところの原料を安くして、そして安い酒ができましても、今年の酒は生産費が安いから安く販売するという性質のものでない、販売価格というものはきまっておる。かようなことで税金で吸い上げることもできませんし、ただ零細農民をたたいた、いわゆる原料安というものが酒屋のもうけになってしまう。こういうような事情もありますから、これは本年の作柄から申しましても、いかなる理由があっても昨年より下る、こういうようなことはあり得ない、こういうふうに考える次第でございますが、食糧庁といたしましては、昨年の価格に比べてどうお考えになっておるか、その点をお伺いいたします。
  18. 小倉武一

    小倉説明員 お話のようにカンショの切りぼしにつきましては、そういう点が確かにあろうかと存じます。私どももできるだけ御趣旨に沿うようなふうに計算をいたしたいと思っておりますが、かりにイモが二十六円が下るということでありますならば、やはりある程度は切りぼしについても価格の引き下げの要素になるということも、これはやむを得ない点がございますので、その点を一ついろいろ勘案しまして、できるだけ適切な価格にいたしたいと存じております。
  19. 田口長治郎

    田口委員 ただいま長官答弁前段は、わが意を得たりというような答弁のようでございましたが、後段になって少しぼけたようでございます。長官も御存じの通り、これはもう手持ち澱粉に何も関係ない、のみならず手持ち澱粉があれば、澱粉原料になるイモをできるだけこっちの方によけい回さなければならぬ。あなた方が調査をされておる資料を見ましても、ことしの切りぼしイモ生産費というものが、昨年よりもよけい金がかかっておる。こういうような事情からいたしまして、このなまイモ価格云々に関連して、どうも奥歯にもののはさまったような話をしておられますけれども、いかなる観点から見ましても、この切りぼしの価格が昨年に比べて今年は安くなる、こういうような原因になるものは何もないのでございますから、前段に御答弁になりましたように、これだけは昨年と変らない価格にどうしてもしてもらわなければ議論が尽きない、下げる要素が何もないのですから……。こういうようなことでございますから、この点を一つ重ねてお考えを願いたいと思うのであります。この上、この問題について私答弁は求めませんが、要素がないということだけをはっきり申し上げておく次第でございます。  さらにイモの問題の最後の問題といたしまして、この価格問題につきましては毎年食糧庁あるいは国会の厄介になっておる。その原因がどこにあるかということを考えてみますと、結局この澱粉利用方面澱粉の売り先、こういうものをわれわれとしては根本的に考えなければならない、こういうふうに考えるのでございます。澱粉消費量利用方法、こういうことを考えてみます際におきまして、私どもはどうしてもやはり精製ブドウ糖のことを考えなければ仕方がない、また国家のために精製ブドウ糖はぜひ考えなければならぬ問題である、こういうふうに考えておる次第でございます。私ども研究によりますと、大体イモが二十八円から三十円程度のものであれば、この精製ブドウ糖一貫目三百四十四円程度生産ができることになっておる。今日まではこの廃密の問題が非常にやかましかった次第でございますが、この廃密の再糖化という研究も完成をされておる。従って二十八円から三十円程度原料であれば、三百四十四円程度一貫目ブドウ糖ができる。この三百四十四円ということは、結局この精製ブドウ糖競合物資でありますところの砂糖価格との関係でございますが、これは優に砂糖が七十五円あるいは七十円程度になりましても、なおこの精製ブドウ糖甘味割合から申しまして値段が相当な値段である、生産ができる、こういうようなところまで研究が進んでおるのでございます。精製ブドウ糖は御承知通り、これはイモの根本問題の解決になりますばかりでなしに、砂糖をなめるよりもブドウ糖をなめた方が国民体位の向上に非常にいいのである。のみならず、今百万トン近くの砂糖日本に輸入しておりますが、もしこれによりまして二割ないし三割程度砂糖の輸入を防遏するということができますと、外貨という点からいっても非常に重大なる意味を持っておる。どういたしましても、私どもは一日も早くこの精製ブドウ糖工業というものを日本に打ち立てなければならぬ、こういうふうに考えておるのでございますが、この点についての工場設備その他の資金について、農林省は準備をしておられますかどうか、その点をお伺いをいたしたいと思うのであります。
  20. 小倉武一

    小倉説明員 澱粉消費促進という観点もございますし、また甘味食品国内需給観点もございますので、精製ブドウ糖工業を振興していくということについては、私どももその必要を感じております。ただいまその点についての資金お尋ねでございますが、この両三年、規模は小そうございますけれども開銀資金につきまして農林省といたしまして融資方あっせんを実はいたしておったわけでございますが、不幸にしていまだに実現せずに今日に至っているわけであります。本年も開銀資金についてのあっせんを実はいたしております。関係会社融資の申請をいたしておりますので、できるだけそれが実現いたしますように私どもも力添えをしたい、かように思っております。
  21. 田口長治郎

    田口委員 今年も資金あっせんをしておられるというような話でございますが、開銀におけるこの方面資金ワクは大体どの程度予定しておられるのでございますか。私ほのかに聞くところによりますと、見返り資金の問題でこの問題を解決しよう、こういうような意向もあるというような、さような話も聞いておりますが、資金ワクがはっきりしておりましたら、その点をお聞きしたい。
  22. 小倉武一

    小倉説明員 見返り資金でもってブドウ糖工場を建設するという点につきましては、かつて農林部内で検討いたしたことはございますが、農林省といたしまして、まだ見返り資金融資をするというふうには結論は得ておりません。先ほど申しました開銀融資につきましては、一億五千万円の融資につきましての話でございます。
  23. 田口長治郎

    田口委員 開銀ワクが一億五千万円ということでございますが、このワクではとうていまかなうことができないと思いますから、来る予算編成に当りましては、何とかこの問題に目鼻をつくるために相当額資金ワクをぜひ考えていただきたいと思うのであります。資金ワクができましてそうして精製ブドウ糖研究ができて、三百四十四円程度一貫目精製ブドウ糖ができるということになりますと、あとはできたブドウ糖が売れるかどうかということが企業者としてすぐ考える問題と思うのであります。御承知通り今日精製ブドウ糖日本で約一万五千トン程度しか売れていないと思うのでございますが、この程度では一つの大企業として工場を作って生産する——このできた品物がどうなるのだろうということでは、なかなか経済人としては踏み切ることができない。しかし先ほどから申しましたように、これだけは一石三鳥というような問題でもございますし、私どもは一日も早く日本にこの工業を打ち立てたい。これに対しては万人反対する人はないと思うのでございますから、このできました精製ブドウ糖は売れる、こういう方法で売るんだということ、この一点がこの工業が立つか立たぬかの岐路になっていると思うのでございます。私見といたしましては、これはできたものは全部政府で買う、そうして砂糖を払い下げられるときに抱き合せで払い下げる、こういうようなことも一つの行き方でありましょうし、あるいはアメリカなんかではこれを使用する業態を限定して、そうして法律を作って強用している、こういうようなこともございますから、これは一つ法律によって、たとえばカン詰ならカン詰あるいはソーセージならソーセージ、こういうものはブドウ糖を使わなければならぬ、こういうことをいたしましてもいいと思うのでございます。いずれにしてもこの二つのうちの一つをやらなければ、業者としては踏み切ってこの製造を始めるということができないと思うのでございますが、この点につきまして政府は私らと同じお考えでおられますか、あるいはは違ったお考えでおられますか、御答弁を願いたい。
  24. 小倉武一

    小倉説明員 お示しのように精製ブドウ糖工業を興すには消費販路についてある程度の見通しがなくてはならぬこと、お示し通りでございます。お話のように政府が買い上げるといった方法もあるかと思いますが、これもやはり販路確保ということが伴うことと思いますので、販路確保については砂糖との交合あるいは抱き合せといったことも考えられますが、私どもといたしましてただいま検討いたしております点は、砂糖よりもブドウ糖を使った方がよろしいといったような部面に向って精製ブドウ糖使用販路を開拓していき、その使用方法等について普及していくということがやはり必要ではないかと思っております。たとえば食パンに砂糖のかわりに入れる、あるいはビスケットに入れる、あるいはお話にもありましたがカン詰に入れるといったようなことでも、ただいまの段階から申しますると、相当程度需要が見込まれるのではないか、そういうような需要の開拓ということを一つども行政的にも考えてみたい、かようなつもりでおるわけであります。
  25. 田口長治郎

    田口委員 私が質問しておりますのは、自然にまかせては遅々として進まない、今ここに工場を作って大量の生産をする場合、この品物をどうしてはくかということが工場を設置するポイントになっておりますから、その自然の普及という問題でなしに、できたら政府がこれを買い上げる、あるいは何か制度を作って、そうして消費面を確立する、こういう御意向がありますかどうかということでございます。
  26. 小倉武一

    小倉説明員 ただいまのところまだそういう決定と申しますか、割り切っておるわけでございませんが、お話のような点を含めて相当規模工場建設ということを政府が積極的にあっせんするとか融資考えるということになりますれば、そういう工場建設措置等もあわせ考えまして、今のお話のような点も十分検討いたしまして、両々相待って澱粉消費が促進されるようにいたしたい。従いまして、今のイモ価格の安定に資し得られますような措置を、この際特に検討する必要があるということにつきましては、私ども全く同感でございます。
  27. 田口長治郎

    田口委員 きょう突如の話でございますから確固たるお考えが固まっていないと思いますが、さような事情でございますから、その方法について一つぜひこの問題は御研究を願いたいのでございます。  次に、これで最後でありますが、イモ融資の問題についてお伺いをいたしたいと思うのでございます。切りぼしカンショは、以前はほうちょうで切っておったのが手動機に変った。今ではそれが発動機まで利用してイモ切りをやり出した。こういうようなことで、以前は大体一月、二月まで切りぼしの生産という作業が続いておったわけでございますが、今日では大体十二月に作業を終ってしまって切りぼしができてしまう。ところが、この切りぼしが原料でありますところの酒の方はどうかと申しますと、大体十二月、二月くらいまでずっとなまイモ使用して、なまイモが切れて初めて切りぼしを使う、こういうようなことで、十二月にできてしまったものを二月まで切りぼしの購入がない。御承知通り、切りぼしを製造するところはきわめて貧農が多いのでございまして、ことに米の生産地でありませんから倉庫というものがありません。自分の家の畳をはいで家の中に切りぼしの俵を積んでおる。正月が来るからどうにもしようがない。切りぼしを何とか売ってしまう。あるいは資金関係で売り飛ばしてしまわなければならぬ。こういうことで、せっかく農協なんかで統制して、値段をくずさないようにしようということで努力しておられるけれども、その置き所の関係資金関係で、どうしても正月前から正月後にかけて統制外でどんどん値をくずして売っていく、こういうような事情になっておりますので、ここに二ケ月程度品物農協その他が備蓄をする、こういうことができますれば、安く売る農家もおりませんし、切りぼしの協同組合による統制もきしっとついていく、こういうような事情でございまして、生産された数量の七百万貫か一千万貫程度備蓄をするということがどうしてもこの仕事に対しては必要である、こういうふうに考えるのでございます。この点について資金あっせん問題もございましょうが、場合によりましたらこの分だけを政府で買ってもらう、こういうようなことも必要でないかと考えるのでございます。その際に今年の切りぼしあるいは澱粉の買い上げ予算というものは全部使ってしまってございますが、食管の会計を見ますと予備費が相当にある。この予備費で一、二月あるいは三月程度澱粉あるいはこういう切りぼしの買い上げができますかどうか、そういう意思がございますかどうか、この点を一つ最後イモの問題としてお伺いをいたしたいと思うのであります。
  28. 小倉武一

    小倉説明員 今年のイモ作柄等から見まして、おそらく澱粉政府買い上げという措置が必要になってくると思います。予算的な措置について現在の予算では買い上げることはむずかしいのでございますから、お話のような予備金なりあるいは補正予算ということによって措置しなければならぬかと思います。その際に、ことに切りぼしの問題でございましたが、切りぼしにつきまして、融資措置なりあるいは澱粉関係等もにらみ合せまして、政府が買い上げるということがより有効適切なる方法であるかということもよく検討してみたい、かように考えます。
  29. 田口長治郎

    田口委員 イモの問題は大体以上で切り上げまして、麦の問題について長官の御意見をお伺いいたしたいと思うのであります。  日本の食糧の現状から申しまして、米と麦というものはどうしても並行的に生産をされ、並行的に消費をする、このことが絶対的に必要であると考えておるものでございますが、最近の精麦の事情をいろいろ見てみますと、消費が著しく減退をしている。米にみんな嗜好が向いてしまいつつありまして、ぐんぐん精麦の消費量が少くなっている。このために、精麦業者が今日では少くとも三百軒程度破産してしまっているのではないか。今辛うじて営業している人も、仕事をすれば損をするのであるが、そうかといって営業を停止してしまいますと銀行からの融資が仰げない、たちまちつぶれてしまわなければならぬので、銀行の信用をつなぐために仕事をやっておる、これはどういうことでこんな事情に立ち至ったか、私らといたしましては、食糧庁が米のみに非常に熱心であって、麦の政策をどうも少し手落ちしておられるのではないか、かような感じもする次第であります。一体こういう現象はどういうようなことから起ったのでございますか。この対米比価の問題その他のことはよく承知しておりますけれども食糧庁のお考えを率直に一つ伺いいたしたいと思うのであります。
  30. 小倉武一

    小倉説明員 精麦業につきましての、今日の状況に立ち至った原因ということでありますが、この点につきましても、なかなか問題はむずかしうございまして、しかとわれわれもその原因を確かめ得たわけではありませんが、もうどなたも御承知通り、昨年の豊作と今年もまた作柄が平年作を上回るという予想でございまして、米のやみ価格相当程度下って参る、そういうような食糧事情がやはり根本の背景的な原因であろう、こう思います。  もう一つは精麦業自体の問題でございますが、食糧不足時代に重要な役割を演じました精麦業でございますけれども、麦の統制が間接統制に移行するということに伴いまして、その前後にやはり相当新しい設備なり、企業もふえて参る、こういったようなこともございます。おのずからそこに競争も起ってくる、こういうこともやはり一つ原因ではなかろうかと存じます。  なお米あるいは精麦のほかに、小麦粉ににつきましても、やはり全体の食糧事情の影響等から見て似たような状況が一部あるわけでありますが、そういうことともやはり相関連いたしまして、現在の精麦業の事態に立ち至っている、こういうふうに観測いたしておる次第であります。
  31. 田口長治郎

    田口委員 いろいろ御説明がありましたが、とにかくここまでいきますと、もし施策がおくれることになりますと、おそらく精麦業者というものは全部破産してしまうだろう、そうして国民の食糧に対する嗜好は米のみに集中されまして、麦の嗜好というものが忘れられてしまう、かような事態も起りましょうし、あるいは二毛作地帯におきましては、麦に故障が起きますと、非常に重大問題である、こういうふうに考えるのでございまして、この施策は一日も放任しておかるべき性質のものとは考えないのでありますが、私率直に考えまして、食糧庁は食管の赤字の問題、この問題だけをお考えになって、仕事の実質といいますか、性格にあまり関心を持たれないで、食管の予算を編成されたのじゃないか、こういうような疑念を持つものであります。といいますのは、三十一年度の麦の買上価格、あるいは売り渡し価格基礎となっておるその数字を見ましても、この標準麦といたしまして、三類三等のものをとっておられる。三類三等はこれはもう御承知通りほとんど歴史的の麦でありまして、今日の麦全体から申しますというと全く標準的の資格のないものです。生産高から申しましても〇・七%だ、こういうような標準にならないものを標準にとって、しかも品質が非常に悪いものを標準にとって計算をしておられる。具体的に申しますというと大麦だけでありますが、この三類三等の一番悪い麦で歩どまりを五七・三%にとっておる。そうしてそれからできたものを一キロ五十七円四十銭で売れる、こういうことを前提にしてやっておられる。ところが業界その他の実際面を見てみますというと、こんなものは五十七円四十銭なんかで売れるどころではない。一類三等の末級のもので五十円程度で売れるか売れないか、こういうような状態である。こういうようなことから申しまして、精麦業者が大麦一俵をいじくりますというと一必ず三百六十五円損をしてしまう、裸麦だと四百四十五円損をしてしまう。こういうことをずっと繰り返されておる。しかも三十一年度の予算でありますから、これは昨年の豊作ということもすでにわかっておった。そのときにこういうような数字で売り渡し価格、買い入れ価格というものを決定しておられる。私はインチキとは申しませんけれども、どうにもふに落ちないものを資料としてやっておられる。こういうことが現状に合わないで精麦業者が今日のごとく倒壊を来しておる原因である。こういうふうに考えるのでございますが、一体麦の消費あるいは価格というものは、結局米との関係でありますから、米と麦との価格をどの程度にしたならば米も麦も並行して生産をされ、消費をされるというふうに食糧庁としてはお考えになっておりますか、その点をお伺いをいたしたいと思うのであります。
  32. 小倉武一

    小倉説明員 ただいま数字をあげましてのお尋ねがございましたが、精麦の価格決定いたしました基礎、あるいはその後の事情等によって修正すべき点があるようなお話でございましたが、こういう事態になりまして、私どもといたしましても、お示しのような点につきましてさらに再検討いたしまして、政府の払い下げ価格の適正を期するということにはやぶさかでないつもりでございます。まだ検討中でありますので、どうこうということは申し上げるわけには参りませんけれども、そういう点につきましても検討を重ねたい、かように存じております。なお最後に対米比価の問題がございましたが、これにつきましてもやはりその年、その年の食糧全体の需給状況等から見まして考えなければなりませんので、そういうことと離れまして対米比価が何パーセントでよろしい、こういうようなふうにもいきかねるのではないかと思っております。ただ申し上げられますことは、おそらく食糧政策全般の上に非常に長期的な問題として、できるだけ対米比価を下げていくということが、妥当な方針ではないかというふうには観察いたしております。
  33. 田口長治郎

    田口委員 ただいま長官答弁にもございましたが、今日わが国の食糧事情は絶対量が足らない、かような観点でございますから、生産者の価格を押えるということは、生産に直ちに関係することでございますから、生産者が生産意欲を高揚するような処置をとらなければなりませんし、また食糧管理という点から申しますと総合的の見地で、その中から麦の自然の姿を引き出さなければならぬ、こういう点において非常に苦心はしておられると思うのでございますけれども、事態がここまで参りましたならば、麦に対する施策は一日もゆるがせにできない問題と思うのでございます。かような見地から申しまして、この問題に対しまして何らか緊急に処置をしなければならぬ、こういうふうにお考えになっておりますかどうか、その点をお伺いいたします。
  34. 小倉武一

    小倉説明員 急いで対策を立てなければならぬと思っております。
  35. 伊東岩男

    ○伊東(岩)委員 イモ及び澱粉価格の問題に関連して簡単にお伺いしたいと思うのであります。ただいま田口委員食糧庁長官との間の価格の問題について質問応答を聞いておると、田口委員の昨年の価格よりは下げてはいけないという質問に対して、その答えを聞いておると何らの下げなければならぬ根拠はないようでございます。また何らの理由も理論も成立せぬように考えるのでございます。農産物価格安定法の精神から言っても、また下ぐべきものではないと私ども考えておるのでございます。よって昨年よりも下げるということについては了承はできません。昨日は私は農林委員会を早く退席いたしましたが、価格のことについては昨夜のラジオを聞いておりますと、ジャガイモ価格は昨年通りイモ価格はなま二十四円、澱粉千五百五十円とか放送しておったのでございますが、私どもはこの価格には絶対反対でございますので、もう少し食糧庁の根拠をつきとめた上でなければ承服はできないと思いますので、かような価格を発表されるということは——なるべく早くやっていただくことは価格維持の上においていいのでありますけれども、かの価格ではとうてい承服できないと思いますので、この発表をしばし保留してもらいたい、こういうことをまず申し上げておきたいと思います。これに対しては答弁は要りません。  そこでお尋ねしたいことは、ただいまの三十年度産の澱粉の市価及び在荷がどれくらい残っておるのか。むろん政府買い上げの澱粉は全部残っておるということでございます。そこで今度は逆に言って、今まで政府澱粉を売った価格は平均価格幾らで売っておるのか。三十年度産の澱粉価格は幾らになっておるのか、これをお伺いしたいと思います。
  36. 小倉武一

    小倉説明員 発表問題について申し上げますが、価格につきましては、まだ私ども農林部内で案は練っておりますが、正式に決定はいたしておりません。従いまして発表もまだ実はいたしておりません。その点をひとつ御了解願いたいと思います。いろいろ御意見を拝聴いたしました上で正式に決定をしたい、こういう段取りにいたしております。それからお尋ね数字については企画課長から御説明をいたさせます。
  37. 中西一郎

    中西説明員 先ほどの卸売り物価指数のことについて申し上げますが、昨年の一月から十二月の平均でありますが、日銀の卸売り物価指数は九七・九であります。そして三十一年九月、これが一番最近のものでありますが、これは一〇四・七強となっております。申すまでもなくいろいろな項目の卸売り物価指数の全体の加重平均なのであります。それからあわせて農林省でやっておりますパリティ指数をご紹介しておきたいのですが、申すまでもなく農家の購入品の資材の価格指数でありますが、昨年の一月から十二月の平均が一一九・五三、最近のパリティ指数、これは八月の一番新しいのですが、一一九・〇五となっております。そうしてわれわれがイモ値段計算いたします場合には、三カ年の平均でやりますが、全三カ年平均のパリティ指数は一一九・五一でございます。最近、すなわち三十一年八月の指数は一一九・〇五であります。最近の澱粉の市況でありますが、主としてなま粉で動いておりますが、一貫目七十二、三円の計算が大体通常のようであります。新聞紙上等も少し高いときで七十四、五円というふうな動きを見せておるようであります。これをカンショ澱粉に換算いたしますと相当低くて、おそらく加工賃とかいろいろ問題もございますけれども、十貫当り千百円ないし二百円というふうな極端に安い市況にあるように考えております。最近は政府手持ち澱粉をずっと売っておりませんが、現在の手持ちは大体カンショ澱粉が二千七百万貫強、その程度持っておるはずであります。当面それを幾らで売るというふうな計算は、ちょうど出回り期でもございますし、計画を組んでおりません。以上であります。
  38. 伊東岩男

    ○伊東(岩)委員 もう一つお聞きしたいことは、この価格の維持はやはり需給関係であることは申し上げるまでのこともございません。いろいろな食料、飼料その他のものを工業化しておりますが、主として水あめあるいは酒、しょうちゅうの原料等に行っておると思います。そのうちで、これは食糧庁からはお答えができぬかもしれませんが、国営のアルコール工場消費するなまのカンショというものは相当の数量に達しておるのであります。この国営アルコール工場を整理するといったようなことを聞いておりますが、そうなると消費面に非常な影響がございますが、この点はいかがでございましょうか。
  39. 小倉武一

    小倉説明員 国営のアルコール工場は通産省所管でございますが、アルコール工場整理の問題は、うわさとしては予算編成等のときに、私どもも過去に聞いたことがございますが、最近時において整理するということについては聞いておりません。そういうことについて正式に私どもの方にも申し入れもございません。そういう最近の事情でございます。
  40. 伊東岩男

    ○伊東(岩)委員 アルコール工場の整理ということは、大蔵省はただいま何も申し出ておらぬということでございますので、非常にけっこうなことでございます。しかしゆだんをすると大蔵省はかようなことをこそっとやりますので、今はやはり地方では大きな消費者でございますから、その点はよく気をつけておいていただきたいと思うのでございます。  そこでもう一つ伺いしたいことは、なまカンショ澱粉含有量は地域別に非常な差がございますが、この地域差と申しますか、こういったようなことはどういう工合に考えておられるのでございますか。ある地方では十七、八パーセントしかない、ある地方では二十二、三パーセントもある、これは含有量から逆算して、なま売り価格を立てるということになっておるのか、ただ農林省の発表は二十四円なら二十四円という発表をするのでありますか、その点はどうなっておるのか。
  41. 中西一郎

    中西説明員 お話のように、地域によって澱粉含有量には相当な差がございます。最高と最低をとりますれば、四、五%の差にはなるのじゃないかと思います。価格安定法の施行になりましたここ数年間のやり方は、カンショ値段をきめます際に、それがその年の標準歩どまりの澱粉量を持つイモ値段、こういうふうに観念いたしております。従ってそういう精神から申しますと、澱粉含有量が高いイモは、それよりも高めに買い得る性質のものであるし、澱粉含有量が少なければ、それより低めになる性質のものである、こういうふうな考え方であります。最近いろいろ情勢を見ておりますと、その関係で地域によって澱粉工場の経営の内容に非常な差等が出てくるというふうに思われますので、当面すぐにどうという工合にいきませんが、場合によっては地域別にもっと検討いたしまして、研究すべき点が残されておるんじゃないかというふうにも考えております。
  42. 伊東岩男

    ○伊東(岩)委員 ただいまの含有量と価格関係は不可分の関係がございまするので、結局澱粉工場が含有量の多いものを同じ価格で買うならば、非常に安いものになるわけでございます。それを二十四円なら二十四円、二十五円なら二十五円、六円なら六円という支持価格を発表される時分に、それを支持価格の中に何か含めて発表していただくというようなことはできませんか、どうですか。
  43. 小倉武一

    小倉説明員 今の問題につきましては、去年、一昨年いたしましたように、澱粉含有量によってカンショ価格を変えて基準価格を作るということは、材料関係その他からいたしましてむずかしいのでございます。ただ今後の問題といたしましては、お話のように澱粉含有量に相当差異があるというような点について、澱粉イモと両方の観点から、何かそこに不合理的なものがあるのではないかという趣旨につきましては、私どももさように感じておりますので、今後の問題として検討してみたいと思っております。
  44. 伊東岩男

    ○伊東(岩)委員 これは含有量から価格を比較すると、少くとも二割くらい価格面にイモからいいますれば差があるわけでございまするので、これこそ十分検討してもらわなければならないと思います。しかしことしは間に合わぬ、ことしは間に合わぬでは困りますので、これは決定までに何とか一つ考えていただきたいということを申し上げておきます。  最後にもう一つお聞きしたいことは、田口委員が質問いたしました精製ブドウ糖の問題でございまするが、これは砂糖との関連におきまして、国際収支の上からも精製ブドウ糖化して、輸入砂糖を少くするということは非常に大事なことでございます。しかしこれも精製ブドウ糖の用途の問題でございまするので、すでにアメリカではやっておるようでございますが、ブドウ糖砂糖と混入して販売することを法制化しておるということでございますが、こういう点に向ってはあなたの方では御研究になっておりますか。またそういうようなお考えを持っておられるのか。そうすればこれは相当の需要が起ってくると思うのでありまするが、いかがでありますか。
  45. 小倉武一

    小倉説明員 お話のような方法も確かに一つ方法であろうと思います。ただこれも御承知通りでございますが、精製ブドウ糖は湿気を呼ぶ性質がございますので、砂糖と混入するということについては、なお検討すべき点があるのではないか。従いまして、アメリカでは法制的にというか、それに類似のことをやっておられるということも私ども承知しておりますけれども、強制的にそれを混入するということまでは、なかなか踏み切れないのではないかと思います。それよりもむしろブドウ糖の長所を生かすような方面に新用途を拡大していくというふうな点に一つ努力してみたらどうか、こう思っております。
  46. 伊東岩男

    ○伊東(岩)委員 精製ブドウ糖工場については、すでに農林省は奨励をされているようでございますが、さらにこの問題は新用途として重点的に考えていいと思いますから、一つブドウ糖に向く方向を何か別途にお考えになって、奨励の施策をやっていただきたいということと、いま一つは、先ほど申し上げるように、用途を確保するための法制化ということを十分に御研究願いたいということを申し上げて、この問題を終ります。
  47. 中村時雄

    中村(時)委員 ちょっと関連して。先ほどの委員からお話のありました澱粉の含有量の問題ですが、これは地域によってはっきりしているわけです。だからそれだけにはっきりした態度に出るべきです。もしそれをあいまいにしておきますと、その地域の方々がまた官庁なんかに陳情する。そこでまたいろいろな問題を起してくるとか、いろいろ摩擦も起きてくるだろうと思います。そういう点は撤低的にはっきりしておいていただきたい。それが第一点。それから第二点は、今の澱粉ブドウ糖に切りかえて砂糖に混入する問題ですが、現在アメリカから入ってきているブドウ糖というものは非常に格安です。だからそれに対応して、日本がこの際ブドウ糖の用途を拡大する何らかの方法があるならばけっこうですが、それを局長はあるという前提に立っての考え方を持っていらっしゃるのか、あるいはそうでないのか、その点をお聞きしておきたい。
  48. 小倉武一

    小倉説明員 ブドウ糖を、お話のように相当量輸入している部分もございます。その輸入にとってかわるというのも一つ方法でございますが、ただ現在の需要量以上の需要を喚起していくという新規の用途、そういったものが実はあるのではないかということを私どもは観測をいたしているのであります。しかしながらブドウ糖の使い方と申しますか、そういったようなことにつきましては、なお技術的に業界の方で承知しておらない点があって、消費が進んでいないというようなことが実はあるのでございます。たとえば先ほど田口委員からですかお話がございましたが、農産カン詰等につきましては、砂糖を使うよりはある程度ブドウ糖を入れてやった方が、カン詰の味からいいましても、保存の点からいってもよろしいというようなことでありますとか、あるいはビスケットにブドウ糖をある程度入れることが、ビスケットの品質をよりよくする、こういったようなこととかいろいろございます。そういう点については——もちろん砂糖との価格関係もございますが、相当量のものがやはり新用途の開拓ということによって期待できはしないか、こういうつもりで申し上げたのであります。
  49. 中村時雄

    中村(時)委員 局長はどこまで研究しているのか、私はちょっと不可解です。たとえば在来日本にありましたブドウ糖工場というものはほどんどつぶれているのです。残っているのはほんとうに数えるほどしかないのです。そういうような状態になっているという原因は、ほとんど輸入のブドウ糖によって押えられているということです。それになると関税の問題もひっかかってきますし、いろいろな問題がここで起ってくる。あなたは用途といいますが、ブドウ糖に対する熱作用の問題と、それから先ほどおっしゃった問題と二つに分かれるわけですが、そういう点をあなたは実際に研究していらっしゃるのかどうか。ほんとうに良心を持って答えてもらいたい。実際みんなやっているのですよ。いろいろやっているけれども、今の価格構成の上からいってできない。できないからこそ、たとえばあなた方の手持ちになっている三千万貫の問題でも、せめてカンショ地帯にでもそういうような混入方式なりあるいは作用の方式はとれるかとれぬかという質問をしておる。先ほど委員がおっしゃったのはその意味を言っているので、ただ簡単にその用途の発展性というが、数量なりいろいろなことから勘案して、ほんとうにできるかどうかということに大きな疑問を持っている。そういう意味において、あなた方がほんとうに研究をし、ほんとうにここまでいっているというデータがあれば、提出していただきたい、このように思っているのです。
  50. 小倉武一

    小倉説明員 必要な資料はなお調製いたしますが、お尋ね通り、これまでは精製ブドウ糖の技術が進歩しておりませんでした。従いまして、砂糖に代替するといったような点にまで、あるいは価格の点につきましても、とうてい太刀打ちはできなかった状態であったわけであります。ところが、最近、私ども技術の方の問題を詳しく存じませんが、最近国内で澱粉原料にして精製ブドウ糖を作るというようなことが可能になった。こういうことがやはり一つ基礎になっているのであります。もちろんこれとても、おそらく容易なことではなかろうと思います。そういうふうな前提をもってお話を申し上げたのであります。精製ブドウ糖が新しく技術的に日本も太刀打ちできるようになったということについて、もちろんなお深く検討しなければならぬと思いますけれども、大体できるようになったというのが、私ども承知していることでございますので、そういう基礎の上に立ってのお話でございます。
  51. 田口長治郎

    田口委員 食糧庁長官はだいぶ最近の精製ブドウ糖事情を御存じのようでございますが、まだどうも二、三年前の観念のような、そういう頭が一部分にあるのじゃないかという疑点を持つものでございます。といいますのは、二、三年前までは、精製ブドウ糖は水分の吸収力が非常に大きい、従って砂糖と混入した場合におきましては、砂糖とともに固まってしまうという欠点があったわけなんですが、それを最近は完全に防止いたしまして、これは上に被膜をつくるということで完全にできたわけなんですが、今日ではこの水分の吸収性も砂糖よりもずっと低い。従って砂糖よりも保存力が非常に強くなっている、こういうことになっておるのでございますが、先ほどの長官答弁は、何か水分をうんと吸収して砂糖を固めてしまう、いわゆる二、三年前の結晶ブドウ糖の話が多少頭に残っておるような感じがするわけでございます。その点はあなた方の方の農林省の食糧研究所でも研究しておりますし、それから澱粉工業学会の精製ブドウ糖分科会でも研究した結論でございますから、二、三年前と今日では非常に違う。それから、中村さんが先ほど言われました、ブドウ糖工業は非常につぶれてしまっておるということ、これも事実でございます。しかしながら、これは日本砂糖がなかったときに、間に合せの、あの黄色い色をした苦みのあるあのブドウ糖を製造しておった工場でございまして、今私どもが言いますのは、結晶ブドウ糖、いわゆる精製ブドウ糖の話をしておるのでございますから、保存上砂糖以上であるということを、あなたの方の食糧研究所について一つ研究願いたいと思います。
  52. 村松久義

    村松委員長 本名武君。
  53. 本名武

    ○本名委員 農産物価格安定法による買い上げ価格決定する時期が迫ってきたわけでありますけれども、ラジオ、新聞その他伝えられるところによると、政府ではすでに案ができ上がり、しかもそれがあたかも最終決定であるかのごとく伝えられておるのでありますが、私はこの数字の内容について、さらに算定基礎についていろいろ伺いたいのでありますが、幸いに協議会が設けられましたので、内容的なことはこの協議会に譲るといたしまして、これに関連して基本的なことを一、二伺っておきたいと思います。  まずその前に、私はきょうのこの委員会に大臣並びに政務次官、どちらもお見えになっていないことを非常に残念に思うのであります。事情はあるでしようけれども、一応事情を明らかにしていただきたいことと、さらにこの価格決定の点については、政務次官みずからが発言なさって、決定なさる前に本委員会において適当な機関を設けて協議をして決定するからということを発言しておられる。それにもかかわらず日が差し迫った今日、しかも本委員会に出席されない。そうして一方には事務的にどんどん数字決定づけたかのごとく発表しておられる。こういうことはわれわれ委員会としてはもちろんでありますが、その行き方については関係生産者を始めとして非常におもしろくない気持がいたすのであります。もちろんこのことは行政権の問題でありますから、あるいは国会を相手にしなくてもやり得ることでありましょうけれども、しかし事の性質、特に新しく指定されました大豆などにつきましては、相当行政権の中にあっても生産事情あるいは国際生産事情価格の問題を考えてやっていただかないと、いたずらに計数その他をいじくることだけできめられては大へんな問題が生まれてくるというので、後日の協議会で伺いたいと思いますが、まず政務次官はどういう御都合で来られないか、委員長の方ではおわかりでしょうか。
  54. 村松久義

    村松委員長 農産物価格安定について農林委員と協議して決定したいというのが先日の政務次官の発言でありますことはおっしゃる通りでございます。そこで私も念を入れまして直接政務次官に会いまして、昨日から農産物価格安定に関する委員会を開くから出席をするようにという要求はいたしました。どういう御事情であるか私にはわかりませんが、昨日、本日欠席をいたしておることはごらんの通りでございます。その事情は私にはわかりませんが、要求をいたしたということだけを申し上げておきます。
  55. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 関連して。それはきのう私は千葉県の銚子の方で、農林次官が銚子にきのう遊びに来る、こういう話を受けた。農林次官は委員会を招集してあるから、大臣がいないのだから農林次官は行くはずはない、そんなばかなことはない、こう言ってきのう出席したら出ておらない。今委員長にお聞きしようと思っておった。委員長はきのう、きょう委員会のあることを通知してあるにもかかわらず、どういう名目か知らないが、銚子には遊びに来る。はなはだ不愉快千万な話であります。農林次官に十分注意を喚起してもらいたい。
  56. 本名武

    ○本名委員 それでは今度の委員会並びに協議会にはぜひ責任ある政務次官の御出席をお願いいたしまして、欠席のために議事が停滞することのないように一つお計らいいただきたいと思います。
  57. 村松久義

    村松委員長 なお本名君に申し上げますが、昨日の委員長発言による決定は、一つこの席から、次官は見えておりませんので、長官一つ書面をもって手渡したいと思っておりますから、さよう御承知をいただきます。
  58. 本名武

    ○本名委員 それではまずお伺いいたしますが、このカンショ並びにバレイショの澱粉に対する質問を今まで繰り返されておったのでありますが、私は大豆について一、二お伺いいたしたいと思います。  今回の価格決定に当りましては、施行令によるところの算定基礎を一応とられてやられた数字計算のほかに、一体価格構成、しかも今日の農業対策の一環たる価格政策の上に、どういう客観的な情勢を配慮されたかということをお聞きしたいのであります。計算性質上そういうことは加味すべきであるかないかは別問題といたしまして、たとえば輸入による影響であるとか、国内の生産量の問題であるとか、あるいは反当収量の問題であるとか、いろいろな関係で左右される価格であります。従って公正な水準から下ることを防止し、農業生産、農業経済の安定を期するというこの目的にかなうためには、私はどうしても客観的ないろいろな条件が相当強くこの価格構成の上に盛られなければならないのではないかと思いますが、その点の御見解をまずお伺いしておきたいと思います。
  59. 小倉武一

    小倉説明員 最近のいろいろ客観的な大豆の事情につきましては、算定方式関係もございますが、数字的に現われるものはできるだけ参照するというつもりで私どももおります。なお数字だけでも一義的にはきまらないものもございますので、そういう点につきましての計算の取り運び方につきましても、態度と申しますか気持の上でもできるだけそういう点は生かして参りたい、かように思っております。
  60. 本名武

    ○本名委員 大体お気持はわかりますが、食糧庁のお考えとしてかりにそうあっても、実際農林行政の中ではなかなかそのことが具現されていない点がたくさんある。たとえば価格の安定を期して農業経済を安定させるというようなことは、言葉だけではいけないのであって、価格政策だけではとうていこれは実現し得ない。たとえばことしの農林省の予算、特に三十二年度の概算要求などを見ましても、まずこの安定策の一番の問題であるところの増産対策というものが全然盛られていないというこの事実、さらにまた輸入に対する対策が国内需要の面だけに重点を考えられて、むしろ国内生産に対する圧迫の情勢が現われてきつつあるというこの事実、これらのことを拾い上げますと、実際価格政策だけで安定させるというようなことは絵にかいたぼたもちになってしまうのであって、これらのことをよく勘案しなければならないと思うのでありますが、これについていろいろ論議をするのは別の機会にいたしまして、そこで、今度新聞やラジオで発表になりましたあの数字というものは、もうすでに御決定なさって発表したのか、それとも漏れたのか、あるいはどういう方法でああいう数字が現われたのか、その点を伺いたい。
  61. 小倉武一

    小倉説明員 先ほども同じ趣旨の御質問が出たわけですが、農林省といたしましては正式に決定いたしておりません。またいわゆる発表というようなことをいたしたのではございませんので、事務のはなはだ不都合でございまして、漏れたと申しますか、そういうことであろうと思います。私どもの検討中の案が漏れたものであって、最終決定ではないということに一つ御了解願いたいと思います。
  62. 本名武

    ○本名委員 漏れたというお言葉でありますが、これは私どうも考えが行き過ぎかもしれませんけれども、一応食糧庁としては最後の腹をおきめになっておられるのでないかと想像されるのですが、そのことはともかくといたしまして、その発表された価格は、カンショ澱粉にいたしましても、あるいは大豆にいたしましても、これはあくまでも一方的な御見解のように思われるということが一つと、それから大豆価格の場合には、この算定基礎のいろいろな計数というものは、判断によってはどうにでもなるような計算方法であるということ、たとえば弾力性係数にいたしましても、これはとり方次第では百円や百五十円は簡単に変ってしまう。こういう基礎数字だけを基本にして価格があたかも決定したかのごとく伝わるということは、特に前段申し上げましたように、当委員会を無視されて決定したかのごとく伝わることは、非常に遺憾に思うのであります。これがほんとうにわれわれと相談しておやり下されば、こんな心配をせずに、また時間もかからずにいったのではないかというような思いさえいたされるわけであります。そこで、決定してない、漏れたのだ、しかもあくまでも試算過程にあるのだというならば、あの発表された価格を今後話し合いあるいは再計算によって改訂されるという御意思があろうと思いますが、その点をはっきり長官から言ってもらいたい。
  63. 小倉武一

    小倉説明員 計算基礎につきまして、何か別に小委員会と申しますか協議会もできるように承っておりますので詳しく——この席でもよろしゅうございますけれども、申し上げまして御了解を得るつもりでおります。その際にいろいろまた御意見も出ることと思いますので、そういう点も十分私どもの見方が違っておる、あるいは妥当でない点がございますれば、是正いたしまして処置をしたい、かように思います。
  64. 本名武

    ○本名委員 先ほど申し上げましたが、客観的ないろいろな条件が整わないで価格だけをきめなければならぬような状態になっております。国内の増産対策であるとか、輸入政策であるとかあるいは国際の生産状況価格状況というものが加味されないで決定されることは非常に危険に思いますが、もう一つその問題について一例をあげて伺いたいのは、日米大豆協議会とか何とかいうのが余剰農産物の金でできた。しかもそのことがわが国の国内の需要に直接働きかけて、国内大豆の需要転換あるいは需要の拡大どころでなく、外国の生産大豆を、国内においてそういう金を持ってきて機関を作って、盛んに用途を広げようとしておる。さらにまたアメリカの例をとれば、アメリカの国内において、すでに日本において優秀な大豆が生産された、アメリカの大豆との差は、いわゆる脂肪と蛋白の差がある、アメリカ大豆も脂肪分の多い大豆を作らなければならぬというので、この機関がこの金をもって品種改良をやっておる。日本の国内は品種改良はおろか増産対策もとられていないのに、アメリカはどんどん国の金をもって、しかも日本需要者、商社と相談し合ってこういう態勢をとっておるというこの事実、こういうことの対策がなくて、価格決定をして、価格政策だけで農民にごまかしをするような行き方は、私は大いに考えなければならぬと思います。そこでその日米大豆協議会とか協会とかいうものが現実にあるのかどうか。あるとすればどういうような動きをしておるか、この機会にはっきりお聞きしておきたいと思います。
  65. 小倉武一

    小倉説明員 日米大豆協会なるものは存在いたします。これはたしか任意的な団体でございます。国内に輸入されれるアメリカ大豆につきましての規格でありまするとか取引とかいうことについて双方の情報を交換しまして、円滑な運営ができるようにする、こういう趣旨のものでございます。特に国内大豆を圧迫しましてその犠牲においてアメリカ大豆の輸入を増大するということを使命としておるものではないのでございますので、御了承願いたいと思います。
  66. 本名武

    ○本名委員 目的はまさにその通りですが、結果として現われることを心配するのでありまして、今後その指導の立場にある農林省においては、どうかあやまちのないように、その目的通りにいくように——この段階ではむしろ、そういう機関は民間が勝手にやるものだからやむを得ないとしても、あまり農林省あたりはタッチされない方がいいのではないかと思います。念のためにそれだけ申し上げておきます。  なおまた価格のことについては後ほど協議会のときにお伺いしたいと思いますが、さらに先ほど来いろいろお話がありました澱粉需要転換であります。実は去年の価格をきめますときに、私もこのことを声を大にして申し上げたのでありますが、一年たった今日において今価格をきめようというときに、いまだ先ほどの質疑応答のような状態であることは、私も田口、伊東両委員と同様遺憾に思います。そこで私は一つ考え方を変えまして、用途並びに味覚に対する御不審があるようでありますから、一つ参考に申し上げておきます。この味覚に対しては絶対心配は要らない。従って需要に対しては道が開ける。例を申し上げますと、今世界の三大甘味というものが唱えられております。その一つはアメリカのメープル・シュガーであります。これは御承知通りカエデの木からゴムを採取するようなまことに幼稚な方法で採取しておる。これが世界の三大甘味の一つとして世界中に賞味賞賛されておる。もう一つは西インドのダメララという砂糖で、この味もまた独特なもので砂糖としては優秀なものであります。その次には日本の徳島の和三本、これらの生産状況を見ますと、世界の各人特に文明人が賞味し賞讃しているものは、生産量が微々たるものです。日本においてはどうかというと、年々百万トンからの砂糖が不足で輸入をしておる。国内生産はビート・シュガーを含めて六万トンくらいです。ところが澱粉需要転換によって結晶ブドウ糖を作ることになると、これは大へんなことです。しかも味覚においては三大甘味に加えて世界の四大甘味として、日本において大量に生産されるということが一つであります。それから先ほど長官からパンのお話がありました。なるほど食料品特に乳製品にこれを使うということは、甘味すなわち糖分は蔗糖に比較しまして七五%から八〇%でありますけれども、味覚は今申し上げた通りで、栄養においてはとても蔗糖の及ぶところではありません。これならば幾らでも需要転換ができるのであります。  さてこの需要転換の道が講じられるとしたならば、生産はどうするか。立法処置によるというお話もありましたが、私はもう一歩進んで立法処置の内容を早く検討していただき、少くとも次の通常国会においては立法処置をしてもらいたいと思う。それば先ほども申し上げましたように、用途を指定する法律にするかあるいは政府の買い上げにするか、いずれにしてもこの保護政策は当分の間必要であります。それと同時に従来の澱粉の二次加工いわゆるブドウ糖工場にイオン交換樹脂膜の機械設備をしますと割合に簡単にできる。簡単にできると、原料が豊富であるから工場が乱立する。工場が乱立するとその犠牲が企業に加えられ、そのしわ寄せが生産者いわゆる原料価格に影響する。これを未然に防ぐために、その立法処置の中に必ず当分の間は集荷地域の指定と工場の認可制が必要でないかと思う。こういうようなことを考えて立案されまして、一日も早くこれを実現していくような方法を講ぜられたい。そこで先ほど来お話もありましたが、これは研究中だということでなくて、きょう長官がはっきり、これは将来の大きな問題として、しかも今日まで悩んできた問題として、澱粉工業の将来のために、ぜひ次期国会までに立法を提案されるという御覚悟を一つしていただきたい。この辺についてもう一度長官見解を承わっておきたい。
  67. 小倉武一

    小倉説明員 まだ私ども内容について詳細検討をいたしておりません点もございますので、次期国会においてそういう趣旨の法案について提案をするといろお約束はここでできませんけれども、お示しのようなことでせっかく努力してみたいと思います。
  68. 本名武

    ○本名委員 申し上げるまでもなく、国内の需給からいってもぜひやらなくちゃならぬことで、もし御用意ができないとするならば、われわれの方が提案したいという気持さえありますので、ぜひ具体的な御検討をいただきたいと思います。  時間もないようでありますから私は協議会に譲りまして、一応これで終ります。
  69. 芳賀貢

    ○芳賀委員 議事進行について委員長に申し上げます。委員会における発言の順位は、国会法や衆議院規則によると通告順ということに一応なっておる。しかしこれは、不文律としてはやはり、二大政党の現在においてたとえば与党、野党交互という原則を一応採用してきたと思うのです。本日見ると、与党の諸君だけに発言を許しておる。これは委員長の本旨ではないと思う。こういう異例の措置をやることはどこに真意があるかわからぬけれども、少くとも正常な運営をやる場合は、通告された与党、野党の委員が交互にやるとか、そういう適切な運営をやってもらわぬといかぬと思う。その点はどう考えられますか。
  70. 村松久義

    村松委員長 芳賀君にお答えいたします。発言の順位に関しては、成文上は通告順となっております。ただし不文律としては、その委員数に割り当てたる数字ということに相なっております。ただし、二大政党対立の今日におきましては、その都度話し合いに応じて、一対一という形をとった例もございます。その例に従いまして本日は発言をいたしたのであります。さように御承知を願います。
  71. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうじゃないでしょう。最初田口君、その次に本名君に発言を許しておる。そういうことになると、二対一という形なんですね。そうでなくて、やはり交互にやるとすれば、与党の諸君が先にやられたら次は社会党、今までのような順序にしないと何かちぐはぐな感じが起るのです。別になれ合い質問とは言いませんが、与党重点でやった場合は運営の妙味が非常に削減されてくると思う。ですから、委員長としては、やはり原則として交互にやるということであればぜひそういうふうに今まで通りお取り扱い願いたいと思います。
  72. 村松久義

    村松委員長 もう一度繰り返して申し上げますが、不文律においてはその委員数に応じて発言を許可いたしております。従って本委員会においては、その不文律に従いますれば二対一という発言の順位に相なります。ただし、その都度発言の順位に関して御相談を申し上げておった事情もあるようでありますが、本日は御相談を申し上げませんで、事前に二対一でいたしますということを申し上げてあります。その順序に従いました。ただし伊東君の発言は関連質問であったのでこれを許しましたが、(芳賀君「それはいいのです」と呼ぶ)多少長かったようであります。この点は、伊東君の今後の通告による発言は放棄せられたるものと考えております。どうかさよう御承知を願います。今後の発言に関しましては、今後理事会を開いて決定をいたしたいと思いますから、さよう御承知を願いたいと思います。
  73. 中村時雄

    中村(時)委員 委員長の立場としては、この会の運営云々ということが一番の関心なんです。この数を見てごらんなさい。もしもあなたが責任を持っておっしゃるならば、昼からおそらくこの委員会を開くにおいて与党の方々全部出られるかどうか、よく認識しておいていただきたい。少くとも数の上において半数なかった場合においては流会なんです。そうでしょう。そうすると、数の上からくる実際の運営をよく頭の中に入れて順序をきめてかからないと、昼からおれは用事があるのだといわれたら、半分いなかったら流会になってしまう。そうしたら、せっかくこっちの方で一生懸命やろうと思っても、正式なルールからいえばできないことになってしまう。ですから、昼からにおいても十分その点を御考慮の上でお考えを願っておきたい。
  74. 村松久義

    村松委員長 よく承知いたしました。ただし今日まで社会党の発言回数が非常に多かったのであります。(「委員長、それはおかしい」と呼び、その他発言する者あり)その発言回数の多い場合においては、大体一対一で今日まで発言を許可して参りましたので、あるいはそういう錯覚も起るかと存じますが、委員長といたしましては、その不文律に従って今日まで公平に議事を進行いたして参ったつもりでございます。御注意は大いに尊重いたします。どうかさように御承知を願います。
  75. 中村時雄

    中村(時)委員 問題が政党の問題にまで入ってきたから私は言うのですが、たとえば、今までの出席率をはっきりとっていらっしゃると思う。与党と野党とどちらが多く出ているか、実際の質問の通告はほとんど野党が通告しておるので、与党は通告していないはずだ。ところがほとんど社会党だけだというおっしゃり方はどうも私は受け取れない。そういう点はやはりはっきり認識しておいてもらいたい。それだけ私はお願いしておきます。
  76. 村松久義

    村松委員長 その点は今はっきり申し上げました。社会党の発言が多うございました。その場合において一対一のような感じをなさっておられると思いますが、それは社会党の発言が多かったからである、かように申し上げております。なお不文律としましては、実際の出席数をとっておりません。その所属の議員数に応じていたしておるのが不文律である、かように考えております。  なお皆さんにお諮りいたしたいと存じますが、昨日の決定を正式の文書にしてこれを責任者に配付いたしますことは時間をとりますので、この際便宜上長官に対して昨日の決定をそのまま報告をいたしまして、善処を求むることにいたしたいと存じますが、さようにしてよろしゅうございますか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 村松久義

    村松委員長 それではさように決定をいたしまして、直ちにこの場において文書を手渡しいたします。  では休憩をいたしまして、一時半から再開いたします。   午後零時三十二分休憩      ————◇—————    午後二時二十分開議
  78. 村松久義

    村松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農産物価格対策について調査を進めます。質疑を続行いたします。小川豊明君。
  79. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 午前中の質疑に重複しないようにお尋ねいたしたいと思いますが、この農産物価格決定について、大石政務次官から、この委員会を開いてその意見を基礎にして決定したいとの申し出があって、この委員会が開かれたというふうに私承知しております。ところが一方価格安定法の施行令の第二条には、カンショ、バレイショ、菜種等は、生産費及び経済事情を参酌して価格決定する、第三条には、菜種は六月三十日、その他の農産物は十月三十一日に決定しなければならない、となっている。ところがきょうは十月二十七日です。これを決定して発表するのには事務的にも相当の日時を要すると思うが、こういうふうに押し詰まって委員会を開いて、しかも委員会の意向基礎にして決定したいといっても、一方には十月三十一日には決定しなければならないという前提があって、どういうふうにこれを進めていくつもりであるのか、きょうかあすのうちにきめなければ、おそらく事務的にはお困りになってくるのではないか、なぜあなたの方で委員会等をもっと早く開いてもらうような手配をしなかったか。いかに検討しようとしても、時間というものが許さないことになってきているじゃないか、この点はいかにお考えになっておられますか。
  80. 小倉武一

    小倉説明員 お話しのように時間的な余裕はなかなかございませんが、きょうまでいろいろ個々にわれわれ係が伺ったりあるいは関係団体の方がお役所にお見えになったりしたときに、いろいろ御意見を拝聴する機会はもちろんあったわけでございますが、今回の決定に際して、正式に委員会の意見をお聞きするのはきょうが初めてでございまして、これから何回も委員会をお開き願うのも、時間的にはできませんし、できますれば、きょうのこの委員会で、きょうあすのうちに私どもの方もきめたいと思っておりますので、その間にできるだけ御審議になって御意見を拝聴したい、かように思っておるわけであります。
  81. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そのことはよくわかるのです。われわれもきょうかあす決定しなければならないだろうということで努力しなければならぬこともわかっておるけれども、非常に重大な問題を、十月三十一日にきめなければいけないということは規則でわかっておるのだ。だからもっと早く手配して、少くとも、二日なり三日なりというものは、検討する期間というものを置くような準備をすべきがあなたの方の親切な行き方ではないか、きょう開いて、もう昼間になって午後二時過ぎているでしょう。きょうかあすの午前中にきめなければならないが、あすは日曜ということもよくわかっておる。従ってどうしたってきょうきめなければならない、こういうことになる。これからどれだけ時間がかかるか知りませんが、きょうきめなければならない。なぜもっと早く手配をしなかったか。そこで私がお聞きしたいのは、これはすでにあなたの方では内部的には検討され、そうして腹案というものは決定しているからきょうやってもいいのだ、——きょうそういう腹案を発表できるという準備までできているから開いたのか、そういう準備もできていないできょうきめて下さいといっても非常に無理だと思う。だから食糧庁の方でそういう点は研究されて、こういうふうにいきたいと腹案ができておるのか、いないのか、そうでなかったとするならば、きょう開いたのは非常に不親切だ、熱意のないいき方だ、こう言わざるを得ない、いかがですか。
  82. 小倉武一

    小倉説明員 御趣旨の点がちょっとわかりかねるところもございますのですが、私ども考え方と申しますか、案は一応立てたのであります。それをお話しいたしまして御意見を拝聴することはできるわけであります。もっともこの委員会で価格について御決定を願うというつもりには、私どもは実はいたしておりません。御意見をできるだけ尊重してきめるというつもりでございます。なお委員会の御決議によりまして何か協議会みたいなものができるようなふうにも聞いております。先般政務次官がそういう趣旨の発言をしたということも承知しておりますので、そういうことをきょうでも委員会が済みましたあとに、引き続いてやっていただきまして、そこで御審議願ったらどうだろうか、こういうふうに考えておるわけであります。
  83. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 おかしいじゃないですか。大石政務次官の申し出によって委員会を開かれた。そうしてその開かれるというのは、この委員会の意見を尊重しよう、それを基礎にしようと思うからその申し入れをしたわけでしょう。そうでしょう、そうでなければ開く必要はないじゃないですか。そういう建前から委員会にも申し出をして委員会を開くようにしておいて、しかも一方においては十月三十一日までにきめなければならないものを、きょう何時間かのうちにきめてくれ、それだからきめようが非常に困難じゃないか。案はできておる、意見は尊重するだけだというなら、委員会は何のために開いたのだということを聞きたい、その点はどうです。
  84. 小倉武一

    小倉説明員 午前中も委員長からもお話しがあったのでありますが、もちろん当委員会でいろいろ価格について御研究願う、これは委員会の仕事といたしまして当然しかあるべきことと思いますが、私ども聞いておりますのはこの委員会自体と違って、別の協議会と申しますか、そういうものがこの委員会の中から選ばれまして、詳細はそこで御研究、御検討を願う、こういうことに承知しております。そういう機会は確かあるのでございますから、そのときにも十分御審議を願うつもりでおるのでございます。
  85. 中村時雄

    中村(時)委員 それでは長官にお聞きしたいのですが、たとえば安定法によっては十月三十一日に価格決定することになっておる。それは先般御承知のことと思うのです。にもかかわらず今になって——きょうは二十七日ですよ。あと数日を出ずしてこれだけの重大な問題をこの委員会で取り上げることも、あなた方の事務怠慢といいますか、なぜもっと早く委員会で十分話をしなかったかということが一点なんです。二点は、政務次官にしても協議会を作って十分意見を尊重しそれで決定したいということを言っておる。以前から言っておる。そうするとその協議会で話し合いをした結果でないと、その価格というものははっきり打ち出されないという状態になっておると私は思います。事務当局というものは与党の中においてそれを施行するのがあなた方の責任なんです。あなた方自身が舞台の主役になって、いろいろ発表したり、やるのではない。私はそう思う。事務当局と政府の間というものは当然そういうことにも関連性があるわけです。それをもしもあなたが踏み越えてやるというならば・それは逸脱だと思う。そういうことを考える場合政務次官が要求しながら出てこないということな、十分委員長に認識していただいて何らか処置をとっていただきたい。それが第一点。  それから第二点は、先ほど言ったようにあなた方自身がお考えになって価格安定法を作った、そうすれば当然それを守っていき、あなた方が事前に時期を逸しないように、その方向をとるべき申請を委員長の方に申し入れをすればよいのです。そうすればこういう問題は起ってこない。ということは、裏かり見たらどういうことかといったら、与党の方とあなた方は話をつけて大体の方針をきめてしまっておいて、そしていきなりここで発表してのましてしまおう——河野さんはよく既成事実を作ってやるが、あなた方までがそういうことになってきておるのじゃないか。そういうことは厳に慎しんでもらいたいと思う。それに対してあなた方はどういう御意見を持っておりますか。
  86. 小倉武一

    小倉説明員 ただいまのお話ですが、これは例年もそうだと思うのでありますし、制度の建前もそうでありますが、委員会で特に御決定を願うということは考えておらないのであります。それから、委員会でいろいろ御審議願うことはもちろん当然あるべきことと存じますが、その委員会において当然あるべき御審議と違って、別に協議会なぞを開いてやったらどうか、こういう趣旨は、実は私どもきのう初めて聞いたわけでございます。また先ほど委員長からも正式のお話がございましたので、それならば本日にでもそういう趣旨の協議会をやっていただいたらどうか、こういうことを実は申しておったのでございます。御了察を願いたいと思います。
  87. 中村時雄

    中村(時)委員 第一点は政務次官の出席要求をいたします。それから第二点は、あなた方と政務次官、要するに与党とあなた方事務当局はそれほど密接にやっていないということをあなたは言っておるのです。きのう初めて聞いたというのですが、われわれが聞いたのははるかに前からである。そういうことは、あなた方どっちがいいか悪いか、私は知りません。しかし十分に緊密な連絡をとりながら進めていっていただきたい。また価格決定を私どもがするというのじゃない。参考意見というものが国会を通じて出てきている。出てきているから、あなた方もそれを勘案して、早くからお互いに話し合いをしたいという希望意見を私は言っている。そういう私たちの希望をあなた方はどういうふうにお考えになっているかということを私は聞いているわけであります。
  88. 小倉武一

    小倉説明員 質問の御趣旨はわかっておるつもりでございますが、しかし私も、ことしの価格をきめます場合に、従来と特別違ったやり方をしようとは考えておりませんでした。そして衆議院の農林委員会の委員の方々で構成される協議会で打ち合せするというつもりはいたしておらなかったのであります。しかし、政務次官がそういうことをお話しになっておるということを昨日聞きましたので、それならば至急そういうことをする必要がある、本日農林委員会がある予定ということも聞いておりましたので、農林委員会の済んだあとにでも一つそういうことをしたらどうかという趣旨できょう出まかった次第でございまして、委員長からもその趣旨のお達しがありましたので、実はそういうお話し合いをいたしておった途中でございます。
  89. 中村時雄

    中村(時)委員 今言ったように、時間は切迫しておる、しかも期日が三十一日ということも御存じなんです。そこで委員会やあるいはそういう協議会にいろいろな価格決定をお願いしようとは思っていなかったという。そうすると、新聞に発表されました二十四円というなまイモの問題も、一応既成事実として事務当局は現にそういうことを行うという決定を見ていると私は見ている。そこで一つあなたにお尋ねしたい。そうすると、あなた方は、協議会を作って、それによって勘案をしたいという政務次官の発言に対して、この価格は基本的なものではない、それによって価格は若干また考察もされるのだ、そういうお考えを持っていらっしやるかどうか。
  90. 小倉武一

    小倉説明員 それは協議会におきまして私ども考えているところもよくお話をし、また委員各位のお考えになっておるところもお聞きしまして妥当な結論に持っていきたい、こういうふうに考えております。
  91. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 価格決定ということは非常に重大な問題だが、委員会の意向によって決定するとは考えていないでしょう。委員会の意見を十分聞いてそれを参考にしてきめたいというのが政務次官の意のあるところであったと思うのです。それに基いてこの委員会は開かれたわけだとわれわれは了解している。ところが、先ほど申し上げたように、十月三十一日までに決定しなければならないものを、きよう開いて何時間かのうちに意見をみな出し尽させるというのはあなた方の怠慢ではないか。政務次官がそういう申し入れをしたことをきのうまで知らなかったという答弁があったが、政務次官がそういう重大な申し入れをするからには、当然省内でそういう意見が検討された上でなければならぬと思う。ところが、それは政務次官一人の思いつきで申し込んだことで、われわれは知らなかった、あなたの話を聞いているとそういうことになる。これは内部の不統一を暴露していることになる。この点をお尋ねしたい。
  92. 小倉武一

    小倉説明員 私ども実はいきさつをよく承知しておりません。いつどういう形で政務次官がおっしゃったのかも承知しておりませんが、とにかくそういうことになっておるということは、先ほども委員長からお話がございましたし、そういう趣旨で時間の許す限りやっていただく以外ない、かように存じております。
  93. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたは承知していないと言いましても、速記録にちゃんと出ている。十日の速記録で、あなた方も出席している。そのときに芳賀委員からちゃんとこういうことを言われている。あなたは頭がよいのだから思い出して下さい。前提は除きまして、芳賀委員から「この点に関しまして政務次官にお尋ねいたします。現在農林大臣は日ソ交渉のために不在で、代理の大臣がおりますが、結局留守中はあなたがしっかりやれといわれておると思うのです。それでこの価格決定についても、昨年は先ほど申した通り、当委員会から若干の委員をあげて、政府の事務の進むのと並行して、説明を聞いたり、また委員会の意見も述べて、そうして決定に至ったようなわけなんです。それは非常にいい方法であったとわれわれは考えております。ですから本年度も昨年のような形式をとって、澱粉並びに大豆の決定を見るために努力されるお考えでありますか。そういうことを考えておられるとすれば、この機会に答弁していただきたい。」こう質問している。それに対して大石政務次官は「ただいまの御趣旨通り進めて参りたいと考えております。」とはっきり言っている。そのときあなたは説明員となって出席されている。それを何も知りませんということは、あなたのような頭のいい人の逃げ口上にしては少し無理がありはしないかと思う。
  94. 村松久義

    村松委員長 先ほど御要求の政務次官の出席を要求いたしました。  なお、この際お諮りをいたしたいと思います。そのときの経過は取りもどすこともできませんので、昨年の問題はあとに回しまして、本委員会をなるべくすみやかに散会をいたしまして、その後において先ほど申し入れの協議会を進めたいと思いますが、いかがでございますか。
  95. 中村時雄

    中村(時)委員 価格安定法に基いた、たとえば澱粉であるとかイモはけっこうです。ところが麦は価格安定法に基いて行われてはいないのです。そうしますと、麦あるいは製粉の問題は当委員会において行わなくちゃならぬと私は思う。これに対して委員長はどういうふうにお考えになっているか。どうしてもそれをやらなくちゃならぬとおっしゃるならば、麦の問題だけはこの委員会において取り上げていただきたい、このように思っております。
  96. 村松久義

    村松委員長 昨日の委員会における決定通り進めたいと思います。なお、麦の問題に関しましては山本君の質疑があるそうでありますが、なるべく簡単に済ましていただいてすみやかに協議会に移りたいと思います。どうか御賛成を願います。
  97. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 委員長は同郷でもあろうし、先輩でもあるからその点はわかるが、私はそんなに無理をしてかばわなくてもいいと思う。この問題はもっとはっきりすべきで、非常に重大だと思うのです。政務次官はそう言っておることを、事務当局の方ではそれは知らぬというと、これは政務次官と事務当局の意見というものは不統一だということになってくる。この点は非常に重要だと思いますが、きようはおきまして、さっそくこの問題に入るわけですが、麦の問題は山本委員から御質問があるそうですからそれは省きます。それで主としてカンショの問題でお尋ねしたいと思います。  この問題は毎年陳情が猛烈に行われて、この手間と費用というものは容易でないと思うのです。そういう陳情を繰り返さなくとも農家が安んじてカンショを作れるように措置をとるべきだ、これが一つの恒久対策として出てくると思う。それから応急としては、今のところ価格決定をし、買い入れの数量をきめ、期日をきめなければならぬ、こういう点に追い込まれているわけですが、そこでこの恒久対策として先ほどもブドウ糖の問題が出ておる。私は昨年の暮れまで大蔵委員におってこの問題に対して非常に関心を持っておったのですが、精製ブドウ糖によって澱粉対策なりあるいはカンショの対策が相当立つ、こういうように聞いておるが、これに対する試験なり研究なり調査なりはやっておるのか、やっておらないかということを質問しましたところ、大蔵当局の方で、すでに研究、試験の域は脱して実用化する、量産化する域に達したから、農林当局、通産当局とも相談をしてこれを実行の段階に持っていきたい、こういう答弁を去年大蔵委員会で私は受けておる。ところが先ほどの長官の方の答弁は、まだそういう段階でない、研究しておるのだ、調査しておるのだというふうに私は聞いた、これは私の聞き誤まりかどうかしらぬが、去年の暮れ大蔵当局はそういうふうに言っておられたのと、非常にその点において食い違いがあるのだが、精製ブドウ糖の試験なり、研究なりの域は脱して、量産化の実施の段階に入ったのかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  98. 小倉武一

    小倉説明員 精製ブドウ糖工業化の問題につきましてお尋ねだと思いますが、これは技術的には可能の段階に入ったというふうに私ども承知しております。従いましてあとは、先ほどもいろいろお尋ねがございましたような販路の問題その他についての考慮という問題が実は大きな問題になろうかと思います。技術的にはほぼ見通しがついたということであります。
  99. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 技術的についたなら、毎年こうして買い上げをやって手持ちして悩んでいるよりも、その方に経費を振り向けてこれを早く実現化していくべきだと思いますが、これは意見になりますからこれでおきます。  そこで今度のカンショの問題で、これを見るとやはり生産費と経済事情等を参酌して決定するとなっておる。生産費というものは大きな要素になってくるわけですが、私の聞いておるのでは、昨年の生産費カンショは一貫当り二十一円九十二銭、ことしは二十三円七十九銭というような生産費だと聞いておるのですが、あなたの方はこれと違うのか。違うならことしの生産費は幾らであるかということをお聞きしたいわけです。
  100. 中西一郎

    中西説明員 ただいまの生産費の問題はカンショ生産費お話であると思いますが、三十年のイモについて調査が上ってきております。それが二十一円九十二銭であります。その生産費を構成します各項目について、項目別のパリティ指数をかけ合せて、その上で反収に変化がございますので、反収の調整をいたしまして、出た答が二十三円七十九銭、今お話通りであります。
  101. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると、これは地方にもよるでしょうが、関東方面は大体なまカンショ一貫目十七円程度、大体であります。そうすると生産費が二十三円七十九銭なら、それだけ農家の赤字が出てくるわけです。従ってこれを基準にして価格決定されなければならないと思うのです。そこでお尋ねしたいのは、先ほどちょっと問題も出ておりましたが、あなたの方では何ら決定していない、これがほんとうだと思う。思うが、すでに政府意向は二十四円に決定しているのだということは、政府意向としてだというので各方面に発表されているようです。流されているふうな形があるわけです。そういう二十四円の決定というものが事実であるかないか、事実であるならばこれが妥当な数字であるということをお考えになっておるのか、もしそうでなく、これが世間一般へ漏れて発表されているのか、漏れているとすればどういうことでそういう結果になったか、もう一度お尋ねしたい。
  102. 小倉武一

    小倉説明員 世間に伝えられているところは、実は私もよく承知しておりません。ただ私ども考えはどうかということでのお尋ねでございますれば、カンショ価格は今お話が出ましたような二十四円というところが妥当ではないかというふうに考えております。
  103. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 非常に時間がないですから、この点についてもっとお尋ねしたいと思うのですが……。  そこで二十四円というのは、かりに二十五円が妥当だという議論はあとにして、二十四円で決定したとしても、これは澱粉の買上価格や数量は、期日寺が決定されなければいかに価格決定しても、これは貯金のない預金状態になってしまう。そうしてすでに先ほど申し上げたように、十七円もしくは十八円程度で売買されているとするならば、この現状からいうならば、この決定が遅れればすでに農家手持ちがなくなってしまうのだから、農家に対する生産確保ということにも、農民経済の安定ということにもならなくなって、むしろこれは業者のための措置になる。従ってこれは買い上げの前提として申し上げるのだが、こういう期日の決定、数量の決定というものを、ときをはずさず決定していかなければならぬと思うわけです。これに対するお考えはどうでしょうか。
  104. 小倉武一

    小倉説明員 お話のように、できるだけ早い機会に澱粉の買い上げ数量、それに伴う必要な予算的措置を講ずる必要があると思います。価格決定と同時にそういう段取りにするのがあるいは理想的と申しますか、当然のことかとも存じますけれども、何分予算にすぐ買い上げられるような措置ができておりませんので、今後のことになりますけれども、できるだけ早い機会にそういうことを決定するつもりで検討をしております。
  105. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 最後お尋ねいたします。食管会計の中には農産物買上費というのがありますね。これは今どのくらい予算面で残っておりますか。
  106. 小倉武一

    小倉説明員 澱粉につきましては三十一年産の澱粉を買い上げる予算は計上いたしておりません。従いまして、澱粉の買い上げにつきましては、予算的な措置が必要なわけでございます。予備金でやりますか、あるいは補正予算でやりますか、他の関係もございますので、なお検討いたしておりますが、農産物の買上費全体は、予算におきましては二百十一億五千万円に相なっております。
  107. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今二百十一億円とおっしゃいましたが、私は三百億円ほどあると見ておるわけです。これで今予算措置を講じなければならないとすると、かなり時間的なズレがくるのじゃないかと思う。そこで、法の趣旨農家生産と生活を守るための趣旨で、それを来年に持ち越してしまうということになると、せっかく法を発動をしても、農家は何にもならなくなる。すでにそのときは安く売ってしまったということになる。農産物買上費というのは三百億ほどあるが、これを使うことは一体できるのかできないのかということをお尋ねしたいと思います。今のあなたの答弁では使えないということだったのですが、絶対にこれをその方面に振り向けることはできないのか、それとも措置によってできるのか、お尋ねしたい。
  108. 小倉武一

    小倉説明員 予算の積算の基礎といたしましては、昨年産の澱粉につきまして、買い上げの必要な予算だけにとどまっておりまして、本年産の澱粉の買い上げに必要な予算は計上してありません。そればかりか、御承知かと思いますが、昨年の澱粉の買い上げにつきまして、他の費用も若干は流用して買い上げたということもございまして、農産物の買上費全体が少し窮屈になっておりまして、多量の澱粉をここで買い上げるというのは、既定の予算のワクでは、措置することはむずかしいような状態になっておるわけであります。
  109. 村松久義

    村松委員長 次に山本幸一君。
  110. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 先ほどちょっと田口さんが触れられた麦価、特に売却価格について数点お尋ねしたいと思います。委員長から御要望もありましたから、なるべく簡潔に要点だけをやります。先ほど田口さんが申されたように、今の売り渡し価格については業界が非常に損害をこうむって、深刻な状態になっておるわけです。そこで私がまず第一にお尋ねしたいことは、実はこの売却の問題は今日に始まったのでなくて、昨年米価審議会でたびたびこれが議論をせられ、かつまた私もこの委員会で当時の長官等に御質問を申し上げたわけです。そこで政府としても引き下げの必要を認められて、その結果三十一年度予算においては、裸麦を百円、大麦を七十円ですか、一俵当りこのように引き下げることに予算化されたわけです。一体その引き下げられた後の今日までの経過、これはどうなっておりましょうか、ちょっとお尋ねいたしたいと思います。
  111. 小倉武一

    小倉説明員 この春政府の売り渡し価格改訂を実はいたしたのでございますが、多分予算と比較してのお話だと思うのでありますけれども、予算は小麦につきましては二千七十五円でありまして、そして現在実施しておりますのは、予算と同じく二千七十五円となっております。裸麦につきましては、予算では二千百二十円ということにたしかなっておったと思いますが、現在の売却価格は二千百五十円ということであります。大麦につきましては、予算は千六百四十円、売却価格は千六百六十五円ということに相なっております。予算をおきめ願って価格を改訂しました結果が、以上のようなことになっておるのであります。
  112. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 私どもの知る範囲によりますと、予算の上に一応引き下げを認められてから、実際の実施には二回にわたって引き下げをせられているわけです。それは四月に大麦で約四十円、裸麦で五十円、それからなおそれ以後六月ですか七月に、大麦で二十五円、裸麦で三十円、こういうように引き下げを行われているわけです。そうしますと、結局予算と実際の引き下げの実施との間においては、相当大きな金額の差異があります。具体的に申し上げますならば、四、五、六の三カ月間において、予算と実際との実施の価格の開きは、約一億六千万円程度になろうと思います。それからなお五、六、七の三カ月間の予算と実施価格との開きについては、六千万余の価格の開きがございます。これは一体どういうわけです。せっかく昨年本委員会でも議論せられ、米価審議会でも特に取り上げられて深刻な議論がせられて、その結果予算で引き下げることを認めたわけですが、なぜ実施に当ってこのような開きをお作りになっておられるのか。逆に言えば、予算通り実施を願うなら別として、予算通り実施を願わなかった結果、約二億円余業界に損害を与えていることになる。この点は一体どう思われますか。
  113. 小倉武一

    小倉説明員 予算との比較におきましてのお尋ねはごもっともでございまして、私詳しく計算はしておりませんが、そういった開きがあろうかと思います。ただこれも御承知通りでございますが、これは麦も米も同じでございますけれども、買い上げの数量にいたしましてもあるいは価格決定にいたしましても、必ずしも当初の予算通りには参らないのでございます。買い上げの量あるいは価格決定、それぞれやはり関連を持ちつつ必要な措置を講じていかなければならぬ。そこで予算単価よりは多少ふえるのもございますし、あるいは減るのも出てくるということでございますので、多少予算とは違うことが出て参ります点は、やむを得ないのじゃないかと思います。ただいたずらに予算よりは内輪に物事を処理いたしまして不測の損害を与えるというようなことは、これははなはだもって不穏当なことでございますので、そういうことは避けなくてはならぬと思いますが、大麦、裸麦等それぞれ価格の形成上そういうことになったのでございまして、それによって特別会計が特に余裕を残すというような魂胆でそういうことをやっているのではないのでございます。
  114. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 あまりそのことに触れても、すでに長官も不穏当だという言葉でお認め願ったわけですから、そのことはその程度でやめることにいたします。  次にお尋ねしたいのは、先ほど田口さんも触れられたのですが、食生活の改善にはいろいろの道があると思います。粉食普及もその一つであり、あるいは麦食を普及することもその一つであろうと思うわけです。特に保健上からも、あるいは現今の日本の当面する食糧事情から申し上げましても、でき得る限り麦食、粉食を普及することは、これは当然の道だと私ども考えておるわけです。ところが実際の食糧庁の行政の状態を見ておりますと、実は麦食の奨励というものはほとんど名前だけで、実際には行われておらぬ、こういう実情だと思うわけです。これは特に価格問題、いわゆる価格政策においてその点が顕著に私どもは現われておると思うわけです。逆に言うならば、結局食糧庁としては食管の赤字だけに気をとられて、業界がそのために倒産をしようと、どんな事態に追い込まれようと、われ関せずの態度である。そのことは、ひとり業界だけの問題にあらずして、食生活全体の大きな立場からいっても、相当私は問題があろうと思うわけです。特に私は、それに関して、今度政府がお出しになった私どもがいただいておるこの麦類関係資料、これを拝見いたしましても、戦前、戦後、特に戦後は二十八年ごろまで、対米価比はおおむね六〇%程度前後であったという資料が出ております。ところが今日では、この資料にございますように、対米価比は七一・五%である。こういうように接近しておるわけですが、そういたしますと、米が一キロ八十一円でありますので、それに対して麦は五十七円ないしは五十八円につく。従って食生活の経済の上の価値からいっても、当然消費者は麦を食わない、こういう事態が起きることは私は当りまえだと思うのです。そういうことを考えれば、あなた方は価格政策の上において、口では麦食の奨励、粉食の奨励を言いながら、実際の行政の上においては、それと相反するような措置をおとりになっているわけです。特にいわゆる対米価比の非常に接近したことによって、業界の倒産が、先ほど田口さんが言われたように、三百数十件に今日上っておるわけです。これは業界の倒産のみではなしに、こういう価格行政をおやりになったのでは、将来農民が麦を生産する意欲すら失うことになるわけですが、一体あなた方はこれに対して、今の対米価比が適当なものであると考えておるかどうか。この点を一つお承わりいたしたいと思います。
  115. 小倉武一

    小倉説明員 現在の米の価格に比しまして麦の消費価格、精麦の価格が適当であるかどうかのお尋ねでございますが、これは私どもといたしましても、必ずしもこれで適当であるというふうには思っておりません。もちろん、簡単にそう申しましてはあるいはいけないのかもしれませんけれども、食糧事情全体を安定させる、こういう観点が一方長期的にありますが、そういう観点からと、短期的にはそのときそのときの食糧全体の需給状況と両々にらみ合せまして、適当な対米価比を考える、こういうことがいいのだろうと思うのでありますが、そういう観点から最近の食糧全体の事情が二、三年前よりはだいぶん変ってきておる。そういう点もございますので、私どもも現在の対米比価が必ずしも適当であるというふうには思いません。この点は一つ十分検討したい、こういうふうに実は思っておる次第であります。
  116. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 私は実は特にその点が問題だと思うのですが、先ほど田口さんの質問に対して長官答弁によると、いわゆる対米価比については今のが適当とは思われないけれども、そのときの事情によって対米価比というものはきめられておるのであって、これを意識的にわれわれがきめるものではないというような御答弁があったと思います。ところが実際にはあなた方の出された資料を見てもわかるように、やはり業界が正常な形で経営できるという対米価比は六〇%前後なんですよ。もちろん食糧事情が変っておることは認めます。認めますけれども、そもそも私が先ほど申し上げたように、業界が非常に深刻な状態に当面しておるということは、この対米価比が非常に不当であるから、そこにおもなる原因があるわけですから、従って長官はこれを単に不当とは思わないというあいまいな言葉ではなしに、やはり私は不当な点は不当な点として率直に認めて、そうしてこれを至急検討して一つ修正するのだ、こういう態度を一つとっていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  117. 小倉武一

    小倉説明員 あまり現実的な問題でございますので、ここで私から一存でどうこうという結論を申し上げるのもかえって僣越でありますが、確かにお尋ねの御趣旨もありますので検討いたします。
  118. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 それではなおもう一点お尋ねいたしますが、六〇%程度、従来の実績によるとそれが妥当なりという実績が過去十数年間出ておるわけですが、その点六〇%前後という対米価比はいかがですか。
  119. 小倉武一

    小倉説明員 お話のように六〇%に近いような対米比価が出ておった期間が相当あります。それにはそれ相当の食糧事情が反映しているのだと思いますけれども、そういうことも検討の場合の一つの有力な材料になるだろうと思います。
  120. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 長官も御承知だろうと思うのですが、精麦は独立食ではないのです。やはり米と並行し、米と混合し食べるものなんです。従って私どもが常に考えておることは、やはり米の行政と並行して麦の行政も行わなければならぬということなんですが、実際には米の行政と切り離して麦が放置せられておるという形が現実の形だと思うのです。もちろんこれはあなた方は意識してやっておられるとは思いませんが、やさしい言葉で言えば、不親切ではないか、こう私は考えるわけです。そこで特に御承知の二十七年から三麦については統制方式が中間方式、いわゆる間接統制方式に変っておる。それでもほとんど政府が三麦を一手に買い上げておる。実際には大体完全統制の時代ともあまり変らないような数字をそれぞれ政府はキャッチしておるわけです。そこでそういうことは、言葉をかえて言えば、政府原料全部を自分で握っておるから、生殺与奪の権を持っていらっしゃると一緒です。私はそれなるがゆえに政府はよほど親切に麦行政を行わなければならぬと思うのです。ところが私どもの見た目ではそれとは全く逆であって、いわゆる原料の首根っこを押えておるということが一つの大きな武器になって、一方的な価格を作られ、あるいは一方的に業界にそれを押しつけられる。具体的に申し上げますと、悪い原料を押しつけるために業界を納得せしめるのに困難だということで、そこで勝手に規則にも法律にもない抱き合せというような問題をやって、抱き合せをやって、これを業界に押しつける。買わなければ今度はワクにおいてこれを削ったりなんかする、こういうことが今日まで行われてきておるわけです。こういう点は私は非常に食糧庁が不親切だと思うのですが、一体あなたはこれに対してどういう考えをお持ちであるか、伺いたいと思います。
  121. 小倉武一

    小倉説明員 御質問の点でございますが、いかにもぎごちないことであるということは、私どもも全くそのように考えております。ただ現在の内外麦を通じます全体の価格体系がいわば与えられている前提でございますので、その範囲でできるだけ公正に原麦を配分していく、こういうことになりますと、ある程度そういうぎごちない点が出てくるのもやむを得ないかと思いますが、それでいいんだといって放置しておくということではございませんので、できるだけそういうことを回避するように、必要ならば価格の問題についても検討するというつもりで目下研究を進めておる次第であります。
  122. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 それでは次に端的に重要な問題を伺いたのですが、これも価格の問題でありますけれども、あなた方が私どもにお渡し下すったこの資料の十ページを拝見すると、現行の売却価格では本年の一月から七月までの平均で、大麦は九十円の損失、裸は百六十円の損失、こういうようにこの資料には出ておるわけですが、このことはとりもなおさず業界がそれだけ損をしたということを、あなた方みずからが認めておられるわけですね。価格が妥当でないということを資料に記載してみえるのですから、逆にいえば業界がそれだけ損害をこうむったということになるわけです。これは食糧庁の出されたデータで私は言うのですから、私の意見じゃないわけです。そうすると、一月から七月までの今言う妥当ならざる価格の構成による大麦、裸の扱い数量のトータルをちょっと先ほど計算いたしますと、八億八千万、約九億に上る損害を業者にこうむらしておるということを、あなた方はこの資料でみずからお認めになっていらっしゃるわけですが、その点は間違いございませんね。
  123. 小倉武一

    小倉説明員 私ども資料についてのお尋ねでございますが、これは、逃げるわけではございませんけれども、最近半年の実勢価格基礎にしての一応の試算でございまして、この前提が正しいかどうか、あるいはまたさかのぼってそのもとになっております政府の売却価格が適当であるかどうか、こういう問題についての検討をする一つの素材として実は提供いたしたのでございまして、あるいは公けに配付いたすということは不穏当な資料かもしれませんが、忌憚なく御批判願うという趣旨で提出した次第でございます。従いまして今後精麦企業につきましていろいろの措置を講じます場合に、これが有力な手がかりになって、この線で役所が考えておるということでは必ずしもございませんで、この線を離れても、もちろん当然いろいろ考えなければならぬ点が多いと思います。そういう意味で軽くごらんを願いたい、かように存じます。
  124. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 長官のおっしゃることはわからないわけではないのですが、しかしあなたも省内切っての良心派の一人です。委員会でも評判がなかなかいいのです。その良心的な人が、どうもあまり詭弁のようなことをおっしゃらないでもらいたいと思う。私はこの資料ばかりでなしに、昨年の質問の際もずっと過去のものを調べてみたのですが、あなた方が精麦業界と売却の契約をしたり、統制時代の委託賃の契約をなさるときには、少くとも政府として相当の費用をかけて、多数の人員を擁して、具体的な計算基礎にしていろいろ契約をなすってみえると思うのです。そういうものを前提としてそれぞれ売却の価格をおきめになって今日まで施行してみえるのですが、その具体的な事実の上に立って、今度の試算なら試算でよろしい、試算とおっしゃるが、そういう前提の上に立ってやっているものですから、当然出てきた結果は、やはりそれだけ業界に損害をこうむらしておるという理屈が数字の上で成り立つと思う。実際は存じません。私ども数字で見るほかはない。だからこれはあなた方は率直にお認めになるのが正しいと思う。それはその程度にしておきましょう。  ところがさらにこれに加えて、先ほど田口さんがおっしゃったように、たとえば具体的な事例を申し上げると、大麦の売却価格について、あなた方は大麦を売却されるについての標準の等級類別を三類三等に置いてみえるわけです。ところが実際には、私はいろいろ資料を調べてみましたところが、昨年度のあるいは本年度の大麦の検査の状態を見ても、一類が五九・一%、二類が三八・四%、三類はわずか一・二%、四類は〇・一八%、こういう結果なんです。これはおわかりだと思うのです。そうすると三類三等なんというものは化けものであって、実存しないということです。こういうものを標準にして価格構成をせられるということは——実際には実存しないという事実です。そこで実際の状態から私ども考えますならば、当然一類三等、こういうところを標準にして価格構成を行われることが正しいと私は思うのです。そうなると三類三等、いわゆる化けもののほとんど仮定にひとしいようなものを標準にしてきめられた価格と、実際の一類三等の価格との差は、一トン当り千百円程度につくのではないかと私はみずから計算しております。そうすると事実上大麦一俵当りあなた方の出されたこのデータよりなおかつ八十円の赤字を業界はしょっておるということになるわけです。そして九十円の赤字というものは九十円プラス今申し上げた等級類別の違いからくる赤字八十円で、実際には百七十円になるわけですね。そうすると業界の損害はさらに大きくプラス・アルファになってくる、これは非常に大きな問題だと思うのですが、あなた方はこういう点を認められるかどうか、この際お聞きしておきたいと思います。
  125. 小倉武一

    小倉説明員 私不勉強でその点について的確にお答えする力がございませんが、価格の基準という非常に形式的な点だけをとってみますると、一つの基準でございまするから特段に違いが出てこないのではないかという気も実はいたすのでありますが、お尋ね趣旨といたしまして、精麦企業が受けている現在の経済的な苦況というものが、この十ページに示した試算に尽きておるということを考えておるつもりは毛頭ございません。お話のような点がございますれば、そういう点ももちろんあわせて検討すべきことだと存じます。
  126. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 今の御答弁で満足はいたしませんけれども、一応了承することにいたしたいと思います。そこで私は、実は先ほど対米価比六〇%前後が従来の十数年の実績にかんがみてみて適当と思われるという見解を表明しておりますし、またおそらく食糧庁も、ここでそれを言明したのでは言質をとられるからおっしゃらないというふうに御同情申し上げておりますが、おそらくあなた方の腹ではやはりそこらが妥当じゃないか、こうお考えではないかと私は考えておるわけです。そこでなぜ私がそういうことを申し上げるかというと、先ほど触れましたように、米が一キロ八十一円なら、やはり麦はそれに比較して小売価格五十円程度でなければ消費者は買う気になれないわけです。従って対米価比を六〇%強にすれば、押し麦の小売価格が大体一キロ五十円になる。そこでこの五十円から逆算をいたして参りますと、結局原料代金は政府資料方式で逆算しても、田口さんがおっしゃったように大麦が一俵三百三十五円・裸で四百四十五円、これを引き下げなければ業界の赤字を解消することはできないし、同時にまた麦食奨励をやって消費者に麦を食わせるような普及をすることはできないと思うのです。これは麦食奨励をするかどうかという基本問題にも触れるわけです。あなた方にそういう麦食奨励をしようとするお考えがかりにあるとするなら、当然そのような価格対策を立てなければならぬと思うのですけれども、その点について麦食奨励をする決意が従来あったかどうか、今後もあるかどうか、これを先に伺いたいと思います。
  127. 小倉武一

    小倉説明員 麦食の維持奨励ということにつきましては、私どももこれまでの方針を踏襲していくつもりでございまして、ここで一時的と申しますか、昨年の豊作等の影響でもってそれを打ち切るというようなつもりはございません。特に小麦と大麦、裸麦とはだいぶ事情が違い、同じ麦の消費の維持増進と申しましても多少ずつ違うと思いまするけれども、特に粒食を主とする大麦、裸麦につきましては、やはり育成していくという根本方針はお示し通りと思います。そういう趣旨価格の点も検討して参りたいと思っております。
  128. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 一つ具体的にお尋ねしたいのですが、価格を検討しようという御趣旨はわかったわけですね。そこで価格を検討せられて、その結果もし私が申し上げたような事実になった場合には下げなければならぬことになるわけですね。それから先ほど申し上げたように、従来も政府みずからこのデータの上でお認めになっていらっしゃるのですから、当然至急に検討せらるべき性質のものだと考えておるわけです。ところが聞くところによると、なるほど政府のデータからいっても業界側の強い要望からいっても、あらゆる調査からいっても価格を引き下げなければならぬということは大むね食糧庁みずからもお認めのようだと私も承わっておりますが、業界の要望のように価格を引き下げると、政府から買った原料を製品にしないで再び原料政府に売り渡すというような環流問題が起きて大きな障害となる。それからもう一つは食管会計の赤字、大きな問題としてこの二つ理由にしていらっしゃるらしいのです。環流問題は、私の意見で言えばこれは別な問題です。極端に言えばこれは刑事事件です。詐欺です。そういうことは別の問題で防げると私は思うのです。先ほど申し上げた予算麦価と実施麦価とが開きがあるという場合、業界から聞きました報告によると、主として食糧庁の一部長あるいはここに御出席の企画課長中西さんあたりは環流問題を取り上げておられるということを聞いております。ところが実態を見ると、ことしもそうですけれども、ほとんど九月末日までに農民からの買い入れは完了しておるのです。昨年は九月末日で九〇数%、本年は、私の調べたところによるとすでに大麦は二十二万トン、裸麦は四十万トン、新聞では、食糧庁の買い入れの数量は裸は大むね四十三万トン、大麦は二十二、三万トンという記事を私は見たことがあります。そうだとすれば、昨年同様に一〇〇%近いものが現に九月末日で買い入れが終っておるわけです。買い入れが終っておれば当然これはその翌月から予算麦価は実施できたはずですね、やろうと思えば。十月からは環流という理由は全然出てこないわけです。ところが依然として、予算麦価と実施麦価との差額についてもそうした環流問題がなくなったにもかかわらずおやりにならない。まことに私は不親切だと思う。国民は税金を払っているのですよ。食糧庁は、特に農民消費者とのために、あるいはそれに関連する中小企業者のために食糧行政をおやりになってみえるのですから、なぜそういうことを環流の事態が解消しておるにもかかわらず放置されておるのか、これはあなた方の責任問題だと私は思う。そうなると、業界にしてみれば、一切あなた方の詐欺にかかった、こう極言をせられてもしかたがないじゃないか、その点は一体どうなんです。今後まだ環流問題をお考えになってみえるのですか。
  129. 小倉武一

    小倉説明員 環流問題についてのお尋ねでありますが、これは、お話のように一方では刑事問題ではないか、従って、政府の売却価格とは一応別に処理していくべき問題じゃないかというお言葉もありましたけれども、確かにそういう面もございます。それからまた時期的な問題で処理できる問題もございます。とは申すものの、やはり政府の買入価格と売却価格の間の調整についての問題はあるわけでございます。そういう点についても考えをめぐらす必要があろうかと思います。そういう際に、時期的な問題としてこれを考えることもお話のように一つ方法であろうかと思いますが、そういう点についてなお検討をしなければならぬと思います。今年だけの問題でもありませんし、内麦の生産事情から見ますれば、そう内麦価格を急激に下げられる可能性が短日月の間に実現できるとも思いません。そういう点も十分考えあわせて処理しなければならぬ問題だと思うのであります。  それから、予算のことについてもお話になったのでありますが、売却価格を下げるというふうに前提して考えます場合には、やはり予算の制約は出て参ることもまた事実でありまして、お話のように現在の特別会計の経理の状況から見ますと、それに見合う財源を見出すことはなかなか困難な実情でございます。といって、財源がないからといって放置すべき問題でないということもまたその通りでございます。その点についてもぜひ予算措置もまたとらなければならぬと考えております。
  130. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 あまり時間がないので、また月曜日にあるそうですからなるべく簡単に申し上げますが、私ども了解しかねるのは、たとえば予算麦価と実施麦価との差額について、政府が当初予想せられた数量の上に予算化せられておるわけなんです。それから、政府が買い入れられた数量が予算麦価を構成せられるときの数量と変らぬのですよ。そうなれば、その開きを作つた理由には何にもならない。これは数字を見たらわかるのですから、そういう小倉さんには不似合いな御答弁はなさらぬ方がいいと思うのです。もっと正直に、先ほど申し上げた環流だとか食管会計が赤字できゅうきゅうとしているのだとかいうことで御答弁なさった方が私はすつきりしておると思うのです。しかしそのことはそれでやめましょう。  それで、私は一つこの際重大な関連があるので伺っておきたい。先ほど田口さんの質問でもちょっと伺っておったのでけれども、そのときにあなたはこういうことを答弁なさってみえるのです。田口さんの質問の要旨は、精麦の消費の減退についてだったわけです。そのときのあなたの答弁としては、豊作等による最近の食糧事情一つと、もう一つはいわゆる業界が競争をする、もっと率直に申し上げるならば、業界の生産能力が非常に過剰しておる、その点について検討を加えたいというような御答弁をなすったと私は記憶いたしております。そこで私はその点について少しお尋ねしたいのですが、今日業界の能力が過剰しておるという事実は、これは業界の責任じゃないのですね。これは食糧庁の責任なんです。なぜそれが言えるかと申しますと、戦後食糧が非常に困難な時代に、政府としては高い歩どまりで委託加工を全面的に行われたわけです。それでなおかつ供給にとても間に合わぬというので、業界に対して昼夜作業を命ぜられて、二十四時間の作業をぶっ続けで何年かおやりになったわけです。そういう結果からいわゆる業界の能力がどんどん上昇してきまして、その後さらに御承知のように、二十六、七年ごろは消費者の食嗜好がだんだん高まって、歩どまりを現実に下げなければならぬ。そのためには流れ作業によるところの工業工場施設が必要である、こういうことから、さらに業界としては政府の歩どまりの引き下げに歩調を合せて、流れ作業に必要な能力の増大をしてきた、こういうような結果から今日いわゆる能力が過剰という事実が出てきているわけです。私も能力の過剰についてはこれを認めるにやぶさかじゃございません。やぶさかじゃございませんが、その責任は全部政府にあるのです。だとするならば、この能力過剰の処置について政府は責任があるのですから、当然その処置に責任を持たなければならぬと思うのですが、それについてはどういうお考えをお持ちですか。
  131. 小倉武一

    小倉説明員 精麦業の設備能力でございますが、これはお話のように戦後の食糧事情等の影響によりまして、政府の慫慂等もございましたでしょう。それが今日の状態の一つの遠因になっているというようなお話でございますが、そういう点もこれは確かにあろうかと思います。ただその間に、直接統制が間接統制に切り変えられた、こういうこともございます。そういうことを機縁にして、やはりこれは先き行きの見込みがどうなるかということについては、当時はまだ現在のような状態が起るだろうということは必ずしも想定はできませんでしたような事情もございまして、間接統制後特にまたふえたといつたようなこともございまして、いずれにいたしましても、政府に責任がないというわけで申し上げているわけではないのでございます。従いまして精麦企業の整備問題については、できるだけ政府としての援助と申しますか、措置一つ考えなければならぬということについての御趣旨とすれば、その通りに私も考えております。
  132. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 ちょっと不明確なんです。今整備という言葉が出たのですが、実は私はそのことについてお尋ねしたいと思っておったのです。十日の毎日新聞を見ると、これは食糧庁の発表なんですが、業種指定を行う、具体的に言うならば、業種指定を行なって、将来いわゆる生産制限のできるような処置を講じたいということから、整備という問題に発展しているわけですが、あの新聞を見ますと、この整備に当られる場合には、政府がこの整備を指導し、かつまた政府がある程度の責任を持っておやりになるつもりですね。
  133. 小倉武一

    小倉説明員 中小企業安定法によります調整組合の指定業種にするという点だと存じますが、その点につきましては、現在の設備の状況から見まして、やはり調整組合ができた方が業界のためにもよろしいのではないかということで、そういう指定の段どりをいたしております。もちろんこれも一つ考え方によりますれば、企業整備の前提とも考えられます。企業整備の前提としなくてもそういう措置はこの際適切ではないかと考えております。なお企業整備につきましては、私ども役所といたしましてこうだというふうにまだ決定はいたしておりません。決定はいたしておりませんが、大体の方向といたしましては、そういう線で役所の方針を決定していつた方がよろしいのではないかというふうに今思っておりまして、予算的な措置も検討いたしております。そういう意味で先ほどちょっと申し上げた次第であります。
  134. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 この際今の問題に関連して少し御質問をしたいのですが、私の聞くところによれば、たしか六、七月ごろだったと思ったのですが、精麦業界の非常に熾烈な価格改正の要求で食糧庁側も非常に検討なすって、その結果どう考えても食管会計の赤字等で、なるほど業界の主張は相当程度認められるし、食糧庁みずからも売却価格の改訂については認められる。けれども食管会計の赤字等から考えると、非常に困難であるから、実際売却価格を下げるに際しては買い入れ価格に手をつけなければならない。買い入れ価格に手をつけるやり方としては、私は数字等は存じません。数字等は存じませんが、総額で数十億に余るところの買い入れ価格を引き下げる。下つた部分については農民の手取りが減少するので、それは別な道、早く言えば生産奨励金とかなんとかいう別の形において農民に渡して、そのかわりに三年とか四年の時限的な方法でおやりになろう、こういうことを私どもはちらっと承わっておるのでありますが、そういうことが事実当時構想せられ、あるいは今日もそのお考え方があるかどうか。御承知のようにわが党はそういうことについては断じて承服できないわけです。私どもは米とか麦とか、国民の主要食糧、絶対的のものについては、二重価格をもつて行うことが当面の行政のあり方ではないかというように考えておりますから、従って農民からはやはり引き合う価格で買ってやって消費者にはなるべく安く支給する、これがいわゆる社会保障制度の一環です。そういう意味において私は売却価格を改正するに際して、それに見合つた額を買い入れ価格で下げて、そうして農民をごまかすために三、四年の間はいわゆる時限的に生産補助金というような形でおやりになるということは、どうも私はよくないと思いますが、今でもそういうような御構想があるのですか。
  135. 小倉武一

    小倉説明員 ただいまのお話の点の内麦の価格それから生産についての対策の問題でありますが、これはこういう席でお話していいかどうかちょっと問題のほど、まだごく部内の検討にすぎなかったのでありまして、ただいままでのところ、食糧庁といたしましても農林省といたしましても、そういう案で進むという内定にまで決定をいたしたものではございません。麦の全般の対策の一環としてそういう考え方も検討したことはあるということで御了承願いたいと思います。  なお今後の措置といたしまして、麦全体の対策をどうするかということについては、今お話のような点もございますが、全般の点につきまして検討しなければならぬと思います。これはもちろん精麦業の関係だけからでもございませんし、内麦の生産自体をどういうふうに持っていくかということは、国内の農業、それから食糧の両点から慎重に検討すべき問題であり、今後研究は進めていくつもりでございますが、先ほどお話のような案がきまったということでもございませんし、そういうことでやるということでも必ずしもございませんので、研究途上の一つ考え方であったということで、ただいまのところ御了承願いたいと思います。
  136. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 それは重要な問題ですが、研究途上にそういうことを考えたんだ、そういう案も実は作ってみたんだというお言葉ですね。そうなると、そういうものは今でも残っておるわけですね。今後麦価全体の改正検討については、そういうものが一つ要素としてさらに検討せられるのか、その点はいかがですか。
  137. 小倉武一

    小倉説明員 ちょっと話が本末転倒だということでおしかりを受けるかもしれませんけれども、売却価格について下げていくということになりますと、これは買い入れ価格の問題に当然結びつくのでございます。従いまして買い入れ価格について今後どういうふうにしていくんだということについて、これは食糧庁なら食糧庁、あるいは政府なら政府としての見解をやはりはっきりする必要があると思うのであります。そういう意味でどちらにいくかということは別問題にいたしましても、そういうことの見解をはっきりする意味においてもいろいろの検討を加える必要がある、そういう意味で今後も研究はしたいと思っております。
  138. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 なかなか、小倉さん、うまい答弁をされるので、大したもんだと思うのですが、最後に一点だけ申し上げたい。実はこれは先ほど申し上げた麦価の売却価格にも関連いたしますけれども、精麦業界は非常な浮沈、深刻な状況にあって、倒産が続出しておる。このいう状態を作った原因は幾つもあると思うのです。たとえば一つはあなた方の価格政策の悪さ、これはさっき申し上げた通り。それから第二は能力過剰の問題、第三に今日精麦業界が非常に浮沈の状況になったそもそもの糸口は、これは私、昭和二十九年の記憶で、昨年質問もしたのですが、中間統制が継続せられた。けれどもその当時の食糧事情からいって一挙に全部を売却対象にすることが困難だったものですから、従って相当部分は政府の委託加工をやっておられたわけですね。そこで委託加工を続行せられておりましたけれども、その後に食糧事情が好転し、嗜好も高まって、歩どまりを引き下げなければならない事態に当面した。その結果政府の委託加工をせられた製品は、販売業者、卸売業者、小売業者が、その価格では全然買わなくなった、こういう事実にぶつかったわけですね。そこで政府としては、販売業者が買ってくれぬものですから、値段をうんと下げるか、あるいは腐るまで政府が持たなければならぬか、どっちかの問題にぶつかって、その結果食糧庁としては、業者に対して半ば強制的にこの品物は委託加工の製品であるから、政府の責任で処理すべきであるけれども、この際一つ作った加工業者の精麦業者が引き受けてもらえぬか。引き受けてもらうならば、それによる損害は長い目で見て補償いたしますと、これはあなたが当時の長官でありませんが、前長官の清井さんの時代、あるいはその当時の部長時代、そういうことを明確に言明しておられる。その言明のときに私は食糧庁で立ち会っております。それによって業界は、早く言えば引っかかって、その腐りかかったような委託製品を引き受けて、それを二束三文で処理した。よって起きたところの損害は三十数億に余るのです。業者にしてみれば、そんなものは引き受けたくないけれども食糧庁の言うことを聞かぬと、今後価格の上でも、あるいは払い下げの上でも、ワクの上でもいじめられるから、涙をのんで言うことを聞いたという実情らしいのですが、そういう損害が今日非常な悲惨な状態になる第一の糸口になっておると私は思うのです。それに重なって、食糧事情がさらによくなり、米が豊作になり、あるいは生産能力の過剰だ、こういう理由が次から次へと重なって今日の事態に立ち至っているわけです。従ってそういう点はもう少し食糧庁みずから反省なさらぬと——私は証人ですから——この価格問題等を根本的に検討することにならぬのです。私はこの点を反省せられることがまず第一に必要なことであると思う。  さらに結論としては、この価格の改訂については、あなた、今検討せられると言っておられますが、これは急を要するのです。急を要するからこそ、先般全国各地から業者が二千数百人も集まって、自民党の諸君も行かれ、社会党の、私も参りました。そうして大会を開いて、その実情を私ども伺ったのですが、非常に深刻な状態にあるのです。それをこれからゆっくり検討するというようなあなたの態度では、業者はとうてい救われませんよ。ただあなたは、国会の答弁の技術としてそういう答弁をなさったのか、それとも真剣にこれを救済しようということで、いわば妥当な価格を作って業界の苦境を何とかしてやろうということで至急に検討なさる決意があるのか、なさるとするなら、いつごろ検討せられて、いつごろ大体実施になるのか、いつごろから実施されようとするのか、それを最後に伺っておきたい。
  139. 小倉武一

    小倉説明員 過去の誤まりはもちろんよく反省いたしまして、将来一つそういうことのないように十分今後慎重に検討いたします。価格の引き下げの問題についてでありますが、これからゆるゆると検討するということではございませんで、これまでも検討いたしております。至急結論を急ぎたいと思いますが、これは予算の関係もございますので、ここでいつからというふうに申し上げるわけには参りませんが、そういう機会をできるだけ早くつかまえまして処置したい、こういうのが私どものただいまの考えであります。
  140. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 予算の関係は私どももわかります。わかりますが、具体的に申し上げるならば、あなた方の決意を聞きたいのですよ。結局食糧庁が原案を作られて政府に出されるわけですから、順序はそういうことでしょう。まさか政府が勝手に作るわけにいかぬでしょう。あなた方のいわゆる専門家がおやりにならなければわからぬわけですから、そうだとするなら、あなたは一体、この十二日から臨時国会が開かれることになるのですが、その臨時国会に大体間に会うような態度でおやり下さるかどうか、具体的にお尋ねいたします。
  141. 小倉武一

    小倉説明員 これは私からお答えをするのもいかがかと思います炉、臨時国会というわけにはいかぬのではないかというふうに思います。補正予算が出るか出ないかという問題もございます。たしかそういうことはないように聞いております。臨時国会というわけには、これは時間的にもなかなか参りかねると思います。その次の早い機会ということになろうかと存じております。
  142. 山本幸一

    ○山本(幸)委員 小倉さんの見込みでは臨時国会では不可能なのではないか、従って通常国会という御意味ですが、私は、それまで待っておったらこれは首をくくる人を待っていると一緒だと思うのです。そこで、やり方はあると思うのです。もしあなた方が至急にこれを改訂しなければならぬという決意をせられ、私ども与野党を問わず、現実にこの悲惨な状況を知り、価格の改訂を必要とするという意見の一致を見るなら——これは政党の問題じゃありませんから、ほとんど超党派的にその意見の一致を見るなら、必ずしも通常国会までの予算まで待たなくとも、手はあると思うのです。何も私が教えぬでも、あなた方専門家だから知っていると思うが、そういう手を国会としても打てるように、政府としても国会の要請によって考えられるように、至急にあなた方検討なすって、あすにでも出せるような心構え、その用意だけはしていただきたいと思うのです。これは私の希望です。  最後に締めくくりとして申し上げたいのですが、どうも食糧庁は——食糧庁に限らず政府の各機関は、政策やいろいろな点では中小企業を育成強化する、擁護するといっておりますが、実際にはなされておらない。具体的な事実を申し上げれば、今度食糧庁に大きな事件が起きております。細田さんが引っかかって、今逮捕をせられておると新聞は報じておりますが、あの内容を私どもが新聞で知るところによると、食糧の輸入業者——旧三井、三菱系を中心とする輸入業者との関係であると新聞は報じております。その輸入食糧によって何十億という莫大な利益を、しかもほとんどトンネルの状態で、今のGG貿易の方式でありますと、輸入商社はトンネルに近い状態で、ああいう大資本を持つ輸入商社は、しかも独占的なやり方で莫大な利益を得ておる。何千、何万とある弱小企業者は常にそういうものの犠牲をこうむっておると言って、決して過言ではないと私は思う。そういう点から言っても、まじめであり、人格者であるあなたは、至急にその対策をお立て下さって、食糧庁の汚名を、ぜひ一つ取り消すように努力願いたいことをお願いして、私のきょうの質問をいたしまして、残りは留保いたします。今後も続けますから……。
  143. 村松久義

  144. 永井勝次郎

    永井委員 質疑に先だちまして、委員長お尋ねをいたしたいと思います。本委員会は昨日延長にきまりまして、本日の議題もそれぞれ決定されていたわけです。本日土曜日であることを承知いたしております。また北海道の冷害対策につきましては、予算の折衝が最終段階に入っておりまして、きょう中にも最終決定を見るのではないかというような状況にあります。そういうような状況であるからこそ、本日ただいまのこの委員会におけるこれらの問題に対する審議ということがタイムリーでもあり、重要な審議の機会でもあると考えるわけです。でありますから、朝来委員長を通しまして、それぞれ政府当局の関係局長及び大臣等の出席を求めております。大臣の出席はありません。大蔵省の主計局長——もし主計局長が都合が悪ければ、主計官でもよろしいというのでありますが、それが出席がない。また農林省関係局長もほとんど出席がない。こういう状態で、この現在のような重要な段階にきており、かねて本委員会において決議いたしております昭和三十年度冷害対策に関する件、これが決議のしっぱなしであって、その後どういうふうに運ばれて、この委員会がどのようにこの決議に対して責任を持ち、これの実を結ばせるためにどうしなければならないかといろ審議の機会がないままに、これらの問題が決定されようとしておる、まことにこれは重大なことであると思うのでありますが、この委員会から出席を求めたにもかかわらず出席しないということは、議会無視のはなはだしきものであると考えるのであります。もし議会を無視していないとするならば、議会に対する不誠意もはなはだしいと断ぜなければならないと思うのでありますが、委員長はこれの措置に対して、どういうふうにお考えになっておるか。本日のこの状態のもとに、私の審議はできないと思うのです。またこのようなことがしょっちゅう繰り返されていて、ものがきまってしまってから、たとえば朝来問題となっております麦価の問題にいたしましても、大豆の問題にいたしましても、あるいは澱粉の問題にいたしましても、これは全く議会というものはただ適当にあしらっておけばいいのだ、行政庁できめて、結果の報告だけをするのだというようなことで、一切の国の重要な事柄が運ばれてよいのかどうか、私は農林委員会といたしましては、重大な決意を表明しなければならない事柄に当面しておるのではないかと思うのでありますが、これらの本日の不始末及びこれの善後措置に対して、委員長はどういうようにお考えであるか、決意を承わりたい。
  145. 村松久義

    村松委員長 お答えいたします。委員長といたしましては、御要求の政府委員の出席を求めております。しかるにおっしゃる通りかように出席をいたしておりません。あらためて厳重に出席を要求いたします。よって、出席を待ってあらためてあなたの発言を願いたいと存じまして、本日のところはあなたの御発言及び留保せられたる山本君の発言その他お二人の通告がありますから、これを全部次会に継続して、次会の時日は理事会をもって速急にこれを決定し、公報をもって御通知申し上げたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  146. 永井勝次郎

    永井委員 本日は議事がこの状態では進められないから、あらためて本件を議題とする委員会を開いて審議をするという、委員長のこの措置に対しては私は了承いたしました。しかしこういう機会を機会といたしまして、政府当局の、今何々の相談中だから出られない、何々の仕事中だから出られない、ひまがあったら、時間の余裕、たばこを吸ったりお茶を飲む時間があれば議会に出る、こういう答弁に対しましては、委員長、われわれは厳重にこれに対する政府当局の反省を求めなければならぬと思います。  それからもう一つは、そういう間にこの問題が決定されてしまって、そうしてあとの祭になってしまっては何にもならないのでありますから、委員長が後日委員会を開いてこれを議題に供するというならば、それまで最終決定はまかりならぬということを明確に政府当局に申し入れて、そうしてこの委員会で決議された結果がどうなったかという責任をこの委員会が持ち得る形においてこの問題の結末をつけるということにしなければならないと思う。本年の北海道の凶作対策につきましては、政府当局からも大臣を初めそれぞれ現地の視察に参りました。また本委員会からも代表の方々が現地に参りまして、そうしてことに農林委員会代表につきましては現地の農民は、われわれ被害農民の気持をほんとうにくんでもらって委員会でほんとうに代表して戦ってくれるであろう、こういう期待をもちまして、誠意をもって現地で話し合いをいたしたのであります。ところがそういう現地被害農民に対して重大な責任を持ち信頼を持たれておるこの委員会が、この北海道の冷害対策に対して決議のしっぱなしであって、これの推進について決議機関として十分な責任を持ち得ない間に、これが行政庁の行政措置において決定してしまったということでは大へんだと思うのであります。そういう意味においてこの委員会の責任においても本委員会が了承するまでこの問題の最終決定はまかりならぬという申し入れが望ましいと思うのであります。このことを一つ委員会に諮ってもらいたい。  それからもう一つ重大なことは、私の聞き及びますところでは、政府は日ソ交渉がまとまった、さあ治安対策が大へんだ、こういうことで治安対策の予算をこの予備費から大幅に支出して、そうして当面これを糊塗する。治安対策を立てるなら補正予算を出して堂々ととればいいのでありますが、こういう緊急やむを得ないというようなものでない予算を、予備費から大幅に出すであろうということがうわさされておる。その結果としてしぼられて、この冷害対策その他の予算が非常な圧縮を受けて、そうして少い予算のワクでつじつまを合せようとするために、委員会の要望も十分に通らないし、現地における被害農民の要望も蚊の鳴くほどにも中央に響かないというような、こういうことでは断じてならないと思うのでありますから、このことだけは厳重にこの委員会が責任を持ち得る形においてこの決議案が最終決定になされるように、一つ委員長からお運びを願いたいと思います。
  147. 村松久義

    村松委員長 御承知のように委員会の呼び出しに応ぜざる政府委員がありました場合には、議長を通じてその出席を要求し、しかもなおかつ出席をせざる場合においては、その出席をせざる事情について調査をいたした上において、委員会において適宜の処置をとることに相なっておりますので、次会においてさような事実がありましたならばさように処置をいたします。  散会後ただちに先ほど決定をいたしました当局との間の協議会を開催いたしますから、お残りを願いたいと思います。
  148. 中村時雄

    中村(時)委員 政務次官の出席要求をやったのですが、あれはどうなったのですか。
  149. 村松久義

    村松委員長 要求のしっぱなしでございまして、まだ参っておりません。
  150. 中村時雄

    中村(時)委員 返事はありませんか。
  151. 村松久義

    村松委員長 まだ出席しておりません。これは委員会においてさらに御検討を願いたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時一分散会