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1956-03-09 第24回国会 衆議院 農林水産委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月九日(金曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 村松 久義君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君    理事 芳賀  貢君       赤澤 正道君    足立 篤郎君       安藤  覺君    五十嵐吉藏君       伊東 岩男君    加藤常太郎君       川村善八郎君    楠美 省吾君       小枝 一雄君    鈴木 善幸君       中馬 辰猪君    綱島 正興君       原  捨思君    本名  武君       松野 頼三君    淡谷 悠藏君       伊瀬幸太郎君    井谷 正吉君       稲富 稜人君    石田 宥全君       小川 豊明君    川俣 清音君       田中幾三郎君    中村 英男君       日野 吉夫君    久保田 豊君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 原  純夫君         農林政務次官  大石 武一君         農林事務官         (農林経済局         長)      安田善一郎君         農林事務官         (農地局長)  小倉 武一君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁開         発部調査官)  藤巻 吉生君         総理府事務官         (経済企画庁開         発部総合開発第         一課長)    永田 正董君         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         農林事務官         (大臣官房総合         開発課長)   庵原 文二君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月九日  委員伊瀬幸太郎辞任につき、その補欠として  山下榮二君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山下榮二辞任につき、その補欠として伊  瀬幸太郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月八日  飼料の品質改善に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第一〇四号) 同日  新農業団体設置反対に関する請願林讓治君  外二名紹介)(第一一六二号)  同(佐竹晴記紹介)(第一二二二号)  農地改革の行過ぎ是正に関する請願千葉三郎  君紹介)(第一一九〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  急傾斜地帯農業振興臨時措置法の一部を改正す  る法律案綱島正興君外四十名提出衆法第九  号)     —————————————
  2. 村松久義

    村松委員長 これより会議を開きます。  急傾斜地帯農業振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。質疑があればこれを許します。足立篤郎君。
  3. 足立篤郎

    足立委員 最初事務当局にお伺いいたしますが、この法律適用によりまして急傾斜地帯として指定を受けました地区において、法に定める農業振興計画を樹立してこれを実行に移す場合、具体的にどのような恩典といいますか、補助金等差別等がございますか。現在やっております具体的な事実をお示し願いたい。
  4. 庵原文二

    庵原説明員 具体的な事項といたしましては、たとえば農道補助率におきまして、一般補助率は二割でございますが、急傾斜地帯におきましては傾斜度によりまして三割、四割、五割と三段階に分けて特典がございます。
  5. 足立篤郎

    足立委員 今農道お話だけあったのですが、ほかにはそういう農道に示されているような事実はありませんか。
  6. 庵原文二

    庵原説明員 補助率の点ではほかの種目については一般と同様でございますが、ただ仕事の実施の面におきまして、土壌侵食防止等を急傾斜地帯におきまして最重点的に実施いたしております。
  7. 足立篤郎

    足立委員 その運用の問題ですけれども、たとえば農道を取り上げて、傾斜度によって三割の補助をするとか、四割の補助をするとか、あるいは最高五割の補助を与えるとかいう場合に、農道だけの計画でも取り上げるのですか。あるいはいわゆる村作り計画といいますか、その地帯全体の農業振興計画がきちんとできて、それが全体として農林省承認を得なければ、その部分をなす農道取扱いについては認めないというふうな運用をやっているのですか。あるいはそれが農業振興になる一助であるから、一つの役割を果すから、農道だけでも取り上げるというふうな運用をやっていらっしゃるのですか。
  8. 庵原文二

    庵原説明員 急傾斜法の定めるところによりまして、指定を受けました市町村長がその地区につきましての農業振興計画を立てることになります。この農業振興計画が県に上りまして調整され、また農林省提出されまして国の段階で調整される、その振興計画に基いていろいろな助成が行われておるわけでございます。分析いたしますと、農道単独でございますれば、その基礎になります農業振興計画をもとにして実施をしておるわけであります。
  9. 足立篤郎

    足立委員 この法律に基きまして急傾斜地帯として地区指定なすっておりますが、その地区指定をする場合にどういう基準、あるいは条件、またやり方、実際今どういうふうに運用されているか、その実情あるいは経過を御報告願いたいと思います。
  10. 庵原文二

    庵原説明員 指定基準といたしましては、農林省令で定めておりまして、一つ自然傾斜度が十五度以上の地域ということになっております。それから第二は土壌侵食度基準になっておりまして、これは土壌流亡率が二五%以上、あるいはまた流亡速度と申しておりますが、毎年表土が流失いたします、その速度が年三ミリメートルの部分、こういうような基準に基いております。
  11. 足立篤郎

    足立委員 現在指定をなすっていらしゃるのを見ますと、各郡単位指定されておるようであります。その郡を一つ地域として指定されておるというものにつきましては、何かものさしがあって、どの郡を取り上げるかということをやっていらっしゃると思うのですが、その実情はいかがですか。
  12. 庵原文二

    庵原説明員 農林大臣最初地帯指定いたします。この地帯指定は、今御指摘になりましたように、大体郡単位にやっておりまして、当該郡内に八百町歩程度の急傾斜地が存在するということを目安にいたしております。そういうことで地帯指定いたしまして、その次に県知事が、その地帯の中の各村々につきまして急傾斜地が五十町歩ぐらいある村を指定いたしております。
  13. 足立篤郎

    足立委員 ただいまのお話ですと、一つの郡の中に基準以上の急傾斜地帯が八百町歩でしたかある所ということが一つ基準になっておるようでありますが、たとえば小さい郡なんか町村合併をしますとわずか数ヵ町村という郡が全国で今たくさんできておる。それで急傾斜地帯というようなものも八百町歩ないものは郡として取り上げないという不合理が起ると思いますが、それはどういうふうにお考えですか。
  14. 庵原文二

    庵原説明員 郡が非常に小さかったりなどいたします場合には、知事農林大臣承認を受けまして、農林大臣指定いたしました地域に連続をいたしております急傾斜地域については、地域指定できるような措置を講じております。
  15. 足立篤郎

    足立委員 それではちょっとお伺いしますが、その指定知事に権限を委任しておるのですか。
  16. 庵原文二

    庵原説明員 委任という形式ではございませんが、御指摘のような不公平をなくしますために、便宜そういう措置を講じておるわけであります。
  17. 足立篤郎

    足立委員 それはどうもまことにあいまいな話だと思うのですが、いやしくも農道などを取り上げた場合に、補助率が変ってくる。一般が二割のものを最高五割までできるのだということでありながら、その地区指定便宜——便宜ということは非常に重大な問題だと私は思うのだが、知事委任をして、知事が勝手にその指定をして、補助率は、農林省はそれを受け付いて、知事指定したのだから、これは補助率を上げるのだということを実際やっていらっしゃるのですか。
  18. 庵原文二

    庵原説明員 先ほど申し上げましたように、農林大臣承認を受けてそういう地域を含めるということにいたしております。
  19. 足立篤郎

    足立委員 そうなりますと、私が今申し上げたようなケースは、全国にあると思うのです。絶対面積が足りない。しかしその郡の地理的な状況、経済的な事情筆から考えてみて、この法律恩典を当然受けるべきだと思われる地区指定を受けていないという場合は、それは知事の怠慢なんですか。
  20. 庵原文二

    庵原説明員 私どもといたしましては、いろいろな基礎資料知事提出してもらいまして、その上で措置いたしておるわけであります。そういう地域がもし漏れておりますれば、おそらく調査の不備だと思います。この法律が施行されましてからも、逐次そういうことのないように補正をして参りまして、追加指定というような措置を行なっております。
  21. 足立篤郎

    足立委員 郡単位地区指定なさる場合に、今の御説明ですと、絶対面積八百町歩ということが一つ基準になるというお話ですが、私はこれは非常に不合理だと思うのです。それ以外ある一つ基準として、たとえばある郡で急傾斜地帯面積とそうでない平坦地区面積との歩合を考えてみて、何%以上の急傾斜地帯がある場合についてはこれを指定するというような措置をおとりになっていらっしゃるんじゃありませんか。
  22. 庵原文二

    庵原説明員 ただいまのお尋ねの点を私はっきりお答え申し上げかねますが、調査いたしまして後ほどお答え申し上げたいと思います。
  23. 足立篤郎

    足立委員 私が今申し上げたような点が私あると思うのです。八百町歩というような絶対面積でしぼってしまって、それ以上のものは当然取り上げる、それ以外のものは一切取り上げないのだというようなことでは非常な矛盾があるし、なおまた私が今申し上げたような、ある。パーセンテージで押えて、その郡の中で急傾斜地帯の多い郡は指定するというような処置をおとりになっているとしても、実は大きな矛盾があるのです。と申し上げるのは、郡につきましてほんとうに急傾斜地帯農業振興計画であるならば、これは当然法の恩典を受けるべきだと思いますが、たまたま郡が指定をされたからといって、実はそれほどの、法に定めるような急傾斜地帯でないにもかかわらず、地帯として指定を受けているがゆえに実は恩典を受けるというようなことが起り得るんじゃないかと思いますが、実際に起っているんじゃありませんか。
  24. 庵原文二

    庵原説明員 知事指定いたします場合は、むしろ全部ではございませんで、その村内の急傾斜地が二十町歩程度集団しております地区指定しておるわけでございまして、それに便乗して全村の農道がそういう補助率適用されているということはございません。
  25. 足立篤郎

    足立委員 それならばさっきのあなたのお話と少し矛盾してくると思うのですが、地帯指定郡単位指定である。しかし知事が具体的に運用する場合には町村を具体的にあげているのだ、たとえばある郡の中で、三十ヵ町村ある、そのうちで十ヵ町村は急傾斜地帯として認めるが、あとの二十ヵ町村地帯として農林省としては指定をしていく、実際の運用面においてはそれは急傾斜地帯じゃないのだ、補助金農道を作る場合にも補助率は違うのだということがはっきりしているのですか。
  26. 庵原文二

    庵原説明員 はっきりいたしております。農林大臣指定をいたしました範囲の中において先ほど申しましたような基準によって知事地区指定しておるのであります。
  27. 足立篤郎

    足立委員 しかしその補助金を出す場合には農林省が出すわけです。ですから知事地元にひいきすれば、知事限りでそういう内訳を作っておきまして、それは便乗的に県内の町村が潤うことであればこれはけっこうだからというので、そういう内規的なものをきめてあっても、出てきた場合、農林省ではそれをチェックする用意があるのですか。
  28. 小倉武一

    小倉政府委員 ただいまのお尋ねにつきましてのお答えでございますが、先ほどからお話が出ていましたように、農林大臣は主として郡単位指定する、その指定された郡の中でまた基準に合うような町村または町村の一部を知事指定をするということになっておりまして、その指定の際にも基準に合うかどうかということは県なり、農地事務局なりの関係者がよく審査してやっております。それからまた計画が出て参りました場合に御説のような間違いが起ることもあり得ないとは申しませんけれども、そういう場合に農林省を通してやりますので、さきに指定しました町村であるかどうかといったような点をよく審査してやっておるわけであります。
  29. 足立篤郎

    足立委員 そうすると法律に基いて於けには何々郡として指定をされておりながら、実際に計画を出していって、農地事務局なり農林省当局と折衝するということになると、法律に基いてはあなたのところの郡は全郡指定を受けているのだけれども、しかし内規でこれははずれているのだということで断わることができるのですか。それだけのはっきりとした資料農林省当局も常に持っていらっしゃるのですか。
  30. 小倉武一

    小倉政府委員 内規でやっておると申し上げますよりは、地区指定につきましては、大きくは農林大臣、その中の細目は知事という法律の建前になっておりまして、内規ではございません。また基準につきましても、農林省告示扱いをいたしておりまして、その告示に基いて当然知事指定をするということに相なっております。知事指定が妥当かどうかということも、もちろんこれはわれわれといたしまして審査しなければならぬことになっております。万々そういう不公平なことはなかろうと存じております。
  31. 足立篤郎

    足立委員 そうなりますと問題は大分明らかになってきましたが、農林大臣がその地区指定をしないと、その他の郡においては、当然急傾斜地帯恩典を受けるべきだと思うところがあっても、知事指定できないというふうにしぼられるということになるわけですね。
  32. 小倉武一

    小倉政府委員 原則としてはさようであります。農林大臣は郡を指定しますけれども先ほど総合開発課長の申しましたように、その郡に隣接しておるというところにつきましては、それは先ほど基準に該当しないような郡でも便宜的にたしか農林大臣と打ち合せて指定するといったような範囲に入り得ることにはなっております。
  33. 足立篤郎

    足立委員 農林大臣地区指定郡単位になさる場合に、さっきの基準が問題になる。これが御明答がないので議論が進めにくいわけなんですけれども、私はさっきお話の一郡の中に八百町歩以上の急傾斜地帯があるところとかあるいはその郡全体の面積を見て、急傾斜地帯比重を見て、そうして指定をする方法をおやりになっておると思うのですが、これは、実は非常に矛盾があるということを、この際指摘したい。と申しますのは、郡というものは現在自治体でも何でもないのです。郡が補助金を受けて、郡が事業をやるというのならば、これはいいと思います。というのは、そういう郡につきましては、やはり急傾斜地帯が多ければ、郡として非常に財政上窮迫を告げてくるでありましょうし、補助率を上げてやるというのも理屈が通ると思う。そうじゃなくして、指定郡単位——今全然郵便の名あてにしか意味のない郡単位にしぼって指定をしておいて、実際は町村単位にしぼって拾っていくということになりますと、わざわざしぼり上げるために、そういう郡というものの区画を基準にして、一応網を打っておいて、その中でまたしぼっていくというふうな行き方をとっておりますから、その他の郡において非常に気の毒な地区が出てくるわけなんです。この点についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  34. 庵原文二

    庵原説明員 法律によりますと、農林大臣は「急傾斜地帯を含む都道府県の全部又は一部の区域指定する。」ということが書いてございます。その全部または一部をどういう範囲で区切るかという場合におきまして、郡というのは行政区域でも何でもございませんけれども、統計上その他の関係からいたしまして、一応郡の境界をもって区切っておるわけでございます。
  35. 足立篤郎

    足立委員 行政というものは常にそういう弊害が伴いがちなんですけれども、非常に形式的にものをお考えになると、ほんとうに必要のあるところがかえってはずれたり、便乗的なものが恩恵を受けたりということになりがちなのです。提案者に伺いますが、こういう運営のやり方が、私はかえって非常に不公平な結果をもたらしているとたかく信じているのです。この指定郡単位になさっていらっしゃいますが、私はもう町村が合併してきて町村の数も減ってきているのだし、中央政府で、末端における事情も大体よくわかってきているときなんですから、これはむしろはっきりと、町村単位にしぼって指定すべきじゃないかというふうに考えております。地元のことを言うと卑しくなりますが、私は地元のことが一番よくわかっているので、他府県にも同じような例があると思いますが、一つの例として申し上げたいと思います。私の地元静岡県の磐田北部地帯町村をあげますと、下阿多古村、上阿多古村、熊村、光明村、龍川村、龍山村、山香村、佐久間村、浦川町、城西村、水窪町、こういう十一ヵ町村ばかり、いわゆる北遠地帯としてございます。すぐ隣の人口五万足らずの小さな周智郡というのがある。その北部の三倉村、犬居町、熊切村、気多村、なお大井川筋の上流の榛原郡の北部の数ヵ町村、こういうような地帯であります。これは標高七、八百メートルから千メートルに及ぶ、南アルプス、赤石山脈につながる大山脈地帯です。こういった地域は、その背中合せになっております長野県の下伊那郡、これらはすべて指定を受けているにかかわらず、南側の静岡県側は一切指定を受けていない。文字通り耕して天に至る、その貧知るべしでありまして、これらの地区がどういうそろばんのはじき方か知りませんが、おそらく私がさっき申し上げた、郡の中で急傾斜地帯耕地面積平坦部における耕地面積との比重を見ての判定の結果ではないかと思うが、農林大臣指定が郡として落ちているわけであります。磐田郡のごときは南部海岸線に至るまで相当広い面積を持っているわけであります。でありますから、そういう比例ではじき出してみると、あるいは急傾斜地帯面積基準に達しないというようなことで落されているのかもしれませんが、これは旧町村の数が四十ヵ町村あった大きな郡であります。こういうような北部の十一ヵ町村ばかりの惨たんたる急傾斜に悩まされている地帯が全然適用を受けないという結果に陥ってしまうのであります。これも私は非常に不合理だと思うのでありまして、なぜそういうところを的確に拾って、郡というようなばく然たる指定ではなくして、正確に指定をされないか、それだけの用意農林省にないとは思えない。この点につきまして提案者の御見解を伺っておきたいと思います。かような間違った運用がなされるということになりますと、法律を五年間も延長してなおこういう不公平が続くということは、私どもとしてはがまんができない。そういう意味におきまして提案者に御答弁を煩わしたいのであります。
  36. 綱島正興

    綱島委員 ただいまの足立委員の御質問はごもっともなことでございまして、もともとこれは郡単位どうこうとか郡単位の総面積との比重どうこうということではなくて、実態は急傾斜度侵食度の問題でございます。その実態に即すれば、一応の行政便宜からだけ考えてもらうことは非常に実態を離れると思いますので、足立委員の御意見は全面的に賛成であります。法律の中には別にこのことを制限する規定はないようでございます。ただ取扱い農林当局の政令の範囲に属することのようでございますから、これはいずれその通りの用意農林省もされた方がこの法律立法趣旨に合うと提案者は存じております。
  37. 足立篤郎

    足立委員 提案者から全面的御同意の御答弁をいただきましたから、くどく申し上げる必要はもうないわけでありますか、念のために申し上げておきますが、立法行政との競合の問題が起って参ります。提案者から言質をいただきましても私実は安心できないわけであります。もしも今後の運用において違背があった場合には提案者は再び提案者となってこの法律を思い切って改正をして、私が申し上げたような公平な、ほうとうに困っておるところが恩典を受けられるような処置を断固としておとりになる決意があるかどうか、念のために伺っておきます。
  38. 綱島正興

    綱島委員 何だか提案権の制限を受けたような気がいたしまして、その点は少し異議がないこともございませんけれども、しかし根本的に考えて、この委員会性質から考えても、この法案性質から考えても、さようなことがなお修正されないときは、御趣旨に俗うような改正案提案もやむを得ないことと存じておりますし、そのことに当ってもよろしいという意思を持っております。
  39. 村松久義

  40. 川俣清音

    川俣委員 私この際提案者並び関係当局に数点お尋ねいたしたいと思いますが、この法律議員提案で出ておるのでありますが、一体この法律の延長をなぜ議員提案でされなければならなかったかという点なのです。大蔵当局お尋ねしますが、こういう財政的な裏づけの必要なものはできるだけ政府提案にしたいというのが大蔵省の見解であったわけです。原さん聞いておりますか。
  41. 原純夫

    原政府委員 聞いております。
  42. 川俣清音

    川俣委員 それにもかかわらず議員提案に同意されておるのかどうかという点が原さんにお尋ねしたい点です。  それから提案者にさらにつけ加えて申し上げますが、私ども憲法解釈によりますると、国会以外に法規範を定立する国家機関はないという解釈であります。従って、おそらく立法手続国会以外の機関の参加を許さないという見解に立って立法手続議員提案の形でとられたのではないかと思います。綱島提案者見解を承わりたい。ただし議員提案だということで、しかも与党の提案者でありまするから、当然予算裏づけをもって提案されなければならないと思うのです。提案者としては、法律を作るだけでなく、それを当然裏づけるような予算を持たないで提案するということは、無責任のそしりを受けると思うのです。そこでこの点をつけ加えて提案者説明を承わりたい。
  43. 綱島正興

    綱島委員 これはすべての法案に対する根本的の問題でございますので、慎重にお答えをいたしてみたいと存じます。  旧憲法立法権天皇に専属いたしておりました事情——ただ旧憲法の三十八条において、両院はおのおの法律案を出すことができるという規定がございましただけで、実際は立法権というものは、旧憲法の五条によれば、天皇に専属をいたしておったのであります。その習慣が今日の国会にも尾を引いたような感じをいたしておりまして——もちろんただいまの憲法におきましては、四十一条において立法権国会に専属するということになっております。それであるのに、どうして一体反対議員立法というものが軽んぜられて、政府立法というものが重んぜられるか。実際をいえば、不正常なものをむしろ正常と化し、正常なものを不正常と化すような取扱いで、私どもこのことは大へん遺憾に存じておるのであります。もちろん私ども提案者考えでは、政府立法権は非常に薄弱だと存じております。ただ内閣法の五条に、政府法律案を出すことができるという規定がございます。これは実は憲法とはそごいたしております。内閣法の第五条に「内閣総理大臣は、内閣を代表して内閣提出法律案予算その他の議案を国会提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告する。」という規定があるのでありまして、これが政府提案をなし得るという唯一の日本の法制上の論拠といたしておるものであります。実は片山内閣の当時、新憲法実施されたのでありますが、この片山内閣当時政府提案法律案が出るということで、非常に疑問に思って、このことについては私は非常に論争をいたしたのであります。ところがその論争いたしたことに対する答えは、内閣法の五条だけをたてに明があったのであります。しかしこれは学説上から言うならば、非常に疑義があります。私個人から言えば、これは非常な間違いな議論であると存じておるのであります。(「個人の意見じゃない。提案者の意見を聞いているのだ」と呼ぶ者あり)提案者の意見です。提案者綱島憲法に対する意見は不可分でございます。綱島提案者である場合は、それについては不可分と御解釈願います。  憲法七十二条には、「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。」とあります。このうちに議案という字がたまたまあって、法律案も議案の一つだからやはりこれは内閣総理大臣提案権ありという解釈を、当時の社会党内閣においていたされたのでありまして、それが日本憲法史上遺憾なことだと存じております。何となれば七十三条に内閣の持つすべての権限を書いてございます。その七十三条には「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。」とあって、一般行政以外のものは七十三条に提げてあるもの以外はやれないのです。それは「法律を誠実に執行し、国務を総理すること。」「外交関係を処理すること。」「条約を締結すること。但し事前に、時宜によっては事後に、国会承認を経ることを必要とする。」「法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。」「予算を作成して国会提出すること。」こういうようなことと、それから政令を出すということと、「大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除および復権を決定すること。」これだけしか内閣には権限はないのであります。従って憲法七十二条、七十三条の規定によれば、内閣法律案を出せるわけはないと思われるのでありますが、これを学問上は理論の分裂を来たした立法がなされておって、先ほど申し上げますように、内閣法の第五条には法律案を出すことができるという規定がなされているのである。この責任はどこが負うかといえば、むしろ立法機関がかような立法をしたことのために起ったことで、そのために学者間には非常な論争がございます。有名な憲法学者で私と同様な解釈をとっている人は、たとえば最高裁判所の河村判事、生々木惣一博士等はすべてこれをとっておられる。従って議員立法ならば予算案をつけぬでいいという理屈にはなりません。先ほどの御質問のうち、予算案を用意しておくべきだ、こういう御意見がございましたが、これは私、ちょうだいいたしかねます。議員の立法はその権能において法律としての拘束力を持ち、内閣は忠実に法律を行う義務を負っておるのでありますから、従って予算をこちらで用意していく必要はありません。むしろ内閣が義務づけられるわけでございます。ただ問題は、行政事務の一つとして予算の編成及びその執行ということが内閣の持つ専権でございますので、この法律の場合は——別な場合は別として、この法律の場合は予算範囲内においてと規定してございますので、従ってこの際に、全部が期間中にできなかったということが、特別な悪意に基かざる限り、さほど責めなければならぬということもないように存じますし、この点は多分質問者と意見を異にすると思うが、予算範囲内においてという規定がこの法律ではございますから、予算範囲内において十分なる予算を組まなかったということについては、多少の政治上の議論はあるにしても、法律上の違反と認むべきほどのものにはならないと存じております。
  44. 原純夫

    原政府委員 大蔵省といたしましては、今回の延長の法案についてどうかというお話でございますが、賛成でございます。
  45. 川俣清音

    川俣委員 ここで綱島提案者憲法論をやるつもりはない。堂々と憲法解釈論をやられたからには、その責任を当然追及していかなければ、提案者趣旨ば満たされないりではないかと思う点で、さらにお尋ねするのですが、制定法の立法は、法律案基礎と申しますか、起案、提案、審議、議決であることは、これは申すまでもない。従って法律案の起案及び提出は、当然に国会の独占するところであるという解釈綱島さんがとっておられるようであります。従って行政権によるところの法律案の起案及び提案権は、憲法の四十一条に反するし、七十二条にも反すると、こういう御解釈だと思うのであります。そういう解釈の上に立って、そこで私はこの際あなたにお尋ねいたしたいのですが、なぜそれでは時限立法にしたか、国会の意思は五年でこれを完成しようということでなかったのがどうか、それでなければ時限立法意味をなしません。五年間に完了するというのが国会の意思であったと思う。従って五年間に完了するんだけれども、年度割については、その予算範囲内において、法律の命ずるしょう。年度割は別です、しかしながら五ヵ年にこれを完了するというのが法律趣旨であったと思う。そうでないのならなぜ永久立法にしなかったのか、五年の時限立法にしたということは、短期間にこれらの恵まれない地帯を振興していこうというのがその本旨であったと思う。おくれたるところの農業地帯をすみやかに振興させようという意図でこの法律ができた、私はそう理解しているのです。何年かかってもいいというのだったらこういう特殊立法はできなかったんじゃないかと思うのですが、この点はいかがですか。
  46. 綱島正興

    綱島委員 この五ヵ年間でやらねばならぬというのは大体五年間で大方できるだろうということが立法者の希望的考え方であった。そこですべて行政事務というのものは必ずしも全きを得ません。いかなることでも、橋を一つ作るのでも、予算を十分組んでおってもそれも必ず年度内にできるとはきまらない。予算の執行も編成もすべて年限をきめて、必ずそれができるという実例はございません。およそ五年間を目安として、政府予算編成権の範囲内において妥当な予算を編成するのであろうという希望のもとに立案されたことには間違いございますまい。しかし一方この法律の中に予算の管囲内においてと規定してあることは、必ずしも年度内のやりくりだけの範囲内と見たものとは解釈いたしかねるので、すべての事業においてもやはり相当期間において、その当該年度の予算に該当することをやっていくということになりますので、勢い多少の目安のズレもありましょう。そのためにこのたび時限立法を延期いたさねばならぬという実情になって参ったことも事実で、これも提案理由のおもなる理由の一つに相なるわけでございます。時限立法であるためにはこの範囲内で予算をつけなければ必ず違法であるということはちょっと申し上げかねるかと存じます。
  47. 川俣清音

    川俣委員 私はなぜ時限立法にしたかという説明がまだ十分ではないと思う。次に問題を発展させるためにどうしてもこの点をお尋ねしておきたい。一体なぜ五年の時限立法にしたか、これは提案説明の中にありますが、とにかくも恵まれない地帯——日本の土地条件からいって、こういう土地条件の中に農民が営農をしていかなければならないということは、日本の過剰人口をここでなお保っておるのであります。単に農業の面からいうと、こういう地帯を開発することが妥当かどうかということが疑問になってくるだろうと思いますけれども、あえて提案者がこの立法をいたされたゆえんのものは、これだけの大きな人口を抱え、父祖伝来の居住地においてその農民を安定せしめようという大きな国策から出たものだ、私はそう理解する。従ってこれは非採算的であるとか、経済効果が上らないとかいうことで放任されておった地帯に対する特殊立法だと思うのです。しかもそれは早期にこれらを振興していこうという意図だと思うのです。しかしながらこれは議員立法で、期限がないんだということで予算裏づけも不足であったというのなら、私は見解は別なんですけれども、これもやむを得なかったと思うが、提案者のように堂々と議員立法は少くとも行政府立法よりも優先すべきだという見解を述べられ、あるいは行政府法律案などは憲法に違反するんだとまで広言されたからには——広言されないなら別ですよ、広言しておいて法律を出しておりながら、予算範囲内においてこれをやらねばならぬと言う。予算範囲内とは違うでしょう。臨時立法としての予算範囲内なんです。大体まだ年度中ですよ。まだ補正予算を組む余地もあるんです。まだ四年しか経過してない。この四年で何パーセントやったのですか、法律を作ったからには、半分以上やりましたというならばまだ成績は下にいたしましても了といたすべき点があります。まだ二十何%しかできていない、特殊立法をもてあそんでおる。農民にすれば、五年間でできるという期待を持っておる。さっき足立君はもっと指定を拡大したらどうかと言われておるが、ほかの方はみなできたと思っておるのですよ。ところが指定したところですらもまだ二十何%よりできていない。これは提案者みずから侮辱されておりながら、またもや提案するということは提案者の権威にかかわると思います。まだもう一年あるのでありますから、しかも与党なんです。野党ならやむを得ませんが、与党なんですよ。何でもできるような顔つきをされて、すべてに臨んでおられる。しかも陳情者を連れて、法律ができれば五年間でできるのだといってやっておられるのであるが、なぜこの最後の一年間になし遂げる勇気がないのか。この一年間で半分だけでもやってみせるという熱意があるならば提案者の資格があると思うのであります。半分もやらないでもう一ぺん延期しますということでは無責任ではないかと思うが、この点はいかがですか。
  48. 綱島正興

    綱島委員 提案者の資格の問題でありますが、議員諸君は提案者の資格を同様みな持っておりますし、皆さんも提案者でいらっしゃいます。(「私は提案者じゃない」と呼ぶ者あり)あなただけはそうでないけれども、他の人は全部提案者であります。そこでそれでは一体どういうわけで事業の進捗度がそれほど遅滞しておるのにまた提案するのか、もう一つは、与党でありながらなぜ一年残っておるのに完成するような努力をしないのか、こういう御質問でありますが、諸般の事情より考えまして、今の情勢からあとの一年間にこれをやり遂げられるだろうとは想像されない事柄でございますので、それであと五年を延期して、おくれたるところを取り戻したいということがこの提案の理由でございます。そこで資格があるかというお話でありますが、これは努力は大いにしておるので、ただ予算がそれほど組めないで困っている事情は与党も野党も同一でございます。これは皆様同様、このことを農村のために私どもはやる資格は十分にあると考えております。
  49. 川俣清音

    川俣委員 これは綱島さんまじめにやりましょう。もう一年間あるのですから、少くとも補正予算を組んでもこれはもう少し努力するというならば、五年延長するということも必要だと思うのでありますが、ただずるずると五年、五年と延長していくならば必要がない。これは毎年土地改良事業で、総体の地域からいって、この程度のものはこういう特殊立法がなくてもやっておるのです。割に進行しておるのは農道だけですよ。ほかと比べて率の高いのはこれだけです。法律がなくともこの程度のことは進捗しておる。そういうずさんなことではだめですよ。予算の総則を見てごらんなさい。特殊立法らしいもので効果をあげておるのは離島振興だけです。これは別ワクをとっている。積寒法でも湿田地帯でも、あるいは畑地振興法でもへできた年だけはプラス・アルファになっていることは認めます。この急傾斜でも最初のときだけは確かにプラス・アルファになっていることは認めます。あとは土地改良事業として予算を組んでいるだけですよ。何にも特別にプラス・アルファになっておりません。土地改良の総ワクが減れば急傾斜地帯の総ワクも減り、積寒地帯予算も減るだけですよ。別にこの法律ができたことによって、幾分でも恩典を受けておるのは、先ほど事務当局から説明がありました農道だけです。しかもこれは率なんという大きなことを言いますけれども、今までも特殊地帯に対する農道について、こういう急傾斜法律案ができたために補助率が高まったものはございません。既存の法律で十分やり得る。あなたは既存の法律を知らないからそういうことをおっしゃる。土地改良法にはちゃんと書いてある。第一条「この法律は、農業経営を合理化し、農業生産力を発展させるため、農地の改良、開発、保全及び集団化を行い、食糧その他農産物の生産の維持増進に寄与することを目的とする。」「土地改良事業の施行に当っては、その事業は、国土資源の総合的な開発及び保全に資するとともに国民経済の発展に適合するものであり、且つ、土地利用、森林その他資源の保全、開発に適切な考慮を払って政令で定める計画基準に準拠するものでなければならない。」となっている。すべてこれが包含されるということになっている。あえてこういう特殊立法を作らないでも、既存の法律で十分やり得る。何にも区別する必要はない。これを区別されたのは何かというと、五年間でこれを完成したいという特殊立法なんです。特殊地帯に対して他よりも優先的に五年間でやろうというところにあったと思うのです。そうでなければ既存の法律でやれるのです。土地改良法その他によって十分やり得るのです。ですから予算編成を見ますとちゃんとそういうふうになっている。特殊立法扱いを一つもしておりませんよ。五年間で完了しようなんというやり方はしておりません。これは与党がおそらく同意して通したのだろうが、その中には特殊立法扱いをしておりません。離島振興だけですよ。そこでただ五年を延ばすというのは無責任ではないか。従って現在までの状態を見ましても、実際おくれておる地帯、こういう恵まれない所でもってなおしし営々として働いておる農民、過重な労働をしいられてそこに生活をいたしておりまする農民に、一日でも早く、少しでも手厚い農業振興政策を講じてやろうというところにこの特殊立法の本質があるのだと思う。それをみな期待しているのではないか。その期待を裏切ったのはだれなんだ、期待を裏切ったのは政治家じゃないか、与党の連中じゃないか、こうおそらく言うであろうと思うから私は念のためにお聞きしておる。提案者にそういうそしりを受けさせたくないために私はお尋ねいたしておる。
  50. 綱島正興

    綱島委員 御説の通り土地改良法でもやれぬことはないのです。ところが実情としては特殊地帯については一向やらないで、それこそほとんどへもひっかけないような態度で従来やってきておる。大体は平原地帯ばかりやって、こういう辺陬地帯にはほとんど意を用いていないのが従来の経過でありまして、そのためにこの法律が生れてきておることは御説の通りであります。しかしそれでも幾分はやっておるのです。そのやる度合いはあなたのおっしゃる通り、これは非常に不十分でございます。また与党だから多少の責任を感ぜぬかということ、御説の通り責任は感じます。責任を感じるからなおさらこの立法を延長いたしておる。そこは責任を感ずるならするに及ばぬというようなこと、責任を感ずるならなおさら全きを期するための努力を継続しなければならぬということとの見解の相違でございまして、この点は何年やっても到着点はございません。私どもは御説のような責任を感ずるから、なおさらこれを延長して、でき得る限り全きを期さなければならない。与党であるからなおさらこれは努力をいたさなければならぬという御説については、もう少しも異議はございません。その通り考えております。  ただ問題の異なるところは、不十分だから提案することはだめじゃないかという意見と、不十分だからなおさら提案しなければならぬじゃないかという意見の相違だけでございます。
  51. 川俣清音

    川俣委員 基本法がないためにやれないなら別ですが、基本法はある。予算さえ基本法に基いてまんべんなく出せば行き渡るのは当然なんです。特殊立法を作る必要はないのです。予算が少いから、少い予算を分配しようと思ってこういう法律を作るだけなんです。十分にこの基本法に基いて予算を組んでいくならば、あえて特殊立法の必要はない。予算を組めない器狭さが特殊立法によって免れようとする。これは卑怯な態度なんです。本来であれば基本法に基いて十分予算をつけていくならばその目的は達せられる。これはおそらく農地局においても当然やらなければならないことである。予算が不足だからその配分が山間地に至っていないということになると思うのです。問題は予算の裏づげが足りないというところから特殊立法ができたと思うのです。  それから大蔵省に聞きたいのですが、今までは大蔵省は、なるべく総花的な予算の配分はやめよう、予算が細分化されることはやめようというような考え方でおられるようですが、どうなんですか。昨年の予算総則なんかを見ましても、総花主義を廃止する、予算の細分化は廃止する、こういっておられる。それとこれとは矛盾するとお考えになるかならないか。
  52. 原純夫

    原政府委員 物事には大きいものと小さいものとがございます。初めから小さいものは小さいものでしかない。だから小さいものは全然いかぬとは思いません。大きいものは大きいなりに、小さいものは小さいなりに、それぞれその事業をやる場合でしたら、その事業を経済的な速度でできるようにやろうというのが予算を一番効率的に使う道であろうと思います。従いまして小さなものでありましても、やるに当ってこれをまた非常にこまかい額をなおこまかく分けて、こまかしくやるということは、大きい事業について長年かかってやるのと同じような効率が出る。そういう意味でわれわれ総花といいますか、経済効率に合わない、ぼちぼちとつけるということはよろしくないというふうに申しておるわけであります。ただいかにも気前よく聞えますが、予算総額はなかなか苦しいので、その中で五億なら五億の金を使います場合に、おれもおれもということでやられると結局ぼちぼちになるから、順を追うて集中的にやっていただきたいということで申しておるようなわけでございます。
  53. 川俣清音

    川俣委員 原次長は答弁を左右していけません。速記録にちゃんと載っておりますから、あとでそれを弁解しないようにして下さいよ。そういたしますと、この立法に賛成だ、こう言う。この立法ができなければ、土地改良法によってだけでは、基本法だけでは、こういう山間僻地の恵まれない地帯傾斜地帯には予算はつけられないという解釈なんですか。この法律ができたからつけられる、こういう解釈なんですか。私はそうでなくて、あなたの方は従来は、こういう特殊立法がたくさんできてきて、予算が細分化されることは好ましくないというふうに聞き及んでおったからお尋ねしたのです。そうじゃないという解釈ですか、どっちなんです。はっきりして下さい。
  54. 原純夫

    原政府委員 基本法だけで急傾斜地帯予算がつけられないということはないと考えます。
  55. 川俣清音

    川俣委員 それじゃ別にこの法律ができて、さらにプラス・アルファする、こういう意味ですか。そうじゃないでしょう。あなたの予算提出の仕方を見ますと、事務的に組んだのを閣議で承認を得たのでしょうから、なぜ別ワクにしなかったか。これは基本法でやれると思うから別ワクを作らなかったと思うのです。さらにまたこの法律が必要だというからには、別ワクをつけてやろう、こういう意図なんですか。この点をはっきりして下さい。どうもそのときそのときの答弁ではだめですよ。提案者答弁を聞いていると、その提案者に賛成するような答弁をする。予算のときにはまた別の答弁をするから食い違いができるのです。
  56. 原純夫

    原政府委員 基本法でもつけられないことはないと思いますが、こういう特殊立法ができた場合に、それが影響力を持つということも事実であろうと思います。そこでワクを別にするかどうかということは、またおのずから別個の問題で、予算の効率的な使用のためには、他の地域と一体として計上して、実情に応じて配分していただくという考え方もあるし、ワクを別にしろという考え方もあると思います。ただいま前者の考え方でやっているということでございます。
  57. 川俣清音

    川俣委員 どういうわけで前者の考え方でやっておられるか。綱島提案者の意見によりますると、これは別ワク建がほんとうだという提案の仕方なんです。提案者の意思に基いて、そのでき上った法律に基いて予算を組むとすると、別ワクでなければならぬはずなんだが、あえて別ワクでないところの理由はどこにあるのですか。
  58. 原純夫

    原政府委員 これは予算の積算に当りまして、別ワク、別ワクでないという議論にいたしましても 全然ワクがないというのではなくて、積算の際に腹づもりはいたしておるわけであります。ただそれを国会の議決によって、このワクは右、左行っちゃならぬというしきりを、この地域と他の地域との境につけるかどうかという意味においては、それまでの必要はなかろう。また実際に行政でやられる場合の腹づもりという意味での金額ははっきりいたして、つけておる。三十一年度はたしか三十年度よりも相当増額いたしておるように記憶いたしております。あまり経費を右、左に動かせないというような固い意味のワクは建てない方がよろしかろうというふうに申し上げたのであります。
  59. 川俣清音

    川俣委員 それでは、これはまだ問題が残っておりますけれども、時間の節約上次に進展させますが、大体大蔵省は、今まで予算をつける場合に、経済効果ということを非常に問題にしておられるようですね。あなた方たびたび会議を開いて、経済効果があるとかないとかいうのですが、どうも私らにはわからない。大蔵省事務当局のいわゆる経済効果とか、あるいは非採算的であるとかいうことはどういうことを指して言われるか。これは一般の世間の観念とだいぶん違うようですから、あらためてこの際お尋ねしておきたい。
  60. 原純夫

    原政府委員 一般に、たとえば土地改良を例にして申しますれば、土地改良の結果、米で例をとって申しますれば、お米が一石よけいにとれるようになるための金が幾らかかるかというのを計算して、ある土地改良の計画では二万円あればできる、ところが他の計画は三十万円もかかるというようなことがありますれば、その比較はおのずから明らかであろう。やはり経費の効率という見地からは、安い費用でよけいできるというものをとるべきであろう。もちろん、ただいま御審議になっておりますこの特殊地域、これは生産力の低い地域であります。そういう意味において条件の悪いところであって、そういうところにおいて、先ほど来おっしゃられておる土地と農民とのつながりという問題はもちろんあります。が、すべてやはり経済的な効果を一方に考え、同時にそういう地縁的な関係考えつつ、事柄を科学的にきめて参りたいというふうに考えて、経済・効果の測定、判断ということは常に欠かしてはならぬというふうに考えておる次第であります。
  61. 川俣清音

    川俣委員 私は経済効果を考えてはならないという議論をしてないんですよ。一つもそんな議論をしてない。ただ大蔵省限りにおいてしか通用しないような経済効果だけをあげておる点を今指摘しようということで、あなたの見解を聞いておる。そこで農林省お尋ねします。大蔵省が言うところの非採算的とか経済効果が上らないとか、あるいは経済効果を把握しがたいということで、あなた方だいぶ予算を削減されたりなんかしておるようですが、大蔵省はどういうことを経済効果と言っておるのか。農林省見解と大蔵省の見解と同じですか。私はこの見解が違うんじゃないかと思うんですが、この点をお尋ねしておきます。
  62. 小倉武一

    小倉政府委員 経済効果と申しますといろいろ意味がございますが、私ども今やっております場合の経済効果判定の基準は、ただいま原次長からもお話がございましたように、石当りに幾らかかるとか、反当の事業費が幾らとか、増収額と支出額との比率とか、こういったものが経済効果判定のおもな基準になっております。それで果して十分であるかどうかということになりますと、なお私どもとしても検討しなければならぬ部面がございます。単なる増産という効果だけではなくして、たとえば田植え等の過重な労働が軽減されるとか、そういった意味のいろいろの効果ということも、これまた経済効果には違いないのでございます。今のところ的確にそういう効果をはかってどうというところまでにはまだいきかねておるような実情であります。
  63. 川俣清音

    川俣委員 そこで私が非常に疑問になってきて、先ほどなぜ基本法でやれないか——これはやれるんですが、なぜ特殊立法を作ったか。基本法で事業を執行する場合は、大体一律の経済効果ということが基準になると思うのです。そこで特殊立法というのは、その基準ではどうも予算裏づけが不足になるおそれが出てくる、または見落しされることになってくる、従ってそういう特殊立法を作ったからには、一般の基本法と基準を別にしなければならないというところに、私は特殊立法の本質があるのだと思う。そこなんですよ。それをただ無責任、特殊立法を作れば予算を多くとってやるということは、これは代議士の選挙運動だけです。最も誤まれる考え方なんです。単にきげんをとろうとするだけの話なんです。本来はそうじゃないのです。基準が違うところに特殊立法の必要性が生まれてきておると思うのです。湿地帯にしても海岸砂丘地にいたしましてもあるいは急傾斜地にいたしましても、既存の経済効果というようなことの基準ではとうてい合わない地帯を特別に見てやろうというからには、基準が違わなければならないはずなんです。そこのところなんですよ。従って、もしもこういう地帯で農民が仕事をしなければ、失業対策費としてまた別個に予算を組まなければならない、別に人口問題を解決していかなければならない。これらの人々が経済効果の上らないようなことをしておるなら、どこかでこういう人々を収容するような施策を国が講じなければならない。それよりもこの山に落ちつかせておいて、古来の山を耕させることの方が、総合的な面よりもより経済的だということもあると思うのです。従って、幾らつぎ込んだら幾ら増産される、そんなことだけを考えておったのでは、特殊立法意味をなさないのですよ。そこでお尋ねするのです。基準が違わなければならないはずです。あなたの基準だと、特殊立法なんか必要ないということになる。大蔵省の説明でも、別にこういう特殊立法は必要でないということと同じことです。非採算的な土地条件の中にある、経済効果の上らないところにおるというその特殊事情を認めて立法化した、こういうことになっておる。従って基準が違わなければならない。農道にしてもそうです。人が非常に多く通るところの農道と、山の中の農道と同じ金をかけても、利用が少いことは当りまえです。そういうことで農道を山の中につけられない、利用率が少いということだったら農道は山にはできない、そういうことではなくて、この法律にある通り、過重な労働をしいられておる、これを緩和してやる、こういうことでしょう。過重な労働を緩和しても、経済効果はすぐ上ってきませんよ。直接上るものではない。間接的には農民の安定策ではありますけれども農道をつけたから、幾ら金をかけたから幾ら効果が上るということでは、山間部の農道はできるものではありません。利用率が少いのです。人口が希薄なんです。その恵まれない環境においてなお過重な労働をしいられておるから、それを緩和していこうというのが特殊立法のねらいなんです。だから経済効果経済効果ということを言うけれども、従来の経済効果を是正しようというところにこの立法趣旨があるのだ。あなたはそう理解していないのですか。そう理解しなければ、特殊立法に賛成だというのはおかしいですよ。小倉局長どうですか。
  64. 小倉武一

    小倉政府委員 経済効果と申しましても、ただいまのところまでは、お説のようにいわば増産効果ということにあまりたより過ぎておる、特に特殊立法が行われた趣旨につきましては、今るるお述べになりましたように、確かにそういう御趣旨だろうと私ども考えるのであります。しかしながら増産効果以外の経済効果につきまして、的確な基準がなかなかむずかしいのでございます。また地帯によって全然基準を違えてしまいますれば、地帯別にどういうふうに予算を配分するかというようなこともまたむずかしくなるという難点も生じてきますので、特殊立法趣旨を尊重いたしまして、そういう含みでもって予算をつけて参るということはもちろん必要でございますし、これまでもそういう意味で努力して参ったのでありますが、今のお説のような別途の基準というところまでは、まだ進んでおりません。しかし私どもの経験なりあるいはこれからの調査なりによりまして、いわば行政技術がもっと進歩いたしますれば、そういう趣旨をもっと十分具体的に取り入れるということも、あるいは可能になろうかと思いますけれども、今のところ、別途基準を作ってその基準によってこうだというはっきりしたところまでは、実は参っておらないのであります。
  65. 村松久義

    村松委員長 まだ大蔵省にお尋ねになりますか。
  66. 川俣清音

    川俣委員 まだまだありますよ。今の点について大蔵省の見解を聞きたい。
  67. 原純夫

    原政府委員 農地局長の言われた通りであると思います。おっしゃる通り、増産効果だけでなしに、地帯の特性を入れた考え方というものはもちろんあると思います。そういう考え方をとるべきであると思いますが、増産効果というものは非常にはっきり数字に出ますが、地域の特殊性を入れた計数は数字に出にくいというようなことから、ただいまの段階では、ただいま農地局長の言われたような農地行政にならざるを得ないというような考え方でおります。
  68. 川俣清音

    川俣委員 あなた方は特殊立法は賛成だとおっしゃるのですが、賛成だということは、特殊な基準を作ることに賛成だと、こういうことになるのじゃありませんか。それなら基本法でやれるのですよ。やれないところがあるというのは、基準が違うというところにやれないところがある。同じ基準だと取り残される、取り残されては困るから特殊立法を作ったとこういうことです。従って新たなる基準を見つけていかなければ、これは五年延長しても、十年延長しても同じことです、百年延長しても同じことです、そこで聞いておるのです。
  69. 原純夫

    原政府委員 おっしゃる通り、この法律がありますために、同じ基準ではいけないであろうところもやるということになっておるのだと思います。しからば基準の違う度合いはどれだけかというふうに言われましても、それをつかまえるだけの科学的な計数は出て参らないということを申し上げておるわけであります。
  70. 川俣清音

    川俣委員 そこでお尋ねしますが、基準などを作るために審議会を特に設けて、審議会などを開くわけですね。この主体はどこになっておりますか。これは法律では総合計画農林大臣がやり、審議会でやり、それからもっと下になると町村長が主体になってやるようになっておるのじゃないですか。
  71. 綱島正興

    綱島委員 この条文に書いてあります通りでございますが、一応の大ワクは農林大臣がきめて、それを告示をする、知事がそれに基いて町村までの計画を立てる、そうしてそれによって運営をしていく、こういうことになっておりますが、さて審議会はどういうことをするかといえば、権限の範囲はそう限定してございませんので、総括的なことを審議して参る職務があるものと存じております。
  72. 川俣清音

    川俣委員 この法律によりますと、市町村長の定める農業振興計画農林大臣の定める農業振興計画、都道府県知事の定める農業振興計画の変更等が基本になっておる。これは大体実施よりも計画機関だ、計画をして予算化させる機関だ、こう見てよろしいと思うのです。これと衝突するようなものができる場合はどうなりましょうか。この法律を変えようとする意思はお持ちになっておりますかどうか、この点を伺いたい。
  73. 綱島正興

    綱島委員 法律を変えようという意思はございません。
  74. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと市町村長の定める農業振興計画などはこれは重要事項と見、あるいは農林大臣の定める農業振興計画もこの法律の重要な事項として改める考え方はない、こう理解してよろしゅうございますかどうか。
  75. 綱島正興

    綱島委員 その通りであります。
  76. 川俣清音

    川俣委員 そこでそれではお尋ねいたしますが、この審議会は、自治庁の次長、大蔵事務次官、農林事務次官、それから経済企画庁次長、都道府県知事、あるいは都道府県議会議長市町村長、市町村議会議長等を含めて、これは相当審議会が権威あるものとして出発しておるわけですが、これ以上のものは考えられませんかどうか、これは今のところで最大だとお考えになっておりますかどうか、この点お伺いしたい。
  77. 綱島正興

    綱島委員 一応ここらが妥当だと存じております。これ以上のものは絶対ないとも想像はいたしておりませんが、まあ一応ここらが妥当だと存じております。
  78. 川俣清音

    川俣委員 そういたして参りますと、ここで大蔵省にお尋ねいたしまが、こういう振興計画を立てておるのは他にたくさんある。たとえば畑地農業改良促進法、あるいは農業機械化促進法もそうだと思いますが、積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法、それから特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法、湿田単作地域農業改良促進法、海岸砂地地帯農業振興臨時措置法、ともにこれは総合計画を審議会が決定する、これはいわゆる計画機関を必ず持っているものなんです。そこでこれだけいろいろな特殊地帯に対するものをほとんど網羅して参りますと、日本の全地域がこの対象になるような格好になっておりまして、そのほかに総合計画なんていうものはなさそうに見えますが、まだ大蔵省はあると思いますか、どうですか。
  79. 原純夫

    原政府委員 おっしゃったような意味におきまして特殊立法全体を見ますと、特殊じゃなくて全国をカバーしてしまっているという意味で、結局特殊立法のアクセントがお互いに相殺し合うというようなことには、事実上なっていると思いますが、やはり特殊立法はそれで特殊な立場で立法目的を持っておられますから、全体的なシステムというものはあるべきじゃないかと私は考えます。
  80. 中村時雄

    中村(時)委員 議事進行。実は私の方で所要の要件も至急にでき上りましたので、はなはだ恐縮なんでございますけれども、ちょうど時刻も昼時になっておりますから、ここで休憩し、本会議終了後継続して、本日中にこれを採決せられんことをお諮り願いたいと思います。
  81. 村松久義

    村松委員長 休憩して本会議終了後再開の動議がございますが、さようにいたして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認めます。  暫時休憩いたします。    午後零時十四分休憩      ————◇—————    午後四時五分開議
  83. 村松久義

    村松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  急傾斜地帯農業振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。質疑を続けます。川俣清音君。
  84. 川俣清音

    川俣委員 経済局長にちょっとお尋ねしておきたい。農業委員会等に関する法律の二条、一項は経費を負担する、二項は補助するというふうになっておりますが、この一項の二はどういうことを意味しておるのであるかお尋ねしたい。
  85. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 農業委員会等に関する法律の第二条につきまして、国は毎年度予算範囲内においてその経費を負担するという一、二の号について御質問がありましたが、二項は…。
  86. 川俣清音

    川俣委員 二条の一項の二「都道府県農業会議の経費のうち第四十条第一項に規定する事項であって政令で定めるものに係る会議員及び職員に要する経費」こういうのは何をさすのか。
  87. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 農業会議の行う 事業で政令で定めておりまするたとえば農業振興計画等農業委員会を指導するに要する経費、去年の予算でも本年度の予算でも三千万円組んであるものと思っております。
  88. 川俣清音

    川俣委員 どうも恐れ入った答弁ですが、四十条の一項には「都道府県農業会議は、農地法その他の法令によりその所掌に属させた事項を行う。」とこうあって、国から委任を受けた事項に対して国が負担をする、こういう意味でしょう。そうでしょう。そういうことをあいまいにしているから、いろいろ出てくる法案の整理がつかないのですよ。これは農地局長お尋ねしますが、法律を出してくるときにはほかの法律との関係がどうなっているかということをしっかり調べてから出してこないと、これは権威に関しますよ。この間の開拓者資金融通法なんかでも、旧農地委員会がなくなったからといって、あれはもうやめた、一方農業委員会の方は農業会議所と読みかえることになって、基本法の農地法には残っておる。農業会議所の第一項はこれは残されておるのですよ。そこでこの委任事項について予算はちゃんと組んである。ところがこれはもう農地委員会はなくなったのだというと、この農業委員会法の一条によって組んでいた国の負担は要らないということになってくる。基本法の農地法の中にはちゃんとこれは読みかえるように出ている。それを受けて立ったところの開拓者資金融通法の方は要らないのだ。これは決してものを突き詰めて苦しめるという意味ではない。ちょっと答弁願いたい。
  89. 小倉武一

    小倉政府委員 ただいまの農業委員会等に関する法律の第二条第一項第二号のお尋ねであったと思いますが、この趣旨は都道府県農業会議がやっている仕事のうち、法律上いわば国の事務とも称すべきものにつきましては国が負担をする、その他の項については一部補助ができる、こういうことであります。
  90. 川俣清音

    川俣委員 そうするとこれは旧農地委員会の持っておった権限を農業委員会が継承した分について国が負担をする、こういうことですね。従って農地法のような権限規定においてはなお適用している、こういうことになっているのですね。もちろんあなた方を前にして試験をする意味じゃないのです。
  91. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 私はさっき先生の御質問を二項と間違いました。一項の第二号は第一号会員と第六号会員だったと思いますが、農業会議の構成員となるものの農地委員それから学識経験者、そういう人の性質から申しまして、農地法の運用の事務に関しまして仕事をしてもらうという場合に、かりに職員でありました場合にその費用を負担するということであります。
  92. 川俣清音

    川俣委員 その通りです。「農地法その他の法令によりその所掌に属させた事項」こうなっておるのです。そこで開拓融資のようなときにこの法令その他の事項がだんだん減ってくると権限が薄らいでくるのじゃないかということを質問しておるのです。「農地法とその他の法令によりその所掌に属させた事項」なんです。この事項を基本法でだんだん授権を剥奪して参りますと、農業会議所の一項というものが消滅してくるということになる。そういう意図であったのはどうかと聞いた、ところが農地委員会がなくなったからこれは要らないのだ、ほかの法律ではちゃんと授権資格を持っておるのです。そこでなぜこんなものを出したのか。きのう通った案をけちつける意味じゃないのです。  そこで本論に移りますが、このいわゆる審議会は町村長の定めたる農業振興計画農林大臣が定めたる農業振興計画、府県が定めたる農業振興計画、審議会の意見を聞いてやるという建前になっている。そうして各大臣や各府県、各市町村が立てた総合計画を持っておる町村は幾つあるかというと、これは合併町村みな合わせますので数字は正確ではございませんが、私の手元では八千二百五町村、こうなっておるのです。この中には合併前の町村も入っている。現在は五千町村と言われております。こういう計画に入らない町村は一割ないのです。五百町村もないのです。四百二、三十ヵ町村よりないと思う。四百二、三十ヵ町村以外の約四千五百町村というものはおのおのみな総合計画を持っておるということになっている。その上に新しい総合計画なんというものをまた持ってくるのはどういうわけですか。持ってくるか持ってこないかわからぬけれども、持ってくるとすればおかしいじゃないか。みんなりっぱに農林大臣指定した、府県知事指定した総合計画というものが各市町村に立っている。ただ予算がないために実施できないでおる。計画はもうできておる。さっきから問題になっている通り、計画を立てても予算裏づけをしないためにさらに五ヵ年延長しなければならない。これはどういうわけですか。
  93. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 ちょっと失礼を申し上げるかもしれませんが、御質問がどの法律とかどの総合計画について具体的におっしゃっているかよくわかりませんでしたが、一応理解しましたところでお答えしますならば……。
  94. 川俣清音

    川俣委員 それではちょっと説明しますが、今議題になっておるのは急傾斜振興法、これと同種類のことを議論しているのです。違った種類のものは問題にしていません。いわゆる積寒法、湿田単作地帯、砂地振興、畑地振興、特殊土壌、離島その他類似の特殊の立法のことです。土地改良事業を含む類似の立法、現在農村が持っておって立案しなければならないようなものを持った振興法です。
  95. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 川俣議員のおっしゃいましたように、各種の特殊立法もできまして、農業振興計画ないしはその法律に基きます地区などを指定しまして、そこに農業に関する計画を立ててそれぞれの目的を達しようとしておる法律が多々あることは私も存じております。また都道府県農業会議、農業委員会協力のもとに農業振興計画を農業委員会等に関する法律によってすることができる機能も与えられておりまして、十分でありませんが先ほど申しましたような予算もついておるわけであります。ところが予算も必ずしも十分ではありませんし、農業委員会の構成、都道府県農業会議の構成からいたしまして十分な機能が発揮できませんで、どの法律農業振興計画とか農業計画とか、あるいはそれに基く個々の法律に基く地区指定等に照応した農業振興計画がまだ十分できていなしので、直接これにマッチするまでに至っておらない過程だと思っております。
  96. 川俣清音

    川俣委員 それはおかしいですよ。積寒法にいたしましても昨年延長いたしました。畑地振興法にいたしましてもこれを延長いたしております。あるいは急傾斜地についてはさらに三十二年度から延長しよう、こういうことなんです。計画はできているけれども予算が不足だから延長しようということなんです。しかもこうした法律案がみな持っておるところの特質は、たいていは農林大臣の定める農業振興計画に基いて総合計画を立てるというのが法律の建前になっております。積寒法のごときは特に総合計画を立てている。土地改良ばかりではありません。総合計画を立てて積寒地帯の新しい村作りをやるというのが建前になっておる。急傾斜地も主として急傾斜地帯における総合計画を立てていこう、こうなっておる。従ってこの目的は明らかなごとく土地改良事業、開拓事業、小団地開発整備事業、経営改善事業を行う、こうなっておる、みな村の総合計画です。みな法律でちゃんとこれをやらなければならぬようにできておるのですよ。できておることをやらないでまた別にやり直すというのはどういうわけです。じゃこれは要らないというのですか。要らないなら要らないでわかるのです。なぜこういう計画が立っておるのをやらないでおいて、別にやらなければならないという考え——何か新聞にもちょいちょい出てくるのだけれども、どういうわけですか。ある法律をこれは要らないというなら別ですよ。反対なら反対でいいですよ。みな総合計画を立てなければならないと言って立てているんです。みな膨大な計画書が出てきております。この膨大な計画書は法律に従ってできておる。ただ予算がないので実行できないでおる。この計画書をやめて別なものを作らなければならないという理由がどこにあるか。
  97. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 各種の特殊立法についてそれぞれの目的を立てましたものは、農業振興計画といい、地区といい、あるいは総合計画といいましても、それに重点を置いた特殊立法の特殊の計画と見得ると思います。農業会議委員が手足にもなり、また農業会議の事務局あるいは会員としてのメンバーが努力いたしまして、できる限りの振興計画お話のように立てておりますが、まだ十分でありませんので、特殊立法がそれぞれできてきて立法の工合によりましては、公聴会を開いてそこで意見を聞きますとか、農業委員会委員地区について意見を出すとか、そういうふうに別々に特殊立法ができておるのであります。特殊立法との関係はそうでありますが、その他の御意見、御質問はただいま十分によくわかりませんでした。
  98. 川俣清音

    川俣委員 十分にわからないというが、これは農林省所管の法律ですよ。およそどういうことが目的になってできているかわかっていなければならぬ。法律を出すからには各局長共同責任を負わなければだめですよ。この局長は賛成してほかの局長が反対していては農林省は分裂です。法律案を出すときには少くとも農林大臣が責任をもって出し、あるいは内閣が責任をもって出したのです。従って農林省が出したからには各局長がみな責任を負わなければならぬ。この態勢が最近できていないからばらばらなことになる。これは議論だからやめておきますが、そこでお聞きしているのです。一方ではこういう振興計画が立てられておる。しかも最高の責任は農林大臣になっている。農林大臣が自分できめたものが不十分だということがどこに出てくるか。農林大臣がわざわざ審議会を開いて、その諮問に応じて立てた計画がだれが悪いというのか。悪いというのは経済局長だけじゃないか。積寒法だって同じです。農林大臣の定めたものでなけれなばらない。諮問をしてその計画が悪いからおれの方でもう一ぺん計画し直すということがどこから出てくるか。
  99. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 私の耳の悪いせいだろうと思いますが、特殊立法の急傾斜地法律のことをおっしゃっておりますのか、農業委員会等の法律のことをおっしゃっているのか、その他のことをおっしゃっているのか、実は御意見と御質問がよくわからなかったのであります。農業委員会は自分で自主的に——これは農業会議についても同様にいえますが、計画を立てて行政庁に建議する。また行政庁が諮問しましたら、答申することがありますが、特殊立法でその目的を達するために振興計画を立てるというふうに、活字は同じ部分がありますけれども計画そのものは法律に従って違うことがあります。団体法の行為能力としてきめて立ててやってもよろしい、やることができると書いてありますが、やることができると書いてありますことが、それと完全にマッチすることはないと思っております。それで自分で立てて参りましたり、市町村長が農業委員会等の法律に従って計画樹立あるいは実施について建議したり諮問、答申することはまだ十分でないので、これから大いにやらなくちゃならぬことだと思っておるわけであります。
  100. 川俣清音

    川俣委員 局長自身が思想の混同をしておるのですよ。国の委託権限を持っておるのは、農地のいわゆる所有権の変動に関するもので、その他は単なる諮問機関じゃないですか。その諮問機関を拡大してかどうか知らないけれども、要は新団体を作るなどという考え方が一体どこから出てくるかということなんです。一方では農林大臣が地方自治庁の次長とか大蔵事務次官とか農林事務次官とか経済企画庁の次長とか都道府県等の権威者を集めて総合計画を立てるわけです。この総合計画というものは国全体から見て立てられた総合計画なんです。その諮問には町村長が主体になり、自治体の長が主体になって計画を立てる建前になっておる。それで自治体の長以外の各種団体の意見を聞きながらあるいは公聴会を開いたりして総合計画を立てることになっておる。この村の総合計画はどういうのが一番よろしいのか、特殊地帯は特殊地帯を主として——そういう特殊地帯というものは、急傾斜地は急傾斜地としての特殊地帯がありますから、それをまっ先に取り上げるということは、当然村作りの最先端にいかなければならぬものなんです。海岸砂地であれば海岸砂地のおくれている農業振興をどうしていくかということが取り上げられていくという建前をとっているわけです。また積寒地は積寒地としておくれている農業をどう振興するかという総合計画を立てていく。こういう建前になっている。農林大臣はそれならばよろしいという決定をして指定をされていっておるわけです。それがどこが悪いのかとあなたに聞いておるのです。しかも全国町村の中で、大体五百町はむしろ市街地でありまして、農村ともいえないようなところが残されておる。あらゆる農村が全部含まれておるといってもいいと思う。全部計画ができておる。その計画がどこが悪いのだと聞いておるのです。しかも最終的には農林大臣が作成した計画がどこが悪いのです。どこが悪くて予算がつけられないのですか、それを聞いておるのです。
  101. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 川俣さんの御意見はだんだんとわかって参りました。いろいろな農業計画町村というような地区を限った場合に幾つかあるのはおかしいじゃないかとか、特殊立法ごとに計画を作らなければならないじゃないだろうかとか、あるいは新団体というようなことを研究しておるようだが、そういう必要がなぜあるのだろうか、新農村と普通いわれて論議されまして、予算も審議になったことはどうだとかいうようなことをいろいろまぜておっしゃっておるように思いますが、将来に属しますことは私はまだ検討中の一員にすぎません。目下のところでは各法律に基いて一生懸命やっておるが、まだ計画計画とがマッチしないこともあるから十分な計画でない、それと同時に予算がついてないからということだと思います。
  102. 川俣清音

    川俣委員 どうも安田君のはわからぬ。特殊立法議員立法の方が多いですね。しかし議員立法といえども農林大臣が策定の責任を最終的には負っておるのです。この法律を見ると、単に法律を認めたばかりでなく、計画農林大臣が最終の責任を持ってこれを認めておる計画なんです。どこが悪くて、一体どこが不十分で予算をつけないのか、こう聞いておるのです。農林大臣の策定に欠陥があるのかどうか、それを聞いておるのです。農業委員会などを聞いているのではない。必要だといって策定した、最も必要なんだといって作ったこの総合計画なり、村作りが、どこが悪くて予算がついていないんだ、こう聞いているのです。
  103. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 私に対する質問でございますか。
  104. 川俣清音

    川俣委員 そうです。
  105. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 そういう部分の御質問に対しましては、私の局では必ずしもないように思いますので、担当局からお聞きを願いたいのですが、ただ議員立法であろうとなかろうと、きまったあと農林大臣行政を行いますということは、これは成案がどこでなされたかということは関係ないことでありまして、農林大臣が責任を負うことになるわけです。
  106. 川俣清音

    川俣委員 それじゃ別な計画を経済局でやれば予算がつくし、議員立法では予算がつかないという考え方ですか。そうなんですか。それならそれではっきりすればいい。
  107. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 そういうことは、御質問の意味がよくわかりませんですが。つけ加えて申しますと、経済局でやれば予算がよくついて、そうでなければつかないということがわからないのです。
  108. 川俣清音

    川俣委員 別なことを安田局長が大臣とうまくやれば予算はつくし、議員立法ならばつかない、こういう意味かどうか、少しやさしく言えばそういうことだ。
  109. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 そういうことは絶対ないと思います。農林大臣のきめたところによって予算がつくわけです。
  110. 川俣清音

    川俣委員 今予算書を持ってきますからね。何か新団体でも作って総合計画をやれば予算がつくというようなことを宣伝しているじゃないですか。前からある法律のやつは予算はつけない。別な計画を立てて実施をするならば、それには予算をやるということはどういうわけか。もう少しわかりやすく言えばそういうことだ。
  111. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 どこの宣伝でございますか。
  112. 川俣清音

    川俣委員 新団体を作るというようなことを新聞なんかにあれだけ書きたてて、大臣は漏れたという表現さえしておる。漏れたというからには、あったに違いない。大臣の意思でないものだから、漏らした、こう言う。漏らしたというのは、あなたのところのほかにない。大臣は明らかに、速記録をごらん下ない、漏れたといっている。おれの意思に反するものが漏れた。デマだとは言わない。漏れた、こう言う。漏れたというからには、あなたのところ以外に漏れる場所はない。ほかの局で知らないのに、あなたのところからでなければ出るわけはない。同じ農林省の内部にすら知らないものを、大臣は漏れた、こう言うからには、あなたのところから漏れたにきまっていますよ。それでなければ漏れたなどということはない。どこの宣伝ですかと言うか、大臣の答弁の中にある。そこで聞いている。議員立法ならばつけないし、漏れたようなものを作ったような原局ならつくというのはおかしいじゃないか、こういうことを聞いている。やらなければやらないではっきりしていいですよ。それならいいですよ。やらなければやらないで、予算もきまったんだから、補正予算でも組まない限りやれないからやらないというなら、それでもかまわない。与党の中でもいろいろ問題があるから、言えないこともわかっております。しかしそんなことを聞いているのではない。今法律案を審議しておるのですから、そんなよけいなことを聞いておるのではない。なぜ一体こういう四年もかかってやらなければならないというふうに追い詰められているこの法案について、忠実に予算をつけようとしないで、新しいものならばつけようというような考え方か、一体どうなんだ、こう聞いているのです。
  113. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 御意見の前提になりました、農林大臣がそう言ったから宣伝しているんじゃないかというのは、間違いではないかと想像いたしますが、あわせてそれが漏れたと言ったのを、私のところから漏れたんだと御判断になったのは、私は自信がございません。しかし結論的な御意見の、予算がつく、つけないというのは、私のところの決定によるものじゃありません。
  114. 川俣清音

    川俣委員 そういう脆弁を弄しちゃいけません。新団体を計画しているところは、あなたのところの局以外にあるのですか。所管はあなたのところでしょう。所管以外の局はだれも知らないのですよ。知らないところから漏れるわけはありません。無から有を生じない。有から幾らかは漏れてくる。そんなものは子供だってわかる。漏れたというからには、あったんだろう。これを出すか出さぬかは別にして、そういう考え方について私聞いているのです。それが成案になるかどうかは別にして、最も行政官として忠実にやらなければならないのは——これは議員立法で、農林省の足らざるところを補うということで各種立法ができている。あなた方を鞭撻するためにできている。鞭撻を受けている、法律に対して忠実でなくちゃならぬあなた方が、別なものを考え出して予算を獲得しようというような考え方について私は聞いている。
  115. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 いろいろの言葉でおっしゃいましたことは、主管の局が私の局でありましても、農地局長その他次官、大臣、みな関係して知っていることであります。だれが漏らしたとか、そんなことは関係ないと思います。予算の点については、特殊立法の所管は、官房の総合開発課でやっておりまして、予算そのものは各局及び予算課が調整いたしまして、大臣がきめて、事務当局と大臣とで大蔵省と折衝して、内閣できめるものであります。おそらく予算をつける、つけぬというのは、特殊立法について従来十分な予算がついていなかったと思います。実績もよくなかったので、延長の法律案議員提案で今出ているのだと思いますが、これは過去において大蔵省初め農林省の努力も足りなかったものだと思います。それから一定にとれた予算のワク内においても、いろいろの事情がありまして、適切に配ったことと思いますけれども、特に特掲されていなかったような特殊地帯の振興法に照応した予算がなかったので、運用上でやっておりましたことなどもありまして、とれた予算実施においても十分でなかった点があろうかと思うのであります。これらは農林省全体で今後一そう努力すべきことだと考えます。
  116. 川俣清音

    川俣委員 まだ了解しない。もう一点だけ聞いておきます。私別に漏れたとか漏れないとか、官紀の紊乱をついているのではないのです。紊乱は紊乱であとで別につきますけれども、これはこの機会じゃないのです。私の聞いているのは、今の新団体と新しい村作りというものと結びつけて一般に宣伝されているから、そこで新しい村作りは、農林省全体でありましょうが、新団体をしてこれをやらしめようという結びつきがあるのです。なければないで、そこのところはいいですよ。あなたに聞かない。あるのでしょう。あるならば、その新しい村作りと総合計画関係のある新団体を考えていることが漏れた、こういうことなんだから、その所管はあなたの方でしょう。こう言うのです。よその局に聞いてみてもわからない。あなたのところだけなんです。だから私は漏れたと言ったでのす。そこでこの総合計画というようなものを新団体ならばやらせる、今までのものならばやらせないということで、また予算が削られるのではないか、こういう杞憂から出発しているのです。既存の計画があるならばそれを達成させることが目的じゃないか。今度新しい村作りの方に削ってくるというようなやり方、今度の予算を見るとそうなっているのです。こっちで予算を少くしたけれども新しい村作りで多くしております、総体では減っておりません、こういう答弁を大臣は予算分科会でしています。それよりもこれだけ農林省を擁護しようということで綱島君などが忙しいのをさいてこの提案をしておるのに、なぜ一体この裏づけのために努力しないで、別の計画を一生懸命やっておるのか、それを聞いておるのです。
  117. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 何かまだ明瞭になっていないことについては、目下のところは私ごとき者が答弁する段階ではないと思います。それからこの予算は、私が御説明するのはどうかと思いますが、二億九千万円の予算で、公庫資金も一億七千万円計上しまして、それで三十一年度はやろうということになっておるわけであります。どっちがふえてどっちが減ったという関係はないと思います。
  118. 川俣清音

    川俣委員 農林省総体としてはどっちが減ったふえたではない、そんなことを聞いているのではない、なぜ一体、議員立法ならばなるべく減らすようにして、新しいものならそっちへふやそうとするかというのです。同じワク内であるならば別にこれを農林全体の総合計画を立てる上にプラス・アルファでもとってそれでやられるなら、それはまたその労を多とする、今案が出ているから聞いているのではない、作るために必要だから参考にしなければならないし、大いに参考にしてもらいたいのです。だからこういう法案には反対でこういう計画を持っているというならそれでもよいのです。だから議員立法というものは尊重する意思があるのかないのかということを聞いておるのです。あなたの言い方はほかの案ができれば尊重しなくてもよいというのか。だからいっそ全部この手続をやめたらよいのです。やめて一本にするならそれも一つの方法なんです。今聞いておると、表面は賛成だと言いながら裏では予算を削ろうという考えがあるから、そういう考えがあるのかないのかと聞いておるのです。なければないでよいのです。ないと言いながらもしも出てきたらそのときは相当の覚悟をしなければいけないということを注意しながら御答弁願いたい。
  119. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 川俣先生の御想像になっていることは私ごとき者がちょっと答えることではございませんが、御心配がないんじゃないかというふうに思います。これこれの予算を、どの政策と申しますか、この予算についてその措置がつかないとか、農林省にも予算の事務があるとしますと、そういう差はないし私の答えることではないんじゃないかと思います。
  120. 村松久義

    村松委員長 暫時休憩して理事会を開きます。    午後四時四十六分休憩      ————◇—————    午後四時五十五分開議
  121. 村松久義

    村松委員長 それでは休憩前に引き続いて会議を開きます。  大蔵省原主計局次長を次に呼ぶことにいたしまして、本日はこれにて散会いたしたいと思いますが、その前に議事進行の発言がありますのでこれを許します。中村時雄君。
  122. 中村時雄

    中村(時)委員 主計局の次長に対して委員長がいかなるお話をして、本日こちらに来てもらうように交渉したのかその経過、並びにおそらく火曜日になると思いますが、大蔵大臣の出席要求をいたします。
  123. 村松久義

    村松委員長 大蔵大臣の出席要求はいたします。なお主計局次長に対しては、午前中の会議において、午後本会議散会後に再開するという宣告をいたしたのを本人ここにおいて聞いております。委員長より、午後はさようなわけですから出席して下さいということを要求いたしております。しかるにただいま調査いたしまするとその居所も不明でございます。よってこれを正式の手続をもって呼び出したいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 村松久義

    村松委員長 それではさように決定いたします。
  125. 中村時雄

    中村(時)委員 そのように正式な手続というより以前に連絡をし、そういう連絡をしているにかかわらず出席をしていないというのは、われわれの非常に不満とするところであります。そのために議事進行に非常に支障を来たすわけであります。だから委員長に、一つ委員会を代表して厳重にその問題の解決を依頼しておきたいと思います。
  126. 村松久義

    村松委員長 委員会会議の席上において戒告をいたしたいと思います。  本日はこれにて散会をいたします。    午後四時五十七分散会