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1956-02-23 第24回国会 衆議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十三日(木曜日)    午後二時三分開議  出席委員    委員長 村松 久義君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 助川 良平君 理事 田口長治郎君    理事 中村 時雄君 理事 芳賀  貢君       赤澤 正道君    足立 篤郎君       安藤  覺君    五十嵐吉藏君       伊東 岩男君    石坂  繁君       大野 市郎君    加藤常太郎君       楠美 省吾君    小枝 一雄君       中馬 辰猪君    綱島 正興君       原  捨思君    本名  武君       松浦 東介君    松野 頼三君       赤路 友藏君    淡谷 悠藏君       伊瀬幸太郎君    井谷 正吉君       稲富 稜人君    石田 宥全君       小川 豊明君    神田 大作君       田中幾三郎君    中村 英男君       日野 吉夫君  出席政府委員         農林政務次官  大石 武一君         農林事務官         (農林経済局         長)      安田善一郎君         農林事務官         (農地局長)  小倉 武一君         農林事務官         (畜産局長)  渡部 伍良君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    和田 正明君         農林事務官         (農地局管理部         長)      立川 宗保君         農林事務官         (農地局管理部         営農課長)         部営農課長)  安藤文一郎君         農 林 技 官         (畜産局衛生課         長)      斎藤 弘義君         農林漁業金融公         庫総裁     山添 利作君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  開拓融資保証法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一号)  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第三三号)     —————————————
  2. 村松久義

    村松委員長 これより会議を開きます。  開拓融資保証法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。御質疑の通告がありますので、これを許します。小川豊明君。
  3. 小川豊明

    小川(豊)委員 開拓融資保証法の一部を改正する法律案についてお尋ねしたいと思います。これは二十五年から二十八年まで開拓信用基金協会というものがあってそこで運用されておったわけです。それが今日の開拓融資保証協会というふうなものに制度的に発展してきた。従ってこの精神というものはくみ取られてできておる、こういうふうに考えておりますが、そう解釈してよろしゅうございますか。
  4. 大石武一

    大石(武)政府委員 お答え申し上げます。その通りでございます。
  5. 小川豊明

    小川(豊)委員 これを見ますと、開拓融資保証協会に対する政府出資額を五千万円追加したい、二億であったものを今度は二億五千万円にしたいというのがその趣旨のようでございますが、これは最初農林省が一億五千四百八十八万円というものを要求された。それが予算の査定で五千万円に圧縮削減されたということを聞いておりますが、やはり一億五千四百八十八万円要求したというのは事実でありますか。
  6. 大石武一

    大石(武)政府委員 仰せ通りでございます。ただ国家財政都合上やむを得ず五千万円に縮小されたわけであります。
  7. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると、一億五千四百万というものが要求されたにもかかわらず、国家財政都合上五千万円に縮減されたから五千万円というものがここに出された、こういうことになるわけですね。そうするとこの計画は一億五千万円必要であるということで計画が立てられた。ところがこれでは五千万円というものから逆算して計画が立てられる結果になって、実情と沿わないものが出てくるのですが、これはどうですか。
  8. 小倉武一

    小倉政府委員 もちろん私どもの当初の要求国会に提案になっております予算とに大きな開きがございまして、私どもの当初の希望のような融資をするには少いような資金でございまして、当初の計画のようなわけには参らぬのであります。しかし趣旨といたしましては、実際問題として、従来は肥料購入のための保証ということに主として充てられておったような実情でございますが、今回は五千万円ふえるということによりまして、飼料の方についてもある程度保証に応じられはしないか、こういうことであります。もちろん開拓農家飼料購入代は相当大きいわけでございますので、今回の増資によりまして十分まかないきれぬとは思いますけれども、ある程度の需要は充足できはしないか、こう思っております。
  9. 小川豊明

    小川(豊)委員 もちろん五千万円の増資でも、五千万円分だけをまかのうことはできます。しかしあなた方は初め一億五千四百八十八万円というものが必要だということで計画を立てられた。それが五千万円に削られたら、その計画自体が五千万円から逆算したものですから、計画自体が非常に薄められたものになってしまって、当初の計画が達せられないものになってしまうと思いますが、どうですか。
  10. 大石武一

    大石(武)政府委員 仰せ通り農林省で立てた計画基礎になる費用は一億五千万円だったわけでございます。それが五千万円になりましたので、事実こちらの計画を変更して、それよりももっと重点的なものに縮小せざるを得なくなったわけでございます。それでどの計画もいずれも必要なものでございますが、しかしその中でも緩急度がございますので、五千万円でまかなえる最も重要な点だけを拾い上げて計画を立てたわけでございます。
  11. 小川豊明

    小川(豊)委員 これを見ますと、中央保証協会地方保証協会、それから開拓者、この三つが一対一対二という形で基金が作られておるわけですが、これは今でも原則としてそういう形で作られているわけですね。
  12. 小倉武一

    小倉政府委員 趣旨は大体仰せのような形になっております。
  13. 小川豊明

    小川(豊)委員 そういう形で基金が作られているとしますと、昭和三十年十二月三十一日現在における中央地方との基金数字を見ますと、中央基金は二億九千五百万円、地方基金は三億三千七百万円で、すでに地方基金の万が四千二百万円上回っておる。だからそういう形からいくと、五千万円というものを当然中央基金として補てんしなければならぬことになりますね。そうなりはしませんですか。この点お尋ねします。
  14. 小倉武一

    小倉政府委員 これは仰せのように中央保証協会地方保証協会両々相まって機能を発揮いたしますので、中央保証協会出資額と、地方保証協会出資額とはほぼひとしくなくては目的か達しにくいのでございます。中央保証協会が十分活動するには、少くともそれだけの出資中央の方にしなければならぬことは仰せ通りであります。
  15. 小川豊明

    小川(豊)委員 四千二百万円の不足に対して五千万円を追加される、こういうことですから、この点はうなずけますが、この昭和三十一年度の予算が実施されるのは、開拓者基金の傷合、七月からになりますね。一方、昭和三十一年度の七月には地方基金の方は三億六千万円程度に上るような状態になる、こう思うのです。そうしますと、予算に組んでおるこの五千万円が通ってもやっと二対二の関係が保てるわけです。今度そういうふうに上回ってくると、昭和三十一年の七月には、早くも地方基金の方が三千万円程度もまた上回ってしまう。しかも中央基金昭和三十二年六月の年度終りまで動かないという矛盾した現象が起きてくるように思われるが、これはどうなりますか。
  16. 小倉武一

    小倉政府委員 これは理解の仕方によってお説のようなこともごもっともな点があると思いますが、どういたしましても、地方開拓農業協同組合の地元の方に接着いたしております地方保証協会の方が、実態に即したような資金の積み立てをするということになりまして、中央の方はそれを追いかけていくというようなことになりまして、あまり好ましいことではございませんけれども、私ども地方保証協会でせっかく積み立てたものが役に立たないということにならぬように、今後とも一つできるだけ努力いたしまして、そういう不便をおかけしないようにいたしたい、かように存じております。
  17. 小川豊明

    小川(豊)委員 意思はよくわかるのです。そこで五千万円の予算は、あなたの方ではそういうふうにいかにお考えになっても、翌年度予算までは、もはやこれ以上増すことはできないのでしょう。ですからあくまでも追いかけて歩いていくということになって、これでは基金精神をくんだ活動というものが思うようにいかないことになりはしませんか。
  18. 小倉武一

    小倉政府委員 これは先ほど政務次官からもお答えがございましたように、五千万円で十分あるというふうには私ども実は考えておりませんので、今の地方保証協会出資額から比べて見ましても、また当初の私ども計画から見ましてもはなはだ不十分でございますが、今回はやむを得ずこの程度でがまんをする、こういうことでございます。
  19. 小川豊明

    小川(豊)委員 次に都道府県出資の問題ですが、開拓者基金の割合は、政府出資の二に対して都道府県開拓者農協連等で一と一を足して二にしてやっておるわけであります。開拓者の方の出資を見ると順調に進んでおるようですが、都道府県の場合には財政難その他からその一という開拓者と同額を出資すべきものが非常に下回ってしまっておるということが多数見受けられるわけです。こういう形を今後是正する方策を持っておられるか、この点をお尋ねしたいと思います。
  20. 小倉武一

    小倉政府委員 お尋ねのように、府県によりましては県庁の方で援助すべく私どもの方で期待しております額から下回っておる点が若干あるのでございます。そういう府県に対しましては、行政的に私どもの方から、組合の方の出資相当額を県も支出するようにという要望も強くいたし指導もしたい、かように考えております。
  21. 小川豊明

    小川(豊)委員 これに関連してお尋ねいたしますが、開拓者としても、せっかく資金等を充足してもらって開拓に従事しながら、その中から離農せざるを得ないで離農しておる者が相当出ておるのを見受けます。そうしてこの離農した開拓者土地が、土地を必要とするそのほかの開拓者の手に渡っておるならばまだよいわけですが、そうではなくて、古い形の農村の旧地主のような方面にせっかく苦心して開拓した土地が再び移ってしまうというような事例を見受けますが、こういうものに対する対策をあなたの方ではどういうふうにお立てになっておりますか。
  22. 小倉武一

    小倉政府委員 お話のように、一たん入植いたしましてもいろいろな事情から開拓場を離れるという開拓者が年年あるのでございますが、そういう場合の土地処理につきましては、私ども方針、また法律に定められたところによりまして、それは一たん政府の方に買い戻して、そうして新しい入植者なり、増反希望者なりに配分するというようなことを考えておるのであります。中にはあるいはお尋ねのような、法律上の運用から見まして妥当でないようなことがあるかとも思いますが、そういう点は一つ具体的に調べまして是正して参りたいと思っております。
  23. 小川豊明

    小川(豊)委員 この開拓融資保証法に基くものは短期資金で一年据え置きですね。この短期資金の一年を限度としておるのを、その効果からいってやはり二年くらいの据え置きにして、五年くらいの償還にした方が私は効果が上るのではないかというような気がするのでありますが、これをそういうふうに変更する意思はございませんか。
  24. 小倉武一

    小倉政府委員 この保証法によります融資は、通常農家で申しますと農業手形によります資金に相当いたしますので、開拓農家につきましては農業手形制度の扱いをされないで、いわばかわりの制度になっておるわけであります。通常肥料飼料、場合によっては農薬といったようなもののいわば短期的の資金でありますので、ただいまのところ、一年以上延期するということは考えておりません。しかし資金の性質によりましては、むしろこの保証によってはいけない、よりがたいようなものがございますが、そういうものについては、別送御審議を願っております開拓者資金融通法政府資金の方で融資していくのが適当ではないかと思っております。今度提案されておりますものの中にも、一部そういう新規の資金融通ということも考えておるのであります。
  25. 小川豊明

    小川(豊)委員 本来ならば開拓者に対しては農業共済からの災害補償制度が適用されることが好ましいことだ、そして政府もこれに対して全力をあげて努力すべきものです。そのことは、二十二国会だと思いましたが、ここでこれを研究して、その実現に努力するということを答弁しておるわけです。ところがそういう制度は、いまだこの国会に出されるような準備がない。そしてわずかに一億五千万円出すということで、ほんとう開拓者育成という趣旨からいってまことに乏しい、こういうことでは、実際的な効果を上げるのに対しては非常に至難な状態ではないかというふうに私どもは考えるのです。そこでさらに念を押してお尋ねしたいのは、開拓者に対して災害補償共済制度が適用されるように研究し努力するということを、二十二国会において答えられておるけれども、そういうことに対して研究が進められておるのかおらないのか。この点をお尋ねしたい。
  26. 小倉武一

    小倉政府委員 開拓者に対します共済制度の問題でございますが、御指摘のように、開拓地入植早々の間は、一般の共済には加入できないという実情でございまして、私ども方針といたしましては、入植後五年ぐらいいたしまして、いわば基準反収というものがつかめる段階になれば、開拓者としても既存の共済組合に加入するようにしたい、こういうことで指導はいたしておりますけれども、それも必ずしも十分ではありません。開拓早々の者につきましてはそういう措置もできないのでございまして、それにかわる措置は、実は私どもといたしましてこの二、三年来研究をいたしております。これはこういう席で申し上げてはどうかと思いますけれども農林省といたしましても、一度開拓地限りの一種の共済制度を立案して、予算要求もしたことがございますけれども、まだ十分それを実現し得るまでの段階に至っておりません。なお引き続き検討を続けたいと思っております。
  27. 小川豊明

    小川(豊)委員 開拓者を今後育成し、健全な開拓農民として育てるためには、共済制度は非常に必要である。この共済制度を作らないことには、やはりどうにも健全な発展がなし得ない。この点についてのあなた方の研究を強く要望して、私のこの点についての質問を終ります。
  28. 村松久義

  29. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私はこの融資保証法参考書類について若干お尋ねしたいのであります。第一表についてお尋ねいたしますが、入植戸数が二十九年度で二十三万二百戸、このうち離脱いたしました戸数が七万七千三百戸になっております。大体三分の一の農家がこの開拓から離脱しておるようでございますが、この離脱した農家負債処理状態はどうなっておりますか、お伺いしたい。
  30. 立川宗保

    立川説明員 いろいろの処理方法もございますが、第一は離脱をいたしました農家が、結局資産の処分をいたしましたりして償還をしたという形が一つございます。それから親兄弟縁者がこれを償還したというのが第二であります。それから第三の形といたしましては、その有する資産の範囲内においては償還ができないというものは和解の契約、じゃこの程度一つ債務償還したということにしようじゃないか、こういうことで和解をする場合があります。それから第四の形としまして、は、その資産負債全部を残存開拓者が承継をいたしまして、結局その残存開拓者資産を受け継ぐと同時に債務も払っていく、こういう形があるわけであります。
  31. 淡谷悠藏

    淡谷委員 自分がこれを償還したものの実際の額と、親戚が償還した額並びに和解によって償還になっておりますもの、資産負債あと開拓者が引き受けた額、この数字がわかっておりますか。
  32. 立川宗保

    立川説明員 ただいま手元に正確なものを持っておりませんから、あとからお答えさせていただきます。
  33. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それは資料しとてお出しを願いたいと思います。  引き続いて質問いたしますが、この最後の処理方法、すなわち資産負債の全部を後継入植者が引き継ぎました場合には、どうせ離脱するほどの農家でございますから、経営はあまりうまくいってもおらず、また資産状態も思わしくないと思っておりますが、これが新しく入植した人の経営を圧迫するといったような状態はございませんかどうか、お伺いしたい。
  34. 立川宗保

    立川説明員 必ずしも一概にはそう申せないと思いますが、中には離脱をいたしましても、これは離脱営農不振ということだけではありませんで、たとえば戦災者などで、都会がまた復興してきた、腕に覚えのある技術を帰ってまた身につけてやろうというような者もございますし、中には新しい職が見つかってそこに転身するというようなものもございます。しかしその人のせっかく耕した畑あるいは家畜等は非常に有効であるから、それをそのまま引き継いでやろうじゃないか、近所の人がそう言う場合もございますから、一概に離脱をしたあと資産を承継した人が非常に負担に苦しむということではございませんが、中には御指摘のように非常に経営がむずかしいというものもございます。そこで、総じていえばどういうことになるかわかりませんが、残存の人が資産負債を承継するという限りでは、やはりそれをやっていこうではないかという決心のもとに引き継いでおりますので、それに対してはできるだけの援助をして、しっかりやってもらうというような考え方でやっております。
  35. 淡谷悠藏

    淡谷委員 離脱者の数が少い場合はそれでけっこうだと思いますが、この数字を見ますと二十三万の開拓者のうちで離脱者が七万七千人でございます。残ったのが十五万人で相当なパーセンテージです。そうしますと、若干開拓基礎的な形の中に再考を要すべきものがあるのではないかと考えられる。同時に資金融通はむろん必要でございますが、これが営農発展のために用いられる資金であるならばちっとも異存はございませんけれども、ただ開拓経営基礎が間違っておるために、幾ら一生懸命になっても負債が残って、永久に融資を仰がなければ経営が成り立たないという状態にあるならば、これは経営の根本に向って考慮をしなければならない。単なる融資では解決がつかぬものであろうと存じます。御承知通り開墾というのは三代しなければ成功しないといわれておる。最初の者が開墾し、次の者が実際植付をし、成果を上げるのは三代目である。最初の者、二番目の者が苦しんで融資受げて、それを受け継いだ第三の者が開墾に成功するということでは開拓趣旨に沿わないと思うのです。ざっくばらんに御返答願いたいのは、この七万七千という離脱者は、何かもっと大きな開拓政策上の誤まりがあるのではないかという点について、率直に御意見を承わりたい。
  36. 小倉武一

    小倉政府委員 これは確かにお話のように反省しなければならぬ点だと思うのですが、ただこの表をお読みになっていただく場合に、弁解がましくなりますが、ちょっと弁解をさしていただきます。終戦直後の緊急開拓と申しまして、大わらわになりまして開拓を実施した時代がありますが、その当時は必ずしも現在ほど、ちゃんとした計画を樹立いたしましてそして入植をさせるという制度がまだ確立していなかったのでございますが、そういうときの入植者が、その後になりまして相当離脱をしておるといったようなことがあるのではないか、こう思っております。それからまた今お尋ねの根本問題につきましては、なお私ども今後開拓につきましての計画を樹立していく場合に、十分念頭に置きまして検討しなければならぬと思いますが、まだすでに開拓されておる開拓地十分基礎を確立していない、こういうものに対しましては、三十一年度から特別の措置を講じたい、かように考えております。
  37. 大石武一

    大石(武)政府委員 今の農地局長の答弁に補足して申し上げたいと思います。率直に申し上げますと、確かに政府終戦直後から現在までの開拓政策にある程度の間違いがあったんではないだろうかと考えられます。御承知のように終戦後たくさんの人々が海外から戻って参りましたし、経済の非常な混乱時代がありまして、職のない人が非常に多かったのであります。それを何とかして解決したいという解決策の窮余の一策として、あまり緻密でない計画のもとに開拓政策が一部行われたのではなかろうかと私は推察しております。そのような関係政府方針もあまりよくなかったために、むちゃくちゃな計画入植者があったということは、青森県においても開拓者開墾地の、数の比例のとれないところがおありのことは御存じでありましょうけれども、私の郷里の宮城県でも、とてもこれでは入植者生活できないような反別をもって開墾計画を立てられたような実情のところがございます。このようなところを見ましても、初めの混乱期におけるわが国の開拓政策には相当誤謬があったと思うのでございます。また同時に入植者にいたしましても、ほんとう入植者としてその使命を全うして、自分の完全な営農をはかるというよりは、一時的な生活方針として、あるいは思いつきだけで入値して、あとで非常に困難な開拓の事業にいやけがさして離脱した者があろうと思うわけであります。このようなことが多いために、数字で見ましても昭和二十二年、二十三年、二十四年あたりまでの初期において、その離脱者のパーセントが多いのはこのせいでないかと思うのでありまして、漸次これを改めまして、ほんとう開拓が国策の大きな一つのものであるという見地のもとに、できるだけ今までの誤謬を是正して参りたいと思いますし、入植者にいたしましても、ぜひともほんとう農民としての生活を築くだけの自覚と覚悟を持っておる者を入れたい、こう思っておる次第であります。
  38. 淡谷悠藏

    淡谷委員 次に開拓者財産の推移の表についてお伺いいたしますが、この財産に見込みました中に「現物、準現物」という項がございますが、これはどういうものをさしておりますか。
  39. 小倉武一

    小倉政府委員 これはたしか肥料でありますか、そういったようなものでございます。
  40. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この資産及び負債状態を見ますと、資産の方が七十三万六百円、負債はずっと減りまして十七万二十三百円、差し引き純財産として六十五万円という額が残っておりますので、大へん経営実態がいいように見えます。この財産の内容を見ますと、まず土地及び土地改良で十二万八千円、建物が二十万円、動物が十二万円、現物、準現物が十三万円といたしますと、この負債に引き合うような形態の資産はあまりない。いわばこれらの資産を引き当てるならば、おそらくこの開拓をやめなければならないというような資産状態になっております。そこでお伺いしたいのは土地評価です。土地評価は一体どういうような形でされておるかということであります。
  41. 小倉武一

    小倉政府委員 土地については固定資産評価委員会評価額によったが、評価未決定の土地については近傍の区域の土地より推定評価するということになっております。
  42. 淡谷悠藏

    淡谷委員 土地評価資料負債の詳しい資料とともにあとで出していただきたいと思います。この資料によってみますと、昭和二十九年十一月現在から初めて土地評価が始まっております。九万八千七百円、そして三十年には十二万八千円。何か開拓地評価には特別にこういうような形式かあるのでありますか、この点はいかがでありますか。つまり取得した土地代金を支払ったものをその人間の財産に入れるのかどうかという問題です。
  43. 立川宗保

    立川説明員 支払いました代金を見ているわけではございませんで、法律の規定によりまして、売り渡しを受けた土地を、先ほど局長が申し上げましたような方式で計算をしたわけでございます。しかしこれは原野の状態がだんだん畑になるというようなことになると評価が上って参ります。中には土地改良をやったものも入って参ります。漸次評価が上って参るわけでございます。
  44. 淡谷悠藏

    淡谷委員 なお一点伺いまして質問を打ち切ります。それはこの土地評価です。開拓に要した生産費を基準にするかあるいは原野状態のものをそのままで評価するか、あるいは政府が今度機械化公団なんかでやりました場合には、開発の経費が土地造成資金に見られて織り込まれるように思われますが、私聞きたいのは、全国でみんな造成費は違っていると思うのです。土地造成費が、必ずしもいい土地が多くの造成費がかかるとは申されません。その場合開発の困難な非常に悪い土地に多くの造成費がかかったからといって地価が高くなる、いい土地でも造成費のかからぬところは安くなる、こうなりますと、開拓者営農の面に非常に基礎的な不均衡が生じますので、その点がおもんばかられますので、こういう質問をするのであります。いかがでございますか。
  45. 立川宗保

    立川説明員 評価の方式でございますが、これは経済調査の一つの前提と申しますか、約束できめておるわけであります。その約束に問題があるということは考え得るわけでございますが、現在私どもがとっておりますものは造成費のコストで評価するということでございませんで、その土地について固定資産税の評価額があればそういうものを参考として見る、なければ近傍類似の土地から計算して推定をするということでありまして、ところによりましては非常に多額の造成費がかかりましたが、評価額はそれに至らぬというものが当然出てくるわけであります。
  46. 村松久義

    村松委員長 芳賀貢君。
  47. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最初に伺いたいのはこの保証協会に対する出資金を五千万円増額するわけですが、この基礎をなす計画がどういうものであるか、政務次官おわかりになりますか。
  48. 大石武一

    大石(武)政府委員 正確な数字政府委員よりお答え申し上げます。
  49. 立川宗保

    立川説明員 お手元に差し上げてあります参考書の十一ページというところにございますので、その資料に基きまして御説明をさしていただきます。これの第六というところでありますが、これは結局肥料とえさとそれから農薬、種苗というものを購入することにほとんど使われるというわけで、その所要額を計算いたしましてそれから必要な資金の額を考えていったわけであります。そこを申し上げますとこの保証制度に加入をしております戸数入植者の七五%ぐらいあります。七五%と推定されます。そこで次に(ニ)のところに書いてありますがそこで肥料飼料と農薬、種苗等の必要な保証額を推定をいたしました。この十六億九千六百万というものの内容は、これらの開拓者開墾面積から土地利用度を計算しまして幾らの投資があるか、それに必要な反当りの肥料代を経済調査から出しまして、年に春肥と秋肥と二回転をするという見当から、その半額をとりますと、十六億九千六百万円というのが要保証額になるわけであります。それから飼料につきましては、家畜の頭数を検討いたしましてえさの必要量を推定をいたします。それに自家生産のえさの価格を差し引きましてその所要額を押えて、割合に短期に回転をするというようなことも想定をいたしまして、一億九千万という数を押えたわけでございます。それから農薬、種苗につきましても同じような推定をして参りますと、この三者の合計で二十億七千万円、(イ)(ロ)(ハ)の(ハ)のところでございます。そこでこの法律趣旨によりまして、基金の六倍までが保証の限度でありますので、その六分の一をとりますと、三億四千五百万ということに相なっております。現在の基金の額がそれにありますように、二億九千五百六十二万でありまして、必要な追加額は五千万になる。もちろん多ければ多いにこしたことはございませんが最小限度の需要量を推定をいたしますと、まあまあこの辺で何とかいけやしないだろうか、こういう見当であります。
  50. 芳賀貢

    ○芳賀委員 お尋ねしたい点は、最近における開拓者基金に対する依存度というものは非常に高まっておると思います。これは開拓者経営がまだ安定の段階に到達しておらぬというところに大きな原因があると思います。ですから短期資金の場合においては、開拓者の諸君は農手等に依存することができませんので、保証制度によって短期資金をそこに求めておるということと、もう一つ開拓者資金特別会計について中長期、あるいは長期資金を求めておるわけですが、これは単に開拓者の入殖戸数がふえたという、その程度の需要の増大というような計算では実情に沿わないのではないかというふうに考えております。ですから農林省計画をお立てになる場合においても、これは当初に五千万というものをまず置いて、それから逆算的に計算したものがこういうことになったのか、実際の開拓者資金需要にこたえるためには、どれだけの協会に対する出資をふやす必要があるということになったのか、そのどちらの計算をやったのですか。
  51. 大石武一

    大石(武)政府委員 これは先ほど小川委員の質問にお答えいたしましたが、われわれの計画ではこの三倍の資金を事業計画といたしまして計画したわけでございます。ところが残念なことには、いろいろな国家財政都合によりまして、あらゆる努力はいたしましたがこれだけの予算しかとれませんでしたので、それで最も必要な、緩急度の一番高いものからとりまして、このような程度で落ちついたわけでございます。先ほど部長から申し上げましたように、多ければ多いほどいろいろな融通ができるわけでございますが、今年は資金の点でこの程度に落ちついたわけでございます。
  52. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、農林省としては五千万の三倍ですから、一億五千万は必要であるというふうにお考えになったわけですね。ですからそれが三分の一に削減された場合、これは多いほどいいということでなくて、最低不可欠とする資金源がどれくらい要るかということで一億五千万の出資をふやすということだった。すると一億円を削られたということになると、これはどの面でこれを補ってやるお考えですか。何か具体的なものがあると思います。大蔵省で削られたからお前らは何とかやれというわけにはいかぬと思うのです。その点はいかがですか。
  53. 大石武一

    大石(武)政府委員 やはり緩急度、必要度の一番高いものからとりまして、資金に応じてこの程度の事業で一応がまんして、来年度はさらに発展しようという趣旨でございます。
  54. 芳賀貢

    ○芳賀委員 緩急度じゃなくて、百なら百というもののうち、三十しか認めない、あと六十はやはりこれは借入金に依存しなければ開拓者営農ができないですよ。できないことがわかっておるからこういう計画を立てたんでしょう。緩急度も何もないじゃないですか。ですから一億円にすれば、その六倍となると、六億円の金を、それじゃどこで手当をして、開拓者の諸君に安心できるような営農をしてもらうか、その対案というものが当然あるはずじゃないですか。削られたからがまんしてくれというだけじゃ済まぬでしょう。どうですか。
  55. 大石武一

    大石(武)政府委員 たとえて申しますと、われわれがきょう晩に五百円入るからビフテキとライスカレーと野菜サラダを食べようという計画を立てておりましても、残念ながら二百円しか入らなかったというと、ライスカレーと野菜サラダだけを食べて一応飢えをしのいでいこうということになる。これと同じようなわけで、できるだけ多くしてあげたいと思うのでありますが、すべては国家財政との連関において考えなければなりませんので、ことしはこれで一番必要な肥料飼料その他農薬等に関してある程度の手当をしてあげれば、何とかことしはがまんしていただけて、来年はさらに発展していける、こう考えたわけでございます。
  56. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これはライスカレーとかいうものの費用じゃないのですよ。営農をやるために必要な生産資材の短期の購入費をこれによって借りなければならぬ。ですからライスカレーとかそんなものは食っていない。麦飯やイモを食ってやっても、この借金を少くして済むということにはいかないのです。百姓をやる場合にどうしても必要な金をあなた方が削ってしまっているのです。だからぜいたくをするなということでは済まないのです。そうなると、どうしても営農に狂いがくるわけです。入植者が年次計画を立てて完全農家になるための努力をしていく場合は、やはり必要な肥料にしても農薬にしても、そういう生産資材等に対する資金は、既存農家の場合にも農手を貸しておるのですから、この人々の分を削るというのは変じゃないですか。ですから、そういうことじゃなくて、あなたに言われなくても麦飯やイモを食ってやっておるのであるから、せめて生産に必要な資金だけは、この保証によって、十分な手当はできなかったけれども、そのかわりここからそれを調達しておくから、十分使って安心してやってくれというかまえがなければ、開拓者行政というものはできないと思うが、いかがですか。
  57. 大石武一

    大石(武)政府委員 お答えいたします。今までも全然手当がないわけではございません。御承知のように二億円の基金においてこれをやって参ったわけでございます。それで不十分であるから、できるだけ早く営農が確立するように、経済が自立できるという方向に一日も早く、一年も早く進んで参りたいと思っておるわけでございます。われわれの計画としまして、一億五千万円の計画をして、それならばより早く自立ができるだろうという計画を立てたのでございますが、現実には五千万円の基金の増加となったわけでございます。これによって昨年より五千万円の基金がふえるわけでございます。約三億の融資がふえるのでございますから、今までよりは開拓者の方々に対してよりプラスの営農資金になる、こう考えるわけでございます。
  58. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そのために五%削ったのですか。八〇%の開拓者に貸す予定のものを七五%の開拓者にしか貸さぬということにしたのですか。一戸当りの限度も下げておりますが、毎年のように開拓者はふえているでしょう、減っておりますか。そうなると何もことし、さらにふやしたということにもならぬと思う。それから毎年の資金の回収状態はどうなっておりますか。もしそれが固定化の状態で、だんだん激しくなってくるとすれば、その点にも相当困難性が出てくるのじゃないかと思いますが、そういう実態はどういうことになっておりますか。
  59. 立川宗保

    立川説明員 基礎数字の点でございますので私から申し上げます。七五%という数字でございますが、これは昭和二十九年の開拓者に対するこの制度の実績を押えましたところ七三%でございます。それで大体七五%ならばいくだろう、こういうことで数字を検討したわけであります。  それから今の滞っておるものでありますが、幸いにいたしまして、これは短期資金で農手にかわるものですから、この制度に関しましては回収が非常に順調に参っております。開拓者も一生懸命に返すということで、この資料にもございますが、ほとんど保証を実行するものはないという程度に参っておるということでございます。
  60. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、この保証制度は、地方保証協会と中央保証協会と二段建になっておる。それで地方都道府県単位の協会の出資の構成状態等はどういうことになっておりますか。特に三十年度に対して、ことしはどういうような指導的な計画を持っておりますか。そうして特に会員であるところの組合出資状態、それから都道府県がどの程度に熱意を持ってそれにこたえておるか、全国的な趨勢等はどうなっておりますか。
  61. 大石武一

    大石(武)政府委員 ただいまと同じような御質問が小川委員よりございましたので、先ほど政府委員から詳しくお答えさせましたけれども、もう一度小倉農地局長よりお答えいたさせます。
  62. 小倉武一

    小倉政府委員 地方保証協会の方は実は現在中央と比べますと、相当程度多くございます。そこで先ほどもお尋ねがございましたが、中央の方はむしろ追っかけて地方の方が出張っている部分を補う程度にすぎないじゃないかという御叱正を受けたわけでございますが、そういう工合で中央はむしろ、絶対額は別といたしまして、相対的には順調に進んでおるのであります。ただ若干の府県におきまして、府県側の援助が足りない、大体私どもといたしましては、半分ぐらいは県が出してもらいたい、こう思っておるのでございますけれども、なお半分に達していない県が若干ございます。こういう県に対しては私どもからも強く要望し、またいろいろ相談もいたしまして、目標額に達するようにいたしたい、かように考えております。
  63. 芳賀貢

    ○芳賀委員 入植者の非常に多い府県、受け入れ態勢の側にある府県の場合、一般的に見ても地方財政が非常に窮乏しておるわけですから、思っておっても地方公共団体の財政能力の中において十分な出資ができない事態があるときも予想されるわけです。そういう場合には、政府としてはそういう財政困難な県に対しましては、何らかの方法においてそれをカバーするようなことも考える必要があると思うのですが、いかがですか。
  64. 大石武一

    大石(武)政府委員 政府としては地方公共団体に対して直接のあれはできませんけれども、できるだけ誠意をもって開拓者の熱意にこたえるように、この運営がうまくいくように指導しておるわけでございます。
  65. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは特に農林省と大蔵省の事務次官通牒で相当強力な指示を与えておるわけです。その指示に従った場合には、地方財政が困難であっても地方の協会に対する出資はあえてやらなければならぬということになっておる。そういうことがだんだん困難になれば、地方入植者を受け入れることにだんだん消極的になる場合があると思うのですが、そういう傾向はないですか。地方に押しつけるというような今の政府の考え方ですね。
  66. 大石武一

    大石(武)政府委員 われわれは決してしわ寄せであるとか、責任を地方に押しつける考えはございません。あくまでも中央地方に協力してこの熱意に報いたいと考えております。
  67. 芳賀貢

    ○芳賀委員 しわ寄せはやっていないけれども、押えておるでしょう。地方が実際にことしの短期資金を要望しておって、その出資等をふやすといっても、政府がわずか五千万円ぐらいしか増資しないから、地方が幾らふやしても、これは保証の形になって、中央でそれを押えた場合は何もきき目がないじゃないですか。注射を骨にしているようなもので、きき目を押えているんじゃないですか。
  68. 大石武一

    大石(武)政府委員 芳賀委員のおっしゃることもごもっともでございます。しかし実際に今までは地方の方が資金が多くて、中央資金が少いのでございます。これは、おっしゃる通りに、結果的においては押えておるというような形にも見えるようでございますけれども、われわれは国家財政の許す限りにおいて今度の増資計画したわけでございまして、でき得る限り地方の熱意にこたえたいと考えております。
  69. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは六倍のきき目があるんですから、地方においても、開拓者の諸君が苦しい中においても短期資金を受け入れるために出資をしたり、おそらく地方財政も苦しい中から、その実情をわかっておるから地方保証協会出資を増大して、資金を借り入れる態勢を作っておるわけです。ですから中央においてはそれにこたえる態勢をやはり作ってやらなければいかぬのじゃないですか。むしろそれ以上のものを出資して、ここまで上ってこいというように指導する側にあなた方はいるんじゃないですか。それを貧弱なものを出して、これでは中央ではあまり出資をふやすつもりはないということになるでしょう。押える形になるでしょう。そういうことは非常にいけないと思うのですが、いかがでしょう。
  70. 大石武一

    大石(武)政府委員 芳賀委員もおっしゃる通り、われわれも何とかしてできる限り地方の要望にこたえたいと念願しております。そうしてことしは何とか五千万だけ都合いたしましたが、来年度はさらに増額するように一生懸命努力するつもりでおります。
  71. 芳賀貢

    ○芳賀委員 来年のことは別として、こういうことになると、開拓者の窮状をここで見殺しにするというようなことに私は必ずなると思う。そうするとまたその現われが、開拓者が完全な営農ができないということになった場合には、今後政府は、そういう開拓者がさらに転落する、営農を放棄するというような事態が生じた場合においては、どういうような対策でこれを救済するお考えですか。
  72. 大石武一

    大石(武)政府委員 お答えいたします。これは短期融資の問題でございますが、これも今までより減らしたのではなくて、とにかく約三億の融資がふえたのでございますから、これは私はプラスであると思います。なお及ばない点は、開拓農業協同組合の振興対策等を十分に講じて、でき得る限りこの欠点を補って参りたいと考えております。
  73. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この法案は、次に議題になるでありましょうところの資金融通法にも関係があるので、あまり長く時間をとりたくないと思いますが、ここで最後にお尋ねしたい点は、開拓者に対する法的に見た、いわゆる保護期間といいますか、開拓者の自立するまでの期間というものを、あるいは五年とか七年に限定しておるわけなんですが、現在政府のお考えとしては、入植から何カ年を開拓者として正しく取り扱うお考えなんですか。
  74. 小倉武一

    小倉政府委員 開拓者について、何年までを特に開拓者として取り扱うかというような限定はいたしておりません。ただこの次に御審議願うかと思いますが、資金融通法の関係においては、資金の使途によりまして、何年以前の入植者あるいは何年以後の入植者、こういうふうな区別を若干しておる点もございます。
  75. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうすると、これは十年たっても二十年たっても、やはり開拓者としての待遇はするわけなんですね。
  76. 小倉武一

    小倉政府委員 今後の長い年数のことは別にして、終戦入植した者を現在対象にいたしておりまするので、しばらくの間にこれが既存農家と同等以上になるということは、一般的になかなか期待できません。もちろん中には既存農家も及びもつかないようなりっぱな経営をやっておる場合もございまするが、一般的に申しますると、レベルが低うございますので、そこを特に区別することはいたしておらないのでございます。
  77. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最後に、これは農林大臣にお尋ねした方がいいのですが、政務次官お尋ねします。先ほどからの答弁によりますと、実は五千万でなくて、一億五千万なければならなかったということが明らかになっておる。われわれとしても、あくまでもこの融資保証法に十分筋金を通して、開拓者諸君の期待に沿うためには、この際何としてもやはり一億五千万の出資にすべきであるというように考えておるわけなんですが、もしもこの法案等に対するそのような修正が行われるような場合には、まさか反対はなさらぬでしょうが、どうですか。
  78. 大石武一

    大石(武)政府委員 一億五千万円なければならなかったというよりは、一億五千万あればもっと融通がなめらかにいくという方針で、実はそういう構想を持っておったのでございます。  なお、ただいま一億五千万に修正したらお前賛成するかというお尋ねでございますが、私はただいま政府委員ではございますが、自由民主党の党員でございます。従って自由民主党の党の方針がそのように決すれば、喜んでそれに従いますつもりでございます。
  79. 村松久義

    村松委員長 開拓融資保証法の一部を改正する法律案についての質疑は終了いたしました。討論採決はあと回しにいたします。     —————————————
  80. 村松久義

    村松委員長 次いで農村漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。質疑に入ります。通告順に従ってこれを許します。石田宥全君。
  81. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 総裁が見えておられるので総裁に伺いたいと思います。農林漁業金融公庫が設立いたしましてから三年になりまするが、前の農林漁業資金融通特別会計時代から通算すれば、六年目かになっておるわけでありますが、この間の貸付額は千百六十六億、昭和三十年度末現在融資残高九百五十億ということでありますが、今日までの貸し出しの償還の状況がどういうふうになっておるかを伺いたいと思います。
  82. 山添利作

    ○山添説明員 現在までのところ特別に不良と認めておりませんですが、昨年の十二月三十日現在をとれば、償還の六カ月以上にわたって遅滞をいたしておりますものは、元利合計いたしまして約七億円でございます。正確な数字を申しますと七億九千七百万円、そのうち元金に相当いたしますものが四億九千万円、利息が三億七百万円、こういうことになっております。
  83. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 先刻審議されました開拓融資というものについては若干いろいろ円滑にいかない面もあるように思うんですけれども、大体農林漁業関係融資というものは、以前から割合に成績がよく償還されてると思うのですが、今お示しになった数字から見ましても、その比率から見ればきわめて少いものであると思うのですが、どうでしょうか。
  84. 山添利作

    ○山添説明員 これは先ほど特別に悪い状況であるとは考えていないというふうに申しましたが、私どもの立場から——立場といいますか、責任上、これはむろん少いほどいいのでありまして、特に憂慮はいたしておりませんけれども、こういう事態の生じますことがないように努めたいと考えておるわけであります。
  85. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 今回のこの法案の改正で十億増資をされるわけですね。現在の十億の増資で、現在の資金需要額から見て、果してどうにか間に合うという状況でありますか、あるいは十億くらいの増額ではまだとうてい間に合いかねるという状況でありますか、その点を伺っておきたい。
  86. 山添利作

    ○山添説明員 出資すなわち利子のつかない出資と、預金部等から借ります六分五厘の利息のつきます金との割合が、全体を通じまして、従来は無利子の、すなわち出資に該当するものが五割五分、利子を払いますものが四割五分という状況であったの七ありますが、昨年の予算以来一般会計からの出資等が非常に困難になりまして、昨年も十億、ことしも十億になっておりますことは御承知通りであります。これで参りますと、三十一年度末における貸し倒れのための準備金が約一億二千万円であります。実はこれでは非常に少いと私ども考えておるのでありまして、これが五億とかいうふうになりますれば満足でありますけれども、これでは明年直ちに差しつかえるというわけではございませんが、満足はいたしておりません。
  87. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 その資金地方で借りようといたしましてもなかなか思うように借りられないので、実はわれわれは困っているわけなんですが、この点について次官はどういうふうに考えておられますか。土地改良事業にいたしましても、その他の事業においても、公庫の資金ワクが小さいのでなかなか思うように需要に応じ切れない。そこで非常な競争が起ったり、またいろいろな供応などもしなければならないようなことがしばしばあるのです。やはり補助金は補助金で必要だけれども土地改良などの場合でありますと、むしろ補助金がなくてもいいが、もう少し融資がほしいという声が非常に強い。われわれも事業をやっておって痛切に感じておるのですが、このワクをもっと大きくするわけに参りませんか。
  88. 大石武一

    大石(武)政府委員 石田委員仰せ通り、私どももやはり、国に帰りましても同じような訴えを聞いておりますし、全く同感でございます。資金のワクはできるだけ多い方がけっこうであると存ぜられるのでございまして、本年度は昨年より約三十億資金を増加したわけでございますが、これではもちろん十分とは考えませんけれども、多少でも増加して参ればけっこうであるというのが私どもの念願であります。
  89. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこでお尋ねしたいことは、昨年第二十二国会で成立いたしました自作農維持創設資金融通法の取扱いの問題であります。御承知のように二十二特別国会に出されました自作農維持創設資金融通法案は、議会において大修正を加えたわけです。年限の十五カ年を二十年に延長し、金利五分五厘を五分に減らし、特に重要な根本的な問題は、農地を担保にしてこれを貸し付けるということであったものを、農地を担保に取らないで貸し付けるというふうに修正をして国会を通過しておる。ところが、その後貸付の準備に入りますというと、公庫の方は、業務方法書によって農地を担保に取り、さらに保証人をつける、こういう取扱いをしておられるのです。この点は次官通牒も出ておりますけれども、その点については触れていないのです。この業務方法書というのは公庫の業務方法書であって、公庫がお作りになったはずですが、これは公庫が独自にお作りになったのか、あるいは政府の指示によってお作りになったのか、明らかにしていただきたいと思うのです。
  90. 山添利作

    ○山添説明員 国会で修正になりました趣旨通りに運用いたしておるのでありまして、ただいまお考えになりましたのは、業務方法書の読み方の違いであります。農地の担保及び保証人、またはそのいずれか一方、こういうふうに書いてあるのでありまして、農地を担保にしないでも保証人があればよろしいのでありまして、現にそういう場合の方が大部分でございます。
  91. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これはどうも大へん食い違いがあるようですが、新潟県では少くともどっちもとっているのです。おそらくこれは新潟県だけではございますまい。私もその文書を見ておりますが、担保に供しまたは保証人をつけることができるということになっているのです。ところが現実には、担保も取り保証人もつけている。そういう取扱いをしているのですが、これはどこに食い違いがあるのですか。
  92. 山添利作

    ○山添説明員 これは当時非常に問題になった点でございまするから、その趣旨を徹底するべく、たとえば農地局におけるブロック会議等において十分いたしてもらっているはずでございます。新潟県の事情はただいまよく存じませんので、後ほど調べましてお答えをいたしたいと思いまするし、また、特に法律修正の趣旨に合致していないということでありますれば、さらに是正をいたすように努力をいたしたいと思います。
  93. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 先ほどから私がお尋ねしているのは、その業務方法書というのは、公庫独自におやりになったのか、政府の指示によってお作りになったのかということなんです。
  94. 山添利作

    ○山添説明員 これは政府の認可を受けるわけです。すなわち大蔵省、農林省の認可を受けるわけです。
  95. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 次官にお伺いします。  今申し上げたように、政府原案に対して徹夜に近い作業をいたしまして、そうして当時自由党、民主党、社会党両派の間で慎重な審議を遂げた上で修正を加えることに意見の一致を見て国会を通過しているのです。そういう国会の審議の経過はよくおわかりになっている政府が、そういう国会意思を無視するような方法書を、一体なぜそのまま認可したのですか。
  96. 大石武一

    大石(武)政府委員 実は、私は新米の政務次官でございまして、当時のいきさつはよくわからないのでございまして、詳しいお答えができないのははなはだ残念で、申しわけない次第でございますけれども、おそらく国会意思を無視するようなことは政府は決して指示したり、あるいは認可したりしないと思うのであります。なお正確なことは説明員よりお答えさせたいと思います。
  97. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこでなお総裁にお尋ねしたいんですが、実情もお耳に入っておると思いますけれども、私ここにちょっと資料を持ってきておるのですが、その手続が非常にもう煩瑣をきわめるものであって、おそらくこれは高等農林学校でも出た農民ならできるかもしれませんけれども農民の手には事実負えないと思うのです。こういう繁雑な、煩瑣なものを、何の必要あってお作りになったか。私はその点に疑いを持つのです。こんなものを作ることは、自作農維持創設資金融通法というものがあったけれども、実は金は貸さないんだ。その金を貸さないための障壁にこんなむずかしい手続、煩瑣な手続をおきめになったんじゃないかとすら考える。全く農民的なものではないのです。一体それに対して総裁はどういうふうにお考えになっているか。
  98. 山添利作

    ○山添説明員 これは安定計画のことについて御指摘になっておるものと考えますが、その安定計画は、農家実情を詳しく把握する、そうして将来の収支の計画まで立ててやる、こういうことになっておるのでありまして、これはなるほど日ごろ帳簿等つけておりません農家にとりまして相当むずかしい。おそらく手伝いと申しますか、指導する人が手伝いませんと、なかなか独力では書きがたいものだと思います。しかし一面から申しますと、農家の事情を把握すると同時に、農家自身にも個々に自己の経営について十分なる省察を加えてもらう機会になるのでありまして、この資金融通します目的が、農家の安定更生というところにあります趣旨に応じましての施策である、かように考えておるのであります。
  99. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 総裁よく御存じだと思うのですが、私がこれをちょっと調べてみますと、総裁あての文書まで入れますとちょうど二十種類ある。二十種類の書類を作るのは、いかに優秀な農民であっても、これはできるはずがないのです。そうして実態を把握するとおっしゃるけれども、こういう繁雑なものを作れば作るほど、実態と離れたものができ上ってしまう。作文ができ上ってしまう。表面だけつじつまを合せるということになるから、ますます農家実情と飛び離れたものができてしまう。それから自分が人を頼んで作ってもらうのですが、作ってもらったんだから、さて今度どこか修正するとかなんとかということになると、本人は一向わからない。本人は何もわからないで、作文した人は、ただそろばんをはじいて作文だけやっている。そんなことで一体金を貸し付けることができるか。こんな現実離れのしたもので、それがためにおそらく人件費などがよけい要るので、かえって資金コストなんかが非常に高くなっているんじゃないかと思うのです。資金コストはまた別の問題はありますけれども、そういうような点で、一体二十何種類の書類を作らなければならないというようなことは、常識では判断できないんですね。総裁の常識では判断できますか。
  100. 山添利作

    ○山添説明員 安定計画につきましては、これは京都大学の大槻教授を中心にいたしまして、農林省におきまして非常に練られたものでございます。私個人の意見といたしましても、なかなかむずかしいものだとは考えておるのでございます。しかしアメリカの何とかクレジットですか、ああいうものを見ましても、大体同じような方式でございます。もっとも向うは紙の数は一枚です。そういうことで、制度が出発いたしましたときには、当面こういうものができるのだろうと思います。しかし実情に応じまして、簡単にして実際の役に立つようなものにだんだん直していくように、農林省とも相談の上に進めていきたいという考えは持っておるのであります。
  101. 足立篤郎

    ○足立委員 関連して。ただいま石田委員から融資手続の点につきまして御質問がありましたが、それに関連して一点だけ総裁に伺っておきたいと思います。  私も実はあるケースにぶつかりまして、非常に不合理だと感じた点がありますので、この点について総裁のはっきりとした御見解を伺っておきたいと思うのであります。ある農業協同組合融資を受けて倉庫を作るという段取りになりまして、公庫の方の認可を得て金が借りられるというので、さっそく手配をして着工いたしたわけでございますが、さて金を借りるという段階にいきますと、県信連を経て借りるわけでありますが、県信連の方は金を支払った領収書を持ってこい、領収書を持ってこなければ公庫から出る金を単位農協に貸すわけにいかないというわけです。領収書を受け取れるくらいならば何も金を借りることはないわけであります。そういう矛盾をあえてやっておるわけなんですが、これは静岡県の県信連が間違っておるのか、公庫の指導がそういうふうに行われておるのか。何か内規があっておやりになっておるのか、あるいは内面指導でおやりになっていらっしゃるのか。もし公庫が何らかそれに関与しておるとするならば、どういう考えでおやりになっておるのか。今石田委員からお話のあった通り、実に煩瑣な手続を経て、しかも厳格な査定を受けてある程度ちょん切られて、ようやく金が借りられる。しかもこれは公共の仕事なんです。農業協同組合が公けのために行う仕事なんです。その金を貸すのに、農業協同組合の団体であるところの県信連が、支払った領収書を持ってこなければ命は貸さぬ。そんなべらぼうな話はないと思う。これについての総裁のはっきりとした御答弁を伺いたい。
  102. 山添利作

    ○山添説明員 これは県信連の先に村の単協が事務の委託を受けて扱っておるわけであります。その信連と単協との間の約束といいますか、協定によりましては、金を受けるのは、金を借りる人の貯金に一応振り込むことを原則とする、そうしてそこから第三の債権者になりますか、そういうところに払うというふうにいたしておるのが原則でございます。ただいま足立さんのお述べになりました点は、そういうことをやろうとすれば、ただの領収書は出しませんから、領収書を持って金を借りる人と債権者とが同道して行かなければならぬ、そして受け取るということになるのじゃないかと思いますが、そこは一般的にはそうはいたしておりません。今申しましたように一応預金に振り込む、しこうして他の債権者に払う場合であればそのことを確実に行う、こういう取扱いにいたしておるわけであります。
  103. 足立篤郎

    ○足立委員 どうも今の総裁のお答えでははっきりしないのですが、私がお伺いしたケースは、単位農業協同組合が協同組合の事業として倉庫を建てる、それに農業協同組合として農林漁業金融公庫から金を借りる、その仲立ちを信連が取扱いをしているという場合なんです。総裁のお答えになったような場合でも当然そういうことが起ってくるだろうと思いますが、起ればなお困ると思うのです。個人が領収書をもらって、全部農協を通じ、信連を通じて公庫の金を借りることができるわけではない。こういうような慎重を期するということもけっこうですが、これは度が過ぎていると私は思うのです。こういうことを公庫として指導されているのか、内規に何かあるのか、それとも全然公庫は関係なしに、信連と単位農協の間で信連が大事を踏むためにこういうことを勝手にやっているのか、この点をはっきりしたいと思うのです。もし勝手にやっているとすればこれは道理に合わぬと思うから、公庫の立場においてこれを是正していただくことが適当か、できないとすれば監督官庁である農林省がこれに何らかの手を打たれるか、私はこの際その点をはっきりしていただきたいと思います。
  104. 山添利作

    ○山添説明員 先ほどの御答弁は、自作農維持創設資金と思いまして間違いました。  今おっしゃいましたことは、一応金の貸付決定をいたしましたら、あとの金の引き出しは実際の必要に応じて金を引き出してもらう、こういうことにいたしておるわけであります。それは他に流用されることを防ぐためであります。従ってそのときには、土地改良等でありますれば、たとえば県庁の証明をもらうとか、あるいは工事であればそれの出来高の確認書でもよろしいのですが、他の金で払っておいて入りましたと言ってくるものはそれでいい、これもまた一つの確実な証拠でありまして、そうした払うべき事由ありということを確認するように委託金融機関に指示をいたしておるわけであります。
  105. 足立篤郎

    ○足立委員 どうもぴたっとこないものですからたびたび承わって恐縮ですが、今総裁がおっしゃったような大事を踏むということはわかるのですが、しかし物を買うために金を借りるにも、その領収書を持って行かなければ金を貸し付けないということは度が過ぎていやしませんか。おっしゃるような県庁の証明とか何とかいうことはけっこうなんですが、この点をはっきりお答え願いたい。
  106. 山添利作

    ○山添説明員 これはそういうこまかいことを一々指示しておるわけではございません。これは取扱い者の常識の問題であると思います。
  107. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 総裁の答弁で大槻教授あたりのお作りになったということであるが、これは大学教授あたりでないと作れないことは明らかになったわけです。先刻の答弁のように、実は安定計画というものに非常に重点を置いておられる、法律の中にもその点はうたってあるからということでありましょうけれども、個々の農家の安定計画が妥当であるかどうかということが、その県の段階でわかるものではない。それが町村でやるならまた別として、個々の農家経済状況と将来の安定計画というものまで、文書の上で査定をする必要があるかどうか、私は疑わざるを得ない。そこで少くとも、やはり県知事がこの程度ならば差しつかえなかろうという認定をして持ってきたようなものは、公庫として内容を審査する必要がないじゃないですか、どうです小。
  108. 山添利作

    ○山添説明員 これは事実安定計画は知事の認定でございますが、知事は法制上の責任者としての知事でありまして、実際におきましては、やはり地元におってこれを指導いたします改良普及員でありますとか、あるいは農業委員会の書記という人が、一番よく実態を把握いたす地位にあるのであります。従って知事の認定を受けましたものをさらに公庫は査定をする必要がないじゃないか、必要というよりも、むしろ能力がないじゃないかということは、お説の通りだと思います。私の方で見ておりますのももっぱら書面上でありまして、現在中央で見ておりますが、初めでありますから一々取り寄せて見ておる、その中にはいわゆる書類として直すものもたまにはあるわけであります。習慣がつきますれば、一々中央の公庫までそういうものを取り寄せて見る必要はないと考えております。
  109. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 しかしそういうことなら、この業務方法書の中でそれほどこまかく調べる必要が私はなかろうと思います。その判断は知事の責任においてこれをされるということでけっこうじゃないですか。そうすれば知事はまた町村長なり協同組合なり、適当な機関を通じて、これをまた指導監督もしておるわけでありますから、一々公庫まで二重の種類の文書を取り寄せる必要はないじゃないかと私は考えるのです。これを一つ改正をして、もっと簡便にやるという御意思が一体あるのかないのか。
  110. 山添利作

    ○山添説明員 これはそういう御意見が出ましたので、さらに実情に沿いますように、実情研究しつつ、なるべく簡単化するということは、むろんわれわれはそういうことは心持としては賛成でございます。またそうすべきだと考えております。しかし安定計画の主導権はむしろ官庁側にあるのでありまして、そういう方とも十分協力をいたしまして、便利な方に向けていきたいとは考えております。
  111. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこでこれは政府の説明によりますと、貸付を始めておって、すでに当初計画額のうち相当額の貸付を完了しておる、こう政府は説明しておりますが、昨年の貸付予定額が二十億だと記憶しておりますが、そのうちどの程度貸付が完了になっておりますか。
  112. 山添利作

    ○山添説明員 これは法律が通過いたしましたのも、臨時国会でございまして、相当おくれておりましたこと、並びに新しい制度でございますので、地方に打合会その他準備をいたす都合もありました。従って相当実はおくれておるのであります。一月末現在で受理いたしましたものが七億三千八百万円、決定をいたしましたのが、六億五千五百万円でございます。しかし年度内には予定の通り二十億は完了いたす予定でございます。
  113. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そうしますと、まだ三分の一程度しか出ておらないようでありますが、先ほど私が申しましたように、あの法案の周知徹底方の説明会等がございまして、各町村では相当多数の農民自分の手に負えないので、ややそういう方面の仕事に熟達したというか、事務的に作文の上手な人を頼んで、多額の金を使って申し込みをしておるのです。ところがこれは最後になると、その煩瑣な手続をやった者のうち一割程度も借り入れできれば上等ということになってしまっておる。それで各県に対して一つのワクがおり、県はまた郡なり市町なりにワクをおろしておるのですが、このワクは一体どこでおきめになるのですか。あるいはまた県が、地方ごとに上からずっとワクを押えておる。これは予算の総額がきまっておるからやむを得ないかもしれませんけれども、今言うように、一つの村で二十人も三十人も申し込んだのに一人か二人しか借りることができない。それがために非常にたくさんの金を使って、一カ月くらい飛び回って人を頼んで、そうしてふるい落されてしまうという結果になっておる。そのワクは一体だれがきめるのですか。
  114. 山添利作

    ○山添説明員 県のワクは、農林省と公庫と協議をいたしましてきめております。その算出の基準になりましたものは農地面積及び農家戸数割でありまして、もっとも若干災害等の分を考慮いたしましてこれは天引きいたしまして、それぞれの災害その他の特別事情のあるところに割り振っております。
  115. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 もう一点伺いますが、新潟県の実情でありますと、申し込んだ者の二〇%までいかないのです。全国的には申し込みの件数がおわかりでしょうかどうでしょうか。おわかりであったら、希望というか、申し込み手続をした者の件数と金額を一つお聞かせ願いたい。
  116. 山添利作

    ○山添説明員 全国的にまだ集計したものはできておりません。しかしよく聞きますことは、三倍であるとか、四倍であるとか、五倍とかの希望があるということはよく伺っております。
  117. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 政府一つ伺います。最近農家負債が非常に多くなりまして、今法的にその農地を担保にするということは、手続上許されないことですからやっておりませんが、事実上これは私文書によって農地を担保にして借金をしておる金額というものは、昨年の春ごろ私どもの推定によると百億程度あるのではないかということがいわれておったのです。その後さらに増額しておると思うのですが、どの程度とお考えですか。事務当局でけっこうですからお答え願いたい。
  118. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 農家負債というのは非常に種類が多いのでありますが、先ほどからの山添総裁の方に関連のこともあると思いますので、災害金融で借りておって、まだ償還期もこないで残っておるものが三百五十億くらいだと思います。去年の豊作をもちまして逐次これが消費性向きに使用されないで、借りたものを返すようにしたり、繰り上げ償還をするようにしたり、貯金をするようにしたりして良好な傾向をたどっておると思います。
  119. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこで昨年は二十七億の予算のうち、実際の貸付額は二十億、ことしの予算では二十五億ということになっておるのですが、この程度でありますと、私が最初申しましたように、実際上自作農維持創設金融法というものは、ただ見せかけだけで実は貸さないのだということと同じことなんです。二階から目薬のようなもので、かえって罪作りになる。しかし実際上これはやはりやらなければだんだん自作農というものが崩壊してしまう。一体いろいろな予算上、財政上の都合もあったと思うのですけれども、少くともことしは五十億から六十億程度なかったならばまかなえないのじゃないか、三十年の豊作もありますけれども、まかなえないのじゃないか、どんどん自作農が小作に転落していくであろう、また大農がどんどん耕地を集中してしまう、そういう傾向はもう顕著なんですが、何とかもう少しこれをふやすような措置をお考えになっておるかどうか。
  120. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 ただいま石田先生が二十七億とおっしゃいましたが、三十年度はお話になりましたその部門に対する相当額が二十億でございます。その他施設費七億円。それを本年度は財政資金も必ずしも十分でありませんけれども、いろいろ努力をした結果、微力な点もございますが、二十五億にしております。なお実行上は系統組合金融の中に相当の余裕金を持ちましたら、優良な組合の中でも、農協でありますが、農業資金への貸付が二、三割程度の範囲にあるという運用上の問題もございますので、そういうものの活用など、長期、中期、短期、用途等において、いろいろ金融というものもベースがあり、種類もあると思うのでありますが、それらを総合活用いたしますとともに、農林漁業公庫の中においても、あるいは御承知通り、各種の協同組合から、伐調資金から自作農維持創設資金まであります。その部門分けによって実行して参るのでありますが、なお資金ワクが調整し得る範囲内において調整をして参りたいと思いますが、なお手続の簡素化につきましては、山添総裁がお答えになりましたことに照応をいたしまして一と申しますのは、ただいまちょうど同時刻に予算委員会でも足鹿委員から農林大臣に同様な御質問がございましたが、それをそのまま繰り返すわけでありますが、公庫、農地局とも相談をいたしまして、農林省でだんだんよくしていく。昨年は始めたばかりでありますから、そういうふうにしていきたいと思うのであります。なお若干の件数は締め切りの期日で違いますが、一月末の申し込み件数及び申し込み金額は山添総裁がおっしゃった通りでありますけれども、二月に至りましてその二倍半近くの要請がございまして、その要請は二万件にわたり二十一億ぐらいであります。この交付は昨年の十月十日でありましたけれども、その間には大体それを期待して準備したことがございますので、これの四倍の八十億前後が要るであろうということは、今すぐそうは断定できませんので、逐次ただいま申し上げましたそういう努力も加えまして、努力をしていきたいと思っておる次第であります。
  121. 村松久義

  122. 小川豊明

    小川(豊)委員 公庫の山添総裁がおられるようでありますから、お尋ねをいたします。先日の提案理由の中に農山漁村建設総合施設等に要する資金ということがうたってありまして、この予定計画量を見ますと、ここに農山漁村建設というので、十五億の予定計画になっておるようであります。予定計画が立っておられるようでございますから、これは新しく起されたものでございますが、この予定計画お尋ねしたい。総裁に具体的にお尋ねしたいと思います。
  123. 山添利作

    ○山添説明員 この十五億円につきましてはどういう施設に充てるというような細目はまだきまっておりません。農林省でおやりになります新しい村作りの施設に即応いたしまして、それに必要なる資金を貸し付けるわけでありますが、これは今後具体的に農林省と御相談いたしてきめて参りたいと考えております。
  124. 小川豊明

    小川(豊)委員 今、各委員との質疑応答を伺っておりますと、この貸付には業務方法書等があり、いろいろの制約がある、また手続等も非常に煩瑣にできておる、こういうことなんですが、ここで一つ農山漁村建設計画だけはまだ何の計画もない。これから農林省と打ち合せをしてきめるんだという。これから打ち合せをしてきめるという、まだ海のものとも山のものともつかないものに、十五億という金額がここに盛ってある。これはどういうわけですか。計画がなくてどうして十五億という金額が盛れますか、それを総裁にお伺いしたい。
  125. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 総裁ということでございますが、私でよろしゅうございますか。
  126. 小川豊明

    小川(豊)委員 ちょっと待って下さい。この点は、おそらく新しい村作りという、この新農村建設との関連でこの十五億というものは出されたと私は思う。そうするときのうの大臣の答弁では、これは考慮中だ、こういうことをお答えになった。考慮中というのは、考え中ということであって、考えがまとまったということではない。考えがまとまっていない。何らの具体的な内容もないものに対してこれを予算化しようということは、これは非常に乱暴なやり方だと思う。しかもこれは予算だけとっておくならば、あとはどうにでもおれの方で自由になるんだ、こういうようなお考えは非常に不都合きわまる考え方ではないか、こう思うのです。これは政務次官お尋ねいたします。
  127. 大石武一

    大石(武)政府委員 新農村建設につきましては、きのうまでたびたびの委員会の御質疑によりまして、おおよその構想がおわかりになったことと思いますが、(「わからない、わからない」「その内容はどうだ、検討中じゃないか」と呼ぶ者あり)その内容は農林大臣が申し上げましたように、検討中ではなくて、よくおわかりと思います。私、くどいことは申し上げません。十分に……。(「自分がわからないじゃないか」と呼ぶ者あり)あまり発言の御要求がないようでございますから、このへんでやめておく次第でありますが、これはその計画に即応した融資の道であると考えております。
  128. 小川豊明

    小川(豊)委員 今次官の、計画に即応して十五億の予算をとられた、計上されたという話ですが、私はその即応した計画お尋ねしたい。次官はおわかりだろう、おわかりだろうと言うが、きのう大臣は考慮中だという。考慮中では大臣自身がおわかりになっていないはずです。だから私どもがわかるはずがない。それで、なぜ十五億をここで計上したか、この十五億の根拠をお聞きしておる。従って、これに対してはおわかりのようですから、即応した計画をお伺いしたい、こう聞いておるわけです。
  129. 大石武一

    大石(武)政府委員 きのうまで大臣からたびたび申し上げましたように、各町村の計画によってこれを使うわけでありますが、その見合う公庫の十五億のことにつきましては、安田経済局長よりお答えいたさせます。
  130. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 御審議を願っております農林漁業公庫の原資調達、新農村建設と普通にいわれております分の十五億は、農地用の交換整備事業に充てられまする事業費のうちで公庫融資を五億したいと思っておるわけでございます。残りの十億は非補助の農山漁村振興総合施設に充てるわけでございます。
  131. 小川豊明

    小川(豊)委員 使い道は二つ出てきたわけです。従ってきのう大臣は考慮中だ、こういう答弁でしたが、あなたの方では考慮中じゃなくて、一応のアウトラインができておるらしい。従って今の五億と十億に分けたこの内容をもっとお示し願いたい。
  132. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 昨日大臣が申されましたことを私が敷衍しまするのはいささかどうかと思いますが、本日おられませんのでお許しを願って申し上げます。  予算面におきましても、十五億を少し切れた約十五億というものが予算として計上されておりますが、これの計画の立て方と、どういう計画をするかということについての御論議があったと私は横で拝聴しておりました。それは人口あるいは農家数を基準にしましたり、適当な経済地域において立案をしましたりしたもののうちで、各県をおおむね五百町村、というより五百計画地域というような意味だったと思いますが、そういうものをまず予定して総合助成金をやる。そうしてこの十五億の中で融資をつける。そういうことを申せば敷衍になるかと思うのでございますが、その計画の立て方といえば、上よりおろしましたり、国の増産計画をそのまま割り当てるようなことはしませんで、その地域の——まあこれを町村と申しますれば町村で協議会を作って、青年が中心になられまして、そうして各団体の協議会を作ったりしてそこで案ができたもののうち適当なるものを県で認定せしめまして、そうしてその中にいろいろな計画が出て参りましょうが、その計画を、補助対象とする予定のものについて入っているものはそれを助成する、そういうようなことを申されたのだと思うのです。そのうちこうこうこういう融資が今の二つの該当事項にいけばそういう事項にこうこうこういう融資を充てる。その事項が補助金がある場合にはさらにその補助金がつく、さらに補助金のない場合は非補助で融資の率を厚くする、若干の地元負担もある、あるいは農協資金の活用ということも考える、こういうようなことだと思うのであります。両者総合しまして御説明申し上げました。
  133. 中村時雄

    中村(時)委員 それじゃ私は経済局長お尋ねするのですが、きのういろいろな話の中から出てきた問題では、五百町村に対して調査費として一町村五万円を出し、また一町村に対して二百五十万円の金を出す、こういうふうな話になっている。その一つ一つ状態が、この十五億円をめぐって大体の内容が農地と他の内容の二つに分れてきている。そうすると、それとの調整なり一つの見地はどういうところをもって基本的な線が打ち出されておるのか。少くとも予算というものは、そういう一つ一つの蓄積があって予算要求されていると思う。そうすると当然あなたの中には、あなたの試案でもいいが、一つの試案があると思う。なぜならばもう今月一ぱいで予算というものは通過しようとしている。通過しようとしているにかかわらず、まだ事務当局にその試案さえもないということは私は聞えないと思う。そういう意味においても当然あなた自身の試案というものは持っていらっしゃると思う。それをここではっきりと打ち出していただしきたい。
  134. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 試案を申し上げることはできないと思います。農林大臣かあるいは政務次官が御説明せよと言われればやるべきであろうと思うのでありますが、新農村計画全体を私が説明することは必ずしも適当でないと思います。
  135. 中村時雄

    中村(時)委員 今お聞きになったことと思う。政務次官お尋ねしたいと思うのだけれども、事務当局においてはそういう腹案を持っているということははっきりしている。事務当局において、その発表は政務次官意思があれば答弁できるということになっている。それは重要な問題である。やらせないという党利党略の問題ではない。そういう大きな予算処置の問題に行き当っている今日においては、当然のことである。それが当然打ち出されてきている。打ち出されてきている以上は、はっきりさせるのが当然の義務ではないかと思うのです。
  136. 大石武一

    大石(武)政府委員 大臣や私どもが、新農村建設に対する構想を考えるようにということは、それはたしかに農林経済局に命じてございます。しかしまだその報告は届いておりません。従いまして私どもはまだその構想をはっきりすることができないわけでございます。農林経済局長の一試案というものは発表させるわけに参りません。なぜかと申しますと、農林経済局長の一試案が農林省の案であるとは申されません。果して妥当であるかどうかは、われわれがこれを適当に判断して、直す必要がございます。われわれは日本の国の農政を担当する責任をあずかっております以上は、各農村に対する影響というものを十分に考えまして、正しい判断をして、正しいものになったときにおいて発表するのでございます。私は発表を差しひかえます。
  137. 中村時雄

    中村(時)委員 政務次官のお言葉を私は了承いたします。しかし了承をするかわりに、もう旬日に迫った今日において、大体事務当局における原案というものはわかっている。それを責任をとれとは私は言っていない。お互いがここで検討して、よりよきものを作ろうじゃないかという考え方である。そのことが委員会の最も重要な使命だとも私は思っている。そこで百歩譲って、政務次官の御答弁を了承するというかわりに、この予算が今月一ぱいで上ろうとしているのだが、いつごろまでにこの問題のはっきりした態度を出して下さるか、その期間を一つお聞かせ願いたい。
  138. 大石武一

    大石(武)政府委員 お答えいたします。これは今まで大臣がたびたびここでお答えをいたしております通り、検討中です。各新しい経済的な村と申しますか、いわゆる村の経済が自立するという計画が出てきて、初めてこの金が有効に使われるわけでございます。なぜ私どもがこのような新農村建設の問題を出したかということにつきましては、すでに皆様もおわかりの通り、今までの日本の国の農政は、国策というものを中心にして行なって参りました。日本で米が必要であれば全部米を作れ、生糸を輸出しなければならないといえば、すぐ桑を植えて繭を作れというふうに、もっぱら国策的なものが強かったと思うのであります。ところが日本の国は御承知のように立地条件がいろいろ違います。狭い国で、このように立地的条件が違う場合に、国が一律に国策の線において営農を押しつけるということは、必ずしも農家経営を自立せしめるゆえんではないと思うのでございます。むしろ逆に考えまして、どうすればこの村が経済的に立っていけるか、将来発展できるかということを具体的に考えて、それを国策の線に合せて考えた場合において、初めて農家経営が安定する、自立ができるという段階に入って参ると思うのであります。これが新農村建設を考え出したそもそもの考えでございます。
  139. 中村時雄

    中村(時)委員 それではお尋ねしますが、具体的な内容というのは、今検討を命じておる最中だとおっしゃる。しかも検討を命じておるという中には、事務当局ではすでに農地に対して十五億のうち五億円をあてはめようという考え方を出してきている。だから内容ははっきりしているのです。すなわち検討中であったものの内容が、一歩進んでいる。その進んでいる具体的な内容をいつ発表されるかということをお聞きしている。適地適産であるとか、日本の農業経営がどうなっているかということは、子供でもわかっておる。しかもそんな抽象論は先般来何度となく論議されている。その結果、今言った具体的な内容を検討中だということを答弁していらっしゃる。その具体的な内容というものが、部分的ながら一部頭を出してきた。だからその問題をとって、事務当局では今言ったようにでき上っている。あなた方が発表したら困るというのでしないだけだ。それをあなたはいつはっきり受け取って、そしてこの予算処置の前までに、いつごろこれを提出してはっきりと打ち出してこられるかということを聞いておるのです。
  140. 大石武一

    大石(武)政府委員 これは事務当局から報告を聞いておりません。当局が今一部の構想を漏らしたのだろうと思いますが、まだわれわれは正確な報告を受け取っておりません。従いましてわれわれは事務当局がおそらくこの予算の実行に間に合うように編成すると思います。そうなりました場合、われわれも今のようなことにつきましては、できるだけ早く構想を発表いたしたいと思っております。
  141. 中村時雄

    中村(時)委員 これは冗談を抜きにして非常に重大な問題です。予算を前からぶんどって十五億というものができておる。そこでこれは現実に全国民に知らさなくちゃいかぬ問題である。その責任がある。その審議をしておる過程です。それだけに真剣にあなた方も——事務当局の言っていることの腹案は全部でき上っておる。あなた方が発表したらいけない、許可がなくては発表できないと言い切っているじゃありませんか。許可がなくては発表できないという裏は、もうでき上っておりますけれども、あなた方が発表していいか悪いかという時期を待っておるということであります。そこであなた方の考え方が、事務当局で実際まとめて、そうしてやっていくように強力にやるというこは、今月一ぱいに予算が通るという可能性があるのだから、今月一ぱいに予算が上るまでには必ずやってもらうように要請をすることにしておいて、一応終ります。
  142. 小川豊明

    小川(豊)委員 今次官から御答弁になったのですが、予算の実行に間に合うように具体化するということであった。ところが今これは提案されており、私どもは審議に間に合うように具体化されてもらわなければ何にもならない。だから、ここに予算が出ているのだから、この内容をあなた方が示されなければいけない。内容がなくて予算の十五億というものが計上できるはずはない。一つ一つ積み上げられてできていくわけである。ところが、こういうものを一つもなさらずに、ここにこういう十五億のワクを出してこれを議決しろということは、まるで予算のつかみ取りである。この新農村というものはいろいろ議論もあるところである。従って私どもはこの問題に対して慎重に自分研究をしつつあるわけですから、これに対する構想というものを発表されないで、ただ、いいのだから十五億、新しい村を作るのだから十五億、これでは困る。こういう形で、こういう方向で十五億というものが要るのだというそう具体性をお尋ねしておるのであります。
  143. 大石武一

    大石(武)政府委員 お答えいたします。その構想につきましては、すでにたびたび農林大臣が申されておることで、おわかりだろうと思います。先ほどその一端を経済局長か——私は不十分であると思いますが、一端を経済局長が伝えておるのでございますし、そのことは何べんもお聞きのことだと思うのでございます。
  144. 小川豊明

    小川(豊)委員 どうも水かけ論みたいになって困るのですが、私はぜひこの内容を十分にお聞きし、それに基いて自分たちの考え方をまとめてみたい、こう思っているわけです。きのうは大臣は考慮中だと言われた。きょうは一応その十五億の内容を二つに分類しての御説明があったわけです。二つに分類できるくらいだから、さらにそれをもっと分類できているはずである。事務当局がすでに持っているにもかかわらず、それを発表させることはできない、これはわかりますが、事務当局は持っている。こういう重大な問題だから、なぜあなた方はあなた方の責任のもとにおいてこれを発表なさらないのか。発表したらいいじゃないか。そうでなかったら審議ができないじゃありませんか。この点を私はお尋ねしておる。
  145. 大石武一

    大石(武)政府委員 それは何べんお答えしても水かけ論になるのでございますが、われわれはこの実施をするに当りまして一番大事なことは、この新農村を建設すべき約五百町村の具体的内容によってこれを実施するのでありまして、その具体的内容ができておらないということは御承知のことと思います。それを事務当局の案があるということでございますが、私はまだそういう報告を聞いておりません。それは経済局長がどのようなことを考えて言われたか、言葉が不十分であろうと思うのであります。従いましてもう一ぺんその真意を安田経済局長よりお答えいたさせます。
  146. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 昨日の新農村計画に関しまする構想とか、その予算とか、具体的実施方法については、大まかな答弁とされまして大臣が、検討中のものもある、あるいは検討中であると言われたと思います。  さてその次に、ただいま私が申しましたことに関連して、大石政務次官がいろいろと御質疑を受けておられると思いますので、その私の申しました趣旨を申し上げます。それは公庫十五億を新たに組みましたのは、他の公庫融資の対象部門のうち、新農村計画に照応する、それに使う部門としてのものは、その二つを考えておって、その事業について五億と十億であるということを申し上げたのであります。その二つは、農用地交換整備事業、これは補助があるほかに融資を五億しようというものであります。それから農山漁村振興総合施設、これに対する公庫融資十億は、非補助のものの施設の融資をしよう、それは全国各県、また三十一年度対象になる農業地域というてよいと思いますが、かりにこれを市町村と名づけますと、市町村で農業振興計画として期待して、下からいろいろ立案がされ、協議会でこなされて、県庁も認可し、農林省も認可する。その初めに、きのうの大臣のお言葉であれば、中央の各種農業団体の御相談したその方針が基準としておりていくでしょう。そういう公庫融資の二つのワクを申しましたので、新農村計画をどのように立てていくかのごく詳細とか、どこどこ村がどういう施設をやる、たとえばこういう共同施設をする、こういう小団地改良施設をする、あるいはこういう農協の活動促進をはかる、そういうようなことをする具体的なものはまだない。そうでない違う方法をとって新たなやり方をする、そういう新農村予算でございます。新農村公庫融資というのはそういうことでございます。
  147. 小川豊明

    小川(豊)委員 今お聞きしていますと、今度は新たな構想をもってやるんだというが、私はその新たな構想というのをお聞きしたい。どういうのがあなたの新たな構想なのか、その点をもう一度詳しく御説明願いたい。
  148. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 きのうも大臣が申しました通りに、若干の敷衍をお許し願えれば申し上げますが、部落の団体でありますとか、農家個人でもいいのであります。4Hクラブもあれば、農事研究会もありますが、そういうところで、こういうことをやったらどうだという意見をまとめまして、町村と申しますか、農業地域と申しますか、これは実際にあたって確定をいたさなければならぬと思いますが、そういうところで各種の農林水産業の団体が協議会でその案を取りまとめまして、これを市町村や県庁によく打ち合せて、指導も受けますれば、補助あるいは融資を受けるものにつきましては、その対象について考えてみる。その他は自己資金であるとか、農協活動を盛んならしめるとかいうふうにして、そういうやり方というものが新しいことである。またそれを五カ年計画で、全町村のように、あるいは全国の各地域のように一つやってみよう。その他内容がありますが、例を二つあげますと、これが新しいという意味の二つであります。
  149. 中村時雄

    中村(時)委員 そこでお尋ねしたいのは、その十五億円に関しまして、今あなたは、新農村建設においては協議会を取りまとめて、こうおっしゃっている。ところが協議会の取りまとめた中から、いろいろな問題の融資をはからなければならぬにかかわらず、すでに融資の対象としての問題は、今おっしゃいました農用地の問題と、それから農山漁村の問題と二つに分けて五億と十億を出すんだ、こういう基本的な事実が現われてきている。片一方では、協議会で取りまとめて、それによって融資の対象について考えていきたいと言いながら、基本的原則ははやおっしゃった通り、十五億に対するワクの内容ははっきり出ている。協議会とは別個のもので、すでに政府の原案は、その協議会で行われた内容の中で、こういうものだけは取り上げていこうじゃないかということがはっきり出てきている。すなわちそのこと自身は原案がはっきりとあるということだと私は思うのですが、これに対してどう考えるか。
  150. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 およそ予算とか政府融資というものは、時の財政金融事情に応じまして、所定の手続をとりまして、項目をあげていろいろ積算基礎を持ちますけれども、一応の積算基礎をもってまずワクがきまったものを御審議いただくことは、御承知通りであります。その中には、どこどこの村でどういうことをやろうとか、それをはっきりさせてプラスして合計する場合もありますし、金融などというものは、大体このワクで、その事業に照応したものが出てくればそれに順位をつけていく、本年度はこのワクでやろうとしていくものも多々あると思う。それがいつもの公庫の融資額とか御審議をいただきますものは、政府出資の分は法律案が要るから特に御審議をいただく、その他もいただく、こういうものでありますので、こういう二種類の事業に対しまして何億のワクを組むかというのを五億と十億と申し上げましたので、必ずしもその御期待に沿うたような、また新しさを新しいと思えないやり方によって内訳が事務当局にあるということは、私の言い方が悪かったか、お聞き違いかと思うのであります。
  151. 小川豊明

    小川(豊)委員 最後にもう一点お尋ねしておきますが、あなたは非常に何か自己陶酔のように、新しい計画だ、こう言っているが、今どこを聞いても、新しいところは一つもない。今までやっていたことを何か新しい言葉でもって再編成というか、そういうふうにしていくだけで、一つも新しくない。しかしこれは見解の相違になるかもしれませんので、その点はおきます。  一体十五億というものを計上しておきながら、その内容を聞けば今までの委員会の討論でも、すべて非常に細目にわたってこれに対してはこういう制約がある、これに対してはこういう制約があるといって、自作農創設の資金でも何でも非常に厳密な制約があってできている。ところが、この新しく計上された十五億というものは何にもない。十五億ポコッと出している。これを議決しろ、あとはおれの方で適当に処理する、そういうふうな出し方はないと私は思う。さっきもふに落ちないのは、予算の実行に間に合うように計画は立てるというが、提案されているのであるから、審議に間に合うようになぜ出さない。審議に間に合うようにいつお出しになるか。
  152. 大石武一

    大石(武)政府委員 このいろいろな構想あるいは使い道に関しましては、大体の考え方は農林大臣がたびたび申し上げているだろうと思いますが、十五億円というものをただいま申し上げました総合調整的な新農村建設に使うのであります。たとえば土地改良に使うときならば十億という予算を組んでおりますが、どの県に何億円、どこの土地改良に何千円というものははっきりはじいて、全体のワクの上できめて、あと予算当局で分けるのが普通であります。なおこまかい規則、業務が法書は政令できめてよろしいと考えております。
  153. 小川豊明

    小川(豊)委員 山添総裁にお伺いしますが、あなたは公庫でもって十五億買付の計画を立てましたが、この十五億については農林当局と具体的な話し甘いをして出されたのですか。十五億計上しろと言われたからこれだけ出すというのであなた方が計上されたのか、内容を聞いて計上されたのかその点を聞いておきたいと思います。
  154. 山添利作

    ○山添説明員 十五億という数字につきましては私どもも知っております。それから新農村建設につきましての構想は目下農林省で練られておるわけでありますが、私どもはその内容からいたしますれば、融資はその内容の一部としてこれを実行していきます。
  155. 村松久義

    村松委員長 芳賀貢君。
  156. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最初に山添さんにお尋ねしますが、公庫におかれまして毎年公庫の資金計画を立てるときに、総裁はどういう役割をするのですか。
  157. 山添利作

    ○山添説明員 法制上のことでなくて、実際のことを申し上げたいと思います。公庫融資は御承知のように政策融資でありまして、農林行政の主体である農林省がいろいろ政策を立てておられます。それに基きまして各局から要求がむろん出てくるわけでございます。その要求農林経済局でおまとめになって、私どもは私どもで公庫の実績その他を勘案いたしまして、私どもはこういうのがいいと思うのを参考にして出しておりまして、それらを総合して農林経済局でおまとめになり、協議決定をされた上で大蔵省に要求する、こういうことになっております。
  158. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、公庫として独自の希望的な計画というものは当然持たれるわけですね。その公庫が当初に作られた自主的な今年度の資金計画と、この資料として配付されておるところの計画との間において完全な一致を見ておるものであるか、あるいは著しい相違があるものか、そういう特色のある点があった場合があるとすれば、参考までに御説明を願いたい。
  159. 山添利作

    ○山添説明員 こういう方面に特に資金を増したい、すなわち重点的にやりたいもの、土地改良融資でありますとか、先ほど少いと言われました自作農創設維持でありますとかいう私ども希望しているところはおおむね入れられていると思います。
  160. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私のお尋ねしているのは、これこれの面にこれだけを配分して貸したいという貸付計画ではなくて、むしろ農林漁業金融公庫としてのしての資金構成に対して、あなたは何か考えを持っておるのかおらぬのかということを聞いておるわけです。
  161. 山添利作

    ○山添説明員 先ほど石田さんでございましたか、から質問がございましたが、私どもは利子のつかない出資がもっと多いことを希望いたしておるわけでありますが、三十年並びに三十一年度は一般財政事情によりまして満足でない状況でありますから、今後ともその増加ということには希望をしておるわけであります。
  162. 芳賀貢

    ○芳賀委員 政府機関に類する公庫の資金構成は、昭和二十八年度に公庫が生まれたのでありますが、その後毎年資金構成の内容が変化しておる、一定の基準の上に立って資金構成が行われておらぬということは、直接業務を担当しておられる総裁はその点を考えておられると思いますが、そういうことが正常な形であるかどうかということは、これはすでに非常に重大な段階にきておるのではないかと危惧しておるわけであります。むしろ総裁においては、今年度のこの資金構成の計画等を見た場合に、公庫の今後の運営の上においてもこのような資金構成であってはいけないという、そういう点がはっきり現われておるのじゃないか、その点はいかがですか。
  163. 山添利作

    ○山添説明員 結局この資金構成の問題は、その結果といたしまして貸し倒れ準備金を幾ら用意するか、こういうところにしりがくるのであります。十億の出資では年度末の貸し倒れ準備金として引き当て得るものが一億二千万円ばかりで、私どもはこれを五億円くらいはほしい、こういうふうに考えておるのであります。現状においてはこれで満足しておりませんけれども、財政事情上やむを得ません。しかしそのことは当年度にたちまち困るというわけではありませんが、今後におきまして一般の利子のつかない出資が増加されることを強く希望いたしておるのであります。
  164. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで昭和二十八年、二十九年、三十年、三十一年度と、この四カ年の資金構成の内容を見ると、毎年のように極端に——政府出資、産投出資、この利子のつかない資金部面というものが三十年三十一年度には失われておる。ですからその反面においては、借入金によって公庫の資金構成がなされておるということになるわけです。これは結局公庫の資金コストの上に当然私は影響が現われてくると思います。そうじゃありませんか。今年のように全体の二百十億の計画の中においてあの産投からの出資が十億しかないということになると、これは資金構成の五%だけが利子のつかぬ出資分ということになり、ですから全部が借入金によって依存しておるということになる。こういう状態が明年も明後年も続くという場合においては、公庫の資金コストあるいは全体の運営資金に重大な狂いがくると考えるわけでありますが、山添さんはどう思っておりますか。
  165. 山添利作

    ○山添説明員 これは狂いが起るとは考えておりません。三十年度及び三十一年度に出資が十億ずつでありましても、やっていけるのはともかく過去の出資があるからであります。約五百億でありますが、公庫自身の運用状況においても、いろいろ経費の節約ということを今後ともはかって参るべきことは当然であります。しかしいずれにいたしましても、それをもってまかない切れるわけのものではないということはもちろんでありますから、こういう三十年度及び三十一年のような事情がずっといつまでも変らずに続くのだとは思っておらないのであります。
  166. 芳賀貢

    ○芳賀委員 一つの事例を申し上げると、昭和二十八年は公庫に切りかわった年でありますが、二百六十億の資金構成のうち八〇%が政府の一般会計からの出資分だったのです。二十九年度は、二百億の資金構成のうちの四五%、九十五億円が出資だった。昨年度は、政府が本法案の一部改正を行うことにして、当初九十億円の出資を見込まれておったのですが、当時の民主党と自由党のなれ合いによるところの予算修正によって、足して二で割るというような形になった関係で、最初政府原案は九十億であったけれども、これを八十億も修正して十億円の政府出資ということにしてしまったわけです。昨年からそういう前例ができて、思想統一のもとに保守合同が行われたものですから、ことしは一般会計からの出資もやめて産投特別会計からわずかに十億円出せばいい、あとは全部借入金で、簡易保険から五十五億円を借りるようなことになっている。こういうことを今の政府はあえてやっておるわけです。ですから、来年の公庫の資金構成は、コストが上ってきておるから、今の貸付利子のような限界というものを保つことはおそらくできないと考えるわけです。こういう安定性のない融資機関というものは、政府の責任においても当然欠陥を是認すべきであるというように考えるわけですが、大石政務次官はこれに対して何かお考えがありますか。
  167. 大石武一

    大石(武)政府委員 これはむしろ安田経済局長よりお答えするのが適当かと思いますので、お答えいたさせます。
  168. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほど総裁も言ったように、これは政策の上に立った政府機関の金融なんです。ですから、事務当局であるところの役人が答弁に当るということではなくて——あなた方がきめて、こうやれと言っているのです。それを安田局長に聞いて下さいと言うのは順序が逆なんです。わからなければわからぬと言っていただけば、当然大蔵大臣あるいは農林大臣を呼んでその所見をただすばかりです。責任の転嫁を局長の上にされないように御注意を申し上げます。お考えがあるかどうかということを聞いておるのです。
  169. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 委員長のお許しを得ましたので私からお答え申し上げます。  農林漁業金融公庫は政策金融であって、政府資金を重点に置いて原資として調達いたしまして、法律に基きました対象に基いて、その法定された利率で貸し付けるのが本旨でございます。その際に出資金を一般会計からどのくらい調達するか、また産投会計やその他の会計からどのくらい調達するか、あるいは借入金をどこから調達するかということについては、そのときどきの一般会計における予算あるいは財政金融として、政府金融として使いまする金融状況によりまして種々苦心の存するところであると思います。最も資金効率が高くて、有効に使い得るようにと思って関係省や政府全体がいろいろ苦労されておるので、その点においてはまさしく政策によると思います。しかし、農林漁業公庫法があり、農林漁業公庫法におけるワク及び原資調達のその年々の調達は、一般会計でも、産投会計でも、無利子の金がどのくらいきて、過去に調達された無利子の金の回収金がどのくらい見込まれまして、そうして公庫が借り入れまする有利子の金とプールしますと、法定された対象に対して、法定された金利を上げないで動くかどうか。なお、公庫が人件費、事務費等の所要経費をなるべく合理化もしながら、かつやっていけるという範囲でまかない得るかどうか。そのほかに、さらに償却積立金を幾分かは積み立てるべきがほんとうでありますけれども、それが積み立て得るかどうか、そういうことになりまして、そのいずれかが成り立たない場合にはなるべく一般会計からの繰り入れを期待したり、無利子の産投会計の原資による原資調達をしたりすべきものでありまして、年がたちますると、過去に原資を調達して投資しましたものの償還金の種類によりましてその金利が違いますので、それをも考えまするというと、今申しましたような条件が満たされるならばそれでいいのではないかというふうに思います。ただそのワクにつきましては、もっと事業をたくさんやりたいという気持から、必ずしも十分でありませんが、三十一年度につきましては減らず、三十億のワクにおいては貸付金がふえまして、かつ各対象の金利を引き上げることはしないで、そうして公庫は人件費、事務費をまかないまして償却準備金も償却積立金もできる。こういうことで、だんだんきつくなっていることは事実でありますが、また、ことしのやり方が来年そのままでいいかということも、来年公庫の資金調達、特に原資の調達の場合によく考えますが、三十一年度としてはこれでいいのではないかということで御審議をお願いしたのであります。
  170. 芳賀貢

    ○芳賀委員 安田さんに申し上げますが、事務当局として御答弁になるときは、大臣や次官のようなそういう政治的な要素のある御答弁は望んでいないのです。まじめに事務当局としての責任のある立場に立っての、実はこのようにしなければならぬのだけれどもという、その前提をあなたはいつも述べていないのです。政治的な申しわけとか弁明は非常に上手で、それはあなたとしてはいささか誇りとするところかもしれませんけれども、事務当局の役人のあり方としては、必ずしもそれが望ましい形だとは私は考えておらぬのです。先ほど山添さんは、来年もこのような原資調達の形でいく場合においては、当然公庫の貸付金の金利引き上げ等の事態が生ずるかもしれぬということを危惧していたわけですけれども、あなたは、その日その日、あしたはあしたの風が吹くというような御答弁でありますが、そういう点、公庫の資金計画を立てる場合においては、当然総裁や局長が合議の上で立案されるべきものだと思う。だから、事務当局として、もう少しまじめなこれに対する説明並びに答弁を願いたいと思うのです。
  171. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 私は、公庫のいわゆる広い意味の予算を事務当局としてどう考えて立てるべきかということをまじめに申し上げているのでありまして、ふまじめと思われるのはまことに遺憾であります。  公庫の主たる任務は、四半期ごとの事業計画及び資金計画を作成して主務大臣に提出して、その認可を受けて実行する、あるいは変更しようとするときもその認可を受けて実行する、特に個別の融資を実行するのが任務でございまして、公庫の予算をどういうふうにするかについて、いろいろ公庫からも意見をいただいたり、よく連絡し合いまして、その上でどういうふうにして資金調達をするか。それでこの際は十分でないががまんしようかとか、これでもやっていけそうじゃないかというようなことは、まさに農林省の役目だと思っております。
  172. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それではお尋ねしますが、来年もこのような原資調達の方法でいった場合に、貸付金の利子の引き上げを行わないで、それから公庫の運営上必要な人員の削減とか、執務上の負担の強化とか、そういうことを行わないで順調にやれるという自信がありますか。
  173. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 ちょっと伺いますが、来年というのはいつのことでしょうか。
  174. 芳賀貢

    ○芳賀委員 三十二年度です。
  175. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 三十二年度につきましては、私今農林経済局長としての確たる意見を申し上げるのはどうかと思いますが、見通しを申し上げます。償却積立金をもう少し増し、公庫の活動も必要なものは確保し、不要のものは切り捨てるということも行わなければなりませんが、対象範囲をもっと拡大して、農林漁業というような生産性が低くて、収益も必ずしも他産業に比して高くないものに対しては、安い金利の金融で豊富に供給する方針が必要だと思いますので、その意味におきまして、芳賀委員の御指摘のような一般会計でもいいし、また産投会計のような無利子のものであれば、原資を増して的確なる回収も行なっていただいてやっていくのがいい。それがこのままの原資構成で——特に三十年度と三十一年度における原資調達の出資金に当ります部分についての御意見もございましたが、そういうような傾向がなお伸びて続いていきますとか、そういうことがあれば不十分だろうと思います。その点を公庫の総裁も言われたと思うのでありますが、その点は公庫の総裁と全く同意見でございます。
  176. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に総裁にお尋ねします。総裁の立場からいたしまして、来年度の原資調達と資金構成というようなことについて、たとえば借入金と無利子の出資等によるものとの比率ですが、どういうような組み合せであることが望ましいか、そういうことは考えておられるのですか。
  177. 山添利作

    ○山添説明員 それは研究をいたしております。
  178. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういう研究があれば何も追及はいたしませんが、当然これは総裁として研究しておかなければならぬ問題です。ですから当委員会で、幸いな機会ですから総裁の考えがあれば述べておかれた方がいいじゃないですか。何もおそれる必要はないでしよう。
  179. 山添利作

    ○山添説明員 私どもといたしましては、経費を切り詰め得るものは合理的に極力これを切り詰めたい。それから貸し倒れ準備金のごときものは、これは千分の七積み立てるようになっておったが、これも二十分の五くらいは積み立てをいたしたい、こういうような前提をもちましていろいろ考えておりますが、むろん貸付金の利子は引き上げない、そういう前提のもとで考えますと、ずっと以前におきましては出資が五割五分、借り入れが四割五分でありましたが、今後のやり方といたしましてはその逆で、出資が四割五分、借り入れが五割五分というようなところでありたいと考えておるのであります。ただしこれはその年度々々ではございません。過去のずっと累積をいたしました割合がさようになる、こういうふうに考えておるわけであります。
  180. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に今年の貸付計画のことについて二、三お尋ねしますが、先ほど同僚小川委員から新農村関係の御質問がありましたが、この新農村に対する十五億があることによって、土地改良あるいは共同利用施設、主務大臣指定の施設というようなものが食われたわけですか。
  181. 山添利作

    ○山添説明員 そういう事実はございません。若干減ったと思いますのはいわゆる共同施設でありますが、これは一通り行き渡ったようなものもございます。たとえば農業倉庫、これはむろん今後必要ではございますが、五カ年計画は、実際は一年延ばしたのでありますが、一応今年をもって、終了いたしております。あるいは電気導入というようなことにつきましては、今までは小水力の発電ということがおもでありましたが、今後は電信柱を引っぱってくるいわゆる受電とか、そういうようなことによりましてだんだん金も減って参る。むろん減ったというのも余っておったということではありませんが、全体のバランスにおきまして減る理由があって減っておるのであります。また土地改良あるいは漁船等ふえるものはふえておるのであります。特に十五億円を新農村建設の融資に予定しましたがゆえに他に影響を及ぼしたというようには考えておりません。
  182. 芳賀貢

    ○芳賀委員 昨年あたりからの政府方針として、農業関係に対する予算のうち補助金等の切り捨てをして、これは災害復旧等でもそうでありますが、これを主として融資に切りかえるということをきめておるわけであります。補助金とかそういうものはだんだんやめてしまってそのかわりに融資だけを何とか生かしていくという方向にきておる。ですから今年の食糧増産計画の中においても、この補助金とか政府自身の責任支出というものが減額されて、しかもその増産の期待量というものはそれほど減らしていないという場合においては、当然融資の面において、特に土地改良関係融資等はワクが相当大幅に増大さるべきであるというふうにわれわれは常識的に考えております。ところが昨年よりも若干下回っておるということになっておるが、今後政府資金を通じての土地改良事業等はそれほど行わなくともよいような段階に達しておるかどうか、その点はどうですか。
  183. 大石武一

    大石(武)政府委員 土地改良はまだまだ必要だと思います。ですから土地改良はわれわれこれを軽視する気持は全然ございません。
  184. 芳賀貢

    ○芳賀委員 気持じゃございません。去年よりも少し減っておるがどうかということを言っておるのです。
  185. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 土地改良につきましては、まだまだどんどんやるべきでありますが、財政金融上の制約がありますので、十二億の増を今回期待しております。大きいワクとしての土地改良で減りましたのは、公庫融資ではとにかく利子がつきますが、改良基金の方に移しまして——これは耕土培養でありますが、無利子の貸付金の方に移そう、移した方が農業に適するというのでそっちに移してここを落しただけであります。それから主務大臣指定施設とありますものが減少いたしておりますのも同様であります。もう一つ共同利用施設とありますのは、公庫総裁が申されました三十一年度の電気導入の関係で、電気の受け入れ施設の方が多くなって公庫資金の所要額が少くなったから少し減らしたわけで、それは補助金のつけ方に応じて残りについて公庫融資をいたしますから、予算のきまったときにこれに照応して従来通りつけた、こういうことでございます。
  186. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農村電化のことを言われましたが、もっとも小水力のごときはある程度伸びておるかもしれませんが、総裁が仕事をやっておわかりと思いますが、まだ全国の農山漁村における無電燈地帯はずいぶん残っているわけであります。ところが昨年のごときも農村電化のいわゆる受電施設、電燈を引っぱってくる施設に対する借り入れ希望は全国的に非常に大きいわけであります。これは今までだんだん仕事を進めてくると、経費の一定限度でとどまるところは一応終ったとしても、残っておるのはますますその経費がかさむところなんです。配電会社から見ると採算のとれぬような地域が残っておる。そういう地域に対しては、返済する能力がバランスを失うからということで貸付の対象にしないというようなことが昨年あたりからぼつぼつ行われておるのです。昨年は大体六万円を限度として、それ以上の経費がかかる分に対しては貸付をしないという方針を立てられた。そうすると、今後七万円とか八万円、それ以上もかかるような農山漁村の無電燈地帯はどういうふうにしたら電化することができるか、これは非常に大きな問題だと思います。そういう面に対してはさらに長期な低利な資金融通とか、あるいはでき得れば、開拓、あるいは離島関係においては補助金の一部がありますけれども、そういうような施策を講じてその方面に対する資金需要に応ずるというような努力は必要だと思うのです。ですからここで削減してもいいのだという理由は成り立たないと思いますが、実情はいかがですか。これは総裁にお尋ねいたします。
  187. 山添利作

    ○山添説明員 これは非常に負担の重いところのものが残るかと思います。それはおそらく金融だけでは片がつかない問題であります。それは別途ある時期において御研究を願うべき問題だと考えております。この金額の点から申しますれば、発電と違いまして受電の方は相当安いと申しますか、大ぜいの方に満足がいただけるように考えるのでありまして、まず昨年と申しますか、三十年度の予算計画から見ますと、三十一年度は約一億減るのでありますけれども、おおむねこれをもってやっていけるだろう、こういうふうに考えておるのであります。
  188. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に共同利用施設の点です。これは新農村と関係がありますが、新しい村作りをするような場合の一つの現われとして、どうしても共同化の方向にいかざるを得ないと思うのです。政府の新農村はそうでないかもしれませんよ。われわれが考えた場合においてはやはり共同化の方向は新しい村作りをする場合にはどうしてもそれが基盤をなすのではないかと考えている。適地適産をやっても、それを原料生産からさらに第二次、第三次の過程を経たところの段階まで生産を高めていくようなこともまた必要になってくると思う。そういう場合において共同利用施設等に対する資金の需要量はむしろ今までよりも計画の上に立って何倍にも増大してくると思うのです。またそれを考慮に入れて貸付計画は立てる必要があると思う。ところがこれを減額して、抽象的なわけのわからぬ新農村の分で十五億ということになっておるけれども、これはその新農村が固まれば——いつか固めるかもしれませんが、固まった場合には新しい計画によるところの共同利用施設等に対する融資は新農村の十五億円のワクの中から出すのですか。
  189. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 共同施設は、大臣のいわゆる適地適産をほどほどにやるということと照応しまして、なお一層農業経済を守っていく上に重要な施設だと思いますが、公庫分だけをとらえましても、今回の三十年度分の共同施設分のワクが減りました分は、無利子にして農業改良基金へ移した分が減っただけであります。農業改良基金の方ではそのワクは増しておるのであります。その残りは、公庫の共同施設に対する融資のワクは従来のままなのであります。しかし先ほども申しました新農村におきまする共同施設が、新農村計画の中で一事業として必要である、こういう場合に備えまして、先ほど五億、十億と申しました十億の中で融資をすることにいたしておるわけであります。従って三者、言いかえますと、農業改良基金の方でワクを増した分と、従来通りの公庫で共同施設用としてしました分と、新農村の中でやります分とで、共同施設は不十分ながらも相当にワクを増したつもりでございます。
  190. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今の局長の答弁によると、新農村計画の中の一こまとしては、やはり農村のいわゆる共同化の方向は当然期待しなければならぬ、重点的にそうしなければならぬというお考えの上に立っておるわけですね。
  191. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 その通りであります。
  192. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、先ほどの小川委員に対する御答弁とちょっと食い違いができてくるように私は考えておる。そういう矛盾はないですか。
  193. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 矛盾はないと思います。
  194. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最後にこれは大石次官にお尋ねしますが、これは農林省の各局の予算の中に、農山漁村建設総合対策費が一つずつほとんどみな載っておるわけです。これと新農村は関係があるか、全然無縁のものであるか、これはいかがですか。あなたははっきりしたものはないと言っておるが、これは経済局あるいは官房にしても、農地局にしても、林野庁にしても、蚕糸局こしても、それぞれみな一つずつ農山漁村の総合対策費は載っておるわけです。これは何ですか。
  195. 大石武一

    大石(武)政府委員 お答えします。この新農村建設の場合、新しい村ができ上る場合には、さっき芳賀委員仰せられたように、大体共同施設的なものが非常に中心になるだろうと思うのであります。それは結局適地適産といいましても、ただ狭い意味の適地適産でなくて、広い意味の、村が自立するためにはどのような営農方針がよろしいか、どのような経済行為がよろしいかということを私は適地適産と称しているのだと思います。そういう意味でございますから、結局村が経済で立っていく、経営が自立できるというからには、やはり芳賀委員仰せられたように、共同的な行動なり施設が中心になるだろうと思います。そこでございますから、いわゆる総合共同施設というものは今までの予算とかち合うこともあり得ると思いますが、それを巧みに運営して、むだな費用がないように、今までの施設なりあるいはこれからもいくであろう予算をうまく両方調整いたしまして生かしていくことが好ましいと考えております。
  196. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の聞いておるのはそれではないのです。具体的に農林省はこれを出しておるのです。この中に、たとえば農林経済局の九の科目に農山漁村建設総合対策の内農山漁村電気導入こういうものがあるのです。それから大臣官房にも七と八に載っておる。農地局の十八にも出ておる。こういうものはどの局にも必ず一つないし二つは載っておるわけです。ですから、これといわゆる新農村計画なるものとは関係があるのかないのかということを聞いているのです。それだけお答えになればいいのです。あなたは政務次官なのに、農林省資料を見ないのですか。われわれのところにも配ってあるじゃありませんか。
  197. 大石武一

    大石(武)政府委員 私が先ほどお答えしたのは、私の気持で申し上げたのです。それは新農村の場合にも使いますが、それだけに使うものじゃなく、外にも使えるものと思います。
  198. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは新農村に使う布石ですか。
  199. 大石武一

    大石(武)政府委員 いや、新しい村を作るのでございますから、いろいろなものを利用しても、総合的な経済効果をあげればよろしいと私は思います。
  200. 芳賀貢

    ○芳賀委員 あなたは先ほど、経済局長の安田試案のごときものは、この際政府の責任において発言することは許さぬと断言したじゃありませんか。そう言いながらも、これにはその内容が出ておるじゃありませんか。あなたは口どめをしておりながら、資料をここに出しておるじゃありませんか。これはどういうわけなんです。
  201. 大石武一

    大石(武)政府委員 どうもおかしいと思うのですが、今まで一般補助か出ておるのですから、今後も続けてあらゆる農村に役立たせてあげたいと思っているのでございます。
  202. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ですから、新しい村を作るなんていっても急にできるはずはないのです。予算的な配慮から言うと、こういうものに全部網をかぶして、これが新農村だといって看板を出しておるにすぎないのです。それとも、こつ然として新しい村が生まれるのですか。
  203. 大石武一

    大石(武)政府委員 新しい村という言葉がきざであれば取り消してもよろしいのでありますが、何か一つの言葉がなければなりませんから新農村という言葉を使ったわけであります。それから、古い農村がこれから経済効果を上げるとか、農村経済の自立をはかるということについては、今までのあらゆる農政学者なりあるいは農政に関心を持たれる方がいろいろ研究をいたしまして、ほとんど方策ができておると思うのです。それをどのような村にどのように組み合せていくかということが問題だと思うのです。ですからまるで夢のような理想がすぐに飛んでくるのではなくして、今まで研究されてきたいろいろな方策をその村に一番適合していくように組み合せていくことが仕事だと思うのです。そのためには村にいる人々がみんなで計画を立て、みなでもって考えてほしい、そのために十分な補助をしようということでございます。
  204. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は次官と新農村論をやる考えはありません。  委員長に申し上げますが、この農林漁業金融公庫法の一部改正に対する今後の公庫の運営に対してはまだ若干疑点が残っております。あす農林大臣も出席される予定になっておりますので、その際あわせて大蔵大臣の出席を求めて、そこでさらに質疑を続行したいと思いますので、きょうはこの程度にしてあとは保留しておきます。
  205. 村松久義

  206. 淡谷悠藏

    淡谷委員 簡単に二点ばかり公庫の総裁にお尋ねしたいのですが、その前にちょっと安田局長お尋ね申し上げたいと思います。あなたはさっき農用地の交換整理事業に五億円、農山漁村総合施設に十億円とおっしゃったのは、これはいわゆる新農村建設の中に含まれた二つのものでございますか。それとも、前者はこの新農村建設からはずれるものでございますか。
  207. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 私が申しましたのは、淡谷先生のみならず小川先生にも少し私の説明足らずがあったのじゃないかと思うのですが、いわゆる新農村——予算書では農山漁村建設総合対策費補助とありますが、このような事業をいたしますためにまず村作りとでも言うべきことを考えて、その中に従来いろんな施設が出てきますから、その事業の基幹ともなるべき事業をとらえて補助をなしたり、融資をしたりする、そういう村作りの計画が立った中の施設や何かに融資するという意味の農用地の交換整備事業とか、農山漁村振興総合施設の共同施設の中に入ってきますが、そういうものと申し上げたので、昨年までに公庫が融資対象としました外であります。
  208. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうすると、新農村建設構想なるものの中に五億だけ農用地交換整備事業のワクがきまった。この計画はきまったのですか、そう了解してよろしいですね。これは局長にお答えを願いたい。
  209. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 公庫融資として、融資の事業区分をしたワクとしてはさまっておるわけであります。御審議を願う案としてはさまっておるわけであります。
  210. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そう持って回らずに、十五億のワクの中に入っているんだが、この十五億全体があなたのおっしゃる一つの新農村、農山漁村建設という項に入っておる、これは、われわれはきのうの大臣の答弁によりまして、十五億円のワクの中で、いわゆる新農村建設をやるということだけは確かめたわけであります。あなたはそのうち五億円は農用地交換整備事業に使うというから、そうするとその以外の事業は十億円でおやりになるのですがどうですか。十五億円なのか十億円なのか、その点を聞いているのです。
  211. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 ちょっと御質問の意味がよくわかりませんでしたから、あるいは違っておりましたらまた訂正申し上げます。大臣が申しましたのは予算の項目の立て方上、補助金の意味の額をいったのではないかと思いますが、それに使おうと思っております基礎である事業量とか、国庫補助とか、融資とか、その融資の中での政府が特に直接予定すべき公庫融資というのは以上のようなものであります。しかしその村の中に、従来の公庫融資ができるものがございます。そのものがちょうど該当するならば、それはそれ固有の共同施設とかいうことでいくのが従来通りあるということを申し上げたわけであります。
  212. 淡谷悠藏

    淡谷委員 同じことになりますけれども、私は端的に理解いたしまして、十五億というものは新農村建設に見合った、これは一つ融資構想だと思うのです。そこで公庫の総裁にお伺いいたしますが、あなたはさっき自作農維持創設資金の貸し出し方につきまして非常に慎重に考慮せられる、国会がわざわざ配慮いたしてとりました担保や、そのほかに生活安定計画まてきびしく取り立てる。従って十五億円の融資も、あなたの立場からは、そうずさんなことはなさらないだろうと思いますが、これが一たん実際貸し付けられる場合は、どのような構想に従ってあなたは貸し付けられるつもりか、それをお伺いしたい。
  213. 山添利作

    ○山添説明員 元来新農村建設計画の中の融資対象の事業として融資を求められるものが、そう雑駁なものとしてくるわけはないので、やはり何坪の建物を幾らで建て、そのまま用途は何であって、その収支は幾らである、こういうふうに立ててこられるのです。また立ててこられるのが当りまえだと思いますし、総合建設計画はそういうふうに立てられるものと私は考えております。
  214. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうしますと、結局農山漁村建設という項目にもありました十五億円の融資を具体的に貸し付けられる場合は、土地改良であるとか、林業であるとか、漁業であるとか、塩業であるとか、共同利用施設だとか、こういうような使い方に分散せられまして、看板は農山漁村建設でありまするが、実態においてはこれらの費目に合わせて農山漁村建設というコースから流れ出る融資と解釈してよろしいのですね。
  215. 山添利作

    ○山添説明員 これは先ほど安田経済局長からお話がございましたごとく、この建設計画というまとまったものができる、その個々の、中の事業なり施設をとってみれば、これはまた個々になるわけでございます。融資を対象といたしますのはその全体計画の中における個々の仕事ということでございましてこれは今後非常に密接な仕事を貸付の対象にするという取扱いのことは、むろん私は考え得る場合があると思います。その辺の具体的なことは今後研究をいたしますが、いずれにしたしましても融資のことでありますし、補助金だってむろんそうでありますが、つかみ金でどうというようなことはございません。
  216. 淡谷悠藏

    淡谷委員 安田局長に最後に一点お伺いしておきますが、結局この融資内容というものはいろいろな費目に分れて出るだろうと思うのです。新農村建設と申しましても、新農村建設なんていうビルディングが建つわけじゃないのだから、いずれその内容は個々に分散していくだろうと思いますが、これは新農村建設といったような形でばらまくような融資計画じゃないでしょう。やはりその内容については、あるいは共同施設、あるいは土地改良といった工合に、具体的に押えられて貸し付けられるでしょうが、この点一点だけお聞きしたい。
  217. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 公庫の融資に関しましてはその通りであります。
  218. 淡谷悠藏

    淡谷委員 なお聞きたいことがございますが、要求しておる資料がまだ来ない点もございますので、私の質問はきょうはこれだけにしておきます。
  219. 中村時雄

    中村(時)委員 ちょっと資料要求を一、二しておきたいのです。今の問題で過去三カ年における貸付及び原資に対する有利子と無利子に分割いたしまして、有利子の収支一覧表。要するに幾ら借りてきて、その支払った利子が幾らあるか、貸し付けて、その貸し付けたうちの利子が幾ら入ってきたか、その収支一覧表。  もう一つは公庫の経営費と、信連、中金に代行さしている関係上手数料を払っていると思いますので、手数料と称するかどうか知りませんが、その支払った金額を出していただきたい。
  220. 村松久義

    村松委員長 出すということであります。  それでは農林漁業金融公庫法の一部改正法律案に対する一応の本委員会における質疑は終了いたしまして、残余は大蔵委員会との連合審査会に移します。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十五分散会