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1956-03-20 第24回国会 衆議院 農林水産委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十日(火曜日)    午前十一時十二分開議  出席委員    委員長 村松 久義君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君    理事 芳賀  貢君       青木  正君    安藤  覺君       五十嵐吉藏君    伊東 岩男君       石坂  繁君    大野 市郎君       大森 玉木君    加藤常太郎君       川村善八郎君    木村 文男君       楠美 省吾君    小枝 一雄君       鈴木 善幸君    田中伊三次君       中馬 辰猪君    綱島 正興君       原  捨思君    福井 順一君       本名  武君    松浦 東介君       松岡 松平君    松野 頼三君       赤路 友藏君    淡谷 悠藏君       伊瀬幸太郎君    井谷 正吉君       稲富 稜人君    石田 宥全君       小川 豊明君    川俣 清音君       神田 大作君    田中幾三郎君       日野 吉夫君  出席政府委員         農林政務次官  大石 武一君         農林事務官         (畜産局長)  渡部 伍良君         農 林 技 官         (水産庁次長) 岡井 正男君         海上保安庁長官 島居辰次郎君  委員外出席者         農林事務官         (畜産局飼料課         長)      森   博君         海上保安監         (警備救難部監         理課長)    高村  信君         参  考  人         (日中漁業協議         会副会長)   山崎喜之助君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月十四日  委員川俣清音辞任につき、その補欠として神  田大作君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員神田大作辞任につき、その補欠として川  俣清音君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員安藤覺君及び小枝一雄辞任につき、その  補欠として坊秀男君及び塚原俊郎君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員塚原俊郎君及び坊秀男辞任につき、その  補欠として小枝一雄君及び安藤覺君が議長の指  名で委員に選任された。 同月十七日  委員赤澤正道辞任につき、その補欠として河  野金昇君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員伊瀬幸太郎辞任につき、その補欠として  矢尾喜三郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員足立篤郎君、本名武君、松浦東介君、松野  頼三君、中村英男君及び矢尾喜三郎辞任につ  き、その補欠として福井順一君、田中伊三次君、  青木正君、松岡松平君、神田大作君及び伊瀬幸  太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員青木正君、田中伊三次君、福井順一君及び  松岡松平辞任につき、その補欠として松浦東  介君、本名武君、足立篤郎君及び松野頼三君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月十四日  家畜取引法案内閣提出第九二号)(参議院送  付) 同月十六日  新指導農業団体法制定に関する請願外八件(池  田清志紹介)(第一三九〇号)  同(河本敏夫紹介)(第一三九一号)  同(川野芳滿紹介)(第一三九二号)  同外十一件(野田武夫紹介)(第一四六三  号)  同外三件(内田常雄紹介)(第一四六四号)  同外六件(福井順一紹介)(第一四六五号)  同外六件(千葉三郎紹介)(第一四六六号)  同(本名武紹介)(第一四六七号)  同(有馬英治紹介)(第一四六八号)  同(奥村又十郎君紹介)(第一四六九号)  同(薩摩雄次紹介)(第一四七〇号)  同(松田鐵藏紹介)(第一四七一号)  同(大倉三郎紹介)(第一四七二号)  同(薄田美朝君紹介)(第一四七三号)  同(須磨彌吉郎君紹介)(第一四七四号)  同(植木庚子郎君紹介)(第一四七五号)  同(笹山茂太郎紹介)(第一四七六号)  同(神田博紹介)(第一四七七号)  同(高見三郎紹介)(第一四七八号)  同(西村直己紹介)(第一四七九号)  同外一件(堀内一雄紹介)(第一四八〇号)  同(伊藤郷一君紹介)(第一四八一号)  同外二件(小泉純也君紹介)(第一四八二号)  同(町村金五君紹介)(第一四八三号)  同(小林信一紹介)(第一四八四号)  公有林野官行造林地部分権解除に関する請願  (池田清志紹介)(第一三九三号)  家畜取引法案等に関する請願中馬辰猪君紹  介)(第一三九四号)  同(池田清志紹介)(第一三九五号)  富山県の森林雪害対策確立に関する請願松岡  松平紹介)(第一三九六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  飼料需給安定法の一部を改正する法律案内閣  提出第三六号)  飼料品質改善に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第一〇四号)  東京湾におけるのりの被害に関する件  漁業に関する日中両国民間協定に関し参考人  より意見聴取     —————————————
  2. 村松久義

    村松委員長 これより会議を開きます。  本日はまず最初に、漁業に関する日中両国民間協定の問題について参考人より意見聴取を行います。御承知通り、去る昭和三十年四月十五日、日本国日中漁業協議会中華人民共和国中国漁業協会との間に黄海東海漁業に関する協定が締結され、日中両国漁船平和操業等に大きな役割を果して参りましたが、本協定は本年六月十二日をもって失効いたしますので、さしあたり本協定有効期限を延長することが、その善後措置について幾多の問題が残されておると思われるのであります。つきましてはこの際、かかる点について、本協定締結に当られました参考人より、本協定締結後の一年の経過及び今後の問題等につき御意見を承わり、本問題に対する基本方針の策定に資したいと存じます。では参考人山崎喜之助君より意見聴取いたします。山崎喜之助君。
  3. 山崎喜之助

    山崎参考人 日中両国政府による漁業会談促進に関し、当委員会がこれを御審議せられ、かつわれわれ漁業者事情説明の機会を与えられましたことを厚く感謝申し上げます。  われわれ日本漁業者によって結成しました日中漁業協議会中華人民共和国中国漁業協会との間に昨年四月締結いたしました黄海東海漁業に関する協定は、本年六月十二日をもって一カ年間の有効期間を満了いたしますが、その民間漁業協定の第九条において、日本側並びに中国側双方当事者は、それぞれ自国の政府に対し、すみやかに会談を行なって両国間に漁業協定を行うよう努力する約束をいたしておりますので、われわれ漁業者は、当委員会におかれましてもその実現のために特段の御配慮を賜わりたいとお願い申し上げる次第でございます。  すでに御承知と存じますが、この民間漁業協定適用水域協定いたしました漁業は、通称以西底びき網漁業と称せられ、東海黄海操業するトロール漁業機船底びき網漁業でありまして、下関、戸畑、福岡、長崎を主たる根拠地とするもので、漁船数七百八十三隻、そのトン数約六万二千トン、乗組船員約一万二千名、年間漁獲高約三十万トン、その水揚金額は約百三十億円でありまして、漁業としては規模の大きいものでございます。わが国日中漁業協議会代表中国漁業協会代表と、昨年一月十三日から四月の十五日まで北京で民間会談を行い、有効期間一カ年の民間漁業協定を締結いたしました。本年六月十二日をもって期間満了いたしますことは、前に申し上げました通りでありますが、従前から漁業者の悩みの一つでありました東海黄海の問題が一応の解決を見、安んじて生産ができることになりましたことにつきましては、沖で働く乗組員も、また船主も、それから消費者もともに喜んだのでございます。あとに残る問題は、朝鮮周辺安全操業の問題が大きい問題として一つ残っておるのであります。しかしこの一年間に近い漁業協定期間においてわれわれが体験いたしましたことは、双方民間団体の交渉でありましたために、取りきめをなし得る問題にも限度があり、また現在の協定法律的な拘束力を欠きますために、違反防止及び違反者措置等にも遺憾の点が少くないことでありました。さらに両国間には去る昭和二十五年十二月以降昭和二十九年七月に至るまでの間において、中国側日本漁船が拿捕され、その返還を受けていないものが百四隻、約八千八百トンの措置等が未解決であるのであります。こうした事情でありますので、わが日中漁業協議会は昨年十二月十六日付をもって、政府に対しまして、今後の政府会談促進に関する陳情を行いましたが、当時期間満了前に政府会談実現は困難と判断されましたので、本年一月中国漁業協会に対しまして、四月初めから東京において第二回民間会談を開催したい旨を提案したのであります。しかるに去る三月二日中国漁業協会より、引き続き政府会談促進努力せられたいこと、しかし依然として政府会談実現が困難な場合は、現協定有効期間をさらに一カ年延長することを提案して参りました。本会といたしましては、中国側提案趣旨には反対ではありません。しかし現協定の第九条によりまして、両国政府会談促進に関して努力する責任があるばかりでなく、漁業資源保護漁場合理的利用違反防止、過去の未解決事件解決等、日中漁業問題の根本的解決をはかるためには、両国政府による漁業会談を行い、政府間に漁業協定を締結する必要があると痛感する次第であります。去る十三日日本政府はわれわれの陳情に対し、閣議了解事項といたしまして、日本国中華人民共和国漁業問題に関する政府間の会談両国の正常な国交を前提とするものであって、現在の情勢から見て直ちにこれを実現し得ない事情にある、よってこの際従来通り両国関係業者間の協定によりこれを処理せられたい、こうした旨の通知を受けましたので、今直ちに両国政府間の会談は困難であろうとは存じまするが、当委員会におかれましてもわれわれ漁業者の実情を御推察下さいまして、われわれ漁業者要望いたしまするところの両国政府会談促進につきまして特段の御配慮を賜わりますれば、われわれは非常に仕合せだと考える次第でございます。  以上、御陳情を申し上げる次第でございます。
  4. 村松久義

    村松委員長 参考人に対する御質疑はございませんか。
  5. 田口長治郎

    田口委員 参考人に簡単に御質問いたしたいと思うのでございますが、この東支那海黄海漁業問題につきましては、多年拿捕事件その他が起りまして非常に困った状態にあったのでございますが、昨年日中漁業協定ができましてほんとうに安心して漁業ができるようになったことは、業界のため国家のために非常に喜ばしく存じておる次第でございます。不安ながらやる仕事と安心してやる仕事、この間には増産という関係におきまして顕著なる効果が出ておりますかどうか、まずその点をお伺いいたします。
  6. 山崎喜之助

    山崎参考人 協定が成立いたしまして、沖で働く漁師が安心して操業できるようになったということを非常に喜んでおります。その結果は能率が上っております。また非常に不安を持って出漁することを遠慮していた漁場へも出漁するようになりました。そういうような意味操業度合いというものは二〇%ぐらい増してきたということでございましょう、漁獲が約二〇%ぐらいは増しております。それから、その増した結果においては若干の漁価の低落は免れませんでしたが、今まで不安のために保険を付していたとか、あるいは稼働率が低かったとか、あるいは沖合いでおそれて漁網を切って避難したとか、そういったような意味の消極的な経費の支出が省かれまして、漁家経済の上においては相当に貢献したものと思っております。
  7. 田口長治郎

    田口委員 昨年協定されました内容を見ますと、禁止区域があるし、また隻数を決定して、その隻数だけしか操業できないような区域がある、こういうような協定でございますが、あの協定で実際に仕事をされて、著しく不便だというような点はありませんかどうか。
  8. 山崎喜之助

    山崎参考人 協定に含まれない水域がございます。その含まれない水域中国側軍事に関する水域と、中国側資源保護並びに沿岸の小漁業保護のために設定されたと思われる中国側機船底びき網禁止区域がございます。これらの区域については、協定の際中国側の主張は、中国政府が決定した区域であるので、この区域を論議することは中国民間団体としては不可能のことであるから、これは除外された区域として話を進めたい、こういうことでございました。そういう意味で、われわれはこの軍事区域についても、中国が設定した中国の底びき網禁止区域についても相当意見を持っております、しかしながら協定を成立させるためには、やはり中国側中国漁業協会協定し得る区域について話し合う以外には方法がございませんでしたので、この中国漁業協会日本日中漁業協会と話し合い得る区域協定水域とした次第でございます。  それからその漁業協定水域の中に六つ区域をきめております。この六つ区域日本漁船中国漁船とが盛漁期にはそこで非常に立て込む、そうすると非常に問題を起すであろうということが予想された区域でございます。その最盛漁期と、それからできるだけ狭い範囲の区域ということを協議いたしまして、その中に入る漁船の数を協議決定したわけであります。その協議いたします際は、お互い希望隻数を述べ合いまして、そして非常にその数が多くて、将来ともそこで問題の起きるということがある場合には制限し合うこともやむを得ないと思いましたが、まずお互い希望の数を述べ合おうではないかということにいたしまして、お互い希望の数を述べ合いました。その結果がそのくらいの数ではそう大きい紛争を起すようにも思われませんので、お互い希望の数を認め合ったというのがこの六つ区域制定とその中に漁船の入る数を決定した事情でございまして、現在もその中ではそれほどの競合または紛争というようなものは起きていないようでございます。
  9. 田口長治郎

    田口委員 一カ年間協定を実施されました結果、協定当時におきましては、私どもはこの協定を完全に実施するのには何か国内法でも準備しなければいけないかというような気持でおったのでございますが、民間協定でございますから民間で自主的に協定を守るということで一カ年間やられたのでございますけれども、国内法制定の必要がない程度にうまく自主的に守られておりますかどうか、その点お伺いいたします。
  10. 山崎喜之助

    山崎参考人 この協定で最も問題になりますのは、沖合いで相互の漁船秩序正しく操業して、無用の摩擦を起さないことと、定められた区域内で行動をするということであろうと思います。前者を秩序維持と称しておりますが、この秩序維持は非常によく行われております。それから定められた区域操業するということにつきましては、主として中国側が主張しております軍事区域と底びき漁業禁止区域であります。軍事区域については大した問題がございません。底びき漁業禁止区域でございますが、この線はさしたる目に見える目標がないのでございます。海図の上に線を引いたということでございまして、その付近はぼうばくたる海洋でございます。その方面に働く漁船自己位置確めることは、天測等による以外にはなく、その他に目に見えるものがないのでございます。ところが天候等のために自己位置を推測することが非常に困難な場合もありますし、潮流等によって意外な方面に流れる場合もあって、良心的にこの線を守ろうとしていても、不可抗力によってその線より若干ズレている場合があり得るのでございます。しかしその線は非常によい漁場に接近しておりますから、何かと間違いが起る可能性があると思いますので、われわれは漁業者に常に注意を喚起しておるのでございますが、作意でなくとも間違う場合もありますので、何かこの方面において規制する方法を考えたい。また間違いが起きたならばこれに注意を与える方法を考えたい、このように思っております。ただ業者の良心的な態度でやるということだけでは律することが困難な場合も起り得る、このように思っております。
  11. 田口長治郎

    田口委員 今回この協定を更新するということにつきまして、こちらと先方といろいろ話しておられると思います。政府間で協定を締結するということも努力はしなければなりませんけれども、むずかしい場合はどういう結果になりますか、その点はっきり一つ答弁願います。
  12. 山崎喜之助

    山崎参考人 日本漁業者誠意を持ってこの協定を遵守するならば、中国側もこれに誠意を持って応じてくれると思いますから、さしあたりの大きな不便はなかろうかと思います。
  13. 田口長治郎

    田口委員 水産庁に伺いますが、この民間協定以西底びき漁業外漁業を入れる必要があるかどうか、もし入れるとすればどういう漁業があるか御答弁願いたい。
  14. 岡井正男

    岡井政府委員 戦前におきましては、主としてサワラ流し網サワラの引きづりであったと思いますが、それと若干のはえなわ漁業が向うの海域操業しておった実績があります。現在もそれらの業者は、やはり民間協定で一応当事者間の申し合せによって行けない中国寄り沿岸の方へも若干入りたいというような空気もほの見えるのでございます。しかし従来の民間協定による経緯から見ますと、主として以西底びきを中心にして協定が結ばれておるようにも見受けられますので、この点につきましては民間協定を従来折衝せられた関係業者の御意向もよく聞いて判断したいと思いまするが、何分過般閣議でも、いま一年は民間協定によって続けられることを希望するような閣議了解の決定も見た次第でございまするので、われわれとしてはこの点について民間協定を再びおやりになる中心になる団体の方の御意向を主にして考えていくのが至当ではあるまいか、かように考えております。
  15. 田口長治郎

    田口委員 この協定国際間の協定ではございません。民間協定でございますが、日中の支那東海黄海漁業状態から考えまして、協定をした問題につきましては厳格に守らなければならぬ、こういうような義務が非常に必要のように考えるのでございます。国会といたしましては、この協定を結びました以上は厳格に一つ守っていただく、この点を特にお願いをいたしまして私の質問を終ろうと思います。
  16. 村松久義

  17. 赤路友藏

    赤路委員 大臣が来ておりませんのではなはだ残念でありますが、今参考人の御意見の中に、業者誠意を持って良心的な態度でやれというだけでは無理であるというお言葉がございました。水産庁次長も出ておられますが、政府民間協定の上にあぐらをかいて安眠をむさぼっておるというのが今の姿であると私は思う。大臣が出ておられますなれば、本問題に対する基本的な政府態度を明確にしてもらわなければ困る。こういうような態度では、およそ日中の漁業問題のみでなく、国際漁業全体についてほんとう業者は安心して操業をすることができぬということを水産庁次長も銘記しておいていただかなければならぬと思います。  そこで参考人にちょっとお尋ねいたしますが、ただいま田口委員から次長にお尋ねいたしました以西底びき以外の業者をこの協定の中に入れるかどうか、これに対する次長の御答弁は、従来の協定をした関係業者の方々の御意向を聞かなければというような答弁であったと思います。先般新聞を見ますと、はえなわの諸君協定条項の中にこれを入れてもらいたいのだというような要望が載っておったようでありますが、これを入れることが可であるか否であるか、参考人はどういうふうにお考えになっておるか、その点だけ一点お聞きしたいと思います。
  18. 山崎喜之助

    山崎参考人 この日中漁業協定において約束いたしました漁業は底びき網漁業でございます。従ってこの協定によっていろいろの規制を受けておりますのも底びき網漁業でございます。その他の漁業につきましては、漁法及び資源等につきまして、基本的に考え方を変える必要があろうかと思います。日本漁業者の中に、この協定と同様の趣旨流し網や延なわの漁業が安全にできることを考えたらどうかという意見があります。しかしいまだその意見は完全に統一されたものとなっておりませんので、適当な時期に業者意見を統一したい、このように考えております。
  19. 赤路友藏

    赤路委員 中国側の方からの返事を新聞で見ただけでありますが、政府間における協定が、努力はしていただくが、万一できない場合は、昨年の協定をそのまま延長するということであったと思う。そうなって参りますと、今参考人のおっしゃったように、底びき網漁業協定だけになるかと思うのでありますが、この協定期間中に延なわの方でいささか問題を起した等のケースがありますので、できるだけこれらの点は、底びき網漁業安全性を確保していくという面からも、当然規制されていかなければならない。協定として、双方の道義の上に立ってこの協定を守るということであれば、この海域でやはり操業する他の漁種諸君にも、その漁業を安全ならしめるという形における、道義的な意味における操業をやっていただかなければならぬと思う。それだけに、やはり今参考人がおっしゃったように、この問題はまた起されると困る問題でありますから、十分これらの点を考慮の中に入れてこの協定に対処していただきたいと思います。別段御答弁を要求いたしません。  それから水産庁次長がお見えになっておりますので、一言水産庁次長に御希望を申し上げておきますが、いま一年だけは民間協定でやってもらいたい、こういうようなことが言葉の中にあったようでございますが、もちろんこの漁業を管轄する当面の官庁として、この日中漁業協定重要性、しかも第一回協定書の中に明記されておる政府双方間におけるところの協定条項というもの、希望条項というもの、これらの面を取り上げて政府当局あるいは大臣に対して、強く水産庁としては要望する責任があると私は思う。今までどの程度外務大臣なりあるいは農林大臣なりに要望をしてこられたか、おそらく十分現在までの情勢を分析し、そうしてその効果等を数字的にあげて御要望されたことであると思うが、非常に重大な問題でありますから、今後とも所管大臣または外務大臣に対して、あくまでも速急にこの日中の漁業協定は、双方政府間においてなすべきが最も正しいのだということを、主管庁である水産庁が強く要望されることを希望いたしておきます。御答弁は求めません。
  20. 村松久義

    村松委員長 参考人に対する質疑はこれにて終了いたしました。  参考人にはどうもありがとうございました。
  21. 村松久義

    村松委員長 引き続き東京湾ノリ被害について調査を進めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認めます。  発言の通告がありますのでこれを許します。福井君。   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
  23. 福井順一

    福井(順)委員 最近わが国の近海において油による被害が続出しておりますが、ことに東京湾内における被害がまことに甚大なるものがある。特に一昨年二月からの被害だけでも、おもなものでも一昨年二月の廃油被害並びに重油運搬船による被害、昨年一月三十一日の廃油被害、十一月十七日の運送船による油の被害、本年の舘山地区における一月九日、二月一日、四日と連続した被害、二月十一日の油の被害、三月十三日の第十住吉丸重油による被害等、その他数えるにいとまがないというようなたくさんの被害があるのでありまして、こういうことを放置していったならば、東京湾内浅海漁業並びにノリさく業は全滅に瀕すると言っても言い過ぎでないというような状態でありまして、これはこれらに従事する数十万漁民の重大なる生活権の問題でもあるのでありますが、どうも今までこの問題が等閑視されているというような傾きもあるのであります。私は昨年の六月九日に、ちょうど同様な被害がありまして、千葉県の木更津市の江川から君津郡の富津町に至る約二十キロの沿岸に非常な被害があって、その総額は一億一千二百万円もあったので、本委員会におきまして質問をさせてもらったのでありますが、その場合、これは立法措置を講じて抜本塞源的にこれらの被害を取り除く方法を講じなければならないということを質問いたしたのであります。これは単にわが国だけでなくて、世界でも非常に油の被害は問題になっております。二十九年の四月、ロンドンにおいては、油による海水汚濁防止のための会議が催され、三十二カ国が参加して、わが国からも代表が出席している。そこで昨年の六月九日の本委員会における質問におきまして、水産庁長官にこれらの被害を防止するための立法措置を講じなければならぬということを強く要望いたしました。たまたま川村委員田口委員からも、水産庁長官に対しまして非常に強く立法措置を講ずべきだという要求があったのでありますが、その後一向に音さたがないようであります。一体その後どういうふうになっておりましょうか、水産庁次長の御答弁を承わりたい。
  24. 岡井正男

    岡井政府委員 ただいま福井先生からの御質問に対しては、当時漁業災害について、年々歳々同じような残念なケースが出るということは忍びがたいという御趣旨で承わったのでございますが、これを救済する方法として、保険制度によるか、共済制度によるかという二つの考え方につきまして、急速にはいきませんので、一応調査をして適当な結論を得たい、かように存じまして、一昨年から共済費を計上し、今年は昨年よりも増額いたしまして、府県の方の関係職員も動員して調査するということに相なっております。調査して第一に資料を固めて結論を得たいという目標は、やはり定置漁業であるとかあるいは区画漁業、いわゆるノリ漁業のようなものもその中に含めてでございますけれども、今後一年もしくはそれ以上かかるかもしれません、あるいは結論が早く出るかもしれませんが、相なるべくはただいま福井先生がおっしゃられましたような点の結論を得たいというので、われわれは目下鋭意進めておるわけでございます。その点あしからず御了承をいただきたいと思います。
  25. 福井順一

    福井(順)委員 私はどうしてもこれは立法措置を講じて、そして油の被害を根本的に芟除しなければならぬと思う。そのためにはもう少し水産庁が熱意を持って立法措置を講ずるようにしてもらいたい。先ほど来川村委員に伺いますと、どうも水産庁の方であまりやっておらないようでありますが、議員立法としてやらなければ仕方がないだろうということで着々御準備はしておられるという話を聞きましたけれども、議員立法よりも政府でやれば一番簡単に行くことでありますから、私はどうしても政府の方で立法措置を講じられるよう強く要望するものでありますが、もう一回水産庁次長のこれに対する見解を承わりたい。
  26. 岡井正男

    岡井政府委員 先ほど私がお答え申し上げましたのは、思わざる漁業被害といいますか、不漁というか、そういうふうな場合に処する対策としての考え方でございますし、ただいま福井先生重ねて御質疑の点は、おそらく水質を汚濁されたために生ずる思わざる損害に対する場合であろうと考えられます。後者の場合でございますと、今議員立法でお考え中のように承知いたしております水質汚濁に関する漁業損害についての調整的な法律ということであろうと考えます。これは近く議員立法として実際に国会へ提出されるやに聞いておりますが、政府立法にいたしますと、水質関係関係省が少くとも三省以上にわたりますので非常に手間がかかる、かように考えますので、切急な場合でございますと、国会の方から議員立法で御処置願う方が非常に早いのではあるまいか、かように考えております。
  27. 福井順一

    福井(順)委員 今までの被害に対しても、どうも十分なる対策も救護策も講じられておらない。先ほど申し上げました一億二千万円の被害に対して、先般防衛庁からわずか五百五十万円の見舞金が出されてこれでケリになっておる。たまたま私は外国に行っておりましたので、これについての運動をすることができなくてまことに残念でありましたが、一億二千万円の被害に対して、わずか五百五十万円の見舞金ではお話にならない。つい二月の十二日にも廃油の非常に大きな被害があった。千葉県の富津町地先第一海堡より君津町坂田地先海面に及ぶ長さ十キロ、幅一キロの帯状になった重油廃油が漂って、目下最盛期のノリに大被害を与えた。その被害額は一億三千九百三十三万四千円に達しておる。これは三年間同じ時期に同じようにここで被害が起っているわけでありますが、水産庁としてはこれに対してどういう救済策を考えておられるか、御答弁願いたい。
  28. 岡井正男

    岡井政府委員 ただいま御指摘になったケースについては、これはたしか港則法の適用区域だと思いますが、しからばこの場合におきましては加害者があるわけでございまして、いわゆるだれかがこの捨ててはならない地区へ油を余分に流したということに相なると港則法の違反ではあるまいか、かように考えられます。こういう場合の損害につきましては、民事関係によって加害者と被害を受けた側とにおきまして適当に折衝せられるというのが普通でございまして、国の方でとられる場合といえば、天変地異による場合とか、いわゆる人為的な場合でないようなものを取り上げて将来考えたい、かように思っておる次第でございまして、今の場合、加害者があるにもかかわらず、それを直ちに国が全面的に見るというようなケースはなかなかむずかしいのではあるまいか、かように考えております。
  29. 福井順一

    福井(順)委員 私は加害者の犯人捜査がたいへんむずかしくてもこれをやらなければならないということで、私費を投じて一年間一生懸命に犯罪を捜査いたしまして、個人でやったわけですが、大体今油の輸送業者の加害者らしきものを突きとめた。これは横浜市に在日米軍調達本部TPAというのがあって、対駐留軍船舶の廃油の処理を扱っておる。今ここの業者は日新運輸倉庫株式会社、昭和油槽船株式会社、横浜海運倉庫株式会社、富士交易株式会社等である。この契約は朝鮮、沖縄方面並びに各地から本船が横浜、東京、横須賀に入港した場合、契約の締結業者に百トン、二百トンのタンカー船を本船に着け廃油を積み取り、これを神奈川剣崎と千葉県館山の洲ノ崎を結ぶ線より以南に投棄することに占領期間中はなっておった。現在は港則法により投棄されておる。しかも一回の廃油の投棄量は二、三百トンから航空母艦などがきますと、一回二、三千トンにも及ぶことがある。それでこれが港則法に基いて廃棄されておればいいのでありますけれども、非常に近海に廃棄されておるということから、この油が東京湾内に流れて浅海の漁業ノリ業者にまことに甚大な損害を与えておるということになったと私は見ておるのであります。そこで昨年の十月に海上保安庁に非公式に資料を提供いたしまして調査方を依頼したのでありますが、その後一体どういうことになったか、これを承わりたい。  それから時間がございませんから、もう一つ最近に起きた問題をここで具体的にお話いたしますと、昨年去る二月十二日の廃油被害事件については米国の運搬船ゼネラル、ミッチェルのビルジを廃棄するように請け負ったのであるが、日清運輸倉庫株式会社でその下請をした横浜海運倉庫株式会社がまたさらに下請をした第一東邦丸と第三海栄丸がこれを捨てたのでありますが、二月十一日午後一時から午後九時五十分までの間に、四回にわたってゼネラル・ミッチェルのビルジ五百トンを富津沖の第二海堡量付近に投棄した事実がある。これらについて海上保安庁はどういう処置をとられておるか、これを一つ承わりたい。
  30. 島居辰次郎

    ○島居政府委員 二月の事件発生当時、十一日から十二日にかけまして、東京湾の海堡の北方海面において漂流しておる油があるということを認めた。船も四隻探知いたしました。それからまた当時の状況を聴取することができたようなわけであります。さらにまた漂流しておる油と関連して、先ほど御指摘のような港則法の違反があると認められる船舶の手がかりを得ましたので、名前はまだ捜査の段階でございますので、ちょっと申し上げにくいのでありますが、目下その容疑船につきまして、廃油の投棄をやった事実を突きとめて、またその投棄の時刻とか、場所等につきまして調査しておる実情であります。これらの廃油、漂流油とそうして千葉県の海岸のノリひびについた油等の関連性についても調査を進めておるのでありまして、この油の鑑識につきましては、それぞれ権威のある機関、たとえば日石とか丸善とかその他の権威ある機関に依頼しまして、同じものであるかということを研究しておるわけでございまして、港則法違反の事実は非常に容疑が濃くなっておりますが、そのうち近く同じものであるかということにつきまして調査の結果を待って御報告いたしたいと思います。
  31. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 関連して。ただいま福井君の水産庁次長に対する質問のお答えはまことに不可解でございます。と申すのは、三年前から予算をとって調査しておるが、まだその調査が完全にできておらない、かように私は考えますが、三年も調査してもまだその結論を得ないといったような答弁は、水産庁としてはまことに遺憾な答弁ではなかろうか。少くもこのくらい大きな問題として取り上げたのは、本委員会でやる問題としてほとんどこの国会始まってからないと思っております。しかるにまだ調査ができておらないから、補償の措置等はとる段階でないといったような腹において答弁されておるようであります。この問題については、すみやかにほんとうに乗り出して、みずからが立法措置に出て、そうして委員会の審査を待たなければならぬという段階まで来ておるのに、いまだにそういうことの責任のないような答弁には、いささか私は遺憾の意を表するというばかりでなく、水産庁の無責任態度を責めなければならぬと考えております。  それからさらにもう一点ございます。何かしら議員の方で研究をしておるのだ、だから油に対しての研究は必要ないのだというような含みのある答弁をされておるのでありますが、これはさようではございません。私今試案を持っておりますので申し上げますが、第九条の第三項第三号で、こういうことを織り込んでおります。「有害物質を排出し、または遺棄する工場、鉱山、船舶等において水質保護のためとるべき措置」云々、こういうふうに船舶から油を流して水質を汚濁する、極端にいいますならば、ノリ等の被害に対して関心をもってわれわれもやっておるのであります。それを知らない、こう言うておりますが、この立法のいわゆる原案の措置を講じますにも水産庁からも出席させて、それぞれわれわれは意見を問うてやっておるのであります。ところがあなたの部下があなたに報告しないからわからないのかもしれませんが、いずれにしても鉱山であろうと工業であろうと、あるいは船舶の油の流出によるところの被害であろうと、被害には変りはございません。また被害があることは水産庁当局としてもお認めになっておるはずであります。従いましてわれわれといたしましては、せめて今国会に水産庁から原案の立法措置をせられて、そうしてわれわれに審議をさせるべきであるというように信じておったのでありますが、遺憾ながらその措置をとらないために、われわれは今研究を続けて大体原案ができたのであります。そこで私から質問をすることは、議員の方で立案しましたものでも、もし水産庁にこれを提示して水産庁の御賛成が得られるとするならば、政府提出として水産庁はその措置をとる御意思があるかどうか、もし御意思がないとするならば、この水質汚濁なり、あるいは油の流出によって被害を受けたものに対して無関心であると言わざるを得ないのでありますが、この点について水産庁次長はどういう考えを持っておるか。極端に言うならば、われわれから提示いたしましたならば、直ちにこれを政府提出として政府から国会に提出させる御意思があるかどうか、この一点だけをお伺いしたい。
  32. 岡井正男

    岡井政府委員 若干私の言葉が足りなかったのかどうか知りませんが、誤解に基く点もあるやに思われますので、一応釈明かたがた御答弁を申し上げたいと思います。  油の関係については、ただいま御研究されておるものを中に織り込んでいないという意味で申し上げたのではなくて、福井先生の御質疑の油の問題について、国の方で漁業関係についての共済制度あるいは保険制度のいずれを選ぶかという現段階における調査というものは、それは自然的な不可抗力的なものを対象として取り上げてやるわけで、今の福井先生の言われる油につきましては、人為的なものによって損害をこうむっておるようなケースでありますから、これは加害者と被害者との民間における民事関係の問題である、かように申し上げたのであります。法律と直接からみ合せて申し上げたつもりではなかったのでありますが、その点一つあしからず御了承いただきたいと思います。  なお、政府提案でなぜ出さないのかと言われますが、これはずっと前に水産委員会がございました時分にも御要望がございまして、そのときから厚生省、通産省、農林省等の事務当局の連絡会を持ちまして、絶えず早く水質汚濁に関する立法化を政府でするようにということで進めて参ったのでありますが、各省との連絡協調がうまくいかず、結論を得ないのでやむを得ず延引しておるのに業を煮やして、それに関係ある人たちから議員さんの方に非常な御要望もありましたので、議員さんの方で取り上げになって、議員の方で一つ研究してやろうというあたたかいお志で議員立法の運びになるやに聞いております。政府において出せと言われましても右のような事情でありますので、どうぞあしからずお願いしたいと思います。
  33. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 それでは、次長はわれわれの立案したものに意見の一致を見ましたならば、これはもちろん各省に連絡をとらなければならないでしょうが、いわゆる政府提出として直ちに今国会に提出するという所存があるかどうか、これを最後にお聞きしておきたいと思います。
  34. 岡井正男

    岡井政府委員 この際に議員さんの方で御研究になったものを、すぐにお前の方で身がわりに政府立法を出せと言われましても、政府立法で出す場合には、もう少し各省との連絡とかいろいろな関係の事務的なあやがございまして、とても間に合わないと思いますので、一つ急いで御処置願うのでございましたら、どうぞ議員さんの方でお願いいたしたいと思います。
  35. 村松久義

    村松委員長 午後一時半再開することにいたしまして、休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ————◇—————    午後二時二十四分開議
  36. 村松久義

    村松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  飼料需給安定法の一部を改正する法律案及び飼料品質改善に関する法律の一部を改正する法律案を一括議題といたし、審査を進めます、質疑を続けます。小川豊明君。
  37. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 飼料需給安定法に関してお尋ねいたします。過般調印が行われた第二次余剰農産物協定によって、六百四十万ドル、ちょうど数量にして十一万トンくらいになると思いますが、トウモロコシその他の飼料用穀物が入っておるわけであります。これは第一次協定には全然なかったものでありますが、どういうわけでこれが入ったのか、またこれと関連して農林省はどういうような飼料需給計画を立てておるか、この点をお聞きしたい。
  38. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 お話のように、第一次協定では飼料を購入する計画はなかったのでありますが、第二次計画としましてはトウモロコシその他の飼料として六百四十万ドルを計上しております。これはトウモロコシあるいはコウリャンを相当輸入しておりますから、これらを余剰農産物の中で買った方が都合がいいというので買ったのであります。お手元に前に配付した資料の中に、輸入実績の表がありますから、その表でごらんいただきます通り、トウモロコシ、コウリャンは相当輸入しておるわけであります。これをトウモロコシその他の飼料としましたのは、最も有利な条件のものをこの金額で買う、その対象としてはトウモロコシまたはコウリャンということで考えておるのであります。私の方では従来トウモロコシ、コウリャンを買っておりますので、余剰農産物で買った方が条件がよろしいという前提で、トウモロコシ、コウリャンを第二次協定では買うことにしたのであります。
  39. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると、第一次協定にはなかったものが、今度の第二次協定ではこれが六百四十万ドル入ったのは、条件が最もよいからお買いになったということですか。
  40. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 前年度は向うよりトウモロコシ、コウリャンを余剰農産物として売るだけの申し出がなかったわけであります。ことしは申し出がありまして、これについて検討を加えましたところ、余剰農産物で買った方がよろしいという結論を出しまして入れたのであります。
  41. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 昭和三十年度から持ち越されているものは九万トンくらいあると想像するわけですが、これはどういう理由で持ち越されておりますか。
  42. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 昭和三十年度から三十一年度に九万トン持ち越すのはふすまであります。これは先般御説明申し上げましたように、二十八年から二十九年にかけてふすまが非常に払底して、ふすまの価格が上りまして、そこでこれに対する対策をどうしても講じなければいかぬというので、三十年度に入りましてから、飼料需給調整法に基く買い入れ売り渡しについて、買い入れ価格と売り渡し価格の差損を食管特別会計で持つという制度にいたしました。従来は、国内のふすまの相場あるいは需要家から見たふすまの価格が相当高かったのを、安く売れるような仕組みに財政的な裏づけもできましたので、三十年度に入りましてからふすまの買付を急ぎまして、十万トン以上のものは買うことができたのであります。しかるところ、秋に入りまして未曾有の豊作ということになりましたので、必要なものを出しましても手持ちが相当残ったのであります。と申しますのは、飼料を十万トン以上買うために、インド、アメリカを初め南米、南アフリカまで、ほとんど世界の十二、三カ国にわたって買ったのでありまして、契約してから到着するまでに数カ月を要しましたので、秋になって豊作になりましても、途中で取り消すということができなかったような関係がありまして、三十一年度に持ち越す数量が相当できたのであります。これは初めてふすまの国内の手持ちを需要以上に持つことができたのでありまして、一見持ち越しが多いようでありますが、飼料価格安定の面におきましては、非常に有効な作用をしておると考えてあります。
  43. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 去年買い入れた中の九万トンを持ち越してしまった。これは日本が豊作であったため、その需要がそれほどなかったから持ち越したということでありますが、ところが三十一年度の需給計画を見ますと、またさらに五万トン買い入れるということになっておるわけであります。ところがこの飼料需給安定法の一部改正の第八条の三項を見てみますと、こういう古いふすまを九万トン持ち越しておくと、その品質が低下することは当然であります。従って価格も低下するだろう。さらにこれに対して九万トンのほかに倉敷の金利あるいは管理費等の膨大な費用がかかるのではないか。そういう古いふすまを持ち越しておくと品質も低下するだろうし、そういう費用もかかり、非常に高いものになってしまう。それも今度は逆に品質が低下したものだから、業者にこれを安く払い下げる。安く払い下げるための欠損というものは食管会計で穴埋めしておる。そういうことになって、非常にこの点では不手ぎわが出てくるのではないか、こういうものに対する対策をあなたの方ではどういうふうに考えておられるか。
  44. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 日本産のふすまと輸入ふすまとでは、従来約五%の価格の格差をつけておるのであります。現在までのところそれ以上の品質の低下というものは輸入ふすまについては認められません。これがすぐ品質が変るということも考えておりません。ただ私どもが心配しておりますのは、六月、七月にかけて梅雨に入りまして、高温多湿になったときにそういうことが起りはしないか、こういう心配があるので、その梅雨を越す場合は品物を入れかえて越させたい、こういうのが今度の法律改正の眼目であります。従いましてそれまでに、九万トンというのはこの三月末から三十一年度に持ち越す数量でありまして、四月、五月にも売り出します。そうしまして予算上では六、七、八に各月一万トンずつ入れかえる、こういうふうに一応計算しておりますけれども、私の方では法律通りますれば、四月から荷口ごとに当りまして品いたみのおそれがありそうなものから買いかえていこうと思っております。いいものはどんどん売っていきます。従いまして品いたみによって政府がよけいな損害をこうむるということは一応考えていないのであります。ただあと四、五、六と一般的に売り出すのは、三万トンだけ買いかえする予算の計画になっておりますが、それまで六万トンはなかなか売れないと思いますので、買いかえ三万トンのうち買いかえないでいいものをある程度持っていかなければならぬ。あるいは買いかえを三万トン以上にしなければいかぬ、こういう場合も全然ないということは保障できないのであります。今食糧事務所に一々当らせまして、売り出しも各旬、二十二日に今度売ります。それから月末にも売り出します。少しずつ順々に売り出しまして、財政上の負担ができるだけ少くて済むように努力しております。
  45. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 品いたみは考えていないというお話ですが、また品いたみがない方がいいし、そういう措置もとられると思いますが、相当の品いたみを考えないとするならば、六月以前に全部出してしまい、六月以前に入れかえなければいけないのじゃないか。そうなるとこれはなかなか困難だから、品いたみというものは相当考えていなければならないはずである。にもかかわらず、金利、倉敷、管理費だけでなく、相当品いたみがあると考えておるから食管会計に持ち込まなければならないと思うのです。品いたみはないということを考えているのですか。
  46. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 現在のところは去年の暮れからずっと詳細当っているのですが、これは何といいますか、保管を担当しておる食糧庁それ自身が非常に慎重に調べております。そして張りつけの方法とか、随時食糧庁長官の方から食糧事務所の方を督励してずっとやっております。今のところは、水分からいっても一四%以下ならば品いたみはないというのでありますが、今まで見たところでは、大体一二%から一三%くらいの水分でありまして、非常にいいような状態になっております。ただ先ほども申し上げましたように、今よくても梅雨にはどうなるかということが心配でありますから、それに対する処置として買いかえあるいは交換の処置を考えておるのであります。
  47. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それはいいと思うのです。そこで九万トン輸入したものを三十年度で払い下げておりますね。払い下げておる価格と、輸入した価格の差額はどのくらいになっておりますか。全体のうち払い下げたものはどのくらいですか。
  48. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 先ごろお配りしました資料の十ページの昭和三十年度輸入飼料政府の買入及び売渡状況というところに出ております。ふすまで申しますと十万五千十九トン買い入れまして、その金額は二十八億八千三百五万円、最高は二万八千五百五十二円、最低二万四百二十七円、平均が二万七千四百五十二円になっております。それに対しまして売り渡しが下の方になっておりますが、二月九日現在で一万一千百六十八トン、これはこの表を作るまで、一月末までに売った数であります。それの平均価格が二万二千三百十一円、こういうふうになっておりますので、トン当りにしまして約五千円ばかりの差額が出ておる、こういうことになります。
  49. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 平均二万七千四百円くらいで買い入れて、二万二千三百円くらいで売りますから、トン当り五千円損する。そこで、こういうふうに業者へ安く売らなければならない、この売ったのがいい悪いの問題ではなくて、もう一つお聞きしたいのは、こういうものを払い下げるのは、これはどこへどういう手続で払い下げるのですか。
  50. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 本日お配りいたしました表の四枚目を見ていただきますと、「昭和三十年度政府所有輸入飼料の売渡実績」という表を出しております。これは先ほど説明した時期以後に売り渡した数量が入っておりますので、数字はちょっと変っておりますが、ここに掲げておりますような各種の団体に売り渡したのであります。
  51. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これを見ると、これは大体実需者団体に払い下げられておるわけなんです。そうすると、この中に日本飼料というのがございますね。これは相当大量のものがいっているようになっておるのですが、この日本飼料というのは輸入業務をやる会社であると私は聞いておるのですが、これは実需者団体としてあなたの方は両方を取り扱っておるのですか。輸入業務を取り扱う団体であり、なおかつ実需者団体である、そういうふうな取扱いをなさって払い下げておるのでありますか。
  52. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 輸入業務と、それから保税工場を代表する実需者、配合飼料を作る実需者団体の資格になっております。
  53. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 ここは輸入業務を相当やらせております。私は輸入業者と記憶しておるのですが、この点はどういうことですか。
  54. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 両方の資格を持っております。
  55. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうするとこれは輸入業務を扱いながら、なおかつ実需者団体であるということですが、そういう特権を与えられているものはこれ一つしか見当らない。この中でほかにございますか。もし一つならば、どういうわけでこの一つがそういう二つの特権を与えられておるか。どういう手続、どういう規則でこういうものが与えられておるのか。
  56. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 輸入業務を行なっているのは、この中では日本飼料だけであります。この日本飼料は、保税工場の約六十社余りの人が一緒になって作っておるのであります。これが設立されたのは二十八年四月でありまして、輸入業務は去年から始めたのであります。
  57. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 こういうことはおかしいと思いませんか。輸入業務を扱う者は輸入業務を扱う者、実需者団体は実需者団体であるにかかわらず、この一つのものに輸入業務と実需者団体との二つの特権を与えておいて、あなたの方でおかしいと思わないですか。それ以上は言いませんが、農林大臣が社長であって今度やめたでしょう。そういうような特権をそこにだけ与えておいておかしいと思いませんか。これは区別すべきじゃないでしょう。輸入業務は輸入業務、実需者団体は実需者団体で二つでやってもよいと思いますが、ただ一つの会社に二つを与えておくということはおかしいと思います。しかも一方において、自分が農林大臣であるので、こういうような特権を自分が社長をやっておる会社に持たせておくということは非常に不明朗な感じを与えておることになりますが、どういうわけでこれに二つの特権を与えることができるか、ほかのところではどう申請したってできないのですが、この点をお尋ねしたい。
  58. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは御承知のように、昨年飼料貿易株式会社というものを合併いたしまして、その飼料貿易株式会社の輸入しておったものをそのまま引き継いだのであります。実績を持って一緒になったのでありまして、それを禁止するというわけにもいかないので、この会社だけが両方の事業をやることになっております。
  59. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 あまりくどくなるのでこの程度にしておきますが、それでは、ほかのところでそういう輸入業務を扱っておるところと実需者団体が一緒になって申請したら、あなたの方では許しますか、おそらく許さないだろうと思います。そういうことでは飼料政策というものは成り立たないと思います。飼料需給調整法というものは死んでしまうじゃないですか。そういうことを許しておきながら、ほかには許す意思がない、一つだけ許すということは不明朗ではないか。しかもその社長が農林大臣であったということになると、なおさらそこに不明朗な感じを与えるのではないか、そういうことはやめられたらどうかという意見です。
  60. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 この日本飼料そのものが農業団体でない配合屋さんと一緒になってできておるのでありまして、そういう性質の会社が輸入業務を行なっておる会社と合併した、その際にそれを禁止するわけにはいかない、これは一般的な原則ではないかと思うのであります。その後そういうケースが起った場合に、やはりこれが前例になりまして同様な取扱いをしなければいけないという場合も出てくるかと思います。しかしお話のように、もしかりに両者の性格を兼ねておるがゆえに飼料需給安定の建前において弊害があるということでありますならば、十分検討しなければならぬ問題だと思いますが、現在のところ輸入は輸入、政府の特別会計で持っておる飼料の払い下げは払い下げと、全然切り離した関係のない仕事になっておりますので、お話のような心配はないと私は思います。
  61. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 飼料需給調整の安定法を出すということは、飼料価格を一定に安定させておこうという建前で出されるわけで、従って畜産の振興ということが基本原則になるわけです。そこで輸入する会社と実需者団体と一緒にして、それでよろしいということは、安定法の精神からいってもおかしいじゃないかと思う。やはり輸入なら輸入、実需者団体なら実需者団体と規定していかなかったならば、この法案自体というものがおかしくなる。この場合そういうことをお考えにならないですか。そうするとほかのケースが出てきた場合、これも許さなければならぬ。そういうふうなものがどんどんできていったならば、もうかることなら業者はやります。出てくれば、これは安定法自体の精神というものは死んでしまうじゃないか、そう思うが、あなたの方はそう思いませんか。
  62. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 現在までのところ、そういう弊害が出ておりませんので、要するに一ぺん特別会計が買い上げる場合、それと売り渡す場合に、両方の価格操作ができるようになれば弊害が起きる。現在それはきちっと断ち切られておりますから、これが実需者団体であるといえども、直ちに価格操作することはできませんから、弊害は起らない、そういうふうに考えております。
  63. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私は今弊害が起ってないからいいということでなく、弊害が起り、そうして非常に不明朗な感じを与える形というものは政府としてはしない方がいいと思うのです。そういう弊害がないから残しておくというならば、あとから申請してきた場合、許さないわけにいかないでしょう。そのときになって、弊害が出てきたから今度切ろうといったって、分離しようったってなかなか困難です。初めからそういうことをなくしておく方が賢明な正しい行き方です。しかも、あなたは今そういう御答弁をなさっておられますけれども、世間では、農林大臣が社長であったから、ここだけはこういうことをやれるんだ。ほかのものはやれぬのだ。そういう感じを与えておるけれども、そういう感じを与えるようなことは、飼料行政としてやるべきでない。ほかの大臣ならいざ知らず、農林大臣はそれはやらない方がよろしい、こういうことなんです。
  64. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 たまたま農林大臣が元社長であったからそういういろいろな考え方が出てくるというのは、困った問題だと思いますが、飼料の輸入については、従来の実績をもとにして毎年輸入商社を指定しておりますので、従来の実績があるのにそれを落してしまうということも、これまた片手落ちの感じがしますので、日本飼料のように実績を持ったものは、合併した場合に落すというわけにいかなかったのでございます。申し上げますように、そういういろいろな考え方が外であるということは遺憾でありますが、今までのところそういう心配は私どものところでは全然ありません。従いまして、そういう誤解がないようにわれわれの方で宣伝するのが最上の策ではないかと考えております。
  65. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは実はあなたが来られたのであなたに申したのですが、大臣が来たら大臣に話した方がいいと思ったのです。しかしこれは古いことわざに、李下に冠を正さず、瓜田にくつを入れずということがある。初めから冠をとって李下に入っちゃいかぬ、くつを脱いで瓜田に入っちゃいけないんで、これはそういう形で出てくるから、農林省全体としてそういう疑惑を招いているようなことがないように、今後注意なさったらどうかということだけを申し上げておきます。
  66. 村松久義

    村松委員長 芳賀貢君。——出席しておりませんね。中村時男君。——川俣委員要求の政府委員は出席しておりませんので、これはあと回しにいたします。  淡谷君、残余の質疑をなさいますか。——淡谷悠藏君。
  67. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この間の要求によりまして資料が提出されましたが、この中のマニトバ小麦の横流しの件でございます。この横流しの説明の中に、三十年五月あるいは六月の分につきまして、県畜連が金融事情のために他の商店にこれを転売したというふうになっております。一体県畜連がこの小麦を売り渡しました場合には、向うの要求で売り渡したものなんですか、それとも割当をして渡したものですか。
  68. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 飼料を払い下げる場合には、この前の表にあります実需者に何月何日に何ぼ出すからということを公表し、その実需者は傘下の飼料商の要求書をつけて申請してくるわけであります。すなわち、これは県畜連が全豚連なり県養鷄連なり日鷄連に申し込んで、それぞれ政府が全豚連なり日鷄連に払い下げたのであります。県の連合会の要求であります。
  69. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この金融事情が非常に逼迫した場合、何らか横流しをさせないような手が打てなかったかどうか。
  70. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 私の方では横流しがあるという前提ではやっていない。この二十八年五月の事件は国会でも非常に問題になった事件でありまして、これは御承知通りでございますが、そういうわけでやかましく言っておったんでありますし、それからまた飼料が十分でないという前提でありましたから、横流しをするということは予想もしなかったのであります。
  71. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これはこの前に配付になりました資料に比べてみますと、この横流しの事情には非常にデリケートなものがある。三十年の五月、六月というのは、ふすまの価格が非常に暴騰しているのです。この暴騰している場合に小麦を金に困って売ったなんていうことは、普通常識じゃ考えられない。従って、ここから今度の安定法のいろいろな問題も出てくるのでございましょうが、その出ました動機はまずいいとしておきまして、これによって政府は売り渡しあるいは買いかえのために約六億円の損を見越しておるようであります。これは一体売り渡す場合にはどれくらい価格を下げて売ろうというのですか。
  72. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 横流しして売ったのはお話の通り、その当時ふすまの値段が非常に高かったから売ったのであります。そこでお尋ねの買いかえの場合はどういう価格にするかというお話でありますが、これは時価をにらみ合わして、底値をきめまして、そうして入札に付そう、こういうことでございます。
  73. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 買いかえをする場合、どれくらい品質が変った場合に買いかえさせるつもりですか。
  74. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 買いかえをする場合には、品質が変ったものを買いかえをする考えは持っておりません。品質の変るおそれがあるから変らぬ先に買いかえしよう、こういう考えであります。
  75. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 品質の変らないものであるならば何も損を見越さなくても、普通のルートによって売っていたらいいじゃないですか。
  76. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 先ほどの資料の十ぺ−ジでごらん願いますように、買い入れ価格の平均が二万七千円でありまして、市価は二万二千三百円になっております。それが包装込み一袋当り六百六十九円になっております。六百六十九円というのが大体市価になっておるわけであります。われわれとしてはこの六百六十九円よりも将来はもっと市価を下げたいと思っておりますから、これよりもっと安くなると思いますが、それに対しまして政府が買っている価格は加重平均二万七千円、すなわち三十キロ当り八百二十三円になっておりますから、どうしてもその差額が出てくるわけであります。
  77. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 大へん受け取れない御答弁なんです。これは買いかえする場合、ふすまに関しましては十一億五千六百万円という膨大な損を見越しておられる。品質が変っていないものは、払い下げを受ける商人が安く受けましても、そのときになって小売あるいは一般の需要者が安い価格で買えるという自信がございますか。あなたは需要供給の関係で値が上り下りすると言った。しかし今の場合は商人にこれを預けましても、小麦でさえも横流しをする。変っていないふすまをストップして一般の需要者に売り出さなければ、毎年の例で五月、六月は高くなっているのです。これは安くして十一億以上も損をして、実際需要者が安いふすまを使えるという自信がございますか。
  78. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 それはあるのであります。というのは昨年はその前の表で見ていただきますように、ふすまの買い入れは八月ごろからやっと手に入ったのであります。四、五、六、七というものはほとんど手当したのが到着しなかったのであります。従いましてその当時が相場としても一番高い状態であったわけであります。ことしは幸いにして一部で不手ぎわで持ち過ぎているのではないかというほどあるわけでありますから、大体ふすまの生産額もずっと四万トンから五万トン国内でひけております。手持ちがそれだけありますればこの春の相場は、私の方では急激な変化を起さず徐々に下げていく、こういうような考えでおります。それに対して自信もあります。
  79. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その場合買いかえをしたふすまが市場へ出ましても、値段が下らない場合は保管分のふすまも売り渡すつもりでありますか。
  80. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 もちろんであります。
  81. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 さらに小麦の買い入れが大体十二万と予定されてありますが、これは小麦のままで配給されるつもりでありますか、いつもの通りあるいはふすまにしてやるつもりでありますか、どちらですか。
  82. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 三十一年度の計画として計上しておりますのは、小麦のまるのままで配給することを予定しておるのであります。もちろん横流しができないように、先般も申し上げましたように、赤い色の魚油を注入しまして一般食糧、そのほかのものに使えないようにしてやります。
  83. 村松久義

    村松委員長 淡谷君のただいまの質疑は重複しているように思います。重複しないように願います。——芳賀貢君。
  84. 芳賀貢

    ○芳賀委員 質疑を始める前に委員長に申し上げますが、ただいまの委員会は定足数の欠けるおそれがあるように見受けるわけですが、委員長の席から見て定数があるかどうか。
  85. 村松久義

    村松委員長 定数を欠くおそれありと認むるときは委員長において十分注意をいたしますからどうぞ質疑を続けていただきます。
  86. 芳賀貢

    ○芳賀委員 まずお伺いしたい点は、飼料需給安定法の一部改正の目的が、輸入飼料を計画以上に余分に買い付けてその処分に困るからということがこの間の畜産局長答弁の要旨であったと思いますが、これはただ過渡的に昨年度そうであったからこういう法律の改正が必要であるということでは済まないと思う。この法案が改正された場合に、今後政府は、自由に、任意に、善意な判断に基かない場合においても政府の保管飼料を買いかえができるというような弊害が必ず生ずると思う。むしろそういうことを意図してやられたんですか。
  87. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 私の提案理由の説明には、今年はよけい持ち過ぎたから買いかえるということは言ってないつもりなのです。要するに需給安定を期するためには常時一定量を持ちたい。それがふすまであれば最低三万トンである、こういう御説明を申し上げておるのであります。たまたま三十年度におきましては、当初予定したよりも国内の供給が多かったから持ち越しが多かったというだけでありまして、決して要らぬものをよけいかかえてよけいに買いかえする、そういう意図はないのであります。
  88. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただ結果的にそういう事態が生じやすいと思います。特に飼料の場合には食管会計が扱っておるわけですが、しかも食管会計の中においては、飼料の取扱いにおいて当然損失が生ずることを見越して食管会計が組まれておるわけです。そうすると大手を振って飼料の分に対しては赤字を出してもいいということになる。安心してこれは損失ができるという安易感は必ずあるんじゃないですか。
  89. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは行政庁に対する非常な御忠告でありますが、食糧管理特別会計を預っておる私どもがそう簡単に赤字を出すことは大蔵省ももちろん簡単に認めないのであります。しかしどちらかといえば、手持ちが少くて価格の安定が期せられないよりも多い方が望ましいと思うのでありますが、それ以上にルーズにやるということは、今年はたまたまそういうことであったので、これは不手ぎわというおしかりがあるかしれませんが、結果的には価格の安定を期しておる。来年もそういうことができるかということは考えられないのであります。  それからもう一つは、来年度の計画でごらんになりますように、昨年は十万トンを入れましたが、来年度は五万トンしかふすまを入れないことにして、大体ことし程度の需要が満たせる配給ができるということにしておるのでありまして、三十一年度の作が悪ければ、そのときには秋になってさらに追加輸入をしなければいけないというような場合もあるかもしれませんが、三十一年度五万トンを追加輸入するということはただいまの御心配を打ち消すものである、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  90. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この法案は、かつて審議されたときにも問題になったのですが、国内における飼料の供給力が不足するような場合においては、当然価格が値上りするわけですが、それを適切に調節するために、輸入飼料によってこれを調節するということであったのですが、最近の傾向から見ると、輸入飼料中心としておるような飼料行政が行われておるように考えられるわけです。しかも保管に当っては、変質しやすいふすまの場合よりも、むしろマニトバのような粒型の小麦そのものの方が保管は容易であるというように考えられるのですが、そういうような保管が可能であるという飼料は、昨年のごときも全部それを横流ししてしまって、しかも農林大臣が主宰するところの日本飼料会社にそれを随意契約で一手に売り渡したというような実例がある。これは渡部局長が畜産局長になる以前の問題ですが、昨年はことにそういう問題が多かった。河野さんが大臣になってから、マニトバの横流しとか、マイロのごときも横流しをして酒精原料に全部回してしまった。こういう悪事が常に重なっておるのです。そういうことをやりながら、変質しやすいふすまを、長期の貯蔵にたえないとか、変質しやすいものであるからこの買いかえができるということは、非常に勝手気まま過ぎるということが言えるわけです。こういう点に対しましては、やはり畜産行政を通じて農林大臣責任があると思う。渡部局長は就任されて以来、そういうような欠陥というか、好ましくない行政に対して、どういうようなお考えを持っておるか。
  91. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 本日お配りいたしました表の「昭和三十年度政府所有輸入飼料の売渡実績」というところでごらん願いますように、特定のところに特別にどうこうということはいたしておりません。今後そういう疑いがあるとすれば、十分御注意をいただきまして、そういう疑いの起らないようにいたしたいと思います。なおふすまのかわりに小麦を買って貯蔵しておいた方がよいではないかというお話でありますが、これは小麦とふすまの需要先が違いますので、どうしてもふすまを持っておらなければふすまの価格を安定することができないのであります。現在までのところでは、一番やかましいのはふすまでありますので、今後もふすまを相当程度持っておきたいというふうに考えております。
  92. 中村時雄

    中村(時)委員 関連ですから、いずれ詳しいことは私の順番が参ったときにいろいろお尋ねしたいと思いますが、あなたは特定の物資を特定のところに売り渡したことはないとおっしゃいますけれども、それではお聞きしますが、昨年六月マニトバ五号というものを六千トン日本飼料に一手に納めておるはずですが、あなたはそれを御存じかどうか。
  93. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 六月八日に四千百四十六トン余が日本飼料に入っており、六月十四日に譲渡計画の承認をいたしております。これは五月十三日に落札した六千五百八十三トン、全購連がこれをふすまにしたいとこういうお話があったのでありますが、それはふすまにするために出しておるのじゃないからということで、それではということで売れなかったのであります。それを再度入札し直して、その次に日本飼料が買ったのであります。
  94. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、その四千トンというものはほかには全部売り渡さなくて、ほとんど全部の数量を日本飼料が買い取っておるはずであります。全購連だけではないのであります。入札した当時、それではそのときの市価は幾らですか。
  95. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 最初に売り渡したのは九千九百八十二トンであります。それが六月十三日であります。その中で全購連が六千五百八十三トン一度落しておったのであります。その中で四千百四十六トンが今申し上げましたように、ふすま用にしたい、それはできないということで再度入札し直したのであります。その次には全部日本飼料に売り渡したのであります。
  96. 中村時雄

    中村(時)委員 そこでお尋ねしたいのですが、その九千九百八十二トンの際に価格は幾らで入札されましたか。続いてその残り四千トンは一体幾らで入札されましたか。
  97. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 現在落札価格の資料を持ってきておりませんが、あとでお知らせいたします。
  98. 中村時雄

    中村(時)委員 それではあえて追及はしませんけれども、これは私の順番が来ましたときにじっくり質問したいと思います。少くとも市価よりは高く買ってきておるのです。それをよく研究して下さい。  それからもう一つ、今あなたがおっしゃったように、全購連がふすまに切りかえることがいけないからということで断わった。ところがマニトバ五号というものは硬質なんです。これは当然ほかに転用されないと思っておったところが、あなた方は省令か何かで、これを食糧に回してもよろしいということをうたってないかどうか、この一点をお聞きしておきたい。
  99. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 最初の売り渡しのときには粒用として売り出したのであります。粒用として売り出したもので落札したものをふすまにひきたいというので、それはいけないと言ったが、その後一月たちまして情勢が変りまして、一部はふすまにすることもやむを得ないということでそういう条件のもとでまた入札をし直したのであります。
  100. 中村時雄

    中村(時)委員 あなた方がふすまではいけないと言っておきながら、一カ月たったら今度はふすまでよろしいといってそういう条件をつけたからこそ、日本飼料は市価よりも高い価格をもって買い入れておるのではありませんか。そのことは常識でわかるではありませんか。このことは後ほどまた申しますけれども、あなた方は一カ所に売っておらないと言いながら、実際には一カ所に売っておる。今言ったような行動をしておきながら、これの入札をはかったところに問題がある。あなたは当時局長でなかったから知らぬといえば、それまででありますけれども、知らないでは済まされぬことがその裏で行われておる。飼料需給安定法では当然今言ったように、粒なら粒で売っていくのがほんとうです。粒でといっても、ふすまが高価だから当然何とかふすまにしたいということを全購連が申し出た。そうしたらそれはいけないと言ってあなた方は却下しておきながら、一カ月もたった後にはこれをふすまにしてもよろしいといって別に入札をし直しておる。行政機構の権力を持っているからといって、こういうことが果して正しいことかどうかということは当然反省を要すると思う。あなたがその場の当人だったら、どういうようにお考えになりますか。
  101. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 そのときに最も必要な措置を講ずる以外にないと思いますが、私が承わっているところでは、役所側の態度ははっきりして入札しておるのだから、間違いはないのじゃないかと思います。
  102. 中村時雄

    中村(時)委員 それで問題は、価格は幾らかということが大事になってきたでしょう。そのくらいのことは当然調べておきなさい。市価よりも高く買い上げているのです。
  103. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 さいぜん申し上げましたように、至急に調べてお答えいたします。
  104. 芳賀貢

    ○芳賀委員 局長にお尋ねしますが、輸入飼料の場合は、輸入方式の中において特別の保護が講ぜらしております。マニトバ五号あるいはマイロにしても、輸入に対しては特別の保護を与えているということです。そのことは、必ずその用途を変更してはならぬということが前提になっておるのです。たとえば飼料で輸入して、それ以外の方に横流ししてもいいということで輸入方式が立っておるのではないのです。これは昨年の畜産に関する小委員会においても、当時の原田畜産局長を呼んでいろいろただしたわけですが、その当時明確になっていなかったわけです。あなたはそのあとを襲って就任されておるのですが、賢明な渡部さんですからそういう盲点は明らかにされておると思う。現在飼料の輸入方式はどういうようになっておるのですか。
  105. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは物によって多少違いますが、ふすまの場合はインド、パキスタン、南阿連邦、アルゼンチンより輸入する場合には、ふすまの過去の実績に応じて輸入商社を指定いたしまして、そのものから入札によって買う、今申しました地域以外の場合には外国食糧の登録商社から入札によって買う、こういうふうにしております。
  106. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうすると、商社の指定とか選定はだれがやるのですか。
  107. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 農林大臣がきめます。
  108. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農林大臣の権限でやれるということならば、農林大臣がそれを合法化するような仕組みの上に立って、新たに商社指定を行うことは可能ですね。
  109. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 一定の基準をきめまして、その基準に該当するものを指定する。従って恣意的に指定するというようなことはしておりません。
  110. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは関連した事例があるのです。実は商工委員会においてバナナの輸入に関して、やはり農林大臣が関連しておる問題ですが、正当にいうとバナナの買付の資格がない者に対して資格が与えられておるというような場合は、権力者の恣意性によって合法化するという手段が講ぜられるということを立証しておることなんです。特にバナナの場合よりも、飼料とかこういうものの輸入商社の指定の方が、むしろ合法性を作りやすいと私は考えておるのです。そういう場合においても当然これは所管が畜産局でありますから、畜産局長の知らない間にそういうものの指定が行われるとか、天下り的にこれを指定しなければならぬというような事態に遭遇したことはありませんか。
  111. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 そういうことはありません。ただいま申し上げましたような基準をきめまして、輸入実績を——これは外貨のなんではっきりわかるわけでありますから、それを調べまして、その中からトーモロコシ、ふすま、大豆について、それぞれの商社を指定しておるのであります。
  112. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点に対しては、また後刻具体的な事例等をあげて内容をお聞きしたい時期があるかもしれぬと思いますが、問題は今度の法律改正の場合においても、今申し上げた通り、やはり輸入方式というものの上に立って、それがいかに正しく運用されるかという厳格な規制が行われなければ、いかなる事態においても国が損失を出すということは好ましいことではないわけでありますからして、どういうような場合においても、最小限度にその損失を防いで、そのことが国内における畜産家あるいは農業者の利益に寄与するということでなければいけないと思うわけです。買いかえを行う場合においても、そういう安易な考え方の上に立つ場合においては、やはりそれに伴う弊害というものは生ずると思うわけであります。これを防ぐ場合においては、飼料に対する施策の計画化がどうしても必要になってくると思いますが、家畜の増減等の趨勢等にもあると思いますし、国内の飼料の趨勢等も、これは当然その年によって違うわけでありますが、やはり一貫した基本をなすところの需給計画というものはどうしても必要になってくるわけであります。そういう狂いのない計画に対する対策等は、どういうふうな見地に立っておりますか、それを御説明願いたい。
  113. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 お手元に三十一年度の濃厚飼料の需給推算以下需給計画というので、各ページにわたってお示ししておるのであります。すなわち前年度からの持ち越し量と国内の生産見込み、要輸入額というものを算定しておるのであります。その前提になりますのは、第三ページにありますように、各家畜の頭数、それに要する平均飼料所要量というものを出しまして、それから第五ページにありますように、国内の供給量を算定し、需要量と供給量の差額を要輸入量ということで計上しておるのであります。しかし御承知のように飼料は自給の部面が非常に多いのであります。その自給の部面の推定方法が非常にむずかしいのであります。従って需給推算と申しましても、これは石炭とかあるいは肥料とかいうようなのと違いまして非常にむずかしいのであります。ことに油かすにしても魚かすにしても非常に小さい。たとえば魚かすの製造をなす者の推定が一万以上もある、こういうふうになっておりますので、これは漁獲高とかいろいろなところの聞き込みから推定せざるを得ないのであります。そして大ワクを作りまして、月別の調整はやはり価格の足取りをにらみ合せながら調整をしていくという以外に方法はないのであります。しばしば御指摘がありましたように、豊作で自給部面がふえると、相当の余りができる、こういうふうなことがあるのであります。今申し上げましたように、年間の大ワクと月々の需給、そういう二つの面からチェックをしてきております。
  114. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これに関連して、最近たとえば酪農振興とか畜産振興の施策が、微温的ではあるけれども進められているわけですが、そのねらいはやはり飼料の自給ということに重点を置かなければ、コストの引下げは絶対に期待できないわけです。ですから、そういう自給飼料に対する依存度が高まってくれば、結局購入飼料の需要がだんだん減退していくことは当然なわけでありますが、そういう方向に対する期待というものは、たとえば年次別に考えた場合に、将来どういうことになっていくようなお考えですか。
  115. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 本日お配りしました表の中で二枚目に、飼料の需給計画試案というものを折り込んでおります。これは私どもが三十五年度までの五カ年計画を作る際に、試案として企画庁の方に出した案でございます。その次の三枚目の表によりまして、家畜の増殖計画を一応立てまして、それに対する飼料の分を先ほど御説明いたしましたようなやり方で算定して、将来五カ年にわたる見通しを立てているのであります。
  116. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、これに関連してお伺いしたい点は、去年の秋全国畜産会と日本畜産会が一緒になって、中央畜産会というものが生まれているのです。その後各都道府県単位に地方の畜産会を作らしているわけですが、これは昨年の国会において畜産局関係の予算の中で、使途不明の二千万円の新しい予算が計上されておった。当時農林委員会としては保守両党の予算の修正の話し合いもあった過程でありましたので、農林委員会全体の意向として、ほかの重要な農林あるいは畜産関係の予算を大幅に削減しておりながら何ら使途内容の明らかになっておらないようなこういう幽霊のような二千万円の予算を計上するのはけしからぬ、これを農林委員会の名をもって全額削減してそれ以上に重要な部面に回すべきだとの意見を付して、当時予算委員会にも要請したことになっているわけです。その後見ますとやはり二千万円というものがそのまま生かしてあって何かに使われたようですが、今年度の予算を見ると、その支出は昨年限りのような支出であって、ことしはまた科目が全部変更になっているというように私は記憶しているわけです。この際昨年の二千万円の使途と、河野農林大臣が畜産会を旗を振って強引に法的根拠も何もないところの団体を作らせて、これに対して国が補助金等を流す一つの機関にしたわけですからして、そういう点に対して畜産局長から内容を明らかにしていただきたい。これは後刻農林大臣が出席になった場合になおお尋ねするつもりでありますが、一応局長にお尋ねします。
  117. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 畜産会は昨年十一月に中央畜産会が設立され、都道府県の畜産会は順次設立されまして福井県を除く全県に畜産会というものができております。お話の畜産会の事業に対する補助は、昨年度は畜産技術振興費補助金として二千万円を計上されているのであります。ところが畜産会の設立が延びまして実際には事業が本年の二月以降しか行うことができなくなりました。従いまして実際の使途は約千五百万円程度の金になっております。その使用内容は、冬場において家畜飼養農家の技術指導の可能の範囲ということに限定されましたので、駄鶏淘汰でありますとか畜舎の衛生指導でありますとかあるいは乳房炎の防除の指導、それから畜産会が三十一年度においてやる経営診断と技術指導を嘱託する獣医師あるいはその他の技術者の訓練費というものに使っております。三十一年度は同じく畜産技術振興費補助金として三千三百四十七万七千円というものを計上しているのであります。これは家畜を飼っている二千五百戸の農家を指定しまして、それを技術指導の中核農家に指定しまして、そこに経営診断表を配付しまして、その農家を中心として十戸ないし二十戸の周囲がそこに集まって、技術指導、経営診断の成果をお互いに相談し合う、こういうことにしているのであります。経営診断簿を作りまして、それを配付し、さらに技術指導員の訓練でありますとかそのほかの技術指導活動費に充てる、こういうことにしているのであります。
  118. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私のお尋ねしているのは、昨年の国会中においては二千万円の使途がどういうものであるという説明が全然なかった、われわれとしてはおそらく農林大臣が畜産団体を新たに作って、これを一つの受け入れ機関としてそれに流すための用意でないかということをただしたのですが、これに対する明らかな意思表示は全然なかったのです。議会終了後に倉皇として中央畜産会ができたのです。しかも何ら根拠がないのですよ。全くの任意団体なのです。小笠原八十美、岸両氏だとか、それから大御所の河野一郎農林大臣、こういう人たちの話し合いのもとに一夜にして中央畜産会というものができて、これが全国の都道府県に対して、号令をかけて、この中央畜産会につながる畜産団体を作らない限り、今後畜産関係の補助助成は一切流さぬという、そういう得意のどうかつをやったのです。それによって都道府県の農協、あるいは既存の畜産団体が、そういうことで補助金がもらえぬとなれば大へんだから、何はさておいても一応作るだけは作らなければならぬということで、先ほど局長が報告された全国ほとんどができたことになっておる。しかしその使命観が何であるかということをわきまえていないのです。ただこれを作っておかなければば政府から補助金がもらえないから作るということにすぎないわけであります。今日の農林関係の予算の編成上から見ても、農協系統あるいは農業委員会系統に対しては、当然これは政府が支弁しなければならぬ予算さえも毎年のように大幅に削減しておるわけでありますが、一方においては単に任意団体であるところの畜産会に対して、昨年は二千万、今年はやはり四千万以上の予算を計上しておるわけであります。そういうやり方というものは、正しい畜産行政の上から見てもわれわれとしては了承することができないわけであります。今後政府としてはこれらの団体をどういうふうに取り扱っていくお考えであるか、その点をお尋ねしたいのが一点。  もう一つは、今局長が畜産技術の指導とか啓蒙のためにこの予算は使うということを言っておられたのですが、しかし全国二千五百戸ぐらいの中堅農家を選んだとしても、そういうことで徹底はできないと思うのです。今日国内で家畜を飼育している農家は、一応常識の範囲においては、家畜の飼養はかくあるべきとかいう、そういう考え方はみんな持っておるわけです。ただ問題は、全体的の指導とか推進をどうするかという点に対しては、特に農協が持っておる畜産技術の指導とか、あるいは治療機関であるとか、あるいは農業共済組合が持っておる家畜共済に基くところの診療機関、こういうものを通して、家畜の技術指導であるとか、それから管理であるとかそういうことを行うのが一番正しい行き方であるというふうに考えておるわけですが、今後はあくまでも畜産会系統を通じてのみ、技術指導であるとか諸般の施策を徹底さしていく考えであるか、その点はいかがですか。
  119. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 だいぶ、何といいますか私の方の宣伝というか説明が足りないので誤解があるようですが、昨年の予算に二千万円を計上したときには、あるいはお話のようなことがあったのかも知れません。しかし私が昨年十月に畜産局長を拝命してからは、もっぱら事務的に技術的に畜産の振興をはかるのにはどうしたらいいかということ、すなわち御承知のように畜産の団体は自然発生的に、何人か寄れば畜産協同組合である、あるいは任意組合である、あるいは登録協会である、あるいは綿羊協会である、種々雑多あるのであります。その中で協同組合法によるのが約三千あると思います。その中で非出資のものが半分、出資が千四百くらいだったと思いますが、いずれも大部分はいわゆる弱体組合になっているのであります。それからウサギがいい、綿羊がいいということになれば、みんな寄り合って自然発生的に組合ができておるのでありまして、流行を追うというか、こういう傾向があります。また養鶏組合のようなものはこれは養鶏家が寄りまして、養鶏の密度が低いところに広く協同組合を作ってうまくいかない、こういうのがございます。また一方からいいますと共済組合の診療事業等が非常に発達している県もあります。種々雑多になっておるわけであります。畜産会ができましたのは、御承知のように日本の畜産が戦後十年ですっかり様相を変えまして、たとえば和牛は百五十万頭から二百五十万頭を突破し、乳牛は十数万頭が四十万頭を突破する、綿羊が数万頭から百万頭を突破する、それが戦後十年間に行われたわけであります。それに対する指導というものは、遺憾ながら戦前の旧態依然たる指導で、わずかに、家畜がふえてきたので自給飼料の部面も増さなければいかぬというので、草地改良が出てきた。乳牛の指導にしましても、ホルスタインならホルスタインのいい品種は種畜牧場で成功して配付している。しかしそのできた商品をどうするかというようなことについては、これは率直に申し上げまして今まで農林省にそれに対する何らの考え方はなく、行き当りばったりであったことは、この前どなたか指摘されましたが認めざるを得ない。肉についてもそうであります。肉などについても、極端にいえば戦争前十万トン余りの肉が屠殺されておった屠場をそのままで、二十万トンの肉を生産しておるわけであります。それに対して需要はもっとあるのでありますから、肉の消費価格は下らないで、いたずらに生牛価格が下っている。そういうふうに一連の畜産業というものは、従来の農家経営を拡大する、たとえば役牛を飼い、あるいは自給肥料をとる、そういう面だけの行政は相当浸透しておったのでありますが、これを商品化する流通に手を触れなければいかぬといいながら触れていないわけであります。それからまた技術の面でいいましても、乳が売れるから乳牛をうんと入れるというので、私どもの方で集約酪農地を方々回っておりますけれども、いい牛を入れたものが数年たつうちにその能力が落ちてしまうとか、あるいは優良な牛が、もっとしぼればいいのにしぼり足りないで乳房炎が起きている、いろいろな問題があるわけであります。これは特殊の地域を一部々々とらえてみますと非常に振興した、うまくいっている地域もあるのでありますが、全般的に見ますれば十年間にそういうようになったのでありますから、政府の指導もあるいは団体の指導も、農家の受け入れ方も十分でないのであります。そこで中央畜産会なり府県畜産会を作る際には、まず初めに畜産会を作って、畜産団体の利益代表というような考えもあったそうでありますけれども、私が畜産局長になった当時では、要するにいいものを作る、家畜の個体の能力を全部発揮することから手をつけていこうじゃないか、しかる上農家の畜産に対する関心を高める基盤ができてから、さらに経済利益を主張し、その他の活動に入っていったらいいじゃないか、こういうふうになっておったのであります。その趣旨に従いまして中央畜産会のやり方は、現在あります団体をメンバーとする社団法人にいたしまして、畜産会ができたからあの団体はもう要らない、こういうふうなことは言わないのであります。畜産会がだんだん働きを増しまして、畜産会の働きで存立の必要がなくなれば自然に解散されることはけっこうであるけれども、畜産会ができたがゆえに団体をやめろということは言っておりません。さらに畜産会の仕事はそういう団体仕事一つの場に出して、衆知をしぼって技術指導を徹底していこう、こういう考え方であります。従いまして経営診断、技術指導をやりますのにも共済組合でやりますか、協同組合でやりますか、場合によれば乳業者の技術者を嘱託いたしまして、先ほど申し上げました指定農家の技術の指導をやる。来年度に掲げております三千三百四十七万円の費用は、たしか一カ月に四日、一農家に参る日当の費用が大部分であると思います。あとは印刷費とかあるいは講習会費でありますが、そういう費用を計上しているだけであります。今までの畜産諸団体が行なっておる事業をお互いに情報の交換をし一つの場において畜産業を進展せしめるような第一歩の仕事を技術指導の面から取り上げていこうというのが趣旨であります。
  120. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの御説明によると、この中央畜産会は、局長が言われたように今後も技術指導とか畜産振興とかそういう点のみを目的としてやっていくので、事業団体化は絶対にしないという考えなんですね。
  121. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 その通りであります。
  122. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それから、今畜産会は任意団体ですが、これはあくまでもこういうような任意団体としての姿にとどめて、しかも畜産関係の補助助成等はこの中央畜産会のみに限って国庫から流すという方針ですか。
  123. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 三十年度の補助金は——質問の趣旨がちょっとわかりませんが、中央畜産会が行う事業には、一部畜産会にいきますが、ほとんど大部分が府県の畜産会の活動費として補助金を出すのであります。
  124. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ですからこれは将来とも法律とかそういうものに根拠を置かないところの任意団体としてこれを持続さしていくかどうかということです。
  125. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは少くとも私の考えは、一朝にして団体はできないと思っております。今農業団体の問題がやかましく出ておりますけれども、畜産会の関係は、われわれが意図しておるところが真に畜産農家の要望に合致しているかいないかといこうとは、動いてみないとまだ十分わからないと思うのであります。従いましてすぐ法律を出して法律でがんじがらめに縛ってしまうという考えはないのでありますが、相当の働きが出てくれば・さらに仕事のしやすいように特別な法律を将来出した方がいいのじゃないか、こういう気もいたしますので、研究はしておりますが、すぐどうこうするという考えは持っておりません。
  126. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その点がおかしいじゃないですか。畜産団体もこれはやはり農業団体の一環だと思うのです。ところが農林大臣の考えは、必要もないのに農業団体の再編成とかそういうことにやっきになっておる。最近においては農業委員会法の一部改正ということで何とか面子を保つようなところまでまとまったようですが、全国の農民はそういう必要性をだれも感じていないのです。感じていないにもかかわらず、無理に農業団体を再編成するとか強化するとかいうことをあえてやっておる。法律の改正までやっておる。ところがこの畜産団体に限っては何も音を出していないのです。しかも作り方というものは、昨年の中央畜産界の設立の姿を見ても、単に数人の畜産界のボス的な人たちの話し合いや寄り集まりだけによってこういうものができ上ったわけです。この畜産団体の場合と、通例言うところの農業団体に対する考え方、これを二つ並べた場合には、非常に対蹠的なものをわれわれには感ぜられるのです。畜産団体だけはそっとしておいて、法律的な規制もそこに加えない、任意団体のままに勢力をそこに温存して、しかもその支配下に入らなければ補助金も何も出さぬというやり方はなかなか了承できないのです。これは局長に聞くのは無理かもしれませんが、局長といえども、やはり相当官僚としては上の方なんですから、もう少し具体的な見解を明らかにしてもらいたい。
  127. 村松久義

    村松委員長 議題をなるべく離れないようにして下さい。
  128. 芳賀貢

    ○芳賀委員 関連があるのですよ。
  129. 村松久義

    村松委員長 関連はありますけれども、なるべく近いところでおやりを願いたいと思います。
  130. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは率直に申し上げまして、蚕糸あるいは水産、森林は特別の団体がはっきりできておるわけです。畜産に対してなぜ特別の団体ができなかったのかということは——これは私畜産局長になったからそう言うのではないのですが、畜産局長になってから特に、なぜこんなにほっておいたかということを痛感せざるを得ないのであります。たとえば改良局と経済局と畜産局と並べましても、農林省の設置法の中の、農業に関する技術の研究あるいは普及は改良局長が全責任を持っております。すなわち農業、カッコして畜産業を含み、蚕糸業を除く。以下同じ。こういうことになっております。どうして今までそんなばかなことをやっていたのかということで中で今もんでおるところであります。それは要するに、畜産は農業経営の一部面であるにすぎない。従って農業経営を全般的に見るところでやったので、それでいいのじゃないか、こういうのです。これができたのが二十四年の設置法であります。そのときは、あるいはそうであったのかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、日本の畜産の様相が、農業経営の部面の上に商品生産という部面が非常に大きく出てきておるのであります。すなわち作ったものを有利に金にかえるという面を出さない限り、日本の畜産は伸びない。それからまたその伸びる可能性が十分あるのではないか。鶏にしましても、羊にしましても、牛にしましても、みんなどんどん伸びていっておるのでありますから、まあ政府の指導政策とかいろいろな価格政策等でときどきの波はありますけれども、大きい傾向から言えば、これは先般申し上げましたように、日本の人口を養う上においてはどうしても、とにかく私ども五カ年計画で出しておる以上に伸ばさなければいけない、そう確信いたしておるのであります。そうしますれば、それに対応する組織というものはどうしても作らなければいかぬのじゃないかと思います。私も農林省に入って二十何年になりますが、畜産の方にはほとんど関係したことはなくて、むしろ肥料の面あるいは物動の面——肥料課長を長くやっておりまたので、対抗的に畜産をいじめた経験はあるけれども、畜産の中へ入ったことはなかったのでありまして、その当時はそれでよかったかもしれませんが、とにかくそういうように様相が変っておるのでありますから、どうしても畜産に対する認識、畜産に対する施策、畜産をやる人の意識を統一する必要があるのじゃないか、こう確信するのであります。従いましていろいろお話がありましたけれども、あるいはいわゆるボスと称される有力者が寄って、一つの中央畜産会を作ったらいい、こういうお話が出たのかもわかりませんが、私はそういうふうには考えないのであります。各方面に当りまして、どうしても畜産の団体をはっきり確立してそうして畜産を振興する意識の統一をはかる必要がある、こういうふうに考えております。
  131. 芳賀貢

    ○芳賀委員 畜産の問題を、たとえば一つ団体を作って次第に系列化するとか、その方向を統一するということは必要だと思うのでありますが、ただ問題は、中央においてボスだけのでっち上げの団体が生まれて、その下に都道府県ごとに自主性を持った団体が隷属するということでは本来の使命を果すことはできないのじゃないか、こういうことを私は指摘しておるわけであります。  それから次に申し上げたい点は、今後飼料の需要供給の面に対しまして、この畜産会はどのような役割を果すのか、その点を伺いたいと思います。
  132. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは技術指導、経営診断の面から、先ほど淡谷先生から質問があって、ふすまと麦の飼料的価値という問題が出ましたが、これに対して実を言うと私はっきりしたお答えができないのです。というのは蛋白の価値、澱粉の価値、それから繊維の価値、それに対する評価が日本ではできていないのです。要するに従来の商品の価格でずっと流れてきているわけであります。それをもう一ぺん、今度は価値によって飼料を判断し、価値によって相場を作る運動が必要になってくるわけであります。それをやるためには、たとえばこれは前からも議論があったのでありますが、さらに質問を受けてから帰りまして、麦とふすまについて、なぜ麦をやらなければならぬかということを突き詰めてみますと、麦は寝えさに必要なのだという、こういう昔からの考え方があるわけであります。それでは大宮の種畜場では寝えさをやっているかというと、大宮の種畜場では寝えさをやらぬでもやっているわけであります。そういうふうに一般の人の飼料観念というものを直していかなければならぬ、そういう技術的な面からやりますれば、結果的には経済の改善になる部面が相当にあるわけであります。そういう点をやるだけでも相当仕事があるのじゃないか、そうすればおのずからとにかく畜産業というものは確立し、畜産人というものの意識の統一ができるのじゃないか、そういう考え方でおるわけで走りまして、たとえば畜舎の衛生問題にしましても、あるいはミルクをしぼった場合の処置によって酸度がどうなるとか、あるいは質問がありました脂肪率をはかる場合に上の方からとるか下の方からとるか、これは先生方の想像以上に進歩しているものはうんと進歩しているのだけれども、新しく入った者はこんなことも知らないのかというくらいやはり徹底していないのでありまして、技術経営の面でやることは山ほどあると私は考えておるのであります。
  133. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私のお尋ねしているのはそういうことと違って、この中央畜産会あるいは地方畜産会が飼料の流通面に対してどういうような働きかけをするのか、たとえば経済行為等も含めてですね。今局長の言ったような問題だけを畜産会は扱うのだとすれば別ですが、流通面に対して具体的にタッチするかしないか。
  134. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 経済行為にはタッチする意思は持っておりません。技術指導の面をもっぱらやっていこう、こういう考え方であります。
  135. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に飼料品質改善に関する法律の一部改正について二、三御質問いたしますが、この飼料品質改善に関する法律案は、昭和二十八年の春議員立法で成立したのでありますけれども、この法律が生まれるときから、これは何か非常に微温的な性格を持った法律でしたが、今度政府が改正を意図される点を検討すると、むしろこれは飼料の取締法的な性格が出てきておるように考えるのです。たとえばこれは飼料ではありませんが、肥料関係にも肥料取締法という法律があって、肥料の品質とかその内容の改善等に対して規制を加えておる。ですからこれをこのように次第に強化して、飼料の内容の具体的な改善等をはかるという場合においては、むしろ有権的な取締法にした方がいいのじゃないかという考えを持つわけです。局長の所見はいかがですか。
  136. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 お話のように、この法律制定するときにそういう意見が出ておりました。またその法律制定する当時そこまでいくべきだという議論が農林省の内部でも非常に強くあったのであります。しかし御承知のように肥料に比較しまして飼料は数十年といっていいほどいろいろな状態がおくれておるわけであります。たとえばいわゆる蛋白、脂肪、すなわち飼料としての有効成分の検定方法につきましても、あるいは飼料の製造業者の面におきましても非常にむずかしい問題がありますので、すぐ全面的に肥料と同じように免許制にしてしまうということはとうていできない。しかしこういうように飼料の流通量が多くなってきたのであるからほうっておけない、従って優良なる飼料を取り上げてそれを推奨するような方法を考えるべし、こういうのが法律制定趣旨だったと思います。しかし法律制定いたしましていわゆる任意登録制にしますと、登録は異物とか悪いものがまざっていなければどんなものでも登録できるということになっておるのであります。そうしますといいものを推奨するという意図とは異なった結果が出てきたわけであります。そこで今度の改正では、政府でこういう規格のものが推奨すべき飼料であるということをまず公定し、あるいは業者からこういうものがいいじゃないかと言ってきたときには、それを審査して公定しまして、そういうものに登録を与える。それからもう一つは、異物ではないけれども炭カルとか貝がらというようなものをまぜる場合に、それがよけいにまざり過ぎるとかえって家畜に害があるというような場合には、それが何ぼ入っているかということだけを表示さして、そのほかの飼料は先ほど申し上げましたように澱粉なり蛋白が多少でもあるものは全部飼料として売れるわけで、現在のところそれに全部かまっておるわけにはいきませんから、そういったいいものだけをはっきりわかるようにすることが第二段としてとるべき措置じゃないかということで、この改正案を出してあるわけなのであります。将来は私どももお話のように、できるだけ早い機会に全面的に免許制にするのがいいのじゃないか、つまりあらゆる飼料にその成分が表示されているのがいいのじゃないか、こういうふうに考えますけれども、まだそれまでには相当の準備が要るのじゃないかと考えております。
  137. 芳賀貢

    ○芳賀委員 従来の法律の内容は、今局長が言われたように、任意の登録を希望する者に対してその適否を定めて登録するということであったのですが、これを一歩前進さした場合は、やはりこの規格に適合するかどうかということで検査というものがどうしても必要になってくるのです。それによって今度は検査をし、適合したものを初めて登録してやるということにいって、それ以外のものはむしろ飼料として公けには認めないというところまでいかぬければだめだと思うのです。特にここでいうところの飼料はほとんど配合飼料です。飼料ですから化学飼料でも何でもないのです。ですから家畜によって一番必要とする、そういう配合飼料というものは、それほど雑多なものではないと思うのです。ですから、それに対するある程度の指導と規格を与えて、そして飼料の製造あるいは配合を業とするものは、その規格に沿った製品を作って、そうして検査を受けて、検査に適合したものが初めて登録されて、それが市販され、畜産家に渡るというような明確な措置にむしろ切りかえた方がいいのじゃないかというふうに考えるのです。これはやってやれぬことはないと思うが、いかがですか。
  138. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 やってやれぬことはないのでありますが、それには相当の準備が要るわけであります。これは釈迦に説法でありますが、飼料と申しましても、配合に使う場合でも肥料と同じように原料が限定されていないわけです。たとえば糟糠類にしても、ふすま、米ぬか、麦ぬかの品質が雑多、魚肥にしても品質が雑多、それで何%の蛋白、何%の澱粉を持っているふすまを何ぼ入れたというような厳密な原料の規定ができない。従って全面的に成分と原料を規定さすということは、まだわれわれはそこまでやる勇気がないのであります。これは先ほど申し上げましたように、日本飼料の消費がある程度自然の流れ、好みでできておって、飼料価値そのもので流通していないところに一つの原因があると思いますが、そういう点からいきましても、まだ時期が早いのではないか。しかしどうしてもできるだけ早い機会にはお説のような方法をとらなければならないと思います。それからそれにいく前に、免許以外の一定の規格に合わないものは製造または販売の禁止をしたらどうかという説が起ってくると思いますが、これは事実上、そういうことは経済価値があるのですから、幾ら禁止してもみな売りますから、できない。それからまたこれは法制局でもそういう議論が出ているのでありますが、憲法論としても販売禁止をするということはできません。従ってどうしても政府が推奨する規格のものは推奨するような制度にしていく。それから悪い物をまぜるものは、工合が悪ければ、そういう物をまぜてはいかぬという制限をする、あるいはまぜておるのならば、どれだけまぜておるという表示をして、取引の相手方に不当な迷惑をかけないようなことにするのが現在のところの限度であります。
  139. 芳賀貢

    ○芳賀委員 家畜の飼料ですから、それほど複雑多岐な種別の飼料を作る必要はないと思います。特にこれは化学成分でないのですから、単味の配合によって何々飼料と銘打って市場に売り出しておる。これは肥料の場合よりも検査とかあるいは取締りにしてもむしろ容易でないかというように考えられるわけです。それができない面があれば、これは家畜に有毒でさえなければかまわないでいいのです。中途半端でやると、登録したものを推奨するということがここにも出ておりますが、むしろこれだけが非常に価値的なものであるということを政府が推奨宣伝して、その分にだけ価値づけをしてやるというようなことにもなる。それが悪いということではないのですが、やはり広範な意味における飼料の検査とか取締りとか、奨励とかいうようなものをやる場合においては、同じ改正であればもう一段徹底したような改正にまでいくか、あるいは飼料取締法というような形でやった方がいいのじゃないかということを指摘したわけであります。
  140. 村松久義

    村松委員長 答弁は簡潔に願います。
  141. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 趣旨は、反対側からいえば、公定規格をきめておる以外のものを買う人は気をつけなさい、そういうことをねらっておるのであります。将来は取締法までいかなければならぬと思っております。その段階としてこのステップを踏みたい、こういうことであります。
  142. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この二つの法案に対しては、どうしても農林大臣の御出席を願う点がありますので、本日はこれでとどめておいて、後刻農林大臣の出席を待って質疑を続けたいと思います。
  143. 村松久義

  144. 川俣清音

    川俣委員 私は大きく分けて三点聞きたいのです。ところが大きい点であなたの所管からはずれるような点があると存じます。その点は後刻に譲ります。それから所管の中でこまかい点がございますから、大きい点とこまかい点——中間のところを抜いてお尋ねいたします。  大きい点でお尋ねしたいと思いますのは、これはあなたではちょっと無理ではないかと思いますが、議員提案の修正案は、国会の慣例で議員が改正案を出すという通例になっておるのです。これをあえて政府提案にしなければならなかった理由はどこにあったのですか。
  145. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 私の方では事務的に考えまして、行政事務をやる上に最小限こういう提案をいたしたい、こういうつもりで、率直に申し上げて慣行をよく知らずにやったのであります。その点は御了承をお願いいたします。
  146. 川俣清音

    川俣委員 今度たとえば急傾斜地帯というような議員立法については、議員が延長をやっておる。延長ぐらいのことはほんとう政府提案でもいいはずですけれども、内容の変更でないものですら議員提案がされる、こういうことが一つの慣例になっております。  次にお尋ねしたいのは、最初に提案されたときは、局長御存じだと思うが、これは食糧庁長官がおいでにならないと明確な答弁ができないと思うのですが、食管会計でできるだけこれを買い取っておいて、それで操作しようという建前のもとにおいて、それを売り渡す場合における品質の改善、こういうことがねらいであった。ところが今度は非常に大きな変化を来たしておる。おそらくこの変化に伴って法律を出されたのかもしれませんが、全く異なった性格のもとに出されておる。早く表現するならばこれは取締り法規的なものである。どうしてこのストックを処分するかといういうふうに変ってきた情勢の中における取締り法規という形態をとってきているのじゃないかと思うが、そうじゃないですか。
  147. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 前に法律を出したときに、需給安定法で持っている飼料は、売る場合に登録飼料として、いいものとして売ったがいいじゃないかという話があったかと思います。しかしそれは直接この品質改善関係がないのじゃないかと思います。というのは、政府が保管しているのだから、そのものを売る場合にはいいもので売ったらいいじゃないかということだけであって、この品質改善法と直接の関係は必ずしもないのじゃないかと思います。今度こういうふうな改正をいたしますのは、先ほど申し上げました通りでありまして、登録をやってみると、必ずしもよくないものでも登録をしなければいかぬということは、だんだん飼料知識が進歩していくのに対応する上からいくと、時勢に合わない。従っていいものははっきり公定規格できめる。あとは買う人が吟味して買う場合にはお買いなさい、こういう注意をした方が、一歩進むことになるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  148. 川俣清音

    川俣委員 そうすると、これは取締り法規ということになっている。前は、物資の少いときに、需給安定法に基いて不足な飼料を多く買い集めて売り出したものがごまかされないように、品質を保全するというのが建前であった。今度は取締りという考え方になったのじゃないですか。なったのか、ならぬのか、それを聞いているのです。
  149. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 ちょっとそのお話は、結ばれないものを結びつけているような気がするのです。取締りに変えるというところにはいっておりません。つまり、いいものをよりよく売りたい、こういう考えであります。取締りへいくのには、もっと違った考え方にしなければならぬと思います。
  150. 川俣清音

    川俣委員 そうすると二つの疑問が出てくる。一つは、あなたは前に肥料課長をしておったから、肥料取締法の法規をそのままずっと転用してきたのじゃないか。羅列の工合から見てもそうです。あの取締り法規をそのまま持ってきた。罰則も大体似ている。少し罰則のところに修正を加えたけれども、肥料取締りのところの規定をつけ加えた取締り法規じゃないですか。自分で肥料取締り法規をそのまままねてここに持ってきて、これは取締り法規じゃありませんというのはどういうわけですか。これが一点。  もう一つ、あなたは御存じですが、農業資材審議会、農林物資規格調査会、農産物検査法、これは読んでみましょうか。農林物資規格法、「この法律は、適正且つ合理的な農林物資の規格を制定し、これを普及させることによって、農林物資の品質の改善、生産の合理化、取引の単純公正化及び使用又は消費の合理化を図り、あわせて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。」従ってこういう規格を設ける場合には、学識経験者の判断を待たなければならないということで、農林大臣の諮問機関、調査機関ができておる。農林大臣だけでは知識がないから、いわゆる調査機関を設けて、その規格を判定させる、こういういき方で、一方農林物資規格として、これは日本の基本法になっておる。この基本法を活用すればできるものを、あえて肥料取締り法規を持ってこなければならないのはどういう理由だ、この点です。
  151. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 肥料取締法の条項にならったところもあります。これはよい品質を保持しよう——肥料取締法だから、よい品質を保持するのに関係ないというわけでありませんので、当然その使えるものは使ったらいいと思います。それから農林物資規格法との関係は、これは登録だけであれば規格法でも間に合うかもしれません。しかし飼料飼料として特別の重要性を認めまして、特別の法律を出して規格をきめる、そうしてさらにそれに付随していろいろな制度を考える、こういうために抜き出してやっているわけです。
  152. 川俣清音

    川俣委員 あなたが取締り法規でないと言えば、その規格法規で十分なんだ。この規格法規というのは、公定規格を定めるという趣旨でできている。取締り法規ならば、規格法では不十分だということは言える。そこであなたに取締法なのか、規格法なのかと聞いているんじゃないか、取締法でないと言えば、農林物資規格法で十分じゃないか。これは公定規格をきめているんですよ。
  153. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 前の法律にも、たとえば第十四条には「何人も、保証票を偽造し、変造し、」云々の規定がありますし、第十五条には「製造業者、輸入業者又は販売業者は、その取り扱う飼料にその品質が低下するような異物を混入してはならない。」あるいは第十六条には「虚偽の宣伝をしてはならない。」そういうふうな規定があるのでありまして、そのほかに今度は第十五条の二として、石灰石粉末、貝がら粉末を入れた場合には、何ぼ入れているか書け、こういうことを追加したのでありまして、前の法律をそう変えたつもりはないのであります。
  154. 川俣清音

    川俣委員 あなたは作文するときに、大体肥料取締法を持ってきて合わしたのでしょう。その通りの体裁にできているじゃないか。ただ肥料取締法と違っているところは一点ある。肥料では公告と書いてあるのを、これには告示になっている。あとの方の文章では公告となっている。肥料取締りも、農林省関係のものはおもに公告になっている。これだけが告示になっている。あとの方は公告になっている。それだけの違いです。文章の体裁が、にわかに持ってきたものだから、公告と告示と変えてあるだけで、あとは公告になっている。これだって告示と公告とどれだけ違うのか、説明はおそらくできないでしょう。あとの方には、公告しなければならない。前には、告示しなければならない。同じことなんです。肥料取締法あるいは農薬取締法は、公告しなければならないとなっている。違っているのはそこだけです。あとはみな持ってきただけです。見間違いかどうかわからぬけれども、違っているのはそこだけです。
  155. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 肥料取締法では、登録しないと売っていけないのであります。これは登録しないでも売っていいのであります。したくない人はしないでいいのであります。そこが根本的に違うのであります。  それから今の告示と公示の関係は、公示は一般的に必ずしも官報でなくていいのでありますが、告示は官報に掲載しなければならぬ、そこだけがちょっと違うのであります。
  156. 川俣清音

    川俣委員 肥料の方は農薬の方、植物防疫法、種苗法などは公告になっているのですが、これだけどうやって告示しなければならないというのか。しかもあとの方は公告になっているでしょう。前段の方は告示、あとの方は公告になっているでしょう。どういうわけで違えなければならないのですか。
  157. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 私の方で公定規格をきめた場合告示になっておるのでありますが、これは公定規格の名の示すように、少し言い過ぎかもしれませんが、法令に準拠するもの、そういう準拠の基準を示しておるのであります。肥料の方は登録でありますから、各個人が申請したものをこれはいいとか、これは悪いとかいって、世間に周知するようにやるのでありますから、そこの使い分けをしておるのであります。
  158. 川俣清音

    川俣委員 もっと読んできて下さい。三条の四には「告示してしなければならない。」とあるでしょう。同じ九条では「その旨を公告しなければならない。」となっている。そうでしょう。あなたの方で出された法案ですよ。よく覚えておいて下さい。こっちから拾って上げないでもいいように……。それから肥料も農薬も劇物もみな公告になっているんですよ。それをどういうわけで告示というふうにしなければならないのか、取締り法規ならなおのこと、告示の必要があるというのなら別ですよ。大体法律の体裁がおかしいところがたくさんあるんですよ。それで私は小さい点を指摘しているんです。
  159. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これはちゃんと区別をしておるのでありまして、公定規格をきめたときには法令に準拠するものとして告示し、今度はそれに基いて各個人が登録するのでありますから、これは一般に取引の安全を確保するために官報のみならず一般に公告している。公告と告示の相違はちゃんと使い分けております。
  160. 川俣清音

    川俣委員 農薬取締法は一条の二に「農林大臣は公定規格を設定し、変更し、又は廃止しようとするときはその期日の少くとも三十日前までに、これを公告しなければならない。」法の体裁はみなそうなっているんです。それをどうしてこれだけ告示しなければならないということになったのか。同じ公定規格のところですよ。ちっとも違わないんです農林省関係の分のこういう公定規格を設けるときには、全部告示なら告示に、統一されれば問題はない。あの取締り法規のときは同じ公定規格ですよ。同じ公定規格をきめる場合に、一方は告示しなければならない一方は公告しなければならないという差別はつかないんじゃないか。通産省とかほかのところなら別ですよ。同じ農林省で公定規格を作る場合に、一方は公告しなければならない、一方は公示しなければならないというのは法律の体裁上おかしいじゃないか。理由があるのならば全部理由があるように定めたらいいじゃないですか。
  161. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 新法でありますので、新しい方法を採用するようになったのであります。
  162. 川俣清音

    川俣委員 これは新法ということになりますと、やはり省議か何かでこういうふうに変えるという決定を経たのですか。局だけの考え方ではないのですか。
  163. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 法律を出す前には文書課、省議、法制局の審議を経て出しておるのであります。
  164. 川俣清音

    川俣委員 そんなことは形式的なことですよ。こんなことはうかつに見ておったかもしれない。新しい法律に変えるという結果変えたのかどうか、このままうのみにしたのかもしれない。今度公定規格をきめる場合には告示するように方針を決定されたのか、こう聞いておる。
  165. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは法制局の見解に従いましてこういうふうに各個人の登録等を一般的に示すのじゃなしに、法令に準拠するものとしてきめた場合は告示がよいというので、今度は告示にしたのであります。
  166. 川俣清音

    川俣委員 農薬取締法であれ、肥料取締法であれ、法規に基いたものです。同じ公定規格ですよ。これはこれ以上はちょっと局長では無理でしょうから、事務次官なり、大臣なりにお尋ねすることにいたします。  次にもう一点だけお聞きしておきます。これは先ほど澁谷委員の質問に対して、交換または保管がえをするのは変質のおそれがあるからだという答弁をされております。ふすま等は酸化いたしてまして、変質のおそれあることは十分われわれも知らざるところではございません。化学肥料でも、化学物質でありましても、そういうことがありますから、これはないとは言えない。ところがここが問題なのです。肥料のような場合はよほど保管が悪いというのでなければ変質のおそれはないのですが、有機質の物質でありますので、変化を起すことはあなたのおっしゃる通りであります。その配合されたものをまた保管中でなく、店頭あるいは輸送中または売れ残り等において、配合された餌料が変質するというようなこともあり得るわけです。この点どう考えますか、そこで金子與重郎委員は、その点単味販売の方がかえって合理的じゃないか、あえて配合にする必要はないのじゃないかという質問をいたしております。あわせて御答弁願います。
  167. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 水分の含有量が一四%以下である場合には貯蔵する場合に、これは食糧庁の方で食糧保管協会をして実際に試験を長くやらせた結果を報告させておるのでありますが、りん木の並べ方、俵の積み重ねの数を一定にした場合には、普通の倉庫で大丈夫、変質はしない、こういうのに基いておる。ところが最近私どもが調べたのでは、水分が一三%以上になっているのは今保管しているのにはないのであります。少いのは一二%くらいであります。そこで多少注意をしておるのであります。  さて、しからばそれを出して配合し、あるいは輸送し、あるいは店頭におけるときに変質するおそれがあるかないか。これは雨にかかれば変質するおそれがありますので、売る人はそれを十分注意して扱うだろうと思います。これは保管しておくふすまだからそういうことが起る、新しいふすまだからそういうことが起らないというのではなくして、一般的にふすまでもトウモロコシでも雨にかかるというような状態になれば、品いたみがするのは当然であります。しかしそういうことのないように当然扱う人はやるだろうと思います。
  168. 川俣清音

    川俣委員 この問題も時間をかけてやりたいと思いますが、きょうは簡略にしておきます。  次に、これは食糧庁長官にどうしても来てもらわなければならないのですが、大豆とか、そういうものは農林物資規格法にもあるし、農産物検査法にもあるのです。それからもちろん小麦もある。これは食料の用に供されるものとは限っていない。販売用に供されるもので、飼料として販売されようと、あるいは食料として販売されようと、その検査規格が適用されなければならないが、用途によって違ってないのです。用途はむろん、大豆を買った人が油あげにしようと、菜種を買った人が油あげにしようと、それは自由になっている。従ってほんとうからいうと、一方において農林省がこういう厳然たる農産物の検査法を持っており、日本農林規格という伝統の規格を持っておるのですから、単味であり、しかも単味に近いようなものの配合であった場合においては、あえてこういう取締り法規みたいなものが必要かどうか。しかもこれは罰則が非常に重いのです。取締り法規ならばこれだけの罰則を適用することも必要だろうと思うけれども、自由に売ってもいいものをかかえておりながら、これだけの大きな罰則規定をさらに追加するがごときは、どうも取締り法規になったのじゃないかと思う。そういう点について明快に答弁できるように一つ準備をしてきていただきたいと思います。
  169. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 御承知のように法律では第二条に「家畜家さんの栄養に供されるものとして農林大臣の指定するものをいう。」とありまして、施行規則の第一条でお話のようなものは除いておるのであります。まぎらわしいもの、だれが見てもわからぬようなものは施行規則で全部除いておるのであります。今の農林物資規格法なり、あるいはそのほかの法で取引の場合にきめておるのとは、ちょっと関係が違うのじゃないかと思います。
  170. 川俣清音

    川俣委員 この検査の方は食糧庁長官の責任ですから、食糧庁長官が来てからやります。  あともう一点だけで終りたいと思いますが、こういうえさのようなものは、有機質のようなものは、今後どんどん変化してくると思うのです。たとえばパルプの廃液から発酵素を取るとか、あるいは木材糖化に伴う飼料というようなものがかなり出てくるという様相を今示している。いわゆる有機合成事業というものは、昭和十七年に、戦時中でありますが、通産省に有機合成事業委員会というものができまして、木材を発酵させて糖化させるとか、アルコールを取るとか、あるいはその他のもので合成樹脂を取るとかいうような研究も日本で進んでおりまして、今では日本でもすでに、野口研究所、北海道庁、目黒の林業試験所等で入っており、千七百万円くらいの予算ですでに発酵飼料というものができつつあるのです。従って、こういう時勢に合せた飼料かどうかということは非常に疑問なんです。要は、あなた方が今度出されたのを見るに、飼料の不足なときは、メーカーといいますか、混合メーカーと申しますか、いわゆる製造業者といっても、混合製造業者、加工製造業者等が割合にうまい汁を吸ったのですが、今度はどうも製造業者、加工製造業者があまりうまみがなくなってきたので、規格を設けたいという運動が起ってきて、これに便乗して作られたような傾向がある。もっと安くなるのを規格をきめて、ある程度価格維持政策——それに便乗されたような傾向がありますが、こういう点についてはあらためて別な機会にお尋ねすることにいたしますが、大体発酵飼料等についてはどんなお考えを持っておりますか。
  171. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 いわゆる新しい種類の飼料は、前に、品質改善に関する法律の一部を改正する法律案の参考資料の中の六ページに代表的なものを掲げておきましたが、研究は非常にしております。要するに、いろいろな産業で廃物として捨てられておるものの中に飼料価値のあるものはたくさんあるわけですから、これを農家がその中で採算がとれるようにコンデンスするとか、あるいは持ち運びしやすいようにするとか、そういういろいろの研究をやっているのであります。しかしまだ、工業的に農家の需要に合うほどの成功を見ておりません。しかしこれは遠からずそういう状態が現出されるものと思っております。そのときにはまた新しい対策が必要になってくると思いますが、現在のところは実験室試験が済んで、パイロット・プラント程度の試験で、あるところではやっとこれを大規模にやろうかというもくろみをしているのもないではありませんが、はっきり採算がとれるというところまで確信を持っているのは遺憾ながらまだまだ出てきていないような状態であります。
  172. 川俣清音

    川俣委員 私の質問はきょうはこの程度で終りたいと思います。通産省から今資料をとりましたが、もう具体的な域に入っているという説明がついた資料が出ております。きょうはこの程度にいたしますが、もう少し御勉強を願います。
  173. 村松久義

    村松委員長 本日はこれにて散会いたします。  次会は公報をもってお知らせいたします。    午後四時五十分散会