運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-04-10 第24回国会 衆議院 農林水産委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十日(火曜日)    午前十一時開議  出席委員    委員長 村松 久義君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君    理事 芳賀  貢君       足立 篤郎君    安藤  覺君       井出一太郎君    伊東 岩男君       石坂  繁君    大森 玉木君       木村 文男君    楠美 省吾君       小枝 一雄君    鈴木 善幸君       中馬 辰猪君    綱島 正興君       原  捨思君    本名  武君       松浦 東介君    松野 頼三君       赤路 友藏君    淡谷 悠藏君       伊瀬幸太郎君    稲富 稜人君       石田 宥全君    川俣 清音君       神田 大作君    田中幾三郎君       中村 英男君  出席政府委員         農林政務次官  大石 武一君         林野庁長官   石谷 憲男君  委員外出席者         農林事務官         (林野庁林政部         長)      奥原日出男君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 四月四日  委員松田鐵藏辞任につき、その補欠として石  坂繁君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員安藤覚君、楠美省吾君及び中村英男辞任  につき、その補欠として草野一郎平君、加藤鐐  五郎君及び岡本隆一君が議長指名委員に選  任された。 同 日  草野一郎平君及び加藤鐐五郎辞任につき、そ  の補欠として安藤覚君及び楠美省吾君が議長の  指名委員に選任された。 同月九日  岡本隆一辞任につき、その補欠として中村英  男君か議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月六日  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定  措置に関する法律の一部を改正する法律案(笹  山茂太郎君外三名提出衆法第三五号) 同月七日  台風常襲地帯における農林水産業災害防除に  関する特別措置法制定に関する請願外一件(大  坪保雄紹介)(第一八五三号)  富山県の森林雪害対策確立に関する請願(内藤  友明君紹介)(第一八七一号)  浜名湖庄内村地先水面干拓工事反対に関する  請願長谷川保紹介)(第一八九三号)  種市漁港修築に関する請願鈴木善幸紹介)  (第一九一九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  森林開発公団法案内閣提出第一四五号)     —————————————
  2. 村松久義

    村松委員長 これより会議を開きます。  森林開発公団法案を議題といたし、審査を進めます。質疑を続けます。伊瀬幸太郎君。
  3. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 淡谷委員から前会も森林開発法案についていろいろと質問なさったのでありますが、なお私もこの問題に対して二、三の質問をいたしたいのでございます。  本法案開発資金について、余剰農産物見返り資金開発事業に使用されるのでありますが、余剰農産物政府長期に受け入れられるような計画でなければ、本事業は遂行できないと思います。すでに昨年度においては愛知用水公団とか、あるいは機械開墾公団等事業で、五ヵ年計画にわたって見返り資金を使用することになっておりますが、今またこの森林開発公団によって本事業が遂行されることになりますと、一体政府余剰農産物長期輸入せられる方針であるかどうか、これをまず伺いたいと思います。
  4. 大石武一

    大石(武)政府委員 お答え申し上げます。余剰農産物わが国農民の生活なり、農業を圧迫しないような方式において、できるだけ長期に、わが国食糧不足を補う分において入れたいと念願いたしております。
  5. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 余剰農産物農民を圧迫しないような方法で、できるだけ長期にわたって輸入する、こういうことでございますが、実際余剰農産物を受け入れたならば、農民現実に困る。困らぬようにして受け入れるというのは、一体どういうことなんでございましょうか。
  6. 大石武一

    大石(武)政府委員 御承知のように、現在わが国では食糧が足りませんので、数百万トン輸入している状態でございます。その範囲内において、また今までは条件も多少つけられたこともございますか、これからはますますわれわれの方としても発言力が強くなって参りますので、条件などできるだけ緩和いたしまして、これをつけられないようにして、買手市場として、わが方の立場なり発言力を強力にして、受け入れたいと考えております。
  7. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 余剰農産物が受け入れられることによって、今農村は、たとえば麦価の問題、小麦の問題、こういうもので農民は困っている。だから現実日本食糧不足であるというならば、日本農民によって食糧を増産して解決するような方途を講ぜずに、アメリカ余剰農産物によってこの不足を補う、そういう方針でございましょうか。
  8. 大石武一

    大石(武)政府委員 もちろん食糧は、わが国で自給できるだけの食糧は作りたいと念願いたしておりますけれども、御承知のように、急速に自給できるだけの態勢はできておりません。良種増産の五ヵ年計画を立てまして、でき得る限り食糧を増産する方針でごさいますが、年々ふえる人口その他を考慮いたしますと、やはり五年後の五ヵ年計画完成後においても、現在の輸入量はふやさないけれども輸入量はあまり減らないような見通しになっているわけであります。こんなわけで、相当食糧を今後も当分の間入れなければならない状態でございますので、一応その範囲内において、ことにアメリカから入って参ります余剰農産物は、わが国食糧不足のおそらく何分にしか当らない、あまり多いものでございませんので、その範囲内においてこれを受け入れて参りたいと念願する次第でございます。
  9. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 昨年計画された愛知用水公団機械開墾公団というような事業相当資金が必要とされているのに、さらに森林開発公団ということになると、だんだん末広がりになりまして、ますます余剰農産物を受け入れなければ、その資金によってやらなければならぬということになると、従って日本農民への圧迫ということは必然的だと思うのでございますが、そういうような見通しはどういうようにされいるか。
  10. 大石武一

    大石(武)政府委員 伊瀬委員の御心配はごもっともであります。われわれといたしましても、余剰農産物を今後も受け入れて参りますには、十分に、先ほどからくどく申し上げましたように、農民負担にならないように、日本農業を圧迫しないようにというこを十分に考慮いたしまして、受け入態勢を万全に整えて参りたいと念願る次第でございます。
  11. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 それではまず、とりあえず明年度における余剰農産物輸入がすでに考えられていなければならぬと思うのですが、米国との交渉がこの夏にはもう行われなければならぬと思うのですが、そうすると明年度はどのくらいの程度の条件で受け入れられる用意があるか、これを具体的に一つお聞かせを願いたい。
  12. 大石武一

    大石(武)政府委員 まだ具体的な内容はできておりません。ただ今までのよりももっと有利な条件で持っていきたいということは、念願いたしております。
  13. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 余剰農産物見返り資金が期待されなかった場合、資金運用部資金に仰がねばならぬということになるのでございますが、そういうような優先的に使用されるというような考えはあるのであるか。
  14. 大石武一

    大石(武)政府委員 御承知のように、この森林開発資金というものは低利長期にわたるものでなければできないわけでございます。従いまして、できるだけ見返り円資金のような低利長期のものを使いたいという方針でございます。来年度は確かに受け入れると考えますので、一応来年度まで受け入れにおいて、大体根本的な計画を遂行し終るようにという方針を立てて考えているわけでございます。
  15. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 できるだけ低利資金というお考えですが、たとえば受益者森林所有者のような人によって、建設公債というようなものを発行されるようなお考えがあるかないか。
  16. 大石武一

    大石(武)政府委員 今のところはそういう考えはございません。実はこの法案を作る過程におきましてはいろいろなことが議論されました。そしてやはり山林所有者から相当の出資をさしたらどうかということもいろいろ考えたのでございますが、結局このようなところに落ち着いたわけでございます。
  17. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 前会に淡谷委員から質問されたので、大体の全貌は明らかにされたのでございますが、最初計画は六ヵ年計画で六十億というようになっておったのが、三ヵ年にして三十億に変更された。このように事業が半減されましたならば、たとえば三年で打ち切ったとしたならば、その事業が中途半端に終るようなことになりはせぬか、こういうことが非常に案じられるのでございますが、その点の見通しはどういうことになるのですか。かりに三年で終りまして、さらに三年の三十億が獲得できればよろしいのですが、それができなかった場合に、一体もうそれではっきり打ち切られるのか、その点具体的な御計画を持っておられるかどうか。
  18. 大石武一

    大石(武)政府委員 この森林開発事業が取り上げられまして、熊野川流域を御視察を仰いだりいたしまして御相談申し上げましたときにおきましては、やはりただいまおっしゃった通りの、六年間六十億という資金によって開発をするという一応の計画でございましたか、その後いろいろの経緯がございまして、とりあえず三年間で三十億という資金を投入いたしまして、根本的な事業の完遂を見て、その残り三ヵ年で二十億余りの金を投じまして、考えられます全体の計画を終えたいという方針に変ったわけでございます。従いまして三年間で三十億の資金を投入いたしますれば相当開発ができまして、われわれの考えております基本的な分は大体完了するという一応の計画を立てております。なお詳しい計画につきましては林野庁長官にお答えいたさせます。
  19. 石谷憲男

    石谷政府委員 私どもといたしましては、あの二つ流域全面開発というものを計画的に進めて参りたい、こういう考え方は依然として持っておるわけでございますが、ただし資金等見通しにつきまして、きわめて安全に見通しがつけ得られるという段階のものを、ひとまず三十億ということに予定をいたしたわけでございます。それで三十億の資金を投入いたしました場合に、その開発効果というものは一体上るかどうかという問題でございますか、ただいま政務次官から御説明のありましたように、基幹的な部分開発路線は完了いたします。すなわち受益面積の大小にかかわりませず、この三十億の資金投下によりまして開発される路線からさらに支線を分岐いたしませんと、十分な経済効果が期待できないといったようなものに対します場合の支線予定のごときものは、この三十億からは除外されております。但し骨になる部分だけは入るわけであります。  それからこの流域には電源開発の問題があるわけでありますが、電源開発につきましては、まだ実施のスケジュールが具体的にきまっておらぬようであります。従いまして電源開発の関係において関連して開発をしなければならないといったような路線につきましては、この計画から除外をいたしております。それからこの開設予定路線のもととなるような県道のようなものがあるわけでありますが、こういったものが改修をされませんと開発いたしました路線効果が上って参らないというような場合におきましても、この計画からひとまず落しておる、こういうことでございます。そこで、そういう関連する具体的な計画のないものを除きまして、基幹となるものの開設は、大体これだけでもって終るということに相なるだろうかと思います。従いましてこの三年間を経過いたしました暁におきましては、当然電源開発関連において新しく開発しなければならぬという問題も出て参りますし、あるいは県道等改修が進められまして、これとの関連において次の開発考えなければならぬといったような問題も出て参ります。そのとき新しい資金見通しというものを得まして、いわゆる完全開発の目標を達成する、こういうふうな二段構えの考え方で進んでおります。かりに万々一この三ヵ年計画の三十億の資金の投入によりまして、いかようにいたしましてもひとまずこの事業を打ち切らなければならないというような最悪の事態に到達いたしました場合におきましても、その限りの意味ははっきりと打ち出しができるというように考えておるのであります。
  20. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 これはなかなか重要な問題でして、かりに六年の見通しが持てないから三年で打ち切るというようなことになると、この間お尋ねしたような、公団ということに対して私ども考えなければならぬと思うのであります。最初六年間ということであったがために公団でやる計画がよかろうというように私ども考えたのですが、かりに三年でこの資金が打ち切られるとして、あとこれに対する受益者負担徴収とか林道使用料徴収というような問題を一体公団でやられるか、あるいはまたそれを府県委託なさるかというような問題も出てくると思うのです。はっきり六年でやるという見通しであるならばとにかく、今の長官お話を聞いておっても、それがどうも納得できぬような短期の三ヵ年、こういうふうにわれわれは了承しなければならぬのですが、そういうことになると、これに対して公団それ自体に対する考え方もやはり持たなければならぬと思う。最初計画なさったときには、たとえば林野庁特別会計でなさるというような考え方、あるいはまた県に委嘱されるというようないろいろな考え方があったが、なぜ公団方式ということに決定なさったか、そのいきさつをできるだけ詳しくお聞かせ願いたいと思います。
  21. 石谷憲男

    石谷政府委員 その点でございますが、この公団方式に最終的にとりきめまして提案をいたします段階までの経過のあらましを御説明申し上げます。現在ありますものを使ってただちに事業実施ということに移って参ります場合と、それから何はともあれ新しいものを作ってやって参ります場合と二方式考えられるわけでございます。そこでたまたま林野庁におきましては、国有林野事業特別会計という国有林野事業実施機関がございますので、これを使いましてただちにこの地域開発をやったらいいじゃないか、もちろん資金につきましてはこの資金を使ってやったらいいじゃないか、こういう考え方一つあったのでございます。そこで私どもといたしましては、一番簡便な方法でもあろうかということでいろいろ検討いたしたのでございますが、御承知のようにこの両地域におきましては、今まで国有林野事業というものはほとんどございません。従いましてかりに現在の国有林野事業組織を使うといたしましても、この二つ地域に限りましては新しいものを開設するということに相なることはやむを得ないことでございます。ほとんどが民有林の占める地域でございまして、国有林というものはないわけであります。そういう点から申しますと、既存の機関をそのまま使うと申しましても、実態的には現地機関としては新しいものを作らなければならぬということに相なるわけであります。それから現在国有林野事業特別会計におきましては、いわゆる歳計剰余金内部保留を実は若干持っておるわけであります。そこでそういうものを持っておるにもかかわらず、なぜ低利といいながら利息のつく金を借りて国有林野事業として開発をしなければならぬかということにつきましては、非常な問題があるわけであります。むしろ現在国有林野事業の中に保留されておる金を使ってやったらいいじゃないか、こういうことになるわけであります。ところがこの金でございますが、これはいわば当面の事業をやって参ります運転資金等のために始終出入りをいたしておる金でございまして、現在の状況からいたしまして、相当長い期間にわたって固定をいたしますこの種の事業にこの資金をそのまま投下するということは、なかなか困難だというようなことに実は相なってくるわけであります。それから大体民有林地帯開発でございますので、そこに現在国有林機関ができて参りましていろいろやって参るということになりますと、特に事業に親しみがなかっただけに、地方的な問題も必ずしもなくはないという心配相当いたしたのでございます。現在林野事業におきましては、全額国地方負担してやって参ります直轄事業、治山といっておる事業がございますが、これを国有林野事業委託をしてやっておるわけであります。こういった経験に徴しましても、なかなかそこにスムーズな事業の進歩が期待し得ないといったような面も出て参っておりますので、あえてそのような愚を繰り返さない方がいいのじゃないかということが、実は林野事業特別会計を使わないでやっていくということにいたした第一の理由でございます。  そこで新しいものを作るということになりますと、いわゆる公団のようなものを作りますか、あるいは森林開発特別会計という全く別個な新しい特別会計を作るか、こういうことになってくると思います。そこで後者の森林開発特別会計を作る場合におきましては、これはあくまでも国の機関でございますが、そこでそういう特別会計を作りまして、しかも現地実施機関といたしましては、同じように国有林野事業の出先を使うといういわゆる委託方式があると思います。ところがこれは先ほど申し上げましたような場合と同じことになりますので、これはやはりとれない。そうすると、結局森林開発特別会計を作りまして、県に全面委託するか、あるいは公団を作りまして、いわゆる直営方式をとるかということになったわけであります。  そこで県に全面委託の場合でございますが、先回も伊瀬先生の御質問のときにちょっと申し上げたかと思いますけれども、今まで県におきましては、林道開設仕事につきましては、相当経験もございますので、やはり設計能力等についてもそう大きく欠けるところはないと思いますが、造林の場合におきましては、いわゆる指導行政ばかりやっておりまして、造林を実際に行なったという経験のある技術者がおりません。そういう点で、林道とともに造林を取り上げております点よりいたしましては、県に事業の全体を委託するということはその点で問題がある。  それから、最近の地方財政事情等の点からいたしますと、多額の資金を一ときに委託という形によりまして県に渡すということについて、不安な点も実はあるわけであります。同時に、実際と事業実施して参ります場合の請負者の選定の場合等につきましても、従来私ども相当規模仕事をやって参りました経験に徴しますと、県に全面的に委任して、県知事の責任においてやって参るということの中にも、若干の不安がある。その反面におきまして、たとえば賦課金徴収でありますとか、あるいは地元に対します協力でありますとかいったような機関といたしましては、県が非常に役立つわけであります。そこで私どもといたしましては、県のすぐれた経験と、それからいわゆる国有林野事業現地におけるさまざまな事業に対する長い経験といったようなものが同時的に生かされる方法といたしましては、県、国有林の双方の協力のもとに要員の供出もできるし、事業の推進も考えられるような現地機関を作るのが、やはり一番よいのじゃないかといったような考え方を、実は最後的にとることにいたしたのであります。そういうことになりますと、やはり公団運営方式にならざるを得ない。従いまして、最上唯一の案というのじゃございませんけれども、比較的いい案としてそういうことに落ちついたということでございます。
  22. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 公団方式が一番いいというような意見に到達したようでございますが、私ども公団方式にはいろいろの批判を聞いているのです。たとえば、公団に対しては民間人理事者を入れても、重要なポストは全部農林省の役人が横すべりをしておるという事実があるのでございますが、そういうような官僚人事という弊害が露骨に現われてきているのじゃないかと思うのです。現在農林省部課長公団幹部になっておられる人数並びに俸給、手当というのは、どういうふうになっているのか、一つ具体的にお示しを願いたいと思います。  それからもう一つ公団方式にかりになりまして、これが三年先、あるいはその資金見通しがついて六年先で、野業が完成されたときには、本公団は廃止されるか、それとも存続されていく見通しか、その点明らかにしていただきたいと思います。
  23. 石谷憲男

    石谷政府委員 先に御質問にありました、現在あります公団にかつての農林省職員がどれだけ出ておって、その俸給がどれくらいかということにつきましては、現在詳細な資料を持ち合せておりませんので、いずれ後刻取り調べいたしまして申し上げます。ただ本公団におきましても、職員等の場合におきまして、現在農林省職員であります者あるいは府県庁職員であります者が公団職員として出て参ります場合におきましては、大体現在の俸給よりも一割五分ぐらい高目俸給で出て参るような計算を一応いたしておるわけであります。  次に公団存続期間の問題でございますが、一応林道の場合におきまして、受益者負担金を十五年にわたりまして分割徴収するわけでございます。もちろんそのうち二年間だけは据え置きになっております。それから造林の場合におきましては、一年間据え置きまして、残りの十五年間に分割納入をするようになっております。そこで一応徴収事務林道造林を通じまして十六年間は続くわけでございます。一応最小限度この期間までは続けなければならぬ、かように考えておるわけであります。ただし、ただいまのお話のように、今申し上げましたのは一応三年間という事柄を前提にいたした場合の計算でございます。従いましてその後さらに仕事完全開発を目ざしまして伸びて参る場合につきましては、それに応じまして公団存続期間も当然延びてくることに相なると思います。  さらにこれを先々の一つの問題と思うのでございますが、たまたま剣山と熊野川流域に問題をしぼって開発考えておるわけでございます。まだまだ全国的には他地域にも同種の未開発林がございます。こういうものにつきましても、将来の問題としては、こういった方式でやはり開発を進めていく、できるだけ短期間開発が終るように進めて参りたい、こういうことを考えておりますので、かりにそういうふうな事業が主体で取り上って参るというようなことになりますと、それもまた将来の公団存続を決定する大きな要因になって参る、こういうことを私ども考えておるわけであります。
  24. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 そうすると本事業が三年とかあるいは六年で完了した後も、なお公団存続していく、たとえば他に新しい開発地域がまだ十数ヵ所もある、こういうようなものが全部完了するまでこれが存続していくというようなお考えですか。私はまた三年や六年の短期事業が完了するならば、完了した後における維持費徴収というようなものは、当然県に委託される方がいいと思うのですが、そういうお考えは今お持ちじゃないですか。
  25. 石谷憲男

    石谷政府委員 一応この段階考えておりますのは、先ほど御説明申し上げましたように、十七ヵ年間は存続するということでございまして、その間におきまして林道開発並びに造林の主たる大規模事業というものが終るわけでございますが、その後はやはり林道維持修繕あるいは災害の場合の復旧造林の場合の保育、あるいは負担金徴収、こういうふうな事務はずっと引き続き残るわけでございまして、極力公団組織内容を簡素化いたしまして、ひとまず十七年間はこの公団存続さして一応植林を達したい、かような考え方を持っております。
  26. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 そういうことになると、十七年間は存続するというお考えですね。地元負担金の問題とか利用料の問題とかいうような問題は、私は公団徴収するよりも、府県委託なさった方がスムーズにいくのじゃないかと思うのですが、そういうようなお考えはどうですか。
  27. 石谷憲男

    石谷政府委員 必ずしもスムーズにいかないという結論も実は得ておりませんけれども相当程度の仕事というものがございますので、一まず開発が終りました以降も、組織を簡素化いたしまして、一応最後までこの組織でやっていきたい、かように考えております。
  28. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 林野庁長官はそういうような、公団でやられる方がいいというような安易な考えでおられるように思うのですが、これは地元負担金というような問題になると、相当問題が起ると思うのです。われわれこの間現地調査で地元へ行って聞いても、地元の受け入れというのはきわめて安易な考えで、これは全部国でやってくれるんだ、あるいは県が一割さえ持てばいいんだ、そのほかは全部国でやってくれるんだからというような、受け入れ側はきわめて安易な考えでやっているように思うのです。ところが実際受益者が三八%負担ということになると、吉野郡の下北山とか上北山というような村有林がたくさんある。そういうようなものがそういう長期にわたる負担金が耐えられるかどうかという問題もある、実際問題として。だからこれはよほど十分の了解と納得がなかったら、できないことだと思うのですが、その点の見通しはどういうふうに持っておられますか。
  29. 石谷憲男

    石谷政府委員 お説のように、当初地元におきましては、非常にあやふやな気持が強かったように私ども考えております。従いまして、この案を固めて参る段階におきましては、そのつど地元の方にも連絡いたしまして、その辺のことを十分に話し合いをしつつ進めて参ったわけであります。いよいよ最後になって、地元のおも立った人の参集を願い、当方からも人が出まして十分こういうことでやっていくんだ、従って皆さんの負担はこういうことになるんだということについて、実はとくと相談をいたしておるわけであります。
  30. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 そのお話ですが、地元はきわめて安易な考えです。森林公団と国とで何とかなるだろうというような考えです。むろん大森林所有者というような人は、これができるんです。ところが零細な村有林ということになると、村民の負担になるわけなんです。こういうようなものを地元で十分納得させておかなければ、こういう十七ヵ年間という長期にわたる負担金というものは、よく徴収できないように思うのです。その点で私は県にそういうものは委託なさるのがいいと思うのです。これが二年や三年であればいいのです。長期にわたるものだから、この際特に私はそういうことが案じられるので、そういう負担能力をよく勘案してやらなければならぬ問題だ、こう思うのです。この点に対してどういうようなお考えですか。
  31. 石谷憲男

    石谷政府委員 私どもは三八%の受益者負担必ずしも低くはないと思うのでありますが、一般の公共事業等の場合に比較して、これまた決して過大でもございません。従って、やはりこの開発を進めて参ります以上は、平均三八%の地元受益者負担はしてもらわなければならないということに基いて、地元のそれぞれの関係者によく相談をいたしております。従って、こういうような方針でやって参ることにつきましても、最近は県も十分に了解をしてくれまして、私どもと一緒になって地元の話し合いに加わってくれておる、こういう状況であります。
  32. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 地元との十分な了解とおっしゃるが、これはまだ十分な了解がどうなっているかわからぬと思う。さっきも申したように、三八%というものは実際大きな人はできますが、たとえば造林五割とか林道三割の地元負担というようなことは、なかなか大へんなことだと思うのです。この点は県の方と十分の了解が必要だし、県だけじゃなしに、地元の町村でも問題になる。特にこの際聞いておきたいと思うことは、受益者のうちでも大きな所有者と、それからさっき申し上げましたような小さい村有林の負担との問題、これを区別して賦課するような方法をお考えでないかどうか。これは一律に受益者負担というようにお考えになっておるのですか。大所有者と小所有者との間に、何らかの差をつけられるような御意思があるかないか、承わりたいと思います。
  33. 石谷憲男

    石谷政府委員 現在私ども考えておりますところでは、土地だけ所有しておるものにつきましては、大体二町歩未満のものにつきましては受益者負担をかけない、除外して考える。それから立木をあわせて持っておられるような場合におきましては、薪炭林の場合、一町歩未満の所有者に対しましては、これも受益者負担をかけない、こういうことを実は考えております。従いまして残余のものにつきましては、一応事業費の三八%相当額の受益者負担というものが按分してかけられて参るということでございますが、その按分の仕方につきましては、できるだけ妥当な方式をとって参りたいというように考えておるわけでございます。
  34. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 私はこれについて相当大所有者に対する考えを改めてもらわなければならぬと思う。小さい人も同じように負担させられるということになると、村有林は負担に耐えられなくなると思う。大体率直に言うならば、余剰農産物によって農民は困っておる。奈良県民としても一割の負担金は県税でせなければならぬ。三割八分は村でやらなければならぬ。そうして利益者は大きな山林である。この間から奈良県において大きな問題になっておるのは、森林伐採税の問題です。これは林野庁長官にお聞きするのはどうかと思うのですが、奈良県あたりではもっぱら林野庁長官が自治庁に働きかけ、大蔵省に働きかけておるといううわさが出ておるのです。お聞きになったと思う。二千万円の森林伐採税を知事が条例を出してとろうとした。そのときに驚いたのは森連です。奈良県森林連台会が働きかけて中央へ、林野庁あたりに参って、そういうことで税金をとられるというなら、せっかく植林をやりかけておるのに頓挫するからこういうことをやめようというので、県が提案した条例を撤回したという事実がある。これは森林政策上おもしろくないというような考え方で、林野庁あたりか動いたといううわさがあるんですか、この際一つ明らかにしてもらいたい。たった二千万円の税金ですよ。それに対して大所有者が動いて、知事がとろうとして提案しておるのを撤回させたという事実です。これは奈良県においては大きな問題になっている。奈良県民の犠牲において森林開発公団をやろうとするのに、このたった二千万円やそこらの税金をとらさぬようにした。奈良県の林務部長もこのことについて非常に憤慨してるんです。この際その真相を明らかにしてもらいたい。
  35. 石谷憲男

    石谷政府委員 まず負担の問題でございますが、大体土地一に対しまして、立木九というような負担割合になると思います。土地の場合につきましては、いわゆる固定資産税の課税対象となる土地の評価額というものによりまして按分していくというのが、一番公正じゃなかろうか、こう考えております。それから立木竹の場合でございますが、これはやはり立木竹の樹種によりまして非常に価値が違うわけでございます。それから林齢によりまして非常に価値が違って参ります。従いまして、そういった要素をとり入れまして、やはり負担力のある者にはよけいに負担をしてもらおう。負担力のない者にはよけいの負担をかけないようにしよう。こういうやり方で実はこの負担考えておるようなわけであります。従いまして、内容のいい大規模森林所有者に対しましては、その負担のできる限度に大きく負担をしてもらう、内容の比較的悪い山を持っておられる、しかも小面積の森林所有者につきましては、その限度に応ずる負担考えていこう、こういったような考え方でありまして、一律一体面積割りというような非合理な考え方を全然とっておらぬわけであります。  次に、奈良県で最近にございました立木伐採税の問題でございますが、ただいま私が動きまして自治庁、大蔵省と話をしたというように伝わっておるということでございますが、そういう事実はございません。ただし、私どもといたしましては、この奈良県で行われようといたしました立木伐採税につきましては、原則的に、しかもこの段階では賛成はいたしておりません。と申しますことは、御承知のように現在木材引取税というものがあるのでございますが、この木材引取税の撤廃問題が実は一つ当面の問題として取り上げられでおります。これは御承知のように流通税でございまして、そのときどきの経済情勢によりましては、いわゆる木材の取引業者にかかるべきものが森林所有者に転嫁されましたり、あるいは木材の需要者、消費者に転嫁される、いわゆる課税対象がしょっちゅう動くというような性格を持っておるわけであります。そこでそういうものがありながら、さらにここに立木伐採税が取られるということになりますと、明らかに課税対象というものが二重になるという懸念も実は現実の問題としてははっきりあるわけでございます。この立木伐採税の負担者というものが果して森林所有者であるのか、あるいは森林所有者から立木のまま買い受けましたいわゆる伐木造材業者、木材業者というものであるのか、なかなかその辺もデリケートでございますが、しかし税金の建前からいたしますと、おそらく買い受けまして、それを伐採する、その伐採石数に対しまして、そのときの価格の大体三%程度のものを徴税しよう、こういうことの考えのようでございます。そういたしますと多くの場合、木材引取税と二重の課税に相なるという危険が非常にあるということと、それから現在この造林補助等を相当多額に出しまして、もっぱら植林を大幅に進めておるといったようなこと等から考えますと、現在直ちに奈良県で、県単独でこの問題をお取り上げになるということについては賛意を表しかねるという考え方は、私どもは現在でも持っておるわけであります。ただし、県財政の上からいたしましても、二千万円相当額のものが収入欠陥になるということでございますので、それに対しましてはやはり林業団体の負担においてこれと相当額のものを一つ生み出して、そうして補てんをして参るということの考え方につきましては、私どももこれを了承しておるわけであります。  以上のようなことであります。
  36. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 木材引取税のあることは承知しておりますが、引取税というのは木材業者が負担するのですよ。これは森林業者が負担するものではない。その木材引取税というのは町村税です。今度知事がやろうとしたのは県税なんです。しかもそれはやはり森林所有者が伐採したときに支払うので、これは当然だと思うのです。かりに引取祝と伐採税と二つありましても、何らこれは不思議じゃないと私は思うのです。これは一方は町村税であり、かりにまた引取税が廃止された場合に、町村と県との配分方法さえ考えれば、こういうことは何でもないと思う。ところが森林所有者というのは、奈良県においては全国的に有名な大所有者であって、思うように奈良県政を左右する。だから、二千万円の税金のかわりに寄付金なら出そうととうようなことは、私らからいいますならば、寄付金なんか受ける必要はない。しかも、伐採したら当然支払うべきところの義務を持っているところの所有者が、ことさらにそういう反対運動をやったというようなことは、この森林公団のやり方についても私ども考えなければならぬ問題だと思う。従って、林野庁長官あたりが、そういうような寄付金ならいいが、税金でそういうものを取っては困るというような意見を言うことは、これはけしからぬ意見だと思う。あなた方が当然出すべきものだというような考え方で、一つ全森連あたりに指導してもらわなければ困ると思うのです。この際私どもははっきりとただしておきたいと思うのですが、植林があって、しかもそれを伐採したときの税金を脱税するというような考え方は、この際はっきり改めさせる必要があると思うのですが、その点に対してどういうようなお考えですか。
  37. 石谷憲男

    石谷政府委員 もちろん脱税をしようというような考え方は厳然として改めさせるべきものでありますが、ただいま申し上げましたように、木材引取税との関連におきまする課税の対象が二重になるというような懸念が一つありますことと、もう一点は、私どもがこの段階においてこの課税につきましての反対意見を表明しております一つの大きな原因は、要するに現在進めております造林の進め方との問題でございます。御承知のように、大森林所有者の場合でございましても、林業の利回りといろものは非常に低い関係をもちまして、なかなか資本が林業の面に回って参らないということは依然としてあるわけであります。従いまして、一応五分五厘の利回りを保証するというような考え方に立ちまして、足らない部分を苗木相当額というような考え方で現在の補助金を交付しておるのであります。従いまして、伐採をいたしましたあとに造林をする場合には、平均国三割、地方一割の、四割の補助金をもって造林を進めていくという、この進め方との関連性におきまして、二重課税になるような懸念のある税金を特に奈良県だけについて認めようということについて実は反対を表明している、こういうことでございます。
  38. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 それから本計画の当初に、六十億借り入れをするという計画になって、四十五年間の償還額は百二十五億、その負担関係は、国が三十一億、県が十億、地元が八十八億で、四十五年後の年間利益は六億五千万円にすぎぬと書かれたものがあるのですが、そういうようなものが出ているのですか。これはどういうようなことでこういうものを書かれたか、この辺の事情を一つ明確にしてもらいたい。
  39. 石谷憲男

    石谷政府委員 当初の考え方といたしましては、いわゆる資金の確保見通しというものを度外視したわけではございませんが、非常に不安定なままに森林完全開発を目標といたしました場合の資金の投下量は約六十億ということに相なる。それから林道と同時に造林を取り上げて参りました場合のいわゆる造林の消化方式でございますが、これは伐期における分収という方式、そういうことで実は計算したわけであります。同時にただいまの数字でございますが、そういう意味におきましては、国六割、府県一割、地元三割という従来の公共事業費のままそのままで一応計算してみたものがただいまの資料であると思っております。
  40. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 最後にお伺いしたのですが、林道の維持管理費ですね。これを利用者から徴収するということになっているのですが、直接利益を受ける所有者が負担すべきではないかと考えるのでありますが、いかがでしょう。
  41. 石谷憲男

    石谷政府委員 もちろん利益を受けます森林所有者が、みずから伐採して搬出をするといった場合におきましては、業者と同一になるわけでございますが、多くの場合立木のまま売るということに相なりますので、やはり所有者が負担するということになります。
  42. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 これは路線の決定というのははっきりできておりますか。できておれば路線の決定されたのを明確に一つお示し願いたい。
  43. 石谷憲男

    石谷政府委員 決して決定というものではございませんけれども、大体これくらいの路線考えられるのじゃないかというものは、一応この表の中にも掲示してあります。
  44. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 その決定に際して、当初決定されたのが、相当山林所有者の働きかけによって計画路線が次々に変更されているというような事実があるというのだが、一体どういうことなんですか。
  45. 石谷憲男

    石谷政府委員 そういうことは絶対ございません。
  46. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 それでは今大体決定された路線をはっきりここへ示してほしい。
  47. 石谷憲男

    石谷政府委員 差し上げております参考資料の八十八ページをごらんいただきますと、大体熊野関係の奈良県分、一枚おきまして熊野川関係の和歌山県分、三重県分、それから剣山周辺地域のものということで、ここに掲示いたしております。大体そういったところが路線として選ばれるであろうと考えておるわけであります。
  48. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 この配付された資料ですが、林道事業路線計画表、これは六年間による計画ですか。
  49. 石谷憲男

    石谷政府委員 三年間のものでございます。
  50. 淡谷悠藏

    淡谷委員 関連して。これは政務次官にお聞きしたいのですが、今の長官の御答弁で、公団が十七ヵ年間存続する、こういう御答弁でございましたが、この前の次官の御答弁で、大体余剰農産物見返り資金を使うのは三ヵ年、そうしますとこの公団に限らず、余剰農産物見返り資金と関係なしに公団はおやりになっておるのかどうかということが一点。  それからもう一点は、この公団が大きな計画が終ったあとに、事後処置のために長年間存続いたしますと、公団の経費並びに機構が非常に煩瑣になりむだになる。従って公団の運営については、かりに余剰農産物の受入資金を使ってしまったあとに存続するといたしましたならば、思い切って簡素化するか、あるいは機構改革を行うか、こういうことをはっきりお考えになっておるかどうか。このまま存続するならばいたずらに公団がたくさんできまして、いろいろな経費と機構の複雑化を来すと思いますが、その点についてのお考えを聞きたい。
  51. 大石武一

    大石(武)政府委員 お答えいたします。これは六ヵ年の予想でできたわけでございますが、やむを得ない場合は二ヵ年で打ち切りましても、その事業の根本的なものは完成できますし、それから公団の経費につきましても、決して赤字にならないという方針でおるわけであります。それからもしかりに三ヵ年で打ち切られました場合には、その後十七年間続きます公団につきましては、徹底的に簡素化して参りまして、冗費は一切省くという方針であります。
  52. 村松久義

  53. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 時間が迫ったようですから、伊瀬君の質問と重複しないように質問いたしたいと思います。農林省の発表によりますと、わが国における木材の需要数量は、年間二億六千万石、その約八割が現在のわが国における森林から伐採される数量である。その他は不足しておるわけでありまして、今日の状態においては、非常に乱伐過伐によって、将来の木材の需給関係が非常に憂慮される現状にあるところからこの法案を出されたということに相なっておるのであります。そういたしますると、その不足分は現在どういう状態によってまかなわれておるか。たとえば外材の輸入状況はどうであるかということ、それから日本の木材の需給関係に照らして、政府は外材の輸入に対していかなる見解もしくは方針を持っておられるか、伺っておきたい。
  54. 大石武一

    大石(武)政府委員 お答えいたします。木材の年間の需要量というものを算定いたしますことは非常にむずかしいものでございます。非常にむずかしいものでございますが、ここに出ておるのは大体の見当でございます。現実においてわが国におきましては、需要量よりも供給量の方が少い現状でございますので、輸入その他いろいろ方式がございますけれども、事実生長量をこえ、伐採量の方がよけいに進んでおるのが現状であろうと思います。そのことにつきまして、輸入量なんかについて問題がございますが、詳しいことは林野庁長官に答えさせたいと思います。
  55. 石谷憲男

    石谷政府委員 お説の通り、国内的に考えますと、資源とそれから現在の需給状態というものは、非常にアンバランスになっておるわけでございます。それで面積におきまして約六割、蓄積におきまして約四割というものがいわゆる林道開発の終っております森林であります。ところが面積におきまして約四割、立木の蓄積におきまして約六割というものが林道が伸びないままに実は死蔵されておる資源、こういつたような状況にあるわけであります。そこで必要なものは、要するに林道のついております既開発地域に伐採が集中いたしまして、そうして当面の需要量をまかなっておるというのが現状であります。従いまして三十年度末におきましても、いわゆる既開発林の正常な伐採量に対しましては約三倍ほど、二八五%の伐採が行われておるということでございます。従いまして、そういう関係が正規な姿にだんだん近づいていくということのためには、非常に問題が多いわけであります。そこで私どもといたしましては、極力外材の輸入をはかるということにつきましては、終戦以来の一貫した方針でございます。同時に木材に関する限り、できるだけ高度な製品以外のものの輸入は見合せたいということも、これまた一貫した方針としてやっておるわけであります。ところが国内の価格の体系と、入って参ります見込みのあの地域の木材の価格の体系の間に相当大きな開きがございまして、なかなか思うように木材輸入現実の問題として国内の需給事情に緩和的な作用を施すほどの役割をしておらないというのが現状でございます。これは主として船運賃の影響をこうむる点が非常に多いわけであります。たとえば米材について申し上げますと、戦後最高に入って参りましたのは二十九年度の約百四十万石であります。それが三十年になりますと半分以下の六十万石に落ちておるのであります。これは主として船運賃の関係でございます。ただし、これは国内でなかなか調達の困難な、いわゆる構造用の大材向きのものが入って参るという意味におきましては、一つの役割はしておるということでございます。もう一つ南洋材でございますが、南洋材の輸入はおおむね、入れましてそれを大都市周辺の工場で加工して、また輸出をする、いわゆる加工貿易の原材料でございます。これは戦後再開いたしまして、次第に伸びておりますが、昭和三十一年度においては約六百六十万石くらい入っている。一部これが内需にも向けられているという状況もございます。双方合せましても、約八百万石で、国内の需給を大きく左右するというほどのものじゃございません。それから近場の資源地帯といたしましては、ソ連領のサガレン地方の木材の輸入の問題がございます。これも実は一昨年見本輸入をいたしまして、将来伸ばして参りたいということで、確か昨年は約十二、三万石入ったと思いますが、本年においては一応四十万石くらいの目標で輸入促進をはかっている状況でございます。将来の針葉樹の需要増大に伴う国内供給力の減少に対しまして大きく影響を及ぼしますのは、サガレン材の輸入であると私ども考えまして、もっぱら輸入促進をいたしている、こういう状況であります。
  56. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 伊瀬君からも資問がありましたが、昨年の十一月八日にいただいた資料によりますと、三十一年度から六ヵ年の計画で熊野地区においては二百九十キロ、四十一線、剣山地区においては百四十キロ、十九線、合計四百三十キロで、それに要する資金は四十八億円という構想になっておったようであります。私はただいまも申しました通り、森林開発公団の発足は、日本の森林政策あるいは木材政策、そういうものに出発したものと考えるのであります。この最初の六ヵ年計画によってこれが実現をいたしましたならば、日本の木材の需要供給のアンバランスがどれほどに緩和されていくのであるか。またこれは森林政策の一貫であっておそらく全部ではなかろうと私は思うのであります。これに付帯いたしまして、政府の森林政策、木材政策というものは、木材の輸入を奨励するとおっしゃっておりますけれども、この森林開発を最高度に実施いたしまして、日本の木材は国内において自給自足ができる態勢にあるのであるか。それから、この最初森林開発計画を含んだ、もっと大きな日本全国の森林政策について、農林省はいかなる御見解を持っているのであるか。
  57. 石谷憲男

    石谷政府委員 ここに資料の中にも掲記しておりますが、現在の日本の森林を一応余すところなく利用開発いたした場合に、現在の木材の需要に対して、どの限度まで自まかないの能力があるかということでございますが、これは大ざっぱに言いまして八割でございます。従って全体の森林開発をし尽したといたしましても、どうしても二割だけは足りない。しかも需要が現在で横ばいをするという状況なので、二割は足りないということでございます。従ってできるだけ木材以外のもので代替をして、木材の使用合理化、利用合理化ということが、当面の政策の面に相当大きく取り上げられているわけでございます。ところが、一体これだけの資源しか持ち得ない生産力であるかどうかということでございますが、大体国内の約三分の一が国有林で三分の二の地域民有林でございますが、民有林の中の約半分は大体薪炭林で、薪炭に使われる木材の消費が非常に多いということでございます。そこで私どもといたしましては、できるだけ薪炭の使用合理化を考えまして、いわゆる用材林を生産する地域というものを少しでもよけいに生み出していくことを考えなければならぬ。国有林等の場合におきましても、できるだけ生産量の低い天然生林を切りましたあとには、生長量の大きい針葉樹の植栽に切りかえて参りまして、いわゆる単位面積当りの生産量を高めて参りたいと計画いたしているわけであります。現状約五百六十万町歩ぐらいの造林地があるわけでありますが、これを大体七百四十万町歩ぐらいまで広げて参りますと、ほぼ今申し上げます足らずまえの供給はできるという目標があるわけでございます。この造林に対しまして、従来切り放して放置しておりましたのが、大体本三十一年度で一応解消いたす段取りになっております。今後はいわゆる樹種の非常に悪い山とか、林相の不良な山は、その切り跡地は生長量の大いものに切りかえていくということにして、将来はあくまでも国内自給を目ざして造林をはかっていく、こういう考え造林対策を行なっているわけであります。当面の林野の中心的な政策といたしましては、これらの事業を含めまして未利用林の開発を促進しまして、できるだけ国内の本来的な供給を高めて参るということと、将来の自給態勢を確立して参りますために、必要な目標に対して計画的に造林事業実施して参るということでございます。しかもそういう姿を維持して参りますためには、あくまでもやはり経営自体が間に合う経営にならねばならぬというこからいたしまして、きわめて不安定な木材の価格というものを極力安定したものにするということを取り上げて、推進して参らなければならぬ、かように考えているわけでございます。
  58. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 この参考資料によりますと、三十一、二年度といたしまして百九十五キロ、熊野地区におきまして二十三線、それから剣山地区におきまして六十キロ、九線、合計して二百五十五キロということで、工事費としては熊野川二十一億八千二百万円、剣山六億六千八百万円、合計二十八億五千万円ということになっているのであります。この予算は確実に獲得できている、それからもう一点は、山林計画と申されましたが、この表には三十一年度と三十二年度と書いてありますが、実際の工事はこれだけの資金を確保して三十三年一ぱいで完了する計画を立てられているのか、その点をはっきりとお答え願いたい。
  59. 大石武一

    大石(武)政府委員 三年間で三十億というのが、これは不幸にして資金が打ち切られた場合の計画でございます。これだけでもとにかく根本的な施策を了えまして、そうして公団の赤字を生じないようにということで、最悪の場合を考慮しての計画でございます。この三十億という資金見通しがついております。本年度十億円は十分用意してございますし、来年度におきましても見返り資金から二十億は獲得できるという見通しでございますから、この計画は必ず遂行できるという確信がございます。
  60. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 ただいまの御答弁によりますと、一応三年間は確保した。そうしますと、六ヵ年計画というものは私から言わしむれば、先ほど申しましたように日本の森林政策、造林政策から申しまして、もっと全国的な計画でなければならぬ。少くともこの六ヵ年計画というものは別に放棄したわけではないので、この三年の後にはまた情勢によって継続していくというお考えでしょうか。
  61. 大石武一

    大石(武)政府委員 根本の計画は、この熊野川、剣山周辺に関しましては六ヵ年計画でございます。三年間の一応の基本的な方策を終えまして、その後もいろいろな資金見通しをつけまして、ぜひとも六ヵ年間にこの完全開発というものを目ざしてやりたい、こう考えておるのでございます。
  62. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 森林開発林道開設に伴いまして、その森林開発に当てはまらない林区の周辺の森林におきましては、つまりこれと接続させるような必要から別個の林道開設の問題が起ってきやしないかと思うのですが、この森林開発林道を有効適切に活用するためには、やはりその週辺の林道なりあるいは基幹の産業道路に結びつけて拡張するのでなければ、ただ山の中に林道を作っただけではこれは意味をなさない。そういう場合に、政府のいわゆる公共事業でやっておりますところの林道開設というものは、将来これは現在よりも膨張してきやしないか、こういうように考えますが、そういう点に対する御考慮を将来払うようにできているかどうか。
  63. 大石武一

    大石(武)政府委員 おっしゃる通りでございます。そのように開発公団地域以外の点は、公共事業の面において十分考慮して、その機能を十分に発揮いたしたい、こう考えております。
  64. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 それから地元負担金と国の補助、この点は最初は国において六〇%、県において一〇%、地元において三〇%、これが今回の計画によると、国が五二%、県が一〇%、地元が三八%こういうふうに変更されたのでございますが、これはただいまの公共事業費の負担金との見合いもありましてこういうことに変更されたのですか、その点経過等を承わりたいと思います。
  65. 大石武一

    大石(武)政府委員 これは、初めの計画はやはり公共事業と同じような負担額を考えておったのでございますか、その後いろいろの経過によりまして、ただいま仰せの通りのことに変ったわけでございます。このことにつきましては林野庁長官から経過を御報告いたさせます。
  66. 石谷憲男

    石谷政府委員 これは公共事業の場合との比較でございます。大体公共事業でやる場合におきましては、これだけの流域になりますと、おそらく国の六割、府県一割の受益者三割ということでやっていく対象に相なると思うのでございますが、今のような公共事業の金額によりましてこの地域開発テンポを考えて参りますと、たしか熊野の場合におきましては三十七、八年かかる、剣山の場合におきましても二十七、八年かかるというわけに相なるのであります。それが比較的短い期間に短縮をされるということと、公共事業の場合について考えております平均の地域内の森林の内容と、この地域が現に持っております内容と比較いたしますと、この地域の方が非常に高いわけでありまして、その限りにおきまして負担力がおのずから高いわけであります。そういった実態に基く計算の上から一応三八%の受益者負担というものを計算をしたわけでございます。
  67. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 もう一つ負担金について、法案の二十五条によりまして、もし地元すなわち受益者との間に話し合いがつかない場合には、この関係者から異議の申し立てができるということに相なっております。二十日以内に異議の申し立てをする、これは当然であります。押しつけて幾らでもこれを持てということは言えないと思うのでありまして、異議の申し立ての権利を認めたことは当然と思いますが、それに対する決定を公団がまたやるということであれば、異議の申し立てをしてもこれは異議の申し立てをしたことにはならぬのじゃないか。第三者がこれを決定するならばよいのでありますけれども公団がしたことに対して異議の申し立てをして、公団がまたそれを決定する、こういうことでは異議の申し立てというものに対するほんとうの裁定ができないのじゃないかと思いますが、その点はどういうふうになりますか。もっとも長官お話によりますと、地元との話い合いがつけられるという自信のこもったお話でありますけれども、これは個人の利害に非常に関係する問題でありまして、そう簡単にはいくまいと思うのです。そういう紛争が起った場合に、その解決方法を、調停で円満にいかない場合には一体どういうふうにせられるのか。この規定で解決ができるかどうか。
  68. 石谷憲男

    石谷政府委員 実際受益者でないものに賦課いたしましたような場合でありますとか、あるいは受益の限度で賦課するということになっておるわけですが、いわゆる受益の限度を越えた賦課であったという異議の申し立てのあります場合には、最終的に民事訴訟で争うということに相なると考えておるわけであります。
  69. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 それならば、これは一つの訓示規定なるものであって、最終はそういうことになるならば、これはいいと思います。  それから公団でやるのでありますから、別に知事との関係は、委託のようなことがなければ何も関係ないのでありますけれども、この規定によりますと、十九条の三項によりまして、実施計画を立てる場合には知事と協議をする、こういうことに相なっております。これももし協議をするならば、やはり知事にある程度の協議をする一つの権限ではないけれども一つの地位を与えたものと見なければならぬと思うのであります。その場合に、知事と協議ができなかった場合どういうようなことに相なるのでしょうか。
  70. 石谷憲男

    石谷政府委員 この流域開発というような問題は、県のさまざまな産業施策の上に至大な関係を持つわけでありまして、当然その地域の関係知事と協議をしなければならない、私どもといたしましては、最終的協議が整いますように十分に打ち合せをする、こういうふうに考えておるわけであります。
  71. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 それでは私は最後に農林当局に要望を申し上げておきたいと思います。冒頭に申しました通り、日本の木材は非常に不足をいたして、すでにこの最初計画を非常に縮小されて、そうして木材の需給関係が非常に不安定であるということは、農林当局もすでにお認めの通りであります。先日も同僚委員質問に対しまして、大石政務次官も、この森林開発というのは熊野、剣山に限らず、日本の他の森林区域にも拡張していきたいという抱負を漏らされまして、私はただいまの日本の材木の不足の点から熊野、剣山の開発は、最初の六ヵ年計画よりもっと広く拡張されたいということ、さらに全国に森林開発、治山治水対策とあわせて強力に推進されたいということを要望いたしておきたいと思います。
  72. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 ちょっと関連してお尋ねをしたいのですが、この受益者負担ですね、これは造林の場合にも受益者負担山林所有者がするのでしょう。これはわかっているのですが、林道の場合の受益者負担はだれがするのですか。またこの負担金割合、それから負担金徴収の具体的な方法をお聞かせ願いたいと思います。
  73. 石谷憲男

    石谷政府委員 この受益者といいますのは、この法律の二十五条の第一項に書いておりますように林道開設、改良または災害復旧等の事業によりまして利益を受ける者ということでございますので、多くの場合はいわゆる森林所有者でございます。そこで一体どういう事態においてそれをとらまえるかということでございますが、やはり実施計画の決定した事態ということで、そのときの森林所有者ということでとらまえなければならぬものだ、かように考えております。  それからいわゆる徴収の具体的な方法でございまするが、今まで申し上げましたように、これは林道路線ごとにその事業費の三八%というものがいわゆる受益者負担になるわけです。そこでこの場合におきまして、ただいま申し上げましたようにきわめて零細な規模森林所有者というものからは負担をとりたくないということで、その基準は大むね土地だけの所有者の場合は二町歩未満、それから薪炭林の所有者の場合は一町歩未満ということになろうかと思います。それからこの林道開設によりましていわゆる受益をいたしまする地域内において、あるいは鉱石だとか石材だとかいったものを採取する業者がこの開設によって利益を得るわけでございますが、そういうものからもこれは当然とるわけでありますが、そういうものを除きましたものがいわゆる森林所有者負担ということになるわけであります。今申し上げましたようなものを除きまして残余のものにつきまして、当然負担をかけて参るというふうに考えております。その場合に大体土地と立木というものを私どもは区分いたしまして、土地の負担すべきものと立木の負担すべきものというふうにわけて考える。大むね今までの考え方によりますと、土地一に対して立木九というようなもので負担金がとられておる、かように考えております。それから土地の場合におきましては、ただいま申し上げましたように固定資産税の課税の対象になります土地の評価額というものによりまして按分をするということになろうかと思います。それから立木の場合でございますが、実は私どもの方で森林火災保険をかけましたりあるいは農林漁業金融公庫の資金で伐採調査資金というものの貸し出しをいたしておりますが、そういった場合の評定に使っております立木の評価価格というものがあります。これはいわゆる立木地区の木の種類でございますとかあるいは年齢の段階に応じまして、それからもより市場からの距離的関係によりまして何段階にも異なった価格がそれぞれ表示されております。全国を大体七つの地域にわけまして、今申し上げましたような区分に従いまして非常に詳細な内容を持った一つの基準表ができております。その基準表によりまして按分をいたしてかけて参りたい。これによりますと、市場からの距離関係によりまして大体その用地の価値というものが表示されて参る、同時に立木地区の種類あるいは年齢の差異によりましての価値の差異というものも出て参るということで、この表に基く按分が一番妥当じゃなかろうか、こういうことを考えております。
  74. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 そうすると、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。造林の場合は山林所有者負担する、それから林道の場合も同時に山林所有者がこれを負担するのですね。二つ負担することになるのですね。そういう意味でよろしゅうございますか。
  75. 石谷憲男

    石谷政府委員 そうです。
  76. 伊瀬幸太郎

    伊瀬委員 もう一つ聞きたい。それは最初計画は分収林ということであった。五十五年の分収林、それが十五年の年賦償還ということになったいきさつですね。それはどういうわけでこういうふうに変更されたか、これを伺いたい。
  77. 石谷憲男

    石谷政府委員 それは主として主たる事業が終りましてからも、一応公団で最後までの仕事の締めくくりをいたしまする場合に、分収方法でいきますと、当然伐期がある程度延ばされるということに相なりまするので、従いまして、そういう意味からも分収よりもむしろ償還の方がいいんじゃなかろうかというふうに考えましたことと、それから大体この地域につきまして考えて参りますと、そういう林道がつきまして、受益者の受益負担というものに対する能力が出て参るわけであります。従いまして同時に造林に対しまする自己負担分というものも出てくるのではなかろうか。それで大体十五、六年ないし十六、七年ぐらいの年賦償還ということを考えておきさえすれば、造林の場合においても大体償還は十分ではなかろうか。しかも年利四分五厘の資金でやって参るという計算をいたしておるわけでありますが、こういうような場合におきましては、期間が短くて金利は安いといった方がむしろ償還条件に合うのではないか。普通の補助造林の場合におきまして、自己負担分の八割までやはり融資を受けられるようになっております。その場合におきましては、六分五厘で五ヵ年間据え置き、二十年償還ということになっておりますが、それとの見合いにおきまして実は四分五厘にいたしまする場合にはやはり十六、七年になるという見合いが出て参ります。一般の場合の融資との条件の見合いが出て参りますが、その辺に一応落ちつけどころの見当がつくということで、実は四分五厘で十六年ということにいたしたわけてあります。
  78. 村松久義

    村松委員長 芳賀君。
  79. 芳賀貢

    ○芳賀委員 政務次官にお尋ねします。公団事業費の確保の問題ですが、最初の三ヵ年は大体見返り円資金から当てになるというような話ですが、こういうふうな事業を行う場合に、この事業を完成する資金計画というものが確立されないで、こういう法律だけ作ってもこれは非常に不安なものになると思うのですが、どうですか。
  80. 大石武一

    大石(武)政府委員 おっしゃる通りでございます。実は六年計画でございますので、六年間としての正確な資金の準備と申しますか、用意というものをはっきりいたせばいいのでございますが、今申しましたように、多少見返り円資金の今後の計画につきましても、何年間という見通しを申し上げるわけにも参りませんので、一応見通しのつきます三年間におきまして基本的な工事を終えて、その三年の間に見通しがつきますでありましょうし、また見返り円資金がなくなったときも低利長期資金がその間に見出せるように努力するということにいたしまして、六ヵ年計画を完成いたしたいという方針でこの計画では計画を立てて参ったわけであります。
  81. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうするとこの公団事業は、あくまでも余剰農産物見返り資金に依存するというのが基本方針で、これがだめな場合には何か考えなければいけない。そういうことでこれはあくまでも、外国に対する他力依存でこれをやりたいということなんですね。そこでお尋ねしたい点は、これは政府方針だと思いますが、MSA協定によるところの余剰農産物の受け入れば今年はしないという方針がきまったんですが、これは、MSA協定による余剰農産物の受け入れとこの余剰農産物処理法に基くものとは幾分目的が違うけれども、本質的には相違はないと思う。それで政府がMSA協定に基く余剰農産物の買付は今年はやらないことにするということになれば、当然これはこの公団事業費に充当しようとするところの、今後の余剰農産物の見返り円資金の問題等に対しても重大な影響が出てくるのではないかと私は考えるわけであります。これは政務次官ではちょっとむずかしい答弁かもしれませんが、政府方針として、ある程度明確なものがあれば、この際お示し願いたいと思うのであります。
  82. 大石武一

    大石(武)政府委員 実はMSAによる余剰農産物の見返り円資金は、これは三角貿易に関する方の費用になりまして、この費用はこちらの方の国内の農業関係には関係ないものでございますので、われわれは別な方面の余剰農産物による見返り円資金を充てたいと考えておるわけであります。
  83. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうじゃないですよ。MSAにしても余剰農産物処理法にしても、対象になるのはアメリカ余剰農産物わが国に持ってくるということなのです。そうでしょう。その使途や目的は幾分違っても、どちらもアメリカで余って困っている農産物を日本に押しつけるということにはかわりはないわけなのです。だからMSAの方はもう要らぬということになれば、やはりこちらの方もその関連の上に立って考えなければならぬという事態がきているのじゃないですか。こういうことは政府一つの政策上の問題として、政務次官におかれてある程度明確におわかりの点があれば、この法案の審議と関係がありますから明らかにしてもらいたい、そういうふうに思っております。
  84. 大石武一

    大石(武)政府委員 確かに余剰農産物アメリカで余ったもので、ざっくばらんに申しますとアメリカでもてあましている、要らないものだろうと思います。それでアメリカでも何とかして売りたい、悪い条件でも売り込みたいものだと思うのであります。そこがわれわれのつけ目でありますが、われわれは現在食糧が足りませんで、外国から数百万トンの食糧輸入しなければならぬ現状でありますので、これを今までと違って、もっとわが国に有利な条件で受け入れるという方に持っていくのがわが国の今後の農業の運営上にも有利じゃなかろうか、こういうように考えるわけであります。
  85. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点は次の機会に農林大臣あるいは大蔵大臣等からお伺いしたいと思いますが、そこで私どもとして了承できない点は、たとえば本年度の余剰農産物円資金特別会計内容がまだ決定しておらないという点なのです。本年度の予算の中においては、この見返り円資金特別会計が示されておるわけです。ところがそれを個々に検討する場合においては内容が決定していないのです。これは政府としては非常にずさんきわまる点であると思う。たとえば農林関係の四十一億五千万にしても、その内容がどうなっておるかという点に対しては少しも明確でないでしょう。先日政務次官は新聞等に出ておるけれども、これは全然根拠のないものである——そういうことになれば、この四十一億五千万の根拠のある具体的内容というものは、当然政府においてお示しになる必要があると思う。もうすでにおそきに失しておるわけでありますが、これはその中に公団の十億というものをおそらく包括されておると思うのですが、この四十一億五千万の内容について責任のある御答弁を願いたい。
  86. 大石武一

    大石(武)政府委員 ただいま御質問のように、ことしの見返り円資金農業関係に使うものは八十八億余りでございます。そのうちの四十七億円を食糧増産に使いまして、残りの四十一億円がいろいろなその他の農業関係に使えるわけであります。その四十一億円の中にこの十億円の森林開発の費用が入っておるわけであります。その他いろいろと、港湾関係であるとかあるいはその他のことに今予定を組んでおりますが、まだ確定はいたしておらない状態であります。新聞にも出ておりましたのは、全然根拠がないとは申し上げられないまでも、確定したものではないので、あれをそのまま御信用していただいては困るのであります。近くこれを確定いたしまして発表いたす予定でございますので、それまでお待ちを願いたいのでございますが、森林開発の十億円は間違いなく組む、その点は確定しておるわけでございます。
  87. 芳賀貢

    ○芳賀委員 変じゃないですか。四十一億五千万の内訳の中にこの公団の十億があるとすれば、残余の分もきまっていなければいけないでしょう。これだけは大丈夫であとはわからぬということは変じゃないですか。予算の中にも見返り資金特別会計が示されておる。どこにどれだけ使うという大綱、融資計画がすでに決定されておって、内容を聞いた場合に、公団の十億だけはわかるがあとはわからぬというのは変じゃないですか、どういうわけなのです。全体がきまって、その中の公団の分が十億というならわかる、これはなまぬるい答弁ではうまくないですよ、どうなのですか。
  88. 大石武一

    大石(武)政府委員 芳賀委員に追及されると非常に困るのでありますが、四十一億円を食糧増産以外の農業の関係に使うということは確定いたしております。そのうちでどのような区分けにするか、漁港関係に使うとかあるいは砂糖の増産に使うとかいろいろ考えておりまして、大体目安をつけておりますけれども、これはまだはっきりと何に何億円ということはきまっておらないのでございます。ただし森林関係に対して十億円は予定しております。確定はいたしておりませんけれども、間違いなくこれは確定できるという確信がございますので、そう申し上げておるわけでございます。
  89. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ますます変じゃないですか。確定してなければこういう法律を出したってだめじゃないですか。きまっておらぬというのがふしぎなのです。予算に示してあるのでしょう、特別会計の投融資計画というものを。ですから、これは質問を受けた場合においては、当然細目の説明ができなければならぬと思うのです。そういうでたらめな特別会計計画の作り方というものはあり得ないと思うのです。政務次官もおわかりにならぬとすれば、この農業関係の見返り円資金の配分は、これは農林大臣だけでやるのですか。だれにも相談もしないし、農林大臣の一存によってきまるということですか。
  90. 大石武一

    大石(武)政府委員 最後の決定は農林大臣でございますが、その前に皆寄りまして、相談をして方針をきめるわけであります。目下その相談中でございますが、お互いの相談で、森林開発に十億円を使うということはお互いの意見が確定しておりますので、この点の費用は明らかに確定しておるわけであります。その他の配分の決定はまだすっかり意見がまとまっておりませんので、農林大臣がまだ決定をいたしておらない現状であります。
  91. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは三十一年度の予算案を出す前に、事務当局等において相談して、あなたが言うようにみんなが相談してやるのは必要ですけれども、しかし予算案を出す場合には最終的なものはきめておらなければいかぬのです。これからみんなでまた相談するなら農林大臣以外にわからなければわからぬということを言ってもらえばいいのです。私どもの判断では、おそらくこれは農林大臣だけしかわからないものだと思うのです。農業関係の見返り円資金、これはもう政治的にしか処理できないのではないですか。だから事務当局はもちろん相談にもあずからぬし、女房役の政務次官にもわからない。全部が相談にあずかっていないのを気の毒に思っているのです。
  92. 大石武一

    大石(武)政府委員 御同情をいただきまして恐縮ですが、これは事務当局でその配分方法を今検討いたしております。しかしこの十億円だけは森林開発に優先的に出すということに方針は確定いたしております。
  93. 芳賀貢

    ○芳賀委員 では次の問題を伺いますが、これは林野庁長官にお伺いいたします。公団事業を行う場合の基本計画あるいは実施計画、それと、地域内におけるたとえば森林法等に基く森林計画との関係はどういうような調整のもとにやっていかれるのか、その点はいかがですか。
  94. 石谷憲男

    石谷政府委員 当然森林計画が先行いたすわけであります。森林計画の中には御承知のように森林基本計画及び森林施業計画というものがあるわけであります。それは今後五ヵ年間の仕事予定というものを具体的に立てたわけであります。従いましてこの基本計画にうたわれる方針と森林計画の中から出て参るものが取り上って参る。その基本計画に基きましていわゆる実施計画を立てる、こういう関係になっております。
  95. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで問題になるのは林道に対する負担ですね。たとえば受益者負担等に対しては、これは当然負担契約というものが締結されておるわけですね。そうじゃないですか。公団受益者の間における負担契約が締結されなければ、継続的な負担賦課金等の徴収はできないと思うのです。それをやる場合は、やはり計画に基いて、一方においてはこれと並行して研伐等の計画考えなければ、単に負担契約だけでは十分の成果が上らぬのじゃないかと私は考えるのですが、その点はどう思っていますか。
  96. 石谷憲男

    石谷政府委員 いわゆる負担契約ということではなくて、この法律によりまして、負担すべきものを賦課するということでいく建前でございます。
  97. 芳賀貢

    ○芳賀委員 形は賦課になるけれども、これはやはり受益者との間における一つの合意の上に立ったそういう約束が了解されて、それが賦課金の形で徴収されると私は思うのです。ですからそういう場合においては、負担に対する一つの約束です。それと合せて今後の森林計画を十分成果を上げていく場合には、これはやはりこの地域内におけるあるいは植伐計画等も十分に確立さして、これに対しても義務づけを一行なっていくということでなければ、成果が十分でないのじゃないかと考えておりますが、その点に対して当局はどう思っておりますか。
  98. 石谷憲男

    石谷政府委員 あくまでも森林計画に基きまして、この事業の基本計画なり実施計画が組まれるということには間違いがないわけでございます。その森林計画に基く基本計画実施計画の進行に伴いまして、当然植栽を予定しなければならぬような新しいらちが出て参るのでありまして、そういったものにつきましては実は一部公団との契約で造林をやって参る、こういうことで進めて参るわけであります。
  99. 芳賀貢

    ○芳賀委員 森林公団の最終的な目的は、その地域森林開発にあるのだから、むしろ事業受益者負担等も一寸基礎になるけれども、問題はその地域内の林分に対してどういうような計画に沿って、これを個人だけの意思でなくて、この地域内の森林開発というものを一つ計画の線に乗せて実行さもるという、半ば強力な指導とか、義務的な契約等がこれに伴う必要があるのじゃないかと思うのです。この点は非常に大事だと思うのですが、どうですか。
  100. 石谷憲男

    石谷政府委員 現在の森林法に基きますいわゆる森林計画におきましても、これによって強制し得る条項というものは、御承知のように適正伐期齢級以下のものを伐採いたします場合に、許可によって伐採をする。それ以上のものをやります場合には、届出によってやるということと、それからいわゆる造林に対する義務づけでございますが、こういうものは依然としてこの仕事の上にも残って参るわけであります。そこで問題は、これを実施いたします場合に、ただいまのようにもう少し高度な意思が的確に働いていっていいのじゃないかということでございますが、いつの場合におきましても、林道予定通り伸びて参らぬというところに、いわゆる計画の円滑なる遂行が期せられないという最大原因があるわけでありますが、この場合におきましては、予定された林道は、予定された期間内に、とにかく計画通りに伸びて参るという前提に立って、森林の伐採が行われ、造林が進められて参りますので、結果的に見ますと、相当計画的な仕事を、意思通りに進めて参ることができると私どもは期待しておるわけでございますす。
  101. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、この法律によると、公団の性格は前半と後半が性格が変ってくるように考えられるのです。最初のうちは、林道建設あるいは融資造林をやるということになるわけですが、あとになると、ただ単に建設された林道等の管理とか維持とかいうようなことがおもなる事業になるのです。ですから性格的に見ても、これはやはり当初の目的である林道建設等が一応完成した場合は、この公団の使命は終ったというふうにみなすべきであると思うのです。そうしてこの地域林道等に対しても、災害が生じたような場合においては、当然一般の林道と同じような適用によってこの復旧をやるとか、そういうことをした方が筋が通るのじゃないかと思うのです。この地域だけを、これによると林道が建設されたあとは、いわゆる有料林道のような形でこれを公団が運営するということになると思うのですが、こういう点は、公団がこの地域だけの林道を維持管理するということだけでは、何ら特別の意義がないのじゃないかと考えるのです。しかも公団を維持するためには、その地域内のいわゆる林道利用者から一定の負担金をとらなければ、この公団の維持ができないということにもなるわけなんです。これは各同僚委員からも指摘されたわけでありますが、やはり公団の当初の性格というものを明らかにして、任務が一応終った場合においては、あとの維持管理等はこれを移管するという形が望ましいと考えるのですが、どうですか。
  102. 大石武一

    大石(武)政府委員 林道を作るということ、それから造林をするということは、公団森林開発の大きな目的でございますが、やはりこれに伴いますその後の林道の維持管理とか賦課金徴収とかいうことが事業の一端であると思います。しかしそのような開発のおもな目的が終りますれば、あとは仕事は縮減されて参りますので、先ほどお答え申し上げましたように、この公団の機能というものは徹底的に縮小いたしまして、どの団体といいますか、どのものがこれをやるにしましても、かかり得る最小限の経費の中でこれをやっていきたいと考えておりますので、この森林開発公団を続けて参りますことは、必ずしも不適当ではないと思う次第でございます。
  103. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは不適当なんです。あなたの言われるのは、ただ十七ヵ年の年賦償還の時期が終るまでは公団徴収の義務があるのだからということを具体的に理由づけるために、維持、管理をやるということにしかならないのです。ですから、この規定によっても賦課金の強制徴収ができるようなことにまでなっておるのですが、これは何も公団がやらなければできないということはないのです。たとえば地方公共団体等においても強制徴収はやれるのですから、公団でなければ絶対できないのだということにはならないわけです。負担金徴収等にしても、これだけをやるために有料道路にして十七年もこの公団が生き長らえていくという必要はないのです。しかも十七地域あるとしても、おそらく熊野川の剣山地区以外はこの公団方式開発できるような適当な残余の地域はないと思う。だから公団方式でやれるところは熊野川、剣山地区に限るということになれば、公団はこの事業だけが終った場合においては、早く仕事を片づけて解散するのがいいのじゃないかと思う。こういうむだのために十七年もこんなものを生かしておく必要はないのじゃないですか、どうですか。
  104. 大石武一

    大石(武)政府委員 おっしゃる通りに賦課金徴収であるとか、あるいは林道の維持、管理ということは必ずしも公団でなくてもできると思います。しかしやはりどの団体かがやらなければならない問題でございますし、それには最小限度のある程度の費用がかかるわけでございます。われわれは、この公団は十七年間と申しましても、その仕事はほかのどの団体がやりましても、それよりも費用のかさまいような範囲において冗費を省いてやりたいという念願でございまして、公団で一貫してやることは負担がかかりませんし、迷惑がかかりませんし、公団の形でいいと思います。それからもう一つは、仰せの通りいろいろの個所でほかにも民有林開発したいところがございます。しかし、熊野川、剣山は確かに一番有利な、条件のいいところでございますけれども、未開発の集団的な民有林というものは、やはり今後も開発の必要があると思います。それには民間の手ではとてもできませんので、やはり国家の力、国家の意思によって開発しなければならぬと思う次第でごさいますので、公団方式や形態が多少変ってくるかも知れませんけれども、この公団を中心として未開発民有林開発して参りたいと思う次第でございます。
  105. 芳賀貢

    ○芳賀委員 問題は、結局林道が有料道路であるということです。こういう方式がだんだん採用されてくると、公共性というものは次第に薄らいでくると思うのです。今後の民有林等の地域内における林道を公共事業費で建設するという場合においては、将来非常に影響する点が大きいと思うのです。今までも公共事業費の一環として林道等に対して国が補助、助成をやってきたのが、有料道路でやるということになると、そういうものが必要がないということに当然なる。災害等による場合には別ですけれども、通例の維持管理とか改修というものは、当然料金を徴収してやるのだから、それで独立採算ができるということになるし、また公団の性格もやはり営利的な性格を採算上からだんだん帯びてくると思うわけです。ですからこれは他に及ぼす影響というものは、将来相当大きいという危惧も持たれるわけですから、この点は十分慎重を期する必要があるのではないかと考えるわけです。それで私はこの点を指摘しているわけです。いかがですか。
  106. 石谷憲男

    石谷政府委員 そのような懸念は、実はなくはないと思うのでありますが、御承知のように、とにかく三年間であれだけの長いしかも条件の悪いところに一応道をつけるわけであります。ところがその後のいわゆる改良、修繕、維持、補修という問題が相当伴いませんと、林道としての完璧なものはなかなかでき上らないということでございます。むしろ私どもといたしましては、ひとまずつけました路線に対して必要な手直しをやって参るということによりまして、林道相当効率的な働きが期待できるものだという実態もございますし、かたがた、やはり賦課金徴収するといったようなことは、あくまでも責任のある主体がやって、この事業の完了を期すべきだといったような考え方もあわせて、一応先ほどの政務次官の御説明にもありましたように、できるだけ機構は簡素化いたしまして、そしてやはり責任のある主体で最後のとどめまで刺してもらいたい、こういう考え方を持っております。
  107. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もう一点最後にお尋ねしますが、これは伊瀬委員からも御指摘がありましたが、地域内の受益者負担の算定方式の問題です。長官の御説明によりますと、零細所有者等に対しては、賦課金の対象にしないようにするということでありますが、問題は、森林開発によって何としても一番意思を受けるものは大所有者ということになると思うのです。所有が大きければ大きいほど、恩恵に浴することも多いと思いますので、これはたとえば所得税等においても、やはり累進高率の賦課方式を今日とられておるわけですが、この賦課金等の算定に対しても、やはりある程度面積とかあるいは蓄積とかそういうものに対応したような累進高率の賦課方法等を講ずるということは、決して飛躍した考え方ではないと思うわけです。これらの点に対しては、別に法律案の中で明らかにする必要はないのでありますから非常に恩恵を受けるというような受益者に対してはそれに適応したような形の賦課方法を講ずるというように、十分御検討になる必要があると思いますが、この点に対して当局の意向を示していただきたいと思います。
  108. 石谷憲男

    石谷政府委員 そういった考え方でございますが、大森林所有者必ずしも直ちに最も大きな受益者ということには相ならぬのじゃないかと思うわけであります。要するに開発されます地域の中において、どういうところの森林をどの程度持っているか、その森林の内容が一体どういうものだということによりまして、受益の現われる方が大へん違って参る。従いまして、そういった客観的に現われ方が違って参るものに対しまして、できるだけ妥当に賦課していくということが、一番考えられるべき問題ではなかろうか、かように考えるわけであります。
  109. 村松久義

    村松委員長 中村時雄君。
  110. 中村時雄

    中村(時)委員 時間がありませんので、一点だけ政務次官に聞きたい。というのは考え方の基本でありますが、この公団方式を見てみますと、大体剣山、熊野川、これが面積では熊野川は十万町歩、剣山が四万四千町歩、林道が二百五十五キロ、造林が大体三千五百町歩、こういうような形態において行われている。で、この参考資料の中を見てみますと、大体これが十七年間で行われようとしているわけですが、その中の本年度は十億円、来年度は二十億円を見返り資金から出そう、こういう話。ところがあなたの考えでは、あくまで六年計画という考え方を持っていらっしゃる。そういたしますと、この計算上から見ますと、おそらくこれは、奥地開発の問題から来る費用、そういうような問題が主体で三年度以降は行われていくのではないか、このように考えられる。そういたしますと、もしかりに三年度に再び十億円金を出すとすれば、おそらくこの中のどれかを削るということになるのではないかと思う。削るということになると、事実国有においても民有においても、まだ足らない林道というものはたくさんあるわけです。そこにまた一つの問題が出てくるわけです。先ほど受益者負担の問題で伊瀬委員からもおっしゃったように、受益者の方ではなるべくなら負担したくない、もしもあなたのお考えのように、かりに、六ヵ年六十億円出るとすれば、少くとも受益者の方では、それだけ助かるのではないかという安易な考え方になる。その安易な考え方が逆に二ヵ年間でしめられてしまったということになると、今度は大きなギャップが出てくる。そこに大きな問題が出てくる。そこであなたのような安易な考えでなくして、この計画に基いたものを見ると、三十億円というものを一つ考え方に持っている。もちろん余剰農産物に対する見解の相違は別の問題として、当然この三十億なら三十億の中でしめきっての一応の計画を進められていくのが妥当な行き方でないか。もしそうでなく、あなたのように、六ヵ年間でやれるのだ、こういうようにおっしゃるならば、この計画はまた根本から考え直さなければならなぬ。またその方法が変ってこなければならぬ。それに対してあなたはあくまで六ヵ年間で考えていくというお考えなのか、あるいは本年度十億円にして来年度二十億円にするというのも、来年度は本年度と同様な考え方のもとに立った二十億円だろうと思う。というのは四十一億円の余剰農産物資金の中から捻出されようという考え方だと思う。だからそうなってきますと、あなたの基本的な考え方がぐらついているわけです。ぐらついたような考えでもってこれを押し通すということは、非常に受益者の方では迷惑するわけです。その点の整理だけははっきりさしていただきたい。
  111. 大石武一

    大石(武)政府委員 ごもっともな御質問でございます。この金額は三年間に三十償円ということで立っている計画でございますから……。しかしこれを三年間で三十億投じていきます開発は基本的なものでございまして、完全開発とは申されない。大きな幹道をつけるとか、そういうところが中心でございますので、できるならばこのほかにもう三年続けまして、そうして完全な、すみずみまで手の届くような開発をいたしたいという考えを申し上げているのでありまして、この計画は一応三年を前提としての計画でございます。
  112. 中村時雄

    中村(時)委員 そうなったのではいろいろな問題が起ってくる。たとえば現在奥地林道において農林省あたりで計画していることが。まだ足らぬところが一万五千キロからある。民間におきましても四万一千キロからある。そういう問題を含んでいろいろな問題がここにあるわけです。だからその金を使おうとすれば、プラス・アルファで出てくるものは、幾らでも使い道がある。これはこれで、でき上ってくるわけです。でき上ってくるものに対して、あなたが再び三年度において十億円またぶち込むのだ、四年度においてまた十億円ということになれば、その構想を私はお聞きしたいのです。これは非常に重要な問題です。だからあなたがそれを錯綜して、そういう考え方を持っているのだったから、これは根本的に考え直さなければならぬ問題が出てくる。それだけの資金というものは——見てごらんなさい、それだけの資金というものは、少くとも奥地開発において国が十分の五出しているのですから、その十分の五をここから削らなければならぬ。削った場合の林野行政としての問題が当然起ってくるのです。そういう重大な要素を含んでいるから、あなたの考え方の基本をはっきりしておかないと、今言ったようにプラス・アルファで考えるのだ、これをどうするのだ、それは結果において出てくる問題で、あなたが腹におさめているならいいのです。口に出しておっしゃるなら、そこまでつきつめていかないと、この問題はとらえられないという結果が出てきますよ。政務次官、どういうふうに考えられるか。それは当然問題になってきますよ。
  113. 大石武一

    大石(武)政府委員 三年間でこの計画をやるということは御了承願えたと思いますが、あとの三年間の問題でございます。その一期の仕事を終りましたあとの開発仕事は、もう三十億近くの金を投じて完全開発をしたいといり考えでございますが、その残り三年間の仕事というものは、言ってみれば必ずしもこの開発公団の形式によらなくても、今までの公共事業でもやり得る仕事でございます。しかし今の公共事業のような方式でいけば非常に年数がかかりますので、やはりできるだけ早く開発したいという考えのもとに、今言ったような、特別な資金を使ってあとの事業開発するという方針でございます。
  114. 村松久義

    村松委員長 ほかに質疑はございませんか。——なければ、これにて質疑は終局いたしました。  これより討論に入りますが、討論の通告もございませんので、討論は省略して、直ちにこれより採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立〕
  115. 村松久義

    村松委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決定いたしました。(拍手)  なおお諮りいたします。本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二分散会      ————◇—————