運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-05-28 第24回国会 衆議院 農林水産委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十八日(月曜日)    午後二時四十三分開議  出席委員    委員長 村松 久義君    理事 吉川 久衛君 理事 白浜 仁吉君    理事 助川 良平君 理事 田口長治郎君    理事 中村 時雄君 理事 芳賀  貢君       安藤  覺君    五十嵐吉藏君       大野 市郎君    川村善八郎君       楠美 省吾君    小枝 一雄君       鈴木 善幸君    中馬 辰猪君       原  捨思君    本名  武君       松野 頼三君    横井 太郎君       赤路 友藏君    石田 宥全君       小川 豊明君    川俣 清音君       田中幾三郎君    日野 吉夫君  出席政府委員         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  小川清四郎君         農林政務次官  大石 武一君         農林事務官         (農林経済局         長)      安田善一郎君  委員外出席者         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局経済部         企業課長)   高野 正祐君         農林事務官         (農林経済局企         業市場課長)  三宅 康松君         農林事務官         (農林経済局肥         料課長)    桧垣徳太郎君         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 五月二十八日  委員足立篤郎君及び加藤精三君辞任につき、そ  の補欠として横井太郎君及び木村文男君が議長  の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月二十五日  農地改革の行過ぎ是正に関する請願宇田耕一  君紹介)(第二三二八号)  八向村を新農村建設特別指導村に指定請願(  松澤雄藏紹介)(第二三二九号)  桜島の噴火降灰による農業被害措置に関する請  願(池田清志紹介)(第二三三〇号)  前波部落電気導入設備資金融資に関する請願  (松澤雄藏紹介)(第二三三四号)  島根県の凍霜害対策確立に関する請願中村英  男君紹介)(第二三六三号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  肥料取締法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二四号)(参議院送付)  中央卸売市場法の一部を改正する法律案内閣  提出第九九号)(参議院送付)  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定  措置に関する法律の一部を改正する法律案(笹  山茂太郎君外三名提出衆法第三五号)     ―――――――――――――
  2. 村松久義

    村松委員長 これより会議を開きます。  中央卸売市場法の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。質疑を許します。横井太郎君。
  3. 横井太郎

    横井委員 最初一言お尋ねを申し上げたいのは、この中央卸売市場ができましたのは相当以前でありますので、その当時の中央市場をなぜ作らなければならぬかという意味とか、性格とかいうものが、現在ではよほど変ってきたようにも思うのでございます。しかもこの法文には別段、定義はありまするけれども、目的とか性格とかそういうものがはっきりしていないように思いますので、この際当局の考えられる意味一つはっきりさしていただきたいと思うのでございます。もう少し突っ込んで言えば、一体中央市場というものは生産者のためにあるのか、消費者のためなのか、あるいは両方のためなのか、その点を一つはっきりさしていただきたいと思うのでございます。
  4. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 お答えを申し上げます。横井先生の御質問通り現行中央卸売市場法は、大正十二年、旧憲法の際に制定を見まして、新憲法になりましてもそのまま引き続きまして施行になっておりまする現行日本の各法令中を通じまして、比較的古い立法形式をとっておるのでありますが、二十二年十二月に民法の改正に伴いまする簡単なる改正があっただけでありまして、全く従前通りと申し上げてもいいものでございます。それによりますると、たとえて申し上げますと、これに似ておりまする類似的な立法と申しますか、証券取引法あるいは商品取引所法とか、先日御審議になりました家畜取引法、こういったようなものの例を見ますると、ごく最近では第一条に、法の目的をまず第一眼目として、取引法あるいは取引所法ばかりではなしに、全般的に書くのが通例でありますが、この法律にはそういうことはございません。従いまして、規定されましたる第一条以下の各逐条をそれぞれ解釈いたしまして全体の法の精神考えるのが適当な考え方であると思っておるのであります。その意味におきまして考えまするに、卑近な例を申し上げますると、比較して申し上げますると、この法律家畜取引法とでも銘を打つような、生鮮食糧品に関しまする取引そのものを全面的に直接に規制する法律ではございません。あるいは全国取引関係する業者ないしはこれに準ずるものそのものを全面的に法定する法の扱いを示すものではございませんので、中央卸売市場がいかにあるべきかを示し、そうして生鮮食品取引の中で適当なものを中央卸売市場をして取り扱わしめまして、その監督を相当厳重にして、また必要な助成も加えまして、そこで望ましい適当な取引卸売段階において行われるようにしたい。そうしてまず第一に政府がすべきことは、中央卸売市場というのは設備のある場所と解釈すべきだと思いますが、その市場地区というものを設けまして、その地区内において取引の公正、価格適正化をまず講ずることで、それを模範市場として育成することをねらっているのだと思います。育成をいたしますることによりまして間接に――一応自由な取引でありますが、一応自由な他の地域における一取引に、リーディングと申しますか、支配力ないしは影響力を与えることによりまして、生鮮食品生産地から消費地に至るいろいろ特色のある地域取引に好影響を極力与えよう、こういうふうな精神のものだと思います。  立法当初は大正十二年でございますので、厚さ三寸くらいの国会速記録が活字の本となっておりまして、膨大なものでございますが、それを勉強のため読みましたところ、いろいろ議論も出ましたが、現行法を作った当時は、店を大体個人ないしは各種の小さい会社が開きまして、せりなんかをしないで、特別の取引をして、その店とおおむね特約の荷を取り扱う、引いてくる、いわゆる出荷者に当りますものが、あるいはそでの下をやるとか、あるいは一ぺん取引をしてまた再売買をするとか、そういうことをしました徳川時代から続いておる伝習的な血縁的な因襲的なつながりを持っておりましたものが大体一般的でありまして、それを中央卸売市場公設において行われるのが望ましいという意味で、設立に当りましてはそれらを閉鎖いたしまして、補償金も与えて中へ収容いたしまして、最初は従来の店を規制するために市場の中にそのまま入れて、あとでだんだん経営形態卸売その他において変ってくる、こういうことを期待して出発したものだというふうに理解しております。
  5. 横井太郎

    横井委員 いろいろと長々御説明を承わりましたが、結局はここでもって一定建値を立てて、それを他に及ぼしていく、要するに取引所のような性格があると同時に、一つ生産者に販売の場を与えるのだというようにも解釈されるのでありますが、いずれにいたしましても、これは他の模範市場となるべきものであるとするならば、今ちょっと触れられましたが、勢いこれを育成していかなければならぬ、こういう意味がありまして、法にも卸売市場には国家の助成金を出すとはうたってございますが、できましてから何十年来一度もなくて、昨年初めて若干の補助金を出されたようでありまして、これは非常なる大英断だと思うのであります。そういうふうな模範市場であるとするならば、今後も育成助成していかなければならぬと思うのでありますが、今後の育成考え方についてちょっと承わりたいと思います。
  6. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 開設当時におきましても、たとえば東京市場で、市場建設費は二千四百九十万円使った記録がございますが、その際は、やはり国庫による補助と、大蔵省の預金部低利資金融資することと、事業公債によりまして、国庫補助も一五%、三百七十五万円支給しております。また政府の直接保護援助する低利資金預金部資金で九百九十万円、事業費に対しまして四一%補助しまして出発したものでございます。五大都市もおおむね程度の差はありますが、それに準じて出発をしました。それから分場が、先般の御視察でお聞きになりました通り東京都には二十もございますが、これは昨年の措置以外でも全部政府のあっせんする融資によってできたものでございます。全部というのは少し言い過ぎかもしれませんが、ほとんど全部でございます。昨年は特に流通取引によります生産者保護――農林省といえども生産本位ばかりでなしに、流通過程にも十分に力を入れまして、生産者保護をし、あわせてまた消費者立場も擁護するということが使命でございますので、かたがたもって市場開設当時から施設老朽化、狭隘化いたしましたので、そこで六千万円の補助金、五分の一の補助金を交付してやっておるのであります。この中においては地方公共団体の財政の都合がございまして、予定が少し変りましたが、十都市につきまして約百五十万円を除く残りについて補助金を交付してやっておるのであります。三十一年度は補助金よりも余剰農産物見返り資金を適切に供給いたしまして、創設当時は統計でいえば一五%でありますし、昨年では二割の補助でしたが、それよりも見返り円を支給して長期償還でやった方が、足りないところの資金調達も可能でありますし、かえって有利であるというので、見返り円を一年間に約五億それの助成的な意味で支出する予定でございます。これは五億と六億との間できめることにいたしております。次年度以降も見返り円がない場合は補助金あるいは両方を使う、こういうような立場で従来の補助措置よりは悪い条件でないところでもってやっていこう。私は昨年当初立てておりました五年間のものを三年間くらいで実現するように計画修正中でありますが、あわせて関係都市からその事業計画の申請を今いただいておるところでありますので、ここらを目途として、二十八の大中小の都市政府助成を加えていき、監督ももっと十分にしていきたい。さらにこの補助は、立法当時は消費市場的な意味でやったような形跡もありますが、今後は集散市場というような立場に重点を置いて、一市場について関係県がたくさんあるような場合は政府措置をとるべきであるという建前で進みたいと思っておるわけであります。
  7. 横井太郎

    横井委員 今お話になりました見返り円の五億円を二十八の中央卸売市場に融通するということですが、既存卸売市場幾つあり、これから新しく作ろうとする市場幾つあるか、その点をはっきりしていただきたい。
  8. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 二十八市場の五年計画と申しますのは私どもの方で修正しつつあるわけでありますが、既存のものは十三市場でございます。指定地域は四十で、大正十二年以降数年間に指定されており、その中には市場を開いていないところ、あるいは類似市場その他の発生している場合もあると思いますが、これらを解消して公共団体設備を設けようとするものであります。あまり長期の膨大な計画よりは、三年間でもう少し範囲を狭めて、人口十五万以上の都市にはこれがしっかりできるように改正法案でいたそうと希望しておるものであります。三十一年度限りが五億であります。
  9. 横井太郎

    横井委員 ちょっとはっきりしないのですが、三十一年度限りで五億というのは、それはどこの都市なんですか。既存都市幾つで、それから新しいものにも補助をやるという意味ですか。二十八というのがはっきりしな旧いのですが……。
  10. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 昨年、五分の一の補助金六千万円を入れましたその範囲は、たとえば仙台、札幌、横浜等、まだ最近の措置をとらなかったところと、昨年とっても、一年だけではでき上りませんので、継続するところを加えまして、新旧両方でございます。それはまず都市の希望を聞いて具体化したいと思って審査中であるわけであります。
  11. 横井太郎

    横井委員 中央卸売市場は大体それでわかりますが、そうしますと、現在各県にたくさんの市場があるわけなんでございます。そこで中央市場と、そういうようなたくさんある市場との関連をどうさしていくか。私はなぜそういうことを言うかというと、生産者が魚をとる、あるいは野菜を市場に出す場合に、責任を負う市場もあるし、責任を負わない市場もある。従ってこういう市場行政を、中央卸売市場中央卸売市場以外と二本に分けた一本の法律を将来は作っていかなければならぬじゃないかと、これは意見でございますが、考えるのでございます。今回の中央卸売市場法改正は、ただ一部分の改正にとどまっておりますので、将来は根本的な市場行政というものを考えて、その考えのもとに一本の市場法というようなものでも作っていかなければ、いかにも乱雑であると考えるのでありますが、将来に対する考え方一つ承わっておきたいと思います。
  12. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 参議院その他の御要望に応じまして、予算も国会で御承認を得まして、昨年は三十八人の各方面の――と申しますのは、開設者も、卸、小売仲買いの方も、東西全国的に配置された学識経験者に当る人を委員に選びまして、中央卸売市場対策協議会というものを設けました。その答申に沿いまして、その限りにおいてそれを尊重しまして改正しましたのが本案でございます。しかし本改正案取引を、特に日本全国取引そのものをいかにしたらいいかという取引実態法律予定しておるのではございません。その御審議の際、あるいは参議院の御審議の際、あるいは外部の経験者等の方からは、広く取引法なり、中央市場法等を制定するなり、もっといろいろ考えるべきことがあるではないかという意見を伺ったこともありますが、大ぜい一致したような意見になったことはまだございません。特に協議会答申では、中央卸売市場法について、少くとも早急にこの措置をとる。それが中核である。そうして他の取引を自由に行われる場合でも、それに影響をより強くするように、こういうことでございます。  しかるに現在御指摘のように、社会的に見まして市場というものが公設中央卸売市場以外にあるわけです。従って、指定地域という中央卸売市場取引の公正、公益的な取引を通じまして生産者保護し、取引も適正にし、価格も適切に形成されて消費者も安心すべきであるという地域の中に中央卸売市場類似業務を行う市場が発生をいたしております。この市場とは、まず第一は卸売段階のことを考えておるのでありますが、そういうものを数えますと、全国で比較的大きいものがおおむね百八十くらいに及びます。東京都で四十くらいで、現行法立法当初は、これを閉鎖せしめて収容し、中央卸売市場ができたのであります。その後できた、特に終戦後できたことは過般来の御論議があった通りでございます。これに対しましては、類似業務を行う業者ということが現行法第六条にありますので、一応略称して類似市場と申しておりますが、法律上から見ると、これは特別の規制法を持たない、憲法に基く自由市場と申しますか、自由な範囲に属します市場、俗称でいえば青空市場というところもありますし、プライベート私設市場と言っている人もあります。公共団体開設をしているものではございません。従いましてこれは今まで放任してございますので、かりにこれを許可制にいたしますと、中央卸売市場も、開設者がたとい公共団体であっても、ひとしく許可を受くべしという論議法制局等にかなり強くありまして、現行法育成法としては、模範市場法としてはよろしい、しかし中央卸売市場を阻害する、またこれを通じて公益ともいうべき公共の福祉に関係する生鮮食品必需食糧取引の公正を阻害するというようなおそれある場合には、類似市場規制すべきであるから、まず実態を押えなければならぬ。押えるには届出をしていただきまして、よく実態を研究いたしまして、そうして中央市場との競合において不適切な場合、少くともプライベート会社開設する場合と公設市場が相当の金を投入して取引を行います場合とは、やはりせり売り等の方法にもきちんといく、いかぬの差がありますので、業務方法中央卸売市場に準ずる程度まで監督し得る、施設もそこで取り扱います量、過去の実績等考えまして、もし衛生上不適当だと、これは衛生法規によるのでありますが、取引上その他中央卸売市場法農林省監督いたします事項について、必要な地方については施設業務両方にわたりまして、監督命令がある、それを十分に守らない場合には施設変更命令もできますれば、業務停止命令もできる。さらに進みましては、先般来参考人や御陳情がありました方々は、私は誤解だと思っておりますが、現行法でありまして、改正法案の条文に入っておりません第六条の関係でございますが、どうしても業務停止ぐらいではいけないという場合におきましては、中央卸売市場開設者がその地域分場を設置しましたり、特に間違いなくやりたいと思う例を申しますと、東京都が築地の市場を開いておる、神田や荏原の分場を持っておるという場合に、その類似市場の付近にみずからやるべしとして本場をもう一つ他に設ける、こういうような場合には、法に従いまして閉鎖命令ができるという現行法がある、現行の解釈をそうすべきである、その場合には補償をとる。しかしその一歩前には穏和に話して、話し合いの買収を行う、その際に失業者も発生しないように上手に収容する、また中間の形としましては、類似市場を借り入れまして、そうして市の直営の中央卸売市場にする、その場合に農林省は認可しようと思っております。そういう改正法案立法になっておりますが、そういう気持でおりまして、今後もその運用をいたしていきたいと思っておるのであります。指定外地域につきましては、魚でも、特に蔬菜果実等につきましては、消費地生産地に非常に近い、商人がおりましてもそう有力でないところであります。一応現行憲法からします無理をしない立法という意味精神、そこまで中央市場規制と同時に育成し、類似市場を適正に規制しますれば、自由な市場ができた場合でも、影響力はほとんど――中央卸売市場と法的に規制を新たにいたしまする類似市場との措置をもって適切を期し得るのが、この段階ではないか。また穏当ではないか。将来なお必要がありましたならば、別の立法措置等考え措置するのがいいのではないかと思っておる次第でございます。
  13. 横井太郎

    横井委員 今類似市場お話がございましたが、類似市場は要するに中央卸売市場指定区域内にある市場意味でございまして、これはあとでお伺いしますが、私が先ほど申し上げましたのは、中央卸売市場指定されておる区域以外、愛知県で申しますれば、名古屋市及びその周辺の都市は、中央卸売市場指定区域内でございまするが、その区域外にある、たとえば豊橋市にあるとか、岡崎市にある市場、こういうような市場全国に非常にたくさんある。そういうような連中が先般来お寄りになって、一つこういうほかの市場でも一つのワクにはめて、保護をしていただき、育成もしてもらいたいというので、相当運動をしておると思うのでございます。そういう市場を私は先ほどお尋ねしたわけなんでございます。類似市場の問題はちょっとあと回しにして、そういう市場一つの法的の根拠を与えて保護育成をしていく、一面規制をしていく、そういう必要があるのじゃないか、こういう意味なんでございます。
  14. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 お尋ね地域及びそういうような市場につきましては、地域指定法律に基きまして拡充ないしは変更することをさらに研究すべきが第一だと思う。第二には、従いまして一定規模以上のものは、その地域類似市場扱い改正法案にされるのが適当だと思います。監督を受けるということでございます。それを除きますと、やはり腐敗のしやすいものばかり扱いますから、生鮮食品蔬菜一とか果実とか魚とか水産加工品とか、せいぜい肉とか卵とか――しかも肉はあまり目下扱う実力はございません、この問題は将来なお研究する必要がありますが、地域指定関係によりまして、自由に残しておいてもいいものだと一応思っておるわけであります。しかしながら、地域指定変更などによっても、なお一方監督規制もいたしますれば、一方育成もすべき場合には、これは地域指定がやはり依然として前提になると思いますが、ならない場合には別個の措置考えまして、数県の県庁から少し話があることもありますが、その場合は中央市場法類似市場に関する規制法規と重複して条例を作ってもらってはいけませんが、地方庁の本省と打ち合せをいたしました条例措置によってやってもらうのも方法ではないかと、ごく最近は考えておる次第であります。しかし何しろ実態がよくわかりませんし、改正法案ができましたら、類似市場は認めるな、あるいは認めて規制するのが穏当である――参議院はそういう結論でありますが、いろいろ意見が出まして、やっとそういう自由であった市場のある程度の人が――市場関係者全部ではございません、というのは開設者取引方法卸売人、仲買人、小売、こういうようなところに触れませんで、一部の卸売業者だけがいたずらに規制されては困るというような意味から、中央市場卸売人団体の中へ加入されたり、そういうことも最近起きております。荒木先生などの団体などにも入っておるそうであります。そういうことは今後研究を地方事情に応じてすべきもので、特に生産地陸揚げ地というような市場については研究すべきことだと思っておるわけであります。
  15. 横井太郎

    横井委員 あまり時間もないそうでありますし、他の質問者関係もありますので、どうか一つ端的にお答えを願いたいと思います。そこで類似市場というものは、従来の考え方は、これは許さないのだ、たとえば中央卸売市場ができたときには、その同じ区域のもとにおいて、ほかの市場というものはなくしてしまう、こういう考え方であった。ところが今度は、いわゆる類似市場として、中央卸売市場と同じものを許していくという、百八十度の転換でありますが、なぜ百八十度の転換をしてそういうことをしなければならぬか、類似市場として認めていかなければならぬか、こういうことを端的に御答弁を願います。
  16. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 現行法類似市場はなかるべきものという考えはないと思います。中央卸売市場法による中央卸売市場が望ましいという育成法だと思います。規制法ではないと思います。ただ中央卸売市場が望ましいから、これを慫慂し、保護し、助成し、育成をして、そのインフルエンスを取引上に与える、市場上に与える影響を強からしめて、そうして生産者消費者取引業者の間に、おのずからいい価格形成取引を行わしめようという法律だと思いますが、中央卸売市場法による卸売市場を作る際に、作るために必要な場合には、類似業務がその市場指定地区内に行われておる場合は、閉鎖を命じて吸収することができる、そういう規定を置いたにすぎません。立法当時の膨大な議事録を見ましても、中央卸売市場外に、この法律によれば、いわゆる類似市場――自由の市場ということであります、類似業務を行う自由な市場というものは、今後も存在し得るということを予定して立法された記録がございます。
  17. 横井太郎

    横井委員 それは議論になりますけれども、実は私は違うと思うのであります。ということは、中央卸売市場というものは、そこで一つ価格を建てるのであって、その建値を建てたやつを、その区域内において万遍なく、同じような値段で消費市民に食わしていく、こういう意味だから、市場が同じ場所幾つもあると、そういうことができないので、類似市場というものをつぶしていって一つぶすというと語弊がありますが、中央卸売市場に統合して一本のものを作っていく、こういう意味でございまして、その中央卸売市場区域内にどんどんできるならば、何も中央卸売市場は必要がない。だから私はあなたのおっしゃるのは間違っておると解釈するのでございますが、とにかく、実はこれは、当局がほったらかしておったことが一つと、一つは時勢である。同じ区域内にじゃんじゃん出てきた。しかも片っ方の中央卸売市場は非常な規制を受ける。しかしながら自然発生的にできたやつは、自分の計算で、自分が一生懸命やるんだから非常に発達した。ことに、私は名古屋の例を持っておりますが、名古屋は中央卸売市場よりも、同じ名古屋市内にある柳橋市場の方が非常に発展しておる。それは中央卸売市場は四十人五十人という人を使って、役人さんがおっていろいろなことを言って規制してくる。ところが柳橋市場というのは、わずか五人か六人しか使っていない。そういうところで経費も少いし、一生懸命やるからどんどん発展する。柳橋市場の方が発展しています。だからそういうものがどんどんできますと、中央卸売市場というものは何のためにあるかわからなくなる。一定区域に、同じ名古屋市内に同じような性格というよりも、むしろ民間でできた市場の方が発展をしておる。それじゃ中央卸売市場というものが何のためにあるかわからなくなる。ところがこれをほったらかしたから、ああいうものができてきたのであります。だからこういうふう・になったのでありまして、中央卸売市場法ができたときには、いろいろな市場をそこの中に吸収していくという意味であったが、これはその後の法の盲点であります。私の解釈によれば法の盲点でありますが、法の盲点によってどんどんできてきた。そこで今度はせっかくできてきたから、つぶすわけにもいかぬので、これに類似市場と名前をつけて、ある意味において規制していく、こういうことなんだろうと思うのですが、当局には答弁のしにくいこともございましょうし、その間の事情もいささか心得て、おりますので、これ以上は追及いたしません。追及はいたしませんが、今のようなあり方はどうも変態的であると思うのでございます。  そこでこの際一つ承わっておきたいのは、こういう一定程度以上のものを類似市場として扱っていく、やみ市場のような小さなものは扱っていかないということになっておりますが、この条文では、その施設命令をもって定むる基準をこゆるものを類似市場として扱っていくとおっしゃるのだが、一定の基準以上をこえるものというのは大よそどれくらいのものを想像しておいでになるのか。たとえば東京都内に各方面に類似市場というものがたくさん散在しております。ところが一定の基準をこえるものだけを類似市場とする、基準をこえないものは類似市場でないのだ、こうおっしゃるのですが、一定の基準というのはどの程度のものをさされるのですか、その点を一つ承わりたい。
  18. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 類似市場を適切に規制すれば、中央卸売市場業務を阻害しないで中央卸売市場によりまして取引をリードできる、こういう考えを持ちまして、またリードできない場合弊害を生ずれば閉鎖命令を行う。これは六条の解釈が横井先生と違いまして、政府部内ではよく打ち合せましたが、今東京に一市場なり二十分場がありましても、今後東京都が市場開設しようとするときは、やはり閉鎖命令が、補償金を払わなければできぬということにしてできると思っております。そういう意味で敷地三百坪、建坪百坪、売場面積が八千坪以上と一応予定しておりますが、これは現在の開設者卸売業者やその他の売買参加者等を都市ごとに――都市と申しますよりも指定地域ごとに個別にこの基準をもとにしながら話し合ってやりたいと思っております。これがみんなが適当でない、こういうことを言われる場合には、東京都と鹿児島と福岡、あるいはこれからできる小倉、こういうようなものとは地方と事情も違いますし、大きさも違いますので、消費人口、出荷量も違いますので、東京都、名古屋、大阪の例などを基準にしまして、中央市場における市場の敷地、建坪、売場面積と現在の売場面積と今申しました三百坪、百坪、八十坪というような比率を考えまして、言いかえますと、片方が片方にどれくらい優位率を持つか、指導力を持つかという比率でも押えることをも両方提案いたしまして、民主的にきまったところで実行いたしたいと思います。
  19. 横井太郎

    横井委員 もう一つお尋ねをいたしますが、同じ中央卸売市場法が適用せられる区域内において、中央卸売市場とそれから県条例で認可をせられてある市場があります。これは現実に愛知県あたりは名古屋の中央卸売市場と愛知県条例によって市場ができているのと同じ区域内に二つあります。その場合に、県条例の適用を受けている市場もやはり類似市場になるかどうかということと、それから県条例というものは中央卸売市場の適用を受ける区域内には適用がないかどうか、この点を一つ承わりたい。
  20. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 条例というものは、関係の法令に従いまして国の法律で規定してある事項につきましては、条例を制定することができないのが日本憲法以下関係法令でございます。従いまして、改正法案によります指定地域類似市場扱いをしますものが、県条例がすでに許可制度等をとってありましても、それはその条例は無効になり、実際は取り消していただく、重複できない分は作り直して再検討していただいて、有効にする、しかし本来の改正法案精神は、その他は自由で、指定地域を広げたりして中央卸売市場を拡充してもらう、その方が先かもしれない、そういうふうに法律論と運用面を考えておるわけであります。
  21. 横井太郎

    横井委員 次に一つ承わりたいが、中央卸売市場卸売業者の点でございます。この卸売業者許可制は、今まで都道府県が持っておったのを、今度は農林省が持たれるということにつきましてはいろいろ議論もあるようでございます。ことに東京都などは権利を取り上げられるというような趣きもございますが、ほかの都市でもやはり開設者が持つのが当り前じゃないかという説もございます。しかも現在都道府県が持っておるものを農林省が取り上げるということは中央集権ではないか、こういうことを相当言われておりますが、あなたの方の解釈を一つ承わりたいと思います。
  22. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 卸売人許可につきましては、だんだんと御意見もありまして、改正法案の御審議上重要な事項になっておることを私も各段階、各時期、経過に応じましてよく認識をいたしておりますが、農林省の解釈としましては、現行法におきまする、言いかえますと、旧憲法のもとに作りました現行法卸売人に関する規定は、地方自治体というものではなしに、国の地方機関である機関委任によって国の事務を行う、県ではありませんで、県知事であります地方長官に委任をしてやらしておった。またその業務が国の事務でありますことは、新憲法下の地方自治法にも特に明文をもって明記いたしてある。それがいろいろ事情の変更もありまして、今後市場政策になるべく十分なる力を尽したいという政策とにらみ合せ、また他の条文の改正条規との関係もありまして、これはまさに本省において取り扱うべきものである、農林大臣というよりは、中央政府、本省において取り扱うべきもの、こういう意味におきまして改正案を御提出申し上げて、御審議を願っておるわけでありますが、結論的に逐条的に見解を申し上げますと、まず卸売人業務は、中央市場の中に入ります貨物と同様でございますが、北は北海道、南は九州からでも東京の――しかも生産者の委託販売を原則としまして取引される業務地域全国的でございます。留意すべき点も多々ございます。各方面からあります。そこで都市である開設者ではもちろんいけない。また地方長官が許可権を持つのは今では適当でなくなっておると思っておるのであります。  第二点としましては、卸売に対する委託者、言いかえますと、生産者の出荷が無条件で行われてせりが行われる現状でありますから、生産者段階では、農協であろうと魚協であろうと、これは県連の段階では農林大臣の直接監督、またそれを通じまして農林省の委任を受けて県知事が監督しておる団体、あるいは指導奨励をしておる団体でありますので、これと照応しまして、生産地から消費地へまでの業務を行う段階は、同じように農林大臣が許可権を持つ、あるいは監督をすることが必要だと思っておるのであります。  第三点は、先ほども申し上げましたが、本来これは国の事務である、国の機関を地方長官に行なわせたのであります。知事はともかく開設者は適当でない、こういう意見でございます。  第四点としましては、卸売人取引条件を結びまして、独禁法の排除をいたします場合の監督は、私的独占禁止法の関係をもちまして農林大臣が認可し、また監督し、初めて可能であるので、同様に行わなければならぬと思うのであります。また農林省は、立案に当りまして公取とも打ち合せまして、過去の経緯も考えて、営業卸売人の合併、営業の譲渡というものにつきまして、農林取引の実情、言いかえますと生鮮食品のうち委託販売でせり売りをする方法業務規程では原則として扱っておる、こういうことからいたしまして、あまり厳格に独禁法を他の鉱工業のようにするのも適当でない、その必要もないというので、覚書交換で運用の申し合せがしてあり、参議院改正では、これを法文化して修正案ができておりますが、いずれを通じましても同じ運用になると思います。その際にもこれは取引条件のみならず、営業譲渡、合併は大臣の許可が必要であると思っております。さらに中央卸売市場につきましては、横井先生のおっしゃいますように、一時中間的には、地方庁も中央政府育成助長、監督の力が足りなかったのではないか。対策協議会でもこれを積極的に行うべしという意見もありました。農林省関係の専門の課を設置いたしましたが、助成、低利融資措置、その他のことを考えましても、合理化したり、ほんとうの企業整備を第三者的に特に行い得る、こういうことについても本省が適当だと思っております。  さらに農林省は、過般も当委員会で御指摘になりましたように、生鮮食料品というものは扱いにくいが、豊凶の度に応じて、生産の変動がひどいものでもあるから、これは特定の市場だけにまかしておきますと、あるところに荷が集まって暴落する。案外よその市場に出せば値が維持できる、こういう場合がありますので、地方庁をも使いまして、村の段階生産者団体をも入れまして、指導者も入れまして、全国的なおもなるものの流れの需給調整協議会を四半期別に行なっておるのであります。指導措置でありますが、これとの関係を見ましても、またこの措置がなければ十分な取引に対する政府措置ではないと思いますが、これとの関係から見ましても農林大臣が直接監督するのが卸売人では必要ではないか。  さらに現在中央卸売市場は十三都市にありますが、大正十二年に制定された法律によりまして、指定地域は四十一でございます。そのままほっておいては開設すべき都市にも地域にも、中央卸売市場開設をいまだに見ない地域もあります。地区の検討も今後必要と思いますが、農林省がもっと乗り出して生産者のため、取引のため、消費者のためにするのが必要であると思うので、本省の許可権をお願いいたしたいと思うのであります。さらに第八点としましては、農林省卸売人許可を行うと、市場行政生産者本位になるという御意見がありましたが、全くそうでありません。農林省は単に生産のみならず、流通、配給また消費面においても責任を持っておりますにで、その生産、流通、消費を通じて偏せざる行政、むしろ開設者であれば消費地本位の、あるいは長年のなれた業者との間においての因襲にとらわれた行政があるので、この際においては第三者的で、各段階地域において広い面の監督者という意味で、農林本省が許可権を持ちたいと思うのであります。第九点としましては、先ほど申し上げましたように、生産者団体の方は認可、監督権を農林省が持っておるから、それと照応する商人は、まず開設者で委託販売して、せりにかける当事者になりましても、生産者の代行機関しも見るべ機能でありますから、これを農林省において監督したいと思うのであります。監督者はまた市場監督の建前から、業務規程で監督するのが当然のことと思っておるのであります。  最後に独占の弊があるかどうかもいろいろ御議論がありましたように、穏当なる取引業者が存立する。特に生産者団体がもっと伸びていくということなども考えなくてはいけませんので、慎重にこれは検討しなくてはいけませんが、それらについても開設者では適当でないと思うのであります。またおよそ事業の主体としてだけ認めました開設者というものが、地方公共団体でありましても、国の行政権を直接特に法律で委任されるという例もあまり聞かないのであります。そういう建前から申しまして、特に東京都を御指摘になるのは適当な議論ではない。また六大都市にしましても、私どものところへは東京都のような御議論は実はきていないのであります。他の都市は違うのであります。
  23. 横井太郎

    横井委員 非常に懇切丁寧な御答弁でございまして、六大都市東京都以外はあんたのおっしゃる通りでございます。そこで特にお尋ねしたいのは、一番卸売業者が関心を持っておるのだが、当局が一体卸売業者というものは、今のように相当何会社かあるのが適当なのか。それとも一社にまとめてしまうのがよろしいのか。要するに一口に言えば、単複の問題は非常に業者の関心の的でありますが、当局の今の考えといたしましては、現在のような複数の会社があることが適当であるとお思いになるのかどうかという点でございます。特に今度公取の排除の問題かありまして、これは一本になることも、当局が考えておるのじゃないかというようにもとる向きがありますので、当局の考えとしては、今のように幾つ会社がある方がよろしいのか。これは生産者立場もございましょうし、あるいはその都市によってもいろいろまちまちの説がありますし、まちまちの考えがありますが、あなたの方としてはどういう考えであるか、この点を一つ承わりたい。
  24. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 参議院でも相当明確に答えたと思っておりますが、市場で一個は不適当と思います。原則のことであります。現に尼ケ崎とかその他の都市、佐世保とかの二つの市場では一つ卸売人しか自然的にいまだ発生いたしておりません。これはなお一個くらいできるべきもの、第一会社形態でいわゆる業者卸売人になりま場合には、生産者団体が合流しないことが多いのであります。出資する方もあるかもしれませんが、ありません。全販連は大阪、東京で行なっております。全漁連も進出気配もあります。そこで一社では適当でない、二社になる可能性も本質的にもある。それから数社というといろいろ数がございますが、あまり乱立するのもよくない。そこで生産者卸売業者と双方考えまして、またせり売りの理由も適当な取引方法であるということをも考えまして、業界の意見を十分に拝聴いたしますとともに、特に農林大臣が中央集権的に権限を持ち過ぎてはいけないという御注意もありましたので、許可に当りましては整備も新設も新たな許可開設者意見を尊重してでなければ許可をしてはいけないという改正法案を御提示申し上げておるのであります。参議院の修正ではさらにこれに加えまして、業務規程で卸売の最高数をきめることができる。最高数の範囲内で農林大臣が許可をせよ。許可をしたりしなかったりする場合に、特に断わる場合には、特に断わった理由を明確に書いた文書で開設者に送ってやる、こういう改正案がつけられました。私はこの全体を通じまして運営を考えまするときに、原案で文章は簡明に開設者意見を尊重せねばならないと書いた意図とほとんど同じであるから、運用上適切にできると思いまして、参議院の修正もけっこうであるということを考えております。農林省としても同様でございます。政務次官からそういうお答えがございました。以上でございます。
  25. 横井太郎

    横井委員 そうしますと端的に申しまして、公取を排除する規定は、かりに修正が参議院でできても、あなたの方の運用としては一市場で一本の会社になるという申請があってもそれは許さない、こういうことでございますか。
  26. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 結果においてそうであります。なぜかと申しますと、それが営業停止でもくらわせます場合には、生産者は出荷しようがございません。消費者も買いようがございません。おのずから監督も適正より甘くなる、そういう意味であります。
  27. 横井太郎

    横井委員 同じ中央卸売市場において、現在三カ所あるところで相当りっぱにやっておる会社もありますし、中にはわずか数人ないし十人くらいの人が、とにかく取引をしておるという程度卸売業者もありますが、そういうものも当分の間はあなたの方からは統合させるとか、あるいは合併をさせるとかいう慫慂はなさらぬおつもりであるか。現在の状態においてよろしいか。大体下部としては、たとえば東京都で申しますれば、四大会社というものは相当りっぱなものでありますが、そうかというとごくわずかしか取引していない会社もある。これは東京都のみならずどこの都市でもありますが、大体現在の状態をしばらく放任しておくつもりか。それともそういうような微々たる、というと語弊がありますが、とにかくやっとこさで取引をしておるというような会社もありますが、そのままで当分は放置しておかれるのか、その点を一つ承わりたい。
  28. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 現状のまま放置しておく気持はございません。適切なるところはそのままでよろしいのでございますが、乱立して信用度が薄くて生産者に迷惑をかけたり、卸売業務市場の中で行いまする場合に、まことに売場もはっきりできない、荷も引けないというようなものは、他日の取引生産者消費者に迷惑をかけるおそれもあり、かたがたそのために他の卸売人が経営の健全性を欠くということもございますので、かねてから私が局長になりまする前に、二回にわたりまして適切なる整備促進を期待するという通牒が出ております。私は単に局長限りのそのままの文章では適当ではないと思っておりますが、他日改正法案を御審議御可決下さいましたならば、この法案及び国会審議に現われましたる国会議員の方々の御意見を尊重いたしまして、そう漫然放置しないが、過多に乱立に過ぎて弊害が生ずるところは、資金の融通をあっせんしましたり、業界間におきます統合整備に穏当なる一役を買いましたり、また一業者しかないところは、もう一つくらいできないかということを考えましたり、またたとえば二つでありましても、一つが九五%も扱う、こういう実質上独占の業体である場合には、適切に取引分野を制限し、独占の弊害がないようにしましたり、新設の場所には初めからそういう指導を加えまして助成をする、こういうことを加えまして、改正法案に盛っております趣旨と、さらに明確になっております国会の御意見を尊重して進めていきたいと思っております。
  29. 横井太郎

    横井委員 それでは最後にもう一つ承わっておきますが、今度は本腰を入れて市場行政をやっていかれるおつもりでございましょう。とにかく今計画を承わりますと、全国で二十八の中央市場育成していく。そのほかに類似市場が、おそらくこれはずいぶん多かろうと思いますが、こういうようなたくさんの市場、しかも生産者のためには販売の場として非常に大切なところである。この市場監督していかれる立場において、現在のあなたの方の市場課はわずかに八名であります。八名だけで全国市場監督できるかどうかということなのでございますが、これはさらに拡充をしていかれるお考え一か、これでやっていけると思われますか、その点を承わりたい。
  30. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 他の課をつぶしまして、企業市場課を新たに設置いたしまして、この法案の遂行に対処せしめつつあるのでありますが、三十一年度予算定員の編成に当りましては、相当大きな要求を出しました。指導及び監督に遺憾なき陣容を早く整えたいと思いましたが、二名しか増員がございません。現在九名でやっておるわけでございます。これは地方長期に駐在させることも考慮中でございます。なおこれをもって十分にできるとは思いませんが、初めて法案が施行になりますれば、類似市場等明確になってくるものがあるわけでございます。その期間を経過しましたならば、この市場は水産庁とか改良局とも関係が多いのでございますので、それらとの兼務をもちましてさらに実質上の陣容もふえるようにいたしたいと思いまするとともに、今後はなお一層その努力をしたいと思っております。言いかえますと、前年よりは一歩進んでおりますが、まだ数歩足りないというところでございます。そこでその間は地方長官のお助けも得まして、その根拠法規も本法にございますから、両々相待ちまして逐次拡充をいたしたい、こういうふうに思っております。
  31. 村松久義

    村松委員長 芳賀貢君。
  32. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいままで横井委員安田局長の間に相当具体的な質疑がかわされましたので、私は重複を避けて二、三点に対してただしたいと思います。  第一の点は、本法案の改正と、それから参議院からの修正送付された点が関連があるわけでありますが、独禁法の適用除外の問題について、一二月六日付で、農林省の事務次官と公取の事務局長との間に、覚書が公換されております。この覚書の第一点は、「農林省は、現在中央卸売市場の中には卸売人の整備統合を要するものがあると認めるので、事前に卸売人の合併又は営業譲受の事案につき充分検討を行った上、公正取引委員会に対する連絡を密にする。」という点でございます。次に第二の点でありますが、「公正取引委員会は、卸売人の現状及びその業務の特殊性を充分に認識し、卸売人間の合併又は営業譲受の事案に関する農林省の見解を充分尊重する。」というのであります。  私はまず、何がゆえに三月六日付でかくのごとき覚書を取りかわす必要があったかという理由、しかも中央卸売市場法改正案政府においては提案されたのでありますから、もし改正の内容について、かかる独禁法上の適用除外をするということがどうしても必要であるとするならば、これは法律案改正の中において、正当に処理すべき問題であるというふうに考えられるわけでありますが、この点だけを、特に覚書に譲ったという根拠等に対して、農林当局並びに公取委員会の両者から、具体的な御説明を願いたいと思います。
  33. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 まず第一には、覚書の理由についてお答え申し上げます。  前国会で、大阪の中央卸売市場につきまして、特に青果物関係卸売について、基本的にはあそこの卸売人が乱立ぎみで、生産者にも、卸売人間の取引にも、卸売人の経営の健全性の上からいっても、適当でないという事態がかねてあったらしく、国会議員の方かうも大へん議論がありました。その結果参議院で、卸売人の営業譲渡及び合併等に関する事項は、農林大臣が認可することとして、公取に十分協議してやれば、法を適用排除するという案が出て、継続審議になりまして、また休会中の農林委員会では、対策協議会で十分検討の上、政府案を立案せよという御慫慂がありました。その両者をあわせ検討しました結果、ざっくばらんに申しますと、農林省開設者、業界、公取委員会との間におきまして、中央卸売市場卸売人の営業の譲渡、合併についての独禁法を適用する考え方の基本を、もっと統一しなければならぬということを感じましたので、案を具してお打ち合せをした結果が、この覚書をかわした理由であります。覚書をかわすに当りましては、農林省は一個のみならず、数個の案を具しました。議員立法も継続審議になっておった関係もあります。それで第一に、かくのごとく覚書で取扱いを十分に慎重にし、かつ意識を統一してやる。中味に至りましては、会社同士が一般取引分野において私的協定を結びまして、そして営業譲渡、たとえばある会社が十の分野の六を占める、あるいは八五%を占めるというような状態はいけないという場合でも、市場内の業務規程なり監督規定があって、せり売りが原則である、委託販売である、こういうような状態の場合には、多少違った独禁法の適用もあるではないか。その判断は地区ごとに、市場ごとに、取引の体制において判断する裁量の問題であるけれども、裁量の基本の意識は統一しなければならぬというのが一案で、覚書に表われたものでございます。第二案は、いっそのこと運用をそういうふうにして、法文にその根拠を置く。すなわち市場法という法律があって、取引法等その他が以上申し上げたようであるから、法文で、卸売人の合併及び営業の譲り受け、譲り渡しの事案についても、公取委員会とよく打ち合せれば、農林大臣が認可した場合はよろしいと法文化するのが、提案にもすでになっておるんだから、この際政府案の改正案にも、それを入れたらどうかという打ち合せをいたしました。結論は、農林省、公取委員会が相談をいたしまして、その相談の事前には、関係界の御意見をよく承わりまして、一業者が公取に行ったり、農林省に行ったりということでなしに、農林省にまず全部来る 農林省が判定をして、その結果公取と打ち合せをする、こういう手続も明確にしよう、そういう覚書でございますが、法文で書いても、裁量の問題が多い問題であるから、これは覚書でいいではないかとしたのであります。取引条件についても、同様のことがありますが、価格、数量を除いては、取引条件は法文化いたしました。従って政府改正原案には入れませんでした。参議院では裁量の問題は、そういうようにあるかもしれぬが、単数論、複数論もある。しかし横井先生に私がお答えしましたと同趣旨のことを話しましたら、それはけっこうである、しかしそういう覚書があれば、実行はするんだから、天下に周知した方がいいのではないか、官庁間の覚書は。安田は勇敢に参議院にありのまま文書をも示して説明をする、――国会で説明すれば、天下周知となりますので、業界の常識となって、そういう措置も行われる。その事案については、農林省にまず仕事がきて、役所と役所で話す。公取委員会は前国会で示したような、厳格で強過ぎるほどの取り扱いはしないということはわかるけれども、そういうことを打ち合せて、公取はどういう意向であるかということをばらばらに聞かないで、かつまた一歩進んだということを知るには、法文で書くのが、民主国の法律制定に対する態度である、運用は覚書の趣旨でよろしい、こういう御意見がありました。それがやはり関係党派の間でお話し合いがつきまして、自民党、緑風会、社会党、ともに満場一致、そういうことでありました。ひとしく運営上の問題は、覚書と同様の趣旨でございますが、法律をもって国民に明確に示した方がいいということでありましたので、それはあるいはそういうことが本来のことではないかというので、政務次官から、修正案が非常にけっこうでございますという、政府の所見が述べてあるわけであります。
  34. 小川清四郎

    小川政府委員 前回の本委員会と本日の委員会におきまして、農林省側の御説明がございましたので、本日は私の方から、私どもの立場につきまして、一言補足的な御説明をいたしたいと思います。  本件につきましてはるる安田局長からお述べになったような事情でございましたのでありますが、私どもといたしまして、本件につきまして卸売人の乱立の弊害というものを十分に認識いたしまして、かつまた独禁法本来の建前というものをくずさないという意味におきまして、最後まで法文に、営業の合併譲り受けにつきまして除外例を設けるごとに関しましては反対をして参ったのでございます。と申しますのは、この改正案におきましてもいわゆるカルテル行為の容認と申しますか、卸売人間の取引条件に関する協定につきましては、他のもろもろの事業法等におきましてもカルテルの除外例を設けておりますし、特にこの業界におきましては特殊の事情もございますので、この点につきましてはわれわれといたしましては最初から全然異議を申さなかったわけでございます。ただ一般的に申しまして、一たん合併もしくは営業の譲り受けを認可いたしました場合に、その後、おそらく直後におきましてはいわゆる独占の弊害というものはなかなか現実に現われないとは思いますが、長期的に見ますと徐々に独占的な弊害というものが現われてくるのが通例でございます。従いまして、一たん認可いたしましてかなりの時間を経ましたのちに、独占の弊害を排除するために、たとえば合併をやめさせるとか、あるいは営業を元に戻させる、株式を元に戻させるというふうな処置は、実際問題としてはほとんど不可能でございます。従いまして従来とも協定の適用除外につきましては、比較的われわれといたしましても経済界の実情に応じまして、またそれぞれの業界の実際のスタイルその他を勘案いたしまして、協定の適用除外という問題につきましては十分に考慮いたして参ったのでございますが、いまだかつて合併、営業の譲り受けの点につきまして除外例を設けた先例はございませんのは、実はただいま申し述べましたような実態的な理由からでございます。農林省におかれましても、この規定を設けたからというて直ちに単一性をとるものじゃないというふうな明確な御答弁がございますので、われわれといたしましても十分安心はいたしておるのでございますが、法理論といたしましては、今申し上げたような実際上認可後の排除措置という点を勘案いたしますると、はなはだ不都合な結果が起りやすいという意味におきまして、今まではこういった適用除外の考え方はして参らなかったのでございますが、種々農林省とも打ち合せまして、とにかく農林省としても覚書の交換によって、実際上そういった独占的な弊害の起らないような措置をとりたいという御意向もございましたので、われわれといたしましてはただいま御指摘になりました三月六日付の覚書を交換するということをきめましたのでございます。これは参議院で本法案が修正になります前の考え方でございまして、もしも修正のようにきまりますならば、同じ文句にいたしましても考え方はやや異なってくるのじゃないかと思いますのは、今までは公取が合併営業譲り受けの認可――と一応申し上げておきますが、認可権を持っておるわけでございますが、これが本改正法案によりまして、認可権が農林大臣の方へ移るということになりますならば、この覚書の内容も考え方も多少は変ってこなければいけないのじゃないかと思っています。実体的には双方でよく打ち合した上でやっていくという趣旨には変りはございませんけれども、認可の主体が変りましたという意味考え方が変ってくると存じておりますので、その点は農林省ともよく話し合いをいたしたい、こういうふうに考えております。
  35. 芳賀貢

    ○芳賀委員 公取の小川局長にお尋ねいたしますが、公取委員会というのはとにかく独禁法を守るという立場の上に一貫して立つべきだと思うのです。ところが、たとえば昭和二十八年の国会における独禁法の相当大幅な改正、その後も不況カルテル等に関する改正等が行われたわけでありまして、最近はどうも独禁法そのもの精神がゆがめられてきているというような事実は、これは否定することができない。そういう場合においてはやはり公取委員会が一貫した立場の上に立って、運用上においても、そういう独禁法がゆがめられてくるという方向を阻止するというような努力は、どうしても必要になってくるじゃないかと考えられるわけです。しかも中央卸売市場法改正案が出されるに前後してこういうような覚書が結ばれるということは、これは農林当局と公取との一つ取引のように考えられるわけです。たとえば法律改正にはこの適用除外の条件をうたわないかわりに、こういうような覚書を交換しておくという意図がうかがわれるのですが、そういうような一つ取引的な意図の上にこの法律改正と関連して覚書の交換が行われたかどうか、その事実についてお伺いしたい。
  36. 小川清四郎

    小川政府委員 ただいま芳賀先生からさらにお尋ねがありました点でございますが、われわれといたしましては、農林省とやみ取引をしたというふうな考えは毛頭持っておりませんのでございまして、法律の解釈適用の問題につきましては、あくまで公取で独禁法の解釈適用という問題については主導権を持っておると考えておりますし、従来ともそういうふうに運用して参っておりますので、ただ事実関係等につきましては、われわれといたしましても、ごく少数の人数であらゆる業界の問題について勉強いたしておりますために、ややもすれば事実認定の点でどうしても主管官庁の方にお聞きをしなければならぬという点が多々ございますので、本件につきましては、主務庁であります農林省の御意向、あるいは事実の認定というものにつきまして十分に傾聴する必要があるというふうに考えまして、この覚書を交換した次第であります。
  37. 芳賀貢

    ○芳賀委員 さらに小川さんにお尋ねいたしますが、この覚書によりますと、公取委員会卸売人の営業譲渡あるいは合併等に対して、農林省の見解に全面的に信頼をするというようなうたい方がしてあるわけです。特にわれわれとして注意しなければならぬのは、卸売人の現状及びその業務の特殊性に対する認識なんですが、中央卸売市場における卸売人一つの特殊的な業務あるいは企業の上から見た特殊性というものを十分認識しているということになると、これはやはり原則においても当然適用除外すべきものであるというようなこともここからうかがわれるわけなのですが、この特殊性というものはどの程度に理解してここでうたっておりますか。
  38. 小川清四郎

    小川政府委員 この覚書の文章につきましては、双方の間でいろいろ検討しました結果できたものでございますが、文章そのものには多少御指摘のような抽象的にわたるような書き方をしてあるかも存じませんが、内容的に見ますと、主として卸売人の乱立による弊害という点を現わそうと思いまして、やや回りくどいような表現が使ってあるかもしれないのでございますが、あくまでそういう意味で書いてございますので、御了解をお願いいたしたいと思います。
  39. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうするとこれはむしろ乱立の弊害を阻止するために集中化が必要である、そういう意味ですか。
  40. 小川清四郎

    小川政府委員 乱立の弊害を防止するためには、ある程度まで合併あるいは営業の譲り受けをやらなければいけないという考え方につきまして、われわれといたしましても一足飛びに単一にするとか、あるいは過当独占的なパーセンテージを持った合併にするとかいうふうな問題につきましては、はっきりは出ておりませんけれども、独禁法の原則上認め得る限りは、乱立の弊害を防止するためにある程度まで合併、譲り受けを認める、こういう趣旨でございます。
  41. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それはその以前の問題を閑却しておるわけですね。これは何のために卸売人中央市場に現われておるかという問題です。自然発生的に卸売人がそこに現われるというわけではないのです。やはり法律によって卸売人に対する許可というものが行われて、初めてそこに業務を行う資格が生じてくるわけです。つまり法律の根拠に基いて地方長官あるいは開設者がこの卸売人許可するということになっておる。だからそういう許可をした以上は、市場における適正な業務が行われるように、これは十分慎重な注意とか指導、監督を行うべきであって、それが非常に緩慢に行使されておって、許可された者の乱立を防ぐというようなことで独禁法の適用除外をやるのは、やはり筋道が立たないのじゃないか。その以前の問題をどうするかということにむしろ問題があるというふうにお気づきになりませんか。
  42. 小川清四郎

    小川政府委員 卸売人許可の問題は、農林省の方の問題であろうかと思いますので、私どもの方はただ許可になって業務を行なっております卸売人の乱立――その後乱立という状態が起った場合には、これは独占の弊害を防止すると同じような意味におきまして、いわゆる過当競争の弊害を防止しなければならないのではなかろうかという意味で、われわれといたしましてはこの覚書を作った次第であります。
  43. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ですから公取の立場というものは非常に中途半端なものになるでしょう。卸売人の乱立を防いで、そ信頼度の高まったところの業務をやらせようとすることが高度に発展していくと、やはり過当集中ということに当然なってくるわけですね。そういうことは、独禁法上は当然排除しなければならぬという一つの使命を持っておるわけです。そうすると今度はむしろ適正許可といいますか、適正配置をどの程度にするかという具体的な問題にも立ち入らなければならぬということにもなると思うのです。そういう点をどういうように考えているのですか。
  44. 小川清四郎

    小川政府委員 かりに卸売人許可制度になっていない場合を想定いたしますと、やはり独禁法の本来の建前といたしましては、自由にして公正な競争を促進するという立場に立っておりますので、この乱立の弊害というものがそういった行政官庁の許可その他の理由によらないで、自然発生的になっておりました場合には、ある一定段階におきまして独禁法に触れない限りは、これを防止する方法現行の独禁法におきましてはなかなか困難ではないかというふうに考えております。多少御質問に対してお答えになっていないかもしれませんが、われわれといたしましては、あくまで本件につきましてこの覚書を交換した理由といたしましては、農林省の方におかれましても、卸売人の乱立という問題については許可制度を厳重にして、できるだけ弊害を少くしていくという御方針でもございましょうし、われわれといたしましてもその方針を十分理解いたしまして、逆数独占あるいは複数独占といりふうな弊害のない限りは、できるだけ合併、譲り受けを認めていきたいという趣旨でございます。
  45. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その場合に、合併等の問題にしても対等の相互の資本同士が一緒になるかというような事例はほとんど出てこないと思うのです。やはり力の強いものが弱小のものを吸収するという形の合併、譲渡の場合は当然だと思いますが、そうなると大企業は弱小企業を力関係の上において吸収するという形がどうしてもこれによって促進されるというふうに考えられるわけです。だからそういう点をどの限界において独禁法の側から適正な線でセーブできるかどうかということは、これは公取としては自信があるわけなんですか。
  46. 小川清四郎

    小川政府委員 ただいまの御質問でございますが、不公正な取引方法を用いる場合、たとえば御指摘のような経済力の乱用的な場合等でございますが、そういった不公正な取引方法を用いまして合併もしくは営業の譲り受けをした場合には、ただちに独禁法の第十五条、第十六条の規定に抵触するというふうに考えております。その実際の家質的な証拠を発見するということはなかなかむずかしいことではございますけれども、そういう事実をつかみましたならば、われわれといたしましては独禁法の適用によって合併ないしは営業の譲り受けを差しとめるということはできると考えております。
  47. 芳賀貢

    ○芳賀委員 では結論的にお尋ねしておきますが、結局公取委員会としては、法律改正の中においてこの問題を適用除外とすることに対しては、好ましくないというような見解を持っておられるわけですね。もちろんそれは、独禁法の法律自体の改正等を行う場合は別として、他の法律が独禁法をいろいろ規制するようなことになると、独禁法自体がいろんな意味においてだんだんくずれていくおそれが非常にあるのです。この場合においても独禁法の適用除外というものは、中央卸売市場法が独禁法を規制するという側に回っておるわけですから、そういうことを公取委員会としては好ましいとは言えないと思いますが、しかしそのことが法律の中において成立しない場合においては、この覚書というものが非常に力を持つようなことになると思うのです、その場合に覚書がこの法律の解釈の上に立っておると思いますが、この覚書は今後市場の運用上にどの程度の力を持つものであるか、その点はどういうように考えておられますか、単なる空文であるものか、この覚書というものは相当の実行力を持つものであるか、その点はいかがですか。
  48. 小川清四郎

    小川政府委員 ただいまの御質問に対してお答え申し上げますが、この覚書を端的に具体的な問題として申し上げますと、従来の合併ないしは営業譲り受けの制限の基準と申しますか、これは法律では、第一番に、一定取引分野における競争を実質的に制限することになる場合、第二番目には、不公正な取引方法を用いる場合というふうに書いてございますが、たとえばそれを実際に運用いたします場合には、合併の結果どの程度のパーセンテージになったならば、それでもって取引分野の競争制限になるかというふうな認定をいたします場合には、きわめて内輪に見積りまして、はっきりしたパーセンテージはその個々のケースによって異なりますが、たとえば三五%とか五〇%とかいうような場合におきましては、従来は一件も合併その他は認めておりません。しかしながらこの特殊な中央卸売市場卸売人の合併、営業譲り受けの点につきましては、農林省の方のいろいろなお話も承わった上で、普通の場合よりかパーセンテージは少し多くても、実際に農林省監督等によってその弊害が防止できるという場合におきましては、これは認めるというふうなことになっております。卑近な例でございますが、そういう点でこの覚書は十分に活用できるというふうに考えております。
  49. 芳賀貢

    ○芳賀委員 公取に対する質問はこの程度にしておきますが、幸いに小川さんが来ておられますからこの機会にお尋ねしておきたいと思いますことは、先般の当委員会において横田委員長の出席を求めて、昭和二十九年における牛乳の取引にかかる価格協定の問題について質問した。この問題の処理がいまだに当委員会に報告されていないわけです。それからもう一つは群馬県の利根郡川場村等における森永の受乳拒否の問題です。この二点は明らかに独禁法違反の事案でないかということを、昭和二十九年における当委員会においてもしばしば指摘しておったわけですが、これに対する処理の内容というものは今日までいささかも報告されていない。特に先般の委員会においては、同僚の吉川委員からこのてんまつを資料として委員会に提示してもらいたい、こういうような要求もしてあるわけですが、これもいまだ実現されていないわけです。こういうことを考えると、現在の公取の運用というものは何か独占資本に見方をするような、そういう行為が行われているのではないかというふうにも考えられます。弱い者をいじめて強い者を助けるということになると、これは独禁法を守る公取ということにはならぬと思いますが、何がゆえにこれらの問題の処理がおくれているかという点を、この機会に小川局長から、理由があれば一つ説明してもらいたい。
  50. 小川清四郎

    小川政府委員 ただいまの点につきましては、私自身もそういうお話はちょっと聞いておりますので何ですが、準備を急いでおるように聞いておりますので、本日立ち帰りまして委員長にもよく申しまして、でき次第すみやかに提出するようにいたします。
  51. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点は委員長からも特に督励して、会期の終らないうちにそれの処理された内容の報告を求めるようにしてもらいたいと思います。  次に農林当局にお尋ねしますが、この独禁法の適用除外については、ただいま公取委員会の方からの見解が明らかにされたわけでありますが、農林当局としては、この際法律改正の中において、この卸売人に対する許可の権限を農林大臣に、安田局長の言葉をかりていえばむしろ中央官庁に移すというような説明が尽されたわけでありますが、   〔委員長退席、吉川(久)委員長代理着席〕 その場合に、許可権が開設者から大臣に移った場合における利点といいますか、これをやらなければならぬという根拠は、先ほども横井委員に対して説明されたわけです。結局は、この場合に権限を移すということは、やはり現在のままにしておいた場合、特に開設者許可権を持つということに対する諸般の弊害等があった場合においてはなおさらこうしなければならぬということになると思うのですが、一つ具体的な事例をあげて、何がゆえに許可権を農林大臣に移して、そうしてもっとしっかりした公益性のある市場にしなければならぬか、そういう理由等を、これは簡単でいいですから一つ御説明願いたい。
  52. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 先ほど例をあげて御説明した通りでございまして、一般的に申しまして、具体的事例が全国にたくさんというより、各地においてそういう可能性は全部あります。そういうことであります。特に一番の例であるかどうかわかりませんが、中央市場卸売人が現に類似市場開設会社を開いたり株主になりましたり、中央卸売市場卸売人が非常に固定しますと申しますか、市場長――長というと申しわけありませんが、現場の市場開設者の関係で化石化すると申しますか、それから現状維持の気風が強い。それから都市議会との間の話がうまくいけば私的に申し上げましたり――先日芳賀先生が御指摘になりましたように、生産者は自由の取引でもあり、一方運営あるいは設立の認可につきまして農協でも事業協同組合でも相当の保護もある半面監督も大臣に受けておるわけであります。他方それに無条件委託してあります産地との間、隔地者との間の取引をする間に、卸売人都市市場長の資格者である、こういうのでは農林省は生産面、出荷面においても適当でない。消費面では一致する場合が多いと思います。そこで、それかといって一方的にやってはいけませんので、開設者意見は必ずよく聞いて行い、開設者が必要な部面は大臣の認可で業務規程で行う、こういう規定になっておるわけであります。
  53. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、市場性格から見て市場において、生産者だけの利益を守るということもいけませんし、また消費者だけに偏在したそういう利益擁護であってはならぬというところに、いわゆる集散市場的な現在の市場の現状があると考えるわけですが、その場合に、やはり卸売人は何といっても生産者立場において適正な業務を行なってもらわなければならぬということに尽きるわけです。そのことがやはり根拠になって、これは農林大臣の許可にしなければならぬとか、あるいは卸売人市場における乱立をある程度合法的に整理しなければならぬ、そういう事由が生まれてくると思うわけですが、それに対する見解はどうなんですか。
  54. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 逐一芳賀委員のおっしゃる通り、その分についてはその通りであります。
  55. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そう全面的に賛成されてもちょっと困るわけですが、そこで指摘したい点は、先日も参考人を招致していろいろ意見を聞いたわけであります。その場合に特殊な一つの例として、卸売会社の資本構成の中において最近特に東京においては、仲買いあるいは小売商のそういう人たちが資本に参加している。しかもそういう傾向が非常に顕著に強くなってきておるということなんですね。そうすると、卸売会社の使命は生産者立場におるということになっておっても、これは営利追求の会社なんですからして、その資本構成の中における発言権というものは、むしろ消費者側の利益を代弁するというような側に移っていく場合においては、卸売人の適正なる行為というものは相当ぼかされてくる場合があると思いますが、そういう一つの弊害といいますか、面に対する配慮を今後どういうふうにやっていきますか。
  56. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 先般の参考人意見についてまず簡単に申し上げますと、お呼びになりました参考人の方々が東京都の人に片寄っておる。ただいまの御質問の例でいいましても、小売商が組合として一体となって非常に力強く、売買参加入に東京都ほど入っておるのは例がまれであります。  その次には信用金庫といったと思いますが、一種の銀行です。市場の特有の金融機関を持ちましてその金融機関で運転資金を世話しているのは、東京がまれな例であります。それから卸売人の中へ出資、参加しておるという例も東京都の大澤君の組合以外にはそれほど多く聞いておりません。それに対しましてのことでございますが、民間会社の株式取得について独禁法上の制限は公取の事務局長もいらっしゃいますが、よく監督して下さると思うのです。私どももまた生鮮食品の生産から流通に至りますまでの総体的な問題と、特に法律に基く中央卸売市場内部の関係業者のあり方、及び事業のしかた、こういうものにつきまして、芳賀先生の御意見と同様に思いまして、特に卸売人出荷者または生産者団体の無条件委託販売を原則とする。中には卸売人が買い取る場合もありますけれども、それにしてもせり売りで行われる。それから生産者の方に伺いましては、取引条件の独禁法の排除を価格、数量を除いては認める案になっておりますが、非常に乱雑な販売分野を形成し、また奨励金とか前渡金などの名を借りる保証金問題も再検討して、もっと引き上げたいと思っておりますが、これなども市場の使用料等に対する担保力の問題のみならず、出荷者の代金支払いの担保としての価値も今後持たせたいと思っておりますけれども、それらについてそう小売団体が大きなものを持つ必要は大都市の仲買人もおるような場合の小売商、そういうような中における小売人、こういうものとしては適当ではないので、生産者には金融を生産者団体としてつける、卸売人の間には、卸売人に別途金融もつくようなふうにして、自然会社内部の資本構成のみならず、金融でも、業務でも、適正にそういう資本構成や業務を通じて一方を支配しないようにしたいと思います。今まででも東京においては、卸売人独自の金融をつけてやる方がいいというので、中金等から融資を指導しておったこともございます。
  57. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、今度の法律改正によって、たとえば今まで問題になった点等においても、生産者卸売人に対して無条件委託をするというところに一つの特色があるわけです。その場合、無条件に販売委託をする場合においても、荷受け機関等において代金の決済を怠ったり、あるいは決済する能力を失って出荷者に対して相当の損害を与えておるという事例は幾多あるわけです。そういう場合における責任の所在というものが今まで明確になっていないわけです。その場合開設者等はそういう代金決済等における義務が荷受け機関と生産者の間において完全に履行せられなかった場合においてはどういうような責任をとってきたものであるか、そういう点に対して御承知であれば御説明願いたいわけです。
  58. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 今まで及び現状のことでございますか。――今までは、特に終戦後は、出荷者立場上強いこともあれば、また卸売人が一度自主的整備をしてその後また乱立して、それがばたばた倒れて生産者に迷惑をかけたことも多い、今は整理時代に入っておるところと、先ほど申し上げました、できたものがいまだ一個の卸売人しかない市場もある、こういう状況でございますが、大正十二年にできました現行法とその業務規程に基きましては、東京で申しますと、五十万円の保証金を卸売人に積ませまして、第一は市場の使用料等について第一優先権を持って、第二に出荷者に対する代金の保証に充てておるのであります。当時の五十万円は相当のものでありまして、本改正案に至れば、また至らなくても再検討すべき時期で、対策協議会からも意見をいただいておりますが、現状では中央卸売市場に対する出荷の代金につきまして、法令的に十分な措置がとられておらないうらみがあります。そこに、先ほど申しました小売商等が金融力を相当持ちまして、その他の、申し上げましたようなことで大体間違いがなく行われておることになっております。そこで公取委員会の事務局長にも御質問がありましたところでありますが、許可権を使いまして、第一には許可する場合でも不適格な合併はだめだ。不公正な取引によるものはだめだ。法文に書いてある――それから許可をするときでも御心配の向きはいけないということを数字をあげて書いてあります。また許可を取り消したり、その結果つぶれる場合は、生産者が代金を泣き寝入りしなくちゃいけませんので、ちゃんと払えるような合併をする、そういう措置をまじえていきたいと思っておるわけであります。根本は保証金を必要なだけ積ませる、金融力、資力をよく定める、そうでないならば市場で代金決済を一方からとり、一方から払うということだと思いますけれども、家畜取引法の御論議も聞きましたが、中央卸売市場は商慣習等もございまして、そうできていないところもありますので、別途の方法で間違いないようにしたいと思います。
  59. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、先日の参考人意見の中にもありましたが、せりの場合に、仲買人とあわせて小売商がせりに参加して、実質的には五〇%程度小売商がせり場に出て、そこで買い付けておるというようなことも聞いたのですが、これは今後のあり方として、こういう形が適切なものであるかどうか。そういう点に対してはどういう見解を持っておりますか。
  60. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 まず第一に仲買人の性格でございますが、これは一般に申します場合の卸の一種ではあると思います。卸売人が元卸でありますれば、片方は小卸かもしれません。卸とは何かといえば、小売業または実需者に売るものを卸というのだと思います。しかし市場における仲買人は、こういう大量に入って急速に処理しなくちゃいかぬ、また金額も相当かさばる場合に、施設との関係もあり、資金力の関係もあり、生鮮食品関係もありまして、荷さばきを敏速に、取引を公正に間違いなく行わせるために、大規模であり、また大きい取引が行われる場所におきまして、自然発生的にできまして、最近は地歩を確立しつつあるものだ、分化業務を行うものだ。買い受けする人が、とても卸売人からは買えない。卸売人が多数の小売人に売りますと、かえって経費がかかる、腐敗性が多い、ロスがたくさん出る、こういう場合も出るのであります。従って法案でも、卸売人は置くことができるというふうにしたいという案で、実は立案してあるのであります。六大都市のようなのがその例であります。横浜も東京ほどの仲買人の明確なる機能を営んでおらないのが現状であります。そうしますと、十三都市、二十八都市あるいは四十一指定地区というような場合においてはどうだと申しますと、せりに参加する場合でも、仲買人がないのが数としては多い。総体通じまして、小売人が買手側の売買参加入になるのは、悪いことではないと思っておるわけであります。また資力があって適当な価格形成をしてくれれば、生産者のためでもある、他に消費者もあるので、消費者のためでもある、こういうふうに思っておるのであります。現在力をかなり持ったということだけで、一部の人が参考人として出てこられたときの、東京都の例の小売商のせり参加の態度であるとか、市場における小売人を明確に認めよとか、市場にはせりの売買参加入というものがあればいいと思うのですが、そういうのを全国的な基本精神とはいたしておりません。
  61. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に問題の第三点として類似市場の問題ですが、今度の改正によると、農林大臣が私設市場業務もしくは施設変更命令を出せる、または営業の停止を命じ得るような規定ができておるのです。それでこの際いろいろ問題はあるわけですが、類似市場に対する政府の今後の考え方、将来の考え方としては、私設市場中央市場のような公益的な性格を持ったものに逐次改変していくということが前提になって、今度のこの改正案を出しておるのであるか、あるいは将来ともやはり中央市場とあわせて私設市場も並列してやっていくことが、今の社会情勢の中においてはこれは認むべきものであるというような考え方でこれを取り扱おうとしておるか、その点いかがですか。
  62. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 公共団体開設いたしまして、自己の財源で、また政府が助けて、中央卸売市場による取引量の全取引量に対する影響力が支配的であるところまで、中央卸売市場育成していきたいのでありまして、その次には、それに必要な限りにおいては適当な補償を払い、これは法律案にも書いてありますが、そして閉鎖命令をあわせて、あるいは話し合いで、伝家の宝刀として閉鎖命令でもって吸収するという、これは失業問題も生じませんので、そういうふうにしていきたい。その方法は賃貸借法による場合もあれば、買い取りで、長期償還の場合もあろうと思います。あるいは悪いのは閉鎖のしっぱなしもあると思います。しかし御承知のように、魚を海でとって、陸揚げ場で取り上げて出荷される。それにしても漁村には問題があると思います。青果物なんかは畑で、案外都市近郊が蔬菜地帯であることが多いのであります。生産の価値も多いのであります。そこで類似市場という名前は、現行法にも類似業務を行う者とあるので略して書いただけでありますので、一般市場というものはこういう生鮮食料品では、完全な戦時統制の場合でなければ、あるものです。しかしそれを放任してはいけないので、だれがどこで開いて、どういうやり方をしておるかということを調べることもできるし、必要な取引上、施設上、営業上の監督命令もできる、しかもその両者は中央卸売市場との関係考える。中央卸売市場が何も開かないとか、設備も弱い、こういう場合に押えれば、生産者取引業者消費者も迷惑でございますから、当分の間は、案を具しましたように、いわば並列といえば並列でありますが、そういうふうにいったらいいんじゃないかと思います。しかし指定地域とその外とは非常に違うと思います。
  63. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員長代理 赤路委員
  64. 赤路友藏

    赤路委員 ただいまの横井、芳賀両委員からの質問で、この改正法に対する質問はほとんど尽されたと思います。そこで私は基本的な面で二、三点お尋ねいたしておきたいと思います。  横井委員からも芳賀委員からも言われましたが、市場の運営は生産者消費者の両者の立場を十分考慮に入れて調整運営されなければならぬということは、これは異論のないところだと思う。もちろん中間にある卸売の人たち、あるいは仲買人の諸君の利潤を無視するものではない。しかしながら、生産者に再生産を保障し得るような魚価の維持をはかるということ、また消費者へ安い新鮮な品を供給するという、このきわめて相互に反擁する、矛盾した面を調整するというのが、中間業者一つの務めでもあり、また市場運営の本筋であると思う。今国会の当初において河野農林大臣は、施政演説の中で、魚価対策というので、市場法改正を特に取り上げておられた次第でございます。こういうようなところから特に取り上げられたのだと私は思うのでありますが、この自由経済下においてまことに無理なことではあるのだが、私はこれが市場運営の本質である、ごう考えておる。この本質を踏みはずした法律というものは意味をなさない、こういうふうに私は考えるのだが、基本的にどうお考えになっておるのか、その点をお尋ねいたしておきたい。
  65. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 非常に広範な基本的な御質問でございますが、本法案は、中央卸売市場中央卸売市場指定地域における類似市場を通じまして、適切なる保護監督措置をさらに新たにいたしまして、生鮮食品の生産から消費にわたります取引の公正円滑を期することに限って案を具したのでございます。生産者に対する魚価の保証、再生産の確保、消費者に対する流通の円滑、また価格の適正ということは、さらに農林省の予算、法令を通じて今後にわたってももっと広範に考えなければいかぬことだと思います。
  66. 赤路友藏

    赤路委員 大体私の説に賛成だ、こういうふうに確認をいたします。今後なお十分考えなければならぬということでありますが、当然だと思う。今回のは中央卸売市場法の一部改正だけであって、市場対策として全面的に考えていかなければならぬことは当然だと思います。そのことが今後という言葉で今局長から表わされたと思うのですが、なぜこの市場法にのみ限って今度こうして出されたのか、市場に対する全面的な対策というものを根本的に考えられなかった理由はどこにあるのか、その点ちょっとお聞きしておきたい。
  67. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 今回の改正法案で御審議をいただき、かつすみやかに御可決をお願いしたいと思っておりますのは、第一点は、これがなければ自後の措置もおくれるおそれがあるから第一にお願いしたいという意味であります。また内容に至りましては、衆参を通じての国会の御審議、予算編成上、中央卸売市場対策協議会を予算として御審議いただきました三十年度の予算の施行当初の運営をねらいまして、その協議会の答弁においてもその通りでございましたので、この法案以外にも答申にはありますが、法律案を要しない事項でありますので、答申以外のこともなお一そう研究しなければいかぬと思っております。
  68. 赤路友藏

    赤路委員 特に私がこの点を強調するゆえんのものは、先ほど横井さんが中央卸売市場外の非常に優秀な市場のことをここで例外としてあげられたようでございますが、先日私は八戸へ行って参りましたが、八戸の市場へ行って実に驚いた。八戸の市場は市有地である、建物も市のものである。ところがほとんど卸売商人及び仲買い、これらの人たちによって作られておる株式会社に委託されておる。市場は株式会社の運営になっておる。御承知の通り昨年は非常にイカがよくとれた。豊漁貧乏という姿が出てきた。三十七匹入って一箱ただの一円という値段が出たときがあった。その場合における市場の手数料は三分、そのほかに箱の損料をとられておる。これでは生産者はまるで立つ瀬がないわけです。こういうものも多々存在するということをお考え願わなければならないので、今局長の言われるように、まず一歩、市場全体ということはなかなか広範なものにわたりますから、この面からだけでも一つ堅実にやりながら拡大していきたい、こういう御意思だと思いますが、こうしたものもあることを十分考慮に入れられて、答申外のものをぜひ一つ考慮の中に入れてもらいたい。都合のいいときだけ審議会の答申々々と言って、都合の悪いときは一向聞かないというようなことでは非常に困りますので、この点特に御注文を申し上げておきたい。  それから私の説に賛成していただいたのですが、今度のこの改正案全般を見ましても、生産者立場からも消費者立場からも発言権は全然法文化されておりません。先ほど来横井君からも芳賀君からもいろいろ質問がありましたが、自後不良卸売人に対する対策であるとか、あるいは今特に問題になりました独禁法を除外することによって卸売人の独占行為への逸脱ということもやはり考えておかなければならぬ。これらの監視、監督をするということは、もちろん農林大臣がやるのだということなんです。卸売人を農林大臣許可に移管をした理由の一つとして、その点が明確に言われておるのでありますが、しかし横井君の質問に対する今までの局長の御答弁からいきますと、これは事実上不可能であると思う。そうなって参りますと、市場の運営を、生産者立場からも、あるいはまた消費者立場からも適正にしていくということをむしろ法文化して、何か組織を作るという必要があるのではないか、こういうふうに思いますが、これに対する御意見はどうですか。
  69. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 八戸のような例は、よく御注意を承わりまして、今後そういう事態が生じましたら、断固として処置をいたすつもりでございます。  第二点につきましては、生産者意見卸売業者の中に入っておって、しかも全国組織が、全販連等の形で入っておるところもあります。御参考までに申し上げますと、東京築地市場等の陳情でも最優先に出てきたのと同じであります。日園連等でもそうであります。漁連も重要なる関心を持ちまして、随時貴重な意見を立て、強い主張を持っておられる、これはかなり強い意見が出てきております。なお、さらに広く生産者から消費者まで意見を聞くことは、農林省開設者、都道府県がその機構を通じてやるということも予算等を計上してやっておるわけであります。全国的な出荷需給調整協議会というものもそうであります。しかし特定の人を選びまして、その審議会、協議会を作りまして、法文化しましてその意見を聞いてやるということになりますと、その特定な人に一種の特権が出ましたり、片寄りが出まして、消費者代表、卸売代表、生産者代表といいましても、固定した場合には弊害の強いことを、立案する前に相当言われました。そこで事実上としては、そういう趣旨で運営をいたしていきたいと思います。また運営に間違いがないという確認が生じましたら、将来法律改正のことも出てくるかと思います。実質上で先生の御趣旨を実現することにいたしまして、法文化するのは弊害がむしろあると考えまして、法文化は避けたいと考えておる次第でございます。
  70. 赤路友藏

    赤路委員 今も局長の御意見よくわかりました。特定のものができた場合弊害が伴うことはあり得る、現に私もそれを承知いたしております。しかしながらこれはたとえば市場運営委員会というものが、それぞれあるところもありましょうし、ないところもありましょうが、大体あるようです。これが一つも適正な活動をしていない。適正な活動をしていないということは、一面にはこういうことが考えられないかと思います。法律なり何なりで性格というものが明確に規定されていないというところに、一つそういうような弊害が伴ってくる原因があるのではなかろうか、こういうふうに考えられる。そこでその点は、今直ちに私はそれでは法文を変えてもらいたいとは申しませんが、今後十分これらの点は研究して、そうしてほんとうに市場の運営が適正になるように御努力願いたい。くどいようですが、農林大臣が市場運営を監督するといったってできやしません。私ははっきり申し上げておく。やはり自主的に何らかの形において適正な運営をなさしめる。しかもそれを農林大臣が監督をしていく、あるいは中央官庁がこれを監督していく、こういうことになればいきますが、農林大臣が直接これを監督するといったって、先ほどの答弁の通り、予算も何も伴っていないのですからやれっこがない、こういうことがありますから、十分この点は今後研究の課題としてお考えを願いたい。これはもう答弁を求めません。以上であります。
  71. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員長代理 川俣清音君。
  72. 川俣清音

    ○川俣委員 私はできるだけ重複を避けてお尋ねいたしたいと思います。従って重複していない二点だけお尋ねしたいと思います。  一点は、第十条の六、農林大臣の処分に対する救済規定のことですが、「公開二依ル聴聞ヲ行ヒ其ノ者又ハ其ノ代理人ガ証拠ヲ提示シ意見ヲ陳述スル機会ヲ与フベシ」というのと、証拠を提示して、意見を述べる機会を与えなければならないというのとではどう違いがあると思いますか。最近は普通積極的に受ける側に有利にといいますか、処分に対する救済規定でありますから、上からでなく下からの受けやすいような表現に最近の法律は使われている。従って証拠を提示して意見を述べる機会を与えなければならないというようになっておるのですか、これと感じの上からいうとだいぶん違うようですけれども、どのように御解釈されますか。
  73. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 読んで字のごとく違うと思います。ただ旧法の改正でございますので、旧法の文体に正確ではあるが、合せて立案したのでニュアンスがちょっと違う。合せまして意見を聞け、聴聞を行なって述べよというよりは、その機会は必ず与えて述べる人は述べるというのが、むしろ個人の尊厳を尊重したものだと思います。
  74. 川俣清音

    ○川俣委員 読んで字のごとく違う、こういう答えですが、これはうらはらの関係の表現だと思う。そこでお尋ねしたいのですが、前の閣議のときに、法令を今後改正する場合には、できるだけ近代的な方式にさせるという閣議決定をしておるはずです。単に罰則だけの変更の場合は別ですけれども、こういうふうに今まで地方長官の認可であったものを、いわゆる農林大臣の認可に変えるということは、この法律から言うと根本的な考え方の相違なんです。意見のよしあしは別にして……。こういう機会にこういう文章をも変えていくということはさきの閣議決定で行なっておるはずです。どうして変えられなかったか、この点について……。
  75. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 旧法の中央卸売市場の逐条全体を読みました精神におきまする、中央卸売市場保護も加えた監督育成模範市場として設置し運営していく、そういう精神をそのまま踏襲するのが第一によろしい。もし全文改正をして必要な改正条文をその中に入れるとなりますと、川俣先生のようにやるべきだと思います。しかしその場合にはおのずからいろいろ附帯した問題が生じまして、中央市場対策協議会等で意見を聴取しましたり、政府考えました案と差が立法技術上生ずることは適当でないと思いましたので、一部改正にしまして、大正十二年の制定の法律であったためにこのように書いた次第でございます。
  76. 川俣清音

    ○川俣委員 それはおかしい。こういう機会に近代的な法制に変えるという決定をしておるはずなんです。単なる罰則の改正でありますならば、これは別問題です。今までの地方長官の認可であったものを、農林大臣の認可に変えるということは基本的な考え方の相違なんです。従ってそういう場合には法律全体の体裁を変えるということでなければならない。すべての国民の権利義務に関する件については大体同一な法律の体裁をとるということが原則になっておるはずです。あの法律ではこういう解釈をしなければならぬ、この法律ではこう、いう解釈だということは、これは国民の側から言うと非常に迷惑千万な話です。もうすでに大正十二年後に生れた人は成年に達して、なかなか理解しにくい法律になっておる。従って法律は国民の上に平等でなければならないのであるから、理解しやすいように変えなければならぬ義務を政府みずからも負っていなければならぬと思う。そういう意味で、根本的に全部という意味ではないが、大きな基本を変える場合には、法律の体裁も国民の権利、義務に関係する部分はできるだけ理解しやすいように直して行くことがすでにきまっておるはずです。単に罰則や何かの改正は別ですよ。大体この法律の体裁とあとの附則とは、竹に木をつないだより以上もっとひどいですよ。附則の方が大体近代的になっておる。本文の方は全く違っておる。こんなおかしい話はない。片方は何々スベシ、昔の流儀になっておる。あとの附則の方は「よってしたものとみなす。」「届け出なければならない。」前の方は「届出ヅベシ」、 いかに早々の間とは言いながら、こんな体裁の悪いものはない。もしも改正されるならば、ことに市場というようなものは一般の人々に正しく理解させるような方法をとらなければならない。多くの学者だけが関係しておるものじゃないのです。日常台所の問題に影響のあるような、最も国民に親しまれなければならないのにかかわらず、「届出ヅベシ」、「罰金ニ処ス」なんて全く昔の命令通りの規定を持ってきた。こんなばかな体裁で今後の市場の運営をやろうという考え方が間違っておる。もしも非常に国民経済にデリケートな関係を持つならば、それに最も理解のしやすい体裁をとっていかなければならない。これだと大正十二年の考え方と同じですよ。それではあまり古くさくて、現在の事情に合わないとみずから言っておりながら、言葉も改めないで、法律の体裁も改めないで――現在のように多数の人が参加して、国民経済に非常に関係が深くなってきたし、また関係者も非常に多くなってきたから変えなければならないという主張が提案理由の中にに入っておるのですから、こういう文章も当然変えなければならないはずです。提案の説明の変えなければならないということと、実際の様式とは違っておるじゃないですか、この点はどうなんですか。
  77. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 平素こさいとなくお教えをいただいております川俣先生のお気持はよく私了解いたしております。間違いなく改正が新しく行われるような趣旨で運営をするように、農林省全体で遺憾のないように努めたいと思います。  閣議決定の法文の作り方に関しまするものとの関係は、一年、二年として限って行われない場合があるので、総体的に過渡的にはやむを得ないものもあります。本法案につきましてはかくのごとくなった次第であります。それから法の改正精神は申し上げた通りでありますとともに、改正する部分が特に急いで改正することでありまして、なかんずく御指摘の許可権が農林大臣に移りましても、開設者意見を尊重して、許可権と意見を出してくれるのは一対一でございますので、開設者意見を五〇%以下も無視しては許可をすべきものじゃないということを精神的に規定しておるわけであります。参議院はさらに詳細な文の改正をして、業界の意見をよく聞くということが規定されてあります。さらに従来地方長官とありましたことは、いかにも古い法律でありまして、これはもしそうであれば知事と書くべきでありますが、そういう趣旨ではない。国の事務であるというのでそれを地方長官にやらせるということにしてありました。先ほど以来横井先生、芳賀先生、赤路先生にお答えを申しました十近くの理由をもって農林大臣に許可権を移すのがどうしても必要だというので、国の事務で当然前からあるものを大臣に変えましたのは当然のことで、重大なる改正ではありますが、根本的な改正、そういうかもしれません。そういう意味でありますが、先生がそれほど強調される法文の一々の書き方を全部変えなくてはならぬかどうかについては御了承をお願いいたします。
  78. 川俣清音

    ○川俣委員 これは了承じゃないのですよ。特別な人が関係の深い法律と最も台所につながるような人に関係を持つ法律とは私は違うと思うのです。今ごろの人にこんな言葉ではとてもわかるものじゃない。「為サムトスル者ハ」なんて言っても、今の子供には何かわかりませんよ。それが小売商人であれ、卸売商人であって、毎日台所の魚や青果物に関係の深い者に、「為サムトスル者ハ」なんと言って、これに従えと言って従えますか。「為サムトスル者ハ」なんと言ったってわかりゃしませんよ。わからないような法律を作って従わせるという考え方が間違っておると言うのです。今の事情に合せて改正をしたというのだから、現状の形に合せていかなければならない。緊急に改正したというが、こういうところを改正するという考え方でなきゃならないと思う。わからぬようなことをそのままにしておいて、今の事情に合せると言っても、何を合せるのですか。こういうことを合せていかなければならぬと思う。こういうことだと届出書類にも全部こういう形式がとられていくのですから、みな今の形式じゃないのです。「何条ニ依ッテ届出ヲ為サムトスル者ハ」なんていうことを書いておると、そういう形式が書類の上にも出てくる。こういう台所につながる、日常生活に関係の深いものは、特に日常関係の深いような用語に変えていかなければならないと思うのです。これは予算委員会でも、あるいはほかの委員会におきましても、古い法律で使わないような法律の改廃の問題が出たときも、できるだけ今度の改正の機会に譲りたい、そういう場合を利用したい、あまりに多過ぎて一ぺんに改正するわけにいかぬから、徐々に、そういう改正の議が上ったときには必ず改正するような方針をとるということをたびたび政府は言明しておる。その言明に反するというのです。機会がなければ別ですよ。こういう機会にこそ私は改正すべきものだと思う、それを改正しないというのは怠慢ですよ。この点もう一度。
  79. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 川俣先生の御意見はごもっともであると考えます。しかし今回の法案の改正に当りましては、慎重審議もいたしましたが、今回変えるのは、お説のような文をいたすのは附則で現わしておるのであります。その他は他日に期するがいいと思うのであります。閣議決定はこの範囲は許してくれるということで法制局も審議をいたしたのであります。但し今回こういう部分改正がありましたし、現行法改正をせざる部分はわかりにくいのですが、今周知、公知されて運営をされておるわけです。これをさらに周知徹底をする措置をば、御趣旨を生かしまして、附則に現われておりますような、川俣先生の御趣旨のような心をもって十分意を尽すようにいたしたいと思っております。法案につきましては今回につきましては御了承をお願いしたいと思います。   〔吉川(久)委員長代理退席、委員長着席〕
  80. 川俣清音

    ○川俣委員 それはあなた方の提案説明が悪いのです。今の事情に即するように改正すると言っておる。これは即しないじゃないですか。こういうことこそ問題のない点ですから、即するように改正できるはずなんです。議論の余地のないところなんです。「届出ヲ為サムトスル者ハ」なんということは、届出をするような機会を与えなければならぬというようなことにすればいいので、そんなに議論のないところなんです。そういうことは、多数の者が参加するようになったから、現状に即して、今度改正する場合はそれらにも即応するような態勢に作りかえることが必要だという提案説明をしておるじゃないですか。認識されているなんて言ったって、今は認識されていませんよ。「為サムトスル者ハ」というのはほとんど理解できない表現ですよ。従ってこれは疎漏だということになる。こんなことはもっともっと手間をかけて、現在の情勢に合うように作り直されて提案さるべきだと思うのです。こういう体裁でありますると、十分研究されて提案されたとは思われない。提案の理由だけは、現状に合せて云々となっておりますけれども、こんなむずかしい表現を幾つも使って、国民の権利義務に関係のあるものは、なるべくならそろへていくという建前をとらなければならないのに、依然として大正十二年の体裁をもって国民の権利義務を律するような考え方は、おやめになるべきだと思うのです。私はすべからく出し直してくるべきじゃないかと思うか もう一ぺんお聞きしたい。
  81. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 お話精神については、川俣先生のおっしゃる通りだと思いますが、これも時間を相当かけて研究したのでありまして、疎漏なものではないと私は思っております。なお御審議中疎漏という御批判をいただいたのをよく参考にして、今後よく気をつけたいと思います。提案理由にあげましたことは、文字で表わしておる内容のところでありまして、口語体的な文章ということまでも、具備していなかったことは事実であります。今後よく気をつけますが、本案については御了承を願いたいと思います。
  82. 川俣清音

    ○川俣委員 もうこれ以上は申しませんが、私が疎漏だと申し上げたのは、こういうことはそんなに長い時間を要しないことなんです。なおそこに思いをいたすならば、そんなにむずかしい問題じゃない。一週間か二週間で十分でき得るのに、それをやらなかったということは、疎漏の非難を免れないと思う。  次にお尋ねしますが、このように監督を厳重にするからには、行政措置としての人員の増とか、配置転換、または予算の措置を当然三十一年度予算に盛り込んでいなければならなかった。一体法律だけを先行させて、予算の伴わないようなことは大いに心しなければならぬ。この問題は先ほど触れられたようでありますが、法律の体裁として、法律を出されるならば、必ずその裏づけとなるような予算を三十一年度に組んでもらわなければならぬ。三十一年度の予算方針というものは行政方針でもあるわけで、三十一年度こういう国務を遂行する、こういう行政事務を行うということを示したものです。緊急の事態が起ってやられるなら、予備費からやられるべきなんです。しかし、おそらくこれは予備費から転用できないようなものだと思うのです。そうすると、同じ政府であって、政府の予算編成方針と違った法律が出てくる。これが議員提案ならまた別問題ですが、政府一定の方針を立てていながら、その方針と異なった方針を政府が提案されるのはおかしいじゃないですか。
  83. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 川俣先生から御批判をいただきまして、そういう御意見が出るのもよくわかります。予算編成と本法案の立案に当りまして、農林省もその趣旨に沿うように努力いたしましたけれども、まあ今年はこれでやれということにきまりました。範囲内においてでありますが、若干の努力はいたしたわけであります。それで、この生鮮食料品取引に従事する職員を二名増員いたしまして、予算措置も講じております。またさらに業務の配置転換――業務上の繁閑が時期によって違いますので、従来はなかったのでありますが、私の局に企業市場課という専管の課を設置いたしまして、余裕のある限り課員二十八名をもってこれに当る、特にその課としては九名で、それに水産庁や改良局とは関係の深い事項でありますから、人員の余裕のある限り手伝いをしてもらい、必要に応じて兼務をしてもらう、こういうことに進んでおるのであります。また昨年市場整備について六千万円の補助金を計上いたしましたが、固定設備に対しての補助で五分の一でございました。それで今年は見返り円五億ないし六億を使いますと、――予算上の措置等も合せてやりますと、五分の一の補助金よりは償還年限、利率等を考えると適当であるということで、今年は約五億円の金をこれに充てるようにしておるのでありますが、予算書の中にその文字が出ておりません、また出ないものでございますが、そのように努力しておる次第でございます。
  84. 川俣清音

    ○川俣委員 これは前の人が触れたようですから、なるべく省略いたしますが、私の尋ねておるのは、おそらく前の人と違っていると思う。現行法改正前でも、それくらいな準備をすでにしておらなければならないのであります。現行法改正以前においても、すでに農林大臣の監督権があるのでありますから、現状においてその程度の人員はすでに持っていなければならぬ。すでにそれだけの人員を持って、調査を完了いたしました一つの資料をもちまして、改正しなければならぬのが本質だと思います。今までほうっておいて、何らの資料も十分持たないで、そうして改正に臨むということが遺憾なんです。従ってこれだけの陣容をもって、ここ二、三年やったら、全面的な改正でもおそくないじゃないかという意見のもとにお尋ねしておりますが、この点は前の人も触れたようでありますから、やめておきます。しかし依然として、前段の法律の体裁については、最近の国民生活に遠いような表現では、適切ではないということだけを申し上げて、これは討論の際に譲ります。
  85. 村松久義

    村松委員長 日野吉夫君。
  86. 日野吉夫

    ○日野委員 皆さんがそれぞれ触れられているので、簡単に伺います。どうせ改正するならもっと根本的に改正してほしかったという点は、前の質問者と同様であります。ただこの法律の適用の範囲はきわめて狭いのです。大正十二年から今日まで、もっと広くこれが適用されなければならないのに、今日大都市にだけこれが適用されている。大都市で今弊害の起っていることは、過般来参考人等の説明で十分明らかになったのでありますが、むしろ弊害の起っておるのは、中央卸売市場法の適用を受けない地域に多いのであります。物資の流通も、価格形成も、実にでたらめである、そうして、ことに生鮮食料品を取り扱う市場が、鮮度をいたずらに落すという弊害が非常に起っている。これを何とか救済するということは、当然考えられなければならぬと思うのです。先ほど赤路君の質問に対しては、かような意図も局長から漏らされておるのですが、これと同時に並行して、もう一歩地方卸売市場というものを考えないか。中央卸売市場、これを全国に適用するということは無理である。しかもこれに準拠した県条例等にまかせておるならば、県条例を出した県もある、出さないで全く放任しているところもあります。そのためいろいろ生産者にもあるいは消費者にも迷惑をかけている実例がたくさんあるのであるが、農林省はこれらを救済するために、中央卸売市場法を、今度は暫定的な一部改正だが、もっと川俣委員の言うようにすっきりしたもりに改正してもらいたいという考えと、もう一つ、これと並行して地方卸売市場法という構想を持っていないかこうか、局長にお伺いしたい。
  87. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 第一の点でございますが、御意見は十分根拠もあり、御主張もごもっともであると思います。これに対しましては本法におきましても指定地域変更をもっと適切にいたしまして、さらに必要な地域にも適用すればいいところもあります。開設者の援助をもっと広範にすれば、先ほども申しましたが解決がつくところもあると思います。四十一地域指定して、財団法人や社団法人や、民法法人で期待したところなどが設立されずに、十三市場になっておることなど事実であります。これらを法の運営と話し合いをもちまして適切に第一にしようと思います。第二には産地の出荷市場についても、特に金融とか、貨車とか、冷蔵施設とか、すき間箱とか、共同出荷体制、こういうものに対しまして、施設生産者団体の指導援助については、金融措置その他を加えましてできる限りのことをやっていきたいと思っておりますが、目下成案を得ておらない検討の途中でございますので、さらに成案を得ますれば、御指摘のような点は法令、予算を使わなくてもいい場合、予備費を要する場合と通じまして、資金運用を中心にしましてぜひ努力をしたいと思っておるのであります。  第二点の地方市場に関しまする法律につきましては、本法案とにらみ合せてよく考えるべきことでありまして、中央卸売市場という名前で中央としてありますけれども、卸売市場は大体大消費地を中心に中小消費地域について設置しその地域指定してありますが、その出荷は、言いかえれば生産物は全国の農山漁村にわたっておるわけでございまして、この法律をもっても全国的なものであります。ただ卸の市場であります。そういう意味におきまして、限界を、地方市場中央市場とはどういうように見るか、こういうことも検討しなければならぬと思います。おそらく商取引の適正なものを考えましてもそこに違う方式も要ると思います。卸売人、仲買人、小売人、売買参加者というものとせり売りという形につきましても、出荷地においては違うと思います。地方市場小売市場である場合を含む場合もあるかと思います。それらについてはまだ対策協議会でいただいた意見でも成案を得ませんでしたので、私どもも勉強しまして各界の権威者の意見を網羅しまして、なお引き続きこの種流通に関しまする対策協議会を本年も継続してやることになっておるわけであります。畜産物についてもそうでございます。その成案を得た結果、本法案とにらみ合せて措置すべきものと思いますが、それがゆえに先生のおっしゃる全面改正または地方市場法を出すときまで待っておるかといいますと、やるべきことはどんどんやっていくという趣旨と反しますので、一応切り離して、これを先議御可決あらんことをお願いする次第でございます。
  88. 日野吉夫

    ○日野委員 地方卸売市場というのは仮称ですが、この中央卸売市場法で資金的な裏づけ、あっせん等さえすれば、これで全国市場が大小にかかわらず運営できるとお考えになるならば私どもは非常に疑問がある。これは過般来ここに集まった東京中央卸売市場の諸君の話を聞いても、この市場法論議の対象は今大都市に行われている一切の要件を具備した市場の問題だけが問題になっているのですが、地方等に行きますと、これとだいぶ違った構成要素を持っているので、この法律をこのまま持っていってこれに適用しようと考えること自体むりなので、幾ら今度の改正地方長官が認可権を持って、いろいろのあっせんをするからどんどんこの法律が適用されると考えるかもしれぬが、現実はやっぱりそういかない。そこで地方卸売市場と名をつけるか、また別な名前をつけるか、いずれはほんとうにこの市場法目的を貫徹して、生産者消費者、もちろん仲買人等、業者の正当なマージンはこれは保障しなければなりませんが、これらを十分考慮して中小の者、なかんずく生産地等の市場等、これは主として生鮮食料品を扱うのですから鮮度が問題であります。この取扱いが間違いまして鮮度を落しては、これはだれの利益でもない、国家の大損失ということになるのでありますから、今直ちにこの法律をそれまで待てというわけじゃないが、流通面でも正当な価格形成の面でも十分考慮していい点があろうと思うので、仮称地方卸売市場の構想を持っていないかということを聞いているわけなんでありまして、今の説明で一応の点がわかりましたが、もっと十分に研究調査の上、この法律一本出して、これを適用しないものは野放しにしておく、あるいは県条例で県が勝手にやれということになりますと、国としてまことにこれは無能なことになるので、もっと一貫したこういう対策を用意すべきだと思う。もしそこまでの研究がなければ私たちも協力いたしますから、今後十分に研究してほしい。ことに業者等から今地方卸売市場等の開設の要求、法の制定の運動なども起っているやに聞くのであります。いずれ具体的な問題としてこの問題もやがて出てくると思うので、十分これらの点にも配慮されるよう要望しておきます。
  89. 村松久義

    村松委員長 ほかに質疑はございませんか。――なければこれにて質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  90. 村松久義

    村松委員長 次に肥料取締法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。質疑の通告があります。これを許します。小川豊明君。
  91. 小川豊明

    小川(豊)委員 時間が過ぎましたからなるべく簡単にお尋ねします。  肥料取締法に基く肥料の検査等は今回の改正によって簡素化される面もありますが、一方検査等はかなり強化される面が出てくるわけです。この検査等に伴う予算や人員は確保されておりますか、この点をお尋ねします。
  92. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 取締りはますますしっかりやっていきたいと思っておるのでありますが、中央では検査所を置きまして九十名の人員をもってやっております。地方では約百四十九名がこれに当っておるのでありますが、別途これに必要な庁費、事務費等を計上しておるわけであります。
  93. 小川豊明

    小川(豊)委員 それからこの条文によると、主成分の含有量を調整するために異物の混入を認めるというのがあるわけです。従来から肥料の異物混入というのは肥料の粗悪を来たした一つの原因だ、こう思うのです。そこで聞きたいのは、その異物の規定、それから具体的にはそれはどういうものを異物としてさしておるのか、この点をお聞きしたいと思います。
  94. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 これは化成肥料と配合肥料と言っておりましたものが、製造場におきましても、また製造場から流通過程に移りました場合にも、消費者の農民の立場からいたしますと、肥効成分においてはほとんど差がない。外国の例を見ましても、配合肥料と化成肥料とを銘柄と会社の製造業者の都合で書いている以外には、国の取締りとして書いている国はないようであります。そこで今回はこれを一本化しまして、簡単にして品質の保全と取引の公正、言いかえれば肥料消費者の選択の優位性をもたらそうと思っておるわけであります。そうしますと、公定規格を設けまして取締りの対象にし、公定規格なきものもより強い取締りをします場合に、必要限度の簡素な主成分にする要があるわけであります。その意味で異物の混入を政令で定める種類の肥料についてだけ農林大臣の許可を受けて認めた方がいい、こういうことでございます。その種類は、例を申し上げますと、製造のバラツキがあります場合に、今回は粉末度も規定しようと思っておりますので、石灰窒素、溶成燐肥の成分調整などについての炭カル混入のようなものを言っておるわけであります。
  95. 小川豊明

    小川(豊)委員 次に、肥料の登録または仮登録をさせるわけですが、この仮登録はどういうためにするのか、またこの仮登録が登録に移る条件はどういうふうな形になるのですか。
  96. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 申し足りませんところは肥料課長から説明を聞いていただきたいと思いますが、取締り上必要で、生産者にももちろん便宜でありますが、特に多数の消費者のために必要な規格といたしまして公定規格を設定して、公定規格を設定いたしますものにつきましては、必ず農林大臣に登録をさせまして、登録をさせますれば、保証票等も張らせ、製造業者も明確にならしめて、製造の年も明確にならしめまして、使用方法をも書かせまして売らせたいと思っておるのであります。仮登録は登録するほどに至りませんが、大体製造業者について見ますと、公定規格を設定して、登録肥料にしてもいいと認められるものでありますが、一年以上もかかって栽培試験をやって、それを登録肥料にしてもいいということを、技術的にもまた試験その他の措置のために必要なときは、まず仮登録としておきたいと思うのであります。これは慎重を期する意味であります。従っておおむね仮登録のものは、試験その他の条件が済みましたならば登録をするものでございます。
  97. 小川豊明

    小川(豊)委員 この仮登録のことで一つ事例があるのですが、二月十一日の日本経済新聞を見ますと、これは東亜合成という会社の売り出した化成肥料の薬害というものが東海地方を中心にして相当広範囲に発生したということであります。これはどういうわけでこういうことが起ってくるのか。その工場に対してはどういうような肥料の取締りを行なっていたのか、あるいは肥料取締法業者のとった措置なり、それから被害に対して会社がどんな損害賠償措置を講じたのか、こういう点をあわせてお尋ねしたいのです。  私はここでさらにお聞きしたいのは、新製品については、検査の上支障ないものでも一応登録をして、その実績を見た上で本登録というか、何か登録にするというのが今までの措置であったと思うのですが、この会社に対しては、そういう措置がとられておるのか、とられておらなかったのか、とられておらないとすればどうしてとられておらなかったのか、この点をお尋ねしたいと思います。
  98. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 御質問のしろものは、東亜合成化学工業株式会社製造の矢印化成肥料の薬害に関することだと思います。これは昨年十二月ごろ埼玉県で作物に施肥いたしまして、薬害が出たという報告がありまして、その後奈良、愛知等数県から報告をされました。被害を受けました作物は、麦と菜種がおもでございました。これは害があったことは事実でございまして、作物がその影響を受けたわけでございます。使用した肥料も矢印化成肥料赤一号というのでありまして、成分もわかっておるものでございます。そうして登録肥料でございます。登録に当りましては、施肥試験もいたしてあるものでございます。その赤一号を使った場合に、被害のないところもございます。その後被害があったことはわかりましたので、名古屋大学、名古屋の肥料検査所とか、農林省東海農業試験場等におきまして、現地検査その他試験分析を行いましたが、製造過程におきまして、問題になる成分があることがわかったのでありますが、圃場試験結果によれば積極的な結論は出来ませんでした。しかし被害が農家の圃場であったことは事実でありましたので、東亜合成化学工業株式会社も一応名のある会社でございますから、自主的にも改善の申し出がございまして、被害農家に対しては、適切と思われる現金賠償を全部いたしました。その後いろいろ研究しておるのでありますが、試験場的な試験では明瞭でない部分が若干残っておりますので、今後この場合の被害があったあとあと作はどうであるかとか、公定規格の問題を研究いたしましたが、とりあえずは、いかようになろうとも結果が被害があってはいけませんので、製造販売の停止を命じたのでございます。
  99. 小川豊明

    小川(豊)委員 今の問題は本質的な問題ではないのですが、そこでこの登録をする場合の手数料ですけれども、この手数料は今度変るのか、変らないのか。また登録の有効期間はどういうようになりますか。
  100. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 手数料、期間ともに全然変更考えておりません。
  101. 小川豊明

    小川(豊)委員 それから今度の場合は配合と化成とを複合という名称に単一化するわけでありますが、これに対しては消費者である農民、あるいは農業団体からはむしろこれに賛成だという意見が出ておるし、一方メーカー等では、配合と化成とではその製造の工程が非常に違うのだから、こういうふうな複合という単一の名称にすることに対しては賛成でないという意見も聞かされておるわけです。そこでこの点でお尋ねしたいのは、こういう複合という単一の名称にした場合に、化成肥料を作るメーカーにはこれが不利になるのかならないのか。これは価格政策が重点であって、実質価値を軽視しているのじゃないかという意見を聞かされるわけですが、その点がどうかということと、それからこういう問題が出てくると、複合肥料というものに対する定義をはっきりしておかなければならぬではないか、こう思うのですが、その点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  102. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 小川先生の御質問の中にも内容に触れてございましたように、賛否両論があるといえばある。消費者側には反対は私は聞いておりません。生産者側に異論があることが私ども法律改正をしたい理由でございます。製法の差にすぎなく、施用上肥効の差もないようなものを、法律に基いて国家が登録の仕方、登録の手続上分類などにおいて差を設けまして、売れなくなると、化成肥料一号をまた二号にしたり三号にしたり、誇大に施肥の効果をうたったり、製造原価が高いものとして、販売政策上の手段にすることは国としてとるべきではない。また買う側が農協等の有力団体で知識のある場合であれば、選択にあやまちはないのだと思うのであります。しかし配合肥料、化成肥料が直ちにもって悪いものである、高過ぎるものであるとは、全部がそうだとは思いません。商社の政策のもとになるのは除くべきだ。そこで従来の慣習等も考えまして、メーカーの方の悪用があっていけないということをも押えながら、また慣習、なれ、それは販売上も施用上もそうでありますが、考えなくてはいけませんので、銘柄としては従来のような名前を使った方がいいのじゃないか。ことに配合などは農協が自分でやる特別名もつけてあります。それは必要なことと思っております。そういう意味でありますので、かりに今は複合肥料としておりますが、もっといい名称があればお教えもいただきたいし、さらに広く意見も聞くべきだと思うのであります。定義につきましてはお話通りでございまして、その肥料に応じて定義が明確でなければ取締りもできないわけでありますし、登録もできないわけでございますので、化学的製造にかかる窒素、燐酸、カリの三つの成分のうち二以上を含有する肥料、これは単肥と分けるわけであります。単肥を奨励することは別途加えて、商品としては単肥と分けるわけでございますが、そういう二つ以上の含有肥料を言うものとしてまず一般概念的に押えまして、また試験研究機関、学者の意見を尊重して定めたいと思っております。解釈の問題として明確にしたいと思っております。
  103. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうしますと配合と化成及び各種の化成の中において、粒状とか粉状等については、試験場等の結果は明確なものが出ておるわけですね。
  104. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 ただいま御質問のございました化成肥料あるいは配合肥料を合せて、私ども将来は複合肥料というような単一名称に統一いたしたいと考えておりますが、その中には粉状の形状のものもございますし、また御承知のように造粒をいたしまして粒状をいたしておるのがあり、さらにそれが通常の粒状よりもかたく固形化したものもございます。これらにつきましての肥効の試験につきましては、現在農林省あるいは府県の試験場等で施肥の効果の試験が行われておるわけでありますが、その結果は若干の成果も得ております。こういうことも勘案をいたしまして、複合肥料の中に粒状複合とかあるいは粉状複合というような区分を設けることが、農業の側から施肥選別の上に効果があるということでありますれば、ただいま局長からも答弁がございました通り、試験研究機関、学者等、権威のある方々の御意見も尊重した上で区分をいたして参りたい、こういうふうに考えております。
  105. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると粒状であり粉状であるというようなものの肥効等についてはそう変りはないが、施用七の他のいろいろな便宜もあるだろう、そういう点からいって、同じ複合という名称を使っても、粒状の複合とか粉状の複合とかいう名前を使うことはまだ研究されておるが、そういう名前を使う、こういうことですね。
  106. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 銘柄といたしましては記載してよろしいと思います。その登録肥料の公定規格としましては、たとえて申しますと尿素のようなものあるいは吸湿性のありますものは粒状の方がいいことは、物理的にも化学的にも自然にわかるわけでございますが、今回は規格の中に有害成分の含有量などとともに、粉末度というのが相当取締りを要する事項であると考えておりますので、従来なかったものをも入れたいと思っておりますが、ちょうど粉末度で表わすような意味がおのずから粒状その他にもあるわけでございます。そこでさらに研究を加えまして、法文では「その他の規格」とあります規格において、必要である場合は省令でこれを定めるようにお願いしたい、こういうふうに思っております。
  107. 小川豊明

    小川(豊)委員 それからこの登録について、これは配合の場合はスコップでまぜるようなものまで単位協同組合等でやっておりますね。こういうものが当然複合の肥料となって出てくるだろう、登録もするうになるだろう、そうすると農業団体などでは県の連合会もあり、村の協同組合もあるわけです。こういうものの登録は今度都道府県知事一本になるわけですか。それとも、従来県連等がやっておるのと、単協のやっておるのは違ったようにぼくは解釈しておるが、この点はどうなんですか。
  108. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 農業協同組合は取締り法上、旧法におきましても他の製造業者、販売業者が取り扱いまするものとは差をつけて簡便にいたしてあります。取り締る内容は差がございません。登録制の点について御質問がありました点は単位組合は県知事、連合会は農林大臣ということにしまして、これは従来通りにいたしたいと思っておるわけであります。
  109. 小川豊明

    小川(豊)委員 そこで県の連合会等の場合は農林大臣で単協の場合は都道府県知事だというのであるが、単協の場合は自分の村なり町なりの範囲内だから都道府県知事にし、県連などの場合は県一本になるから、一本に配給するようになるから農林大臣の許可にしなければならない。こういう建前でこれはやっているのか、どういう建前で同じ系統のものを二つに分けたのか、その点をお尋ねしたい。
  110. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 沿革をそのまま申し上げますと、単協と県連の取扱い監督官庁に差をつけましたのは、議員修正でされた沿革があると聞いております。しかしそれにはおのずから理由かあったことでございまして、農林省も当時そういうお考えに立てばその通りが適当と思いますということのようでございました。これはやはり商品価値の問題と流通範囲の点におきましておのずから変えてもいいだろう、ことに消費者団体であると考えられる購買事業を持っておる協同組合は、特にそうであろう、こういうことでありましたが、さらに改正案を出した際に検討いたしました考えは、やはり個々の事業も同様でございますが、設立の認可事業の監督等、農協法におきましても連合会は農林大臣その他は県知事でありますから、いろいろの手続の便宜上におきましても、簡便であって現行制度がいい、こういうふうに考えた次第でございます。
  111. 小川豊明

    小川(豊)委員 それから登録の申請があった場合には、これは一体どのような機関でどのような人がこの適否を認定なさろうとするのか、この点をお伺いしたい。
  112. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 御質問の点は全国地区に分けまして、本省直轄の肥料検査所がございますので、肥料検査所を通じまして本省へその申請が出てくるわけでございますが、その際分析業務は肥料検査所に設備も整えてありますから、また人もおりますので、肥料検査所でいたします。その際本省へ上りました場合に、なお必要だと思われる場合は検査所の意見も聞きまして試験場にさらに頼むこともありますれば、本省の裁量で万全を期した試験をさらにやりまして、栽培試験も行なっていまするから、これは試験場でなくてもやれる。大学を指定する場合もあります。そういうふうにやっております。
  113. 小川豊明

    小川(豊)委員 さっき東亜合成の薬害の問題をお聞きしたのは、こういう登録をすることによって、農村の実態からいって、登録されている肥料によってこうだというので、非常に過信するというが、広告のために惑わされることが出てくる。そういう点を考える場合に、この登録というものは、私どもが考えるのには、消費者の代表も一それから学識経験者といったような形で、あるいは学校、試験場、そういう人も入れた委員会等を作られて、そうしてこの登録というものをきめるようにした方が、あるいは参考にして決定するようにした方がよいのではないか。農林省としてはそういうことを考えるべきではないか、こういうことを私はこの登録に対して考えるわけでありますが、この点について御見解を伺いたいと思います。
  114. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 御指摘の通りであると考えておる次第でございます。肥料取締法はずっと古い法律でありまして、終戦後におきまして現行法改正された法律でございます。その経験にかんがみまして、東亜合成の場合は現在の施設、技術者、分析能力、科学知識から申しますと幼稚であったことには間違いないと思いますが、その事前登録の場合、試験し得ない内容のものであったということでありまして、今後新たに登録を申請する場合は先ほど申し上げました手続によりますが、必ず御示唆のような学識経験者、試験場、学校等も入れまして、実際上それにかけてやっておるわけでございます。配合肥料等につきまして製造過程等を見まして、これは明らかにこうなる理屈だというようなものもあるようでございます。この場合はそのような手続を省略することもありますが、あまり固定機関を設けないで、新規肥料を中心に必ずやる、こういうことでやっていきたいと思っておるのが現状であります。
  115. 小川豊明

    小川(豊)委員 それから有害成分を含有した肥料は譲渡を禁止する、こうなっています。これは私非常にいいと思います。そうすると輸入肥料の場合に、これに対する救済措置というようなものを講じておかなければ、これを禁止してもしようがないと思うのであります。そういうことをあなたの方では考えておられるのかどうか、この点はどうですか。
  116. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 輸入肥料については、これは大体におきまして、国際的に取引をされるような肥料については、含有成分中に許容をされない程度の有害成分があることはほとんどまれであります。また輸入をいたしますについては、輸入のための発注の際に含有成分の保証を付して輸入をいたしますので、その保証は必ずわが国の肥料取締法に合致する程度の保証書を要求するのが取引の慣例になっておるのでございます。従いましてその保証をつけてきたものであれば通常の場合心配はないのでありますが、万一その保証に反することがありますれば、これは当然取引の問題としましてキャンセルをし、その損害は相手方において負うべき性質のものでありますから、別段そういう業者に対する救済のことを考える必要はない、私どもとしてはかように考えております。
  117. 小川豊明

    小川(豊)委員 その点は今の御説明でわかるのですが、私も多分ないだろうとは思います。しかしそんな場合にこれはキャンセルするとか何とかいっても薬害が出てしまうわけです。この点に対する救済措置というものは一応考えておかなければならぬ、こういうふうに考えお尋ねしたわけであります。次にこの容器にいろいろな表示をするようになっております。今までもやっていたんだが、これはかまわないようなものだが、あまり容器に表示をうんと要求すると、今まで肥料というものは大体かますを使っていたものです。最近段ボールとかいろいろな紙の式のものになってきましたが、一方農村からいうと、かますの需要が減退するということは農家の経済の上からいって非常に――ことに農業はだんだん耕作面積が減ってくるし、そうした内職をやらなければならぬ。そういう点で肥料面におけるかますの需要というものは、非常に大きかった。それで、あるところなどは、かますをこれこれ買ってくれればお前さんのところの肥料も買おう、こういうような契約まで出されているわけです。だから、容器にあまり表示をうんとさせていくと、かますの需要がむしろ減退するような結果が出てくるのじゃないか。だからあなたの方では親切心から、こういう点もこういう点もとかますの上に表示させるのでしょうが、結果としては農家にはありがた迷惑で、せっかくのかますさえ売れなくなってくるという結果が出てくるが、こういう点は考えられて、この表示の点を作られておるのかどうか、その点をお伺いしたい。
  118. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 まず第一には、肥料の取締りを通じまして、農業生産及び消費者の利益を考える上において十分に考えたつもりでございますが、法で容器、包装等について規定することを要求するのは比較的少くしまして、任意に書いてもよろしいという分を多くしまして、特に最近全購連が各種肥料を通じまして五割有余の取扱いをなしておりまして、これは非常に有力な全国系統団体でございますし、さらにわら工品の方の生産販売についてはいろいろの問題もありますので、全販連とも十分打ち合せておりますけれども、国会でも論議がありましたことなどにつきまして、農家の所得におけるわら工品の地位とか、肥料に使う地位とか、燃料に使う地位とかについて、関係団体と十分に相談いたしまして遺憾ないようにしたいと思っております。
  119. 小川豊明

    小川(豊)委員 この肥料の取締り、肥料の行政からいくと、肥料の値段をなるべくできる限り安くすることと、肥効を高めるということになってくるわけです。ところが熊本にタバコの問題で、こういう問題が起って騒いでいるのです。これはタバコにはこの肥料を使わなければ等級が下る、こういうことを専売公社の方から組合に言って、そういう肥料を強制的に使わせているという。だから熊本で大へんに問題になっていることを私も教えられたのですが、こういうことは肥料行政の上からいって非常に厄介な問題になってくると思う。タバコのことだから、あなたの方では関係できないと思うし、またタバコの品質にどうだこうだということになってくるからあれだと思うが、この肥料を使わなければ等級が下るんだというようなことは、僕はあるべきはずでないと思う。しかしこれはあなたの方で直接どうすることもできないことですけれども……。
  120. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 お話の点は、私もごく最近、詳細なるデータを付さずして聞きました。タバコは専売公社である、タバコの栽培指導は専売公社である、これは特に許可をいたしておりますが、そういうこととは問題が違いまして、もっと社会一般の社会通念、何省を問わず行政の一般的な常識というものもございますので、特にどの肥料を施肥したことがタバコの品質にどう影響があるかについては、科学的な基準がなければならぬと思うのです。またかりにこれがありましても、他の肥料でそれができないかといえば、それにも必要な基準がなければいけないと思う。結論的には公社がなすべきことじゃないと思います。そういうことは農林省であろうとなかろうと、農業生産を行う農家のことでありましたならば、今調査中でございますが、絶対にやめさせるようにいたすつもりでおります。
  121. 小川豊明

    小川(豊)委員 その点は非常にけっこうだと思うのです。  それからこれは取締法とは関係ありませんが、もう一、二点お尋ねしたいと思います。硫安輸出会社の収益についてですけれども、関連してお尋ねしたいと思いますが、この硫安の輸出の増加は、国内価格を上回る輸出価格によって、硫安会社が昨年の七月に終る第二回の決算には、相当膨大な黒字が出ているわけです。この会社の業績と収益状況をお聞きしたいのですが、これは時間の関係がありますからあとにしてもらって、この状況はいいですけれども、収益をどう処分するのかということです。聞くところによると、会社では赤字の処理を法律通りに行なっていない、こういうことを聞いているので、この点が一点。  それから合理化による硫安生産費の低下はどのくらいになっているのか、この点も聞きたいのです。これは合理化五カ年計画によれば、五カ年にトン当り二千六百円、かます当りで百円くらいの値下げはできるということになっておるわけです。だから毎年かます当りで二十円程度の値下げをすることは当然だと思う。もっとも政府では合理化資金のめんどうは直接は見なかったわけですけれども、金融の緩和によって資金問題は解決しているわけです。従ってことしも少くとも二十円以上の値下げは期待できるものではないか、こういうふうに考えているわけです。十万トンの増産があれば、今度はかます当り十円のコストの低下になるということは、これは常識になっているわけです。最近毎年二十万トンずつ増産されているわけです。しかも国内の価格よりも高い輸出価格で輸出量は伸びているわけです。このことだけでも、硫安の値段はかます当り二十円程度低下していると私は見ている。しかも合理化計画が進められ、各社が多角経営によって総合化学工業を目ざして進んでいる状態の中で、この合理化によってどの程度の生産費が低下したものかということを、これは決定的には言えないと思いますけれども、ここで見解をお聞きしておきたいと思います。
  122. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 輸出会社のことでありますが、これは直接には通産省の監督及び指導になり、根拠法規もできておるのでございますが、事肥料に関しますから、農林省は実際問題としまして通産省に劣らざる内容の調査と、監督上の必要な措置を通産省に対して申し入れる態度でおります。財務状況の結果は、従来二億四千万円ばかり赤字があったと思いますが、三十年度は初めて一億ぐらい黒字になった。従いまして過去の繰り越し欠損金を消しますとまだ欠損でございますので、益金処分の点は出ないと思います。  第二点の合理化と肥料の価格の点でございまするが、御承知の硫安五カ年増産計画設備の増加を中心にいたしまして、当時の計画以上に設備の増加が可能になり、従ってまた生産量の増加も可能になり、生産の増加に伴いまする生産費の低減を生じました中には、尿素とかその他の化学工業を一緒にやっておる事柄の利益も生ずるようになりました。しかし五カ年計画の目標といたしましたトン当り五十ドルにするという目標は、そっちの方の、いわゆるトン当り生産費の合理化を行う点におきましては、設備増加、増産によるものの効果を除いた分の合理化につきましては所期の目的を達しませんで、トン当り五十九ドルくらいにとどまっておるわけであります。それでごく最近新聞にも出しておりますような特別製法による三十何ドル、こういうドイツでしたかイギリスでしたかのものを除きますれば、国際価格に合うようにはなりましたけれども、その点はまた十分なる成果を上げておりません。しかしその設備の合理化と設備の増加と、両者を通じましたものもございますので、全くないわけではございません。特に年々行なっております肥料審議会におきましては、事務当局でもよく検討し、審議会の御審議を経て、量とともに価格、特に生産費原価、こういう点において慎重に取扱っておりますが、本年度も七月、八月までには需給計画及び価格の決定をいたさなければなりませんので、目下各製造会社について、通産省と打ち合せまして私どもの方で検討中でありますので、幾らくらい下るかということにつきましては、その審議会主でお待ちを願いたいと思います。
  123. 小川豊明

    小川(豊)委員 最後に一点春の過燐酸肥料の価格の決定の根拠というようなものをちょっとお尋ねしたいと思います。昨年の十二月二十四日ごろだと思うが、農林省は通産省との話し合いで、春肥のうちの過燐酸石灰の価格を、業者がかます当り五十円値上げを要求したのを、それをけって、秋並みに四百七十円に押えた、このことば私は非常に適切な措置であった、こう考えているのですが、この業者が五十円の値上げを要求した根拠というのは、これは原料の船運賃の値上りによるものであったわけです。政府もその点は認めたようです。この五十円を生産費の切り詰めで吸収させることにしたわけですね。そうすると、この五十円というのはどういう根拠で――生産費の切り詰めで五十円が吸収できるのかどうなのか、この点は政府としてはどう考えておられるのか。ことしも船運賃が上るわけですが、これが過燐酸の価格の決定に対してどう影響してくるか、この点をお尋ねしたいわけです。
  124. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 外航運賃の値上りに伴いまして燐鉱石の入手価格が上りましたことについて、それを中心にしまして、かつまた過燐酸石灰のメーカーは、中に若干大きいものもございますが、非常に中小企業だ、こういうことで、調節ができないので、外航運賃の値上り分は値上げをしてくれという要求がございました。私どもはメーカーと流通関係の業界の耐えられるだけは肥料の値段というものは上げるべからずという原則に立ちまして、これは法令上の措置でございませんが、肥料は事実上そういうふうに扱うのが行政上よろしいと思ってやっておりますが、各メーカーから硫安の措置に準じました原価計算をいただいて、原料費、運賃、労務費、一般経費、その他いろいろ原価計算をしさいに当りました結果、私どもはその原価計算を業者をして納得せしめる上において査定をし、水ぶくれのあるところ、たとえばある会社以上に交際費をたくさん使っておるとか、一般経費が多過ぎるとか、包装料が水増しされておるとか、燐鉱石の水分計算が違うとか、そういう点を当りましたら自然に値下げが可能になりまして、その上に数量も、カリとともに燐鉱石も輸入増をはかっておりますこともありまして、利益の調節もでき、かつまたその関係もありまして、配給段階におきましても、こういうような際には、硫安のような配給マージンにまで切り詰めてもらっても肥料というものは悪くはないのじゃないか、いろいろ事情もあろうけれども、肥料の配給マージンはそうしてもらったらどうだろうというので、業界の代表者とよく話しましたところ、経済局長の意見で、今後正確な原価要素が上った場合は考えてほしいというお話はありましたけれども、この措置をもって、満足ではありませんが、まあやむを得ず承諾するということでございました。そういう理由でございます。
  125. 小川豊明

    小川(豊)委員 そのきめ方はいいと思うのです。ただことしも船運賃が上ってくる、そうすると合理化の中にはもはや吸収できないじゃないかという心配を持つのだが、吸収できるならば非常にけっこうなのだけれども、あなたの方では、合理化によって吸収できる要素がまだあると思われるかどうか。
  126. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 最近におきます欧州航路同盟、いいかえますと、ヨーロッパとアジアの間の運賃を除きましては、穀物、砂糖、石炭等の荷動きが非常にありまして、相当な値上りであります。それも長期に続く予定がございますが、結果において原料ないしは輸入品、言いかえますと、カリとか、特にお話しの燐鉱石でありますが、秋肥、春肥ともにどのくらいの船で持ってこられるかということを総体見ませんといけないのでありますが、かなりの増高であるので、実は苦慮いたしておることはほんとうでございます。しかし先ほども春肥について申し上げましたように、製品の総原価の中で、燐鉱石の費用、その中に含まれる外航運賃のウエートは相当なものでありますけれども、製品生産の総原価について当ってお話し合いをしていきたいと思っておるのでございますので、まだ全く吸収する余地がないわけではないと思います。しかし外航運賃の値上りとの関係については、業界からまず資料を出していただきませんと、きわめて不穏当でございますから、必要ならば合理化の要素を入れてもらうとか、なお積極的な新しい措置政府が講じなければならぬ場合ならば、その措置を講ずるかどうかということを、事が米に対応する肥料でありますから、そう気を弱くしないで、広い範囲措置したいと思っておるのがただいまでございます。
  127. 小川豊明

    小川(豊)委員 委員長に伺いますが、肥料の問題はきょうどうなさるのですか。決定なさるのですか。
  128. 村松久義

    村松委員長 まだ質疑の通告がありますので、後日に回したいと思います。
  129. 小川豊明

    小川(豊)委員 それでは私も、きょうは非常におそくなったからこれで終ります。
  130. 村松久義

    村松委員長 ほかに質疑の通告がございますが、これは後日に回します。     ―――――――――――――
  131. 村松久義

    村松委員長 次に農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたし審査を進めます。御質疑があればこれを許します。
  132. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 ただいま議題となりました農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案は、質疑討論を省略して、直ちに採決されんことの動議を提出いたします。
  133. 村松久義

    村松委員長 ただいまの石田君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認めます。  直ちに採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立〕
  135. 村松久義

    村松委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決定いたしました。  なお委員会報告書の作成については、委員長に御一任を願いたいと思います。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十二分散会      ――――◇―――――