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石谷政府委員 その点でございますが、この
公団方式に最終的にとりきめまして提案をいたします
段階までの経過のあらましを御説明申し上げます。現在ありますものを使ってただちに
事業実施ということに移って参ります場合と、それから何はともあれ新しいものを作ってやって参ります場合と二
方式が
考えられるわけでございます。そこでたまたま
林野庁におきましては、
国有林野事業特別会計という
国有林野事業の
実施機関がございますので、これを使いましてただちにこの
地域の
開発をやったらいいじゃないか、もちろん
資金につきましてはこの
資金を使ってやったらいいじゃないか、こういう
考え方が
一つあったのでございます。そこで私
どもといたしましては、一番簡便な
方法でもあろうかということでいろいろ検討いたしたのでございますが、御
承知のようにこの両
地域におきましては、今まで
国有林野事業というものはほとんどございません。従いましてかりに現在の
国有林野事業の
組織を使うといたしましても、この
二つの
地域に限りましては新しいものを
開設するということに相なることはやむを得ないことでございます。ほとんどが
民有林の占める
地域でございまして、
国有林というものはないわけであります。そういう点から申しますと、既存の
機関をそのまま使うと申しましても、実態的には
現地機関としては新しいものを作らなければならぬということに相なるわけであります。それから現在
国有林野事業特別会計におきましては、いわゆる
歳計剰余金の
内部保留を実は若干持っておるわけであります。そこでそういうものを持っておるにもかかわらず、なぜ
低利といいながら利息のつく金を借りて
国有林野事業として
開発をしなければならぬかということにつきましては、非常な問題があるわけであります。むしろ現在
国有林野事業の中に保留されておる金を使ってやったらいいじゃないか、こういうことになるわけであります。ところがこの金でございますが、これはいわば当面の
事業をやって参ります
運転資金等のために始終出入りをいたしておる金でございまして、現在の状況からいたしまして、
相当長い
期間にわたって固定をいたしますこの種の
事業にこの
資金をそのまま投下するということは、なかなか困難だというようなことに実は相なってくるわけであります。それから大体
民有林地帯の
開発でございますので、そこに現在
国有林の
機関ができて参りましていろいろやって参るということになりますと、特に
事業に親しみがなかっただけに、
地方的な問題も必ずしもなくはないという
心配も
相当いたしたのでございます。現在
林野事業におきましては、
全額国と
地方で
負担してやって参ります
直轄事業、治山といっておる
事業がございますが、これを
国有林野事業に
委託をしてやっておるわけであります。こういった
経験に徴しましても、なかなかそこにスムーズな
事業の進歩が期待し得ないといったような面も出て参っておりますので、あえてそのような愚を繰り返さない方がいいのじゃないかということが、実は
林野事業特別会計を使わないでやっていくということにいたした第一の理由でございます。
そこで新しいものを作るということになりますと、いわゆる
公団のようなものを作りますか、あるいは
森林開発特別会計という全く別個な新しい
特別会計を作るか、こういうことになってくると思います。そこで後者の
森林開発特別会計を作る場合におきましては、これはあくまでも国の
機関でございますが、そこでそういう
特別会計を作りまして、しかも
現地の
実施機関といたしましては、同じように
国有林野事業の出先を使うといういわゆる
委託方式があると思います。ところがこれは先ほど申し上げましたような場合と同じことになりますので、これはやはりとれない。そうすると、結局
森林開発特別会計を作りまして、県に
全面委託するか、あるいは
公団を作りまして、いわゆる
直営方式をとるかということになったわけであります。
そこで県に
全面委託の場合でございますが、先回も
伊瀬先生の御
質問のときにちょっと申し上げたかと思いますけれ
ども、今まで県におきましては、
林道開設の
仕事につきましては、
相当な
経験もございますので、やはり
設計能力等についてもそう大きく欠けるところはないと思いますが、
造林の場合におきましては、いわゆる
指導行政ばかりやっておりまして、
造林を実際に行なったという
経験のある
技術者がおりません。そういう点で、
林道とともに
造林を取り上げております点よりいたしましては、県に
事業の全体を
委託するということはその点で問題がある。
それから、最近の
地方の
財政事情等の点からいたしますと、多額の
資金を一ときに
委託という形によりまして県に渡すということについて、不安な点も実はあるわけであります。同時に、実際と
事業を
実施して参ります場合の
請負者の選定の場合等につきましても、従来私
どもが
相当大
規模な
仕事をやって参りました
経験に徴しますと、県に全面的に委任して、県知事の責任においてやって参るということの中にも、若干の不安がある。その反面におきまして、たとえば
賦課金の
徴収でありますとか、あるいは
地元に対します
協力でありますとかいったような
機関といたしましては、県が非常に役立つわけであります。そこで私
どもといたしましては、県のすぐれた
経験と、それからいわゆる
国有林野事業の
現地におけるさまざまな
事業に対する長い
経験といったようなものが同時的に生かされる
方法といたしましては、県、
国有林の双方の
協力のもとに要員の供出もできるし、
事業の推進も
考えられるような
現地機関を作るのが、やはり一番よいのじゃないかといったような
考え方を、実は最後的にとることにいたしたのであります。そういうことになりますと、やはり
公団運営方式にならざるを得ない。従いまして、
最上唯一の案というのじゃございませんけれ
ども、比較的いい案としてそういうことに落ちついたということでございます。