○清井
説明員 先ほどの
委員長のお話によりまして、先にテンサイ糖の問題につきまして
経過を御
報告申し上げたいと思います。
テンサイ糖の工場の設立に関しまして、見返り
資金の融資の問題と関連いたしまして、同時にまた私どもの方において食糧
管理特別会計法に基き製造されましたテンサイ糖はこれを買い上げることにいたしておりますので、これらの関連において、
農林省が主となりまして大蔵省とも相談の上いろいろ
措置を講じて参った次第でございます。
先般私ども現地におきますテンサイ栽培面積の今後における増加の推移の見通し等を十分検討いたしまして、明年度秋からの操業につきましては、現在の日本甜菜製糖の持っております三工場よりさらに二工場増加できるという事務的な見通しを立てましたので、大蔵省ともその線に沿いまして折衝をいたして参ったのであります。その二工場につきましては、私どもといたしましては、一応南部につきましては台糖、北部につきましては芝浦精糖の希望がございますので、その点について考慮いたし、同時に北連につきましてはいろいろ準備の都合もありましたし、諸般の点を考えまして、これは一年操業を延ばすということによってこれを
措置するというような方向に基きまして、大蔵省と融資の問題につきまして相談をいたして参りました。大蔵省におきましては、
農林省の主張に対しましていろいろの角度から御検討中でありまして、まだこれに対する正確な最後的な御返事を得ていないままになっておったのであります。ところが最近に至りまして、南部の方面に操業を
予定いたしておりました台糖から、その後におきます
経費の増大あるいは原料獲得の問題等をにらみ合せまして、明年度に工場を作って操業するということはできないという意味の申し入れがあったのであります。そこでその問題につきまして台糖とも十分話し合いを進めて参ったのでありますが、なかなか事務的にもむずかしいようでございますので、その点につきまして大蔵省に対しましても、台糖からこういう申し入れがあったということを連絡いたしまして、目下その線を含めまして大蔵事務当局と相談を重ねておる最中でございます。まだ最後的な結論に到達していないのであります。なるべくすみやかに結論を得たいものと考えておるような次第でございます。
以上がテンサイ糖問題に関します今日までの
経過であります。
それでは、続いて
水害に関します農業保険の
関係からというような意味のお話でございますので、大へんお騒がせいたしました多久島事件と世にいわれております問題につきまして、私からごく概略の中間
報告を申し上げたいと存ずる次第でございます。
その前に私から申し上げますが、今回いわゆる多久島事件を引き起しまして、
農林事務当局のみならず、国家公務員全体に対します不信を買い、重ねて
農林行政全体に対する国民の不信を買い、ひいては当
委員会に対しまして非常な御迷惑をおかけ申し上げましたことにつきまして、私事務当局を代表いたしまして深くおわびを申し上げる次第でございます。これはわれわれ事務当局、ことに幹部一同の監督の不行き届きによってかかる事態を生じましたのでございます。この点私どもといたしましても、深く責任を痛感いたす次第でございます。さよう御了承いただきたいと思います。
本件は実は
農業共済団体の事務費、すなわちこの
共済金ではございません事務費の国庫負担金の不正事件でございます。担当いたしておりました多久島貞信
農林事務官は二十六才でございます。非常に若い青年でございますが、その多久島貞信に
農業共済団体に交付すべきいわゆる団体の事務費の負担金の交付事務を直接担当させておったのであります。ところがたまたまその地位を利用いたしまして
茨城県の共済連の一部の役
職員と共謀いたしまして、同共済連に対しまして正規に交付すべき額以上の交付金の
支出を、上司を欺罔して行わしめたのでございまして、これによって不正多額の金額を騙取したというのが事実でございます。
この事実は
昭和二十九年四月から三十一年の三月までの間に行われたのであります。その
方法はどういう
方法によったかと申しますと、
昭和二十九年度の分につきましては、御承知の通り、まず当局から各県の団体に対しまして、今年度はこのくらいの負担金を交付するという内示をいたすわけであります。一たん内示をいたしましたものにつきまして、それ以上の水増し
申請をいたしているわけでございます。内示額に対しまして水増しした
申請額を、
茨城県の方から出しておるわけであります。それに対してこちらから交付いたす、こういうことをやったのであります。それが
一つと、同じ案件につきまして、二重に
申請をするという
方法をとったのであります。いずれもこれは共済連の幹部の者と共謀いたしておりますので、かかることができたのでございますが、そういうような
方法によって、二十九年度は多額の金額を騙取したということになるのであります。それから三十年度も大体同様でございますけれども、これは
農業共済組合の事務費と、共済連に交付する事務費との
関係の問題になっておるのでありますが、共済組合の事務費は、県庁を通じて交付をいたしております。共済連に対する事務費は共済連に直接出しておる、こういうふうになっておるのでありまして、その行き先が両方になっておる。すなわち県庁に対するものと、共済連に対するものと二重になっておるというところが利用されたことになるのであります。いわゆる共済組合に対する正しい負担金を県庁を通じて出しておりながら、その金額をまた二重に共済連を通じて出しておる、こういうことが三十年度の実態であるのであります。そういうようなことで、共済組合の事務費が共済連の方に二重に交付されておる、こういうことになったわけであります。
茨城県の共済組合に対する事務費は正当に出して、それにさらに共済組合に出すと同じものが共済連合会の方に出された、こういうような事実によって二重交付の形になっておるのであります。
そういうようなことで出されたのでございますが、右の不正
支出の額は二十九年度におきましては千二百六万一千円ということになっております。それから三十年度におきましては七千六百九万九千円ということで、一応不正に出されました金の総額は八千八百十六万円ということになったのでございますけれども、そのうち千九百三十五万八千円というものは
茨城県共済連に本年の四月の末に返還命令を出しまして、これを正当に国庫に還付を受けておるのであります。それから八百八十九万九千円というものは、これは
茨城県の共済連が当然正規に交付を受けるべき額であって、まだ交付していないものがあるのであります。それで以上のものを差し引きますと、五千九百九十万三千円というものが不正
支出実損額ということに相なるのであります。
ところがここで申し上げておきますが、さらにもう一件、これはまた他の機会にいずれ詳しく申し上げますが、多久島が
個人で
茨城県共済連から金をとりまして、これを兵庫の共済連に交付した金が千二百八十万円ばかりあるのであります。この金は
法律上まだ疑問があるのでございます。私どもは多久島に対する債権還付の見地から、これも国の正当なる金として取り扱って、これを兵庫県に交付したいと考えておりますが、かりにそれが交付ができますれば、この五千九百万円からさらに千二百万円ばかりの金が引かれるということになるのでございます。それでただいまの段階ではそういう方向で努力しておりまして、大体見通しがついておりますが、そういうことになっておりますので、ただいまの段階では、正確に申し上げますれば五千九百九十万円、さらに千二百八十万円程度のものが、これが懸案の金額として残っておるというふうに御承知おき願いたいと思います。
そういうような多額の金額に相なるのでありますが、これは先ほど申し上げたような不正な交付
方法によりまして不正
支出実損額は、結局
茨城県の共済連合会長あてに
農林省から送金されまして、これを受けた者は、共済連の経理課長の大津茂という人がこれを受領いたしたのであります。そしてその受領された金の大部分は多久島の事業
資金等に充てられまして、なおその一部は
茨城県共済組合連合会長の加倉井正利及び大津経理課長並びに経理課員の薗部尚一という人々が共謀いたしまして、
茨城県共済連の簿外赤字の
資金に充当したものというふうに考えられておるのであります。
以上が大体の
経過でございますが、かかる
経過にかんがみまして、多久島
個人につきましては六月五日に懲戒免職をいたしまして、なお同日東京
地方検察庁に告発をいたしたのであります。なお多久島、大津の両名は、六月の二十八日に詐欺容疑で起訴され、さらに七月五日、七月十日追起訴されておるわけであります。それから薗部氏は七月の五日、加倉井氏は七月の十四日詐欺容疑で起訴されておる、こういうような事実に相なっておるわけであります。私どもその後この事件が起りましてから、非常な事態に驚きまして、全力をあげましてこの事実を探査をいたしたのでありますが、事があまりに複雑でありますのと、これはほかの県にも
関係がありはしないかということで、日本全国の県につきましてこれを
調査したというようなこともございます。かたがたこの帳簿が捜査当局の方に全部提出してありますので、なかなかこれが発見に困難を生じた、あるいは
調査してからも、その日その日で新しい事実が出て参るということで、なかなか事実をつかめなくて、本日まで延引しておったようなわけでありますが、最近になりましてやっと事実が固まって参りましたし、あるいは一時非常な興奮状態にありました
関係者も、漸次落ちつきを取り戻して参っておりますので、近い最近の期日において正確な御
報告が申し上げられると思うのであります。以上私どもただいままでに知り得た概略の状況は、さようなことになっておるのであります。
なおつけ加えて申し上げますが、これに関連いたしまして、
農林省部内におきましても、所要の
関係局長につきましては減俸処分を行い、なお
関係局長全部訓告の処分を受けましたほか、なお
関係者につきましても目下行政処分等につきまして準備をいたしておるような状況でございますし、事務等につきましてはいろいろ内閣の方にも御
決定があったのでありますが、その後この事件の教訓にかんがみまして、不十分であり、怠慢の点がありました点につきましては、十分これを反省いたしまして、私どもといたしましては、できるだけの事務的な
措置を講じて努力いたしておるような次第でございます。
簡単でございますが、一応中間的な御
報告を申し上げる次第でございます。